(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-26
(54)【発明の名称】ベンゾナイトリック複素環式化合物及びその製造方法と使用
(51)【国際特許分類】
C07D 223/16 20060101AFI20230519BHJP
A61K 31/55 20060101ALI20230519BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230519BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230519BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20230519BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20230519BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20230519BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230519BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20230519BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230519BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20230519BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20230519BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20230519BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230519BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20230519BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230519BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230519BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230519BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20230519BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20230519BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230519BHJP
A61K 31/5513 20060101ALI20230519BHJP
A61K 31/553 20060101ALI20230519BHJP
A61K 31/554 20060101ALI20230519BHJP
C07D 401/04 20060101ALI20230519BHJP
C07D 281/10 20060101ALI20230519BHJP
C07D 267/14 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
C07D223/16 A CSP
A61K31/55
A61P1/04
A61P3/10
A61P11/06
A61P17/06
A61P17/04
A61P17/00
A61P19/02
A61P25/00
A61P25/02
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/28
A61P11/02
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 111
A61P37/02
A61P37/08
A61P29/00 101
A61P29/00
A61K31/5513
A61K31/553
A61K31/554
C07D401/04
C07D281/10 C
C07D267/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562991
(86)(22)【出願日】2021-04-14
(85)【翻訳文提出日】2022-10-14
(86)【国際出願番号】 CN2021087153
(87)【国際公開番号】W WO2021208945
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】202010304883.0
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522404052
【氏名又は名称】上海中澤医薬科技有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】510027560
【氏名又は名称】上海医薬工業研究院
【氏名又は名称原語表記】Shanghai Institute of Pharmaceutical Industry
【住所又は居所原語表記】No.1320 West Beijing Road,Jing’an District,Shanghai,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】李建其
(72)【発明者】
【氏名】郭政
(72)【発明者】
【氏名】張慶偉
(72)【発明者】
【氏名】浦強
(72)【発明者】
【氏名】張子学
(72)【発明者】
【氏名】焦民茹
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB01
4C063CC19
4C063DD12
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC32
4C086BC56
4C086BC75
4C086BC92
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086GA10
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA16
4C086ZA20
4C086ZA34
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB13
4C086ZB15
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC20
4C086ZC35
(57)【要約】
本発明は、ベンゾナイトリック複素環化合物、その製造方法及び使用を開示する。本発明は、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤として使用することができ、HDAC6に対する選択的阻害効果を有し、且つ高効率、低毒性、理想的な薬物動態特性を有する、式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化1】
(ただし、
環Aは、7員ヘテロシクロアルキルであり、前記7員ヘテロシクロアルキルにおいて、1つの前記Nは前記
【化2】
と連結する以外、また0~2つの任意選択でN、O、S、S(=O)及びS(=O)
2から選択されるヘテロ原子団を含み、
nは、0、1、2、3又は4であり、
R
2は、独立して水素、ヒドロキシ、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルキル-O-、(R
aR
b)N-又はO=であり、
R
1a、R
1b、R
1c及びR
1dは、独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ又はR
1-L-であり、
-L-は、独立して結合、-(C
1~C
4アルキル)-、-O-、-C(=O)-又は-S(=O)
2-であり、
R
1は、独立してC
1~C
6アルキル、C
3~C
7シクロアルキル、C
6~C
10アリール、(R
cR
d)N-、3~7員ヘテロシクロアルキル又は5~10員ヘテロアリールであり、又は、前記C
1~C
6アルキル、C
3~C
7シクロアルキル、C
6~C
10アリール、(R
cR
d)N-、3~7員ヘテロシクロアルキル及び5~10員ヘテロアリールは、1つ又は複数の置換基R
eにより置換され、前記3~7員ヘテロシクロアルキル及び1つ又は複数の置換基R
eにより置換された3~7員ヘテロシクロアルキルの3~7員ヘテロシクロアルキルにおいて、ヘテロ原子団は、N、O、S、S(=O)及びS(=O)
2の中の1つ又は複数から選択され、ヘテロ原子の数は1~3つであり、前記5~10員ヘテロアリール及び1つ又は複数の置換基R
eにより置換された5~10員ヘテロアリールの5~10員ヘテロアリールにおいて、ヘテロ原子団はN、O及びSの中の1つ又は複数から選択され、ヘテロ原子の数は1~4つであり、R
eは、独立してヒドロキシ、ハロゲン、シアノ又はC
1~C
4アルキルであり、置換基が複数である場合、同じであるか又は異なり、
R
a、R
b、R
c及びR
dは、独立して水素又はC
1~C
4アルキルであり、
R
3a、R
3b、R
3c、R
3d、R
4及びR
5は、独立して水素、ハロゲン、C
1~C
4アルキル又は1つ又は複数のハロゲンに置換されたC
1~C
4アルキルであり、置換基が複数である場合、同じであるか又は異なり、
「*」の付いた炭素原子がキラル炭素原子を表す場合、S配置、R配置又はそれらの混合物である。)
【請求項2】
環Aにおいて、前記
【化3】
と連結したNは縮合環が結合したベンゼン環のオルト位又はパラ位に位置し、例えば、オルト位であり、
及び/又は、環Aにおいて、1つの前記Nは前記
【化4】
に連結される以外、また0~1つの任意選択でN、O及びSから選択されるヘテロ原子団を含み、
及び/又は、R
2が独立してC
1~C
4アルキル又はC
1~C
4アルキル-O-である場合、前記C
1~C
4アルキル及びC
1~C
4アルキル-O-のC
1~C
4アルキルはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルであり、例えば、メチルであり、
及び/又は、R
1a、R
1b、R
1c及びR
1dが独立してハロゲンである場合、前記ハロゲンはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、例えば、フッ素、塩素又は臭素であり、
及び/又は、-L-が独立して-(C
1~C
4アルキル)-である場合、前記-(C
1~C
4アルキル)-は、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプロピリデン、イソブチレン、sec-ブチレン又はtert-ブチレンであり、
及び/又は、R
1が独立してC
1~C
6アルキルであり、1つ又は複数の置換基R
eにより置換されたC
1~C
6アルキルである場合、前記C
1~C
6アルキル及び1つ又は複数の置換基R
eにより置換されたC
1~C
6アルキルのC
1~C
6アルキルは独立してメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルであり、例えば、メチルであり、
及び/又は、R
1が独立してC
3~C
7シクロアルキルであり、1つ又は複数の置換基R
eにより置換されたC
3~C
7シクロアルキルである場合、前記C
3~C
7シクロアルキル及び1つ又は複数の置換基R
eにより置換されたC
3~C
7シクロアルキルのC
3~C
7シクロアルキルは、独立してシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルであり、例えば、シクロプロピルであり、
及び/又は、R
1が独立してC
6~C
10アリールであり、1つ又は複数の置換基R
eにより置換されたC
6~C
10アリールである場合、前記C
6~C
10アリール及び1つ又は複数の置換基R
eにより置換されたC
6~C
10アリールのC
6~C
10アリールは、独立してフェニル又はナフチルであり、例えば、フェニルであり、
及び/又は、R
1が独立して3~7員ヘテロシクロアルキルであり、1つ又は複数の置換基R
eにより置換された3~7員ヘテロシクロアルキルである場合、前記3~7員ヘテロシクロアルキル及び1つ又は複数の置換基R
eにより置換された3~7員ヘテロシクロアルキルの3~7員ヘテロシクロアルキルは独立して5~6員ヘテロシクロアルキルであり、ここで、ヘテロ原子団は、N、O及びSの1つ又は複数から選択され、ヘテロ原子の数は1~2つであり、例えば、ピペリジニルであり、
及び/又は、R
1が独立して5~10員ヘテロアリールであり、1つ又は複数の置換基R
eにより置換された5~10員ヘテロアリールである場合、前記5~10員ヘテロアリール及び1つ又は複数の置換基R
eにより置換された5~10員ヘテロアリールの5~10員ヘテロアリールは、独立して5~6員ヘテロアリールであり、ここで、ヘテロ原子団は、N、O及びSの1中のつ又は複数から選択され、ヘテロ原子の数は1~2つであり、例えば、ピリジルであり;
及び/又は、R
eが独立してハロゲンである場合、前記ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、
及び/又は、R
eが独立してC
1~C
4アルキルである場合、前記C
1~C
4アルキルはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルであり、例えば、メチルであり、
及び/又は、R
a、R
b、R
c及びR
dが独立してC
1~C
4アルキルである場合、前記C
1~C
4アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルであり、例えば、メチルであり、
及び/又は、R
3a、R
3b、R
3c、R
3d、R
4及びR
5が独立してC
1~C
4アルキル又は1つ又は複数のハロゲンにより置換されたC
1~C
4アルキルである場合、前記C
1~C
4アルキル及び1つ又は複数のハロゲンにより置換されたC
1~C
4アルキルのC
1~C
4アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルであり、例えば、メチルであり、
及び/又は、R
3a、R
3b、R
3c、R
3d、R
4及びR
5が独立してハロゲン又は1つ又は複数のハロゲンにより置換されたC
1~C
4アルキルである場合、前記ハロゲン及び1つ又は複数のハロゲンにより置換されたC
1~C
4アルキルのハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり;
及び/又は、R
1が独立してC
1~C
6アルキル、C
3~C
7シクロアルキル、C
6~C
10アリール、(R
cR
d)N-、3~7員ヘテロシクロアルキル又は5~10員ヘテロアリールであり、且つ前記C
1~C
6アルキル、C
3~C
7シクロアルキル、C
6~C
10アリール、(R
cR
d)N-、3~7員ヘテロシクロアルキル及び5~10員ヘテロアリールが置換基R
eにより置換され、R
eが独立してハロゲンである場合、R
eの数は1、2又は3つであり、
及び/又は、R
3a、R
3b、R
3c、R
3d、R
4及びR
5が独立して1つ又は複数のハロゲンにより置換されたC
1~C
4アルキルである場合、ハロゲンにより置換された数は1~3つのハロゲンにより置換されたことを特徴とする、請求項1に記載の式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
環Aは、
【化5】
であり、Yは、結合、メチレン又は
【化6】
であり、Xは、C、N、O又はSであり、
及び/又は、nは、0又は1であり、
及び/又は、R
2は、独立して水素、ヒドロキシ、C
1~C
4アルキル、(R
aR
b)N-又はO=であり、例えば、水素、ヒドロキシ、C
1~C
4アルキル又はO=であり、
及び/又は、-L-は、独立して結合又は-O-であり、
及び/又は、R
1は、独立してC
1~C
6アルキル、C
3~C
7シクロアルキル、C
6~C
10アリール、(R
cR
d)N-、3~7員ヘテロシクロアルキル又は5~10員ヘテロアリールであり、例えば、C
1~C
6アルキルであり、
及び/又は、R
1-L-は、C
3~C
7シクロアルキル、C
6~C
10アリール、(R
cR
d)N-、3~7員ヘテロシクロアルキル又は5~10員ヘテロアリール又はC
1~C
6アルキル-O-であり;例えば、C
1~C
6アルキル-O-であり;
及び/又は、R
1a、R
1b、R
1c及びR
1dは、独立して水素、ハロゲン又はR
1-L-であり、例えば、R
1a、R
1b、R
1c及びR
1dの1つ又は2つは、独立してハロゲン又はR
1-L-であり、それ以外は、水素であり、
及び/又は、R
4及びR
5は、独立して水素又はハロゲンであり、例えば、水素であり、
及び/又は、R
a、R
b、R
c及びR
dは、独立してC
1~C
4アルキルであり、
及び/又は、R
3a、R
3b、R
3c及びR
3dは、独立して水素又はハロゲンであり、例えば、R
3aは、水素又はハロゲンであり、R
3b、R
3c及びR
3dは、独立して水素であることを特徴とする、請求項1に記載の式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物は、下記スキーム1又はスキーム2であり、
スキーム1、式Iで表されるベンゾアゼピン化合物は、式I-1又は式I-2で表されるベンゾナイトリック複素環式化合物であり、
【化7】
ただし、X
1及びX
2は、独立して
【化8】
、
【化9】
、
【化10】
又は
【化11】
であり、
スキーム2、環Aは、7員ヘテロシクロアルキルであり、
環Aにおいて、前記
【化12】
と連結されたNは、前記ベンゼン環オルト位又はパラ位に位置し、
nは、0又は1であり、
R
2は、独立して水素、ヒドロキシ、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルキル-O-、(R
aR
b)N-又はO=であり、
R
1a、R
1b、R
1c及びR
1dは、独立して水素、ハロゲン又はR
1-L-であり、
-L-は、独立して結合又は-O-であり、
R
1は、独立してC
1~C
6アルキル、C
3~C
7シクロアルキル、C
6~C
10アリール、(R
cR
d)N-、3~7員ヘテロシクロアルキル又は5~10員ヘテロアリールであり、
R
4及びR
5は、独立して水素又はハロゲンであり、
R
3a、R
3b、R
3c及びR
3dは、独立して水素又はハロゲンであり、
スキーム3、環Aは、7員ヘテロシクロアルキルであり、
環Aにおいて、前記
【化13】
と連結されたNは、前記ベンゼン環オルト位又はパラ位に位置し、また例えば、オルト位であり、
nは、0又は1であり、
R
