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特表2023-522024CD137と特異的に結合する製剤とその使用について
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-26
(54)【発明の名称】CD137と特異的に結合する製剤とその使用について
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20230519BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20230519BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20230519BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230519BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20230519BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20230519BHJP
【FI】
A61K39/395 T
A61K39/395 E
A61K47/02
A61K47/12
A61K47/26
A61K47/18
A61K47/34
A61P35/00
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562634
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(85)【翻訳文提出日】2022-12-12
(86)【国際出願番号】 CN2021087582
(87)【国際公開番号】W WO2021209017
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】202010305482.7
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517179262
【氏名又は名称】ディンフー バイオターゲット カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 欣
(72)【発明者】
【氏名】董 艷榮
(72)【発明者】
【氏名】彭 建建
(72)【発明者】
【氏名】付 凱
(72)【発明者】
【氏名】王 麗
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076CC27
4C076DD01
4C076DD26Z
4C076DD38Q
4C076DD41Q
4C076DD43Q
4C076DD43Z
4C076DD51Q
4C076DD60Q
4C076EE23F
4C076FF70
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE01
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本願は、CD137に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む製剤を提供し、前記CD137抗体が軽鎖可変領域VL及び重鎖可変領域VHを含み、前記VLがSEQ ID NO:1~11のいずれか1つに示すアミノ酸配列を含み、前記VHがSEQ ID NO:12~22いずれか1つに示すアミノ酸配列を含む。本願は、また、前記製剤を含むキット、及び前記製剤又は前記キットの、癌治療のための薬剤調製における使用をも提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD137と特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を含む製剤であって、前記CD137抗体が軽鎖可変領域VL及び重鎖可変領域VHからなり、前記VLがSEQ ID NO: 1~11のいずれか1つに示すアミノ酸配列を含み、前記VHがSEQ ID NO:12~22のいずれか1つに示すアミノ酸配列を含む、製剤。
【請求項2】
請求項1に記載の製剤であって、
1) 前記VLは、SEQ ID NO:1に示すアミノ酸配列を含み、前記VHは、SEQ ID NO:12に示すアミノ酸配列を含む;
2) 前記VLは、SEQ ID NO:3に示すアミノ酸配列を含み、前記VHは、SEQ ID NO:14に示すアミノ酸配列を含む;
3) 前記VLは、SEQ ID NO:5に示すアミノ酸配列を含み、前記VHは、SEQ ID NO:16に示すアミノ酸配列を含む;
4) 前記VLは、SEQ ID NO:7に示すアミノ酸配列を含み、前記VHは、SEQ ID NO:18に示すアミノ酸配列を含む;
5) 前記VLは、SEQ ID NO:8に示すアミノ酸配列を含み、前記VHは、SEQ ID NO:19に示すアミノ酸配列を含む;
6) 前記VLは、SEQ ID NO:9に示すアミノ酸配列を含み、前記VHは、SEQ ID NO:20に示すアミノ酸配列を含む;
7) 前記VLは、SEQ ID NO:10に示すアミノ酸配列を含み、前記VHは、SEQ ID NO:21に示すアミノ酸配列を含む;
8) 前記VLは、SEQ ID NO:11に示すアミノ酸配列を含み、前記VHは、SEQIDNO:22に示すアミノ酸配列を含む。
【請求項3】
前記製剤が緩衝塩を含み、前記緩衝塩が、以下からなる群より1つ以上選択される:リン酸塩、クエン酸塩及び酢酸塩、請求項1~2のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項4】
前記製剤が緩衝塩を含み、前記緩衝塩が、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム及び/又はクエン酸ナトリウムを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項5】
前記製剤が緩衝塩を含み、前記緩衝塩が5~50mMの濃度である、請求項1~4のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項6】
前記製剤が安定剤を含み、前記安定剤が、以下からなる群より1つ以上選択される:スクロース、トレハロース、マンニトール、グリシン、塩酸アルギニン、クエン酸ナトリウム、ヒスチジン、酢酸ナトリウム及び塩化ナトリウム、請求項1~5のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項7】
前記製剤が安定化剤を含み、前記安定化剤がスクロースを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項8】
前記製剤が安定剤を含み、前記安定剤がスクロース及びクエン酸ナトリウムを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項9】
前記製剤が安定剤を含み、前記安定剤が1~10%(wt)の濃度である、請求項1~8のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項10】
前記製剤が界面活性剤を含み、前記界面活性剤が、以下からなる群より1つ以上選択される:ポリソルベート20及びポリソルベート80、請求項1~9のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項11】
前記製剤が界面活性剤を含み、前記界面活性剤は0.01%~0.2%(wt)の濃度である、請求項1~10のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項12】
前記製剤が6.5~7.5のpHである、請求項1~11のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項13】
前記製剤が、スクロース、ポリソルベート80、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム及び水を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の製剤と、前記製剤を収容する容器とを含むキット。
【請求項15】
癌を治療するための医薬品の製造における、請求項1~13のいずれか1項に記載の製剤又は請求項14に記載のキットの使用。
【請求項16】
前記癌が、以下からなる群より選択される:メラノーマ、前立腺癌、大腸癌、メルケル細胞皮膚癌、膵臓癌、非ホジキンリンパ腫、扁平上皮癌及び乳癌、請求項15に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、バイオ医薬の分野に関するものであり、より具体的には、CD137と特異的に結合する製剤及びその使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
腫瘍は人間の健康にとって深刻な脅威であり、近年、免疫療法は腫瘍の治療における新たな治療法として大きな可能性を示している。
【0003】
CD137タンパク (4-1BB、TNFRSF9などとも呼ばれる) は腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーのメンバーであり、I型膜貫通タンパク質に属する。CD137Lは、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーの一員であり、II型膜貫通タンパク質である。現在の知見は、CD137Lが主に樹状細胞(DC)、マクロファージ、B細胞などの活性化APCに発現していることを示唆している(Pollok, KEら, 1994, Eur. J. Immunol. 24:367-374)、一方、CD137の発現は、抗原特異的なシグナルを受けたT細胞によって誘導されうる(Kwon, BS et al, 1989, PNAS 86; 1963-67)。T細胞上のCD137の機能は、よく示されている。CD3抗体が一定量存在すると、CD137シグナルが活性化され、T細胞の増殖やサイトカイン(主にIFN-γ)の合成が誘導され、活性化T細胞のアポトーシスが抑制され、T細胞の寿命が延長できる。
【0004】
