(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-29
(54)【発明の名称】多温度保管システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20230522BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
B65G1/04 555Z
B65G1/00 521A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563052
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(85)【翻訳文提出日】2022-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2021060126
(87)【国際公開番号】W WO2021209648
(87)【国際公開日】2021-10-21
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515134368
【氏名又は名称】オカド・イノベーション・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】メウス、ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】レイド、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ボアテング、エリック
(72)【発明者】
【氏名】チャップリン、フリス
(72)【発明者】
【氏名】エバンス、ギャビン
(72)【発明者】
【氏名】クリステスク、オビ
(72)【発明者】
【氏名】タヒル、リブカ
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022BB02
3F022BB03
3F022BB06
3F022EE05
3F022FF00
3F022JJ11
3F022MM01
3F022MM57
3F022QQ00
(57)【要約】
複数の直立部材(3)と、直立部材(3)によって支持され、複数のグリッドセルを画定するグリッドパターンを形成し、グリッドパターンによって画定されたグリッドセルの下に容器(9)がスタック(11)において配置されることを可能にする複数の水平部材(5、7)と、水平部材(5、7)の上部にある軌道構造(13)と、を含む保管構造(1)であって、軌道構造(13)は、積荷取扱装置(31)が、スタック(11)から容器(9)を取り出すために、保管構造(1)にわたって移動することを可能にするように構成されている、保管構造(1)と、保管構造(1)内の第1の温度領域を第1の温度に維持し、保管構造(1)内の第2の温度領域を第2の温度に維持するように構成された温度制御手段と、を備える多温度保管システムが提供される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多温度保管システムであって、
複数の直立部材(3)と、前記直立部材(3)によって支持され、複数のグリッドセルを画定するグリッドパターンを形成し、前記グリッドパターンによって画定された前記グリッドセルの下に容器(9)がスタック(11)において配置されることを可能にする複数の水平部材(5、7)と、前記水平部材(5、7)の上部にある軌道構造(13)と、を含む保管構造(1)であって、前記軌道構造(13)は、積荷取扱装置(31)が、スタック(11)から容器(9)を取り出すために、前記保管構造(1)にわたって移動することを可能にするように構成されている、保管構造(1)と、
前記保管構造(1)内の第1の温度領域を第1の温度に維持し、前記保管構造(1)内の第2の温度領域を第2の温度に維持するように構成された温度制御手段であって、前記温度制御手段は、温度制御プラント(61)と、閉ループを提供するチュービング(63、65)と、を含み、前記閉ループに沿って、温度制御流体が、前記温度制御プラント(61)から前記保管構造(1)内の前記第1の温度領域に流れ、前記保管構造(1)内の前記第1の温度領域から前記温度制御プラント(61)に流れるように構成される、温度制御手段と、
を備える、多温度保管システム。
【請求項2】
前記チュービング(63、65)は、前記第1の温度領域に温度制御流体を運ぶように構成された往路チュービング(63)を含む、請求項1に記載の多温度保管システム。
【請求項3】
前記チュービング(63、65)は、前記第1の温度領域から離れる方へ温度制御流体を運ぶように構成された復路チュービング(65)を含む、請求項2に記載の多温度保管システム。
【請求項4】
追加の温度制御プラント(51)を備え、前記追加の温度制御プラント(51)は、流体キャリア(53)を介して前記第1の温度領域及び前記第2の温度領域のうちの少なくとも1つに温度制御流体を供給するように構成されている、請求項1、請求項2又は請求項3に記載の多温度保管システム。
【請求項5】
前記保管構造(1)の前記第1の温度領域への前記温度制御流体の流れを補助するように構成された流れ補助具を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の多温度保管システム。
【請求項6】
前記チュービング(63、65)によって提供される前記閉ループは、複数の分岐を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の多温度保管システム。
【請求項7】
前記チュービング(63、65)は、前記チュービング(63、65)に沿った温度制御流体の流れを制御するように構成された流れ制御弁を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の多温度保管システム。
【請求項8】
前記チュービング(63、65)は、前記第1の温度領域に温度制御流体を集中させるように構成された成形されたセクションを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の多温度保管システム。
【請求項9】
前記第1の温度領域と前記第2の温度領域との間の熱エネルギーの交換を最小限に抑えるように構成されたエアカーテンを備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の多温度保管システム。
【請求項10】
前記第1の温度領域と前記第2の温度領域との間の熱エネルギーの交換を最小限に抑えるように構成された個体の仕切りを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の多温度保管システム。
【請求項11】
前記第1の温度領域内の雰囲気状態を監視するように構成されたセンサを備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の多温度保管システム。
【請求項12】
前記第1の温度領域を前記第1の温度に維持するために、前記第1の温度領域に温度制御流体を供給するステップと、
前記第1の温度領域から前記温度制御流体を回収するステップと、
を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の多温度保管システムの温度を制御する方法。
【請求項13】
1つ以上のセンサから受信されたデータに基づいて、どのように前記第1の温度領域に温度制御流体を最適に供給するかを決定すること備える、請求項12に記載の多温度保管システムの温度を制御する方法。
【請求項14】
前記第1の温度領域を前記第1の温度に維持し、前記第2の温度領域を前記第2の温度に維持するように前記温度制御手段を制御するための命令を生成して送るように構成された処理手段を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の多温度保管システムのための制御装置。
【請求項15】
前記制御装置は、前記センサからデータを受信することと、前記受信されたデータに依存して、前記命令を生成することと、を行うように構成されている、請求項11に従属する請求項14に記載の制御装置。
【請求項16】
前記制御装置は、前記流れ補助具に対して命令を生成して送るように構成されている、請求項5に従属する請求項14に記載の制御装置。
【請求項17】
前記制御装置は、前記流れ制御弁に対して命令を生成して送るように構成されている、請求項7に従属する請求項14に記載の制御装置。
【請求項18】
