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特表2023-522271目標とする透過色と目標とする反射色を提供するための層状アセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-29
(54)【発明の名称】目標とする透過色と目標とする反射色を提供するための層状アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/15 20190101AFI20230522BHJP
   G02F 1/17 20190101ALI20230522BHJP
   E06B 9/24 20060101ALI20230522BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
G02F1/15 502
G02F1/17
E06B9/24 A
G02F1/13 505
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564203
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(85)【翻訳文提出日】2022-12-08
(86)【国際出願番号】 CA2021050558
(87)【国際公開番号】W WO2021212233
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】63/015,048
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521067832
【氏名又は名称】ソルティア・カナダ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】サージェント,ジョナサン・ロス
(72)【発明者】
【氏名】オルブライト,ブロデリック・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ローウェ,トム
(72)【発明者】
【氏名】マーシュマン,ベロニカ・エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】フィンデン,ジェレミー・グラハム
【テーマコード(参考)】
2H088
2K101
【Fターム(参考)】
2H088EA34
2H088HA12
2H088HA14
2H088KA30
2H088MA05
2K101AA08
2K101AA22
2K101AA24
2K101AA35
2K101AA36
2K101EA01
2K101EA11
2K101EE01
2K101EE21
2K101EE31
2K101EE41
2K101EG01
2K101EG05
2K101EG27
2K101EG52
2K101EK05
(57)【要約】
対向する第1および第2の側面を有する可変透過率層と;可変透過率層の第1の側面に配置された少なくとも第1の反射率カラーバランス層と;可変透過率層の第1の側面または第2の側面に配置された透過率カラーバランス層とを含む、層状アセンブリが開示される。可変透過率層は、暗状態と明状態との間で可変であり得、暗状態にあるときに暗状態透過率スペクトルを有し得、明状態にあるときに異なる明状態透過率スペクトルを有し得る。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i.対向する第1および第2の側面を有する可変透過率層と、
ii.前記可変透過率層の第1の側面に配置された少なくとも第1の反射率カラーバランス層と、
iii.前記可変透過率層の第1の側面または第2の側面に配置された透過率カラーバランス層と
を含む、層状アセンブリ。
【請求項2】
前記第1の反射率カラーバランス層と反対側の前記可変透過率層の側面に第2の反射率カラーバランス層をさらに含む、請求項1に記載の層状アセンブリ。
【請求項3】
前記第1の反射率カラーバランス層および前記透過率カラーバランス層の少なくとも1つが、複数の着色フィルムを含む、請求項1または2に記載の層状アセンブリ。
【請求項4】
前記層状アセンブリの第1の側面に第1のポリマー層を、および前記層状アセンブリの第2の側面に第2のポリマー層をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の層状アセンブリ。
【請求項5】
前記第1および第2のポリマー層の少なくとも1つが、PET上のPVBコーティングを含む、請求項4に記載の層状アセンブリ。
【請求項6】
前記層状アセンブリがIR遮断層をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の層状アセンブリ。
【請求項7】
少なくとも前記第1の反射率カラーバランス層が着色PVBを含み、前記層状アセンブリが前記第1の反射率カラーバランス層に積層された硬質基材をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の層状アセンブリ。
【請求項8】
前記第1の反射率カラーバランス層と前記第2の反射率カラーバランス層の両方が着色PVBを含み、前記層状アセンブリが前記第1の反射率カラーバランス層と前記第2の反射率カラーバランス層にそれぞれ積層された硬質基材をさらに含む、請求項2に記載の層状アセンブリ。
【請求項9】
前記可変透過率層、前記反射率カラーバランス層、および前記透過率カラーバランス層が内部に積層された、ポリマーベース層をさらに含み、前記反射率カラーバランス層が前記ポリマーベース層にすぐ隣接する、請求項1から3のいずれか一項に記載の層状アセンブリ。
【請求項10】
前記第1ポリマー層および前記第2ポリマー層にそれぞれ積層された硬質基材をさらに含む、請求項4に記載の層状アセンブリ。
【請求項11】
前記ポリマーベース層の対向する側面にそれぞれ積層された硬質基材をさらに含む、請求項9に記載の層状アセンブリ。
【請求項12】
i.前記可変透過率層が、暗状態と明状態との間で可変であり、
ii.前記可変透過率層が、暗状態にあるときに暗状態透過率スペクトルを有し、明状態にあるときに異なる明状態透過率スペクトルを有し、
iii.前記可変透過率層が暗状態にあるときに前記反射率カラーバランス層に入射する可視光に応答して、前記層状アセンブリの透過色が目標透過率色に近似し、前記層状アセンブリの反射色が目標反射色に近似するように、前記暗状態透過率スペクトルおよび前記カラーバランス層の透過率スペクトルが選択される、
請求項1から11のいずれか一項に記載の層状アセンブリ。
【請求項13】
i.前記可変透過率層が、暗状態と明状態の間で可変であり、
ii.前記可変透過率層が、暗状態にあるときに暗状態透過率スペクトルを有し、明状態にあるときに異なる明状態透過率スペクトルを有し、
iii.前記可変透過率層が明状態にあるときに前記反射率カラーバランス層に入射する可視光に応答して、前記層状アセンブリの透過色が目標透過率色に近似し、前記層状アセンブリの反射色が目標反射色に近似するように、前記明状態透過率スペクトルおよび前記カラーバランス層の透過率スペクトルが選択される、
請求項1から11のいずれか一項に記載の層状アセンブリ。
【請求項14】
暗状態での前記目標透過色が、-13~+13のa値および-20~+3のb値、または-10~+10のa値および-15~+3のb値、または-4~+4のa値および-7~+3のb値を有する、請求項12記載の層状アセンブリ。
【請求項15】
前記明状態での前記目標透過色が、-6~+10のa値および-4~+24のb値、または-5~+8のa値および-3~+18のb値、または-4~+4のa値および-2~+8のb値を有する、請求項13に記載の層状アセンブリ。
【請求項16】
暗状態での前記目標反射色が、-10~+22のa値および-9~+9のb値、または-4~+19のa値および-5~+6のb値、または-2~+15のa値および-2~+6のb値を有する、請求項12に記載の層状アセンブリ。
【請求項17】
前記明状態での前記目標反射色が、-10~+23のa値および-2~+22のb値、または-6~+18のa値および-2~+16のb値、または-2~+16のa値および-2~+12のb値を有する、請求項13に記載の層状アセンブリ。
【請求項18】
前記第1の反射率カラーバランス層および前記透過率カラーバランス層がない場合の層状アセンブリの透過率と比較した実際の透過色の差が、少なくとも5のデルタCを有する、請求項12から17のいずれか一項に記載の層状アセンブリ。
【請求項19】
前記可変透過率層が、フォトクロミック材料、エレクトロクロミック材料、サーモクロミック材料、液晶材料、または懸濁粒子デバイスの1つまたは複数を含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の層状アセンブリ。
【請求項20】
前記可変透過率層が、電磁波に曝露されると退色状態から暗状態に、電圧の印加により暗状態から退色状態に移行可能である、請求項1から19のいずれか一項に記載の層状アセンブリ。
【請求項21】
暗状態で約1%未満、または約2%未満、または約5%未満、または約10%未満のLTを有する、請求項1から20のいずれか一項に記載の層状アセンブリ。
【請求項22】
退色状態で約5%超、または約10%超、または約15%超、または約20%超のLTを有する、請求項1から21のいずれか一項に記載の層状アセンブリ。
【請求項23】
前記層状アセンブリを通る透過ヘイズが、5%以下、3%以下、2%以下、または1%以下である、請求項1から22のいずれか一項に記載の層状アセンブリ。
【請求項24】
前記反射率カラーバランス層および前記透過率カラーバランス層の少なくとも1つが、
a.ポリマー基材、および
b.複合コーティングであって、前記複合コーティングが、ポリイオンバインダーを含む第1の層と、電磁エネルギー吸収性不溶性粒子を含む第2の層とを含み、前記第1の層と前記第2の層のそれぞれが、一緒になって相補的結合基対を形成する結合基構成要素を含む、複合コーティング
を含む交互積層光学製品を含む、請求項1から23のいずれか一項に記載の層状アセンブリ。
【請求項25】
i.対向する第1および第2の側面を有する可変透過率層と、
ii.前記可変透過率層の第1の側面に配置された透過率カラーバランス層と、
iii.前記可変透過率層の第1の側面に配置され、前記透過率カラーバランス層のアウトボードにある第1の反射率カラーバランス層と、
iv.前記可変透過率層の第2の側面に配置された第2の反射率カラーバランス層と
を含む、層状アセンブリ。
【請求項26】
i.前記可変透過率層が、暗状態と明状態との間で可変であり、
ii.前記可変透過率層が、暗状態にあるときに暗状態透過率スペクトルを有し、明状態にあるときに異なる明状態透過率スペクトルを有し、
iii.前記可変透過率層が暗状態にあるときに前記反射率カラーバランス層に入射する可視光に応答して、前記層状アセンブリの透過色が-13~+13のa値および-20~+3の間のb値を有するように、前記暗状態透過率スペクトルおよび前記カラーバランス層の透過率スペクトルが選択される、
請求項25に記載の層状アセンブリ。
【請求項27】
i.前記可変透過率層が、暗状態と明状態の間で可変であり、
ii.前記可変透過率層が、暗状態にあるときに暗状態透過率スペクトルを有し、明状態にあるときに異なる明状態透過率スペクトルを有し、
iii.前記可変透過率層が明状態にあるときに前記反射率カラーバランス層に入射する可視光に応答して、前記層状アセンブリの透過色が、-6~+10のa値および-4~+24のb値、または-5~+8のa値および-3~+18のb値、または-4~+4のa値および-2~+8のb値を有するように、前記明状態透過率スペクトルおよび前記カラーバランス層の透過率スペクトルが選択される、
請求項25に記載の層状アセンブリ。
【請求項28】
i.前記可変透過率層が、非不透明な暗状態と明状態との間で可変であり、
ii.前記可変透過率層が、暗状態にあるときに暗状態反射率スペクトルを有し、明状態にあるときに異なる明状態反射率スペクトルを有し、
iii.前記可変透過率層が暗状態にあるときに前記反射率カラーバランス層に入射する可視光に応答して、前記層状アセンブリの反射色が-10~+22のa値および-9~+9のb値を有するように、前記暗状態反射率スペクトルおよび前記カラーバランス層の反射率スペクトルが選択される、
請求項26または27に記載の層状アセンブリ。
【請求項29】
i.前記可変透過率層が、非不透明な暗状態と明状態との間で可変であり、
ii.前記可変透過率層が、暗状態にあるときに暗状態反射率スペクトルを有し、明状態にあるときに異なる明状態反射率スペクトルを有し、
iii.前記可変透過率層が明状態にあるときに前記反射率カラーバランス層に入射する可視光に応答して、前記層状アセンブリの反射色が-10~+23のa値および-2~+22のb値を有するように、前記明状態反射率スペクトルおよび前記カラーバランス層の反射率スペクトルが選択される、
請求項26または27に記載の層状アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、一般に、可変透過率フィルターである層状アセンブリに関する。アセンブリはまた、最適な反射色を示すように設計されている。アセンブリは、1つまたは複数のコーティングを含み得る。
