(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-26
(54)【発明の名称】レーザ加工用光学システム
(51)【国際特許分類】
B23K 26/067 20060101AFI20230519BHJP
B23K 26/082 20140101ALI20230519BHJP
G02F 1/29 20060101ALI20230519BHJP
G02B 26/08 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
B23K26/067
B23K26/082
G02F1/29
G02B26/08 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559555
(86)(22)【出願日】2021-04-16
(85)【翻訳文提出日】2022-11-09
(86)【国際出願番号】 EP2021059978
(87)【国際公開番号】W WO2021213938
(87)【国際公開日】2021-10-28
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518047322
【氏名又は名称】レーザー エンジニアリング アプリケーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クピシエウィックズ,アクセル ステファン エム
(72)【発明者】
【氏名】ラモス デ カンポス,ホセ アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】マルタン,ポール-エティエンヌ
(72)【発明者】
【氏名】エスティバル,セバスチャン
【テーマコード(参考)】
2H141
2K102
4E168
【Fターム(参考)】
2H141MA12
2H141MB23
2H141MB39
2H141MD12
2H141MD13
2H141MD20
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2H141MD40
2H141ME09
2K102BA09
2K102BB08
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4E168AB01
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4E168DA46
4E168DA47
4E168EA05
4E168EA11
(57)【要約】
レーザ加工のための光学システムであって、このシステムは、同じ部品上で同時にいくつかのパターンの簡単で、信頼性の高い加工を可能にする。本発明のシステムは、光源レーザビーム(101)を生成するための超短パルスレーザ光源と、装置(1)であって、光源レーザビーム(101)を複数の分離されたレーザビーム(301)に分離するための分離手段(30)であって、これにより、分離されたレーザビーム(301)の各々が、それに特有の伝播方向に向けられる、分離手段(30)、及び複数の分離されたレーザビーム(301)から、複数のオフセットされたレーザビーム(501)を生じさせるための空間オフセットユニット(50、50X、50Y)であって、これにより、各オフセットされたレーザビーム(501)が、それに特有の主伝播軸A周りを伝播し得、主伝播軸A周りの動きを表し得る、空間オフセットユニット(50、50X、50Y)、を備える装置(1)と、それに特有の伝播軸の方向でワーク上に、各オフセットされたレーザビームを集束させるように構成される集束手段(70)とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源レーザビーム(101)を生成するための超短パルスレーザ光源(10)と、
装置(1)であって、
光源レーザビーム(101)を複数の分離されたレーザビーム(301)に分離するための分離手段(30)であって、これにより、該分離されたレーザビーム(301)の各々が、それ自体の伝播方向に向けられる、分離手段(30)、及び
前記複数の分離されたレーザビーム(301)から、複数のオフセットされたレーザビーム(501)を生じさせるための空間オフセットユニット(50、50X、50Y)であって、これにより、各オフセットされたレーザビーム(501)が、それ自体の主伝播軸A周りを伝播し得、該伝播の主軸A周りの動きを表し得る、空間オフセットユニット(50、50X、50Y)、を備える、装置(1)と、
それ自体の伝播軸の方向でワーク(201)上に、各オフセットされたレーザビームを集束させるように構成される集束手段(70)と、を備える、レーザ加工用光学システム。
【請求項2】
前記複数のオフセットされたレーザビーム(501)のうちの各オフセットされたレーザビーム(501)が、主伝播軸A周りを伝播し得、該主伝播軸Aが、互いに非ゼロ角度αを表すことを特徴とする請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項3】
前記オフセットされたレーザビーム(501)の主伝播軸Aの各々が、それに隣接する主伝播軸Aに対して0.005°~1°の間の角度、好ましくは、0.01°~0.5の間の角度を表すことを特徴とする請求項2に記載のシステム(100)。
【請求項4】
前記分離手段(30)が、マトリックス変調手段(35、39)、好ましくは反射マトリックス変調手段(39)であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項5】
前記マトリックス変調手段(35、39)が、マトリックス位相変調手段(35、39)、好ましくは反射マトリックス位相変調手段(39)であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項6】
前記反射マトリックス位相変調手段(39)が、前記直線偏光源レーザビーム(101)を、前記複数の分離されたレーザビーム(301)に分離するように構成されているという点で、LCOSであることを特徴とする請求項5に記載のシステム(100)。
【請求項7】
前記分離手段(30)が、ビーム整形のために、固定回折光学要素(36、37、38)を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項8】
前記固定回折光学要素(36、37、38)が、透過回折光学要素(36)であることを特徴とする請求項7に記載のシステム(100)。
【請求項9】
前記固定回折光学要素(36、37、38)が、反射において固定された第1の回折光学要素(37)であることを特徴とする請求項7に記載のシステム(100)。
【請求項10】
反射において固定された第2の回折光学要素(38)を更に備え、これにより、前記レーザビーム(101)が、反射において、前記第1の回折光学要素(37)及び前記第2の回折光学要素(38)の各々における少なくとも1つの反射、好ましくは前記第1の反射回折光学要素(37)及び前記第2の反射回折光学要素(38)の各々における少なくとも2つの反射を表すことを特徴とする請求項9に記載のシステム(100)。
【請求項11】
各オフセットされたレーザビームが、その主伝播軸Aに垂直な平面内で、それぞれの該主伝播軸Aの周りに円を表し得るように、前記空間オフセットユニット(50)が構成されることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項12】
各オフセットされたレーザビームが、そのそれぞれの主伝播軸Aに垂直な平面内で、1つ又は複数の線を表し得るように、前記空間オフセットユニット(50、50X、50Y)が構成されることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項13】
前記空間オフセットユニット(50、50X、50Y)が、前記複数のコリメートされたレーザビーム(301)と前記複数のオフセットされたレーザビーム(501)との間で同じ偏光を維持するように構成されることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項14】
前記空間オフセットユニット(50)が、
前記主伝播軸Aに垂直な平面内で、第1の方向Xにオフセットされたレーザビームを生じさせるための第1の横方向オフセットユニット(50X)と、
前記主伝播軸Aに垂直な平面内で、第2の方向Yにオフセットされたレーザビームを生じさせるための第2の横方向オフセットユニット(50Y)と、を備え、
該方向X及び方向Yが、互いに直交し、
前記第1の横方向オフセットユニット(50X)及び前記第2の横方向オフセットユニット(50Y)が、前記複数のコリメートされたレーザビーム(301)をオフセットして、複数のオフセットされたレーザビーム(501)を生じさせ得るように、光学的に結合され、各オフセットされたレーザビームが、その主伝播軸Aに垂直な平面内で、それぞれの該主伝播軸A周りに円を表し得ることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項15】
前記第1の横方向オフセットユニット(50X)及び/又は前記第2の横方向オフセットユニット(50Y)が、前記主伝播軸Aに垂直な平面内で、前記複数のコリメートされたレーザビーム(301)をオフセットして、方向X及び/又は方向Yのそれぞれについてオフセットされたコリメートされたビームを生じさせるために、回転するように構成されるブレード(410)を備えることを特徴とする請求項14に記載のシステム(100)。
【請求項16】
前記第1の横方向オフセットユニット(50X)及び/又は前記第2の横方向オフセットユニット(50Y)が、
可動鏡(401)であって、これにより、その法線が二次元空間内で経路を表し得る、可動鏡(401)と、
前記可動鏡(401)のすべての可能な位置及び向きについて、方向X及び/又は方向Yのそれぞれにおいて各コリメートされたレーザビームのオフセットを生じさせるために、前記複数のコリメートされたレーザビーム(301)の前記可動鏡(401)での第1の入力反射を前記可動鏡(401)に向け直すように構成される光リターンシステム(402、403)と、を備えることを特徴とする請求項11に記載のシステム(100)。
【請求項17】
前記光リターンシステム(402、403)が、
第1の固定鏡(402)及び第2の固定鏡(403)であって、
前記可動鏡(401)での前記複数のコリメートされたレーザビーム(301)の第1の入力反射が、該第1の固定鏡(402)に向けられ、
該第1の固定鏡(402)での第2の反射が、該第2の固定鏡(403)に向けられ、
該第2の固定鏡(403)での第3の反射が、前記可動鏡(401)に向けられ、更に、
前記可動鏡(401)での第4の出力反射が、前記可動鏡(401)のすべての可能な位置及び向きについて、それぞれの主伝播軸Aに対する第1の方向X又は第2の方向Yにおける各コリメートされたレーザビームのオフセットを生じさせ得る、ように構成される、第1の固定鏡(402)及び第2の固定鏡(403)を備えることを特徴とする請求項16に記載のシステム(100)。
