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▶ テクノロギアン トゥトキムスケスクス ヴェーテーテー オイの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-26
(54)【発明の名称】進行波パラメトリック増幅器
(51)【国際特許分類】
   H03F 7/00 20060101AFI20230519BHJP
   H10N 60/12 20230101ALI20230519BHJP
   H03F 3/55 20060101ALI20230519BHJP
   H03F 19/00 20060101ALI20230519BHJP
   H03F 3/60 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
H03F7/00
H10N60/12 Z ZAA
H03F3/55
H03F19/00
H03F3/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563356
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(85)【翻訳文提出日】2022-12-12
(86)【国際出願番号】 FI2021050283
(87)【国際公開番号】W WO2021214383
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】20205401
(32)【優先日】2020-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512068592
【氏名又は名称】テクノロギアン トゥトキムスケスクス ヴェーテーテー オイ
【氏名又は名称原語表記】TEKNOLOGIAN TUTKIMUSKESKUS VTT OY
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ベステリネン,ビサ
(72)【発明者】
【氏名】シンビエロウイックズ,スラウォミール
【テーマコード(参考)】
4M113
5J067
【Fターム(参考)】
4M113AA00
4M113AC08
4M113AC48
4M113AC50
5J067AA04
5J067AA32
5J067AA34
5J067CA35
5J067CA36
5J067CA41
5J067CA92
5J067FA16
5J067FA19
5J067HA25
5J067HA29
5J067KA68
5J067LS13
5J067QA04
5J067QS17
5J067TA01
(57)【要約】
本発明の例示的な態様によれば、複数のジョセフソン素子と複数のシャントコンデンサを内部に含む伝送線路を備え、シャントコンデンサの少なくとも幾つかがオープンエンドの分散型伝送線路を含む分散型コンデンサである進行波パラメトリック増幅器が提供される。
【選択図】図1A

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のジョセフソン素子と複数のシャントコンデンサを備えた伝送線路を備え、
前記シャントコンデンサの少なくとも一部は、分散型伝送線路を含む分散型コンデンサである、進行波パラメトリック増幅器。
【請求項2】
前記分散型伝送線路は、前記進行波パラメトリック増幅器のグランドへのガルバニック接続を欠いており、前記進行波パラメトリック増幅器は、ポンプトーン高調波発生の不完全位相整合を有する構成であり、エネルギーは、前記ポンプトーンから前記ポンプトーンの高調波に伝達され、又、前記ポンプトーンの前記高調波から前記ポンプトーンに戻るように伝達される、請求項1に記載の進行波パラメトリック増幅器。
【請求項3】
前記分散コンデンサの前記分散型伝送線路の導体は、夫々螺旋状に配置されている、請求項1又は2に記載の進行波パラメトリック増幅器。
【請求項4】
前記螺旋配置は、2重巻きの螺旋配置である、請求項3に記載の進行波パラメトリック増幅器。
【請求項5】
前記シャントコンデンサの全てが分散型コンデンサである、請求項1乃至4の何れかに記載の進行波パラメトリック増幅器。
【請求項6】
前記シャントコンデンサ全てよりも少ないシャントコンデンサが分散型コンデンサである、
請求項1乃至5の何れかに記載の進行波パラメトリック増幅器。
【請求項7】
n番目毎のシャントコンデンサのみが分散型コンデンサであり、nは群{2、3、4、5、6、7、8、9、10、11}から選択される、請求項6に記載の進行波パラメトリック増幅器。
【請求項8】
前記分散コンデンサの前記伝送線路は、夫々低損失基板上の超伝導薄膜から作製された平面構造である、請求項1乃至7の何れかに記載の進行波パラメトリック増幅器。
【請求項9】
前記低損失基板が高抵抗シリコンからなる、請求項8に記載の進行波パラメトリック増幅器。
【請求項10】
前記伝送線路が15個より多くの前記ジョセフソン素子を含む、請求項1乃至9の何れかに記載の進行波パラメトリック増幅器。
【請求項11】
複数の前記ジョセフソン素子の夫々がループを含み、前記ループの一方の側部に第1のサイズの少なくとも1つのジョセフソン接合が配置されている、請求項1乃至10の何れかに記載の進行波パラメトリック増幅器。
【請求項12】
前記伝送線路がコプレナ導波路であり、磁束バイアス線が、前記コプレナ導波路伝送線路上にシャントコンデンサが配置されているコプレナ導波路伝送線路を磁束バイアス線が横切るように、コプレナ導波路伝送線路の何れかの側で交互に繰り返し蛇行してジョセフソン要素のループの夫々に通ずる磁束を発生するよう構成されている、請求項1乃至11の何れかに記載の進行波パラメトリック増幅器。
【請求項13】
