(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-30
(54)【発明の名称】ウリプリスタル酢酸エステルOTF
(51)【国際特許分類】
A61K 31/57 20060101AFI20230523BHJP
A61P 15/18 20060101ALI20230523BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20230523BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20230523BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20230523BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230523BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230523BHJP
【FI】
A61K31/57
A61P15/18
A61K9/70
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/38
A61K47/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562663
(86)(22)【出願日】2021-04-13
(85)【翻訳文提出日】2022-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2021059595
(87)【国際公開番号】W WO2021209471
(87)【国際公開日】2021-10-21
(32)【優先日】2020-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】300005035
【氏名又は名称】エルテーエス ローマン テラピー-ジステーメ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・リン
(72)【発明者】
【氏名】クラウディア・ノレッリ
(72)【発明者】
【氏名】ザビーネ・ヴァルヌス
(72)【発明者】
【氏名】マーリオ・フィッカー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA89
4C076BB22
4C076CC17
4C076DD09A
4C076DD38
4C076EE06A
4C076EE32A
4C076FF36
4C076FF65
4C076FF68
4C076GG01
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA10
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA32
4C086MA57
4C086NA03
4C086NA10
4C086ZA86
(57)【要約】
本発明は、ポリマーマトリックスおよび活性薬剤としてウリプリスタル酢酸エステルを含む口腔内フィルム製剤であって、ウリプリスタル酢酸エステルは、ポリマーマトリックス中に分散され、ポリマーマトリックスは、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)またはヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される水溶性ポリマーのマトリックスである、口腔内フィルム製剤に関する。該口腔内フィルム製剤は、緊急避妊薬として適当であり、水を用いずに口腔に投与することができる。それは口腔において迅速に崩解し、活性薬剤ウリプリスタル酢酸エステルは、大部分が非溶解形態で嚥下され、胃腸管中に吸収される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーマトリックスおよび活性薬剤としてウリプリスタル酢酸エステルを含む口腔内フィルム製剤であって、ウリプリスタル酢酸エステルは、ポリマーマトリックス中に分散され、ポリマーマトリックスは、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)またはヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される水溶性ポリマーのマトリックスである、前記口腔内フィルム製剤。
【請求項2】
ウリプリスタル酢酸エステルは、微粒子化されたウリプリスタル酢酸エステルである、請求項1に記載の口腔内フィルム製剤。
【請求項3】
ウリプリスタル酢酸エステルの量は、口腔内フィルム製剤の総重量に基づいて、10重量%から60重量%、好ましくは20重量%から43重量%である、請求項1または2に記載の口腔内フィルム製剤。
【請求項4】
水溶性ポリマーがポリ(エチレンオキシド)またはポリ(ビニルアルコール)から選択される場合において、ウリプリスタル酢酸エステルの量は、口腔内フィルム製剤の総重量に基づいて、10重量%から60重量%、好ましくは20重量%から43重量%である、および/または水溶性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される場合において、ウリプリスタル酢酸エステルの量は、口腔内フィルム製剤の総重量に基づいて、20重量%から60重量%、好ましくは20重量%から43重量%である、請求項1から3のいずれか1項に記載の口腔内フィルム製剤。
