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特表2023-522021アンバーケタールおよびアンバーケタールホモログを製造するための酵素媒介プロセス
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  • 特表-アンバーケタールおよびアンバーケタールホモログを製造するための酵素媒介プロセス 図1
  • 特表-アンバーケタールおよびアンバーケタールホモログを製造するための酵素媒介プロセス 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-26
(54)【発明の名称】アンバーケタールおよびアンバーケタールホモログを製造するための酵素媒介プロセス
(51)【国際特許分類】
   C07D 493/08 20060101AFI20230519BHJP
   C07D 313/08 20060101ALI20230519BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20230519BHJP
   C12P 17/18 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
C07D493/08 ZNA
C07D313/08
A61Q13/00 101
A61K8/49
C12P17/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562630
(86)(22)【出願日】2021-04-14
(85)【翻訳文提出日】2022-12-06
(86)【国際出願番号】 EP2021059618
(87)【国際公開番号】W WO2021209482
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】2005468.0
(32)【優先日】2020-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】アイクホーン,エリック
(72)【発明者】
【氏名】フラクスマン,フェリックス
(72)【発明者】
【氏名】ゲーケ,アンドレアス
【テーマコード(参考)】
4B064
4C071
4C083
【Fターム(参考)】
4B064AC21
4B064CA19
4B064CA21
4B064CC24
4B064DA20
4C071AA03
4C071AA07
4C071BB01
4C071BB06
4C071CC12
4C071EE04
4C071FF17
4C071GG01
4C071KK01
4C071LL10
4C083AC841
4C083AC842
4C083FF01
4C083KK02
(57)【要約】
アンバーケタールおよびアンバーケタールホモログの産生のための酵素媒介方法、前記方法の産物、および前記産物の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

で表される化合物を製造する方法であって、
該方法は式(II)で表される化合物を、スクアレン-ホペンシクラーゼ(SHC)酵素または酵素バリアントと接触させることを含み、
【化2】

式中、RはH、メチル、またはエチルである、前記方法。
【請求項2】
方法が、C-8とC-9との間の二重結合がE-立体配置であり、およびC-4とC-5との間の二重結合がZ-立体配置である式(II)で表される化合物を、SHC酵素または酵素バリアントと接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(III)で表される化合物が副産物として製造され、
【化3】

式中、RはH、メチル、またはエチルである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
式(IIIa)に示される相対配置を有する化合物が副産物として製造され、
【化4】

式中、RはH、メチル、またはエチルである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
Rがメチルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
さらに、式(I)で表される化合物の精製を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
式(I)で表される化合物および式(III)で表される化合物:
【化5】

式中、RはH、メチル、またはエチルである、
を含む組成物。
【請求項8】
Rがメチルである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法によって得られた、または得ることができる組成物であって、例えば、該組成物が請求項7~8のいずれか一項に記載のものである、前記組成物。
【請求項10】
請求項7~8のいずれか一項に記載の組成物の、フレグランス組成物としての、またはフレグランス組成物における使用。
【請求項11】
請求項7~8のいずれか一項に記載の組成物を含む、消費者製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、概して、スクアレン-ホペンシクラーゼ(SHC)酵素または酵素バリアントを使用してアンバーケタール(Amberketal)およびアンバーケタールホモログを製造する方法に関するものである。本発明はさらに、前記方法によって製造された組成物、前記組成物の様々な使用、および前記組成物を含む消費者製品に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
アンバーケタールは、強力で粘りのあるアンベリーおよびウッディ香気を提供し、単独でまたは他のウッディもしくはアンベリー成分と組み合わせてフレグランス組成物に有用である。アンバーケタールは、伝統的に数多の化学転換を経てマノオール(Manool)から調製される。しかしながら、天然のマノオールの供給は限られている。したがって、アンバーケタールおよびアンバーケタールホモログを得るための効率的でコスト効率のよい新しい合成ルートを提供することが望まれる。
【発明の概要】
【0003】
概要
本発明の第1の側面によれば、式(I)
【化1】

で表される化合物を製造する方法であって、
該方法は式(II)で表される化合物をスクアレン-ホペンシクラーゼ(SHC)酵素または酵素バリアントと接触させることを含み、
【化2】

式中、RはH、メチル、またはエチルである、前記方法が提供される。
【0004】
ある態様において、方法は、C-8とC-9との間の二重結合がE-立体配置であり、C-4とC-5との間の二重結合がZ-立体配置である式(I)で表される化合物(式(II)で表されるE,Z-化合物)を、スクアレン-ホペンシクラーゼ(SHC)酵素(野生型またはバリアント酵素)と接触させることを含む。
【0005】
ある態様において、方法は、両方の二重結合がE-立体配置である式(II)で表される化合物(E,E-化合物)およびC-8とC-9との間の二重結合がE-立体配置であり、およびC-4とC-5との間の二重結合がZ-立体配置である式(II)で表される化合物(E,Z-化合物)を含む混合物を、スクアレン-ホペンシクラーゼ(SHC)酵素または酵素バリアントと接触させることを含む。
【0006】
ある態様において、E,Z化合物のE,E化合物に対する重量比は、約99:1から約10:90までの範囲である。例えば、式(II)で表されるE,Z化合物の式(II)で表されるE,E化合物に対する重量比は、約95:5から約50:50まで、または約80:20から約50:50まで、または約80:20から約60:40までの範囲であってもよい。
【0007】
本発明の第2の側面によれば、式(I)で表される化合物および式(III)で表される化合物、
【化3】

式中、RはH、メチル、またはエチルである、を含むか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなる組成物が提供される。
【0008】
本発明の第3の側面によれば、式(I)で表される化合物、式(IV)で表される化合物、および式(III)で表される化合物、
【化4】

式中、RはH、メチル、またはエチルである、を含むか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなる組成物が提供される。
【0009】
本発明の第4の側面によれば、本発明の第1の側面の方法によって得られたか、または得ることができる化合物または組成物が提供される。組成物は、例えば、その任意の態様を包含する、本発明の第2の側面で定義されたとおりであってもよい。
【0010】
本発明の第5の側面によれば、本発明の第2または第3の側面の組成物の、フレグランス組成物として、またはフレグランス組成物における使用が提供される。
本発明の第6の側面によれば、本発明の第2または第3の側面の組成物を含む消費者製品が提供される。
【0011】
本発明の任意の側面のある態様において、Rはメチルである。式(I)で表される化合物は、Rがメチルである場合、(+)-アンバーケタールと称されることもある。
【0012】
本発明のある態様は、以下の利点のうちの1以上を提供し得る:
- (+)-アンバーケタールおよび(+)-アンバーケタールのホモログを産生するための生体触媒ルート;
- より穏やかな反応条件(例として、より低い温度);
- 高選択性;
- 代替供給原料の使用(例として、化学合成のために使用される代替供給原料)。
【0013】
任意の具体的な1以上の本発明の規定された態様に関連して提供される詳細、例および選好は、本明細書にさらに記載され、本発明のすべての側面に等しく適用されるであろう。本明細書に記載された態様、例、および選好の、そのすべての実行可能なバリエーションにおける任意の組み合わせは、本明細書に別途示されない限り、または文脈によって明確に矛盾しない限り、本発明によって包含される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、式(II)で表される化合物の産生のための反応スキームを示す。化合物について、RはH、メチルまたはエチルである。
図2図2は、野生型およびバリアントSHC酵素でのヒドロキシファルネシルアセトンから(+)-アンバーケタールへの変換[%]を示し、表2に提示した最適反応条件下で試験したSHC酵素の性能の概観を与える。
【0015】
配列の概要
配列番号1は、野生型Alicyclobacillus acidocaldarius AacSHCのアミノ酸配列である。
配列番号2は、野生型Alicyclobacillus acidocaldarius AacSHCのヌクレオチド配列である。
配列番号3は、置換M132R、A224V、I432T、A557TおよびR613Sをもつ配列番号1であり、本明細書中SHC酵素バリアント#65と称されることもある。
配列番号4は、SHCバリアント#65のヌクレオチド配列である。
配列番号5は、置換M132R、A224V、I432T、Y81H、A557TおよびR613Sをもつ配列番号1に対応し、本明細書中SHC酵素バリアント#66と称されることもある。
【0016】
配列番号6は、SHCバリアント#66のヌクレオチド配列である。
配列番号7は、置換M132R、A224V、I432T、T90AおよびR613Sをもつ配列番号1に対応し、本明細書中でSHC酵素バリアント#90C7と称されることもある。
配列番号8は、SHC酵素バリアント#90C7のヌクレオチド配列である。
配列番号9は、置換M132R、A224V、I432T、Y81H、H431LおよびA557Tをもつ配列番号1に対応し、SHC酵素バリアント#110B8と称されることもある。
配列番号10は、SHC酵素バリアント#110B8のヌクレオチド配列である。
【0017】
配列番号11は、置換M132R、A224V、I432T、A172TおよびM277Kをもつ配列番号1に対応し、本明細書中でSHC酵素バリアント#115A7と称されることもある。
配列番号12は、SHC酵素バリアント#115A7のヌクレオチド配列である。
配列番号13は、突然変異M132R、A224VおよびI432Tをもつ配列番号1に対応し、本明細書中でSHC酵素バリアント215G2と称されることもある。
配列番号14は、SHC酵素バリアント#215G2のヌクレオチド配列である。
配列番号15は、野生型Zymomonas mobilis ZmoSHC1のアミノ酸配列である。
【0018】
配列番号16は、野生型Zymomonas mobilis ZmoSHC2のアミノ酸配列である。
配列番号17は、野生型 Bradyrhizobium japonicum BjaSHCのアミノ酸配列である。
配列番号18は、野生型 Thermosynechococcus elongatus TelSHCのアミノ酸配列である。
配列番号19は、野生型Acetobacter pasteurianus ApaSHC1のアミノ酸配列である。
配列番号20は、野生型Gluconobacter morbifer GmoSHCのアミノ酸配列である。
配列番号21は、野生型Bacillus megaterium BmeSHCのアミノ酸配列である。
配列番号22は、置換M132R、A224V、I432T、A557TおよびH431Lをもつ配列番号1に対応し、本明細書中でSHC酵素バリアント#49と称されることもある。
【0019】
詳細な記載
本発明は、スクアレン-ホペンシクラーゼ(SHC)酵素および酵素バリアントを使用して、式(II)で表される多価不飽和アルコールから(+)-アンバーケタールおよびアンバーケタールホモログを製造することができるという驚くべき知見に少なくとも部分的に基づくものである。本明細書中、式(II)で定義されるとおりのアルケニル鎖がヒドロキシメチル基で置換されている基質が、内部ケタール化(internal ketalisation)によって終了する酵素的多環化反応を起こすことは特に驚くべきことである。
【0020】
よって、本明細書中、第1の側面において、
式(I)
【化5】

で表される化合物を製造する方法であって、
該方法は式(II)で表される化合物をスクアレン-ホペンシクラーゼ(SHC)酵素または酵素バリアントと接触させることを含み、
【化6】

式中、RはH、メチル、またはエチルである、前記方法が提供される。
【0021】
ある態様において、両方の二重結合はE-立体配置である(式(II)で表されるE,E-化合物)。
ある態様において、C-8とC-9との間の二重結合はE-立体配置であり、およびC-4とC-5との間の二重結合はZ-立体配置である(式(II)で表されるE,Z-化合物)。
具体的な態様において、Rはメチルである。
【0022】
本明細書で提供される方法は、SHC酵素または酵素バリアントを使用して、式(II)で表される化合物を式(I)で表される化合物に酵素的に変換する(生物変換反応)。
【0023】
式(II)で表される化合物
式(II)で表される化合物は、例えば、E,E-またはE,Z-立体配置を有する式(II)で表される化合物として、4個の異なる立体異性体の形態で存在する。
ある態様において、方法は、式(II)で表されるE,Z-化合物を、式(II)で表される他の立体異性体の非存在下でスクアレン-ホペンサイクラーゼ(SHC)酵素または酵素バリアントと接触させることを含む。
【0024】
他の態様において、式(II)で表される化合物は、例えば、立体異性体の混合物であってもよい。ある態様において、混合物は、式(II)で表されるE,E-化合物および式(II)で表されるの1以上の他の立体異性体を含む。ある態様において、混合物は、式(II)で表されるE,Z-化合物および式(II)で表される1以上の他の立体異性体を含む。
【0025】
ある態様において、方法は、式(II)で表されるE,E-化合物および式(II)で表されるE,Z-化合物を含むか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなる混合物を、SHC酵素または酵素バリアントと接触させることを含む。ある態様において、組成物は、式(II)で表される他の立体異性体を含まない。
【0026】
式(II)で表されるE,Z-化合物の式(II)で表される他の立体異性体の合計に対する重量比は、例えば、約10:90以上であってもよい。例えば、式(II)で表されるE,Z-化合物の式(II)で表される他の立体異性体の合計に対する重量比は、約20:80以上、または約30:70以上、または約40:60以上、または約50:50以上、または約60:40以上、または約70:30以上、または約80:20以上、または約90:10以上、または約95:5以上、または約99:1以上であってもよい。
【0027】
式(II)で表されるE,Z-化合物の式(II)で表される他の立体異性体の合計に対する重量比は、例えば、約99:1以下であってもよい。例えば、式(II)で表されるE,Z-化合物の式(II)で表される他の立体異性体に対する重量比は、約95:5以下、または約90:10以下、または約85:15以下、または約80:20以下、または約60:40以下であってもよい。
【0028】
例えば、式(II)で表されるE,Z-化合物の式(II)で表される他の立体異性体の合計に対する重量比は、約10:90から約99:1まで、または約10:90から約90:10まで、または約20:80から約80:20まで、または約50:50から約80:20まで、または約60:40から約80:20までの範囲であってもよい。
【0029】
式(II)で表されるE,Z-化合物の式(II)で表されるE,E-化合物に対する重量比は、例えば、約10:90以上であってもよい。例えば、式(II)で表されるE,Z-化合物の式(II)で表されるE,E-化合物に対する重量比は、約20:80以上、または約30:70以上、または約40:60以上、または約50:50以上、または約60:40以上、または約70:30以上、または約80:20以上、または約90:10以上、または約95:5以上、または約99:1以上であってもよい。
【0030】
式(II)で表されるE,Z-化合物の式(II)で表されるE,E-化合物に対する重量比は、例えば、約99:1以下であってもよい。例えば、式(II)で表されるE,Z-化合物の式(II)で表されるE,E-化合物に対する重量比は、約95:5以下、または約90:10以下、または約85:15以下、または約80:20以下、または約70:30以下、または約60:40以下であってもよい。
【0031】
例えば、式(II)で表されるE,Z-化合物の式(II)で表されるE,E-化合物に対する重量比は、約10:90から約99:1まで、または約10:90から約90:10まで、または約20:80から約80:20まで、または約50:50から約80:20まで、または約60:40から約80:20までの範囲であってもよい。
【0032】
立体異性体の混合物中の各立体異性体の量は、例えば、ガスクロマトグラフィーやNMR分光分析により同定し得る。
【0033】
Rがメチルである場合、式(II)で表される化合物は、ヒドロキシファルネシルアセトンと称されることもあり、これはE,E-ヒドロキシファルネシルアセトン、E,Z-ヒドロキシファルネシルアセトン、Z,E-ヒドロキシファルネシルアセトンおよびZ,Z-ヒドロキシファルネシルアセトン、およびそれらの混合物を包含する。
【0034】
ある態様において、式(II)で表される化合物の全てが式(I)で表される化合物または反応の副産物に変換されるわけではない。よって、ある態様において、本明細書に記載の組成物、例えば本明細書に記載の方法によって得られたか、または得ることができる組成物は、式(I)で表される化合物および式(II)で表される化合物を含んでいてもよい。
ある態様において、本明細書に記載の方法によって製造された混合物中の式(II)で表される任意の非変換化合物は、組成物が式(II)で表される化合物を含まないように、他の反応産物と分離してもよい。
代替の態様において、式(II)で表される全ての化合物は、本明細書に記載の方法によって、式(I)で表される化合物または反応の副産物に変換される。
【0035】
存在する式(II)で表される化合物の立体異性体の数は、反応速度に影響し得る。SHC酵素または酵素バリアントには、式(II)で表される化合物の立体異性体の複雑な混合物(前記混合物は、2個の立体異性体のみ、例えば、式(II)で表されるE,Z-化合物およびE,E-化合物を包含してもよく、あるいはそれは3個(すなわち、式(II)で表されるE,Z-、およびE,E-およびZ,E-またはZ,Z-化合物)、またはさらには4個の立体異性体すべてを含んでもよい)から、式(II)で表される化合物を式(I)で表される化合物に変換する能力があり得る。しかしながら、より低い変換が観察されることがあり、これは、他の立体異性体が、SHC酵素または酵素変異体へのアクセスに対して式(II)で表されるE,Z-化合物と競合し、よって式(II)で表されるE,Z-化合物の式(I)で表される化合物への変換のための競合阻害剤として作用し、および/または代替基質としても作用し得るという見解と一致する。結果的に、式(II)で表される化合物基質は、2~4個の異性体、好ましくは2個の異性体の異性体混合物を含んでいてもよい。好ましくは、式(II)で表される化合物基質は、式(II)で表されるE,Z-およびE,E-化合物の異性体混合物を含むか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなる。
【0036】
式(II)で表される化合物は、Fujiwara et al. (Tetrahedron Letters, 1995 Vol 36(46), 8435-8438)によって描かれた一般手順に従って合成され得る。代替的に、式(II)で表される化合物は、図1に簡潔に明示されるように得られ得る。
【0037】
式(I)で表される化合物
式(I)で表される化合物は数多のキラル炭素原子を含有し、よって1以上の立体異性体が存在し得、これはエナンチオマーおよびジアステレオマーを包含する。式(I)で表される化合物に加えて、本明細書に記載の方法によって製造される産物は、式(I)で表される化合物の1以上の立体異性体を包含してもよい。得られる立体異性体は、使用される式(II)で表される化合物の立体異性体に依存し得る。
【0038】
例えば、式(I)で表される化合物に加えて、式(IV)
【化7】

式中、RはH、メチルまたはエチルである、
で表される化合物もまた製造され得る。
Rがメチルである式(IV)で表される化合物は、(-)-エピ-8-アンバーケタールとしても知られている。
【0039】
ある態様において、式(I)で表される化合物の他の立体異性体は、方法によって製造されず、または方法の産物中に存在しない、例として、ある態様において、式(IV)で表される化合物は、方法によって製造されず、または方法の産物中に存在しない。
【0040】
本明細書に記載の方法は、例えば、式(I)で表される化合物および式(I)で表される化合物の1以上の他の立体異性体(例として、式(IV)で表される化合物)を製造し得る。よって、本明細書に記載の組成物、例えば本明細書に記載の方法によって得られたか、または得ることができる組成物は、式(I)で表される化合物および式(I)で表される化合物の1以上の立体異性体(例として、式(IV)で表される化合物)を含んでもよい。
【0041】
式(I)で表される化合物の式(I)で表される他の立体異性体の合計に対する重量比は、例えば、約50:50以上であってもよい。例えば、式(I)で表される化合物の式(I)で表される他の立体異性体の合計に対する重量比は、約55:45以上、または約60:40以上、または約65:35以上、または約70:30以上、または約75:25以上、または約80:20以上、または約85:15以上、または約90:10以上、または約95:5以上、または約99:1以上であってもよい。
【0042】
例えば、式(I)で表される化合物は、組成物中に製造されたか、または存在する式(I)で表される唯一の立体異性体形態であってもよい。換言すれば、組成物は、式(I)で表される化合物の全ての立体異性体の総重量に基づいて100重量%の式(I)で表される化合物を含んでいてもよく、または100:0の式(I)で表される化合物の他の立体異性体の合計に対する重量比を有してもよい。代替的に、式(I)で表される化合物の式(I)で表される他の立体異性体の合計に対する重量比は、約100重量%未満であってもよい。例えば、式(I)で表される化合物の式(I)で表される他の立体異性体の合計に対する重量比は、約99:1以下、または約98:2以下、または約97:3以下であってもよい。
【0043】
例えば、式(I)で表される化合物の式(I)で表される他の立体異性体の合計に対する重量比は、約50:50から約100:0まで、または約60:40から約99:1まで、または約70:30から約98:2まで、または約80:20から約97:3まで、または約90:10から約97:3までであってもよい。
【0044】
立体異性体の混合物中の式(I)で表される化合物の各立体異性体の量は、例えば、シフト試薬の存在下、キラルカラム上のガスクロマトグラフィーまたはNMR分光法によって同定され得る。
本明細書に記載の方法によって得られるとおりの式(I)で表される化合物は、例えば、アモルファス形態または結晶形態であってもよい。
【0045】
本明細書に記載の方法によって産生された式(I)で表される化合物は、水蒸気抽出/蒸留または非水混和性溶媒を用いた有機溶媒抽出(水相に留まる生体触媒から反応産物および未反応基質を分離すること)、これに続く溶媒の蒸発によって単離し、ガスクロマトグラフ(GC)分析によって決定される粗反応産物を得てもよい。水蒸気抽出/蒸留法および有機溶媒抽出法は、当業者に公知である。
【0046】
一例として、その結果得られる式(I)で表される化合物は、非水混和性溶媒(例えばトルエン)などの有機溶媒を使用して反応混合物全体から抽出されてもよい。代替的に、その結果得られる式(I)で表される化合物は、水混和性溶媒(例えばエタノール)または非水混和性溶媒(例えばトルエン)を使用して、反応混合物の固相(例えば遠心分離または濾過により得られる)から抽出してもよい。さらなる例として、式(I)で表される化合物は、結晶としてまたはアモルファス形態で固相に存在してもよく、濾過の手段によっても、残存する固相(細胞材料またはその残骸)および液相から分離することができる。
【0047】
