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特表2023-522035多成分パッケージ化投薬形態および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-26
(54)【発明の名称】多成分パッケージ化投薬形態および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/14 20060101AFI20230519BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230519BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20230519BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20230519BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
A61K9/14
B33Y10/00
B33Y80/00
A61K47/10
A61K9/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562660
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(85)【翻訳文提出日】2022-11-25
(86)【国際出願番号】 US2021027558
(87)【国際公開番号】W WO2021211898
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】63/010,628
(32)【優先日】2020-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518059060
【氏名又は名称】アプレシア・ファーマスーティカルズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ジェイ・ブラッドベリー
(72)【発明者】
【氏名】アリース・エム・フィリップス
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ジー・ウェスト
(72)【発明者】
【氏名】ジェドク・ユー
(72)【発明者】
【氏名】マンヒー・リー
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー・カブラル
【テーマコード(参考)】
4C076
【Fターム(参考)】
4C076AA29
4C076AA36
4C076BB01
4C076DD37
4C076FF05
4C076GG01
4C076GG02
(57)【要約】
ブリスタ包装の一部分の中で医薬投薬形態を形成する方法およびシステム。この方法は、凹みを含む投薬形態用のブリスタ包装を提供する工程を含む。凹みの中に、薬物を含む所定の量の粉末材料を堆積させて、実質的に均一な粉末層にする。次いで、凹みの中の粉末層上に結合液を1つのパターンで沈積させて、粉末層の粒子を結合させ、それによって濡れたインクリメンタル粉末層を形成する。結合材料中の過剰の溶媒を除去して、結合したインクリメンタル層を形成することができる。これらの工程を、少なくとも1回またはそれ以上、順番に繰り返して、ブリスタ包装の中で医薬投薬形態を形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投薬形態を、該投薬形態用の包装の一部分の中で形成する方法であって:
(1)投薬形態用の包装の一部分を提供する工程であって、該包装の一部分は、上縁を有する少なくとも1つの凹みを含む、工程と;
(2)該少なくとも1つの凹みの中で、そのままの位置で、粒子を含む第1の粉末組成物を成形してベース粉末層にする工程であって、該ベース粉末層の上面は凹みの上縁よりも低い位置にある、工程と;
(3)ベース粉末層上に第1の結合液を連続パターンで沈積させて、ベース粉末層の粒子を結合させ、それによって濡れたベース粉末層を形成する工程と;
(4)少なくとも1つの凹みの中で、そのままの位置で、粒子を含む第2の粉末組成物を成形して、均一な厚さを有する中間粉末層にする工程であって、該中間粉末層の上面は凹みの上縁よりも低い位置にあり、中間粉末組成物はベース粉末組成物とは異なる、工程と;
(5)中間粉末層上に第2の結合液を、中間粉末層の周縁に沿って1つのパターンで沈積させて、粒子を、少なくとも中間粉末層の環状周縁に沿って結合させ、それによって、少なくとも濡れた中間粉末層の環状周縁に沿って濡れた粉末粒子を有する濡れた中間粉末層を形成する工程と;
(6)少なくとも1つの凹みの中で、粒子を含む第3の粉末組成物を成形して、均一な厚さを有するキャップ粉末層にする工程であって、該キャップ粉末層の上面は、凹みの上縁と同じ高さにあるかまたは凹みの上縁よりも低い位置にある、工程と;
(7)キャップ粉末層上に第3の結合液を連続パターンで沈積させて、キャップ粉末層の粒子を結合させ、それによって濡れたキャップ粉末層を形成する工程と
を含む前記方法。
【請求項2】
ベース粉末層および中間粉末層は均一な厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
濡れた中間粉末層は、濡れた中間粉末層の内側部分に、中間粉末層の濡れていない粉末粒子を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第2の結合液を、実質的に中間粉末層の全エリアにわたって沈積させる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第2の粉末組成物は敏感なAPIを含み、またはAPIを含む敏感な粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第1の粉末組成物と第3の粉末組成物の少なくとも一方は、APIを含んでおらず、敏感なAPIを含んでおらず、APIを含む敏感な粒子を含んでいない、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
敏感なAPIは水に敏感なAPIであり、敏感な粒子は水に敏感な粒子である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
APIを含む水に敏感な粒子は、コーティング材で被覆された被覆APIまたは凝集材で凝集させた凝集APIを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第1の結合液と第3の結合液は同じ液体組成物であり、第1の粉末組成物と第3の粉末組成物は同じ粉末組成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
第1の粉末組成物を配置することは、第1の粉末組成物を堆積させてベース粉末層にすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの凹みの中に第1の粉末組成物を配置する前に、凹みの閉端に結合液の層を沈積させる工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第1の粉末組成物を配置することは、凹みの中に所定の量の第1の粉末組成物を堆積させること、および堆積させた所定の量の第1の粉末組成物を成形してベース粉末層にすることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
中間粉末組成物を配置することは、第2の粉末組成物を堆積させて中間粉末層にすることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
中間粉末組成物を配置することは、凹みの中に所定の量の第2の粉末組成物を堆積させること、および堆積させた所定の量の第2の粉末組成物を成形して中間粉末層にすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
第3の粉末組成物を配置することは、第3の粉末組成物を堆積させてキャップ粉末層にすることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第3の粉末組成物を配置することは、凹みの中に所定の量の第3の粉末組成物を堆積させること、および堆積させた所定の量の第3の粉末組成物を成形してキャップ粉末層にすることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
濡れたベース粉末層、濡れた中間粉末層および濡れたキャップ粉末層の1つまたはそれ以上を乾燥させて、結合液に含まれる溶媒の一部分を除去する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
濡れたベース粉末層を乾燥させる工程は、第2の粉末組成物を配置する工程の前に実行され、濡れた中間粉末層を乾燥させる工程は、第3の粉末組成物を配置する工程の前に実行される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
パッケージ化投薬形態であって:
(1)上縁および閉端を有する少なくとも1つの凹みを含む、投薬形態用の包装と;
(2)該凹みの中に配置された投薬形態と
を含み、該投薬形態は:
a)平面エリアを有し、平面エリアおよび厚さの全体にわたって第1の結合剤と一緒に結合した第1の粉末組成物の粒子を含む、結合したベース粉末層と、
b)平面エリアを有し、第2の粉末組成物の粒子を含む、1つまたはそれ以上の結合した中間粉末層であって、該粒子は、第2の結合剤によって少なくとも平面エリアの周縁部分に沿って一緒に結合しており、結合した中間粉末層の一緒に結合した周縁部分は、結合したベース粉末層の上面と界面で結合している、1つまたはそれ以上の結合した中間粉末層と、
c)平面エリアを有し、第3の結合剤によって平面エリアの全体にわたって一緒に結合した第3の粉末組成物の粒子を含む、結合したキャップ粉末層であって、一緒に結合したキャップ粉末層は、結合した中間粉末層の上面と界面で結合している、結合したキャップ粉末層と
を含む、
前記パッケージ化投薬形態。
【請求項19】
第2の粉末組成物は水に敏感なAPIを含み、またはAPIを含む水に敏感な粒子を含む、請求項18に記載のパッケージ化投薬形態。
【請求項20】
第1の粉末組成物と第3の粉末組成物の少なくとも一方は、APIを含んでおらず、敏感なAPIを含んでおらず、APIを含む敏感な粒子を含んでいない、請求項19に記載のパッケージ化投薬形態。
【請求項21】
APIを含む水に敏感な粒子は、コーティング材で被覆された被覆APIまたは凝集材で凝集させた凝集APIを含む、請求項19に記載のパッケージ化投薬形態。
【請求項22】
結合したベース粉末層および1つまたはそれ以上の結合した中間粉末層の少なくとも1つは均一な厚さを有する、請求項18に記載のパッケージ化投薬形態。
【請求項23】
1つまたはそれ以上の結合した中間粉末層、ここで、平面エリアの内側部分内の第2の粉末組成物の粒子は第2の結合剤によって結合していない、請求項18に記載のパッケージ化投薬形態。
【請求項24】
第1の粉末組成物と第3の粉末組成物は同じ粉末組成物である、請求項18に記載のパッケージ化投薬形態。
【請求項25】
結合したベース粉末層および結合した中間粉末層は、凹みの内面と共形の底面および外周縁壁面を有する、請求項18に記載のパッケージ化投薬形態。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬または他の活性成分用の投薬形態(dosage form)または錠剤形態を製造する分野に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医薬品製造業者は、医薬錠剤の形成と投薬の両方で使用するためのブリスタパックの使用に注目している。これらのブリスタパックは一般に、ブリスタシートまたはブリスタフィルムと蓋掛けシートとからなる。ブリスタシートは、錠剤、カプセル剤、丸剤などを含む個々の投薬形態を収容するための空間凹み(spatial depression)を含む。
【0003】
迅速プロトタイピングは、物体のコンピュータモデルからその物体の3次元プロトタイプを製造するさまざまな技法を表す。1つの技法は、プリンタを使用して複数の2次元層から3Dプロトタイプを製造する3次元印刷である。具体的には、3D物体のデジタル表現がコンピュータメモリに記憶されている。コンピュータソフトウェアがその物体の表現を別個の複数の2D層に分割する。その代わりに、それぞれのインクリメンタル層(incremental layer)に対する命令のストリーム(順次系列)、例えば一連の画像を直接に入力することもできる。3Dプリンタは次いで、ソフトウェアによって分割された2D画像層ごとに、結合した材料の薄層を製造する。同時に、それらの層を互いに重ねて印刷し、互いに接着して、所望のプロトタイプを形成する。
【0004】
医薬投薬形態、機械的プロトタイプおよび概念モデル、機械部品を鋳造するための型、骨成長促進インプラント、電子回路板、組織工学用のスカフォード、反応性生医学複合材料、組織成長促進インプラント、歯科修復、宝石、流体フィルタおよび他の同様の物品などの物品を調製するために、粉末-液体3次元印刷技術が使用されている。
【0005】
3次元印刷は、粉末の薄層を表面に分散させ、その粉末の選択された領域を、液体の制御された沈積(「印刷」)によって一緒に結合させる、固体フリーフォーム製造技法/迅速プロトタイピング技法を含むことができる。この基本的操作を層ごとに繰り返し、以前に印刷した層の上にそれぞれの新しい層を形成し、以前に印刷した層に接着して、最終的に、結合していない粉末の層の中に3次元物体を製作する。印刷された物体が十分な凝集力を有するときには、それらの物体を、結合していない粉末から分離することができる。
【0006】
物品の3次元印刷用のシステムおよび機器アセンブリは、他社、例えば:Massachusetts Institute of Technology Three-Dimensional Printing Laboratory(米マサチューセッツ州ケンブリッジ)、Z Corporation(現在は3D Systemsの一部門)の3DPおよびHD3DP(商標)システム(米マサチューセッツ州バーリントン)、The Ex One Company,L.L.C.(米ペンシルベニア州アーウィン)、Soligen(米カリフォルニア州ノースリッジ)、Specific Surface Corporation(米マサチューセッツ州フランクリン)、TDK Corporation(千葉県、日本)、Therics L.L.C.(米オハイオ州アクロン。現在はIntegra Lifesciencesの一部門)、Phoenix Analysis & Design Technologies(米アリゾナ州テンピ)、Stratasys,Inc.のDimension(商標)システム(米ミネソタ州エデン・プレイリー)、Objet Geometries(マサチューセッツ州ビレリカまたはイスラエル国Rehovot)、Xpress3D(米ミネソタ州ミネアポリス)、および3D SystemsのInvision(商標)システム(米カリフォルニア州ヴァレンシア)によって市販または使用されている。
【0007】