【請求項18】
前記第1の横方向オフセットユニット(50X)及び前記第2の横方向オフセットユニット(50Y)がそれぞれ、
第1の可動鏡(421X、421Y)であって、これにより、その法線が二次元空間内で経路を表し得る、第1の可動鏡(421X、421Y)と、
第2の可動鏡(422X、422Y)であって、これにより、その法線が二次元空間内で経路を表し得る、第2の可動鏡(422X、422Y)と、を備え、
前記第1の可動鏡(421X、421Y)及び前記第2の可動鏡(422X、422Y)の法線が、前記第1の可動鏡(421X、421Y)及び前記第2の可動鏡(422X、422Y)のすべての可能な位置及び向きについて平行であり、
前記第1の可動鏡(421X、421Y)及び前記第2の可動鏡(422X、422Y)が、
前記第1の可動鏡(421X)での前記複数のコリメートされたレーザビーム(301)の第1の入力反射が、前記第2の可動鏡(422X)に向けられ、
前記第2の可動鏡(422X)での第2の反射が、前記第1の可動鏡(421X)及び前記第2の可動鏡(422X)のすべての可能な位置及び向きについて、方向Xにおいて横方向にオフセットされた複数のビーム(302)を生じさせ得、
前記第1の可動鏡(421Y)での複数の横方向にオフセットされたビーム(302)の第3の反射が、前記第2の可動鏡(422Y)に向けられ、
前記第2の可動鏡(422Y)での第4の反射が、前記第1の横方向オフセットユニット(1X)及び前記第2の横方向オフセットユニット(1Y)の前記第1の可動鏡(421X、421Y)及び前記第2の可動鏡(422X、422Y)のすべての可能な位置及び向きについて、複数のオフセットされたレーザビーム(501)を生じさせ得、各オフセットされたレーザビームが、そのそれぞれの主伝播軸Aに垂直な平面内で円を表し得る、ように構成されることを特徴とする請求項11に記載のシステム(100)。
【請求項19】
前記第1の横方向オフセットユニット(50X)及び前記第2の横方向オフセットユニット(50Y)が、請求項14に従って規定されることを特徴とする請求項11に記載のシステム(100)。
【請求項20】
前記第1の横方向オフセットユニット(50X)及び前記第2の横方向オフセットユニット(50Y)がそれぞれ、請求項14及び15に従って規定されることを特徴とする請求項11に記載のシステム(100)。
【請求項21】
前記第1の横方向オフセットユニット(50X)及び前記第2の横方向オフセットユニット(50Y)が、請求項11に従って規定されることを特徴とする請求項6に記載のシステム(100)。
【請求項22】
前記横方向オフセットユニット(50)が、
第1の可動鏡(421)であって、これにより、その法線が、二次元空間内で経路を表し得る、第1の可動鏡(421)と、
第2の可動鏡(422)であって、これにより、その法線が、二次元空間内で経路を表し得る、第2の可動鏡(422)と、を備え、更に、
前記横方向オフセットユニット(50)が、前記第1の可動鏡(421)と前記第2の可動鏡(422)との間に位置決めされたブレード(410)を備え、これにより、前記第1の可動鏡(421)での第1の反射が、該ブレード(410)を通過することによって前記第2の可動鏡(422)に向けられることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項23】
前記空間オフセットユニット(50)が、
第1の可動鏡(431)であって、これにより、その法線が、三次元空間内で経路を表し得る、第1の可動鏡(431)と、
第2の可動鏡(432)であって、これにより、その法線が、三次元空間内で経路を表し得る、第2の可動鏡(432)と、を備え、
前記第1の可動鏡(431)及び前記第2の可動鏡(432)の法線が、前記第1の可動鏡(431)及び前記第2の可動鏡(432)のすべての可能な位置及び向きについて平行であり、
前記第1の可動鏡(431)及び前記第2の(432)可動鏡が、
前記第1の可動鏡(431)での前記複数のコリメートされたビーム(301)の第1の入射反射が、前記第2の可動鏡(432)に向けられ、
前記第2の可動鏡(432)での第2の反射が、前記第1の可動鏡(431)及び前記第2の可動鏡(432)のすべての可能な位置及び向きについて、複数のオフセットされたレーザビーム(501)を生じさせ得、空間的にオフセットされた各レーザビームが、そのそれぞれの主伝播軸Aに垂直な平面内で円を表し得るように構成されることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項24】
前記空間オフセットユニット(50)が、
可動鏡(119)であって、これにより、その法線が、三次元空間内で経路を表し得る、可動鏡(119)と、
該可動鏡(119)のすべての可能な位置及び向きについて、複数のオフセットされたレーザビーム(501)を生じさせるように、該可動鏡(119)での前記複数のコリメートされたビーム(301)の第1の反射を、該可動鏡(119)に向け直すように構成される光リターンシステム(121)であって、空間的にオフセットされた各レーザビームが、そのそれぞれの主伝播軸Aに垂直な平面内で円を表し得る、光リターンシステム(121)と、を備えることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項25】
前記光リターンシステム(121)が、再帰反射システム、好ましくは再帰反射器であることを特徴とする請求項24に記載のシステム(100)。
【請求項26】
前記空間オフセットユニット(50)が、
鏡(119)であって、
前記複数のコリメートされたレーザビーム(301)から生じる第1の複数の反射レーザビーム(123)を提供するために法線(126)によって画定された実質的に平坦な反射面を有し、
その法線(126)が、三次元空間内で経路を表し得るように移動可能である、鏡(119)を備え、
前記空間オフセットユニット(1)が、前記複数のコリメートされたレーザビーム(301)及び該鏡(119)の法線(126)が、該可動鏡(119)のすべての可能な位置及び向きについて、0°から15°の間、好ましくは0.01°から10°の間、好ましくは0.1°から8°の間、更に好ましくは0.1°から3°の間の角度(115)で分離されるように構成され、
前記空間オフセットユニット(50)が、
前記可動鏡(119)を変位させるための駆動手段(16)と、
再帰反射システム(121)であって、
前記第1の複数の反射レーザビーム(123)から、前記鏡(119)のすべての位置及び向きについて、前記鏡(119)に入射する第2の複数のレーザビーム(18)を生じさせるために、前記鏡(119)に対して位置決めされ、前記可動鏡(119)に入射する前記第2の複数のレーザビーム(18)の反射から、前記複数のオフセットされたレーザビーム(501)を生じさせ、及び
前記可動鏡(119)のすべての可能な位置及び向きについて、前記第1の複数の反射レーザビーム(123)に平行である、前記鏡(119)に入射する前記第2の複数のレーザビーム(18)を提供し得る、再帰反射システム(121)と、を備えることを特徴とする請求項1から10、21、22のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項27】
部品を加工するために複数の分離されたレーザビーム(301)に対して複数のオフセットされたレーザビーム(501)を提供するための方法であって、
a)光源レーザビーム(101)を生成するための超短パルスレーザ光源(10)を設けるステップと、
b)制御ユニットによって制御される分離手段(30)を設けるステップと、
c)空間オフセットユニット(50、50X、50Y)及び集束手段(70)を設けるステップと、
d)光源レーザビーム(101)を複数の分離されたレーザビーム(301)に分離するように、前記分離手段(30)を制御するステップであって、前記分離されたレーザビームの各々が、異なる伝播軸に沿って伝播し得る、ステップと
e)各オフセットされたレーザビームが、主伝播軸A周りに伝播し得、該主伝播軸A周りの動きを表し得るように、前記空間オフセットユニット(50、50X、50Y)を起動して、複数の分離されたレーザビーム(301)から複数のオフセットされたレーザビーム(501)を生成するステップと、
f)前記集束手段(70)によって、それ自体の前記伝播軸の方向でワーク(201)上に、各オフセットされたレーザビームを集束させるステップと、を実施することを含む方法。
【請求項28】
前記分離手段(30)が、位相変調マップを表示するように制御される画素のマトリックスを備え、これにより、前記光源レーザビーム(101)と、前記位相変調パターンとの相互作用が、前記複数の分離されたレーザビーム(301)を生成する、ことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記変調パターンが、前記光源レーザビーム(101)を、9つの分離されたビーム(301)に分離するように構成されることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一態様において、本発明は、レーザ加工用光学システムに関する。別の態様によれば、本発明は、部品を加工するための複数のオフセットされたレーザビームを提供する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
100ワットを超える平均出力を有し、ギガワット程度のピーク出力を可能にする(したがって、1mJを超えるパルス当たりのエネルギーを有する)超短パルスレーザ光源が現在、市場で入手可能である。これらにより、理論的には、加工速度の高速化による生産性の向上が可能となる。しかしながら、レーザ光源の平均出力を低下させることなく部品を加工するために、そのようなレーザ光源を使用することは、一般に、変形(又は破壊さえも)、酸化、又は構造変化を起こし得る部品への熱的影響のせいで、不可能である。
【0003】
これらの熱的影響は、同じ部品上で互いに極めて接近した領域を加工することが望まれるとき、更にいっそう有害である。実際、任意の領域の加工は、隣接領域の加工に関連する加熱によって影響を受ける可能性があり、そのような隣接領域の加工中に発生した熱は、新しい領域の加工中に放散する時間がない。
【0004】
高出力レーザ光源の使用による熱的影響は、同じパルスエネルギーのパルスを、大きな領域に照射することによって低減され得る。しかしながら、多くの用途、特に、レーザ微細加工については、高い幾何学的精度を実現するために、小さい加工ビームを使用することが望ましい。
【0005】
レーザ加工方法は現在、レーザビームで加工される表面を走査するために、対象の手段を変位させるのではなく、走査ヘッド(例えば、偏向手段、スキャナ)を利用することが多い。この選択は、主に使いやすさ及び加工速度の理由によるものである。しかしながら、レーザビームの一般的なガウス分布に起因して、スキャナの使用は、円錐形の切断面を有する加工になり、したがって、これらの切断面は、迎え面に対して垂直ではない。いくつかの用途では、これは許容できない。
