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特表2023-522055腎臓病を治療するためのCER-001療法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-26
(54)【発明の名称】腎臓病を治療するためのCER-001療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/17 20060101AFI20230519BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 31/688 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 31/683 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
A61K38/17
A61P13/12
A61K31/688
A61K31/683
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562977
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(85)【翻訳文提出日】2022-12-05
(86)【国際出願番号】 IB2021000282
(87)【国際公開番号】W WO2021209822
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】63/011,048
(32)【優先日】2020-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/092,072
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2021/000021
(32)【優先日】2021-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522403550
【氏名又は名称】アビオニクス ファーマ エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100103182
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 真美
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100139310
【弁理士】
【氏名又は名称】吉光 真紀
(72)【発明者】
【氏名】ダッスー,ジャン-ルイ
(72)【発明者】
【氏名】カラブレシ,ラウラ
(72)【発明者】
【氏名】テュパン,シリル
(72)【発明者】
【氏名】バーバラス,ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】ペロット,コンスタンス
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA44
4C084MA02
4C084MA17
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA811
4C084ZA812
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA41
4C086DA42
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA81
(57)【要約】
腎臓病を治療するためのCER-001、および腎臓病を有する対象をCER-001により治療するための方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における腎臓病を治療する方法における使用のための、CER-001。
【請求項2】
前記対象が糸球体症を有する、請求項1に記載のCER-001。
【請求項3】
前記対象がLCAT欠損症を有し、場合により、前記LCAT欠損症が後天性LCAT欠損症である、請求項1または請求項2に記載のCER-001。
【請求項4】
前記対象がLCAT変異を有し、場合により、前記対象がLCAT変異についてホモ接合性であるか、またはLCAT変異についてヘテロ接合性である、請求項1から3のいずれか一項に記載のCER-001。
【請求項5】
前記対象が糖尿病性腎症を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のCER-001。
【請求項6】
前記対象が慢性腎臓病(CKD)を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のCER-001。
【請求項7】
前記対象が肝腎症候群(HRS)を有するか、またはHRSのリスクを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のCER-001。
【請求項8】
前記対象が血液透析を受けている、請求項1から7のいずれか一項に記載のCER-001。
【請求項9】
前記対象が血液透析の候補であり、場合により、前記治療が前記対象における血液透析を開始する必要性を遅らせる、請求項1から7のいずれか一項に記載のCER-001。
【請求項10】
前記対象がこれまでに腎臓移植を受けている、請求項1から9のいずれか一項に記載のCER-001。
【請求項11】
前記対象がこれまでに腎臓移植を受けていない、請求項1から9のいずれか一項に記載のCER-001。
【請求項12】
前記治療が、前記対象における腎臓移植の必要性を遅らせる、請求項1から11のいずれか一項に記載のCER-001。
【請求項13】
前記方法において、
(a)導入レジメン;および/または
(b)強化レジメン;および/または
(c)維持レジメン
を含む投与レジメンに従って、前記対象にCER-001が投与される、請求項1から12のいずれか一項に記載のCER-001。
【請求項14】
前記投与レジメンが、1回または複数回のCER-001の投与を含む導入レジメンを含む、請求項13に記載のCER-001。
【請求項15】
前記導入レジメンが、複数回のCER-001の投与を含み、場合により、
(a)前記導入レジメンが少なくとも3回のCER-001の投与を含み;かつ/または
(b)前記導入レジメンにおける前記複数回の投与が1日以上の間隔である、
請求項14に記載のCER-001。
【請求項16】
前記導入レジメンの初回投与に続く投与が3日以下隔てられており、場合により、
(a)前記導入レジメンの初回投与に続く投与が1~3日の間隔であるか;
(b)前記導入レジメンの初回投与に続く投与が2~3日の間隔であるか;または
(c)前記導入レジメンの初回投与に続く投与が1~2日の間隔である、
請求項14または15に記載のCER-001。
【請求項17】
前記導入レジメンが少なくとも1週間の期間である、請求項14から16のいずれか一項に記載のCER-001。
【請求項18】
前記導入レジメンが2週間または3週間の期間である、請求項17に記載のCER-001。
【請求項19】
前記導入レジメンが、前記対象に対して1週当たり3回のCER-001の投与を行うことを含む、請求項14から18のいずれか一項に記載のCER-001。
【請求項20】
前記導入レジメンが、前記対象に対して、
(a)4回以上のCER-001の投与;
(b)5回以上のCER-001の投与;
(c)6回以上のCER-001の投与;
(d)7回以上のCER-001の投与;
(e)8回以上のCER-001の投与;または
(f)9回以上のCER-001の投与
を行うことを含む、請求項14から19のいずれか一項に記載のCER-001。
【請求項21】
前記導入レジメンが、3週間にわたって行われる9回のCER-001の投与を含む、請求項20に記載のCER-001。
【請求項22】
前記導入レジメンが、1日目に前記対象に対してCER-001の1回目の投与を行うことと、2、4、7、9、11、14、16、および18日目に前記対象に対して前記導入レジメンの後続の投与を行うこととを含む、請求項20に記載のCER-001。
【請求項23】
前記投与レジメンが強化レジメンを含み、場合により、前記強化レジメンが複数回のCER-001の投与を含む、請求項13から22のいずれか一項に記載のCER-001。
【請求項24】
前記強化レジメンにおける複数回の投与が2日以上の間隔である、請求項23に記載のCER-001。
【請求項25】
前記強化レジメンが、前記対象に対して1週間に少なくとも2回のCER-001の投与を行うことを含む、請求項23または請求項24に記載のCER-001。
【請求項26】
前記強化レジメンの前記投与が4日以下の間隔である、請求項23から25のいずれか一項に記載のCER-001。
【請求項27】
前記強化レジメンの前記投与が互いに3または4日の間隔である、請求項23から26のいずれか一項に記載のCER-001。
【請求項28】
前記強化レジメンが少なくとも3週間の期間である、請求項23から27のいずれか一項に記載のCER-001。
【請求項29】
前記強化レジメンが、前記対象に対して、
(a)3回以上のCER-001の投与;
(b)4回以上のCER-001の投与;
(c)5回以上のCER-001の投与;
(d)6回以上のCER-001の投与;
(e)7回以上のCER-001の投与;
(f)8回以上のCER-001の投与;
(g)9回以上のCER-001の投与;または
(h)10回以上のCER-001の投与
を行うことを含む、請求項23から28のいずれか一項に記載のCER-001。
【請求項30】
前記強化レジメンが、3週間にわたって行われる6回のCER-001の投与を含む、請求項29に記載のCER-001。
【請求項31】
前記強化レジメンが、1日目に始まる導入レジメンの後である、21、24、28、31、35、および38日目に、前記対象に対して6回のCER-001の投与を行うことを含む、請求項29に記載のCER-001。
【請求項32】
前記投与レジメンが維持レジメンを含む、請求項13から31のいずれか一項に記載のCER-001。
【請求項33】
前記維持レジメンが、前記対象に対して、
(a)3日以上ごとに1回;
(b)5日以上ごとに1回;
(c)毎週であるが、場合により、前記維持レジメンの前記投与が各週の厳密な日付±2日において行われるように;または
(d)毎週2回
CER-001の投与を行うことを含む、請求項32に記載のCER-001。
【請求項34】
前記維持レジメンが、
(a)少なくとも1カ月間;
(b)少なくとも2カ月間;
(c)少なくとも3カ月間;
(d)少なくとも6カ月間;
(e)少なくとも9カ月間;
(f)少なくとも1年間;
(g)少なくとも18カ月間;
(h)少なくとも2年間;
(i)無期限に;
(j)16週間以上;
(k)20週間以上;
(l)30週間以上;または
(m)40週間以上、
前記対象にCER-001を投与することを含む、請求項32または請求項33に記載のCER-001。
【請求項35】
前記導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が、
(a)4~30mg/kg(タンパク質重量基準);
(b)5~15mg/kg(タンパク質重量基準);
(c)10~20mg/kg(タンパク質重量基準);
(d)15~25mg/kg(タンパク質重量基準);
(e)8mg/kg(タンパク質重量基準);
(f)10mg/kg(タンパク質重量基準);
(g)300mg~3000mg;
(h)300mg~1500mg;
(i)400mg~1500mg;
(j)500mg~1200mg;または
(k)500mg~1000mg
である、請求項13から34のいずれか一項に記載のCER-001。
【請求項36】
前記強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が、
(a)4~30mg/kg(タンパク質重量基準);
(b)5~15mg/kg(タンパク質重量基準);
(c)10~20mg/kg(タンパク質重量基準);
(d)15~25mg/kg(タンパク質重量基準);
(e)8mg/kg(タンパク質重量基準);
(f)10mg/kg(タンパク質重量基準);
(g)300mg~3000mg;
(h)300mg~1500mg;
(i)400mg~1500mg;
(j)500mg~1200mg;または
(k)500mg~1000mg
である、請求項13から35のいずれか一項に記載のCER-001。
【請求項37】
前記維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が、
(a)4~30mg/kg(タンパク質重量基準);
(b)5~15mg/kg(タンパク質重量基準);
(c)10~20mg/kg(タンパク質重量基準);
(d)15~25mg/kg(タンパク質重量基準);
(e)8mg/kg(タンパク質重量基準);
(f)10mg/kg(タンパク質重量基準);
(g)20mg/kg(タンパク質重量基準);
(h)300mg~3000mg;
(i)300mg~1500mg;
(j)400mg~1500mg;
(k)500mg~1200mg;または
(l)500mg~1000mg
である、請求項13から36のいずれか一項に記載のCER-001。
【請求項38】
導入レジメンと維持レジメンの両方を含む、請求項13から37のいずれか一項に記載のCER-001。
【請求項39】
前記導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量と、前記維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量とが同一である、請求項38に記載のCER-001。
【請求項40】
前記導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量と、前記維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量とが異なっており、場合により、
(a)前記維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が、前記導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量より多いか;
(b)前記維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が、前記導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量の1.5~3倍であるか;または
(c)前記維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が、前記導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量の2倍である、
請求項38に記載のCER-001。
【請求項41】
強化レジメンと維持レジメンの両方を含む、請求項13から40のいずれか一項に記載のCER-001。
【請求項42】
前記強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量と、前記維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量とが同一である、請求項41に記載のCER-001。
【請求項43】
前記強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量と、前記維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量とが異なっており、場合により、
(a)前記維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が、前記強化レジメンにおいて投与される用量より多いか;
(b)前記維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が、前記強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量の1.5~3倍であるか;または
(c)前記維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が、前記強化レジメンにおいて投与される用量の2倍である、
請求項41に記載のCER-001。
【請求項44】
前記方法において、前記CER-001の投与のうちの1回または複数回が行われる前に、抗ヒスタミン剤が投与される、請求項1から43のいずれか一項に記載のCER-001。
【請求項45】
前記対象が脂質制御薬剤によって治療されている対象であり、場合により、前記脂質制御薬剤が、
(a)場合により、アトルバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、またはプラバスタチンスタチンである、スタチン;
(b)場合によりエゼチミブである、コレステロール吸収阻害剤;
(c)ナイアシン;
(d)アスピリン;
(e)プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤であって、場合により、(i)場合により、アリロクマブ、ボコシズマブエボロクマブ、1D05-IgG2、もしくはLY3015014である、抗体、もしくは(ii)場合によりALN-PCSSCである、RNAi治療薬である、PCSK9阻害剤;または
(f)(a)~(e)の組合せ
を含む、請求項1から44のいずれか一項に記載のCER-001。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1. 関連出願の相互参照
本出願は、2020年4月16日に出願された米国特許仮出願第63/011,048号、2020年10月15日に出願された同第63/092,072号、および2021年1月7日に出願されたPCT国際出願第PCT/IB2021/000021号の優先権の利益を主張するものであり、各々の内容は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
2. 背景
2.1. 腎臓病
腎臓は2つの豆形の器官で、各々が概ね握り拳の大きさを有する。これらは胸郭の真下に位置し、脊柱の各々の側に1つずつある。健康な腎臓は毎分カップ半分程度の血液を濾過し、老廃物および過剰な水を除去して尿を作る。尿は、尿管と呼ばれる、膀胱の各々の側に1本ずつある、筋肉からなる2本の細い管を通って腎臓から膀胱へと流れ、膀胱は尿を溜める。腎臓、尿管、および膀胱は、すべて泌尿器系の一部である。
【0003】
健康な腎臓は、老廃物および過剰な流体を身体から除去する。腎臓は細胞が産生した酸も除去し、血液中の、水、塩類、およびミネラル類(ナトリウム、カルシウム、リン、およびカリウムなど)の健康なバランスを維持している。腎臓はまた、血圧の制御および赤血球の作製を助けるホルモンを作っている。
【0004】
各々の腎臓は、およそ100万個の、ネフロンと呼ばれる濾過装置からできている。ネフロンは、血液を濾過し、必要な物質を血液に戻して老廃物を除去する、二段階のプロセスによって働く。血液は1日に何度も腎臓を循環する。腎臓は1日でおよそ150クォートの血液を濾過する。もし血液の腎臓中への流れが止まったなら、腎臓の一部またはすべてが死に、腎不全になり得る。
【0005】
腎臓病は腎疾患および腎症としても知られ、腎臓に対する損傷または腎臓の疾患である。
【0006】
2.1.1. 慢性腎臓病
慢性腎臓病(CKD)は、数カ月から数年の期間にわたって腎臓機能が徐々に失われていく、腎臓病の一種である。CKDは、他の健康上の問題、例えば、心疾患、脳卒中、貧血、感染症の発生の増加、血中における低カルシウム値、高カリウム値、および高リン値、食欲の喪失、ならびにうつ病を引き起こす可能性がある。
【0007】
CKDには様々なレベルの重篤度がある。CKDは通常は経時的に悪化するが、治療が進行を遅くすることが示されている。治療しないままであれば、CKDは腎不全および早期心血管疾患へと進行する可能性がある。腎臓が働かなくなると、透析または腎臓移植が生存に必要となり、この段階となった疾患は末期腎疾患(ESRD)として知られている。
【0008】
CKDは進行すると治療が非常に難しく、末期腎不全が生じると、多くの場合、透析または腎臓移植術を余儀なくされる。したがって、糸球体疾患をできるだけ早く検出するとともに、発症後に治療し、進行をできるだけ停止させることが必要である。およそ3700万人の米国人成人がCKDを有していると推定されており、多くは未診断である。CKDは保健医療システムにとって大きな経済的負担であり、これに罹っている対象の生活の質を深刻に低下させる。
【0009】
2.1.2. 糸球体症
糸球体症とは、腎臓中のネフロンの糸球体に影響を与える腎臓病を指す。糸球体は、腎臓中のネフロンの最初に位置する、係蹄として知られる微小な毛細血管のネットワークである。係蹄は、糸球体内メサンギウム細胞で構成されたメサンギウムによって構造的に支持されている。血液は、糸球体濾過障壁により、この係蹄の毛細血管壁を通じて濾過され、ボーマン嚢として知られるカップ状の嚢に、水および可溶性物質からなる濾液を産出する。その後、濾液はネフロンの尿細管に入る。糸球体は、腎動脈循環の輸入細動脈から血液の供給を受ける。多くの毛細血管床と異なり、糸球体毛細血管は、細静脈ではなく輸出細動脈中へと出ていく。輸出細動脈の抵抗は糸球体内で十分な静水圧を生じさせて、限外濾過の原動力をもたらす。糸球体とその周囲のボーマン嚢は、腎臓の基本的な濾過装置である腎小体を構成する。
【0010】
糸球体は、血液を濾過して、分子量が10,000以下である血漿成分と実質的に同一の成分を含有する、糸球体濾液を生成する。一般に濾過は、必須の物質、とりわけ、血清タンパク質が血液から尿へと漏出しないように制御される。糸球体の損傷は、メサンギウム細胞の成長と隣接する細胞外マトリックスの膨張を引き起こして、尿タンパク排泄量を増加させる。尿タンパク排泄量の増加は尿細管を損傷し、その結果、腎機能をさらに低下させることが知られている。
【0011】
糸球体疾患は、炎症性または非炎症性の過程を伴うことがある。糸球体疾患はCKDの主要因である。
【0012】
2.1.3. 糖尿病性腎症
糖尿病性腎症(DN)は糖尿病性腎臓病としても知られ、糖尿病を有する人に発生する、腎臓機能の慢性的な喪失である。DNは、糸球体の損傷に起因する尿中のタンパク質の損失をもたらし、低血清アルブミンを引き起こし、結果として全身の腫脹(浮腫)が生じる。DNを有する対象において、推算糸球体濾過量(eGFR)は、正常値である90ml/分/1.73m超から15ml/分/1.73m未満まで徐々に降下していく可能性があり、後者の時点で、対象はESKDを有するとみなされる。