2は、独立して水素、ヒドロキシ、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルキル-O-、(R
aR
b)N-又はO=であり、
R
1a、R
1b、R
1c及びR
1dは、独立して水素、ハロゲン、C
1~C
6アルキル-O-、C
3~C
7シクロアルキル、C
6~C
10アリール、C
6~C
10アリール-(C
1~C
4アルキル)-、(R
cR
d)N-、3~7員ヘテロシクロアルキル又は5~10員ヘテロアリールであり、
R
4及びR
5は、独立して水素であり、
R
3a、R
3b、R
3c及びR
3dは、独立して水素又はハロゲンであり、
スキーム4、環Aは、
【化14】
であり、X
1は、独立して
【化15】
、
【化16】
、
【化17】
又は
【化18】
であり、
nは、0又は1であり、
R
2は、独立して水素、ヒドロキシ、C
1~C
4アルキル又はO=であり、
R
1a、R
1b、R
1c及びR
1dは、独立して水素、フッ素又はC
1~C
6アルキル-O-であり、
R
3a、R
3b、R
3c、R
3d、R
4及びR
5は、独立して水素であることを特徴とする、請求項1に記載の式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
環Aは、
【化19】
、
【化20】
、
【化21】
、
【化22】
又は
【化23】
であり、
及び/又は、R
1a、R
1b、R
1c及びR
1dは、独立して水素、フッ素、塩素、臭素、メトキシ、シクロプロピル、フェニル、
【化24】
、
【化25】
又は
【化26】
であり、
及び/又は、R
2は、独立して水素、ヒドロキシ、メチル、メトキシ、
【化27】
又はO=であり、
及び/又は、R
4及びR
5は、独立して水素又はフッ素であり、
及び/又は、R
3a、R
3b、R
3c及びR
3dは、独立して水素又はフッ素であることを特徴とする、請求項1に記載の式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物は、下記いずれかの構造から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化28】
【請求項7】
溶媒において、式IIで表される化合物をヒドロキシルアミンと下記で表されるヒドロキシル化反応させ、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物を得ることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の製造方法。
【化29】
(ただし、*、環A、n、R
2、R
1a、R
1b、R
1c、R
1d、R
3a、R
3b、R
3c、R
3d、R
4及びR
5の定義はいずれも請求項1~6のいずれか一項に記載された通りであり、R
6は、C
1~C
6アルキルであり、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルであり、
前記溶媒は、アルコール系溶媒であってもよく、
前記式IIで表される化合物及び前記溶媒の質量体積比は、0.1g/L~20g/Lであってもよく、
前記式IIで表される化合物及び前記ヒドロキシルアミンの的のモル比は、1:5~1:50であってもよく、
前記ヒドロキシル化反応の温度は室温~80℃であってもよく、
前記製造方法はまた後処理を含むことができ、前記後処理は、前記ヒドロキシル化反応が完了後、pHを中性に調節し、濃縮し、有機溶剤を加え、水で洗浄し、有機相で乾燥させ、濃縮し、分離・精製するステップを含み、
前記製造方法はまた溶媒において、塩基の存在下で、式IIIで表される化合物及び式IVで表される化合物を下記で表されるカップリング反応させ、前記式IIで表される化合物を得るステップを含むことができ、
【化30】
ただし、R
6、*、環A、n、R
2、R
1a、R
1b、R
1c、R
1d、R
3a、R
3b、R
3c、R
3d、R
4及びR
5の定義はいずれも上記で記載した通りであり、Xは、ハロゲンである。)
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載の式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物又はその薬学的に許容される塩、と1つ又は複数の薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項9】
HDAC阻害剤又は医薬の製造における、請求項1~6のいずれか一項に記載の式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物又はその薬学的に許容される塩、又は請求項8に記載の医薬組成物の使用であって、
前記HDACは、好ましくはHDAC6であり、
前記医薬は、癌、神経疾患又は自己免疫疾患を予防及び/又は治療するための医薬であってもよく、
又は、前記医薬は、HDACに関連する疾患又は病症の予防及び/又は治療のための医薬であってもよく、前記HDACに関連する疾患又は病症は、癌、神経疾患又は自己免疫疾患であってもよく、
前記癌は、卵巣癌、結腸癌、乳癌、肝臓癌、膵臓癌、胆嚢癌、胃腸癌、頭頸部癌、子宮頸癌、前立腺癌、肺癌、黒色腫、胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、膠芽腫、骨髄腫、神経芽細胞腫由来CNS腫瘍、単球性白血病、B細胞由来白血病、T細胞由来白血病、B細胞由来リンパ腫、T細胞由来リンパ腫及びマスト細胞由来腫瘍、及びその組み合わせであってもよく、
前記神経変性疾患は、神経変性疾患、末梢神経障害、及びその組み合わせであってもよく、前記神経変性疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、レット症候群であってもよく、前記末梢神経障害は、末梢神経障害は、腓骨筋ジストロフィー、巨大軸性神経障害であってもよく、
前記自己免疫疾患は、乾癬、炎症性疾患、及び免疫調節によって治療可能な病症であってもよく、前記炎症性疾患は変形性関節症、関節リウマチ、大腸炎であってもよく、前記免疫調節によって治療可能な病症は、多発性硬化症、自己免疫性糖尿病、狼瘡、アトピー性皮膚炎、アレルギー、喘息、アレルギー性鼻炎、炎症性腸疾患であってもよい。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は出願日が2020年4月17である中国特許出願2020103048830の優先権を主張する。本出願は上記の中国特許出願の全文を引用する。
【0002】
〔技術分野〕
本発明はベンゾナイトリック複素環式化合物及びその製造方法と使用に関する。
【0003】
〔背景技術〕
ヒストン脱アセチル化酵素(histone deacetylases、HDACs)は、ヒストン及び非ヒストンの脱アセチル化プロセスを触媒することができ、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(histone acetyltransferases、HATs)と共に細胞内のアセチル化レベルを調節して、遺伝子の発現を調節する。現在、公知の哺乳類のHDACsには18のサブタイプがあり、I類(HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC8);更にIIa(HDAC4、HDAC5、HDAC7、HDAC9)及びIIb(HDAC6、HDAC10)の2つのサブファミリーに分けられるII類;III類(Sirt1~Sirt7);IV類(HDAC11)の4つの種類に分類できる。
【0004】
現在、市販されているヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDACi)は全部で5つであり、それぞれボリノスタット(vorinostat)、ベリノスタット(belinostat)、パノビノスタット(panobinostat)、ロミデプシン(romidepsin)及びチダミデ(chidamide)であり、前の3つは、いずれも広域スペクトル阻害剤であり、後の2つは選択的にI類のサブタイプに作用する。ボリノスタット及びロミデプシンは皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)の治療に使用され、ベリノスタット及びツシジノスタットは再発及び難治性の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)の治療に使用され、パノビノスタット及びボルテゾミブとデキサメタゾンの併用は多発性骨髄腫(MM)の治療に使用される。
【0005】
上記のHDAC阻害剤は臨床では既に良好な効果を達成したが、広域HDAC阻害剤には一般的に下記の欠点がある。
【0006】
(1)例えば、吐き気、嘔吐、骨髄抑制などの強い毒性副作用を有し、
(2)遺伝毒性を有し、
(3)薬物動態特性が悪く、バイオアベイラビリティが低く、半減期が短いなどである。
【0007】
上記欠点は、腫瘍患者に不便をもたらすだけではなく、腫瘍治療以外の分野での広域スペクトルHDAC阻害剤の使用も妨げている。
【0008】
現在、HDACのサブタイプ選択的阻害剤が当該分野の研究のホットスポットとなっており、その中で、HDAC6サブタイプ阻害剤が大きな注目を集めている。HDAC6は腫瘍、神経変性疾患、炎症、自己免疫反応、腫瘍及び細菌感染などを含む疾患分野は非常に広く関与している。
【0009】
薬理学的研究では、HDAC6選択的阻害剤が膠芽腫細胞の増殖を効果的に阻害し、そのアポトーシスを誘導することができ、且つHDAC6を阻害して膠芽腫細胞のテモゾロミドに対する感受性を高めることができ、両者に相乗効果を有することが示唆された。具体的には、HDAC6はその熱ショックタンパク質などのアセチル化基質の活性を調節し、熱ショックタンパク質は分子シャペロンとしてミスフォールドタンパク質及びアンフォールドタンパク質の修復に関与することができ、同時に、HDAC6タンパク質のZnF-UBP構造ドメインはユビキチン化されたミスフォールドタンパク質に高い親和性で結合し、その分解を促進させることができる。HDAC6の分子シャペロンであるp97/VCPは、HDAC6-ユビキチン複合体を分離することができ、その両者のバランスは小胞体ストレス(endoplasmic reticulum stress、ERS)及び小胞体ストレス応答(unfolded protein response、UPR)期間にミスフォールドタンパク質及びアンフォールドタンパク質の運命に影響を与える可能性がある。従って、HDAC6阻害剤Tubastatin A及びテモゾロミド(TMZ)の併用療法は、HDAC6とp97/VCPの比率を逆転させ、熱ショックタンパク質活性化を弱め、アンフォールドタンパク質応答及び小胞体ストレスのプロアポトーシスシグナルを誘発し、最終的に小胞体ストレス耐性を克服し、TMZ耐性神経膠腫細胞の生存率を低下させ、アポトーシスを誘導する。
【0010】
アルツハイマー病(AD)もまた、神経膠腫と同様に臨床で効果的な治療薬の開発を必要としており、研究により、AD脳の海馬(91%増加)及び大脳皮質(52%増加)におけるのHDAC6の発現レベルが有意に増加し、更にNFTを含む神経細胞ではチューブリンのアセチル化が減少することが明らかになっていた。HDAC6は、tauの過剰リン酸化のプロセスに関与している。HDAC6はヒト脳組織のtauと相互作用し、これらの相互作用はtauの微小管結合ドメイン及びHDAC6上のSE14ドメインによって媒介される。HDAC6の阻害はtauとの相互作用には影響しないが、tauのT231リン酸化を弱め、T231はtau機能の重要な調節部位である。HDAC6阻害は、ADマウスの認知を改善する。上記研究は、中央を標的とするHDAC6阻害剤が、新しい高効率で低毒性のAD治療薬として開発されることが期待されることを示した。
【0011】
文献(J. Am. Chem. Soc. 2010, 132, 31, 10842-10846)は、カルバゾール構造を含むアリールヒドロキサム酸HDAC6阻害剤であるTubastatin Aは、中枢神経保護効果を有し、物理化学的特性が低く、医薬品になる可能性が低いことを報告した。
【0012】
文献(ACS Chem. Neurosci. 2019, 10, 3, 1679-1695)は、テトラヒドロキノリン構造を含むHDAC6阻害剤(IC50=2.3nM)であるSW-100が、認知障害のあるマウスにおいて所定の認知改善効果を有していることを報告した。
【0013】
【0014】
特許WO2018200608Aは、一類のインドリン化合物を開示し、ここで、化合物II-ING-39はIC50=21.5nMでHDAC6を阻害し、SW-100(IC50=2.3nM)よりも約一桁弱く、且つインドリンのベンゼン環上の置換基は、HDAC6阻害活性に大きな影響を与え、例えば、ここで、ニトロ置換化合物II-ING-57は、II-ING-39及びII-ING-44よりも有意に優れたHDAC6阻害活性(IC50=1.4nM)を示した。
【0015】
【0016】
上記の公開文献及び特許は、式で窒素原子を含む複素環の構造の差異及びベンゼン環上の置換基の差異が、化合物のHDAC6に対する阻害活性に影響を与えることを示しているが、影響の程度及び薬理学的効果は予測できず、実験によって検証する必要がある。
【0017】
〔発明の概要〕
本発明が解決しようとする技術的課題は、先行技術における単一のHDAC6阻害剤、特にその選択性が低い欠点を克服するための、ベンゾナイトリック複素環化合物、その製造方法及び使用を提供することである。本発明によって提供されるベンゾナイトリック複素環式化合物は、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤として使用することができ、HDAC6に対して選択的阻害効果を有し、且つ高効率、低毒性、理想的な薬物動態特性などの特徴を有し、抗腫瘍又は神経変性疾患の治療薬として臨床ニーズに応えることが期待されている。
【0018】
本発明は、下記の技術的解決手段を通じて上記の技術的問題を解決する。
【0019】
本発明は、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0020】
【0021】
ただし、
環A(
【0022】
【0023】
、a側は前記ベンゼン環
【0024】
【0025】
と縮合環が連結されていることを示し)は、7員ヘテロシクロアルキルであり、前記7員ヘテロシクロアルキルにおいて、1つの示されるNは前記
【0026】
【0027】
と連結される以外、また0~2つの任意選択でN、O、S、S(=O)及びS(=O)2から選択されるヘテロ原子団を含み、
nは、0、1、2、3又は4であり、
R2は、独立して水素、ヒドロキシ、C1~C4アルキル、C1~C4アルキル-O-、(RaRb)N-又はO=であり、(-CH2-が置換されている場合)
R1a、R1b、R1c及びR1dは、独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ又はR1-L-であり、
-L-は、独立して結合、-(C1~C4アルキル)-、-O-、-C(=O)-又は-S(=O)2-であり、
R1は、独立してC1~C6アルキル、C3~C7シクロアルキル、C6~C10アリール、(RcRd)N-、3~7員ヘテロシクロアルキル又は5~10員ヘテロアリールであり、又は、前記C1~C6アルキル、C3~C7シクロアルキル、C6~C10アリール、(RcRd)N-、3~7員ヘテロシクロアルキル及び5~10員ヘテロアリールは、1つ又は複数の置換基Reにより置換され、前記3~7員ヘテロシクロアルキル及び1つ又は複数の置換基Reにより置換された3~7員ヘテロシクロアルキルの3~7員ヘテロシクロアルキルにおいて、ヘテロ原子団は、N、O、S、S(=O)及びS(=O)2の中の1つ又は複数から選択され、ヘテロ原子の数は1~3つであり、前記5~10員ヘテロアリール及び1つ又は複数の置換基Reにより置換された5~10員ヘテロアリールの5~10員ヘテロアリールにおいて、ヘテロ原子団はN、O及びSの中の1つ又は複数から選択され、ヘテロ原子の数は1~4つであり、Reは、独立してヒドロキシル、ハロゲン、シアノ又はC1~C4アルキルであり、置換基が複数である場合、同じであるか又は異なり、
Ra、Rb、Rc及びRdは、独立して水素又はC1~C4アルキルであり、
R3a、R3b、R3c、R3d、R4及びR5は、独立して水素、ハロゲン、C1~C4アルキル又は1つ又は複数のハロゲンにより置換されたC1~C4アルキルであり、置換基が複数である場合、同じであるか又は異なり、
「*」の付いた炭素原子がキラル炭素原子である場合、S配置、R配置又はそれらの混合物である。
【0028】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
環Aにおいて、前記
【0029】
【0030】
と連結されたNは縮合環に連結されたベンゼン環のオルト位、メタ位又はパラ位に位置し、例えば、オルト位又はパラ位であり、また例えば、オルト位であり、
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
環Aにおいて、1つの示されるNは前記
【0031】
【0032】
と連結される以外、また0~1つの任意選択でN、O及びSから選択されるヘテロ原子団を含み、
例えば、
【0033】
【0034】
、
【0035】
【0036】
、
【0037】
【0038】
又は
【0039】
【0040】
であり、a側は前記ベンゼン環と縮合環に連結される。
【0041】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
R2が独立してC1~C4アルキル又はC1~C4アルキル-O-である場合、前記C1~C4アルキル及びC1~C4アルキル-O-のC1~C4アルキルはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルであり、例えば、メチルである。
【0042】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
R1a、R1b、R1c及びR1dが独立してハロゲンである場合、前記ハロゲンはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、例えば、フッ素、塩素又は臭素であり、また例えば、フッ素である。
【0043】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
-L-が独立して-(C1~C4アルキル)-である場合、前記-(C1~C4アルキル)-は、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプロピリデン、イソブチレン、sec-ブチレン又はtert-ブチレンであり、例えば、メチレンである。
【0044】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
