(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-29
(54)【発明の名称】非対称多孔質膜
(51)【国際特許分類】
B32B 5/18 20060101AFI20230522BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20230522BHJP
H01M 50/457 20210101ALI20230522BHJP
H01M 50/406 20210101ALI20230522BHJP
H01M 50/417 20210101ALI20230522BHJP
H01M 50/449 20210101ALI20230522BHJP
H01M 50/434 20210101ALI20230522BHJP
H01M 50/451 20210101ALI20230522BHJP
H01M 50/46 20210101ALI20230522BHJP
H01M 50/491 20210101ALI20230522BHJP
H01M 50/414 20210101ALI20230522BHJP
C08J 9/04 20060101ALI20230522BHJP
B32B 7/022 20190101ALI20230522BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
B32B5/18
H01M50/489
H01M50/457
H01M50/406
H01M50/417
H01M50/449
H01M50/434
H01M50/451
H01M50/46
H01M50/491
H01M50/414
C08J9/04 101
C08J9/04 CES
B32B7/022
B32B27/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563080
(86)(22)【出願日】2021-04-16
(85)【翻訳文提出日】2022-12-14
(86)【国際出願番号】 US2021027585
(87)【国際公開番号】W WO2021211914
(87)【国際公開日】2021-10-21
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598064680
【氏名又は名称】セルガード エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】イン,ウェンビン
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー,ダニエル,アール.
(72)【発明者】
【氏名】ライナルツ,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,カン,カレン
(72)【発明者】
【氏名】武田 久
(72)【発明者】
【氏名】ドン,アレン,エム.
【テーマコード(参考)】
4F074
4F100
5H021
【Fターム(参考)】
4F074AA17
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4F100AK03
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5H021AA06
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5H021HH03
(57)【要約】
本明細書の開示は、2つの外層と少なくとも1つの内層とを有する非対称多孔質膜である。外層は、厚み、細孔径、多孔度、屈曲度、またはそれらの組み合わせにおいて非対称であり得る。いくつかの実施形態において、非対称多孔質膜は、2つの外層を有し、内層を有しない。外層のうちの一方から他方の外層までの厚さは、1.1~25:1、好ましくは1.1:1~10:1、1.1:1~5:1、または4:1~10:1である。いくつかの実施形態において、両方の外層がPP含有層であり、いくつかの実施形態において、一方の最外層がPE含有層であり、他方がPP含有層であってよい。非対称多孔質膜は、電池用セパレータとして、または電池用セパレータを作るために使用することができる。いくつかの実施形態において、電池用セパレータは、セラミックコーティングなどのコーティングで被覆された2つの外層のうちの薄い方またはアノードに面する層を有する非対称多孔質膜を備え得る。電池用セパレータは、液体電解質二次電池に使用され得る。電池において、外層のうちの厚い方および/またはPP含有層がカソードに面するか、またはカソードに最も近く、2つの外層のうちの薄い方および/またはPE含有層がアノードに面するか、またはアノードに最も近い。アノードに面する外層は、セラミックコーティングなどのコーティングで被覆され得る。本明細書に記載の電池用セパレータは、Li/Li
+に対して4.2以上の電気化学的安定電圧を有し得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの外層と選択的に少なくとも1つの内層とを含み、前記2つの外層のうちの一方と前記2つの外層のうちの他方との厚さの比が1.1:1~4:1である多孔質膜。
【請求項2】
前記比が1.1:1~3:1である、請求項1に記載の多孔質膜。
【請求項3】
前記比が1.1:1~2:1である、請求項1に記載の多孔質膜。
【請求項4】
多孔質膜が微多孔質である、請求項1~3のいずれか一項に記載の多孔質膜。
【請求項5】
1~10の内層を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の多孔質膜。
【請求項6】
1つの内層を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の多孔質膜。
【請求項7】
前記多孔質膜が、前記2つの外層のうち少なくとも1つと少なくとも1つの内層とを積層することを含む方法により形成された、請求項1~3のいずれか一項に記載の多孔質膜。
【請求項8】
前記多孔質膜が、前記2つの外層のうち少なくとも1つと少なくとも1つの内層とを共押出することを含む方法により形成された、請求項1~3のいずれか一項に記載の多孔質膜。
【請求項9】
前記2つの外層がポリプロピレンを含むか、ポリプロピレンからなるか、または本質的にポリプロピレンからなり、かつ前記少なくとも1つの内層がポリエチレンを含むか、ポリエチレンからなるか、または本質的にポリエチレンからなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の多孔質膜。
【請求項10】
前記多孔質膜が乾式プロセス微多孔質膜である、請求項1~3のいずれか一項に記載の多孔質膜。
【請求項11】
前記多孔質膜が乾式延伸プロセスにより作られた微多孔質膜である、請求項1~3のいずれか一項に記載の多孔質膜。
【請求項12】
前記多孔質膜の総厚みが5~30ミクロンである、請求項1~3のいずれか一項に記載の多孔質膜。
【請求項13】
前記厚みが5~20ミクロンである、請求項12に記載の多孔質膜。
【請求項14】
前記厚みが5~15ミクロンである、請求項12に記載の多孔質膜。
【請求項15】
前記厚みが5~10ミクロンである、請求項12に記載の多孔質膜。
【請求項16】
2つの外層を含み、内層を含まない多孔質膜であって、前記2つの外層のうちの一方と前記2つの外層のうちの他方との厚さの比が1.1:1~4:1である多孔質膜。
【請求項17】
前記比が1.1:1~3:1である、請求項1に記載の多孔質膜。
【請求項18】
前記比が1.1:1~2:1である、請求項1に記載の多孔質膜。
【請求項19】
前記多孔質膜が微多孔質である、請求項16~18のいずれか一項に記載の多孔質膜。
【請求項20】
前記2つの外層のうちの少なくとも一方と前記2層の外層のうちの他方とを積層することを含む方法により形成される、請求項16~18のいずれか一項に記載の多孔質膜。
【請求項21】
前記多孔質膜が、前記2つの外層の共押出を含む方法によって形成される、請求項16~18のいずれか一項に記載の多孔質膜。
【請求項22】
前記2つの外層のうちの厚い方がポリプロピレンを含むか、ポリプロピレンからなるか、または本質的にポリプロピレンからなり、かつ前記2つの外層のうちの薄い方がポリエチレンを含むか、ポリエチレンからなるか、または本質的にポリエチレンからなる、請求項16~18のいずれか一項に記載の多孔質膜。
【請求項23】
前記多孔質膜が乾式プロセス微多孔質膜である、請求項16~18のいずれか一項に記載の多孔質膜。
【請求項24】
前記多孔質膜が乾式延伸プロセスにより作られた微多孔質膜である、請求項16~18のいずれか一項に記載の多孔質膜。
【請求項25】
前記多孔質膜の総厚みが5~30ミクロンである、請求項16~18のいずれか一項に記載の多孔質膜。
【請求項26】
前記厚みが5~20ミクロンである、請求項25に記載の多孔質膜。
【請求項27】
前記厚みが5~15ミクロンである、請求項25に記載の多孔質膜。
【請求項28】
前記厚みが5~10ミクロンである、請求項25に記載の多孔質膜。
【請求項29】
請求項1~28または57~62のいずれか一項に記載の多孔質膜を含むか、前記多孔質膜からなるか、または本質的に前記多孔質膜からなる電池用セパレータ。
【請求項30】
前記電池用セパレータが、Li/Li
+に対して4.2以上の電気化学的安定電圧を有する、請求項29に記載の電池用セパレータ。
【請求項31】
前記電池用セパレータが、Li/Li
+に対して4.5以上の電気化学的安定電圧を有する、請求項29に記載の電池用セパレータ。
【請求項32】
前記電池用セパレータが、Li/Li
+に対して5.0以上の電気化学的安定電圧を有する、請求項29に記載の電池用セパレータ。
【請求項33】
前記多孔質膜が、前記2つの外層のうちの薄い方に塗布されたコーティング層を含む、請求項29~32のいずれか一項に記載の電池用セパレータ。
【請求項34】
前記コーティングが、セラミックコーティング、ポリマーコーティング、およびシャットダウンコーティングのうち少なくとも1つである、請求項33に記載の電池用セパレータ。
【請求項35】
前記コーティング層が1~5ミクロンの厚みを有する、請求項34に記載の電池用セパレータ。
【請求項36】
請求項29~32のいずれか一項に記載の電池用セパレータをアノードとカソードとの間に含み、液体電解質を有する二次電池であって、前記多孔質膜の前記2つの外層のうちの厚い方が前記カソードに面し、前記2つの外層のうちの薄い方が前記アノードに面する二次電池。
【請求項37】