粉末および結合液を使用する3次元印刷システムは通常、順番に適用されたその粉末の個々の層上に結合液を沈積させることによって物品を形成する。結合液は、結合していない粉末材料がパターンの外周縁に残るように、それぞれの粉末層の粉末の所定の領域にパターンを描いて適用される。結合していない粉末は通常、形成している印刷された物品を取り囲む。結合した粉末を含む印刷された物品は次いで、結合していない大量の粉末から分離される。望ましくなくないことだが、このようなプロセスでは、結合していない粉末を廃棄またリサイクルする必要がある。結合していない粉末を廃棄またはリサイクルする必要性を大幅に低減させまたは排除する機器アセンブリ、システムおよび方法を提供することは、当分野の大幅な改善につながるであろう。
【0008】
その開示が参照によって本明細書に組み入れられる特許文献1は、キャビティ3次元印刷によって物品を調製する製造システム、機器アセンブリおよびそれらの使用を記載している。キャビティは、その中でキャビティの周縁に近い物品を形成する、機械上のビルドモジュールの部分とすることができる。物品は、キャビティ内に形成された一連の複数のインクリメンタル層によって形成される。完成後、3DP物品はキャビティから出される。3DP物品は場合により乾燥され、場合により除塵され、かつ/または場合によりパッケージ化される。
【0009】
改良されたより都合のよい医薬投薬形態およびそれらの製造方法がさらに求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0141275号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、包装材の凹みの容積の中で結合粉末または結合微粒子物品を形成する方法およびシステム、ならびにその包装の凹みの中でそのままの位置で形成された製品のための方法およびシステムを提供する。いくつかの実施形態では、物品が投薬形態であり、投薬形態は、固体経口処方薬を含む、薬剤、薬物または医薬錠剤もしくは丸剤とすることができる。本明細書に記載された方法は、デプレッション3次元印刷またはデプレッション3DPとも呼ばれる。包装は、1つまたはそれ以上の凹みを含むことができ、いくつかの実施形態では包装が複数の凹みのパターンを含むことができる。この方法およびシステムを、最小の製品損失、高性能および高い製品再現性を有する高スループットの連続、半連続またはバッチ製造に使用することができる。
【0012】
本明細書に記載された実施形態および構成は、医薬および薬物を含む錠剤を、ブリスタパックなどのそれらの包装の中で直接に形成する方法を提供し、特定の実施形態では、迅速に崩壊する医薬錠剤を、使い捨ての単用量ブリスタパックの中で製造する方法を提供する。
【0013】
本明細書に記載された実施形態は、他の3次元印刷(3DP)プロセスに比べて、廃棄物またはリサイクル可能な結合していない粉末の大幅な低減または排除を提供することができる。デプレッション3DPは、凹みに入った微粒子材料の大部分、実質的に全部または全部を、3D印刷された対応する単一の投薬形態に組み入れることを提供する。
【0014】
本発明の一実施形態は、投薬形態を、投薬形態用の包装の一部分の中で形成する方法を提供する。この方法は、投薬形態用の包装の一部分を提供する工程であって、包装の一部分は少なくとも1つの凹みを含む、工程と;少なくとも1つの凹みの中で、そのままの位置で、粒子を含む第1の粉末組成物を成形して、凹みの上部開口よりも低い位置に上面を有するベース粉末層にする工程と;ベース粉末層上に第1の結合液を連続パターンで沈積させて、ベース粉末層の粒子を結合させ、それによって濡れたベース粉末層を形成する工程と;凹みの中で、そのままの位置で、粒子を含む第2の粉末組成物を成形して、上部開口よりも低い位置に上面を有する中間粉末層にする工程であって、第2の粉末組成物は第1の粉末組成物とは異なる、工程と;中間粉末層上に第2の結合液を、中間粉末層の周縁に沿って1つのパターンで沈積させて、粒子を、少なくとも中間粉末層の環状周縁に沿って結合させ、それによって、少なくとも環状周縁に沿って濡れた粉末粒子を有する濡れた中間粉末層を形成する工程と;凹みの中で、そのままの位置で、粒子を含む第3の粉末組成物を成形して、上部開口と同じ高さにあるかまたは上部開口よりも低い位置にある上面を有するキャップ粉末層にする工程と;キャップ粉末層上に第3の結合液を連続パターンで沈積させて、キャップ粉末層の粒子を結合させ、それによって濡れたキャップ粉末層を形成する工程と:を含む。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、中間粉末層が、濡れた中間粉末層の内側部分に、第2の粉末組成物の濡れていない粉末粒子を含む。本発明のいくつかの実施形態では、ベース粉末層と中間粉末層の1つまたはそれ以上が、均一な厚さまたは実質的に均一な厚さを有する。いくつかの実施形態では、ベース粉末層および中間粉末層が、層の全エリアにわたって、肉眼で見たときと同じ厚さを含む。
【0016】
本発明の一実施形態は、投薬形態を、投薬形態用の包装の一部分の中で形成する方法を提供する。この方法は、投薬形態用の包装の一部分を提供する工程であって、包装の一部分は、上縁を有する少なくとも1つの凹みを含む、工程と;少なくとも1つの凹みの中で、粒子を含む第1の粉末組成物を成形してベース粉末層にする工程であって、ベース粉末層の上面は凹みの上縁よりも低い位置にある、工程と;ベース粉末層上に第1の結合液を連続パターンで沈積させて、ベース粉末層の粒子を結合させ、それによって濡れたベース粉末層を形成する工程と;少なくとも1つの凹みの中で、粒子を含む第2の粉末組成物を成形して中間粉末層にする工程であって、中間粉末層の上面は凹みの上縁よりも低い位置にあり、中間粉末組成物はベース粉末組成物とは異なる、工程と;中間粉末層上に第2の結合液を、中間粉末組成物の周縁に沿って1つのパターンで沈積させて、粒子を、少なくとも中間粉末層の環状周縁に沿って結合させ、それによって、少なくとも環状周縁に沿って濡れた粉末粒子を有する濡れた中間粉末層を形成する工程と;少なくとも1つの凹みの中で、粒子を含む第3の粉末組成物を成形して、均一な厚さを有するキャップ粉末層にする工程であって、キャップ粉末層の上面は、凹みの上縁と同じ高さにあるかまたは凹みの上縁よりも低い位置にある、工程と;キャップ粉末層上に第3の結合液を連続パターンで沈積させて、キャップ粉末層の粒子を結合させ、それによって濡れたキャップ粉末層を形成する工程と:を含む。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態では、中間粉末層が、濡れた中間粉末層の内側部分に、第2の粉末組成物の濡れていない粉末粒子を含む。本発明のいくつかの実施形態では、ベース粉末層と中間粉末層の1つまたはそれ以上が、均一な厚さまたは実質的に均一な厚さを有する。
【0018】
本明細書に記載されたさまざまな実施形態および上に記載されたさまざまな実施形態のいずれにおいても、第2の粉末組成物は、敏感な活性医薬成分(active pharmaceutical ingredient)(API)を含むことができ、またはAPIを含む敏感な粒子を含むことができる。
【0019】
本明細書に記載されたさまざまな実施形態および上に記載されたさまざまな実施形態のいずれにおいても、第1の粉末組成物と第3の粉末組成物の少なくとも一方は、APIを含んでおらず、敏感なAPIを含んでおらず、APIを含む敏感な粒子を含んでいない。本明細書に記載されたさまざまな実施形態および上に記載されたさまざまな実施形態のいずれにおいても、敏感なAPIは水に敏感なAPIであり、敏感な粒子は水に敏感な粒子である、本明細書に記載されたさまざまな実施形態および上に記載されたさまざまな実施形態のいずれにおいても、APIを含む水に敏感な粒子は、コーティング材で被覆された被覆APIまたは凝集材で凝集させた凝集APIを含む。
【0020】
本明細書に記載されたさまざまな実施形態および上に記載されたさまざまな実施形態のいずれにおいても、第1の結合液と第3の結合液は同じ液体組成物である。本明細書に記載されたさまざまな実施形態および上に記載されたさまざまな実施形態のいずれにおいても、第1の結合液、第2の結合液および第3の結合液は同じ液体組成物である。
【0021】
本明細書に記載されたさまざまな実施形態および上に記載されたさまざまな実施形態のいずれにおいても、第1の粉末組成物と第3の粉末組成物は同じ粉末組成物である。
【0022】
本明細書に記載されたさまざまな実施形態および上に記載されたさまざまな実施形態のいずれにおいても、第1の粉末組成物を配置することは、第1の粉末組成物を堆積させてベース粉末層にすることを含む。
【0023】
本明細書に記載されたさまざまな実施形態および上に記載されたさまざまな実施形態のいずれにおいても、この方法はさらに、少なくとも1つの凹みの中に第1の粉末組成物を配置する前に、凹みの閉端に結合液の層を沈積させる工程を含む。
【0024】
本明細書に記載されたさまざまな実施形態および上に記載されたさまざまな実施形態のいずれにおいても、第1の粉末組成物を配置することは、凹みの中に所定の量の第1の粉末組成物を堆積させること、および堆積させた所定の量の第1の粉末組成物を成形してベース粉末層にすることを含む。
【0025】
本明細書に記載されたさまざまな実施形態および上に記載されたさまざまな実施形態のいずれにおいても、中間粉末組成物を配置することは、第2の粉末組成物を堆積させて中間粉末層にすることを含む。本明細書に記載されたさまざまな実施形態および上に記載されたさまざまな実施形態のいずれにおいても、中間粉末組成物を配置することは、凹みの中に所定の量の第2の粉末組成物を堆積させること、および堆積させた所定の量の第2の粉末組成物を成形して中間粉末層にすることを含む。
【0026】
本明細書に記載されたさまざまな実施形態および上に記載されたさまざまな実施形態のいずれにおいても、第3の粉末組成物を配置することは、第3の粉末組成物を堆積させてキャップ粉末層にすることを含む。本明細書に記載されたさまざまな実施形態および上に記載されたさまざまな実施形態のいずれにおいても、第3の粉末組成物を配置することは、凹みの中に所定の量の第3の粉末組成物を堆積させること、および堆積させた所定の量の第3の粉末組成物を成形してキャップ粉末層にすることを含む。
【0027】
本明細書に記載されたさまざまな実施形態および上に記載されたさまざまな実施形態のいずれにおいても、この方法はさらに、濡れたベース粉末層、濡れた中間粉末層および濡れたキャップ粉末層の1つまたはそれ以上を乾燥させて、結合液に含まれる溶媒の一部分を除去する工程を含む。本明細書に記載されたさまざまな実施形態および上に記載されたさまざまな実施形態のいずれにおいても、濡れたベース粉末層を乾燥させる工程は、第2の粉末組成物を配置する工程の前に実行され、濡れた中間粉末層を乾燥させる工程は、第3の粉末組成物を配置する工程の前に実行される。
【0028】
本発明の一実施形態は、パッケージ化投薬形態を提供し、このパッケージ化投薬形態は、上縁および閉端を有する少なくとも1つの凹みを含む、投薬形態用の包装と;凹みの中に配置された投薬形態と:を含み、投薬形態は、平面エリアおよび均一な厚さを有し、平面エリアおよび厚さの全体にわたって第1の結合剤によって一緒に結合した第1の粉末組成物の粒子を含む、結合したベース粉末層と、平面エリアおよび均一な厚さを有し、第2の粉末組成物の粒子を含む、結合した中間粉末層であって、平面エリアの周縁部分の厚さの中の粒子は、第2の結合剤によって一緒に結合しており、結合した中間粉末層の一緒に結合した周縁部分は、結合したベース粉末層の上面と界面で結合しており、平面エリアの内側部分の厚さの中の粒子は、第2の結合剤によって結合していない、結合した中間粉末層と、平面エリアおよび均一な厚さを有し、第3の結合剤によって平面エリアおよび厚さの全体にわたって一緒に結合した第3の粉末組成物の粒子を含む、結合したキャップ粉末層であって、一緒に結合したキャップ粉末層は、結合した中間粉末層の上面と界面で結合している、結合したキャップ粉末層と:を含む。
【0029】
本明細書に記載されたさまざまな実施形態および上に記載されたさまざまな実施形態のいずれにおいても、第2の粉末組成物は水に敏感なAPIを含み、またはAPIを含む水に敏感な粒子を含む。
【0030】
本明細書に記載されたさまざまな実施形態および上に記載されたさまざまな実施形態のいずれにおいても、第1の粉末組成物と第3の粉末組成物の少なくとも一方は、APIを含んでおらず、敏感なAPIを含んでおらず、APIを含む敏感な粒子を含んでいない。本明細書に記載されたさまざまな実施形態および上に記載されたさまざまな実施形態のいずれにおいても、APIを含む水に敏感な粒子は、コーティング材で被覆された被覆APIまたは凝集材で凝集させた凝集APIを含む。
【0031】
本明細書に記載されたさまざまな実施形態および上に記載されたさまざまな実施形態のいずれにおいても、第1の結合剤と第3の結合剤は同じ結合剤組成物である。本明細書に記載されたさまざまな実施形態および上に記載されたさまざまな実施形態のいずれにおいても、第1の結合剤、第2の結合剤および第3の結合剤は同じ結合剤組成物である。
【0032】
本明細書に記載されたさまざまな実施形態および上に記載されたさまざまな実施形態のいずれにおいても、第1の粉末組成物と第3の粉末組成物は同じ粉末組成物である。
【0033】
本明細書に記載されたさまざまな実施形態および上に記載されたさまざまな実施形態のいずれにおいても、結合したベース粉末層および結合した中間粉末層は、凹みの内面と共形の底面および外周縁壁面を有する。
【0034】
本明細書に記載された実施形態は、投薬形態を、投薬形態用の包装の一部分の中で形成する方法を提供する。この方法は、1)投薬形態用の包装の一部分を提供する工程であって、包装の一部分は、少なくとも1つの凹みを含む、工程と;2)少なくとも1つの凹みの中に粒子を含む所定の量の粉末材料を堆積させて粉末層にする工程と;3)少なくとも1つの凹みの中の粉末層上に結合液を1つのパターンで沈積させて、粉末層の粒子の少なくとも一部分を結合させ、それによって結合したインクリメンタル層を形成する工程と;4)工程2)および3)を少なくとも1回またはそれ以上、順番に繰り返し、それによって、投薬形態を、投薬形態用の包装の一部分の中で形成する工程と:を含む。
【0035】
本明細書に記載された実施形態はさらに、投薬形態を、投薬形態用の包装の一部分の中で形成する方法を提供し、この方法は、1)少なくとも1つの空間凹みを含む、投薬形態用の包装の一部分を提供する工程と、2)少なくとも1つの凹みの中に粒子を含む所定の量の粉末材料を堆積させて粉末層にする工程と、3)少なくとも1つの凹みの中の粉末層上に結合液を1つのパターンで沈積させて、粉末層の粒子の少なくとも一部分を結合させ、それによって濡れたインクリメンタル粉末層を形成する工程と、4)工程2)および3)を少なくとも1回またはそれ以上、順番に繰り返し、それによって、投薬形態を、投薬形態用の包装の一部分の中で形成する工程と:を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、堆積させた粉末層が実質的に均一な粉末層である。
【0037】
