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特表2023-5220781,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オン誘導体及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-26
(54)【発明の名称】1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オン誘導体及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/04 20060101AFI20230519BHJP
   A61K 31/551 20060101ALI20230519BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 31/55 20060101ALI20230519BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20230519BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20230519BHJP
   C07D 471/10 20060101ALI20230519BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20230519BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20230519BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
C07D401/04 CSP
A61K31/551
C07D401/14
A61K31/55
A61K31/444
C07D471/04 108X
C07D471/10 101
A61P25/16
A61P25/18
A61P25/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563189
(86)(22)【出願日】2021-04-25
(85)【翻訳文提出日】2022-10-17
(86)【国際出願番号】 CN2021089660
(87)【国際公開番号】W WO2021218863
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】202010330893.1
(32)【優先日】2020-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110288141.8
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522405923
【氏名又は名称】ジャンスー・エンファ・ファーマシューティカル・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU NHWA PHARMACEUTICAL CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】シュ,シアンチン
(72)【発明者】
【氏名】チュ,インリー
(72)【発明者】
【氏名】グオ,チャン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ミンチュアン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,ソン
(72)【発明者】
【氏名】リ,チーシャン
(72)【発明者】
【氏名】ジン,ペン
(72)【発明者】
【氏名】ホウ,ヤンヤン
(72)【発明者】
【氏名】ドン,インイン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,グオシェン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シュアン
(72)【発明者】
【氏名】ルウ,アイジュン
【テーマコード(参考)】
4C063
4C065
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB02
4C063CC37
4C063DD10
4C063EE01
4C065AA03
4C065AA15
4C065AA18
4C065BB06
4C065CC01
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH08
4C065HH09
4C065JJ02
4C065JJ04
4C065KK09
4C065LL02
4C065LL04
4C065PP13
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC53
4C086CB05
4C086CB11
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA15
4C086ZA18
(57)【要約】
本発明は、化学医学の分野に関し、特に、1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オン誘導体及びその使用に関する。本発明によって提供される1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オン誘導体は式Iで表される化合物であり、5-HT2A、5-HT2C受容体に作用し、5-HT2Aに対する選択性がピマバンセリンより優れているか、それに類似している。統合失調症又はパーキンソン病、認知症の行動・心理症状の治療に用いられる。本願の化合物は、抗精神障害活性がピマバンセリンと同等であり、鎮静及び運動低下の副作用がピマバンセリンよりも少なく、また、心毒性がピマバンセリンよりも少ない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで表される化合物。
【化1】

(式I中、n1、n2は1~3の整数であり、
R1は、C1~C8の直鎖又は分岐アルキル基、C2~C8のアルケニル基及びC2~C8のアルキニル基から選択され、前記アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基はそれぞれ独立して、かつ、所望によりハロゲン及びC1~C8のハロアルキル基から選択される置換基で置換されていてもよく、
R2は水素、ハロゲン及びC1~C8のハロアルキル基から選択され、
R3、R4、R5、R6はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン及びC1~C8のハロアルキル基から選択され、
R7はC1~C8の直鎖又は分岐アルキル基、シクロアルキル基及び
【化2】

(式中、R8、 R9はそれぞれ独立して、C1~C8の直鎖又は分岐アルキル基から選択される。)から選択され、前記アルキル基及びシクロアルキル基は、所望によりハロゲン及びC1~C8のハロアルキル基から選択される置換基で置換されていてもよく、
ZはC、O、Nから選択され、
Q、WはそれぞれC、Nから選択され、
【化3】

結合は存在しないか、又は単結合で存在することを意味し、
【化4】

結合が存在しないことを意味する場合、式Iで表される化合物は式IIで表される化合物であり、
【化5】

(式II中、n2、R1、R3、R7、W、Zは上記と同じ定義である。)
或いは、
【化6】

結合が単結合で存在することを意味する場合、式Iで表される化合物は式IIIで表される化合物である。
【化7】

(式III中、n1、n2は1~3の整数であり、
R1は、C1~C8の直鎖又は分岐アルキル基、C2~C8のアルケニル基及びC2~C8のアルキニル基から選択され、前記アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基は、所望によりハロゲン及びC1~C8のハロアルキル基から選択される置換基で置換されていてもよく、
R2は水素、ハロゲン及びC1~C8のハロアルキル基から選択され、
R3、R4、R5、R6はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン及びハロアルキル基から選択され、
R7はC1~8の直鎖又は分岐アルキル基、シクロアルキル基及び
【化8】

(式中、R8、R9はそれぞれ独立して、C1~C8の直鎖又は分岐アルキル基から選択される。)から選択され、前記アルキル基及びシクロアルキル基は、所望によりハロゲン及びC1~C8のハロアルキル基から選択される置換基で置換されていてもよく、
ZはC、O、Nから選択され、
Q、WはそれぞれC、Nから選択される。))
【請求項2】
前記C1~C8の直鎖又は分岐アルキル基は、C1~C5の直鎖又は分岐アルキル基、及びC1~C3の直鎖又は分岐アルキル基から選択され、及び/又は、
前記C2~C8のアルケニル基はC2~C5のアルケニル基であり、及び/又は、
前記C2~C8のアルキニル基はC2~C5のアルキニル基であり、及び/又は、
前記C1~C8のハロアルキル基はC1~C5のハロアルキル基であり、及び/又は、
前記シクロアルキル基はC3~C10のシクロアルキル基であり、好ましくはC3~C6のシクロアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の式Iで表される化合物。
【請求項3】
前記ハロゲンはフッ素、塩素、臭素及びヨウ素であることを特徴とする請求項1に記載の式Iで表される化合物。
【請求項4】
前記C1~C5の直鎖又は分岐アルキル基はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基から選択され、
前記シクロアルキル基はシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基から選択され、
C1~C3の直鎖又は分岐アルキル基はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基であることを特徴とする請求項2に記載の式Iで表される化合物。
【請求項5】
ZはOであり、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、n1、n2、Q及び
【化9】

結合は請求項1~4のいずれか1項において定義されているとおりであり、
好ましくは、
R1はC1~C5の直鎖又は分岐アルキル基であり、
R2は水素及びハロゲンから選択され、
R3、R4、R5、R6はそれぞれ独立して、水素及びハロゲンから選択され、
R7はC1~C5の直鎖又は分岐アルキル基、及びC3~C6のシクロアルキル基から選択されることを特徴とする請求項1に記載の式Iで表される化合物。
【請求項6】
前記式Iで表される化合物は式I-1で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の式Iで表される化合物。
【化10】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、n1、n2及びQは請求項1~4のいずれか1項において定義されているとおりであり、
好ましくは、
R1はC1~C5の直鎖又は分岐アルキル基であり、
R2は水素及びハロゲンから選択され、
R3、R4、R5、R6はそれぞれ独立して、水素及びハロゲンから選択され、
R7はC1~C5の直鎖又は分岐アルキル基、及びC3~C6のシクロアルキル基から選択され、
QはNである。)
【請求項7】
前記式Iで表される化合物は式IVで表される化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の式Iで表される化合物。
【化11】

(式中、n1、n2は1~3の整数であり、
R1はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基から選択され、
R2は水素、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選択され、
R3、R4、R5、R6はそれぞれ、水素、フッ素、塩素から選択され、
R7はイソプロピル基、イソブチル基、エチル基、プロピル基、メチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、
【化12】

から選択され、
ZはC、O、Nから選択され、
Q、WはそれぞれC、Nから選択され、
【化13】

結合は存在しないか、又は単結合で存在することを意味する。)
【請求項8】
前記式Iで表される化合物は、
【化14】

結合が存在しないことを意味する場合、式Vで表される化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の式Iで表される化合物。
【化15】

(式中、n2は1~2の整数であり、
R1はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基から選択され、
R3は水素、フッ素、塩素から選択され、
R7はイソプロピル基、イソブチル基、エチル基、プロピル基、メチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、
【化16】

から選択される。)
【請求項9】
前記式Iで表される化合物は、
【化17】

結合が単結合で存在することを意味する場合、式VIで表される化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の式Iで表される化合物。
【化18】

(式中、n1、n2は1~3の整数であり、
R1はメチル基であり、
R2はフッ素、水素から選択され、
R3、R4、R5、R6はそれぞれ、水素、フッ素、塩素から選択され、
R7はイソプロピル基、シクロプロピル基、イソブチル基、メチル基、
【化19】

から選択され、
ZはC、O、Nから選択され、
Q、WはそれぞれC、Nから選択される。)
【請求項10】
前記化合物は下記のいずれか1つの化合物であることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の式Iで表される化合物。
【化20】

【化21】
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の化合物を含み、所望により薬学的に許容される賦形剤、担体、アジュバント、溶媒又はそれらの組み合わせをさらに含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか1項に記載の化合物又は請求項11に記載の医薬組成物の、精神疾患を治療するための医薬品の製造における使用。
【請求項13】
前記精神疾患は統合失調症、精神障害であることを特徴とする請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記精神疾患はパーキンソン病、認知症の行動・心理症状であることを特徴とする請求項12に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年4月26日に提出された「1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オン誘導体及びその使用」を発明の名称とする202010330893.1号中国特許出願の優先権、及び2021年3月17日に提出された「1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オン誘導体及びその使用」を発明の名称とする202110288141.8号中国特許出願の優先権を主張し、その全内容は引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明は化学医薬分野に関し、特に1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オン誘導体及びその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
統合失調症(Schizophrenia)は早期発見が難しく、入院率が低く、生涯有病率が高い。現在、世界の人口の約0.3~0.7%は生涯にわたって統合失調症の影響を受けており、2016年に、全世界では統合失調症患者が2100万人を超えたと推定されている。現在、統合失調症の治療薬として、主に定型抗精神病薬及び非定型抗精神病薬は挙げられるが、統合失調症の治療薬はドーパミン受容体を強力に遮断するため、錐体外路症状(EPS)、遅発性ジスキネジア及びプロラクチンの増加等の副作用が生じる。医療分野では、睡眠障害の治療は、異なる標的に作用する様々な種類の活性化合物が利用されるようになっているが、依存症、薬剤耐性、後遺症等の副作用は今でも未解決のままである。
【0004】
通常、ドーパミンD受容体を遮断することで薬理作用を発揮する抗精神病薬を第1世代抗精神病薬、即ち「定型」抗精神病薬(例えば、ハロペリドール)と呼ぶ。これら治療薬は、統合失調症の陽性症状の治療において画期的な効果を示したが、陰性症状及び認知機能障害を治療できない。定型抗精神病薬は通常、深刻なEPS副作用があり、また、統合失調症患者の3分の1では効果がない。
【0005】
1960年代以後、例えばジプラシドン(Ziprasidone)、リスペリドン(Risperidone)等、第2世代抗精神病薬、即ち新規抗精神病薬と呼ばれる一連の新世代抗精神病薬が次々と開発された。これら治療薬は薬理作用が全く一致していないが、同じ薬理学的特徴を示しており、即ちセロトニン(5-HT)受容体(5-HT1A、2A、2c)及びノルエピネフリン(NA)受容体(α1.α2)に対する親和性がD受容体に対する親和性よりも高いため、D/5-HT2Aの比が低い。その臨床効果として、第1世代抗精神病薬と比べると、より多くの利点があり、陽性症状に対して従来の抗精神病薬と同様に効果的であるのみならず、陰性症状、認知機能障害にも効果的であり、作用範囲が一層広くなっている。しかし、これら医薬品は、QT間隔延長、高プロラクチン血症及び体重増加等の副作用がある。したがって、統合失調症の陽性症状、陰性症状及び認知機能障害に効果的でありながら、副作用が少ない医薬品の開発は現在注目を集めている。
【0006】
セロトニンシステムは、感情制御、認知行動、作業記憶など、前頭前野(PFC)の機能を調節する上で重要な役割を果たす。PFCの錐体ニューロン及びGABA介在ニューロンにはいくつかの特に高密度のセロトニン受容体サブタイプ5-HT1A及び5-HT2Aが含まれている。最近、PFC及びNMDA受容体チャネルは5-HT1ARの標的であり、この2つの受容体は大脳皮質興奮性神経細胞を調節することで認知機能に影響を与えることが証明されている。実際に、様々な前臨床データにより、5-HT1ARは抗精神病薬開発の新たな目標であることが示されている。非定型抗精神病薬(例えばolanzapine、aripiprazole等)の5-HT1ARに対する高い親和性及び低いEPS副作用から、セロトニンシステムは、感情制御、認知行動、作業記憶など、前頭前野(PFC)の機能を調節する上で重要な役割を果たすことが証明されている。PFCの錐体ニューロン及びGABA介在ニューロンにはいくつかの特に高密度のセロトニン受容体サブタイプ5-HT1A及び5-HT2Aが含まれている。最近の研究では、5-HT1Aアゴニストは非定型抗精神病薬による治療に関連し、陰性症状及び認知機能障害を改善できることが示されている。非定型抗精神病薬であるクロザピンによる統合失調症の治療では、5-HT2Aは知覚、感情調節及び運動制御などを含む様々な側面において重要な役割を果たすことがわかった。5-HT2A受容体を遮断することでドーパミンの放出を正常化することができるため、抗精神病薬として機能する。また、5-HT2C受容体は体重増加に密接に関係している。
【0007】
ピマバンセリンは5-HT2A及び5-HT2Cに対して高い親和性を示すインバースアゴニストであり、in vitro実験では、5-HT2A受容体に対する親和性[阻害定数(Ki):0.4nm]は5-HT2C(Ki=16nm)よりも高かったが、5-HT2B受容体、ドーパミン受容体(D2受容体を含む)、アドレナリン受容体、ムスカリン受容体又はカルシウムチャネル受容体に対しては顕著な親和性(Ki>300nm)が見られなかった。この医薬品はNuplazidTMを医薬品名として、幻覚や妄想などパーキンソン病による精神症状の治療に用いられるものとして、2016年4月にアメリカ食品医薬品局に承認された。
【0008】
したがって、陽性症状、陰性症状のいずれにも効果的であり、認知機能障害を改善でき、かつ、遅発性ジスキネジア、パーキンソン病を含む錐体外路系副作用を抑制でき、さらに、体重増加を減らせる統合失調症治療薬を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0009】
本発明は従来の技術で存在した課題の少なくとも1つを解決することを意図するものである。そこで、本発明の1つの目的は、式Iで表される化合物を提供することにある。
【化1】

(式I中、n1、n2は1~3の整数であり、
R1は、C1~C8の直鎖又は分岐アルキル基、C2~C8のアルケニル基及びC2~C8のアルキニル基から選択され、上記アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基はそれぞれ独立して、かつ、所望によりハロゲン及びC1~C8のハロアルキル基から選択される置換基で置換されていてもよく、
R2は、水素、ハロゲン及びC1~C8のハロアルキル基から選択され、
R3、R4、R5、R6はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン及びC1~C8のハロアルキル基から選択され、
R7は、C1~C5の直鎖又は分岐アルキル基、シクロアルキル基及び
【化2】

(式中、R8、R9はそれぞれ独立して、C1~C8の直鎖又は分岐アルキル基から選択される。)から選択され、上記アルキル基及びシクロアルキル基は、所望によりハロゲン及びC1~C8のハロアルキル基から選択される置換基で置換されていてもよく、
ZはC、O、Nから選択され、
Q、WはそれぞれC、Nから選択され、
【化3】

結合は存在しないか、又は単結合で存在することを意味し、
【化4】

結合が存在しないことを意味する場合、式Iで表される化合物は式IIで表される化合物であり、
【化5】

(式II中、n2、R1、R3、R7、W、Zは上記と同じ定義である。)
或いは、
【化6】

結合が単結合で存在することを意味する場合、式Iで表される化合物は式IIIで表される化合物である。
【化7】

(式III中、n1、n2は1~3の整数であり、
R1は、C1~C8の直鎖又は分岐アルキル基、C2~C8のアルケニル基及びC2~C8のアルキニル基から選択され、上記アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基は、所望によりハロゲン及びC1~C8のハロアルキル基から選択される置換基で置換されていてもよく、
R2は水素、ハロゲンから選択され、
R3、R4、R5、R6はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン及びハロアルキル基から選択され、
R7は、C1~8の直鎖又は分岐アルキル基、シクロアルキル基、
【化8】

