(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-26
(54)【発明の名称】式(I)の少なくとも1つのアルコキシシランと、1500g/mol以下の質量平均分子量を有する式(II)の少なくとも1つの非アミノシリコーンと、少なくとも1つの着色剤と、を含む組成物を用いてケラチン繊維を処理するための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/891 20060101AFI20230519BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20230519BHJP
A61K 8/898 20060101ALI20230519BHJP
【FI】
A61K8/891
A61Q5/10
A61K8/898
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563461
(86)(22)【出願日】2021-04-20
(85)【翻訳文提出日】2022-10-19
(86)【国際出願番号】 EP2021060239
(87)【国際公開番号】W WO2021214056
(87)【国際公開日】2021-10-28
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】マリネ・プロタット-ジェラルダン
(72)【発明者】
【氏名】アレクシ・リアール
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-ダニエル・ドゥバン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB012
4C083AB051
4C083AB232
4C083AC102
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083BB21
4C083BB53
4C083CC36
4C083DD06
4C083DD23
4C083EE07
4C083EE26
(57)【要約】
本発明の主題は、毛髪などのケラチン繊維を処理するための方法であって、式(I)の化合物から選択される少なくとも1つのアルコキシシランと、少なくも1つの非アミノシリコーンであって1500g/mol以下の質量平均分子量を有する式(II)の非アミノシリコーンと、顔料、直接染料及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの着色剤と、を含む組成物をケラチン繊維に適用することを含み、続いて、加熱器具を使用して、組成物で覆われたケラチン繊維に、45℃以上の温度で15分以上の時間、熱を印加する段階が続く、方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪などのケラチン繊維を処理するための方法であって:
a)以下の式(I)
【化1】
[式中、
- Ra及びRbは、同一であるか又は異なり、水素原子;1~20個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子、特に1~4個の炭素原子を有するアルキル基;3~20個の炭素原子、好ましくは5又は6個の炭素原子を有するシクロアルキル基;6~12個の炭素原子を有するアリール基;1~20個の炭素原子を有するアミノアルキル基を表し;
- Rcは、水素原子;1~20個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子、より優先的には1~4個の炭素原子、特に1~2個の炭素原子を有するアルキル基、例えばメチル;1~10個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原子、特に1~2個の炭素原子を有するアルコキシ基、例えばエトキシを表し;
- Rd及びReは、同一であるか又は異なり、1~10個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原子、特に1~2個の炭素原子を有するアルキル基、例えばエチルを表し;
- kは、0~5の範囲、特に1~3の範囲の整数を表す]
の化合物から選択される少なくとも1つのアルコキシシラン、それらのオリゴマー、及び/又はそれらの混合物と、
b)以下の式(II)
【化2】
[式中、
- R
1は、1~10個の炭素原子を有するアルキル基;又は1~2個の炭素原子を有するアルコキシ基若しくは-O
x-(X)
p-Si(OR
3)
3基(式中、Xは、1個の炭素原子を有する飽和した2価の炭化水素基を表す)を表し、R
3は、1~4個の炭素原子を有するアルキル基を表し、xは、0又は1に等しい整数を表し、pは、0~4の範囲の整数を表し;
- R
2は、同一であるか又は異なり、独立して、ヒドロキシル基又は1~2個の炭素原子を有するアルコキシ基を表し;
- iは、0~18の範囲の整数を表し、nは、0~18の範囲の整数を表し、n+iは4~18で変化する]
の少なくとも1つの非アミノシリコーンであって、1500g/mol以下の質量平均分子量を有する、式(II)の非アミノシリコーンと、
c)顔料、直接染料及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの着色剤と、
を含む組成物を前記ケラチン繊維に適用することを含み、
続いて、加熱器具を使用して、前記組成物で覆われた前記ケラチン繊維に、45℃以上の温度で15分以上の時間、熱を印加する段階が続く、方法。
【請求項2】
式(I)の前記アルコキシシランが:
- Ra及びRbは、同一であり、水素原子を表すか;又はRaは、水素原子を表し、Rbは、3~20個の炭素原子、特に5又は6個の炭素原子を有するシクロアルキル基を表し;
- Rcは、1~10個の炭素原子、特に1~4個の炭素原子、とりわけ1~2個の炭素原子を有するアルキル基、好ましくはメチルか、又は1~4個の炭素原子、好ましくは1~2個の炭素原子を有するアルコキシ基、好ましくはエトキシを表し;
- Rd及びReは、同一であるか又は異なり、1~10個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原子を有するアルキル基、例えばエチルを表し;
- kは、1~3の範囲、より具体的には1又は3の整数を表す
ようなものであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(I)の前記アルコキシシランが:
- Ra及びRbは、同一であり、水素原子を表し;
- Rcは、1~4個の炭素原子、好ましくは1~2個の炭素原子を有するアルコキシ基、好ましくはエトキシを表し;
- Rd及びReは、同一であるか又は異なり、1~4個の炭素原子を有するアルキル基、好ましくはエチルを表し;
- kは、1又は3に等しい、好ましくは3に等しい整数を表す
ようなものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
式(I)の前記アルコキシシランが:3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン(APMDES)、N-シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、及びそれらの混合物、より優先的には3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
式(I)の前記アルコキシシランが、前記組成物の総質量に対し、0.1質量%~30質量%、好ましくは0.5質量%~25質量%、より優先的には1質量%~20質量%、より良好には5質量%~20質量%の範囲の総量で存在することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
式(II)の前記非アミノシリコーンが:
- R
1は、独立して、1~10個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原子を有するアルキル基、より優先的にはメチルを表し;
- R
2は、独立して、ヒドロキシル基又は1~2個の炭素原子を有するアルコキシ基を表し;
- iは、0~18の範囲の整数を表し、nは、0~18の範囲の整数を表し、n+iは4~18で変化するようなものであることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
式(II)の前記非アミノシリコーンが:
- R
1は、独立して、1~4個の炭素原子を有するアルキル基、より優先的にはメチルを表し;
- R
2は、独立して、ヒドロキシル基を表し;
- iは、0~18の範囲の整数を表し、nは、0~18の範囲の整数を表し、n+iは4~18で変化するようなものであることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
式(II)の前記非アミノシリコーンが、460~1500g/mol、より優先的には500~1300g/molの範囲の質量平均分子量を有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
式(II)の前記非アミノシリコーンが、前記組成物の総質量に対し、0.1質量%~30質量%、好ましくは0.5質量%~25質量%、より優先的には1質量%~20質量%、更により優先的には5質量%~15質量%の範囲の総量で存在することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
式(I)の前記アルコキシシラン/式(II)の前記非アミノシリコーンの質量比が、95:5~5:95、好ましくは90:10~10:90、優先的には80:20~20:80、より優先的には70:30~30:70まで変化することを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が水を含み、好ましくは、前記水が、前記組成物の総質量に対して0.1質量%~50質量%、より優先的には0.5質量%~40質量%の範囲の含有量で存在することを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記着色剤が、前記組成物の総質量に対して0.001質量%~15質量%、好ましくは0.005質量%~10質量%の範囲の総量で存在し、前記着色剤が、顔料から選択されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
加熱器具を使用して、前記ケラチン繊維に熱を印加する前記段階が、45℃以上の温度で30分以上の時間、より優先的には45℃以上の温度で1時間以上の時間、実施されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
加熱器具を使用して、前記ケラチン繊維に熱を印加する前記段階が、60℃以上の温度で15分以上の時間、より良好には60℃以上の温度で30分以上の時間、実施されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記毛髪などのケラチン繊維を処理するための方法であって、2つの組成物(A)及び(B)を使用時に即時混合することと、前記混合物を前記繊維に適用することと、から構成され:
- 前記組成物(A)が、請求項1~5のいずれか一項に記載される式(I)の化合物から選択される少なくとも1つのアルコキシシラン、それらのオリゴマー、及び/又はそれらの混合物を含み;
- 前記組成物(B)が、請求項1及び6~9のいずれか一項に記載される式(II)の少なくも1つの非アミノシリコーンを含み;
前記組成物(A)及び/又は前記組成物(B)が、顔料;直接染料及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの着色剤を含むと理解され、