上記の方法の一方または両方では、装置またはシステムアセンブリの粉末堆積領域(もしくはシステム)で、少なくとも1つの凹みの中に粉末材料を堆積させることができ、装置またはシステムアセンブリの粉末堆積領域(もしくはシステム)または専用粉末ならし領域(もしくはシステム)で、粉末材料を層化すること、または粉末材料を成形して粉末材料のインクリメンタル層にすることができる。凹みが装置またはシステムアセンブリの結合液適用領域(もしくはシステム)にあるときに、インクリメンタル粉末層に結合液を適用することができる。装置またはシステムアセンブリの粉末堆積領域(もしくはシステム)または粉末ならし領域(もしくはシステム)で、または装置またはシステムアセンブリの専用整形領域(もしくはシステム)で、粉末材料または濡れた粉末材料層の整形または突固めを完了させることができる。
【0038】
上述の領域(もしくはシステム)のうちの2つまたはそれ以上の領域(もしくはシステム)間で、1つまたはそれ以上の凹みを含む投薬形態包装を任意の順序で移動させることができる。限定されないいくつかの実施形態では、(1つまたはそれ以上の)レセプタクルが:a)粉末堆積領域から結合液適用領域に繰り返し移動し、次いで場合により整形領域に移動し;b)粉末層化領域から整形領域に移動し、次いで結合液適用領域に移動し;c)粉末層化領域から結合液適用領域に移動し、次いで粉末層化領域に戻り、次いで整形領域に移動し;またはd)粉末層化領域から粉末ならし領域に移動し、次いで結合液適用領域に移動し、次いで乾燥領域に移動する。粉末層化領域、結合液適用領域、整形領域および/または乾燥領域の後に、放出領域を置くことができる。
【0039】
製造された製品パッケージは、1つまたはそれ以上の凹みをその中に有するフィルム材料であり、1つまたはそれ以上の凹みが、1つまたはそれ以上の凹みの中に形成された整形された結合粉末投薬形態を含む、フィルム材料と、投薬形態を1つまたはそれ以上の凹みの中に封入するようにフィルム材料に接着された剥離または取外しが可能なカバーシートとを含むことができる。
【0040】
製造された製品パッケージの一実施形態では、投薬形態が、1つまたはそれ以上の凹みの中に堆積させた粉末を結合液によって結合させることによって1つまたはそれ以上の凹みの中に形成された結合粉末マトリックスである。
【0041】
製造された製品パッケージの一実施形態では、整形された結合粉末マトリックスの一部分が、1つまたはそれ以上の凹みの内面と共形である。
【0042】
一実施形態はさらに、パッケージを提供し、このパッケージは、1つまたはそれ以上の凹みをその中に有するフィルム材料であり、1つまたはそれ以上の凹みは、1つまたはそれ以上の凹みの中に形成された整形された結合粉末マトリックスを含む、フィルム材料と、結合粉末マトリックスを1つまたはそれ以上の凹みの中に封入するようにフィルム材料に接着された剥離可能なカバーシートとを含む。
【0043】
製造された製品パッケージの一実施形態では、結合粉末マトリックスが、1つまたはそれ以上の凹みの中に堆積させた粉末を結合液によって結合させることによって1つまたはそれ以上の凹みの中に形成される。整形された結合粉末マトリックスの一部分は、1つまたはそれ以上の凹みの内面と共形であることができる。1つまたはそれ以上の凹みの内面と向かい合う結合粉末マトリックスの周縁部分は、追加の量の結合液を含むことができる。
【0044】
製造された製品パッケージの一実施形態では、結合粉末マトリックスが、3D印刷された迅速に分散可能な投薬形態を含み、結合粉末マトリックスは、1つまたはそれ以上の凹みの中に堆積させた粉末を結合液によって結合させることによって1つまたはそれ以上の凹みの中に形成することができる。
【0045】
製造された製品パッケージの一実施形態では、結合粉末マトリックスが活性医薬成分(API)を含む。
【0046】
さまざまな実施形態において、1つまたはそれ以上の凹みの内面と向かい合う結合粉末マトリックスの周縁部分は、追加の量の結合液を含み;または少なくとも1つの凹みは、包装の通常の使用および取扱いの下では変化または変動しない固定された形状および容積を有し;または包装は、1つまたはそれ以上のブリスタ、カップ、ポッドまたは他のレセプタクルを含み;または、包装は、投薬形態形成プロセスの前に予め形成されておりかつ/または予めカットされており;または包装はシートを含み、シートは、シートに形成された複数の凹みを含み、凹みは、シートから閉端まで延びる側壁を含み;またはこれらのうちの1つ、2つ、3つもしくはそれ以上の任意の組合せを含む。
【0047】
さまざまな実施形態において、上記工程4)は少なくとも3回繰り返される。
【0048】
さまざまな実施形態において、粉末材料の一部分は結合材の粒子を含み、結合液は、結合材の粒子を結合させる。
【0049】
さまざまな実施形態において、この方法は、上記工程2)の前に、少なくとも凹みの閉端に結合液を沈積させる工程を含むことができる。
【0050】
さまざまな実施形態において、少なくとも1つの凹みは、離型剤を含む内面を含む。
【0051】
さまざまな実施形態において、結合液は揮発性溶媒を含み、この方法は、結合したインクリメンタル層から揮発性溶媒の一部分を蒸発によって除去する工程を含むことができる。
【0052】
さまざまな実施形態において、側壁は凹み深さを有し、それぞれの粉末層は、凹み深さの少なくとも5%および最大約100%の厚さ、いくつかの実施形態では最大約50%の厚さを有する。さまざまな実施形態において、それぞれの層は、凹みの深さの約2%から50%、または凹みの深さの約2%から30%、もしくは約2%から20%、もしくは約5%から20%、もしくは約2%から10%、もしくは約5%から10%である。
【0053】
いくつかの実施形態では、凹みの中に堆積させ、成形してインクリメンタル結合粉末層にする粉末層の数を、2つもしくはそれ以上の層、3つもしくはそれ以上の層、4つもしくはそれ以上の層、5つもしくはそれ以上の層、6つもしくはそれ以上の層、7つもしくはそれ以上の層または8つもしくはそれ以上の層、および50個もしくはそれ以下の層、40個もしくはそれ以下の層、30個もしくはそれ以下の層、20個もしくはそれ以下の層、18個もしくはそれ以下の層、16個もしくはそれ以下の層、14個もしくはそれ以下の層、12個もしくはそれ以下の層、10個もしくはそれ以下の層、8つもしくはそれ以下の層、6つもしくはそれ以下の層または4つもしくはそれ以下の層を任意の組合せで含む、1つまたは複数の層とすることができる。
【0054】
インクリメンタル粉末層は、所定の厚さ(垂直高さ)の標的厚さまたは重量平均厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、この所定の厚さを、0.005から0.015インチ、0.008から0.012インチ、0.009から0.011インチ、約0.01インチ、100~300ミクロン、100~500ミクロン、約200ミクロンまたは約250ミクロンとすることができる。いくつかの実施形態では、インクリメンタル粉末層の厚さが、100~400ミクロン、150~300ミクロンまたは200~250ミクロンの範囲にある。一実施形態では、この粉末層の厚さが約200ミクロンである。別の実施形態では、この粉末層の厚さが約250ミクロンである。
【0055】
いくつかの実施形態では、この所定の厚さが、少なくとも0.05インチ、少なくとも0.008インチ、少なくとも0.010インチ、少なくとも0.012インチ、少なくとも0.014インチまたは少なくとも0.016インチ、および最大0.020インチ、最大0.018インチ、最大0.016インチ、最大0.014インチ、最大0.012インチまたは最大0.010インチである。より厚いインクリメンタル層を使用するときには、層の平面内の十分な結合と層間の十分な結合の両方を保証するため、その層上に、より多量の印刷流体を沈積させる。反対に、より薄いインクリメンタル層に対しては、同程度の結合を得るため、より少量の印刷流体を堆積させる。沈積させる層当たりの印刷液の量が与えられているときに、より大きな層厚を使用すると、投薬形態の取扱性が低下する(悪化する)ことがあり、分散時間が短くなる(向上する)ことがある。所与の量の流体に対して使用する層が厚すぎる場合には、層状欠陥が生じることがあり、それによって層の平面に沿って投薬形態が割れやすくなったり(積層剥離)、または手または機械で取り扱うのに投薬形態自体の強度が不十分であったりすることがある。
【0056】
本明細書に記載された3DPプロセスによって製造される投薬形態の直径(または非円形エリアの相当直径)は約13~14mmから約20~25mm、高さ(全厚)は約5~6mmから約8~10mmとすることができる。
【0057】
一実施形態では、粉末層上に沈積させる結合液のパターンが、包装の側壁に対して配置された周縁または包装の側壁と接触した周縁を有する。
【0058】
一実施形態では、粉末層上に沈積させる結合液のパターンが、環状リングおよび円からなるグループから選択された形状を有する。
【0059】
一実施形態では、この方法が、投薬形態および少なくとも1つの凹みの上に蓋掛け層を適用して、投薬形態の封着された包装を形成する工程を含むことができる。
【0060】
一実施形態では、結合液をインクジェット印刷によって沈積させて、濡れた粉末層を形成する。
【0061】
一実施形態では、少なくとも1つの凹みの中に粒子を含む所定の量の粉末材料を堆積させて実質的に均一な粉末層にする上記工程2)が、(i)少なくとも1つの凹みの中に粒子を含む所定の量の粉末材料を堆積させること、および(ii)少なくとも1つの凹みの中で、堆積させた所定の量の粉末材料を成形して実質的に均一な粉末層にすること:を含む。
【0062】
一実施形態では、成形する工程が、堆積させた所定の量の粉末材料を整形しかつ/または突き固めて、上面を有する成形された粉末層にすることを含む。別の実施形態では、成形する工程が、堆積させた最後の所定の量の粉末材料を突き固めて、上面を有する成形された最後の粉末層にすることを含む。
【0063】
一実施形態では、この方法が、少なくとも1つの凹みの中の粉末層上に結合液を1つのパターンで沈積させる工程の後に、濡れたインクリメンタル粉末層を整形しかつ/または突き固めて、整形されたまたは突き固められた濡れた粉末層にすることを含む工程を含む。成形された濡れた粉末層は、一実施形態では平らなまたは平面の上面を有し、別の実施形態では凸形または凹形の上面を有する。
【0064】
一実施形態では、この方法が、複数の濡れたインクリメンタル粉末層を成形して、多数の濡れた層を含む濡れた粉末構造体にした後に、多数の濡れた粉末層を整形しかつ/または突き固めて、整形されたまたは突き固められた濡れた粉末構造体にする工程を含む工程を含む。
【0065】
一実施形態では、整形しかつ/または突き固める工程が、スタンプまたはパンチを使用する。いくつかの実施形態では、スタンプまたはパンチが凹形の下面を有する。
【0066】
一実施形態では、粉末材料が、1つまたはそれ以上のタイプの薬物含有粒子を含むことができる。
【0067】
本発明はさらに、凹みまたは凹みのパターン、例えば投薬形態包装に関連した凹みまたは凹みのパターンを提供および配置するため、ならびに凹みの中で3DP投薬形態を形成するための3DP機器システムおよびアセンブリを提供することができる。この機器システムおよびアセンブリは、限定はされないが、粉末堆積領域に配置された粉末堆積システム、粉末ならし領域に配置された粉末ならしシステム、結合液適用領域に配置された結合液適用システム、整形領域に配置された整形システム、および整形領域に配置された乾燥システムを含むことができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、3DP機器アセンブリが、1つまたはそれ以上のコンピュータ化されたコントローラ、1台またはそれ以上のコンピュータ、および1台またはそれ以上のコンピュータ用の1つまたはそれ以上のユーザインタフェースを含む、制御システムを含む。いくつかの実施形態では、機器アセンブリの1つまたはそれ以上の構成要素がコンピュータ制御される。いくつかの実施形態では、3DPビルドシステムの1つまたはそれ以上の構成要素がコンピュータ制御される。いくつかの実施形態では、粉末堆積システム、粉末ならしシステム、結合液適用システム、整形領域に配置された整形システムおよび乾燥システムがコンピュータ制御される。
【0069】
いくつかの実施形態では、3DP機器アセンブリがさらに、1つまたはそれ以上のハーベストシステム、1つまたはそれ以上の液体除去システム、1つまたはそれ以上の粉末回収システム、1つまたはそれ以上の物品転送システムまたは1つまたはそれ以上の検査システムを含むことができる。3DP機器アセンブリ、装置またはシステムは、上記のシステムのうちの一部もしくは全部のシステムを含むことができる。例えば、キャビティ3DP機器アセンブリ、装置またはシステムの実施形態によっては、凹みに入った実質的に全ての粉末材料が、凹みの中で形成されたそれぞれの投薬形態に組み込まれ、分離する必要がある過剰の粉末がほとんどまたは全くないため、ハーベストシステムを有する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1】凹みの中に配置された投薬形態を示す、蓋掛けシートの一部分が剥がされたブリスタパックを示す図である。
図2】蓋掛けシートで覆われた凹みの中の投薬形態の断面図である。
図3】蓋掛けシートが取り外された凹みの中の投薬形態の断面図である。
図4】投薬形態が取り出された凹みの断面図である。
図5】凹みの閉端に結合液を沈積させているところを示す図である。
図6】粉末源から凹みの中へ粉末材料の山を堆積させているところを示す図である。
図7】回転計量分配装置およびブリスタシートの立断面図である。
図8】回転計量分配装置およびブリスタシートの別の実施形態の立断面図である。
図9】凹みを揺動および/または振動させることにより粉末材料の山をならして実質的に均一な層にするためのさまざまな手段を示す図である。
図10】ブリスタパックの凹みのパターンと位置合わせされた開口とブリスタシートを支持プレートに固定するための真空手段とを有する支持プレートを示す図である。
図11】ブリスタシートの凹みの中に堆積させた粉末ドーズの垂直振動を提供する、ならし領域内で動作している往復キャリッジを示す図である。
図12】往復キャリッジ、ブリスタシート支持プレートおよびブリスタシートを分解図として示す図である。
図13】往復キャリッジの上面透視図、および粉末ドーズの垂直振動を与えるタッピング手段を示す図である。
図14】タッピング手段が第1の位置にある、図13の線14-14で切った往復キャリッジの垂直断面図である。
図15】タッピング手段が第2の位置にある、図14の往復キャリッジの垂直断面図である。
図16】ブリスタシートの凹みの中に堆積させた一回量の粉末材料の垂直振動を提供する持上げ手段に接近している、ならし領域内で動作している第2の往復キャリッジを示す図である。
図17】第2の往復キャリッジの要素を示す図である。
図18】持上げ手段の第1の上昇機構によって垂直に上昇している第2の往復キャリッジの前端を示す図である。
図19】持上げ手段の第2の上昇機構から落下した後の第2の往復キャリッジの前端、および第1の上昇機構によって垂直に上昇している第2の往復キャリッジの後端を示す図である。
図20】第2の上昇機構から落下した後の第2の往復キャリッジの後端を示す図である。
図21】一回量の第1の粉末組成物を凹みに充填し、次いでならしてベース粉末層にしているところを示す図である。
図22】第1の粉末組成物から形成され、濡れた粉末ベース粉末層を形成するために第1の印刷液を用いて連続パターンで印刷されたベース粉末層を含む凹みを示す図である。
図23】成形されて第1の中間粉末層にされ、濡れた粉末の周縁帯を有する第1の中間粉末層を形成するために少なくとも周縁部分が第2の印刷液を用いて1つのパターンで印刷された第2の粉末組成物を含む凹みを示す図である。