(式中、R8、R9はそれぞれ独立して、C1~C8の直鎖又は分岐アルキル基から選択される。)から選択され、上記アルキル基及びシクロアルキル基は、所望によりハロゲン及びC1~C8のハロアルキル基から選択される置換基で置換されていてもよく、
ZはC、O、Nから選択され、
Q、WはそれぞれC、Nから選択される。))
【0010】
1つの実施の形態において、上記C1~C8の直鎖又は分岐アルキル基は、C1~C5の直鎖又は分岐アルキル基、及びC1~C3の直鎖又は分岐アルキル基から選択され、及び/又は、上記C2~C8のアルケニル基はC2~C5のアルケニル基であり、及び/又は、上記C2~C8のアルキニル基はC2~C5のアルキニル基であり、及び/又は上記ハロアルキル基はC1~C5のハロアルキル基であり、及び/又は、上記シクロアルキル基はC3~C10のシクロアルキル基であり、好ましくはC3~C6のシクロアルキル基である。
【0011】
別の一側面において、本発明は、治療有効量の上述した式Iで表される化合物を含み、所望により薬学的に許容される賦形剤、担体、アジュバント、溶媒又はそれらの組み合わせをさらに含む医薬組成物を提供する。
【0012】
別の一側面において、本発明は、式Iで表される化合物及びその医薬組成物の、精神疾患(psychiatric disease)を治療するための医薬品の製造における使用を提供する。
【0013】
1つの実施の形態において、上記精神疾患は統合失調症、精神障害(psychosis)である。
【0014】
別の実施の形態において、上記精神疾患はパーキンソン病、認知症の行動・心理症状(BPSD)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
特に断りのない限り、本明細書における技術用語及び科学用語はすべて当業者が一般に理解している意味と同じ意味で使用される。齟齬が生じる場合、本明細書の定義に準じる。本明細書で記載されている商品名は、かかる商品またはその有効成分を指す。本明細書で引用されたすべての特許、公開された特許出願及び出版物はすべて引用により、本明細書に組み込まれる。
【0016】
一般用語及びその定義
【0017】
用語「含む」はオープン形式の表現であり、つまり、本発明に明記されている内容を含むが、その他の内容も除外されていない。用語「含む」は、「からなる」のようなクローズド形式の意味も含んでいると理解されるべきである。
【0018】
本明細書に記載されているように、本発明の化合物は、例えば、上述した一般式で表される化合物又は実施例における特定の実例、サブクラスのように、所望により1つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。用語「置換されていてもよい」は用語「置換又は非置換の」に読み替えることができると理解されるべきである。一般には、指定する原子のその場での通常の原子価を超えておらず、かつ、上記の置換により安定した化合物を形成する前提では、用語「置換の」とは、その構造における1つ又は複数の水素原子が特定の置換基で置換されたことを意味する。置換基及び/又は変数の組み合わせは、このような組み合わせにより安定した化合物を形成した場合にのみ許容される。ある置換基が存在しないという記載について、上記の構造により化合物が安定した状態になりうる前提で、当該置換基が1つ又は複数の水素原子であってもよいと理解されるべきである。特に断りのない限り、置換されていてもよい基は、その任意の置換可能な位置で置換されていてもよい。その構造式では、特定の基から選択される1つ又は複数の置換基で置換されていてもよい位置が1つ以上の場合、各位置で同一又は異なる置換基で置換することができる。
【0019】
特に断りのない限り、本明細書では、置換基の結合点は置換基の任意の適切な位置であってもよい。置換基の結合が環内に2つの原子をつなぐ結合を通したものである場合、このような置換基は当該置換可能な環におけるいずれかの環形成原子に結合してもよい。
【0020】
また、特に断りのない限り、本発明における「それぞれ独立して」は広い意味で理解されるべきであり、異なる基では、同じ符号で示される具体的な選択肢は互いに影響しないことを意味することもできれば、同じ基では、同じ符号で示される具体的な選択肢は互いに影響しないことを意味することもできる。
【0021】
数値範囲の下限及び上限が公開されている場合、当該範囲に入るすべての数値及び含まれている任意の範囲がいずれも具体的に公開されている。特に、本明細書に公開された各数値の範囲は、より広い範囲に入る各数値及び範囲を含むと理解されるべきである。いずれの変数(例えばR)、及び符号付き変数(例えばR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7等)が化合物の組成又は構造において1回以上現れた場合、それぞれの場合での定義は独立したものである。例えば、1つの基が0、1、2、3又は4個のR置換基で置換される場合、上記の基は所望により最大で4つのR置換基で置換されていてもよく、かつ、それぞれの場合の各R置換基の選択肢は独立したものである。
【0022】
本明細書の様々な部分において、本発明で公開された化合物の置換基は、基の種類又は範囲によって公開されている。特に、本発明は、これら基の種類及び範囲のうちの各メンバーの各独立したサブコンビネーションを含む。例えば本明細書における表現m~nとは、mからnまでの範囲、及びそのうちの各数値からなるサブ範囲並びに各数値を指す。例えば、用語「C1~C5アルキル基」は特に、それぞれ公開されたメチル基、エチル基、C3アルキル基、C4アルキル基、C5アルキル基を指す。アルキル基の実例は、メチル基(Me、-CH)、エチル基(Et、-CHCH)、n-プロピル基(n-Pr、-CHCHCH)、イソプロピル基(i-Pr、-CH(CH)、n-ブチル(n-Bu、-CHCHCHCH)、イソブチル基(i-Bu、-CHCH(CH)、sec-ブチル(s-Bu、-CH(CH)CHCH)、tert-ブチル(t-Bu、-C(CH)、n-ペンチル(-CHCHCHCHCH)、2-ペンチル(-CH(CH)CHCHCH)、3-ペンチル(-CH(CHCH)、2-メチル-2-ブチル(-C(CHCHCH)、3-メチル-2-ブチル(-CH(CH)CH(CH)、3-メチル-1-ブチル(-CHCHCH(CH)、2-メチル-1-ブチル(-CHCH(CH)CHCH)等を含むが、これらに限定されない。例えば、用語「C2~C8」又は「C2~8」は2~8個の炭素原子の範囲を含むものであるが、また、例えばC2~C5、C3~C4、C2~C6、C3~C6、C4~C6、C4~C7、C4~C8、C2~C5等、及びC2、C3、C4、C5、C6、C7、C8等そのうちのいずれかのサブ範囲及び各数値も含むと理解されるべきである。例えば、用語「C3~C10」又は「C3~10」も同じように、例えばC3~C9、C6~C9、C6~C8、C6~C7、C7~C10、C7~C9、C7~C8、C8~C9等及びC3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10等そのうちのいずれかのサブ範囲及び数値も含み得ると理解されるべきである。さらに、例えば、用語「C1~C5」又は「C1~5」は1~5個の炭素原子の範囲を含むものであるが、また、例えばC2~C5、C3~C4、C1~C2、C1~C3、C1~C4、C1~C5等、及びC1、C2、C3、C4、C5等そのうちのいずれかのサブ範囲及び各数値も含むと理解されるべきである。さらに、例えば、用語「C2~C5」又は「C2~5」は2~5個の炭素原子の範囲を含むものであるが、また、例えばC2~C5、C3~C4、C2~C3、C2~C4、C3~C5、C4~C5等、及びC2、C3、C4、C5等そのうちのいずれかのサブ範囲及び各数値も含むと理解されるべきである。さらに、例えば、用語「C3~C6」又は「C3~6」は3~6個の炭素原子の範囲を含むものであるが、また、例えばC3~C5、C3~C4、C3~C6、C5~C6、C4~C6、C4~C5等、及びC3、C4、C5、C6等そのうちのいずれかのサブ範囲及び各数値も含むと理解されるべきである。さらに、例えば、用語「C1~C8」又は「C1~8」は1~8個の炭素原子の範囲を含むものであるが、また、例えばC2~C5、C3~C4、C2~C6、C3~C6、C4~C6、C4~C7、C4~C8、C2~C5等、及びC1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8等そのうちのいずれかのサブ範囲及び各数値も含むと理解されるべきである。さらに、例えば、用語「3員~10員」は、例えば3員~5員、3員~6員、3員~7員、3員~8員、4員~5員、4員~6員、4員~7員、4員~8員、5員~7員、5員~8員、6員~7員、6員~8員、9員~10員等、及び3員、4員、5員、6員、7員、8員、9員、10員等そのうちのいずれかのサブ範囲及び各数値も含むと理解されるべきである。本明細書におけるその他の同じような表現も同じように理解されるべきである。
【0023】
本明細書で例示されている範囲(例えば、数値範囲)は、そのうちの1つ1つの数値及び各数値から形成される各サブ範囲を含むことができる。したがって、例えば表現「nは0~3のうちのいずれか1つの整数である」とは、例えば0~2のうちのいずれか1つの整数、2~3のうちのいずれか1つの整数等、例えば1、2、3を含む。
【0024】
表現「1つ(種)又は複数(種)」又は同じような表現「少なくとも1つ(種)」は、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10つ(種)又はそれ以上(種)を指す。
【0025】
用語「…から選択される」とは、その前に例示されている群のうちの1つ又は複数の元素を独立選択し、かつ、2つ又は複数の元素の組み合わせを含むことができることを意味する。
【0026】
基における各炭素原子は所望によりヘテロ原子で置換されていてもよいという記載は、基におけるすべての原子がその場での通常の原子価を超えておらず、かつ、安定した化合物を形成することを前提とするものである。
【0027】
用語「水素(H)」は1つの水素原子を指す。このような原子団は、その他の基と結合することができ、例えば酸素原子と結合し、ヒドロキシル基を形成することができる。
【0028】
用語「ハロゲン」又は「ハロゲン化」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)又はヨウ素(I)、好ましくはフッ素、塩素、臭素原子、より好ましくはフッ素原子を表すと理解されるべきである。
【0029】
用語「アルキル基」とは、単結合により分子の残りの部分に結合し、炭素原子と水素原子からなる直鎖又は分岐の飽和脂肪族炭化水素基を指す。「アルキル基」は1~5個の炭素原子を有してもよく、つまり、例えばC1~4アルキル基、C1~3アルキル基、C1~2アルキル基、C3アルキル基、C4アルキル基、C1~5アルキル基、C3~5アルキル基等の「C1~C5アルキル基」であってもよく、また、1~3個の炭素原子を有してもよく、つまり、例えばC1~3アルキル基、C1~2アルキル基、C3アルキル基等の「C1~C3アルキル基」であってもよい。さらに、例えば、用語「C1~C5アルキル基」は特に、独立して公開されたメチル基、エチル基、C3アルキル基、C4アルキル基及びC5アルキル基を表す。アルキル基の実例は、メチル基(Me、-CH)、エチル基(Et、-CHCH)、n-プロピル基(n-Pr、-CHCHCH)、イソプロピル基(i-Pr、-CH(CH)、n-ブチル基(n-Bu、-CHCHCHCH)、イソブチル基(i-Bu、-CHCH(CH)、sec-ブチル基(s-Bu、-CH(CH)CHCH)、tert-ブチル基(t-Bu、-C(CH)、n-ペンチル基(-CHCHCHCHCH)、2-ペンチル基(-CH(CH)CHCHCH)、3-ペンチル基(-CH(CHCH)、2-メチル-2-ブチル基(-C(CHCHCH)、3-メチル-2-ブチル基(-CH(CH)CH(CH)、3-メチル-1-ブチル基(-CHCHCH(CH)、2-メチル-1-ブチル基(-CHCH(CH)CHCH)、n-ヘキシル基(-CHCHCHCHCHCH)、2-ヘキシル基(-CH(CH)CHCHCHCH)、3-ヘキシル基(-CH(CHCH)(CHCHCH))、2-メチル-2-ペンチル基(-C(CHCHCHCH)、3-メチル-2-ペンチル基(-CH(CH)CH(CH)CHCH)、4-メチル-2-ペンチル基(-CH(CH)CHCH(CH)、3-メチル-3-ペンチル基(-C(CH)(CHCH)、2-メチル-3-ペンチル基(-CH(CHCH)CH(CH)、2,3-ジメチル-2-ブチル基(-C(CHCH(CH)、3,3-ジメチル-2-ブチル基(-CH(CH)C(CH)、n-ヘプチル基、n-オクチル基等を含むが、これらに限定されない。
【0030】
用語「アルケニル基」とは、炭素原子と水素原子からなり、少なくとも1つの二重結合を有する直鎖又は分岐の不飽和脂肪族炭化水素基を指す。アルケニル基は2~5個の炭素原子を有してもよく、つまり、例えばC2-4アルケニル基、C3-4アルケニル基等の「C2-5アルケニル基」であってもよい。アルケニル基の非限定的な実例は、ビニル基、アリル基、(E)-2-メチルビニル基、(Z)-2-メチルビニル基、(E)-ブタ-2-エニル基、(Z)-ブタ-2-エニル基、(E)-ブタ-1-エニル基、(Z)-ブタ-1-エニル基等を含むが、これらに限定されない。
【0031】
用語「シクロアルキル基」とは、炭素原子と水素原子からなる飽和環状炭化水素基を指し、好ましくは1つ又は2つの環を含む。上記シクロアルキル基は単環式、縮合多環式、架橋環式又はスピロ環式構造であってもよい。シクロアルキル基は3~6個の炭素原子を有してもよく、つまり、例えばCシクロアルキル基、Cシクロアルキル基、Cシクロアルキル基、Cシクロアルキル基等の「C3~C6のシクロアルキル基」であってもよい。シクロアルキル基の非限定的な実例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基等を含むが、これらに限定されない。当該用語は、C原子がオキソ(=O)で置換された場合も含んでいる。
【0032】
用語「アルキニル基」とは、炭素原子と水素原子からなり、少なくとも1つの三重結合を有する直鎖又は分岐の不飽和脂肪族炭化水素基を指す。アルキニル基は2~5個の炭素原子を有してもよく、つまり、例えばC2~3アルキニル基、C2~4アルキニル基等の「C2~5アルキニル基」であってもよい。アルキニル基の非限定的な実例は、エチニル基、プロプ-1-イニル基、プロプ-2-イニル基、ブタ-1-イニル基、ブタ-2-イニル基、ブタ-3-イニル基等を含むが、これらに限定されない。
【0033】
結合「---」は、単結合「―」か、存在しないかのいずれか1つを意味する。
【0034】
1つの化学結合が存在しないとは、当該化学結合によって結合されている2つの原子のうちの1つのみ存在し、かつ、化合物構造が安定していることを前提とし、上記原子がその他の部分の原子に結合し、上記その他の部分の原子が元の化学結合によって結合されている2つの原子に結合していることを指す。
【0035】
本明細書では、式Iにおける「---」結合が存在しないとは、「---」結合の両端にある炭素原子及びQ原子のうちの1つの炭素原子のみ存在し、かつ、化合物構造が安定していることを前提とし、上記存在している1つの炭素原子がその他の部分の原子に結合することで、式IIで表される化合物を形成することを意味する。
【化9】
【0036】
用語「薬学的に許容される」とは、このような物質は、信頼できる医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激性、アレルギー性反応等がなく、患者の組織と接触させて使用することに適し、合理的な利益/リスク比に見合い、その目的のために効果的に使用されうることを意味する。
【0037】
用語「薬学的に許容される担体」とは、生体に著しく刺激せず、また、当該活性化合物の生物学的活性及び特性を損なわない物質を指す。「薬学的に許容される担体」は、流動促進剤、甘味剤、希釈剤、防食剤、染料/着色剤、矯味剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、崩壊剤、安定剤、溶媒又は乳化剤を含むが、これらに限定されない。
【0038】
用語「投与」または「投与する」等とは、化合物又は組成物を所望の生物学的作用部位に送達することができる方法を指す。これら方法は、経口投与又は非経口投与(包括脳室内、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、血管内注射又は注入)、局所投与、直腸投与等、特に注射又は経口投与を含むが、これらに限定されない。
【0039】
本明細書に記載の用語「治療」とは、疾患又は症状の緩和、軽減又は改善、その他の症状の予防、症状の潜在的代謝因子の改善又は予防を含み、例えば、疾患又は症状の進行への抑制、疾患又は症状の軽減、疾患又は症状の緩和への促進、又は疾患又は症状の消失、ひいては予防を含む。「治療」はまた、治療による利益及び/又は予防による利益を達成することを含む。治療による利益は治療対象となる病症を根絶又は改善することを指す。さらに、治療による利益は、1つ又は複数の潜在的疾病に関連する生理学的徴候を根絶又は改善することで達成され、患者が潜在的疾病に罹っている可能性はあるものの、この疾病の改善が見られる。予防による利益とは、患者がある疾患に罹るリスクを予防するためにこの組成物を使用するか、又はこの疾患に罹ったことは診断されていないが、1つ又は複数の疾患の生理学的徴候が生じたためこの組成物を服用することを指す。
【0040】
用語「活性成分」、「治療剤」、「活性物質」又は「活性剤」とは、目標となる障害、疾患又は病症を有効に治療又は予防できる化学物質を指す。
【0041】
用語「精神疾患」とは、神経系の障害的病気である。
【0042】
医薬品、医薬品ユニット又は活性成分に関して、用語「有効量」、「治療有効量」又は「予防有効量」とは、副作用が許容できる範囲なものであり、所望の効果を達成するのに十分な医薬品又は薬剤の使用量を指す。有効量の決定は人により異なり、患者の年齢や一般状況に依存し、また、具体的な活性物質にも依存する。各ケースでは、適切な有効量は、当業者によって一般の実験で決定され得る。
【0043】
本明細書に記載の「個体」は、ヒト、又はヒト以外の動物を含む。例示的ヒト個体は、疾患(例えば本明細書に記載の疾患を含む)に罹っているヒト個体(患者という。)又は正常な個体を含む。本発明に記載の「ヒト以外の動物」は、例えば非哺乳動物(例えば鳥類、両生類、爬虫類)、及び例えば非ヒト霊長類、家畜及び/又は家畜化された動物(例えば羊、犬、猫、牛、豚等)等の哺乳動物を含むすべての脊椎動物を含む。
【0044】
以下の詳細な説明は、当業界のその他の技術者は本発明に係る発明、その原理及び実際の利用を一層十分に理解し、特定の利用要求に答えられるように、本発明を自由に変更したり実施したりできるように、例を挙げて非限定的な実施の形態を説明することを意図するものである。
【0045】
式Iで表される化合物
【0046】
一側面において、本発明は、式Iで表される化合物を提供する。
【化10】