前記磁束バイアス線は、抵抗器を介して前記コプレナ導波路伝送線路の接地面に接続する、請求項11に記載の進行波パラメトリック増幅器。
【請求項14】
各ループが更に、前記ループの別の側部に配置された第2のサイズの少なくとも1つのジョゼフソン接合を備えている、請求項10に、又は請求項10に従属する請求項11乃至12の何れかに記載の進行波パラメトリック増幅器。
【請求項15】
複数のジョセフソン素子と複数のシャントコンデンサを内部に備えた伝送線路を配設するステップを含み、
前記シャントコンデンサの少なくとも一部は、分散型伝送線路を含む分散型コンデンサである、進行波パラメトリック増幅器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超伝導進行波パラメトリック増幅器、TWPAに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パラメトリック増幅器は、事実上ミキサーであり、弱い入力信号は、より強いポンプ信号と混合することによって増幅され、その結果、より強い出力信号を生成できる。パラメトリック増幅器は、物理的システムの非線形応答に依存して増幅を生成する。このような増幅器は、定在波パラメトリック増幅器又は進行波パラメトリック増幅器を含み得、進行波パラメトリック増幅器は、例えばコプレナ導波路等の伝送線路に沿って分布する一連の非線形素子を使用する。非線形素子がジョセフソン接合を含む場合、増幅器は、ジョセフソン進行波パラメトリック増幅器、JTWPAと呼ばれることがある。JTWPAでは、ジョセフソン接合は、超伝導状態に維持され、超電流を流す。
【0003】
使用時、発振器強信号に信号が付加され、その結果、信号と発振器の周波数の差である周波数で振幅エンベロープが変化する和信号が得られる。導波路伝送線路では、位相速度が振幅に依存するため、2つの周波数の差に応じて、伝送線路端での和信号の位相が変化することになる。事実上、非線形導波路伝送線路は、振幅変調を位相変調に変換している。非線形性が十分強い場合は、信号の周波数で利得が発生することになる。
【発明の概要】
【0004】
幾つかの態様により、独立請求項の主題が提供される。幾つかの実施形態は、従属請求項において定義される。
【0005】
本発明の第1の態様により、複数のジョセフソン素子と複数のシャントコンデンサを内部に含む伝送線路を備え、前記シャントコンデンサの少なくとも幾つかがオープンエンドの分散伝送線路を含む分散型コンデンサである、進行波パラメトリック増幅器が提供される。
【0006】
本発明の第2の態様により、複数のジョセフソン素子と複数のシャントコンデンサを内部に含む伝送線路を提供するステップを含み、前記シャントコンデンサの少なくとも幾つかがオープンエンドの分散型伝送線路を含む分散型コンデンサである、方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る増幅器の一例の断面図である。
図1B】本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る増幅器の一例の断面図である。
図2A】本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係るTWPAにおけるシミュレーションされた分散を示す図である。
図2B】本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係るTWPAにおける位相シフトを示す図である。
図3A】本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る3波混合シミュレーション利得を示す図である。
図3B】本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係るポンプ及び2次高調波パワーを示す図である。
図3C】本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係るTWPAの一例を示す図である。
図4】本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る方法のフローグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書に開示された解決策により、進行波パラメトリック増幅器、TWPAは、より高い臨界電流密度及びより高いプラズマ周波数を使用することを可能にし、その結果、TWPAのデバイスフットプリントを減少させ得るという利点をもたらし得る。プラズマ周波数は、従来の解決策ほど正確に定義する必要がないため、ジョセフソン接合は、従来ほど高い精度で製造する必要はない。それでも尚、本明細書に開示された原理に従って製造されたTWPAにおいて、分散特性は非常に再現性が高い。ポンプトーンの2次高調波を意図的に非効率に発生させることによる、3波混変調の位相整合により、高いTWPA利得を得ることができる。更に、シャントコンデンサの低誘電損失化により、TWPAの3波・4波混合における高利得・低付加雑音が得られる。
【0009】
これらの利点は、本明細書で以下に説明されるように、TWPAにおいて得られる。つまり、TWPAユニットセルのシャント容量素子等のシャント容量素子を用いて、TWPAに分散が導入される。これらの分散シャントコンデンサは夫々オープンエンドの分散伝送線路を含む。誘電体層で分離された平行板としてシャントコンデンサを実現する一般的な方法と比較して、これはTWPAの誘電損失を低減する。磁束調整可能なTWPAでは、ジョセフソン素子のプラズマ共振ではなく、主にシャントコンデンサで分散を生成することが望ましく、これにより磁束調整から分散を切り離すことができる。幾つかの実施形態では、オープンエンドの分散型伝送線路が螺旋状に配置されており、チップ上に製造する際のTWPAの物理的フットプリントを低減する。別の選択肢は、多角形の形状である。
