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特表2023-522303電気、電子、及び光学デバイスなどのデバイスを収容するためのハウジング内で使用するための板金部品
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  • 特表-電気、電子、及び光学デバイスなどのデバイスを収容するためのハウジング内で使用するための板金部品 図1
  • 特表-電気、電子、及び光学デバイスなどのデバイスを収容するためのハウジング内で使用するための板金部品 図2
  • 特表-電気、電子、及び光学デバイスなどのデバイスを収容するためのハウジング内で使用するための板金部品 図3A
  • 特表-電気、電子、及び光学デバイスなどのデバイスを収容するためのハウジング内で使用するための板金部品 図3B
  • 特表-電気、電子、及び光学デバイスなどのデバイスを収容するためのハウジング内で使用するための板金部品 図4
  • 特表-電気、電子、及び光学デバイスなどのデバイスを収容するためのハウジング内で使用するための板金部品 図5
  • 特表-電気、電子、及び光学デバイスなどのデバイスを収容するためのハウジング内で使用するための板金部品 図6A
  • 特表-電気、電子、及び光学デバイスなどのデバイスを収容するためのハウジング内で使用するための板金部品 図6B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-30
(54)【発明の名称】電気、電子、及び光学デバイスなどのデバイスを収容するためのハウジング内で使用するための板金部品
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/02 20060101AFI20230523BHJP
   H05K 7/18 20060101ALI20230523BHJP
   F16B 43/00 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
F16B5/02 F
H05K7/18 A
H05K7/18 L
F16B43/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559319
(86)(22)【出願日】2021-03-29
(85)【翻訳文提出日】2022-10-13
(86)【国際出願番号】 EP2021058203
(87)【国際公開番号】W WO2021198206
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】2025247
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522380642
【氏名又は名称】ミンケルス ビー.ヴィ.
(71)【出願人】
【識別番号】522380653
【氏名又は名称】レグランド エスエヌシー
(71)【出願人】
【識別番号】522380664
【氏名又は名称】レグランド フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ドリエッセン,ペトルス ヘンドリクス
(72)【発明者】
【氏名】デ ジョン,オラフ
【テーマコード(参考)】
3J001
3J034
【Fターム(参考)】
3J001FA02
3J001GA01
3J001GB01
3J001HA02
3J001HA07
3J001JA03
3J001KA23
3J001KB06
3J001KB10
3J034AA04
3J034BA20
3J034BC04
3J034CA03
(57)【要約】
電気、電子、及び光学デバイスなどのデバイスを収容するためのハウジング内で使用するための板金部品が説明される。板金部品は、貫通可能な開口部を備え、これを通じて、ねじのシャンクが提供されて、貫通可能な開口部を非貫通状態から貫通状態にし得る。非貫通状態の貫通可能な開口部は、気密コーティング層によってカバーされ、ねじのねじ山付きシャンクを収容するように構成された中央エリアと、ある程度の距離にわたって中央エリアから半径方向外向きに延在するラグと、を有し、貫通可能な開口部のラグは、貫通可能な開口部がねじのシャンクによって貫通状態になったときに、板金部品から緩まずに、中央エリアと一緒に折り返すように構成されている。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気、電子、及び光学デバイスなどのデバイスを収容するためのハウジング内で使用するための板金部品であって、前記板金部品が、脆弱化された境界を有することによって脆弱化されている前記板金部品内のエリアを含む貫通可能な開口部を備え、前記貫通可能な開口部を通して、ねじのシャンクが、デバイス又は他の部品を前記板金部品に機械的に及び/又は電気的に接続するために、前記貫通可能な開口部を非貫通状態から貫通状態にするように提供され得、前記非貫通状態の前記貫通可能な開口部が、気密コーティング層によってカバーされ、前記ねじのねじ山付きシャンクを収容するように構成された中央エリアと、ある程度の距離にわたって前記中央エリアから半径方向外向きに延在するラグと、を有し、前記貫通可能な開口部の前記ラグは、前記貫通可能な開口部が前記ねじの前記シャンクによって前記貫通状態になったときに、前記板金部品から緩まずに、前記中央エリアと一緒に前記板金部品とのその接続の周囲で折り返すように構成されている、板金部品。
【請求項2】
前記気密コーティング層は、前記ねじが提供されるべき前記板金部品の側部に提供される、請求項1に記載の板金部品。
【請求項3】
前記気密コーティング層は、前記ねじが提供されるべき前記側部とは反対である、前記板金部品の側部に提供される、請求項1又は2に記載の板金部品。
【請求項4】
前記中央エリアが、円形である、先行請求項のいずれか一項に記載の板金部品。
【請求項5】
