(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-29
(54)【発明の名称】包装用の多層の再封可能なタンパーエビデントフィルム
(51)【国際特許分類】
B32B 27/36 20060101AFI20230522BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20230522BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20230522BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20230522BHJP
B32B 7/12 20060101ALI20230522BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
B32B27/36
C09J7/38
C09J201/00
B32B27/00 H
B32B7/12
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563003
(86)(22)【出願日】2021-04-14
(85)【翻訳文提出日】2022-12-13
(86)【国際出願番号】 US2021027172
(87)【国際公開番号】W WO2021211644
(87)【国際公開日】2021-10-21
(32)【優先日】2020-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522404225
【氏名又は名称】ターフェーン リミティド ライアビリティ カンパニー
(71)【出願人】
【識別番号】313011456
【氏名又は名称】ボスティック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】エレン エス.スミス
(72)【発明者】
【氏名】カスラ ミルメスダー
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086AC07
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3E086BA04
3E086BA15
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3E086CA01
4F100AA08D
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4J040MA10
4J040MB03
4J040NA08
(57)【要約】
下記の層を下記の順序で含む多層フィルム
(a)二軸配向ポリエチレンテレフタレート層、
(b)感圧接着剤層、
(c)弾性ポリウレタン層、及び
(d)二軸配向ポリエチレンテレフタレート層。
層(d)は、構造A:B:A:Cを有し、A及びBは好ましくは結晶性PET及びブロッキング防止粒子を含み、Cは非晶質のヒートシール可能なコポリエステルである。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の層を下記の順序で含む多層フィルム
(e)二軸配向ポリエチレンテレフタレート層、
(f)感圧接着剤層、
(g)弾性ポリウレタン層、及び
(h)二軸配向ポリエチレンテレフタレート層。
【請求項2】
(d)が、構造A:B:A:Cを有し、A及びBが結晶性PET及びブロッキング防止粒子を含み、Cが非晶質のヒートシール可能なコポリエステルである、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記非晶質のヒートシール可能なコポリエステルが、エチレンテレフタレートコポリマーである、請求項2に記載のフィルム。
【請求項4】
Cが、(i)テレフタル酸ジメチル又はテレフタル酸と、アゼライン酸、アゼライン酸ジメチル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸、イソフタル酸又は5-ナトリウムスルホイソフタル酸のうちの1種以上とのコポリマーであるか、あるいは、(ii)テレフタル酸ジメチル又はテレフタル酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール及び/又はシクロヘキサンジメチルグリコールとのコポリマーである、請求項3に記載のフィルム。
【請求項5】
ブロッキング防止粒子が、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、カオリン、又はそれらの少なくとも2種の混合物である、請求項2に記載のフィルム。
【請求項6】
(d)が、226~238℃で、300~400%のTD/MDに二軸延伸されたものである、請求項1に記載のフィルム。
【請求項7】
層(A)及び(B)が合計で2~100μmの厚さを有し、層(C)が0.1~10μmの厚さを有し、層(d)が2~110μmの厚さを有する、請求項2に記載のフイルム。
【請求項8】
層(d)が8μmの厚さを有する、請求項7に記載のフィルム。
【請求項9】