プロセッサによって実行されると、請求項12又は請求項13に記載の方法のステップを実行させる命令で符号化されたコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに異なる温度に維持されるように構成された領域を備える保管システムに関する。
【0002】
本願は、2020年4月17日に出願された英国特許出願公開第GB2005636.2号からの優先権を主張し、その内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
請求項に記載の装置、方法、システム、及びコンピュータプログラムは、保管システムに関する改善をもたらすことを目的とする。
【発明の概要】
【0004】
請求項1に記載の多温度保管システムが提供される。また、請求項12に記載の方法が提供される。更に、請求項14に記載の制御装置が提供される。加えて、請求項18に記載のコンピュータ可読記憶媒体が提供される。オプションの特徴は、従属請求項に記載されている。
【0005】
次に、多温度保管システムについて、例を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、保管構造及び容器を概略的に例示する。
【
図2】
図2は、
図1に例示された保管構造の上部にある軌道を概略的に例示する。
【
図3】
図3は、
図1に例示された保管構造の上部にある積荷取扱装置を概略的に例示する。
【
図4】
図4は、容器持ち上げ手段が下降構成にある、単一の積荷取扱装置を概略的に例示する。
【
図5】
図5は、容器持ち上げ手段が上昇構成及び下降構成にある、単一の積荷取扱装置の切り欠き図を概略的に例示する。
【
図6】
図6は、温度制御手段を備えた保管構造のセクションを斜視図で概略的に例示する。
【
図7】
図7は、
図6の保管構造及び温度制御手段を異なる斜視図で概略的に例示する。
【
図8】
図8は、
図6及び
図7の保管構造及び温度制御手段を異なる斜視図で概略的に例示する。
【
図10】
図10は、温度制御手段を備えた保管構造を斜視図で概略的に例示する。
【
図13】
図13は、保管構造及び温度制御手段を斜視図で概略的に例示する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の例は、多温度保管システムをどのように実装するかの出願人の好ましい例を表すが、それらは、必ずしも、それがどのように達成され得るかの唯一の例ではない。
【0008】
図1は、直立部材3と、直立部材3によって支持される水平部材5、7と、を備える保管構造1を例示する。水平部材5は、互いに及び例示されたx軸に平行に延在する。水平部材7は、互いに及び例示されたy軸に平行に、且つ水平部材5に対して横断方向に延在する。直立部材3は、互いに及び例示されたz軸に平行に、且つ水平部材5、7に対して横断方向に延在する。水平部材5、7は、複数のグリッドセルを画定するグリッドパターンを形成する。例示された例では、容器9は、グリッドパターンによって画定されたグリッドセルの下にスタック11において配置されており、1グリッドセル当たり容器9の1つのスタック11である。
【0009】
図2は、
図1に例示された保管構造1の一部を形成し、
図1に例示された保管構造1の水平部材5、7の上部に位置する軌道構造13のセクションの拡大平面図を示す。軌道構造13は、水平部材5、7自体によって(例えば、水平部材5、7の表面内又は表面上に形成されている)、又は水平部材5、7の上部に取り付けられた1つ以上の追加の構成要素によって提供され得る。例示された軌道構造13は、x方向軌道17と、y方向軌道19と、を備え、即ち、x方向に延在する第1のセットの軌道17と、第1のセットの軌道17中の軌道17に対して横断する、y方向に延在する第2のセットの軌道19と、を備える。軌道17、19は、グリッドセルの中央に開口15を画定する。開口15は、グリッドセルの下に位置する容器9が開口15を通って持ち上げられ及び下降されることを可能にするように、サイズ決定されている。x方向軌道17は、チャネル21によって分離された対で設けられており、y方向軌道19は、チャネル23によって分離された対で設けられている。例示されたチャネル21、23は、軌道17、19の表面から上方に(即ち、少なくとも部分的にz方向に)突出するリップの対によって画定されている。しかしながら、他の例では、チャネルは、異なって画定され得る。いくつかの例では、隣接する軌道を分離するために、チャネルが設けられない場合がある。代わりに、隣接する軌道間に連続した表面の空きの広がり(an empty stretch)を有する、隣接する軌道を形成する連続した表面が存在し得、又は、隣接する軌道は、別個の表面で形成され得、別個の表面間には間隙が設けられ得る。
【0010】
図3は、
図1に例示された保管構造1の上部を移動している複数の積荷取扱装置31を示す。ロボット31又はボット31とも呼ばれ得る積荷取扱装置31には、ボット31が、軌道構造13にわたって(across)移動し、特定のグリッドセルに到達することを可能にするために、対応するx方向軌道17又はy方向軌道19と係合するための車輪のセットが設けられている。例示された対の軌道17、19は、ボット31が互いに衝突することなく、隣接するグリッドセルを占有する(又はそれらの上で互いに通過する)ことを可能にする。
【0011】
図4に詳細に例示されるように、ボット31は、ボット31がその意図された機能を実行することを可能にする1つ以上の構成要素がその中に又はそれに取り付けられた本体33を備える。これらの機能は、軌道構造13上で保管構造1にわたって移動することと、(例えば、スタック11から又はスタック11へ)容器9を上昇又は下降させることと、を含み得、これにより、ボット31は、グリッドパターンによって画定された特定の場所(location)にある容器9を取り出し得るか又はそこに置き得る。
【0012】
例示されたボット31は、第1のセットの車輪35と、第2のセットの車輪37と、を備え、これらは、ボット31の本体33に取り付けられており、ボット31がそれぞれ軌道17及び19に沿って、それぞれx方向及びy方向に移動することを可能にする。特に、2つの車輪35が、
図4で見えるボット31の短い方の側面に設けられており、更なる2つの車輪35が、ボット31の反対側の短い方の側面に設けられている(側面及び更なる2つの車輪35は、
図4では見えない)。車輪35は、軌道17と係合し、ボット31の本体33に回転可能に取り付けられて、ボット31が軌道17に沿って移動することを可能にする。同様に、2つの車輪37が、
図4で見えるボット31の長い方の側面に設けられており、更なる2つの車輪37が、ボット31の反対側の長い方の側面に設けられている(側面及び更なる2つの車輪37は、
図4では見えない)。車輪37は、軌道19と係合し、ボット31の本体33に回転可能に取り付けられて、ボット31が軌道19に沿って移動することを可能にする。
【0013】
ボット31はまた、容器9を上昇及び下降させるように構成された容器持ち上げ手段39を備える。例示された容器持ち上げ手段39は、4つのテープ又はリール41を備え、これらテープ又はリール41は、それらの下端部において容器把持アセンブリ43に接続されている。容器把持アセンブリ43は、容器9の特徴と係合するように構成された把持手段(これは、例えば、テープ41の近傍で、アセンブリ43の角部に設けられ得る)を備える。例えば、これら容器9には、把持手段が係合し得る1つ以上の開口がそれらの上側に設けられ得る。把持手段は、容器9のリム若しくはリップの下に引っ掛かるように、及び/又は容器9を挟持若しくは把持するように構成され得る。テープ41は、必要に応じて、把持アセンブリを上昇又は下降させるために、巻き上げら得るか又は巻き下げられ得る。
【0014】
図5を見れば分かるように、ボット31の本体33は、容器持ち上げ手段39によって上昇された容器9を受容するための空間又は空洞を含む。空洞は、容器9の下側が軌道構造13又は保管構造1の別の部分に引っ掛かることなく、ボット31が保管構造1の上部にある軌道構造13にわたって移動することを可能にするために、容器9が十分に空洞の内部に収まり得るようにサイズ決定される。ボット31がその意図された目的地に到達すると、容器持ち上げ手段39は、テープ41を制御して、容器把持アセンブリ43及び対応する容器9を、下側部分47内の空洞から出して意図された位置(position)へと下降させる。意図された位置は、容器9のスタック11又は保管構造1の出口点(又は、ボット31が保管構造1内に保管するための容器9を収集するために移動した場合は、保管構造1の入口点)であり得る。例示された例では、上側部分45及び下側部分47は、物理的な仕切り(a physical divider)によって分離されているが、他の実施形態では、上側部分45及び下側部分47は、ボット31の本体33の特定の構成要素又は部品によって物理的に分割されていない場合がある。
