(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-29
(54)【発明の名称】スマートオイルスプレーアダプタ
(51)【国際特許分類】
B05B 12/08 20060101AFI20230522BHJP
B05B 12/02 20060101ALI20230522BHJP
B05B 12/10 20060101ALI20230522BHJP
B05B 9/03 20060101ALI20230522BHJP
A61C 19/00 20060101ALI20230522BHJP
B65D 83/14 20060101ALI20230522BHJP
A61L 2/18 20060101ALN20230522BHJP
【FI】
B05B12/08
B05B12/02
B05B12/10
B05B9/03
A61C19/00 J
B65D83/14 200
A61L2/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564020
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(85)【翻訳文提出日】2022-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2021059746
(87)【国際公開番号】W WO2021213876
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】102020110867.2
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローランド-アロイス ヒューゲル
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ シャーツ
【テーマコード(参考)】
3E014
4C052
4C058
4F033
4F035
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB01
3E014PD01
3E014PE30
3E014PF09
4C052LL06
4C058AA12
4C058BB07
4C058CC06
4C058JJ06
4C058JJ24
4F033RA02
4F033RB05
4F033RB08
4F033RC24
4F035AA04
4F035BA02
4F035BA22
4F035BB21
4F035BB22
(57)【要約】
本発明は、含油エアロゾルを分配するスプレー缶(20)に接続するためのアダプタ(30)に関する。アダプタ(30)は、所定の時間間隔を測定するように構成されるタイムキーパ(11)を備え、時間測定の開始点は、スプレー缶(20)の噴霧工程の開始によって規定され、アダプタ(30)は、所定の時間間隔が経過すると、噴霧工程を終了するようにユーザに示すように構成される指示要素(12、13)を備える。本発明はさらに、医療デバイス(40)を手動で再処理する方法に関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メンテナンス剤、好ましくは含油エアロゾルを分配するスプレー缶(20)と、前記スプレー缶(20)への任意選択の接続のためのアダプタ(30)と、を備える、医療器具用の再処理および/またはメンテナンスシステムであって、
前記アダプタ(30)は、利用パラメータと、好ましくは前記スプレー缶(20)の状態パラメータと、を検出し、それに応じてユーザに通知するように提供されるおよび構成されるスマート機能を備えることを特徴とする、再処理および/またはメンテナンスシステム。
【請求項2】
前記スマート機能は、
所定の時間間隔の間、時間測定を実行するように構成されるタイムキーパ(11)であって、前記時間測定の開始点が、前記スプレー缶(20)の噴霧工程の開始によって示される、タイムキーパ(11)と、
前記所定の時間間隔の完了時に、前記噴霧工程を終了するように前記ユーザに示すように構成される指示要素(12、13)と、を備えることを特徴とする、請求項1に記載の再処理および/またはメンテナンスシステム。
【請求項3】
前記アダプタ(30)は、
前記スプレー缶(20)に接続するために提供される第1のポート(7)と、
医療デバイス(40)に接続するために提供される第2のポート(8)と、
前記第1のポート(7)を前記第2のポート(8)に接続し、前記スプレー缶(20)によって分配されたエアロゾルを前記第1のポート(7)から前記第2のポート(8)に案内するために提供される通路と、をさらに備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の再処理および/またはメンテナンスシステム。
【請求項4】
前記アダプタ(30)は、前記通路内の温度降下を検出するように構成される温度センサ(10)をさらに備え、
前記タイムキーパ(11)は、前記温度降下に基づいて前記噴霧工程の前記開始を判定するように構成されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の再処理および/またはメンテナンスシステム。
【請求項5】
前記アダプタ(30)は、前記通路内の圧力変化を検出するように構成される圧力センサ(10)をさらに備え、
前記タイムキーパ(11)は、前記圧力変化に基づいて前記噴霧工程の前記開始を判定するように構成されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の再処理および/またはメンテナンスシステム。
【請求項6】
前記アダプタ(30)は、前記通路内の前記含油エアロゾルのオイル割合を検出するように構成される湿度センサ(10)をさらに備え、
前記指示要素(12、13)は、前記オイル割合に基づいて前記噴霧工程を終了するように前記ユーザに示すように構成されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の再処理および/またはメンテナンスシステム。
【請求項7】
前記アダプタ(30)は、前記スプレー缶(20)の向きを判定するように構成される位置センサ(10)をさらに備え、
前記指示要素(12、13)は、前記スプレー缶(20)の前記向きに基づいて、前記噴霧工程を終了するように前記ユーザに示すように構成されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の再処理および/またはメンテナンスシステム。
【請求項8】
