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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-26
(54)【発明の名称】消毒キャップ
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/16 20060101AFI20230519BHJP
【FI】
A61M39/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562610
(86)(22)【出願日】2021-04-14
(85)【翻訳文提出日】2022-12-02
(86)【国際出願番号】 US2021027218
(87)【国際公開番号】W WO2021211673
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】63/011,356
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/229,157
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン ジアン
(72)【発明者】
【氏名】アミル ハランディ
(72)【発明者】
【氏名】ジアユー リウ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066JJ02
(57)【要約】
医療用コネクタに接続するための消毒キャップを記載する。消毒キャップは、キャビティを形成する頂壁および側壁を有するハウジングと、キャビティ内に配置される連続気泡フォーム構造体と、連続気泡フォーム構造体に接して配置される独立気泡フォーム構造体とを含み、独立気泡フォーム構造体はハウジングの内側表面との間に締り嵌めを有する。独立気泡フォーム構造体は、多角形または星形の形状を有してもよく、流体は、独立気泡フォーム構造体とキャビティの内面との間に形成される隙間を通って流れることができる。連続気泡フォーム構造体に殺菌剤を含浸させてもよい。それにより、連続気泡フォーム構造体の圧縮は、ルアーコネクタの挿入時に殺菌剤の放出を引き起こす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングを有する消毒キャップであって、前記ハウジングは、
頂壁、および、キャビティを規定する内面と、外面とを有する円筒形の側壁と;
ルアーコネクタのハブを受容するための前記ハウジング内のキャビティへの開口部を有し、前記円筒形の側壁によって形成された開放底と;
前記キャビティ内に配置された連続気泡フォーム構造体であって、連続気泡フォーム構造体はキャビティの頂壁に接し、連続気泡フォーム構造体は予め活性化した状態の殺菌液を含浸している、連続気泡フォーム構造体と;
前記連続気泡フォーム構造体に接して配置される独立気泡フォーム構造体であって、前記ルアーコネクタのハブが前記キャビティの前記内面内に受容される際に、ルアーコネクタのハブを流体的に遮断するための閉塞部として構成された独立気泡フォーム構造体と、
を含むことを特徴とする消毒キャップ。
【請求項2】
連続気泡フォーム構造体は独立気泡フォーム構造体に接着されていることを特徴とする請求項1に記載の消毒キャップ。
【請求項3】
ルアーコネクタの挿入が、連続気泡フォーム構造体の圧縮を起こし、それによって流体が放出されることを特徴とする請求項1に記載の消毒キャップ。
【請求項4】
独立気泡フォーム構造体は多角形の形状を有することを特徴とする請求項1に記載の消毒キャップ。
【請求項5】
独立気泡フォーム構造体が、ハウジングの内面に締り嵌めする多数の角のうちの1つを有することを特徴とする請求項4に記載の消毒キャップ。
【請求項6】
多数の平坦部のうちの1つとハウジングの内面との間に隙間が形成されており、前記隙間は、連続気泡フォーム構造体の圧縮時に消毒剤が流れるための経路を形成することを特徴とする請求項5に記載の消毒キャップ。
【請求項7】
独立気泡フォーム構造体は六角形の形状を有することを特徴とする請求項4に記載の消毒キャップ。
【請求項8】
独立気泡フォーム構造体は五角形の形状を有することを特徴とする請求項4に記載の消毒キャップ。
【請求項9】
独立気泡フォーム構造体は星形の形状を有することを特徴とする請求項1に記載の消毒キャップ。
【請求項10】
独立気泡フォーム構造体は、ハウジングの内面に締り嵌めで係合する多数の点のうちの1つを有することを特徴とする請求項9に記載の消毒キャップ。
【請求項11】
多数の内側点のうちの1つとハウジングの内面との間に隙間が形成されており、前記隙間は、連続気泡フォーム構造体の圧縮時に消毒剤が流れるための経路を形成することを特徴とする請求項10に記載の消毒キャップ。
【請求項12】
独立気泡フォーム構造体は4角星の形状を有することを特徴とする請求項4に記載の消毒キャップ。
【請求項13】
独立気泡フォーム構造体は5角星の形状を有することを特徴とする請求項4に記載の消毒キャップ。
【請求項14】
ハウジングの前記外面上に少なくとも1つのネジ山をさらに含み、前記少なくとも1つのネジ山は、ルアーコネクタの嵌合部とインターロックするのに十分であることを特徴とする請求項1に記載の消毒キャップ。
【請求項15】
前記ハブは、少なくとも1つのネジ山の少なくとも一部を前記ルアーコネクタの前記ハブ上の嵌合部と係合させることによって、前記キャビティの前記内面内に固定されることを特徴とする請求項6に記載の消毒キャップ。
【請求項16】
取り外し可能な剥離可能シールが、キャビティへの開口部を覆うことを特徴とする請求項1に記載の消毒キャップ。
【請求項17】
連続気泡フォーム構造体は多角形の形状を有することを特徴とする請求項1に記載の消毒キャップ。
【請求項18】
連続気泡フォーム構造体は星形の形状を有することを特徴とする請求項1に記載の消毒キャップ。
