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特表2023-522147化学反応を実行するための反応器および方法
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  • 特表-化学反応を実行するための反応器および方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-29
(54)【発明の名称】化学反応を実行するための反応器および方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/24 20060101AFI20230522BHJP
【FI】
B01J19/24 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022555696
(86)(22)【出願日】2021-03-11
(85)【翻訳文提出日】2022-11-04
(86)【国際出願番号】 EP2021056207
(87)【国際公開番号】W WO2021180856
(87)【国際公開日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】20163140.5
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521329305
【氏名又は名称】リンデ ゲーエムベーハー
(71)【出願人】
【識別番号】500569513
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ツェルフーバー,マティウ
(72)【発明者】
【氏名】ホフシュテッター,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ポッセルト,ハインツ
(72)【発明者】
【氏名】ラング,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】シュテーゲマン,ローベルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴェレンホーファー,アントン
(72)【発明者】
【氏名】イェロミン,フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】ライザー,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】キーゼ,ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】ツィーグラー,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】シュストフ,アンドレイ
(72)【発明者】
【氏名】イェンネ,エリック
(72)【発明者】
【氏名】コッヘンデルファー,キアラ・エンネ
(72)【発明者】
【氏名】ライプ,ハインリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】キューン,ハインツ-ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ヤーコプ,ライナー
(72)【発明者】
【氏名】デルホム-ノイデッカー,クララ
【テーマコード(参考)】
4G075
【Fターム(参考)】
4G075AA03
4G075AA13
4G075BA05
4G075CA02
4G075CA54
4G075DA02
4G075DA18
4G075EA06
4G075EB23
4G075EC06
4G075FB02
(57)【要約】
本発明は、反応容器(10)および1つまたは複数の反応管(20)を備え、化学反応を実行するための反応器(100,200)に関し、1つまたは複数の反応管(20)の多数の管部分(21,22)は、いずれの場合も、前記反応容器(10)内の第1の領域(11)と第2の領域(12)との間に延び、管部分(21,22)の電気的加熱のために、第1の領域(11)内の管部分(21,22)は、いずれの場合も、電流電源(50)の1つまたは複数の電流接続(U,V,W)に電気的に接続されているか、または接続することができる。反応器(100,200)の第1の領域(11)には、電流供給構成(40)が提供され、電流供給構成には、いずれかの場合には管部分(21,22)のうちの1つが、またはいずれかの場合には管部分(21,22)の1つのグループが電気的に接続され、電流供給構成はそれぞれ、いずれの場合も、第1の領域(11)内の管部分(21,22)のうちの少なくとも1つに隣接する1つまたは複数の接触通路(42)を備え、接触通路(42)の壁は、いずれの場合も、反応容器(10)の壁(14)を通過して壁通路(15)において延びる、棒状部分(43)を有する電流供給要素(41)に接続される。対応する方法も本発明の主題である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応容器(10)および1つまたは複数の反応管(20)を備え、化学反応を実行するための反応器(100,200)であって、前記1つまたは複数の反応管(20)の多数の管部分(21,22)は、いずれの場合も、前記反応容器(10)内の第1の領域(11)と第2の領域(12)との間に延び、前記管部分(21,22)の電気的加熱のために、前記第1の領域(11)内の前記管部分(21,22)は、いずれの場合も、電流電源(50)の電流接続(U,V,W)に電気的に接続されているか、または接続することができ、前記反応器(100,200)は、前記反応器(100,200)の前記第1の領域(11)に電流供給構成(40)が提供され、前記電流供給構成には、いずれかの場合には前記管部分(21,22)のうちの1つが、またはいずれかの場合には前記管部分(21,22)の1つのグループが電気的に接続され、前記電流供給構成はそれぞれ、いずれの場合も、前記第1の領域(11)内の前記管部分(21,22)のうちの少なくとも1つに隣接する1つまたは複数の接触通路(42)を備え、前記接触通路(42)の壁は、いずれの場合も、前記反応容器(10)の壁(14)を通過して壁通路(15)において延びる、棒状部分(43)を有する電流供給要素(41)に接続されることを特徴とする、反応器(100,200)。
【請求項2】
前記管部分(21,22)は、いずれかの場合には複数の前記管部分(21,22)のうちの1つが、またはいずれかの場合には複数の前記管部分(21,22)の1つのグループが、いずれの場合も、前記電流供給構成(40)のうちの1つに接続される数、設けられる、請求項1に記載の反応器(100,200)。
【請求項3】
前記1つまたは複数の接触通路(42)は、高温耐性方式で前記管部分(21,22)に取り付けられて、強固に結合された1つまたは複数の構成要素で、または、いずれの場合も、前記反応管(21,22)の部分または連続部分の形態で形成される、請求項1または請求項2に記載の反応器(100,200)。
【請求項4】
前記棒状部分(43)は、いずれの場合も、前記反応容器の前記壁に垂直な長手方向延長部を有し、前記長手方向延長部は、前記反応容器(10)の前記壁(15)に平行な最大の横断方向延長部の少なくとも2倍の大きさである、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の反応器(100,200)。
【請求項5】
前記電流供給要素(41)はそれぞれ、前記電流供給要素(41)のそれぞれの前記壁通路(15)と、前記壁通路(15)に最も近く、それぞれの前記電流供給要素(41)によって電気的に接触される1つまたは複数の前記接触通路(42)の前記壁の点との間に、どの点においても10平方センチメートルより小さいことはない自由導体断面を有する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の反応器(100,200)。
【請求項6】
前記電流供給要素(41)の前記棒状部分(43)は、いずれの場合も、前記反応容器(10)の前記壁(14)を通過してそれぞれの壁通路(15)内で長手方向に移動可能な方式で案内される、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の反応器(100,200)。
【請求項7】
前記反応容器(10)の外側の前記電流供給要素(41)の前記棒状部分(43)は、可撓性の接続要素によって前記電流電源(50)の前記電流接続(U,V,W)に電気的に接続されるか、または接続可能である、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の反応器(100,200)。
【請求項8】
前記電流供給要素(41)、前記接触通路(42)、および前記管部分(21,22)は、同じ材料から、または電気伝導率が50%以下互いに異なる材料から形成される、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の反応器(100,200)。
【請求項9】
前記電流供給要素(41)、前記接触通路(32)、および前記管部分(21,22)は、0.1から0.5重量%の炭素、20から50重量%のクロム、20から80重量%のニッケル、0から2重量%のニオブ、0から3重量%のケイ素、0から5%のタングステン、および0から1重量%の他の成分を有するクロムニッケル鋼合金から形成され、前記成分は、互いに補完して非鉄画分を形成する、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の反応器(100,200)。
【請求項10】
前記管部分(21,22)は、剛性接続要素(30)によって、または複数の剛性接続要素(30)によって、前記反応容器(10)内で全体的にまたはグループで、導電的に接続される、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の反応器(100,200)。
【請求項11】
前記1つまたは複数の反応管(20)は、前記反応容器(10)の前記第1の領域(11)に、1つまたは複数のU字形屈曲部(23)を有し、前記電流供給構成(40)における前記接触通路(42)は、前記反応容器(10)の前記第1の領域(11)内に、前記1つまたは複数のU字形屈曲部(23)を備えるか、または形成する、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の反応器(100)。
【請求項12】
U字形屈曲部(23)のない複数の反応管(22)は、前記反応容器(10)の前記第1の領域(11)内を延び、前記電流供給構成(40)内の前記接触通路(42)は、直管部分を形成する、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の反応器(200)。
【請求項13】
水蒸気分解用の反応器(100)として形成された、請求項11に記載の、または、水蒸気改質用、乾式改質用、またはアルカンの触媒脱水素反応用の反応器(200)として形成された、請求項12に記載の反応器(100,200)。
【請求項14】
反応容器(10)および1つまたは複数の反応管(20)を備える反応器(100,200)を使用して化学反応を実行するための方法であって、前記1つまたは複数の反応管(20)の多数の管部分(21,22)は、いずれの場合も、前記反応容器(10)内の第1の領域(11)と第2の領域(12)との間に延び、前記管部分(21,22)の加熱のために、前記第1の領域(11)内の前記管部分(21,22)は、電流電源(50)の電流接続(U,V,W)におのおの電気的に接続され、前記方法は、反応器(100,200)が使用され、ここでは、前記反応器(100,200)の前記第1の領域(11)に電流供給構成(40)が提供され、前記電流供給構成には、いずれかの場合には前記管部分(21,22)のうちの1つが、またはいずれかの場合には前記管部分(21,22)の1つのグループが電気的に接続され、前記電流供給構成はそれぞれ、いずれの場合も、前記第1の領域(11)内の前記管部分(21,22)のうちの少なくとも1つに隣接する1つまたは複数の接触通路(42)を備え、前記接触通路(42)の壁は、いずれの場合も、前記反応容器(10)の壁(14)を通過して壁通路(15)において延びる、棒状部分(43)を有する電流供給要素(41)に接続されることを特徴とする、方法。
【請求項15】
請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の反応器が使用される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項のプリアンブルにしたがって、化学反応を実行するための反応器および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学工業における多くのプロセスにおいて、1つまたは複数の反応物が、加熱された反応管を通過し、そこで、触媒的または非触媒的に反応する、反応器が使用される。加熱は特に、進行中の化学反応に必要な活性化エネルギに打ち勝つのに役立つ。この反応は、全体として吸熱的に、または活性化エネルギに打ち勝った後、発熱的に進行する可能性がある。本発明は、特に、強い吸熱反応に関する。
【0003】
そのようなプロセスの例は、水蒸気分解、種々の改質プロセス、特に水蒸気改質、乾式改質(二酸化炭素改質)、混合改質プロセス、アルカンの脱水素プロセスなどである。水蒸気分解の間、反応管は、反応器内に少なくとも1つのU字形屈曲部を有することができるコイルの形態で反応器を通過して案内されるが、U字形屈曲部のない反応器を通過する管は通常、水蒸気改質で使用される。
【0004】
本発明は、そのようなすべてのプロセスおよび反応管の設計に適している。ウルマン産業化学事典の、たとえば、2009年4月15日付の出版物、DOI:10.1002/14356007.a10_045.pub2、2006年12月15日付の出版物、DOI:10.1002/14356007.a12_169.pub2、および2000年6月15日付の出版物、DOI:10.1002/14356007.a22_211の記事「エチレン」、「ガス生産」、および「プロペン」は、純粋に説明を目的としてここで参照される。
【0005】
対応する反応器の反応管は、従来、バーナを使用して加熱される。この場合、反応管は、バーナも配置されている燃焼チャンバを通過して送られる。
【0006】
しかしながら、たとえばDE 10 2015 004 121 A1(同様にEP 3 075 704 A1)に記載されているように、たとえば、低減された局所的な二酸化炭素排出の有無に関わらず製造される合成ガスおよび水素の需要は、現在増加している。しかしながら、この需要は、典型的には化石エネルギ担体の燃焼により、燃焼反応器が使用されるプロセスでは満たすことができない。たとえば、コストが高いなどの理由で、他のプロセスは除外される。同じことは、アルカンの水蒸気分解または脱水素によるオレフィンおよび/または他の炭化水素の提供にも当てはまる。そのような場合でも、少なくともその場で排出される二酸化炭素の量が少ないプロセスが望まれる。
【0007】
この背景に対して、前述のDE 10 2015 004 121 A1は、燃焼に加えて、水蒸気改質のための反応器の電気的加熱を提案している。この場合、3つの外部導体に三相交流電圧を供給する1つまたは複数の電圧源が使用される。各外部導体は反応管に接続されている。パイプラインが開口し、反応管が導電的に接続されたコレクタによって、スターポイントが実現されるスター回路が形成される。このようにして、コレクタは理想的には、無電位のままである。鉛直線に対して、コレクタは、燃焼チャンバの下方および外側に配置され、好ましくは反応管に対して横断方向に、すなわち水平に沿って延在する。WO 2015/197181 A1も、反応管が、スターポイント回路に配置された反応器を開示している。