請求項33~35のいずれか一項に記載の電池用セパレータをアノードとカソードとの間に含み、前記コーティング層が前記アノードに面し、液体電解質を有する二次電池。
【請求項38】
2つの外層と選択的に少なくとも1つの内層とを含む多孔質膜であって、
前記2つの外層のうちの一方の平均細孔径が他方の外層の平均細孔径より小さく、前記2つの外層のうちの一方の多孔度が他方の外層の多孔度より低く、および前記2つの外層のうちの一方の屈曲度が他方の外層の屈曲度より高いことの少なくとも1つを含む多孔質膜。
【請求項39】
前記2つの外層のうちの一方の平均細孔径が、他方の平均細孔径より小さい、請求項38に記載の多孔質膜。
【請求項40】
前記2つの外層のうちの一方のより小さい方の平均細孔径が、0.005~0.5、0.005~0.05、0.025~0.05ミクロン、または0.025~0.04ミクロンである、請求項39に記載の多孔質膜。
【請求項41】
前記2つの外層のうちの一方のより小さい方の平均細孔径が、1~30%小さく、1~25%小さく、1~20%小さく、1~15%小さく、1~10%小さく、または1~5%小さい、請求項39に記載の多孔質。
【請求項42】
前記2つの外層のうちの一方の多孔度が、他方の外層の多孔度より低い、請求項38に記載の多孔質膜。
【請求項43】
前記2つの外層のうちの一方のより低い多孔度が、1~30%低いか、1~25%低いか、1~20%低いか、1~15%低いか、1~10%低いか、または1~5%低く、かつ前記2つの外層のうちの一方のより低い多孔度が、5%~50%か、10%~40%か、15%~30%か、または20%~25%である、請求項42に記載の多孔質膜。
【請求項44】
前記2つの外層のうちの一方の屈曲度が、他方の外層の屈曲度より高い、請求項38に記載の多孔質膜。
【請求項45】
前記2つの外層のうちの一方のより高い屈曲度が、1より大きいか、1.1より大きいか、1.2より大きいか、1.3より大きいか、1.4より大きいか、1.5より大きいか、1.6より大きいか、1.7より大きいか、1.8より大きいか、1.9より大きいか、または2.0より大きい、請求項44に記載の多孔質膜。
【請求項46】
請求項38~45または57~62のいずれか一項に記載の多孔質膜を含むか、前記多孔質からなるか、または本質的に前記多孔質からなる、電池用セパレータ。
【請求項47】
前記電池用セパレータが、Li/Li
+に対して4.2以上の電気化学的安定電圧を有する、請求項46に記載の電池用セパレータ。
【請求項48】
前記電池用セパレータが、Li/Li
+に対して4.5以上の電気化学的安定電圧を有する、請求項46に記載の電池用セパレータ。
【請求項49】
前記電池用セパレータが、Li/Li
+に対して5.0以上の電気化学的安定電圧を有する、請求項46に記載の電池用セパレータ。
【請求項50】
前記多孔質膜が、より小さい平均細孔径もしくはより大きい平均細孔径、より高い多孔度もしくはより低い多孔度、および/またはより高い屈曲度もしくはより低い屈曲度を有する外層に塗布されたコーティング層を含む、請求項46~49のいずれか一項に記載の電池用セパレータ。
【請求項51】
前記より小さい平均細孔径、前記より低い多孔度、および/または前記より高い屈曲度を有する外層にコーティング層が塗布された、請求項50に記載の電池用セパレータ。
【請求項52】
前記コーティングが、セラミックコーティング、ポリマーコーティング、およびシャットダウンコーティングのうちの少なくとも1つである、請求項50または51に記載の電池用セパレータ。
【請求項53】
前記コーティング層が1~5ミクロンの厚みを有する、請求項45に記載の電池用セパレータ。
【請求項54】
請求項46~53のいずれか一項に記載の電池用セパレータをアノードとカソードとの間に含み、液体電解質を有する二次電池であって、より小さい平均細孔径、より低い多孔度、および/またはより高い屈曲度を有する前記多孔質膜の外層が前記アノードまたは前記カソードに面する、前記二次電池。
【請求項55】
より小さな平均細孔径、より低い多孔度、および/またはより高い屈曲度を有する前記多孔質膜の外層が、前記アノードに面している、請求項54に記載の二次電池。
【請求項56】
請求項50~53のいずれか一項に記載の電池用セパレータをアノードとカソードとの間に含み、前記コーティング層が前記アノードに面し、液体電解質を有する、二次電池。
【請求項57】
前記多孔質膜が多層多孔質膜である、請求項1または38に記載の多孔質膜。
【請求項58】
前記多孔質膜の2つ以上の層が共押出層である、請求項57に記載の多孔質膜。
【請求項59】
前記多孔質膜が4つ以上の層を含む、請求項57に記載の多孔質膜。
【請求項60】
前記多孔質膜が4つ以上の層を含む、請求項58に記載の多孔質膜。
【請求項61】
前記多孔質膜が内層を含有しない、請求項1または38に記載の多孔質膜。
【請求項62】
前記外層の1つがPEを含み、前記外層のもう1つがPPを含む、請求項61に記載の多孔質膜。
【請求項63】
少なくとも1つのポリプロピレン(PP)含有層と、
少なくとも1つのポリエチレン(PE)含有層と、
を含む非対称多孔質多層膜であって、
1つまたは複数のPP含有層と1つまたは複数の前記PE含有層との厚さの比が、1.1:1~25:1の範囲である、前記非対称多孔質多層膜。
【請求項64】
前記比が1.1:1~20:1の範囲である、請求項63に記載の非対称多孔質多層膜。
【請求項65】
前記比が4:1~10:1の範囲である、請求項64に記載の非対称多孔質多層膜。
【請求項66】
2つのPP含有層と1つのPE含有層とを含み、前記層がPE/PP/PPまたはPE/PPブレンド/PPの順序で配置されている、請求項63~65のいずれか一項に記載の非対称多孔質多層膜。
【請求項67】
前記PP含有層が、同一または異なるPP含有材料を含有する、請求項66に記載の非対称多孔質多層膜。
【請求項68】
2層以上のPP含有層が存在し、かつ前記PP含有層が前記同一または異なるPP含有材料を有する、請求項63~65のいずれか一項に記載の非対称多孔質多層膜。
【請求項69】
1または複数の前記PP含有層のPP含有材料が、単一のポリプロピレン、2つ以上の異なるポリプロピレンの混合物、単一のポリプロピレンおよび追加成分、または2つ以上の異なるポリプロピレンの混合物および追加成分を含む、請求項63~68のいずれか一項に記載の非対称多孔質多層膜。
【請求項70】
前記追加成分が、ポリプロピレン以外のポリマー、エラストマー、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つである、請求項69に記載の非対称多孔質多層膜。
【請求項71】
前記エラストマーがスチレン系エラストマーである、請求項70に記載の非対称多孔質多層膜。
【請求項72】
2つ以上のPE含有層が存在し、前記PE含有層が同一または異なるPE含有材料を有する、請求項63に記載の非対称多孔質多層膜。
【請求項73】
次の構造PE/PE/PP/PP/PP/PPを有する非対称多孔質多層膜であって、PEはPE含有層であり、PPはPP含有層である、請求項63に記載の非対称多孔質多層膜。
【請求項74】
次の構造PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP/PP/PPを有する非対称多孔質多層膜であって、PEはPE含有層であり、PPはPP含有層である、請求項63に記載の非対称多孔質多層膜。
【請求項75】
次の構造PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PPを有する非対称多孔質多層膜であって、PEはPE含有層であり、PPはPP含有層である、請求項63に記載の非対称多孔質多層膜。
【請求項76】
次の構造PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PPを有する非対称多孔質多層膜であって、PEはPE含有層であり、PPはPP含有層である、請求項63に記載の非対称多孔質多層膜。
【請求項77】
前記膜が、2つ以上の層を共押出することによって形成される、請求項63~76のいずれか一項に記載の非対称多孔質多層膜。
【請求項78】
3つ以上の層が共押出される、請求項77に記載の非対称多孔質多層膜。
【請求項79】
PE/PP/PPまたはPE/PPブレンド/PPの3層すべてが共押出される、請求項66に記載の非対称多孔質多層膜。
【請求項80】
前記膜が乾式プロセス膜である、請求項63~79のいずれか一項に記載の非対称多孔質多層膜。
【請求項81】
請求項63~80のいずれか一項に記載の非対称多孔質多層膜を含む電池用セパレータ。
【請求項82】
前記非対称多孔質多層膜のうち1つの最外層のみがPE含有層である、請求項81に記載の電池用セパレータ。
【請求項83】
前記1つの最外層の前記PE含有層上にセラミックコーティングまたは架橋コーティングを含む、請求項82に記載の電池用セパレータ。
【請求項84】
アノード、カソード、液体電解質、および請求項81に記載の電池用セパレータを含む電池。
【請求項85】
アノード、カソード、液体電解質、および請求項82または83に記載の電池用セパレータを含む電池であって、PE含有層でもある前記最外層が、前記アノードに面するか、または前記アノードに最も近い、前記電池。
【請求項86】
少なくとも片面上にセラミックコーティングおよび架橋コーティングから選択される1つまたは複数を含む、請求項81に記載の電池用セパレータ。
【請求項87】
少なくとも1つのポリプロピレン(PP)含有層および少なくとも1つのポリエチレン(PE)含有層を含む非対称多孔質多層膜であって、1つまたは複数の前記PE含有層と1つまたは複数の前記PP含有層との厚さの比が、1.1:1~25:1の範囲である、前記多層膜。
【請求項88】
前記複数のPE含有層と前記複数のPP含有層との前記比が1.1:1~20:1の範囲である、請求項87に記載の非対称多孔質多層膜。
【請求項89】
前記複数のPE含有層と前記複数のPP含有層との前記比が4:1~10:1の範囲である、請求項88に記載の非対称多孔質多層膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、改良された多孔質膜および電池用セパレータ、およびそれらを含む液体電解質二次リチウムイオン電池を対象とする。特に、本明細書に開示される改良された多孔質膜は、より薄く、より安全な電池用セパレータおよび電池を形成するために使用され得る。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(EVやHEVなど)の産業市場では、安全性と寿命を維持しながらリチウム二次電池のエネルギー密度を高めることに重点が置かれている。
