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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-29
(54)【発明の名称】結合要素を設置するための装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/12 20060101AFI20230522BHJP
【FI】
B23K20/12 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563919
(86)(22)【出願日】2021-04-20
(85)【翻訳文提出日】2022-12-13
(86)【国際出願番号】 EP2021060275
(87)【国際公開番号】W WO2021214083
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】102020110855.9
(32)【優先日】2020-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516268644
【氏名又は名称】エジョット ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ドゥビエル ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルクマイスター マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ブランダウ-ヴォルフ アンゲリク
(72)【発明者】
【氏名】クーペヒェン ティム
【テーマコード(参考)】
4E167
【Fターム(参考)】
4E167BF02
4E167BF06
(57)【要約】
本発明は、上端側駆動構造(22,44)を有する、結合要素(100,300)を設置するための装置(10)に関し、この装置(10)は、軸方向の力を加えるための供給装置(12)と、回転スピンドル(14,40,68,82,140)と、前記回転スピンドル(14,40,68,82,140)に結合された駆動ビット(20,42,60,70,80,142,242)と、を備え、前記駆動ビット(20,42,60,70,80,142,242)は、前記結合要素(100,300)を連動的に回転させるために、周方向かつ設置方向(S)の端部に配置された駆動構造(22,44)を備え、記駆動ビット(20,42,60,70,80,142,242)は、軸方向貫通開口を有し、前記装置(10)は、前記駆動ビット(20,42,60,70,80,142,242)の前記端部の側において空気を吸引できる吸引ユニット(18)をさらに備え、前記装置(10)は、吸引面(26,54)を端部側に有する挿入要素(24,50,72,150)を備え、前記吸引面(26,54)は、吸引断面(30)を周方向に定めるものであり、前記挿入要素(24,50,72,150)は、前記吸引面(26,54)が前記駆動ビット(20,42,60,70,80,142,242)に対して前記軸方向に移動可能で、かつ、負圧が前記挿入要素(24,50,72,150)における前記設置方向(S)と反対の側から前記挿入要素(24,50,72,150)の前記吸引面(26,54)に伝達可能なように設計されており、前記吸引面(26,54)は、前記結合要素(100,300)を吸引する前に、前記設置方向(S)において前記貫通開口の端部側縁領域から離間して配置される第1の端部位置をとり、前記設置処理中に、前記設置方向(S)と反対の側にシフトされた第2の位置をとるよう構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端側駆動構造(22,44)を有する、結合要素(100,300)を設置するための装置(10)であって、
軸方向の力を加えるための供給装置(12)と、
回転スピンドル(14,40,68,82,140)と、
前記回転スピンドル(14,40,68,82,140)に結合された駆動ビット(20,42,60,70,80,142,242)と、を備え、
前記駆動ビット(20,42,60,70,80,142,242)は、前記結合要素(100,300)を連動的に回転させるために周方向かつ設置方向(S)の端部に配置された駆動構造(22,44)を備え、
前記駆動ビット(20,42,60,70,80,142,242)は、軸方向貫通開口を有し、
前記装置(10)は、前記駆動ビット(20,42,60,70,80,142,242)の前記端部の側において空気を吸引できる吸引ユニット(18)をさらに備え、
前記装置(10)は、吸引断面(30)を周方向に定める吸引面(26,54)を前記端部の側に有する挿入要素(24,50,72,150)を備え、