【背景技術】
【0002】
[0002]可変透過率窓は、窓を透過する電磁放射を選択的にフィルターリングすることを可能にする。例えば、車両のサンルーフまたは乗客窓などの車両に組み込まれる場合、可変透過率窓を介して車両に出入りする電磁放射の強度および波長の一方または両方は、車両内の光の強度などのパラメータに影響を与えるように制御され得る。
【0003】
[0003]この分野のいくつかの先行技術には、Guardian GlassによるWO2018075005A1またはUS20190248700A1があり、吸収体層と低い可視透過率を有する低Eコーティングを有するグレー色のコーティング物品を記載している。また、Guardian GlassによるUS20170267579A1およびUS10247855は、低い日射透過率値を有するグレー色の熱処理可能なコーティング物品を記載している。SWITCH Materials Inc.のUS9588358は、目標透過色の達成に対処する可変透過率層を含む光学フィルターを記載している。
【0004】
[0004]可変透過率光学フィルターは、可視光透過率を変更するために様々な技術を採用することができる。一般に、このようなフィルターは、UV光、温度および/または電圧などの刺激の適用、除去または低減により、光透過率の高い状態(退色状態または明状態)から光透過率の低い状態(暗状態)の間で切り替えられ得る。可変透過率窓に使用される技術の例は、フォトクロミック、エレクトロクロミック、サーモクロミック、ケモクロミック、ピエゾクロミック、液晶、または懸濁粒子を含む。フォトクロミック材料は、光、例えば紫外線に応答して暗くなるものがあり、UV光が除去または減少すると退色状態に戻るものがある。エレクトロクロミック材料は、電圧の印加に応答して暗くなるものがあり、電圧が除去されると退色状態に戻るものがある。あるいは、エレクトロクロミック材料は、第一極性の電圧の印加に応答して暗くなるものがあり、反対極性の電圧が印加されると退色するものがある。サーモクロミック材料は、温度の上昇に比例して暗くなるものがある。例えば、材料が温かくなるほど、暗くなることがある。サーモクロミック材料は、温度が下がると退色状態に戻ることがある。ケモクロミック材料は、水素ガス、pH、イオン濃度などの環境の化学的変化に応答して暗くなったり明るくなったりするものがある。圧電材料は、圧力変化や機械的応力の変化に応じて暗くなったり明るくなったりするものがある。液晶材料および懸濁粒子デバイスは、電圧の印加に応答して配向が変化する結晶や粒子を含む。電圧がない場合、結晶や粒子はランダムに配向しており、入射光を散乱させるため不透明に見えるか、ほとんど光を透過しない。電圧をかけると、結晶や粒子は電界に整列し、光を透過することができる。可変透過率光学フィルターがエレクトロクロミック態様を含む場合、可変透過率光学フィルターは、光学フィルターを制御回路に接続するための電気コネクタを含み得、制御回路は、光学フィルターに電力を供給してエレクトロクロミック色変化をもたらす。
【0005】
[0005]可変透過率光学フィルターの性質とその用途によっては、透過光または太陽エネルギーのさらなる減衰が望ましい場合がある。可変透過率光学フィルターが車両、航空機または建物の窓に使用される場合、赤外線の透過を低減または遮断することは、熱上昇を制御するために有用であり得、紫外線の透過を低減または遮断することは、車両または建物内の乗員を保護するために有用であり得る。衝撃保護が望ましい場合、窓に合わせガラス(「安全ガラス」)を含めることが有用である場合がある。
【0006】
[0006]ニュートラルまたはグレーの反射色を同時に示すニュートラルまたはグレーの透過色を有する合わせガラスは公知である-US20170267579A1およびWO2018075005A1は、物品が低い日射透過率および/または低い日射熱取得率と組み合わせてグレーガラス側面の反射着色(反射着色)を実現するように設計されているコーティング物品を記載している。しかし、これらの出願は、可視範囲の可変光透過率を有する窓で、どのように色を操作し得るかについては言及していない。
【0007】
[0007]色合いまたは着色を有する合わせガラスは公知であり、US4244997およびUS2009/0303581は、シェードバンドを有する合わせガラスを記載し、US7655314は、IR遮断構成要素と、IR遮断構成要素の黄緑色の外観を補完する着色剤を含む中間層を有する合わせガラスを記載しているが、可視領域の可変光透過率を有する窓でどのように色を操作することができるかは説明していない。グレー、ブロンズ、またはグリーンの色調の着色ガラスも、窓を透過する光を減衰させるために使用することができる。一部の色合いは、可視スペクトルにわたってほぼ均等に光を減衰させる場合があり、これは全体的なグレアを低減するのに有効である可能性があるが、合わせガラス自体の構成要素が色を有する場合、ニュートラルトーンへの色の「補正」を提供しない場合があり、追加の色補正が必要になる場合がある。
【0008】
[0008]合わせガラスが可変透過率構成要素を有する場合、退色状態および暗状態の一方または両方における光透過の程度が大きすぎたり、歪んだ色であったりすることがある。透過色(例えば、前記アセンブリを通過する光を目が観察している積層アセンブリの色)を望ましいニュートラルカラーにタンデムにバランスさせながら、反射光(例えば、反射される光を目が観察している積層アセンブリの色)に対して同様にニュートラルカラーを達成することは困難である。以前は、自動車用サンルーフや建築用窓などのグレージング製品のカラーバランスは、ガラス自体の化学組成を変更して所望の色を提供するか、2枚のガラスの間に着色中間層(例えばPVB)を含むことにより達成されていた。可変透過率フィルターの色を変更することは、可変透過率を生成するために使用される材料が、可変透過率特性のすべてを維持しながら異なる色に容易に変更できないため、はるかに困難である。例えば、一部の可変透過率フィルターは青色であり、これはある用途には適しているが、他の用途には適していないことがある。現在、製品全体の色は、たとえその色が製品の顧客や潜在的な顧客にとって最も望ましいものとは見なされないとしても、可変透過率フィルターの色によって決定される。1つまたは複数の追加の可視光フィルターを含めると、透過光をさらに減衰させることができるが、色を歪ませたり、既に歪んだ色を悪化させたりする可能性もある。
【0009】
[0009]US9588358は、暗状態での第1のスペクトル、および退色状態での第2のスペクトルを有する可変透過率層と、第3のスペクトルを有するカラーバランス層とを含む光学フィルターを記載している。暗状態のスペクトルがカラーバランス層のスペクトルと組み合わされると、結果として生じる透過スペクトルは暗状態の目標色に近似する。同様に、明状態のスペクトルは、結果として生じる透過スペクトルが明状態の目標色に近似するように、カラーバランス層と組み合わされる。US9588358は、光学フィルターの反射色を最適化する方法についての教示またはガイダンスを提供しない。追加の光減衰層は、スタックに含まれ得、光学フィルターは、合わせガラスの一部を含み得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
[00010]一態様では、本発明は、対向する第1および第2の側面を有する可変透過率層と;可変透過率層の第1の側面に配置された少なくとも第1の反射率カラーバランス層と;可変透過率層の第1の側面または第2の側面に配置された透過率カラーバランス層とを含む、層状アセンブリに関する。本発明の層状アセンブリは、第1の反射率カラーバランス層と反対側の可変透過率層の側面に第2の反射率カラーバランス層をさらに含み得る。
【0011】
[00011]別の態様では、本発明は、可変透過率光学フィルター層と、所望の透過色および所望の反射色を達成するために可変透過率光学フィルターの色と組み合わせるように選択された1つまたは複数のカラーバランス層とを含む多層組成物に関する。退色状態、暗状態、または退色状態と暗状態の両方で目標(例えば、ニュートラル)の透過色を提供すると同時に、退色状態、暗状態、または退色状態と暗状態の両方で目標(例えばニュートラル)の反射色をタンデムに提供する可変光透過率を有する合わせガラス窓は、当該技術を超える有用な追加を表し、自動車窓(フロントガラス、サンルーフ、ムーンルーフ、窓、バックライト、サイドライトなど)、列車およびバスなどの他の輸送用途、建築用途、アイウェアおよび眼科装置または用途などで使用することができる。
【0012】
[00012]他の態様は、本明細書でさらに開示され、請求される。
【0013】
[00013]これらおよび他の特徴は、添付の図面を参照する以下の説明からより明らかになるであろう。図は説明を目的としたものであり、特に明記されていない限り、相対的な比率や縮尺を示していない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】[00014]一実施形態による積層アセンブリの断面図である。
図2】[00015]別の実施形態による積層アセンブリの断面図である。
図3】[00016]カラーバランス層を追加した、光透過および反射のレベルが低下していることを描写する、積層アセンブリの分解模式図である。
図4】[00017]交互積層(layer-by-layer)複合コーティングの形態のカラーバランス層を示す図である。
図5】[00018]交互積層複合コーティングの形態のカラーバランス層を示す図である。
図6】[00019]可変透過率層の暗状態での目標透過色範囲を伴うモノトーンLカラーホイールを示す図である。
図7】[00020]可変透過率層の明状態での目標透過色範囲を伴うモノトーンLカラーホイールを示す図である。
図8】[00021]可変透過率層を有する暗状態での目標反射色範囲を伴うモノトーンLカラーホイールを示す図である。
図9】[00022]可変透過率層を有する明状態での目標反射色範囲を伴うモノトーンLカラーホイールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[00023]したがって、一態様では、本発明は、対向する第1および第2の側面を有する可変透過率層と、可変透過率層の第1の側面に配置された反射率カラーバランス層と、可変透過率層の第1の側面または第2の側面に配置された透過率カラーバランス層とを含む、層状アセンブリに関する。層状アセンブリは、第1の反射率カラーバランス層と反対側の可変透過率層の側面に第2の反射率カラーバランス層をさらに含み得る。第1の反射率カラーバランス層および透過率カラーバランス層の少なくとも1つは、例えば、着色ポリマーまたは複数の着色フィルムを含み得る。
【0016】
[00024]本明細書で定義するように、透過率および反射率の記述は、いずれかの方向、または両方の方向における透過率および反射率を包含すると意図される。当業者は、層状アセンブリが両方向から本発明の説明のすべての部分を満たすことは、本発明の実施にとって必要ではないことを容易に理解するであろう。
【0017】
[00025]一態様では、本発明の層状アセンブリは、層状アセンブリの第1の側面にPVBなどの第1のポリマー層を、層状アセンブリの第2の側面にPVBなどの第2のポリマー層をさらに含み得る。別の態様では、第1ポリマー層および第2ポリマー層の少なくとも1つは、PET上のPVBコーティングを含む。さらなる態様では、層状アセンブリは、IR遮断層をさらに含み得る。
【0018】
[00026]別の態様では、本発明の層状アセンブリは、可変透過率層と、反射率カラーバランス層と、透過率カラーバランス層が積層されたポリマーベース層とを含み得、反射率カラーバランス層はポリマーベース層にすぐ隣接していてもよい。
【0019】
[00027]層状アセンブリは、場合により、ポリマーベース層の対向する側面に、またはポリマーベース層の対向する側面にそれぞれ積層されたガラス板または他の硬質基材をさらに含み得る。
【0020】
[00028]様々な態様では、可変透過率層は、暗状態と明状態の間で可変であり得;可変透過率層は、暗状態にあるときに暗状態透過率スペクトルを有し得、明状態にあるときに異なる明状態透過率スペクトルを有し得;可変透過率層が暗状態にあるときに反射率カラーバランス層に入射する可視光に応答して、層状アセンブリの透過色が目標透過率色(transmittance color)に近似し、層状アセンブリの反射色が目標反射色に近似するように、暗状態透過率スペクトルおよびカラーバランス層の透過率スペクトルが選択され;可変透過率層が好ましくは不透明でない。
【0021】
[00029]他の態様では、可変透過率層は、暗状態と明状態の間で可変であり;可変透過率層は、暗状態にあるときに暗状態透過率スペクトルを有し、明状態にあるときに異なる明状態透過率スペクトルを有し;可変透過率層が明状態にあるときに反射率カラーバランス層に入射する可視光に応答して、層状アセンブリの透過色が目標透過率色に近似し、層状アセンブリの反射色が目標反射色に近似するように、明状態透過率スペクトルおよびカラーバランス層の透過率スペクトルが選択される。
【0022】