【0015】
図6は、冷却プラント51を含む温度制御手段を備えた保管構造1を概略的に例示する。冷却プラント51は、空気を指定された温度まで冷却し、冷気をダクティング53に沿って保管構造1内の又はその横の1つ以上の場所に導く。空気は、例えば、再冷却及び再循環のために、保管構造1からダクティング55に沿って冷却プラント51に戻される。冷気を冷却プラント51から保管構造1に導くダクティング53は、往路ダクティング53と呼ばれ得、空気を保管構造1から冷却プラント51に戻すダクティング55は、復路ダクティング55と呼ばれ得る。
【0016】
図7及び
図8を見ればより詳細に分かるように、往路ダクティング53は、複数の分岐を含み、これらは、冷却プラント51の単一の出口から分岐し、冷気を冷却プラント51から保管構造1内の異なる領域に導く。例えば、往路ダクティング53の1つの分岐は、冷気を冷却プラント51からダクティング53の出口を介して容器9のスタック11の上部に導き得る。次いで、冷気は、スタックの底部まで下降して、スタックにおける容器9内の製品を冷却し得る。ダクティング53の複数の分岐は、いくつかの例では、同じ領域に向けられ得る。例えば、特に低温に維持される必要があるか、又はその温度が特に安定していなければならない(即ち、最小限の変動の影響を受ける)保管構造1の領域は、その領域に向けられた、対応する出口を有する、ダクティングの2つ以上の分岐を有し得る。例えば、特定のスタック11が低温に保たれる必要がある場合、ダクティング53の2つ以上の分岐が、出口が冷気を分岐からスタック11上へと流出させることを可能にしている状態で、このスタック11の上部に向けられ得る。例えば、1つの分岐がスタック11の4つの側面の各々に向けられている状態で、4つの分岐が同じスタックに空気を導き得る(しかし、2つの分岐が1つの側面に向けられ、更なる2つの分岐が異なる側面に向けられる等、他の順列(permutations)もまた可能である)。必要であれば、ダクティング53の追加の分岐が、冷気を同じスタック11内の異なる高さに導き得る。例えば、1つ以上の分岐が、冷気をスタック11の上部に導き得、1つ以上の追加の分岐が、冷気をスタック11のより下の点、例えば、スタック11を半分ほど下ったところ、又はスタック11の底部に若しくはその近くに導き得る。
【0017】
同様に、
図9を見ればより明確に分かるように、復路ダクティング55は、複数の分岐を含み得、これらは、保管構造1の異なる領域から空気を収集し、収集された空気を冷却プラント51に戻す。往路ダクティング53と同様に、復路ダクティング55の複数の分岐は、冷却プラント51の単一の入口に入るように合流(converge)し得る。復路ダクティング55は、好ましくは、往路ダクティング53からの冷気の下降運動(falling movement)を利用するために、保管構造1の底部に又は底部の方に(towards)(即ち、
図6に例示されたz軸の負の端部の方に)位置し得る。
【0018】
往路ダクティング53からの空気の排気及び/又は復路ダクティング55への空気の引き込みを支援するために、ダクティング53、55には、所望の方向への空気の流れを支援するための1つ以上のファン、ポンプ、又は他の流れ補助具が設けられ得る。例えば、対応する分岐から保管構造1の所望の領域に(例えば、容器9のスタック11の上部に)空気を導くために、往路ダクティング53の1つ以上の分岐の出口に位置するファンが存在し得る。これは、有利には、ターゲット商品を冷却するために、風冷の使用を可能にし得る。風冷を使用することは、冷却プラント51が空気をより高い温度に冷却し得るが、それでもなお、温度制御手段が保管構造1内の関連商品の所望の冷却を達成することを可能にすることを意味し得る。同様に、保管構造1の関連領域から対応する分岐へと空気を引き込み、冷却プラント51に向かわせるために、復路ダクティング55の1つ以上の分岐の入口に位置するファンが存在し得る。流れ補助具は、速度制御可能であり得、即ち、異なる時間において補助具によって供給される流れのレベルを増大又は低減させ、例えば、所定の時間においてスタック11内に保管されている製品に応じて提供される冷却を調節し得る。
【0019】
図7~
図9を見れば分かるように、ダクティング53、55は、ダクティング53、55の長さに沿って(即ち、冷却プラント51と保管構造1における入口/出口との間で)異なる直径を有し得る。これは、有利には、ダクティング53、55に沿った流れを制御するのに役立ち得る。例えば、ダクティング53、55が複数の分岐に分岐するか又は複数の分岐から合流する場合、ダクティング53、55の直径は、他の分岐又は冷却プラント51に向かってダクティング53、55に沿って適切な圧力及び流量を維持するのに役立つように変化し得る。
【0020】
1つ以上の弁が、ダクティング53、55に沿った空気の流れを制御するのに役立つように、ダクティング53、55内に設けられ得る。例えば、いくつかの事情では、例えば、ある時間期間の間、異なる分岐が、異なる分岐のターゲット領域において特定の温度を達成するために、より多くの冷気を必要とする場合、往路ダクティング53の特定の分岐に沿った流れを停止することが望ましくあり得る。弁は、その時間期間の持続時間の間、閉じられ、所望時に再び開かれ得る。所定の弁が開く程度は、より細やかな流れ制御及び圧力制御を与えるように、並びに/又は、第1の分岐から冷却能力を完全には除去することなく、一部の冷却能力が第1の分岐から第2の分岐に流用されることを可能にするように、制御可能であり得る。
【0021】
例示された実施形態では、冷却プラント51は、単一の出口のみを含み、この出口にダクティング53が接続されて、冷気を冷却プラント51から保管構造1に導く。他の例では、冷却プラントは、ダクティングの複数の異なるセクションが接続され得る複数の出口を含み得る。これは、冷却プラントが空気を1つより多くの温度に冷却する例において特に有用であり得る。例えば、単一の冷却プラントには、保管構造1の領域を「冷凍庫」温度(例えば、-30℃~0℃の範囲内等の、氷点以下の温度)に冷却するのに好適な温度の空気と、保管構造1の領域を「冷蔵庫」温度(例えば、0℃~10℃の範囲内等の、氷点以上の温度)に冷却するのに好適な温度の空気と、を生成するために必要なハードウェア(例えば、ポンプ、冷媒、チャンバ等)が設けられ得る。
【0022】
代替又は追加として、保管構造1には、複数の別個の冷却プラントが設けられ得る。各冷却プラントは、(往路ダクティングを介して、対応する保管構造1に冷気を供給するための)1つ以上の出口と、(対応する保管構造1から空気を受け取るための)1つ以上の入口とを、必要に応じて対応するダクティングと共に有し得る。冷却プラントは、
図6~
図9の例でのように、保管構造1の外周の周りに位置し得、又は他の場所に位置し得る。例えば、いくつかの例では、1つ以上の冷却プラントが、保管構造1内に位置し得る。例えば、冷却プラントは、冷気を冷却プラントからスタック11の上部に導くための往路ダクティングを有して、容器9のスタック11の基部に位置し得る。このような例では、復路ダクティングは、必要でない場合があり―冷却プラントは、代わりに、入口と、場合によっては、冷気を、容器9の内容物を冷却するためにスタック11の下方に引き込み、次いで、再冷却及び再循環のために冷却プラント内へと引き込むための流れ補助具(例えば、ファン)と、を備えた上壁又は側壁を有し得る。他の例では、冷却プラントは、保管構造1内の他の場所に位置し得る。例えば、いくつかの例では、冷却プラントは、保管構造内の中二階に、又は保管構造自体に取り付けられ得る。これは、有利には、冷却プラントから冷却されるべき商品までの冷気の経路が短縮され得ること、即ち、より少ない往路ダクティングが必要とされることを意味し得る。一般に、保管構造1の領域に冷気を供給する任意の冷却プラントの場所は、冷気がターゲット領域まで移動しなければならない距離、及び/又は冷気が冷却プラントに戻るために移動しなければならない距離を最小限に抑えるように選択され得る。有利には、これは、冷気がダクティングに沿って移動する際のエネルギー損失及び/若しくは温度変化を最小限に抑え得、並びに/又は、冷気を供給及び回復するために必要なダクティングの長さを最小限に抑え得る。しかしながら、場合によっては、より長い長さのダクティングを介して複数の領域に供給するように構成されたより大きい冷却プラントを設ける方が、よりエネルギー効率が良くなり得る。