前記貫通可能な開口部が、前記板金部品の厚さの一部にわたって延在する、先行請求項のいずれか一項に記載の板金部品。
【請求項6】
前記貫通可能な開口部が、前記板金部品の完全な厚さにわたって延在する、先行請求項のいずれか一項に記載の板金部品。
【請求項7】
前記気密コーティング層が、厚さを有し、前記非貫通状態の前記貫通可能な開口部が、前記板金部品の前記厚さにわたって、及び前記気密コーティング層の前記厚さの任意選択的に一部にわたって延在する、先行請求項のいずれか一項に記載の板金部品。
【請求項8】
前記気密コーティング層が、粉体コーティング層、ウェットペイントコーティング層、低放射率コーティング(Eコーティング)層、溶融亜鉛めっき層、亜鉛コーティング層、及び/又はプラスチック浸漬コーティング層から選択される、コーティング層を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の板金部品。
【請求項9】
前記ラグが、前記貫通可能な開口部の前記中央エリアの直径、より好ましくは、前記貫通可能な開口部の前記中央エリアの直径の少なくとも1.5倍の距離にわたって、前記中央エリアから半径方向外向きに延在する、先行請求項のいずれか一項に記載の板金部品。
【請求項10】
前記貫通可能な開口部が、1つのラグのみを備える、先行請求項のいずれか一項に記載の板金部品。
【請求項11】
前記ラグが、丸みを帯びた縁を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の板金部品。
【請求項12】
前記ラグは、前記貫通可能な開口部がテニスラケットの形状を有するように、形状決めされている、先行請求項のいずれか一項に記載の板金部品。
【請求項13】
前記ラグは、前記貫通可能な開口部が水滴様形状を有するように、形状決めされている、先行請求項のいずれか一項に記載の板金部品。
【請求項14】
前記貫通可能な開口部が、前記脆弱化されたエリアの前記境界をレーザ切断することによって、及び/又は前記脆弱化されたエリアを打ち抜き工具で打ち抜くことによって、前記板金部品に提供されている、先行請求項のいずれか一項に記載の板金部品。
【請求項15】
前記板金部品が、前記貫通可能な開口部を通して提供される前記ねじの頭部に面する側部上に保護電気絶縁層を備え、前記頭部が、前記ねじを締結するときに前記電気絶縁層を切断する切断縁が提供されるそのシャンク側にあり、それによって、前記ねじと前記板金部品との間に電気的接続を提供して、それらを同じ電圧レベルにするか、又は接地の目的で、好ましくは、気密層が、前記保護電気絶縁層を含むか又は前記保護電気絶縁層である、先行請求項のいずれか一項に記載の板金部品。
【請求項16】
前記貫通可能な開口部の前記ラグが、前記ねじを締結すると塑性的に折り返されるように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載の板金部品。
【請求項17】
前記板金部品が、前記板金部品の側縁に沿って配置された複数の貫通可能な開口部を備える、先行請求項のいずれか一項に記載の板金部品。
【請求項18】
前記板金部品の壁厚さが、3mmを超えず、より好ましくは、1.1mmを超えない、先行請求項のいずれか一項に記載の板金部品。
【請求項19】
先行請求項のいずれか一項に記載の板金部品と、それに接続されたデバイス又は他の部品とのアセンブリであって、前記接続は、前記貫通可能な開口部を通って提供される、シャンクが出ている頭部を有するねじによって提供されている、アセンブリ。
【請求項20】
前記シャンクが、前記デバイス又は他の部品の空洞内で受容及び締結されている、請求項19に記載のアセンブリ。
【請求項21】
請求項1~18のいずれか一項に記載の少なくとも1つの板金部品及び/又は請求項19若しくは20に記載のアセンブリを備える、電気、電子、及び光学デバイスなどのデバイスを収容するためのハウジング。
【請求項22】
前記板金部品が、前記ハウジングの直立した前壁、後壁、若しくは通路壁、床壁、又は屋根壁から選択される、前記ハウジングの壁を備える、請求項21に記載のハウジング。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気、電子、及び光学デバイスなどのデバイスを収容するためのハウジング内で使用するための、及び/又はそのようなハウジング間の通路内で使用するための板金部品に関する。
【0002】
本発明は、先行請求項のいずれか一項に記載の板金部品と、それに接続されたデバイス又は他の部品とのアセンブリに更に関し、接続は、貫通可能な開口部を通って提供される、シャンクが出ている頭部を有するねじによって提供される。そのようなアセンブリは、典型的には、電気、電子、及び光学デバイスなどのデバイスを収容するためのハウジング内、及び/又はそのようなハウジング間の通路内で使用される。
【0003】
本発明は、電気、電子、及び光学デバイスを収容するためのそのようなハウジングに更に関し、ハウジングは、本発明による少なくとも1つの板金部品及び/又はアセンブリを備える。
【背景技術】
【0004】
電気、電子、及び光学機器、特にコンピュータ機器などの、デバイスを収容するためのハウジングは、以前から知られている。適用可能な電子機器の非限定的な例としては、サーバ、ネットワーク ハードウェア、及びサウンド技術機器を含む。例えば、ビジネス用途で使用され得るハウジングは、典型的に屋根を除いた部分が開放されているラックと、典型的に側壁も含むキャビネットと、を備え得る。そのようなハウジングは、床フレーム部材、垂直に配向されたサイドフレーム部材、及び屋根フレーム部材を含む、相互接続されたフレーム部材の耐荷重フレームを備える。機器を吊るすための垂直に配向された装着レールは、サイドフレーム部材に対して、及び/又はサイドフレーム部材の間に提供され得る。各装着レールは、床及び屋根フレーム部材に接続され得る。そのようなハウジングの一例は、いわゆる19インチハウジングであり、典型的に17.7インチの相互標準化距離で互いに平行に延在するいくつかの垂直に配向された装着レールを備える。各装着レールは、各装着レールの長手方向に沿って延在し、かつ装着レール間で同等の高さに提供された複数の開口部又は他の受容部を備える。標準化された、任意選択的にモジュール式の機器は、典型的には、せいぜい17.7インチ幅であり、例えば、ねじによって、開口部又は受容部に接続される固定リップを更に備え得る。このようにして、機器の複数のユニットが同じハウジング内で互いの上に吊るされ得る。
