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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-29
(54)【発明の名称】医療装置の遠位先端
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/018 20060101AFI20230522BHJP
【FI】
A61B1/018 514
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561417
(86)(22)【出願日】2021-04-09
(85)【翻訳文提出日】2022-11-30
(86)【国際出願番号】 US2021026512
(87)【国際公開番号】W WO2021207565
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】63/008,152
(32)【優先日】2020-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】クロフォード、リチャード
(72)【発明者】
【氏名】フォードリー、マーティン
(72)【発明者】
【氏名】マクニコル、ベン
(72)【発明者】
【氏名】フラナガン、アイデン
(72)【発明者】
【氏名】アルブレヒト、エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】サレヒ、レイリ
(72)【発明者】
【氏名】グ、アン
(72)【発明者】
【氏名】クラーク、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】クロバク、メーガン
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA01
4C161BB02
4C161BB04
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF35
4C161GG11
4C161HH24
4C161LL02
(57)【要約】
医療装置は遠位先端を備え、該遠位先端は、観察要素と、照明要素と、遠位先端をシャフトに取り外し可能に結合するように構成された少なくとも1つの機構とを有する遠位先端を含み得る。医療装置はまた、遠位先端に結合されており、ツールを収容するように構成された中央ルーメンを画定する作業チャネルを含み得る。作業チャネルの壁は、少なくとも1つの追加のルーメンを画定し得る。作業チャネルは、シャフトに取り出し可能に挿入されるように構成され得る。医療装置はまた、少なくとも1つの追加のルーメンを通過するワイヤ、ケーブル、又は導管のうちの少なくとも1つを含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置であって、
該医療装置は遠位先端を備え、該遠位先端は、
観察要素と、
照明要素と、
前記遠位先端をシャフトに取り外し可能に結合するように構成された少なくとも1つの機構と、
を有し、
該医療装置は作業チャネルを備え、前記作業チャネルは、前記遠位先端に結合されているとともに、ツールを収容するように構成された中央ルーメンを画定し、前記作業チャネルの壁は、少なくとも1つの追加のルーメンを画定し、前記作業チャネルは、前記シャフトに取り出し可能に挿入されるように構成されており、
該医療装置は前記少なくとも1つの追加のルーメンを通過するワイヤ、ケーブル、又は導管のうちの少なくとも1つを備える、医療装置。
【請求項2】
前記ワイヤ、前記ケーブル、又は前記導管のうちの前記少なくとも1つは、前記ワイヤ又は前記ケーブルを含み、前記ワイヤ又は前記ケーブルは、前記遠位先端の昇降機、前記観察要素、又は前記照明要素のうちの少なくとも1つを動作させるように構成される、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記遠位先端は、前記昇降機を上昇又は下降させるように機能するモータを更に含む、請求項1又は2に記載の医療装置。
【請求項4】
前記ワイヤ、前記ケーブル、又は前記導管のうちの前記少なくとも1つは、前記ワイヤ又は前記ケーブルを含み、前記ワイヤ又は前記ケーブルは、前記モータに電力を提供するように構成される、請求項3に記載の医療装置。
【請求項5】
前記作業チャネルの前記壁は、少なくとも2つの追加のルーメンを画定する、請求項1~4のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項6】
前記遠位先端は、当該遠位先端の近位表面から延びる柱を有し、前記柱は、前記シャフトを通って延びる制御ワイヤに取り外し可能に接続されるように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項7】
前記柱は、少なくとも1つのスロットを画定し、且つ、前記制御ワイヤは、前記少なくとも1つのスロットによって受け入れられるように構成された少なくとも1つの突起を含む、請求項6に記載の医療装置。
【請求項8】
前記遠位先端は、当該遠位先端の近位表面から延びる少なくとも1つのペグを有し、前記ペグは、前記遠位先端を前記シャフトに結合するように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項9】
前記遠位先端は、前記シャフトに対して相対回転可能に構成される、請求項1~8のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項10】
前記遠位先端は、前記遠位先端を前記シャフトに対して相対回転させるように構成されたモータを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項11】
前記モータは、歯車を回転させるように構成されており、前記遠位先端は、前記歯車と噛合するように構成された歯を含む、請求項10に記載の医療装置。
【請求項12】
前記遠位先端は、前記遠位先端の要素を前記シャフトの要素に結合するための磁石を含む、請求項1~5及び9~11のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項13】
前記遠位先端は、内視鏡の昇降機を上昇及び下降させるための遠位先端昇降機制御ワイヤを更に備え、前記遠位先端昇降機制御ワイヤの近位端は、シャフト昇降機制御ワイヤのスロットと嵌合するように構成された切欠部を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項14】