層(b)が、少なくとも1つのスチレンモノマーと、イソプレン、ブタジエン、ブチレン又はそれらの混合物との少なくとも1種のスチレンブロックコポリマーを含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項10】
層(b)が、SISブロックコポリマーを形成している、少なくとも1つのスチレンモノマーとイソプレンとのスチレンブロックコポリマーを含む、請求項9に記載のフィルム。
【請求項11】
層(b)が、40~85%のスチレンブロックコポリマーと、10~35%の、5~150℃の軟化温度を有する相溶性の粘着付与樹脂とを含む、請求項9に記載のフイルム。
【請求項12】
前記感圧接着剤が、少なくとも130℃の温度で、べき乗曲線η=22000×(dγ/dt+200)
-0.82(式中、dγ/dtは100~1000s
-1のせん断速度である。)の上方に位置する範囲内の粘度を有し、1ms
-1の引張速度で、下記の多項式曲線の下方に位置する範囲内の引張強度を有し、-20~+40℃で弾性率G’<5×10
5Paを有する、請求項11に記載のフィルム:
y=-2.82×10
-16x
6+5.92×10
-13x
5-4.97×10
-10x
4+2.15×10
-7×x
3-4.99×10
-5x
2+6.26×10
-3x+4.71×10
-2、
ここで、yは、MPaで表した応力を示す縦座標であり、xは、%で表した変形量を示す横座標である。
【請求項13】
層(a)と層(b)の間に、さらに、追加のコポリエステルの層(a’)を含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項14】
層(C)が防曇剤を含む、請求項2に記載のフィルム。
【請求項15】
再封可能な蓋を有する容器であって、前記蓋が請求項1に記載のフィルムである、容器。
【請求項16】
請求項1に記載のフィルムの製造方法であって、層(d)の共押出しと、ガラス転移温度以上に加熱することと、前記層を二軸延伸することと、層(d)上に層(c)のポリウレタン分散体をグラビアコーティングすることと、接着剤としての層(b)のPSAにより層(d)を層(a)に押出ラミネート加工することを含む、方法。
【請求項17】
層(d)が238℃で二軸延伸される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
さらに、(i)押出ラミネーション装置への層(a)の供給に先立つ層(a)のコロナ前処理、(ii)コロナ処理装置が生産ラインに存在し、接着剤の塗布及びラミネート加工に先立って処理を行うバンプコロナ処理、又は(i)及び(ii)の組み合わせを含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年4月15日に出願された米国特許出願第63/010,418号のアメリカ合衆国法典第35巻(35U.S.C.)§119(e)に基づく利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、包装用のタンパーエビデント(不正開封防止)の再封可能な蓋部材を提供するために使用可能なポリエステルフィルムを提供する。再封可能な包装は、食べ残しを別の保存容器に移す必要性をなくした製品容器を消費者に提供するというその利点のために、特に食品の分野で普及してきた。
【0003】
剥離可能及び/又は再封可能な包装の分野で使用される多層フィルムは、例えば、BOSTIK SAに譲渡された米国特許出願公開第2018/0215522号公報、及びTerphane,Incに譲渡された米国特許第7,413,800号明細書において知られている。再封可能な包装は、食品加工産業及びマスマーケティングにおいて、腐敗しやすい食品、特に生鮮製品を包装するために使用されている。これらの包装は、一般的に、容器(又はレセプタクル)と蓋を形成するシールを含み、容器(又はレセプタクル)と蓋を形成するシールとは、溶接によって互いに気密に取り付けられる。シールが初めて開封され、レセプタクルに収容された食品の一部が消費された後、ユーザーは、包装を実質的に気密に再封するため、及び、その結果、必要に応じて、包装を冷蔵庫に入れた後、その食品の残りの部分を保存するために、シールをレセプタクル上に再配置することができる。開封と再封を繰り返すことも可能である。
【0004】
再封可能な包装システムに使用される多層フィルムは、最初の開封が容易で、再閉鎖/再開封サイクルが満足できるものであるべきである。例えば、容易な最初の開封は、15N/cm以下、好ましくは7N/cm以下の力の印加として測定される初期剥離強度によって達成することができ、パッケージが開封されたら、伝播力(propagation force)は、好ましくは約3~11N/cm、より好ましくは4~11N/cmである。フィルムは、また、好ましくは、一連の閉鎖/再開封操作の後に、パッケージの容易な自己接着性の再閉鎖、すなわちフィルムの2つの部分の容易な手動での再配置を可能にするものでもあり、再開封力は、1N/cm以上、好ましくは2N/cm以上、より好ましくは2~4N/cmである。
【0005】