【0003】
安全性の向上を目指した1つの開発は、シャットダウンセパレータである。例えば、三層シャットダウンセパレータは、全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5952120号明細書で記載されている。これらのシャットダウンセパレータは、通常、PP/PE/PP、PP/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PPなどの構造を有し、すべての層が同一または実質的に同一の厚さである。この対称性は、例えば、セパレータの非対称性がカールやその他の問題を引き起こす可能性があるため、好まれていた。一般に、シャットダウンセパレータは、セパレータを横断するイオン輸送と電流の流れを停止することにより、高温での安全性を向上させる。より低い溶融温度のPE層はPP層より先に溶融し、溶融したPEがセパレータの細孔を埋め、イオン輸送を遮断する。
【0004】
より薄いセパレータは、より高いエネルギー密度の電池の形成を可能にすると概して認められており、より多くのセルがほぼ同じ重量と厚さを有する単一の電池に備えられ得る。したがって、安全性を犠牲にせずに高エネルギー密度を達成するために有望な方法は、三層の全重量と全厚を減少することにより、例えば三層シャットダウン製品などの薄型または超薄型のシャットダウンセパレータを作ることであると考えられる。しかしながら、超薄型または薄型のシャットダウンセパレータ、例えば三層シャットダウンセパレータを作るための、対称的な全厚の単純な減少は、依然として適用上の問題を有する。例えば、カソード表面の粗い表面は、液体電解質リチウム二次電池で使用される場合、PPの外層を容易に破って貫通する。さらに、高電圧の電子は、PE層を容易に酸化させ、副反応を開始してガスを生成し得る。この場合、エネルギー密度と安全性が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、薄型および超薄型のシャットダウンセパレータ、例えば、三層シャットダウンセパレータまたは他のシャットダウン構造におけるPE内層の耐酸化性を高めることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様では、2つの外層および少なくとも1つの内層を含む多孔質膜が本明細書に記載される。2つの外層のうちの一方と2つの外層のうちの他方の厚さの比は、いくつかの好ましい実施形態において、1.1:1~4:1、1.1:1~3:1、または1.1:1~3:1である。膜の総厚みは、5~30ミクロン、5~20ミクロン、5~15ミクロン、または5~10ミクロンであってよい。
【0007】
いくつかの実施形態において、多孔質膜は微多孔質膜であってよい。いくつかの実施形態において、多孔質膜は、乾式プロセス微多孔質膜または乾式延伸プロセスによって作られる微多孔質膜であってよい。
【0008】
いくつかの実施形態において、多孔質膜は、1~10の内層を含んでよい。いくつかの実施形態において、多孔質膜は、多孔質膜を三層にする、1つの内層のみを含み得る。
【0009】
いくつかの実施形態において、2つの外層は、ポリプロピレンを含むか、それからなるか、または本質的にそれからなり得る。内層の少なくとも1つは、ポリエチレンを含むか、それからなるか、または本質的にそれからなり得る。いくつかの実施形態において、多孔質膜は、三層構造PP/PE/PPを有することができ、ここで「PP」はポリプロピレン含有層であり、「PE」はポリエチレン含有層である。
【0010】
いくつかの実施形態において、多孔質膜は、少なくとも1つの外層を少なくとも1つの内層と積層することを含む方法によって形成され得る。いくつかの実施形態において、多孔質膜は、少なくとも1つの外層を少なくとも1つの内層と共押出することを含む方法によって形成され得る。
【0011】
別の態様において、2つの外層を含み、一方の層が他方の層よりも厚い多孔質膜が本明細書に記載される。厚さの比は、1:1.1~4:1であり得る。膜の総厚みは、5~30ミクロン、5~20ミクロン、5~15ミクロン、または5~10ミクロンであり得る。いくつかの好ましい実施形態において、膜の総厚みは、8~12ミクロンであり得る。いくつかの好ましい実施形態において、カレンダー加工は、例えば5~12ミクロンの厚さを有する薄いまたはより薄いセパレータを達成するために実施され得る。いくつかの実施形態において、薄いまたはより薄いセパレータを形成するためにカレンダー加工は必要ない。また、カレンダー加工は、細孔径を減少させることもできる。
【0012】
いくつかの実施形態において、多孔質膜は微多孔質膜であってよい。いくつかの実施形態において、多孔質膜は、乾式プロセス微多孔質膜または乾式延伸プロセスによって作られた微多孔質膜であってよい。
【0013】
いくつかの好ましい実施形態においては、より厚い層は、ポリプロピレンを含むか、それからなるか、または本質的にそれからなっていてよく、より薄い層は、ポリエチレンを含むか、それからなるか、または本質的にそれからなっていてよい。
【0014】
いくつかの実施形態においては、多孔質膜は、薄い層と厚い層の2つの層を共押出することを含む方法によって形成することができる。いくつかの実施形態においては、多孔質膜は、2つの層のうちの一方を2つの層のうちの他方に積層することを含む方法によって形成され得る。好ましくは、電池用セパレータは、Li/Li+に対して4.2以上、Li/Li+に対して4.5以上、またはLi/Li+に対して5.0以上の電気化学的安定電圧を有する。通常、これらの結果は、サイクリックボルタンメトリー法から得られる。典型的な手順では、2つのブロッキング電極が使用される。Ptはカソードとして使用され、金属Liはアノードで使用される。セパレータは、電解質を間に挟んだサンドイッチ構造の電極間に設置される。スキャンは、0~5ボルトの電圧を使用して行われる。電圧に応じて電流が変化する。副反応は、電流-電圧プロットのピークとして見ることができる。
【0015】
いくつかの実施形態においては、セパレータは、より薄い外層または2つの層のうちの薄い方にコーティングを有する、本明細書に記載の多孔質膜のいずれか1つを含む。いくつかの実施形態においては、コーティングは、セラミックコーティング、ポリマーコーティング、シャットダウンコーティング、架橋コーティング、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つから選択される。いくつかの実施形態においては、コーティングは、1~5ミクロンの厚さを有する。
【0016】
別の態様においては、アノード、カソード、液体電解質、およびアノードとカソードとの間の本明細書に記載のいずれの電池用セパレータを含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる二次電池が開示される。好ましい実施形態において、多孔質膜の2つの外層のうちの厚い方がカソードに面する。被覆されたより薄い方の層、または被覆されていない外層は、アノードに面する。
【0017】
一態様において、2つの外層および少なくとも1つの内層を含む多孔質膜が本明細書に記載される。外層の一方は、他方の外層よりも小さい平均細孔径、低い多孔度、および/または高い屈曲度を有する。
【0018】
別の態様においては、異なる平均細孔径を有する外層を有する多孔質膜を含むか、それからなるか、または本質的にそれらからなる電池用セパレータが記載される。いくつかの実施形態において、セパレータは、Li/Li+に対して4.2以上の電気化学的安定電圧を有する。いくつかの実施形態において、電気化学的安定電圧は、Li/Li+に対して4.5以上、またはLi/Li+に対して5.0以上を有する。
【0019】
いくつかの実施形態においては、電池用セパレータは、より小さい平均細孔径、より低い多孔度、および/またはより高い屈曲度を有する外層に塗布されたコーティングを有する。コーティングは、セラミックコーティング、ポリマーコーティング、およびシャットダウンコーティングのうちの少なくとも1つであってよい。コーティング層は、1~5ミクロンの厚さを有し得る。
【0020】
別の態様においては、二次電池が説明される。二次電池は、アノード、カソード、液体電解質、およびアノードとカソードとの間で本明細書に記載の異なる平均細孔径を持つ外層を有する多孔質膜を含む電池用セパレータを含み得る。いくつかの実施形態においては、より小さい平均細孔径、より低い多孔度、および/またはより高い屈曲度を有する外層は、アノードに面し得る。電池用セパレータが、より小さい平均細孔径、より低い多孔度、および/またはより高い屈曲度を有する多孔質膜の外層に塗布されたコーティングを有する実施形態においては、コーティングはアノードに面し得る。
【0021】
さらに別の態様において、少なくとも1つのポリプロピレン(PP)含有層および少なくとも1つのポリエチレン(PE)含有層を含む非対称多孔質多層膜が説明される。1つまたは複数のPP含有層と1つまたは複数のPE含有層との厚さの比は、1.1:1~25:1の範囲、1.1:1~20:1の範囲、または4:1~10:1の範囲である。
【0022】
おそらく好ましい実施形態においては、膜は、2つのPP含有層と1つのPE含有層とを含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になることができ、層はPE/PP/PPの順序で配置される。いくつかの実施形態において、膜は、PE/PE/PP/PP/PP/PP(PEはPE含有層であり、PPはPP含有層である)、 PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP/PP/PP(PEはPE含有層であり、PPはPP含有層である)、PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP(PEはPE含有層であり、PPはPP含有層である)、またはPE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP(PEはPE含有層であり、PPはPP含有層である)の構造のいずれか1つを含むか、それからなるか、または本質的にそれからなることができる。
【0023】
2つ以上のPP含有層を含む実施形態において、これらの層は、同一または異なるPP含有材料を含むか、それからなるか、または本質的にそれからなることができる。PP含有材料は、単一のポリプロピレン、2つ以上の異なるポリプロピレンの混合物、単一のポリプロピレンと追加成分との混合物、または2つ以上の異なるポリプロピレンと追加成分との混合物を含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなることができる。いくつかの実施形態において、追加成分はエラストマーであってもよい。エラストマーは、スチレン系エラストマーであってもよい。