【請求項5】
水溶性ポリマーの量は、口腔内フィルム製剤の総重量に基づいて、好ましくは20重量%から90重量%、より好ましくは40重量%から70重量%である、請求項1から4のいずれか1項に記載の口腔内フィルム製剤。
【請求項6】
水溶性ポリマーがポリ(エチレンオキシド)および/またはポリ(ビニルアルコール)から選択される場合において、水溶性ポリマーの量は、口腔内フィルム製剤の総重量に基づいて、好ましくは25重量%から90重量%、より好ましくは35重量%から70重量%である、および/または
水溶性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される場合において、水溶性ポリマーの量は、口腔内フィルム製剤の総重量に基づいて、好ましくは30重量%から70重量%、より好ましくは40重量%から60重量%である、
請求項1から5のいずれか1項に記載の口腔内フィルム製剤。
【請求項7】
ポリ(エチレンオキシド)(PEO)は、50,000ダルトンから200,000ダルトン、好ましくは75,000ダルトンから150,000ダルトンの範囲における分子量を有し、
ポリ(ビニルアルコール)(PVA)は、20,000ダルトンから40,000ダルトン、好ましくは25,000ダルトンから35,000ダルトンの範囲における分子量、および/もしくは84mol-%から92mol-%、好ましくは86mol-%から90mol-%の加水分解度を有し、ならびに/またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、1mPasから100mPas、好ましくは2mPasから75mPasの範囲における標識粘度を有する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の口腔内フィルム製剤。
【請求項8】
水可溶性ポリマーは、ポリ(エチレンオキシド)WSR N-10、ポリ(ビニルアルコール)4-88、ヒドロキシプロピルメチルセルロース603、ヒドロキシプロピルメチルセルロース60SH50、またはヒドロキシプロピルメチルセルロース603およびヒドロキシプロピルメチルセルロース60SH50の混合物から選択される、請求項1から7のいずれか1項に記載の口腔内フィルム製剤。
【請求項9】
1種またはそれ以上の可塑剤、好ましくはグリセリンをさらに含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の口腔内フィルム製剤。
【請求項10】
口腔内フィルム製剤は、非発泡フィルムまたは発泡フィルムである、請求項1から9のいずれか1項に記載の口腔内フィルム製剤。
【請求項11】
6カ月間40℃の温度および75%相対湿度で口腔内フィルム製剤を貯蔵した後に、分解生成物N-デメチルウリプリスタルアセテート(DMUA)の量は、貯蔵前の口腔内フィルム製剤におけるウリプリスタル酢酸エステルの初期量に基づき1重量%未満である、請求項1から10のいずれか1項に記載の口腔内フィルム製剤。
【請求項12】
ポリマーマトリックスおよび活性薬剤としてウリプリスタル酢酸エステルを含む口腔内フィルム製剤であって、ウリプリスタル酢酸エステルは、ポリマーマトリックス中に分散され、6カ月間40℃の温度および75%相対湿度で該口腔内フィルム製剤を貯蔵した後に、分解生成物N-デメチルウリプリスタルアセテート(DMUA)の量は、貯蔵前の該口腔内フィルム製剤におけるウリプリスタル酢酸エステルの初期量に基づき1重量%未満である、前記口腔内フィルム製剤。
【請求項13】
以下の工程:
a)水溶性ポリマー、水または水および1種もしくはそれ以上の有機溶媒の混合物を含むまたはそれからなる溶媒、ならびに固体ウリプリスタル酢酸エステル、好ましくは微粒子化されたウリプリスタル酢酸エステルを混合することで、水溶性ポリマーが溶媒中に溶解され、ウリプリスタル酢酸エステルが溶媒中に懸濁される懸濁液を得る工程、
b)得られた懸濁液を、支持体、コーティングライナー上にまたは鋳型中にキャスティングまたはコーティングすることで、懸濁液を拡散する工程、ならびに
c)溶媒を蒸発させる工程
を含む、請求項1から12のいずれか1項に記載の口腔内フィルム製剤を製造するための方法。
【請求項14】
1種またはそれ以上の可塑剤は、混合工程a)において添加される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
懸濁液は工程b)の前にガスで発泡される、請求項13または請求項14に記載の方法。
【請求項16】
緊急避妊薬としての使用のための、請求項1から12のいずれか1項に記載の口腔内フィルム製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性薬剤としてウリプリスタル酢酸エステルを含む口腔内フィルム製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔内フィルム製剤(OTF)は、ポリマーマトリックスに基づく薄い可撓性フィルムであり、薬物送達のための活性物質が負荷されている。口腔内フィルム製剤は、経口的に摂取され、口の中で直ちに溶解するまたは粘膜に適用される。それらは、舌の上もしくは下、または頬側に置かれ、そこで、それらは次いで溶解または崩解する。
