(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-30
(54)【発明の名称】動力工具の操作者を保護するためのシステム
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20230523BHJP
B27G 19/06 20060101ALI20230523BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20230523BHJP
B23D 57/02 20060101ALI20230523BHJP
B27B 13/00 20060101ALI20230523BHJP
B23D 59/00 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
B25F5/00 A
B27G19/06 Z
B23Q11/00 D
B23D57/02
B27B13/00 C
B23D59/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576405
(86)(22)【出願日】2021-04-22
(85)【翻訳文提出日】2022-03-02
(86)【国際出願番号】 SE2021050371
(87)【国際公開番号】W WO2021215992
(87)【国際公開日】2021-10-28
(32)【優先日】2020-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】511234781
【氏名又は名称】フスクバルナ アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100196601
【氏名又は名称】酒井 祐市
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ラルセン
(72)【発明者】
【氏名】ニクラス サリウス
(72)【発明者】
【氏名】ソレン カール
(72)【発明者】
【氏名】ペール ノリアン
【テーマコード(参考)】
3C011
3C040
3C064
【Fターム(参考)】
3C011AA15
3C040AA16
3C040DD11
3C040EE02
3C040EE04
3C040GG41
3C064AA05
3C064AA06
3C064AB02
3C064BA20
3C064BB24
3C064BB58
3C064BB89
3C064CA45
3C064CA80
3C064CB22
3C064CB56
3C064CB57
3C064CB58
3C064CB59
3C064CB63
3C064CB69
3C064CB70
3C064CB71
3C064DA07
3C064DA25
3C064DA27
3C064DA29
3C064DA34
3C064DA36
3C064DA59
3C064DA91
3C064DA93
(57)【要約】
動力工具の操作者110を保護するためのシステムが、操作者110が着用する第1のセットの装着型センサ120と、操作者110が着用する第2のセットの着用可能センサ130と、第1の工具センサ122が第1のセットの装着型センサ120と通信するように構成される動力工具に配置された第1の工具センサ122と、第2の工具センサ132が第2のセットの装着型センサ130と通信するように構成される動力工具に配置された第2の工具センサ132と、コントローラ140と、を備えてもよい。コントローラ140は、第1の工具センサ122と第1のセットの装着型センサ120との間の距離及び第2の工具センサ132と第2のセットの装着型センサ130との間の距離に基づいて、動力工具に対して保護作用を開始するかどうかを判定するように構成されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力工具の操作者(110)を保護するためのシステムであって、前記システムは、
前記操作者(110)が着用する第1のセットの装着型センサ(120)と
前記操作者(110)が着用する第2のセットの装着型センサ(130)と、
前記動力工具に配置された第1の工具センサ(122)であって、前記第1の工具センサ(122)は、前記第1のセットの装着型センサ(120)と通信するように構成される、第1の工具センサ(122)と、
前記動力工具に配置された第2の工具センサ(132)であって、前記第2の工具センサ(132)は、前記第2のセットの装着型センサ(130)と通信するように構成される、第2の工具センサ(132)と、
前記第1の工具センサ(122)と前記第1のセットの装着型センサ(120)との間の距離及び前記第2の工具センサ(132)と前記第2のセットの装着型センサ(130)との間の距離に基づいて、前記動力工具に対して保護作用を開始するかどうかを判定するように構成されたコントローラ(140)と、を具備する、システム。
【請求項2】
前記動力工具は、チェーンソー(100)、あるいは刃又はチェーン(102)を備えた動力カッターなどの他の動力機器であり、前記保護作用は、前記第1のセットの装着型センサ(120)又は前記第2のセットの装着型センサ(130)の一方が、前記第1の工具センサ(122)又は前記第2の工具センサ(132)のそれぞれ1つの閾値距離内にある場合、あるいは前記操作者(110)の身体に対する前記動力工具の速度が閾値速度を超えている場合、あるいは前記操作者(110)の身体に対する前記動力工具の加速度が閾値加速度を超えている場合に、前記チェーンソー(100)のチェーンブレーキ(170)を作動させることを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記動力工具は、チェーンソー(100)、あるいは刃又はチェーン(102)を備えた動力カッターなどの他の動力機器であり、前記保護作用は、前記第1のセットの装着型センサ(120)又は前記第2のセットの装着型センサ(130)の一方が、前記第1の工具センサ(122)又は前記第2の工具センサ(132)のそれぞれ1つの閾値距離内にある場合に、前記操作者(110)に可聴警告又は視覚警告を提供するステップを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のセットの装着型センサ(120)は、複数の慣性測定ユニット(IMU)ベースのセンサ(120)を含み、前記第1の工具センサ(122)は、工具位置センサ(122)を含み、
前記第2のセットの装着型センサ(130)は、複数の距離センサ(130)を含み、前記第2の工具センサ(132)は、前記動力工具に配置された読取機(132)を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記IMUベースのセンサ(120)及び前記工具位置センサ(122)は、前記操作者(110)の事前定義された姿勢及び前記動力工具の対応する位置に基づいて定期的に較正される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラ(140)は、前記IMUベースのセンサ(120)のそれぞれから、前記事前定義された姿勢(400)のそれぞれでの前記工具位置センサ(122)までの既知の距離に対応する基準データを保存し、
前記コントローラ(140)は、前記基準データと、前記事前定義された姿勢(410)にて収集された現在のデータとの比較を実施するように構成され、
前記コントローラ(140)は、前記比較(420)に基づいて、前記IMUベースのセンサ(120)に関連する誤差をリセットするように構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラ(140)は、前記複数の距離センサ(130)及び前記リーダ(132)から距離情報を取得し、前記IMUベースのセンサ(120)及び前記工具位置センサ(122)から運動追跡情報を取得するように構成され、
前記コントローラ(140)は、事前定義された距離内の前記運動追跡情報よりも前記距離情報を優先し、前記事前定義された距離外の前記距離情報よりも前記運動追跡情報を優先するように構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記読取機(132)は、レーダビームレンズを備えるか備えていないミリ波レーダセンサである、請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
