(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-26
(54)【発明の名称】ブランクを分離する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/70 20140101AFI20230519BHJP
B23K 26/38 20140101ALI20230519BHJP
B23Q 41/02 20060101ALI20230519BHJP
B23Q 41/08 20060101ALI20230519BHJP
B65H 5/22 20060101ALI20230519BHJP
B65G 47/52 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
B23K26/70
B23K26/38 A
B23Q41/02 A
B23Q41/08 Z
B65H5/22 C
B65G47/52 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562908
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(85)【翻訳文提出日】2022-10-14
(86)【国際出願番号】 EP2021060113
(87)【国際公開番号】W WO2021213990
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】102020111238.6
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511240092
【氏名又は名称】シューラー プレッセン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Schuler Pressen GmbH
【住所又は居所原語表記】Schuler-Platz 1, 73033 Goeppingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ズマラー マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ザイツ アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
3C042
3F044
3F049
4E168
【Fターム(参考)】
3C042RB11
3C042RB20
3C042RK00
3F044AA08
3F044BB07
3F044CD01
3F049AA10
3F049EA21
3F049FB03
3F049LA15
3F049LB10
4E168AD07
4E168GA01
4E168GA02
4E168HA01
(57)【要約】
本発明は、ブランクを分離する方法に関し、次のステップを有する。金属薄板ストリップ(2)をレーザ切断ステーション(3)まで搬送方向(T)に連続搬送し、切断された金属薄板ストリップ(2)が同じ切断形状の連続するセクション(AT)から形成され、各セクション(AT)が少なくとも1つのブランク(P)とブランク(P)に隣接する少なくとも1つの残余ブランク(RP)とを含むように、金属薄板ストリップ(2)を同時切断し、第1のコンベヤベルト(4)上の切断された金属薄板ストリップ(2)を搬送方向(T)に搬送し、負圧で動作する吸引コンベヤ(5)により、切断された金属薄板ストリップ(2)を第1のコンベヤベルト(4)から引取、吸引コンベヤ(5)によって吊り下げられた切断された金属薄板ストリップ(2)を搬送し、吸引コンベヤ(5)の所定領域における負圧の第1の中段により、各セクション(AT)の少なくとも1つの残余ブランク(RP)を個別に取り除き、各セクション(AT)の少なくとも1つのブランク(P)を第2のコンベヤベルト(6)と重なるまで搬送し、負圧の第2の遮断により少なくとも1つのブランク(P)を吸引コンベヤ(5)から取り除き、吸引コンベヤから順次取り除かれるブランク(P)を収集ステーション(7)まで搬送方向に水平に搬送する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブランクを分離する方法であって、
金属薄板ストリップ(2)をレーザ切断ステーション(3)まで搬送方向(T)に連続して搬送し、