前記アダプタ(30)は、前記アダプタ(30)の前記部品に電力を供給するように構成される電源(9)をさらに備えることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の再処理および/またはメンテナンスシステム。
【請求項9】
前記電源(9)は、好ましくは交換可能なバッテリまたはアキュムレータであることを特徴とする、請求項8に記載の再処理および/またはメンテナンスシステム。
【請求項10】
前記指示要素(12、13)は、視覚的インジケーションまたは音響的インジケーションであることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の再処理および/またはメンテナンスシステム。
【請求項11】
前記アダプタ(30)は、再利用可能なユニットとして前記スプレー缶(20)に接続され、一方向ユニット(one-way unit)として前記医療器具に接続されるように提供および構成されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の再処理および/またはケアシステム用のアダプタ。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のアダプタを使用して医療器具(40)を手動で再処理および/またはメンテナンスする方法であって、
医療デバイス(40)を準備することと、
スプレー缶(20)を準備することと、
前記アダプタ(30)を準備することと、
前記アダプタ(30)の第1のポート(7)を前記スプレー缶(20)に接続することと、
前記アダプタ(30)の第2のポート(8)を前記医療器具(40)に接続することと、
ユーザによる前記スプレー缶(20)の手動作動により、再処理剤および/またはメンテナンス剤、好ましくは含油エアロゾルを前記医療デバイス(40)の機械部品に供給するために、前記スプレー缶(20)の噴霧工程を実行することと、
所定の時間間隔の時間測定、または前記アダプタを通過する体積流れの測定を開始することであって、前記開始点は、前記スプレー缶(20)の前記噴霧工程の開始を検出することによって示される、前記開始することと、
前記所定の時間間隔の完了または所定の体積流量への到達と、前記噴霧工程が終了されることについての関連する要求と、を示すことと、のステップを備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含油エアロゾルを分配するスプレー缶に接続するためのアダプタ、および医療デバイスを手動で再処理するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療技術では、本明細書において一般に医療デバイスと呼ばれる様々な製品に対して様々な再処理手順が提供される。病原体で汚染された医療製品(たとえば、電動器具)は、ヒトへの感染源となる可能性がある。したがって、そのような医療製品を使用するには、規定された要件を満たす必要がある事前の再処理が必要である。低細菌または無菌使用を目的とした医療製品の再処理は、関連付けられた作業ステップのみならず、技術的および機能的な安全性のテストと回復を含む、再使用の目的で最初の使用後に実行される洗浄、消毒、および滅菌として理解できる。以下では、再処理は主に、技術的および機能的な安全性の回復を意味すると理解される。
【0003】
先行技術は、機械関連の再処理と、手動の再処理との両方を提供する。たとえば、機械関連の再処理では、器具ハウジング内に配置されたギア、ベアリング、作動機構などの機械部品を自動的に洗浄および注油する、歯科用ハンドピースのメンテナンスステーションが使用される。歯科用および外科用ハンドピースやモータシステムなどの医療デバイスの手動メンテナンスでは、医療デバイスまたはその機械要素にスプレーするために、オイルスプレー、つまりスプレー缶/エアロゾル缶内のオイルが使用される。これは、製造者自身によって提供または規定されている場合がある。
【0004】
オイルは、ギアやベアリングポイント(特にローラベアリングやフリクションベアリング)などの機械部品などの機械要素を潤滑にし、メンテナンスする。製造者は、たとえば2秒のように、噴霧工程にかけるべき時間/かける必要のある時間を指定できる。注油の最適な持続時間は、対応する医療デバイスのそれぞれのモータ/ハンドピースによって異なる。
【0005】
しかしながら、先行技術は、医療製品の手動による再処理/メンテナンスのためにスプレー缶を使用する場合、ユーザによる誤操作がほとんど避けられないという欠点を有する。具体的には、次の3つの主要な利用誤操作が発生する可能性がある。
(1)所定の期間が守られない。その結果、機械要素の潤滑が不十分になったり、過剰注油となったりする可能性がある。
(2)スプレー缶が(正確に)垂直に保持されていない。その結果、一般にスプレー缶内に配置された上昇パイプは、潤滑オイルの代わりに、気付かれずに噴射される噴射剤ガスを(特に缶レベルが低い場合)部分的に吸い込む場合がある。これにより、潤滑が不十分になる可能性がある。
(3)次の再処理/メンテナンス工程に依然使用可能である、スプレー缶内の残留オイル量が、十分ではない。これは、必然的に潤滑不足になる。
【0006】
これらの問題を可能な限り回避するために、ユーザは通常、次の再処理/メンテナンス工程に十分な残留オイルが供給されるスプレー缶を、時期尚早に廃棄するという最も安全なルートを取り、噴霧工程のための規定の時間を超過する傾向にある。しかしながら、これは、過剰な材料消費の問題につながる。したがって、特に上記のタイプのユーザによる誤操作を回避または低減するためのデバイス/再処理/メンテナンスシステムおよび方法のコンセプトを提供する必要があり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、先行技術の欠点を回避するか、または少なくとも低減することである。特に、医療デバイスの技術的/機能的な安全性を確保するために、医療デバイスの再処理/メンテナンスにおける様々なユーザによる誤操作を回避する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本目的は、(中間)アダプタを提供することによって、本発明による汎用的な再処理/メンテナンスデバイスまたは汎用的な再処理/メンテナンスシステムにおいて解決される。アダプタは、スプレー缶、好ましくは含油エアロゾルを分配するスプレー缶に接続されるように提供され、したがって、スプレー缶と、再処理/メンテナンスされる医療製品(ハンドピース)との(流体)結合のための中間部品を仮想的に形成する。本発明によれば、アダプタは、利用パラメータ、好ましくはスプレー缶の状態パラメータも記録し、それに応じてユーザに通知するスマート機能を備える。