(式I中、n1、n2は1~3の整数であり、
R1は、C1~C8の直鎖又は分岐アルキル基、C2~C8のアルケニル基及びC2~C8のアルキニル基から選択され、上記アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基はそれぞれ独立して、かつ、所望によりハロゲン及びC1~C8のハロアルキル基から選択される置換基で置換されていてもよく、
R2は水素、ハロゲン及びC1~C8のハロアルキル基から選択され、
R3、R4、R5、R6はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン及びC1~C8のハロアルキル基から選択され、
R7はC1~C8の直鎖又は分岐アルキル基、シクロアルキル基及び
【化11】

(式中、R8、R9はそれぞれ独立して、C1~C8の直鎖又は分岐アルキル基から選択される。)から選択され、上記アルキル基及びシクロアルキル基は、所望によりハロゲン及びC1~C8のハロアルキル基から選択される置換基で置換されていてもよく、
ZはC、O、Nから選択され、
Q、WはそれぞれC、Nから選択され、
【化12】

結合は存在しないか、又は単結合で存在することを意味し、
【化13】

結合が存在しないことを意味する場合、式Iで表される化合物は式IIで表される化合物であり、
【化14】

(式II中、n2、R1、R3、R7、W、Zは上記と同じ定義である。)
或いは、
【化15】

結合が単結合で存在することを意味する場合、式Iで表される化合物は式IIIで表される化合物である。
【化16】

(式III中、n1、n2は1~3の整数であり、
R1は、C1~C8の直鎖又は分岐アルキル基、C2~C8のアルケニル基及びC2~C8のアルキニル基から選択され、上記アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基は、所望によりハロゲン及びC1~C8のハロアルキル基から選択される置換基で置換されていてもよく、
R2は水素、ハロゲン及びC1~C8のハロアルキル基から選択され、
R3、R4、R5、R6はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン及びハロアルキル基から選択され、
R7はC1~8の直鎖又は分岐アルキル基、シクロアルキル基及び
【化17】

(式中、R8、R9はそれぞれ独立して、C1~C8の直鎖又は分岐アルキル基から選択される。)から選択され、上記アルキル基及びシクロアルキル基は、所望によりハロゲン及びC1~C8のハロアルキル基から選択される置換基で置換されていてもよく、
ZはC、O、Nから選択され、
Q、WはそれぞれC、Nから選択される。))
【0047】
1つの実施の形態において、n1及びn2は1~3から選択される整数である。例えばn1及びn2はそれぞれ独立して、1、2及び3から選択され、例えば1、2又は3である。1つの好ましい実施の形態において、n1は2及び3から選択される。1つのより好ましい実施の形態において、n1は1である。別の好ましい実施の形態において、n2は1である。1つのより好ましい実施の形態において、n1は2である。別のより好ましい実施の形態において、n2は2である。1つのより好ましい実施の形態において、n1は3である。別のより好ましい実施の形態において、n2は3である。1つの特に好ましい実施の形態において、n1は2であり、n2は1である。
【0048】
1つの実施の形態において、R1は、C1~C8の直鎖又は分岐アルキル基、C2~C8のアルケニル基及びC2~C8のアルキニル基から選択され、上記アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基はそれぞれ独立して、かつ、所望によりハロゲン及びC1~C8のハロアルキル基から選択される置換基で置換されていてもよい。1つの好ましい実施の形態において、R1はC1~C8の直鎖又は分岐アルキル基であり、上記アルキル基は所望により、ハロゲン及びC1~C8のハロアルキル基から選択される置換基で置換されていてもよい。1つのより好ましい実施の形態において、R1はC1~C8直鎖又は直鎖アルキル基である。1つの特に好ましい実施の形態において、R1はC1~C5の直鎖又は分岐アルキル基である。別の特に好ましい実施の形態において、R1はC1~C3の直鎖又は分岐アルキル基である。1つの具体的な実施の形態において、R1はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基から選択される。1つのより具体的な実施の形態において、R1はメチル基、エチル基及びプロピル基から選択され、例えばメチル基、エチル基又はプロピル基である。1つの特に具体的な実施の形態において、R1はメチル基である。別の特に具体的な実施の形態において、R1はエチル基である。さらに別の特に具体的な実施の形態において、R1はプロピル基である。
【0049】
1つの実施の形態において、R2は水素、ハロゲン、及びC1~C8のハロアルキル基から選択される。1つの好ましい実施の形態において、R2は水素及びハロゲンから選択される。1つのより好ましい実施の形態において、R2は水素である。別のより好ましい実施の形態において、R2はハロゲンである。1つの具体的な実施の形態において、R2は水素、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選択される。1つのより具体的な実施の形態において、R2は水素、フッ素、塩素、臭素から選択される。1つのより具体的な実施の形態において、R2はフッ素である。別のより具体的な実施の形態において、R2は塩素である。さらに別のより具体的な実施の形態において、R2は臭素である。
【0050】
1つの実施の形態において、R3、R4、R5、R6はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン及びC1~C8のハロアルキル基から選択される。
【0051】
1つの好ましい実施の形態において、R3は水素及びハロゲンから選択される。1つのより好ましい実施の形態において、R3は水素である。別のより好ましい実施の形態において、R3はハロゲンである。1つの特に好ましい実施の形態において、R3はフッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選択される。1つのより好ましい実施の形態において、R3はフッ素、塩素及び臭素から選択される。1つの具体的な実施の形態において、R3は水素、フッ素、塩素及び臭素から選択される。1つのより具体的な実施の形態において、R3は水素、フッ素及び塩素から選択される。1つの特に具体的な実施の形態において、R3はフッ素である。別の特に具体的な実施の形態において、R3は塩素である。
【0052】
1つの好ましい実施の形態において、R4は水素及びハロゲンから選択される。1つのより好ましい実施の形態において、R4は水素である。別のより好ましい実施の形態において、R4はハロゲンである。1つの特に好ましい実施の形態において、R4はフッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選択される。1つのより好ましい実施の形態において、R4はフッ素、塩素及び臭素から選択される。1つの具体的な実施の形態において、R4は水素、フッ素、塩素及び臭素から選択される。1つのより具体的な実施の形態において、R4は水素、フッ素及び塩素から選択される。1つの特に具体的な実施の形態において、R4はフッ素である。別の特に具体的な実施の形態において、R4は塩素である。
【0053】
1つの好ましい実施の形態において、R5は水素及びハロゲンから選択される。1つのより好ましい実施の形態において、R5は水素である。別のより好ましい実施の形態において、R5はハロゲンである。1つの特に好ましい実施の形態において、R5はフッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選択される。1つのより好ましい実施の形態において、R5はフッ素、塩素及び臭素から選択される。1つの具体的な実施の形態において、R5は水素、フッ素、塩素及び臭素から選択される。1つのより具体的な実施の形態において、R5は水素、フッ素及び塩素から選択される。1つの特に具体的な実施の形態において、R5はフッ素である。別の特に具体的な実施の形態において、R5は塩素である。
【0054】
1つの好ましい実施の形態において、R6は水素及びハロゲンから選択される。1つのより好ましい実施の形態において、R6は水素である。別のより好ましい実施の形態において、R6はハロゲンである。1つの特に好ましい実施の形態において、R6はフッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選択される。1つのより好ましい実施の形態において、R6はフッ素、塩素及び臭素から選択される。1つの具体的な実施の形態において、R6は水素、フッ素、塩素及び臭素から選択される。1つのより具体的な実施の形態において、R6は水素、フッ素及び塩素から選択される。1つの特に具体的な実施の形態において、R6はフッ素である。別の特に具体的な実施の形態において、R6は塩素である。
【0055】
1つの実施の形態において、R7はC1~C8の直鎖又は分岐アルキル基、シクロアルキル基及び
【化18】

(式中、R8、R9はそれぞれ独立して、C1~C8の直鎖又は分岐アルキル基から選択される。)から選択され、上記アルキル基及びシクロアルキル基は所望により、ハロゲン及びC1~C8のハロアルキル基から選択される置換基で置換されていてもよい。
【0056】
1つの好ましい実施の形態において、R7はC1~C8の直鎖又は分岐アルキル基である。1つのより好ましい実施の形態において、R7はC1~C5の直鎖又は分岐アルキル基である。1つの特に好ましい実施の形態において、R7はC1~C3の直鎖又は分岐アルキル基である。1つの具体的な実施の形態において、R7はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基から選択される。1つのより具体的な実施の形態において、R7はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基から選択され、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基又はイソブチル基である。1つの特に具体的な実施の形態において、R7はイソプロピル基である。
【0057】
1つの好ましい実施の形態において、R7はシクロアルキル基である。1つのより好ましい実施の形態において、R7はC3~C10のシクロアルキル基である。1つの特に好ましい実施の形態において、R7はC3~C6のシクロアルキル基である。1つの具体的な実施の形態において、R7はシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロへキシル基から選択される。1つのより具体的な実施の形態において、R7はシクロプロピル基、シクロブチル基及びシクロペンチル基から選択され、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基又はシクロペンチル基である。
【0058】
1つの好ましい実施の形態において、R7は
【化19】

(式中、R8及びR9はそれぞれ独立して、C1~C8の直鎖又は分岐アルキル基から選択される。)である。1つの好ましい実施の形態において、R7は
【化20】

(式中、R8及びR9はそれぞれ独立して、C1~C3の直鎖又は分岐アルキル基から選択される。)である。1つの具体的な実施の形態において、R7は
【化21】

(式中、R8及びR9はそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びペンチル基から選択される。)である。1つのより具体的な実施の形態において、R7は
【化22】

(式中、R8及びR9はそれぞれ独立して、メチル基、エチル基及びプロピル基から選択され、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、及びイソプロピル基であり、1つの特に具体的な実施の形態において、R8及びR9はメチル基である。)である。
【0059】
1つの実施の形態において、ZはC、O、Nから選択される。1つの好ましい実施の形態において、ZはCである。別の好ましい実施の形態において、ZはOである。さらに別の好ましい実施の形態において、ZはNである。
【0060】
1つの実施の形態において、Q、WはそれぞれC、Nから選択される。1つの好ましい実施の形態において、QはNである。1つの好ましい実施の形態において、QはCである。1つの好ましい実施の形態において、WはCである。1つの好ましい実施の形態において、WはNである。
【0061】
1つの実施の形態において、C1~C8の直鎖又は分岐アルキル基はC1~C5の直鎖又は分岐アルキル基、及びC1~C3の直鎖又は分岐アルキル基から選択される。1つの具体的な実施の形態において、C1~C8の直鎖又は分岐アルキル基、C1~C5の直鎖又は分岐アルキル基、及びC1~C3の直鎖又は分岐アルキル基はそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基及びイソペンチル基から選択される。1つのより具体的な実施の形態において、C1~C8の直鎖又は分岐アルキル基、C1~C5の直鎖又は分岐アルキル基、及びC1~C3の直鎖又は分岐アルキル基はそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基から選択される。
【0062】
1つの実施の形態において、上記プロピル基は、n-プロピル基(n-Pr、-CHCHCH)又はイソプロピル基(i-Pr、-CH(CH)を含むが、これらに限定されない。上記ブチル基は、n-ブチル(n-Bu、-CHCHCHCH)、イソブチル基(i-Bu、-CHCH(CH)、sec-ブチル基(s-Bu、-CH(CH)CHCH)又はtert-ブチル基(t-Bu、-C(CH)を含むが、これらに限定されない。上記ペンチル基は、n-ペンチル基(-CHCHCHCHCH)、2-ペンチル基(-CH(CH)CHCHCH)、3-ペンチル基(-CH(CHCH)、2-メチル-2-ブチル基(-C(CHCHCH)、3-メチル-2-ブチル基(-CH(CH)CH(CH)、3-メチル-1-ブチル基(-CHCHCH(CH)又は2-メチル-1-ブチル基(-CHCH(CH)CHCH)を含むが、これらに限定されない。
【0063】
1つの実施の形態において、C2~C8のアルケニル基はC2~C5のアルケニル基である。1つの具体的な実施の形態において、C2~C8のアルケニル基及びC2~C5のアルケニル基はそれぞれ独立して、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基及びペンテニル基から選択される。1つのより好ましい実施の形態において、C2~C8のアルケニル基及びC2~C5のアルケニル基はそれぞれ独立して、ビニル基、プロペニル基及びブテニル基から選択される。
【0064】
1つの実施の形態において、上記プロペニル基は、-CH-CH=CH2.-CH=CH-CHを含むが、これらに限定されない。上記ブテニル基は、-CH-CH-CH=CH2.-CH-CH=CH-CH3.-CH=CH-CH-CH3.-CH=C(CH2.-C(CH)=CHCH3.-CH(CH)CH=CHを含むが、これらに限定されない。上記ペンテニル基は、-CH=CHCHCHCH3.-CHCH=CHCHCH3.-CHCHCH=CHCH3.-CHCHCHCH=CH2.-C(CH)=CHCHCH3.-CH(CH)CH=CHCH3.-CH(CH)CHCH=CHを含むが、これらに限定されない。
【0065】
1つの実施の形態において、C2~C8のアルキニル基はC2~C5のアルキニル基である。1つの具体的な実施の形態において、C2~C8のアルキニル基及びC2~C5のアルキニル基はそれぞれ独立して、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基及びペンチニル基から選択される。1つのより具体的な実施の形態において、C2~C8のアルキニル基及びC2~C5のアルキニル基はそれぞれ独立して、エチニル基、プロピニル基及びブチニル基から選択される。
【0066】
1つの実施の形態において、上記プロピニル基は、-HC-C≡CH、-C≡C-CHを含むが、これらに限定されない。上記ブチニル基は、-HC-CH-C≡CH、-HC-C≡C-CH3.C-CH-C≡C-を含むが、これらに限定されない。上記ペンチニル基は、HC-HC-CH-C≡C-、-HC-HC-C≡C-CH3.C-HC-C≡C-CH-、(HC)C-C≡C-を含むが、これらに限定されない。
【0067】
1つの実施の形態において、C1~C8のハロアルキル基はC1~C5のハロアルキル基である。1つの具体的な実施の形態において、C1~C8のハロアルキル基及びC1~C5のハロアルキル基において、C1~C8アルキル基又はC1~C5アルキル基は1、2、3又は4個のハロゲンで置換される。1つの好ましい実施の形態において、C1~C8アルキル基又はC1~C5アルキル基は-(CHCX(式中、aは1、2、3、4、5、6及び7から選択され、Xはハロゲンを示す。)である。1つの具体的な実施の形態において、上記ハロゲンはフッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選択される。1つの好ましい実施の形態において、aは1、2、3及び4から選択される。1つの好ましい実施の形態において、上記ハロゲンはフッ素である。
【0068】
1つの実施の形態において、上記C1~C8のハロアルキル基又はC1~C5のハロアルキル基は、-CF、-CCl、-CBr、-CI、-CHCF、-CHCCl、-CHCBr、-CHCI、-(CHCF、-(CHCCl、-(CHCBr、-(CHCI等を含むが、これらに限定されない。
【0069】
1つの実施の形態において、ハロゲンはフッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選択される。1つの好ましい実施の形態において、ハロゲンはフッ素、塩素及び臭素から選択され、例えばフッ素、塩素、臭素又はヨウ素である。1つの具体的な実施の形態において、ハロゲンはフッ素である。
【0070】
1つの具体的な実施の形態において、ZはOであり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、n1、n2、Q及び
【化23】

結合は上記で定義されているとおりである。1つのより具体的な実施の形態において、ZはOであり、R1はC1~C5の直鎖又は分岐アルキル基であり、R2は水素及びハロゲンから選択され、R3、R4、R5、R6はそれぞれ独立して、水素及びハロゲンから選択され、R7はC1~C5の直鎖又は分岐アルキル基、及びC3~C6のシクロアルキル基から選択される。1つの好ましい実施の形態において、ZはOであり、R1はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基及びイソブチル基から選択され、R2は水素、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選択され、R3、R4、R5、R6はそれぞれ独立して、水素、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選択され、R7はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基及びシクロペンチル基から選択される。
【0071】
1つの具体的な実施の形態において、ZはOであり、
【化24】

結合は単結合であり、式Iで表される化合物は式I-1で表される化合物である。
【化25】
【0072】
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、n1、n2及びQは上記で定義されているとおりである。1つの好ましい実施の形態において、ZはOであり、
【化26】

結合は単結合であり、式Iで表される化合物は式I-1で表される化合物であり、R1はC1~C5の直鎖又は分岐アルキル基であり、R2は水素及びハロゲンから選択され、R3、R4、R5、R6はそれぞれ独立して、水素及びハロゲンから選択され、R7はC1~C5の直鎖又は分岐アルキル基、及びC3~C6のシクロアルキル基から選択され、QはNである。1つの好ましい実施の形態において、ZはOであり、
【化27】