少なくとも1つの切断レーザによって金属薄板ストリップ(2)を同時に切断し、切断された金属薄板ストリップ(2)は、同じ切断形状の連続するセクション(AT)から形成され、セクション(AT)のそれぞれは、少なくとも1つのブランク(P)と、ブランク(P)に隣接する少なくとも1つの残余ブランク(RP)とを含み、
切断された金属薄板ストリップ(2)を第1のコンベヤベルト(4)で搬送方向(T)に搬送し、
負圧によって作動する吸引コンベヤ(5)により、切断された金属薄板ストリップ(2)を第1のコンベヤベルト(4)から移送し、
吸引コンベヤ(5)により切断された金属薄板ストリップ(2)を搬送方向に吊り下げ搬送し、
吸引コンベヤ(5)の所定の領域における負圧の第1の遮断によって、各セクション(AT)の少なくとも1つの残余ブランク(RP)を個別に取り除き、
各セクション(AT)の少なくとも1つのブランク(P)を、第2のコンベヤベルト(6)と重なるまで搬送し、負圧の第2の遮断によって、少なくとも1つのブランク(P)を取り除き、
吸引コンベヤ(5)によって次々に排出されたブランク(P)を収集ステーション(7)まで搬送方向(T)に搬送する、方法。
【請求項2】
吸引コンベヤ(5)は、搬送方向(T)及び搬送方向(T)に対して横方向に延びるy方向に連続して配置される、負圧を遮断するための複数の圧縮空気噴射装置(11、11a)を有し、各圧縮空気噴射装置(11、11a)は、圧縮空気サージを生成するために、別個に制御可能な弁を介して圧縮空気源に選択的に接続することが可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
圧縮空気噴射装置(11、11a)によって生成される少なくとも1つの圧縮空気衝撃を発生させることによって負圧が中断される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ブランク(P)の製造用に構成されたCAMシステムにおいて、少なくとも1つの残余ブランク(RP)の形状に応じて、特定の圧縮空気噴射装置(11、11a)が選択され、コントローラに転送される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
圧縮空気衝撃を生成するために、少なくとも1つの残余ブランク(RP)を取り除くための、選択された圧縮空気噴射装置(11、11a)が、金属薄板ストリップ(2)の搬送経路に応じて制御システムによって制御される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
残余ブランク(RP)が、第1コンベヤベルト(4)と第2コンベヤベルト(6)との間に配置された残余ブランク排出装置(12、13)に排出される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
残余ブランク(RP)は、残余ブランク排出装置(12、13)内で破砕される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
第1の搬送ベルト(4)及び吸引コンベヤ(5)の第1の搬送速度が、第2の搬送ベルト(6)の第2の搬送速度よりも小さい、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ブランク(P)が収集ステーション(7)に積み重ねられる、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ブランク(P) を分離する装置であって、
金属薄板ストリップ(2)をレーザ切断ステーション(3)まで搬送方向(T)に連続して搬送するコンベヤ(1)と、
切断されたシート金属ストリップ(2)が同じ切断形状の連続するセクション(AT)から形成され、各セクション(AT)が少なくとも1つのブランク(P)及びブランク(P)に隣接する少なくとも1つの残余ブランク(RP)を含むむように、シート金属ストリップ(2)を同時に切断する少なくとも1つの切断レーザを有するレーザ切断ステーション(3)と、
切断された金属薄板ストリップ(2)をレーザ切断ステーション(3)の下流へと搬送方向(T)に搬送する第1のコンベヤベルト(4)と、
負圧によって動作し、切断された金属薄板ストリップ(2)を第1のコンベヤベルト(4)から受け取り、切断された金属薄板ストリップ(2)を搬送方向の上方に搬送する吸引コンベヤ(5)。と、
吸引コンベヤ(5)の所定の領域における負圧の第1の遮断によって、各セクション(AT)の少なくとも1つの残余ブランク(RP)を個別に取り除くための装置(11、11a)と、
