(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-30
(54)【発明の名称】自己消毒型フェイスシールド
(51)【国際特許分類】
A62B 18/02 20060101AFI20230523BHJP
A41D 13/11 20060101ALI20230523BHJP
C08J 7/04 20200101ALI20230523BHJP
【FI】
A62B18/02 A
A41D13/11 L
A41D13/11 M
C08J7/04 Z CEP
C08J7/04 CET
C08J7/04 CFD
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562731
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(85)【翻訳文提出日】2022-12-09
(86)【国際出願番号】 US2021070409
(87)【国際公開番号】W WO2021212149
(87)【国際公開日】2021-10-21
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519418226
【氏名又は名称】クレイトン・ポリマーズ・エル・エル・シー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メータル,ビジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ブラックウェル,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】トチェット,ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】マックギルバート,シャーマン
(72)【発明者】
【氏名】クルツァー,ベルト
【テーマコード(参考)】
2E185
4F006
【Fターム(参考)】
2E185AA06
2E185CC32
4F006AA02
4F006AA15
4F006AA22
4F006AA35
4F006AA36
4F006AB05
4F006AB13
4F006AB16
4F006AB32
4F006AB38
4F006AB52
4F006BA17
4F006CA00
4F006DA04
(57)【要約】
フェイスシールドは、着用者の顔の少なくとも一部に面して広がるように構成された透明フェイスパネルを含み、着用者の顔に面して配置されるように構成された第1の表面及び第1の表面と反対側に配置された第2の表面を有する。フェイスパネルは、接触後30分以内に少なくとも95%の微生物を死滅させるための第2の表面上のスルホン化ポリマー層によって保護されている。スルホン化ポリマーは、モノマー単位の数を基準にして、10~100mol%のスルホン酸官能基又はスルホン酸塩官能基を含有し、フェイスパネルと接触してから5分以内に少なくとも99%の微生物を死滅させるために、十分に又は選択的にスルホン化されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の顔の少なくとも一部に面して広がるように構成された透明フェイスパネルを備えるフェイスシールドであって、前記透明フェイスパネルは、
前記着用者の顔に面して配置されるように構成された第1の表面及び該第1の表面と反対側に配置された第2の表面を有する基材を備え、
前記第1の表面及び前記第2の表面の少なくとも一方が、前記透明フェイスパネルとの接触から120分以内に少なくとも90%の微生物を死滅させるためのスルホン化ポリマー層によって保護されており、
前記スルホン化ポリマー層が、スルホン化ポリマーから本質的になり、該スルホン化ポリマーが、パーフルオロスルホン酸ポリマー、ポリスチレンスルホネート、スルホン化ブロックコポリマー、スルホン化ポリオレフィン、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリアミド、スルホン化ポリエステル、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリケトン、スルホン化ポリ(アリーレンエーテル)及びそれらの混合物からなる群からのものであり、前記スルホン化ポリマーが、10%超のスルホン化度を有し、
前記スルホン化ポリマー層が、少なくとも1μm超の厚さを有する、
フェイスシールド。
【請求項2】
前記スルホン化ポリマーが、0.5meq/g超のイオン交換容量(IEC)を有する、請求項1に記載のフェイスシールド。
【請求項3】
前記スルホン化ポリマー層が、少なくとも5μm超の厚さを有し、6カ月間の保護の後に接触から120分以内に95%超の微生物を死滅させる、請求項1に記載のフェイスシールド。
【請求項4】
前記スルホン化ポリマーが、10~100mol%のスルホン化度を有する、請求項1に記載のフェイスシールド。
【請求項5】
前記スルホン化ポリマーが、一般構成:A-B-A、(A-B)n(A)、(A-B-A)n、(A-B-A)
nX、(A-B)nX、A-D-B、A-B-D、A-D-B-D-A、A-B-D-B-A、(A-D-B)
nA、(A-B-D)
nA(A-D-B)
nX、(A-B-D)
nX、又はこれらの混合物
(ただし、nは0~30の整数であり、
Xは、カップリング剤残基であり、
各A及びDブロックは、スルホン化に対して耐性があるポリマーブロックであり、
各Bブロックは、スルホン化を受けやすく、
Aブロックは、重合した、(i)パラ-置換スチレンモノマー、(ii)エチレン、(iii)炭素原子数3~18のαオレフィン;(iv)1,3-シクロジエンモノマー、(v)水素化前のビニル含有量が35mol%未満の共役ジエンモノマー、(vi)アクリルエステル、(vii)メタアクリルエステル、及び(viii)それらの混合物から選択され、
Bブロックは、ビニル芳香族モノマーであり、
Dブロックは、イソプレン、1,3-ブタジエン及びそれらの混合物から選択される共役ジエンの水素化ポリマー又はコポリマーであり、
