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特表2023-522180長期に安定した心房シャントを形成するための装置及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-29
(54)【発明の名称】長期に安定した心房シャントを形成するための装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/02 20060101AFI20230522BHJP
   A61B 18/08 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
A61B18/02
A61B18/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562296
(86)(22)【出願日】2021-03-10
(85)【翻訳文提出日】2022-10-12
(86)【国際出願番号】 US2021021639
(87)【国際公開番号】W WO2021211229
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】63/009,791
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/182,594
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507020152
【氏名又は名称】メドトロニック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】ヤーン,ジョーンピーン
(72)【発明者】
【氏名】ロルビック,アンソニー・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ピーダーソン,ブライアン・ディー
(72)【発明者】
【氏名】シュルハウザー,ランダル
(72)【発明者】
【氏名】クーロンブ,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン,デビッド・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ブラナン,ジョセフ・ディー
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート,マーク・ティー
(72)【発明者】
【氏名】ラロンデ,ジャン-ピエール
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ03
4C160KK04
4C160KK38
4C160MM33
(57)【要約】
哺乳動物の心臓の右心房と左心房との間にシャントを形成する方法は、右心房と左心房との間の心房中隔を穿刺してシャントを形成することを含む。バルーンを有するアブレーション装置は、シャントを通って少なくとも部分的に前進する。バルーンは膨張し、心房中隔を左心房及び右心房内の血液から熱的に隔離するように構成される。心房中隔をアブレーションするためにアブレーションエネルギーが送達される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置であって、
主長手方向軸を画定し、近位部分及び遠位部分を有する細長い本体と、
バルーンを含む前記遠位部分であって、前記バルーンは、第1の直径を有する一対の長手方向に離間したローブと、それらの間に配置された前記第1の直径よりも小さい第2の直径を有する中央部分と、を含む、前記遠位部分と、
実質的に前記中央部分内に配置されたアブレーション要素であって、前記アブレーション要素は、アブレーションエネルギーを前記中央部分に送達するように構成された、アブレーション要素と、
を備える、医療装置。
【請求項2】
前記アブレーション要素は、前記中央部分に冷却剤を送達するように構成された第1の複数の噴霧ポートを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の複数の噴霧ポートは、前記主長手方向軸に直交する方向に角度付けされている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記中央部分内にあり、前記第1の複数の噴霧ポートから長手方向に離間した第2の複数の噴霧ポートを更に含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記アブレーション要素は、高周波アブレーションエネルギーを送達するように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のローブ及び前記第2のローブは、膨張したときに、前記バルーンが心房シャント内に配置されたときに、左心房及び右心房内を流れる血液から心房中隔に当接して熱的に隔離するようなサイズ及び構成である、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記バルーンに近接してパルスフィールドアブレーションエネルギーを送達するように構成された複数の電極を有するカテーテルを更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記アブレーション要素は、マイクロ波エネルギーを送達するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記バルーンは、圧力センサ及び温度センサからなる群からの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