【0005】
本発明の板金部品及び/又はアセンブリを含むハウジングは、上記に説明された19インチのハウジングに限定されず、本発明は、好ましくは、例えば、電気通信で使用される、23インチ又はメートル法のハウジングなどの、標準化された寸法を有する他のハウジングにも同等に適用可能であることに留意されたい。本発明はまた、例えば、そのようなハウジング間の通路で使用されるような、そのようなハウジングの外側の他の板金部品にも適用される。
【0006】
強度、剛性、冷却、がたつき及び他の音の防止、並びに重量及びコスト低減に関して、ハウジングを改善するための継続的な努力が当技術分野において存在する。特に、板金部品と、ハウジングの屋根部品又は側壁を提供するハウジングのフレーム部材、又は他の目的のための壁などの、他の部品との間の気密接続は、非常に重要である。
【0007】
内側において調整された(好ましくは冷却された)空気を維持することは、ハウジング又はサーバキャビネットの重要な機能である。このようにして、大量の調整された空気が、IT機器又は他の電気、電子、及び光学デバイスに到達することができる。そのような解決策は、ハウジング又はサーバキャビネットのユーザに、生態学的及び経済的な利益を提供する。ハウジング又はキャビネット内の調整された空気を維持するために、キャビネットの正面(又は背面)に、可能な限り完全に密閉する気密封止を生じさせることが望ましい。しかしながら、そのような気密封止を達成することは、キャビネットの調節可能な正面(又は背面)の必要性、及び異なる形状及びタイプの付属品の適用の必要性に、少なくとも部分的に起因して困難である。
【0008】
実際、接続のために、既知の技術では、板金壁部品は、いくつかの開口部を提供し得、接続は、薄い板金部品の開口部を通して提供され、かつ板金部品の基板部品として機能するフレーム部材の空洞内に受容され、締結される、ねじ山付きシャンクが出る頭部を有するねじによって確立され得る。開口部に起因して、そのような接続は、気密ではない場合がある。
【0009】
それゆえに、NL2008988又はNL2008770において、接続目的で板金プレートに提供される開口部を封止するために板金プレートの背面に箔を追加することが提案されている。この解決策は、特に、気密性を達成するために開口部を封止するための追加の封止箔に対する必要性のため、あまり実用的ではない。
【0010】
DE102014204292は、断続的な接着層を通して別の金属部品に接続される金属部品を開示している。金属部品は、カバーによって封止される開口部を備える。2つの金属部品は、カバー、開口部、及び他の金属部品を通して、尖ったフロードリルスクリューで穿孔することによって接続される。カバーは、接着剤が最終的に硬化する前に接着剤が排出されることを防止する。
【0011】
GB488,049は、開口部、半径方向外向きに延在するその周囲の部分、及び該部分の一端から板金要素の本体内に半径方向に延在するスリットを有する板金部品を開示している。次いで、開口部を取り囲む要素の一部分が、要素の平面から押し出されて、円錐台の形態の突起を生成して、クルーねじ山付き要素のねじ山との係合のための螺旋を提供する。板金部品は、ねじのねじ山のピッチよりも小さい厚さを有する必要がある。開示された配置は、ねじが外れることを防止するという点で自己係止である。
【0012】
本発明の目的は、上記の先行技術の欠点を防止するか、又は少なくとも部分的に除去することである。
【発明の概要】
【0013】
これら及び他の目的は、請求項1による、電気、電子、及び光学デバイスなどのデバイスを収容するためのハウジング内で使用するための板金部品を提供することによって達成される。発明された板金部品は、脆弱化された境界を有することによって脆弱化されている板金部品内のエリアを含む貫通可能な開口部を備え、貫通可能な開口部を通して、ねじのシャンクが、デバイス又は他の部品を板金部品に機械的に及び/又は電気的に接続するために、貫通可能な開口部を非貫通状態から貫通状態にするように提供され得、非貫通状態の貫通可能な開口部が、気密コーティング層によってカバーされ、ねじのねじ山付きシャンクを収容するように構成された中央エリアと、ある程度の距離にわたって中央エリアから半径方向外向きに延在するラグと、を有し、貫通可能な開口部のラグは、貫通可能な開口部がねじのシャンクによって貫通状態になったときに、板金部品から緩まずに、中央エリアと一緒に板金部品とのその接続の周囲で折り返すように構成されている。
【0014】
本発明の板金部品は、コスト及び時間効率の良い方式で気密性を達成する。実際、本発明を使用することは、接続目的で板金部品に提供された開口部を後から箔でカバーする必要性を除去する。
【0015】
本発明の文脈における貫通可能な開口部は、開口部を貫通状態にするためにねじのシャンクによって容易に貫通可能であるように脆弱化されている板金部品内のエリアを含むことを意味する。脆弱化されたエリアは、少なくとも非貫通状態では、気密コーティング層によってカバーされ、それにより、それが気密性を提供する。貫通状態では、脆弱化されたエリアは、ねじの貫通シャンクによって離れるように移動され、好ましくは、気密コーティング層によってカバーされたままであり、次いで、脆弱化された境界に沿って破断される。
【0016】