しかし、現在開発されている抗CD137抗体は安定性に乏しく、腫瘍抑制能も限定的であるため、新薬開発において新しい抗CD137抗体の開発が急務となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、本願は、CD137に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を含む製剤を提供し、ここで、前記CD137抗体は軽鎖可変領域VLと重鎖可変領域VHを含み、そのうち、前記VLはSEQ ID NO:1~11のいずれか1つに示すアミノ酸配列を含み;前記VHは、SEQ ID NO:12~22のいずれか1つに示すアミノ酸配列を含む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの実施形態では、前記製剤において、
1) 前記VLは、SEQ ID NO:1に示すアミノ酸配列を含み、前記VHは、SEQ ID NO:12に示すアミノ酸配列を含む;
2) 前記VLは、SEQ ID NO:3に示すアミノ酸配列を含み、前記VHは、SEQ ID NO:14に示すアミノ酸配列を含む;
3) 前記VLは、SEQ ID NO:5に示すアミノ酸配列を含み、前記VHは、SEQ ID NO:16に示すアミノ酸配列を含む;
4) 前記VLは、SEQ ID NO:7に示すアミノ酸配列を含み、前記VHは、SEQ ID NO:18に示すアミノ酸配列を含む;
5) 前記VLは、SEQ ID NO:8に示すアミノ酸配列を含み、前記VHは、SEQ ID NO:19に示すアミノ酸配列を含む;
6) 前記VLは、SEQ ID NO:9に示すアミノ酸配列を含み、前記VHは、SEQ ID NO:20に示すアミノ酸配列を含む;
7) 前記VLは、SEQ ID NO:10に示すアミノ酸配列を含み、前記VHは、SEQ ID NO:21に示すアミノ酸配列を含む;
8) 前記VLは、SEQ ID NO:11に示すアミノ酸配列を含み、前記VHは、SEQ ID NO:22に示すアミノ酸配列を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、前記製剤は緩衝塩を含み、前記緩衝塩は、以下からなる群より1つ以上選択される:リン酸塩、クエン酸塩及び酢酸塩。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記製剤は緩衝塩を含み、前記緩衝塩は、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム及び/又はクエン酸ナトリウムを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記製剤は、緩衝塩を含み、前記緩衝塩は、5~50mMの濃度である。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記製剤は、安定剤を含み、前記安定剤は、以下からなる群より1つ以上選択される:スクロース、トレハロース、マンニトール、グリシン、塩酸アルギニン、クエン酸ナトリウム、ヒスチジン、酢酸ナトリウム及び塩化ナトリウム。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記製剤は、安定剤を含み、前記安定剤は、スクロースを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記製剤は、安定剤を含み、前記安定剤は、スクロース及びクエン酸ナトリウムを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記製剤は、安定剤を含み、前記安定剤は、1~10%(wt)の濃度である。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記製剤は界面活性剤を含み、前記界面活性剤は、以下からなる群より1つ以上選択される:ポリソルベート20及びポリソルベート80。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記製剤は界面活性剤を含み、前記界面活性剤は0.01%~0.2%(wt)の濃度である。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記製剤は、6.5~7.5のpHである。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記製剤は、以下を含む:
【0018】
スクロース、ポリソルベート80、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、水。
【0019】
一方、本願は、前記製剤及び前記製剤用容器を含むキットを提供する。
【0020】
一方、本願は、癌を治療するための医薬品の製造における、前記製剤又は前記キットの使用を提供する。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記癌は、以下からなる群より選択される:メラノーマ、前立腺癌、大腸癌、メルケル細胞皮膚癌、膵臓癌、非ホジキンリンパ腫、扁平上皮癌及び乳癌。
【発明の効果】
【0022】
当業者は、本願の他の態様及び利点について、以下の詳細な説明から容易に洞察することができる。以下の詳細な説明では、本願の例示的な実施形態のみを示し、説明する。当業者が認識するであろうように、本願の内容は、当業者が、本願に記載の発明の精神及び範囲を逸脱することなく、開示された特定の実施形態に変更を加えることを可能にするものである。したがって、本願の添付図面及び明細書の記載は単なる例示であり、限定的なものではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本願に係る発明の具体的な特徴は、特許請求の範囲に記載のとおりである。本願で詳細に説明される例示的な実施形態及び添付図面を参照することによって、本願に係る発明の特徴及び利点をよりよく理解することができる。添付図面の概略説明は以下のとおりである。
【0024】
図1A-1B】本願に記載の製剤の体内での腫瘍に対する有意な殺腫瘍効果を示す図である。
図2A-2C】本願に記載の製剤の体内での腫瘍に対する有意な殺腫瘍効果を示す図である。
図3】本願に記載の製剤により、T細胞によるサイトカイン分泌が有意に促進されることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、特定の具体的な実施形態を用いて本願の実施形態を説明するが、この技術に精通している者は、本願で開示されることにより、本願の他の利点及び効果を容易に理解され得る。
【0026】
以下では、本願についてさらに説明する:本発明において、特に明記されていない限り、本願で使用される科学技術用語は、当業者にとって一般的に理解され得る意味を有する。さらに、本明細書で使用されるタンパク質及び核酸化学、分子生物学、細胞及び組織培養、微生物学、免疫学に関する用語及び実験手順は、それぞれの分野で広く使用されている用語及び日常的な手順である。また、本発明をよりよく理解するために、関連する用語の定義及び説明を以下に示す。
【0027】
本願では、「製剤」という用語は、一般に、有効成分と、医薬上許容されるキャリア又は賦形剤とを含む医薬組成物を指す。例えば、本願では、前記製剤は、CD137と特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を含んでもよく、ここで、前記CD137抗体が、軽鎖可変領域VL及び重鎖可変領域VHを含み、前記VLがSEQ ID NO:1-11のいずれか1つに示すアミノ酸配列を含み;前記VHがSEQ ID NO:12-22のいずれか1つに示すアミノ酸配列を含む。さらに、いくつかの実施形態では、本願に記載の製剤は、緩衝塩、安定剤及び界面活性剤のうちの少なくとも1つをさらに含んでいてもよい。
【0028】
本願では、「抗体」という用語は、一般に、特定の抗原を特異的に認識及び/又は中和することができるポリペプチド分子を指す。
【0029】
例えば、抗体は、ジスルフィド結合により相互接続された少なくとも2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖からなる免疫グロブリンを含んでもよく、その抗原結合部分を含む任意の分子を含む。用語「抗体」は、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、単一ドメイン抗体(例えば、dAb)、単鎖抗体(例えば、scFv)、及び抗原に結合した抗体断片(例えば、Fab、Fab'、(Fab)2断片)を含むがこれらに限定されない、モノクローナル抗体、抗体断片又は抗体誘導体を含む。「抗体」という用語は、また、原核細胞で発現される抗体、ならびに本出願に記載される任意の抗原に結合する抗体断片及びその誘導体などの抗体のすべての組換え形態を含む。各重鎖は、重鎖可変領域(VH)及び重鎖定常領域から構成することができる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)と軽鎖定常領域から構成することができる。VH及びVL領域は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域にさらに分割でき、これらは、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保守された領域に散在している。各VH及びVLは、3つのCDRと4つのFR領域から構成されていてもよく、これらのFR領域は、アミノ末端からカルボキシル末端に向かって、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順に配置されていてもよい。重鎖と軽鎖の可変領域には、抗原と相互作用する結合ドメインが含まれている。抗体の定常領域は、免疫グロブリンと宿主組織又は因子との結合を仲介し、前記宿主組織は、免疫系を構成する種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)や古典補体系(C1q)の第1成分によるものである。
【0030】
