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特表2023-522049感染を防止および処置する手段および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-26
(54)【発明の名称】感染を防止および処置する手段および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/522 20060101AFI20230519BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20230519BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230519BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230519BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20230519BHJP
   A61P 33/02 20060101ALI20230519BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230519BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 9/68 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 9/51 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 31/722 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 31/702 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20230519BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230519BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20230519BHJP
   A23C 9/152 20060101ALI20230519BHJP
   A23F 3/16 20060101ALI20230519BHJP
   A23F 5/14 20060101ALI20230519BHJP
   A23G 1/40 20060101ALI20230519BHJP
   A23G 3/42 20060101ALI20230519BHJP
   A23G 4/10 20060101ALI20230519BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20230519BHJP
   C12G 3/05 20190101ALI20230519BHJP
   C11D 3/384 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
A61K31/522
A61P31/00
A61P31/12
A61P31/04
A61P31/10
A61P33/02
A61P11/00
A61P31/14
A61K47/36
A61K9/08
A61K9/20
A61K9/68
A61K47/26
A61K47/12
A61K9/06
A61K9/14
A61K9/51
A61K9/10
A61K9/12
A61K9/107
A61K31/722
A61K31/702
A61K8/73
A61K8/49
A61K8/60
A61Q19/00
A23L33/10
A23C9/152
A23F3/16
A23F5/14
A23G1/40
A23G3/42
A23G4/10
A23L2/00 F
A23L2/52
C12G3/05
C11D3/384
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562965
(86)(22)【出願日】2021-04-14
(85)【翻訳文提出日】2022-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2021059643
(87)【国際公開番号】W WO2021209493
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】63/010,423
(32)【優先日】2020-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】20216717.7
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】522403642
【氏名又は名称】ソリープラス ゲーエムベーハー
(71)【出願人】
【識別番号】522403653
【氏名又は名称】レオポルト ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】フォークト アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】アンダーセン リチャード ドルフ
(72)【発明者】
【氏名】シュクリナー カール
【テーマコード(参考)】
4B001
4B014
4B018
4B027
4B115
4B117
4C076
4C083
4C086
4H003
【Fターム(参考)】
4B001AC02
4B001AC03
4B001EC05
4B014GB01
4B014GB06
4B014GB07
4B014GB08
4B014GB09
4B014GB13
4B014GE05
4B014GK12
4B014GL10
4B014GL11
4B018LB01
4B018LB08
4B018MD18
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4B018MD29
4B018MD33
4B018MD41
4B018ME14
4B027FB13
4B027FB24
4B027FC06
4B027FK04
4B115LH11
4B115LP02
4B117LC04
4B117LG05
4B117LK12
4B117LK13
4C076AA06
4C076AA09
4C076AA11
4C076AA16
4C076AA17
4C076AA22
4C076AA24
4C076AA29
4C076AA51
4C076AA65
4C076AA69
4C076BB21
4C076BB22
4C076BB25
4C076BB31
4C076CC31
4C076CC35
4C076DD38
4C076DD41
4C076DD43
4C076DD67
4C076EE30
4C076EE37
4C076EE55
4C076FF31
4C083AC851
4C083AD201
4C083AD321
4C083CC04
4C083CC05
4C083DD08
4C083DD17
4C083DD22
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE11
4C086AA01
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4C086CB07
4C086EA01
4C086EA23
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA13
4C086MA17
4C086MA21
4C086MA22
4C086MA23
4C086MA27
4C086MA28
4C086MA41
4C086MA57
4C086MA59
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA89
4C086ZB33
4H003BA12
4H003DA02
4H003DA17
4H003DA19
4H003EB45
4H003FA33
(57)【要約】
本発明は、感染の防止、または感染の処置、または感染によって引き起こされる疾患の処置における使用のための組成物であって、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含む組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感染の防止、または感染の処置、または感染によって引き起こされる疾患の処置における使用のための組成物であって、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含む、組成物。
【請求項2】
感染がウイルス感染、細菌感染、原生動物感染、または真菌感染である、請求項1記載の使用のための組成物。
【請求項3】
感染がウイルス感染である、請求項1または請求項2記載の使用のための組成物。
【請求項4】
ウイルスが呼吸器ウイルスである、請求項2または請求項3記載の使用のための組成物。
【請求項5】
呼吸器ウイルスが、コロナウイルス、好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、および呼吸器合胞体ウイルスからなる群より選択される、請求項4記載の使用のための組成物。
【請求項6】
ヒト病原性コロナウイルスがベータコロナウイルスである、請求項5記載の使用のための組成物。
【請求項7】
ヒト病原性コロナウイルスが、SARS-CoV-2、MERS-CoV、およびSARS-CoV-1からなる群より選択され、好ましくはヒト病原性コロナウイルスがSARS-CoV-2である、請求項5または請求項6記載の使用のための組成物。
【請求項8】
疾患が、COVID-19、MERS、およびSARSからなる群より選択され、好ましくは疾患がCOVID-19である、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
【請求項9】
前記使用が、体液を前記組成物と接触させる工程を含む、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
【請求項10】
体液が唾液または粘膜分泌物である、請求項9記載の使用のための組成物。
【請求項11】
前記使用が、粘膜を前記組成物と接触させる工程を含む、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
【請求項12】
前記使用が、皮膚または表面を前記組成物と接触させる工程を含む、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
【請求項13】
前記使用が、創傷または熱傷を前記組成物と接触させる工程を含む、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
【請求項14】
化合物がキトサンまたはその塩である、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
【請求項15】
塩が、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、キトサン塩酸塩、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
【請求項16】
可食性組成物であるか、または口腔投与、鼻腔投与、もしくは気管支投与に適した組成物である、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
【請求項17】
固形組成物または液状組成物である、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
【請求項18】
チューインガム、キャンディ、ボンボン、フルーツガム、チョコレート、および飲料調製用の組成物(例えばコーヒー組成物、茶組成物、シャーベット粉末、発泡錠)からなる群より選択され、好ましくは茶組成物であるか、または好ましくはキャンディである、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項19】
チューインガムである、請求項18記載の使用のための組成物。
【請求項20】
チューインガムが、キトサンおよび酸を含む、請求項19記載の使用のための組成物。
【請求項21】
チューインガムがキトサンの塩を含む、請求項19または請求項20記載の使用のための組成物。
【請求項22】
キトサンの塩が、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩からなる群より選択される、請求項21記載の使用のための組成物。
【請求項23】
前記組成物が栄養補助食品であり、好ましくは栄養補助食品が飲料への添加に適しており、より好ましくは飲料が、茶、コーヒー、果汁、レモネード、ミルク、コーラ、飲用可能な乳製品(例えば飲用可能なヨーグルト)、シャーベット粉末または発泡錠を溶解することによって得ることができる飲料、およびアルコール飲料からなる群より選択される、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
【請求項24】
持続送達系、好ましくは口腔またはバッカル持続送達系である、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
【請求項25】
固形または半固形剤形を含む、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
【請求項26】
粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子を含む、前記請求項のいずれか一項記載の使用のための組成物。
【請求項27】
粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子が、キトサンまたはその塩を含む、請求項26記載の使用のための組成物。
【請求項28】
粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子が、ヒアルロン酸をさらに含む、請求項27記載の使用のための組成物。
【請求項29】
粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子の共凝集体を含む、請求項26~28のいずれか一項記載の使用のための組成物。
【請求項30】
共凝集体がキトサンまたはその塩を含む、請求項29記載の使用のための組成物。
【請求項31】
粒子、好ましくはマイクロ粒子もしくはナノ粒子、または共凝集体が、液状組成物または半固形組成物に含まれており、特に粒子、好ましくはマイクロ粒子もしくはナノ粒子、または共凝集体が、液状組成物または半固形組成物に懸濁されている、請求項26~30のいずれか一項記載の使用のための組成物。
【請求項32】
粒子、好ましくはマイクロ粒子もしくはナノ粒子、または共凝集体が、噴霧もしくは含嗽のための組成物、洗口剤、口腔に適用するためのゲル、点鼻スプレー、点鼻オイル、点鼻液製剤、または鼻洗浄製剤に含まれており、特に懸濁されている、請求項31記載の使用のための組成物。
【請求項33】
粒子、好ましくはマイクロ粒子もしくはナノ粒子、または共凝集体が、表面または皮膚を処置するのに適した組成物に含まれている、請求項26~31のいずれか一項記載の使用のための組成物。
【請求項34】
消毒薬、スキンケア組成物(例えばローション、クリーム、ゲル、スプレー、サルブ(salve)、軟膏、または粉末)、セッケン(例えば液状セッケン)、および洗剤製剤(例えば洗濯用洗剤製剤または食器用洗剤製剤)からなる群より選択される、請求項33記載の使用のための組成物。
【請求項35】
前記使用が、表面または皮膚を請求項31~32のいずれか一項記載の組成物と接触させる工程を含む、請求項33または請求項34記載の使用のための組成物。
【請求項36】
キトサンまたはその塩が80%以上の脱アセチル化度を有する、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項37】
キトサンまたはその塩が40~50%の脱アセチル化度を有する、請求項1~35のいずれか一項記載の組成物。
【請求項38】
感染を防止するための組成物の非医療的使用であって、固形組成物が前記請求項のいずれか一項に規定される、非医療的使用。
【請求項39】
感染が、ウイルスもしくは細菌感染、原生動物感染、または真菌感染である、請求項38記載の使用。
【請求項40】
感染がウイルス感染である、請求項38または請求項39記載の使用。
【請求項41】
ウイルスが呼吸器ウイルスである、請求項39または請求項40記載の使用。
【請求項42】
ウイルスが、コロナウイルス、好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、および呼吸器合胞体ウイルス[RSV]からなる群より選択される、請求項41記載の使用。
【請求項43】
ヒト病原性コロナウイルスがベータコロナウイルスである、請求項42記載の使用。
【請求項44】
ヒト病原性コロナウイルスが、SARS-CoV-2、MERS-CoV、およびSARS-CoV-1からなる群より選択され、好ましくはヒト病原性コロナウイルスがSARS-CoV-2である、請求項42または請求項43記載の使用。
【請求項45】
体液を前記組成物と接触させる工程を含む、請求項38~44のいずれか一項記載の使用。
【請求項46】
体液が唾液または粘膜分泌物である、請求項45記載の使用。
【請求項47】
粘膜を前記組成物と接触させる工程を含む、請求項38~46のいずれか一項記載の使用。
【請求項48】
皮膚または表面を前記組成物と接触させる工程を含む、請求項38~47のいずれか一項記載の使用。
【請求項49】
創傷または熱傷を前記組成物と接触させる工程を含む、請求項38~48のいずれか一項記載の使用。
【請求項50】
組成物の使用によって、感染を防止する、または感染を処置する、または感染によって引き起こされる疾患を処置する方法であって、固形組成物が請求項1~37のいずれか一項に規定される、方法。
【請求項51】
感染が、ウイルスもしくは細菌感染、原生動物感染、または真菌感染である、請求項50記載の方法。
【請求項52】
感染がウイルス感染である、請求項50または請求項51記載の方法。
【請求項53】
ウイルスが呼吸器ウイルスである、請求項51または請求項52記載の方法。
【請求項54】
呼吸器ウイルスが、コロナウイルス、好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、および呼吸器合胞体ウイルス[RSV]からなる群より選択される、請求項53記載の方法。
【請求項55】
ヒト病原性コロナウイルスがベータコロナウイルスである、請求項54記載の方法。
【請求項56】
ヒト病原性コロナウイルスが、SARS-CoV-2、MERS-CoV、およびSARS-CoV-1からなる群より選択され、好ましくはヒト病原性コロナウイルスがSARS-CoV-2である、請求項54または請求項55記載の方法。
【請求項57】
疾患が、COVID-19、MERS、およびSARSからなる群より選択され、好ましくは疾患がCOVID-19である、請求項50~56のいずれか一項記載の方法。
【請求項58】
体液を前記組成物と接触させる工程を含む、請求項50~57のいずれか一項記載の方法。
【請求項59】
体液が唾液または粘膜分泌物である、請求項58記載の方法。
【請求項60】
前記使用が、粘膜を前記組成物と接触させる工程を含む、請求項50~59のいずれか一項記載の方法。
【請求項61】
皮膚または表面を前記組成物と接触させる工程を含む、請求項50~60のいずれか一項記載の方法。
【請求項62】
創傷または熱傷を前記組成物と接触させる工程を含む、請求項50~61のいずれか一項記載の方法。
【請求項63】
キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含む、チューインガム。
【請求項64】
キトサンおよび酸を含む、請求項63記載のチューインガム。
【請求項65】
キトサンの塩を含む、請求項63または請求項64記載のチューインガム。
【請求項66】
キトサンの塩が、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩からなる群より選択される、請求項65記載のチューインガム。
【請求項67】
ソルビトール、イソマルト、マルチトール、キシリトール、アセスルファムK、スクラロース、ガムベース、香味料、グリセロール、アラビアガム、キトサン、酢酸亜鉛、およびカルナウバワックスを含み、任意で、クエン酸をさらに含みうる、請求項63記載のチューインガム。
【請求項68】
キトサンまたはその塩からなる群より選択される化合物を含む、可食性組成物。
【請求項69】
塩が、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、キトサン塩酸塩、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、請求項68記載の可食性組成物。
【請求項70】
固形組成物または液状組成物である、請求項68または請求項69記載の可食性組成物。
【請求項71】
栄養補助食品、食品、または飲料である、請求項68~70のいずれか一項記載の可食性組成物。
【請求項72】
キャンディ、ボンボン、フルーツガム、チョコレート、チューインガム、および飲料調製用の組成物(例えばコーヒー組成物、茶組成物、シャーベット粉末、発泡錠)からなる群より選択され、好ましくは茶組成物であるか、または好ましくはキャンディである、請求項71記載の可食性組成物。
【請求項73】
飲料が、茶、コーヒー、果汁、レモネード、ミルク、コーラ、飲用可能な乳製品(例えば飲用可能なヨーグルト)、シャーベット粉末または発泡錠を溶解することによって得ることができる飲料、およびアルコール飲料からなる群より選択され、好ましくは飲料が茶である、請求項72記載の可食性組成物。
【請求項74】
粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子を含む、口腔投与、鼻腔投与、または気管支投与に適した組成物であって、粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子が、キトサンまたはその塩を含む、組成物。
【請求項75】
塩が、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、キトサン塩酸塩、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、請求項74記載の組成物。
【請求項76】
粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子が、ヒアルロン酸をさらに含む、請求項74または請求項75記載の組成物。
【請求項77】
前記組成物が、粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子の共凝集体を含み、共凝集体がキトサンまたはその塩を含む、請求項74~76のいずれか一項記載の組成物。
【請求項78】
液状組成物または固形組成物である、請求項74~77のいずれか一項記載の組成物。
【請求項79】
噴霧または含嗽のための組成物、洗口剤、口腔に適用するためのゲル、点鼻スプレー、点鼻オイル、点鼻液製剤、および鼻洗浄製剤からなる群より選択される、請求項74~78のいずれか一項記載の組成物。
【請求項80】
キトサンまたはその塩を含む、持続送達系。
【請求項81】
塩が、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、キトサン塩酸塩、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、請求項80記載の持続送達系。
【請求項82】
口腔またはバッカル持続送達系である、請求項80または請求項81記載の持続送達系。
【請求項83】
固形または半固形剤形を含む、請求項80~82のいずれか一項記載の持続送達系。
【請求項84】
組成物が、薄膜、層構造の薄膜、錠剤、カプセル剤、ゲル体(例えば口腔用のゲル)、チューインガム、キャンディ、ボンボン、フルーツガム、およびチョコレートからなる群より選択される、請求項80~83のいずれか一項記載の持続送達系。
【請求項85】
前記組成物が、粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子を含み、粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子が、キトサンまたはその塩を含む、請求項80~84のいずれか一項記載の持続送達系。
【請求項86】
粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子が、ヒアルロン酸をさらに含む、請求項85記載の持続送達系。
【請求項87】
前記組成物が、粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子の共凝集体を含み、共凝集体がキトサンまたはその塩を含む、請求項80~86のいずれか一項記載の持続送達系。
【請求項88】
粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子を含む、表面または皮膚を処置するのに適した組成物であって、粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子が、キトサンまたはその塩を含む、組成物。
【請求項89】
塩が、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、キトサン塩酸塩、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、請求項88記載の組成物。
【請求項90】
粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子が、ヒアルロン酸をさらに含む、請求項88または請求項89記載の組成物。
【請求項91】
前記組成物が、粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子の共凝集体を含み、共凝集体がキトサンまたはその塩を含む、請求項88~90のいずれか一項記載の組成物。
【請求項92】
消毒薬、スキンケア組成物(例えばローション、クリーム、ゲル、スプレー、サルブ、軟膏、または粉末)、セッケン(例えば液状セッケン)、および洗剤製剤(例えば洗濯用洗剤製剤または食器用洗剤製剤)からなる群より選択される、請求項88~91のいずれか一項記載の組成物。
【請求項93】
表面または皮膚を処置する方法であって、表面または皮膚を請求項88~92のいずれか一項記載の組成物と接触させる工程を含む、方法。
【請求項94】
ウイルスもしくは細菌、原生動物、または真菌を不活化する工程を含む、請求項93記載の方法。
【請求項95】
ウイルスを不活化する工程を含む、請求項93または請求項94記載の方法。
【請求項96】
ウイルスが呼吸器ウイルスである、請求項94または請求項95記載の方法。
【請求項97】
呼吸器ウイルスが、コロナウイルス、好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、および呼吸器合胞体ウイルス[RSV]からなる群より選択される、請求項96記載の方法。
【請求項98】
ヒト病原性コロナウイルスがベータコロナウイルスである、請求項97記載の方法。
【請求項99】
ヒト病原性コロナウイルスが、SARS-CoV-2、MERS-CoV、およびSARS-CoV-1からなる群より選択され、好ましくはヒト病原性コロナウイルスがSARS-CoV-2である、請求項97または請求項98記載の方法。
【請求項100】
ウイルスもしくは細菌、原生動物、または真菌を不活化するための、請求項88~92のいずれか一項記載の組成物の使用。
【請求項101】
表面または皮膚を請求項88~92のいずれか一項記載の組成物と接触させる工程を含む、請求項100記載の使用。
【請求項102】
ウイルスを不活化するための使用である、請求項100または請求項101記載の使用。
【請求項103】
ウイルスが呼吸器ウイルスである、請求項102記載の使用。
【請求項104】
呼吸器ウイルスが、コロナウイルス、好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、および呼吸器合胞体ウイルス[RSV]からなる群より選択される、請求項103記載の使用。
【請求項105】
ヒト病原性コロナウイルスがベータコロナウイルスである、請求項104記載の使用。
【請求項106】
ヒト病原性コロナウイルスが、SARS-CoV-2、MERS-CoV、およびSARS-CoV-1からなる群より選択され、好ましくはヒト病原性コロナウイルスがSARS-CoV-2である、請求項103または請求項104記載の使用。
【請求項107】
非医療的使用である、請求項100~106のいずれか一項記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、感染、例えばウイルスもしくは細菌による感染を防止する、または感染、例えばウイルスもしくは細菌による感染を処置する、または感染、例えばウイルス感染もしくは細菌感染によって引き起こされる疾患を処置するための、化合物および組成物、それらの使用、ならびに前記化合物および組成物を使用する方法、ならびにウイルス中和抗体の結合を増加させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
技術的背景
ウイルスおよび細菌、ウイルスおよび細菌による感染、ならびにウイルス感染または細菌感染によって引き起こされる疾患は、今なお、途絶えることなく発生し続ける健康と生命への脅威である。最近では、ウイルスSARS-CoV-2が引き起こした世界的COVID-19パンデミックによって、それが示されている。
【0003】
したがって、ウイルスおよび細菌によって引き起こされる疾患の処置および/または防止のための代替的なまたは改良された組成物および方法を提供することが、今も必要とされている。特に、研究結果を、一般に受け入れられる利用可能性のレベルに移行させる作業を増やす必要がある。
【発明の概要】
【0004】
したがって本発明は、感染の防止、または感染の処置、または感染によって引き起こされる疾患の処置における使用のための組成物であって、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含む組成物に関する。
【0005】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、ウイルスもしくは細菌による感染の防止、またはウイルス感染もしくは細菌感染の処置、またはウイルス感染もしくは細菌感染によって引き起こされる疾患の処置における使用のための固形組成物であって、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含む固形組成物に関する。
【0006】
本発明は、本発明に従って本明細書に定義される組成物の、感染を防止するための非医療的使用にも関係する。
【0007】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、本発明に従って本明細書に定義される固形組成物の、ウイルスまたは細菌による感染を防止するための非医療的使用にも関係する。
【0008】
本発明は、本発明に従って本明細書に定義される組成物の使用によって、感染を防止する、または感染を処置する、または感染によって引き起こされる疾患を処置する方法にも関係する。
【0009】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、本発明に従って本明細書に定義される固形組成物の使用によって、ウイルスもしくは細菌による感染を防止する、またはウイルス感染もしくは細菌感染を処置する、またはウイルス感染もしくは細菌感染によって引き起こされる疾患を処置する方法にも関係する。
【0010】
本発明は、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含むチューインガムにも関係する。
【0011】
本発明は、キトサンまたはその塩からなる群より選択される化合物を含む可食性組成物にも関係する。
【0012】
本発明は、口腔投与、鼻腔投与、または気管支投与に適した組成物であって、キトサンまたはその塩を含む粒子を含む組成物にも関係する。
【0013】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、口腔投与、鼻腔投与、または気管支投与に適した組成物であって、キトサンまたはその塩を含むマイクロ粒子を含む組成物にも関係する。
【0014】
本発明は、キトサンまたはその塩を含む持続送達系にも関係する。
【0015】
本発明は、表面または皮膚を処置するのに適した組成物であって、キトサンまたはその塩を含む粒子を含む組成物にも関係する。
【0016】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、表面または皮膚を処置するのに適した組成物であって、キトサンまたはその塩を含むマイクロ粒子を含む組成物にも関係する。
【0017】
本発明は、表面または皮膚を処置する方法であって、該表面または皮膚を、本発明に従って本明細書に定義される組成物と接触させる工程を含む方法にも関係する。
【0018】
本発明は、本発明に従って本明細書に定義される組成物の、ウイルスまたは細菌を不活化するための使用にも関係する。
【0019】
本発明は、ウイルス中和抗体の結合を増加させる方法であって、ウイルスと該ウイルスに結合するウイルス中和抗体とを含有する流体を、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物と接触させる工程を含む方法にも関係する。
【0020】
本発明は、ウイルス中和抗体の結合を増加させる方法における使用のための、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物にも関係する。
【0021】
本発明は、ウイルスに感染している患者を処置する方法であって、ウイルスと該ウイルスに結合するウイルス中和抗体とを含有する流体を、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物と接触させる工程を含み、該化合物がウイルス中和抗体の結合を増加させる方法にも関係する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1の左上のパネルは、PBSまたは唾液中、4℃で5日後の、チューインガムプローブ236.03 SPF1490および0.23mg/ml 236.02 SPF1494が入っているチューブを示している。図1の右上のパネルは、キトサンELISA陰性対照の96ウェルプレートを示す。これらの陰性対照は、口を水で3回すすいだ後にキトサンレベルを試験すると、キトサンが検出されないことを示している。図1の左下のパネルは、キトサンELISA標準濃度が10mg/mlから0.046mg/mlまでの96ウェルプレートを示している。図1の右下のパネルは、キトサンELISA試験試料の96ウェルプレートを示している。
図2A図2はキトサンの放出量を表す。図2Aは、キトサンELISAで測定した、チューインガム製品236.03 SPF1490および236.02 SPF1494を咀嚼する4人(女性2人/男性2人)のキトサン放出量を示す。
図2B図2はキトサンの放出量を表す。図2Bは、キトサンELISAで測定した、チューインガム製品236.03 SPF1490および236.02 SPF1494を咀嚼する4人(女性2人/男性2人)のキトサン放出量の平均レベルを示す。
図2C図2はキトサンの放出量を表す。図2Cは、キトサンELISAによって測定した、キトサンの総放出量を示す。
図3】さまざまなMST実験の概要を表す。
図4】MST実験を表す。ここでは、RED(NanoTemper Technologies(ドイツ・ミュンヘン)から入手したCy5誘導体)標識(Snapタグによる)Sタンパク質単量体の濃度を一定(20nM)に保っておいて、非標識キトサンの濃度を「0.5μM~0.2nM」任意単位(arbitrary unit)の間で変化させた。アッセイは、0.05%Tween20および50%陰性ヒト血清♯SKを含有するPBS中で行った(リガンドの滴定は陰性血清(SK)中で行った)。短いインキュベーション後に試料をMonolith(商標)NT.115プレミアムキャピラリーにローディングし、Monolith NT.115を使ってMST解析を行った。x軸上の濃度はnMでプロットされている。結合を検出することができた。
図5】MST実験を表す。ここでは、RED標識Covid-ペプチド(10nM)の濃度を一定に保っておいて、非標識ヒトACE2の濃度を315nM~0.009nMの間で変化させた。アッセイは、0.05%Tween20および50%陰性ヒト血清♯MJを含有するPBS中で行った(リガンドの滴定は陰性血清中で行った)。短いインキュベーション後に試料をMonolith NT.115プレミアムキャピラリーにローディングし、Monolith NT.115を使ってMST解析を行った。x軸上の濃度はnMでプロットされている。この相互作用については43nMのKdが決定された。
図6】MST実験を表す。ここでは、RED標識(Snapタグによる)Sタンパク質単量体の濃度を一定(20nM)に保っておいて、非標識ACE2の濃度を「0.5μM~0.2nM」任意単位の間で変化させた。アッセイは、0.05%Tween20および50%陰性ヒト血清♯SKを含有するPBS中で行った(リガンドの滴定は陰性血清(SK)中で行った)。短いインキュベーション後に試料をMonolith NT.115プレミアムキャピラリーにローディングし、Monolith NT.115を使ってMST解析を行った。x軸上の濃度はnMでプロットされている。結合を検出することはできなかった。
図7】MST実験を表す。ここでは、RED標識(Snapタグによる)タンパク質単量体の濃度を一定(20nM)に保っておいて、非標識D-ガラクトースの濃度を「0.5μM~0.2nM」任意単位の間で変化させた。アッセイは、0.05%Tween20および50%陰性ヒト血清♯SKを含有するPBS中で行った(リガンドの滴定は陰性血清(SK)中で行った)。短いインキュベーション後に試料をMonolith(商標)NT.115プレミアムキャピラリーにローディングし、Monolith NT.115を使ってMST解析を行った。x軸上の濃度はnMでプロットされている。結合を検出することができた。
図8】MST実験を表す。ここでは、RED標識(Snapタグによる)Sタンパク質単量体の濃度を一定(20nM)に保っておいて、非標識マンノースの濃度を「0.5μM~0.2nM」任意単位の間で変化させた。アッセイは、0.05%Tween20および50%陰性ヒト血清♯SKを含有するPBS中で行った(リガンドの滴定は陰性血清(SK)中で行った)。短いインキュベーション後に試料をMonolith NT.115プレミアムキャピラリーにローディングし、Monolith NT.115を使ってMST解析を行った。x軸上の濃度はnMでプロットされている。結合を検出することができた。
図9】MST実験を表す。ここでは、RED標識(Snapタグによる)Sタンパク質単量体の濃度を一定(20nM)に保っておいて、非標識ACE2およびマンノースの濃度を「0.5μM~0.2nM」任意単位の間で変化させた。アッセイは、0.05%Tween20および50%陰性ヒト血清♯SKを含有するPBS中で行った(リガンドの滴定は陰性血清(SK)中で行った)。短いインキュベーション後に試料をMonolith NT.115プレミアムキャピラリーにローディングし、Monolith NT.115を使ってMST解析を行った。x軸上の濃度はnMでプロットされている。明白な結合を検出することはできなかった。
図10】MST実験を表す。ここでは、RED標識(Snapタグによる)Sタンパク質単量体の濃度を一定(20nM)に保っておいて、非標識カフェインの濃度を「0.5μM~0.2nM」任意単位の間で変化させた。アッセイは、0.05%Tween20および50%陰性ヒト血清を含有するPBS中で行った(リガンドの滴定は陰性血清(SK)中で行った)。短いインキュベーション後に試料をMonolith(商標)NT.115プレミアムキャピラリーにローディングし、Monolith NT.115を使ってMST解析を行った。x軸上の濃度はnMでプロットされている。結合を検出することができた。