【請求項19】
連続気泡フォームに独立気泡フォームのシートを接着して、連続気泡フォーム構造体および独立気泡フォーム構造体の接着体を得る工程と;
連続気泡フォーム構造体および独立気泡フォーム構造体の接着体を、形状に切断する工程と;
連続気泡フォーム構造体および独立気泡フォーム構造体の接着体を、消毒キャップのハウジングのキャビティに挿入する工程と、
を含むことを特徴とする消毒キャップの製造方法。
【請求項20】
連続気泡フォーム構造体および独立気泡フォーム構造体の接着体を挿入する工程の前に、接着された連続気泡フォーム構造体に消毒剤を含浸させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
独立気泡フォーム構造体の平坦部とハウジングのキャビティの内面との間に形成される隙間を通して、接着された連続気泡フォーム構造体に消毒剤を含浸させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
ハウジングの開放端に剥離可能シールを配置し、キャビティとその中の消毒剤を密封する工程をさらに含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対応する医療用コネクタを消毒するための消毒キャップ装置に関する。本開示は、一般に、継手を有する医療用コネクタのアクセスポートを消毒および滅菌するための装置に関する。一般に、本開示の例示的な実施形態は、医療用キャップおよび医療用消毒キャップを含む、ネジ式継手またはインターロック継手の分野に関し、特に、ネジ式流体コネクタと共に使用するためのキャップおよび/または消毒キャップに関する。本開示の1つまたは複数の例示的実施形態は、オス型ネジ付きルアーコネクタを消毒するためのオス型消毒キャップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血管アクセス装置(VAD)は、一般的に使用される治療用装置であり、静脈内(IV)カテーテルを含む。VADには、末梢カテーテルおよび中心静脈カテーテルという2つの一般的な分類がある。細菌およびその他の微生物は、液体または薬剤を供給するためにVADに接続されるアクセスハブ、ポート、バルブから、患者の血管系に侵入する可能性がある。各アクセスハブ、ポート、バルブ、または接続部は、カテーテル関連血流感染(CRBSI)を引き起こす危険性があり、これは高コストだけでなく、潜在的に致命的となる可能性がある。CRBSIを減少させ、VADの正しい使用および保守を確実にするために、消毒手順および洗浄手順を含む実施基準が開発された。米国医療疫学協会(SHEA)ガイドラインおよび輸液看護師標準(INS)ガイドラインに、消毒キャップが追加された。
【0003】
先進国では、IVカテーテルを使用する場合、典型的にはニードルレスコネクタを使用してシステムを密閉し、その後、カテーテルを介して患者に薬物または他の必要な流体を投与するためにアクセスする。INSの実施基準では、ニードルレスコネクタの使用を推奨しており、「各アクセスの前に、アルコール、ヨードチンキ、またはグルコン酸クロルヘキシジン/アルコールの組み合わせを用いて、着実かつ徹底的に消毒するべき」であると述べている。ニードルレスコネクタの消毒は、最終的には、表面に生息してCRBSIを含む種々のカテーテル関連合併症を引き起こす可能性のある、細菌を減らすことを目的とする。看護師は、典型的には70%イソプロピルアルコール(IPA)パッドを使用して、いわゆる「ハブのスクラブ」作業により、この消毒作業を完了する。しかし、この方法の遵守率は、典型的には非常に低い。「ハブのスクラブ」の遵守の欠如に加えて、臨床医のインタビューを通じて、多くの場合に、スクラブ時間、乾燥時間、およびニードルレスコネクタをスクラブする回数にばらつきがあることも指摘されている。
【0004】
中心ライン関連血流感染(CLABSI)および末梢ライン関連血流感染(PLABSI)を減らすために、オス型およびメス型ルアーコネクタを保護する必要性が高まってきている。適切に保護されていない場合、静脈内自然落下式輸液セット(gravity set)およびシリンジのネジ式オス型ルアー接続部は、汚染の原因となる可能性がある。現在、輸液を一時的に停止するために中心ラインまたは末梢ラインからIVコネクタを外す場合、多くの場合、看護師は、オス型ルアーコネクタをY字部のニードルレスコネクタにループさせるか、オス型ルアーコネクタを、イソプロピルアルコール(IPA)を染み込ませたワイプまたは布で包む。しかし、このような保護は非常に弱く、ルアーを接触汚染から適切に保護することはできない。オス型消毒キャップは、オス型ルアーコネクタを消毒し、微生物の繁殖を防ぐための物理障壁を作るための最先端の消毒・保護装置となってきている。
【0005】
CRBSIを起こし得る微生物の感染に関連する一連の手順を通じて、接触または汚染の多くのリスクがある。1つの例として、汚染は、薬剤の混合、カニューレの取り付け、およびアクセスハブへの挿入の間に起こり得る。さらに、ネジ式オス型ルアーコネクタは、内腔が露出している開放型ルアーを有する。VADへの接続手順は非常に一般的かつ単純であるため、患者の血管系への侵入に伴うリスクは多くの場合に見落とされてきた。現在、病院および患者に対するリスクは、実質的に、接続を行う臨床医の勤勉さに依存し、この勤勉さはほとんど制御不能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