【0009】
たとえば、アダプタは、タイムキーパを有する/含む。タイムキーパは、所定の時間間隔の間、時間測定を実行するように構成される。時間測定の開始点は、スプレー缶の噴霧工程の開始によって示される。さらに、アダプタは、たとえば指示要素を含む/有する。指示要素は、所定の時間間隔の完了時に、噴霧工程を終了するようにユーザに示すように構成される。指示要素は、視覚的および/または音響的な設計からなり得る。
【0010】
これは、スプレー缶のユーザが、医療デバイスに供給された含油エアロゾルが多すぎないか、少なすぎないかを判定できるという利点を有する。これにより、医療デバイスの技術的および機能的な安全性が保証される。
【0011】
アダプタは、スプレー缶の分配開口部に接続するための機械的アダプタであり得る。アダプタは、医療デバイスへのスプレー缶の機械的接続のためのプラグインまたはねじコネクタとしても理解され得る。
【0012】
スプレー缶は、スプレー缶またはエアゾール缶と呼ばれることもあり、たとえば、含油エアゾールまたは含油液体をそれぞれ噴霧するための金属缶である。ここで、液体として、オイルのみを用いることが好ましい。
【0013】
タイムキーパはまた、時間間隔の終わりについて指示要素に信号を伝達するための制御モジュールとして本明細書で機能し得るタイマとして理解され得る。タイマは、アダプタの処理ユニット内のソフトウェアとして、またはハードウェア(たとえば、電子回路)として実施され得る。
【0014】
所定の時間間隔は、医療デバイスに適合され得る、または適合させるように意図され得る。たとえば、所定の時間間隔は、5秒未満、特に4秒未満、または3秒未満、または2秒未満の持続時間を有し得る。たとえば、時間間隔は、1.5秒または3秒であり得る。本目的のために、必要に応じてタイムキーパを設定するために、アダプタに入力ユニットを設けることもできる。
【0015】
開始点は、スプレー缶の作動に関連し得る。たとえば、アダプタは、スプレー缶自体を作動させる(スプレー缶の作動レバーを作動させる)ことによって、タイムキーパが時間測定を開始またはそれぞれ実行するように、スプレー缶と相互にやり取りできる。または、アダプタ内の流れや、流れによる温度変化を検知(アダプタ自律噴霧開始検知)することで、再処理/メンテナンス工程の開始を検知することができる。
【0016】
指示要素は、たとえば、LEDなどの視覚的インジケーション、および/または拡声器またはビーパなどの音響的インジケーションであり得る。これは、所定の時間間隔が完了したか否かをユーザに示すために使用できる。時間間隔が完了した後、ユーザはそれに応じてスプレー缶の作動を停止し、スプレー缶および/または医療デバイスからアダプタを取り外す/取り除くことができる。
【0017】
噴霧工程は、本明細書では一般に、スプレー缶に含まれる液体を分配するための工程と呼ばれる。
【0018】
有利な実施形態は、従属請求項に記載されており、以下でより詳細に説明される。
【0019】
アダプタは、第1のポートをさらに備える/含むことができる。第1のポートは、スプレー缶に接続されるように提供および構成され得る。動作中、第1のポートは、スプレー缶に接続され得る。アダプタは、第2のポートをさらに備え得る。第2のポートは、(特定の)医療デバイスに接続されるように提供および構成され得る。動作中、第2のポートは、医療デバイスに接続され得る。アダプタは、通路をさらに含み/備え得る。通路は、第1のポートを第2のポートに接続するように提供および構成され得る。さらに、通路は、スプレー缶によって分配されたエアロゾルを第1のポートから第2のポートへ案内する、または輸送するために提供され得る。
【0020】
したがって、スプレー缶と医療デバイスとの間の連続的な通路接続を、第1および第2のポートを介して提供することができる。
【0021】
特に、両方の接続が、プラグイン接続であり得る。ここでは、圧力嵌合または形状嵌合によって接続を行うことができる。有利には、プラグコネクタをポートとして使用できる。ポートの接続は、螺合接続の形態で提供し得る。第1の接続および第2の接続は、特に、それぞれスプレー缶または医療デバイスとの取り外し可能な接続を提供し得る。
【0022】
アダプタはさらに、温度センサを含み/備え得る。温度センサは、通路内の温度降下を検出するように構成され得る。タイムキーパは、通路内の温度降下に基づいて噴霧工程の開始を判定するように構成され得る。温度センサは、温度の測定値として電気信号を提供する電気または電子デバイスの形態であり得る。本目的のために、熱導体(NTC)および/または冷導体(PTC)を使用できる。温度センサ、またはソリッドステート回路などの集積半導体温度センサも、本目的に使用できる。
【0023】
したがって、温度降下を使用して、通路を通るエアロゾルの流れを推測することができる。これにより、スプレー缶を使用するための所定の時間間隔を、キーを押すことなく比較的正確に設定することができる。温度降下を検知すると、(所定の時間間隔のための)時間計測を開始することができる。
【0024】
温度降下は、通路内に位置する周囲空気よりも低温で輸送されるエアロゾルによって引き起こされ得る。特に、エアロゾルが噴霧されると、緩和冷間により温度降下が発生する可能性がある。したがって、温度センサからの信号を使用して、時間計測/インジケーション(ブザー/LED)のタイマを開始することができる。現時点で、対応する特性温度曲線/降下が知られており、これらを、比較のために測定済の温度曲線と比較できる限り、特に温度測定を使用して、現在、スプレー缶から分配されているものが液体(潤滑オイル)か気体(噴射ガス)かを判定できることを、すでに指摘しておく必要がある。
【0025】
別の有利な実施形態では、アダプタは、圧力センサを含み/備え得る。圧力センサは、通路内の圧力変化を検出するように構成され得る。タイムキーパはさらに、通路内の圧力変化に基づいて噴霧工程の開始を判定するように構成され得る。具体的には、絶対圧センサ、差圧センサ、双方向差圧センサ、相対圧力センサ、および/または気圧センサを、圧力センサとして使用して、たとえば、通路に存在する空気圧力の形態で圧力変化を検出することができる。噴霧開始中に、圧力変化が生じる場合がある。したがって、圧力センサからの信号を使用して、時間測定/インジケーション(ブザー/LED)のタイマを開始したり、缶が空になったか否かを検出できる。