【0010】
全般的に、例えば量子計算機では、信号が単一光子又は単一光子に近い領域まで減衰して伝送されることがある。このような信号の検出は、その低振幅の為に困難である。そこで、増幅器を用いて受信信号の振幅を大きくしてから検出素子に供給し、受信信号にエンコードされた情報を復元してもよい。別の例として、量子通信を使用した安全な方法で暗号化鍵を通信する際に、検出されずに盗聴することを非常に困難にするように、単一光子領域の通信が採用され得る。
【0011】
本開示は、TWPAの超伝導実現を主眼としており、伝送線路の中心トレースは、非線形インダクタンスを構成するジョセフソン素子として知られるジョセフソン接合ベースの素子の配列である。この非線形性により、強い高周波rfのポンプトーンと同じ方向に伝搬する弱い信号の電力増幅を行う混合プロセスが可能になる。ポンプトーンの強さは、ポンプ電流の振幅Ipとジョセフソン素子の臨界電流Icの比によって測定される。非直線性の性質は、素子内のジョセフソン接合の配置に依存する。最も単純な実現は、非線形素子として単一のジョセフソン接合を使用することであり、インダクタンスの関連するテイラー展開は、定数に(Ip/Ic)^2に比例する項を加えたもの、つまりカー非線形性となる。このカー項は、望ましい4波混合プロセスをもたらす一方で、ポンプパワーの関数としてrfトーンの波動ベクトルを変化させるが、この効果は分散工学によって補償され得る。位相整合とも呼ばれる波形のバランスにより、TWPAの利得をデバイスの長さの関数として指数関数的に増加させることが可能になる。伝送線路に埋め込まれた典型的な狭帯域分散特性故に、利得の中心周波数は、TWPAのこの例では固定量である。
【0012】
一般に、TWPAは、3波混合(3WM)に基づいて動作するものと、4波混合(4WM)に基づいて動作する装置の2つのカテゴリに存在する。これらの混合概念は、元来、非線形光学の分野に由来するものである。3WMでは、ポンプトーンf_pは増幅対象の信号周波数f_sの2倍であり、デバイスはポンプトーンの不要な2次高調波を発生させる傾向がある。この2次高調波の発生を2次高調波発生(SHG)と呼ぶことがある。4WMでは、ポンプトーンは増幅対象信号と同じ周波数帯域にあり、ポンプの不要な3次高調波が発生する傾向がある。TWPAデバイスは、3WM方式、4WM方式の何れであっても、周波数に依存した波数を有する伝送線路を含む。
【0013】
更に、利得を発生させる装置では、f_p-f_s(3WM)又は2f_p-f_s(4WM)の周波数でアイドラートーンf_iが生成される。高い利得を達成するには位相整合が必要で、それは、信号波数とアイドラー波数の和(k_s+k_i)が、ポンプ波数をk_pとして、k_p(3WM)又は2k_p(4WM)に近くなければならないことを意味する。同時に、ポンプの不要な高調波発生の位相不整合を持たせる為に、デバイスは分散型でなければならない。この文脈での分散型とは、周波数の関数としての波数が、f_p以上の周波数で線形傾向から逸脱することを意味する。この挙動は図2Aに示されている。分散を制御する1つの方法は、ジョセフソンプラズマ周波数fを調整することである。プラズマ周波数は、非線形ジョセフソンインダクタンスと並列に接続するトンネル接合のキャパシタンスの影響を記述する。幾つかの実施形態では、TWPAはカスケード接続されたユニットセルで構成され、各ユニットセルは直列インピーダンスとシャントインピーダンスを特徴とする。分散が実用的な影響を及ぼさない低周波極限では、直列インピーダンスはインダクタLのリアクタンスであり、シャントインピーダンスはコンデンサCのリアクタンスである。これらの量によって、ユニットセルLCの固有モード
【数1】
が決まる。プラズマ周波数と共に、この固有モードは伝送線路のカットオフを設定する。カットオフでは、波数の実部がゼロになり、それは、伝送線路に沿った波の伝搬がサポートされないことを意味する。カットオフ直下では波数が発散し、超線形傾向を示す。TWPAの不要高調波発生を抑制する1つの方法は、プラズマ周波数をポンプ高調波の発生する周波数に向けて下げることを伴う。より詳細には、fは、3WMTWPAでは2f_p、4WNTWPAでは3f_pに匹敵する大きさであり得る。
【0014】
しかしながら、プラズマ周波数の低い値及び/又は正確な値に依存するTWPA設計は課題を伴う。プラズマ周波数は、本質的に、酸化圧力及び時間によって制御されるジョセフソン接合作製プロセスパラメータである。プラズマ周波数を変えることは、接合の臨界電流密度も変えることを意味する。このことが示唆するのは、プラズマ周波数を低く設計すると、接合部の物理的なサイズが大きくなり、チップ上のTWPAの全体のフットプリントに影響を与える可能性があることを意味するということである。
【0015】
TWPAがジョセフソン素子臨界電流に影響を与える調整可能な磁束の自由度を有する場合、プラズマ周波数も同様に調整可能となる。磁束の調整可能性が望まれる理由は幾つかある。先ず、TWPA伝送線路の特性インピーダンスレベルを正しい値、例えば50Ωに設定することが望まれる場合がある。第2には、3波混合を可能にするために望まれる場合がある。TWPAの分散性が主にプラズマ周波数に依存する場合、分散は、インピーダンス整合-3波混合条件に対して潜在的に望ましくない方法で結合され得る。
【0016】