前記読取機(132)は、無線送信機、光送信機又は超音波送信機であり、
前記コントローラ(140)は、前記読取機(132)及び前記複数の距離センサ(130)に関連する飛行時間測定に基づいて距離情報を計算するように構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項10】
前記読取機(132)は、電子タグ(610)を検出するように構成された電磁無線読取機(600)であり、
前記複数の距離センサ(130)のそれぞれは、電子タグ(610)である、請求項4に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラ(140)は、
a)前記電子タグ(610)のインスタンスが検出されるまで伝達動力を増大させるステップと、
b)前記電子タグ(610)の前記インスタンスが検出されなくなるまで動力を低下させるステップと、
c)ステップa)及びb)を繰り返して、前記電子タグ(610)が検出されなくなる中間又は平均の動力を判定するステップと、
d)前記中間又は平均の動力に基づいて、前記読取機(600)と前記電子タグ(610)の前記インスタンスとの間の範囲を判定するステップと、を実施するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
動力工具の操作者(110)を保護するためのシステムであって、前記動力工具は、チェーンソー(100)、あるいは刃又はチェーン(102)を備えた動力カッターなどの他の動力機器である、前記システムは、
前記操作者(110)が着用する複数の慣性測定ユニット(IMU)ベースのセンサ(120)と、
前記動力工具に配置された工具位置センサ(122)と、
前記IMUベースのセンサ(120)と前記工具位置センサ(122)との間の測定に基づいて、前記動力工具に対して保護作用を開始するかどうかを判定するように構成されたコントローラ(140)と、を具備する、システムにおいて、
前記IMUベースのセンサ(120)及び前記工具位置センサ(122)は、前記操作者(110)の事前定義された姿勢及び前記動力工具の対応する位置に基づいて定期的に較正される、システム。
【請求項13】
前記コントローラ(140)は、前記IMUベースのセンサ(120)のそれぞれから、前記事前定義された姿勢(400)のそれぞれでの前記工具位置センサ(122)までの既知の距離に対応する基準データを保存し、
前記コントローラ(140)は、前記基準データと、前記事前定義された姿勢(410)にて収集された現在のデータとの比較を実施するように構成され、
前記コントローラ(140)は、前記比較(420)に基づいて、前記IMUベースのセンサ(120)に関連する誤差をリセットするように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記操作者も着用する複数の距離センサ(130)と、前記動力工具に配置されたリーダ(132)とをさらに具備する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記コントローラ(140)は、前記複数の距離センサ(130)及び前記読取機(132)から距離情報を取得し、前記IMUベースのセンサ(120)及び前記工具位置センサ(122)から運動追跡情報を取得するように構成され、
前記コントローラ(140)は、事前定義された距離内の前記運動追跡情報よりも前記距離情報を優先し、前記事前定義された距離外の前記距離情報よりも前記運動追跡情報を優先するように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記動力工具は、チェーンソー(100)、あるいは刃又はチェーン(102)を備えた動力カッターなどの他の動力装置であり、
前記保護作用は、前記第1のセットの装着型センサ(120)又は前記第2のセットの装着型センサ(130)の一方が前記第1の工具センサ(122)又は前記第2の工具センサ(132)のそれぞれ1つの閾値距離内にある場合に、前記チェーンソー(100)のチェーンブレーキ(170)を作動させるステップを含み、及び/又は
前記保護作用は、前記第1のセットの装着型センサ(120)又は前記第2のセットの装着型センサ(130)の一方が、前記第1の工具センサ(122)又は前記第2の工具センサ(132)のそれぞれ1つの前記閾値距離内にある場合、あるいは前記操作者(110)の身体に対する前記動力工具の速度が閾値速度を超える場合、あるいは前記操作者(110)の身体に対する前記動力工具の加速度が閾値加速度を超えている場合に、前記操作者(110)に聴覚的警告又は視覚的警告を提供するステップを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
動力工具の操作者(110)を保護するためのシステムであって、前記動力工具は、チェーンソー(100)、あるいは刃又はチェーン(102)を備えた動力カッターなどの他の動力機器であり、前記システムは、
前記操作者(110)が着用する複数の距離センサ(130)と、
前記動力工具に配置された読取機(132)と、
前記距離センサ(130)のそれぞれと前記読取機(132)との間の距離に基づいて、前記動力工具に対して保護作用を開始するかどうかを判定するように構成されたコントローラ(140)と、を具備する、システムにおいて、
前記コントローラ(140)は、適応動力制御サイクルを実施して、前記距離センサ(130)のそれぞれと前記読取機(132)との間の前記距離を判定するように構成される、システム。
【請求項18】
前記距離センサ(130)はそれぞれが電子タグ(610)であり、
前記適応動力制御サイクルは、
a)前記電子タグ(610)のインスタンスが検出されるまで伝達動力を増大させるステップと、
b)前記電子タグ(610)の前記インスタンスが検出されなくなるまで動力を低下させるステップと、
c)ステップa)及びb)を繰り返して、前記電子タグ(610)が検出されなくなる中間又は平均の動力を判定するステップと、
d)前記中間又は平均の動力に基づいて、前記読取機(600)と前記電子タグ(610)の前記インスタンスとの間の範囲を判定するステップと、を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記動力工具は、チェーンソー(100)、あるいは刃又はチェーン(102)を備えた動力カッターなどの他の動力機器であり、
前記保護作用は、前記第1のセットの装着型センサ(120)又は前記第2のセットの装着型センサ(130)の一方が前記第1の工具センサ(122)又は前記第2の工具センサ(132)のそれぞれ1つの閾値距離内にある場合、あるいは前記操作者(110)の身体に対する前記動力工具の速度が閾値速度を超えている場合、あるいは前記操作者(110)の身体に対する前記動力工具の加速度が閾値加速度を超えている場合に、前記チェーンソー(100)のチェーンブレーキ(170)を作動させるステップを含み、
及び/又は
前記保護作用は、前記第1のセットの装着型センサ(120)又は前記第2のセットの装着型センサ(130)の一方が前記第1の工具センサ(122)又は前記第2の工具センサ(132)のそれぞれ1つの閾値距離内にある場合に、前記操作者(110)に聴覚的警告又は視覚的警告を提供するステップを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記操作者(110)が着用する複数の慣性測定ユニット(IMU)ベースのセンサ(120)と、前記動力工具に配置された工具位置センサ(122)とをさらに備える、請求項18に記載のシステムであって、
前記コントローラ(140)は、前記IMUベースのセンサ(120)と前記工具位置センサ(122)との間の測定に基づいて、前記動力工具に対して前記保護作用を開始するかどうかを判定するように構成される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的な実施形態が、動力機器に概ね関し、さらに具体的には、チェーンソー、あるいは刃又はチェーンを備えた動力カッターなどの他の動力機器のユーザを知的に保護するように構成されたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