【0006】
切断面のコニシティを制御又は排除するために、歳差運動装置が開発されている。これらの歳差運動装置は、加工される対象に対するレーザビームの迎え角を制御し得る。迎え角のこの制御は、切断面のコニシティを好適に制御し得る。
【0007】
特許文献1は、空間的にオフセットされたレーザビームを、複数の空間的にオフセットされた二次ビームに分割することによって、レーザ光源の出力を、拡張領域にわたって分配し得る加工システムを記載している。この文献はまた、ワーク上の複数の二次ビームの迎え角を制御する手段を記載している。しかしながら、特許文献1に記載されている加工装置は、実装が複雑であり、1つのタイプの加工に特有であり、レーザ光源の出力の変化に適応することが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一態様によれば、本発明の目的の1つは、同じ部品上で同時に複数のパターンを容易に堅牢に加工し得るレーザ加工用光学システムを提案することである。
【0009】
この目的のために、本発明者らは、
光源レーザビームを生成するための超短パルスレーザ光源と、
装置であって、
光源レーザビームを複数の分離されたレーザビームに分離するための分離手段であって、これにより、分離されたレーザビームの各々が、それ自体の伝播方向に向けられる、分離手段、及び
複数の分離されたレーザビームから、複数のオフセットされたレーザビームを生じさせるための空間オフセットユニットであって、これにより、各オフセットされたレーザビームが、それ自体の主伝播軸A周りを伝播し得、主伝播軸A周りの動きを表し得る、空間オフセットユニット、を備える装置と、
それ自体の伝播軸の方向でワーク上に、オフセットされたレーザビームを集束させるように構成される集束手段と
を備える、レーザ加工用光学システムを提案する。
【0010】
本発明は、集束前に、それら自体の伝播軸周りの各ビームのオフセット及び動きにより、高品質の加工を生じ得、部品に集束した後、部品での各ビームの非ゼロの迎え角を有するように、ビームを、それらの伝播軸の方向に集束し(又は向け直し)得る。レーザ加工のための光学システムは、それが支持し得る広範囲のレーザ光源に関して、特に堅牢である。実際、好ましくは反射において、限られた数の光学要素だけでよい本装置は、広範囲のレーザ放射波長、並びに光源レーザ放射の出力及び又はパルス持続時間の使用を可能にする。更に、装置は、極めて限られた数の光学要素しか備えないので、堅牢である。好ましくは、すべての光学要素は、反射のために構成される。加えて、装置は、ビームと相互作用する少数の光学要素だけでよく、これにより装置を更に堅牢にする。これは、光学要素手段の数が少ないほど、光学要素の位置合わせを補正し、結果として、装置を利用し得なくするリスクを、少なくする。一方、装置は、ビームの回転手段の前に位置決めされるため、単純で、小さい分離手段でよい。前とは、ここでは、分離手段が、レーザビームの光路内で、空間オフセットユニットの前に、光源レーザビームと相互作用していることを意味する。単純で、小さい分離手段は、必然的に堅牢で、安価である。空間オフセットユニットの前の分離手段の位置決めは、分離手段が不動の固定ビームで照射されるため、分離手段をプログラムすることを特に容易にする。分離手段が、空間オフセット手段の下流に位置決めされた場合、分離手段は、その上のビームのすべてのオフセット位置について、ビームが分離するように、リアルタイムで調整されなければならない。したがって、分離手段を空間オフセット手段の下流に配置することは適合しない。好ましくは、本発明は、固有で、すべての分離されたビームを受光する空間オフセットユニットを、分離手段の下流で実装し、したがって、同じオフセットが、すべての分離されたレーザビームに容易に適用され得る。更に、本発明によれば、分離手段は、ビームを極めて小さい角度で分離し、これにより、すべてのビームに共通の単一の光学要素である集束手段の使用が可能になり、したがって、単一の部品をいくつかのビームで処理し得る。更に好ましくは、集束手段はテレセントリックである。
【0011】
また、本発明は、レーザビームを分離するためのマトリックス光変調手段の使用により、広範囲の平均レーザ出力を有するレーザ光源、特に高い平均出力、特に100Wより高い平均出力を有するレーザ光源の使用を可能にする。特に、本発明は、独国特許出願公告第10 2014 200 633号明細書によって提案されているように、光リレーを介したオフセットされたレーザビームの伝送を回避し得る。光リレーを介してワークに向かう高出力レーザパルスのこのような伝送は、(光リレーの)集束でプラズマを生成し、部品を加工するときに、出力及び解像度が損失する可能性がある。したがって、本発明の光学システムは、光源レーザビームを複数のレーザビームに分離し得、各レーザビームは、本質的にコリメートされるが、わずかに異なる角度で伝播する。複数のレーザビームは、中心伝播軸からわずかに分岐しているように見える。このような分岐は、各ビームの適切な角度により、ワーク上を横方向にオフセットする。したがって、本発明は、使用されるレーザ光源の出力にかかわらず、ワークのいくつかの位置で良好な加工品質を生じ得る。
【0012】
本発明はまた、各ビームが、部品に集束した後、部品のセグメントの加工を可能にするように、ワークに向けられて、生じた複数のビームにより、高速な加工が可能になる。本発明は、部品に集束した後に、部品上の各ビームの迎え角の制御に結びつく、集束前の各ビームの横方向のオフセットにより、高品質の加工を生じ得る。
【0013】
好ましくは、分離手段によって分離された複数のレーザビームは、時間的に固定された偏光を有する。
【0014】
好ましくは、空間オフセット手段は、分離手段の下流に位置決めされて、その偏光状態にかかわらず、それ自体の方向に伝播する各別個のビームの空間オフセットを可能にする。これは、回折及び/又は屈折光学要素を使用せず、反射において主に光学要素を使用する空間オフセット手段を使用することによって大部分可能である。ここで下流とは、空間オフセットユニットが、レーザビームの光路において、分離手段の後に光源レーザビームと相互作用することを意味する。
【0015】
好ましくは、光学システムのレーザ光源は、10-10秒~10-15秒、好ましくは10-11秒~10-14秒の好ましいパルス持続時間を有するパルス・レーザ・ビームを放射し得る。
【0016】
パルスレーザ放射、好ましくは超短パルス(fsつまり10-10秒~10-15秒)によるレーザ加工は、加工の良好な制御を生じ得る。加工の良好な制御は通常、良好な加工品質をもたらす。
【0017】
好ましくは、複数のオフセットされたレーザビームのうちの複数のオフセットされたレーザビームは、主伝播軸A周りに伝播し得、主伝播軸Aは、それらの間に非ゼロ角度αを表す。したがって、各オフセットされたレーザビームの主伝播軸Aは、それらの間に非ゼロ角度αを表す。言い換えれば、各オフセットされたレーザビームの主伝播軸A周りを伝播し得る複数のオフセットされたレーザビームは、それらの間に非ゼロ角度αを表す。伝播軸A間の角度αは、同一であり、これにより、ワーク上のビームの向き及び迎え角を容易に制御し得る。
【0018】
各オフセットされたレーザビーム間のそのような非ゼロ角度αは、それらの間の相対的な分岐をもたらし、各々が、空間又は横方向オフセット手段によって、空間的又は横方向にオフセットされ得る。これらの分岐は、それらがワークに集束したとき、それらの間の十分な分離を実現するために使用され得る。分離手段により、この角度α、したがって複数の加工レーザビーム間の距離を調整し得る。例えば、マトリックス変調手段(LCOS)の場合、表示された位相偏向マップに応じて、角度αが調整され得る。
【0019】
好ましくは、オフセットされたレーザビームの各主伝播軸Aは、それに隣接する主伝播軸Aに対して0.005°~1°の角度、好ましくは0.01°~0.5°、更により好ましくは0.05°~0.2°の角度を表す。例えば、0.01°~0.5°の角度範囲について、これは、ワーク上の(集束手段の焦点における)2つの隣接するオフセットされたレーザビーム間の間隔が17μm~875μmであることを意味する。例えば、0.05°~0.2°の角度範囲について、間隔は87μm~350μmである。これにより、すべてのオフセットビームに共通の単一の光学要素である集束手段を使用し得る。
【0020】
第1の実施形態によれば、本発明の目的の1つは、加工レーザビームをリアルタイムで、互いに独立して構成し得る装置を有するレーザ加工の光学システムを提案することである。この第1の実施形態によれば、本発明者らは、分離手段が、マトリックス変調手段、好ましくは反射マトリックス変調手段であることを提案する。
【0021】
レーザ加工用光学システムは、加工され得るパターンにおいて、高度に適応し得る。したがって、本発明は、マトリックス光変調手段によって光源レーザビームを複数の分離されたレーザビームに分離することによって生じる加工を、高度に適応し得る。したがって、マトリックス光変調手段によって形成された複数の分離されたレーザビームの寸法及び位置をリアルタイムで変調し得る。本発明が、ビームオフセット手段の上流で複数のビームに分離することを可能にし、ワーク上でのこれらの歳差運動を可能にするので、リアルタイムで加工されるパターンのこのような適応性は、比較的簡単な方法で実施される。
【0022】
第1の実施形態の好ましい実施形態によれば、マトリックス光変調手段は、頭字語SLMによっても知られる空間光変調器である。そのようなSLMは、反射又は透過で動作して、光源ビームと相互作用し得る。SLMは、例えば、マトリックス光変調手段と相互作用するビームの振幅及び/又は位相及び/又は偏光を、空間的に修正し得る。例えば、マトリックス光変調器は、液晶オンシリコンマトリックス位相変調器(LCOS SLM)である。SLMは、電気的に扱われた液晶マトリックスタイプであることが好ましい。
【0023】
第1の実施形態では、マトリックス変調手段が、固定レーザビームで照射されるため、比較的小さな表面積のマトリックス変調手段を使用し得るので、特に有利である。空間オフセットユニットの上流にマトリックス変調手段を位置決めすることにより、それらが固定ビームで照射されるとき、それらをプログラムすることが特に容易になる。独国特許出願公告第10 2014 200 633号明細書の場合のように、マトリックス変調手段が、空間オフセット手段の下流に位置決めされた場合、マトリックス変調手段は、その上のビームのすべてのオフセット位置について、ビーム分離を有するためにリアルタイムで変調されなければならない。
【0024】
第1の実施形態の別の好ましい実施形態によれば、マトリックス変調手段は、マトリックス位相変調手段、好ましくは反射マトリックス位相変調手段である。
【0025】