典型的には、消毒剤は、高用量での消毒剤の生物毒性により、血流への注入のための全身暴露に関する閾値限界を有する。周囲のコネクタまたは継手の効果的な消毒を提供しながら、消毒剤が内腔および流体経路に入るのを防止する機構が必要とされている。したがって、コネクタへの消毒剤の侵入の緩和を容易にするために、開放型ルアーの内腔を遮断し、それによって、消毒剤が血流に入るリスクを低減することができる消毒装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様は、頂壁と、円筒形側壁と、開放底と、連続気泡フォーム構造体と、独立気泡フォーム構造体とを備える消毒キャップに関する。円筒形側壁は、キャビティを画定する内面を有する。開放底は、円筒形側壁によって形成され、ルアーコネクタのハブを受容するための前記ハウジング内のキャビティへ至る開口部を有する。連続気泡フォーム構造体は、キャビティ内に配置され、連続気泡フォーム構造体は、キャビティの頂壁に接し、連続気泡フォーム構造体は、予め活性化された状態の殺菌流体を含浸している。独立気泡フォーム構造体は、連続気泡フォーム構造体に接して配置され、独立気泡フォーム構造体は、ルアーコネクタのハブを流体的に遮断するための閉塞部として構成される。前記ルアーコネクタのハブは、前記キャビティの前記内面内に受容される。
【0008】
1つまたは複数の実施形態において、キャビティは、本質的に、前記頂壁の内面から前記ハウジングの前記開放底に向かって延在する。
【0009】
1つまたは複数の実施形態において、独立気泡フォーム構造体は、独立気泡フォーム構造体とハウジングの内面との間に締り嵌めを形成する。実施形態において、連続気泡フォーム構造体は、独立気泡フォーム構造体に接着されている。1つまたは複数の実施形態において、ルアーコネクタの挿入は、連続気泡フォーム構造体の圧縮を引き起こし、それによって流体を放出させる。
【0010】
1つまたは複数の実施形態において、独立気泡フォーム構造体は、多角形の形状を有する。
【0011】
1つまたは複数の実施形態において、独立気泡フォーム構造体は、締り嵌めでハウジングの内面に係合する多数の角(かど)のうちの1つを有する。
【0012】
1つまたは複数の実施形態において、多数の平坦部の1つとハウジングの内面との間に隙間を形成し、この隙間は、連続気泡フォーム構造体の圧縮時に殺菌剤が流れるための経路を形成する。
【0013】
1つまたは複数の実施形態において、独立気泡フォーム構造体は六角形の形状を有する。1つまたは複数の実施形態において、独立気泡フォーム構造体は五角形の形状を有する。1つまたは複数の実施形態において、独立気泡フォーム構造体は星形の形状を有する。
【0014】
1つまたは複数の実施形態において、独立気泡フォーム構造体は、締り嵌めでハウジングの内面に係合する多数の点の1つを有する。1つまたは複数の実施形態において、多数の内側点のうちの1つとハウジングの内面との間に隙間が形成され、その隙間は、連続気泡フォーム構造体の圧縮時に殺菌剤が流れるための経路を形成する。
【0015】
1つまたは複数の実施形態において、独立気泡フォーム構造体は、四角星の形状を有する。1つまたは複数の実施形態において、独立気泡フォーム構造体は、五角星の形状を有する。
【0016】
1つまたは複数の実施形態において、消毒キャップは、ハウジングの前記外面上に少なくとも1つのネジ山をさらに含み、前記少なくとも1つのネジ山は、ルアーコネクタの嵌合部とインターロックするのに十分である。
【0017】
1つまたは複数の実施形態において、前記ハブは、前記少なくとも1つのネジ山の少なくとも一部を前記ルアーコネクタの前記ハブ上の嵌合部とインターロックすることによって、前記キャビティの前記内面内に固定される。1つまたは複数の実施形態において、前記キャビティの内面は、前記ルアーコネクタのハブとの締り嵌めによって固定される。
【0018】
1つまたは複数の実施形態において、取り外し可能な剥離可能シールが、キャビティへの開口部を覆う。
【0019】
1つまたは複数の実施形態において、連続気泡フォーム構造体は多角形の形状を有する。1つまたは複数の実施形態において、連続気泡フォーム構造体は、星形の形状を有する。
【0020】
本開示の第2の態様は消毒キャップの製造方法に関し、当該方法は、独立気泡フォームのシートを連続気泡フォームに接着して、連続気泡フォーム構造体および独立気泡フォーム構造体の接着体とする工程と、連続気泡フォーム構造体および独立気泡フォーム構造体の接着体を形状に切断する工程と、消毒キャップのハウジングのキャビティに連続気泡フォーム構造体および独立気泡フォーム構造体の接着体を挿入する工程とを含む。
【0021】
1つまたは複数の実施形態において、本方法は、連続気泡フォーム構造体および独立気泡フォーム構造体の接着体を挿入する前に、連続気泡フォーム構造体に殺菌剤を含浸させる工程をさらに含む。
【0022】
1つまたは複数の実施形態において、本方法は、独立気泡フォーム構造体の平坦部とハウジングのキャビティの内面との間に形成された隙間を通して、連続気泡フォーム構造体に殺菌剤を含浸させる工程をさらに含む。
【0023】
1つまたは複数の実施形態において、本方法は、ハウジングの開放端に剥離可能シールを配置して、キャビティおよび内部の消毒剤を密封する工程をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本開示の例示的な第1の実施形態による消毒キャップの正面図である。
図2図1の消毒キャップの透視図である。
図3図1の消毒キャップの軸X-X’に沿った消毒キャップの断面図である。
図4図1の消毒キャップの半透明透視図である。
図5A図1の消毒キャップの連続気泡フォーム構造体および独立気泡フォーム構造体を示す側面図である。
図5B図1の消毒キャップの連続気泡フォーム構造体および独立気泡フォーム構造体を示す側面図である。
図6A図1の消毒キャップの実施形態の底面図である。
図6B図1の消毒キャップの実施形態の底面図である。
図6C図1の消毒キャップの実施形態の底面図である。
図6D図1の消毒キャップの実施形態の底面図である。
図6E図1の消毒キャップの実施形態の底面図である。
図7】例示的な消毒キャップの第2の実施形態の正面図である。
