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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-26
(54)【発明の名称】化学反応器
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/18 20060101AFI20230519BHJP
【FI】
B01J19/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562979
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(85)【翻訳文提出日】2022-12-08
(86)【国際出願番号】 IB2021053094
(87)【国際公開番号】W WO2021209933
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】102020000008245
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522403826
【氏名又は名称】ビーフォーケム ソチエタ レスポンサビリタ リミタータ
【氏名又は名称原語表記】B4CHEM S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Via Vincenzo De Filippis,96,88100 Catanzaro,Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【弁理士】
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【弁理士】
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(74)【代理人】
【識別番号】100159916
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】フランカルディ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】オリヴェリオ,マヌエラ
【テーマコード(参考)】
4G075
【Fターム(参考)】
4G075AA03
4G075AA13
4G075AA22
4G075AA62
4G075AA65
4G075BA10
4G075CA02
4G075CA23
4G075CA26
4G075EA05
4G075EB01
4G075EC11
4G075ED01
4G075FB01
4G075FB02
4G075FB06
4G075FB12
(57)【要約】
説明されたのは、特にバッチタイプの化学反応器(1)であって、化学プロセスのための反応空間(V)を画定する本体(2)と、本体(2)を密封するように構成されたヘッド要素(3)と、本体(2)と複数の離散化要素(4)であって、ヘッド要素(3)に固定された又は固定され得るとともに延在の主方向に従い前記本体(2)内部に延在し、活性化エネルギーを放出するためにプロセス動作を部分空間(Vs)へ離散化するように構成された複数の離散化要素(4)とを含むように設計された支持ベース(5)とを含む化学反応器(1)である。ヘッド要素(3)は、前記離散化要素(4)を使用して、反応の制御された混合及び溶液の測定、好ましくは密度測定を形成するような方法で移動可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にバッチタイプの化学反応器(1)であって、
化学プロセスのための反応空間(V)を画定する本体(2)と、
前記本体(2)を密封するように及び前記本体(2)内部に非汚染作業環境を作り出すように構成されたヘッド要素(3)であって、前記ヘッド要素(3)が、それぞれ前記本体(2)内への及び前記本体(2)からの試薬及び製品のための送り込み導管(3a)と排出導管(3b)とを備えるヘッド要素(3)と、
前記本体(2)を含むように構成されるとともに前記本体(2)に導入された前記試薬に関するデータを取得するための解析デバイス(11)を備えた支持ベース(5)と、