前記挿入要素(24,50,72,150)は、前記吸引面(26,54)が前記駆動ビット(20,42,60,70,80,142,242)に対して前記軸方向に移動可能で、かつ、負圧が前記挿入要素(24,50,72,150)における前記設置方向(S)と反対の側から前記挿入要素(24,50,72,150)の前記吸引面(26,54)に伝達可能なように、設計されており、
前記吸引面(26,54)は、前記結合要素(100,300)を吸引する前に、前記設置方向(S)において前記貫通開口の端部側縁領域から離間して配置される第1の端部位置をとり、前記設置処理中に、前記設置方向(S)と反対の側にシフトされた第2の位置をとるよう構成された、装置(10)。
【請求項2】
前記挿入部材(24,50,72,150)は、第1の接触面を有するスリーブ(52,74,84,90,152,252)を備え、
前記駆動ビット(42,70,80,142,242)は、第2の接触面を有し、
前記駆動ビット(42,70,80,142,242)に対する前記吸引面の所定の端部位置において、負圧を前記スリーブ(52,74,84,90,152,252)を介して伝達可能なように前記接触面同士が密接して相互作用するように、前記第2の接触面が前記第1の接触面に対応するように設計されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記スリーブ(52,74,84,90,152,252)上の前記接触面はカラー部として設計され、
前記駆動ビット(42,70,80,142,242)上の前記接触面はショルダー部として設計され、
前記カラー部及び前記ショルダー部は前記設置方向を横断する方向に延在する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記スリーブ(52,74,84,90,152,252)は、ばね予荷重に抗して、前記駆動ビット(42,70,80,142,242)内の前記ショルダー部に前記設置方向に押し付けられるよう構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記端部位置は、前記駆動ビットの前端から、0.1mmから4mmの間の距離だけ離間している、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記ばね予荷重は、少なくとも1つのばね(56,86,156,256)によって生成され、
前記少なくとも1つのばね(56,86,156,256)は、前記駆動ビットに対して動かないよう設けられたばね受け要素(42,70,80,144,246)に間接的に支持されるか、又は前記駆動ビットに直接支持されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記ばねは弾性要素であり、前記弾性要素は特にゴム要素であり、前記ゴム要素は特にOリングである、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ばね受け要素が、前記駆動ビット(42,60,70,80)内にねじ留めされた回転スピンドル(14,40,68,82)によって形成される、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記ばね受け要素は、前記駆動ビット(142)内に固定的に挿入された挿入スリーブ(144)によって提供される、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記挿入スリーブ(144)が前記駆動ビット(142)内の前記ショルダー部に前記設置方向に当接した状態で、前記挿入スリーブ(144)が前記回転スピンドルのための突き当て部として機能する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ばね予荷重によって、前記スリーブ(52,74,84,90,152,252)に5Nから100Nの力が加えられる、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記スリーブ(52,74,84,90,152,252)は、内径が1.0mmから10mmであり、壁厚が0.5mmから5mmである、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記スリーブ(52,74,84,90,252)が、前記回転スピンドル(14、40、82、140)又は挿入スリーブ(144)と接触するよう構成された、前記設置方向から離れる方向を向くストッパを有し、それによって、前記処理力が前記スリーブの前端に完全に又は部分的に伝達される、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記ストッパは、前記前側の