前記作業チャネルの近位端は、前記シャフトの近位端にあるハンドルに前記近位端を固定するための複数のねじ山を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項15】
前記遠位先端の近位端は、前記シャフト内に延びるシャフトケーブル又はワイヤに前記遠位先端の電子要素を動作可能に接続するためのポートを画定する、請求項1~14のいずれか一項に記載の医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的に、医療装置の要素に関する。本開示の態様は、内視鏡装置の遠位先端のための装置、システム、及び/又は方法に関する。
【背景技術】
【0002】
十二指腸内視鏡は、操作者によって把持され得るハンドル部を含み得るとともに、機能のために、操舵、吸引、水、空気、光、及び撮像などの制御要素を含み得る。十二指腸内視鏡はまた、対象に挿入され得る部分を含み得る。例えば、十二指腸内視鏡は、対象に挿入するのに適したシャフトを含み得る。このような挿入部は、1つ以上のルーメンを含み得る。十二指腸内視鏡の挿入可能部のルーメンは、例えば、空気、水、吸引、電気、データ、光、及び/又は画像を送る機能を支持し得る。ツールはまた、シャフトの作業チャネルを通して挿入され得る。例えば、ツールは、十二指腸内視鏡のハンドル内の又はその近傍のポートによって作業チャネルに挿入され得る。
【0003】
十二指腸内視鏡のシャフトは、操舵可能な遠位部において終端し得る。十二指腸内視鏡の遠位部は、十二指腸内視鏡のルーメンからの空気、水、吸引、電気、データ、光、画像、及び/又は作業ツールの出口を含み得る。遠位先端の構成要素は、対象の体管腔の流体又は他の物質にさらされる可能性がある。別の患者に再使用する前に、十二指腸内視鏡に再処理処置が施される場合がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示の例は、とりわけ、医療装置の遠位先端のための装置、システム、及び方法に関する。本明細書に開示される各例は、開示される例に関連して記載される特徴の1つ以上を含み得る。
【0005】
一例では、医療装置は、遠位先端を備え得、該遠位先端は、観察要素と、照明要素と、遠位先端をシャフトに取り外し可能に結合するように構成された少なくとも1つの機構とを有する。医療装置はまた、遠位先端に結合されており、ツールを収容するように構成された中央ルーメンを画定する作業チャネルを含み得る。作業チャネルの壁は、少なくとも1つの追加のルーメンを画定し得る。作業チャネルは、シャフトに取り出し可能に挿入されるように構成され得る。医療装置はまた、少なくとも1つの追加のルーメンを通過するワイヤ、ケーブル、又は導管のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0006】
本明細書に開示される医療装置のいずれも、以下の特徴のいずれかを有し得る。ワイヤ、ケーブル、又は導管のうちの少なくとも1つは、ワイヤ又はケーブルを含み得る。ワイヤ又はケーブルは、遠位先端の昇降機、観察要素、又は照明要素のうちの少なくとも1つを動作させるように構成され得る。遠位先端は、昇降機を上昇又は下降させるように機能するモータを更に含み得る。ワイヤ、ケーブル、又は導管のうちの少なくとも1つは、ワイヤ又はケーブルを含み得る。ワイヤ又はケーブルは、モータに電力を提供するように構成され得る。作業チャネルの壁は、少なくとも2つの追加のルーメンを画定し得る。遠位先端は、当該遠位先端の近位表面から延びる柱を有し得る。柱は、シャフトを通って延びる制御ワイヤに取り外し可能に接続されるように構成され得る。柱は、少なくとも1つのスロットを画定し得、制御ワイヤは、少なくとも1つのスロットによって受け入れられるように構成された少なくとも1つの突起を含み得る。遠位先端は、当該遠位先端の近位表面から延びる少なくとも1つのペグを有し得る。ペグは、遠位先端をシャフトに結合するように構成され得る。遠位先端は、シャフトに対して回転可能であるように構成され得る。遠位先端は、遠位先端をシャフトに対して相対回転させるように構成されたモータを含み得る。モータは、歯車を回転させるように構成され得る。遠位先端は、歯車と噛合するように構成された歯を含み得る。遠位先端は、遠位先端の要素をシャフトの要素に結合するための磁石を含み得る。遠位先端は、内視鏡の昇降機を上昇及び下降させるための遠位先端昇降機制御ワイヤを更に含み得る。昇降機制御ワイヤの近位端は、シャフト昇降機制御ワイヤのスロットと嵌合するように構成された切欠部を含み得る。作業チャネルの近位端は、シャフトの近位端にあるハンドルに近位端を固定するための複数のねじ山を含み得る。遠位先端の近位端は、シャフト内に延びるシャフトケーブル又はワイヤに遠位先端の電子要素を動作可能に接続するためのポートを画定し得る。
【0007】
別の例では、医療装置は、観察要素と、照明要素と、ノズルとを有する遠位先端を含み得る。作業チャネルは、遠位先端に結合され、ツールを収容するように構成された中央ルーメンを画定し得る。作業チャネルの壁は、少なくとも1つの追加のルーメンを画定し得る。作業チャネルは、シャフトに取り出し可能に挿入されるように構成され得る。少なくとも1つの追加のルーメンは、ノズルと流体連通するように構成され得る。
【0008】
本明細書に開示される医療装置のいずれも、以下の特徴のいずれかを有し得る。遠位先端は、昇降機を上昇又は下降させるように機能するモータを更に含み得る。ワイヤ、ケーブル、又は導管のうちの少なくとも1つは、ワイヤ又はケーブルを含み、ワイヤ又はケーブルは、モータに電力を提供するように構成される。
【0009】
例示的な方法は、医療装置のシャフトに遠位先端を取り外し可能に結合することを含み得る。遠位先端は、観察要素及び照明要素を有し得る。方法は、シャフト内に作業チャネルを供給することと、医療装置のハンドルに作業チャネルを取り外し可能に結合することとを更に含み得る。
【0010】
本明細書に開示される方法のいずれも、以下の特徴のいずれかを有し得る。作業チャネルは、ツールを収容するように構成された中央ルーメンを画定し得る。作業チャネルの壁は、少なくとも1つの追加のルーメンを画定し得る。ワイヤ、ケーブル、又は導管のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの追加のルーメンを通過し得る。ワイヤ、ケーブル、又は導管のうちの少なくとも1つは、昇降機、観察要素、照明要素、又はノズルのうちの少なくとも1つに動作可能に接続されるように構成され得る。
【0011】