R1が独立してC1~C6アルキル、1つ又は複数の置換基Reにより置換されたC1~C6アルキルである場合、前記C1~C6アルキル及び1つ又は複数の置換基Reにより置換されたC1~C6アルキルのC1~C6アルキルは独立してC1~C4アルキル(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルであり)、例えば、メチルである。
【0045】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
R1が、独立してC3~C7シクロアルキル、1つ又は複数の置換基Reにより置換されたC3~C7シクロアルキルである場合、前記C3~C7シクロアルキル及び1つ又は複数の置換基Reにより置換されたC3~C7シクロアルキルのC3~C7シクロアルキルは、独立してシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルであり、例えば、シクロプロピルである。
【0046】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
R1が独立してC6~C10アリール、1つ又は複数の置換基Reにより置換されたC6~C10アリールである場合、前記C6~C10アリール及び1つ又は複数の置換基Reにより置換されたC6~C10アリールのC6~C10アリールは、独立してフェニル又はナフチルであり、例えば、フェニルである。
【0047】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
R1が独立して3~7員ヘテロシクロアルキル、1つ又は複数の置換基Reにより置換された3~7員ヘテロシクロアルキルである場合、前記3~7員ヘテロシクロアルキル及び1つ又は複数の置換基Reにより置換された3~7員ヘテロシクロアルキルの3~7員ヘテロシクロアルキルは独立して5~6員ヘテロシクロアルキルであり、ここで、ヘテロ原子団は、N、O及びSの中の1つ又は複数から選択され、ヘテロ原子の数は1~2つであり、例えば、ピペリジニル(また例えば、
【0048】
【0049】
)である。
【0050】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
R1が独立して5~10員ヘテロアリール、1つ又は複数の置換基Reにより置換された5~10員ヘテロアリールである場合、前記5~10員ヘテロアリール及び1つ又は複数の置換基Reにより置換された5~10員ヘテロアリールの5~10員ヘテロアリールは、独立して5~6員ヘテロアリールであり、ここで、ヘテロ原子団は、N、O及びSの中の1つ又は複数から選択され、ヘテロ原子の数は1~2つであり、例えば、ピリジル(また例えば、
【0051】
【0052】
)である。
【0053】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
Reが独立してハロゲンである場合、前記ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、例えば、フッ素又は塩素である。
【0054】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
Reが独立してC1~C4アルキルである場合、前記C1~C4アルキルはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルであり、例えば、メチルである。
【0055】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
Ra、Rb、Rc及びRdが独立してC1~C4アルキルである場合、前記C1~C4アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルであり、例えば、メチルである。
【0056】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
R3a、R3b、R3c、R3d、R4及びR5が独立してC1~C4アルキル又は1つ又は複数のハロゲンにより置換されたC1~C4アルキルである場合、前記C1~C4アルキル及び1つ又は複数のハロゲンにより置換されたC1~C4アルキルのC1~C4アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルであり、例えば、メチルである。
【0057】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
R3a、R3b、R3c、R3d、R4及びR5が独立してハロゲン又は1つ又は複数のハロゲンにより置換されたC1~C4アルキルである場合、前記ハロゲン及び1つ又は複数のハロゲンにより置換されたC1~C4アルキルのハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、また例えば、フッ素又は塩素である。
【0058】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
R1が独立してC1~C6アルキル、C3~C7シクロアルキル、C6~C10アリール、(RcRd)N-、3~7員ヘテロシクロアルキル又は5~10員ヘテロアリールであり、且つ前記C1~C6アルキル、C3~C7シクロアルキル、C6~C10アリール、(RcRd)N-、3~7員ヘテロシクロアルキル及び5~10員ヘテロアリールが置換基Reにより置換され、Reが独立してハロゲンである場合、Reの数は1、2又は3つであり、
例えば、トリフルオロメチルである。
【0059】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
R3a、R3b、R3c、R3d、R4及びR5が独立して1つ又は複数のハロゲンにより置換されたC1~C4アルキルである場合、ハロゲンにより置換された数は1~3つのハロゲンにより置換され、例えば、トリフルオロメチルである。
【0060】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
環Aは、
【0061】
【0062】
であり、Yは、結合、メチレン又はエチレン(
【0063】
【0064】
)(即ち環Aは、
【0065】
【0066】
、
【0067】
【0068】
又は
【0069】
【0070】
)であり、例えば、Yは、結合又は
【0071】
【0072】
であり、
Xは、C、N、O又はSであり、a側は前記ベンゼン環と縮合環に連結される。
【0073】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
nは、0又は1である。
【0074】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
R2は、独立して水素、ヒドロキシル、C1~C4アルキル、(RaRb)N-又はO=であり、
例えば、水素、ヒドロキシル、C1~C4アルキル又はO=であり、
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
-L-は、独立して結合又は-O-である。
【0075】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
R1は、独立してC1~C6アルキル、C3~C7シクロアルキル、C6~C10アリール、(RcRd)N-、3~7員ヘテロシクロアルキル又は5~10員ヘテロアリールであり、例えば、C1~C6アルキルである。
【0076】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
R1-L-は、C3~C7シクロアルキル、C6~C10アリール、(RcRd)N-、3~7員ヘテロシクロアルキル又は5~10員ヘテロアリール又はC1~C6アルキル-O-であり、例えば、C1~C6アルキル-O-である。
【0077】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
R1a、R1b、R1c及びR1dは、独立して水素、ハロゲン又はR1-L-であり、
例えば、R1a、R1b、R1c及びR1dの1つ又は2つは、独立してハロゲン又はR1-L-であり、残りは、水素であり、
また例えば、R1a、R1b、R1c及びR1dの1つ又は2つは、独立してC1~C6アルキル-O-であり、残りは、水素であり、又はR1cは、ハロゲンであり、残りは、水素であり、前記ハロゲンは、好ましくはフッ素である。
【0078】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
R4及びR5は、独立して水素又はハロゲンであり、例えば、水素である。
【0079】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
Ra、Rb、Rc及びRdは、独立してC1~C4アルキルである。
【0080】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
R3a、R3b、R3c及びR3dは、独立して水素又はハロゲンであり、例えば、水素であり、
例えば、R3a及びR3dは、独立して水素又はハロゲンであり、R3b及びR3cは、独立して水素であり、
また例えば、R3aは、水素又はハロゲンであり、R3b、R3c及びR3dは、独立して水素である。
【0081】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
式Iで表されるベンゾアゼンピン化合物は、式I-1又は式I-2で表されるベンゾナイトリック複素環式化合物であり、
【0082】
【0083】
ただし、X1及びX2は、独立して
【0084】
【0085】
(R2が=Oである場合、
【0086】
【0087】
である)、
【0088】
【0089】
、
【0090】
【0091】
又は
【0092】
【0093】
であり、
好ましくは、式I-1で表されるベンゾナイトリック複素環式化合物である。
【0094】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
環Aは、7員ヘテロシクロアルキルであり、
環Aにおいて、前記
【0095】
【0096】
と連結されたNは、前記ベンゼン環のオルト位又はパラ位に位置し、また例えば、オルト位であり、
nは、0又は1であり、
R2は、独立して水素、ヒドロキシル、C1~C4アルキル、C1~C4アルキル-O-、(RaRb)N-又はO=であり、例えば、水素、ヒドロキシル、C1~C4アルキル、(RaRb)N-又はO=であり、また例えば、水素、ヒドロキシル、C1~C4アルキル、又はO=であり、
R1a、R1b、R1c及びR1dは、独立して水素、ハロゲン又はR1-L-であり、
-L-は、独立して結合又は-O-であり、
R1は、独立してC1~C6アルキル、C3~C7シクロアルキル、C6~C10アリール、(RcRd)N-、3~7員ヘテロシクロアルキル又は5~10員ヘテロアリールであり、
R4及びR5は、独立して水素又はハロゲンであり、
R3a、R3b、R3c及びR3dは、独立して水素又はハロゲンであり、
好ましくは、R1-L-は、C1~C6アルキル-O-、C3~C7シクロアルキル、C6~C10アリール、C6~C10アリール-(C1~C4アルキル)-、(RcRd)N-、3~7員ヘテロシクロアルキル又は5~10員ヘテロアリールである。
【0097】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
環Aは、
【0098】
【0099】
であり、Yは、結合又は
【0100】
【0101】
であり、Xは、C、N、O又はSであり、
nは、0又は1であり、
R2は、独立して水素、ヒドロキシル、C1~C4アルキル、C1~C4アルキル-O-、(RaRb)N-又はO=であり、例えば、水素、ヒドロキシル、C1~C4アルキル、(RaRb)N-又はO=であり、また例えば、水素、ヒドロキシル、C1~C4アルキル、又はO=であり、
R1a、R1b、R1c及びR1dは、独立して水素、ハロゲン、C1~C6アルキル-O-、C3~C7シクロアルキル、C6~C10アリール、C6~C10アリール-(C1~C4アルキル)-、(RcRd)N-、3~7員ヘテロシクロアルキル又は5~10員ヘテロアリールであり、例えば、水素、フッ素又はC1~C6アルキル-O-であり、
R4及びR5は、独立して水素であり、
R3a、R3b、R3c及びR3dは、独立して水素又はハロゲンであり、例えば、R3a及びR3dは、独立して水素又はハロゲンであり、R3b及びR3cは、独立して水素であり、また例えば、R3aは、水素又はハロゲンであり、R3b、R3c及びR3dは、独立して水素である。
【0102】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
環Aは、
【0103】
【0104】
であり、X1は、独立して
【0105】
【0106】
、
【0107】
【0108】
、
【0109】
【0110】
又は
【0111】
【0112】
であり、
nは、0又は1であり、
R2は、独立して水素、ヒドロキシル、C1~C4アルキル又はO=であり、
R1a、R1b、R1c及びR1dは、独立して水素、フッ素又はC1~C6アルキル-O-であり、例えば、R1a、R1b、R1c及びR1dの1つ又は2つは、独立してフッ素又はC1~C6アルキル-O-であり、残りは、水素であり、
また例えば、R1a、R1b、R1c及びR1dの1つ又は2つは、独立してC1~C6アルキル-O-であり、残りは、水素であり、又はR1cは、フッ素であり、残りは、水素であり、
R3a、R3b、R3c、R3d、R4及びR5は、独立して水素である。
【0113】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
環Aは、
【0114】
【0115】
、
【0116】
【0117】
、
【0118】
【0119】
、
【0120】
【0121】
又は
【0122】
【0123】
であり、a側は前記ベンゼン環と縮合環の連結である。
【0124】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
R1a、R1b、R1c及びR1dは、独立して水素、フッ素、塩素、臭素、メトキシ、シクロプロピル、フェニル、
【0125】
【0126】
、
【0127】
【0128】
又は
【0129】
【0130】
であり、例えば、水素、フッ素、メトキシである。
【0131】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
R2は、独立して水素、ヒドロキシル、メチル、メトキシ、
【0132】
【0133】
又はO=である。
【0134】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
R4及びR5は、独立して水素又はフッ素であり、例えば、水素である。
【0135】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物の特定の基は下記のように定義され(言及されていない基は本出願のいずれか一つのスキームに記載された通りである)、
R3a、R3b、R3c及びR3dは、独立して水素又はフッ素であり、
例えば、R3aは、水素又はフッ素であり、R3b、R3c及びR3dは、独立して水素である。
【0136】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物は、下記いずれかの構造から選択される。
【0137】
【0138】
本発明において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物又はその薬学的に許容される塩は1つ又は複数のキラル炭素原子を有するため、分離して光学的に純粋な異性体を得ることができ、例えば、純粋なエナンチオマー、又はラセミ体、又は混合異性体である。純粋な単一異性体は、塩へのキラル結晶化、又はキラル分取カラム分離のような当技術分野における分離方法によって得ることができる。
【0139】
本発明において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物又はその薬学的に許容される塩は結晶形又は非晶質の形態で存在することができる。用語「結晶形」とは、その中のイオン又は分子が確定された方法で三次元空間において厳密に周期的に配置され、また一定の間隔で周期的に繰り返される規則性を持つことを指し、上記周期的な配置の違いにより、複数の結晶形、即ち結晶多形現象が存在する可能性がある。用語「非晶質」とは、イオン又は分子が無秩序な分布状態にあることを指し、即ちイオン、分子の間に周期的な配列規則性を有しない。
【0140】
本発明において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物又はその薬学的に許容される塩は立体異性体が存在する場合、単一の立体異性体又はそれらの混合物(例えば、ラセミ体)の形態で存在することができる。用語「立体異性体」とは、シス-トランス異性体又は光学異性体を指す。これらの立体異性体は、不斉合成法又はキラル分離法(薄層クロマトグラフィー、ロータリークロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィーなどを含むが、これらに限定されない)によって分離・精製・濃縮することができ、更に他のキラル化合物との結合(化学結合など)及び塩形成(物理結合など)によるキラル分割することにより得ることも可能である。用語「単一の立体異性体」とは、化合物の全部の立体異性体に対する本発明の化合物の1つの立体異性体の質量含有率が95%以上であることを指す。
【0141】
本発明において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環化合物又はその薬学的に許容される塩は互変異性体が存在する場合、単一の互変異性体又はそれらの混合物の形態で存在することができ、好ましくは、主に比較的安定な互変異性体の形態で存在する。
【0142】
本発明はまた、同位体標識の本発明に記載の式Iで表されるベンゾナイトリック複素環化合物又はその薬学的に許容される塩を含み、ここで1つ又は複数の原子は、1つ又は複数の特定の原子質量又は質量数の原子によリ置換される。本発明の化合物に組み込まれることができる同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、フッ素、硫黄及び塩素の同位体(例えば、2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、18F、35S及び36Cl)などが含まれるが、これらに限定されない。本発明の同位体標識化合物は、化合物、そのプロドラッグ及び代謝産物の組織分布の測定に使用することができ、このような測定に使用される同位体は、好ましくは3H及び14Cを含む。更に、場合によってはより重い同位体(例えば、重水素(2H又はD))により置換することにより、代謝安定性が向上し、体内半減期の延長又は必要投与量の減少などの治療上の利点が得られる。
【0143】