続いて、加熱器具を使用して、前記組成物で覆われた前記ケラチン繊維に、45℃以上の温度で15分以上の時間、熱を印加する段階が続く、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、毛髪などのケラチン繊維を処理するための方法であって、式(I)の化合物から選択される少なくとも1つのアルコキシシランと、少なくも1つの非アミノシリコーンであって1500g/mol以下の質量平均分子量を有する式(II)の非アミノシリコーンと、顔料、直接染料及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの着色剤と、を含む組成物をケラチン繊維に適用することを含み、続いて、加熱器具を使用して、組成物で覆われたケラチン繊維に、45℃以上の温度で15分以上の時間、熱を印加する段階が続く、方法である。
【0002】
本発明の別の主題は、2つの組成物(A)及び(B)の混合物を用いて、毛髪などのケラチン繊維を処理するための方法である。
【背景技術】
【0003】
ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維の染色分野において、非永久的な染色を行うために直接染料若しくは顔料から始めるか、又は永久的な染色を行うために染料プレカーサーから始める様々な技法によってケラチン繊維を染色することは、既に知られている手法である。
【0004】
毛髪を染色する方法は、基本的に3種類ある。
【0005】
a)「永久」染毛:その作用は、本来の色を大幅に修正することが可能であり、毛髪繊維に浸透し、酸化縮合過程を介して色素を生成する酸化染料を使用する。
b)非永久的、半永久的又は直接染毛:酸化縮合過程を用いず、4~5回のシャンプー作業に耐える。これは、ケラチン繊維を、直接染料を含有する染料組成物を用いて染色することから構成される。
c)一時染毛:毛髪本来の色を修正し、1回目のシャンプー作業から次のシャンプー作業まで残存し、既に得られている色合いを増強又は補正する役割を果たす。これは、「メーキャップ」方法にも関連付けられ得る。
【0006】
最後に挙げた種類の染色に関して、アゾ、トリフェニルメタン、アジン、インドアミン又はアントラキノンの性質を有する1つ以上の染料を高分子鎖にグラフトさせることにより生成する有色ポリマーを使用する手法が知られている。このような有色ポリマーは、特に、着色された色の均一性及びその耐性に関して完全に満足できるものではなく、その製造、特に再現性に関連する問題に関しては、言うまでもない。
【0007】
他の染色方法は、顔料を使用することから構成される。具体的には、ケラチン繊維の表面で顔料を使用すると、一般に、表面の顔料が繊維本来の色を覆い隠すため、暗色の毛髪上に視認できる着色を施すことが可能である。しかしながら、この染色方法により得られる着色は、シャンプー作業に対する耐性のみならず、皮脂、汗、ブラッシング及び/又は摩擦行為などの外部作用物質に対する耐性も劣るという欠点を示す。
【0008】
従って、毛髪上に均一且つ滑らかな有色の被覆が得られるという利点を示すと共に、髪質を低下させることなく、シャンプー作業並びにブラッシング及び/又は摩擦行為などの毛髪が曝され得る様々な攻撃因子に対して持続性を示す被覆を形成する、ケラチン繊維、特に毛髪を処理するための方法を利用可能にする必要性が依然として残っている。
【0009】
従って、本発明の目的は、毛髪上に均一且つ滑らかな有色の被覆が得られるという利点を示すと共に、髪質を低下させることなく、シャンプー作業並びにブラッシング及び/又は摩擦行為などの毛髪が曝され得る様々な攻撃因子に対して持続性を示す被覆を形成する、ケラチン繊維、特に毛髪を処理するための方法を発展させることである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、毛髪などのケラチン繊維を処理するための方法であって;
a)以下に記載される式(I)の化合物から選択される少なくとも1つのアルコキシシラン、それらのオリゴマー、及び/又はそれらの混合物と;
b)以下に記載される式(II)の少なくも1つの非アミノシリコーンであって、1500g/mol以下の質量平均分子量を有する式(II)の非アミノシリコーンと;
c)顔料、直接染料及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの着色剤と;
を含む組成物をケラチン繊維に適用することを含み、続いて、加熱器具を使用して、組成物で覆われたケラチン繊維に、45℃以上の温度で15分以上の時間、熱を印加する段階が続く、方法に関する。
【0011】
本発明はまた、毛髪などのケラチン繊維を処理するための方法であって、2つの組成物(A)及び(B)を、使用時に即時混合することと、混合物を繊維に適用することと、から構成され、
- 組成物(A)は、以下に記載される式(I)の化合物から選択される少なくとも1つのアルコキシシラン、それらのオリゴマー、及び/又はそれらの混合物を含み;
- 組成物(B)は、以下に記載される式(II)の少なくも1つの非アミノシリコーンを含み;
組成物(A)及び/又は組成物(B)は、顔料、直接染料及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの着色剤を含むと理解され、
続いて、加熱器具を使用して、組成物で覆われたケラチン繊維に、45℃以上の温度で15分以上の時間、熱を印加する段階が続く、方法に関する。
【0012】
ケラチン繊維を処理するために本方法を使用すると、あらゆるタイプの毛髪上で視認できる色に着色することが可能な有色の被覆が、シャンプー作業に対する持続性を示し、ケラチン繊維の物理的品質を維持する形で、毛髪上に得られる。このような被覆は、送風による乾燥及び汗などの毛髪が曝され得る外部攻撃因子に耐えることができる。それにより、特に滑らか且つ均一な堆積物を得ることが可能となる。
【0013】
本発明の意味の範囲内で、「アルコキシシラン」は、式(I)のアルコキシシラン又はアルコキシシランオリゴマーを意味すると理解される。
【0014】
本発明の意味の範囲内で、「シャンプー作業に関して持続性がある着色」は、得られた着色が、1回のシャンプー作業後、好ましくは3回のシャンプー作業後、より優先的には5回のシャンプー作業後、持続するということを意味すると理解される。
【0015】
「少なくとも1つ」という表現は、1つ以上を意味する。
【0016】
本発明は、例示する実施例に限定されない。様々な実施例の特徴は、特に、例示していない代替的な形態内で組み合わせることができる。
【0017】
本発明の意味の範囲内で、別段の指定がない限り、以下のとおりである。
- 「アルキル」基は、例えば、1~20個の炭素原子を含有する、飽和の、直鎖又は分枝鎖基を指す;
- 「アミノアルキル」基は、上記で定義されたアルキル基を指し、前記アルキル基がNH2基を含む、;
- 「シクロアルキル」基は、1~3個の環、好ましくは2個の環を含み、3~20個の炭素原子、好ましくは5~10個の炭素原子を含む飽和環式炭化水素基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ノルボルニル又はイソボルニルを指し、シクロアルキル基は、1個以上の(C1~C4)アルキル基、メチルなどで置換することが可能である;
- 「アリール」基は、6~12個の炭素原子を含む、単環又は二環式の縮合又は非縮合環式不飽和芳香族基であり;好ましくは、アリール基は、6個の炭素原子を有する1個の環、例えばフェニルを含む;
- 「アルコキシ」基は、上記で定義された「アルキル」を有するアルキル-オキシ基を指す。
【0018】
本発明によるケラチン繊維を処理するための方法は、好ましくは、毛髪などのケラチン繊維を染色するための方法である。
【0019】
「ケラチン繊維」は、特に、ヒトのケラチン繊維、例えば毛髪、まつ毛、まゆ毛及び体毛、優先的には毛髪、まゆ毛及びまつ毛、更により優先的には毛髪を意味すると理解される。
【0020】
式(I)のアルコキシシラン:
本発明による方法は、以下の式(I):
【化1】
[式中、
- Ra及びRbは、同一であるか又は異なり、水素原子;1~20個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子、特に1~4個の炭素原子を有するアルキル基;3~20個の炭素原子、好ましくは5又は6個の炭素原子を有するシクロアルキル基;6~12個の炭素原子を有するアリール基;1~20個の炭素原子を有するアミノアルキル基を表し;
- Rcは、水素原子;1~20個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子、より優先的には1~4個の炭素原子、特に1~2個の炭素原子を有するアルキル基、例えばメチル;1~10個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原子、特に1~2個の炭素原子を有するアルコキシ基、例えばエトキシを表し;
- Rd及びReは、同一であるか又は異なり、1~10個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原子、特に1~2個の炭素原子を有するアルキル基、例えばエチルを表し;
- kは、0~5の範囲、特に1~3の範囲の整数を表す]の化合物から選択される少なくとも1つのアルコキシシラン、それらのオリゴマー、及び/又はそれらの混合物を含む組成物を含む。
【0021】
「オリゴマー」は、式(I)の化合物のオリゴマー化又は重合によって得られる少なくとも2つのケイ素原子を含む化合物を意味すると理解される。
【0022】
好ましくは、式(I)のアルコキシシランは:
- Ra及びRbは、同一であり、水素原子を表すか;又はRaは、水素原子を表し、Rbは、3~20個の炭素原子、特に5又は6個の炭素原子を有するシクロアルキル基を表し;
- Rcは、1~10個の炭素原子、特に1~4個の炭素原子、とりわけ1~2個の炭素原子を有するアルキル基、好ましくはメチルか、又は1~4個の炭素原子、好ましくは1~2個の炭素原子を有するアルコキシ基、好ましくはエトキシを表し;
- Rd及びReは、同一であるか又は異なり、1~10個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原子を有するアルキル基、例えばエチルを表し;
- kは、1~3の範囲、より具体的には1又は3の整数を表す
ようなものである。
【0023】
より優先的には、式(I)のアルコキシシランは:
- Ra及びRbは、同一であり、水素原子を表し;
- Rcは、1~4個の炭素原子、好ましくは1~2個の炭素原子を有するアルコキシ基、好ましくはエトキシを表し;
- Rd及びReは、同一であるか又は異なり、1~4個の炭素原子を有するアルキル基、好ましくはエチルを表し;
- kは、1又は3に等しい、好ましくは3に等しい整数を表す
ようなものである。
【0024】
更により優先的には、式(I)のアルコキシシランは、Ra及びRbは水素原子を表し、Rcはエトキシ基を表し、Rd及びReは同一であり且つエチルを表し、kは3に等しいようなものである。
【0025】
式(I)のアルコキシシラン、それらのオリゴマー及び/又はそれらの混合物の中でも、特に、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン(APMDES)、又はN-シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシランを挙げることができる。
【0026】
APTESは、例えば、Dow Corningから、Xiameter OFS-6011 Silaneという名称で、又はMomentive Performance MaterialsからSilsoft A-1100という名称で、又はShin-EtsuからKBE-903という名称で購入することができる。
【0027】
また、式(I)の化合物は、Evonikにより販売されているDynasylan SIVO 210又はDynasylan 1505を指し得る。
【0028】