本願では、「抗原結合断片」という用語は、一般に、抗原と特異的に結合する機能を果たす抗体の1つ以上の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、抗体の全長断片によって実現されうる。抗体の抗原結合機能は、以下の断片によっても達成される:(1) VL、VH、CL、CH構造ドメインからなる一価の断片であるFab断片、(2) 2つのFab断片がヒンジ領域でジスルフィド結合した二価断片であるF(ab')2断片、 (3) VH、CH構造ドメインからなるFd断片、;(4)抗体の単腕のVL及びVH構造ドメインからなるFv断片;(5)VH構造ドメインからなるdAb断片(Wardら、(1989)Nature 341。544-546);(6)孤立した相補的決定領域(CDR)、及び(7)任意に接合部によって連結された2つ以上の孤立したCDRの組合せ。さらに、VLとVHの対合により形成される一価の単鎖分子Fv(scFv)が含まれていてもよい(Birdら(1988)Science 242:423-426;及びHustonら(1988)Proc. Natl. Acad. Sci. 85:5879-5883を参照)。前記「抗原結合部分」は、免疫グロブリン融合タンパク質をさらに含んでいてもよく、前記融合タンパク質は、以下から選択される結合構造ドメインを含む;(1)免疫グロブリンのヒンジ領域のポリペプチドに融合した結合構造ドメイン;(2)ヒンジ領域に融合した免疫グロブリン重鎖のCH2定常領域;及び(3)CH2定常領域に融合した免疫グロブリン重鎖のCH3定常領域。本願に記載の抗体又はその抗原結合断片は、以下からなる群より選択される:Fab、scFv、Fab'、F(ab)2、F(ab')2及びdAb。
【0031】
本願では、「CD137タンパク質」という用語は4-1 BB又はTNFRS9とも呼ばれ、通常は腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFRS)の膜貫通タンパク質を指し、活性化誘導共刺激分子は免疫応答の重要な調節因子である。研究により、CD137刺激型モノクローナル抗体は多くのモデルにおいて共刺激分子の発現を増加し、細胞溶解性Tリンパ細胞応答を顕著に増強し、抗腫瘍作用を発揮することが示された。CD137標的療法の抗腫瘍効果は、刺激性抗マウスCD 137モノクローナル抗体を利用したマウス体内の抗腫瘍効果研究によって確認することができる。CD137は、免疫細胞の強力な活性化因子として、また様々な疾患の治療のための重要な候補抗原として浮上している(Vinay, Dass S., and Byoung S. Kwon. "4-1BB (CD137), an inducible costimulatory receptor, as a specific target for cancer therapy." BMB reports 47.3 (2014):122.)。
【0032】
本願では、「抗体Fcドメイン」という用語は、通常、抗体構造のY字型構造の基底領域を指し、断片結晶化領域 (Fragment crystallizable region、Fc region) とも呼ばれる。IgG、IgA及びIgD抗体アイソフォームでは、Fc領域は抗体の2本の重鎖の第2及び第3の定常構造ドメインに由来する2つの同一のタンパク質断片からなり、IgM及びIgEのFc領域は各ポリペプチド鎖に3つの重鎖定常構造ドメインを含んでいる。IgGのFc領域には、高度に保存されたN-グリコシル化部位がある。本願では、前記Fc構造ドメインは、SEQ ID:34に示すアミノ酸配列を含む。
【0033】
本願では、「特異的結合」又は「特異的」という用語は、一般に、標的と抗体の間の結合のような、異種分子集団(生体分子を含む)の存在下で標的の存在を決定できる測定可能で再現性のある相互作用のことを指す。例えば、標的(エピトープであってもよい)と特異的に結合する抗体とは、他の標的と結合するよりも高い親和性、親和性、より容易に、及び/又はより長い時間、その標的と結合する抗体である。一実施形態では、抗体の非関連標的への結合の程度は、例えば放射免疫分析(RIA)によって測定されるように、抗体の標的への結合の約10%よりも小さい。
【0034】
本願では、「キット」という用語は、一般に、一緒にパッケージ化されていても、いなくてもよい構成物の集合体を指す。例えば、本願では、前記キットは、前記製剤と、前記製剤を入れる容器とを含んでいてもよい。前記キットの構成要素は、別々のバイアルに含まれていてもよいし(分離できるキット)、単一のバイアルで提供されてもよい。また、キットは説明書を含んでいてもよく、紙又は電子形式のユーザーマニュアルの形で提供されてもよい。例えば、マニュアルには、本願のキットを使用した場合に得られる結果を解釈するための指示が記載されていてもよい。
【0035】
本願では、「癌」という用語は、一般的に、調節されていない細胞の増殖や生存によって特徴付けられる、哺乳類の生理的状態を指す。本願では、癌として知られる過増殖性疾患には、固形腫瘍、リンパ腫、白血病が含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
本願では、 「被験者」 という用語は、通常、猫、犬、馬、豚、牛、羊、ウサギ、マウス、ラット又はサルを含むがこれらに限定されない、ヒト又は非ヒト動物を指す。
【0037】
本願では、「投与」という用語は、一般に、物質又は医薬組成物の投与量を対象(例えば、患者)に投与する方法を指す。投与は、任意の適切な方法で行うことができる。本明細書では、様々な投与スケジュールが対象とされ、これには、様々な時点における単回投与又は複数回の投与が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
本願では、アミノ酸配列又はヌクレオチド配列の相同性は、「同一性」という用語と互換的に使用される場合がある。「相同性」という用語は、一般に、対になっている同一残基の割合を指す。「配列同一性パーセント」 は、特定の範囲内で比較を行う2つの最適なペアの配列を算出するものである。2つの配列で同じ塩基又はアミノ酸が出現する位置の数を決定し、一致する位置の数を得る;このような位置の数を比較されるセグメント内の位置の総数で除算して得られる商に100を掛けることにより、相同性(又は同一性)を決定するためのプログラムは、上述したように、アミノ酸-ペア-アミノ酸に基づいて比較される配列を比較し、かつ、前記プログラムは、この比較に対して厳密な異なるレベル (例えば、同一アミノ酸、保守的アミノ酸置換等) を設定することができる。本明細書で使用する用語として、2つのアミノ酸は、それぞれが同じ化学クラス(すなわち、酸性、非極性/疎水性、非荷電極性、塩基性)に属する場合、互いに「保存的に置換」されているとみなされる。
【0039】
非限定的な例としては、非極性アミノ酸に属する2つの異なるアミノ酸は、たとえ2つのアミノ酸が同一でなくても、互いに対する「保存的置換」とみなされ、一方、一方の非極性アミノ酸と他方の塩基性アミノ酸は互いに対する「保存的置換」とはみなされないことが挙げられるだろう。Alberts, Johnson, Lewis, Raff, Roberts and Walter's MolecularBiology of the Cell, 4th edition (2002), column 3.1 では、アミノ酸を酸性、非極性、非電荷極性、塩基性の4つのグループに大きく分類している。このグループ分けは、本発明の文脈では、特定のアミノ酸が議論中の他のアミノ酸に保存的に置換されているかどうかを判断する目的で使用することができる。上記大分類は、例えば、小非極性アミノ酸、大非極性アミノ酸、大芳香族アミノ酸などにさらに細かく分類することができる。「保存的アミノ酸置換」という用語はまた、置換された残基がポリペプチド機能(例えば結合)の結果の実質的な減少なしに所定の残基と化学的に類似している、所定のアミノ酸残基の任意のアミノ酸置換を指す。
【0040】
本願では、 「含む」 という用語は、一般に、他の要素を除外することなく、明示的に指定された特徴を含むことを指す。
【0041】
本出願では、「約」という用語は、通常、指定された数値以上又は以下の0.5%-10%範囲内で変動することを指す。例えば、指定数値以上又は以下の0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、又は10%範囲内で変動する。
【0042】
製剤・キット
【0043】
抗体又はその抗原結合断片
【0044】
一方、本願は、CD137と特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を含む製剤を提供し、ここで、前記CD137抗体は、軽鎖可変領域VLと重鎖可変領域VHを含み、そのうち、前記VLは、SEQIDNO:1~11のいずれか1つに示すアミノ酸配列を含み;前記VHは、SEQ ID NO:12~22のいずれか1つに示すアミノ酸配列を含む。
【0045】
本願では、CD137と特異的に結合する前記抗体又はその抗原結合断片において、前記VLは、SEQ ID NO:1に示すアミノ酸配列を含み、前記VHは、SEQ ID NO:12に示すアミノ酸配列を含む。
【0046】
本願では、CD137と特異的に結合する前記抗体又はその抗原結合断片において、前記VLは、SEQ ID NO:2に示すアミノ酸配列を含み、前記VHは、SEQ ID NO:13に示すアミノ酸配列を含む。
【0047】
本願では、CD137と特異的に結合する前記抗体又はその抗原結合断片において、前記VLは、SEQ ID NO:3に示すアミノ酸配列を含み、前記VHは、SEQ ID NO:14に示すアミノ酸配列を含む。
【0048】
本願では、CD137と特異的に結合する前記抗体又はその抗原結合断片において、前記VLは、SEQ ID NO:4に示すアミノ酸配列を含み、前記VHは、SEQ ID NO:15に示すアミノ酸配列を含む。
【0049】
本願では、CD137と特異的に結合する前記抗体又はその抗原結合断片において、前記VLは、SEQ ID NO:5に示すアミノ酸配列を含み、前記VHは、SEQ ID NO:16に示すアミノ酸配列を含む。
【0050】
本願では、CD137と特異的に結合する前記抗体又はその抗原結合断片において、前記VLは、SEQ ID NO:6に示すアミノ酸配列を含み、前記VHは、SEQ ID NO:17に示すアミノ酸配列を含む。
【0051】
本願では、CD137と特異的に結合する前記抗体又はその抗原結合断片において、前記VLは、SEQ ID NO:7に示すアミノ酸配列を含み、前記VHは、SEQ ID NO:18に示すアミノ酸配列を含む。