【0026】
したがって、圧力変化が検出されると、(所定の時間間隔のための)時間計測を開始することができる。
【0027】
さらに、アダプタは、湿度センサをさらに含み/備え得る。湿度センサは、通路内の含油エアロゾルのオイルの割合を検出するように構成され得る。指示要素は、オイルの割合に基づいて噴霧工程を終了するようにユーザに示すように構成され得る。湿度センサは、通路内の湿度を測定するための静電容量式センサであり得る。ここで、静電容量は、誘電率に依存して、通路内の含油量に依存して測定され得る。噴霧工程中に、エアロゾルまたはオイル混合物が、湿度センサを濡らす可能性がある。これにより、たとえば、缶が空であるか、またはボトルが傾きすぎているため、湿度センサは、オイルがまだ存在しているか、噴射剤ガスのみが流出しているかを検出できる。
【0028】
同様に、アダプタは、位置センサをさらに含み/備え得る。位置センサは、スプレー缶の向きを判定するように構成され得る。指示要素は、スプレー缶の向きに基づいて、スプレー缶の向きが許容できない値になった場合に、噴霧工程を終了するようにユーザに示すように構成され得る。本明細書では、向きは、スプレー缶が地球の重力に対してどのように傾いているかを意味すると理解され得る。地表に対する法線に対するスプレー缶の傾斜がしきい値、たとえば20度または30度を超える場合、位置センサは、指示要素に噴霧工程を終了すべきであると示し得る。
【0029】
さらなる実施形態では、アダプタは、電源をさらに含み/備え得る。電源は、アダプタの部品に電力を供給するように構成され得る。電源は、バッテリまたはアキュムレータであり得る。特に、電源は、タイムキーパ、位置センサ、温度センサ、湿度センサ、および/または圧力センサに電力を供給し得る。
【0030】
これにより、アダプタを小型でモジュール式に構成できる。
【0031】
上記で定義された目的は、医療デバイスの手動再処理のための方法を提供することによって、本発明によるさらなる一般的な方法において解決される。この方法は、次のステップを備える。
次のステップは、
医療デバイスを準備することと、
スプレー缶を準備することと、
アダプタ、特に、スマート機能を有する本発明によるアダプタを準備することと、アダプタの第1のポートをスプレー缶に接続することと、
アダプタの第2のポートを医療デバイスに接続することと、
オペレータ/ユーザによるスプレー缶の手動作動により、再処理剤および/またはメンテナンス剤、好ましくは含油エアロゾルを医療デバイスの機械部品に供給するために、スプレー缶の噴霧工程を実行することと、
所定の時間間隔の間、少なくとも1つのスマート機能による時間測定を開始することであって、開始点は、スプレー缶の噴霧工程の手動開始を検出することによって検出される、前記開始することと、
噴霧工程の手動終了のための所定の時間間隔の完了を示すことと、を備える
【0032】
これらのステップは、この順序または別の順序で実行され得る。
【0033】
言い換えれば、本発明は、メンテナンス剤スプレー缶(オイルスプレー缶)と、再処理/メンテナンスされる医療器具だけでなく、そのようなシステム用のアダプタを有するスプレー缶の(流体)結合用のスマート機能を有する/備えるオイルスプレーアダプタと、を備える、再処理/メンテナンスシステムに関する。特に、オイルスプレーを使用すると、上記の3つの重大なユーザによる誤操作を回避できる。
【0034】
1つの例では、この場合、持続時間を維持することができる。医薬品のための再処理ユニット(「RUMP」)を使用する場合、通常は、ストップウォッチではなく、自分の時間感覚に従って測定する。この主観的な時間感覚により、実際の持続時間は、短かすぎるものから、長すぎるものまで様々である。これにより、潤滑が不十分になったり、製品に過剰に注油されたりし得る。潤滑が不十分であると、摩耗、異音、ギアまたはベアリングの損傷、および早期の故障につながる可能性がある。過剰な注油は、高速駆動での発熱、および/または、おそらく本来の場所からの使用中の過剰なオイルの漏れにつながる可能性がある。
【0035】
同じまたは別の例では、垂直位置を維持することができる。ほとんどのスプレーシステムは、上昇パイプがスプレーヘッドから缶の底に至るように構成され得る。缶が垂直に保持されている場合、上昇パイプが常にオイルに囲まれ、オイルの分配が最適になる。缶が不適切な角度で保持されている場合、たとえば、上昇パイプがオイル供給源内になくなり、噴射剤ガスだけが漏出するなどの状態が発生する可能性がある。この利用誤操作は、缶の充填レベルに大きく依存する可能性がある。レベルが低いほど、わずかな傾斜でもこの状態を引き起こすため、深刻である。
【0036】
同じまたは別の例では、缶が空であることを検出することが可能である。缶の空状態の検出は、たとえば、単に、振ってみたり、たとえば紙片に試験的にスプレーしたりすることによって可能である。また、噴射剤だけがまだ出ている間にオイルが欠如しても、ユーザに正しい利用を示唆する可能性があるが、これはもはや当てはまらない。
【0037】
1つまたは複数の態様は、オイルスプレー缶の独立したスタンドアローンでの使用のための利用補助を提供し得る。
【0038】
1つまたは複数の構成例によれば、オイルスプレー缶の使用における最も必然的な誤操作源の1つまたは複数の回避が排除される。
たとえば、誤操作源は、
それぞれのハンドピース/モータシステムに、たとえば10分の1秒の精度で理想的に一致する正確なスプレー時間を遵守するための、視覚的補助および/または音響的補助による不正確なスプレー時間と、
缶があまりにも大きな角度で保持されている場合の視覚的インジケーションおよび/または音響的インジケーションによる缶の位置の誤りと、
空になったときの視覚的インジケーションおよび/または音響的インジケーションによる缶の空状態の検出の失敗と、である。
【0039】
代替例では、インテリジェントオイルスプレーアダプタは、スプレー缶への付属品として、または固定式で提供され、バッテリで駆動され、またはアキュムレータで駆動される。時間期間は、固定され得、個別に調整可能され得、または、たとえばアダプタに取り付け可能な個別のコード化されたアダプタアタッチメント、および/または視覚信号および/または音響信号によって、自動的に提供され得る。
【0040】
さらなる代替例では、噴霧工程の計時されたインジケーションが提供され得る。ここで、たとえば、LEDは、指示要素として、開始から点灯し、時間期間が終了すると消灯する、または、LEDは、時間期間が終了したときにのみ点灯することができる。同様に、信号音(指示要素として拡声器またはブザー)は、最初から鳴り、時間期間が終了すると無音になる、または信号音は、時間期間が終了したときにのみ鳴ることができる。LED/信号音の観点で視覚的および音響的に、対応する指示要素の組合せも提供され得る。