パルスフィールドアブレーションエネルギーを送達するように構成された前記バルーン上の複数の電極を更に含む、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]
本技術は、一般に、心房シャントを形成するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]
心房シャントは、特定の心臓欠陥及び心不全を治療するために使用される手順である。処置中、右心房と左心房との間に血液が流れるように、右心房と左心房との間に血流経路が形成される。典型的な処置では、心房を分離する隔壁を穿刺装置で切断し、ステントなどの機械的装置を所定の位置に残して組織の再成長を防ぎ、シャントを維持する。しかしながら、そのような処置は、組織の再増殖をもたらし、したがってシャントの有効性を低下させる可能性がある。
【0003】
[0003]
他の処置では、隔壁を取り囲む組織を、組織の再増殖を防止し、シャントを維持するための極低温エネルギーなどの熱エネルギーでアブレーションすることができる。しかしながら、現在の先行技術の装置は、左心房及び/又は右心房内を流れる血液からアブレーションされる隔壁の一部を隔離することができない。したがって、血液は、極低温エネルギーでアブレーションされている組織を温め、心房シャントは閉鎖し始め、シャント処置の有効性を低下させる。
【発明の概要】
【0004】
[0004]
本開示の技術は、一般に、心房シャントを形成するための装置及び方法に関する。
【0005】
[0005]
一態様では、哺乳動物の心臓の右心房と左心房との間にシャントを形成する方法は、右心房と左心房との間の心房中隔を穿刺してシャントを形成することを含む。バルーンを有するアブレーション装置は、シャントを通って少なくとも部分的に前進する。バルーンは膨張し、心房中隔を左心房及び右心房内の血液から熱的に隔離するように構成される。心房中隔をアブレーションするためにアブレーションエネルギーが送達される。
【0006】
[0006]
この実施形態の別の態様では、心房中隔にアブレーションエネルギーを送達する前にバルーンを膨張させる。
【0007】
[0007]
この実施形態の別の態様では、心房中隔をアブレーションするためにアブレーションエネルギーを送達することは、バルーンに冷却剤を送達することを含む。
【0008】
[0008]
この実施形態の別の態様では、バルーンに冷却剤を送達することは、バルーンの中央部分に冷却剤を噴霧することを含む。
【0009】
[0009]
この実施形態の別の態様では、バルーンは、中央部分が間に配置された一対の長手方向に離間したローブを含み、一対のローブの各々は第1の直径を画定し、中央部分は第1の直径よりも小さい第2の直径を画定する。
【0010】
[0010]
この実施形態の別の態様では、心房中隔は第1の側及び第2の側を有し、バルーンを膨張させることは、一対のローブの第1及び第2のローブを膨張させて、第1の側及び第2の側の各々にそれぞれ当接させることを更に含む。
【0011】
[0011]
この実施形態の別の態様では、アブレーション装置は、第1の複数の噴霧ポートを含み、第1の複数の噴霧ポートは、バルーンの中央部分に近接して配置される。
【0012】
[0012]
この実施形態の別の態様では、アブレーション装置は、主長手方向軸を画定し、第1の複数の噴霧ポートは、主長手方向軸に直交する方向に角度付けされている。
【0013】
[0013]
この実施形態の別の態様では、第1の複数の噴霧ポートは、第1のコイル状流体注入管に含まれ、アブレーション装置は、第2の複数の噴霧ポートを有する第2のコイル状流体注入管を更に含み、第2の複数の噴霧ポートは、主長手方向軸に直交する方向に角度付けされている。
【0014】
[0014]
この実施形態の別の態様では、心房中隔をアブレーションするためにアブレーションエネルギーを送達することは、高周波エネルギーを送達することを含む。
【0015】
[0015]
一態様では、医療装置は、主長手方向軸を画定し、近位部分及び遠位部分を有する細長い本体を含む。遠位部分はバルーンを含み、バルーンは、第1の直径を有する一対の長手方向に離間したローブと、それらの間に配置された第1の直径よりも小さい第2の直径を有する中央部分と、を含む。アブレーション要素は、実質的に中央部分内に配置され、アブレーション要素は、アブレーションエネルギーを中央部分に送達するように構成されている。
【0016】
[0016]
この実施形態の別の態様では、アブレーション要素は、中央部分に冷却剤を送達するように構成された第1の複数の噴霧ポートを含む。
【0017】
[0017]
この実施形態の別の態様では、第1の複数の噴霧ポートは、主長手方向軸に直交する方向に角度付けされている。
【0018】
[0018]
この実施形態の別の態様では、装置は、中央部分内にあり、第1の複数の噴霧ポートから長手方向に離間した第2の複数の噴霧ポートを更に含む。
【0019】
[0019]
この実施形態の別の態様では、アブレーション要素は、高周波アブレーションエネルギーを送達するように構成される。
【0020】
[0020]