【0024】
2つ以上のPE含有層が存在する実施形態においては、PE含有層は、同一または異なるPE含有材料を含むか、それからなるか、または本質的にそれからなることができる。
【0025】
おそらく好ましい実施形態において、多層膜は、2つ以上または3つ以上の層を共押出することによって形成されるが、それらの層を積層することによって、または共押出と積層の組み合わせによって膜を形成することもできる。例えば、PE/PP/PP構造の3つの層すべてを共押出しすることができる。あるいは、それらをすべて積層してもよい。積層加工の場合、積層された層は、湿式、乾式などの異なるプロセスによって形成された層の組み合わせであってもよいし、同じプロセスによって形成された層の組み合わせであってもよい。例えば、湿式プロセスPE層は、乾式プロセスによって形成された2つのPP層に積層されてよい。
【0026】
いくつかの好ましい実施形態において、多層膜は、乾式プロセス多層膜であってもよい。膜は、湿式プロセス、ベータ核形成プロセスなどによって形成することもできる。
【0027】
別の態様においては、上述の非対称多孔質多層膜を含むか、それからなるか、または本質的にそれからなる電池用セパレータが記載される。いくつかの実施形態においては、電池用セパレータは、非対称多孔質多層膜のうち1つの最外層のみがPE含有層である膜を含む。いくつかの実施形態においては、電池用セパレータは、本明細書に記載の非対称多孔質多層膜の両側にコーティングを含んでもよい。コーティングは、セラミックコーティング、シャットダウンコーティング、粘着性コーティング、ポリマーコーティング、またはそれらの組み合わせのいずれか1つであり得る。
【0028】
別の態様においては、本明細書の電池用セパレータを含む電池が記載される。電池は、アノード、カソード、液体電解質、および非対称多層多孔質膜を含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなることができる。いくつかの実施形態においては、セパレータのPE含有最外層は、アノードに面していてもよい。
【0029】
さらに別の態様において、少なくとも1つのポリプロピレン(PP)含有層と少なくとも1つのポリエチレン(PE)含有層とを含む非対称多孔質多層膜が記載される。1つまたは複数のPE含有層と1つまたは複数のPP含有層との厚さの比は、1.1:1~25:1の範囲、1.1:1~20:1の範囲、または4:1~10:1の範囲である。そのような膜の詳細は、PPの量がより多く、その膜中のPP含有層がPE含有層になり、PE含有層がPP含有層になる以外は、上記の膜と同様であってよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本明細書に記載の例示的な膜の概略図である。
【
図2B】
図2Bは、本明細書に記載の例示的な膜のFESM画像である。
【
図3】
図3は、膜厚と細孔長の違いを示す概略図である。屈曲度は、これら2つの測定値から導き出される。
【
図7】
図7は、本明細書に記載の例示的な実施形態の細孔径分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
非対称多孔質膜
非対称多孔質膜が本明細書に記載されている。非対称多孔質膜は、2つの外層および任意に少なくとも1つの内層を含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなってもよい。0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の内層があってもよい。いくつかの実施形態においては、多孔質膜は、2つの外層からなるか、または本質的にそれらからなっていてよく、内層はなくてもよい。2つの外層のうちの一方の厚さと2つの外層のうちの他方の厚さの比は、1.1:1~10:1、1.1:1~9:1、1.1:1~8:1、1.1:1~7:1、1.1:1~6:1、1.1:1~5:1、1.1:1~4:1、1.1:1~3:1、または1.1:1~2:1であってよい。いくつかの好ましい実施形態においては、多孔質膜の総厚みは、2~30ミクロン、2~25ミクロン、2~20ミクロン、2~15ミクロン、または2~10ミクロンであり得る。いくつかの実施形態においては、多孔質膜の総厚みは、3~12ミクロン、4~12ミクロン、5~12ミクロン、または9~12ミクロンであり得る。いくつかの実施形態においては、外層のうち少なくとも1つは、2~6ミクロンまたは4~5ミクロンの厚さを有する。いくつかの実施形態においては、非対称多孔質膜が電池内で使用されるとき、2~6ミクロンまたは4~5ミクロンの厚さを有する外層がカソードに面して設置される。
【0032】
いくつかの実施形態においては、外層は、より大きな平均細孔径、より高い多孔度、および/またはより高い屈曲度を有する外層の一方と、より小さい平均細孔径、より低い多孔度、および/またはより低い屈曲度を有する外層の他方を備え、異なる平均細孔径、異なる多孔度、および/または異なる屈曲度を有してもよい。いくつかの実施形態においては、2つの外層の両方の細孔径、多孔度、および/または屈曲度、および厚さが異なっていてもよい。いくつかの実施形態においては、外層の厚さのみ、または細孔径、多孔度、および/もしくは屈曲度のみが異なっていてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態においては、非対称多孔質膜は、マクロポーラス、ナノポーラス、または微多孔質であり得る。いくつかの好ましい実施形態においては、非対称多孔質膜は微多孔質膜であってよい。例えば、多孔質膜の細孔は、0.01~1.0ミクロンの平均細孔径を有し得る。いくつかの好ましい実施形態において、平均細孔径は、0.1~1.0ミクロン、0.1~0.9ミクロン、0.1~0.8ミクロン、0.1~0.7ミクロン、0.1~0.6ミクロン、0.1~0.5ミクロン、0.1~0.4ミクロン、0.1~0.3ミクロン、または0.1~0.2ミクロンであり得る。多孔質膜の細孔は、任意の形状を有してよい。例えば、それらは、スリット状、円形、実質的に円形、または非対称であってもよい。
【0034】
いくつかの好ましい実施形態において、非対称多孔質膜は、乾式プロセス非対称多孔質膜であってよい。いくつかの実施形態において、乾式プロセスは、いずれの細孔形成因子/細孔形成剤またはベータ核形成因子/ベータ核形成剤も使用しない方法である。いくつかの実施形態において、乾式プロセスは、いずれの溶媒、ワックス、または油も使用しないものである。いくつかの実施形態において、乾式プロセスは、いずれの細孔形成因子/細孔形成剤またはベータ核形成因子/ベータ核形成剤も使用せず、かついずれの溶媒、ワックス、または油も使用しないものである。
【0035】
乾式プロセス非対称多孔質膜は、乾式延伸プロセスにより形成されてもよい。Celgard(登録商標)乾式延伸プロセスとして知られる例示的な乾式延伸プロセスは、全体が参照により本明細書に組み込まれる、Chen et al.,Structural Characterization of Celgard(登録商標) Microporous Membrane Precursors:Melt-Extruded PolyethyleneFilms、J.of Applied Polymer Sci.53,471-483(1994)に記載されている。Celgard(登録商標)乾式延伸プロセスは、細孔形成が、非多孔質配向前駆体を少なくとも機械方向に延伸することから生じるものを指す。また、全体が参照により本明細書に組み込まれる、Kesting,Robert E.,Synthetic Polymeric Membranes,A Structural Perspective,Second Edition,John Wiley&Sons,New York,N.Y.,(1985),pages 290-297も乾式延伸プロセスを開示している。いくつかの好ましい実施形態による乾式延伸プロセスにおいては、プロセスは延伸工程を含んでもよい。延伸工程は、一軸延伸(例えば、MD方向のみまたはTD方向のみの延伸)、二軸延伸(例えば、MDおよびTD方向への延伸)、または多軸延伸(例えば、MD、TD、および別の軸などの3つ以上の異なる軸に沿った延伸)を含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなり得る。いくつかの実施形態においては、乾式延伸プロセスは、押出工程および延伸工程を、この順序でまたはこの順序ではなく、含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなり得る。いくつかの実施形態においては、乾式延伸プロセスは、押出工程、アニール工程および延伸工程を、この順序でまたはこの順序ではなく、含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になり得る。押出工程は、いくつかの実施形態においては、インフレーションフィルム押出工程またはキャストフィルム押出プロセスであってよい。いくつかの実施形態においては、非多孔質前駆体が押し出され、延伸されて細孔を形成する。いくつかの実施形態においては、非多孔質前駆体が押し出され、アニールされ、その後延伸されて細孔を形成する。他の実施形態においては、多孔質または非多孔質の前駆体は、焼結または印刷などの押出以外の方法によって形成されてもよく、細孔を形成するためまたは既存の細孔をより大きくするために、前駆体に延伸を実施してもよい。
【0036】
いくつかの実施形態において、細孔形成因子/細孔形成剤またはベータ核形成因子/ベータ核形成剤を使用してもよく、プロセスは依然として乾式プロセスとみなされる。例えば、油または溶媒が、ポリマーとともに押出されず、かつ押出されたポリマーから抽出されずに細孔を形成するため、粒子延伸プロセスは乾式プロセスとみなされ得る。粒子延伸プロセスにおいては、シリカや炭酸カルシウムなどの粒子がポリマー混合物に添加され、これらの粒子が細孔の形成に役立つ。このような方法において、例えば、粒子とポリマーを含むポリマー混合物は、押出されて延伸された前駆体を形成し、空隙が粒子の周りに作り出される。いくつかの実施形態においては、空隙が作り出された後に粒子が除去され得る。粒子延伸プロセスは、粒子の除去の前または後に延伸工程を含むことができるが、原理的な細孔形成機構は延伸ではなく粒子の使用であるため、粒子延伸プロセスは乾式延伸プロセスとはみなされない。
