(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-30
(54)【発明の名称】FLT3陽性悪性腫瘍を処置するためのFLT3標的化キメラ抗原受容体改変細胞
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20230523BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20230523BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20230523BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20230523BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230523BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20230523BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230523BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20230523BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20230523BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230523BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230523BHJP
C07K 14/705 20060101ALN20230523BHJP
C07K 16/40 20060101ALN20230523BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20230523BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/12
C12N15/867 Z
C12N5/10
C12N5/0783
A61P35/02
A61K31/7088
A61K35/17
A61K48/00
A61P35/00
C07K14/705
C07K16/40
C07K19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562727
(86)(22)【出願日】2021-04-16
(85)【翻訳文提出日】2022-12-13
(86)【国際出願番号】 US2021027821
(87)【国際公開番号】W WO2021212069
(87)【国際公開日】2021-10-21
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598004424
【氏名又は名称】シティ・オブ・ホープ
【氏名又は名称原語表記】City of Hope
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】カリジューリ, マイケル エー.
(72)【発明者】
【氏名】ユー, ジャンフア
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA94Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C084AA13
4C084MA01
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4C084ZB26
4C084ZB27
4C086AA01
4C086AA02
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4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA38
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C087AA01
4C087AA02
4C087CA12
4C087CA20
4C087MA01
4C087MA38
4C087NA13
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB27
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
FMS様チロシンキナーゼ3(FLT3)を特異的に認識し、それに結合するキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸分子が形質導入された自己または同種細胞の集団を含む組成物、そのようなCARを発現する細胞を製剤化、調製する方法および抗がん剤としての使用方法が提供される。一部の場合では、CARを、CARオープンリーディングフレームの後にT2Aリボソームスキップ配列および短縮型EGFR(本明細書ではEGFRtもしくはtEGFRと称される)または短縮型CD19(本明細書ではCD19tもしくはtCD19と称される)が続くベクターを使用して産生させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1のヌクレオチド(nt)55~nt777のポリヌクレオチドもしくはその等価物または配列番号12のnt55~nt777のポリヌクレオチドを含む、抗FMS様チロシンキナーゼ3(FLT3)抗原結合性断片をコードする核酸分子。
【請求項2】
配列番号1のnt1~nt777のポリヌクレオチドもしくは配列番号1のnt1~nt777と少なくとも85%同一であるその等価物を含む、または配列番号12のnt1~nt777のポリヌクレオチドを含む、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項3】
配列番号1のポリヌクレオチドもしくは配列番号1と少なくとも85%同一であるその等価物、または配列番号12のポリヌクレオチドを含む、抗FMS様チロシンキナーゼ3(FLT3)キメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸分子。
【請求項4】
RASQSISNNLH(配列番号15)に示される軽鎖相補性決定領域1(CDRL1)をコードするポリヌクレオチド、
YASQSIS(配列番号16)に示される軽鎖相補性決定領域2(CDRL2)をコードするポリヌクレオチド、
QQSNTWPYT(配列番号17)に示される軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)をコードするポリヌクレオチド、
SYWMH(配列番号18)に示される重鎖相補性決定領域1(CDRH1)をコードするポリヌクレオチド、
EIDPSDSYKDYNQKFKD(配列番号19)に示される重鎖相補性決定領域1(CDRH2)をコードするポリヌクレオチド、
AITTTPFDF(配列番号20)に示される重鎖相補性決定領域1(CDRH3)をコードするポリヌクレオチド
を含む、請求項1から3までのいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項5】
【化45】
【化46】
の抗体重鎖可変領域および
【化47】
の抗体軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む、請求項1から4までのいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項6】
シグナルペプチド、ペプチドスペーサー、膜貫通ドメイン、共刺激ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、請求項1または2に記載の核酸分子。
【請求項7】
CD28共刺激ドメインをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項3から6までのいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項8】
CD28膜貫通ドメインをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項3から7までのいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項9】
シグナルペプチド、ペプチドスペーサー、CD28膜貫通ドメイン、CD28共刺激ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項1から8までのいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項10】
前記等価物が、配列番号2のアミノ酸(aa)19~aa259のポリペプチドをコードする、請求項1から9までのいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項11】
前記核酸分子または前記等価物が、配列番号2のaa1~aa259のポリペプチドをコードする、請求項1から10までのいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項12】
前記核酸分子または前記等価物が、配列番号2のポリペプチドをコードする、請求項1から11までのいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項13】
短縮型CD19または短縮型EGFRをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、請求項1から12までのいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項14】
前記短縮型EGFRが、配列番号10のポリペプチドを含み、前記短縮型CD19が、配列番号13または11のポリペプチドを含む、請求項13に記載の核酸分子。
【請求項15】
配列番号28のポリヌクレオチドまたは短縮型CD19をコードするその等価物をさらに含む、請求項1から14までのいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項16】
前記CARをコードする前記ポリヌクレオチドと前記短縮型CD19または前記短縮型EGFRをコードする前記ポリヌクレオチドの間に位置するリボソームスキップ配列をコードするポリヌクレオチドをさらに含む、請求項13から15までのいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項17】
T2Aスキップ配列、および前記短縮型EGFRまたは前記短縮型CD19をコードする配列をさらに含む、請求項1から16までのいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項18】
T2Aスキップ配列、および短縮型EGFRをコードする配列をさらに含む、請求項1から17までのいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項19】
T2Aスキップ配列、および短縮型CD19をコードする配列をさらに含む、請求項1から17までのいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項20】
請求項1から19までのいずれか一項に記載の核酸分子またはそれと相補的な核酸分子を含むベクターであって、ウイルスベクターまたは発現ベクターであり、必要に応じてレンチウイルスベクターである、またはレトロウイルスベクターである、ベクター。
【請求項21】
配列番号1のヌクレオチド配列またはその等価物の発現が、プロモーター、必要に応じてEF-1アルファプロモーター、CMVプロモーターまたはMMLVプロモーターの制御下にある、請求項20に記載のベクター。
【請求項22】
請求項1から19までのいずれかに記載の核酸分子または請求項20もしくは21に記載のベクターを含むヒトT細胞またはNK細胞の集団。
【請求項23】
単離された細胞または前記ヒトT細胞もしくはNK細胞の集団が、セントラルメモリーT細胞、NK細胞、ナイーブメモリーT細胞、汎T細胞またはCD25+細胞およびCD14+細胞が実質的に枯渇したPBMCを含む、請求項22に記載のヒトT細胞またはNK細胞の集団。
【請求項24】
少なくとも90%が同じ少なくとも1種の細胞亜型の細胞で構成される、請求項22または23に記載の集団。
【請求項25】
請求項1から19までのいずれか一項に記載の核酸分子または請求項20もしくは21に記載のベクターを含む単離された細胞。
【請求項26】
免疫細胞、NK細胞、T細胞、NKT細胞、マクロファージ、ガンマ-デルタT細胞、幹細胞、前駆細胞または前駆体細胞の群から選択される、請求項25に記載の細胞。
【請求項27】
請求項25または26に記載の単離された細胞を含む細胞の集団。
【請求項28】
請求項22から24までもしくは27のいずれか一項に記載の集団または請求項25もしくは26のいずれかに記載の単離された細胞、および担体、ならびに必要に応じて安定剤、保存剤または凍結保存剤を含む組成物。
【請求項29】
急性骨髄性白血病に罹患しているヒト患者を処置する方法であって、請求項1から19までのいずれかに記載の核酸分子を含む自己または同種ヒトT細胞またはNK細胞の集団を投与するステップを含む、方法。
【請求項30】
処置を必要とする患者を処置する方法であって、請求項22から24までまたは27のいずれか一項に記載の細胞集団を前記患者に投与するステップを含む、方法。
【請求項31】
前記患者が、脳がん、腎がん、乳がん、腺癌、神経がん、肺がん、結腸直腸がん、神経膠芽腫(GBM)、黒色腫、カルチノイド、卵巣がん、子宮頸がん、膵がん、前立腺がん、子宮体がん、神経膠腫、神経がん、皮膚がん、頭頸部がん、胃がん、肝がん、精巣がん、甲状腺がん、リンパ腫、尿路上皮がんまたは骨髄異形成症候群の群から選択される疾患を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記患者が、FLT3を発現するがん細胞を有する、請求項29から31までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記患者が、Fms様チロシンキナーゼ3(FLT3)に活性化突然変異を有する腫瘍細胞を有する、請求項29から32までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記患者が、FLT3-ITD突然変異を有する腫瘍細胞を有する、請求項29から33までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記キメラ抗原受容体を発現する細胞が局所的にまたは全身的に投与される、請求項29から34までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記キメラ抗原受容体を発現する細胞が単回投薬または反復投薬によって投与される、請求項29から35までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
CAR T細胞またはNK細胞を調製する方法であって、自己または同種ヒトT細胞またはNK細胞の集団を用意するステップと、前記T細胞またはNK細胞に対して請求項1から19までのいずれか一項に記載の核酸分子を含むベクターによる形質導入を行うステップとを含む、方法。
【請求項38】
CARを発現する細胞を調製する方法であって、前記細胞に対して、請求項17もしくは18に記載のベクターまたは請求項1から19までのいずれか一項に記載の核酸分子を用いた形質導入を行うステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、その内容全体が参照によって本出願に組み込まれる2020年4月17日出願の米国仮出願第63/011,819号の優先権を主張するものである。
【0002】
技術分野
本開示は、FMS様チロシンキナーゼ3(FLT3)発現細胞に結合するように工学的に操作されたキメラ抗原受容体(CAR)、そのようなCARを発現するT細胞またはNK細胞、そのようなCAR T細胞またはNK細胞を製剤化する方法、および抗がん剤としての使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
FMS様チロシンキナーゼ3(FLT3)は、正常な造血幹細胞および前駆細胞に発現される膜貫通タンパク質である。FLT3はまた、急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia)(AML)において悪性芽球にも発現される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
FLT3特異的キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞により、in vivoで固形がんおよび白血病などの血液がんの成長を抑制し、白血病を担持するマウスの生存を延長することができる(Chen et al., Leukemia 31: 1830, 2017)。したがって、患者におけるがんを効率的に処置するFLT3特異的CAR治療が依然として必要とされている。
【0005】
本開示の概要
白血病芽球などのがん細胞の表面にFLT3発現を有する患者に関して、例えば、標準治療での予後が悪いことが示されたAMLを有する高齢者に対して、FLT3-CAR T細胞またはNK細胞を治療抵抗性疾患の処置または先行処置として検討することができる。
【0006】
FLT3特異的CAR(「FLT3 CAR」とも称される)をコードする核酸分子が本明細書に記載される。核酸分子は、以前に設計されたコード配列よりも高いCAR発現および大きな効果を可能にする、FLT3特異的CARの改善されたコード配列(例えば、配列番号1)を含む。
【0007】
一態様では、FLT3 CAR核酸分子は、
【化1】
を含む、またはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。
【0008】
配列番号1は、配列:
【化2】
【化3】
を有するポリペプチドをコードする。
【0009】
一態様では、CARは、シグナル配列(例えば、MGWSSIILFLVATATGVH;配列番号3);FLT3標的化単鎖可変断片(scFv)
【化4】
スペーサー(すなわち、ヒンジドメイン、LEPKSCDKTHTCPPCPDPKGT;配列番号5);CD28膜貫通ドメイン(FWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWV;配列番号6)、CD28共刺激ドメイン(RSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRS;配列番号7);およびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメイン
【化5】
を含む、それを含む、またはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。一部の実施形態では、scFvは、ペプチドリンカー(例えば、GGGGSGGGGSGGGGS;または配列番号4のaa119~aa133)によって連結した、重鎖可変領域:
【化6】
;または配列番号4のアミノ酸(aa)1~aa118)と軽鎖可変領域(
【化7】
;または配列番号4のaa134~aa241)とを含む、またはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。
【0010】
一部の場合では、CARを、CARオープンリーディングフレームの後にT2Aリボソームスキップ配列および短縮型EGFR(本明細書ではEGFRtもしくはtEGFRと称される)または短縮型CD19(本明細書ではCD19tもしくはtCD19と称される)が続くベクターを使用して産生させることができる。この配置では、EGFRtまたはCD19tを同時発現させることにより、遺伝子改変された細胞の正確な測定を可能にし、遺伝子改変された細胞の正の選択、ならびに治療用T細胞またはNK細胞の養子移入後のin vivoにおける効率的な細胞追跡を可能にする、不活性な非免疫原性表面マーカーがもたらされる。増殖を効率的に制御してサイトカインストームおよびオフターゲットの毒性を回避することは、T細胞免疫療法を成功させるための重要なハードルである。レンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターなどのベクターに組み入れられるEGFRtまたはCD19tは、処置に関連する毒性が生じた場合にCAR+T細胞またはNK細胞を除去する自殺遺伝子として作用し得る。
【0011】
一態様では、抗FMS様チロシンキナーゼ3(FLT3)キメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸分子が本明細書で提供される。核酸分子は、FLT3 scFv抗原結合性断片をコードする配列番号1のヌクレオチド(nt)55~nt777のポリヌクレオチド配列またはその等価物を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。一部の実施形態では、等価物は、配列番号1のヌクレオチド(nt)55~nt777(FLT3 scFv抗原結合性断片をコードする)と少なくとも約75%(これだけに限定されないが、少なくとも約90%または少なくとも約95%または少なくとも約99%を含む)同一であると同時に、最適化されたヌクレオチドの変化のうちの少なくとも1つを維持する。それに加えて、またはその代わりに、等価物は、FLT3 scFv抗原結合性断片をコードする配列番号12のヌクレオチド(nt)55~nt777のポリヌクレオチドまたはその等価物を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。さらなる実施形態では、等価物は、配列番号14の(nt)55~nt777を含むものでなく、それから本質的になるものでなく、それからなるものでもない。一部の実施形態では、核酸分子は、短縮型CD19または短縮型EGFRをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、またはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。
【0012】
一部の実施形態では、核酸分子は、シグナルペプチドおよびFLT3 scFv抗原結合性領域をコードする配列番号1のヌクレオチド(nt)1~nt777のポリヌクレオチド配列またはその等価物を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。一部の実施形態では、等価物は、配列番号1のヌクレオチド(nt)1~nt777と少なくとも約75%(これだけに限定されないが、少なくとも約90%または少なくとも約95%または少なくとも約99%を含む)同一であると同時に、最適化されたヌクレオチドの変化を維持する。それに加えて、またはその代わりに、等価物は、配列番号12のヌクレオチド(nt)1~nt777のポリヌクレオチドを含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。さらなる実施形態では、等価物は、配列番号14の(nt)1~nt777を含むものでなく、それから本質的になるものでなく、それからなるものでもない。
【0013】
一部の実施形態では、核酸分子は、配列番号1のポリヌクレオチド配列またはその等価物を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。一部の実施形態では、等価物は、配列番号1と少なくとも約75%(これだけに限定されないが、少なくとも約90%または少なくとも約95%または少なくとも約99%を含む)同一であると同時に、最適化されたヌクレオチドの変化を維持する。それに加えて、またはその代わりに、等価物は、配列番号12のポリヌクレオチドを含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。
【0014】
本明細書に開示されるFLT3 CARをコードする核酸分子またはそれと相補的な核酸分子を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなるベクターも提供される。一部の実施形態では、ベクターは、プラスミドベクター、ウイルスベクター、発現ベクターである。さらなる実施形態では、ベクターはレトロウイルスベクターである。なおさらなる実施形態では、ベクターはレンチウイルスベクターである。
【0015】
さらなる態様では、FLT3 CARをコードする本明細書に開示される核酸分子またはFLT3 CARをコードする本明細書に開示されるベクターを含むヒトT細胞またはNK細胞の集団が提供される。FLT3 CARをコードする本明細書に開示される核酸分子またはFLT3 CARをコードする本明細書に開示されるベクターを含む単離された細胞またはその集団がさらに提供される。一部の実施形態では、細胞は、免疫細胞、NK細胞、T細胞、幹細胞、免疫細胞、NK細胞またはT細胞の前駆細胞(progenitor cell)または前駆体細胞(precursor cell)の群から選択される。
【0016】
なおさらなる態様では、本明細書に開示されるFLT3 CARを含有するもしくは発現する細胞の集団、または本明細書に開示されるFLT3 CARを発現する単離された細胞、および担体、ならびに必要に応じて安定剤、保存剤または凍結保存剤を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる組成物が提供される。
【0017】
一態様では、急性骨髄性白血病などのがんに罹患しているヒト患者を処置する方法が提供される。方法は、本明細書に開示されるFLT3 CARをコードする核酸分子を含む自己もしくは同種ヒトT細胞もしくはNK細胞の集団、または本明細書に開示されるFLT3 CARをコードする核酸分子を含むベクターを投与するステップを含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。当業者は当技術分野で公知の臨床的および準臨床的パラメータ、例えば、他の公知の治療を用いた処置または治療の非存在下と比較した、腫瘍量の減少、転移の阻害、全生存の増強、毒性の低減、無増悪生存期間の延長、がんの緩徐化または停止、腫瘍マーカーまたは他の臨床症状の低減などを使用して、患者がいつ処置されたかを決定することができる。これらの方法を第2選択、第3選択、第4選択または第5選択治療として他の公知の抗腫瘍またはがん治療と組み合わせることもでき、第1選択治療として提供することもできる。
【0018】
別の態様では、それを必要とする患者を処置する方法が提供される。方法は、本明細書に開示されるFLT3 CAR細胞集団を患者に投与するステップを含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。
【0019】
さらに別の態様では、CAR T細胞またはNK細胞を調製する方法が提供される。方法は、自己または同種ヒトT細胞またはNK細胞の集団を用意するステップと、T細胞またはNK細胞に対して本明細書に開示されるベクターまたは本明細書に開示される核酸分子を用いた形質導入を行うステップとを含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。
【0020】
FLT3-CARを発現する細胞を調製する方法がさらに提供される。方法は、細胞に対して本明細書に開示されるベクターまたは本明細書に開示される核酸分子を用いた形質導入を行うステップを含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。
【0021】
本明細書に開示される方法において使用するための組成物およびキットも提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、pHIV-7をどのように構築したかの概略図を提示する。
【0023】
【0024】
【
図3】
図3は、FLT3特異的CARを発現するレトロウイルスベクターゲノムを作成するためのプラスミドの図を提示する。
【0025】
【
図4】
図4A~4Dは、4種のT細胞群、すなわち、対照としての機能を果たす、GFPを発現するT細胞(
図4A)、同じく対照としての機能を果たす、tCD19を発現するT細胞(
図4B)、最適化されていない核酸分子によってコードされるtCD19およびFLT3特異的CARを発現するT細胞(
図4C)、ならびに最適化された核酸分子によってコードされるtCD19およびFLT3特異的CARを発現するT細胞(
図4D)におけるCAR発現を評価したフローサイトメトリーの結果を提示する。
【0026】
【
図5】
図5A~5Bは、2種の異なる標的がん細胞、すなわち、MOLM13およびU937を使用し、2つの異なるエフェクターと標的細胞の比(E:T)で試験した腫瘍溶解パーセンテージをプロットしたものである。
図5Aは、E:Tを1:5として試験した結果を示し、一方、
図5Bは、E:Tを1:25として試験した結果を示す。各標的細胞の型および各E:Tについて、T細胞の4つの群、すなわち、GFPを発現するT細胞(GFP)、tCD19を発現するT細胞(tCD19)、最適化されていない核酸分子によってコードされるtCD19およびFLT3特異的CARを発現するT細胞(最適化前)、ならびに最適化された核酸分子によってコードされるtCD19およびFLT3特異的CARを発現するT細胞(最適化後)を試験し、腫瘍溶解パーセンテージを、同じ順序に従った4つのセット内の棒としてプロットした。
【0027】
【
図6】
図6A~6Cは、それぞれドナー1~ドナー3から単離されたがん細胞とT細胞の共培養物の上清中のインターロイキン2(IL-2)の濃度を提示する。T細胞を、GFP(GFP対照)またはtCD19(tCD19対照)または最適化されていない核酸分子によってコードされるtCD19およびFLT3特異的CAR(最適化前FLT3/CD19)または最適化された核酸分子によってコードされるtCD19およびFLT3特異的CAR(最適化後FLT3/CD19)を発現するように工学的に操作した。次いで、工学的に操作されたT細胞の各群を、別々に2種のがん細胞株と一緒にインキュベートした:MOLM13細胞は、FLT3を発現する(すなわち、FLT3+)腫瘍標的であり、一方、U937細胞はFLT3を発現せず、陰性対照としての機能を果たした。したがって、
図6A~6Cには各ドナーおよび各T細胞群についての2本の棒がプロットされている:左側は、MOLM13との共培養中のIL-2濃度を示し、一方、右側は、U937との共培養中のIL-2濃度を示す。
【0028】
【
図7】
図7A~7Cは、それぞれドナー1~ドナー3から単離されたがん細胞とT細胞の共培養物の上清中のインターフェロンガンマ(すなわち、IFNγまたはIFN-ガンマ)の濃度を提示する。T細胞を、GFP(GFP対照)またはtCD19(tCD19対照)または最適化されていない核酸分子によってコードされるtCD19およびFLT3特異的CAR(最適化前FLT3/CD19)または最適化された核酸分子によってコードされるtCD19およびFLT3特異的CAR(最適化後FLT3/CD19)を発現するように工学的に操作した。次いで、工学的に操作されたT細胞の各群を、別々に2種のがん細胞株と一緒にインキュベートした:MOLM13細胞は、FLT3+腫瘍標的であり、一方、U937細胞は、FLT3を発現せず、陰性対照としての機能を果たした。したがって、
図7A~7Cには各ドナーおよび各T細胞群についての2本の棒がプロットされている:左側は、MOLM13との共培養中のIFNγ濃度を示し、一方、右側は、U937との共培養中のIFNγ濃度を示す。
【0029】
【
図8】
図8は、FLT3特異的CAR細胞により、AML増悪が用量依存的に緩徐化/停止することを示す。FLT3(+)AMLのMOLM-13モデルにおいてFLT3特異的CARを発現するNK細胞とFLT3特異的CARを発現するT細胞を比較した。全ての作業を、臍帯血(cord blood)由来の生存可能に凍結させた初代ヒトCAR NK細胞を用いて実施した。
【発明を実施するための形態】
【0030】
詳細な説明
定義
理解される通り、セクションまたはサブセクション見出しは、本明細書で使用される場合、単に組織化を目的としたものであり、記載されている主題を限定および/または分離するものとは解釈されない。
【0031】
別段の定義のない限り、本明細書において使用される全ての科学技術用語は、本開示が属する技術分野の当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載の方法および材料と類似した、またはそれと等しい任意の方法および材料を本開示の実施または試験に使用することができるが、ここでは好ましい方法、デバイス、および材料を記載する。本明細書において引用された技術刊行物および特許公報は全て、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書における全てが、本開示が先行開示に基づいてそのような開示に先立つ権限がないことを容認するものと解釈されるべきではない。
【0032】