【0008】
原理的には、直流または単相交流によって、反応器の電気的加熱を実行することも考えられる。この場合、無電位のスターポイントを有するスター回路は実現できない。しかしながら、原理的には、電流供給も、同様の方式で実現できる。本発明は、電気的加熱の両方の変形例に適している。
【0009】
DE 23 62 628 A1は、抵抗加熱によって加熱できる金属管内の液体または気体媒体の熱処理のための管状炉を開示しており、ここでは、抵抗加熱によって加熱される管は、加熱される部分の端部にある電気的接続を介して、電流供給ラインに導電的に接続される。
【0010】
US 2014/0238523 A1は、溶融塩用のパイプラインシステムを加熱するためのデバイスに関し、このデバイスは、少なくとも2つのパイプラインを備え、いずれの場合も、これらパイプラインに沿って、電気抵抗加熱素子が延在し、電気抵抗加熱素子は、接地電位に近い電位に設定された少なくとも1つの端部を有し、電気抵抗加熱素子は、直流電源の接続部に、またはいずれの場合も、n相交流電源の相に遠隔接続される。
【0011】
特に、電流の供給は、電流の流れと温度が高いために、そのような電気的に加熱された反応器では困難であることが証明された。したがって、本発明の目的は、化学反応を実行するための、対応する電気的加熱反応器を改良することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】DE 10 2015 004 121 A1
【特許文献2】EP 3 075 704 A1
【特許文献3】WO 2015/197181 A1
【特許文献4】DE 23 62 628 A1
【特許文献5】US 2014/0238523 A1
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】ウルマン産業化学事典、DOI:10.1002/14356007.a10_045.pub2、2009年4月15日
【非特許文献2】ウルマン産業化学事典、DOI:10.1002/14356007.a12_169.pub2、2006年12月15日
【非特許文献3】ウルマン産業化学事典、DOI:10.1002/14356007.a22_211、2000年6月15日
【発明の概要】
【0014】
この背景に対して、本発明は、独立請求項のプリアンブルにしたがって、化学反応を実行するための反応器および方法を提案する。実施形態は、従属請求項および以下の説明の主題である。
【0015】
本発明の基礎である、少なくとも部分的に電化された炉の概念(「炉」という用語は、対応する反応器または少なくともその断熱された反応空間を指すと一般に理解される)において、少なくとも1つの反応管またはその対応する管部分(以下、略して「管」とも呼ばれる)自体が、熱を発生させるための電気抵抗器として使用される。この戦略には、外部電気的加熱素子による間接加熱と比較して効率が高く、達成可能な熱流束密度が高いという利点がある。本発明の範囲は、化学エネルギ担体の燃焼によって炉内で使用される全熱出力の一部を提供する可能性も含む。
【0016】
したがって、本明細書で電気的加熱が言及されたとしても、追加の非電気的加熱の存在を排除しない。特に、電気的加熱および非電気的加熱の寄与が、たとえば、電力の供給および価格、または天然ガスなどの非電気エネルギ担体の供給および価格の関数として、経時的に変化することも考えられる。
【0017】
多相交流で加熱する場合、電流はM個の別々に接続された相を介して、直接加熱された反応管に供給される。M相に接続された導体性反応管は、スターポイントにも電気的に接続されることが有利である。相数Mは特に3であり、従来の三相電流電源または三相電流ネットワークの相数に対応する。しかしながら、原則として、本発明は、3相の使用に限定されず、より多くの相数、たとえば4,5,6,7,または8の相数でも使用できる。これにより、位相オフセットは、特に360°/M、すなわち三相電流に対して120°になる。
【0018】
多相交流を有する電気的加熱システムでは、接続されたパイプラインの電気絶縁を不要にするスターポイントでのスター回路によって、相間の等電位化が達成される。これは、特定の部分を断熱するための金属製反応管の破損は、特に高温が使用され、必要な材料費および建設費が高く、望ましくないため、そのような炉概念の特別な利点を表している。
【0019】
しかしながら、以下に説明する本発明に従って提案された措置は、直流の使用にも同様に適しており、本発明は、交流および直流の両方によって、または対応する混合形式でも加熱される反応器において使用することができる。直流構成の場合、電流電源のタイプと、電流供給、または電流が作用する対応する部分に対向する反応管の領域のみが、交流構成と異なる。後者では、異なる管部分の電気的接続は、任意選択的にのみ実行される。直流構成には無電位のスターポイントがないため、電流の流れを安全に外部に再び戻す、適切な電流放電要素を提供する必要がある。同じことは、原則として単相交流にも当てはまり、これも使用することができる。
【0020】
特許請求の範囲の文言において、本発明は、化学反応を実行するための反応器に関し、この反応器は、以下に詳細に説明するように、反応容器(すなわち、断熱または少なくとも部分的に断熱された領域)および1つまたは複数の反応管を備え、いずれの場合も、1つまたは複数の反応管の多数の管部分が、反応容器内の第1の領域と第2の領域との間に、第1の領域と第2の領域との間の中間領域を通過して延び、管部分の電気的加熱のために、第1の領域内の管部分は、いずれの場合も、1つまたは複数の電流接続に電気的に接続されているか、または接続することができ、直流構成の場合には、1つまたは複数の直流接続に電気的に接続され、単相または多相交流構成の場合には、交流電源の相接続(「外部導体」)に接続される。
【0021】
特に、第1の領域は、直管部分の第1の末端にあり、第2の領域は、第1の末端の反対側にある第2の末端にある。特に、第1の領域は、反応器の上部領域にあり、第2の領域は、反応器の下部領域にあり、またはその逆であってもよい。言い換えれば、第1の領域および第2の領域は、特に反応容器またはその内部の反対側の端部に位置し、第1の領域と第2の領域との間の反応容器の内部は、特に中間領域に対応する。第1の領域は、たとえば、反応容器の一端の内部の末端の5%、10%、または20%を表すか、または含むことができる一方、第2の領域は、反応容器の内部の他の反対側の末端の5%、10%、または20%を表すか、または含むことができる。特に、反応器の動作中、第1の領域は、底部に配置され、第2の領域は、頂部に配置される。
【0022】
前述のように、多相交流構成では、交流電圧はいずれの場合も、相接続を介して供給され、相接続の交流電圧は、上記で説明した方式で位相シフトされる。本発明の範囲内で、たとえば、供給ネットワークまたは適切な発電機および/または変圧器は、多相交流電源として機能することができる。この構成では、管部分は、特にスター回路を形成し、電流供給の反対側に位置するそれぞれの端部、すなわち第2の領域において互いに導電的に結合される。
【0023】
しかしながら、直流構成の場合、同じまたは異なる静電電位が、直流接続を介して供給され、電流抽出要素または電流放電要素が、特にいずれの場合も、電流供給の反対側の端部に設けられる。「供給」および「抽出」という用語は、物理的または技術的な流れ方向を指す場合がある。単相交流電源は、同等の方式で使用される。
【0024】
中間領域では、管部分は特に自由に、すなわち機械的支持なし、電気的接触なし、および/または流体的または純粋に機械的な相互接続なしで反応容器を通過する。管部分は特に、中間領域において実質的にまたは完全に真っ直ぐに延び、ここで「実質的に真っ直ぐ」とは、10°または5°未満の角度偏差が存在することを意味すると理解されるべきである。
【0025】
特に、水蒸気分解における分解反応は、強い吸熱反応である。したがって、直接加熱(オーム抵抗)による反応に必要なエネルギの提供には、反応器の外側に配置された1つまたは複数の変圧器によって前述の反応器の概念で提供される高い電流強度が必要である。
【0026】
電流は、可能な限り低い損失(低い電気抵抗)で、断熱反応器の外部から内部へ、およびプロセス担持領域へ導電されねばならない。後者では、管の内側で非常に急速に流れるプロセス媒体との吸熱反応(高い熱伝達)により、反応管の非常に効果的な冷却、または管の内側での非常に高い熱流束密度が得られる。したがって、少なくとも部分的に電気的に加熱された管材料からプロセスガスへの所望の直接熱伝達が、プロセス担持管内で達成される。
【0027】
特定の問題は、プロセス担持管への高電流の上述の低損失供給に関連する。以下で説明するように、より低温のプロセスガスへの直接対流熱伝達によって冷却できない導体を介して、反応器内の管に電流が供給される場合、そのような供給は必然的に行われねばならない。ここでは、冷却効率の低い領域で、容認できない温度上昇があってはならない。さらに、そのような供給によって、短い経路長内(部分的には1メートル未満)での最大900K(環境と反応器との間の最大温度差)の急激な温度上昇にも打ち勝つ必要がある。
【0028】
熱損失を低減して、高いシステム効率を達成するために、電気的に直接加熱された反応管を、(ここでは、反応容器と呼ばれる)断熱ボックスに配置することが不可欠である。反応容器の断熱壁の貫通中、電流導体は、そのような領域において、許容できないほどの高い局所温度が発生することなく、準断熱ゾーンに打ち勝つ必要がある。
【0029】
本発明によれば、反応器の第1の領域、すなわち、電流供給の領域でそのような目的を達成するために、電流供給構成が提供され、そのおのおのに、管部分または管部分のグループが電気的に接続される。管部分は、いずれかの場合には複数の管部分のうちの1つが、または、いずれかの場合には複数の管部分の1つのグループが、いずれの場合も、電流供給構成のうちの1つに接続され、またその逆も可能であるような数、設けられる。電流供給構成の数は、交流構成の場合には多相交流電源の相接続の数に基づくか、またはそのような数は直流接続の数に対応する。交流構成が使用される場合、相接続の数と同じにすることができるか、またはその整数倍にすることができる。後者の場合、たとえば、電流供給構成のうちの2つを、いずれの場合も、交流電源の相接続のうちの1つなどに接続することができる。
【0030】
電流供給構成はそれぞれ、第1の領域内の管部分のうちの少なくとも1つに隣接し、電流供給構成を通過して延びる1つまたは複数の接触通路を備える。電流供給構成内の1つまたは複数の接触通路は、以下でより詳細に説明するように、電流供給構成内を真っ直ぐに、またはU字形屈曲部の形態で延びることができる。接触通路は、特に、壁で補強された屈曲部として形成される。U字形屈曲部のない反応管は、特に壁で補強されたスリーブである。
【0031】
本発明の範囲内で、電流供給構成内の1つまたは複数の接触通路は、高温耐性方式で管部分に取り付けられて、強固に結合された1つまたは複数の構成要素で、あるいは、いずれの場合も、反応管の一部分または連続部分の形態で形成される。以下に説明するように、すべての実施形態において、構成要素を可能な限り少なくした設計が有利であることが一般的に知られている。
【0032】
前者の場合、反応器内の第1の領域と第2の領域との間に延びる管部分は、1つまたは複数の接触通路が延びる既製の構成要素に溶接することができるか、または、対応する追加の構成要素は反応器内の第1の領域と第2の領域との間に延びる管部分に成型される。後者の場合、一方では、反応器内の第1の領域と第2の領域との間に延び、他方では、それぞれの電流供給構成の接触通路を形成する、連続管を設けることができ、電流供給構成の追加の構成要素は、成型、再成型、または溶接によって提供できる。
【0033】
上記および下記で、電流供給構成が、「いずれの場合も、第1の領域内の管部分の少なくとも1つに隣接する」1つまたは複数の接触通路を含むという事実に言及する場合、これは、電流供給構成の接触通路が、第1の領域と第2の領域との間のそれぞれの管部分とともに、プロセス流体が管部分を通過するための連続チャネルを形成することを意味すると理解される。
【0034】
特に、第1の領域と第2の領域との間のそれぞれの管部分の管内部は、特に、有意な先細りまたは拡大なしに、対応する接触通路内に続き、ここで、「有意な」先細りまたは拡大とは、断面積の10%超の先細りまたは拡大を明示することが意図される。「接触通路」という用語は、本発明の特定の実施形態では、「接触通路」が、第1の領域内の管部分の連続的な延長部であっても、金属構成要素を介して電流接続への導電接続が存在する領域であることを表すために使用される。
【0035】
「高温耐性方式で強固に結合された」という用語は、2つ以上の金属部品が互いに強固に結合され、接続が、500℃から1,500℃、特に600℃から1,200℃、または800℃から1,000℃において永続的であり、すなわち、通常の動作中、そのような温度では分離しない接続のタイプを指定することが意図される。高温耐性的に強固に接着された接続は、特に、接続された部品間に非金属材料が残らないように設計された金属間接続として形成することができる。そのような接続は、特に溶接、成型、または再成型によって生成される。それはまた、接続部品の移行部に構造上の差異が観察されない接続、特に接続のために追加の金属が使用されない接続であり得る。
【0036】
本発明によれば、各電流供給構成の接触通路の壁は、いずれの場合も、反応容器の壁を通過して壁通路において延びる、少なくとも1つの棒状部分を有する電流供給要素に接続されている。反応容器の「壁」は、棒状部分が接触される別の空間への中間壁であってもよく、さらなる壁または複数の壁によって区切られる。棒状部分は、たとえば、ストランドなどとは対照的に、特に、金属などの導電性材料によって一体的である(すなわち、特に平行または絡み合ったワイヤの形態ではない)。棒状部分は、中実または少なくとも部分的に管状に、すなわち中空の棒として形成することができる。棒状部分は、反応容器の壁に垂直な長手方向延長部を有し、長手方向延長部は、反応容器の壁に平行な最大の横断方向延長部の少なくとも2倍、特に少なくとも3倍、4倍、または5倍、たとえば最大10倍の大きさである。棒状部分は、たとえば、断面が円形、楕円形、三角形、または多角形であるように形成することができ、または任意の他の形状を有することができる。
【0037】
電流供給構成の電流供給要素は、それらの棒状部分で接触通路の壁に直接取り付けることができるか、または単一成形によって接触通路内に移行することができる。しかしながら、1つまたは複数の中間要素を設けることもでき、中間要素は、その後、いずれの場合も、電流供給要素の一部を形成する。
【0038】
本発明によれば、加熱される反応管またはその管部分への電流の導入は、好ましくは、局所的なプロセスガス流れに垂直な方向で、プロセス担持管に取り付けられた、すなわち、特にU字形屈曲部の頂点で、または湾曲していない管の場合は管の経路に垂直な、棒状部分を介して行われる。ここで、特に、外側から反応ゾーンにかけて全体的に減少する自由導体断面積が、均質な材料組成を有する棒状部分に存在することができる。これは、棒状部分と、反応管または接触通路への移行領域との両方に関係し、接触通路は、好ましくは、供給物から離れた反応管と比較して、拡大された壁厚を有する。
【0039】
