(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-29
(54)【発明の名称】芳香含有ガスの製造方法、芳香含有ガス及び芳香含有ガスの利用
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20230522BHJP
A23L 2/56 20060101ALI20230522BHJP
A23L 27/10 20160101ALI20230522BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20230522BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20230522BHJP
A23L 29/00 20160101ALI20230522BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20230522BHJP
A61K 8/9794 20170101ALI20230522BHJP
A61Q 13/00 20060101ALI20230522BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20230522BHJP
B01D 11/02 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
A23L27/00 C
A23L2/56
A23L27/10 Z
A23L5/00 H
A23L2/00 B
A23L29/00
A61K8/9789
A61K8/9794
A61Q13/00 100
A61Q11/00
B01D11/02 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022580260
(86)(22)【出願日】2021-03-12
(85)【翻訳文提出日】2022-11-10
(86)【国際出願番号】 EP2021056305
(87)【国際公開番号】W WO2021185687
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】102020001722.3
(32)【優先日】2020-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522364930
【氏名又は名称】デーラー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【氏名又は名称】本田 亜希
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(74)【代理人】
【識別番号】100189474
【氏名又は名称】田村 修
(72)【発明者】
【氏名】ハームセン,ブラム
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンブラット,ハラルド
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター,クラウス
【テーマコード(参考)】
4B035
4B047
4B117
4C083
4D056
【Fターム(参考)】
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4D056EA08
(57)【要約】
本発明は、芳香含有ガス(10)の製造方法であって、以下の工程a)溶媒及び1種又は数種の芳香物質(1、2、3)を含む液相(5)を準備する工程、b)工程(a)の液相を固相抽出カラム(3)へ導入して、芳香物質を1種以上含む固相(35)を得る工程、c)液体及び/又は超臨界状態における少なくとも1種のガス(2)を用いて、芳香含有固相から1種又は数種の芳香物質を分離する工程、更に選択肢としてd)ガス(10)を採取し、その中に芳香物質(1、2、3)を1種又は数種を含有するガス(10)を回収する工程を含む方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香含有ガス(10)の製造方法であって、以下の工程、
a)溶媒及び1種又は数種の芳香物質(1、2、3)を含む液相(5)を準備する工程、
b)工程(a)で準備された該液相(5)を固相抽出カラム(3)へ導入して、1種又は数種の芳香物質を含有する固相(35)を得る工程、
c)液体及び/又は超臨界状態における少なくとも1種のガス(2)を用いて、該芳香含有固相(35)から1種又は数種の芳香物質(1、2、3)を分離する工程、
を含む芳香含有ガスの製造方法。
【請求項2】
前記工程(c)の後に、工程
d)1種又は数種の芳香物質を含有する前記ガス(10)を回収する工程、
が行われることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記工程(c)が、前記固相抽出カラム(3)で直接行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記工程(c)は、この目的に適した装置(4;40)で行われ、工程(b)で得られた前記含有固相(35)は、前記固相抽出カラム(3)から取り出され、この装置(4;40)に移されることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記溶媒は、水、水と混和する溶媒、及び特に極性溶媒におけるそれらの混合物、並びに水と混和する1つ又は複数の溶媒と水との混合物を含む群から選択され、ここで、溶媒としては水又は水性混合物が好ましく、溶媒としては水が特に好ましいことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法
【請求項6】
前記固相抽出カラム(3)に充填された前記固相(30)は、非極性吸着剤、特に疎水性に変性されたポリマー材料及び/又はシリカゲルに基づく非極性吸着剤である、又はそれを含み、架橋ポリスチレンが特に好ましいことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記工程(b)において、前記固相は、1種又は数種の芳香物質(1、2、3)を完全に又は部分的に含有していることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
ガス(2)として二酸化炭素(CO
2)が用いられ、好ましくは液体及び/又は超臨界状態の二酸化炭素、特に好ましくは超臨界状態の二酸化炭素であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記工程(d)の前後の工程において、工程、
(d1)芳香物質(1、2、3)又は芳香物質の混合物(123)を抽出することによる、前記芳香含有ガス(10)から1種の芳香物質又は数種の特にすべての芳香性物質(1、2、3)の分離工程が、
行われることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記工程(d1)において、分離手段(6)である、好ましくはメンブレンフィルターを介して、特に減圧目的として、芳香含有ガス(10)の導入通過が行われ、濾過後の芳香フリーガス(20)が、任意にリサイクルされることを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
特に、請求項1~10のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された芳香含有ガス(10)又は芳香含有固相(35)。
【請求項12】
溶媒、及び1種又は数種の芳香物質(1、2、3)を含む液相(5)と比較して、芳香物質(1、2、3)の組成は、本質的に同一であり、好ましくは含有比も同一であることを特徴とする請求項11に記載の芳香含有ガス(10)又は芳香含有固相(35)。
【請求項13】
前記液相(5)は、飲料、特に果物ジュース、コーヒー、牛乳及び乳製品、茶及びビール並びにそれらの混合物、少なくとも1つの凝縮液、すすぎ水、動物又は植物の出発材料の加工から、例えば果物の加工から、又は食品の製造から、例えば飲料の製造からの少なくとも1つの二次流及び/又は副流及び/又は廃棄流、更に果物の加工又は飲料の製造からの少なくとも1つのバイパス流、並びに前記液体のうちの少なくとも2つの混合物を含む群から選択される
ことを特徴とする請求項11又は12に記載の芳香含有ガス(10)又は芳香含有固相(35)。
【請求項14】
下記の少なくとも1つの果実又は下記の少なくとも1つの出発物質をそれぞれベースとする液相(5)と比較して、
前記芳香含有ガス(10)又は前記芳香含有固相(35)が、
下記の各芳香(1、2、3)の少なくとも1つが液相と同じ割合で含まれている
ことを特徴とする請求項11~13のいずれか1項に記載の芳香含有ガス(10)又は芳香含有固相(35):
いちご:酪酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル-2、カプロン酸メチル、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、桂皮酸メチル、3 Z-ヘキセノール、γ-デカラクトン、
ラズベリー:α-及びβ-イオノン、2E-ヘキセナール、δ-デカラクトン、3 Z-ヘキセノール、リナロール、ゲラニオール
リンゴ:2E-ヘキセノール、3Z-ヘキセノール、2E-ヘキセナール、ヘキサナール、酪酸エチル、酪酸エチル-2-メチル、β-ダマセノン
オレンジ:酪酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル-2-メチル、オクタナール、ヘキサナール、リナロール、アセトアルデヒド、
グレープフルーツ:ヌートカトン、酪酸エチル、ミルセン、リナロール、p-メンテンチオール-1,8、
レモン:シトラール、ゲラニオール、β-ピネン
チェリー:ベンズアルデヒド、2E-ヘキセノール、2E-ヘキセナール、ヘキサナール、β-ダマセノン、
桃:γ-デカラクトン、δ-デカラクトン、6-アミル-α-ピロン、2 E-ヘキセノール、β-ダマセノン、酸化リナロール、
バナナ:酪酸3-メチルブチル、酢酸3-メチルブチル、ヘキサナール、オイゲノール
梨:酢酸ヘキシル、酢酸3-メチルブチル、酢酸2E-ヘキセニルエチル-2 E、4Z-デカジエノート
コーヒー:β-ダマセノン、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2 H)-フラノン、フルフリルチオール-2,4-ビニルグアヤコール、3-ヒドロキシ-4,5-ジメチルフラン-2(5H)-オン、異性体イソプロピルメトキシピラジン、異性体エチルジメチルピラジン、
お茶:3Z-ヘキセノール、インドール、メチルジャスモナート、3-メチル-2,4-ノナンジオン、ジャスミンラクトン、β-ダマセノン、サリチル酸メチル
玉ねぎ:ジプロピルジスルフィド、ジプロピルトリスルフィド、メチルプロピルジスルフィド、
肉:2E,4Z,7Z-トリデカトリエナール、2E, 5Z-ウンデカジエナール、2E,4Z-デカジエナール、
ライス:2-アセチル-1-ピロリン、オクタナール、ノナナール
牛乳:1-オクテン-3-オン、ジアセチルデルタデカラクトン、デルタドデカラクトン、デカン酸