貫通可能な開口部は、ねじのねじ山付きシャンクを収容するように構成された、板金の中央エリアと、ある程度の距離にわたって中央エリアから半径方向外向きに延在するラグと、を更に有する。貫通可能な開口部のラグは、貫通可能な開口部がねじのシャンクによって貫通状態になったとき、板金部品から緩まずに、中央エリアで折り返されるように構成されている。言い換えれば、ラグは、離れるように移動した中央エリアを板金部品の残部と接続する。これは、貫通可能な開口部が貫通されているときに、貫通可能な開口部からのいかなる材料の放出も防止する(破片なし)。これはまた、接続の前後の、いかなる鋭い縁の形成も防止する。
【0017】
本発明の板金部品は、(電動)ドライバでねじを固定するだけで接続を提供することを更に可能にし、追加の作業が不要である。提供された接続はまた、デバイス及び他の部品を保持するのに十分な強度であり、ねじ接続を除去することによって容易に取り外される。しかしながら、ねじ接続を除去した後、気密性が損なわれ得る。
【0018】
好ましい実施形態では、以下で更に説明されるように、接続は、電気を伝導し得る。
【0019】
貫通可能な開口部の中央エリアは、ねじのねじ山付きシャンクを収容するように構成されている。貫通可能な開口部の内径は、ねじシャンクの直径よりもわずかに大きく、これは、ねじシャンクが、内径によってカバーされた開口部の一部に妨げられずに提供され得ることを意味する。
【0020】
貫通可能な開口部のラグは、ある程度の距離にわたって中央エリアから半径方向外向きに延在し、ねじの頭部と接触し得る。皿穴ねじ頭部及びなべねじ頭部が使用され得る。ほとんどの用途では、なべねじ頭部が使用され得る。皿穴ねじ頭部を使用するとき、このねじは、貫通可能な開口部に入ることができ、それにより、シャンクから離れるように面する皿穴ねじ頭部の上面は、接続されたときに板金部品の外面と面一になるか、又はその下に位置することさえあり得る。
【0021】
ねじのねじ山付きシャンクは、貫通可能な開口部、特に、その中央エリア内で受容され、締結され得る。代替的に、ねじのねじ山付きシャンクは、基板部品の空洞内で受容され、締結され得る。貫通可能な開口部又は他の空洞の中央エリアは、ねじ山と協働して接続を提供するようにねじ山形成され得る。別の選択肢では、貫通可能な開口部又は他の空洞の中央エリアは、ねじ山形成されないが、ねじ山は、ねじシャンクを貫通可能な開口部又は空洞の中央エリアに提供して締結するときに、中央エリア又は空洞の側壁に生成される。ねじは、「セルフタッピング」と称される。
【0022】
板金部品との接続のためのデバイス又は他の部品は、金属で作製され得るが、好ましくは、電気的に伝導することができる任意の他の好適な材料でも作製され得る。金属以外の好適な材料は、例えば、炭素繊維などの導電性繊維を備えたポリマーであり得る。
【0023】
本発明の別の実施形態は、ねじが提供されるべき、板金部品の側部に気密コーティング層が提供される、板金部品を提供する。ねじが提供されるべき側部とは反対である、板金部品の側部に気密コーティング層が提供される一実施形態がより好ましい。ねじが提供される板金部品の側部、及びねじが提供される側部とは反対である板金部品の側部にも提供される一実施形態が更により好ましい。後者の実施形態は、良好な気密性を提供するが、容易な貫通性も提供する。
【0024】
貫通可能な開口部の中央エリアの形状は、多角形又は更に不規則な形状などの、目的に好適な任意の形状であり得る。中央エリアが円形である板金部品の一実施形態が好ましい。
【0025】
本発明の実施形態によると、貫通可能な開口部は、レーザ切断及び/又は打ち抜き工具による打ち抜きによって板金部品に提供され得る。両方の方法は、貫通可能な開口部を提供する板金部品内に脆弱化されたエリア、すなわち、脆弱化された境界を有するエリアを提供する。打ち抜き工具又はレーザは、板金部品に何らかの形状のエリアを作成し、このエリアは、気密層を提供する表面仕上げによって気密様式で密閉される。レーザ切断は、典型的には、貫通可能な開口部を画定するエリアの脆弱化された境界に沿って達成される。脆弱化された境界は、次いで、低減された厚さによって、又は板金部品の完全な厚さを切断することによって脆弱化される。貫通可能な開口部を画定するエリアとほぼ同じ形状を有する工具を用いて打ち抜くことは、板金部品の平面から外れるように、これらの境界を変形させることによって、脆弱化された境界を脆弱化し得る。
【0026】
脆弱化の程度は、板金部品に使用される金属の特性、及び板金部品の壁厚さなどの他の特性に依存し得る。板金部品の壁厚さは、部品のエリアの拡張に対して直交する部品の寸法を意味すると理解される。
【0027】
板金部品を脆弱化されたエリアを脆弱化することは、多くの方式で達成され得る。一実施形態では、脆弱化されたエリアは、脆弱化されたエリア内の板金部品の壁厚さを低減することによって形成される。別の実施形態では、板金部品は、板金部品に厚さにわたる貫通孔を穿孔することなどによって、板金部品の一部を(追加的に)除去することによって、脆弱化されたエリアで脆弱化され得る。したがって、脆弱化されたエリアは、剛性及び/又は強度などの低減された機械的特性を有する薄い板金部品のエリアとして画定され得る。
【0028】
本発明による板金部品の一実施形態では、貫通可能な開口部は、板金部品の厚さの一部にわたって延在する。これは、例えば、板金部品の切断によって画定されるなどの、脆弱化された境界が、板金部品の厚さの一部にわたって延在することを意味する。
【0029】
より容易な貫通性を提供するために、本発明による板金部品の別の実施形態は、板金部品の完全な厚さにわたって延在する貫通可能な開口部(及び脆弱化された境界)を有する。
【0030】
本発明のなお別の実施形態による、更に改善された板金部品は、気密コーティング層が、厚さを有し、非貫通状態の貫通可能な開口部(及び脆弱化された境界)が、板金部品の厚さにわたって、及び気密コーティング層の厚さの任意選択的に一部にわたって延在することを特徴とする。
【0031】
なお別の有用な実施形態は、板金部品をレーザ切断して脆弱化されたエリアを得ることによって得られ得る。この実施形態は、貫通可能な開口部と板金部品の他の部分との間に面一外面が得られ得るという利点を有する。
【0032】