【0013】
DNにおける病態生理学的な異常は、適切に制御されていない血糖値が長く続くことで始まる。これに続き、腎臓の濾過装置であるネフロンにおいて複数の変化が起こる。最初に輸出細動脈の狭窄と輸入細動脈の拡張があり、この結果、糸球体毛細血管高血圧および過剰濾過が生じ、これが時間の経過と共に徐々に低濾過へと変化する。同時に、糸球体自体の内部で変化が起こり、これらには、基底膜の肥厚、ポドサイトのスリット膜の拡幅、メサンギウム細胞数の増加、およびメサンギウムマトリックスの増加が含まれる。このマトリックスは糸球体毛細血管に侵入し、キンメルスチール-ウィルソン結節と呼ばれる沈着物を生成する。メサンギウム細胞およびマトリックスは、徐々に拡張し、糸球体全体を冒して、濾過を遮断する可能性がある。
【0014】
糖尿病性腎症はESKDの最も多い原因であり、米国において糖尿病を有する成人の約4分の1に影響を与える、重篤な合併症である。
【0015】
2.2. レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ
レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)は肝臓が産生する酵素であり、コレステロール逆転送系(RCT)経路における重要な酵素である。RCT経路は多くの肝臓外組織からコレステロールを排除するように機能し、身体中における多くの細胞の構造および機能の維持にとって非常に重要である。RCTは主に、(a)コレステロール流出、すなわち、末梢細胞の様々なプールからのコレステロールの最初の除去;(b)流出したコレステロールの細胞中への再流入を防ぐ、レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)の作用によるコレステロールのエステル化;および(c)胆汁中での加水分解、その後のリサイクル、貯蔵、排泄、または胆汁酸への異化のための、高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールとコレステリルエステルの肝臓細胞への取込みの、3つのステップからなる。
【0016】
LCATは血漿中を循環し、HDL画分と会合する。LCATは細胞由来のコレステロールをコレステリルエステルに変換し、HDL中に隔離されて、その後除去されることになる(Jonas 2000, Biochim. Biophys. Acta 1529(1-3):245-56を参照)。コレステリルエステル輸送タンパク質(CETP)およびリン脂質輸送タンパク質(PLTP)は、循環するHDL集団のさらなるリモデリングに寄与する。CETPは、LCATによって作られたコレステリルエステルを、他のリポタンパク質、特に、超低密度リポタンパク質(VLDL)および低密度リポタンパク質(LDL)などのApoB含有リポタンパク質へと移動させる。PLTPはHDLにレシチンを供給する。HDLトリグリセリドは細胞外の肝トリグリセリドリパーゼによって異化され、リポタンパク質コレステロールはいくつかの機構を介して肝臓により除去される。
【0017】
LCATの欠損により、ある特定の身体組織中への非エステル化コレステロールの蓄積が生じる。コレステロールは細胞から遊離コレステロールとして流出し、エステル化コレステロールとしてHDL中で輸送される。LCATは、HDL上の遊離コレステロールをコレステロールエステルへとエステル化し、HDLを成熟させる酵素である。LCAT欠損症によりHDLは成熟できなくなり、その結果、循環するapoA-1およびapoA-2が急速に異化される。HDLの残留形態は新生HDLと類似する。LCAT欠損症(完全と部分的の両方)を有する対象は、低HDLコレステロールである。
【0018】
家族性LCAT欠損症はまれな遺伝性障害であり、罹患者はLCAT活性を欠き、進行性CKD、そして場合により腎不全のリスクを有する。魚眼病は、LCATがHDL粒子中のコレステロールをエステル化できない、あるいは、酸をアルキル化することができない、部分的LCAT欠損症である。しかし、VLDLおよびLDL中のコレステロール粒子上では、LCATは活性を保っている。魚眼病は、視力障害、脂肪性物質のプラーク、および強い混濁によって特徴付けられる。家族性LCAT欠損症と魚眼病はいずれも、16q22.1染色体上に位置するLCAT遺伝子の変異に起因する、常染色体性劣性遺伝疾患である。
【0019】
現在、LCAT欠損症を正常化するための特異的な治療は存在せず、よって療法は症状の緩和に焦点が置かれている。腎不全を呈する対象には透析が必要である可能性があり、腎臓移植が考慮され得る。腎不全は、完全LCAT欠損症における罹患率および死亡率に対する主要因である。
【0020】
例えば、LCAT欠損症と関連する糸球体症を有する対象などの、腎臓病を有する対象、および糖尿病性腎症を有する対象を治療するための新しい方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0021】
3. 概要
本開示は、CER-001により腎臓病を治療するための方法を提供する。CER-001は負に帯電したリポタンパク質複合体であり、組換えヒトApoA-I、スフィンゴミエリン(SM)、および1,2-ジヘキサデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-rac-グリセロール)(ジパルミトイルホスファチジル-グリセロール;DPPG)を含む。これは、HDL粒子がコレステロールを取得する前にとる形態である、天然の新生円板状pre-β HDLを模倣する。
【0022】
一態様において、本開示は、例えば、LCAT欠損症と関連する糸球体症を有する対象などの、腎臓病を有する対象、および糖尿病性腎症を有する対象に対するCER-001療法のための、投与レジメンを提供する。
【0023】
本開示の投与レジメンは、典型的には、最初の「導入」レジメンに従い、対象にCER-001を投与することと、その後、「強化」レジメンに従い、対象にCER-001を投与することと、その後、「維持」レジメンに従い、対象にCER-001を投与することとを伴う。あるいは、投与レジメンは、先行する「導入」レジメンまたは「強化」レジメンを行うことなく、「維持」レジメンに従い、対象にCER-001を投与することを伴い得る。もう1つの別法として、投与レジメンは、間に「強化」レジメンを挟むことなく、「導入」レジメンとその後の「維持」レジメンに従い、対象にCER-001を投与することを伴い得る。
【0024】
導入レジメンは、典型的には、各投与間で1日以上の期間をおいて、対象に対して複数回のCER-001の投与を行うことを含む。一部の実施形態において、導入レジメンは、3回以上のCER-001の投与を含む。一部の実施形態において、導入レジメンは、1週につき3回のCER-001の投与を含む。一部の実施形態において、導入レジメンは、1週間超の期間、例えば、2週間以上の期間に及ぶ、1週につき3回のCER-001の投与を含む。一部の実施形態において、導入レジメンは、3週間の期間に及ぶ、1週につき3回のCER-001の投与を含む。
【0025】
強化レジメンは、典型的には、導入レジメン中より少ない頻度で、対象に対して複数回のCER-001の投与を行うことを含む。強化レジメンは、典型的には、各投与間で1日以上の期間をおいて、例えば、各投与間で2日以上の期間をおいて、対象に対して複数回のCER-001の投与を行うことを含む。一部の実施形態において、強化レジメンは、2回以上のCER-001の投与を含む。一部の実施形態において、強化レジメンは、1週につき2回のCER-001の投与を含む。一部の実施形態において、強化レジメンは、1週間超の期間、例えば、2週間以上の期間で、1週につき2回のCER-001の投与を含む。一部の実施形態において、強化レジメンは、3週間の期間で、1週につき2回のCER-001の投与を含む。
【0026】
維持レジメンは、典型的には、強化レジメン中より少ない頻度で、例えば、各投与間で5日以上の期間、例えば、1週間の期間をおいて、対象に対して1回または複数回のCER-001の投与を行うことを含む。ある特定の実施形態において、複数回のCER-001の投与は、維持レジメン中、1週ごとに1回行われる。
【0027】
ある特定の態様において、本開示は、各投与間で少なくとも1日の間をおいて3週間、対象に対して1週間以内で3回のCER-001の投与を行うことを含む、導入レジメンと、各投与間で少なくとも2日の間をおいて3週間、対象に対して1週間以内で2回のCER-001の投与を行うことを含む、その後の強化レジメンと、対象に対して1週ごとに1回のCER-001の投与を行うことを含む、その後の維持レジメンとを使用して、対象をCER-001により治療する方法を提供する。
【0028】
ある特定の態様において、本開示は、本明細書に記載される投薬レジメンに準拠して、対象をCER-001により治療する方法を提供する。一部の実施形態において、CER-001は、静脈内投与、例えば、注入ポンプを使用した静脈内注入の前に食塩水で希釈される。ある特定の実施形態において、CER-001の用量は対象の体重を基準とし、例えば、静脈内注入で10mg/kgである。
【0029】
ある特定の態様において、本開示は、
- 3週間で、1週当たり3回の投与(導入レジメン)と、
- その後の、3週間で、1週当たり2回の投与(強化レジメン)と、
- その後の、治療の終了まで続く、1週当たり1回の投与(維持レジメン)と
を含む投薬レジメンに従い、腎臓病を有する対象をCER-001により治療する方法を提供する。
【0030】
ある特定の態様において、CER-001の投与の前に、抗ヒスタミン剤(例えば、デクスクロルフェニラミン、ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、セチリジン、フェキソフェナジン、またはロラタジン)を投与することができる。抗ヒスタミン剤は、アレルギー反応の可能性を低減することができる。
【0031】
本開示の投与レジメンに従って治療される対象は、腎臓病に罹っている任意の対象、例えば、LCAT欠損症と関連する糸球体症に罹っている対象、または糖尿病性腎症を有する対象とすることができる。一部の実施形態において、本開示の投与レジメンに従って治療される対象は、LCAT欠損症(例えば、LCAT変異に起因するLCAT欠損症、または後天性LCAT欠損症であるLCAT欠損症)と関連する糸球体症を有する。LCAT欠損症は、完全LCAT欠損症でも部分的LCAT欠損症でもあり得る。一部の実施形態において、本開示の投与レジメンに従って治療される対象は、糖尿病性腎症を有する。一部の実施形態において、対象はCKDを有する。一部の実施形態において、対象は肝腎症候群(HRS)を有するか、またはHRSのリスクを有する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
4. 図の簡単な説明
図1】実施例1で記載される試験における、apoA-1のベースライン値からの変化を示すグラフである。
図2】実施例1で記載される試験における、スフィンゴミエリンのベースライン値からの変化を示すグラフである。
図3】実施例3で記載される試験において、10mg/kgでのCER-001による処置後に得られた総コレステロール分布を示すグラフであり、1回目の注射後(図3A)および処置の終了時(図3B)における総コレステロール分布を示す。
図4】実施例3で記載される試験において、10mg/kgでのCER-001による処置後に得られたリン脂質含有量を示すグラフであり、1回目の注射後(図4A)および処置の終了時(図4B)におけるリン脂質含有量を示す。
図5】実施例3で記載される試験において、10mg/kgでのCER-001による処置後のLCAT欠損マウスで得られた総コレステロール分布を示すグラフであり、1回目の注射後(図5A)および処置の終了時(図5B)における総コレステロール分布を示す。
図6】実施例3で記載される試験において、10mg/kgでのCER-001による処置後のLCAT欠損マウスで得られたリン脂質含有量を示すグラフであり、1回目の注射後(図6A)および処置の終了時(図6B)におけるリン脂質含有量を示す。
図7】HDLの2D電気泳動分析と、その後のCER-001の免疫検出を示す画像である。実施例3で記載される通り、CER-001を10mg/kgで野生型(図7A)およびLCAT欠損マウス(図7B)に注射し、30分後、1時間後、4時間後、24時間後、および48時間後に血液を採取した。
図8】ウェスタンブロット分析を示す画像であり、実施例3で記載される通り、CER-001投与の前、30分後、1時間後、および24時間後に採取したLCAT欠損マウスの腎臓(図8A)および肝臓(図8B)中における、CER-001を検出する。
図9】実施例3で記載される、CER-001による処置後のLCAT欠損マウスの肝臓中における、トリグリセリド含有量を示すグラフである。
図10】実施例3で記載される試験における、10mg/kgでのCER-001による処置後のLCAT-/-(図10B)および野生型(WT)(図10A)マウス中の、HDLサブクラスの代表的な画像である。
図11】実施例4で記載される試験の設計を示す図である。
図12】実施例4で記載される試験における、LCAT-/-マウスの血漿中コレステロール値を示すグラフである。
図13】実施例4で記載される試験における、LCAT-/-マウスの血漿中トリグリセリド値を示すグラフである。
図14】実施例4で記載される試験における、LCAT-/-マウスの血漿中リン脂質値を示すグラフである。
図15】実施例4で記載される試験における、LCAT-/-マウスの血漿中HDL-C値を示すグラフである。
図16-1】実施例4で記載される通り、基準状態(図16A)、4週間のLpX注射の終了時(図16B)における、LCAT-/-マウスの血漿から得られFPLCによって分離されたリポタンパク質のプロファイルを説明するグラフである。採取された血漿画分中の、リン脂質(PL)、総コレステロール(TC)、および非エステル化コレステロール(UC)を測定した。
図16-2】実施例4で記載される通り、食塩水(図16C)またはCER-001処置(図16D)後における、LCAT-/-マウスの血漿から得られFPLCによって分離されたリポタンパク質のプロファイルを説明するグラフである。採取された血漿画分中の、リン脂質(PL)、総コレステロール(TC)、および非エステル化コレステロール(UC)を測定した。
図17】実施例4で記載される通り、食塩水または10mg/kgのCER-001で処置したLpX注射LCAT-/-マウスの糸球体に対するオイルレッドO染色により、脂肪滴の蓄積が示されることを説明する、組織像(図17A)(スケールバー:10μm)、および図17Aに関して記載される、脂肪滴蓄積の定量化を示すグラフ(図17B)である。結果は平均±SEMで表し、対応のないスチューデントt検定を使用して分析した。P=0.055。
図18】実施例4で記載される通り、LpXを添加し、用量10mg/kgに相当する濃度にて食塩水またはCER-001で処置したポドサイトの、細胞内コレステロール含有量のインビトロ評価を示すグラフである。蛍光によって細胞内コレステロールを評価した。データを平均±SEMで表す。N=5、P<0.05(P=0.015)対応のないスチューデントt検定。
図19】実施例4で記載される通り、基準状態、1カ月のLpX注射の終了時、およびCER-001または食塩水処置後における、LCAT-/-マウスのプール血漿から得られFLPCによって分離されたリポタンパク質から酵素的技法によって測定された、トリグリセリド分布のプロファイルである。
図20】実施例4で記載される試験における、LCAT-/-マウスの血中尿素窒素(BUN)値を示すグラフである。
図21】実施例4で記載される試験における、LCAT-/-マウスの尿中微量アルブミン対クレアチニン比(UACR)の値を示すグラフである。
図22】実施例4で記載される試験における、処置の終了時にLCAT-/-マウスの腎臓で測定されたメサンギウムマトリックス膨張を示すグラフである。
図23】実施例4で記載される試験における、処置の終了時のLCAT-/-マウスの腎臓での超微細構造の変化を示す、代表的な画像である。
図24】実施例4で記載される試験における、処置の終了時のLCAT-/-マウスの腎臓でのネフリン発現を示す、代表的な画像である。
図25】実施例4で記載される試験における、処置の終了時のLCAT-/-マウスの腎臓でのネフリン発現を示すグラフである。
図26】実施例4で記載される試験における、処置の終了時のLCAT-/-マウスの腎臓でのネスチン発現を示す、代表的な画像である。
図27】実施例4で記載される試験における、処置の終了時のLCAT-/-マウスの腎臓でのネスチン発現を示すグラフである。
図28】実施例4で記載される試験における、処置の終了時のLCAT-/-マウスの腎臓での非エステル化コレステロール(図28A)およびリン脂質(図28B)含有量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
5. 詳細な説明
本開示は、CER-001による腎臓病を有する対象の治療を規定する。一部の実施形態において、本開示の方法は、3つの相で対象にCER-001を投与することを含む。まず、最初の高強度の「導入」レジメンでCER-001を投与する。導入レジメンの後、より低強度の「強化」レジメンを行う。強化レジメンの後、「維持」レジメンを行う。本開示の他の方法において、CER-001は、2つの相(例えば、導入レジメンとその後の維持レジメン)または単一の相(例えば、維持レジメン)で投与される。本開示の方法で使用することができる導入レジメンは5.2節で記載され、本開示の方法で使用することができる強化レジメンは5.3節で記載され、本開示の方法で使用することができる維持レジメンは5.4節で記載される。本開示の投与レジメンは、単独療法として、または1つまたは複数の薬剤療法との併用療法の一部としてCER-001を投与することを含む。併用療法は5.5節で記載される。本開示の方法を使用して治療することができる対象の集団および亜集団は、5.6節で記載される。
【0034】
5.1. CER-001
CER-001とは、本文献および下記の実施例で使用される場合、国際公開第2012/109162号パンフレットの実施例4において記載される複合体を指す。国際公開第2012/109162号パンフレットは、CER-001を、1:2.7のリポタンパク質重量:総リン脂質重量比を有し、SM:DPPGの重量:重量比が97:3である複合体であるとしている。国際公開第2012/109162号パンフレットの実施例4は、その製造方法も記載している。
【0035】
本開示の投与レジメンの文脈で使用される場合、CER-001は、個々の構成要素が国際公開第2012/109162号パンフレットの実施例4で記載されるCER-001と最大で20%異なっていてもよい、リポタンパク質複合体を指す。ある特定の実施形態において、リポタンパク質複合体の構成要素は、国際公開第2012/109162号パンフレットの実施例4で記載されるCER-001と最大で10%異なっている。好ましくは、リポタンパク質複合体の構成要素は、国際公開第2012/109162号パンフレットの実施例4で記載される構成要素である(±製造許容誤差による変動)。CER-001中のSMは、天然であっても合成であってもよい。一部の実施形態において、SMは天然SM、例えば、国際公開第2012/109162号パンフレットに記載される天然SM、例えば、鶏卵SMである。一部の実施形態において、SMは合成SM、例えば、国際公開第2012/109162号パンフレットに記載される合成SM、例えば、国際公開第2012/109162号パンフレットなどに記載される合成パルミトイルスフィンゴミエリンである。パルミトイルスフィンゴミエリンを合成するための方法は、例えば、国際公開第2014/140787号パンフレットに記載されているように、当技術分野において公知である。CER-001中のリポタンパク質である、アポリポタンパク質A-I(ApoA-I)は、好ましくは、国際公開第2012/109162号パンフレットの配列番号1の第25~267位アミノ酸に相当するアミノ酸配列を有する。ApoA-Iは、動物供給源によって(特に、ヒト供給源から)精製するか、または組換えによって生成することができる。好ましい実施形態において、CER-001中のApoA-Iは組換えApoA-Iである。本開示の投与レジメンで使用されるCER-001は、好ましくは高度に均一であり、例えば、ゲル濾過クロマトグラフィーにおいて単一のピークによって反映されるように、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%均一である。例えば、国際公開第2012/109162号パンフレットの6.4節を参照されたい。
【0036】
5.2. 導入レジメン
本開示の方法における使用に適する導入レジメンは、各投与間で1日以上隔てて、複数回のCER-001の投与を行うことを伴う。
【0037】
導入レジメンは、典型的には、少なくとも3回のCER-001の投与を含むが、4回以上のCER-001の投与、例えば、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、または12回の投与を含んでいてもよい。
【0038】
導入レジメンは、1週以上、2週以上、3週以上、4週以上、5週以上、6週以上、7週以上、8週以上、9週以上、または10週以上継続してもよい。
【0039】
例えば、導入レジメンは、
- 1週間にわたる、3回のCER-001の投与;
- 2週間にわたる、3回のCER-001の投与;
- 3週間にわたる、3回のCER-001の投与;
- 2週間にわたる、4回のCER-001の投与;
- 3週間にわたる、4回のCER-001の投与;
- 2週間にわたる、5回のCER-001の投与;
- 3週間にわたる、5回のCER-001の投与;
- 4週間にわたる、5回のCER-001の投与;
- 2週間にわたる、6回のCER-001の投与;
- 3週間にわたる、6回のCER-001の投与;
- 4週間にわたる、6回のCER-001の投与;
- 3週間にわたる、7回のCER-001の投与;
- 4週間にわたる、7回のCER-001の投与;
- 5週間にわたる、7回のCER-001の投与;
- 3週間にわたる、8回のCER-001の投与;
- 4週間にわたる、8回のCER-001の投与;
- 5週間にわたる、8回のCER-001の投与;
- 3週間にわたる、9回のCER-001の投与;
- 4週間にわたる、9回のCER-001の投与;
- 5週間にわたる、9回のCER-001の投与;
- 6週間にわたる、9回のCER-001の投与;
- 4週間にわたる、10回のCER-001の投与;
- 5週間にわたる、10回のCER-001の投与;
- 6週間にわたる、10回のCER-001の投与;または
- 7週間にわたる、10回のCER-001の投与
を行うことを含んでいてもよい。