図11】MST実験を表す。ここでは、RED標識(Snapタグによる)Sタンパク質単量体の濃度を一定(20nM)に保っておいて、ACE2の存在下で非標識カフェインの濃度を「0.5μM~0.2nM」任意単位の間で変化させた。アッセイは、0.05%Tween20および50%陰性ヒト血清♯SKを含有するPBS中で行った(リガンドの滴定は陰性血清(SK)中で行った)。短いインキュベーション後に試料をMonolith(商標)NT.115プレミアムキャピラリーにローディングし、Monolith NT.115を使ってMST解析を行った。x軸上の濃度はnMでプロットされている。結合を検出することはできなかった。
図12】MST実験を表す。ここでは、RED標識(Snapタグによる)Sタンパク質単量体の濃度を一定(20nM)に保っておいて、非標識L-アラビノースの濃度を「0.5μM~0.2nM」任意単位の間で変化させた。アッセイは、0.05%Tween20および50%陰性ヒト血清♯SKを含有するPBS中で行った(リガンドの滴定は陰性血清(SK)中で行った)。短いインキュベーション後に試料をMonolith(商標)NT.115プレミアムキャピラリーにローディングし、Monolith NT.115を使ってMST解析を行った。x軸上の濃度はnMでプロットされている。結合を検出することはできなかった。
図13】RBDペプチドに対するモノクローナルSARS-CoV-2中和抗体の結合を表す(三つ組での測定)。
図14】SNAP-RBD単量体、SNAP-RBD三量体に対する、ヒトおよびマウスモノクローナルSARS-CoV-2中和抗体の結合を表す(二つ組での測定)。
図15A図15はSARS-CoV-2結合抗体血清の結合の増大を表す。図15Aは、キトサンなしの唾液対照と比較した、SARS-COV-02 RBDタンパク質への結合に関する、血清抗体の結合増大のパーセントの変化という形での、中央値の上昇を表す。
図15B図15はSARS-CoV-2結合抗体血清の結合の増大を表す。図15Bは、キトサンなしの唾液対照と比較した、SARS-COV-02 RBDタンパク質への結合に関する、血清抗体の結合増大のパーセントの変化という形での、中央値の上昇を表す。
図16】咽頭粘膜下でウイルスおよび細胞表面と相互作用して感染率を低減する効果を示すキトサンを模式的に示している。この模式図は実際の大小関係を考慮していない。
図17図17の左上のパネルは、実施例4で述べるように、キトサンを溶解するためにティーバッグをPBS緩衝液で処理(pH2、80℃、3分)したチューブを示す。図17の右上のパネルは、緩衝液による茶からの溶解後の、NaOHを使ったキトサンの沈殿を示す;K:対照、CIT:緩衝液による茶からの溶解後にNaOHで沈殿させることによって得られたキトサンペレット。図17の左下のパネルは、緩衝液によるキャンディからの溶解後の、NaOHを使ったキトサンの沈殿を示す;K:対照、CIT:緩衝液によるキャンディからの溶解後にNaOHで沈殿させることによって得られたキトサンペレット。
図18】実施例4で述べる、PBS緩衝液(pH2、80℃、3分)による茶からのキトサン放出の結果を示す。
図19】実施例5で述べる、咀嚼するか舐めることによる唾液へのキャンディからのキトサン放出と、比較のためのPBS緩衝液への放出を示す。
図20】実施例5で述べる、唾液へのキャンディからのキトサン放出に関するさらなる実験の結果を表す。
図21図19の緩衝液処理による茶からのキトサン放出の結果と、図20による唾液試料および緩衝液へのキャンディからのキトサン放出の結果とを、まとめている。さらに、別のキャンディ、すなわちコーヒーボンボンから緩衝液への、キトサン放出も表す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
以下に本発明を詳述するが、本発明は本明細書に記載される特定の方法論、プロトコールおよび試薬に限定されないと理解すべきである。それらはさまざまでありうるからである。また、本明細書において使用される術語には、特定の態様を説明する目的しかなく、本願の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定する意図がないことも、理解すべきである。別段の定義がある場合を除き、本明細書において使用される技術用語および科学用語はすべて、当業者に一般に理解されているものと同じ意味を有する。
【0024】
以下に、本発明の要素を記載する。これらの要素は具体的態様と共に列挙されるが、それらは、さらなる態様を作り出すために、いくつでもどのようにでも組み合わせることができると理解すべきである。本明細書全体にわたってさまざまに記載される例および好ましい態様は、明示的に記載された態様に本発明を限定するものであると解釈されるべきではない。この記載は、明示的に記載された態様と開示されたおよび/または好ましい要素とをいくつでも併せ持つ態様を、裏付け、包含すると理解されるべきである。さらにまた、本明細書に記載するすべての要素の任意の順列および組合せはいずれも、そうでないことが文脈からわかる場合を除き、本願の記載によって開示されているとみなすべきである。
【0025】
本明細書およびそれに続く特許請求の範囲の全体にわたって、文脈上別段の必要がある場合を除き、「を含む(comprise)」という単語およびその異形、例えば「を含む(comprises)」および「を含む(comprising)」は、言明された部材、整数もしくは工程、または部材、整数もしくは工程の群の包含を含意するが、他のいかなる部材、整数もしくは工程、または部材、整数もしくは工程の群の排除も含意しない。ただし、いくつかの態様では、そのような他の部材、整数もしくは工程、または部材、整数もしくは工程の群が排除されてもよく、すなわち、その主題は、言明された部材、整数もしくは工程、または部材、整数もしくは工程の群の包含にある。本明細書において使用される場合、「を含む(comprising)」という用語は、「を含有する」または「を含む(including)」という用語で、また時には、本明細書において使用される場合、「を有する」という用語で、置換することができる。本明細書において使用される場合、「からなる」は、特定されていない要素、工程または成分をいずれも排除する。
【0026】
本発明を説明する場合に(とりわけ特許請求の範囲において)使用される用語「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」ならびに同様の指示は、本明細書において別段の表示がある場合を除き、または文脈上明らかに矛盾する場合を除き、単数と複数の両方をカバーすると解釈されるべきである。本願において使用される用語「1つの(a)」または「1つの(an)」が状況に応じて「1つ」、「1つまたは複数」または「少なくとも1つ」を意味しうることは、当業者にはわかる。本明細書における値の範囲の記載は、その範囲内に含まれる独立した値のそれぞれに個別に言及することを簡略化した方法として機能することを意図しているに過ぎない。本明細書において別段の表示がある場合を除き、個々の値は、あたかも本明細書に個別に具陳されているかのように、本明細書に組み入れられる。
【0027】
本明細書に記載するすべての方法は、本明細書において別段の表示がある場合を除き、または文脈上明らかに矛盾する場合を除き、任意の適切な順序で行うことができる。本明細書において提供されるありとあらゆる例または例示表現(例えば「など」)の使用には、本発明をより良く例示しようとする意図しかなく、他の形でクレームされる本発明の範囲に制約を課すものではない。本明細書における表現に、本発明の実施に不可欠であってクレームされていない何らかの要素を示していると解釈すべきものはない。
【0028】
別段の表示がある場合を除き、一連の要素に先行する「少なくとも」という用語は、それら一連の要素のそれぞれを指すと理解されるべきである。「少なくとも1つ」という用語は、1つまたは複数、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10およびそれ以上を指す。本明細書記載の発明の具体的態様の数多くの均等物は、当業者にはわかるか、せいぜい日常的な実験を使って確かめることができるであろう。そのような均等物は本発明に包含されるものとする。
【0029】
「および/または」という用語は、本明細書において使用される場合はいつでも、「および」、「または」および「該用語によってつながれる要素のすべてまたは他の任意の組合せ」の意味を包含する。
【0030】
本明細書において使用される場合、「からなる」は、クレーム要素において特定されていない要素、工程または成分をいずれも排除する。本明細書において使用される場合、「から本質的になる」は、クレームの基本的で新規な特徴に実質的な影響を及ぼさない材料または工程を排除しない。
【0031】
「を含む」という用語は、「を含むが、それらに限定されない」を意味する。「を含む」と「を含むが、それらに限定されない」は相互に交換可能である。
【0032】
「約」という用語は、±20%、好ましくは±10%、より好ましくは±5%、最も好ましくは±1%を意味する。
【0033】
本明細書の記載およびクレームの全体にわたって、単数形は、文脈上別段の必要がある場合を除き、複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、本明細書は、文脈上別段の必要がある場合を除き、単数だけでなく複数も想定していると理解されるべきである。
【0034】
本発明は、本明細書記載の特定の方法、プロトコール、材料、試薬および物質などに限定されず、したがってさまざまであることができると、理解すべきである。本明細書において使用される術語には、特定の態様を説明する目的しかなく、本願の特許請求の範囲によってのみ画定される本発明の範囲を限定する意図はない。
【0035】
本明細書の本文全体にわたって、いくつかの文書を引用する。本明細書において引用される文書のそれぞれは(すべての特許、特許出願、科学刊行物、製造者の仕様書、説明書などを含めて)、上述したものも後述するものも、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。本発明が、先行発明を理由に、そのような開示に先行する資格がないことの自白であるとみなすべきものは、本明細書には何もない。参照により組み入れられた資料が本明細書と矛盾するか適合しない場合は、本明細書がそれらの資料のいずれにも優先されることになる。
【0036】
本明細書において引用されるすべての文書および特許文書の内容は、参照により、その全体が本明細書に組み入れられる。
【0037】
以下の一般的定義は、そうではないとの言明がある場合を除き、本明細書全体に適用される。
【0038】
本明細書にいう「キトサン」は、β(1→4)結合したランダムな分布のD-グルコサミン(脱アセチル化単位)とN-アセチル-D-グルコサミン(アセチル化単位)とで構成される線状多糖である。これは、例えば、エビおよび/または他の甲殻類のキチン殻を水酸化ナトリウムなどのアルカリ性物質で処理することなどによって製造される。キトサンは、商業的には、甲殻類(カニおよびエビなど)の外骨格や真菌の細胞壁の構造要素であるキチンの脱アセチル化によって生産される。したがって、非限定的な例として、甲殻類(例えばエビ)、真菌、マッシュルーム、または昆虫を、本発明において使用されるキトサンの供給源として使用することができる。また、生物工学的製造方法によって生産されるキトサンも使用することができる。脱アセチル化度(%DD)はNMR分光法によって決定することができ、市販キトサンの%DDは30~100%の範囲にある。平均すると、商業的に生産されるキトサンの分子量は2000~3000000ダルトンである。キトサンの一般的な処理方法は、試薬としての過剰量の水酸化ナトリウムと溶媒としての水とを用いるキチンの脱アセチル化である。キトサン中のアミノ基は約6.5のpKa値を有し、それが中性溶液では有意なプロトン化につながり、それは酸性度の増加(pHの減少)および%DA値と共に増加する。これはキトサンを水溶性にし、負に荷電した表面、例えば粘膜への結合を可能にする。したがって本明細書において使用される場合、キトサンは、以下の一般式で特徴づけることができる。
【0039】
本発明の目的には、当業者に公知の任意のキトサンを使用することができる。単なる例示のための非限定的な一例として、本明細書の任意の態様において使用することができるキトサンは、2000Da超の分子量を有しうる。キトサンは10000Da超の分子量を有しうる。キトサンは20000Da超の分子量を有しうる。キトサンは30000Da超の分子量を有しうる。キトサンは50000Da超の分子量を有しうる。上記に加えて、または上記に代えて、キトサンは3000000Da未満の分子量を有しうる。キトサンは2000000Da未満の分子量を有しうる。キトサンは1000000Da未満の分子量を有しうる。キトサンは500000Da未満の分子量を有しうる。キトサンは250000Da未満の分子量を有しうる。キトサンは100000Da未満の分子量を有しうる。いくつかの態様において、キトサンは20000~460000Daの分子量を有する。また、20000Da未満の分子量を有するオリゴキトサンも使用してよく、キトサンの分子質量を下げることは、水および/またはアルカリ性溶液における溶解度の増加につながる。上記に加えて、または上記に代えて、本明細書の任意の態様において使用されるキトサンは、60%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンは70%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンは80%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンは90%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンは95%以上の脱アセチル化度を有しうる。本明細書記載の態様のいずれか一つにおいて、キトサンは30%~60%の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は30%~60%の脱アセチル化度を有しうる。キトサンは35%~55%の脱アセチル化度を有しうる。キトサンは40%~50%の脱アセチル化度を有しうる。好ましいことに、中ぐらいのアセチル化度、例えば40~50%のアセチル化度を有するキトサンは、穏和な塩基性条件下、例えばpH9までの塩基性条件下でも、水において増加した溶解度を有する。
【0040】
水におけるキトサンの溶解度を増加させるために、本明細書の任意の態様において、キトサンは酸と共に製剤化されうる。好ましくは、酸は、限定するわけではないが、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、任意のフルーツ酸、および/または食品酸味料、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択される。より好ましくは酸はクエン酸である。酸はpHを低下させることができ、その結果、キトサンの少なくとも一部がプロトン化によってそのカチオン型に変換されるので、水におけるキトサンの溶解度を増加させることができる。したがって、キトサンを含む本明細書記載の任意の組成物は、酸をさらに含みうる。
【0041】
また、本明細書記載の態様のいずれか一つでは、キトサンの塩も使用しうる。キトサンの任意の塩を使用しうる。本明細書記載の目的に適したキトサンの塩の選択は、当業者にはわかる。特に、キトサンの塩はキトサンの生体適合性の塩でありうる。生体適合性であるキトサンの塩の選択は、当業者にはわかる。したがって、キトサンの塩は特に限定されるものではなく、例示のための非限定的な例としては、キトサンの乳酸塩、酢酸塩、塩酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸、アスコルビン酸塩または酒石酸塩を挙げることができる。キトサンの塩はキトサン乳酸塩でありうる。キトサンの塩はキトサン酢酸塩でありうる。キトサンの塩はキトサン塩酸塩でありうる。キトサンの塩は通常、水によく溶ける。キトサンについて記載した分子量および脱アセチル化度は、キトサンの塩にも等しく適用される。したがって、本明細書の任意の態様において使用されるキトサンの塩は、2000Da超の分子量を有しうる。キトサンの塩は10000Da超の分子量を有しうる。キトサンの塩は20000Da超の分子量を有しうる。キトサンの塩は30000Da超の分子量を有しうる。キトサンの塩は50000Da超の分子量を有しうる。上記に加えて、または上記に代えて、キトサンの塩は3000000Da未満の分子量を有しうる。キトサンの塩は2000000Da未満の分子量を有しうる。キトサンの塩は1000000Da未満の分子量を有しうる。キトサンの塩は500000Da未満の分子量を有しうる。キトサンの塩は250000Da未満の分子量を有しうる。キトサンの塩は100000Da未満の分子量を有しうる。いくつかの態様において、キトサンの塩は20000~460000Daの分子量を有する。また、20000Da未満の分子量を有するオリゴキトサンの塩も使用しうる。上記に加えて、または上記に代えて、本明細書の任意の態様において使用されるキトサンの塩は、60%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンの塩は70%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンの塩は80%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンの塩は90%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンの塩は95%以上の脱アセチル化度を有しうる。本明細書記載の態様のいずれか一つにおいて、キトサンの塩は30%~60%の脱アセチル化度を有しうる。キトサンの塩は30%~60%の脱アセチル化度を有しうる。キトサンの塩は35%~55%の脱アセチル化度を有しうる。キトサンの塩は40%~50%の脱アセチル化度を有しうる。
【0042】
本明細書全体にわたって記載される態様では、任意の供給源からのキトサンを使用しうる。具体例として、キトサンは、例えば凍結乾燥または噴霧乾燥された、乾燥粉末として供給されうる。本明細書の任意の態様では、動物供給源からのキトサンを使用することができる。本明細書の任意の態様では、真菌からのキトサンを使用しうる。特に真菌由来のキトサンは米国においてGRASとされるヴィーガンバージョンになる。したがって、本明細書の任意の態様では、ヴィーガンキトサンを、例えばチューインガムにおいて使用しうる。
【0043】
本明細書において使用される用語「キトサン」には、キトサンの合成もしくは半合成誘導体、またはその塩も含まれうる。したがってキトサンは、キトサンの合成もしくは半合成誘導体、またはその塩でありうる。そのような誘導体はアミノ基に修飾を有しうる。例えば、キトサンを塩化グリシジルトリメチルアンモニウムと反応させることによって得ることができるキトサンポリマーHTCCまたはその塩を使用しうる。また、HTCCのアミノ基を疎水性基でさらに置換することによって得ることができるキトサンポリマーも使用しうる。一例として、HTCCのアミノ基をn-ドデシル基で修飾することによって得ることができるHM-HTCCまたはその塩を使用しうる。HTCCおよびHM-HTCCについては、例えば、参照によりそのまま本明細書に組み入れられるKaminski K.et al.(2010),Journal of Medicinal Chemistry 53,4141-4147頁、またはWO 2013/172725を参照されたい。また、正に荷電したキトサン誘導体またはその塩、例えばN-パルミトイル-N-モノメチル-N,N-ジメチル-N,N,N-トリメチル-6-O-グリコールキトサン(GCPQ)またはその塩も、キトサン誘導体として使用しうる。本明細書記載の目的のために想定されうるキトサンの他の誘導体は、例えばO-修飾キトサン(ヒドロキシ基が修飾されたもの)、N-修飾キトサン(アミノ基が修飾されたもの)、またはN,O-修飾キトサン(アミノ基とヒドロキシ基がどちらも修飾されたもの)が得られるようにアミノ基および/またはヒドロキシ基を修飾することによって得ることができる。例えばアミノ基および/またはヒドロキシ基は部分的に修飾されうる。修飾キトサンの非限定的具体例は、リン酸化、アルキル化、ベンジル化、トリメチル化、カルボキシメチル化、N-スクシニル化、チオール化、アジ化、オキシキチン、フッ素化、および糖修飾キトサンである。キトサンは、複合材料の一部、例えば別の多糖との複合材料または複合体、例えばキトサンとデンプン、アルギネート、ペクチン、カラギーナン、キサンタンガムおよび/またはヒアルロン酸との複合材料または複合体などの一部であってもよい。また、キトサンは、炭水化物に、例えば別の単糖、オリゴ糖または多糖に、共有結合していてもよく、例えばグルコース、ガラクトースまたはマンノースに結合したキトサンであってもよい。例えばキトサンは高分子複合材料またはヘテロポリマーの一部を形成しうる。例えばキトサンは別の多糖とのヘテロポリマーの一部を形成しうる。また、キトサンは合成ポリマーまたは合成コポリマーで修飾されていてもよく、例えばポリエチレンイミンまたはポリ(メタ)アクリレートポリマーがグラフトされたキトサンでありうる。また、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質に結合したキトサンも、本明細書では想定される。キトサンの誘導体は当業者には広く公知であり、当業者は本開示の目的に適したキトサンの誘導体を容易に選択するだろう。キトサンおよびキトサンの誘導体は、例えばM.S.R.Rajoka et al.,Chitin/chitosan derivatives and their interactions with microorganisms:a comprehensive review and future perspectives,Critical Reviews in Biotechnology,DOI:10.1080/07388551.2020.1713719、S.Ahmed,S.Ikram(編),Chitosan:Derivatives,Composites and Applications,Wiley/Scrivener Publishing,マサチューセッツ州ベバリー,2017、Se-Kwon Kim(編),Chitin,Chitosan,Oligosaccharides and Their Derivatives:Biological Activities and Applications,CRC Press Taylor&Francis Group,フロリダ州ボカラトン,2011、およびSe-Kwon Kim(編),Chitin and Chitosan Derivatives:Advances in Drug Discovery and Developments,CRC Press Taylor&Francis Group,フロリダ州ボカラトン,2014に記載されており、これらの文献はいずれも、参照により、そのまま本明細書に組み入れられる。
【0044】
一方、いくつかの態様において、キトサンは、キトサンの誘導体またはその塩としてではなく、そのまま使用される。したがって、いくつかの態様において、キトサンは、キトサンの誘導体でもその塩でもない。いくつかの態様において、キトサンはHTCCでもその塩でもない。いくつかの態様において、キトサンはHM-HTCCでもその塩でもない。いくつかの態様において、キトサンはN-パルミトイル-N-モノメチル-N,N-ジメチル-N,N,N-トリメチル-6-O-グリコールキトサン(GCPQ)でもその塩でもない。
【0045】
「粒子(particle)」または「粒子(particles)」とは、本明細書で使用される場合はいつでも、一般に、1nm(ナノメーター)~10mm(ミリメートル)のサイズを有する、例えば1nm~8mmのサイズを有する、または例えば1nm~2mmのサイズを有する、または例えば1nm~1mm(=1000μm)のサイズを有する、粒子または複数の粒子を指す。これに関して、「粒子(particle)」および「粒子(particles)」という用語、すなわち単数形と複数形は、本明細書全体にわたって相互可換的に使用されうる。本明細書の目的には当業者に公知の任意の粒子を使用しうる。例えば本明細書において使用される用語「粒子(particle)」または「粒子(particles)」は、マイクロ粒子またはナノ粒子を含みうる。本明細書においてさらに詳述するように、マイクロ粒子は0.1μm~1000μmのサイズを有しうる。ナノ粒子は1nm~1000nmのサイズを有しうる。また、本明細書記載の粒子は、1mm~10mm、例えば1mm~8mm、例えば1mm~5mm、または例えば1mm~2mmのサイズを有しうる。「粒子(particle)」または「粒子(particles)」という用語は粒子の共凝集体を含みうる。例えば本明細書には、なかんずく、マイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体が記載される。
【0046】
「マイクロ粒子(microparticle)」または「マイクロ粒子(microparticles)」とは、本明細書で使用される場合はいつでも、0.1~1000μmのサイズを有する粒子または複数の粒子を指す。これに関して、「マイクロ粒子(microparticle)」および「マイクロ粒子(microparticles)」という用語、すなわち単数形と複数形は、本明細書全体にわたって相互可換的に使用される。さらなる単なる具体例として、マイクロ粒子は0.3~950μmのサイズを有しうる。マイクロ粒子は0.5~700μmのサイズを有しうる。マイクロ粒子は0.7~300μmのサイズを有しうる。マイクロ粒子は200~300μmのサイズを有しうる。マイクロ粒子は350~450μmのサイズを有しうる。例えば、ある特定量の粒子では、粒子の総量の重さを100%として、5重量%超、10重量%超、20重量%超、30重量%超、40重量%超、50重量%超、60重量%超、70重量%超、80重量%超、さらには90重量%超が、前述の範囲のいずれか一つに含まれる粒径を有する。
【0047】
本明細書の目的には当業者に公知の任意のマイクロ粒子を使用しうる。例えば、1つまたは複数のマイクロ粒子は、従来の乾燥プロセス、例えば凍結乾燥、噴霧乾燥などの方法によって生産されうる。このような方法は通常、広範囲にわたる粒径分布をもたらす。他の方法、特にSolyPlus GmbH(ドイツ・ハーゼルント)が供給しているようなマイクロ粒子を調製するためのプロセスでは、調製した固形物を粉砕または低温粉砕することによるマイクロ粒子の調製が(また複合材料マイクロ粒子の調製も)想定される。このような方法では、より大きな、例えば200~300μmまたは350~450μmの粒径を得ること、および/または粒径分布を狭くすることができる。所望であれば、さらなる分離を、例えば篩分によって達成することができる。例えば、WO 2019/073361、WO 2019/073362、WO 2019/073363およびWO 2019/073364に記載されているようなプロセスを使用することができ、これらの文献は参照によりそのまま本明細書に組み入れられる。マイクロ粒子を調製するための別の一方法は、粒子粉末として使用することができる粒子のサイズを増加させる工程を含む。特に、粒径を増加させるために流動床造粒を使用することができる。したがって、流動床造粒は、マイクロ粒子の共凝集体を調製するためにも使用することができる。「共凝集体」とは、当業者に理解されているとおり、一般に、マイクロ粒子のサイズを増加させることによって得られる、例えば後述するように、第1のポリマーを含むマイクロ粒子を第2のポリマー(例えば溶解状態にある第2のポリマー)で処理することでそのサイズを増加させることなどによって得られる、2つ以上のポリマー(例えばキトサンと別のポリマー)を含むマイクロ粒子を指す。特に、共凝集体を調製するには、異なる構成要素、例えば2つの異なるバイオポリマーを、流動床に適用し、それらを共凝集体に組み入れることができる。例えば、マイクロ粒子の共凝集体を調製するには、流動床造粒装置にヒアルロン酸マイクロ粒子を投入し、キトサンの溶液をその流動床に加える(例えば噴霧する)。このプロセスを、目標マイクロ粒子凝集物サイズが達成されるまで続ける。所望であれば、ここで得られたマイクロ粒子凝集物を出発粒子にするなどして、このプロセスを続けることができる。好ましくは、例えば本明細書において上述したまたは後述するプロセスを応用することなどにより、本明細書全体にわたって、(1)従来の乾燥プロセスによって調製されるマイクロ粒子、(2)流動床造粒によって得られるマイクロ粒子、および/または(3)固形高分子材料からの粉砕プロセスまたは低温粉砕プロセスによって調製されるマイクロ粒子を、使用することができる。本明細書に記載するように、マイクロ粒子およびマイクロ粒子の共凝集体はキトサンまたはその塩を含みうる。任意で、マイクロ粒子およびマイクロ粒子の共凝集体は、さらなるポリマーまたはバイオポリマー、例えばヒアルロン酸を含みうる。
【0048】
「ナノ粒子(nanoparticle)」または「ナノ粒子(nanoparticles)」とは、本明細書で使用される場合はいつでも、1~1000nmのサイズを有する粒子または複数の粒子を指す。これに関して、「ナノ粒子(nanoparticle)」および「ナノ粒子(nanoparticles)」という用語、すなわち単数形と複数形は、本明細書全体にわたって相互可換的に使用される。さらなる単なる具体例として、ナノ粒子は1~500nmのサイズを有しうる。ナノ粒子は1~100nmのサイズを有しうる。ナノ粒子は150~800nmのサイズを有しうる。本明細書の目的には当業者に公知の任意のナノ粒子を使用しうる。本明細書にはナノ粒子の共凝集体も記載される。ナノ粒子の共凝集体の構造または組成は、本明細書に記載するマイクロ粒子の共凝集体の組成と類似しうるまたは同様でありうるが、サイズは小さい。ナノ粒子またはナノ粒子の共凝集体は任意の適切な方法によって、例えばマイクロ粒子またはマイクロ粒子の共凝集体の生産について本明細書に記載したものと類似のまたは同様の方法によって、生産することができる。
【0049】
本発明者らは、キトサンが、ウイルスおよび細菌、主に負の電荷を持つ粘膜構成要素、ならびに隣接する細胞膜表面と、例えば静電相互作用によって相互作用することを見いだした。この相互作用は、宿主細胞へのウイルスおよび細菌の進入をキトサンが阻害することを可能にする。
【0050】
したがって本発明は、本明細書では、以下のとおり記述される。
【0051】
感染、例えばウイルスもしくは細菌による感染の防止、または感染、例えばウイルス感染もしくは細菌感染の処置、または感染、例えばウイルス感染もしくは細菌感染によって引き起こされる疾患の処置における使用のための組成物
本発明は、感染の防止、または感染の処置、または感染によって引き起こされる疾患の処置における使用のための組成物であって、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含む組成物に関する。
【0052】
好ましくは、感染は、ウイルス感染、細菌感染、原生動物感染、または真菌感染である。より好ましくは、感染はウイルス感染である。
【0053】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、ウイルスもしくは細菌による感染の防止、またはウイルス感染もしくは細菌感染の処置、またはウイルス感染もしくは細菌感染によって引き起こされる疾患の処置における使用のための組成物であって、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含む組成物に関する。
【0054】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、原生動物もしくは真菌による感染の防止、または原生動物感染もしくは真菌感染の処置、または原生動物感染もしくは真菌感染によって引き起こされる疾患の処置における使用のための組成物であって、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含む組成物に関する。
【0055】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、ウイルスによる感染の防止における使用のための組成物であって、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含む組成物に関する。
【0056】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、ウイルス感染の処置における使用のための組成物であって、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含む組成物にも関係する。
【0057】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、ウイルス感染によって引き起こされる疾患の処置における使用のための組成物であって、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含む組成物にも関係する。
【0058】
本明細書に開示する、ウイルスによる感染の防止、またはウイルス感染の処置、またはウイルスによって引き起こされる疾患の処置における使用に関して、例示的なウイルスは、限定するわけではないが、コロナウイルス、好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、ライノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス[RSV]、アデノウイルス、オルソミクソウイルス(orthomyxivirus)、エプスタイン・バー・ウイルス、ヘルペスウイルス(例えば単純ヘルペス)、および麻疹ウイルスからなる群より選択されうる。他の例示的ウイルスは、インフルエンザA型、HIV-1;A型、B型、C型肝炎;HPV;EBV;ノロウイルス;単純ヘルペス;サイトメガロウイルス;WSSV;RSV;植物ウイルス様;TMV;AMV;TNV;BYMV;PSV;FMV;PVX;急性ミツバチ麻痺ウイルス;IAPV;慢性ミツバチ麻痺ウイルス;ミツバチヘギイタダニ媒介性ウイルス(varroa vectored virus);および一般に任意のRNAウイルスおよびDNAウイルスからなる群より選択されうる。本化合物(キトサンもしくはその塩、ガラクトース、マンノースおよび/またはカフェイン)が結合することのできる任意のウイルスまたは細菌による感染を、防止および/または処置することができる。例示的なウイルスおよび細菌として、ヒト、動物、ミツバチ、および/または植物において疾患を誘導するウイルスおよび細菌が挙げられる。
【0059】
さらに、ウイルスの考えうる任意のサブユニットまたはウイルスもしくはビリオンの一部であって感染を引き起こすことができるものも、本明細書に開示する、ウイルスによる感染の防止、またはウイルス感染の処置、またはウイルスによって引き起こされる疾患の処置における使用に関する例である。
【0060】
さらに、特にウイルスと宿主の接触および相互作用中またはウイルスの進化的変化中に発生しうるウイルスの考えうる任意の変異も、本明細書に開示する、ウイルスによる感染の防止、またはウイルス感染の処置、またはウイルスによって引き起こされる疾患の処置における使用に関する例である。
【0061】
好ましくは、ウイルスは呼吸器ウイルスである。
【0062】
好ましくは、ウイルスは、コロナウイルス、より好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、および呼吸器合胞体ウイルス[RSV]からなる群より選択される。
【0063】
好ましくは、ウイルスはコロナウイルスである。具体例として、コロナウイルス科(family of coronaviridae)には、アルファコロナウイルス、ベータコロナウイルス、デルタコロナウイルス、ガンマコロナウイルス、またはアルファレトウイルスが含まれる。好ましくは、コロナウイルスはヒト病原性コロナウイルスである。より好ましくは、ヒト病原性コロナウイルスはベータコロナウイルスである。さらに好ましくは、ヒト病原性コロナウイルスは、SARS-CoV-2、MERS-CoV、およびSARS-Cov-1からなる群より選択される。
【0064】
したがってヒト病原性コロナウイルスはSARS-CoV-1でありうる。ヒト病原性コロナウイルスはMERS-CoVでありうる。
【0065】
最も好ましくは、ヒト病原性コロナウイルスはSARS-CoV-2である。
【0066】
興味深いことに、本発明者らは、キトサンもしくはその塩、ガラクトース、マンノースまたはカフェインが、SARS-CoV-2のスパイク(S-)タンパク質のRBDペプチドに結合できることを見いだした。RBDペプチドへの結合ゆえに、キトサンもしくはその塩、ガラクトース、マンノースまたはカフェインは、宿主細胞上のACE2受容体へのウイルスの結合を阻害する。したがって、SARS-CoV-2による宿主細胞の感染は、キトサンもしくはその塩、ガラクトース、マンノースまたはカフェインによって阻害される。
【0067】
本明細書記載の使用および方法のいずれか一つによって処置されるウイルス感染によって引き起こされる疾患は、ウイルスによって引き起こされる任意の疾患、例えばコロナウイルス、好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、ライノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス[RSV]、アデノウイルス、オルソミクソウイルス、エプスタイン・バー・ウイルス、ヘルペスウイルス(例えば単純ヘルペス)、および麻疹ウイルスによって引き起こされる疾患でありうる。
【0068】
好ましくは、疾患は、COVID-19、MERS、およびSARSからなる群より選択される。
【0069】
したがって疾患はSARSでありうる。疾患はMERSでありうる。
【0070】
最も好ましくは、疾患はCOVID-19である。
【0071】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、細菌による感染の防止における使用のための組成物であって、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含む組成物にも関係する。
【0072】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、細菌感染の処置における使用のための組成物であって、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含む組成物にも関係する。
【0073】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、細菌感染によって引き起こされる疾患の処置における使用のための組成物であって、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含む組成物にも関係する。
【0074】
本明細書に記載される、細菌による感染の防止、または細菌感染の処置、または細菌によって引き起こされる疾患の処置における使用に関して、例示的な細菌は、限定するわけではないが、ストレプトコッカス属(Streptococcus)の種、ヘモフィルス属(Haemophilus)の種、ボルデテラ属(Bordetella)の種、バチルス属(Bacillus)の種、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)の種、ナイセリア属(Neisseria)の種、クラミドフィラ属(Chlamydophila)の種、マイコプラズマ属(Mycoplasma)の種、およびフソバクテリウム属(Fusobacterium)の種からなる群より選択されうる。好ましくは、細菌は、気道を冒す細菌である。本明細書ではそのような細菌を呼吸器細菌ともいう。
【0075】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、原生動物による感染の防止における使用のための組成物であって、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含む組成物にも関係する。