【0052】
本願では、CD137と特異的に結合する前記抗体又はその抗原結合断片において、前記VLは、SEQ ID NO:8に示すアミノ酸配列を含み、前記VHは、SEQ ID NO:19に示すアミノ酸配列を含む。
【0053】
本願では、CD137と特異的に結合する前記抗体又はその抗原結合断片において、前記VLは、SEQ ID NO:9に示すアミノ酸配列を含み、前記VHは、SEQ ID NO:20に示すアミノ酸配列を含む。
【0054】
本願では、CD137と特異的に結合する前記抗体又はその抗原結合断片において、前記VLはSEQ ID NO:10に示すアミノ酸配列を含み、前記VHはSEQ ID NO:21に示すアミノ酸配列を含む。
【0055】
本願では、CD137と特異的に結合する前記抗体又はその抗原結合性断片において、前記VLは、SEQ ID NO:11に示すアミノ酸配列を含み、前記VHは、SEQ ID NO:22に示すアミノ酸配列を含む。
【0056】
本願では、CD137と特異的に結合する前記抗体又はその抗原結合断片は、Fc構造ドメインをさらに含み得る。例えば、前記抗体Fc領域は、IgGのFc領域で構成されていてもよい。例えば、前記抗体Fc構造ドメインは以下の免疫グロブリンから選択する定常領域アミノ酸配列を含み得る:IgG1、IgG2、IgG3とIgG4。いくつかの実施形態では、前記Fc構造ドメインは、SEQ ID NO:34に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0057】
本願では、CD137と特異的に結合する前記抗体又はその抗原結合性断片のFc構造ドメインは、前記抗体又はその抗原結合性断片のC末端に位置していてもよい。
【0058】
本願では、CD137と特異的に結合する前記抗体又はその抗原結合断片のFcの配列は、SEQ ID NO:34に示すアミノ酸配列又はその変異体を含み得る。
【0059】
本願では、CD137と特異的に結合する前記抗体又はその抗原結合断片は、2本のポリペプチド鎖からなるホモ二量体タンパク質であってもよく、各ポリペプチド鎖は、前記軽鎖可変領域VL、前記重鎖可変領域VH及び前記Fc構造ドメインからなり、前記Fc構造ドメインは前記VL及び前記VHのC末端に位置していることが好ましい。
【0060】
本願では、CD137と特異的に結合する前記抗体又はその抗原結合断片は、軽鎖可変領域と重鎖可変領域との間に連結ペプチド1をさらに含んでいてもよく、前記リンカーペプチド1はSEQ ID NO:35に示すアミノ酸配列又はその変異体を含み得る。例えば、連結ペプチド1は、(G4S)3からなるものであってもよい。
【0061】
また、本願では、前記抗体又はその抗原結合性断片における軽鎖可変領域の間に、CD137とFcを特異的に結合する連結ペプチド2が含まれていてもよく、前記連結ペプチド2は、SEQ ID NO:36に示すアミノ酸配列又はその変異体を含み得る。例えば、連結ペプチド2は、G4Sを含んでいてもよい。
【0062】
本願では、CD137と特異的に結合する前記抗体又はその抗原結合断片において、前記ポリペプチド鎖は、SEQID NO:23~33のいずれか1つに示すアミノ酸配列を含み得る。
【0063】
例えば、CD137と特異的に結合する前記抗体又はその抗原結合断片は、以下の抗体を含んでいてもよい:C2-4A-Fc、C2-4B-Fc、C2-4C-Fc、C2-5A-Fc、C2-5B-Fc、C2-5C-Fc、C2-6A-Fc、C2-6B-Fc、C2-7A-Fc、C2-7B-Fc又はC2-7BN78K-Fc。
【0064】
いくつかの実施形態では、本願に記載のCD137と特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の軽鎖は、軽鎖可変領域を含んでよく、ここで、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列を、SEQ ID NO:: 1又はその変異体を含み;重鎖が重鎖可変領域を含んでいてもよく、ここで、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列が、SEQ ID NO:12に示すアミノ酸配列又はその変異体を含み得る。例えば、前記抗体又はその抗原結合断片は、抗体C 2-4A-Fc又は同一軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を有する本願記載の抗体を含んでいてもよい。
【0065】
例えば、本願記載の抗体は、C2-4A-Fcであってもよい。抗体C2-4A-FcのVLのアミノ酸配列をSEQ ID NO:1に、VHのアミノ酸配列をSEQ ID NO:12に示す、Fc配列は、SEQ ID NO:34に示される;VLとVHとの連結ペプチドの配列は、(G4S)3であり、その配列をSEQ ID NO:35に示す;VLとFcを連結するペプチドの配列は、G4Sであり、その配列をSEQ ID NO:35に示す;各ポリペプチド鎖の完全な配列を、SEQ ID NO:23に示す。
【0066】
いくつかの実施形態では、本願に記載されるCD137と特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の軽鎖は、軽鎖可変領域を含んでよく、ここで、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2又はそのバリアントを含んでよく;そして、重鎖は重鎖可変領域を含んでよく、ここで、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列はSEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含んでいてもよい。13に示すアミノ酸配列又はその変異体を含み得る。例えば、前記抗体又はその抗原結合断片は、抗体C2-4B-Fc又は同一軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を有する本願記載の抗体を含んでいてもよい。
【0067】
例えば、本願記載の抗体は、C2-4B-Fcであってもよい。抗体C2-4B-FcのVLのアミノ酸配列を、SEQ ID NO:2に示す;VHのアミノ酸配列を、SEQ ID NO:13に示す;Fcの配列を、SEQ ID NO:34に示す;VLとVHとの連結ペプチドは(G4S)3であり、その配列をSEQ ID NO:35に示す;VLとFcを連結するペプチドの配列は、G4Sであり、その配列をSEQ ID NO:36に示す;各ポリペプチド鎖の完全な配列を、SEQ ID NO:24に示す。
【0068】
いくつかの実施形態では、本願に記載のCD137と特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の軽鎖は、軽鎖可変領域を含んでよく、ここで、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列を、SEQ ID NO:: 3又はその変異体を含み;重鎖が重鎖可変領域を含んでいてもよく、ここで、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列が、SEQ ID NO:14に示すアミノ酸配列又はその変異体を含み得る。例えば、前記抗体又はその抗原結合断片は、抗体C2-4C-Fc又は同一軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を有する本願記載の抗体を含んでいてもよい。
【0069】
例えば、本願に記載の抗体は、C2-4C-Fcであってもよい。抗体C2-4C-FcのVLのアミノ酸配列を、SEQ ID NO:3に示す;VHのアミノ酸配列を、SEQ ID NO:14に示す;Fcの配列を、SEQ ID NO:34;VLとVHとの連結ペプチドは(G4S)3であり、その配列をSEQ ID NO:35に示す;VLとFcを連結するペプチドの配列は、G4Sであり、その配列をSEQ ID NO:36に示す;各ポリペプチド鎖の完全な配列を、SEQ ID NO:25に示す。
【0070】
いくつかの実施形態では、本願に記載のCD137と特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の軽鎖は、軽鎖可変領域を含んでよく、ここで、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列を、SEQ ID NO:: 4又はその変異体を含み;重鎖が重鎖可変領域を含んでいてもよく、ここで、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列が、SEQ ID NO:15に示すアミノ酸配列又はその変異体を含み得る。例えば、前記抗体又はその抗原結合断片は、抗体C2-5A-Fc又は同一軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を有する本願記載の抗体を含んでいてもよい。
【0071】
例えば、本願記載の抗体は、C2-5A-Fcであってもよい。抗体C2-5A-FcのVLのアミノ酸配列を、SEQ ID NO:4に示す;VHのアミノ酸配列を、SEQ ID NO:15に示す;Fcの配列を、SEQ ID NO:34に示す;VLとVHの間の連結ペプチドは(G4S)3であり、その配列をSEQ ID NO:35に示す;VLとFcの間の連結ペプチドはG4Sであり、その配列をSEQ ID NO:36に示す;各ポリペプチド鎖の完全な配列を、SEQ ID NO:26に示す。
【0072】
いくつかの実施形態では、本願に記載されるCD137と特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の軽鎖は、軽鎖可変領域を含んでよく、ここで、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:5又はそのバリアントを含んでよく;そして、重鎖は重鎖可変領域を含んでよく、ここで、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列はSEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含んでいてもよい。16に示すアミノ酸配列又はその変異体を含み得る。例えば、前記抗体又はその抗原結合断片は、抗体C2-5B-Fc又は同一軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を有する本願記載の抗体を含んでいてもよい。