【0040】
好ましい実施形態において、導入レジメンは、3週間にわたって、例えば、1、2、4、7、9、11、14、16、および18日目に9回のCER-001の投与を行うことを含む。
【0041】
実際には、例えば、1週当たり複数回の投与スケジュールに対してわずかな変動を許容するように、投与期間幅を設けてもよい。例えば、投薬日から±2日または±1日の期間幅を使用してもよい。
【0042】
導入レジメンで投与されるCER-001の用量は、タンパク質重量基準で4mg/kgから30mg/kgまでの範囲(例えば、4、5、6、7、8、9、10、12 15、20、25、もしくは30mg/kg、または上記値の任意の2つを境界とする任意の範囲、例えば、5~15mg/kg、10~20mg/kg、もしくは15~25mg/kg)であってもよい。「タンパク質重量基準」という表現は、本明細書で使用される場合、対象に投与されるCER-001の用量が、投与されるCER-001中のApoA-Iの量と対象の体重とに基づいて計算されることを意味する。例えば、体重が70kgであり用量10mg/kgのCER-001を摂取する対象は、700mgのApoA-I(70kg×10mg/kg)をもたらす量のCER-001を摂取することになる。一部の実施形態において、導入レジメンで使用されるCER-001の用量は、8mg/kgである。一部の実施形態において、導入レジメンは、3週間にわたる、8mg/kgの用量での9回のCER-001の投与を含む。一部の実施形態において、導入レジメンで使用されるCER-001の用量は、10mg/kgである。一部の実施形態において、導入レジメンで使用されるCER-001の用量は、15mg/kgである。一部の実施形態において、導入レジメンで使用されるCER-001の用量は、20mg/kgである。一部の実施形態において、導入レジメンは、3週間にわたる、10mg/kgの用量での9回のCER-001の投与を含む。
【0043】
さらに他の態様において、CER-001を単位投与量基準で投与してもよい。導入相で使用される単位投与量は、1回投与当たり300mgから3000mgまでで変動してもよい。
【0044】
特定の実施形態において、導入相中に使用されるCER-001の投与量は、1回投与当たり300mg~1500mg、400mg~1500mg、500mg~1200mg、または500mg~1000mgである。
【0045】
CER-001は、好ましくはIV注入として投与される。例えば、CER-001の原液を、生理食塩水(0.9%NaCl)などの通常の食塩水で125mlから250mlの間の総体積まで希釈してもよい。好ましい実施形態において、体重が80kg未満である対象は総体積125mlを受け取ることになり、体重が少なくとも80kgである対象は総体積250mlを受け取ることになる。注入ポンプを250ml/時間の固定された速度で使用して、CER-001を1時間の期間にわたって投与してもよい。対象における必要性に応じて、投与を、1時間超(例えば、最長で2時間)の継続期間による低速注入、1時間以下の高速注入、または単回ボーラス注射によって行ってもよい。
【0046】
5.3. 強化レジメン
本開示の方法における使用に適する強化レジメンは、各投与間で1日以上、例えば、各投与間で2日以上隔てて、複数回のCER-001の投与を行うことを伴う。
【0047】
強化レジメンは、典型的には、少なくとも2回のCER-001の投与を含むが、3回以上のCER-001の投与、例えば、4回、5回、6回、7回、8回、9回、または10回を含んでいてもよい。
【0048】
強化レジメンは、1週以上、2週以上、3週以上、4週以上、5週以上、6週以上、7週以上、8週以上、9週以上、または10週以上継続してもよい。
【0049】
例えば、強化レジメンは、
- 1週間にわたる、2回のCER-001の投与;
- 2週間にわたる、2回のCER-001の投与;
- 2週間にわたる、3回のCER-001の投与;
- 3週間にわたる、3回のCER-001の投与;
- 2週間にわたる、4回のCER-001の投与;
- 3週間にわたる、4回のCER-001の投与;
- 3週間にわたる、5回のCER-001の投与;
- 4週間にわたる、5回のCER-001の投与;
- 5週間にわたる、5回のCER-001の投与;
- 3週間にわたる、6回のCER-001の投与;
- 4週間にわたる、6回のCER-001の投与;
- 5週間にわたる、6回のCER-001の投与;
- 4週間にわたる、7回のCER-001の投与;
- 5週間にわたる、7回のCER-001の投与;
- 6週間にわたる、7回のCER-001の投与;
- 4週間にわたる、8回のCER-001の投与;
- 5週間にわたる、8回のCER-001の投与;
- 6週間にわたる、8回のCER-001の投与;
- 4週間にわたる、9回のCER-001の投与;
- 5週間にわたる、9回のCER-001の投与;
- 6週間にわたる、9回のCER-001の投与;
- 6週間にわたる、9回のCER-001の投与;
- 4週間にわたる、10回のCER-001の投与;
- 5週間にわたる、10回のCER-001の投与;
- 6週間にわたる、10回のCER-001の投与;または
- 7週間にわたる、10回のCER-001の投与
を行うことを含んでいてもよい。
【0050】
好ましい実施形態において、強化レジメンは、3週間にわたって、例えば、1日目に導入レジメンで始まる治療レジメンの21、24、28、31、35、および38日目に6回のCER-001の投与を行うことを含む。
【0051】
実際には、例えば、1週当たり複数回の投与スケジュールに対してわずかな変動を許容するように、投与期間幅を設けてもよい。例えば、投薬日から±2日または±1日の期間幅を使用してもよい。
【0052】
強化レジメンで投与されるCER-001の用量は、タンパク質重量基準で4mg/kgから30mg/kgまでの範囲(例えば、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、25、もしくは30mg/kg、または上記値の任意の2つを境界とする任意の範囲、例えば、5~15mg/kg、10~20mg/kg、もしくは15~25mg/kg)であってもよい。「タンパク質重量基準」という表現は、本明細書で使用される場合、対象に投与されるCER-001の用量が、投与されるCER-001中のApoA-Iの量と対象の体重とに基づいて計算されることを意味する。例えば、体重が70kgであり用量10mg/kgのCER-001を摂取する対象は、700mgのApoA-I(70kg×10mg/kg)をもたらす量のCER-001を摂取することになる。一部の実施形態において、強化レジメンで使用されるCER-001の用量は、8mg/kgである。一部の実施形態において、強化レジメンは、3週間にわたる、8mg/kgの用量での6回のCER-001の投与を含む。一部の実施形態において、強化レジメンで使用されるCER-001の用量は、10mg/kgである。一部の実施形態において、強化レジメンで使用されるCER-001の用量は、15mg/kgである。一部の実施形態において、強化レジメンで使用されるCER-001の用量は、20mg/kgである。一部の実施形態において、強化レジメンは、3週間にわたる、10mg/kgの用量での6回のCER-001の投与を含む。
【0053】
さらに他の態様において、CER-001を単位投与量基準で投与してもよい。強化相で使用される単位投与量は、1回投与当たり300mgから3000mgまでで変動してもよい。
【0054】
特定の実施形態において、強化相中に使用されるCER-001の投与量は、1回投与当たり300mg~1500mg、400mg~1500mg、500mg~1200mg、または500mg~1000mgである。
【0055】
一部の実施形態において、強化相中に投与されるCER-001の用量は、導入相中に投与されるCER-001の用量より多い。例えば、強化相で投与されるCER-001の用量は、導入相で投与されるCER-001の用量の1.5~3倍であってもよい。具体的な実施形態において、強化相で投与されるCER-001の用量は、導入相で投与されるCER-001の用量の2倍である。強化相で用量を増加させることにより、投与頻度の減少を相殺してもよい。他の実施形態において、強化相中に投与されるCER-001の用量は、導入相中に投与されるCER-001の用量と同一である。
【0056】
強化相中、5.2節で記載したのと同様に、例えば、1時間の期間にわたってIV注入としてCER-001を投与してもよい。強化相中に投与されるCER-001の用量が導入相で投与される用量より大きい場合、場合により、CER-001をより大きい体積で投与し、かつ/またはより長い期間にわたって注入してもよい。例えば、強化相中に投与されるCER-001の用量が導入相中に投与される用量の2倍である場合、投与体積を増加させ(例えば、2倍にし)、かつ/または注入時間を増加させ(例えば、2倍にし)てもよい。
【0057】
5.4. 維持レジメン
本開示の方法は維持レジメンを含んでいてもよく、これは典型的には導入レジメンに続くが、場合により、強化レジメンに続く。一部の実施形態において、維持レジメンは、導入相および/または強化相中より低い頻度で、対象にCER-001を投与することを含む。典型的には、CER-001は、維持レジメン中、3日以上ごとに1回、例えば、1週ごとに1回または1週につき2回投与される。
【0058】
維持レジメンは、1カ月以上、2カ月以上、3カ月以上、6カ月以上、9カ月以上、1年以上、18カ月以上、2年以上、または無期限にCER-001を投与することを伴っていてもよい。
【0059】
一部の実施形態において、維持レジメンは、少なくとも16週間、5日~1週ごとに1回CER-001を投与することを含む。他の実施形態において、維持レジメンは、少なくとも20週間、少なくとも30週間、または少なくとも40週間、1週ごとに1回CER-001を投与することを含む。
【0060】
上記5.2節で記載された投与期間幅と同様に、週間投与スケジュールに対してわずかな変動を許容するように、維持レジメンにおいて投与期間幅を使用してもよい。例えば、各週の日付から±2日または±1日の期間幅を使用してもよい。
【0061】
維持レジメンで投与されるCER-001の用量は、タンパク質重量基準で4mg/kgから30mg/kgまでの範囲(例えば、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、25、もしくは30mg/kg、または上記値の任意の2つを境界とする任意の範囲、例えば、5~15mg/kg、10~20mg/kg、もしくは15~25mg/kg)であってもよい。例えば、体重が70kgであり用量10mg/kgのCER-001を摂取する対象は、700mgのApoA-I(70kg×10mg/kg)をもたらす量のCER-001を摂取することになる。一部の実施形態において、維持レジメンで使用されるCER-001の用量は、8mg/kgである。一部の実施形態において、維持レジメンで使用されるCER-001の用量は、10mg/kgである。一部の実施形態において、維持レジメンで使用されるCER-001の用量は、15mg/kgである。一部の実施形態において、維持レジメンで使用されるCER-001の用量は、20mg/kgである。
【0062】
さらに他の態様において、CER-001を単位投与量基準で投与してもよい。維持相で使用される単位投与量は、1回投与当たり300mgから3000mgまでで変動してもよい。
【0063】
特定の実施形態において、維持相中に使用されるCER-001の投与量は、1回投与当たり300mg~1500mg、400mg~1500mg、500mg~1200mg、または500mg~1000mgである。
【0064】
一部の実施形態において、維持相中に投与されるCER-001の用量は、導入相および/または強化相中に投与されるCER-001の用量より多い。例えば、維持相で投与される用量は、強化相で投与される用量の1.5~3倍であってもよい。具体的な実施形態において、維持相で投与されるCER-001の用量は、強化相で投与されるCER-001の用量の2倍である。維持相で用量を増加させることにより、投与頻度の減少を相殺してもよい。他の実施形態において、維持相中に投与されるCER-001の用量は、導入相および/または強化相中に投与されるCER-001の用量と同一である。一部の実施形態において、維持相で投与される用量を調整、例えば、増加または減少させてもよい。
【0065】
維持相中、5.2節で記載したのと同様に、例えば、IV注入としてCER-001を投与してもよい。維持相中に投与されるCER-001の用量が強化相で投与される用量より大きい場合、場合により、CER-001をより大きい体積で投与し、かつ/またはより長い期間にわたって注入してもよい。例えば、維持相中に投与されるCER-001の用量が強化相中に投与される用量の2倍である場合、投与体積を増加させ(例えば、2倍にし)、かつ/または注入時間を増加させ(例えば、2倍にし)てもよい。
【0066】
5.5. 併用療法
対象は、単独療法として、または、例えば、スタチン(例えば、アトルバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン)、コレステロール吸収阻害剤(例えば、エゼチミブ)、ナイアシン、アスピリン、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤(例えば、アリロクマブ、ボコシズマブエボロクマブ、1D05-IgG2(Ni et al., 2011, J Lipid Res. 52(1):78-86)、およびLY3015014(Kastelein et al., 2016, Eur Heart J 37(17):1360-9)などの抗体、またはALN-PCSSC(The Medicines Company)などのRNAi治療薬))などの1つまたは複数の脂質制御薬剤との併用療法レジメンの一部として、CER-001により治療されてもよい。
【0067】
併用療法レジメンは、上記の医薬のうちの1つもしくは複数および/または上記のクラスの薬剤のうちの1つもしくは複数と組み合わせてCER-001を投与することを伴っていてもよい。一部の実施形態において、対象は、アトルバスタチンと組み合わせたCER-001により治療される。一部の実施形態において、対象は、エゼチミブと組み合わせたCER-001により治療される。一部の実施形態において、対象は、ナイアシンと組み合わせたCER-001により治療される。一部の実施形態において、対象は、ロスバスタチンと組み合わせたCER-001により治療される。一部の実施形態において、対象は、シンバスタチンと組み合わせたCER-001により治療される。一部の実施形態において、対象は、アスピリンと組み合わせたCER-001により治療される。一部の実施形態において、対象は、フルバスタチンと組み合わせたCER-001により治療される。一部の実施形態において、対象は、ロバスタチンと組み合わせたCER-001により治療される。一部の実施形態において、対象は、プラバスタチンと組み合わせたCER-001により治療される。一部の実施形態において、対象は、アリロクマブと組み合わせたCER-001により治療される。一部の実施形態において、対象は、エボロクマブと組み合わせたCER-001により治療される。一部の実施形態において、対象は、ALN-PCSscと組み合わせたCER-001により治療される。上記の実施形態の各々において、脂質制御医薬は、対象がCER-001療法と組み合わせて摂取する唯一の脂質制御医薬であってもよく、CER-001療法と組み合わせて投与される脂質制御医薬の組合せの一部であってもよい。
【0068】
CER-001による療法を、CER-001による療法の前に開始された基礎的な脂質降下療法に追加してもよい。
【0069】
一部の実施形態において、対象は、本開示の投与レジメンに従うCER-001による療法を開始する前に、少なくとも6週間(例えば、6週間、8週間、2カ月間、6カ月間、1年間、または1年超の間)、一定用量の脂質制御薬剤により治療される。あるいは、1つまたは複数の脂質制御薬剤による治療の前またはこれと同時に、CER-001療法を開始してもよい。
【0070】
5.6. 対象集団
本開示の投与レジメンに従って治療される対象は、腎臓病に対する療法を必要とするいかなる対象であってもよい。一部の実施形態において、投与レジメンに従って治療される対象は、糸球体症を有する。一部の実施形態において、本開示の投与レジメンに従って治療される対象は、LCAT欠損症(例えば、LCAT変異に起因するLCAT欠損症、または後天性LCAT欠損症であるLCAT欠損症)を有する。一部の実施形態において、本開示の投与レジメンに従って治療される対象は、糖尿病性腎症を有する。一部の実施形態において、本開示の投与レジメンに従って治療される対象は、CKDを有する。CKDは、3カ月以上の腎臓機能の低下(例えば、<60mL/分/1.73mの推算糸球体濾過量(GFR))および/または腎臓損傷の証拠(例えば、≧30mg/gの尿中アルブミン対クレアチニン比(UACR)、異常な腎臓像または生検材料)として定義することができる。
【0071】
一部の実施形態において、本開示の投与レジメンに従って治療される対象は、腎臓透析治療を受けている。一部の実施形態において、本開示の投与レジメンに従って治療される対象は、これまでに腎臓移植を受けている。
【0072】
一部の実施形態において、本開示の投与レジメンに従って治療される対象は、腎臓透析治療を受けていない。一部の実施形態において、治療により、対象における腎臓透析の必要性を遅らせる。
【0073】
一部の実施形態において、本開示の投与レジメンに従って治療される対象は、これまでに腎臓移植を受けていない。一部の実施形態において、治療により、対象における腎臓移植の必要性を遅らせる。
【0074】
ある特定の実施形態において、本開示の投与レジメンに従って治療される対象は、LCAT欠損症(例えば、LCAT変異に起因するLCAT欠損症、または後天性LCAT欠損症であるLCAT欠損症)と関連する糸球体症に罹っている。自身のLCAT遺伝子のうちの1つまたは複数に変異を有する対象を、本明細書に記載される治療方法によって治療してもよい。対象は、この変異についてホモ接合性であってもヘテロ接合性であってもよい。一部の実施形態において、対象は、家族性LCAT欠損症を有する(例えば、LCAT活性を欠く対象)。他の実施形態において、対象は、部分的LCAT欠損症を有する(例えば、対象は、魚眼病を有する対象であってもよい)。
【0075】
一部の実施形態において、対象は、後天性である(例えば、LCAT変異に起因しない)LCAT欠損症を有する。後天性LCAT欠損症は、例えば、CKD、アルコール性肝疾患、および肝腎症候群と関連している(Calabresi et al., 2014, Journal of Internal Medicine, 277(5):552-561;Baragetti et al., 2020, J. Clin. Med. 9(7):2289;Hovig et al., 1978, Lab Invest. 38(5):540-9;Sasso et al., 1989 Panminerva Med. 31(1):30-3)。LCAT欠損症は、LCATに対する阻害性自己抗体を有する対象においても観察されている(Takahashi et al., 2013, JASN 24(8):1305-1312)。
【0076】
一般に、LCAT欠損症を有する対象は、コレステリルエステル(CE)対総コレステロール(TC)比が低い。一部の実施形態において、LCAT欠損症を有する対象は、60%以下、例えば0%~60%、0%~50%、0%~25%、25%~60%、または25%~50%のCE対TC比を有する。LCAT欠損症を有する対象は、血漿中LCATの値が低い可能性がある。一部の実施形態において、LCAT欠損症を有する対象は、0μg/ml~4μg/ml、例えば、0μg/ml~3μg/ml、0μg/ml~2μg/ml、1μg/ml~4μg/ml、または1μg/ml~3μg/mlの血漿中LCAT濃度を有する。
【0077】
一部の実施形態において、本開示の投与レジメンに従って治療される対象は、肝腎症候群(HRS)を有するか、またはHRSのリスクを有する。HRSのリスクを有する対象には、慢性肝疾患を有する対象、例えば、進行した肝硬変を有する対象が含まれる。一部の実施形態において、対象は慢性肝疾患を有する。一部の実施形態において、対象はアルコール性肝疾患を有する。歴史的に、HRSは、数日から数週にわたって腎機能が急速に悪化する1型HRSと、悪化が数カ月にわたって生じる2型HRSとに分類されている。例えば、Amin et al., 2019, Seminars in Nephrology 39(1):17-30を参照されたく、この内容は、その全体が参照により本明細書に援用される。一部の実施形態において、本開示の投薬レジメンに従って治療される対象は、1型HRSを有する。他の実施形態において、本開示の投薬レジメンに従って治療される対象は、2型HRSを有する。
【実施例
【0078】
6.実施例
[実施例1]
5.1 実施例1:投与後のCER-001の吸収
CER-001を、単回IV投与としてヒト対象に投与した。図1および図2に示される通り、血漿中apoA-Iおよびスフィンゴミエリンが急速に上昇し、注入の開始より2時間から4時間の間に最も高い濃度が観察された。15mg/kg未満の用量の場合、24~48時間以内で濃度がベースライン値に戻る。
【0079】
[実施例2]
5.2 実施例2:前臨床安全性データ
ラットにおける4週間投与試験ならびにサルにおける4週間および26週間投与試験において、20mg/kgの用量を無副作用用量とみなした。
【0080】
CER-001は、ラットとサルのいずれにおいても、推測された薬力学効果、すなわち、コレステロールの可動化に続く総コレステロールおよび非エステル化コレステロールの用量依存的な増加をもたらした。CER-001は、高用量(100mg/kg以上)において、肝臓トランスアミナーゼ、ALTおよびAST、アルカリホスファターゼ、総ビリルビン、ならびにトリグリセリドの、中程度から顕著だが一過性の増加をもたらした。全般に、これらの変化は投与の24~48時間内で元に戻り得た。
【0081】
肝臓、脾臓、および骨髄を、CER-001の毒性効果の標的器官とみなした。ラットにおける単一用量試験およびサルにおける100mg/kg以上の用量による漸増用量試験で認められた肝酵素および腎パラメータの変化は、一過性であり、効果の著しい薬理学作用に対して二次的であった。これらの変化は、処置なしでは短期間で元に戻り得た。
【0082】
CER-001は、ラットにおいて組換えヒトapoA-Iに対するいずれの抗体も誘導しなかった。複数回投与を行った場合、サルにおいてヒトapoA-Iに対する抗体が検出できた。