前記Bブロックが、コーティング材料が接触後30分以内に少なくとも99%の微生物を死滅させるように選択的にスルホン化されて、モノマー単位の数を基準にして10~100mol%のスルホン酸官能基又はスルホン酸塩官能基を含有する)
を有する選択的にスルホン化された負電荷アニオン性ブロックコポリマーである、請求項に1記載のフェイスシールド。
【請求項6】
前記スルホン化ポリマー層が、3.0未満の表面pHを有する、請求項1に記載のフェイスシールド。
【請求項7】
前記スルホン化ポリマーが、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ピリジニウム塩及びスルホニウム塩から選択される少なくとも1種の塩で中和されている、請求項1に記載のフェイスシールド。
【請求項8】
前記スルホン化ポリマー層が、ディップコーティング、スプレーコーティング、分散コーティング、溶媒キャストによって前記第1の表面及び前記第2の表面の一方に付与されている又はピールアンドスティックフィルムとして貼り付けられている、請求項1~7のいずれかに記載のフェイスシールド。
【請求項9】
前記フェイスパネルに連結され、前記フェイスパネルを前記着用者の顔の前に固定するように構成された取付構造をさらに含む、請求項1~7のいずれかに記載のフェイスシールド。
【請求項10】
前記取付構造が、前記フェイスパネルの第1及び第2の側縁部に取り付けられた弾性バンドである、請求項1~7のいずれかに記載のフェイスシールド。
【請求項11】
前記取付構造が、
前記フェイスパネルの前記第1の側縁部に取り付けられた第1のストラップ、
前記フェイスパネルの前記第2の側縁部に取り付けられた第2のストラップ、及び
前記取付構造の前記着用者の頭部との係合を容易にするために、前記第1のストラップに取り付けられた第1の部材と前記第2のストラップに取り付けられ、前記第1の部材と取り外し可能に係合するように構成された第2の部材とを有するカプラー
を含む、請求項1~7のいずれかに記載のフェイスシールド。
【請求項12】
前記透明フェイスパネルが、取り外し可能である、請求項1~7のいずれかに記載のフェイスシールド。
【請求項13】
前記取付構造が、前記着用者の頭上に着用されるように構成されたキャップであって、前記フェイスパネルが該キャップと取り外し可能に係合するように構成されたキャップ、前記フェイスパネルと取り外し可能に係合する眼鏡フレーム、フックアンドループファスナー機構、及び前記着用者が着用する保護衣のいずれかを備える、請求項1~7のいずれかに記載のフェイスシールド。
【請求項14】
前記フェイスパネルを形成する前記基材が、ポリエステル、ポリカーボネート、アリルジグリコールカーボネート、ポリアクリレート、ポリスチレン、セルロースアセテートブチレート、ガラス及びそれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含み、前記フェイスパネルを形成する前記基材が、0.001~2mmの範囲の厚さを有する、請求項1~6のいずれかに記載のフェイスシールド。
【請求項15】
前記着用者の顔に面する前記第1の表面が、15分超のT
fogを有するスルホン化ポリマー層によって保護されている、請求項1~6のいずれかに記載のフェイスシールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、保護抗菌層を有する、自己消毒型フェイスシールドに関する。
【背景技術】
【0002】
COVID 19などの感染症の広がりに伴い、人々を保護し、人々が疾患を広げる微生物、例えば、ウイルス、細菌などと接触するのを防ぐことが必要となる。通常、人々は微生物の吸入又は侵入を防ぐためにフェイスシールド又はフェイスマスクを使用する。しかし、ウイルス又は細菌などの微生物は、フェイスシールドの外側表面に蓄積され、比較的長い時間、活性を維持する場合がある。これらのウイルス又は細菌は、着用者がフェイスシールドを取り外す際に手に接触し、その後人体内に侵入する場合があるが、これは望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
表面への活性ウイルス又は細菌の蓄積を防ぐ、改良されたフェイスシールドの必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
第1の態様において、自己消毒型フェイスシールドが開示されている。フェイスシールドは、着用者の顔の少なくとも一部に面して広がるように構成された透明フェイスパネルを備え、透明フェイスパネルは、着用者の顔に面して配置されるように構成された第1の表面及び第1の表面と反対側に配置された第2の表面を有する基材を備える。第1の表面及び第2の表面の少なくとも一方は、透明フェイスパネルとの接触から120分以内に少なくとも90%の微生物を死滅させるためのスルホン化ポリマー層によって保護されている。スルホン化ポリマー層は、スルホン化ポリマーを含む、スルホン化ポリマーから本質的になる、又はスルホン化ポリマーからなり、該スルホン化ポリマーは、パーフルオロスルホン酸ポリマー、ポリスチレンスルホネート、スルホン化ブロックコポリマー、スルホン化ポリオレフィン、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリアミド、スルホン化ポリエステル、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリケトン、スルホン化ポリ(アリレンエーテル)及びそれらの混合物からなる群からのものである。スルホン化ポリマー層は、少なくとも1μm超の厚さを有する。
【0005】
いくつかの態様において、スルホン化ポリマー層は、1種以上のスルホン化ポリマーを、少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、さらにより好ましくは少なくとも90重量%、さらに好ましくは少なくとも95重量%、さらに好ましくは少なくとも98重量%、さらに好ましくは少なくとも99重量%、最も好ましくは100重量%(すなわち、1種以上のスルホン化ポリマーからなる)含む。
【0006】