[00030]特定の態様では、反射率カラーバランス層は、外側ガラス層内またはその直下に存在してもよい。他の態様では、目標透過色と目標反射色はほぼニュートラルである。
【0023】
[00031]したがって、暗状態での目標透過色は、-13~+13のa値および-20~+3のb値、または-10~+10のa値および-15~+3のb値、または-4~+4のa値および-7~+3のb値を有し得る。さらに、明状態での目標透過色は、-6~+10のa値および-4~+24のb値、または-5~+8のa値および-3~+18のb値、または-4~+4のa値および-2~+8のb値を有し得る。本発明によれば、暗状態での目標反射色は、-10~+22のa値および-9~+9のb値、または-4~+19のa値および-5~+6のb値、または-2~+15のa値および-2~+6のb値を有し得る。さらに、明状態での目標反射色は、-10~+23のa値および-2~+22のb値、または-6~+18のa値および-2~+16のb値、または-2~+16のa値および-2~+12のb値を有し得る。
【0024】
[00032]態様では、カラーバランス層がない場合の色と比較した実際の透過色は、20以下、または15以下、または少なくとも5、または少なくとも10のデルタCを有し得、カラーバランス層がない場合の色と比較した実際の反射色も、20以下、または15以下、または少なくとも5、または少なくとも10のデルタCを有する。
【0025】
[00033]態様では、可変透過率層は、フォトクロミック、エレクトロクロミック、サーモクロミック、液晶材料、ケモクロミック、ピエゾクロミック、懸濁粒子デバイス、またはそれらの任意の組合せであってもよい。態様では、可変透過率層は、フォトクロミック/エレクトロクロミックスイッチング材料を含む。
【0026】
[00034]態様では、可変透過率層は、電磁放射線に曝露されると退色状態から暗状態に、電圧の印加により暗状態から退色状態に移行可能であり得る。
【0027】
[00035]態様では、層状アセンブリは、暗状態で約1%未満、または約2%未満、または約5%未満、または約10%未満のLTを有し得る。態様では、層状アセンブリは、退色状態で約5%超、または約10%超、または約15%超、または約20%超のLTを有し得る。態様では、層状アセンブリを通る透過ヘイズは、5%以下、3%以下、2%以下、または1%以下である。
【0028】
[00036]いくつかの態様では、反射率カラーバランス層および透過率カラーバランス層の少なくとも1つは、ポリマー基材および複合コーティングを含む交互積層光学製品を含み、複合コーティングは、ポリイオンバインダーを含む第1の層と、電磁エネルギー吸収性不溶性粒子を含む第2の層とを含み、前記第1の層および前記第2の層のそれぞれは結合基構成要素を含み、これらは一緒に相補的結合基対を形成する。これらの態様では、複合コーティングは、5nm~300nmの総厚を有する。第1の層は、その第1面で前記ポリマー基材にすぐ隣接し、前記第2の層は、その反対面で前記第1の層にすぐ隣接することができる。電磁エネルギー吸収粒子は、粒子状顔料を含み得、その表面は前記第2の層の前記結合基構成要素を含む。特定の態様では、層状アセンブリは、第2の複合コーティングをさらに含み得、前記第2の複合コーティングは、ポリイオンバインダーを含む第1の層と、電磁エネルギー吸収粒子を含む第2の層とを含み、前記第2の複合コーティングの前記第1の層および前記第2の複合コーティングの前記第2の層は、補完的結合基対を含む。特定の態様では、前記第1複合コーティングの第2の層および前記第2複合コーティングの前記第2の層は、組み合わせて、電磁エネルギー吸収光学製品の電磁エネルギー吸収特性および効果に対する相加効果を提供する。特定の態様では、ポリマー基材は、ポリエチレンテレフタレートフィルムであり得、紫外線吸収材料をさらに含み得る。態様では、ポリマー基材は、無染色の透明ポリエチレンテレフタレートフィルムであってもよい。態様では、前記第1複合コーティングの前記第2の層の電磁エネルギー吸収粒子、および前記第2複合コーティングの前記第2の層の前記電磁エネルギー吸収粒子はそれぞれ、顔料を含む。態様では、前記第1複合コーティングの前記第2の層の電磁エネルギー吸収粒子および前記第2複合コーティングの前記第2の層の前記電磁エネルギー吸収粒子は、前記光学製品の視覚的に知覚される色に相加効果を提供する。これらの層は、水溶液から形成されてもよい。
【0029】
[00037]一態様では、層状アセンブリの交互積層光学製品は、第1のコーティング組成物をポリマー基材に適用して第1の層を形成すること(前記組成物はポリイオンバインダーを含む);および第2のコーティング組成物を前記第1の層の上に適用して第2の層を形成すること(前記第2のコーティング組成物は少なくとも1種の顔料を含む)を含むプロセスによって形成され得;ここで前記第1の層および前記第2の層のそれぞれは結合基構成要素を含み、これらは一緒に相補的結合基対を形成する。前述のように、電磁エネルギー吸収粒子は顔料であり得、顔料の表面は、前記第2の層の前記結合基構成要素を含み得る。さらに、前記第1コーティング組成物および前記第2コーティング組成物の少なくとも1つは、水性分散液または溶液であってもよい。今述べた適用ステップa)およびb)は、典型的には、周囲温度および圧力で実施される。
【0030】
[00038]別の態様では、本発明は、対向する第1および第2の側面を有する可変透過率層と;可変透過率層の第1の側面に配置された透過率カラーバランス層と;可変透過率層の第1の側面に配置され、透過率カラーバランス層のアウトボードにある第1の反射率カラーバランス層と;可変透過率層の第2の側面に配置された第2の反射率カラーバランス層とを含む、層状アセンブリに関する。本発明は、可変透過率層、反射率カラーバランス層、および透過率カラーバランス層が内部に積層された、ポリマーベース層をさらに含み得、反射率カラーバランス層はポリマーベース層にすぐ隣接し得る。本発明は、ポリマーベース層の対向する側面にそれぞれ積層されたガラス板またはポリカーボネートなどの他の硬質基材をさらに含み得る。
【0031】
[00039]態様では、可変透過率層は、暗状態と明状態の間で可変であり得;可変透過率層は、暗状態にあるときに暗状態透過率スペクトルを有し得、明状態にあるときに異なる明状態透過率スペクトルを有し得;可変透過率層が暗状態にあるときに反射率カラーバランス層に入射する可視光に応答して、層状アセンブリの透過色が-13~+13のa値および-20~+3のb値を有するように、暗状態透過率スペクトルおよびカラーバランス層の透過率スペクトルが選択される。
【0032】
[00040]別の態様では、可変透過率層は、暗状態と明状態の間で可変であり得;可変透過率層は、暗状態にあるときに暗状態透過率スペクトルを有し得、明状態にあるときに異なる明状態透過率スペクトルを有し得;可変透過率層が明状態にあるときに反射率カラーバランス層に入射する可視光に応答して、層状アセンブリの透過色が-6~+10のa値および-4~+24のb値、または-5~+8のa値および-3~+18のb値、または-4~+4のa値および-2~+8のb値を有するように、明状態透過率スペクトルおよびカラーバランス層の透過率スペクトルが選択される。
【0033】
[00041]態様では、透過色は、-10~+10のa値および-15~+3のb値を有し得、または透過色は、-4~+4のa値および-7~+3のb値を有し得る。
【0034】
[00042]態様では、可変透過率層は、非不透明暗状態と明状態の間で可変であり得;可変透過率層は、暗状態にあるときに暗状態透過率スペクトルを有し得、明状態にあるときに異なる明状態透過率スペクトルを有し得;可変透過率層が明状態にあるときに反射率カラーバランス層に入射する可視光に応答して、層状アセンブリの透過色が、-6~+10のa値および-4~+24のb値を有し、または透過色が、-5~+8のa値および-3~+18のb値を有し得、または透過色が、-4~+4のa値および-2~+8のb値を有するように、明状態透過率スペクトルおよびカラーバランス層の透過率スペクトルが選択される。
【0035】
[00043]態様では、可変透過率層は、非不透明暗状態と明状態の間で可変であり得;可変透過率層は、暗状態にあるときに暗状態反射率スペクトルを有し得、明状態にあるときに異なる明状態反射率スペクトルを有し得;可変透過率層が暗状態にあるときに反射率カラーバランス層に入射する可視光に応答して、層状アセンブリの反射色が、-10~+22のa値および-9~+9のb値を有し、または反射色が-4~+19のa値および-5~+6のb値を有し、または反射色が-2~+15のa値および-2~+6のb値を有するように、暗状態反射率スペクトルおよびカラーバランス層の反射率スペクトルが選択される。
【0036】
[00044]本発明の態様では、可変透過率層は、非不透明暗状態と明状態の間で可変であり;可変透過率層は、暗状態にあるときに暗状態反射スペクトルを有し、明状態にあるときに異なる明状態反射スペクトルを有し;可変透過率層が明状態にあるときに反射率カラーバランス層に入射する可視光に応答して、層状アセンブリの反射色が-10~+23のa値および-2~+22のb値を有し、または反射色が-6~+18のa値および-2~+16のb値を有し、または反射色が-2~+16のa値および-2~+12のb値を有するように、明状態反射率スペクトルおよびカラーバランス層の反射率スペクトルが選択される。
【0037】
[00045]したがって、一態様では、本発明は、対向する第1および第2の側面を有する可変透過率層と、可変透過率層の第1の側面に配置された反射率カラーバランス層と、可変透過率層の第1の側面または第2の側面に配置された透過率カラーバランス層とを含む、層状アセンブリに関する。特定の実施形態では、可変透過率層は、例えば、ガラス、例えば、車両の外装ガラス上に直接堆積され得ることに留意することが重要である。この場合、反射率カラーバランス層と透過率カラーバランス層の両方が、可変透過率層の同じ側に、好ましくは見る人、すなわち運転手に最も近い反射率カラーバランス層と共にあってもよい。
【0038】
[00046]本発明は、一態様では、暗状態での少なくとも第1の透過スペクトルおよび第1の反射スペクトル、ならびに退色状態での第2の透過スペクトルおよび第2の反射スペクトルを有する可変透過率光学フィルターであり得る可変透過率層と、それぞれが透過および反射スペクトルを有する1つまたは複数のカラーバランス層とを含む多層組成物;UV部分、可視部分、およびIR部分を含む各スペクトル;および暗状態および明状態での目標透過色、ならびに暗状態および明状態での目標反射色に近似する多層組成物の色を提供するために組み合わせる層のスペクトルを提供する。本発明は、さらに、一態様では、このような多層組成物を含む合わせガラスを提供する。本発明は、さらに、一態様では、多層組成物または合わせガラスを含む、自動車用グレージングまたは建築用グレージングを提供する。多層組成物は、1つまたは複数の光減衰層と、UV遮断層と、IR遮断蔽層とをさらに含み得る。
【0039】
定義および用語
[00047]可視、UV、またはIRのいずれであっても、光またはエネルギーが「遮断される」と言うとき、この用語は、吸収される光および反射される光、ならびに光学製品によって散乱される波長範囲内の任意の光を包含することが意図される。
【0040】
[00048]スペクトルは、様々な態様および実施形態による、多層組成物またはその構成要素の特徴的な光透過または反射を指す。透過光は、典型的には、UV、可視およびIR構成要素または部分を有するであろう。様々な層からのスペクトルは数学的に組み合わせることができ、得られたスペクトルの可視領域は、色を参照して(例えば、L値、RGBなどを用いて)記述することができる。
【0041】
[00049]可変透過率層、または可変透過率光学フィルターは、例えば材料または物理的刺激の関数として、UV、可視光、または赤外線のいずれであっても、任意の波長の電磁放射の透過率を調整または変更することができる層である。物理的刺激は、機械的、圧力、電磁放射、熱、化学的、または電気的なものを含むであろう。
【0042】
[00050]したがって、前述のように、これらの層またはフィルターは、透過率を変更するために様々な技術を採用することができる。一般に、このようなフィルターは、UV光、温度および/または電圧などの刺激の適用、除去、または低減により、光透過率の高い状態(退色状態または明状態)から光透過率の低い状態(暗状態)の間で切り替えられる場合がある。可変透過率窓に用いられる技術の例は、フォトクロミック、エレクトロクロミック、ポラリメトリ、サーモクロミック、ケモクロミック、液晶、または懸濁粒子などを含む。フォトクロミック材料の中には、光、例えば紫外線に応答して暗くなり、UV光が除去または低減されると退色状態に戻るものがある。エレクトロクロミック材料の中には、電圧の印加に応答して暗くなり、電圧が除去されると退色状態に戻るものがある。あるいは、エレクトロクロミック材料の中には、第1極性の電圧の印加に応答して暗くなり、反対極性の電圧が印加されると退色するものがある。サーモクロミック材料の中には、温度の上昇に比例して暗くなるものがある。例えば、材料が温かくなるほど、暗くなることがある。サーモクロミック材料は、温度が下がると退色状態に戻ることがある。液晶材料および懸濁粒子デバイスは、電圧の印加に応答して配向が変化する結晶または粒子を含む。電圧のない場合、液晶分子または粒子はランダムに配向し、入射光を吸収または散乱するため、より暗く、より明るく、または不透明に見え、または光をほとんど透過しない。電圧が印可されると、液晶分子または粒子は電界に整列し、光が異なる程度に吸収されるか、または透過される場合がある。可変透過率光学フィルターがエレクトロクロミック態様を含む場合、可変透過率光学フィルターは、光学フィルターを制御回路に接続するための電気コネクタを含み得、制御回路は、光学フィルターに電力を供給してエレクトロクロミック色変化をもたらす。