結合は単結合であり、式Iで表される化合物は式I-1で表される化合物であり、R1はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基及びイソブチル基から選択され、R2は水素、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選択され、R3、R4、R5、R6はそれぞれ独立して、水素、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選択され、R7はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基及びシクロペンチル基から選択される。
【0073】
1つの実施の形態において、式Iで表される化合物は式IVで表される化合物である。
【化28】

(式中、n1、n2は1~3の整数であり、R1はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基から選択され、R2は水素、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選択され、R3、R4、R5、R6はそれぞれ、水素、フッ素、塩素から選択され、R7はイソプロピル基、イソブチル基、エチル基、プロピル基、メチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、
【化29】

から選択され、ZはC、O、Nから選択され、Q、WはそれぞれC、Nから選択され、
【化30】

結合は存在しないか、又は単結合で存在することを意味する。)
【0074】
1つの具体的な実施の形態において、式Iで表される化合物における
【化31】

結合は存在せず、式Iで表される化合物は式Vで示される化合物である。
【化32】

(式中、n2は1~2の整数であり、R1はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基から選択され、R3は水素、フッ素、塩素から選択され、R7はイソプロピル基、イソブチル基、エチル基、プロピル基、メチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、
【化33】

から選択される。)
【0075】
1つの実施の形態において、式Iで表される化合物における
【化34】

結合は単結合であり、式Iで表される化合物は式VIで示される化合物である。
【化35】

(、n1、n2は1~3の整数であり、R1はメチル基であり、R2はフッ素、水素から選択され、R3、R4、R5、R6はそれぞれ、水素、フッ素、塩素から選択され、R7はイソプロピル基、シクロプロピル基、イソブチル基、メチル基、
【化36】

から選択され、ZはC、O、Nから選択され、Q、WはそれぞれC、Nから選択される。)
【0076】
1つの実施の形態において、式Iで表される化合物は下式で示されるいずれか1つの化合物から選択される。
【化37】

【化38】
【0077】
式Iで表される化合物の製造方法
【0078】
本発明は、アミノ基がBoc保護された置換のo-カルボキシベンジルアミンを第一級アミンと縮合反応させて中間体I-aを得、次に、中間体I-aに塩酸を加えてBoc脱保護され、中間体I-bを得、I-bをさらに置換のアリールアルデヒドと還元的アミノ化反応させ、中間体I-cを得、次に、I-cをボランと反応させ、アミド部分を還元し、中間体I-dを得、I-dをトリホスゲンと環化反応させ、中間体I-eを得、最後に、I-eをアルキル化反応させて式Iで表される化合物を得ること、を含む式Iで表される化合物の製造方法を提供する。
【化39】
【0079】
医薬組成物及び医薬品制剤
【0080】
本発明の別の目的は、治療有効量の本発明の化合物を含み、所望により薬学的に許容される賦形剤、担体、アジュバント、溶媒又はそれらの組み合わせを含む医薬組成物を提供することにある。
【0081】
本発明の医薬組成物に用いられる薬学的に許容される担体は、例えば水及び油状物等の滅菌液体を含むが、これらに限定されない。上記組成物はまた、必要に応じて少量の湿潤剤、乳化剤、潤滑剤、安定剤又はpH緩衝液等を含むことができる。経口投与制剤は標準的な担体を含むことができる。
【0082】
本発明の1つの実施の形態では、医薬組成物は、1種又は複数種の薬学的に許容される担体を常法により調製されることができる。したがって、本発明の活性化合物は、経口投与、口腔内投与、鼻腔内投与、非経口(例えば静脈内、筋肉内又は皮下)投与又は直腸投与用剤型、又は吸入又は吹送による投与に適する剤型に調製されることができる。
【0083】
本発明の医薬組成物は、ヒト又は動物の患者の症状を予防、軽減、防止又は治癒する効果を達成できれば、任意の方法で投与されることができる。例えば、投与経路に応じて様々な適切な剤型、特に例えば凍結乾燥粉末注射剤、注射液又は注射用滅菌粉末等の注射剤に調製されることができる。
【0084】
本発明の1つの実施の形態では、有効量の本発明の化合物は、例えば不活性稀釈剤又はある担体と共に経口投与されることができる。本発明のいくつかの実施例によれば、本発明の化合物をゼラチンカプセルにカプセル化するか、又は錠剤にプレスすることができる。経口投与治療の目的のために、本発明の化合物は賦形剤と共に、錠剤、トローチ剤、カプセル剤、懸濁剤、シロップ剤等の形態で使用されることができる。本発明の実施例によれば、上記制剤は本発明の活性化合物を少なくとも0.5%(w/w)含むべきであるが、特定の剤型に応じて変化することができ、重量あたりの4%~約70%は便利である。このような医薬組成物における活性化合物の量が適切な投与量に達成すべきである。
【0085】
本発明の1つの実施の形態では、経口投与に関して、本発明の活性化合物は例えば一般の手段により、例えば結合剤、充填剤、潤滑剤、崩壊剤又は湿潤剤等薬学的に許容される賦形剤と共に錠剤又はカプセルに調製されることができる。錠剤は当業界熟知の方法によりコーティングされることもできる。経口投与用液体制剤として、例えば、溶液、シロップ又は懸濁液、又は乾燥生成物に揮発され、使用前に水又はその他の適切の担体で再構成されるものを使用できる。このような液体制剤は、例えば懸濁剤、乳化剤、非水性担体及び防食剤等の薬学的に許容される添加剤を用い、一般の手段により調製されることができる。
【0086】
本発明の1つの実施の形態では、本発明の活性化合物が非経口投与用である場合、本発明で提供される化合物を滅菌水又は有機ビヒクルと組み合わせて注射可能溶液又は懸濁液に調製することができる。
【0087】
本発明の1つの実施の形態では、本発明の活性化合物は、例えば、カカオ脂又はその他のグリセリド等通常の坐剤基剤を含む坐剤又は浣腸剤等の直腸組成物に調製されることができる。
【0088】
治療用途及び方法
【0089】
本発明はまた、精神疾患を治療するための医薬品の製造における式Iに記載の化合物の使用を提供する。
【0090】
本発明はまた、式Iで表される化合物又はその医薬組成物をそれを必要とする患者に投与することを含む、精神疾患を治療するための方法を提供する。上記方法は、所望により精神疾患を治療するための別の活性剤を投与することを含んでもよい。
【0091】
本発明はまた、精神疾患を治療するための式Iに記載の化合物又はその医薬組成物を提供する。
【0092】
1つの実施の形態において、上記精神疾患は統合失調症、精神障害から選択される。
【0093】
別の実施の形態において、上記精神疾患はパーキンソン病、認知症の行動・心理症状から選択される。
【0094】
例示的実施の形態
【0095】
1.式Iで表される化合物。
【化40】

(式I中、n1、n2は1~3の整数であり、
R1はC1~C5の直鎖又は分岐アルキル基であり、
R2は水素、ハロゲンから選択され、
R3、R4、R5、R6はそれぞれ独立して、水素、ハロゲンから選択され、
R7はC1~C5の直鎖又は分岐アルキル基、シクロアルキル基、
【化41】

(式中、R8、R9はそれぞれ独立して、C1~C3の直鎖又は分岐アルキル基から選択される。)から選択され、
ZはC、O、Nから選択され、
Q、WはそれぞれC、Nから選択され、
【化42】

結合は存在しないか、又は単結合で存在することを意味し、
【化43】

結合が存在しないことを意味する場合、式Iで表される化合物は式IIで表される化合物であり、
【化44】

(式II中、n2、R1、R3、R7、W、Zは上記と同じ定義である。)
【化45】

結合が単結合で存在することを意味する場合、式Iで表される化合物は式IIIで表される化合物である。
【化46】

(式III中、n1、n2は1~3の整数であり、
R1はC1~C5の直鎖又は分岐アルキル基であり、
R2は水素、ハロゲンから選択され、
R3、R4、R5、R6はそれぞれ独立して、水素、ハロゲンから選択され、
R7はC1-5の直鎖又は分岐アルキル基、シクロアルキル基、
【化47】

(式中、R8、R9はそれぞれ独立して、C1~C3の直鎖又は分岐アルキル基から選択される。)から選択され、
ZはC、O、Nから選択され、
Q、WはそれぞれC、Nから選択される。))
【0096】
2.前記ハロゲンはフッ素、塩素、臭素及びヨウ素であることを特徴とする第1項に記載の式Iで表される化合物。
【0097】
3.前記C1~C5の直鎖又は分岐アルキル基はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基から選択され、前記シクロアルキル基はシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基から選択され、C1~C3の直鎖又は分岐アルキル基はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基であることを特徴とする第1項に記載の式Iで表される化合物。
【0098】
4.前記式Iで表される化合物は式IVで表される化合物であることを特徴とする第1項に記載の式Iで表される化合物。
【化48】

(式中、n1、n2は1~3の整数であり、
R1はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基から選択され、
R2は水素、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選択され、
R3、R4、R5、R6はそれぞれ、水素、フッ素、塩素から選択され、
R7はイソプロピル基、イソブチル基、エチル基、プロピル基、メチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、
【化49】

から選択され、
ZはC、O、Nから選択され、
Q、WはそれぞれC、Nから選択され、
【化50】

結合は存在しないか、又は単結合で存在することを意味する。)
【0099】
5.前記式Iで表される化合物は、
【化51】

結合が存在しないことを意味する場合、式Vで表される化合物であることを特徴とする第1項に記載の式Iで表される化合物。
【化52】

(式中、n2は1~2の整数であり、
R1はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基から選択され、
R3は水素、フッ素、塩素から選択され、
R7はイソプロピル基、イソブチル基、エチル基、プロピル基、メチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、
【化53】

から選択される。)
【0100】
6.前記式Iで表される化合物は、
【化54】

結合が単結合で存在することを意味する場合、式VIで表される化合物であることを特徴とする第1項に記載の式Iで表される化合物。
【化55】

(式中、n1、n2は1~3の整数であり、
R1はメチル基であり、
R2はフッ素、水素から選択され、
R3、R4、R5、R6はそれぞれ、水素、フッ素、塩素から選択され、
R7はイソプロピル基、シクロプロピル基、イソブチル基、メチル基、
【化56】

から選択され、
ZはC、O、Nから選択され、
Q、WはそれぞれC、Nから選択される。)
【0101】
7.前記化合物は下記のいずれか1つの化合物であることを特徴とする第1~4項のいずれか1項に記載の式Iで表される化合物。
【化57】