【0003】
特許文献1は、活性薬剤ウリプリスタル酢酸エステルを開示している。ウリプリスタル酢酸エステルは、よく知られている緊急避妊薬(「モーニングアフターピル」)である。それは、30mgの微粒子化ウリプリスタル酢酸エステル、ならびにさらなる成分としてラクトース一水和物、ポビドン、クロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムを含有する錠剤(「EllaOne(登録商標)」)として投与される。EllaOne(登録商標)は2009年に欧州連合で承認された。
【0004】
EllaOne(登録商標)のような錠剤は、通常、嚥下を簡便にするために水とともに摂取される。清浄な飲料水への迅速なアクセスがない場所において、錠剤を摂取することは、したがって、殊に医薬品を嚥下するのに困難を有する、即ち嚥下困難を患うある特定の患者群にとって難しいことがある。口腔における適用で迅速に溶解する口腔内フィルム製剤の投与は、追加の水を必要とせず、そのため有利である。
【0005】
口腔内フィルム製剤の投与のための高い患者コンプライアンスを実現するため、活性物質(例えばウリプリスタル酢酸エステル)を一体化し、投与の際口腔中に心地よい感覚(心地よい「口当たり」)を作り出し、飲料水の添加を用いずに迅速に溶解および/または崩解するポリマーマトリックスが必要である。
【0006】
特許文献2は、選択的プロゲステロン受容体モジュレーターまたはその代謝物、例えばウリプリスタル酢酸エステル、およびN-ビニル-2-ピロリドン-ベースのポリマーから選択される活性成分を含む共微粉化生成物、ならびに前記共微粉化生成物および賦形剤を含む医薬組成物に関する。記述されている医薬組成物のための剤形の例としては、とりわけ口内分散性フィルムが挙げられる。共微粉化生成物を製造するための方法は、活性成分をポリマーと混合する工程および得られた混合物を共微粉化する工程を含む。特許文献2によると、該共微粉化方法は、インビボ生物学的利用能の増強と相関するはずであるウリプリスタル酢酸エステルのインビトロ溶解プロファイルを著しく改善する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】EP 422100 B1
【特許文献2】US 20150258118 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、飲料水の添加を用いずに経口的に投与することができるとともに、承認されたウリプリスタル酢酸エステル錠剤(「EllaOne(登録商標)」)と生物学的に同等である医薬活性成分ウリプリスタル酢酸エステルを有する口腔内フィルム製剤であって、すでに承認された錠剤EllaOneと同様の、最小の経粘膜的な取り込みおよび胃腸管におけるウリプリスタル酢酸エステルの放出を有する製剤を必要とする口腔内フィルム製剤を提供することであった。言い換えると、目標は、口腔において迅速に崩解することで、活性薬剤ウリプリスタル酢酸エステルは大部分が非溶解形態で嚥下され、胃腸管内に吸収される口腔内フィルム製剤である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に定義されている通りの口腔内フィルム製剤は、この目的を実現することができる。したがって、本発明は、ポリマーマトリックスおよび活性薬剤としてウリプリスタル酢酸エステルを含む口腔内フィルム製剤であって、ウリプリスタル酢酸エステルは、ポリマーマトリックス中に分散され、ポリマーマトリックスは、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)またはヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される水溶性ポリマーのマトリックスである、口腔内フィルム製剤に関する。
【0010】
ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)およびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される水溶性ポリマーは、ウリプリスタル酢酸エステルとの組合せにおいて、貯蔵および投与のために十分に安定である固体API-マトリックス組合せ(API=医薬活性成分)を形成するポリマーであることが示された。口腔における(または水、緩衝液もしくは人工唾液の添加を用いるインビトロ試験における)適用後、本発明の口腔内フィルム製剤は、非常に迅速に崩解し、活性成分ウリプリスタル酢酸エステルを放出する。
【0011】
製造された製剤は、それらが、溶解されたポリマーおよび放出されたウリプリスタル酢酸エステルなど簡便に嚥下可能な構成成分に迅速に崩解するという事実によって特徴付けられる。
【0012】