マトリックス光変調手段は、レーザ放射の空間変調を可能にする能動光学要素である。したがって、マトリックス変調手段は、光源レーザビームと、マトリックス光変調手段における画素のマトリックスとの相互作用を選択的に変調することによって、ビームの形状又は強度を変更し得る。マトリックス光変調手段による位相変調マップの表示は、単一の光源(コリメートされた)レーザビームからの回折によって、複数のビームを分離し得る。好ましくは、マトリックス光変調手段は、反射位相の変調、したがって反射によって、光源ビームを複数のビームに回折し得る。第1の実施形態の利点は、複数の回折ビームに無視できる程度の分岐しか引き起こさないマトリックス光変調手段が、使用され、したがって、ビームをワークに伝送し得るように、マトリックス光変調手段と空間オフセット手段との間にコリメーション/集束手段を必要としないことである。
【0026】
第1の実施形態の別の好ましい実施形態によれば、反射マトリックス位相変調手段は、直線偏光源レーザビームを、複数の分離されたレーザビームに分離するように構成されているという点で、LCOSである。
【0027】
第2の実施形態では、分離手段は、ビーム整形のために、固定回折光学要素を備える。レーザビームの整形は、レーザビームを複数の分離されたレーザビームに分離することに対応する。固定回折光学要素は、例えばDOEである。
【0028】
第2の実施形態の好ましい実施形態では、固定回折光学要素は、透過回折光学要素である。
【0029】
第2の実施形態の別の好ましい実施形態では、固定回折光学要素は、反射において固定された第1の回析光学要素である。
【0030】
第2の実施形態の別の好ましい実施形態によれば、装置は、反射において固定された第2の回折光学要素を更に備え、これにより、レーザビームが、反射において、第1の回折光学要素及び第2の回折光学要素の各々における少なくとも1つの反射、好ましくは、反射において、第1の回折光学要素及び第2の回折光学要素の各々における少なくとも2つの反射を表す。
【0031】
2つの回折光学要素における光源ビームの少なくとも2つの反射は、複数の分離されたレーザビームの分離を良好に制御し得る。また、これにより、複数の分離されたレーザビームが、その後に集束されるとき、被写界深度を良好に制御し得る。必要に応じて、本発明の本実施形態は、ビームが、回折光学要素と単に相互作用するときに生じる被写界深度と比較して、極めて大きな被写界深度を可能にする。
【0032】
好ましくは、空間オフセットユニットは、各オフセットされたレーザビームが、その主伝播軸Aに垂直な平面内で、それぞれの主伝播軸Aの周りに円を表し得るように構成される。
【0033】
別の実施形態では、空間オフセットユニットは、各オフセットされたレーザビームが、そのそれぞれの主伝播軸Aに垂直な平面内で、1つ又は複数の線を表し得るように構成される。1つ又は複数の線は、その平面内のこの線又はこれらの線の向きに関係なく、主伝播軸Aに垂直な平面内に配置される。
【0034】
好ましくは、空間オフセットユニットは、複数のコリメートされたレーザビームと複数のオフセットされたレーザビームとの間で、同じ偏光を維持するように構成される。したがって、空間オフセットユニットは、複数のコリメートされたレーザビームと複数のオフセットされたレーザビームとの間で、同じ偏光を維持し得る。空間オフセットユニットのこの特性は、分離手段によって分離された空間的にオフセット・レーザ・ビームを、それらを分離するために光の偏光を使用し得るので、特に重要である。したがって、本実施形態は、時間的に固定された偏光を有さない分離されたレーザビームの空間オフセットを変更し得る。
【0035】
好ましくは、空間オフセットユニットは、
主伝播軸Aに垂直な平面内で、第1の方向Xにオフセットされたレーザビームを生じさせるための第1の横方向オフセットユニットと、
主伝播軸Aに垂直な平面内で、第2の方向Yにオフセットされたレーザビームを生じさせるための第2の横方向オフセットユニットと、を備え、
方向X及び方向Yが、互いに直交し、
第1の横方向オフセットユニット及び第2の横方向オフセットユニットが、複数のコリメートされたレーザビームをオフセットして、複数のオフセットされたレーザビームを生じさせ得るように、光学的に結合され、各オフセットされたレーザビームが、その主伝播軸Aに垂直な平面内で、それぞれの主伝播軸A周りに円を表し得る。
【0036】
好ましくは、第1の横方向オフセットユニット及び/又は第2の横方向オフセットユニットは、主伝播軸Aに垂直な平面内で、複数のコリメートされたレーザビームをオフセットして、方向X及び/又は方向Yのそれぞれについてオフセットされた、コリメートされたビームを生じさせるために、回転するように構成されるブレードを備える。
【0037】
好ましくは、第1の横方向オフセットユニット及び/又は第2の横方向オフセットユニットは、
可動鏡であって、これにより、その法線が二次元空間内で経路を表し得る、可動鏡と、
可動鏡のすべての可能な位置及び向きについて、方向X及び/又は方向Yのそれぞれに沿って、コリメートされたレーザビームの各々のオフセットを生じさせるために、複数のコリメートされたレーザビームの可動鏡での第1の入力反射を、可動鏡に向け直すように構成される光リターンシステムと、を備える。
【0038】
好ましくは、光リターンシステムは、
第1の固定鏡及び第2の固定鏡であって、
可動鏡での複数のコリメートされたレーザビームの第1の入力反射が、第1の固定鏡に向けられ、
第1の固定鏡での第2の反射が、第2の固定鏡に向けられ、
第2の固定鏡での第3の反射が、可動鏡に向けられ、更に、
可動鏡での第4の出力反射が、可動鏡のすべての可能な位置及び向きについて、それぞれの主伝播軸Aに対する第1の方向X又は第2の方向Yに沿って、コリメートされたレーザビームの各々のオフセットを生じさせる、ように構成される、第1の固定鏡及び第2の固定鏡を備える。
【0039】
好ましくは、第1の横方向オフセットユニット及び第2の横方向オフセットユニットはそれぞれ、
第1の可動鏡であって、これにより、その法線が二次元空間内で経路を表し得る、第1の可動鏡と、
第2の可動鏡であって、これにより、その法線が二次元空間内で経路を表し得る、第2の可動鏡と、を備え、
第1の可動鏡及び第2の可動鏡の法線が、第1の可動鏡及び第2の可動鏡のすべての可能な位置及び向きについて平行であり、
第1の可動鏡及び第2の可動鏡が、
第1の可動鏡での複数のコリメートされたレーザビームの第1の入力反射が、第2の可動鏡に向けられ、
第2の可動鏡での第2の反射が、第1の可動鏡及び第2の可動鏡のすべての可能な位置及び向きについて、方向Xに沿って、横方向にオフセットされた複数のビームを生じさせ得、
第1の可動鏡での複数の横方向にオフセットされたビームの第3の反射が、第2の可動鏡に向けられ、
第2の可動鏡での第4の反射が、第1の横方向オフセットユニット及び第2の横方向オフセットユニットの第1の可動鏡及び第2の可動鏡のすべての可能な位置及び向きについて、複数のオフセットされたレーザビームを生じさせ得、各オフセットされたレーザビームが、そのそれぞれの主伝播軸Aに垂直な平面内で円を表し得る、ように構成される。
【0040】
好ましくは、第1の横方向オフセットユニット及び第2の横方向オフセットユニットは、段落0035で規定された実施形態に従って規定される。
【0041】
好ましくは、第1の横方向オフセットユニット及び第2の横方向オフセットユニットは、段落0035で規定された実施形態に従って、又は段落0036で規定された実施形態に従って、規定される。
【0042】
好ましくは、第1及び第2の横方向オフセットユニットは、段落0032で規定された実施形態に従って規定される。
【0043】
好ましくは、横方向オフセットユニットは、
第1の可動鏡であって、これにより、その法線が、二次元空間内で経路を表し得る、第1の可動鏡と、
第2の可動鏡であって、これにより、その法線が、二次元空間内で経路を表し得る、第2の可動鏡と
を備え、更に、
横方向オフセットユニットは、第1の可動鏡と第2の可動鏡との間に位置決めされたブレードを備え、これにより、第1の可動鏡での第1の反射が、ブレードを通過することによって第2の可動鏡に向けられる点で。
【0044】
好ましくは、空間オフセットユニットは、
第1の可動鏡であって、これにより、その法線が、三次元空間内で経路を表し得る、第1の可動鏡と、
第2の可動鏡であって、これにより、その法線が、三次元空間内で経路を表し得る、第2の可動鏡と
を備え、
第1の可動鏡及び第2の可動鏡の法線が、第1の可動鏡及び第2の可動鏡のすべての可能な位置及び向きについて平行であり、
第1の可動鏡及び第2の可動鏡が、
第1の可動鏡での複数のコリメートされたビームの第1の入射反射が、第2の可動鏡に向けられ、
第2の可動鏡での第2の反射が、第1の可動鏡及び第2の可動鏡のすべての可能な位置及び向きについて、複数のオフセットされたレーザビームを生じさせ得、空間的にオフセットされた各レーザビームが、そのそれぞれの主伝播軸Aに垂直な平面内で円を表し得る、ように構成される。
【0045】
好ましくは、空間オフセットユニットは、
可動鏡であって、これにより、その法線が、三次元空間内で経路を表し得る、可動鏡と、
可動鏡のすべての可能な位置及び向きについて、複数のオフセットされたレーザビームを生じさせるように、可動鏡での複数のコリメートされたビームの第1の反射を、可動鏡に向け直すように構成される光リターンシステムであって、各空間的にオフセットされたレーザビームが、そのそれぞれの主伝播軸Aに垂直な平面内で円を表し得る、光リターンシステムと、を備える。
【0046】
好ましくは、光リターンシステムは、再帰反射システム、好ましくは再帰反射器である。
【0047】
好ましくは、空間オフセットユニットは、
鏡であって、
複数のコリメートされたレーザビームから生じる第1の複数の反射レーザビームを提供するために法線によって画定された実質的に平坦な反射面を有し、
その法線が、三次元空間内で経路を表し得るように移動可能である、鏡
を備え、
空間オフセットユニットが、複数のコリメートされたレーザビーム及び鏡の法線が、可動鏡のすべての可能な位置及び向きについて、0°から15°の間、好ましくは0.01°から10°の間、好ましくは0.1°から8°の間、更に好ましくは0.1°から3°の間の角度で分離されるように構成され、
空間オフセットユニットは、
可動鏡を変位させるための駆動手段と、
再帰反射システムであって、
第1の複数の反射レーザビームから、可動鏡のすべての位置及び向きについて、可動鏡に入射する第2の複数のレーザビームを生じさせるために、可動鏡に対して位置決めされ、可動鏡に入射する第2の複数のレーザビームの反射から、複数のオフセットされたレーザビームを生じさせ、
可動鏡のすべての可能な位置及び向きについて、第1の複数の反射レーザビームに平行である、可動鏡に入射する第2の複数のレーザビームを提供し得る、再帰反射システムと、を備える。
【0048】
好ましくは、光学装置は、マトリックス光変調手段の上流に配置された光源ビームの光学部品をアライメント及び/又はサイズ変更するアセンブリを備える。そのようなアライメント及び/又はサイズ変更光学部品アセンブリは、分離手段、特にマトリックス光変調手段、例えばマトリックス光ビーム変調器を最適に利用し得る。
【0049】