【0041】
1つの実施形態によれば、噴霧工程には、たとえば、停止機構が設けられ得る。1つの例では、LEDおよび/または(速い)信号音は、スプレー缶が斜めに保持されているときを示し得る。1つの例では、LEDおよび/または信号音は、スプレー缶が空になったときを示し得る。1つの例では、LEDおよび/または信号音は、バッテリまたは充電式バッテリが空であるときを示し得る。
【0042】
センサの可能な実現は、マイクロチップの形態でアダプタに統合され得る。マイクロチップ技術におけるセンサは、とりわけ、温度センサ、湿度センサ、位置センサ、圧力センサ、または作動センサであり得る。作動センサは、スプレー缶の押しボタンと相互にやり取りして、押しボタンの作動を噴霧工程の開始として確立することができる。スプレーヘッドを押すと、時間測定が開始される。たとえば、センサの融合の観点で、補完的な代替例があり得る。例として、圧力センサ、湿度センサ、および温度センサの単独での使用、または併用がある。時間測定は、タイマによって、または噴霧工程中の温度降下に基づいて行われ得る。たとえば、10Kは1秒、15Kは2秒、25Kは3秒に対応し得る。したがって、時間測定の終了は、最大温度しきい値によって規定できる。
【0043】
特に、スプレー持続時間の視覚的インジケーションおよび/または音響的インジケーション、および/または、スプレー缶があまりにも斜めに配置されている場合の視覚的警告および/または音響的警告が出力されるように提供され得る。スプレー缶が傾いている場合、位置センサがそれを検出でき、スプレー缶が空の場合、水分センサがジェット内のオイル水分を検出できる。
【0044】
本明細書に記載された説明が、ハードウェア回路、ソフトウェア手段、またはそれらの組合せを使用して実施されるように構成され得る/構成されてもよいことは、当業者には明らかである。ソフトウェア手段は、プログラムされたマイクロプロセッサまたは汎用コンピュータ、ASIC(特定用途向け集積回路)および/またはDSP(デジタル信号プロセッサ)に関連し得る。
【0045】
たとえば、アダプタ、電源、温度センサ、湿度センサ、位置センサ、圧力センサ、作動センサ、指示要素、およびタイムキーパは、コンピュータ、論理回路、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、(たとえば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ(μC)、またはベクトルプロセッサを含む)プロセッサ/(プロセッサに統合されるか、プロセッサによって使用される)コア/CPU(複数のプロセッサコアが可能な中央処理装置)、FPU(浮動小数点ユニット)、NPU(数値処理ユニット)、ALU(算術論理ユニット)、コプロセッサ(メインプロセッサ(CPU)をサポートするための追加のマイクロプロセッサ)、GPGPU(グラフィックプロセシングユニットによる汎用計算)、(とりわけ、複数のメインプロセッサおよび/またはグラフィックプロセッサでの計算演算の同時実行用の)並列コンピュータ、またはDSPとして部分的に実施され得る。
【0046】
上記の態様のいくつかは、アダプタに関して説明されているが、これらの態様は、アダプタ、スプレー缶、および医療デバイスを含む方法またはシステムにも適合し得る。同様に、方法に関して上述した態様は、対応する態様で、アダプタおよびシステムに適合し得る。
【0047】
部品が、別の部品と「接続されている」または「関連付けられている」と言われている場合、これは、その部品と直接接続されていることを意味するが、別の部品が間にある可能性があることに留意されたい。一方、部品が、別の部品に「直接接続されている」と言われている場合、これは、間に他の部品がないことを意味すると理解されるべきである。
【0048】
以下、図面を用いて本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図3a】スプレー缶、アダプタ、および第1の医療デバイスのシステムの概略図である。
【
図3b】図スプレー缶、アダプタ、および第2の医療デバイスからなるシステムの概略図である。
【
図3c】さらなる医療デバイスが接続された分配器システムの形態のスプレー缶、アダプタ、および第3の医療デバイスからなるシステムの概略図である。
【
図4】スプレー缶、可能なアダプタの実施形態、および対応するポートオプションからなるシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図面は、単に概略的なものであり、本発明の理解の目的のためのみ意図されている。同一の要素には、同じ参照記号が与えられる。個々の実施形態の特徴は、置換可能である。
【0051】
それに加えて、「下に位置する」、「下に」、「下方に」、「上に位置する」、「上方に」、「左」、「左に」、「右」、「右に」などの空間的な相対的用語などは、要素または構造と、図に示される1つまたは複数の他の要素または構造との関係を単に説明するために本明細書で使用され得る。空間的な相対的用語は、図に示される向きに加えて、使用中または動作中の部品の他の向きを含むことが意図される。部品は、(90度回転または異なる向きで)異なる方向に向けられ得、本明細書で使用される空間的な相対的記述子も同様に、それに応じて解釈され得る。
【0052】
アダプタおよび方法、またはそれぞれアダプタ、スプレー缶、および医療デバイスからなるシステムが、実施形態を参照して説明される。
【0053】
原則として、本明細書の開示は、それぞれ医療デバイス40またはその要素を潤滑するために提供されるスプレー缶20用のアダプタ30に関する。アダプタ30は、スプレー缶20を手動で操作する際にユーザによってなされた誤操作をユーザ自身に伝える働きをし、それによって、医療デバイス40を損傷から保護する、または医療デバイス40の最適な性能を保証する。本目的のために、医療デバイス40の最適な再処理を提供するために、時間、傾き、および油含有量が考慮される。システムのすべての要素について詳細に説明する。
【0054】