【0073】
例えば、本願記載の抗体は、C2-5B-Fcであってもよい。抗体C2-5B-FcのVLのアミノ酸配列を、SEQ ID NO:5に示す;VHのアミノ酸配列を、SEQ ID NO:16に示す;Fcの配列を、SEQ ID NO:34に示す;VLとVHの間の連結ペプチドは(G4S)3であり、その配列をSEQ ID NO:35に示す;VLとFcを連結するペプチドの配列は、G4Sであり、その配列をSEQ ID NO:36に示す;各ポリペプチド鎖の完全な配列を、SEQ ID NO:27に示す。
【0074】
いくつかの実施形態では、本願に記載のCD137と特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の軽鎖は、軽鎖可変領域を含んでよく、ここで、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列を、SEQ ID NO:: 6又はその変異体を含み;重鎖が重鎖可変領域を含んでいてもよく、ここで、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列が、SEQ ID NO:17に示すアミノ酸配列又はその変異体を含み得る。例えば、前記抗体又はその抗原結合断片は、抗体C2-5C-Fc又は同一軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を有する本願記載の抗体を含んでいてもよい。
【0075】
例えば、本願記載の抗体は、C2-5C-Fcであってもよい。抗体C2-5C-FcのVLのアミノ酸配列を、SEQ ID NO:6に示す;VHのアミノ酸配列を、SEQ ID NO:17に示す;Fcの配列を、SEQ ID NO:34に示す;VLとVHの間の連結ペプチドは(G4S)3であり、その配列をSEQ ID NO:35に示す;VLとFcの間の連結ペプチドはG4Sであり、その配列をSEQ ID NO:36に示す;各ポリペプチド鎖の完全な配列は、SEQID NO:28に示す。
【0076】
いくつかの実施形態では、本願に記載のCD137と特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の軽鎖は、軽鎖可変領域を含んでよく、ここで、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列を、SEQ ID NO:: 17に示すアミノ酸配列又はその変異体;ここで、重鎖は重鎖可変領域を含んでいてもよく、重鎖可変領域の前記アミノ酸配列はSEQ ID NO:18に示すアミノ酸配列又はその変異体を含み得る。例えば、前記抗体又はその抗原結合断片は、抗体C2-6A-Fc又は同一軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を有する本願記載の抗体を含んでいてもよい。
【0077】
例えば、本願記載の抗体は、C2-6A-Fco抗体C2-6A-FcのVLのアミノ酸配列を含んでいてもよい7に示す;VHのアミノ酸配列を、SEQ ID NO:18に示す;Fcの配列を、SEQ ID NO:34に示す;VLとVHの間の連結ペプチドは(G4S)3であり、その配列をSEQ ID NO:35に示す;VLとFcの間の連結ペプチドはG4Sであり、その配列をSEQ ID NO:36に示す;各ポリペプチド鎖の完全な配列を、SEQ ID NO:29に示す。
【0078】
いくつかの実施形態では、本願に記載のCD137と特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の軽鎖は、軽鎖可変領域を含んでよく、ここで、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列を、SEQ ID NO: 8又はその変異体を含み;重鎖が重鎖可変領域を含んでいてもよく、ここで、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列が、SEQ ID NO:19に示すアミノ酸配列又はその変異体を含み得る。例えば、前記抗体又はその抗原結合断片は、抗体C2-6B-Fc又は同一軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を有する本願記載の抗体を含んでいてもよい。
【0079】
例えば、本願記載の抗体は、C2-6R-Fcであってもよい。抗体C2-6R-FcのVTのアミノ酸配列を、SEQ ID NO:8に示す;VHのアミノ酸配列を、SEQ ID NO:19に示す;Fcの配列を、SEQ ID NO:34に示す;VLとVHとの連結ペプチドは(G4S)3であり、その配列をSEQ ID NO:35に示す;VLとFc間の連結ペプチドはG4Sであり、その配列をSEQ ID NO:36に示す;各ポリペプチド鎖の完全な配列は、SEQ ID NO:30に示す。
【0080】
いくつかの実施形態では、本願に記載のCD137と特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の軽鎖は、軽鎖可変領域を含んでよく、ここで、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:9又はその変異体を含み;重鎖が重鎖可変領域を含んでいてもよく、ここで、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列が、SEQ ID NO:20に示すアミノ酸配列又はその変異体を含み得る。例えば、前記抗体又はその抗原結合断片は、抗体C2-7A-Fc又は同一軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を有する本願記載の抗体を含んでいてもよい。
【0081】
例えば、本願記載の抗体は、C2-7A-Fcであってもよい。抗体C2-7A-FcのVLのアミノ酸配列を、SEQ ID NO:9に示す;VHのアミノ酸配列を、SEQ ID NO:20に示す;Fcの配列を、SEQ ID NO:34に示す;VLとVHとの連結ペプチドは(G4S)3であり、その配列をSEQ ID NO:35に示す;VLとFcの間の連結ペプチドはG4Sであり、その配列をSEQ ID NO:36に示す;各ポリペプチド鎖の完全な配列を、SEQ ID NO:31に示す。
【0082】
いくつかの実施形態では、本願に記載のCD137と特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の軽鎖は、軽鎖可変領域を含んでよく、ここで、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列を、SEQ ID NO:: 10又はその変異体を含み;重鎖が重鎖可変領域を含んでいてもよく、ここで、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列が、SEQ ID NO:21に示すアミノ酸配列又はその変異体を含み得る。例えば、前記抗体又はその抗原結合断片は、抗体C2-7B-Fc又は同一軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を有する本願記載の抗体を含んでいてもよい。
【0083】
例えば、本願記載の抗体は、C2-7B-Fcであってもよい。抗体C2-7B-FcのVLのアミノ酸配列を、SEQ ID NO:10に示す;VHのアミノ酸配列を、SEQ ID NO:21に示す;Fcの配列を、SEQ ID NO:34に示す;VLとVHとの連結ペプチドは(G4S)3であり、その配列をSEQ ID NO:35に示す;VLとFcの間の連結ペプチドはG4Sであり、その配列をSEQ ID NO:36に示す;各ポリペプチド鎖の完全な配列を、SEQ ID NO:32に示す。
【0084】
いくつかの実施形態では、本願に記載のCD137と特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の軽鎖は、軽鎖可変領域を含んでよく、ここで、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列を、SEQ ID NO:: 11又はその変異体を含み;重鎖が重鎖可変領域を含んでいてもよく、ここで、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列が、SEQ ID NO:22に示すアミノ酸配列又はその変異体を含み得る。例えば、前記抗体又はその抗原結合断片は、抗体C2-7BN78K-Fc又は同一軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を有する本願記載の抗体を含んでいてもよい。
【0085】
例えば、本願記載の抗体は、C2-7BN78K-FCであってもよい。抗体C2-7BN78K-FcのVLのアミノ酸配列を、SEQ ID NO:11に示す;VHのアミノ酸配列を、SEQ ID NO:22に示す;Fcの配列を、SEQ ID NO:34に示す;VLとVHの間の連結ペプチドは(G4S)3であり、その配列をSEQ ID NO:35に示す;VLとFcの間の連結ペプチドはG4Sであり、その配列をSEQ ID NO:36に示す;各ポリペプチド鎖の完全な配列を、SEQ ID NO:33に示す。
【0086】
本願では、前記アミノ酸配列の変異体は、実質的に同じ機能(例えば、CD137タンパク質を特異的に結合することができる)を有し、それと少なくとも約85%(例えば、少なくとも約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。いくつかの実施形態では、前記アミノ酸配列の変異体は、CD137タンパク質と実質的に同じ機能を有し(例えば、CD137タンパク質と特異的に結合することができる)、かつ、その上に1つ以上(例えば、1-2、1-3、1-4、1-5、1-6、1-7、1-8、1-9、1-10以上)のアミノ酸付加、欠損又は置換からなるアミノ酸配列である。
【0087】