好ましくは、光源レーザビームの寸法は、マトリックス光変調器の活性面の大きなセグメントが照射され得る。一般に、光源レーザビームの寸法は、マトリックス光ビーム変調器の寸法よりも小さい。例えば、光源レーザビームは、マトリックス光変調手段上で5mm~10mmの直径を有する。好ましくは、光源レーザビームは、マトリックス光変調器の活性面の75%超、好ましくは80%超を照射し得る。
【0050】
したがって、本発明の目的の1つは、同じ部品において、高速で、高品質の加工を可能にする光学システムを提案することである。
【0051】
この目的のために、本発明者らは、
光源レーザビームを生成するための超短パルスレーザ光源と、
上記の装置と、
各オフセットされたレーザビームをワーク上に集束させるように構成される集束手段と、を備える、レーザ加工用光学システムを提案する。
【0052】
装置について説明した様々な変形形態及び利点は、必要な変更を加えて光学システムに適用される。
【0053】
好ましくは、本発明の光学システムは、異なる対象、試料の厚さに、容易に適合可能であるコリメーションを調整するためのシステムを更に備える。好ましくは、レーザ光源は、コヒーレントなレーザビームを生成し得る。更に好ましくは、超短パルスレーザ光源は、時間的に固定された偏光を有するコリメートされた光源ビームを放射し得る。
【0054】
更に別の態様によれば、本発明の目的の1つは、同じ部品において、高速で高品質の加工を可能にするレーザビームを生成する方法を提案することである。
【0055】
この目的のために、本発明者らは、
部品を加工するために複数の分離されたレーザビームに対して複数のオフセットされたレーザビームを提供するための方法であって、
a)光源レーザビームを生成するための超短パルスレーザ光源を設けるステップと、
b)制御ユニットによって制御される分離手段を設けるステップと、
c)空間オフセットユニット及び集束手段を設けるステップと、
d)光源レーザビームを複数の分離されたレーザビームに分離するように、分離手段を制御するステップであって、分離されたレーザビームの各々が、異なる伝播軸に沿って伝播し得る、ステップと、
e)各オフセットされたレーザビームが、主伝播軸A周りに伝播し得、主伝播軸A周りの動きを表し得るように、空間オフセットユニットを起動して、複数の分離されたレーザビームから複数のオフセットされたレーザビームを生成するステップと、
f)集束手段によって、それ自体の伝播軸の方向でワーク上に、各オフセットされたレーザビームを集束させるステップと を含む、方法を提案する。
【0056】
光源レーザビームは、コヒーレントなレーザビームであることが好ましい。好ましくは、光源レーザビームは、時間的に固定された偏光を有する。好ましくは、分離手段は、マトリックス変調手段であり、更に好ましくは、マトリックス位相変調手段である。
【0057】
装置及び光学システムについて説明した異なる変形形態及び利点は、必要な変更を加えて、本方法に適用される。
【0058】
好ましくは、分離手段は、位相変調マップを表示するように制御される画素のマトリックスを備え、これにより、光源レーザビームと、位相変調パターンとの相互作用は、複数の分離されたレーザビームを生成する。
【0059】
好ましくは、変調パターンは、光源レーザビームを9つの分離されたビームに分離するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、本発明の特定の実施形態の詳細な説明において明らかにされ、参照は、図面の図によって実施する。
【
図1】本発明による、システムの装置の一実施形態を示す図である。
【
図2】本発明による、システムの装置の一実施形態を示す図である。
【
図3】本発明による、システムの一実施形態を示す図である。
【
図4a】装置に備えられる空間オフセットユニットの実施形態を示す図である。
【
図4b】装置に備えられる空間オフセットユニットの実施形態を示す図である。
【
図4c】装置に備えられる空間オフセットユニットの実施形態を示す図である。
【
図4d】装置に備えられる空間オフセットユニットの実施形態を示す図である。
【
図4e】装置に備えられる空間オフセットユニットの実施形態を示す図である。
【
図5a】装置に備えられる空間オフセットユニットの実施形態を示す図である。
【
図5b】装置に備えられる空間オフセットユニットの実施形態を示す図である。
【
図5c】装置に備えられる空間オフセットユニットの実施形態を示す図である。
【
図5d】装置に備えられる空間オフセットユニットの実施形態を示す図である。
【
図5e】装置に備えられる空間オフセットユニットの実施形態を示す図である。
【
図6】装置に備えられる分離手段の実施形態を示す図である。
【
図7A】装置に備えられる分離手段の実施形態を示す図である。
【
図7B】装置に備えられる分離手段の実施形態を示す図である。
【
図8A】装置に備えられる分離手段の実施形態を示す図である。
【
図8B】装置に備えられる分離手段の実施形態を示す図である。 図面の図は、縮尺通りではない。一般に、同様の要素は、図面において同様の参照符号で示される。図における参照番号の存在は、そのような番号が特許請求の範囲に示されているときであっても、限定と見なされるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1及び
図2は、本発明のシステムの光学装置1の実施形態の例を示している。光学装置1は、光源レーザビーム101を複数の分離されたレーザビーム301に分離するための分離手段30を備える。光源レーザビームは、好ましくはレーザ光源10によって生成される。好ましくは、光源レーザビーム101はコリメートされたレーザビームである。複数の分離されたレーザビーム301は、分離手段30によって実現され、分離手段は、光源レーザビーム101を空間オフセットユニット50又は横方向オフセットユニット50x、50yに向かって複数の分離されたレーザビーム301に分離し得る。好ましくは、分離手段30は、複数の分離されたレーザビーム301のコリメートされた外観を維持し得る。分離手段30によって分離された後の複数の分離されたレーザビーム301は、互いに平行ではない。例えば、分離手段30によって分離された後の複数の分離されたレーザビーム301は、光源レーザビーム101の伝播方向に平行ではない。
【0062】
図1は、複数の分離されたレーザビーム301から、両方向矢印(図の平面内にその方向を一例として示す)によって示されるように、主伝播軸Aに垂直な平面内の直線並進に従って複数のオフセットされたレーザビーム501を生じさせるために、横方向オフセットユニット50X、50Yを備える光学装置1を示している。直線並進は、各オフセットされたレーザビーム501の主伝播軸Aの両側で実現される。各レーザビームは、主伝播軸A周りの一方向に横方向にオフセットされる。各オフセットされたレーザビームは、主伝播軸A周りの動きを、例えば両方向矢印に従って表す。各レーザビームの動きは、それぞれの主伝播軸Aに垂直な平面内で、1つ又は複数の線に沿っている。1つ又は複数の線は、その平面内のこの線又はこれらの線の向きに関係なく、主伝播軸Aに垂直な平面内に配置される。
【0063】
図2は、複数の分離されたレーザビーム301から複数のオフセットされたレーザビーム501を生じさせるための空間オフセットユニット50を備える光学装置1を示し、各オフセットされたレーザビームは、湾曲した矢印によって示されるように、主伝播軸Aに垂直な平面内で円並進でオフセットされる。各レーザビームは、主伝播軸A周りで横方向にオフセットされる。各オフセットされたレーザビームは、主伝播軸A周りの湾曲した矢印に従った動きを表す。各レーザビームの動きは、そのそれぞれの主伝播軸Aの周りで、それに垂直な平面内で円形である。
【0064】
図3は、本発明のシステム100の一実施形態を示している。光学加工システム100は、光源レーザビーム101を複数の分離されたレーザビーム301に分離(成形)するための分離手段30を備える。光源レーザビーム101が優先的にコリメートされるので、複数の分離されたレーザビーム301の各分離されたレーザビームが、コリメートされたと見なされ得るように、分離手段30は、許容可能なコリメーションを維持し得る。次いで、複数の分離されたレーザビーム301は、複数の分離されたビーム301の各ビームを空間的に(横方向に)オフセットするように構成された空間(横方向)オフセットユニット50に、向けられる。
図3には、主伝播軸Aに垂直な平面内で、円による空間オフセットが示されている。この空間(横方向)オフセットユニット50の特殊性は、複数の分離されたレーザビーム301と複数のオフセットされたレーザビーム501との間の同じ偏光を維持し得ることである。光学加工システム100はまた、各オフセットされたレーザビームがそれ自体の伝播軸の方向に集束されるように、複数のオフセットされたレーザビームをワーク202上に集束させるための集束手段70、好ましくは、すべてのオフセットビームに共通の単一の光学要素、好ましくはテレセントリックを備える。集束手段70の下流では、各オフセットされたレーザビームとワークの上面の法線との間の角度は非ゼロである(又は0°とは異なる)。空間オフセット、好ましくは、それら自体の伝播軸周りの複数のオフセットされたレーザビーム501を構成する各ビームの回転運動は、集束手段70の上流で、空間オフセットユニット50によって生成され、それによって、部品上に迎え角を設け、集束手段70の下流で複数のオフセットされたレーザビーム501の各ビームの歳差運動を生成し得る。各オフセットされたレーザビーム501の歳差運動は、好ましくは、構造化又は加工されるように意図された基板201上の点、スポット又は小さい表面積において生成される。歳差運動は、
図2、
図3、
図4a、
図4b、
図5a、
図5b、
図5c、
図5d、
図5eにおいて、円のセグメント(伝播軸周りを図示せず)を記述する矢印によって示されている。最後に、システム100は、複数のオフセットされたレーザビーム501に対して少なくとも一部分又は部品202を変位させることを可能にする変位手段160を備える。変位手段160は、例えば、基板を方向101、102及び103に変位させ得る。方向101、102及び103は、三次元直交座標系を画定することが好ましい。方向101及び102は、例えば方向X及び方向Yを画定する。好ましい実施形態によれば、方向Z 103は、主軸Aの方向を画定し、部品の上面の法線に対応する。
図3では、複数のオフセットされたレーザビーム501は集束手段70によって集束され、これにより、ワーク202上のオフセットされたレーザビーム501の迎え角は、部品202の上面の法線に平行ではない。これにより、真っ直ぐな又は制御されたコニシティの貫通面又は切断面を生じさせ得る。