図8】例示的な消毒キャップの第3の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の実施形態は、ネジ式接続部を含む医療用コネクタに接続して消毒するための消毒キャップに係る。1つまたは複数の実施形態において、医療用コネクタは、ルアーコネクタまたはニードルレスコネクタである。1つまたは複数の実施形態において、医療用コネクタは、オス型ルアーコネクタである。1つまたは複数の実施形態において、医療用コネクタは、メス型ルアーコネクタである。本開示は、医療用コネクタのハブおよびそれを包囲する周辺部に対する効果的な消毒を提供しながら、消毒剤が医療用コネクタの流体経路に入ることを防止する機構を提供することを目的とする。
【0026】
本開示のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示は、以下の説明で規定される構造の詳細または方法工程に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、種々の方法で実施または実行されることが可能である。
【0027】
以下の説明のために、用語「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「横」、「縦」、およびそれらの派生語は、図面において配向されるように本開示に関するものとする。しかしながら、本開示は、明示的に異なる指定がなされている場合を除き、代替的な変形および工程シーケンスを想定し得ることを理解されたい。また、添付の図面に図示され、以下の明細書に記載される特定の装置および方法は、本開示の単なる例示的な実施形態であることを理解されたい。それゆえ、本明細書に開示された実施形態に関連する特定の寸法および他の物理的特性は、限定的なものとして考慮されるべきではない。
【0028】
本明細書で使用する場合、冠詞「a」、「an」、および「the」の使用は、単数および複数を含む。
【0029】
本明細書で使用される場合、「カテーテル関連血流感染」すなわち「CRBSI」という用語は、カテーテルまたはIVラインの存在に起因するあらゆる感染を意味する。
【0030】
本明細書で使用する場合、「ルアーコネクタ」という用語は、シリンジ、カテーテル、ハブ付ニードル、IVチューブなどを互いに取り付ける標準的な方法である接続カラーを意味する。ルアーコネクタは、単純な圧力/ねじり嵌めだけで一緒に保持できるようにわずかに先細りになった、1つまたは複数のインターロックチューブから構成される。任意選択的に、ルアーコネクタは、さらに外側のネジ山を含んで、より確実な固定を得ることができる。一般的に、ルアーコネクタは、フラッシュシリンジと関連し、血管アクセス装置(VAD)上に位置する端部にインターロックおよび接続することができる。ルアーコネクタは、遠位端、近位端、不規則形状の外壁、シリンジの筒部のチャンバからVADのハブへ流体連通するためのプロファイルされた中心通路から構成される。また、ルアーコネクタは、ルアーコネクタをVADのハブに解放可能に取り付ける遠位端チャネル、およびルアーコネクタをシリンジの筒部に解放可能に取り付ける近位端チャネルを有する。本明細書で用いられる際に、「ルアーコネクタ」という用語は、オス型ルアーコネクタまたはメス型ルアーコネクタを意味する。
【0031】
本明細書で使用する場合、「医療装置」という用語は、ネジ式接続部またはインターロック接続部を有する一般的な医療装置を指し、接続部は、対応する嵌合要素を有する。限定的ではない例示として、シリンジはネジ式接続部を有して、カテーテル、IVラインなどのニードルレスコネクタのような二次医療装置と解放可能にインターロックしてもよい。ネジ式接続部は、二次医療装置に取り付けるためのネジ手段を有する突出壁によって包囲される、流体経路を画定する内腔を含んでもよい。
【0032】
関連技術分野の当業者によって容易に理解されるであろうが、「ネジ」、「テーパー」、「タブ」、「壁」、「頂部」、「側面」、「底部」等の説明用語は、理解を容易にするために本明細書を通じて使用されるが、本開示の実施形態の種々の態様を実施するために組み合わせてまたは個別に使用できる任意の構成要素を制限することを意図しない。
【0033】
本開示の消毒キャップの実施形態は、密閉遠位端を画定する頂壁、開放近位端、および密閉端から開放近位端まで延在する実質的に円筒形の側壁を有するハウジングを含み、側壁は内面を有する。キャビティは、ニードルレスコネクタのハブを受容するために構成される。1つまたは複数の実施形態において、キャビティは、ネジ式ニードルレスコネクタのハブを受容するように構成され、ネジ式接続部の嵌合部と係合するのに十分な少なくとも1つのネジ山を円筒形側壁の外面上に有する。消毒キャップの実施形態は、消毒キャップの少なくとも1つのネジ山が、ネジ式接続部の嵌合部と係合すること、より具体的にはルアー接続部と係合することを開示する。キャップは、ニードルレスコネクタのハブの挿入時に消毒液を放出するように構成された吸収性材料として機能する、連続気泡フォーム構造体をさらに含む。連続気泡フォーム構造体には、流体の吸収に抵抗する独立気泡フォーム構造体が取り付けられている。独立気泡フォーム構造体は、ルアー接続部のハブの流体経路への消毒液の浸入を防止する閉塞部として構成される。連続気泡フォーム構造体および独立気泡フォーム構造体は、さらに、予め活性化された状態でキャビティ内を移動しないように構成される。1つまたは複数の実施形態において、開放近位端は、端面と、キャビティの無菌性を維持するための剥離可能シールおよび/またはセプタムのための係合面とを画定する、側壁の外面から径方向外側に延在する周辺レッジを含む。剥離可能シールは、消毒キャップの輸送時および保管時のキャビティの汚染を低減または防止する。剥離可能シールは、一般に、注射および/または吸引処置の直前(剥離可能シールが取り除かれる時点)まで、予め活性化された状態で密封されたままである。剥離可能シールは、潜在的な微粒子状危険要素の侵入を最小化し、また、消毒キャップの使用前に、キャビティのための実質的に不浸透性の密閉空間を提供する。この剥離可能シールは、一連の温度、圧力、および湿度レベルにおいて十分な密閉性を発揮する。