先行文献において、3WMジョセフソンTWPAにおける位相整合の理論は、ほんの数回しか扱われていない。この文献では、2次高調波発生(SHG)は、しばしば十分に詳細に議論されていないか、又はデバイス設計が、停止帯域工学によって完全にブロックしようとする。このSHGの位相不整合はパラメータΔkSHG=k2p-2k≠0で定量化される。しかし、ユニットセルとプラズマ切断を介したSHGの位相不整合は、利得をもたらす混合プロセスに対して必然的に何らかの残留位相不整合を残す。この残留不整合は、パラメータΔkTWPA=k-k-k≠0で定量化される。すると、これにより、3WMTWPAから得られる利得が制限される可能性がある。更に、ジョセフソンTWPAには一般に、伝送線路のシャントコンデンサにおける誘電損失という欠点がある。シャントコンデンサは一般に、2値ゆらぎの存在により、ミリケルビン温度で損失性及び非線形性を有する誘電体材料からなる平行板コンデンサとして実装される。この誘電損失は、TWPAの利得とノイズ温度に悪影響を及ぼす。
【0017】
本開示によるTWPAは分散制御を実施する。TWPAユニットセルの直列誘導性素子のプラズマ周波数のみに頼るのではなく、伝送線路のシャントコンデンサにも分散を導入する。具体的には、オープンエンドの分散型伝送線路を備えた分散型コンデンサを使用して、伝送線路に分散を導入する。これによって、幾つかの効果が得られる。先ず、これによってTWPAにおける誘電損失が低減される。第2に、磁束の自由度を調整できるTWPAでは、これにより、利得と特性インピーダンスの磁束調整から分散が切り離される。オープンエンド型分布伝送線路のチップ上の物理的フットプリントは、例えば、2重巻きの螺旋形状を選択した場合、小さくなり得る。オープンエンドの分散型伝送線路とは、TWPAグランドへのガルバニック接続を欠き、キャパシタンスとインダクタンスが材料全体に連続的に分布している構造を意味する。
【0018】
分散型コンデンサに関して、伝送線路の開放端スタブは、低周波数では集中型コンデンサとして挙動するが、或る高周波数では共振を示し、その最初のものは、スタブが波長の1/4の長さであることに対応する。最初の共振周波数は、信号、ポンプ、アイドラーの各周波数において、キャパシタンス値の周波数依存性が最小になるように選択される。これにより、利得プロセスの位相整合を良好にすることができる。しかし、f_pより高い周波数ではキャパシタンスの実効値が増加し始め、高調波発生の位相不整合が発生する。具体的には、高調波発生とは、ポンプ信号のエネルギーを3WMのSHGに相当する2f_pや4WMに相当する3f_pに匹敵する周波数に移すことを意味する。4WMTWPAでは、[5]に記載されているように、3次高調波の発生効率が低いままであれば、位相不整合の正確な値は重要ではない。対照的に、3WMTWPAでは、SHGの位相不整合に最適な値が存在する。
【0019】
光の非線形光学の分野では、カスケード型の多波混合プロセスが発生する可能性があることが発見されている。3WMTWPAでは、2次高調波発生が、2次高調波、2f_pからポンプ周波数f_pに戻るポンプエネルギーの伝達に続くカスケードプロセスが発生する。このカスケードプロセスは、2次高調波発生(SHG)の位相整合が完全でない場合に必ず発生する。TWPA波数の周波数依存性を分散コンデンサが担っている場合、即ち分散を担っている場合、2次高調波発生、SHGの位相不整合が有限であることは、利得過程においても何らかの位相不整合が残存していることを意味する。有限位相不整合の例は、ΔkSHGがk_pの15%・20%であることを含む。有限位相不整合の例は、ΔkTWPAがk_pの1,5%・2%であることを含む。1)SHG波数不整合ΔkSHG、2)増幅波数不整合ΔkTWPA、及び3)TWPAポンプパワー、の最適な組み合わせがあることが分かっている。この最適な組み合わせでは、ポンプトーンは、非効率なSHGからの位相キックを、利得過程で蓄積されるポンプ、信号、アイドラー間の位相不整合を正確に補償するような方式で受ける。更に、伝送線路に分散を発生させる為に一組の分散コンデンサを使用すると、TWPAの動作を最適化するための幾つかの調整が可能になる。先ず、ポンプ周波数をシフトさせ、波数の不整合に対して新たな値を得ることができる。第2に、ポンプパワーがシフトされ得る、及び/又は、第3に、TWPAが有限の3WMを維持しながら4WMを無効にする磁束バイアス点にある場合、何らかの磁束オフセットを適用して、弱い4WMから正又は負の位相シフトを得てもよい。TWPAの動作点は、これらの調整軸で定義される3次元空間内にある。磁束を、ゼロカーに相当する暫定最適値からオフセットさせて、位相整合を改善し得る正又は負のカー値を得ることができる。非ゼロのカーの潜在的な欠点は、ポンプ周波数の3次高調波の発生の活性化の可能性があることである。
【0020】
多波混合プロセスに対する洞察は、4WMが存在せず、損失が存在しない場合における3WMの結合モード方程式(CME)を研究することによって得ることができる。CMEは、TWPAの伝送線路に沿った位置xの関数として、波振幅の発展を記述する。パラメトリック増幅がない場合のSHGのCMEは以下となる。
【0021】
【数2】
【0022】
【数3】
【0023】
式中、A_pはポンプの緩慢に変化する無次元振幅、A_2pはポンプの2次高調波の緩慢に変化する無次元振幅、κは1/mの単位での3WM非線形係数である。位相整合SHGの極限(ΔkSHG=0)において、
【0024】
【数4】
【0025】
となり、これは、ポンプの2次高調波への100%一方向の変換の可能性を意味する。ここで、TWPAポンプ強度は、Γ=κ|A(0)|に等しい。逆に、弱SHG効率極限の場合、ポンプに位相歪みが発生する。
【0026】
【数5】
【0027】
SHGがなく、小位相不整合極限ΔκTWPA<<κの場合、近縮退パラメトリック増幅のCMEは以下となる。
【0028】
【数6】
【0029】
【数7】
【0030】
【数8】
【0031】