図3において、本発明のシステム100は、(単一の)ワーク202上で、狭い間隔の位置の加工を可能にする。実際、分離手段30と空間オフセットユニット50との組合せにより、互いに極めて近い複数のオフセットビーム501を容易に生じさせ得る。これにより、部品のセグメントをいくつかのレーザビームで同時に加工し得る。これは、部品セグメント上の繰返しパターン、例えば表面構造化/テクスチャ加工を加工する場合に、特に有利である。本発明のシステムが特に有利である別の例は、部品202のセグメントの穴の貫通、好ましくは同時に貫通された穴のメッシュである。本発明のシステムでは、基板の表面に垂直な縁部を有する穴を用いて、高品質の貫通を保証しつつ、複雑な形状の穴を作り得る。
図2の装置に対応する
図3の例示的な実施形態の説明及び利点は、主伝播軸Aに垂直な平面内での1つ又は複数の直線並進による(横方向の)オフセットにも適用可能なことである。オフセットは、主伝播軸Aに垂直な平面内に配置された1つ又は複数の線に沿っており、この平面内のこの線又はこのこれらの線の向き(例えば、
図1の二重矢印によって示される方向)には関係しない。特に、
図1の装置1を
図3のシステムに適用すると、集束手段70、好ましくは、単一で、好ましくはテレセントリックでの光学要素は、(単一の)ワーク202上に複数のオフセットされたレーザビームを集束させ、これにより、各オフセットされたレーザビームは、それ自体の伝播軸の方向に集束される。集束手段70の下流では、各オフセットされたレーザビームとワークの上面の法線との間の迎え角は、非ゼロである(又は0°とは異なる)。ワーク202上のオフセットされたレーザビーム501の迎え角が、部品202の上面の法線に平行ではないように、複数のオフセットされたレーザビーム501は、集束手段70によって集束され、したがって、これにより、真っ直ぐな、又は制御されたコニシティの貫通面又は切断面を生じさせ得る。
【0065】
例示的な実施形態によれば、本発明は、負のコニシティを有するパターン、例えば負のコニシティを有する線を有する基板を、構造化するために特に好適である。このような負のコニシティ線は、機械的固定によるアセンブリ用途に特に有利であり、アセンブリされる部品の溶融可能な材料は、次いで負のコニシティ溝に溶融され、良好な機械的固定を生じさせるために冷却される。
【0066】
図4aは、空間(横方向)オフセットユニット50の一実施形態を示している。本実施形態では、横方向オフセットユニット50内の分離されたレーザビーム301は、レーザ光源10によって生成されたレーザビームであり、好ましくは、横方向オフセットユニット50に入る前に横方向オフセットユニットの外側を移動する。横方向オフセットユニット50は、入射レーザビーム14の反射によって第1の反射レーザビーム123を生じさせ得る鏡119を備える。横方向オフセットユニット50はまた、第1の反射レーザビーム123を鏡119に向け直させ得る再帰反射システム121を備える。言い換えれば、鏡119に向かう第2の入射レーザビーム18は、第1の反射レーザビーム123を再帰反射システム121に通過させることによって生じる。次いで、第2の入射レーザビーム18は、鏡119によって反射され、複数のオフセットされたレーザビーム501を形成する。例えば、オフセットされたレーザビーム501が、集束手段70の上流の分離されたレーザビーム301の方向に、平行を維持しつつ、分離されたレーザビーム301に対して空間的にオフセットされ得るように、横方向オフセットユニット50は構成される。本実施形態に示す例では、分離されたレーザビーム301及びオフセットされたレーザビーム501は横方向にオフセットされている。好ましくは、鏡119は、回転軸150周りに完全に回転可能であり、駆動手段16は、その回転軸150周りに、鏡119を回転させ得る。第1の入射レーザビーム301及び鏡19への法線126が、可動鏡119のすべての可能な位置及び向きについて、0°から15°の間の角度115だけ分離されるように、横方向オフセットユニット50は構成される。この角度115は、図を明確にするために、
図4aでは縮尺通りに示されていない。鏡119と再帰反射システム121との間の位置の変化が、分離されたレーザビーム301とオフセットされたレーザビーム501との間のオフセットの変化を引き起こし得るように、空間オフセットユニット50は構成される。
【0067】
図4aでは、可動鏡119の角度位置に応じて、オフセットされたレーザビーム501は、異なる経路をたどる。好ましくは、可動鏡119の角度位置ごとに生じたオフセットされたレーザビーム501の各経路は、平行である。光学加工システムはまた、空間オフセットユニット50によってオフセットされた複数のビーム501の横方向オフセット(それ自体の主伝播軸A周り)後の各オフセットされたレーザビーム501を、部品又はワーク201上に集束させるための集束手段70を備える。集束手段70の上流での鏡119の回転によって生成された主伝播軸A周りの各オフセットされたレーザビーム501の回転運動により、オフセットされたレーザビーム501の歳差運動が、集束手段70の下流で生成され得、集束手段70の下流では、各オフセットされたレーザビームは、それ自体の伝播軸の方向でワーク上に集束される。各オフセットされたレーザビーム501の歳差運動は、好ましくは、構造化又は加工されるように意図された基板201上の点、スポット又は小さい表面積において生成される。したがって、ワーク202上のオフセットされたレーザビーム501の迎え角は、部品202の上面の法線に平行ではなく、したがって、これにより、真っ直ぐな、又は制御されたコニシティの貫通面又は切断面を生じさせ得る。
【0068】
歳差運動は、円のセグメントを表す矢印によって
図2、
図3、
図4a、
図4b、
図5a、
図5b、
図5c、
図5d及び
図5eに示されている。線(又は複数の線)に沿ったオフセットされたレーザビーム501の動きは、
図1、
図4c、
図4d、
図4eにおいて両方向矢印によって示されている。
【0069】
図4bは、主伝播軸Aを有し、更にこの主伝播軸Aに垂直な平面内で円を表し得るオフセットされたレーザビーム501(501´)に、入射レーザビーム301(301´)を空間的にオフセットするための空間オフセットユニット50を示している。この空間オフセットユニット50は、第1の横方向オフセットユニット50Xと、第2の横方向オフセットユニット50Yと、を備え、それらは、
第1の横方向オフセットユニット50Xが、主伝播軸Aに垂直な平面内で、方向X又は方向Yに沿って、横方向にオフセットされたビーム302(302´)に、入射ビーム301(301´)をオフセットし得、更に、
第2の横方向オフセットユニット50Yが、主伝播軸Aを有し、この主伝播軸Aに垂直な平面内で円を表し得るオフセットビーム501(501´)に、第1の横方向オフセットユニット50Xによって、オフセットされない、方向X又は方向Yに横方向にオフセットされたビーム302(302´)を、オフセットし得る、
ように構成される。
横方向にオフセットされたビーム302(302´)は、この主伝播軸Aに垂直な平面内で、一列に変位し得る。
【0070】
図4cは、空気又は真空よりも大きい屈折率を有するブレード410を備える(第1又は第2の)横方向オフセットユニット50X、50Yを示している。ブレード410は、そのすべての向きについて、分離されたレーザビーム301又は横方向にオフセットされたビーム302が、ブレード410を透過するように傾斜している(すなわち、軸周りに方向を変更可能である)。ブレード410が、第1の位置から第2の位置に向かって傾斜しているとき、分離されたレーザビーム301及び/又は横方向にオフセットされたレーザビーム302は、ビーム302がブレード410を通過したときに既に一列にオフセットされていた場合、一列に又は円形に、横方向にオフセットされる。分離されたレーザビーム301又は横方向にオフセットされたビーム302が、ブレード410上で入射角が変化するように、傾斜は、ブレード410を傾斜させる行為である。湾曲した矢印は、ブレード410の傾斜の経路を概略的に表す。実線のブレード410は、ブレード410の第1のブレード位置を表し、破線のブレード410は、ブレード410の第2の位置を表す。ブレード410の傾斜は、ブレード410の第1のブレード位置と第2のブレード位置との間に生じる。分離されたレーザビーム301又は横方向にオフセットされたレーザビーム302は、第1の位置でブレード410によってオフセットされたときに実線で示され、破線でブレード410によってオフセットされたときに破線で示される。主伝播軸Aは、示されていない。
【0071】
図4dは、可動鏡401(可動鏡は、好ましくは傾動可能であり、すなわち軸周りに方向を変更可能である)と、第1の固定鏡402と、第2の固定鏡403と、を備える(第1又は第2の)横方向オフセットユニット50X、50Yを示し、それらは、
可動鏡401での分離されたレーザビーム301又は横方向にオフセットされたビーム302の第1の入射反射が、第1の固定鏡402に向けられ、
第1の固定鏡402での第2の反射が、第2の固定鏡403に向けられ、
第2の固定鏡403での第3の反射が、可動鏡401に向けられ、更に、
可動鏡401での第4の出力反射が、可動鏡のすべての可能な位置及び向きについて、方向X若しくは方向Y、又は方向X及び方向Yのそれぞれに応じたレーザ・ビーム・オフセット302、501を生じさせ得る、
ように構成される。本実施形態では、可動鏡401並びに第2の鏡402及び第3の鏡403での反射から生じるレーザビームは、例えば同一平面内にある。本実施形態では、鏡の向きを調整して、分離されたレーザビーム301、又は横方向にオフセットされたビーム302若しくはオフセットされたレーザビーム501の経路を修正し得る。主伝播軸Aは、示されていない。
【0072】
図4eは、第1の可動鏡421X、421Y及び第2の可動鏡422X、422Yを備える(第1又は第2の)横方向オフセットユニット50X、50Yを示し、それらの法線は、二次元空間内で経路を表し得る。第1の可動鏡421X、421Y及び第2の可動鏡422X、422Yは、それらの表面又はそれらの法線が常に平行になるように可動である。第1の可動鏡421X(421Y)及び第2の可動鏡422X(422Y)の変位は、同期している。好ましい実施形態では、第1の可動鏡421X(421Y)及び第2の可動鏡422X(422Y)は、それらそれぞれの表面が常に平行になるように、変位される。したがって、可動鏡421X、421Y(422X、422Y)の任意の変位について、横方向にオフセットされたビーム302、又はオフセットビーム501は、常に互いに平行である。第1の可動鏡421X(422X)に向けられた分離されたレーザビーム301又は横方向にオフセットされたビーム302は、第1の可動鏡421X(421Y)で、レーザビームの第1の入射反射となり、この反射は、第2の可動鏡422X(422Y)に向けられ、これにより、第2の可動鏡422X(422Y)での第2の反射は、横方向にオフセットされたビーム302、又はオフセットされたレーザビーム501を生じさせ得る。横方向にオフセットされたビーム302又はオフセットされたレーザビーム501は、第1の可動鏡421X(421Y)及び第2の可動鏡422X(422Y)のすべての可能な位置及び向きについて生じる。第1の横方向オフセットユニット50X又は第2の横方向オフセットユニット50Yによって実現されるビームオフセットは、好ましくは線に沿っており、すなわち、横方向にオフセットされたレーザビーム302の動き又は走査は、線に沿って行われる。主伝播軸Aは、示されていない。