N-シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシランは、例えば、WackerからGeniosil XL 926という名称で購入することができる。
【0029】
好ましくは、式(I)のアルコキシシランは、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン(APMDES)、N-シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、及びそれらの混合物、より優先的には3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)から選択される。
【0030】
式(I)のアルコキシシラン、それらのオリゴマー及び/又はそれらの混合物は、組成物の総質量に対し、0.1質量%~30質量%、好ましくは0.5質量%~25質量%、より優先的には1質量%~20質量%、より良好には5質量%~20質量%の範囲の総量で存在する。
【0031】
式(II)の非アミノシリコーン:
本発明による方法は、以下の式(II):
【化2】
[式中、
- R
1は、1~10個の炭素原子を有するアルキル基;又は1~2個の炭素原子を有するアルコキシ基若しくは-O
x-(X)
p-Si(OR
3)
3基(式中、Xは、1個の炭素原子を有する飽和した2価の炭化水素基を表す)を表し、R
3は、1~4個の炭素原子を有するアルキル基を表し、xは、0又は1に等しい整数を表し、pは、0~4の範囲の整数を表し;
- R
2は、同一であるか又は異なり、独立して、ヒドロキシル基又は1~2個の炭素原子を有するアルコキシ基を表し;
- iは、0~18の範囲の整数を表し、nは、0~18の範囲の整数を表し、n+iは4~18で変化する]の少なくとも1つの非アミノシリコーンを含む組成物を含む。
【0032】
好ましくは、式(II)の非アミノシリコーンは:
- R1は、独立して、1~10個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原子を有するアルキル基、より優先的にはメチルを表し;
- R2は、独立して、ヒドロキシル基又は1~2個の炭素原子を有するアルコキシ基を表し;
- iは、0~18の範囲の整数を表し、nは、0~18の範囲の整数を表し、n+iは4~18で変化するようなものである。
【0033】
より優先的には、式(II)の非アミノシリコーンは:
- R1は、独立して、1~4個の炭素原子を有するアルキル基、より優先的にはメチルを表し;
- R2は、独立して、ヒドロキシル基を表し;
- iは、0~18の範囲の整数を表し、nは、0~18の範囲の整数を表し、n+iは4~18で変化するようなものである。
【0034】
「非アミノシリコーン」は、第一級、第二級、若しくは第三級アミン基、又は第四級アンモニウム基を含まないシリコーンを意味すると理解される。
【0035】
式(II)の非アミノシリコーンは、1500g/mol以下の質量平均分子量を有する。
【0036】
好ましくは、式(II)の非アミノシリコーンは、1300g/mol以下の質量平均分子量を有する。
【0037】
好ましくは、式(II)の非アミノシリコーンは、460~1500g/mol、より優先的には500~1300g/molの範囲の質量平均分子量を有する。
【0038】
好ましくは、本発明の文脈において使用することができる式(II)の非アミノシリコーンは、以下の式(III):
【化3】
[式中、nは、4~18の範囲の整数を表す]により表される。
【0039】
式(II)の非アミノシリコーンの中でも、アルコキシ末端官能基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)、例えば、DMS-XM11の参照番号でGelestにより販売されているものなど、又はヒドロキシル末端官能基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)、例えば、481939の参照番号でSigma Aldrichにより販売されているもの(Mn約550)などを挙げることができる。
【0040】
式(II)の非アミノシリコーンは、組成物の総質量に対し、0.1質量%~30質量%、好ましくは0.5質量%~25質量%、より優先的には1質量%~20質量%、更により優先的には5質量%~15質量%の範囲の総量で存在する。
【0041】
質量比:
本発明による方法は、式(I)のアルコキシシラン/式(II)の非アミノシリコーンを95:5~5:95まで変化する質量比で含む組成物を含む。
【0042】
好ましくは、式(I)のアルコキシシラン/式(II)の非アミノシリコーンの質量比は、90:10~10:90、優先的には80:20~20:80、より優先的には70:30~30:70まで変化する。
【0043】
具体的な実施形態によれば、APTES/式(II)の非アミノシリコーンの質量比は、90:10~10:90、優先的には80:20~20:80、より優先的には70:30~30:70まで変化する。
【0044】
具体的な実施形態によれば、APTES/式(III)の非アミノシリコーンの質量比は、90:10~10:90、より優先的には70:30~30:70まで変化する。
【0045】
着色剤:
本発明による方法は、顔料、直接染料及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの着色剤を含む組成物を含む。
【0046】
好ましくは、本発明による組成物は、1つ以上の顔料を含む。
【0047】
好ましくは、着色剤は、顔料から選択される。
【0048】
「顔料」は、ケラチン物質に色を付与する任意の顔料を意味すると理解される。25℃の大気圧(760mmHg)下におけるこれらの水への溶解度は、0.05質量%未満、好ましくは0.01質量%未満である。
【0049】
使用可能な顔料は、特に当該技術分野において公知の有機及び/又は無機顔料、特にKirk-Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology、及びUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistryに記載されているものから選択される。
【0050】
これらは、天然起源の天然物又は非天然物であり得る。
【0051】
これらの顔料は、顔料粉末形態又は顔料ペースト形態で提供され得る。これらは、被覆されているか又は無被覆であり得る。
【0052】
顔料は、例えば、無機顔料、有機顔料、レーキ、真珠光沢剤又はグリッターなどの特殊効果顔料及びそれらの混合物から選択することができる。
【0053】
顔料は、無機顔料であり得る。無機顔料は、Ullmann’s Encyclopediaの無機顔料に関する章の定義に相当する任意の顔料を意味すると理解される。本発明において使用される無機顔料の中でも、酸化鉄、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物、フェリックブルー及び酸化チタンを挙げることができる。
【0054】
顔料は、有機顔料であり得る。「有機顔料」は、Ullmann’s Encyclopediaの有機顔料に関する章の定義に相当する任意の顔料を意味すると理解される。
【0055】
有機顔料は、特に、ニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、ピレン、キノリン、アントラキノン、トリフェニルメタン、フルオラン、フタロシアニン、金属錯体型、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、インジゴ、チオインジゴ、ジオキサジン、及びキノフタロン化合物から選択することができる。
【0056】
特に、白色又は有色有機顔料は、カーマイン、カーボンブラック、アニリンブラック、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、カラーインデックスにおいてCI 42090、69800、69825、74100、74160の参照番号で分類される青色顔料、カラーインデックスにおいてCI 11680、11710、19140、20040、21100、21108、47000、47005の参照番号で分類される黄色顔料、カラーインデックスにおいてCI 61565、61570、74260の参照番号で分類される緑色顔料、カラーインデックスにおいてCI 11725、45370、71105の参照番号で分類される橙色顔料、カラーインデックスにおいてCI 12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、26100、45380、45410、58000、73360、73915、75470の参照番号で分類される赤色顔料、仏国特許第2679771号明細書に記載されているようなインドール又はフェノール誘導体の酸化重合によって得られる顔料から選択することができる。
【0057】
有機顔料の顔料ペースト、例えばHoechst社から次に示す名称で販売されている製品なども挙げられ得る:
- Cosmenyl Yellow 1OG:ピグメントイエロー3(CI 11710);
- Cosmenyl Yellow G:ピグメントイエロー1(CI 11680);
- Cosmenyl Orange GR:ピグメントオレンジ43(CI 71105);
- Cosmenyl Red R:ピグメントレッド4(CI 12085);
- Cosmenyl Carmine FB:ピグメントレッド5(CI 12490);
- Cosmenyl Violet RL:ピグメントバイオレット23(CI 51319);
- Cosmenyl Blue A2R:ピグメントブルー15.1(Cl 74160);
- Cosmenyl Green GG:ピグメントグリーン7(CI 74260);
- Cosmenyl Black R:ピグメントブラック7(CI 77266)。
【0058】
本発明による顔料は、また、欧州特許第1184426号明細書に記載されているような複合顔料の形態であり得る。これらの複合顔料は、特に、無機コアと、コアへの有機顔料の固定を提供する少なくとも1つのバインダーと、少なくとも部分的にコアを覆う少なくとも1つの有機顔料とを含む粒子で構成可能である。
【0059】
また、有機顔料は、レーキであり得る。「レーキ」は、不溶性粒子に染料を吸着させて不溶性にしたものを意味すると理解され、こうして得られた集合体は、使用中に不溶性を維持する。
【0060】
染料を吸着させる無機基材は、例えば、アルミナ、シリカ、ホウケイ酸カルシウムナトリウム、ホウケイ酸カルシウムアルミニウム及びアルミニウムである。
【0061】
染料の中でも、カルミン酸を挙げることができる。以下の名称で知られる染料も挙げることができる:D&C Red 21(CI 45380)、D&C Orange 5(CI 45370)、D&C Red 27(CI 45410)、D&C Orange 10(CI 45425)、D&C Red 3(CI 45430)、D&C Red 4(CI 15510)、D&C Red 33(CI 17200)、D&C Yellow 5(CI 19140)、D&C Yellow 6(CI 15985)、D&C Green(CI 61570)、D&C Yellow 1 O(CI 77002)、D&C Green 3(CI 42053)、D&C Blue 1(CI 42090)。
【0062】
レーキの例として、次に示す名称で知られる製品を挙げることができる:D&C Red 7(CI 15850:1)。
【0063】
また、顔料は、特殊効果顔料であり得る。特殊効果顔料は、一般に、均一ではなく、観測条件(光、温度、観測角等)に応じて変化する有色の外観(特定のシェード、特定の鮮やかさ、及び特定の輝き(brightness)を特徴とする)を生じさせる顔料を意味すると理解される。従って、それらは、従来の均質な、不透明、半透明又は透明なシェードを提供する有色顔料と対照的である。
【0064】