この実施形態の別の態様では、第1のローブ及び第2のローブは、膨張したときに、バルーンが心房シャント内に配置されたときに、左心房及び右心房内を流れる血液から心房中隔に当接して熱的に隔離するようなサイズ及び構成である。
【0021】
[0021]
一態様では、哺乳動物の心臓の右心房と左心房との間にシャントを形成する方法は、右心房と左心房との間の心房中隔を穿刺してシャントを形成することを含む。シャントを少なくとも部分的に通るバルーンを有する医療装置。パルスフィールドアブレーションエネルギーは、心房中隔をアブレーションするために医療装置から送達される。
【0022】
[0022]
この実施形態の別の態様では、心房中隔は、第1の側と、第1の側に対向する第2の側とを有し、バルーンを有する医療装置を前進させることは、シャントを通ってバルーンを完全に前進させることと、心房中隔の第2の側に当接するようにバルーンを膨張させることとを含む。
【0023】
[0023]
この実施形態の別の態様では、医療装置からパルスフィールドアブレーションエネルギーを送達することは、心房中隔の第1の側に当接する位置に複数の電極を前進させることを含む。
【0024】
[0024]
この実施形態の別の態様では、複数の電極は、心房中隔の第1の側に隣接して平面構成で配置されるように構成される。
【0025】
[0025]
本開示の1つ以上の態様の詳細は、付随する図面及び以下の記述において説明される。本開示に記載された技術の他の特徴、対象及び利点は、説明及び図面並びに特許請求の範囲から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
[0026]
本発明、並びにそれに付随する利点及び特徴のより完全な理解は、添付の図面と併せて考慮すると、以下の詳細な説明を参照することによってより容易に理解されるであろう。
図1】本出願の原理に従って構成された、心房シャントを形成するための例示的な医療装置及びシステムのシステム図である。
図2図1に示す医療装置の遠位部分の側断面図である。
図3図1に示す医療装置の遠位部分の別の実施形態の側断面図である。
図4】本出願の原理に従って構成された、心房シャントを形成するための別の例示的な医療装置及びシステムのシステム図である。
図5図4に示す医療装置の遠位部分の側断面図である。
図6】本出願の原理に従って構成された、心房シャントを形成するための別の例示的な医療装置及びシステムのシステム図である。
図7図6に示す医療装置の遠位部分の側断面図である。
図8】クライオアブレーションエネルギーを用いて心房シャントを形成するための例示的な処置のステップごとの側面図である。
図9】心房シャント及び断熱中隔組織を形成する図1に示す医療装置の側面図である。
図10】パルスフィールドアブレーションエネルギーを用いて心房シャントを形成するための例示的な処置のステップごとの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[0027]
本明細書に開示される様々な態様は、説明及び添付図面に具体的に提示される組み合わせとは異なる組み合わせで組み合わせ得ることを理解されたい。また、実施例に応じて、本明細書に記載された任意のプロセス又は方法の特定の行為又は事象は、異なる順序で実行され得、追加、結合、又は完全に省略され得ることも理解されたい(例えば、全ての記載された行為又は事象が、技術を実行するために必要でない場合がある)。加えて、本開示の特定の態様は、明確にするために単一のモジュール又はユニットによって実行されるように説明されているが、本開示の技術は、例えば医療装置に関連するユニット又はモジュールの組み合わせによって実行され得ることを理解されたい。
【0028】
[0028]
1つ以上の実施例では、記載された技術は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせで実施されてよい。ソフトウェアで実施される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上の1つ以上の命令又はコードとして記憶され、ハードウェアベースの処理ユニットによって実行されてよい。コンピュータ可読媒体は、データ記憶媒体(例えば、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、又は命令若しくはデータ構造の形式で所望のプログラムコードを記憶するために使用することができ、コンピュータによってアクセスすることができる任意の他の媒体)などの有形媒体に対応する、非一時的コンピュータ可読媒体を含んでよい。
【0029】
[0029]
命令は、1つ以上のデジタル信号プロセッサ(DSP)、汎用マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルロジックアレイ(FPGA)、又は他の同等の集積回路若しくは別個の論理回路など、1つ以上のプロセッサによって実行されてよい。したがって、用語「プロセッサ」は、本明細書で使用するとき、前述の構造のいずれか、又は記載された技術の実施に好適な任意の他の物理的構造を指し得る。また、技術は、1つ以上の回路又は論理素子で完全に実施され得る。
【0030】
[0030]