トマト:3Z-ヘキセノール、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3 (2H)-フラノン、β-ダマセノン、硫化ジメチル
ミント:L-メントール、メントーン、L-カルボン
ビール:酢酸イソアミル、2-フェニルエタノール、酪酸エチル、オクタン酸、
ワイン:ワインラクトン、2-フェニルエタノール、リナロール、リナロール酸化物、
パッションフルーツ:ヘキサン酸エチル、リナロール、γ-デカラクトン、酪酸ヘキシル、ヘキサン酸ヘキシル、酪酸3Z-ヘキセニル、ヘキサン酸3Z-ヘキセニル
マンゴー:硫化ジメチル、α-ピネン、酪酸エチル、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、γ-オクタラクトン、γ-デカラクトン、3Z-ヘキセノール
パイナップル:メチル-2-メチル酪酸塩、エチル-2-メチル酪酸塩、エチルヘキサン酸塩、メチル-(3-メチルチオ)プロピオン酸塩、エチル-(3-メチルチオ) プロピオン酸塩、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2 H)-フラノン、
ハニー:フェニル酢酸、フェニルアセトアルデヒド、β-ダマセノン
キャラメル:3-ヒドロキシ-4,5-ジメチルフラン-2(5H)-オン、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテン-1-オン、
オート麦:2-アセチル-1-ピロリン、(E,E,Z)-2、4, 6-ノナトリエナール、バニリン、
麦芽:2-メチルブタナール、3-メチルブタナール、2-アセチル-1-ピロリン、バニリン、3-ヒドロキシ-4,5-ジメチルフラン-2(5H)-オン、異性体イソプロピルメトキシピラジン、異性体エチルジメチルピラジン
であり、
ここで、上記の芳香成分に加えて、官能性の観点から関連するメルカプタン類(チオアルコール類)及びモノ-、ジ-、トリ-スルフィド類(チオエーテル類)を更に添加することができる。
【請求項15】
好ましくは、食品、高級食品、口腔衛生用品、半製品、化粧品又は医薬品からなる群から選択される製品(7)に芳香を導入するため、特に食品又は飲料に導入するための、
請求項11~14のいずれかに1項に記載の芳香含有ガス(10)又は芳香含有固相(35)の使用、又は請求項1~10のいずれか1項に記載の製造法で製造された芳香含有ガス(10)又は芳香含有固相(35)の使用。
【請求項16】
製品(7)が、特に食品、高級食品、口腔衛生製品、半製品、化粧品又は医薬品であって、
請求項11~14のいずれか1項に記載の少なくとも1種の芳香含有ガス(10)、及び/又は、特に請求項9又は10に記載の芳香含有ガスから分離された少なくとも1種の芳香物質(1、2、3)が、製品(7)に接触する場合において、
少なくとも1種の芳香物質が、該製品及び/又は該製品の包装の中を少なくとも部分的に通過することを特徴とする製品(7)を芳香化する方法。
【請求項17】
前記製品(7)が液体、特に飲料又は口腔衛生製品であり、
少なくとも一種の芳香含有ガス(10)が、該液体製品(7)に導入されることを特徴とする請求項16に記載の製品(7)を芳香化する方法。
【請求項18】
前記芳香含有ガス(10)からの前記ガス(20)が少なくとも部分的に製品(7)中に残ることを特徴とする請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記ガス(20)は、使用前に前記製品(7)から意図したように放出又は除去されることを特徴とする請求項16~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記芳香物質の数、相対的な割合、濃度及び/又は種類が異なる少なくとも2種の芳香含有ガスが、前記製品に接触されることを特徴とする請求項16~18のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香含有ガスを製造する方法、芳香含有ガス、特に芳香含有二酸化炭素の使用、及び生成物を芳香化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品産業では、炭酸ガス(CO2)は主に清涼飲料水、ビール、ミネラルウォーターの飽和に使用されている。健康的なライフスタイルに対する人々の意識の高まりは、例えばスパークリングワイン(シャンパン)、ソフトドリンク、ビールなどのアルコールフリー飲料の販売を促進する。そのためには、味や香りを楽しむだけでなく、エタノールを全く使わずに飲料や食品を作ることができる新しい生産技術が求められています。このような製品は、一般的に、特に宗教的な規則(ハラル認証)に従って食品がハラルであることが要求されている国において、より健康的な生活様式の一部として関心を持たれている。
【0003】
欧州食品情報規則(LMIV)によると、アルコールの表示要件は1.2体積%からのみ始まる。「アルコールフリー」とは、必ずしも「アルコールなし」を意味していない。例えば、「アルコールフリー」であると宣伝されているビール及びワインは、最大0.5体積%のアルコールを含有し得る。もし他の飲料(ワインやビール以外)が「アルコールフリー」であると提供されるならば、それは実際には全くアルコールを含んでいない可能性もあり、したがってアルコール含有量は0.0体積%であり、「アルコールフリー」という表示は、むしろ誤解を招き、消費者への欺瞞であると考えられる。
【0004】
最終製品が、「アルコールなし」(アルコール含有量はこのような0.0体積%である)という用語を遵守しないため、溶媒としてのエタノールへの芳香族物質の添加は可能ではない。飲料の脱アルコールのための通常の蒸留方法は、それに付随する物理的歪み(例えば、高温又は大気圧以下)が芳香物質を損傷し、揮発性芳香物質が失われて飲料の味を変化させるので、適切ではない。
【0005】
植物材料の抽出(超臨界流体抽出、略してSFE)において、超臨界状態又は液体状態のCO2のような圧縮ガスを使用することは、既に方法(例えば、特許文献1又は特許文献2を参照)として知られており、そこでは、温度不安定性、臭気活性、又は他の点で、芳香又は抽出物の効力にとって重要な成分を、低温で穏やかな方法で抽出することができる。
【0006】
超臨界流体は、液体のみでなく気体の性質を有する。この超臨界状態では、このような流体又は気体、例えばCO2がそれぞれ溶媒として作用する。超臨界二酸化炭素は、液体の密度に非常に似ているが、気体として同じ粘度を有する。このことにより、液相よりも高い拡散係数が得られ、したがって、より高い質量輸送が得られる。それは、試料中の物質を溶解又は抽出することができる。
【0007】
また、固相抽出(略してSPE、古い用語で吸着剤抽出)は、可能な濃縮、濃度又は検体の分離に関する試料調製方法であることも知られている。固相抽出では、固相(吸着剤)上に液相が抽出される。固相抽出を用いるトマト抽出物の分別は、例えば特許文献3に述べられている。
【0008】
ホップ油から二つ以上の留分を抽出する方法は、特許文献4に記載されており、吸着担体に充填されたホップ油は、最初に、第1の留分を分離する目的により液体二酸化炭素で処理され、次いで、第2の留分を分離する目的により超臨界二酸化炭素で処理される。さらなる留分は、超臨界二酸化炭素の結合中にCo溶媒によって分離することができる。
【0009】
特許文献1は、改良された感覚特性を有する植物抽出物を製造する方法を開示している。植物の要素は最初に、例えば超臨界CO2で抽出される。次いで、抽出された植物成分は、粉末状又は顆粒状の担体材料上に堆積される。植物部分の残渣を水及び/又は一価C1~C3アルコールによる第2の抽出に供し、得られた抽出物を乾燥する。第1及び第2抽出後の生成物は、混合することで結合される。
【0010】
しかしながら、これらの公知の方法のいずれも、芳香含有物質が高度に希釈された出発溶液から熱処理なしで濃縮され、実質的に水、エタノール等のようないかなる溶媒も含まない芳香含有二酸化炭素の製造を提供しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0062893号
【特許文献2】欧州特許第0397642号
【特許文献3】欧州特許第2844083号
【特許文献4】欧州特許第3063260号
【発明の概要】
【0012】
したがって、食品、化粧品及び/又は医薬品に芳香/芳香混合物を導入するのに適した、「アルコールなし」と表示することができる芳香含有二酸化炭素を製造するための改良された方法を見出す目的がある。
【0013】
本発明のさらなる目的は、最終生成物中において、すなわち芳香を含んだガス中において、高度に希釈された出発溶液(芳香物質の痕跡のみを含む)から芳香物質を「濃縮」することを可能にする方法を見出すこと、及び最終生成物中において種々の芳香組成物を任意に組み合わせることである。
【0014】
この目的は、以下の工程からなる芳香事に含有ガスを製造するための方法によって、意外にも解決された。該工程は、
(a)溶媒と、1種又は数種の芳香物質を含む液相を準備する工程、
(b)工程(a)で準備された該液相を固相抽出カラム(SPEカラム)へ導入して、芳香物質を1種以上含有した固相(収着剤)を得る工程、(b)を任意に繰り返してもよく
(c)液体及び/又は超臨界状態の少なくとも1つのガスを用いて、該含有固相から1種又は数種の芳香物質を分離し、更に、任意に
(d)1種又は数種の芳香物質を含むガスを回収する工程、
を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の方法は、高度に希釈された場合でさえ、好ましくは濃縮された形態における水性出発溶液から芳香物質を抽出することを可能にする。まず、芳香物質は、SPEカラムの固相上でそれぞれ吸着又は濃縮され、超臨界ガス又は/及び液体ガス、好ましくは超臨界CO2によるさらなる抽出の助けを借りて、芳香含有ガス中に移動され、芳香含有ガスは、アルコールフリーであると表示することができる。ガスは、芳香物質の抽出剤及び担体物質として機能し、これらの芳香物質から容易に除去することができ、任意にリサイクルすることができる。
【0016】
本方法の更なる利点は、超臨界及び/又は液体ガスによる抽出中のSPEカラム中の芳香物質の濃度により、高希釈出発溶液から直接、超臨界及び/又は液体ガスによる抽出中よりも、同量の芳香物質を抽出するために使用するガス及びエネルギーが非常に少ないことである。したがって、本発明による方法は、芳香物質含有二酸化炭素を製造するための現在知られている方法よりも、環境に優しく、経済的側面からより最適化されている。
【0017】
また、製造された製品を安定化させるために、それ以上の材料は必要ない。
【0018】
本発明の方法の場合、製造は、全ての工程において比較的低温で行うことができる。
【0019】
工程(a)本発明の文脈では、「液相」は、SPEの試料調製に関する要件を満たす任意の出発溶液、出発エマルジョン、又は出発懸濁液を含む。本発明の出発溶液、出発エマルジョン、又は出発懸濁液は、少なくとも1種の溶媒及び1種又は数種の芳香物質を含有し、これらの芳香物質は、植物由来のものだけでなく動物由来のものであってもよい。
【0020】