特殊効果顔料にはいくつかの種類がある:蛍光又はフォトクロミック顔料などの低屈折率を有するもの及び真珠光沢剤、干渉顔料又はグリッターなどの高屈折率を有するもの。
【0065】
特殊効果顔料の例として、真珠光沢顔料、例えば、チタン又はオキシ塩化ビスマスで被覆された雲母、有色真珠光沢顔料、例えば、酸化チタン及び酸化鉄で被覆された雲母、酸化鉄で被覆された雲母、チタン及び特にフェリックブルー(ferric blue)若しくは酸化クロムで被覆された雲母、チタン及び上記で定義された有機顔料で被覆された雲母、並びにオキシ塩化ビスマスをベースとする真珠光沢顔料を挙げることができる。真珠光沢顔料として、BASFにより販売されているCellini(雲母-TiO2-レーキ)、Eckartにより販売されているPrestige(雲母-TiO2)、Eckartにより販売されているPrestige Bronze(雲母-Fe2O3)、又はMerckにより販売されているColorona(雲母-TiO2-Fe2O3)といった真珠光沢剤を挙げることができる。
【0066】
また、特に、Brilliant Gold 212G(Timica)、Gold 222C(Cloisonne)、Sparkle Gold(Timica)、Gold 4504(Chromalite)、及びMonarch Gold 233X(Cloisonne)の名称でBASFによって販売される金色真珠光沢剤;特に、Bronze Fine(17384)(Colorona)、及びBronze(17353)(Colorona)の名称でMerckによって、及びSuper Bronze(Cloisonne)の名称でBASFによって販売される青銅色の真珠光沢剤;特に、Orange 363C(Cloisonne)、及びOrange MCR 101(Cosmica)の名称でBASFによって、及びPassion Orange(Colorona)及びMatte Orange(17449)(Microna)の名称でMerckによって販売されるオレンジ色の真珠光沢剤;特に、Nu-Antique Copper 340XB(Cloisonne)及びBrown CL4509(Chromalite)の名称でBASFによって販売される茶色の真珠光沢剤;特に、Copper 340A(Timica)の名称でBASFによって販売される銅の輝きを有する真珠光沢剤;特に、Sienna Fine(17386)(Colorona)の名称でMerckによって販売される赤色の輝きを有する真珠光沢剤;特に、Yellow(4502)(Chromalite)の名称でBASFによって販売される黄色の輝きを有する真珠光沢剤;特に、Sunstone G012(Gemtone)の名称でBASFによって販売される金色の輝きを有する赤色の真珠光沢剤;特に、Tan Opale G005(Gemtone)の名称でBASFによって販売されるピンク色の真珠光沢剤;特に、Nu-Antique Bronze 240 AB(Timica)の名称でBASFによって販売される金色の光沢を有する黒色の真珠光沢剤;特に、Matte Blue(17433)(Microna)の名称でMerckによって販売される青色の真珠光沢剤;特に、Xirona Silverの名称でMerckによって販売される銀色の輝きを有する白色の真珠光沢剤;及び特に、Indian Summer(Xirona)の名称でMerckによって販売される金緑色で、ピンク色とオレンジ色を帯びた真珠光沢剤、並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0067】
更に真珠光沢剤の例として、酸化チタンで被覆されたボロシリケート基材を含む粒子もまた挙げることができる。
【0068】
酸化チタンで被覆されたガラス基材を有する粒子は、特に、ToyalによりMetashine MC1080RYという名称で販売されている。
【0069】
最後に、真珠光沢剤の例として、ポリエチレンテレフタレートグリッター、特にSilver 1P 0.004X0.004(シルバーグリッター)の名称でMeadowbrook Inventionsにより販売されているものもまた挙げることができる。合成基材、例えば、アルミナ、シリカ、カルシウムナトリウムボロシリケート、カルシウムアルミニウムボロシリケート、及びアルミニウム等をベースとする多層顔料を想定することもできる。
【0070】
特殊効果顔料は、反射性粒子、即ち、特に、入射光を反射することを可能にするサイズ、構造(特に、それを構成している1つ又は複数の層の厚み)、並びにその物理的及び化学的性質、並びに表面状態を有する粒子から選択することができる。この反射は、適切であれば、組成物又は混合物をメーキャップすべき支持体上に適用した場合に、該組成物又は混合物の表面に、肉眼で視認することができる光輝点、即ち、輝いて見えることにより周囲よりも目立つ輝度の高い点を生み出すのに十分な強度を有することができる。
【0071】
反射性粒子は、それと組み合わせる着色剤が生み出す呈色効果に大きな悪影響を及ぼさないように、より詳細には、演色性という観点でこの効果を最適化するように選択することができる。これは、より詳細には、黄色、桃色、赤色、青銅色、橙色、茶色、金色、及び/又は銅色、又は光沢を呈し得る。
【0072】
これらの粒子は、様々な形態を示すことができ、特に小板又は球形、とりわけ球形であり得る。
【0073】
反射性粒子は、その形態に関わらず、多層構造を示しても又は示さなくてもよく、多層構造の場合、例えば均一な厚みを有する、特に反射性材料の少なくとも1つの層を示し得る。
【0074】
反射性粒子が多層構造を示さない場合、これらは、例えば、金属酸化物、特に合成によって得られた酸化チタン又は酸化鉄で構成され得る。
【0075】
反射性粒子が多層構造を示す場合、これらは、例えば、反射性材料、特に少なくとも1つの金属又は金属材料の少なくとも1つの層で少なくとも部分的に被覆された、天然又は合成基材、特に合成基材を含み得る。基材は、1つ以上の有機材料及び/又は無機材料から作製可能である。
【0076】
より詳細には、これは、ガラス、セラミック、グラファイト、金属酸化物、アルミナ、シリカ、シリケート、特にアルミノシリケート及びボロシリケート、合成雲母並びにこれらの混合物から選択することができるが、この一覧に限定されるものではない。
【0077】
反射性材料は、金属又は金属材料の層を含み得る。
【0078】
反射性粒子は、特に、特開平09-188830A号公報、特開平10-158450A号公報、特開平10-158541A号公報、特開平07-258460A号公報、及び特開平05-017710A号公報に記載されている。
【0079】
金属の層で被覆された無機基材を含む反射性粒子の更なる例として、銀で被覆されたボロシリケート基材を含む粒子も挙げることができる。
【0080】
小板形態の、銀で被覆されたガラス基材を含む粒子は、Microglass Metashine REFSX2025PSの名称でToyalにより販売されている。ニッケル/クロム/モリブデン合金で被覆されたガラス基材を含む粒子は、Crystal Star GF550及びGF2525の名称で同社により販売されている。
【0081】
銀、アルミニウム、鉄、クロム、ニッケル、モリブデン、金、銅、亜鉛、スズ、マンガン、鋼、青銅又はチタンなどの金属基材を含む粒子も利用することができ、前記基材は、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化セリウム、酸化クロム、酸化ケイ素及びこれらの混合物などの少なくとも1つの金属酸化物の少なくとも1つの層で被覆されている。
【0082】
例として、EckartによりVisionaireの名称で販売されている、SiO2で被覆されたアルミニウム粉末、青銅粉末又は銅粉末を挙げることができる。
【0083】
基材に結合していない、液晶(WackerからのHelicones HC)又は干渉ホログラムグリッター(SpectratekからのGeometric Pigments又はSpectra f/x)などの干渉効果を示す顔料も挙げられ得る。特殊効果の顔料には、蛍光顔料(これらは、昼光下で蛍光を発する物質又は紫外蛍光を発する物質のいずれでもあり得る)、燐光顔料、フォトクロミック顔料、サーモクロミック顔料及び量子ドット、例えばQuantum Dots Corporation社から販売されているものも含まれる。
【0084】
本発明で使用することができる多様な顔料により、豊富な色に加えて、金属光沢効果又は干渉効果などの特殊な光学効果を得ることも可能になる。
【0085】
本発明による組成物に使用される顔料のサイズは、概して、10nm~200μm、好ましくは20nm~80μm、より優先的には30nm~50μmである。
【0086】
顔料は、分散剤により組成物中に分散させることができる。
【0087】
分散剤は、分散している粒子のそのアグロメレーション又はフロキュレーションを防ぐ役割を果たす。この分散剤は、分散される粒子の表面への強い親和性を有する1つ以上の官能基を有する界面活性剤、オリゴマー、ポリマー又はそれらのいくつかの混合物であり得る。特にこれらは、顔料表面に物理的又は化学的に、結合することができる。これらの分散剤は、更に、連続媒体と混和性を有するか又は連続媒体に可溶な少なくとも1つの官能基を示す。特に12-ヒドロキシステアリン酸エステル及び特にグリセロール又はジグリセロールなどのポリオールのC8~C20脂肪酸エステル、例えば分子量が約750g/molのポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)ステアレート、例えばAveciaによりSolsperse 21 000の名称で販売されているもの、HenkelによりDehymyls PGPHの参照番号で販売されているポリグリセリル-2ジポリヒドロキシステアレート(CTFA名)又はポリヒドロキシステアリン酸、例えばUniqemaによりArlacel P100の参照番号で販売されているもの及びこれらの混合物が使用される。
【0088】
本発明の組成物中で使用することができる他の分散剤として、重縮合した脂肪酸の第4級アンモニウム誘導体、例えばAveciaにより販売されているSolsperse 17000並びにポリジメチルシロキサン/オキシプロピレン混合物、例えばDow CorningによりDC2-5185及びDC2-5225 Cの参照番号で販売されているものを挙げることができる。
【0089】
組成物中で使用される顔料は、有機剤で表面処理されたものであり得る。
【0090】
従って、本発明の文脈で使用される予め表面処理された顔料は、本発明による組成物中に分散させる前に、特にCosmetics and Toiletries,February 1990,Vol.105,pages 53-64に記載されているものなどの有機剤を用いて、化学的、電気的、電気化学的、機械化学的又は機械的な性質の表面処理を全体的又は部分的に施した顔料である。これらの有機剤は、例えば、ロウ、例えばカルナウバロウ及びミツロウ;脂肪酸、脂肪アルコール及びこれらの誘導体、例えば、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、ステアリルアルコール、ヒドロキシステアリルアルコール及びラウリン酸並びにこれらの誘導体;アニオン性界面活性剤;レシチン;脂肪酸のナトリウム、カリウム、マグネシウム、鉄、チタン、亜鉛又はアルミニウム塩、例えば、アルミニウムステアレート又はラウレート;金属アルコキシド;ポリエチレン;(メタ)アクリル系ポリマー、例えば、ポリメチルメタクリレート;アクリレート単位を含有するポリマー及びコポリマー;アルカノールアミン;シリコーン化合物、例えばシリコーン、特にポリジメチルシロキサン;有機フッ素化合物、例えばパーフルオロアルキルエーテル;又はフルオロシリコーン化合物から選択することができる。
【0091】
本組成物で使用される表面処理された顔料は、これらの化合物の混合物で処理されたものであり得、且つ/又は数回の表面処理を施されたものであり得る。
【0092】