【0043】
[00051]したがって、可変透過率光学フィルターまたは層は、透過が、ある1組の条件下で1つの状態(例えば、暗状態)、および別の1組の条件下で第2の状態(例えば、明状態)になり得るように、透過率または透過の異なる状態を有する光学フィルターである。また、中間的な状態も可能である。可変透過率フィルターのいくつかの例は、先行技術に記載されているようなエレクトロクロミック光学フィルター、フォトクロミック光学フィルター、フォトクロミック/エレクトロクロミック光学フィルター、懸濁粒子デバイス、液晶デバイス、サーモクロミック光学フィルター、およびその他を含む。本明細書のいくつかの実施形態によれば、可変透過率光学フィルターは、電磁放射(「光」)にさらされると暗くなり、材料に電圧がかかると退色するフォトクロミック/エレクトロクロミック材料に基づく。いくつかのフォトクロミック/エレクトロクロミック材料は、選択された波長の光がスイッチング材料に入射したときにも退色することがある。
【0044】
[00052]可変透過率光学層は、典型的には、層状アセンブリに、ほぼニュートラルである所望のまたは目標とする透過色を提供するであろう。例えば、暗状態での層状アセンブリの目標透過色は、-13~+13のa値および-20~+3のb値、または-10~+10のa値および-15~+3のb値、または-4~+4のa値および-7~+3のb値を有し得る。さらに、明状態の目標透過色は、-6~+10のa値および-4~+24のb値、または-5~+8のa値および-3~+18のb値、または-4~+4のa値および-2~+8のb値を有し得る。
【0045】
[00053]本発明の可変透過率層、またはカラーバランス層などの本明細書に記載される他の層を、対向する第1および第2の側面を有すると説明する場合、文脈上明らかに別段の要求がない限り、これらの側面の番号付けは完全に恣意的なものであり得る。
【0046】
[00054]本発明の1つまたは複数のカラーバランス層は、それぞれ透過スペクトルおよび反射スペクトルを有する。これらのカラーバランス層は、層状アセンブリの色、例えば可変透過率層から生じる色のバランスを取ることを意図している。これらのカラーバランス層は、例えば、PVBなどの高分子フィルムであり得、または本発明のアセンブリまたはスタックに存在する場合には、ガラス板または高分子フィルム上に堆積または組み込まれ得る。したがって、反射率カラーバランス層は、層状アセンブリの反射色に望ましく影響し、一方、透過率カラーバランス層は、本発明の層状アセンブリの透過色、ならびに可変透過率層を通過した光によって照明される物体の色に望ましく影響する。反射率カラーバランス層は、観察者の最も近くに配置されたときに、本発明の層状アセンブリの反射色に望ましく影響を与えるのに最も効果的であろうことが理解される。
【0047】
[00055]本発明によれば、本発明の層状アセンブリは、-10~+22のa値および-9~+9のb値、または-4~+19のa値および-5~+6のb値、または-2~+15のa値および-2~+6のb値を有する暗状態での目標反射色をさらに示し得る。さらに、明状態での目標反射色は、-10~+23のa値および-2~+22のb値、または-6~+18のa値および-2~+16のb値、または-2~+16のa値および-2~+12のb値を有し得る。
【0048】
[00056]別の態様では、目標透過色と比較した実際の透過色は、20以下のデルタCを有し得、目標透過色と比較した実際の反射色も、20以下のデルタCを有し得る。
【0049】
[00057]本発明の別の態様では、層状アセンブリは、暗状態で約1%未満、または約2%未満、または約5%未満、または約10%未満のLTを有し得る。さらに、層状アセンブリは、退色状態で約5%超、または約10%超、または約15%超、または約20%超のLTを有し得る。別の態様では、層状アセンブリを通る透過ヘイズは、5%以下、3%以下、2%以下、または1%以下であり得る。
【0050】
[00058]記載された可変透過率層に関して、これらの可変透過率層は典型的には少なくとも第1および第2の側面を有し、カラーバランス層は有利にはこれらの側面のうちの一方または他方に配置されることが理解されよう。したがって、反射率カラーバランス層および透過率カラーバランス層は、可変透過率層の反対側または同じ側にあることができる。カラーバランス層が可変透過率層の同じ側にある場合、どちらも可変透過率層にすぐ隣接することができる。しかし、当業者であれば、反射率カラーバランス層は、見る人に最も近いときに最も効果的であり、これは、それが透過率カラーバランス層上または機能的に隣接して配置されることを意味する場合があることを理解するであろう。
【0051】
[00059]本明細書で使用する場合、用語「反射率カラーバランス層」は、層状アセンブリの反射可視光を目標反射色またはスペクトルに近づける層または要素を意味し、例えば、暗状態での目標反射色は、-10~+22のa値および-9~+9のb値、または-4~+19のa値および-5~+6のb値、または-2~+15のa値および-2~+6のb値を有し;明状態での目標反射色は、-10~+23のa値および-2~+22のb値、または-6~+18のa値および-2~+16のb値、または-2~+16のa値および-2~+12のb値を有する。
【0052】
[00060]本明細書で使用する場合、用語「透過率カラーバランス層」は、透過可視光が目標透過色またはスペクトルを満たすようにする層または要素を意味し、例えば、暗状態での目標透過色は、-13~+13のa値および-20~+3のb値、または-10~+10のa値および-15~+3のb値、または-4~+4のa値および-7~+3のb値を有し;明状態での目標透過色は、-6~+10のa値および-4~+24のb値、または-5~+8のa値および-3~+18のb値、または-4~+4のa値および-2~+8のb値を有する。
【0053】
[00061]当業者は、透過率をどのようにカラーバランスさせるかを検討する際に、例えば車両の内側から外側へのグレージングを通じた視界と、グレージングを通じた透過光に対する色の効果の両方を考慮すべきであることを理解するであろう。
【0054】
[00062]用語「スタック」または層状アセンブリは、光が透過するまたは光が反射する2つ以上の層(ガラス、中間層、カラーバランス層、光減衰層、交互積層コーティング、接着層など)、またはより具体的には、本発明の層状アセンブリを説明するために一般的に使用できる。スタックは、色、スペクトル、透過光、反射光、または目標に対するスタックの色または透過光もしくは反射光の差(LT、L、デルタC、デルタEなど)を参照して説明することができる。
【0055】
[00063]本明細書で使用する「ミル」という用語は、1/1000インチ(.001)の長さの単位を指す。1ミルは約25ミクロンであり、そのような寸法は、本発明のいくつかの実施形態による、光学フィルターまたは光学フィルターの構成要素の厚さを説明するために使用され得る。当業者であれば、「ミル」での寸法をミクロンに相互変換することができ、その逆もまた可能である。
【0056】
[00064]量、持続時間などの測定可能な値に言及するときに本明細書で使用する「約」は、開示される方法を実施するためにそのような変動が適切であるように、指定された値から±20%または±10%、より好ましくは±5%、さらにより好ましくは±1%、さらにより好ましくは±0.1%の変動を包含することが意味される。
【0057】
[00065]スイッチング材料、層、多層組成物または多層組成物を含む合わせガラスの色は、当技術分野で公知であるように、色値Lおよびb(イルミナントD65準拠、10度観察者)を参照して、および/または当技術分野で公知であるように、可視光透過LT(光透過、イルミナントA、2度観察者)を参照して説明することができる。LTおよびL値は、SAEJ1796規格に従って測定することができる。Lb色空間は、観察された色の記述のための手段を提供する。Lは0を黒、100を白とする明度を定義し、aは緑または赤のレベルを定義し(ここで+a値は赤、-a値は緑である)、bは青または黄のレベルを定義する(ここで+b値は黄、-b値は青である)。ニュートラルグレーに関しては、C=(a+b1/2の場合、C(またはCab)値を計算することにより、Lとは無関係に透過色または反射色を表すことができる。
【0058】
[00066]目標色と達成色(1つまたは複数の層を可変透過率光学フィルターと組み合わせることによる)との間のスカラー関係を説明するために、ΔC(デルタC)が計算される。
【0059】
デルタC=スタックのC ab-目標のC ab
[00067]目標色と達成色との間のベクトル関係を説明するために、ΔE(デルタE)が計算される。
【0060】
デルタE ab=[(デルタL+(デルタa+(デルタb1/2
[00068]ニュートラルと考えられるC値の範囲を示す例として、「グレー」ガラスの市販の供給源10個からの透過スペクトルが得られ(LTについて正規化)、最大C値(Cmax)4.4、平均C値(Cavg)1.6を示しているが、可視スペクトル全体でLTがほぼ同様に減少している。グレートーンの範囲にわたる他のL値については、以下で説明する。したがって、ニュートラルカラーは、「無彩色」(可視範囲にわたって同様の、またはほぼ同様のLTを有する)と表現される場合がある。2つ以上のスペクトルは、スペクトルの可視部分を組み合わせたときに無彩色スペクトル(「ニュートラルカラー」)を提供する場合は、「相補的」と表現することができる。「目視で」判断した場合、ニュートラルカラーは、実質的に黄/青、または赤/緑ではない。デルタCまたはデルタE値が低いほど、目標色とスタックの色との間の色の差が小さくなる。一般に、目標色を近似するスタックは、約0~約20のデルタC、またはその間の任意の量、または約0のデルタE、またはその間の任意の量を有するであろう。明確にするために、約0~約20の範囲またはその間の任意の量は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18もしくは19、またはその間の任意の量を含む。
【0061】
[00069]方向性のある用語、例えば「上部」、「下部」、「上向き」、「下向き」、「垂直方向」、「横方向」、「インボード」、および「アウトボード」は、相対参照のみを提供する目的で本開示で用いられ、物品を使用中にどのように配置するか、アセンブリに取り付けるか、または環境に対してどのように配置するかに関する制限を示唆することを意図するものではない。さらに、本開示で使用される「結合(couple)」および「結合(coupled)」、「結合(couples)」、「結合(coupling)」などのそれの変形は、別段の指示がない限り、間接接続および直接接続を含むことを意図している。例えば、第1の物品が第2の物品に結合される場合、その結合は、直接接続によるものであっても、別の物品を介した間接接続によるものであってもよい。
【0062】
[00070]別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本項に記載される定義が、参照により本明細書に組み込まれる文書に記載される定義に反するか、または矛盾する場合、本明細書に記載される定義が、参照により本明細書に組み込まれる定義に優先する。
【実施例
【0063】
[00071]一般に、可変透過率構成要素(例えば、可変透過率光学フィルター、層、または要素、または可変透過率合わせガラスなど)を含む窓は、内部空間を外部空間から分離し得る。窓の構成要素に応じて、様々な層、および層の様々な配置が企図され得る。可変透過率層の色とは異なる目標色に一致または近似するように、窓の観察(反射)色または透過光の色を変更することが望ましい場合がある。例えば、窓の外観を建物の外壁や車両の外装色と調和させるため、または窓の外観をフレームなどの窓の他の構成要素と調和させるために、目標色に一致または近似させることが望ましい場合がある。図1図6は、そのような窓に使用され得る多層組成物における層の様々な構成および配置を提供する。いくつかの実施形態では、層の相対的な位置は、可変透過率層と、窓によって部分的に画定される入射光または空間とを参照して説明することができる。
【0064】