図24】第1の中間粉末層上に形成され、濡れた粉末の周縁帯を有する第2の中間粉末層を形成するために少なくとも周縁部分が第2の印刷液を用いて1つのパターンで印刷された、第2の粉末組成物から形成された第2の中間粉末層を含む凹みを示す図である。
図25】第2の中間粉末層上に形成され、濡れた粉末の周縁帯を有する第3の中間粉末層を形成するために少なくとも周縁部分が第2の印刷液を用いて1つのパターンで印刷された、第2の粉末組成物から形成された第3の中間粉末層を含む凹みを示す図である。
図26】結合していない粉末コアを含む結合粉末投薬形態を形成するために第3の印刷液を用いて連続パターンで印刷されて濡れたキャップ粉末層を形成した、第3の粉末組成物から形成されたキャップ粉末層を含む凹みを示す図である。
図27】包装凹みの中でそのままの位置で形成された、第1の粉末組成物および異なる第2の粉末組成物を含む結合粉末投薬形態を乾燥した後の完成した投薬形態を示す図である。
図28】蓋掛けフィルムを凹みに適用し封着した後のパッケージ化投薬形態を示す図である。
図29】第1、第2および第3の中間粉末層をそれらの表面全体にわたって印刷して第1、第2および第3の濡れた中間粉末層を形成した、完成した代替の投薬形態を含む凹みを示す図である。
図30】凹みの中にパンチを配置し、粉末層の上面を押圧して、一番上の粉末層の整形された凸形の上面を形成しているところを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
定義:
本明細書で使用されるとき、用語「凹み」は、投薬形態の包装の一部分に形成された空間キャビティを指す。包装の凹み部分の非限定的な例は、粉末または液体などの流動可能な材料を受け取り、収容することができるブリスタ、カップ、ポッドまたは他のレセプタクル包装を含む。
【0072】
本明細書で使用されるとき、「3DP」は、3次元印刷、3次元的に印刷された、またはこれらの他の活用形を意味する。
【0073】
本明細書で使用されるとき、「整形」は、材料のインクリメンタル層の1つまたはそれ以上の表面の形状、または複数の1つもしくは多数の層の形状を変更する操作を指す。この形状の変更は、整形工程において、表面全体または表面の一部分だけを変更すること、通常は上面を変更することとすることができる。変更後の形状は、希望に応じて、平らなもしくは平面の形状、凸形、凹形または他の任意の形状とすることができる。上面の変更後の形状は下面の形状とは異なりうる。
【0074】
本明細書で使用されるとき、用語「突固め」は、粉末塊の体積を低減させる力の下で粉末塊の体積内の多孔率または孔隙量を低減させる操作に関する。突固めは、凹みの中に形成された1つまたはそれ以上のインクリメンタル粉末層を整形し、かつ/または体積を低減させるパンチシステムを用いて達成することができる。
【0075】
本明細書において、構成が、「さまざまな実施形態のいずれか」または「さまざまな実施形態において」に関係すると記載されているとき、その記載された構成は、この説明の中に記載された任意の他の構成および実施形態と組み合わせることができると理解すべきである。しかしながら、そのような組合せまたは使用が明らかに不合理である場合、または記載された構成の有用性もしくは目的を否定する場合にはその限りではない。
【0076】
本発明のプロセスは、1つもしくはそれ以上の突固め工程、1つもしくはそれ以上の整形工程および/または1つもしくはそれ以上のマーキング工程を含むことができる。
【0077】
本明細書で使用されるとき、「3次元印刷ビルドシステム」または「3DPビルドシステム」は一般に、凹みの中に粉末材料を層として堆積させるか、または凹みの中に粉末材料を堆積させ、凹みの中でインクリメンタル粉末層に層化する粉末層化システム(領域)と、所定のパターンに従ってインクリメンタル粉末層に結合液を適用し、それによって部分的にまたは完全に結合した粉末層(印刷されたインクリメンタル層)を形成する印刷システム(領域)とを含む。
【0078】
図1は、ブリスタシート2を含むブリスタパック1を示しており、ブリスタシート2には、所望のフィルムまたはラミネート材料のシート6に所望の数の凹み4が従来の冷間成形によって形成されている。シート6に封着された蓋掛けシート8が示されており、シート6は、多成分投薬形態10(図2の断面図にも示されている)を含む凹みの上の位置3を含む。ブリスタパック1の前方部分は、凹み4の中に配置された投薬形態10(図3の断面図に示されている)または凹み4から取り出された投薬形態10(図4の断面図に示されている)を露出させることを示すためにシート6の上から折り返された蓋掛けシート8を示している。凹み4のサイズおよび形状は、形成する錠剤のサイズおよび性質ならびに当業者によく知られている他の考慮事項によって決定することができる選択事項である。ブリスタシート2の凹み4の数および配置は、錠剤の投与の量および期間、経済的観点、ならびに薬物または医薬錠剤の場合に活性なAPIのタイプ、ならびに当業者によく知られている他の考慮事項に基づくことができる選択事項である。フィルムまたはラミネートシート6は、その中に1つまたはそれ以上の凹みを形成することができる成形可能な材料を含む。一実施形態では、フィルムまたはラミネートシート6が、熱成形可能なプラスチック層、例えばポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンまたは他の同種の物質を含むポリマー物質を含むことができる。別の実施形態では、フィルムまたはラミネートシート6が、アルミニウムフィルムなどの冷間成形可能な金属箔を含むことができる。ラミネート材料は、同じまたは異なる材料でできたものとすることができ、同じまたは異なる厚さを有することができる、2つまたはそれ以上の層を含むことができる。このフィルムまたはラミネート材料は通常、約25から100ミクロン(μm)の間の厚さを有する。
【0079】
図4は、投薬形態用のブリスタ型包装の単一の部分を示しており、この部分は、シート6に形成された、閉端7および外壁9を有する凹4からなり、凹4は、その中に空間5を画成している。ブリスタシート2の凹み4は、非限定的な実施形態において、円形の平面形状と、シートから閉端7に向かって内側へテーパリングした外壁とを有するように示されている。ブリスタシート包装の凹みのいくつかの実施形態は、細長い形状または複雑な形状を有する。いくつかの実施形態は、丸みを帯びた外壁、円弧形の外壁、または包装シートに対して垂直な外壁を有する。包装材の任意の実施形態、または任意のタイプ、形状もしくはサイズの凹みを、本明細書に記載された発明に関する他の任意の実施形態と、直接にかつ疑わしくなく組み合わせることができることを当業者は認識および理解するであろう。
【0080】
図5は、凹み4の中に堆積させた最初の粉末材料20を結合させるために凹み4の底または閉端7に結合液の最初の層31を沈積させる最初の工程を示しており、いくつかの実施形態ではこの工程が任意である。結合液の最初の層31は、結合液の小滴30を、例えばインクジェット印刷ノズルアセンブリ33の印刷ノズル32から吹き付けることによって堆積させることができる。結合液の最初の層またはフィルムは、投薬形態10の底面が、底面12に沿った粉末材料の粒子をしっかりと結合させることを保証する。いくつかの実施形態では、乾燥または硬化したときに弾力のある硬い底部コーティングを形成する濡れたコーティングを形成するために、少なくとも粉末材料の粒子を一緒に結合させるのに十分な量よりも多い過剰量の結合液が使用される。いくつかの実施形態では、この濡れたコーティングを形成するために使用される結合液が、結合した粉末層を形成するために使用される結合液とは異なる液体である。
【0081】
図6は、ブリスタ型包装の1つまたはそれ以上の凹みの中に粉末材料を堆積させるための多数の手段および方法のうちの1つを示している。図6は、粒子を含む所定の第1の量40の粉末材料20を、凹み4の中または複数の凹み4の各々の中に堆積させる工程を示している。粉末20は、フィードコンテナまたはホッパ22から粉末計量分配装置(powder-dosing apparatus)24を通して放出される。粉末計量分配装置24は、所定の量の粉末40をフィードコンテナ22から分配するように設計および構成されており、この所定の量の粉末40は、所定の体積の粉末または所定の質量の粉末を含むことができる。図示の実施形態では、所定の量の粉末40が、凹み4の閉端7に粉末の山40の形態で堆積している。投薬形態の底12にコーティング50を形成するため、粉末20の堆積した第1の山40の底部は、図5に示されているように、任意選択の最初の結合液層31によって濡らされている。
【0082】
一実施形態では、所定の量の粉末40を所定の体積の粉末材料とすることができ、この粉末材料は、実質的に固定された質量重量の粉末材料をこの所定の体積の粉末が含むように実質的に均一な粉末密度を有すると仮定しうる。堆積した1つの量の粉末材料の質量重量が正確で再現可能であることは、粉末材料の2つまたはそれ以上の堆積物からなる完成した投薬形態が、一貫した正確な量の粉末材料を全体として有することを保証するために重要である。粉末材料20が、微粒子状医薬または薬物などの微粒子の形態にある活性成分を含み、粉末材料20がさらに1種またはそれ以上の他の微粒子材料を含む実施形態では、微粒子状活性成分が、他の微粒子材料から分離しないことが好ましい。
【0083】
別の実施形態では、所定の量の粉末を所定の質量重量の粉末材料とすることができる。この場合も、粉末密度が実質的に均一であると仮定すると、この所定の質量重量の粉末材料は、実質的に固定された体積の粉末材料を含む。図示の実施形態では、この所定の質量重量の粉末材料が、固定された体積の実質的に均一な粉末層を形成するのに十分な体積の粉末材料を、凹み4の中の使用可能な空間の底部に供給する。本明細書では、この所定の質量重量の粉末材料または固定された体積の粉末材料を、一回量の粉末材料とも呼ぶ。凹み4の中の使用可能な空間の底部のサイズおよび形状に応じて、予め決定可能な深さを有する実質的に均一な粉末層からなる第1の粉末層が形成される。
【0084】
さまざまな手段および装置を使用して、一回量の粉末材料を凹みの中に配置しまたは堆積させることができる。その開示の全体が参照によって組み入れられる国際公開第2020-081561号パンフレットは、その図7から10に、手動計量分配装置を開示しており、この手動計量分配装置は、粉末材料のバルク供給物を含むフィードコンテナまたはホッパと、ホッパと連通した上部開口および下部開口を有する、ホッパの底に装着された外側円筒と、内側円筒であって、内側円筒内の体積充填キャビティに充填する充填回転位置と体積空隙内の粉末材料が重力によって外側円筒の下部開口を通して分配される分配回転位置との間で外円筒内で軸方向に回転する内側円筒とを含む。いくつかの実施形態では、容積が固定された充填キャビティを有する内側円筒の代わりに、異なる所定の体積の粉末を堆積させるためのサイズの異なる容積が固定された充填キャビティを有する別の内側円筒を使用することができる。本発明の別の実施形態では、異なる所定の体積または質量の粉末材料を分配するために、このシステムが、異なる容積サイズの充填キャビティを有する第2の(またはそれ以上の)手動計量分配装置を含むことができる。重力による凹みの中への粉末の堆積は通常、凹みの底または以前に形成された結合した粉末層の上面に粉末の山を形成するが、山は普通、一貫した再現可能な形状を有するわけではなく、粉末材料の安息角のため、粉末表面は通常、凹みの外壁に向かってテーパを有する。
【0085】
上述の国際公開第2020-081561号パンフレットはさらに、計量分配パッケージの複数の凹みに充填するためのさまざまな自動計量分配装置を示している。その図11から12Bには、粉末材料の供給物を含むホッパから回転計量分配ドラムの外面に沿った複数の充填キャビティに充填する回転計量分配装置が示されており、充填キャビティの数は、ブリスタシートのいくつかの凹みに充填するように構成されている。回転計量分配装置のいくつかの実施形態では、充填キャビティに充填され粉末材料の保持を支援するために、充填キャビティの内面に真空を適用する真空システムを含めることができる。それぞれの充填キャビティの面積サイズおよび深さは、一回量の粉末材料を保持し、ブリスタシートのそれぞれの凹みの中に分配するのに十分である。いくつかの実施形態では、スライドゲート、またはビンからの粉末材料の流れを制限するための他のよく知られた手段を使用して、充填キャビティに入る粉末材料の体積速度を抑制することができる。制限手段の非限定的な例は分配ゲートである。
【0086】
上述の国際公開第2020-081561号パンフレットの図13~18は、体積分配ポケットを有するスライドプレートの別の実施形態を示しており、このスライドプレートは、体積分配ポケットの中の粉末材料を凹みの中へ直接にまたは間接的に分配するために、粉末ビンの底部分配開口の下方に体積分配ポケットが配置される充填位置と、凹みの上方に体積分配ポケットが配置される分配位置との間で横方向に摺動可能である。
【0087】
本開示の図7および8は、計量分配パッケージの複数の凹みに充填するための自動計量分配装置225の別の実施形態を示している。図7および8は、回転計量分配装置375の充填キャビティ377の開口のサイズおよび深さが、凹みの中で粉末層を形成するのに必要な粉末の量よりも多い1つの体積の粉末を保持するのに十分であることを示している。このような実施形態では、装置225がさらに、所定の体積の粉末材料を計量して超過サイズの充填キャビティに入れる体積分配ポケットを含む。
【0088】
粉末材料20を含む細長い供給ビン271が、計量分配装置225の下のブリスタシート2の移動方向に対して横断方向のブリスタシート2の幅に沿って向けられている。図7は、体積分配ポケット282の中に粉末をフィードする底部分配開口を示している。他の実施形態では、細長いビンの分配開口が、ビンからの粉末材料を計量してポケット孔287に入れる粉末フィードバルブ、例えばロータリフィーダを含むことができる。体積分配ポケット282は、細長いキャビティ285と遠位端を含む分配開口284とを有する支持フレーム283を含む。細長いキャビティ285の中にはポケットゲート286が配置されており、ポケットゲート286は、ポケットゲート286の遠位部分に配置されたポケット孔287を有する。ポケットゲート286の近位部分から操作手段が延びており、この操作手段は、支持フレーム283の後部開口を通して延びるシャフト288として示されている。この操作手段によって、ポケットゲート286は、細長いキャビティ285内を、図7に示された充填位置と図8に示された分配位置との間で移動可能である。図7では、粉末材料20が、重力の下で流下してポケット孔287を完全に満たしている。
【0089】
体積分配ポケット282の遠位部分の下に回転計量分配ドラム375が配置されており、回転計量分配ドラム375は、外面276に沿って複数の充填キャビティ377を含み、複数の充填キャビティ377は、回転計量分配ドラム375の下に配置されたブリスタシート2のいくつかの凹みに充填するように数および計量分配ドラム375の周縁上の向きが決められている。
【0090】