さらなる例として、式(I)で表される化合物の融点を超える温度では、式(I)で表される化合物は水相の上に油層を形成することがあり、この油層は除去して回収することができる。油層を除去した後の式(I)で表される化合物の完全な回収を確実にするために、バイオマスを含有する水相に有機溶媒を添加して、バイオマス中に、またはその上にもしくは周囲に含有されている式(I)で表される残余化合物(例として、(+)-アンバーケタール)を抽出してもよい。全体をさらに処理して式(I)で表される化合物を単離および精製する前に、有機層を油層と合わせることができる。
【0048】
式(I)で表される化合物は、さらに選択的に結晶化して、副産物および式(II)で表される任意の未反応化合物を最終産物から除去してもよい。用語「選択的結晶化」は、分離された結晶材料が式(I)で表される化合物のみを含有する程度、またはそれが副産物を含有する場合にはそれらが嗅覚的に許容できる量のみで存在する程度に、式(I)で表される化合物を溶媒から結晶化させる一方で、副産物が結晶化溶媒に溶解したままである処理ステップを指す。
【0049】
式(I)で表される化合物は、例えば、式(III)または(IIIa)で表される化合物などの副産物を含まないか、または実質的に含まないものである。選択的結晶化ステップは、エタノールまたは同種のものなどの水混和性溶媒を使用してもよい。式(I)で表される化合物の選択的結晶化は、未反応の式(II)で表される化合物の存在、およびまた式(I)で表される化合物の他の検出可能な副産物に対する比に影響され得る。式(II)で表される化合物の式(I)で表される化合物への変換が10%しか得られない場合でも、式(I)で表される化合物の選択的結晶化はそれでも実行可能であり得る。
【0050】
最終的な式(I)で表される化合物産物の嗅覚純度は、水中10%エタノール抽出物を使用して、または結晶材料を試験することにより決定され得る。最終的な式(I)で表される化合物産物は、その嗅覚純度、品質およびその官能プロファイルについて、式(I)で表される化合物の市販の基準に対して試験される。式(I)で表される化合物材料はまた、材料がその官能プロファイルに関して本明細書を満たしているかどうかを決定するために、専門家による用途研究においても試験される。
【0051】
式(I)で表される化合物の抽出および/または選択的結晶化における使用に好適な、好適な水混和性および非水混和性の有機溶媒の例は、これらに限定されないが、脂肪族炭化水素、好ましくは5~8個の炭素原子を有するもの、たとえば、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、またはシクロオクタン、ハロゲン化脂肪族炭化水素、好ましくは1個もしくは2個の炭素原子を有するもの、たとえば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、またはテトラクロロエタン、芳香族炭化水素、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、またはジクロロベンゼン、脂肪族の非環式および環状のエーテルあるいはアルコール、好ましくは4~8個の炭素原子を有するもの、たとえば、エタノール、イソプロパノール、ジエチルエーテル、メチルtert.-ブチルエーテル、エチルtert.-ブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、またはエステル、たとえば、酢酸エチルもしくは酢酸n-ブチル、またはケトン、たとえば、メチルイソブチルケトン、またはジオキサン、またはこれらの混合物を包含する。とくに好ましく使用される溶媒は、上述したヘプタン、メチルtert-ブチルエーテル(また、MTBE、tert-ブチルメチルエーテル、三級ブチルメチルエーテル、およびtBMEとしても知られている)、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、および/またはそれらの混合物である。好ましくは、エタノールなどの水混和性溶媒は、反応混合物の固相からの式(I)で表される化合物の抽出のために使用される。エタノールは扱いが容易であり、非毒性かつ低環境負荷型であるので、エタノールの使用が有利である。
【0052】
用語「単離された」は、本明細書に使用されるとき、式(I)で表される化合物などの生物変換産物を伴う構成要素から分離または精製された前記生物変換産物を指す。ある実体が天然の起源とする供給源とは異なる細胞系において産生されるその実体は「単離された」ものである。なぜなら、前記細胞系には、その実体を天然に伴う構成要素が必ずしもないからであろう。単離または純度の度合いは、任意の適切な方法、例として、ガスクロマトグラフィー(GC)分析、HPLC分析、またはNMR分析によっても測定され得る。
【0053】
いくつかの態様において、式(I)で表される化合物(例として、(+)-アンバーケタール)は、得られた粗産物から単離され、精製される(例として、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の純度まで)。
望ましくは、本明細書に記載の方法によって得られた反応ブロス中の式(I)で表される化合物の濃度は、約1mg/lから約20,000mg/l(20g/l)まで、または約20g/lから約200g/lまで、または100~500g/l(150g/l、250g/l、300g/l、350g/l、400g/lまたは450g/lを包含する)など、より高くすることができる。
【0054】
式(III)で表される化合物
本明細書に記載の方法は、例えば、副産物として式(III)で表される化合物を製造し得、式中、RはH、メチル、またはエチルである:
【化8】
【0055】
式(III)で表される化合物は、例えば、式(IIIa)で表される相対配置を有する化合物であってもよく、式中、RはH、メチル、またはエチルである:
【化9】
【0056】
本明細書に記載の方法は、例えば、式(III)で表される化合物の1以上の立体異性体(単数または複数)を製造し得る。本明細書に記載の組成物は、式(III)で表される化合物の1以上の立体異性体(単数または複数)を包含してもよい。本明細書に記載の方法は、例えば、式(IIIa)に示される相対配置を有する式(III)で表される化合物を製造し得る。したがって、本明細書に記載の組成物は、式(IIIa)に示される相対配置を有する式(III)で表される化合物を包含してもよい。ある態様において、本明細書に記載の方法によって製造され、したがって本明細書に記載の組成物中に存在する唯一の式(III)で表される化合物は、式(IIIa)に示される相対配置を有する化合物である。
【0057】
ある態様において、式(III)で表される全化合物の少なくとも約50重量%が、式(IIIa)に示される相対配置を有する。例えば、式(III)で表される全化合物の少なくとも約60重量%、または少なくとも約70重量%、または少なくとも約80重量%、または少なくとも約90重量%が式(IIIa)に示される相対配置を有していてもよい。
【0058】
ある態様において、式(IIIa)に示される立体配置を有する化合物は、式(III)で表される唯一の立体異性体である。例えば、式(III)で表される全化合物の100重量%が式(IIIa)に示される相対配置を有する。ある態様において、式(III)で表される全化合物の約99重量%以下、または約95重量%以下、または約90重量%以下、または約85重量%以下、または約80重量%以下、または約75重量%以下が式(IIIa)に示される相対配置を有する。
【0059】
例えば、式(III)で表される化合物の約50重量%から約100重量%まで、または約60重量%から約99重量%まで、または約70重量%から約95重量%までが式(IIIa)に示される相対配置を有する。
【0060】
立体異性体の混合物中の式(III)で表される化合物の異なる異性体の量は、例えば、シフト試薬の存在下、キラルカラム上のガスクロマトグラフィーまたはNMR分光法によって同定することができる。
【0061】
本明細書に記載の方法によって得られた産物
本明細書に記載の方法の産物もまた本明細書に提供される。よって、本明細書には、本明細書に記載の方法によって得られたか、または得ることができる組成物もまた提供され、これはそのすべての態様を包含する。
【0062】
式(I)で表される化合物および式(III)で表される化合物を含むか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなる組成物が本明細書に提供される。組成物は、例えば、式(I)で表される1以上の他の立体異性体、例えば、式(IV)で表される化合物をさらに含んでもよい。組成物は、例えば、式(III)で表される1以上の立体異性体を含んでもよい。例えば、組成物は、式(IIIa)で表される相対配置を有する化合物を含んでもよい。組成物は、例えば、式(II)で表される任意の未反応化合物をさらに含んでもよい。ある態様において、Rはメチルである。
【0063】
ある態様において、式(I)で表される化合物、式(IV)で表される化合物、および式(III)で表される化合物を含むか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなる組成物が提供される。
式(I)で表される化合物および式(I)で表される化合物の1以上の立体異性体、例えば式(IV)で表される化合物を含む組成物もまた本明細書に提供される。組成物は、例えば、式(III)で表される化合物をさらに含んでもよい。組成物は、式(II)で表される任意の未反応化合物をさらに含んでもよい。ある態様において、Rはメチルである。
【0064】
本明細書に記載の組成物における式(I)で表される化合物の式(III)で表される化合物に対する重量比は、例えば、約60:40から約99:1までの範囲であってもよい。例えば、式(I)で表される化合物の式(III)で表される化合物に対する重量比は、約65:35から約99:1まで、または約70:30から約99:1まで、または約75:25から約99:1まで、または約80:20から約99:1まで、または約85:15から約99:1まで、または約90:10から約99:1まで、または約95:5から約99:1までの範囲であってもよい。例えば、式(I)で表される化合物の式(III)で表される化合物に対する重量比は、約65:35から約98:2まで、または約70:30から約97:3まで、または約75:25から約96:4まで、または約80:20から約95:5まで、または約85:15から約90:10までであってもよい。
【0065】
本明細書に記載の粗反応産物中の式(I)で表される化合物の式(II)で表される化合物に対する重量比は、例えば、約90:10から約100:0までの範囲であってもよい。例えば、本明細書に記載の組成物中の式(I)で表される化合物の式(II)で表される化合物に対する重量比は、約92:8から約100:0まで、または約94:6から約100:0まで、または約95:5から約100:0まで、または約96:4から約99:0:5まで、または約97:3から約99.0:1.0まで、または約98:2から約99.0:1.0までの範囲であってもよい。
【0066】
フレグランス組成物
フレグランス組成物における、またはフレグランス組成物としての本明細書に記載の反応産物の使用が本明細書にさらに提供される。
よって、式(I)で表される1以上の化合物を含むフレグランス組成物もまた本明細書に提供される。「フレグランス組成物」とは、式(I)で表される1以上の化合物および基材を含む任意の組成物を意味する。
【0067】
本明細書に使用されるとき、「基材」は、精油、アルコール、アルデヒドおよびケトン、エーテルおよびアセタール、エステルおよびラクトン、大員環およびヘテロ環などの、および/または、フレグランス組成物中ににおい物質と併せて、従来使用されている1以上の成分もしくは賦形剤(例えば、当該技術分野において一般的に使用される担体材料、希釈剤、および他の助剤)と混和されて、現在利用可能である、広範な範囲の天然産物と合成分子とから選択される、知られているすべてのフレグランス成分を包含する。
【0068】
当該技術分野に知られているフレグランス成分は、主要なフレグランス製造業者から商業上、容易に利用可能である。かかる成分の非限定例は、以下:
- 精油ならびに抽出物、例として、海狸香、コスタスルート(costus root)油、オークモスアブソリュート、ゼラニウム油、ツリーモス(tree moss)アブソリュート、バジル油、果実油、たとえば、ベルガモット油およびマンダリン油、ミルテ油、パルマローザ油、パッチュリ油、プチグレン油、ジャスミン油、バラ油、白檀油、アブサン油、ラベンダー油、および/またはイランイラン油;
【0069】
- アルコール、例として、桂皮アルコール((E)-3-フェニルプロパ-2-エン-1-オール);cis-3-ヘキセノール((Z)-ヘキサ-3-エン-1-オール);シトロネロール(3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-オール);ジヒドロミルセノール(2,6-ジメチルオクタ-7-エン-2-オール);エバノール(Ebanol)(商標)((E)-3-メチル-5-(2,2,3-トリメチルシクロペンタ-3-エン-1-イル)ペンタ-4-エン-2-オール);オイゲノール(4-アリル-2-メトキシフェノール);エチルリナロール((E)-3,7-ジメチルノナ-1,6-ジエン-3-オール);ファルネソール((2E,6Z)-3,7,11-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエン-1-オール);ゲラニオール((E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-オール);スーパーミュゲ(Super Muguet)(商標)((E)-6-エチル-3-メチルオクタ-6-エン-1-オール);リナロール(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オール);メントール(2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサノール);ネロール(3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-オール);フェニルエチルアルコール(2-フェニルエタノール);ロジノール(Rhodinol)(商標)(3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-オール);サンダロア(Sandalore)(商標)(3-メチル-5-(2,2,3-トリメチルシクロペンタ-3-エン-1-イル)ペンタン-2-オール);テルピネオール(2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロパン-2-オール);またはティンベロール(Timberol)(商標)(1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オール);2,4,7-トリメチルオクタ-2,6-ジエン-1-オール、および/または[1-メチル-2(5-メチルヘキサ-4-エン-2-イル)シクロプロピル]-メタノール;
【0070】
- アルデヒドならびにケトン、例として、アニスアルデヒド(4-メトキシベンズアルデヒド);アルファアミル桂皮アルデヒド(2-ベンジリデンヘプタナール);ゲオルギーウッド(Georgywood)(商標)(1-(1,2,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロナフタレン-2-イル)エタノン);ヒドロキシシトロネラール(7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール);イソEスーパー(Iso E Super)(登録商標)(1-(2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロナフタレン-2-イル)エタノン);イソラルデイン(Isoraldeine)(登録商標)((E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-3-エン-2-オン);3-(4-イソブチル-2-メチルフェニル)プロパナール;マルトール;メチルセドリルケトン;メチルイオノン;ベルベノン;および/またはバニリン;
【0071】
- エーテルならびにアセタール、例として、アンブロックス(登録商標)(3a,6,6,9a-テトラメチル-2,4,5,5a,7,8,9,9b-オクタヒドロ-1H-ベンゾ[e][1]ベンゾフラン);ゲラニルメチルエーテル((2E)-1-メトキシ-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン);ローズオキシド(4-メチル-2-(2-メチルプロパ-1-エン-1-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン);および/またはスピランブレン(Spirambrene)(登録商標)(2',2',3,7,7-ペンタメチルスピロ[ビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2,5'-[1,3]ジオキサン]);
【0072】
- 大員環、例として、アンブレットリド((Z)-オキサシクロへプタデカ-10-エン-2-オン);ブラシル酸エチレン(1,4-ジオキサシクロへプタデカン-5,17-ジオン);および/またはエグザルトリド(Exaltolide)(登録商標)(16-オキサシクロヘキサデカン-1-オン);ならびに
- ヘテロ環、例として、イソブチルキノリン(2-イソブチルキノリン)
を包含する。
【0073】
本明細書に使用されるとき、「担体材料」は、におい物質の観点から実際的にニュートラルの材料、すなわち、におい物質の官能特性を有意には改変しない材料を意味する。
【0074】
「希釈剤」とは、フタル酸ジエチル(DEP)、ジプロピレングリコール(DPG)、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、クエン酸トリエチル(TEC)、およびアルコール(例として、エタノール)などの、におい物質と併せて従来使用されているいずれの希釈剤も意図する。
【0075】
用語「助剤」は、フレグランス組成物の嗅覚性能に特に関連しない理由から、該組成物に採用されてもよい成分を指す。例えば、抗酸化アジュバントなどの、助剤は、フレグランス成分(単数もしくは複数)または該成分(単数もしくは複数)を含有する組成物を加工する補助剤として作用する成分であってもよく、あるいはフレグランス成分もしくは同成分を含有する組成物の操作または保管を改善させてもよい。該抗酸化剤は、例えば、チノガード(Tinogard)(登録商標)TT(BASF)、チノガード(登録商標)Q(BASF)、トコフェロール(Tocopherol)(その異性体、CAS 59-02-9;364-49-8;18920-62-2;121854-78-2を包含する)、2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルフェノール(BHT、CAS 128-37-0)、および関連するフェノール、ヒドロキノン(CAS 121-31-9)から選択されてもよい。
【0076】
それはまた、色または質感を付与するなどの追加の恩恵を提供する成分であってもよい。それはまた、耐光性または化学安定性を、フレグランス組成物中に含有される1以上の成分へ付与する成分であってもよい。
【0077】
助剤を含有するフレグランス組成物において一般的に使用される同助剤の性質およびタイプの詳細を徹底的に記載することはできないが、該成分が当業者に周知であることは言及しておかなければならない。
【0078】
式(I)で表される化合物についての様々な用途は、これらに限定されないが、ファインフレグランスまたは消費者製品、たとえばファブリックケア、洗面用具、美容用品および洗浄製品、洗剤製品、および石鹸製品などを包含し、目下入手可能な(+)-アンバーケタール成分が商業的に使用される、本質的にすべての製品を包含する。
【0079】
その任意の態様を包含する本明細書に記載の組成物またはフレグランス組成物を含む消費者製品も本明細書に提供される。消費者製品は、例えば、化粧用製品(例として、オードパルファムまたはオードトワレ)、洗浄製品、洗剤製品または石鹸製品であってもよい。
【0080】
中間体および出発材料
本明細書に記載の方法において使用される中間体および出発材料もまた本明細書に提供される。
式(II)で表される化合物を含むか、本質的にこれからなるか、またはこれらからなる混合物もまた本明細書に提供される。例えば、混合物は、両方の二重結合がE-立体配置である式(II)で表される化合物(E,E-化合物)およびC-8とC-9との間の二重結合がE-立体配置であり、C-4とC-5との間の二重結合がZ-立体配置である式(II)で表される化合物(E,Z-化合物)を含んでもよいか、本質的にそれからなってもよいか、またはそれからなってもよい。一態様において、前記混合物は、式(II)で表される立体異性体(すなわち、式(II)で表されるE,Z-、E,E-およびZ,E-またはZ,Z-化合物)の3個、またはさらには式(II)で表される4個の立体異性体すべてを含んでもよいか、本質的にそれからなってもよいか、またはそれからなってもよい。
【0081】
式(II)で表されるE,Z-化合物のE,E-化合物に対する重量比は、例えば、約10:90以上であってもよい。例えば、E,Z-化合物のE,E-化合物に対する重量比は、約20:80以上、または約30:70以上、または約40:60以上、または約50:50以上、または約60:40以上、または約70:30以上、または約80:20以上、または約90:10以上、または約95:5以上、または99:1以上であってもよい。
【0082】
式(II)で表されるE,Z-化合物のE,E-化合物に対する重量比は、例えば、約99:1以下であってもよい。式(II)で表されるE,Z-化合物のE,E-化合物に対する重量比は、約95:5以下、または約90:10以下、または約85:15以下、または以下、または約80:20以下、または約70:30以下、または約60:40以下であってもよい。
【0083】
例えば、式(II)で表されるE,Z-化合物のE,E-化合物に対する重量は、約10:90から約99:1まで、または約10:90から約90:10まで、または約20:80から約80:20まで、または約50:50から約80:20まで、または約60:40から約80:20までの範囲であってもよい。
【0084】
SHC酵素または酵素バリアント
本明細書に記載の方法は、式(II)で表される化合物を式(I)で表される化合物に酵素的に変換するために、SHC酵素または酵素バリアントを使用する。
本明細書に使用されるとき、用語「SHC酵素」は、例えば、Alicyclobacillus acidocaldariusなどの好熱性細菌中に、天然に存在する野生型スクアレンホペンシクラーゼ酵素を意味する。
【0085】
本明細書に使用されるとき、用語「バリアント」は、あるポリペプチドからアミノ酸配列における1以上の変化によって、それが由来するポリペプチドとの比較において相違するポリペプチドとして理解されるべきである。バリアントが由来するポリペプチドはまた、親のまたは参照のポリペプチドとしても知られている。典型的にはバリアントは、人為的に、好ましくは遺伝子技術的手段によって、産生される。典型的には、バリアントが由来するポリペプチドは、野生型酵素または野生型酵素のドメインである。しかしながら、本開示において使用可能なバリアントはまた、親のポリペプチドのもしくは人為的に構築されたバリアントからの、ホモログ、オルソログ、またはパラログに由来することもある。アミノ酸配列における変化は、アミノ酸の交換(置換)、挿入、欠失、N末切断型、もしくはC末切断型、またはこれら変化のいずれの組み合わせであってもよく、これらは1箇所または数箇所の部位にて生じていてもよい。
【0086】
本明細書に使用されるとき、用語「SHC酵素バリアント」は、野生型SHC酵素に由来するが、野生型SHC酵素と比較して1以上のアミノ酸改変を有する酵素を意味し、したがって天然に存在するものではない。1以上のアミノ酸改変は、例えば、基質(例として、式(II)で表される化合物)への酵素活性を修飾する(例として、増大させる)ものであってもよい。代替的に、バリアントSHC酵素は、既に存在するSHC酵素バリアントに由来することができる。
【0087】
SHC酵素および/またはSHC酵素バリアントの活性を決定ならびに定量化するためのアッセイは、本明細書に記載されており、当該技術分野において知られている。一例として、SHC酵素および/またはSHC酵素バリアントの活性は、精製されたSHC酵素または酵素バリアントあるいはSHC酵素もしくは酵素バリアントを産生している宿主細胞または完全組換え宿主生物からの抽出物を、適切な基質とともに適切な条件下でインキュベートすることと、物質および反応産物の分析を(例として、ガスクロマトグラフィー(GC)分析またはHPLC分析によって)実行することとによって決定され得る。SHC酵素および/またはSHC酵素バリアントの活性のアッセイならびに反応産物の分析のさらなる詳細は、例において提供されている。これらのアッセイは、組換え宿主細胞(例として、E.coli)においてSHC酵素バリアントを産生することを包含してもよい。
【0088】
本明細書に使用するとき、用語「活性」は、基質と反応して標的産物を提供する酵素の能力を意味する。活性は、時間の関数として、標的産物の増加、基質(または出発材料)の減少、またはこれらのパラメータの組み合わせを介した活性試験として知られているものにおいて決定することができる。本開示のSHC酵素は、式(II)で表される化合物(例として、ヒドロキシファルネシルアセトン)を式(I)で表される化合物(例として、(+)-アンバーケタール)に変換するそれらの能力によって特徴付けてもよい。
【0089】