【0023】
いくつかの例では、冷却プラントは、商品を容器9に追加するか又は容器9から取り出すために、容器9が向けられるピッキングステーション等の、別の構成要素によって既に「活用できない状態(dead)」にされている(即ち、容器9を保管するために使用可能でない)、保管構造1内の又は保管構造1に隣接した空間に配置され得る。例えば、冷却プラントは、保管構造1内の中二階に位置するピッキングステーションの真下又は真上に位置し得る。このような例では、容器9は、依然として、冷却プラントの上方又は下方の保管構造1内に保管され、ボット31によって、又は、保管構造1の下側若しくはその横にある抽出ポート及びコンベヤ等の他の手段によって、保管構造1から取り出され得る。複数の冷却プラントを設けることは、有利には、ある程度の冗長性を提供し得、これにより、メンテナンス、緊急ダウンタイム、又は他のシャットダウンに対応することが可能になり得る。例えば、冷却プラントは、定期的な除霜(defrosting)を必要とし得、第2の冷却プラントの存在は、依然として、保管構造1の1つ以上の領域をターゲット温度の許容可能な変動内に維持しながら、除霜を完了するために第1の冷却プラントをシャットダウンすることを可能にし得る。いくつかの例では、1つ以上の容器9内に保管され、周囲の領域の温度制御を達成するための適切な場所において保管構造1内に配置され得る冷却プラントが提供され得る。
【0024】
冷却プラントは、例えば、スループット、温度又は他の変数に関して、制御可能であり得る。例えば、冷却プラントからの冷気の出力温度を変更すること、及び/又は、冷気が冷却プラントから排気される速度若しくは還気が冷却プラント内に引き戻される速度を(例えば、冷却プラントに又は冷却プラント内に位置する流れ補助具によって)変更することが可能であり得る。この可制御性は、単一の冷却プラントが、異なる時間に又は異なる構成で、保管構造1の異なる領域に適切な冷却を提供するために使用されることを可能にし得る。
【0025】
ダクティング53、55には、ダクティング53、55からの放射(radiation)及び/又はダクティング53、55を通じた伝導性を制御するのに役立つように、断熱材(insulation)又は他の周囲材料が設けられ得る。いくつかの構成では、往路ダクティング53は、特に、冷却された空気の可能な限り多くの利益がターゲット領域に送達されるように、即ち、冷却利益が放射よってダクティング53を取り囲む領域に失われないように、十分に断熱されることから利益を享受し得る。往路ダクティング53が保管構造1の異なる領域への複数の出口を有する構成等の他の構成では、往路ダクティング53がその長さに沿って放射することが望ましくあり得、即ち、これにより、冷却利益が、ダクティング53の長さに沿って、それが通る保管構造1の異なる部分に広がる。このような構成は、有利には、保管構造1のより大きい領域にわたってより均一な温度を生成し得る。
【0026】
ダクティング53、55は、異なるレベルにおいて、保管構造1を通り得る。例えば、上記で説明されたように、往路ダクティング53は、容器9のスタック11の上部に向けられ得る。しかしながら、往路ダクティング53は、追加又は代替として、スタック11における他の高さに向けられ得る。同様に、いくつかの構成では、(例えば、往路ダクティング53からの冷気の移動方向は、一般に下方向になるので)復路ダクティング55が、保管構造1の底部に又は底部の方に位置することが好ましくあり得るが、いくつかの事情では、復路ダクティング55が、異なる高さ又は複数の異なる高さにあることが望ましくあり得る。ダクティング53、55は、好ましくは、保管構造1の1つの列に実質的に沿って延在し得る。その列は、保管構造1の上部にあるボット31のための、保管構造1の「移動」列に指定され得る。これは、有利には、ダクティング53、55及び/又は冷却プラントが保管構造1の内部に位置するときに、保管構造1内のどこに容器9が保管され得るかに対する追加の制約を最小限に抑え得る。特に、ダクティング53、55を有する列の延在方向に多数のグリッドセルを移動しなければならないボット31は、優先的にその列に沿って移動し得、他の列を、他のボット31がそこに保管された容器9にアクセスするために、露出されたままにする。
【0027】
いくつかの実施形態では、複数の出口が、往路ダクティング53の1つの長さ上に設けられ得る。ダクティング53上の異なる出口は、保管構造1の異なる温度領域に属し得るか、又はそれらを画定し得る。例えば、最も低温の領域が、対応する冷却プラントに最も近いダクティング出口によって画定され得、次に低温の領域が、冷却プラントに次に近いダクティング出口によって画定され得、最も温かいゾーンは、冷却プラントから最も遠いダクティング出口によって画定され得る。複数の冷却プラント及び/又はダクティングの複数の分岐が存在する実施形態では、1つの領域が、1つより多くのダクティング出口によってサービス(served)及び/又は画定され得る。例えば、複数の冷却プラントが保管構造1の一方の側に沿って位置する場合、それらの対応する往路ダクティングは、異なる温度領域を画定及びサービスするために、保管構造1内へ対応する距離において、又は保管構造1内へ異なる距離において、保管構造1内へ互いに平行に延在し得る。いくつかの実施形態では、冷却プラントは、保管構造1の内部に位置し得、この場合、異なる温度領域の境界は、冷却プラントから外側に広がる同心形状(例えば、四辺形)として画定され得る。
【0028】
温度制御手段を含む例示された多温度保管システムの1つ以上の構成要素は、床下に位置し得る。例えば、いくつかの実施形態では、復路ダクティング55は、例えば、スタック11内の容器9が着座する基部として機能し得る、疑似床(false floor)の下に位置し得る。疑似床は、空気が疑似床を通り抜けて、復路ダクティング55の入口に入ることを可能にする開口を含み得る。代替又は追加として、疑似床における開口は、空気が往路ダクティング53の出口から疑似床を通り抜けることを可能にし得る。例えば、いくつかの実施形態では、往路ダクティング53及び復路ダクティング55の両方が、疑似床の下に位置し得る。これは、有利には、保管構造1の内部の空間のより多くが、容器9の保管のために利用可能であり、保管構造1内の容器9の移動が、より制限されないことを意味し得る。異なるタイプの開口が、異なるタイプのダクティング53、55のために、疑似床において設けられ得る。例えば、往路ダクティング53のためのより大きい開口と、復路ダクティング55のためのより小さい開口とが存在することが有利であり得、あるいは、その逆も同様である。
【0029】
図10は、冷却プラント61を含む温度制御手段を備えた保管構造1の別の例を概略的に例示する。パイピング63、65は、冷却された流体(液体窒素、エチレングリコール又は別の好適な物質等)を、冷却プラント61から保管構造1の1つ以上の領域に導き、次いで、再冷却及び再循環されるように、冷却プラント61に戻すように導くように構成されている。例示された配置は、往路チュービング63が、冷却された流体を冷却プラント61から保管構造1に運び、復路チュービング65が、流体を保管構造1から冷却プラント61に戻すように運ぶという点で、
図6~
図9に例示された配置に類似している。
【0030】
図11及び
図12により詳細に示されるように、チュービング63、65は、その長さの少なくとも一部に沿って、水平部材5、7を支持する直立部材3内等、保管構造1の構成要素内に位置し得る。
図11では、直立部材3の側面は、直立部材3内のチュービング63、65を示すために除去されており、
図12では、直立部材3は、チュービング63、65のより多くを明らかにするために、完全に除去されている。チュービング63、65を保管構造1の構成要素内に位置させることは、有利には、チュービング63、65が容器9のアクセス及び保管を制限する程度を最小限に抑え得る。例えば、直立部材3内に位置するチュービング63、65は、保管構造1内のスタック11を上下する容器9の移動を制限するものであってはならない。
【0031】
図11及び