直径よりも大きい直径を有するスリーブ部分として設計され、前記ばね(56,76)は、前記スリーブ(52,74)内に配置される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記ストッパは、前記端部側の直径と同じ直径を有するスリーブ部分として設計され、前記ばね(86)は、前記スリーブ(84)を取り囲むカラー部に当接するよう構成されている、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記ストッパ面(92)は不連続な設計であり、すなわち、前記ストッパ面(92)は汚れが集まる少なくとも1つのショルダー部(96)を有する、請求項14又は15に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の結合要素を設置するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
それ自体知られているように、上端側駆動構造を有する結合要素を設置するための装置は、軸方向の力を加えるための供給装置を備える。供給装置を介して、接触力が回転スピンドル及びこれに結合された駆動ビットに加えられ、これらを設置方向に移動させる。特に、本発明による装置では、ねじに、したがって結合要素に加えられる力は1.5kNを超える。駆動ビットは、結合要素を連動して回転させるために、周方向かつ設置方向の端部に配置された駆動構造を有する。さらに、駆動ビットは結合要素を所定位置に吸引するために使用される軸方向貫通開口を有する。
【0003】
例えば、EP2632629B1には、結合要素を回転スピンドル上に一時的に保持するために負圧を使用することが開示されている。
【0004】
小さな駆動構造を有するとともにコーティングがされている結合要素では、材料がコーティングから削り取られ、駆動構造上に堆積して凹凸を生じさせ、その結果、結合要素の駆動構造と駆動ビットの駆動構造とがもはや確実にかみ合わなくなる。結合要素が負圧によって所定位置に保持されるような場合では、これは十分な負圧が確実に達成されないことを意味する。このため、要求される高い製造品質を欠く部品は処理ができず、退けられなければならないか又は処理中に欠陥を生じる。
【0005】
DE102018103991A1は、設置装置内の駆動要素の位置を検出することを提案している。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、結合要素を設置するための装置であって、装置の駆動ビット上における結合要素の信頼性できる保持を可能にし、これにより、コーティングされた結合要素の処理においてより高い公差又は表面不均一性を可能にし、したがって工業的製造装置においてより高度のエラーなし動作をもたらす装置を提供することである。
【0007】
本発明によれば、上記装置は吸引面を端部側に有する挿入要素を備え、吸引面は、結合要素の頭部に当接し、周方向に吸引断面を定め、挿入要素は吸引面が駆動ビットに対して軸方向に移動可能であるように設計されている。
【0008】
さらに、挿入要素は、負圧を、挿入要素における設置方向と反対の側から挿入要素の吸引面に伝達できるように設計されており、吸引面は、結合要素の吸引前に、吸引面に隣接する貫通開口の端部側縁領域から設置方向に離間した第1の端部位置をとる。
【0009】
このようにして、特に駆動構造において結合要素のコーティングが不均一であっても、結合要素を挿入要素上に、したがって駆動ビット上に確実に吸引することができる。
【0010】
これにより結合要素の確実な保持が保証され、何故なら、吸引面が、結合要素の駆動構造に隣接する結合要素の非構造化領域とのみ接触するからである。一般に、結合要素の非構造化領域は、コーティングによって生じる凹凸がわずかしかないか又は全くない。
【0011】
続いて、駆動構造が結合要素に完全に係合するように、吸引面を駆動ビットに対して軸方向に移動させることができる。これは、結合要素がコンポーネント上に配置されたときに、好ましくは、設置方向と反対において吸引面に軸方向の接触応力を加えることによって行われる。
【0012】
これによって、最上コンポーネント層上への結合要素の配置が終わるまで、結合要素が挿入要素上の所定位置に確実に保持され、その後、結合要素を回転させ結合要素に軸方向の力を加えることによって、結合要素をコンポーネント内に挿入することができる。
【0013】
結合要素を挿入要素上に、したがって駆動ビット上に吸引する吸引圧は、特に、少なくとも0.3バールである。これは、好ましくは、-0.3バールから-0.85バールの負圧をもたらす。
【0014】
好ましくは、駆動ビットは、摩擦要素溶接処理を行うのに必要な軸方向の力を結合要素に伝達するための表面、特に平坦な表面を有することができる。代替的に、軸方向の力は挿入要素を介して加えることもできる。