【0034】
消毒キャップは、コネクタの機械的障壁を提供し、消毒液または抗菌剤(以下、「流体」と称する)を収容する。本開示の消毒キャップは、当業者が消毒プロセスを能率化することを可能にする。本明細書で例示した事項は、本開示の例示的な実施形態の包括的な理解を助けるために提供されるものである。したがって、当業者であれば、本開示の範囲および真意から逸脱することなく、本明細書に記載された実施形態の種々の変更および修正を行うことができることを認識できる。また、明確性および簡潔性のために、周知機能および周知構造に関する説明を省略する。
【0035】
特に、当業者は、医療装置のニードルレスコネクタに対する消毒キャップの挿入またはねじ込みによって、単一の動作でニードルレスコネクタを消毒して、ニードルレスコネクタのハブおよびルーメンの流体経路への流体の侵入を阻止する閉塞部をもたらし、同時に、ルアーコネクタのハブの挿入は、連続気泡フォームの圧縮によるルアーコネクタハブとその周辺の消毒を可能にする流体の放出を起こす。1つまたは複数の実施形態において、次いで、消毒キャップをルアーコネクタから取り外す(または、ねじり戻す)ことによって、消毒キャップを取り外すことができる。1つまたは複数の実施形態において、消毒キャップは、使用準備が整うまでルアーコネクタに接続されたままとして、消毒された密閉環境を提供することができる。
【0036】
本開示の実施形態の例示的な実装では、消毒キャップは、医療装置のネジ式継手と接続することを可能にする任意のおよびすべての組み合わせにおいて、一体型ネジまたはタブ、および他の特徴を含む。好ましい実施形態において、消毒キャップは、ルアー継手に接続される。カプラ、継手、ポートおよびアダプタの例示的な構成は、市販のルアーロック、ルアースリップポート、ロックポート、ネジ式接続部、インターロック接続部、または当技術分野で知られている一般的な他の医療装置用継手を含んでもよい。
【0037】
ここで、図面を参照すると、同様の参照符号は、いくつかの図を通して同一または対応する部品を示す。以下、本開示の実施形態を説明する。
【0038】
図1および図2に示されるように、本開示の第1の態様は、ハウジング110を含む消毒キャップ100に関し、ハウジング110は、上部110Aおよび下部110Bを有する。1つまたは複数の実施形態において、下部110Bは、円筒形ハウジング112を有し、実質的に円筒形である。1つまたは複数の代替実施形態において、下部110Bは、テーパー状の下部を有していてもよい。ハウジングの上部110Aは、内側にテーパーが付けられた側壁を有する。さらなる実施形態において、上部110Aおよび下部110Bは、実質的に円筒形の側壁を有する。1つまたは複数の実施形態において、ハウジング110の下部110Bの内面126は、開放底116を有するキャビティ130を画定して、ニードルレスコネクタ、より具体的にはルアーコネクタのハブを受容する。1つの実施形態において、上部110Aは下部110Bと一体的に形成されているが、さらなる実施形態は、ネジ式接続、プレス嵌め接続、接着剤接続、またはそれらの組み合わせで取り外し不能または取り外し可能に組み立てられている。
【0039】
1つまたは複数の実施形態において、キャビティ130は、キャビティ130とルアーコネクタのハブとの間の緩い嵌合を促進するように構成することができ、消毒キャップ100は、円筒形ハウジング112の外面に含まれる少なくとも1つのネジ山122または1組のタブによって固定される。円筒形ハウジング112の外面に配置された少なくとも1つのネジ山122は、標準的なISO-2タイプの継手と係合する寸法を有し、標準的なISO-2タイプの継手と係合するネジ山パターンを有する。緩い嵌合は、ルアーコネクタのハブの周囲に流体を流すことを可能にする。さらなる実施形態において、キャビティ130をルアースリップフィッティングに構成して、キャビティ130とルアーコネクタのハブとの間の締り嵌めを促進することができる。いくつかの実施形態において、締り嵌めは、キャビティ130をルアーコネクタに取り外し可能に固定する際に、ネジ式接続部(たとえば、少なくとも1つのネジ山122)を必要としないように十分に強く構成され得る。
【0040】
1つまたは複数の実施形態において、ルアーコネクタのハブがキャビティ130の内面126内に受容される際に、ハブは、少なくとも1つのネジ山122の少なくとも一部をルアーコネクタのハブ上の嵌合部とインターロックすることによって、消毒キャップ100のキャビティ130内に固定される。1つまたは複数の実施形態において、少なくとも1つのネジ山122は、傾斜したネジ山パターンを含むことができる。1つまたは複数の実施形態において、少なくとも1つのネジ山122は、らせん形状のネジ山パターンを含むことができる。このようなコネクタは、一般的かつ普通に、カテーテルとして、およびニードルレスコネクタにおける他の液密保護コネクタとして用いられ、より一般的には医療用途で用いられる。いくつかの実施形態において、消毒キャップ100は、ルアーコネクタのネジ山が消毒キャップ100の少なくとも1つのネジ山122と係合して解放可能な接続を形成するとき、コネクタと係合したときにルアーコネクタのための保護カバーを提供する。
【0041】