【0076】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、原生動物感染の処置における使用のための組成物であって、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含む組成物にも関係する。
【0077】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、原生動物感染によって引き起こされる疾患の処置における使用のための組成物であって、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含む組成物にも関係する。
【0078】
本明細書に記載される、原生動物による感染の防止、または原生動物感染の処置、または原生動物によって引き起こされる疾患の処置における使用に関して、例示的な原生動物は、限定するわけではないが、以前は原生動物界(Kingdom Protozoa)に分類されていて、現在はエクスカバータ(Excavata)、アメーボゾア(Amoebozoa)、SAR、およびアーケプラスチダ(Archaeplastida)の各スーパーグループに分類されている生物からなる群より選択されうる。原生動物感染を引き起こす原生動物の個別の例は、限定するわけではないが、ランブル鞭毛虫(Giardia intestinalis)、ヘキサミタ・サルモニス(Hexamita salmonis)、ヒストモナス・メレアグリディス(Histomonas meleagridis)、トリコモナス・フィータス(Trichomonas foetus)、二核アメーバ(Dientamoeba fragilis)、腟トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、リーシュマニア(Leishmania)属、クルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)、ローデシアトリパノソーマ(Trypanosoma brucei rhodensiense)、ガンビアトリパノソーマ(Trypanosoma brucei gambiense)、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、ネグレリア(Naeglaria)属、アカントアメーバ(Acanthomoeba)属、フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)、大腸バランチジウム(Balantidium Coli)、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)、卵形マラリア原虫(Plasmodium ovale)、四日熱マラリア原虫(Plasmodium malariae)、および二日熱マラリア原虫(Plasmodium knowlesi)からなる群より選択される。
【0079】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、真菌による感染の防止における使用のための組成物であって、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含む組成物にも関係する。
【0080】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、真菌感染の処置における使用のための組成物であって、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含む組成物にも関係する。
【0081】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、真菌感染によって引き起こされる疾患の処置における使用のための組成物であって、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含む組成物にも関係する。
【0082】
本明細書に記載される、真菌による感染の防止、または真菌感染の処置、または真菌によって引き起こされる疾患の処置における使用に関して、例示的な真菌は、限定するわけではないが、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・ステラトイデア(Candida stellatoidea)、C.トロピカリス(C.tropicalis)、C.シュードトロピカリス(C.pseudotropicalis)、C.クルセイ(C.krusei)、C.パラシローシス(C.parapsilosis)、C.グイリエルモンディイ(C.guilliermondii)、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・クラバツス(Aspergillus clavatus)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、クリプトコッカス・ラウレンティ(Cryptococcus laurentii)、クリプトコッカス・アルビダス(Cryptococcus albidus)、C.ネオフォルマンス(C.neoformans)、ヒストプラズマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、ニューモシスチス・ジロベシ(Pneumocystis jirovecii)、およびスタキボトリス・カルタルム(Stachybotrys chartarum)からなる群より選択されうる。
【0083】
本明細書記載の使用および方法はいずれも、体液を組成物と接触させる工程を、一般に含みうる。例えば体液は、血液、唾液および粘膜分泌物でありうる。好ましくは、ウイルスまたは細菌が例えばウイルスSARS-CoV-2などの呼吸器ウイルスまたは呼吸器細菌である場合は特に、本明細書記載の使用および方法はいずれも、組成物を唾液および/または粘膜分泌物と接触させる工程を含みうる。したがって体液は唾液でありうる。体液は粘膜分泌物でありうる。好ましくは、ウイルスまたは細菌が例えばウイルスSARS-CoV-2などの呼吸器ウイルスまたは呼吸器細菌である場合は特に、粘膜分泌物は鼻腔分泌物および/または気管支分泌物である。組成物が例えばウイルスSARS-CoV-2などの呼吸器ウイルスまたは呼吸器細菌による感染の防止における使用のためのものである場合、組成物は、好ましくは、唾液に、または気道の粘膜物に、例えば噴霧または含嗽によって送達される。呼吸器ウイルスは、人体に侵入した後は、典型的にはそのような体液中に存在するからである。上記に加えて、または上記に代えて、本明細書記載の使用および方法はいずれも、粘膜を組成物と接触させる工程を含みうる。特に、ウイルスが例えばウイルスSARS-CoV-2などの呼吸器ウイルスまたは呼吸器細菌である場合、粘膜は、鼻の粘膜、咽頭の粘膜、口の粘膜および気管支の粘膜からなる群より選択されうる。したがって粘膜は鼻の粘膜でありうる。粘膜は咽頭の粘膜でありうる。粘膜は口の粘膜でありうる。粘膜は気管支の粘膜でありうる。
【0084】
本明細書記載の使用および方法はいずれも、皮膚または表面を組成物と接触させる工程を含みうる。これに関して、病原体、例えばウイルスおよび細菌は、皮膚または表面に見いだされうる。したがって皮膚、例えばヒトの皮膚、または任意の表面を、本明細書記載の使用および方法のいずれか一つについて本明細書に記載する任意の組成物で処置することができる。
【0085】
本明細書記載の使用および方法はいずれも、創傷または熱傷を組成物と接触させる工程を含みうる。これに関して、病原体、例えばウイルスおよび細菌は、創傷または熱傷中に見いだされうる。したがって創傷または熱傷、例えばヒト皮膚の創傷または熱傷を、本明細書記載の使用および方法のいずれか一つについて本明細書に記載する任意の組成物で処置することができる。
【0086】
本発明によれば、組成物は、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含む。本明細書記載の組成物はいずれも、本明細書記載の使用および方法のいずれか一つにおいて使用することができる。したがって特に、本明細書記載の組成物はいずれも、本明細書全体にわたって記載される、ウイルス、細菌、原生動物もしくは真菌による感染を防止する、またはウイルス感染、細菌感染、原生動物感染もしくは真菌感染を処置する、またはウイルス感染、細菌感染、原生動物感染もしくは真菌感染によって引き起こされる疾患を処置するための使用および方法のいずれか一つにおいて、使用することができる。好ましくは、本明細書記載の組成物はいずれも、本明細書全体にわたって本明細書に記載される、ウイルスによる感染を防止する、またはウイルス感染を処置する、またはウイルス感染によって引き起こされる疾患を処置するための使用および方法のいずれか一つにおいて、使用することができ、より好ましくは、ここで、ウイルスはSARS-CoV-2であり、および/またはより好ましくは疾患はCOVID-19である。
【0087】
したがって化合物はカフェインでありうる。化合物はマンノースでありうる。化合物はガラクトースでありうる。好ましくは、化合物はキトサンまたはその塩である。キトサンの塩は、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択されうる。したがって、塩はキトサン乳酸塩でありうる。塩はキトサン酢酸塩でありうる。塩はキトサン塩酸塩でありうる。また、前記化合物の任意の組合せも、本明細書に従って本明細書に記載される。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。
【0088】
化合物がキトサンである場合、任意で、組成物は酸をさらに含みうる。好ましくは、酸は、限定するわけではないが、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、任意のフルーツ酸、食品酸味料、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される。より好ましくは酸はクエン酸である。酸は、キトサンの少なくとも一部がそのカチオン型に変換されるように、pHを低下させうる。したがって、水におけるキトサンの溶解度を増加させることができる。
【0089】
好ましくは、組成物は固形組成物である。単なる具体例として、固形組成物は、粉末、粒子、錠剤、丸剤、カプセル剤などの形態をとりうる。「固形組成物」という用語は、本明細書全体にわたって使用される時はいつでも、例えばゲル、クリーム、ペースト、軟膏、サルブ(salve)などといった、半固形組成物も含みうる。
【0090】
一具体例として、組成物は、化合物またはその組合せの実質的に純粋な調製物でありうる。また組成物は、具体例として、1%以上、5%以上、10以上、20%以上、50%以上、80%以上、または90%以上の化合物またはその組合せを含みうる。
【0091】
いくつかの態様において、組成物は液状組成物である。
【0092】
好ましくは、組成物は可食性組成物である。例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意の可食性組成物、例えば食品または飲料など、当業者に公知の可食性組成物は、いずれも想定されうる。一般に、当業者には理解されるとおり、可食性組成物は可消化性である。口腔では、例えば組成物を唾液と接触させた時に、化合物、例えばキトサンまたはその塩が組成物から放出され、および/またはウイルス、細菌、原生動物もしくは真菌、例えばウイルスSARS-CoV-2と接触する。そうなれば、ウイルス、細菌、原生動物または真菌、例えばウイルスSARS-CoV-2は、前記化合物またはその組合せによって結合され、嚥下された後、胃内で胃酸によって不活化される。したがってウイルスまたは細菌による感染が防止される。上記に加えて、または上記に代えて、化合物は、宿主細胞上のACE2受容体へのウイルスの結合が防止され、感染が起こりえなくなるように、ウイルス、細菌、原生動物または真菌、例えばSARS-CoV-2に結合しうる。また、そのような機序は、ウイルス感染、細菌感染、原生動物感染、または真菌感染、例えばSARS-Cov-2によるものの処置、および/またはウイルス感染、細菌感染、原生動物感染、または真菌感染によって引き起こされる疾患、例えばCOVID-19の処置にも使用することができる。ウイルス、細菌、原生動物または真菌の表面へのキトサンの吸着は、粘膜下層の標的細胞への接触の成功を防止または阻害するだけでなく、身体の自身の防御機序を活性化するための時間も与える。
【0093】
好ましくは、組成物は、口腔投与、鼻腔投与、または気管支投与に適した組成物でありうる。口腔投与、鼻腔投与、または気管支投与のための公知の組成物は、いずれも想定されうる。したがって組成物は、鼻腔内投与または吸入投与、例えば気道および/または気管支への局所投与のための組成物でありうる。また、具体例として、組成物は含嗽用のスプレーまたは溶液でありうる。本明細書に記載するとおり、組成物を投与することにより、ウイルスまたは細菌、例えばSARS-CoV-2は結合され、感染の鎖が断ち切られる。また、そのような機序は、ウイルス感染、細菌感染、原生動物感染、または真菌感染、例えばSARS-Cov-2によるものの処置、および/またはウイルス感染または細菌感染によって引き起こされる疾患、例えばCOVID-19の処置にも使用することができる。
【0094】
また、組成物は薬学的組成物でありうる。薬学的組成物は前記化合物またはその組合せを含み、任意で、薬学的に許容される担体、賦形剤または安定剤、例えば「Remington's Pharmaceutical Sciences」第16版、Osol,A.編(1980)または第23版(2020)に記載のものを、それらが本製剤の望ましい特徴に有害な影響を及ぼさないという条件の下で、さらに含みうる。本明細書にいう「薬学的に許容される担体」とは、薬学的投与と適合する、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤を意味する。薬学的に活性な物質のためのそのような媒質および作用物質の使用は当技術分野において周知である。許容される担体、賦形剤または安定剤は使用される投薬量および濃度においてレシピエントにとって無毒性であり、追加の緩衝剤;保存剤;共溶媒;酸化防止剤、例えばアスコルビン酸およびメチオニン;キレート剤、例えばEDTA;金属錯体(例えばZn-タンパク質錯体);生分解性ポリマー、例えばポリエステル;塩形成対イオン、例えばナトリウム、多価糖アルコール;アミノ酸、例えばアラニン、グリシン、アスパラギン、2-フェニルアラニン、およびスレオニン;糖類または糖アルコール、例えばラクチトール、スタキオース、マンノース、ソルボース、キシロース、リボース、リビトール、ミオイニシトース(myoinisitose)、ミオイニシトール(myoinisitol)、ガラクトース、ガラクチトール、グリセロール、シクリトール(例えばイノシトール)、ポリエチレングリコール;含硫黄還元剤、例えばグルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、[アルファ]-モノチオグリセロール、およびチオ硫酸ナトリウム、低分子量タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、または他の免疫グロブリン;および親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドンを含む。
【0095】
好ましくは、組成物は栄養補助食品である。一般に、栄養補助食品とは、食事を補うことを意図した製造品を指す。例えば栄養補助食品は、丸剤、カプセル剤、錠剤、粉末または液状物の形態をとりうる。栄養補助食品は、チューインガム、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意のチューインガムでありうる。好ましくは、組成物が固形物である場合、例えば粉末の形態にある場合は特に、栄養補助食品は飲料への添加に適している。より好ましくは、飲料は、茶、コーヒー、果汁、レモネード、ミルク、コーラ、飲用可能な乳製品(例えば飲用可能なヨーグルト)、シャーベット粉末または発泡錠を溶解することによって得ることができる飲料、およびアルコール飲料からなる群より選択される。したがって、栄養補助食品が添加される飲料は、茶、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意の茶でありうる。飲料はコーヒーでありうる。飲料は果汁(例えば果実果汁)でありうる。飲料はレモネードでありうる。飲料はミルクでありうる。飲料はコーラでありうる。飲料は飲用可能な乳製品(例えば飲用可能なヨーグルト)でありうる。飲料は、シャーベット粉末または発泡錠を溶解することによって得ることができる飲料でありうる。飲料はアルコール飲料、例えばビールまたはワインでありうる。
【0096】
好ましくは、栄養補助食品を添加することができる飲料は、茶、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される茶である。より好ましくは、茶に添加することができる栄養補助食品はキトサンまたはその塩を含む。例えばアルカリ茶(alkaline tea)(塩基性茶(basen tea)または塩基茶(basic tea)としても公知である)、果実茶、緑茶、紅茶、またはハーブ茶など、任意の茶を想定することができる。好ましくは、茶はアルカリ茶または果実茶である。本明細書全体にわたって本明細書において使用される場合、用語「アルカリ茶」は、一般に、水を使った調製後に、アルカリ性pH、例えばpH>7などを有する茶をもたらす茶を指し、アルカリ茶は広く公知であり、例えばアルカリ茶はさまざまなハーブを含みうる。任意で、茶には酸をさらに加えうる。酸は、キトサンを含む製剤に関して本明細書に記載される任意の酸、例えばクエン酸であってよい。したがって、茶には例えばレモン果汁を加えうる。
【0097】
固形であり可食性でもある他の好ましい組成物は、チューインガム、キャンディ、ボンボン、フルーツガム、チョコレート、および飲料調製用の組成物(例えばコーヒー組成物、茶組成物、シャーベット粉末、または発泡錠)から選択されうる。したがって組成物は、チューインガム、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意のチューインガムでありうる。組成物は、キャンディ、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意のキャンディでありうる。組成物はフルーツガムでありうる。組成物はチョコレートでありうる。組成物は飲料調製用の組成物でありうる。組成物は、コーヒー組成物(例えばコーヒーとさらなる成分、例えば粉乳、香味剤および/または甘味料などとを含む組成物)でありうる。組成物は、茶組成物(例えば茶葉または茶の他の構成要素、例えば実と、さらなる成分、香味剤および/または甘味料などとを含む組成物)、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意の茶組成物でありうる。組成物はシャーベット粉末でありうる。組成物は発泡錠でありうる。
【0098】
好ましくは、組成物はキャンディ、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意のキャンディである。任意のキャンディを想定することができ、例示のための非限定的な例として、キャンディは、例えばフルーツキャンディ、例えばレモンドロップ、ベリードロップもしくはチェリードロップなど、またはフルーツガム、またはコーヒーキャンディ、または任意のボンボンでありうる。より好ましくは、キャンディはキトサンまたはその塩を含む。任意で、キャンディは酸をさらに含有しうる。酸は、キトサンを含む製剤に関して本明細書に記載される任意の酸、例えばクエン酸であってよい。
【0099】
好ましくは、組成物は茶組成物、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意の茶組成物でありうる。より好ましくは、茶組成物はキトサンまたはその塩を含む。例示のための非限定的な例として、茶組成物は、ティーバッグに含まれる茶組成物でありうる。例えばアルカリ茶(塩基性茶または塩基茶としても公知である)、果実茶、緑茶、紅茶、またはハーブ茶など、任意の茶組成物を想定することができる。好ましくは、茶組成物はアルカリ茶または果実茶である。本明細書全体にわたって本明細書において使用される場合、用語「アルカリ茶」は、一般に、水を使った調製後に、アルカリ性pH、例えばpH>7などを有する茶組成物を指し、アルカリ茶は広く公知であり、例えばアルカリ茶はさまざまなハーブを含みうる。任意で、茶組成物は酸をさらに含有しうる。酸は、キトサンを含む製剤に関して本明細書に記載される任意の酸、例えばクエン酸であってよい。上記に加えて、または上記に代えて、酸は、水による調製前または調製後に茶に加えることができ、例えばレモン果汁を、調製前または調製後に、例えば茶のコップに加えうる。茶の栽培と調製は当業者には広く公知である。例えば、E.Holmes,Good&Proper Tea:How to Make,Drink and Cook with Tea,Octopus Publishing Group,London,2019、H.Saberi,Tea-A Global History,Reaktion Books,London,2010、またはJ.W.Uhl,The Art and Craft of Tea:An Enthusiast's Guide to Selecting,Brewing,and Serving Exquisite Tea,Quarto Publishing Group USA Inc./Quarry Books,Beverly,MA,2016を参照されたい。これらの文献はいずれも参照によりそのまま本明細書に組み入れられる。
【0100】
好ましい一態様において、組成物はチューインガムである。本明細書全体にわたって記載される任意のチューインガムを使用することができる。
【0101】
チューインガムは、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含む。したがって化合物はカフェインでありうる。化合物はマンノースでありうる。化合物はガラクトースでありうる。好ましくは、化合物はキトサンまたはその塩である。キトサンの塩は、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択されうる。したがって、塩はキトサン乳酸塩でありうる。塩はキトサン酢酸塩でありうる。塩はキトサン塩酸塩でありうる。また、前記化合物の任意の組合せも、本明細書に従って本明細書に記載される。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。
【0102】
本発明者らは、チューインガムの咀嚼中に、化合物、例えばキトサンまたはその塩が、唾液および/または口腔に放出されることを実証した。そうなれば、化合物、例えばキトサンまたはその塩はウイルス、細菌、原生動物または真菌、例えばSARS-CoV-2に結合し、嚥下された後、胃内で胃酸によって不活化される。上記に加えて、または上記に代えて、化合物は、宿主細胞上のACE2受容体へのウイルスの結合が防止され、よって感染が起こりえなくなるように、ウイルスまたは細菌、例えばSARS-CoV-2に結合しうる。また、そのような機序は、ウイルス感染、細菌感染、原生動物感染、または真菌感染、例えばSARS-Cov-2によるものの処置、および/またはウイルス感染、細菌感染、原生動物感染、または真菌感染によって引き起こされる疾患、例えばCOVID-19の処置にも使用することができる。
【0103】
いくつかの態様において、チューインガムはキトサンおよび酸を含みうる。好ましくは、酸は、限定するわけではないが、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、任意のフルーツ酸、食品酸味料、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される。より好ましくは酸はクエン酸である。咀嚼時に、酸は、キトサンの少なくとも一部がそのカチオン型に変換されるように、pHを低下させる。したがって、水におけるキトサンの溶解度が増加する。
【0104】
また、化合物またはその組合せを含む組成物は、液状組成物の一例として、飲料でありうる。飲料は、茶、コーヒー、果汁、レモネード、ミルク、コーラ、飲用可能な乳製品(例えば飲用可能なヨーグルト)、シャーベット粉末または発泡錠を溶解することによって得ることができる飲料、アルコール飲料からなる群より選択されうる。したがって、化合物またはその組合せを含む飲料は、茶、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意の茶でありうる。飲料はコーヒーでありうる。飲料は果汁(例えば果実果汁)でありうる。飲料はレモネードでありうる。飲料はミルクでありうる。飲料はコーラでありうる。飲料は飲用可能な乳製品(例えば飲用可能なヨーグルト)でありうる。飲料は、シャーベット粉末または発泡錠を溶解することによって得ることができる飲料でありうる。飲料はアルコール飲料、例えばビールまたはワインでありうる。
【0105】
好ましくは、飲料は茶である。より好ましくは、茶はキトサンまたはその塩を含む。例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意の茶、例えばアルカリ茶(塩基性茶または塩基茶としても公知である)、果実茶、緑茶、紅茶、またはハーブ茶など、任意の茶を想定することができる。好ましくは、茶はアルカリ茶または果実茶である。任意で、茶は酸をさらに含有しうる。酸は、キトサンを含む製剤に関して本明細書に記載される任意の酸、例えばクエン酸であってよい。
【0106】
好ましい一態様において、組成物は持続送達系であるか、または持続送達系を含む。好ましくは、持続送達系は口腔またはバッカル持続送達系である。また、本明細書に記載するように、本発明の態様によれば、薬物送達系は、薬物送達インプラント、例えば再充填可能な薬物送達インプラントを含みうる。この目的には、歯科用プロテーゼまたはプロテーゼ固定用接着材料など、いくつかの埋込み可能なデバイスが想定されうる。
【0107】
好ましくは、組成物は固形もしくは半固形剤形であるか、または固形もしくは半固形剤形を含む。したがって組成物は、薄膜、層構造の薄膜、錠剤、カプセル剤、ゲル体(例えば口腔における適用のためのゲル)、チューインガム、キャンディ、ボンボン、フルーツガム、およびチョコレートからなる群より選択される。したがって組成物は薄膜でありうる。組成物は層構造の薄膜でありうる。組成物は錠剤でありうる。組成物はカプセル剤でありうる。組成物はゲル体(例えば口腔における適用のためのゲル)でありうる。組成物は、チューインガム、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意のチューインガムでありうる。組成物は、キャンディ、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意のキャンディでありうる。組成物はボンボンでありうる。組成物はフルーツガムでありうる。組成物はチョコレートでありうる。
【0108】
本明細書記載の組成物はいずれも、粒子を含みうる。好ましくは、粒子はマイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子である。好ましくは、粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子は、キトサンまたはその塩を含む。キトサンの塩は、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択されうる。したがって、塩はキトサン乳酸塩でありうる。塩はキトサン酢酸塩でありうる。塩はキトサン塩酸塩でありうる。また、本明細書には、前記化合物の任意の組合せを含む粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子も記載される。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。
【0109】
粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子は、キトサンもしくはその塩の他に、さらなるポリマーまたはバイオポリマーを含みうる。ポリマーまたはバイオポリマーは、限定するわけではないが、以下の物質または物質のクラスのうちの1つまたは複数を含むことができる:タンパク質、多糖、炭化水素、核酸、アプタマー、コラーゲン、コラーゲン-n-ヒドロキシスクシンイミド、フィブリン、ゼラチン、アルブミン、アルギネート、血漿タンパク質、乳タンパク質、カゼイン、タンパク質ベースのポリマー、ヒアルロン酸、ペクチン、アラビアガムおよび他のガム類、カゼイン、乳清タンパク質、グルテン、デンプン、セルロース、ポリ乳酸、ポリグリコール酸のような医薬用途または化粧用途のための合成ポリマー、植物および微生物の細胞溶解物、前記ポリマーのコポリマーおよび/または誘導体および/または混合物および/または化学修飾物、ならびに鎖長または分子量などの材料パラメータが異なるそれらの任意の組合せ。ポリマーは、例えば、(活性成分の組込みおよび加工などのための)賦形剤として、(例えば化粧品のための)製剤用基材(basic formulation substance)として、利用されうる。好ましくは、さらなるバイオポリマーはヒアルロン酸である。したがって、好ましい一態様において、粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子は、キトサンまたはその塩に加えて、ヒアルロン酸を含む。
【0110】
本明細書記載の組成物はいずれも、粒子の共凝集体を含みうる。好ましくは、共凝集体はマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体であり、より好ましくは共凝集体はマイクロ粒子の共凝集体である。好ましくは、粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体は、キトサンまたはその塩を含む。キトサンの塩は、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択されうる。したがって、塩はキトサン乳酸塩でありうる。塩はキトサン酢酸塩でありうる。塩はキトサン塩酸塩でありうる。また、本明細書には、前記化合物の任意の組合せを含む、粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体も記載される。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。
【0111】
粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体は、キトサンもしくはその塩に加えて、さらなるポリマーまたはバイオポリマーを含みうる。ポリマーまたはバイオポリマーは、限定するわけではないが、以下の物質または物質のクラスのうちの1つまたは複数を含むことができる:タンパク質、多糖、炭化水素、核酸、アプタマー、コラーゲン、コラーゲン-n-ヒドロキシスクシンイミド、フィブリン、ゼラチン、アルブミン、アルギネート、血漿タンパク質、乳タンパク質、カゼイン、タンパク質ベースのポリマー、ヒアルロン酸、ペクチン、アラビアガムおよび他のガム類、カゼイン、乳清タンパク質、グルテン、デンプン、セルロース、ポリ乳酸、ポリグリコール酸のような医薬用途または化粧用途のための合成ポリマー、植物および微生物の細胞溶解物、前記ポリマーのコポリマーおよび/または誘導体および/または混合物および/または化学修飾物、ならびに鎖長または分子量などの材料パラメータが異なるそれらの任意の組合せ。ポリマーは、例えば、(活性成分の組込みおよび加工などのための)賦形剤として、(例えば化粧品のための)製剤用基材として、利用されうる。好ましくは、さらなるバイオポリマーはヒアルロン酸である。したがって、好ましい一態様において、粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体は、キトサンまたはその塩に加えて、ヒアルロン酸を含む。
【0112】
粒子、好ましくはマイクロ粒子もしくはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子、または粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体もしくはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体は、液状組成物または半固形組成物に含まれうる。特に、粒子、好ましくはマイクロ粒子もしくはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子、または粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体もしくはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体は、液状組成物または半固形組成物に懸濁される。好ましくは、粒子、好ましくはマイクロ粒子もしくはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子、または粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体もしくはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体は、噴霧または含嗽のための組成物、洗口剤、口腔に適用するためのゲル、点鼻スプレー、点鼻オイル、点鼻液製剤、および鼻洗浄製剤に含まれ、特に懸濁される。組成物は噴霧または含嗽のための組成物でありうる。組成物は洗口剤でありうる。組成物は口腔に適用するためのゲルでありうる。組成物は点鼻スプレーでありうる。組成物は点鼻オイルでありうる。組成物は点鼻液製剤でありうる。組成物は鼻洗浄製剤でありうる。粒子または粒子の共凝集体は、キトサンまたはその塩に加えて、ヒアルロン酸を含みうる。
【0113】
粒子、好ましくはマイクロ粒子もしくはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子、または共凝集体、好ましくはマイクロ粒子もしくはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体は、表面または皮膚を処置するのに適した組成物に含まれうる。好ましくは、表面または皮膚を処置するのに適した組成物は、消毒薬、スキンケア組成物(例えばローション、クリーム、ゲル、スプレー、サルブ、軟膏、または粉末)、セッケン(例えば液状セッケン)、および洗剤製剤(例えば洗濯用洗剤製剤または食器用洗剤製剤)からなる群より選択される。組成物は消毒薬でありうる。組成物はスキンケア組成物でありうる。スキンケア組成物は、キトサンまたはその塩またはその誘導体の送達を可能にする任意の化粧系(cosmetic system)または化粧成分(cosmetic principle)を含みうる。組成物はローションでありうる。組成物はクリームでありうる。組成物はゲルでありうる。組成物はスプレーでありうる。組成物はサルブでありうる。組成物は軟膏でありうる。組成物は粉末でありうる。組成物はセッケンでありうる。組成物は液状セッケンでありうる。組成物は洗剤製剤でありうる。組成物は洗濯用洗剤製剤でありうる。組成物は食器用洗剤製剤でありうる。好ましくは組成物が皮膚を処置するのに適した組成物、例えばスキンケア組成物、例えばローションまたはクリームなどである場合に、粒子または粒子の共凝集体は、キトサンまたはその塩に加えて、ヒアルロン酸を含みうる。表面または皮膚を処置するのに適した組成物の使用は、表面または皮膚を、表面または皮膚を処置するのに適した組成物と接触させる工程を含みうる。
【0114】
組成物は、鼻洗浄溶液、点鼻溶液、点鼻オイル製剤、噴霧または含嗽のための溶液、洗口剤、口腔に適用するためのゲル、または飲料を製造するための固形混合物に含まれうる。組成物は、粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子の形態にありうる。
【0115】
本明細書記載の組成物のいずれか一つにおいて、キトサンまたはその塩は60%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は70%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は80%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は90%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は95%以上の脱アセチル化度を有しうる。
【0116】
本明細書記載の組成物のいずれか一つにおいて、キトサンまたはその塩は、30%~60%の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は30%~60%の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は35%~55%の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は40%~50%の脱アセチル化度を有しうる。
【0117】
本明細書記載の組成物のいずれか一つにおいて、キトサンまたはその塩は20000Da~460000Daの分子量を有しうる。
【0118】
いくつかの態様において、組成物は、20000Da未満の分子量を有するオリゴキトサン、または20000Da未満の分子量を有するオリゴキトサンの塩を含みうる。
【0119】
感染、例えばウイルスまたは細菌による感染を防止するための組成物の、非医療的使用
本発明は、感染を防止するための、本明細書において定義される任意の組成物の、非医療的使用にも関係する。
【0120】
好ましくは、感染は、ウイルス感染、細菌感染、原生動物感染、または真菌感染である。より好ましくは、感染はウイルス感染である。
【0121】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、ウイルス、細菌、原生動物または真菌による感染を防止するための、本明細書において定義される任意の組成物の、非医療的使用にも関係する。
【0122】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、ウイルスによる感染を防止するための、本明細書において定義される任意の組成物の、非医療的使用にも関係する。
【0123】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、細菌による感染を防止するための、本明細書において定義される任意の組成物の、非医療的使用にも関係する。
【0124】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、原生動物による感染を防止するための、本明細書において定義される任意の組成物の、非医療的使用にも関係する。
【0125】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、真菌による感染を防止するための、本明細書において定義される任意の組成物の、非医療的使用にも関係する。
【0126】
好ましくは、組成物は固形組成物である。
【0127】
いくつかの態様において、組成物は液状組成物でありうる。
【0128】
非医療的使用において、ウイルスは、本明細書に定義される任意のウイルスでありうる。好ましくは、ウイルスは呼吸器ウイルスである。より好ましくは、ウイルスは、コロナウイルス、好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、および呼吸器合胞体ウイルス[RSV]からなる群より選択される。したがって、コロナウイルスはヒト病原性コロナウイルスでありうる。さらに好ましくは、ヒト病原性コロナウイルスはベータコロナウイルスである。ヒト病原性コロナウイルスはSARS-CoV-2でありうる。ヒト病原性コロナウイルスはMERS-CoVでありうる。ヒト病原性コロナウイルスはSARS-CoV-1でありうる。最も好ましくは、ヒト病原性コロナウイルスはSARS-CoV-2である。
【0129】
さらに、ウイルスの考えうる任意のサブユニットまたはウイルスもしくはビリオンの一部であって感染を引き起こすことができるものも、本明細書に開示する、ウイルスによる感染の防止における非医療的使用に関する例である。
【0130】