本開示の実施には、別段の指定のない限り、当技術分野の技術の範囲内に入る組織培養、免疫学、分子生物学、微生物学、細胞生物学および組換えDNAの従来の技法が使用される。例えば、Sambrook and Russell eds. (2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd edition;the series Ausubel et al. eds. (2007) Current Protocols in Molecular Biology;the series Methods in Enzymology (Academic Press, Inc., N.Y.);MacPherson et al. (1991) PCR 1: A Practical Approach (IRL Press at Oxford University Press);MacPherson et al. (1995) PCR 2: A Practical Approach;Harlow and Lane eds. (1999) Antibodies, A Laboratory Manual;Freshney (2005) Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique, 5th edition;Gait ed. (1984) Oligonucleotide Synthesis;米国特許第4,683,195号;Hames and Higgins eds. (1984) Nucleic Acid Hybridization;Anderson (1999) Nucleic Acid Hybridization;Hames and Higgins eds. (1984) Transcription and Translation;Immobilized Cells and Enzymes (IRL Press (1986));Perbal (1984) A Practical Guide to Molecular Cloning;Miller and Calos eds. (1987) Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (Cold Spring Harbor Laboratory);Makrides ed. (2003) Gene Transfer and Expression in Mammalian Cells;Mayer and Walker eds. (1987) Immunochemical Methods in Cell and Molecular Biology (Academic Press, London);Herzenberg et al. eds (1996) Weir's Handbook of Experimental Immunology;Manipulating the Mouse Embryo: A Laboratory Manual, 3rd edition (Cold Spring Harbor Laboratory Press (2002));Sohail (ed.) (2004) Gene Silencing by RNA Interference: Technology and Application (CRC Press)を参照されたい。
【0033】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」という単数形は、文脈によりそうでないことが明確に規定されない限り、複数の参照対象を含む。例えば、「1つの(a)細胞」という用語は、複数の細胞を、それらの混合物を含め、包含する。
【0034】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語は、化合物、組成物および方法が、列挙されている要素を含むが、他のものを排除しないことを意味するものとする。「から本質的になる(consisting essentially of)」は、化合物、組成物および方法を定義するために使用される場合、組合せに対して本質的に重要なあらゆる要素以外のものが排除されることを意味するものとする。したがって、本明細書で定義されている要素から本質的になる組成物では、例えば、単離および精製方法ならびに薬学的に許容される担体、保存剤などに由来する微量の夾雑物は排除されない。「からなる(consisting of)」は、他の成分の微量要素を超えるものが排除されることを意味するものとする。これらの移行用語のそれぞれによって定義される実施形態はこの技術の範囲内に入る。
【0035】
全ての数字表示、例えば、pH、温度、時間、濃度、および分子量は、範囲を含め、概算であり、(+)または(-)に1%、5%または10%の増加で変動する。必ずしも明記されているとは限らないが、全ての数字表示に「約」という用語が先行することが理解されるべきである。本明細書に記載の試薬はただ単に例示的なものであり、その等価物が当技術分野で公知であることも、必ずしも明記されているとは限らないが、理解されるべきである。
【0036】
本明細書で使用される場合、高い、低い、増大、減少、低減またはこれらのあらゆる文法上の変形形態などの、本明細書で使用される比較用語は、参照からのある特定の変動を指し得る。一部の実施形態では、そのような変動は、参照よりも約10%または約20%または約30%または約40%または約50%または約60%または約70%または約80%または約90%または約1倍または約2倍または約3倍または約4倍または約5倍または約6倍または約7倍または約8倍または約9倍または約10倍または約20倍または約30倍または約40倍または約50倍または約60倍または約70倍または約80倍または約90倍または約100倍またはそれよりも大きく高いことを指し得る。一部の実施形態では、そのような変動は、参照に対して約1%または約2%または約3%または約4%または約5%または約6%または約7%または約8%または約0%または約10%または約20%または約30%または約40%または約50%または約60%または約70%または約75%または約80%または約85%または約90%または約95%または約96%または約97%または約98%または約99%を指し得る。
【0037】
「必要に応じた」または「必要に応じて」は、その後に記載されている状況が生じる場合もあり生じない場合もあることを意味し、したがって、記載には、その状況が生じる場合もその状況が生じない場合も含まれる。
【0038】
本明細書で使用される場合、「および/または」は、関連する列挙されている項目のうちの1つまたは複数のありとあらゆる可能性のある組合せ、ならびに、選択肢(「または(or)」)と解釈される場合には組合せの欠如を指し、包含する。
【0039】
「実質的に」または「本質的に」は、ほぼ完全にまたは完全に、例えば、いくらかの所与の数量の95%またはそれよりも大きいことを意味する。一部の実施形態では、「実質的に」または「本質的に」は、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%を意味する。
【0040】
「許容される」、「効果的な」または「十分な」という用語は、本明細書に開示される任意の構成成分、範囲、投薬形態などの選択について記載するために使用される場合、前記構成成分、範囲、投薬形態などが、開示される目的に適するものであることが意図されている。
【0041】
当業者には理解される通り、ありとあらゆる目的に関して、本明細書に開示される範囲は全て、そのありとあらゆる可能性のある部分範囲および部分範囲の組合せも包含する。さらに、当業者には理解される通り、範囲は、個々のメンバーそれぞれを含む。
【0042】
本明細書で使用される場合、「動物」という用語は、例えば、哺乳動物および鳥類を含むカテゴリーである、生きている多細胞の脊椎動物生物体を指す。「哺乳動物」という用語は、ヒトおよび非ヒト哺乳動物のどちらも包含する。
【0043】
「対象」、「宿主」、「個体」および「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用され、動物、一般には哺乳動物を指す。任意の適切な哺乳動物を本明細書に記載の方法によって処置することができる。哺乳動物の非限定的な例としては、ヒト、非ヒト霊長類(例えば、類人猿、テナガザル、チンパンジー、オランウータン、サル、マカクなど)、飼育動物(例えば、イヌおよびネコ)、家畜(例えば、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ)および実験動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、モルモット)が挙げられる。一部の実施形態では、哺乳動物はヒトである。哺乳動物は、任意の年齢または任意の発生段階にあってよい(例えば、成体、若年、子、幼少または子宮内哺乳動物)。哺乳動物は雄であっても雌であってもよい。一部の実施形態では、対象はヒトである。一部の実施形態では、対象は、疾患を有する、または疾患を有すると診断されている、または疾患を有する疑いがある。
【0044】
一部の実施形態では、構成成分の名称に関する「第1の」、「第2の」、「第3の」、「第4の」または同様の用語は、それらの名称に関するある特定の同一性を共有する1つよりも多くの構成成分を区別および識別するために使用される。例えば、「第1の投与」および「第2の投与」は、本明細書にわたって、2回の投与を区別するために使用される。
【0045】
「ポリヌクレオチド」、「核酸」および「核酸分子」という用語は、互換的に使用され、任意の長さの、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドのいずれかのポリマー形態のヌクレオチド、またはその類似体を指す。ポリヌクレオチドは、任意の3次元構造を有し得、公知または未知の任意の機能を発揮し得る。以下はポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子または遺伝子断片(例えば、プローブ、プライマー、ESTまたはSAGEタグ)、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA、リボソームRNA、RNAi、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分枝ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブおよびプライマー。ポリヌクレオチドは、メチル化されたヌクレオチドなどの修飾されたヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体を含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリヌクレオチドのアセンブリの前またはその後に付与され得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成成分によって中断されていてよい。ポリヌクレオチドは、重合後に、例えば、標識用構成成分とのコンジュゲーションによってなどで、さらに修飾され得る。この用語は、二本鎖分子および一本鎖分子のどちらも指す。別段の指定または必要がない限り、ポリヌクレオチドであるこの技術の任意の態様は、二本鎖形態および二本鎖形態を構成することが公知のまたは予測される2つの相補的な一本鎖形態のそれぞれのどちらも包含する。したがって、この用語には、これだけに限定されないが、一本鎖、二本鎖もしくは多重鎖DNAもしくはRNA、ゲノムDNA、cDNA、プリンおよびピリミジン塩基を含むDNA-RNAハイブリッドもしくはポリマーまたは他の天然の、化学的にもしくは生化学的に修飾された、天然ではないもしくは誘導体化されたヌクレオチド塩基が含まれる。
【0046】
一部の実施形態では、参照核酸、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの等価物は、参照によってコードされるものと同じ配列をコードする。一部の実施形態では、参照核酸、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの等価物は、参照、相補的参照、逆参照、および/または逆相補(すなわち、相補的)参照と、必要に応じて高ストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズする。それに加えて、またはその代わりに、等価の核酸、ポリヌクレオチドもしくはオリゴヌクレオチドは、参照核酸、ポリヌクレオチドもしくはオリゴヌクレオチドに対して少なくとも70%もしくは少なくとも75%もしくは少なくとも80%の配列同一性あるいは少なくとも85%の配列同一性あるいは少なくとも90%の配列同一性あるいは少なくとも92%の配列同一性あるいは少なくとも95%の配列同一性あるいは少なくとも97%の配列同一性あるいは少なくとも98%の配列同一性を有するものである、あるいは、等価の核酸は、参照ポリヌクレオチドもしくはその相補物と高ストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズする。別の態様では、等価物は、参照核酸、ポリヌクレオチドもしくはオリゴヌクレオチドに対して少なくとも70%もしくは少なくとも75%もしくは少なくとも80%の配列同一性あるいは少なくとも85%の配列同一性あるいは少なくとも90%の配列同一性あるいは少なくとも92%の配列同一性あるいは少なくとも95%の配列同一性あるいは少なくとも97%の配列同一性あるいは少なくとも98%の配列同一性を有する、あるいは、等価の核酸は、参照ポリヌクレオチドもしくはその相補物と高ストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズする。
【0047】
「ハイブリダイゼーション」は、1つまたは複数のポリヌクレオチドが反応して、ヌクレオチド残基の塩基間の水素結合によって安定化された複合体を形成する反応を指す。水素結合は、ワトソン・クリック塩基対合、フーグスティーン結合によって、または任意の他の配列特異的様式で生じ得る。複合体は、2重鎖構造を形成する2本の鎖、多重鎖複合体を形成する3本またはそれよりも多くの鎖、単一の自己ハイブリダイズ鎖またはこれらの任意の組合せを含み得る。ハイブリダイゼーション反応は、より広範囲にわたるプロセスにおけるステップ、例えば、PCR反応またはリボザイムによるポリヌクレオチドの酵素的切断の開始などを構成し得る。
【0048】
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例としては、インキュベーション温度、約25℃~約37℃;ハイブリダイゼーション緩衝剤濃度、約6×SSC~約10×SSC;ホルムアミド濃度、約0%~約25%;および洗浄溶液、約4×SSC~約8×SSCが挙げられる。中程度のハイブリダイゼーション条件の例としては、インキュベーション温度、約40℃~約50℃;緩衝剤濃度、約9×SSC~約2×SSC;ホルムアミド濃度、約30%~約50%;および洗浄溶液、約5×SSC~約2×SSCが挙げられる。高ストリンジェンシー条件の例としては、インキュベーション温度、約55℃~約68℃;緩衝剤濃度、約1×SSC~約0.1×SSC;ホルムアミド濃度、約55%~約75%;および洗浄溶液、約1×SSC、0.1×SSCまたは脱イオン水が挙げられる。一般に、ハイブリダイゼーションインキュベーション時間は、5分から24時間までであり、1回、2回またはそれよりも多くの洗浄ステップを伴い、洗浄インキュベーション時間は約1分、2分、または15分である。SSCは、0.15MのNaClおよび15mMのクエン酸緩衝剤である。他の緩衝系を使用するSSCの等価物を使用できることが理解される。
【0049】
一部の実施形態では、コーディング核酸分子を、例えば、ある特定のGC含量を有するように最適化することができる。GC含量(またはグアニン-シトシン含量)は、核酸分子における、グアニン(G)またはシトシン(C)のいずれかである窒素塩基のパーセンテージである。この尺度は、DNAではアデニンおよびチミンならびにRNAではアデニンおよびウラシルも含めた、含まれる4種の総塩基のうちのG塩基およびC塩基(すなわち、G残基およびC残基)の割合を示すものである。定量的に、各GC塩基対は3つの水素結合によって一緒に保持されているが、一方、ATおよびAU塩基対は、2つの水素結合によって一緒に保持されている。したがって、GC含量が低い核酸分子は、GC含量が高い核酸分子と比較して熱安定性(thermos-stability)が低い。二本鎖核酸の熱安定性(thermal stability)に寄与する最も重要な因子が、実際に、隣接する塩基の塩基積み重ねに起因するものであることも実証されている。GC対には環外基の相対的な位置に起因してATまたはAU対よりも好都合な積み重ねエネルギーが存在する。
【0050】
「コドン」という用語は、本明細書で使用される場合、タンパク質合成の間に特定のアミノ酸残基または終止シグナルに対応する3つの連続したヌクレオチドの配列を指す。一部の実施形態では、コドンは、下記の表に提示される標準の遺伝暗号である。
【表1】
【0051】
核酸分子のコドン頻度という用語は、ポリペプチドの発現の際に核酸分子によって使用されるコドンの再出現率を指す。一部の実施形態では、本明細書で使用されるコドン頻度は、完全な核酸分子の総コドン数に対するそのコドンの数のパーセンテージとして表される。他の実施形態では、本明細書で使用されるコドン頻度は、コドン1000個当たりのそのコドンの平均数として表される。例えば、300ヌクレオチド残基を有する核酸分子では100個のコドンが使用され、そのうちの10個がGCCからなるコドンであり、アラニン(Ala)アミノ酸残基をコードする。したがって、GCCコドン頻度は、10%またはコドン1000個当たり100個と表すことができる。核酸のコドン頻度の算出に関しては、例えば、www.bioinformatics.org/sms2/codon_usageなど、いくつかのオンラインツールが利用可能である。
【0052】
「コードする」という用語は、核酸配列に適用される場合、そのネイティブな状態でまたは当業者に周知の方法によって操作された場合に、転写および/または翻訳されて、ポリペプチドおよび/またはその断片のmRNAを生じ得る場合にポリペプチドを「コードする」といえるポリヌクレオチドを指す。アンチセンス鎖は、そのような核酸の相補物であり、それからコード配列を推定することができる。
【0053】
「遺伝子」は、転写および翻訳された後に特定のポリペプチドまたはタンパク質をコードすることが可能な少なくとも1つのオープンリーディングフレーム(ORF)を含有するポリヌクレオチドを指す。「発現する」という用語は、遺伝子産物の産生を指す。
【0054】
本明細書で使用される場合、「発現」という用語は、ポリヌクレオチドがmRNAに転写されるプロセスまたは転写されたmRNAが続いてペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質に翻訳されるプロセスまたは両方のプロセスを指す。ポリヌクレオチドがゲノムDNAに由来する場合、発現には、真核細胞におけるmRNAのスプライシングも含まれ得る。遺伝子の発現レベルは、細胞または組織試料中のmRNAまたはタンパク質の量を測定することによって決定することができる。
【0055】
「形質導入する」または「形質導入」という用語は、CARを発現する細胞の作製に適用される場合、それによって外来ヌクレオチド配列が細胞に導入されるプロセスを指す。一部の実施形態では、この形質導入はベクターを介して行われる。
【0056】
本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、これだけに限定されないが、プラスミド、ウイルス、コスミド、ファージ、BAC、YACなどを含めた、異なる宿主間での移行のために設計された核酸構築物を指す。一部の実施形態では、プラスミドベクターを市販のベクターから調製することができる。他の実施形態では、ウイルスベクターを、バキュロウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、AAVなどから、当技術分野で公知の技法に従って作製することができる。一実施形態では、ウイルスベクターはレンチウイルスベクターである。一実施形態では、ウイルスベクターはレトロウイルスベクターである。
【0057】
「プラスミド」は、染色体DNAとは独立して複製することが可能な、染色体DNAとは分離した染色体外DNA分子である。多くの場合、プラスミドは環状かつ二本鎖である。プラスミドにより、微生物の集団内での遺伝子水平伝播の機構がもたらされ、また、一般には、所与の環境状態において選択上の利点がもたらされる。プラスミドは、競合的環境ニッチにおいて天然に存在する抗生物質に対する耐性をもたらす遺伝子を有し得る、あるいは、産生されるタンパク質が同様の状況下で毒素としての機能を果たし得る。そのような使用のための多くのプラスミドが市販されている。複製させる遺伝子を、細胞に特定の抗生物質に対する耐性をもたせる遺伝子およびその位置へのDNA断片の容易な挿入を可能にするいくつかの一般に使用される制限部位を含有する短い領域である多重クローニング部位(MCSまたはポリリンカー)を含有するプラスミドのコピーに挿入する。一部の実施形態では、1つまたは複数のプラスミドをウイルスベクターまたはウイルスゲノムの産生に使用する。一部の実施形態では、プラスミドをポリヌクレオチドの複製または増幅のために使用する。プラスミドの別の主要な使用は、大量のタンパク質の作出である。この場合、研究者は、目的の遺伝子を有するプラスミドを含有する細菌を成長させる。細菌が抗生物質耐性を付与するタンパク質を産生するのと同時に、挿入された遺伝子から大量のタンパク質を産生するように誘導することもできる。これは、遺伝子またはそれがコードするタンパク質を大量産生させるための安価かつ容易なやり方である。
【0058】
「ウイルスベクター」は、in vivo、ex vivoまたはin vitroのいずれかにおいて宿主細胞に送達されるポリヌクレオチドを含む組換えによって産生されるウイルスまたはウイルス粒子と定義される。ウイルスベクターの例としては、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、アルファウイルスベクターなどが挙げられる。セムリキ森林ウイルスに基づくベクターおよびシンドビスウイルスに基づくベクターなどのアルファウイルスベクターも遺伝子治療および免疫療法における使用のために開発されている。Schlesinger and Dubensky (1999) Curr. Opin. Biotechnol. 5: 434-439およびYing, et al. (1999) Nat. Med. 5 (7): 823-827を参照されたい。
【0059】
遺伝子移入がレンチウイルスベクターによって媒介される実施形態では、ベクター構築物は、レンチウイルスゲノムまたはその一部、および治療用遺伝子を含むポリヌクレオチドを指す。本明細書で使用される場合、「レンチウイルス媒介性遺伝子移入」または「レンチウイルス形質導入」は同じ意味を有し、遺伝子または核酸配列が、細胞に進入し、そのゲノムが宿主細胞のゲノム内に組み込まれるウイルスによって宿主細胞に安定に移入されるプロセスを指す。ウイルスは、その正常な感染機構によって宿主細胞に進入し得る、または、異なる宿主細胞の表面受容体またはリガンドに結合して細胞に進入するように改変することができる。レトロウイルスは、それらの遺伝情報をRNAの形態で有するが、ウイルスが細胞に感染すると、RNAがDNA形態に逆転写され、それが感染細胞のゲノムDNAに組み込まれる。組み込まれたDNA形態はプロウイルスと称される。本明細書で使用される場合、レンチウイルスベクターは、ウイルスまたはウイルス様進入機構によって外因性核酸を細胞に導入することが可能なウイルス粒子を指す。「レンチウイルスベクター」は、他のレトロウイルスベクターと比較して非分裂細胞への形質導入に関してある特定の利点を有する当技術分野で周知のレトロウイルスベクターの一つの型である。Trono D. (2002) Lentiviral vectors, New York: Spring-Verlag Berlin Heidelbergを参照されたい。
【0060】
本開示のレンチウイルスベクターは、オンコレトロウイルス(MLVを含有するレトロウイルスの亜群)、およびレンチウイルス(HIVを含有するレトロウイルスの亜群)に基づくまたはそれに由来する。例としては、ASLV、SNVおよびRSVが挙げられ、これらは全て、レンチウイルスベクター粒子産生系のためにパッケージング構成成分およびベクター構成成分に分割されている。本開示によるレンチウイルスベクター粒子は、特定のレトロウイルスの遺伝学的にまたは他の点で(例えば、パッケージング細胞系の特異的選択により)変更されたバージョンに基づいてもよい。
【0061】
本開示によるベクター粒子が特定のウイルスに「基づく」または「由来する」とは、そのベクターが特定のウイルスに由来することを意味する。ベクター粒子のゲノムは、そのウイルス由来の構成成分を骨格として含む。一部の実施形態では、ウイルスはレトロウイルスである。ベクター粒子は、逆転写および組込み系を含めた、RNAゲノムに適合する必須のベクター構成成分を含有する。通常、これらには特定のレトロウイルスに由来するgagおよびpolタンパク質が含まれる。したがって、ベクター粒子の大多数の構造的な構成要素は通常、そのレトロウイルスに由来するが、所望の有用な特性がもたらされるように遺伝子変更または他のやり方での変更がなされていてもよい。しかし、ある特定の構造的な構成要素、特にenvタンパク質は、異なるウイルスを起源とし得る。ベクター粒子産生系に異なるenv遺伝子を使用して、特異性が異なるベクター粒子を得ることにより、ベクターの宿主域および感染または形質導入される細胞型を変更することができる。
【0062】
「アデノ随伴ウイルス」または「AAV」という用語は、本明細書で使用される場合、この名称を伴う、Parvoviridae科dependoparvovirus属に属するウイルスのクラスのメンバーを指す。このウイルスの多数の血清型が遺伝子送達に適することが公知である;公知の血清型は全て、種々の組織型由来の細胞に感染し得る。少なくとも11種の連番が付されたAAV血清型が当技術分野で公知である。本明細書に開示される方法に有用である非限定的な例示的な血清型としては、11種の血清型のいずれか、例えば、AAV2、AAV8、AAV9またはバリアントもしくは合成血清型、例えば、AAV-DJおよびAAV PHP.Bが挙げられる。AAV粒子は、3種の主要なウイルスタンパク質:VP1、VP2およびVP3を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。一実施形態では、AAVは、血清型AAV1、AAV2、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV PHP.BまたはAAV rh74を指す。これらのベクターは市販されているか、または特許もしくは技術文献に記載されている。
【0063】
「調節配列」、「調節エレメント」「発現制御エレメント」または「プロモーター」という用語は、本明細書で使用される場合、転写および/または複製される標的ポリヌクレオチドに作動可能に連結しており、標的ポリヌクレオチドの発現および/または複製を容易にするポリヌクレオチドが意図されている。
【0064】
調節ポリヌクレオチドに関して本明細書で使用される場合、「作動可能に連結」という用語は、調節ポリヌクレオチドとそれが連結しているポリヌクレオチド配列との間の、特定のタンパク質が調節ポリヌクレオチドに結合すると連結しているポリヌクレオチドが転写されるような関連を指す。
【0065】
プロモーターは発現制御エレメントまたは調節配列の例である。「プロモーター」という用語は、本明細書で使用される場合、コード配列の発現を調節する任意の配列を指す。プロモーターは、調節された遺伝子転写のための制御点をもたらす、遺伝子または他のポリヌクレオチドに対して5’側または上流に位置し得る。プロモーターの例はポリメラーゼIIおよびIIIである。プロモーターは、例えば、構成的、誘導性、抑止可能または組織特異的であってよい。「プロモーター」は、そこで転写の開始および速度が制御されるポリヌクレオチド配列の領域である、制御配列である。プロモーターは、そこで調節タンパク質および分子が結合し得る、RNAポリメラーゼおよび他の転写因子などの遺伝子エレメントを含有し得る。プロモーターの非限定的な例としては、EF1アルファプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、およびMMLVプロモーターが挙げられる。
【0066】
EF1アルファ(本明細書ではEF-1アルファとも称される)プロモーター配列は当技術分野で公知である(例えば、それぞれ2019年3月13日に最終アクセスされたaddgene.org/11154/sequences/; ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/J04617、およびZheng and Baum (2014) Int'l. J. Med. Sci. 11 (5): 404-408を参照されたい)。一部の実施形態では、EF1アルファプロモーターは、
【化8】
および必要に応じて、その等価物を含む、またはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。
【0067】
サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター配列も当技術分野で公知である(例えば、2019年3月13日に最終アクセスされたsnapgene.com/resources/plasmid-files/?set=basic_cloning_vectors&plasmid=CMV_promoter、およびZheng and Baum (2014)、上記を参照されたい)。一部の実施形態では、CMVプロモーターは、
【化9】
を含む、またはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。
【0068】
モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)プロモーター配列は当技術分野で公知である(例えば、Lorens et al. Virology. 2000 Jun 20;272 (1): 7-15を参照されたい)。一部の実施形態では、EF1アルファプロモーターは、配列番号24を含む、またはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。
【0069】
本明細書で使用される場合、「エンハンサー」という用語は、本明細書で使用される場合、発現される核酸配列に対するその位置および向きとは無関係に、核酸配列の転写を強化、改善または改良する配列エレメントを示す。エンハンサーは、単一のプロモーターからの、または同時に1つよりも多くのプロモーターから転写を増強し得る。この転写を改善する機能性が保持されるまたは実質的に保持される(例えば、野生型活性、すなわち、全長配列の活性の少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%)限りは、野生型エンハンサー配列の任意の短縮された、突然変異したまたは他のやり方で改変されたバリアントも上記の定義の範囲内に入る。
【0070】
「タンパク質」、「ペプチド」および「ポリペプチド」という用語は、それらの最も広範な意味で互換的に使用され、2つまたはそれよりも多くのサブユニットアミノ酸、アミノ酸類似体またはペプチド模倣体の化合物を指す。サブユニットは、ペプチド結合によって連結したものであり得る。別の態様では、サブユニットは、他の結合、例えば、エステル、エーテルなどによって連結したものであり得る。タンパク質またはペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸残基を含有しなければならず、タンパク質またはペプチドの配列を構成し得るアミノ酸の最大数には制限はない。本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、グリシンおよびD光学異性体とL光学異性体の両方、アミノ酸類似体およびペプチド模倣体を含めた、天然アミノ酸および/または非天然アミノ酸もしくは合成アミノ酸のいずれかを指す。
【0071】
等価の/等価物および生物学的等価の/生物学的等価物という用語は、例えば、参照としてタンパク質またはポリペプチドに言及する場合に、互換的に使用される。一部の実施形態では、等価のタンパク質またはポリペプチドは、参照タンパク質またはポリペプチドに対して少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%または少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有するものである。一部の実施形態では、等価のタンパク質またはポリペプチドは、本明細書に開示されるポリペプチドまたはタンパク質に対して少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%または少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、等価のタンパク質またはポリペプチドは、本明細書に記載の等価のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドまたはタンパク質に対して少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%または少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有する。それに加えてまたはその代わりに、ポリヌクレオチドの等価物は、参照または親ポリヌクレオチドと同じまたは同様の機能のタンパク質またはポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、等価物は機能的なタンパク質であり、必要に応じて、本明細書に記載されているまたは他のやり方で当業者が入手可能な1つまたは複数のアッセイによって同定することができる。別の態様では、等価物は、参照タンパク質またはポリペプチドと少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%または少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列同一性を有する。
【0072】
本明細書で使用される場合、参照配列内の同定された位置に「対応する」または「アラインメントされる」、目的の配列内のアミノ酸(aa)またはヌクレオチド(nt)残基の位置とは、その残基の位置が、目的の配列と参照配列の間の配列アラインメント内の同定された位置にアラインメントされることを指す。例えば、Clustal OmegaおよびBLASTなど、そのような配列アラインメントを実施するための種々のプログラムが利用可能である。
【0073】
本明細書で使用される場合、「を特異的に認識し、それに結合する」という用語は、抗体(もしくはその抗原結合性断片またはそのような抗体もしくは抗原結合性断片を含む生物学的作用剤、例えば、CARまたはCARを発現する細胞など)とその標的抗原との間の、別の分子との結合親和性よりも実質的に高い結合親和性での接触を意味する。一部の実施形態では、抗体(もしくはその抗原結合性断片またはそのような抗体もしくは抗原結合性断片を含む生物学的作用剤、例えば、CARまたはCARを発現する細胞など)とその標的抗原の間の結合親和性は、少なくとも10-3Mであり、その中の任意の数値または任意の範囲、例えば、少なくとも約10-6Mまたは少なくとも約10-7M、および好ましくは10-8M、10-9M、10-10M、10-11Mまたは10-12Mなどが含まれる。