本発明の文脈で使用される表面処理された顔料は、当業者に周知の表面処理技術に従って調製可能であるか、又はそのままで市販品として見つけられ得る。
【0093】
好ましくは、表面処理された顔料は、有機層で被覆されている。
【0094】
顔料を処理するための有機剤は、溶媒を蒸発させるか、表面処理剤の分子間で化学反応させるか、又は表面処理剤と顔料との間で共有結合を形成させることにより、顔料上に析出させることができる。
【0095】
従って、表面処理は、例えば、表面処理剤と顔料表面とを化学反応させ、表面処理剤と顔料又は充填剤との間に共有結合を生成することにより実施することができる。本方法は、特に、米国特許第4578266号明細書に記載されている。
【0096】
好ましくは、顔料と共有結合する有機剤が使用されるであろう。
【0097】
表面処理剤は、表面処理された顔料の総質量の0.1質量%~50質量%、好ましくは0.5質量%~30質量%、更により優先的には表面処理された顔料の総質量の1質量%~20質量%を占めることができる。
【0098】
好ましくは、顔料の表面処理剤は、以下の処理剤から選択される:
- PEG-シリコーン処理剤、例えばLCWにより販売されているAQ表面処理剤;
- メチコン処理剤、例えばLCWにより販売されているSI表面処理剤;
- ジメチコン処理剤、例えばLCWにより販売されているCovasil 3.05表面処理剤;
- ジメチコン/トリメチルシロキシシリケート処理剤、例えばLCWにより販売されているCovasil 4.05表面処理剤;
- マグネシウムミリスチレート処理剤、例えばLCWにより販売されているMM表面処理剤;
- アルミニウムジミリスチレート処理剤、例えばMiyoshiにより販売されているMI表面処理剤;
- パーフルオロポリメチルイソプロピルエーテル処理剤、例えばLCWにより販売されているFHC表面処理剤;
- イソステアリルセバケート処理剤、例えばMiyoshiにより販売されているHS表面処理剤;
- パーフルオロアルキルホスフェート処理剤、例えばDaitoにより販売されているPF表面処理剤;
- アクリレート/ジメチコンコポリマー及びパーフルオロアルキル(perfluoalkyl)ホスフェート処理剤、例えばDaitoにより販売されているFSA表面処理剤;
- ポリメチルヒドロシロキサン/パーフルオロアルキルホスフェート処理剤、例えば、Daitoにより販売されているFS01表面処理剤;
- アクリレート/ジメチコンコポリマー処理剤、例えばDaitoにより販売されているASC表面処理剤;
- イソプロピルチタントリイソステアレート処理剤、例えばDaitoにより販売されているITT表面処理剤;
- アクリレートコポリマー処理剤、例えばDaitoにより販売されているAPD表面処理剤;
- パーフルオロアルキルホスフェート/イソプロピルチタントリイソステアレート処理剤、例えばDaitoにより販売されているPF+ITT表面処理剤。
【0099】
本発明の具体的な実施形態によれば、分散剤は、染料組成物中において、サブミクロンサイズの粒子状形態の有機又は無機顔料と共に存在する。
【0100】
「サブミクロンの」は、微粉化方法により微粉化された粒子径を有し、平均粒子径が1マイクロメートル(μm)未満、特に0.1~0.9μm、好ましくは0.2~0.6μmである顔料を意味すると理解される。
【0101】
一実施形態によれば、分散剤及び顔料は、1:4~4:1、特に1.5:3.5~3.5:1、より良好には1.75:3~3:1の量(分散剤:顔料)で存在する。
【0102】
従って、分散剤は、シリコーンポリエーテルなどのシリコーン主鎖を有し得、上に記載されたアルコキシシラン以外のアミノシリコーン型の分散剤となり得る。好適な分散剤の中でも:
- アミノシリコーン、即ち1つ以上のアミノ基を含むシリコーン、例えば、BykによりByk LPX 21879の名称及び参照番号で販売されているもの、Genesee Polymersにより販売されているGP-4、GP-6、GP-344、GP-851、GP-965、GP-967及びGP-988-1、
- シリコーンアクリレート、例えばEvonikにより販売されているTego(登録商標)RC 902、Tego(登録商標)RC 922、Tego(登録商標)RC 1041及びTego(登録商標)RC 1043、
- カルボキシル基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)シリコーン、例えばShin-Etsuにより販売されているX-22162及びX-22370、エポキシシリコーン、例えばGenesee Polymersにより販売されているGP-29、GP-32、GP-502、GP-504、GP-514、GP-607、GP-682及びGP-695、又はEvonikにより販売されているTego(登録商標)RC 1401、Tego(登録商標)RC 1403、Tego(登録商標)RC 1412を挙げることができる。
【0103】
具体的な実施形態によれば、分散剤は、上記で記載されたアルコキシシラン以外のアミノシリコーン型のものであり、且つカチオン性のものである。
【0104】
好ましくは、顔料は、無機顔料、無機-有機混合顔料又は有機顔料から選択される。
【0105】
本発明の1つの代替的形態において、本発明による顔料は、有機顔料、優先的にはシリコーン化合物から選択される有機剤で表面処理された有機顔料である。本発明の別の代替的形態において、本発明による顔料は、無機顔料である。
【0106】
本発明による組成物は、1つ以上の直接染料を含み得る。
【0107】
「直接染料」は、酸化染料以外の天然及び/又は合成染料を意味すると理解される。これらは、繊維の表面上に広がることになる染料である。
【0108】
これらはイオン性又は非イオン性、好ましくはアニオン性、カチオン性又は非イオン性であり得る。
【0109】
好適な直接染料の例としては、単独で又は混合物形態での、アゾ直接染料;(ポリ)メチン染料、例えば、シアニン、ヘミシアニン及びスチリル;カルボニル染料;アジン染料;ニトロ(ヘテロ)アリール染料;トリ(ヘテロ)アリールメタン染料;ポルフィリン染料;フタロシアニン染料;天然の直接染料を挙げることができる。
【0110】
直接染料は、好ましくは、カチオン性直接染料である。以下の式(IV)及び(V)のヒドラゾノカチオン性染料並びに(VI)及び(VII)のアゾカチオン性染料を挙げることができる:
Het+-C(Ra)=N-N(Rb)-Ar Q - (IV)
Het+-N(Ra)-N=C(Rb)-Ar Q - (V)
Het+-N=N-Ar Q - (VI)
Ar+-N=N-Ar’’ Q - (VII)
式(IV)~(VII)の式中:
- Het+は、優先的には環内にカチオン性電荷を有し、優先的には少なくとも1つのメチルなどの(C1~C8)アルキル基で任意選択的に置換されている、イミダゾリウム、インドリウム又はピリジニウムなどのカチオン性ヘテロアリール基を表し;
- Ar+は、環外にカチオン性電荷、優先的にはアンモニウム、特にトリメチルアンモニウムなどのトリ(C1~C8)アルキルアンモニウムを有する、フェニル又はナフチルなどのアリール基を表し;
- Arは、優先的には1つ以上の電子供与基で任意選択的に置換されているアリール基、特にフェニル、例えば、i)任意選択的に置換されている(C1~C8)アルキル、ii)任意選択的に置換されている(C1~C8)アルコキシ、iii)アルキル基上においてヒドロキシル基で任意選択的に置換されている(ジ)(C1~C8)(アルキル)アミノ、iv)アリール(C1~C8)アルキルアミノ、v)任意選択的に置換されているN-(C1~C8)アルキル-N-アリール(C1~C8)アルキルアミノを表すか、又はそうでなければ、Arは、ジュロリジン基を表し;
- Ar’’は、任意選択的に置換されている(ヘテロ)アリール基、例えば、優先的には1つ以上の(C1~C8)アルキル、ヒドロキシル、(ジ)(C1~C8)(アルキル)アミノ、(C1~C8)アルコキシ又はフェニル基で任意選択的に置換されている、フェニル又はピラゾリルを表し;
- Ra及びRbは、同一であるか又は異なり、水素原子を表すか、又は任意選択的に、優先的にはヒドロキシル基で置換されている(C1~C8)アルキル基を表し;
又はそうでなければ、Het+置換基を有する置換基Ra及び/又はAr置換基を有する置換基Rbは、それらを有する原子と一緒に、(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;特に、Ra及びRbは、水素原子を表すか又はヒドロキシル基で任意選択的に置換されている(C1~C4)アルキル基を表し;
- Q-は、ハライド又はアルキルスルフェートなどの有機又は無機アニオン性対イオンを表す。
【0111】
特に、上記で定義された式(IV)~(VII)の環内カチオン性電荷を有するアゾ及びヒドラゾノ直接染料、より具体的には特許出願国際公開第95/15144号パンフレット、国際公開第95/01772号パンフレット及び欧州特許第714954号明細書に記載されている環内カチオン性電荷を有するカチオン性直接染料、優先的には以下の直接染料を挙げることができる:
【化4】
式(VIII)及び(IX)の式中:
- R
1は、(C
1~C
4)アルキル基、例えばメチルを表し;
- R
2及びR
3は、同一であるか又は異なり、水素原子を表すか、又は(C
1~C
4)アルキル基、例えばメチルを表し;
- R
4は、水素原子を表すか、又は電子供与性基、例えば任意選択的に置換されている(C
1~C
8)アルキル、任意選択的に置換されている(C
1~C
8)アルコキシ若しくはアルキル基が任意選択的にヒドロキシル基で置換されている(ジ)(C
1~C
8)(アルキル)アミノを表し;特に、R
4は、水素原子であり;
- Zは、CH基又は窒素原子、優先的にはCHを表し、
- Q
-は、上記で定義されたアニオン性対イオン、特にクロライドなどのハライド又はメチルスルフェート若しくはメシレートなどのアルキルスルフェートである。
【0112】
特に、式(VIII)及び(IX)の染料は、Basic Red 51、Basic Yellow 87及びBasic Orange 31又はその誘導体から選択され、Q-は、上記で定義されたアニオン性対イオン、特にクロライドなどのハライド又はメチルスルフェート若しくはメシレートなどのアルキルスルフェートである。
【0113】
直接染料は、アニオン性直接染料から選択することができる。本発明のアニオン性直接染料は、アルカリ性物質に対する親和性について、一般に「酸性」直接染料と称される染料である。「アニオン性直接染料」は、その構造内に少なくとも1つのCO2R又はSO3R置換基(式中、Rは、水素原子を表すか、又は金属若しくはアミンに由来するカチオン若しくはアンモニウムイオンを表す)を含む、任意の直接染料を意味すると理解される。アニオン性染料は、酸性ニトロ直接染料、酸性アゾ染料、酸性アジン染料、酸性トリアリールメタン染料、酸性インドアミン染料、酸性アントラキノン染料、インジゴイド、及び酸性天然染料から選択することができる。
【0114】
本発明による酸性染料として、以下の式(X)、(X’)、(XI)、(XI’)、(XII)、(XII’)、(XIII)、(XIII’)、(XIV)、(XV)、(XVI)、及び(XVII)の染料を挙げることができる:
a)式(X)又は(X’)のジアリールアニオン性アゾ染料:
【化5】
式(X)及び(X’)の式中:
- R
7、R
8、R
9、R
10、R’
7、R’
8、R’
9及びR’
10は、同一であるか又は異なり、水素原子を表すか、又は以下:
- アルキル;
- アルコキシ、アルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、水素原子又はアルキル若しくはアリール基を表し、X、X’及びX’’は、同一であるか又は異なり、酸素若しくは硫黄原子又はNRを表し、Rは、水素原子又はアルキル基を表す);
- M
+(O)
2S(O
-)-(式中、M
+は、水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
- M
+(O)CO