「生物活性」は、本明細書に使用されるとき、ポリペプチドが発揮してもよい任意の活性も指し、限定せずに以下:酵素活性;別の化合物への結合活性(例として、別のポリペプチドへの結合、とりわけ受容体への結合、もしくは核酸への結合);阻害活性(例として、酵素阻害活性);活性化する活性(例として、酵素を活性化する活性);または毒性効果を包含する。バリアントがかかる活性を親または野生型ポリペプチドと同じ程度まで発揮することは要されない。他の態様において、本明細書に使用されるSHC酵素バリアントは、参照のSHC酵素(例として、野生型SHC酵素または既知のSHC酵素バリアント)よりも良好な基質変換収率を示す。追加の態様において、本明細書に使用されるSHC酵素バリアントは、参照のSHC酵素に対して改変された(例として、増加した)産生力を示し得る(例として、215G2 AacSHC対野生型AacSHC)。用語「産生力」は、生物変換時間(すなわち、基質が加えられた後の時間)の時間当たりの反応のリットル当たりのグラム単位での回収可能な産物の量を指す。
【0090】
本明細書に使用されるとき、用語「アミノ酸改変」は、参照のアミノ酸配列のアミノ酸配列と比べて、2アミノ酸間の1以上のアミノ酸の挿入、1以上のアミノ酸の欠失、または1以上のアミノ酸の1以上の異なるアミノ酸との置換(これは、保存的もしくは非保存的であってもよい)を意味する。置換は、参照配列のアミノ酸を、同数のアミノ酸でバリアント配列において置き換える。参照のアミノ酸配列は、例えば、野生型(WT)アミノ酸配列(例えば、配列番号1、もしくは配列番号15、もしくは配列番号16、もしくは配列番号17、もしくは配列番号18、もしくは配列番号19、もしくは配列番号20、もしくは配列番号21)であってもよく、または、例えば、SHC酵素バリアントの配列(例えば、AacSHCバリアント215G2-配列番号13)それ自体であってもよい。
【0091】
アミノ酸改変は、SHC酵素バリアントのアミノ酸配列の、参照のアミノ酸配列のアミノ酸配列との比較によって容易に同定され得る。(例として、野生型またはバリアントSHCアミノ酸配列)。
【0092】
SHC酵素の好適な供給源は、例えば、Alicyclobacillus acidocaldarius (Aac), Zymomonas mobilis (Zmo)、Bradyrhizobium japonicum (Bja)、Gluconobacter morbifer (Gmo)、Burkholderia ambifaria、Bacillus anthracis、Bacillus megaterium (Bme)、Methylococcus capsulatus、Frankia alni、Acetobacter pasteurianus (Apa)、Thermosynechococcus elongatus (Tel)、Streptomyces coelicolor (Sco)、Rhodopseudomonas palustris (Rpa)、Teredinibacter urnerae (Ttu)、Pelobacter carbinolicus (Pca)、およびTetrahymena pyriformiを包含する(例えば、WO 2010/139719、US 2012/01345477、WO 2012/066059、WO 2016/170099; WO 2018/157021、およびJP2009060799参照、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる)。好適な酵素はまた、例としてNeumann & Simon 1986, Biol Chem Hoppe-Seyler 367, 723-729; Seckler & Poralla 1986, Biochem Biophys Act 356-363; Ochs et al 1990, J Bacteriol 174, 298-302; Seitz et al 2012, J Molecular Catalysis B: Enzymatic 84, 72-77;およびSeitz 2012 PhD thesis (http://elib.uni-stuttgart.de/handle/1 1682/1400)にも記載され、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。これらのSHC酵素およびバリアントは、本明細書に記載の方法に使用され得る。
【0093】
とりわけ、SHC酵素(例として、SHC酵素バリアントが由来し得る)は、Alicyclobacillus acidocaldarius (Aac) SHC酵素、Zymomonas mobilis (Zmo) SHC酵素、Bradyrhizobium japonicum (Bja) SHC酵素、Bacillus megaterium (Bme) SHC酵素、またはGluconobacter morbifer (Gmo) SHC酵素であってもよい。ある態様において、SHC酵素(例として、SHC酵素バリアントが由来し得る)は、Alicyclobacillus acidocaldarius (Aac) SHC酵素であってもよい。ある態様において、SHC酵素(例として、SHC酵素バリアントが由来し得る)は、Bacillus megaterium (Bme) SHC 酵素であってもよい。
【0094】
容易に参照できるように、呼称「AacSHC」はAlicyclobacillus acidocaldarius (Aac) SHC酵素を指すために使用されてもよく、「ZmoSHC」はZymomonas mobilis (Zmo) SHC酵素を指すために使用されてもよく、「BmeSHC」はBacillus megaterium (Bme) SHC 酵素を指すために使用されてもよく、「BjaSHC」はBradyrhizobium japonicum (Bja) SHC酵素を指すために使用されてもよく、および「GmoSHC」はGluconobacter morbifer (Gmo) SHC酵素を指すために使用されてもよい。
【0095】
AacSHC, ZmoSHおよびBjaSHC酵素配列は、BASF WO 2010/139719, US 2012/01345477A1, Seitz et al(上に引用されるとおり)およびSeitz (2012 PhD thesis as cited above)に開示される。2つの異なる配列は、ZmoSHCについて開示されており、ZmoSHC1およびZmoSHC2と称される。Gmo SHC酵素配列は、WO 2018/157021に開示される。Gmo SHC酵素の配列は、WO 2018/157021に開示される。表1は、野生型SHC酵素の供給源および受託番号を開示する。
【0096】
【表1】
【0097】
野生型AacSHC、野生型ZmoSHC1、野生型ZmoSHC2、野生型BjaSHC、野生型GmoSHC、野生型TelSHC、野生型ApaSHC1、および野生型BmeSHCのアミノ酸配列もまた本明細書に開示される(夫々、配列番号1、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、および配列番号21)。
【0098】
本明細書に記載されるおよび本明細書に記載の方法で使用されるSHC酵素または酵素バリアントは、例えば、野生型アミノ酸配列(配列番号1、13、15、16、17、18、19、20、21)、またはそのバリアント、ホモログ、突然変異体、誘導体またはフラグメントの1つに基づくものであってもよい。SHC酵素または酵素バリアントは、例えば、アミノ酸配列が、本明細書に開示の野生型アミノ酸配列の1つと、少なくとも30%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、51.52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する。
【0099】
本明細書に記載されるおよび本明細書に記載の方法で使用されるSHC酵素または酵素バリアントは、例えば、約75%以上の選択性を有していてもよい。例えば、SHC酵素または酵素バリアントは、約80%以上、または85%以上、または約90%以上の選択性を有していてもよい。例えば、SHC酵素または酵素バリアントは、100%まで、例えば100%未満、例えば約99.5%以下、または約99.0%以下、または約98.0%以下、約97.0%以下の選択性を有していてもよい。
【0100】
遺伝子のヌクレオチド配列に関する「パーセント(%)同一性」は、配列をアラインし、かつ、最大のパーセント配列同一性を取得するため、必要ならば、ギャップ(gaps)を導入した後の、DNA配列中のヌクレオチドと同一である、候補DNA配列中のヌクレオチドのパーセンテージとして定義されるが、配列同一性の一環としていずれの保存的置換も考慮しない。パーセントヌクレオチド配列同一性を決定する目的のためのアライメントは、当該技術分野における技能の範囲内にある様々な手法で、実例として、公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用し達成され得る。当業者は、比較される配列の完全長にわたり最大のアライメントを達成するのに必要とされるいずれのアルゴリズムも包含する、アライメントを測定するのに適切なパラメータを決定し得る。用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は本明細書中、互換的に使用され、長さまたは翻訳後修飾を問わず、アミノ酸のいずれのペプチド連結鎖も意味する。
【0101】
本明細書に使用されるとき、用語「誘導体」は、バリアントを包含するが、これに限定されない。用語「誘導体」および「バリアント」は本明細書中、互換的に使用される。
【0102】
本明細書に記載の方法で使用され得る特定のSHC酵素および酵素バリアント体は、さらに下に記載される。
【0103】
野生型SHC酵素
本明細書に記載の方法は、例えば、野生型SHC酵素に対して100%の配列同一性を有するSHC酵素を使用してもよい。野生型SHC酵素は、その天然生物から直接得られたものである必要はなく、例えば組換えDNA技術を使用して、実験室で合成されたものであってもよい。
【0104】
野生型SHC酵素は、たとえば、Alicyclobacillus acidocaldarius (Aac)、Zymomonas mobilis (Zmo)、Bradyrhizobium japonicum (Bja)、Gluconobacter morbifer (Gmo)、Burkholderia ambifaria、Bacillus anthracis、Bacillus megaterium (Bme)、Methylococcus capsulatus、Frankia alni、Acetobacter pasteurianus (Apa)、Thermosynechococcus elongatus (Tel)、Streptomyces coelicolor (Sco)、Rhodopseudomonas palustris (Rpa)、Teredinibacter turnerae (Ttu)、Pelobacter carbinolicus (Pca)またはTetrahymena pyriformis 由来でもよい(例えばWO 2010/139719, US 2012/01345477, WO 2012/066059参照、これらは参照により本明細書に組み込まれる)。
【0105】
とりわけ、野生型SHC酵素は、Alicyclobacillus acidocaldarius (Aac) SHC enzyme、Zymomonas mobilis (Zmo) SHC enzyme、Bacillus megaterium (Bme) SHC enzyme、Bradyrhizobium japonicum (Bja) SHC enzymeまたはGluconobacter morbifer (Gmo) SHC酵素であり得る。とりわけ、野生型SHC酵素は、Alicyclobacillus acidocaldarius (Aac) SHC酵素、またはBacillus megaterium (Bme) SHC酵素、またはZymomonas mobilis (Zmo) SHC酵素(例として、ZmoSHC1)であり得る。
【0106】
容易に参照できるように、呼称「AacSHC」は、Alicyclobacillus acidocaldarius SHC酵素を指すために使用されてもよく、「ZmoSHC」は、Zymomonas mobilis SHC酵素ZmoSHC1およびZmoSHC2を指すために使用されてもよく、「BjaSHC」はBradyrhizobium japonicum SHC酵素を指すために使用されてもよく、「BmeSHC」は、Bacillus megaterium SHC酵素を指すために使用されてもよく、「GmoSHC」は、Gluconobacter morbifer SHC酵素を指すために使用されてもよく、「TelSHC」は、Thermosynechococcus elongatus SHC酵素を指すために使用されてもよく、および「ApaSHC1」は、Acetobacter pasteurianus SHC酵素を指すために使用されてもよい。
【0107】
野生型SHC酵素アミノ酸配列は、例えば、AacSHC(配列番号1)、ZmoSHC1(配列番号15)、ZmoSHC2 (配列番号16)、BjaSHC(配列番号17)、GmoSHC (配列番号20)、BmeSHC(配列番号21)、TelSHC(配列番号18)またはApaSHC1(配列番号19)であってもよい。例えば、野生型SHC酵素は、BmeSHC(配列番号21)、ZmoSHC1(配列番号15)、またはAacSHC(配列番号1)であってもよい。
【0108】
SHCバリアント酵素
本明細書に記載の方法は、例えば、SHC酵素バリアント(すなわち、野生型SHC酵素に対して100%未満の配列同一性を有するSHC酵素)を使用してもよい。
【0109】
本明細書に記載の方法は、例えば、WO2016/170099またはWO2018/157021(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるようなSHC酵素バリアントを使用してもよい。例えば、本明細書に記載の方法で使用されるSHC酵素バリアントは、WO 2016/170099に記載されているSHC酵素バリアント215G2であってもよい。
【0110】
SHC酵素バリアントは、例えば、野生型SHC酵素アミノ酸配列に対して少なくとも約70.0%の同一性を有するアミノ酸配列を有していてもよい。例えば、SHC酵素バリアントは、野生型SHC酵素アミノ酸配列に対して少なくとも約75.0%、または少なくとも約80.0%、または少なくとも約85.0%、または少なくとも約90.0%、または少なくとも約95.0%、または少なくとも約95.5%、または少なくとも約96.5%、または少なくとも約97.0%、または少なくとも約97.5%、または少なくとも約98.0%、または少なくとも約98.5%、または少なくとも約99.0%の同一性を有するアミノ酸配列を有していてもよい。
【0111】
例えば、SHC酵素バリアントは、野生型SHC酵素アミノ酸配列に対して、約70.0%から約99.5%まで、約80.0%から約99.0%まで、または約85.0%から約98.5%まで、または約90.0%から約98.0%までの同一性を有していてもよい。
【0112】
野生型SHC酵素は、例えば、Alicyclobacillus acidocaldarius (Aac)、Zymomonas mobilis (Zmo)、Bradyrhizobium japonicum (Bja)、Gluconobacter morbifer (Gmo)、Burkholderia ambifaria、Bacillus anthracis、Bacillus megaterium (Bme)、Methylococcus capsulatus、Frankia alni、Acetobacter pasteurianus (Apa)、Thermosynechococcus elongatus (Tel)、Streptomyces coelicolor (Sco)、Rhodopseudomonas palustris (Rpa)、Teredinibacter turnerae (Ttu)、Pelobacter carbinolicus (Pca)またはTetrahymena pyriformis 由来でもよい(例えば、WO 2010/139719, US 2012/01345477、WO 2012/066059参照、、これらは参照により本明細書に組み込まれる)。
【0113】
野生型SHC酵素アミノ酸配列は、例えば、AacSHC(配列番号1)、ZmoSHC1(配列番号15)、ZmoSHC2(配列番号16)、BjaSHC(配列番号17)、GmoSHC(配列番号20)、BmeSHC(配列番号21)、TelSHC(配列番号18)またはApaSHC1(配列番号19)であってもよい。例えば、野生型SHC酵素はAacSHC(配列番号1)であってもよい。
【0114】
したがって、ある態様において、SHC酵素またはSHC酵素バリアントは、配列番号1、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号20、配列番号18、配列番号19、または配列番号21と、少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を有していてもよい。例えば、SHC 酵素またはSHC酵素バリアントは、配列番号1、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号20、配列番号18、配列番号19、または配列番号21と、少なくとも約75.0%、または少なくとも約80.0%、または少なくとも約85.0%、または少なくとも約90.0%、または少なくとも約95.0%、または少なくとも約95.5%、または少なくとも約96.5%、または少なくとも約97.0%、または少なくとも約97.5%、または少なくとも約98.0%、または少なくとも約98.5%、または少なくとも約99.0%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。
【0115】
例えば、SHC酵素バリアントは、例えば、配列番号1、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号20、配列番号18、配列番号19、または配列番号21と、100%未満、例えば約99.5%以下、または約99.0%以下の同一性を有するアミノ酸配列を有していてもよい。
【0116】
例えば、SHC酵素バリアントは、配列番号1、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号20、配列番号18、配列番号19、または配列番号21と、約70.0%から約99.5%まで、または約80.0%から約99.0%まで、または約85.0%から約98.5%まで、または約90.0%から約98.0%までの同一性を有していてもよい。
【0117】
ポリペプチドまたはヌクレオチドの配列に関する「パーセント(%)同一性」は夫々、配列をアラインし、かつ、最大のパーセント配列同一性を取得するため、必要ならば、ギャップを導入した後の、参照配列中のアミノ酸またはヌクレオチドと同一である、候補配列中のアミノ酸またはヌクレオチドのパーセンテージとして定義されるが、配列同一性の一環としていずれの保存的置換も考慮しない。パーセント配列同一性を決定する目的のためのアライメントは、当該技術分野における技能の範囲内にある様々な手法で、実例として、公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用し達成され得る。当業者は、比較される配列の完全長にわたり最大のアライメントを達成するのに必要とされるいずれのアルゴリズムも包含する、アライメントを測定するのに適切なパラメータを決定し得る。用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は本明細書中、互換的に使用され、長さまたは翻訳後修飾を問わず、アミノ酸のいずれのペプチド連結鎖も意味する。
【0118】
ヌクレオチドおよびアミノ酸の配列類似性、すなわち、配列同一性のパーセンテージは、配列アライメントを介して決定され得る。かかるアライメントは、例として、https://www.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalo/、もしくはGAPプログラム(University の Iowaの数学アルゴリズム)、もしくはMyersおよびMillerの数学アルゴリズム(1989-Cabios 4:11-17)上で利用可能な、当該技術分野で知られている数種のアルゴリズムで、好ましくは、KarlinおよびAltschulの数学アルゴリズム(Karlin & Altschul(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873-5877)で、hmmalign(HMMER package,http://hmmer.wustl.edu/)で、またはCLUSTALアルゴリズム(Thompson,J.D.,Higgins,D.G. & Gibson,T.J.(1994)Nucleic Acids Res.22,4673-80)で実行され得る。使用される好ましいパラメータは、https://www.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalo/上で設定されているとおりの初期設定パラメータである。
【0119】
パーセンテージ配列同一性は、例えば、BLAST、BLAT、またはBlastZ(もしくはBlastX)を使用して算出されてもよい。同様のアルゴリズムは、Altschul et al(1990)J.Mol.Biol.215,403-410のBLASTNおよびBLASTPのプログラム中へ組み込まれている。BLASTポリヌクレオチド検索が、BLASTNプログラム、score=100、word length=12で実施されると、関係のあるタンパク質をコードするそれら核酸と相同のポリヌクレオチド配列が得られる。BLASTタンパク質検索が、BLASTPプログラム、score=50、word length=3で実施されると、ポリペプチドと相同のアミノ酸配列が得られる。
【0120】
比較目的でギャップのあるアライメントを得るには、Gapped BLASTが、Altschul et al(1997)Nucleic Acids Res.25,3389-3402に記載のとおりに利用される。BLASTおよびGapped BLASTのプログラムを利用するとき、夫々のプログラムの初期設定パラメータが使用される。配列マッチング分析は、Shuffle-LAGAN(Brudno M.,Bioinformatics 2003b,19 Suppl 1:154-162)またはマルコフ確率場といった、確立された相同性マッピング技法によって補完されてもよい。配列同一性のパーセンテージが本出願において触れられるとき、これらのパーセンテージは、別様に具体的に指し示されない場合、より長い配列の完全長に関して算出される。
【0121】
具体的な態様において、2つの配列間の%同一性は、CLUSTAL O(version 1.2.4)を使用して決定される。
【0122】
SHC酵素バリアントは、例えば、親SHC酵素と比較して、式(II)で表される化合物の式(I)で表される化合物への変換に対して増大した酵素活性を有し得る。増大した酵素活性は、例えば、式(II)で表される化合物から式(I)で表される化合物への増大した全変換、式(II)で表される化合物の(例として、反応の最初の4時間、または最初の6時間、または最初の12時間における)増大した変換速度、式(I)で表される化合物の増大した産生、および/または減少した副産物の産生を包含する、式(II)で表される化合物の式(I)で表される化合物への酵素的変換の任意の側面を指し得る。増大した酵素活性は、一般に増大した生産性よって定義されてもよく、これは、1時間当たり、生体触媒1グラム当たり、および反応のリットル当たりの産生された式(I)で表される化合物の観点から定義されてもよい。
【0123】
SHC酵素バリアントは、例えば、親SHC酵素と比較して増大した式(II)で表される化合物の変換を提供し得る。したがって、本明細書に記載のプロセスは、親SHC酵素を使用するプロセスと比較して増大したレベルの式(II)で表される化合物変換を有し得る。SHC酵素バリアントは、例えば、親SHC酵素と比較して式(II)で表される化合物の変換の増大した速度を提供し得る。したがって、本明細書に記載のプロセスは、親SHC酵素と比較して式(II)で表される化合物の変換の増大した速度を有し得る。
【0124】
SHC酵素バリアントは、例えば、親SHC酵素と比較して、反応の最初の4時間、または最初の2時間にわたって、または最初の4時間にわたって、または最初の6時間にわたって、または最初の8時間にわたって、または最初の12時間にわたって、または最初の24時間にわたって式(II)で表される化合物変換の増大した速度を提供し得る。したがって、本明細書に記載のプロセスは、親SHC酵素と比較して、反応の最初の2時間にわたって、または最初の4時間にわたって、または最初の6時間にわたって、または最初の8時間にわたって、または最初の12時間にわたって、または最初の24時間にわたって式(II)で表される化合物の変換の増大した速度を有し得る。これは、両方の酵素(すなわち、SHC酵素バリアントおよび親SHC酵素)を同じ反応条件(例として、同じpHおよび温度)で使用して比較した場合、または各酵素をその活性に最適であると個別に定義されている条件(例として、最適化されたpHおよび温度)で使用して比較した場合であり、互いに異なり得る。
【0125】
式(II)で表される化合物の式(I)で表される化合物への変換は、例えば、上に記載のとおりの活性アッセイを使用して決定されてもよく、原料1グラム当たりの回収可能産物のグラムとして計算されてもよい(所望によりパーセントモル変換率として計算することができる)。
【0126】
本明細書に開示の式(I)で表される化合物を製造するプロセスは、下の例に提示するように、使用する特定の酵素に対する最適温度範囲、または最適温度および/または最適pH範囲、または最適pHおよび/またはSDS最適濃度範囲、または最適SDS濃度で実行され得る。
【0127】
核酸および核酸を製造する方法
本明細書に記載のSHC酵素および酵素バリアントは、核酸配列によってコードされていてもよい。コード配列を含有する核酸は、例えば、単離された核酸であってもよい。
【0128】