現在の多くの再封可能な蓋構造体又はフィルムは、取り外しできない蓋に接着された剥離可能なラベルを使用するか、あるいは、製品カバーの大部分を取り外すことが望まれる場合には、開口部をダイカットすることを採用している。これらのフィルムは、通常、ヒートシール可能な二軸配向ポリエチレンテレフタレート(BOPET)フィルムを印刷可能なBOPETウェブに水系の感圧接着剤(PSA)コーティングを用いてラミネートすることによって製造される。その後、容器の開口部をもたらすために、ヒートシール可能な層がレーザースコアリング又はダイカットされる。この構造体を製造するのに必要とされる技術に起因して、製造には、複数の変換工程が通常必要とされる。これは、長いリードタイム及び高い包装コストをもたらし、これらは、通常、消費者に転嫁される。さらに、水系粘着剤は低い耐湿性を有するため、包装の不具合の原因となる。レーザースコアリングは、トレイリムの縁部周りにリボン状のフィルムを残し、内部にある食品へのアクセスを制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、蓋全体が剥離可能な開口部として機能することで、容器へのアクセスをより向上させることを可能にし、しかも、ダイカットの追加コスト及びプロセスステップを回避することを可能にする包装を得ることが望ましいであろう。
【0007】
さらに、現在の再封可能な蓋には、タンパーエビデンス(不正開封防止機能)を提供するものはほとんどない。タンパーエビデントである再封可能な包装が望まれる場合、包装が開封されたことを知らせるために、取り外したら破損するか又は再封できなくなる追加のラベルクロージャを貼る必要があるであろう。この追加のラベルクロージャは、さらなるステップ及びコストを必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、再封可能な包装を形成するために使用することができる多層フィルムを提供する。このフィルムは、例えば、トレイの蓋全体を形成するために使用することができ、単なる剥離可能なラベルを設ける必要性を回避し、さらに、開口部のダイカットの必要性を回避することができる。さらに、このフィルムは、パッケージが開封されたかどうかを消費者が知ることを可能にするタンパーエビデント機能を提供する。
【0009】
本発明は、(a)二軸配向ポリエチレンテレフタレート(BOPET)層、(b)感圧接着剤(PSA)層、(c)分散ポリウレタン粒子層、及び(d)BOPET層を含むフィルムを提供する。BOPET層(a)は、必要に応じて、消費者に製品情報を提供することができるように印刷可能である。層(a)~(d)は上記の順序であり、典型的には互いに隣接し、好ましくは、さらなる内部層はない。
【0010】
原則的に、任意のBOPETフィルムが層(a)として機能することができる。BOPETフィルムは、例えば米国特許第2,823,421号及び米国特許第2,884,663号明細書に開示されているようによく知られている。層(a)は、インク及び接着剤の接着性を改善するために、コロナ処理及び/又は共押出処理を受けることができる。コロナ処理は、フィルムをラミネーション装置に供給するのに先立つフィルム層(a)の前処理であっても、コロナ処理装置が生産ラインに存在し、接着剤の塗布及びラミネーションに先立って処理を行う「バンプ(bump)」コロナ処理であってもよい。コロナ処理は、前処理とバンプ処理の組み合わせであってもよい。好ましいBOPETフィルムは、接着性を高めるために表面処理されたものである。代表的な表面処理フィルムは、例えば、米国特許第4,476,189号及び米国特許第5,985,437号明細書に開示されている。層(a)として好適な表面処理BOPETフィルムは、例えば、Terphane LLCから市販されており、層(a)として好適な表面処理BOPETフィルムとしては、Terphane 10.21(片面共押出処理)、10.25(片面共押出、片面コロナ処理)及び10.15(片面コロナ処理)が挙げられる。層(a)は、例えば、2~100μm、もしくは5~50μm、又は10~40μmの厚さを有することができる。
【0011】
好ましい感圧接着剤としては、スチレンモノマーと、少なくとも1つの他のコモノマー、例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン及びブチレンなどから得られるスチレンブロックコポリマーが挙げられる。これらのコポリマーは、上記のコモノマーのうちの少なくとも1つの中間ブロックを有する、線状、放射状又は星型の、ジブロック、トリブロック又はマルチブロック構造を有することができる。これらのPSAは、粘着付与剤、例えば、ブロックコポリマーのスチレンブロックと非スチレンブロックとの間の相溶性を高める脂肪族樹脂などをさらに含む。このような樹脂としては、ポリテルペン、必要に応じてC9留分により修飾されていてもよいC5留分に由来するポリマー、必要に応じて脂肪族留分により修飾されていてもよい部分的に又は完全に水素化されたC9留分に由来するポリマーが挙げられる。上記PSAは、典型的には、45~85質量%、好ましくは55~70質量%のコポリマー又はコポリマーのブレンドと、15~60質量%、好ましくは30~45質量%の粘着付与樹脂又は粘着付与樹脂のブレンドとを含む。接着剤は、可塑剤、安定剤又は充填剤を少量含んでいてもよい。これらはホットメルト接着剤に従来から使用されている添加剤である。したがって、典型的なPSAは、少なくとも1つのスチレンブロックコポリマーと少なくとも1つの相溶性の粘着付与樹脂とのブレンドを含む。