前述の概要及び以下の詳細な説明の両方は、例示的且つ説明的なものに過ぎず、請求される本発明を限定するものではないことは理解されるであろう。本明細書で使用する場合、用語「備える/からなる(comprises)」、「備えている/からなる(comprising)」、又はその任意の他の変化形は、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、又は装置がこれらの要素のみを含まず、明示的に列挙されていない、又はそのようなプロセス、方法、物品、若しくは装置に固有のものではない他の要素を含むことができるように、非排他的な包含を含むことを意図するものである。「例示的な」という用語は、「理想的」というよりもむしろ「例」の意味で使用される。「遠位」という用語は、操作者から遠ざかる/治療部位に向かう方向を指し、「近位」という用語は、操作者に向かう方向を指す。用語「ほぼ」又は同様の用語(例えば、「実質的に/概ね」)は、記載された値の+/-10%の値を含む。
【0012】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を成す添付の図面は、本開示の例を示し、明細書とともに、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】例示的な十二指腸内視鏡を示す図。
図2A】十二指腸内視鏡の例示的な遠位先端を示す図。
図2B】十二指腸内視鏡の例示的な遠位先端を示す図。
図3図2A及び図2Bの遠位先端とともに使用するための例示的な作業チャネルを示す図。
図4A】遠位先端及びそれとともに使用するための要素を示す図。
図4B】遠位先端及びそれとともに使用するための要素を示す図。
図4C】遠位先端及びそれとともに使用するための要素を示す図。
図4D】遠位先端及びそれとともに使用するための要素を示す図。
図5A】例示的な固定メカニズムを示す図。
図5B】例示的な固定メカニズムを示す図。
図5C】例示的な固定メカニズムを示す図。
図6A】例示的な回転要素を示す図。
図6B】例示的な回転要素を示す図。
図7A】例示的な回転要素を示す図。
図7B】例示的な回転要素を示す図。
図7C】例示的な回転要素を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
再処理中に、十二指腸内視鏡の遠位先端及び/又は十二指腸内視鏡の作業チャネルを十分に清掃することは困難な場合がある。従って、十二指腸内視鏡の遠位先端及び/又は作業チャネルが十二指腸内視鏡の残りの部分から取り外し可能であることが望ましい場合がある。遠位先端及び/又は作業チャネルは、遠位先端及び/又は作業チャネルを再処理する必要性をなくすために使い捨てとし得る。十二指腸内視鏡の遠位先端及び/又はシャフトは、遠位先端の要素(例えば、昇降機、空気/水ノズル、観察要素、及び/又は照明要素)と遠位先端の要素を制御するための十二指腸内視鏡のシャフト及びハンドル内の要素との間の接続を容易にするための特徴を含み得る。遠位先端はまた、十二指腸内視鏡のシャフトに対する遠位先端の回転を可能にするための回転可能要素を有し得る。
【0015】
図1は、ハンドル12と挿入部14とを有する例示的な十二指腸内視鏡10を示す。十二指腸内視鏡10はまた、例えば、空気、水、吸引、電力などの供給源並びに画像処理及び/又は観察機器に十二指腸内視鏡10を接続するためのアンビリカス(umbilicus)16を含み得る。本明細書では十二指腸内視鏡という用語が使用される場合があるが、内視鏡、大腸内視鏡、尿管鏡、気管支鏡、腹腔鏡、シース、カテーテル、又はあらゆる他の適切な送達装置若しくは医療装置を含むがこれらに限定されない他の装置が本開示の結合装置及び方法とともに使用され得ることは理解されるであろう。側面向き装置について特に記述するが、本明細書に記載される実施形態は、正面向き内視鏡(例えば、観察要素が長手方向前方に面する内視鏡)でも使用され得る。
【0016】
挿入部14は、シース又はシャフト18及び遠位先端20を含み得る。遠位先端20は、撮像装置(例えば、カメラ)22及び照明源24(例えば、LED又は光ファイバ)を含み得る。遠位先端20はまた、十二指腸内視鏡10の作業チャネルに挿入されたツールの向きを変えるための昇降機26を含み得る(ツールの挿入についての更なる詳細は以下に記載する)。昇降機26は、例えば作動ワイヤにより揺動可能であり得る。遠位先端20は側面向きであり得る。すなわち、撮像装置22及び照明源24は、シャフト18及び遠位先端20の長手方向軸線に垂直に又はほぼ垂直に、半径方向外側に面し得る。
【0017】
遠位先端20に接続されたシャフト18の遠位部は、操舵可能セクション28を有し得る。操舵可能セクション28は、例えば、関節ジョイントであり得る。シャフト18及び操舵可能セクション28は、当技術分野で既知の又は既知になり得る様々な構造を含み得る。本明細書において、遠位先端20の例示的な特徴は、図2A図7Cに関して更に詳細に説明される。
【0018】
ハンドル12は、1つ以上の制御メカニズム30を有し得る。制御メカニズム30は、操舵可能セクション28の制御を提供し得る。あるいは、空気、水、吸引などの提供を可能にし得る。例えば、ハンドル12は、操舵可能セクション28の左、右、上及び/又は下制御のための制御つまみ32、34を含み得る。例えば、つまみ32、34の一方は、操舵可能セクション28の左/右制御を提供し得、つまみ32、34のもう一方は、操舵可能セクション28の上/下制御を提供し得る。ハンドル12は、上、下、左、又は右方向のうちの少なくとも1つにおける操舵可能セクション28の操舵を阻止するための1つ以上のロックメカニズム36(例えば、つまみ又はレバー)を更に含み得る。ハンドル12は、昇降機制御レバー38を含み得る。昇降機制御レバー38は、昇降機20を上昇及び/又は下降させることができる。ポート40は、ポート40を通して十二指腸内視鏡10の作業チャネルに、シース18を通して遠位先端20にツールを通過させることを可能にし得る。
【0019】
使用中、操作者は、対象の体管腔にシャフト18の少なくとも一部分を挿入し得る。遠位先端20は、体管腔内の処置部位にナビゲートされ得る。操作者は、ポート40にツール(図示せず)を挿入し、シャフト18内において作業チャネルを通して遠位先端20までツールを通過させることができる。ツールは、遠位先端20にて作業チャネルを出ることができる。使用者は、昇降機制御レバー38を使用して昇降機26を上昇させ、所望の位置(例えば、膵胆管の乳頭)に向かってツールを傾けることができる。使用者は、ツールを使用して医療処置を実施し得る。
【0020】
図2A及び図2Bは、例示的な遠位先端100の異なる図を提供する。図2Aは、斜視図を提供し、図2Bは、側面図を提供する。遠位先端100は、十二指腸内視鏡10の遠位先端20の代わりに使用され得、遠位先端20の特性のいずれかを有し得る。遠位先端100は使い捨てとし得る。遠位先端100は、十二指腸内視鏡10の使用前にシャフト18上に配置され、使用後にシャフト18から取り外され得る。遠位先端100は廃棄され得、十二指腸内視鏡10の他の部分は再処理され得る。