【0015】
本発明の別の実施形態では、駆動構造は外側駆動部のための駆動部であってもよく、この場合、吸引面は駆動構造の径方向内側に位置している。
【0016】
代替的に、駆動ビットの端部側駆動構造は、内側駆動部のための駆動構造であってもよく、その場合、吸引面は駆動構造に隣接するか、又は駆動構造の外側に位置する。
【0017】
好ましくは、挿入要素は、駆動ビットに対して軸方向に移動可能に保持されるスリーブを備えてもよい。スリーブは第1の接触面を有し、一方、駆動ビットは第2の接触面を有する。第2の接触面は、吸引面が駆動ビットに対して所定の端部位置にあり、特に設置方向にわずかに突出している場合に、負圧をスリーブを介して伝達できるように接触面同士が密接して相互作用するように、第1の接触面に対応するように設計されている。
【0018】
これは、好ましくは、スリーブ上の接触面がカラー部として設計され、駆動ビット上の接触面がショルダー部として設計され、カラー部及びショルダー部が設置方向を横断する方向に延在するように構成することで具現化できる。これにより、一方で、カラー部の接触面とショルダー部の接触面が互いに当接するように密接配置を形成することができ、他方で、スリーブと駆動ビットとの間の軸方向移動を設置方向に制限し、したがって所定の端部位置を提供するストッパをカラー部とショルダー部との間に設けることができる。
【0019】
好ましくは、挿入要素は、設置方向に予荷重されたばねが駆動ビットのショルダー部にスリーブを押し付けるように設計することができる。このようにカラー部の接触面とショルダー部の接触面とを互いにアクティブに押し付けることで密接作用が向上する。加えて、このような構成は、吸引処理のためのスリーブのばね予荷重によって、例えば、設置方向が重力の方向と反対であっても、吸引面が駆動ビットに対して所定の端部位置に確実に保持されることを保証する。
【0020】
これにより、駆動ビットに対するスリーブの径方向のクリアランスをより大きくすることが可能となり、これにより、カラー部とショルダー部の間で接触面の軸方向における十分な密接が確実に達成されるので、軸方向移動の信頼性が向上する。
【0021】
ばね予荷重は、好ましくは、駆動ビットに対して動かないように配置されたばね受けに支持された少なくとも1つのばねを備えるばね構成によって生成される。
【0022】
特に、ばね構成は皿ばねアセンブリ又は螺旋状ばねを備えることができる。
【0023】
ばね受けは駆動ビットが回転スピンドルにねじ留めされた状態で回転スピンドルによって提供されてもよい。
【0024】
ばね受けは例えば締まり嵌めによって駆動ビット内の固定位置に挿入される挿入スリーブによって提供することもできる。挿入スリーブは中間嵌め、特にH7/m6の嵌め合いによって駆動ビットに結合させてもよい。
【0025】
好ましくは、駆動ビットと挿入スリーブとは、挿入スリーブが駆動ビットのショルダー部に設置方向に支持された状態で駆動ビットに結合された摩擦スピンドルが接合処理中に挿入スリーブを支持するように、互いにマッチされている。これにより、駆動ビットから摩擦スピンドルへのプラグ結合が可能になり、これにより、駆動ビット内のばね付きのスリーブをアセンブリとして交換して、処理力がスピンドルから駆動ビットへ依然として伝達されるようにすることが可能となる。
【0026】
予荷重は、好ましくは、ショルダー部からカラー部への接触応力が、必要とされる負圧のための接触応力を達成するのに十分であるが接合処理中に生じる最小軸方向力よりも常に小さくなるように選択される。これは通常、駆動ビットが軸方向処理力を伝達することを保証するために、1kN未満の力、特に5Nから100Nの力を使用して達成される。
【0027】
スリーブを有する挿入要素と駆動ビットとは、処理力を伝達するための接触面を有する駆動ビットが、設置処理中に駆動ビットの接触面を介して処理力の90%超を伝達するように、マッチされている。
【0028】
本発明の別の好ましい実施形態では、スリーブは設置方向と反対の側に位置するストッパを有してもよく、このストッパは回転スピンドル及び/又は挿入スリーブと接触する。
【0029】
これにより、処理力をスリーブの吸引面に完全に又は部分的に伝達することができる。したがって、吸引面は、接合処理に必要とされる処理力を完全に又は部分的に伝達するための押圧面としても機能する。
【0030】
駆動ビットとスリーブの長さとスリーブの軸方向変位の範囲とは、スリーブが設置方向と反対の側で停止位置にあるとき、結合要素の駆動構造と駆動ビットの駆動構造とが互いに連動して係合するが、軸方向の処理力がスリーブを介して伝達されるように、互いにマッチされている。
【0031】