図8では、シャフト288にかけられた力として示されている操作手段が、ポケットゲート286および充填済みのポケット孔287を、細長いキャビティ285の遠位部分まで移動させている(摺動させている)。ポケットゲート286が遠位方向に移動すると、ポケットゲート286の本体の近位部分の上面が細長いビン271の底部分配開口を覆い、閉じる。ポケットゲート286が遠位方向に移動し続けると、粉末材料が充填された充填済みポケット孔287は、分配開口284と位置合わせされた状態に近づく。充填済みポケット孔287がフレームの分配開口284と部分的に重なり、フレームの分配開口284と位置合わせされ始めると、ポケット孔287の中の粉末材料は、分配開口284を通って、フレームの分配開口284の下に位置合わせされて配置された充填キャビティ377の中へ入り始める。通常は、細長い供給ビン271の長さに沿って複数の体積分配ポケット282が横方向に配置されており、それらの複数の体積分配ポケット282は、回転計量分配ドラム375の外面276に回転計量分配ドラム375の幅を横切って形成された対応する複数の充填キャビティ377と位置合わせされ整列した複数の充填キャビティ377の各々の中に、一回量の粉末材料を分配するように操作される。
【0091】
回転ドラム375が回転すると、それぞれの充填キャビティ377は充填ポイントに向かって回転する。充填キャビティ377が分配開口284に接近し、分配開口284と位置合わせされ整列すると、一回量の粉末材料は、重力によって、充填済みポケット孔287から、分配開口284を通って、それぞれの充填キャビティ377の中に落下する。
【0092】
回転計量分配装置225はさらに、装置225の分配開口284と放出ポイント273との間に、円筒形の外面276と向かい合う円弧形の内面を有するシェル274を含み、シェル274は、充填済みキャビティ377f(粉末材料20が充填された充填キャビティ377)を覆って粉末材料がこぼれるのを防ぐ。シェル274の前縁は、充填キャビティ377に分配された過剰の粉末を除去し、充填済みキャビティ377fの中の粉末の表面をならすための手段を提供する。
【0093】
回転計量分配装置のいくつかの実施形態では、充填キャビティ377に充填され粉末材料の保持を支援するために、充填キャビティ377の内面に真空を適用する真空システムを含めることができる。この真空システムは、それぞれの充填キャビティ377の真空を引きまたは解放するための独立制御を提供することができる。それぞれの充填キャビティ377が放出ポイント273に到達したときに、ブリスタシート2のそれぞれの凹み4の中に粉末材料を重力によって放出することを可能にするために、このようなキャビティのそれぞれの真空源を解放することができる。いくつかの実施形態では、単独で、または真空の解放と組み合わせて、空気の小パルス(陽圧)を提供して、充填キャビティ377から凹み4の中への重力による粉末の放出を補助することができる。いくつかの実施形態では、単独で、または真空の解放と組み合わせて、タッピング、震動または他の機械式発動によって、充填キャビティ377から凹み4の中への重力による粉末の放出を補助することができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、それぞれの充填キャビティが、粉末層61を形成するのに十分かつ有効な一回量の粉末材料20を保持し、ブリスタシート2のそれぞれの凹み4の中に一回量の粉末材料20を分配するのに十分なサイズおよび深さを有する。
【0095】
充填済みキャビティ377fの各々が、その粉末材料をブリスタシート2の空の凹み4の中に堆積させた後、回転ドラム275の充填キャビティ377とブリスタシート2は、位置合わせされた状態で同じ線速度で前進する。空になった後、充填キャビティは充填ポイントに向かって前進する。
【0096】
凹みの位置合わせおよび充填、ならびに充填位置と分配位置との間のポケット孔の移動は、細長いビン271に沿った横方向の他の凹みおよび体積分配ポケット282でも同時にまたは同時期に起こることを理解すべきである。
【0097】
3DPシステムおよび装置は、粉末材料の2つの源、タイプおよび組成物を含む投薬形態を形成するために、異なる第2の粉末材料を含む一回量の第2の粉末材料を凹みの中に分配するための第2の計量分配装置を含むことができる。3DPシステムおよび装置の追加の実施形態は、粉末材料の3つまたはそれ以上の源、タイプおよび組成物を含む投薬形態を形成するために、異なる第3の粉末材料を含む一回量の第3の粉末材料または追加の粉末材料を凹みの中に分配するための第3のまたは追加の計量分配装置を含むことができる。
【0098】
機械式計量分配および/または計量装置の非限定的な他の例が、その開示の全体が参照によって組み入れられる米国特許第9,409,699号および9,828,119号明細書、ならびに米国特許出願公開第2017/0322068号および2018/0031410号明細書に記載されている。圧電針分配装置は、圧電アクチュエータ駆動の定在波を使用して粉末材料をステンレス鋼管に通すことによって発動された粉末を分配する。針の分配先端において定在波は粉末材料を放出する役目を果たす。これらの装置は、高い精度で送達される固定された低レベルの粉末材料を送達するのに有効である。機械式計量分配および/または計量装置の非限定的な他の例には、その開示の全体が参照によって組み入れられるChemSpeed Technologiesから販売されている重力粉末分配/粉末計量分配装置(https://www.chemspeed.com/flex-powderdose/)を含めることができる。
【0099】
いくつかの実施形態では、この方法およびシステムが、凹みの中の粉末材料の山をならして、平坦なまたは実質的に平坦な粉末材料層にするための手段を含む。図9は、凹み4の中の所定の量の粉末材料20の山40をならして、実質的に均一な粉末層41にする工程を示している。ならし手段を使用して、粉末材料20の山40または他の形状の堆積物を、実質的に均一な粉末層41に変える。図9の図示の実施形態では、ならし手段が、凹み4および凹み4の中に含まれる粉末の山40を、横方向、横軌道方向、垂直方向および垂直軌道方向のうちの任意の1つの方向またはこれらを組み合わせた方向に、粉末の山40が凹み4の空間5の底部エリアの全体にわたって分散し外側へ広がるのに十分な振動数および速度で、振動させること、揺動させること、震動させることおよび/または衝撃を与えることを含む方法を含む。いくつかの実施形態では、粉末の実質的に均一な層41にする。この方法は、予め決定可能な層厚または高さhを有する実質的に均一な第1の粉末層41を形成する。手動システムでは、包装および包装の凹み部分を、手動でまたは震動台を用いて揺動させることができる。
【0100】
図11から15は、粉末ならし領域およびプロセスにおいて運搬トラック510に沿って運ばれている、ブリスタシート2を載せたキャリッジ70を含むならし装置の実施形態を示している。図示の実施形態では、運搬トラック510が、キャリッジ70を、ブリスタシートの凹みの各々が粉末材料の山または積荷を含む粉末堆積領域から、粉末材料のならされた層が結合液を用いて印刷される液体印刷領域に向かって運ぶ。トラック510のこの区間は、ベース81によってトラック510に隣接して固定された壁83の直線状の上縁に沿って形成された直線状の歯ラック82または溝ラックとして示された粉末ならしステーション80を通る。回転タッピング要素の歯車とかみ合うために、直線状歯ラック82は、トラック510に対する1つの垂直高さのところにトラック510と平行に配置されている。
【0101】
キャリッジ70は、キャリッジ70をトラック510に摺動自在に固定するためにラック75に固定されたベース71を含む。ラック75は、駆動手段によってトラック510に沿って移動するように構成されている。駆動手段の非限定的な例には、ベルトコンベヤ、連結チェーンコンベヤ、トウコンベヤ、スクリュまたはオーガコンベヤ、およびホイール付きコンベヤを含めることができる。キャリッジ70は、ブリスタシート2を支持する支持プレート60を支持するように構成されている。キャリッジ70は、側面に沿った複数の壁セクション72、および反対側の側面に沿った対応する複数の壁セクション73を含み、これは、壁セクション72と壁セクション73の間に支持プレート60の支持空間を画成するためである。キャリッジ70はさらに、キャリッジの本体の縦の中心線の両側に縦に形成された一対の細長い溝76を有する。キャリッジ70はさらに、複数の横断方向溝77を有し(3つの横断方向溝77が示されている)、横断方向溝77はそれぞれ、ベース71ならびに両方の壁セクション72および73を貫いて横方向に延びており、両方の細長い溝76を横切っている。
【0102】
対応するブリスタシート2の凹みを位置合わせされた状態で受け入れるために、支持プレート60は、上面61に、開口サイズおよび深さを有する開口62のマトリックスを含み、開口サイズは、ブリスタシートのシート部分が支持プレート60の上面61にあるときにブリスタシートの凹みが開口62の中で横方向に動くことを防ぐように構成されている。
【0103】
支持プレート60はさらに、支持プレート60の下面の支持プレート60の縦の中心線の両側に縦に形成された一対の細長い溝63を含む。支持プレート60が、対向する壁セクション72と73の間の支持空間と整列し、その中に支持されているとき、支持プレート60の下面の一対の細長い溝63は、キャリッジ70の本体の一対の細長い溝76と整列し、位置合わせされている。
【0104】
キャリッジ70はさらに、キャリッジ70のベース71および支持プレート60の内部の、キャリッジ70のベース71と支持プレート60との間に回転自在に固定された複数の回転タッピング要素を含む。それぞれの回転タッピング要素は、心棒94の一端に歯車96を有し、他端にタッピングホイールを有する心棒94を含む。
【0105】
タッピングホイールの一実施形態は、中央心材97から半径方向に延びる、図14には6本として示されている複数のアーム93を有するアーム付きタッピングホイール91を含む。アームの数は任意とすることができ、例えば2本から10本またはそれ以上とすることができる。それぞれのアームは、固定半径を有する遠位先端95まで延びている。いくつかの実施形態では、アームの材料を高剛性材料または高弾性材料とすることができ、先端95の形状は、平らな形状、丸みを帯びた形状または尖った形状とすることができる。アームおよび先端の材料および形状は、アームの数、先端の半径およびタッピングホイールの回転速度と組み合わせて、凹みおよびその中の粉末材料の垂直振動または震動を達成するのに有効なブリスタシートの凹み4の下面のタッピングを提供するように選択することができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、回転する先端95によってそれぞれの凹み4の下面が横方向の異なる位置で打撃またはタップされて凹み4がそれぞれ撓むように、アーム付きタッピングホイール91の連続するアーム93の横断方向の位置を変えて、凹み4の幅(横断方向の直径)の全体にわたって凹みの下面のタッピングを送達することができる。図14には凹み4の下面の撓みが示されており、アーム93が凹み4の下を通過するたびにアーム付きタッピングホイール91の先端95が凹みの下面を撓ませる。アーム付きタッピングホイール91が回転し続けると、先端95は回転して、図15に示されているように凹み4の下面との接触を脱し、凹み4の下面の撓みがなくなる。
【0107】
他の実施形態では、回転する先端によってそれぞれの凹み4の下面全体が打撃またはタップされて凹み4がそれぞれ撓むように、先端95の横断方向の幅が凹み4の全幅(横断方向の直径)を広げることができる。いくつかの実施形態では、支持プレート60の厚さを調整することによって、アーム付きタッピングホイール91の先端93によってブリスタシートの凹み4の下面が垂直に撓む距離を、約0.5ミリメートルから約6ミリメートルの間で選択することができる。
【0108】
タッピングホイールの別の実施形態は、歯車ホイール92の外周縁に沿って間隔を置いて配置された、図14には40個の歯96として示されている複数の歯を有する歯車ホイール92を含む。歯96の数は任意とすることができ、例えば20個から60個とすることができる。いくつかの実施形態では、歯96の材料を高剛性材料または高弾性材料とすることができ、歯96の形状は丸みを帯びた形状または尖った形状とすることができる。歯96の材料および形状は、歯数、歯の先端の半径、および(歯車ホイール92の回転速度の元となる)トラック510に沿ったキャリッジの速度と組み合わせて、凹みおよび凹みの中の粉末材料の垂直振動または震動を達成するのに有効なブリスタシートの凹み4の下面のタッピングを提供するように選択することができる。具体的には、撓みの振動数は、歯96または先端95の数および回転速度によって達成および制御することができる。撓みの力の振幅は、垂直撓み距離を制御することによって制御することができる。いくつかの実施形態では、支持プレート60の厚さを調整することによって、歯車ホイール92の歯によってブリスタシート2の凹み4の下面が垂直に撓む距離を、約0.5ミリメートルから約6ミリメートルの間で選択することができる。この実施形態では、歯車ホイール92の歯96が凹み4の下面を実質的に絶え間なく撓ませる。
【0109】
これらの回転タッピング要素は、ブリスタシート2の凹み4の各々の下に配置されており、図示の実施形態のように、アーム付きタッピングホイール要素91と歯車ホイール要素92の任意の組合せを使用することができる。他の実施形態では、全ての回転タッピング要素が、アーム付きタッピングホイール要素91もしくは歯車ホイール要素92またはそれらの等価物もしくは変形物のいずれかを有することができる。
【0110】
アーム付きタッピングホイール91の心棒94も歯車ホイール92の心棒94も、キャリッジベース71の横断方向溝77の中に回転自在に配置されており、それぞれのタッピングホイール(アーム付きタッピングホイール91または歯車ホイール92)は、支持プレート60およびキャリッジ70の隣り合うそれぞれの細長い溝63および76の中に回転自在に配置されている。心棒94の一端の歯車96は、粉末ならしステーション80の壁83の直線状歯ラック82として示されているラック82と位置合わせされ、かみ合うために、対応するそれぞれの壁セクション72および73を超えて延びている。
【0111】
キャリッジが粉末ならしステーション80を横切ると、複数の歯車96は、壁83の歯ラック82とかみ合い、壁83の歯ラック82に沿って回転して、図14および15に示されているようにタッピングホイールを回転させる。図示の実施形態では、歯車96の歯の数が12、壁83の歯ラック82に沿った歯の数が40である結果、キャリッジ70が1回通過して粉末ならしステーション80を横切ると、タッピングホイールの各々は3回と1/3、回転する。キャリッジ70が粉末ならしステーション80を通過する典型的な速度は毎秒約4~8インチ(10~20cm)である。図示の実施形態では、壁83の歯ラック82の長さが約6インチ(15cm)であり、その結果、キャリッジ70は約1秒で粉末ならしステーション80を通過し、回転タッピング要素は約200回の毎分回転数(rpm)で回転する。
【0112】
図16から20は、粉末ならし領域およびプロセスにおいて運搬トラック510に沿って運ばれている、ブリスタシート2を載せたキャリッジ170を含むならし装置の別の実施形態を示している。図示の実施形態では、直前の実施形態と同様の運搬トラック510が、粉末堆積領域から液体印刷領域に向かってキャリッジ170を運び、粉末ならしステーション180を通ることができる。粉末ならしステーション180は、ベース181によってトラック510に隣接して固定された壁183から上に向かって延びる1つまたはそれ以上の傾斜部分182、184として示されている。この1つまたはそれ以上の傾斜部分182、184は傾斜した上面185を有し、キャリッジが粉末ならしステーション180を通過するときに後述するキャリッジ170の伸長要素と係合するために、トラック510に対する1つの垂直高さのところにトラック510と平行に配置されている。代替実施形態では、カムトラックを使用することができる。