式中、A_s及びA_iは夫々、信号及びアイドラーの緩慢に変化する無次元振幅である。近縮退であるということは、この文脈では、信号とアイドラーの周波数がほぼ同じであることを意味する。プリファクタ0.25は、信号とポンプの2次高調波の周波数差0.25から生じる。位相整合パラメトリック増幅の極限(ΔkTWPA=0)において、
【0032】
【数9】
【0033】
であり、信号が経験するパワー利得を記述している。SHGとパラメトリック増幅を同時に考慮すると、非効率的なSHGを介してパラメトリック増幅の位相整合を達成する最適が観察される。
【0034】
【数10】
【0035】
弱SHG効率極限では、最適なTWPAポンプ強度の条件が得られる。
【0036】
【数11】
【0037】
プラズマ周波数とシャントコンデンサの第1共振モードが一致する場合、特性TWPAラインインピーダンスは、低周波数において1次まで周波数に依存しないことになる。これは、信号、ポンプ、アイドラー周波数において、インピーダンス整合の観点から有益であり得る。
【0038】
提案された分散型コンデンサの誘電損失に関して、コンデンサの伝送線路は、例えば、高抵抗シリコン等の低損失基板上の超伝導薄膜からなる平面構造であるので、電界エネルギーの大部分は基板に存在することになる。これは、電界エネルギーの殆ど全てが損失のある誘電体層にある平行板コンデンサと対照的である。
【0039】
分散型コンデンサを使用することの利点には、TWPAにおいて高い臨界電流密度及び高いプラズマ周波数を使用する能力が含まれ、これはデバイスのフットプリントを減少させるのに役立ち得る。更に、プラズマ周波数の多少の誤差は許容され得るので、ジョセフソン接合製造の要件の緩和が得られる。更に、TWPAの製造における分散の再現性が高いという利点もある。更に、非効率なSHGによる3WMパラメトリック増幅の位相整合の為、高いTWPA利得が得られる可能性がある。シャントコンデンサの誘電損失が低いため、3WM又は4WMTWPAにおいて、より高い利得と低い付加雑音が可能である。
【0040】
図1Aは、本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る例示的な増幅器の断面を示す。図1のJTWPAは、ジョセフソン素子110とシャントコンデンサ120とを備えたコプレナ導波路伝送線路を備える。ジョセフソン素子の各1つはループを備え、ループの一側部には第1のサイズの少なくとも1つのジョセフソン接合が配置されている。ループの別の側部には、第2のサイズの少なくとも1つのジョセフソン接合が更に配置されてもよい。ループの例はSQUID及びSNAILを含む。具体例として、ループは、一方の側部に2つの大きいジョセフソン接合、他方の側部に1つの小さいジョセフソン接合を備えてもよく、小さい接合は大きい接合の23%である。これはSNAILの実装態様である。幾つかの実施形態では、ジョセフソン素子110は夫々1つのみのループを備える。ジョセフソン素子110は、当技術分野で知られているように、電磁波を伝達することができる導波路で互いに接続されている。図1にその断面が示されている全体的なコプレナ導波路伝送線路は、増幅対象の信号と強い発振器信号とを受信するように配置された入力を左側に有し、これらの信号は非線形ジョセフソン素子110の導波路内で混合される。幾つかの実施形態では、ユニットは、2つの連続したジョセフソン素子110を備える。出力は、位相変調された増幅信号が最終的にコプレナ導波路伝送線路の端で出力として得られるように、右にあり、そのセグメントが図1Aに示されている。コプレナ導波路の接地面である2つの配線層素子101は、夫々、例えば、絶縁体で覆われた超伝導体を備えてもよい。
【0041】
一般に、単接合、超伝導量子干渉素子(SQUID)、非対称SQUID、又は磁束量子ビット様回路等のより複雑なジョセフソン素子は、有効ポテンシャルエネルギーを用いて記述され得る。
【0042】
【数12】
【0043】
式中、Eはジョセフソンエネルギー、φは超伝導相である。c項は臨界電流とジョセフソンインダクタンスの線形部分、c項は3波混合、c項は4波混合に関するもので、カー非線形性としても知られる。
【0044】
通常、単一接合及び非対称SQUIDを含むSQUIDは、c=0であり、それによって3波混合が起こらず、非線形性はカー項によって提供される。3波混合は、入力周波数の2倍の周波数で励起できることを意味し、これは望ましいことである。直流電流を注入することによって3波混合を活性化することができるが、しかし、カー項は非ゼロのままであり得る。
【0045】
カー項によって提供される非線形性は、共振位相整合の必要性と関連しており、実際には、ポンプ信号は、伝送線路に沿って一定の間隔で少量の位相増分を与えられる。これは、ポンプが信号(周波数f_p)及びアイドラー(周波数f_i)とは異なる位相速度を有することに起因する。この位相不整合はポンプ電力が大きくなるにつれて大きくなる。エネルギー保存則は、出力にアイドラー周波数が存在することを意味し、その周波数は、ポンプに対する信号周波数の「鏡像」、f_i=2f_p-f_sに位置する。詳細には、カーモードでは,位相不整合と利得は同じパラメータであるカー非線形性に依存する。3波混合の場合、3つの周波数はf_s+f_i=f_pの関係にある。反射量を最小にする為に、TWPAの両端は更に、周波数f_i、f_s、f_pの夫々において良好なインピーダンス整合を有する必要がある。
【0046】
図1のJTWPAは、導波路内に、ジョセフソン素子110の間に挟まれたシャントコンデンサ120を有する。一例としては2つのシャントコンデンサ120毎の間に2つのジョセフソン素子110であるが、本発明はこれに限定されず、実際、種々の実施形態において、2つのシャントコンデンサ120毎の間に3つ以上のジョセフソン素子110が存在してもよい。シャントコンデンサ120は、伝送線路のシャントキャパシタンスの大部分を形成する。図1のJTWPAはコプレナ導波路である。シャントコンデンサ120は平行板コンデンサであってもよい。全体としてJTWPAは、200個、800個又は1600個といった多数のジョセフソン素子110を備えてもよい。例えば、15個より多くのジョセフソン素子110が存在してもよい。