板金部品は、複数の貫通可能な開口部を含有し得、これらの開口部のいずれも、これまでに説明された実施形態のうちの1つに従って特徴付けられ得ることに留意されたい。
【0033】
板金部品上の気密コーティング層は、当技術分野の任意の方法によって提供され得る。本発明の実施形態によると、板金部品上に提供された気密コーティング層が、粉体コーティング層、ウェットペイントコーティング層、Eコーティング層とも称される低放射率コーティング層、溶融亜鉛めっき層、亜鉛コーティング層、及び/又はプラスチック浸漬コーティング層から選択される、コーティング層を含む。意図された目的のためのコーティングは、当技術分野で知られており、供給者から容易に入手可能である。
【0034】
本発明によると、非貫通状態の板金部品の貫通可能な開口部は、ねじのねじ山付きシャンクを収容するように構成された中央エリアと、ある程度の距離にわたって中央エリアから半径方向外向きに延在するラグと、を有し、これによって、貫通可能な開口部のラグは、貫通可能な開口部がねじのシャンクによって貫通状態になったときに、板金部品から緩まずに、中央エリアと一緒に板金部品とのその接続の周囲で折り返すように構成されている。貫通状態では、中央エリアによってカバーされた材料は、ラグによって板金部品に取り付けられたまま、ねじシャンクによって板金部品の平面から外に移動されている。板金部品の平面から外への中央エリアによってカバーされた板金材料の移動は、板金部品に開口部を作成する。変形したラグとの接続は、中央エリアによってカバーされた材料が板金部品から緩むことを防止する。上記に開示されたように、中央エリアによってカバーされた材料は、板金材料の一部及び気密コーティング材料、又は気密コーティング材料のみを含み得る。
【0035】
貫通可能な開口部は、複数のラグを含み得、好ましい実施形態では、1つのラグを含み得る。
【0036】
ラグは、中央開口部の直径(又は別の特徴的な寸法)から外径まで、ある程度の距離にわたって中央エリアから半径方向外向きに延在する。任意のラグは、中央開口部の直径(又は他の特徴的な寸法)よりも短い距離にわたって延在し得る。しかしながら、好ましい実施形態は、貫通可能な開口部の中央エリアの少なくとも直径(又は他の特徴的な寸法)、より好ましくは、貫通可能な開口部の中央エリアの直径(又は他の特徴的な寸法)の少なくとも1.2倍、より好ましくは、中央エリアの直径(又は他の特徴的な寸法)の少なくとも1.5倍の半径方向距離を提供する。好ましくは、半径方向距離は、中央エリアの直径(又は他の特徴的な寸法)の2倍を超えるべきではない。
【0037】
上記の実施形態は、ねじを中央開口部に提供するときに、ラグは、追加の工具を使用する必要なく、折り返され得るという利点を有する。更に、屈曲ラグと中央開口部材料が脱落し難い。第3に、ユーザが、屈曲したラグを切断したいとき、別の工具を使用する必要がある場合がある。これは、ラグの偶発的な切断を防止する。第4に、ラグの形状もまた、貫通されるときに鈍くなるように設計される。それによって、その周囲の任意の考えられる配線を切断するリスクが低減される。
【0038】
この利点はまた、ねじにも当てはまり得る。ドリルスクリューとの違いは、クルーも鈍いという点である。それゆえに、その周囲の任意の考えられる配線を切断するリスクも低減され、ねじが破片を生じさせる可能性が低くなる。
【0039】
ラグは、貫通するねじ頭部の作用下で外径の周囲でそれらを屈曲することによって変形され得る。言い換えれば、ラグは、板金部品の残部に取り付けられたままになる。
【0040】
他の有用な実施形態による板金部品は、丸みを帯びた縁を有するラグを提供する。また、別の実施形態におけるラグは、貫通可能な開口部がテニスラケットの形状を有するように形状決めされる。別の実施形態では、ラグは、貫通可能な開口部が水滴様形状を有するように形状決めされる。
【0041】
本発明の別の実施形態は、貫通可能な開口部を通して提供されるねじの頭部に面する側部上に保護電気絶縁層を備える板金部品を提供し、頭部が、ねじを締結するときに電気絶縁層を切断する切断縁が提供されるそのシャンク側にあり、それによって、ねじと板金部品との間に電気的接続を提供して、それらを同じ電圧レベルにするか、又は接地の目的で、好ましくは、気密層が、保護電気絶縁層である。そのような一実施形態におけるねじの切断縁は、板金部品との電気的接続を行う。ねじのシャンクは、ラグが存在する板金部品との電気的接続を行うが、それに対して、ねじの本体は、いくつかの実施形態では接地レベルであり得る、同じレベルの電圧で電気的接続を行う。このようにして、第2の板金部品を含む、板金部品が接続されるデバイス又は他の部品との電気的接続も行われ得る。
【0042】
特許請求された板金部品のどの面がねじによって貫通されることを意味するかは、当業者には明らかであろう。実際、電気、電子、及び光学デバイスなどのデバイスを収容するためのハウジングでは、ねじは、典型的には、外側からハウジングの壁に提供される。
【0043】
亜鉛コーティング又は溶融亜鉛めっき層の場合、保護電気絶縁層が必要ない場合があることに留意されたい。
【0044】
ねじ、板金部品、及び別の部品の間の任意選択的な電気的接続は、アース又は接地接続を提供するのに役立ち得る。電気設備では、アースシステム又は接地システムは、安全及び機能上の目的で、該設備の特定の部品をアースの導電表面に接続する。
【0045】
保護電気絶縁層は、気密層とは別個の層であり得る、好ましい実施形態では、気密層と同等であり得、これは、次いで、気密を電気絶縁特性と組み合わせることに留意されたい。別の実施形態は、例えば、二層構造の形態の、電気絶縁層を更に備える気密層を提供し得る。
【0046】
ねじを中央開口部又は他の空洞に締結するときのラグの変形は、任意のタイプであり得る。一実施形態では、ラグは、ねじを締結すると頭部によって弾性的に変形される。この実施形態では、ねじを緩め、薄い板金部品と基板部品との間の接続を元に戻すことは、ラグの変形をその元の状態に回復することを結果的にもたらし得る。別の好ましい実施形態では、ラグは、ねじを適用又は締結すると、ねじ頭部によって塑性変形される。この実施形態では、ねじを緩めることは、ラグをその変形した状態のままにする。言い換えれば、この実施形態では、板金部品の貫通可能な開口部のラグの変形は、一度変形すると恒久的になる。