【0113】
この実施形態では、凹みまたは凹みが固定されたキャリッジを上昇および落下させて、凹みの中の粉末材料をより平坦な状態にする力を粉末材料に対して誘起することによって、凹みまたは複数の凹みの中の一回量の粉末のならしを達成することができる。ならしの程度は、上昇および落下の回数および周期、ならびにそれらの振動数、ならびにキャリッジを落下させるときの力または衝撃の量を変化させることによって制御することができる。キャリッジまたは凹みが落下し、表面を叩く力は、重力の使用(自由落下)によって、または付勢されたばねの復帰力などのキャリッジに対する外力によって生み出すことができる。
【0114】
キャリッジ170はキャリッジ本体174を含み、キャリッジ本体174の一端は、連結部材176の一端にちょうつがい式に取り付けられており、連結部材176の他端は、ベース171の一端にちょうつがい式に取り付けられている。キャリッジ170をトラック510に固定するために、ベース171は、上で説明したラック75と同様のラック175に固定されている。さらに、ベース171は、どちらかの端部に、図示の実施形態では前方(F)を向いた端部178にジョイント部材179を含む。
【0115】
キャリッジ本体174は、ブリスタシート2を支持する支持プレート160を支持するように構成されている。キャリッジ本体174は、一方の側面に沿った1つまたはそれ以上の壁セクション172、および反対側の側面に沿った対応する1つまたはそれ以上の壁セクション173を含み、これは、壁セクション172と173の間に支持プレート160の支持空間を画成するためである。壁セクション172と173の一方にねじ込むことができる止めねじ198を、支持プレート160の側面と接触するようにねじ込んで、キャリッジ本体174内の固定位置に支持プレート160を固定することができる。キャリッジ本体174はさらに、キャリッジ本体174の前端において両側面から横方向外側に延ばされた第1の一対の回転ローラ191(またはその代わりにカム)、およびキャリッジ本体174の後端において両側面から横方向外側に延ばされた第2の一対の回転ローラ192を有する。ローラ191,192は、それぞれキャリッジ本体174の前端および後端の内部で回転することができる回転可能な心棒の両端に固定されたものとすることができる。その代わりに、それぞれキャリッジ本体174の前端および後端に固定された、またはそれぞれキャリッジ本体174の前端および後端の内部に固定された固定心棒の両端に、ローラ191、192を回転可能に独立して固定することもできる。
【0116】
対応するブリスタシート2の凹みを位置合わせされた状態で受け入れるために、支持プレート160は、上面161に、開口サイズおよび深さを有する開口62のマトリックス(図12)を含み、開口サイズは、ブリスタシートのシート部分が支持プレート160の上面161にあるときにブリスタシートの凹みが開口162の中で横方向に動くことを防ぐように構成されている。
【0117】
連結部材176は、キャリッジ本体174の後方(R)を向いた端部193のジョイント部材194にちょうつがい式に取り付けられたジョイント部材198を有する後方(R)を向いた第1の端部196を有する。ジョイント部材194および198はともに、ちょうつがいを形成するためにその中にピン(図示せず)が通された横断方向に延びる1つまたはそれ以上の孔(図示せず)を有する。連結部材176の第1の端部196とキャリッジ本体174の後方を向いた端部193との間のちょうつがいは、知られている任意の他のちょうつがい手段を使用して形成することもできる。
【0118】
連結部材176はさらに、ベース171の前方を向いた端部178のジョイント部材179にちょうつがい式に取り付けられたジョイント部材199を有する前方(F)を向いた第2の端部197を有する。ジョイント部材179および199はともに、ちょうつがいを形成するためにその中にピン189が通された横断方向に延びる1つまたはそれ以上の孔(図示せず)を有する。連結部材176の第2の端部197とベース171の前方を向いた端部178との間のちょうつがいは、任意の知られている他のちょうつがい手段を使用して形成することもできる。
【0119】
キャリッジ本体174、連結部材176およびベース171の間に形成されたちょうつがいは、キャリッジ170が粉末ならしステーション180を通過するときに、キャリッジ本体174の一方または両方の端部を、図16に示されたその完全に折りたたまれたまたは平らにされた位置から、図18および19に示された上昇したまたは拡げられた位置まで上昇させることを可能にする。
【0120】
図16には示されているが、場合により、線形ばね190の両端を、キャリッジ本体174のほぼ横方向の中心線のところおよびベース171のほぼ横方向の中心線のところに固定することができる。ばね190は、キャリッジ170がその上昇したまたは拡げられた位置から折りたたまれたまたは平らにされた位置に戻ることを保証するためにキャリッジ本体174の平面をベース171の平面に向かって付勢するための手段を提供する。このばねは、約0.35から8ポンド力毎インチ(88~1400N/m)のばね定数を有するものとすることができる。同様に、復原力を強化し、キャリッジ170の減速時およびその折りたたまれたまたは平らにされた位置への復帰時により大きな運動量変化(インパルス)を提供して、任意の粉末に対するならし効果を達成または強化するために、ばね定数を選択することもできる。
【0121】
図18~20は、粉末ならしステーション180を横切るときのキャリッジ170を示している。粉末ならしステーション180の傾斜部分182、184の傾斜した上面185は、キャリッジ本体174の第1の一対の回転ローラ191が前進して粉末ならしステーション180に入り、第1の傾斜部分182と係合し、図18に示されているように第1の傾斜部分182の上面に上るときに、高度を徐々に上昇させる。これによって、キャリッジ本体174の前方を向いた端部は上昇し、連結部材176の前方を向いた第2の端部197から離れ、ばね190に伸長力をかける。キャリッジ170がさらに前進すると、第1の一対の回転ローラ191は第1の傾斜部分182の前縁を越えて移動する。重力とばね190の力の両方が、キャリッジ本体174の前方を向いた端部を、第1の一対の回転ローラ191が第1の傾斜部分182と第2の傾斜部分184の間の壁183の上面と再び係合するときに連結部材176と衝突するように下方へ駆動する。この垂直方向の衝撃は、キャリッジ本体174に固定された支持プレート160ならびに凹み4およびその中に堆積した粉末材料の山またはドーズを含むキャリッジ170を震動させるのに十分であり、それによって粉末材料は少しの間、震動し、部分的に流動化し、それによって粉末材料の表面の高さの変動が小さくなり、凹みの中の粉末材料のならしが増大する。キャリッジ本体174の第1の一対の回転ローラ191は、同じように第2の傾斜部分184に乗り上げ、凹みの中の粉末材料のならしをさらに増大させまたは改善する。
【0122】
同様に、図19に示されているように、キャリッジ本体174の第2の一対の回転ローラ192は、第1の傾斜部分182と係合し、第1の傾斜部分の上面に上る。これによって、キャリッジ本体174の後方を向いた端部193と連結部材176の後方を向いた端部196はともに上昇し、ベース171の後方を向いた端部197から離れ、ばね190に伸長力をかける。キャリッジ170がさらに前進すると、第2の一対の回転ローラ192は第1の傾斜部分182の前縁を越えて移動する。重力とばね190の力の両方が、キャリッジ本体174の後方を向いた端部を、第2の一対の回転ローラ192が第1の傾斜部分182と第2の傾斜部分184の間の壁183の上面と再び係合するときに連結部材176と衝突するように下方へ駆動する。上述のとおり、この垂直方向の衝撃はキャリッジ170を震動させるのに十分であり、その結果、粉末材料の表面の高さの変動が小さくなり、凹みの中の粉末材料のならしが増大する。同様に、キャリッジ本体174の第2の一対の回転ローラ192は、図20に示されているように、同じように第2の傾斜部分184に乗り上げ、凹みの中の粉末材料のならしをさらに増大させまたは改善する。
【0123】
機械式震動台、コンベヤの他の非限定的な例は、Tinsley Equipment Companyから販売されており、その開示が参照によって本明細書に組み入れられるhttps://www.tinsleycompany.com/bulk-process-equipment/vibratory-process-equipment/vibrating-tables/に掲載されている。
【0124】
いくつかの実施形態では、凹みの中で調製された粉末材料の層が平らで平面の表面を有し、凹みの底と平行である。いくつかの実施形態では、凹みの中で調製された粉末材料の層が、許容差を含む均一な厚さを有することができる。そのような実施形態では、厚さがわずかに不均一だが許容差の範囲にある粉末材料の層の厚さを、結合液によって結合させて、粉末が結合した投薬形態にすることができる。いくつかの実施形態では、粉末材料層の高さの不均一性を、重量平均厚さまたは標的厚さからの粉末層の厚さの分散によって定義することができる。粉末層の最小厚さおよび粉末層の最大厚さは、重量平均厚さに対する分散を有することができ、その分散は最大約25%である。いくつかの実施形態では、この分散が最大約20%、最大約15%、いくつかの実施形態では最大約10%であり、この分散を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%または少なくとも20%とすることができる。例えば、重量平均(標的)厚さが約0.50mmである粉末材料層は、20%の許容差を含む厚さを有することができ、この粉末層は、約0.40mmから0.6mmの最小および最大厚さを有し、結合液による粉末材料の結合は依然として有効である。別の例では、重量平均(標的)厚さが約1.0mmである粉末材料層は、15%の許容差を含む厚さを有することができるが、この粉末層は、約0.85mmから1.15mmの最小および最大厚さを有し、結合液による粉末材料の結合は依然として有効である。
【0125】
支持プレートを使用して、限定はされないが、粉末の堆積中および層化中、結合液の沈積中、溶媒の除去中、ならびにこの方法およびシステムの任意の他のプロセスステップ中に、ブリスタパックの1つまたはそれ以上の凹みを固定および支持することができる。支持プレートのポートまたは開口は、支持プレートの上面で凹みおよびブリスタパックを受け取り支持するためのレセプタクルを提供する。いくつかの実施形態では、凹みのパターンを、支持プレートの開口のパターンと位置合わせすることができる。いくつかの実施形態では、開口のパターンが複数の行および複数の列を含む。いくつかの実施形態では、開口が、支持プレートの中に延び、支持プレートの全厚を貫く。いくつかの実施形態では、開口が、支持プレートの中に延び、支持プレートの厚さを部分的に貫いて、ブラインドホールを提供する。
【0126】
図10は、支持プレート115にブラインドホールを形成する上面117を貫く開口116のパターンを含む支持プレート115の一実施形態を示している。支持プレート115は、3列×4行のブラインドホール116と、支持プレート115の端114から延びる縦方向の一連の入口孔118と、中間孔119とを有し、中間孔119は、4つのブラインドホール116の列に沿った厚さおよび隣り合うそれぞれの開口116間の材料を貫いて延びており、それによって、入口孔118および中間孔119を、その列のそれぞれのブラインドホール116と連通させている。入口孔118への真空の適用は、中間孔119を介してそれぞれのブラインドホール116と連通して、ブリスタパック1を引っ張り、支持プレート115の上面117に固定する。
【0127】
上述の国際公開第2020-081561号パンフレットはさらに、図28に、ブリスタシートの中の凹みの横方向振動を提供する際に使用する、支持プレートの中に支持された震動装置を示している。この横方向タッピングはならしを提供し、凹みの中の粉末層の粉末材料の均一性を向上させる。凹みから粉末を放出することまたは凹みの中で粉末を不均等に流動させることのない粉末層の効果的なならしを提供する、支持プレートに対するベースの振動の振動数および衝撃力を提供するように、回転振動の振動数および程度を制御する。
【0128】
凹みの中で粉末の山をならして実質的に均一な粉末層にするための代替装置が、上述の国際公開第2020-081561号パンフレットに示されており、この装置は、垂直ロータシャフトを含み、この垂直ロータシャフトは、粉末材料の山の中に下に降ろされている間に動力付き回転手段によって駆動されて、粉末ならし部材をロータシャフトの軸の周りで回転させて、凹みの中に実質的に均一な粉末層を形成する。この粉末ならし部材は、複数のブラシを含むブラシアセンブリを含むことができ、この複数のブラシは、円形ディスクの下面に取り付けられており、円形ディスクの下面から下方へ延びている。動作中のくっつきを防ぐため、この層化ブラシは、粉末材料の粒子の付着を防ぐ材料でできたものとすることができる。代替実施形態では、この粉末ならし部材が、ブレードもしくはバーを使用することを含む単一の水平部材を含み、回転面内に湾曲部を有し、かつ/または、粉末材料の山の表面を掃いて同じ表面プロファイルを有する粉末材料層とするために、湾曲した非直線状の下縁、例えば凹形もしくは凸形の下縁を有することができる。
【0129】
本発明は、第1の粉末層または後続の粉末層上に結合液を適用する工程を提供することができる。好ましい実施形態では、この結合液が、その開示の全体が参照によって組み入れられる米国特許第6,471,992号、6,945,638号、7,300,668号、7,875,290号および8,088,415号明細書に記載されているものなどの3D印刷方法および技法を使用して適用される。さまざまな実施形態において、インクジェット印刷ノズルアセンブリの印刷ノズルから液体の小滴を吹き付けることによって、所定の第1の量の結合液を沈積させる。この3D印刷アセンブリの選択されたノズルは、結合液の小滴またはストリームを第1の粉末層の周縁に選択的に適用し、それによって粉末層の周縁の粉末を濡らして濡れた周縁コーティングを形成するように構成されている。結合液の小滴は、粉末材料の粒子を結合させて凝集性の高い粉末-液体マトリックスとし、濡れた粉末の第1の層を実質的に均一な層として形成する。
【0130】