【0047】
図1のJTWPAは、統合された磁束バイアス線、FBL130を更に備えている。磁束バイアス線130は、コプレナ導波路の一方の側から他方の側に至る、蛇行した経路を取る2ポート回路である。言い換えると、磁束バイアス線は、コプレナ導波路の伝送線路の何れかの側で、蛇行しながら交互に繰り返し進行する。磁束バイアス線130は、図1Aに示されるように、導波路の他方の側と交差する箇所において、シャントコンデンサ120の上部電極を形成している。磁束バイアス線130は、関連する周波数f_i、f_s及びf_pにおいて、シャントコンデンサ120の無効インピーダンスよりも遥かに小さい値の抵抗器150を介して伝送線路の接地面101に接続する。抵抗器の目的は、シャントコンデンサ120から接地へのrf経路を提供することである。同時に、抵抗器及び磁束バイアス線130は、周波数f_i、f_s及びf_pにおいて、接地面の同様の電位を強制する。
【0048】
図示されているように、磁束バイアス線130は、導波路の一方の側部で導波路と平行に延び、その後シャントコンデンサ120の1つに対応する場所で導波路の別の側部に亘り、導波路の前記別の側部で導波路と再び平行に延びる。磁束バイアス線130が導波路に平行に延びているところでは、抵抗器で接地面101に接続してもよい。磁束バイアス線130に流れる直流電流は、ジョセフソン素子110の為の磁場勾配を発生させる。磁束バイアス線は、ジョセフソン素子110のループの各々に通した磁束を発生させるように構成されている。磁束バイアス線は、コプレナ導波路伝送線路の接地面の電位を等しくするように接続されてもよい。この接続は、例えば、抵抗器を介して行われてもよい。
【0049】
図1AのTWPAにおいて、シャントコンデンサの幾つかは分散コンデンサ140である。分散コンデンサ140には、本明細書で上述したように、TWPAの伝送線路に分散効果をもたらすオープンエンドの分散型伝送線路が配設されている。オープンエンドの分散型伝送線路は、図1Aの例では、スペースを節約する為に螺旋状に配置されている。
【0050】
幾つかの実施形態では、螺旋配置は、二重アルキメデス螺旋配置である。二重アルキメデス螺旋配置では、伝送線路の第1の導体が螺旋状に配置され、伝送線路の第2の導体が伝送線路の第1の導体の形状の鏡像である形状で同じ領域に配置され、伝送線路の第1と第2の導体が接触しないようになっている。第1の導体は接地面101と接続され、他の導体はTWPAの中央伝送線路と接続されている。図1Aでは、図示を明確にする為に数ターンしかないように図示されているが、実際の実施形態における螺旋配置は、例えば数ダース等、より多くのターン数を有していてもよい。2つの同心円状の螺旋を有する幾つかの実施形態では、螺旋は互いの鏡像ではなく、同心円状に配置され、同方向に巻かれている。
【0051】
螺旋の固有周波数が低いとコンデンサの値が大きくなり、逆に螺旋の固有周波数が高いと分散が十分に発生しないことがある。一例として、シリコン基板上の超伝導薄膜で作製された螺旋の4,6ターンの約40GHzの固有モードがある。この膜のトレース幅は1,9マイクロメートルで、ギャップは1,1マイクロメートルである。得られたジオメトリの直径は約75マイクロメートルである。
【0052】
原理上、全てのシャントコンデンサは分散型コンデンサであり得る。一方、様々な実施形態において、シャントコンデンサの一部のみが分散型コンデンサである。例えば、n番目毎のシャントコンデンサのみが分散型コンデンサであり、nは群{2、3、4、5、6、7、8、9、10、11}から選択される。全てのシャントコンデンサを分散型にしない利点は、分散型コンデンサ間のクロストークが回避されることである。75マイクロメートルの螺旋コンデンサに対して300マイクロメートルの分離は、例えば、クロストークを回避するのに十分な分離である。一般的には、螺旋状に巻かれたコンデンサの直径と同じかそれ以上の離隔が、クロストークを回避するのに十分であると考えられる。分散コンデンサは、他のシャントコンデンサと全く同じキャパシタンスを有する必要はないが、その差は小さいのが理想である。
【0053】
全てのシャントコンデンサを分散型にしないことの第2の利点は、ストップバンドエンジニアリングを実行できることである。TWPA伝送線路に沿って測定される2つの螺旋間の電気的分離が、波長の2分の1の整数倍に等しいときは必ずストップバンドが発生することになる。このようなストップバンドを、ポンプの高次高調波発生の周波数又はその近傍に配置することが有益であり得る。
【0054】
図1Bは、本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る例示的な増幅器の断面を示している。図1BのTWPAは図1Aと同じものであり、これらの図間の違いは、図1Bでは、伝送線路のより長い断面が示されていることである。
【0055】
図2Aは、本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係るTWPAにおけるシミュレーションされた分散を示す図である。図は、横軸の、TWPAを伝搬する信号の周波数と、縦軸の、TWPAの長さを横断する間に信号によって発生する総位相変化との関係を示している。縦軸の位相変化はS21(伝送)位相として知られる。この場合の分散とは、波数対周波数が、周波数f_pまではほぼ線形に挙動し、それ以降は図示のように超線形に挙動することを意味する。