【0021】
遠位先端100は、機構を含み得る。該機構は、以下のものを含む。すなわち、観察要素102(例えば、カメラ)、照明源104、空気及び/若しくは水ノズル、並びに/又は昇降機110を含む。昇降機110は、昇降機20の特性のいずれかを有し得る。昇降機110は、昇降機110を上昇及び/又は下降させるためのメカニズム(例えば、以下に記載されるようなワイヤ又は電動式要素)に昇降機110を接続するための取付箇所112を含み得る。観察要素102は、観察要素22の特性のいずれかを有し得る。観察要素102は、例えば、電荷結合装置(「CCD」)ユニット、画像センサ、及び/又は対物レンズを含み得る。照明源104は、照明源24の特性のいずれかを有し得る。照明源104は、例えば、LED又は光ファイバを含み得る。遠位先端100はまた、遠位先端100を回転させるためのモータ及び/又は歯車などの内部構成要素を含み得る(図6A図7Cを参照、以下で説明する)。図6A図6Bに関して更に説明するように、遠位先端100はまた、昇降機110を上昇及び下降させるためのモータを収容し得る。
【0022】
作業チャネル120は、遠位先端100の近位端から延び得る。作業チャネル120は、ツールを収容するため、吸引を行うため、及び/又は体液若しくは組織を受け入れるためのルーメン(例えば、中央ルーメン)を画定し得る。作業チャネル120は、遠位先端100から取り外し可能であり得、又は遠位先端100に固定的に結合され得る。作業チャネル120は、遠位先端100からハンドル12まで近位に延び得る。遠位先端100が十二指腸内視鏡の遠位端に取り付けられると、作業チャネル120は、シャフト18を通してハンドル12に逆送(backfeed)され得る。ハンドル12内において、作業チャネル120は、適切な構造体(例えば、とりわけ機器ポート40)に固定され得る。以下に記載するように、作業チャネル120の壁は、観察要素102、照明要素104、及び/又は遠位先端100の回転若しくは昇降機110の動作用のモータのためのワイヤ及び/又はケーブルなどの様々な構成要素を収容し得る。作業チャネル120はまた、空気及び/若しくは水ノズルと流体連通する導管並びに/又は昇降機110用の制御メカニズム(例えば、ワイヤ)を収容し得る。
【0023】
遠位先端100は、作業チャネル120の構成要素と一体の相補的な構成要素(例えば、遠位先端100に固定的に取り付けられた作業チャネル120の場合)、又は作業チャネル120の構成要素に動作可能に接続される/接続可能な別個の相補的な構成要素のいずれかを収容し得る。ワイヤ及び/又はケーブル、導管、及び昇降機制御要素は、ハンドル12、シャフト18、及び遠位先端100のそれぞれに存在し得、単一の一体部品又は互いに動作可能に結合された部品を含み得る。
【0024】
ルーメンが作業チャネル120内に延びてもよく、ルーメンは、機器、吸引、及び/又は体組織がルーメンを通過することを可能にし得る。作業チャネル120は、遠位先端100の近位端において又は遠位先端100内で終端し得る。作業チャネル120のルーメンは、遠位先端の開口部130と連通し得る。作業チャネル120のルーメンは、開口部130にて終端してもよい、又は遠位先端100の構造(例えば、遠位先端100の壁)は、作業チャネル120のルーメンと連通するチャネルを形成し得る。機器は、作業チャネル120のルーメンを通過し、開口部130から出てもよい。昇降機110は、上昇又は下降させて開口部130から突き出た機器の向きを変えるために、昇降機制御レバー28によって起動され得る。
【0025】
遠位先端110の近位側は、1つ以上の嵌合構成要素140を含み得る。図2Aに示されるように、遠位先端110は、2つの嵌合構成要素140を有し得る。嵌合構成要素140は、図4A図4Cに関して以下に記載するものなどの様々な構造を含み得る。図2Aに示されるように、嵌合構成要素140は、遠位先端100の近位表面から近位に延びる突起(例えばペグ)を含み得る。嵌合構成要素140は、柱及び頭部を含み得る。嵌合構成要素140は、例えば、ねじの頭部のような形状を有し得る。嵌合構成要素140は、十二指腸内視鏡のシャフト18の構成要素と嵌合し得る、又はシャフト18に遠位先端100を他の手法で固定し得る。例えば、シャフト18の遠位面は、嵌合構成要素140を収容するための湾曲したスロット(図示せず)を含み得る。シャフト18対する遠位先端100の回転により、嵌合構成要素140がスロットと係合し、シャフト18に遠位先端100を固定し得る。代替的に、シャフト18の遠位面は、シャフト18に遠位先端100を固定するために構成要素140を収容し、これと係合するための、丸い又は他の形状を有する開口部を含み得る。例示的な嵌合メカニズムに関する更なる詳細は以下に提供される。
【0026】
図3は、例示的な作業チャネル220の態様を示しており、作業チャネル120の特性のいずれかを有し得、遠位先端100などの遠位先端とともに使用され得る。代替的に、作業チャネル220は、別の十二指腸内視鏡とともに使用され得る。図2Aは、近位端222において終端する作業チャネル220を示す。ルーメン224は、作業チャネル220の長さにわたって、作業チャネルの近位端222から遠位端まで延び得る。ルーメン224は、十二指腸内視鏡のハンドル内のポートから遠位先端110の開口部130を通して機器を送るために使用され得る。体液もまた、開口部130を通してルーメン224内に近位に送られ得る。
【0027】
作業チャネル220の近位端222は、作業チャネル220とハンドル12との嵌合を容易にする嵌合構造体226を含み得る。例えば、図2Aに示されるように、嵌合構造体226は、作業チャネル220と、ポート40と連通し得るハンドル内の受け部との間にねじ嵌合を提供するためのねじ山を含み得る。
【0028】
作業チャネル220の壁227は、壁227内に長手方向に延びる1つ以上のルーメン228を画定し得る。ルーメン228は、円形表面によって画定され得る。代替的に、ルーメン228は別の形状を有し得る。例えば、ルーメン228は、作業チャネル220の外部表面から半径方向内向きに延びるスロットを含み得る。ルーメン228は、完全に包囲され得、又は作業チャネル220の外部表面に通じる部分を含み得る。
【0029】