【0074】
本明細書で使用される場合、「FLT3」および「FMS様チロシンキナーゼ3」という用語は、互換的に使用され、この名称、代替名称(Fms関連チロシンキナーゼ、幹細胞チロシンキナーゼ、Fms様チロシンキナーゼ、FLサイトカイン受容体、CD135抗原、EC 2.7.10.1、CD135、FLK-2、STK1、FLK2、増殖因子受容体チロシンキナーゼIII型、受容体型チロシン-プロテインキナーゼFLT3、胎児肝臓キナーゼ2、胎児肝臓キナーゼ-2、EC 2.7.10、FLT-3もしくはSTK-1)のいずれか、またはUniProt受託番号P36888を伴う受容体型チロシン-プロテインキナーゼFLT3、ならびに、FLT3およびその任意のバリアントもしくはアイソフォームと少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、好ましくは90%の配列同一性あるいは少なくとも95%の配列同一性を共有する、類似の生物学的機能を有する任意の他の分子を指す。FLT3に特異的に結合するモノクローナル抗体が、例えば、Becton Dickinson Biosciencesおよび他の商業的な供給源から市販されており、例えば、以下のウェブアドレスに列挙されている:biocompare.com/Search-Antibodies/?search=FLT3&said=0。抗原結合性断片を調製するための方法は当技術分野で公知である。抗原結合性ドメインは、任意の適当な種、例えば、ヒツジまたはヒトに由来するものであってよい。
【0075】
FLT3の非限定的な例としては、
【化10】
からなるヒトFLT3アイソフォーム1および必要に応じてその等価物;ならびに
【化11】
【化12】
からなるヒトFLT3アイソフォーム2および必要に応じてその等価物が挙げられる。
【0076】
本明細書で使用される場合、Fms様チロシンキナーゼ3(FLT3)における活性化突然変異は、FLT3遺伝子内縦列重複(ITD)突然変異などの、FLT3キナーゼの活性化を導く突然変異FLT3ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列を指す。FLT3は、急性骨髄性白血病の症例の約3分の1において突然変異している。急性骨髄性白血病において最も頻度の高いFLT3突然変異は、膜近傍ドメインにおける遺伝子内縦列重複(ITD)突然変異(23%)およびチロシンキナーゼドメインにおける点突然変異(10%)である。最も頻度の高いキナーゼドメイン突然変異は、アスパラギン酸がチロシンに変換される、838位のアスパラギン酸(835位のヒトアスパラギン酸残基と等価)のチロシンでの置換(FLT3/D835Y)である。これらの突然変異はどちらもFLT3を構成的に活性化するものであるにもかかわらず、ITD突然変異を有する患者の予後の方が大いに不良である。また、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,846,630号でより詳細を参照されたい。
【0077】
「キメラ抗原受容体」(CAR)という用語は、本明細書で使用される場合、抗原に結合することが可能な細胞外ドメイン、細胞外ドメインが由来するポリペプチドとは異なるポリペプチドに由来する膜貫通ドメイン、および、少なくとも1つの細胞内ドメインを含む、融合タンパク質を指す。「キメラ抗原受容体(CAR)」は、時には、「キメラ受容体」、「Tボディ(T-body)」または「キメラ免疫受容体(CIR)」と称される。
【0078】
「抗原に結合することが可能な細胞外ドメイン」とは、例えば、抗体またはその抗原結合性断片など、ある特定の抗原に結合し得る任意のオリゴペプチドまたはポリペプチドを意味する。
【0079】
本明細書で使用される場合、「抗体」(本明細書では「免疫グロブリン」とも称される)という用語は、集合的には、例として、これだけに限定することなく、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM、これらの組合せ、ならびに、任意の脊椎動物において、例えば、ヒト、ヤギ、ウサギおよびマウスなどの哺乳動物において免疫応答の間に産生される同様の分子、ならびに非哺乳動物種において免疫応答の間に産生される同様の分子、例えばサメ免疫グロブリンなどを含めた、免疫グロブリンまたは免疫グロブリン様分子を指す。他に特に記載がなければ、「抗体」という用語は、インタクトな免疫グロブリン、および、目的の分子(または目的の高度に類似した分子の群)に、他の分子への結合を実質的に排除して特異的に結合する「抗体断片」または「抗原結合性断片」(例えば、目的の分子に対して、生体試料中の他の分子に対する結合定数よりも少なくとも103M-1もしくはそれよりも大きい、少なくとも104M-1もしくはそれよりも大きい、または少なくとも105M-1もしくはそれよりも大きい結合定数を有する抗体および抗体断片)を包含する。「抗体」という用語は、キメラ抗体(例えば、マウスもしくはヒト化非霊長類抗体)などの遺伝子操作された形態またはヘテロコンジュゲート抗体(例えば、二重特異性抗体など)またはその両方も包含する。Pierce Catalog and Handbook, 1994-1995 (Pierce Chemical Co., Rockford, Ill.);Owen et al., Kuby Immunology, 7th Ed., W.H. Freeman & Co., 2013;Murphy, Janeway's Immunobiology, 8th Ed., Garland Science, 2014;Male et al., Immunology (Roitt), 8th Ed., Saunders, 2012;Parham, The Immune System, 4th Ed., Garland Science, 2014も参照されたい。
【0080】
抗体構造に関して、免疫グロブリンは、ジスルフィド結合によって相互接続した重(H)鎖と軽(L)鎖を有する。軽鎖にはラムダ(λ)およびカッパ(κ)の2つの型が存在する。重鎖には抗体分子の機能活性を決定する主要なクラス(またはアイソタイプ)が5つ存在する:IgM、IgD、IgG、IgAおよびIgE。各重鎖および軽鎖は、定常領域および可変領域を含有する(領域は「ドメイン」としても公知である)。重鎖可変領域と軽鎖可変領域は組み合わさって抗原に特異的に結合する。軽鎖可変領域および重鎖可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」とも称される3つの超可変領域によって遮られた「フレームワーク」領域を含有する。フレームワーク領域およびCDRの範囲は定義されている(これにより参照により本明細書に組み込まれるKabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, U.S. Department of Health and Human Services, 1991を参照されたい)。Kabatデータベースは現在オンラインで維持されている。異なる軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列は、種内で比較的保存されている。抗体のフレームワーク領域は、構成物である軽鎖および重鎖のフレームワーク領域を合わせたものであり、主にβ-シートコンフォメーションをとり、CDRはループを形成してβシート構造と接続し、一部の場合ではその一部を形成する。したがって、フレームワーク領域は、CDRを鎖間の非共有結合性の相互作用によって正しい向きに位置付ける足場を形成するように作用する。
【0081】
CDRは、抗原のエピトープへの結合を主に担う。各鎖のCDRは、一般には、N末端から開始して逐次的に番号が付され、CDR1、CDR2、およびCDR3と称され、一般には、特定のCDRが位置する鎖によっても識別される(重鎖領域はCDRHと呼ばれ、軽鎖領域はCDRLと呼ばれる)。したがって、CDRH3は、それが見いだされる抗体の重鎖の可変ドメイン由来のCDR3であり、一方、CDRL1は、それが見いだされる抗体の軽鎖の可変ドメイン由来のCDR1である。例えば、FLT3抗体は、FLT3と関連性のある抗原に独特の特定のVH領域およびVL領域配列を有し、したがって、特定のCDR配列を有する。異なる特異性(すなわち、異なる抗原に対する異なる結合部位(combining site))を有する抗体は、異なるCDRを有する。CDRは抗体ごとに変動するが、CDR内の限られた数のアミノ酸位のみが、抗原結合に直接関与する。CDR内のこれらの位置は、特異性決定残基(SDR)と称される。
【0082】
本明細書で使用される場合、「抗原」という用語は、抗体分子またはT細胞受容体などの、特定の液性免疫または細胞性免疫の産物が特異的に結合し得る化合物、組成物または物質を指す。抗原は、例えば、ハプテン、単純な中間代謝産物、糖(例えば、オリゴ糖)、脂質、およびホルモンならびに複合炭水化物(例えば、多糖)、リン脂質、およびタンパク質などの巨大分子を含めた任意の型の分子であってよい。抗原の一般的なカテゴリーとしては、これだけに限定されないが、ウイルス抗原、細菌抗原、真菌抗原、原生動物および他の寄生虫抗原、腫瘍抗原、自己免疫疾患、アレルギーおよび移植片拒絶に関与する抗原、毒素、ならびに他の種々雑多な抗原が挙げられる。
【0083】
一部の実施形態では、抗体、その抗原結合性断片またはCARなどの結合性部分に対する抗原は、本明細書では、「抗原」、その後に結合性部分(例えば、FLT3 CARもしくはFLT3特異的CARなど)、または抗原の前に「抗」および抗原の後に結合性部分(例えば、抗FLT3抗体など)または、結合性部分、その後に「に対する(to)」もしくは「を対象とする(directed to)」、次いで抗原(例えば、FLT3に対する抗体(an antibody to FLT3)など)という形式で提示され得る。
【0084】
本明細書で使用される場合、「抗原結合性ドメイン」という用語は、FLT3などの抗原標的に特異的に結合し得る任意のタンパク質またはポリペプチドドメインを指す。一部の実施形態では、抗原結合性断片は、Fab、F(ab’)2、Fab’、scFvまたはFvからなる群から選択することができる。
【0085】
単鎖Fv断片(scFv)は、リンカーペプチド(一般にはおよそ5~25アミノ酸の長さ)で接続された重鎖可変領域と軽鎖可変領域を含む、またはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。scFvに関しては、重鎖および軽鎖の可変領域は、同じ抗体に由来するものであっても異なる抗体に由来するものであってもよい。一部の実施形態では、FLT3 scFvは本明細書において配列番号4として開示される。追加的な適切なFLT3 scFvは、例えば、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,961,312号およびWO2020/010284において見いだすことができる。
【0086】
一部の実施形態では、「リンカー配列」、「リンカーペプチド」および「リンカーポリペプチド」という用語は、互換的に使用され、1回から10回あるいは約8回まであるいは約6回まであるいは約5回または4回あるいは3回あるいは2回繰り返され得る、1アミノ酸から10アミノ酸まで、あるいは8アミノ酸あるいは6アミノ酸あるいは5アミノ酸を含む任意のアミノ酸配列に関する。例えば、リンカーは、3回繰り返されるペンタペプチドからなる15個までのアミノ酸残基を含み得る。さらなる実施形態では、リンカー配列は、3コピーのGly-Gly-Gly-Gly-Ser(配列番号27)を含む、(グリシン4セリン)3(配列番号4のaa119~aa133)柔軟なポリペプチドリンカーである。他の実施形態では、「リンカー配列」、「リンカーペプチド」および「リンカーポリペプチド」という用語は、いくつか(例えば、約1~約50個)のランダムなアミノ酸残基からなるペプチドを指す。
【0087】
一部の実施形態では、抗体の「等価の/等価物」または「生物学的等価の/生物学的等価物」という用語は、抗体の、ELISAまたは他の適切な方法によって測定して、そのエピトープ/抗原タンパク質またはその断片に選択的に結合する能力を意味する。生物学的に等価の抗体としては、これだけに限定されないが、参照抗体と同じエピトープに結合する抗体、ペプチド、抗体断片、抗体バリアント、抗体誘導体および抗体模倣体が挙げられる。
【0088】
「膜貫通ドメイン」は、細胞膜にまたがり、細胞外ドメインとシグナル伝達ドメインを連結するように機能し得ることが公知の任意のオリゴペプチドまたはポリペプチドを意味する。膜貫通ドメインは、天然の供給源に由来するものであっても合成供給源に由来するものであってもよい。供給源が天然のものである場合、ドメインは、任意の膜結合または膜貫通タンパク質に由来するものであってよい。本開示において特に使用される膜貫通領域は、CD8、CD28、CD3、CD45、CD4、CD5、CDS、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、およびTCRに由来するものであり得る。あるいは、膜貫通ドメインは合成されたものであってもよく、その場合、ロイシンおよびバリンなどの疎水性残基が主に含まれる。フェニルアラニン、トリプトファンおよびバリンのトリプレットが合成膜貫通ドメインの各末端に見いだされることが好ましい。必要に応じて、2アミノ酸から10アミノ酸の間の長さであることが好ましい短いオリゴペプチドリンカーまたはポリペプチドリンカーにより、CARの膜貫通ドメインと細胞質内シグナル伝達ドメインの連結が形成され得る。グリシン-セリンダブレットにより、特に適切なリンカーがもたらされる。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8α膜貫通ドメインまたはCD28膜貫通ドメインを含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。
【0089】
本明細書で使用される場合、「CD28膜貫通ドメイン」という用語は、この名称を伴う特定のタンパク質断片、および本明細書で示されるCD28膜貫通ドメイン配列と少なくとも70%あるいは少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、少なくとも90%の配列同一性あるいは少なくとも95%の配列同一性を共有する類似の生物学的機能を有する任意の他の分子を指す。GenBank受託番号:XM_006712862.2およびXM_009444056.1を伴う断片配列により、CD28膜貫通ドメインの配列の追加的な非限定的な例がもたらされる。列挙されている受託番号のそれぞれを伴う配列は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、CD28膜貫通ドメインは、配列番号6またはその等価物を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。さらなる実施形態では、配列番号6の等価物は、配列番号6と比較して1、または2、または3、または4、または5、または6、または7、または8、または9、または10、または11、または12、または13、または14、または15、またはそれよりも多くの突然変異を含み得るが、それでもなお、配列番号6と同様に、細胞膜にまたがり、細胞外ドメインとシグナル伝達ドメインを連結するように機能し得る。
【0090】
「細胞内ドメイン」、「細胞内シグナル伝達ドメイン」または「細胞質ドメイン」は、細胞においてシグナルを伝えて生物学的プロセスの活性化または阻害を引き起こすドメインとして機能することが公知の任意のオリゴペプチドまたはポリペプチドを意味する。CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CARが置かれた免疫細胞の従来のエフェクター機能のうちの少なくとも1つの活性化を担う。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、エフェクター機能シグナルを伝達し、免疫細胞を、その特定の機能を発揮するように方向付けるタンパク質の一部を指す。シグナル伝達ドメイン全体を使用することもでき、その短縮された部分がエフェクター機能シグナルの伝達のために十分である限りは、短縮された部分を使用することもできる。TCRおよび補助受容体ならびにその誘導体またはバリアントの細胞質配列が、CARに使用するための細胞内シグナル伝達ドメインとして機能し得る。本開示において特に使用される細胞内シグナル伝達ドメインは、FcR、TCR、CD3、CDS、CD22、CD79a、CD79b、およびCD66dに由来するものであり得る。一部の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ(すなわち、CD3ゼータ)シグナル伝達ドメインを含み得る、あるいはそれから本質的になり得る、またはそれからさらになり得る。
【0091】
本明細書で使用される場合、「CD3ゼータシグナル伝達ドメイン」または「CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメイン」という用語は、この名称を伴う特定のタンパク質断片、および、本明細書で示されるCD3ゼータシグナル伝達ドメイン配列と少なくとも70%あるいは少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、好ましくは90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を共有する、類似の生物学的機能を有する任意の他の分子を指す。一部の実施形態では、CD3ゼータシグナル伝達ドメインは、
【化13】
またはその等価物を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。さらなる実施形態では、配列番号8の等価物は、配列番号8と比較して1、または2、または3、または4、または5、または6、または7、または8、または9、または10、または11、または12、または13、または14、または15、またはそれよりも多くの突然変異を含み得るが、それでもなお、配列番号8と同様に、エフェクター機能シグナルを伝達し、免疫細胞を、特定の機能を発揮するように方向付けることが可能である。そのような伝達を評価する、例示される方法は、例えば、Bridgeman JS, et al. Clin Exp Immunol. 2014 Feb;175 (2): 258-67において見いだすことができる。
【0092】
TCRによって生成されたシグナルは単独ではT細胞の完全な活性化のために不十分であるので、二次または共刺激シグナルも必要になり得る。したがって、これだけに限定されないが、タンパク質CD27、CD28、4-IBB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS(CD278)、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、NKG2D、DAP10、DAP12、2B3、4B2、B7-H3、MHCクラスI分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ球性活性化分子(SLAMタンパク質)、活性化NK細胞受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、ITGB7、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、またはCD83に特異的に結合するリガンドの細胞内ドメインを含めた、共刺激シグナル伝達分子(本明細書では共刺激ドメインまたは共刺激シグナル伝達ドメインまたは共刺激シグナル伝達領域とも称される)の細胞内領域もCARの細胞質ドメインに含めることができ、本明細書では、共刺激シグナル伝達ドメインと称される。ある特定の実施形態では、細胞内ドメインは、一次シグナル伝達ドメインに加えて、1つまたは複数の共刺激シグナル伝達ドメインを含み得る、あるいはそれから本質的になり得る、またはその上さらに含み得る。例えば、CARは、シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ζシグナル伝達ドメイン)に加えて、1つ、2つまたはそれよりも多くの共刺激ドメインを含み得る。一部の実施形態では、細胞内ドメインは、CD28共刺激シグナル伝達領域、4-1BB共刺激シグナル伝達領域、ICOS共刺激シグナル伝達領域またはOX40共刺激領域から選択される1つまたは複数または2つまたはそれよりも多くの共刺激領域をさらに含む。
【0093】
一部の実施形態では、キメラ抗原受容体の細胞活性化部分(例えば、細胞質内領域)は、CD8タンパク質、CD28タンパク質、4-1BBタンパク質、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、LFA-1、CD2、CD7、CD27、LIGHT、NKG2C、B7-H3、およびCD3-ゼータタンパク質からなる群から選択される1つまたは複数のタンパク質またはその断片を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる、T細胞またはNK細胞シグナル伝達ドメインである。
【0094】
一部の実施形態では、キメラ抗原受容体の細胞活性化部分(例えば、細胞質内領域)は、CD8タンパク質、CD28タンパク質、4-1BBタンパク質、およびCD3ゼータタンパク質からなる群から選択される1つまたは複数のタンパク質またはその断片を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる、T細胞またはNK細胞シグナル伝達ドメインである。
【0095】
本明細書で使用される場合、「CD28共刺激シグナル伝達領域」または「CD28共刺激ドメイン」という用語は、この名称を伴う特定のタンパク質断片、および、本明細書に示されるCD28共刺激シグナル伝達領域配列と少なくとも70%あるいは少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、好ましくは90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を共有する、類似の生物学的機能を有する任意の他の分子を指す。CD28共刺激シグナル伝達ドメインの配列の例は、米国特許第5,686,281号;Geiger, T.L. et al., Blood 98: 2364-2371 (2001) ;Hombach, A. et al., J Immunol 167: 6123-6131 (2001) ;Maher, J. et al. Nat Biotechnol 20: 70-75 (2002) ;Haynes, N.M. et al., J Immunol 169: 5780-5786 (2002) ;Haynes, N.M. et al., Blood 100: 3155-3163 (2002)に提示されている。一部の実施形態では、CD28共刺激ドメインは、配列番号7またはその等価物を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。さらなる実施形態では、配列番号7の等価物は、配列番号7と比較して1、または2、または3、または4、または5、または6、または7、または8、または9、または10、または11、または12、または13、または14、または15、またはそれよりも多くの突然変異を含み得るが、それでもなお、配列番号7と同様に、免疫細胞を刺激してその特定の機能を発揮させることが可能である。
【0096】
シグナルペプチド(時にはシグナル配列、標的化シグナル、局在化シグナル、局在化配列、輸送ペプチド、リーダー配列またはリーダーペプチドと称される)は、分泌経路に向かうよう運命づけられた新たに合成されるタンパク質の大多数のN末端に存在する短いペプチド(通常16~30アミノ酸長)である。これらの合成されたタンパク質は、ある特定の細胞小器官(小胞体、ゴルジまたはエンドソーム)の内部に存在するように、細胞から分泌されるように、または大多数の細胞膜に挿入されるように方向づけられる。一部の実施形態では、本明細書に開示されるシグナルペプチドにより、タンパク質が細胞膜に発現されるように方向付けられる。
【0097】
キメラ抗原受容体は、必要に応じて、細胞外ドメインと膜貫通ドメインの間のリンカーとしての機能を果たす「ヒンジドメイン」を含み得る。
【0098】
スペーサードメイン(本明細書ではスペーサーまたはヒンジまたはヒンジドメインとも称される)は、結合ユニットと膜貫通ドメインを分離する、CARの細胞外の構造的領域である。これらのスペーサーにより、一般に、効率的なCAR発現および活性のための安定性が供給される。そのようなドメインは、例えば、IgA、IgD、IgE、IgGまたはIgMまたはそのバリアントなどの任意の免疫グロブリンのヒトFcドメイン、CH3ドメインまたはヒンジ領域の一部を含み得る、またはそれから本質的になり得る、またはその上さらにそれからなり得る。例えば、一部の実施形態は、S228P、L235E、および/またはN297Q突然変異(Kabat番号付けに従って)を伴うまたは伴わないIgG4ヒンジを含み得る。追加的なスペーサーとしては、これだけに限定されないが、CD4、CD8、およびCD28ヒンジ領域が挙げられる。ヒンジドメインは、天然の供給源に由来するものであってもよく、合成供給源に由来するものであってもよい。一部の実施形態では、ヒンジドメインは、CD8、CD28、CD3、CD45、CD4、CD5、CDS、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154などの表面抗原分類タンパク質に由来するものである。一実施形態では、ヒンジドメインは、CD8αヒンジドメインである。一部の実施形態では、ヒンジドメインは、IgA、IgD、IgE、IgGまたはIgMなどの免疫グロブリンに由来するものである。一実施形態では、ヒンジドメインは、IgG1ヒンジドメインである。さらなる実施形態では、IgG1ヒンジドメインは、LEPKSCDKTHTCPPCPDPKGT(配列番号5)またはその等価物を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。一部の実施形態では、配列番号5の等価物は、配列番号5と比較して1、または2、または3、または4、または5、または6、または7、または8、または9、または10、または11、または12、または13、または14、または15、またはそれよりも多くの突然変異を含むが、それでもなお、配列番号5と同様に、効率的なCAR発現および活性のための安定性を実質的に維持することが可能である。
【0099】
細胞表面に発現されるタンパク質を、本明細書に開示されるCARを発現する細胞のマーカーとして、または本明細書に開示されるCARを発現する細胞の自殺スイッチをもたらすために使用することができる。そのようなタンパク質の細胞質内領域の一部または全部は、通常、タンパク質のネイティブな機能が低下するかまたはさらには消失するように、短縮される。したがって、そのようなタンパク質は、本明細書では、短縮型タンパク質マーカーと称される。一部の実施形態では、短縮型タンパク質マーカーは、CARを発現する細胞の自殺スイッチとして使用される場合、対象において発現されないかまたは正常な細胞またはCARを発現する細胞に隣接する正常な細胞よりも実質的に低いレベルで発現される。したがって、CARを発現する細胞を(例えば、短縮型タンパク質マーカーを特別に認識し、それに結合する中和抗体を投与することによって、または部分とコンジュゲートした毒素を投与し、それにより毒素を短縮型タンパク質マーカーに方向づけることによって)除去する際に、対象の正常な細胞は危険にさらされない。
【0100】
一部の実施形態では、本明細書における開示は、ある特定の短縮型タンパク質マーカー(例えば、短縮型CD19または短縮型EGFR)が他のマーカー(例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)など)と比較してより高い率で発現されることを示す。
図4Bと
図4Aとを参照されたい。したがって、さらなる実施形態では、これらの短縮型タンパク質マーカーが、本明細書に開示されるCARを発現する細胞への使用に特に適する。
【0101】
そのような適切な短縮型タンパク質マーカーの1つは、短縮型CD19である。本明細書で使用される場合、「CD19」および「Bリンパ球抗原CD19」という用語は、互換的に使用され、ヒトにおいて遺伝子CD19によってコードされる膜貫通タンパク質であることが公知のタンパク質を指す。ヒトでは、CD19は、形質細胞以外の全てのB系列細胞において、および濾胞樹状細胞において発現される。このタンパク質または基礎をなす遺伝子の非限定的な例示的な配列は、参照により本明細書に組み込まれる、Gene Cards ID:GC16PO28943、HGNC:1633、Entrez Gene:930、Ensembl:ENSG00000177455、OMIM:107265、およびUniProtKB:P15391の下に見いだされ得る。例示的な短縮型CD19は本明細書に提示され、
【化14】
を含む、またはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。別の例示的な短縮型CD19は本明細書に提示され、
【化15】
を含む、またはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。あるいは、配列番号13または11の等価物、例えば、配列番号13もしくは11と比較して1、もしくは2、もしくは3、もしくは4、もしくは5、もしくは6、もしくは7、もしくは8、もしくは9、もしくは10、もしくは11、もしくは12、もしくは13、もしくは14、もしくは15、もしくはそれよりも多くの突然変異を含むもの、または配列番号13もしくは11と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%同一のものを使用することができる。さらなる実施形態では、配列番号13または11の等価物は、それでもなお、CD19を特異的に認識し、それに結合する抗体またはその抗原結合性断片などの部分が認識し、結合することが可能なものである。なおさらなる実施形態では、配列番号13または11の等価物では、野生型CD19と同じようには、等価物を発現する細胞が機能を発揮するように方向付けられない。一部の実施形態では、配列番号11をコードするポリヌクレオチドは、
【化16】
を含む、またはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。
【0102】
別の適切な短縮型タンパク質マーカーは、短縮型EGFRである。本明細書で使用される場合、「EGFR」および「上皮増殖因子受容体」という用語は、互換的に使用され、ヒトにおいて遺伝子EGFRによってコードされる膜貫通タンパク質であることが公知のタンパク質を指す。このタンパク質または基礎をなす遺伝子の非限定的な例示的な配列は、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる、Gene Cards ID:GC07P055019、HGNC:3236、NCBI Entrez Gene:1956、Ensembl:ENSG00000146648、OMIM(登録商標):131550、UniProtKB/Swiss-Prot:P00533の下に見いだされ得る。例示的な短縮型EGFRは本明細書に提示され、
【化17】
を含む、またはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。あるいは、配列番号10の等価物、例えば、配列番号10と比較して1、もしくは2、もしくは3、もしくは4、もしくは5、もしくは6、もしくは7、もしくは8、もしくは9、もしくは10、もしくは11、もしくは12、もしくは13、もしくは14、もしくは15、もしくはそれよりも多くの突然変異を含むもの、または配列番号10と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%同一のものを使用することができる。さらなる実施形態では、配列番号10の等価物は、それでもなお、EGFRを特異的に認識し、それに結合する抗体またはその抗原結合性断片などの部分が認識し、結合することが可能なものである。なおさらなる実施形態では、配列番号10の等価物では、野生型EGFRと同じようには、等価物を発現する細胞が機能を発揮するように方向付けられない。
【0103】
本明細書で使用される場合、リボソームスキップ配列は、切断可能なペプチドまたは切断可能なリンカーとも称され、例えば、酵素、または細胞におけるタンパク質の翻訳の間にリボソームスキッピングを誘導し得るペプチド、またはその両方によって切断することができるペプチドを意味する。そのような切断可能なペプチドを含む1つの翻訳されたポリペプチドから2つの最終産物を生じさせることができ、したがって、1つのオープンリーディングフレームから1つよりも多くのポリペプチドを発現させることが可能になる。したがって、本明細書に開示される通り、リボソームスキップ配列を使用して、CARおよび短縮型タンパク質マーカーを細胞に発現させることができる。あるいは、他の方法を使用して、例えば、CARコード配列、短縮型タンパク質マーカーコード配列、それらの間に位置する配列内リボソーム進入部位(IRES)を含む核酸分子によって、そのような同時発現を実現することができる。
【0104】
切断可能なペプチドの1つの例は、2A自己切断性ペプチドなどの自己切断性ペプチドである。2A自己切断性ペプチドは、18~22アミノ酸長ペプチドのひとつのクラスであり、細胞における組換えタンパク質の切断を誘導し得る。一部の実施形態では、2A自己切断性ペプチドは、P2A、T2A、E2A、F2AおよびBmCPV2Aから選択される。例えば、2015年11月5日に公開されたWang Y, et al. 2A self-cleaving peptide-based multi-gene expression system in the silkworm Bombyx mori. Sci Rep. 2015;5:16273.を参照されたい。