【0056】
図2Bは、本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係るTWPAにおける位相シフトを示す。波動ベクトルk_pump=k_signal+k_idlerのとき、状況は最適である。エネルギーがポンプ周波数から2次高調波に伝達される場合、ポンプは弱められる。しかし、エネルギーが2次高調波からポンプ周波数に戻される場合、ポンプから2次高調波へのエネルギーブリードの問題は解決される。ポンプの位相シフトは、2次高調波からポンプに戻るエネルギーの伝達と関連して発生する。従って、位相シフトは良い兆候である。幾つかの実施形態では、このポンプ位相シフトは、低周波分散によって引き起こされるTWPA位相不整合を打ち消す。
【0057】
図3Aは、本発明の少なくとも幾つかの実施形態による3波混合シミュレーション利得を示す図である。信号及びアイドラーパワーは無次元単位で示されている。これらのシミュレーションでは、10GHzのポンプ周波数が使用され、ΔkTWPA/k≒0,019及びΔkSHG/k≒0,24である。常にf_p=f_s+f_iである為、最適状態は、k_p=k_s+k_i、非ゼロのΔkTWPA=k_p-k_s-k_i、及びΔkSHG=k_2p-2k_pの場合である。図において、Γ=0,09はポンプ強度を示し、I_p/I_cに、磁束に依存する係数を乗じた値で定義される。破線は、信号パワーの理論的上限である。
【0058】
図3Bは、本発明の少なくとも幾つかの実施形態による、無次元単位でのポンプパワー及び2次高調波パワーを示す図である。図に見える振幅損失は、誘電体材料及び抵抗器から発生するものであり、これらは本明細書において上述されている。
【0059】
図3Cは、本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る例示的なTWPAの上面図を示している。図示されたTWPAはチップ上に製造される。図示された例示的なTWPAは、各セルに2つのジョセフソン素子を有する8つのユニットセルを有し、その後に任意のジョセフソン素子の代わりに分散コンデンサを有する1つのセルが、伝送線路の長さに沿って何度も繰り返されるという意味で、9周期である。24個のセルは屈曲部にあり、93個のセルは長い直線部にあるため、24+93=117セルとなり、9で割り切れる。分散コンデンサの螺旋状の分布伝送線路は、図中の暗色の円として見えており、伝送線路全体の長さに沿って左右に配置される。
【0060】
図4は、本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る方法のフローグラフである。図示された方法の段階は、例えば、工場装置、補助装置、又はパーソナルコンピュータ、或いは、そこに設置された場合、それらの機能を制御するように構成された制御装置において実行されてもよい。
【0061】
段階410は、複数のジョセフソン素子と複数のシャントコンデンサを内部に含む伝送線路を提供することを含む。段階420は、シャントコンデンサの少なくとも幾つかがオープンエンドの分散型伝送線路を含む分散型コンデンサであることを特定するものである。例えば、オープンエンドの分散型伝送線路は、螺旋状に配置されてもよく、多角形に配置されてもよい。幾つかの実施形態では、コプレナ導波路伝送線路である伝送線路の何れかの側で交互に繰り返し蛇行してジョセフソン素子のループの各々に通ずる磁束を生成するように構成された磁束バイアス線が更に設けられ、磁束バイアス線が、コプレナ導波路伝送線路上にシャントコンデンサが配置されたコプレナ導波路伝送線路を横切るようになっている。
【0062】
開示された本発明の実施形態は、本明細書に開示された特定の構造、プロセスステップ、又は材料に限定されず、関連技術分野における通常の当業者によって認識されるようなその同等物に拡張されることが理解されよう。又、本明細書で採用される用語は、特定の実施形態を説明する目的でのみ使用され、限定することを意図していないことを理解されたい。
【0063】
本明細書を通じて、一実施形態又は或る実施形態への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書中の様々な場所における「一実施形態において」又は「或る実施形態において」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態に言及しているわけではない。例えば、約又は実質的に等の用語を用いて数値に言及する場合、正確な数値も開示される。
【0064】
本明細書で使用される、複数の項目、構造要素、構成要素、及び/又は材料は、便宜上、共通のリストで提示されることがある。しかしながら、これらのリストは、リストの各構成要素が個別に一意の構成要素として識別されるかのように解釈されるべきである。従って、そのようなリストの個々の構成要素は、反対の指示がなければ共通のグループにおけるそれらの提示にのみ基づいて、同じリストの任意の他の構成要素の事実上の等価物と解釈されるべきではない。更に、本発明の様々な実施形態及び実施例は、その様々な構成要素の代替案と共に本明細書で言及されることがある。そのような実施形態、実施例、及び代替案は、互いの事実上の同等物として解釈されるのではなく、本発明の別個の自律的な表現として考慮されることを理解されたい。
【0065】
更に、記載された特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わされてもよい。先の説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供する為に、長さ、幅、形状等の例のような多数の具体的な詳細が提供されている。しかしながら、関連する技術分野の当業者であれば、本発明は、1つ以上の特定の詳細がなくても、又は他の方法、構成要素、材料等を用いて実施され得ることを認識するであろう。他の例では、周知の構造、材料、又は操作は、本発明の態様を不明瞭にするのを避ける為に、詳細に示されないか、又は説明されない。