活性化エネルギーを放出するために前記プロセス動作を前記反応空間(V)の部分空間(Vs)へ離散化するように構成された、前記ヘッド要素(3)に固定された又は固定され得るとともに延在の主方向に従い前記本体(2)内部に延在する複数の離散化要素(4)であって、各離散化要素(4)が、活性化エネルギーの前記放出を操作するために前記延在の主方向に沿って好適に分布する受動デバイス(4a)及び/又は能動デバイス(4b)を備える複数の離散化要素(4)と、
を含み、
前記ヘッド要素(3)が、前記離散化要素(4)を使用して、反応の制御された混合及び溶液の測定、好ましくは密度測定を形成するような方法で移動可能である、化学反応器(1)。
【請求項2】
前記ヘッド要素(3)が、送り込み導管(3a)及び排出導管(3b)導管を備えた静止領域(S)と、前記化学反応器の延在部の軸を中心として回転するように構成されるとともに前記離散化要素(4)を備える動的領域(D)とを画定し、好ましくは前記動的領域(D)が回転ディスクの形で作られる、請求項1に記載の化学反応器(1)。
【請求項3】
前記離散化要素(4)が、前記プロセス動作を秩序ある方式で分布する前記部分空間(Vs)において離散化するための受動デバイス(4a)及び/又は能動デバイス(4b)の3次元マトリクスを画定するような方法で前記反応空間(V)に分布し、好ましくは各離散化要素(4)、なおより好ましくは各受動デバイス(4a)及び/又は能動デバイス(4b)が、独立して及び/又は比例-積分-微分制御により制御される、請求項1又は2に記載の化学反応器(1)。
【請求項4】
前記反応空間(V)全体に相互に貫通する長さを備えた延在の前記主方向に沿って延在する各離散化要素(4)が、前記受動デバイス(4a)及び能動デバイス(4b)が備えられた内部コア(4c)と、好ましくはパイレックス(登録商標)、テフロン(登録商標)又は鋼でできている外部ケーシング(4d)とを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の化学反応器(1)。
【請求項5】
前記ヘッド要素(3)が、取得された前記データの処理及び取得された前記データに応じた前記離散化要素(4)の管理のための第1電子制御ユニット(7a)を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の化学反応器(1)。
【請求項6】
前記反応器(1)が、また、ウェブアプリケーション技術に基づく制御ソフトウェアを使用して前記反応器(1)を遠隔的に制御するために構成された第2電子制御ユニット(7b)を含む、請求項5に記載の化学反応器(1)。
【請求項7】
前記送り込み導管(3a)及び排出導管(3b)が、送り込み試薬及び送出製品のフローを管理するように構成されたソレノイド弁(10)及び/又は線形アクチュエータを備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の化学反応器(1)。
【請求項8】
前記支持ベース(5)が、また、スペクトロスコピー解析のためのマイクロ波又は超音波エミッタ又は光学素子など、前記本体の壁に沿って作動する要素を備え得る、請求項1~7のいずれか一項に記載の化学反応器(1)。
【請求項9】
前記支持ベース(5)が、前記支持ベース(5)を、前記支持ベース(5)への前記ヘッド要素(3)の正しい位置付けを保証するような方法で前記ヘッド要素(3)に固定するために構成された支持構造(5b)を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の化学反応器(1)。
【請求項10】
前記離散化要素(4)が、熱、マイクロ波又は超音波タイプの活性化エネルギーを放出するために構成される、請求項1~9のいずれか一項に記載の化学反応器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は化学反応器、特にバッチタイプの化学反応器に関する。
【0002】
換言すると、本発明は化学工学部門に属するとともに工業用製造、研究及び開発部門のための化学反応器からなる。
【背景技術】
【0003】
インバッチ化学反応器は、動作上のニーズにより互いに異なる。より具体的には、作業ボリュームにより及び/又は試薬の性質により異なるタイプの反応器が部門において知られている。100,000リットル/年を超える製品が製造される工業的状況においては、特にこれらの作業ボリュームを管理するために作られた製造プラントが一般に採用される。
【0004】