[00072]本発明の一実施例では、図1は、合わせガラススタック100を含む本発明による多層スタックを示す。積層スタックは、2層のガラス101および102、2層のポリビニルブチラール(PVB)103および104、および可変透過率層105を含む。この例では、カラーバランス層としても機能するPVB層103は、可変透過率層105のインボードにある。この例では、PVB層103は、これが建物や車両に設置される窓の一部であれば、室内空間に近い位置にあることになる。同様に、この例ではカラーバランス層としても機能するPVB層104は、可変透過率層105のアウトボードにある。光源106からの入射光は、自然または模擬太陽光である場合もあれば、任意の適切な光源からの人工光である場合もある。入射光は、完全な可視スペクトルを含み、可視スペクトル外の光を大幅に除外することができ、または入射光は、UVおよび/または赤外/近赤外構成要素を含むことができる。
【0065】
[00073]可変透過率層105は、可変透過率光学フィルターを含み、それ自体がスイッチング材料(スイッチ可能な材料)を含んでいる。一実施例によれば、可変透過率層105は、フォトクロミック/エレクトロクロミックスイッチング材料を含む。可変透過率光学フィルターの例は、US844107、WO2013/106921に記載されており、その関連部分は、本開示と矛盾しない範囲で、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。スイッチング材料の追加の例は、US8441707、およびUS10054835に記載されており、その関連部分は、本開示と矛盾しない範囲で、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。可変透過率層105は、退色状態または暗状態で、任意の色であり得る。いくつかの例では、退色状態は、実質的に無色、またはかすかに着色し(例えば、フォトクロミック/エレクトロクロミック化合物を含むいくつかのスイッチング材料は、退色状態では淡黄色である)、暗状態では実質的に着色する(例えば、フォトクロミック/エレクトロクロミック化合物を含むいくつかのスイッチング材料は、暗状態では青または青緑、またはピンク/赤またはフクシアである)。フォトクロミック/エレクトロクロミック可変透過率層の代わりに、エレクトロクロミクス、フォトクロミクス、懸濁粒子デバイス、または液晶ベースの技術などの他のスイッチング材料または技術を使用することもできる。
【0066】
[00074]一実施例によれば、可変透過率層は、密封された多層プラスチックフィルムの形態であることができ、その後、PVB層103および104を用いて、ガラスの2つの層101および102の間に積層することができる。可変透過率は、暗状態と明状態、およびその中間の状態を有することができる。可変透過率層の透過色または反射色それ自体は、特定の用途または顧客にとって好ましくない場合がある。多層組成物または合わせガラスのニュートラルカラーが望まれる場合、PVB層103および104の一方または両方を着色して透過光および/または反射光を変化させることができる。
【0067】
[00075]この例では、PVB層103は梅色のPVBであり、PVB層104はライトグレーのPVBである。いくつかの先行技術例に記載されているように、梅色のPVB層103は、積層アセンブリを透過する光のスペクトルを変更して、暗状態および/または明状態においてよりニュートラルな目標色に一致させることにより、フォトクロミック/エレクトロクロミック可変透過率フィルター105の例をカラーバランスするために使用することができる。先行技術例では、梅色のPVB層は、可変透過率フィルターのアウトボードに配置される。これは、目標色により近い透過色を提供するという目標を達成するが、合わせガラススタックの反射色を考慮しない。
【0068】
[00076]実験的に、外側から見た反射色は、ガラス内部の第1の層の色、または場合によってはガラス自体もしくはガラス上の層の色によって支配されることがわかっている。このように、先行技術の例では、梅色PVBが可変透過率層のアウトボードに配置されているため、反射色は梅色PVBによって支配されている。顧客は、よりニュートラルな反射色を必要とする場合がある。図1に戻ると、合わせガラススタック100の例が示されており、これは目標透過色にカラーバランスを提供すると同時に、外側から見たときによりニュートラルな反射色を提供する。
【0069】
[00077]図1に示す例では、梅色のPVB層103が透過率可変層105のインボードに配置され、第2のライトグレーPVB層104が透過率可変層105のアウトボードで外側ガラス層101のすぐインボードに配置される。透過色は、梅色のPVB層103の位置(透過率可変層105のアウトボードまたはインボード)に関係なく同じであるが、この例では、梅色のPVB層103を透過率可変層105のインボードに配置し、層105のアウトボードにライトグレー色のPVB層104を含むことによって、外側から見た反射色は大幅に改善される(すなわち、よりニュートラルになる)。この実施例で使用されるライトグレーPVB層は、約71%の可視光線透過率を有する15ミル厚のPVBであり得る。ライトグレーPVB層104は、スタックを通る光透過率の全体量を減少させるが、顧客によっては、全体的により暗いスタックが望まれる場合がある。そうでなければ、例えば、可変透過率層105のスイッチング材料の量を減らすこと、および/または梅色のPVB層103の光透過率を高めること(すなわち、より軽くすること)、または他の手段によって、スタックをより軽くすることができる。
【0070】
[00078]図2は、可変透過率層105のアウトボードに梅色のPVB層103を有し、可変透過率層105のインボードにライトグレーPVB層104を有する合わせガラススタック200を示す。梅色のPVB103は、暗状態および/または明状態で、可変透過率層105の透過色をカラーバランスさせるのと同じ機能を果たす。所望の反射色を実現するために、2つのグレー色のPVB層が使用される。ガラス積層体200の反射色を内側から見てよりニュートラルに見せるために、可変透過率層105のインボードにライトグレーPVB層104が配置される。ガラス積層体200の反射色を外側からよりニュートラルに見せるために、梅色のPVB層103のアウトボードにダークグレーPVB層201が配置される。ダークグレーPVB層201はガラス層101の内側の最初の層であるため、外側から見た場合、スタックの反射率に最も大きな影響を与える。この例では、ニュートラルな反射色が望まれ、追加のダークグレーPVB層201は、この目標を達成するのに役立つ。ダークグレーPVB層201は、例えば、約43%の可視光線透過率を有する15ミル厚のPVB層であり得る。
【0071】
[00079]図3は、本実施例による合わせガラススタック200の様々な層によって反射光がどのように影響されるかを示す。図3における矢印の幅は、光強度を表す。反射光の最も大きな部分は、外側ガラス層101の直下の層から来る。この場合、ダークグレーPVB層201はニュートラルカラーを反射し、ガラスに最も近い層であるため、この層によって反射されるニュートラルカラーは、反射光の全体の色を支配する傾向がある。光がスタックの奥に行くにつれて、光はダークグレーPVB層201によって既に減衰されているので、後続の層から反射する光は少なくなる。さらに、反射光は、外側に到達するためにダークグレー層201を通過して戻る必要もあるため、さらに減衰される。例えば、梅色のPVB層103からの反射層は非常に減少し、反射色に与える影響は非常に少なく、可変透過層105からの反射光は非常に減少する。可変透過層105のインボードにあるPVB層104からの反射光は、ほとんど無視できる程度である。この例では、ライトグレーのPVB層104が多層スタック201の内側からの光の反射を支配するので、車両または建物の内側からの反射光もよりニュートラルになることに留意されたい。
【0072】
[00080]特定のPVB中間層について説明したが、様々な中間層材料を使用することができる。中間層は、所望の透過率および反射率を達成するために着色されることが望ましい。
【0073】
[00081]中間層がPVBを含む場合、PVB樹脂は、ポリビニルアルコール(「PVOH」)を酸触媒の存在下でブチルアルデヒドと反応させ、分離、安定化、および樹脂の乾燥による既知のアセタール化プロセスによって製造することができる。このようなアセタール化プロセスは、例えば、米国特許第2,282,057号および第2,282,026号明細書、ならびにビニルアセタールポリマー、Encyclopedia of Polymer Science & Technology、第3版、第8巻、381~399ページ、B.E.Wade(2003)に開示されており、これらの開示の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。樹脂は、例えば、Eastman Chemical Companyの完全所有子会社であるSolutia Inc.からButvar(登録商標)Resinとして、様々な形態で市販されている。
【0074】
[00082]本明細書で使用する場合、PVB中の残留ヒドロキシル含量(重量%ビニルアルコールまたは重量%PVOHとして計算)は、処理が完了した後にポリマー鎖上に残っているヒドロキシル基の量を意味する。例えば、PVBは、ポリ(酢酸ビニル)をポリ(ビニルアルコール)(PVOH)に加水分解し、次いでPVOHをブチルアルデヒドと反応させることにより製造することができる。ポリ酢酸ビニルを加水分解するプロセスでは、通常、アセテート側基のすべてがヒドロキシル基に変換されるわけではない。さらに、ブチルアルデヒドとの反応は、通常、すべてのヒドロキシル基がアセタール基に変換されるわけではない。その結果、完成したPVB樹脂には、ポリマー鎖上の側鎖として、通常、残留アセテート基(酢酸ビニル基として)および残留ヒドロキシル基(ビニルヒドロキシル基として)が存在することになる。本明細書で使用する場合、残留ヒドロキシル含有量および残留アセテート含有量は、ASTMD1396による重量パーセント(重量%)基準で測定される。
【0075】
[00083]本開示のPVB樹脂は、典型的には、低角レーザー光散乱を用いたサイズ排除クロマトグラフィーによって測定される、50,000ダルトン超、または500,000ダルトン未満、または約50,000~約500,000ダルトン、または約70,000~約500,000ダルトン、または約100,000~約425,000ダルトンの分子量を有する。本明細書で使用される場合、用語「分子量」は、重量平均分子量を意味する。
【0076】
[00084]中間層シートのガラスへの接着を制御するために、様々な接着制御剤(「ACA」)を本開示の中間層に使用することができる。本開示の中間層の様々な実施形態において、中間層は、樹脂100部当たり約0.003~約0.15部のACA;樹脂100部当たり約0.01~約0.10部のACA;および樹脂100部当たり約0.01~約0.04部のACAを含むことができる。そのようなACAは、米国特許第5,728,472号(その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているACA、残留酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ビス(2-エチルブチレート)マグネシウム、および/またはビス(2-エチルヘキサノエート)マグネシウムを含むが、それらに限定されない。
【0077】
[00085]他の添加剤を中間層に組み込んで、最終製品におけるその性能を向上させ、中間層に特定の追加特性を付与することができる。そのような添加剤は、当業者に公知の他の添加剤の中でもとりわけ、染料、顔料、安定剤(例えば、紫外線安定剤)、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、難燃剤、IR吸収剤または遮断剤(例えば、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ、六ホウ化ランタン(LaB)、酸化セシウムタングステン)、加工助剤、流動性向上添加剤、潤滑剤、衝撃調整剤、造核剤、熱安定剤、UV吸収剤、分散剤、界面活性剤、キレート剤、カップリング剤、接着剤、プライマー、強化添加剤、フィラーなどを含むが、これらに限定されない。
【0078】
[00086]記載された実施形態は、ポリマー樹脂がPVBであると言及しているが、ポリマーが多層パネルでの使用に適した任意のポリマーであってもよいことは、当業者には理解されよう。典型的なポリマーは、ポリビニルアセタール(PVA)(ポリ(ビニルブチラール)(PVB)または異性体ポリ(ビニルイソブチラール)(PVisoB)など)、ポリウレタン(PU)、ポリ(エチレン-co-酢酸ビニル)(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ(ビニルクロライド-co-メタクリレート)、ポリエチレン、ポリオレフィン、エチレンアクリレートエステルコポリマー、ポリ(エチレン-co-ブチルアクリレート)、シリコーンエラストマー、エポキシ樹脂、ならびにエチレン/カルボン酸コポリマーなどの酸コポリマーおよびそのアイオノマー、前述の可能な熱可塑性樹脂のいずれかから得られるもの、前述の組合せなどを含むが、これらに限定されない。PVBおよびその異性体ポリマーPVisoB、ポリ塩化ビニル、およびポリウレタンは、一般に中間層に有用なポリマーであり、PVB(およびその異性体ポリマー)が特に好ましい。
【0079】