【0105】
本明細書で使用される場合、「T2A」および「2Aペプチド」という用語は互換的に使用され、任意の2Aペプチドもしくはその断片、任意の2A様ペプチドもしくはその断片、または、コンセンサスポリペプチドモチーフD-V/I-E-X-N-P-G-P(配列番号29)(配列中、Xは、一般に自己切断性であると考えらえる任意のアミノ酸を指す)を含有する比較的短いペプチド配列(起源ウイルスに応じておよそ20アミノ酸長)内に必要なアミノ酸を含む人工ペプチドを指す。
【0106】
「配列内リボソーム進入部位」または「IRES」という用語は、本明細書で使用される場合、互換的に、リボソームの結合およびmRNAの翻訳を直接促進し、それにより、キャップ非依存的な翻訳の開始を可能にするポリヌクレオチドを指す。一部の実施形態では、IRESは、メッセンジャーRNA(mRNA)上のRNA配列を指す。それに加えて、またはその代わりに、IRESは、IRES RNA配列に対して相補的または逆向きである、または相補的であり逆向きのポリヌクレオチド配列(例えば、RNA配列、DNA配列またはそれらのハイブリッドなど)も指す。IRESの非限定的な例は、Hellen CU and Sarnow P. Internal ribosome entry sites in eukaryotic mRNA molecules. Genes Dev. 2001 Jul 1;15(13):1593-612に見いだすことができる。
【0107】
「検出可能な標識」、「標識」、「検出可能なマーカー」または「マーカー」は、互換的に使用され、これだけに限定されないが、放射性同位元素、蛍光色素、化学発光化合物、色素、および酵素を含めたタンパク質を含む。検出可能な標識を本明細書に記載のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体または組成物に付着させることもできる。
【0108】
本明細書で使用される場合、「標識」または検出可能な標識という用語は、「標識された」組成物を生成するために、検出されるべき組成物と直接的または間接的にコンジュゲートされる直接的または間接的に検出可能な化合物または組成物、例えば、N末端ヒスチジンタグ(N-His)、磁気的に活性な同位元素、例えば、115Sn、117Snおよび119Sn、非放射性同位元素、例えば、13Cおよび15Nなど、ポリヌクレオチドまたはタンパク質、例えば、抗体などを意図している。この用語はまた、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)などの、挿入配列が発現されるとシグナルをもたらす、ポリヌクレオチドとコンジュゲートした配列も包含する。標識は、それ自体が検出可能な場合もあり(例えば、放射性同位元素標識または蛍光標識)、酵素標識の場合では、基質化合物または組成物の検出可能な化学的変質が触媒され得る。標識は、小規模検出に適するものであり得る、またはハイスループットスクリーニングにより適したものであり得る。したがって、適切な標識としては、これだけに限定されないが、磁気的に活性な同位元素、非放射性同位元素、放射性同位元素、蛍光色素、化学発光化合物、色素、および酵素を含めたタンパク質が挙げられる。標識を単に検出することもでき、数量化することもできる。単に検出される応答は、一般に、その存在がただ単に確認される応答を含み、一方、数量化される応答は、一般に、強度、極性化または他の特性などの数量化可能な(例えば、数値的に報告可能な)値を有する応答を含む。発光または蛍光アッセイでは、結合に実際に関与するアッセイの構成成分と結び付けた発光団またはフルオロフォアを使用して、または別の(例えば、レポーターもしくはインジケーター)構成成分と結び付けた発光団またはフルオロフォアを間接的に使用して、検出可能な応答を直接生じさせることができる。シグナルを生じる発光標識の例としては、これだけに限定されないが、生物発光および化学発光が挙げられる。検出可能な発光応答は、一般に、発光シグナルの変化または存在を含む。発光標識アッセイ構成成分のための適切な方法および発光団は当技術分野で公知であり、例えば、Haugland, Richard P. (1996) Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals (6th ed)に記載されている。発光プローブの例としては、これだけに限定されないが、エクオリンおよびルシフェラーゼが挙げられる。
【0109】
本明細書で使用される場合、「免疫コンジュゲート」という用語は、第2の作用剤、例えば、細胞傷害剤、検出可能な作用剤、放射性作用剤、標的化剤、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、合成抗体、半合成抗体または多重特異性抗体などと結び付いたまたは連結した抗体または抗体誘導体を含む。
【0110】
適切な蛍光標識の例としては、これだけに限定されないが、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリスロシン、クマリン、メチル-クマリン、ピレン、Malacite green、スチルベン、Lucifer Yellow、CASCADE BLUE(商標)、およびTexas Redが挙げられる。他の適切な光学的色素は、Haugland, Richard P. (1996) Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals (6th ed.)に記載されている。
【0111】
一部の実施形態では、蛍光標識を官能化して、細胞表面マーカーなどの細胞または組織内またはその表面に存在する細胞構成成分への共有結合による付着を容易にする。適切な官能基としては、これだけに限定されないが、イソチオシアネート基、アミノ基、ハロアセチル基、マレイミド、スクシンイミジルエステル、およびスルホニルハロゲン化物が挙げられ、これらは全て、蛍光標識を第2の分子に付着させるために使用することができる。蛍光標識の官能基の選択は、リンカー、作用剤、マーカーまたは第2の標識剤のいずれかの付着部位に依存する。
【0112】
本明細書で使用される場合、精製用標識またはマーカーとは、例えば、エピトープタグ(これだけに限定されないが、Mycタグ、ヒトインフルエンザ赤血球凝集素(HA)タグ、FLAGタグを含む)、アフィニティータグ(これだけに限定されないが、グルタチオン-Sトランスフェラーゼ(GST)、ポリ-ヒスチジン(His)タグ、カルモジュリン結合性タンパク質(CBP)もしくはマルトース結合性タンパク質(MBP)を含む)または蛍光タグなどの、標識とコンジュゲートした分子または構成成分の精製に使用することができる標識を指す。
【0113】
ポリペプチドまたはそのそれぞれの等価物は、カルボキシ末端において後ろに追加的な50アミノ酸、あるいは約40アミノ酸、あるいは約30アミノ酸、あるいは約20アミノ酸、あるいは約10アミノ酸、あるいは約5アミノ酸、あるいは約4、または3、または2、または1アミノ酸を有し得る。
【0114】
本明細書において例示されている各CAR構成成分のさらなる実施形態は、例示される構成成分と少なくとも70%あるいは少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、好ましくは90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を共有し、類似の生物学的機能を有する他のタンパク質を含む。
【0115】
明示的な列挙を伴わずに、また別段の意図がない限り、本開示がポリペプチド、タンパク質、ポリヌクレオチドまたは抗体に関する場合、それらの等価物または生物学的に等価物が本開示の範囲内に入ることが意図されていることが暗示される。本明細書で使用される場合、「その生物学的等価物」という用語は、参照タンパク質、抗体、ポリペプチドまたは核酸について言及する場合、「その等価物」と同義であることが意図されており、最小の相同性を有する一方で、所望の構造または機能性を依然として維持するものが意図されている。本明細書で特に記載されていなければ、本明細書で言及される任意のポリヌクレオチド、ポリペプチドまたはタンパク質には、その等価物も包含されることが企図されている。例えば、等価物は、少なくとも約70%の相同性または同一性、または少なくとも80%の相同性または同一性、あるいは少なくとも約85%あるいは少なくとも約90%あるいは少なくとも約95%あるいは98%のパーセント相同性または同一性が意図されており、参照タンパク質、ポリペプチドまたは核酸と実質的に等価の生物活性を示す。あるいは、ポリヌクレオチドについて言及する場合、その等価物は、参照ポリヌクレオチドまたはその相補物とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドである。
【0116】
別の配列に対してある特定のパーセンテージ(例えば、80%、85%、90%または95%)の「配列同一性」を有するポリヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド領域(またはポリペプチドもしくはポリペプチド領域)は、アラインメントした場合に、2つの配列を比較して塩基(または残基)のパーセンテージが同じであることを意味する。アラインメントおよびパーセント相同性または配列同一性は当技術分野で公知のソフトウェアプログラム、例えば、Current Protocols in Molecular Biology (Ausubel et al., eds. 1987) Supplement 30, section 7.7.18, Table 7.7.1に記載されているものを使用して決定することができる。デフォルトパラメータをアラインメントに使用することが好ましい。好ましいアラインメントプログラムはBLASTであり、デフォルトパラメータを使用する。特に、好ましいプログラムは、BLASTNおよびBLASTPであり、以下のデフォルトパラメータを使用する:Genetic code=standard;filter=none;strand=both;cutoff=60;expect=10;Matrix=BLOSUM62;Descriptions=50 sequences;sort by=HIGH SCORE;Databases=non-redundant,GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS translations+SwissProtein+SPupdate+PIR。これらのプログラムの詳細は、以下のインターネットアドレス:ncbi.nlm.nih.gov/cgi-bin/BLASTにおいて見いだすことができる。別の好ましいアラインメントプログラムは、www.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalo/において利用可能なClustal Omegaまたはwww.ebi.ac.uk/Tools/psa/において利用可能なペアワイズ配列アラインメントであり、デフォルトパラメータを使用する。
【0117】
本明細書で使用される場合、細胞は、原核細胞または真核細胞であり得る。さらなる実施形態では、細胞は免疫細胞である。
【0118】
「宿主細胞」は、特定の対象の細胞だけでなく、そのような細胞の後代または潜在的な後代も指す。次の世代では突然変異または環境の影響のいずれかに起因してある特定の改変が生じ得るので、そのような後代は、実際には、親細胞と同一ではない可能性があるが、それでも、本明細書で使用されるこの用語の範囲に含まれる。
【0119】
「培養すること(culturing)」という用語は、in vitroまたはex vivoにおいて、様々な種類の培地上または培地中で細胞または生物体を増殖させること(propagation)を指す。培養下で成長させた細胞の後裔は、親細胞と完全には同一でない(すなわち、形態学的に、遺伝学的にまたは表現型的に)可能性があることが理解される。
【0120】
「免疫細胞」には、例えば、白血球(white blood cell)(白血球(leukocyte)、例えば、顆粒球(好中球、好酸球、および好塩基球)、単球、およびリンパ球(T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞およびNKT細胞))、リンパ球(T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞)など、ならびに骨髄系由来細胞(好中球、好酸球、好塩基球、単球、マクロファージ、樹状細胞)が含まれる。一部の実施形態では、免疫細胞は、造血幹細胞(HSC)に由来する。さらなる実施形態では、HSCは骨髄で産生される。なおさらなる実施形態では、HSCは、臍帯血(cord blood)から単離される。他の実施形態では、HSCは、末梢血から単離される。一部の実施形態では、免疫細胞は、以下のうちの1つまたは複数に由来する:前駆細胞、胚性幹細胞、胚性幹細胞由来細胞、胚性生殖細胞、胚性生殖細胞由来細胞、幹細胞、幹細胞由来細胞、多能性幹細胞、人工多能性幹細胞(iPSc)、造血幹細胞(HSC)または不死化細胞。一部の実施形態では、HSCは、対象の臍帯血(umbilical cord blood)、対象の末梢血または対象の骨髄に由来する。
【0121】
一部の実施形態では、免疫細胞は、セントラルメモリーT細胞、NK細胞、ネイティブなメモリーT細胞、汎T細胞、またはこれらの任意の組合せを指す。一部の実施形態では、免疫細胞は、CD25+細胞およびCD14+細胞が実質的に枯渇した末梢血単核細胞(PBMC)を指す。
【0122】
本明細書で使用される場合、「T細胞」という用語は、胸腺において成熟するリンパ球の型を指す。T細胞は、細胞媒介性免疫において重要な役割を果たし、細胞表面上にT細胞受容体が存在することにより、B細胞などの他のリンパ球と区別される。T細胞は、単離することもでき、商業的に入手可能な供給源から得ることもできる。「T細胞」は、ヘルパーT細胞(CD4+細胞)、細胞傷害性T細胞(CD8+細胞)、ナチュラルキラーT細胞、調節性T細胞(Treg)およびガンマ-デルタT細胞を含めた、CD3を発現する免疫細胞の全ての型を包含する。「細胞傷害性細胞」は、CD8+T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、および好中球を包含し、これらの細胞は、細胞傷害性応答を媒介することが可能である。市販のT細胞株の非限定的な例としては、以下の株、BCL2(AAA)Jurkat(ATCC(登録商標)CRL-2902(商標))、BCL2(S70A)Jurkat(ATCC(登録商標)CRL-2900(商標))、BCL2(S87A)Jurkat(ATCC(登録商標)CRL-2901(商標))、BCL2 Jurkat(ATCC(登録商標)CRL-2899(商標))、Neo Jurkat(ATCC(登録商標)CRL-2898(商標))、TALL-104細胞傷害性ヒトT細胞株(ATCC#CRL-11386)が挙げられる。さらなる例としては、これだけに限定されないが、成熟T細胞株、例えば、Deglis、EBT-8、HPB-MLp-W、HUT 78、HUT 102、Karpas 384、Ki 225、My-La、Se-Ax、SKW-3、SMZ-1およびT34など;ならびに未成熟T細胞株、例えば、ALL-SIL、Be13、CCRF-CEM、CML-T1、DND-41、DU.528、EU-9、HD-Mar、HPB-ALL、H-SB2、HT-1、JK-T1、Jurkat、Karpas 45、KE-37、KOPT-K1、K-T1、L-KAW、Loucy、MAT、MOLT-1、MOLT 3、MOLT-4、MOLT 13、MOLT-16、MT-1、MT-ALL、P12/Ichikawa、Peer、PER0117、PER-255、PF-382、PFI-285、RPMI-8402、ST-4、SUP-T1~T14、TALL-1、TALL-101、TALL-103/2、TALL-104、TALL-105、TALL-106、TALL-107、TALL-197、TK-6、TLBR-1、-2、-3、および-4、CCRF-HSB-2(CCL-120.1)、J.RT3-T3.5(ATCC TIB-153)、J45.01(ATCC CRL-1990)、J.CaM1.6(ATCC CRL-2063)、RS4;11(ATCC CRL-1873)、CCRF-CEM(ATCC CRM-CCL-119);および皮膚T細胞リンパ腫株、例えば、HuT78(ATCC CRM-TIB-161)、MJ[G11](ATCC CRL-8294)、HuT102(ATCC TIB-162)が挙げられる。これだけに限定されないが、REH、NALL-1、KM-3、L92-221を含めたヌル白血病細胞株が別の商業的に入手可能な免疫細胞の供給源であり、他の白血病およびリンパ腫に由来する細胞株、例えば、K562赤白血病、THP-1単球性白血病、U937リンパ腫、HEL赤白血病、HL60白血病、HMC-1白血病、KG-1白血病、U266骨髄腫も同様である。そのような市販の細胞株の非限定的な例示的な供給源としては、American Type Culture CollectionまたはATCC(www.atcc.org/)およびGerman Collection of Microorganisms and Cell Cultures(www.dsmz.de/)が挙げられる。
【0123】
本明細書で使用される場合、「NK細胞」という用語は、ナチュラルキラー細胞としても公知であり、骨髄に由来し、自然免疫系において極めて重要な役割を果たすリンパ球の型を指す。NK細胞は、細胞表面の抗体および主要組織適合性遺伝子複合体の非存在下であっても、ウイルス感染細胞、腫瘍細胞または他のストレスを受けている細胞に対する迅速な免疫応答をもたらす。NK細胞は、単離することもでき、商業的に入手可能な供給源から得ることもできる。商業的なNK細胞株の非限定的な例としては、以下の株、NK-92(ATCC(登録商標)CRL-2407(商標))、NK-92MI(ATCC(登録商標)CRL-2408(商標))が挙げられる。さらなる例としては、これだけに限定されないが、NK株であるHANK1、KHYG-1、NKL、NK-YS、NOI-90、およびYTが挙げられる。そのような市販の細胞株の非限定的な例示的な供給源としては、American Type Culture CollectionまたはATCC(www.atcc.org/)およびGerman Collection of Microorganisms and Cell Cultures(www.dsmz.de/)が挙げられる。
【0124】
「幹細胞」という用語は、未分化の状態または部分的に分化した状態にあり、自己再生する能力または分化した後代を生成する能力またはその両方を有する細胞を指す。自己再生は、幹細胞の、増殖してそのような幹細胞をより多く生じさせると同時に、その発生の潜在性(すなわち、全能性、多能性、多分化能など)を維持する能力と定義される。「体性幹細胞」という用語は、本明細書では、胎児組織、若年組織、および成体組織を含めた非胚組織に由来する任意の幹細胞を指すために使用される。天然の体性幹細胞が、血液、骨髄、脳、嗅上皮、皮膚、膵臓、骨格筋、および心筋を含めた多種多様な成体組織から単離されている。例示的な天然に存在する体性幹細胞としては、これだけに限定されないが、間葉系幹細胞(MSC)および神経または神経幹細胞(NSC)が挙げられる。一部の実施形態では、幹細胞または前駆細胞は、胚性幹細胞または人工多能性幹細胞(iPSC)であり得る。一部の実施形態では、幹細胞または前駆細胞は造血幹細胞(HSC)である。本明細書で使用される場合、「胚性幹細胞」は、初期胚組織(例えば、胚盤胞など)、胚組織または胎児組織を含めた、妊娠期間中の任意の時点、必ずしもではないが一般にはおよそ妊娠10~12週よりも前に取得され、受精後であるが妊娠期間終了前に形成される組織に由来する幹細胞を指す。胚性幹細胞は初期胚または胚盤胞に由来する多能性細胞である頻度が最も高い。胚性幹細胞は、これだけに限定されないが、ヒト組織を含めた適切な組織から直接得ることもでき、樹立された胚細胞株から得ることもできる。「胚様幹細胞」は、胚性幹細胞の特徴の全てではないが1つまたは複数を共有する細胞を指す。
【0125】
「分化」は、それによって、特殊化されていない細胞が心細胞、肝細胞、免疫細胞または筋肉細胞などの特殊化した細胞の特色を獲得するプロセスを記載する。「定方向分化」は、特定の細胞型への分化を誘導するための幹細胞培養条件の操作を指す。「脱分化した」により、細胞の系列内の拘束度がより低い位置に戻る細胞が定義される。本明細書で使用される場合、「分化するまたは分化した」という用語により、細胞の系列内で拘束度がより高い(「分化した」)位置をとる細胞が定義される。
【0126】
本明細書で使用される場合、「分化するまたは分化した」という用語により、細胞の系列内の拘束度がより高い(「分化した」)位置をとる細胞が定義される。「脱分化した」により、細胞の系列内の拘束度がより低い位置に戻る細胞が定義される。脱分化した細胞の例は人工多能性幹細胞である。
【0127】
本明細書で使用される場合、細胞の「系列」により、細胞の遺伝、すなわち、その先祖および後代が定義される。細胞の系列により、細胞が発生および分化の遺伝スキーム内に入れられる。
【0128】
「多系列幹細胞」または「多分化能幹細胞」は、それ自体および別個の発生系列由来の少なくとも2つのさらに分化した後代細胞を生じる幹細胞を指す。この系列は同じ胚葉(すなわち、中胚葉、外胚葉または内胚葉)または異なる胚葉に由来し得る。
【0129】
「前駆体(precursor)」または「前駆体細胞」または「前駆細胞」は、特定の細胞型に分化する能力を有する細胞を意味するものとする。前駆細胞は、幹細胞であり得る。前駆細胞はまた、幹細胞よりも特異的なものでもあり得る。前駆細胞は、単能性または多分化能性であり得る。成熟した幹細胞と比較して、前駆細胞は、細胞分化の後期にあり得る。前駆細胞の例としては、これだけに限定することなく、前駆神経細胞が挙げられる。
【0130】
本明細書で使用される場合、「多能性細胞」により、少なくとも2つの別個の(遺伝子型または表現型またはその両方について)さらに分化した後代細胞を生じさせることができる、分化度がより低い細胞が定義される。別の態様では、「多能性細胞」は、1種または複数種の幹細胞特異的な遺伝子の発現を誘導することによって歴史的に作製されている、非多能性細胞、一般には成熟した体細胞から人工的に誘導された幹細胞である人工多能性幹細胞(iPSC)を包含する。そのような幹細胞特異的な遺伝子としては、これだけに限定されないが、オクタマー転写因子のファミリー、すなわち、Oct-3/4;Sox遺伝子のファミリー、すなわち、Sox1、Sox2、Sox3、Sox15およびSox18;Klf遺伝子のファミリー、すなわち、Klf1、Klf2、Klf4およびKlf5;Myc遺伝子のファミリー、すなわち、c-mycおよびL-myc;Nanog遺伝子のファミリー、すなわち、OCT4、NANOGおよびREX1;またはLIN28が挙げられる。iPSCの例は、Takahashi et al. (2007) Cell advance online publication 20 November 2007;Takahashi & Yamanaka (2006) Cell 126: 663-76;Okita et al. (2007) Nature 448: 260-262;Yu et al. (2007) Science advance online publication 20 November 2007;およびNakagawa et al. (2007) Nat. Biotechnol. Advance online publication 30 November 2007に記載されている。
【0131】
「人工多能性細胞」は、成熟した細胞から未成熟表現型に再プログラムされる胚様細胞を意図するものである。様々な方法が当技術分野で公知である。例えば、2014年2月5日に最後にアクセスしたsciencedaily.com/releases/2014/01/140129184445で入手可能な"A simple new way to induce pluripotency: Acid." Nature, 29 January 2014および米国特許出願公開第2010/0041054号。ヒトiPSCも幹細胞マーカーを発現し、また、3つの胚葉全てに特徴的な細胞を生成することが可能である。
【0132】
「単為発生幹細胞」は、卵の単為発生活性化から生じる幹細胞を指す。単為発生幹細胞を創出する方法は当技術分野で公知である。例えば、Cibelli et al. (2002) Science 295 (5556) : 819およびVrana et al. (2003) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100 (Suppl. 1)11911-6を参照されたい。
【0133】
本明細書で使用される場合、「多能性遺伝子またはマーカー」という用語は、未成熟または未分化表現型との相関が示されている、発現される遺伝子またはタンパク質、例えば、Oct3/4、Sox2、Nanog、c-MycおよびLIN-28を意図するものである。そのようなものを同定する方法は当技術分野で公知であり、そのようなものを同定するためのシステムが、例えば、EMD Milliporeから市販されている(MILLIPLEX(登録商標)Map Kit)。
【0134】
本明細書で使用される場合、造血幹細胞(HSC)は、これだけに限定されないが、白血球(white blood cell)、赤血球、および血小板を含めた全ての型の血液細胞を生じさせる幹細胞などの細胞である。造血幹細胞は、末梢血および骨髄に見いだすことができる。一部の実施形態では、本明細書に開示される免疫細胞はHSCに由来する。
【0135】
「表現型」という用語は、測定可能であり、集団内の個体のサブセットにおいてのみ発現される個体の形質または特徴の説明を指す。本開示の一部の実施形態では、個体の表現型には、単一細胞、実質的に均一な細胞の集団、分化した細胞の集団、または細胞の集団で構成される組織の表現型が含まれる。
【0136】
一部の実施形態では、本明細書に記載の細胞の集団は、実質的に均一である。本明細書で使用される場合、「実質的に均一」は、細胞の約50%よりも多く、あるいは約60%よりも多く、あるいは70%よりも多く、あるいは75%よりも多く、あるいは80%よりも多く、あるいは85%よりも多く、あるいは90%よりも多く、あるいは95%よりも多くが同じまたは同様の表現型のものである細胞の集団を説明する。表現型は、予め選択された細胞表面マーカーまたは他のマーカーによって決定することができる。
【0137】
「単離された」という用語は、本明細書で使用される場合、他の物質を実質的に含まない分子、生物製剤、細胞性物質、細胞または生体試料を指す。一態様では、「単離された」という用語は、それぞれ、天然の供給源中に存在する他のDNAもしくはRNA、またはタンパク質もしくはポリペプチド、または細胞もしくは細胞小器官、または組織もしくは器官から分離されたDNAもしくはRNAなどの核酸、またはタンパク質もしくはポリペプチド(例えば、抗体またはその誘導体)、または細胞もしくは細胞小器官、または組織もしくは器官を指す。「単離された」という用語は、組換えDNA技法によって作製された場合には細胞性物質、ウイルス性物質もしくは培養培地を実質的に含まない、または化学的に合成された場合には化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない、核酸またはペプチドも指す。さらに、「単離された核酸」は、断片としては天然に存在せず、天然の状態では見いだされない核酸断片を包含するものとする。「単離された」という用語はまた、本明細書では、他の細胞タンパク質から単離されたポリペプチドを指すためにも使用され、精製されたポリペプチドおよび組換えポリペプチドのどちらも包含するものとする。「単離された」という用語はまた、本明細書では、他の細胞または組織から単離された細胞または組織を指すためにも使用され、培養された細胞または組織および工学的に操作された細胞または組織のどちらも包含するものとする。
【0138】
本明細書で使用される場合、「単離された細胞」という用語は、一般に、組織の他の細胞から実質的に分離された細胞を指す。
【0139】
細胞の集団とは、表現型または遺伝子型またはその両方が同一である(クローンの)または同一でない1つよりも多くの細胞の集合を意図するものである。集団は、本明細書に記載の通り、精製されたもの、高度に精製されたもの、実質的に均一のもの、または不均一のものであり得る。
【0140】
「実質的に均一」とは、細胞の約50%よりも多く、あるいは約60%よりも多く、あるいは70%よりも多く、あるいは75%よりも多く、あるいは80%よりも多く、あるいは85%よりも多く、あるいは90%よりも多く、あるいは、95%よりも多くが同じまたは同様の表現型のものである細胞の集団を説明する。表現型は、予め選択された細胞表面マーカーまたは他のマーカーによって決定することができる。
【0141】
本明細書で使用される場合、「精製された」という用語は、絶対的な純度を求めるものではなく、相対語として意図されている。したがって、例えば、精製された核酸、ペプチド、タンパク質、生物学的複合体、細胞または他の活性化合物は、タンパク質または他の夾雑物から全体的にまたは部分的に単離されたものである。一般に、本開示の範囲内で使用するための実質的に精製されたペプチド、タンパク質、生物学的複合体、細胞または他の活性化合物は、ペプチド、タンパク質、生物学的複合体、細胞または他の活性化合物を、医薬担体、賦形剤、緩衝剤、吸収促進剤、安定剤、保存剤、アジュバントまたは他の副成分と共に、治療的投与のための完全な医薬製剤として混和または製剤化する前の調製物中に存在する全ての高分子種の80%よりも多くを構成する。より一般には、ペプチド、タンパク質、生物学的複合体または他の活性化合物は、他の製剤成分と混和する前の精製された調製物中に存在する全ての高分子種の90%よりも多く、多くの場合、95%よりも多くになるように精製される。他の場合では、精製された調製物は、本質的に均一であり得、その場合、他の高分子種は従来の技法によって検出不可能である。
【0142】
一部の実施形態では、「工学的に操作された」または「組換え」という用語は、参照される種の天然に存在するタンパク質、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、株、野生株または親宿主株において通常見いだされない少なくとも1つの改変を有することを指す。一部の実施形態では、「工学的に操作された」または「組換え」という用語は、人為的な介入によって合成されたものであることを指す。
【0143】
本明細書で使用される場合、「自己」という用語は、細胞に関しては、単離され、同じ対象(レシピエントまたは宿主)に注入し戻される細胞を指す。「同種」は、非自己細胞を指す。
【0144】
本明細書で使用される場合、「組成物」は、本明細書に開示される化合物などの活性作用剤および不活性または活性な担体を指す。担体は、これだけに限定することなく、ビーズもしくは樹脂などの固体、またはリン酸緩衝食塩水などの液体であり得る。
【0145】
「医薬組成物」は、in vitro、in vivoまたはex vivoにおける診断または治療的使用に適した組成物を構成する、活性なポリペプチド、ポリヌクレオチド、抗体または細胞と、固体支持体などの不活性または活性な担体の組合せを包含するものとする。
【0146】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、標準の医薬担体、例えば、リン酸緩衝食塩水溶液、水、および、油/水または水/油エマルションなどのエマルション、および種々の型の湿潤剤などのいずれも包含する。組成物はまた、安定剤および保存剤も含み得る。担体、安定剤およびアジュバントの例に関しては、Martin (1975) Remington's Pharm. Sci., 15th Ed. (Mack Publ. Co., Easton)を参照されたい。
【0147】
「併用(combination)」投与または処置は、2種の作用剤を、それらの薬理学的効果が同時に現れるように投与することを指す。併用は、同時にまたは実質的に同時に投与することを求めるものではないが、併用にはそのような投与も含まれ得る。そのような追加的な作用剤、例えば、細胞減少療法は本明細書に記載されている。
【0148】
「細胞減少療法」は、本明細書で使用される場合、これだけに限定されないが、化学療法、寒冷療法、および放射線療法を包含する。細胞増殖を減少させるように作用する作用剤は当技術分野で公知であり、広く使用されている。がん細胞を、それらが分裂している時にのみ死滅させる化学療法薬は細胞周期特異的と称される。これらの薬物としては、トポイソメラーゼ阻害剤および代謝拮抗薬を含めたS期において作用する作用剤が挙げられる。
【0149】
トポイソメラーゼ阻害剤は、トポイソメラーゼ酵素(トポイソメラーゼIおよびII)の作用に干渉する薬物である。化学処置のプロセスの間、トポイソメラーゼ酵素は、複製に必要なDNAの構造の操作を制御し、したがって、細胞周期特異的である。トポイソメラーゼI阻害剤の例としては、上に列挙されているカンプトテシン(camptothecan)類似体、イリノテカンおよびトポテカンが挙げられる。トポイソメラーゼII阻害剤の例としては、アムサクリン、エトポシド、リン酸エトポシド、およびテニポシドが挙げられる。
【0150】
代謝拮抗薬は、通常、正常な代謝基質の類似体であり、多くの場合、染色体複製に関与するプロセスに干渉する。代謝拮抗薬は、周期の極めて特異的な期にある細胞を攻撃する。代謝拮抗薬としては、葉酸アンタゴニスト、例えば、メトトレキセート;ピリミジンアンタゴニスト、例えば、5-フルオロウラシル、フロクスウリジン(foxuridine)、シタラビン、カペシタビン、およびゲムシタビン;プリンアンタゴニスト、例えば、6-メルカプトプリンおよび6-チオグアニン;アデノシンデアミナーゼ阻害剤、例えば、クラドリビン、フルダラビン、ネララビンおよびペントスタチン;などが挙げられる。
【0151】