よって、本明細書に記載のとおりのSHC酵素または酵素バリアントをコードする核酸配列を含む構築物が本明細書に提供される。本明細書に使用されるとき、「構築物」は、人為的に創出された核酸のセグメントであって、標的細胞中へトランスフェクトされるべきものである。構築物は、SHC酵素または酵素バリアントをコードする核酸配列および遺伝子発現のコントローラー(例として、プロモーター)を含んでいてもよい。
【0129】
本明細書に記載のとおりの構築物を含むベクターが本明細書にさらに提供される。本明細書に使用されるとき、「ベクター」は、外来遺伝子材料を人為的に細胞中へ運搬するビヒクルとして使用されるDNA分子であって、細胞中これが複製および/または発現され得る。ベクターは、例えば、プラスミド、ウイルスベクター、コスミド、または人工染色体であってもよい。
用語「構築物」および「ベクター」は、例えば、構築物がプラスミドである場合など、重複していてもよい。
【0130】
用語「核酸」または「核酸分子」は、本明細書に使用されるとき、具体的に言うと、DNA、cDNA、ゲノムDNA、合成DNA、またはRNAであり得、かつ二本鎖もしくは一本鎖のセンス鎖および/またはアンチセンス鎖であり得る本開示のポリヌクレオチドを指すこととする。用語「核酸」または「核酸分子」は具体的に、本明細書に使用されるとき、例として、完全長ヌクレオチド配列またはそのフラグメントもしくは一部としての、ポリヌクレオチド(単数または複数)へ適用されることとし、前記ポリヌクレオチドは夫々、酵素活性、例として、代謝経路の酵素をもつポリペプチド、またはそのフラグメントもしくは一部をコードする。
【0131】
用語はまた、cDNA(ここで対応するゲノムDNAは、イントロンを有する)などの別々の分子、したがって、異なる配列;隣接する(flanking)遺伝子同士の少なくとも1つを欠くゲノムのフラグメント;ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって産生され、かつ隣接する遺伝子同士の少なくとも1つを欠くcDNAまたはゲノムDNAのフラグメント;隣接する遺伝子同士の少なくとも1つを欠く制限フラグメント;融合タンパク質(例として、Hisタグ)、ムテイン、または所定タンパク質のフラグメントなどの天然には存在しないタンパク質をコードするDNA;およびcDNAまたは天然に存在する核酸の縮重したバリアントである核酸も包含する。加えて、これは、ハイブリッド遺伝子、すなわち、非天然には存在しない融合タンパク質をコードする遺伝子の一部である、組換えのヌクレオチド配列を包含する。融合タンパク質は、1以上のアミノ酸(これらに限定されないが、ヒスチジン(His)など)をタンパク質へ、大抵タンパク質のN末端にて、これのみならずC末端にても付加し得るか、またはタンパク質領域内へ融合され得る。かかる融合タンパク質またはかかるタンパク質をコードする融合ベクターは典型的には、(i)組換えのタンパク質の産生を増大させるため;(ii)組換えのタンパク質の可溶性を増大させるため;および(iii)親和性精製用リガンドを提供することによって組換えタンパク質の精製に役立たせるためという3つの目的を果たす。
【0132】
用語「核酸配列」はまた、具体的な微生物の宿主細胞(例として、E.coli宿主細胞)における発現に好適なコドン最適化配列も包含する。本明細書に使用されるとき、用語「コドン最適化」は、例として、1以上のまたは好ましくは有意数のコドンの、細菌宿主細胞(例として、E.coli)の遺伝子においてより頻繁に使用されるコドンの置換によって、特定の原核生物または真核生物の宿主細胞、具体的に、その特定のコドン使用を考慮したE.coli宿主細胞などの細菌の宿主細胞における発現に適応させた核酸のタンパク質コード配列を意味する。
【0133】
この点に関し、参照アミノ酸配列(例として、配列番号1もしくは配列番号13)をコードするヌクレオチド配列または遺伝子およびそれらのバリアント/誘導体は、供給源に見出される元の配列であってもよく、またはその遺伝子は、例として、E.coliなどの、選択される宿主生物に対しコドンが最適化され得る。
【0134】
さらなる側面において、本開示の核酸配列(単数または複数)は、発現制御配列へ作動可能に(operatively)連結されていることで、原核生物および/または真核生物の宿主細胞における発現が可能になる。本明細書に使用されるとき、「作動可能に連結されている」は、発現制御配列が、関心のあるコード配列または遺伝子の発現を有効に制御するように、遺伝子構築物中へ組み込まれていることを意味する。上に言及された転写/翻訳の調節要素は、これらに限定されないが、誘導性および非誘導性の、構成的な、細胞周期を調節する、代謝を調節する、プロモーター、エンハンサー、オペレーター、サイレンサー、リプレッサー、および当業者に知られておりかつ遺伝子発現を推進するかまたは別様に遺伝子発現を調節する他の要素を包含する。かかる調節要素は、これらに限定されないが、例えばtet-onもしくはtet-off系、lac系、trp系の調節要素上に、採用されるとおりの例えばCUP-1プロモーター、tet-リプレッサーといった、構成的な発現に向けるかまたは誘導発現を可能にする調節要素を包含する。一例として、イソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)は、例として、100μM~1.0mMの濃度範囲における、遺伝子発現の有効な誘導因子である。この化合物は、lacオペロンの転写を始動させるアロラクトースの分子模倣体、ラクトース代謝体であって、したがって、遺伝子がlacオペレーターの制御下にあるとき、遺伝子発現を誘導させるのに使用される。遺伝子発現を誘導する調節要素の別の例は、ラクトースである。同様に、本開示の核酸分子(単数または複数)は、追加のポリペプチド配列、例えば、マーカーまたはレポーターとして機能する配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部を形成し得る。マーカーおよびレポーター遺伝子の例は、ベータ-ラクタマーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、アデノシンデアミナーゼ(ADA)、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、ハイグロマイシン-B-ホスホトランスフェラーゼ(HPH)、チミジンキナーゼ(TK)、lacZ(ベータ-ガラクトシダーゼをコードする)、およびキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(XGPRT)を包含する。本開示の実践に関連する標準的な多く手順と同様に、当業者は、追加の有用な試薬、例えば、マーカーまたはレポーターの機能を果たし得る追加の配列を承知しているであろう。
【0135】
遺伝子発現用および任意の酵素精製用のベクター中へ挿入されてもよい、SHC/HAC酵素またはそのバリアントをコードする組換えポリヌクレオチドもまた本明細書に提供される。あるタイプのベクターは、環状の二本鎖DNAループに象徴されるプラスミドであって、前記プラスミド中へ追加のDNAセグメントがライゲートされる。あるベクターは、遺伝子の発現を制御し得るが、前記遺伝子へそのベクターが機能的に連結されている。これらのベクターは「発現ベクター」と呼ばれる。大抵、DNA組換え技法に好適な発現ベクターは、プラスミドタイプに属する。典型的には、発現ベクターは、本明細書に記載のとおりのSHC野生型またはバリアント酵素の産生のための遺伝子を含む。本記載において、用語「プラスミド」および「ベクター」は、プラスミドがほとんどの場合に使用されるベクタータイプであるところ、互換的に使用されてもよい。
【0136】
かかるベクターは、これらに限定されないが、宿主細胞中天然には存在しないDNA配列、通常、転写されてRNAになることも翻訳されてタンパク質になる(「発現される」)こともないDNA配列、および非組換え宿主中へ導入されることが所望される他の遺伝子またはDNA配列を包含するDNA配列を包含し得る。典型的には、本明細書に記載の組換え宿主のゲノムは、1以上の組換え遺伝子の安定した導入を通して拡大させられることが解されるであろう。しかしながら、自律性のもしくは複製のプラスミドまたはベクターもまた、本開示の範囲内において使用され得る。その上、本開示は、低コピー数、例として、単一コピーの、もしくは高コピー数(本明細書中に例示されるとおり)のプラスミドまたはベクターを使用して実践され得る。
【0137】
本開示のベクターは、プラスミド、ファージミド、ファージ、コスミド、細菌人工染色体および酵母人工染色体、ノックアウト構築物またはノックイン構築物、合成の核酸配列またはカセットおよびサブセットを包含し、これらは、線状のポリヌクレオチド、プラスミド、メガプラスミド、合成または人工の染色体(植物、細菌、哺乳動物、もしくは酵母の人工染色体など)の形態で産生されてもよい。
【0138】
導入ポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質は、ベクターが導入されたら、細胞内で発現されることが好ましい。プラスミドはしばしば、標準的なクローニングベクター、例として、細菌の多コピープラスミドである。基質は、同じプラスミドまたは異なるプラスミド中へ組み込まれ得る。少なくとも2つのタイプのベクターを含有する細胞の選択を可能にするため、異なるタイプの選択可能マーカーを有する少なくとも2つの異なるタイプのプラスミドがしばしば使用される。
【0139】
典型的には、細菌性細胞または酵母細胞は、当該技術分野において周知なとおり1以上のいずれのヌクレオチド配列で形質転換されてもよい。in vivoでの組換えにつき、染色体または他の遺伝子で組換えられる遺伝子は、標準的な形質転換技法を使用して宿主を形質転換するのに使用される。好適な態様において、複製起点を提供するDNAは、構築物中に包含されている。複製起点は、当業者によって好適に選択されてもよい。遺伝子の性質に依存し、配列が既に、複製起点それ自体として動作可能である遺伝子または染色体とともに存在する場合、補充される複製起点は不要なこともある。
【0140】
宿主細胞、宿主細胞を製造する方法、ならびに宿主細胞を使用して式(I)で表される化合物を製造する方法
本明細書に記載される方法において、組換え宿主細胞を用いてもよい。本明細書に記載のとおりの核酸配列または構築物またはベクターを含む組換え宿主細胞が本明細書にさらに提供される。本明細書に記載のとおりのSHC酵素または酵素バリアントを産生する組換え宿主細胞が本明細書にさらに提供される。
【0141】
式(I)で表される化合物を産生するための本明細書に記載のプロセスは、例えば、本明細書に記載のとおりの組換え宿主細胞を培養することを含んでいてもよい。本明細書に使用されるとき、用語「培養すること」は、生細胞が、本明細書に記載のとおりの式(I)で表される化合物を産生するためのプロセスにおいて使用され得る、本明細書に記載のとおりのSHC酵素または酵素バリアントを産生するように、生細胞を増やすプロセスを指す。
【0142】
細菌性細胞または酵母細胞は、外来性DNAまたは異種DNAが細胞内部に導入されたとき、かかるDNAによって形質転換されてもよい。形質転換するDNAは、組み入れられてもよくまたは組み入れられていなくてもよく、すなわち、細胞の染色体中へ共有結合的に連結されていてもまたは連結されていなくてもよい。原核生物および酵母において、例えば、形質転換するDNAは、プラスミドなどのエピソーム要素上に維持されていてもよい。真核細胞に関し、安定的にトランスフェクトされた細胞は、染色体の複製を通し娘細胞によって遺伝されるように、トランスフェクトされたDNAが染色体中へ組み入れられた細胞である。この安定性は、形質転換するDNAを含有する娘細胞の集団から構成される細胞株またはクローンを確立する真核細胞の能力によって実証される。
【0143】
一般に、導入されたDNAは、DNAのレシピエントである宿主中には本来存在しないものであるが、所定宿主からDNAセグメントを単離すること、および続いて、そのDNAの1以上の追加のコピーを同じ宿主中へ、例として、遺伝子産物の産生を増強するかまたは遺伝子の発現パターンを改変するために導入することは、本開示の範囲内にある。いくつかの場合において、導入されたDNAは、例として、相同組換えもしくは部位特異的変異誘発によって、内在性の遺伝子またはDNA配列を修飾するか、あるいはこれを置き換えることすらするであろう。好適な組換え宿主は、微生物、植物細胞、および植物を包含する。
【0144】
本開示はまた、組換え宿主も特色とする。また「遺伝子学的に修飾された宿主細胞」もしくは「トランスジェニック細胞」とも称される用語「組換え宿主」は、異種の核酸を含むか、または少なくとも1つの組み込まれたDNA配列によって拡大させられたゲノムを含む宿主細胞を指し示す。本開示の宿主細胞は、上に概説されたとおりのポリヌクレオチドまたはベクターで遺伝子操作されていてもよい。
【0145】
本開示の目的上使用されてもよい宿主細胞は、これらに限定されないが、細菌(例えば、E.coliおよびB.subtilis)などの原核細胞(これは、例えば、本開示のポリヌクレオチド分子を含有する、例えば、組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、細菌の人工染色体、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換されていてもよい);酵母(例えば、SaccharomycesおよびPichia)といった単純な真核細胞(これは、例えば、本開示のポリヌクレオチド分子を含有する、例えば、組換え酵母発現ベクターで形質転換されていてもよい)を包含する。本開示のポリヌクレオチドを導入するのに使用される宿主細胞および夫々のベクターに依存し、ポリヌクレオチドは、例えば、染色体もしくはミトコンドリアDNA中へ組み入れられ得るか、または、例えば、エピソームといった染色体外で維持され得るか、または一過的にのみ細胞中に含まれ得る。
【0146】
用語「細胞」は、とりわけ遺伝子工学および1以上の遺伝子もしくは遺伝子の集合クラスター(assembled cluster)を細胞または産生細胞中へ導入することを参照して本明細書に使用されるとき、原核生物または真核生物のいずれの細胞も指すことが理解される。E.coliもしくはBacillus sp.といった細菌の宿主細胞、S.cerevisiaeなどの酵母の宿主細胞、Spodoptora frugiperdaなどの昆虫の宿主細胞、またはHeLaおよびJurkatなどのヒトの宿主細胞を包含する、原核生物および真核生物の宿主細胞は両方とも、本開示に従う使用に企図される。
【0147】
具体的に言うと、細胞は、真核細胞(好ましくは、真菌)、哺乳動物もしくは植物の細胞、または原核細胞である。好適な真核細胞は、例えば、限定せずに、哺乳動物細胞、酵母細胞、または昆虫細胞(Sf9を包含する)、両生類動物細胞(メラニン保有細胞を包含する)、またはCaenorhabditis(Caenorhabditis elegansを包含する)の細胞を包含する蠕虫細胞を包含する。好適な哺乳動物の細胞は、例えば、限定せずに、COS細胞(Cos-1およびCos-7を包含する)、CHO細胞、HEK293細胞、HEK293T細胞、HEK293 T-RexTM細胞、または他のトランスフェクト可能な(transfectable)真核細胞株を包含する。好適な細菌性細胞は、限定せずに、E.coliを包含する。
【0148】
好ましくは、E.coli、Bacillus、Streptomycesなどの原核生物、またはHeLa細胞もしくはJurkat細胞といった哺乳動物の細胞、またはArabidopsisといった植物細胞が使用されてもよい。
細胞は、例えば、原核生物、酵母、植物、および/または昆虫の宿主細胞から選択されてもよい。
【0149】
好ましくは、細胞は、Aspergillus sp.または真菌細胞であり、好ましくは、属Saccharomyces、Candida、Kluyveromyces、Hansenula、Schizosaccharomyces、Yarrowia、Pichia、およびAspergillusからなる群から選択され得る。
【0150】
好ましくは、細胞は、例えば、Escherichia、Streptomyces、Bacillus、Pseudomonas、Lactobacillus、およびLactococcusから選択される属の細菌細胞である。例えば、細菌は、E.coliであってもよい。
【0151】
好ましくは、E.coli宿主細胞は、産業界および規制当局によって承認されているE.coli宿主細胞である(これらに限定されないが、E.coli K12宿主細胞またはE.coli BL21宿主細胞を包含する)。
【0152】
本開示で使用する1つの好ましい宿主細胞はE.coliであって、これは本明細書に記載のとおり組換えで調製されてもよい。よって、組換え宿主は、組換えE.coli宿主細胞であってもよい。E.coliについて利用可能な、突然変異体のライブラリ、プラスミド、代謝の詳細なコンピュータモデル、および他の情報が存在しており、産物の収率を増強する様々なモジュールの合理的設計を可能にする。
【0153】
一態様において、組換えE.coli微生物は、SHC酵素または酵素バリアントをコードするヌクレオチド配列を含む(例として、微生物は、配列番号:2、4、6、8、10、12、および14から選択されるヌクレオダイト配列を含む)。
好ましくは、組換えE.coli微生物は、本明細書に記載のとおりのベクター構築物を含む。別の好ましい態様において、組換えE.coli微生物は、本明細書に開示のSHC酵素およびまたは酵素バリアントをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0154】
本開示で使用する別の好ましい宿主細胞は、S.cerevisiaeである。S.cerevisiaeについて利用可能な、突然変異体のライブラリ、プラスミド、代謝の詳細なコンピュータモデル、および他の情報が存在しており、産物の収率を増強する様々なモジュールの合理的設計を可能にする。組換えS.cerevisiae微生物を作製するための方法は知られている。
【0155】
細胞の培養は従来のやり方で実施されてもよい。培養培地は、炭素供給源、少なくとも1つの窒素供給源、および無機塩を含有していてもよく、ビタミンがそれへ加えられている。この培地の構成物質は、問題になっている微生物種を培養するために従来使用されているものであり得る。その方法において使用される炭素供給源は、式(II)で表される化合物を式(I)で表される化合物に変換するための目的のSHC酵素の成長および/または産生を容易にさせ、組換え宿主細胞によって代謝され得るいずれの分子も包含する。好適な炭素供給源の例は、これらに限定されないが、スクロース(例として、糖蜜に見出されるとおり)、フルクトース、キシロース、グリセロール、グルコース、セルロース、デンプン、セロビオース、またはポリマーを含有する他のグルコースを包含する。
【0156】
酵母を宿主として採用する態様において、例えば、スクロース、フルクトース、キシロース、エタノール、グリセロール、およびグルコースなどの炭素供給源が好適である。炭素供給源は、培養期間を通してずっと宿主生物へバッチまたはフェドバッチ(fed-batch)において提供することができ、または代替的に、別のエネルギー供給源を使用することができる、例として、タンパク質またはタンパク質加水分解物等。
【0157】
本開示の方法における使用のための組換え宿主細胞微生物は、微生物の増殖のために一般的に使用されるpH、温度にて、および反応条件下で、富栄養培地(rich medium)(例として、LB培地、Bacto-tryptone酵母抽出物培地、栄養培地等)中、増殖させられてもよい。本開示の一態様において、M9Aなどの限定最小培地が、培養のために使用される。
【0158】
M9A培地の構成要素は、以下:14g/l KH2PO4、16g/l K2HPO4、1g/l クエン酸Na3.2H2O、7.5g/l (NH4)2SO4、0.25g/l MgSO4.7H2O、0.015g/l CaCl2.2H2O、5g/lグルコース、および1.25g/l酵母抽出物)を含む。
本開示の別の態様において、LBなどの富栄養培地(nutrient rich medium)が使用された。LB培地の構成要素は、以下:10g/lトリプトン、5g/l酵母抽出物、5g/l NaClを含む。無機培地およびM9無機培地の他の例は、例えば、US 6524831B2およびUS 2003/0092143A1に開示されている。
【0159】
最小培地の別の例は以下のとおりに調製されてもよい:350ml培養について:35mlクエン酸/リン酸塩ストック(pHが6.3へ調整された、133g/l KH2PO4、40g/l (NH4)2HPO4、17g/lクエン酸.H2O)へ307ml H2Oを加え、要求に応じ32%NaOHでpHを6.8へ調整した。オートクレーブ後、0.850ml 50%MgSO4、0.035ml微量元素溶液(下を見よ)、0.035mlチアミン溶液、および7ml 20%グルコースを加えた。
【0160】
微量元素溶液:脱イオン水中、50g/l Na2EDTA.2H2O、20g/l FeSO4.7H2O、3g/l H3BO3、0.9g/l MnSO4.2H2O、1.1g/l CoCl2、80g/L CuCl2、240g/l NiSO4.7H2O、100g/l KI、1.4g/l(NH4)6Mo7O24.4H2O、1g/l ZnSO4.7H2O
チアミン溶液:脱イオン水中2.25g/lチアミン.HCl
MgSO4溶液:脱イオン水中50%(w/v)MgSO4.7H2O
【0161】
組換えの微生物は、バッチ、フェドバッチ、もしくは連続プロセス、またはそれらの組み合わせにおいて成長させられてもよい。式(II)で表される化合物を式(I)で表される化合物へ変換するのに、またはビスホモファルネソールをアンブラオキシドへ変換することができるのに充分なSHC酵素を産生するため、および所望される量の式(I)で表される化合物を産生するため、典型的には、組換え微生物は、発酵槽(fermentor)中、定義された温度にて、好適な栄養供給源、例として、炭素供給源、の存在下、所望される期間成長させられる。組換え宿主細胞は、いずれの好適なやり方でも、例えば、バッチ培養またはフェドバッチ培養によって培養されてもよい。
【0162】
本明細書に使用されるとき、用語「バッチ培養」は、培養中に培養培地を加えたり取り出したりしない培養方法である。
本明細書に使用されるとき、用語「フェドバッチ」は、培養培地が、培養の最中に加えられるが、培養培地は取り除かれない培養方法を意味する。
【0163】
本開示の一態様は、細胞系において式(I)で表される化合物を産生する方法を提供するが、前記方法は、細胞系において好適な条件下でSHC酵素または酵素バリアントを産生すること、式(II)で表される化合物を細胞系へ供給すること、細胞系を使用して産生されたSHC酵素もしくは酵素バリアントを使用して、式(II)で表される化合物を式(I)で表される化合物へ変換すること、式(I)で表される化合物を細胞系から収集すること、および任意に、式(I)で表される化合物を系から単離することを含む。他のヌクレオチド配列の発現が、方法を増強するのに役立つこともある。他のヌクレオチド配列の発現は、式(I)で表される化合物を製造するための生物変換に使用される細胞系の活性を増強することもある。
【0164】
本開示のさらなる態様は、式(I)で表される化合物を製造する生物変換方法であるが、前記方法は、SHC酵素または酵素バリアントをコードする遺伝子を含む宿主細胞を成長させること、宿主細胞においてSHC酵素または酵素バリアントを産生すること、式(II)で表される化合物を宿主細胞へ供給すること、式(II)で表される化合物の式(I)で表される化合物への変換を促進するのに好適なpH、温度、および可溶化剤の条件下で宿主細胞をインキュベートすること、ならびに式(I)で表される化合物を収集することを含む。宿主細胞におけるSHC酵素または酵素バリアントの産生は、式(II)で表される化合物が好適な反応条件下で宿主細胞へ加えられたときに式(I)で表される化合物を製造する方法を提供する。達成される変換は、より多くの生体触媒およびSDSを反応混合物へ加えることによって増強されることもある。
【0165】
組換え宿主細胞微生物は、SHC酵素または酵素バリアントを産生しこれに続く生物変換ステップに好適な量の細胞を提供するために、数多の形で培養されてもよい。生物変換ステップに適用可能な微生物は広範であるところ(例として、酵母、細菌、および真菌)、培養条件はもちろん、各種の特定要件に対し調整され、かつこれらの条件は周知であって文書化されている。組換え宿主細胞微生物の細胞を成長させるための、当該技術分野で知られている方法のいずれも、これに続く本開示の生物変換ステップに利用される細胞を産生させるのに使用されてもよい。典型的には、細胞は、具体的な密度(光学密度(OD)として測定可能な)まで成長させられて、生物変換反応に充分なバイオマスを産生する。
【0166】
選ばれる培養条件は、得られる細胞の量(バイオマス)に影響を及ぼすのみならず、培養条件の質もまた、バイオマスがいかに生体触媒になるかに影響を及ぼす。SHC酵素または酵素バリアントの遺伝子を発現してSHC酵素または酵素バリアントを産生する組換え宿主細胞微生物は、生物変換反応における使用に好適な生体触媒と称される。いくつかの態様において、生体触媒は、SHC酵素もしくは酵素バリアントを産生する組換え全細胞であるか、または懸濁液型もしくは固定化型であってもよい。他の態様において、生体触媒は、SHC酵素もしくは酵素バリアントを産生する組換え全細胞から調製される膜画分または液体画分である(例えば、上に引用されたとおりのSeitz et al 2012に開示されるとおり)。SHC酵素または酵素バリアントを産生する組換え全細胞は、発酵槽(fermenter)から収集された全細胞(生物変換反応のための)、または発酵槽中の細胞(これは、次いでワンポット反応に使用される)を包含する。SHC酵素または酵素バリアントを産生する組換え全細胞は、無傷の組換え全細胞および/または細胞デブリを包含し得る。どちらにしても、SHC酵素または酵素バリアントは、基質(例として、式(II)で表される化合物)を受け取るかおよび/またはそれと相互作用するために、ある形で膜(細胞膜などの)と結び付けられているが、その膜(細胞膜などの)は、全細胞の一部であり得るか、または全細胞(例として、組換え全細胞)を含み得る。SHC酵素または酵素バリアントはまた、SHC酵素または酵素バリアントが基質(例として、式(II)で表される化合物)との相互作用を可能にさせる固定化形態(例として、酵素の担体と結び付けられている)であってもよい。SHC酵素または酵素バリアントはまた、可溶形態で使用されてもよい。