[00087]さらなる態様では、拡散性中間層は、多層中間層であり得る。例えば、多層中間層は、PVB//PVisoB//PVBからなることができる。他の例は、PVB//PVC//PVBまたはPVB//PU//PVBを含む。さらなる例は、PVC//PVB//PVCまたはPU//PVB//PUを含む。あるいは、スキン層およびコア層は、同じまたは異なる出発PVB樹脂を使用して、すべてPVBであり得る。
【0080】
[00088]PVB層の少なくとも1つは、典型的には、少なくとも1種の着色剤をさらに含むであろう。当業者は、異なる色を有する複数のPVB層を組み合わせてもよいこと、またはPETなどのプラスチックの別々の着色層を追加またはPVBの代わりに使用してもよいことをさらに理解するであろう。
【0081】
[00089]あるいは、PVB層は、米国特許第6,455,141号および第9,248,628号(これらの開示は、本開示と矛盾しない範囲において、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示され請求されているように、プラスチック層に適用される接着剤でコーティングされたプラスチック材料として提供されてもよい。これらの態様では、接着剤でコーティングされたプラスチック材料は、例えば積層アセンブリで使用することができる。
【0082】
[00090]この態様によれば、コーティングされたプラスチック中間層は、コーティングされたプラスチック中間層に高度に平坦なテクスチャを与える非常に薄い(例えば0.25~5ミル)(0.006mm~0.127mm)接着剤の層を用いてガラスシートの1つに結合されてもよい。この平面性は、このガラスシート-接着剤-プラスチックフィルム複合体が、接着剤の第2の層とガラスの第2シートを用いて最終的な合わせガラス構造に組み込まれるときに保持される。
【0083】
[00091]この製品は、滑らかな第1表面を有する第1ガラスシート;第1ガラスシートの滑らかな表面にプラスチックフィルムを貼り付ける第1接着剤層を有する。この第1の接着剤層は薄く、それは5ミル(0.127mm)未満の厚さである。プラスチックフィルムは、第1のガラスシートの滑らかな表面に位置合わせされ、適合される。プラスチックフィルムはエネルギー反射コーティングを担持することができる。ガラスラミネートは、プラスチックフィルムを第2のガラスシートに結合する第2の接着剤層によって完成される。エネルギー反射層はプラスチックフィルムのどちらの側にあってもよいが、薄い接着剤層と第1のガラスシートに面していればより良い結果が得られる。
【0084】
[00092]別の態様では、この態様は、先ほど説明した最終製品への中間体を提供する。この中間体は、フィルムのいずれかの側に、好ましくはエネルギー反射層を担持する側に、エネルギー遮断層と、5ミル(0.127mm)以下の接着剤のコーティングを担持するプラスチックフィルムであり、それがエネルギー反射層に対して改善された耐腐食性のある、より大きな安定性と製品寿命を有する最終製品を提供する。
【0085】
[00093]さらなる態様では、エネルギー反射層でコーティングされたプラスチックフィルムが接着剤の溶液で(好ましくはエネルギー反射コーティングの上に)コーティングされる、この中間体を製造するための方法が提供される。次に、溶液のコーティングから溶媒を除去し、エネルギー反射層担持プラスチックフィルム上に接着剤の層を残存させる。接着剤溶液のコーティングの厚さは、5ミル(0.127mm)未満の厚さの最終的なきちんとした接着剤層が得られるように予め決定しておくことができる。
【0086】
[00094]このプロセスは、接着剤でコーティングされた反射層担持プラスチックフィルムがガラスの第1シートの滑らかな表面に接着し適合され、接着剤の第2の層が適用され、続いてガラスの第2シートが適用され、全体の構造が積層される、全体の積層窓製造スキームの一部となり得る。
【0087】
[00095]さらに、PVBであり得る接着剤は、一旦プラスチック層に適用されると、溝を付けたりテクスチャを付けたりして、以前に閉じ込められた空気を積層プロセス中に積層アセンブリの層間から逃がすことができる。これは、接着剤層をより薄くすることを可能にし、一方で、気泡が比較的少なく、光学的に満足できる、または2つのPVBシート間のプラスチック層のうねりおよび/またはプラスチックシートのしわに起因する光学的欠陥が実質的にない最終製品を提供することができる。
【0088】
[00096]代替の一実施形態では、例えば、米国特許第9,453,949号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示され請求されているように、1つまたは複数のカラーバランス層を形成するために交互積層技術を使用することができる。この態様では、カラーバランス層は、ここで図4および図5を参照すると、ポリマー基材15および複合コーティング20を含む光学製品10として形成される。複合コーティングは、第1の層25および第2の層30を含む。好ましくは、第1の層25は、その第1面28で前記ポリマー基材20にすぐ隣接し、第2の層30は、その反対面32で第1の層25にすぐ隣接している。この第1の層25はポリイオンバインダーを含み、第2の層30は電磁エネルギー吸収性不溶性粒子を含む。各層25および30は結合基構成要素を含み、第1の層の結合基構成要素および第2の層の結合基構成要素は相補的結合基対を構成する。本明細書で使用する場合、「相補的結合基対」という語句は、静電結合、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、および/または化学的に誘導された共有結合などの結合相互作用が、複合コーティングの第1の層の結合基構成要素と第2の層の結合基構成要素との間に存在することを意味する。「結合基構成要素」は、相補的な結合基構成要素と協調して、上記の結合相互作用の1つまたは複数を確立する化学的官能基である。構成要素は、結合相互作用がそれぞれの電荷を通じて生じるという意味で、相補的である。
【0089】
[00097]複合コーティングの第1の層25は、ポリマー骨格に沿って複数の正または負に帯電した部分を含む高分子として定義されるポリイオンバインダーを含み得る。正電荷を有するポリイオンバインダーはポリカチオンバインダーとして知られ、一方、負電荷を有するものはポリアニオンバインダーと呼ばれる。また、一部のポリイオンバインダーは、pHなどの要因によってポリカチオンバインダーまたはポリアニオンバインダーのいずれかとして機能することができ、両性として知られていることも当業者には理解されよう。ポリイオンバインダーの帯電した部分は、第1の層の「結合基構成要素」を構成する。
【0090】
[00098]適切なポリカチオンバインダーの例は、ポリ(アリルアミン塩酸塩)、直鎖状または分枝鎖状ポリ(エチレンイミン)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリクオタニウムまたはポリクワットと呼ばれる高分子およびそれらの様々なコポリマーを含む。ポリカチオンバインダーのブレンドも本発明によって企図される。適切なポリアニオンアニオン性バインダーの例は、ポリ(アクリル酸)およびポリ(メタクリル酸)などのカルボン酸含有化合物、ならびにポリ(スチレンスルホン酸)およびその様々なコポリマーなどのスルホン酸含有化合物を含む。ポリアニオンバインダーのブレンドも本発明によって企図される。ポリカチオン型およびポリアニオン型の両方のポリイオンバインダーは、当業者には一般に周知であり、例えば、Krogmanらの米国公開特許出願番号US20140079884に記載されている。適切なポリアニオンバインダーの例は、ポリアクリル酸(PAA)、ポリ(スチレンスルホン酸)(PSS)、ポリ(ビニルアルコール)またはポリ(酢酸ビニル)(PVA、PVAc)、ポリ(ビニルスルホン酸)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリケイ酸、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)およびこれらと他のポリマーとの組合せ(例えば、PEDOT:PSS)、多糖類、および上記のコポリマーを含む。適切なポリアニオンバインダーの他の例は、トリメトキシシラン官能化PAAもしくはPAH、またはDNA、RNAもしくはタンパク質などの生体分子を含む。適切なポリカチオンバインダーの例は、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(PDAC)、キトサン、ポリ(アリルアミンヒドロクロリド)(PAH)、多糖類、タンパク質、線状ポリ(エチレンイミン)(LPEI)、分岐ポリ(エチレンイミン)BPEIおよび上述のコポリマーなどを含む。ポリアニオンバインダーまたはポリカチオンバインダーのいずれかとして機能することができるポリイオンバインダーの例は、タンパク質などの両性ポリマー、および上記のポリカチオンバインダーとポリアニオンバインダーとのコポリマーを含む。
【0091】
[00099]第1の層におけるポリイオンバインダーの濃度は、その荷電繰り返し単位の分子量に部分的に基づいて選択することができるが、第1の層を構成する荷電繰り返し単位の分子量に基づいて、通常、0.1mM~100mM、より好ましくは0.5mM~50mM、最も好ましくは1~20mMになるであろう。好ましくは、ポリイオンバインダーはポリカチオンバインダーであり、より好ましくはポリカチオンバインダーはポリアリルアミン塩酸塩である。最も好ましくは、ポリイオンバインダーは水に可溶であり、第1の層を形成するために用いられる組成物は、ポリイオンバインダーの水溶液である。ポリイオンバインダーがポリカチオンであり、第1の層が水溶液から形成される実施形態では、水溶液のpHは、イオン化可能な基の5~95%、好ましくは25~75%、より好ましくは約半分がプロトン化するように選択される。第1の層の他の任意成分は、殺生物剤または貯蔵寿命安定剤を含む。
【0092】
[000100]複合コーティング20の第2の層30は、電磁エネルギー吸収性不溶性粒子を含み得る。「電磁エネルギー吸収」という語句は、粒子が、特定のスペクトル波長(複数可)または波長範囲(複数可)での優先的な吸収のために光学製品の構成要素として意図的に選択されることを意味する。「不溶性」という用語は、粒子が第2の層30を形成するために使用される組成物に実質的に溶解せず、光学製品構造中に粒子として存在するという事実を反映することを意味する。電磁波エネルギー吸収性不溶性粒子は、顔料などの可視電磁エネルギー吸収剤であることが好ましいが、UV吸収剤やIR吸収剤、または電磁スペクトルの様々な部分の吸収剤など、必ずしも色を示さない不溶性粒子も使用することができる。電磁エネルギー吸収粒子は、好ましくは、第2の層の総重量を基準にして30重量%~60重量%の量で第2の層中に存在する。所望の最終的な電磁エネルギー吸収レベルを達成するために、第2の層は、組成物の全重量を基準にして0.25~2重量%の量で不溶性電磁エネルギー吸収粒子を含む組成物から形成されるべきである。
【0093】
[000101]第2の層の好ましい実施形態における電磁エネルギー吸収性不溶性粒子としての使用に適した顔料は、好ましくは平均粒径が5~300ナノメートル、より好ましくは10~50ナノメートルの粒子状顔料であり、当技術分野においてしばしばナノ粒子顔料と称されるものである。さらにより好ましくは、顔料の表面は、第2の層の結合基構成要素を含む。適切な顔料は、Cabot、Clariant、DuPont、DainipponおよびDeGussaなどのメーカーからコロイド的に安定な水分散液として市販されている。特に適切な顔料は、Cabot CorporationからCab-O-Jet(登録商標)の名称で入手できるもの、例えば250C(シアン)、265M(マゼンタ)、270Y(イエロー)または352K(ブラック)を含む。コロイド分散液として水中で安定であるために、顔料粒子表面は、典型的には、そこにイオン化可能な特性を付与するように処理され、それによって顔料にその表面上の所望の結合基構成要素を提供する。市販の顔料は、懸濁液、分散液などの様々な形態で販売されており、顔料の市販形態を評価し、光学製品構成要素との適合性および性能を確保するために必要に応じて修正するように、特に顔料表面が第2の層の結合基構成要素としても機能する実施形態において注意を払うべきであることが、当業者によって理解されるであろう。
【0094】
[000102]最終的な光学製品に特定の色相または色合いまたは色を実現するために、複数の顔料を第2の層に利用することができるが、複数の顔料を使用する場合、それらは、互いおよび光学製品構成要素の両方との適合性および性能を確保するために慎重に選択されるべきであることもまた当業者に理解されるであろう。これは、顔料表面が第2の層の結合基構成要素としても機能する実施形態に特に関連し、例えば粒子状顔料は、適合性に影響を与え得る異なる化学修飾により異なる表面電荷密度を示し得るからである。
【0095】