吸引コンベヤ(5)と部分的に重なるように配置され、負圧の第2の中断によって吸引コンベヤ(5)から放出された少なくとも1つのブランク(P)を受け取り、続いて、放出されたブランク(P)を、収集ステーション(7)まで搬送方向(T)に水平に搬送する第2のコンベヤベルト(6)とを備える、装置。
【請求項11】
吸引コンベヤ(5)は、搬送方向(T)及び搬送方向に対して横方向に延伸するy方向に連続して配置される複数の圧縮空気噴射装置(11、11a)を有し、各圧縮空気噴射装置(11、11a)は、圧縮空気サージを生成するために、個別に制御可能な弁を介して圧縮空気源に選択的に接続可能である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
ブランク(P)を製造するためのCAMシステムは、少なくとも1つの残余ブランク(RP)の形状に応じて、特定の圧縮空気噴射装置(11、11a)が選択され、コントローラに転送されるように構成されている、請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
圧縮空気衝撃を生成するために、少なくとも1つの残余ブランク(RP)を排出するための、選択された圧縮空気噴射装置(11、11a)が、金属薄板ストリップ(2)の搬送経路(T)に応じて制御される、請求項10~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
廃棄された残余ブランク(RP)を受け取るための残余ブランク除去装置(12、13)が、第1のコンベヤベルト(4)と第2のコンベヤベルト(6)との間に設けられる、請求項10~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
残余ブランク除去装置(13)が、残余ブランク(RP)を粉砕するための手段(12)を備える、請求項10~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の搬送ベルト(4)及び前記吸引コンベヤ(5)の第1の搬送速度(T)は、前記第2の搬送ベルト(4)の第2の搬送速度よりも遅い、請求項10~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
ブランク(P)を収集するための少なくとも1つのスタッキング装置が、第2のコンベヤベルト(6)の下流に設けられる、請求項10~16のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブランクを分離する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ブランクを分離するための方法及び装置は、US2016/0318126A1で知られている。金属薄板ストリップは、レーザ切断ステーションまで搬送方向に連続的に搬送される。レーザ切断ステーションでは、金属薄板ストリップは、少なくとも1つの切断レーザによって連続的に切断される。複数のブランクと、複数のブランクに隣接する複数の残余ブランクとを含む、切断された金属薄板ストリップが形成される。切断された金属薄板ストリップは、第1のコンベヤベルトによりレーザ切断ステーションの下流に搬送される。そして、ブランクはロボットによって第1のコンベヤベルトから持ち上げられ、例えばスタッカーのような収集ステーションに供給される。
【0003】
ロボットによってブランクを持ち上げるには、それぞれのブランクの形状に適合した特定の吸引ツールをロボットアームの端部に取り付ける必要がある。ブランクの形状が変更された場合は、吸引ツールをそれに合わせて適合させるか、別の吸引ツールをロボットアームの端部に取り付ける必要がある。これには時間と費用を要する。
【0004】
可能な限り高いブランク生産速度を達成するために、通常、金属薄板ストリップは、レーザ切断ステーションを非常に速く通過させるため、ブランクを持ち上げるために複数のロボットが必要となる。これは、既知の装置の必要スペースだけでなく、費用もさらに増加させる。
【0005】
WO2009/105608A1は、ブランクを切断する方法を開示する。この方法では、連続的に搬送される金属薄板ストリップが、2つのレーザ切断ステーションによって搬送方向に切断される。第1のレーザ切断ステーションは、第1の搬送装置の入口に配置され、第2のレーザ切断ステーションは、第2の搬送装置の出口に配置される。金属薄板ストリップは、レーザ切断ステーションによって複数のブランクに切断される。その後、複数のブランクは搬送方向に搬送される。