【0083】
[実施例3]
5.3 実施例3:CER-001のリモデリングおよび異化の経過に対するLCATの効果
本試験の目的は、LCATの不在がCER-001のリモデリングおよび異化の経過に影響を与えるか否かを調べることであった。
【0084】
本試験では、3つの群の動物を使用した:
- LCAT-/-マウス(Manzini et al., 2015, Vascul Pharmacol, 74:114-121を参照)
- 腎疾患のモデルとしての、LpXを注射したLCAT-/-マウス(Ossoli et al., 2016, PlosOne 11:e0150083を参照)
- WTマウス
【0085】
LCAT-/-およびWTマウス(群当たりN=3)に対し、1日おきに2週間、2.5mg/kg、5mg/kg、または10mg/kgの用量でCER-001を注射した(全部で8回の注射)。注射を開始する前と、1日目および14日目の30分、1時間、4時間、24時間、48時間の時点で血液を採取した。ベースライン時および各時点において、血漿中脂質プロファイルを評価した。以下の表1~4は、ベースライン時および処置の終了時において測定した脂質値の報告である。ベースライン 処置の終了(最後の注射後48h)。
【0086】
【表1】
【0087】
表1より、処置の終了時にLCAT-/-マウスにおいて血漿中総コレステロール値がわずかに減少したが、WTマウスでは値が変化しないままであった。ホスファチジルコリン、apoA-I、およびコレステロールを含有するrHDLで処置したLCAT-/-およびWTマウスのいずれの血漿においても、血漿中コレステロール値は有意に増加した(データは示さず)。
【0088】
【表2】
【0089】
表2より、最高用量(10mg/kg)でのCER-001による処置後のWTおよびLCAT-/-マウスのいずれにおいても、血漿中トリグリセリド値はわずかに減少した。逆に、ホスファチジルコリン、apoA-I、およびコレステロールを含有するrHDLで処置したマウスにおいては、血漿中のトリグリセリド値の有意な増加が観察された。
【0090】
【表3】
【0091】
表3より、LCAT-/-マウスにおいて血漿中リン脂質(ホスファチジルコリンとして測定)が用量依存的に減少したが、WTマウスではそのような減少は最高用量時においてのみ明瞭であった。逆に、マウスをホスファチジルコリン、apoA-I、およびコレステロールを含有するrHDLで処置した場合、血漿中のリン脂質の有意な増加が観察された。
【0092】
【表4】
【0093】
表4より、血漿中HDL-C値はすべての処置群において増加する傾向にあった。この増加は、LCAT-/-マウスにおいて統計的有意性に達した(用量5mg/kgを除く)。同じ効果が、ホスファチジルコリン、apoA-I、およびコレステロールを含有するrHDLで処置したマウスにおいて検出できた。
【0094】
血漿中リポタンパク質を、血漿中のリポタンパク質をサイズに従って分離することが可能なサイズ排除方法(Simonelli et al., 2013, Biologicals. 41:446-449)を用いて、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)により分離した。この方法により、VLDL(最初に溶出されるもの)、LDL、およびHDL(より小さく、最後の粒子として溶出される)に対応する3つの主な領域を特定することが可能である。各用量について、3匹の動物のプール血漿をFPLC分析に使用した。各溶出画分において、酵素アッセイ(Simonelli et al., 2013, Biologicals. 41:446-449)により総コレステロールおよびリン脂質含有量を測定した。最も明瞭な血漿中脂質の変化が最高用量において観察されたことから、最初の注射後および処置の終了時における、10mg/kgでのCER-001による処置後に得られたリポタンパク質プロファイルを図3A~6Bに報告する。
【0095】
図3A~3Bより、WTマウスにおいて、CER-001投与後に総コレステロール分布は重要な変化を示さなかった。興味深いことに、LDL領域に対応するピークは、処置の終了時においてのみ、最後の投与から1時間後に増加し、48時間経つまで上昇したままであった。
【0096】
図4A~4Bより、WTマウスにおいて、HDL領域におけるリン脂質含有量は、最初の注射後30分/1時間で著しく増加した。興味深いことに、この効果は最後の注射後には観察されず、最後の注射から4時間および24時間後にHDLピークにおける減少が観察されたものの、処置の終了時におけるリポタンパク質でのリン脂質分布はベースラインと比較して大差がなかった。
【0097】
図5A~5Bより、LCAT-/-マウスはWTマウスと異なるFPLCプロファイルを呈し、HDL領域において総じてピークを欠くという特徴があった。コレステロールの多くはVLDL領域に集中しており、CER-001投与の後、コレステロール分布は変化しなかった。
【0098】
図6A~6Bより、CER-001投与の4/24時間後にVLDL/LDLピークの一過性の増加が観察され、これは注射の48時間後にベースラインに戻った。
【0099】
図7Aより、2D電気泳動分析によって示される通り、CER-001はpre-βの位置に移動する大きな円板状粒子として現れ、野生型マウスに注射した場合、この粒子は投与後4時間まで不変のまま検出でき(ヒトapoA-Iとして検出された)、その後消失したが、図7Bより、LCAT-/-マウスでは、CER-001は投与から30分後にpre-βの位置でわずかに検出でき、注射から4時間後に完全に消失した。
【0100】
図8A~8Bより、LCATの不在下におけるCER-001の迅速な異化の経過を調べるため、CER-001投与の前、ならびに30分後、1時間後、および24時間後に採取したLCAT-/-マウスの腎臓(図8A)および肝臓(図8B)におけるCER-001の存在を、ウェスタンブロット分析により分析した。CER-001は、注射から30分および1時間後に主に腎臓中で検出され、より低い程度で肝臓中で検出されたが、24時間後にシグナルは完全に消失した。
【0101】
図9より、トリグリセリドがLCAT-/-マウスの肝臓中に蓄積しないことを確認するため、2.5mg/kg、5mg/kg、および10mg/kgのCER-001で処置した動物において肝トリグリセリドの総含有量を分析した。LCAT-/-マウスは未処置マウスとのいかなる差も示さなかった。
【0102】
表面電荷およびサイズによるHDLサブクラスの分布を、2D電気泳動分析およびその後のapoA-Iに対する免疫検出によって評価した(Franceschini et al., 2013, J. Clin. Lipidol. 7:414-422を参照)。この技法により、大型で球状の成熟した粒子(α-HDL)から小型で円板状のHDL(preβ-HDL)を分離することが可能である。図10A~10Bは、最高用量(10mg/kg)で処置したLCAT-/-(図10B)およびWT(図10A)マウスにおける、HDLサブクラスの代表的画像を示す。図10A~10Bからわかるように、CER-001注射の30分後、preβ-HDLにおいてapoA-Iシグナルの大部分が検出でき、注目すべきことに、このシグナルは注射から1時間後に消失した。これは、LCAT反応がpreβ-HDLからα-HDLへと成熟させたことが原因であった可能性が高い。注射からさらに経つと(4時間および48時間)、より大きいサイズのα-HDL側へのapoA-Iシグナルのシフトも検出することができた。LCAT-/-マウスはベースラインにおいて典型的なα-HDLの不在を示し、preβ-HDLだけを検出することができた。CER-001注射後のより早い段階(30分/1時間)では、preβにおけるapoA-Iのシグナルが増強され、α-HDLにおける小さいシグナルが現れた。注射から4時間後、preβにおけるapoA-Iシグナルはなおも増強されたが、48時間後にはベースライン値と同等に戻った。
【0103】
腎臓において起こり得るapoA-Iの蓄積を検証するため、最後の注射から24時間以内に尿試料を採取し、試験の終了時に腎臓を分析して、免疫検出によりヒトapoA-I(hapoA-I)の存在を評価した(Gomaraschi et al., 2013, Biochem Pharmacol. 85:525-530を参照)。hapoA-Iは、WTおよびLCAT-/-処置動物のいずれの腎臓および尿においても検出されなかった。
【0104】
本試験の結果は、マウスでの注射時、LCATの不在がCER-001のリモデリングを改変することを明確に示す。WTマウスでは、注射された粒子は古典的HDLリモデリング経路に入り、より大型の粒子へと変換される。LCAT-/-マウスでは、注射された粒子は変換され得ないが、興味深いことに、血漿中に蓄積されず、腎臓中にも蓄積されない。血漿中脂質において観察された変化は、CER-001注射がWTおよびLCAT-/-マウスにおける脂質プロファイルの改善をもたらし、総コレステロールおよびトリグリセリドが全体的に低下してHDL-Cが増加することを明確に示し、これは、HDLの劇的な欠損を特徴とするLCAT-/-マウスにおいて特に明瞭である。最後に、CER-001注射後に観察された結果は、同じ動物モデルにおいて、ホスファチジルコリン、apoA-I、およびコレステロールでできた再構成HDL(rHDL)の注射後に我々が観察したものとは異なっている(データは示さず)。とりわけ、rHDLの注射により血漿中トリグリセリドが著しく増加するが、これは、異なる円板状粒子を用いた他の動物モデルにおいても示されている(Kempen et al., 2013, J Lipid Res 54:2341-2353を参照)。興味深いことに、本実施例において記載される結果は、処置動物の尿中においてヒトapoA-Iが検出できないことに加え、腎臓にCER-001が蓄積しないことを示した。
【0105】
[実施例4]
5.4 実施例4:LCAT欠損症におけるCER-001リモデリングおよび腎臓に対する効果
本試験の目的は、LCAT欠損症と関連する腎臓病に対するCER-001の効果を評価することであった。
【0106】
本試験では、3つの群の動物を使用した:
- LCAT-/-マウス(Manzini et al., 2015, Vascul Pharmacol 74:114-121を参照)
- 腎疾患のモデルとしての、LpXを注射したLCAT-/-マウス(Ossoli et al., 2016, PlosOne 11:e0150083を参照)
- WTマウス
【0107】
これまでに記載されている通り、8~9カ月齢におけるLCAT-/-マウスに対する1カ月間のLpXの注射により、腎疾患のマウスモデルを作製した(Ossoli et al.,2016, PlosOne 11:e0150083を参照)。CER-001注入による腎疾患を逆転させる能力を評価するために、9~10カ月齢において、LCAT-/-LPX注射マウスを1カ月間のCER-001の注射(2.5、5、および10mg/kg)で1週につき3回処置した。対照群マウス(LCAT-/-LPX注射マウス)は、同体積の量の食塩水溶液を摂取した(図11)。
【0108】
血漿中脂質プロファイル
処置の開始前、LPX処置後、および屠殺時に、血漿中脂質およびリポタンパク質を分析した。図12より(データは平均±SEMである。基準値に対してP<0.05)、血漿中総コレステロール値はLPX投与後に増加し、CER-001による処置により血漿中総コレステロール値はわずかに低下し、基準値と同等に戻った。
【0109】
【表5】
【0110】
図13より(データは平均±SEMである。基準値に対してP<0.05)、LPXによる処置により血漿中トリグリセリド値は変わらず、最高用量(10mg/kg)でのCER-001による処置後にトリグリセリドは有意に減少し、本状態においても上記実施例3で観察された結果が確認された。
【0111】
図14より(データは平均±SEMである。基準値に対してP<0.05、**同P<0.01、および***同P<0.001、§§LPXに対してP<0.01)、血漿中リン脂質(ホスファチジルコリンとして測定)はLPX処置後に有意に増加し、CER-001による処置により本状態が逆転することはなかった。この結果は、我々がホスファチジルコリンの減少を観察した上記実施例3で得られた結果とは対照的である。
【0112】
図15より(データは平均±SEMである。基準値に対してP<0.01)、これまでに報告されたように(Ossoli et al., 2016, PlosOne 11:e0150083を参照)、LPX投与後のLCAT-/-マウスにおいて小型のHDL粒子の形成が観察されたが、このことは、LPX処置後のHDL-C値の増加を説明し得る。最高用量(10mg/kg)でのCER-001による処置の終了時にも、HDL-C値の増加が観察された。
【0113】
図16Dより、FPLCによる血漿中リポタンパク質の分析により、CER-001処置の終了時に、VLDL/LpX画分におけるリン脂質のピークの存在が示された。しかし、図16Bより、このピークは、LPX注射後において存在するピークと比較して、より大きいサイズの粒子側へとシフトしていた。逆に、図16CCより、食塩水を摂取したマウスでは、リン脂質プロファイルはベースラインと類似したものに戻った。
【0114】
図17A~17Bより、CER-001処置後に観察されたリン脂質の増加は、処置マウスの糸球体から脂質(コレステロールおよびリン脂質)を除去するCER-001による能力に起因する可能性が高い。
【0115】
図18より、CER-001処置後に観察されたリン脂質の増加は、LPX添加後におけるポドサイトに特異的に由来する可能性が高い。
【0116】
図19より、除去された脂質は、VLDL領域において検出可能だがトリグリセリドの含有量が低減した、大型の粒子へと会合する。
【0117】
腎機能評価
処置の開始前、LpX処置後、および屠殺時に、ELISAおよび比色アッセイ、ならびに血漿血中尿素窒素の測定によって、腎機能を尿中微量アルブミン対クレアチニン比として評価した。図20より(データは平均±SEMである。**基準値に対してP<0.01および***同P<0.001、§§LPXに対してP<0.01)、既に報告されているように、BUN値はLPX処置後に変わらなかった(Ossoli et al., 2016, PlosOne 11:e0150083を参照)。食塩水またはCER-001による処置の終了時、すべての群においてBUN値の減少が観察された。図21より(データは平均±SEMである。**基準値に対してP<0.01、§§LPXに対してP<0.05;2.5mgのCER-001の結果は利用不可)、これまでに報告されているデータと一致して(Ossoli et al., 2016, PlosOne 11:e0150083を参照)、LPXを注射したLCAT-/-マウスは、2倍を超える尿μgアルブミン/mgクレアチニン比(UACR)の増加を示した。最高用量(10mg/Kg)でのCER-001により処置されたマウスにおいてのみ、UACRの有意な減少が観察されたが、これは処置後に腎臓機能が改善したことを示唆する。
【0118】
腎臓中のApoA-IおよびApoB
腎臓において起こり得るapoA-IおよびapoBの蓄積を検証するため、最後の注射から24時間以内に尿試料を採取し、試験の終了時に腎臓を分析した。ヒトapoA-I(hapoA-I)およびマウスapoB(mapoB)の存在を免疫検出した(Gomaraschi et al., 2013, Biochem Pharmacol. 85:525-530を参照)。すべての群の処置動物において、腎臓および尿中にhapoA-IおよびmapoBは検出されなかった。
【0119】
腎臓の組織学的分析
処置の終了時に動物を屠殺し、組織学的分析のために腎臓を採取した。過ヨウ素酸-シッフ(PAS)試薬で染色した3つのマイクロメーター切片においてメサンギウムマトリックス膨張を評価し、各動物について少なくとも50個の糸球体を調べた。0から3のスコア(0=メサンギウムマトリックス膨張がない;1=最小限;2=中程度;3=広汎なメサンギウムマトリックス膨張)を使用して、糸球体マトリックス膨張度をを定量化した。生検材料を、実験群について関知していない同一の病理学者が分析した。
【0120】
図22より(データは平均±SDである)、処置の終了時、すべての群のマウス腎臓において軽度のメサンギウムマトリックス膨張が観察され、処置間で差がなかった。類似のメサンギウムマトリックス膨張が、LPX単独(0.9±0.2)で処置され、最後の注射から24時間後に屠殺されたLCAT-/-マウスにおいて報告されている(Ossoli et al., 2016, PlosOne 11:e0150083を参照)。尿細管分析も行い、2匹のマウス(食塩水で処置されたマウスと2.5mg/kgのCER-001で処置されたマウス)においてのみ、糸球体の変化と相関しない最小限の空胞形成が見出された。
【0121】
腎臓の超微細構造分析
皮質の腎臓組織の断片を、0.1Mカコジル酸緩衝液中の2.5%グルタルアルデヒドで終夜固定し、同じ緩衝液で繰返し洗浄した。1%OsO中での後固定の後、検体を漸増する等級のアルコールによって脱水し、Epon樹脂中に包埋した。超薄切片を酢酸ウラニル置換(UAR-EMS)およびクエン酸鉛で染色し、Philips Morgagni電子顕微鏡を使用して調べた。食塩水溶液により処置したマウスおよび最高用量(10mg/kg)でのCER-001により処置したマウスにおいて分析を行った。
【0122】
図23からわかるように、両群において、LpX投与後に、LCAT欠損症にある腎疾患に典型的であり(Santamarina-Fojo et al In: Scriver CR, Beaudet AL, Sly WS, Valle D, editors. The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Diseases. New York: McGraw-Hill; 2001. p. 2817-33を参照)、既に記載されている(Ossoli et al., 2016, PlosOne 11:e0150083を参照)超微細構造の変化が観察された。これらの変化には、糸球体基底膜(GBM)における、膜様で多重層状の、オスミウム酸親和性である密な封入物を含む、不規則な透き通った小窩、メサンギウムにおける高電子密度の沈着物および密な領域、肥厚したGBM、ならびにポドサイトの巣状の足突起消失が含まれる。外見上、CER-001による処置によって超微細構造の変化のパターンおよび実体が変容することはなかった。
【0123】
事前にLPXを注射したマウスにおいてCER-001による処置後に観察された脂質の変容は、上記実施例3において観察された変化とは明確に異なっていた。具体的には、総コレステロールおよびリン脂質は減少しなかった。
【0124】
上記実施例3で示されたように、CER-001は処置動物の腎臓中に蓄積しなかった。最高用量(10mg/kg)でのCER-001による処置により、UACRとして測定される腎機能の改善が促進された。しかし、屠殺時に腎臓に対して実施された超微細構造分析では、CER-001処置マウスにおいて顕著な変化は示されなかった。
【0125】
腎機能評価
尿中微量アルブミン対クレアチニン比および血漿血中尿素窒素の測定に加えて、処置前、LPX注射後、およびCER-001(10mg/kg)処置後に、腎臓でのネフリンの発現を免疫蛍光によって評価した。ネフリンは、ポドサイトの機能性に関連するタンパク質である。ポドサイトは、足突起が備わった高度に特化した上皮細胞であり、糸球体濾過障壁の非常に重要な構成要素を構成する。隣接する足突起は、濾過スリットを有する特化した細胞内接合部であるスリット隔膜によって架橋され、濾過スリットは、スリット細孔の完全性および腎濾過能力を維持するように作用する、ネフリンおよびネフリン様タンパク質1によって形成されている。図24に示される通り、LPX処置LCAT-/-マウスでは、食塩水を摂取したLCAT-/-マウスと比較して、ネフリンのシグナル強度の減少が観察された。ネフリン発現は10mg/kgでのCER-001による処置後に顕著に増加したが、これは、処置によりポドサイトの損傷を逆転することができたことを示唆している。
【0126】
スコアを使用したネフリン発現の定量化により、図25で報告される結果を確認した。最高用量(10mg/kg)でのCER-001による処置により、ネフリン発現の増加と関連し、尿中微量アルブミン対クレアチニン比として測定される腎機能の改善が促進された。
【0127】
尿中微量アルブミン対クレアチニン比、血漿血中尿素窒素、および腎臓でのネフリンの発現の測定に加えて、LPX注射後およびCER-001(10mg/kg)処置後にネスチンの発現を評価した。ネスチンは、完全に分化したポドサイト中で発現される、細胞骨格関連線維タンパク質である。ネスチンは3つのクラスすべての細胞骨格タンパク質と相互作用することが報告されていることから、ネスチンは細胞による細胞骨格の組織化に関与し、正常なポドサイトの機能の維持においても重要な役割を果たす。図26に示される通り、LPX処置LCAT-/-マウスにおいて、LCAT+/+マウスと比較して、ネスチン発現の減少が観察された。ネスチン発現は10mg/kgでのCER-001による処置後に増加したが、これは、処置によりポドサイトの損傷を逆転し、ポドサイトの機能を回復することができたことを示唆している。スコアを使用したネスチン発現の定量化により、図27で報告される結果が確認された。
【0128】
腎臓中の脂質含有量
処置マウスの腎臓において、非エステル化コレステロールおよびリン脂質の含有量を測定した。非エステル化コレステロールの含有量は、最高用量(10mg/kg)でのCER-001による処置後にわずかに減少したが、リン脂質の総含有量は処置後に増加し、これは、CER-001を注射された高いリン脂質の含有量に起因していると考えられる(図28A~28B)。最高用量(10mg/kg)でのCER-001による処置により、ネフリンおよびネスチン発現の増加と関連し、尿中微量アルブミン対クレアチニン比として測定される腎機能の改善が促進された。CER-001はまた、腎臓中の非エステル化コレステロールの含有量をわずかに減少させることができた。
【0129】
考察
本実施例の試験は、CER-001によって処置されたLcat-/-マウスにおける脂質/リポタンパク質プロファイルの改善、および、LCAT欠損症にある腎疾患のマウスモデルにおける、CER-001処置後の腎機能の改善を示す。さらに、本試験は、腎臓病の治療薬としてのCER-001の使用を支持する。
【0130】
[実施例5]
6.5. 実施例5:LCAT欠損症を有する対象の治療
導入レジメン、強化レジメン、および維持レジメンを含む治療レジメンに従い、糸球体症に罹っているLCAT欠損症(部分的または完全)を有する対象にCER-001を投与する。
【0131】