急速な分解および口腔における短い残留時間により、粘膜による活性薬剤の吸収は、最小化される。活性薬剤ウリプリスタル酢酸エステルは、大部分が固体形態、好ましくは結晶性形態で嚥下され、胃腸管内に吸収される。したがって、ウリプリスタル酢酸エステル錠剤EllaOne(登録商標)との生物学的同等性は、達成することができる。これは、一般に吸湿特性も呈する上に記述されている水溶性ポリマーを使用することによって実現することができる。したがって、口腔中の水分は、溶解に十分である。
【0013】
口腔における急速な溶解または崩解および急速な嚥下を意味する、急速に分解するOTFのため、選択されるポリマーは、水中で良好なおよび迅速な可溶性、ならびに一般に吸湿特性を有し、そのため、崩解するのに十分な水を口腔から吸収する。これは、投与を簡便にするための飲料水は必要とされないことを意味し、このことは、錠剤を超える利点である。本発明の口腔内フィルム製剤は、錠剤を摂取するのを好まない、または嚥下するのが難しい、即ち、嚥下困難を患う患者にとってもまた特に有利である。
【0014】
示されている通り、口腔内フィルム製剤は一般に知られており、OTFと省略される。口腔中で容易に溶解する口腔内フィルム製剤は、口内分散性フィルムとしてもまた共通して参照される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のOTFは、例えば、0.3cm2から20cm2、好ましくは1cm2から10cm2の範囲におけるサイズを有する。OTFの厚みは、例えば、10μmから1000μm、好ましくは40μmから400μmの範囲であり得る。本発明のOTFは、単一層フィルムまたは多層フィルムの形態をとることができ、単一層フィルムが好ましい。
【0016】
本発明のOTFは、非発泡フィルムまたは非多孔質フィルムであってよい。代わりに、OTFは、ガス、ガス混合物、液体または液体混合物が充填される空間または空洞を有する固化された泡の形態で存在するマトリックスを含むことができる。こうしたOTFは、「泡-OTF」と共通して称される。
【0017】
ウリプリスタル酢酸エステルは、以下の化学式を有する17α-アセトキシ-11α-(4-N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン)である:
【化1】
【0018】
本発明のOTFは、ポリマーマトリックスおよび活性薬剤としてウリプリスタル酢酸エステルを含む。活性薬剤ウリプリスタル酢酸エステルは、ポリマーマトリックス中に分散される。ポリマーマトリックスにおいて、ウリプリスタル酢酸エステルは、固体形態で、特に結晶性形態で、粒子として存在する。粒子は、ポリマーマトリックスに堅く付着されている。光学評価は、固体または結晶性ウリプリスタル酢酸エステルが、均質OTFが得られるようなやり方でマトリックス中に包埋されていることを示す(視認可能な「API小片」はなかった)。
【0019】
好ましい実施形態において、ウリプリスタル酢酸エステルは、微粒子化されたウリプリスタル酢酸エステルである。
【0020】
微粒子化されたウリプリスタル酢酸エステルの粒子径は、例えば0.2μmから100.0μm、好ましくは0.5μmから40.0μmを範囲とすることができる。粒子径は、体積加重粒子径d90を指し、例えばレーザー回折分析、動的光散乱または篩分析によって測定することができる。体積加重粒子径d90は、分布の90%が、より小さい粒子径を有するとともに、10パーセントが、当業者によって知られている通りの、より大きい粒子径を有する、体積加重粒子径を指す。
【0021】
ウリプリスタル酢酸エステルの量は、口腔内フィルム製剤の総重量に基づいて、好ましくは10重量%から60重量%、より好ましくは20重量%から43重量%である。
【0022】
水溶性ポリマーがポリ(エチレンオキシド)またはポリ(ビニルアルコール)から選択される場合において、ウリプリスタル酢酸エステルの量は、口腔内フィルム製剤の総重量に基づいて、好ましくは10重量%から60重量%、より好ましくは20重量%から43重量%、さらに好ましくは25重量%から35重量%である。水溶性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される場合において、ウリプリスタル酢酸エステルの量は、口腔内フィルム製剤の総重量に基づいて、好ましくは20重量%から60重量%、より好ましくは20重量%から43重量%、または35重量%から43重量%である。
【0023】
ウリプリスタル酢酸エステルが分散されるポリマーマトリックスは、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)またはヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される水溶性ポリマーのマトリックスである。これらのポリマーは、フィルム形成ポリマーである。
【0024】
さらに、これらのポリマーは、一般に吸湿性である。
【0025】
本明細書において、水溶性ポリマーは、25℃の温度で、少なくとも10g/L、好ましくは少なくとも50g/Lの水中可溶性を有するポリマーを指す。
【0026】