ルーメン228は、ツール、吸引、及び体液/組織を受け入れ、又は送るための中央ルーメン以外のものであり得る。ルーメン228は、作業チャネル220の長手方向軸線に沿って延び得るが、作業チャネル220の中心長手方向軸線と同軸でなくてもよい。ルーメン228は、中央ルーメンを取り囲んでもよい。各ルーメン228は、作業チャネル220の近位端222から遠位端まで延び得る。ルーメン228は、作業チャネル220の近位端222及び遠位端において開口し得る。壁227は、任意の適切な数のルーメン228を画定し得る。例えば、図2に示されるように、壁227は、4つのルーメン228を画定し得る。ルーメン228は、ハンドルからシャフト18を通って十二指腸内視鏡の遠位先端110まで延びるワイヤ及び/若しくはケーブル、導管、並びに/又は昇降機制御要素のための通路を形成し得る。例えば、ケーブル及び/又はワイヤは、観察要素102及び照明要素104に給電する及び/若しくはこれらを制御するための、並びに/又は観察要素102から信号を受け取るためのものである。水及び/又は給気もまた、ルーメン228を通過し得る。十二指腸内視鏡のハンドルから遠位先端に水及び/又は空気を供給するために、導管がルーメン228内に通され得る。代替的に、水及び/又は空気は、ルーメン228に通される中間導管構造体なしに、ルーメン228内を直接移動し得る。
【0030】
例として、作業チャネル220は4つのルーメン228を含み得る。4つのルーメン228のうちの第1のものは、空気又は別の流体を提供するために使用され得、第2のものは、水又は別の流体を提供するために使用され得る。第3のルーメン228は、観察要素102からの供給のための信号ケーブルを搬送するために使用され得る。第4のルーメン228は、例えば、観察要素102、照明要素104、並びに昇降機110を上昇及び下降させる及び/又は遠位先端100を回転させるために使用される遠位先端100のモータに給電し得る電力ケーブルを搬送するために使用され得る。
【0031】
ハンドル12内の受け部は、作業チャネル220のルーメン228を通過する要素とハンドル12内の対応する構造体との間の自動接続を提供し得る。例えば、適切な受け部への作業チャネル220のねじ止めにより、ハンドル12内の制御部とルーメン228内の対応するワイヤとの間の電気接続を提供し得る。このような例では、シャフト18を通して作業チャネル220を逆供給した後、作業チャネル220の近位端222はハンドル12の受け部内に着座し得、ルーメン228内の要素とハンドル12の対応する要素との間の接続を形成するための単一工程を提供する。代替的に、ルーメン228内で搬送される要素は、近位端222がハンドル12に固定される前又は後に、ハンドル12の対応する要素に別々に接続され得る。例えば、ルーメン228内で搬送された配線は、ハンドル12の受け部に挿入され得るプラグ内で近位に終端し得る。
【0032】
図4A及び図4Bは、代替的な遠位先端100’及び代替的な作業チャネル220’を示す。本明細書では遠位先端100’と作業チャネル220’は一緒に記載されているが、遠位先端100’及び/又は作業チャネル220’の特徴は、本明細書に記載される他の態様と組み合わされ得る。例えば、遠位先端100の特徴は、作業チャネル220’の特徴と一緒に使用され得、遠位先端100’の特徴は、作業チャネル220の特徴と一緒に使用され得る。別段の定めがある場合を除き、遠位先端100’及び作業チャネル220’は、それぞれ、遠位先端100及び作業チャネル220の特徴のいずれかを有し得る。
【0033】
作業チャネル220と比較すると、作業チャネル220’は、その内部に形成されたより少数のルーメン228’を有し得る。いくつかの構成要素は、ルーメン228’を通過する代わりに、作業チャネル220’の外部を通過し得る。例えば、作業チャネル220’は、2つのルーメン228’を画定し得る。2つのルーメン228’は、それぞれ、空気(又は別の流体)及び水(又は別の流体)を搬送し得る。電力を提供するための及び/又は観察要素102から画像信号を受け取るためのケーブル又はワイヤは、シャフト18内で作業チャネル220の外部を通過し得る。ケーブル又はワイヤは、遠位端100’の近位面上のポート260を通って延び得る。ポート260は開口部であってもよく、ケーブル及び/又はワイヤは、開口部を通って、電子要素(例えば、モータ、観察要素102、及び/又は照明要素104)から近位に延び得る。遠位先端100’がシャフト18上に配置されると、ケーブル及び/又はワイヤは、シャフト18を通して逆供給され、ハンドル12の一部分に接続され得る。このような例では、ポート260は、流体(体液など)がポート260を通過することを防ぐ封止要素を含み得る。代替的に、ポート260は、コネクタを受け入れるための受け部を形成し得る。例えば、単回使用の若しくは再利用可能なワイヤ及び/又はケーブルがハンドル12から遠位先端110’に向けて遠位に延び得る。ワイヤ及び/又はケーブルは、ハンドル12の要素に固定的に又は取り外し可能に結合され得る。ワイヤ及び/又はケーブルは、遠位先端100’の要素と電気接続を形成するために、ポート260に挿入され得るコネクタ内で遠位に終端し得る。
【0034】
遠位先端100に関して上述したように、昇降機110は、遠位先端100内のモータで動作(上昇又は下降)させ得る。代替的に、制御ワイヤ214(図4D)が昇降機制御レバー38に接続され得、シャフト18を通過し得る。昇降機制御レバー38を動かすと、制御ワイヤ214の近位運動及び遠位運動を生じさせ得る。制御ワイヤ214は、図4Dに示される遠位端215内で終端し得る。遠位端215は、シャフト216及び頭部218を含み得る。頭部218は、シャフト216に対して半径方向外向きに延び得る。1つ以上の突起220が頭部218の表面から半径方向外向きに延び得る。例えば、図4Dに示されるように、2つの突起220が頭部218から延び得る。突起220は、任意の適切な形状を有し得る。例えば、図4Dに示されるように、突起220は、周方向寸法よりも大きな長手方向寸法を有し得る(頭部218の周方向に比べて頭部218の長手方向により長く延び得る)。
【0035】
制御ワイヤ214は、遠位先端100’の近位面から近位に延びるピン250に動作可能に接続され得る。ピン250は、遠位先端100’内に延びる制御ワイヤの近位端を形成し得、ピン250は、ピン250が近位に移動すると昇降機110が上昇し、ピン250が遠位に移動すると昇降機110が下降するように、昇降機110に動作可能に接続され得る。代替的に、ピン250は、ピン250が近位及び遠位に移動すると昇降機が上昇及び下降するように、昇降機110内の別個の制御ワイヤに動作可能に接続され得る。図4Cは、ピン250の詳細図を示す。ピン250は、シャフト252と、シャフト252よりも大きな径方向寸法を有する頭部254とを含み得る。代替的に、ピン250は、均一な径方向寸法を有し得る。頭部254は、キャビティ255を画定し得、キャビティ255は、頭部254の近位端において開口し得る。ピン250の一部分(例えば、頭部254)は、1つ以上のスロット256を画定し得る。例えば、図4Cに示されるように、ピン250は、頭部254の壁内に延びる2つのスロット256を画定し得る。スロット256はL字形であり得る。スロット256の遠位部は周方向に延び得、スロット256の近位部は長手方向に延び得る。