導入レジメンは、3週間にわたって行われる9回のCER-001の投与を含み、1日目に最初の投与が行われ、1、2、4、7、9、11、14、16、および18日目に後続の投与が行われる。導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量は、投与されるCER-001中のApoA-Iの量および対象の体重を基準にして計算して、10mg/kgである。
【0132】
導入レジメンの後、3週間にわたる6回のCER-001の投与を含む強化レジメンに従い、対象にCER-001を投与する。導入レジメンの投与は、治療の21、24、28、31、35、および38日目に行われる。導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量は、投与されるCER-001中のApoA-Iの量および対象の体重を基準にして計算して、10mg/kgである。
【0133】
導入レジメンの後、1週につき1回のCER-001の投与を含む維持レジメンに従い、対象にCER-001を投与する。維持レジメンの継続期間は対象に固有であり、少なくとも1カ月から無期限である。維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量は、投与されるCER-001中のApoA-Iの量および対象の体重を基準にして計算して、10mg/kgまたは20mg/kgである。
【0134】
導入、強化、および維持レジメンにおいて、CER-001はIV注入として投与される。CER-001の原液を、生理食塩水(0.9%NaCl)で125mlから250mlの間の総体積まで希釈する。体重が80kg未満である対象には、1回の注入当たり125mlの総体積が投与され、一方、体重が少なくとも80kgである対象には、1回の注入当たり250mlの総体積が投与される。注入ポンプを250ml/時間の固定された速度で使用して、CER-001を投与する。すべての投与は、250mL/hの一定の注入速度で行われる。
【0135】
治療レジメンにより、対象における腎臓機能が維持または改善される。
【0136】
[実施例6]
6.6. 実施例6:糖尿病性腎症を有する対象に対する治療レジメン
導入レジメン、強化レジメン、および維持レジメンを含む治療レジメンに従い、糖尿病性腎症を有する対象にCER-001を投与する。
【0137】
導入レジメンは、3週間にわたって行われる9回のCER-001の投与を含み、1日目に最初の投与が行われ、1、2、4、7、9、11、14、16、および18日目に後続の投与が行われる。導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量は、投与されるCER-001中のApoA-Iの量および対象の体重を基準にして計算して、10mg/kgである。
【0138】
導入レジメンの後、3週間にわたる6回のCER-001の投与を含む強化レジメンに従い、対象にCER-001を投与する。導入レジメンの投与は、治療の21、24、28、31、35、および38日目に行われる。導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量は、投与されるCER-001中のApoA-Iの量および対象の体重を基準にして計算して、10mg/kgである。
【0139】
導入レジメンの後、1週間につき1回のCER-001の投与を含む維持レジメンに従い、対象にCER-001を投与する。維持レジメンの継続期間は対象に固有であり、少なくとも1カ月から無期限である。維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量は、投与されるCER-001中のApoA-Iの量および対象の体重を基準にして計算して、10mg/kgまたは20mg/kgである。
【0140】
導入、強化、および維持レジメンにおいて、CER-001はIV注入として投与される。CER-001の原液を、生理食塩水(0.9%NaCl)で125mlから250mlの間の総体積まで希釈する。体重が80kg未満である対象には、1回の注入当たり125mlの総体積が投与され、一方、体重が少なくとも80kgである対象には、1回の注入当たり250mlの総体積が投与される。注入ポンプを250ml/時間の固定された速度で使用して、CER-001を投与する。すべての投与は、250mL/hの一定の注入速度で行われる。
【0141】
治療レジメンにより、対象における腎臓機能が維持または改善される。
【0142】
7. 具体的な実施形態
本開示の様々な態様は、以下の番号付きの項目に示される実施形態で記載される。
1. 腎臓病を有する対象を治療するための方法であって、対象に治療有効量のCER-001を投与することを含む、方法。
2. 3日以上ごとに1回、対象に対してCER-001の投与を行うことを含む維持レジメンに従い、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態1の方法。
3. (a)1日以上隔てて対象に対して少なくとも3回のCER-001の投与を行うことを含む導入レジメンに従い、対象にCER-001を投与することと;続いて、
(b)3日以上ごとに1回、対象に対してCER-001の投与を行うことを含む維持レジメンに従い、対象にCER-001を投与することと
を含む、実施形態1の方法。
4. (a)1日以上隔てて対象に対して少なくとも3回のCER-001の投与を行うことを含む導入レジメンに従い、対象にCER-001を投与することと;続いて、
(b)2日以上隔てて少なくとも2回のCER-001の投与を行うことを含む強化レジメンに従い、対象にCER-001を投与することと;続いて
(c)3日以上ごとに1回、対象に対してCER-001の投与を行うことを含む維持レジメンに従い、対象にCER-001を投与することとを含む
実施形態1の方法。
5. 導入レジメンが、対象に対して1週間に少なくとも3回のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態3または実施形態4の方法。
6. 導入レジメンの投与が3日以下の間隔である、実施形態3または実施形態4の方法。
7. 導入レジメンの2回目以降の投与が、前の投与から1、2、または3日の間隔である、実施形態3~6のいずれか1つの方法。
8. 導入レジメンが、少なくとも3週間、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態3~7のいずれか1つの方法。
9. 導入レジメンが、3週間、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態8の方法。
10. 強化レジメンが、対象に対して1週間に少なくとも2回のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態4~9のいずれか1つの方法。
11. 強化レジメンの投与が4日以下の間隔である、実施形態4~10のいずれか1つの方法。
12. 強化レジメンの2回目以降の投与が、前の投与から3または4日の間隔である、実施形態4~11のいずれか1つの方法。
13. 強化レジメンが、少なくとも3週間、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態4~12のいずれか1つの方法。
14. 強化レジメンが、3週間、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態13の方法。
15. 維持レジメンの投与が5日以上ごとに1回行われる、実施形態2~14のいずれか1つの方法。
16. 維持レジメンの投与が毎週行われる、実施形態2~14のいずれか1つの方法。
17. 維持レジメンの投与が、各週の厳密な日付±2日において行われる、実施形態16の方法。
18. 維持レジメンの投与が毎週2回行われる、実施形態2~14のいずれか1つの方法。
19. 導入レジメンが、対象に対して3回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態3~18のいずれか1つの方法。
20. 導入レジメンが、対象に対して4回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態3~18のいずれか1つの方法。
21. 導入レジメンが、対象に対して5回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態3~18のいずれか1つの方法。
22. 導入レジメンが、対象に対して6回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態3~18のいずれか1つの方法。
23. 導入レジメンが、対象に対して7回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態3~18のいずれか1つの方法。
24. 導入レジメンが、対象に対して8回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態3~18のいずれか1つの方法。
25. 導入レジメンが、対象に対して9回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態3~18のいずれか1つの方法。
26. 導入レジメンが、対象に対して9回のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態25の方法。
27. 導入レジメンが、1日目に対象に対してCER-001の1回目の投与を行うことと、2、4、7、9、11、14、16、および18日目に、対象に対して導入レジメンの後続の投与を行うこととを含む、実施形態26の方法。
28. 導入レジメンが、対象に対して10回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態3~18のいずれか1つの方法。
29. 強化レジメンが、対象に対して3回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態4~28のいずれか1つの方法。
30. 強化レジメンが、対象に対して4回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態4~28のいずれか1つの方法。
31. 強化レジメンが、対象に対して5回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態4~28のいずれか1つの方法。
32. 強化レジメンが、対象に対して6回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態4~28のいずれか1つの方法。
33. 強化レジメンが、対象に対して6回のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態32の方法。
34. 強化レジメンが、1日目に始まる導入レジメンの後である、21、24、28、31、35、および38日目に、対象に対して6回のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態33の方法。
35. 強化レジメンが、対象に対して7回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態4~28のいずれか1つの方法。
36. 強化レジメンが、対象に対して8回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態4~28のいずれか1つの方法。
37. 強化レジメンが、対象に対して9回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態4~28のいずれか1つの方法。
38. 強化レジメンが、対象に対して10回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態4~28のいずれか1つの方法。
39. 維持レジメンが、少なくとも1カ月間、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態2~38のいずれか1つの方法。
40. 維持レジメンが、少なくとも2カ月間、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態2~38のいずれか1つの方法。
41. 維持レジメンが、少なくとも3カ月間、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態2~38のいずれか1つの方法。
42. 維持レジメンが、少なくとも6カ月間、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態2~38のいずれか1つの方法。
43. 維持レジメンが、少なくとも9カ月間、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態vのいずれか1つの方法。
44. 維持レジメンが、少なくとも1年間、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態2~38のいずれか1つの方法。
45. 維持レジメンが、少なくとも18カ月間、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態2~38のいずれか1つの方法。
46. 維持レジメンが、少なくとも2年間、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態2~38のいずれか1つの方法。
47. 維持レジメンが、無期限に対象にCER-001を投与することを含む、実施形態2~38のいずれか1つの方法。
48. 維持レジメンが、16週間以上、CER-001を投与することを含む、実施形態2~38のいずれか1つの方法。
49. 維持レジメンが、20週間以上、CER-001を投与することを含む、実施形態2~38のいずれか1つの方法。
50. 維持レジメンが、30週間以上、CER-001を投与することを含む、実施形態2~38のいずれか1つの方法。
51. 維持レジメンが、40週間以上、CER-001を投与することを含む、実施形態2~38のいずれか1つの方法。
52. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が4~30mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態3~51のいずれか1つの方法。
53. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が5~15mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態52の方法。
54. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が10~20mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態52の方法。
55. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が15~25mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態52の方法。
56. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が8mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態52の方法。
57. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が10mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態52の方法。
58. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が300mg~3000mgである、実施形態3~51のいずれか1つの方法。
59. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が300mg~1500mgである、実施形態58の方法。
60. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が400mg~1500mgである、実施形態58の方法。
61. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が500mg~1200mgである、実施形態58の方法。
62. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が500mg~1000mgである、実施形態58の方法。
63. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が4~30mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態4~62のいずれか1つの方法。
64. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が5~15mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態63の方法。
65. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が10~20mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態63の方法。
66. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が15~25mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態63の方法。
67. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が8mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態63の方法。
68. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が10mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態63の方法。
69. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が300mg~3000mgである、実施形態4~62のいずれか1つの方法。
70. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が300mg~1500mgである、実施形態69の方法。
71. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が400mg~1500mgである、実施形態69の方法。
72. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が500mg~1200mgである、実施形態69の方法。
73. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が500mg~1000mgである、実施形態69の方法。
74. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が4~30mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態2~73のいずれか1つの方法。
75. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が5~15mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態74の方法。
76. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が10~20mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態74の方法。
77. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が15~25mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態74の方法。
78. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が8mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態74の方法。
79. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が10mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態74の方法。
80. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が20mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態74の方法。
81. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が300mg~3000mgである、実施形態2~73のいずれか1つの方法。
82. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が300mg~1500mgである、実施形態81の方法。
83. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が400mg~1500mgである、実施形態81の方法。
84. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が500mg~1200mgである、実施形態81の方法。
85. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が500mg~1000mgである、実施形態81の方法。
86. CER-001が注入によって投与される、実施形態1~85のいずれか1つの方法。
87. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量と、維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量とが同一である、実施形態3~86のいずれか1つの方法。
88. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量と、維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量とが異なっている、実施形態3~86のいずれか1つの方法。
89. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が、導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量より多い、実施形態88の方法。
90. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が、導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量の1.5~3倍である、実施形態89の方法。
91. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が、導入レジメンにおいて投与される用量の2倍である、実施形態90の方法。
92. CER-001が注入によって投与され、維持レジメン中におけるCER-001の各注入の継続期間が、強化レジメン中におけるCER-001の各注入の継続期間より長い、実施形態89~91のいずれか1つの方法。
93. 維持レジメン中におけるCER-001の各注入の継続期間が、強化レジメン中におけるCER-001の各注入の継続期間の2倍の長さである、実施形態92の方法。
94. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量と、維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量とが同一である、実施形態4~93のいずれか1つの方法。
95. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量と、維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量とが異なっている、実施形態4~93のいずれか1つの方法。
96. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が、強化レジメンにおいて投与される用量より多い、実施形態95の方法。
97. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が、強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量の1.5~3倍である、実施形態96の方法。
98. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が、強化レジメンにおいて投与される用量の2倍である、実施形態97の方法。
99. CER-001が注入によって投与され、維持レジメン中におけるCER-001の各注入の継続期間が、強化レジメン中におけるCER-001の各注入の継続期間より長い、実施形態96~98のいずれか1つの方法。
100. 維持レジメン中におけるCER-001の各注入の継続期間が、強化レジメン中におけるCER-001の各注入の継続期間の2倍の長さである、実施形態99の方法。
101. 対象が糸球体症を有する、実施形態1~100のいずれか1つの方法。
102. 対象がLCAT欠損症を有する、実施形態1~101のいずれか1つの方法。
103. 対象が、60%以下のコレステリルエステル(CE)対総コレステロール(TC)比を有する、実施形態102の方法。
104. 対象が、0%~60%のコレステリルエステル(CE)対総コレステロール(TC)比を有する、実施形態102の方法。
105. 対象が、0%~50%のコレステリルエステル(CE)対総コレステロール(TC)比を有する、実施形態102の方法。
106. 対象が、0%~25%のコレステリルエステル(CE)対総コレステロール(TC)比を有する、実施形態102の方法。
107. 対象が、25%~60%のコレステリルエステル(CE)対総コレステロール(TC)比を有する、実施形態102の方法。
108. 対象が、25%~50%のコレステリルエステル(CE)対総コレステロール(TC)比を有する、実施形態102の方法。
109. 対象が、0μg/ml~4μg/mlの血漿中LCAT濃度を有する、実施形態102~108のいずれか1つの方法。
110. 対象が、0μg/ml~3μg/mlの血漿中LCAT濃度を有する、実施形態102~108のいずれか1つの方法。
111. 対象が、0μg/ml~2μg/mlの血漿中LCAT濃度を有する、実施形態102~108のいずれか1つの方法。
112. 対象が、1μg/ml~4μg/mlの血漿中LCAT濃度を有する、実施形態102~108のいずれか1つの方法。
113. 対象が、1μg/ml~3μg/mlの血漿中LCAT濃度を有する、実施形態102~108のいずれか1つの方法。
114. LCAT欠損症が後天性LCAT欠損症である、実施形態102~113のいずれか1つの方法。
115. LCAT欠損症がLCAT変異に起因していない、実施形態114の方法。
116. 対象がLCAT変異を有する、実施形態1~113のいずれか1つの方法。
117. 対象が、LCAT変異についてホモ接合性である、実施形態116の方法。
118. 対象が、LCAT変異についてヘテロ接合性である、実施形態116の方法。
119. 対象が糖尿病性腎症を有する、実施形態1~118のいずれか1つの方法。
120. 対象が慢性腎臓病(CKD)を有する、実施形態1~119のいずれか1つの方法。
121. 対象が肝疾患を有する、実施形態1~120のいずれか1つの方法。
122. 対象が慢性肝疾患を有する、実施形態121の方法。
123. 対象がアルコール性肝疾患を有する、実施形態121の方法。
124. 対象が肝腎症候群(HRS)のリスクを有する、実施形態1~123のいずれか1つの方法。
125. CER-001の治療有効量が、HRSを予防するのに有効な量である、実施形態124の方法。
126. CER-001の治療有効量が、HRSの発症を遅らせる、かつ/またはHRSの重症度を低減するのに有効な量である、実施形態124の方法。
127. 対象が肝腎症候群(HRS)を有する、実施形態1~123のいずれか1つの方法。
128. HRSが1型HRSである、実施形態127の方法。
129. HRSが2型HRSである、実施形態127の方法。
130. 対象が腎臓透析を受けている、実施形態1~129のいずれか1つの方法。
131. 対象が腎臓透析を受けていない、実施形態1~129のいずれか1つの方法。
132. 治療が、対象における腎臓透析の必要性を遅らせる、実施形態131の方法。
133. 対象がこれまでに腎臓移植を受けている、実施形態1~132のいずれか1つの方法。
134. 対象がこれまでに腎臓移植を受けていない、実施形態1~132のいずれか1つの方法。
135. 治療が、対象における腎臓移植の必要性を遅らせる、実施形態1~134のいずれか1つの方法。
136. CER-001の投与のうちの1回または複数回が行われる前に、抗ヒスタミン剤が投与される、実施形態1~135のいずれか1つの方法。
137. 対象が脂質制御薬剤によっても治療されている、実施形態1~136のいずれか1つの方法。
138. 脂質制御薬剤がスタチンを含む、実施形態137の方法。
139. スタチンが、アトルバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、またはプラバスタチンである、実施形態139の方法。
140. 脂質制御薬剤がコレステロール吸収阻害剤を含む、実施形態137~139のいずれか1つの方法。
141. コレステロール吸収阻害剤がエゼチミブである、実施形態140の方法。
142. 脂質制御薬剤がナイアシンを含む、実施形態137~141のいずれか1つの方法。
143. 脂質制御薬剤がアスピリンを含む、実施形態137~142のいずれか1つの方法。
144. 脂質制御薬剤がプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤を含む、実施形態137~143のいずれか1つの方法。
145. PCSK9阻害剤が抗体である、実施形態144の方法。
146. 抗体が、アリロクマブ、ボコシズマブエボロクマブ、1D05-IgG2、またはLY3015014である、実施形態145の方法。
147. PCSK9阻害剤がRNAi治療薬である、実施形態144の方法。
148. RNAi治療薬がALN-PCSSCである、実施形態147の方法。
149. 対象に治療有効量の脂質制御薬剤を投与することをさらに含む、実施形態137~148のいずれか1つの方法。
150. 腎臓病を有する対象を治療するための方法であって、場合により、
(a)導入レジメン;および/または
(b)強化レジメン;および/または
(c)維持レジメン
を含む投与レジメンに従い、対象に治療有効量のCER-001を投与することを含む、方法。
151. 導入レジメンに従い、CER-001の1回または複数回の投与を行うことを含む、実施形態150の方法。
152. 導入レジメンが、対象に対してCER-001の複数回の投与を行うことを含む、実施形態151の方法。
153. 導入レジメンが、対象に対して少なくとも3回のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態152の方法。
154. 導入レジメンにおける複数回の投与が1日以上の間隔である、実施形態152または実施形態153の方法。
155. 導入レジメンの初回投与に続く投与が3日以下の間隔である、実施形態150~154のいずれか1つの方法。
156. 導入レジメンの初回投与に続く投与が1~3日の間隔である、実施形態155の方法。
157. 導入レジメンの初回投与に続く投与が2~3日の間隔である、実施形態155の方法。
158. 導入レジメンの初回投与に続く投与が1~2日の間隔である、実施形態155の方法。
159. 導入レジメンが少なくとも1週間の期間である、実施形態150~158のいずれか1つの方法。
160. 導入レジメンが2週間の期間である、実施形態159の方法。
161. 導入レジメンが3週間の期間である、実施形態159の方法。
162. 導入レジメンが、対象に対して1週当たり3回のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態150~161のいずれか1つの方法。
163. 導入レジメンが、対象に対して4回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態150~162のいずれか1つの方法。
164. 導入レジメンが、対象に対して5回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態150~162のいずれか1つの方法。
165. 導入レジメンが、対象に対して6回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態150~162のいずれか1つの方法。
166. 導入レジメンが、対象に対して7回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態150~162のいずれか1つの方法。
167. 導入レジメンが、対象に対して8回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態150~162のいずれか1つの方法。
168. 導入レジメンが、対象に対して9回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態150~162のいずれか1つの方法。
169. 導入レジメンが、1日目に対象に対してCER-001の1回目の投与を行うことと、2、4、7、9、11、14、16、および18日目に対象に対して導入レジメンの後続の投与を行うこととを含む、実施形態168の方法。
170. 導入レジメンが、対象に対して10回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態150~162のいずれか1つの方法。
171. 強化レジメンに従い、対象に対してCER-001の1回または複数回の投与を行うことを含む、実施形態150~170のいずれか1つの方法。
172. 強化レジメンが、対象に対してCER-001の複数回の投与を行うことを含む、実施形態171の方法。
173. 強化レジメンにおける複数回の投与が2日以上の間隔である、実施形態172の方法。
174. 強化レジメンが、対象に対して1週間に少なくとも2回のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態171~173のいずれか1つの方法。
175. 強化レジメンの投与が4日以下の間隔である、実施形態171~174のいずれか1つの方法。
176. 強化レジメンの投与が互いに3または4日の間隔である、実施形態171~175のいずれか1つの方法。
177. 強化レジメンが少なくとも3週間の期間である、実施形態171~176のいずれか1つの方法。
178. 強化レジメンが、対象に対して3回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態171~177のいずれか1つの方法。
179. 強化レジメンが、対象に対して4回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態171~177のいずれか1つの方法。
180. 強化レジメンが、対象に対して5回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態171~177のいずれか1つの方法。
181. 強化レジメンが、対象に対して6回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態171~177のいずれか1つの方法。
182. 強化レジメンが、対象に対して6回のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態181の方法。
183. 強化レジメンが、1日目に始まる導入レジメンの後である、21、24、28、31、35、および38日目に、対象に対して6回のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態182の方法。
184. 強化レジメンが、対象に対して7回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態171~177のいずれか1つの方法。
185. 強化レジメンが、対象に対して8回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態171~177のいずれか1つの方法。
186. 強化レジメンが、対象に対して9回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態171~177のいずれか1つの方法。
187. 強化レジメンが、対象に対して10回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態171~177のいずれか1つの方法。
188. 維持レジメンに従い、対象に対してCER-001の複数回の投与を行うことを含む、実施形態150~187のいずれか1つの方法。
189. 維持レジメンが、対象に対して3日以上ごとに1回CER-001の投与を行うことを含む、実施形態188の方法。
190. 維持レジメンが、対象に対して5日以上ごとに1回CER-001の投与を行うことを含む、実施形態188の方法。
191. 維持レジメンが、対象に対して毎週CER-001の投与を行うことを含む、実施形態188の方法。
192. 維持レジメンの投与が各週の厳密な日付±2日において行われる、実施形態191の方法。
193. 維持レジメンが、対象に対して毎週2回CER-001の投与を行うことを含む、実施形態188の方法。
194. 維持レジメンが、少なくとも1カ月間、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態188~193のいずれか1つの方法。
195. 維持レジメンが、少なくとも2カ月間、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態188~193のいずれか1つの方法。
196. 維持レジメンが、少なくとも3カ月間、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態188~193のいずれか1つの方法。
197. 維持レジメンが、少なくとも6カ月間、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態188~193のいずれか1つの方法。
198. 維持レジメンが、少なくとも9カ月間、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態188~193のいずれか1つの方法。
199. 維持レジメンが、少なくとも1年間、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態188~193のいずれか1つの方法。
200. 維持レジメンが、少なくとも18カ月間、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態188~193のいずれか1つの方法。
201. 維持レジメンが、少なくとも2年間、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態188~193のいずれか1つの方法。
202. 維持レジメンが、無期限に対象にCER-001を投与することを含む、実施形態188~193のいずれか1つの方法。
203. 維持レジメンが、16週間以上、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態188~193のいずれか1つの方法。
204. 維持レジメンが、20週間以上、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態188~193のいずれか1つの方法。
205. 維持レジメンが、30週間以上、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態188~193のいずれか1つの方法。
206. 維持レジメンが、40週間以上、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態188~193のいずれか1つの方法。
207. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が4~30mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態150~206のいずれか1つの方法。
208. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が5~15mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態150~206のいずれか1つの方法。
209. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が10~20mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態150~206のいずれか1つの方法。
210. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が15~25mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態150~206のいずれか1つの方法。
211. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が8mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態150~206のいずれか1つの方法。
212. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が10mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態150~206のいずれか1つの方法。
213. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が300mg~3000mgである、実施形態150~206のいずれか1つの方法。
214. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が300mg~1500mgである、実施形態150~206のいずれか1つの方法。
215. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が400mg~1500mgである、実施形態150~206のいずれか1つの方法。
216. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が500mg~1200mgである、実施形態150~206のいずれか1つの方法。
217. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が500mg~1000mgである、実施形態150~206のいずれか1つの方法。
218. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が4~30mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態150~217のいずれか1つの方法。
219. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が5~15mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態150~217のいずれか1つの方法。
220. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が10~20mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態150~217のいずれか1つの方法。
221. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が15~25mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態150~217のいずれか1つの方法。
222. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が8mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態150~217のいずれか1つの方法。
223. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が10mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態150~217のいずれか1つの方法。
224. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が300mg~3000mgである、実施形態150~217のいずれか1つの方法。
225. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が300mg~1500mgである、実施形態150~217のいずれか1つの方法。
226. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が400mg~1500mgである、実施形態150~217のいずれか1つの方法。
227. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が500mg~1200mgである、実施形態150~217のいずれか1つの方法。
228. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が500mg~1000mgである、実施形態150~217のいずれか1つの方法。
229. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が4~30mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態150~228のいずれか1つの方法。
230. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が5~15mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態150~228のいずれか1つの方法。
231. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が10~20mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態150~228のいずれか1つの方法。
232. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が15~25mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態150~228のいずれか1つの方法。
233. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が8mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態150~228のいずれか1つの方法。
234. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が10mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態150~228のいずれか1つの方法。
235. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が20mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態150~228のいずれか1つの方法。
236. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が300mg~3000mgである、実施形態150~228のいずれか1つの方法。
237. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が300mg~1500mgである、実施形態150~228のいずれか1つの方法。
238. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が400mg~1500mgである、実施形態150~228のいずれか1つの方法。
239. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が500mg~1200mgである、実施形態150~228のいずれか1つの方法。
240. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が500mg~1000mgである、実施形態150~228のいずれか1つの方法。
241. 維持レジメンを含み、維持レジメンにおいて行われるCER-001の投与が、注入によって行われる、実施形態150~240のいずれか1つの方法。
242. 導入レジメンと維持レジメンの両方を含む、実施形態150~241のいずれか1つの方法。
243. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量と、維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量とが同一である、実施形態242の方法。
244. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量と、維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量とが異なっている、実施形態242の方法。
245. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が、導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量より多い、実施形態244の方法。
246. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が、導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量の1.5~3倍である、実施形態245の方法。
247. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が、導入レジメンにおいて投与される用量の2倍である、実施形態245の方法。
248. 強化レジメンと維持レジメンの両方を含む、実施形態150~247のいずれか1つの方法。
249. CER-001が注入によって投与される、実施形態248の方法。
250. 維持レジメン中におけるCER-001の各注入の継続期間が、強化レジメン中におけるCER-001の各注入の継続期間より長い、実施形態249の方法。
251. 維持レジメン中におけるCER-001の各注入の継続期間が、強化レジメン中におけるCER-001の各注入の継続期間の2倍の長さである、実施形態250の方法。
252. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量と、維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量とが同一である、実施形態248~251のいずれか1つの方法。
253. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量と、維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量とが異なっている、実施形態248~251のいずれか1つの方法。
254. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が、強化レジメンにおいて投与される用量より多い、実施形態253の方法。
255. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が、強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量の1.5~3倍である、実施形態253の方法。
256. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が、強化レジメンにおいて投与される用量の2倍である、実施形態253の方法。
257. 対象が糸球体症を有する、実施形態150~256のいずれか1つの方法。
258. 対象がLCAT欠損症を有する、実施形態150~257のいずれか1つの方法。
259. 対象が、60%以下のコレステリルエステル(CE)対総コレステロール(TC)比を有する、実施形態258の方法。
260. 対象が、0%~60%のコレステリルエステル(CE)対総コレステロール(TC)比を有する、実施形態258の方法。
261. 対象が、0%~50%のコレステリルエステル(CE)対総コレステロール(TC)比を有する、実施形態258の方法。
262. 対象が、0%~25%のコレステリルエステル(CE)対総コレステロール(TC)比を有する、実施形態258の方法。
263. 対象が、25%~60%のコレステリルエステル(CE)対総コレステロール(TC)比を有する、実施形態258の方法。
264. 対象が、25%~50%のコレステリルエステル(CE)対総コレステロール(TC)比を有する、実施形態258の方法。
265. 対象が、0μg/ml~4μg/mlの血漿中LCAT濃度を有する、実施形態258~264のいずれか1つの方法。
266. 対象が、0μg/ml~3μg/mlの血漿中LCAT濃度を有する、実施形態258~264のいずれか1つの方法。
267. 対象が、0μg/ml~2μg/mlの血漿中LCAT濃度を有する、実施形態258~264のいずれか1つの方法。
268. 対象が、1μg/ml~4μg/mlの血漿中LCAT濃度を有する、実施形態258~264のいずれか1つの方法。
269. 対象が、1μg/ml~3μg/mlの血漿中LCAT濃度を有する、実施形態258~264のいずれか1つの方法。
270. LCAT欠損症が後天性LCAT欠損症である、実施形態258~269のいずれか1つの方法。
271. LCAT欠損症がLCAT変異に起因していない、実施形態270の方法。
272. 対象がLCAT変異を有する、実施形態150~269のいずれか1つの方法。
273. 対象が、LCAT変異についてホモ接合性である、実施形態272の方法。
274. 対象が、LCAT変異についてヘテロ接合性である、実施形態272の方法。
275. 対象が糖尿病性腎症を有する、実施形態150~274のいずれか1つの方法。
276. 対象が慢性腎臓病(CKD)を有する、実施形態150~275のいずれか1つの方法。
277. 対象が肝疾患を有する、実施形態150~276のいずれか1つの方法。
278. 対象が慢性肝疾患を有する、実施形態277の方法。
279. 対象がアルコール性肝疾患を有する、実施形態277の方法。
280. 対象が肝腎症候群(HRS)のリスクを有する、実施形態150~279のいずれか1つの方法。
281. CER-001の治療有効量が、HRSを予防するのに有効な量である、実施形態280の方法。
282. CER-001の治療有効量が、HRSの発症を遅らせる、かつ/またはHRSの重症度を低減するのに有効な量である、実施形態280の方法。
283. 対象が肝腎症候群(HRS)を有する、実施形態150~279のいずれか1つの方法。
284. HRSが1型HRSである、実施形態283の方法。
285. HRSが2型HRSである、実施形態283の方法。
286. 対象が血液透析を受けている、実施形態150~285のいずれか1つの方法。
287. 対象が血液透析の候補である、実施形態150~285のいずれか1つの方法。
288. 治療が、対象における血液透析を開始する必要性を遅らせる、実施形態287の方法。
289. 対象がこれまでに腎臓移植を受けている、実施形態150~288のいずれか1つの方法。
290. 対象がこれまでに腎臓移植を受けていない、実施形態150~288のいずれか1つの方法。
291. 治療が、対象における腎臓移植の必要性を遅らせる、実施形態150~290のいずれか1つの方法。
292. CER-001の投与のうちの1回または複数回が行われる前に、抗ヒスタミン剤が投与される、実施形態150~291のいずれか1つの方法。
293. 対象が脂質制御薬剤によっても治療されている、実施形態150~292のいずれか1つの方法。
294. 脂質制御薬剤がスタチンを含む、実施形態293の方法。
295. スタチンが、アトルバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、またはプラバスタチンである、実施形態294の方法。
296. 脂質制御薬剤がコレステロール吸収阻害剤を含む、実施形態293~295のいずれか1つの方法。
297. コレステロール吸収阻害剤がエゼチミブである、実施形態296の方法。
298. 脂質制御薬剤がナイアシンを含む、実施形態293~297のいずれか1つの方法。
299. 脂質制御薬剤がアスピリンを含む、実施形態293~298のいずれか1つの方法。
300. 脂質制御薬剤がプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤を含む、実施形態293~299のいずれか1つの方法。
301. PCSK9阻害剤が抗体である、実施形態300の方法。
302. 抗体が、アリロクマブ、ボコシズマブエボロクマブ、1D05-IgG2、またはLY3015014である、実施形態301の方法。
303. PCSK9阻害剤がRNAi治療薬である、実施形態300の方法。
304. RNAi治療薬がALN-PCSSCである、実施形態303の方法。
305. 対象に治療有効量の脂質制御薬剤を投与することをさらに含む、実施形態293~304のいずれか1つの方法。
306. 腎臓病を有する対象を治療するための方法であって、場合により、
(a)導入レジメン;および/または
(b)強化レジメン;および/または
(c)維持レジメン
を含む投与レジメンに従い、対象に治療有効量のCER-001を投与することを含む、方法。
307. 導入レジメンに従い、CER-001の1回または複数回の投与を行うことを含む、実施形態306の方法。
308. 導入レジメンが、対象に対してCER-001の複数回の投与を行うことを含む、実施形態307の方法。
309. 導入レジメンが、対象に対して少なくとも3回のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態308の方法。
310. 導入レジメンにおける複数回の投与が1日以上の間隔である、実施形態308または実施形態309の方法。
311. 導入レジメンの初回投与に続く投与が3日以下の間隔である、実施形態306~310のいずれか1つの方法。
312. 導入レジメンの初回投与に続く投与が1~3日の間隔である、実施形態311の方法。
313. 導入レジメンの初回投与に続く投与が2~3日の間隔である、実施形態311の方法。
314. 導入レジメンの初回投与に続く投与が1~2日の間隔である、実施形態311の方法。
315. 導入レジメンが少なくとも1週間の期間である、実施形態306~314のいずれか1つの方法。
316. 導入レジメンが2週間の期間である、実施形態315の方法。
317. 導入レジメンが3週間の期間である、実施形態315の方法。
318. 導入レジメンが、対象に対して1週当たり3回のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態306~317のいずれか1つの方法。
319. 導入レジメンが、対象に対して4回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態306~318のいずれか1つの方法。
320. 導入レジメンが、対象に対して5回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態306~318のいずれか1つの方法。
321. 導入レジメンが、対象に対して6回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態306~318のいずれか1つの方法。
322. 導入レジメンが、対象に対して7回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態306~318のいずれか1つの方法。
323. 導入レジメンが、対象に対して8回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態306~318のいずれか1つの方法。
324. 導入レジメンが、対象に対して9回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態306~318のいずれか1つの方法。
325. 導入レジメンが、1日目に対象に対してCER-001の1回目の投与を行うことと、2、4、7、9、11、14、16、および18日目に対象に対して導入レジメンの後続の投与を行うこととを含む、実施形態324の方法。
326. 導入レジメンが、対象に対して10回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態306~318のいずれか1つの方法。
327. 強化レジメンに従い、対象に対してCER-001の1回または複数回の投与を行うことを含む、実施形態306~326のいずれか1つの方法。
328. 強化レジメンが、対象に対してCER-001の複数回の投与を行うことを含む、実施形態327の方法。
329. 強化レジメンにおける複数回の投与が2日以上の間隔である、実施形態328の方法。
330. 強化レジメンが、対象に対して1週間に少なくとも2回のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態327~329のいずれか1つの方法。
331. 強化レジメンの投与が4日以下の間隔である、実施形態327~330のいずれか1つの方法。
332. 強化レジメンの投与が互いに3または4日の間隔である、実施形態327~331のいずれか1つの方法。
333. 強化レジメンが少なくとも3週間の期間である、実施形態327~332のいずれか1つの方法。
334. 強化レジメンが、対象に対して3回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態327~333のいずれか1つの方法。
335. 強化レジメンが、対象に対して4回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態327~333のいずれか1つの方法。
336. 強化レジメンが、対象に対して5回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態327~333のいずれか1つの方法。
337. 強化レジメンが、対象に対して6回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態327~333のいずれか1つの方法。
338. 強化レジメンが、対象に対して6回のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態337の方法。
339. 強化レジメンが、1日目に始まる導入レジメンの後である、21、24、28、31、35、および38日目に、対象に対して6回のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態338の方法。
340. 強化レジメンが、対象に対して7回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態327~333のいずれか1つの方法。
341. 強化レジメンが、対象に対して8回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態327~333のいずれか1つの方法。
342. 強化レジメンが、対象に対して9回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態327~333のいずれか1つの方法。
343. 強化レジメンが、対象に対して10回以上のCER-001の投与を行うことを含む、実施形態327~333のいずれか1つの方法。
344. 維持レジメンに従い、対象に対してCER-001の複数回の投与を行うことを含む、実施形態306~343のいずれか1つの方法。
345. 維持レジメンが、対象に対して3日以上ごとに1回CER-001の投与を行うことを含む、実施形態344の方法。
346. 維持レジメンが、対象に対して5日以上ごとに1回CER-001の投与を行うことを含む、実施形態344の方法。
347. 維持レジメンが、対象に対して毎週CER-001の投与を行うことを含む、実施形態344の方法。
348. 維持レジメンの投与が各週の厳密な日付±2日において行われる、実施形態347の方法。
349. 維持レジメンが、対象に対して毎週2回CER-001の投与を行うことを含む、実施形態344の方法。
350. 維持レジメンが、少なくとも1カ月間、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態344~349のいずれか1つの方法。
351. 維持レジメンが、少なくとも2カ月間、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態344~349のいずれか1つの方法。
352. 維持レジメンが、少なくとも3カ月間、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態344~349のいずれか1つの方法。
353. 維持レジメンが、少なくとも6カ月間、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態344~349のいずれか1つの方法。
354. 維持レジメンが、少なくとも9カ月間、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態vのいずれか1つの方法。
355. 維持レジメンが、少なくとも1年間、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態344~349のいずれか1つの方法。