水溶性ポリマーは、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)またはヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択されるのが好ましい。1つ、2つもしくはそれ以上の型のポリ(エチレンオキシド)、1つ、2つもしくはそれ以上の型のポリ(ビニルアルコール)、または1つ、2つもしくはそれ以上の型のヒドロキシプロピルメチルセルロースが使用される。
【0027】
水溶性ポリマーの量は、口腔内フィルム製剤の総重量に基づいて、好ましくは20重量%から90重量%、より好ましくは40重量%から70重量%である。
【0028】
水溶性ポリマーがポリ(エチレンオキシド)および/またはポリ(ビニルアルコール)から選択される場合において、水溶性ポリマーの量は、口腔内フィルム製剤の総重量に基づいて、好ましくは25重量%から90重量%、より好ましくは35重量%から70重量%である。水溶性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される場合において、水溶性ポリマーの量は、口腔内フィルム製剤の総重量に基づいて、好ましくは30重量%から70重量%、より好ましくは40重量%から60重量%である。
【0029】
水溶性ポリマーとして使用されるポリ(エチレンオキシド)(PEO)は、好ましくは、50,000ダルトンから200,000ダルトン、好ましくは75,000ダルトンから150,000ダルトンの範囲における分子量を有する。特に好ましいポリ(エチレンオキシド)は、約100,000ダルトンの分子量が得られる、それぞれDow Chemical CompanyからPolyox(登録商標)WSR N-10またはPolyox(登録商標)WSR N-10 NFとして市販されているポリ(エチレンオキシド)WSR N-10(PEO WSR N-10)である。
【0030】
水溶性ポリマーとして使用されるポリ(ビニルアルコール)(PVA)は、好ましくは、20,000ダルトンから40,000ダルトン、好ましくは25,000ダルトンから35,000ダルトンの範囲における分子量、および/または84mol-%から92mol-%、好ましくは86mol-%から90mol-%の加水分解度を有する。特に好ましいポリ(ビニルアルコール)は、約31,000ダルトンの分子量および約86.7~88.7mol%の加水分解度が得られる、Merck KGaAから例えばMowiol(登録商標)4-88として市販されているポリ(ビニルアルコール)4-88(PVA 4-88)である。
【0031】
水溶性ポリマーとして使用されるヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、好ましくは、1mPasから100mPas、好ましくは2mPasから75mPasの範囲における標識粘度を有する。標識粘度は、2012(USP=US薬局方)のUSP研究書<911>方法1に従って測定される通りの粘度を指す。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、好ましくは、USPに従った置換型2910である:置換程度:メトキシ28~30%、ヒドロキシプロポキシ7~12%。
【0032】
特に好ましいヒドロキシプロピルメチルセルロースは、それぞれ信越化学工業株式会社から例えばPharmacoat(登録商標)603またはPharmacoat(登録商標)603WおよびMetolose(登録商標)60SH-50として市販されているヒドロキシプロピルメチルセルロース603(HPMC 603)(3mPasの標識粘度および置換型2910)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース60SH50(HPMC 60SH50)(50mPasの標識粘度および置換型2910)である。
【0033】
好ましい実施形態において、2種のヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合物は、水溶性ポリマー、好ましくはHPMC 603およびHPMC 60SH50の混合物として、例えば、3/1から1/1、好ましくは2/1から1.5/1のHPMC 603対HPMC 60SH50の重量比で使用される。
【0034】
好ましい実施形態において、口腔薄層は、1種またはそれ以上の可塑剤をさらに含む。可塑剤は、その上、溶融温度およびガラス転移温度の低減に適当である。適当な可塑剤についての例は、トリアセチン、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、水、エタノール、ポリアルコール、例えば、グリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、または脂肪酸とのグリセリンモノエステルであり、グリセリンが好ましい。
【0035】