いくつかの態様において、スルホン化ポリマーは、選択的にスルホン化された負電荷アニオン性ブロックコポリマーであって、少なくとも1つのアルケニルアレーンポリマーブロックA及び少なくとも1つの実質的に完全水素化された共役ジエンポリマーブロックBを有し、ブロックAを親水性末端ブロックとするために、スルホン官能基の実質的にすべてがアルケニルアレーンポリマーブロックAにグラフトされている、負電荷アニオン性ブロックコポリマーである。
【0007】
いくつかの態様において、スルホン化ポリマー層は、ディップコーティング、スプレーコーティング、分散コーティング、溶媒キャストによって第2の表面に付与している又はピールアンドスティックフィルムとして第2の表面に貼り付けられている。
【0008】
いくつかの態様において、フェイスシールドは、フェイスパネルに連結され、フェイスパネルを着用者の顔の前に固定するように構成された取付構造をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】透明積層体に付着した第1のポリマーフィルムを描いた、フェイスシールドの一実施形態におけるフェイスパネルの断面図である。
【
図2】フェイスシールドの一実施形態の斜視図である。
【
図3】フェイスシールドの一実施形態の斜視図である。
【
図4】フェイスシールドの一実施形態の斜視図である。
【
図5】フェイスシールドの一実施形態の斜視図である。
【
図6】フェイスシールドの一実施形態の斜視図である。
【
図7】
図6のフェイスシールドにおける取付構造の斜視図である。
【
図8】フェイスシールドの一実施形態の斜視図である。
【
図9】フェイスシールドの一実施形態の斜視図である。
【
図10】フェイスシールドの一実施形態の斜視図である。
【
図11】フェイスシールドの一実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で使用される以下の用語は、以下の意味を有する。
【0011】
「有効量」とは、微生物を変化、破壊、不活性化及び/又は無力化するのに十分な量、例えば、フェイスシールドのフェイスパネルの外側表面に接触した微生物を殺菌及び死滅させるのに十分な量を指す。
【0012】
「曇り」は、フェイスシールドを口から約1インチ離した状態で直接息を吹きかけることによって評価することができる。曇りは、主観的に、(i)フィルムの曇りが観察されなかった場合は「良い」、(ii)曇りが観察されるが2秒以内に消えた場合は「普通」、(iii)曇りが2秒より長く持続した場合は「悪い」と判断される。「良い」又は「普通」の場合、コーティングは防曇性を有するとされる。防曇性は、例えば、50%RH(相対湿度)、22℃の環境下で、水面から20cmの距離で沸騰水による蒸気に層(表面)をさらし、表面に曇りが形成されるのにかかる時間(分)であるTfogで表すことができる。例えば、表面が30分のTfogを有する場合、記載された試験条件で30分以内に前記コーティングの表面に曇りが形成されないことを意味する。
【0013】
「ヘイズ」とは、透過光のうち、試験体を通過する際に法線から2.5度より大きく散乱する光のパーセントを意味する。ヘイズ及び透過率は、ASTM D1003の試験方法に従って測定することができる。ヘイズ値が高いほど散乱が大きいことを示す。
【0014】
「イオン交換容量」又はIECとは、ポリマー中のイオン交換を担う活性部位又は官能基の合計を指す。通常、IECを求めるには従来の酸塩基滴定法が用いられる。例えばInternational Journal of HydrogenEnergy、39巻10号、2014年3月26日、5054~5062ページ、「Determination of the ion exchange capacity of anion-selective membrane」を参照されたい。IECは、1モルの交換可能なプロトンを提供するために必要なポリマーの重量である「当量」又はEWの逆数である。
【0015】
「微生物」とは、細菌、古細菌、真菌(酵母、カビ)、藻類、原生動物、ウイルスを含む、微小な大きさの微小生物を指す。
【0016】
「ピールアンドスティック」又は「ピールアンドスティックフィルム」とは、少なくとも2つの層、すなわち支持層でもあり得る剥離層又はライナー、及びスルホン化ポリマーを含有する別の層を有する積層体を指す。ピールアンドスティックは、自己粘着性又は剥離可能若しくは可剥性又は表面に付着させた後に取り外し可能である。剥離層は、任意選択的に、粘着剤でコーティングされており、これにより接着剤、のりなどを使用せず表面に貼ることが可能になり、ピールアンドスティックを表面に付与させた後に分離可能にすることができる。実施形態において、スルホン化ポリマー含有層は、任意選択的に、層を表面に貼るための粘着剤でコーティングされているが、依然として剥離可能である。
【0017】
層又は表面との関係における「剥離可能」又は「分離可能」な接着とは、層又は表面が通常互いに付着又は固定されているが、ある量の力を加えると取り外すことができ、続いて、その後再固定又は再付着することができることを意味する。「分離可能」又は「剥離可能」であるためには、表面は固定及び取り外しが可能である必要があり、層又は表面を取り外すために加えられる力は、手で加えることができる。
【0018】
「表面pH」とは、表面結合部分(例えば、コーティング層)に起因する、バイオセキュア(bio-secure)材料の接触面のpHを指す。表面pHは、市販の表面pH測定器、例えば、WTW Scientific-Technical Institute社(Weilheim、Germany)のSenTix(商標) Sur-electrodeで測定することができる。
【0019】
本開示は、あらかじめ決められた接触時間内に微生物を死滅させる保護抗菌層を有するフェイスシールドに関する。該フェイスシールドは、その表面(着用者の顔の反対側)が自己殺菌型(自己消毒型)スルホン化ポリマー材料を含む層でコーティング又は保護された透明パネルを有する。フェイスシールドの着用者に向いた部分も、自己殺菌型材料であるスルホン化ポリマーでコーティング又は保護することができる。実施形態において、保護材料は、スルホン化ポリマーを含む、スルホン化ポリマーから本質的になる、又はスルホン化ポリマーからなる。あらかじめ決められた接触時間内に少なくとも95%の微生物を死滅させるために、透明フェイスパネルの表面をスルホン化ポリマーでコーティングする。該フェイスシールドは、透明パネルを着用者の顔の前に固定するための取付構造を含む。