植物アルカロイドは特定の型の植物に由来するものである。ビンカアルカロイドはニチニチソウ植物(Catharanthus rosea)から作出される。タキサンは、タイヘイヨウイチイ(Pacific Yew)木(イチイ属)の樹皮から作出される。ビンカアルカロイドおよびタキサンは微小管阻害剤としても公知である。ポドフィロトキシンはポドフィルム植物に由来する。カンプトテシン類似体はアジア「カンレンボク(Happy Tree)」(Camptotheca acuminata)に由来する。ポドフィロトキシンおよびカンプトテシン類似体はトポイソメラーゼ阻害剤にも分類される。植物アルカロイドは一般に細胞周期特異的である。
【0152】
これらの作用剤の例としては、ビンカアルカロイド、例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチンおよびビノレルビン;タキサン、例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル;ポドフィロトキシン、例えば、エトポシドおよびテニポシド(tenisopide);ならびにカンプトテシン類似体、例えば、イリノテカンおよびトポテカンが挙げられる。
【0153】
寒冷療法としては、これだけに限定されないが、温度を低下させることを伴う治療、例えば、低体温療法が挙げられる。
【0154】
放射線療法としては、これだけに限定されないが、当技術分野で公知の、放射線、例えば、電離放射線、UV照射への曝露が挙げられる。例示的な線量としては、これだけに限定されないが、少なくとも約2Gyから約10Gy以下までの範囲の電離放射線の線量および/または少なくとも約5J/m2から約50J/m2以下までの範囲、通常約10J/m2の紫外線放射の線量が挙げられる。
【0155】
本明細書で使用される場合、併用される治療は、がん細胞におけるFLT3の発現を増大させる薬物であり得る。一部の実施形態では、薬物は、FLT3阻害剤を含む。本明細書で使用される場合、「FLT3阻害剤」という用語は、FLT3に結合し、その活性を低下させる分子を指す。理論に束縛されずに、そのようなFLT3阻害剤により細胞における表面FLT3発現を増大させることができると考えらえる。FLT3阻害剤の非限定的な例としては、ギルテリチニブ(Astellas、CID 49803313)、キザルチニブ(quizaritinib)(Ambit Biosciences、CID 24889392)、ミドスタウリン(Novartis、CID 9829523)、ソラフェニブ(Bayer and Onxy Pharmaceuticals、CID 216239)、スニチニブ(Pfizer、CID 5329102)、レスタウルチニブ(lestarutinib)(Cephalon、CID 126565)、FF-10101(Fuijfilm)、ドビチニブ(NovartisまたはOncology Venture、CID 9886808)、および、これだけに限定されないが塩および水和物などのその等価物、例えば、ギルテリチニブフマル酸塩(CID 76970819)、キザルチニブジヒドロクロリド(CID 25184035)、ミドスタウリン水和物(CID 71311854)、ソラフェニブトシル酸塩(CID 406563)、ソラフェニブ硫酸塩(CID 86672519)、ソラフェニブ臭化水素酸塩(CID 44599974)、ソラフェニブ塩酸塩(CID 44599975)、スニチニブリンゴ酸塩(CID 6456015)、レスタウルチニブ水和物(CID 45111934)、レスタウルチニブメタノレート(CID 131738508)、ドビチニブ乳酸塩(CID 44150621)、ドビチニブ二乳酸(CID 66553150)が挙げられる。
【0156】
「有効量」は、有益なまたは所望の結果をもたらすために十分な量である。有効量は、1回または複数回の投与、適用または投薬で投与することができる。そのような送達は、個々の投薬量単位が使用される期間、治療剤の生物学的利用能、投与経路などを含めたいくつかの可変要素に依存する。しかし、任意の特定の対象に対する本明細書に開示される治療剤の特定の用量レベルは、使用される特定の化合物の活性、化合物の生物学的利用能、投与経路、動物の年齢およびその体重、全体的な健康、性別、動物の食餌、投与時間、排出速度、薬物の組合せ、ならびに処置される特定の障害の重症度ならびに投与の形態を含めた種々の因子に依存することが理解される。一般に、in vivoにおいて効果的であることが見いだされた濃度と釣り合った血清中レベルを実現するために効果的である量の化合物を投与することが望まれる。これらの考慮事項、ならびに効果的な製剤および投与手順は当技術分野で周知であり、標準の教本に記載されている。
【0157】
薬物または作用剤の「治療有効量」は、薬理学的反応を得るために十分な量である、薬物または作用剤の量を指す;あるいは、特定の障害または疾患を有する患者に投与した場合に、意図された効果、例えば、患者におけるその特定の障害または疾患の1つまたは複数の顕在化の処置、軽減、好転、緩和または除去をもたらすために十分である薬物または作用剤の量である。治療効果は、必ずしも1回投薬の施行で生じず、一連の投薬の施行後にしか生じない場合がある。したがって、治療有効量は、1回または複数回の投与で投与され得る。
【0158】
本明細書で使用される場合、「接触させること(contacting)」という用語は、2つまたはそれよりも多くの分子または他の実体間の直接的または間接的な結合または相互作用を意味する。直接的な相互作用の特定の例は、結合である。間接的な相互作用の特定の例は、一方の実体が中間分子に作用し、今度はそれが第2の参照実体に作用する場合である。接触させることは、本明細書で使用される場合、溶液中、固相中、in vitro、ex vivo、細胞内およびin vivoにおけるものを包含する。in vivoにおいて接触させることは、投与することまたは投与と称され得る。
【0159】
細胞またはベクターまたは他の作用剤およびそれを含有する組成物の「投与」または「送達」は、1回用量で、処置の過程全体を通して連続的にまたは断続的に実施することができる。最も有効な投与の手段および投薬量については、それらを決定する方法が当業者に公知であり、また、治療に使用される組成物、治療の目的、処置される標的細胞、および処置される対象によって変動する。治療にあたる医師または動物の場合では治療にあたる獣医師によって選択される用量レベルおよびパターンを用いて単回または複数回の投与を行うことができる。作用剤の適切な投薬形態(dosage formulation)および投与方法は当技術分野で公知である。投与経路も決定することができ、最も効果的な投与経路については、それを決定する方法が当業者に公知であり、また、処置のために使用される組成物、処置の目的、処置される対象の健康状態または病期、および標的細胞または組織によって変動する。投与経路の非限定的な例としては、静脈内投与、頭蓋内投与、経口投与、腹腔内注入、経鼻投与、吸入、注射、および局部的適用が挙げられる。一部の実施形態では、投与は、腫瘍内投与または腫瘍微小環境への投与またはその両方である。一部の実施形態では、投与は、ある特定の期間、例えば、約30分間、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約24時間またはそれよりも長い期間にわたる注入(例えば、対象の末梢血への注入)である。
【0160】
投与という用語は、これだけに限定することなく、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、脳室内(ICV)、くも膜下腔内、大槽内注射もしくは注入、皮下注射または埋め込み)、吸入噴霧、経鼻、膣内、直腸内、舌下、尿道内(例えば、尿道内坐薬)または局部的投与経路(例えば、ゲル、軟膏剤、クリーム剤、エアロゾルなど)による投与を包含するものとし、単独でまたはまとめて、各投与経路に適した従来の無毒性の薬学的に許容される担体、アジュバント、賦形剤、およびビヒクルを含有する適切な投薬量単位製剤への製剤化を行うことができる。本開示は、投与経路、製剤または投薬スケジュールに限定されない。
【0161】
「投与」は、1回用量で、処置の過程全体を通して連続的にまたは断続的に実施することができる。最も有効な投与の手段および投薬量については、それらを決定する方法が当業者に公知であり、また、治療に使用される組成物、治療の目的、処置される標的細胞、および処置される対象によって変動する。治療にあたる医師によって選択される用量レベルおよびパターンを用いて単回または複数回の投与を行うことができる。作用剤の適切な投薬形態および投与方法は当技術分野で公知である。投与経路も決定することができ、最も効果的な投与経路については、それを決定する方法が当業者に公知であり、また、処置のために使用される組成物、処置の目的、処置される対象の健康状態または病期、および標的細胞または組織によって変動する。一部の実施形態では、本明細書に開示される細胞を1×104~1×1015個またはその間の範囲、例えば、1×107~1×1010個で対象に投与する。一部の実施形態では、投与することまたはその文法上の変形形態は、ある特定の間隔での1回よりも多くの投薬も指す。一部の実施形態では、間隔は、1日、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、10日間、2週間、3週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、1年またはより長い間隔である。一部の実施形態では、1回用量を1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回またはそれよりも多く繰り返す。例えば、本明細書に開示される細胞を対象に週に1回、最大4週間にわたって投与することができる。組成物および治療を他の治療と組み合わせることができ、例えば、リンパ球枯渇化学療法の後に治療の注入(例えば、4回の週1回の注入)を行い、これを1サイクルと定義し、その後、部分奏効または完全奏効が認められるまで追加的なサイクルを行う、あるいは、造血幹細胞移植またはCAR T細胞療法などの別のモダリティへの「橋かけ」治療として利用する。
【0162】
本開示の作用剤は、治療のために任意の適切な投与経路によって投与することができる。最適な経路はレシピエントの状態および年齢、ならびに処置される疾患によって変動することも理解されよう。
【0163】
本明細書で使用される場合、対象における疾患を「処置すること(treating)」または対象における疾患の「処置(treatment)」は、(1)疾患にかかりやすい素因を有するもしくは疾患の症状がまだ示されていない対象において症状もしくは疾患が発生するのを防止すること;(2)疾患を阻害するもしくはその発生を制止すること;または(3)疾患を好転させるもしくは疾患の退縮を引き起こす、または疾患の症状を好転させるもしくは疾患の症状の退縮を引き起こすことを指す。当技術分野において理解されている通り、「処置(treatment)」は、臨床結果を含めた有益なまたは所望の結果を得るための手法である。本技術の目的に関しては、有益なまたは所望の結果には、これだけに限定されないが、検出可能であるか検出不可能であるかにかかわらず、1つまたは複数の症状の軽減または好転、状態(疾患を含む)の程度の減弱、状態(疾患を含む)の安定化した(すなわち、悪化しない)状態、状態(疾患を含む)、増悪の遅延または緩徐化、状態(疾患を含む)の好転または緩和、状態および寛解(部分的であるか完全であるかを問わず)のうちの1つまたは複数が含まれ得る。疾患ががんである場合、以下の臨床的エンドポイントが処置の非限定的な例である:腫瘍量の減少、腫瘍成長の緩徐化、より長い全生存、より長い腫瘍増悪までの時間、腫瘍の転移の阻害または転移の減少。一態様では、予防法は処置から除外される。
【0164】
一実施形態では、「疾患」または「障害」という用語は、本明細書で使用される場合、がんまたは腫瘍(これらは互換的に使用される)、そのような疾患を有すると診断された状態、そのような疾患を有する疑いがある状態、またはそのような疾患を有するリスクが高い状態を指す。疾患は、原発性、再発性、不応性または転移性がんであり得る。
【0165】
一部の実施形態では、疾患はがんである。さらなる実施形態では、がんは、白血病またはリンパ腫である。本明細書で使用される場合、「白血病」は、未成熟白血球(white blood cell)の異常な増加を特徴とする血液または骨髄のがんである。なおさらなる実施形態では、疾患は、FLT3を発現するがん細胞を有するものである。ある特定の実施形態では、がんは、急性骨髄性白血病(AML)または急性リンパ芽球性白血病(ALL)である。急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia)(AML)-急性骨髄性白血病(acute myelogenous leukemia)または急性骨髄芽球性白血病とも称される-の具体的な状態は、骨髄中に蓄積し、正常な血液細胞の産生に干渉する異常な骨髄細胞の急速な成長を特徴とする、骨髄性起源の血液細胞のがんである。急性リンパ芽球性白血病(ALL)-急性リンパ性白血病(acute lymphocytic leukemia)または急性リンパ性白血病(acute lymphoid leukemia)とも称される-の具体的な状態は、正常な健康な血液細胞の欠乏をもたらす悪性未成熟白血球(leukocyte)(リンパ芽球)の過剰産生および蓄積を特徴とする白血球(white blood cell)のがんである。本明細書で使用される場合、「リンパ腫」は、血液細胞腫瘍、ならびにリンパ節腫大、発熱、大量発汗、意図されたものではない体重減少、そう痒、および常時の疲労感という症状の発生を特徴とする血液のがんである。一部の実施形態では、疾患は、固形腫瘍がんである。非限定的な例としては、組織の肉腫および癌腫、例えば、脳がん、腎がん、乳がん、腺癌、神経がん、肺がん、結腸直腸がんまたは神経膠芽腫(GBM)が挙げられる。一部の実施形態では、疾患は、乳がん、黒色腫、カルチノイド、卵巣がん、子宮頸がん、膵がん、結腸直腸がん、前立腺がん、子宮体がん、腎がん、神経膠腫、神経がん、皮膚がん、頭頸部がん、胃がん、肝がん、精巣がん、肺がん、甲状腺がん、リンパ腫、尿路上皮がんまたはwww.proteinatlas.org/ENSG00000122025-FLT3/pathologyもしくはSung Hee Lim et al. Oncotarget. 2017 Jan 10;8 (2): 3237-3245において同定される任意の他のがんから選択される。一部の実施形態では、疾患は、骨髄異形成症候群である。したがって、本明細書において方法および他の開示に記載されるがんという用語は、疾患または骨髄異形成症候群という用語と置き換えることができることが当業者には理解されよう。
【0166】
「に罹患している」という用語は、「処置(treatment)」という用語と関連する場合、患者または個体が本明細書に開示される疾患を有すると診断されていることまたはその素因を有することを指す。この患者では特徴的な疾患病状がまだ発生していない。
【0167】
本明細書で使用される場合、「がん」は、対象において異常な制御されない複製を示す細胞が存在することを特徴とする病態であり、一部の態様では、この用語は、「腫瘍」という用語と互換的に使用され得る。「がんまたは腫瘍抗原」という用語は、がん細胞または腫瘍細胞または組織に関連し、その表面に発現されることが公知の抗原を指し、「がんまたは腫瘍を標的とする抗体」という用語は、そのような抗原を標的とする抗体を指す。
【0168】
「許容される」、「効果的な」または「十分な」という用語は、本明細書に開示される任意の構成成分、範囲、投薬形態などの選択について記載するために使用される場合、前記構成成分、範囲、投薬形態などが開示される目的に適するものであることを意図するものである。
【0169】
「第1選択」または「第2選択」または「第3選択」という句は、患者が受ける処置の順序を指す。第1選択治療レジメンは、最初に提供される処置であり、第2選択治療または第3選択治療は、それぞれ第1選択治療の後または第2選択治療の後に提供される。国立がん研究所(National Cancer Institute)によると、第1選択治療は「疾患または状態に対する最初の処置」と定義される。がんを有する患者では、一次処置は、外科手術、化学療法、放射線療法またはこれらの治療の組合せであり得る。第1選択治療はまた、当業者には「一次治療および一次処置」と称される。2008年5月1日に最終アクセスされたwww.cancer.govの国立がん研究所(National Cancer Institute)ウェブサイトを参照されたい。一般には、患者は、患者が第1選択治療に対して前向きな臨床的または亜臨床的応答を示さないかまたは第1選択治療を中止したことが原因で、その後の化学療法レジメンを受ける。本明細書に記載の方法および処置は、第1選択治療、第2選択治療、第3選択治療、第4選択治療または第5選択治療として提供することができる。
本開示を実施するための様式
【0170】
本開示では、改善されたFLT3-CARコード配列を有するCARの生成および抗腫瘍有効性が記載される。改善された配列は、本明細書では最適化された配列とも称され、より高い発現レベルのCARならびに短縮型タンパク質マーカーを細胞にもたらし、したがって、細胞への形質導入および形質導入された細胞の同定または単離における使用に特に適する。例えば、
図4Cと
図4Dとを参照されたい。さらなる実施形態では、最適化された配列が形質導入されたCAR発現細胞は、腫瘍細胞に対してより高い細胞傷害性を示す。例えば、
図5Aを参照されたい。
【0171】
一態様では、抗FMS様チロシンキナーゼ3(FLT3)キメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸分子が提供される。核酸分子は、配列番号1のヌクレオチド(nt)55~nt777またはnt1~nt777または全長のポリヌクレオチドまたはその等価物を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。
【0172】
一態様では、配列番号1のヌクレオチド(nt)55~nt777のポリヌクレオチドもしくはその等価物または配列番号12のnt55~nt777のポリヌクレオチドを含む、またはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる、抗FMS様チロシンキナーゼ3(FLT3)抗原結合性断片をコードする核酸分子が提供される。一部の実施形態では、核酸分子は、配列番号1のnt1~nt777のポリヌクレオチドもしくは配列番号1のnt1~nt777と少なくとも85%同一であるその等価物を含む、もしくはそれから本質的になる、もしくはその上さらにそれからなる、または配列番号12のnt1~nt777のポリヌクレオチドを含む。
【0173】
一部の実施形態では、等価物は、配列番号1のヌクレオチド(nt)55~nt777、またはnt1~nt777、または全長と少なくとも約75%(これだけに限定されないが、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%を含む)同一である。ただし、一態様では、配列番号1の最適化されたヌクレオチドのうちの少なくとも1つが等価物において保持される。それに加えて、またはその代わりに、等価物は、
【化18】
【化19】
のヌクレオチド(nt)55~nt777、またはnt1~nt777、または全長のポリヌクレオチドを含み、ここで、小文字は、任意のヌクレオチドを示す(配列番号12)。一部の実施形態では、小文字は、配列番号1内の対応する位置に位置するヌクレオチドを示す。一部の実施形態では、等価物は、
【化20】
のヌクレオチド(nt)55~nt777、またはnt1~nt777のポリヌクレオチドを含まない。
【0174】
一部の実施形態では、核酸分子またはその等価物は、RASQSISNNLH(配列番号15)に示される軽鎖相補性決定領域1(CDRL1)をコードするポリヌクレオチド、YASQSIS(配列番号16)に示される軽鎖相補性決定領域2(CDRL2)をコードするポリヌクレオチド、QQSNTWPYT(配列番号17)に示される軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)をコードするポリヌクレオチド、SYWMH(配列番号18)に示される重鎖相補性決定領域1(CDRH1)をコードするポリヌクレオチド、EIDPSDSYKDYNQKFKD(配列番号19)に示される重鎖相補性決定領域1(CDRH2)をコードするポリヌクレオチド、およびAITTTPFDF(配列番号20)に示される重鎖相補性決定領域1(CDRH3)をコードするポリヌクレオチドを含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。
【0175】
一部の実施形態では、核酸分子またはその等価物は、
【化21】
の抗体重鎖可変領域および
【化22】
の抗体軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む。
【0176】
一部の実施形態では、核酸分子または等価物は、FLT3を特異的に認識し、それに結合する単鎖Fv(scFv)、シグナル配列、スペーサー、膜貫通ドメイン、共刺激ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインをコードする。一部の実施形態では、核酸分子または等価物は、シグナルペプチドをコードするポリペプチド、FLT3抗原結合性断片をコードするポリペプチド、ヒンジドメインをコードするポリペプチド、膜貫通ドメインをコードするポリペプチド、共刺激シグナル伝達領域をコードするポリペプチド、細胞内シグナル伝達ドメインをコードするポリペプチドを含む、またはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。一部の実施形態では、核酸分子または等価物は、シグナルペプチドをコードするポリペプチド、FLT3抗原結合性断片をコードするポリペプチド、ヒンジドメインをコードするポリペプチド、CD28膜貫通ドメインをコードするポリペプチド、CD28共刺激シグナル伝達領域をコードするポリペプチド、細胞内シグナル伝達ドメインをコードするポリペプチドを含む、またはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。
【0177】
一部の実施形態では、本明細書に開示される核酸分子または等価物は、配列番号2のアミノ酸(aa)19~aa259のポリペプチドをコードする。さらなる実施形態では、本明細書に開示される核酸分子または等価物は、配列番号2のaa1~aa259のポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、核酸分子または等価物は、配列番号2のポリペプチドをコードする。
【0178】
一部の実施形態では、核酸分子は、短縮型CD19または短縮型EGFRをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。さらなる実施形態では、短縮型EGFRは、配列番号10のポリペプチドを含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。なおさらなる実施形態では、短縮型CD19は、配列番号13または11のポリペプチドを含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。一部の実施形態では、本明細書に開示される核酸分子は、短縮型CD19をコードする配列番号28に記載されるポリヌクレオチドまたはその等価物をさらに含む。
【0179】
一部の実施形態では、核酸分子は、CARをコードするポリヌクレオチドと短縮型CD19または短縮型EGFRをコードするポリヌクレオチドの間に位置するリボソームスキップ配列をコードするポリヌクレオチドをさらに含む。一部の実施形態では、核酸分子は、T2Aスキップ配列および短縮型EGFRまたは短縮型CD19をコードする配列をさらに含む。一部の実施形態では、核酸分子は、T2Aスキップ配列および短縮型EGFRをコードする配列をさらに含む。一部の実施形態では、核酸分子は、T2Aスキップ配列および短縮型CD19をコードする配列をさらに含む。一部の実施形態では、核酸分子は、T2Aスキップ配列および短縮型EGFRをコードする配列をさらに含む。
【0180】
一部の実施形態では、本明細書に開示される核酸分子は、配列番号1の等価物を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。一部の実施形態では、配列番号1の等価物は、約55%~約60%またはその間の任意のパーセンテージまたは範囲がG残基およびC残基からなる。一部の実施形態では、配列番号1の等価物は、約58%がG残基およびC残基からなる。
【0181】
一部の実施形態では、配列番号1の等価物内のアラニン(Ala)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約70%がGCCからなる。一部の実施形態では、配列番号1の等価物内のシステイン(Cys)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約60%がTGCからなる。一部の実施形態では、配列番号1の等価物内のアスパラギン酸(Asp)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約60%がGACからなる。一部の実施形態では、配列番号1の等価物内のグルタミン酸(Glu)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約75%がGAGからなる。一部の実施形態では、配列番号1の等価物内のフェニルアラニン(Phe)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約60%がTTCからなる。一部の実施形態では、配列番号1の等価物内のグリシン(Gly)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約55%がGGCからなる。一部の実施形態では、配列番号1の等価物内のグリシン(Gly)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約25%がGGAからなる。一部の実施形態では、配列番号1の等価物内のヒスチジン(His)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約80%がCACからなる。一部の実施形態では、配列番号1の等価物内のイソロイシン(Ile)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約65%がATCからなる。一部の実施形態では、配列番号1の等価物内のリシン(Lys)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約70%がAAGからなる。一部の実施形態では、配列番号1の等価物内のロイシン(Leu)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約65%がCTGからなる。一部の実施形態では、配列番号1の等価物内のメチオニン(Met)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約90%がATGからなる。一部の実施形態では、配列番号1の等価物内のアスパラギン(Asn)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約55%がAACからなる。一部の実施形態では、配列番号1の等価物内のプロリン(Pro)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約40%がCCCからなる。一部の実施形態では、配列番号1の等価物内のグルタミン(Gln)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約95%がCAGからなる。一部の実施形態では、配列番号1の等価物内のアルギニン(Arg)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約25%がAGGからなる。一部の実施形態では、配列番号1の等価物内のArgアミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約25%がCGCからなる。一部の実施形態では、配列番号1の等価物内のセリン(Ser)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約40%がAGCからなる。一部の実施形態では、配列番号1の等価物内のトレオニン(Thr)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約45%がACCからなる。一部の実施形態では、配列番号1の等価物内のThrアミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約40%がACAからなる。一部の実施形態では、配列番号1の等価物内のバリン(Val)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約65%がGTGからなる。一部の実施形態では、配列番号1の等価物内のトリプトファン(Trp)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約90%がTGGからなる。一部の実施形態では、配列番号1の等価物内のチロシン(Tyr)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約50%がTACからなる。一部の実施形態では、配列番号1の等価物内のTyrアミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約45%がTATからなる。
【0182】
一部の実施形態では、配列番号1の等価物は、約0%~約1%、必要に応じて約0.435%の頻度のGCGからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.435%の頻度のGCAからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.652%の頻度のGCTからなるコドン、約3%またはそれよりも高い、必要に応じて約3.913%の頻度のGCCからなるコドン;約0%~約1%、必要に応じて約0.652%の頻度のTGTからなるコドン、約1%またはそれよりも高い、必要に応じて約1.087%の頻度のTGCからなるコドン;約0%~約2%、必要に応じて約1.739%の頻度のGATからなるコドン、約3%またはそれよりも高い、必要に応じて約3.478%の頻度のGACからなるコドン;約2%またはそれよりも高い、必要に応じて約2.826%の頻度のGAGからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.870%の頻度のGAAからなるコドン;約0%~約2%、必要に応じて約1.304%の頻度のTTTからなるコドン、約1%またはそれよりも高い、必要に応じて約1.957%の頻度のTTCからなるコドン;約0%~約2%、必要に応じて約1.087%の頻度のGGGからなるコドン、約0%~約3%、必要に応じて約2.826%の頻度のGGAからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.652%の頻度のGGTからなるコドン、約5%またはそれよりも高い、必要に応じて約5.652%の頻度のGGCからなるコドン;約0%~約1%、必要に応じて約0.435%の頻度のCATからなるコドン、約1%またはそれよりも高い、必要に応じて約1.957%の頻度のCACからなるコドン;約0%の頻度のATAからなるコドン、約0%~約2%、必要に応じて約1.087%の頻度のATTからなるコドン、約2%またはそれよりも高い、必要に応じて約2.174%の頻度のATCからなるコドン;約3%またはそれよりも高い、必要に応じて約3.913%の頻度のAAGからなるコドン、約0%~約2%、必要に応じて約1.522%の頻度のAAAからなるコドン;約0%~約1%、必要に応じて約0.435%の頻度のTTGからなるコドン、約0%の頻度のTTAからなるコドン、約5%またはそれよりも高い、必要に応じて約5.435%の頻度のCTGからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.435%の頻度のCTAからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.435%の頻度のCTTからなるコドン、約0%~約2%、必要に応じて約1.087%の頻度のCTCからなるコドン;約1%またはそれよりも高い、必要に応じて約1.957%の頻度のATGからなるコドン;約0%~約2%、必要に応じて約1.087%の頻度のAATからなるコドン、約1%またはそれよりも高い、必要に応じて約1.522%の頻度のAACからなるコドン;約0%~約1%、必要に応じて約0.652%の頻度のCCGからなるコドン、約0%~約2%、必要に応じて約1.304%の頻度のCCAからなるコドン、約0%~約2%、必要に応じて約1.304%の頻度のCCTからなるコドン、約2%またはそれよりも高い、必要に応じて約2.609%の頻度のCCCからなるコドン;約4%またはそれよりも高い、必要に応じて約4.783%の頻度のCAGからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.217%の頻度のCAAからなるコドン;約1%またはそれよりも高い、必要に応じて約1.739%の頻度のAGGからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.870%の頻度のAGAからなるコドン、約0%~約2%、必要に応じて約1.304%の頻度のCGGからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.435%の頻度のCGAからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.217%の頻度のCGTからなるコドン、約1%またはそれよりも高い、必要に応じて約1.739%の頻度のCGCからなるコドン;約0%~約1%、必要に応じて約0.870%の頻度のAGTからなるコドン、約4%またはそれよりも高い、必要に応じて約4.348%の頻度のAGCからなるコドン、約0%の頻度のTCGからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.217%の頻度のTCAからなるコドン、約0%~約3%、必要に応じて約2.826%の頻度のTCTからなるコドン、約0%~約3%、必要に応じて約2.609%の頻度のTCCからなるコドン;約0%の頻度のACGからなるコドン、約3%またはそれよりも高い、必要に応じて約3.043%の頻度のACAからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.652%の頻度のACTからなるコドン、約3%またはそれよりも高い、必要に応じて約3.261%の頻度のACCからなるコドン;約3%またはそれよりも高い、必要に応じて約3.478%の頻度のGTGからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.217%の頻度のGTAからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.435%の頻度のGTTからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.870%の頻度のGTCからなるコドン;約1%またはそれよりも高い、必要に応じて約1.957%の頻度のTGGからなるコドン;約2%またはそれよりも高い、必要に応じて約2.391%の頻度のTATからなるコドン、および約2%またはそれよりも高い、必要に応じて約2.609%の頻度のTACからなるコドンを含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。