【0037】
いくつかの好ましい実施形態においては、乾式プロセス多孔質膜の構造は、1つまたは複数の顕著な特徴を有し得る。例えば、乾式プロセス膜は、10%を超える量のポリプロピレンを含むことができる。溶媒がポリプロピレンを劣化させるため、湿式プロセスまたは溶媒を使用するその他のプロセスは、概してポリプロピレンと相溶性がない。したがって、湿式プロセス多孔質膜は、通常ポリプロピレンを10%以下しか含まず、最も典型的には5%以下しか含まない。いくつかの乾式プロセス多孔質膜、特に電池用セパレータとして使用される場合のもう1つの顕著な特徴は、シャットダウン機能を有するという能力である。場合によっては、PE層がシャットダウン層であるPP/PE/PP構造によって、シャットダウン機能が付与され得る。主にポリプロピレン(PP)を含む層が概して湿式プロセスにより形成され得ないため、これは乾式プロセス膜に固有である。乾式プロセスは、PP/PE/PPまたは他のシャットダウン膜の構造を形成するのに比類なく適している。
【0038】
いくつかの実施形態においては、顕著な乾式プロセス多孔質膜は、ラメラおよびフィブリルの存在であり得る。例えば、多孔質膜は、
図1、
図2Aおよび
図2Bに示されるような構造を有することができる。
図2Aおよび
図2Bは、PE(A)とPP(B)とを含むCelgard(登録商標)微多孔質膜中のスリット状の微細孔を示すFESM画像である。いくつかの実施形態においては、乾式プロセス多孔質膜の細孔または微細孔は、円形、長方形、半円形、台形などであってよい。
【0039】
いくつかの実施形態において、乾式プロセス多孔質膜の顕著な特徴は、ピンホールを含まない、または実質的に含まないことである。ピンホールは欠陥とみなされ、また、概して、乾式プロセス多孔質膜の意図的に形成される特徴ではない。いくつかの実施形態において、乾式プロセス微多孔質膜は、10nmを超えるピンホールを全く含まないか、または実質的に含まない可能性がある。いくつかの好ましい実施形態において、乾式プロセス多孔質膜の細孔は、屈曲している。いくつかの実施形態において、乾式プロセス多孔質膜の顕著な特徴は、屈曲度である。いくつかの実施形態において、乾式プロセス多孔質膜の屈曲度は、1より大きく、1.2より大きく、1.3より大きく、1.4より大きく、1.5より大きく、1.6より大きく、1.7より大きく、1.8より大きく、1.9より大きく、または2.0より大きい。いくつかの実施形態において、屈曲度をおおまかに計算するための式は、(式1)である。
屈曲度=x/t (式1)
上記式中、「x」は多孔質膜の開口部または細孔の長さであり、「t」は膜の厚さである。ピンホールの長さは膜の厚さと同一であるため、ピンホールは屈曲度1を有する。細孔の長さが膜の厚さよりも長いため、屈曲した細孔は、
図3に示すように1より大きい屈曲度を有する。
【0040】
いくつかの実施形態において、乾式延伸多孔質膜は、半結晶性である。いくつかの実施形態において、乾式延伸多孔質膜は半結晶性であり、単一方向に配向している。例えば、膜はMD配向され得る。湿式プロセスによって形成された多孔質フィルム、例えばベータ核形成プロセスにより形成されたフィルムは、ランダムに配向され得る。
【0041】
いくつかの実施形態において、非対称多孔質膜は、少なくとも1つの外層を少なくとも1つの内層と積層することによって形成され得る。内層を備えない実施形態において、非対称多孔質膜は、少なくとも1つの外層を他の外層と積層することによって形成し得る。例えば、非対称多孔質膜が乾式延伸プロセスなどの乾式プロセスによって形成される場合、膜は、外層のうちの少なくとも1つと内層の1つとを別々に押出することによって、または外層の両方を別々に押出することによって形成されてもよい。その後、延伸工程を行う前または後に、外層の1つを他の外層または内層の1つと積層してもよい。
【0042】
いくつかの実施形態において、非対称多孔質膜は、少なくとも1つの外層を少なくとも1つの内層と共押出することによって形成され得る。内層のない実施形態では、非対称多孔質膜は、2つの外層を共押出することにより形成され得る。例えば、非対称膜が乾式延伸プロセスなどの乾式プロセスによって形成される場合、2つの外層は共に共押出しされ、非多孔質である共押出物は細孔を形成するために延伸され得る。別の例では、乾式延伸プロセスなどの乾式プロセスが非対称多孔質膜を形成するために使用される場合、少なくとも1つの外層は少なくとも1つの内層と共押出され、その後非多孔質である共押出物は内層または他の外層と積層され得る。積層加工は、細孔を形成するために使用され得る延伸の前または後に行ってもよい。
【0043】
いくつかの実施形態において、非対称膜の外層は、ポリエチレンを含むか、それからなるか、または本質的にそれからなり得る。いくつかの実施形態において、内層のうちの少なくとも1つは、ポリエチレンを含むか、それからなるか、または本質的にそれからなり得る。例えば、いくつかの実施形態において、非対称膜は、次の構造PP/PE、PP/PE/PPまたはPP/PE/PE/PP、またはPP/PE/PE/PE/PP、またはPP/PE/PE/PE/PE/PP、またはPP/PE/PE/PE/PE/PE/PP、またはPP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、またはPP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、またはPP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、またはPP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、またはPP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、またはPP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、またはPE/PP/PP、またはPE/PE/PP/PP/PP/PP、またはPE/PE/PE/PP/PP/PP/PP/PP/PP、またはPE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP、またはPE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP、またはPE/PP/PP/PP、またはPE/PP/PP/PP/PP、またはPE/PP/PP/PP/PP/PP、またはPE/PP/PP/PP/PP/PP/PP、またはPE/PE/PP/PP/PPを有する膜であってよい。非対称膜が2つの外層を含み、内層を含まない実施形態において、外層のうちの少なくとも1つは、ポリプロピレンを含むか、それからなるか、または本質的にそれからなってよく、他方は、ポリエチレンを含むか、それからなるか、または本質的にそれからなってもよい。好ましい実施形態では、2つの外層のうちの厚い方が、ポリプロピレンを含むか、それからなるか、または本質的にそれからなってよい。好ましい実施形態において、内層を備えない場合、2つの外層のうちの薄い方が、ポリエチレンを含むか、それからなるか、または本質的にそれからなってよい。
【0044】
いくつかの実施形態において、非対称多層多孔質膜は、少なくとも1つのポリプロピレン(PP)含有層および少なくとも1つのポリエチレン(PE)含有層を含んでもよく、1または複数のPP含有層と1または複数のPE含有層との厚さの比は、1.1:1~25:1、1.1:1~20:1、1.1:1~15:1、1.1:1~10:1、1.1:1~9:1、1.1:1~8:1、1.1:1~7:1、1.1:1~6:1、1.1:1~5:1、1.1:1~4:1、1.1:1~3:1、または1.1:1~2:1である。例えば、構造PE/PP/PPは、厚さ1ミクロンのPE含有層(PE)と厚さ3.5ミクロンの2つのPP含有層(PP)を有し、7:1の比率を与え得る。
【0045】
おそらく好ましい実施形態において、膜は、2つのPP含有層および1つのPE含有層を含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなってよく、層はPE/PP/PPの順序で配置される。いくつかの実施形態において、膜は、PE/PE/PP/PP/PP/PP(PEがPE含有層であり、PPがPP含有層である)、PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP/PP/PP(PEがPE含有層であり、PPがPP含有層である)、PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP(PEがPE含有層であり、PPがPP含有層である)、またはPE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP(PEがPE含有層であり、PPがPP含有層である)の構造のうちのいずれか1つを含むか、それからなるか、または本質的にそれからなることができる。また、構造は、PE/PP/PP/PP、PE/PP/PP/PP/PP、およびPE/PP/PP/PP/PP/PP等であってもよい。
【0046】
2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上、または最大100のPP含有層を含む膜において、各PP含有層は、同一または異なるPP含有材料を含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなってよい。PP含有材料は、少なくとも50%のポリプロピレンを含むか、それからなるか、または本質的にそれからなり得る。いくつかは、少なくとも55%のPP、少なくとも60%のPP、少なくとも65%のPP、少なくとも70%のPP、少なくとも75%のPP、少なくとも80%のPP、少なくとも85%のPP、少なくとも90%のPP、少なくとも95%のPP、または100%のPPを含んでもよい。ポリプロピレンは、単一のPPのホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマー、または2つ以上の異なるホモポリマー、コポリマー、ターポリマーのブレンド、またはそれらの組み合わせを含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になることができる。いくつかの実施形態において、PP含有材料は、PPホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマー、または2つ以上のPPホモポリマー、コポリマー、ターポリマーのブレンド、および追加成分を含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなってよい。追加成分は、追加のポリマー、エラストマーおよびそれに類するもの、またはそれらの組み合わせのいずれか1つであってよい。エラストマーは、例えば、強度を改善するために添加され得る。エラストマーは、スチレン系エラストマーであってもよい。