【0020】
自己殺菌型材料-スルホン化ポリマー:スルホン化ポリマーとは、酸の形態(例えば、-SO3H、スルホン酸)又は塩の形態(例えば、-SO3Na)のいずれかで、スルホネート基、例えば、-SO3を有するポリマーを指す。用語「スルホン化ポリマー」は、スルホネート含有ポリマー、例えばポリスチレンスルホネートも包含する。
【0021】
スルホン化ポリマーは、パーフルオロスルホン酸ポリマー(例えば、スルホン化テトラフルオロエチレン)、スルホン化ポリオレフィン、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリアミド、スルホン化ポリエステル、ポリスチレンスルホネート、スルホン化ブロックコポリマー、スルホン化ポリオレフィン、ポリエーテルスルホンなどのスルホン化ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトンなどのスルホン化ポリケトン、スルホン化ポリフェニレンエーテル及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0022】
スルホン化ポリマーは、コーティング材料が接触後120分以内に少なくとも95%の微生物を死滅させるように、十分に又は選択的にスルホン化されて、モノマー単位又はスルホン化されるブロックの数を基準にして10~100mol%のスルホン酸官能基又はスルホン酸塩官能基(「スルホン化度」)を含有していることを特徴とする。実施形態において、スルホン化ポリマーは、25mol%超若しくは50mol%超又は95mol%未満又は25~70mol%のスルホン化度を有する。スルホン化度は、NMR又はイオン交換容量(IEC)により算出することができる。
【0023】
実施形態において、スルホン化ポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)骨格;(2)クラスター領域でスルホン酸基末端を有するビニルエーテルの側鎖(例えば、-O-CF2-CF-O-CF2-CF2-)を有するスルホン化テトラフルオロエチレンである。
【0024】
実施形態において、スルホン化ポリマーはポリスチレンスルホネートであり、例としては、20,000~1,000,000ダルトン、25,000ダルトン超、40,000ダルトン超、50,000ダルトン超、75,000ダルトン超、100,000ダルトン超若しくは400,000ダルトン超又は200,000ダルトン未満若しくは800,000ダルトン未満又は最大で1,500,000ダルトンの分子量を有する、ポリスチレンスルホン酸カリウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムとポリスチレンスルホン酸カリウムとのコポリマー(例えば、ポリスチレンスルホネートコポリマー)が挙げられる。ポリスチレンスルホネートポリマーは、架橋されていても、未架橋であってもよい。実施形態において、ポリスチレンスルホネートポリマーは、未架橋であり、水溶性である。
【0025】
実施形態において、スルホン化ポリマーは、芳香族ポリスルホン、ポリフェニレンスルホン、芳香族ポリエーテルスルホン、ジクロロジフェノキシスルホン、スルホン化置換ポリスルホンポリマー及びそれらの混合物からなる群から選択されるポリスルホンである。実施形態において、スルホン化ポリマーは、ヒドロキノン2-スルホン酸カリウム(HPS)などのスルホン酸塩を含む反応物、並びに他のモノマー、例えば、ビスフェノールA及び4-フルオロフェニルスルホンにより作製可能な、スルホン化ポリエーテルスルホンコポリマーである。ポリマー中のスルホン化度は、ポリマー骨格中のHPS単位の量によって制御することができる。
【0026】
実施形態において、スルホン化ポリマーは、スルホン化ポリエーテルケトンである。実施形態において、スルホン化ポリマーは、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)をスルホン化することによって得られた、スルホン化ポリエーテルケトンケトン(SPEKK)である。ポリエーテルケトンケトンは、ジフェニルエーテル及びベンゼンジカルボン酸誘導体を使用して製造することができる。スルホン化PEKKは、例えば、その後フェイスマスクをコーティングするため又はスプレー用途に使用するため、アルコール及び/又は水溶性製品として入手可能である。
【0027】
実施形態において、スルホン化ポリマーは、ペンダントスルホン酸基を含有するスルホン化ポリ(アリレンエーテル)コポリマーである。実施形態において、スルホン化ポリマーは、一般にスルホン化ポリフェニレンオキシドと呼ばれる、スルホン化ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンオキシド)である。実施形態において、スルホン化ポリマーは、スルホン化ポリ(4-フェノキシベンゾイル-1,4-フェニレン)(S-PPBP)である。実施形態において、スルホン化ポリマーは、ポリマー繰り返しあたり2~6のペンダントスルホン酸基を有し、0.5meq(SO3H)/gポリマー~5.0meq(SO3H)/gポリマー又は少なくとも6meq/g(SO3H)/gポリマーを有することを特徴とする、スルホン化ポリフェニレンである。
【0028】
実施形態において、スルホン化ポリマーは、ポリマー骨格の窒素原子にアミンペンダント基として化学的に結合したスルホネート基を備えたスルホン化ポリアミド、例えばナイロン-6及びナイロン-6,6などの脂肪族ポリアミド、部分芳香族ポリアミド及びポリ(フェニルジアミドテレフタレート)などのポリアリールアミドである。スルホン化ポリアミドは、ポリアミドのバルク全体にわたってスルホン化され、アミド基のスルホン化レベルが20~最大で100%であってもよい。実施形態において、スルホン化は、表面におけるスルホネート基が高密度、例えば、表面(表面から50nm以内)においてスルホン化アミド基が10%超、20%超、30%超若しくは40%超又は最大で100%であるように限定される。