芳香物質の原料は、植物、植物部分(例えば、花、芽、木の葉、茎、草の葉、樹皮、根、塊茎、球根、根茎、果実、及び種子、例えば、ナッツ類、ベリー類、果物類、野菜類、穀物類、疑似穀物類、タバコ及び/又は香辛料)、動物性生産物(例えば、はちみつ、肉、骨、体液、ミルク)、食品及び食品原料からなる群から選択される。これらの出発物質は、例えば、新鮮な、調理された、乾燥された、発酵された形態で、又は食品又は高級食品として食べられるように製造された形態で存在することができる。
【0021】
これには以下の出発物質が含まれるが、これらは説明の目的にのみ使用され、本発明の範囲を制限するものではない。イチゴ、リンゴ、ラズベリー、バナナ、ブルーベリー、トンカ豆、オート麦、ローズマリー、ショウガ、バニラ、ビール、ワイン、コーヒー、紅茶、カカオ、タバコ、精油など。例えばホップアロマのような天然源(植物など)からの精油を含む液相が特に好ましい。
【0022】
液相は、特に、果物の加工中又は例えばフルーツジュース、コーヒー、紅茶、及びビールなどの飲料の製造中に蓄積する凝縮水又はすすぎ水であり得る。液相は飲料そのものであってもよく、例えば、フルーツジュース、コーヒー、牛乳、及び乳製品、茶及びビール、並びにそれらの混合物を含む群から選択することができる。
【0023】
本発明は、特に、廃棄物又はバイパス流から芳香物質を抽出することを可能にする。本発明の利点は、この種の「廃棄流」又は「側流」のそれぞれにおいて極めて低濃度に濃縮される芳香物質を、固相抽出カラムにおける予備濃縮を介して、少なくとも抽出可能になる程度まで濃縮することである。このような出発物質から直接廃棄物又はバイパス流を抽出することは、少なくともエタノール又は他の有機溶媒を使用せずには、そこでは濃度が非常に低いため、一般に経済的に不可能である。したがって、このような出発物質から直接に廃棄物又はバイパス流の抽出は、現在のところ、エタノールを使用せずに経済的方法として及び食品品質において不可能である。
【0024】
水相は一般に芳香物質を0.0001から1%、しばしば0.05から0.5%の範囲で含む。これは、リンゴからのジュース抽出に基づいて、以下のデータを用いて例示的な方法で説明することができる。
【0025】
第二段階からの100kgに対して0.3kgの芳香油の割合は0.3%である。第一段階段からの1500kgを基準にすると0.02%である。非濃縮全凝縮液量187,500kgに対して0.00016%である。
【0026】
ここで、本発明は、液体、特に飲料から、並びに「廃棄ストリーム」、例えば蒸発器からの凝縮物、又は凍結乾燥から生じる水、又は大規模工業プラントにおける洗浄からのすすぎ水から、芳香物質を抽出することを可能にする。これにより揮発性物質を濃縮する。これらは、分別されずに、それぞれの出発物質についての全体の「アロマのポートフォリオ」として抽出される。本発明によれば、芳香物質の出発濃度は関係なく、後者は任意に小さくすることができる。これにより、本発明に係る芳香族物質の濃縮及び抽出は、有機濃縮なしに、特にエタノールなしで行われる。
【0027】
本発明のさらなる利点は、芳香物質の温度ストレスが回避されることである。工程b)の固相抽出は、室温、特に外部からの加熱なしで行うことが好ましい。工程c)における液体又は超臨界状態のガスによる分離は、同様に比較的低温、例えば超臨界CO2の場合には、すでに31℃で実施することができる。
【0028】
工程b)における出発物質のすべての芳香物質の予備濃縮により、本発明は、工程c)におけるこれらの芳香族物質の特に環境に優しい抽出を提供し、ガスのような方法による純粋な抽出と比較して、溶媒、すなわち液体又は超臨界状態におけるガスの大幅な節約を可能にする。
【0029】
本発明において、「芳香物質」とは、嗅覚及び味覚の知覚を引き起こし又は変化させる物質を指す。多くの植物、特に果物は香気及び芳香物質を含んでいる。それらは、しばしばアルコール、酸、エステル、ラクトン、アルデヒド、ケトン、アセタール、ケタール、エーテル、エポキシド、並びにそれらのアナログ硫黄化合物である。酸素、窒素、硫黄複素環化合物、複素芳香族化合物(例えばアルキルピラジン)、アミン、アミド。単純又は複合の飽和及び不飽和脂肪族及び脂環式化合物、芳香族化合物、テルペン類等。
【0030】
経験によれば、例えば、以下に述べる芳香物質は、人間に対して肯定的な感覚的印象を与える。この編集は、少なくともいくつかの成分を示しており、これらは全体として、「芳香」についてそれぞれの典型的な味又は匂いの印象をヒトに与えるものであり、これは、それぞれの場合において、例示的な方法で言及されている。
【0031】
いちご:酪酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル-2、カプロン酸メチル、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、桂皮酸メチル、3Z-ヘキセノール、γ-デカラクトン、
ラズベリー:α-及びβ-イオノン、2 E-ヘキセナール、δ-デカラクトン、3 Z-ヘキセノール、リナロール、ゲラニオール
リンゴ:2E-ヘキセノール、3Z-ヘキセノール、2E-ヘキセナール、ヘキサナール、酪酸エチル、酪酸エチル-2-メチル、β-ダマセノン
オレンジ:酪酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル-2-メチル、オクタナール、ヘキサナール、リナロール、アセトアルデヒド、
グレープフルーツ:ヌートカトン、酪酸エチル、ミルセン、リナロール、p-メンテンチオール-1,8、
レモン:シトラールゲラニオールβピネン
チェリー:ベンズアルデヒド、2 E-ヘキセノール、2E-ヘキセナール、ヘキサナール、β-ダマセノン
桃:γ-デカラクトン、δ-デカラクトン、6-アミル-α-ピロン、2 E-ヘキセノール、β-ダマセノン、酸化リナロール、
バナナ:酪酸3-メチルブチル、酢酸3-メチルブチル、ヘキサナール、オイゲノール
梨:酢酸ヘキシル、酢酸3-メチルブチル、酢酸2E-ヘキセニルエチル-2 E、4Z-デカジエノート
コーヒー:β-ダマセノン、4-ヒドロキシ-2, 5-ジメチル-3(2 H)-フラノン、フルフリルチオール-2,4-ビニルグアヤコール、3-ヒドロキシ-4,5-ジメチルフラン-2(5 H)-オン、異性体イソプロピルメトキシピラジン、異性体エチルジメチルピラジン、
お茶:3Z-ヘキセノール、インドール、メチルジャスモナート、3-メチル-2、4-ノナンジオン、ジャスミンラクトン、β-ダマセノン、サリチル酸メチル
玉ねぎ:ジプロピルジスルフィド、ジプロピルトリスルフィド、メチルプロピルジスルフィド、
肉:2E,4Z,7Z-トリデカトリエナール、2E,5Z-ウンデカジエナール、2E,4Z-デカジエナール、
ライス:2-アセチル-1-ピロリン、オクタナール、ノナナール
牛乳:1-オクテン-3-オン、ジアセチルデルタデカラクトン、デルタドデカラクトン、デカン酸
トマト:3 Z-ヘキセノール、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3 (2H)-フラノン、β-ダマセノン、硫化ジメチル
ミント:L-メントール、メントーン、L-カルボン、
ビール:酢酸イソアミル、2-フェニルエタノール、酪酸エチル、オクタン酸、
ワイン:ワインラクトン、2-フェニルエタノール、リナロール、リナロール酸化物。
パッションフルーツ:ヘキサン酸エチル、リナロール、γ-デカラクトン、酪酸ヘキシル、ヘキサン酸ヘキシル、酪酸3 Z-ヘキセニル、ヘキサン酸3Z-ヘキセニル
マンゴー:硫化ジメチル、α-ピネン、酪酸エチル、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、γ-オクタラクトン、γ-デカラクトン、3Z-ヘキセノール
パイナップル:メチル-2-メチル酪酸塩、エチル-2-メチル酪酸塩、エチルヘキサン酸塩、メチル-(3-メチルチオ)プロピオン酸塩、エチル-(3-メチルチオ) プロピオン酸塩、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2 H)-フラノン、
ハニー:フェニル酢酸、フェニルアセトアルデヒド、β-ダマセノン
キャラメル:3-ヒドロキシ-4,5-ジメチルフラン-2(5H)-オン、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテン-1-オン、
オート麦:2-アセチル-1-ピロリン、(E,E,Z)-2、4, 6-ノナトリエナール、バニリン、
麦芽:2-メチルブタナール、3-メチルブタナール、2-アセチル-1-ピロリン、バニリン、3-ヒドロキシ-4,5-ジメチルフラン-2(5H)-オン、異性体イソプロピルメトキシピラジン、異性体エチルジメチルピラジン。
【0032】
前記芳香成分に加えて、更に、感覚的側面から適切な量のメルカプタン(チオアルコール)及びモノ-、ジ-、トリ-スルフィド(チオエーテル)を含むことができる。
【0033】
食品、化粧品、又は製薬業界で公知であり、固相抽出に適した任意の溶媒を、工程(a)に記載された溶媒として使用することができる。溶媒は、好ましくは、水、水と混和性の溶媒であって、特に極性溶媒、及びそれらの混合物、並びに水と混和性の1つ又は複数の溶媒と水との混合物を含む群から選択される。塩水でも可能である。水と混和性の極性溶媒は、例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、イソプロピルアルコール、及びそれらの混合物を含む群から選択することができる。水又は水性混合物が溶媒として特に好ましく、ここで、水の含有量は少なくとも90容量%である。溶媒としては水が最も好ましい。
【0034】
本発明の関連において、溶媒として水及び水性混合物を含む液相は、「水性相」と呼ばれる。
【0035】
本方法において、当業者が出発溶液中に芳香物質が存在すると主張できる最低濃度が、芳香物質の「最小濃度」として適切である。大まかに言えば、溶媒1リットル当たり1物質分子でも本方法を実行するのに十分であり得る。一定の信頼性を得るために、検出限界(LOD)と考えられる最小濃度を、液相中の芳香物質の低濃度限界として定義できる。3:1の信号対雑音比(低濃度の分析対象物を含むサンプルのシグナルをブラインドサンプルのシグナルと比較する。)は、検出限界を推定するために一般的に使用される。検出限界は0.5~2ng/Lである。このような検出限界の低い分析方法は、例えば、ガスクロマトグラフィー質量分析法である。
【0036】
工程(b)
SPEカラムに充填される吸着剤又はそれを充填したカートリッジは、「固相」と呼ばれる。非極性吸着剤が好ましく用いられる。本発明による方法に適した固相抽出カラムは、一般に、ガラス又はステンレス鋼で作られたカラムであり、内部容積は、一般に、数ミリメートルから数千リットルの範囲にあり得る。例えば、逆相SPEのために疎水性に改良され、非極性であるポリマー材料又はシリカゲルは、非極性吸着剤に分類される。典型的には樹脂粒子(合成吸着剤樹脂)の形態の架橋ポリマーが適切であると考えられる。架橋ポリスチレンをマトリックスとする官能基を有しない多孔質吸着材樹脂が好ましい。
【0037】