本発明の同位体標識化合物は、一般に明細書に記載の方法に従って、非同位体標識試薬を同位体標識試薬に置き換えることによって製造することができる。
【0144】
本発明において、式Iで表されるベンゾナイトリック複素環化合物又はその薬学的に許容される塩は、化学分野における通常の方法と類似な方法によって合成することができ、そのステップ及び条件は当技術分野における類似な反応ステップ及び条件を参照することができ、特に明細書の記載によって合成される。出発物質は通常市販から入手でき、例えば、Aldrich又は当業者に公知の方法(SciFinder、Reaxysオンラインデータベースから取得する)を使用して簡単に製造することができる。
【0145】
本発明において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環化合物又はその薬学的に許容される塩は、すでに製造された前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環化合物又はその薬学的に許容される塩を当技術分野の通常の方法を使用し、周辺修飾を経て、他の前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環化合物又はその薬学的に許容される塩を得ることができる。
【0146】
式Iで表されるベンゾナイトリック複素環化合物又はその薬学的に許容される塩を製造するために必要な原料又は試薬は、市販によって入手するか、又は当技術分野の通常の合成方法によって製造することができる。下記の実験部分に記載の方法によって、遊離塩基又はその酸付加塩の本発明の化合物を製造することができる。用語薬学的に許容される塩とは、本明細書で定義される薬学的に許容される塩を指し、親化合物のすべての効果を有する。薬学的に許容される塩は、対応する酸を有機塩基の適切な有機溶媒に添加し、通常の方法に従って処理することにより製造することができる。
【0147】
塩形成の実例には、塩基付加塩の場合、水性媒体において、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物又はアルコキシド(例えば、エトキシド又はメトキシド)又は適切な塩基性有機アミン(例えば、ジエタノールアミン、コリン又はメグルミン)を使用して適切な酸性プロトンを有する本発明の化合物を処理することにより、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム又はリチウム)又はアルカリ土類金属(例えば、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛又はビスマス)の塩を製造することが含まれる。
【0148】
又は、酸付加塩の場合、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸と塩であり、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシナフトエ酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、シュウ酸、ピルビン酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコフラン酸、2-ナフタレンスルホン酸、プロピオン酸、サリチル酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、桂皮酸、p-トルエンスルホン酸又はトリメチル酢酸などの有機酸との塩である。
【0149】
「本発明の化合物」又は「本発明に記載の化合物」は、任意の式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物又はその薬学的に許容される塩を含む。本発明の化合物はまた、水合物又は溶媒和物の形態で存在することができる。
【0150】
本発明はまた、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環化合物の製造方法を提供し、それは下記ステップを含む:溶媒において、式IIで表される化合物をヒドロキシルアミンと下記に示されるヒドロキシル化反応させて、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物を得、
【0151】
【0152】
ただし、*、環A、n、R2、R1a、R1b、R1c、R1d、R3a、R3b、R3c、R3d、R4及びR5の定義はいずれも前記に記載された通りであり、R6は、C1~C6アルキル(例えば、C1~C4アルキルであり、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルであり、また例えば、メチル又はエチル)である。
【0153】
前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環化合物の製造方法において、前記ヒドロキシル化反応の条件及び操作は、当技術分野における当該反応の通常の条件及び操作であってもよく、本発明では、好ましくは、下記の通りである。
【0154】
ただし、前記溶媒は、アルコール系溶媒であってもよく、例えば、メタノール及び/又はエタノールである。
【0155】
前記溶媒の量は、反応に影響を及ぼさない範囲であればよく、例えば、前記式IIで表される化合物と前記溶媒の質量体積比は、0.1g/L~20g/L(例えば、5g/L~15g/L)である。
【0156】
前記式IIで表される化合物と前記ヒドロキシルアミンのモル比は、1:5~1:50(例えば、1:40~1:48)であってもよい。
【0157】
前記ヒドロキシル化反応の温度は室温~80℃(例えば、10~30℃)であってもよい。
【0158】
前記ヒドロキシル化反応のプロセスは当技術分野における通常のモニタリング方法(例えば、TLC、HPLC又はNMR)によってモニターすることができ、一般的には、前記式IIで表される化合物の消失又は反応しない時点をモニターすることを反応の終点とする。
【0159】
前記製造方法はまた後処理を含むことができ、前記後処理は、前記ヒドロキシル化反応が完了した後、pHを中性に調節し、濃縮し、有機溶剤を加え、水で洗浄し(ヒドロキシルアミンを除去)、有機相で乾燥させ、濃縮し、分離・精製するステップを含み、前記pHを中性に調節する時、1N塩酸などの通常の酸を使用してもよく、前記有機溶媒は、エステル溶媒であってもよく、例えば、酢酸エチルである。前記分離・精製は、好ましくは、カラムクロマトグラフィー分離又は結晶化であり、前記結晶化の溶媒はアルコール溶媒(例えば、エタノール)及び水の混合溶媒であってもよい。
【0160】
前記製造方法は更に下記のステップを含む:溶媒において、塩基の存在下で、式IIIで表される化合物と式IVで表される化合物を下記に示されるカップリング反応させて、前記式IIで表される化合物を得、
【0161】
【0162】
ただし、R6、*、環A、n、R2、R1a、R1b、R1c、R1d、R3a、R3b、R3c、R3d、R4及びR5の定義はいずれも上記に記載した通りであり、Xは、ハロゲン(例えば、臭素又は塩素)である。
【0163】
前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環化合物の製造方法において、前記カップリング反応の条件及び操作は、当該分野における当該反応の通常の条件及び操作であってもよく、本発明では、好ましくは、下記の通りである:
ただし、前記溶媒は、アミド溶媒であってもよく、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)である。
【0164】
前記溶媒の量は、反応に影響を及ぼさない範囲であればよく、例えば、前記式IIで表される化合物と前記溶媒の質量体積比は、1g/L~50g/L(例えば、35g/L~45g/L)である。
【0165】
前記式IIIで表される化合物と前記式IVで表される化合物のモル比は、0.8:1~1:0.8(例えば、1:1)であってもよい。
【0166】
前記塩基は、無機塩基及び/又は有機塩基であってもよく、前記無機塩基は、アルカリ金属炭酸塩であってもよく、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸リチウムの中の1つ又は複数である。
【0167】
前記塩基と前記式IVで表される化合物のモル比は、0.8:1~3:1(例えば、1:1~2:1であり、また例えば、1.5:1である)であってもよい。
【0168】
前記カップリング反応の温度は室温~150℃(例えば、80~120℃であり、また例えば、100℃であり)であってもよい。
【0169】
前記カップリング反応のプロセスは当技術分野の通常のモニタリング方法(例えば、TLC、HPLC又はNMR)によってモニターすることができ、一般的には、式IIIで表される化合物又は式IVで表される化合物の消失又は反応しない時点をモニターすることを反応の終点とする。
【0170】
前記製造方法はまた後処理を含むことができ、前記後処理は、前記カップリング反応が完了した後、水を加え、有機溶剤で抽出し、有機相を乾燥させ、濃縮し、分離・精製するステップを含むことができ、前記有機溶媒は、酢酸エチルなどのエステル溶媒であってもよい。前記分離・精製は、好ましくは、カラムクロマトグラフィー分離又は結晶化であり、前記カラムクロマトグラフィーの充填剤はシリカゲル充填剤であってもよい。
【0171】
本発明はまた、式IIで表される化合物を提供し、
【0172】
【0173】
ただし、R6、*、環A、n、R2、R1a、R1b、R1c、R1d、R3a、R3b、R3c、R3d、R4及びR5の定義はいずれも上記で記載した通りである。
【0174】
いくつかの実施の態様において、前記式IIで表される化合物は下記のいずれかの構造であってよい。
【0175】
【0176】
本発明は、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物又はその薬学的に許容される塩、及び1つ又は複数の薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物を提供する。前記医薬組成物において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物又はその薬学的に許容される塩の量は、治療有効量であってもよい。
【0177】
前記薬学的に許容される担体(医薬賦形剤)は、医薬製造の分野で広く使用されている賦形剤であってもよい。賦形剤は主に、安全的、安定的で機能的な医薬組成物を提供するために使用され、更に対象が投与後に有効成分を所望の速度で溶解できるようにする方法、又は対象への組成物の投与後の有効成分の効果的な吸収が促進されるようにする方法を提供することができる。前記医薬賦形剤は、不活性充填剤であってもよく、又は組成物の全体的なpHを安定化する又は組成物の有効成分の分解を防ぐなどの特定の機能を提供することができる。前記医薬賦形剤は、結合剤、懸濁化剤、乳化剤、希釈剤、充填剤、造粒剤、接着剤、崩壊剤、潤滑剤、粘着防止剤、流動促進剤、湿潤剤、ゲル化剤、吸収遅延剤、溶解阻害剤、エンハンサー、吸着剤、緩衝剤、キレート剤、防腐剤、着色剤、香料、甘味料の中の1つ又は複数の賦形剤を含んでもよい。
【0178】
本発明の医薬組成物は、開示された内容に従って当業者に公知の任意の方法を使用して製造することができる。例えば、通常の混合、溶解、造粒、乳化、沈降、封入、捕捉又は凍結乾燥工程である。
【0179】
本発明の医薬組成物は、注射(静脈内)、粘膜、経口(固体及び液体製剤)、吸入、眼、直腸、局所又は非経口(輸液、注射、移植、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内)投与などを含む、任意の形態で投与することができる。本発明の医薬組成物はまた、制御放出剤形又は遅延放出剤形(例えば、リポソーム又はミクロスフェア)であってもよい。固形経口製剤の実例は、粉末、カプセル、カプレット、ソフトカプセル及び錠剤などを含むが、これらに限定されない。経口又は粘膜投与用の液体製剤の実例は、懸濁液、エマルジョン、エリキシル及び溶液などを含むが、これらに限定されない。局所用製剤の実例は、エマルジョン、ゲル、軟膏、クリーム、パッチ、ペースト、フォーム、ローション、ドロップ又は血清製剤などを含むが、これらに限定されない。非経口投与の製剤の実例は、注射用溶液、薬学的に許容される担体に溶解又は懸濁することができる乾燥製剤、注射用懸濁液及び注射用エマルジョンなどを含むが、これらに限定されない。前記医薬組成物の他の適切な製剤の実例は、点眼剤及び他の眼科用製剤、エアロゾル、鼻スプレー又は吸入剤、非経口投与に適した液体剤形、座薬及び錠剤などを含むが、これらに限定されない。
【0180】
本発明はまた、HDAC阻害剤の製造における、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物又はその薬学的に許容される塩、又は前記医薬組成物の使用を提供する。前記HDACは、好ましくは、HDAC6である。
【0181】
前記使用において、前記HDAC阻害剤は、哺乳動物体内において使用することができ、また、生体外で、主に実験に使用することができ、例えば、標準試料又は対照試料として比較を提供し、又はHDAC6の阻害効果を迅速に検出するために、当技術分野の通常の方法に従ってキットを製造する。
【0182】
本発明はまた、医薬の製造における、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物又はその薬学的に許容される塩、又は上記に記載の医薬組成物の使用を提供する。前記医薬は、癌、神経疾患又は自己免疫疾患を予防及び/又は治療するための医薬であってもよく、又は前記医薬は、HDACに関連する疾患又は病症を予防及び/又は治療するための医薬であってもよい。
【0183】
本発明はまた、HDACに関連する疾患又は病症を予防及び/又は治療するための医薬の製造における、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物又はその薬学的に許容される塩、又は前記医薬組成物の使用を提供し、前記HDACは好ましくは、HDAC6であり、前記HDACに関連する疾患又は病症は、癌、神経疾患又は自己免疫疾患であってもよく、前記医薬は、HDACの発現及び/又は活性を調節することにより、癌、神経疾患又は自己免疫疾患を予防及び/又は治療することができる。
【0184】
本発明はまた、癌、神経疾患又は自己免疫疾患(例えば、HDACに関連し、前記HDACは好ましくは、HDAC6である)を予防及び/又は治療するための方法を提供し、前記方法は、必要とする個体、例えば、ヒトに治療有効量の前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物又はその薬学的に許容される塩、又は前記医薬組成物を投与することを含む。
【0185】
本明細書はまた、体外又は体内で細胞増殖又は癌を阻害する方法を提供し、前記方法は、細胞を有効量の本明細書に記載の式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物又はその薬学的に許容される塩、又は上記に記載の医薬組成物と接触させることを含む。
【0186】
前記癌は、卵巣癌、結腸癌、乳癌、肝臓癌、膵臓癌、胆嚢癌、胃腸癌、頭頸部癌、子宮頸癌、前立腺癌、肺癌、黒色腫、胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、膠芽腫、骨髄腫、神経芽細胞腫由来のCNS腫瘍、単球性白血病、B細胞由来の白血病、T細胞由来の白血病、B細胞由来のリンパ腫、T細胞由来のリンパ腫及びマスト細胞由来の腫瘍、及びその組み合わせであってもよい。
【0187】
前記神経疾患は、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、レット症候群)、末梢神経障害(例えば、腓骨筋萎縮症、巨大軸索神経障害(GAN))、又はその組み合わせであってもよい。
【0188】
前記自己免疫疾患は、乾癬、炎症性疾患(例えば、変形性関節症、関節リウマチ、大腸炎)、免疫調節によって治療可能な病症(例えば、多発性硬化症、自己免疫性糖尿病、狼瘡、アトピー性皮膚炎、アレルギー、喘息、アレルギー性鼻炎、炎症性腸疾患)であってもよい。
【0189】
医薬として使用する場合、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物又はその薬学的に許容される塩は医薬組成物の形態で投与されてもよい。これらの組成物は、薬学分野で公知の方法に従って製造されてもよく、局所又は全身治療の必要性及び治療する部位に応じて、様々な経路で投与してもよい。投与は、局所(表皮及び経皮、眼及び粘膜を含み、鼻腔内、膣及び直腸送達を含む)、肺(例えば、粉末又はエアロゾルによる吸入又は吹送、スプレーヤーによる気管内又は鼻腔内投与を含む)、経口又は非経口投与の形態であってもよい。経口投与は、1日1回又は1日2回(BID)投与用に調製された剤形を含んでもよい。非経口投与は、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、筋肉内注射又は注入、又は髄腔内などの頭蓋内又は脳室内投与を含む。非経口投与は、単回ボーラス投与の形態であってもよく、又は連続注入ポンプによる投与であってもよい。局所投与用の医薬組成物及び製剤は、経皮パッチ、膏薬、エマルジョン、軟膏、ゲル、ドロップ、坐剤、スプレー、液体及び粉末を含んでもよい。従来のの薬学的担体、水、粉末又は油性基質、増粘剤などが必要又は要求される可能性がある。
【0190】
明細書で使用される用語「治療」とは、治療又は緩和措置を指す。有益な又は望ましい臨床結果は、疾患又は障害又は病症に関連する症状全部又は一部を軽減し、疾患の程度を軽減し、病状を安定させ(即ち、悪化しない)、病気の進行を遅延又は減速し、疾患状態を緩和又は軽減(例えば、疾患の1つ又は複数の症状)し、及び検出可能又は検出不可能な緩和(一部又は全部)などを含むが、それらに限定されない。「治療」は、治療を行わない場合に予想される生存期間と比較して、生存期間を延長することを意味してもよい。
【0191】
いくつかの実施形態において、前記式Iで表されるベンゾナイトリック複素環式化合物又はその薬学的に許容される塩、又は前記医薬組成物は、本明細書で限定される疾患及び病症(例えば、自己免疫疾患、神経疾患及び癌)を予防するために使用されてもよい。本明細書で使用される用語「予防」とは、本明細書に記載の疾患又は病症又はその症状の発症、再発又は拡大の全部又は一部を予防することを指す。
【0192】
用語「薬学的助剤」又は「賦形剤」とは、薬学的に許容される化学物質を指し、例えば、薬学分野の当業者に公知の薬の投与を補助するため試薬である。これは、医薬組成物の製造に使用してもよい化合物であり、一般に安全で無毒であり、且つ生物学又はその他の面で望ましくなく、動物用及びヒト用の医薬に許容される賦形剤を含む。通常の賦形剤は、結合剤、界面活性剤、希釈剤、崩壊剤及び潤滑剤を含む。
【0193】