【0012】
好ましくは、このようなブレンドは、-20~+40℃で弾性率G’<5×10
5Pa(ダルキスト基準(Dahlquist criterion))を有し、少なくとも130℃の温度で、100~1,000s
-1のせん断速度dγ/dtの場合に、曲線(
図1参照)の上方に位置する範囲内の粘度η(ISO 11443規格に従って測定)を有し、また、引張速度1ms
-1の場合に、下記の多項式で定義されるとおりの平均曲線(
図2参照)の下方に位置する範囲内の引張強度を有する:
y=-2.82×10
16x
6+5.92×10
-13x
5-4.97×10
-10x
4+2.15×10
-7x
3-4.99×10
-5x
2+6.26×10
-3x+4.71×10
-2、
ここで、y(縦座標)は、MPaで表した応力を示し、x(横座標)は、百分率(%)として表した変形量を示す。
【0013】
特に好ましい感圧接着剤は、以下のもののブレンドを含むものである:
・40~85質量%の、少なくとも1つのスチレンモノマーと少なくとも1つの他のコモノマー(好ましくはイソプレン、ブタジエン、ブチレン、又はそれらの組み合わせ、より好ましくはイソプレン又はブタジエン、最も好ましくはSISブロックコポリマーを形成するイソプレン)とから形成された少なくとも1種のスチレンブロックコポリマーであって、
○ ポリマー中に、10~35%、好ましくは10~25%の質量百分率のスチレン相と、
○ ポリマー中に、30%超、好ましくは40%超の質量百分率のジブロック、
を含む、少なくとも1種のスチレンブロックコポリマー;及び
・15~60質量%の、5~150℃の軟化温度を有する少なくとも1種の相溶性の粘着付与樹脂。
このような接着剤は、2.16kgの荷重を使用して190℃で2~70g/10分のメルトフローインデックスを有する。
【0014】
特に、PSAは、以下の特性を有する:
・少なくとも130℃の温度で、η=22000×(dγ/dt+200)-0.82のべき乗曲線の上方に位置する範囲内の粘度(ここで、dγ/dtは100~1000s-1のせん断速度である。);
・引張速度1ms-1で、下記多項式曲線よりも下方に位置する範囲内の引張強度:
y=-2.82×10-16x6+5.92×10-13x5-4.97×10-10x4+2.15×10-7x3-4.99×10-5x2+6.26×10-3x+4.71×10-2、
ここで、yは、MPaで表した応力を示す縦座標であり、xは、%で表した変形量を示す横座標である;
・20~+40℃で弾性率G’<5×105Pa;
・熱間押出し可能な感圧接着剤が最初の開封時に主に凝集破壊を示すことができるように、調節された冷間凝集力。
【0015】
PSA層の厚さは、好ましくは5~35μm、より好ましくは5~22μmである。
【0016】
一実施形態では、押出前、接着剤は室温でペレット又は顆粒の形態にある。
【0017】
好適な感圧接着剤は、米国特許第7,622,176号明細書に開示されている。
【0018】
層(c)は、弾性ポリウレタン粒子の分散体として塗布され、次いで、乾燥又は硬化される。このような分散体は、ソフトタッチ感を提供するためにフィルムの外面に使用されるハプティックコーティングとして知られている。このようなコーティングは、例えば米国特許第10,428,237号明細書に開示されており、また市販されており、例えばDSM Coating Resins B.V.からのNeoRez(登録商標) R-1030、Ashland Inc.からのPurkote(商標) 23593、及びMhelman Inc.からの191230PX(登録商標)がある。ポリウレタン層の厚さは、広い範囲にわたる様々な値をとることができ、典型的には、0.1~5μm、好ましくは0.1~3μmである。層(c)は、本明細書において、弾性ポリウレタン分散体と呼ぶことがある。
【0019】
層(d)は、好ましくは、A:B:A:C構造を有する、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートの多層フィルムを含む「特殊」BOPETであり、A:B:A:C構造において、A層、B層及びC層は、以下のとおりである:
○ A層及びB層は、無機のブロッキング防止粒子、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、カオリン、又はこれらの成分の2種以上の混合物などを含む結晶性PETで構成され、シリカが好ましく、B層は、必要に応じて再粉砕PETを含んでいてもよい。
○ C層は、非晶質のヒートシール可能なコポリエステルで構成される。このコポリエステルは、好ましくは、非晶質ポリエステル樹脂、例えば、テレフタル酸ジメチル又はテレフタル酸と、アゼライン酸、アゼライン酸ジメチル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸、イソフタル酸及び5-ナトリウムスルホイソフタル酸のうちの1種以上との縮合によって、あるいは、テレフタル酸ジメチル又はテレフタル酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール及び/又はシクロヘキサンジメチルグリコールとの縮合によって調製されるエチレンテレフタレートコポリマーなどである。好ましいコポリエステルは、イソフタル酸、テレフタル酸、及びモノエチレングリコール(MEG)/ジエチレングリコール(DEG)である。代表的なコポリエステルは、米国特許第7,413,800号明細書に開示されている。