さまざまな工具及び/又は対応する特定のタスクを実施するように構成された機械を使用して、特性の保守管理タスクを通常実施する。チェーンソーのような、このような工具のいくつかを、比較的短時間であり得る状況、あるいは場合によっては1日の作業を含む長い時間がかかることがあり得る状況にて、木を切るのに効果的であるように設計する。チェーンソーを長期間操作する場合、疲労が装置の安全な操作に影響を及ぼす可能性がある。しかし、操作者が装置を使用する期間に関係なく、操作者は自分自身と他の人の怪我を防ぐために、安全な操作手順の実施に注意を払うことが重要である。
【0003】
安全性の向上に役立てるために、操作者には保護服及び他の個人用保護具(PPE)を着用することが奨励されている。しかし、一部の操作者が、PPEを不快であると感じる場合があり、天候によっては、上半身に非常に薄い服を着て作業する場合がある。このため、チェーンソー及び他の屋外動力機器のユーザを保護するために、PPEに依存しない追加の「知的」保護解決策を規定することが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの例示的な実施形態では、動力工具の操作者を保護するためのシステムが提供されてもよい。このシステムは、操作者が着用する第1のセットの装着型センサと、操作者が着用する第2のセットの装着型センサと、第1の工具センサが第1のセットの装着型と通信するように構成される動力工具に配置された第1の工具センサと、第2の工具センサが第2のセットの装着型センサと通信するように構成される動力工具に配置された第2の工具センサと、コントローラと、を備えてもよい。コントローラは、第1の工具センサと第1のセットの装着型センサとの間の距離及び第2の工具センサと第2のセットの装着型センサとの間の距離に基づいて、動力工具に対して保護作用を開始するかどうかを判定するように構成されてもよい。
【0005】
例示的な一実施形態では、動力工具の操作者を保護するための別のシステムを提供してもよい。このシステムは、操作者が着用する複数の距離センサと、動力工具に配置された読取機と、距離センサのそれぞれと読取機との間の距離に基づいて、動力工具に対して保護作用を開始するかどうかを判定するように構成されたコントローラと、を備えてもよい。コントローラは、適応動力制御サイクルを実施して、距離センサのそれぞれと読取機との間の距離を判定するように構成されてもよい。
【0006】
別の例示的な実施形態では、動力工具の操作者を保護するためのさらに別のシステムを提供してもよい。このシステムは、操作者が着用する複数の慣性測定ユニット(IMU)ベースのセンサと、動力工具に配置された工具位置センサと、コントローラとを備えてもよい。コントローラは、IMUベースのセンサと工具位置センサとの間の測定に基づいて、動力工具に対して保護作用を開始するかどうかを判定するように構成されてもよい。IMUベースのセンサ及び工具位置センサは、操作者の事前定義された姿勢及び動力工具の対応する位置に基づいて定期的に較正されてもよい。
【0007】
いくつかの例示的な実施形態では、屋外動力機器の使用中のユーザ体験、安全性及び/又は生産性が改善される可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
このようにいくつかの例示的な実施形態を一般的な用語で説明してきたが、ここで、必ずしも縮尺通りに描かれていない添付の図面を参照する。
【
図1】例示的な実施形態に従って装着型センサが動作し得るシステムの概念図である。
【
図2】例示的な実施形態に従って操作者保護を提供するためのシステムのブロック図である。
【
図3】例示的な実施形態に従って、規定の姿勢での既知の距離をセンサの較正にどのように使用し得るかを示す概略図である。
【
図4】例示的な実施形態に従ってセンサを較正する方法のブロック図である。
【
図5】例示的な実施形態に従って2つの異なるセットのセンサの均衡を保つ用途に適用され得る一連の規則のブロック図である。
【
図6】例示的な実施形態に従って読取機と電子タグとの間の距離の検出を含む計画の制御フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで、添付の図面を参照して、いくつかの例示的な実施形態を以下にさらに全体的に説明する。添付の図面では、全部ではないが一部の例示的な実施形態が示されている。実際、本明細書に記載し、図示した例は、本開示の範囲、適用可能性又は構成に関して限定的であると解釈されるべきではない。むしろ、このような例示的な実施形態は、適用可能な法的要件を本開示が満たすように提供される。類似する参照番号は、全体を通して類似する要素を指す。さらに、「又は」という用語は、本明細書で使用する場合、そのオペランドの1つ又は複数が真であるときはいつでも真となる論理演算子として解釈されるべきである。本明細書で使用する場合、動作可能な結合を、いずれの場合でも、互いに動作可能に結合される構成要素の機能的相互接続又は相互作用を可能にする直接接続又は間接接続に関連すると理解する必要がある。
【0010】
いくつかの例示的な実施形態では、ユーザの身体部分に対するチェーンソー(又は他の動力機器)のガイドバー又は刃(又は他の作業アセンブリ)の位置を監視するように構成される知的保護システムが提供されてもよい。このシステムは、ユーザの身体部分がガイドバー又は刃に近づきすぎた時点を検出するように、あるいはチェーンの停止が望ましい状況が発生した時点を検出するように構成される。このため、ユーザとPPEの両方を、さまざまなタイプの切断機器の操作中に保護することができる。
【0011】
上記で考察された目標に関して、1つの解決策が、慣性測定ユニット(IMU)ベースの追跡センサを(例えば、ガイドバー又は刃の近くの)装置及び保護対象の身体部分に配置することであってもよい。IMUベースのセンサには、3次元の動きを追跡するために、3軸加速度計、ジャイロスコープ及び/又は磁力計が含まれてもよい。このタイプの追跡は、人間工学及びスポーツの研究で一般的に使用されており、身体の運動を追跡するために、映画及びコンピューターゲームの特殊効果に使用される。ガイドバー又は刃の上又は近くにもセンサを配置すると、ガイドバー又は刃に対する身体の運動を追跡することができるであろうことから、そのような追跡がガイドバー又は刃と身体の一部との間の潜在的な交差を示した場合に保護作用を規定することがあり得る。さらに、侵害のあった場合には、保護作用が実施される(例えば、身体部分(又は他の物体)及び身体部分/物体周りの所定の距離によって規定される)被保護体積を規定するために、身体部分のそれぞれ及びガイドバー又は刃の周りで体積をモデル化することがあり得る。
【0012】
しかし、IMUベースの追跡センサに関連する精度には既知の問題がある。これに関して、純粋なIMUベースの移動計算ソリューション(即ち、推測航法)が、センサの不正確さ、ノイズ及び計算プラットフォームに関連する制限のために、計算誤差を引き起こす。このため、いくつかの例示的な実施形態では、較正された運動追跡を可能にし得るように、IMUベースの追跡センサの較正を可能にするシステムを規定してもよい。これに加えて、あるいはこれとは別に、IMUベースの追跡センサを他のセンサ(例えば、距離測定センサ)と組み合わせて、追跡及び保護機能の開始に関する精度を向上させるためにセンサフュージョンを採用するシステムを規定してもよい。
【0013】
精度を向上させ、冗長性を提供することにより、PPEなしで動作するのに充分な精度と信頼性の両方を備えたシステムを規定する将来の可能性を潜在的に実現することができる。このため、例示的な実施形態には、異なるタイプのセンサ及び追跡機構の組み合わせによるセンサフュージョンの提供が含まれてもよい。例示的な実施形態にはこのほか、適応信号強度測定を使用して距離を正確に測定するためのセンサを採用する追跡アルゴリズム及び/又は追跡方法の提供が含まれてもよい。
【0014】
図1は、屋外動力装置が、切断動作を実施するためにガイドバー周りを回転するエンドレスチェーン102を有するチェーンソー100である場合に適用される例示的な実施形態の知的保護システムを示す。
図1に示すように、操作者110が、2セットの装着型センサを着用する。これに関して、操作者110は、PPEの例として、ヘルメット112、手袋114及びブーツ116を着用している。センサは、PPEに統合されても、PPEに取り付けられてもよい。もちろん、センサは、他の衣類又は用具に統合されたり、取り付けられたりすることがあり得るほか、他の場所でも同じようなことが実施されることがあり得る。このため、