典型的な実施形態では、結合液が、結果として生じる濡れた粉末層の中に過剰に残存する1つの量の溶媒を含み、結合液は、完成した結合した粉末層を形成するために除去されることが好ましい。液体除去システムを提供することができ、その液体除去システムは、凹みの中に含まれる濡れた粉末の1つまたはそれ以上の層または完成した3DP投薬形態を有する1つまたはそれ以上のブリスタシートを受け取って、そこから液体を除去するように適合されている。液体除去システムは、1つまたはそれ以上のブリスタシートを通すプロセスエリアであることができる。液体除去システムは、処理中の3DP投薬形態の印刷されたインクリメント層から液体を除去し、または減らすことができる。その代わりに、液体除去システムを、3次元印刷されたブリスタシートを周囲条件下に置き、乾燥させる一時的な保持または保管エリアなどの、3次元印刷システムに直接には関連づけられていない別のプロセスエリアとすることもできる。いくつかの実施形態では、液体除去システムが1つまたはそれ以上の乾燥器である。過剰の溶媒液体を除去するため、過剰の液体溶媒を蒸発させて、乾燥中の粉末層から運び去られるガスまたは蒸気にするために、凹みの中に形成された濡れた粉末層を加熱し、または凹みの中に形成された濡れた粉末層に熱を適用するための手段が存在する。液体溶媒を除去するためのこのような手段は、濡れた粉末層中の過剰の溶媒を加熱し、過剰の溶媒液体を蒸発させてガスまたは蒸気にするさまざまな形態を含むことができ、これには、濡れた粉末層の上を通り過ぎ、または濡れた粉末層に向かって吹き下ろす加熱された空気を使用した対流熱伝達;凹みのシート材料を通して濡れた粉末層の中に熱を伝える加熱された液体または加熱された空気などの凹みの下面の加熱用液体を使用した伝導性熱伝達;および、例えばその開示の全体が参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第6,990,748号、6,047,484号および4,631,837号明細書に記載されている、凹みの中へ入り、かつ/または凹みのシート材料を透過して濡れた粉末層に入る適当な赤外光源からの赤外放射を使用した放射性加熱:のうちの1つまたはそれ以上が含まれる。
【0131】
いくつかの実施形態では、乾燥装置が、ブリスタシートの上面に向かって赤外エネルギーを発射する、1つのパターンで配置された多数の赤外光発光源を含む。凹みの中に配置された濡れた粉末材料を含むブリスタシートをハウジングに入れ、決められた座標のところに配置する。いくつかの実施形態では、濡れた粉末材料の上面のパターンおよび座標を検出およびマップして、乾燥プロファイルを形成する。この赤外(IR)光源を、濡れた粉末材料の上面にだけIR光を発射するように照明および制御する。上面を加熱および蒸発させ、濡れた粉末材料の体積から水分および他の溶媒を蒸発させるように、発射されるIR光の時間および強度を維持する。いくつかの実施形態では、濡れた粉末上へ発射するIR光を、IRエネルギーの透過を許す整形された開口のパターンを有するマスクを使用して制御する。いくつかの実施形態では、発射されマスクを通過した光を屈折材料、例えばレンズを使用して焦束させる。いくつかの実施形態では、IR光源が、1つのパターンのIR光を発射するように制御される高分解能IR光発光器を含む。連続するそれぞれの濡れた粉末層を凹みの中で形成した後、上で説明したように、場合により、その1つまたはそれ以上の濡れた粉末層から、結合液の一部または全部の過剰の溶媒を除去することができる。一番上の結合した粉末層を形成した後、一番上の濡れた粉末層および連続する濡れた粉末層から過剰の溶媒を除去することができる。いくつかの実施形態では、一部または全部の濡れた粉末層を順番に形成し、その一部または全部の濡れた粉末層に溶媒除去のための単一の乾燥工程を実行することができる。実施形態によっては、過剰の溶媒の除去を、材料堆積中に絶え間なくまたは同時に実行することができる。
【0132】
図3に示されているものなどの完成した投薬形態が凹みの中で印刷された後、投薬形態を含む凹みを蓋掛けシートで覆って、図1および2に示されているものなどの包装の凹み4の中の投薬形態を封止することができる。複数の結合粉末層からなる結合粉末マトリックスを含む完成した投薬形態は、凹みの内部空間と実質的に共形の形状およびサイズを有する。
【0133】
本発明の一実施形態では、凹み4を形成している包装シート6の内面が離型剤を含むことができる。この離型剤は、それぞれ壁9の内面および凹み4の閉端7と向かい合う投薬形態10の外壁11および底面12(図1参照)が、このような内面から投薬形態10を容易に解放するための手段、またはこのような内面に接着することを防ぐための手段を提供する。この離型剤は、投薬形態印刷の前に凹みの内面に適用された化合物とすることができる。非限定的な例は、凹み4上に残留化合物を残すことなく投薬形態を解放するTeflon(登録商標)コーティングである。この離型剤は、シートの内面に積層された接着抵抗性を有するプラスチックフィルムなどの、化合物、包装シート6のプラスチック材料の固有特性または適用された構成とすることもできる。実施形態によっては、この離型剤を、沈積液体の表面張力と比べたときに表面エネルギーが低いことを特徴とし、それによって凹みの内面の濡れの程度を制限し、または凹みの内面の濡れの程度に影響を与え、投薬形態の周縁に沿った結合液の移動を抑制するものとすることができる。
【0134】
いくつかの実施形態では、約40から50mN/mの範囲の表面張力を有する結合液を沈積させるために、凹みの内面は、40mN/m未満、より具体的には35mN/m未満の表面エネルギーを有することが望ましい。マルチラミネートキャビティ材料が使用される場合、例えばポリ塩化ビニル/ポリクロロトリフルオロエチレン(PVC/PCTFE)が選択される場合には、凹みの内面にPCTFEラミナ(30.9mN/m)が配置され、凹みの外面にPVCラミナ(41.5mN/m)が配置されることが望ましい。一般に、離型剤(またはプラスチック)の表面エネルギーは、沈積流体の表面張力よりも、1mN/mから5mN/mだけ、または5mN/mから10mN/mだけ、または10mN/m以上小さいことが好ましい。一般的なポリマーのリストおよびそれらのポリマーの固体表面エネルギーに関するデータは、http://surface-tension.de/solid-surface-energy.htmとして示されている。
【0135】
単一の凹み4の中に単一の投薬形態10を形成することを示したが、本明細書に記載された方法および装置を使用して、図1に示したブリスタシートなどの包装材のそれぞれの凹みの中に複数の投薬形態を形成することができる。ブリスタ型の凹みのアレイは、当技術分野でよく知られている凹み4の任意の配置またはパターンを含むことができる。
【0136】
図21~28は、包装の凹み部分の中でそのままの位置で投薬形態を形成するための実施形態であって、別個のインクリメンタル層の中で少なくとも2種類の異なる粉末組成物を処理する実施形態を示している。
【0137】
上で説明し、図5に示したとおり、任意選択の工程ではあるが、最初の工程は、凹み4の中に堆積させた最初の粉末材料を結合させるために凹み4の底または閉端7に結合液の最初の層31を沈積させる工程である。さまざまな実施形態において、結合液の最初の層31は、結合液の小滴30を、例えばインクジェット印刷ノズルアセンブリ33の印刷ノズル32から吹き付けることによって堆積させることができる。結合液の最初の層またはフィルム31は、投薬形態10の底面が、底面12に沿った粒子をしっかりと結合させることを保証する。いくつかの実施形態では、乾燥または硬化したときに弾力のある硬い底部コーティングを形成する濡れたコーティングを形成するために、少なくとも粉末材料の粒子を一緒に結合させるのに十分な量よりも多い過剰量の結合液が使用される。いくつかの実施形態では、この濡れたコーティングを形成するために使用される結合液が、結合した粉末層を形成するために使用される結合液とは異なる液体である。
【0138】
一実施形態では、ノズルのアレイが動かず、1つまたはそれ以上の凹みがノズルの下で水平に移動する。代替実施形態では、凹みが動かず、アレイのノズルが凹みの上を水平に通過する。ノズルのアレイの下を凹みが通過しているときに、アレイに沿った選択されたノズルを起動して、粉末層の対応する部分が下を通過するときにだけ小滴を発射し、結果として生じる小滴の発射が、粉末層の対応する部分の上に液体結合剤の所定のパターンを形成する。
【0139】
別の実施形態では、インクジェットノズルの精密な小滴サイズ制御なしで1つの体積の第2の結合液を沈積させるように構成された液体ストリーミングノズルを使用して小滴30を適用する。通常、このような液体ストリーミングノズルの小滴の吹付け速度は、インクジェット吹付けシステムの吹付け速度よりもかなり遅い。液体ストリーミングノズルの非限定的な例は、米ニューヨーク州MiltonのSonotek CorporationからAccuMist(商標) Systemとして販売されている超音波沈積ノズルである。これらの吹付けノズルでは小滴速度が小さくなり、それによって粉末材料に対する外乱がより小さくなり、過度の吹付けが最小限に抑えられ、体積速度が広範囲に及び、小滴サイズ(直径)が中程度になる。この吹付けパターンを、広角と狭角の両方の円錐パターンおよび集束線状ストリームを含むさまざまなパターンで使用することができる。
【0140】
さまざまな実施形態において、ベース粉末組成物は、投薬形態のベースを形成する構築されたベース層に成形された粒子を含む。このベース粉末組成物を凹みの底に加え、成形して均一なベース粉末層にする。さまざまな実施形態において、体積または質量重量としての所定の量のベース粉末組成物が凹みの中に加えられているときに、この均一なベース粉末層を均一なベース粉末層に成形する。凹みの中に加えられた第1の粉末層では、凹み4の閉端7にベース粉末組成物を適用する。他のさまざまな実施形態では、体積または質量重量としての所定の量のベース粉末組成物を、凹みの中に、層になっていない山として加え、続いて、層になっていない山を成形して均一なベース粉末層にする工程を実行する。均一なベース粉末層の上面は凹みの上縁よりも低い位置にあり、通常は、凹みの上縁よりもかなり低い位置にある。本明細書のさまざまな他の実施形態では、ベース粉末組成物を加えまたは堆積させ、均一なベース粉末層を形成するさまざまな方法および手段が説明される。
【0141】
さまざまな実施形態において、ベース粉末組成物は、活性医薬成分(API)または薬剤などの活性成分を含まない。さまざまな実施形態において、ベース粉末組成物は、場合により、APIまたは薬剤を含むことができるが、そのAPIまたは薬剤は、結合液によって、より具体的には水性結合液によって不利な影響を受けない化合物型のまたは微粒子形態のものとする。いくつかの実施形態では、ベース粉末組成物が、水性結合液との接触および処理に対して敏感でない、または実質的に鈍感なAPIまたは薬剤を含む。非限定的な敏感なAPIは、非限定的な例として、アムロジピン、フェロジピン、フェソテロジン、イスラジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ニソルジピン、クラブラン酸塩、ホスアプレピタント、ビルダグリプチン、レボチロキシンナトリウム、マレイン酸ベトリキサバン、アスコルビン酸、硫酸亜鉛、アセチルサリチル酸、シラザプリル、ならびに経口ペプチドおよびタンパク質、ならびにその開示の全体が参照によって組み入れられる国際公開第2014/138603号パンフレットに記載されている水分に敏感な薬物とすることができる。
【0142】
いくつかの実施形態では、APIまたは薬剤を含む粒子が、コーティング材でコーティングされたAPI粒子または凝集結合剤によって他のAPI粒子もしくは非API粒子とともに凝集したAPI粒子を含む、コーティングされた形態または凝集した形態にある。いくつかの実施形態では、このコーティングされた粒子または凝集した粒子が、APIの制御された放出、例えば持続(sustained)放出、遅延(delayed)放出または標的(targeted)放出を提供することができ、非限定的な例として、腸溶コーティング、リバース腸溶コーティングまたは他の結腸送達コーティングを含むことができる。APIを含む他の粒子は、噴霧乾燥顆粒、非晶質固体分散物、透過性増強剤を含むAPI粒子、および共結晶のグループから選択することができる。
【0143】
本発明に従って製造された投薬形態は、コーティングされたもしくは凝集したAPIもしくは薬剤粒子の中のAPIもしくは薬剤の保護を提供し、または、ベース粉末組成物上への結合液の接触によって引き起こされうる、もしくはベース粉末組成物上への結合液の接触に起因しうる、コーティングされたもしくは凝集したAPIもしくは薬剤粒子の中のAPIもしくは薬剤に対する影響を最小化する。APIまたは薬剤に対する影響には、APIまたは薬剤の活性の損失、APIまたは薬剤の味覚マスキングの低減または損失、APIまたは薬剤のコーティング材または凝集材が有する、投薬形態の口内分散および経口摂取中または口内分散および摂取後の任意のバリアまたは制御効果の低減または損失を含めることができる。いくつかの実施形態では、コーティング材または凝集材が腸溶コーティングを含む。
【0144】
図21の左(L)側は、凹み4の中または複数の凹みの各々の中に堆積させた、粒子を含む第1の粉末組成物320の第1の山340を堆積させる工程を示している。第1の粉末組成物320はベース粉末組成物を含むことができる。第1の山340は、本明細書に記載された粉末分配手段または装置から所定の量の第1の粉末組成物320として分配し、凹み4の閉端7に堆積させる。この所定の量の第1の粉末組成物320は、所定の体積の粉末または所定の質量の粉末を含みうる。
【0145】
図21の右(R)側は、本明細書に記載されたならし手段または装置を使用して、凹み4の中で、そのままの位置で、粉末材料の山をならして、山340が、凹み4の閉端6の底または平面エリアの全体にわたって分散し外側へ広がるようにして、均一に平坦なベース粉末層341または均一な厚さtを有するベース粉末層341にする工程、好ましい実施形態では実質的に均一なベース粉末層341にする工程を示している。ベース粉末層341は均一な厚さを有し、ベース粉末層341の上面は、凹み4の上縁14と境界を接する、または凹み4の上縁14によって画成された凹みの開口よりも低い位置にある。
【0146】
さまざまな実施形態において、凹みの中で調製された粉末材料の層は、本明細書に記載された許容差を有する均一な厚さを有することができる。
【0147】
図22の左(L)側は、空間5内および第1の粉末層341上に第1の結合液を適用する工程を示している。図示の実施形態では、インクジェット印刷ノズルアセンブリ33の印刷ノズル32から第1の液体組成物331の小滴30を吹き付けることによって、所定の第1の量の第1の結合液を沈積させる。第1の結合液の小滴30は、そのままの位置で、第1の粉末層341の第1の粉末組成物の粒子を結合させて、より凝集性の高い粉末-液体マトリックスとし、図22の右(R)側に示された、凹みの開口または上縁14よりもかなり低い位置にある上面を有する、濡れた粉末の第1の層351を実質的に均一な層として形成する。第1の液体組成物331の小滴30は、第1の粉末層341の平面
エリアに対応する連続パターンまたはソリッドパターン、例えば円形パターンで、平面エリアの全体にわたって、かつ第1の粉末層341の第1の粉末組成物の厚さを貫いて分散させる。
【0148】
典型的な実施形態では、第1の結合液が、結果として生じる濡れたベース粉末層351中に過剰に残存する1つの量の溶媒を含み、好ましくは、完成した結合した第1の粉末層を形成するために、乾燥手段または装置などの本明細書に記載された溶媒除去手段および装置を使用して除去される。他のさまざまな実施形態では、さらなる粉末組成物を適用する前に、この過剰の溶媒が濡れたベース粉末層351の中に残っている。他のさまざまな実施形態では、濡れたベース粉末層351の形成後、さらなる粉末組成物量または層の適用に進む前に、この過剰の溶媒を除去する(乾燥させる)。
【0149】