【0029】
実施形態において、スルホン化ポリマーは、ポリオレフィン1グラム当たり少なくとも0.1meq、又は2meq超、3meq超若しくは5meq超又は0.1~6meqのスルホン酸を含有するスルホン化ポリオレフィンである。実施形態において、スルホン化ポリマーは、スルホン化ポリエチレンである。スルホン化ポリオレフィンは、エチレン、プロピレン、ブテン-1,4-メチルペンテン-1、イソブチレン及びスチレンからなる群から選択されるオレフィン又はオレフィンの混合物の重合によって得られた固体ポリオレフィンのクロロスルホン化により形成することができる。次いで、スルホニルクロリド基は、例えば、水酸化カリウムなどの塩基水溶液中又は水とジメチルスルホキシド(DMF)との混合物中で加水分解して、スルホン酸基を形成することができる。実施形態において、スルホン化ポリオレフィンは、粉末、繊維、糸、織布、フィルム、プリフォームなどの、任意の形態のポリオレフィン物体を、三酸化硫黄(SO3)、三酸化硫黄前駆体(例えば、クロロスルホン酸、HSO3Cl)、二酸化硫黄(SO2)又はこれらの混合物を含有する液体に浸漬又は通過させることによって形成される。他の実施形態において、ポリオレフィン物体を、スルホン化ガス、例えばSO2若しくはSO3又はガス状反応性前駆体又は高温でガスSOxを発生させるスルホン化添加剤と接触させる。
【0030】
スルホン化されるポリオレフィン前駆体は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、エチレンプロピレンゴムなどのポリ-α-オレフィン、塩素化ポリオレフィン(例えば、ポリ塩化ビニル若しくはPVC)又は、ポリブタジエン(例えば、ポリ-1,3-ブタジエン若しくはポリ-1,2-ブタジエン)などのポリジエン、ポリイソプレン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン又はそれらの同種若しくは異種の複合体又はそれらのコポリマー(例えば、EPDMゴム、すなわち、エチレンプロピレンジエンモノマー)であり得る。実施形態において、ポリオレフィンは、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高分子量ポリエチレン(HMWPE)及び超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)から選択される。
【0031】
実施形態において、スルホン化ポリマーは、優れた化学安定性及び高弾性率特性を有するスルホン化ポリイミド、例えば、熱可塑性及び熱硬化性の、両方の形態の芳香族ポリイミドである。スルホン化ポリイミドは、モノマー単位の1つがスルホン酸、スルホン酸塩又はスルホン酸エステル基を含有する、二無水物とジアミンとの縮合重合により調製することができる。ポリマーはまた、クロロスルホン酸、三酸化硫黄及び三酸化硫黄錯体などのスルホン化剤を使用した、芳香族ポリイミド前駆体の直接スルホン化によって調製することができる。実施形態において、イオン交換容量、IECによって測定した場合、スルホン化ポリイミド中のスルホン酸基の濃度は、0.1meq/g~3meq/g超又は少なくとも6meq/gまで変化する。
【0032】
実施形態において、スルホン化ポリマーは、任意の形態、例えば、繊維、糸、織布、フィルム、シートなどのポリエステル樹脂を、無水硫酸を含有する無水硫酸含有ガスで、ポリエステル表面のスルホン基の濃度が0.1meq/g~3meq/g超の範囲、例えば、最大で5meq/g又は少なくとも6meq/gで直接スルホン化することにより形成される、スルホン化ポリエステルである。
【0033】
実施形態において、スルホン化ポリマーは、選択的にスルホン化された負電荷アニオン性ブロックコポリマーである。用語「選択的にスルホン化された」の定義は、スルホン酸及び中和されたスルホネート誘導体を含む。スルホネート基は、金属塩、アンモニウム塩又はアミン塩の形態であってもよい。
【0034】
用途及び所望の特性に応じて、スルホン化ポリマーを変性(官能化)することができる。実施形態において、スルホン化ポリマーは、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属を含むさまざまな金属対イオンのいずれかで中和されており、スルホン酸基の少なくとも10%が中和されている。実施形態において、スルホン化ポリマーは、無機又は有機カチオン塩、例えば、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ピリジニウム塩、スルホニウム塩などをベースにした塩で中和されている。塩は、モノマー、オリゴマー又はポリマーであってもよい。実施形態において、スルホン化ポリマーは、さまざまな第一級、第二級又は第三級アミン含有分子で中和されており、スルホン酸官能基又はスルホネート官能基のうちの10%超が中和されている。
【0035】
実施形態において、スルホン酸又はスルホネート官能基は、140~10,000の分子量を有する有効量のポリオキシアルキレンアミンとの反応により変性されている。アミン含有中和剤は、単官能性又は多官能性であってもよく、モノマー、オリゴマー又はポリマーであってもよい。代替実施形態において、スルホン化ポリマーは、ホスホン酸又はアクリル酸及びアルキルアクリル酸などの代替のアニオン性官能基で変性されている。
【0036】
実施形態において、アミン含有ポリマーがスルホン化ポリマーの変性に使用され、コアセルベートと呼ばれる材料のクラスのメンバーを形成する。実施例において、中和剤はポリマーアミン、例えばベンジルアミン官能基含有ポリマーである。例としては、参照により本明細書に組み込む米国特許第9,849,450号に記載されている4-ジメチルアミノスチレンのホモポリマー及びコポリマーが挙げられる。実施形態において、中和剤は、ビニルベンジルアミン官能基含有ポリマー、例えば、臭素化-アミン化戦略により、ポリ-p-メチルスチレン含有ブロックコポリマーから合成されたポリマー又はアミン含有スチレンモノマーの直接アニオン重合により合成されたポリマーから選択される。官能化のためのアミン官能基の例としては、p-ビニルベンジルジメチルアミン(BDMA)、p-ビニルベンジルピロリジン(VBPyr)、p-ビニルベンジル-ビス(2-メトキシエチル)アミン(VBDEM)、p-ビニルベンジルピペラジン(VBMPip)及びp-ビニルベンジルジフェニルアミン(VBDPA)が挙げられるが、これらに限定されない。実施形態において、対応するリン含有ポリマーも、スルホン化ポリマーの官能化に使用することができる。