種々の方法で架橋されるポリスチレン、例えばエチルビニルベンゾールとジビニルベンゾールのコポリマー、ビニルピロリドンとジビニルベンゾール、ビニルピリジンとジビニルベンゾール、スチレンとジビニルベンゾール、及び他のポリマー、例えば、ポリ芳香族、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリプロピレン、ポリエステル及び/又はポリテトラフルオロエチレンなどは、本発明の関連で使用することができる吸着材料の例である。
【0038】
「固相」、特に、少なくとも固相の一部として使用される吸着剤樹脂は、例えばBET法によって測定することができる固相又は吸着剤樹脂のそれぞれの比表面が500から1500m2/gの範囲、特に700から900m2/gの範囲にあるような空隙率を有し、ここで800m2/gが最も好ましい。このタイプの固相は、例えば、吸着剤樹脂の形態で市販されている。このような固相又は吸着剤樹脂の細孔径は、それぞれ10nm以下、好ましくは5nm以上10nm以下である。
【0039】
工程(b)では、工程(a)で得られた液相を、固相抽出塔の上部又は下部から圧送し、SPEカラム内の収着剤を用いて、液相からの芳香物質を吸着又は濃縮する。
【0040】
工程(b)は、固体相が芳香物質で完全に飽和されるまで、及び/又は水性相が芳香物質から完全に洗浄されるまで(又は任意に繰り返し)、その結果、水性相の全部の芳香スペクトルが抽出される(完全抽出)。これは、留分化(分別)方法に比べて有利である。
【0041】
工程(b)に従って固相抽出のための適切な温度及び圧力を選択する場合、液相が可能な限り低い粘度を有し、芳香物質が安定であることを確保することが重要である。好ましい温度範囲は4℃から20℃の間であるが、これに関し技術的又は物理化学的必要性がある場合には、異なる温度も考えられる(例:0~100℃)。これには十分に高い吸着容量が必要であり、0から60℃の範囲で保証される。
【0042】
一般的には、0.5m/hから50m/hの流速を特に線形に実現できる吸着剤樹脂を用いることができる。固相抽出の場合、液相の流速は線形速度と呼ばれる。流速については、5から30m/hの範囲、特に20m/hが好ましい。
【0043】
工程(b)の後、固相は、工程(c)において、超臨界状態及び/又は液体状態におけるガスによって抽出/溶出され得るように、1つ又は複数の芳香物質で完全に又は部分的に担持される。
【0044】
本発明の好ましい実施形態では、水を溶媒として積載SPEカラムを通過させる工程(b1)は、工程(b)の後に行われる。工程(b1)によるこのような水によるすすぎは、工程a)において、溶媒、例えば、最終生成物中に不必要なエタノールから開始する場合に特に好ましい。これにより、水は食塩水とすることができる。水によるすすぎは、最終生成物(芳香化ガス、特にCO2)中にエタノールのような溶媒の痕跡が実質的に存在しないように実施することができ、したがって、実際的な意味では、最終生成物はエタノールを含まない。
【0045】
工程(c)
工程(c)において、1つ又は複数の芳香物質は、液体及び/又は超臨界状態におけるガスによって固相から分離される。
【0046】
「液体及び/又は超臨界状態におけるガス」とは、非極性、高密度(圧縮)又は極低温液化ガスであり、標準条件(25℃、101.3kPa)ではガス状であると理解される。「ガス」は、純粋な形態のガス、並びに他のガス及び/又は共溶媒、好ましくは有機溶媒との混合物の形態のガスを含む。二酸化炭素(CO2)及び/又は亜酸化窒素(N2O、笑気ガス)が好ましい。超臨界状態の二酸化炭素が特に好ましい。
【0047】
工程(c)は、SPEカラムで直接、又はこの目的に適した装置で実行される。
【0048】
超臨界及び/又は液体ガス、好ましくは超臨界二酸化炭素による抽出がSPEカラム内で直接行われる場合、SPEカラム及びこのカラムに至るすべてのラインは耐圧性の方法で構築される。
【0049】
本発明の好ましい実施形態では、気体は、液体及び/又は超臨界状態、好ましくは超臨界CO2で、工程(c)において底部から頂部へSPEカラムを通って流れる。
【0050】
代替オプションは、工程(b)後にSPEカラムから芳香含有の固相を取り除いて、それを超臨界及び/又は液体ガスによる抽出に適した装置に移すことである。例えば、工程(b)のSPEカラムと同様の構成を有するカラムを装置として使用することができる。
【0051】
SPEカラムからの芳香含有の固相の除去を容易にするために、吸着剤は、不活性な材料、例えばプラスチック若しくはステンレス鋼から作られたホース内の2つのフリットの間のSPEカラム内に、又は、1つ若しくは幾つかのプラスチックカートリッジ内に収容することができる。
【0052】
工程(c)のための適切な温度及び圧力を選択する際には、ガス、好ましくはCO2がそれぞれ超臨界状態又は液体状態のままであり、芳香物質が悪い影響を受けないように確保することが重要である。
【0053】
工程(c)は、芳香物質の実質的に完全な分離が達成されるまで行うことができる。このようにして、工程c)では、重量%で測定される、芳香含有ガスが、工程a)における出発物質に対して例えば最大で2000倍、特に約400倍から約500倍高い芳香物質の濃度を有し、工程c)に供給される。
【0054】
本願において、芳香物質の分離は、液体及び/又は超臨界状態における少なくとも1つのガスの他に、工程c)において、溶媒、特に有機溶媒が、分離の間に補助的に供給され得る。特に、工程a)に関して言及された上述の溶媒は好適な溶媒である。工程c)の後、工程c1)で再び芳香含有ガスから溶媒を除去することができる。
【0055】
工程(c)で抽出された生成物は、それぞれ超臨界状態又は液体状態の本質的にアルコールを含まない芳香含有ガスを表す。
【0056】
工程(d)
芳香ガスは、捕集され得る。これは、例えば、適切な容器内で行うことができる。
【0057】
本発明に関連して、芳香含有ガスの収集は、芳香含有ガスが、その中で芳香がそれぞれ吸収されるか、又は溶解される材料に導入されことによっても行われ得る。この材料は、液体、特に溶液、エマルジョン及び/又は懸濁液及び/又は液体中の気体の分散物であって、例えば、クリーム、又は別の液体をベースにした泡立てた液体のような泡立てた液体であり得る。本発明の関連では、材料は、油、食品成分、若しくは食品添加物、又は芳香であってもよい。これにより、工程c)で抽出されたガス自体を発泡に利用しり、各原料への導入時にガスを除去して芳香のみを原料に通過させることができる。工程c)で抽出された芳香を含む材料は、実際に意図された最終製品に添加することができる。材料は、特に、調理油、果実核油、トリグリセリド、プロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチル、芳香担体、エマルジョン及びスラリー、特にスラリーを含む群から選択することができ、これらのスラリーは、適切な乾燥方法、例えばスプレー乾燥によって芳香を乾燥形態に移すのに適している。材料は更に、例えば、植物の一部、特に穀物、種子、果物、野菜などの収着可能な固体を含むことができる。
【0058】
本発明の更なる実施形態では、工程c)で抽出された芳香含有ガスは、工程c)を行った後に回収することなく、更なる処理に供給することもできる。工程(c)で超臨界状態の二酸化炭素を使用した場合、捕集容器内の生成物も超臨界状態で得られる。
【0059】
本発明の方法により製造された芳香含有ガス、特に芳香含有二酸化炭素は、実質的に無溶媒である。芳香含有ガス中の溶媒の量は、体積比で、最大0.05%である。
【0060】
本発明の好ましい実施形態では、芳香は、例えば、工程(c)の後及び/又は工程(d)の後に、芳香含有ガスから少なくとも部分的に分離される。本発明のさらなる改良として、一つの芳香物質又は複数の芳香物質の混合物を抽出することによって、芳香物質を含むガスから一つの芳香物質又はいくつかの、特に全ての芳香物質を少なくとも部分的に分離することが、工程d1)においてこの目的のために提供される。芳香含有ガスの使用に加えて、本発明は、濃縮抽出された芳香を有するガスの使用、又は抽出された芳香のみの使用も提供する。
【0061】
芳香物質を抽出するためには、芳香物質又は複数の芳香物質が沈殿するまで芳香含有ガスを緩和させることに比べて、分離手段の流動抵抗、例えば膜の浸透圧差のみが克服されるべきであることから、分離手段の使用は、更にコスト低減の利点に供する。
【0062】
芳香含有ガスは、特に、減圧目的でメンブレンフィルターに通過される。メンブレンフィルターの孔径は、例えば、一般に芳香物質分子よりも小さい気体分子、好ましくはCO2分子が通過し、芳香物質が後に残るように選択される。このようなメンブレンフィルターは、例えば、「メンブレン技術研究所」から知られている。孔径の逆寸法も可能で、ガス分子はメンブレンフィルターに保持され、芳香はフィルターを通過する。
したがって、本発明によれば、芳香物質分子を濾過工程によってガス分子から分離することができる。芳香が保持されるか、又はフィルターを通過するかは、それによって、フィルター材料の選択、特に膜の選択に依存する。
【0063】
濾過された芳香物質を含まないガスは、大気中に放出されるか、又は再収集され、本発明による方法においてリサイクルされ、このように工程c)に戻されることができる。
【0064】
本発明によれば、芳香含有ガスから芳香物質を分離するために、上記の膜の使用とは別に、又はそれに加えて、異なる方法で芳香族含有ガスを緩和することもできる。圧力降下の結果、芳香物質が沈殿し、分離した芳香物質を芳香化に用いることができる。
【0065】
このように、本発明によれば、一方では芳香化に芳香含有ガスを使用し、他方では芳香化に抽出された芳香物質を使用し、特にガスを全く使用しないという選択肢が創出される。
【0066】
本発明の一実施形態では、本発明の方法により得られた生成物(芳香含有ガス又は芳香含有固相)を、この目的に適した1つ又は複数の容器又は圧縮ガス容器にそれぞれ収集し、顧客に販売する。容器は、少なくとも75バールの圧力に耐えることができるように、特に芳香含有ガス用に選択される。得られた製品の圧力が最小(例えば、メンブレンフィルターを通して誘導した後、又は緩和後)であれば、他の容器(低圧力に適した)を使用してもよい。芳香含有ガスは、例えば、芳香化食品、高級食品、口腔衛生製品、半製品、化粧品、又は医薬品の製造中に、好ましくは制御される1つ又はいくつかの投与バルブ(例えば、制御磁気弁又は空気弁)を介して容器から投与される。
【0067】
本発明に係る方法により、熱処理/応力/歪み(低温抽出~約室温、最高40℃まで)を施さなかった製品が製造される。
【0068】
更に、製造された製品は、特にCO2雰囲気が多くの異なる微生物の成長を妨げるので、非常に良好な微生物学的安定性を有する。
【0069】
また、本発明は、特に上記の方法により製造することができる芳香含有ガス、好ましくは二酸化炭素を提供する。本発明は、更に、特に上述の方法によって製造することができる芳香含有固相を提供する。固相は、例えば、「ソーダ流」のような場合、使用することができ、又は、飲用時に空気流によって固相から芳香物質を分離し、消費者に、例えば、ブランド「エアアップ」(商標)の製品のような、鼻後方式でそれらを供給する飲用装置における芳香化された飲料の製造のために使用することができる。
【0070】