--(式中、M
+は、上記で定義されたとおりである);
- R’’-S(O)
2-(式中、R’’は、水素原子又はアルキル、アリール、(ジ)(アルキル)アミノ若しくはアリール(アルキル)アミノ基を表し;優先的にはフェニルアミノ又はフェニル基を表す);
-R’’’-S(O)
2-X’-(式中、R’’’は、アルキル基又は任意選択的に置換されているアリール基を表し、X’は上記に定義されたとおりである);
- (ジ)(アルキル)アミノ;
- i)ニトロ、ii)ニトロソ、iii)M
+(O)
2S(O
-)-(式中、M
+は、上記に定義されたとおりである)、及びiv)アルコキシから選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されているアリール(アルキル)アミノ;
- 任意選択的に置換されているヘテロアリール;優先的にはベンゾチアゾリル基;
- シクロアルキル、特にシクロヘキシル;
- Ar-N=N-(式中、Arは、任意選択的に置換されているアリール基を表し;優先的には、1つ以上のアルキル、M
+(O)
2S(O
-)-、又はフェニルアミノ基で任意選択的に置換されているフェニルを表す)
から選択される基を表すか;
- 又はそうでなければ、2個の隣接している基であるR
7及びR
8又はR
8及びR
9又はR
9及びR
10が一緒になって、縮合ベンゾ基A’を形成し;R’
7及びR’
8又はR’
8及びR’
9又はR’
9及びR’
10が一緒になって、縮合ベンゾ基B’を形成し;A’及びB’は、i)ニトロ;ii)ニトロソ;iii)M
+(O)
2S(O
-)-;iv)ヒドロキシル;v)メルカプト;vi)(ジ)(アルキル)アミノ;vii)R°-C(X)-X’-;viii)R°-X’-C(X)-;ix)R°-X’-C(X)-X’’-;x)Ar-N=N-、及びxi)任意選択的に置換されているアリール(アルキル)アミノ;から選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、M
+、R°、X、X’、X’’及びArは、上記で定義されたとおりであり;
- Wは、σ結合、酸素若しくは硫黄原子又は2価の基i)-NR-(式中、Rは、上記で定義されたとおりである)若しくはii)メチレン-C(Ra)(Rb)-(式中、Ra及びRbは、同一であるか若しくは異なり、水素原子若しくはアリール基を表すか、又はそうでなければ、Ra及びRbは、それらを有する炭素原子と一緒にスピロシクロアルキルを形成する)を表し、優先的には、Wは、硫黄原子を表すか、又はRa及びRbは一緒になってシクロヘキシルを形成し;
式(X)及び(X’)は、環A、A’、B、B’又はCのうちの1つの上に、少なくとも1つのスルホネート基M
+(O)
2S(O
-)-、又はカルボキシレート基(M
+O)CO
--;優先的にはナトリウムスルホネートを含むことが理解される。
【0115】
式(X)の染料の例として:Acid Red 1、Acid Red 4、Acid Red 13、Acid Red 14、Acid Red 18、Acid Red 27、Acid Red 28、Acid Red 32、Acid Red 33、Acid Red 35、Acid Red 37、Acid Red 40、Acid Red 41、Acid Red 42、Acid Red 44、Pigment Red 57、Acid Red 68、Acid Red 73、Acid Red 135、Acid Red 138、Acid Red 184、Food Red 1、Food Red 13、Acid Orange 6、Acid Orange 7、Acid Orange 10、Acid Orange 19、Acid Orange 20、Acid Orange 24、Yellow 6、Acid Yellow 9、Acid Yellow 36、Acid Yellow 199、Food Yellow 3、Acid Violet 7、Acid Violet 14、Acid Blue 113、Acid Blue 117、Acid Black 1、Acid Brown 4、Acid Brown 20、Acid Black 26、Acid Black 52、Food Black 1、Food Black 2、Food Yellow 3又はSunset Yellowを挙げることができ、
式(X’)の染料の例として:Acid Red 111、Acid Red 134、又はYellow 38を挙げることができる。
【0116】
b)式(XI)及び(XI’)のピラゾロンアニオン性アゾ染料:
【化6】
式(XI)及び(XI’)の式中:
- R
11、R
12及びR
13は、同一であるか又は異なり、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はM
+(O)
2S(O
-)-基(式中、M
+は、上記で定義されたとおりである)を表し;
- R
14は、水素原子、アルキル基、又はM
+C(O)O
--基(式中、M
+は、上記で定義されたとおりである)を表し;
- R
15は、水素原子を表し;
- R
16は、オキソ基を表し、その場合、R’
16は、存在しないか、又はそうでなければ、R
15は、R
16と一緒になって二重結合を形成し;
- R
17及びR
18は、同一であるか又は異なり、水素原子を表すか、又は以下:
- M
+(O)
2S(O
-)-(式中、M
+は、上記で定義されたとおりである);
- Ar-O-S(O)
2-(式中、Arは、任意選択的に置換されているアリール基を表し、優先的には、1つ以上のアルキル基で任意選択的に置換されているフェニルを表す)
から選択される基を表し;
- R
19及びR
20は、一緒になって二重結合又は任意選択的に置換されているベンゾ基D’のいずれかを形成し;
- R’
16、R’
19、及びR’
20は、同一であるか又は異なり、水素原子、アルキル基、又はヒドロキシル基を表し;
- R
21は、水素原子、アルキル基、又はアルコキシ基を表し;
- R
a及びR
bは、同一であるか又は異なり、上記で定義されたとおりであり、優先的には、R
aは水素原子を表し、R
bはアリール基を表し;
- Yは、ヒドロキシル基又はオキソ基のいずれかを表し;
-
【化7】
は、Yがオキソ基である場合、単結合を表し、Yがヒドロキシル基を表す場合、二重結合を表し;
式(XI)及び(XI’)は、環D又はEのうちの1つの上に、少なくとも1つのスルホネート基M
+(O)
2S(O
-)-、又は1つのカルボキシレート基M
+C(O)O
--;優先的にはナトリウムスルホネートを含むことが理解される。
【0117】
式(XI)の染料の例として:Acid Red 195、Acid Yellow 23、Acid Yellow 27、又はAcid Yellow 76を挙げることができ;式(XI’)の染料の例として:Acid Yellow 17を挙げることができる。
【0118】
c)式(XII)及び(XII’)のアントラキノン染料:
【化8】
式(XII)及び(XII’)の式中:
- R
22、R
23、R
24、R
25、R
26及びR
27は、同一であるか又は異なり、水素原子、ハロゲン原子を表すか、又は以下:
- アルキル;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- アルコキシ、アルキルチオ;
- 優先的にはアルキル及びM
+(O)
2S(O
-)-(式中、M
+は、上記で定義されたとおりである)から選択される1つ以上の基で置換されている、任意選択的に置換されているアリールオキシ又はアリールチオ;
- アルキル及びM
+(O)
2S(O
-)-(式中、M
+は、上記で定義されたとおりである)から選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されているアリール(アルキル)アミノ;
- (ジ)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(ヒドロキシアルキル)アミノ;
- M
+(O)
2S(O
-)-(式中、M
+は、上記で定義されたとおりである);
から選択される基を表し;
Z’は、水素原子又はNR
28R
29基(式中、R
28及びR
29は、同一であるか又は異なり、水素原子を表すか、又は以下:
- アルキル;
- ヒドロキシエチルなどの(ポリ)ヒドロキシアルキル;
- 1つ以上の基、特にi)メチル、n-ドデシル又はn-ブチルなどのアルキル;ii)M
+(O)
2S(O
-)-(式中、M
+は、上記で定義されたとおりである);iii)R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、又はR°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°、X、X’及びX’’は、上記で定義されたとおりであり、優先的には、R°は、アルキル基を表す)で任意選択的に置換されているアリール;
- シクロアルキル(cycloakyl)、特にシクロヘキシル;
から選択される基を表す)を表し;
Zは、ヒドロキシル及びNR’
28R’
29(式中、R’
28及びR’
29は、同一であるか又は異なり、上記で定義されたとおりのR
28及びR
29と同じ原子又は基を表す)から選択される基を表し;
式(XII)及び(XII’)は、少なくとも1つのスルホネート基M
+(O)
2S(O
-)-、又は1つのカルボキシレート基M
+C(O)O
--;優先的にはナトリウムスルホネートを含むことが理解される。
【0119】
式(XII)の染料の例として:Acid Blue 25、Acid Blue 43、Acid Blue 62、Acid Blue 78、Acid Blue 129、Acid Blue 138、Acid Blue 140、Acid Blue 251、Acid Green 25、Acid Green 41、Acid Violet 42、Acid Violet 43、Mordant Red 3、又はExt.Violet No.2を挙げることができ:式(XII’)の染料の例として:Acid Black 48を挙げることができる。
【0120】
d)式(XIII)及び(XIII’)のニトロ染料:
【化9】
式(XIII)及び(XIII’)の式中:
- R
30、R
31、及びR
32は、同一であるか又は異なり、水素原子、ハロゲン原子を表すか、又は以下:
- アルキル;
- 1つ以上のヒドロキシル基で任意選択的に置換されているアルコキシ、又は1つ以上のヒドロキシル基で任意選択的に置換されているアルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- ポリハロアルキル;
- R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、又はR°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°、X、X’及びX’’は、上記で定義されたとおりである);
- M
+(O)
2S(O
-)-(式中、M
+は、上記で定義されたとおりである);
- M
+(O)CO
--(式中、M
+は、上記で定義されたとおりである);
- (ジ)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(ヒドロキシアルキル)アミノ;
- ピペリジノ、ピペラジノ又はモルホリノなどのヘテロシクロアルキルから選択される基を表し;特に、R
30、R
31及びR
32は、水素原子を表し;
- R
c及びR
dは、同一であるか又は異なり、水素原子又はアルキル基を表し;
- Wは、上記で定義されたとおりであり;Wは、特に、-NH-基を表し;
- ALKは、直鎖又は分枝鎖の2価のC
1~C
6アルキレン基を表し;特に、ALKは-CH
2-CH
2-基を表し;
- nは1又は2の値を有し;
- pは両端を含む1~5の間の整数を表し;
- qは両端を含む1~4の間の整数を表し;
- uは0又は1の値を有し;