一般に、新たなプロセスは5~50リットルの試薬を扱うパイロットプラントを通じて研究される。この「パイロット」研究段階は、一般に関係するボリュームが0.1~1.0リットルであるR&D段階の後で実施される。
【0005】
同様に化学製造部門においても工業オートメーションを採用することで、R&D及びパイロット段階の開発のための市場へインバッチ反応器を導入することが可能となった。換言すると、反応器オートメーションの観点から優れた技術的構成要素が化学部門に導入されたが、しかしながら、反応器オートメーションは、プロセスの制御における著しい陳腐化の影響を受けたままである。
【0006】
不利なことに、先行技術の反応器は、研究段階から製造段階へのプロセスを通る間に長い時間がかかること及びコストが高いという問題を抱えている。
【0007】
不利なことに、先行技術の反応器は、プロセスの実装中の高いエネルギー消費をもたらす。
【0008】
さらに、先行技術の反応器は、特定の製造ボリュームに応じて設計されているため、生産システムにはきわめて柔軟性が無い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の技術的目的は、したがって、先行技術の欠点を克服することができる化学反応器を提供することである。
【0010】
本発明のねらいは、したがって、反応ボリュームを問わず化学プロセスの産出量を標準化することができる化学反応器を提供することである。
【0011】
本発明のねらいはまた、リアルタイムでの内部反応エネルギーの監視及び操作を可能にする化学反応器を提供することである。
【0012】
本発明の別のねらいは、プロセス条件の最大の均一性を可能にする化学反応器を提供することである。
【0013】
本発明の別のねらいは、リアルタイムでのプロセス及び制御パラメータの3次元監視を可能にする化学反応器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
示された技術的目的及び特定されたねらいは実質的に、添付の特許請求の範囲の1つ又は複数において説明された技術的特徴を含む化学反応器により達成される。従属クレームは本発明の可能な実施形態に対応する。
【0015】
特に、この発明の技術的目的及びねらいは実質的に、化学プロセスのための反応空間を画定する本体と、本体を密封するように及び本体内部に非汚染作業環境を作り出すように構成されたヘッド要素とを含む特にバッチタイプの化学反応器により達成される。ヘッド要素は、それぞれ本体内への及び本体からの試薬及び製品のための送り込み導管と排出導管とを備える。化学反応器はまた、本体を含むように構成されるとともに本体に導入された試薬に関するデータを取得するための解析デバイスを備えた支持ベースと、ヘッド要素に固定された又は固定され得るとともに延在の主方向に沿って本体内部に延在する複数の離散化要素とを含む。離散化要素は、活性化エネルギーを放出するためにプロセス動作を反応ボリュームの部分空間へ離散化するように構成される。各離散化要素は、活性化エネルギーの放出を操作するために延在の主方向に沿って好適に分布する受動及び/又は能動デバイスを備える。
【0016】
前記ヘッド要素は、離散化要素を使用して、反応の制御された混合及び溶液の測定、好ましくは密度測定を形成するような方法で移動可能である。
【0017】
有利には、化学反応器は、反応動力学が3次元的に操作されるとともに反応器内部のプロセスボリュームと相互に貫通することを可能にする。
【0018】
反応器は内部プロセスエネルギー(すなわち、エンタルピー)が操作されることを可能にし、反応空間を、活性化エネルギーの放出を局所的に操作することが可能である統一セルへ離散化する。
【0019】
有利には、プロセスの運動学の内部エネルギー値を、反応空間全体にわたって3次元的に及びリアルタイムで操作することが可能である。
【0020】
有利には、化学反応器により反応器内部でなされる化学的混合を均一にすることが可能となり、したがって、プロセス産出量を、反応ボリュームを問わず均一化することが可能となる。
【0021】
さらに、本発明の特徴及び利点は、化学反応器の1つ又は複数の非排他的な実施形態の後に続く非限定的な説明においてより明らかとなる。
【0022】
説明は、本発明の範囲を限定すること無く例証目的のためだけに提供された添付図面を参照して以下に提示される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明による反応器の概略図である。