本発明は、このようにして、溶媒と1つ又はいくつかの芳香物質とを含む液相と比較して、本質的に同じ組成の芳香物質、好ましくは同じ相対的な芳香物質の割合を有する芳香物質、を含むガス又は芳香物質を含む固相を生成する。このようにして、出発物質の芳香プロファイルが維持される。これは、液相が、飲料、特に果汁、コーヒー、牛乳及び乳製品、茶及びビール並びにそれらの混合物、少なくとも1つの凝縮液、すすぎ水、動物又は植物の出発材料の加工から例えば果物の加工から、又は食品の製造から例えば飲料の製造からの少なくとも1つの二次流及び/又は側流及び/又は廃棄流、更に果物の加工からの又は飲料の製造からの少なくとも1つのバイパス流、並びに前記液体のうちの少なくとも2つの混合物を含む群から選択される場合に特に有利である。
【0071】
特に天然素材の加工の際には、香りが複雑に絡み合っている。これにより、混合物中の個々の成分としては検出できない芳香として作用する物質を部分的に含有させることができる。本発明は、このタイプの芳香プロファイルの天然組成物にアクセスし、処理によってほとんど変更されないように、簡単な方法で前記芳香プロファイルを最終製品に移すことを可能にする。これは、芳香分子のサイズに応じて芳香物質を水性相から分離する分別(区別)蒸留方法又は方法と比較して特に有利である。
【0072】
本発明の関連においては、芳香を含んだガス又は芳香を含んだ固相は、例えば、液相と比較して、少なくとも上述の芳香を液相と同じ割合で含むことができ、液相は、イチゴ、ラズベリー、リンゴ、オレンジ、グレープフルーツ、サクランボ、モモ、バナナ、ナシ、ブラックカラント、コーヒー、紅茶、タマネギ、肉、米、ミルク、トマト、ミント、ビール、ワイン、パッションフルーツ、マンゴー、パイナップル、蜂蜜、カラメル、オート麦、麦芽に基づく。本発明の関連において、芳香含有ガス又は芳香含有固相は、出発物質の芳香プロファイルを完全に再現する芳香物質を含有することができる。すなわち、出発物質の典型的な芳香プロファイルとして、当業者に特に認識され得るか、化合物中に存在されることができ、また、芳香含有バイパス又は廃棄流からの分離以前の出発物質の官能特性の回復として出発物質の再芳香化のために使用され得る。
【0073】
あらゆるタイプの商品を芳香化するための方法は、商品を包装又は容器内の芳香含有ガスと接触させる工程を含むこともできる。本発明の方法の一部として得られる芳香含有ガス、特に二酸化炭素は、例えば、芳香化のために提供される溶液(ガス又はCO2は、それぞれ芳香物質の担体としてのみ機能し、ガイドスルー中又はガイドスルー後に少なくとも部分的に製品から放出される。)を介して誘導することができ、又は、バブリングガスとしてCO2を使用する場合には、飲料を炭化するために使用することができる(それによって、CO2及び芳香物質が最終製品に添加される)。
【0074】
流体、好ましくはガス、例えばCO2もまた、生成物を芳香化するために芳香剤を含んだ固相を通って導かれ、次いで生成物に導入され得る。
【0075】
本発明の好ましい実施形態では、例えばビールの出発溶液中に含まれる芳香物質が充填された芳香含有二酸化炭素は、その芳香プロファイルを変更及び/又は補足及び/又は回収又は強化するために、アルコールフリービールによって発泡させることができる。
【0076】
本発明は更に、製品、特に食品、高級食品、口腔衛生製品、半製品、化粧品、又は医薬品を芳香化するための方法を提供し、その場合、少なくとも1つの上記芳香含有ガス及び/又は芳香含有ガスから分離された少なくとも1つの芳香物質が製品と接触し、少なくとも1つの芳香物質が製品及び/又は製品の包装内に少なくとも部分的に通過するようにする。
【0077】
液体製品、特に飲料又は口腔衛生製品は、例えば、少なくとも1つの芳香含有ガスが液体製品に導入されるという点で、本発明による方法によって特に容易に芳香化され得る。
【0078】
芳香化方法の一実施形態では、ガスは生成物中に少なくとも部分的に残留する。このようにして、製品をガスとしてCO2で炭化することができ、又は、クリーム、クレーム、フラッペ、フルーツピューレ、又は同様の製品を、気泡を含むようにホイップすることができる。
【0079】
更に、別の実施形態では、ガスは、意図したように使用される前に製品から逃げるか、又は除去される。保護ガス雰囲気下で包装される製品のための芳香は、例えば、保護ガス中で提供することができる。貯蔵期間中、芳香は製品又は包装内へ入り込むか、又は少なくとも部分的に気相中に残り、残りの芳香含有ガスは対応する包装を開いたときに逃げる。別の方法として、ガスは生成物から除去され得、次いで任意選択的に使用され得るか、又は芳香含有ガスを生成するための本発明による方法の工程c)においてガスとして添加され得る。
【0080】
本発明は、また、芳香物質の数、相対的な割合、濃度及び/又は種類が異なる少なくとも2つの芳香含有ガスを生成物と接触させるオプションを提供する。このようにして製品にアロマプロファイルを設定することができる。用途に応じて、ガスを製品に導入する前に混合することができる。別の方法として、ガスを順次、又は同時に製品と接触させて、芳香物質の混合を製品内で行うことができる。
【0081】
本発明は、図面に基づいて説明されるが、特に説明した実施形態に限定されるものではない。また、本発明は、相互に排他的でない限り、好ましい設計のすべての組合せをいう。数値で付される「約」表示は、その値が、10%の範囲で高い若しくは低い値、5%の範囲で高い若しくは低い値、及び1%の範囲で高い又は低い値を含むことを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【
図1】
図1は、本発明による方法のフローチャートを、様々な実施形態の代替例と共に示す。
【
図2C】
図2Cは、本発明の第1の実施形態において、工程c)で抽出された芳香含有ガスを使用するための概略図を示す。
【
図2E】
図2Eは、工程d1)を実行するための概略図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施形態における本発明の方法を実施するための概略図を示す。
【
図4】
図4は、芳香含有二酸化炭素を製造するための本発明による方法の第1の好ましい実施形態の基本図を示す。
【
図5】
図5は、本発明の第2の実施形態における本発明の方法を実施するための概略図を示す。
【
図6】
図6は、本発明の第3の実施形態における本発明による方法を実行するための概略図を示す。
【
図7】
図7は、本発明の他の実施形態における本発明による方法を実行するための概略図を示す。
【
図8A】
図8Aは、本発明の他の実施形態における工程b)を実行するための概略図を示す。
【
図8B】
図8Bは、本発明の他の実施形態における工程c)を実行するための概略図を示す。
【
図9】
図9は、芳香含有二酸化炭素を製造するための本発明による方法の更に好ましい実施形態の基本図であり、この目的に適した装置内で工程(c)が実施される。
【
図10】
図10は、本発明の他の実施形態における工程c)を実行するための概略図を示す。
【
図11】
図11は、本発明の別の実施形態における工程c)を実行するための概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0083】
フローチャートにおいて、
図1は、本発明による方法の様々な例示的実施形態の概要を示す。工程a)では、溶媒と1つ又は複数の芳香物質1、2、3とを含む液相5が提供される。これらは、工程b)において固相抽出カラムを通して導かれる。このために、液相5に接触する吸着材30が設けられている。工程a)で得られた液相5を固相30に案内した結果、芳香物質を含む固相35が得られる。工程c)では、1つの芳香物質が、又は複数の芳香物質1、2、3が、液体又は超臨界状態の少なくとも1つのガス2によって、積載固相35から分離される。これにより、芳香含有ガス10が得られる。
【0084】
工程c)からの芳香含有ガス10は、任意に工程d)に供され、ここで、一つ又は複数の芳香物質を含有するガス10の回収が行われる。
【0085】
芳香物質又は芳香物質の混合物を抽出することにより、芳香物質又は特に芳香物質1、2、3の少なくとも一部をガスから分離する工程d1)を更に行うことができる。このようにして、芳香物質又は芳香物質が富化されたガス10、又は、本質的に無ガスの芳香又は本質的に無ガスの芳香物質の混合物がそれぞれ生成される。
【0086】
本発明による方法の工程を実行するために
図2Aから
図11に示される実施形態は、特定の用途のための一実施形態を形成するために組み合わせることができる。方法工程の選択及び組み合わせのために、当業者は、例えば、結果として生じる出発物質の置き場所及び量、所望の生成物の置き場所、量及び形態、対応するプラントのスペース要件、並びにプラント能力の最適化のためのオプションを含む基準を適用する。
【0087】
工程b)は、
図2Aに示される。芳香含有液5の導入の開始時に芳香を担持していない吸着材が固相30を形成する。固相30としては、例えば、「Lewatit(商標)VP OC 1064 MD PH」のような官能基を有しない微孔性吸着材樹脂が用いられる。
【0088】
固相抽出カラム3内に固相30を設ける。この中に液体5が導入される。
図2Aは、工程b)の実行開始時のカラムの状態を示す。これにより、芳香物質が吸着材上に蓄積され、芳香含有固相35が得られる(
図2B及び
図2C参照)。
【0089】
固相抽出カラム3を通過した後、液体はカラム3を離れる。これにより、カラム3に流入する液体5に比べて、液体50から芳香物質が除去される。特に、液体50は本質的に芳香物質を含まない。
【0090】
原則として、工程c)を
図2Bに示す。本発明の様々な実施形態は、芳香含有固相35がどのように提供されるかについての選択肢を提供し、以下により詳細に説明する。工程c)において、液体及び/又は超臨界状態の少なくとも1つのガス2は、一般に芳香含有固相35を通って流れる。これにより、芳香物質は、芳香が充填された固相35から気体に脱着し、芳香が充填された気体10としてカラム3を離れる。
【0091】
図2Cの図解によれば、本発明の実施形態によれば、液体又は超臨界状態の少なくとも1つのガス2によって、芳香物質又はいくつかの芳香物質を積載固相35から分離した後に、製品7への直接導入が可能である(
図2B参照)。ガスはそこに留まることができ、例えば、発泡のため又は保護ガス雰囲気と協働するために役立つか、又はガスが生成物から漏れることができるので、ガスによって生成物に導入された芳香はそこに留まり、生成物を芳香化する。
【0092】
図2Dの説明によれば、芳香含有ガス10は、本発明の更なる実施形態に従って、液体又は超臨界状態(
図2B参照)の少なくとも1つのガス2によって、1種又は数種の芳香物質を含有固相35から分離した後に収集される。
【0093】
芳香ガス10が導入されて滞留する容器8が、例えば、このために設けられている。容器8は、所望の充填量に達した後に、特に芳香含有ガスの供給から分離することができ、例えば、芳香含有ガス10が製品を芳香化するために使用されるまで閉じた状態で貯蔵することができる。
【0094】
本発明の更なる発展では、工程d1)において芳香物質又は芳香物質の混合物を抽出することによって1種の芳香物質又は数種の、特に全ての芳香物質を芳香含有ガスから分離する分離手段6を芳香含有ガスが通過することができる。このタイプの工程d1)の実施形態の例を
図2Eに示す。ここで、容器8内には、芳香含有ガス10が設けられている。しかしながら、本発明においては、予め回収することなく、工程c)(