【0047】
膜が2つ以上のPE含有層を含むいくつかの実施形態において、PE含有層は、同一または異なるPE含有材料を含んでもよい。PE含有材料は、少なくとも50%のポリエチレンを含むか、それからなるか、または本質的にそれからなり得る。一部は、少なくとも55%のPE、少なくとも60%のPE、少なくとも65%のPE、少なくとも70%のPE、少なくとも75%のPE、少なくとも80%のPE、少なくとも85%のPE、少なくとも90%のPE、少なくとも95%のPE、または100%のPEを含んでもよい。ポリエチレンは、単一のPEホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマー、または2つ以上の異なるホモポリマー、コポリマー、ターポリマーのブレンド、またはそれらの組み合わせを含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなることができる。いくつかの実施形態において、PE含有材料は、PEホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマー、または2つ以上のPEホモポリマー、コポリマー、またはターポリマーのブレンド、および追加成分を含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になってよい。追加成分は、追加のポリマー、エラストマーおよびそれに類するもの、またはそれらの組み合わせのいずれか1つであってよい。エラストマーは、例えば、強度を改善するために添加され得る。エラストマーは、スチレン系エラストマーであってもよい。
【0048】
いくつかの実施形態において、2つ以上または3つ以上の層を共押出することができる。例えば、PE/PP/PP構造では、3つの層すべてが共押出されてもよく、または2つが共押出され、3番目の層が2つの共押出層に積層されてもよい。別の例として、PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP/PP/PP構造では、3つのPE層が共押出された(PE/PE/PE)であってもよく、二組の3つのPP層が別々に共押出された(PP/PP/PP)であってもよい。その後、共押出されたPE層と二組の共押出PP層は、共に積層され、最終構造(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)/(PP/PP/PP)を形成し得る。構造(PE/PE/PE/PE)/(PP/PP/PP/PP)/(PP/PP/PP/PP)、(PE/PP/PP/PP)/(PP/PP/PP/PP)/(PP/PP/PP/PP)、(PE/PE/PP/PP)/(PP/PP/PP/PP)/(PP/PP/PP/PP)、(PE/PE/PE/PP)/(PP/PP/PP/PP)/(PP/PP/PP/PP)などが形成され得る。(PP/PP/PP/PP)、(PE/PE/PP/PP)などは、共押出構造を表し、「/」は積層界面を意味する。いくつかの実施形態において、すべての層をまとめて積層することができる。例えば、PE/PP/PP構造の場合、1つのPE層と他の2つのPP層をまとめて積層することができる。層の共押出は、10ミクロン未満、特に5ミクロン未満、またはとりわけ1ミクロン未満の薄いフィルムを積層するときに生じるフィルム取り扱いの問題が起きないで、より薄い層を形成できるため、積層加工よりも好まれ得る。
【0049】
いくつかの好ましい実施形態において、多層非対称多孔質膜は、本明細書で上述した乾式プロセス膜であってもよい。
【0050】
いくつかの実施形態においては、非対称多孔質膜は、マクロポーラス、ナノポーラス、または微多孔質であり得る。いくつかの好ましい実施形態において、非対称多孔質膜は微多孔質膜であってもよい。例えば、多孔質膜の細孔は、0.01~1.0ミクロンの平均細孔径を有し得る。いくつかの好ましい実施形態において、平均細孔径は、0.1~1.0ミクロン、0.1~0.9ミクロン、0.1~0.8ミクロン、0.1~0.7ミクロン、0.1~0.6ミクロン、0.1~0.5ミクロン、0.1~0.4ミクロン、0.1~0.3ミクロン、または0.1~0.2ミクロンであってよい。多孔質膜の細孔は、任意の形状を有してよい。例えば、それらは、スリット状、円形、実質的に円形、または非対称であってもよい。
【0051】
電池用セパレータ
本明細書に記載の電池用セパレータは、さほど限定されない。好ましい実施形態において、電池用セパレータは、本明細書に記載の非対称多孔質膜のうち少なくとも1つを含むか、それからなるか、または本質的にそれからなってよい。いくつかの好ましい実施形態において、非対称多孔質膜は、微多孔質非対称膜であってよい。
【0052】
電池用セパレータは、Li/Li+に対して4.2以上、Li/Li+に対して4.5以上、またはLi/Li+に対して5.0以上の電気化学的安定電圧を有することが好ましい。
【0053】
いくつかの実施形態において、セパレータは、最外層を含むすべての層が同一または実質的に同一の厚さを有する一般的な二層、三層、または多層セパレータと比較して、優れた耐酸化性を備えるように構成される。各層が同一の厚さを有する、PP/PE/PPの一般的な3層セパレータは、カソードに最も近いセパレータ側のPE層が酸化されやすい可能性がある。また、PP/PE、PP/PP/PEなどの一般的な二層セパレータも、カソードに最も近いセパレータ側のPE層が酸化されやすい可能性がある。一般的な多層セパレータ、例えば、参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2018/0323417号に記載されるものは、構造(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)または(PP/PP)/(PE/PE)/(PP/PP)を有してもよく、例えば、(PP/PP/PP)または(PP/PP)は、それぞれ共押出三層および二層を表し、(PE/PE/PE)および(PE/PE)は、それぞれ共押出三層および二層を表す。本明細書に記載の本発明によれば、より厚いポリプロピレン外層(または、例えば、多層の実施形態を形成する場合のより厚い共押出二層、三層など)を備え、カソードの最も近くにこの層を配置することにより、本明細書に記載のセパレータは、すべての層が同一または実質的に同一の厚さを有する一般的な三層、二層、または多層セパレータと比較して、望ましい耐酸化性を有する。1つの最外層がPEであり、1つの最外層がPPである実施形態において、PP層は、耐酸化性を備えるためにカソードに面するか、カソードに最も近くなり得る。内層を備える実施形態において、耐酸化性は主にカソードに面する片側で必要とされ、より薄いセパレータが好ましいことから、他方の最外層はより薄くてもよい。内層がない実施形態において、他方の外層は、薄いポリエチレン層であってよい。ポリエチレン層は、シャットダウン機能を備える場合がある。その場合、ポリエチレン層は、その機能を備えるために十分な厚さであるべきである。
【0054】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のセパレータは、本明細書に記載の非対称多孔質膜の2つの外層のうちの薄い方が二次電池のアノードに最も近く配置されるように構成された、少なくとも1つの非対称多孔質膜を含むか、それからなるか、または本質的にそれからなり得る。いくつかの実施形態において、これは、外側の2つの層のうちの薄い方が被覆されることを意味し得る。例えば、外側の2つの層のうちの薄い方は、無機または有機の耐熱性またはセラミック粒子およびバインダを含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなるセラミックコーティングで被覆されてもよい。例えば、セラミックコーティングは、参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許6432586号明細書に開示されている。セラミックコーティングは、一般にリチウムイオン電池などの典型的な二次電池のアノードからカソードへと成長するリチウムデンドライトの成長を防止し、抑止し、または遅くすることに何よりも役立つ。いくつかの実施形態において、2つの外層のうちの薄い方を、ポリマーコーティングまたはシャットダウンコーティングで被覆してもよい。また、いくつかの実施形態において、2つの外層のうちの厚い方も被覆され得る。
【0055】
電池
本明細書に記載の電池は、液体電解質電池またはセル、またはキャパシタもしくはスーパーキャパシタなどの電気化学装置である。いくつかの実施形態において、電池は、アノードとカソードとの間に、本明細書に記載の電池用セパレータを含んでもよい。好ましい実施形態において、電池用セパレータは、本明細書に記載の非対称多孔質膜の少なくとも1つを含み、多孔質膜の最外層のうちの厚い方がカソードに面する。好ましい実施形態において、2つの最外層のうちの薄い方がアノードに面する。本明細書に記載の電池用セパレータが被覆されるとき、リチウムデンドライトを防止するためにコーティングはアノードに面する。
【0056】
適切なアノードは、372mAh/g以上、好ましくは700mAh/g以上、好ましくは3860mAh/g以上、および好ましくは4200mAh/g以上のエネルギー容量を有することができる。アノードは、リチウム金属箔またはリチウム合金箔(例えば、リチウムアルミニウム合金)または黒鉛、グラフェン、カーボンナノチューブ、およびシリコン(Si)、リチウムから構成され得る。アノードは、リチウムを含有するインターカレーション化合物からも、リチウムを含有する挿入化合物からも単独で製造されない。
【0057】