図12に例示される例では、チュービング63、65は、直線セクションと、螺旋セクションと、を含む。一般に、チュービング63、65は、特定の温度制御目的を達成するために、任意の形状又は構成で設けられ得る。特に、往路チュービング63には、好ましくは、成形されたセクションが設けられ得る。例えば、冷却流体の体積を特定の領域に集中させる螺旋セクションは、より大きな冷却が必要とされる領域において設けられ得る。他の例では、異なって成形されたセクションが設けられ得、複数の異なって成形されたセクションが、1つの配置において存在し得る。例えば、いくつかの配置では、直線セクション、螺旋セクション、ジグザグセクション、蛇行若しくは振動セクション、及び/又は他のセクションのうちの1つ以上を全て、チュービング63、65の同じ配置において有することが望ましくあり得る。
【0032】
例示された例では、往路チュービング63及び復路チュービング65は、冷却流体が冷却プラント61から流出して冷却プラント61に環流する、連続的な閉ループのセットを形成する。往路チュービング63は、冷却プラント61から「始まり」、冷却プラント61から最も遠い、それぞれのループにおける点において、又は何らかの他の点、例えば、流体がその最高温度に達する点において、「終わる」と見なされ得る。(それぞれの閉ループをまわる流体の流れの方向において)その点を越えると、チュービングは、流体を冷却プラント61に戻す復路チュービング65と見なされ得る。往路チュービング63内の流体の温度は、一般に、復路チュービング65内の流体の温度よりも低いことが予期される。往路チュービング63内の流体が、それが冷却することを意図した保管構造1の領域(複数可)を通過すると、流体は、領域(複数可)に冷放射し、流体自体の温度が上昇する。連続的な閉ループは、単一の経路のみを含み得るか、又は、
図6~
図9の状況において説明された分岐と同様であるが閉じている、複数の経路又は分岐を含み得る。例えば、保管構造1の直立部材3の列の状況において、往路チュービング63は、複数の分岐を供給し得、分岐の各々は、保管構造1のそれぞれの直立部材3を通り、共通の復路チュービング65に合流して、冷却プラント61に戻る。冷却プラント61を出て、往路チュービング63及び復路チュービング65によって形成された閉ループに沿って移動する冷却流体の実質的に全てが、冷却プラント61に戻ることが予期され得る。対照的に、往路ダクティング53及び復路ダクティング55は、「閉」ループではなく「開」ループを形成しているので、冷却プラント51を出て往路ダクティング53に沿って移動する冷却流体の一部は、冷却プラント51に戻らない場合があるか、又はしばらく経ってのみ冷却プラント51に戻り得ることが予期され得る。換言すれば、往路チュービング63及び復路チュービング65によって画定されるような閉ループに沿って移動する冷却流体は、閉ループから実質的に全く漏洩しないことが予期され得、一方、開ループの往路部分53に沿って移動する冷却流体の一部は、開ループから漏洩し得ること、即ち、開ループの復路部分55に直ちに流入しない場合があることが予期され得る。
【0033】
図6~
図9の例におけるダクティング53、55と同様に、チュービング63、65の経路は、冷却プラント61と往路チュービング63の特定の部分(例えば、
図11及び
図12に例示される螺旋セクション等の、より大きな冷却を提供するために流体が集中される成形された部分)との間の距離を最小限に抑えるように、及び/又は復路チュービング65の長さ等の他の距離を最小限に抑えるように選択され得る。往路チュービング63及び復路チュービング65の相対的な場所は、それらの互いに対する影響を最小限に抑えるように選択され得る。例示された実施形態では、復路チュービング65は、直立部材3の実質的に中央にあり、往路チュービング63の螺旋セクションは、復路チュービング65の周りに巻き付けることができ、その結果、往路チュービング63は、直立部材3の外面に最も近く、したがって、容器9内に保管された商品(これは、往路チュービング63によって冷却される必要がある)に最も近い。これは、有利には、チュービング63、65によって提供される冷却効果を改善し得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、より小型の冷却プラントが、閉ループの周りの1つ以上の点において、例えば、冷却プラント(複数可)61から最も遠い点において、直立部材3内に、又は保管構造1の内部の他の場所に、例えば、保管構造1内の適切な場所に配置された容器9内に設けられ得、その結果、流体は、例えば、冷却プラント61への流体の戻りのために、閉ループに沿った途中で再冷却される。
【0035】
図6~
図9の状況において上記で説明された冷却プラント51及びダクティング53、55と同様に、複数の冷却プラント61が、チュービング63、65の異なる閉ループに供給するために設けられ得る。例えば、第1の冷却プラント61は、保管構造1の1つの列に隣接して位置して、保管構造1のその列に沿った1つ以上の閉ループに冷却された流体を供給し得、第2の冷却プラント61は、保管構造1の次の列に隣接して位置して、保管構造1のその列に沿った1つ以上の閉ループに冷却された流体を供給し得る、等である。代替又は追加として、1つ以上の冷却プラント61が、冷却された流体を対応する閉ループに供給するために、保管構造1の各側に設けられ得る。これは、有利には、冷却された流体がそのターゲット冷却領域に到達する前に、冷却された流体によって移動される距離を低減するのに役立ち得る。
【0036】
例示された例は、複数の閉ループ(例示された特定の例では、保管構造1の各直立部材3に対して1つ)を含み、各閉ループは、対応する往路チュービング63及び復路チュービング65を有するが、他の例では、それに沿って流体が保管構造1の関連領域に流れるより少ない閉ループ、あるいは単一の閉ループでさえも有することが好ましくあり得る。このような例では、流体が閉ループ(複数可)をまわって流れるにつれて流体の温度を低下させる、閉ループ(複数可)に沿ったより小型の冷却プラントを有することが特に好ましくあり得るが、温度制御目的に応じて、それは必要ではない場合がある。
【0037】
温度制御手段を備えた保管構造1の更なる例が、
図13に例示される。
図10~
図12の例と同様に、
図13の例は、冷却された流体を往路チュービング63に供給する冷却プラント61を含む。往路チュービング63は、他の例の状況において上記で説明されたように、冷却された流体を保管構造1のターゲット領域に導く。この流体は、復路チュービング65によって、保管構造1のこれら領域から冷却プラント61に戻される。
【0038】
図13の例では、直立部材3を下方に通過するのみならず、往路チュービング63の分岐は、保管構造1内で容器9のスタック11が載置されるカバー付き支持体67の内部に蛇行セクションを含む。
図14は、
図13の例の一部を概略的に例示し、保管構造1の1つの列のみが示され、カバー付き支持体67からカバーが取り外されて、下にある往路チュービング63の蛇行セクションが明らかにされている。有利には、チュービングの蛇行セクションを有する支持体67は、冷却能力をグリッドセルの底部(これらの特定のグリッドセル内に位置するスタック11が存在する場合、容器9が常に存在することになる場所)に集中させる。
【0039】
図10~
図14に例示される例では、往路チュービング63は、冷却プラント61の上部において出現し、直立部材3の内部で支持体67まで下降する前に、保管構造1の上部に入る。しかしながら、他の例では、往路チュービング63は、他の点において、冷却プラント61から出て、及び/又は保管構造1に入り得る。同様に、復路チュービング65は、任意の好適な点において保管構造1から出得、任意の好適な点において冷却プラント61に入り得る。冷却プラント61及び保管構造1のそれぞれの入口点及び出口点は、特定の温度制御目的を達成するように選択され得る。
【0040】