【0167】
一態様において、生体触媒は、生物変換ステップの前に、充分な量(充分なバイオマスを創出するのに)で産生され、回収されて洗浄される(および任意に保管される(例として、凍結されるか、または凍結乾燥される))。
【0168】
さらなる態様において、細胞は充分な量(充分な生体触媒を創出するのに)で産生され、次いで反応条件が、生物変換反応のために生体触媒を回収し洗浄する必要なく調整される。この1ステップ(または「ワンポット」)方法は、プロセスを簡素化するため有利である。細胞を成長させるのに使用される培養培地はまた、生物変換反応における使用にも好適であるが、ただし反応条件は、生物変換反応を容易にするよう調整される。
【0169】
細胞を成長させるのに最適なpHは、6.0~8.0の範囲にある。生物変換反応に最適なpHは、生物変換反応に使用されるタイプのSHC酵素または酵素バリアントに依存する。pHは、当業者に周知な技法を使用して調節される。
【0170】
本開示の生物変換方法は、式(II)で表される化合物の式(I)で表される化合物への変換を提供する、時間、温度、pH、および可溶化剤の条件下で実行される。
【0171】
反応混合物のpHは、考慮されるSHC野生型酵素またはSHC酵素バリアントに対して、4~8、好ましくは、4.5~6.5、より好ましくは4.5~6.5の範囲であってもよく、反応混合物に緩衝剤を加えることによって維持することが可能である。この目的のための例示の緩衝剤は、クエン酸緩衝液、またはコハク酸緩衝液である。
【0172】
温度は、考慮されるSHC野生型酵素またはSHC酵素バリアントに対して、約15℃から約60℃まで、例えば約15℃から約50℃まで、または約15℃から約45℃まで、または約30℃から約60℃まで、または約35℃から約55℃までの間である。温度は一定に保つことができ、または生物変換プロセスの間に変更することができる。
【0173】
[SDS]/[細胞]比は、生体触媒の式(II)で表される化合物に対する比が約2:1である場合、約、10:1~20:1、好ましくは約15:1~18:1、好ましくは約16:1の範囲であってもよい。
【0174】
本明細書に開示された式(I)で表される化合物を製造するためのプロセスは、考慮される個々のSHC酵素(野生型またはバリアント)の各々の最適な活性を可能にする最適な温度、pHおよび界面活性剤濃度で実行され得る。
【0175】
生物変換反応において可溶化剤(例として、界面活性剤、洗浄剤、可溶性エンハンサー、水混和性の有機溶媒等)を包含させることが有用な場合もある。
【0176】
本明細書に使用されるとき、用語「界面活性剤」は、2液体同士間または液体と固体との間の表面張力(もしくは界面張力)を低下させる構成要素を意味する。界面活性剤は、洗浄剤、湿潤剤、乳化剤、発泡剤、および分散剤として作用してもよい。界面活性剤の例は、これらに限定されないが、Triton X-100、Tween 80、タウロデオキシコラート、タウロデオキシコール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、および/またはラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を包含する。
【0177】
Triton X-100は、SHC酵素または酵素バリアント(可溶性画分もしくは膜画分/懸濁液形態の)を部分的に精製するために使用されてもよいが、これはまた、生物変換反応において使用されてもよい(例えば、Seitz(2012 PhD thesis - 上に引用されたとおり)、ならびにNeumannおよびSimon(1986 - 上に引用されたとおり)、およびJP2009060799における開示を見よ)。可溶化剤としてSDSを使用してもよい。
【0178】
理論によって拘束されることは望まないが、SHC酵素または酵素バリアント(これは膜結合酵素である)を式(II)で表される化合物基質に対してよりアクセス可能にさせるためにSDSが有利なことに宿主細胞膜と相互作用することもあることから、組換え微生物の宿主細胞とのSDSの使用は有利なこともある。加えて、反応混合物中、好適なレベルにてSDSを包含することは、エマルション(例として、水中の式(II)で表される化合物)の特性を改善し、および/または式(II)で表される化合物基質の宿主細胞内のSHC酵素へのアクセスを改善することもある。生物変換反応に使用される可溶化剤(例として、SDS)の濃度は、バイオマス量および基質濃度によって影響を及ぼされる。つまり、可溶化剤(例として、SDS)濃度とバイオマス量と基質濃度との間には、ある程度の相互依存性がある。一例として、式(II)で表される化合物基質の濃度が増大するにつれ、効率的な生物変換反応を起こさせるのに充分な量の生体触媒および可溶化剤(例として、SDS)が要される。例えば、可溶化剤(例として、SDS)濃度が低すぎる場合、準最適な式(II)で表される化合物変換が観察されることもある。他方、例えば、可溶化剤(例として、SDS)濃度が高すぎると、その場合、生体触媒が、無傷の微生物細胞の崩壊および/またはSHC酵素もしくは酵素バリアントの変性/不活化のいずれかを通して影響を受けるというリスクが存在することもある。バイオマス量および基質という文脈における、SDSの好適な濃度の選択は、慎重に検討されなければならない。
【0179】
いくつかの態様において、式(I)で表される化合物は、式(II)で表される化合物基質が加えられる生体触媒を使用して産生される。
【0180】
知られている手段(例として、蠕動ポンプ、注入シリンジ等)を使用して供給することによって基質を加えることは実行可能である。式(II)で表される化合物は、油可溶性であってもよく、油型で提供されてもよい。生体触媒(無傷の組換え全細胞などの微生物の細胞、および/または細胞デブリ、および/または固定化酵素)が水相に存在することを考慮すると式(II)で表される化合物が生物変換反応混合物へ加えられたとき、生物変換反応は三相系(水相、固相、および油相を含む)と見なされてもよい。この場合はSDSが存在するときでさえ当てはまる。
【0181】
発酵槽は、SHC酵素または酵素バリアントの遺伝子を産生して活性のあるSHC酵素または酵素バリアントを産生する組換え宿主細胞を、同じ発酵槽(fermenter vessel)中、生体触媒としての使用に好適である充分なバイオマス濃度まで成長させるのに使用されてもよく、これは、式(II)で表される化合物を式(I)で表される化合物へ、例えば、式(III)で表される副産物の1以上と混和されて変換するのに使用される。
【0182】
当業者は、より高い累積産生力価が、産物除去、基質供給、およびバイオマスの添加または(部分的)置き換えなどの連続プロセスを遂行することによって達成され得ることを理解するであろう。好ましくは、SHC酵素もしくは酵素バリアントを含む組換え宿主細胞の存在下での、式(II)で表される化合物の式(I)で表される化合物への生物変換は、molパーセント単位で与えられ、かつ採用される式(II)で表される化合物のmolに基づき、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100の式(I)で表される化合物収率を生成する;とくに好ましくは、収率は、5と100との間、10と100との間、および100、25と100との間、30と100との間、35と100との間、とりわけ40と100との間、45と100との間、50と100との間、60と100との間、70と100molパーセントとの間にある。
【0183】
SHC酵素または酵素バリアントの活性は、パーセント単位の反応速度(産物の量/(産物の量+残存する出発材料の量))×100)を介して定義される。好ましくは、SHC酵素または酵素バリアントの存在下での、式(II)で表される化合物の式(I)で表される化合物への生物変換は、molパーセント単位で与えられ、かつ採用される式(II)で表される化合物のmolに基づき、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100の式(I)で表される化合物収率を産生する;とくに好ましくは、収率は、5と100との間、10と100との間、20と100との間、25と100との間、30と100との間、35と100との間、とりわけ40と100との間、45と100との間、50と100との間、60と100との間、70と100の間にある。
【0184】
本発明の好ましい態様において、収率および/または反応速度は、例えば、4、6、8、10、12、16、20、24、36、48または72時間という定義された期間(その最中、SHC酵素もしくは酵素バリアントをコードするヌクレオチド配列を含む組換え宿主細胞によって、式(II)で表される化合物が変換されて式(I)で表される化合物になる)にわたり決定される。
【0185】
さらなる態様において、反応は、例えば、25℃、30℃、40℃、50℃、または60℃という正確に定義された条件下で実行される。とりわけ、収率および/または反応速度は、本発明に従うSHC酵素または酵素バリアントによって式(II)で表される化合物を式(I)で表される化合物へ変換する反応を24~72時間の期間にわたり約35℃から約55℃までの温度範囲で実行することによって決定される。
【0186】
本発明のさらなる態様において、SHC酵素バリアントをコードするヌクレオチド配列を含む組換え宿主細胞は、式(I)で表される化合物を与える式(II)で表される化合物の反応において、同じ条件下で、好ましくは、考慮されるSHC酵素の活性に対して最適であると個々に定義されている条件下で、親の野生型またはバリアントSHC酵素と比較して2-、3-、4-、5-、6-、7-、8-、9-、10-、11-、12-、13-、14-、15-、16-、17-、18-、19-、20-、21-、22-、23-、24-、25-、26-、27-、28-、29-、30-、31-、32-、33-、34-、35-、36-、37-、38-、39-、40-、41-、42-、43-、44-、45-、46-、47-、48-、49-、50-、51-、52-、53-、54-、55-、56-、57-、58-、59-、60-、61-、62-、63-、64-、65-、66-、67-、68-、69-、70-、71-、72-、73-、74-、75-、76-、77-、78-、79-、80-、81-、82-、83-、84-、85-、86-、87-、88-、89-、90-、91-、92-、93-、94-、95-、96-、97-、98-、99-、100-、200-、500-、1000倍、あるいはより高い収率および/または反応速度を示すことを特徴とする。ここで条件という用語は、これに限定されないが、例として、pH、温度および可溶化剤(例として、SDS)の濃度などの反応条件に関する。
【0187】
野生型/基準SHCまたはSHCバリアントをコードするヌクレオチド配列を含むE. coliの組換え株において、式(II)で表される化合物から式(I)で表される化合物を製造する生物変換プロセスの開発の成功は、式(I)で表される化合物の産生のために、低コストおよび工業的経済性のあるプロセスを提供することができる。
【0188】
野生型/参照SHCまたはSHCバリアントをコードするヌクレオチド配列を含むE.coliの組換え株において式(II)で表される化合物から式(I)で表される化合物を製造するための生物変換プロセスの成功した開発は、式(II)で表される化合物産生への低コストかつ産業上経済的なプロセスを提示し得る。
【0189】
本明細書およびこれに続くクレームを通してずっと、文脈が別様に要さない限り、語「含む(comprise)」、ならびに「含む(comprises)」および「含む(comprising)」などのバリエーションは、定められた整数もしくはステップ、または整数もしくはステップの群を包含するが、not 排除 の いずれの他の整数もしくはステップ、または整数もしくはステップの群を排除しないことを暗示することが理解されるであろう。用語「含む(comprising)」はまた「包含する(including)」ならびに「からなる(consisting)」も意味し、例として、Xを「含む(comprising)」組成物は、専らXからなっていてもよく、または追加の何か、例としてX+Yを包含していてもよい。本明細書および添付のクレームに使用されるとき、単数形の「a」、「an」、および「the」は、別様に内容が明確に指図しない限り、複数形の指示対象を包含することにもまた、留意しなければならない。一例として、「遺伝子(a gene)」または「酵素(an enzyme)」への言及は、「1以上の遺伝子」または「1以上の酵素」への言及である。
【0190】
本明細書に記載の具体的な方法論、プロトコル、および試薬は変動するものであってもよいところ、本開示がこれらに限定されないことは理解されるべきである。また、本明細書に使用される専門用語は、具体的な態様を記載する目的のみであって、添付のクレームによってのみ限定される本開示の範囲を限定する意図はないことも理解されるべきである。別様に定義されない限り、本明細書に使用されるすべての技術的用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本開示に従い、従来の分子生物学、微生物学、および組換えDNA技法が採用されてもよく、これらは当該技術分野の技能の範囲内にある。
【0191】
本開示は、その適用において、以下の記載で表されるかまたは図面中に説明される構築物の詳細および構成要素の配置に限定されない。本開示は、他の態様も可能であって、様々な手法で実践または実行されることが可能である。また、本明細書に使用される言い回しおよび専門用語も、記載するのが目的であって、限定として見なされるべきではない。好ましくは、本明細書に使用される用語は、 “A multilingual glossary of biotechnological terms:(IUPAC Recommendations)”,Leuenberger,H.G.W,Nagel,B. and Kolbl,H.eds.(1995),Helvetica Chimica Acta,CH-4010 Basel,Switzerland)に記載のとおりに定義される。
【0192】
本明細書の本文を通して幾つかの文書を引用する。本明細書中に引用される文書の各々(すべての特許、特許出願、科学刊行物、製造業者の仕様書、指示、GenBank受託番号配列提出等々を包含する)、上述または下述にかかわらず、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0193】
本明細書に記載の例は、本開示を説明するものであって、それへの限定としては意図しない。本開示の種々の態様は、本開示に従って記載されている。多くの修飾およびバリエーションは、本開示の精神および範囲から逸脱せずに、本明細書に記載され説明されている技法に対してなされてもよい。結果的に、例は説明にすぎず、本開示の範囲を限定するものではないことは理解されるべきである。
【0194】

例1-SHC酵素の産生
SHCプラスミド調製
野生型またはバリアントのスクアレンホペンシクラーゼ(SHC)酵素をコードする遺伝子を、Escherichia coliのタンパク質産生用IPTG誘導性T7プロモーターの制御下にあるプラスミドpET-28a(+)中へ挿入した。プラスミドを、標準的な熱ショック形質転換プロトコルを使用してE.coli株BL21(DE3)に形質転換した。
【0195】
培地調製
初期設定として選んだ最小培地を350ml培養につき以下のとおりに調製した:35mlクエン酸/リン酸塩ストック(pHを6.3へ調整した、133g/l KH2PO4、40g/l (NH4)2HPO4、17g/lクエン酸.H2O)へ307ml H2Oを加え、要求に応じpHを32%NaOHで6.8へ調整した。オートクレーブ後、0.850ml 50%MgSO4、0.035ml微量元素溶液(下を見よ)、0.035mlチアミン溶液、および7ml 20%グルコースを加えた。
【0196】
微量元素溶液:脱イオン水中、50g/l Na2EDTA.2H2O、20g/l FeSO4.7H2O、3g/l H3BO3、0.9g/l MnSO4.2H2O、1.1g/l CoCl2、80g/L CuCl2、240g/l NiSO4.7H2O、100g/l KI、1.4g/l (NH4)6Mo7O24.4H2O、1g/l ZnSO4.7H2O
チアミン溶液:脱イオン水中2.25g/l チアミン.HCl
MgSO4溶液:脱イオン水中50%(w/v) MgSO4.7H2O
SHC酵素または酵素バリアントの産生(生体触媒産生)。
【0197】
小規模な生体触媒産生(野生型SHC酵素またはSHC酵素バリアント)
350ml培養(50μg/mlカナマイシンで補充された培地)に、SHC産生プラスミドを含有するE.coli株BL21(DE3)の前培養から植菌した。細胞を一定にかくはん(agitation)(250rpm)して、およそ0.5(OD650nm)の光学密度まで37℃にて成長させた。
【0198】
次いでタンパク質産生を、IPTGを300μMの濃度まで加えることによって誘導し、これに続き、一定に振動させてさらに5~6時間インキュベーションした。その結果得られたバイオマスを最終的に遠心分離によって収集し、例として50mMトリス-HCl緩衝剤(pH7.5)で、洗浄した。細胞を、さらなる使用まで、ペレットとして4℃または-20℃にて保管した。使用された培地とは無関係に、一般に2.5~4グラムの細胞(湿重量)が1リットルの培養から得られた。
【0199】
発酵槽中の生体触媒産生
発酵を750ml InforsHT反応器中で調製して行った。発酵槽へ脱イオン水を加えた。反応槽に、要求されるすべてのプローブ(pO2、pH、試料採取、抗泡)、C+N供給瓶および水酸化ナトリウム瓶を備え付け、オートクレーブした。オートクレーブ後に反応器へ以下を加える:
20ml 10×リン酸塩/クエン酸緩衝剤
14ml 50%グルコース
0.53ml MgSO4溶液
2ml (NH4)2SO4溶液
0.020ml 微量元素溶液
0.400ml チアミン溶液
0.200ml カナマイシンストック
【0200】
設定された稼働(running)パラメータは以下のとおりである:pH=6.95、pO2=40%、T=30℃、300rpmにて撹拌。カスケード:rpm定値 300にて、min 300、max 1000、流れ(l/min)定値 0.1、min 0、max 0.6。消泡制御:1:9。
【0201】
発酵槽に0.4~0.5のOD650nmまでの種培養から植菌した。この種培養をLB培地(+カナマイシン)中37℃、220rpmにて8h成長させた。発酵を最初にバッチモードで11.5h行った後、滅菌後に以下:17.5ml (NH4)2SO4溶液、1.8ml MgSO4溶液、0.018ml微量元素溶液、0.360mlチアミン溶液、0.180mlカナマイシンストックが加えられた供給溶液(滅菌グルコース溶液(143ml H2O+35gグルコース)でC+N供給を開始した。供給をおよそ4.2ml/hの一定流速にて行った。培養中のC-およびN-供給源の利用可能性を評価するためグルコースおよびNH4 +の測定を外部からした。大抵、グルコースレベルは極めて低いままである。
【0202】
培養物を合計およそ25時間成長させたが、これらは典型的には40~45のOD650nmに達していた。次いでSHC産生を、発酵槽中IPTGをおよそ1mMの濃度まで(IPTGを、注入シリンジを使用して、パルスにて、または3~4時間の期間にわたり)加えることによって開始し、温度を40℃へ、pO2を20%へ設定した。SHC産生の誘導を40℃にて16h続けた。誘導の終了時、細胞を遠心分離によって収集し、0.1Mクエン酸/クエン酸ナトリウム緩衝剤(pH5.4)で洗浄して、さらなる使用までペレットとして4℃または-20℃にて保管した。
【0203】
例2-GC分析
試料を、それら含量の基質および反応産物中の定量化のため、適切な体積のtert-ブチルメチルエーテル(MBTE/tBME)で抽出した。溶媒画分を、ガスクロマトグラフィーでの分析に先立ち水相から遠心分離によって分離した。1μlの溶媒相を30m×0.32mm×0.25μm Zebron ZB-5カラム上へ注入した(分割比10)。カラムを一定の流れ(4ml/min H2)にて、温度勾配:100℃、15℃/min~200℃、120℃/min~240℃、240℃にて4minで、展開した。吸込温度:250℃、検出器温度:250℃。これは、基質と産物のピークの分離をもたらした。
【0204】
ヒドロキシファルネシルアセトン変換は、基質と反応産物に対応するピークの面積から、以下の式で算出した。
変換(%)=100×(面積産物ピーク/(面積産物ピーク+面積基質ピーク))
【0205】
例3-SHC酵素および酵素バリアントを用いたヒドロキシファルネシルアセトン環化についてのスクリーニング
ヒドロキシファルネシルアセトン環化反応に使用するために、SHC酵素の回収を例1に概説したとおりにE. coliで産生した。反応は、ヒドロキシファルネシルアセトン1g/lおよびOD650nmが10までの細胞を含有していた。反応条件を表2に挙げられたとおりに適用した。表2に提示されているとおりのそれらの最適な反応条件下で試験したSHC酵素の性能の概要を図2に示す。
【0206】
【表2】
【0207】
試験したすべての酵素がヒドロキシファルネシルアセトンを(+)-アンバーケタールに環化することができた。野生型酵素での変換は2とおおよそ90%の間であり、図2に概説されるとおり、BmeSHCで最も高かった。ヒドロキシファルネシルアセトン環化反応は、野生型AacSHCに変異を導入した場合、図2に概説されるとおり、SHCバリアント215G2 SHC、115A7 SHC、110B8 SHC、90C7 SHC、SHC #49、SHC #65、SHC #66で観察されるように増加した。
【0208】
例4-SHC酵素でのヒドロキシファルネシルアセトン環化反応
ZmoSHC1またはBmeSHC酵素を産生した細胞で、それぞれ2g/lと8g/lのヒドロキシファルネシルアセトンを含有する反応においてヒドロキシファルネシルアセトン環化を試験した。反応はOD600nmが80までの細胞を含有していた。反応は50mMコハク酸/NaOHバッファーpH5.2中で行い、35℃で24時間インキュベートした。溶媒抽出した反応物のGC-FID分析は、基質2g/lで行われた反応においてZmoSHC1とBmeSHCで夫々52%および90%のヒドロキシファルネシルアセトン変換を示した。ヒドロキシファルネシルアセトン8g/lでの変換は、ZmoSHC1およびBmeSHCで夫々17%および79%の変換であった。
【0209】
例5-スクアレンホペンシクラーゼバリアント酵素でのヒドロキシファルネシルアセトンの環化
SHCバリアント215G2を例1に概説したとおりに産生し、ヒドロキシファルネシルアセトンの環化反応に使用した。
【0210】
典型的な反応(150g総体積)を以下のとおり、0.75リットルInfors発酵槽中でセットした。反応槽に、ヒドロキシファルネシルアセトン(0.75g、2.7mmol)をロードした。SDS1.95gを、脱イオン水で調製された31%(w/w)溶液から加えた。細胞懸濁液を、関心のあるSHCバリアントを産生しているE.coli細胞から、細胞を0.1Mコハク酸/NaOH緩衝剤(pH5.1)に懸濁することによって調製する。10℃および17210gにて10min遠心分離することによるこの細胞懸濁液の細胞湿重量濃度の決定後、適切な体積の細胞を、37.5gの細胞を反応中へ導入するため反応槽へ加えた。反応の体積を、要求量の反応緩衝剤(pH5.1)で満たすことで150gまでとした。反応を35℃、pH5.4で一定の攪拌下(700rpm)で行った。pHを、85% H3PO4を使用して5.4に設定した。要求されるとおりの85%リン酸を使用し手動でpH調節をした。反応を経時的に試料採取し(1ml)、5体積のMTBE/tBME(5ml)で抽出した。遠心分離(卓上遠心分離機、13000rpm、2min)による溶媒相の清澄化後、基質および反応の産物含量をGC分析によって決定した。
【0211】
おおよそ72時間の反応後、激しく振盪することによってMTBE100mlで5回抽出し、これに続き遠心分離(6000g、10分、室温)により相分離させた。粗抽出物をシリカゲル上で濾過し、濾液を濃縮した。残渣(2.4g)をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、n-ヘプタン中の7-70%酢酸エチルの勾配で溶出させた。これから(+)-アンバーケタール(式(I)で表される化合物、173mg、23%、微黄色固体)および(Z)-5-((5aR,9aR)-6,6,9a-トリメチルオクタヒドロベンゾ[b]オキセピン-3(2H)-イリデン)ペンタン-2-オン(式(III)で表される化合物、65mg、9%、オフホワイト固体)を単離した。
【0212】
(+)-アンバーケタールの特徴付け。[α] D 23 = +16.4° (c = 0.42、CHCl 3 )。TLC(シリカゲル、ヘプタン/EtOAc 3:2): R f = 0.54
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) 4.32 (d, J=6.8 Hz, 1 H), 3.37 (dd, J=7.1, 1.2 Hz, 1 H), 1.90 (dt, J=12.7, 3.4 Hz, 1 H), 1.82 (dd, J=13.7, 4.6 Hz, 1 H), 1.49 - 1.78 (m, 8 H), 1.43 - 1.47 (m, 1 H), 1.42 (s, 3 H), 1.10 - 1.24 (m, 3 H), 0.99 (dd, J=12.2, 2.0 Hz, 1 H), 0.90 (s, 6 H), 0.83 - 0.95 (m, 1 H), 0.82 (s, 3 H).13C-NMR (101 MHz, CDCl3): 106.0 (s), 82.6 (s), 73.5 (t), 55.7 (d), 53.3 (d), 41.8 (t), 38.7 (t), 37.3 (s), 36.2 (t), 35.9 (t), 33.6 (q), 33.1 (s), 24.3 (q), 21.7 (q), 20.0 (t), 18.3 (t), 17.4 (t), 14.6 (q).