図1に示す特定の例は、センサの数と、センサの場所と、センサを操作者110及び/又は操作者110の用具に取り付ける方法とに関して非限定的であると理解されるべきである。
【0015】
この例では、2セットの装着型センサは、IMUベースのセンサ120である第1のセットの装着型センサを含む。
図1のIMUベースのセンサ120は、操作者110が着用しているヘルメット112、手袋114及びブーツ116に配置されているが、上記のように、他の場所にも配置されることがあり得る。このため、例えば、追加のIMUベースのセンサ120が、操作者110の膝、肘、胸又は他の望ましい場所に設けられることがあり得る。IMUベースのセンサ120は、工具(例えば、チェーンソー100)の一部に配置され得る工具位置センサ122と連携して動作してもよい。注目すべきことに、工具位置センサ122は、それ自体がIMUベースのセンサであったり、及び/又は1セットのそのようなセンサを含んだりしてもよい。IMUベースのセンサ120及び工具位置センサ122はそれぞれ、IMUベースのセンサ120が位置づけられる身体部分と工具との間の相対位置を追跡することを可能にするために、3次元で運動追跡を実施するように構成されてもよい。運動追跡は、3次元の線形加速度及び角速度データに対する運動追跡アルゴリズムの適用に関連して実施されてもよい。
【0016】
2セットの装着型センサはこのほか、距離センサ130である第2のセットの装着型センサを含む。この例の距離センサ130は、IMUベースのセンサ120が設置された操作者110上の場所と同じ場所にあることが示されているが、そのような対応は必要ではない。このため、IMUベースのセンサ120よりも多いか少ない距離センサ130を設けることがあり、距離センサ130は、操作者110上の同じ場所又は異なる場所に設けることがあり得る。距離センサ130は、工具(例えば、チェーンソー100)の一部に配置され得る工具距離センサ132と連携して動作するように構成されてもよい。この例では、工具距離センサ132は、チェーンソー100のガイドバーに配置され、その結果、工具距離センサ132と1つ又は複数の距離センサ130との間で実施される距離測定は、ガイドバーと、距離センサ130の対応する1つを着用している身体部分との間の距離を示してもよい。注目すべきことに、工具距離センサ132は、単一のセンサであったり、及び/又は1セットのそのようなセンサを含んでもよい。
【0017】
上記の説明から理解することができるように、IMUベースのセンサ120は、3次元での移動を追跡するように構成されたセンサであってもよい。一方、距離センサ130は、2次元又は単に1次元(即ち、直線距離)のいずれかで距離を測定するか追跡するように構成されてもよい。いずれの場合も、距離又は近接の測定が実施され、その結果、チェーンソー100(又は少なくともその切断動作)が、定義可能な距離又は近接の閾値に基づいて停止されても(例えば、短距離の場合)、一定の閾値を超える角速度又は線形速度での身体部分と工具の相対運動の組み合わせに基づいて停止されてもよいように実施されてもよい(例えば、長めの距離の場合は、遅延に基づく距離で停止する)。
【0018】
例示的な実施形態では、コントローラ140を、工具(例えば、チェーンソー100)に配置してもよく、この場合、チェーンソー100のハウジング150内に設けてもよい。コントローラ140は、工具位置センサ122及び/又はIMUベースのセンサ120と通信して、本明細書で説明するように、運動追跡を実施するように構成されてもよい。
図1では、コントローラ140及び工具位置センサ122は、併置されて示されている。しかし、そのような併置は必要ではない。さらに、工具位置センサ122は、チェーンソー100上の任意の所望の場所に位置づけられることがあり得る。このため、例えば、コントローラ140は、工具位置センサ122への有線接続又は無線接続を有してもよい。IMUベースのセンサ120とコントローラ140との間の通信が発生する場合、そのような通信は、無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標)、WiFi、Zigbeeなどを含む短距離無線通信技術)を介して達成されてもよい。
【0019】
コントローラ140はこのほか、工具距離センサ132と通信していてもよい。これに関して、例えば、工具距離センサ132は、距離測定を実施するために距離センサ130と相互作用するように構成されてもよい。次に、工具距離センサ132は、コントローラ140と通信して、連続的、周期的又は事象駆動式のいずれかで距離測定を提供してもよい。範囲の一端では、連続距離測定が、定期的かつ頻繁な間隔でコントローラ140に提供され、コントローラ140によって評価されてもよい。範囲のもう一方の端では、距離測定は、測定距離が閾値(例えば、最小値)の距離を下回っている場合にのみ提供されてもよい。いずれの場合でも、コントローラ140は、警告の開始又はコントローラ140が制御するように構成され得る他の保護機能に関連する距離測定を評価するように構成されてもよい。一例として、チェーンソー100のチェーンブレーキ170を、工具距離センサ132に対する距離センサ130のうちのいずれか1つについて測定された距離が閾値距離よりも小さい場合に、作動させることがあり得る。これとは別に、あるいはこれに加えて、警告が(例えば、聴覚的に、視覚的に、あるいは触覚フィードバックを介して)提供されてもよい。聴覚保護具180を操作者110が着用している場合、聴覚保護具180を介して可聴警告を提供することがあり得る。場合によっては、警告は、第1の(及び長めの距離の)閾値が満たされるときに提供されてもよく、チェーンブレーキ170は、第2の(及び短かめの距離の)閾値が満たされるために作動されることがあり得る。
【0020】
同じ保護パラダイム又は異なる保護パラダイムはこのほか、IMUベースのセンサ120及び工具位置センサ122を使用して実施された追跡に基づいて開始することがあり得る。このため、例えば、コントローラ140は、IMUベースのセンサ120及び工具位置センサ122のいずれか(又は両方)並びに距離センサ130及び工具距離センサ132から受信した入力を評価するように構成されてもよい。評価は、運動追跡センサと距離測定センサ(及び機能)の融合をもたらすために、同時に実施されても、順番に実施されてもよい。しかし、このほか、いくつかの例では、装着型センサのセットのそれぞれ1つに別個のコントローラ(例えば、コントローラ140の別個のインスタンス)を採用し得ることを理解されたい。さらに、以下でさらに詳細に考察するように、コントローラ140は、(例えば、IMUベースのセンサ120及び工具位置センサ122を介した)運動追跡及び(例えば、距離センサ130及び工具距離センサ132を介した)距離測定の一方又は他方の使用を、特定の状況にて、優先するように構成されてもよい。例えば、距離測定に関連する測定値を、特定の距離範囲(例えば、短距離)内で優先する(あるいは先行する)場合があり、運動追跡関連の測定値を、別の距離範囲(例えば、長め距離)内で優先する(あるいは先行する)場合がある。コントローラ140はこのほか、IMUベースのセンサ120及び工具位置センサ122の運動追跡機能の較正を管理するように構成されてもよい。
【0021】
ここで、例示的な実施形態に従ってセンサフュージョン及び/又は較正を実施するためのコントローラ140の構成を、
図2を参照して説明する。これに関して、
図2は、例示的な実施形態によるコントローラ140のブロック図を示す。
図2に示すように、コントローラ140は、本明細書に記載するような例示的な実施形態の処理回路200を備えてもよい。処理回路200は、チェーンソー100(例えば、チェーンブレーキ170)又は(例えば、聴覚保護具180に警告を発する)システムの1つ又は複数の機能ユニットに電子制御入力を提供し、工具と操作者110との間の移動又は距離のさまざまな表示に関して、運動追跡及び距離測定装置のうちの1つ又は複数にて受信されるか、同装置によって生成されるデータを処理するように構成されてもよい。このため、処理回路200は、例示的な実施形態による、データ処理、制御機能実施及び/又は他の処理及び管理サービスを実施するように構成されてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、処理回路200は、チップ又はチップセットとして具体化されてもよい。換言すれば、処理回路200は、構造的アセンブリ(例えば、基板)上の材料、構成要素及び/又はワイヤを含む1つ又は複数の物理的パッケージ(例えば、チップ)を備えてもよい。構造的アセンブリは、それ自体に含まれる構成要素回路の物理的強度、サイズの保存及び/又は電気的相互作用の制限を提供してもよい。このため、処理回路200は、場合によっては、本発明の実施形態を単一のチップ上に実装するか、単一の「チップ上のシステム」として実装するように構成されてもよい。このため、場合によっては、チップ又はチップセットが、本明細書に記載の機能を提供するための1つ又は複数の動作を実施するための手段を構成してもよい。