○ C層は、グリセロールモノステアレート又はドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むがこれらに限定されない1種以上の防曇剤を含んでもよい。
【0020】
層(d)の好ましいBOPETにおいて、層(A)の含有量は、層(d)の総厚さを基準にして、好ましくは10~15%、より好ましくは約13%であり、各層(A)は、好ましくは200~300ppmのブロッキング防止剤を含み、層(B)の含有量は、層(d)の総厚さを基準にして、好ましくは61~78%、より好ましくは約69%であり、好ましくは90~215ppmのブロッキング防止剤を含み、層(C)の含有量は、層(d)の総厚さの好ましくは12~24%、より好ましくは約18%であり、好ましくは150~250ppmのブロッキング防止剤を含む。層(A)及び(B)は、好ましくは、2~100μmの合計厚さを有する。層(C)は、好ましくは0.1~10μmの厚さを有する。層(d)は、好ましくは、層(A)、(B)及び(C)の全合計厚さが、2~110μm、好ましくは4~15μm、より好ましくは6~10μm、好ましくは8μmである。
【0021】
BOPET層(d)の二軸配向は、層の共押出に続いて、フィルムの高温延伸、例えば226~238℃、好ましくは238℃での延伸により達成することができる。フィルムは、横方向/縦方向(TD/MD)300~400%、好ましくは350%で延伸される。
【0022】
一実施形態において、BOPET層(a)及び/又はヒートシール可能なBOPET層(d)は、気体、例えば酸素、窒素、及び他の気体、複数種の気体の混合物、水蒸気、及び/又は臭気などに対するフィルムの透過性を低減するために、バリアコーティングで被覆されていてもよい。代表的なバリアコーティングは、塩化ビニリデンポリマー及びコポリマーを包含する有機バリアポリマー及び充填剤入りポリマーのグループに見出すことができ、例えばPVDC、PVOH又はEVOHベースのコーティング(例えば米国特許第10,392,527号明細書及び米国特許出願公開第2017/0210867号公報に記載されているものなど)、ポリウレタンコーティング、あるいは、他の水系、溶剤系又はUV/EB硬化型コーティングがある。バリアコーティングは、例えば米国特許第8,080,297号明細書に記載されているような、そのバリア特性を高めるために、例えばマイカ、バーミキュライト、ナノファイバーなどのナノサイズの添加剤で補強されてもよい。バリアコーティングは、分散体、又は溶液から調製することができ、次いで、グラビア、フレキソ、オフセット、スプレー及びディップコーティングを含むがこれらに限定されない任意の公知のコーティング方法を使用してフィルム表面にコーティングし、順次乾燥させることができる。他のバリアコーティングは、例えばアルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、メラミンなどの、金属、セラミック又は有機物の堆積に起因するものであってもよい。このようなコーティングは、スプレー、熱蒸発、スパッタリング、化学気相成長及び原子層堆積を含むがこれらに限定されない任意の公知のコーティング方法によって堆積させることができる。バリアコーティングを論じた米国特許第7,413,800号明細書の第4欄第18~24行も参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態について、PSAの粘度の下限を、粘度(Pa・s)対せん断速度(1/s)によって示した図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態について、引張速度1m/sに対するPSAの引張強度の上限を、応力対変形量百分率によって示した図である。
【
図3】
図3は、本発明のフィルムをシール部材として有する密閉容器を表したものである。
【
図4】
図4は、開封後の、本発明のフィルムを封止部材として有する容器を示す。
【
図5】
図5は、フィルムの作製に用いた押出ラミネーションプロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の多層フィルムは、層(d)のBOPETの共押出しと、層(a)のBOPETの別途の共押出しと、層(d)のBOPET上への層(c)のポリウレタン分散体のグラビアコーティングと、接着剤としての層(b)のPSAにより層(a)のBOPETに層(d)のBOPETを押出ラミネート加工することとによって製造することができる。押出ラミネート加工では、
図5に示すように、接着剤(54)(この場合、PSA層(b)、スチレンブロックコポリマーである)が、フラットダイ(53)を介して移動している基材(この場合、(51)及び(52)で示したBOPET層(d)及び(a))上に押出される。層(c)のポリウレタン分散体は、フラットダイ(53)の上流で、上記の押出ラミネート加工とインラインでコーティングされても、あるいは、(