【0036】
ピン250に制御ワイヤ214を動作可能に接続するために、頭部218を含む遠位端215は、突起220がスロット256と位置合わせされた状態で、キャビティ255に挿入され得る。遠位端215は、突起220がスロット256に沿って進むように、遠位に移動させてもよい。その後、遠位端215は、ピン250の周りに周方向に延びるスロット256の部分に沿って突起220が進み続けるように、回転させてもよい。
【0037】
制御ワイヤ214がピン250に結合され得る一方で、同時に(又はその後に又は前に)、ペグ140は、シャフト18の特徴に結合される。例えば、遠位先端100’とシャフト18とが組み合わされる際に、制御ワイヤ214の遠位端215はピン250のキャビティ255に挿入され得、ペグ140は、シャフト18の穴、スロット、又は他の特徴に挿入され得る。その後、遠位先端100’はシャフト18に対して回し得る。回すことで、制御ワイヤ214とピン250とを結合させることができる一方で、シャフト18にペグ140を結合することで、シャフト18に対して遠位先端100’を固定する。遠位先端100又は遠位先端100’はまた、ピン250が遠位先端100’に存在していない場合であっても、回すことによりシャフト18に取り付けられ得る。シャフト18に遠位先端100/100’を更に固定し、遠位先端100/100’とシャフト18との間における流体の浸入及び浸出を阻止するために、スカートが遠位先端100/100’及びシャフト18の周りに配置され得る。処置の後、遠位先端100又は遠位先端100’は、(例えば、反対方向に回すことにより)シャフト18から取り外され得る。遠位先端100又は遠位先端100’は、使い捨てとし得る、又は更なる処置のために再処理され得る。
【0038】
遠位先端100、100’に関しては発光ダイオードについて説明したが、代替的に又は追加的に、光ファイバを使用してもよいことは理解されるであろう。光ファイバは、シャフト18及び遠位先端100又は遠位先端100’内に延び得る。シャフト18の光ファイバと遠位先端100又は遠位先端100’の光ファイバは、シャフト18と遠位先端100又は遠位先端100’との間の接合部にて接し得る。光ファイバは、遠位先端100又は遠位先端100’の近位表面及びシャフト18の遠位表面と面一であり得る。光ファイバを面一にすることで、流体が隙間に漏れ出したり光ファイバの外部表面に付着したりできないため、シャフト18などの構成要素の清掃がより簡単になり得る。
【0039】
図5A図5Cは、遠位先端100又は遠位先端100’などの遠位先端内の制御ワイヤの一部分にシャフト18内の制御ワイヤの一部分を結合するための代替的な取付メカニズムを示す。図5A図5Cに記載されている取付メカニズムは、昇降機を上昇及び下降させるための制御ワイヤに関して説明され得るが、追加的に又は代替的に、取付メカニズムは、シャフト18に遠位先端(遠位先端100又は遠位先端100’など)を固定するために使用され得ることは理解されるであろう。
【0040】
図5A図5Bは、フィンガトラップのように機能し得る固定メカニズム300示す。遠位先端制御ワイヤ312は、昇降機(例えば、昇降機110)に接続され得、遠位先端内においてシャフト18に向かって近位に延び得る。シャフト18内に延び得るシャフト制御ワイヤ314は、シャフト制御ワイヤ314の周りに取り付けられたスリーブ316を有し得る。スリーブ316は、ルーメンを画定し得、ルーメン内に配置され得るシャフト制御ワイヤ314の遠位部の周りに周方向に延び得る。
【0041】
1つ以上の突起318が、スリーブ316の内部表面から半径方向内向きに延び得る。1つ以上の切欠部319が遠位先端制御ワイヤ312に形成され得る。単一の突起318がスリーブ316の内周に延びてもよく、単一の切欠部319が遠位先端制御ワイヤ312の周囲に延び得る。代替的に、スリーブ316上に複数の別個の突起、及び遠位先端制御ワイヤ312上に複数の別個の切欠部が存在し得る。
【0042】
遠位先端制御ワイヤ312がスリーブ316内に挿入されて突起318が切欠部319と位置合わせされたときに、突起318が切欠部319に係合してスリーブ316内に遠位先端制御ワイヤ312を保持し得るように、突起318と切欠部319は、同じ又は相補的な形状を有し得る。例えば、突起318及び切欠部319の近位側面は、シャフト制御ワイヤ314、スリーブ316、及び/又は遠位先端制御ワイヤ312の長手方向軸線にほぼ垂直であり得る。突起318及び切欠部319の遠位側面は、半径方向外向きに角度を成し得る/第1の側面に向かってテーパし得る。突起318及び切欠部319は、三角形又は楔形を有し得る。
【0043】
図5Aは、遠位先端制御ワイヤ312がスリーブ316内に完全に挿入される前の遠位先端制御ワイヤ312及びシャフト制御ワイヤ314を示す。シャフト制御ワイヤ314に遠位先端制御ワイヤ312を結合するために、遠位先端制御ワイヤ312の近位端はスリーブ316内に挿入され得る。遠位先端制御ワイヤ312は近位に移動させることができる。遠位先端制御ワイヤ312は、突起318に接触し、突起318を半径方向外向きに偏向させることができる。スリーブ316及び/又は突起318は、弾性の、可撓性の、及び/又は形状記憶性を有する材料であって、遠位先端制御ワイヤ312の近位端が突起318を通過できるように屈曲することが可能な材料で形成され得る。図5Bに示されるように、スリーブ316内に遠位先端制御ワイヤ312を保持するために、突起318は切欠部319に係合し得る。遠位先端制御ワイヤ312を十分な力で遠位に引くと、スリーブ316を破壊することなく、スリーブ316から遠位先端制御ワイヤ312を係脱させることができる。
【0044】
シャフト制御ワイヤ314の周りに取り付けられたスリーブ316について記述したが、代替的に、スリーブ316は、遠位先端制御ワイヤ312の周りに取り付けられてもよく、シャフト制御ワイヤ314は、切欠部319に類似する1つ以上の切欠部を含み得る。スリーブ316から半径方向内向きに延びる突起318について記述したが、突起318は遠位先端制御ワイヤ312(又はシャフト制御ワイヤ314)から半径方向外向きに延び得ることは理解されるであろう。切欠部(切欠部319に類似する)は、スリーブ316の壁に形成され得る。
【0045】