【0023】
例示的な実施形態では、処理回路200は、処理回路200と相互作用する他の構成要素又はモジュールと通信するか、さもなければ制御し得るプロセッサ210及びメモリ212の1つ又は複数のインスタンスを備えてもよい。このため、処理回路200は、(例えば、ハードウェア、ソフトウェア又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせを用いて)本明細書に記載の動作を実施するように構成された回路チップ(例えば、集積回路チップ)として具体化されてもよい。いくつかの実施形態では、処理回路200は、チェーンソー100のハウジング150に収容された搭載コンピュータの一部として具現化されて、他の運動追跡及び/又は距離測定装置との相互作用に関してシステムの動作を制御してもよい。
【0024】
必須ではないが、コントローラ140のいくつかの実施形態では、ユーザインターフェース220を採用するか、同インターフェースと通信してもよい。ユーザインターフェース220は、処理回路200と通信して、ユーザインターフェース220でのユーザ入力の指示を受信したり、及び/又は、可聴、視覚、触覚又は他の出力を操作者110に提供したりしてもよい。このため、ユーザインターフェース220は、例えば、ディスプレイ、1つ又は複数のスイッチ、ライト、ボタン又はキー、スピーカ及び/又は他の入力/出力機構を備えてもよい。例示的な実施形態では、ユーザインターフェース220は、
図1の聴覚保護具180、あるいは状態又は他の比較的基本的な情報を示す1つ又は複数の色付きライトを備えてもよい。しかし、場合によっては、さらに複雑なインターフェース機構を提供することがあり得る。
【0025】
コントローラ140は、装置インターフェース230として機能する構成要素又は回路を採用しても利用してもよい。装置インターフェース230は、他の装置(例えば、工具位置センサ122、工具距離センサ132、チェーンブレーキ170、聴覚保護具180、IMUベースのセンサ120及び/又は距離センサ130)との通信を可能にするための1つ又は複数のインターフェース機構を備えてもよい。場合によっては、装置インターフェース230は、チェーンソー100の内部通信システムを介して、及び/又は無線通信機器(例えば、一方向又は双方向の無線)を介して、処理回路200と通信する構成要素との間でデータを送受信するように構成されたハードウェア又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせのいずれかで具体化された装置又は回路などの任意の手段であってもよい。このため、装置インターフェース230は、Bluetooth(登録商標)、WiFi又は他の短距離通信を実施するためのアンテナ及び無線機器を含んでも、本明細書に記載の機能を支持するために必要な通信を採用するための有線通信リンクを含んでもよい。
【0026】
図2では、工具位置センサ122及び/又はIMUベースのセンサ120は、第1のセンサネットワーク240の一部であっても、同ネットワークとして具体化されてもよく、工具距離センサ132及び/又は距離センサ130は、第2のセンサネットワーク250の一部であっても、同ネットワークとして具体化されてもよい。このため、第1及び第2のセンサネットワーク240及び250は、装置インターフェース230を介してコントローラ140と通信してもよい。しかし、場合によっては、他の直接接続又は他の間接接続又は通信の機構を提供することがあり得る。
【0027】
プロセッサ210は、いくつかの異なる方法で具体化されてもよい。例えば、プロセッサ210は、マイクロプロセッサ又は他の処理要素、コプロセッサ、コントローラ、あるいは、例えば、ASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)などの集積回路を備えるさまざまな他の計算装置又は処理装置のうちの1つ又は複数のようなさまざまな処理手段として具体化されてもよい。例示的な実施形態では、プロセッサ210は、メモリ212に保存されるか、さもなければプロセッサ210にアクセス可能な命令を実行するように構成されてもよい。このため、ハードウェアによって構成されようと、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって構成されようと、プロセッサ210は、適切に構成されている間、本発明の実施形態による動作を実施することができる(例えば、回路に物理的に具体化される-処理回路200の形態の)実体を表してもよい。このため、例えば、プロセッサ210がASIC、FPGAなどとして具体化される場合、プロセッサ210は、本明細書に記載の動作を実施するために特別に構成されたハードウェアであってもよい。これとは別に、別の例として、プロセッサ210がソフトウェア命令の実行プログラムとして具体化される場合、命令は、本明細書に記載の動作を実施するように、プロセッサ210を具体的に構成してもよい。
【0028】
例示的な実施形態では、プロセッサ210(又は処理回路200)は、処理回路200が受信した入力に基づいてコントローラ140の動作を具体化しても、包含しても、さもなければ制御してもよい。このため、いくつかの実施形態では、プロセッサ210(又は処理回路200)は、較正モジュール260及びセンサフュージョンモジュール270に関連して説明される動作のそれぞれを、引き起こすと考えられてもよい。それぞれの動作は、適切にプロセッサ210(又は処理回路200)を構成する命令又はアルゴリズムの実行に応答して、それぞれの動作に関連する対応機能を実施することに対して引き起こされる。
【0029】
例示的な実施形態では、メモリ212は、例えば、固定又は取り外し可能のいずれかであり得る揮発性及び/又は不揮発性メモリなどの1つ又は複数の非一時的メモリ装置を含んでもよい。メモリ212は、処理回路200が本発明の例示的な実施形態によるさまざまな機能を実施することを可能にするための情報、データ、アプリケーション、命令などを保存するように構成されてもよい。例えば、メモリ212は、プロセッサ210による処理のために入力データをバッファリングするように構成されることがあり得る。これに加えて、あるいはこれとは別に、メモリ212は、プロセッサ210によって実行するための命令を保存するように構成されることがあり得る。さらに別の代替又は追加の性能として、メモリ212は、さまざまなデータセットを保存し得る1つ又は複数のデータベースを含んでもよい。メモリ212の内容の中で、アプリケーションを、プロセッサ210によって実行して、個別のアプリケーションそれぞれに関連する機能を実施するために保存してもよい。場合によっては、アプリケーションには、較正及びセンサフュージョン機能と共に、本明細書に記載の運動追跡及び距離測定の命令が含まれる場合がある。
【0030】
較正機能を、較正モジュール260によって実施してもよい。この例では、較正は、第1のセンサネットワーク240(即ち、運動追跡)にのみ適用可能であってもよい。しかし、他の機能の較正をこのほか、あるいはこれとは別に、あるいはこれに加えて実施することがあり得る。較正モジュール260は、運動追跡装置(即ち、IMUベースのセンサ120及び工具位置センサ122)の較正を容易にするために、チェーンソー100上に配置されたゼロ相対速度検出(ZRVD)センサ280(直接又は装置インターフェース230を介して)相互作用するように構成されてもよい。これに関して、ZRVDセンサ280は、チェーンソー100のハンドル(例えば、前部ハンドル及び後部ハンドル)に位置づけられた触覚センサと、(例えば、工具位置センサ122に関連する)チェーンソー100からの加速度計及び/又は磁気計入力と、チェーンソー100のトリガー上のセンサと、を含んでもよい。ZRVDセンサ280からの入力を、IMUベースのセンサ120からの入力と統合してもよく、コントローラ140によって採用される運動追跡アルゴリズムを較正するために使用されてもよい。これに関して、例えば、較正プロセスは、IMUベースのセンサ120から導入され、時間とともに蓄積する可能性がある速度及び移動誤差のリセットを含んでもよい。