【化58】
【0102】
8.第1~7項のいずれか1項に記載の化合物を含み、所望により薬学的に許容される賦形剤、担体、アジュバント、溶媒又はそれらの組み合わせをさらに含むことを特徴とする医薬組成物。
【0103】
9.第1~7項のいずれか1項に記載の化合物又は第8項に記載の医薬組成物の、精神疾患を治療するための医薬品の製造における使用。
【0104】
10.前記精神疾患は統合失調症、精神障害であることを特徴とする第9項に記載の使用。
【0105】
11.前記精神疾患はパーキンソン病、認知症の行動・心理症状であることを特徴とする第9項に記載の使用。
有利な効果
【0106】
本発明で提供される化合物は、5-HT2A、5-HT2C受容体に作用し、5-HT2Aに対する選択性がピマバンセリンより優れているか、それに類似している。本発明で提供される化合物は、統合失調症又はパーキンソン病、認知症の行動・心理症状の治療に用いられる。本発明の化合物は、抗精神障害活性がピマバンセリンと同等であり、鎮静及び運動低下の副作用がピマバンセリンよりも少なく、また、心毒性がピマバンセリンよりも少ない。
実施例
【0107】
以下実施例により本発明をさらに説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されるものではない。当業者であれば、本発明の精神及び趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更及び修正を行うことができる。
【0108】
合成実施例
【0109】
実施例1:2-(1-メチルピペリジン-4-イル)-4-{[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造(A19020)
【化59】
【0110】
合成経路
【化60】
【0111】
1.1 2-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]メチル]ベンジルアルコールの製造
1,2-ベンゼンジメタノール(22.0g、159.2mmol)、tert-ブチルジメチルシリルクロリド(24.0g、159.2mmol)、トリエチルアミン(16.1g、159.2mmol)、DCM(200.00mL)を500mLの三つ口丸底フラスコに加え、窒素ガス保護下、室温で一晩撹拌した。次に、水を加えて反応をクエンチし、DCM(3×100mL)で抽出し、次に200mLの飽和食塩水で洗浄し、DCM相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、吸引ろ過し、濃縮し、無色の油状物を30g(収率74.64%)得た。
【0112】
1.2 2-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシメチル]ベンズアルデヒドの製造
2-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシメチル]ベンジルアルコール(30.00g、118.8mmol)、DessMartin(50.4g、118.8mmol)、DCM(300mL)を1Lの三つ口丸底フラスコに加え、窒素ガス保護下、室温で4h反応させ、次に、水を加えて反応をクエンチし、DCM(3×100mL)で抽出し、次に200mLの飽和食塩水で洗浄し、DCM相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、吸引ろ過し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油状物エーテル(1/35))によって分離し、無色の油状物を17g(収率58.62%)得た。
【0113】
1.3 2-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシメチル]フェニル-[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]メタンアミンの製造
2-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシメチル]ベンズアルデヒド(1.00g、3.9mmol)、1-(4-イソプロポキシフェニル)メタンアミン(0.66g、3.9mmol)、MgSO(0.1g、0.83mmol)、EtOH(10mL)を50mLの三つ口丸底フラスコに加え、窒素ガスでパージして保持し、室温で3h反応させ、次に、NaBH(0.76g、19.9mmol)を加え、室温で1h撹拌した。水を30ml加え、酢酸エチル(3×20mL)で抽出し、次に30mLの飽和食塩水で洗浄し、酢酸エチル相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、吸引ろ過して濃縮し、無色の油状物を1.6g(収率96.85%)得た。
【0114】
1.4 ベンジル-[N-2-[((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル]フェニル]-N-[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]カーバメートの製造
2-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシメチル]フェニル-[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]メタンアミン(1.6g、0.004mmol)、テトラヒドロフラン(5mL)及び水(5mL)、クロロギ酸ベンジル(0.79g、0.005mmol)、トルイル酸カリウム(1.08g、0.008mmol)を50mLの丸底フラスコに加え、50℃で2h撹拌し、次に、水を30ml加え、酢酸エチル(3×20mL)で抽出し、次に50mLの飽和食塩水で洗浄し、酢酸エチル相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、吸引ろ過して濃縮し、油状物を2.27g得た。
【0115】
1.5 ベンジル-[N-2-(ヒドロキシメチル)フェニル]-N-[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]カーバメートの製造
ベンジル-[N-2-[((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル]フェニル]-N-[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]カーバメート(2.27g、4.14mmol)、ジオキサン(Dioxane)(20.00mL)、HCl(5.2mL)を50mLの三つ口丸底フラスコに加え、不活性窒素ガスでパージして保持した。室温で1h撹拌した。次に、反応液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油状物エーテル(1/5))によって分離し、無色の油状物を0.87g(収率48.6%)得た。
【0116】
1.6 ベンジル-[N-2-(ホルミルフェニル)]-N-[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]カーバメートの製造
ベンジル-[N-2-(ヒドロキシメチル)フェニル]-N-[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]カーバメート(0.87g、2.0mmol)、二酸化マンガン(2.62g、30.1mmol)、DCM(20mL)を50mLの丸底フラスコに加え、80℃に昇温して一晩撹拌し、次に、固体をろ過し、ろ液をそのまま濃縮し、油状物0.75g(収率86.61%)を得た。
【0117】
1.7 ベンジル-[N-2-(tert-ブトキシカルボニルピペリジン)フェニル]アミノ-N-[4-(2-メチルプロポキシ)カーバメートの製造
ベンジル-[N-2-(ホルミルフェニル)]-N-[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]カーバメート(0.75g、1.74mmol)、4-アミノ-tert-ブトキシカルボニルピペリジン(0.42g、2.08mmol)、硫酸マグネシウム(0.10g、0.001mmol)、エタノール(10mL)を50mLの三つ口丸底フラスコに加え、窒素ガスでパージして保持し、室温で3h撹拌し、さらに、NaBH(0.33g、8.69mmol)を加え、室温で1h撹拌し、次に、水を30ml加え、酢酸エチル(3×20mL)で抽出し、さらに、50mLの飽和食塩水で洗浄し、酢酸エチル相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、吸引ろ過して濃縮し、油状物を1.1g得た。
【0118】
1.8 N-[2-(tert-ブトキシカルボニルピペリジン)フェニル]アミノ-N-[4-(2-メチルプロポキシ)アミノの製造
ベンジル-[N-2-(tert-ブトキシカルボニルピペリジン)フェニル]アミノ-N-[4-(2-メチルプロポキシ)カーバメート(1.1g)、パラジウム炭素(0.1g)、メタノール(5mL)、テトラヒドロフラン(5mL)を50mLの三つ口丸底フラスコに加え、水素ガスを導入し、室温で3h撹拌し、次に、固体をろ過し、ろ液をそのまま濃縮し、油状物を0.65g得た。
【0119】
1.9 2-(tert-ブトキシカルボニルピペリジン)-4-{[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造
N-[2-(tert-ブトキシカルボニルピペリジン)フェニル]アミノ-N-[4-(2-メチルプロポキシ)アミノ(0.65g、1.34mmol)及びテトラヒドロフラン(10mL)を50mLの丸底フラスコに加え、不活性窒素ガスでパージして保持し、-40℃でBTC(0.16g、0.54mmol)を加え、保温しながら1h反応させ、次に、水を30ml加え、酢酸エチル(3×20mL)で抽出し、さらに、50mLの飽和食塩水で洗浄し、酢酸エチル相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、吸引ろ過して濃縮し、油状物を0.78g得た。
【0120】
1.10 2-(ピペリジン-4-イル)-4-{[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造
2-(tert-ブトキシカルボニルピペリジン)-4-{[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オン(0.78g、1.53mmol)、DCM(10mL)、HCl/ジオキサン4M(0.22g、1.6mmol)を50mLの丸底フラスコに加え、室温で1h撹拌し、次に、反応液をそのまま濃縮し、油状物を0.66g得た。
【0121】
1.11 2-(1-メチルピペリジン-4-イル)-4-{[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造
2-(ピペリジン-4-イル)-4-{[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オン(0.66g、1.6mmol)、ホルムアルデヒド(0.1g、3.2mmol)、トリエチルアミン(0.66g、6.4mmol)、硫酸マグネシウム(0.02g、0.16mmol)、メタノール(10mL)を50mLの丸底フラスコに加え、室温で3h撹拌し、次に、NaBH(0.31g、8.1mmol)を加え、室温で1h撹拌し、次に水を30ml加え、酢酸エチル(3×20mL)で抽出し、さらに30mLの飽和食塩水で洗浄し、酢酸エチル相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、吸引ろ過して濃縮し、最後に、Intel Flash-1カラムによって精製し、淡黄色の油状物を11.6mg(収率1.7%)得た。HNMR(400MHz,Methanol-d)δ7.40-7.19(m,5H)、7.03(d,J=7.3Hz,1H)、6.91-6.82(m,2H)、4.51(s,2H)、4.46(s,2H)、4.41(s,2H)、4.34(tt,J=12.2,3.9Hz,1H)、3.74(d,J=6.5Hz,2H)、3.64-3.56(m,2H)、3.21~3.04(m,2H)、2.91(s,3H)、2.32-2.17(m,2H)、2.07(dq,J=13.3,6.6Hz,1H)、1.97(t,J=15.8Hz,2H)、1.04(d,J=6.7Hz,6H)、LCMS(ES,m/z):422[M+H]
【0122】
実施例2:7-フルオロ-2-(1-メチルピペリジン-4-イル)-4-{[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造(A19001)
【化61】
【0123】
合成経路
【化62】
【0124】
2.1 2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノメチル]-5-フルオロ-安息香酸メチルの製造
2-シアノ-5-フルオロ安息香酸メチル(1.8g、10.05mmol)、Raney-Ni(0.5mg)、BocO(2.63g、12.06mmol)、NaHCO(1.69g、20.1mmol)、THF(20mL)を50mLの三つ口丸底フラスコに加え、水素ガスを導入し、50℃で48h撹拌し、次に、反応液をろ過し、ろ液をそのまま濃縮し、固体を2g(70.26%)得た。
【0125】
2.2 2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノメチル]-5-フルオロ-安息香酸の製造
2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノメチル]-5-フルオロ-安息香酸メチル(2.0g、7.06mmol)、水酸化ナトリウム(1.41g、35.3mmol)、THF/HO(10/10mL)を50mLの三つ口丸底フラスコに加え、室温で一晩撹拌し、次に、3N HClでpHを5に調節し、EA(3×20mL)で抽出し、さらに30mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、吸引ろ過して濃縮し、固体を1.2g(収率63.13%)得た。
【0126】
2.3 2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノメチル]-5-フルオロ-4-(2-メチルプロポキシ)ベンズアミドの製造
2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノメチル]-5-フルオロ-安息香酸(1.2g、4.4mmol)、4-イソブトキシベンジルアミン(0.88g、4.9mmol)、HATU(2.2g、5.8mmol)、DIEA(1.15g、8.9mmol)、DMF(20mL)を50mLの三つ口丸底フラスコに加え、室温で一晩撹拌し、次に、水を30mL加え、EA(3×20mL)で抽出し、さらに30mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、吸引ろ過して濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油状物エーテル(1/3))によって分離し、固体を1g(収率52.12%)得た。
【0127】
2.4 2-(アミノメチル)-5-フルオロ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニルカルボキサミドの製造
実施例1の1.10の方法に従って製造し、油状物を1g得た。
【0128】
2.5 2-[(1-メチルピペリジン-4-イル)アミノ]-5-フルオロ-4-(2-メチルプロポキシ)カルボキサミドの製造
2-(アミノメチル)-5-フルオロ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニルカルボキサミド1g、3.02mmol)、1-メチルピペリジン-4-オン(0.41g、3.6mmol)、NaBHCN(0.38g、6.05mmol)、EtOH(10mL)及びHOAc(1mL)を50mLの丸底フラスコに加え、室温で一晩撹拌し、次に、飽和NaHCO溶液を30mL加え、EA(3×20mL)で抽出し、さらに30mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、吸引ろ過して濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール(10/1))によって分離し、固体を0.75g(収率57.96%)得た。
【0129】
2.6 2-[(1-メチルピペリジン-4-イル)アミノ]-5-フルオロ-4-(2-メチルプロポキシ)ベンジルアミンの製造
2-[(1-メチルピペリジン-4-イル)アミノ]-5-フルオロ-4-(2-メチルプロポキシ)カルボキサミド(0.3g、0.702mmol)、BH-THF(10.00mL)を50mLの丸底フラスコに加え、室温で一晩撹拌し、次に、2N HClで反応をクエンチし、EA(30mL)を加え、水相をEA(2×20mL)で抽出し、次に、15%NaOH溶液で水相のpHを10に調節し、DCMで抽出し、溶媒を除去し、さらに逆相クロマトグラフィーによって精製し、白色の固体を0.1g(収率34.46%)得た。
【0130】
2.6 7-フルオロ-2-(1-メチルピペリジン-4-イル)-4-{[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造
【0131】
実施例1の1.9の方法に従って製造し、白色の固体を2.8mg(収率2.63%)得た。H-NMR(400MHz,Methanol-d):δ7.34(dd,J=8.4,5.4Hz,1H)、7.25-7.17(m,2H)、7.00(td,J=8.6,2.7Hz,1H)、6.91-6.82(m,2H)、6.77(dd,J=9.1,2.7Hz,1H)、4.47(d,J=15.2Hz,4H)、4.39(s,2H)、4.43-4.27(m,1H)、3.74(d,J=6.4Hz,2H)、3.64-3.56(m,2H)、3.21-3.10(m,2H)、2.90(s,3H)、2.32(dd,J=13.4,4.0Hz,1H)、2.25(dd,J=13.1,4.1Hz,1H)、2.06(dp,J=13.3,6.7Hz,1H)、1.95(d,J=13.9Hz,2H)、1.04(d,J=6.7Hz,6H);LCMS(ES,m/z):440[M+H]
【0132】
実施例3:7-クロロ-2-(1-メチルピペリジン-4-イル)-4-{[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造(A190017)
【化63】
【0133】
合成経路
【化64】
【0134】
3.1 2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノメチル]-4-クロロ-安息香酸メチルの製造
実施例2の2.1の方法に従って製造し、白色の固体を1.58g(103.10%)得た。
【0135】
3.2 2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノメチル]-4-クロロ-安息香酸の製造
実施例2の2.2の方法に従って製造し、白色の固体を1.12g(74.37%)得た。
【0136】
3.3 2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノメチル]-4-クロロ-4-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)ベンズアミドの製造
実施例2の2.3の方法に従って製造し、黄色の油状物を2g(101.63%)得た。
【0137】
3.4 2-(アミノメチル)-4-クロロ-4-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)ベンズアミドの製造
実施例1の1.10の方法に従って製造し、白色の固体を2g(124.91%)得た。
【0138】
3.5 2-(2-メチルプロポキシ)-ベンジルアミン-4-クロロ-4-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)ベンズアミドの製造
実施例2の2.5の方法に従って製造し、黄色の油状物を1g(35.62%)得た。
【0139】
3.6 2-(2-メチルプロポキシ)-ベンジルアミン-4-クロロ-4-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)ベンジルアミンの製造
実施例2の2.6の方法に従って製造し、黄色の油状物を0.22g(22.56%)得た。
【0140】
3.7 7-クロロ-2-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)-4-{[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造
実施例1の1.9の方法に従って製造し、黄色の油状物を0.21g(収率91.15%)得た。
【0141】
3.8 7-クロロ-2-(1-メチルピペリジン-4-イル)-4-{[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造
7-クロロ-2-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)-4-{[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オン(0.21g、0.365mmol)、Pd(OH)/C(0.1g、0.729mmol)、Pd/C(77.58mg、0.729mmol)、HCHO(43.78mg、1.46mmol)、MeOH(3mL)を50mLの丸底フラスコに加え、室温で10h撹拌し、吸引ろ過し、ろ液を濃縮し、分取液体クロマトグラフィーによって精製し、白色の固体を2.4mg(収率1.44%)得た。HNMR(400MHz,DMSO-d)δ9.62(s,1H)、7.33(dd,J=8.0,2.2Hz,1H)、7.28-7.18(m,6H)、6.90-6.83(m,3H)、4.37-4.30(m,8H)、4.17(d,J=12.6Hz,2H)、3.72(d,J=6.5Hz,3H)、3.05(d,J=10.8Hz,2H)、2.76(d,J=4.7Hz,4H)、2.38(s,4H)、2.18-2.08(m,3H)、2.00(dt,J=13.4,6.7Hz,1H)、1.75(d,J=13.3Hz,3H)、1.24(s,1H)、0.98(d,J=6.7Hz,9H);LCMS(ES,m/z):456[M+H]
【0142】
実施例4:8-フルオロ-2-(1-メチルピペリジン-4-イル)-4-{[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造(A19005)
【化65】
【0143】
合成経路
【化66】
【0144】
4.1 2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノメチル]-5-フルオロ-4-(1-ピペリジン)ベンズアミドの製造
実施例2の2.3の方法に従って製造し、油状物を8g(84.21%)得た。
【0145】
4.2 2-(2-メチルプロポキシ)-ベンジルアミン-5-フルオロ-4-(1-ピペリジン)ベンズアミドの製造
実施例1の1.10の方法に従って製造し、油状物を2g得た。
【0146】
4.3 2-(2-メチルプロポキシ)-ベンジルアミン-5-フルオロ-4-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)ベンズアミドの製造
実施例2の2.5の方法に従って製造し、黄色の油状物を0.65g(20.17%)得た。
【0147】
4.4 2-(2-メチルプロポキシ)-ベンジルアミン-5-フルオロ-4-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)ベンジルアミンの製造
実施例2の2.6の方法に従って製造し、黄色の油状物を0.25g(12.31%)得た。
【0148】
8-フルオロ-2-(1-メチルピペリジン-4-イル)-4-{[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造
実施例1の1.9の方法に従って製造し、白色の固体を35mg(収率13.17%)得た。H-NMR(400MHz,Methanol-d)δ7.24-7.17(m,2H)、7.11(dd,J=9.0,2.6Hz,1H)、7.03(dd,J=8.4,5.5Hz,1H)、6.95(td,J=8.6,2.6Hz,1H)、6.90-6.83(m,2H)、4.52-4.36(m,7H)、4.31(tt,J=12.3,3.9Hz,1H)、3.73(d,J=6.5Hz,2H)、3.60(d,J=12.4Hz,2H)、3.40(s,0H)、3.15(t,J=12.7Hz,2H)、2.91(s,3H)、2.25(qd,J=13.3,4.0Hz,2H)、2.06(dt,J=13.3,6.6Hz,1H)、1.96(d,J=13.8Hz,2H)、1.04(d,J=6.7Hz,6H);LCMS(ES,m/z):440[M+H]
【0149】
実施例5:8-フルオロ-2-(1-メチルピペリジン-4-イル)-4-{[4-(2-メチルプロピルアミノ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造(A19007)
【化67】
【0150】
合成経路
【化68】
【0151】
5.1 2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノメチル]-5-フルオロ-安息香酸メチルの製造
実施例2の2.1の方法に従って製造し、油状物を4.7g得た。
【0152】
5.2 2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノメチル]-5-フルオロ-安息香酸の製造
実施例2の2.2の方法に従って製造し、油状物を4.0g(89.54%)得た。
【0153】
5.3 2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノメチル]-5-フルオロ-4-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)ベンズアミド
実施例2の2.3の方法に従って製造し、油状物を4.6g得た。
【0154】
5.4 2-(アミノメチル)-5-フルオロ-4-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)ベンズアミドの製造
実施例1の1.10の方法に従って製造し、油状物を5.6g得た。
【0155】
5.5 2-(4-ブロモベンズアミド)-5-フルオロ-4-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)ベンズアミドの製造
実施例2の2.3の方法に従って製造し、白色の固体を3.2g(38.75%)得た。
【0156】
5.6 2-[(2-メチルプロピル)アミノベンズアミド]-5-フルオロ-4-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)ベンズアミドの製造
2-(4-ブロモベンズアミド)-5-フルオロ-4-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)ベンズアミド(1g、1.76mmol)、イソブチルアミン(0.193g、2.64mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(0.34g、3.52mmol)、Ruphos(82.1mg、0.176mmol)、Pd(dba)(0.161mg、0.176mmol)、トルエン(13mL)を50mLの丸底フラスコに加え、80℃に昇温して1h撹拌し、吸引ろ過し、ろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE/EA=3:1)によって分離し、黄色の固体を0.797g(収率80.8%)得た。
【0157】