別途に説明しない限り、本明細書には以下の定義を使用される。本発明の目的のために、化学元素は、元素のCAS版周期表、及び「化学と物理のハンドブック」、第75版、1994年と一致している。また、有機化学の一般原則は、「Organic Chemistry」、Thomas Sorrell、 University Science Books、Sausalito:1999、及び「March’s Advanced Organic Chemistry」by Michael B. Smith and Jerry March、John Wiley&Sons、New York:2007の記載を参考してもよく、その内容全体が引用により明細書に組み込まれる。
【0194】
本明細書において、基及びその置換基は、安定な構造部分及び化合物を提供するために当業者によって選択されてもよい。置換基が左から右に書かれた通常の化学式によって記載される場合、当該置換基は、構造式を右から左に書かれた場合に得られる化学的に等価な置換基も含まれる。
【0195】
本明細書で定義される特定の化学基の前には、その基に存在する炭素原子の総数を示す簡略記号が付けられている。例えば、C1~C6アルキルは、合計1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有する、下記に定義されるアルキルを指す。簡略記号における炭素原子の総数には、前記基の置換基に存在してもよい炭素は含まれない。
【0196】
本明細書において、置換基で定義された数値範囲は、例えば、0~4、1~4、1~3などは当該範囲内の整数を示し、例えば、1~6は1、2、3、4、5、6である。
【0197】
上記に加えて、本出願の明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、特に別途に説明しない限り、以下の用語は下記に示される意味を有する。
【0198】
用語「1つ又は複数」又は「1つ又は2つ以上」とは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又はそれ以上を指す。
【0199】
用語「含む」とは、自由な定義であり、即ち本発明で特定された内容を含むが、他の側面を排除するものではない。
【0200】
用語「置換された」とは、特定の原子における任意の一つ又は複数の水素原子が置換基で置換されたことを指し、特定の原子の原子価状態が正常でかつ置換後の化合物が安定していれば、重水素及び水素の変形体を含む。
【0201】
一般に、用語「置換された」は、所与の構造中の1つ又は複数の水素原子が特定の置換基で置換されていることを表す。更に、当該置換基が1つ以上の前記置換基により置換された場合、前記置換基は互いに独立しており、即ち、前記1つ以上の置換基は互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。特に明記しない限り、置換基は、置換基の各置換可能な位置で置換されてもよい。所与の構造式の複数の位置が、特定の基から選択される1つ又は複数の置換基により置換され得る場合、置換基は、同じ又は異なる方法で各位置で置換されてもよい。
【0202】
本明細書の様々な部分において、本発明で開示される化合物の置換基は、基の種類又は範囲に従って開示される。特に、本発明は、これらの基の種類及び範囲の各メンバーのそれぞれの独立した二次的組み合わせを含む。用語「Cx~Cyアルキル」とは、x~y個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖飽和炭化水素を指す。例えば、用語「C1~C6アルキル」又は「C16アルキル」は、独立して開示されたメチル、エチル、C3アルキル、C4アルキル、C5アルキル及びC6アルキルを指し、「C1-4アルキル」は、独立して開示されたメチル、エチル、C3アルキル(即ち、n-プロピル及びイソプロピルを含むプロピル)、C4アルキル(即ち、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルを含むブチル)を指す。
【0203】
用語「ハロゲン」は、F、Cl、Br又はIから選択され、特にF又はClを指す。
【0204】
用語「アルコキシ」とは、基-O-RXを指し、ここで、RXは上記で定義したアルキルである。
【0205】
本出願において、基又は他の基の一部として(例えば、ハロゲンにより置換されたアルキルなどの基)、用語「アルキル」は、特定の数の炭素原子数を含む分岐鎖又は直鎖の飽和脂肪族炭化水素を指し、例えば、1~20個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖飽和炭化水素鎖であり、また例えば、C1~C6アルキルである。「C1~C6アルキル」で定義されるように、それは、直鎖又は分枝鎖構造中に1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有する基を含む。ここで、プロピルはC3アルキル(n-プロピル又はイソプロピルなどの異性体を含む)であり、ブチルはC4アルキル(n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチルなどの異性体を含む)であり、ペンチルはC5アルキル(n-ペンチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-プロピル、2-メチル-1-ブチル、3-メチル-1-ブチル、イソペンチル、tert-アミル又はネオペンチルなどの異性体を含む)であり、ヘキシルはC6アルキル(n-ヘキシル、1-エチル-2-メチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチルなどの異性体を含む)である。また、ヘプチルはC7アルキル(n-ヘプチル、2,4-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルペンチル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチルなどの異性体を含む)である。オクチルはC8アルキル(n-オクチル、2,3-ジメチルヘキシル、2,4-ジメチルヘキシル、2,5-ジメチルヘキシル、2,2-ジメチルヘキシル、3,3-ジメチルヘキシル、4,4-ジメチルヘキシル、2-エチルヘキシル、3-エチルヘキシル、4-エチルヘキシル、2-メチル-2-エチルペンチル、2-メチル-3-エチルペンチルなどの異性体を含む)。ノニルはC9アルキル(n-ノニル、2-メチル-2-エチルヘキシル、2-メチル-3-エチルヘキシル、2,2-ジエチルペンチルなどの異性体を含む)である。デシルはC10アルキル(n-デシル、3,3-ジエチルヘキシル、2,2-ジエチルヘキシルなどの異性体を含む)である。いくつかの実施形態において、前記「アルキル」は、好ましくは、1~6個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖アルキルである。いくつかの実施形態において、前記「アルキル」とは、C1~C6アルキルを指す。いくつかの実施形態において、前記「アルキル」とは、C1~C4アルキルを指す。
【0206】
本明細書で使用される用語「部分」、「構造部分」、「化学部分」、「基」、「化学基」とは、分子中の特定の断片又は官能基を指す。化学部分は通常、分子に埋め込まれた、又は結合した化学物質であると認識されている。
【0207】
列挙された置換基が、一般式に含まれるが具体的に言及されていない化合物にどの原子を介して結合しているかを明示していない場合、そのような置換基は、その原子のいずれかを介して結合されてもよい。置換基及び/又はその異性体の組み合わせは、このような組み合わせで安定した化合物になる場合のみ許容される。
【0208】
列挙された基が置換基を有することを明示していない場合、そのような基は非置換のもののみを指す。例えば、「C1~C4アルキル」が「置換又は非置換」によって限定されない場合、「C1~C4アルキル」自体又は「非置換C1~C4アルキル」のみを指す。
【0209】
本発明の様々な部分において、連結置換基を記載した。当該構造が明らかに連結基を必要とする場合、その基に対してリストされているマーカッシュ変数は連結基として理解する必要がある。例えば、当該構造が連結基を必要とし、この変数のマーカッシュ基の定義に「アルキル」が挙げられている場合、「アルキル」は連結されたアルキレンを表すと理解されるべきである。
【0210】
いくつかの特定の構造において、アルキル基が連結基として明確に表されている場合、アルキル基は、連結されたアルキレンを表し、例えば、「ハロ-C1~C6アルキル」のC1~C6アルキルは、C1~C6アルキレンとして理解されるべきである。
【0211】
用語「アルキレン」とは、飽和直鎖又は分枝鎖炭化水素から2個の水素原子を除去することによって得られる飽和二価炭化水素基を表す。アルキレンの実例は、メチレン(-CH2-)、エチレン{-CH2CH2-又は-CH(CH3)-を含む}、イソプロピリデン{-CH(CH3)CH2-又は-C(CH3)2-を含む}などを含む。
【0212】
用語「シクロアルキル」とは、炭素原子及び水素原子のみで構成された飽和単環式又は多環式炭素環置換基を指し、且つ任意の適切な炭素原子を介して単結合により分子の残りの部分に結合してもよく、多環式の場合、縮合結合、架橋結合又はスピロ結合(即ち、炭素原子における2つのgem水素がアルキレンにより置換される)の縮合環系、架橋環系又はスピロ環系であってもよい。いくつかの実施の態様において、典型的な単環式シクロアルキルは、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルである。
【0213】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、ヘテロ原子を含む飽和環状基を指し、独立してN、O、S、S(=O)及びS(=O)2から選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含み、その残りが炭素で構成される安定な3~10員の飽和複素環式基である。本明細書で特に説明しない限り、ヘテロシクロアルキル基は、単環式(「単環式ヘテロシクロアルキル」)、二環式、三環式又は多環式環系であってもよく、又は縮合、架橋又はスピロ環系(例えば、二環式系(「二環式ヘテロシクロアルキル)」)を含んでもよい。二環式ヘテロシクロアルキルの環系は、1つ又は2つの環において1つ又は複数のヘテロ原子を含んでもよく、且つ飽和している。例示的な3員ヘテロシクリル基は、アジリジニル、オキシラニル及びチアシクロプロピル、又はその立体異性体などを含むが、これらに限定されなく、例示的な4員ヘテロシクリル基は、アゼチジニル、エポキシプロピル、チアシクロブチル、又はその異性体及び立体異性体などを含むが、これらに限定されなく、例示的な5員ヘテロシクリル基は、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピロリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ジオキソラニル、オキサチオフリル、ジチオフリル、又はその異性体及び立体異性体などを含むが、これらに限定されない。例示的な6員ヘテロシクリルには、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、チオシクロペンチル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジチアニル、ジオキサニル、ピペラジニル、トリアジニル、又はその異性体及び立体異性体などを含むが、これらに限定されなく、例示的な7員ヘテロシクリル基は、アゼパニル、オキサシクロヘプチル、チオシクロヘプチル、及びジアゼシクロヘプチル、又はその異性体及び立体異性体などを含むが、これらに限定されない。またいくつかの実施の態様において、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロトリアゾロピラジニル又はジアゼパニルである。いくつかの実施の態様において、典型的な独立してN、O及びSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含む5~6員の単環式ヘテロシクリルである。いくつかの実施の態様において、「ヘテロシクロアルキル」は、4~6員のヘテロシクロアルキルであり、ここで、ヘテロ原子はN、O及びSの中の1つ又は複数から選択され、ヘテロ原子の数は1、2又は3個である。
【0214】
用語「アリール」とは、完全に共役したπ電子系を持つ全炭素芳香族基を指し、単環式又は縮合環であってもよく、通常6~14個の炭素原子を有し、好ましくは、6~12個の炭素原子を持ち、最も好ましくは6個の炭素原子を持つ。アリールの実例は、フェニル、ナフチル及びアントラシルなどを含むが、これらに限定されない。
【0215】
用語「ヘテロアリール」とは、ヘテロ原子を含む芳香族基を指し、単環式又は縮合環であってもよく、好ましくは、独立してN、O及びSから選択される1~4つのヘテロ原子を含み、ピロリル、フリル、チエニル、インドリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、キノリル、イソキノリニル、(ベンゾ)オキサゾリル、(ベンゾ)フラニル、(ベンゾ)チエニル、(ベンゾ)チアゾリル、トリアゾリルなどを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施の態様において、典型的な独立してN、O及びSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含む5~6員の単環式ヘテロアリールである。いくつかの実施の態様において、「ヘテロアリール」は、5~6員のヘテロアリールであり、ここで、ヘテロ原子はN、O及びSの中の1つ又は複数から選択され、ヘテロ原子の数は1、2又は3個である。
【0216】
別途に説明しない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、請求される主題が属する技術分野における標準的な意味を有する。1つの用語に複数の定義が存在する場合は、明細書に記載されている定義が優先される。
【0217】
別途に説明しない限り、本発明で使用される「1つ」などの単数形は、複数の指示対象を含むことを理解されるべきである。また、用語「含む」とは、閉鎖的限定ではなく開放性限定であり、即ち本発明で特定された内容を含むが、他の側面を排除するものではない。
【0218】
別途に説明しない限り、本発明は、質量分析及び元素分析の通常の方法を採用し、各ステップ及び条件は、当技術分野における通常の操作ステップ及び条件を参照してもよい。
【0219】
別途に説明しない限り、本発明は、分析化学、有機合成化学及び光学の標準的な命名法及び標準的な実験手順及び技術を使用している。場合によっては、標準的な技術は、化学合成、化学分析、発光デバイスの性能試験に使用される。
【0220】
なお、別途に説明しない限り、本発明で使用される「独立して…である」という記述方法は、広い意味で理解されるべきであり、記載された各個体が互いに独立しており、独立して同じ又は異なる特定の基であってもよいことを指す。より詳細的には、記載方法「…独立して」は、異なる基において同じ記号で表される特定の選択肢が互いに影響しないことを指し、また、同じ基において、同じ記号で表される特定の選択肢が互いに影響を与えないことも表す。
【0221】
当業者は、当技術分野で使用される慣例によれば、本出願に記載の基の構造式で使用される「
【0222】
【0223】
」とは、対応する基がこのサイトを介して化合物内の他のフラグメント及び基と接続されることを指す。
【0224】
当分野の通常の知識に違反しない限り、前記好ましい条件は、任意に組み合わせて、本発明の各好ましい実施例を得ることができる。
【0225】
本発明で使用される試薬及び原料は市販品として入手できる。
【0226】
本発明の積極的な進歩的効果:薬理学的実験は、本発明に記載のベンゾナイトリック複素環式化合物は下記で示される有益な効果を有することを示した。
【0227】
1)本発明の化合物は、HDAC6に対してより高い阻害活性を有し(化合物のほぼ半分が、HDAC6阻害活性に対してIC50<10nMであり)、且つより優れた選択的阻害活性を示し(HDAC1に対する阻害活性IC50はいずれも>250nMであり、HDAC1/HDAC6に対する選択性は、ほとんどの場合30倍以上であり、一部は50倍以上である)、HDAC6阻害剤の臨床第I/II相薬Rocilinostat(ACY-1215)よりも優れており、選択性はSW-100よりも優れている。
【0228】
2)本発明に記載の化合物は、複数の腫瘍細胞を効果的に阻害すると同時に、正常細胞に対する阻害効果が弱く、良好な細胞選択的阻害活性を示した。
【0229】
3)本発明の化合物は、細胞モデルにおいてHCA誘導ニューロン細胞の酸化ストレスに対して用量依存的な保護効果を示し、特定の神経保護効果を有することを示している。
【0230】
4)本発明に記載の化合物は、hERGに対する阻害活性が弱く、心毒性の可能性が低く、ラットの単回胃内投与は、耐性が高く、急性毒性が低い。
【0231】
5)特に、体内薬物代謝試験は、本発明の化合物が理想的な薬物動態特性を有し、より高い血液脳関門透過特性を有し、6員環陽性対照化合物SW-100及び5員環陽性対照化合物II-ING-39よりも脳透過性が優れている。
【0232】
要約すると、本発明に記載のベンゾナイトリック複素環式化合物の利点は、化合物がHDAC6に対して選択的且つ高い阻害活性を有し、心臓に影響を与える潜在的リスクが小さく、動物耐性が高く、体外で複数の腫瘍細胞に対してより優れた抗増殖活性を示し、同時に正常ヒト細胞に対する毒性が弱いことから、高効率で低毒性の標的抗腫瘍薬として使用されることが期待されている。同時に、本発明のベンゾナイトリック複素環式化合物は、体外で神経細胞に対する保護効果を有し、体内での薬物動態は高い血液脳関門透過特性を示し、神経変性疾患の治療薬としても使用することができる。
【0233】
本発明に記載の化合物は新規な構造を有し、化合物の有効性及び安全性は優れた進歩性を示している。本発明は、有意な新規性及び実質的な科学的進歩を有する。
【0234】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、HCA誘発神経毒性モデルにおける細胞生存率である。
【0235】
〔発明を実施するための形態〕
以下、実施例の形態によって更に本発明を説明するが、これによって本発明を前記実施例の範囲内に限定するわけではない。以下の実施例において、具体的な条件が記載されていない実験方法は、通常の方法及び条件、或いは商品の説明書に従って選ばれる。
【0236】
下記の実施例における、略語について説明する。
【0237】
DCM:ジクロロメタン;PE:石油エーテル;EA:酢酸エチル;DMF:N,N-ジメチルホルムアミド;THF:テトラヒドロフラン;MeOH:メタノール;p-TsCl:p-トルエンスルホニルクロリド;t-BuOK:カリウムtert-ブトキシド;ピリジン:ピリジン;トルエン:トルエン;concd:濃縮;PPA:ポリリン酸;DIBALH:水素化ジイソブチルアルミニウム。