本発明の特に有利な実施形態は、電位Vrms,iの時間的な二乗平均平方根(rms)値がいずれの場合も一定であり、交流電圧源、つまり特に変圧器から異なる距離に配置されている電流供給要素を通過する、絶縁表面を表す任意の2つの断面積S1,S2について、変圧器の近くに位置する断面積S1の時間的な二乗平均電位Vrms,1は、変圧器から離れて位置する断面積S2の時間的な二乗平均電位Vrms,2よりも常に高くなり、Vrms,1>Vrms,2となる。「より近い」および「離れた」という用語は、ここでは、電流電源からそれぞれの断面積への電流の、より短いまたはより長い流路を指す。電位のrms値の使用は、交流電流での反応器の動作を指す。直流動作の場合、説明した関係は、電位の算術的な平均値に適用される。
【0040】
全電流供給(すなわち、接触通路を有する供給要素全体)は、電流電源から異なる距離にあり、Vrms,1>Vrms,2である、説明した2つの任意の断面積S1,S2について、電流電源から離れて位置する断面積S2の表面積A2と、電流電源の近くに位置する断面積S1の表面容量A1との商A2/A1が、最大0.5、特に最大0.9、最大1、最大1.1、または最大2であるように、さらに有利に設計される。特に好ましい実施形態では、そのような任意の領域の対の表面積の商A2/A1は、最大1である。
【0041】
たとえば、製造上の理由から、この好ましい実施形態からの逸脱が生じる可能性があり、その結果、わずかな断面積の増加でさえも局所的に受け入れられることがある。しかしながら、2つの断面積S1およびS2が、それぞれの表面積A1=AmaxおよびA2=Aminの全体的な極値を有する場合、その関係は、常にVrms,1>Vrms,2であることが有利であり、すなわち、断面積が最大の領域は、断面積が最小の領域よりも電流電源に近い。
【0042】
説明したように、材料温度の最適な連続的上昇を確保することができ、ここでは、特に好ましくは反応ゾーンでのみ最大値に達する。本発明の特に有利な実施形態によれば、温度分布に関する仕様として、電流電源から異なる距離においてVrms,1>Vrms,2である、説明した2つの任意の断面積S1およびS2の場合、電流電源のより近くに位置する断面積S1の温度T1と、電流電源から離れて位置する断面積S2の温度T2との温度差T1-T2は、最大-100K、特に最大-10K、最大-1K、最大0K、最大1K、最大10K、または最大100Kであり、面積分布と同様に指定できる。特に好ましい実施形態では、そのような断面積のすべての対の温度差T1-T2は、0K未満である。
【0043】
この仕様は、とりわけ、電流供給の全領域において、-100K、-10K、-1K、0K、1K、10K、または100Kの最大局所温度上昇が、隣接する管部分で発生する最大材料温度に関連して発生するという条件を含む。
【0044】
電流供給要素において、表面積A1=AmaxおよびA2=Aminの全体的な極値を有する断面積S1およびS2の温度T1およびT2の温度差T1-T2は、さらに有利には、最大-500K、最大-200K、最大-100K、最大0K、または最大100Kであり、すなわち、本発明のこの実施形態による最高断面積を有する領域は、変圧器の近くに配置する必要があり、断面積が最小の領域よりも温度が低いか、せいぜいわずかに温度が高いことが望ましい。
【0045】
電流供給要素は、有利には、最初は中実材料の棒として、電流電源の方向から管部分に向かって形成され、管部分の近くに配置された接触通路に至る。接触通路は、比較的薄肉の反応管または被加熱管部分まで、特に肉厚の屈曲部またはシースとして形成できる。
【0046】
本発明の1つの実施形態では、自由導体断面積は有利には、主に連続的または単調に減少する。この実施形態で提供される同一または類似の材料では、電気抵抗は、利用可能な導体面積のみに依存するため、放出されるエネルギの特定の量もこのように着実に増加する。これにより、プロセスガスによって吸収された熱量のみが反応管で効果的に使用されるため、供給されたエネルギが最大限に利用される。
【0047】
本発明の特に有利な実施形態によれば、導体断面の正確な経路は、局所温度および熱伝達条件にさらに適合される。たとえば、反応容器の壁を通過する(絶縁反応器壁を介した有意な熱放散は不可能である)準断熱壁通路の領域において、温度の局所的な上昇を上方に制限できるように、そのような領域における局所的な熱放散を最小値に下げる大きな断面が使用されることが好ましい。言い換えれば、電流供給要素の棒状部分は、有利には、壁通路の領域において、少なくとも1つの残りの領域よりも大きな断面積を有する。後述するように、棒状部分は壁通路内で変位可能に案内されるので、「壁通路の領域内」の棒状部分の領域は、管部分の最大熱膨張時に壁通路内に配置される、少なくとも1つのそのような領域を意味すると理解されるべきである。
【0048】
以下でも説明するように、接触抵抗、少なくとも棒状部分を回避するために、電流供給要素および接触部分は、特に好ましくは、一体構成要素で、たとえば、起立した成型部品の形態で作られる。代わりに、同様に可能である多部品構造の場合、有利には、導体断面および最大局所温度上昇に関して説明された仕様が、接合接続の領域においてさえも維持される、適切な接合方法(たとえば、摩擦溶接)によって保証される。
【0049】
特に有利には、電流供給要素はそれぞれ、電流供給要素のそれぞれの壁通路と、壁通路に最も近く、それぞれの電流供給要素によって電気的に接触される1つまたは複数の接触通路の壁の点との間に、どの点においても10平方センチメートルより小さくなく、有利には、どの点においても30平方センチメートルより小さくなく、特にどの点においても50平方センチメートルより小さくない自由導体断面積を有する。対応して高い導体断面積を使用することにより、抵抗損失のない、特に良好な電流伝達を保証することができる。
【0050】
ここで、自由導体断面積とは、導体性であるように形成された導体の断面積の割合を示すことを意図される。たとえば、管状導体、または溝または空洞を備えた導体の場合、管内部、または溝または空洞の領域は、自由導体断面積として見なさない。対照的に、導電性材料からなる中実導体の場合、この断面積は、導体断面積および自由導体断面積に対応する。
【0051】
有利には、電流供給要素の棒状部分は、いずれの場合も、反応容器の壁を通過するそれらの壁通路内で長手方向に移動可能な方式で案内される。このようにして保証される移動の自由度は、反応管の機械的挙動にとって特に有利であり、反応管の機械的挙動は、反応器の動作中の数デシメートルの管の熱膨張によって主に支配される。移動の自由により、剛性固定の場合に発生する反応管の曲げ荷重が低減される。一方、後述するように、反応管は、第2の領域において、反応器のルーフ上の剛性スターブリッジに固定することができ、このようにして、電流供給要素の棒状部分の対応する長手方向の可動性がある場合でも、安定したサスペンションが提供される。十分に高い導体断面積を有するそれらの有利な寸法により、電流供給要素の棒状部分は、反応管の確実な横断方向の案内を保証する。
【0052】
本発明によって反応器内で実行される反応は、高温を必要とするので、第1の領域における電気的接続は、水蒸気分解のために、たとえば約900℃の高温範囲で実施されねばならない。これは、適切な材料と、それらの適切な寸法とを選択することにより、本発明によって提案された措置によって可能である。同時に、この接続は、高温での、高い電気伝導性と、高い機械的安定性および信頼性を有することが意図される。電気的接続の故障は、スターポイントにおける非対称電位をもたらし、その結果、システム部品に望ましくない電流が流れるため、システムの安全関連の瞬間的なシャットダウンにつながる。本発明は、そのような状況を回避することにより、従来技術に勝る利点を提供する。
【0053】
本発明によって提供される反応容器内での管部分の接触は、反応管を反応容器から引き出さねばならない、理論的に同様に可能な反応容器の外側での接触と比較して、電気熱入力の断面積が明確に定義されるという利点を有する。なぜなら、この場合、電気的に加熱された管部分を、暖かい内部から、冷たい外部に導く必要がないためである。本発明による接触により、反応容器内に管部分が完全に配置されることにより、電気的に加熱された管部分の空間に関して、高度に均一な外部熱境界条件を達成することができる。これにより、プロセス工学上の利点が得られ、たとえば、加熱され、外部から断熱された通路で予想される、過剰なコークス形成を回避できる。
【0054】
反応容器の外側で、電流供給要素の棒状部分は、たとえば、バスバーや接続バンドなどの接続要素によって、変圧器システムに電気的に接続することができる。接続バンドおよびバスバーは、異なる材料で作ることができる。これに関連して、そのような接続要素は、特に可撓性を有するように形成することができる。なぜなら、反応容器の外側は、より低い温度にあるからである。特に変圧器システムの一次側には、高電圧および低電流が存在するため、スイッチングデバイスを取り付けることができる。
【0055】
本発明の範囲内で、電流供給要素、接触通路、および管部分は、同じ材料から、または(業界で通例であるように、材料定数の観点での)電気伝導率が、50%以下、30%以下、10%以下互いに異なる、または有利には、同じである材料から形成されてもよい。たとえば、言及された構成要素は、同じ鋼種の鋼から形成することもできる。同じまたは密接に関連する材料を使用すると、成型または溶接が容易になる。
【0056】
好ましい実施形態では、電流供給要素、接触通路、および管部分は、高い耐酸化性または耐スケール性および耐浸炭性を有する耐熱クロムニッケル鋼合金を有するか、またはそれから形成される。
【0057】
たとえば、耐熱クロムニッケル鋼合金は、0.1から0.5重量%の炭素、20から50重量%のクロム、20から80重量%のニッケル、0から2重量%のニオブ、0から3重量%のケイ素、0から5%のタングステン、および0から1重量%の他の成分を含む鉄系材料であり得、これらの成分は、互いに補完して非鉄画分を形成する。
【0058】
たとえば、標準名称GX40CrNiSi25-20、GX40NiCrSiNb35-25、GX45NiCrSiNbTi35-25、GX35CrNiSiNb24-24、GX45NiCrSi35-25、GX43NiCrWSi35-25-4、GX10NiCrNb32-20、GX50CrNiSi30-30、G-NiCr28W、G-NiCrCoW、GX45NiCrSiNb45-35、GX13NiCrNb45-35、GX13NiCrNb37-25、またはGX55NiCrWZr33-30-04の材料を、DIN EN 10027パート1、「材料」にしたがって使用できる。これらは、高温での使用に特に適していることが証明されている。
【0059】
上記で説明したすべての場合において、接続要素および管部分は、同じ材料から、または(業界で通例であるように、材料定数の観点での)電気伝導率が、50%以下、30%以下、10%以下互いに異なる、または有利には、同じである材料から形成されてもよい。たとえば、接続要素および管部分は、同じ鋼種の鋼から形成することもできる。同一または密接に関連する材料の使用は、たとえば成型または溶接によって、接続要素および管部分の一体設計を容易にすることができる。
【0060】
第2の領域では、反応容器内のすべての管部分は、多相交流によって加熱されると、剛性接続要素(「スターブリッジ」)によって互いに導電的に接続することができるか、またはそのような接続は、複数の剛性接続要素によってグループで行われる。
【0061】
この場合、すなわち、多相交流による加熱の場合、導電接続は、説明したように、第1の領域に接続された相の少なくとも広範な等電位化が生じるように行われる。1つまたは複数の接続要素は、特に、従来技術から知られ、反応器の外側に配置されたコレクタとは対照的に、非流体収集および非流体分配方式で、接続された管部分を結合する。説明した本発明の実施形態で提案された反応容器内の等電位化は、電位がほぼ完全になくなるか、または中性導体を介した電流の戻りが大幅に減少するという利点を有する。その結果、プロセスシステムの他の部分への、ヘッダ接続を介した電流散逸が最小限に抑えられ、高レベルの衝撃保護を実現する。これに関連して、空間に関して高度に均一である外部熱境界条件の利点は、等電位化のために必要とされる、反応容器の壁を通過する反応容器の外側の反応管の案内とは対照的に適用され、プロセス関連の利点は、すでに上記で説明した。
【0062】
全体として、長手方向に案内された電流供給要素を介した、説明された電流供給と組み合わされた対応するスター回路の実現は、主に高い熱膨張率から生じる応力に耐える、同時に安定的な固定を伴う効率的な通電を可能にする設計を作り出す。
【0063】
これは、直流または単相交流によって、本発明により可能である加熱にも同様に適用され、この場合、前述のように、反応器内にスターポイントは存在しない。それにも関わらず、反応管は、本発明により提供される電流供給要素により、応力を発生させることなく、実質的に自由に膨張できるので、電流供給の反対側の端部に剛性構成を提供できる。したがって、電流供給とは反対側の反応管の端部に剛性構成を設けることができるが、必要に応じて、本発明による電流供給要素に対応する要素も、ここに設けることができる。しかしながら、いずれにせよ、可動構成は、省略できる。
【0064】
本発明はまず、水蒸気分解に使用される反応管および反応器を参照して以下に説明される。しかしながら、後で説明するように、本発明は、後述するように、他のタイプの反応器にも使用することができる。一般に、前述したように、本発明により提案される反応器は、任意の吸熱化学反応を行うために使用することができる。
【0065】
水蒸気分解に典型的に使用される反応管は、典型的には、少なくとも1つのU字形屈曲部を有する。たとえば、これらは、いわゆる2通路コイルとできる。これらは、反応容器内に2つの管部分を有し、(正確に)1つのU字形屈曲部を介して互いに交わるので、基本的に(細長い)U字形状を有する。反応容器に出入りする部分、特にシームレスに、または流れに関連する移行なしに、加熱された管部分に入る部分は、ここでは(以下に説明する反応管をも参照して)「供給部分」および「抽出部分」と呼ばれる。そのような反応管は常に複数存在する。
【0066】
したがって、この実施形態では、反応器は、いずれの場合も、管部分が、反応容器内に少なくとも部分的に並んで配置された複数の反応管の2つの管部分を備えるように形成することができ、いずれの場合も、複数の反応管の2つの管部分は、U字形屈曲部を介して、いずれの場合も、第1の領域で互いに通過する。特に、前述のように、いずれの場合も、第2の領域における2つの管部分のうちの1つは、供給部分に接続され、いずれの場合も、第2の領域における2つの管部分の残りは、抽出部分に接続される。
【0067】
この場合、電流供給構成内の1つまたは複数の接触通路は、U字形屈曲部を備えるか、または表すことができる。U字形屈曲部を有する複数の反応管が存在するので、対応する数のU字形屈曲部が存在する場合、それぞれの電流供給構成のおのおのに複数のU字形屈曲部を設けることもでき、このようにして電流接続に接続される。このようにして、機械的固定を改善することができ、構成要素の数を低減することができる。しかしながら、その代わりに、複数のU字形屈曲部が電流接続を介して通電される場合でさえも、たとえば、異なる熱膨張を有する可能性のある電流供給要素の個々の長手方向の可動性を確保するために、いずれの場合も、U字形屈曲部ごとに1つの電流供給構成を提供することも可能である。
【0068】
説明した本発明の実施形態は、2つの供給部分と1つの抽出部分とを有する反応管が使用される場合にも適用することができる。そのような反応管では、2つの供給部分が、それぞれ1つの管部分に接続される。抽出部分は、管部分にも接続される。供給部分に接続された管部分は、典型的なY字形の接続領域で抽出部分に接続された管部分と交わる。供給部分に接続された管部分と、抽出部分に接続された管部分との両方が、それぞれ1つまたは複数のU字形屈曲部を有していても、まったく有していなくてもよい。
【0069】