【0066】
上述の実施例は、1つ以上の特定の用途における本発明の原理を例示するものであるが、当業者には、発明的能力を行使しなくても、本発明の原理及び概念から逸脱することなく、形態、用途及び実施の詳細における多数の変更を行い得ることは明らかであろう。従って、以下に示す請求項による場合を除いて、本発明を限定することは意図していない。
【0067】
動詞「備える」及び「含む」は、本書において、同じく引用されていない特徴の存在を排除も要求もしない開放的な限定として使用される。従属請求項に記載された特徴は、特に明示されない限り、相互に自由に組み合わせ可能である。更に、本書を通じて「1つの(a又はan)」、即ち単数形の使用は、複数を除外するものではないことを理解されたい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の少なくとも幾つかの実施形態は、低振幅信号の増幅において産業上の利用可能性を見出すものである。
【符号の説明】
【0069】
110 ジョセフソン素子
120 シャントコンデンサ(平行板コンデンサ)
130 磁束バイアス線
140 コンデンサ
150 抵抗器
101 配線層素子
301 超電導部
302 トンネル接合部
410~420 図4の方法の段階
3WM 3波混合
4WM 4波混合
CME 結合モード方程式
fl アイドラー周波数
fP 発振器/ポンプ周波数
fS 信号周波数
Ic ジョセフソン接合の臨界電流
Ip ポンプ電流振幅
JTWPA ジョセフソン進行波パラメトリック増幅器
SHG 2次高調波発生
SQUID 超伝導量子干渉素子
SNAIL 超伝導非線形非対称誘導素子
TWPA 進行波パラメトリック増幅器
(参考文献リスト)
[1]https://arxiv.org/abs/1907.10158、「フォトニック結晶ジョセフソン進行波パラメトリック増幅器(A photonic crystal Josephson traveling wave parametric amplifier)」予稿
[2]https://arxiv.org/abs/1804.09109、「フラックス駆動ジョセフソン進行波パラメトリック増幅器(Flux-driven Josephson traveling-wave parametric amplifier)」、フィジカル レビュー アプライド(Phys. Rev. Applied)12, 044051 (2019)予稿及び学術論文
[3]https://doi.org/10.1103/PhysRevApplied.6.034006、「3波混合を伴うジョセフソン進行波パラメトリック増幅器(Josephson Traveling-Wave Parametric Amplifier with Three-Wave Mixing)」、学術論文
[4]https://escholarship.org/uc/item/4nw2m1sj、「メタマテリアルにおける非線形光-物質相互作用(Nonlinear Light-Matter Interactions in Metamaterials)」、博士論文
[5]https://ieeexplore.ieee.org/abstract/document/8666769、「対称進行波パラメトリック増幅器(Symmetric Traveling Wave Parametric Amplifier)」、学術論文
[6]https://arxiv.org/abs/1912.05349、「ジョセフソン進行波パラメトリック増幅器における複雑挙動の捕捉(Capturing complex behaviour in Josephson Travelling Wave Parametric Amplifiers)」、予稿
[7]https://doi.org/10.1364/OL.17.000028、「KTPのカスケード2次効果による自己集束及び自己脱集束(Self-focusing and self-defocusing by cascaded second-order effects in KTP)」、オプティクス レターズ(Optics Letters)17, 28 (1992)、学術論文
[8]https://doi.org/10.1364/OL.27.000043、「周期分極ニオブ酸リチウム導波路におけるシングルパス2次高調波生成における99%ポンプ減衰の観察(Observation of 99% pump depletion in single-pass second-harmonic generation in a periodically poled lithium niobate waveguide)」、オプティクス レターズ(Optics Letters)27, 43 (2002)、学術論文
[9]http://dx.doi.org/10.2528/PIER14011901、「自由空間における進行波メカニズム及び平板アルキメデス螺旋アンテナの新規分析(Travelling wave mechanism and novel analysis of the planar Archimedean spiral antenna in free space)」、プログレス イン エレクトロマグネティクス リサーチ(Progress in Electromagnetics Research)145, 287 (2014)、学術論文
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
【国際調査報告】