【0047】
板金部品は、任意の形状を有し得る。それは、例えば、ストリップ又はプレート形状であり得るか、又は輪郭付き断面を有し得る。板金部品は、好ましくは、電気、電子、及び光学機器、特に、コンピュータ機器などのデバイスを収容する筐体又はハウジングの一部として使用され得る。板金部品は、3mmを超えない壁厚さを有し得る。他の実施形態では、板金部品の壁厚さは、1.8mmを超えず、より好ましくは、1.6mmを超えず、より好ましくは、1.4mmを超えず、更により好ましくは、1.1mmを超えない。ほとんどの実施形態では、板金部品は、一定の壁厚さを有することになる。そうでない場合、板金部品の壁厚さは、貫通可能な開口部の位置におけるその壁厚さに対応する。言い換えれば、板金部品は、貫通可能な開口部位置以外の位置、例えば、貫通可能な開口部位置の間でより厚くてもよい。板金部品の壁厚さは、板金部品の貫通可能な開口部を貫通するねじのピッチよりも大きいことが好ましい。これは、事前形成されたねじ又は自己ねじ切りのいずれかによって、ねじが板金部品にねじ込まれることを可能にする。
【0048】
複数の開口部は、板金部品の任意のエリア又は部分に提供され得る。開口部の位置は、任意であり得るが、本発明の一実施形態は、板金部品の側縁に沿って配置された複数の貫通可能な開口部を備える板金部品に関する。板金部品はまた、板金部品の側縁に沿って任意選択的に配置される、複数の他の開口部を備え得ることが理解されるであろう。本発明によると、他の開口部は、貫通可能ではない。
【0049】
本発明の別の態様は、本発明による板金部品と、それに接続されたデバイス又は他の部品とのアセンブリに更に関し、接続は、貫通可能な開口部を通って提供される、シャンクが出ている頭部を有するねじによって提供される。
【0050】
他の部品は、任意の形状を有し得、好ましくは、ねじのねじ山付きシャンクを受容して締結するための空洞を備える。
【0051】
本発明の板金部品は、好ましくは、電気、電子及び光学機器、特にコンピュータ機器などのデバイスを収容する筐体、並びに/又はそのような筐体若しくはハウジング間の通路で使用される。それゆえに、本発明の別の態様は、本開示による少なくとも1つの板金部品を含む、電気、電子、及び光学デバイスなどのデバイスを収容するためのハウジングに関する。板金部品は、例えば、気密壁、空気遮断壁、ハウジングの底壁若しくは屋根壁、及び/又はハウジング間の通路壁から選択される、ハウジングの壁を備え得る。
【0052】
他の部品は、ストリップ、又は装着レール、好ましくは、いくつかの空洞又は孔を備える、押し出し成形された装着レールに関連し得る。これらの例は、説明の目的のみ与えられており、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0053】
本開示に説明された本発明の実施形態は、これらの実施形態の任意の可能な組み合わせで組み合わせられ得、各実施形態は、個別に分割特許出願の主題を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
ここで、本発明は、添付の概略図に示されるように、いくつかの非限定的な実施形態に基づいて更に説明される。
図1】本発明が適用可能であり得るハウジング又はラックの斜視図を表す。
図2図1に示されるラックの詳細を表す。
図3A】本発明の一実施形態による、貫通可能な開口部を備える板金部品の概略上面図を表す。
図3B】本発明の一実施形態による、図3Aの板金部品の概略側面図を表す。
図4】本発明の別の実施形態による、貫通可能な開口部を備える板金部品の概略上面図を表す。
図5】本発明のなお別の実施形態による、貫通可能な開口部を備える板金部品の概略上面図を表す。
図6A】閉じた状態(左)、使用済み状態(中央)、及び開いた状態(右)の、本発明の一実施形態による、開口部を備える薄い板金部品の概略背面図を表す。
図6B】最後に、閉じた状態(左)、使用済み状態(中央)、開いた状態(右)の図6Aの薄い板金部品の概略正面図を表す。
【0055】
例示的な実施形態の説明
図1を参照すると、本発明の一実施形態による、電気、電子、及び光学機器(図示せず)などのデバイスを収容するためのラック1が示されている。ラックは、4つの床コーナ要素10bの間に延在する4つの相互接続された床フレーム部材10aを備える長方形の床10を備える。同様に、4つの屋根コーナ要素11bの間に延在する4つの相互接続されたルーフフレーム部材11aを備える長方形の屋根11が提供される。床10及び屋根11は、垂直に延在するサイドフレーム部材12によって互いに垂直距離13で保持され、各サイドフレーム部材12は、床コーナ要素10bと屋根コーナ要素11bとの間に提供される。フレーム部材10a、11a及び12、並びにコーナ要素(10b、11b)は、機器を収容するための耐荷重構造を一緒に形成する。
【0056】
示される実施形態の屋根11は、薄い板金、好ましくは、鋼から作製された3つの隣接する天板11cを備えている。板金11cは、1.0mmの厚さを有するが、別の厚さを有し得る。図1に示される実施形態では、2つの垂直に配向された装着レール14は、ラック1の少なくとも2つの側面15において、サイドフレーム部材12の各対の間に提供される。各装着レール14は、既知の慣例に従って、その端で、床フレーム部材10a及び屋根フレーム部材11aに接続される。19インチの装着レール14は、典型的には、17.7インチの相互標準距離16で互いに平行に延在する。各装着レール14は、各装着レール14の長手方向14bに沿って延在し、かつ装着レール14間で同等の高さに提供された複数の正方形開口部14aを更に備える。標準化された好適な機器は、例えば、ねじによって、開口部14aに接続される固定リップを備え得る。このようにして、機器(図示せず)の複数のユニットがラック1内で互いの上に吊るされ得る。装着レール14は、同じ目的のための、又は補強ブラケット、側壁(図示せず)などのラック1の補助部品に接続するための、他の開口部14cを備え得る。ラック1は、屋根壁部品を一緒に形成する天板11cとは別に、実質的に閉じたキャビネットを形成するために、側壁部品17又は床壁部品18などの他の壁部品を備え得る。天板11cの表面は、粉体コーティング層111などの保護電気絶縁層を備え得る。そのような層111は、天板11cを保護するが、他方では、天板11cを電気的に絶縁し、これは、接地目的には望ましくない場合がある。