たとえば、図7Cに示されるような反応管を使用することができる。これら反応管では、供給部分に接続された管部分には、U字形屈曲部がないが、抽出部分に接続された管部分には、U字形屈曲部がある。
【0070】
しかしながら、図7Bに示されるような反応管もまた使用され得る。これら反応管では、供給部分に接続された管部分は、おのおの1つのU字形屈曲部を有し、抽出部分に接続された管部分は、2つのU字形屈曲部を有する。
【0071】
図7Aに示されるような反応管の使用さえも可能である。これら反応管では、供給部分に接続された管部分は、おのおの3つのU字形屈曲部を有し、抽出部分に接続された管部分は、2つのU字形屈曲部を有する。
【0072】
しかしながら、2通路コイルに関して上述した実施形態に加えて、いわゆる4通路コイルとともに使用するのに適した実施形態も使用することができる。4通路コイルは、4つの本質的な直管部分を有する。しかしながら、より多くの偶数の直管部分を有する構成も可能である。
【0073】
より一般的に言えば、対応して設計された反応器は、1つまたは複数の反応管を備え、それぞれの反応管は、多数のU字形屈曲部を介して互いに直列に接続された偶数の4つ以上の管部分を有し、U字形屈曲部の数は、U字形屈曲部を介して互いに直列に接続された管部分の数よりも1つ少なく、U字形屈曲部は、第1の領域の第1のU字形屈曲部から開始して、第1および第2の領域に交互に配置される。
【0074】
ここで、「U字形屈曲部」は、特に、部分円形または部分楕円形、特に半円形または半楕円形の管屈曲部を備える管部分または管構成要素を意味すると理解される。始点と終点は、特に1つの平面で互いに隣り合っている切断面を有する。
【0075】
U字形屈曲部のおのおのは、反応容器内の第1の領域に配置され、それに応じて通電されるのであれば、本発明による電流供給構成における接触通路の形態で設計することができ、またはそのような接触通路の一部を表すことができる。
【0076】
上述したように、対応する反応器は、特に、対応する耐熱材料の選択および反応管の幾何学的構成によって、特に水蒸気分解用の反応器として設計することができる。
【0077】
典型的には水蒸気改質に使用される反応管は、典型的には反応容器内にU字形屈曲部を有していない。この場合、管部分はそれぞれ、複数の反応管からなる管部分を備えることができ、反応容器内の管部分は、流体的に連通されていない方式で、少なくとも部分的に並んで配置され、いずれの場合も、第1の領域における流体のための供給部分、および第2の領域における流体のための抽出部分に接続されている。流体の供給部分および抽出部分は、特に管部分と同じ方向に延在するか、または、接続された管部分内の流体の流れに対して15°を超えて偏向する流体の流れを生じさせない。供給部分および抽出部分は、特に同様に、管部分と一体的に、すなわち、特に同じ管の形態で形成される。特に、反応管はまた、水蒸気改質のための適切な触媒を備えていてもよい。
【0078】
この実施形態では、本発明による電流供給構成の接触通路は、直管部分またはチャネルを表す。ここで、電流供給要素は、特にスリーブ方式で、第2の領域で反応管に取り付けることができる。
【0079】
すべての場合において、電流供給要素と接触通路、および任意選択的に管部分も、可能な限り少数の個々の部品から形成することによって、金属間接続(たとえば、溶接またははんだ付け接続)の数を低減できるか、あるいは完全になくすことさえもできる。これにより、機械的安定性および信頼性を高めることができる。特に有利な実施形態では、電流供給要素および接触通路はそれぞれ、単一の成型物として実施することができるか、または前述のように、プロセス担持管の一部を再成型することができ、および/またはプロセス担持管の一部を、対応する成型物の一体部分として形成できる。
【0080】
本発明の範囲内で低減される金属間接続または金属遷移は、電気抵抗の局所的変化、したがってホットスポットをもたらす可能性がある。ホットスポットは、局所温度の上昇や、急激な局所温度勾配による機械的応力のピークにより、耐用年数の短縮につながる。これは、本発明の範囲内で回避される。
【0081】
できるだけ多くの構成要素の一体設計は、機械的安定性、信頼性、および個々の構成要素の低減をもたらす。前述のように、故障は安全上の重大な状況につながる可能性があるため、高度な機械的安定性が望ましい。本発明の観点において記載された実施形態によって、スター回路において多相交流で抵抗加熱される反応管の原理は、高温範囲、すなわち特に500℃超、600℃超、700℃超、または800℃超で技術的に実現可能である。
【0082】
本発明はまた、反応容器および1つまたは複数の反応管を有する反応器を使用して化学反応を実行するための方法に関し、1つまたは複数の反応管の多数の管部分は、いずれの場合も、反応容器における第1の領域と第2の領域との間に延び、管部分を加熱するための第1の領域はそれぞれ、電流電源の1つまたは複数の電流接続に電気的に接続される。
【0083】
本発明によれば、第1の領域に、いずれかの場合には管部分のうちの1つが、またはいずれの場合には管部分の1つのグループが、電気的に接続される、電流供給構成を有する反応器が使用され、電流供給構成はそれぞれ、いずれの場合も、第1の領域内の管部分のうちの少なくとも1つと接触する1つまたは複数の接触通路を備え、接触通路の壁は、いずれの場合も、少なくとも1つの棒状部分を有する電流供給要素に接続され、棒状部分はいずれの場合も、反応容器の壁を通過して壁通路において延びる。
【0084】
前述の本発明の実施形態のうちの1つの実施形態による反応器が有利に使用される、対応する方法のさらなる特徴および利点については、上記の説明を参照されたい。
【0085】
本発明は、従来技術を参照および比較して、本発明の実施形態を示す添付の図面を参照して以下にさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0086】
図1図1は、本発明によらない実施形態による、化学反応を実行するための反応器の概略図である。
図2図2は、本発明の実施形態による、化学反応を実行するための反応器の概略図である。
図3図3は、本発明のさらなる実施形態による、化学反応を実行するための反応器の概略図である。
図4図4は、本発明の実施形態による、電流供給構成を有する反応器の概略図である。
図5A図5Aは、本発明の実施形態による、反応器で使用するための反応管を示す図である。
図5B図5Bは、本発明の実施形態による、反応器で使用するための反応管の対応する配置を示す図である。
図5C図5Cは、本発明の実施形態による、反応器で使用するための反応管の対応する配置を示す図である。
図6A図6Aは、本発明の実施形態による、反応器で使用するための反応管を示す図である。
図6B図6Bは、本発明の実施形態による、反応器で使用するための反応管の対応する配置を示す図である。
図7A図7Aは、本発明の実施形態による、反応器で使用するためのさらなる反応管を示す図である。
図7B図7Bは、本発明の実施形態による、反応器で使用するためのさらなる反応管を示す図である。
図7C図7Cは、本発明の実施形態による、反応器で使用するためのさらなる反応管を示す図である。
図8図8は、本発明の実施形態による、電流供給構成における熱的パラメータおよび電気的パラメータの値を示す図である。
図9図9は、本発明の実施形態による、電流供給構成を有する反応器を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0087】
以下の図において、機能的または構造的に互いに対応する要素は、同一の参照符号によって示され、明確にするために繰り返し説明されない。デバイスの構成要素が以下で説明される場合、対応する説明は、いずれの場合も、それによって実行される方法にも関連し、その逆も同様である。図の説明は、繰り返し交流加熱に言及している。しかしながら、言及したように、本発明はまた、加熱のための直流の使用にも同様に適している。ここでは、上記の説明が参照される。
【0088】
図1は、本発明によらない実施形態による、化学反応を実行するための反応器を概略的に示す。
【0089】
ここで、300で示される反応器は、化学反応を実行するように設定される。この目的のために、反応器は特に、断熱された反応容器10および反応管20を有し、ここでは2つの場合のみ21で示される反応管20の多数の管部分は、それぞれ反応容器10内の第1のゾーン11’と、第2のゾーン12’との間に延びる。図2を参照して以下でより詳細に説明される反応管20は、適切なサスペンション13によって反応容器の天井または支持構造に取り付けられる。下部領域では、反応容器は特に炉(図示せず)を有することができる。言うまでもなく、いずれの場合も、ここおよびその後に複数の反応管を設けることができる。
【0090】
図2は、本発明の実施形態による、化学反応を実行するための、全体が100で示された反応器を概略的に示す。
【0091】
以前に11’および12’によって指定されたゾーンは、ここでは領域11および12の形態をとり、第1の領域11内の管部分21を加熱するための管部分21は、多相交流電源50の相接続(U,V,W)にそれぞれ電気的に接続することができる。スイッチなどの特定のタイプの接続は図示されていない。
【0092】
ここに示される本発明の実施形態では、管部分21は、1つまたは複数の反応管20に一体的に接続され、反応容器10内に配置された接続要素30によって、第2の領域12において互いに導電的に接続される。中性導体を接続することもできる。
【0093】
したがって、ここに示される反応器100では、(そのような反応管20は複数設けられてもよいが、)反応管20の複数の管部分21が、反応容器10内に並んで配置される。管部分21は、(部分的にのみ示されている)U字形屈曲部23を介して互いに交わり、供給部分24および抽出部分25に接続される。
【0094】
第1の領域11には、U字形屈曲部23の第1のグループ(図中下側)が並んで配置され、第2の領域12には、U字形屈曲部23の第2のグループ(図中上側)が並んで配置される。第2のグループのU字形屈曲部23は、接続要素30に形成され、管部分21は、第2の領域12における接続要素30から第1の領域11まで延在する。
【0095】
本発明の範囲内で、接続要素30の使用は、任意選択的であるが有利である。しかしながら、以下に説明する本発明の実施形態は、特に、第1の領域11に電流を供給するための手段の実施形態に関する。これは、電流供給要素41を使用することによって実行され、電流供給要素は、ここでは非常に簡略化して図示されており、そのうちの1つだけが示されている。
【0096】
図3は、本発明の実施形態による、化学反応を実行するための反応器を概略的に示しており、全体が200で示されている。
【0097】
反応器200において、ここでは対照的に22で示される管部分はそれぞれ、複数の反応管20からなる管部分22を備え、管部分22は、反応容器10内に、流体的に連通されない方式で並んで配置され、供給部分24および抽出部分25にそれぞれ接続される。残りの要素については、以前の図に関する上記の説明に、明示的に参照される。
【0098】
次に、本発明の範囲内で、接続要素30の使用は、任意選択的であるが有利である。ここでも、電流供給要素41は非常に簡略化して示されている。電流供給要素は、反応管20または管部分の周りの第1の領域11に配置されるスリーブ状の領域49を有することができる。
【0099】
図4は、たとえば図2による、反応器100の第1の領域11の詳細図を示しており、第1の領域11には電流供給構成40が配置され、電流供給構成には反応管20が接続され、ここで、断面で示されている反応管の管部分21は、U字形屈曲部23を介して互いに合流している。
【0100】
ここで、U字形屈曲部23は、補強壁を有する接触通路42内に形成され、接触通路は、第1の領域11内の2つの管部分21に隣接する。接触通路42の壁、したがってU字形屈曲部23の壁は、全体として41で示される前述の電流供給要素に接続され、この電流供給要素は、ここでは破線の間に示されているように、いずれの場合も、反応容器10の壁14を通過して壁通路15において延びる棒状部分43を有する。ここで、壁通路15は、幅を誇張して示されている。棒状部分は、長手方向に移動可能なように壁通路15内に収容され、たとえば、適切な断熱材16で覆われる。
【0101】
任意選択的に、本発明にとって必須ではないが、棒状部分43の長手方向の可動性にも関わらず、環境に対する反応容器10の気密シールを保証するために、ベローズ構成44を、反応容器10の壁14の外側に設けることができる。
【0102】
図示される例では、追加の棒状部分45が棒状部分43に隣接しており、その部分の温度は、反応容器10からの距離が増すにつれて次第に低下する。追加の棒状部分は電流供給ピン46に合流し、これに、たとえば2つのバスバーまたはストランドが取り付けられて、相U,V,W、または、直流電源または単相の交流電源の、対応する電流接続を接続する。
【0103】
分解炉では、一般に6通路コイルと呼ばれ、2つの180°屈曲部、すなわち、第2の領域12の上または中のU字形屈曲部23と、3つの180°屈曲部、すなわち、第1の領域11の下または中のU字形屈曲部23(後者は、対応する電流供給構成を有する)とを有する6つの直管部分21を備える、図1および図2に以前に示した反応管20に加えて、より少ない通路を有する変形例も使用される。たとえば、いわゆる2通路コイルは、直管部分21を2つだけ有し、180°屈曲部またはU字形屈曲部23を1つだけ有する。電気的加熱に適用する場合、この変形例は、6通路分解炉(図1および図2)と改質炉(U字形屈曲部23のない反応管を有する図3)との組合せと見なすことができる。
【0104】
電流は、いずれの場合も、下部(または唯一)のU字形屈曲部で、反応管21ごとに1つの点で供給することができる。いずれの場合も、M個の反応管は、360°/Mの位相シフトで、共通の接続要素30を用いて互いに電気的に結合することができる。第1の代替案では、特に大きな接続要素30を、コイルパッケージごとに、またはいずれの場合も考慮されるすべての反応管20に対して使用することができる。しかしながら、第2の代替案では、2つの、より小さいサイズの接続要素30の使用も可能である。
【0105】
説明した第1の代替案を図5Bに示し、説明した第2の代替案を、管部分21を通過する断面図で図5Cに示し、ここでは、対応する反応管20が、図5Bおよび図5Cにおける図に垂直な図で図5Aに示される。対応する要素の指定については、図1を参照されたい。言うまでもなく、一方では、恐らくは、配置されたU字形屈曲部23を備え、他方では、他のU字形屈曲部23を備えた、相U,V,Wへの接続を有する接続要素30は、(ここでは非常に簡略化して示されている)電流供給構成40を介して、反応器の第1の領域11および第2の領域12に対応する異なる平面に配置される。本発明の範囲内の接続要素30の存在および配置は、純粋に任意選択的または恣意的であることを再度強調しておくべきである。
【0106】
この概念は、この場合、1つ、2つ、または4つのスターブリッジまたは接続要素30を備えた、4つの通路または管部分21(いわゆる4通路コイル)を有するコイルまたは反応管20に対応して適用することもできる。対応する例が図6Aおよび図6Bに示され、4つの接続要素3が、図6Bに示されている。より良い説明のために、ここではU字形屈曲部23を破線(反応器の第2の領域12におけるU字形屈曲部)および実線(第1の領域11におけるU字形屈曲部)で示す。明確にするために、要素には参照符号が部分的にしか与えられていない。
【0107】
既に図7Aから図7Cを参照したが、これらは、本発明の実施形態による反応器で使用するためのさらなる反応管を示している。反応管および管部分は、参照符号が付されている場合にのみここに示されている。供給部分および抽出部分は、示されている流れの矢印から推測できる。特に数回存在することができ、上記で説明した方式で形成することができる電流供給構成40は、破線によって非常に簡略化して示されている。