【0037】
実施形態において、アミン官能基又はホスフィン官能基を含有するモノマー又はブロックを酸又はプロトン供与体で中和して、第四級アンモニウム塩又はホスホニウム塩を生成することができる。他の実施形態において、第三級アミン含有スルホン化ポリマーを、ハロゲン化アルキルと反応させて、官能基を形成させ、例えば、四級化塩を形成する。いくつかの実施形態において、スルホン化ポリマーは、カチオン性及びアニオン性官能基の両方を含有し、いわゆる双性イオンポリマーを形成することができる。
【0038】
いくつかの実施形態において、スルホン化ポリマーは、選択的にスルホン化された負電荷アニオン性ブロックコポリマーであり、「選択的にスルホン化された」の定義は、スルホン酸及び中和されたスルホネート誘導体を含む。スルホネート基は、金属塩、アンモニウム塩又はアミン塩の形態であってもよい。実施形態において、スルホン化ブロックポリマーは、一般構成A-B-A、(A-B)n(A)、(A-B-A)n、(A-B-A)nX、(A-B)nX、A-D-B、A-B-D、A-D-B-D-A、A-B-D-B-A、(A-D-B)nA、(A-B-D)nA(A-D-B)nX、(A-B-D)nX又はそれらの混合物(ただし、nは実施形態において0~30又は2~20の整数であり;Xは、カップリング剤残基である。)である。各A及びDブロックは、スルホン化に対して耐性があるポリマーブロックである。各Bブロックは、スルホン化を受けやすい。複数のA、B又はDブロックを有する構成の場合、複数のAブロック、Bブロック又はDブロックは、同一でも異なっていてもよい。
【0039】
実施形態において、Aブロックは、重合した、(i)パラ-置換スチレンモノマー、(ii)エチレン、(iii)炭素原子数3~18のαオレフィン;(iv)1,3-シクロジエンモノマー、(v)水素化前のビニル含有量が35mol%未満の共役ジエンモノマー、(vi)アクリルエステル、(vii)メタアクリルエステル、及び(viii)それらの混合物から選択される、1つ以上のセグメントである。Aセグメントが1,3-シクロジエン又は共役ジエンのポリマーである場合、該セグメントは、ブロックコポリマーの重合に続いて、ブロックコポリマーのスルホン化前に水素化される。Aブロックはまた、Bブロックに存在するモノマーなどのビニル芳香族モノマーを、最大で15mol%含有してもよい。
【0040】
実施形態において、Aブロックは、パラ-メチルスチレン、パラ-エチルスチレン、パラ-n-プロピルスチレン、パラ-イソ-プロピルスチレン、パラ-n-ブチルスチレン、パラ-sec-ブチルスチレン、パラ-イソ-ブチルスチレン、パラ-t-ブチルスチレン、パラ-デシルスチレンの異性体、パラ-ドデシルスチレンの異性体及び上記のモノマーの混合物から選択されるパラ-置換スチレンモノマーから選択される。パラ-置換スチレンモノマーの例としては、パラ-t-ブチルスチレン及びパラ-メチルスチレンが挙げられ、パラ-t-ブチルスチレンが最も好ましい。モノマーは、特定の供給源に応じて、モノマーの混合物であってもよい。実施形態において、パラ-置換スチレンモノマー全体の純度は、パラ-置換スチレンモノマーの少なくとも90重量%又は95重量%超若しくは98重量%超である。
【0041】
実施形態において、ブロックBは、無置換スチレンモノマー、オルト-置換スチレンモノマー、メタ-置換スチレンモノマー、α-メチルスチレンモノマー、1,1-ジフェニルエチレンモノマー、1,2-ジフェニルエチレンモノマー及びそれらの混合物から選択される、1つ以上の重合したビニル芳香族モノマーのセグメントを含む。言及されたモノマー及びポリマーに加えて、実施形態において、Bブロックはまた、このようなモノマーと、1,3-ブタジエン、イソプレン及びそれらの混合物から選択される共役ジエンとの、20~80mol%のビニル含有量を有する水素化コポリマーを含む。水素化ジエンを有するこれらのコポリマーは、ランダムコポリマー、テーパードコポリマー、ブロックコポリマー又は制御分布コポリマーのいずれであってもよい。ブロックBは選択的にスルホン化されており、モノマー単位の数を基準にして約10~約100mol%のスルホン酸官能基又はスルホン酸塩官能基を含有する。実施形態において、Bブロックのスルホン化度は、10~95mol%、15~80mol%、20~70mol%若しくは25~60mol%又は20mol%超若しくは50mol%超の範囲である。
【0042】
Dブロックは、イソプレン、1,3-ブタジエン及びそれらの混合物から選択される共役ジエンの水素化ポリマー又はコポリマーを含む。他の例では、Dブロックは、数平均分子量が1000超、2000超、4000超又は6000超のアクリレート、シリコーンポリマー又はイソブチレンのポリマーのいずれかである。
【0043】
カップリング剤Xは、ポリアルケニルカップリング剤、ジハロアルカン、ハロゲン化ケイ素、シロキサン、多官能性エポキシド、シリカ化合物、一価アルコールとカルボン酸とのエステル、(例えばメチルベンゾエート及びジメチルアジペート)並びにエポキシ化油を含む、当技術分野で公知のカップリング剤から選択される。
【0044】
スルホン化ブロックコポリマーの抗菌特性及び機械的特性は、スルホン化量、スルホン酸基をスルホン化塩とする中和度を変化させること、及びポリマー中のスルホン化基の位置を制御することによって変化させ、制御することができる。実施形態において、また用途に応じて、例えば、水分散性/溶解性又は他のスペクトルを有する必要がある場合、常に水性洗浄剤で拭き取られることに対する十分な耐性を有する必要がある場合、スルホン化ブロックコポリマーは、所望の水分散特性又は機械特性のために、例えば、参照により組み込む米国特許番号US8084546のように、スルホン化ブロックコポリマーの内側ブロック又は中間ブロック又は外側ブロックに結合したスルホン酸官能基を有し、選択的にスルホン化されていてもよい。外側の(ハード)ブロックがスルホン化されている場合、水にさらされると、ハードドメインの水和により、該ドメインが可塑化して軟化し、分散又は溶解性が得られることがある。