【0057】
ここで図2を参照すると、ラック1の床コーナの詳細が概略的に示されている。示されるように、側壁部品17などの板金部品は、複数の開口部3を備え得る。開口部3は、開いているように示されているが、本発明によると、本発明の実施形態による貫通可能な開口部5として具体化されることが適格である。
【0058】
これらの貫通可能な開口部5の可能な形状は、例えば、図3図4及び図5を参照して、以下で更に説明される。
【0059】
本発明によると、例えば、図6A及び図6Bの実施形態に示されるように、壁部品17の形態の板金部品は、貫通可能な開口部5を備え、それを通して、ねじ4のシャンク41は、デバイス又は他の部品を壁部品17に機械的及び/又は電気的に接続するために、貫通可能な開口部5を非貫通状態(「閉、使用前」と称される図6A及び図6Bの左側)から貫通状態(「使用済み」と称される図6A及び図6Bの中央)にするように提供され得る。示されるように、非貫通状態の貫通可能な開口部5は、下にある開口部を閉鎖する気密コーティング層19によってカバーされている。「開、ねじの除去後」と称される、図6A及び図6Bの右側は、貫通状態で貫通可能な開口部5からねじ4を除去することによって生じる、開いた開口部3としての貫通可能な開口部5を示す。
【0060】
なお、「閉、使用前」(左)及び「使用済み」(中)と称される状態は、壁部品17に気密性を提供するが、「開、ねじの除去後」と称される状態は、そうではない。
【0061】
接続を行うために、任意の好適なねじ4は、ねじ山付きシャンク41が出てくる、なべ頭部40などの頭部を備え得る。頭部40は、ねじドライバを受容するための凹部42を備え得る。頭部40は、そのシャンク側に、ねじ4を締結するときに、この目的のために電気絶縁性でもある、気密コーティング層19を切断する切断縁(図示せず)を備え得る。これは、例えば、これらの部分を同じ電圧にするために、又は接地の目的で、ねじ4と壁部品17との間の電気的接続を提供する。
【0062】
貫通可能な開口部5の一実施形態が、図3A(上面図)及び図3B(側面図)に概略的に示されている。非貫通状態の貫通可能な開口部5は、気密コーティング層19によってカバーされ、ねじ4のねじ山付きシャンク41を収容するように構成された中央円形エリア50によって更に画定される。ラグ51は、示される実施形態では約3.8mmである、ある程度の距離53にわたって中央エリア50から外向きに半径方向52に延在するように見られる。ラグは、貫通可能な開口部5がテニスラケットの形状を有するように形状決めされる。中央エリアは、約3.15mmの直径54を有する。
【0063】
図3Bに示されるように、貫通可能な開口部5は、貫通可能な開口部5の形状で壁部品17を変形させるために、壁部品17又は他の板金部品を打ち抜き工具で打ち抜くことによって作製される。この変形した壁部品はまた、図6A及び図6B(左)にも示されており、その境界は、脆弱化され、ねじ4が貫通可能な開口部5に挿入されると容易に破断する傾向がある。ねじ4のシャンク41が中央エリア50を貫通するとき、この中央エリア50は、それが接続されたままであるラグ51と一緒に移動されることになる。この状況は、例えば、図6A及び図6Bの中央に示されている。このプロセスでは、貫通可能な開口部5のラグ51は、板金部品17から緩むことなく、中央エリア50と一緒に板金部品17の残部とのその接続の周囲で折り返される。ラグ51と板金部品17の残部との間の接続は、定位置のままである。図6Bの右側に示されるように、ねじの除去後、開いた円形の中央エリア30及び開いたラグ形状31を含む、貫通可能な開口部5の形状を有する、開口部3が残る。ラグ51及び移動した中央エリア50は、図6Aの右側に示されるように、板金部品17に取り付けられたままであり得るが、また、工具で除去され得る。
【0064】
貫通可能な開口部5の他の実施形態は、図4及び図5に示されている。これらの実施形態は、薄い板金部品17に脆弱化されたエリアを形成するために貫通可能な開口部5の境界をレーザ切断することによって作製された。ねじ4が貫通可能な開口部5に挿入されたとき、脆弱化されたエリアは、優先的に境界に沿って破断することになる。
【0065】
図4の実施形態は、レーザ切断によって作製された、リブ55を通して板金部品17の残部に取り付けられた丸い孔を含む、いくつかの円形の貫通可能な開口部5を示す。正反対のリブを必要とする実施形態は、それを押し出すためにある程度の力を必要とする傾向がある。また、丸い部品は、板金部品17から容易に緩み、潜在的に破片を残す可能性がある。
【0066】
図5の実施形態は、同様にレーザ切断によって作製された、貫通可能な開口5が水滴様形状を有するように形状決めされるラグ51を有する、いくつかの改善された貫通可能な開口部5を示す。この実施形態は、ラグ51と板金部品17の残部との間の相対的に脆弱な接続を示し得る(開口部に挿入されたときにねじ4の周囲により少ない材料を有するため)。この実施形態は、ねじ4の挿入及び除去後に貫通可能な開口材料を容易に破断することが所望されるときに選択され得る。
【0067】
上記に説明された実施形態の多くの変形が、添付の特許請求の範囲によって決定される本発明の範囲内で当業者によって想定され得ることは明らかであろう。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