【0108】
図8は、本発明の特に好ましい実施形態による電流供給構成40における熱的および電気的パラメータの値を示し、横座標は、指定された要素46(電流供給ピン)、43および45(棒状要素)、42(接触通路)、21,22(管部分)の時間二乗平均電位(rms値)の値を示し、縦座標は、断面または絶縁面および対応する表面積の平均温度を示す。グラフ101(実線)は断面積の平均温度を示し、グラフ102(破線)は表面積を示す。
【0109】
図から分かるように、平均温度101は上昇し、特に断面積の急速な減少により、接触通路42と管部分21,22との間の中間ゾーンでジャンプを示す。破線領域101aまたは一点鎖線領域102aで示されるように、限定された局所温度上昇および断面拡張が、壁通路15の領域に存在できる。
【0110】
図9は、反応器200の第1の領域11の詳細図を示しており、いずれの場合にも、示される要素は、図4に関連して既に説明されている。しかしながら、図4とは対照的に、ここでは反応管20はU字形屈曲部を有しておらず、管部分21は共通の中心軸に沿って配置されている。湾曲していない移行領域は23aで示されている。たとえば、図3による反応器200におけるスリーブの代わりに、対応する実施形態を使用できる。
【0111】
ここでも同様に、移行領域23aは、第1の領域11における2つの管部分21に隣接する補強壁を有する接触通路42内に形成される。詳細については、図4を参照されたい。ここでは、壁通路15はまた、幅を誇張して示されている。ここでも同様に、棒状部分は、長手方向に移動可能なように壁通路15内に収容され、たとえば、適切な断熱材16で覆われる。しかしながら、壁通路15は、特に、さらなる移動オプションを作るために、ここに示した図とはかけ離れた、異なる構成を有することもできる。これはまた、任意選択のベローズ構成44に関する。
図1
図2
図3
図4
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-01-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項のプリアンブルにしたがって、化学反応を実行するための反応器および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学工業における多くのプロセスにおいて、1つまたは複数の反応物が、加熱された反応管を通過し、そこで、触媒的または非触媒的に反応する、反応器が使用される。加熱は特に、進行中の化学反応に必要な活性化エネルギに打ち勝つのに役立つ。この反応は、全体として吸熱的に、または活性化エネルギに打ち勝った後、発熱的に進行する可能性がある。本発明は、特に、強い吸熱反応に関する。
【0003】
そのようなプロセスの例は、水蒸気分解、種々の改質プロセス、特に水蒸気改質、乾式改質(二酸化炭素改質)、混合改質プロセス、アルカンの脱水素プロセスなどである。水蒸気分解の間、反応管は、反応器内に少なくとも1つのU字形屈曲部を有することができるコイルの形態で反応器を通過して案内されるが、U字形屈曲部のない反応器を通過する管は通常、水蒸気改質で使用される。
【0004】
本発明は、そのようなすべてのプロセスおよび反応管の設計に適している。ウルマン産業化学事典の、たとえば、2009年4月15日付の出版物、DOI:10.1002/14356007.a10_045.pub2、2006年12月15日付の出版物、DOI:10.1002/14356007.a12_169.pub2、および2000年6月15日付の出版物、DOI:10.1002/14356007.a22_211の記事「エチレン」、「ガス生産」、および「プロペン」は、純粋に説明を目的としてここで参照される。
【0005】
対応する反応器の反応管は、従来、バーナを使用して加熱される。この場合、反応管は、バーナも配置されている燃焼チャンバを通過して送られる。
【0006】
しかしながら、たとえばDE 10 2015 004 121 A1(同様にEP 3 075 704 A1)に記載されているように、たとえば、低減された局所的な二酸化炭素排出の有無に関わらず製造される合成ガスおよび水素の需要は、現在増加している。しかしながら、この需要は、典型的には化石エネルギ担体の燃焼により、燃焼反応器が使用されるプロセスでは満たすことができない。たとえば、コストが高いなどの理由で、他のプロセスは除外される。同じことは、アルカンの水蒸気分解または脱水素によるオレフィンおよび/または他の炭化水素の提供にも当てはまる。そのような場合でも、少なくともその場で排出される二酸化炭素の量が少ないプロセスが望まれる。
【0007】
この背景に対して、前述のDE 10 2015 004 121 A1は、燃焼に加えて、水蒸気改質のための反応器の電気的加熱を提案している。この場合、3つの外部導体に三相交流電圧を供給する1つまたは複数の電圧源が使用される。各外部導体は反応管に接続されている。パイプラインが開口し、反応管が導電的に接続されたコレクタによって、スターポイントが実現されるスター回路が形成される。このようにして、コレクタは理想的には、無電位のままである。鉛直線に対して、コレクタは、燃焼チャンバの下方および外側に配置され、好ましくは反応管に対して横断方向に、すなわち水平に沿って延在する。WO 2015/197181 A1も、反応管が、スターポイント回路に配置された反応器を開示している。
【0008】
原理的には、直流または単相交流によって、反応器の電気的加熱を実行することも考えられる。この場合、無電位のスターポイントを有するスター回路は実現できない。しかしながら、原理的には、電流供給も、同様の方式で実現できる。本発明は、電気的加熱の両方の変形例に適している。
【0009】
DE 23 62 628 A1は、抵抗加熱によって加熱できる金属管内の液体または気体媒体の熱処理のための管状炉を開示しており、ここでは、抵抗加熱によって加熱される管は、加熱される部分の端部にある電気的接続を介して、電流供給ラインに導電的に接続される。
【0010】
US 2014/0238523 A1は、溶融塩用のパイプラインシステムを加熱するためのデバイスに関し、このデバイスは、少なくとも2つのパイプラインを備え、いずれの場合も、これらパイプラインに沿って、電気抵抗加熱素子が延在し、電気抵抗加熱素子は、接地電位に近い電位に設定された少なくとも1つの端部を有し、電気抵抗加熱素子は、直流電源の接続部に、またはいずれの場合も、n相交流電源の相に遠隔接続される。
【0011】
特に、電流の供給は、電流の流れと温度が高いために、そのような電気的に加熱された反応器では困難であることが証明された。したがって、本発明の目的は、化学反応を実行するための、対応する電気的加熱反応器を改良することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】DE 10 2015 004 121 A1
【特許文献2】EP 3 075 704 A1
【特許文献3】WO 2015/197181 A1
【特許文献4】DE 23 62 628 A1
【特許文献5】US 2014/0238523 A1
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】ウルマン産業化学事典、DOI:10.1002/14356007.a10_045.pub2、2009年4月15日
【非特許文献2】ウルマン産業化学事典、DOI:10.1002/14356007.a12_169.pub2、2006年12月15日
【非特許文献3】ウルマン産業化学事典、DOI:10.1002/14356007.a22_211、2000年6月15日
【発明の概要】
【0014】
この背景に対して、本発明は、独立請求項のプリアンブルにしたがって、化学反応を実行するための反応器および方法を提案する。実施形態は、従属請求項および以下の説明の主題である。
【0015】
本発明の基礎である、少なくとも部分的に電化された炉の概念(「炉」という用語は、対応する反応器または少なくともその断熱された反応空間を指すと一般に理解される)において、少なくとも1つの反応管またはその対応する管部分(以下、略して「管」とも呼ばれる)自体が、熱を発生させるための電気抵抗器として使用される。この戦略には、外部電気的加熱素子による間接加熱と比較して効率が高く、達成可能な熱流束密度が高いという利点がある。本発明の範囲は、化学エネルギ担体の燃焼によって炉内で使用される全熱出力の一部を提供する可能性も含む。
【0016】
したがって、本明細書で電気的加熱が言及されたとしても、追加の非電気的加熱の存在を排除しない。特に、電気的加熱および非電気的加熱の寄与が、たとえば、電力の供給および価格、または天然ガスなどの非電気エネルギ担体の供給および価格の関数として、経時的に変化することも考えられる。
【0017】
多相交流で加熱する場合、電流はM個の別々に接続された相を介して、直接加熱された反応管に供給される。M相に接続された導体性反応管は、スターポイントにも電気的に接続されることが有利である。相数Mは特に3であり、従来の三相電流電源または三相電流ネットワークの相数に対応する。しかしながら、原則として、本発明は、3相の使用に限定されず、より多くの相数、たとえば4,5,6,7,または8の相数でも使用できる。これにより、位相オフセットは、特に360°/M、すなわち三相電流に対して120°になる。
【0018】
多相交流を有する電気的加熱システムでは、接続されたパイプラインの電気絶縁を不要にするスターポイントでのスター回路によって、相間の等電位化が達成される。これは、特定の部分を断熱するための金属製反応管の破損は、特に高温が使用され、必要な材料費および建設費が高く、望ましくないため、そのような炉概念の特別な利点を表している。
【0019】
しかしながら、以下に説明する本発明に従って提案された措置は、直流の使用にも同様に適しており、本発明は、交流および直流の両方によって、または対応する混合形式でも加熱される反応器において使用することができる。直流構成の場合、電流電源のタイプと、電流供給、または電流が作用する対応する部分に対向する反応管の領域のみが、交流構成と異なる。後者では、異なる管部分の電気的接続は、任意選択的にのみ実行される。直流構成には無電位のスターポイントがないため、電流の流れを安全に外部に再び戻す、適切な電流放電要素を提供する必要がある。同じことは、原則として単相交流にも当てはまり、これも使用することができる。
【0020】
特許請求の範囲の文言において、本発明は、化学反応を実行するための反応器に関し、この反応器は、以下に詳細に説明するように、反応容器(すなわち、断熱または少なくとも部分的に断熱された領域)および1つまたは複数の反応管を備え、いずれの場合も、1つまたは複数の反応管の多数の管部分が、反応容器内の第1の領域と第2の領域との間に、第1の領域と第2の領域との間の中間領域を通過して延び、管部分の電気的加熱のために、第1の領域内の管部分は、いずれの場合も、1つまたは複数の電流接続に電気的に接続されているか、または接続することができ、直流構成の場合には、1つまたは複数の直流接続に電気的に接続され、単相または多相交流構成の場合には、交流電源の相接続(「外部導体」)に接続される。
【0021】
特に、第1の領域は、直管部分の第1の末端にあり、第2の領域は、第1の末端の反対側にある第2の末端にある。特に、第1の領域は、反応器の上部領域にあり、第2の領域は、反応器の下部領域にあり、またはその逆であってもよい。言い換えれば、第1の領域および第2の領域は、特に反応容器またはその内部の反対側の端部に位置し、第1の領域と第2の領域との間の反応容器の内部は、特に中間領域に対応する。第1の領域は、たとえば、反応容器の一端の内部の末端の5%、10%、または20%を表すか、または含むことができる一方、第2の領域は、反応容器の内部の他の反対側の末端の5%、10%、または20%を表すか、または含むことができる。特に、反応器の動作中、第1の領域は、底部に配置され、第2の領域は、頂部に配置される。
【0022】
前述のように、多相交流構成では、交流電圧はいずれの場合も、相接続を介して供給され、相接続の交流電圧は、上記で説明した方式で位相シフトされる。本発明の範囲内で、たとえば、供給ネットワークまたは適切な発電機および/または変圧器は、多相交流電源として機能することができる。この構成では、管部分は、特にスター回路を形成し、電流供給の反対側に位置するそれぞれの端部、すなわち第2の領域において互いに導電的に結合される。
【0023】
しかしながら、直流構成の場合、同じまたは異なる静電電位が、直流接続を介して供給され、電流抽出要素または電流放電要素が、特にいずれの場合も、電流供給の反対側の端部に設けられる。「供給」および「抽出」という用語は、物理的または技術的な流れ方向を指す場合がある。単相交流電源は、同等の方式で使用される。
【0024】
中間領域では、管部分は特に自由に、すなわち機械的支持なし、電気的接触なし、および/または流体的または純粋に機械的な相互接続なしで反応容器を通過する。管部分は特に、中間領域において実質的にまたは完全に真っ直ぐに延び、ここで「実質的に真っ直ぐ」とは、10°または5°未満の角度偏差が存在することを意味すると理解されるべきである。
【0025】
特に、水蒸気分解における分解反応は、強い吸熱反応である。したがって、直接加熱(オーム抵抗)による反応に必要なエネルギの提供には、反応器の外側に配置された1つまたは複数の変圧器によって前述の反応器の概念で提供される高い電流強度が必要である。
【0026】
電流は、可能な限り低い損失(低い電気抵抗)で、断熱反応器の外部から内部へ、およびプロセス担持領域へ導電されねばならない。後者では、管の内側で非常に急速に流れるプロセス媒体との吸熱反応(高い熱伝達)により、反応管の非常に効果的な冷却、または管の内側での非常に高い熱流束密度が得られる。したがって、少なくとも部分的に電気的に加熱された管材料からプロセスガスへの所望の直接熱伝達が、プロセス担持管内で達成される。
【0027】
特定の問題は、プロセス担持管への高電流の上述の低損失供給に関連する。以下で説明するように、より低温のプロセスガスへの直接対流熱伝達によって冷却できない導体を介して、反応器内の管に電流が供給される場合、そのような供給は必然的に行われねばならない。ここでは、冷却効率の低い領域で、容認できない温度上昇があってはならない。さらに、そのような供給によって、短い経路長内(部分的には1メートル未満)での最大900K(環境と反応器との間の最大温度差)の急激な温度上昇にも打ち勝つ必要がある。
【0028】
熱損失を低減して、高いシステム効率を達成するために、電気的に直接加熱された反応管を、(ここでは、反応容器と呼ばれる)断熱ボックスに配置することが不可欠である。反応容器の断熱壁の貫通中、電流導体は、そのような領域において、許容できないほどの高い局所温度が発生することなく、準断熱ゾーンに打ち勝つ必要がある。
【0029】
本発明によれば、反応器の第1の領域、すなわち、電流供給の領域でそのような目的を達成するために、電流供給構成が提供され、そのおのおのに、管部分または管部分のグループが電気的に接続される。管部分は、いずれかの場合には複数の管部分のうちの1つが、または、いずれかの場合には複数の管部分の1つのグループが、いずれの場合も、電流供給構成のうちの1つに接続され、またその逆も可能であるような数、設けられる。電流供給構成の数は、交流構成の場合には多相交流電源の相接続の数に基づくか、またはそのような数は直流接続の数に対応する。交流構成が使用される場合、相接続の数と同じにすることができるか、またはその整数倍にすることができる。後者の場合、たとえば、電流供給構成のうちの2つを、いずれの場合も、交流電源の相接続のうちの1つなどに接続することができる。
【0030】