[000103]好ましくは、複合コーティングの第2の層は、スクリーニング剤をさらに含む。「スクリーニング剤」は、イオン強度を高め、粒子間静電反発を低減することにより、第2の層内の電磁エネルギー吸収性不溶性粒子の改善された分散を介して第2の層の均一で再現性のある堆積を促進する添加剤として定義される。スクリーニング剤は、一般に、当業者には周知であり、例えば、Krogmanらの米国公開特許出願番号US20140079884に記載されている。塩化ナトリウムは、通常、成分コストに基づく好ましいスクリーニング剤である。スクリーニング剤の存在および濃度レベルは、低い透過率を有する光学製品に望まれ得るような電磁エネルギー吸収性不溶性粒子のより高い装填を可能にし、また、カスタマイズ可能で慎重に制御可能な光学製品レベルを達成するために電磁エネルギー吸収性不溶性粒子のカスタマイズ可能で慎重に制御可能な装填を可能にすることができる。
【0096】
[000104]これらの交互積層光学製品は、単一の顔料で構成されてもよいし、米国特許第9,817,166号明細書に開示され請求されているような顔料ブレンドで構成されてもよい。その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。これらは、既に説明した着色PVB層の代わりに、またはこれに加えて使用することができる。
【0097】
[000105]より具体的な実施形態では、米国特許第10,613,261号および第10,627,555号(これらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示され、請求されたものなど、ニュートラル反射を示す交互積層光学製品が使用され得る。
【0098】
[000106]米国特許第10,613,261号に開示された、一態様では、これらのニュートラル反射交互積層光学製品は、第1の層および第2の層の複数の二層(bilayer)を有する複合コーティングを含み得、それぞれが、一緒になって相補的結合基対を形成する結合基構成要素を備え、複数の二層は、約2.5未満である色反射値を示す第1顔料または顔料ブレンドで構成される少なくとも1つの二層a);目的の波長範囲の可視光を選択的に遮断する顔料または顔料ブレンドから構成される少なくとも1つの二層b);および約2.5未満である色反射値を示す第2顔料または顔料ブレンドから構成される少なくとも1つの二層c)を含み、ここで光学製品は、目的の波長範囲の可視光を選択的に遮断すると同時に、約2.5未満である色反射値を示す。
【0099】
[000107]この態様では、目的の波長範囲は、例えば、75nmの波長範囲、または50nmの波長範囲、または他の箇所に記載される通りであり得る。同様に、様々な態様では、目的の波長範囲は、400nm~450nm、または600nm~650nm、または500nm~600nm、または525nm~575nm、または本明細書の他の箇所に記載される通りであり得る。
【0100】
[000108]この態様では、光学製品は、少なくとも1つの二層c)上に堆積され、二層に形成されたときに目的の波長範囲の可視光を選択的に遮断し、二層b)の顔料または顔料ブレンドと同じでも異なっていてもよい顔料または顔料ブレンドから構成される少なくとも1つの二層d);および二層に形成されたときに約2.5未満である色反射値を示し、二層a)または二層c)の顔料または顔料ブレンドと同じであっても異なっていてもよいニュートラル顔料または顔料ブレンドから構成される少なくとも1つの二層e)をさらに含み得る。
【0101】
[000109]この態様のさらなる実施形態では、光学製品は、約2.0未満、または約1.5未満、または本明細書の他の箇所に記載されるような色反射値を有し得る。前述のように、これらの光学製品の基材は、ポリエチレンテレフタレートフィルムを含み得、別個に、複合コーティングは、5nm~1000nmの総厚を有し得る。
【0102】
[000110]米国特許第10,627,555号に開示されている別の態様では、これらのニュートラル反射交互積層光学製品は、基材上に堆積された複合コーティングを含み得、それは第1の層および第2の層を有する少なくとも1つの二層を備え、それぞれが、一緒になって相補的結合基対を形成する結合基構成要素を備える。少なくとも1つの二層は、a)一緒に混合されて二層に形成されたときに、約2.5未満である色反射値を示す少なくとも2種の顔料、およびb)混合されて二層に形成されたときに、目的の波長範囲の可視光を選択的に遮断する1つまたは複数の顔料を含む顔料ブレンドを含む。
【0103】
[000111]この態様でも、目的の波長範囲は、75nmの波長範囲、または50nmの波長範囲であり得、または400nm~450nm、または600nm~650nm、または500nm~600nm、または525nm~575nm、または本明細書の他の箇所に記載される波長範囲であり得る。
【0104】
[000112]この態様では、本発明の光学製品の少なくとも1つの二層は、少なくとも3つの二層を含み得、または本明細書の他の箇所に記載されている通りである。他の態様では、本発明の光学製品の色反射値は、約2.0未満、または約1.5未満であり得、または本明細書の他の箇所に記載されている通りである。
【0105】
[000113]この態様でも、光学製品は、基材としてポリエチレンテレフタレートフィルムを含み得る。別の態様では、本発明の光学製品の複合コーティングは、5nm~1000nmの総厚さを有し得、または本明細書の他の箇所に記載されている通りである。
【0106】
[000114]これらのニュートラル反射交互積層コーティングの光学製品またはフィルム、または個々の二層または複数の二層が、目的の波長範囲内、または定義された波長範囲内、または所定の波長範囲内の可視光を選択的に遮断すると言う場合、その波長範囲内で遮断される光の量は、可視光スペクトル内の同じ幅の他の波長範囲、すなわち約400nm~700nm、または本明細書の他の箇所に記載される波長範囲で遮断される光の量より大きいことを意味する。光が選択的に遮断されると言う場合、「遮断される」の定義は、吸収される光および反射される光、ならびに光学製品によって散乱される波長範囲内の任意の光を包含することを意図する。すなわち、遮断される光が吸収、反射、または散乱のいずれであっても、フィルムまたは光学製品を透過せずに測定できないすべての光は、「遮断される」と見なされる。もちろん、目的の波長を予め決めておき、例えば、その予め選択された、または予め決められた波長範囲内の光を吸収する顔料を選択することもできる。逆に、目的の波長範囲は、ランダムに選択することができ、これは、色反射値によって定義されるように、所望の比較的ニュートラルな反射も達成される限り、顔料が新規性または美的効果のために試され、外観および透過色に対するそれらの効果のみに基づいて選択することができるという意味である。
【0107】
[000115]米国特許第10,613,261号および第10,627,555号(その関連部分は、本開示と矛盾しない範囲で、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)により詳細に記載されているこれらの態様で使用される光測定値は、は、1976年CIEL色空間を使用して決定されるものである。CIELは、L、a、bと呼ばれるRichard Hunterの初期(1942年)のシステムに基づく反対色システムである。CIEL色空間では、3つの座標は、色の明度(L=0は黒を、L=100は拡散白を示す)、赤と緑の間の位置(a、負の値は緑、正の値は赤を示す)、および黄色と青の間の位置(b、負の値は青、正の値は黄色を示す)を表す。
【0108】
[000116]したがって、これらの交互積層光学製品は、上記で言及した着色PVB層の一方または両方の置き換えに使用することができる。
【0109】
[000117]本明細書に記載の合わせガラスまたは多層組成物の性能は、例えば、VLT、LT、色、およびヘイズの測定など、当該技術分野の標準的な技術を用いた研究を実施することによって試験することができる。WO2010/142019は、光学フィルターの性能を評価するために使用できる方法、装置、および技術を記載している。
【0110】
[000118]以下の表1および表2は、本実施例で梅色のPVB層103が梅色のPET層であることを除いて、図2および図3に示すものと同様の多層ガラス積層スタックを有する実施例のカラーバランスデータを示す。表1は、可変透過率層105が暗状態にあるときの反射L、a、bおよびデルタCの数値を示す。表2は、可変透過率層105が明状態にあるときの反射L、a、bおよびデルタCの数値を示す。表3は、可変透過率層105が暗状態にあるときの透過L、a、b値、デルタCの数値、およびLT値を示す。表4は、可変透過率層105が明状態の場合の透過L、a、b値、デルタCの数値、およびLT値を示す。ニュートラルグレーPVB層(層104および201)の様々な組合せの値が示されている。最上行に示されているパーセントの数字は、層201(第1の数字)および層104(第2の数字)における黒色顔料の量の尺度であり、100%の値は、層104と201との間で分割された黒色顔料の所望の総装填量にほぼ対応する。試験されたデバイスのすべてにおいて、梅色のPET層103は同じままである。梅色PETがスタックに含まれており、透過色は確実に透過色目標に近似する。反射色L、a、b値およびデルタC数値のデータは、スタックの上部(外側;最もアウトボードの位置)および下部(内側;最もインボードの位置)の両方から見たときのスタックについて示されている。
【0111】
[000119]この例では、目標反射色と目標透過色の両方が、a値およびb値が0である完全にニュートラルな色である。ここの目標の反射色と透過色を完全に一致させると、デルタCはゼロになる。しかし、先に述べたように、0から20の間のデルタCは、目標色への良好な近似を示し、ほとんどの用途で許容されるであろう。表1からわかるように、可変透過率フィルター105が暗い(最も着色された)状態であっても、グレーPVB層201の追加により外側からの反射色で20未満のデルタC値を達成することが可能であり、グレーPVB層104の追加により内側からも達成することが可能である。これらのグレー層がなければ、外側および内側の両方からの反射光のデルタC値は、はるかに高くなるであろう。
【0112】
[000120]表1から、一般に、グレーが暗くなるほど(黒色顔料の割合が高くなるほど)、反射色を支配してデルタC値を減少させるのに効果的であることに留意されたい。例えば、全黒色顔料の55%を含むグレーPVB層(図2および3のPVB層201)を有する上部からの反射光のデルタCは、実施例1に示すように4.6であり、これは実施例4のより暗い(黒色顔料の90%)グレーPVB層を有する同じスタックによって達成されたデルタC値1.4より高い。実施例1~4に明らかな傾向があることに留意されたい。グレーPVB層中の黒色顔料の割合が高いほど、デルタC値は低くなる(よりニュートラル)。これらのすべての例で、カラーフィルターは市販のフィルターである場合もあれば、所望の用途に適合するように、あるいは特定の可変透過率フィルターとより最適に協働するように、特定のスペクトルを透過および反射するように設計されたカスタムフィルターである場合もある。
【0113】
【表1】
【0114】
[000121]表1では、スタックの下部(内側、最もインボードの位置)からの反射光のデルタC値もすべて20未満であり、下部からの反射光もかなりニュートラルカラー目標に近似している。デルタCの数値も、内側に面するガラス(102)のすぐ横のPVB層104として使用されるグレー層が明るいほど増加するという同様の傾向を示す。実施例1の45%の黒色顔料装填では、5.3のデルタCが達成されるが、実施例4の10%の黒色顔料装填では、16.3のデルタCが達成される。
【0115】
[000122]可変透過率フィルターは、異なる光透過率および色特性を有する暗状態と明状態の両方を有するので、いくつかの用途では、可変透過率フィルターが暗状態と明状態の両方にあるときに、反射色が確実に目標色によく近似することが重要になる場合がある。以下の表2は、明状態の可変透過率フィルターを使用した同じ4つの例の反射LとデルタCの値を示している。デルタC値は一般に、明状態の可変透過率フィルターを使用すると高くなり、明状態の反射色は暗状態の反射色よりも若干カラーバランスが取りにくいことを示す。しかし、それでもほぼすべてのデルタC値が20を下回っており、目標によく近似していることがわかる。20をわずかに超える唯一のデルタC値は、黒色顔料を10%添加したインボードのグレーPVB層の実施例4の下部反射値に現れており、この場合、わずかに暗いグレーPVBが反射光をよりニュートラルにするのに役立つことを示唆している。
【0116】
【表2】
【0117】
[000123]表2は、目標透過光と目標反射光が完全なニュートラルグレー、つまりaとbの値がゼロであり、aカラーホイールの原点で表される場合に算出されるデルタC値を示す。しかし、a、b値がゼロでなくても、aカラーホイールの原点に近い範囲に透過と反射の目標色を設定し、ニュートラルな外観を実現することは可能である。異なる用途では、ニュートラルな原点に近いカラーホイールの異なる領域が好まれる場合があり(例えば、わずかな青味はわずかなオレンジ味よりも許容できると認識される場合がある)、可変透過率フィルター層105が暗状態対明状態の場合の異なる目標も存在する場合がある。
【0118】
【表3】
【0119】