設置方向と反対の側にあるストッパはスリーブ部分として設計することができ、このスリーブ部分は、吸引面上の端面側の直径よりも大きな直径を有し、大きい直径から小さい直径への移行部は段差を有するように設計され、このようにしてショルダー部が形成される。特に、大きい直径を有するスリーブ部分の内側にばねが挿入され、このスリーブはショルダー部に設置方向に当接し、ばね受け要素に設置方向と反対の方向に当接する。
【0032】
本発明のさらに別の実施形態では、設置方向と反対の側にあるストッパは、端面側の直径と同じ直径を有するスリーブ部分として設計されてもよい。スリーブ上にはカラー部が設けられており、カラー部はスリーブの周りに延在し、カラー部上にばねが支持され、スリーブは好ましくはばねを通過している。
【0033】
本発明の特に好ましい実施形態では、スリーブが、ばね受け要素に面するスリーブ端部に径方向凹部を有することから、設置方向と反対の側に位置する接触面が穴あきデザインとなっている。これにより、挿入要素に入った汚れがストッパ面に積もることがない。これはまた、スリーブの長さと軸方向移動の範囲との調整が損なわれないことを保証する。
【0034】
本発明のさらなる利点、特徴及び考え得る応用は、図面に示された実施形態を参照する以下の記載から得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明に係る第1の実施形態の断面図である。
図2a】駆動ビットの断面図である。
図2b図2aと同様の断面図であり、結合要素がコンポーネント層に押し付けられている様子を示す。
図3a】吸引位置における駆動構造を通る駆動ビットの断面図である。
図3b図2bの作業位置における図3aの詳細である。
図4】本発明による別の実施形態の図である。
図5】本発明による別の実施形態の断面図である。
図6】さらに別の実施形態のスリーブの断面図である。
図7】さらに別の実施形態のスリーブの断面図である。
図8】本発明による駆動ビットの別の実施形態の断面図である。
図9a】内側駆動部で結合要素を処理するための別のものの断面図である。
図9b】駆動ビットに対する、スリーブの設置方向の対応する突出部分の図である。
図9c図9aのC-C線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、上端側駆動構造22を用いて結合要素100を設置するための本発明による装置10の概略図であり、装置10は、軸方向の力を加えるための供給装置12と、回転スピンドル14と、これに結合された駆動ビット20とを備え、駆動ビット20には、結合要素100を連動して回転させるために、周方向かつ設置方向Sの端部に配置された駆動構造22が設けられている。また、装置10は、駆動ビット20の端部側で空気を吸引することができる吸引ユニット18を備える。これにより、駆動ビット20の端部側の上に結合要素100を吸引することができる。結合要素100が吸引されて接触状態となると、結合要素100は設置方向Sに下方に移動され、回転スピンドル14の回転によって、また供給装置12によって生成される接触応力の下で、コンポーネントアセンブリ110,112の中に導入され、その結果、特に最上コンポーネント層を結合要素100が貫通し、さらに、導入された摩擦エネルギーによって結合要素100が最下コンポーネント層112に摩擦溶接される。本明細書に示す例では、供給装置12は、接合処理中にコンポーネント層110,112がカウンター保持部120上に載置された状態で、カウンター保持部120に対して移動される。通常、コンポーネント層110,112を所定位置に固定するための押さえつけ装置を設けることもできるが、この例ではこの押さえつけ装置は明示されていない。
【0037】
本発明では、吸引断面30の範囲を周方向に定める吸引面26を端面に有する挿入要素24が設けられており、この挿入要素24は、吸引面26が駆動ビット20に対して軸方向に移動できるように構成されている。
【0038】
負圧は、設置方向Sと反対の方を向く挿入要素24の側から挿入要素24の吸引面26に伝達され、この吸引面26は、結合要素100が吸引されて接触状態となる前に、設置方向Sに貫通開口の端部側縁領域から離間された第1の端部位置をとる。設置処理中に、挿入要素24は、ある範囲Eだけ変位して、設置方向Sと反対の方向に第1の位置から離間した第2の位置をとる。
【0039】
次に、図2aから図9cを参照して、挿入要素24の異なる実施形態における駆動ビット20の異なる変形例について説明する。
【0040】
図2aは、本発明による設置装置の第1の実施形態の駆動ビット42の断面図である。
【0041】
設置装置は回転スピンドル40を備え、回転スピンドル40は結合要素100を回転させるよう構成され、結合を行うのに必要な接触応力を付与するために使用される。
【0042】