電流供給構成はそれぞれ、第1の領域内の管部分のうちの少なくとも1つに隣接し、電流供給構成を通過して延びる1つまたは複数の接触通路を備える。電流供給構成内の1つまたは複数の接触通路は、以下でより詳細に説明するように、電流供給構成内を真っ直ぐに、またはU字形屈曲部の形態で延びることができる。接触通路は、特に、壁で補強された屈曲部として形成される。U字形屈曲部のない反応管は、特に壁で補強されたスリーブである。
【0031】
本発明の範囲内で、電流供給構成内の1つまたは複数の接触通路は、高温耐性方式で管部分に取り付けられて、強固に結合された1つまたは複数の構成要素で、あるいは、いずれの場合も、反応管の一部分または連続部分の形態で形成される。以下に説明するように、すべての実施形態において、構成要素を可能な限り少なくした設計が有利であることが一般的に知られている。
【0032】
前者の場合、反応器内の第1の領域と第2の領域との間に延びる管部分は、1つまたは複数の接触通路が延びる既製の構成要素に溶接することができるか、または、対応する追加の構成要素は反応器内の第1の領域と第2の領域との間に延びる管部分に成型される。後者の場合、一方では、反応器内の第1の領域と第2の領域との間に延び、他方では、それぞれの電流供給構成の接触通路を形成する、連続管を設けることができ、電流供給構成の追加の構成要素は、成型、再成型、または溶接によって提供できる。
【0033】
上記および下記で、電流供給構成が、「いずれの場合も、第1の領域内の管部分の少なくとも1つに隣接する」1つまたは複数の接触通路を含むという事実に言及する場合、これは、電流供給構成の接触通路が、第1の領域と第2の領域との間のそれぞれの管部分とともに、プロセス流体が管部分を通過するための連続チャネルを形成することを意味すると理解される。
【0034】
特に、第1の領域と第2の領域との間のそれぞれの管部分の管内部は、特に、有意な先細りまたは拡大なしに、対応する接触通路内に続き、ここで、「有意な」先細りまたは拡大とは、断面積の10%超の先細りまたは拡大を明示することが意図される。「接触通路」という用語は、本発明の特定の実施形態では、「接触通路」が、第1の領域内の管部分の連続的な延長部であっても、金属構成要素を介して電流接続への導電接続が存在する領域であることを表すために使用される。
【0035】
「高温耐性方式で強固に結合された」という用語は、2つ以上の金属部品が互いに強固に結合され、接続が、500℃から1,500℃、特に600℃から1,200℃、または800℃から1,000℃において永続的であり、すなわち、通常の動作中、そのような温度では分離しない接続のタイプを指定することが意図される。高温耐性的に強固に接着された接続は、特に、接続された部品間に非金属材料が残らないように設計された金属間接続として形成することができる。そのような接続は、特に溶接、成型、または再成型によって生成される。それはまた、接続部品の移行部に構造上の差異が観察されない接続、特に接続のために追加の金属が使用されない接続であり得る。
【0036】
本発明によれば、各電流供給構成の接触通路の壁は、いずれの場合も、反応容器の壁を通過して壁通路において延びる、少なくとも1つの棒状部分を有する電流供給要素に接続されている。反応容器の「壁」は、棒状部分が接触される別の空間への中間壁であってもよく、さらなる壁または複数の壁によって区切られる。棒状部分は、たとえば、ストランドなどとは対照的に、特に、金属などの導電性材料によって一体的である(すなわち、特に平行または絡み合ったワイヤの形態ではない)。棒状部分は、中実または少なくとも部分的に管状に、すなわち中空の棒として形成することができる。棒状部分は、反応容器の壁に垂直な長手方向延長部を有し、長手方向延長部は、反応容器の壁に平行な最大の横断方向延長部の少なくとも2倍、特に少なくとも3倍、4倍、または5倍、たとえば最大10倍の大きさである。棒状部分は、たとえば、断面が円形、楕円形、三角形、または多角形であるように形成することができ、または任意の他の形状を有することができる。
【0037】
電流供給構成の電流供給要素は、それらの棒状部分で接触通路の壁に直接取り付けることができるか、または単一成形によって接触通路内に移行することができる。しかしながら、1つまたは複数の中間要素を設けることもでき、中間要素は、その後、いずれの場合も、電流供給要素の一部を形成する。
【0038】
本発明によれば、加熱される反応管またはその管部分への電流の導入は、好ましくは、局所的なプロセスガス流れに垂直な方向で、プロセス担持管に取り付けられた、すなわち、特にU字形屈曲部の頂点で、または湾曲していない管の場合は管の経路に垂直な、棒状部分を介して行われる。ここで、特に、外側から反応ゾーンにかけて全体的に減少する自由導体断面積が、均質な材料組成を有する棒状部分に存在することができる。これは、棒状部分と、反応管または接触通路への移行領域との両方に関係し、接触通路は、好ましくは、供給物から離れた反応管と比較して、拡大された壁厚を有する。
【0039】
本発明の特に有利な実施形態は、電位Vrms,iの時間的な二乗平均平方根(rms)値がいずれの場合も一定であり、交流電圧源、つまり特に変圧器から異なる距離に配置されている電流供給要素を通過する、絶縁表面を表す任意の2つの断面積S1,S2について、変圧器の近くに位置する断面積S1の時間的な二乗平均電位Vrms,1は、変圧器から離れて位置する断面積S2の時間的な二乗平均電位Vrms,2よりも常に高くなり、Vrms,1>Vrms,2となる。「より近い」および「離れた」という用語は、ここでは、電流電源からそれぞれの断面積への電流の、より短いまたはより長い流路を指す。電位のrms値の使用は、交流電流での反応器の動作を指す。直流動作の場合、説明した関係は、電位の算術的な平均値に適用される。
【0040】
全電流供給(すなわち、接触通路を有する供給要素全体)は、電流電源から異なる距離にあり、Vrms,1>Vrms,2である、説明した2つの任意の断面積S1,S2について、電流電源から離れて位置する断面積S2の表面積A2と、電流電源の近くに位置する断面積S1の表面容量A1との商A2/A1が、最大0.5、特に最大0.9、最大1、最大1.1、または最大2であるように、さらに有利に設計される。特に好ましい実施形態では、そのような任意の領域の対の表面積の商A2/A1は、最大1である。
【0041】
たとえば、製造上の理由から、この好ましい実施形態からの逸脱が生じる可能性があり、その結果、わずかな断面積の増加でさえも局所的に受け入れられることがある。しかしながら、2つの断面積S1およびS2が、それぞれの表面積A1=AmaxおよびA2=Aminの全体的な極値を有する場合、その関係は、常にVrms,1>Vrms,2であることが有利であり、すなわち、断面積が最大の領域は、断面積が最小の領域よりも電流電源に近い。
【0042】
説明したように、材料温度の最適な連続的上昇を確保することができ、ここでは、特に好ましくは反応ゾーンでのみ最大値に達する。本発明の特に有利な実施形態によれば、温度分布に関する仕様として、電流電源から異なる距離においてVrms,1>Vrms,2である、説明した2つの任意の断面積S1およびS2の場合、電流電源のより近くに位置する断面積S1の温度T1と、電流電源から離れて位置する断面積S2の温度T2との温度差T1-T2は、最大-100K、特に最大-10K、最大-1K、最大0K、最大1K、最大10K、または最大100Kであり、面積分布と同様に指定できる。特に好ましい実施形態では、そのような断面積のすべての対の温度差T1-T2は、0K未満である。
【0043】
この仕様は、とりわけ、電流供給の全領域において、-100K、-10K、-1K、0K、1K、10K、または100Kの最大局所温度上昇が、隣接する管部分で発生する最大材料温度に関連して発生するという条件を含む。
【0044】
電流供給要素において、表面積A1=AmaxおよびA2=Aminの全体的な極値を有する断面積S1およびS2の温度T1およびT2の温度差T1-T2は、さらに有利には、最大-500K、最大-200K、最大-100K、最大0K、または最大100Kであり、すなわち、本発明のこの実施形態による最高断面積を有する領域は、変圧器の近くに配置する必要があり、断面積が最小の領域よりも温度が低いか、せいぜいわずかに温度が高いことが望ましい。
【0045】
電流供給要素は、有利には、最初は中実材料の棒として、電流電源の方向から管部分に向かって形成され、管部分の近くに配置された接触通路に至る。接触通路は、比較的薄肉の反応管または被加熱管部分まで、特に肉厚の屈曲部またはシースとして形成できる。
【0046】
本発明の1つの実施形態では、自由導体断面積は有利には、主に連続的または単調に減少する。この実施形態で提供される同一または類似の材料では、電気抵抗は、利用可能な導体面積のみに依存するため、放出されるエネルギの特定の量もこのように着実に増加する。これにより、プロセスガスによって吸収された熱量のみが反応管で効果的に使用されるため、供給されたエネルギが最大限に利用される。
【0047】
本発明の特に有利な実施形態によれば、導体断面の正確な経路は、局所温度および熱伝達条件にさらに適合される。たとえば、反応容器の壁を通過する(絶縁反応器壁を介した有意な熱放散は不可能である)準断熱壁通路の領域において、温度の局所的な上昇を上方に制限できるように、そのような領域における局所的な熱放散を最小値に下げる大きな断面が使用されることが好ましい。言い換えれば、電流供給要素の棒状部分は、有利には、壁通路の領域において、少なくとも1つの残りの領域よりも大きな断面積を有する。後述するように、棒状部分は壁通路内で変位可能に案内されるので、「壁通路の領域内」の棒状部分の領域は、管部分の最大熱膨張時に壁通路内に配置される、少なくとも1つのそのような領域を意味すると理解されるべきである。
【0048】
以下でも説明するように、接触抵抗、少なくとも棒状部分を回避するために、電流供給要素および接触部分は、特に好ましくは、一体構成要素で、たとえば、起立した成型部品の形態で作られる。代わりに、同様に可能である多部品構造の場合、有利には、導体断面および最大局所温度上昇に関して説明された仕様が、接合接続の領域においてさえも維持される、適切な接合方法(たとえば、摩擦溶接)によって保証される。
【0049】
特に有利には、電流供給要素はそれぞれ、電流供給要素のそれぞれの壁通路と、壁通路に最も近く、それぞれの電流供給要素によって電気的に接触される1つまたは複数の接触通路の壁の点との間に、どの点においても10平方センチメートルより小さくなく、有利には、どの点においても30平方センチメートルより小さくなく、特にどの点においても50平方センチメートルより小さくない自由導体断面積を有する。対応して高い導体断面積を使用することにより、抵抗損失のない、特に良好な電流伝達を保証することができる。
【0050】
ここで、自由導体断面積とは、導体性であるように形成された導体の断面積の割合を示すことを意図される。たとえば、管状導体、または溝または空洞を備えた導体の場合、管内部、または溝または空洞の領域は、自由導体断面積として見なさない。対照的に、導電性材料からなる中実導体の場合、この断面積は、導体断面積および自由導体断面積に対応する。
【0051】
本発明によれば、電流供給要素の棒状部分は、いずれの場合も、反応容器の壁を通過するそれらの壁通路内で長手方向に移動可能な方式で案内される。このようにして保証される移動の自由度は、反応管の機械的挙動にとって特に有利であり、反応管の機械的挙動は、反応器の動作中の数デシメートルの管の熱膨張によって主に支配される。移動の自由により、剛性固定の場合に発生する反応管の曲げ荷重が低減される。一方、後述するように、反応管は、第2の領域において、反応器のルーフ上の剛性スターブリッジに固定することができ、このようにして、電流供給要素の棒状部分の対応する長手方向の可動性がある場合でも、安定したサスペンションが提供される。十分に高い導体断面積を有するそれらの有利な寸法により、電流供給要素の棒状部分は、反応管の確実な横断方向の案内を保証する。
【0052】
本発明によって反応器内で実行される反応は、高温を必要とするので、第1の領域における電気的接続は、水蒸気分解のために、たとえば約900℃の高温範囲で実施されねばならない。これは、適切な材料と、それらの適切な寸法とを選択することにより、本発明によって提案された措置によって可能である。同時に、この接続は、高温での、高い電気伝導性と、高い機械的安定性および信頼性を有することが意図される。電気的接続の故障は、スターポイントにおける非対称電位をもたらし、その結果、システム部品に望ましくない電流が流れるため、システムの安全関連の瞬間的なシャットダウンにつながる。本発明は、そのような状況を回避することにより、従来技術に勝る利点を提供する。
【0053】
本発明によって提供される反応容器内での管部分の接触は、反応管を反応容器から引き出さねばならない、理論的に同様に可能な反応容器の外側での接触と比較して、電気熱入力の断面積が明確に定義されるという利点を有する。なぜなら、この場合、電気的に加熱された管部分を、暖かい内部から、冷たい外部に導く必要がないためである。本発明による接触により、反応容器内に管部分が完全に配置されることにより、電気的に加熱された管部分の空間に関して、高度に均一な外部熱境界条件を達成することができる。これにより、プロセス工学上の利点が得られ、たとえば、加熱され、外部から断熱された通路で予想される、過剰なコークス形成を回避できる。
【0054】
反応容器の外側で、電流供給要素の棒状部分は、たとえば、バスバーや接続バンドなどの接続要素によって、変圧器システムに電気的に接続することができる。接続バンドおよびバスバーは、異なる材料で作ることができる。そのような接続要素は、特に可撓性を有するように形成される。なぜなら、反応容器の外側は、より低い温度にあるからである。特に変圧器システムの一次側には、高電圧および低電流が存在するため、スイッチングデバイスを取り付けることができる。
【0055】
本発明の範囲内で、電流供給要素、接触通路、および管部分は、同じ材料から、または(業界で通例であるように、材料定数の観点での)電気伝導率が、50%以下、30%以下、10%以下互いに異なる、または有利には、同じである材料から形成されてもよい。たとえば、言及された構成要素は、同じ鋼種の鋼から形成することもできる。同じまたは密接に関連する材料を使用すると、成型または溶接が容易になる。
【0056】
好ましい実施形態では、電流供給要素、接触通路、および管部分は、高い耐酸化性または耐スケール性および耐浸炭性を有する耐熱クロムニッケル鋼合金を有するか、またはそれから形成される。
【0057】
たとえば、耐熱クロムニッケル鋼合金は、0.1から0.5重量%の炭素、20から50重量%のクロム、20から80重量%のニッケル、0から2重量%のニオブ、0から3重量%のケイ素、0から5%のタングステン、および0から1重量%の他の成分を含む鉄系材料であり得、これらの成分は、互いに補完して非鉄画分を形成する。
【0058】
たとえば、標準名称GX40CrNiSi25-20、GX40NiCrSiNb35-25、GX45NiCrSiNbTi35-25、GX35CrNiSiNb24-24、GX45NiCrSi35-25、GX43NiCrWSi35-25-4、GX10NiCrNb32-20、GX50CrNiSi30-30、G-NiCr28W、G-NiCrCoW、GX45NiCrSiNb45-35、GX13NiCrNb45-35、GX13NiCrNb37-25、またはGX55NiCrWZr33-30-04の材料を、DIN EN 10027パート1、「材料」にしたがって使用できる。これらは、高温での使用に特に適していることが証明されている。
【0059】