図5に描かれているように)押出ラミネート加工プロセスに供給されたときに既にBOPET層(d)上に存在するようにオフラインでコーティングされてもよい。層(a)のBOPETの少なくとも(b)PSAに接触する面は、層(a)のBOPETへの(b)PSAの接着性を増加させるために、フラットダイ(53)の上流で、押出ラミネート加工とインラインでコロナ処理することができる。ポリマー溶融物は、典型的には、高温で、典型的には150~330℃で、好ましくは、一実施形態では、150~190℃で、ダイから出る。ダイから出た後、ポリマー溶融物は、エアギャップと呼ばれる距離で空気と接触すると酸化される。この距離は各樹脂ごとに最適化することができ、典型的な範囲は5~10インチ(12.7cm~25.4cm)である。エアギャップを大きくすると、酸化時間が長くなり接着性が向上するが、大きすぎるエアギャップは、ポリマーの過剰な冷却に起因して低い接着性をもたらす。溶融物がダイから出るとき、溶融フィルムは、ダイの下方に位置する2つのローラー(56)及び(57)(それぞれ圧力ロール及びチルロール)の間のニップ(55)に引き下げられる。溶融フィルムよりも速い速度で移動している基材は、当該フィルムを必要な厚さに引き伸ばす。2本のロール間の圧力によって、当該フィルムは基材に押し付けられる。さらに、当該フィルムはチルロールの低温、典型的には約50~85°F(約10~29.4℃)により冷却され固化される。押出コーティングプロセスの特徴的なパラメータの1つであるドローダウン比は、基材上のポリマーフィルムの厚さに対するダイギャップの比である。典型的なドローダウン比は20~60である。ラミネートフィルムは、次に、(58)及び(59)で表される様々なさらなるローラーを通過して搬送され、最終ロール(60)で回収される。代表的な押出コーティングプロセスは、例えば、R.A.V. Raff及びK.W. Doakによる「Crystalline Olefin Polymers, Part II」(Interscience Publishers, 1964)の第478~484頁、又はDominick V. Rosatoによる「Plastics Processing Data Handbook」(Chapman & Hall, 1997)の第273~277頁に示されている。
【0025】
本発明のフィルムは、容器用の再封可能な蓋を形成することができるという利点を提供する。この蓋は、ダイカットを必要とせずに、容器の全面クロージャ(entire surface closure)を構成することができる。さらに、内部ポリウレタン層(c)の存在は、フィルムの表面の感触を変えることを意図したハプティック又は「ソフトタッチ」コーティングとして機能するというよりもむしろ、蓋が初めて開けられたときにフィルムが透明から曇った状態に移行するので、タンパーエビデント機能を提供する。層(c)は、この効果を高めるために、さらに色素を含んでもよい。
【0026】
本発明による容器が
図3及び
図4に示されている。
図3は、開封前(及び再封後)の密閉容器を示す。
図3において、本発明の多層フィルムは(30)により示されており、この多層フィルムは、容器(35)のリップ(36)にヒートシールされたヒートシール可能なBOPET(34)に隣接した弾性ポリウレタン層(33)に、PSA(32)により接着された印刷可能BOPET(31)から構成される。
図4では、容器は、(40)と、印刷可能なBOPET(41)、PSA(42)、ポリウレタン(43)及びBOPET(44)により示されている蓋を剥がすことによって開封された状態にある。容器(45)のリップ(46)にヒートシールされたフィルムの部分は、リップ(46)に付着したままの蓋の残りの部分である、タンパーエビデントポリウレタン(431)とBOPET(441)を含む。
【0027】
本発明の態様
1.下記の層を下記の順序で含む多層フィルム:
(a)二軸配向ポリエチレンテレフタレート層、
(b)感圧接着剤層、
(c)弾性ポリウレタン層、及び
(d)二軸配向ポリエチレンテレフタレート層。
【0028】
2.(d)が、構造A:B:A:Cを有し、A及びBが結晶性PET及びブロッキング防止粒子を含み、Cが非晶質のヒートシール可能なコポリエステルである、態様1に記載のフィルム。
【0029】
3.非晶質のヒートシール可能なコポリエステルが、エチレンテレフタレートコポリマーである、態様2に記載のフィルム。
【0030】
4.Cが、(i)テレフタル酸ジメチル又はテレフタル酸と、アゼライン酸、アゼライン酸ジメチル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸、イソフタル酸又は5-ナトリウムスルホイソフタル酸のうちの1種以上とのコポリマーであるか、あるいは、(ii)テレフタル酸ジメチル又はテレフタル酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール及び/又はシクロヘキサンジメチルグリコールとのコポリマーである、態様2又は3に記載のフィルム。
【0031】
5.ブロッキング防止粒子が、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、カオリン、又はそれらの少なくとも2種の混合物である、態様2~4のいずれか1つに記載のフィルム。