存在するならば、可塑剤、好ましくはグリセリンの総量は、通常、口腔内フィルム製剤の総重量に基づいて、0.5重量%から20重量%、好ましくは3重量%から15重量%の間を範囲とする。水溶性ポリマーがポリ(エチレンオキシド)および/またはポリ(ビニルアルコール)から選択される場合において、存在するならば可塑剤、好ましくはグリセリンの総量は、好ましくは、口腔内フィルム製剤の総重量に基づいて、0.5重量%から15重量%、より好ましくは3重量%から11重量%である。水溶性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される場合において、存在するならば可塑剤、好ましくはグリセリンの総量は、口腔内フィルム製剤の総重量に基づいて、好ましくは3重量%から15重量%、より好ましくは4重量%から13重量%である。
【0036】
該口腔薄層は、この技術分野において共通である1種またはそれ以上のさらなる賦形剤をさらに含むことができる。適当な賦形剤についての例は、矯味剤、甘味剤、香味剤、滑沢剤、顔料、着色剤、安定剤、充填剤、唾液刺激剤、乳化剤、界面活性剤、増強剤、pH調節剤、緩衝液、緩衝剤、放出調整剤、軟化剤、保湿剤、鋳型離型剤、接着剤、抗付着剤および抗酸化剤である。好ましくは、1種またはそれ以上の甘味剤が、口腔内フィルム製剤中に使用される。甘味剤など任意選択のさらなる賦形剤の総量は、口腔内フィルム製剤の総重量に基づいて、15重量%以下、好ましくは5重量%以下であり得る。
【0037】
抗酸化剤についての例は、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸、トコフェロールである。
【0038】
本発明の口腔内フィルム製剤の利益は、それの貯蔵安定性である。ウリプリスタル酢酸エステルの主な分解生成物は、以下の式を有するN-デメチルウリプリスタルアセテート(DMUA)である
【化2】
【0039】
好ましい実施形態において、口腔内フィルム製剤は、6カ月間40℃の温度および75%相対湿度で口腔内フィルム製剤を貯蔵した後に、分解生成物N-デメチルウリプリスタルアセテート(DMUA)の量が、貯蔵前の口腔内フィルム製剤におけるウリプリスタル酢酸エステルの初期量に基づき1重量%未満であることを特徴とする。
【0040】
本発明は、ポリマーマトリックスおよび活性薬剤としてウリプリスタル酢酸エステルを含む口腔内フィルム製剤であって、ウリプリスタル酢酸エステルは、ポリマーマトリックス中に分散され、6カ月間40℃の温度および75%相対湿度で口腔内フィルム製剤を貯蔵した後に、分解生成物N-デメチルウリプリスタルアセテート(DMUA)の量は、貯蔵前の口腔内フィルム製剤におけるウリプリスタル酢酸エステルの初期量に基づき1重量%未満である、口腔内フィルム製剤にも関する。
【0041】
本発明は、以下の工程:
a)水溶性ポリマー、水または水および1種もしくはそれ以上の有機溶媒の混合物を含むまたはそれからなる溶媒、ならびに固体ウリプリスタル酢酸エステル、好ましくは微粒子化されたウリプリスタル酢酸エステルを混合することで水溶性ポリマーが溶媒中に溶解され、ウリプリスタル酢酸エステルが溶媒中に懸濁される懸濁液を得る工程、
b)得られた懸濁液を、支持体、コーティングライナー上にまたは鋳型中にキャスティングまたはコーティングすることで、懸濁液を拡散する工程、ならびに
c)溶媒を蒸発させる工程
を含む、上に記載されている通りの本発明による口腔薄膜口腔内フィルム製剤を製造調製するための方法にも関する。
【0042】
該水溶性ポリマーは、通常、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)またはヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される。
【0043】
使用される溶媒は、水または水および1種もしくはそれ以上の有機溶媒の混合物を含むまたはそれからなり、水の使用が好ましい。適当な有機溶媒についての例は、アルコール、特にエタノールである。使用されるならば、水対有機溶媒、好ましくはエタノールの重量比は、例えば、95/5から5/95の範囲、好ましくは95/5から80/20の範囲であり得る。
【0044】
工程a)において、成分の水溶性ポリマー、溶媒および固体ウリプリスタル酢酸エステルは、互いに混合されることで、懸濁液を得る。成分を組み合わせるための順序は、自由裁量による。例えば、最初に、水溶性ポリマーが溶媒中に溶解され、次いで、固体ウリプリスタル酢酸エステルが添加され、または代替として、最初に、固体ウリプリスタル酢酸エステルが提供され、次いで、溶媒およびポリマーが添加される。
【0045】
1種またはそれ以上の可塑剤、好ましくはグリセリンは、好ましくは、懸濁液に組み込まれる。該添加は、工程b)の前の任意の時間に実行することができる。場合により、甘味剤など1種またはそれ以上のさらなる賦形剤は、任意の順序で添加することができる。
【0046】
泡OTF(発泡フィルム)を製造する場合において、懸濁液は、一般に、ガスで発泡される。発泡は、一般に、注ぎ工程b)の前に実施される。
【0047】
発泡するための適当なガスについての例は、空気、N2、アルゴンまたはCO2である。
【0048】
溶媒の蒸発後、固体API-ポリマーマトリックス組合せが実現され、ウリプリスタル酢酸エステル粒子状物は、ポリマーマトリックス中に分散されている。マトリックスにおけるウリプリスタル酢酸エステル粒子状物の堅固な付着が実現される。得られたフィルムは、所望の寸法の断片にカットおよび/または抜き出すことができる。
【0049】