上記で説明したすべての場合において、接続要素および管部分は、同じ材料から、または(業界で通例であるように、材料定数の観点での)電気伝導率が、50%以下、30%以下、10%以下互いに異なる、または有利には、同じである材料から形成されてもよい。たとえば、接続要素および管部分は、同じ鋼種の鋼から形成することもできる。同一または密接に関連する材料の使用は、たとえば成型または溶接によって、接続要素および管部分の一体設計を容易にすることができる。
【0060】
第2の領域では、反応容器内のすべての管部分は、多相交流によって加熱されると、剛性接続要素(「スターブリッジ」)によって互いに導電的に接続することができるか、またはそのような接続は、複数の剛性接続要素によってグループで行われる。
【0061】
この場合、すなわち、多相交流による加熱の場合、導電接続は、説明したように、第1の領域に接続された相の少なくとも広範な等電位化が生じるように行われる。1つまたは複数の接続要素は、特に、従来技術から知られ、反応器の外側に配置されたコレクタとは対照的に、非流体収集および非流体分配方式で、接続された管部分を結合する。説明した本発明の実施形態で提案された反応容器内の等電位化は、電位がほぼ完全になくなるか、または中性導体を介した電流の戻りが大幅に減少するという利点を有する。その結果、プロセスシステムの他の部分への、ヘッダ接続を介した電流散逸が最小限に抑えられ、高レベルの衝撃保護を実現する。これに関連して、空間に関して高度に均一である外部熱境界条件の利点は、等電位化のために必要とされる、反応容器の壁を通過する反応容器の外側の反応管の案内とは対照的に適用され、プロセス関連の利点は、すでに上記で説明した。
【0062】
全体として、長手方向に案内された電流供給要素を介した、説明された電流供給と組み合わされた対応するスター回路の実現は、主に高い熱膨張率から生じる応力に耐える、同時に安定的な固定を伴う効率的な通電を可能にする設計を作り出す。
【0063】
これは、直流または単相交流によって、本発明により可能である加熱にも同様に適用され、この場合、前述のように、反応器内にスターポイントは存在しない。それにも関わらず、反応管は、本発明により提供される電流供給要素により、応力を発生させることなく、実質的に自由に膨張できるので、電流供給の反対側の端部に剛性構成を提供できる。したがって、電流供給とは反対側の反応管の端部に剛性構成を設けることができるが、必要に応じて、本発明による電流供給要素に対応する要素も、ここに設けることができる。しかしながら、いずれにせよ、可動構成は、省略できる。
【0064】
本発明はまず、水蒸気分解に使用される反応管および反応器を参照して以下に説明される。しかしながら、後で説明するように、本発明は、後述するように、他のタイプの反応器にも使用することができる。一般に、前述したように、本発明により提案される反応器は、任意の吸熱化学反応を行うために使用することができる。
【0065】
水蒸気分解に典型的に使用される反応管は、典型的には、少なくとも1つのU字形屈曲部を有する。たとえば、これらは、いわゆる2通路コイルとできる。これらは、反応容器内に2つの管部分を有し、(正確に)1つのU字形屈曲部を介して互いに交わるので、基本的に(細長い)U字形状を有する。反応容器に出入りする部分、特にシームレスに、または流れに関連する移行なしに、加熱された管部分に入る部分は、ここでは(以下に説明する反応管をも参照して)「供給部分」および「抽出部分」と呼ばれる。そのような反応管は常に複数存在する。
【0066】
したがって、この実施形態では、反応器は、いずれの場合も、管部分が、反応容器内に少なくとも部分的に並んで配置された複数の反応管の2つの管部分を備えるように形成することができ、いずれの場合も、複数の反応管の2つの管部分は、U字形屈曲部を介して、いずれの場合も、第1の領域で互いに通過する。特に、前述のように、いずれの場合も、第2の領域における2つの管部分のうちの1つは、供給部分に接続され、いずれの場合も、第2の領域における2つの管部分の残りは、抽出部分に接続される。
【0067】
この場合、電流供給構成内の1つまたは複数の接触通路は、U字形屈曲部を備えるか、または表すことができる。U字形屈曲部を有する複数の反応管が存在するので、対応する数のU字形屈曲部が存在する場合、それぞれの電流供給構成のおのおのに複数のU字形屈曲部を設けることもでき、このようにして電流接続に接続される。このようにして、機械的固定を改善することができ、構成要素の数を低減することができる。しかしながら、その代わりに、複数のU字形屈曲部が電流接続を介して通電される場合でさえも、たとえば、異なる熱膨張を有する可能性のある電流供給要素の個々の長手方向の可動性を確保するために、いずれの場合も、U字形屈曲部ごとに1つの電流供給構成を提供することも可能である。
【0068】
説明した本発明の実施形態は、2つの供給部分と1つの抽出部分とを有する反応管が使用される場合にも適用することができる。そのような反応管では、2つの供給部分が、それぞれ1つの管部分に接続される。抽出部分は、管部分にも接続される。供給部分に接続された管部分は、典型的なY字形の接続領域で抽出部分に接続された管部分と交わる。供給部分に接続された管部分と、抽出部分に接続された管部分との両方が、それぞれ1つまたは複数のU字形屈曲部を有していても、まったく有していなくてもよい。
【0069】
たとえば、図7Cに示されるような反応管を使用することができる。これら反応管では、供給部分に接続された管部分には、U字形屈曲部がないが、抽出部分に接続された管部分には、U字形屈曲部がある。
【0070】
しかしながら、図7Bに示されるような反応管もまた使用され得る。これら反応管では、供給部分に接続された管部分は、おのおの1つのU字形屈曲部を有し、抽出部分に接続された管部分は、2つのU字形屈曲部を有する。
【0071】
図7Aに示されるような反応管の使用さえも可能である。これら反応管では、供給部分に接続された管部分は、おのおの3つのU字形屈曲部を有し、抽出部分に接続された管部分は、2つのU字形屈曲部を有する。
【0072】
しかしながら、2通路コイルに関して上述した実施形態に加えて、いわゆる4通路コイルとともに使用するのに適した実施形態も使用することができる。4通路コイルは、4つの本質的な直管部分を有する。しかしながら、より多くの偶数の直管部分を有する構成も可能である。
【0073】
より一般的に言えば、対応して設計された反応器は、1つまたは複数の反応管を備え、それぞれの反応管は、多数のU字形屈曲部を介して互いに直列に接続された偶数の4つ以上の管部分を有し、U字形屈曲部の数は、U字形屈曲部を介して互いに直列に接続された管部分の数よりも1つ少なく、U字形屈曲部は、第1の領域の第1のU字形屈曲部から開始して、第1および第2の領域に交互に配置される。
【0074】
ここで、「U字形屈曲部」は、特に、部分円形または部分楕円形、特に半円形または半楕円形の管屈曲部を備える管部分または管構成要素を意味すると理解される。始点と終点は、特に1つの平面で互いに隣り合っている切断面を有する。
【0075】
U字形屈曲部のおのおのは、反応容器内の第1の領域に配置され、それに応じて通電されるのであれば、本発明による電流供給構成における接触通路の形態で設計することができ、またはそのような接触通路の一部を表すことができる。
【0076】
上述したように、対応する反応器は、特に、対応する耐熱材料の選択および反応管の幾何学的構成によって、特に水蒸気分解用の反応器として設計することができる。
【0077】
典型的には水蒸気改質に使用される反応管は、典型的には反応容器内にU字形屈曲部を有していない。この場合、管部分はそれぞれ、複数の反応管からなる管部分を備えることができ、反応容器内の管部分は、流体的に連通されていない方式で、少なくとも部分的に並んで配置され、いずれの場合も、第1の領域における流体のための供給部分、および第2の領域における流体のための抽出部分に接続されている。流体の供給部分および抽出部分は、特に管部分と同じ方向に延在するか、または、接続された管部分内の流体の流れに対して15°を超えて偏向する流体の流れを生じさせない。供給部分および抽出部分は、特に同様に、管部分と一体的に、すなわち、特に同じ管の形態で形成される。特に、反応管はまた、水蒸気改質のための適切な触媒を備えていてもよい。
【0078】
この実施形態では、本発明による電流供給構成の接触通路は、直管部分またはチャネルを表す。ここで、電流供給要素は、特にスリーブ方式で、第2の領域で反応管に取り付けることができる。
【0079】
すべての場合において、電流供給要素と接触通路、および任意選択的に管部分も、可能な限り少数の個々の部品から形成することによって、金属間接続(たとえば、溶接またははんだ付け接続)の数を低減できるか、あるいは完全になくすことさえもできる。これにより、機械的安定性および信頼性を高めることができる。特に有利な実施形態では、電流供給要素および接触通路はそれぞれ、単一の成型物として実施することができるか、または前述のように、プロセス担持管の一部を再成型することができ、および/またはプロセス担持管の一部を、対応する成型物の一体部分として形成できる。
【0080】
本発明の範囲内で低減される金属間接続または金属遷移は、電気抵抗の局所的変化、したがってホットスポットをもたらす可能性がある。ホットスポットは、局所温度の上昇や、急激な局所温度勾配による機械的応力のピークにより、耐用年数の短縮につながる。これは、本発明の範囲内で回避される。
【0081】
できるだけ多くの構成要素の一体設計は、機械的安定性、信頼性、および個々の構成要素の低減をもたらす。前述のように、故障は安全上の重大な状況につながる可能性があるため、高度な機械的安定性が望ましい。本発明の観点において記載された実施形態によって、スター回路において多相交流で抵抗加熱される反応管の原理は、高温範囲、すなわち特に500℃超、600℃超、700℃超、または800℃超で技術的に実現可能である。
【0082】
本発明はまた、反応容器および1つまたは複数の反応管を有する反応器を使用して化学反応を実行するための方法に関し、1つまたは複数の反応管の多数の管部分は、いずれの場合も、反応容器における第1の領域と第2の領域との間に延び、管部分を加熱するための第1の領域はそれぞれ、電流電源の1つまたは複数の電流接続に電気的に接続される。
【0083】
本発明によれば、第1の領域に、いずれかの場合には管部分のうちの1つが、またはいずれの場合には管部分の1つのグループが、電気的に接続される、電流供給構成を有する反応器が使用され、電流供給構成はそれぞれ、いずれの場合も、第1の領域内の管部分のうちの少なくとも1つと接触する1つまたは複数の接触通路を備え、接触通路の壁は、いずれの場合も、少なくとも1つの棒状部分を有する電流供給要素に接続され、棒状部分はいずれの場合も、反応容器の壁を通過して壁通路において延びる。
【0084】
前述の本発明の実施形態のうちの1つの実施形態による反応器が有利に使用される、対応する方法のさらなる特徴および利点については、上記の説明を参照されたい。
【0085】
本発明は、従来技術を参照および比較して、本発明の実施形態を示す添付の図面を参照して以下にさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0086】
図1図1は、本発明によらない実施形態による、化学反応を実行するための反応器の概略図である。
図2図2は、本発明の実施形態による、化学反応を実行するための反応器の概略図である。
図3図3は、本発明のさらなる実施形態による、化学反応を実行するための反応器の概略図である。
図4図4は、本発明の実施形態による、電流供給構成を有する反応器の概略図である。
図5A図5Aは、本発明の実施形態による、反応器で使用するための反応管を示す図である。
図5B図5Bは、本発明の実施形態による、反応器で使用するための反応管の対応する配置を示す図である。
図5C図5Cは、本発明の実施形態による、反応器で使用するための反応管の対応する配置を示す図である。
図6A図6Aは、本発明の実施形態による、反応器で使用するための反応管を示す図である。
図6B図6Bは、本発明の実施形態による、反応器で使用するための反応管の対応する配置を示す図である。
図7A図7Aは、本発明の実施形態による、反応器で使用するためのさらなる反応管を示す図である。
図7B図7Bは、本発明の実施形態による、反応器で使用するためのさらなる反応管を示す図である。
図7C図7Cは、本発明の実施形態による、反応器で使用するためのさらなる反応管を示す図である。
図8図8は、本発明の実施形態による、電流供給構成における熱的パラメータおよび電気的パラメータの値を示す図である。
図9図9は、本発明の実施形態による、電流供給構成を有する反応器を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0087】
以下の図において、機能的または構造的に互いに対応する要素は、同一の参照符号によって示され、明確にするために繰り返し説明されない。デバイスの構成要素が以下で説明される場合、対応する説明は、いずれの場合も、それによって実行される方法にも関連し、その逆も同様である。図の説明は、繰り返し交流加熱に言及している。しかしながら、言及したように、本発明はまた、加熱のための直流の使用にも同様に適している。ここでは、上記の説明が参照される。
【0088】
図1は、本発明によらない実施形態による、化学反応を実行するための反応器を概略的に示す。
【0089】
ここで、300で示される反応器は、化学反応を実行するように設定される。この目的のために、反応器は特に、断熱された反応容器10および反応管20を有し、ここでは2つの場合のみ21で示される反応管20の多数の管部分は、それぞれ反応容器10内の第1のゾーン11’と、第2のゾーン12’との間に延びる。図2を参照して以下でより詳細に説明される反応管20は、適切なサスペンション13によって反応容器の天井または支持構造に取り付けられる。下部領域では、反応容器は特に炉(図示せず)を有することができる。言うまでもなく、いずれの場合も、ここおよびその後に複数の反応管を設けることができる。
【0090】
図2は、本発明の実施形態による、化学反応を実行するための、全体が100で示された反応器を概略的に示す。
【0091】
以前に11’および12’によって指定されたゾーンは、ここでは領域11および12の形態をとり、第1の領域11内の管部分21を加熱するための管部分21は、多相交流電源50の相接続(U,V,W)にそれぞれ電気的に接続することができる。スイッチなどの特定のタイプの接続は図示されていない。
【0092】
ここに示される本発明の実施形態では、管部分21は、1つまたは複数の反応管20に一体的に接続され、反応容器10内に配置された接続要素30によって、第2の領域12において互いに導電的に接続される。中性導体を接続することもできる。
【0093】
したがって、ここに示される反応器100では、(そのような反応管20は複数設けられてもよいが、)反応管20の複数の管部分21が、反応容器10内に並んで配置される。管部分21は、(部分的にのみ示されている)U字形屈曲部23を介して互いに交わり、供給部分24および抽出部分25に接続される。
【0094】
第1の領域11には、U字形屈曲部23の第1のグループ(図中下側)が並んで配置され、第2の領域12には、U字形屈曲部23の第2のグループ(図中上側)が並んで配置される。第2のグループのU字形屈曲部23は、接続要素30に形成され、管部分21は、第2の領域12における接続要素30から第1の領域11まで延在する。
【0095】
本発明の範囲内で、接続要素30の使用は、任意選択的であるが有利である。しかしながら、以下に説明する本発明の実施形態は、特に、第1の領域11に電流を供給するための手段の実施形態に関する。これは、電流供給要素41を使用することによって実行され、電流供給要素は、ここでは非常に簡略化して図示されており、そのうちの1つだけが示されている。
【0096】