【0183】
一部の実施形態では、配列番号1の等価物は、下記の表に開示されているコドン頻度またはコドン使用選好を含む。
【表2-1】
【表2-2】
【0184】
一部の実施形態では、本明細書に開示される核酸分子は、配列番号1のnt1~nt777の等価物を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物は、約55%~約60%またはその間の任意のパーセンテージまたは範囲がG残基およびC残基からなる。一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物は、約58%がG残基およびC残基からなる。
【0185】
一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物内のアラニン(Ala)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約80%がGCCからなる。一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物内のシステイン(Cys)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約50%がTGCからなる。一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物内のシステイン(Cys)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約50%がTGTからなる。一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物内のアスパラギン酸(Asp)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約60%がGACからなる。一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物内のグルタミン酸(Glu)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約70%がGAGからなる。一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物内のフェニルアラニン(Phe)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約55%がTTCからなる。一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物内のグリシン(Gly)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約60%がGGCからなる。一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物内のグリシン(Gly)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約30%がGGAからなる。一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物内のヒスチジン(His)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約80%がCACからなる。一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物内のイソロイシン(Ile)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約80%がATCからなる。一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物内のリシン(Lys)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約80%がAAGからなる。一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物内のロイシン(Leu)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約90%がCTGからなる。一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物内のメチオニン(Met)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約90%がATGからなる。一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物内のアスパラギン(Asn)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約50%がAACからなる。一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物内のアスパラギン(Asn)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約50%がAATからなる。一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物内のプロリン(Pro)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約40%がCCCからなる。一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物内のグルタミン(Gln)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約90%がCAGからなる。一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物内のアルギニン(Arg)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約50%がCGGからなる。一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物内のArgアミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約20%がAGGからなる。一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物内のセリン(Ser)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約60%がAGCからなる。一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物内のトレオニン(Thr)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約45%がACCからなる。一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物内のThrアミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約45%がACAからなる。一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物内のバリン(Val)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約70%がGTGからなる。一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物内のトリプトファン(Trp)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約90%がTGGからなる。一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物内のチロシン(Tyr)アミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約60%がTATからなる。一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物内のTyrアミノ酸残基をコードするコドンの少なくとも約30%がTATからなる。
【0186】
一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物は、約0%~約1%、必要に応じて約0.000%の頻度のGCGからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.000%の頻度のGCAからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.772%の頻度のGCTからなるコドン、約3%またはそれよりも高い、必要に応じて約3.861%の頻度のGCCからなるコドン;約0%~約1%、必要に応じて約0.772%の頻度のTGTまたはTGCからなるコドン、約0.5%またはそれよりも高い、必要に応じて約0.772%の頻度のTGTまたはTGCからなるコドン;約0%~約2%、必要に応じて約1.544%の頻度のGATからなるコドン、約3%またはそれよりも高い、必要に応じて約3.089%の頻度のGACからなるコドン;約1%またはそれよりも高い、必要に応じて約1.931%の頻度のGAGからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.772%の頻度のGAAからなるコドン;約0%~約2%、必要に応じて約1.544%の頻度のTTTからなるコドン、約2%またはそれよりも高い、必要に応じて約2.317%の頻度のTTCからなるコドン;約0%~約1%、必要に応じて約0.386%の頻度のGGGからなるコドン、約0%~約4%、必要に応じて約3.861%の頻度のGGAからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.000%の頻度のGGTからなるコドン、約7%またはそれよりも高い、必要に応じて約7.722%の頻度のGGCからなるコドン;約0%~約1%、必要に応じて約0.386%の頻度のCATからなるコドン、約1%またはそれよりも高い、必要に応じて約1.931%の頻度のCACからなるコドン;約0%~約1%、必要に応じて約0%の頻度のATAからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.772%の頻度のATTからなるコドン、約3%またはそれよりも高い、必要に応じて約3.861%の頻度のATCからなるコドン;約3%またはそれよりも高い、必要に応じて約3.475%の頻度のAAGからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.772%の頻度のAAAからなるコドン;約0%~約1%、必要に応じて約0.000%の頻度のTTGからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.000%の頻度のTTAからなるコドン、約7%またはそれよりも高い、必要に応じて約7.336%の頻度のCTGからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.000%の頻度のCTAからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.000%の頻度のCTTからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.000%の頻度のCTCからなるコドン;約1%またはそれよりも高い、必要に応じて約1.158%の頻度のATGからなるコドン;約0%~約2%、必要に応じて約1.158%の頻度のAACまたはAATからなるコドン、約1%またはそれよりも高い、必要に応じて約1.158%の頻度のAACまたはAATからなるコドン;約0%~約1%、必要に応じて約0.000%の頻度のCCGからなるコドン、約0%~約2%、必要に応じて約1.158%の頻度のCCAからなるコドン、約0%~約2%、必要に応じて約1.158%の頻度のCCTからなるコドン、約1%またはそれよりも高い、必要に応じて約1.544%の頻度のCCCからなるコドン;約5%またはそれよりも高い、必要に応じて約5.019%の頻度のCAGからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.386%の頻度のCAAからなるコドン;約0%~約1%、必要に応じて約0.772%の頻度のAGGからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.000%の頻度のAGAからなるコドン、約1%またはそれよりも高い、必要に応じて約1.544%の頻度のCGGからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.386%の頻度のCGAからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.000%の頻度のCGTからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.386%の頻度のCGCからなるコドン;約0%~約1%、必要に応じて約0.000%の頻度のAGTからなるコドン、約6%またはそれよりも高い、必要に応じて約6.178%の頻度のAGCからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.000%の頻度のTCGからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.386%の頻度のTCAからなるコドン、約4%またはそれよりも高い、必要に応じて約4.633%の頻度のTCTからなるコドン、約4%またはそれよりも高い、必要に応じて約4.247%の頻度のTCCからなるコドン;約0%~約1%、必要に応じて約0.000%の頻度のACGからなるコドン、約4%またはそれよりも高い、必要に応じて約4.247%の頻度のACAからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.386%の頻度のACTからなるコドン、約4%またはそれよりも高い、必要に応じて約4.247%の頻度のACCからなるコドン;約3%またはそれよりも高い、必要に応じて約3.861%の頻度のGTGからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.386%の頻度のGTAからなるコドン、約0%~約1%、必要に応じて約0.000%の頻度のGTTからなるコドン、約0%~約2%、必要に応じて約1.158%の頻度のGTCからなるコドン;約2%またはそれよりも高い、必要に応じて約2.703%の頻度のTGGからなるコドン;約2%またはそれよりも高い、必要に応じて約2.703%の頻度のTATからなるコドン、および約0%~約2%、必要に応じて約1.544%の頻度のTACからなるコドンを含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。
【0187】
一部の実施形態では、配列番号1のnt1~nt777の等価物は、下記の表に開示されているコドン頻度またはコドン使用選好を含む。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0188】
一部の実施形態では、本明細書に開示される核酸分子は、配列番号1の等価物のnt55~nt777を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。
【0189】
一部の実施形態では、配列番号1の等価物は、配列番号1のヌクレオチド(nt)55~408を含む。一部の実施形態では、配列番号1の等価物は、配列番号1のnt454~nt777を含む。一部の実施形態では、配列番号1の等価物は、配列番号1のnt841~nt921を含む。一部の実施形態では、配列番号1の等価物は、配列番号1のnt922~nt1044を含む。一部の実施形態では、配列番号1の等価物は、配列番号1のnt1045~nt1380を含む。一部の実施形態では、配列番号1の等価物は、配列番号1のnt55~nt408および配列番号1のnt454~nt777を含む。一部の実施形態では、配列番号1の等価物は、配列番号1のnt55~nt408、配列番号1のnt454~nt777、配列番号1のnt841~nt921、配列番号1のnt922~nt1044、および配列番号1のnt1045~nt1380を含む。一部の実施形態では、核酸分子は、配列番号1を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。一部の実施形態では、配列番号1の等価物は、配列番号1のアラインメントされたnt残基で置換された少なくとも1つのnt残基を含む配列番号14のポリヌクレオチドを含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。さらなる実施形態では、置換されたnt残基は、元のnt残基とは異なる。
【0190】
一態様では、CARをコードする核酸分子が提供される。一部の実施形態では、核酸分子は、必要な調節配列、例えば、細胞における発現のためのプロモーター、またはエンハンサーをさらに含む。一部の実施形態では、核酸分子は、CARの発現を方向づける第1の調節配列をさらに含む。さらなる実施形態では、調節配列は、以下:プロモーター、イントロン、エンハンサーまたはポリアデニル化シグナルのうちの1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、プロモーターは、EF1アルファプロモーターである。一部の実施形態では、プロモーターは、CMVプロモーターである。一部の実施形態では、プロモーターは、MMLVプロモーターである。さらなる実施形態では、核酸分子は、同じ第1の調節配列または第2の調節配列、例えばプロモーターエレメントなどによって調節され得る短縮型タンパク質マーカーをさらにコードする。一部の実施形態では、第2のプロモーターは、EF1アルファプロモーターを含む。当業者には明らかである通り、プロモーター(複数可)は宿主発現系に対して選択され、宿主および発現ベクターならびに意図された使用によって変動する。一実施形態では、調節配列のいずれか一方または両方を細胞特異的または組織特異的なものにすることができる。
【0191】
本明細書に記載のCARは当技術分野で公知の任意の手段で作製することができるが、組換えDNA技法を使用して作製することが好ましい。キメラ受容体のいくつかの領域をコードする核酸を調製し、都合のよい当技術分野で公知の分子クローニングの標準の技法(ゲノムライブラリースクリーニング、オーバーラップPCR、プライマー補助ライゲーション、部位特異的突然変異誘発など)によって完全なコード配列にアセンブルすることができる。得られたコード領域を発現ベクターに挿入し、それを使用して適切な発現宿主細胞株、好ましくはTリンパ球、最も好ましくは自己Tリンパ球を形質転換することが好ましい。
【0192】
患者から単離された種々のT細胞サブセットに対して、CAR発現のためのベクターを用いた形質導入を行うことができる。有用なT細胞サブセットの1つはセントラルメモリーT細胞である。セントラルメモリーT細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)から、例えば、CLINIMACS(登録商標)デバイスを使用して所望の受容体を発現する細胞を免疫磁気により選択することによりCD45RO+/CD62L+細胞を選択することによって単離することができる。セントラルメモリーT細胞について富化した細胞を抗CD3/CD28で活性化し、例えば、CARの発現を方向づけるレンチウイルスベクターならびにin vivo検出、除去、および潜在的なex vivo選択のための非免疫原性表面マーカーを用いて形質導入することができる。活性化/遺伝子改変されたCAR T細胞をin vitroにおいてIL-2/IL-15を用いて増大させ、次いで、凍結保存することができる。CAR T細胞の調製の追加的な方法は、PCT/US2016/043392に見いだすことができる。
【0193】
一部の実施形態では、FLT3 CDRドメインアミノ酸配列のさらなる非限定的な例は、米国特許第10,961,312号、WO2020/010284、米国特許出願第US20180346601号の表1~4、米国特許出願第US20180037657号の表V、米国特許出願第US20170037149号の表10、米国特許出願第US20160272716号の表V、米国特許出願第US20110091470号の表1~3および米国特許出願第US20090297529号の表1~3に記載されている。FLT3重鎖可変領域および軽鎖可変領域アミノ酸配列の非限定的な例は、米国特許第10,961,312号、WO2020/010284、米国特許出願第US20180346601号の表1および3、米国特許出願第US20180037657号の表X、米国特許出願第US20170037149号の表10および米国特許出願第US20160272716号の表VIIに記載されている。
【0194】
一態様では、ポリヌクレオチドは、CD28膜貫通ドメインまたはCD8α膜貫通ドメインを含む、またはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる膜貫通ドメインをさらにコードする。別の態様では、ポリヌクレオチドは、CD28共刺激シグナル伝達領域または4-1BB共刺激シグナル伝達領域またはその両方を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる細胞内ドメインをさらにコードする。さらなる態様では、ポリヌクレオチドは、CD3ゼータシグナル伝達ドメインをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。
【0195】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるCARまたはその細胞質ドメインは、IL2Rβまたはその断片をさらに含む。さらなる実施形態では、IL2Rβの断片は、免疫細胞の活性化を容易にする、IL2RβのJAK-STAT活性化ドメインを含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。
【0196】
一部の実施形態では、CARを発現する細胞は、免疫調節性分子またはサイトカインをさらに発現し、必要に応じて分泌する。さらなる実施形態では、CARを発現する細胞は、免疫調節分子またはサイトカインの抑制因子を低発現レベルまたは低活性で含む。一実施形態では、CARを発現する細胞は、IL-15を発現するが、サイトカイン誘導性Src相同性2含有タンパク質(CIS)は発現しない。例えば、Daher et al. Blood 2021 Feb 4; 137 (5): 624-636を参照されたい。
短縮型EGFRおよび短縮型CD19
【0197】
一部の実施形態では、CARを発現する細胞は、CARの発現または活性化、または発現と活性化の両方を制御するための切り換え機構も含み得る。例えば、CARは、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含み得る、またはそれからなり得る、またはそれから本質的になり得、ここで、細胞外ドメインは、標的細胞(例えば、がん細胞など)上にまたはそれによって発現される標的抗原以外の分子に特異的な標識、結合性ドメインまたはタグに結合する標的特異的結合性エレメントを含む。一部の実施形態では、そのような標識、結合性ドメインまたはタグは、標的細胞上にまたは標的細胞によって発現される標的抗原を認識し、それに結合する。そのような実施形態では、CARの特異性は、標識、結合性ドメインまたはタグによって認識されるまたはそれに結合するCAR上の標的抗原結合性ドメインおよびドメインを含む、それからなる、またはそれから本質的になる第2の構築物によってもたらされる。例えば、WO2013/044225、WO2016/000304、WO2015/057834、WO2015/057852、WO2016/070061、US9,233,125、US2016/0129109を参照されたい。このように、CARを発現するT細胞、NK細胞または他の細胞を対象に投与することができるが、当該細胞は、FLT3特異的結合性ドメインなどの標識、結合性ドメインまたはタグを含む第2の組成物が投与されるまで、標的抗原(すなわち、FLT3)に結合できない。
【0198】
本開示のCARはさらに、それらの機能を活性にするために多量体形成を必要とし得る(例えば、US2015/0368342、US2016/0175359、US2015/0368360を参照されたい)、および/または、T細胞応答またはNK細胞応答などの免疫細胞応答を引き出すために小分子薬物などの外因性シグナルを必要とし得る(US2016/0166613、Yung et al., Science, 2015)。
【0199】
さらに、開示されるCARを発現する細胞は、処置後にCARを発現する細胞の細胞死を誘導するため(Buddee et al., PLoS One, 2013)、または標的抗原への結合後にCARの発現をダウンレギュレートするため(WO2016/011210)に、「自殺スイッチ」を含み得る。非限定的な例示的な自殺スイッチまたは自殺遺伝子はiCaspである。一部の実施形態では、本明細書に開示されるCARおよび/またはその細胞質ドメインは、自殺遺伝子産物をさらに含む。さらなる実施形態では、自殺遺伝子産物は、HSV-TK(単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ)、シトシンデアミナーゼ、ニトロレダクターゼ、カルボキシルエステラーゼ、シトクロムP450またはPNP(プリンヌクレオシドホスホリラーゼ)、短縮型EGFRまたは誘導性カスパーゼ(「iCasp」)のうちの1つまたは複数から選択される。一部の実施形態では、自殺遺伝子産物は、本明細書に開示される短縮型タンパク質マーカーである。
【0200】
CD3ζシグナル伝達ドメインの後にリボソームスキップ配列(例えば、LEGGGEGRGSLLTCGDVEENPGPR;配列番号9)、および:
【化23】
と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%同一であるかまたは同一である配列を有する短縮型EGFRが続き得る。一部の場合では、短縮型EGFRは、配列番号10と比較して1個、2個、3個、4個または5個のアミノ酸の変化(好ましくは保存的)を有する。
【0201】
あるいは、CD3ζシグナル伝達ドメインの後にリボソームスキップ配列(例えば、LEGGGEGRGSLLTCGDVEENPGPR;配列番号9)、および:
【化24】
と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%同一であるかまたは同一である配列を有する短縮型CD19が続き得る。
ベクター
【0202】
本開示は、本明細書に開示されるポリヌクレオチドの任意の1つまたは複数を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなるベクターも提供する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドまたはベクターは、ポリヌクレオチドまたはCARの発現を駆動するための調節エレメントをさらに含む、またはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。さらなる実施形態では、調節エレメントは、以下のうちの1つまたは複数を含む:プロモーター、イントロン、エンハンサーまたはポリアデニル化シグナル。一部の実施形態では、ベクターは、検出可能なまたは精製用マーカーをさらに含む。
【0203】
一部の態様では、本明細書に開示される核酸分子またはそれと相補的な核酸分子を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなるベクターが提供される。一部の実施形態では、ベクターは、ウイルスベクターである。それに加えて、またはその代わりに、ベクターは、発現ベクターである。一部の実施形態では、ベクターはレンチウイルスベクターである。一部の実施形態では、ベクターはレトロウイルスベクターである。一部の実施形態では、ベクター内で、配列番号1のヌクレオチド配列またはその等価物の発現は、プロモーター、必要に応じてEF-1アルファプロモーター、CMVプロモーターまたはMMLVプロモーターの制御下にある。
【0204】
一部の実施形態では、ベクターは、非ウイルスベクター(例えば、プラスミドなど)である。他の実施形態では、ベクターは、ウイルスベクターであり、その非限定的な例は、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、およびアデノ随伴ウイルスベクターの群から選択される。一部の実施形態では、本明細書に開示される核酸分子を、ベクター、例えば、発現ベクター、例えば、レンチウイルスベクターもしくはレトロウイルスベクター(5’LTRと3’LTRの間に)またはアデノウイルスベクターまたは遺伝子を発現させることができる任意の他のベクターに挿入することができる。
【0205】
一部の実施形態では、ベクターは、野生型ウイルスに由来するまたはそれに基づくものである。さらなる実施形態では、ベクターは、野生型レンチウイルスに由来するまたはそれに基づくものである。そのようなベクターの例としては、これだけに限定することなく、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)、ビスナ/マエディウイルス(VMV)、ヤギ関節炎脳炎ウイルス(CAEV)、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)およびネコ免疫不全ウイルス(FIV)が挙げられる。あるいは、マウス白血病ウイルス(MLV)などの他のレトロウイルスをベクター骨格の基礎として使用できることが意図されている。一部の実施形態では、本開示において使用するためのレトロウイルスベクターとしては、これだけに限定されないが、Lentigen Corp.によって製造されているInvitrogen’s pLenti series versions4,6,and 6.2「ViraPower」system;City of Hope Research Instituteによって自作され使用されているpHIV-7-GFP;Clontechによって製造されている「Lenti-X」レンチウイルスベクター、pLVX;Sigma-Aldrichによって製造されているpLKO.1-puro;Open Biosystemsによって製造されているpLemiR;およびCharite Medical School、Institute of Virology(CBF)、Berlin、Germanyによって自作され使用されているpLVが挙げられる。組換えレンチウイルスベクターは当技術分野で公知であり、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,924,123号;同第7,056,699号;同第7,419,829号および同第7,442,551号を参照されたい。本開示によるウイルスベクターは特定のウイルスの構成成分に限定される必要はないことが明らかになろう。ウイルスベクターは、2種またはそれよりも多くの異なるウイルスに由来する構成成分を含んでよく、また、合成の構成成分を含んでもよい。標的細胞特異性などの所望の特徴が得られるようにベクター構成成分を操作することができる。
【0206】
米国特許第6,924,123号には、ある特定のレトロウイルス配列により、標的細胞ゲノムへの組込みが容易になることが開示されている。この特許では、各レトロウイルスゲノムが、ビリオンタンパク質および酵素をコードするgag、polおよびenvと称される遺伝子を含むことが教示されている。これらの遺伝子の両端には長い末端反復配列(LTR)と称される領域が隣接している。LTRは、プロウイルスの組込み、および転写を担う。LTRはまた、エンハンサー-プロモーター配列としての機能も果たす。言い換えれば、LTRにより、ウイルス遺伝子の発現を制御することができる。レトロウイルスRNAのカプシド形成はウイルスゲノムの5’末端に位置するpsi配列によって起こる。LTR自体は同一の配列であり、U3、RおよびU5と称される3つのエレメントに分けることができる。U3は、RNAの3’末端に独特の配列に由来する。Rは、RNAの両端における反復配列に由来し、U5は、RNAの5’末端に独特の配列に由来する。これらの3つのエレメントのサイズは、異なるレトロウイルスの間で相当に変動し得る。ウイルスゲノムに関しては、ポリ(A)付加(終結)の部位がLTRの右側のRとU5の境界にある。U3は、プロウイルスの転写制御エレメントの大多数を含有し、これらのエレメントには、細胞内転写活性化因子タンパク質および一部の場合ではウイルス転写活性化因子タンパク質に対して応答性のプロモーターおよび複数のエンハンサー配列を含む。