さらに、特にウイルスと宿主の接触および相互作用中またはウイルスの進化的変化中に発生しうるウイルスの考えうる任意の変異も、本明細書に開示する、ウイルスによる感染の防止における非医療的使用に関する例である。
【0131】
好ましくは、使用は、体液を組成物と接触させる工程を含む。特に、体液は唾液または粘膜分泌物である。粘膜分泌物は鼻腔分泌物または気管支分泌物でありうる。また、好ましくは、使用は、粘膜を組成物と接触させる工程を含みうる。粘膜は鼻の粘膜でありうる。粘膜は咽頭の粘膜でありうる。粘膜は口の粘膜でありうる。粘膜は気管支の粘膜でありうる。
【0132】
使用は、皮膚または表面を組成物と接触させる工程を含みうる。これに関して、病原体、例えばウイルスおよび細菌は、皮膚または表面に見いだされうる。したがって皮膚、例えばヒトの皮膚、または任意の表面を、本明細書記載の使用および方法のいずれか一つについて本明細書に記載する任意の組成物で処置することができる。
【0133】
使用は、創傷または熱傷を組成物と接触させる工程を含みうる。これに関して、病原体、例えばウイルスおよび細菌は、創傷または熱傷中に見いだされうる。したがって創傷または熱傷、例えばヒト皮膚の創傷または熱傷を、本明細書記載の使用および方法のいずれか一つについて本明細書に記載する任意の組成物で処置することができる。
【0134】
感染、例えばウイルスもしくは細菌による感染を防止する、または感染、例えばウイルス感染もしくは細菌感染を処置する、または感染によって引き起こされる疾患、例えばウイルス感染もしくは細菌感染によって引き起こされる疾患を処置する方法
本発明は、本明細書に定義される任意の組成物の使用によって、感染を防止する、または感染を処置する、または感染によって引き起こされる疾患を処置する方法にも関係する。
【0135】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、本明細書に定義される任意の組成物の使用によって、ウイルスもしくは細菌による感染を防止する、またはウイルス感染もしくは細菌感染を処置する、またはウイルス感染もしくは細菌感染によって引き起こされる疾患を処置する方法にも関係する。
【0136】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、本明細書に定義される任意の組成物の使用によって、原生動物もしくは真菌による感染を防止する、または原生動物感染もしくは真菌感染を処置する、または原生動物感染もしくは真菌感染によって引き起こされる疾患を処置する方法にも関係する。
【0137】
好ましくは、感染はウイルス感染または細菌感染である。より好ましくは、感染はウイルス感染である。
【0138】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、本明細書に定義される任意の組成物の使用によって、ウイルスによる感染を防止する方法にも関係する。
【0139】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、本明細書に定義される任意の組成物の使用によって、ウイルス感染を処置する方法にも関係する。
【0140】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、本明細書に定義される任意の組成物の使用によって、ウイルス感染によって引き起こされる疾患を処置する方法にも関係する。
【0141】
好ましくは、本方法のいずれか一つにおいて、組成物は固形組成物である。
【0142】
いくつかの態様において、組成物は液状組成物でありうる。
【0143】
本方法のいずれか一つにおいて、ウイルスは本明細書に定義される任意のウイルスでありうる。好ましくは、ウイルスは呼吸器ウイルスである。より好ましくは、ウイルスは、コロナウイルス、好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、および呼吸器合胞体ウイルス[RSV]からなる群より選択される。したがって、コロナウイルスはヒト病原性コロナウイルスでありうる。さらに好ましくは、ヒト病原性コロナウイルスはベータコロナウイルスである。ヒト病原性コロナウイルスはSARS-CoV-2でありうる。ヒト病原性コロナウイルスはMERS-CoVでありうる。ヒト病原性コロナウイルスはSARS-CoV-1でありうる。最も好ましくは、ヒト病原性コロナウイルスはSARS-CoV-2である。本方法のいずれか一つにおいて、疾患はSARSでありうる。疾患はMERSでありうる。最も好ましくは、疾患はCOVID-19である。
【0144】
さらに、ウイルスの考えうる任意のサブユニットまたはウイルスもしくはビリオンの一部であって感染を引き起こすことができるものも、本明細書に開示する、ウイルスによる感染を防止する、またはウイルス感染を処置する、またはウイルスによって引き起こされる疾患を処置する方法において使用することができる例である。
【0145】
さらに、特にウイルスと宿主の接触および相互作用中またはウイルスの進化的変化中に発生しうるウイルスの考えうる任意の変異も、本明細書に開示する、ウイルスによる感染を防止する、またはウイルス感染を処置する、またはウイルスによって引き起こされる疾患を処置する方法において使用することができる例である。
【0146】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、本明細書に定義される任意の組成物の使用によって、細菌による感染を防止する方法にも関係する。
【0147】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、本明細書に定義される任意の組成物の使用によって、細菌感染を処置する方法にも関係する。
【0148】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、本明細書に定義される任意の組成物の使用によって、細菌感染によって引き起こされる疾患を処置する方法にも関係する。
【0149】
本方法のいずれか一つにおいて、細菌は、本明細書に定義される任意の細菌、好ましくは呼吸器細菌でありうる。本方法のいずれか一つにおいて、疾患は、本明細書に定義される細菌感染によって引き起こされる任意の疾患でありうる。
【0150】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、本明細書に定義される任意の組成物の使用によって、原生動物による感染を防止する方法にも関係する。
【0151】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、本明細書に定義される任意の組成物の使用によって、原生動物感染を処置する方法にも関係する。
【0152】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、本明細書に定義される任意の組成物の使用によって、原生動物感染によって引き起こされる疾患を処置する方法にも関係する。
【0153】
本方法のいずれか一つにおいて、原生動物は本明細書に定義される任意の原生動物でありうる。本方法のいずれか一つにおいて、疾患は、本明細書に定義される原生動物感染によって引き起こされる任意の疾患でありうる。
【0154】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、本明細書に定義される任意の組成物の使用によって、真菌による感染を防止する方法にも関係する。
【0155】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、本明細書に定義される任意の組成物の使用によって、真菌感染を処置する方法にも関係する。
【0156】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、本明細書に定義される任意の組成物の使用によって、真菌感染によって引き起こされる疾患を処置する方法にも関係する。
【0157】
本方法のいずれか一つにおいて、真菌は本明細書に定義される任意の真菌でありうる。本方法のいずれか一つにおいて、疾患は、本明細書に定義される真菌感染によって引き起こされる任意の疾患でありうる。
【0158】
好ましくは、本方法は、体液を組成物と接触させる工程を含む。特に、体液は唾液または粘膜分泌物である。粘膜分泌物は鼻腔分泌物または気管支分泌物でありうる。また、好ましくは、本方法は、粘膜を組成物と接触させる工程を含みうる。粘膜は鼻の粘膜でありうる。粘膜は咽頭の粘膜でありうる。粘膜は口の粘膜でありうる。粘膜は気管支の粘膜でありうる。
【0159】
本方法は、皮膚または表面を組成物と接触させる工程を含みうる。これに関して、病原体、例えばウイルスおよび細菌は、皮膚または表面に見いだされうる。したがって皮膚、例えばヒトの皮膚、または任意の表面を、本明細書記載の使用および方法のいずれか一つについて本明細書に記載する任意の組成物で処置することができる。
【0160】
本方法は、創傷または熱傷を組成物と接触させることを含みうる。これに関して、病原体、例えばウイルスおよび細菌は、創傷または熱傷中に見いだされうる。したがって創傷または熱傷、例えばヒト皮膚の創傷または熱傷を、本明細書記載の使用および方法のいずれか一つについて本明細書に記載する任意の組成物で処置することができる。
【0161】
チューインガム
本発明は、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含むチューインガムにも関係する。
【0162】
したがってチューインガムでは化合物がカフェインでありうる。化合物はマンノースでありうる。化合物はガラクトースでありうる。好ましくは、化合物はキトサンまたはその塩である。キトサンの塩は、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択されうる。したがって、塩はキトサン乳酸塩でありうる。塩はキトサン酢酸塩でありうる。塩はキトサン塩酸塩でありうる。また、前記化合物の任意の組合せも、本明細書に従って本明細書に記載される。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。
【0163】
いくつかの態様において、化合物がキトサンである場合、チューインガムは酸をさらに含みうる。したがってチューインガムはキトサンおよび酸を含みうる。好ましくは、酸は、限定するわけではないが、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、任意のフルーツ酸、食品酸味料、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される。より好ましくは酸はクエン酸である。咀嚼時に、酸は、キトサンの少なくとも一部がそのカチオン型に変換されるように、pHを低下させる。したがって、水におけるキトサンの溶解度が増加する。
【0164】
チューインガムは粒子を含みうる。好ましくは、粒子はマイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子である。好ましくは、粒子、例えばマイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子は、キトサンまたはその塩を含む。キトサンの塩は、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択されうる。したがって、塩はキトサン乳酸塩でありうる。塩はキトサン酢酸塩でありうる。塩はキトサン塩酸塩でありうる。また、本明細書には、前記化合物の任意の組合せを含む粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子も記載される。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。
【0165】
粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子は、キトサンもしくはその塩の他に、さらなるポリマーまたはバイオポリマーを含みうる。ポリマーまたはバイオポリマーは、限定するわけではないが、以下の物質または物質のクラスのうちの1つまたは複数を含むことができる:タンパク質、多糖、炭化水素、核酸、アプタマー、コラーゲン、コラーゲン-n-ヒドロキシスクシンイミド、フィブリン、ゼラチン、アルブミン、アルギネート、血漿タンパク質、乳タンパク質、カゼイン、タンパク質ベースのポリマー、ヒアルロン酸、ペクチン、アラビアガムおよび他のガム類、カゼイン、乳清タンパク質、グルテン、デンプン、セルロース、ポリ乳酸、ポリグリコール酸のような医薬用途または化粧用途のための合成ポリマー、植物および微生物の細胞溶解物、前記ポリマーのコポリマーおよび/または誘導体および/または混合物および/または化学修飾物、ならびに鎖長または分子量などの材料パラメータが異なるそれらの任意の組合せ。ポリマーは、例えば、(活性成分の組込みおよび加工などのための)賦形剤として、(例えば化粧品のための)製剤用基材として、利用されうる。好ましくは、さらなるバイオポリマーはヒアルロン酸である。したがって、好ましい一態様において、粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子は、キトサンまたはその塩に加えて、ヒアルロン酸を含む。
【0166】
いくつかの態様において、チューインガムは粒子の共凝集体を含みうる。好ましくは、共凝集体はマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体であり、より好ましくは共凝集体はマイクロ粒子の共凝集体である。好ましくは、粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体は、キトサンまたはその塩を含む。キトサンの塩は、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択されうる。したがって、塩はキトサン乳酸塩でありうる。塩はキトサン酢酸塩でありうる。塩はキトサン塩酸塩でありうる。また、本明細書には、前記化合物の任意の組合せを含む、粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体も記載される。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。
【0167】
粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体は、キトサンもしくはその塩に加えて、さらなるポリマーまたはバイオポリマーを含みうる。ポリマーまたはバイオポリマーは、限定するわけではないが、以下の物質または物質のクラスのうちの1つまたは複数を含むことができる:タンパク質、多糖、炭化水素、核酸、アプタマー、コラーゲン、コラーゲン-n-ヒドロキシスクシンイミド、フィブリン、ゼラチン、アルブミン、アルギネート、血漿タンパク質、乳タンパク質、カゼイン、タンパク質ベースのポリマー、ヒアルロン酸、ペクチン、アラビアガムおよび他のガム類、カゼイン、乳清タンパク質、グルテン、デンプン、セルロース、ポリ乳酸、ポリグリコール酸のような医薬用途または化粧用途のための合成ポリマー、植物および微生物の細胞溶解物、前記ポリマーのコポリマーおよび/または誘導体および/または混合物および/または化学修飾物、ならびに鎖長または分子量などの材料パラメータが異なるそれらの任意の組合せ。ポリマーは、例えば、(活性成分の組込みおよび加工などのための)賦形剤として、(例えば化粧品のための)製剤用基材として、利用されうる。好ましくは、さらなるバイオポリマーはヒアルロン酸である。したがって、好ましい一態様において、粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体は、キトサンまたはその塩に加えて、ヒアルロン酸を含む。
【0168】
一般に、チューインガムには、本明細書記載の任意のキトサンもしくはその塩を使用することができる。例えば動物または真菌由来のキトサンを使用しうる。好ましくは、ヴィーガンキトサン(例えば真菌由来のキトサン)を使用しうる。
【0169】
チューインガムにおいて、キトサンまたはその塩は60%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は70%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は80%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は90%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は95%以上の脱アセチル化度を有しうる。
【0170】
チューインガムにおいて、キトサンまたはその塩は、30%~60%の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は30%~60%の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は35%~55%の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は40%~50%の脱アセチル化度を有しうる。
【0171】
いくつかの態様において、キトサンまたはその塩は20000Da~460000Daの分子量を有する。
【0172】
いくつかの態様において、チューインガムは、20000Da未満の分子量を有するオリゴキトサン、または20000Da未満の分子量を有するオリゴキトサンの塩を含みうる。
【0173】
チューインガムは、重量でチューインガムの0.1%~10%の量の化合物、特にキトサンまたはその塩を含みうる。チューインガムは、重量でチューインガムの0.2~5%の量の化合物、特にキトサンまたはその塩を含みうる。チューインガムは、重量でチューインガムの0.3~3%の量の化合物、特にキトサンまたはその塩を含みうる。チューインガムは、重量でチューインガムの0.4~4%の量の化合物、特にキトサンまたはその塩を含みうる。「重量でチューインガムの」という表記は、本明細書全体にわたって使用される時はいつでも、チューインガムの総重量、すなわち100重量%のチューインガムを指している。
【0174】
一般にチューインガムはガムベースを含み、これには、さらなる成分、特に本発明の化合物(キトサンもしくはその塩、ガラクトース、マンノースおよび/またはカフェイン)が含まれる。さらなる成分は、単なる具体例として、糖、甘味料または香味剤でありうる。具体例として、チューインガムは、重量でチューインガムの5~50%、重量でチューインガムの8~40%、または重量でチューインガムの10~30%の量の、ガムベースを含みうる。
【0175】
ガムベース製剤の組成は、調製しようとする特定製品、ならびに最終製品の所望の咀嚼特徴および他の感覚特徴に大きく依存して変動しうる。しかし、ガムベース基材中の成分の典型的範囲(重量%)は、5~80重量%のエラストマー化合物、5~80重量%のエラストマー可塑剤、0~40重量%のワックス、重量で5~35%)の軟化剤(softener)、0~50重量%の充填剤、および重量で0~5%>のその他の成分、例えば酸化防止剤、着色料(colorant)などである。ガムベースは重量でチューインガムの約5~約95パーセントを構成し、より一般的には、ガムベースは重量でガムの10~約60%を構成する。
【0176】
エラストマーはガムに粘弾性を与え、その粘弾性は、この成分の化学構造と、他の成分とどのように配合されうるかに依存する。ガムベースおよび本発明のガムにおける使用に適したエラストマーは、天然タイプまたは合成タイプを含みうる。
【0177】
エラストマー可塑剤はガムベースの硬度を変化させる。ベースに使用した場合に、エラストマー分子間鎖破壊(可塑化)に対するそれらの特異性が、それらのさまざまな軟化点と共に、完成したガムのさまざまな硬度および適合度をもたらす。これは、ワックスのアルカン鎖に対してより多くのエラストマー鎖を曝露させたい場合に、重要になりうる。ガムベースに使用されるエラストマー(ゴム)は、所望するガムベースのタイプ、所望するガム組成物のテクスチャー、および最終チューインガム製品を製造するために組成物中に使用される他の構成要素などといったさまざまな因子に依存して、さまざまでありうる。ガムベース中の適切なポリマーの具体例には天然エラストマーと合成エラストマーがどちらも含まれる。例えば、ガムベース組成物において好適なポリマーには、天然物質(植物由来のもの)、例えばチクル、天然ゴム、クラウンガム、ニスペロ、ロジディンハ、ジェルトン、ペリロ(perillo)、ニガーグッタ、ツヌー、バラタ、グッタペルカ、レチ・カプシ(lechi capsi)、ソルバ、グッタ・ケイ(gutta kay)など、およびそれらの混合物があるが、それらに限定されるわけではない。さらにまた、メチルビニルエーテル-無水マレイン酸コポリマーを添加しうる。合成エラストマーの例としては、スチレン-ブタジエンコポリマー(SBR)、ポリイソブチレン、イソブチレン-イソプレンコポリマー、ポリイソプレン、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル-ビニルラウレートコポリマーなど、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0178】
本発明の態様に従って天然樹脂を使用してもよく、天然樹脂は、しばしばエステルガムと呼ばれる天然ロジンエステル、例えば部分水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、部分二量化ロジンのグリセロールエステル、トール油ロジン(tally oil rosin)のグリセロールエステル、部分水素化ロジンのペンタエリスリトールエステル、ロジンのメチルエステル、ロジンの部分水素化メチルエステル、ロジンのペンタエリスリトールエステル、合成樹脂、例えばアルファ-ピネン、ベータ-ピネンおよび/またはd-リモネンから誘導されるテルペン樹脂、ならびに天然テルペン樹脂でありうる。本発明の一態様において、樹脂は、テルペン樹脂、例えばアルファ-ピネン、ベータ-ピネンおよび/またはd-リモネンから誘導されるもの、天然テルペン樹脂、ガムロジンのグリセロールエステル、トール油ロジン、ウッドロジンまたはそれらの他の誘導体、例えば部分水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、部分二量化ロジンのグリセロールエステル、部分水素化ロジンのペンタエリスリトールエステル、ロジンのメチルエステル、ロジンの部分水素化メチルエステル、またはロジンのペンタエリスリトールエステル、およびそれらの組合せを含む。ガムベースは、典型的には、ある量のエラストマー、エラストマー可塑剤および充填剤、そして時にはビニルポリマーを、フロント対リアの速度比が約1.2:1~約2:1の加熱(10℃~120℃)シグマブレードミキサーに加えることによって調製され、典型的には、そのエラストマーのより厳密な配合が要求されるガムベースほど、高い速度比が使用される。
【0179】
本発明の一態様において、チューインガムは、ガムベースと1つまたは複数のチューインガム成分とを含む。
【0180】
一態様において、チューインガム成分は、バルク甘味料、フレーバー、乾式バインダー、製錠助剤、固結防止剤、乳化剤、酸化防止剤、エンハンサー(enhancer)、吸収増強剤、緩衝剤、高甘味度甘味料、軟化剤、色材(color)、またはそれらの任意の組合せからなる群より選択される。
【0181】
上記の水不溶性ガムベース組成物に加えて、バルク部分は、一連のチューインガム添加剤を含む一般に水溶性の部分を含む。この文脈において、「チューインガム添加剤」という用語は、従来のチューインガム製造プロセスにおいてバルク部分に添加される任意の構成要素を示すために使用される。従来使用されてきたそのような添加剤の大部分は水溶性であるが、水不溶性構成要素、例えば水不溶性香味化合物なども含まれうる。この文脈において、チューインガム添加剤としては、完成したチューインガム製品に所望の性質を付与するバルク甘味料、高甘味度甘味料、香味剤、軟化剤、乳化剤、着色剤(coloring agent)、結合剤、酸味料、充填剤、酸化防止剤および他の構成要素、例えば薬学的または生物学的に活性な物質が挙げられる。
【0182】
適切なバルク甘味料としては、糖甘味構成要素と、非糖甘味構成要素が、どちらも挙げられる。バルク甘味料は、典型的には、重量でチューインガムの約5~約95%、より典型的には、重量で約20~約80%)、例えば重量でガムの30~70%または30~60%を構成する。
【0183】
有用な糖甘味料は、チューインガム技術分野において一般に公知の糖類含有構成要素、例えば限定するわけではないが、単独での、または組合せとしての、スクロース、デキストロース、マルトース、デキストリン、トレハロース、D-タガトース、乾燥転化糖、フルクトース、レブロース、ガラクトース、コーンシロップ固形物などである。
【0184】
ソルビトールは非糖甘味料として使用することができる。他の有用な非糖甘味料としては、他の糖アルコール、例えばマンニトール、キシリトール、水素化デンプン加水分解物、マルチトール、イソマルト、エリスリトール、ラクチトール、イヌリンなどが、単独で、または組合せとして、挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0185】
高甘味度人工甘味剤も、単独で、または上記の甘味料と組み合わせて使用することができる。好ましい高甘味度甘味料としては、限定するわけではないが、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムの塩、アリターム、サッカリンおよびその塩、シクラミン酸およびその塩、グリチルリチン、ジヒドロカルコン、タウマチン、モネリン、ステビオシドなどが、単独で、または組合せとして、挙げられる。
【0186】
人工甘味料の使用量レベルはかなり変動し、甘味料の甘味度、放出速度、製品の所望の甘味、使用されるフレーバーのレベルおよびタイプ、ならびに経済的事項などの因子に依存するだろう。したがって人工甘味料の活性レベルは約0.001重量%から約8重量%まで(好ましくは約0.02重量%から約8重量%まで)変動しうる。カプセル化に使用される担体を含める場合、カプセル化甘味料の使用量レベルは比例して高くなるだろう。本発明に従って加工されるチューインガム組成物では糖甘味料および/または非糖甘味料の組合せを使用することができる。加えて、軟化剤も、例えば糖水溶液またはアルジトール水溶液の場合のように、追加の甘味を提供しうる。
【0187】
一態様において、チューインガムは、バルク甘味料、フレーバー、乾式バインダー、製錠助剤、固結防止剤、乳化剤、酸化防止剤、エンハンサー、吸収増強剤、緩衝剤、またはそれらの任意の組合せからなる群より選択される1つまたは複数のチューインガム成分を含む。
【0188】
さらなる有用なチューインガムベースは、酸化防止剤、例えばブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、プロピルガレートおよびトコフェロール、ならびに保存剤を含む。
【0189】
ガムベース製剤は、本発明の態様に従って、1つまたは複数の軟化作用物質、例えばスクロースエステル、獣脂、水素化獣脂、水素化および部分水素化植物油、カカオ脂、脱脂ココアパウダー、グリセロールモノステアレート、グリセリルトリアセテート、レシチン、モノ-、ジ-およびトリ-グリセリド、アセチル化モノグリセリド、ラノリン、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、グリセリルレシチン、プロピレングリコールモノステアレート、グリセリン、脂肪酸(例えばステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸およびリノール酸)、およびそれらの組合せを含みうる。本明細書において使用される場合、「軟化剤」という用語は、ガムベースまたはチューインガム組成物を軟化する成分を示し、ワックス、脂肪、乳化剤、界面活性剤および可溶化剤を包含する。軟化剤は、典型的には、重量でガムベースの0~18%、好ましくは0~12%の量で使用される。
【0190】
有用な乳化剤としては、モノステアリン酸グリセリン、プロピレングリコールモノステアレート、可食性脂肪酸のモノ-およびジ-グリセリド、可食性脂肪酸のモノ-およびジ-グリセリドの乳酸エステルおよび酢酸エステル、アセチル化モノ-およびジ-グリセリド、可食性脂肪酸の糖エステル、Na-、K-、Mg-およびCa-ステアレート、レシチン、ヒドロキシル化レシチンなどを挙げることができるが、それらに限定されるわけではなく、それらの混合物は、チューインガムベースに添加することができる従来使用されてきた乳化剤の例である。以下に定義される生物学的または薬学的に活性な成分が存在する場合、製剤は、その活性成分を分散させ放出するために、特定の特異的乳化剤および/または可溶化剤を含みうる。
【0191】
ワックスおよび脂肪は、チューインガムベースを調製する際に、テクスチャーの調節のために、およびチューインガムベースの軟化のために、従来使用されてきた。本発明との関連では、例えばライスワックス(rice bran wax)、ポリエチレンワックス、石油ワックス(精製パラフィンワックスおよびマイクロクリスタリンワックス)、ソルビタンモノステアレート、獣脂、プロピレングリコール、パラフィン、ミツロウ、カルナウバワックス、カンデリラワックス、カカオ脂、脱脂ココアパウダーおよび任意の油または脂肪、例えば完全水素化もしくは部分水素化植物油または完全水素化もしくは部分水素化動物脂など、従来使用されてきた適切なタイプの天然および合成のワックスおよび脂肪をどれでも使用しうる。
【0192】
チューインガムベースは、所望であれば、1つまたは複数の充填剤/テクスチャー改良剤(texturiser)、例としてマグネシウムおよび炭酸カルシウム、硫酸ナトリウム、粉末状石灰石、ケイ酸塩化合物、例えばケイ酸マグネシウムおよびケイ酸アルミニウム、カオリンおよび粘土、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、タルク、酸化チタン、モノ-、ジ-およびトリ-リン酸カルシウム、セルロースポリマー、例えば木質、ならびにそれらの組合せなどを含みうる。本発明の一態様において、チューインガムは生分解性ガムベースポリマーを含む。
【0193】
チューインガムは、ラクトース無水物または一水和物、ポビドン、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、E171、E172、マンニトール、ラウリル硫酸ナトリウム、イプロメロース(ipromellose)、メタクリル酸コポリマー、マクロゴール、ステアリン酸マグネシウム、ゼラチン、サッカロース、デンプン、ソルビトール、フレーバー、サッカリンナトリウム、コロイダルシリカ、二酸化チタン、マルチトールシロップ、アラビアガム、グリセロール、アスパルテーム、水素化植物油、ソルビトール、クエン酸、ペクチン、カラメル、スクロースおよびメチルセルロースからなる群より選択される少なくとも1つの送達媒体および/または賦形剤を、さらに含みうる。
【0194】
チューインガムは香味料を含みうる。
【0195】
チューインガムは増粘剤、例えばアラビアガムを含みうる。
【0196】
チューインガムは保水剤、例えばグリセロールを含みうる。
【0197】
甘味料として、チューインガムは、ソルビトール、イソマルト、マルチトール、キシリトール、アセスルファムK、および/またはスクラロースを含みうる。
【0198】
チューインガムは、さらなる成分、例えば亜鉛または亜鉛の塩を含みうる。したがってチューインガムは亜鉛を含みうる。チューインガムは亜鉛の塩、例えば酢酸亜鉛を含みうる。
【0199】
好ましい一態様において、チューインガムは無糖である。一般に、無糖ガムは、標準的なガム製剤において使用される糖を、ポリオールと通常呼ばれるポリアルコールで置き換えて作られる。それらは、例えばソルビトール、マンニトール、マルチトール、イソマルト、ラクチトールおよびキシリトールである。通常、無糖ガムはグルコースシロップを含まない。無糖チューインガムの典型的な、単なる例示としての製剤、ただし本発明の化合物(キトサンもしくはその塩、ガラクトース、マンノース、および/またはカフェイン)をまだ含んでいないものは、ガムベース(重量でチューインガムの重量の24.00%)、マンニトール(重量でチューインガムの0~5.00%)、マルチトールシロップ(例えば重量で85%の固形分)(重量でチューインガムの7.00~12.00%)、ソルビトール溶液(例えば重量で70%)(重量でチューインガムの0.00~10.00%)、グリセリン(重量でチューインガムの1.00~6.00%)、キシリトール粉末(重量でチューインガムの0.00~10.00%)、フレーバー(重量でチューインガムの1.00~1.50%)、カプセル化フレーバー(重量でチューインガムの0.20~2.00%)、フルーツ酸(随意)(重量でチューインガムの1.00%)、色材(重量でチューインガムの0.03%)、高甘味度甘味料(重量でチューインガムの0.20~0.40%)、およびソルビトール粉末(重量でチューインガムの100.00%まで)を含みうる。
【0200】
チューインガムは、ハードコーティング、ソフトコーティングおよび可食性薄膜コーティングおよびそれらの任意の組合せからなる群より選択される外側コーティング(グレージングとも呼ばれる)を備えてもよい。例えば外側コーティングはカルナウバワックスであるか、またはカルナウバワックスを含みうる。したがってカルナウバワックスはチューインガム用のグレージング剤として使用しうる。
【0201】
チューインガムは、錠剤、ドラジェ(例えば枕形ドラジェ(pillow shape dragee))、立方体、ラウンドガム(round gum)、またはスティック(例えばミニスティック)の形態を有しうる。例えばチューインガムは錠剤またはドラジェでありうる。
【0202】
特に好ましい一態様において、チューインガムは、ソルビトール、イソマルト、マルチトール、キシリトール、アセスルファムK、スクラロース、ガムベース、香味料(flavouring)、グリセロール、アラビアガム、キトサン、酢酸亜鉛、およびカルナウバワックス(グレージング剤)を含む。任意で、チューインガムはクエン酸をさらに含みうる。
【0203】
チューインガムは、当業者に公知の任意のチューインガム調製方法により、限定ではない単なる例であるが、混合、混練および/また融解を適用して、調製されうる。例えばチューインガムはバッチ混合することができ、またはチューインガムは押し出すことができる。単なる一具体例として、まず、融解および濾過またはフィルタリングプロセスによって、ガムベースを調製しうる。次に、その温かい混合物がドウのように濃密になるまで、他の成分、例えば栄養または非栄養甘味料およびフレーバーをガムベースに加える。この混合プロセス中は、ポリマーのエントロピーを増加させることで成分のより均一な分散を達成するために、ガムベース混合物を加熱することができる。次に、ガムを平らにし、形成し、造形するために、押出し技術を実行しうる。次に、ガムは造形プロセスに進みうる。例えば、切断包装(cut and wrap)(塊状(chunk)または立方体(cube))ピースは、垂直カッターを使って、押出機を出てすぐに切り離される。シート加工は、スティックガム、スラブガムおよびタブガムにしばしば使用される技法である。次に、ガムを粉末状ポリオールの散布によってコンディショニングするか、または温度制御されたコーティング槽を使った後続のコーティング層の適用によってコーティングしてから、パッケージングに送ることができる。
【0204】
チューインガムは、本明細書記載の使用のいずれか一つのためのチューインガムであるか、または本明細書記載の使用または方法のいずれか一つにおいて使用されうる。したがってチューインガムは、ウイルスまたは細菌による感染の防止用、特にSARS-CoV-2による感染の防止用でありうる。また、チューインガムは、ウイルス感染または細菌感染、例えばSARS-CoV-2によるものの処置用、および/またはウイルス感染もしくは細菌感染によって引き起こされる疾患、例えばCOVID-19の処置用でありうる。
【0205】
可食性組成物
本発明は、キトサンまたはその塩からなる群より選択される化合物を含む可食性組成物にも関係する。したがって、化合物はキトサンまたはキトサンの塩でありうる。キトサンの塩は、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択されうる。したがって、塩はキトサン乳酸塩でありうる。塩はキトサン酢酸塩でありうる。塩はキトサン塩酸塩でありうる。本明細書には、前記化合物の任意の組合せも記載される。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。
【0206】
化合物がキトサンである場合、任意で、可食性組成物は酸をさらに含みうる。好ましくは、酸は、限定するわけではないが、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、任意のフルーツ酸、食品酸味料、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される。より好ましくは酸はクエン酸である。酸は、キトサンの少なくとも一部がそのカチオン型に変換されるように、pHを低下させうる。したがって、水におけるキトサンの溶解度を増加させることができる。
【0207】
可食性組成物は固形組成物でありうる。
【0208】
可食性組成物は液状組成物でありうる。
【0209】
可食性組成物は栄養補助食品でありうる。可食性組成物は食品でありうる。可食性組成物は飲料でありうる。
【0210】
好ましくは、可食性組成物は、キャンディ、ボンボン、フルーツガム、チョコレート、チューインガム、および飲料調製用の組成物(例えばコーヒー組成物、茶組成物、シャーベット粉末、発泡錠)からなる群より選択される。したがって可食性組成物は、キャンディ、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意のキャンディでありうる。可食性組成物はボンボンでありうる。可食性組成物はフルーツガムでありうる。可食性組成物はチョコレートでありうる。可食性組成物は、チューインガム、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意のチューインガムでありうる。可食性組成物は飲料調製用の組成物でありうる。可食性組成物はコーヒー組成物でありうる。可食性組成物は、茶組成物、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意の茶組成物でありうる。可食性組成物はシャーベット粉末でありうる。可食性組成物は発泡錠でありうる。
【0211】
好ましくは、可食性組成物はキャンディ、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意のキャンディである。任意のキャンディを想定することができ、例示のための非限定的な例として、キャンディは、例えばフルーツキャンディ、例えばレモンドロップ、ベリードロップもしくはチェリードロップなど、またはフルーツガム、またはコーヒーキャンディ、または任意のボンボンでありうる。より好ましくは、キャンディはキトサンまたはその塩を含む。任意で、キャンディは酸をさらに含有しうる。酸は、キトサンを含む製剤に関して本明細書に記載される任意の酸、例えばクエン酸であってよい。
【0212】
好ましくは、可食性組成物は茶組成物、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意の茶組成物である。より好ましくは、茶組成物はキトサンまたはその塩を含む。例示のための非限定的な例として、茶組成物は、ティーバッグに含まれる茶組成物でありうる。例えばアルカリ茶(塩基性茶または塩基茶としても公知である)、果実茶、緑茶、紅茶、またはハーブ茶など、任意の茶組成物を想定することができる。好ましくは、茶組成物はアルカリ茶または果実茶である。本明細書全体にわたって本明細書において使用される場合、用語「アルカリ茶」は、一般に、水を使った調製後に、アルカリ性pH、例えばpH>7などを有する茶組成物を指し、アルカリ茶は広く公知であり、例えばアルカリ茶はさまざまなハーブを含みうる。任意で、茶組成物は酸をさらに含有しうる。酸は、キトサンを含む製剤に関して本明細書に記載される任意の酸、例えばクエン酸であってよい。上記に加えて、または上記に代えて、酸は、水による調製前または調製後に茶に加えることができ、例えばレモン果汁を、調製前または調製後に、例えば茶のコップに加えうる。