図1は、スプレー缶20の概略図を示す。スプレー缶20は、内部空間から分離された金属容器1を有する。一方、内部空間は、噴射剤2.1を有する液体状態の活性剤溶液を備え、ボトルを垂直に保持したときにそれはスプレー缶20の実質的に下部に配置されるため、ここでは、活性剤溶液は、例として底部に示されている。この上に、噴射剤2.2が気体状態で示されており、噴射剤2.2は、ボトルが垂直に保持されたときにスプレー缶20の実質的に上部に配置される。空間内には、活性剤溶液を受け取るための上昇パイプ3が延びている。
図1に示すように、上昇パイプ3は、上昇パイプ3の最下部が空間内の活性剤溶液2.1内にあるときに、活性剤溶液2.1を正確に取り込む。スプレー缶20が傾いている場合、および/または少量の活性剤溶液2.1しかチャンバ内に残っていない場合、大量の噴射剤2.2が上昇パイプ3に入ることができる。このケースに気付かないままだと、これは不利である。
【0055】
上昇パイプ3は、活性剤溶液2.1および/または噴射剤2.2がボトルから出ることを防ぐ弁4に通じている。弁4は、活性剤溶液2.1および/または噴射剤2.2がスプレー缶20から出ることができるように、スプレーヘッド5を押す/作動させることによって開かれる。完全を期すために、または例として、
図1は、スプレー缶20の保護キャップ6も示している。
【0056】
さらなる詳細および態様は、上記または下記の実施形態に関連して言及される。
図1に示される実施形態は、提案された概念または
図2、
図3a、および
図3bに関して以下に説明される実施形態に関連して言及される1つまたは複数の態様に対応する1つまたは複数のオプションの追加機能を有し得る。
【0057】
図2は、アダプタ30の概略図を示す。アダプタ30は、特に、
図1に示されるようなスプレー缶20のために提供され得る。本目的のために、アダプタ30は、第1のポート7に使用されるポートのタイプに応じて、たとえば、ねじ込みまたはプラグを差し込むことによってスプレー缶20に接続できる、第1のポート7を有する。通路(図示省略)は、アダプタ30を通って第2のポート8に至り、第2のポートは、順に、医療デバイス40に接続され得る。この接続は、プラグ差し込みによって有利に行うことができる。
図2では、バッテリの形態の電源9、位置センサの形態のセンサ10、およびタイマの形態のタイムキーパ11が例として示されている。具体的には、タイムキーパは、スプレー缶のスプレーヘッド5が作動したときに開始する時間間隔を規定できる。時間間隔の終了時に、LEDの形態の視覚的インジケーション12、またはビーパまたはブザーの形態の音響的インジケーション13のいずれかが、それぞれ点灯または鳴動され得る、または両方がともに点灯または鳴動され得る。これによって、ユーザに、スプレー缶20の操作を停止するように伝える。
【0058】
バッテリ9は、アダプタ30の対応するエネルギ消費体10、11、12、13に必要なエネルギまたは対応する電流をそれぞれ供給する。本目的のために、アダプタ30によって提供される空間内にケーブルを配線し、エネルギ消費体10、11、12、13をバッテリ9に接続することができる。本目的のために、3Vまたは5Vの電圧供給を提供することができる。使用されるエネルギ消費体は、マイクロチップの形態でアダプタに統合され得る。
【0059】
位置センサ10は、アダプタが図面に関連して水平面から逸脱しているか否かを測定し、
図2の水平に対する傾きがしきい値を超える場合、視覚的インジケーション12および/または音響的インジケーション13に信号を送信する。ボトルが完全に満たされていない場合は、しきい値は保守的に選択され得る。
【0060】
さらなる詳細および態様は、上記または下記の実施形態に関連して言及される。
図2に示される実施形態は、提案された概念、または上記(たとえば、
図1)もしくは下記(たとえば、
図3a、
図3b、および
図3c)の1つまたは複数の実施形態に関連して言及される1つまたは複数の態様に対応する1つまたは複数のオプションの追加機能を含み得る。
【0061】
図3a、
図3b、および
図3cは、スプレー缶20、アダプタ30、および第1または第2または第3の医療デバイス40のそれぞれからなるシステムの概略図を示す。
図3a、
図3b、および
図3cは、接続されるデバイス40のタイプおよび第2のポート8のタイプのみが異なる。3つの要素であるスプレー缶20、アダプタ30、および医療デバイス40は、ともに差し込まれ得る。これにより、スプレー缶20と医療デバイス40との間に連続的な通路を作成する。たとえば、本目的のために、アダプタ30の通路の幅がスプレーヘッド5によって提供される通路のサイズに対応するように、通路が設けられ得る。さらに、通路は、第1のポート7から、すなわちスプレーヘッド5から第2のポート8まで、すなわち医療デバイス40まで、より大きくまたはより小さくなるように適合され得る。これには、最適化された方式でオイルを分配し、オイルの損失を回避するという利点がある。
【0062】
さらに、第1のポート7は、スプレー缶20のスプレーヘッド5に設けられた接続点を補完するように構成され得る。これは、医療デバイス40に設けられた接続点を補完するように構成され得る第2のポート8にも適合する。
【0063】
噴霧工程が完了したとき、または完了しようとしているとき、またはインジケーション12、13の一方または両方によってそのように示されている場合、ユーザは、スプレー缶20から、および医療デバイス40からアダプタを取り外す。それぞれのポートを嵌合するために異なる力が加えられ得るため、最初にアダプタ30を医療デバイス40から取り外し、次にスプレー缶20から取り外すことが有利であり得る。たとえば、医療デバイス40に設けられた接続点に関連する第2のポート8の力は、スプレー缶20のスプレーヘッド5に設けられた接続点に関連する第1のポート7の力よりもより小さく、たとえば、3/4より小さい、または1/2より小さい、または1/4より小さいように構成され得る。これにより、スプレー缶20を、アダプタ30とともに、より容易に取り扱うことができる。
【0064】
さらに、アダプタ30は、注油される医療デバイス40とのスマート接続を確立するように適合される。スマート接続という用語は、たとえば、医療デバイス40が接続されているか否かを検出し、接続された医療デバイス40のタイプまたはそれぞれの種類を識別することができ、また接続された医療デバイス40と相互にやり取りすることもできる、すなわち、アダプタ30と医療デバイス40との間でデータを交換することができるセンサシステムを、アダプタ30が有することを意味する。
【0065】
読取可能なデータメモリおよび識別機能として動作できるRFIDチップは、センサシステムの部品であり得る。RFIDチップは、たとえば、近距離無線通信(NFC)やBluetooth Low Energy(BLE)無線技術を使用して、非接触で読み取ることができる。