5.7 8-フルオロ-2-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)-4-{[4-(2-メチルプロピルアミノ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造
実施例1の1.9の方法に従って製造し、油状物を0.26g得た。
【0158】
5.8 8-フルオロ-2-(1-メチルピペリジン-4-イル)-4-{[4-(2-メチルプロピルアミノ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造
実施例3の3.7の方法に従って製造し、白色の固体を4.1mg(収率2.61%)得た。HNMR(400MHz,Methanol-d)δ8.48(s,1H,FA)、7.10-6.98(m,4H)、6.93(td,J=8.6,2.7Hz、1H)、6.58(d,2H)、4.42(s,4H)、4.36(s,2H)、4.30-4.18(m,1H)、3.46-3.39(m,2H)、2.96-2.83(m,4H)、2.77(s,3H)、2.25-2.05(m,2H)、1.96-1.84(m,3H)、1.36-1.30(m,1H)、0.99(d,J=6.6Hz,6H);LCMS(ES,m/z):439[M+H]
【0159】
化合物A19006、A19008、A19009、A19011、A19012、A19013、A19015の一般合成法は以下のとおりである。
【化69】
【0160】
実施例6:8-フルオロ-2-(1-メチルピペリジン-4-イル)-4-{[4-(シクロプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造(A19006)
【化70】
【0161】
6.1 2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノメチル]-5-フルオロ-4-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)ベンズアミドの製造
実施例2の2.3の方法に従って製造し、黄色の固体を23g(63.77%)得た。
【0162】
6.2 2-(2-メチルプロポキシ)-ベンジルアミン-5-フルオロ-5-(1-ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)ベンズアミドの製造
実施例1の1.10の方法に従って製造し、油状物を1.9g得た。
【0163】
6.3 2-(シクロプロポキシ)-ベンジルアミン-5-フルオロ-5-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)ベンズアミドの製造
実施例1の1.7の方法に従って製造し、油状物を1.3g得た。
【0164】
6.4 2-(シクロプロポキシ)-ベンジルアミン-5-フルオロ-4-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)ベンジルアミンの製造
実施例2の2.6の方法に従って製造し、黄色の油状物を0.23g(18.17%)得た。
【0165】
6.5 8-フルオロ-2-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)-4-{[4-(シクロプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造
実施例1の1.9の方法に従って製造し、油状物を0.2g得た。
【0166】
6.6 8-フルオロ-2-(1-メチルピペリジン-4-イル)-4-{[4-(シクロプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造
実施例3の3.7の方法に従って製造し、茶色の固体を37.9mg(収率24.32%)得た。HNMR(400MHz,DMSO-d)δ7.30-7.19(m,3H)、7.11(dd,J=8.4,5.7Hz,1H)、7.05-6.94(m,3H)、4.36(d,J=7.1Hz,4H)、4.29(s,2H)、3.96(tt,J=11.4,4.0Hz,1H)、3.80(tt,J=6.0,3.0Hz,1H)、2.86-2.78(m,2H)、2.16(s,3H)、1.95-1.85(m,2H)、1.89-1.75(m,2H)、1.45(dd,J=11.0,3.9Hz,2H)、0.81-0.67(m,2H)、0.67-0.59(m,2H);LCMS(ES,m/z):424[M+H]
【0167】
実施例7:8-フルオロ-2-(1-メチルピペリジン-4-イル)-4-{[4-(2-メチルプロピル)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造(A19008)
【化71】
【0168】
7.1 2-(2-メチルプロピル)-ベンジルアミン-5-フルオロ-4-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)ベンズアミドの製造
実施例1の1.7の方法に従って製造し、黄色の油状物を2.3g(収率61.76%)得た。
【0169】
7.2 2-(2-メチルプロピル)-ベンジルアミン-5-フルオロ-4-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)ベンジルアミンの製造
実施例2の2.6の方法に従って製造し、黄色の油状物を0.69g得た。
【0170】
7.3 8-フルオロ-2-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)-4-{[4-(2-メチルプロピル)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造
実施例1の1.9の方法に従って製造し、黄色の油状物を0.7g得た。
【0171】
7.4 8-フルオロ-2-(1-メチルピペリジン-4-イル)-4-{[4-(2-メチルプロピル)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造
実施例3の3.7の方法に従って製造し、黄色の固体を21mg(収率3.85%)得た。HNMR(400MHz,DMSO-d)δ10.87(s,1H)、7.23-6.96(m,7H)、4.43(d,J=7.8Hz,4H)、4.34(s,3H)、3.86(s,1H)、3.45-3.37(m,2H)、3.17(s,1H)、3.11-2.95(m,2H)、2.71(d,J=4.8Hz,3H)、2.44-2.27(m,4H)、1.80(dp,J=13.5,6.8Hz,1H)、1.72-1.59(m,2H)、0.85(d,J=6.6Hz,6H);LCMS(ES,m/z):424[M+H]
【0172】
実施例8:8-フルオロ-2-(1-メチルピペリジン-4-イル)-4-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造(A19009)
【化72】
【0173】
8.1 2-(4-メトキシ)-ベンジルアミン-5-フルオロ-4-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)ベンズアミドの製造
実施例1の1.7の方法に従って製造し、黄色の油状物を0.48g得た。
【0174】
8.2 2-(4-メトキシ)-ベンジルアミン-5-フルオロ-4-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)ベンジルアミンの製造
実施例2の2.6の方法に従って製造し、黄色の油状物を0.13g得た。
【0175】
8.3 8-フルオロ-2-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)-4-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造
実施例1の1.9の方法に従って製造し、黄色の油状物を0.09g得た。
【0176】
8.4 8-フルオロ-2-(1-メチルピペリジン-4-イル)-4-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造
実施例3の3.7の方法に従って製造し、白色の固体を9mg(収率13.2%)得た。HNMR(400MHz,DMSO-d)δ7.25(dd,J=11.0,7.5Hz,3H)、7.10(dd,J=8.5,5.7Hz,1H)、7.01(td,J=8.7,2.7Hz,1H)、6.87(d,J=8.4Hz,2H)、4.36(d,J=7.2Hz,4H)、4.28(s,2H)、4.03-3.92(m,1H)、3.73(s,3H)、2.85(d,J=9.8Hz,2H)、2.20(s,3H)、1.96(s,2H)、1.91-1.77(m,2H)、1.46(d,J=11.2Hz,2H);LCMS(ES,m/z):398[M+H]
【0177】
実施例9:8-フルオロ-2-(1-メチルピペリジン-4-イル)-4-{[(2-フルオロ-4-イソプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造(A19011)
【化73】
【0178】
9.1 2-(2-フルオロ-4-イソプロポキシ)-ベンジルアミン-5-フルオロ-4-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)ベンズアミドの製造
実施例1の1.7の方法に従って製造し、黄色の油状物を0.88g得た。
【0179】
9.2 2-(2-フルオロ-4-イソプロポキシ)-ベンジルアミン-5-フルオロ-4-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)ベンジルアミンの製造
実施例2の2.6の方法に従って製造し、黄色の油状物を0.117g得た。
【0180】
9.3 8-フルオロ-2-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)-4-{[(2-フルオロ-4-イソプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造
実施例1の1.9の方法に従って製造し、黄色の油状物を0.09g得た。
【0181】
9.4 8-フルオロ-2-(1-メチルピペリジン-4-イル)-4-{[(2-フルオロ-4-イソプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造
実施例3の3.7の方法に従って製造し、オレンジ色の固体を5.3mg(収率7.5%)得た。HNMR(400MHz,DMSO-d)δ9.54(s,1H)、7.22-7.00(m,4H)、6.76(dd,J=12.4,2.5Hz,1H)、6.69(dd,J=8.5,2.5Hz,1H)、4.60(p,J=6.0Hz,1H)、4.42(s,2H)、4.36(d,J=16.6Hz,4H)、2.76(d,J=4.7Hz,3H)、2.14-2.04(m,1H)、1.74(d,J=14.9Hz,2H)、1.25(d,J=5.9Hz,7H);LCMS(ES,m/z):444[M+H]
【0182】
実施例10:8-フルオロ-2-(1-メチルピペリジン-4-イル)-4-{[(3-フルオロ-4-イソプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造(A19012)
【化74】
【0183】
10.1 2-(3-フルオロ-4-イソプロポキシ)-ベンジルアミン-5-フルオロ-4-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)ベンズアミドの製造
実施例1の1.7の方法に従って製造し、黄色の油状物を1.0g得た。
【0184】
10.2 2-(3-フルオロ-4-イソプロポキシ)-ベンジルアミン-5-フルオロ-4-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)ベンジルアミンの製造
実施例2の2.6の方法に従って製造し、黄色の油状物を0.118g得た。
【0185】
10.3 8-フルオロ-2-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)-4-{[(3-フルオロ-4-イソプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造
実施例1の1.9の方法に従って製造し、黄色の油状物を0.11g得た。
【0186】
10.4 8-フルオロ-2-(1-メチルピペリジン-4-イル)-4-{[(3-フルオロ-4-イソプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造
実施例3の3.7の方法に従って製造し、黄色の油状物を4.3mg(収率4.9%)得た。HNMR(400MHz,DMSO-d)δ9.16(s,1H)、7.18(dd,J=8.3,5.6Hz,1H)、7.15-7.01(m,5H)、4.58(p,J=6.0Hz,1H)、4.40-4.32(m,6H)、4.16(s,1H)、2.78(d,J=4.4Hz,3H)、2.44(s,12H)、2.05(q,J=12.9,12.3Hz,2H)、1.78(d,J=13.5Hz,2H)、1.27(d,J=6.0Hz,6H)、1.24(s,1H);LCMS(ES,m/z):444[M+H]
【0187】
実施例11:8-フルオロ-2-(1-メチルピペリジン-4-イル)-4-{[(4-イソプロポキシ)ピリジン-3-イル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造(A19013)
【化75】
【0188】
11.1 2-[(4-イソプロポキシピリジン-3-イル)]-アミノメチル-5-フルオロ-4-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)ベンズアミドの製造
実施例1の1.7の方法に従って製造し、黄色の油状物を2.4g得た。
【0189】
11.2 2-[4-(4-イソプロポキシピリジン-3-イル)]-アミノメチル-5-フルオロ-4-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)ベンジルアミンの製造
実施例2の2.6の方法に従って製造し、黄色の油状物を0.38g得た。
【0190】
11.3 8-フルオロ-2-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)-4-{[(4-イソプロポキシ)ピリジン-3-イル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造
実施例1の1.9の方法に従って製造し、黄色の油状物を0.37g得た。
【0191】
11.4 8-フルオロ-2-(1-メチルピペリジン-4-イル)-4-{[(4-イソプロポキシ)ピリジン-3-イル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造
実施例3の3.7の方法に従って製造し、白色の固体を50.6mg(収率17.3%)得た。HNMR(400MHz,DMSO-d)δHNMR(400MHz,DMSO-d)δ8.09(s,1H)、7.62(d,J=8.6Hz,1H)、7.27(d,J=9.3Hz,1H)、7.15(t,J=7.1Hz,1H)、7.02(t,J=8.3Hz,1H)、6.67(d,J=8.6Hz,1H)、5.21(dt,J=13.0,6.6Hz,1H)、4.39-4.31(m,6H)、3.98(d,J=12.3Hz,1H)、2.82(d,J=10.3Hz,2H)、2.17(s,3H)、1.88(dt,J=28.7,12.2Hz,4H)、1.48-1.40(m,2H)、1.27(d,J=6.1Hz,6H);LCMS(ES,m/z):427[M+H]
【0192】
実施例12:8-フルオロ-2-(1-メチルピロール-3-イル)-4-{[(4-イソプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造(A19015)
【化76】
【0193】
12.1 2-[(4-イソプロポキシピロール-3-イル)]-アミノメチル-5-フルオロ-4-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)ベンズアミドの製造
実施例1の1.7の方法に従って製造し、黄色の油状物を3.3g得た。
【0194】
12.2 2-[4-(4-イソプロポキシピロール-3-イル)]-アミノメチル-5-フルオロ-4-(ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)ベンジルアミンの製造
実施例2の2.6の方法に従って製造し、無色の油状物を0.32g得た。
【0195】
12.3 8-フルオロ-2-(ピロール-1-カルボン酸ベンジル)-4-{[(4-イソプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造
実施例1の1.9の方法に従って製造し、黄色の油状物を0.31g得た。
【0196】
12.4 8-フルオロ-2-(1-メチルピロール-3-イル)-4-{[(4-イソプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造
実施例3の3.7の方法に従って製造し、白色の固体を47.3mg(収率18.6%)得た。HNMR(400MHz,DMSO-d)δHNMR(400MHz,DMSO-d)δ8.53(s,1H)、7.23-7.17(m,2H)、7.09(dd,J=9.0,2.6Hz,1H)、7.02(dd,J=8.3.5,5Hz,1H)、6.94(td,J=8.6,2.6Hz,1H)、6.89-6.82(m,2H)、4.67-4.28(m,7H)、3.73(d,J=6.4Hz,2H)、3.70-3.55(m,2H)、3.28(dd,J=11.9,8.8Hz,1H)、3.04(td,J=10.5,8.2Hz,1H)、2.87(s,3H)、2.55-2.43(m,1H)、2.15(ddt,J=13.6,8.8,4.6Hz,1H)、2.05(dq,J=13.3,6.7Hz,1H)、1.04(d,J=6.7Hz,6H);LCMS(ES,m/z):426[M+H]
【0197】
実施例13:7-フルオロ-1-メチル-2-{[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロスピロ[2-ベンゾジアゼピン-4,4-ピペリジン]-3-オンの製造(A19019)
【化77】
【0198】
合成経路
【化78】
【0199】
13.1 1-tert-ブチル-4-エチル4-[(2-シアノ-5-フルオロフェニル)メチル]ピペリジン-1,4-ジカルボン酸の製造
2-(ブロモメチル)-4-フルオロベンゾニトリル(2.5g、11.680mmol)、LDA(1.38g、12.88mmol)、THF(25mL)を100mLの三つ口丸底フラスコに加え、室温で一晩撹拌し、窒素ガスで30minパージし、次に、-78℃で1-tert-ブチル4-エチルピペリジン-1,4-ジカルボン酸(3.01g、0.012mmol)を滴下し、滴下終了後に、窒素雰囲気下、室温で一晩撹拌した。次に、飽和NHCl(200mL)溶液で反応をクエンチし、さらにEtOAc(3×25mL)で抽出し、得られた混合物を塩水(2×25ml)で洗浄し、次に無水NaSO4で乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc(3:1))によって溶出し、黄色の固体を3.5g(76.74%)得た。
【0200】
13.2 1-tert-ブチル-4-エチル4-[(2-アミノメチル-5-フルオロフェニル)メチル]ピペリジン-1,4-ジカルボン酸の製造
実施例2の2.1の方法に従って製造し、白色の固体を1.5g(55.4%)得た。
【0201】
13.3 1-tert-ブチル-7-フルオロ-3-オキソ-2,5-ジヒドロ-1H-スピロ[2-ベンゾジアゼピン-4,4-ピペリジン]-1-カルボン酸の製造
1-tert-ブチル-4-エチル4-[(2-アミノメチル-5-フルオロフェニル)メチル]ピペリジン-1,4-ジカルボン酸(1g、2.54mmol)、CsCO(2.48g、0.008mmol)、DMF(10mL)を50mLの三つ口丸底フラスコに加え、窒素ガスでパージし、80℃で2h撹拌した。次に、ろ過し、ろ液に水を20mL加え、EtOAc(3×20mL)で抽出し、得られた混合物を塩水(3×20mL)で洗浄し、無水NaSO4で乾燥させ、ろ過した後に、ろ液を減圧濃縮し、黄色の固体を0.83g(93.9%)得た。
【0202】
13.4 1-tert-ブチル7-フルオロ-2-{[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]メチル}-3-オキソ-1,5-ジヒドロスピロ[2-ベンゾジアゼピン-4,4-ピペリジン]-1-カルボン酸の製造
1-tert-ブチル-7-フルオロ-3-オキソ-2,5-ジヒドロ-1H-スピロ[2-ベンゾジアゼピン-4,4-ピペリジン]-1-カルボン酸(0.83g、1.14mmol)、テトラヒドロフラン(4mL)を50mLの三つ口丸底フラスコに加え、窒素ガス雰囲気下、0℃でNaH(91mg、2.29mmol)を加え、次に、室温で1-(クロロメチル)-4-(2-メチルプロポキシ)ベンゼン(0.83g、1.37mmol)を滴下し、反応終了後に、水を加えて反応をクエンチし、EtOAc(3×10mL)で抽出し、得られた混合物を塩水(2×20mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、ろ過した後に、ろ液を減圧濃縮し、黄色の固体を0.5g(85.2%)得た。
【0203】
13.4 7-フルオロ-2-{[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロスピロ[2-ベンゾジアゼピン-4,4-ピペリジン]-3-オンの製造
実施例1の1.10の方法に従って製造し、油状物を0.4g得た。
【0204】
13.5 7-フルオロ-1-メチル-2-{[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロスピロ[2-ベンゾジアゼピン-4,4-ピペリジン]-3-オンの製造
7-フルオロ-2-{[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロスピロ[2-ベンザラジン-4,4-ピペリジン]-3-オン(0.4g、0.97mmol)、HCHO(58mg、1.9mmol)、HOAc(292mg、4.8mmol)、MeOH(4mL)を50mLの三つ口丸底フラスコに加え、窒素ガス雰囲気下、30min撹拌し、次に、室温でSTAB(309mg、1.461mmol)を加え、反応終了後に、水を加え、EtOAc(3×10mL)で抽出し、得られた混合物を塩水(2×20mL)で洗浄し、無水NaSO乾燥させ、ろ過した後に、ろ液を減圧濃縮し、粗生成物を分取用高速液体クロマトグラフィーによって精製し、白色の固体を7.6mg(収率1.84%)得た。HNMR(400MHz,DMSO-d)δ7.20-7.06(m,4H)、6.96(td,J=8.7,2.7Hz,1H)、6.91-6.83(m,2H)、4.56(s,2H)、4.42(s,2H)、3.72(d,J=6.5Hz,2H)、3.09(s,2H)、2.58(dt,J=11.4,3.6Hz,2H)、2.32-2.21(m,2H)、2.21(s,3H)、2.15(td,J=12.7,4.2Hz,2H)、2.01(dq,J=13.3,6.6Hz,1H)、1.34(d,J=12.9Hz,2H)、0.98(d,J=6.7Hz,6H);LCMS(ES,m/z):424[M+H]
【0205】
化合物A19014-0及びA19014-0Aの一般合成法は以下のとおりである。
【化79】
【0206】
実施例14:(3R,4R)-8-フルオロ-2-(1-メチル-3-フルオロピペリジン-4-イル)-4-{[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造(A19014-0)
【化80】
【0207】
14.1 4-アミノ-3-フルオロピペリジン-1-カルボン酸ベンジルの製造
ベンジル3-フルオロ-4-オキソピペリジン-1-カルボン酸ベンジル(2g、7.9mmol)、アセトアミド(2.35g、39.8mmol)、NaBHCN(1g、62.8mmol)、メタノール(10mL)を25mLの三つ口丸底フラスコに加え、窒素ガスでパージし、室温で一晩反応させ、反応終了後に、EtOAc(3×30mL)で抽出し、得られた混合物を塩水(2×20mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、酢酸エチル/石油状物エーテル(1:1)系を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって分離し、無色の油状物を0.7g(収率34.86%)得た。
【0208】
14.2 4-{2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]メチル}-5-フルオロベンズアミド}-3-フルオロピペリジン-1-カルボン酸ベンジルの製造
実施例2の2.3の方法に従って製造し、油状物を1.3g得た。
【0209】
14.3 4-[2-(アミノメチル)-5-フルオロベンゾイル]-3-フルオロピペリジン-1-カルボン酸ベンジルの製造
実施例1の1.10の方法に従って製造し、淡黄色の油状物を1g得た。
【0210】
14.4 3-フルオロ-4-[5-フルオロ-2-{[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]メチルアミノ}ベンズアミド-ピペリジン-1-カルボン酸ベンジルの製造
実施例2の2.5の方法に従って製造し、黄色の油状物を0.6g(42.8%)得た。
【0211】
14.5 3-フルオロ-4-[5-フルオロ-2-{[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]メチルアミノ}ベンジルアミノ-ピペリジン-1-カルボン酸ベンジルの製造
実施例2の2.6の方法に従って製造し、黄色の油状物を0.23g(18.32%)得た。
【0212】
14.6 8-フルオロ-2-(3-フルオロピペリジン-1-カルボン酸ベンジル)-4-{[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造
実施例1の1.9の方法に従って製造し、無色の油状物を0.13g(収率88.7%)得た。
【0213】
14.7 (3R,4R)-8-フルオロ-2-(1-メチル-3-フルオロピペリジン-4-イル)-4-{[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造
実施例3の3.7の実験方法に従ってラセミ体を製造し、次に、Flash-Prep-HPLCによって黄色の固体を18.1mg(収率17.03%)得た。HNMR(400MHz,Methanol-d)δ7.23-7.18(m,2H)、7.13(dd,J=9.0,2.6Hz,1H)、7.00(dd,J=8.4,5.5Hz,1H)、6.93(td,J=8.6,2.6Hz,1H)、6.88-6.84(m,2H)、4.85-4.77(m,1H)、4.71(d,J=5.1Hz,1H)、4.59-4.40(m,5H)、4.35-4.21(m,2H)、3.74(d,J=6.5Hz,2H)、3.26(dt,J=10.5,5.3Hz,0H)、2.98 2.84(m,1H)、2.38(s,3H)、2.221.90(m,4H)、1.87 1.71(m,1H)、1.04(d,J=6.7Hz,6H);LCMS(ES,m/z):458[M+H]
【0214】
実施例15:(3S,4R)-8-フルオロ-2-(1-メチル-3-フルオロピペリジン-4-イル)-4-{[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]メチル}-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造(A19014-0A)
【化81】