図3は、図1に示されるX-X’平面に沿った消毒キャップ100の断面図を示す。図2に示されるように、ハウジング110のキャビティ130は、開放底116から頂壁114までハウジング110の全長の長さに延在し、キャビティ130は実質的に円筒形の形状を有する。殺菌剤を吸収して保持するための連続気泡フォーム構造体120が、キャビティ内に配置される。連続気泡フォーム構造体には、予め活性化された状態の殺菌剤を含浸させる。連続気泡フォーム構造体120は、頂壁114に接して配置または隣接させることができる。連続気泡フォーム構造体120は、主に、連続気泡フォーム構造体120に対するニードルレスコネクタまたはルアーコネクタの長手方向の前進により、水平方向および垂直方向の両方に圧縮可能である。1つまたは複数の実施形態において、連続気泡フォーム構造体120は、キャビティ130の内面126と締り嵌めを生じる大きさであり、連続気泡フォーム構造体120の直径はキャビティ130の直径より大きい。好ましい実施形態において、連続気泡フォーム構造体120は、キャビティ内に緩く嵌まるような寸法を有し、連続気泡フォーム構造体120の直径はキャビティ130の直径より小さい。連続気泡フォーム構造体120は、連続気泡フォーム構造体120が圧縮される際に流体を放出させる。
【0042】
図3および図4に示すように、独立気泡フォーム構造体118は、連続気泡フォーム構造体120に近接して配置される。独立気泡フォーム構造体118は、流体の吸収に抵抗し、ルアーコネクタのハブの流体経路への殺菌剤の浸入を防止するように構成される。図5Aに示すように、1つまたは複数の実施形態において、連続気泡フォーム構造体120および独立気泡フォーム構造体118は、連続気泡フォーム構造体120が独立気泡フォーム構造体118の上に配置されている2つの別個の単体構造である。図5Bに示すように、1つまたは複数の実施形態において、連続気泡フォーム構造体120および独立気泡フォーム構造体118は、接着剤層121の使用により単一体へと接着される。1つまたは複数の実施形態において、連続気泡フォーム構造体120および独立気泡フォーム構造体118は、独立気泡フォーム部分および連続気泡フォーム部分を有する単一セルフォーム構造体であり、連続気泡フォーム部分は頂壁114に接して配置される。1つまたは複数の実施形態において、連続気泡フォーム構造体120は、独立気泡フォーム構造体118から独立しており、連続気泡フォーム構造体は、最初に、頂壁114に接してキャビティ130内に配置され、独立気泡フォーム構造体118は、連続気泡フォーム構造体120に接して配置される。長手方向接続状態でニードルレスコネクタまたはルアーコネクタをキャビティ130内に前進させると、少なくとも頂壁114に対する連続気泡フォーム構造体120の圧縮、およびいくつかの実施形態において頂壁114に対する独立気泡フォーム構造体118の圧縮が生じる。
【0043】
1つまたは複数の実施形態において、独立気泡フォーム構造体118は、ポリエチレンスポンジまたはポリウレタンスポンジで構成することができる。1つまたは複数の実施形態において、接着剤は、EVAの結合層とすることができる。
【0044】
独立気泡フォーム構造体118は、予め活性化された状態でキャビティ130内に固定化されるように構成される。いくつかの実施形態において、独立気泡フォーム構造体118は、キャビティ130の内面126と締り嵌めを形成する。独立気泡フォーム構造体118は、非円形の断面形状を有する。以下の実施形態に例示されるように、非円形の断面形状は、連続気泡フォーム構造体120の圧縮時に、頂壁114と独立気泡フォーム構造体118との間に配置された連続気泡フォーム構造体120から流体が流れることを許容すると同時に、キャビティ130の内面126との締り嵌めを作り出すように構成される。
【0045】
図6A図6Eを参照すると、断面形状の実施形態が例示されている。図6A図6Bおよび図6Cに示されるように、1つまたは複数の実施形態において、独立気泡フォーム構造体118は、五角形、六角形または長方形などの多角形の形状を有する。そのような実施形態において、多角形の形状の多数の角の1つ190は、ハウジング110の内面126と締り嵌めで係合し、多角形の形状の多数の角の1つ190の間の距離は、キャビティ130の直径よりも大きい寸法に構成される。多数の平坦部194のうちの1つとハウジング110の内面126との間には、隙間192が形成されている。1つまたは複数の隙間192は、多数の平坦部194のうちの1つとハウジング110の内面126との間で流体が流れることを可能にするように構成される。ルアーコネクタ170の長手方向の前進による連続気泡フォーム構造体120の圧縮および独立気泡フォーム構造体118の圧縮時に、消毒剤が連続気泡フォーム構造体120から放出されて隙間192を通り、それによってハブ174およびルアーコネクタ170の周囲が消毒される。独立気泡フォーム構造体118は、ルアーコネクタ170の内腔172を流体的に密閉する。隙間192は、連続気泡フォーム構造体の圧縮時に殺菌剤が流れるための流体経路を形成する。
【0046】
図6Dおよび図6Eを参照すると、1つまたは複数の実施形態において、独立気泡フォーム構造体118は、4角星または5角星のような星形の形状を有する。多数の点290のうちの1つは、キャビティ130の内面126と締り嵌めで係合し、多数の点290のうちの1つまたは複数の間の距離は、キャビティ130の直径より大きい寸法に構成される。多数の平坦部294のうちの1つとハウジング110の内面126との間には、隙間292が形成されている。1つまたは複数の隙間292は、多数の平坦部294のうちの1つとハウジング110の内面126との間で流体が流れることを可能にするように構成される。星形は、多数の内側点296をさらに含み、平坦部164を有する実施形態よりも大きな隙間292を形成する。
【0047】
1つまたは複数の実施形態において、独立気泡フォーム構造体は楕円形の形状である。図7を参照すると、1つまたは複数の実施形態において、独立気泡フォーム構造体318および連続気泡フォーム構造体320は同一形状を有する。1つまたは複数の実施形態において、独立気泡フォーム構造体318および連続気泡フォーム構造体320は、五角形、六角形または長方形などの多角形の形状、または4角星または5角星のような星形の形状を有する。
【0048】