図2】本発明による反応器の構成要素の概略図である。
図3図2の反応器の構成要素の別の概略図である。
図4a-4b】本発明による反応器の構成要素の概略図である。
図5】反応器の別の構成要素の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
添付図面を参照すると、数字1はその全体で化学反応器、特にバッチタイプの反応器1を示す。
【0025】
反応器1は、本体2、ヘッド要素3、複数の離散化要素4及び支持ベース5を含む。
【0026】
本体2は化学プロセスのための反応空間「V」を画定する。換言すると、本体2は、化学反応が実施される化学試薬のための格納空間を形成するタンクの形で作られる。
【0027】
「化学試薬」という用語は、固形、液体及び/又は気体状態であり得る反応に関与する任意の物質を意味する。この定義はまた化学製品にも当てはまる。
【0028】
本体2は、好ましくは円筒形である。本体2の他の実施形態も動作条件に依存して可能である。
【0029】
好ましくは、本体2はパイレックス(登録商標)、すなわちホウケイ酸塩でできていてもよい。
【0030】
代替的に、本体2はテフロン(登録商標)でできていてもよい。
【0031】
代替的に、本体は鋼でできていてもよい。
【0032】
本体2の材料は、反応器1の動作条件により作られる好ましくは選択される。
【0033】
本体2は支持ベース5内部へ挿入される。換言すると、支持ベース5は本体2を含むための凹部5aを備える。この理由のため、支持ベース5は、反応器1の物理的安定性を保証するように構成される。
【0034】
支持ベース5は、本体2に導入された試薬に関するデータを取得するための解析デバイス11を備える。例えば、支持ベース5は、溶液の重量(したがって質量)を測定することができる力センサーのシステムを備える。このような方法で、本体2に導入された試薬の割合を、密度を知ってボリュームに関して定量化することが可能である。反応器1内に流量計が無い場合、この解決策は有利である。
【0035】
支持ベース5には、代替的に(又はさらに)、受動及び能動の両方の他のタイプの解析デバイス11が提供され得る。例えば、本体2より下に位置付けられた重量を測定するためのロードセルを使用することが可能であり、又は、それは、本体2の壁に沿って及び本体2の外周と接触した状態で位置する能動要素、例えばマイクロ波若しくは超音波エミッタ又はスペクトロスコピーのための光学解析要素を備えても良い。
【0036】
好ましくは、支持ベース5は、例えば図5に示された支持構造5bなどを備えてもよい。支持構造5bは、支持ベース5へのヘッド要素3の正しい位置付けを保証するような方法で支持ベース5をヘッド要素3に固定するために構成される。
【0037】
支持要素5bの数は要件に依存して変更可能であるとともに、データを転送するための構成要素(例えば、凹部5aの表面において本体2のベース部分と接触した状態で設置されたロードセルなど)の電気配線のために使用され得る。換言すると、支持ベース5(すなわち、支持要素5b)とヘッド要素3との接触部分の近くに電気信号のためのコネクタ5cがある。
【0038】
支持要素5bは、例えば、支持ベース5でのヘッド要素3の正しい位置付けのためのアクチュエータ又は油圧式ピストン又は他のデバイスのシステムを備え得る側方支持カラムの形で作られてもよい。
【0039】
換言すると、支持ベース5(すなわち、支持要素5b)は、支持ベース5とヘッド要素3との間に固定システム5dを備える。固定システム5dは、支持ベース5とヘッド要素3との間にアンカーを形成するために、線形アクチュエータ又は油圧式ピストン又は磁気若しくは機械的係止システムを備えてもよい。
【0040】
好ましくは、支持要素5bは、さらなるセンサー又は能動要素、例えばマイクロ波エミッタなどを備えてもよい。
【0041】
例えば図5に示されるとおり、支持ベース5は、反応器1の機械的安定性のための支持要素12を好ましくは備える。
【0042】
ヘッド要素3は、本体2を密封するために構成される。より具体的には、密封は支持ベース5を用いて実施される。このような方法で、ヘッド要素3により、本体2内部に非汚染作業環境を得ることが可能になる。好ましくは、ヘッド要素3は、上記の非汚染作業環境を作り出すような方法で外部真空ポンプ(回転タイプ)に結合される又は結合可能である。
【0043】