【0066】
図4は、
図3a、
図3b、および
図3cからの個々の例を要約して、医療デバイス40へのアダプタ30の様々なスマート接続オプションの概要を示す。
【0067】
詳細には、スマート接続は、
図3aおよび
図3bに示されるように、医療デバイス40がアダプタ30に直接接続されているか否か、または
図3cに示されるように、分配器システム41のような中間機能ユニットを介して間接的に接続されているか否かを、検出中に区別することができる。分配器システム41は、たとえば、それぞれの端部に出口44がある複数の分配通路43を有するポート入口42を有し得る。医療器具45は、それぞれの出口44に接続され得る。それによって、アダプタ30と、いくつかの医療器具45との間の間接的な接続を可能にする。
【0068】
分配器システム41は、医療器具45用の保管トレイのセンサシステムを備えるホルダの一部であり得る。保管トレイは、以下、スマートトレイ46と呼ばれる。ここで、医療器具45のハンドピース47は、たとえばRFIDチップの形態の、特にガラス管に封入されたいわゆるガラスタグの形態のセンサシステムを有し得る。
【0069】
アダプタ30、スマートトレイ46、医療デバイス40、および医療器具45などの個々のポートパートナのセンサ機器は、個々のポートパートナ間のスマート接続を可能にし、これは、全体的に、直接的または間接的に互いに接続されるポートパートナのスマートネットワーキングとなる。言い換えれば、個々のスマートポートパートナ間で情報を渡し、交換し、保管し、処理することができる。
【0070】
特定の利用では、インテリジェントオイルスプレーアダプタ30におけるデータ処理は、注油される医療デバイス40またはスマートトレイ46がNFCまたはBLEを介して第2のポート8で検出および/または識別されるか否かに依存する。識別されると、アダプタ30は、RFIDチップに格納された医療デバイス40またはスマートトレイ46のパラメータを読み取り、対応するデバイス40に注油するのに必要な量および持続時間を判定することができる。
【0071】
アダプタ30は、医療デバイス40またはスマートトレイ46のパラメータを読み取った後、たとえば、視覚的インジケーション12を介して「注油工程十分」を出力して、スプレー缶20内のオイルの量が、注油されるそれぞれのデバイス40の注油工程のために、十分であることを知らせることができる。医療デバイス40またはスマートトレイ46のパラメータを読み取った後、これは、スプレー缶20内のオイルの量が、もはや十分ではないと判定された場合、視覚的インジケーション12を介して「注油工程不十分」として出力され得る。代替的または追加的に、スプレー缶20内に十分なオイルがあるか否かに関する通知は、音響的インジケーション12の音響信号または視覚的インジケーション13の色信号を介して伝達され得る。
【0072】
アダプタ30は、医療デバイス40の注油工程を、分配器システム41を用いて、スマートトレイ46を介して直接的または間接的に完了した後、噴霧工程での持続時間および量などの注油工程のそれぞれのパラメータを、スマートトレイ46にのみならず、医療器具45のハンドピース47において、それぞれの医療デバイス40に格納することができる。言い換えれば、アダプタ30と接続部品(デバイス40、スマートトレイ46、医療器具45のハンドピース47)との間の相互のやり取りが可能であり、個々の正確な注油量および噴霧持続時間の制御を可能にする。
【0073】
さらに、アダプタ30のみならずスマートトレイ46は、注油工程のそれぞれのパラメータを格納するだけでなく、たとえば識別番号によって、それぞれのパラメータを、対応する医療デバイス40に具体的に割り当てることもできる。言い換えれば、アダプタ30と接続部品(デバイス40、スマートトレイ46、医療器具45のハンドピース47)との間の相互のやり取りが可能であり、これにより、連続噴霧時間およびオイル量などの情報を、接続部品に再び格納することが可能になる。
【0074】
個々の注油工程のデータは、オイルスプレーアダプタ30とスマートトレイ46からも読み取ることができる。
【0075】
本発明は、要約すると、たとえば油含有エアロゾルなどの流体を分配するスプレー缶20に接続するためのアダプタ30に関する。アダプタ30は、利用パラメータ、好ましくはスプレー缶20の状態パラメータも検出し、それに応じてユーザに通知するように意図され構成されたスマート機能を備える。利用パラメータは、ツール/器具の再処理における現在の再処理ステップのタイプについて結論を導き出すことを直接的または間接的に可能にするパラメータとして理解されるべきである。したがって、アダプタにおいて直接的または間接的に判定できる再処理時間、温度などの特性パラメータを、各再処理ステップ(洗浄、消毒、滅菌、メンテナンスなど)に割り当てることができる。ポート等に基づいて現在の再処理工程を判定することも可能である。たとえば、アダプタは、所定の時間間隔の間、時間測定を実行するように構成されたタイムキーパ11を有し得、時間測定の開始点は、スプレー缶20の噴霧工程などの再処理ステップの開始によって示され、アダプタは、所定の時間間隔の完了時に噴霧工程を停止するようにユーザに示すように構成された指示要素12、13を有することができる。さらに、本発明は、医療デバイス40を手動で再処理する方法に関する。一方、任意選択の状態パラメータは、スプレー缶の状態、たとえば、充填レベル、スプレー缶の操作性/機能、正しい充填剤などのインジケーションを提供するパラメータに関連する。
【符号の説明】
【0076】
1 :金属容器
2.1 :噴射剤を有する活性剤溶液(液体)
2.2 :噴射剤(気体)
3 :上昇パイプ
4 :弁
5 :スプレーヘッド
6 :保護キャップ
7 :第1のポート
8 :第2のポート
9 :電源
10 :センサ
11 :タイムキーパ
12 :視覚的インジケーション
13 :音響的インジケーション
20 :スプレー缶
30 :アダプタ
40 :医療デバイス
41 :分配器システム
42 :ポート入口
43 :分配通路
44 :出口
45 :医療器具
46 :スマートトレイ
47 :ハンドピース
【手続補正書】
【提出日】2023-01-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メンテナンス剤
を分配するスプレー缶
と、前記スプレー缶
への任意選択の接続のためのアダプタ
と、を備える、医療器具用の再処理および/またはメンテナンスシステムであって、
前記アダプタ