【0238】
下記の実施例において、室温は10~30℃を指し、一晩は8~15時間を指し、例えば、12時間であり、eqは当量を指し、PE/EAなどの溶媒比は体積比を指す。
【0239】
本発明の化合物は、下記の一般的な合成法により製造されてもよい。
【0240】
一般的な方法1:
【0241】
【0242】
一般的な方法2:
【0243】
【0244】
一般的な方法3:
【0245】
【0246】
前記一般的な合成方法によって式Iの構造を含む化合物を得、更に溶媒において無機酸、有機酸と反応させてもよく、冷却して、対応する式Iの構造の化合物の塩を析出させた。
【0247】
上記製造方法で使用される原料、化合物及び試薬は、市販で購入することができる。
【0248】
実施例1:4-((8-クロロ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-イル)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド(T-1)の製造
一般的な合成方法1に従って製造し、合成スキーム図は下記に示された通りである。
【0249】
【0250】
4-クロロ-2-((4-メチルフェニル)スルホンアミド)安息香酸メチル(1-2)の合成
500mLの三口フラスコに4-クロロ-2-アミノ安息香酸メチル(25g、134.69mmol、1eq)、p-トルエンスルホニルクロリド(30.81g、1.2eq)、ピリジン(117.20g、11eq)を順次に加え、室温で12時間反応させた。濾過して黄色の固体を得、200mLのジクロロメタンで溶解させて透明にし、100mLの5%塩酸で2回洗浄し、100mLの水で1回洗浄し、有機相を乾燥させた後150mLの50%エタノールでスラリー化させて白色固体を得、乾燥重量は40.50gであり、収率は88.49%であった。
【0251】
4-クロロ-2-((N-(4-エトキシ-4-オキソブチル)-4-メチルフェニル)スルホンアミド)安息香酸メチル(1-3)の合成
1Lの三口フラスコに中間体1-2(36.40g、107.12mmol、1eq)を加え、300mlのDMFに溶解させ、4-ブロモ酪酸エチル(22.98g、1.1eq)、炭酸カリウム(41.45g、2.8eq)を加え、120℃で5時間撹拌した。室温に冷却し、500mlの水を加え、500mlの酢酸エチルで抽出し、有機相を分離して濃縮乾燥させ、カラムクロマトグラフィーで分離して35.32gの白色固体を得、収率は72.63%であった。
【0252】
8-クロロ-5-オキソ-1-トシル-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-4-カルボン酸エチル(1-4)の合成
1Lの三口フラスコにカリウムtert-ブトキシド(16.81g、149.80mmol、2eq)、400mlのトルエンを加え、75℃に加熱し、均一に撹拌した。中間体1-3(34.00g、74.90mmol、1eq)を200mlのトルエンに溶解させ、反応溶液にゆっくりと滴下し、1時間かけて滴下完了し、115℃に昇温させて1時間還流した。室温に冷却した後氷水混合物に注ぎ、有機相を分離し、水相を200mlのジクロロメタンで1回抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して乾燥させて32g赤色のオイル状物を得、精製せず直接に次のステップに使用した。
【0253】
8-クロロ-1-トシル-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[b]アゼピン-5-オン(1-5)の合成
500mlの三口フラスコに32gの中間体1-4粗生成物、45mlの濃塩酸、80mlの酢酸、10mlの水を加え、105℃に加熱して6時間還流させた。室温に冷却した後氷水混合物に注ぎ、10%のNaOHで中性に調節し、ジクロロメタンで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して乾燥させ、カラムクロマトグラフィーで精製して16.35gの無色のオイル状物を得、2段階収率は62.49%であった。
【0254】
8-クロロ-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[b]アゼピン-5-オン(1-6)の合成
250mlの三口フラスコに中間体1-5(8g、22.87mmol)、60gのポリリン酸を加え、90℃に加熱して2時間反応させた。飽和NaHCO3溶液で中性に調節し、ジクロロメタンで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して乾燥させ、カラムクロマトグラフィーで精製して4.13gの黄色固体を得、収率は92.31%であった。
【0255】
8-クロロ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン(1-7)の合成
100mlの三口フラスコに中間体1-6(3.00g、15.33mmol、1eq)、50mlの無水テトラヒドロフランを加え、氷水浴で冷却し、水素化アルミニウムリチウム(1.16g、2eq)をバッチで加え、添加完了後室温で2時間撹拌した。反応溶液を氷水混合物にゆっくりと注ぎ、30分間撹拌し、珪藻土で濾過し、濾液をジクロロメタンで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して乾燥させ、カラムクロマトグラフィーで精製して2.15gの黄色固体を得、収率は77.18%であった。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.51 - 1.57 (m, 2H), 1.64 - 1.70 (m, 2H), 2.61 - 2.64 (m, 2H), 2.92 (dt, J = 5.8, 3.5 Hz, 2H), 5.48 (t, J = 3.6 Hz, 1H), 6.67 (dd, J = 8.0, 2.2 Hz, 1H), 6.85 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 7.01 (d, J = 8.0 Hz, 1H). ESI-MS(+) m/z=182.00 [M+H]+。
【0256】
4-((8-クロロ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-イル)メチル)安息香酸(1-8)の合成
100mlの三口フラスコに中間体1-7(2.00g、11.01mmol、1eq)、4-(ブロモメチル)安息香酸メチル(2.52g、1eq)、炭酸カリウム(2.28g、1.5eq)、50mlのDMFを加え、100℃で4時間反応させた。室温に冷却し、100mlの水をを加え、100mlの酢酸エチルで抽出し、有機相を乾燥させた後カラムクロマトグラフィーで分離して2.90gの白色固体を得、収率は79.86%であった。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.55 - 1.61 (m, 4H), 2.78 - 2.81 (m, 2H), 2.89 - 2.91 (m, 2H), 3.84 (s, 3H), 4.41 (s, 2H), 6.84 (dd, J = 8.0, 2.1 Hz, 1H), 6.91 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.11 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.54 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.92 - 7.95 (m, 2H). ESI-MS(+) m/z=330.10 [M+H]+。
【0257】
4-((8-クロロ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-イル)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド(T-1)の合成
それぞれ20gのヒドロキシルアミン塩酸塩を200mlのメタノールに溶解させ、19gの水酸化カリウム(純度85%)を200mlのメタノールに溶解させ、氷水浴の冷却条件でゆっくりと均一に混合し、室温で2時間撹拌し、濾過して濾液としてヒドロキシルアミンのメタノール溶液を得た。100mlの三口フラスコに中間体1-8(2g、6.06mmol)、50mlのヒドロキシルアミンのメタノール溶液を加え、室温で一晩反応させた。1Nの塩酸でpHを中性に調節し、濃縮後酢酸エチルを加え、水で洗浄してヒドロキシルアミンを除去し、有機相を乾燥させた後、乾燥するまで濃縮し、20mlのエタノール/水を加えて結晶化させ、濾過して1.13gの白色固体を得、収率は56.33%であった。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.53 - 1.61 (m, 4H), 2.78 - 2.80 (m, 2H), 2.89 (t, J = 4.9 Hz, 2H), 4.36 (s, 2H), 6.83 (dd, J = 8.0, 2.1 Hz, 1H), 6.91 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.11 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.45 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.72 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 10.13 (s, 2H). ESI-MS(+) m/z=331.00 [M+H]+。
【0258】
実施例2:4-((8-クロロ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-イル)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド(T-2)の製造
【0259】
【0260】
一般的な方法1に従って製造した。白色固体、1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.52 - 1.60 (m, 4H), 2.79 - 2.87 (m, 4H), 4.34 (s, 2H), 6.92 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.08 (dd, J = 8.5, 2.6 Hz, 1H), 7.17 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.45 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.70 - 7.72 (m, 2H), 9.04 (s, 1H), 11.18 (s, 1H). ESI-MS(+) m/z=331.00 [M+H]+。
【0261】
実施例3:4-((8-ブロモ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-イル)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド(T-3)の製造
一般的な合成方法2に従って製造し、具体的な合成スキーム図は下記に示された通りである。
【0262】
【0263】
7-ブロモ-3,4-ジヒドロナフタレン-1(2H)-オンオキシム(3-2)の合成
250mlの三口フラスコに7-ブロモ-テトラロン(10g、44.43mmol、1eq)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(6.17g、2eq)、100mlのピリジンを加え、室温で3時間撹拌した。減圧濃縮し、蒸発させてピリジンを除去し、100mlの水を加え、100mlのジクロロメタンで抽出し、有機相を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して乾燥させ、カラムクロマトグラフィーで精製して9.23gの白色固体を得、収率は86.53%であった。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.71 - 1.77 (m, 2H), 2.62 - 2.69 (m, 4H), 7.16 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.42 (dd, J = 8.2, 2.2 Hz, 1H), 7.94 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 11.31 (s, 1H)。
【0264】
7-ブロモ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン(3-3)の合成
250mlの三口フラスコに3-2(9.00g、47.06mmol)、200mlのジクロロメタンを加え、窒素ガスの保護下で、-5℃に冷却した後、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBALH、1M/ヘキサン、280ml、6eq)をゆっくりと滴下し、40分にかけて滴下完了し、室温で4時間撹拌した。50mlの水をゆっくりと滴下して反応をクエンチさせ、室温で1時間撹拌し、珪藻土で濾過し、濾液をジクロロメタンで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して乾燥させ、カラムクロマトグラフィーで精製して5.64gの白色固体を得、収率は67.61%であった。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.51 - 1.57 (m, 2H), 1.63 - 1.68 (m, 2H), 2.59 - 2.62 (m, 2H), 2.90 - 2.93 (m, 2H), 5.49 (t, J = 3.6 Hz, 1H), 6.80 (dd, J = 8.0, 2.1 Hz, 1H), 6.95 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.00 (d, J = 2.1 Hz, 1H)。
【0265】
4-((7-ブロモ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-イル)メチル)安息香酸メチル(3-4)の合成
100mlの三口フラスコに中間体3-3(2.00g、11.28mmol、1eq)、4-(ブロモメチ)ル安息香酸メチル(2.58g、1eq)、炭酸カリウム(2.34g、1.5eq)、50mlのDMFを加え、100℃で4時間反応させた。室温に冷却し、100mlの水を加え、100mlの酢酸エチルで抽出し、有機相を乾燥させた後カラムクロマトグラフィーで分離して3.12gの白色固体を得、収率は84.97%であった。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.54 - 1.60 (m, 4H), 2.77 - 2.80 (m, 2H), 2.89 (t, J = 5.1 Hz, 2H), 3.84 (s, 3H), 4.41 (s, 2H), 6.97 (dd, J = 7.9, 2.0 Hz, 1H), 7.03 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.06 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.52 - 7.55 (m, 2H), 7.93 - 7.95 (m, 2H)。
【0266】
4-((7-ブロモ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-イル)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド(T-3)の合成
100mlの三口フラスコに中間体3-4(2g、5.34mmol)、50mlのヒドロキシルアミンメタノール溶液を加え、室温で一晩反応させた。1Nの塩酸でpHを中性に調節し、濃縮した後酢酸エチルを加え、水で洗浄してヒドロキシルアミンを除去し、有機相を乾燥させた後するまで濃縮し、20mlのエタノール/水を加えて結晶化させ、濾過して1.27gの白色固体を得、収率は63.33%であった。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.52 - 1.60 (m, 4H), 2.76 - 2.79 (m, 2H), 2.88 (t, J = 4.9 Hz, 2H), 4.36 (s, 2H), 6.97 (dd, J = 7.9, 1.9 Hz, 1H), 7.04 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.05 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.45 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.72 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 9.10 (s, 1H), 11.20 (s, 1H)。ESI-MS(+) m/z=375.00 [M+H]+。
【0267】
実施例4:4-((7-フルオロ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-イル)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド(T-4)の製造
一般的な方法2に従って製造した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.51 - 1.62 (m, 4H), 2.71 - 2.79 (m, 2H), 2.88 (t, J = 4.9 Hz, 2H), 4.35 (s, 2H), 6.96 (dd, J = 7.9, 1.9 Hz, 1H), 7.06 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.03 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.46 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.74 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 9.12 (s, 1H), 11.21 (s, 1H)。ESI-MS(+) m/z=315.00 [M+H]+。
【0268】