【0073】
図5aは、
図4eで説明したような第1の横方向オフセットユニット50X及び第2の横方向オフセットユニット50Yを備える空間オフセットユニット50の一実施形態を示している。分離されたレーザビーム301は、第1の横方向オフセットユニット50Xによって横方向にオフセットされて、横方向にオフセットビーム302になる。第1の鏡421X及び第2の鏡421Yのすべての位置について、横方向にオフセットされたビーム302が直線を掃引するように、横方向にオフセットされたビーム302はオフセットされる。この直線は、横方向にオフセットされたビーム302の伝播に垂直な平面内で、第1の軸Xをたどる。次いで、横方向にオフセットされたビーム302は、第2の横方向オフセットユニット50Yに入り、第1の横方向オフセットユニット50Xによってオフセットされていないことが好ましい第2の方向Yにオフセットされ得る。次いで、横方向にオフセットされたビーム302は、第2の横方向オフセットユニット50Yの第1の可動鏡421Y及び第2の可動鏡422Yでの横方向にオフセットされたビーム302の反射の結果として、空間的にオフセットされたビーム501に、第2の横方向オフセットユニット50Yによって横方向にオフセットされる。第1の横方向オフセットユニット50X及び第2の横方向オフセットユニット50Yが協調的に制御されるとき、結果として生じる空間的にオフセットされたビーム501は、主伝播軸A(図示せず)に垂直な平面内で円を表し得る。本実施形態は、分離された光源レーザビーム301と空間的にオフセットされたレーザビーム501との間で、同じ偏光を維持し得る。
【0074】
図5bは、第1の可動鏡431及び第2の可動鏡432を備える空間オフセットユニット50の一実施形態を示し、これにより、それらの法線は、三次元空間内で経路を表し得る。第1の可動鏡431及び第2の可動鏡432は、それらの表面又はそれらの法線が常に平行になるように可動である。第1の可動鏡431に向けられた入射分離光源ビーム301は、第1の可動鏡431で、レーザビームの第1の入射反射となり、この反射は、第2の可動鏡432に向けられ、これにより、第2の可動鏡432での第2の反射は、主伝播軸A(図示せず)を有する空間的にオフセットされたレーザビーム501を生じさせ得、空間的にオフセットされたレーザビーム501は、この主伝播軸Aに垂直な平面内で主軸A周りに円を表し得る。オフセットされたレーザビーム501は、第1の可動鏡431及び第2の可動鏡432のすべての可能な位置及び向きについて生じる。結果として生じるビームオフセットは、好ましくは円を表し、すなわち、オフセットされたレーザビーム501の動き又は走査は、円の周りで生じる。好ましくは、第1の可動鏡431及び第2の可動鏡432の法線はそれぞれ、鏡431、432が変位するにつれて円を表す。本実施形態は、入力における分離された光源ビーム301と、出力における空間的にオフセットされたレーザビーム501との間で、同じ偏光を維持し得る。
【0075】
図5cは、
図4eの横方向変位ユニット50X、50Yを備える空間オフセットユニット50の一実施形態を示し、傾斜可能ブレード410が、第1の可動(傾斜可能)鏡421と第2の可動(傾斜可能)鏡422との間に挿入されており、傾斜可能とは、軸周りに方向を変更可能であることを意味する。したがって、第1の傾斜可能鏡421及び第2の傾斜可能鏡422は、レーザビームを方向X又は方向Yに変位させ得、次いで、傾斜可能ブレードは、同じレーザビームを方向Y又は方向Xにそれぞれ変位させ得る。この構成は、ブレード410を第1の可動鏡421の上流側に、又は第2の可動鏡422の下流側に、位置決めすることによって想定され得る。それにもかかわらず、
図5cに示す構成は、特にコンパクトである。2つの可動(傾斜可能)鏡421、422と、可動(傾斜可能)ブレード410との組合せは、第1の可動鏡421及び第2の可動鏡422と、可動ブレード410との変位の同期により、主伝播軸A(図示せず)を有し、更にこの主伝播軸Aに垂直な平面内で主軸A周りに円を表し得る、空間的にオフセットされたレーザビームを生じさせ得る。本実施形態は、入力における光源レーザビーム101と、出力における空間的にオフセットされたレーザビーム501との間で、同じ偏光を維持し得る。好ましくは、
図5cに示す実施形態は、
図4c及び
図4eの実施形態の組合せである。
【0076】
図5dは、
図4cに示す横方向オフセットユニット50X、50Yの改良を含む空間オフセットユニット50の一実施形態を示している。改良は、ブレード410の動きの設定のレベルで位置決めされる。
図5dの実施形態では、ブレード410は、その法線が、三次元空間内で経路を表すように、例えば、その法線が円を表すように、動きを設定される。例えば、その法線は、ブレード410を用いて、分離されたビーム301の入射点を通る軸周りの円を表す。軸は、分離ビーム301と平行ではない、すなわち分離ビーム301と一致しない。このような軸を点線で表す。主伝播軸Aを有し、更に、特にブレード410の法線が軸周りの円形経路を表すとき、この主伝播軸Aに垂直な平面で、主軸A周りに円を表し得る、複数の空間的にオフセットされたレーザビーム501を、空間オフセットユニット50のこの実施形態は提供し得る。本実施形態は、光源レーザビーム101と空間的にオフセットされたレーザビーム501との間で、同じ偏光を維持し得る。
【0077】
図5eは、第1のウェッジプリズム441及び第2のウェッジプリズム442を備える空間オフセットユニット50の一実施形態を示し、2つのウェッジプリズム441、442の各々は、
図5eに示すように軸周りに回転し得る。2つのウェッジプリズム441、442は、同期して回転する。好ましくは、それらは、それらの回転軸に平行な方向で、任意の点におけるそれらの厚さの合計が等しくなるように、回転される。好ましくは、2つのウェッジプリズム441、442は、同一のウェッジプリズム角を有する。したがって、同期回転中に、レーザビームが2つのウェッジプリズム441、442を通過することにより、主伝播軸Aを有し、この主伝播軸Aに垂直な平面内で主軸A周りに円を表し得る、空間的にオフセットされたレーザビーム501を生じさせ得る。本実施形態は、入力における分離されたレーザビーム301と、出力における空間的にオフセットされたレーザビーム501との間で、同じ偏光を維持し得る。
【0078】
図6は、第1の反射回折光学要素37及び第2の反射回折光学要素38を備える分離手段30を示している。第1の反射回折光学要素37及び第2の反射回折光学要素38はそれぞれ、反射において、レーザビームを回折する回折格子を備える。光源レーザビーム101は、第1の反射回折光学要素37の回折格子に向けられ、回折及び反射されたビームは、その後、第2の反射光学要素38に向けられ、又は更に回折され、反射されて、複数の分離されたレーザビーム301になる。
図6の分離手段の別の実施形態では、複数の分離されたレーザビーム301が分離手段30によって生成されるように、光源レーザビーム101は、反射において、第1の回折光学要素37及び第2の回折光学要素38の各々で、少なくとも2回反射され、回折される。光源ビーム101の少なくとも2回の反射は、複数の分離されたレーザビーム301の分離を好適に制御し、特に、複数の分離されたレーザビーム301が続いて集束されるときの被写界深度を好適に制御し得る。
【0079】
図7Aは、透過回折光学要素36を備える分離手段30を示している。透過回折要素36は、その表面の少なくとも一方に回折格子を備える。例えば、透過回折要素36は、光源レーザビーム101に対して透明な材料で形成される。透過回折要素36は、光源レーザビーム101を複数の分離されたレーザビーム301に回折させ得る。そして、複数の分離されたレーザビーム301の各々は、自身の方向に伝播する。例えば、2つの分離されたレーザビームは、それらの間の角度αを表す方向を有する。
【0080】
図7Bは、反射回折光学要素37を備える分離手段30を示している。反射回折要素37は、その反射面に回折格子を備える。反射回折要素37は、光源レーザビーム101を複数の分離されたレーザビーム301に回折させ得る。そして、複数の分離されたレーザビーム301の各ビームは、自身の方向に伝播する。例えば、2つの分離されたレーザビームは、それらの間の角度αを表す方向を有する。
【0081】
図8Aは、透過マトリックス変調手段35を備える分離手段30を示している。例えば、液晶フィルタである。透過マトリックス変調手段35は、光源レーザビーム101が通過し得る画素のマトリックスを備える。例えば、画素マトリックスは、表示された位相変調マップを透過すると、光源レーザビーム101を複数の分離されたレーザビーム301に回折させ得る位相変調マップ(回折パターン)を表示するように構成される。そして、複数の分離されたレーザビーム301の各ビームは、自身の方向に伝播する。例えば、2つの分離されたレーザビームは、それらの間の角度αを表す方向を有する。
【0082】
図8Bは、反射マトリックス変調手段39を備える分離手段30を示している。例えば、液晶オンシリコン(LCOS)マトリックスである。反射マトリックス変調手段39は、光源レーザビーム101を反射し得る画素のマトリックスを備える。例えば、画素マトリックスは、表示された位相変調マップで反射すると、光源レーザビーム101を複数の分離されたレーザビーム301に回折させ得る位相変調マップ(回折パターン)を表示するように構成される。そして、複数の分離されたレーザビーム301の各ビームは、自身の方向に伝播する。例えば、2つの分離されたレーザビームは、それらの間の角度αを表す方向を有する。
【0083】
本発明を、特定の実施形態に関連して上述したが、これらは例示的なものであり、限定的であると見なされるべきではない。一般に、本発明は、説明した、及び/又は上述した例に限定されない。動詞「備える(comprise)」、「含む(include)」、又は任意の他の変形、並びに、それらの活用形の使用は、言及したもの以外の要素の存在を決して除外しない。要素を導入するための不定冠詞「a」、「an」、又は定冠詞「the」の使用は、複数のこれらの要素の存在を排除しない。特許請求の範囲における参照番号は、それらの範囲を限定するものではない。
【0084】
要するに、本発明は、以下のように記載され得る。本発明によるレーザ加工用光学システムは、同じ部品上でいくつかのパターンを同時に加工することを、容易に、堅牢にする。システムは、
光源レーザビーム101を生成するための超短パルスレーザ光源10と、
装置1であって、
光源レーザビーム101を複数の分離されたレーザビーム301に分離するための分離手段30であって、これにより、分離されたレーザビーム301の各々が、それ自体の伝播方向に向けられる、分離手段30、及び