図5Cは、遠位先端600(遠位先端100、100’の特性のいずれかを有する)にシャフト618(シャフト18の特性のいずれかを有する)を取り付けるための代替的なメカニズムを示す。遠位先端600は、観察要素602(観察要素102の特性のいずれかを有し得る)及び照明源604(照明源104の特性のいずれかを有する)を含み得る。遠位先端600はまた、昇降機110の特性のいずれかを有し得る昇降機610を含み得る。シャフト制御ワイヤ614は、ある長さのシャフト618内に延びてもよく、シャフト制御ワイヤ314の特性のいずれかを有し得る。シャフト制御ワイヤ614は、シャフト制御ワイヤ614を近位及び遠位に移動させるために、十二指腸内視鏡ハンドル(ハンドル12など)内でアクチュエータに動作可能に接続され得る。遠位先端制御ワイヤ612は、遠位先端600内に長手方向に延びてもよく、遠位先端制御ワイヤ612の近位及び遠位運動により昇降機110を上昇及び/又は下降させることができるように、昇降機110に動作可能に接続され得る。
【0046】
遠位先端制御ワイヤ612は、磁気要素640内で近位に終端し得る。磁気要素640は、遠位先端制御ワイヤ612の残りの部分と同じ材料で形成され得る、又は遠位先端制御ワイヤ612にしっかりと固定されている、遠位先端制御ワイヤ612と別個の部品であり得る。シャフト制御ワイヤ614は、磁気要素642内で遠位に終端し得る。磁気要素642は、シャフト制御ワイヤ614の残りの部分と同じ材料で形成され得る、又はシャフト制御ワイヤ614にしっかりと固定されている、シャフトワイヤ614と別個の部品であり得る。磁気要素640と磁気要素642とが互いに引き付けられるように、互いに対向する磁気要素640の部分と磁気要素642の部分は反対の極性を有し得る。磁気要素640と磁気要素642との間の磁力は、磁気要素640及び磁気要素642が遠位先端制御ワイヤ612をシャフト制御ワイヤ614に固定するように校正され得る。使用後、使用者による十分な力を使用して、磁気要素642から磁気要素640を分離し得る。代替的に、磁気要素640及び磁気要素642のうちの少なくとも1つが電磁石であってもよく、磁気要素642から磁気要素640を解放するためにオフにすることが可能であり得る。代替的に、使用後に、キー又は他の装置が、磁気要素640と磁気要素642を解放するように構成され得る。
【0047】
図6A及び図6Bは、上述の遠位先端の特徴のいずれかを有し得る例示的な遠位先端600の透明図を示す。遠位先端600は、遠位先端600を長手方向に通過するルーメン624を画定し得る。ルーメン624は、遠位先端600の近位面上の近位開口部から遠位開口部まで通じ得る。ルーメン624の遠位開口部は昇降機610に通じ得る。昇降機610は、上述の昇降機の特徴のいずれかを有し得る。昇降機610は、ルーメン624を通過してルーメン624の遠位端から出る機器の向きを変えるために、上昇及び下降するように構成され得る。図6Bに示されるように、作業チャネル620はルーメン624内に収容され得る。作業チャネル620は、上述の作業チャネル120、220、220’の特性のいずれかを有し得る。例えば、作業チャネル620は、作業チャネル220の特性を有し得る。
【0048】
遠位先端600は、回転モータ660を含み得る。回転モータ660は、例えば、内蔵電源(例えば、リチウムイオン電池)、作業チャネル220に関して上記したような作業チャネル620のルーメンを通過するワイヤ又はケーブルによって給電され得る。回転モータ660は、歯車662に動力を供給し得る。回転モータ660は、歯車662を第1の方向又は第2の方向に回転させることができる。歯車662は、歯車662の周囲の少なくとも一部分の周りに形成された歯を有し得る。
【0049】
歯車662は、遠位先端600の内部周囲表面から半径方向向きに延び得る歯664と係合し得る。歯664は、ラックギアと同様に機能し得るが、遠位先端600の周囲に対応するように湾曲し得る。歯車662が回転する際、歯車662は歯664と係合し、遠位先端600の固定部分672に対する遠位先端600の回転可能部分670の回転を生じさせることができる。回転可能部分670は、固定部分672の遠位であり得る。示されるように、回転モータ660の動作によって、回転可能部分670が、回転モータ660とともに、遠位先端600及び/又はルーメン624の長手方向軸線周りに回転する(歯664はその軸線の周りに半径方向に配置されているため)ように、回転モータ660及び歯車662は回転可能部分670に配置され得、歯664は固定され得る(回転しない)。代替的に、歯664の回転が回転可能部分670の回転を生じさせるように、回転モータ660及び歯車662は固定部分672に配置され得、歯664は回転可能部分670に配置され得る。
【0050】
歯664は、回転可能部分670のほぼ360度の回転を可能にするために、遠位先端600の周囲全体に延び得る。代替的に、示されるように、歯664は、360度未満の回転(例えば、ほぼ90度、ほぼ180度、又はほぼ270度の回転)を可能にするために、遠位端600の周囲の一部分のみに延び得る。回転を上記の量に限定するために、(例えば、遠位先端600の内周上の)回転端部に停止部が配置され得る。回転可能部分670は、例えば、ポリマー軸受ユニットなどの軸受ユニットを介して固定部分672に結合され得る。
【0051】
遠位先端600はまた、昇降機モータ680を含み得る(図6Bを参照)。昇降機モータ680は、昇降機610の上昇及び下降運動を生じさせることができる。昇降機モータは、作業チャネル620(例えば、作業チャネル220に関して記述したような)のルーメン内に延び得るワイヤ、コード、又はケーブルによって給電され得る。
【0052】
回転モータ660、歯車662、歯664、及び昇降機モータ680は、特に、上記のものなどの使い捨ての遠位先端に関して記述されているが、これらの要素は、十二指腸内視鏡又は他の種類の内視鏡の様々な遠位先端とともに使用され得ることは理解されるであろう。
【0053】
図7A及び図7Bは、十二指腸内視鏡10のシャフト18に対する十二指腸内視鏡10の遠位先端の回転を容易にするために使用され得る構成要素を示す。図7A及び図7Bの構成要素は、本明細書に記載される遠位先端又は別の遠位先端とともに使用され得る。
【0054】
図7Aは、十二指腸内視鏡又は他の内視鏡の回転部分(例えば遠位先端)と十二指腸内視鏡又は他の内視鏡の非回転部分(例えばシャフト)との間に延びるワイヤ又はケーブルなどの構成要素のねじれ及び絡まりを阻止するのを助けるために使用され得る絡まり防止部860を示す。
【0055】