【0045】
実施形態におけるスルホン化コポリマーは、関連部分が参照により本明細書に組み込む、特許公開番号US9861941、US8263713、US8445631、US8012539、US8377514、US8377515、US7737224、US8383735、US7919565、US8003733、US8058353、US7981970、US8329827、US8084546、US8383735、US10202494及びUS10228168に開示されている通りである。
【0046】
実施形態において、スルホン化ブロックコポリマーは、一般構成A-B-(B-A)1~5(式中、各Aは、非エラストマースルホン化モノビニルアレーンポリマーブロックであり、各Bは、実質的に飽和しているエラストマーα-オレフィンポリマーブロックである。)を有し、前記ブロックコポリマーは、ポリマー全体に対して少なくとも1重量%の硫黄、及び各モノビニルアレーン単位に対して最大で1つのスルホン化成分をもたらすのに十分である程度にスルホン化されている。スルホン化ポリマーは、該ポリマーの酸、アルカリ金属塩、アンモニウム塩又はアミン塩の形態で使用することができる。
【0047】
実施形態において、スルホン化ブロックコポリマーは、中央セグメントでスルホン化された、スルホン化ポリスチレン-ポリイソプレン-ポリスチレンである。実施形態において、スルホン化ブロックコポリマーは、骨格にC=C部位を有するスルホン化t-ブチルスチレン/イソプレンランダムコポリマーである。実施形態において、スルホン化ポリマーは、参照により組み込むUS6,110,616に開示されているようなスルホン化SBR(スチレンブタジエンゴム)である。実施形態において、スルホン化ポリマーは、参照により組み込むUS4,505,827に開示されているような水分散性BABトリブロック(Bは、アルキル又は(スルホン化されると親水性になる)ポリ(t-ブチルスチレン)などの疎水性ブロックであり、Aは、スルホン化ポリ(ビニルトルエン)などの親水性ブロックである)である。実施形態において、スルホン化ブロックコポリマーは、(参照により組み込むUS5516831に開示されているような)官能化され、選択的に水素化されたブロックコポリマーであって、少なくとも1つのアルケニルアレーンポリマーブロックA及び少なくとも1つの、実質的に完全に水素化された共役ジエンポリマーブロックBを有し、スルホン官能基の実質的にすべてがアルケニルアレーンポリマーブロックAにグラフトされている、ブロックコポリマーである。実施形態において、スルホン化ポリマーは、水溶性ポリマー、t-ブチルスチレン/スチレンのスルホン化ジブロックポリマー又は参照により組み込むUS4,492,785に開示されているような、t-ブチルスチレン-スチレン-t-ブチルスチレンのスルホン化トリブロックポリマーである。実施形態において、スルホン化ブロックコポリマーは、部分的に水素化されたブロックコポリマーである。
【0048】
実施形態において、スルホン化ポリマーは、ミッドブロックスルホン化トリブロックコポリマー若しくはミッドブロックスルホン化ペンタブロックコポリマー又は、例えば、ポリ(p-tert-ブチルスチレン-b-スチレンスルホネート-b-p-tert-ブチルスチレン)若しくはポリ[tert-ブチルスチレン-b-(エチレン-alt-プロピレン)-b-(スチレンスルホネート)-b-(エチレン-alt-プロピレン)-b-tert-ブチルスチレン]である。
【0049】
実施形態において、スルホン化ポリマーは、スルホン化に利用可能又はスルホン化を受けやすいポリマー中のモノマー単位、例えば、スチレンモノマーの数を基準にして、15mol%超、25mol%超、30mol%超、40mol%超又は60mol%超の、スルホン酸官能基又はスルホン酸塩官能基を含有している。
【0050】
実施形態において、スルホン化ポリマーは、0.5meq/g超、0.75meq/g超、1.0meq/g超、1.5meq/g超、2.0meq/g超若しくは2.5meq/g超又は5.0meq/g未満のイオン交換容量を有する。
【0051】
任意の添加剤:実施形態において、スルホン化ポリマーは、抗菌効果を向上させるために、ブチルパラベン及びトリクロサンなどの抗生物質、例えば、抗菌性界面活性剤、脂質、ナノ粒子、ペプチド、抗生物質又は抗ウイルス剤、第四級アンモニウム及びホスホニウム含有ポリマー、キトサン及び他の天然由来の抗菌性ポリマー、イオン交換樹脂、銀、銅、亜鉛及びチタン、並びにそれらの酸化物などの、金属ベースのマイクロ及びナノ構造材料をさらに含有するか、該物質と複合体形成する又は他の方法で混合物、化合物などを形成する。
【0052】
実施形態において、スルホン化ポリマーは、装飾効果又は安全効果のための添加剤、例えば、スルホン化ポリマー層の発光を助ける又は可能にする、リン光及び蛍光などの発光添加剤をさらに含む。
【0053】
実施形態において、任意の添加剤は、意図された表面がコーティングされている又は無傷のままで、意図された抗菌/自己消毒効果をもたらすことを確認するための物理的検査を可能にする、特殊なUV又はブラックライトトレーサーの下で発光する蛍光増白添加剤である。
【0054】
実施形態において、光学的添加剤は、UV安定剤、例えば、当技術分野で公知のUV吸収剤、消光剤である。
【0055】