本実施形態では、駆動ビット42が回転スピンドル40にねじ留めされている。駆動ビット42及び回転スピンドル40には中央ダクト46が設けられており、この中央ダクトを介して、例えば吸引ポンプ又はベンチュリノズルのような吸引ユニット18を用いて駆動ビット42の前端部に吸引作用を生じさせることができる。
【0043】
駆動ビット42には挿入要素50が挿入されており、この挿入要素50には、端面に環状吸引面54を有し、吸引面54に載置されている結合要素100に吸引圧を伝えるスリーブ52が設けられている。挿入要素50は、ばね56、特に螺旋状ばねをさらに有し、このばね56は、スリーブ52に設置方向Sへの予荷重を加えるように回転スピンドル40とスリーブ52との間に配置されている。
【0044】
スリーブ52と駆動ビット42の凹部とは、スリーブ52が軸方向に移動可能なように取り付けられているが、スリーブ52が押圧面48を越えて突出する分である最大長さAを設定する第1のストッパが形成されるように、互いにマッチされている。
【0045】
吸引位置に突出長さAがあることで、結合要素100の駆動構造22内におけるコーティングの堆積による結合要素100の傾斜が回避されるので、吸引面54が結合要素100の頭部表面と良好に接触することができる。
【0046】
さらに、設置方向Sと反対の側に位置するスリーブ52の端部は、駆動ビット42及び回転スピンドル40と一直線に並んでおり、吸引面54が駆動ビット42の押圧面48のレベルにあるときにスリーブ52が回転スピンドル40に当接するように構成されている。
【0047】
ストッパは、吸引位置における距離Bが少なくとも突出長さAと同程度に大きくなるように設計されている。これにより、接触応力の大部分が駆動ビット42を介して結合要素100に伝達されることが確実になる。
【0048】
距離Bが突出長さAに等しい場合には、接触応力の伝達は、部分的に、スリーブ52を介して回転スピンドル40から結合要素100にすることもできる。
【0049】
図2bは、結合要素100がコンポーネント層110,112に押し付けられているときの図2aの発明における配置を示している。この状況において、スリーブ52は、スリーブ52の吸引面が駆動ビット42の押圧面48と面一になるまで、ばね56のばね力に抗して変位する。押圧力がスリーブ52を介して伝達されない場合には、押し付け状態においてスリーブ52が回転スピンドルに当接しないようにスリーブ52と駆動ビット42の凹部とがマッチする。
【0050】
そうでない場合には、スリーブ52の吸引面54が駆動ビット42の押圧面48と面一であるときにスリーブ52が回転スピンドル40に当接するような協調的配置において、押圧力が部分的に吸引面を介しても伝達され得、これにより、全体として、より大きな力伝達面が得られる。これにより、結合要素100の頭部に跡が生じることが減少し、これによって、特に、腐食防止のために設けられた要素のコーティングが保存される。この場合、前進量Cが突出長さAに相当する。
【0051】
図3aは、吸引されて接触状態となった位置にある駆動ビットの駆動構造を通る断面図である。この図から、駆動ビット42の駆動構造と結合要素100の駆動構造との間に明らかな距離Dがあり、その結果、駆動構造上に堆積された余分なコーティングが駆動ビット42に対する結合要素100の位置に影響を及ぼさないことがはっきりとわかる。
【0052】
図3bは、図2bの作業位置における図3aの詳細である。この図において、作業位置において、駆動ビット42の駆動構造と結合要素100の駆動構造とが互いに連動及び係合することがはっきりとわかる。距離Dは、ここでは、図3aでのものよりもかなり小さい。
【0053】
図4は、本発明のさらに別の実施形態の図であり、挿入要素は、軸方向に弾性を有する周方向に閉じた要素として構成され、特にOリング62として設計され、この弾性要素が駆動ビット60に端面上で挿入される。
【0054】
弾性要素の弾性と要素断面とは、拡張された断面のときは、吸引面が駆動ビット60の押圧面から設置方向に所定距離だけ離間しており、結合要素100が処理力によって押圧されて接触状態になると、駆動ビット60の押圧面が結合要素100の頭部に当接するように挿入要素が圧縮されて、挿入要素が駆動ビット60の押圧面と同じレベルになるように、互いにマッチされている。
【0055】
所定距離は、図3a及び図3bにも示されているように、駆動ビット60の駆動構造と結合要素100の駆動構造とがかろうじて連動しないように選択される。
【0056】
弾性要素は、好ましくは、50ショアAから120ショアAのショア硬さを有する。
【0057】
この実施形態は、挿入要素が可動部分を何も備えずとも、吸引面の軸方向変位がもっぱら挿入要素の弾性変形を介して達成されるという利点を有する。
【0058】