【0031】
例示的な実施形態では、ZRVDセンサ280は、較正位置と相関のある1つ又は複数の特定の工具及び/又は身体位置(又はその組み合わせ)を定義する(又は学習する)ために使用されてもよい。これに関して、例えば、一定の位置が、その位置に関連する既知のセンサデータを有してもよい。このため、チェーンソー100は、センサデータの一部の既知の状態にリセットするために、較正手順の間にそのような位置のうちの1つ又は複数に保持されているものとして検出されてもよい。複数の位置が存在する可能性がある場合、較正位置の全部の配列を通過することによって完全なリセットが達成されるまで、センサデータのさまざまな異なる部分がリセットされてもよい。
【0032】
このため、チェーンソー100のユーザマニュアル又はメンテナンスマニュアルには、較正位置が列挙されてもよい。較正モードに入ってもよく、対応する位置を順番に循環させてもよい。較正された位置は、場合によっては、チェーンソー100と操作者110の両方に関係する場合がある。このため、例えば、(保守技術者、あるいはさまざまな場合には所有者である可能性がある)操作者110は、IMUベースのセンサ120を着用している間にチェーンソー100を保持した想定の姿勢に応じて、誘導されてもよい。位置はこのほか、あるいはこれとは別に、ZRVDセンサ280の一部であり得る触覚センサによって感知されてもよい。このため、例えば、ZRVDセンサ280は、操作者110がチェーンソー100をどのように保持しているかに基づいて、及び/又はトリガーの押圧と、チェーンソー100の垂直方向又は水平方向を判定するための相関する加速度計及び/又は磁力計の表示数値とに基づいて、操作者110がチェーンソー100を較正位置のうちの1つに操作したことを検出してもよい。場合によっては、IMUベースのセンサ120及びチェーンソー100上のセンサ(例えば、ZRVDセンサ280)のうちの複数のセンサを含めることにより、良好な結果を達成するのに充分な独立性が保証されてもよい。このため、チェーンソー100がさまざまな位置にあることが検出され得る場合、較正された位置のうちの1つが検出されたときに(即ち、誘導された姿勢に応答しないが、使用中に、チェーンソー100を保持した状態で想定された姿勢の検出に応答して)較正を自動的に実施することができる。位置(及び特に較正位置)の検出は、操作者110が引き金を引く(又はチェーンソー100の別のボタン又は作動部材を作動させる)ときに発生してもよい。場合によっては、チェーンソー100のハンドル内の触覚圧力センサは(ZRVDセンサ280によって判定されるときに)、操作者110の現在の姿勢及び/又はチェーンソー100の位置を判定することに対して、手の位置を判定するために、使用されてもよい。
【0033】
場合によっては、較正手順は、規定の周期での定期保守の一部であってもよい。しかし、較正手順はこのほか、較正された位置が検出されたときに(毎回、あるいは対応する較正された位置での較正が所与の閾値期間内に実施されなかった場合のいずれかに)、自動的に実施することができる。較正アルゴリズムは、線形移動の加速度と、方向のジャイロデータと、誤差修正による運動追跡の予測を改善するためのカルマンフィルタリングとの二重積分を実施するように構成されてもよい。
【0034】
図3は、例示的な実施形態の較正位置の概略図を示す。
図3に示すように、チェーンソー100は、(特定の姿勢に基づいて)既知の場所にて、IMUベースのセンサ120を有する操作者が特定の姿勢で保持しているものとして検出されてもよい。場合によっては、IMUベースのセンサ120は、ジャケット又は脚部覆いなどのPPE上の固定された場所又は既知の場所に固定されてもよい(例えば、同場所内に装着されてもよい)。この例では、IMUベースのセンサ120は、左手袋センサ121及び左肘センサ123、右手袋センサ125及び右肘センサ127を備える。しかし、他の場所にある他のセンサも含めることがあり得ることを理解されたい。このため、図示の場所及び特定のセンサは、例示的な実施形態の説明を容易にするために提供されるにすぎず、例示的な実施形態を限定することを意図するものではない。
【0035】
図3から理解することができるように、チェーンソー100のバーの端部から、チェーンソー100の前部ハンドル上にあることが既知であろう左手袋センサ121までの距離300が既知であってもよい。上記のように、(例えば、ZRVDセンサ280の一部としての)1つ又は複数の触覚センサ310を前部ハンドルに配置して、操作者の左手の特定の場所(及び/又は左手袋センサ121)を確認してもよい。左手袋センサ121から左肘センサ123までの距離320も、特に指定された姿勢について既知であってもよい。同じように、(ここでもZRVDセンサ280の例である)1つ又は複数の触覚センサ330は、チェーンソー100の後部ハンドルに配置されてもよい。触覚センサ330は、操作者の右手の特定の場所(及び/又は右手袋センサ125)を確認してもよい。一方、特に指定された姿勢について、右手袋センサ125から右肘センサ127までの距離340も既知であってもよい。チェーンソー100のバーの端部から右手袋センサ125までの距離350及び触覚センサ310と330との間の距離360も既知であってもよい。このため、既知の距離(300、320、340、350及び360)及び姿勢に関連する記憶された基準データを用いて、IMUベースのセンサ120を較正することができる。
【0036】
図4は、例示的な実施形態による較正方法のブロック図である。
図4に示すように、基準データを、操作400での1つ又は複数の姿勢について収集してもよい。基準データには、ロールと、ピッチと、ヨーと、運動を含む姿勢の加速度及び速度の情報を含む他の関心のある変数と、に関連する情報が含まれてもよい。操作410では、操作者110は、基準データと比較するための現在のデータを取得するために、1つ又は複数の姿勢のそれぞれを通して誘導されてもよいか、操作者110は、1つ又は複数の姿勢のいずれかで感知/検出されてもよい。その後、操作420では、コントローラ140は、任意又は全部の適用可能な姿勢について、比較に基づいて、IMUベースのセンサ120に関連する誤差をリセットしてもよい。
【0037】
上記のように、場合によっては、定義された変数は、特定の実装に応じて変化する可能性がある(例えば、X/Y/Z、ロール/ピッチ/ヨー、オイラー、四元数など)。他の変数には、装置状態及び/又は(例えば、センサフュージョンモジュール270による)センサフュージョンに使用することができる加速度、速度、角速度、位置、ジャイロ表示数値などを含むグローバルデータ構造変数が含まれる可能性がある。上記の距離に基づいて、計算された移動(CalcDis)、計算された方向(CalcOri)、計算された速度(CalcVel)などのさまざまなローカル変数を測定しても判定してもよい。較正された運動追跡の計算例として、次の計算が、採用されることがあり得る1つのプログラム例として役立つことがあり得る。
State:=Init()//開始、方向について、ハンドル上の既知の手の位置に基づく測定位置マトリックスと、加速度計及び磁力計の表示数値とを組み合わせ、通知された位置での初期状態について、機械学習(ML)ベースの訓練セットデータで強化する//
Loop While(On)
Calculate()
Function Calculate()(
MeasUpdate(State)//Initに類似しているが、状況に適合した測定、即ち、各ステップで継続的に更新されるバイアスパラメータ//
//以下の計算では、MeasUpdateステップから更新されたパラメータを使用する//
CalcVel:=∫(加速度)//計算された速度//
CalcDis:=初期移動+∫(CalcVel)//計算された移動//
CalcOri:=初期方向+∫(角速度)//計算された方向//
Est:=Update(CalcDis、CalcOri)//継続的に計算される状態//
)
Function MeasUpdate()(
状態、作用および観測データの更新バイアスパラメータを実装する複雑な関数(例えば、カルマンフィルター理論)
)
【0038】