図3は、本発明の実施形態による、化学反応を実行するための反応器を概略的に示しており、全体が200で示されている。
【0097】
反応器200において、ここでは対照的に22で示される管部分はそれぞれ、複数の反応管20からなる管部分22を備え、管部分22は、反応容器10内に、流体的に連通されない方式で並んで配置され、供給部分24および抽出部分25にそれぞれ接続される。残りの要素については、以前の図に関する上記の説明に、明示的に参照される。
【0098】
次に、本発明の範囲内で、接続要素30の使用は、任意選択的であるが有利である。ここでも、電流供給要素41は非常に簡略化して示されている。電流供給要素は、反応管20または管部分の周りの第1の領域11に配置されるスリーブ状の領域49を有することができる。
【0099】
図4は、たとえば図2による、反応器100の第1の領域11の詳細図を示しており、第1の領域11には電流供給構成40が配置され、電流供給構成には反応管20が接続され、ここで、断面で示されている反応管の管部分21は、U字形屈曲部23を介して互いに合流している。
【0100】
ここで、U字形屈曲部23は、補強壁を有する接触通路42内に形成され、接触通路は、第1の領域11内の2つの管部分21に隣接する。接触通路42の壁、したがってU字形屈曲部23の壁は、全体として41で示される前述の電流供給要素に接続され、この電流供給要素は、ここでは破線の間に示されているように、いずれの場合も、反応容器10の壁14を通過して壁通路15において延びる棒状部分43を有する。ここで、壁通路15は、幅を誇張して示されている。棒状部分は、長手方向に移動可能なように壁通路15内に収容され、たとえば、適切な断熱材16で覆われる。
【0101】
任意選択的に、本発明にとって必須ではないが、棒状部分43の長手方向の可動性にも関わらず、環境に対する反応容器10の気密シールを保証するために、ベローズ構成44を、反応容器10の壁14の外側に設けることができる。
【0102】
図示される例では、追加の棒状部分45が棒状部分43に隣接しており、その部分の温度は、反応容器10からの距離が増すにつれて次第に低下する。追加の棒状部分は電流供給ピン46に合流し、これに、たとえば2つのバスバーまたはストランドが取り付けられて、相U,V,W、または、直流電源または単相の交流電源の、対応する電流接続を接続する。
【0103】
分解炉では、一般に6通路コイルと呼ばれ、2つの180°屈曲部、すなわち、第2の領域12の上または中のU字形屈曲部23と、3つの180°屈曲部、すなわち、第1の領域11の下または中のU字形屈曲部23(後者は、対応する電流供給構成を有する)とを有する6つの直管部分21を備える、図1および図2に以前に示した反応管20に加えて、より少ない通路を有する変形例も使用される。たとえば、いわゆる2通路コイルは、直管部分21を2つだけ有し、180°屈曲部またはU字形屈曲部23を1つだけ有する。電気的加熱に適用する場合、この変形例は、6通路分解炉(図1および図2)と改質炉(U字形屈曲部23のない反応管を有する図3)との組合せと見なすことができる。
【0104】
電流は、いずれの場合も、下部(または唯一)のU字形屈曲部で、反応管21ごとに1つの点で供給することができる。いずれの場合も、M個の反応管は、360°/Mの位相シフトで、共通の接続要素30を用いて互いに電気的に結合することができる。第1の代替案では、特に大きな接続要素30を、コイルパッケージごとに、またはいずれの場合も考慮されるすべての反応管20に対して使用することができる。しかしながら、第2の代替案では、2つの、より小さいサイズの接続要素30の使用も可能である。
【0105】
説明した第1の代替案を図5Bに示し、説明した第2の代替案を、管部分21を通過する断面図で図5Cに示し、ここでは、対応する反応管20が、図5Bおよび図5Cにおける図に垂直な図で図5Aに示される。対応する要素の指定については、図1を参照されたい。言うまでもなく、一方では、恐らくは、配置されたU字形屈曲部23を備え、他方では、他のU字形屈曲部23を備えた、相U,V,Wへの接続を有する接続要素30は、(ここでは非常に簡略化して示されている)電流供給構成40を介して、反応器の第1の領域11および第2の領域12に対応する異なる平面に配置される。本発明の範囲内の接続要素30の存在および配置は、純粋に任意選択的または恣意的であることを再度強調しておくべきである。
【0106】
この概念は、この場合、1つ、2つ、または4つのスターブリッジまたは接続要素30を備えた、4つの通路または管部分21(いわゆる4通路コイル)を有するコイルまたは反応管20に対応して適用することもできる。対応する例が図6Aおよび図6Bに示され、4つの接続要素3が、図6Bに示されている。より良い説明のために、ここではU字形屈曲部23を破線(反応器の第2の領域12におけるU字形屈曲部)および実線(第1の領域11におけるU字形屈曲部)で示す。明確にするために、要素には参照符号が部分的にしか与えられていない。
【0107】
既に図7Aから図7Cを参照したが、これらは、本発明の実施形態による反応器で使用するためのさらなる反応管を示している。反応管および管部分は、参照符号が付されている場合にのみここに示されている。供給部分および抽出部分は、示されている流れの矢印から推測できる。特に数回存在することができ、上記で説明した方式で形成することができる電流供給構成40は、破線によって非常に簡略化して示されている。
【0108】
図8は、本発明の特に好ましい実施形態による電流供給構成40における熱的および電気的パラメータの値を示し、横座標は、指定された要素46(電流供給ピン)、43および45(棒状要素)、42(接触通路)、21,22(管部分)の時間二乗平均電位(rms値)の値を示し、縦座標は、断面または絶縁面および対応する表面積の平均温度を示す。グラフ101(実線)は断面積の平均温度を示し、グラフ102(破線)は表面積を示す。
【0109】
図から分かるように、平均温度101は上昇し、特に断面積の急速な減少により、接触通路42と管部分21,22との間の中間ゾーンでジャンプを示す。破線領域101aまたは一点鎖線領域102aで示されるように、限定された局所温度上昇および断面拡張が、壁通路15の領域に存在できる。
【0110】
図9は、反応器200の第1の領域11の詳細図を示しており、いずれの場合にも、示される要素は、図4に関連して既に説明されている。しかしながら、図4とは対照的に、ここでは反応管20はU字形屈曲部を有しておらず、管部分21は共通の中心軸に沿って配置されている。湾曲していない移行領域は23aで示されている。たとえば、図3による反応器200におけるスリーブの代わりに、対応する実施形態を使用できる。
【0111】
ここでも同様に、移行領域23aは、第1の領域11における2つの管部分21に隣接する補強壁を有する接触通路42内に形成される。詳細については、図4を参照されたい。ここでは、壁通路15はまた、幅を誇張して示されている。ここでも同様に、棒状部分は、長手方向に移動可能なように壁通路15内に収容され、たとえば、適切な断熱材16で覆われる。しかしながら、壁通路15は、特に、さらなる移動オプションを作るために、ここに示した図とはかけ離れた、異なる構成を有することもできる。これはまた、任意選択のベローズ構成44に関する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応容器(10)および1つまたは複数の反応管(20)を備え、化学反応を実行するための反応器(100,200)であって、前記1つまたは複数の反応管(20)の多数の管部分(21,22)は、いずれの場合も、前記反応容器(10)内の第1の領域(11)と第2の領域(12)との間に延び、前記管部分(21,22)の電気的加熱のために、前記第1の領域(11)内の前記管部分(21,22)は、いずれの場合も、電流電源(50)の電流接続(U,V,W)に電気的に接続されているか、または接続することができ、前記反応器(100,200)の前記第1の領域(11)に電流供給構成(40)が提供され、前記電流供給構成には、いずれかの場合には前記管部分(21,22)のうちの1つが、またはいずれかの場合には前記管部分(21,22)の1つのグループが電気的に接続され、前記電流供給構成はそれぞれ、いずれの場合も、前記第1の領域(11)内の前記管部分(21,22)のうちの少なくとも1つに隣接する1つまたは複数の接触通路(42)を備え、前記接触通路(42)の壁は、いずれの場合も、前記反応容器(10)の壁(14)を通過して壁通路(15)において延びる、棒状部分(43)を有する電流供給要素(41)に接続され、前記電流供給要素(41)の前記棒状部分(43)は、いずれの場合も、前記反応容器(10)の前記壁(14)を通過するそれぞれの壁通路(15)内で長手方向に移動可能な方式で動作中に案内され、前記反応容器(10)の外側の前記電流供給要素(41)の前記棒状部分(43)は、可撓性の接続要素によって前記電流電源(50)の前記電流接続(U,V,W)に電気的に接続されるか、または接続可能である、反応器(100,200)。
【請求項2】
前記管部分(21,22)は、いずれかの場合には複数の前記管部分(21,22)のうちの1つが、またはいずれかの場合には複数の前記管部分(21,22)の1つのグループが、いずれの場合も、前記電流供給構成(40)のうちの1つに接続される数、設けられる、請求項1に記載の反応器(100,200)。
【請求項3】
前記1つまたは複数の接触通路(42)は、高温耐性方式で前記管部分(21,22)に取り付けられて、強固に結合された1つまたは複数の構成要素で、または、いずれの場合も、前記反応管(21,22)の部分または連続部分の形態で形成される、請求項1または請求項2に記載の反応器(100,200)。
【請求項4】
前記棒状部分(43)は、いずれの場合も、前記反応容器の前記壁に垂直な長手方向延長部を有し、前記長手方向延長部は、前記反応容器(10)の前記壁(15)に平行な最大の横断方向延長部の少なくとも2倍の大きさである、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の反応器(100,200)。
【請求項5】
前記電流供給要素(41)はそれぞれ、前記電流供給要素(41)のそれぞれの前記壁通路(15)と、前記壁通路(15)に最も近く、それぞれの前記電流供給要素(41)によって電気的に接触される1つまたは複数の前記接触通路(42)の前記壁の点との間に、どの点においても10平方センチメートルより小さいことはない自由導体断面を有する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の反応器(100,200)。
【請求項6】
前記電流供給要素(41)、前記接触通路(42)、および前記管部分(21,22)は、同じ材料から、または電気伝導率が50%以下互いに異なる材料から形成される、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の反応器(100,200)。
【請求項7】
前記電流供給要素(41)、前記接触通路(42)、および前記管部分(21,22)は、0.1から0.5重量%の炭素、20から50重量%のクロム、20から80重量%のニッケル、0から2重量%のニオブ、0から3重量%のケイ素、0から5%のタングステン、および0から1重量%の他の成分を有するクロムニッケル鋼合金から形成され、前記成分は、互いに補完して非鉄画分を形成する、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の反応器(100,200)。
【請求項8】
前記管部分(21,22)は、剛性接続要素(30)によって、または複数の剛性接続要素(30)によって、前記反応容器(10)内で全体的にまたはグループで、導電的に接続される、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の反応器(100,200)。
【請求項9】
前記1つまたは複数の反応管(20)は、前記反応容器(10)の前記第1の領域(11)に、1つまたは複数のU字形屈曲部(23)を有し、前記電流供給構成(40)における前記接触通路(42)は、前記反応容器(10)の前記第1の領域(11)内に、前記1つまたは複数のU字形屈曲部(23)を備えるか、または形成する、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の反応器(100)。
【請求項10】
U字形屈曲部(23)のない複数の反応管(22)は、前記反応容器(10)の前記第1の領域(11)内を延び、前記電流供給構成(40)内の前記接触通路(42)は、直管部分を形成する、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の反応器(200)。
【請求項11】
水蒸気分解用の反応器(100)として形成された、請求項9に記載の、または、水蒸気改質用、乾式改質用、またはアルカンの触媒脱水素反応用の反応器(200)として形成された、請求項10に記載の、反応器(100,200)。
【請求項12】
前記反応容器(10)の外側に取り付けられた前記可撓性の接続要素は、前記反応容器(10)の前記壁(14)を通過するそれぞれの壁通路(15)において、長手方向に移動可能な方式で案内される、前記電流供給要素(41)の前記棒状部分(43)とは異なる材料でできている、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の反応器(100,200)。
【請求項13】
前記電流供給要素(41)の前記棒状部分(43)が、長手方向に移動可能な方式で案内される前記壁(14)は、前記棒状部分が、可撓性の接続要素と接触される別の空間への中間壁であり、さらなる壁または複数の壁によって区切られる、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の反応器(100,200)。
【請求項14】
反応容器(10)および1つまたは複数の反応管(20)を備える反応器(100,200)を使用して化学反応を実行するための方法であって、前記1つまたは複数の反応管(20)の多数の管部分(21,22)は、いずれの場合も、前記反応容器(10)内の第1の領域(11)と第2の領域(12)との間に延び、前記管部分(21,22)の加熱のために、前記第1の領域(11)内の前記管部分(21,22)は、電流電源(50)の電流接続(U,V,W)におのおの電気的に接続され、反応器(100,200)が使用され、ここでは、前記反応器(100,200)の前記第1の領域(11)に電流供給構成(40)が提供され、前記電流供給構成には、いずれかの場合には前記管部分(21,22)のうちの1つが、またはいずれかの場合には前記管部分(21,22)の1つのグループが電気的に接続され、前記電流供給構成はそれぞれ、いずれの場合も、前記第1の領域(11)内の前記管部分(21,22)のうちの少なくとも1つに隣接する1つまたは複数の接触通路(42)を備え、前記接触通路(42)の壁は、いずれの場合も、前記反応容器(10)の壁(14)を通過して壁通路(15)において延びる、棒状部分(43)を有する電流供給要素(41)に接続され、前記電流供給要素(41)の前記棒状部分(43)は、いずれの場合も、前記反応容器(10)の前記壁(14)を通過するそれぞれの壁通路(15)内で長手方向に移動可能な方式で動作中に案内され、前記反応容器(10)の外側の前記電流供給要素(41)の前記棒状部分(43)は、可撓性の接続要素によって前記電流電源(50)の前記電流接続(U,V,W)に電気的に接続される、方法。
【請求項15】
請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の反応器が使用される、請求項14に記載の方法。
【国際調査報告】