いくつかの実施形態では、前記抗体は、5~50mg/mLoの濃度であってもよい。例えば、ある場合には、前記抗体の濃度は、5~50mg/mL、5~45mg/mL、5~40mg/mL、5~35mg/mL、5~30mg/mL、5~25mg/mL、5~20mg/mL、6~50mg/mL、6~45mg/mL、6~40mg/mL、6~35mg/mL、6~30mg/mL、6~25mg/mL、6~20mg/mL、7~50mg/mL、7~45mg/mL、7~40mg/mL、7~35mg/mL、7~30mg/mL、7~25mg/mL、7~20mg/mL、8~50mg/mL、8~45mg/mL、8~40mg/mL、8 35mg/mL、8~30mg/mL、8~25mg/mL、8~20mg/mL、9~50mg/mL、9~45mg/mL、9~40mg/mL、9~35mg/mL、9~30mg/mL、9~25mg/mL、9~20mg/mL、10~50mg/mL、10~45mg/mL、10~40mg/mL、10~35mg/mL、10~30mg/mL、10~25mg/mL、10~20mg/mL、10~50mg/mL、15~45mg/mL、15~40mg/mL、15~35mg/mL、15~30mg/mL、15~25mg/mL、又は15~20mg/mLであってもよい。
【0088】
緩衝塩、安定剤、界面活性剤及びキット
【0089】
本願では、前記製剤は、CD137と特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片に加えて、緩衝塩を含んでいてもよく、前記緩衝塩は、以下からなる群より1つ以上選択されうる:リン酸塩、クエン酸塩及び酢酸塩。
【0090】
いくつかの実施形態では、前記緩衝塩は、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム及び/又はクエン酸ナトリウムを含んでいてもよい。
【0091】
例えば、ある場合には、前記緩衝塩は、リン酸水素二ナトリウム及びリン酸二水素ナトリウムを含んでいてもよい。また例えば、ある場合には、前記緩衝塩は、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、及びクエン酸ナトリウムを含んでいてもよい。
【0092】
いくつかの実施形態では、前記緩衝塩は、5~50mMの濃度であってもよい。例えば、ある場合には、前記緩衝塩の濃度は、5~10mM、5~20mM、5~30mM、5~40mM、5~50mM、10~20mM、10~30mM、10~40mM、10~50mM、15~20mM、15~30mM、15~40mM、15~50mM、20~30mM、20~40mM、20~50mM、25~30mM、25~40mM、25~50mM、30~40mM、30~50mM又は40~50mMであってもよい。例えば、ある場合には、前記緩衝塩の濃度は、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、11mM、12mM、13mM、14mM、15mM、16mM、17mM、18mM、19mM、20mM、21mM、22mM、23mM、24mM、25mM、26mM、27mM、28mM、29mM、30mM、31mM、32mM、33mM、34mM又は35mMであってもよい。
【0093】
本願では、前記緩衝塩は、リン酸水素二ナトリウム及びリン酸二水素ナトリウムを含み得る。例えば、本願記載の製剤において、前記リン酸水素二ナトリウムとリン酸二水素ナトリウムの合計は、以下であってもおよい:10~20mM、10~30mM、10~40mM、10~50mM、15~20mM、15~30mM、15~40mM、15~50mM、20~30mM、20~40mM、20~50mM、25~30mMの濃度でもよい。 25~40mM、25~50mM、30~40mM、30~50mM、40~50mM。また例えば、本願記載の製剤において、前記リン酸水素二ナトリウムとリン酸二水素ナトリウムの濃度の合計は、以下であってもよい:1%~2%(wt)、1%~3%(wt)、1%~4%(wt)、1~5%(wt)、1~6%(wt)、1~7%(wt)、1~8%(wt)、1~9%(wt)、1~10%(wt)、2~3%(wt)、2%~4%(wt)、2%~5%(wt)、2%~6%(wt)、3%~4%(wt)、3%~5%(wt)、3%~6%(wt)、3.5%~4%(wt)、3%~5%(wt)又は3%~6%(wt)。
【0094】
本願では、前記緩衝塩は、クエン酸ナトリウムを含み得る。例えば、本願記載の製剤において、前記スクロースのは、以下の濃度であってもよい:0.1 %~6 %(wt)、0.1 %~6.5 %(wt)、0.1 %~7 %(wt)、0.1 %~7.5 %(wt)、0.1 %~8.5 %(wt)、0.1 %~9 %(wt)、0.1 %~9.5 % (wt)、0.1%~10% (wt)、0.2%~6% (wt)、0.2%~6.5% (wt)、0.2%~7% (wt)、0.2%~7.5% (wt)、0.2%~8% (wt)、0.2%~8.5% (wt)、0.2%~9% (wt), 0.2%~9.5% (wt)、 0.2%~10% (wt)、0.3~6%(wt%)、0.3%~6.5%(wt)、0.3%~7%(wt)、0.3~7.5%(wt)、0.3~8%(wt)、0.3%~9%(wt)又は0.3~10%(wt)。
【0095】
本願では、前記製剤は、CD137と特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片に加えて、安定化剤を含んでいてもよく、前記安定化剤は、以下からなる群より1つ以上選択される:スクロース、トレハロース、マンニトール、グリシン、塩酸アルギニン、オキシベートナトリウム、ヒスチジン、酢酸ナトリウム及び塩化ナトリウム。例えば、いくつかの実施形態では、前記安定剤は、スクロースを含んでいてもよい。また例えば、いくつかの実施形態では、前記安定剤は、スクロース及びクエン酸ナトリウムを含んでいてもよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、前記安定剤は、'l%~10%(wt)の濃度であってもよい。例えば、ある場合には、前記安定剤は、以下の濃度であってもよい:1%~2%(wt)、1%~3%(wt)、1%~4%(wt)、1%~5%(wt)、1%~6%(wt)、l%~7%(wt)、l%~8%(wt)、l%~9%(wt)、l%~10%(wt)、2%~3%(wt)、2%~4%(wt)、2%~5% (wt)、2%~6% (wt)、2%~7% (wt)、2%~8% (wt)、2%~9% (wt)、2%~10% (wt)、3%~4% (wt)、 3%~5% (wt)、 3%~6% (wt)、 3%~7% (wt)、 3%~8% (wt)、 3%~10% (wt)、4%~5%(wt)、4%~6%(wt)、 4%~7%(wt)、 4%~8%(wt)、 4%~9%(wt)、 4%~10%(wt)、 5%~6%(wt)、 5%~7%(wt)、 5%~8%(wt)、 5%~9%(wt)、 5%~10%(wt)、 6%~7%(wt)、 6%~8%(wt)、6%~9%(wt)、6%~10%(wt)、6.8%~7%(wt)、6.8~8%(wt)、6.8~9%(wt)又は6.8~10%(wt)。
【0097】
いくつかの実施形態では、前記安定剤は、l%~10%(wt)の濃度であってもよい。例えば、ある場合には、前記安定剤は、5mM~250mMの濃度であってもよい。例えば、ある場合には、前記緩衝塩は、以下の濃度であってもよい:5~250mM、5~240mM、5~230mM、5~220mM、5~210mM、5~200mM、5~190mM、5~180mM、5~170mM、5~160mM、5~150mM、10~250mM、10~240mM、10~230mM、10~220mM、10~210mM、10~200mM、10~190mM、10~180mM、10~170mM、10~160mM、又は10~150mM。
【0098】
本願では、前記安定剤は、スクロースを含み得る。例えば、ある場合には、前記スクロースは、以下の濃度であってもよい:5~250mM、5~240mM、5~230mM、5~220mM、5~210mM、5~200mM、5~190mM、10~250mM、10~240mM、10~230mM、10~220mM、10~210mM、10~200mM、10~150mM、10~190mM、50~250mM、50~240mM、50~230mM、50~220mM、50~210mM、50~200mM、又は50~190mM。
【0099】
本願では、前記安定剤は、クエン酸ナトリウムを含んでいてもよく、例えば、クエン酸ナトリウム二水和物であってもよい。例えば、ある場合には、前記クエン酸ナトリウムは、以下の濃度であってもよい:5~250mM、5~240mM、5~230mM、5~220mM、5~210mM、5~200mM、5~190mM、5~180mM、5~170mM、5~160mM、5~150mM、10~250mM、10~240mM、10~230mM、10~220mM、10~210mM、10~200mM、10~190mM、10~180mM、10~170mM、10~160mM、又は10~150mM。
【0100】
本願では、前記安定剤は、スクロースを含み得る。例えば、本願記載の製剤において、前記スクロースは、以下の濃度であってもよい:1%~6%(wt)、1%~6.5%(wt)、1%~7%(wt)、1%~7.5%(wt)、1~8%(wt)、1~8.5%(wt)、1~9%(wt)、1~10%(wt)、2~6%(wt)、2% ~6.5%(wt)、 2% ~7%(wt)、 2% ~7.5%(wt)、 2% ~8%(wt)、 2% ~8.5%(wt)、 2% ~9%(wt)、 2% ~9.5%(wt)、 2% ~10%(wt)、 3% ~6%(wt)、 3% ~6.5%(wt)、 3% ~7%(wt)、 3% ~7.5%(wt)、3%~8%(wt)、3%~&5%(wt)、3%~9%(wt)又は3%~10%(wt)。
【0101】
本願では、前記安定剤は、クエン酸ナトリウムを含み得る。例えば、本願記載の製剤において、前記スクロースは、以下の濃度であってもよい:1%~6%(wt)、1%~6.5%(wt)、1%~7%(wt)、1%~7.5%(wt)、1~8%(wt)、1~8.5%(wt)、1~9%(wt)、1~10%(wt)、2~6%(wt)、2% ~6.5%(wt)、 2% ~7%(wt)、 2% ~7.5%(wt)、 2% ~8%(wt)、 2% ~8.5%(wt)、 2% ~9%(wt)、 2% ~9.5%(wt)、 2% ~10%(wt)、 3% ~6%(wt)、 3% ~6.5%(wt)、 3% ~7%(wt)、 3% ~7.5%(wt)、3%~8%(wt)、3%~&5%(wt)、3%~9%(wt)又は3%~10%(wt)。