【0213】
好ましくは、可食性組成物は、茶、コーヒー、果汁、レモネード、ミルク、コーラ、飲用可能な乳製品(例えば飲用可能なヨーグルト)、シャーベット粉末または発泡錠を溶解することによって得ることができる飲料、およびアルコール飲料からなる群より選択される飲料である。したがって可食性組成物は茶、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意の茶である。可食性組成物はコーヒーである。可食性組成物は果汁である。可食性組成物はレモネードである。可食性組成物はミルクである。可食性組成物はコーラである。可食性組成物は飲用可能な乳製品である。可食性組成物は飲用可能なヨーグルトである。可食性組成物はシャーベット粉末または発泡錠を溶解することによって得ることができる飲料である。可食性組成物はアルコール飲料、例えばビールまたはワインである。
【0214】
好ましくは、飲料は茶である。より好ましくは、茶はキトサンまたはその塩を含む。例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意の茶、例えばアルカリ茶(塩基性茶または塩基茶としても公知である)、果実茶、緑茶、紅茶、またはハーブ茶など、任意の茶を想定することができる。好ましくは、茶はアルカリ茶または果実茶である。任意で、茶は酸をさらに含有しうる。酸は、キトサンを含む製剤に関して本明細書に記載される任意の酸、例えばクエン酸であってよい。
【0215】
可食性組成物は粒子を含みうる。好ましくは、粒子はマイクロ粒子またはナノ粒子であり、より好ましくは粒子はマイクロ粒子である。好ましくは、粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子は、キトサンまたはその塩を含む。キトサンの塩は、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択されうる。したがって、塩はキトサン乳酸塩でありうる。塩はキトサン酢酸塩でありうる。塩はキトサン塩酸塩でありうる。また、本明細書には、前記化合物の任意の組合せを含む粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子も記載される。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。
【0216】
粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子は、キトサンもしくはその塩の他に、さらなるポリマーまたはバイオポリマーを含みうる。ポリマーまたはバイオポリマーは、限定するわけではないが、以下の物質または物質のクラスのうちの1つまたは複数を含むことができる:タンパク質、多糖、炭化水素、核酸、アプタマー、コラーゲン、コラーゲン-n-ヒドロキシスクシンイミド、フィブリン、ゼラチン、アルブミン、アルギネート、血漿タンパク質、乳タンパク質、カゼイン、タンパク質ベースのポリマー、ヒアルロン酸、ペクチン、アラビアガムおよび他のガム類、カゼイン、乳清タンパク質、グルテン、デンプン、セルロース、ポリ乳酸、ポリグリコール酸のような医薬用途または化粧用途のための合成ポリマー、植物および微生物の細胞溶解物、前記ポリマーのコポリマーおよび/または誘導体および/または混合物および/または化学修飾物、ならびに鎖長または分子量などの材料パラメータが異なるそれらの任意の組合せ。ポリマーは、例えば、(活性成分の組込みおよび加工などのための)賦形剤として、(例えば化粧品のための)製剤用基材として、利用されうる。好ましくは、さらなるバイオポリマーはヒアルロン酸である。したがって、好ましい一態様において、粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子は、キトサンまたはその塩に加えて、ヒアルロン酸を含む。
【0217】
いくつかの態様において、可食性組成物は粒子の共凝集体を含みうる。好ましくは共凝集体はマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体であり、より好ましくは共凝集体はマイクロ粒子の共凝集体である。好ましくは、粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体は、キトサンまたはその塩を含む。キトサンの塩は、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択されうる。したがって、塩はキトサン乳酸塩でありうる。塩はキトサン酢酸塩でありうる。塩はキトサン塩酸塩でありうる。また、本明細書には、前記化合物の任意の組合せを含む、粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体も記載される。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。
【0218】
粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体は、キトサンもしくはその塩に加えて、さらなるポリマーまたはバイオポリマーを含みうる。ポリマーまたはバイオポリマーは、限定するわけではないが、以下の物質または物質のクラスのうちの1つまたは複数を含むことができる:タンパク質、多糖、炭化水素、核酸、アプタマー、コラーゲン、コラーゲン-n-ヒドロキシスクシンイミド、フィブリン、ゼラチン、アルブミン、アルギネート、血漿タンパク質、乳タンパク質、カゼイン、タンパク質ベースのポリマー、ヒアルロン酸、ペクチン、アラビアガムおよび他のガム類、カゼイン、乳清タンパク質、グルテン、デンプン、セルロース、ポリ乳酸、ポリグリコール酸のような医薬用途または化粧用途のための合成ポリマー、植物および微生物の細胞溶解物、前記ポリマーのコポリマーおよび/または誘導体および/または混合物および/または化学修飾物、ならびに鎖長または分子量などの材料パラメータが異なるそれらの任意の組合せ。ポリマーは、例えば、(活性成分の組込みおよび加工などのための)賦形剤として、(例えば化粧品のための)製剤用基材として、利用されうる。好ましくは、さらなるバイオポリマーはヒアルロン酸である。したがって、好ましい一態様において、粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体は、キトサンまたはその塩に加えて、ヒアルロン酸を含む。
【0219】
可食性組成物において、キトサンまたはその塩は60%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は70%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は80%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は90%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は95%以上の脱アセチル化度を有しうる。
【0220】
可食性組成物において、キトサンまたはその塩は30%~60%の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は30%~60%の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は35%~55%の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は40%~50%の脱アセチル化度を有しうる。
【0221】
いくつかの態様において、キトサンまたはその塩は20000Da~460000Daの分子量を有する。
【0222】
いくつかの態様において、可食性組成物は、20000Da未満の分子量を有するオリゴキトサン、または20000Da未満の分子量を有するオリゴキトサンの塩を含みうる。
【0223】
可食性組成物は、本明細書記載の使用のいずれか一つのための可食性組成物であるか、または本明細書記載の使用または方法のいずれか一つにおいて使用されうる。
【0224】
口腔投与、鼻腔投与、または気管支投与に適した組成物
本発明は、口腔投与、鼻腔投与、または気管支投与に適した組成物であって、キトサンまたはその塩を含む粒子を含む組成物にも関係する。したがって粒子はキトサンまたはキトサンの塩を含む。キトサンの塩は、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択されうる。したがって、塩はキトサン乳酸塩でありうる。塩はキトサン酢酸塩でありうる。塩はキトサン塩酸塩でありうる。本明細書には、前記化合物の任意の組合せも記載される。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。
【0225】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、口腔投与、鼻腔投与、または気管支投与に適した、マイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子を含む組成物であって、マイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子がキトサンまたはその塩を含む組成物にも関係する。したがって、マイクロ粒子またはナノ粒子、好ましくはマイクロ粒子は、キトサンまたはキトサンの塩を含む。キトサンの塩は、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択されうる。したがって、塩はキトサン乳酸塩でありうる。塩はキトサン酢酸塩でありうる。塩はキトサン塩酸塩でありうる。本明細書には、前記化合物の任意の組合せも記載される。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。
【0226】
化合物がキトサンである場合、任意で、組成物は酸をさらに含みうる。好ましくは、酸は、限定するわけではないが、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、任意のフルーツ酸、食品酸味料、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される。より好ましくは酸はクエン酸である。酸は、キトサンの少なくとも一部がそのカチオン型に変換されるように、pHを低下させうる。したがって、水におけるキトサンの溶解度を増加させることができる。
【0227】
組成物は口腔投与に適しうる。
【0228】
組成物は鼻腔投与に適しうる。
【0229】
組成物は気管支投与に適しうる。
【0230】
粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子は、キトサンもしくはその塩の他に、さらなるポリマーまたはバイオポリマーを含みうる。ポリマーまたはバイオポリマーは、限定するわけではないが、以下の物質または物質のクラスのうちの1つまたは複数を含むことができる:タンパク質、多糖、炭化水素、核酸、アプタマー、コラーゲン、コラーゲン-n-ヒドロキシスクシンイミド、フィブリン、ゼラチン、アルブミン、アルギネート、血漿タンパク質、乳タンパク質、カゼイン、タンパク質ベースのポリマー、ヒアルロン酸、ペクチン、アラビアガムおよび他のガム類、カゼイン、乳清タンパク質、グルテン、デンプン、セルロース、ポリ乳酸、ポリグリコール酸のような医薬用途または化粧用途のための合成ポリマー、植物および微生物の細胞溶解物、前記ポリマーのコポリマーおよび/または誘導体および/または混合物および/または化学修飾物、ならびに鎖長または分子量などの材料パラメータが異なるそれらの任意の組合せ。ポリマーは、例えば、(活性成分の組込みおよび加工などのための)賦形剤として、(例えば化粧品のための)製剤用基材として、利用されうる。好ましくは、さらなるバイオポリマーはヒアルロン酸である。したがって、好ましい一態様において、粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子は、キトサンまたはその塩に加えて、ヒアルロン酸を含む。
【0231】
いくつかの態様において、可食性組成物は粒子の共凝集体を含みうる。好ましくは、共凝集体はマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体であり、より好ましくは共凝集体はマイクロ粒子の共凝集体である。好ましくは、粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体は、キトサンまたはその塩を含む。キトサンの塩は、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択されうる。したがって、塩はキトサン乳酸塩でありうる。塩はキトサン酢酸塩でありうる。塩はキトサン塩酸塩でありうる。また、本明細書には、前記化合物の任意の組合せを含む、粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体も記載される。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。
【0232】
粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体は、キトサンもしくはその塩に加えて、さらなるポリマーまたはバイオポリマーを含みうる。ポリマーまたはバイオポリマーは、限定するわけではないが、以下の物質または物質のクラスのうちの1つまたは複数を含むことができる:タンパク質、多糖、炭化水素、核酸、アプタマー、コラーゲン、コラーゲン-n-ヒドロキシスクシンイミド、フィブリン、ゼラチン、アルブミン、アルギネート、血漿タンパク質、乳タンパク質、カゼイン、タンパク質ベースのポリマー、ヒアルロン酸、ペクチン、アラビアガムおよび他のガム類、カゼイン、乳清タンパク質、グルテン、デンプン、セルロース、ポリ乳酸、ポリグリコール酸のような医薬用途または化粧用途のための合成ポリマー、植物および微生物の細胞溶解物、前記ポリマーのコポリマーおよび/または誘導体および/または混合物および/または化学修飾物、ならびに鎖長または分子量などの材料パラメータが異なるそれらの任意の組合せ。ポリマーは、例えば、(活性成分の組込みおよび加工などのための)賦形剤として、(例えば化粧品のための)製剤用基材として、利用されうる。好ましくは、さらなるバイオポリマーはヒアルロン酸である。したがって、好ましい一態様において、粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体は、キトサンまたはその塩に加えて、ヒアルロン酸を含む。
【0233】
組成物において、キトサンまたはその塩は60%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は70%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は80%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は90%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は95%以上の脱アセチル化度を有しうる。
【0234】
組成物において、キトサンまたはその塩は30%~60%の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は30%~60%の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は35%~55%の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は40%~50%の脱アセチル化度を有しうる。
【0235】
いくつかの態様において、キトサンまたはその塩は20000Da~460000Daの分子量を有する。
【0236】
いくつかの態様において、組成物は、20000Da未満の分子量を有するオリゴキトサン、または20000Da未満の分子量を有するオリゴキトサンの塩を含みうる。
【0237】
組成物は固形組成物でありうる。
【0238】
組成物は液状組成物でありうる。
【0239】
好ましくは、組成物は、噴霧または含嗽のための組成物、洗口剤、口腔に適用するためのゲル、点鼻スプレー、点鼻オイル、点鼻液製剤、および鼻洗浄製剤からなる群より選択される。したがって、組成物は噴霧または含嗽のための組成物でありうる。組成物は洗口剤でありうる。組成物は口腔に適用するためのゲルでありうる。組成物は点鼻スプレーでありうる。組成物は点鼻オイルでありうる。組成物は点鼻液製剤でありうる。組成物は鼻洗浄製剤でありうる。
【0240】
口腔投与、鼻腔投与、または気管支投与に適した組成物は、本明細書記載の使用のいずれか一つのための組成物であるか、または本明細書記載の使用または方法のいずれか一つにおいて使用されうる。
【0241】
持続送達系
本発明は、キトサンまたはその塩を含む持続送達系にも関係する。したがって持続送達系はキトサンまたはキトサンの塩を含む。キトサンの塩は、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択されうる。したがって、塩はキトサン乳酸塩でありうる。塩はキトサン酢酸塩でありうる。塩はキトサン塩酸塩でありうる。本明細書には、前記化合物の任意の組合せも記載される。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。
【0242】
化合物がキトサンである場合、任意で、持続送達系は酸をさらに含みうる。好ましくは、酸は、限定するわけではないが、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、任意のフルーツ酸、食品酸味料、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される。より好ましくは酸はクエン酸である。酸は、キトサンの少なくとも一部がそのカチオン型に変換されるように、pHを低下させうる。したがって、水におけるキトサンの溶解度を増加させることができる。
【0243】
好ましくは、持続送達系は口腔またはバッカル持続送達系である。
【0244】
好ましくは、持続送達系は固形または半固形剤形を含む。
【0245】
持続送達系は、薄膜、層構造の薄膜、錠剤、カプセル剤、ゲル体(例えば口腔用のゲル)、チューインガム、キャンディ、ボンボン、フルーツガム、およびチョコレートからなる群より選択されうる。したがって持続送達系は薄膜でありうる。持続送達系は層構造の薄膜でありうる。持続送達系は錠剤でありうる。持続送達系はカプセル剤でありうる。持続送達系はゲル体でありうる。持続送達系は口腔用のゲルでありうる。持続送達系は、チューインガム、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意のチューインガムでありうる。持続送達系は、キャンディ、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意のキャンディでありうる。持続送達系はボンボンでありうる。持続送達系はフルーツガムでありうる。持続送達系はチョコレートでありうる。
【0246】
持続送達系は、粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子を含み、粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子は、キトサンまたはその塩を含む。キトサンの塩は、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択されうる。したがって、塩はキトサン乳酸塩でありうる。塩はキトサン酢酸塩でありうる。塩はキトサン塩酸塩でありうる。また、本明細書には、前記化合物の任意の組合せを含む粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子も記載される。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。
【0247】
粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子は、キトサンもしくはその塩の他に、さらなるポリマーまたはバイオポリマーを含みうる。ポリマーまたはバイオポリマーは、限定するわけではないが、以下の物質または物質のクラスのうちの1つまたは複数を含むことができる:タンパク質、多糖、炭化水素、核酸、アプタマー、コラーゲン、コラーゲン-n-ヒドロキシスクシンイミド、フィブリン、ゼラチン、アルブミン、アルギネート、血漿タンパク質、乳タンパク質、カゼイン、タンパク質ベースのポリマー、ヒアルロン酸、ペクチン、アラビアガムおよび他のガム類、カゼイン、乳清タンパク質、グルテン、デンプン、セルロース、ポリ乳酸、ポリグリコール酸のような医薬用途または化粧用途のための合成ポリマー、植物および微生物の細胞溶解物、前記ポリマーのコポリマーおよび/または誘導体および/または混合物および/または化学修飾物、ならびに鎖長または分子量などの材料パラメータが異なるそれらの任意の組合せ。ポリマーは、例えば、(活性成分の組込みおよび加工などのための)賦形剤として、(例えば化粧品のための)製剤用基材として、利用されうる。好ましくは、さらなるバイオポリマーはヒアルロン酸である。したがって、好ましい一態様において、粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子、好ましくはマイクロ粒子は、キトサンまたはその塩に加えて、ヒアルロン酸を含む。
【0248】
いくつかの態様において、持続送達系は粒子の共凝集体を含む。好ましくは、共凝集体はマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体であり、より好ましくは共凝集体はマイクロ粒子の共凝集体である。好ましくは、粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体は、キトサンまたはその塩を含む。キトサンの塩は、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択されうる。したがって、塩はキトサン乳酸塩でありうる。塩はキトサン酢酸塩でありうる。塩はキトサン塩酸塩でありうる。また、本明細書には、前記化合物の任意の組合せを含む、粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体も記載される。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。
【0249】
粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体は、キトサンもしくはその塩に加えて、さらなるポリマーまたはバイオポリマーを含みうる。ポリマーまたはバイオポリマーは、限定するわけではないが、以下の物質または物質のクラスのうちの1つまたは複数を含むことができる:タンパク質、多糖、炭化水素、核酸、アプタマー、コラーゲン、コラーゲン-n-ヒドロキシスクシンイミド、フィブリン、ゼラチン、アルブミン、アルギネート、血漿タンパク質、乳タンパク質、カゼイン、タンパク質ベースのポリマー、ヒアルロン酸、ペクチン、アラビアガムおよび他のガム類、カゼイン、乳清タンパク質、グルテン、デンプン、セルロース、ポリ乳酸、ポリグリコール酸のような医薬用途または化粧用途のための合成ポリマー、植物および微生物の細胞溶解物、前記ポリマーのコポリマーおよび/または誘導体および/または混合物および/または化学修飾物、ならびに鎖長または分子量などの材料パラメータが異なるそれらの任意の組合せ。ポリマーは、例えば、(活性成分の組込みおよび加工などのための)賦形剤として、(例えば化粧品のための)製剤用基材として、利用されうる。好ましくは、さらなるバイオポリマーはヒアルロン酸である。したがって、好ましい一態様において、粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体は、キトサンまたはその塩に加えて、ヒアルロン酸を含む。
【0250】
持続送達系において、キトサンまたはその塩は60%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は70%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は80%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は90%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は95%以上の脱アセチル化度を有しうる。
【0251】
持続送達系において、キトサンまたはその塩は30%~60%の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は30%~60%の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は35%~55%の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は40%~50%の脱アセチル化度を有しうる。
【0252】
いくつかの態様において、キトサンまたはその塩は20000Da~460000Daの分子量を有する。
【0253】
いくつかの態様において、持続送達系は、20000Da未満の分子量を有するオリゴキトサン、または20000Da未満の分子量を有するオリゴキトサンの塩を含みうる。
【0254】
持続送達系は、本明細書記載の使用のいずれか一つのための持続送達系であるか、または本明細書記載の使用または方法のいずれか一つにおいて使用されうる。
【0255】
表面または皮膚を処置するのに適した組成物、表面または皮膚を処置する方法、およびその使用
本発明は、皮膚の表面を処置するのに適した組成物であって、キトサンまたはその塩を含む粒子を含む組成物にも関係する。したがって粒子はキトサンまたはキトサンの塩を含む。キトサンの塩は、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択されうる。したがって、塩はキトサン乳酸塩でありうる。塩はキトサン酢酸塩でありうる。塩はキトサン塩酸塩でありうる。本明細書には、前記化合物の任意の組合せも記載される。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。
【0256】
好ましくは、いくつかの態様において、本発明は、マイクロ粒子またはナノ粒子、好ましくはマイクロ粒子を含む、表面または皮膚を処置するのに適した組成物であって、マイクロ粒子またはナノ粒子、好ましくはマイクロ粒子が、キトサンまたはその塩を含む組成物にも関係する。したがって、マイクロ粒子またはナノ粒子、好ましくはマイクロ粒子は、キトサンまたはキトサンの塩を含む。キトサンの塩は、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択されうる。したがって、塩はキトサン乳酸塩でありうる。塩はキトサン酢酸塩でありうる。塩はキトサン塩酸塩でありうる。本明細書には、前記化合物の任意の組合せも記載される。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。
【0257】
化合物がキトサンである場合、任意で、組成物は酸をさらに含みうる。好ましくは、酸は、限定するわけではないが、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、任意のフルーツ酸、食品酸味料、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される。より好ましくは酸はクエン酸である。酸は、キトサンの少なくとも一部がそのカチオン型に変換されるように、pHを低下させうる。したがって、水におけるキトサンの溶解度を増加させることができる。
【0258】
粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子は、キトサンもしくはその塩の他に、さらなるポリマーまたはバイオポリマーを含みうる。ポリマーまたはバイオポリマーは、限定するわけではないが、以下の物質または物質のクラスのうちの1つまたは複数を含むことができる:タンパク質、多糖、炭化水素、核酸、アプタマー、コラーゲン、コラーゲン-n-ヒドロキシスクシンイミド、フィブリン、ゼラチン、アルブミン、アルギネート、血漿タンパク質、乳タンパク質、カゼイン、タンパク質ベースのポリマー、ヒアルロン酸、ペクチン、アラビアガムおよび他のガム類、カゼイン、乳清タンパク質、グルテン、デンプン、セルロース、ポリ乳酸、ポリグリコール酸のような医薬用途または化粧用途のための合成ポリマー、植物および微生物の細胞溶解物、前記ポリマーのコポリマーおよび/または誘導体および/または混合物および/または化学修飾物、ならびに鎖長または分子量などの材料パラメータが異なるそれらの任意の組合せ。ポリマーは、例えば、(活性成分の組込みおよび加工などのための)賦形剤として、(例えば化粧品のための)製剤用基材として、利用されうる。好ましくは、さらなるバイオポリマーはヒアルロン酸である。したがって、好ましい一態様において、粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子は、キトサンまたはその塩に加えて、ヒアルロン酸を含む。特に、組成物が皮膚を処置するのに適した組成物、例えばスキンケア組成物、例えば本明細書記載の任意のスキンケア組成物、例えばローションまたはクリームなどである場合、ヒアルロン酸は好ましい。
【0259】
いくつかの態様において、組成物は粒子の共凝集体を含みうる。好ましくは、共凝集体はマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体であり、より好ましくは共凝集体はマイクロ粒子の共凝集体である。好ましくは、粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体は、キトサンまたはその塩を含む。キトサンの塩は、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択されうる。したがって、塩はキトサン乳酸塩でありうる。塩はキトサン酢酸塩でありうる。塩はキトサン塩酸塩でありうる。また、本明細書には、前記化合物の任意の組合せを含む、粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体も記載される。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。
【0260】
共凝集体粒子、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはナノ粒子の共凝集体は、キトサンもしくはその塩に加えて、さらなるポリマーまたはバイオポリマーを含みうる。ポリマーまたはバイオポリマーは、限定するわけではないが、以下の物質または物質のクラスのうちの1つまたは複数を含むことができる:タンパク質、多糖、炭化水素、核酸、アプタマー、コラーゲン、コラーゲン-n-ヒドロキシスクシンイミド、フィブリン、ゼラチン、アルブミン、アルギネート、血漿タンパク質、乳タンパク質、カゼイン、タンパク質ベースのポリマー、ヒアルロン酸、ペクチン、アラビアガムおよび他のガム類、カゼイン、乳清タンパク質、グルテン、デンプン、セルロース、ポリ乳酸、ポリグリコール酸のような医薬用途または化粧用途のための合成ポリマー、植物および微生物の細胞溶解物、前記ポリマーのコポリマーおよび/または誘導体および/または混合物および/または化学修飾物、ならびに鎖長または分子量などの材料パラメータが異なるそれらの任意の組合せ。ポリマーは、例えば、(活性成分の組込みおよび加工などのための)賦形剤として、(例えば化粧品のための)製剤用基材として、利用されうる。好ましくは、さらなるバイオポリマーはヒアルロン酸である。したがって、好ましい一態様において、粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体は、キトサンまたはその塩に加えて、ヒアルロン酸を含む。特に、組成物が皮膚を処置するのに適した組成物、例えばスキンケア組成物、例えば本明細書記載の任意のスキンケア組成物、例えばローションまたはクリームなどである場合、ヒアルロン酸は好ましい。
【0261】
組成物において、キトサンまたはその塩は60%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は70%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は80%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は90%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は95%以上の脱アセチル化度を有しうる。
【0262】
組成物において、キトサンまたはその塩は30%~60%の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は30%~60%の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は35%~55%の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は40%~50%の脱アセチル化度を有しうる。
【0263】
いくつかの態様において、キトサンまたはその塩は20000Da~460000Daの分子量を有する。
【0264】
いくつかの態様において、組成物は、20000Da未満の分子量を有するオリゴキトサン、または20000Da未満の分子量を有するオリゴキトサンの塩を含みうる。
【0265】
表面または皮膚を処置するのに適した組成物は、消毒薬、スキンケア組成物(例えばローション、クリーム、ゲル、スプレー、サルブ、軟膏、または粉末)、セッケン(例えば液状セッケン)、および洗剤製剤(例えば洗濯用洗剤製剤または食器用洗剤製剤)からなる群より選択されうる。したがって、表面または皮膚を処置するのに適した組成物は、消毒薬でありうる。組成物はスキンケア組成物でありうる。スキンケア組成物は、キトサンまたはその塩またはその誘導体の送達を可能にする任意の化粧系または化粧成分を含みうる。組成物はローションでありうる。組成物はクリームでありうる。組成物はゲルでありうる。組成物はスプレーでありうる。組成物はサルブでありうる。組成物は軟膏でありうる。組成物は粉末でありうる。組成物はセッケンでありうる。組成物は液状セッケンでありうる。組成物は洗剤製剤でありうる。組成物は洗濯用洗剤製剤でありうる。組成物は食器用洗剤製剤でありうる。
【0266】
表面または皮膚を処置するのに適した組成物は、本明細書記載の使用のいずれか一つのための組成物であるか、または本明細書記載の使用または方法のいずれか一つにおいて使用されうる。
【0267】
本発明は、表面または皮膚を処置する方法であって、表面または皮膚を、表面または皮膚を処置するための本発明の組成物と接触させる工程を含む方法にも関係する。好ましくは、本方法は、ウイルス、細菌、原生動物、または真菌を不活化する工程を含む。したがって本方法はウイルスを不活化する工程を含みうる。本方法は細菌を不活化する工程を含みうる。本方法は原生動物を不活化する工程を含みうる。本方法は真菌を不活化する工程を含みうる。ウイルス、細菌、原生動物、または真菌は、本明細書に定義される任意のウイルス、細菌、原生動物または真菌でありうる。好ましくは、本方法は、例えばSARS-CoV-2などのウイルスを不活化する工程を含む。
【0268】
好ましくは、ウイルスは呼吸器ウイルスである。より好ましくは、ウイルスは、コロナウイルス、好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、および呼吸器合胞体ウイルス[RSV]からなる群より選択される。したがって、コロナウイルスはヒト病原性コロナウイルスでありうる。さらに好ましくは、ヒト病原性コロナウイルスはベータコロナウイルスである。ヒト病原性コロナウイルスはSARS-CoV-2でありうる。ヒト病原性コロナウイルスはMERS-CoVでありうる。ヒト病原性コロナウイルスはSARS-CoV-1でありうる。最も好ましくは、ヒト病原性コロナウイルスはSARS-CoV-2である。
【0269】
本発明は、ウイルス、細菌、原生動物または真菌を不活化するための、表面または皮膚を処置するための本発明の組成物の使用にも関係する。特に、使用は、表面または皮膚を、表面または皮膚を処置するための本発明の組成物と接触させる工程を含む。使用はウイルスを不活化するための使用でありうる。使用は細菌を不活化するための使用でありうる。使用は原生動物を不活化するための使用でありうる。使用は真菌を不活化するための使用でありうる。
【0270】
ウイルス、細菌、原生動物または真菌は、本明細書に定義される任意のウイルス、細菌、原生動物または真菌でありうる。好ましくは、使用は、例えばSARS-CoV-2などのウイルスを不活化するための使用である。好ましくは、ウイルスは呼吸器ウイルスである。より好ましくは、ウイルスは、コロナウイルス、好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、および呼吸器合胞体ウイルス[RSV]からなる群より選択される。したがって、コロナウイルスはヒト病原性コロナウイルスでありうる。さらに好ましくは、ヒト病原性コロナウイルスはベータコロナウイルスである。ヒト病原性コロナウイルスはSARS-CoV-2でありうる。ヒト病原性コロナウイルスはMERS-CoVでありうる。ヒト病原性コロナウイルスはSARS-CoV-1でありうる。最も好ましくは、ヒト病原性コロナウイルスはSARS-CoV-2である。
【0271】
使用は、非医療的使用でありうる。
【0272】
ウイルス中和抗体の結合を増加させる方法
本発明は、ウイルス中和抗体の結合を増加させる方法であって、ウイルスと該ウイルスに結合するウイルス中和抗体とを含有する流体を、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物と接触させる工程を含む方法にも関係する。
【0273】
好ましくは、流体は体液である。例えば、体液は、血液、唾液および粘膜分泌物からなる群より選択されうる。したがって体液は唾液でありうる。体液は血液でありうる。体液は粘膜分泌物でありうる。粘膜分泌物は鼻腔分泌物および/または気管支分泌物でありうる。例えば組成物は、好ましくは唾液に、または気道の粘膜分泌物に、送達される。呼吸器ウイルス、例えばSARS-CoV-2などは、人体に進入した後、典型的にはそのような体液中に存在するからである。体液を化合物またはその組合せと接触させるには、単なる具体例として、噴霧、含嗽、飲料の飲用、可食性組成物の摂食、チューインガムの咀嚼、血管への注射または注入など、当業者に公知の方法をいずれも、使用しうる。
【0274】
上記に加えて、または上記に代えて、本方法は、粘膜を化合物と接触させる工程を含みうる。特に、ウイルスが例えばウイルスSARS-CoV-2などの呼吸器ウイルスである場合、粘膜は、鼻の粘膜、咽頭の粘膜、口の粘膜および気管支の粘膜からなる群より選択されうる。したがって粘膜は鼻の粘膜でありうる。粘膜は咽頭の粘膜でありうる。粘膜は口の粘膜でありうる。粘膜は気管支の粘膜でありうる。
【0275】
本方法は、表面の皮膚を化合物と接触させる工程を含みうる。これに関して、病原体、例えばウイルスおよび細菌は、皮膚または表面に見いだされうる。したがって皮膚、例えばヒトの皮膚、または任意の表面を、本明細書記載の使用および方法のいずれか一つについて本明細書に記載する任意の化合物で処置することができる。
【0276】
本方法は、創傷または熱傷を化合物と接触させる工程を含みうる。これに関して、病原体、例えばウイルスおよび細菌は、創傷または熱傷中に見いだされうる。したがって創傷または熱傷、例えばヒト皮膚の創傷または熱傷を、本明細書記載の使用および方法のいずれか一つについて本明細書に記載する任意の化合物で処置することができる。
【0277】