図8を参照すると、1つまたは複数の実施形態において、消毒キャップ400は、キャビティ430を画定する内面426を有する、ハウジング410を有する。該キャビティ430は、ルアーコネクタ470のハブ472を受容するための開放底416を有する。1つまたは複数の実施形態において、キャビティ430は、キャビティ430とルアーコネクタ470のハブ472との間の緩い嵌合を容易にするように構成され、消毒キャップは、ハウジングの外面上に含まれる少なくとも1つのネジ山422または1組のタブによって固定される。円筒形のハウジングの外面に配置される少なくとも1つのネジ山422は、ルアーコネクタ470の標準ISO-2タイプの継手と嵌合する寸法およびネジ山パターンを有する。緩い嵌合は、流体がルアーコネクタ470のハブ472の周囲を流れることを可能にする。さらなる実施形態において、キャビティ430をルアースリップフィッティングに構成して、キャビティ430とルアーコネクタ470のハブ472との間の締り嵌めを促進することができる。締り嵌めは、キャビティ430をルアーコネクタ470に取り外し可能に固定するネジ式接続部すなわち少なくとも1つのネジ山422を必要としないように十分に強く構成することができる。
【0049】
1つまたは複数の実施形態において、ルアーコネクタ470のハブ472がキャビティ430の内面426内に受容される際に、少なくとも1つのネジ山422の少なくとも一部をルアーコネクタ470のハブ上の嵌合部またはネジ山474とインターロックすることによって、ハブ472は消毒キャップ400のキャビティ430内に固定される。1つまたは複数の実施形態において、少なくとも1つのネジ山422は、傾斜したネジ山パターンを含むことができる。1つまたは複数の実施形態において、少なくとも1つのネジ山422は、らせん形状のネジ山パターンを含むことができる。このようなコネクタは、一般的に、医療用途におけるカテーテルおよび他の液密保護コネクタとして使用される。いくつかの実施形態において、ルアーコネクタ470のネジ山474が消毒キャップ400の少なくとも1つのネジ山422と係合して解放可能な接続を形成する際に、消毒キャップ400は、コネクタと係合したときにルアーコネクタのための保護カバーを提供する。
【0050】
キャビティ430内に配置された連続気泡フォーム構造体420の圧縮と、連続気泡フォーム構造体420に近接して配置された独立気泡フォーム構造体418の圧縮とにより、消毒剤は連続気泡フォーム構造体420から放出されて隙間を通り、ハブ472およびルアーコネクタ470の周囲を消毒する。独立気泡フォーム構造体418は、ルアーコネクタ470の内腔476を流体的に密閉する。隙間は、連続気泡フォーム構造体420の圧縮時に消毒剤が流れるための流体経路を形成する。
【0051】
連続気泡フォーム構造体および独立気泡フォーム構造体が同一形状を有することは、消毒キャップの製造において有益である。製造において、予め切断された連続気泡フォーム構造体を独立気泡フォーム構造体に個別に接着する代わりに、独立気泡フォームと接着された連続気泡フォームのシートを単一の製造工程で適切な形状に切断することができる。製造方法は、独立気泡フォームのシートを連続気泡フォームのシートに接着して連続気泡フォーム構造体および独立気泡フォーム構造体の接着体を得る工程と、連続気泡フォーム構造体および独立気泡フォーム構造体の接着体を形状に切断する工程と、連続気泡フォーム構造体および独立気泡フォーム構造体の接着体を成形したハウジングのキャビティに挿入する工程とを含む。1つまたは複数の実施形態において、独立気泡フォームのシートおよび連続気泡フォームのシートは、工業用サイズである。1つまたは複数の実施形態において、接合された連続気泡フォーム構造体および独立気泡フォーム構造体の形状は、多角形、星形、または楕円形である。
【0052】
1つまたは複数の実施形態において、本方法は、連続気泡フォーム構造体および独立気泡フォーム構造体の接着体を挿入する前に、連続気泡フォーム構造体に殺菌剤を含浸させる工程をさらに含む。1つまたは複数の実施形態において、本方法は、独立気泡フォーム構造体の平坦部とハウジングのキャビティの内面との間に形成された隙間を通して、連続気泡フォーム構造体に殺菌剤を含浸させる工程をさらに含む。
【0053】
製造方法は、ハウジングの開放端に剥離可能シールを配置し、キャビティとその中の消毒剤を封止する工程をさらに含む。
【0054】
消毒キャップ100は、消毒キャップ100のキャビティ130に消毒剤を組み込むことによって、ニードルレスコネクタ、より具体的にはルアーコネクタに使用される場合の消毒を達成することができる。消毒剤は、キャビティ130に直接含ませることができる。消毒キャップ100は、種々の消毒剤または抗菌剤または流体と相互作用させることに適合性を有するように構成される。1つまたは複数の実施形態において、消毒剤または抗菌剤または流体は、アルコールまたはクロルヘキシジンのバリエーションを含む。1つまたは複数の実施形態において、殺菌剤または抗菌剤または流体は、アルコールまたはクロルヘキシジンのバリエーションを含む。
【0055】
1つまたは複数の実施形態において、殺菌剤は、イソプロピルアルコール、エタノール、2-プロパノール、ブタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、没食子酸プロピル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン、t-ブチル-ヒドロキノン、クロロキシレノール、クロルヘキシジン、二酢酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、ポビドンヨード、アルコール、ジクロロベンジルアルコール、デヒドロ酢酸、ヘキセチジン、トリクロサン、過酸化水素、コロイド銀、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、オクテニジン、抗生物質、およびこれらの混合物から本質的になる群から選択される。特定の実施形態において、殺菌剤または抗菌剤は、グルコン酸クロルヘキシジンおよび二酢酸クロルヘキシジンの少なくとも一方を含む。1つまたは複数の実施形態において、殺菌剤または抗菌剤は、流体またはゲルである。