【0102】
本願では、前記製剤は、CD137と特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片に加えて、界面活性剤を含んでいてもよく、前記界面活性剤は、以下からなる群より1つ以上選択されうる:ポリソルベート20及びポリソルベート80。例えば、前記界面活性剤は、ポリソルベート20(すなわち、PS20)を含んでいてもよい。また例えば、前記界面活性剤は、ポリソルベート80(すなわち、PS80)を含んでいてもよい。また例えば、前記界面活性剤は、ポリソルベート20とポリソルベート80を含んでいてもよい。
【0103】
いくつかの実施形態では、前記界面活性剤は、0.01%~02%(wt)の濃度であってもよい。例えば、ある場合には、前記界面活性剤は、以下の濃度であってもよい:0.01%~0.2%(wt)、0.02%~0.2%(wt)、0.03%~0.2%(wt)、0.04%~0.2%(wt)、0.05%~0.2%(wt)、0.06%~0.2%(wt)、0.07%~0.2%(wt)、0.08%~0.2%(wt)、0.09%~0.2%(wt)、0.1%~0.2%(wt)又は 0.15%~0 2%(wt)。
【0104】
本願では、前記界面活性剤は、ポリソルベート80を含み得る。例えば、本願に記載の製剤において、前記ポリソルベート80は、以下の濃度であってもよい:0.01%~0.2%(wt)、0.02%~0.2%(wt)、003%~0.2%(wt)、0.04%~0.2%(wt)、0.05%~0.2%(wt)、0.06%~0.2%(wt)、0.07%~0.2%(wt)、0.08%~0.2%(wt)、0.09%~0.2%(wt)、0.1%~0.2%(wt)、0.15%~0.2%(wt)。
【0105】
本願では、前記製剤は、6.5~7.5pHであってもよい。例えば、ある場合には、前記製剤は、以下のpHであってもよい:6.5~6.6、6.5~6.7、6.5~6.8、6.5~6.9、6.5~7.0、6.5~7.1、6.5~7.2、6.5~7.3、6.5~7.4、6.5~7.5、6.6~ 6.7、6.6~6.8、6.6~6.9、6.6~7.0, 6.6~7.1, 6.6~7.2、6.6~7.3、6.6~7.4、6.6~7.5、6.7~6.8、6.7~6.9、6.7~7.0、6.7~7.1、6.7~7.2、6.7~7.3、6.7~7.4、6.7~7.5、6.8~6.9、6.8~7.0、6.8~7.1、6.8~7.2、6.8~7.3、6.8~7.4又は6.8~7.5。例えば、ある場合には、前記製剤は、6.6~7.2のpHであってもよい。
【0106】
本願では、前記製剤は、CD137と特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片に加えて、以下を含み得る:スクロース、ポリソルベート80(すなわちPS80)、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム及び水。
【0107】
本願では、前記製剤は、CD137と特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、スクロース、クエン酸ナトリウム、ヒスチジン、ポリソルベート80及び水から構成されうる。
【0108】
本願では、前記製剤は、CD137と特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片、約20mMの安定剤(リン酸二水素ナトリウム及びリン酸水素二ナトリウム)、約4.8~6.2%(wt)スクロース、約10mMクエン酸ナトリウム、約50mMヒスチジン、約0.05%(wt)ポリソルベート80及び水から構成されうる。
【0109】
一方、本願は、前記製剤及び前記製剤用容器を含むキットを提供する。本願では、前記キットは、一般に、一緒にパッケージ化されていても、いなくてもよい構成物の集合体を指す。例えば、本願では、前記キットは、前記製剤と、前記製剤を入れる容器とを含んでいてもよい。
【0110】
前記キットの構成要素は、別々のバイアルに含まれていてもよいし(分離できるキット)、単一のバイアルで提供されてもよい。また、キットは説明書を含んでいてもよく、紙又は電子形式のユーザーマニュアルの形で提供されてもよい。例えば、マニュアルには、本願のキットを使用した場合に得られる結果を解釈するための指示が記載されていてもよい。
【0111】
用途
【0112】
一方、本願は、癌を治療するための医薬品の製造における、前記製剤又は前記キットの使用を提供する。
【0113】
一方、本願は、癌を治療する方法を提供し、前記方法は、それを必要とする対象に、本願に記載の製剤又は本願に記載のキットを投与することを含む。
【0114】
一方、本願に記載の製剤又は前記キットであって、癌の治療に使用できる。
【0115】
本願では、T細胞によるサイトカインの分泌を促進し得る(例えば、IFN-gを分泌し得る)前記製剤又は前記キットを提供するものである。
【0116】
本願では、本願に記載の製剤が静脈内投与又は皮下投与のために製剤化されるように、注射剤として製剤化してもよい。いくつかの実施形態では、本願記載の製剤は、経口投与、静脈内投与、筋肉内投与、腫瘍部位でのin situ投与、吸入、直腸投与、膣投与、経皮投与又は皮下リザーバーを介した投与が可能である。
【0117】
本願では、前記投与方法は、本願に記載の製剤を腫瘍内に注射するなどの腫瘍内注射であってもよい。いくつかの実施形態では、前記投与方法は、経口投与、静脈内投与、筋肉内投与、腫瘍部位でのin situ投与、吸入、直腸投与、膣投与、経皮投与、又は皮下リザーバーを介した投与であってもよい。
【0118】
いくつかの実施形態では、対象に投与される本願に記載の製剤の用量レベルは、以下によって変化し得る:送達される分子、投与経路、及び患者のサイズ(体重、体表面又は器官サイズ)及び/又は身体状態(年齢及び一般的健康)。
【0119】
本願では、前記癌は、以下からなる群より選択されうる:メラノーマ、前立腺癌、大腸癌、メルケル細胞皮膚癌、膵臓癌、非ホジキンリンパ腫、扁平上皮癌及び乳癌。
【0120】
実施例
【0121】
以下の実施例は、本願の製剤及び使用等を説明する目的でのみ与えられており、本願の範囲を限定するものではなく、また、以下に記載する試験が実施される唯一かつ排他的な試験であることを示唆するものでもない。使用する数値(量、温度など)の正確性を確保するよう努めたが、多少の実験誤差やバイアスは考慮する必要がある。特に明記されていない限り、部数は重量部、分子量は重量平均分子量、温度は摂氏温度、圧力は常圧又は常圧に近い。
【0122】
標準的な略語が使用されてもよく、例えば、bp、塩基対;kb、乾燥塩基対;pl、マイクロリットル;s又はsec、秒;min、分;h又はhr、時間;aa、アミノ酸;nt、ヌクレオチド;iv、静脈内;i.m、筋肉内;i.p、腹腔内;s.c、皮下などである。
【0123】
実施例1 抗CD137抗体の調製
【0124】
1.1. 抗CD137抗体の構造
【0125】
本願の抗CD137抗体のアミノ酸配列を表1に示す。
【表1】
【0126】
1.2. 抗CD137抗体の発現と精製
【0127】
表1のアミノ酸配列は、DNAworksオンラインツール(http://helixweb.nih.gov/dnaworks/)を用いて設計した。得られたDNA配列をFermentas社のHind IIIとEcoR Iで二酵素切断により市販ベクターpcDNA4にクローニングし、塩基配列を決定した 組換えプラスミドDNAは以下のように得た:pcDNA4-C2-4A-Fc, pcDNA4-C2-4B-Fc, pcDNA4-C2-4C-Fc, pcDNA4-C2-5A-Fc, pcDNA4-C2- 5B-Fc, pcDNA4-C2-5C-Fc, pcDNA4-C2-6A-Fc, pcDNA4-C2-6B-Fc, pcDNA4-C2-7A-Fc, pcDNA4-C2-7B-Fc和pcDNA4-C2-7BN78K-Fc。分子クローニングの標準操作によってプラスミドを抽出し、抽出後のプラスミドはHEK 293細胞中で瞬時に発現し、そしてProtein Aカラム精製により、C2-4A-Fc、C2-4B-Fc、C2-4C-Fc、C2-5A-Fc、C2-5B-Fc、C2-5C-Fc、C2-6A-Fc、C2-6B-Fc、C2-7A-Fc、C2-7B-FcとC2-7BN78K-Fcを得て、以下の各実施例に用いた。得られたタンパク質サンプルは、SDS-PAGEを用いて予備検出を行ったところ、目的のバンドを明確に確認することができた。
【0128】
実施例2 製剤の調製と性能試験
【0129】
実施例1で調製した抗CD137抗体を、緩衝塩、安定剤、界面活性剤の1種以上と混合し、pHを調整して、表2-1、2-2、2-3に示す成分の種類と含有量(「/」は含有しないことを示す)の製剤1~14(すなわち、本願に記載の製剤)を作製した。
【表2-1】

【表2-2】
【表2-3】
【0130】
製剤1~14の特性を試験し、主な試験と方法を以下に簡単に説明する。
【0131】
(1) 外観
【0132】
サンプルの外観を目視で確認する。サンプル瓶の汚れを拭き取り、1000luxの光量下でクラリティテスター(天田天発より購入)の前に置き、サンプルの色、透明度、可視異物を観察した。
【0133】
(2) pH値
【0134】
pHメーター(メトラー社から購入)を用いて、試料のpHを確認した。pH 4.01 7.00 9.21のpH校正液でpHメーターを校正し、傾きが95%以上であることを確認した。
【0135】
(3) タンパク質濃度
【0136】
タンパク質濃度の検出には、UV分光光度計(Agilent社から購入)を使用した。試料を超純水で希釈し、0.3-0.7Absの範囲の吸光度を得た。280 nmの吸光度を測定し、消光係数1.749、タンパク質濃度=吸光値/消光係数*希釈倍数で算出した。
【0137】
(4) 分子排除クロマトグラフィーの純度(SEC-HPLC)
【0138】