EI-MS (70 eV): 278 (M+, <1), 263 (<1), 248 (2), 236 (4), 218 (36), 203 (19), 190 (55), 175 (43), 162 (11), 147 (24), 137 (34), 121 (42), 109 (47), 95 (34), 79 (38), 69 (36), 55 (42), 43 (100).
【0213】
(Z)-5-((5aR,9aR)-6,6,9a-トリメチルオクタヒドロベンゾ[b]オキセピン-3(2H)-イリデン)ペンタン-2-オンの特徴付け。
TLC(シリカゲル、ヘプタン/EtOAc 3:2) : Rf = 0.29
1H-NMR (600 MHz, BENZENE-d6) δ ppm 5.01 (br t, J=7.3 Hz, 1 H), 4.44 (d, J=16.6 Hz, 1 H), 4.29 (br d, J=16.2 Hz, 1 H), 2.47 (ddd, J=12.4, 7.9, 3.8 Hz, 1 H), 2.22 (ddd, J=12.7, 8.6, 4.3 Hz, 1 H), 2.08 (q, J=7.2 Hz, 2 H), ), 1.94 (t, J=1.0 Hz, 2 H), 1.73 - 1.62 (m, 3 H), 1.61 (s, 3 H), 1.49 - 1.22 (m, 4 H), 1.21-1.14 (m, 2H), 1.19 (s, 3 H), 0.87 (s, 3 H), 0.72 (s, 3 H). 13C-NMR (151 MHz, BENZENE-d6) δ ppm 205.59, 143.75, 120.82, 78.59, 62.81, 55.39, 42.97, 42.28, 41.65, 35.76, 35.38, 33.45, 29.42, 26.21, 21.56, 21.56, 20.89, 19.64.

EI-MS (70 eV): 278 (M+, <1), 260 (<1), 245 (<1), 220 (1), 141 (16), 135 (15), 123 (24), 109 (32), 95 (25), 81 (19), 69 (12), 55 (13), 43 (100).
【0214】
例5A-野生型BmeSHCでのヒドロキシファルネシルアセトンの環化反応
野生型BmeSHCを例1に概説したとおりに産生し、ヒドロキシファルネシルアセトンの環化反応に使用した。
反応(4ml容量)は、135g/lヒドロキシファルネシルアセトン、221g/l細胞(湿細胞重量)、0.09%SDS、0.2M酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液pH5.2を含有していた。反応を一定に攪拌しながら45℃でインキュベートした(650rpm,RadleysCarousel)。1つの反応が対照の役目を果たし、経時的にサンプリングし、サンプルをMTBEで抽出し、溶媒相を遠心分離(卓上遠心機、13000rpm、2分)により清澄化し、GC分析によりその基質および産物の含有量を分析した。ヒドロキシファルネシルアセトン変換は、開始後おおよそ50時間後に完了またはほぼ完了(100%)し、約920mgの(+)-アンバーケタールが見込まれた。
【0215】
プールした反応物を遠心分離した(4500g、4℃、15分)。ペレットを回収し、20mlの脱イオン水で3回洗浄し(激しく振盪+遠心分離)、水相を廃棄した。ペレットを最終的に15ml脱イオン水に再懸濁し、15-20mlMTBEで3回抽出した(激しく振盪+遠心分離)。有機相を収集し、(+)-アンバーケタールの含有量を分析した。プールした有機相を濾過し(シリカゲル)、窒素流下で溶媒を蒸発させ、おおよそ720mgの乾燥結晶性粉末を得た。残渣(720mg)を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、n-ヘプタン中の6~50%のMTBEの勾配で溶出した。純粋な(+)-アンバーケタールを含有する画分をプールし、溶媒を蒸発させた。560mg(+)-アンバーケタール(式(I)で表される化合物)を単離した(おおよそ61%の収率)。
【0216】
(+)-アンバーケタールの特徴付け。[α] D 25 =+22.6°(c=0.94、CHCl 3 ).TLC(シリカゲル、n-ヘプタン/MTBE3:1):R f =0.55。NMR:分光データは、例5において示したデータと一致した。
【0217】
例6-ヒドロキシファルネシルアセトン(図1も参照)
1a)(E)-6,10-ジメチル-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)ウンデカ-5,9-ジエン-2-オン(4)の調製:1Lオートクレーブ中のエタノール(600mL)中のエチル4-(ベンジルオキシ)-3-オキソブタノアート(1、60g、0.25mol、1当量)の溶液に、窒素下で炭素上のパラジウム10%(6.0g、10%w/w)を分割して加え、3atm水素下で12時間攪拌した。反応混合物をセライト床を通してろ過し、ジクロロメタン/エタノール1:1の混合物で洗浄した。濾物を真空下で蒸発させ、淡黄色の残渣を得て、これをジクロロメタン(600mL)に溶解させた。本溶液に3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(42.7g、0.51mol、2当量)およびPPTS(6.3g、0.025mol;0.1当量)を加え、混合物を室温で16時間撹拌し、次いで水(500mL)を加え、これに続きジクロロメタン(2×200mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、および真空下で濃縮して粗生成物を得て、これを石油エーテル中の酢酸エチル(5~8%)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで精製して、(E)-5,9-ジメチル-2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)アセチル)デカ-4,8-ジエノアートを淡黄色液体として得た(45g、77%)。
【0218】
この産物(44g、0.19mol、1.0当量)をTHF(440mL)に溶解させ、炭酸カリウム(31.6g、0.23mol、1.2当量)を加えた。この懸濁液を室温で1時間撹拌し、次いで、(E)-1-ブロモ-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン(ゲラニルブロミド、37.3g、0.172mol、0.9当量)を0℃で加え、この混合物を室温で16時間撹拌させた。混合物を濾過し、濾過ケーキをジクロロメタンで洗浄した。濾物を真空下で濃縮し、エチル(E)-5,9-ジメチル-2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)アセチル)デカ-4,8-ジエノアート(3、70g)を得て、これをエタノール(500mL)中に溶解させた。水(100mL)中のKOH(35g)の溶液を加え、混合物を2時間にわたって80℃に加熱した。溶液を真空下で濃縮して残渣を得て、これをジクロロメタン(1L)に溶解し、水(2×200mL)およびブラインで洗浄した。有機層をNa2SO4上で乾燥し、真空下で濃縮して粗油を得て、これを、石油エーテル中5~8%の酢酸エチルを使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製して、(E)-6,10-ジメチル-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)ウンデカ-5,9-ジエン-2-オン(4、20g、36%)を淡黄色液体として得ることができた。
【0219】
1b) (3-(2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)プロピル)トリフェニルホスホニウムヨージド(8)の調製
トルエン(200mL)中の5-ヨードペンタン-2-オン(45g、0.21mol、1当量)の溶液に、トリフェニルホスフィン(66.8g、0.25mol、1.2当量)を加えた。混合物を120℃で16時間撹拌し、次いで室温まで冷却したところ、固体が析出され、これを濾過し、ジエチルエーテル(100mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、4-オキソペンチル)トリフェニルホスホニウムヨージド(90g、90%)を淡褐色固体として得た。この産物(40g、0.10mol、1当量)をトルエン(400mL)に懸濁し、エチレングリコール(80mL)およびp-トルエンスルホン酸(1g、0.0167mol、0.16当量)を加え、装置にDean-Starkコンデンサを備えた。混合物を130℃まで12時間加熱し、次いで室温まで冷却し、トルエン層をデカントした。残存するゴム状残渣をジクロロメタン(500mL)に溶解し、水(500mL)およびブライン(200mL)で洗浄した。
有機層をNa2SO4上で乾燥し、真空下で濃縮して、(3-(2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)プロピル)トリフェニルホスホニウムヨージド(8、43g、80%)を淡褐色固体として得た。
【0220】
1c)ヒドロキシファルネシルアセトンの調製: THF(150mL)中の(3-(2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)プロピル)トリフェニルホスホニウムヨージド(52.8g、0.10mol、2当量)の懸濁液を-78℃で冷却してからヘキサン中の1.6Mn-BuLi(63.8mL、0.10mol、2当量)を添加した。混合物を室温で30分間撹拌したところ、オレンジイエローの懸濁液が形成され、これを再度-78℃に冷却した。THF(20mL)中の(E)-6,10-ジメチル-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)ウンデカ-5,9-ジエン-2-オン(4,15g、0.05mol、1当量)の溶液を滴下して加え、室温で2時間攪拌を継続した。この間、反応混合物は黄色の懸濁液に変化した。反応混合物を氷水(100mL)でクエンチし、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。有機層をNa2SO4で乾燥し、真空下で濃縮して粗生成物を得て、これをヘキサン(4×50mL)でトリチュレートし、沈殿したトリフェニルホスフィンオキシドを濾過によって除去した。真空中で溶媒を除去した後、2-(((2Z,5E)-6,10-ジメチル-2-(3-(2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)プロピリデン)ウンデカ-5,9-ジエン-1-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン(9、22g)が淡黄色液体として得られ、1H-NMRに従って、これはまだ微量のトリフェニルホスフィンオキシドが含有されていた。
【0221】
産物(22g、0.05mol、1当量)をアセトン(200mL)に溶解し、0℃で1.5N塩酸-水溶液(220mL)を加えた。溶液を室温で16時間撹拌し、次いで水(50mL)を加え、混合物をジエチルエーテル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、真空下で濃縮して粗油を得、これを石油エーテル中の10~15%酢酸エチルで溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製して、(5Z,9E)-6-(ヒドロキシメチル)-10,14-ジメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オン(ヒドロキシファルネシルアセトン、7.5g、GC/MSによる純度81%)を得て、これから、85℃/1mm/Hgで蒸留することにより揮発性不純物を除去した。残渣(5.8g)を、石油エーテル中の10~15%酢酸エチルで溶出するシリカゲル上の第2のカラムクロマトグラフィーに供して、ヒドロキシファルネシルアセトン(2.8g、19%)を淡黄色液体として得た。
13C-NMR (d6-DMSO, 100 MHz): 208.4 (s), 140.2 (s), 134.7 (s), 131.1 (s), 125.0 (d), 124.6 (d), 124.6 (d), 58.5 (t), 43.6 (t), 39.7 (2t), 35.0 (t), 30.1 (q), 26.7 (t), 25.9 (q), 21.9 (t), 18.0 (q), 16.2 (q).
【0222】
配列表
配列番号1(野生型Alicyclobacillus acidocaldarius SHC (AacSHC)のアミノ酸配列)
MAEQLVEAPAYARTLDRAVEYLLSCQKDEGYWWGPLLSNVTMEAEYVLLCHILDRVDRDRMEKIRRYLLHEQREDGTWALYPGGPPDLDTTIEAYVALKYIGMSRDEEPMQKALRFIQSQGGIESSRVFTRMWLALVGEYPWEKVPMVPPEIMFLGKRMPLNIYEFGSWARATVVALSIVMSRQPVFPLPERARVPELYETDVPPRRRGAKGGGGWIFDALDRALHGYQKLSVHPFRRAAEIRALDWLLERQAGDGSWGGIQPPWFYALIALKILDMTQHPAFIKGWEGLELYGVELDYGGWMFQASISPVWDTGLAVLALRAAGLPADHDRLVKAGEWLLDRQITVPGDWAVKRPNLKPGGFAFQFDNVYYPDVDDTAVVVWALNTLRLPDERRRRDAMTKGFRWIVGMQSSNGGWGAYDVDNTSDLPNHIPFCDFGEVTDPPSEDVTAHVLECFGSFGYDDAWKVIRRAVEYLKREQKPDGSWFGRWGVNYLYGTGAVVSALKAVGIDTREPYIQKALDWVEQHQNPDGGWGEDCRSYEDPAYAGKGASTPSQTAWALMALIAGGRAESEAARRGVQYLVETQRPDGGWDEPYYTGTGFPGDFYLGYTMYRHVFPTLALGRYKQAIERR
【0223】
配列番号2(野生型AacSHCをコードするヌクレオチド配列)
ATGGCTGAGCAGTTGGTGGAAGCGCCGGCCTACGCGCGGACGCTGGATCGCGCGGTGGAGTATCTCCTCTCCTGCCAAAAGGACGAAGGCTACTGGTGGGGGCCGCTTCTGAGCAACGTCACGATGGAAGCGGAGTACGTCCTCTTGTGCCACATTCTCGATCGCGTCGATCGGGATCGCATGGAGAAGATCCGGCGGTACCTGTTGCACGAGCAGCGCGAGGACGGCACGTGGGCCCTGTACCCGGGTGGGCCGCCGGACCTCGACACGACCATCGAGGCGTACGTCGCGCTCAAGTATATCGGCATGTCGCGCGACGAGGAGCCGATGCAGAAGGCGCTCCGGTTCATTCAGAGCCAGGGCGGGATCGAGTCGTCGCGCGTGTTCACGCGGATGTGGCTGGCGCTGGTGGGAGAATATCCGTGGGAGAAGGTGCCCATGGTCCCGCCGGAGATCATGTTCCTCGGCAAGCGCATGCCGCTCAACATCTACGAGTTTGGCTCGTGGGCTCGGGCGACCGTCGTGGCGCTCTCGATTGTGATGAGCCGCCAGCCGGTGTTCCCGCTGCCCGAGCGGGCGCGCGTGCCCGAGCTGTACGAGACCGACGTGCCTCCGCGCCGGCGCGGTGCCAAGGGAGGGGGTGGGTGGATCTTCGACGCGCTCGACCGGGCGCTGCACGGGTATCAGAAGCTGTCGGTGCACCCGTTCCGCCGCGCGGCCGAGATCCGCGCCTTGGACTGGTTGCTCGAGCGCCAGGCCGGAGACGGCAGCTGGGGCGGGATTCAGCCGCCTTGGTTTTACGCGCTCATCGCGCTCAAGATTCTCGACATGACGCAGCATCCGGCGTTCATCAAGGGCTGGGAAGGTCTAGAGCTGTACGGCGTGGAGCTGGATTACGGAGGATGGATGTTTCAGGCTTCCATCTCGCCGGTGTGGGACACGGGCCTCGCCGTGCTCGCGCTGCGCGCTGCGGGGCTTCCGGCCGATCACGACCGCTTGGTCAAGGCGGGCGAGTGGCTGTTGGACCGGCAGATCACGGTTCCGGGCGACTGGGCGGTGAAGCGCCCGAACCTCAAGCCGGGCGGGTTCGCGTTCCAGTTCGACAACGTGTACTACCCGGACGTGGACGACACGGCCGTCGTGGTGTGGGCGCTCAACACCCTGCGCTTGCCGGACGAGCGCCGCAGGCGGGACGCCATGACGAAGGGATTCCGCTGGATTGTCGGCATGCAGAGCTCGAACGGCGGTTGGGGCGCCTACGACGTCGACAACACGAGCGATCTCCCGAACCACATCCCGTTCTGCGACTTCGGCGAAGTGACCGATCCGCCGTCAGAGGACGTCACCGCCCACGTGCTCGAGTGTTTCGGCAGCTTCGGGTACGATGACGCCTGGAAGGTCATCCGGCGCGCGGTGGAATATCTCAAGCGGGAGCAGAAGCCGGACGGCAGCTGGTTCGGTCGTTGGGGCGTCAATTACCTCTACGGCACGGGCGCGGTGGTGTCGGCGCTGAAGGCGGTCGGGATCGACACGCGCGAGCCGTACATTCAAAAGGCGCTCGACTGGGTCGAGCAGCATCAGAACCCGGACGGCGGCTGGGGCGAGGACTGCCGCTCGTACGAGGATCCGGCGTACGCGGGTAAGGGCGCGAGCACCCCGTCGCAGACGGCCTGGGCGCTGATGGCGCTCATCGCGGGCGGCAGGGCGGAGTCCGAGGCCGCGCGCCGCGGCGTGCAATACCTCGTGGAGACGCAGCGCCCGGACGGCGGCTGGGATGAGCCGTACTACACCGGCACGGGCTTCCCAGGGGATTTCTACCTCGGCTACACCATGTACCGCCACGTGTTTCCGACGCTCGCGCTCGGCCGCTACAAGCAAGCCATCGAGCGCAGGTGA
【0224】
配列番号3(AacSHC酵素バリアント#65のアミノ酸配列)
MAEQLVEAPAYARTLDRAVEYLLSCQKDEGYWWGPLLSNVTMEAEYVLLCHILDRVDRDRMEKIRRYLLHEQREDGTWALYPGGPPDLDTTIEAYVALKYIGMSRDEEPMQKALRFIQSQGGIESSRVFTRRWLALVGEYPWEKVPMVPPEIMFLGKRMPLNIYEFGSWARATVVALSIVMSRQPVFPLPERARVPELYETDVPPRRRGAKGGGGWIFDALDRVLHGYQKLSVHPFRRAAEIRALDWLLERQAGDGSWGGIQPPWFYALIALKILDMTQHPAFIKGWEGLELYGVELDYGGWMFQASISPVWDTGLAVLALRAAGLPADHDRLVKAGEWLLDRQITVPGDWAVKRPNLKPGGFAFQFDNVYYPDVDDTAVVVWALNTLRLPDERRRRDAMTKGFRWIVGMQSSNGGWGAYDVDNTSDLPNHTPFCDFGEVTDPPSEDVTAHVLECFGSFGYDDAWKVIRRAVEYLKREQKPDGSWFGRWGVNYLYGTGAVVSALKAVGIDTREPYIQKALDWVEQHQNPDGGWGEDCRSYEDPAYAGKGASTPSQTTWALMALIAGGRAESEAARRGVQYLVETQRPDGGWDEPYYTGTGFPGDFYLGYTMYSHVFPTLALGRYKQAIERR
【0225】
配列番号4(SHC酵素バリアント#65をコードするヌクレオチド配列)