実施例14の実験方法に従って製造し、無色の油状物を84mg(収率74.25%)得た。HNMR(400MHz,Methanol-d)δ7.22(d,J=8.5Hz,2H)、7.07(dd,J=9.1,2.7Hz,1H)、7.01(dd,J=8.4,5.5Hz,1H)、6.93(td,J=8.6,2.7Hz,1H)、6.89-6.84(m,2H)、4.80-4.19(m,8H)、3.74(d,J=6.5Hz,2H)、3.24-3.11(m,1H)、3.03(d,J=11.5Hz,1H)、2.49-2.17(m,6H)、2.06(dt,J=13.3,6.6Hz,1H)、1.60(d,J=12.4Hz,1H)、1.09-0.99(m,6H);LCMS(ES,m/z):458[M+H]
【0215】
実施例16:7,8-ジフルオロ-2-(4-イソブトキシベンジル)-4-(1-メチルピペリジン-4-イル)-1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-ベンゾ[e][1.3]ジアザ-3-オンの製造(A20001)
【化82】

実施例1の実験方法に従って製造し、白色の固体を51.9mg得た。HNMR(400MHz,Methanol-d)δ7.34(dd,J=10.0,8.4Hz,1H)、7.20(d,J=8.4Hz,2H)、6.92(dd,J=10.0,8.4Hz,1H)、6.90-6.82(m,2H)、4.47(d,J=14.0Hz,4H)、4.36(s,2H)、4.40-4.28(m,1H)、3.73(d,J=6.5Hz,2H)、3.60(d,J=12.2Hz,2H)、3.21-3.11(m,2H)、2.90(s,3H)、2.35(dd,J=13.5,3.8Hz,1H)、2.29(dd,J=13.1,3.8Hz,1H)、2.05(hept,J=6.7Hz,1H)、1.94(d,J=13.6Hz,2H)、1.04(d,J=6.7Hz,6H).LCMS(ES,m/z):458[M+H]
【0216】
実施例17:6-フルオロ-N-(1-メチルピペリジン-4-イル)-2-[[4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]メチル]-3-オキソイミダゾール[1,5-a]ピリジン-8-カルボキサミドの製造(A19016)
【化83】

実施例14の実験方法に従って製造し、赤色の固体を308mg得た。HNMR(400MHz,DMSO-d)δ8.33(d,J=7.7Hz,1H)、7.76(ddd,J=4.1,1.9、0,9Hz,1H)、7.29-7.17(m,2H)、7.10(dd,J=8.6,1.9Hz,1H)、7.06(d,J=0.9Hz,1H)、6.94-6.83(m,2H)、4.91(s,2H)、3.72(d,J=6.5Hz,2H)、3.69-3.56(m,1H)、2.78-2.71(m,2H)、2.15(s,3H)、2.06-1.86(m,3H)、1.73(d,J=12.5Hz,2H)、1.51(qt,J=12.0,6.0Hz,2H)、0.96(d,J=6.7Hz,6H).LCMS(ES,m/z):455[M+H]
【0217】
実施例18:7-フルオロ-2-[[4-(2-ヒドロキシル-2-メチルプロピル)フェニル]メチル]-4-(1-メチルピペリジン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造(A19010)
【化84】
【0218】
合成経路
【化85】
【0219】
18.1 ベンジル4-[4-[(4-ブロモフェニル)メチル]-8-フルオロ-3-オキソ-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-2-イル]ピペリジン-1-カルボキシレートの製造
実施例4の方法に従って製造し、淡黄色の油状物を1g得た。
【0220】
18.2 4-[4-([4-[(E)-2-エトキシビニル]フェニル]メチル)-8-フルオロ-3-オキソ-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-2-イル]ピペリジン-1-カルボキシレートの製造
100mlの三つ口フラスコに4-[4-[(4-ブロモフェニル)メチル]-8-フルオロ-3-オキソ-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-2-イル]ピペリジン-1-カルボキシレート(1.00g、1.765mmol)、2-[(E)-2-エトキシビニル]-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキソラン(0.70g、3.531mmol)、ジオキサン(10.00mL)、水(2.00mg)及びKPO(1.12g、5.296mmol)をそれぞれ加え、25℃で得られた溶液を10分間撹拌し、それにPd(dppf)ClCHCl(0.14g、0.177mmol)を加え、100℃に昇温して2時間反応させた。反応終了後に、系に水を加えて反応をクエンチし、酢酸エチル(3x20mL)で抽出し、1Nの塩酸溶液(2x20mL)で有機相を洗浄し、さらに飽和食塩水(2x20ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで有機相を乾燥させ、加圧して溶媒を蒸発させ、カラムクロマトグラフィー(EA:PE=1:30)によって分離して精製し、化合物4-[4-([4-[(E)-2-エトキシビニル]フェニル]メチル)-8-フルオロ-3-オキソ-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-2-イル]ピペリジン-1-カルボキシレート(400mg、収率40.63%、茶色の油状物)を得た。
【0221】
18.3 4-(8-フルオロ-3-オキソ-4-[[4-(2-オキソエチル)フェニル]メチル]-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-2-イル)ピペリジン-1-カルボン酸ベンジルの製造
50mLの三つ口フラスコに4-[4-([4-[(E)-2-エトキシビニル]フェニル]メチル)-8-フルオロ-3-オキソ-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-2-イル]ピペリジン-1-カルボキシレート(200.00mg、0.359mmol)、テトラヒドロフラン(2.00mL)及びHCl(6M)(2.00mL)をそれぞれ加え、25℃で2時間撹拌した。反応終了後に、水を加えて反応をクエンチし、メチルtert-ブチルエーテル(3x10mL)で抽出し、30mLの飽和食塩水で有機相を洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧して溶媒を蒸発させ、化合物4-(8-フルオロ-3-オキソ-4-[[4-(2-オキソエチル)フェニル]メチル]-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-2-イル)ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル(200mg、収率105.30%、黄色の油状物)を得た。
【0222】
18.4 ベンジル-4-(8-フルオロ-4-[[4-(2-ヒドロキシプロピル)フェニル]メチル]-3-オキソ-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-2-イル)ピペリジン-1-カルボキシレートの製造
50mLの三つ口フラスコに4-(8-フルオロ-3-オキソ-4-[[4-(2-オキソエチル)フェニル]メチル]-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-2-イル)ピペリジン-1-カルボン酸ベンジル(200.00mg、0.378mmol)及びテトラヒドロフラン(3.00mL)をそれぞれ加え、0℃に降温して5分間撹拌し、それにブロモ(メチル)マグネシウム(180.12mg、1.511mmol)を加えて60℃に昇温して2時間反応させた。反応終了後に、NHCl溶液で反応をクエンチし、酢酸エチル(3x20mL)で抽出し、20mlの飽和食塩水で有機相を洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧して溶媒を蒸発させ、化合物ベンジル-4-(8-フルオロ-4-[[4-(2-ヒドロキシプロピル)フェニル]メチル]-3-オキソ-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-2-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート(200mg、収率97.06%、黄色の油状物)を得た。
【0223】
18.5 4-(8-フルオロ-3-オキソ-4-[[4-(2-オキソプロピル)フェニル]メチル]-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-2-イル)ピペリジン-1-カルボキシレートの製造
50mLの三つ口フラスコにベンジル-4-(8-フルオロ-4-[[4-(2-ヒドロキシプロピル)フェニル]メチル]-3-オキソ-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-2-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート(200.00mg、0.367mmol)及びジクロロメタン(20.00mL)をそれぞれ加え、窒素ガス保護下、0℃に降温して5分間撹拌し、さらに、DMP(310.92mg、0.733mmol)を加え、25℃で撹拌して3時間反応させた。反応終了後に、NaHCO溶液を加えて反応をクエンチし、ジクロロメタン(3x20mL)で抽出し、飽和食塩水で有機相を洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧して溶媒を蒸発させ、化合物4-(8-フルオロ-3-オキソ-4-[[4-(2-オキソプロピル)フェニル]メチル]-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-2-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート(180mg、収率90.33%、黄色の油状物)を得た。
【0224】
18.6 ベンジル-4-(8-フルオロ-4-[[4-(2-ヒドロキシル-2-メチルプロピル)フェニル]メチル]-3-オキソ-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-2-イル)ピペリジン-1-カルボキシレートの製造
50mLの三つ口フラスコに4-(8-フルオロ-3-オキソ-4-[[4-(2-オキソプロピル)フェニル]メチル]-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-2-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート(150.00mg、0.276mmol)、テトラヒドロフラン(5.00mL、0.069mmol)及びMeMgBr(2.00mL、0.017mmol)をそれぞれ加え、窒素ガス保護下、60℃に昇温して3時間反応させた。反応終了後に、NHCl溶液で反応をクエンチし、酢酸エチル(3x10mL)で抽出し、10mlの飽和食塩水で有機相を洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧して溶媒を蒸発させ、化合物ベンジル-4-(8-フルオロ-4-[[4-(2-ヒドロキシル-2-メチルプロピル)フェニル]メチル]-3-オキソ-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-2-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート(140mg、収率90.66%、黄色の油状物)を得た。
【0225】
18.7 7-フルオロ-2-[[4-(2-ヒドロキシル-2-メチルプロピル)フェニル]メチル]-4-(1-メチルピペリジン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造
100mlの三つ口フラスコにベンジル-4-(8-フルオロ-4-[[4-(2-ヒドロキシル-2-メチルプロピル)フェニル]メチル]-3-オキソ-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-2-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート(150.00mg、0.268mmol)、メタノール(10.00mL、246.989mmol)、ホルムアルデヒド(2.00mL、0.067mmol)及びPd(OH)/C(20.00mg、0.142mmol)をそれぞれ加え、反応系に水素ガスを導入し、25℃で5時間撹拌し、水を加えて反応をクエンチし、酢酸エチル(3x10mL)で抽出し、10mlの飽和食塩水で有機相を洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧して溶媒を蒸発させ、カラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=30:1)によって分離して精製し、化合物7-フルオロ-2-[[4-(2-ヒドロキシル-2-メチルプロピル)フェニル]メチル]-4-(1-メチルピペリジン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オン(45mg、収率38.19%、黄色の油状物)を得た。HNMR(400MHz,Methanol-d)δ8.48(s,1H,FA)、7.10-6.98(m,4H)、6.93(td,J=8.6,2.7Hz,1H)、6.58(d,2H)、4.42(s,4H)、4.36(s,2H)、4.30-4.18(m,1H)、3.46-3.39(m,2H)、2.96-2.83(m,4H)、2.77(s,3H)、2.25-2.05(m,2H)、1.96-1.84(m,3H)、1.36-1.30(m,1H)、0.99(d,J=6.6Hz,6H).LCMS(ES,m/z):400[M+H]
【0226】
実施例19:4-[(4-シクロプロポキシフェニル)メチル]-7-フルオロ-2-(1-メチルピペリジン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジアゼピン-3-オンの製造(A19022)
【化86】