SEC純度は、SECカラム(TSKgel G3000SWXL, 7.8 mm ID x 30 cm, 5 gm)を取り付けたHPLC(Waters e2695 SEC)により測定した。移動相組成は1×PBS, pH 6.80で、面積正規化法を用いてメインピークと凝集体及び分解物の相対割合を算出した。
【0139】
(5) キャピラリー等電点電気泳動法(cIEF)
【0140】
cIEF分析は、コーティングキャピラリー(μSIL-Fc Capillaries 50μm ID x 30.2cm)を取り付けたキャピラリー電気泳動装置(Beckman, PA800 plus)を用いて実施。
【0141】
(6) キャピラリーゲル電気泳動法 CCE-SDS-R/NR)
【0142】
CE-SDS-R/NR純度分析は、非コート石英キャピラリー(全長30.2cm、内径50μm)を装着したキャピラリー電気泳動装置(Beckman, PA800 plus)を用いて実施する。
【0143】
(7) DSC (示差走査熱量計)
【0144】
示差熱測定装置(TA社製購入)を用いて、タンパク質の熱転移温度を測定し、試料の熱安定性を検討した。走査温度は10-90℃、1℃/分の速度で行い、得られたプロファイルをソフトウェアで積分して熱転移温度(Tm)の中点を求めた。
【0145】
(8) 不溶性粒子
【0146】
フォトレジスト法で検出。濾過精製水を用いて不溶性微粒子検出器(HIAC社より購入)の計器システムを検査し、サンプルごとに4回測定し、初回測定データを除去し、後の3回測定結果の平均値を取り、2~10μm, 10~25μmと≧25μmの3つの粒径範囲を検出した。
【0147】
(9) 結合活性
【0148】
結合活性の測定は、間接 ELISA 法で行った。サンプルはまず、1% BSA-PBST希釈液を用いたグラジエントで10μg/mLの開始濃度に希釈し、5μg/mlの抗原CD137-muFcでプレコートした酵素プレートで一晩インキュベーションし、西洋ワサビペルオキシダーゼ標識検出抗体(1:10000希釈)、TMB発色、酵素マーカーによる450nmでのOD検出を行った値を 450nm で測定した。その結果を4パラメータ適合回帰モデルでプロットし、day0サンプルのEC50値と試験対象サンプルのEC50値を比較して、試験対象サンプルの相対的結合活性を算出した。詳細な実験パラメータを表3に示す。
【表3】
【0149】
製剤1~14の性能試験結果を表4-1、4-2、4-3、4-4、4-5、4-6、4-7、4-8、4-9及び4-10に示す。
【表4-1】
【0150】
製剤1、2、3は、高温条件(40℃)で30日間保存すると、少量の白い繊維と白濁した溶液として現れることがわかる。製剤4及び5は、40℃で2週間検討した結果、わずかに濁りを生じた。4℃で4週間検討した結果、溶液は清澄化し、製剤4では6回の凍結融解後に少量の白色粒子が出現した。6及び7は、室温保存、振盪、凍結融解のいずれにおいても透明な溶液であった。製剤8、9、10は37℃、3週間後にわずかに濁った。製剤11及び12は37℃、3週間後にわずかに濁り、調製例12の溶液は6回凍結融解した後、清澄化された。製剤13及び14は、40℃2週間後の試験でわずかに濁り、40℃4週間後の試験で濁りが生じた。
【表4-2】
【0151】
製剤1~14のいずれにおいても、pHに大きな変化は生じていないことがわかる。
【表4-3】
【0152】
製剤1~14のいずれにおいても、タンパク質濃度に大きな変化が生じていないことがわかる。
【表4-4】
【0153】
製剤1、2、3を高温条件(40℃)で30日間保存した場合、pHの上昇に伴い、凝集体の増加率が増加することがわかる。
【0154】
製剤4及び5では,40℃2週間試験後のメインピーク純度が低く,凝集体の増加率も低かった。4℃4週間試験後のメインピーク純度はT0と比較して有意差はなく,凍結融解6回後のメインピーク含有量にも有意差はなかった。製剤6と調剤7のSECの結果は、グループ間で有意な差はなかった。製剤8,9及び10は,37℃で4週間試験した後,メインピークの減少が緩やかで,凝集体の増加が少なかった。製剤11と12のSECメインピーク純度の変化には、37℃、3週間の試験後、ほとんど差がなかった。6回の凍結融解後、調製品12のSECメインピーク純度の変化にはほとんど差がなかった。製剤13、14について40℃で4週間検討した結果、タンパク質濃度が低いほど、pHが低いほど、スクロース濃度が高いほど、SECメインピーク純度が高いというデータが得られた。
【表4-5】
【0155】
製剤1、2、3はいずれも高温条件(40℃)で30日間保存した場合、有意なメインピーク、塩基性ピークの減少、酸性ピークの増加を示すことがわかる。製剤4及び5は,40℃2週間試験で有意なメインピークを示し,塩基性ピークの減少及び酸性ピークの増加が認められた。4℃4週間試験でT0と比較してメインピークの純度に有意差は認められず,6回の凍結融解でT0と比較してメインピークの純度に有意差は認められなかった。cIEFの結果、6、7は群間で有意差なし、13、14は40℃4週間試験でメインピークが有意に減少し、酸性メインピークと塩基性メインピークが有意に増加した。
【表4-6】
【0156】
製剤1、2及び3は、高温条件(40℃)で30日間保存した場合、CE-SDS-Rメインピーク純度がそれぞれ5.5%、8.9%、14.1%減少したことがわかる。製剤4、5ともに40℃2週間試験でメインピーク純度が有意に低下した。4℃4週間試験後ではT0と比較してメインピーク純度に有意差はなく、6回の凍結融解後でもT0と比較してメインピーク純度に有意差はなかった。CE-SDS-Rの結果では、6剤と7剤で群間差はほとんどなかった。CE-SDS-Rのメインピークの純度は、製剤8、9、10では37℃、4週間の試験で減少が少なかった。37℃で3週間後、製剤11と12のメインピークの純度はそれぞれ6.2%と6.3%減少した。製剤13と14では、40℃、4週間後のCE-SDS-Rメインピークの純度に大きな差はなかった。
【表4-7】
【0157】
高温(40℃)で30日間保存した場合、CE-SDS-NRのメインピークの純度は、製剤1、2、3でそれぞれ10.1%、12.1%、18.1%低下していることがわかる。製剤4、5ともに40℃2週間試験でメインピーク純度が有意に低下した。4℃4週間試験後ではT0と比較してメインピーク純度に有意差はなく、6回の凍結融解後でもT0と比較してメインピーク純度に有意差はなかった。製剤6及び7のCE-SDS-NRの結果は、グループ間で有意な差はなかった。製剤8、9及び10は、37℃で4週間検討した結果、CE-SDS-NRのメインピークの純度の低下が少なかった。製剤11と12のCE-SDS-NRメインピークの純度は、6回の凍結融解サイクルを経ても大きく変化しなかった。製剤13と14では、40℃、4週間後のCE-SDS-NRメインピークの純度に大きな差はなかった。
【表4-8】
【0158】
製剤4と5はTm値が高く、熱安定性が比較的良好であることがわかる。
【表4-9】
【0159】
製剤6及び7は不溶性粒子が少なく、製剤12は不溶性粒子が少ないことがわかる。
【表4-10】
【0160】
製剤13及び14は、比較的優れた結合活性を有することがわかる。
【0161】
実施例3.製剤の体内腫瘍に対する治療効果
【0162】
CT26腫瘍モデルマウスの構築:
【0163】
(1) マウス大腸がん細胞CT26細胞(ATCCより購入)を蘇生し、蘇生5日後に消化し、消化した細胞を回収した。
【0164】
消化された細胞をPBSで洗浄し,ふるいでろ過して数を数え,5 x 106 セル/mlの濃度で再懸濁し,CT26細胞の細胞生存率が約94%となる細胞懸濁液を得た。
【0165】
(2) Balbc-KIマウス(Collective Pharmachemより購入)40匹に、手順(1)で得られた細胞懸濁液をそれぞれ100pLずつ皮下接種した。接種後、腫瘍ができるまで観察し、CT26腫瘍モデルマウスを得た。
【0166】
腫瘍の治療のための本願に記載の製剤の投与:
【0167】
(1) 実施例2で調製した製剤液13と、ヒトIgG4を含む対照液(溶質がCD137抗体ではなくヒトIgG4であること以外は製剤液13と同じ成分・濃度)を表5記載の方法でCT26腫瘍モデルマウスに投与した。
【表5】
【0168】
塗布後の状態を図1A図1Bに示す。1~3がグループ1~3の順である。2回の繰り返し試験の結果をそれぞれ図1A、1Bに示す。図1の結果から、実施例2で調製した製剤xxのマウス大腸癌細胞に対する殺傷効果は、対照群に対して有意に高めることができ、投与量が多いほど殺傷効果も有意に高まることがわかる。
【0169】
図2A~2Cも同様に、マウス大腸がん細胞に対する群1~3の殺傷効果をこの順に反映させており、各群の各マウスの体内腫瘍体積が反映されている。図2の結果から、実施例2で調製した製剤XXは、マウス大腸癌細胞に対する殺傷効果をコントロールに対して有意に高め、投与量が多いほど殺傷効果が顕著になることがわかる。
【0170】
実施例4 サイトカイン分泌促進用製剤
【0171】
(1) 0.1μg/mLのCD3抗体(Biolegend 317304より購入)をプレートラップし、4℃で一晩静置。
【0172】
(2) PBS溶液で2回洗浄する一方、実施例2と異なる濃度で調製した製剤液13をプレートに包装し、37℃で2時間静置する。
【0173】
(3) 健常者の新鮮な血液から、PBS溶液で2回洗浄することにより、20万個/ウェルの濃度でヒトT細胞を分離し、上記手順(2)で処理したパケットプレートに加え、37℃で3時間反応させる。
【0174】
(4) 上清を回収し、その中に含まれるヒトIFN-gの量を測定した。
【0175】
結果を図3に示すが、コントロールは実施例3のヒトIgG4を含む溶液であり、製剤液は実施例213で調製した製剤液である。図3の結果から、実施例2で調製した製剤13は、対照群に対してT細胞のIFN-gの分泌能力を有意に増加させることがわかる。腫瘍を死滅させる能力を向上させるのに有益である。
【0176】
前述の詳細な説明は、説明及び例として提供されるものであり、添付の請求項の範囲を限定することを意図するものではありません。本願に現在列挙されている実施形態の様々な変形は、当業者には明らかであり、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内に留まるであろう。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
【配列表】
2023522024000001.app
【国際調査報告】