【0207】
構造遺伝子gag、polおよびenv自体に関しては、gagは、ウイルスの内部の構造タンパク質をコードする。gagタンパク質は、タンパク質分解によりプロセシングされて、成熟タンパク質MA(マトリックス)、CA(カプシド)およびNC(ヌクレオカプシド)になる。pol遺伝子は、ゲノムの複製を媒介する、DNAポリメラーゼを含有する逆転写酵素(RT)、関連するRNase Hおよびインテグラーゼ(IN)をコードする。
【0208】
ウイルスベクター粒子の産生のために、宿主細胞において、ベクターRNAゲノムを、それをコードするDNA構築物から発現させる。ベクターゲノムによりコードされない粒子の構成成分は、宿主細胞において発現される追加的な核酸配列(通常gag/polおよびenv遺伝子のいずれかまたはその両方を含む「パッケージング系」)によってトランスでもたらされる。ウイルスベクター粒子の産生のために必要な配列のセットを、宿主細胞に一過性トランスフェクションによって導入することもでき、宿主細胞のゲノムに組み込むこともでき、種々のやり方を合わせてもたらすこともできる。必要になる技法は当業者に公知である。
【0209】
一部の実施形態では、本明細書に開示される核酸分子を細胞において発現させるためのベクター、すなわち、発現ベクターが提供される。一部の実施形態では、発現ベクターを作製するためのベクター、すなわち、作製用ベクターまたはパッケージングベクター、例えば、ウイルスベクターゲノムを複製するためのプラスミドが提供され、そのようなベクターゲノムは、ウイルスベクター内に適当にパッケージングされると、細胞に形質導入することができ、その結果、細胞における核酸分子の発現がもたらされる。2つの例示的な作製用ベクターが
図2におよび
図3に例示されている。
【0210】
単離された核酸をレトロウイルスパッケージング系に、パッケージングベクターおよび細胞株を使用してパッケージングすることができる。パッケージングベクターとしては、これだけに限定されないが、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、およびアデノ随伴ウイルスベクターが挙げられる。パッケージングベクターは、遺伝子材料の細胞への送達を容易にするエレメントおよび配列を含有する。例えば、レトロウイルス構築物は、複製インコンピテントレトロウイルスベクターのパッケージングに必要な全てのビリオンタンパク質をトランスにコードする複製インコンピテントレトロウイルスゲノムに由来する少なくとも1つのレトロウイルスヘルパーDNA配列を含む、複製コンピテントヘルパーウイルスを生じさせることなく複製インコンピテントレトロウイルスベクターを高力価でパッケージングすることが可能なビリオンタンパク質を産生させるための、パッケージングベクターである。レトロウイルスDNA配列は、ウイルスのウイルス5’LTRのネイティブなエンハンサーおよび/またはプロモーターをコードする領域を欠き、また、ヘルパーゲノムのパッケージングを担うpsi機能配列および3’LTRの両方を欠くが、外来ポリアデニル化部位、例えば、SV40ポリアデニル化部位、ならびに、ウイルス産生が望まれる細胞型における効率的な転写を方向づける外来エンハンサーおよび/またはプロモーターをコードする。レトロウイルスは、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)またはテナガザル白血病ウイルス(GALV)などの白血病ウイルスである。外来エンハンサーおよびプロモーターは、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)最初期(IE)エンハンサーおよびプロモーター、モロニーマウス肉腫ウイルス(MMSV)のエンハンサーおよびプロモーター(U3領域)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)のU3領域、脾フォーカス形成ウイルス(SFFV)のU3領域、またはネイティブなモロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)プロモーターと接合したHCMV IEエンハンサーであってよい。レトロウイルスパッケージングベクターは、プラスミドに基づく発現ベクターによってコードされる2つのレトロウイルスヘルパーDNA配列からなるものであってもよく、その場合、例えば、第1のヘルパー配列が狭宿主性MMLVまたはGALVのgagおよびpolタンパク質をコードするcDNAを含有し、第2のヘルパー配列がenvタンパク質をコードするcDNAを含有する。宿主域を決定するEnv遺伝子は、異種栄養性、広宿主性、狭宿主性、ポリトロピック(ミンクフォーカス形成)または10A1マウス白血病ウイルスenvタンパク質またはテナガザル白血病ウイルス(GALV envタンパク質、ヒト免疫不全ウイルスenv(gp160)タンパク質、水疱性口内炎ウイルス(Vesicular Stomatitus Virus)(VSV)Gタンパク質、ヒトT細胞白血病(HTLV)I型およびII型env遺伝子産物をコードする遺伝子、上述のenv遺伝子のうちの1つまたは複数の組合せに由来するキメラエンベロープ遺伝子または上述のenv遺伝子産物の細胞質および膜貫通をコードするキメラエンベロープ遺伝子、ならびに所望の標的細胞上の特定の表面分子を対象とするモノクローナル抗体に由来するものであり得る。
【0211】
パッケージングプロセスにおいて、パッケージングベクターおよびレトロウイルスベクターを、ウイルスを産生させることが可能な哺乳動物細胞の第1の集団、例えば、ヒト胎児由来腎臓細胞、例えば、293細胞(ATCC番号CRL1573、ATCC、Rockville、Md.)に一過性に同時トランスフェクトして、高力価の組換えレトロウイルスを含有する上清を生じさせる。本開示の別の方法では、次いで、この一過性にトランスフェクトされた第1の細胞の集団を哺乳動物標的細胞、例えば、ヒトリンパ球と共培養(cultivate)して、標的細胞に外来遺伝子を高効率で形質導入する。本開示のさらに別の方法では、上記の一過性にトランスフェクトされた第1の細胞の集団由来の上清を哺乳動物標的細胞、例えば、ヒトリンパ球または造血幹細胞と一緒にインキュベートして、標的細胞に外来遺伝子を高効率で形質導入する。
【0212】
別の態様では、パッケージングベクターを、ウイルスを産生させることが可能な哺乳動物細胞の第1の集団、例えば、ヒト胎児由来腎臓細胞、例えば、293細胞において安定に発現させる。レトロウイルスまたはレンチウイルスベクターを、選択マーカーと同時トランスフェクション、またはシュードタイピングされたウイルスの感染のいずれかによって細胞に導入する。どちらの場合でもベクターは組み込まれる。あるいは、ベクターをエピソームとして維持されるプラスミドとして導入することもできる。高力価の組換えレトロウイルスを含有する上清を生じさせる。
【0213】
明らかである通り、ヒト患者に対して臨床的に使用する場合、マーカーまたは精製タグを構築物から省く。細胞に、本明細書に記載のウイルスベクターを使用して、あるいは"Nonviral RNA transfection to transiently modify T cell with chimeric antigen receptors for adoptive therapy"というタイトルのRiet et al. (2013) Meth. Mol. Biol. 969: 187-201に記載の技術を使用して形質導入することができる。
【0214】
外因性核酸を宿主細胞に導入するさらなる方法が公知であり、それらとして、これだけに限定されないが、RNA電気穿孔、ナノテクノロジー、sleeping beautyベクター、レトロウイルス、および/またはアデノウイルスのうちの1つまたは複数を使用した遺伝子送達が挙げられる。
【0215】
外因性核酸を宿主細胞に導入するために使用される方法にかかわらず、宿主細胞内に組換えDNA配列が存在することを確認するために、種々のアッセイを実施することができる。そのようなアッセイとしては、例えば、当業者に周知の「分子生物学的」アッセイ、例えば、サザンブロット法およびノーザンブロット法、RT-PCRおよびPCRなど;「生化学的」アッセイ、例えば、特定のペプチドの存在または非存在を、例えば、免疫学的手段(ELISAおよびウエスタンブロット)によって、または本開示の範囲内に入る作用剤を同定するための本明細書に記載のアッセイによって検出することなどが挙げられる。
細胞
【0216】
一部の態様では、本明細書に開示される核酸分子または本明細書に開示されるベクターを含むヒトT細胞またはNK細胞の集団が提供される。一部の実施形態では、単離された細胞またはヒトT細胞またはNK細胞の集団は、セントラルメモリーT細胞、NK細胞、ナイーブメモリーT細胞、汎T細胞またはCD25+細胞およびCD14+細胞が実質的に枯渇したPBMCを含む。
【0217】
さらなる態様では、本明細書に開示される核酸分子または本明細書に開示されるベクターを含む単離された細胞が提供される。一部の実施形態では、細胞は、免疫細胞、NK細胞、T細胞、幹細胞、前駆細胞または前駆体細胞の群から選択される。単離された細胞を含む細胞の集団も提供される。
【0218】
なおさらなる実施形態では、本明細書に開示される細胞集団、本明細書に開示される細胞、および担体、ならびに必要に応じて安定剤、保存剤または凍結保存剤を含む、またはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる組成物が提供される。
【0219】
一部の実施形態では、細胞集団は、実質的に均一である。さらなる実施形態では、集団は、少なくとも90%(これだけに限定されないが、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%を含む)の、同じ少なくとも1種の細胞亜型の細胞を含み、例えば、細胞の少なくとも90%がT細胞またはNK細胞である。
【0220】
本明細書に開示されるベクター、本明細書に開示されるCAR、本明細書に開示される短縮型タンパク質マーカー、または本明細書に記載のポリヌクレオチドのうちの任意の1つまたは複数を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる単離された細胞も本明細書で提供される。
【0221】
細胞は、原核細胞(例えば、細菌細胞)であっても真核細胞であってもよい。真核細胞の非限定的な例としては、これだけに限定されないが、酵母細胞、動物細胞、哺乳動物細胞、ウシ細胞、ネコ細胞、イヌ細胞、マウス細胞、ウマ細胞またはヒト細胞が挙げられる。一部の実施形態では、単離された細胞は、CARを発現する。さらなる実施形態では、単離された細胞は、短縮型タンパク質マーカーを発現する。一部の実施形態では、細胞は、検出可能なまたは精製用マーカーをさらに含む。
【0222】
一部の実施形態では、真核細胞、哺乳動物またはヒト細胞は、免疫細胞、必要に応じてT細胞、B細胞、NK細胞、NKT細胞、樹状細胞、骨髄細胞、単球、マクロファージ、これらの任意のサブセットまたは任意の他の免疫細胞である。一部の実施形態では、細胞は、T細胞、B細胞、NK細胞、NKT細胞、樹状細胞、骨髄細胞、単球、マクロファージから必要に応じて選択される免疫細胞である。ある特定の実施形態では、単離された細胞は、T細胞、例えば、動物T細胞、哺乳動物T細胞、ネコT細胞、イヌT細胞またはヒトT細胞である。ある特定の実施形態では、単離された細胞は、NK細胞、例えば、動物NK細胞、哺乳動物NK細胞、ネコNK細胞、イヌNK細胞またはヒトNK細胞である。ある特定の実施形態では、単離された細胞は、NKT細胞、例えば、動物NKT細胞、哺乳動物NKT細胞、ネコNKT細胞、イヌNKT細胞またはヒトNKT細胞である。ある特定の実施形態では、単離された細胞は、B細胞、例えば、動物B細胞、哺乳動物B細胞、ネコB細胞、イヌB細胞またはヒトB細胞である。各種について同じまたは同様の実施形態が樹状細胞、骨髄細胞、単球、マクロファージ、これらの任意のサブセット、または記載されているT細胞、NK細胞、NKT細胞、およびB細胞、または任意の他の免疫細胞に適用されることが理解される。さらなる実施形態では、T細胞は、ガンマ-デルタT細胞である。一態様では、細胞は、遺伝子編集技術、例えば、CRISPRまたはTALENを使用して、CD52発現が除去されるように改変されたT細胞である。
【0223】
一部の実施形態では、細胞は、造血幹細胞(HSC)、人工多能性幹細胞(iPSC)または免疫細胞から選択される。さらなる実施形態では、免疫細胞は、造血幹細胞(HSC)または人工多能性幹細胞(iPSC)に由来する。
【0224】
細胞は、患者、ドナーまたは既製品として入手可能なものなどの細胞株に由来するものであってよい。細胞は、処置される対象に対して自己であっても同種であってもよい。一部の実施形態では、本明細書に開示される細胞の増大および遺伝子改変の前に、細胞を、対象から得ることができる-例えば、自己治療を伴う実施形態において-または、市販の細胞株もしくは細胞培養物、または人工多能性幹細胞(iPSC)などの幹細胞から得ることができる。
【0225】
細胞は、末梢血、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血(cord blood)、胸腺組織、感染部位由来の組織、腹水、胸水、脾臓組織、および腫瘍を含めた、対象内のいくつかの供給源から得ることができる。
【0226】
関連性のある細胞を単離する方法が当技術分野で周知であり、本出願に容易に適合させることができる;例示的な方法が下記の実施例に記載されている。本開示との関連で使用するための単離方法としては、これだけに限定されないが、Life Technologies DYNABEADS(登録商標)System;STEMcell Technologies EASYSEP(商標)、ROBOSEP(商標)、ROSETTESEP(商標)、SEPMATE(商標);Miltenyi Biotec MACS(商標)細胞分離キット、および他の市販の細胞分離および単離キットが挙げられる。そのようなキットに利用可能な、独特の細胞表面マーカーに特異的なビーズまたは他の結合性物質を使用することにより、免疫細胞の特定の亜集団を単離することができる。例えば、MACS(商標)CD4+MicroBeadsおよびCD8+MicroBeadsを使用して、CD4+T細胞およびCD8+T細胞を単離することができる。公知の技法に従って単離することができる細胞の非限定的な代替の例としては、大半のT細胞、NK T細胞、およびガンマデルタT細胞が挙げられる。
【0227】
あるいは、これだけに限定されないが、T細胞については以下の株、BCL2(AAA)Jurkat(ATCC(登録商標)CRL-2902(商標))、BCL2(S70A)Jurkat(ATCC(登録商標)CRL-2900(商標))、BCL2(S87A)Jurkat(ATCC(登録商標)CRL-2901(商標))、BCL2 Jurkat(ATCC(登録商標)CRL-2899(商標))、Neo Jurkat(ATCC(登録商標)CRL-2898(商標));B細胞については以下の株、AHH-1(ATCC(登録商標)CRL-8146(商標))、BC-1(ATCC(登録商標)CRL-2230(商標))、BC-2(ATCC(登録商標)CRL-2231(商標))、BC-3(ATCC(登録商標)CRL-2277(商標))、CA46(ATCC(登録商標)CRL-1648(商標))、DG-75[D.G.-75](ATCC(登録商標)CRL-2625(商標))、DS-1(ATCC(登録商標)CRL-11102(商標))、EB-3[EB3](ATCC(登録商標)CCL-85(商標))、Z-138(ATCC #CRL-3001)、DB(ATCC CRL-2289)、Toledo(ATCC CRL-2631)、Pfiffer(ATCC CRL-2632)、SR(ATCC CRL-2262)、JM-1(ATCC CRL-10421)、NFS-5 C-1(ATCC CRL-1693);NFS-70 C10(ATCC CRL-1694)、NFS-25 C-3(ATCC CRL-1695)、およびSUP-B15(ATCC CRL-1929);ならびにNK細胞については、以下の株、NK-92(ATCC(登録商標)CRL-2407(商標))、NK-92MI(ATCC(登録商標)CRL-2408(商標))を含む、市販の細胞培養物から細胞を得ることもできる。さらなる例としては、これだけに限定されないが、成熟T細胞株、例えば、Deglis、EBT-8、HPB-MLp-W、HUT 78、HUT 102、Karpas 384、Ki 225、My-La、Se-Ax、SKW-3、SMZ-1およびT34;未成熟T細胞株、例えば、ALL-SIL、Be13、CCRF-CEM、CML-T1、DND-41、DU.528、EU-9、HD-Mar、HPB-ALL、H-SB2、HT-1、JK-T1、Jurkat、Karpas 45、KE-37、KOPT-K1、K-T1、L-KAW、Loucy、MAT、MOLT-1、MOLT 3、MOLT-4、MOLT 13、MOLT-16、MT-1、MT-ALL、P12/Ichikawa、Peer、PER0117、PER-255、PF-382、PFI-285、RPMI-8402、ST-4、SUP-T1~T14、TALL-1、TALL-101、TALL-103/2、TALL-104、TALL-105、TALL-106、TALL-107、TALL-197、TK-6、TLBR-1、-2、-3、および-4、CCRF-HSB-2(CCL-120.1)、J.RT3-T3.5(ATCC TIB-153)、J45.01(ATCC CRL-1990)、J.CaM1.6(ATCC CRL-2063)、RS4;11(ATCC CRL-1873)、CCRF-CEM(ATCC CRM-CCL-119);皮膚T細胞リンパ腫株、例えば、HuT78(ATCC CRM-TIB-161)、MJ[G11](ATCC CRL-8294)、HuT102(ATCC TIB-162);未分化大細胞リンパ腫に由来するB細胞株、例えば、DEL、DL-40、FE-PD、JB6、Karpas 299、Ki-JK、Mac-2A Ply1、SR-786、SU-DHL-1、-2、-4、-5、-6、-7、-8、-9、-10、および-16、DOHH-2、NU-DHL-1、U-937、Granda 519、USC-DHL-1、RL;ホジキンリンパ腫、例えば、DEV、HD-70、HDLM-2、HD-MyZ、HKB-1、KM-H2、L 428、L 540、L1236、SBH-1、SUP-HD1、およびSU/RH-HD-1;ならびにNK株、例えば、HANK1、KHYG-1、NKL、NK-YS、NOI-90、およびYTなどが挙げられる。これだけに限定されないが、REH、NALL-1、KM-3、L92-221を含めたヌル白血病細胞株が別の商業的に入手可能な免疫細胞の供給源であり、他の白血病およびリンパ腫、例えば、K562赤白血病、THP-1単球性白血病、U937リンパ腫、HEL赤白血病、HL60白血病、HMC-1白血病、KG-1白血病、U266骨髄腫に由来する細胞株も同様である。そのような市販の細胞株の非限定的な例示的な供給源としては、American Type Culture CollectionまたはATCC(atcc.org/)およびGerman Collection of Microorganisms and Cell Cultures(dsmz.de/)が挙げられる。
【0228】
一部の実施形態では、開示されるCARを発現するT細胞を、内因性TCRの発現が低減するまたは排除されるようにさらに改変することができる。内因性TCRの低減または排除により、オフターゲットの効果を減少させ、T細胞の効果を増大させることができる。機能的なTCRの発現を安定に欠くT細胞は、種々の手法を使用して作製することができる。T細胞は、T細胞受容体全体を複合体として内部移行し、分別し、分解し、半減期は静止T細胞では約10時間であり、刺激されたT細胞では3時間である(von Essen, M. et al. 2004. J. Immunol. 173: 384-393)。TCR複合体の適当な機能には、TCR複合体を構成するタンパク質の適当な化学量論的比率が必要である。TCR機能にはまた、2つの機能性の、ITAMモチーフを有するTCRゼータタンパク質も必要である。TCRがそのMHC-ペプチドリガンドと会合した際に活性化されるには、同じT細胞上のいくつかのTCRが会合する必要があり、それらの全てが適当にシグナル伝達しなければならない。したがって、TCR複合体が適当に結び付かない、または最適にシグナル伝達できないタンパク質で不安定化されると、T細胞は細胞応答の開始に十分には活性化されない。
【0229】
したがって、一部の実施形態では、TCR発現を、初代T細胞における特定のTCR(例えば、TCR-αおよびTCR-β)および/またはCD3鎖をコードする核酸を標的とする、RNA干渉(例えば、shRNA、siRNA、miRNAなど)、CRISPRまたは他の方法を使用して排除することができる。これらのタンパク質のうちの1つまたは複数の発現を遮断することにより、T細胞はTCR複合体の重要な構成成分のうちの1つまたは複数をもはや産生せず、それにより、TCR複合体が不安定化され、機能的なTCRの細胞表面発現が妨げられる。RNA干渉を使用した場合、一部のTCR複合体が細胞表面に再生利用される可能性があるにもかかわらず、RNA(例えば、shRNA、siRNA、miRNAなど)により、TCRタンパク質の新規産生が妨げられ、その結果、TCR複合体全体の分解および除去がもたらされ、その結果、機能的なTCR発現が安定に欠損したT細胞の産生がもたらされる。
【0230】
初代T細胞における阻害性RNA(例えば、shRNA、siRNA、miRNAなど)の発現は、任意の従来の発現系、例えば、レンチウイルス発現系を使用して実現することができる。レンチウイルスは、静止初代T細胞を標的とすることには有用であるが、全てのT細胞がshRNAを発現するとは限らない。これらのT細胞の一部は、T細胞の機能活性を変更するためにTCR発現の十分な阻害を可能にするのに十分な量のRNAを発現しない可能性がある。したがって、ウイルスによる形質導入後に中程度~高いTCR発現を保持するT細胞を、例えば、細胞選別または分離技法によって除去し、したがって、残りのT細胞を細胞表面TCRまたはCD3が欠損したものにすることができ、それにより、機能的なTCRまたはCD3の発現が欠損した単離されたT細胞の集団を増大させることが可能になる。
【0231】
初代T細胞におけるCRISPRの発現は、従来のCRISPR/Cas系および標的TCRに特異的なガイドRNAを使用して実現することができる。適切な発現系、例えば、レンチウイルスまたはアデノウイルス発現系が当技術分野で公知である。阻害性RNAの送達と同様に、CRISPR系を使用して、静止初代T細胞または他の適切な免疫細胞をCAR細胞療法のために特異的に標的とすることができる。さらに、CRISPR編集が不首尾である限りでは、上に開示されている方法に従って上首尾になるよう細胞を選択することができる。例えば、上記の通り、ウイルスによる形質導入後に中程度~高いTCR発現を保持するT細胞を、例えば、細胞選別または分離技法によって除去し、したがって、残りのT細胞を細胞表面TCRまたはCD3が欠損したものにすることができ、それにより、機能的なTCRまたはCD3の発現が欠損した単離されたT細胞の集団を増大させることが可能になる。CRISPR編集構築物が、内因性TCRのノックアウトおよび本明細書に開示されるCAR構築物のノックインの両方に有用であり得ることがさらに理解される。したがって、これらの目的の一方または両方が実現されるようにCRISPR系を設計することができることが理解される。
【0232】
本明細書に開示される細胞を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上それからなる細胞集団も提供される。さらなる実施形態では、細胞集団は、実質的に均一である。一部の実施形態では、細胞集団は、造血幹細胞(HSC)、人工多能性幹細胞(iPSC)または免疫細胞を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上それからなる。一部の実施形態では、免疫細胞は、T細胞、B細胞、NK細胞、NKT細胞、樹状細胞、骨髄細胞、単球またはマクロファージからなる群から選択される。一部の実施形態では、免疫細胞は、HSCまたはiPSCに由来するものである。一実施形態では、細胞は、遺伝子編集技術、例えば、CRISPRまたはTALENを使用してCD52発現が除去されるように改変されたT細胞である。
【0233】
一部の実施形態では、CAR T細胞またはNK細胞を調製する方法が提供される。方法は、自己または同種ヒトT細胞またはNK細胞の集団を用意するステップと、T細胞またはNK細胞に対して本明細書に開示されるベクターまたは本明細書に開示される核酸分子による形質導入を行うステップとを含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。
【0234】
一部の実施形態では、CARを発現する細胞を調製する方法が提供される。方法は、細胞に対して本明細書に開示されるベクターまたは本明細書に開示される核酸分子を用いた形質導入を行うステップを含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。
【0235】
一部の態様では、本開示は、CAR発現細胞を作製する方法であって、単離された細胞に対して本明細書に開示されるポリヌクレオチドのいずれかを用いた形質導入を行うステップを含む、方法に関する。さらなる実施形態では、方法は、CARを発現する細胞を選択し、単離するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、CARを発現する細胞を作製する方法は、CARを発現する細胞の集団を活性化および増大させるステップをさらに含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。
【0236】
細胞を、望ましいCARを発現するように遺伝子改変する前であるかその後であるかにかかわらず、細胞を、米国特許第6,352,694号;同第6,534,055号;同第6,905,680号;同第6,692,964号;同第5,858,358号;同第6,887,466号;同第6,905,681号;同第7,144,575号;同第7,067,318号;同第7,172,869号;同第7,232,566号;同第7,175,843号;同第5,883,223号;同第6,905,874号;同第6,797,514号;同第6,867,041号およびLapateva et al. (2014) Crit Rev Oncog 19 (1-2): 121-32;Tam et al. (2003) Cytotherapy 5 (3): 259-72;Garcia-Marquez et al. (2014) Cytotherapy 16 (11): 1537-44などの参考文献に記載されているものなどの一般に公知の方法を使用して活性化および増大させることができる。ex vivoにおいて腫瘍と関連性のある抗原で刺激することにより、選択されたCARを発現する細胞亜集団を活性化および増大させることができる。あるいは、細胞を、in vivoにおいて、腫瘍と関連性のある抗原との相互作用によって活性化することができる。
【0237】
ある特定の免疫細胞の場合では、細胞を活性化および増大させるために、追加的な細胞集団、可溶性リガンドおよび/またはサイトカインまたは刺激剤が必要になり得る。関連性のある試薬が当技術分野で周知であり、公知の免疫学的原理に従って選択される。例えば、可溶性CD-40リガンドがある特定のB細胞集団の活性化および増大に役立ち得る;同様に、照射処理したフィーダー細胞をNK細胞の活性化および増大のための手順に使用することができる。
【0238】
関連性のある細胞を活性化する方法が当技術分野で周知であり、本出願に容易に適合させることができる;例示的な方法は下記の実施例に記載されている。本開示との関連で使用するための単離方法としては、これだけに限定されないが、Life Technologies Dynabeads(登録商標)System活性化および増大キット;BD Biosciences Phosflow(商標)活性化キット、Miltenyi Biotec MACS(商標)活性化/増大キット、ならびに関連性のある細胞の活性化部分に特異的な他の市販の細胞キットが挙げられる。免疫細胞の特定の亜集団を、そのようなキットで入手可能なビーズまたは他の作用剤を使用することによって活性化または増大させることができる。例えば、α-CD3/α-CD28 Dynabeads(登録商標)を使用して、単離されたT細胞の集団を活性化および増大させることができる。
FLT3特異的CARを発現させるためのレンチウイルスベクター
【0239】
FLT3特異的CARを、レンチウイルスベクターおよびレトロウイルスベクターを含めた種々のベクターのいずれかを使用してT細胞またはNK細胞において発現させることができる。
【0240】
City of Hope(Duarte CA)にあるT Cell Therapeutics Research Laboratory(TCTRL)により開発されたpHIV7ベクターは、CAR発現のために有用なベクターである。このベクターでは、CARの発現を駆動するためにヒトEF1プロモーターを使用する。pHIV7の構築が
図1に概略的に描かれている。簡単に述べると、gag-polからの653bpとそれに加えてSL3-ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子(Neo)を間に伴う5’および3’末端反復配列(LTR)を含有するpv653RSNを、以下の通りpBluescriptにサブクローニングした:ステップ1において、5’LTRからrev応答性エレメント(RRE)までの配列によりp5’HIV-1 51を作出し、次いで、5’LTRを、TATAボックスの上流の配列を除去し、まずCMVエンハンサーにライゲーションし、次いでSV40複製開始点にライゲーションすることによって改変した(p5’HIV-2)。ステップ2において、3’LTRをpBluescriptにクローニングしてp3’HIV-1を作出した後、3’LTRエンハンサー/プロモーター内に400bpの欠失を作出してHIV U3内のシス調節エレメントを除去し、p3’HIV-2を形成した。ステップ3において、p5’HIV-3およびp3’HIV-2から単離した断片をライゲーションしてpHIV-3を作出した。ステップ4において、p3’HIV-2を、余分の上流HIV配列を除去してp3’HIV-3を生成し、WPREを含有する600-bpのBamHI-SalI断片をp3’HIV-3に付加してp3’HIV-4を作出することによってさらに改変した。ステップ5において、pHIV-3 RREのサイズをPCRによって縮小し、pHIV-3由来の5’断片(示していない)およびp3’HIV-4にライゲーションして、pHIV-6を作出した。ステップ6において、HIV-1 pNL4-3由来のcPPT DNAフラップ配列を含有する190bpのBglII-BamHI断片をpNL4-3から増幅し、pHIV6のRRE配列とWPRE配列の間に置いて、pHIV-7を作出した。この親プラスミドpHIV7-GFP(GFP、緑色蛍光タンパク質)を、4-プラスミド系を使用した親ベクターのパッケージングのために使用した。
【0241】
ウイルスゲノムのベクターへの効率的なパッケージングのためには、パッケージングシグナル、psi ψが必要である。RREおよびWPREによりRNA転写物の輸送および導入遺伝子の発現が増強される。フラップ配列とWPREの組合せにより、哺乳動物細胞におけるレンチウイルスベクターの形質導入効率が増強されることが実証されている。
【0242】
組換えによって複製コンピテントレンチウイルスが生じる確率を低減させるために、ヘルパー機能(ウイルスベクターの作製に必要である)を3つの別々のプラスミドに分割する:1)pCgpは、ウイルスベクターのアセンブリに必要なgag/polタンパク質をコードする;2)pCMV-Rev2は、RRE配列に対して作用して効率的なパッケージングのためのウイルスゲノムの輸送を補助するRevタンパク質をコードする;および3)pCMV-Gは、ウイルスベクターの感染力に必要な水疱性口内炎ウイルス(vesiculo-stomatitis virus)(VSV)の糖タンパク質をコードする。
【0243】
pHIV7によりコードされるベクターゲノムとヘルパープラスミドの間には最小限のDNA配列相同性が存在する。相同性の領域には、pCgpヘルパープラスミドのgag/pol配列内に位置するおよそ600ヌクレオチドのパッケージングシグナル領域;3つ全てのヘルパープラスミド内のCMVプロモーター配列;およびヘルパープラスミドpCgp内のRRE配列が含まれる。これらの領域内の相同性に起因して複製コンピテント組換えウイルスが生じることは、多数の組換え事象が必要になるので、ほぼあり得ない。さらに、得られた組換えのいずれでも機能的なLTRおよびレンチウイルスの複製のために必要なtat配列が欠如すると思われる。CMVプロモーターをEF1α-HTLVプロモーター(EF1p)で置き換えた。EF1pは563bpを有するものであり、これを、CMVプロモーターを切除した後、NruIおよびNheIを使用してepHIV7に導入した。野生型ウイルスの病原性のために必要であり、また、標的細胞への増殖性感染のために必要なgag/polおよびrev以外のレンチウイルスゲノムをこの系から除去した。さらに、ベクター構築物は、インタクトな3’LTRプロモーターを含有せず、したがって、標的化された細胞において得られる発現され逆転写されたDNAプロウイルスゲノムは不活性LTRを有する。この設計の結果として、プロウイルスからHIV-I由来配列は転写されず、治療用配列のみがそれらのそれぞれのプロモーターから発現される。SINベクターにおけるLTRプロモーター活性の除去により、宿主遺伝子の意図的でない活性化の可能性が有意に低減することが予想される。
組成物
【0244】
担体および本明細書に開示されるポリヌクレオチドの任意の1つまたは複数、本明細書に開示されるポリペプチド、本明細書に開示されるベクターの任意の1つ、本明細書に開示される細胞の任意の1つまたは本明細書に開示される細胞集団を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる組成物が本明細書でさらに提供される。一部の実施形態では、担体は、薬学的に許容される担体である。