実施例2の実験方法に従って製造し、白色の固体を9.5mg得た。H-NMR(400MHz,Chloroform-d):δ7.25(d,J=8.5Hz,2H)、7.15(t,J=7.0Hz,1H)、7.04-6.97(m,2H)、6.90(td,J=8.4,2.6Hz,1H)、6.65(dd,J=9.1,2.6Hz,1H)、4.45(s,2H)、4.40(s,2H)、4.25(s,3H)、3.74(p,J=4.5Hz,1H)、3.03(s,2H)、2.42-2.38(m,3H)、2.22(s,2H)、1.99(s,2H)、1.73(d,J=12.5Hz,2H)、0.78(d,J=4.5Hz,4H).LCMS(ES,m/z):424[M+1]
【0227】
薬理実験実施例
実施例20:in vitroでの受容体結合実験
【0228】
実験方法
【0229】
1.実験に必要な溶液の調製
A:(5-HT2C受容体膜製造用):50mMのTris-HCl緩衝液:96.8gのTrisを再蒸留水に溶解し、総体積を4000mlとし、HClでpHを7.5に調節し、16000mLまで希釈し、pH=7.4である。
B:(5-HT2A受容体膜製造用):11.7mgのEDTA、380.84mgのMgClを秤量し、50mMのTris-HCl緩衝液を加え、総体積を400mLとし、pH=7.4に調節した。その最終濃度はそれぞれEDTA0.1mM、MgCl10mMである。
C:(Dopamine受容体膜製造用):2.978gのHEPES、1.17gのNaCl、0.119gのMgCl2.36.5mgのEDTAを秤量し、純水を加え、総体積を250mlとし、pH=7.4に調節した。その最終濃度はそれぞれ50mM HEPES、50mM NaCl、5mM MgCl2.0.5mM EDTA、pH7.4である。
【0230】
2.受容体膜の製造
1)CHO-5-HT2A受容体膜の製造
CHO-5-HT2A細胞を-80℃の冷蔵庫から取り出し、自然解凍し、2000g、4℃で15分間遠心分離した。沈殿物を取り出し、上澄み液を捨てた。沈殿物にB液を加えた。細胞を20~30秒間均一に混合し、次に、50000g、4℃で25min遠心分離した。上澄み液を注意深く捨て、再度B液を加えて均一に混合し、50000g、4℃で25min遠心分離した。沈殿物を-80℃で保管する。
【0231】
2)5-HT2C膜の製造
-80℃の冷蔵庫からラット皮質を取り出し、自然解凍し、A液を加えて4段階の速度で3~4sホモジナイズし、4回行った後に、50000g、4℃で25min遠心分離し、上澄み液を捨て、A液を加え、ボルテックスミキサーで均一に混合し、50000g、4℃で25min遠心分離し、2回繰り返した。遠心分離終了後に、上澄み液を捨て、沈殿物を-80℃で保管しておく。
【0232】
3)CHO-D受容体膜の製造
細胞CHO-Dを-80℃の冷蔵庫から取り出し、自然解凍し、2000gで15min遠心分離し、沈殿物にホモジネートCを加え、ボルテックスミキサーで均一に混合し、50000g、4℃で25min遠心分離し、上澄み液を捨てた。沈殿物を取り出し、再度緩衝液Cを加えて洗浄し、再懸濁して遠心分離した。遠心分離終了後に、上澄み液を捨て、沈殿物を-80℃で保管しておく。
【0233】
3.受容体競合結合実験
1)5-HT2A受容体競合結合実験
ステップ1:まず、製造した膜をホモジネートBで10mg/mLの膜懸濁液と調製しておく。
ステップ2:各反応チューブにそれぞれ100μLの膜調製品を加える。
ステップ3:総結合チューブ(TB)に100μLのB液を加え、非特異的結合チューブ(NB)に100μLのMethysergide(最終濃度1.0×10-5M)を加え、各被験化合物チューブ(CB)に100μLの被験化合物を加える。
ステップ4:各反応チューブにそれぞれ10μLの放射性リガンドH-Ketanserinを加え、最終濃度を2.98nMとする。
ステップ5:各反応チューブを37℃で25minインキュベートし、反応終了後に、結合したリガンドを減圧下で素早くろ過し(Whatman試験紙GF/Cプレートを0.5%PEIで事前に1h以上含浸しており)、ろ過した後にろ膜を60℃で乾燥させ、下地膜を貼り付けた後に、40μLのシンチレーション液を加え、上部膜を密封し、静置する。
ステップ6:シンチレーションカップを液体シンチレーションカウンターに入れてカウントする。
【0234】
2)5-HT2C受容体競合結合実験
ステップ1:まず、製造した膜をホモジネートBで210mg/mLの膜懸濁液と調製しておく。
ステップ2:各反応チューブにそれぞれ100μLの膜調製品を加える。
ステップ3:総結合チューブ(TB)に100μLのB液を加え、非特異的結合チューブ(NB)に100μLのKetanserin(最終濃度1.0×10-5M)を加え、各被験化合物チューブ(CB)に100μLの被験化合物を加える。
ステップ4:各反応チューブにそれぞれ10μLの放射性リガンドH-Mesulergineを加え、最終濃度を3nMとする。
ステップ5:各反応チューブを37℃で25minインキュベートし、反応終了後に、結合したリガンドを減圧下で素早くろ過し(1h前にWhatman試験紙GF/Cを0.5%PEI溶液で飽和させており)、氷冷したTris緩衝液で十分に洗浄し、フィルターシートを取り出して4mLのシンチレーションカップに入れ、1mLのトルエンシンチレーション液を加えて均一に混合する。
ステップ6:シンチレーションカップを液体シンチレーションカウンターに入れてカウントする。
【0235】
3)CHO-D受容体競合結合実験
ステップ1:まず、製造した膜をホモジネートCで8mg/mLの膜懸濁液と調製しておく。
ステップ2:各反応チューブにそれぞれ100μLの膜調製品を加える。
ステップ3:総結合チューブ(TB)に100μLのC液を加え、非特異的結合チューブ(NB)に100μLのHaloperidol(最終濃度1.0×10-5M)を加え、各被験化合物結合チューブ(CB)に100μLの被験化合物を加える。
ステップ4:各反応チューブにそれぞれ10μLの放射性リガンドH-Spiperoneを加え、最終濃度を1.176nMとする。
ステップ5:各反応チューブを37℃で25minインキュベートし、反応終了後に、結合したリガンドを減圧下で素早くろ過し(Whatman試験紙GF/Bプレートを0.5%PEIで事前に1h以上含浸しており)、ろ過した後にろ膜を60℃で乾燥させ、下地膜を貼り付けた後に、40μLのシンチレーション液を加え、上部膜を密封し、静置する。
ステップ6:吸引ろ過したプレートを液体シンチレーションカウンターに入れてカウントする。
【0236】
4.実験結果
ピマバンセリンの5-HT2A、5-HT2C受容体に対するKi値はそれぞれ0.036、2.94nMであり、化合物NH-K-A19016-OAの5-HT2A、5-HT2C受容体に対するKi値はそれぞれ0.002、26.1nMであり、ピマバンセリンよりも優れた。化合物NH-K-A19001の5-HT2A、5-HT2C受容体に対するKi値はそれぞれ0.028、2.4nMであり、ピマバンセリンよりも優れた。化合物NH-K-A19005及び5-HT2A、5-HT2C受容体に対するKi値それぞれは0.429、3.39nMであり、ピマバンセリンと同等レベルだった。詳細を下表に示す。
【0237】
【表1】
【0238】
実施例21:in vitroでのhERG実験
【0239】
1.化合物の調製
a.DMSOで実験化合物ストック溶液を0.3mM、1mM及び3mMの稀釈液に順次希釈した。
b.細胞外液で実験化合物ストック溶液を希釈し、濃度が0.3μΜ、1μΜ、3μM、10μΜ、30μΜである被験化合物作業溶液を得、すべての被験化合物作業溶液を20min超音波処理した。
c.10mgのシサプリド(陽性対照化合物)を2002.42μLのジメチルスルホキシド(DMSO)で10.113mMのストック溶液に調製した。
d.ジメチルスルホキシド(DMSO)でシサプリドストック溶液を1μM、10μM、100μM及び1mMに順次希釈した。
e.DMSO濃度が0.1%となるように、10mLの細胞外液に各濃度のものをそれぞれ10μL加えた。
f.シサプリドの最終の作業溶液の濃度は1nM、10nM、100nM及び1000nMであった。
g.すべての被験作業溶液の濃度を肉眼で観察した結果、目に見えるような沈殿物がなかった。
【0240】
2.細胞株情報
本実験では、hERGカリウムチャネルを安定して発現するHEK-293細胞株を用いて実験を行った。
【0241】
hERGカリウムチャネルを安定して発現するHEK-293細胞株を10%ウシ胎児血清及び0.8mg/mL G418を含むDMEM培地で培養し、培養温度を37℃とし、二酸化炭素の濃度を5%とした。
【0242】
細胞継代:古い培地を除去し、PBSで1回洗浄し、次に、0.5mLのTrypLETMExpress溶液を加え、37℃で1分間インキュベートした。細胞が皿の底から脱離したら、3mLの37℃に予熱した完全培地を加えた。細胞懸濁液をピペッティングして、凝集した細胞を解離させた。細胞懸濁液を滅菌遠沈管に移し、300Gで5分間遠心分離して細胞を収集した。増殖又は維持培養のために、細胞を6cmの細胞培養皿に播種し、各細胞培養皿における播種量が1×10個の細胞であった(最終容量:5mL)。
【0243】
パッチクランプ実験の場合、5×10個の細胞をカバーガラス上にプレーティングし、24ウェルプレートで培養し(最終容量:500μL)、18個時間後に、検出した。
【0244】
細胞の電気生理学的活性を維持するために、細胞密度は80%を超えてはならない。
【0245】
3.パッチクランプ実験
倒立顕微鏡下で、ガラス電極マイクロマニピュレーター(マイクロマニピュレーター)を操作して記録電極を細胞に接触させ、次に、負圧をかけて細胞にGΩシールの形成を促進した。GΩシールの形成後に、高速静電容量補償し、次に、負圧を継続的にかけ、細胞膜を破壊し、全細胞記録モードを形成した。全細胞記録モードで、低速静電容量補償し、膜静電容量及直列抵抗の値を記録した。
【0246】
細胞hERGカリウム電流の電圧刺激プロトコル:細胞膜のクランプ電圧を-80mVとし、次に、2.5秒間で-80mVから+30mVに脱分極し、次に、直ちに-50mVで4秒間維持し、hERGチャネルのテール電流を励起した。10秒ごとにデータ収集を繰り返した。-50mVで漏れ電流検出を行った。
【数1】
【0247】
細胞を播種したカバーガラスを倒立顕微鏡の記録室に置き、陰性対照及び被験化合物を重力による灌流法で低濃度から高濃度まで順次記録室に流し、細胞に迅速に作用させた。記録時に、真空ポンプを使用して外液を連続的に循環させた。各細胞の陰性対照で検出された電流を細胞自体の対照群とした。各医薬品濃度は、5分間又は電流が安定するまで作用した。すべての実験は室温で行われた。
【0248】
4.データ分析
まず、各医薬品濃度が作用した後の電流
【数2】

を正規化し、次に、対応する阻害率
【数3】

を計算し、各濃度について、平均値(Mean)、標準偏差(SD)、標準誤差(SE)及び繰り返し回数(n)を含む基本的な統計量を計算した。用量依存曲線を下式に当てはめ、被験化合物の半阻害濃度(IC50)を計算した。
【数4】

式中、Cは被験化合物の濃度を表し、IC50は半阻害濃度を表し、hはヒル係数を表す。曲線あてはめ及びIC50の計算はGraphPad Prism 5.0ソフトウェアにより実行された。
【0249】
5.実験結果
ピマバンセリンのhERG実験のIC50は208nMであり、NH-K-A19001、NH-K-A19005、NH-K-A19006のhERG実験のIC50はそれぞれ206、3173、1194nMであり、この3つの化合物は心毒性がピマバンセリンよりも小さいことから、ピマバンセリンに比べ、本発明の化合物はより低い心毒性であることが示された。結果を下表に示す。
【0250】
【表2】
【0251】
実施例22:動物実験
【0252】
1.実験方法
【0253】
1.1 MPTP+MK-801パーキンソン精神障害マウスモデル(抗PDP薬効モデル)に対する影響実験
午前中に、動物に異なる投与量のMPTPを5日間連続腹腔内投与し、5日目に、午前中にMPTPを注射し、1.5h後にピマバンセリン又はNSを腹腔内注射し、さらに、0.5h後にMK-801 0.3mg/kg(又はNS)を腹腔内注射し、また、0.25h後に、マウスを自発活動ボックス(規格29cm×29cm×30cmの黒いポリエチレンボックス)に入れ、ビデオ撮影した。撮影時間を20minとし、撮影終了後にビデオ分析を行い、マウスの活動を評価した。
【0254】
1.2 MPTP+APOによる雄マウスの登攀行動への影響(DA運動低下モデル)
午前中に、動物に異なる投与量のMPTPを5日間連続腹腔内投与し、5日目に、午前中にMPTPを注射し、1.5h後にピマバンセリン、クロザピン、クエチアピン又はNSを腹腔内注射し、さらに、0.5h後に1mg/kgのAPO(投与量:0.1ml/10g体重)を皮下注射し、皮下注射後に、直ちにクライミングケージ(直径0.1cm程度のステンレス金網から製造され、底部が半透明のポリエチレン板であり、蓋がステンレス製蓋である、直径13cm、高さ15cmの自社製円筒系ケージ。)に入れ、APO注射後10~11分間、20~21分間、30~31分間の行為を観察し、採点した。
【0255】
採点基準:4本の足がすべて床につくマウスは0点;両前足がケージにつくマウスは1点;4本の足がすべてケージにつくマウスは2点。
【0256】
1.3鎮静の副作用の考察実験(抗鎮静モデル)
合格したSPF級C57BL/6jマウスを採用し、ブランク群、ピマバンセリン投与群、NH-K-A1900投与群、NH-K-A19005投与群、NH-K-A19006投与群を含む各群8匹の13組にランダムに分けた。各群それぞれの投与量に応じて、異なる濃度の溶液をそれぞれ配合し、腹腔内注射した。最終投与量は10ml/kgであった。
【0257】
ピマバンセリン等化合物の投与45min後に、すべての群の自発活動をモニタニングし、0~20minの運動状況をビデオ撮影し、TopScan3.00ソフトウェアにより20minの運動距離を分析した。ブランク群に対する各群投与後の阻害率を計算し、また、統計学的結論を参考にし、化合物の鎮静作用を総合的に評価した。
【0258】
1.4 実験結果
実験から明らかなように、ピマバンセリンのPDP薬効、鎮静、運動低下ED50はそれぞれ0.37mg/kg、6.79mg/kg、>30mg/kgであり、その鎮静/PDP薬効の比が18.35であり、運動低下/PDP薬効の比が>81.08であった。NH-K-A19001のPDP薬効、鎮静ED50はそれぞれ0.33mg/kg、3.74mg/kgであり、その鎮静/PDP薬効の比が11.33であった。NH-K-A19005のPDP薬効は1.85mg/kgであった。NH-K-A19006のPDP薬効、鎮静ED50はそれぞれ0.31mg/kg、11.9mg/kgであった。このように、NH-K-A19001、NH-K-A19006の薬効はピマバンセリンと同等であった。NH-K-A19005のPDP有効量がピマバンセリンより少し高かった。また、本発明の化合物(例えばNH-K-A19001、NH-K-A19005及びNH-K-A190016)はDA作用機序を有せず、運動低下が見られなかった。
【0259】
【表3】
【0260】
実施例23:ピマバンセリンプロジェクトA01シリーズ化合物のin vivo及びin vitro実験方法及びデータ
【0261】
1.マウスの首振り実験
【0262】
1.1 実験方法
マウスを体重別で分けた後に、モデル対照群、ブランク群及び各投与群にランダムに分けた。動物に溶媒又は医薬品を胃内投与して1h後に、動物を新鮮な敷物が敷き詰められたビーカー(直径13cm、高さ19cm)に入れ、1mg/kgの投与量でモデリング薬物DOI((±)-1-(2.5-ジメトキシ-4-ヨウドフェニル)-2-アミノプロパン塩酸塩、(±)-2.5-ジメトキシ-4-ヨウドアンフェタミン塩酸塩)を腹腔内注射し、マウスにDOIを腹腔内注射して0~20分間の首振り回数を記録した。首振り行動とは、通常のグルーミングや探索行動とは異なり、マウスの頭の素早い回転的けいれんや濡れた犬のような揺れ行動を指す。
【0263】
1.2 実験データ
本実験結果によれば、マウスのDOI誘発性首振り行動の阻害におけるピマバンセリンのED50は0.39mg/kgであり、マウスのMK-801誘発性多活動行動の阻害におけるNH-K-A19001、NH-K-A19005、NH-K-A19006、NH-K-A19012のED50はそれぞれ0.06、0.15、0.012及び0.30mg/kgであり、本発明の化合物はより優れた抗精神疾患効果を有し、より優れた薬効を有することが示された。詳細な結果を下表に示す。
【0264】
【表4】
【0265】
2.マウスのMK-801誘発性多活動実験
【0266】
2.1 実験方法
マウスを体重別で分けた後に、モデル対照群、ブランク群及び各投与群にランダムに分けた。被験物質(又は対照物質)を投与した後、マウスを自発活動ボックス(規格29cm×29cm×30cmの黒色ポリエチレン箱)に入れて馴染ませ、胃内投与1h後に0.3mg/kgのMK-801を腹腔内注射し、さらに、マウスを自発活動ボックスに入れてビデオ撮影し、撮影時間を60minとし、撮影終了後にビデオ分析を行い、マウスの活動を評価した。
【0267】
2.2 実験結果
本実験結果によれば、マウスのMK-801誘発性多活動行動の阻害におけるピマバンセリンのED50は3.288mg/kgであり、マウスのMK-801誘発性多活動行動の阻害におけるNH-K-A19005、NH-K-A19006、NH-K-A19012のED50はそれぞれ1.01.0.2648、3.728mg/kgであり、本発明の化合物はより優れた抗精神疾患効果を有し、より優れた薬効を有することが示された。詳細な結果を下表に示す。
【0268】
【表5】
【0269】
3.DOI((±)-1-(2.5-ジメトキシ-4-ヨウドフェニル)-2-アミノプロパン塩酸塩、(±)-2.5-ジメトキシ-4-ヨウドアンフェタミン塩酸塩)によるラットのPPI損傷に対する影響実験
【0270】
3.1 実験方法
【0271】
介入試験
動物の胃内投与(又は溶媒投与)の30min後に、首へ0.5mg/kgのDOIを皮下注射して30min後に、即ち胃内投与の60min後に、ラットを驚愕反射試験箱に入れて試験を実施した。
【0272】
実験方法として、文献及び予備実験を参照して実施し、具体的に以下のとおりである。まず、5minの順応時間(62dBの背景音)を与え、順応期終了後に、驚愕反射刺激を単独で5回提示し(block1、動物の初期反応を1つの基礎レベルに下げるためであり、結果を分析用としない。)、次に、1)単独の驚愕反射刺激(pulse-alone、120dB、20ms継続)、2)背景音よりも13dB高い単独のプレパルス刺激(prepulse-alone、75dB、20ms継続)、3)プレパルス刺激+驚愕反射刺激(prepulse+pulse、それぞれ20ms継続、刺激間隔:100ms)、4)背景音のみを提示する無刺激実験(no stimulus)という4つの異なる実験(trial)(block2)を疑似ランダムにそれぞれ5回実施し、各実験間の平均間隔は20s(10~30s)であった。
【0273】
単独の驚愕反射刺激又はプレパルス刺激+驚愕反射刺激の反応の大きさをAVG(機器専用単位)値で表し、AVG値によりラットの体のひるみ反応の大きさが間接的に示された。
【0274】
評価指標:PPI%=(1-プレパルス刺激+驚愕反射刺激の反応の大きさ/単独の驚愕反射刺激の反応の大きさ)×100。数値が高いほど抑制率が高くなる。
【0275】
投与試験
上記各群の動物に投与された0.5mg/kgのDOIを生理食塩水(NS)に変更した以外は、投与、測定等も含めて介入試験と同じように行った。
【0276】
3.2 実験結果
PPIとは、強い驚愕反射刺激よりも前(30~500ms)の弱い刺激による驚愕反射への抑制作用を指す。研究によると、ヒトと齧歯類動物とは、PPIを調節する神経核及びその薬理学的機序が非常に似ていることから、種を超えた行動学指標であることが分かる。臨床研究では、統合失調症の患者はPPIの損傷が発生したが、一部の抗精神病薬は改善作用を示していることも分かった。上記の特徴のため、このモデルは統合失調症の病因及び抗精神病薬の薬理作用に関する研究で広く利用されており、また、抗精神病薬を選出するためのツールとしても使用されており、特に統合失調症の陰性症状及び認知機能障害に対する治療効果を予測するために用いられることができる。
【0277】
本実験では、ラットに0.5mg/kgのDOIを投与すると、PPIに有意な損傷(P<0.05)が見られ、0.3mg/kgのNH-K-A19006、3mg/kgのNH-K-A19005、3mg/kgのピマバンセリンでは、ラットのDOI誘発性PPI損傷(P<0.05)を有意に逆転させた。詳細を下表に示す。表では、「MEAN」は平均値を示し、「SD」は標準差を示し、「P」はP値を示す。表における数値は損傷の逆転を示し、数値が高いほど、モデル群と比較して症状の軽減が多くなることを示す。
【0278】
本研究によると、0.3mg/kgのNH-K-A19006、3mg/kgのNH-K-A19005はラットのDOI誘発性PPIを有意に逆転させることができ、かつ、この投与量では、正常なラットに有意な影響がないことから、NH-K-A19005、NH-K-A19006は精神疾患に効果的であり、かつ、統合失調症の陰性症状及び認知機能障害に効果的であることが分かった。
【0279】
【表6】
【0280】
【表7】
【0281】
【表8】
【0282】
【表9】
【国際調査報告】