例示された例では、複数の支持体67(例示された例では、1グリッドセル当たり1つ)が存在するが、他の実施形態では、より多い又はより少ない支持体が存在し得る。より少ない支持体が存在する場合、各支持体は、1つ以上のグリッドセルに及び得る。例えば、場合によっては、保管構造1の1つの列に沿って延在する1つの支持体、保管構造1の2つの列に沿って且つそれらにわたって延在する1つの支持体、又は別の順列(例えば、1つの支持体が2つのグリッドセル×2つのグリッドセルの面積、即ち、合計4つのグリッドセルをカバーする)が存在することが好ましくあり得る。いくつかの例では、保管構造1全体に及ぶ1つの支持体のみが存在し得る。各支持体におけるチュービング63の蛇行セクションは、冷却効果が支持体の全エリアにわたって広がるように、支持体の上側部分の実質的に全エリアにわたって延在し得る。各支持体は、チュービング63、65のそれ自体の閉ループを有し得るか、又は1つ以上の他の支持体と(例えば、分岐を介して)ループを共有し得る。いくつかの例では、追加の温度制御構成要素が、支持体(複数可)内に設けられ得る。例えば、1つ以上の加熱構成要素が、チュービング63の下の支持体(複数可)の内部に設けられ得る。これは、保管構造1の床エリアを冷却することから生じ得る任意の負の効果を打ち消すのに役立ち得る。更に、加熱構成要素をチュービング63から分離して、これら2つの互いに対する影響を最小限に抑えるための断熱層が存在し得る。いくつかの例では、支持体(複数可)は、複数の層を備える床であり得(又はその一部を形成し得)、上部又はその近くにチュービング63を含み、次いで、(下方に移動して)1つ以上の断熱層、その後に加熱構成要素が続き、これらは、保管構造1、保管構造1上に取り付けられた任意のボット31、保管構造1内に保管された任意の容器9、及び/又はその近傍にあるその他の物体の重量を支持するコンクリートの層等の構造的構成要素内に埋め込まれ得る。いくつかの例では、1つ以上の冷却プラントが、支持体(複数可)内に設けられ得る。これは、有利には、支持体(複数可)において、容器9のスタック11の底部に位置するチュービング63の蛇行セクションと、冷却プラントとの間の距離を短縮し、それによって、システムの温度制御能力を改善し得る。
【0041】
ダクティング53、55と同様に、チュービング63、65には、チュービング63、65からの放射及び/又はチュービング63、65を通じた伝導性を制御するのに役立つように、断熱材又は他の周囲材料が設けられ得る。いくつかの構成では、往路チュービング63は、特に、冷却された流体の可能な限り多くの利益がターゲット領域(複数可)に送達されるように、即ち、冷却利益がターゲット領域(複数可)に到達する前にチュービング63を取り囲む他の領域に失われないように、十分に断熱されることから利益を享受し得る。例えば、往路チュービング63は、非ターゲット領域における往路チュービング63からの冷却放射を最小限に抑えるように、冷却プラントと螺旋セクションとの間(及び/又は螺旋セクション間)の長さの一部又は全部に沿って断熱され得る。復路チュービング65もまた、近くの復路チュービング65による往路チュービング63の加熱を最小限に抑えるために、その長さの少なくとも一部に沿って断熱され得る。
【0042】
ダクティング53、55と同様に、チュービング63、65には、所望の方向への流体の流れを支援するために、1つ以上のポンプ又は他の流れ補助具が設けられ得る。例えば、流体を対応する分岐内に及び保管構造1の所望の領域に導くために、往路チュービング63の1つ以上の分岐の入口若しくは出口内に及び/又は入口若しくは出口において位置するポンプが存在し得る。流れ補助具は、速度制御可能であり得、即ち、流れ補助具によって供給される流れのレベルを増大又は低減させ得る。
【0043】
ダクティング53、55と同様に、チュービング63、65は、チュービング63、65の長さに沿って(即ち、それぞれ冷却プラント61と保管構造1における入口/出口との間で)異なる直径を有し得る。これは、有利には、チュービング63、65に沿った流れを制御するのに役立ち得る。例えば、チュービング63、65が複数の分岐に分岐するか又は複数の分岐から合流する場合、チュービング63、65の直径は、他の分岐又は冷却プラント61に向かってチュービング63、65に沿って適切な圧力及び流量を維持するのに役立つように変化し得る。
【0044】
1つ以上の弁が、チュービング63、65に沿った流体の流れを制御するのに役立つように、チュービング63、65内に設けられ得る。例えば、いくつかの事情では、例えば、ある時間期間の間、異なる分岐が、特定の温度を達成するためにより多くの冷却された流体を必要とする場合、往路チュービング63の特定の分岐に沿った流れを停止することが望ましくあり得る。弁は、その時間期間の持続時間の間、閉じられ、所望時に再び開かれ得る。所定の弁が開く程度は、より細やかな流れ制御及び圧力制御を与えるように、並びに/又は、第1の分岐から冷却能力を完全には除去することなく、一部の冷却能力が第1の分岐から第2の分岐に流用されることを可能にするように、制御可能であり得る。複数の分岐は、冷却流体を同じ領域又は異なる領域に導き得る。
【0045】
冷却プラント51と同様に、冷却プラント61は、チュービングの複数の異なるセクションが接続され得る単一又は複数の出口を含み得る。これは、冷却プラントが流体を1つより多くの温度に冷却する例において、特に有用であり得る。例えば、単一の冷却プラントには、保管構造1の領域を「冷凍庫」温度(例えば、-30℃~0℃の範囲内等の、氷点以下の温度)に冷却するのに好適な温度の流体と、保管構造1の領域を「冷蔵庫」温度(例えば、0℃~10℃の範囲内等の、氷点以上の温度)に冷却するのに好適な温度の流体と、を生成するために必要なハードウェア(例えば、ポンプ、冷媒、チャンバ等)が設けられ得る。上記で説明されたように、いくつかの例では、複数の冷却プラント61が、特定の温度制御目的を達成するために、1つの保管構造1内及び/又はその周囲に設けられ得る。
【0046】
例示された例では、冷却プラント51、61は、単体ブロック(monolithic block)として示されているが、冷却プラントは、実際には、異なる場所に位置する別個の相互接続された部分を備え得る。例えば、冷却プラントは、対応する保管構造1が位置する建物又は他の空間の内部に位置し且つ冷却プラントの1つ以上の構成要素(例えば、流体ポンプ)を収容する空気処理ユニットと、建物の外部に位置する冷却ユニットと、を備え得、冷却ユニットは、空気処理ユニットと冷却ユニットとの間の空気又は別の流体の流れを可能にするように、(例えば、ダクティングによって)空気処理ユニットに接続されている。他のタイプのプラント(例えば、除湿プラント)も同様に、単体ブロック又は別個の相互接続された部分を備え得る。いくつかのタイプのプラントが、互いに接続され得る。
【0047】
いくつかの例では、温度センサ、湿度センサ及び/又は他のセンサが、保管構造1内の雰囲気状態(atmospheric conditions)を監視するために、保管構造1内に設けられ得る。センサからのデータは、より多くの若しくはより少ない冷却又は他の雰囲気制御又は入力が必要とされるかどうかを決定するために、及び、それに対応して、冷却プラント51、61及び任意の流れ補助具等の、保管システムの1つ以上の構成要素の機能に影響を及ぼすために使用され得る。例えば、
図13では、温度センサ71が、保管構造1の直立部材3に取り付けられており、それらの近傍の温度を測定する。温度センサ71からのデータは、保管構造1のターゲット領域において所望の温度又は他の環境条件を達成するために、その領域に冷却流体を供給するための最良の方法を決定するために使用され得る。例えば、データは、保管構造1の領域にどのくらいの冷却流体を供給すべきかを決定するために、及び/又はその領域への冷却流体の供給のレート(a rate of supply)を決定するために、及び/又はその領域に供給される冷却流体のターゲット温度を決定するために、使用され得る。温度センサ、湿度センサ及び/又は他のセンサは、追加又は代替として、容器9上又は容器9内に設けられ得、例えば、より場所固有の温度測定が行われることを可能にするために、容器9の内部に取り付けられている。このようなセンサは、それらの対応する容器9と共に移動することが予期され得、これは、有利には、対応する容器9の内部に保管された商品の温度が、商品が移動されるにつれて、例えば、商品が供給元から流通業者へ、そしてエンドユーザへとサプライチェーンに沿って移動するにつれて、追跡されることを可能にし得る。
【0048】
制御装置が、冷却プラント(複数可)(例えば、出力される冷却された流体の温度)、システム内(例えば、ダクティング53、55、チュービング63、65又は冷却プラント(複数可)内)に設けられた任意の流れ手段の速度、システム内(例えば、ダクティング53、55、チュービング63、65又は冷却プラント(複数可)内)の任意の弁の開きの程度、及び/又はシステムのその他任意の制御可能な態様等の、保管システムの1つ以上の制御可能な態様を制御するために設けられ得る。システムのこれらの制御可能な態様を制御することは、システムが、周囲温度の変化、又は保管構造1の上部にわたる1つ以上のボット31の移動による特定の場所における流体の流れの変化等の外部変動にもかかわらず、多温度保管システムの異なる領域を所望の温度に維持することを可能にし得る。制御装置は、保管構造1の特定の領域の温度又は冷却プラントの空気処理ユニットから出力される流体の温度を測定し得る温度センサ等、上記で説明されたセンサのうちの1つ以上からの入力に応じて動作し得る。