ヘッド要素3は、それぞれ試薬及び製品のための送り込み導管3a及び排出導管3bを備える。換言すると、送り込み導管3aは試薬を本体2に挿入するために使用され、排出導管3bは製品を本体2から出すために使用される。
【0044】
好ましくは、送り込み導管3a及び排出導管3bは、入ってくる試薬及び出ていく製品のフローを制御するように構成されたソレノイド弁10及び/又は線形アクチュエータを備える。
【0045】
ヘッド要素3は、離散化要素4を使用して、反応の制御された混合及び溶液の測定、好ましくは密度測定を達成するような方法で移動可能である(以下でより詳細に説明されるとおり)。
【0046】
好ましくは、例えば添付図面において示されたとおり、ヘッド要素3は送り込み導管3a及び排出導管3bが設けられた静止領域「S」と、化学反応器1の延在部の軸を中心として回転するように構成された動的領域「D」とを画定する。
【0047】
動的領域「D」は、特に反応の制御された混合を保証するような大きさにされた電気モータ14により回転させられる。
【0048】
動的領域「D」は離散化要素4を備える。好ましくは、動的領域「D」は回転ディスクの形で作られる。好ましくは、静止領域「S」は動的領域「D」を含むリングの形で作られる。
【0049】
好ましくは、ヘッド要素3はまた、動的領域「D」の望ましくない動きを回避する動的領域「D」の回転のためのシステム17のためのアンカー16を備える。
【0050】
ヘッド要素3の、反応空間「V」(すなわち本体2の)内部に向かって面する表面には、離散化要素4のための固定部分6があり得る。
【0051】
好ましくは、ヘッド要素3は、取得されたデータの処理のための及び取得されたデータに応じて離散化要素4を制御するための第1電子制御ユニット7aを含む。
【0052】
好ましくは、図2に示されるとおり、静止領域「S」と動的領域「D」との間には、第1電子制御ユニット7aに動力供給するための回転接続部15がある。好ましくは、回転接続部15は、回転システム17の回転シャフトに対して同軸に位置付けられる。
【0053】
第1電子制御ユニット7a(好ましくは1つ又は複数のPCB)は、取得されたデータの処理(すなわち前処理)に必要である。さらに、第1電子制御ユニット7aは、取得されたデータに応じて離散化要素4を制御するために構成される。
【0054】
好ましくは、第1電子制御ユニット7aは静止領域「S」に位置付けられる。代替的に、第1電子制御ユニット7aは動的領域「D」に位置付けられてもよい。
【0055】
反応器1はまた、ウェブアプリケーション技術に基づく制御ソフトウェアを使用した反応器1の遠隔制御のために構成された第2電子制御ユニット7b(好ましくは1つ又は複数のPCB)を好ましくは含む。換言すると、第2電子制御ユニット7bは、反応器1を制御するためのユーザインターフェイスと無線手段13を介して通信する。
【0056】
有利には、第2電子制御ユニット7bの使用により、オペレータと反応器1との間の直接的相互作用が無くなる。
【0057】
第1電子制御ユニット7a及び第2電子制御ユニット7bは、好適な有線により互いに接続され得る、又は無線技術13により互いと連通する。
【0058】
反応器1の動作のために必要な全ての電気機械的デバイスは、好ましくは、静止領域「S」に格納される(例えばソレノイド弁10、流量計、圧力測定デバイス、モータ14など)。
【0059】
好ましくは、ヘッド要素3は、外部電源のための接続部9にひいては接続されるリチウムバッテリ8を備え得る。
【0060】
ヘッド要素3に(好ましくは動的領域「D」に)(好ましくは固定部分6を使用して)固定された又は固定され得る複数の離散化要素4は、延在の主方向「P」に沿って本体内部に延在する。好ましくは、各離散化要素4は、反応空間「V」全体に相互に貫通する長さを備えて、延在の主方向「P」に沿って延在する。換言すると、離散化要素4の長さは、本体2の延在部の軸に平行に延在する。
【0061】
離散化要素4は、例えば図4aに示されるとおり、活性化エネルギーを放出するためにプロセス動作を反応空間「V」の部分空間「Vs」へ離散化するように構成される。
【0062】
各離散化要素4は、受動デバイス4a及び/又は能動デバイス4bを備える。受動デバイス4a及び能動デバイス4bは、活性化エネルギーの放出を操作するために延在の主方向に沿って好適には分布する。
【0063】
「受動デバイス」4aという用語は、任意のタイプの読取りセンサーを意味するために使用され得る。例えば、センサーは温度又は酸性/塩基性センサーであってもよい。