ここで図1を参照すると、心房シャントを形成するための例示的なシステム及び医療装置が示されており、一般に「10」と示されている。システム10は、主長手方向軸を画定し、近位部分16及び遠位部分18を有する細長い本体14を有する医療装置12を含むことができる。医療装置12の近位部分16は、医療装置12の遠位部分18にアブレーションエネルギーを送達するように構成されたコントローラ又はコンソール20と結合するように構成される。一構成では、コントローラ20は、コンソールと流体連通する極低温流体源と、処置中に使用される極低温流体をリサイクルするために医療装置12と連通する掃気ラインとを有する極低温コンソールである。医療装置12の遠位部分18は、調整可能及び/又は操作可能であり得るバルーン22を含む。バルーン22は、哺乳動物の心臓の隔壁をアブレーションするように拡張するようなサイズ及び構成である。バルーン22は、適合性であっても非適合性であってもよい。一構成では、バルーン22は、長手方向に離間した一対のローブ24a及び24bを含む。ローブ24a及び24bは、実質的に同じサイズ及び形状であってもよく、各ローブは、膨張したときに実質的に同じである第1の直径を有する。第1のローブ24aと第2のローブ24bとの間には、第1の直径よりも小さい第2の直径を有する中央部分26が配置されている。図1に示す構成では、中央部分26は、第1のローブ24a及び第2のローブ24bの各々の長さよりも短い長さを更に画定する。別の構成では、各ローブ24a及び24bの直径は調整可能であってもよく、異なっていてもよい。例えば、第1のローブ24aは、第2のローブ24bよりも直径が大きくてもよく、又はその逆であってもよい。
【0031】
[0031]
ここで図1図3を参照すると、第1のローブ24a及び第2のローブ24bは、膨張したときに、バルーンが心房シャント内に配置されたときに、左心房及び右心房内を流れる血液から心房中隔に当接して熱的に隔離するようなサイズ及び構成である。特に、図1に示すように、各ローブ24a及び24bは、それらが中央部分26に向かって延びるときに直径が先細になる。このテーパは、第1のローブ24aと第2のローブ24bと中央部分26との間のようなくさび形状を形成する。このくさび形状は、アブレーションされている隔壁を隔壁の両側から閉じ込め、それによってそれぞれの心房内を流れている血液をアブレーションされている隔壁から隔離する。これは、隔壁組織がアブレーションされるのを防ぎ、より大きなバンドにわたって凍結することを可能にする、隔壁上の血液からの加温効果を防ぐ。更に、組織をより広い領域にわたって両側に保持することによって、これは、前進される装置に加えられる力が周囲だけでなく隔壁のより大きな表面にわたって分散されるので、組織を切り離し、それを引き裂くリスクを低減する。
【0032】
[0032]
処置のために隔壁を更に隔離するために、アブレーション要素28が実質的に中央部分26内に配置される。アブレーション要素28は、極低温アブレーションエネルギーなどのアブレーションエネルギーを中央部分26にのみ送達して、隔壁以外の周囲の組織又は血液への付随的な損傷を回避するように構成される。一構成では、アブレーション要素28は、中央部分26内の細長い本体14の周りに円周方向に配置され、中央部分26に冷却剤を送達するように構成された第1の複数の噴霧ポート30を含む。図2に示す構成では、第1の複数の噴霧ポート30の各々は、主長手方向軸に直交する方向に角度付けられ、第1のローブ24aと第2のローブ24bとの間に挟まれた心房壁の部分に向けられる。第1の複数の噴霧ポート30は、細長い本体14に沿って延び、その周りを包む第1のコイル状流体注入管32(図3に示す)に沿って配置されてもよい。一構成では、図3に示すように、第2の複数の噴霧ポート34は、中央部分26内に含まれ、第1の複数の噴霧ポート30から長手方向に離間している。第2の複数の噴霧ポート34は、細長い本体14に沿って延び、その周りを包む第2のコイル状流体注入管36に含まれてもよい。図3に示すように、中央部分26の細長い本体14の周りに円周方向に配置された2つの複数の噴霧ポート30及び34を有するそのような構成では、噴霧ポート30及び34は、極低温流体をアブレーションされる隔壁組織に向けるように角度付けされてもよい。アブレーション処置中にバルーン22の温度及び圧力を監視するために、温度センサ38及び圧力センサ40を第1のローブ24A及び第2のローブ24Bの一方に更に含めることができる。更に、X線透視下で心房シャント内のバルーン22の適切な位置合わせを支援するために、一対の放射線不透過性マーカ42A及び42Bが中央部分26の両側に含まれてもよい。
【0033】
[0033]
ここで図4図5を参照すると、別の構成では、医療装置12は、マイクロ波エネルギーなどの高周波エネルギーを心房中隔に送達して心房シャントを形成するように構成されてもよい。医療装置12は、高周波(RF)発生器44と、バルーン22を膨張させるように構成された生理食塩水などの流体供給源46と通信することができる。図5に示す構成では、細長い放射器48は、バルーン22の中央部分26内に実質的に配置され、放射線不透過性マーカ42aと42bとの間に配置され、RFアブレーションエネルギーを隔壁に送達するように構成される。放射器48は、様々な放射構造、例えば、モノポール、ダイポール、折り返しダイポール、コイル、及び同軸スロットを含むことができる。放射器48は、誘電体装荷要素及び位相キャンセリング構造などの、放射器によって生成された放射場を成形するための導電性及び非導電性材料を有する構造要素を含むことができる。そのような構成では、医療装置12は、バルーン22を膨張させるために流体を送達するように構成された流体送達管50と、バルーン22から生理食塩水を排出して収縮させるように構成された排出管52とを含むことができる。