【0245】
簡単に述べると、本開示の医薬組成物は、これだけに限定されないが、本明細書に記載の特許請求される組成物の任意の1つを、1種または複数種の薬学的にまたは生理的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と組み合わせて含む。そのような組成物は、緩衝剤、例えば、中性緩衝生理食塩水、リン酸緩衝食塩水など;炭水化物、例えば、グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン、マンニトールなど;タンパク質;ポリペプチドまたはアミノ酸、例えば、グリシンなど;抗酸化剤;キレート剤、例えば、EDTAまたはグルタチオンなど;アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);および保存剤を含み得る。本開示の組成物は、局所または全身投与、例えば、経口、静脈内、頭蓋内、局部的、経腸、および/または非経口投与用に製剤化することができる。ある特定の実施形態では、本開示の組成物を静脈内投与用に製剤化する。
【0246】
細胞または組成物の投与は、1回用量で、処置の過程全体を通して連続的にまたは断続的に実施することができ、所望の治療的利益を実現するための有効量が提供される。最も有効な投与の手段および投薬量については、それらを決定する方法が当業者に公知であり、また、治療に使用される組成物、治療の目的および処置される対象によって変動する。治療にあたる医師によって選択される用量レベルおよびパターンを用いて単回または複数回の投与を行うことができる。作用剤の適切な投薬形態および投与方法は当技術分野で公知である。さらなる実施形態では、本開示の細胞および組成物は、併用される治療に使用される作用剤をさらに含む。なおさらなる実施形態では、本開示の細胞および組成物を他の処置または治療と組み合わせて投与することができる。一態様では、対象由来の試料を単離し、FLT3発現についてアッセイした後、開示される治療の投与を行う。したがって、一態様では、方法は、対象から単離された試料中のFLT3発現についてアッセイするステップをさらに含み、試料はがんまたは腫瘍細胞を含有する。
【0247】
細胞および細胞の集団を宿主および/または対象に、当技術分野で公知であり、例えばPCT/US2011/064191に記載されている方法を使用して投与する。対象が非ヒト動物である場合、この本開示の細胞または組成物の投与は、治療のため、または、治療もしくは併用治療に関する実験およびスクリーニングアッセイのための所望の疾患、障害、もしくは状態の動物モデルを生成するために行うことができる。
【0248】
一部の態様では、本開示は、がんまたは腫瘍細胞と結合した本明細書に開示される単離された細胞の任意の1つを含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上それからなる単離された複合体であって、がんまたは腫瘍細胞と、CARを発現する単離された細胞が、CARによって発現される抗原または腫瘍を標的とする抗体の抗原結合性ドメインによって結合している、複合体に関する。
使用方法
【0249】
一部の実施形態では、がん、例えば、急性骨髄性白血病などの、FLT3が発現されるがんに罹患しているヒト患者を処置する方法が提供される。方法は、本明細書に開示される核酸分子を含む自己または同種ヒト細胞、例えば、免疫細胞、T細胞またはNK細胞、幹細胞、前駆細胞、臍帯血(cord blood)細胞、造血幹細胞の集団を投与するステップを含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。当該治療を他の治療と組み合わせることができ、第1選択、第2選択、第3選択、第4選択または第5選択治療として施行することができる。がんは、原発がんまたは転移性もしくは再発性がんであり得る。一態様では、患者は、処置を受ける前に、がん細胞におけるFLT3発現を増大させる作用剤を受けている。
【0250】
一部の実施形態では、それを必要とする患者を処置する方法が提供される。一態様では、患者は、FLT3が発現されるがんまたは腫瘍に罹患している。方法は、本明細書に開示される細胞集団を患者に投与するステップを含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。細胞、例えば、免疫細胞、T細胞またはNK細胞、幹細胞、前駆細胞、臍帯血(cord blood)細胞、造血幹細胞は、処置を受ける患者に対して同種または自己であり得る。当該治療を他の治療と組み合わせることができ、第1選択、第2選択、第3選択、第4選択または第5選択治療として施行することができる。がんは、原発がんまたは転移性もしくは再発性がんであり得る。一態様では、患者は、処置を受ける前に、がん細胞におけるFLT3発現を増大させる作用剤を受けている。
【0251】
一部の実施形態では、患者は、Fms様チロシンキナーゼ3(FLT3)に活性化突然変異を有する腫瘍細胞を有する。さらなる実施形態では、患者は、FLT3-ITD突然変異を有する腫瘍細胞を有する。
【0252】
一部の実施形態では、キメラ抗原受容体を発現する細胞を局所的にまたは全身的に投与する。
【0253】
一部の実施形態では、キメラ抗原受容体を発現する細胞を単回投薬または反復投薬によって投与する。一部の実施形態では、投与を少なくとも1回または少なくとも2回またはそれよりも多く繰り返す。
【0254】
一部の実施形態では、細胞集団は、NK細胞を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。一部の実施形態では、NK細胞は、患者に対して同種である。
【0255】
一部の実施形態では、方法は、本明細書に開示される第2の細胞集団を患者に投与するステップをさらに含む。さらなる実施形態では、第2の細胞集団は、CAR T細胞を含む。細胞は、患者に対して自己または同種であり得る。なおさらなる実施形態では、CAR T細胞は患者に対して自己である。
【0256】
一部の実施形態では、細胞集団は、T細胞を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。
【0257】
一部の実施形態では、方法は、がん細胞におけるFLT3の発現を増大させる薬物を投与するステップをさらに含む。
【0258】
一部の態様では、本開示は、FLT3を発現するがん細胞またはがん細胞を構成する組織の成長を阻害する方法に関する。方法は、がん細胞または組織を、CARおよび必要に応じて本明細書に開示される短縮型タンパク質マーカーを発現する細胞のいずれかと接触させるステップを含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。一部の実施形態では、接触させるステップは、ex vivoまたはin vitroまたはin vivoにおけるものである。一部の実施形態では、接触させるステップは、in vivoにおけるものであり、発現細胞は、処置を受ける対象に対して自己または同種である。一部の実施形態では、接触させるステップは、in vivoにおけるものであり、発現細胞は処置を受ける対象に対して同種である。in vivoにおける接触させるステップは、そのような処置を必要とする対象に発現細胞を投与することによるものであり得る。
【0259】
一部の態様では、本開示は、対象におけるFLT3を発現するがん細胞または組織の成長を阻害する方法であって、対象に、例えば、本明細書に記載のCARを発現する細胞を有効量で、および必要に応じて併用される治療を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0260】
一部の態様では、本開示は、それを必要とする対象においてがんを処置する方法に関する。一部の実施形態では、対象は、FLT3を発現するがん細胞を含む。方法は、対象に、例えば、CARおよび必要に応じて本明細書に開示される短縮型タンパク質マーカーを発現する細胞を有効量で投与するステップを含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。一部の実施形態では、CARを発現する細胞は、処置を受ける対象に対して自己または同種である。一部の実施形態では、CARを発現する細胞は、処置を受ける対象に対して同種である。一部の実施形態では、方法は、対象に、併用される治療を施行することをさらに含む。
【0261】
一部の態様では、以下のうちの1つまたは複数のための方法が本明細書で提供される:それを必要とする対象において、がんもしくは腫瘍の成長を阻害すること、がんもしくは腫瘍の転移を阻害すること、またはがんもしくは腫瘍を処置すること。方法は、CARおよび必要に応じて短縮型タンパク質マーカーを発現する細胞を対象に投与するステップを含む、またはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。一部の実施形態では、CARを発現する細胞は、必要とする対象に対して自己または同種である。一部の実施形態では、CARを発現する細胞は、必要とする対象に対して同種である。
【0262】
一態様では、処置のために選択された対象におけるがんを処置するための方法が提供される。方法は、例えば、本明細書に開示される細胞または細胞集団を対象に有効量で投与するステップを含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上それからなる。一部の実施形態では、対象を、対象のがん細胞によってFLT3が発現される場合に選択する。一部の実施形態では、FLT3発現は、対象のがんの生検材料などの試料を、FLT3を特異的に認識し、それに結合する抗体または抗原結合性ドメインとin vitroまたはin vivoで接触させ、試料と抗体または抗原結合性ドメインの間の結合を検出することによって決定される。さらなる実施形態では、抗原結合性ドメインは、検出可能なマーカーをさらに含む。一部の実施形態では、単離されたまたは工学的に操作された細胞は、必要とする対象に対して自己である。一部の実施形態では、単離されたまたは工学的に操作された細胞は、必要とする対象に対して同種である。
【0263】
一部の態様では、本明細書に開示される方法は、対象に、併用される治療を施行するステップをさらに含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。適当な処置レジメンは、治療にあたる医師または獣医師によって決定される。
【0264】
一部の実施形態では、FLT3 CAR細胞を、これらの非限定的な例示的な併用される治療のうちの任意の1つの前またはその後に、例えば、造血幹細胞移植(HSCT)の前に、または放射線療法もしくは化学療法の後に、投与することができる。FLT3 CAR細胞を造血幹細胞移植の前に使用する実施形態では、FLT3 CAR細胞を使用して、造血幹細胞の送達前に寛解を実現することができる;一般に、造血幹細胞移植は寛解後の方が上首尾である。さらなる非限定的な例としては、改変されていない免疫細胞、本明細書に開示されるものとは異なる抗原に対して特異的な1種または複数種の免疫調節性分子またはCAR細胞を発現するベクターを含む改変された免疫細胞などの、他の関連性のある細胞型が挙げられる。本開示のCAR細胞と同様に、一部の実施形態では、これらの細胞は自己または同種であり得る。
【0265】
一部の実施形態では、併用される治療は、細胞減少療法、またはがん細胞におけるFLT3の発現をアップレギュレートする治療の一方または両方から選択される。一部の実施形態では、細胞減少療法は、化学療法、寒冷療法、温熱療法、標的化療法、免疫療法または放射線療法のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。さらなる実施形態では、併用される治療は、がん細胞またはがん細胞を含む組織の物理的除去を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。なおさらなる実施形態では、併用される治療を、本明細書に開示されるFLT3特異的CAR治療の前に、それと同時に、またはその後に使用することができる。一部の実施形態では、がん細胞におけるFLT3発現をアップレギュレートする治療を、本明細書に開示されるFLT3特異的CAR治療の前に、またはそれと同時に使用する。
【0266】
一部の実施形態では、免疫療法は、がん細胞に対する対象の免疫応答の増強、例えば、抗PD-1治療または抗PD-L1治療を指す。PD-1に対する市販の抗体の非限定的な例としては、ペムブロリズマブ(Merck)、ニボルマブ(Bristol-Myers Squibb)、ピジリズマブ(Cure Tech)、AMP-224(GSK)、AMP-514(GSK)、PDR001(Novartis)、およびセミプリマブ(RegeneronおよびSanofi)が挙げられる。PD-L1に対する市販の抗体の非限定的な例としては、アテゾリズマブ(Roche Genentech)、アベルマブ(Merck SorenoおよびPfizer)、デュルバルマブ(AstraZeneca)、BMS-936559(Bristol-Myers Suibb)、およびCK-301(Checkpoint Therapeutics)が挙げられる。
【0267】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法を第1選択治療として使用する。他の実施形態では、本明細書に開示される方法を第2選択治療または第3選択治療として使用する。
【0268】
ある特定の実施形態では、患者または対象は、単離された細胞を有効量で受けた、すなわち投与された後、正常な造血を維持するまたは回復する。正常な造血は、これだけに限定されないが、血液または骨髄に影響を及ぼすがん、例えば、これだけに限定されないが急性骨髄性白血病または急性リンパ芽球性白血病などのリンパ腫または白血病などのある特定のがんに関しては極めて重要なエンドポイントである。処置後の「正常な造血」を決定する方法は当技術分野で公知であり、それらとして、これだけに限定されないが、ベースライン血液細胞計数と処置後の血液細胞計数を比較する「ピンプリック」血液検査および/または循環CD34+細胞についての同様の比較が挙げられる。さらなる非限定的な例示的な方法として、生着を検証する骨髄生検が挙げられる。正常な造血の維持または回復(正常な生着としても公知)の失敗には、これだけに限定されないが、貧血、蒼白、起立性低血圧症、および血小板回復の欠如に起因する出血および/もしくは挫傷などの症候性の指標に加えて、繰返しの輸血の必要および/もしくは抗生物質の必要、ならびに/または高い罹患率および死亡率が伴う。正常な造血および/または生着は、これだけに限定されないが、顆粒球計数>1.0×109/Lの持続、血小板計数>50×109の持続、ヘモグロビンレベル約9もしくは10g/dLの持続、および/または赤血球輸血の必要がないことなどの臨床的に許容される閾値によって定義することができる。一部の実施形態では、正常な造血は、Lin-CD34+CD38-CD90+CD45RA-細胞の著しい枯渇がないことによって定義される。一部の実施形態では、十分に長期間にわたる造血または上首尾の長期間にわたる造血生着は、幹細胞移植のための骨髄破壊的調製後に対象に注入される造血用製品における十分な数のLin-CD34+CD38-CD90+CD45RA-細胞と相関し得る。
【0269】
CARを発現する細胞の総用量は、例えば、上に開示された因子に応じて変動し得る。一部の実施形態では、用量は、患者当たりまたは患者の体重1キログラム(kg)当たり、およそ1~1010個の細胞、例えば、少なくとも1個、少なくとも101個、少なくとも102個、少なくとも103個、少なくとも104個、少なくとも105個、少なくとも106個、少なくとも107個、最大で108個、最大で109個、最大で1010個、102個から1010個の間、103個から109個の間、104個から108個の間であり得る。一部の実施形態では、用量を、桁に対する整数係数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8または9によってさらに限定することができ、それにより、以下の非限定的な例に従って列挙される用量範囲がもたらされる:患者当たりまたは患者の体重1kg当たり5×104個から1×108個の間。
【0270】
本開示の医薬組成物を処置または防止される疾患に適した様式で投与することができる。数量および投与の頻度は、患者の状態、ならびに患者の疾患の型および重症度などの因子によって決定されるが、臨床試験によって適当な投薬量を決定することができる。一実施形態では、本開示の医薬組成物を直接注射によって直接投与する、または、例えば静脈内注射など、全身的に投与する。
【0271】
本開示の態様は、患者がCAR治療に応答する可能性が高いか応答する可能性が低いかを決定するための例示的な方法を提供する。方法は、患者から単離された腫瘍試料中の壊死の存在または非存在を決定するステップと、がんまたは腫瘍抗原を発現するがんまたは腫瘍細胞の量を定量化するステップとを含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、方法は、CAR治療に応答する可能性が高いと決定された患者にCAR治療を有効量で施行するステップをさらに含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。CAR治療は、患者に対して自己または同種であり得、患者は、がんに罹患している対象であり得、動物またはヒトであり得る。
【0272】
壊死に関する組織学的染色技法は当技術分野で周知である。例えば、ヘマトキシリン・エオシン染色は、「H&E染色」とも称され、組織、特に腫瘍形成性またはがん性成長における壊死の存在を同定するための一般的な技法である。細胞質H&E染色により、細胞質RNAの喪失に一部起因し得、細胞質タンパク質の変性に一部起因し得る好酸球増加の増大が示される。壊死組織染色では、多くの場合、細胞質は細胞質細胞小器官の酵素消化に起因して「虫食い状態」のように見える。ミエリン像、石灰化、および他の細胞中へのファゴサイトーシスの形跡も、組織学的染色によって検出することができる壊死組織の特質である。壊死組織はまた、核染色においても特定の特質を有し、多くの場合、細胞死の結果として核融解、核濃縮、および核崩壊が示される。そのような壊死特質の顕微鏡検査および手動または自動のいずれかでの定量化を使用することにより、CAR治療の関連性を決定することができる。一般に、これだけに限定されないが、バイオマーカーに基づくまたはイメージングに基づく診断を含めた、腫瘍形成性もしくはがん性成長または壊死組織を検出する代替手段もまた、患者が特定の型のCAR治療に応答するかどうかの決定に同等に適し、したがって、使用することができる。明らかである通り、CAR治療は、抗原結合性ドメインによって特定のがんまたは腫瘍が標的とされ、処置されるように、患者試料中のがんまたは腫瘍の遺伝子型および/または表現型に基づいて選択される。
キット
【0273】
本明細書に開示されるCAR、短縮型タンパク質マーカー、ポリヌクレオチド、細胞、細胞集団または組成物のうちの1つまたは複数、および必要に応じてその作出または使用に関する指示を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなるキットも本明細書で提供される。
【0274】
特定の一態様では、本開示は、これらの方法を実施するためのキット、ならびに細胞または組織またはその両方の採取;スクリーニング、形質導入などの実施;結果の解析、またはこれらの任意の組合せなどの本開示の方法の実施に関する指示を提供する。
【0275】
一態様では、キットは、本明細書に開示されるポリペプチド、本明細書に開示されるポリヌクレオチド、本明細書に開示されるベクター、前記核酸を含むベクター、本明細書に開示される細胞、例えば、単離された同種細胞、好ましくはT細胞またはNK細胞など、本明細書に開示される細胞集団、本明細書に開示される組成物、本明細書に開示される単離された複合体、または必要に応じて患者由来の自己細胞の調達に関する指示のうちの任意の1つまたは複数を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。そのようなキットは、CARの形質導入、選択、活性化または増大に適した培地および他の試薬も含み得る、あるいはそれから本質的になり得る、またはその上さらにそれを含み得る。
【0276】
一態様では、キットは、CARを発現する細胞またはその集団を含む、あるいはそれから本質的になる、またはその上さらにそれからなる。一部の実施形態では、このキットの細胞には、それを必要とする対象への投与前に、活性化または増大またはその両方が必要になり得る。さらなる実施形態では、キットは、単離されたCARを発現する細胞の活性化もしくは増大または活性化および増大の両方のために、上記の開示に包含されるものなどの培地および試薬をさらに含み得る、またはそれから本質的になり得る。一部の実施形態では、細胞は、CAR治療に使用されるものである。さらなる実施形態では、キットは、CAR治療を必要とする患者への単離された細胞の投与に関する指示を含む。
【0277】
本開示のキットはまた、例えば、緩衝剤、保存剤またはタンパク質安定化剤も含み得る。キットは、検出可能な標識、例えば、酵素または基質を検出するために必要な構成成分をさらに含み得る。キットは、アッセイし、試験試料と比較することができる対照試料または一連の対照試料も含有し得る。キットの各構成成分を個々の容器内に封入することができ、種々の容器の全てを、キットを使用して実施されるアッセイの結果の解釈に関する指示と一緒に単一のパッケージに入れることができる。本開示のキットは、キット容器上またはその中に書面を含有し得る。書面には、キットに含有される試薬の使用方法が記載されている。
【0278】
適用できるように、これらの提案されたキット構成成分を当業者に使用される通例の様式でパッケージングすることができる。例えば、これらの提案されたキット構成成分を溶液中に入れてまたは液体分散としてなどで提供することができる。
【0279】
本発明の他の特色および利点は、以下の詳細な説明および図面から、特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【実施例】
【0280】
本発明を以下の実施例においてさらに記載する。実施例は特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を限定するものではない。
(実施例1)
FLT3 CARを発現させるためのベクター
【0281】
種々のベクターおよび発現系を使用して、T細胞に対してFLT3 CARを発現するように形質導入を行うことができる。適切なベクターの1つが
図2に示されている。pHIV7ベクター(Chung et al. Mol Ther. 2014 May; 22(5): 952-963. Epub 2014 Feb 28.)に基づくこのレンチウイルスベクターでは、FLT3 CAR発現がEF-1アルファプロモーターによって駆動され、FLT3 CARが、マーカーとして使用することができる短縮型CD19と同時発現される。
【0282】
FLT3 CAR発現の代替ベクターが
図3に示されている。この場合、発現はMMLVプロモーターによって駆動され、FLT3 CARが、マーカーとして使用することができる短縮型CD19と同時発現される。
(実施例2)
改善されたFLT3 CAR発現
【0283】
CD4+細胞およびCD8+細胞を富化させたPBMCを、CD3/CD28ビーズを使用して活性化した。翌日、細胞に対して、改善されたコード配列(配列番号1)によってコードされるFLT3特異的CARを発現するベクターまたは同じFLT3特異的CARを発現するが、以前に使用されていたコード配列によってコードされる他の点では同一のベクターを用いて形質導入を行った。このベクターにはpHIV7骨格を使用した。本明細書に記載の通り、FLT3特異的CARをCD19tタグと同時発現させた。2種の対照を使用した:GFPを発現するベクターおよびCD19tタグを発現するベクター。全ての場合において、T細胞へのトランスフェクションを、MOIを1として行った。5日目にFLT3 CAR-T発現および細胞傷害性についてのアッセイを実施した。
【0284】
図4A~4Dにおいて見ることができる通り、T細胞に改善されたFLT3特異的CARコード配列を用いて形質導入した場合に最も高いCAR発現が認められた。
(実施例3)
改善されたFLT3+腫瘍細胞の死滅
【0285】
種々の構築物を用いて形質導入したT細胞の細胞傷害性の評価を、24時間および72時間の時点でMOLM13細胞をFLT3+腫瘍標的として、およびU937細胞を陰性対照として使用して行った。E:T比は1:5および1:25とした。結果が、健康なドナー3個体からのデータの平均として、%腫瘍溶解±SEMとして示されている。
図5A~5Bにおいて見ることができる通り、改善されたFLT3特異的CARコード配列を用いて形質導入したT細胞の方が以前のFLT3特異的CARコード配列を用いて形質導入したT細胞よりも効果的であった。
(実施例4)
改善されたサイトカイン発現
【0286】
腫瘍細胞を患者3個体から得、種々の構築物を用いて形質導入したT細胞と共培養した。培養上清中のIL-2(
図6A~6C)およびIFN-γ(
図7A~7C)の発現を測定した。
図4A~4Dおよび
図5A~5Bにおいて見ることができる通り、患者間の変動性がいくらか認められたにもかかわらず、改善されたFLT3特異的CARコード配列を用いて形質導入したT細胞は以前のFLT3特異的CARコード配列を用いて形質導入したT細胞よりも優れていた。
(実施例5)
侵攻性ヒトFLT3(+)AML(MOLM-13)のマウスモデルにおけるFLT3 CAR活性。
【0287】
0日目に、ルシフェラーゼを発現するMOLM-13細胞1×105個を11週齢の雄NSGマウスに注射した。MOLM-13注射の1時間後、生存可能に凍結および解凍したFLT3 CAR NK細胞(20×106個)および生存可能に凍結させたFLT3 CAR T細胞(5×106個)を0日目にIV注射した。FLT3 CAR NK細胞を受けたマウスは2つの群に分けた:一方の群はFLT3 CAR NK細胞の単回IV注射を週に1回受け、他方の群はFLT3 CAR-NK細胞の投薬を1週間に3日間連続して3回受けた(0日目、1日目、2日目、および7日目、8日目、9日目など)。最後の群は、FLT3 CAR T細胞の単回投薬を受けた(21日目に再燃が見られた)。
実施形態
【0288】
実施形態1.配列番号1のヌクレオチド配列を含む核酸分子。
【0289】
実施形態2.実施形態1の核酸分子を含むウイルスベクターまたは発現ベクター。
【0290】
実施形態3.T2Aスキップ配列および短縮型EGFRまたは短縮型CD19をコードする配列をさらに含む、実施形態1の核酸分子。
【0291】
実施形態4.T2Aスキップ配列および短縮型EGFRをコードする配列をさらに含む、実施形態1の核酸分子。
【0292】
実施形態5.T2Aスキップ配列および短縮型CD19をコードする配列をさらに含む、実施形態1の核酸分子。
【0293】
実施形態6.T2Aスキップ配列および短縮型EGFRをコードする配列をさらに含む、実施形態1の核酸分子。
【0294】
実施形態7.T2Aスキップ配列および短縮型CD19をコードする配列をさらに含む、実施形態1の核酸分子。
【0295】
実施形態8.レンチウイルスベクターである、実施形態2のベクター。
【0296】
実施形態9.レトロウイルスベクターである、実施形態2のベクター。
【0297】
実施形態10.配列番号1のヌクレオチド配列の発現が、EF-1アルファプロモーターまたはMMLVプロモーターの制御下にある、実施形態2のベクター。
【0298】
実施形態11.実施形態1の核酸分子を含むベクターによって形質導入されたヒトT細胞の集団。
【0299】
実施形態12.セントラルメモリーT細胞、NK細胞、ナイーブメモリーT細胞、汎T細胞またはCD25+細胞およびCD14+細胞が実質的に枯渇したPBMCを含む、実施形態11のヒトT細胞の集団。
【0300】
実施形態13.急性骨髄性白血病に罹患している患者を処置する方法であって、実施形態1の核酸分子を含むベクターによって形質導入された自己または同種ヒトT細胞の集団を投与するステップを含む、方法。
【0301】
実施形態14.患者が、Fms様チロシンキナーゼ3(FLT3)に活性化突然変異を有する腫瘍細胞を有する、実施形態13の方法。
【0302】
実施形態15.患者が、FLT3-ITD突然変異を有する腫瘍細胞を有する、実施形態13の方法。
【0303】
実施形態16.実施形態キメラ抗原受容体を局所的にまたは全身的に投与する、実施形態13の方法。
【0304】
実施形態17.キメラ抗原受容体を単回投薬または反復投薬によって投与する、実施形態13の方法。
【0305】
実施形態18.CAR T細胞を調製する方法であって、自己または同種ヒトT細胞の集団を用意するステップと、実施形態1の核酸分子を含むベクターによってT細胞に形質導入するステップとを含む、方法。
配列表
【0306】
配列番号1:最適化されたCARコード配列、
【化25】
【化26】
【0307】
【0308】
配列番号3:シグナル配列、MGWSSIILFLVATATGVH
【0309】
配列番号4:FLT3 scFv。配列番号4のアミノ酸(aa)1~aa118は重鎖可変領域であり、配列番号4のaa134~aa241は軽鎖可変領域であり、配列番号4のaa119~aa133はペプチドリンカーである。
【化28】
【0310】
配列番号5:IgG1ヒンジドメイン、LEPKSCDKTHTCPPCPDPKGT
【0311】
配列番号6:CD28膜貫通ドメイン、FWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWV
【0312】
配列番号7:CD28共刺激ドメイン、RSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRS
【0313】
配列番号8:CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメイン、
【化29】
【0314】
配列番号9:リボソームスキップ配列、LEGGGEGRGSLLTCGDVEENPGPR
【0315】
【0316】
【0317】
配列番号12:コンセンサス配列、小文字は、任意のヌクレオチドまたは配列番号1内の対応する位置に位置するヌクレオチドを示す、
【化32】
【化33】
【0318】
【0319】
配列番号14:最適化前のscFvコード配列
【化35】
【0320】
配列番号15:CDRL1、RASQSISNNLH
【0321】
配列番号16:CDRL2、YASQSIS
【0322】
配列番号17:CDRL3、QQSNTWPYT
【0323】
配列番号18:CDRH1、SYWMH
【0324】
配列番号19:CDRH2、EIDPSDSYKDYNQKFKD
【0325】
配列番号20:CDRH3、AITTTPFDF
【0326】
【0327】
【0328】
配列番号23:EF1アルファプロモーター
【化38】
【0329】
【0330】
配列番号25:FLT3アイソフォーム1、
【化40】
【化41】
【0331】
配列番号26:FLT3アイソフォーム2、
【化42】
【0332】
配列番号27:ペプチドリンカー、GGGGS
【0333】
【0334】
配列番号29:2Aペプチドコンセンサスモチーフ、
D-V/I-E-X-N-P-G-P、Xは任意のアミノ酸を指す
【0335】
配列番号30:CMVプロモーター、
【化44】
等価物
【0336】
本発明をその詳細な説明と併せて記載したが、前述の説明は、添付の特許請求の範囲の範囲によって定義される本発明の範囲を例示するものであり、限定するものではないことが理解されるべきである。他の態様、利点、および改変も以下の特許請求の範囲の範囲内に入る。全ての参考文献が、ありとあらゆる目的に関してそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0337】
特に定義されていなければ、本明細書において使用される全ての科学技術用語は、この技術が属する当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0338】
本明細書において例示的に記載されている本技術は、本明細書に具体的に開示されていない任意の1つまたは複数の要素、1つまたは複数の限定の非存在下で適切に実施することができる。したがって、例えば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」などの用語は、限定されることなく、広く読み取られるべきである。さらに、本明細書で使用される用語および表現は、説明する用語として使用され、限定するものではなく、そのような用語および表現の使用において、示され、記載されている特徴の等価物またはその一部のいずれも排除するものではなく、種々の改変が特許請求された本技術の範囲内に入る可能性があることが理解される。
【0339】
したがって、本明細書で提供される材料、方法および実施例は、好ましい態様を代表するものであり、例示であり、本技術の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。
【0340】
本明細書では本技術を広範にかつ包括的に記載した。包括的な開示の範囲内に入る狭義の種および下位概念の分類のそれぞれも本技術の一部を形成する。これには、類概念から何らかの対象物を排除する条件または否定的な限定を伴う本技術の包括的な説明も、排除される材料が本明細書に具体的に記載されているか否かにかかわらず、含まれる。
【0341】
さらに、本技術の特色または態様がマルクーシュ群の用語で記載されている場合、それにより、本技術がマルクーシュ群のあらゆる個々のメンバーまたはメンバーのサブグループに関しても記載されることが当業者には理解されよう。
【0342】
本明細書において言及されている全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、それぞれが、個別に参照により組み込まれる場合と同じ程度に、その全体が参照により本明細書に明白に組み込まれる。矛盾する場合は、定義を含めた本明細書に支配される。
【0343】
他の態様は、以下の特許請求の範囲内に記載されている。
【配列表】
【国際調査報告】