図2B参照)を行った直後に、工程d1)に芳香含有ガスを供給することも可能である。
【0095】
図2Eに示す実施形態では、分離手段6が容器8に接続されている。この接続は、容器8のガス出口と分離手段6の入口との間に配置された輸送ラインを含むことができる。分離手段6を通過後、芳香除去ガス20が分離手段を通過する。芳香除去ガス20は、芳香物質を実質的に含まないことが好ましい。芳香物質は分離手段6で濃縮され、製品を芳香化するために除去されることができる。
【0096】
図3による構成において、本発明による方法を実施するためのプラントは、固相抽出カラム3と容器8とを含む。両者は、芳香含有ガスのための少なくとも1つの輸送ライン(図示せず)を介して互いに接続される。カラム3は、少なくとも、液体5の導入及び液体50の除去、並びにガス2の導入及び芳香含有ガス10の除去のための接続を有する。輸送ラインは、芳香含有ガス10を除去するための接続部に接続することができる。更に、この輸送ラインは、芳香含有ガス10を導入するための容器8の接続部に接続することができる。接続部には弁が設けられていることが好ましく、弁は、特に調整してセットすることができ、液体5、50又は気体2、10のそれぞれの通流を許容又は防止することができる。
【0097】
本発明による一実施形態では、芳香物質を含む液相5が固相抽出カラム3を通過する導入通過は、
図3に示す構成で最初に行われ、芳香物質は吸着材充填物に吸着され、液体50はカラム3を離れる。次いで、ガス2は、カラムに導入され、後者を芳香含有ガス10として残すことができる。図示の実施形態では、芳香含有ガス10が容器8から製品7に導入される。しかしながら、芳香含有ガス10は、製品を芳香化するために使用される前に、対応する図、例えば
図2D及び
図2Eに示すように、容器8内に回収することもできる。
【0098】
本発明による方法の好ましい実施形態の基本図は、
図4に示されており、ここで、工程(c)は、固相抽出カラム内で直接実施される。液相とガスはSPEカラムを通って下から上に導かれる。
【0099】
図示の実施形態では、生成された芳香含有ガス10は、容器8内に移送され、分離手段6を介して案内される。図示の実施形態では、芳香物質は分離手段によって堰き止められており、特に容器8内に保持される。分離手段6を通過した後、芳香除去ガス20が分離手段から離れる。ガス2として再利用することができ、ガス2は充填された固相35から芳香物質を除去するために使用される。特定の用途の条件に応じて、ガス20は、ガス2として再利用される前に、それぞれ精製及び/又は温度制御及び/又は圧縮、又は緩和され得る。
図5には、分離手段6からガス20をリサイクルするための破線が示されている。
【0100】
本発明に関連して、ガスを抑制し、芳香物質を通過させる分離手段を使用することも可能である。これにより、芳香物質及びガスの更なる使用が維持される。
【0101】
製品7の種類及びび製品の構造及び設定に応じて、製品7自体は、
図6に示すように、ガス10からの芳香物質が製品に統合され、ガス20が製品から逃げるという意味で、「分離手段」6として機能することができる。このガス20は回収することができ、このガスは、例えば、リサイクルの一部として再び工程c)に供給することもできる。この再利用のリターンは、
図6の破線によって示されている。
【0102】
図7に示すように、固相抽出(SPE)の工程b)及び超臨界流体抽出(SFE)の工程c)は、上述したのと同じ吸着カラム3内で順次、しかし一般的に同時に実施することができる。よって、芳香物質を吸着してカラム3から離脱したガス2は芳香含有ガス10として、出発物質5をカラム3内に導入する間導入される。
【0103】
図8A及び
図8Bは、本発明の実施形態を示し、工程c)がこの目的に適した装置内で実施される場合として、工程b)で得られた含有固相35が固相抽出カラム3から除去され、この装置内に移送される。
【0104】
この目的のために、吸着材材料は、特に、吸着材充填物の簡単な取り扱いを可能にする別個のパッケージで提供することができる。本発明によれば、この目的のために、例えば貯蔵容器34が設けられる。
【0105】
貯蔵容器34は、30及び/又は35を受け入れるように設計され、少なくとも工程b)及びc)が運転中に実施され得るように固相抽出カラム3内に着脱可能に配置され得、貯蔵容器34はSPEカラム3内に挿入され、開始液5又はガス2はそれぞれ、その中に配置された(芳香を含む)吸収体を通って流れる。
【0106】
最も単純なケースでは、
図9に示すように、この装置は貯蔵容器34自体によって形成することができる。図示の本発明の実施形態では、貯蔵容器34はホースとして形成されている。
【0107】
本発明による方法の更に好ましい実施形態の基本図は、
図9に示されており、ここで、工程(c)は、この目的に適した装置内で実施され、ここで、工程(b)で得られた含有固相は、固相抽出カラムから除去され、この装置内に移送される。
【0108】
SPEカラムからの芳香含有固相の除去を容易にするために、吸着剤は、不活性材料、例えばプラスチック又はステンレス鋼から作られたホース内の2つのフリットの間、又は1つ又はいくつかのプラスチックカートリッジ内のSPEカラムに収容することができる。
【0109】
このように、固相抽出カラムからの固相の除去と、異なる装置への移動とを、簡単な方法で可能にする。
【0110】
このような容器は、特に、ガス2を導入するための少なくとも一つの接続部と、芳香含有ガス10を排出するための接続部とを有することが好ましい。
【0111】
本発明の別の実施形態では、ホース状の貯蔵容器34を装置(
図8A、8B、及び9には別々に図示されていない)に挿入することができ、この装置は、貯蔵容器34の取り外し可能な固定するための、及び芳香含有ガス10の排出同様にガス2の導入のための接続部を有する。
【0112】
このような装置4に挿入された容器34は、芳香剤3が充填された固相353の例として
図11に示されている。装置は、いくつかの容器34を受け入れるように形成することもでき、そのような装置40の1つは、
図10に示されており、例えば3つの固相351,352,353及び353が、それぞれ、芳香1、2又は3を含んでいる。
【0113】
工程c)を実行した後、上記及び以下のオプションに従って処理を続行する。芳香含有ガスは、「ホース」としての容器34から直接生産品に導入され得る。
【0114】
装置4;40は、工程c)を実行するために、貯蔵容器34及びその接続部を受け入れる役割を果たす。その設計では、装置4;40は、例えば原理的には固相抽出カラムに相当するため、工程c)では耐圧設計されている。
【0115】
本発明に関連して、貯蔵容器34は、工程c)が貯蔵容器34を用いて直接実行され得るように設計され得る。本発明による方法は、装置4を使用せずに実施される。
【0116】
本発明の実施形態は、
図10及び
図11に示されており、この場合、芳香混合物を充填したガス100が生成される。本発明の第1の例示的な更なる発展では、ガス100は、対応して含有固相351,352及び353から除去された芳香1、2及び3の芳香混合物123を含む。工程c)は、特に芳香混合物の使用時点で行うことができる。これにより、含有固相351、352、及び353から個別に抽出されたアロマ1、2、及び3を組み合わせて芳香混合物を生成する。この方法は、上述のオプションの1つに従って更に継続される。芳香混合物は、それ自体として、又はガス100内に提供され、特に、製品に直接導入され得るか、又は回収され得る。
【0117】
芳香物質1、2、及び3の混合物で製品を芳香化するためのさらなる選択肢を
図11に示す。このために、芳香物質12の第1混合物を充填したガス100と、更に芳香物質3を充填したガス10とを製品7に導入する。その結果、製品7は芳香混合物123を含む。
【0118】
ガス100及びガス10は、時間的に重なるように、又は交互に製品内に導入することができ、芳香化は、特に、いくつかの、ここでは二つの異なるガスによって別々の場所で実施することもできる。ガス100は、含有固相351,352から対応して分離された芳香1及び2の芳香混合物を含む。本実施形態では、芳香物質1、2をそれぞれ1つずつ含有したガスを混合してガス100を生成する。例えば、芳香物質1と芳香物質2の混合物を最初に製造し、芳香物質3は別に抽出される。これに対応して搭載された吸着材353は、接続装置4のケーシング34内で使用される。
【実施例】
【0119】
実施例1試験のために、出発溶液としてビールを用い、これを水で希釈した。原則として、任意の希釈、例えば1:4の比率で希釈を用いることができる。例示的な実施形態では、ビールは、水で1:20の比率で希釈された。
【0120】
本発明による方法の工程b)に従って、この出発溶液を固相抽出カラム(SPEカラム)に導入した。この固相抽出カラムに吸着剤樹脂LEWATIT(商標)VPOC1064を充填した。この吸着材樹脂は、製造者情報によると細孔径が5nmから10nmの間であり、比表面積BETが800m2/gの架橋ポリスチレンである。
【0121】
長さ約0.5mで、内径約20cmのSPEカラムが使用された。希釈されたビールの導入通過中の流速は、カラムの内径及び吸着剤樹脂の仕様に基づいて計算され、設定される。吸着剤樹脂の吸収能力が枯渇するまでに導かれる液体の総量は、出発物質中の芳香物質の濃度に依存する。当業者の経験に基づいて、当業者は可能な量を推定することができ、次いで、試験によって正確な最大容量を決定することができる。
【0122】
含有固相、すなわち希釈ビールからの芳香物質を含有した吸着剤樹脂は、SPEカラムから除去され、真空バッグに一時的に貯蔵された。
【0123】
工程c)として、ビールからの芳香物質を含有した吸着剤樹脂が超臨界CO2による抽出に供された。充填固相中の芳香成分の組成をエタノールで溶出して調べた。測定の不正確性に関しては、エタノール中の芳香物質の濃度が、CO2中の濃度に関連する。ビールは、本質的に2-フェニルエチルアルコール、オクタン酸、3-メチル-1-ブタノール、2-メチル-1-ブタノール、ヘキサン酸、3-メチルブチル-アセテート、デカン酸、イソブタノール、オクタン酸エチルエステル及び酢酸エチルを含む芳香混合物を有していた。積載固相におけるこれらの芳香物質の組成は次のようになった。
【0124】
【0125】
超臨界CO2で抽出して得られる芳香含有ガスは、典型的な「ビール臭」を有する。
【0126】
実施例2
実施例1に係るビール臭を含むCO2を製造した。次に、本発明の方法の工程d1)に従って、芳香物質を分離手段としての高圧膜を介してCO2抽出流から分離した。
【0127】
このようにして、芳香物質を芳香物質含有CO2から分離し、それらを濃縮することが、すなわち、約130バール~約160バールの範囲の圧力、及び約60℃~約14℃の範囲の温度、好ましくは、「テフロン(商標)AF2400」製の膜を使用した場合は70℃で可能であった。
【0128】
実施例3
本発明の方法の工程d1)にしたがって、ビールの香りを含むCO2を製造し、分離手段として高圧膜を介してCO2抽出物から芳香物質を分離した。このようにして濾過され、芳香物質を含まないCO2は、固相抽出の工程c)を行うためにリサイクルされた。
【0129】