ウイルス中和抗体の結合を増加させる方法において使用することができる例示的なウイルスは、限定するわけではないが、コロナウイルス、好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、ライノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス[RSV]、アデノウイルス、オルソミクソウイルス、エプスタイン・バー・ウイルス、ヘルペスウイルス(例えば単純ヘルペス)、および麻疹ウイルスからなる群より選択されうる。他の例示的ウイルスは、インフルエンザA型、HIV-1;A型、B型、C型肝炎;HPV;EBV;ノロウイルス;単純ヘルペス;サイトメガロウイルス;WSSV;RSV;植物ウイルス様;TMV;AMV;TNV;BYMV;PSV;FMV;PVX;急性ミツバチ麻痺ウイルス;IAPV;慢性ミツバチ麻痺ウイルス;ミツバチヘギイタダニ媒介性ウイルス;および一般に任意のRNAウイルスおよびDNAウイルスからなる群より選択されうる。本化合物(キトサンもしくはその塩、ガラクトース、マンノースおよび/またはカフェイン)が結合することのできる任意のウイルスまたは細菌による感染を、防止および/または処置することができる。例示的なウイルス、細菌、原生動物、および真菌として、ヒト、動物、ミツバチ、および/または植物において疾患を誘発するウイルス、細菌、原生動物、および真菌が挙げられる。
【0278】
さらに、ウイルスの考えうる任意のサブユニットまたはウイルスもしくはビリオンの一部であって感染を引き起こすことができるものも、本明細書に開示するウイルス中和抗体の結合を増加させる方法において使用することができる例である。
【0279】
さらに、特にウイルスと宿主の接触および相互作用中またはウイルスの進化的変化中に発生しうるウイルスの考えうる任意の変異も、本明細書に開示するウイルス中和抗体の結合を増加させる方法において使用することができる例である。
【0280】
好ましくは、ウイルスは呼吸器ウイルスである。
【0281】
好ましくは、ウイルスは、コロナウイルス、より好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、および呼吸器合胞体ウイルス[RSV]からなる群より選択される。
【0282】
好ましくは、ウイルスはコロナウイルスである。具体例として、コロナウイルス科には、アルファコロナウイルス、ベータコロナウイルス、デルタコロナウイルス、ガンマコロナウイルス、またはアルファレトウイルスが含まれる。好ましくは、コロナウイルスはヒト病原性コロナウイルスである。より好ましくは、ヒト病原性コロナウイルスはベータコロナウイルスである。さらに好ましくは、ヒト病原性コロナウイルスは、SARS-CoV-2、MERS-CoV、およびSARS-Cov-1からなる群より選択される。
【0283】
したがってヒト病原性コロナウイルスはSARS-CoV-1でありうる。ヒト病原性コロナウイルスはMERS-CoVでありうる。最も好ましくは、ヒト病原性コロナウイルスはSARS-CoV-2である。
【0284】
ウイルス中和抗体の結合を増加させる方法は、ウイルス感染を処置する、またはウイルス感染によって引き起こされる疾患を処置する方法でありうる。
【0285】
ウイルス感染によって引き起こされる疾患は、ウイルスによって引き起こされる任意の疾患、例えばコロナウイルス、好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、ライノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス[RSV]、アデノウイルス、オルソミクソウイルス、エプスタイン・バー・ウイルス、ヘルペスウイルス(例えば単純ヘルペス)、および麻疹ウイルスによって引き起こされる疾患でありうる。
【0286】
好ましくは、疾患は、COVID-19、MERS、およびSARSからなる群より選択される。
【0287】
したがって疾患はSARSでありうる。疾患はMERSでありうる。最も好ましくは、疾患はCOVID-19である。
【0288】
本発明によれば、化合物は、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される。したがって化合物はカフェインでありうる。化合物はマンノースでありうる。化合物はガラクトースでありうる。好ましくは、化合物はキトサンまたはその塩である。キトサンの塩は、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択されうる。したがって、塩はキトサン乳酸塩でありうる。塩はキトサン酢酸塩でありうる。塩はキトサン塩酸塩でありうる。また、前記化合物の任意の組合せも、本明細書に従って本明細書に記載される。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。
【0289】
ウイルス中和抗体の結合を増加させる方法は、ウイルスとウイルス中和抗体とを含有する流体を、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含有する組成物と接触させる工程を含みうる。本明細書記載の組成物はいずれも、本明細書記載の使用および方法のいずれか一つにおいて使用することができる。したがって特に、本明細書記載の組成物のいずれか一つは、本明細書全体にわたって本明細書に記載されるウイルス中和抗体の結合を増加させる使用および方法のいずれか一つにおいて使用することができ、好ましくはウイルスはSARS-CoV-2である。
【0290】
したがって組成物において、化合物は、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される。組成物において、化合物はカフェインでありうる。組成物において、化合物はマンノースでありうる。組成物において、化合物はガラクトースでありうる。好ましくは組成物において、化合物はキトサンまたはその塩である。キトサンの塩は、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択されうる。したがって、塩はキトサン乳酸塩でありうる。塩はキトサン酢酸塩でありうる。塩はキトサン塩酸塩でありうる。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。また、組成物中の前記化合物の任意の組合せも、本明細書に従って本明細書に記載される。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。
【0291】
一具体例として、組成物は、化合物またはその組合せの実質的に純粋な調製物でありうる。また組成物は、具体例として、1%以上、5%以上、10以上、20%以上、50%以上、80%以上、または90%以上の化合物またはその組合せを含みうる。
【0292】
化合物がキトサンである場合、任意で、組成物は酸をさらに含みうる。好ましくは、酸は、限定するわけではないが、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、任意のフルーツ酸、食品酸味料、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される。より好ましくは酸はクエン酸である。酸は、キトサンの少なくとも一部がそのカチオン型に変換されるように、pHを低下させうる。したがって、水におけるキトサンの溶解度を増加させることができる。
【0293】
組成物は固形組成物でありうる。単なる具体例として、固形組成物は、粉末、粒子、錠剤、丸剤、カプセル剤などの形態をとりうる。「固形組成物」という用語は、例えばゲル、クリーム、ペースト、軟膏、サルブなどの半固形組成物も包含する。
【0294】
組成物は液状組成物、例えば溶液でありうる。
【0295】
好ましくは、組成物は可食性組成物である。例えば本明細書全体にわたって本明細書に開示する任意の可食性組成物、例えば食品または飲料など、当業者に公知の可食性組成物は、いずれも想定されうる。一般に、当業者には理解されるとおり、可食性組成物は可消化性である。口腔では、組成物を唾液と接触させることができる。
【0296】
好ましくは、組成物は、口腔投与、鼻腔投与、または気管支投与に適した組成物でありうる。口腔投与、鼻腔投与、または気管支投与のための公知の組成物は、いずれも想定されうる。したがって組成物は、鼻腔内投与または吸入投与、例えば気道および/または気管支への局所投与のための組成物でありうる。また、具体例として、組成物は含嗽用のスプレーまたは溶液でありうる。
【0297】
また、組成物は薬学的組成物でありうる。薬学的組成物は前記化合物またはその組合せを含み、任意で、薬学的に許容される担体、賦形剤または安定剤、例えば「Remington's Pharmaceutical Sciences」第16版、Osol,A.編(1980)または第23版(2020)に記載のものを、それらが本製剤の望ましい特徴に有害な影響を及ぼさないという条件の下で、さらに含みうる。本明細書にいう「薬学的に許容される担体」とは、薬学的投与と適合する、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤を意味する。薬学的に活性な物質のためのそのような媒質および作用物質の使用は当技術分野において周知である。許容される担体、賦形剤または安定剤は使用される投薬量および濃度においてレシピエントにとって無毒性であり、追加の緩衝剤;保存剤;共溶媒;酸化防止剤、例えばアスコルビン酸およびメチオニン;キレート剤、例えばEDTA;金属錯体(例えばZn-タンパク質錯体);生分解性ポリマー、例えばポリエステル;塩形成対イオン、例えばナトリウム、多価糖アルコール;アミノ酸、例えばアラニン、グリシン、アスパラギン、2-フェニルアラニン、およびスレオニン;糖類または糖アルコール、例えばラクチトール、スタキオース、マンノース、ソルボース、キシロース、リボース、リビトール、ミオイニシトース、ミオイニシトール、ガラクトース、ガラクチトール、グリセロール、シクリトール(例えばイノシトール)、ポリエチレングリコール;含硫黄還元剤、例えばグルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、[アルファ]-モノチオグリセロール、およびチオ硫酸ナトリウム、低分子量タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、または他の免疫グロブリン;および親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドンを含む。
【0298】
好ましくは、組成物は栄養補助食品である。一般に、栄養補助食品とは、食事を補うことを意図した製造品を指す。例えば栄養補助食品は、丸剤、カプセル剤、錠剤、粉末または液状物の形態をとりうる。栄養補助食品は、チューインガム、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意のチューインガムでありうる。好ましくは、組成物が固形物である場合、例えば粉末の形態にある場合は特に、栄養補助食品は飲料への添加に適している。より好ましくは、飲料は、茶、コーヒー、果汁、レモネード、ミルク、コーラ、飲用可能な乳製品(例えば飲用可能なヨーグルト)、シャーベット粉末または発泡錠を溶解することによって得ることができる飲料、およびアルコール飲料からなる群より選択される。したがって、栄養補助食品が添加される飲料は、茶、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意の茶でありうる。飲料はコーヒーでありうる。飲料は果汁(例えば果実果汁)でありうる。飲料はレモネードでありうる。飲料はミルクでありうる。飲料はコーラでありうる。飲料は飲用可能な乳製品(例えば飲用可能なヨーグルト)でありうる。飲料は、シャーベット粉末または発泡錠を溶解することによって得ることができる飲料でありうる。飲料はアルコール飲料、例えばビールまたはワインでありうる。
【0299】
好ましくは、栄養補助食品を添加することができる飲料は、茶、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される茶である。より好ましくは、茶に添加することができる栄養補助食品はキトサンまたはその塩を含む。例えばアルカリ茶(塩基性茶または塩基茶としても公知である)、果実茶、緑茶、紅茶、またはハーブ茶など、任意の茶を想定することができる。好ましくは、茶はアルカリ茶または果実茶である。本明細書全体にわたって本明細書において使用される場合、用語「アルカリ茶」は、一般に、水を使った調製後に、アルカリ性pH、例えばpH>7などを有する茶をもたらす茶を指し、アルカリ茶は広く公知であり、例えばアルカリ茶はさまざまなハーブを含みうる。任意で、茶には酸をさらに加えうる。酸は、キトサンを含む製剤に関して本明細書に記載される任意の酸、例えばクエン酸であってよい。したがって、茶には例えばレモン果汁を加えうる。
【0300】
他の好ましい可食性組成物は、チューインガム、キャンディ、ボンボン、フルーツガム、チョコレート、および飲料調製用の組成物(例えばコーヒー組成物、茶組成物、シャーベット粉末、または発泡錠)、および飲料から選択されうる。したがって組成物は、チューインガム、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意のチューインガムでありうる。組成物は、キャンディ、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意のキャンディでありうる。組成物はフルーツガムでありうる。組成物はチョコレートでありうる。組成物は飲料調製用の組成物でありうる。組成物は、コーヒー組成物(例えばコーヒーとさらなる成分、例えば粉乳、香味剤および/または甘味料などとを含む組成物)でありうる。組成物は、茶組成物(例えば茶葉または茶の他の構成要素、例えば実と、さらなる成分、香味剤および/または甘味料などとを含む組成物)、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意の茶組成物でありうる。組成物はシャーベット粉末でありうる。組成物は発泡錠でありうる。組成物は飲料でありうる。
【0301】
好ましくは、可食性組成物はキャンディ、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意のキャンディである。任意のキャンディを想定することができ、例示のための非限定的な例として、キャンディは、例えばフルーツキャンディ、例えばレモンドロップ、ベリードロップもしくはチェリードロップなど、またはフルーツガム、またはコーヒーキャンディ、または任意のボンボンでありうる。好ましくは、キャンディはキトサンまたはその塩を含む。任意で、キャンディは酸をさらに含有しうる。酸は、キトサンを含む製剤に関して本明細書に記載される任意の酸、例えばクエン酸であってよい。
【0302】
好ましくは、組成物は茶組成物、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意の茶組成物である。より好ましくは、茶組成物はキトサンまたはその塩を含む。例示のための非限定的な例として、茶組成物は、ティーバッグに含まれる茶組成物でありうる。例えばアルカリ茶(塩基性茶または塩基茶としても公知である)、果実茶、緑茶、紅茶、またはハーブ茶など、任意の茶組成物を想定することができる。好ましくは、茶組成物はアルカリ茶または果実茶である。本明細書全体にわたって本明細書において使用される場合、用語「アルカリ茶」は、一般に、水を使った調製後に、アルカリ性pH、例えばpH>7などを有する茶組成物を指し、アルカリ茶は広く公知であり、例えばアルカリ茶はさまざまなハーブを含みうる。任意で、茶組成物は酸をさらに含有しうる。酸は、キトサンを含む製剤に関して本明細書に記載される任意の酸、例えばクエン酸であってよい。上記に加えて、または上記に代えて、酸は、水による調製前または調製後に茶に加えることができ、例えばレモン果汁を、調製前または調製後に、例えば茶のコップに加えうる。
【0303】
好ましい一態様において、組成物はチューインガムである。本明細書全体にわたって記載される任意のチューインガムを使用することができる。
【0304】
チューインガムは、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含む。
【0305】
したがって化合物はカフェインでありうる。化合物はマンノースでありうる。化合物はガラクトースでありうる。好ましくは、化合物はキトサンまたはその塩である。キトサンの塩は、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択されうる。したがって、塩はキトサン乳酸塩でありうる。塩はキトサン酢酸塩でありうる。塩はキトサン塩酸塩でありうる。また、前記化合物の任意の組合せも、本明細書に従って本明細書に記載される。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。
【0306】
いくつかの態様において、チューインガムはキトサンおよび酸を含みうる。好ましくは、酸は、限定するわけではないが、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、任意のフルーツ酸、食品酸味料、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される。より好ましくは酸はクエン酸である。咀嚼時に、酸は、キトサンの少なくとも一部がそのカチオン型に変換されるように、pHを低下させる。したがって、水におけるキトサンの溶解度が増加する。
【0307】
また、化合物またはその組合せを含む組成物は、液状組成物の一例として、飲料でありうる。飲料は、茶、コーヒー、果汁、レモネード、ミルク、コーラ、飲用可能な乳製品(例えば飲用可能なヨーグルト)、シャーベット粉末または発泡錠を溶解することによって得ることができる飲料、アルコール飲料からなる群より選択されうる。したがって、化合物またはその組合せを含む飲料は、茶、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意の茶でありうる。飲料はコーヒーでありうる。飲料は果汁(例えば果実果汁)でありうる。飲料はレモネードでありうる。飲料はミルクでありうる。飲料はコーラでありうる。飲料は飲用可能な乳製品(例えば飲用可能なヨーグルト)でありうる。飲料は、シャーベット粉末または発泡錠を溶解することによって得ることができる飲料でありうる。飲料はアルコール飲料、例えばビールまたはワインでありうる。
【0308】
好ましくは、飲料は茶である。より好ましくは、茶はキトサンまたはその塩を含む。例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意の茶、例えばアルカリ茶(塩基性茶または塩基茶としても公知である)、果実茶、緑茶、紅茶、またはハーブ茶など、任意の茶を想定することができる。好ましくは、茶はアルカリ茶または果実茶である。任意で、茶は酸をさらに含有しうる。酸は、キトサンを含む製剤に関して本明細書に記載される任意の酸、例えばクエン酸であってよい。
【0309】
いくつかの態様において、組成物は、溶液、好ましくは噴霧または含嗽のための溶液、洗口剤、口腔に適用するためのゲル、点鼻液製剤、点鼻オイル製剤、点鼻スプレー、および鼻洗浄製剤からなる群より選択される。したがって組成物は、溶液、好ましくは噴霧または含嗽のための溶液でありうる。組成物は洗口剤でありうる。組成物は口腔に適用するためのゲルでありうる。組成物は点鼻液製剤でありうる。組成物は点鼻オイル製剤でありうる。組成物は点鼻スプレーでありうる。組成物は鼻洗浄製剤でありうる。
【0310】
好ましい一態様において、組成物は持続送達系であるか、または持続送達系を含む。好ましくは、持続送達系は口腔またはバッカル持続送達系である。また、本明細書に記載するように、本発明の態様によれば、薬物送達系は、薬物送達インプラント、例えば再充填可能な薬物送達インプラントを含みうる。この目的には、歯科用プロテーゼまたはプロテーゼ固定用接着材料など、いくつかの埋込み可能なデバイスが想定されうる。
【0311】
好ましくは、組成物は固形もしくは半固形剤形であるか、または固形もしくは半固形剤形を含む。したがって組成物は、薄膜、層構造の薄膜、錠剤、カプセル剤、ゲル体(例えば口腔における適用のためのゲル)、チューインガム、キャンディ、ボンボン、フルーツガム、およびチョコレートからなる群より選択される。したがって組成物は薄膜でありうる。組成物は層構造の薄膜でありうる。組成物は錠剤でありうる。組成物はカプセル剤でありうる。組成物はゲル体(例えば口腔における適用のためのゲル)でありうる。組成物は、チューインガム、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意のチューインガムでありうる。組成物は、キャンディ、例えば本明細書全体にわたって本明細書に記載される任意のキャンディでありうる。組成物はボンボンでありうる。組成物はフルーツガムでありうる。組成物はチョコレートでありうる。
【0312】
本明細書記載の組成物はいずれも、粒子を含みうる。好ましくは、粒子はマイクロ粒子またはナノ粒子であり、より好ましくは粒子はマイクロ粒子である。好ましくは、粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子は、キトサンまたはその塩を含む。キトサンの塩は、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択されうる。したがって、塩はキトサン乳酸塩でありうる。塩はキトサン酢酸塩でありうる。塩はキトサン塩酸塩でありうる。また、本明細書には、前記化合物の任意の組合せを含む粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子も記載される。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。
【0313】
粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子は、キトサンもしくはその塩の他に、さらなるポリマーまたはバイオポリマーを含みうる。ポリマーまたはバイオポリマーは、限定するわけではないが、以下の物質または物質のクラスのうちの1つまたは複数を含むことができる:タンパク質、多糖、炭化水素、核酸、アプタマー、コラーゲン、コラーゲン-n-ヒドロキシスクシンイミド、フィブリン、ゼラチン、アルブミン、アルギネート、血漿タンパク質、乳タンパク質、カゼイン、タンパク質ベースのポリマー、ヒアルロン酸、ペクチン、アラビアガムおよび他のガム類、カゼイン、乳清タンパク質、グルテン、デンプン、セルロース、ポリ乳酸、ポリグリコール酸のような医薬用途または化粧用途のための合成ポリマー、植物および微生物の細胞溶解物、前記ポリマーのコポリマーおよび/または誘導体および/または混合物および/または化学修飾物、ならびに鎖長または分子量などの材料パラメータが異なるそれらの任意の組合せ。ポリマーは、例えば、(活性成分の組込みおよび加工などのための)賦形剤として、(例えば化粧品のための)製剤用基材として、利用されうる。好ましくは、さらなるバイオポリマーはヒアルロン酸である。したがって、好ましい一態様において、粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子は、キトサンまたはその塩に加えて、ヒアルロン酸を含む。
【0314】
本明細書記載の組成物はいずれも、粒子の共凝集体を含みうる。好ましくは、共凝集体はマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体であり、より好ましくは共凝集体はマイクロ粒子の共凝集体である。好ましくは、粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体は、キトサンまたはその塩を含む。キトサンの塩は、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択されうる。したがって、塩はキトサン乳酸塩でありうる。塩はキトサン酢酸塩でありうる。塩はキトサン塩酸塩でありうる。また、本明細書には、前記化合物の任意の組合せを含む、粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体も記載される。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。
【0315】
粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体は、キトサンもしくはその塩に加えて、さらなるポリマーまたはバイオポリマーを含みうる。ポリマーまたはバイオポリマーは、限定するわけではないが、以下の物質または物質のクラスのうちの1つまたは複数を含むことができる:タンパク質、多糖、炭化水素、核酸、アプタマー、コラーゲン、コラーゲン-n-ヒドロキシスクシンイミド、フィブリン、ゼラチン、アルブミン、アルギネート、血漿タンパク質、乳タンパク質、カゼイン、タンパク質ベースのポリマー、ヒアルロン酸、ペクチン、アラビアガムおよび他のガム類、カゼイン、乳清タンパク質、グルテン、デンプン、セルロース、ポリ乳酸、ポリグリコール酸のような医薬用途または化粧用途のための合成ポリマー、植物および微生物の細胞溶解物、前記ポリマーのコポリマーおよび/または誘導体および/または混合物および/または化学修飾物、ならびに鎖長または分子量などの材料パラメータが異なるそれらの任意の組合せ。ポリマーは、例えば、(活性成分の組込みおよび加工などのための)賦形剤として、(例えば化粧品のための)製剤用基材として、利用されうる。好ましくは、さらなるバイオポリマーはヒアルロン酸である。したがって、好ましい一態様において、粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体またはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体は、キトサンまたはその塩に加えて、ヒアルロン酸を含む。
【0316】
粒子、好ましくはマイクロ粒子もしくはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子、または粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体もしくはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体は、液状組成物または半固形組成物に含まれうる。特に、粒子、好ましくはマイクロ粒子もしくはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子、または粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体もしくはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体は、液状組成物または半固形組成物に懸濁される。好ましくは、粒子、好ましくはマイクロ粒子もしくはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子、または粒子の共凝集体、好ましくはマイクロ粒子の共凝集体もしくはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体は、噴霧または含嗽のための組成物、洗口剤、口腔に適用するためのゲル、点鼻スプレー、点鼻オイル、点鼻液製剤、および鼻洗浄製剤に含まれ、特に懸濁される。組成物は噴霧または含嗽のための組成物でありうる。組成物は洗口剤でありうる。組成物は口腔に適用するためのゲルでありうる。組成物は点鼻スプレーでありうる。組成物は点鼻オイルでありうる。組成物は点鼻液製剤でありうる。組成物は鼻洗浄製剤でありうる。粒子または粒子の共凝集体は、キトサンまたはその塩に加えて、ヒアルロン酸を含みうる。
【0317】
粒子、好ましくはマイクロ粒子もしくはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子、または共凝集体、好ましくはマイクロ粒子もしくはナノ粒子の共凝集体、より好ましくはマイクロ粒子の共凝集体は、表面または皮膚を処置するのに適した組成物に含まれうる。好ましくは、表面または皮膚を処置するのに適した組成物は、消毒薬、スキンケア組成物(例えばローション、クリーム、ゲル、スプレー、サルブ、軟膏、または粉末)、セッケン(例えば液状セッケン)、および洗剤製剤(例えば洗濯用洗剤製剤または食器用洗剤製剤)からなる群より選択される。組成物は消毒薬でありうる。組成物はスキンケア組成物でありうる。スキンケア組成物は、キトサンまたはその塩またはその誘導体の送達を可能にする任意の化粧系または化粧成分を含みうる。組成物はローションでありうる。組成物はクリームでありうる。組成物はゲルでありうる。組成物はスプレーでありうる。組成物はサルブでありうる。組成物は軟膏でありうる。組成物は粉末でありうる。組成物はセッケンでありうる。組成物は液状セッケンでありうる。組成物は洗剤製剤でありうる。組成物は洗濯用洗剤製剤でありうる。組成物は食器用洗剤製剤でありうる。好ましくは組成物が皮膚を処置するのに適した組成物、例えばスキンケア組成物、例えばローションまたはクリームなどである場合に、粒子または粒子の共凝集体は、キトサンまたはその塩に加えて、ヒアルロン酸を含みうる。表面または皮膚を処置するのに適した組成物の使用は、表面または皮膚を、表面または皮膚を処置するのに適した組成物と接触させる工程を含みうる。
【0318】
組成物は、鼻洗浄溶液、点鼻溶液、点鼻オイル製剤、噴霧または含嗽のための溶液、洗口剤、口腔に適用するためのゲル、または飲料を製造するための固形混合物に含まれうる。組成物は、粒子、好ましくはマイクロ粒子またはナノ粒子、より好ましくはマイクロ粒子の形態にありうる。
【0319】
本明細書記載の組成物のいずれか一つにおいて、キトサンまたはその塩は60%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は70%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は80%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は90%以上の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は95%以上の脱アセチル化度を有しうる。
【0320】
本明細書記載の組成物のいずれか一つにおいて、キトサンまたはその塩は、30%~60%の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は30%~60%の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は35%~55%の脱アセチル化度を有しうる。キトサンまたはその塩は40%~50%の脱アセチル化度を有しうる。
【0321】
本明細書記載の組成物のいずれか一つにおいて、キトサンまたはその塩は20000Da~460000Daの分子量を有しうる。
【0322】
いくつかの態様において、キトサンは、20000Da未満の分子量を有するオリゴキトサン、または20000Da未満の分子量を有するオリゴキトサンの塩でありうる。
【0323】
ウイルス中和抗体の結合を増加させる方法はインビボで実行されうる。
【0324】
また、ウイルス中和抗体の結合を増加させる方法は、インビトロで実行されうる。したがって、本明細書には、ウイルス中和抗体の結合を増加させる診断方法であって、ウイルスと該ウイルスに結合するウイルス中和抗体とを含有する流体を、本明細書に開示するキトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物と接触させる工程を含む方法も開示される。
【0325】
ウイルス中和抗体の結合を増加させる方法において使用するための化合物
本発明は、ウイルス中和抗体の結合を増加させる方法における使用のための、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物にも関係する。
【0326】
驚いたことに、本発明者らは、特に低RBD SARS-CoV-2結合性抗体が、キトサンにより、キトサンを含まない試料と比較して、増大された結合を呈することを示すことができた。この効果は、結果的に増大された抗体結合、特に低RBD SARS-CoV-2結合性抗体の増大された抗体結合につながりうる、タンパク質の安定化によって、おそらく発揮されるのだろう。
【0327】
一般に当業者は、標準的な実験手順によって、低、中および高結合性抗体を定義することができる。本発明によれば、低/中/高結合性抗体は、ELISA検出によって定義される。ELISAアッセイの検出限界に基づいて、低結合性抗体のグループは、10~15%の最も弱く結合する抗体のグループと定義され、中結合性抗体のグループは15~80%の中等度に結合する抗体のグループと定義され、高結合性抗体のグループは80%超の最も強く結合する抗体のグループと定義される。
【0328】
一般に、使用は、ウイルス中和抗体が該ウイルスに結合することを含む。
【0329】
使用は、ウイルスとウイルス中和抗体とを含有する流体を化合物と接触させる工程を、通常は含む。
【0330】
好ましくは、流体は体液である。例えば、体液は、血液、唾液および粘膜分泌物からなる群より選択されうる。したがって体液は唾液でありうる。体液は血液でありうる。体液は粘膜分泌物でありうる。粘膜分泌物は鼻腔分泌物および/または気管支分泌物でありうる。例えば化合物は、好ましくは唾液に、または気道の粘膜分泌物に、送達される。呼吸器ウイルス、例えばSARS-CoV-2などは、人体に進入した後、典型的にはそのような体液中に存在するからである。
【0331】
上記に加えて、または上記に代えて、本方法は、粘膜を化合物と接触させる工程を含みうる。特に、ウイルスが例えばウイルスSARS-CoV-2などの呼吸器ウイルスである場合、粘膜は、鼻の粘膜、咽頭の粘膜、口の粘膜および気管支の粘膜からなる群より選択されうる。したがって粘膜は鼻の粘膜でありうる。粘膜は咽頭の粘膜でありうる。粘膜は口の粘膜でありうる。粘膜は気管支の粘膜でありうる。
【0332】
本方法は、表面の皮膚を化合物と接触させる工程を含みうる。これに関して、病原体、例えばウイルスおよび細菌は、皮膚または表面に見いだされうる。したがって皮膚、例えばヒトの皮膚、または任意の表面を、本明細書記載の使用および方法のいずれか一つについて本明細書に記載する任意の化合物で処置することができる。
【0333】
本方法は、創傷または熱傷を化合物と接触させる工程を含みうる。これに関して、病原体、例えばウイルスおよび細菌は、創傷または熱傷中に見いだされうる。したがって創傷または熱傷、例えばヒト皮膚の創傷または熱傷を、本明細書記載の使用および方法のいずれか一つについて本明細書に記載する任意の化合物で処置することができる。
【0334】
ウイルス中和抗体の結合を増加させる方法における使用に関する例示的ウイルスは、限定するわけではないが、コロナウイルス、好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、ライノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス[RSV]、アデノウイルス、オルソミクソウイルス、エプスタイン・バー・ウイルス、ヘルペスウイルス(例えば単純ヘルペス)、および麻疹ウイルスからなる群より選択されうる。他の例示的ウイルスは、インフルエンザA型、HIV-1;A型、B型、C型肝炎;HPV;EBV;ノロウイルス;単純ヘルペス;サイトメガロウイルス;WSSV;RSV;植物ウイルス様;TMV;AMV;TNV;BYMV;PSV;FMV;PVX;急性ミツバチ麻痺ウイルス;IAPV;慢性ミツバチ麻痺ウイルス;ミツバチヘギイタダニ媒介性ウイルス;および一般に任意のRNAウイルスおよびDNAウイルスからなる群より選択されうる。本化合物(キトサンもしくはその塩、ガラクトース、マンノースおよび/またはカフェイン)が結合することのできる任意のウイルスまたは細菌による感染を、防止および/または処置することができる。例示的なウイルス、細菌、原生動物、および真菌として、ヒト、動物、ミツバチ、および/または植物において疾患を誘発するウイルス、細菌、原生動物、および真菌が挙げられる。
【0335】
さらに、ウイルスの考えうる任意のサブユニットまたはウイルスもしくはビリオンの一部であって感染を引き起こすことができるものも、本明細書に開示するウイルス中和抗体の結合を増加させる方法における使用に関する例である。
【0336】
さらに、特にウイルスと宿主の接触および相互作用中またはウイルスの進化的変化中に発生しうるウイルスの考えうる任意の変異も、本明細書に開示するウイルス中和抗体の結合を増加させる方法における使用に関する例である。
【0337】
好ましくは、ウイルスは呼吸器ウイルスである。
【0338】
好ましくは、ウイルスは、コロナウイルス、好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、および呼吸器合胞体ウイルス[RSV]からなる群より選択される。
【0339】
好ましくは、ウイルスはコロナウイルスである。具体例として、コロナウイルス科には、アルファコロナウイルス、ベータコロナウイルス、デルタコロナウイルス、ガンマコロナウイルス、またはアルファレトウイルスが含まれる。好ましくは、コロナウイルスはヒト病原性コロナウイルスである。より好ましくは、ヒト病原性コロナウイルスはベータコロナウイルスである。さらに好ましくは、ヒト病原性コロナウイルスは、SARS-CoV-2、MERS-CoV、およびSARS-Cov-1からなる群より選択される。
【0340】
したがってヒト病原性コロナウイルスはSARS-CoV-1でありうる。ヒト病原性コロナウイルスはMERS-CoVでありうる。最も好ましくは、ヒト病原性コロナウイルスはSARS-CoV-2である。
【0341】
ウイルス中和抗体の結合を増加させる方法において使用するための化合物は、ウイルス感染を処置する、またはウイルス感染によって引き起こされる疾患を処置する方法において使用するためのものでありうる。
【0342】
ウイルス感染によって引き起こされる疾患は、ウイルスによって引き起こされる任意の疾患、例えばコロナウイルス、好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、ライノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス[RSV]、アデノウイルス、オルソミクソウイルス、エプスタイン・バー・ウイルス、ヘルペスウイルス(例えば単純ヘルペス)、および麻疹ウイルスによって引き起こされる疾患でありうる。
【0343】
好ましくは、疾患は、COVID-19、MERS、およびSARSからなる群より選択される。
【0344】
したがって疾患はSARSでありうる。疾患はMERSでありうる。最も好ましくは、疾患はCOVID-19である。
【0345】
本発明によれば、化合物は、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される。化合物はカフェインでありうる。化合物はマンノースでありうる。化合物はガラクトースでありうる。好ましくは、化合物はキトサンまたはその塩である。キトサンの塩は、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択されうる。したがって、塩はキトサン乳酸塩でありうる。塩はキトサン酢酸塩でありうる。塩はキトサン塩酸塩でありうる。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。また、前記化合物の任意の組合せも、本明細書に従って本明細書に記載される。
【0346】
使用は、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含有する組成物を使用する工程を含みうる。
【0347】
したがって組成物において、化合物は、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される。組成物において、化合物はカフェインでありうる。組成物において、化合物はマンノースでありうる。組成物において、化合物はガラクトースでありうる。好ましくは組成物において、化合物はキトサンまたはその塩である。キトサンの塩は、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択されうる。したがって、塩はキトサン乳酸塩でありうる。塩はキトサン酢酸塩でありうる。塩はキトサン塩酸塩でありうる。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。また、組成物中の前記化合物の任意の組合せも、本明細書に従って本明細書に記載される。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。