複数の分離されたレーザビーム301から、複数のオフセットされたレーザビーム501を生じさせるための空間オフセットユニット50、50X、50Yであって、これにより、各オフセットされたレーザビーム501が、それ自体の主伝播軸A周りを伝播し得、主伝播軸A周りの動きを表し得る、空間オフセットユニット50、50X、50Y、を備える装置1と、
それ自体の伝播軸の方向でワーク201上に、各オフセットされたレーザビームを集束させるように構成される集束手段70と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0085】
【特許文献1】独国特許出願公告第10 2014 200 633号明細書
【手続補正書】
【提出日】2022-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源レーザビーム(101)を生成するための超短パルスレーザ光源(10)と、
装置(1)であって、
光源レーザビーム(101)を複数の分離されたレーザビーム(301)に分離するための分離手段(30)であって、これにより、該分離されたレーザビーム(301)の各々が、それ自体の伝播方向に向けられる、分離手段(30)、及び
前記複数の分離されたレーザビーム(301)から、複数のオフセットされたレーザビーム(501)を生じさせるための空間オフセットユニット(50、50X、50Y)であって、これにより、各オフセットされたレーザビーム(501)が、それ自体の主伝播軸A周りを伝播し得、該伝播の主軸A周りの動きを表し得る、空間オフセットユニット(50、50X、50Y)、を備える、装置(1)と、
それ自体の伝播軸の方向でワーク(201)上に、各オフセットされたレーザビームを集束させるように構成される集束手段(70)と、を備える、レーザ加工用光学システム。
【請求項2】
前記複数のオフセットされたレーザビーム(501)のうちの各オフセットされたレーザビーム(501)が、主伝播軸A周りを伝播し得、該主伝播軸Aが、互いに非ゼロ角度αを表すことを特徴とする請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項3】
前記オフセットされたレーザビーム(501)の主伝播軸Aの各々が、それに隣接する主伝播軸Aに対して0.005°~1°の間の角度、好ましくは、0.01°~0.5の間の角度を表すことを特徴とする請求項2に記載のシステム(100)。
【請求項4】
前記分離手段(30)が、マトリックス変調手段(35、39)
、反射マトリックス変調手段(39)
、マトリックス位相変調手段(35、39)
及び反射マトリックス位相変調手段(39)
から選択されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項5】
前記反射マトリックス位相変調手段(39)が、前記直線偏光源レーザビーム(101)を、前記複数の分離されたレーザビーム(301)に分離するように構成されているという点で、LCOSであることを特徴とする請求項
4に記載のシステム(100)。
【請求項6】
前記分離手段(30)が、ビーム整形のために、固定回折光学要素(36、37、38)を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項7】
前記固定回折光学要素(36、37、38)が、透過回折光学要素(36)
、又は反射において固定された第1の回折光学要素(37)であることを特徴とする請求項
6に記載のシステム(100)。
【請求項8】
反射において固定された第2の回折光学要素(38)を更に備え、これにより、前記レーザビーム(101)が、反射において、前記第1の回折光学要素(37)及び前記第2の回折光学要素(38)の各々における少なくとも1つの反射、好ましくは前記第1の反射回折光学要素(37)及び前記第2の反射回折光学要素(38)の各々における少なくとも2つの反射を表すことを特徴とする請求項
6に記載のシステム(100)。
【請求項9】
各オフセットされたレーザビームが、その主伝播軸Aに垂直な平面内で、それぞれの該主伝播軸Aの周りに円を表し得るように、前記空間オフセットユニット(50)が構成されることを特徴とする請求項1から
8のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項10】
各オフセットされたレーザビームが、そのそれぞれの主伝播軸Aに垂直な平面内で、1つ又は複数の線を表し得るように、前記空間オフセットユニット(50、50X、50Y)が構成されることを特徴とする請求項1から
8のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項11】
前記空間オフセットユニット(50)が、
前記主伝播軸Aに垂直な平面内で、第1の方向Xにオフセットされたレーザビームを生じさせるための第1の横方向オフセットユニット(50X)と、
前記主伝播軸Aに垂直な平面内で、第2の方向Yにオフセットされたレーザビームを生じさせるための第2の横方向オフセットユニット(50Y)と、を備え、
該方向X及び方向Yが、互いに直交し、
前記第1の横方向オフセットユニット(50X)及び前記第2の横方向オフセットユニット(50Y)が、前記複数のコリメートされたレーザビーム(301)をオフセットして、複数のオフセットされたレーザビーム(501)を生じさせ得るように、光学的に結合され、各オフセットされたレーザビームが、その主伝播軸Aに垂直な平面内で、それぞれの該主伝播軸A周りに円を表し得ることを特徴とする請求項1から
10のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項12】
前記第1の横方向オフセットユニット(50X)及び/又は前記第2の横方向オフセットユニット(50Y)が、
可動鏡(401)であって、これにより、その法線が二次元空間内で経路を表し得る、可動鏡(401)と、
前記可動鏡(401)のすべての可能な位置及び向きについて、方向X及び/又は方向Yのそれぞれにおいて各コリメートされたレーザビームのオフセットを生じさせるために、前記複数のコリメートされたレーザビーム(301)の前記可動鏡(401)での第1の入力反射を前記可動鏡(401)に向け直すように構成される光リターンシステム(402、403)と、を備えることを特徴とする請求項
9に記載のシステム(100)。
【請求項13】
前記第1の横方向オフセットユニット(50X)及び前記第2の横方向オフセットユニット(50Y)がそれぞれ、
第1の可動鏡(421X、421Y)であって、これにより、その法線が二次元空間内で経路を表し得る、第1の可動鏡(421X、421Y)と、
第2の可動鏡(422X、422Y)であって、これにより、その法線が二次元空間内で経路を表し得る、第2の可動鏡(422X、422Y)と、を備え、
前記第1の可動鏡(421X、421Y)及び前記第2の可動鏡(422X、422Y)の法線が、前記第1の可動鏡(421X、421Y)及び前記第2の可動鏡(422X、422Y)のすべての可能な位置及び向きについて平行であり、
前記第1の可動鏡(421X、421Y)及び前記第2の可動鏡(422X、422Y)が、
前記第1の可動鏡(421X)での前記複数のコリメートされたレーザビーム(301)の第1の入力反射が、前記第2の可動鏡(422X)に向けられ、
前記第2の可動鏡(422X)での第2の反射が、前記第1の可動鏡(421X)及び前記第2の可動鏡(422X)のすべての可能な位置及び向きについて、方向Xにおいて横方向にオフセットされた複数のビーム(302)を生じさせ得、
前記第1の可動鏡(421Y)での複数の横方向にオフセットされたビーム(302)の第3の反射が、前記第2の可動鏡(422Y)に向けられ、
前記第2の可動鏡(422Y)での第4の反射が、前記第1の横方向オフセットユニット(1X)及び前記第2の横方向オフセットユニット(1Y)の前記第1の可動鏡(421X、421Y)及び前記第2の可動鏡(422X、422Y)のすべての可能な位置及び向きについて、複数のオフセットされたレーザビーム(501)を生じさせ得、各オフセットされたレーザビームが、そのそれぞれの主伝播軸Aに垂直な平面内で円を表し得る、ように構成されることを特徴とする請求項
9に記載のシステム(100)。
【請求項14】
前記空間オフセットユニット(50)が、
鏡(119)であって、
前記複数のコリメートされたレーザビーム(301)から生じる第1の複数の反射レーザビーム(123)を提供するために法線(126)によって画定された実質的に平坦な反射面を有し、
その法線(126)が、三次元空間内で経路を表し得るように移動可能である、鏡(119)を備え、
前記空間オフセットユニット(1)が、前記複数のコリメートされたレーザビーム(301)及び該鏡(119)の法線(126)が、該可動鏡(119)のすべての可能な位置及び向きについて、0°から15°の間、好ましくは0.01°から10°の間、好ましくは0.1°から8°の間、更に好ましくは0.1°から3°の間の角度(115)で分離されるように構成され、
前記空間オフセットユニット(50)が、
前記可動鏡(119)を変位させるための駆動手段(16)と、
再帰反射システム(121)であって、
前記第1の複数の反射レーザビーム(123)から、前記鏡(119)のすべての位置及び向きについて、前記鏡(119)に入射する第2の複数のレーザビーム(18)を生じさせるために、前記鏡(119)に対して位置決めされ、前記可動鏡(119)に入射する前記第2の複数のレーザビーム(18)の反射から、前記複数のオフセットされたレーザビーム(501)を生じさせ、及び
前記可動鏡(119)のすべての可能な位置及び向きについて、前記第1の複数の反射レーザビーム(123)に平行である、前記鏡(119)に入射する前記第2の複数のレーザビーム(18)を提供し得る、再帰反射システム(121)と、を備えることを特徴とする請求項1から
8のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項15】
部品を加工するために複数の分離されたレーザビーム(301)に対して複数のオフセットされたレーザビーム(501)を提供するための方法であって、
a)光源レーザビーム(101)を生成するための超短パルスレーザ光源(10)を設けるステップと、
b)制御ユニットによって制御される分離手段(30)を設けるステップと、
c)空間オフセットユニット(50、50X、50Y)及び集束手段(70)を設けるステップと、
d)光源レーザビーム(101)を複数の分離されたレーザビーム(301)に分離するように、前記分離手段(30)を制御するステップであって、前記分離されたレーザビームの各々が、異なる伝播軸に沿って伝播し得る、ステップと
e)各オフセットされたレーザビームが、主伝播軸A周りに伝播し得、該主伝播軸A周りの動きを表し得るように、前記空間オフセットユニット(50、50X、50Y)を起動して、複数の分離されたレーザビーム(301)から複数のオフセットされたレーザビーム(501)を生成するステップと、
f)前記集束手段(70)によって、それ自体の前記伝播軸の方向でワーク(201)上に、各オフセットされたレーザビームを集束させるステップと、を実施することを含む方法。
【国際調査報告】