- nが1の値を有する場合、Jはニトロ基又はニトロソ基;特にニトロ基を表し;
- nが2の値を有する場合、Jは酸素又は硫黄原子又は2価の-S(O)
m-基(式中、mは1又は2の整数を表す)を表し;優先的には、Jは-SO
2-基を表し;
- M’は、水素原子又はカチオン性対イオンを表し;
-
【化10】
は、存在するか又は存在せず、上記で定義された1つ以上のR
30基によって任意選択的に置換されているベンゾ基を表し;
式(XIII)及び(XIII’)は、少なくとも1つのスルホネート基M
+(O)
2S(O
-)-、又は1つのカルボキシレート基M
+C(O)O
--;優先的にはナトリウムスルホネートを含むことが理解される。
【0121】
式(XIII)の染料の例として:Acid Brown 13及びAcid Orange 3を挙げることができ;式(XIII’)の染料の例として、Acid Yellow 1、2,4-ジニトロ-1-ナフトール-7スルホン酸のナトリウム塩、2-ピペリジノ-5-ニトロベンゼンスルホン酸、2-(4’-N,N-2”-ヒドロキシエチル)アミノ-2’-ニトロ)アニリンエタンスルホン酸、4-β-ヒドロキシエチルアミノ-3-ニトロベンゼンスルホン酸;Ext.D&C Yellow 7を挙げることができる。
【0122】
e)式(XIV)のトリアリールメタン染料:
【化11】
式(XIV)の式中、
- R
33、R
34、R
35、及びR
36は、同一であるか又は異なり、水素原子又はアルキル、任意選択的に置換されているアリール及び任意選択的に置換されているアラルキル;特に、アルキル又はM
+(O)
mS(O
-)-基(式中、M
+及びmは、上記で定義されたとおりである)で任意選択的に置換されているベンジル基から選択される基を表し;R
37、R
38、R
39、R
40、R
41、R
42、R
43、及びR
44は、同一であるか又は異なり、水素原子を表すか、又は以下:
- アルキル;
- アルコキシ、アルキルチオ;
- (ジ)(アルキル)アミノ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、又はR°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、X、X’及びX’’は、同一であるか又は異なり、酸素若しくは硫黄原子又はNRを表し、Rは、水素原子又はアルキル基を表す);
- M
+(O)
2S(O
-)-(式中、M
+は、水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
- M
+(O)CO
--(式中、M
+は、上記で定義されたとおりである)から選択される基を表し;
- 又はそうでなければ、2個の隣接する基R
41及びR
42又はR
42及びR
43又はR
43及びR
44が一緒になって縮合ベンゾ基I’を形成し:I’は、i)ニトロ;ii)ニトロソ;iii)M
+(O)
2S(O
-)-;iv)ヒドロキシル;v)メルカプト;vi)(ジ)(アルキル)アミノ;vii)R°-C(X)-X’-;viii)R°-X’-C(X)-;ix)R°-X’-C(X)-X’’-(式中、M
+、R°、X、X’X’’は、上記で定義されたとおりである)から選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており;
特に、R
37~R
40は、水素原子を表し、R
41~R
44は、同一であるか又は異なり、ヒドロキシル基又はM
+(O)
2S(O
-)-基を表し;R
43及びR
44が一緒になってベンゾ基を形成している場合、これは、優先的には、(O)
2S(O
-)-基で置換されており;
環G、H、I又はI’の少なくとも1つは、少なくとも1つのスルホネート基(O)
2S(O
-)-又は1つのカルボキシレート基C(O)O
--;優先的にはスルホネートを含むことが理解される。
【0123】
式(XIV)の染料の例として:Acid Blue 1;Acid Blue 3;Acid Blue 7;Acid Blue 9;Acid Violet 49;Acid Green 3;Acid Green 5及びAcid Green 50を挙げることができる。
【0124】
e)式(XV)のキサンテン系染料:
【化12】
式(XV)の式中、
- R
45、R
46、R
47及びR
48は、同一であるか又は異なり、水素原子又はハロゲン原子を表し;
- R
49、R
50、R
51及びR
52は、同一であるか又は異なり、水素原子、ハロゲン原子を表すか、又は以下:
- アルキル;
- アルコキシ、アルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- M
+(O)
2S(O
-)-(式中、M
+は、水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
- M
+(O)CO
--(式中、M
+は、上記で定義されたとおりである)から選択される基を表し;
特に、R
53、R
54、R
55及びR
48は、水素原子又はハロゲン原子を表し;
- Gは、酸素若しくは硫黄原子又はNR
e基(式中、R
eは、上記で定義されたとおりである)を表し;特に、Gは酸素原子を表し;
- Lは、アルコキシドM
+O
-;チオアルコキシドM
+S
-又はNR
f基(式中、R
fは、水素原子又はアルキル基を表し、M
+は、上記で定義されたとおりであり;M
+は、特にナトリウム又はカリウムである)を表し;
- L’は、酸素若しくは硫黄原子又はアンモニウム基:N
+R
fR
g(式中、R
f及びR
gは、同一であるか又は異なり、水素原子、アルキル基又は任意選択的に置換されているアリール基を表す)を表し;L’は、特に酸素原子又は1つ以上のアルキル若しくはM
+(O)
mS(O
-)-基(式中、m及びM
+は、上記で定義されたとおりである)によって任意選択的に置換されているフェニルアミノ基を表し;
- Q及びQ’は、同一であるか又は異なり、酸素又は硫黄原子を表し;特に、Q及びQ’は酸素原子を表し;
- M
+は、上記で定義されたとおりである。
【0125】
式(XV)の染料の例として:Acid Yellow 73、Acid Red 51、Acid Red 52;Acid Red 87、Acid Red 92、Acid Red 95、及びAcid Violet 9を挙げることができる。
【0126】
f)式(XVI)のインドール系染料:
【化13】
R
53、R
54、R
55、R
56、R
57、R
58、R
59及びR
60は、同一であるか又は異なり、水素原子を表すか、又は以下:
- アルキル;
- アルコキシ、アルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、又はR°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、水素原子又はアルキル若しくはアリール基を表し、X、X’及びX’’は、同一であるか又は異なり、酸素若しくは硫黄原子又はNRを表し、Rは、水素原子又はアルキル基を表す);
- M
+(O)
2S(O
-)-(式中、M
+は、水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
- M
+(O)CO
--(式中、M
+は、上記で定義されたとおりである)
から選択される基を表し;
- Gは、酸素若しくは硫黄原子又はNR
e基(式中、R
eは、上記で定義されたとおりである)を表し;特に、Gは酸素原子を表し;
- R
i及びR
hは、同一であるか又は異なり、水素原子又はアルキル基を表し;
式(XVI)は、少なくとも1つのスルホネート基M
+(O)
2S(O
-)-、又は1つのカルボキシレート基M
+C(O)O
--;優先的にはナトリウムスルホネートを含むことが理解される。
【0127】
式(XVI)の染料の例として:Acid Blue 74を挙げることができる。
g)式(XVII)のキノリン由来染料:
【化14】
- R
61は、水素若しくはハロゲン原子又はアルキル基を表し;
- R
62、R
63及びR
64は、同一であるか又は異なり、水素原子又はM
+(O)
2S(O
-)-基(式中、M
+は、水素原子又はカチオン性対イオンを表す)を表すか;
又はそうでなければ、R
61及びR
62又はR
61及びR
64は一緒になって、1つ以上のM
+(O)
2S(O
-)-基(式中、M
+は、水素原子又はカチオン性対イオンを表す)で任意選択的に置換されているベンゾ基を形成し;
式(XVII)は、少なくとも1つのスルホネート基M
+(O)
2S(O
-)-、優先的にはナトリウムスルホネートを含むことが理解される。
【0128】
式(XVII)の染料の例として:Acid Yellow 2、Acid Yellow 3及びAcid Yellow 5を挙げることができる。
【0129】
本発明に従い使用することができる天然の直接染料の中でも、ローソン、ジュグロン、アリザリン、プルプリン、カルミン酸、ケルメス酸、プルプロガリン、プロトカテクアルデヒド、インジゴ、イサチン、クルクミン、スピヌロシン、アピゲニジン、及びオルセインを挙げることができる。これらの天然染料を含む抽出物又は浸出液、特にヘンナベースのパップ剤又は抽出物も使用され得る。
【0130】
好ましくは、直接染料は、アニオン性直接染料から選択される。
【0131】
着色剤は、組成物の総質量に対して0.001質量%~15質量%、好ましくは0.005質量%~10質量%の範囲の総量で存在し得る。
【0132】
顔料は、組成物の総質量に対して0.05質量%~15質量%、好ましくは0.1質量%~10質量%の範囲の総量で存在し得る。
【0133】
直接染料は、組成物の総質量に対して0.001質量%~10質量%、好ましくは組成物の総質量に対して0.005質量%~5質量%の範囲の総量で存在し得る。
【0134】
好ましくは、本発明による組成物は、水を含む。好ましくは、水は、組成物の総質量に対して0.1質量%~50質量%、より優先的には0.5質量%~40質量%の範囲の含有量で存在する。
【0135】
組成物は、組成物の総質量に対して2質量%未満の水を含み得る。
【0136】
有機溶媒:
本発明による方法は、1つ以上の有機溶媒を含み得る本発明による組成物を含む。
【0137】
有機溶媒として、例えば、低級C1~C4アルカノール、例えばエタノール及びイソプロパノール;ポリオール及びポリオールエーテル、例えば2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びジエチレングリコールモノメチルエーテルに加えて、芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール又はフェノキシエタノール並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0138】
好ましくは、組成物は、低級C1~C4アルカノールから選択される1つ以上の有機溶媒、より優先的にはエタノールを含む。
【0139】
有機溶媒は、組成物の総質量に対して0.5質量%~80質量%(境界値を含む)、好ましくは1質量%~70質量%、より優先的には組成物の総質量に対して5質量%~60質量%(境界値を含む)、より良好には10質量%~50質量%の総量で存在し得る。
【0140】
添加剤:
本発明による方法は、一般に使用される任意のアジュバント又は添加剤を含み得る本発明による組成物を含む。
【0141】
組成物で含有することができる添加剤の中で、還元剤、増粘剤、柔軟化剤、消泡剤、保湿剤、UV-遮蔽剤、ペプタイザー(peptizer)、可溶化剤、芳香剤、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性の界面活性剤、タンパク質、ビタミン、ポリマー、防腐剤、ワックス、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0142】