センサフュージョンモジュール270は、運動追跡装置(例えば、IMUベースのセンサ120及び工具位置センサ122)及び距離測定装置(例えば、距離センサ130及び工具距離センサ132)によって受信されたデータを融合するように構成されてもよい。運動追跡装置から受信したデータは、コントローラ140にて受信され、運動追跡情報を判定するために処理されてもよい。次に、運動追跡情報は、センサフュージョンモジュール270に提供されてもよい。このため、運動追跡装置からの運動追跡情報は、較正された場合、ZRVDで較正されたIMU運動追跡情報であると考えられてもよい。
【0039】
距離測定装置から受信されたデータはこのほか、コントローラ140(コントローラ140の同じインスタンス又は異なるインスタンスのいずれか)にて受信され、距離測定情報を判定するために処理されてもよい。
図5及び
図6の説明を参照して以下に記述するように、距離測定情報を判定するための処理は、いくつかの異なる形態をとることがあり得る。次に、形態に関係なく、距離測定情報はこのほか、センサフュージョンモジュール270に提供されてもよい。センサフュージョンモジュール270は、一連の融合規則に基づいて距離測定情報及び運動追跡情報を処理するように構成されてもよい。融合規則は、距離測定情報が近距離に対しての方が正確である可能性があるという理解に基づいて作成されてもよく、運動追跡情報は、チェーンソーバーがあらゆる身体部分から比較的遠い場合の運動追跡に最も有用である可能性がある。このため、融合規則は、近接性に基づく距離測定情報及び運動追跡情報の優先順位の階層を定義してもよい。例えば、身体部分への移動が検出された場合、距離が減少するにつれて、距離測定情報の権限が増大することになり、距離が増大するにつれて、運動追跡情報の保護機能(存在する場合)の判定に関する権限が増大することになる。
【0040】
図5は、例示的な実施形態に従って適用され得る融合規則の一例を示すブロック図である。
図5の状況内で、次の用語の定義が適用される。
Dist:チェーン102と身体部分との間の距離。
Motion:チェーンソーバーの(例えば、加速度計とジャイロの入力に基づいて集計された)運動。
Dir:計算された状態に基づくチェーンソーバーの運動の方向。
この状況内で、第1の規則500を、静止バーに許容される最小距離に対して定義してもよい。第1の規則500によれば、Dist<X1の場合、StopChain(チェーン停止)である。換言すれば、バーが最小距離(X1)よりも近い場合、チェーン102は停止される必要がある。第2の規則510を、高速運動中に許容される最小距離に対して定義してもよい。第2の規則510によれば、(Motion>Y1、Dir=bodypart(身体部分)及び dist<X2)の場合、StopChainである。換言すれば、バーが一定の速度(Y1)を超えて運動しており、任意のセンサへの運動が検出されたときに身体部分までの距離が最小距離(X2)未満である場合、チェーン102は停止される必要がある。第3の規則520を、距離に関係なく、最大許容運動速度に対して定義してもよい。
第3の規則520によれば、(Motion>Y2及びDir=bodypart)の場合、StopChainである。換言すれば、任意の身体部分への運動が検出されたときにバーが一定の速度(Y2)を超えて運動している場合、現在の距離が何であれ、チェーン102は停止される必要がある。第4の規則530を、方向に関係なく、最大許容運動速度に対して定義してもよい。第4の規則530によれば、(Motion>Y3)の場合、StopChainである。換言すれば、バーが一定の速度(Y3)を超えて運動している場合、現在の距離が何であろうと、バーの移動方向が何であろうと、チェーン102は停止される必要がある。これは、採用することができる規則セットの一例にすぎない。
【0041】
上記のように、距離測定情報が、距離測定装置を実装するために使用される特定のセンサ及び技術に基づいて、複数の形態をとることができる。例示的な実施形態では、読取機ベースの測定が、場合によっては採用されてもよい。例えば、工具距離センサ132は、工具に取り付けられた電磁読取機(又は応答装置)として(例えば、作業アセンブリ、即ち、この場合、ガイドバー上などのチェーンソー100のチェーン102に近接して)具体化されてもよく、工具の作業アセンブリ(例えば、ガイドバー及びチェーン102)の周囲全体を覆うメインローブを備えてもよい。電磁読取機は、後方散乱原理を使用して装置(例えば、電子タグ)を感知するように構成されてもよい。無線周波数識別(RFID)タグが、そのようなタグの一例である。しかし、場合によってはタグがアクティブになることもあり得る。いずれにしても、
図6は、そのような例の追加の説明を容易にするために、電子タグ610を備えた例示的な読取機600を示している。
【0042】
図6を参照すると、読取機600は、チェーンソー100によって提供される動力を利用して、範囲判定プロセスの一部として適応伝達動力アルゴリズムを実施してもよい。
適応伝達動力アルゴリズムは、検出が発生するまで伝達動力を上げることによって、搬送波を介して変調されたコードで送信するための初期検出信号620を生成するステップを含んでもよい。タグ610が読取機600から規定の距離内にあり、動力レベルが充分である場合、タグ610は、読取機600によってその後検出される応答630を生成するために送信された初期検出信号620から充分な動力を受信することになる。応答630は、タグ610のための識別子として使用されるコードを応答装置600に再送信して、タグ610を識別する。タグ610を検出した後、応答装置600は、次に、応答装置600からの伝達動力を低減して、初期検出信号620よりも徐々に低下する値を有する動力低減信号640を送信してもよい。充分な動力と共に受信された場合、タグ610は、動力低減応答650を送信することになる。次に、読取機600は、動力を再び(例えば、徐々に)低減し、タグ610から応答が受信されなくなるまで、漸進的動力低減を繰り返すことになる。タグ610が検出されなくなったときに送信された最後の(即ち、最も低い)動力に関連する信号は、距離マーカー信号660と呼ばれてもよい。距離マーカー信号660の動力が判定されるとき、この動力は、かなり一貫した正確な方法で距離に比例することがわかる。
【0043】
これに関して、検出範囲が、読取機600の出力動力又は伝達動力に概ね指数関数的に比例する。特定の値はアンテナごとに(例えば、読取機ごとに)変化する可能性があるが、比例関係はかなり一貫している。このため、検出範囲への動力の正確なマッピングを達成する可能性があり、個々のアンテナに対して小さな較正調整を実施する可能性がある。場合によっては、他の補正係数(例えば、温度)も適用可能である場合がある。マッピングは、メモリ212に保存されてもよく、距離測定情報を判定するためにコントローラ140にアクセス可能であってもよい。このため、距離マーカー信号660が判定されると、(操作670によって示すように)上記のプロセスを繰り返して、距離マーカー信号660の追加のインスタンスを判定することができる。任意の所望の数の繰り返し反復を完了することができ、タグ610が用いられない動力の範囲の周りの収束を判定してもよい。例えば、距離マーカー信号のための平均又は中間の動力を、操作670の反復のそれぞれ又は所定の回数を用いて計算してもよい。次に、距離マーカー信号のための平均又は中間の動力は、メモリに保存されたマッピングに相関させて、対応するセンサ(即ち、タグ610)と読取機600との間の範囲又は距離を判定してもよい。このプロセスは、時分割方式を使用して、距離センサ130のそれぞれについて迅速に繰り返し、循環することができる。
【0044】
簡略化された範囲検出に使用され得る擬似コードの一例を以下に示す。この状況では、次の用語定義が適用される。
INT POW:= 0//出力動力変数//
INT A:=5//出力動力増分//
BOOL SENSE:=偽//継続的に更新されたタグ感知変数
INT RANGE:=500//範囲変数
Loop
(
SENSE:=更新()//感知機能(関数?)//
SENSE=偽である場合、
POW=POW+A
他に
POW:=POW-A
RANGE:=MAP//動力を表関数又は伝達関数から範囲へマッピングする//
)
【0045】