溶媒蒸発のための乾燥条件は、例えば、40℃から100℃、より好ましくは50℃から80℃、最も好ましくは50℃から75℃の範囲であり得る。乾燥は、温度勾配を適用することによって実行されることも可能である。
【0050】
溶媒蒸発後、得られた口腔内フィルム製剤における残留溶媒含有量は、好ましくは、口腔内フィルム製剤の総重量に基づいて、0.2重量%から10重量%、好ましくは0.8重量%から6重量%の範囲である。含有される残留溶媒は、水または水および1種もしくはそれ以上の有機溶媒、例えば、水およびエタノールであり得る。
【0051】
本発明は、緊急避妊薬としての使用のための、即ち、性交の後、特に、保護されていない性交の後の妊娠の防止における使用のための、上に記載されている通りの本発明による口腔内フィルム製剤にも関する。口腔フィルムは、口腔に投与されることとなる。飲料水の添加は、必要でない。活性薬剤ウリプリスタル酢酸エステルは、大部分が固体形態で胃腸管中に取り込まれることで、承認されたウリプリスタル酢酸エステル錠剤(「EllaOne(登録商標)」)に対する生物学的同等性が達成される。
【0052】
本発明は、以下の実施例を参照して、より具体的に説明されることとなるが、それらはこの発明の例示のために示され、それらについて限定することは意図されない。
【実施例】
【0053】
全ての実施例において、レーザー回折によって測定される場合の以下の粒子径分布を有するウリプリスタル酢酸エステルを使用した:
d10=1.48μm±11.20%;d50=3.64μm±8.71%;d90=6.73μm±10.40%;d95=7.86μm±11.08%;d99=10.52μm±16.30%。
【0054】
OTF積層体を標準的な実験室的方法(攪拌機、ガラス容器、コーティングツール、乾燥オーブン)によって製造した。適当な時間の間プロセス溶媒中でAPI、マトリックスポリマーおよび賦形剤を混合すること、次いで、製造された塊を適当なライナー上にコーティングすること、続いて、乾燥オーブン中で乾燥させることによって、製剤を懸濁製剤として製造した。このプロセスは、積層片をもたらし、それらを適当なサイズ(約7cm2)のOTFに抜き出した。PVA 4-88およびPolyox WSR N10を予備溶液(PVA 4-88:水中35%、Polyox WSR N10:水中21%)として使用した。泡製造のため、工程b)において得られた懸濁液を、泡立て器またはタービン攪拌機によって空気または窒素ガスを用いて発泡した。
【実施例1】
【0055】
PEOベースのOTF
以下の製剤(乾量基準として算出されている)を有する口腔内フィルム製剤を、プロセス溶媒(固形分30.4%)として水を用いて懸濁製剤として製造した。代替として、エタノール/水 10/90がプロセス溶媒(固形分33%)として適当である:
【表1】
【0056】
PEO WSR N-10(Polyox(登録商標)WSR N10)は、ウリプリスタル酢酸エステルOTF製剤のための適当なマトリックスポリマーであることが見出された。30%のウリプリスタル酢酸エステル含有量は、触覚的におよび光学的に良好なOTFフィルムをもたらすことが見出された。
【実施例2】
【0057】
PVAベースのOTF泡
以下の製剤(乾燥組成物として算出されている)を有する口腔内フィルム製剤を、プロセス溶媒(固形分40%)として水を用いて懸濁製剤として製造し、発泡するために空気を使用した:
【表2】
【0058】
PVA 4-88は、ウリプリスタル酢酸エステルOTFを泡として製剤化するための適当なポリマーであると見出された。30%ウリプリスタル酢酸エステルを負荷するAPIは、適当であると見出された。30%ウリプリスタル酢酸エステル負荷を用いるOTF泡としてのPVA製剤は、良好な光学的および触覚的特性を有していた。
【0059】
40%ウリプリスタル酢酸エステル負荷のより高い負荷を用いる試験は、断裂抵抗性だがわずかに脆性のOTFに至った。上記の通りの30%APIを使用する製剤は、より良好なOTFをもたらした。
【0060】
さらに、23.7%API負荷および発泡ガスとして窒素ガスを用いる製剤は、適当であると見出され、断裂抵抗性フィルムが得られた:
【0061】
プロセス溶媒(固形分40%)として水とともにマトリックスポリマーとしてPVA 4-88および23.7%API負荷を用いる製剤、発泡するために窒素を使用した:
【表3】
【実施例3】
【0062】
PVAベースのOTF(発泡されていない)
以下の製剤(乾燥組成物として算出されている)を有する口腔内フィルム製剤を、プロセス溶媒(固形分40%)として水を用いて懸濁製剤として製造した:
【表4】
【0063】
PVA 4-88は、ウリプリスタル酢酸エステルOTFを製剤化するための適当なポリマーであると見出された。30%ウリプリスタル酢酸エステルを負荷するAPIは、適当であると見出された。30%ウリプリスタル酢酸エステル負荷を有するフィルムとしてのPVA製剤は、良好な光学的および触覚的な特性を有していた。
【0064】
40%ウリプリスタル酢酸エステルのより高い負荷を用いる試験は、断裂抵抗性だがわずかに脆性のOTFに至る。30%APIを使用する製剤は、より良好なOTFをもたらした。
【実施例4】
【0065】
HPMCベースのOTF