本発明による組成物は、特に、懸濁液、分散液、ゲル、エマルション、特に水中油型(O/W)若しくは油中水型(W/O)エマルション又は多相(W/O/W型又はポリオール/O/W型又はO/W/O型)エマルションの形態、クリーム、発泡体、スティック、ベシクル、特にイオン性若しくは非イオン性脂質の分散液又は2相若しくは多相ローションの形態で提供され得る。
【0143】
好ましい実施形態では、本発明による組成物は、水性及び/又は水-アルコール性である。
【0144】
当業者は、一般知識に基づき、適切な製剤形態に加えて、それを調製するための方法を、まず使用する構成成分の性質、特にそれらの担体中での溶解性を考慮し、次に、組成物に想定されている用途を考慮して選択することができる。
【0145】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)と、上記で記載される式(II)の少なくも1つの非アミノシリコーンと、少なくとも1つの顔料と、を含む。
【0146】
更に好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)と、上記で記載される少なくも1つの式(III)の非アミノシリコーンと、少なくとも1つの顔料と、を含む。
【0147】
ケラチン繊維を処置するための方法
本発明は、毛髪などのケラチン繊維を処理するための方法であって、上記で記載された組成物をケラチン繊維に適用することを含み、続いて、加熱器具を使用して、組成物で覆われたケラチン繊維に、45℃以上の温度で15分以上の時間、熱を印加する段階が続く、方法に関する。
【0148】
好ましくは、本発明による組成物は、毛髪などのケラチン繊維を染色するための組成物である。
【0149】
本発明による組成物は、湿った又は乾いたケラチン繊維上で使用することができ、また、明るい色又は暗い色の、天然又は染色された、パーマネントウェーブ、脱色、又は縮毛矯正が施された全てのタイプの繊維上で使用することができる。
【0150】
本発明の方法の具体的な実施形態によれば、繊維は、上記で記載された組成物を適用する前に洗浄される。
【0151】
染料組成物のケラチン繊維への適用は、任意の従来の手段、特に、くし、目の細かいブラシ、粗いブラシ、又は指で行うことができる。
【0152】
染色方法、すなわち、染料組成物をケラチン繊維に適用することは、一般的に、周囲温度(15℃~25℃)で実施される。
【0153】
好ましくは、本発明による組成物のケラチン繊維への適用後、且つケラチン繊維への熱の印加段階の前に、ケラチン繊維は、例えばヘアドライヤーを使用して、1分~5分間の乾燥段階に供される。
【0154】
好ましくは、本発明による組成物のケラチン繊維への適用後、ケラチン繊維を乾燥させる段階の前に、少なくとも30秒、好ましくは少なくとも1分、より優先的には少なくとも5分の待ち時間がある。
【0155】
本発明による組成物の適用後、任意選択的にはケラチン繊維を乾燥させる段階の後、本発明による方法は、加熱器具を使用して、ケラチン繊維に、45℃以上の温度で15分以上の時間、熱を印加する段階を含む。
【0156】
好ましくは、加熱器具を使用して、ケラチン繊維に熱を印加する段階は、45℃以上の温度で30分以上の時間、より優先的には45℃以上の温度で1時間以上の時間、実施される。
【0157】
更により優先的には、加熱器具を使用して、ケラチン繊維に熱を印加する段階は、60℃以上の温度で15分以上の時間、より良好には60℃以上の温度で30分以上の時間、実施される。
【0158】
本発明の方法の熱を印加する段階は、フード型ドライヤー(hood)、ヘアドライヤー、ストレートアイロン、カールアイロン、クリマゾン(Climazon)などを使用して実施することができる。
【0159】
好ましくは、本発明の方法の熱を印加する段階は、ヘアドライヤーを使用して実施される。
【0160】
好ましくは、加熱器具は、ヘアドライヤーである。
【0161】
ケラチン繊維に熱を印加する段階を実施している最中に、毛束に対してコーミング、ブラッシング又は手櫛などの機械的な作用を与えることができる。
【0162】
具体的な代替形態において、本発明の方法は、フード型ドライヤー、ヘアドライヤー又はクリマゾン、好ましくはヘアドライヤーを使用して熱を印加する段階(b1)と、ストレートアイロン又はカールアイロン、好ましくはストレートアイロンを使用して熱を印加する段階(b2)と、を含む。
【0163】
段階(b1)は、段階(b2)の前に実施され得る。
【0164】
乾燥段階としても知られる段階(b1)の間、繊維は、45℃以上の温度で15分以上の時間乾燥させる。具体的な実施形態によれば、この温度は、45℃以上、且つ110℃未満である。
【0165】
好ましくは、繊維を乾燥させる場合、熱の供給に加えて、空気流を用いて乾燥させる。この乾燥時の空気流により、被覆の分離を改善することが可能になる。
【0166】
乾燥中、毛束に対してコーミング、ブラッシング又は手櫛などの機械的な作用を与えることができる。
【0167】
乾燥段階(b2)においてストレートアイロン又はカールアイロン、好ましくはストレートアイロンを滑らせる(passage)際の温度は、110℃~220℃、好ましくは140℃~200℃の範囲であり得る。
【0168】
好ましくは、本発明による組成物のケラチン繊維への適用後、且つ加熱器具を使用したケラチン繊維への熱の印加段階の後、最初のシャンプー作業の前に少なくとも30分、好ましくは最初のシャンプー作業の前に少なくとも1時間、より優先的には最初のシャンプー作業の前に少なくとも10時間、より良好には最初のシャンプー作業の前に少なくとも24時間の待ち時間がある。
【0169】
本発明はまた、毛髪などのケラチン繊維を処理するための方法であって、2つの組成物(A)及び(B)を、使用時に即時混合することと、混合物を繊維に適用することと、から構成され、
- 組成物(A)は、上記で記載される式(I)の化合物から選択される少なくとも1つのアルコキシシラン、それらのオリゴマー、及び/又はそれらの混合物を含み;
- 組成物(B)は、上記で記載される式(II)の少なくも1つの非アミノシリコーンを含み;
組成物(A)及び/又は組成物(B)が、顔料;直接染料及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの着色剤を含むと理解され、
続いて、加熱器具を使用して、組成物で覆われたケラチン繊維に、45℃以上の温度で15分以上の時間、熱を印加する段階が続く、方法に関する。
【0170】
好ましくは、組成物(A)は、式(II)の少なくも1つの非アミノシリコーンを含まず、組成物(B)は、式(I)の化合物から選択される少なくとも1つのアルコキシシラン、それらのオリゴマー、及び/又はそれらの混合物を含まない。
【0171】
第1の実施形態によれば、着色剤は、組成物(B)中に存在する。従って、組成物(A)及び組成物(B)は、ケラチン繊維に適用される前に、使用時に即時混合される。
【0172】
第2の実施形態によれば、着色剤は、組成物(A)中に存在する。従って、組成物(A)及び組成物(B)は、ケラチン繊維に適用される前に、使用時に即時混合される。
【0173】
第3の実施形態によれば、着色剤は、組成物(D)中に存在する。従って、組成物(A)、組成物(B)、及び組成物(D)は、ケラチン繊維に適用される前に、使用時に即時混合される。
【0174】
好ましくは、組成物(B)は、顔料、直接染料及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの着色剤を含む。
【0175】
ここで、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、これらは、決して本発明の範囲を限定するものではない。しかしながら、実施例は、本発明の好ましい実施形態、代替形態、及び具体的な特徴をサポートすることを可能にする。
【実施例】
【0176】
実施例では、温度は、特に明記されていない限り、摂氏で示され、周囲温度(20~25℃)に対応し、圧力は、特に明記されていない限り、大気圧である。
【0177】
以下の組成物を調製する(g/100g、AM:活性物質)。
【0178】
以下の組成物1(すなわち、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)の溶液)を、以下の方法に従って調製する:
- APTES(APTES Silsoft A-1100、Momentive Performance Materialsにより販売されている)を水と混合して水溶液を形成し、次いでpH=1のHCl溶液を添加してpHを11に調整し、前記混合物をVWRブランドのマグネチックスターラー(回転速度500rpm)上に周囲温度で24時間置く。混合物のpHは、11に等しい。
【0179】
【0180】
以下の組成物2(すなわち、シリコーンのアルコール溶液)を、以下の方法に従って調製する:
- 非アミノシリコーン化合物を、顔料(SunPuro Red Iron Oxide(登録商標)の名称でSun Chemicalにより販売されている酸化鉄)が分散されているエタノール溶液中に希釈する。
【0181】
【0182】
組成物1を組成物2と50:50の比率で混合する。上記手順に従い以下の組成物を調製する。
【0183】
【0184】
手順:
組成物Aを、白髪90%を含む乾いた天然の毛髪の毛束に、毛束1グラム当たり組成物1gの比率で適用する。
【0185】
毛束を周囲温度で5分間放置する。
【0186】
続いて、毛束を梳き、ヘアドライヤーで3分間乾燥させる。
【0187】
続いて、毛束を、異なる温度条件に従って所定の時間、熱印加段階にかける。
【0188】
毛束を温度制御されたオーブン(Memmertオーブン)に入れる。
【0189】
評価した条件は以下のとおりである:
- 45℃の温度で15分間、
- 45℃の温度で30分間、
- 45℃の温度で1時間、及び
- 60℃の温度で30分間。
【0190】
オーブンに通した後、毛束を周囲温度で24時間放置する。
【0191】
本発明による組成物Aで染色され、熱印加段階にかけられていない比較の毛束も、上記の手順に従って調製する。この毛束を、周囲温度で24時間放置する。
【0192】
このように染色され、熱印加段階にかけられた、又はかけられなかった毛束は、続いて、シャンプー作業に対して得られた着色の堅牢性(持続性)を評価するために、以下に説明するシャンプー作業の手順に従って、数回のシャンプー作業の試験にかけられる。
【0193】
シャンプー作業の手順:
毛束を、標準シャンプー(Garnier Ultra Doux)を使用して洗浄する。
【0194】
続いて、毛束をすすぎ、梳き、ヘアドライヤーで乾燥させる。
【0195】
ヘアドライヤーを適用した後に得られた毛束に対して、以下のシャンプー作業を実施する。
【0196】
結果:
毛束の色の持続性を、Minolta Spectrophotometer CM3600A分光測色計(D65光源、角度10°、正反射成分を含む)を使用して、CIE L*a*b*系で評価した。
【0197】
このL*a*b*系において、L*は色の明度を表し、a*は緑/赤色軸を示し、b*は青/黄色軸を示す。
【0198】
染色した毛束をシャンプーする前と、次いで、上記で記載された手順に従いシャンプー作業を5回行った後との色差ΔEにより、着色の持続性を評価する。ΔE値が低いほど、シャンプー作業に対する色の持続性が高い。
【0199】
【0200】
この式中、L*a*b*は、染毛後、シャンプー作業を実施した後に測定した値を表し、L0
*a0
*b0
*は、染毛後の、シャンプー作業を行う前に測定した値を表す。
【0201】
【0202】
本発明による組成物Aで染色し、熱印加段階にかけ、5回の連続シャンプー作業で洗浄した毛束1、2、3、及び4は、本発明による組成物Aで染色し、熱印加段階にかけず、5回の連続シャンプー作業で洗浄した比較毛束と比較して低いΔE値を示す。
【0203】
従って、本発明による方法で得られるケラチン繊維の有色の被覆は、シャンプーに対する良好な耐性を示す。実際、本発明による方法で染色され、5回のシャンプー作業で洗浄された毛束は、色の良好な持続性を示す。
【国際調査報告】