【0056】
1つまたは複数の実施形態において、消毒キャップ100は、キャビティ130に至る開口部を覆う取り外し可能な剥離可能シールを含むことができる。1つまたは複数の実施形態において、剥離可能シールは、アルミニウムまたは多層ポリマーフィルムのピールバックトップを含んでいる。特定の実施形態において、剥離可能シールは、消毒キャップ100の開口端にヒートシールまたは誘導シールされる。1つまたは複数の実施形態において、剥離可能シールは、防湿層を含む。いくつかの実施形態において、剥離可能シールはルアーコネクタによって穿刺されるのに十分なほど薄く、最初に剥離可能シールを除去することなしにルアーコネクタをキャビティ130内に前進させることができる。
【0057】
消毒キャップ100は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリラクチド、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン、または医療装置に用いられる任意の他の成形可能プラスチック材料のような、多数の種類のプラスチック材料のいずれかから作製される。1つまたは複数の実施形態において、消毒キャップ100は、ポリプロピレンまたはポリエチレン材料を含む。
【0058】
1つまたは複数の実施形態において、医療装置のコネクタは、一次IV自然落下式輸液セット(gravity set)、二次IV自然落下式輸液セット(gravity set)、延長セット、および輸液またはシリンジポンプセット上の、ニードルレスコネクタ、カテーテルルアーコネクタ、ストップコック、および血液透析コネクタから本質的になる群から選択されてもよい。いくつかの実施形態において、消毒キャップは、種々の異なるニードルレス注入部位のいずれかと接続することができる。1つまたは複数の実施形態において、消毒キャップがコネクタと結合された後、コネクタと別のコネクタとの再接続のそれぞれの前に、コネクタを消毒(たとえば、アルコールスワブによる処理)することは不要である。なぜなら、コネクタは消毒キャップと結合されている間、汚染されていない状態に保たれるからである。消毒キャップ100の使用は、コネクタを洗浄するための標準的なスワブ処理プロトコルに取って代わるものである。
【0059】
本開示のさらに別の態様は、医療用コネクタを消毒する方法に関する。本方法は、1つまたは複数の実施形態の消毒キャップ100を医療用コネクタに接続する工程を含み、接続は、消毒キャップ100への医療用コネクタの挿入時に、消毒キャップのハウジング110の側壁の外面上のネジ山に医療用コネクタのネジ山を係合させ、医療用コネクタを閉塞部に接触させることを含む。1つまたは複数の実施形態において、閉塞部は、独立気泡フォーム構造体118である。
【0060】
本明細書に開示され、図面に示される消毒キャップ100は、オス型ルアーコネクタおよびメス型ルアーコネクタを含むルアーコネクタとともに利用することができ、閉塞部は、消毒剤のコネクタへの浸入の緩和を促進するために開放型ルアーの内腔を遮断するために用いることができ、それによって消毒剤が血流に入るリスクを低減させることを企図している。したがって、本明細書に開示され、図に示される消毒キャップ100は、オス型ルアーコネクタおよびメス型ルアーコネクタと共に利用され得ることが企図される。
【0061】
本開示は、その特定の例示的な実施形態を参照して示し、かつ説明してきたが、本開示の実施形態の真意および範囲から逸脱することなく、形態および詳細における種々の変更をなし得ることは、当業者によって理解されるであろう。また、消毒キャップのハウジングは、単発成形、または、他の適切なプロセスによって製造することができる。さらに、上述し、図面に示すような本開示の実施形態の任意の例示的な実施態様の特徴または要素は、本開示の実施形態の真意および範囲から逸脱することなく、個別に、または当業者が容易に理解するような任意の組み合わせ(複数可)において実施することが可能である。
【0062】
さらに、添付の図面は、本開示の特定の例示的な実施形態の実装の非限定的な例をさらに説明し、それに関連する技術の説明を補助するものである。上述した以外の図面に提供された任意の具体的または相対的な寸法または測定値は、例示的なものであり、限定的であることを意図したものでない。
【0063】
本明細書を通じて「1つの実施形態」、「特定の実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」または「実施形態」の言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、材料、または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることが意味される。したがって、本明細書中の種々の場所における「1つまたは複数の実施形態において」、「特定の実施形態において」、「1つの実施形態において」または「ある実施形態において」のような語句の出現は、必ずしも本開示の同じ実施形態に言及している訳ではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0064】
本明細書における開示は、特定の実施形態を参照した説明を提供したが、これらの実施形態は、本開示の原理および応用を単に例示するものであると理解されたい。本開示の真意および範囲から逸脱することなく、本開示の方法および装置に対して種々の修正および変形を行うことができることは、当業者にとって明らかであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内にある修正および変形を含むことが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8
【国際調査報告】