356. 維持レジメンが、少なくとも18カ月間、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態344~349のいずれか1つの方法。
357. 維持レジメンが、少なくとも2年間、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態344~349のいずれか1つの方法。
358. 維持レジメンが、無期限に対象にCER-001を投与することを含む、実施形態344~349のいずれか1つの方法。
359. 維持レジメンが、16週間以上、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態344~349のいずれか1つの方法。
360. 維持レジメンが、20週間以上、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態344~349のいずれか1つの方法。
361. 維持レジメンが、30週間以上、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態344~349のいずれか1つの方法。
362. 維持レジメンが、40週間以上、対象にCER-001を投与することを含む、実施形態344~349のいずれか1つの方法。
363. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が4~30mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態306~362のいずれか1つの方法。
364. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が5~15mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態306~362のいずれか1つの方法。
365. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が10~20mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態306~362のいずれか1つの方法。
366. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が15~25mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態306~362のいずれか1つの方法。
367. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が8mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態306~362のいずれか1つの方法。
368. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が10mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態306~362のいずれか1つの方法。
369. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が300mg~3000mgである、実施形態306~362のいずれか1つの方法。
370. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が300mg~1500mgである、実施形態306~362のいずれか1つの方法。
371. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が400mg~1500mgである、実施形態306~362のいずれか1つの方法。
372. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が500mg~1200mgである、実施形態306~362のいずれか1つの方法。
373. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が500mg~1000mgである、実施形態306~362のいずれか1つの方法。
374. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が4~30mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態306~373のいずれか1つの方法。
375. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が5~15mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態306~373のいずれか1つの方法。
376. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が10~20mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態306~373のいずれか1つの方法。
377. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が15~25mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態306~373のいずれか1つの方法。
378. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が8mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態306~373のいずれか1つの方法。
379. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が10mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態306~373のいずれか1つの方法。
380. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が300mg~3000mgである、実施形態306~373のいずれか1つの方法。
381. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が300mg~1500mgである、実施形態306~373のいずれか1つの方法。
382. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が400mg~1500mgである、実施形態306~373のいずれか1つの方法。
383. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が500mg~1200mgである、実施形態306~373のいずれか1つの方法。
384. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が500mg~1000mgである、実施形態306~373のいずれか1つの方法。
385. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が4~30mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態306~384のいずれか1つの方法。
386. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が5~15mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態306~384のいずれか1つの方法。
387. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が10~20mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態306~384のいずれか1つの方法。
388. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が15~25mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態306~384のいずれか1つの方法。
389. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が8mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態306~384のいずれか1つの方法。
390. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が10mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態306~384のいずれか1つの方法。
391. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が20mg/kg(タンパク質重量基準)である、実施形態306~384のいずれか1つの方法。
392. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が300mg~3000mgである、実施形態306~384のいずれか1つの方法。
393. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が300mg~1500mgである、実施形態306~384のいずれか1つの方法。
394. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が400mg~1500mgである、実施形態306~384のいずれか1つの方法。
395. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が500mg~1200mgである、実施形態306~384のいずれか1つの方法。
396. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が500mg~1000mgである、実施形態306~384のいずれか1つの方法。
397. 維持レジメンを含み、維持レジメンにおいて行われるCER-001の投与が、注入によって行われる、実施形態306~396のいずれか1つの方法。
398. 導入レジメンと維持レジメンの両方を含む、実施形態306~397のいずれか1つの方法。
399. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量と、維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量とが同一である、実施形態398の方法。
400. 導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量と、維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量とが異なっている、実施形態398の方法。
401. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が、導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量より多い、実施形態400の方法。
402. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が、導入レジメンにおいて投与されるCER-001の用量の1.5~3倍である、実施形態401の方法。
403. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が、導入レジメンにおいて投与される用量の2倍である、実施形態401の方法。
404. 強化レジメンと維持レジメンの両方を含む、実施形態306~403のいずれか1つの方法。
405. CER-001が注入によって投与される、実施形態404の方法。
406. 維持レジメン中におけるCER-001の各注入の継続期間が、強化レジメン中におけるCER-001の各注入の継続期間より長い、実施形態405の方法。
407. 維持レジメン中におけるCER-001の各注入の継続期間が、強化レジメン中におけるCER-001の各注入の継続期間の2倍の長さである、実施形態406の方法。
408. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量と、維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量とが同一である、実施形態404~407のいずれか1つの方法。
409. 強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量と、維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量とが異なっている、実施形態404~407のいずれか1つの方法。
410. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が、強化レジメンにおいて投与される用量より多い、実施形態409の方法。
411. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が、強化レジメンにおいて投与されるCER-001の用量の1.5~3倍である、実施形態409の方法。
412. 維持レジメンにおいて投与されるCER-001の用量が、強化レジメンにおいて投与される用量の2倍である、実施形態409の方法。
413. 対象が糸球体症を有する、実施形態306~412のいずれか1つの方法。
414. 対象がLCAT欠損症を有する、実施形態306~413のいずれか1つの方法。
415. 対象が、60%以下のコレステリルエステル(CE)対総コレステロール(TC)比を有する、実施形態414の方法。
416. 対象が、0%~60%のコレステリルエステル(CE)対総コレステロール(TC)比を有する、実施形態414の方法。
417. 対象が、0%~50%のコレステリルエステル(CE)対総コレステロール(TC)比を有する、実施形態414の方法。
418. 対象が、0%~25%のコレステリルエステル(CE)対総コレステロール(TC)比を有する、実施形態414の方法。
419. 対象が、25%~60%のコレステリルエステル(CE)対総コレステロール(TC)比を有する、実施形態414の方法。
420. 対象が、25%~50%のコレステリルエステル(CE)対総コレステロール(TC)比を有する、実施形態414の方法。
421. 対象が、0μg/ml~4μg/mlの血漿中LCAT濃度を有する、実施形態414~420のいずれか1つの方法。
422. 対象が、0μg/ml~3μg/mlの血漿中LCAT濃度を有する、実施形態414~420のいずれか1つの方法。
423. 対象が、0μg/ml~2μg/mlの血漿中LCAT濃度を有する、実施形態414~420のいずれか1つの方法。
424. 対象が、1μg/ml~4μg/mlの血漿中LCAT濃度を有する、実施形態414~420のいずれか1つの方法。
425. 対象が、1μg/ml~3μg/mlの血漿中LCAT濃度を有する、実施形態414~420のいずれか1つの方法。
426. LCAT欠損症が後天性LCAT欠損症である、実施形態414~425のいずれか1つの方法。
427. LCAT欠損症がLCAT変異に起因していない、実施形態426の方法。
428. 対象がLCAT変異を有する、実施形態306~425のいずれか1つの方法。
429. 対象が、LCAT変異についてホモ接合性である、実施形態428の方法。
430. 対象が、LCAT変異についてヘテロ接合性である、実施形態428の方法。
431. 対象が糖尿病性腎症を有する、実施形態306~430のいずれか1つの方法。
432. 対象が慢性腎臓病(CKD)を有する、実施形態306~431のいずれか1つの方法。
433. 対象が肝疾患を有する、実施形態306~432のいずれか1つの方法。
434. 対象が慢性肝疾患を有する、実施形態433の方法。
435. 対象がアルコール性肝疾患を有する、実施形態433の方法。
436. 対象が肝腎症候群(HRS)のリスクを有する、実施形態306~435のいずれか1つの方法。
437. CER-001の治療有効量が、HRSを予防するのに有効な量である、実施形態436の方法。
438. CER-001の治療有効量が、HRSの発症を遅らせる、かつ/またはHRSの重症度を低減するのに有効な量である、実施形態436の方法。
439. 対象が肝腎症候群を有する、実施形態306~435のいずれか1つの方法。
440. HRSが1型HRSである、実施形態439の方法。
441. HRSが2型HRSである、実施形態439の方法。
442. 対象が血液透析を受けている、実施形態306~441のいずれか1つの方法。
443. 対象が血液透析の候補である、実施形態306~441のいずれか1つの方法。
444. 治療が、対象における血液透析を開始する必要性を遅らせる、実施形態443の方法。
445. 対象がこれまでに腎臓移植を受けている、実施形態306~444のいずれか1つの方法。
446. 対象がこれまでに腎臓移植を受けていない、実施形態306~444のいずれか1つの方法。
447. 治療が、対象における腎臓移植の必要性を遅らせる、実施形態306~446のいずれか1つの方法。
448. CER-001の投与のうちの1回または複数回が行われる前に、抗ヒスタミン剤が投与される、実施形態306~447のいずれか1つの方法。
449. 対象が脂質制御薬剤によっても治療されている、実施形態306~448のいずれか1つの方法。
450. 脂質制御薬剤がスタチンを含む、実施形態449の方法。
451. スタチンが、アトルバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、またはプラバスタチンである、実施形態450の方法。
452. 脂質制御薬剤がコレステロール吸収阻害剤を含む、実施形態449~451のいずれか1つの方法。
453. コレステロール吸収阻害剤がエゼチミブである、実施形態452の方法。
454. 脂質制御薬剤がナイアシンを含む、実施形態449~453のいずれか1つの方法。
455. 脂質制御薬剤がアスピリンを含む、実施形態449~454のいずれか1つの方法。
456. 脂質制御薬剤がプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤を含む、実施形態449~455のいずれか1つの方法。
457. PCSK9阻害剤が抗体である、実施形態456の方法。
458. 抗体が、アリロクマブ、ボコシズマブエボロクマブ、1D05-IgG2、またはLY3015014である、実施形態457の方法。
459. PCSK9阻害剤がRNAi治療薬である、実施形態456の方法。
460. RNAi治療薬がALN-PCSSCである、実施形態459の方法。
461. 対象に治療有効量の脂質制御薬剤を投与することをさらに含む、実施形態449~460のいずれか1つの方法。
462. CER-001が、ApoA-I重量:総リン脂質重量比が1:2.7±20%である、ApoA-Iおよびリン脂質を含むリポタンパク質複合体であり、リン脂質であるスフィンゴミエリンおよびDPPGが、97:3±20%のスフィンゴミエリン:DPPGの重量:重量比である、実施形態1~461のいずれか1つの方法。
463. CER-001が、ApoA-I重量:総リン脂質重量比が1:2.7±10%である、ApoA-Iおよびリン脂質を含むリポタンパク質複合体であり、リン脂質であるスフィンゴミエリンおよびDPPGが、97:3±10%のスフィンゴミエリン:DPPGの重量:重量比である、実施形態1~461のいずれか1つの方法。
464. CER-001が、ApoA-I重量:総リン脂質重量比が1:2.7である、ApoA-Iおよびリン脂質を含むリポタンパク質複合体であり、リン脂質であるスフィンゴミエリンおよびDPPGが、97:3のスフィンゴミエリン:DPPGの重量:重量比である、実施形態1~461のいずれか1つの方法。
465. ApoA-Iが、国際公開第2012/109162号パンフレットの配列番号1の第25~267位アミノ酸からなるアミノ酸配列を有する、実施形態462~464のいずれか1つの方法。
466. ApoA-Iが組換えにより発現される、実施形態393~396のいずれか1つの方法。
467. CER-001が天然スフィンゴミエリンを含む、実施形態462~466のいずれか1つの方法。
468. 天然スフィンゴミエリンが鶏卵スフィンゴミエリンである、実施形態467の方法。
469. CER-001が合成スフィンゴミエリンを含む、実施形態462~466のいずれか1つの方法。
470. 合成スフィンゴミエリンがパルミトイルスフィンゴミエリンである、実施形態469の方法。
471. CER-001が少なくとも95%均一である製剤の形態でCER-001が投与される、実施形態1~470のいずれか1つの方法。
472. CER-001が少なくとも97%均一である製剤の形態でCER-001が投与される、実施形態471の方法。
473. CER-001が少なくとも98%均一である製剤の形態でCER-001が投与される、実施形態471の方法。
474. CER-001が少なくとも99%均一である製剤の形態でCER-001が投与される、実施形態471の方法。
【0143】
様々な具体的な実施形態を例示および記載したが、本開示の主旨および範囲から逸脱することなく様々な変更を行ってもよいことは理解されよう。
【0144】
8. 参照による援用
本出願において引用されるすべての出版物、特許、特許出願、およびその他文献は、個々の出版物、特許、特許出願、またはその他文献が、それぞれあらゆる目的において参照により援用されるように個別に指示されているかのように、あらゆる目的において同程度に、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0145】
本明細書に含まれている文献、法律、材料、機器、または物品等に対する解説は、いずれも本開示についての文脈を与えるためだけのものである。これらの事柄のうちのいずれかまたはすべてが先行技術の基礎の一部を形成すること、またはそれらが、本出願の優先日前にいずれかの場所に存在していたとして、本開示に関連する分野における技術常識であったことを認めるものと解釈されてはならない。
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【国際調査報告】