【手続補正書】
【提出日】2022-11-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気、電子、及び光学デバイスなどのデバイスを収容するためのハウジング内で使用するための板金部品であって、前記板金部品が、脆弱化された境界を有することによって脆弱化されている前記板金部品内のエリアを含む貫通可能な開口部を備え、前記貫通可能な開口部を通して、ねじのシャンクが、デバイス又は他の部品を前記板金部品に機械的に及び/又は電気的に接続するために、前記貫通可能な開口部を非貫通状態から貫通状態にするように提供され得、前記非貫通状態の貫通可能な開口部が、気密コーティング層によってカバーされ、ねじのねじ山付きシャンクを収容するように構成された中央エリアと、ある程度の距離にわたって前記中央エリアから半径方向外向きに延在するラグと、を有し、前記貫通可能な開口部のラグは、前記貫通可能な開口部が前記ねじのシャンクによって前記貫通状態になときに、前記板金部品から緩まずに、前記中央エリアと一緒に前記板金部品とのその接続の周囲で折り返すように構成されている、板金部品。
【請求項2】
前記気密コーティング層、前記板金部品の片側又は両側に提供されている、請求項1に記載の板金部品。
【請求項3】
前記中央エリアが、円形である、請求項1又は2に記載の板金部品。
【請求項4】
前記貫通可能な開口部が、前記板金部品の厚さの一部にわたって延在するか、又は前記板金部品の完全な厚さにわたって延在する請求項1~3のいずれか一項に記載の板金部品。
【請求項5】
前記気密コーティング層が、厚さを有し、前記非貫通状態の貫通可能な開口部が、前記板金部品の厚さにわたって、及び、任意選択的に、前記気密コーティング層の厚さの一部にわたって延在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の板金部品。
【請求項6】
前記気密コーティング層が、粉体コーティング層、ウェットペイントコーティング層、低放射率コーティング層、電着層、溶融亜鉛めっき層、亜鉛コーティング層、及び/又はプラスチック浸漬コーティング層から選択される、コーティング層を含む請求項1~5のいずれか一項に記載の板金部品。
【請求項7】
前記ラグが、前記貫通可能な開口部の中央エリアの直径、より好ましくは、前記貫通可能な開口部の中央エリアの直径の少なくとも1.5倍の距離にわたって、前記中央エリアから半径方向外向きに延在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の板金部品。
【請求項8】
前記貫通可能な開口部が、1つのラグのみを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の板金部品。
【請求項9】
前記ラグが、丸みを帯びた縁を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の板金部品。
【請求項10】
前記ラグは、前記貫通可能な開口部がテニスラケット及び/又は水滴様の形状を有するように、形状決めされている、請求項1~9のいずれか一項に記載の板金部品。
【請求項11】
前記貫通可能な開口部が、低減された厚さによって、若しくは前記板金部品の完全な厚さを切断することによって、前記境界を脆弱化するために、及び前記貫通可能な開口部と前記板金部品の他の部分との間に面一外面を得るために、前記脆弱化されたエリアの境界をレーザ切断することによって、並びに/又は前記貫通可能な開口部を画定するエリアの形状を有し、前記板金の平面から外にこれらの境界を変形することによって前記境界を脆弱化する、打ち抜き工具を用いて前記脆弱化されたエリアを打ち抜くことによって、前記板金部品に提供されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の板金部品。
【請求項12】
前記貫通可能な開口部のラグが、前記ねじを締結すると塑性的に折り返されるように構成されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の板金部品。
【請求項13】
前記板金部品が、前記板金部品の側縁に沿って配置された複数の貫通可能な開口部を備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の板金部品。
【請求項14】
前記板金部品の壁厚さが、3mmを超えず、より好ましくは、1.1mmを超えない、請求項1~13のいずれか一項に記載の板金部品。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の板金部品と、それに接続されたデバイス又は他の部品とのアセンブリであって、前記接続は、前記貫通可能な開口部を通って提供される、シャンクが出ている頭部を有するねじによって提供されている、アセンブリ。
【請求項16】
前記板金部品が、前記貫通可能な開口部を通して提供される、前記ねじの頭部に面する側部上に保護電気絶縁層を備え、前記頭部が、前記ねじを締結するときに前記電気絶縁層を切断する切断縁が提供されるそのシャンク側にあり、それによって、前記ねじと前記板金部品との間に電気的接続を提供して、それらを同じ電圧レベルにするか、又は接地の目的で、好ましくは、気密層が、保護電気絶縁層である、請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記シャンクが、前記デバイス又は他の部品の空洞内で受容及び締結されている、請求項15又は16に記載のアセンブリ。
【請求項18】
請求項1~14のいずれか一項に記載の少なくとも1つの板金部品及び/又は請求項16若しくは17に記載のアセンブリを備える、電気、電子、及び光学デバイスなどのデバイスを収容するためのハウジング。
【請求項19】
前記板金部品が、前記ハウジングの直立した前壁、後壁、若しくは通路壁、床壁、又は屋根壁から選択される、前記ハウジングの壁を備える、請求項18に記載のハウジング。
【国際調査報告】