当業者は、本発明が上述の実施例に限定されず、逆に、様々な方法で変更可能であることを理解することができる。個々に例示された実施例の特徴は、特に、互いに組み合わせることもでき、またお互いに交換することもできる。
【符号の説明】
【0130】
参照番号一覧
1、2、3 芳香物質
123 芳香物質の混合物
10;100 芳香含有ガス
2 気体、特に液体中又は超臨界状態の気体;CO2
20 本質的に芳香物質を含まないガス;分離工程d1を通過した後のガス
);回収ガス
3 固相抽出カラム;SPEカラム
30 本質的に非含有状態の固相
34 30及び/又は35を受け入れるための貯蔵容器又は容器
35 芳香物質又は数種の芳香性物質を有する含有固相
4;40 工程c)を実行するための収容部34の接続装置
5 液相;出発物質;果実の加工又は飲料の製造からの凝縮水、すすぎ
水、二次流、側流、廃棄流又はバイパス流
50 芳香物質の除去された液体
6 分離手段;フィルター;膜;CO2特定膜;CO2特定フィルター
7 製品
8 容器
【手続補正書】
【提出日】2022-02-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香含有ガス(10)の製造方法であって、以下の工程、
a)溶媒及び1種又は数種の芳香物質(1、2、3)を含む液相(5)を準備する工程、
b)工程(a)で準備された該液相(5)を
固相(30)で充填された固相抽出カラム(3)へ導入して、1種又は数種の芳香物質を含有する固相(35)を得る工程、
c)液体及び/又は超臨界状態における少なくとも1種のガス(2)を用いて、該芳香含有固相(35)から1種又は数種の芳香物質(1、2、3)を分離する工程、
を含
み、
該固相抽出カラム(3)に充填された該固相(30)は、疎水性に変性されたポリマー材料及び/又はシリカゲルに基づく非極性吸着剤である、又はそれを含み、
該芳香物質の濃縮及び抽出はエタノールフリーで行われる
ことを特徴とする芳香含有ガスの製造方法。
【請求項2】
前記工程(c)の後に、工程
d)1種又は数種の芳香物質を含有する前記ガス(10)を回収する工程、
が行われることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記工程(c)が、前記固相抽出カラム(3)で直接行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記工程(c)は、この目的に適した装置(4;40)で行われ、工程(b)で得られた前記含有固相(35)は、前記固相抽出カラム(3)から取り出され、この装置(4;40)に移されることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記溶媒は、水、水と混和する溶媒、及び特に極性溶媒におけるそれらの混合物、並びに水と混和する1つ又は複数の溶媒と水との混合物を含む群から選択され、ここで、溶媒としては水又は水性混合物が好ましく、溶媒としては水が特に好ましいことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法
【請求項6】
前記固相抽出カラム(3)に充填された前記固相(30)は、
疎水性に変性されたポリマー材料として
架橋ポリスチレン
に基づく非極性吸着剤である、又はそれを含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記工程(b)において、前記固相は、1種又は数種の芳香物質(1、2、3)を完全に又は部分的に含有していることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
ガス(2)として二酸化炭素(CO
2)が用いられ、好ましくは液体及び/又は超臨界状態の二酸化炭素、特に好ましくは超臨界状態の二酸化炭素であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記工程(d)の前後の工程において、工程、
(d1)芳香物質(1、2、3)又は芳香物質の混合物(123)を抽出することによる、前記芳香含有ガス(10)から1種の芳香物質又は数種の特にすべての芳香性物質(1、2、3)の分離工程が、
行われることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記工程(d1)において、分離手段(6)である、好ましくはメンブレンフィルターを介して、特に減圧目的として、芳香含有ガス(10)の導入通過が行われ、濾過後の芳香フリーガス(20)が、任意にリサイクルされることを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
特に食品、高級食品、口腔衛生製品、半製品、化粧品又は医薬品である製品(7)を芳香化する工程を更に含み、
前記芳香含有ガスから分離された少なくとも1種の芳香物質(1、2、3)が、製品(7)に接触する場合において、
少なくとも1種の芳香物質が、該製品及び/又は該製品の包装の中を少なくとも部分的に通過することを特徴とする製品(7)を芳香化する方法。
【請求項12】
前記製品(7)が液体、特に飲料又は口腔衛生製品であり、
少なくとも一種の芳香含有ガス(10)が、該液体製品(7)に導入されることを特徴とする請求項11に記載の製品(7)を芳香化する方法。
【請求項13】
前記芳香含有ガス(10)からの前記ガス(20)が少なくとも部分的に製品(7)中に残ることを特徴とする請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記ガス(20)は、使用前に前記製品(7)から意図したように放出又は除去されることを特徴とする請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記芳香物質の数、相対的な割合、濃度及び/又は種類が異なる少なくとも2種の芳香含有ガスが、前記製品に接触されることを特徴とする請求項11~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
溶媒、及び1種又は数種の芳香物質(1、2、3)を含む液相(5)と比較して、芳香物質(1、2、3)の組成は、本質的に同一であり、好ましくは含有比も同一であり、
前記液相(5)は、飲料、特に果物ジュース、コーヒー、牛乳及び乳製品、茶及びビール並びにそれらの混合物、少なくとも1つの凝縮液、すすぎ水、動物又は植物の出発材料の加工から、例えば果物の加工から、又は食品の製造から、例えば飲料の製造からの少なくとも1つの二次流及び/又は副流及び/又は廃棄流、更に果物の加工又は飲料の製造からの少なくとも1つのバイパス流、並びに前記液体のうちの少なくとも2つの混合物を含む群から選択され、
下記の少なくとも1つの果実又は下記の少なくとも1つの出発物質をそれぞれベースとする液相(5)と比較して、
前記芳香含有ガス(10)又は前記芳香含有固相(35)が、
下記の各芳香(1、2、3)の少なくとも1つが液相と同じ割合で含まれている
ことを特徴とする
最高で温度40℃において請求項
1~
10のいずれか1項に記載の
方法で生産された芳香含有ガス(10)又は芳香含有固相(35):
いちご:酪酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル-2、カプロン酸メチル、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、桂皮酸メチル、3 Z-ヘキセノール、γ-デカラクトン、
ラズベリー:α-及びβ-イオノン、2E-ヘキセナール、δ-デカラクトン、3 Z-ヘキセノール、リナロール、ゲラニオール
リンゴ:2E-ヘキセノール、3Z-ヘキセノール、2E-ヘキセナール、ヘキサナール、酪酸エチル、酪酸エチル-2-メチル、β-ダマセノン
オレンジ:酪酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル-2-メチル、オクタナール、ヘキサナール、リナロール、アセトアルデヒド、
グレープフルーツ:ヌートカトン、酪酸エチル、ミルセン、リナロール、p-メンテンチオール-1,8、
レモン:シトラール、ゲラニオール、β-ピネン
チェリー:ベンズアルデヒド、2E-ヘキセノール、2E-ヘキセナール、ヘキサナール、β-ダマセノン、
桃:γ-デカラクトン、δ-デカラクトン、6-アミル-α-ピロン、2 E-ヘキセノール、β-ダマセノン、酸化リナロール、
バナナ:酪酸3-メチルブチル、酢酸3-メチルブチル、ヘキサナール、オイゲノール
梨:酢酸ヘキシル、酢酸3-メチルブチル、酢酸2E-ヘキセニルエチル-2 E、4Z-デカジエノート
コーヒー:β-ダマセノン、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2 H)-フラノン、フルフリルチオール-2,4-ビニルグアヤコール、3-ヒドロキシ-4,5-ジメチルフラン-2(5H)-オン、異性体イソプロピルメトキシピラジン、異性体エチルジメチルピラジン、
お茶:3Z-ヘキセノール、インドール、メチルジャスモナート、3-メチル-2,4-ノナンジオン、ジャスミンラクトン、β-ダマセノン、サリチル酸メチル
玉ねぎ:ジプロピルジスルフィド、ジプロピルトリスルフィド、メチルプロピルジスルフィド、
肉:2E,4Z,7Z-トリデカトリエナール、2E, 5Z-ウンデカジエナール、2E,4Z-デカジエナール、
ライス:2-アセチル-1-ピロリン、オクタナール、ノナナール
牛乳:1-オクテン-3-オン、ジアセチルデルタデカラクトン、デルタドデカラクトン、デカン酸
トマト:3Z-ヘキセノール、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3 (2H)-フラノン、β-ダマセノン、硫化ジメチル
ミント:L-メントール、メントーン、L-カルボン
ビール:酢酸イソアミル、2-フェニルエタノール、酪酸エチル、オクタン酸、
ワイン:ワインラクトン、2-フェニルエタノール、リナロール、リナロール酸化物、
パッションフルーツ:ヘキサン酸エチル、リナロール、γ-デカラクトン、酪酸ヘキシル、ヘキサン酸ヘキシル、酪酸3Z-ヘキセニル、ヘキサン酸3Z-ヘキセニル
マンゴー:硫化ジメチル、α-ピネン、酪酸エチル、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、γ-オクタラクトン、γ-デカラクトン、3Z-ヘキセノール
パイナップル:メチル-2-メチル酪酸塩、エチル-2-メチル酪酸塩、エチルヘキサン酸塩、メチル-(3-メチルチオ)プロピオン酸塩、エチル-(3-メチルチオ) プロピオン酸塩、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2 H)-フラノン、
ハニー:フェニル酢酸、フェニルアセトアルデヒド、β-ダマセノン
キャラメル:3-ヒドロキシ-4,5-ジメチルフラン-2(5H)-オン、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテン-1-オン、
オート麦:2-アセチル-1-ピロリン、(E,E,Z)-2、4, 6-ノナトリエナール、バニリン、
麦芽:2-メチルブタナール、3-メチルブタナール、2-アセチル-1-ピロリン、バ ニリン、3-ヒドロキシ-4,5-ジメチルフラン-2(5H)-オン、異性体イソプロピルメトキシピラジン、異性体エチルジメチルピラジン