【0049】
制御装置は、例えば、データ処理構成要素が直接的又は間接的に接続される他の構成要素を制御するための命令を生成して送るように構成された、1つ以上のプロセッサ又は他のデータ処理構成要素(「処理手段」)を含み得る。例えば、他の構成要素は、1つ以上の無線トランシーバを介して、無線でデータ処理構成要素に接続され得る。データ処理構成要素は、1つ以上のセンサから温度、湿度又は他の読取値の形態でデータを受信することと、他の構成要素に送られる命令を決定するために、そのデータを処理することと、を行うように更に構成され得る。制御装置は、データが処理のために記憶され得る1つ以上の記憶手段(例えば、RAM又は他のメモリ)を含み得る。制御装置は、人間からの入力なしに、実質的に自律的に動作するように構成され得る。しかしながら、制御装置は、人間が制御装置を介して1つ以上の構成要素を制御することを可能にするための手動オーバーライド機能を含み得る。
【0050】
上記の段落では、冷却プラントからの冷却の供給が説明されているが、保管構造1の領域と任意の周囲温度(複数可)との間で維持されるべき相対温度に応じて、追加又は代替として、加熱が、加熱プラントから保管構造1の1つ以上の領域に供給され得る。このような場合、「冷却流体」(例えば、
図6~
図9の例の状況では空気、又は
図10~
図14の例の状況ではエチレングリコール若しくは液体窒素)又は同様のものへの上記の参照は、必要に応じて「加熱流体」に置き換えられ得る。冷却流体及び加熱流体は、両方が温度制御流体と呼ばれ得る。同様に、冷却プラント及び加熱プラントは、両方が温度制御プラントと呼ばれ得る。温度制御プラントは、環境制御プラントの一例であり得る。他の環境制御プラントは、湿度制御プラントを含み得る。
【0051】
いくつかの例では、1つの多温度保管システムが、
図6~
図9に示された空気及びダクティングの例等の「開」温度制御手段と、
図10~
図14に示された流体及びチュービングの例等の「閉」温度制御手段との両方を使用し得る。例えば、保管構造1の第1の領域が、空気及びダクティング温度制御手段によってサービスされ得、保管構造1の第2の領域は、流体及びチュービング温度制御手段によってサービスされ得る。システムは、例えば、第1の大きい領域が、「開」温度制御手段によって第1の温度に維持され、第2のより小さいエリア(例えば、より大きい第1の領域内)が、「開」温度制御手段に加えて又はその代わりに、「閉」温度制御手段によって第2のより低い温度に維持されるように構成され得る。一般に、「閉」温度制御手段は、「開」温度制御手段よりも正確に方向付けられ得る。他の配置では、第2の温度は、第1の温度よりも高くなり得る。
【0052】
保管構造1内の異なる温度の領域は、固体の仕切り(solid partition)(例えば、保管構造1の異なるエリアを分離する、上記で説明された制御装置又は他のものによって制御可能な固定壁又は可動バッフル)によって、及び/又は流体の仕切り(例えば、ある温度の空気が、異なる温度の領域間を通過するのを阻止するために、所定の方向において、例えば、高速及び/又は高圧で、流される空気の又は別の流体若しくは複数の流体の壁又はカーテン)によって、即ち、異なる温度の領域間の熱エネルギーの交換を最小限に抑えるために、画定及び/又は確保(preserved)され得る。例えば、高速風の実質的に垂直な壁は、空気が保管構造1の隣接領域に水平方向に移動するのを防止し得る。同様に、高速風の実質的に水平な壁は、空気が保管構造1の隣接する領域に垂直方向に移動することを防止し得る。分離エアカーテン又は他の仕切りの他の配向も可能であり、保管構造1内で水平に、垂直に、及び/又は別様に分離された異なる温度の領域を可能にする。
【0053】
いくつかの実施形態では、仕切り又は他の構成要素は、温度制御物質(例えば、相変化材料及び/又は断熱材料)から作製されるか、又はそれを備え得、温度制御物質は、仕切り又は他の構成要素の近傍に冷却を提供するために、特定の温度であるように制御され得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、仕切りは、垂直方向及び/又は水平方向に互いに隣接して配置された容器9を使用して構築され得る。このような場合、容器9は、容器9によって仕切られた領域の温度制御を更に支援するために、温度制御物質(例えば、相変化材料及び/又は断熱材料)を含み得る。
【0055】
異なる温度の領域を画定する仕切りの場所、及び仕切りによって画定される領域の容積は、容器9が保管構造1のあちこちに移動するときの空気圧の変化による流体の流れに対応し、それを最適化するように選択され得る。例えば、容器9がボット31によって保管構造1のあちこちに移動されるにつれて、空気が保管構造1のある部分から別の部分へと変位され、容器9が以前に存在していた場所に比較的低圧のエリアを作り出す。ターゲット温度領域だけでなく、領域の1つ以上の側部の周りのバッファも収容するように仕切りを配置することは、有利には、比較的低圧のエリアが、仕切られた領域の外側の領域からのより暖かい空気によって充填されるのではなく、仕切りによって境界付けられた空間内の既に冷却された空気によって充填され得ることを意味し得る。仕切りは、例えば、容器9の移動によって後に残される低圧エリアを充填するために、既に冷却された空気がそこから引き込まれる、保管構造1の側部における追加の空間体積を囲み得る。
【0056】
代替又は追加として、冷却された空気の1つ以上の別個の専用チャンバには、低圧のエリアが出現したときに、保管構造1に空気を導くための適切なダクティングが設けられ得る。1つ以上の専用チャンバは、したがって、保管構造9内の容器9の移動によって残された間隙を充填し得る冷却された空気の貯槽を提供し得る。これは、冷却された空気と周囲からのより暖かい空気との混合を最小限に抑えることによって、多温度保管システムの効率を高め得る。1つ以上の流れ補助具が、専用チャンバ(複数可)によって形成される貯槽と、保管構造1のターゲット領域との間の冷却された流体の流れを促進するために設けられ得る。
【0057】
いくつかの例では、1つ以上の実質的に垂直に配向された仕切りが、保管構造1の最上層又は複数の最上層における隣接するグリッドセル間に設けられ得る。これは、有利には、保管構造1の上部における又は上部の方の(towards)空気の水平方向の流れを低減し得、これは、保管構造1の上部における又は上部の方のサーモクライン層(thermocline layer)を画定するのに役立ち得る。これは、有利には、保管構造1の上方からの空気(これは、ボット31の存在及び移動により、より温かい場合がある)と、保管構造1内からの空気との混合を最小限に抑え得る。上から見ると、1つ以上の実質的に垂直に配向された仕切りは、保管構造1の最上層(複数可)において又はその近くにハニカムパターンを画定するように見え得る。
【0058】
いくつかの例では、往路ダクティング53又は往路チュービング63は、容器(複数可)の内容物に関して特定の温度制御目的を達成するために、温度制御流体を、保管構造1内の1つ以上の容器上に直接導き得る。特に、ダクティング53又はチュービング63は、温度制御流体を、容器(複数可)内に、又は容器(複数可)の基部(複数可)若しくは側面(複数可)に隣接するように又はその上に直接導き得る。これは、有利には、ターゲット温度の流体が容器に到達する前に、異なる温度の流体の乱流又は混合を最小限に抑え得、それによって、多温度保管システムの効率を最大化する。
【0059】
いくつかの例では、流体の流れのレート(the rate of fluid flow)は、エネルギー効率と冷却効果とのバランスをとるように、即ち、多温度保管システムの所定の領域(複数可)を最もエネルギー効率の良い方法でそれぞれのターゲット温度に維持するように、最適化され得る。例えば、いくつかの例では、多温度保管システムを通る流体の流れの速度が増大された場合、冷却プラントにおける比較的低い冷却労力で所望のターゲット温度(複数可)を達成することが可能であり得、これは、多温度保管システムを通る流体の流れの速度がより低い冷却プラントにおけるより高い冷却労力に比べて、エネルギー効率が良くなり得る。上記で説明されたように、制御装置は、1つ以上のセンサを用いて、これらのパラメータを監視し、ターゲット温度(複数可)を達成するための最適な命令セットを計算し得る。これは、例えば、保管構造1内の容器の移動と、保管構造1内の流体の流れにおける対応する変動とに対応するための、連続プロセスであり得る。流れ補助具は、所望の温度制御目的及び/又は他の目的を達成するのに役立つように、任意の場所(例えば、保管構造1上、その中、又はその近く)に設けられ得る。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上のファンが、任意の冷却プラント(複数可)、ダクティング、又はチュービングに関連して設けられた任意の流れ補助具とは別個に、(例えば、保管構造1の一方の側から他方の側に向かう)水平な流体の流れ又は(例えば、保管構造1を通って下方に向かう又は上方に向かう)垂直な流体の流れを促進するために設けられ得る。