上記の読取機600及びタグ610パラダイムを使用する代わりに、飛行時間ベースの測定を場合によっては使用してもよい。これに関して、距離測定情報は、信号の速度が既知である場合、送信された信号の飛行時間から計算されてもよい。電磁信号(例えば、レーザ、赤外線、無線周波数)の場合、速度は光速であることが知られている。工具距離センサ132がレーザ又は赤外線光源として具体化される例では、工具距離センサ132は、レーザ又は赤外光を概ね伝送し、次いで、距離センサ130のうちの1つ(又は複数)からの反射を受信するのにかかる時間を測定する。音声信号又は可聴信号の場合、速度は音速であることが知られており、距離センサ130は、工具距離センサ132が一方向の飛行時間のみを測定するように、送信機であってもよい。場合によっては、汚れ又は他の物体がセンサを阻止するか汚す可能性に関連する問題を回避するために、無線トランシーバが好ましい場合がある。そのような例では、応答所要時間(即ち、双方向の飛行時間)を、(マスタートランシーバとして機能する)工具距離センサ132によって測定することができる。
【0046】
いずれにせよ、例示的な実施形態が動作する状況に概ね当てはまる短距離に適用される場合、飛行時間は、光及び電波に対して数ナノ秒の範囲になるため、良好な精度を達成するために比較的高いサンプリングレートを必要とする。このため、いくつかの実施形態では、音の方がはるかに遅く伝わるため、超音波送信機及び受信機(即ち、能動的であり、受動的ではない超音波)が採用されてもよい。波の移動が遅いと、良好な精度をさらに達成しながら、採用するサンプリング周波数を低くすることができる場合がある。
【0047】
距離測定情報を取得するためのさらに別の代替手段として、レーダベースの測定を採用してもよい。これに関して、例えば、ミリ波レーダを採用して、(この状況では一般的である)0~500mmの範囲内で良好な精度と共に、汚れと湿気の両方に対する耐性を提供してもよい。ミリ波レーダも比較的高速であり、レーダビームを制御するためにレンズを追加することができる。このほか、高度な信号処理技術を採用して、さまざまな物体を互いから区別することができる。そのような例では、工具距離センサ132は、各送信に応答して受信された返答に基づいて距離センサ130を検出するように構成されたミリ波レーダセンサとして具体化されてもよい。
【0048】
このため、例示的な一実施形態では、動力工具の操作者を保護するためのシステムを提供してもよい。システムは、操作者が着用する第1のセットの装着型センサと、操作者が着用する第2のセットの装着型センサと、第1の工具センサが第1のセットの装着型と通信するように構成される動力工具に配置された第1の工具センサと、第2の工具センサが第2のセットの装着型センサと通信するように構成される動力工具に配置された第2の工具センサと、コントローラとを備えてもよい。コントローラは、第1の工具センサと第1のセットの装着型センサとの間の距離及び第2の工具センサと第2のセットの装着型センサとの間の距離に基づいて、動力工具に対して保護作用を開始するかどうかを判定するように構成されてもよい。
【0049】
場合によっては、修正又は増幅を、上記の説明に対する任意選択の変更又は増強としてさらに採用してもよい。このような変更又は増強は、互いに排他的に、あるいは互いに任意の組み合わせで実施されてもよい。場合によっては、そのような修正又は増幅には、(1)動力工具はチェーンソーであってもよく、保護作用は、第1のセットの装着型センサ又は第2のセットの装着型センサの一方が第1の工具センサ又は第2の工具センサのそれぞれ1つの閾値距離内にある場合に、チェーンソーのチェーンブレーキを作動させるものであってもよいことが含まれる。例示的な実施形態では、(2)動力工具は、チェーンソー、あるいは刃又はチェーンを備えた動力カッターなどの他の動力機器であってもよく、保護作用は、第1のセットの装着型センサ又は第2のセットの装着型センサの一方が、第1の工具センサ又は第2の工具センサのそれぞれ1つの閾値距離内にある場合に、操作者に聴覚的又は視覚的な警告を提供するものであってもよい。場合によっては、(3)第1のセットの装着型センサは、複数の慣性測定ユニット(IMU)ベースのセンサを含んでもよく、第1の工具センサは、工具位置センサであってもよい。そのような例では、第2のセットの装着型センサは、複数の距離センサを含んでもよく、第2の工具センサは、動力工具に配置された読取機であってもよい。いくつかの実施形態では、(4)IMUベースのセンサ及び工具位置センサは、操作者の事前定義された姿勢及び動力工具の対応する位置に基づいて定期的に較正されてもよい。例示的な実施形態では、(5)コントローラは、IMUベースのセンサのそれぞれから工具位置センサまでの既知の距離に対応する基準データを、事前定義された姿勢のそれぞれにて保存するように構成されてもよい。そのような例では、コントローラは、基準データと事前定義された姿勢にて収集された現在のデータとの比較を実施し、比較に基づいてIMUベースのセンサに関連する誤差をリセットするように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、(6)コントローラは、複数の距離センサ及び読取機から距離情報を取得し、IMUベースのセンサ及び工具位置センサから運動追跡情報を取得するように構成されてもよい。そのような例では、コントローラは、事前定義された距離内の運動追跡情報よりも距離情報を優先し、事前定義された距離外の距離情報よりも運動追跡情報を優先するように構成されてもよい。場合によっては、(7)応答装置はビーム用の焦点レンズを備えたミリ波レーダセンサであってもよい。例示的な実施形態では、(8)読取機は、光送信機又は超音波送信機であってもよく、コントローラは、読取機及び複数の距離センサに関連する飛行時間測定に基づいて距離情報を計算するように構成されてもよい。場合によっては、(9)読取機は、電子タグを検出するように構成された電磁読取機であってもよく、複数の距離センサのそれぞれは、電子タグであってもよい。いくつかの実施形態では、(10)コントローラは、a)電子タグのインスタンスが検出されるまで伝達動力を増大させるステップと、b)電子タグのインスタンスが検出されなくなるまで動力を減少させるステップと、c)ステップa)及びb)を繰り返して、電子タグが検出されなくなる平均又は中間の動力を判定するステップと、d)平均又は中間の動力に基づいて読取機と電子タグのインスタンスとの間の範囲を判定するステップと、を実施するように構成されてもよい。
【0050】
例示的な実施形態では、修正/増幅(1)~(10)の一部、いずれか、あるいは全部を、互いに任意の組み合わせで採用してもよい。さらに、場合によっては、システムは、(例えば、上記の(4)及び(5)のように)センサが較正されるように構成されている第1のセットの装着型センサのいずれかを含むことがあり得る。場合によっては、システムは、第2のセットの装着型センサのみを備えてもよく、ここで、センサは上記(10)のように構成される。
【0051】
本明細書に記載の発明の多くの修正及び他の実施形態が、前述の説明及び関連する図面に提示された教示の利益を有し、このような発明が関係する当業者に想起されるであろう。このため、本発明は、開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、修正及び他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されていることを理解されたい。さらに、前述の説明及び関連する図面は、要素及び/又は機能の一定の例示的な組み合わせの文脈で例示的な実施形態を説明しているが、要素及び/又は機能の異なる組み合わせは、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく代替の実施形態によって提供されてもよい。これに関して、例えば、上記で明示的に説明したものとは異なる要素及び/又は機能の組み合わせがこのほか、添付の特許請求の範囲のいくつかに記載され得るように企図される。問題に対する利点、利益又は解決策が本明細書に記載されている場合、そのような利点、利益及び/又は解決策は、必ずしも全部の例示的な実施形態ではないが、いくつかの例示的な実施形態に適用可能であり得ることを理解されたい。このため、本明細書に記載のいかなる利点、利益又は解決策も、あらゆる実施形態又は本明細書で特許請求されるものにとって重要、必要又は必須であると考えるべきではない。本明細書では特定の用語が採用されているが、用語は一般的かつ説明的な意味でのみ使用されており、限定を目的とするものではない。
【国際調査報告】