[000124]表3および表4は、梅色のPET層103が、同じシリーズの試験装置(実施例1~4)の透過色をニュートラルにするのに効果的であり、退色状態および暗状態の目標透過色を達成できることを示し、同時にスタックの上部(外側;最もアウトボードの位置)と下部(内側;最もインボードの位置)の両方から退色状態と暗状態の目標反射色をタンデムに提供することを示している。可変透過率フィルター105が暗状態にあるとき(表3)、デルタC値は7以下であり、実際の色が目標色によく近似していることを示す。同様に、可変透過率フィルター105が明状態にあるとき(表4)、デルタC値は20未満であり、実際の色も目標色に近似していることを示す。実施例1、2および4では、グレーPVB層201および104を合わせた(100%)中に同じ装填量の黒色顔料が存在し、梅色のPET層も同じであり、このため、可変透過率フィルター105が暗状態または明状態のいずれであっても透過色座標およびLT値は非常に類似していることに留意されたい。
【0120】
【表4】
【0121】
多層スタックからの光透過の目標色範囲の例
[000125]図6は、可変透過率フィルターが暗状態にあるときの、目標透過色範囲の例を有するaカラーホイール400を示す。この例では、円401は、-13~+13のa値、-20~+3のb値を表し、透過色目標の好ましい色範囲である。円402は、-10~+10のa値、-15~+3のb値を表し、透過色目標のより好ましい範囲である。円403は、最も好ましい範囲であり、-4~+4のa値および-7~+3のb値を表す。
【0122】
[000126]同様に、図7は、可変透過率フィルターが明状態であるときの、例示的な目標透過色範囲の例を有するaカラーホイール500を示す。この例では、円501は、-6~+10のa値、-4~+24のb値を表し、透過色目標の好ましい色範囲である。円502は、-5~+8のa値、-3~+18のb値を表し、透過色目標のより好ましい範囲である。円503は、最も好ましい範囲であり、-4~+4のa値および-2~+8のb値を表す。
【0123】
多層スタックからの光反射の目標色範囲の例
[000127]図8は、可変透過率フィルターが暗状態にあるときの、例示的な目標反射色範囲の例を有するaカラーホイール400を示す。この例では、円601は、-10~+22のa値、-9~+9のb値を表し、反射色目標の好ましい色範囲である。円602は、-4~+19のa値、-5~+6のb値を表し、透過色目標のより好ましい範囲である。円603は、最も好ましい範囲であり、-2~+15のa値および-2~+6のb値を表す。
【0124】
[000128]同様に、図9は、可変透過率フィルターが明状態であるときの、目標反射色範囲の例を有するaカラーホイール400を示す。この例では、円701は、-10~+23のa値、-2~+22のb値を表し、透過色目標の好ましい色範囲である。円702は、-6~+18のa値、-2~+16のb値を表し、透過色目標のより好ましい範囲である。円703は、最も好ましい範囲であり、-2~+16のa値および-2~+12のb値を表す。
【0125】
[000129]一実施例では、透過と反射の両方でニュートラルな色が望まれる多層スタックは、目標色が、暗状態、明状態、または両方の状態の透過と反射の両方について好ましい範囲に入るとき、20以下のデルタCを有する。別の例では、多層スタックは、目標色が、暗状態、明状態、または両方の状態の透過と反射の両方についてより好ましい範囲内に入るとき、20以下のデルタCを有する。別の例では、多層スタックは、目標色が、暗状態、明状態、または両方の状態の透過と反射の両方について最も好ましい範囲内に入るとき、20以下のデルタCを有する。
【0126】
[000130]上記の例は、可変透過率フィルターを含む多層スタックにおいて、よりニュートラルな透過光および反射光を達成するための目標色の範囲を説明する。しかし、他の実施例によれば、透過および/または反射のための目標色は、必ずしもニュートラルカラーである必要はない。例えば、車両の設計者は、反射色を自動車の明るい色の塗装に合わせたいと思うかもしれないし、建築家は、ある目標色の光を反射するように建物を設計したいと思うかもしれない。
【0127】
[000131]これらの例では、多層スタックは、透過光カラーバランス層に対して梅色以外の色、または反射光カラーバランス層に対してグレー以外の色を含み得る。これらの例の目標は同じままであり、それは、それが何であろうと、目標透過色から20以下のデルタC、および、特定の用途について何であろうと、目標反射色から20以下のデルタCを有する透過色を同時に達成することである。透過色目標と反射色目標のすべての組合せで20以下のデルタCを達成することができない場合があるが、可変透過率フィルターのアウトボードで、できるだけ外側のガラス板に近い所望の色を反射する色層を使用し、この層の下に透過色のバランスを取るための色層を使用するという同じ一般原則が適用される。
【0128】
[000132]いくつかの例によれば、多層スタックは、暗状態で約1%未満、または約2%未満、または約5%未満、または約10%未満のLTを有し得る。いくつかの例によれば、多層スタックは、退色状態で約4%超、または約5%超、または約10%超、または約15%超、または約20%超のLTを有し得る。
【0129】
[000133]いくつかの例によれば、多層スタックは、暗状態で約1%~約10%、またはその間の任意の量もしくは範囲のLTを有し得、退色状態で約5%~約30%、またはその間の任意の量もしくは範囲のLTを有し得る。例えば、多層組成物または合わせガラスは、暗状態が退色状態よりも小さいLTを有することを条件として、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、25もしくは30%、またはその間の任意の量もしくは範囲の暗状態または退色状態でのLTを有し得る。目標透過色および反射色がニュートラルカラーの「スタック」である場合、様々な実施形態による多層スタックは、退色状態で、約40~約60またはその間の任意の量のL値を有し得る。
【0130】
[000134]図1、2、および3のようなPVBを用いた多層スタックの積層は、PVBが可変透過層105およびガラス層101、102の両方に流れて結合するように、一定期間スタックに熱および圧力を加える(例えば、オートクレーブ内で)ことにより、標準的なPVB積層プロセスを用いて実現することができる。この例では、PVBを使用することがガラスを積層するための最も一般的な材料の1つであるので、PVB層が示されているが、スタックを一緒に結合するためにPVBの代わりに他のタイプのラミネート層を使用することもできる。例えば、エチレン酢酸ビニル(EVA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、SentryGlas(登録商標)イオノプラスト(ionoplast)ポリマー中間層、および様々な感圧接着剤(PSA)はすべて、ガラスとガラス、ならびにフィルムとガラスを結合するために使用できる材料の例で、本発明の実現に適した色を付与するために容易に着色または染色することもできる。
【0131】
[000135]また、色は必ずしもPVB層だけに含まれるとは限らない。それは、代替的にまたは追加的に、典型的にはPETなどの基材上に堆積された、既に説明された交互積層光学製品に提供されてもよい。さらなる態様では、1つまたは複数の着色PET層、例えば染色PETフィルムは、本発明の層状アセンブリを着色するために使用され得る。
【0132】
[000136]グレーPVBの代わりにグレーガラスを使用することも可能であり、より一般的には、着色ポリマーの代わりに着色ガラスを使用することも可能である。例えば、図3のガラス層101を透明ガラスの代わりにグレーガラスに置き換えた場合、グレーPVB層201はもはや必要ないか、または透明PVBに置き換えることができる。目標反射色を実現するために、グレーPVBの代わりにグレーガラスを使用することができる。同様に、ガラス層102にグレーガラスが使用される場合、グレーPVB層104も透明PVB層と置き換えることができる。
【0133】
[000137]あるいは、スタック内の透過率および反射率のためのカラーバランス層は、PVB以外の材料で構成され得る。いくつかの例では、着色層は、感圧接着剤を用いて可変透過率層に接着されたポリエチレンテレフタレート(PET)層である可能性があり、その後、スタック全体は、PVBまたは他の材料を用いてガラスに結合され得る。感圧接着剤層自体も着色することができ、透過率可変層のいくつかの例では透明導電性電極を担持するPET基材も着色することができる。ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、または薄いガラスフィルムなどの他のフィルムも可能である。いくつかの例では、これらの層のいくつかは、軟質または硬質であり得る。反射カラーバランスグレー層は、スパッタリング、化学気相成長、スプレー、スロットダイ、塗装、または当技術分野で公知の他の方法によって適用できる外側ガラス層上のコーティングでもあり得る。
【0134】
[000138]低ヘイズは、いくつかの用途では望ましい特徴とすることができる。一例では、多層スタックは、約5%以下、約3%以下、約2%以下、約1.5%以下、または約1%以下、または約0~2%、または約0.5~約3%、またはその間の任意の量または範囲の全透過ヘイズを有する。
【0135】
[000139]カラーバランス層はまた、UVカットオフ波長を作り出すUV吸着剤、および/またはUV安定剤を含み得、またはこれらの材料を有する追加の層は、スタックに追加され得る。例えば、PVBなどの接着剤層は、UVを遮断する添加剤を有し得る(例えば、US6627318)。一実施例では、有害なUVが可変透過率層に到達するのを防ぐために、UV遮断材料が可変透過率フィルター層105のアウトボードに配置される。例えば、グレーPVB層201は、380nmまたは400nmの波長未満のUVをカットするUV吸収剤も含み得る。
【0136】
[000140]1つまたは複数の層はまた、IR遮断構成要素を含み得る。例えば、太陽光制御フィルムは、多層スタックまたは合わせガラスに含まれ得る。そのようなフィルムの例は、US2004/0032658およびUS4368945を含み、これらの開示は、本開示と矛盾しない範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。あるいは、IR遮断材料は、ガラスの層、または接着剤層に組み込まれ得る。IR遮断層は、IR光を反射、または吸収し得る。一実施例では、IR反射材料の層は、IR内の熱エネルギーがスタック内の他の層を通過して吸収される前にスタックの外に反射することによってスタックをより低温に保つために、可変透過率層105のアウトバウンドに配置される。
【0137】
[000141]多層スタックは、低放射率(低E)コーティングも含み得る。一実施例では、低Eコーティングは、ガラス層102の一表面上の、可変透過率層105のインボードに配置される。層のこの位置決めは、多層スタックから車両または建物への熱の放射を防止するのに役立つ。
【0138】
他の実施形態
[000142]本明細書で議論される任意の実施形態は、任意の他の実施形態、方法、構成または態様に関して実施または組み合わせることができ、その逆も可能であることが企図される。
【0139】
[000143]本発明は、1つまたは複数の実施形態に関して説明されてきた。しかし、特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、多数の変形および改変が可能であることは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の様々な実施形態が本明細書に開示されているが、当業者の一般的な一般知識に従って、本発明の範囲内で多くの適応および改変がなされ得る。そのような改変には、実質的に同じ方法で同じ結果を達成するために、本発明の任意の態様を既知の等価物で置き換えることが含まれる。数値の範囲は、その範囲を定義する数値を含む。「およそ」および「約」という用語は、値と共に使用される場合、その値の±10%を意味する。本明細書で、単語「含む(comprising)」は、「含むが、これに限定されない(including, but not limited to)」という語句と実質的に同等であるオープンエンドの用語として使用され、単語「含む(comprises)」は対応する意味を有する。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。本明細書における参考文献の引用は、そのような参考文献が本発明の先行技術であることの承認、または参考文献の内容または日付に関する承認として解釈されるべきではない。すべての刊行物は、あたかも個々の刊行物が参照により本明細書に組み込まれることが具体的かつ個別に示され、本明細書に完全に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。本発明は、実施例および図面を参照して実質的に前述したすべての実施形態および変形を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】