実施例5:4-((7-メトキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-イル)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド(T-5)の製造
一般的な方法2に従って製造した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.51 - 1.58 (m, 4H), 2.73 - 2.80 (m, 4H), 3.67 (s, 3H), 4.28 (s, 2H), 6.63 (dd, J = 8.7, 3.0 Hz, 1H), 6.73 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 6.89 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.47 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.69 - 7.71 (m, 2H), 9.06 (s, 1H), 11.16 (s, 1H). ESI-MS(+) m/z=327.14 [M+H]+。
【0269】
実施例6:4-((8-メトキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-イル)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド(T-6)の製造
一般的な方法2に従って製造した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.49 - 1.60 (m, 4H), 2.72 - 2.75 (m, 2H), 2.84 - 2.87 (m, 2H), 3.65 (s, 3H), 4.34 (s, 2H), 6.38 (dd, J = 8.2, 2.4 Hz, 1H), 6.47 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 6.99 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.46 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.70 - 7.72 (m, 2H), 9.09 (s, 1H), 11.14 (s, 1H). ESI-MS(+) m/z=327.10 [M+H]+。
【0270】
実施例7:4-((6-メトキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-イル)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド(T-7)の製造
一般的な方法2に従って製造した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.47 - 1.51 (m, 2H), 1.55 - 1.59 (m, 2H), 2.87 (t, J = 5.3 Hz, 4H), 3.73 (s, 3H), 4.34 (s, 2H), 6.57 (dd, J = 10.7, 8.2 Hz, 2H), 6.99 (t, J = 8.1 Hz, 1H), 7.45 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 7.71 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 9.20 (s, 1H), 10.98 (s, 1H). ESI-MS(+) m/z=327.10 [M+H]+。
【0271】
実施例8:4-((9-メトキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-イル)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド(T-8)の製造
一般的な方法2に従って製造した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.47 - 1.51 (m, 2H), 1.55 - 1.59 (m, 2H), 2.87 (t, J = 5.3 Hz, 4H), 3.73 (s, 3H), 4.34 (s, 2H), 6.57 (dd, J = 10.7, 8.2 Hz, 2H), 6.99 (t, J = 8.1 Hz, 1H), 7.45 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 7.71 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 9.20 (s, 1H), 10.98 (s, 1H). ESI-MS(+) m/z=327.10 [M+H]+。
【0272】
実施例9:4-((7,8-ジメトキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-イル)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド(T-9)の製造
一般的な方法2に従って製造した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.63 - 1.80 (m, 4H), 2.84 (td, J = 6.9, 1.0 Hz, 4H), 3.83 (d, J = 7.1 Hz, 6H), 4.43 (t, J = 1.0 Hz, 2H), 6.43 (s, 1H), 6.68 (t, J = 0.9 Hz, 1H), 7.30 (dt, J = 7.4, 1.0 Hz, 2H), 7.85 - 7.91 (m, 2H), 9.25 (s, 1H), 11.09 (s, 1H). ESI-MS(+) m/z=357.20 [M+H]+。
【0273】
実施例10:4-((8-フェニル-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-イル)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド(T-10)の製造
一般的な方法2に従って製造した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.53 - 1.60 (m, 4H), 2.83 (dt, J = 19.4, 4.8 Hz, 4H), 4.35 (s, 2H), 6.89 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 7.17 (dt, J = 7.7, 1.0 Hz, 1H), 7.32 - 7.41 (m, 4H), 7.42 - 7.49 (m, 2H), 7.52 - 7.58 (m, 2H), 7.85 - 7.91 (m, 2H), 9.04 (s, 1H), 11.15 (s, 1H). ESI-MS(+) m/z=373.25 [M+H]+。
【0274】
実施例11:4-((8-(ピリジン-4-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-イル)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド(T-11)の製造
一般的な方法2に従って製造した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.53 - 1.60 (m, 4H), 2.83 (dt, J = 19.4, 4.8 Hz, 4H), 4.35 (s, 2H), 7.02 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.21 (q, J = 1.2 Hz, 1H), 7.35 (dt, J = 7.5, 1.1 Hz, 2H), 7.49 (dd, J = 7.5, 1.5 Hz, 1H), 7.64 - 7.70 (m, 2H), 7.85 - 7.91 (m, 2H), 8.76 - 8.81 (m, 2H), 9.04 (s, 1H), 11.15 (s, 1H). ESI-MS(+) m/z=374.25 [M+H]+。
【0275】
実施例12:4-((8-シクロプロピル-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-イル)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド(T-12)の製造
一般的な方法2に従って製造した。1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 0.55 (dt, J = 6.5, 3.2 Hz, 2H), 0.78 - 0.91 (m, 2H), 1.42 - 1.66 (m, 4H), 2.78 (dt, J = 41.5, 5.1 Hz, 4H), 4.34 (s, 2H), 6.50 (dd, J = 7.6, 1.8 Hz, 1H), 6.64 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 6.95 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.47 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.71 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 9.03 (s, 1H), 11.16 (s, 1H).. ESI-MS(+) m/z=337.19 [M+H]+。
【0276】
実施例13:4-((8-ジメチルアミノ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-イル)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド(T-13)の製造
一般的な方法2に従って製造した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.64 (pd, J = 7.1, 0.9 Hz, 2H), 1.76 (pd, J = 7.0, 0.8 Hz, 2H), 2.75 (td, J = 7.0, 1.0 Hz, 2H), 2.95 (s, 6H), 3.35 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 4.43 (t, J = 1.0 Hz, 2H), 6.14 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 6.47 (dd, J = 7.5, 1.5 Hz, 1H), 6.99 (dt, J = 7.5, 1.1 Hz, 1H), 7.31 (dt, J = 7.5, 1.1 Hz, 2H), 7.84 - 7.90 (m, 2H), 9.26 (s, 1H), 10.96 (s, 1H). ESI-MS(+) m/z=340.20 [M+H]+。
【0277】
実施例14:4-((8-(ピペリジン-1-イル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-イル)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド(T-14)の製造
一般的な方法2に従って製造した。1 H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.58 - 1.81 (m, 10H), 2.77 (td, J = 7.0, 1.0 Hz, 2H), 3.34 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 3.43 (t, J = 7.0 Hz, 4H), 4.43 (t, J = 1.0 Hz, 2H), 6.14 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 6.54 (dd, J = 7.5, 1.5 Hz, 1H), 7.06 (dt, J = 7.5, 1.1 Hz, 1H), 7.34 (dt, J = 7.6, 1.0 Hz, 2H), 7.86 - 7.92 (m, 2H), 9.26 (s, 1H), 10.96 (s, 1H). ESI-MS(+) m/z=380.25 [M+H]+。
【0278】
実施例15:4-((3,4-ジヒドロベンゾ[b][1,4]オキサゼピン-5(2H)-イル)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド(15)の製造
一般的な方法2に従って製造した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.90 (p, J = 5.8 Hz, 2H), 3.19 - 3.22 (m, 2H), 4.09 (t, J = 5.8 Hz, 2H), 4.44 (s, 2H), 6.68 - 6.73 (m, 1H), 6.77 - 6.79 (m, 1H), 6.82 - 6.85 (m, 2H), 7.41 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.72 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 9.26 (s, 1H), 10.96 (s, 1H). ESI-MS(+) m/z=299.09 [M+H]+。
【0279】
実施例16:4-((3,4-ジヒドロベンゾ[b][1,4]チアゼピン-5(2H)-イル)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド(T-16)の製造
一般的な方法2に従って製造した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.85 (t, J = 5.8 Hz, 2H), 2.92 (t, J = 5.8 Hz, 2H), 3.28 (t, J = 5.4 Hz, 2H), 4.45 (s, 2H), 6.76 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 6.88 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.03 - 7.08 (m, 1H), 7.26 (dd, J = 7.7, 1.6 Hz, 1H), 7.43 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 7.71 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 9.11 (s, 1H), 11.10 (s, 1H). ESI-MS(+) m/z=315.10 [M+H]+。
【0280】
実施例17:4-((5-メチル-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b][1.4]ジアゼピン-1-イル)メチル-N-ヒドロキシベンズアミド(T-17)の製造
一般的な方法2に従って製造した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.96 (dp, J = 28.4, 7.1 Hz, 2H), 2.96 (s, 3H), 3.36 (t, J = 7.1 Hz, 2H), 3.44 (t, J = 7.1 Hz, 2H), 4.41 (s, 2H), 6.76 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 6.88 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.03 - 7.08 (m, 1H), 7.26 (dd, J = 7.7, 1.6 Hz, 1H), 7.43 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 7.71 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 9.15 (s, 1H), 11.16 (s, 1H). ESI-MS(+) m/z=312.20 [M+H]+。
【0281】
実施例18:4-((5-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-イル)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド(T-18)の製造
一般的な方法2に従って製造した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.91 (p, J = 7.1 Hz, 2H), 2.62 - 2.68 (m, 2H), 3.43 (t, J = 7.1 Hz, 2H), 4.47 (t, J = 1.0 Hz, 2H), 6.89 (dd, J = 7.4, 1.6 Hz, 1H), 7.28 - 7.35 (m, 3H), 7.39 (td, J = 7.5, 1.6 Hz, 1H), 7.59 (dd, J = 7.4, 1.6 Hz, 1H), 7.84 - 7.89 (m, 2H) , 9.11 (s, 1H), 11.10 (s, 1H). ESI-MS(+) m/z=311.15 [M+H]+。
【0282】
実施例19:4-((5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-イル)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド(T-19)の製造
一般的な方法2に従って製造した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.75 - 1.81 (m, 1H), 1.81 - 1.89 (m, 3H), 3.34 - 3.42 (m, 2H), 3.51 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 4.43 (t, J = 1.0 Hz, 2H), 4.74 - 4.82 (m, 1H), 6.72 (dd, J = 7.5, 1.5 Hz, 1H), 6.83 (td, J = 7.5, 1.5 Hz, 1H), 7.08 (td, J = 7.5, 1.6 Hz, 1H), 7.32 (dddd, J = 13.5, 7.5, 1.8, 0.8 Hz, 3H), 7.84 - 7.89 (m, 2H), 9.11 (s, 1H), 11.10 (s, 1H). ESI-MS(+) m/z=313.20 [M+H]+。
【0283】