以下の製剤(乾燥組成物として算出されている)を有する口腔内フィルム製剤を、プロセス溶媒(固形分31.9%)として水を用いて懸濁製剤として製造した。代替として、エタノール/水 20/80はプロセス溶媒(固形分32%)として適当である:
【表5】
【0066】
HPMCは、ウリプリスタル酢酸エステルOTFを製剤化するための適当なポリマーであると見出された。40%のAPI負荷により、安定的および触覚的に良好なフィルムが得られることが見出された。触覚的特性および断裂抵抗性を改善するために、グリセリン含有量を10%に設定した。20%エタノールおよび80%水のプロセス溶媒混合物(固形分32%)は、製造するのに最も適当であると見出された。
【0067】
30%および40%ウリプリスタル酢酸エステルの負荷を用いる試験は、許容されるフィルムに至るが、26.63%APIを使用する製剤は、OTFの改善をもたらした:
【0068】
以下の製剤(乾燥組成物として算出されている)を有する口腔内フィルム製剤を、プロセス溶媒(固形分32%)として水を用いて懸濁製剤として製造した:
【表6】
【0069】
比較例-Kollicoat(登録商標)IRベースの製剤
水溶性ポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールコポリマーである、BASFからのKollicoat(登録商標)IRを、ウリプリスタル酢酸エステルOTFを製造するために試験した。製剤中50%、30%および20%ウリプリスタル酢酸エステルなど、異なるウリプリスタル酢酸エステル負荷を調査した。しかしながら、これらの製剤は、脆性であり、十分な断裂抵抗がなかった。結果として、Kollicoat(登録商標)IRは、ウリプリスタル酢酸エステルOTFを製剤化するための適当なポリマーであると見出されなかった。
【実施例5】
【0070】
浸透調査
実施例1、2、3および4に従って製造されたOTFの浸透量を、OECDガイドライン(2004年4月13日に採用された)に従って、ブタ粘膜(食道粘膜)を使用したインビトロ実験によって測定した。皮膚分節を使用して、全ての経粘膜的治療システムに対しインタクトなバリア機能を有する400pmの厚さの粘膜を製造した。0.524cm
2の面積を有するダイカットをOTFから抜き出し、粘膜に適用し、OTFを有する粘膜を人工唾液の上側に浸漬させた(底部側はレセプター媒体と接触しており、上側は0.985cm
2の粘膜面積に区画化されている)。37±1℃の温度でのレセプター媒体(リン酸緩衝溶液pH7.4)におけるウリプリスタル酢酸エステルの浸透量を測定した。結果は、
図1に示されている。
【0071】
インビトロ実験は、4つの試験製剤が、ウリプリスタル酢酸エステルの非常に遅い、ほとんど検出不可能な浸透を示すことを示した(測定の高い標準偏差は、浸透ウリプリスタル酢酸エステルの低い量によるものであり、検出限界の範囲であった)。最初の5分では、全ての4つの製剤について、検出可能な量のウリプリスタル酢酸エステルが見出されなかった。
【0072】
120分後でさえも、極微量(<0.15μg/cm2)だけが見出された。フィルムの崩解は早い(実施例6)ので、ウリプリスタル酢酸エステルは、関連量が浸透できる前に嚥下され、したがって、PEO、PVAおよびHPMCは、即時放出生成物にとって適当なマトリックスポリマーであると結論付けることができ、ウリプリスタル酢酸エステルは嚥下され、胃腸管を介して吸収される。
【実施例6】
【0073】
崩解調査
実施例1、2、3および4に従って製造されたOTFの崩解時間を、USP 701に基づき、錠剤崩解機器(Pharma-Test DIST-3 Triple Basket Tablet Disintegration Tester、1l ELGA Water(RWSx002)において、55mmの距離にわたり1分当たり30ストローク)を使用して測定した。7.04cm2のサイズを有するOTFのダイカットをかご(「シンカー」)に入れ、機器に取り付けられたガラスチューブの中に配置した。最終的に、かごの内側にOTFの残留物だけが残るまで時間を置いた。
【0074】
以下の表に示されている時間は、かごの内側にOTFの残留物だけが残った時点を指す:
【表7】
【0075】
これらの調査は、試験されたポリマーが早く溶解し、口の中での早い崩解でAPIを放出するのに適当であることを示す。
【実施例7】
【0076】
安定性試験
実施例1、2および4に従って製造されたOTFの安定性を、40℃の温度および75%相対湿度でOTFの試料を貯蔵することによって測定した。1カ月、2カ月、3カ月および6カ月の固定時間間隔で、OTFの試料を分解生成物についてHPLCによって分析した。検出された主な分解生成物は、N-デメチルウリプリスタルアセテート(DMUA)であった。表1、2および3は、貯蔵前のOTFにおけるウリプリスタル酢酸エステルの初期量に基づき重量%でDMUAの量および検出された分解生成物の総量(合計)を示す。試験製剤は、少量の分解生成物だけを伴い、安定であることが見出された。
【0077】
【0078】
【0079】
【図面の簡単な説明】
【0080】
【
図1】実施例1、2、3および4に従って製造されたOTFの浸透量を、ブタ粘膜(食道粘膜)を使用したインビトロ実験によって測定した結果を示すグラフである。
【国際調査報告】