適切なカソードは、アノードと適合性のあるいずれのカソードでもよく、インターカレーション化合物、挿入化合物、または電気化学的に不活性なバインダを含んでもよい。適切なインターカレーション材料は、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiNi0.8Co0.2O2、LiNi0.8Co0.15Al0.05O2、LiMn0.5Ni0.5O2、LiMn1/3Ni1/3Co1/3O2、LiMn0.4Ni0.4Co0.2O2、LiFePO4、LiMn2O4を含む。適切なポリマーは、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウム、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリイミド(PI)およびアクリル酸エステル(ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、およびポリチオペン)を含む。
【0058】
本明細書に記載の電池の公称電圧は、4.0V/セル以上、4.2V/セル以上、4.5ボルト/セル以上、5.0ボルト/セル以上、または5.5 ボルト/セル以上であり得る。
【0059】
本明細書中上記いずれの電池用セパレータも、完全にまたは部分的に電池駆動式である、いずれの車両、例えば電気自動車など、または装置、例えば携帯電話またはラップトップなどにも組み込むことができる。
【0060】
本発明の様々な実施形態が、本発明の様々な目的の実現において記載されてきた。これらの実施形態は、単に本発明の原理の例示に過ぎないことを認識すべきである。多くの修正および適応は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者にとって容易に明らかであるだろう。
【0061】
【0062】
図5Aおよび
図5Bは、本明細書に開示される他の実施形態による電池セルのいくつかの配置を概略的に示す。これらの図は、異なる細孔径、多孔度、および/または屈曲度を有する外層を概略的に示す。
【0063】
いくつかの非限定的な例を以下の表1に開示する。
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
実施例1~70では、膜の2つの外層のうちの薄い方、またはアノードに面することを意図した側にセラミックコーティングを有するものおよび有さないものの合計140例について調製した。また、2つの外層のうちの厚い方の上、または両方の外層の上にセラミックを形成することもできた。
【0070】
また、実施例1~70では、より薄い方の外層が、より厚い方の外層より小さい細孔径、低い多孔度、および/または高い屈曲度を有するようにも調製した。いくつかの実施形態において、より小さい細孔径、より低い多孔度、および/もしくはより高い屈曲度を有するPP層を形成するか、または一方がより小さい細孔径、より低い多孔度、および/もしくはより高い屈曲度を有し、かつ一方がより大きい細孔径、より高い多孔度、および/もしくはより低い屈曲度を有するPP層を形成し、ならびに上の表の構造を形成するためにPP層もしくはPP層をPE層と積層することによって、これらを形成することができた。
【0071】
実施例71~75では、すべての層が同一の厚さを有するが、外層のうちの一方が他方よりも小さい細孔径、低い多孔度、および/または高い屈曲度を有する、構造PP/PE/PP、PP/PE、PP/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PP、(PP/PP)/(PE/PE)/(PP/PP)および(PP/PP/PP)/(PE/PE/PE)/(PP/PP/PP)を有するように調整した。例えばPP/PE構造の場合、PP層は、PE層よりも小さい平均細孔径、低い多孔度、および/または高い屈曲度を有していた。また例えば、共押出(PP/PP)または(PP/PP/PP)を共押出(PE/PE)または(PE/PE/PE)と積層することにより形成される多層の実施形態において、PP最外層のうちの一方または共押出されたPP二層もしくは三層のうちの1つは、他のPP最外層または共押出されたPP二層もしくは三層よりも、小さい平均細孔径、低い多孔度、および/または高い屈曲度を有し得る。また、いくつかの実施形態において、PP最外層または共押出されたPP三重層もしくは二重層の厚さは、異なっていてもよい。
【0072】
二層膜に関して、より厚いポリプロピレンが耐酸化性を備え、ポリエチレン層がシャットダウン能力を備えることを見出した。第二のポリプロピレン層は必要ない(しかし、いくつかの実施形態では1つあってもよい)ため、それを設けず、より薄いセパレータを得ることができる。ポリプロピレン層がより小さい細孔径、より低い多孔度、および/またはより高い屈曲度を備えることは、より小さい細孔径、より低い多孔度、および/またはより高い屈曲度を有する層が電池のアノードに面して配置されたときにデンドライトの遮断に役立ち得ることも見出された。より小さな細孔径、より低い多孔度、および/またはより高い屈曲度を有するこの層上に塗布されたコーティングは、リチウムデンドライトの成長を遅延または停止させるのにさらに優れている可能性がある。リチウムデンドライトの成長は電池の短絡を引き起こす可能性があるため、その成長を遅延または防止することができる電池はより安全である。
【0073】
3層、4層、および5層の実施形態に関して、より厚いポリプロピレン層は、二次電池セルのカソードに最も近く配置される膜の側面に耐酸化性を与える。耐酸化性がそれほど重要でない他方の面には、より薄いポリプロピレン層を使用することができ、より薄いセパレータの形成を可能にする。2つの外層のうち、耐酸化性がそれほど問題にならないアノードに最も近くなるように構成される薄い方にセラミックコーティングを備えてもよい。セラミックコーティングは、アノードからカソードへと成長して短絡および/または熱暴走を引き起こす可能性があるリチウムデンドライトの成長を防止し、抑止し、または遅らせるために役立ち得る。また、より小さな平均細孔径を有するポリプロピレン層は、耐酸化性がそれほど重要でない側面で使用されてよく、より薄いセパレータの形成を可能にする。耐酸化性がそれほど問題にならないアノードに最も近くなるように構成され、より大きな平均細孔径を有する外層上に、セラミックコーティングを塗布することができる。セラミックコーティングは、アノードからカソードへと成長して短絡および/または熱暴走を引き起こす可能性があるリチウムデンドライトの成長を防止し、抑止し、または遅らせるために役立ち得る。
【0074】
他の実施形態において、薄いPE含有外層を備える非対称構造を形成する。通常、外側にPE含有層を設けることは、このような層が電池セル内で酸化される可能性があり、またPEがPPよりも低い温度で溶融することから、PE含有層の追加はセパレータの耐熱性を低下させる可能性があるため、好ましくない。しかし、PE含有層は、PP含有層と比較して、改善された/減少したピン除去力を示す。低減されたピン除去力は、膜が円筒型セルの電池用セパレータとして使用される場合、特に望まれる特性である。出願人は、電池用セパレータの耐熱性を維持しながら、低減されたピン除去力を備えるために、薄いPE含有外層を設けた。最外層のうちの一方のみがPE含有層であり、この層がカソードに面する場合、PE含有層を保護するためにPE含有層上に備えられるセラミックコーティングなどのコーティングがなければ酸化されるため、電池セルのアノードに面しているか、アノードに近いことが好ましい。PE含有層上にセラミックコーティングを備えることは、表面上のピン除去力を低減するための層を備えるという目的にそぐわない可能性がある。シャットダウン特性が望まれる場合、より厚いPE含有層が提供され得る。PE含有外層を含む例は、以下の表2の実施例76~114である。
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
実施例76~88では、3つの層を共押出することによって形成したが、それらを積層することによって形成することもできた。実施例89~101は、(PP/PP/PP)および(PE/PE/PE)のそれぞれを共押出し、その後2つの(PP/PP/PP)複合体を1つの(PE/PE/PE)複合体に積層することにより形成し、最終構造を形成した。実施例102~114は、(PE/PP/PP)および(PP/PP/PP)のそれぞれを共押出し、2つの(PP/PP/PP)複合体を1つの(PE/PP/PP)と積層することにより形成し、最終構造を形成した。(PE/PP/PP)を(PE/PE/PP)に置き換えて、(PE/PE/PP)/(PP/PP/PP)/(PP/PP/PP)構造を形成することもできる。複合体の延伸は、積層加工の前または後に行うことができる。
図6A、
図6B、および
図6Cは、本明細書で上述したようないくつかの実施形態による膜を含む電池セルを示す。いくつかの好ましい実施形態において、実施例76~88のいずれか1つのような共押出構造PE/PP/PP、および中間PP層は、ポリプロピレンおよび少なくとも1つの他のポリマーを含むポリプロピレンブレンドから形成される。例えば、スチレン系エラストマーを他のポリマーとして使用することができる。PE層はこれらの実施形態のポリエチレンからなり、外側のPP層はこれらの実施形態のポリプロピレンからなる。実施形態76~114のいずれか1つにおいて、結果として生じる構造の片面または両面にコーティングを備え得る。例えば、アノードに面する側にセラミックコーティングを形成してもよい。他の実施形態において、アノードに面する側およびカソードに面する側の片面または両面のいずれかに架橋コーティングを形成してもよい。
【0079】
以下の表3は、ブレンドがポリプロピレンと約5%のスチレン系エラストマーとを含む共押出PE/PPブレンド/PP構造の利点を、ブレンドを含まない共押出PE/PP/PP構造と比較して示す。
【0080】
【0081】
図7は、共押出PE/PP/PP製品の細孔径分布と比較した、共押出PE/PPブレンド/PP製品の細孔径分布を示す。ブレンドを含む製品の細孔径は、二峰性である。これらの製品の利点は、高いPP含有量による高強度、シャットダウン用のPE層、PPブレンドを含む製品のさらなる改善された強度、外側のPEによる係数の低減、段階的な細孔径分布などを含む。PE>PPブレンド>PPであるPPブレンドの例において、段階的な細孔径は、PE層がアノードに面している場合、デンドライト成長の緩和に役立つ可能性がある。外層にPEを使用することは、ピン除去力が問題となる可能性がある円筒セルでの使用に望ましい摩擦係数の低減を提供する。単一のPEが使用され、かつPE層がアノードに面している場合、酸化は問題とならない。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの外層と選択的に少なくとも1つの内層とを含み、前記2つの外層のうちの一方と前記2つの外層のうちの他方との厚さの比が1.1:1~4:1