【0064】
「能動デバイス4b」という用語は、例えばマイクロヒータ又はマイクロクーラーなどを意味し得る。好ましくは、能動デバイス4bは例えばペルチェセルであってもよい。
【0065】
換言すると、離散化要素4は、熱式の活性化エネルギーを放出するために構成される。代替的に、離散化要素4は、マイクロ波又は超音波タイプの活性化エネルギーを放出するために構成され得る。
【0066】
好ましくは、各離散化要素4は、受動デバイス4a及び能動デバイス4bを備えた内部コア4cと、好ましくはパイレックス(登録商標)、テフロン(登録商標)又は鋼でできている外部ケーシング4dとを含む。
【0067】
添付図面において、離散化要素4は、動作条件に依存して、丸い形の先端を有する長尺状の円筒形を有するが、他の形も可能である。
【0068】
離散化要素4は、受動デバイス4a及び/又は能動デバイス4bの3次元マトリクスを形成するような方法で反応空間「V」において分布する。このような方法で、離散化要素4は、プロセス動作を、秩序ある方式で分布する上記の部分空間において離散化することができる。動作条件に依存して、受動デバイス4a及び/又は能動デバイス4bの分布は修正され得る。
【0069】
好ましくは、各離散化要素4(なおより好ましくは各受動デバイス4a及び/又は能動デバイス4b)は、独立して及び/又はPID制御(比例-積分-微分デバイス)により制御される。換言すると、第1電子制御ユニット7aは、離散化要素4の1つ又は複数と通信する1つ又は複数のモジュール7cを含み得る。好ましくは、各離散化要素4は、第1電子制御ユニット7aとの接続のための電気接点を備える。図示のとおり、例えば、添付図面において、電気接点は固定部分6と一体化されている。
【0070】
このような方法で、処理された総ボリュームを問わず反応のために必要な条件の再現の可能性と関連している得られた結果の拡張性を達成することが可能である。より具体的には、離散化要素4の使用のおかげで、化学反応の物理学の局所的操作を得ることが可能である。
【0071】
さらに、上述の構造は、本体2の直接内部にある活性化エネルギーを伝達することを可能にし、望ましくない分散の可能性を取り除く。
【0072】
離散化要素4は、反応への触媒効果を有し得るエネルギーの分布が得られることを可能にし、プロセス時間を減らすとともにコストを低下させる。
【0073】
有利には、本発明は先行技術の欠点を克服することができる。
【0074】
有利には、反応器1はプロセスの内部エネルギーの操作を可能にし、反応空間「V」を統一セル(部分空間「Vs」)へ離散化し、統一セル(部分空間「Vs」)で活性化エネルギーの放出を局所的に操作することが可能である。換言すると、反応器1は反応動力学を3次元的に操作することができる。
【0075】
有利には、反応器1は、反応空間「V」内部でなされる化学的混合を均一化することを可能にし、反応ボリュームを問わず処理産出量の標準化を可能にする。
【0076】
有利には、反応器1はリアルタイムでの内部反応エネルギーの監視及び操作を可能にする。
【0077】
有利には、反応器1は、研究段階から製造段階へのプロセスの即時の移行を得ることを可能にする。
【0078】
有利には、反応器1は、プロセス条件の最大の均一性並びに反応のプロセス及び制御パラメータの3次元監視を得ることを可能にする。
【0079】
有利には、反応器1は、化学反応により生じた熱のフローの直接的測定を得ることを可能にする。
【0080】
有利には、反応器1は処理の革新によりエネルギー消費の減少を得ることを可能にする。
【0081】
有利には、工業用プラントにおける反応器1の存在は、複数のプロセスのために高度に融通の利くプラントを得ることを可能にする。
【0082】
さらに、本発明は、有利には化学製造部門における循環型経済を得ることを可能にする。
【0083】
有利には、反応器1は、化学処理の産出量を特定のオペレータと無関係にすることを可能にする。特に、電子制御ユニット7a及び7b(すなわち、受動デバイス4a及び能動デバイス4b)は、エネルギー及び原材料に関する処理コストを監視するために主なオートメーション機能を使用すること、したがって製造効率の定量的評価を得ることを可能にする。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
【国際調査報告】