図5は本発明の別の実施形態の断面図であり、駆動ビット70は回転スピンドル68上の所定位置にねじ留めされている。スリーブ74と螺旋状ばね76とを備える挿入要素72は、駆動ビット70内に挿入されて軸方向に移動することができる。軸方向ストッパに関する設計は、基本的に図2に示される設計に対応する。図2とは対照的に、環状面として設計される吸引面26の幅はかなり大きくなるように選択され、その結果、処理力は基本的に、挿入要素72を介して、すなわち特にスリーブ74を介して結合要素100に伝達される。スリーブの長さと駆動ビット70上における頭部接触領域の距離とは、この場合、等しい長さである。すでに図2に関して説明したように、螺旋状ばね76は、スリーブ74が外部から荷重を受けていないときに、スリーブ74の吸引位置における軸方向の位置決めを保証する。
【0059】
図6は、スリーブ84の別の実施形態の図であり、径方向外向きに延びるカラー部88を有する連続スリーブ84の形態のスリーブ84のストッパが回転スピンドル82上にある。ばね86はスリーブ84の上端部の上に位置し、回転スピンドル82上とカラー部88上とに支持されている。カラー部88は、ばねとは反対を向く側において、駆動ビット80上に対するストッパ面を形成し、これが吸引状態における突出長さCを決定する。
【0060】
図7は、上に示した図のうちの1つでわずかな変更を伴って使用することができるスリーブ90の特に好ましい設計の図であり、すなわち、回転スピンドルに面するスリーブ端部92は凹部96、特に周方向凹部96を有する。その結果、吸引作用によってスリーブにより吸引された汚れはスリーブ90と摩擦スピンドルとの間に堆積せず、凹部96によって形成された中間空間に入ることができる。これにより、スリーブ90と回転スピンドルとの間の汚れの蓄積によってストッパの位置が軸方向にずれることがほぼ防止される。
【0061】
図8は、本発明の別の実施形態の図であり、2つの側面、すなわち、第1に、スリーブ152がもっぱらばね156に対する停止をもたらす点と、第2に、駆動ビット142が挿入要素150のためのストッパ面144を有することにより、駆動ビット142及び挿入要素150をアセンブリとして一緒に回転スピンドル140上に取り付け及び取り外しできるようになっている点とで、上に記載した例と異なる。
【0062】
好ましくは、ストッパ面は駆動ビット142に圧入、特に中間嵌めされるスラスト片144の前端面である。駆動ビット142にはさらに、回転運動を伝達し、回転スピンドル140の前端がスラスト片144に当接するように回転スピンドル140のラッチ手段に結合できるラッチ手段が設けられている。好ましくは、スラスト片144は駆動ビット142のショルダー部に設置方向に当接する。これにより、処理力を駆動ビット142に形状適合的に伝達することができる。
【0063】
このようにして、摩耗又は損傷の場合に挿入要素150を容易に交換することを可能にするクイックリリース手段が形成される。
【0064】
ばね156の寸法は、吸引面が駆動ビット142と同じ高さにある場合にスリーブ152がばね156に抗して完全に押し込められることで処理力がスリーブ152を介して結合要素100に部分的に伝達されるか、あるいは、ばね力のみがスリーブ152を介して結合要素100に作用するようにばねが完全に圧縮されないような寸法とすることができる。
【0065】
挿入要素150の設計は、本明細書に記載される挿入要素150の他の設計と所望に応じて組み合わせることができる。
【0066】
図9aは、結合要素300が内側駆動部で処理される別の代替的な実施形態を示す図である。この結合要素において、押圧領域及び吸引領域は内側駆動部の外側に設けられており、処理力はスリーブ252を介して付与される。したがって、スリーブ252は駆動ビット242が結合要素300の駆動部と完全に係合したときに回転スピンドル受け部材246に当接する。また、前に述べたように、吸引位置における突出部分はばね256によって提供され、このばねは特に螺旋状ばねである。
【0067】
駆動ビット242内には複数の吸引チャネル248が形成されており、これらは各々、スリーブ252に形成された吸引ダクト258と合流する。これにより、結合要素300を所定位置に吸引することが可能となる。
【0068】
断面図が図9cにより詳細に示されている。
【0069】
図9bは、駆動ビット242に対するスリーブ252の設置方向の対応する突出部分Aを示している。このようにして、結合要素300の内側駆動部は、結合要素が所定位置に吸引されたときにはまだ完全に係合されていない。
【0070】
図9cは、図9aのC-C線に沿った断面図である。同図では、スリーブ252の吸引ダクト258がスリーブ252の押圧面上の円形リングに沿って分布している。駆動ビット242は、駆動ビット242に対して軸方向に移動可能であるように構成されたスリーブ252内の中央に配置される。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図9c
【国際調査報告】