は、
前記スプレー缶の利用パラメータ
を検出し、それに応じてユーザに通知するように提供されるおよび構成されるスマート機能を備えることを特徴とする、再処理および/またはメンテナンスシステム。
【請求項2】
前記メンテナンス剤は、含油エアロゾルであることを特徴とする、請求項1に記載の再処理および/またはメンテナンスシステム。
【請求項3】
前記アダプタは、前記スプレー缶の状態パラメータも検出し、それに応じて前記ユーザに通知するように提供されるおよび構成される前記スマート機能を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の再処理および/またはメンテナンスシステム。
【請求項4】
前記アダプタは、接続される医療デバイスとのスマート接続を確立するように設定されるセンサシステムを有することを特徴とする、請求項1に記載の再処理および/またはメンテナンスシステム。
【請求項5】
前記センサシステムは、NFCまたはBLE無線技術を介して、スマートトレイまたは前記医療器具である、接続される前記医療デバイスとの前記スマート接続を確立するように設定されていることを特徴とする、請求項4に記載の再処理および/またはメンテナンスシステム。
【請求項6】
前記アダプタの前記センサシステムは、前記スマート接続の手段により、前記医療デバイスのタイプを識別し、前記医療デバイスが前記アダプタに直接的に、または間接的に接続されているかどうかを認識するように設定されていることを特徴とする、請求項4または5に記載の再処理および/またはメンテナンスシステム。
【請求項7】
前記アダプタの前記センサシステムは、前記スマート接続の手段により、前記アダプタと前記医療デバイスとの間でデータを交換し、処理し、保管するように設定されており、
前記医療デバイスの前記データは、RFIDチップに保管されることを特徴とする、請求項4に記載の再処理および/またはメンテナンスシステム。
【請求項8】
前記スマート機能は、
所定の時間間隔の間、時間測定を実行するように構成されるタイムキーパ
であって、前記時間測定の開始点が、前記スプレー缶
の噴霧工程の開始によって示される、タイムキーパ
と、
前記所定の時間間隔の完了時に、前記噴霧工程を終了するように前記ユーザに示すように構成される指示要素と、を備えることを特徴とする、請求項1
から7のいずれか一項に記載の再処理および/またはメンテナンスシステム。
【請求項9】
前記アダプタ
は、
前記スプレー缶
に接続するために提供される第1のポート
と、
医療デバイス
に接続するために提供される第2のポート
と、
前記第1のポート
を前記第2のポート
に接続し、前記スプレー缶
によって分配されたエアロゾルを前記第1のポート
から前記第2のポート
に案内するために提供される通路と、をさらに備えることを特徴とする、請求項1
から8のいずれか一項に記載の再処理および/またはメンテナンスシステム。
【請求項10】
前記アダプタ
は、前記通路内の温度降下を検出するように構成される温度センサ
をさらに備え、
前記タイムキーパ
は、前記温度降下に基づいて前記噴霧工程の前記開始を判定するように構成されることを特徴とする、請求項1から
9のいずれか一項に記載の再処理および/またはメンテナンスシステム。
【請求項11】
前記アダプタ
は、前記通路内の圧力変化を検出するように構成される圧力センサ
をさらに備え、
前記タイムキーパ
は、前記圧力変化に基づいて前記噴霧工程の前記開始を判定するように構成されることを特徴とする、請求項1から
10のいずれか一項に記載の再処理および/またはメンテナンスシステム。
【請求項12】
前記アダプタ
は、前記通路内の前記含油エアロゾルのオイル割合を検出するように構成される湿度センサ
をさらに備え、
前記指示要素
は、前記オイル割合に基づいて前記噴霧工程を終了するように前記ユーザに示すように構成されることを特徴とする、請求項1から
11のいずれか一項に記載の再処理および/またはメンテナンスシステム。
【請求項13】
前記アダプタ
は、前記スプレー缶
の向きを判定するように構成される位置センサ
をさらに備え、
前記指示要素
は、前記スプレー缶
の前記向きに基づいて、前記噴霧工程を終了するように前記ユーザに示すように構成されることを特徴とする、請求項1から
12のいずれか一項に記載の再処理および/またはメンテナンスシステム。
【請求項14】
前記アダプタ
は、前記アダプタ
の前記部品に電力を供給するように構成される電源
をさらに備えることを特徴とする、請求項1から
13のいずれか一項に記載の再処理および/またはメンテナンスシステム。
【請求項15】
前記電源
は、
交換可能なバッテリまたはアキュムレータであることを特徴とする、請求項
14に記載の再処理および/またはメンテナンスシステム。
【請求項16】
前記指示要素
は、視覚的インジケーションまたは音響的インジケーションであることを特徴とする、請求項
8に記載の再処理および/またはメンテナンスシステム。
【請求項17】
前記アダプタ
は、再利用可能なユニットとして前記スプレー缶
に接続され、一方向ユニット(one-way unit)として前記医療器具に接続されるように提供および構成されることを特徴とする、請求項1から1
6のいずれか一項に記載の再処理および/または
メンテナンスシステム用のアダプタ。
【請求項18】
請求項1から1
7のいずれか一項に記載のアダプタを使用して医療
デバイスを手動で再処理および/またはメンテナンスする方法であって、
医療デバイス
を準備することと、
スプレー缶
を準備することと、
前記アダプタ
を準備することと、
前記アダプタ
の第1のポート
を前記スプレー缶
に接続することと、
前記アダプタ
の第2のポート
を前記医療
デバイスに接続することと、
ユーザによる前記スプレー缶
の手動作動により、再処理剤および/またはメンテナンス剤
を前記医療デバイス
の機械部品に供給するために、前記スプレー缶
の噴霧工程を実行することと、
所定の時間間隔の時間測定、または前記アダプタを通過する体積流れの測定を開始することであって、前記開始点は、前記スプレー缶
の前記噴霧工程の開始を検出することによって示される、前記開始することと、
前記所定の時間間隔の完了または所定の体積流量への到達と、前記噴霧工程が終了されることについての関連する要求と、を示すことと、のステップを備える、方法。
【請求項19】
前記再処理剤および/またはメンテナンス剤は、含油エアロゾルであることを特徴とする、請求項18に記載の、アダプタを使用して医療デバイスを手動で再処理および/またはメンテナンスする方法。
【国際調査報告】