【0006】
DE1282556は、所定距離を隔てて次々に供給される複数のブランクを選択的に搬送し積み重ねる装置を記載している。複数のブランクは、測定された厚さに応じて異なるスタック位置に供給される。この既知の装置は、一様な所定の形状を有するブランクの選択的な搬送及び積み重ねにのみ適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0318126号明細書
【特許文献2】国際公開第2009/105608号
【特許文献3】西独国特許第1282556号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、先行技術の欠点を排除することである。特に、複数のブランクと隣接する複数の残余ブランクとをより少ない労力で互いに分離することができ、複数のブランクを分離することができる方法及び装置が特定されるべきである。本発明の別の目的によれば、複数のブランクを製造する製造速度が向上されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1及び10の特徴によって解決される。本発明の好適な実施形態は、従属請求項の特徴から生じる。
【0010】
本発明によれば、以下のステップを含む、ブランクを分離する方法が提案される。
金属薄板ストリップをレーザ切断ステーションまで搬送方向に連続搬送し、
少なくとも1つの切断レーザによって前記金属薄板ストリップを同時に切断し、切断されたシート金属ストリップは、同じ切断形状の連続する複数のセクションから形成され、前記セクションのそれぞれは、少なくとも1つのブランクと、前記ブランクに隣接する少なくとも1つの残余ブランクとを含み、
切断された金属薄板ストリップを第1のコンベヤベルトで搬送方向に搬送し、
負圧で動作する吸引コンベヤによって、切断された金属薄板ストリップを第1のコンベヤベルトから移送し、
吸引コンベヤにより、切断された金属薄板ストリップを搬送方向へ吊り下げ搬送し、
吸引コンベヤの所定の領域の負圧の第1の中断により、各セクションの少なくとも1枚の残余ボードを別々に投棄し、
各セクションの少なくとも1つのブランクを第2のコンベヤに重なるまで搬送し、負圧の第2の中断によって吸引コンベヤからブランクを排出し、
吸引コンベヤによって次々と落下したブランクを、収集ステーションまで搬送方向に水平に搬送する。
【0011】
金属薄板ストリップは、搬送方向に延びる所定の長さのセクションに繰り返し切断される。この特定された長さを「ピッチ長」ともいう。
【0012】
各セクションは同じ切断形状を有する。これは、各セクションにおいて、切断形状が、次のセクションで同一またはほぼ同一となるように繰り返されるパターンを形成することを意味する。
【0013】
セクション内において、少なくとも1つのブランクとそれに隣接する残余ブランクが、少なくとも1回の切断によって生成される。少なくとも1つのブランク及び少なくとも1つの残余ブランクは、通常、互いに異なる形状を有する。各セクションに形成される少なくとも1つのブランクはいわゆる「良品」を形成し、残余ブランクはスクラップとして廃棄される。
【0014】
上記の発明により、1つのセクションにおいて、多大な技術的労力を要することなく、1つのボードを少なくとも1つの残余ボードから分離することを有利に行うことが可能である。
【0015】
従来技術とは異なり、複数のブランクと残余ブランクの少なくともいくつか、あるいは、切断された薄板ストリップは、吸引コンベヤによって第1のコンベヤベルトから引き取られ、吊り下げられて搬送方向に搬送される。ブランクの吊下げ搬送中は、吸引コンベヤから残余ブランクのみが放出される。複数のブランクは、最初に第2のコンベヤベルトと重なるように吊り下げて運ばれ、次に負圧の第2の中断によって吸引コンベヤから第2のコンベヤベルト上に放出される。
【0016】
ブランクを分離するために、ブランクの形状に合わせて特別に適合した吸引ツールをロボットに設ける必要はもはやない。提案される吸引コンベヤは、その設計変更を必要とすることなく、あらゆる形状の残余ブランクを放出することを可能とする。有利なことに、吸引コンベヤは、第1のコンベヤと同じ搬送速度で動作させることができる。例えば、形状が単純なブランクの生産速度を上げるために第1のコンベヤベルトの搬送速度を増加させる場合、吸引コンベヤの搬送速度は、それに応じて適合させるだけで良い。
【0017】