例えば、ケーブル804は、シャフト18などのシャフト内に延び得る。ケーブル804は、プレート812を通って延び得、又はプレート812に固定され得る。代替的に、プレート812は省略され得る。プレート812は、シャフトの遠位端の一部分(例えば、シャフトの遠位面)であり得る。ケーブル804の遠位部808は、プレート812の遠位に延び得る。図7Aに示されるように、ケーブル804はボーデンケーブルであり得る。ケーブル804がボーデンケーブルである場合、ケーブル804の遠位部808は、ケーブル804のより近位部の外カバー又はシースを欠いていてもよい。代替的に、ケーブル804は、他の種類のケーブル又はワイヤであってもよく、遠位部808は、ケーブル804の残りの部分と一様であり得る。2つのケーブル804が示されているが、他の数のケーブル804(例えば、4つ)が使用され得ることは理解されるであろう。
【0056】
ケーブル804の遠位端は、絡まり防止要素820に結合され得る。絡まり防止要素820は、プレート830及びリング822を含み得る。リング822は、プレート830の開口部内に収容され得、プレート830に対して回転可能であり得る。リング822の縁はプレート830の遠位側面上にあってもよい。リング822とプレート830との間の回転を容易にするために、玉軸受がリング822とプレート830との間に配置され得る。リング822は、プレート830の開口部を通って近位に延びるアーム824を有し得る。アーム824は、ケーブル804を収容するための(例えば、遠位部808を収容するための)スロットを画定し得る。ケーブル804の遠位端は、アーム824のスロット内に各ケーブル804を保持するためのキャップ826(例えば、ケーブル804の丸みを帯びた突出した端部)を含み得る。
【0057】
ケーブル802は、十二指腸内視鏡又は他の内視鏡の遠位先端(本明細書に記載される遠位先端のいずれかなど)内に延び得る。ケーブル802は、プレート810内に延び得、又はプレート810に取り付けられ得る。代替的に、プレート810は省略され得る。プレート810は、遠位先端の一部分(例えば、遠位先端の近位面)であり得る。ケーブル802の近位部806は、プレート810の近位に延び得る。図7Aに示されるように、近位ケーブル802はボーデンケーブルであってもよく、近位部806は、外シース/カバーのないボーデンケーブルのワイヤ又はケーブルを含み得る。2つのケーブル802が示されているが、別の数(例えば、4つ)のケーブルが用いられてもよいことは理解されるであろう。
【0058】
絡まり防止要素820のプレート830は、ケーブル802(近位部806など)を収容するためのスロット832を画定し得る。ケーブル802の近位端は、プレート830のスロット内に各ケーブル802を保持するためのキャップ(例えば、キャップ826の特性のいずれかを有し得る、ケーブル802の丸みを帯びた突出した端部)を含み得る。
【0059】
リング822はプレート830に対して回転可能であり得るため、ケーブル802は、ケーブル804を回転させることなく絡まり防止要素820の軸線の周りで回転することができ、それにより、ケーブルのねじれによるケーブル804(又はケーブル802)の絡まりを回避する。絡まり防止要素820は、絡まり防止要素820を介したケーブル804及びケーブル802の通信を可能にする性質(例えば、導電率)を有してもよい又は特徴(例えば、トレース)を有し得る。代替的に、ケーブル802、804は、シャフトの遠位端の操舵を可能にする関節式ワイヤ/ケーブルであり得る。ケーブル802、804が関節式ワイヤである場合、上/下/左/右の関節動作を提供するために、追加のケーブルも用いられ得ることは理解されるであろう。追加のケーブルは、ケーブル802、804のもののような特性を有し得、絡まり防止要素820と類似の手法で接続し得る。
【0060】
絡まり防止部860はまた、リング814(絡まり防止要素820のシース側の)及びリング816(絡まり防止要素820の遠位先端側の)を含み得、これらは、絡まり防止部860の取り付けを容易にすることができ、十二指腸内視鏡及び/又は絡まり防止部860の要素と嵌合し得る。例えば、リング814は、リング822の中心開口部内に装着され得、プレート812に固定され得る。このような構成では、リング814は、絡まり防止要素820に対するプレート812の位置決めを容易にし得る。追加的に又は代替的に、リング814はシールを形成し得る。
【0061】
絡まり防止部860のいくつかの態様のみが十二指腸内視鏡又は他の内視鏡とともに使用され得る。例えば、絡まり防止要素820(又は同じ若しくは類似の機能を有する類似の構造体)が使用され得るが、プレート812及びプレート810は省略され得る。絡まり防止部860は、本明細書に記載される他の態様とともに(例えば、図6A及び図6Bの遠位先端600のモータと)使用され得る。
【0062】
図7B及び図7Cは、絡まり防止部860若しくは遠位先端600とともに又は本明細書に記載される他の要素とともに使用され得る回転機構を有し得る十二指腸内視鏡900の態様を示す。図7Cは、図7Bの装置の分解図を示す。十二指腸内視鏡900は、本明細書に記載されるシャフト(例えば、シャフト18)の特性のいずれかを有し得るシャフト918を含み得る。十二指腸内視鏡900は、本明細書に記載される遠位先端の特性のいずれかを有する遠位先端901を有し得る。遠位先端901は、本明細書に記載される他の観察要素及び照明要素の特性のいずれかを有する観察要素902及び照明要素904を有し得る。遠位先端901はまた、本明細書に記載される昇降機の特徴のいずれかを有する昇降機910を有し得る。
【0063】
遠位先端901は、回転軸受960を介してシャフト918に接合され得る。回転軸受960は、互いに取り外すことができる固定プレート962及び回転プレート964を含み得る。回転プレート964は、固定プレート962に対して360度(又は360度未満)回転し得る。回転軸受960は、十二指腸内視鏡シャフトに対する遠位先端の又はその逆の回転を容易にするために、本明細書に記載される例示的な遠位先端のいずれとともに使用され得る。回転軸受960は、例えば、ターンテーブル型軸受であり得る。回転軸受960は、互いに対して回転可能な2つの構成要素(プレート830及びリング822)を同じく含む上記の絡まり防止要素820の特性のいずれかを有し得る。ケーブルは、上記した絡まり防止部860と類似の手法で回転軸受960に固定され得る。例えば、シャフト918のケーブルは固定プレート962に固定され得、遠位先端901のケーブルは回転プレート964に固定され得る。
【0064】
本開示の原理は、特定の用途の例示を参照して本明細書に記載されているが、本開示は、これに限定されないことは理解すべきである。当技術分野における通常の技量を有し、本明細書で提供される教示にアクセスできる者であれば、追加の修正、適用、及び均等物の置換が全て、本明細書に記載される例の範囲内にあることを認識するであろう。従って、本発明は、前述の記載によって限定されるものとはみなされない。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
【国際調査報告】