【0034】
[0034]
ここで図6図7を参照すると、別の構成では、医療装置12は、隔壁にパルスフィールドアブレーションを送達して、標的組織のエレクトロポレーションを引き起こすように構成され得る。医療装置12は、高電圧パルスエネルギーを標的組織に送達するように構成されたパルスフィールドアブレーション発生器54と通信することができる。一構成では、複数の電極58を有するカテーテル56は、カテーテル56の周りに配置された外側カテーテル60内で細長い本体14に沿って前進するように構成される。複数の電極58は、バルーン22の近位の周方向及び平面構成を画定するように操作されるように構成される。
【0035】
[0035]
ここで図8を参照すると、心房シャントを形成する方法は、右心房と左心房との間の心房中隔を穿刺してシャントを形成することを含む。例えば、経中隔針を大腿静脈を通って隔壁を横切って前進させて開口部又はシャントを形成することができる。バルーン22を有するアブレーション装置12は、開口部を通って少なくとも部分的に前進する。例えば、経中隔穿刺装置は、拡張器によって開口部を部分的に開いていてもよく、アブレーション装置12は、バルーン22を開口部内に配置するためにガイドワイヤ上を前進させてもよい。バルーン22は、アブレーション開始前又はアブレーション開始中に膨張させることができる。例えば、RFアブレーション処置中に、バルーン22は、RFエネルギーが送達される前に生理食塩水で膨張されてもよく、又はアブレーション処置中に第1の複数の噴霧ポート30及び/又は第2の複数の噴霧ポート34から冷却剤で膨張されてもよい。1つの構成では、バルーンを8atmまで膨張させる。上述のように、バルーン22は、膨張し、心房中隔を左心房及び右心房内の血液から熱的に隔離するように構成される。換言すれば、図9に示すように、バルーン22の中央部分26は、心房中隔と位置合わせされ、第1のローブ24aが隔壁の一方の側に当接し、第2のローブ24bが隔壁の反対側に当接する位置まで前進する。冷却剤は、冷却剤をバルーン22の中央部分24に噴霧して隔壁をアブレーションし、シャントを形成することによってバルーンに送達される。アブレーション処置が完了すると、バルーン22を後退させることができ、シャントを開いたままにするためにシャント内に追加の機械的装置を挿入することなく、シャントを開いたままにする。
【0036】
[0036]
ここで図10を参照すると、心房シャントを形成する別の方法では、パルスフィールドアブレーションエネルギーを使用して心房シャントを形成し、処置後のシャント内に機械的装置を必要としない。例えば、経中隔針を大腿静脈を通って隔壁を横切って前進させて開口部又はシャントを形成することができる。バルーン22を有するアブレーション装置12は、開口部を通って心房壁の第1の側に少なくとも部分的に前進する。例えば、経中隔穿刺装置は、拡張器によって開口部を部分的に開いていてもよく、アブレーション装置12は、バルーン22を少なくとも部分的に開口部内に配置するためにガイドワイヤ上を前進させてもよい。バルーン22は、アブレーション処置中にパルスフィールドアブレーションエネルギーが第1の複数の噴霧ポート30及び/又は第2の複数の噴霧ポート34から送達される前に生理食塩水で膨張させることができる。1つの構成では、バルーンは、8atmまで膨張し、適合性であるか非適合性であるかにかかわらず、単一ローブバルーン又は二重ローブバルーンである。バルーン22は、複数の電極58から隔壁の反対側から隔壁に当接するように位置決めされる。バルーン22は、複数の電極58がバルーン22の周りの隔壁をアブレーションしている間に、隔壁の一部を開いた状態に保持する。隔壁がアブレーションされると、アブレーション装置12は、複数の電極58と同様に後退され、形成されたシャントは、機械的装置なしで開いたままである。
【0037】
[0037]
別の構成では、複数の電極58のうちの第1の電極は、カテーテル56内のバルーン22の中央部分26に含まれ、複数の電極58のうちの第2及び第3の電極は、バルーンローブ24a及び24aの両側に配置される。パルスフィールドアブレーションエネルギーは、複数の電極58のうちの第1の電極と、複数の電極58のうちの第2及び第3の電極のうちの少なくとも一方との間のように、双極方式で、隔壁の非熱的にアブレーションされた反対側に送達され得る。別の構成では、カテーテル56は、中隔穿刺に対して引っ張られるか又は押される単一ローブバルーン22を含み、カテーテル56は、中隔の一方の側と接触して電極58を取り付けている。電気戻り経路電極は、中隔の他方の側と接触している電極58からパルスフィールドアブレーションエネルギーが送達される、中隔の他方の側上のカテーテル56上に配置される。更に他の構成では、バルーン22は含まれず、中隔の両側の一対の電極を使用して、双極パルスフィールドアブレーションエネルギーで隔壁をアブレーションする。
【0038】
[0038]
本発明が、本明細書に具体的に示され、上述されたものに限定されない点が、当業者には理解されよう。更に、上記で反対のことが言及されていない限り、添付の図面の全てが一定の縮尺ではないことに留意されたい。以下の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、上記の教示に照らして様々な修正及び変形が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】