さまざまな実施形態において、第1の粉末組成物が、APIを含まないとき、または敏感なAPIでないAPIを含むとき、またはAPIを含む敏感な粒子を含まない粒子を含むときには、この1つの量の第1の結合液の使用および適用によって、投薬形態の安定した、凝固したまたは弾力のあるベースコーティング部分を形成することができる。そうでないときには、結合液、特に水性結合液の適用によって敏感なAPIは影響を受けることがあり、その結果、APIの活性、または粒子としてのAPIもしくはAPIを含む粒子の感覚刺激特性、または、口内での口内分散および経口摂取後の胃腸管系の1つもしくはそれ以上の区域内でのAPIの遅延した、制御されたもしくは延長された放出速度もしくは量などのAPIの薬力学的特性が低減することがある。
【0150】
ベース粉末層に適用する第1の結合液は溶液または懸濁液とすることができ、水性キャリア、非水性キャリア、有機キャリアまたはこれらの組合せを含むことができる。水性キャリアは、水もしくは水性緩衝液、または水と1種もしくはそれ以上のアルコールの組合せとすることができる。非水性キャリアは、有機溶媒、低分子量ポリマー、油、シリコーン、他の適当な材料、アルコール、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、(ポリ)エチレングリコール、グリコール、他の同様の材料、またはこれらの組合せとすることができる。本明細書に記載された他の結合液成分および組成物、または参照によって本明細書に組み入れられる他の結合液成分および組成物を使用することができる。
【0151】
さまざまな実施形態において、ベース粉末層341の上に、実質的にベース粉末層341のために提供された追加のベース粉末層を堆積させ、ならすことができ、第1の結合組成物331を堆積させて、追加の濡れたベース粉末層351を実質的に均一な層として形成する。
【0152】
図23の左(L)側は、濡れたベース粉末層351を覆って凹みの中に所定の量だけ堆積させ、そのままの位置で成形して均一な厚さを有する中間粉末層342にした、粒子を含む第2の粉末組成物321を示している。中間粉末層342は、ベース粉末層の均一な厚さと同じ厚さまたはベース粉末層の均一な厚さとは異なる厚さとするができる均一な厚さt2を有し、中間粉末層342の上面は、凹み4の開口または上縁14よりも低い位置にある。さらに、ノズル32の一部分だけから分配された第2の結合液332の小滴30が示されており、具体的には、中間粉末層342上に第2の結合液332を環状周縁パターンで適用して、中間粉末層342の環状周縁にある粒子をそのままの位置で結合させ、それによって、図23の右(R)側に示されているように、均一な厚さt2を貫く濡れた粉末の周縁帯352と、中間粉末層342の内部または中央部分の第2の粉末組成物の濡れていない粒子とを形成する1つのパターンで、ノズル32の一部分だけから分配された第2の結合液332の小滴30が示されている。
【0153】
先行する濡れた粉末の層の上により濡れた粉末の層を形成すると、一体の単一の濡れた粉末の層を形成することができ、これらの濡れた2つの層の界面の境界は目に見えることもありまたは見えないこともあることを理解すべきである。同様に、後述する結合液の過剰の液体または溶媒の除去の後、先行する結合した粉末層の上に形成された結合した粉末層は、結合した粉末の一体の単一の層となることができ、これらの2つの結合した層の界面の境界は目に見えることもありまたは見えないこともある。
【0154】
中間粉末層342の厚さt2は、ベース粉末層341の厚さtと同じ厚さとすることができ、またはベース粉末層341の厚さtとは異なる厚さとすることができる。さまざまな実施形態において、中間粉末層342の厚さt2は、ベース粉末層341の厚さtの25%以上および最大200%、例えば50%以上、100%以上および最大150%である。
【0155】
さまざまな実施形態において、第2の粉末組成物は、粒子形態の敏感なAPI、もしくは敏感なAPIを含む粒子、またはその両方を含む。上述のとおり、敏感なAPI、およびAPIを含む敏感な粒子は、中間粉末層を成形してより凝集性の高い粉末-液体マトリックスとするのに十分な量の結合液の適用の影響を受け、また、APIの活性、または粒子としてのAPIもしくはAPIを含む粒子の感覚刺激特性、または、口内分散および経口摂取後の胃腸管系内でのAPIの持続、遅延もしくは標的放出速度などのAPIの薬力学的特性の低減の影響を受けることがある。さまざまな実施形態において、投薬形態は、標的とする活性な最低限の量の敏感なAPIを含むように設計および指定される。図示の実施形態では、敏感なAPIを含む均一な中間粉末層または敏感なAPIを含む粒子を使用するときに、第2の結合液の適用を中間粉末層の外周縁の厚さに限定することによって、したがって第2の結合液と接触する中間粉末層の中のAPIの部分を大幅に制限することによって、内容物全体に対する第2の結合液の適用の影響が最小化される。
【0156】
(濡らしている第2の粉末組成物の単位質量当たりの)第2の結合液の(飽和)量および第2の結合液が濡らす中間粉末層の周縁帯の幅の選択は、図23の右(R)側に示されているようなその下の濡れたベース粉末層351への濡れた中間粉末層の周縁帯352の十分な結合および付着、ならびに、図66に示されているような投薬形態の乾燥段階後の安定した、凝固したまたは弾力のある側壁セグメント368の形成を提供する。
【0157】
中間粉末層に適用する第2の結合液は溶液または懸濁液とすることができ、水性キャリア、非水性キャリア、有機キャリアまたはこれらの組合せを含むことができる。第2の結合液は、第1の結合液と同じ結合液または第1の結合液と実質的に同じ結合液とすることができる。
【0158】
図24の左(L)側は、中間粉末層342の上に堆積させ、ならした後の第2の中間粉末層343、および第2の中間粉末層343の濡れた粉末の周縁帯368、ならびに第2の中間粉末層343上に第2の結合液332を環状周縁パターンで適用して、第2の中間粉末層343の環状周縁にある粒子をそのままの位置で結合させ、それによって、図24の右(R)側に示されているように、均一な厚さを貫く濡れた粉末の周縁帯353と、第2の中間粉末層343の内部の第2の粉末組成物の濡れていない粒子とを形成する1つのパターンでの第2の結合液332の分配が示されている。第2の中間粉末層343の厚さ、ならびに第2の結合液で濡れた第2の中間粉末層343の周縁帯の飽和量および幅は、その下の濡れた中間粉末層の周縁帯352への濡れた中間粉末層の周縁帯353の十分な結合および付着を提供するように選択され、それらは、中間粉末層342に対して使用したものと同じものとすることができ、または中間粉末層342に対して使用したものとは異なるものとすることができる。
【0159】
同様に、図25の左(L)側は、中間粉末層343の上に堆積させ、ならした後の第3の中間粉末層344、および第3の中間粉末層344の濡れた粉末の周縁帯368、ならびに第3の中間粉末層344上に第2の結合液332を環状周縁パターンで適用して、第3の中間粉末層344の環状周縁にある粒子をそのままの位置で結合させ、それによって、図25の右(R)側に示されているように、層厚を貫く濡れた粉末の周縁帯354と、第3の中間粉末層344の内部の第2の粉末組成物の濡れていない粒子とを形成する1つのパターンでの第2の結合液332の分配が示されている。第3の中間粉末層344の厚さ、ならびに第2の結合液で濡らす第3の中間粉末層344の周縁帯の飽和量および幅は、その下の濡れた中間粉末層の周縁帯353への濡れた中間粉末の周縁帯354の十分な結合および付着を提供するように選択され、それらは、第1、第2もしくは第3の中間粉末層341、342もしくは343に対して使用したものと同じものとすることができ、または第1、第2もしくは第3の中間粉末層341、342もしくは343に対して使用したものとは異なるものとすることができる。さまざまな実施形態において、第2の粉末組成物の追加の中間粉末層を堆積させ、ならし、印刷することができ、この印刷は、環状周縁帯パターンの印刷、または連続パターンもしくはソリッドパターンの印刷とすることができる。さまざまな実施形態において、結合したベース粉末層の上に堆積させ、ならした粉末層である中間粉末層は、第1の粉末組成物(APIを含んでいない粉末組成物、または敏感なAPIを含んでいない粉末組成物、またはAPIを含む敏感な粒子を含んでいない粉末組成物)を含むことができる。
【0160】
さまざまな実施形態において、1つまたはそれ以上の中間粉末層において、第2の粉末組成物の代わりに、第2の粉末組成物とは異なる第4の粉末組成物の後続の層を使用することができる。
【0161】
図26の左(L)側は、第3の中間粉末層344および第3の中間粉末層344の濡れた結合した粉末の周縁帯354の上面の上に、第3の中間粉末層344および第3の中間粉末層344の濡れた結合した粉末の周縁帯354の上面を完全に覆って第3の粉末組成物を適用し、そのままの位置でならしてキャップ粉末層345にし、この一番上のキャップ粉末層345の上に第3の結合液を適用することを示している。図示の実施形態では、印刷ノズルから第3の液体組成物333の小滴30を吹き付けることによって、所定の第1の量の第3の結合液を沈積させて、そのままの位置で、キャップ粉末層345の第3の粉末組成物の粒子を結合させて凝集性の高い粉末-液体マトリックスとし、それによって、図26の右(R)側に示された、凹みの開口または上縁14よりも低い位置に示された上面を有する、実質的に均一な厚さを有する濡れたキャップ粉末層355を形成する。第1の液体組成物331の小滴30は、キャップ粉末層345の平面エリアに対応する連続パターンまたはソリッドパターン、例えば円形のパターンで、平面エリアの全体にわたって、かつキャップ粉末層345の第3の粉末組成物の厚さを貫いて分散させる。
【0162】
さまざまな実施形態において、キャップ粉末組成物は、投薬形態のキャップまたは頂部カバーを形成する結合したキャップ層に成形される粒子を含む。キャップ粉末組成物は、活性医薬成分(API)または薬剤を含まない。さまざまな実施形態において、キャップ粉末組成物は、水性結合液との接触および処理に対して敏感でない、または実質的に鈍感なAPIまたは薬剤を含む。キャップ粉末組成物はベース粉末組成物と同じものとすることができる。
【0163】
いくつかの実施形態では、図29に示されているように、液体が連続した濡れた粉末層を形成するため、第2の粉末組成物の中間粉末層のエリア全体を実質的に覆うように、結合液のパターンおよび量を適用することができる。
【0164】
キャップ粉末層に適用する第3の結合液は溶液または懸濁液とすることができ、水性キャリア、非水性キャリア、有機キャリアまたはこれらの組合せを含むことができる。第3の結合液は、第1の結合液と同じ結合液または第1の結合液と実質的に同じ結合液とすることができる。(濡らしているキャップ粉末層の第3の粉末組成物の単位質量当たりの)第3の結合液の(飽和)量の選択は、図26の右(R)側に示されているようなその下の濡れた中間粉末層の周縁帯354への濡れたキャップ粉末層355の周縁部分の十分な結合および付着、ならびに、図27に示されているような投薬形態の乾燥段階後の安定した、凝固したまたは弾力のあるキャップ層365の形成を提供する。
【0165】
キャップ粉末層345の厚さt3は、ベース粉末層341の厚さtもしくは中間粉末層342~344の厚さt2と同じ厚さとすることができ、またはベース粉末層341の厚さtもしくは中間粉末層342~344の厚さt2とは異なる任意の厚さとすることができる。さまざまな実施形態において、中間粉末層の厚さt2は、キャップ粉末層345の厚さt3の25%以上および最大200%、例えば50%以上、100%以上および最大150%である。
【0166】
さまざまな実施形態において、キャップ粉末層を堆積させ、場合によりキャップ粉末層をならした後、第3の結合液を用いたキャップ粉末層の印刷の前に、キャップ粉末層を成形する任意選択の工程を実行することができ、この工程は、図30の右(R)側に示されているように一番上の粉末層が凸形の上面を有する投薬形態を提供するために、最後に堆積させたキャップ粉末層を突き固めて、本明細書で説明し、図30の左(L)側に示した成形された上面を有する最後に形成された粉末層にすることを含む。パンチなどの突固め装置の非限定的な例が、その開示の全体が参照によって組み入れられる国際公開第2017/034951号パンフレットに記載されている。図示の実施形態では、キャビティの形状が凹形の円であるが、他の実施形態では、凹形の楕円形、正方形、長方形または任意の他の幾何学的形状とすることができる。その代わりに、第3の結合液を用いたキャップ粉末層の印刷の後に、濡れたキャップ粉末層を成形する任意選択の工程を実行することができ、この工程は、最後に堆積させたキャップ粉末層を突き固めて、成形された上面を有する最後に形成された濡れた粉末層にすることを含む。
【0167】
任意の過剰の溶媒または液体の乾燥の後、粉末層の濡れた粉末部分を成形して、安定した、凝固したまたは弾力のある周縁層にする。過剰の結合剤溶媒を除去するために、濡れたそれぞれの粉末層を別々に処理すること、または2つもしくはそれ以上の層のグループで処理することができる。
【0168】
いくつかの実施形態では、パンチを下げて粉末と接触させ、パンチに対する検出または測定された直線力または線圧、堆積させた粉末層の突固めおよび/またはならしの程度を達成する直線力または線圧の大きさに基づいて、パンチを進めることができる。いくつかの実施形態では、パンチを下げているときに、図69に示されているようにパンチ88を1つの回転方向に回転させる。回転させながらパンチ88を下げると、粉末層の深さの均一性および粉末の面突固めの均一性が向上する。パンチ88のこの運動は、当技術分野で知られている任意の制御システムによって制御することができる。パンチ88を引き上げた後、結合した粉末層および整形された頂部粉末層46を含む凹み4を印刷領域に移動させ、そこで、凸形の粉末材料層46上に結合液を適用して最後の一番上の結合した粉末層157を形成することができる。
【0169】
代替実施形態では、粉末材料の層の印刷の後、過剰の溶媒の蒸発による任意の乾燥の前に、パンチを使用して一番上の濡れた粉末層を成形することができる。国際公開第2017/034951号パンフレットに記載されているように、自動突固め装置を使用して、凹みの中の分配された複数の粉末層を付き固めることができる。
【0170】
一般に、3DP機器アセンブリおよび/または装置は、1つまたはそれ以上の3次元印刷ビルドシステムおよび場合により1つまたはそれ以上の液体除去システムを含む、さまざまなサブシステムを含むことができる。このシステムは、1つまたはそれ以上の3次元印刷ビルドシステム、1つまたはそれ以上の液体除去(乾燥)システム、および場合により1つまたはそれ以上の他のシステムを含むことができる。いくつかの実施形態では、この機器アセンブリが、1つまたはそれ以上の上部パンチシステム、1つまたはそれ以上の制御システムおよび1つまたはそれ以上の検査システムからなるグループから選択された1つまたはそれ以上の(サブ)システムを含むことができる。例えば、デプレッション3DPシステムの実施形態によっては、凹みに入った実質的に全ての粉末材料が凹みの中のそれぞれの投薬形態に組み込まれるため、ハーベストシステムを有する必要がない。同様に、デプレッション3DPシステムの実施形態によっては、包装の中のそのままの位置で錠剤が形成されるため、形成された錠剤を取り出し、運び、かつ/または別個の包装にフィードする必要がない。
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【国際調査報告】