【0348】
化合物がキトサンである場合、任意で、組成物は酸をさらに含みうる。好ましくは、酸は、限定するわけではないが、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、任意のフルーツ酸、食品酸味料、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される。より好ましくは酸はクエン酸である。酸は、キトサンの少なくとも一部がそのカチオン型に変換されるように、pHを低下させうる。したがって、水におけるキトサンの溶解度を増加させることができる。
【0349】
組成物は、本明細書全体にわたって記載される任意の組成物でありうる。
【0350】
ウイルスに感染している患者を処置する方法
本発明は、ウイルスに感染している患者を処置する方法であって、ウイルスと該ウイルスに結合するウイルス中和抗体とを含有する流体を、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物と接触させる工程を含み、該化合物がウイルス中和抗体の結合を増加させる方法にも関係する。
【0351】
好ましくは、流体は体液である。例えば、体液は、血液、唾液および粘膜分泌物からなる群より選択されうる。したがって体液は唾液でありうる。体液は血液でありうる。体液は粘膜分泌物でありうる。粘膜分泌物は鼻腔分泌物および/または気管支分泌物でありうる。例えば化合物は、好ましくは唾液に、または気道の粘膜分泌物に、送達される。呼吸器ウイルス、例えばSARS-CoV-2などは、人体に進入した後、典型的にはそのような体液中に存在するからである。
【0352】
上記に加えて、または上記に代えて、本方法は、粘膜を化合物と接触させる工程を含みうる。特に、ウイルスが例えばウイルスSARS-CoV-2などの呼吸器ウイルスである場合、粘膜は、鼻の粘膜、咽頭の粘膜、口の粘膜および気管支の粘膜からなる群より選択されうる。したがって粘膜は鼻の粘膜でありうる。粘膜は咽頭の粘膜でありうる。粘膜は口の粘膜でありうる。粘膜は気管支の粘膜でありうる。
【0353】
本方法は、表面の皮膚を化合物と接触させる工程を含みうる。これに関して、病原体、例えばウイルスおよび細菌は、皮膚または表面に見いだされうる。したがって皮膚、例えばヒトの皮膚、または任意の表面を、本明細書記載の使用および方法のいずれか一つについて本明細書に記載する任意の化合物で処置することができる。
【0354】
本方法は、創傷または熱傷を化合物と接触させる工程を含みうる。これに関して、病原体、例えばウイルスおよび細菌は、創傷または熱傷中に見いだされうる。したがって創傷または熱傷、例えばヒト皮膚の創傷または熱傷を、本明細書記載の使用および方法のいずれか一つについて本明細書に記載する任意の化合物で処置することができる。
【0355】
ウイルスに感染している患者を処置する方法における使用に関する例示的ウイルスは、限定するわけではないが、コロナウイルス、好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、ライノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス[RSV]、アデノウイルス、オルソミクソウイルス、エプスタイン・バー・ウイルス、ヘルペスウイルス(例えば単純ヘルペス)、および麻疹ウイルスからなる群より選択されうる。他の例示的ウイルスは、インフルエンザA型、HIV-1;A型、B型、C型肝炎;HPV;EBV;ノロウイルス;単純ヘルペス;サイトメガロウイルス;WSSV;RSV;植物ウイルス様;TMV;AMV;TNV;BYMV;PSV;FMV;PVX;急性ミツバチ麻痺ウイルス;IAPV;慢性ミツバチ麻痺ウイルス;ミツバチヘギイタダニ媒介性ウイルス;および一般に任意のRNAウイルスおよびDNAウイルスからなる群より選択されうる。本化合物(キトサンもしくはその塩、ガラクトース、マンノースおよび/またはカフェイン)が結合することのできる任意のウイルスまたは細菌による感染を、防止および/または処置することができる。例示的なウイルス、細菌、原生動物、および真菌として、ヒト、動物、ミツバチ、および/または植物において疾患を誘発するウイルス、細菌、原生動物、および真菌が挙げられる。
【0356】
さらに、ウイルスの考えうる任意のサブユニットまたはウイルスもしくはビリオンの一部であって感染を引き起こすことができるものも、本明細書に開示するウイルスに感染している患者を処置する方法における使用に関する例である。
【0357】
さらに、特にウイルスと宿主の接触および相互作用中またはウイルスの進化的変化中に発生しうるウイルスの考えうる任意の変異も、本明細書に開示するウイルスに感染している患者を処置する方法における使用に関する例である。
【0358】
好ましくは、ウイルスは呼吸器ウイルスである。
【0359】
好ましくは、ウイルスは、コロナウイルス、好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、および呼吸器合胞体ウイルス[RSV]からなる群より選択される。
【0360】
好ましくは、ウイルスはコロナウイルスである。具体例として、コロナウイルス科には、アルファコロナウイルス、ベータコロナウイルス、デルタコロナウイルス、ガンマコロナウイルス、またはアルファレトウイルスが含まれる。好ましくは、コロナウイルスはヒト病原性コロナウイルスである。より好ましくは、ヒト病原性コロナウイルスはベータコロナウイルスである。さらに好ましくは、ヒト病原性コロナウイルスは、SARS-CoV-2、MERS-CoV、およびSARS-Cov-1からなる群より選択される。
【0361】
したがってヒト病原性コロナウイルスはSARS-CoV-1でありうる。ヒト病原性コロナウイルスはMERS-CoVでありうる。最も好ましくは、ヒト病原性コロナウイルスはSARS-CoV-2である。
【0362】
ウイルスに感染している患者を処置する方法は、ウイルス感染を処置する方法またはウイルス感染によって引き起こされる疾患を処置する方法でありうる。
【0363】
ウイルス感染によって引き起こされる疾患は、ウイルスによって引き起こされる任意の疾患、例えばコロナウイルス、好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、ライノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス[RSV]、アデノウイルス、オルソミクソウイルス、エプスタイン・バー・ウイルス、ヘルペスウイルス(例えば単純ヘルペス)、および麻疹ウイルスによって引き起こされる疾患でありうる。
【0364】
好ましくは、疾患は、COVID-19、MERS、およびSARSからなる群より選択される。
【0365】
したがって疾患はSARSでありうる。疾患はMERSでありうる。最も好ましくは、疾患はCOVID-19である。
【0366】
本発明によれば、化合物は、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される。化合物はカフェインでありうる。化合物はマンノースでありうる。化合物はガラクトースでありうる。好ましくは、化合物はキトサンまたはその塩である。キトサンの塩は、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択されうる。したがって、塩はキトサン乳酸塩でありうる。塩はキトサン酢酸塩でありうる。塩はキトサン塩酸塩でありうる。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。また、前記化合物の任意の組合せも、本明細書に従って本明細書に記載される。
【0367】
本方法は、ウイルスとウイルス中和抗体とを含有する流体を、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含有する組成物と接触させる工程を含みうる。
【0368】
したがって組成物において、化合物は、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される。組成物において、化合物はカフェインでありうる。組成物において、化合物はマンノースでありうる。組成物において、化合物はガラクトースでありうる。好ましくは組成物において、化合物はキトサンまたはその塩である。キトサンの塩は、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩、ならびにそれらの任意の組合せからなる群より選択されうる。したがって、塩はキトサン乳酸塩でありうる。塩はキトサン酢酸塩でありうる。塩はキトサン塩酸塩でありうる。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。また、組成物中の前記化合物の任意の組合せも、本明細書に従って本明細書に記載される。塩は薬学的に許容される品質を有しうる。
【0369】
化合物がキトサンである場合、任意で、組成物は酸をさらに含みうる。好ましくは、酸は、限定するわけではないが、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、任意のフルーツ酸、食品酸味料、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される。より好ましくは酸はクエン酸である。酸は、キトサンの少なくとも一部がそのカチオン型に変換されるように、pHを低下させうる。したがって、水におけるキトサンの溶解度を増加させることができる。
【0370】
組成物は、本明細書全体にわたって記載される任意の組成物でありうる。
【0371】
代表的で非限定的な態様および例
1. 好ましい一態様では、1回送達方式(one-time delivery modus)で、キトサン溶液が、咽頭粘膜において治療用量が達成されるように、噴霧または含嗽によって、咽頭の粘膜に適用される。口腔の表面積は200cm2前後である。粘膜によって覆われた咽頭構造のさまざまな部分の表面積の和はこれより小さい。本発明者らは上限として100cm2という値を想定するが、いうまでもなく、この値は個体間で激しく変動しうる。とはいえ、これは、見当をつけるという目的には役立つだろう。約1mg(または少なくともその桁の値)のタンパク質で1m2をカバーできることは、タンパク質化学から公知である。キトサンは炭水化物であり、より大きな水結合能を有する。その表面密度はタンパク質の表面密度より小さくなるだろう。粘膜の幾何学的厚さは約0.1~0.5ミリメートルである。その結果、咽頭粘膜の体積は約5cm3になる。これは推定上限値であるが、定量的考察を関係づけるには十分である。
【0372】
キトサンの分子量の典型的な値は100万ダルトンである。これは1マイクログラムが約6×1011分子を含有していることを意味する(分子量がこれより低い場合、またはオリゴキトサンの場合、絶対分子数はそれぞれ、これより大きくなる)。コロナウイルスSARS-CoV-2の感染は、咽頭粘膜が同時に約500個のウイルスを取り込むと、首尾よく達成される(これに対し、インフルエンザの場合は100個未満、ノロウイルスの場合は5個である)。1つのSARS-CoV-2ウイルスは、標的細胞との接触を担当すると共にゲノム移入誘導系の一部であるRBD領域を含有するスパイクタンパク質を、数百~千個、含有しうる。とはいえ、いずれにせよ、1ウイルスあたり1000個のキトサン分子があれば、表面スパイクを完全にブロックすることができ、それより少ない数であっても、表面スパイクの機能には激烈な影響を及ぼすだろう。粘膜下層細胞ライン上のACE2標的受容体密度についても、同じタイプの考察が有効である。とはいえ、粘膜下層膜上のACE2酵素発現密度は著しくフレキシブルであり、一連の生体制御全体および個体間差に依存する。この考察の目的には、ウイルス表面受容体密度の桁の極めて粗い見積もりで十分である。キトサンによってこの部分が遮断されると、感染の鎖は断ち切られる。
【0373】
極めて粗い見積もりを得るために、とりあえず、1マイクログラム(分子量100万ダルトンのキトサン6×1011分子)が5ml(10cm2×厚さ0.5mm)の咽頭粘膜中に入り込んだとしよう。各SARS-CoV-2ウイルスが約1000個のRBD領域をその表面上に発現するとさらに仮定すれば、この量のキトサンは、6×108個のウイルスをブロックするのに十分だろう。感染の引き金を引くには約500個のSARS-CoV-2ウイルスで十分だと仮定すると、はるかに大きなウイルス量にも、粘膜のキトサン負荷量のより大きな分散、またはより大きなアフィニティを持つ分子群との相互作用、代謝などによる、負荷されたキトサンの失活にも対処することができる、大きな安全域(safety distance)が得られるだろう。
【0374】
結論として、咽頭粘膜に1マイクログラム超の負荷量を放出する1回口腔送達は、局所の生理作用に依存して約30~50分までの期間、SARS-CoV-2の感染に関して十分な防御効果を与えるだろう。この時間範囲(time horizon)は持続放出系による実験結果から導出される。
【0375】
例: 噴霧動作によって、または含嗽のために口腔に媒質を取り込むことによって、溶解したキトサン約1mgの単回投与がなされる濃度になるように、キトサンを水性媒質に加える。水性媒質を取り除く(嚥下するまたは吐き出す)前に、粘膜への強い接触が必要である。
【0376】
2. 別の好ましい一態様では、1回送達方式で、咽頭および上気道において治療用量が達成されるように、吸入によって、または滴下適用によって、キトサン溶液が上部粘膜(upper mucosa)および気道に適用される。
【0377】
例: キトサンを含有する等張水性生体適合溶液(鼻への適用が可能なもの、点鼻液ベース溶液)を噴霧または滴下によって適用する。1回の適用につき総用量は1mg(鼻孔あたり0.5mg)に制限すべきである。
【0378】
例: 点鼻オイル製剤に、キトサン分別マイクロ粒子(またはキトサンとヒアルロン酸とのバイオポリマーの組合せ(ただしこの組合せに限定されるわけではない)の複合分別マイクロ粒子)を加える。この油性懸濁液は、鼻に噴霧または滴下され、懸濁しているキトサンの濃度は、鼻に約1mg(鼻孔あたり0.5mg)を上回るキトサンが送達されないように、選択された。
【0379】
このアプローチは点鼻スプレーによって実施することができ、放出は、鼻粘膜および呼吸器咽頭(resp. pharynx)粘膜に1マイクログラム超のキトサン用量が与えられるように、調節されるべきである。これにより、少なくとも半時間は効率の良い防御がもたらされるだろう。
【0380】
このアプローチは、キトサンが負荷された滅菌等張吸入溶液を、超音波吸入デバイスを使って吸入することができる単回使用容器に充填することによって、実施することもできる。
【0381】
3. 別の好ましい一態様では、キトサンが、コーヒー、任意の組成の茶、果汁、レモネード、ミルク、コーラ、アルコール飲料などのような各飲料に組み入れられる。用量は、必ず、一口あたりキトサン0.1~10mg、好ましくは一口あたりキトサン1~5mgになるようにすべきである。組入れは、0℃をわずかに上回る冷蔵温度から、周囲温度を超えて調理水温まで、あらゆる温度で行うことができる。所与の範囲外の濃度でも有効である。
【0382】
例: 10~30ml(一口)の飲料(茶、コーヒー、果汁、レモネード、ミルク、コーラ、アルコール飲料)に、1mgのキトサンを加える。次に、茶を口に含み、10~20秒間、動かして、咽頭粘膜との強い接触を達成する。含嗽は好ましい動作であるだろう。この手順の後は、飲料を嚥下するか、吐き出すことができる。
【0383】
例: 500gの茶葉に5gのキトサンを加える。この混合物2gを熱水に加え、伝統と慣例に従って通常とられる手順で、茶飲料を調製する。
【0384】
4. 別の好ましい一態様では、持続放出方式で、キトサンが、咽頭粘膜における治療用量が達成され維持されるように、口腔またはバッカル持続送達系からの放出によって、咽頭の粘膜に適用される。
【0385】
例: 層構造の薄膜(片面は粘膜に粘着し、反対面は制御放出する)にキトサン(好ましくは約2mgであるが、2mgに限定されない)をドープし、粘着により口腔内の部位に固定する。放出制御と薄膜構造物の溶解との組合せにより、キトサンは数分かけて口腔を覆ういくつかの粘膜領域に送達され、そこに捕捉される。
【0386】
5. 別の好ましい一態様において、口腔またはバッカル持続送達系は、あらゆる種類の固形(Solida)または半固形(Semisolida)剤形を含み、限定するわけではないが、それらは、チューインガム、錠剤、カプセル剤、ゲル体、キャンディ、ボンボン、または放出時間および適用される用量を向上させるための、バルク材および/もしくは前もって機械的に改変された濃縮バイオポリマー材料(previously mechanically altered condensed biopolymer material)でできた、薄いおよび厚い粘着性口腔フィルムでありうる。
【0387】
これらの系の防御時間は、1.または2.に記載した、言及されたデポーからの放出時間と、既に放出されているが臨界濃度以上に留まっているキトサンの有効な防御の時間とを、大まかに足すことによって計算されることになる。
【0388】
例: 以下の定性的組成を持つ1.5gのチューインガムベース原料に、10mgの塩様キトサン、例えばキトサン乳酸塩またはキトサン酢酸塩またはキトサン乳酸塩を加える。甘味料:キシリトール、スクラロース;ガムベース;香味料;乳化剤:レシチン。他のチューインガムベース質量には、キトサンの量を適合させることができる。
【0389】
例: 例(1)と類似しているが異なるチューインガムの組成:甘味料:ソルビトール、マルチトールシロップ、イソマルト、スクラロース;ガムベース;保水剤:グリセロール;マルトデキストリン;香味料;乳化剤:レシチン。他のチューインガムベース質量には、キトサンの量を適合させる必要がある。
【0390】
例: 1.5gのチューインガムベースに、20mgのキトサンを加える(真菌由来のヴィーガンキトサンまたは動物由来のキトサン、どちらの場合も、キトサンは、それを一過性に酸性pHおよび/もしくは高温に曝露するか、または両方の組合せに曝露することによって、活性化すること、または活性型のキトサン、少なくともカチオン性の外観を形成する傾向を持つものを、放出させることができる)。他のチューインガムベース質量には、キトサンの量を適合させることができる。
【0391】
例: 本発明の好ましい態様によるチューインガムは、甘味料:ソルビトール、イソマルト、マルチトール、キシリトール、アセスルファムK、スクラロース;ガムベース;香味料;保水剤:グリセロール;増粘剤:アラビアガム;キトサン;酢酸亜鉛;グレージング剤:カルナウバワックスを含む。任意で、チューインガムは酸度調節剤としてクエン酸を含みうる。任意で、2gのチューインガムは20mgのキトサンを含みうる。
【0392】
6. 別の好ましい一態様において、口腔またはバッカル持続送達系は、固形または半固形剤形を含み、それらの剤形は、限定するわけではないが、キトサンを1つの構成要素とする複合材料マイクロ粒子を含有することができる。
【0393】
キトサンは、より複雑な剤形の一構成要素であることができる。例えばキトサンは、粘着性マイクロ粒子構成で製剤化されうるヒアルロン酸との複合体を形成している。
【0394】
7. 別の好ましい一態様では、粘膜標的において、1平方センチメートルあたり1ナノグラム~1平方センチメートルあたり0.1マイクログラム、好ましくは1平方センチメートルあたり10ナノグラム~1平方センチメートルあたり0.1マイクログラムの負荷量が達成されるように、キトサン投薬量が選択される。これらの用量は好ましいが、これを上回る用量またはこれを下回る用量も依然として問題なく機能する。
【0395】
これらの数字は1.で述べたものに対応する。
【0396】
粘膜が取り入れる用量は、1cm2あたり10ng~1cm2あたり10マイクログラム、より好ましくは1cm2あたり0.1マイクログラム~1cm2あたり5マイクログラム、最も好ましくは1cm2あたり0.1マイクログラム~1cm2あたり1マイクログラムにすべきである。
【0397】
8. 別の好ましい一態様において、送達系は、好ましくは、粘膜負荷量を、所望する1つまたは複数の期間、選択したレベルに維持するようにキトサンを放出する。
【0398】
例: 持続的キトサン放出は、例えば(再充填可能な)薬物送達インプラントによって達成することができるだろう。この目的に役立ちうる埋込み可能なデバイスは、例えば機能性歯科プロテーゼ、プロテーゼ固定用接着材料など、いくつか利用できる。
【0399】
9. 別の好ましい一態様において、噴霧溶液または飲用のためのキトサン溶液は、
溶解および/または分散させたキトサン、および
任意で、芳香成分、および
任意で、味および外観を調整するための成分、および
任意で、レオロジー的性質を調整するための成分、および
任意で、口当たりを改良するための成分、および
任意で、適用可能性を改良するための成分
を、本質的に含有する。
【0400】
10. 別の好ましい一態様において、口腔適用および鼻腔適用のための噴霧溶液は、任意で、キトサンに対して化学量論比または非化学量論比のヒアルロン酸または他の任意の許容されるバイオポリマーを含有しうる。
【0401】
11. 別の好ましい一態様において、持続放出噴霧形態は、限定するわけではないが、キトサンを一成分とする、組成が異なるさまざまなサイズ(例えば直径5μm~950μm)の分散したマイクロ粒子を含む、親油性/非キトサン溶解性の液体を含むことができる。これらのマイクロ粒子は、類似する組成を持つ機械的に改変された状態のものであることができる。非水性連続相系の利点は、水性系との比較で、分散したバイオポリマーまたはバイオポリマー含有複合体の安定性の増加である。
【0402】
12. 別の好ましい一態様において、本発明では、キトサンを一成分とする、異なるマイクロ粒子の複合材料の固形共凝集体の系を含む、口腔、バッカルおよび気管支持続送達系が想定される。大きい粒子は上気道において衝突し、直径5μm以下の粒子は気管支において衝突して、より長時間にわたってキトサンを送達する。
【0403】
関与するマイクロ粒子は、もっぱらキトサンとその水溶性塩だけ、または複雑な複合材料粒子を形成するキトサンと他のバイオポリマーとの組合せだけからなることができる。
【0404】
この複雑な複合材料粒子の増大戦略は数桁をカバーする。流動床造粒法は、なかんずく、この系統の複雑な粒子を製造するための一組の技法を含む。
【0405】
例: 流動床造粒装置にヒアルロン酸マイクロ粒子を投入する。その流動床に、キトサンの溶液を加える(噴霧する)。このプロセスを、標的マイクロ粒子凝集物サイズに到達するまで続ける。このプロセスは、新たに得られたマイクロ粒子凝集物を出発粒子とするなどして、続けることができる。
【0406】
13. 別の好ましい一態様において、キトサンまたはキトサン含有剤形は、マイクロ粒子または分別マイクロ粒子である。マイクロ粒子製造は、バイオポリマー粉末を肉眼的固体に変換し、次にマイクロ粒子化と分別とを行うことによって、達成される。
【0407】
14. 別の好ましい一態様において、本発明では、工業用品または家庭用品の表面に噴霧するための、または限られた容積中に噴霧するための、キトサン溶液またはキトサン懸濁液が、固形のまたは溶解したキトサンそのものの他に、アルコール(例えばエタノール、プロパノール)、消毒薬およびスキンケア成分のような他の成分を含有することが想定される。
【0408】
通常、バイオポリマーの水性系での安定性は限られている。バイオポリマーは、あらゆるタイプの加水分解によって分解され、分子量と完全性を失う。この作用を克服するために、使用時までの安定性を提供する複雑な複合材料構造へのキトサンの統合が提案される。これは、キトサンと付随構成要素との幅広い化学量論比で達成できるだろう。
【0409】
15. 別の好ましい一態様において、皮膚上のウイルス汚染物の不活化を確実にし、塗抹感染を避けるために、他のバイオポリマーを伴う/伴わないキトサンの、サイズが異なるマイクロ粒子を、固形セッケン、液状セッケンおよびローションに分散させることができる。
【0410】
16. 別の好ましい一態様では、キトサンの、またはキトサンと他の成分との複合体の、マイクロ粒子が、洗濯洗剤製剤に組み入れられる。それらは抗微生物効果をサポートするだろう。
【0411】
17. 別の好ましい一態様では、キトサンが、口腔への適用のための半固形ゲルに組み入れられる。これらの粘着性ゲル系から放出されたキトサンは、口腔衛生ならびに歯肉炎対策および歯周症/歯周炎症候群対策をサポートする。
【0412】
18. 別の好ましい一態様では、口腔に適用することもできる鼻洗浄溶液の簡単で容易な家庭での作製が可能になるように、サイズが異なるキトサンのマイクロ粒子を固形塩混合物に分散させることができる。この方法により、水道水を、上気道におけるウイルス感染を不活化できるキトサン製剤に、変えることができる。
【実施例
【0413】
実施例1:チューインガムからのキトサン放出の測定
本発明者らは、10mgのキトサンを含有する2つのチューインガム製品(236.03 SPF1490および236.02 SPF1494)の咀嚼の効果を評価した。4人のボランティアにこれら2つの無糖ガム製品を咀嚼してもらうことにより、唾液中のキトサンの濃度を測定した。その意図は、キトサンの分泌の時間依存的機序を調べることであった。
【0414】
唾液試料を咀嚼開始前に収集し、ちょうど1、2、3、4、5、5~10分で収集し、さらに15分後に収集してから、ガムを取り出した。ガムが口中にない状態で15分後および30分後に、再び唾液を収集し、測定した。ボランティアは1分あたり30~60回咀嚼した。
【0415】
キトサンは、Hettich溶液を用いる測定によって決定した。簡単に述べると、これは以下の工程に従って行った。Nunc Maxisorb 96ウェルプレートに180μlの緩衝液pH6.6(Therom scientific製のgentle Ag/Ab溶出緩衝液、製品番号21027)を充填した。10mgのキトサン塩をpH6.6の緩衝液(Therom scientific製のgentle Ag/Ab溶出緩衝液、製品番号21027)に溶解した。5μlのHettich溶液(90%エタノール中の2.5gのヨウ化物、2.5gのKI)を加えた0.9mg/ml、0.45mg/ml、0.3mg/ml、0.15mg/ml、0.075mg/ml、0.0352mg/ml(PBSまたは唾液中のキトサン)の段階希釈液を使って標準曲線を作成し、反応は波長620nmで測定した。10μlの各試料を加え、5μlのHettich溶液(90%エタノール中の2.5gのヨウ化物、2.5gのKI)を加えた。10分後に、反応を波長620nmで測定した。濃度は標準曲線測定に従って算出した。
【0416】
236.03 SPF1490の場合、最初の1分間の咀嚼での平均キトサンレベルは4.6mg(平均値)であり、PBS中で6日後のその放出量(図1および図2A~C)は8.7mgである。これは、咀嚼の機械的ストレスがない唾液中で6日後に測定される放出量の12.4倍である。これらのデータから、咀嚼の機械的ストレスは放出量を>10倍増大させ、唾液中では、キトサンが試料を貯蔵した4℃でさえ、キトサンが分解し続けると、結論することができる。236.03 SPF1490を使用した場合、液体窒素での低温粉砕後に、5mlのPBSにおいて、3分後にはキトサンの70%が放出される。236.02 SPF1494を使用した場合も、液体窒素での低温粉砕後に、5mlのPBSにおいて、3分後には極めて迅速に、全キトサンの20%が放出される。
【0417】
236.02 SPF1494の最初の1分間の咀嚼での平均キトサンレベルは、平均で2.8mgであり、PBS中で6日後のその放出量は0.5mgである。これは、咀嚼の機械的ストレスがない唾液中で6日後に測定される放出量の5.6倍である。これは、PBS中で6日後に測定される236.03 SPF1490の放出量の16.1分の1である。
【0418】
興味深いことに、唾液中の236.03 SPF1490および236.02 SPF1494の6日後のキトサン放出量は、ほぼ同じである(0.76mg;0.69mg)。
【0419】
これらのデータから、キトサンは、機械的ストレスがなければ、唾液中で、試験したどちらのガムでも同じように2つの異なるガム製品から放出され、分解されると、結論することができる。最初の3分間では、平均放出量が常に高く(約2~5mg)、4分目に、どちらのガムも、試験した4人では平均で同じ2.5mg/mlを放出する。
【0420】
236.02 SPF1494では、キトサンレベルが5分後には2.5mgから1.4mgに下落し、次の5~10分およびさらに15分の咀嚼では、それが0.8~0.7mg/mlのキトサン放出量に下落する。236.03 SPF1490では、キトサンレベルが5分後には2.5mgから2.1mgに下落し、次の5~10分およびさらに15分の咀嚼では、それが1.1~1.8mg/mlのキトサン放出量に下落する。
【0421】
次の工程として、本発明者らは、口内の唾液における咀嚼から15分後のキトサンレベルを試験した。飲食は不可とした。本発明者らは、平均で、15分後に、236.03 SPF1490からは1.8mg/mlのキトサン、236.02 SPF1494からは0.7mg/mlを、また最後の咀嚼事象後に、唾液中に236.03 SPF1490からは0.23mg/ml、236.02 SPF1494からは0.0185mg/mlのキトサンを、依然として測定することができた。
【0422】
これは、咀嚼時に、また口からガムを取り出した後も15~30分は、感染からの防御が可能であることを意味する。
【0423】
上記に鑑み、本発明者らは、咀嚼プロセス中にキトサンがチューインガムから効率よく放出されることを、一連の実験において実験的に実証した。さらに、本発明者らは、咀嚼プロセスを終え、チューインガムを取り除いた後も、15分後、さらには20分後でさえ、口腔に検出可能なキトサンが存在することを、実験的に実証することができた。
【0424】
実施例2:マイクロスケール熱泳動(MST)結合研究
SARS-CoV-2スパイクタンパク質と宿主ACE2受容体の間の相互作用に関する利用可能な構造データから出発して、本発明者らは、可溶性ウイルス受容体および安定なACE2相互作用物質を作り出す目的で、RBD領域を工学的に操作した。高収率で組換え生産されたこのミニ-RBD-SARS-CoV-2スパイクタンパク質(90aa前後)は安定なコンフォメーションを持ち、ACE2と相互作用することができる。
【0425】
ヒトACE2に対するSARS-CoV-2のミニRBD Sタンパク質の結合アフィニティを測定するために、マイクロスケール熱泳動(MST)解析を行った。
【0426】
熱泳動測定はMonolith NT.115デバイス(NanoTemper Technologies、ドイツ・ミュンヘン)を使って行った。キトサンはKraeber社から購入した。MSTを記録するために、組換えタンパク質を蛍光色素Cy-5(SNAP-タグKit Red nanotemper)で標識した。熱泳動実験はMonolith NT.115(NanoTemper Technologies、ドイツ・ミュンヘン)を使って実行した。標識後の組換えタンパク質濃度をUV-Vis分光測光器で測定したところ、標識効率は80%と決定された。MST実験はPBSを含有するpH7.5の緩衝液で行った。10μLのRBS-Snap-タグタンパク質10/20nMを、キトサンおよび他の糖類の16の段階希釈液10μLと混合した。Sタンパク質の最終濃度はすべての試料で20nMとし、一方、キトサン、L+アラビノース、D+ガラクトース、Nアセチル-D-グルコサミン、カフェイン濃度は0.5μM~0.2nMの範囲にあった。次に、試料を16のプレミアムコートキャピラリー(premium-coated capillary)(NanoTemper Technologies)に負荷し、100%のレーザーパワーおよび40%のMSTパワーを使って、蛍光を20秒間記録した。機器の温度はすべての測定について25℃に設定した。MSTタイムトレースの記録後にデータを解析した。14秒間の熱泳動後に、組換えタンパク質(rec protein)の規格化された蛍光のリガンド濃度依存的変化から、KD値を算出した。アッセイは三つ組で行い、報告する値はMOアフィニティ解析ソフトウェア(NanoTemper Technologies)の使用によって生成させた。
【0427】
SnapタグRBDに対する、キトサン、L+アラビノース、D+ガラクトース、N-アセチル-D-グルコサミン、カフェイン結合に関する、アフィニティパラメータ
【0428】
2つのデータセットがあり、初期結合を決定するための3つの実験から生成させた範囲で、6つの実験では、1:1結合モデルを使って、1つの実験内の各データセットを、一般フィット(general fit)した。結合曲線フィットからの平均および標準;6回の実験を代表する範囲。
【0429】
MST測定は、SARS-Cov2のミニRBDに対する、キトサン、Dガラクトース、Dマンノース、およびカフェイン結合について、ナノモル濃度域の結合アフィニティを示している。
【0430】
L+アラビノースおよびN-アセチル-D-グルコサミンでは結合が観察されなかった。
【0431】
さらにまた、キトサン、Dガラクトース、Dマンノースおよびカフェインは、Cov19のミニ-RBDとヒトACE2受容体の結合を阻害することができた。これらの結果を図3図12に示す。
【0432】
実施例3:異なるCOVID-19患者血清で試験したSARS-COV-02 Nタンパク質に対するキトサン乳酸塩による結合を調べるELISA結合アッセイ
結合を決定するために本発明者らはELISAアッセイを使用した。ELISAアッセイを実行するために、以下の工程を含む手順を本発明者らは実行した。本発明者らは、proteintech(登録商標)ELISA RBD Covid IgG ELISAキットを使用した。
【0433】
ELISAプレートにカップリングしたS-RBDペプチドを、対照としてキトサンを含まない緩衝液、およびキトサン、10mg/ml乳酸塩、緩衝液中1mg/ウェルと共に、100μl/ウェルで350rpmの振とう機上、RTにおいて1時間インキュベートした。次に、400μl/ウェルの洗浄緩衝液による5回の洗浄で、洗浄工程を実行した。その後、血清希釈緩衝液に1:100のCOVID-19感染患者血清を、100μl/ウェルで、350rpmの振とう機上、RTにおいて1時間インキュベートした。次に、400μl/ウェルの洗浄緩衝液による3回の洗浄で、さらなる洗浄工程を行った。次の工程として、希釈緩衝液中の検出抗体を、100μl/ウェルで、350rpmの振とう機上、RTにおいて30分間インキュベートした。400μl/ウェルの洗浄緩衝液による3回の洗浄で、さらなる洗浄工程を行った。呈色溶液を100μl/ウェルでRTにおいて10分間インキュベートした。次に100μl/ウェルの停止溶液を加えた。最後にウェルを分光測光器において450~620nmの読出しで分析した。
【0434】
結合ELISAの結果を図15に示す。
【0435】
図15Aは、キトサンなしの唾液対照と比較した、SARS-COV-02 RBDタンパク質への結合に関する、血清抗体の結合増大のパーセントの変化という形での、中央値の上昇を表す。COVID-19感染患者の抗体の3つの群、すなわち、高RBD SARS-COV-02結合性血清抗体、中RBD SARS-COV-02結合性血清抗体、および低RBD SARS-COV-02血清抗体を調べた。各群の抗体について、3つの希釈液、すなわち唾液中の1:100、1:200および1:400希釈液を試験した。図15Aによれば、特に低結合性中和血清抗体が、キトサンなしの対照と比較して、上昇した結合を示す。
【0436】
図15Bは、キトサンなしの唾液対照と比較した、SARS-COV-02 RBDタンパク質への結合に関する、血清抗体の結合増大のパーセントの変化という形での、中央値の上昇を表す。ここでも、チューインガム試料から放出されたキトサンを、ELISAアッセイにおける最初のインキュベーション工程に使用した。図15Bによれば、特に低結合性中和血清抗体が、キトサンなしの対照と比較して、わずかに上昇した結合を示す。
【0437】
実施例4:茶からのキトサン放出
本発明者らは茶からのキトサンの放出を評価した。
【0438】
茶からのキトサンの放出を決定するために、3つのティーバッグを、pH2のPBS緩衝液30mlにより、80℃で3分間処理することで、キトサンを溶解させた(図17の左上のパネル参照)。溶解後に、NaOHを使ってpH>12でキトサンを沈殿させた(図17の右上のおよび左下のパネル参照;K:対照、CIT:NaOHによる沈殿で得られたキトサンペレット)。沈殿後に、得られたキトサンペレットをpH2のPBS緩衝液に再溶解し、キトサンの濃度をELISAで測定した。
【0439】
放出実験は、2つの異なる茶、すなわちアルカリ茶(塩基性茶または塩基茶としても公知である)および果実茶で行った。ティーバッグごとのキトサンの濃度はさまざまでありうるので、本発明者らは、各茶について3つのティーバッグのキトサン放出量を測定した。アルカリ茶の場合、3つのティーバッグをpH2のPBS緩衝液30mlにより80℃で3分間処理した後、1.7mgの量のキトサンが測定された(図18の左カラム、ならびに茶およびキャンディでのキトサン測定の結果を編集した図21を参照されたい)。果実茶の場合、3つのティーバッグをpH2のPBS緩衝液30mlにより80℃で3分間処理した後、2.4mgの量のキトサンが測定された(図18の左カラム、ならびに茶およびキャンディでのキトサン測定の結果を編集した図21を参照されたい)。したがって、平均値として、アルカリ茶のティーバッグ1つは約560μgのキトサンを放出し、果実茶のティーバッグ1つは約800μgのキトサンを放出した。上記の実験に基づいて、茶を調製する時に2~3mlのレモン果汁、すなわち酸を加えることで、250mlのカップでティーバッグからキトサンを溶解させることができる。
【0440】
実施例5:キャンディからのキトサン放出
本発明者らは、キャンディからのキトサンの放出量も評価した。
【0441】
キャンディからのキトサンの放出量を決定するために、キャンディを咀嚼し、または舐めて、予定の時間後に唾液試料を収集し、試料中のキトサンの量を本明細書の上記実施例1で述べたようにHettich溶液を使って決定した。最初の実験では、キャンディを5分間咀嚼し、5分間の咀嚼後、直ちに、唾液試料を収集した。キャンディを口から取り出し、キャンディを口から取り出した2分後に、さらなる唾液試料を集めた。5分間の咀嚼後に、6mgのキトサンがキャンディから放出された(図19の左カラム参照)。口からキャンディを取り出した2分後に収集した試料は依然として1.3mgのキトサンを含有していた。2つ目の実験では、キャンディを10分間舐め、10分間舐めた後、直ちに、唾液試料を収集した。キャンディを口から取り出し、キャンディを口から取り出した5分後に、さらなる唾液試料を集めた。10分間舐めた後に、8.4mgのキトサンがキャンディから放出された(図19の中央のカラム参照)。口からキャンディを取り出した5分後に収集した試料は依然として2.3mgのキトサンを含有していた。比較のために、別の一実験では、キャンディを5mlのPBS緩衝液に溶解し、上記実施例4で述べた沈殿法を使ってキトサン含量を決定した。これは、12.6mgのキトサンの放出をもたらした(図19、右側のカラム)。これらの実験は、咀嚼している間または舐めている間に、キトサンがキャンディから放出されうることを示している。
【0442】
キャンディを咀嚼して、1、2、3、4および5分後に唾液試料を収集すること、およびキャンディを舐めて、1、5および10分後に唾液試料を収集することによって、さらなる実験を行った。これらの実験により、キトサンは、咀嚼することおよび舐めることによってキャンディから放出されうることが確認される(図20、ならびにこれらの実験でのキャンディからのキトサン放出を、実施例4で決定した茶からのキトサン放出と共に示す図21を参照されたい。図21には、さらなるキャンディ、すなわちコーヒーボンボンからのキトサン放出も示されている)。
【0443】
本発明は以下のように記載することもできる。
【0444】
キトサンは、数多くの異なる分子量および数多くの異なる脱アセチル化度を持つポリグルコサミン、ならびにあらゆるその生体適合性誘導体、ならびにあらゆるタイプの架橋誘導体および物理的改変体を含む。好ましくは、キトサンはカチオン型で適用される必要があるか、または粘膜部位においてカチオン性を獲得する必要がある。
【0445】
さらにまた、キトサンは、それぞれ使用することができる、化学合成されたおよび抽出された、有機および無機ポリカチオン性のバイオポリマーおよびポリマーの一例と理解される。他の例としてポリエチレンイミンなどが挙げられるが、それに限定されるわけではない。