実施例20:4-((5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-イル)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド(T-20)の製造
一般的な方法2に従って製造した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.78 - 2.03 (m, 4H), 3.23 (d, J = 1.5 Hz, 3H), 3.36 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 4.36 (dt, J = 12.3, 0.9 Hz, 1H), 4.51 (dt, J = 12.5, 1.1 Hz, 1H), 4.61 (ddt, J = 7.4, 5.8, 1.1 Hz, 1H), 6.72 (dd, J = 7.5, 1.5 Hz, 1H), 6.83 (td, J = 7.5, 1.5 Hz, 1H), 7.08 (td, J = 7.5, 1.6 Hz, 1H), 7.32 (dddd, J = 13.5, 7.5, 1.8, 0.8 Hz, 3H), 7.84 - 7.89 (m, 2H), 9.11 (s, 1H), 11.10 (s, 1H). ESI-MS(+) m/z=327.30 [M+H]+。
【0284】
実施例21:4-((5-ジメチルアミノ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-イル)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド(T-21)の製造
一般的な方法2に従って製造した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.77 - 1.91 (m, 4H), 2.31 (d, J = 1.5 Hz, 6H), 3.28 - 3.37 (m, 2H), 3.65 - 3.72 (m, 1H), 4.43 (t, J = 1.0 Hz, 2H), 6.67 (dd, J = 7.5, 1.5 Hz, 1H), 6.75 (td, J = 7.5, 1.5 Hz, 1H), 7.04 (td, J = 7.5, 1.6 Hz, 1H), 7.31 (dt, J = 7.5, 1.1 Hz, 2H), 7.36 - 7.42 (m, 1H), 7.84 - 7.90 (m, 2H), 9.26 (s, 1H), 10.96 (s, 1H). ESI-MS(+) m/z=340.20 [M+H]+。
【0285】
実施例22:4-((2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-イル)フルオロメチル)-N-ヒドロキシベンズアミド(T-22)の製造
一般的な方法2に従って製造した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.53 - 1.60 (m, 4H), 2.83 (dt, J = 19.4, 4.8 Hz, 4H), 5.85 (s, 1H), 6.81 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 6.94 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.06 (td, J = 7.7, 1.7 Hz, 1H), 7.10 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 7.47 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.71 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 9.04 (s, 1H), 11.15 (s, 1H). ESI-MS(+) m/z=315.20 [M+H]+。
【0286】
実施例23:4-((2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-イル)ジフルオロメチル)-N-ヒドロキシベンズアミド(T-23)の製造
一般的な方法2に従って製造した。1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 1.53 - 1.60 (m, 4H), 2.83 (dt, J = 19.4, 4.8 Hz, 4H), 6.81 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 6.94 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.06 (td, J = 7.7, 1.7 Hz, 1H), 7.10 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 7.47 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.71 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 9.04 (s, 1H), 11.15 (s, 1H). ESI-MS(+) m/z=333.20 [M+H]+。
【0287】
実施例24:4-((2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-イル)メチル)-2-フルオロ-N-ヒドロキシベンズアミド(T-24)の製造
一般的な方法2に従って製造した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.65 (pd, J = 7.1, 0.9 Hz, 2H), 1.77 (pd, J = 6.9, 0.8 Hz, 2H), 2.78 (td, J = 7.1, 1.0 Hz, 2H), 3.33 (t, J = 7.1 Hz, 2H), 4.42 (dt, J = 12.3, 1.0 Hz, 1H), 4.51 (dt, J = 12.5, 0.9 Hz, 1H), 6.52 (dd, J = 7.4, 1.5 Hz, 1H), 6.64 (td, J = 7.5, 1.5 Hz, 1H), 6.84 (dq, J = 7.5, 1.1 Hz, 1H), 6.95 (td, J = 7.4, 1.6 Hz, 1H), 7.14 (tt, J = 8.0, 1.3 Hz, 2H), 7.79 (dd, J = 7.4, 5.0 Hz, 1H), 8.82 (d, J = 4.9 Hz, 1H) , 9.09 (s, 1H), 11.25 (s, 1H). ESI-MS(+) m/z=315.20 [M+H]+。
【0288】
実施例25:4-((7-メトキシ-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-ベンゾ[d]アゼピン-3-イル)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド(T-25)の製造
一般的な合成方法3に従って製造し、合成スキーム図は下記に示された通りである。
【0289】
【0290】
生成物は白色固体であり、1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 2.49 (s, 2H), 2.53 (s, 2H), 2.78 (dd, J = 6.3, 3.8 Hz, 2H), 2.81 (dd, J = 6.2, 3.7 Hz, 2H), 3.62 (s, 2H), 3.69 (s, 3H), 6.63 (dd, J = 8.2, 2.7 Hz, 1H), 6.69 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 6.99 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.41 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.65 - 7.81 (m, 2H), 9.09 (s, 1H), 11.25 (s, 1H). ESI-MS(+) m/z=327.15 [M+H]+。
【0291】
実施例26:4-((6-メトキシ-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-ベンゾ[d]アゼピン-3-イル)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド(T-26)の製造
一般的な方法3に従って製造した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 2.48 (m, 4H), 2.83 (m, 2H), 2.93 (m, 2H), 3.60 (s, 2H), 6.65 - 6.74 (m, 1H), 6.76 -- 6.83 (m, 1H), 7.04 (m, 1H), 7.40 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.68 - 7.80 (m, 2H), 9.11 (s, 1H), 11.25 (s, 1H). ESI-MS(+) m/z=327.15 [M+H]+。
【0292】
実施例27:4-((6-ブロモ-9-メトキシ-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-ベンゾ[d]アゼピン-3-イル)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド(T-27)の製造
一般的な方法3に従って製造した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 2.46 - 2.50 (m, 2H),, 2.97 - 3.00 (m, 2H),, 3.08 - 3.11 (m, 2H), 3.59 (s, 2H), 3.74 (s, 3H), 6.79 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.36 - 7.39 (m, 3H), 7.73 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 9.09 (s, 1H), 11.20 (s, 1H). ESI-MS(+) m/z=405.13 [M+H]+。
【0293】
実施例28:4-((6-シクロプロピル-9-メトキシ-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-ベンゾ[d]アゼピン-3-イル)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド(T-28)の製造
一般的な方法3に従って製造した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 0.37 - 0.51 (m, 2H), 0.73 - 0.89 (m, 2H), 1.79 (tt, J = 8.4, 5.4 Hz, 1H), 2.47 (q, J = 4.7 Hz, 4H), 2.94 (dd, J = 7.0, 3.1 Hz, 2H), 3.11 (dd, J = 6.8, 3.1 Hz, 2H), 3.58 (s, 2H), 3.69 (s, 3H), 6.69 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 6.87 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.40 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.63 - 7.82 (m, 2H), 9.08 (s, 1H), 11.20 (s, 1H). ESI-MS(+) m/z=366.88 [M+H]+。
【0294】
実施例29 HDACに対する化合物の阻害活性
化合物のヒストン脱アセチル化酵素の体外阻害活性はHDAC1及びHDAC6阻害剤スクリーニングキット(Biovision社)の説明書を参照して測定した。臨床段階のHDAC6阻害剤Rocilinostat(ACY-1215)
【0295】
【0296】
と化合物SW-100を陽性対照として使用した。
【0297】
実験結果は表に示された通りである。
【0298】
【0299】
上記の表より、本発明の化合物がHDAC6に対してより優れた阻害活性を有し(ほとんどIC50<100nM)、一部の化合物は陽性対照Rocilinostat(ACY-1215)、SW-100と同等又はより優れた阻害活性を有していることが分かった。更に、HDAC1に対する阻害活性IC50はいずれも>250nMであり、HDAC1と比較して、本発明の化合物はHDAC6を選択的に阻害することができ、ほとんどの選択性>30倍であり、更には50倍であり、選択性はRocilinostat及びSW-100よりも優れていた。
【0300】
実施例30 腫瘍細胞及びヒト正常細胞に対する体外抗増殖活性試験
本発明の一部の化合物の単濃度(10μM)条件で、神経膠腫細胞株U-87MG、骨髄腫細胞株RPMI8226、ヒト肝癌細胞株HepG2、ヒト肺癌細胞株A549、及びMRC-5ヒト正常胚性肺線維芽細胞の抗増殖活性を測定し、対照としてRocilinostat(ACY-1215)を選択した。具体的な結果は下記の表で示された通りである(単位は:Inh% in 10μM)。
【0301】
試験方法:増殖状態の良好な対数増殖期の腫瘍細胞を取り、ウェル当たり4×103個で96ウェルプレートに接種し、各群に8つの複製ウェルを設置し、細胞培養インキュベーターに入れて培養し、細胞が壁に接着した後、対応するプラスミドをトランスフェクトした。48時間培養を続けた後、医薬を含む培地を捨て、各ウェルに新たに調製した10μLの毒性検出液を含むCCK8を加え、インキュベーターに入れて4時間培養を続けた後、マイクロプレートリーダーで波長450nmのOD値を測定した。実験は3回繰り返し、実験結果の平均値を最終的な実験結果とし、阻害率を計算した。
【0302】
【0303】
A:100≧~>90;B:80<~≦90;C:70<~≦80;D:50<~≦70E:<50
上記の表より、陽性対照Rocilinostatと比較して、本発明の化合物は、複数の腫瘍細胞に対していずれも良好な体外抗腫瘍細胞増殖活性を示し、神経膠腫細胞株U-87MG、骨髄腫細胞株RPMI8226、ヒト肝癌細胞株HepG2に対してより高い阻害活性を示し、一部の化合物の抗腫瘍細胞増殖活性は、陽性対照薬よりも優れていた。
【0304】
同時に、本発明の化合物は、Rocilinostatと比較して、MRC-5ヒト正常胚肺線維芽細胞に対する阻害活性が弱く、より低い毒性副作用を有し、本発明の化合物が、腫瘍細胞及び正常細胞の増殖を阻害する際により優れた選択性を有していることを示し、抗腫瘍薬として使用した場合、より低い毒性副作用を有する可能性がある。
【0305】
実施例31 HCA誘発神経細胞損傷に対する化合物の保護効果
HCA(5mmol/L)を使用して、ラット皮質混合細胞及び初代一次ニューロンの損傷を誘発し、異なる濃度(試験濃度:0.1μM、1.0μM及び10.0μM)の化合物が損傷に及ぼす影響を観察し、ニューロン及びグリア細胞の活動、数、形態及び壊死の変化を検出し、正常なニューロンに対する化合物の効果を観察し、同類の神経保護HDAC6阻害剤化合物Tubastatin Aを対照として使用した。その結果、本発明の化合物はいずれも抗HCA誘発ニューロン興奮毒性に対して一定の保護効果を有することを示した。ここで、化合物T-2、T-5、T-15、T-16、T-19、T-21及びT-28の体外活性は、神経保護効果を持つHDAC6阻害化合物Tubastatin Aと比較して、保護活性がより強く、且つ一定の用量効果関係を示し、本発明の化合物が神経保護効果を有し、神経変性関連疾患の治療に使用できることを示唆した。結果は
図1に示された通りである。
【0306】
実施例32 hERGカリウムチャネルに対する化合物の影響に関する実験
全細胞パッチクランプ技術を使用して、hERGカリウムチャネルを発現するHEK293細胞(hERG-HEK293定常状態細胞)に異なる濃度の化合物を作用させた後のhERG電流(IKr)の変化を記録し、IKrに作用する前記化合物の半阻害濃度(IC50)を研究した。
【0307】
本発明の一部の化合物T-2、T-5、T-15、T-16、T-19、T-21及びT-28の体外での潜在的な心毒性副作用を予備的に調査した。
【0308】
実験結果は下記の表に示された通りである。
【0309】
【0310】
hERG実験の結果は、試験化合物T-2、T-5、T-15、T-16、T-19、T-21及びT-28のhERGカリウムチャネルに対する阻害活性が、いずれも10μMを超えており、本発明の化合物の潜在的な心臓毒性が低いことを示唆した。
【0311】
実施例33 化合物の胃内投与における最大耐用量毒性試験
ICRマウス40匹を取り、オスとメス半分ずつにし、体重は18~20gであり、群あたり10匹として、4つの群に分けた。6時間の禁食後、各群に滅菌プラスチック注射器で、試料を抽出し、0.3ml/10g体積で強制経口投与した。投与後の1、2、4時間にいずれも動物の一般的な徴候及び動物の死亡を記録した。投与後14日間観察を続け、毎日動物の体重、徴候お飛び死亡を観察及び記録した。死亡した動物を解剖し、動物の臓器に目に見える病理学的変化があるかを観察し、疑わしい組織及び臓器について病理学的検査を実施した。
【0312】
実験結果は、本発明の化合物T-2、T-5、T-15、T-16、T-19、T-21及びT-28は、マウスの胃内投与に対する最大耐用量は1000mg/kgを超え、優れた動物耐性を示した。
【0313】
実施例34 化合物のPK試験
本発明の一部の化合物T-2、T-5、T-15、T-16、T-19、T-21及びT-28をオスSDラットに単回腹腔内投与し、LC-MS/MS法を使用して、ラットの脳、血漿においての化合物の薬物濃度を測定し、試験化合物t=1.0hの脳/血(Brain/Plasma)薬物濃度比を算出して、活性化合物の脳透過性を評価した。化合物SW-100を対照として使用し、試験結果は表に示した通りである。
【0314】
【0315】
試験結果は、陽性対照II-ING-39及びSW-100と比較して、本発明の化合物はいずれもより優れた血液脳透過性を示した。
【0316】
以上、本発明の具体的な実施形態を記載したが、当業者にとって、これらは例示の説明に過ぎず、本発明の原理と実質に違反しないという前提下で、これらの実施形態に対して様々な変更又は修正をすることができる。従って、本発明の保護範囲は添付の請求の範囲によって限定される。
【図面の簡単な説明】
【0317】
【
図1】HCA誘発神経毒性モデルにおける細胞生存率である。
【国際調査報告】