ATGGCTGAGCAGTTGGTGGAAGCTCCGGCCTACGCGCGGACGCTGGATCGCGCGGTGGAGTATCTCCTCTCCTGCCAAAAGGACGAAGGCTACTGGTGGGGGCCGCTTCTGAGCAACGTCACGATGGAAGCGGAGTACGTCCTCTTGTGCCACATTCTCGATCGCGTCGATCGGGATCGCATGGAGAAGATCCGGCGGTACCTGTTGCACGAGCAGCGCGAGGACGGCACGTGGGCCCTGTACCCGGGTGGGCCGCCGGACCTCGACACGACCATCGAGGCGTACGTCGCGCTCAAGTATATCGGCATGTCGCGCGACGAGGAGCCGATGCAGAAGGCGCTCCGGTTCATTCAGAGCCAGGGCGGGATCGAGTCGTCGCGCGTGTTCACGCGGAGGTGGCTGGCGCTGGTGGGAGAATATCCGTGGGAGAAGGTGCCCATGGTCCCGCCGGAGATCATGTTCCTCGGCAAGCGCATGCCGCTCAACATCTACGAGTTTGGCTCGTGGGCTCGGGCGACCGTCGTGGCGCTCTCGATTGTGATGAGCCGCCAGCCGGTGTTCCCGCTGCCCGAGCGGGCGCGCGTGCCCGAGCTGTACGAGACCGACGTGCCTCCGCGCCGGCGCGGTGCCAAGGGAGGGGGTGGGTGGATCTTCGACGCGCTCGACCGGGTGCTGCACGGGTATCAGAAGCTGTCGGTGCACCCGTTCCGCCGCGCGGCCGAGATCCGCGCCTTGGACTGGTTGCTCGAGCGCCAGGCCGGAGACGGCAGCTGGGGCGGGATTCAGCCGCCTTGGTTTTACGCGCTCATCGCGCTCAAGATTCTCGACATGACGCAGCATCCGGCGTTCATCAAGGGCTGGGAAGGTCTAGAGCTGTACGGCGTGGAGCTGGATTACGGAGGATGGATGTTTCAGGCTTCCATCTCGCCGGTGTGGGACACGGGCCTCGCCGTGCTCGCGCTGCGCGCTGCGGGGCTTCCGGCCGATCACGACCGCTTGGTCAAGGCGGGCGAGTGGCTGTTGGACCGGCAGATCACGGTTCCGGGCGACTGGGCGGTGAAGCGCCCGAACCTCAAGCCGGGCGGGTTCGCGTTCCAGTTCGACAACGTGTACTACCCGGACGTGGACGACACGGCCGTCGTGGTGTGGGCGCTCAACACCCTGCGCTTGCCGGACGAGCGCCGCAGGCGGGACGCCATGACGAAGGGATTCCGCTGGATTGTCGGCATGCAGAGCTCGAACGGCGGTTGGGGCGCCTACGACGTCGACAACACGAGCGATCTCCCGAACCACACCCCGTTCTGCGACTTCGGCGAAGTGACCGATCCGCCGTCAGAGGACGTCACCGCCCACGTGCTCGAGTGTTTCGGCAGCTTCGGGTACGATGACGCCTGGAAGGTCATCCGGCGCGCGGTGGAATATCTCAAGCGGGAGCAGAAGCCGGACGGCAGCTGGTTCGGTCGTTGGGGCGTCAATTACCTCTACGGCACGGGCGCGGTGGTGTCGGCGCTGAAGGCGGTCGGGATCGACACGCGCGAGCCGTACATTCAAAAGGCGCTCGACTGGGTCGAGCAGCATCAGAACCCGGACGGCGGCTGGGGCGAGGACTGCCGCTCGTACGAGGATCCGGCGTACGCGGGTAAGGGCGCGAGCACCCCGTCGCAGACGACCTGGGCGCTGATGGCGCTCATCGCGGGCGGCAGGGCGGAGTCCGAGGCCGCGCGCCGCGGCGTGCAATACCTCGTGGAGACGCAGCGCCCGGACGGCGGCTGGGATGAGCCGTACTACACCGGCACGGGCTTCCCAGGGGATTTCTACCTCGGCTACACCATGTACAGCCACGTGTTTCCGACGCTCGCGCTCGGCCGCTACAAGCAAGCCATCGAGCGCAGGTGA
【0226】
配列番号5(AacSHC酵素バリアント#66のアミノ酸配列)
MAEQLVEAPAYARTLDRAVEYLLSCQKDEGYWWGPLLSNVTMEAEYVLLCHILDRVDRDRMEKIRRYLLHEQREDGTWALHPGGPPDLDTTIEAYVALKYIGMSRDEEPMQKALRFIQSQGGIESSRVFTRRWLALVGEYPWEKVPMVPPEIMFLGKRMPLNIYEFGSWARATVVALSIVMSRQPVFPLPERARVPELYETDVPPRRRGAKGGGGWIFDALDRVLHGYQKLSVHPFRRAAEIRALDWLLERQAGDGSWGGIQPPWFYALIALKILDMTQHPAFIKGWEGLELYGVELDYGGWMFQASISPVWDTGLAVLALRAAGLPADHDRLVKAGEWLLDRQITVPGDWAVKRPNLKPGGFAFQFDNVYYPDVDDTAVVVWALNTLRLPDERRRRDAMTKGFRWIVGMQSSNGGWGAYDVDNTSDLPNHTPFCDFGEVTDPPSEDVTAHVLECFGSFGYDDAWKVIRRAVEYLKREQKPDGSWFGRWGVNYLYGTGAVVSALKAVGIDTREPYIQKALDWVEQHQNPDGGWGEDCRSYEDPAYAGKGASTPSQTTWALMALIAGGRAESEAARRGVQYLVETQRPDGGWDEPYYTGTGFPGDFYLGYTMYSHVFPTLALGRYKQAIERR
【0227】
配列番号6(SHC酵素バリアント#66をコードするヌクレオチド配列)
ATGGCTGAGCAGTTGGTGGAAGCTCCGGCCTACGCGCGGACGCTGGATCGCGCGGTGGAGTATCTCCTCTCCTGCCAAAAGGACGAAGGCTACTGGTGGGGGCCGCTTCTGAGCAACGTCACGATGGAAGCGGAGTACGTCCTCTTGTGCCACATTCTCGATCGCGTCGATCGGGATCGCATGGAGAAGATCCGGCGGTACCTGTTGCACGAGCAGCGCGAGGACGGCACGTGGGCCCTGCACCCGGGTGGGCCGCCGGACCTCGACACGACCATCGAGGCGTACGTCGCGCTCAAGTATATCGGCATGTCGCGCGACGAGGAGCCGATGCAGAAGGCGCTCCGGTTCATTCAGAGCCAGGGCGGGATCGAGTCGTCGCGCGTGTTCACGCGGAGGTGGCTGGCGCTGGTGGGAGAATATCCGTGGGAGAAGGTGCCCATGGTCCCGCCGGAGATCATGTTCCTCGGCAAGCGCATGCCGCTCAACATCTACGAGTTTGGCTCGTGGGCTCGGGCGACCGTCGTGGCGCTCTCGATTGTGATGAGCCGCCAGCCGGTGTTCCCGCTGCCCGAGCGGGCGCGCGTGCCCGAGCTGTACGAGACCGACGTGCCTCCGCGCCGGCGCGGTGCCAAGGGAGGGGGTGGGTGGATCTTCGACGCGCTCGACCGGGTGCTGCACGGGTATCAGAAGCTGTCGGTGCACCCGTTCCGCCGCGCGGCCGAGATCCGCGCCTTGGACTGGTTGCTCGAGCGCCAGGCCGGAGACGGCAGCTGGGGCGGGATTCAGCCGCCTTGGTTTTACGCGCTCATCGCGCTCAAGATTCTCGACATGACGCAGCATCCGGCGTTCATCAAGGGCTGGGAAGGTCTAGAGCTGTACGGCGTGGAGCTGGATTACGGAGGATGGATGTTTCAGGCTTCCATCTCGCCGGTGTGGGACACGGGCCTCGCCGTGCTCGCGCTGCGCGCTGCGGGGCTTCCGGCCGATCACGACCGCTTGGTCAAGGCGGGCGAGTGGCTGTTGGACCGGCAGATCACGGTTCCGGGCGACTGGGCGGTGAAGCGCCCGAACCTCAAGCCGGGCGGGTTCGCGTTCCAGTTCGACAACGTGTACTACCCGGACGTGGACGACACGGCCGTCGTGGTGTGGGCGCTCAACACCCTGCGCTTGCCGGACGAGCGCCGCAGGCGGGACGCCATGACGAAGGGATTCCGCTGGATTGTCGGCATGCAGAGCTCGAACGGCGGTTGGGGCGCCTACGACGTCGACAACACGAGCGATCTCCCGAACCACACCCCGTTCTGCGACTTCGGCGAAGTGACCGATCCGCCGTCAGAGGACGTCACCGCCCACGTGCTCGAGTGTTTCGGCAGCTTCGGGTACGATGACGCCTGGAAGGTCATCCGGCGCGCGGTGGAATATCTCAAGCGGGAGCAGAAGCCGGACGGCAGCTGGTTCGGTCGTTGGGGCGTCAATTACCTCTACGGCACGGGCGCGGTGGTGTCGGCGCTGAAGGCGGTCGGGATCGACACGCGCGAGCCGTACATTCAAAAGGCGCTCGACTGGGTCGAGCAGCATCAGAACCCGGACGGCGGCTGGGGCGAGGACTGCCGCTCGTACGAGGATCCGGCGTACGCGGGTAAGGGCGCGAGCACCCCGTCGCAGACGACCTGGGCGCTGATGGCGCTCATCGCGGGCGGCAGGGCGGAGTCCGAGGCCGCGCGCCGCGGCGTGCAATACCTCGTGGAGACGCAGCGCCCGGACGGCGGCTGGGATGAGCCGTACTACACCGGCACGGGCTTCCCAGGGGATTTCTACCTCGGCTACACCATGTACAGCCACGTGTTTCCGACGCTCGCGCTCGGCCGCTACAAGCAAGCCATCGAGCGCAGGTGA
【0228】
配列番号7(AacSHC酵素バリアント#90C7のアミノ酸配列)
MAEQLVEAPAYARTLDRAVEYLLSCQKDEGYWWGPLLSNVTMEAEYVLLCHILDRVDRDRMEKIRRYLLHEQREDGTWALYPGGPPDLDATIEAYVALKYIGMSRDEEPMQKALRFIQSQGGIESSRVFTRRWLALVGEYPWEKVPMVPPEIMFLGKRMPLNIYEFGSWARATVVALSIVMSRQPVFPLPERARVPELYETDVPPRRRGAKGGGGWIFDALDRVLHGYQKLSVHPFRRAAEIRALDWLLERQAGDGSWGGIQPPWFYALIALKILDMTQHPAFIKGWEGLELYGVELDYGGWMFQASISPVWDTGLAVLALRAAGLPADHDRLVKAGEWLLDRQITVPGDWAVKRPNLKPGGFAFQFDNVYYPDVDDTAVVVWALNTLRLPDERRRRDAMTKGFRWIVGMQSSNGGWGAYDVDNTSDLPNHTPFCDFGEVTDPPSEDVTAHVLECFGSFGYDDAWKVIRRAVEYLKREQKPDGSWFGRWGVNYLYGTGAVVSALKAVGIDTREPYIQKALDWVEQHQNPDGGWGEDCRSYEDPAYAGKGASTPSQTAWALMALIAGGRAESEAARRGVQYLVETQRPDGGWDEPYYTGTGFPGDFYLGYTMYSHVFPTLALGRYKQAIERR
【0229】
配列番号8(SHCバリアント#90C7をコードするヌクレオチド配列)
ATGGCTGAGCAGTTGGTGGAAGCTCCGGCCTACGCGCGGACGCTGGATCGCGCGGTGGAGTATCTCCTCTCCTGCCAAAAGGACGAAGGCTACTGGTGGGGGCCGCTTCTGAGCAACGTCACGATGGAAGCGGAGTACGTCCTCTTGTGCCACATTCTCGATCGCGTCGATCGGGATCGCATGGAGAAGATCCGGCGGTACCTGTTGCACGAGCAGCGCGAGGACGGCACGTGGGCCCTGTACCCGGGTGGGCCGCCGGACCTCGACGCGACCATCGAGGCGTACGTCGCGCTCAAGTATATCGGCATGTCGCGCGACGAGGAGCCGATGCAGAAGGCGCTCCGGTTCATTCAGAGCCAGGGCGGGATCGAGTCGTCGCGCGTGTTCACGCGGAGGTGGCTGGCGCTGGTGGGAGAATATCCGTGGGAGAAGGTGCCCATGGTCCCGCCGGAGATCATGTTCCTCGGCAAGCGCATGCCGCTCAACATCTACGAGTTTGGCTCGTGGGCTCGGGCGACCGTCGTGGCGCTCTCGATTGTGATGAGCCGCCAGCCGGTGTTCCCGCTGCCCGAGCGGGCGCGCGTGCCCGAGCTGTACGAGACCGACGTGCCTCCGCGCCGGCGCGGTGCCAAGGGAGGGGGTGGGTGGATCTTCGACGCGCTCGACCGGGTGCTGCACGGGTATCAGAAGCTGTCGGTGCACCCGTTCCGCCGCGCGGCCGAGATCCGCGCCTTGGACTGGTTGCTCGAGCGCCAGGCCGGAGACGGCAGCTGGGGCGGGATTCAGCCGCCTTGGTTTTACGCGCTCATCGCGCTCAAGATTCTCGACATGACGCAGCATCCGGCGTTCATCAAGGGCTGGGAAGGTCTAGAGCTGTACGGCGTGGAGCTGGATTACGGAGGATGGATGTTTCAGGCTTCCATCTCGCCGGTGTGGGACACGGGCCTCGCCGTGCTCGCGCTGCGCGCTGCGGGGCTTCCGGCCGATCACGACCGCTTGGTCAAGGCGGGCGAGTGGCTGTTGGACCGGCAGATCACGGTTCCGGGCGACTGGGCGGTGAAGCGCCCGAACCTCAAGCCGGGCGGGTTCGCGTTCCAGTTCGACAACGTGTACTACCCGGACGTGGACGACACGGCCGTCGTGGTGTGGGCGCTCAACACCCTGCGCTTGCCGGACGAGCGCCGCAGGCGGGACGCCATGACGAAGGGATTCCGCTGGATTGTCGGCATGCAGAGCTCGAACGGCGGTTGGGGCGCCTACGACGTCGACAACACGAGCGATCTCCCGAACCACACCCCGTTCTGCGACTTCGGCGAAGTGACCGATCCGCCGTCAGAGGACGTCACCGCCCACGTGCTCGAGTGTTTCGGCAGCTTCGGGTACGATGACGCCTGGAAGGTCATCCGGCGCGCGGTGGAATATCTCAAGCGGGAGCAGAAGCCGGACGGCAGCTGGTTCGGTCGTTGGGGCGTCAATTACCTCTACGGCACGGGCGCGGTGGTGTCGGCGCTGAAGGCGGTCGGGATCGACACGCGCGAGCCGTACATTCAAAAGGCGCTCGACTGGGTCGAGCAGCATCAGAACCCGGACGGCGGCTGGGGCGAGGACTGCCGCTCGTACGAGGATCCGGCGTACGCGGGTAAGGGCGCGAGCACCCCGTCGCAGACGGCCTGGGCGCTGATGGCGCTCATCGCGGGCGGCAGGGCGGAGTCCGAGGCCGCGCGCCGCGGCGTGCAATACCTCGTGGAGACGCAGCGCCCGGACGGCGGCTGGGATGAGCCGTACTACACCGGCACGGGCTTCCCAGGGGATTTCTACCTCGGCTACACCATGTACAGCCACGTGTTTCCGACGCTCGCGCTCGGCCGCTACAAGCAAGCCATCGAGCGCAGGTGA
【0230】
配列番号9(AacSHC酵素バリアント#110B8のアミノ酸配列)
MAEQLVEAPAYARTLDRAVEYLLSCQKDEGYWWGPLLSNVTMEAEYVLLCHILDRVDRDRMEKIRRYLLHEQREDGTWALHPGGPPDLDTTIEAYVALKYIGMSRDEEPMQKALRFIQSQGGIESSRVFTRRWLALVGEYPWEKVPMVPPEIMFLGKRMPLNIYEFGSWARATVVALSIVMSRQPVFPLPERARVPELYETDVPPRRRGAKGGGGWIFDALDRVLHGYQKLSVHPFRRAAEIRALDWLLERQAGDGSWGGIQPPWFYALIALKILDMTQHPAFIKGWEGLELYGVELDYGGWMFQASISPVWDTGLAVLALRAAGLPADHDRLVKAGEWLLDRQITVPGDWAVKRPNLKPGGFAFQFDNVYYPDVDDTAVVVWALNTLRLPDERRRRDAMTKGFRWIVGMQSSNGGWGAYDVDNTSDLPNLTPFCDFGEVTDPPSEDVTAHVLECFGSFGYDDAWKVIRRAVEYLKREQKPDGSWFGRWGVNYLYGTGAVVSALKAVGIDTREPYIQKALDWVEQHQNPDGGWGEDCRSYEDPAYAGKGASTPSQTTWALMALIAGGRAESEAARRGVQYLVETQRPDGGWDEPYYTGTGFPGDFYLGYTMYRHVFPTLALGRYKQAIERR
【0231】
配列番号10(SHC酵素バリアント#110B8をコードするヌクレオチド配列)
ATGGCTGAGCAGTTGGTGGAAGCTCCGGCCTACGCGCGGACGCTGGATCGCGCGGTGGAGTATCTCCTCTCCTGCCAAAAGGACGAAGGCTACTGGTGGGGGCCGCTTCTGAGCAACGTCACGATGGAAGCGGAGTACGTCCTCTTGTGCCACATTCTCGATCGCGTCGATCGGGATCGCATGGAGAAGATCCGGCGGTACCTGTTGCACGAGCAGCGCGAGGACGGCACGTGGGCCCTGCACCCGGGTGGGCCGCCGGACCTCGACACGACCATCGAGGCGTACGTCGCGCTCAAGTATATCGGCATGTCGCGCGACGAGGAGCCGATGCAGAAGGCGCTCCGGTTCATTCAGAGCCAGGGCGGGATCGAGTCGTCGCGCGTGTTCACGCGGAGGTGGCTGGCGCTGGTGGGAGAATATCCGTGGGAGAAGGTGCCCATGGTCCCGCCGGAGATCATGTTCCTCGGCAAGCGCATGCCGCTCAACATCTACGAGTTTGGCTCGTGGGCTCGGGCGACCGTCGTGGCGCTCTCGATTGTGATGAGCCGCCAGCCGGTGTTCCCGCTGCCCGAGCGGGCGCGCGTGCCCGAGCTGTACGAGACCGACGTGCCTCCGCGCCGGCGCGGTGCCAAGGGAGGGGGTGGGTGGATCTTCGACGCGCTCGACCGGGTGCTGCACGGGTATCAGAAGCTGTCGGTGCACCCGTTCCGCCGCGCGGCCGAGATCCGCGCCTTGGACTGGTTGCTCGAGCGCCAGGCCGGAGACGGCAGCTGGGGCGGGATTCAGCCGCCTTGGTTTTACGCGCTCATCGCGCTCAAGATTCTCGACATGACGCAGCATCCGGCGTTCATCAAGGGCTGGGAAGGTCTAGAGCTGTACGGCGTGGAGCTGGATTACGGAGGATGGATGTTTCAGGCTTCCATCTCGCCGGTGTGGGACACGGGCCTCGCCGTGCTCGCGCTGCGCGCTGCGGGGCTTCCGGCCGATCACGACCGCTTGGTCAAGGCGGGCGAGTGGCTGTTGGACCGGCAGATCACGGTTCCGGGCGACTGGGCGGTGAAGCGCCCGAACCTCAAGCCGGGCGGGTTCGCGTTCCAGTTCGACAACGTGTACTACCCGGACGTGGACGACACGGCCGTCGTGGTGTGGGCGCTCAACACCCTGCGCTTGCCGGACGAGCGCCGCAGGCGGGACGCCATGACGAAGGGATTCCGCTGGATTGTCGGCATGCAGAGCTCGAACGGCGGTTGGGGCGCCTACGACGTCGACAACACGAGCGATCTCCCGAACCTCACCCCGTTCTGCGACTTCGGCGAAGTGACCGATCCGCCGTCAGAGGACGTCACCGCCCACGTGCTCGAGTGTTTCGGCAGCTTCGGGTACGATGACGCCTGGAAGGTCATCCGGCGCGCGGTGGAATATCTCAAGCGGGAGCAGAAGCCGGACGGCAGCTGGTTCGGTCGTTGGGGCGTCAATTACCTCTACGGCACGGGCGCGGTGGTGTCGGCGCTGAAGGCGGTCGGGATCGACACGCGCGAGCCGTACATTCAAAAGGCGCTCGACTGGGTCGAGCAGCATCAGAACCCGGACGGCGGCTGGGGCGAGGACTGCCGCTCGTACGAGGATCCGGCGTACGCGGGTAAGGGCGCGAGCACCCCGTCGCAGACGACCTGGGCGCTGATGGCGCTCATCGCGGGCGGCAGGGCGGAGTCCGAGGCCGCGCGCCGCGGCGTGCAATACCTCGTGGAGACGCAGCGCCCGGACGGCGGCTGGGATGAGCCGTACTACACCGGCACGGGCTTCCCAGGGGATTTCTACCTCGGCTACACCATGTACCGCCACGTGTTTCCGACGCTCGCGCTCGGCCGCTACAAGCAAGCCATCGAGCGCAGGTGA
【0232】
配列番号11(AacSHC酵素バリアント#115A7のアミノ酸配列)
MAEQLVEAPAYARTLDRAVEYLLSCQKDEGYWWGPLLSNVTMEAEYVLLCHILDRVDRDRMEKIRRYLLHEQREDGTWALYPGGPPDLDTTIEAYVALKYIGMSRDEEPMQKALRFIQSQGGIESSRVFTRRWLALVGEYPWEKVPMVPPEIMFLGKRMPLNIYEFGSWARTTVVALSIVMSRQPVFPLPERARVPELYETDVPPRRRGAKGGGGWIFDALDRVLHGYQKLSVHPFRRAAEIRALDWLLERQAGDGSWGGIQPPWFYALIALKILDKTQHPAFIKGWEGLELYGVELDYGGWMFQASISPVWDTGLAVLALRAAGLPADHDRLVKAGEWLLDRQITVPGDWAVKRPNLKPGGFAFQFDNVYYPDVDDTAVVVWALNTLRLPDERRRRDAMTKGFRWIVGMQSSNGGWGAYDVDNTSDLPNHTPFCDFGEVTDPPSEDVTAHVLECFGSFGYDDAWKVIRRAVEYLKREQKPDGSWFGRWGVNYLYGTGAVVSALKAVGIDTREPYIQKALDWVEQHQNPDGGWGEDCRSYEDPAYAGKGASTPSQTAWALMALIAGGRAESEAARRGVQYLVETQRPDGGWDEPYYTGTGFPGDFYLGYTMYRHVFPTLALGRYKQAIERR
【0233】
配列番号12(SHCバリアント#115A7をコードするヌクレオチド配列)