【0060】
図6~
図9の状況において説明された実施形態は、冷却された「空気」を供給することに関して説明されたが、他の流体が代わりに使用され得る。例えば、保管構造1内に保管される商品に応じて、また保管システムを取り囲む空間を人間又は他の生物が占有することが予期されるかどうかに応じて、より高い熱伝導性を有する流体等の、空気とは異なる組成を有する流体が使用され得る。いくつかの例では、空気が典型的に含有するよりも多くの二酸化炭素を含有する流体混合物が使用され得る。
【0061】
更に、(
図6~
図9の状況において説明されたような、及び/又は
図10~
図14の状況において説明されたような)単一の多温度保管システムが、局所温度制御目的を達成するために、及び/又は多温度保管システムの1つ以上の冷却プラント若しくは他の構成要素の故障の影響を最小限に抑えるための冗長性を提供するために、異なる場所において、空気、冷媒、グリコール、水及び/又はその他等の、複数の異なるタイプの流体を使用し得る。例えば、温度制御目的及び/又は所望の温度制御をどのように提供するかの制御装置による決定に従って、第1の流体が多温度保管システムの第1の領域で使用され得、第2の流体が多温度保管システムの第2の領域で使用され得る。
【0062】
多温度保管システムの主な目的は、保管構造の状況内で温度制御を提供することであるが、多温度保管システムの構成要素を(場合によっては、除湿器(dehumidifiers)又は放射抑制材料若しくは放射抑制構成要素等の、追加の構成要素と組み合わせて)使用して、湿度、風冷、放射レベル等のような、他の環境パラメータの局所的な制御を実施する(effect)ことが、追加として可能であり得るか又は必要であり得る。このような追加の構成要素は、他のシステム又は構成要素に組み込まれ得―例えば、除湿器が冷却プラントに組み込まれ得―又は別個のシステムとして設けられ得る。追加の構成要素は、他のシステム又は構成要素から独立して、又はそれらと共に、例えば、両方の構成要素又は構成要素のセットを制御する共通の制御装置によって、制御され得る。例えば、保管構造内のターゲット周囲相対湿度を維持することが、多温度保管システムの効率を最大化するのに役立ち得る。それは、保管構造1内の露点(dew point)の物理的な場所が制御されることを更に可能にし得る。結露のための能動的又は受動的な排水が、ターゲット周囲相対湿度が達成され得ることを確実にするのに役立つように、保管構造1内の露点の近傍において設けられ得る。例えば、乾燥剤が、結露を吸収するために、保管構造1内の露点の近傍又は他の場所に設けられ得る。1つ以上の湿度センサが、多温度制御システムの効率を更に最大化するために、能動的な排水を作動させるとき、又は乾燥剤が交換される必要があるときを決定するために、乾燥剤又は他の排水の近傍に設けられ得る。したがって、保管構造1には、局所的な水分吸収を提供するために、乾燥剤が配置及び保管され得る1つ以上の乾燥剤保管場所が設けられ得る。
【0063】
1つ以上のサーモスタットが、それぞれの領域において所望の温度を達成するのに役立つように、多温度保管システムの一部として設けられ得る。例えば、前述の弁のうちの1つ以上が、1つ以上のサーモスタットに依存して制御され得る。
【0064】
いくつかの例では、ボット31の1つ以上には、ボット31のすぐ近傍に局所的な冷却を提供するために、温度制御手段(相変化材料及び/又は1つ以上の流れ補助具等)が設けられ得る。例えば、ボット31は、冷気を保管構造1内へと下方に推進し得る。ボット31は、そのような動作を実行するために、特定のグリッドセルに送られ得る。ボット31は、ボット31が静止している間、又はそれが保管構造1上で動いている間に、冷気を保管構造1内へと下方に推進し得る。
【0065】
いくつかの例では、相変化材料の1つ以上のパックが、局所的な冷却を提供するために、特定の場所(例えば、保管構造1の側部又は上部)に取り付けられ得る。相変化材料のパックは、相変化材料のパックの近傍からの冷気を、ターゲット場所において保管構造1内へと推進するのに役立つように、1つ以上の流れ補助具と結合され得る。
【0066】
前述の段落で説明された変形例のうちの任意の1つ以上が、多温度保管システムの同じ例において実装され得ることが想定される。
【0067】
上記で説明された特徴は、例えば、それら領域に保管される商品に応じて、異なる温度及び/又は他の環境条件で維持され得る異なる領域を有する多温度保管システムを提供する。より具体的には、システムは、有利には、局所的な温度制御を提供することによって、単一の保管構造1が、異なる温度で商品を保管するために使用されることを可能にする。局所的な温度制御は、グリッドの異なる部分において異なる方法で実施され得る。システムは、1つの大型保管構造1が構築され得る単一の敷地の効率的な使用を可能にし得(より多くのより小型の構造ではなく、より少数のより大型の構造を構築することに伴う効率の利点を生かし)、この大型保管構造は、異なる温度要件に対応する。1つの使用例は、「冷蔵庫」領域と、「冷凍庫」領域と、を備えた多温度保管システムを伴い得るが、他の例は、より多くの領域を含み得る。例えば、異なる商品は、有利には、それらの特定の特性に依存して、20℃、15℃、10℃、5℃、0℃、-5℃、-10℃、-15℃、-20℃、-25℃等のような温度で保管され得る。これは、同じ保管構造1が、個々の商品をそれらの特定の要件に基づいて最適に保管することを可能にし得、これは、有利には、製品が保管され得る時間期間を増大させ得る。これは、食品、医薬品、植物及び他の温度に敏感なアイテムに特に有用であり得る。
【0068】
本文書では、「領域をある温度に維持する」という文言及び類似の/派生的な言い回しは、当該領域を指定された温度の許容可能なマージン内に保つことを意味することが意図される。例えば、それは、領域を、±a℃、±b%の範囲(ここで、a及びbは、指定される数値である)又は別の許容可能な偏差の尺度等、指定された単一の温度前後の温度範囲内に保つことを伴い得る。
【0069】
本文書では、nが、x、y及びzのうちの1つである「n方向への移動」という文言(及び関連する言い回し)は、いずれかの方向(即ち、n軸の正の端部に向かう方向又はn軸の負の端部に向かう方向)における、n軸に実質的に沿った又は平行な移動を意味することが意図される。
【0070】
本文書では、「接続する」という用語及びその派生語は、直接接続及び間接接続の可能性を含むことが意図される。例えば、「xが、yに接続されている」は、xが、介在する構成要素なしで、yに直接的に接続されている可能性と、xが、1つ以上の介在する構成要素ありで、yに間接的に接続されている可能性とを含むことが意図される。直接接続が意図される場合、「直接的に接続されている」、「直接接続」又は同様の用語が使用されている。同様に、「支持する」という用語及びその派生語は、直接接触及び間接接触の可能性を含むことが意図される。例えば、「xが、yを支持する」は、xが、介在する構成要素なしで、yを直接支持する及びyに直接接触する可能性と、xが、x及び/又はyに接触する1つ以上の介在する構成要素ありで、yを間接的に支持する可能性とを含むことが意図される。「取り付ける」という用語及びその派生語は、直接的及び間接的な取り付けの可能性を含むことが意図される。例えば、「xが、yに取り付けられている」は、xが、介在する構成要素なしで、yに直接的に取り付けられている可能性と、xが、1つ以上の介在する構成要素ありで、yに間接的に取り付けられている可能性とを含むことが意図される。
【0071】
本明細書では、「備える」という用語及びその派生語は、排他的な意味ではなく、包括的な意味を有することが意図される。例えば、「xは、yを備える」は、xが、1つ及び1つだけのy、複数のy、又は1つ以上のyと1つ以上の他の要素を含む可能性を含むことが意図される。排他的な意味が意図される場合、「xは、yから構成される」という文言が使用され、xがyのみを含み、他には何も含まないことを意味する。
【国際調査報告】