であり、
ここで、上記の芳香成分に加えて、官能性の観点から関連するメルカプタン類(チオアルコール類)及びモノ-、ジ-、トリ-スルフィド類(チオエーテル類)を更に添加することができる。
【請求項17】
前記ガスが二酸化炭素である
ことを特徴とする請求項1~
10のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された芳香含有ガス(10)
。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香含有ガス(10)の製造方法であって、以下の工程、
a)溶媒及び1種又は数種の芳香物質(1、2、3)を含む液相(5)を準備する工程、
b)工程(a)で準備された該液相(5)を固相(30)で充填された固相抽出カラム(3)へ導入して、1種又は数種の芳香物質を含有する固相(35)を得る工程、
c)液体及び/又は超臨界状態における少なくとも1種のガス(2)を用いて、該芳香含有固相(35)から1種又は数種の芳香物質(1、2、3)を分離する工程、
を含み、
該固相抽出カラム(3)に充填された該固相(30)は、疎水性に変性されたポリマー材料及び/又はシリカゲルに基づく非極性吸着剤である、又はそれを含み、
該芳香物質の濃縮及び抽出はエタノールフリーで行われる
ことを特徴とする芳香含有ガスの製造方法。
【請求項2】
前記工程(c)の後に、工程
d)1種又は数種の芳香物質を含有する前記ガス(10)を回収する工程、
が行われることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記工程(c)が、前記固相抽出カラム(3)で直接行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記工程(c)は、この目的に適した装置(4;40)で行われ、工程(b)で得られた前記含有固相(35)は、前記固相抽出カラム(3)から取り出され、この装置(4;40)に移されることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記溶媒は、水、水と混和する溶媒、及び特に極性溶媒におけるそれらの混合物、並びに水と混和する1つ又は複数の溶媒と水との混合物を含む群から選択され、ここで、溶媒としては水又は水性混合物が好ましく、溶媒としては水が特に好ましいことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法
【請求項6】
前記固相抽出カラム(3)に充填された前記固相(30)は、疎水性に変性されたポリマー材料として架橋ポリスチレンに基づく非極性吸着剤である、又はそれを含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記工程(b)において、前記固相は、1種又は数種の芳香物質(1、2、3)を完全に又は部分的に含有していることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
ガス(2)として二酸化炭素(CO
2)が用いられ、好ましくは液体及び/又は超臨界状態の二酸化炭素、特に好ましくは超臨界状態の二酸化炭素であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記工程(d)の前後の工程において、工程、
(d1)芳香物質(1、2、3)又は芳香物質の混合物(123)を抽出することによる、前記芳香含有ガス(10)から1種の芳香物質又は数種の特にすべての芳香性物質(1、2、3)の分離工程が、
行われることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記工程(d1)において、分離手段(6)である、好ましくはメンブレンフィルターを介して、特に減圧目的として、芳香含有ガス(10)の導入通過が行われ、濾過後の芳香フリーガス(20)が、任意にリサイクルされることを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
特に食品、高級食品、口腔衛生製品、半製品、化粧品又は医薬品である製品(7)を芳香化する工程を更に含み、
前記芳香含有ガスから分離された少なくとも1種の芳香物質(1、2、3)が、製品(7)に接触する場合において、
少なくとも1種の芳香物質が、該製品及び/又は該製品の包装の中を少なくとも部分的に通過することを特徴とする製品(7)を芳香化する方法。
【請求項12】
前記製品(7)が液体、特に飲料又は口腔衛生製品であり、
少なくとも一種の芳香含有ガス(10)が、該液体製品(7)に導入されることを特徴とする請求項11に記載の製品(7)を芳香化する方法。
【請求項13】
前記芳香含有ガス(10)からの前記ガス(20)が少なくとも部分的に製品(7)中に残ることを特徴とする請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記ガス(20)は、使用前に前記製品(7)から意図したように放出又は除去されることを特徴とする請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記芳香物質の数、相対的な割合、濃度及び/又は種類が異なる少なくとも2種の芳香含有ガスが、前記製品に接触されることを特徴とする請求項11~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
溶媒、及び1種又は数種の芳香物質(1、2、3)を含む液相(5)と比較して、芳香物質(1、2、3)の組成は、本質的に同一であり、好ましくは含有比も同一であり、
前記液相(5)は、飲料、特に果物ジュース、コーヒー、牛乳及び乳製品、茶及びビール並びにそれらの混合物、少なくとも1つの凝縮液、すすぎ水、動物又は植物の出発材料の加工から、例えば果物の加工から、又は食品の製造から、例えば飲料の製造からの少なくとも1つの二次流及び/又は副流及び/又は廃棄流、更に果物の加工又は飲料の製造からの少なくとも1つのバイパス流、並びに前記液体のうちの少なくとも2つの混合物を含む群から選択され、
下記の少なくとも1つの果実又は下記の少なくとも1つの出発物質をそれぞれベースとする液相(5)と比較して、
前記芳香含有ガス(10)又は前記芳香含有固相(35)が、
下記の各芳香(1、2、3)の少なくとも1つが液相と同じ割合で含まれている
ことを特徴とする最高で温度40℃において請求項1~10のいずれか1項に記載の方法で生産された芳香含有ガス(10)又は芳香含有固相(35):
いちご:酪酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル-2、カプロン酸メチル、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、桂皮酸メチル、3 Z-ヘキセノール、γ-デカラクトン、
ラズベリー:α-及びβ-イオノン、2E-ヘキセナール、δ-デカラクトン、3 Z-ヘキセノール、リナロール、ゲラニオール
リンゴ:2E-ヘキセノール、3Z-ヘキセノール、2E-ヘキセナール、ヘキサナール、酪酸エチル、酪酸エチル-2-メチル、β-ダマセノン
オレンジ:酪酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル-2-メチル、オクタナール、ヘキサナール、リナロール、アセトアルデヒド、
グレープフルーツ:ヌートカトン、酪酸エチル、ミルセン、リナロール、p-メンテンチオール-1,8、
レモン:シトラール、ゲラニオール、β-ピネン
チェリー:ベンズアルデヒド、2E-ヘキセノール、2E-ヘキセナール、ヘキサナール、β-ダマセノン、
桃:γ-デカラクトン、δ-デカラクトン、6-アミル-α-ピロン、2 E-ヘキセノール、β-ダマセノン、酸化リナロール、
バナナ:酪酸3-メチルブチル、酢酸3-メチルブチル、ヘキサナール、オイゲノール
梨:酢酸ヘキシル、酢酸3-メチルブチル、酢酸2E-ヘキセニルエチル-2 E、4Z-デカジエノート
コーヒー:β-ダマセノン、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2 H)-フラノン、フルフリルチオール-2,4-ビニルグアヤコール、3-ヒドロキシ-4,5-ジメチルフラン-2(5H)-オン、異性体イソプロピルメトキシピラジン、異性体エチルジメチルピラジン、
お茶:3Z-ヘキセノール、インドール、メチルジャスモナート、3-メチル-2,4-ノナンジオン、ジャスミンラクトン、β-ダマセノン、サリチル酸メチル
玉ねぎ:ジプロピルジスルフィド、ジプロピルトリスルフィド、メチルプロピルジスルフィド、
肉:2E,4Z,7Z-トリデカトリエナール、2E, 5Z-ウンデカジエナール、2E,4Z-デカジエナール、
ライス:2-アセチル-1-ピロリン、オクタナール、ノナナール
牛乳:1-オクテン-3-オン、ジアセチルデルタデカラクトン、デルタドデカラクトン、デカン酸
トマト:3Z-ヘキセノール、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3 (2H)-フラノン、β-ダマセノン、硫化ジメチル
ミント:L-メントール、メントーン、L-カルボン
ビール:酢酸イソアミル、2-フェニルエタノール、酪酸エチル、オクタン酸、
ワイン:ワインラクトン、2-フェニルエタノール、リナロール、リナロール酸化物、
パッションフルーツ:ヘキサン酸エチル、リナロール、γ-デカラクトン、酪酸ヘキシル、ヘキサン酸ヘキシル、酪酸3Z-ヘキセニル、ヘキサン酸3Z-ヘキセニル
マンゴー:硫化ジメチル、α-ピネン、酪酸エチル、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、γ-オクタラクトン、γ-デカラクトン、3Z-ヘキセノール
パイナップル:メチル-2-メチル酪酸塩、エチル-2-メチル酪酸塩、エチルヘキサン酸塩、メチル-(3-メチルチオ)プロピオン酸塩、エチル-(3-メチルチオ) プロピオン酸塩、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2 H)-フラノン、
ハニー:フェニル酢酸、フェニルアセトアルデヒド、β-ダマセノン
キャラメル:3-ヒドロキシ-4,5-ジメチルフラン-2(5H)-オン、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテン-1-オン、
オート麦:2-アセチル-1-ピロリン、(E,E,Z)-2、4, 6-ノナトリエナール、バニリン、
麦芽:2-メチルブタナール、3-メチルブタナール、2-アセチル-1-ピロリン、バ ニリン、3-ヒドロキシ-4,5-ジメチルフラン-2(5H)-オン、異性体イソプロピルメトキシピラジン、異性体エチルジメチルピラジン
であり、
ここで、上記の芳香成分に加えて、官能性の観点から関連するメルカプタン類(チオアルコール類)及びモノ-、ジ-、トリ-スルフィド類(チオエーテル類)を更に添加することができる。
【請求項17】
前記ガスが、二酸化炭素であ
り、
前記芳香含有ガスが、40℃以下で生産された
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された芳香含有ガス(10)。
【国際調査報告】