【0446】
好ましい一態様において、抗ウイルス目的(COVID-19(コロナウイルスSARS-CoV-2)でのキトサン炭水化物の緊急適用の提案は、インスリン、ヒアルロン酸および多くの抗体に見られたように、生物工学的製造経路の開発の引き金を引くことになりうると考えられる。今までのところ、キトサンは動物または真菌から作られている。
【0447】
多糖キトサンは、例えば生体適合性、創傷組織再生の支持、免疫刺激、止血の誘導および遊離基捕捉、ならびに抗微生物および抗ウイルス活性など、すぐれた生物学的性質を有する。キトサンが、その活性成分特性について、薬学的に適格とされていないのは、遅きに失している。この遅れはおそらく、一つには、キトサンが天然物であるという事実によって説明できるだろう。
【0448】
キトサンは、化粧品産業、医療産業、農産業、食品加工、栄養強化、および排水処理などといった多用な分野に、多くの用途を有する。
【0449】
本発明では、本明細書記載の多くの態様が想定される。
【0450】
キトサンは、いくつかの生体組織のウイルストランスフェクションを著しく低減させるために使用することができる。細菌の低減および極めて原始的な細胞下生命体の低減は、まさに今、活発な化学的研究の標的になっている。
【0451】
キトサンは、薬物および遺伝子送達系の候補であり、診断試験プロトコールのキー構成要素であり、抗接着性を提供し、外科デバイスにおける一構成要素として作用する。
【0452】
キトサンは抗そう痒製剤の活性有効成分である。
【0453】
キトサンは、消化管における脂肪再吸収を制御する栄養補給食品である。
【0454】
粘膜に浸透してその下にある生物学的細胞にトランスフェクトするウイルスがある。
【0455】
コロナウイルスSARS-CoV-2ウイルスは粘膜とその下にあるヒト咽頭の細胞を攻撃する。
【0456】
ヒト咽頭には、口腔、鼻および咽喉路(throat tract)を介してアクセスできる。鼻そのものには、目から涙管を介しておよび耳から耳管を介してアクセスできる。耳、目、鼻および口の体腔は相互連絡しており、例えば口の粘膜へのキトサンの送達は、言及した他の組織および器官の粘膜にも影響を及ぼす。
【0457】
好ましい一態様において、本発明では、制御された持続的な様式で、キトサンおよび咽頭の粘膜が、感染を防止または低減し、または深刻な疾患を伴わずに免疫化を促進することができるほど十分に、コロナウイルスSARS-CoV-2のトランスフェクションを阻害することができる。
【0458】
キトサンはウイルスまたはウイルス体と相互作用すると考えられる。相互作用の一タイプは静電的特徴を持つ。同じタイプがキトサンと細胞表面の間の相互作用に観察される。各キトサン分子には膜との相互作用部位が2つ以上存在すると考えられる。離れた場所にある2つ以上の相互作用部位は、固有の膜機構を妨害し、その結果として、ウイルス細胞膜相互作用にも影響を及ぼす。最終的には、一連の事象により、ウイルストランスフェクションの確率が100分の1まで低減する。
【0459】
キトサンとウイルス(利用可能な場合)、粘膜構成要素(主として負の電荷を持つ)および隣接する細胞膜表面との相互作用ゆえに、その量または濃度は、治療ウインドウと合致するように正しく調整される必要がある。1回放出または持続放出のどちらかによる咽頭粘膜へのキトサンの送達は、その治療域に調節される必要がある。この範囲そのものは事前に公知であるわけではなく、各病原体について実験的に決定されることになる。
【0460】
本特許出願では、十分な期間にわたって治療用量を得るために、治療キトサン用量を、好ましくは1回方式または持続放出方式で、咽頭粘膜に送達するための手順も想定される。
【0461】
1回適用は、噴霧もしくは含嗽、または希釈されたキトサン溶液もしくはキトサン懸濁液を少しずつ啜ってゆっくり飲むことなどによって達成されうる。キトサン含有エアロゾルの吸入は、咽頭、気道および鼻を含む数多くの標的に送達するために好ましく使用することができる手順である。噴霧および吸入手順は、最先端のデバイスを使って実施される。
【0462】
本特許出願では、居間、病室または仕事部屋の表面へのキトサン溶液またはキトサン懸濁液の噴霧が、抗ウイルス効果および抗細菌効果を引き起こすまたは生成することも想定される。室内または屋内の空気に噴霧するだけでも、同じ効果があるだろう。
【0463】
以下に、非限定的な代表例をいくつか挙げる。
【0464】
1. 好ましい一態様では、1回送達方式で、キトサン溶液が、咽頭粘膜において治療用量が達成されるように、噴霧または含嗽によって、咽頭の粘膜に適用される。
【0465】
2. 別の好ましい一態様では、1回送達方式で、キトサン溶液が、咽頭および上気道において治療用量が達成されるように、吸入によって、気道に適用される。
【0466】
3. 別の好ましい一態様では、持続放出方式で、キトサンが、咽頭粘膜における治療用量が達成され維持されるように、口腔またはバッカル持続送達系からの放出によって、咽頭の粘膜に適用される。
【0467】
4. 別の好ましい一態様において、口腔またはバッカル持続送達系は、あらゆる種類の固形(Solida)または半固形(Semisolida)剤形を含み、限定するわけではないが、チューインガム、錠剤、カプセル剤、ゲル体、または放出時間および適用される用量を向上させるための、バルク材および/もしくは前もって機械的に改変された濃縮バイオポリマー材料でできた、薄いおよび厚い粘着性口腔フィルムでありうる。
【0468】
5. 別の好ましい一態様において、口腔またはバッカル持続送達系は、固形または半固形剤形を含み、それらの剤形は、限定するわけではないが、キトサンを1つの構成要素とする複合材料マイクロ粒子を含有することができる。
【0469】
6. 別の好ましい一態様では、粘膜標的において、1平方センチメートルあたり1ナノグラム~1平方センチメートルあたり0.1マイクログラム、好ましくは1平方センチメートルあたり10ナノグラム~1平方センチメートルあたり0.1マイクログラムの負荷量が達成されるように、キトサン投薬量が選択される。
【0470】
7. 別の好ましい一態様において、送達系は、好ましくは、粘膜負荷量を所望の期間、選択したレベルに維持するようにキトサンを放出する。
【0471】
8. 別の好ましい一態様において、噴霧溶液または飲用のためのキトサン溶液は、
溶解および/または分散させたキトサン、および
任意で、芳香成分、および
任意で、味および外観を調整するための成分、および
任意で、レオロジー的性質を調整するための成分、および
任意で、口当たりを改良する成分、および
任意で、適用可能性を改良する成分
を、本質的に含有する。
【0472】
9. 別の好ましい一態様において、口腔適用および鼻腔適用のための噴霧溶液は、任意で、キトサンに対して非化学量論比のヒアルロン酸を含有しうる。
【0473】
10. 別の好ましい一態様において、持続放出噴霧形態は、限定するわけではないが、キトサンを一成分とする、組成が異なるさまざまなサイズ(例えば直径5μm~950μm)の分散したマイクロ粒子を含む、親油性/非キトサン溶解性の液体を含むことができる。これらのマイクロ粒子は、類似する組成を持つ機械的に改変された状態のものであることができる。
【0474】
11. 別の好ましい一態様において、本発明では、キトサンを一成分とする、異なるマイクロ粒子の複合材料の固形共凝集体の系を含む、口腔、バッカルおよび気管支持続送達系が想定される。大きい粒子は上気道において衝突し、直径5μm以下の粒子は気管支において衝突して、より長時間にわたってキトサンを送達する。
【0475】
12. 別の好ましい一態様において、本発明では、工業用品または家庭用品の表面に噴霧するための、または限られた容積中に噴霧するための、キトサン溶液またはキトサン懸濁液が、固形のまたは溶解したキトサンそのものの他に、アルコール(例えばエタノール、プロパノール)、消毒剤およびスキンケア成分のような他の成分を含有することが想定される。
【0476】
本発明は以下の項目も特徴とする。
【0477】
1. ウイルスもしくは細菌による感染の防止、またはウイルス感染もしくは細菌感染の処置、またはウイルス感染もしくは細菌感染によって引き起こされる疾患の処置における使用のための固形組成物であって、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含む、固形組成物。
【0478】
2. ウイルスが呼吸器ウイルスである、項目1の使用のための組成物。
【0479】
3. 呼吸器ウイルスが、コロナウイルス、好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、および呼吸器合胞体ウイルスからなる群より選択される、項目2の使用のための組成物。
【0480】
4. ヒト病原性コロナウイルスがベータコロナウイルスである、項目3の使用のための組成物。
【0481】
5. ヒト病原性コロナウイルスが、SARS-CoV-2、MERS-CoV、およびSARS-CoV-1からなる群より選択され、好ましくはヒト病原性コロナウイルスがSARS-CoV-2である、項目3または項目4の使用のための組成物。
【0482】
6. 疾患が、COVID-19、MERS、およびSARSからなる群より選択され、好ましくは疾患がCOVID-19である、項目1の使用のための組成物。
【0483】
7. 使用が、体液を組成物と接触させる工程を含む、前記項目のいずれか一項目の使用のための組成物。
【0484】
8. 体液が唾液または粘膜分泌物である、項目7の使用のための組成物。
【0485】
9. 粘膜分泌物が鼻腔分泌物または気管支分泌物である、項目8の使用のための組成物。
【0486】
10. 使用が、粘膜を組成物と接触させる工程を含む、前記項目のいずれか一項目の使用のための組成物。
【0487】
11. 粘膜が、鼻の粘膜、咽頭の粘膜、口の粘膜および気管支の粘膜からなる群より選択される、項目10の使用のための組成物。
【0488】
12. 化合物がキトサンまたはその塩である、前記項目のいずれか一項目の使用のための組成物。
【0489】
13. 塩が、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、キトサン塩酸塩、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、前記項目のいずれか一項目の使用のための組成物。
【0490】
14. 可食性組成物であるか、または口腔投与、鼻腔投与、もしくは気管支投与に適した組成物である、前記項目のいずれか一項目の使用のための組成物。
【0491】
15. 組成物が栄養補助食品であり、好ましくは栄養補助食品が飲料への添加に適しており、より好ましくは飲料が、茶、コーヒー、果汁、レモネード、ミルク、コーラ、飲用可能な乳製品(例えば飲用可能なヨーグルト)、シャーベット粉末または発泡錠を溶解することによって得ることができる飲料、およびアルコール飲料からなる群より選択される、前記項目のいずれか一項目の使用のための組成物。
【0492】
16. チューインガム、キャンディ、ボンボン、フルーツガム、チョコレート、および飲料調製用の組成物(例えばコーヒー組成物、茶組成物、シャーベット粉末、発泡錠)からなる群より選択される、前記項目のいずれか一項目の組成物。
【0493】
17. チューインガムである、項目16の使用のための組成物。
【0494】
18. チューインガムが、キトサンおよび酸を含む、項目17の使用のための組成物。
【0495】
19. チューインガムがキトサンの塩を含む、項目17の使用のための組成物。
【0496】
20. キトサンの塩が、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩からなる群より選択される、項目19の使用のための組成物。
【0497】
21. 持続送達系、好ましくは口腔またはバッカル持続送達系である、前記項目のいずれか一項目の使用のための組成物。
【0498】
22. 固形または半固形剤形を含む、前記項目のいずれか一項目の使用のための組成物。
【0499】
23. 薄膜、層構造の薄膜、錠剤、カプセル剤、ゲル体(例えば口腔用のゲル)、チューインガム、キャンディ、ボンボン、フルーツガム、およびチョコレートからなる群より選択される、項目21または項目22の使用のための組成物。
【0500】
24. マイクロ粒子を含む、前記項目のいずれか一項目の使用のための組成物。
【0501】
25. マイクロ粒子がキトサンまたはその塩を含む、項目24の使用のための組成物。
【0502】
26. マイクロ粒子がヒアルロン酸をさらに含む、項目25の使用のための組成物。
【0503】
27. 異なるマイクロ粒子の共凝集体を含む、項目24~項目26のいずれか一項目の使用のための組成物。
【0504】
28. 共凝集体がキトサンまたはその塩を含む、項目27の使用のための組成物。
【0505】
29. マイクロ粒子または共凝集体が液状組成物または半固形組成物に含まれており、特にマイクロ粒子または共凝集体が液状組成物または半固形組成物に懸濁されている、項目24~項目28のいずれか一項目の使用のための組成物。
【0506】
30. マイクロ粒子または共凝集体が、噴霧もしくは含嗽のための組成物、洗口剤、口腔に適用するためのゲル、点鼻スプレー、点鼻オイル、点鼻液製剤、または鼻洗浄製剤に含まれており、特に懸濁されている、項目29の使用のための組成物。
【0507】
31. 送達系が薬物送達インプラントを含む、項目21~項目28のいずれか一項目の使用のための組成物。
【0508】
32. 鼻洗浄溶液、点鼻溶液、点鼻オイル製剤、噴霧または含嗽のための溶液、洗口剤、口腔に適用するためのゲル、または飲料を製造するための固形混合物に含まれる、前記項目のいずれか一項目の使用のための組成物。
【0509】
33. マイクロ粒子の形態にある、項目32の使用のための組成物。
【0510】
34. キトサンまたはその塩が80%以上の脱アセチル化度を有する、前記項目のいずれか一項目の組成物。
【0511】
35. キトサンまたはその塩が40~50%の脱アセチル化度を有する、項目1~項目33のいずれか一項目の組成物。
【0512】
36. 前記項目のいずれか一項目に規定される固形組成物の、ウイルスまたは細菌による感染を防止するための非医療的使用。
【0513】
37. ウイルスが呼吸器ウイルスである、項目36の使用。
【0514】
38. ウイルスが、コロナウイルス、好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、および呼吸器合胞体ウイルス[RSV]からなる群より選択される、項目37の使用。
【0515】
39. ヒト病原性コロナウイルスがベータコロナウイルスである、項目38の使用。
【0516】
40. ヒト病原性コロナウイルスが、SARS-CoV-2、MERS-CoV、およびSARS-CoV-1からなる群より選択され、好ましくはヒト病原性コロナウイルスがSARS-CoV-2である、項目38または項目39の使用。
【0517】
41. 体液を組成物と接触させる工程を含む、項目36~項目40のいずれか一項目の使用。
【0518】
42. 体液が唾液または粘膜分泌物である、項目41の使用。
【0519】
43. 粘膜分泌物が鼻腔分泌物または気管支分泌物である、項目41の使用。
【0520】
44. 粘膜を組成物と接触させる工程を含む、項目36~項目43のいずれか一項目の使用。
【0521】
45. 粘膜が、鼻の粘膜、咽頭の粘膜、口の粘膜および気管支の粘膜からなる群より選択される、項目44の使用。
【0522】
46. 項目1~項目35のいずれか一項目に規定される固形組成物の使用によって、ウイルスもしくは細菌による感染を防止する、またはウイルス感染もしくは細菌感染を処置する、またはウイルス感染もしくは細菌感染によって引き起こされる疾患を処置する方法。
【0523】
47. ウイルスが呼吸器ウイルスである、項目46の方法。
【0524】
48. 呼吸器ウイルスが、コロナウイルス、好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、および呼吸器合胞体ウイルス[RSV]からなる群より選択される、項目47の方法。
【0525】
49. ヒト病原性コロナウイルスがベータコロナウイルスである、項目48の方法。
【0526】
50. ヒト病原性コロナウイルスが、SARS-CoV-2、MERS-CoV、およびSARS-CoV-1からなる群より選択され、好ましくはヒト病原性コロナウイルスがSARS-CoV-2である、項目48または項目49の方法。
【0527】
51. 疾患が、COVID-19、MERS、およびSARSからなる群より選択され、好ましくは疾患がCOVID-19である、項目46の方法。
【0528】
52. 体液を組成物と接触させる工程を含む、項目46~項目51のいずれか一項目の方法。
【0529】
53. 体液が唾液または粘膜分泌物である、項目52の方法。
【0530】
54. 粘膜分泌物が鼻腔分泌物または気管支分泌物である、項目53の方法。
【0531】
55. 使用が、粘膜を組成物と接触させる工程を含む、項目46~項目54のいずれか一項目の方法。
【0532】
56. 粘膜が、鼻の粘膜、咽頭の粘膜、口の粘膜および気管支の粘膜からなる群より選択される、項目55の方法。
【0533】
57. キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含む、チューインガム。
【0534】
58. キトサンおよび酸を含む、項目57のチューインガム。
【0535】
59. キトサンの塩を含む、項目58のチューインガム。
【0536】
60. キトサンの塩が、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩からなる群より選択される、項目59のチューインガム。
【0537】
61. マイクロ粒子を含む、項目57~項目60のいずれか一項目のチューインガム。
【0538】
62. マイクロ粒子がキトサンまたはその塩を含む、項目61のチューインガム。
【0539】
63. マイクロ粒子がヒアルロン酸をさらに含む、項目62のチューインガム。
【0540】
64. 組成物が、異なるマイクロ粒子の共凝集体を含む、項目57~項目63のいずれか一項目のチューインガム。
【0541】
65. 共凝集体がキトサンまたはその塩を含む、項目64のチューインガム。
【0542】
66. キトサンまたはその塩が80%以上の脱アセチル化度を有する、項目57~項目65のいずれか一項目のチューインガム。
【0543】
67. キトサンまたはその塩が40~50%の脱アセチル化度を有する、項目57~項目66のいずれか一項目の組成物。
【0544】
67a. ソルビトール、イソマルト、マルチトール、キシリトール、アセスルファムK、スクラロース、ガムベース、香味料、グリセロール、アラビアガム、キトサン、酢酸亜鉛、およびカルナウバワックスを含み、任意で、クエン酸をさらに含みうる、項目57のチューインガム。
【0545】
68. キトサンまたはその塩からなる群より選択される化合物を含む、可食性組成物。
【0546】
69. 塩が、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、キトサン塩酸塩、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、項目68の可食性組成物。
【0547】
70. 栄養補助食品、食品、または飲料である、項目68または項目69の可食性組成物。
【0548】
71. キャンディ、ボンボン、フルーツガム、チョコレート、チューインガム、および飲料調製用の組成物(例えばコーヒー組成物、茶組成物、シャーベット粉末、発泡錠)からなる群より選択される、項目70の可食性組成物。
【0549】
72. 飲料が、茶、コーヒー、果汁、レモネード、ミルク、コーラ、飲用可能な乳製品(例えば飲用可能なヨーグルト)、シャーベット粉末または発泡錠を溶解することによって得ることができる飲料、およびアルコール飲料からなる群より選択される、項目71の可食性組成物。
【0550】
73. キトサンまたはその塩を含むマイクロ粒子を含む、項目68~項目72のいずれか一項目の可食性組成物。
【0551】
74. マイクロ粒子がヒアルロン酸をさらに含む、項目73の可食性組成物。
【0552】
75. 組成物が、異なるマイクロ粒子の共凝集体を含み、共凝集体がキトサンまたはその塩を含む、項目73~項目74のいずれか一項目の可食性組成物。
【0553】
76. キトサンまたはその塩が80%以上の脱アセチル化度を含む、項目68~項目75のいずれか一項目の組成物。
【0554】
77. キトサンまたはその塩が40~50%の脱アセチル化度を有する、項目68~項目75のいずれか一項目の組成物。
【0555】
78. キトサンまたはその塩を含むマイクロ粒子を含む、口腔投与、鼻腔投与、または気管支投与に適した組成物。
【0556】
79. 塩が、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、キトサン塩酸塩、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、項目78の組成物。
【0557】
80. マイクロ粒子がヒアルロン酸をさらに含む、項目78または項目79の組成物。
【0558】
81. 組成物が、異なるマイクロ粒子の共凝集体を含み、共凝集体がキトサンまたはその塩を含む、項目80の組成物。
【0559】
82. キトサンまたはその塩が80%以上の脱アセチル化度を含む、項目78~項目81のいずれか一項目の組成物。
【0560】
83. キトサンまたはその塩が40~50%の脱アセチル化度を有する、項目78~項目81のいずれか一項目の組成物。
【0561】
84. 噴霧または含嗽のための組成物、洗口剤、口腔に適用するためのゲル、点鼻スプレー、点鼻オイル、点鼻液製剤、および鼻洗浄製剤からなる群より選択される、項目78~項目83のいずれか一項目の組成物。
【0562】
85. キトサンまたはその塩を含む、持続送達系。
【0563】
86. 塩が、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、キトサン塩酸塩、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、項目85の持続送達系。
【0564】
87. 口腔またはバッカル持続送達系である、項目85または項目86の持続送達系。
【0565】
88. 固形または半固形剤形を含む、項目85~項目87のいずれか一項目の持続送達系。
【0566】
89. 組成物が、薄膜、層構造の薄膜、錠剤、カプセル剤、ゲル体(例えば口腔用のゲル)、チューインガム、キャンディ、ボンボン、フルーツガム、およびチョコレートからなる群より選択される、項目85~項目88のいずれか一項目の持続送達系。
【0567】
90. 組成物が、キトサンまたはその塩を含むマイクロ粒子を含む、項目85~項目89のいずれか一項目の持続送達系。
【0568】
91. マイクロ粒子がヒアルロン酸をさらに含む、項目90の持続送達系。
【0569】
92. 組成物が、異なるマイクロ粒子の共凝集体を含み、共凝集体がキトサンまたはその塩を含む、項目85~項目91のいずれか一項目の持続送達系。
【0570】
93. キトサンまたはその塩が80%以上の脱アセチル化度を含む、項目85~項目92のいずれか一項目の持続送達系。
【0571】
94. キトサンまたはその塩が40~50%の脱アセチル化度を有する、項目85~項目92のいずれか一項目の持続送達系。
【0572】
95. 表面または皮膚を処置するのに適した組成物であって、キトサンまたはその塩を含むマイクロ粒子を含む、組成物。
【0573】
96. 塩が、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、キトサン塩酸塩、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、項目95の組成物。
【0574】
97. マイクロ粒子がヒアルロン酸をさらに含む、項目95または項目96の組成物。
【0575】
98. 組成物が、異なるマイクロ粒子の共凝集体を含み、共凝集体がキトサンまたはその塩を含む、項目95~項目97のいずれか一項目の組成物。
【0576】
99. キトサンまたはその塩が80%以上の脱アセチル化度を含む、項目95~項目98のいずれか一項目の組成物。
【0577】
100. キトサンまたはその塩が40~50%の脱アセチル化度を有する、項目95~項目99のいずれか一項目の組成物。
【0578】
101. 消毒薬、スキンケア組成物(例えばローション)、セッケン(例えば液状セッケン)、および洗剤製剤(例えば洗濯用洗剤製剤または食器用洗剤製剤)からなる群より選択される、項目95~項目100のいずれか一項目の組成物。
【0579】
102. 表面または皮膚を処置する方法であって、表面または皮膚を項目95~項目101のいずれか一項目の組成物と接触させる工程を含む、方法。
【0580】
103. ウイルスまたは細菌を不活化する工程を含む、項目102の方法。
【0581】
104. ウイルスが呼吸器ウイルスである、項目103の方法。
【0582】
105. 呼吸器ウイルスが、コロナウイルス、好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、および呼吸器合胞体ウイルス[RSV]からなる群より選択される、項目104の方法。
【0583】
106. ヒト病原性コロナウイルスがベータコロナウイルスである、項目105の方法。
【0584】
107. ヒト病原性コロナウイルスが、SARS-CoV-2、MERS-CoV、およびSARS-CoV-1からなる群より選択され、好ましくはヒト病原性コロナウイルスがSARS-CoV-2である、項目106の方法。
【0585】
108. ウイルスまたは細菌を不活化するための、項目95~項目101のいずれか一項目の組成物の使用。
【0586】
109. 表面または皮膚を項目95~項目101のいずれか一項目の組成物と接触させる工程を含む、項目108の使用。
【0587】
110. ウイルスが呼吸器ウイルスである、項目109の使用。
【0588】
111. 呼吸器ウイルスが、コロナウイルス、好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、および呼吸器合胞体ウイルス[RSV]からなる群より選択される、項目110の使用。
【0589】
112. ヒト病原性コロナウイルスがベータコロナウイルスである、項目111の使用。
【0590】
113. ヒト病原性コロナウイルスが、SARS-CoV-2、MERS-CoV、およびSARS-CoV-1からなる群より選択され、好ましくはヒト病原性コロナウイルスがSARS-CoV-2である、項目111または項目121の使用。
【0591】
114. 非医療的使用である、項目108~項目113のいずれか一項目の使用。
【0592】
115. ウイルス中和抗体の結合を増加させる方法であって、ウイルスと該ウイルスに結合するウイルス中和抗体とを含有する流体を、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物と接触させる工程を含む、方法。
【0593】
116. 流体が体液である、項目115の方法。
【0594】
117. 体液が、唾液、血液および粘膜分泌物からなる群より選択される、項目116の方法。
【0595】
118. 粘膜分泌物が鼻腔分泌物または気管支分泌物である、項目117の方法。
【0596】
119. 粘膜を化合物と接触させる工程をさらに含む、項目115~項目118のいずれか一項目の方法。
【0597】
120. 粘膜が、鼻の粘膜、咽頭の粘膜、口の粘膜および気管支の粘膜からなる群より選択される、項目119の方法。
【0598】
121. ウイルスが呼吸器ウイルスである、項目115~項目120のいずれか一項目の方法。
【0599】
122. 呼吸器ウイルスが、コロナウイルス、好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、および呼吸器合胞体ウイルス[RSV]からなる群より選択される、項目121の方法。
【0600】
123. ヒト病原性コロナウイルスがベータコロナウイルスである、項目122の方法。
【0601】
124. ヒト病原性コロナウイルスが、SARS-CoV-2、MERS-CoV、およびSARS-CoV-1からなる群より選択され、好ましくはヒト病原性コロナウイルスがSARS-CoV-2である、項目122または項目123の方法。
【0602】
125. ウイルス感染を処置する方法またはウイルス感染によって引き起こされる疾患を処置する方法である、項目115~項目124のいずれか一項目の方法。
【0603】
126. 疾患が、COVID-19、MERS、およびSARSからなる群より選択され、好ましくは疾患がCOVID-19である、項目125の方法。
【0604】
127. 化合物がキトサンまたはその塩である、項目115~項目126のいずれか一項目の方法。
【0605】
128. 塩が、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、キトサン塩酸塩、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、項目127の方法。
【0606】
129. ウイルスとウイルス中和抗体とを含有する流体を、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含有する組成物と接触させる工程を含む、項目115~項目128のいずれか一項目の方法。
【0607】
130. 化合物がキトサンまたはその塩である、項目129の方法。
【0608】
131. 塩が、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、キトサン塩酸塩、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、項目130の方法。
【0609】
132. 組成物が、可食性組成物であるか、または口腔投与、鼻腔投与、もしくは気管支投与に適した組成物である、項目129~項目131のいずれか一項目の方法。
【0610】
133. 可食性組成物が液状組成物または固形組成物である、項目132の方法。
【0611】
134. 組成物が栄養補助食品であり、好ましくは栄養補助食品が飲料への添加に適しており、より好ましくは飲料が、茶、コーヒー、果汁、レモネード、ミルク、コーラ、飲用可能な乳製品(例えば飲用可能なヨーグルト)、シャーベット粉末または発泡錠を溶解することによって得ることができる飲料、およびアルコール飲料からなる群より選択される、項目129~項目133のいずれか一項目の方法。
【0612】
135. 組成物が、チューインガム、キャンディ、ボンボン、フルーツガム、チョコレート、飲料調製用の組成物(例えばコーヒー組成物、茶組成物、シャーベット粉末、発泡錠)、および飲料からなる群より選択される、項目129~項目133のいずれか一項目の方法。
【0613】
136. 組成物がチューインガムである、項目135の方法。
【0614】
137. チューインガムが、キトサンおよび酸を含む、項目136の方法。
【0615】
138. チューインガムがキトサンの塩を含む、項目137の方法。
【0616】
139. キトサンの塩が、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、およびキトサン塩酸塩からなる群より選択される、項目138の方法。
【0617】
140. 飲料が、茶、コーヒー、果汁、レモネード、ミルク、コーラ、飲用可能な乳製品(例えば飲用可能なヨーグルト)、シャーベット粉末または発泡錠を溶解することによって得ることができる飲料、およびアルコール飲料からなる群より選択される、項目135の方法。
【0618】
141. 組成物が、溶液、好ましくは噴霧または含嗽のための溶液、洗口剤、口腔に適用するためのゲル、点鼻液製剤、点鼻オイル製剤、点鼻スプレー、および鼻洗浄製剤からなる群より選択される、項目130~項目134のいずれか一項目の方法。
【0619】
142. 組成物が、持続送達系、好ましくは口腔またはバッカル持続送達系である、項目129~項目141のいずれか一項目の方法。
【0620】
143. 組成物が、固形または半固形剤形を含む、項目129~項目142のいずれか一項目の方法。
【0621】
144. 組成物が、薄膜、層構造の薄膜、錠剤、カプセル剤、ゲル体、チューインガム、キャンディ、ボンボン、フルーツガム、およびチョコレートからなる群より選択される、項目142または項目143の方法。
【0622】
145. 組成物がマイクロ粒子を含む、項目129~項目144のいずれか一項目の方法。
【0623】
146. マイクロ粒子がキトサンまたはその塩を含む、項目145の方法。
【0624】
147. マイクロ粒子がヒアルロン酸をさらに含む、項目146の方法。
【0625】
148. 組成物が、異なるマイクロ粒子の共凝集体を含む、項目145~項目147のいずれか一項目の方法。
【0626】
149. 共凝集体がキトサンまたはその塩を含む、項目148の方法。
【0627】
150. マイクロ粒子または共凝集体が液状組成物または半固形組成物に含まれており、特にマイクロ粒子または共凝集体が液状組成物または半固形組成物に懸濁されている、項目145~項目149のいずれか一項目の方法。
【0628】
151. マイクロ粒子または共凝集体が、噴霧もしくは含嗽のための組成物、洗口剤、口腔に適用するためのゲル、点鼻スプレー、点鼻オイル、点鼻液製剤、または鼻洗浄製剤に含まれており、特に懸濁されている、項目150の方法。
【0629】
152. 送達系が薬物送達インプラントを含む、項目142~項目149のいずれか一項目の方法。
【0630】
153. キトサンまたはその塩が80%以上の脱アセチル化度を含む、項目115~項目152のいずれか一項目の方法。
【0631】
154. キトサンまたはその塩が40~50%の脱アセチル化度を有する、項目115~項目153のいずれか一項目の方法。
【0632】
155. インビボで実行される、項目115~項目154のいずれか一項目の方法。
【0633】
156. ウイルス中和抗体の結合を増加させる方法における使用のための、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物。
【0634】
157. ウイルス中和抗体がウイルスに結合する、項目156の使用のための化合物。
【0635】
158. 使用が、ウイルスとウイルス中和抗体とを含有する流体を化合物と接触させる工程を含む、項目157の使用のための化合物。
【0636】
159. 流体が体液である、項目158の使用のための化合物。
【0637】
160. 体液が、唾液、血液および粘膜分泌物からなる群より選択される、項目159の使用のための化合物。
【0638】
161. 粘膜分泌物が鼻腔分泌物または気管支分泌物である、項目160の使用のための化合物。
【0639】
162. 使用が、粘膜を化合物と接触させる工程をさらに含む、項目156~項目162のいずれか一項目の使用のための化合物。
【0640】
163. 粘膜が、鼻の粘膜、咽頭の粘膜、口の粘膜および気管支の粘膜からなる群より選択される、項目162の使用のための化合物。
【0641】
164. ウイルスが呼吸器ウイルスである、項目156~項目163のいずれか一項目の使用のための化合物。
【0642】
165. 呼吸器ウイルスが、コロナウイルス、好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、および呼吸器合胞体ウイルス[RSV]からなる群より選択される、項目164の使用のための化合物。
【0643】
166. ヒト病原性コロナウイルスがベータコロナウイルスである、項目165の使用のための化合物。
【0644】
167. ヒト病原性コロナウイルスがSARS-CoV-2、MERS-CoV、およびSARS-CoV-1からなる群より選択され、好ましくはヒト病原性コロナウイルスがSARS-Cov-2である、項目165または項目166の使用のための化合物。
【0645】
168. ウイルス感染の処置またはウイルス感染によって引き起こされる疾患の処置において使用するための、項目156~項目167のいずれか一項目の使用のための化合物。
【0646】
169. 疾患が、COVID-19、MERS、およびSARSからなる群より選択され、好ましくは疾患がCOVID-19である、項目168の使用のための化合物。
【0647】
170. 化合物がキトサンまたはその塩である、項目156~項目169のいずれか一項目の使用のための化合物。
【0648】
171. 塩が、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、キトサン塩酸塩、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、項目170の使用のための化合物。
【0649】
172. 使用が、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含有する組成物を使用する工程を含む、項目156~項目171のいずれか一項目の使用のための化合物。
【0650】
173. 組成物が、項目129~項目155のいずれか一項目に規定されるとおりである、項目172の使用のための化合物。
【0651】
174. ウイルスに感染している患者を処置する方法であって、ウイルスと該ウイルスに結合するウイルス中和抗体とを含有する流体を、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物と接触させる工程を含み、該化合物がウイルス中和抗体の結合を増加させる、方法。
【0652】
175. 流体が体液である、項目174の方法。
【0653】
176. 体液が、唾液、血液および粘膜分泌物からなる群より選択される、項目175の方法。
【0654】
177. 粘膜分泌物が鼻腔分泌物または気管支分泌物である、項目176の方法。
【0655】
178. ウイルスが呼吸器ウイルスである、項目174~項目177のいずれか一項目の方法。
【0656】
179. 呼吸器ウイルスが、コロナウイルス、好ましくはヒト病原性コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、および呼吸器合胞体ウイルス[RSV]からなる群より選択される、項目178の方法。
【0657】
180. ヒト病原性コロナウイルスがベータコロナウイルスである、項目179の方法。
【0658】
181. ヒト病原性コロナウイルスが、SARS-CoV-2、MERS-CoV、およびSARS-CoV-1からなる群より選択され、好ましくはヒト病原性コロナウイルスがSARS-CoV-2である、項目179または項目180の方法。
【0659】
182. ウイルス感染またはウイルス感染によって引き起こされる疾患を処置する方法である、項目174~項目181のいずれか一項目の方法。
【0660】
183. 疾患が、COVID-19、MERS、およびSARSからなる群より選択され、好ましくは疾患がCOVID-19である、項目182の方法。
【0661】
184. 化合物がキトサンまたはその塩である、項目174~項目183のいずれか一項目の方法。
【0662】
185. 塩が、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、キトサン塩酸塩、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される、項目184の方法。
【0663】
186. ウイルスとウイルス中和抗体とを含有する流体を、キトサンまたはその塩、ガラクトース、マンノース、カフェイン、およびそれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含有する組成物と接触させる工程を含む、項目174~項目185のいずれか一項目の方法。
【0664】
187. 組成物が、項目129~項目155のいずれか一項目に規定されるとおりである、項目186の方法。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
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図15A
図15B
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【国際調査報告】