適切な吸引コンベヤは、例えば、EP1355838B1で知られている。既知の吸引コンベヤでは、2本の平行なコンベヤベルトの間に負圧チャネルが設けられている。コンベヤベルト上にシート状の金属部品が載っている状態で、ベンチュリの原理に従って、負圧チャネルに動的な負圧が形成され、これにより、シート状の金属パーツがコンベヤベルトに引き寄せられる。
【0018】
本発明に係る方法を実施するために、搬送方向に対して直交して延びるy方向に、互いに隣接して配置されるいくつかの吸引コンベヤが有利に使用される。吸引コンベヤ間の距離はy方向において変えることができ、吸引コンベヤは、ブランク及び/または残余ブランクの形状に適合させることができる。
【0019】
有利な実施形態によれば、吸引コンベヤは、負圧を遮断するための複数の圧縮空気噴射装置を有し、それらは搬送方向及び搬送方向に対して横方向に延びるy方向に連続的に配置され、各圧縮空気噴射装置は、圧縮空気ブラストを生成するための個別に制御可能なバルブを介して圧縮空気源に任意に接続することができる。したがって、吸引コンベヤは、少なくとも1つの残余ブランクを排出するために、少なくとも1つの残余ブランクの所定の形状に応じて選択的かつ個別に制御できる、複数の圧縮空気噴射装置の2次元アレイを有する。
【0020】
負圧は、有利には、圧縮空気噴射装置によって生成される圧縮空気のサージを生成することによって中断される。結果として、負圧を発生させるための装置は、有利には、連続的に作動され、吸引コンベヤの残りの領域を供給するために使用され得る。
【0021】
さらに有利な実施形態によれば、特定の複数の圧縮空気噴射装置が、少なくとも1つの残りのブランクの形状に応じて、ブランクの製造用に構成されたCAMシステムで選択され、コントローラに転送される。CAMシステムでは、例えば、少なくとも1つの残余ブランク及び/または少なくとも1つのブランクにマークを付与することができる。そして、適切なコンピュータプログラムを使用して、それぞれの残余ブランクの排出に対応する圧縮空気噴射装置を選択する。選択された圧縮空気噴射装置に関する情報は、制御システムまたは装置のコントローラに転送される。これにより、ブランクを分離するための高速で簡単なプログラミングが可能となる。
【0022】
有利には、圧縮空気ブラストを生成するため、少なくとも1つの残余ブランクを排出するために選択された圧縮空気噴射装置は、金属薄板ストリップの搬送経路に応じて制御システムによって制御される。換言すれば、制御システムは、金属薄板ストリップが搬送方向における特定の搬送経路を覆った正にその時に、圧縮空気ブラストを生成するために選択された圧縮空気噴射装置を制御する。排出されるべき残余シートが、吸引コンベヤにおいて選択された圧縮空気噴射装置の正反対に位置するように、搬送経路は有利に寸法決めされる。圧縮空気噴射装置を作動させることで負圧が遮断され、残余ブランクが吸引コンベヤから排出される。
【0023】
第1及び第2コンベヤベルトの間に配置された残余ブランク排出装置に残余ブランクを排出することが好都合である。残ブランク排出装置において、残余ブランクは粉砕装置によって適切に粉砕される。細断された残余ブランクは、コンベヤベルトによってスクラップコンテナに供給されても良い。
【0024】
本発明の特に有利な実施形態によれば、第1のコンベヤベルト及び吸引コンベヤの第1の搬送速度は、第2のコンベヤベルトの第2の搬送速度よりも遅い。すなわち、第2のコンベヤベルトによって引き継がれたブランクが加速される。その結果、第2のコンベヤ上に次々に置かれるブランク間の距離は、裁断されたシートベルトよりも大きくなる。これにより、例えば、収集、積み重ねなどのブランクの取り扱いが容易となる。
【0025】
好適には、複数のブランクは、第2のコンベヤの下流に設けられた収集ステーションに積み重ねられる。収集ステーションは、ブランクを交互にピックアップする複数のスタッカーを備えても良い。
【0026】
本発明のさらなる曲面によれば、
レーザ切断ステーションまで搬送方向に金属薄板ストリップを連続的に搬送するための搬送装置と、
切断された金属薄板ストリップが同じ切断形状の連続するセクションから形成され、前記セクションの各々が、少なくとも1つのブランクと前記ブランクに隣接する少なくとも1つの残余ブランクとを含むように、前記金属薄板ストリップを同時に切断するための少なくとも1つの切断レーザを有するレーザ切断ステーションと、
切断された金属薄板ストリップを、搬送方向におけるレーザ切断ステーションの下流に搬送するための第1のコンベヤベルトと、