ATGGCTGAGCAGTTGGTGGAAGCTCCGGCCTACGCGCGGACGCTGGATCGCGCGGTGGAGTATCTCCTCTCCTGCCAAAAGGACGAAGGCTACTGGTGGGGGCCGCTTCTGAGCAACGTCACGATGGAAGCGGAGTACGTCCTCTTGTGCCACATTCTCGATCGCGTCGATCGGGATCGCATGGAGAAGATCCGGCGGTACCTGTTGCACGAGCAGCGCGAGGACGGCACGTGGGCCCTGTACCCGGGTGGGCCGCCGGACCTCGACACGACCATCGAGGCGTACGTCGCGCTCAAGTATATCGGCATGTCGCGCGACGAGGAGCCGATGCAGAAGGCGCTCCGGTTCATTCAGAGCCAGGGCGGGATCGAGTCGTCGCGCGTGTTCACGCGGAGGTGGCTGGCGCTGGTGGGAGAATATCCGTGGGAGAAGGTGCCCATGGTCCCGCCGGAGATCATGTTCCTCGGCAAGCGCATGCCGCTCAACATCTACGAGTTTGGCTCGTGGGCTCGGACGACCGTCGTGGCGCTCTCGATTGTGATGAGCCGCCAGCCGGTGTTCCCGCTGCCCGAGCGGGCGCGCGTGCCCGAGCTGTACGAGACCGACGTGCCTCCGCGCCGGCGCGGTGCCAAGGGAGGGGGTGGGTGGATCTTCGACGCGCTCGACCGGGTGCTGCACGGGTATCAGAAGCTGTCGGTGCACCCGTTCCGCCGCGCGGCCGAGATCCGCGCCTTGGACTGGTTGCTCGAGCGCCAGGCCGGAGACGGCAGCTGGGGCGGGATTCAGCCGCCTTGGTTTTACGCGCTCATCGCGCTCAAGATTCTCGACAAGACGCAGCATCCGGCGTTCATCAAGGGCTGGGAAGGTCTAGAGCTGTACGGCGTGGAGCTGGATTACGGAGGATGGATGTTTCAGGCTTCCATCTCGCCGGTGTGGGACACGGGCCTCGCCGTGCTCGCGCTGCGCGCTGCGGGGCTTCCGGCCGATCACGACCGCTTGGTCAAGGCGGGCGAGTGGCTGTTGGACCGGCAGATCACGGTTCCGGGCGACTGGGCGGTGAAGCGCCCGAACCTCAAGCCGGGCGGGTTCGCGTTCCAGTTCGACAACGTGTACTACCCGGACGTGGACGACACGGCCGTCGTGGTGTGGGCGCTCAACACCCTGCGCTTGCCGGACGAGCGCCGCAGGCGGGACGCCATGACGAAGGGATTCCGCTGGATTGTCGGCATGCAGAGCTCGAACGGCGGTTGGGGCGCCTACGACGTCGACAACACGAGCGATCTCCCGAACCACACCCCGTTCTGCGACTTCGGCGAAGTGACCGATCCGCCGTCAGAGGACGTCACCGCCCACGTGCTCGAGTGTTTCGGCAGCTTCGGGTACGATGACGCCTGGAAGGTCATCCGGCGCGCGGTGGAATATCTCAAGCGGGAGCAGAAGCCGGACGGCAGCTGGTTCGGTCGTTGGGGCGTCAATTACCTCTACGGCACGGGCGCGGTGGTGTCGGCGCTGAAGGCGGTCGGGATCGACACGCGCGAGCCGTACATTCAAAAGGCGCTCGACTGGGTCGAGCAGCATCAGAACCCGGACGGCGGCTGGGGCGAGGACTGCCGCTCGTACGAGGATCCGGCGTACGCGGGTAAGGGCGCGAGCACCCCGTCGCAGACGGCCTGGGCGCTGATGGCGCTCATCGCGGGCGGCAGGGCGGAGTCCGAGGCCGCGCGCCGCGGCGTGCAATACCTCGTGGAGACGCAGCGCCCGGACGGCGGCTGGGATGAGCCGTACTACACCGGCACGGGCTTCCCAGGGGATTTCTACCTCGGCTACACCATGTACCGCCACGTGTTTCCGACGCTCGCGCTCGGCCGCTACAAGCAAGCCATCGAGCGCAGGTGA
【0234】
配列番号13(AacSHC酵素バリアント215G2のアミノ酸配列)
MAEQLVEAPAYARTLDRAVEYLLSCQKDEGYWWGPLLSNVTMEAEYVLLCHILDRVDRDRMEKIRRYLLHEQREDGTWALYPGGPPDLDTTIEAYVALKYIGMSRDEEPMQKALRFIQSQGGIESSRVFTRRWLALVGEYPWEKVPMVPPEIMFLGKRMPLNIYEFGSWARATVVALSIVMSRQPVFPLPERARVPELYETDVPPRRRGAKGGGGWIFDALDRVLHGYQKLSVHPFRRAAEIRALDWLLERQAGDGSWGGIQPPWFYALIALKILDMTQHPAFIKGWEGLELYGVELDYGGWMFQASISPVWDTGLAVLALRAAGLPADHDRLVKAGEWLLDRQITVPGDWAVKRPNLKPGGFAFQFDNVYYPDVDDTAVVVWALNTLRLPDERRRRDAMTKGFRWIVGMQSSNGGWGAYDVDNTSDLPNHTPFCDFGEVTDPPSEDVTAHVLECFGSFGYDDAWKVIRRAVEYLKREQKPDGSWFGRWGVNYLYGTGAVVSALKAVGIDTREPYIQKALDWVEQHQNPDGGWGEDCRSYEDPAYAGKGASTPSQTAWALMALIAGGRAESEAARRGVQYLVETQRPDGGWDEPYYTGTGFPGDFYLGYTMYRHVFPTLALGRYKQAIERR
【0235】
配列番号14(Aac 215G2 SHC酵素バリアントをコードするヌクレオチド配列)
ATGGCTGAGCAGTTGGTGGAAGCTCCGGCCTACGCGCGGACGCTGGATCGCGCGGTGGAGTATCTCCTCTCCTGCCAAAAGGACGAAGGCTACTGGTGGGGGCCGCTTCTGAGCAACGTCACGATGGAAGCGGAGTACGTCCTCTTGTGCCACATTCTCGATCGCGTCGATCGGGATCGCATGGAGAAGATCCGGCGGTACCTGTTGCACGAGCAGCGCGAGGACGGCACGTGGGCCCTGTACCCGGGTGGGCCGCCGGACCTCGACACGACCATCGAGGCGTACGTCGCGCTCAAGTATATCGGCATGTCGCGCGACGAGGAGCCGATGCAGAAGGCGCTCCGGTTCATTCAGAGCCAGGGCGGGATCGAGTCGTCGCGCGTGTTCACGCGGAGGTGGCTGGCGCTGGTGGGAGAATATCCGTGGGAGAAGGTGCCCATGGTCCCGCCGGAGATCATGTTCCTCGGCAAGCGCATGCCGCTCAACATCTACGAGTTTGGCTCGTGGGCTCGGGCGACCGTCGTGGCGCTCTCGATTGTGATGAGCCGCCAGCCGGTGTTCCCGCTGCCCGAGCGGGCGCGCGTGCCCGAGCTGTACGAGACCGACGTGCCTCCGCGCCGGCGCGGTGCCAAGGGAGGGGGTGGGTGGATCTTCGACGCGCTCGACCGGGTGCTGCACGGGTATCAGAAGCTGTCGGTGCACCCGTTCCGCCGCGCGGCCGAGATCCGCGCCTTGGACTGGTTGCTCGAGCGCCAGGCCGGAGACGGCAGCTGGGGCGGGATTCAGCCGCCTTGGTTTTACGCGCTCATCGCGCTCAAGATTCTCGACATGACGCAGCATCCGGCGTTCATCAAGGGCTGGGAAGGTCTAGAGCTGTACGGCGTGGAGCTGGATTACGGAGGATGGATGTTTCAGGCTTCCATCTCGCCGGTGTGGGACACGGGCCTCGCCGTGCTCGCGCTGCGCGCTGCGGGGCTTCCGGCCGATCACGACCGCTTGGTCAAGGCGGGCGAGTGGCTGTTGGACCGGCAGATCACGGTTCCGGGCGACTGGGCGGTGAAGCGCCCGAACCTCAAGCCGGGCGGGTTCGCGTTCCAGTTCGACAACGTGTACTACCCGGACGTGGACGACACGGCCGTCGTGGTGTGGGCGCTCAACACCCTGCGCTTGCCGGACGAGCGCCGCAGGCGGGACGCCATGACGAAGGGATTCCGCTGGATTGTCGGCATGCAGAGCTCGAACGGCGGTTGGGGCGCCTACGACGTCGACAACACGAGCGATCTCCCGAACCACACCCCGTTCTGCGACTTCGGCGAAGTGACCGATCCGCCGTCAGAGGACGTCACCGCCCACGTGCTCGAGTGTTTCGGCAGCTTCGGGTACGATGACGCCTGGAAGGTCATCCGGCGCGCGGTGGAATATCTCAAGCGGGAGCAGAAGCCGGACGGCAGCTGGTTCGGTCGTTGGGGCGTCAATTACCTCTACGGCACGGGCGCGGTGGTGTCGGCGCTGAAGGCGGTCGGGATCGACACGCGCGAGCCGTACATTCAAAAGGCGCTCGACTGGGTCGAGCAGCATCAGAACCCGGACGGCGGCTGGGGCGAGGACTGCCGCTCGTACGAGGATCCGGCGTACGCGGGTAAGGGCGCGAGCACCCCGTCGCAGACGGCCTGGGCGCTGATGGCGCTCATCGCGGGCGGCAGGGCGGAGTCCGAGGCCGCGCGCCGCGGCGTGCAATACCTCGTGGAGACGCAGCGCCCGGACGGCGGCTGGGATGAGCCGTACTACACCGGCACGGGCTTCCCAGGGGATTTCTACCTCGGCTACACCATGTACCGCCACGTGTTTCCGACGCTCGCGCTCGGCCGCTACAAGCAAGCCATCGAGCGCAGGTGA
【0236】
配列番号15(野生型ZmoSHC1のアミノ酸配列)
MGIDRMNSLSRLLMKKIFGAEKTSYKPASDTIIGTDTLKRPNRRPEPTAKVDKTIFKTMGNSLNNTLVSACDWLIGQQKPDGHWVGAVESNASMEAEWCLALWFLGLEDHPLRPRLGNALLEMQREDGSWGVYFGAGNGDINATVEAYAALRSLGYSADNPVLKKAAAWIAEKGGLKNIRVFTRYWLALIGEWPWEKTPNLPPEIIWFPDNFVFSIYNFAQWARATMVPIAILSARRPSRPLRPQDRLDELFPEGRARFDYELPKKEGIDLWSQFFRTTDRGLHWVQSNLLKRNSLREAAIRHVLEWIIRHQDADGGWGGIQPPWVYGLMALHGEGYQLYHPVMAKALSALDDPGWRHDRGESSWIQATNSPVWDTMLALMALKDAKAEDRFTPEMDKAADWLLARQVKVKGDWSIKLPDVEPGGWAFEYANDRYPDTDDTAVALIALSSYRDKEEWQKKGVEDAITRGVNWLIAMQSECGGWGAFDKDNNRSILSKIPFCDFGESIDPPSVDVTAHVLEAFGTLGLSRDMPVIQKAIDYVRSEQEAEGAWFGRWGVNYIYGTGAVLPALAAIGEDMTQPYITKACDWLVAHQQEDGGWGESCSSYME
【0237】
配列番号16(野生型 ZmoSHC2のアミノ酸配列)
MTVSTSSAFHHSPLSDDVEPIIQKATRALLEKQQQDGHWVFELEADATIPAEYILLKHYLGEPEDLEIEAKIGRYLRRIQGEHGGWSLFYGGDLDLSATVKAYFALKMIGDSPDAPHMLRARNEILARGGAMRANVFTRIQLALFGAMSWEHVPQMPVELMLMPEWFPVHINKMAYWARTVLVPLLVLQALKPVARNRRGILVDELFVPDVLPTLQESGDPIWRRFFSALDKVLHKVEPYWPKNMRAKAIHSCVHFVTERLNGEDGLGAIYPAIANSVMMYDALGYPENHPERAIARRAVEKLMVLDGTEDQGDKEVYCQPCLSPIWDTALVAHAMLEVGGDEAEKSAISALSWLKPQQILDVKGDWAWRRPDLRPGGWAFQYRNDYYPDVDDTAVVTMAMDRAAKLSDLHDDFEESKARAMEWTIGMQSDNGGWGAFDANNSYTYLNNIPFADHGALLDPPTVDVSARCVSMMAQAGISITDPKMKAAVDYLLKEQEEDGSWFGRWGVNYIYGTWSALCALNVAALPHDHLAVQKAVAWLKTIQNEDGGWGENCDSYALDYSGYEPMDSTASQTAWALLGLMAVGEANSEAVTKGINWLAQNQDEEGLWKEDYYSGGGFPRVFYLRYHGYSKYFPLWALARYRNLKKANQPIVHYGM
【0238】
配列番号17(野生型BjaSHCのアミノ酸配列)
MTVTSSASARATRDPGNYQTALQSTVRAAADWLIANQKPDGHWVGRAESNACMEAQWCLALWFMGLEDHPLRKRLGQSLLDSQRPDGAWQVYFGAPNGDINATVEAYAALRSLGFRDDEPAVRRAREWIEAKGGLRNIRVFTRYWLALIGEWPWEKTPNIPPEVIWFPLWFPFSIYNFAQWARATLMPIAVLSARRPSRPLPPENRLDALFPHGRKAFDYELPVKAGAGGWDRFFRGADKVLHKLQNLGNRLNLGLFRPAATSRVLEWMIRHQDFDGAWGGIQPPWIYGLMALYAEGYPLNHPVLAKGLDALNDPGWRVDVGDATYIQATNSPVWDTILTLLAFDDAGVLGDYPEAVDKAVDWVLQRQVRVPGDWSMKLPHVKPGGWAFEYANNYYPDTDDTAVALIALAPLRHDPKWKAKGIDEAIQLGVDWLIGMQSQGGGWGAFDKDNNQKILTKIPFCDYGEALDPPSVDVTAHIIEAFGKLGISRNHPSMVQALDYIRREQEPSGPWFGRWGVNYVYGTGAVLPALAAIGEDMTQPYIGRACDWLVAHQQADGGWGESCASYMDVSAVGRGTTTASQTAWALMALLAANRPQDKDAIERGCMWLVERQSAGTWDEPEFTGTGFPGYGVGQTIKLNDPALSQRLMQGPELSRAFMLRYGMYRHYFPLMALGRALRPQSHS
【0239】
配列番号18(野生型TelSHCのアミノ酸配列)
MPTSLATAIDPKQLQQAIRASQDFLFSQQYAEGYWWAELESNVTMTAEVILLHKIWGTEQRLPLAKAEQYLRNHQRDHGGWELFYGDGGDLSTSVEAYMGLRLLGVPETDPALVKARQFILARGGISKTRIFTKLHLALIGCYDWRGIPSLPPWIMLLPEGSPFTIYEMSSWARSSTVPLLIVMDRKPVYGMDPPITLDELYSEGRANVVWELPRQGDWRDVFIGLDRVFKLFETLNIHPLREQGLKAAEEWVLERQEASGDWGGIIPAMLNSLLALRALDYAVDDPIVQRGMAAVDRFAIETETEYRVQPCVSPVWDTALVMRAMVDSGVAPDHPALVKAGEWLLSKQILDYGDWHIKNKKGRPGGWAFEFENRFYPDVDDTAVVVMALHAVTLPNENLKRRAIERAVAWIASMQCRPGGWAAFDVDNDQDWLNGIPYGDLKAMIDPNTADVTARVLEMVGRCQLAFDRVALDRALAYLRNEQEPEGCWFGRWGVNYLYGTSGVLTALSLVAPRYDRWRIRRAAEWLMQCQNADGGWGETCWSYHDPSLKGKGDSTASQTAWAIIGLLAAGDATGDYATEAIERGIAYLLETQRPDGTWHEDYFTGTGFPCHFYLKYHYYQQHFPLTALGRYARWRNLLAT
【0240】
配列番号19(野生型ApaSHC1のアミノ酸配列
MNMASRFSLKKILRSGSDTQGTNVNTLIQSGTSDIVRQKPAPQEPADLSALKAMGNSLTHTLSSACEWLMKQQKPDGHWVGSVGSNASMEAEWCLALWFLGLEDHPLRPRLGKALLEMQRPDGSWGTYYGAGSGDINATVESYAALRSLGYAEDDPAVSKAAAWIISKGGLKNVRVFTRYWLALIGEWPWEKTPNLPPEIIWFPDNFVFSIYNFAQWARATMMPLAILSARRPSRPLRPQDRLDALFPGGRANFDYELPTKEGRDVIADFFRLADKGLHWLQSSFLKRAPSREAAIKYVLEWIIWHQDADGGWGGIQPPWVYGLMALHGEGYQFHHPVMAKALDALNDPGWRHDKGDASWIQATNSPVWDTMLSLMALHDANAEERFTPEMDKALDWLLSRQVRVKGDWSVKLPNTEPGGWAFEYANDRYPDTDDTAVALIAIASCRNRPEWQAKGVEEAIGRGVRWLVAMQSSCGGWGAFDKDNNKSILAKIPFCDFGEALDPPSVDVTAHVLEAFGLLGLPRDLPCIQRGLAYIRKEQDPTGPWFGRWGVNYLYGTGAVLPALAALGEDMTQPYISKACDWLINCQQENGGWGESCASYMEVSSIGHGATTPSQTAWALMGLIAANRPQDYEAIAKGCRYLIDLQEEDGSWNEEEFTGTGFPGYGVGQTIKLDDPAISKRLMQGAELSRAFMLRYDLYRQLFPIIALSRASRLIKLGN
【0241】
配列番号20(野生型GmoSHCのアミノ酸配列)
MSPADISTKSSSFQRLDNMLPEAVSSACDWLIDQQKPDGHWVGPVESNACMEAQWCLALWFLGQEDHPLRPRLAQALLEMQREDGSWGIYVGADHGDINTTVEAYAALRSMGYAADMPIMAKSAAWIQQKGGLRNVRVFTRYWLALIGEWPWDKTPNLPPEIIWLPDNFIFSIYNFAQWARATMMPLTILSARRPSRPLLPENRLDGLFPEGRENFDYELPVKGEEDLWGRFFRAADKGLHSLQSFPVRRFVPREAAIRHVIEWIIRHQDADGGWGGIQPPWIYGLMALSVEGYPLHHPVLAKAMDALNDPGWRRDKGDASWIQATNSPVWDTMLAVLALHDAGAEDRYSPQMDKAIGWLLDRQVRVKGDWSIKLPDTEPGGWAFEYANDKYPDTDDTAVALIALAGCRHRPEWRERDIEGAISRGVNWLLAMQSSSGGWGAFDKDNNRSILTKIPFCDFGEALDPPSVDVTAHVLEAFGLLGISRNHPSVQKALAYIRSEQERNGAWFGRWGVNYVYGTGAVLPALAAIGEDMTQPYIVRACDWLMSVQQENGGWGESCASYMDINAVGHGVATASQTAWALIGLLAAKRPKDREAIARGCQFLIERQEDGSWTEEEYTGTGFPGYGVGQAIKLDDPSLPDRLLQGAELSRAFMLRYDLYRQYFPVMALSRARRMMKEDASAAA
【0242】
配列番号21(野生型BmeSHCのアミノ酸配列)
MIILLKEVQLEIQRRIAYLRPTQKNDGSFRYCFETGVMPDAFLIMLLRTFDLDKEVLIKQLTERIVSLQNEDGLWTLFDDEEHNLSATIQAYTALLYSGYYQKNDRILRKAERYIIDSGGISRAHFLTRWMLSVNGLYEWPKLFYLPLSLLLVPTYVPLNFYELSTYARIHFVPMMVAGNKKFSLTSRHTPSLSHLDVREQKQESEETTQESRASIFLVDHLKQLASLPSYIHKLGYQAAERYMLERIEKDGTLYSYATSTFFMIYGLLALGYKKDSFVIQKAIDGICSLLSTCSGHVHVENSTSTVWDTALLSYALQEAGVPQQDPMIKGTTRYLKKRQHTKLGDWQFHNPNTAPGGWGFSDINTNNPDLDDTSAAIRALSRRAQTDTDYLESWQRGINWLLSMQNKDGGFAAFEKNTDSILFTYLPLENAKDAATDPATADLTGRVLECLGNFAGMNKSHPSIKAAVKWLFDHQLDNGSWYGRWGVCYIYGTWAAITGLRAVGVSASDPRIIKAINWLKSIQQEDGGFGESCYSASLKKYVPLSFSTPSQTAWALDALMTICPLKDQSVEKGIKFLLNPNLTEQQTHYPTGIGLPGQFYIQYHSYNDIFPLLALAHYAKKHSS
【0243】
配列番号22(AacSHC酵素バリアント#49のアミノ酸配列)
MAEQLVEAPAYARTLDRAVEYLLSCQKDEGYWWGPLLSNVTMEAEYVLLCHILDRVDRDRMEKIRRYLLHEQREDGTWALYPGGPPDLDTTIEAYVALKYIGMSRDEEPMQKALRFIQSQGGIESSRVFTRRWLALVGEYPWEKVPMVPPEIMFLGKRMPLNIYEFGSWARATVVALSIVMSRQPVFPLPERARVPELYETDVPPRRRGAKGGGGWIFDALDRVLHGYQKLSVHPFRRAAEIRALDWLLERQAGDGSWGGIQPPWFYALIALKILDMTQHPAFIKGWEGLELYGVELDYGGWMFQASISPVWDTGLAVLALRAAGLPADHDRLVKAGEWLLDRQITVPGDWAVKRPNLKPGGFAFQFDNVYYPDVDDTAVVVWALNTLRLPDERRRRDAMTKGFRWIVGMQSSNGGWGAYDVDNTSDLPNLTPFCDFGEVTDPPSEDVTAHVLECFGSFGYDDAWKVIRRAVEYLKREQKPDGSWFGRWGVNYLYGTGAVVSALKAVGIDTREPYIQKALDWVEQHQNPDGGWGEDCRSYEDPAYAGKGASTPSQTTWALMALIAGGRAESEAARRGVQYLVETQRPDGGWDEPYYTGTGFPGDFYLGYTMYRHVFPTLALGRYKQAIERR
図1
図2
【配列表】
2023522021000001.app
【国際調査報告】