、1.1:1~3:1、または1.1:1~2:1である多孔質膜。
【請求項2】
1~10の内層を含む、請求項
1に記載の多孔質膜。
【請求項3】
前記多孔質膜が、前記2つの外層のうち少なくとも1つと少なくとも1つの内層とを積層すること
、または前記2つの外層のうち少なくとも1つと少なくとも1つの内層とを共押出することを含む方法より形成された、請求項
1に記載の多孔質膜。
【請求項4】
前記2つの外層がポリプロピレンを含むか、ポリプロピレンからなるか、または本質的にポリプロピレンからなり、かつ前記少なくとも1つの内層がポリエチレンを含むか、ポリエチレンからなるか、または本質的にポリエチレンからなる、請求項
1に記載の多孔質膜。
【請求項5】
前記多孔質膜の総厚みが5~30ミクロン
、5~20ミクロン、5~15ミクロン、または5~10ミクロンである、請求項
1に記載の多孔質膜。
【請求項6】
2つの外層を含み、内層を含まない多孔質膜であって、前記2つの外層のうちの一方と前記2つの外層のうちの他方との厚さの比が1.1:1~4:1
、1.1:1~3:1、または1.1:1~2:1である多孔質膜。
【請求項7】
前記2つの外層のうちの少なくとも一方と前記2層の外層のうちの他方とを積層すること
、または前記2つの外層を共押出することを含む方法により形成される、請求項
6に記載の多孔質膜。
【請求項8】
前記2つの外層のうちの厚い方がポリプロピレンを含むか、ポリプロピレンからなるか、または本質的にポリプロピレンからなり、かつ前記2つの外層のうちの薄い方がポリエチレンを含むか、ポリエチレンからなるか、または本質的にポリエチレンからなる、請求項
6に記載の多孔質膜。
【請求項9】
前記多孔質膜の総厚みが5~30ミクロン
、5~20ミクロン、5~15ミクロン、または5~10ミクロンである、請求項
6に記載の多孔質膜。
【請求項10】
請求項
1または
6に記載の多孔質膜を含むか、前記多孔質膜からなるか、または本質的に前記多孔質膜からなる電池用セパレータであって
、
前記電池用セパレータが、Li/Li+に対して4.2以上、Li/Li+に対して4.5以上、またはLi/Li+に対して5.0以上の電気化学的安定電圧を有する、前記電池用セパレータ。
【請求項11】
前記多孔質膜が、前記2つの外層のうちの薄い方に塗布されたコーティング層を含む、請求項
10に記載の電池用セパレータ
であって、
前記コーティングが、セラミックコーティング、ポリマーコーティング、およびシャットダウンコーティングのうち少なくとも1つであり、および/または前記コーティング層が1~5ミクロンの厚みを有する、前記電池用セパレータ。
【請求項12】
請求項
10に記載の電池用セパレータをアノードとカソードとの間に含み、液体電解質を有する二次電池であって、前記多孔質膜の前記2つの外層のうちの厚い方が前記カソードに面し、前記2つの外層のうちの薄い方が前記アノードに面する二次電池。
【請求項13】
請求項
11に記載の電池用セパレータをアノードとカソードとの間に含み、前記コーティング層が前記アノードに面し、液体電解質を有する二次電池。
【請求項14】
2つの外層と選択的に少なくとも1つの内層とを含む多孔質膜であって、
前記2つの外層のうちの一方の平均細孔径が他方の外層の平均細孔径より小さく、前記2つの外層のうちの一方の多孔度が他方の外層の多孔度より低く、および前記2つの外層のうちの一方の屈曲度が他方の外層の屈曲度より高いことの少なくとも1つを含む多孔質膜。
【請求項15】
前記2つの外層のうちの一方の平均細孔径が、他方の平均細孔径より小さ
く、および前記2つの外層のうちの一方のより小さい方の平均細孔径が、0.005~0.5、0.005~0.05、0.025~0.05ミクロン、もしくは0.025~0.04ミクロンであるか、または前記より小さい方の平均細孔径が、1~30%小さく、1~25%小さく、1~20%小さく、1~15%小さく、1~10%小さく、もしくは1~5%小さい、請求項
14に記載の多孔質膜。
【請求項16】
前記2つの外層のうちの一方の多孔度が、他方の外層の多孔度より低
く、
および前記2つの外層のうちの一方のより低い多孔度が、1~30%低いか、1~25%低いか、1~20%低いか、1~15%低いか、1~10%低いか、または1~5%低く、および前記2つの外層のうちの一方のより低い多孔度が、5%~50%か、10%~40%か、15%~30%か、または20%~25%である、請求項
14に記載の多孔質膜。
【請求項17】
前記2つの外層のうちの一方の屈曲度が、他方の外層の屈曲度より高
く、
および前記2つの外層のうちの一方のより高い屈曲度が、1より大きいか、1.1より大きいか、1.2より大きいか、1.3より大きいか、1.4より大きいか、1.5より大きいか、1.6より大きいか、1.7より大きいか、1.8より大きいか、1.9より大きいか、または2.0より大きい、請求項
14に記載の多孔質膜。
【請求項18】
前記多孔質膜が多層多孔質膜である
多孔質膜であって、
前記多孔質膜の2つ以上の層が共押出層であるか、
前記多孔質膜が4つ以上の層を含むか、または、
前記多孔質膜が4つ以上の層を含み、かつ前記多孔質膜の2つ以上の層が共押出層である、請求項1または
14に記載の多孔質膜。
【請求項19】
前記多孔質膜が内層を含有
せず、かつ前記外層の1つがPEを含み、前記外層のもう1つがPPを含む、請求項1または
14に記載の多孔質膜。
【請求項20】
少なくとも1つのポリプロピレン(PP)含有層と、
少なくとも1つのポリエチレン(PE)含有層と、
を含む非対称多孔質多層膜であって、
1つまたは複数のPP含有層と1つまたは複数の前記PE含有層との厚さの比が、1.1:1~25:1
、1.1:1~20:1、または4:1~10:1の範囲である、前記非対称多孔質多層膜。
【請求項21】
2つのPP含有層と1つのPE含有層とを含み、前記層がPE/PP/PP
もしくはPE/PPブレンド/PPの順序で配置されている
か、または、
2つのPP含有層と1つのPE含有層とを含み、前記層がPE/PP/PPもしくはPE/PPブレンド/PPの順序で配置されており、前記PP含有層が、同一もしくは異なるPP含有材料を含有する、請求項
20に記載の非対称多孔質多層膜。
【請求項22】
2層以上のPP含有層が存在し、かつ前記PP含有層が前記同一または異なるPP含有材料を有する、請求項
20に記載の非対称多孔質多層膜。
【請求項23】
1または複数の前記PP含有層のPP含有材料が、単一のポリプロピレン、2つ以上の異なるポリプロピレンの混合物、単一のポリプロピレンおよび追加成分、または2つ以上の異なるポリプロピレンの混合物および追加成分を含む
非対称多孔質多層膜であって、
前記追加成分が、ポリプロピレン以外のポリマー、エラストマー、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つであるか、または前記エラストマーがスチレン系エラストマーである、請求項
20に記載の非対称多孔質多層膜。
【請求項24】
2つ以上のPE含有層が存在し、前記PE含有層が同一または異なるPE含有材料を有する
か、
次の構造PE/PE/PP/PP/PP/PPを有する非対称多孔質多層膜であって、PEはPE含有層であり、PPはPP含有層であるか、
次の構造PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP/PP/PPを有する非対称多孔質多層膜であって、PEはPE含有層であり、PPはPP含有層であるか、
次の構造PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PPを有する非対称多孔質多層膜であって、PEはPE含有層であり、PPはPP含有層であるか、または、
次の構造PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PPを有する非対称多孔質多層膜であって、PEはPE含有層であり、PPはPP含有層である、請求項
20に記載の非対称多孔質多層膜。
【請求項25】
前記膜が、2つ以上の層を共押出することによって形成される
か、前記膜が、3つ以上の層が共押出することによって形成されるか、および/または前記膜が乾式プロセス膜である、請求項
20~
24のいずれか一項に記載の非対称多孔質多層膜。
【請求項26】
PE/PP/PPまたはPE/PPブレンド/PPの3層すべてが共押出される、請求項
21に記載の非対称多孔質多層膜。
【請求項27】
請求項
20~
26のいずれか一項に記載の非対称多孔質多層膜を含む電池用セパレータ
であって、
前記非対称多孔質多層膜のうち1つの最外層のみがPE含有層であるか、
前記非対称多孔質多層膜のうち1つの最外層のみがPE含有層であり、セラミックコーティングまたは架橋コーティングが前記最外層の前記PE含有層上にあるか、または、
前記電池用セパレータが、それの少なくとも片面上のセラミックコーティングおよび架橋コーティングから選択される1つまたは複数を含む、
前記電池用セパレータ。
【請求項28】
アノード、カソード、液体電解質、および請求項
27に記載の電池用セパレータ
と、および前記アノードに面するか、または前記アノードに最も近いPE含有層でもある前記最外層と、を含む電池。
【請求項29】
少なくとも1つのポリプロピレン(PP)含有層および少なくとも1つのポリエチレン(PE)含有層を含む非対称多孔質多層膜であって、1つまたは複数の前記PE含有層と1つまたは複数の前記PP含有層との厚さの比が、1.1:1~25:1
、1.1:1~20:1、または4:1~10:1の範囲である、前記
非対称多孔質多層膜。
【請求項30】
請求項
14~
19のいずれか一項に記載の多孔質膜を含むか、前記多孔質
膜からなるか、または本質的に前記多孔質
膜からなる、電池用セパレータ
であって、
前記電池用セパレータが、Li/Li+に対して4.2以上、Li/Li+に対して4.5以上、またはLi/Li+に対して5.0以上の電気化学的安定電圧を有する、前記電池用セパレータ。
【請求項31】
前記多孔質膜が、より小さい平均細孔径もしくはより大きい平均細孔径、より高い多孔度もしくはより低い多孔度、および/またはより高い屈曲度もしくはより低い屈曲度を有する外層に塗布されたコーティング層を含
み、
前記コーティングが、セラミックコーティング、ポリマーコーティング、およびシャットダウンコーティングのうち少なくとも1つであり、
および/または前記コーティング層が1~5ミクロンの厚みを有する、請求項
30に記載の電池用セパレータ。
【請求項32】
請求項
31に記載の電池用セパレータをアノードとカソードとの間に含み、前記コーティング層が前記アノードに面し、液体電解質を有する、二次電池。
【国際調査報告】