負圧によって作動し、切断された金属薄板ストリップを第1のコンベヤベルトから引き取り、切断された金属薄板ストリップを搬送方向の上方に搬送するための吸引コンベヤと、
吸引コンベヤの所定の領域における負圧の第1の遮断によって、各セクションの少なくとも1つの残余ブランクを個別に排出するための装置と、
吸引コンベヤと部分的に重なるように配置され、負圧の第2の中断によって吸引コンベヤから放出された少なくとも1つのブランクを受け取り、連続して放出される複数のブランクを収集ステーションまで搬送方向に水平に搬送するための第2のコンベヤベルトと、
を備える、ブランクを分離するための装置が提案される。
【0027】
搬送装置は、例えば、ロール矯正機及び/または互いに向き合った一対の搬送ロールであっても良い。金属薄板ストリップを同時に切断するための少なくとも1つの切断レーザを有するレーザ切断ステーションは、先行技術において一般的に知られている。例として、DE102010042067A1及びWO2009/105608A1が参照される。
【0028】
吸引コンベヤの設計については、前述の説明を参照されたい。例えば、EP1335838B1で知られるような、y方向に並べて配置されるいくつかの搬送装置を使用することができる。本発明によれば、既知の搬送装置は、搬送方向に前後に配置される複数の圧縮空気噴射装置を有するように変更される。複数の搬送装置をy方向に並べて配置することにより、搬送方向及びy方向に延びる圧縮空気噴射装置のアレイが得られる。したがって、圧縮空気噴射装置は二次元アレイを形成する。残余ブランクを排出するために、それぞれの残余ブランクと重なり合うアレイの複数のセクションを制御して、圧縮空気ブラストを発生させることができる。
【0029】
装置のさらなる実施形態については、前述の方法の特徴の説明をされたいが、この説明はまた、必要な変更を加えて、装置の特徴を構成する。
【0030】
以下では、図面を参照しながら本発明の実施形態がより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、ブランクを分離する装置のブロック図を示す。参照符号1は、搬送装置を示し、例えば、ローラレベラーであっても良い。参照符号2は、レーザ切断ステーション3に供給される金属薄板ストリップを示す。レーザ切断ステーション3において、金属薄板ストリップは、ブランクP及び隣接する残余ブランクRPに切断される。切断された金属薄板ストリップ2は、レーザ切断ステーション3の下流に設けられた第1のコンベヤベルト4によって搬送方向Tに搬送される。
【0033】
参照符号5は、第1のコンベヤベルト4の下流に配置された吸引コンベヤを示す。ブランクP及び残余ブランクRPは、吸引コンベヤ5によって取り上げられ、吊り下げられた位置で搬送方向Tに搬送される。
【0034】
参照符号6は、吸引コンベヤ5の下流に配置される第2のコンベヤベルトを示す。第2のコンベヤベルト6は、分離されたブランクPを下流の収集ステーション7に供給する。残余ブランクRPは細断装置(ここでは図示せず)で細断され、スクラップSとして排出される。
【0035】
図2~
図5は、第1のコンベヤベルト4、吸引コンベヤ5及び第2のコンベヤベルト6の配置を詳細に示す。吸引コンベヤ5は、y方向に並べて配置される複数の吸引コンベヤ7aにより形成される。
図3及び
図5はそれぞれ、吸引コンベヤの1つの断面図を示す。
【0036】
吸引コンベヤ7aの各々は、互いに平行に配置された2つの循環するコンベヤベルト8を有し、その間に負圧チャネル9が配置されている。複数の吸引ライン10は、図に示されているように分岐していても良く、負圧チャネル9から搬送方向Tに前後に延びる。吸引ライン10は、負圧チャネル9の反対側の吸引チャネル11内で終結している(
図7及び
図8参照)。
【0037】
特に
図5から分かるように、吸引コンベヤ5は、第1のセクションA1が実質的に第1のコンベヤベルト4と第2のコンベヤベルト6との間に位置するように配置される。吸引コンベヤ5の第2のセクションA2は、第1のセクションA1の下流で延びており、第2のコンベヤベルト6を覆う。
【0038】
第1のセクションA1では、搬送方向Tにおいて、単位長さあたり、第2のセクションA2よりも多くの吸引ライン10が設けられている。
【0039】
特に
図7及び
図8から分かるように、圧縮空気ライン11aは、各吸引ライン10の内部で開口しており、圧縮空気源(ここでは図示せず)に接続されている。各圧縮空気ライン11aにはバルブ(ここでは図示せず)が接続されており、各吸引ライン10には、圧縮空気を選択的かつ個別に供給することができる。