【0032】
6.(d)が、226~238℃で、300~400%のTD/MDに二軸延伸されたものである、態様1~5のいずれか1つに記載のフィルム。
【0033】
7.層(A)及び(B)が合計で2~100μmの厚さを有し、層(C)が0.1~10μmの厚さを有し、層(d)が2~110μmの厚さを有する、態様2~6のいずれか1つに記載のフイルム。
【0034】
8.層(d)が8μmの厚さを有する、態様1~7のいずれか1つに記載のフィルム。
【0035】
9.層(b)が、少なくとも1つのスチレンモノマーと、イソプレン、ブタジエン、ブチレン又はそれらの混合物との少なくとも1種のスチレンブロックコポリマーを含む、態様1~8のいずれか1つに記載のフィルム。
【0036】
10.層(b)が、SISブロックコポリマーを形成している、少なくとも1つのスチレンモノマーとイソプレンとのスチレンブロックコポリマーを含む、態様9に記載のフィルム。
【0037】
11.層(b)が、40~85%のスチレンブロックコポリマーと、10~35%の、5~150℃の軟化温度を有する相溶性の粘着付与樹脂とを含む、態様1~10のいずれか1つに記載のフイルム。
【0038】
12.感圧接着剤が、少なくとも130℃の温度で、べき乗曲線η=22000×(dγ/dt+200)-0.82(式中、dγ/dtは100~1000s-1のせん断速度である。)の上方に位置する範囲内の粘度を有し、1ms-1の引張速度で、下記の多項式曲線の下方に位置する範囲内の引張強度を有し、-20~+40℃で弾性率G’<5×105Paを有する、態様1~11のいずれか1つに記載のフィルム:
y=-2.82×10-16x6+5.92×10-13x5-4.97×10-10x4+2.15×10-7×x3-4.99×10-5x2+6.26×10-3x+4.71×10-2、
ここで、yは、MPaで表した応力を示す縦座標であり、xは、%で表した変形量を示す横座標である。
【0039】
13.層(a)と層(b)の間に、さらに、追加のコポリエステルの層(a’)を含む、態様1~12のいずれか1つに記載のフィルム。
【0040】
14.層(C)が防曇剤を含む、態様2~13のいずれか1つに記載のフィルム。
【0041】
15.再封可能な蓋を有する容器であって、前記蓋が態様1~14のいずれか1つに記載のフィルムである、容器。
【0042】
16.態様1~14のいずれか1つに記載のフィルムの製造方法であって、層(d)の共押出しと、ガラス転移温度以上に加熱することと、前記層を二軸延伸することと、層(d)上に層(c)のポリウレタン分散体をグラビアコーティングすることと、接着剤としての層(b)のPSAにより層(d)を層(a)に押出ラミネート加工することを含む、方法。
【0043】
17.層(d)が238℃で二軸延伸される、態様16に記載の方法。
【0044】
18.さらに、(i)押出ラミネーション装置への層(a)の供給に先立つ層(a)のコロナ前処理、(ii)コロナ処理装置が生産ラインに存在し、接着剤の塗布及びラミネート加工に先立って処理を行うバンプコロナ処理、又は(i)及び(ii)の組み合わせを含む、態様16又は17に記載の方法。
【0045】
これ以上詳細に説明しなくても、当業者は、上記説明を用いて、本発明を最大限に利用することができると考えられる。したがって、上記の好ましい具体的な実施形態は、単に例示として解釈されるべきであり、本開示の残りの部分を決して限定するものではない。
【0046】
本明細書で引用したすべての出願、特許及び刊行物の開示内容は、参照により本明細書に援用する。
【0047】
特に明示しない限り、混合物についての全ての百分率のデータは質量百分率を表し、溶媒を除いた全ての固体又は液体成分を含む全体としての対応する混合物に関連する。さらに、特に明示しない限り、全ての温度は摂氏(℃)で示されている。以下の実施例は、本発明を限定することなく説明することを意図したものである。
【実施例】
【0048】
包装容器用の再封可能な蓋フィルム用の下記構造を有する得られるフィルムの適合性を試験するために、一連のフィルム試料を作製した。
【0049】
【0050】
トップフィルム層
フィルムA: コロナ処理面を片側(「コロナ側」)に有し、共押出コポリエステルを反対側(「共押出側」)に有する92ゲージ(23.3μm)多層二軸配向PETフィルム。
【0051】
中間層
PSA:押出可能な感圧接着剤。
【0052】
ボトムフィルム層
フィルムB: スリップパッケージを含む共押出コポリエステルヒートシール可能層を片側(「スリップ付きヒートシール側」)を有し、コロナ処理面を反対側(「コロナ側」)に有する50ゲージ(12.7μm)多層二軸配向PETフィルム。
フィルムC: ハプティック(「ソフトタッチ」)マットコーティングを片側(「ソフトタッチ側」)に有し、共押出コポリエステルヒートシール可能層を反対側(「共押出側」)に有する52ゲージ(13.2μm)多層二軸配向PETフィルム。
フィルムD: 共押出マット面を片側(「マット側」)に有し、コロナ処理面を反対側(「コロナ側」)に有する48ゲージ(12.2μm)多層二軸配向PETフィルム。
フィルムE: 片側(「化学処理側」)で化学処理され、共押出コポリエステルフィルムを反対側(「共押出側」)に有する48ゲージ(12.2μm)多層二軸配向PETフィルム。
フィルムF: 非常に滑らかで高摩擦係数の表面を片側(「スムース側」)に有し、共押出コポリエステルを反対側(「共押出側」)に有する48ゲージ(12.2μm)多層二軸配向PETフィルム。
フィルムG: 共押出コポリエステルヒートシール可能層を片側(「ヒートシール側」)に有し、ソフトタッチ(ハプティック)マットコーティングを片側(「ソフトタッチ側」)に有する53ゲージ(13.5μm)多層二軸配向PETフィルム。
フィルムH: 共押出コポリエステルヒートシール可能層を片側(「ヒートシール側」)に有し、コロナ処理面を反対側(「コロナ側」)に有し、多方向「易引裂」性を有する37ゲージ(9.4μm)多層二軸配向PETフィルム。
フィルムI: コロナ処理面を片側(「コロナ側」)に有し、未処理のプレーンPET面を反対側(「プレーン側」)に有する、デッドフォールド性を有する72ゲージ(18.3μm)多層二軸配向PETフィルム。
フィルムJ: 米国特許第7,943,230号に記載のように多方向「易引裂」性を有する56ゲージ(14.2μm)多層二軸配向PETフィルム。
【0053】
試料
全ての試料でトップフィルム層としてフィルムAを使用し、最初の8つの試料では、フィルムAのコロナ側が界面1で中間層の方に向いており、次の17つの試料では、共押出側が界面1で中間層の方に向いていた。
【0054】
中間層として、同じPSAを使用したが、厚さが異なっていた。
【0055】
フィルムB~Jをボトムフィルム層として使用し、界面2で別の側を中間層の方に向けた。
【0056】
各試料について、トップフィルム層用フィルムとボトムフィルム層用フィルムを、
図5に示したように、中間層用PSAが押し出されたニップに供給した。押出は、温度170℃で、ニップまでのエアギャップ7インチ(17.78cm)で、70°F(21.1℃)のチルロールを用いて行った。
【0057】
表Iは、上記試料を作製するために使用したフィルムの組み合わせ、フィルムの配向、及び中間層の厚さをまとめたものである。
【0058】
【0059】
試料1~14は、再封可能なフィルム(容器に対する)の用途への適合性について、剥離強度、ヘイズ及び透明度により評価した。タンパーエビデント機能(初めて剥がして再封したときに透明から曇った状態に変化する)が、試料3、4、12及び13(界面2にソフトタッチコーティングを有するもの)により提供された。表1に示したソフトタッチコーティングは、層(c)のコーティング、すなわち弾性ポリウレタン分散体に由来するものである。
【0060】
試料15~20は、剥離強度、ヘイズ及び透明度に及ぼす、中間層に使用したPSAの量の効果を示す。
【0061】
試料21及び23は、ボトムフィルム層の引裂性に及ぼす、二軸配向の欠如(当該フィルムを「ひねり可能」にするために部分的にしか配向していない)に起因するフィルムIのデッドフォールド性の効果を示す。
【0062】
試料22は、最初の開封時にボトムフィルム層がきれいに破れることが望ましいため、構造体の性能に及ぼすフィルムJの引裂性の効果を示す。
【0063】
試料24及び25は、層(c)のハプティック(ソフトタッチ)コーティングがない場合の、ボトムフィルム層としてのBOPET層(d)の効果を示す。
【0064】
剥離強度の試験方法
・外側にヒートシール可能な表面を有しない試料(試料1~14)は、ボトムフィルム層外面に、1,3-ジオキソラン溶剤に溶解されたコポリエステルヒートシール可能樹脂をコーティングし(コート量約2gsm)、オーブンで5分間乾燥させた。
・フィルム試料及び0.5mmAPETトレイストックから1インチ(2.54cm)幅のストリップを切り出した。
・Labthink Param Classic 513 Gradient Heat Sealerを使用して、200℃で、1.5秒の滞留時間及び40psiの印加圧力で、フィルム試料のヒートシール可能な側をAPETトレイ片にヒートシールした。
・剥離強度は、MTS Insight 1引張装置を使用して測定した。フィルムを上側ジョーに保持し、トレイ片を下側ジョーに保持した。試料を、180°で、50mm/分で剥離した。
・剥離後、フィルムをジョーから外し、試験者の親指でフィルムをトレイピースに4回押し戻すことによって、フィルムを再封した。
・その後、同じ方法を使用して再剥離を行った。
・これを繰り返して4回剥離した。
【0065】
剥離強度の試験結果を以下の表IIにまとめた。
【0066】
【0067】
1回目の剥離強度は、接着破壊のために1140gf/in(448.8gf/cm)よりも高いことが望ましく、2回目の剥離強度は、接着破壊のために285gf/in(112.2gf/cm)よりも高いことが望ましい。
【0068】
ヘイズ及び透明度についても試料を試験した。ヘイズは、BYK Gardner haze-gard plusを使用して、ASTM法D 1003に従って試験した。同じ装置を使用して、透明度の測定も行った。ヘイズ及び透明度の試験結果を以下の表IIIにまとめた。
【0069】
【0070】
ヘイズ値は≦13.0%であり、透明度値は≧88.2%であることが望ましい。
【国際調査報告】