【0040】
図2及び
図3において、参照符号12は、滑り面13の端部に設けられた細断装置を示す。滑り面13は、第1のコンベヤベルト4の下流端から細断装置12に向かって下方に延びている。
【0041】
図9は、CAMシステムにおける金属薄板ストリップ2の第1の切断輪郭の上面図を示す。ここでは、ブランクP内に小さい複数の残余ブランクRPが設けられている。
【0042】
図10は、金属薄板ストリップ2の第2の切断輪郭を示す。ここでは、ブランクP内に比較的大きな残余ブランクRPが設けられている。
【0043】
装置の機能は次のとおりである。
【0044】
最初に、CAMシステムを使用してマークM1、M2(
図10参照)を手動で設定し、切断された金属薄板ストリップ2のどのセクションが廃棄されるべき残余ブランクRPであるかを決定する。この目的のために、残余ブランクRP内に第1のマークM1として、例えば十字を設定する。一方、ブランクPは、第2のマークM2でマークされ、例えば、
図10では円である。
【0045】
残余ブランクRPが小さい場合 (
図9参照)、マーキングは行われない。この場合、残余ブランクRPは吸引コンベヤに付着せず、第1のコンベヤベルト4から、滑り面13及びその下流の細断装置12に直接供給される。
【0046】
マーキングM1、M2は、CAMシステムによって処理される。特に、システムは、それぞれの残余ブランクRPを取り除くために、どの圧縮空気噴射装置を制御すべきかを計算する。この情報は機械制御システムに転送される。
【0047】
金属薄板ストリップ2は、レーザ切断ステーション3を通過し、レーザ切断ステーションの出口で、本質的に同一の切断形状の連続するセクションATを有するように切断される。セクションATの各々は、移送方向に所定の長さLまたはピッチ長を有する。セクションATの各々は、少なくとも1つのブランクPと、ブランクPに隣接する少なくとも1つの残余ブランクRPとを含む(
図9参照)。切断された金属薄板ストリップ2は、第1のコンベヤベルト4によって搬送方向Tに搬送される。切断された金属薄板ストリップ2は、吸引コンベヤ5によって引き取られ、さらに搬送方向Tに搬送される。切断された金属薄板ストリップが引き取られた際、小さな残余ブランクRPは直ちに滑り面13上に落下する。
【0048】
第1のセクションA1において、吸引コンベヤ5は、搬送方向T及びy方向に延びる圧縮空気噴射装置のアレイを有する。圧縮空気噴射装置の各々は、吸引ライン10と、それに接続された圧縮空気ライン11aとを含み、バルブ(ここでは図示せず)によって任意に開閉することができる。残余ブランクRPが第1のセクションA1と完全に重なるとすぐに、制御システムは、残余ブランクRPと重なる圧縮空気噴射装置を作動させる。圧縮空気噴射装置は、圧縮空気の衝撃を発生させる。結果として、この領域の負圧が崩壊し、残余ブランクRPが滑り面13上に落下する。残余ブランクRPは、重力によって細断装置12まで滑り、そこで細断される。発生したスクラップSは排出される。
【0049】
一方、ブランクPは、吸引コンベヤ5の第1のセクションA1から第2のセクションA2へと吊り下げ位置で搬送される。ブランクPが第2のコンベヤベルト6と完全に重なり合うとすぐに、制御システムによって、第2のセクションA2の圧縮空気噴射装置が作動され、ブランクPが第2のコンベヤベルト6上に排出される。
【0050】
第1のコンベヤベルト4と、吸引コンベヤ5のコンベヤベルト8とは、同じ回転速度で運転される。第2のコンベヤベルト6は、有利には、第1のコンベヤベルト4の回転速度よりも速い回転速度で運転される。結果として、吸引コンベヤ5から第2のコンベヤベルト6上に放出されるブランクPが加速される。それらは、吸引コンベヤ5に供給されるよりも大きな距離で第2のコンベヤベルト6上に排出される。これにより、ブランクPの取り扱い、特にスタッカーなどへの移送が容易になる。
【符号の説明】
【0051】
1 コンベヤ
2 金属薄板ストリップ
3 レーザ切断ステーション
4 第1コンベヤベルト
5 吸引コンベya
6 第2ベルトコンベヤ
7 収集ステーション
7a 吸引コンベヤ装置
8 搬送ベルト
9 負圧チャネル
10 吸引ライン
11 吸気ダクト
11a 圧縮空気ライン
12 細断装置
13 滑り面
A1 第1のセクション
A2 第2のセクション
AT セクション
L 長さ
M1 第1のマーカー
M2 第2のマーカー
P ブランク
RP 残余ブランク
S スクラップ
T 搬送方向
【国際調査報告】