実施形態において、スルホン化ポリマーは、pH変色指示薬でその抗菌効果を知らせる又は指標を与えるのを助ける添加剤をさらに含む。例としては、チモールブルー、メチルオレンジ、ブロモクレゾールグリーン、メチルレッド、ブロモチモールブルー、フェノールレッド及びフェノール-フタレインが挙げられる。変色とは、明るい色から暗い色へ又はその逆へと色相が変化することを意味する。変色指示薬は、保護層の抗菌活性の回復、再生又は再活性化が推奨されるかどうかを示すことができる。変色指示薬は、スルホン化ポリマー材料の有効性に変化があったとき、例えば該材料の表面pHが2.0より高くなったとき、色相の顕著な変化が直ちに観察されるように、十分な量で組み込まれる。実施形態において、変色指示薬の量は、頻繁に触れられる表面に保護層として付与させるスルホン化ポリマーの量に対して0.1~20重量%の範囲である。
【0056】
上記の任意成分に加えて、可塑剤、粘着付与剤、界面活性剤、フィルム形成添加剤、染料、顔料、架橋剤、UV吸収剤、触媒、高共役粒子、シート又はチューブ(例えば、カーボンブラック、グラフェン、カーボンナノチューブ)などの他の添加剤を、該材料の有効性を低下させない程度まで、任意の組み合わせで組み込むことができる。
【0057】
スルホン化ポリマーの特性:薄い保護層として付与させた場合、スルホン化ポリマーは透明であることを特徴とする。透明性とは光学的透明性を指し、観察者がフィルムを通して可視化できるのに十分な光が透過することを意味する。多少のヘイズ又は着色を呈することがあるが、そのようなヘイズ又は着色は、可視化を実質的に妨げない。実施形態において、抗菌性スルホン化ポリマー層は、少なくとも90%若しくは少なくとも91%の透過率;又は少なくとも99%若しくは99.5%の透明度;又は1.5%未満、1.25%未満、1.0%未満若しくは0.75%未満のヘイズ値を有する。ヘイズは、ASTM D-1003に従って測定することができる。これは、94.5%の透過率、0.1のヘイズ、100%の透明度を有する透明なアクリル層と比較したものである。
【0058】
実施形態において、スルホン化ポリマーは、Tfogが5分超、すなわち、スルホン化ポリマーコーティングを有する基材の表面に、約5分以内に曇りが形成されない、防曇性を有することを特徴とする。実施形態において、Tfogは15分超又は30分超である。
【0059】
実施形態において、スルホン化ポリマーは、0.5meq/g超、1.5~3.5meq/g、1.25meq/g超、2.2meq/g超、2.5meq/g超若しくは4.0meq/g超又は4.0meq/g未満のIECを有するように十分にスルホン化されていることを特徴とする。
【0060】
実施形態において、スルホン化ポリマーは、3.0未満、2.5未満、2.25未満、2.0未満又は1.80未満の表面pHを有することを特徴とする。保護層にスルホン酸官能基が存在する結果、十分に低い表面レベルが、該表面と接触する微生物に破滅的な影響を及ぼすと考えられている。
【0061】
実施形態において、スルホン化ポリマーは、MRSA、バンコマイシン耐性エンテロコッカス・ヘシュウム(Enterococcus faecium)、X-MulV、PI-3、SARS-CoV-2、カルバペネム耐性アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)及びインフルエンザAウイルスを含むがこれらに限定されない微生物の少なくとも99%、少なくとも99.5%又は少なくとも99.9%を、30分未満の曝露又は5分未満の曝露若しくは該微生物との接触で破壊/不活性化するのに有効に機能する。第四級アンモニウム基含有ポリマーを使用した実施形態において、該物質は、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、スタフィロコッカス・アルバス(Staphylococcus albus)、エシェリキア・コリ、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)及びフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)を含む標的微生物を死滅させるのに有効である。スルホン化ポリマーは、4時間後、12時間後、少なくとも24時間後又は少なくとも48時間後も微生物を死滅させる効果を維持する。
【0062】
実施形態において、スルホン化ポリマーは、スルホン化ブロックコポリマー、例えば、モノマー単位の数を基準にして、40mol%超のスルホン酸官能基又はスルホン酸塩官能基を含有するミッドブロックスルホン化ペンタブロックコポリマーである。スルホン化ポリマーフィルム表面の洗浄をシミュレートした試験において、1日に6回の洗浄セッション(アルコール及び/又は第四級アンモニウム化合物洗浄剤で1セッションごとに4回擦る動作)を200日(少なくとも6カ月)の使用に相当する、2400回の洗浄又は摩耗サイクルの後。
【0063】
フェイスシールドへ保護層を付与させる方法:スルホン化ポリマーは、フェイスシールドの透明パネルに、コーティングとして又は自己粘着性保護フィルムとして、保護コーティングとして付着させることができる。スルホン化ポリマーは、フェイスパネルにする前又は後及びフェイスパネルがフェイスシールドに組み込まれる前又は後に、自己殺菌表面のため、1000μm未満、1μm超、5μm超、10μm超、500μm未満、200μm未満若しくは100μm未満又は1~1000μm、1~500μm、1~200μm若しくは1~100μmの厚さを有する保護層として、基材に付与させることができる。
【0064】
(フェイスパネルを形成する)ベース又は基材は、さまざまな材料から形成される。例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート、アリルジグリコールカーボネート、ポリメチルメタクリレートなどのポリアクリレート、ポリスチレン、セルロースアセテートブチレート、ガラス及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。基材は、吹き付け、キャスト、押出、射出成形などの公知のプロセスによって形成された、材料のフィルム、シート、パネル、羽目板のいずれであってもよい。基材の厚さは、潰れないために十分な剛性があるが、曲げるのに十分な柔軟性があるような厚さで、例えば、0.001~2mm、0.01~0.5mm、0.1~0.4mm若しくは0.5mm未満又は少なくとも0.05mmである。
【0065】
実施形態において、スルホン化ポリマー材料は、保護層としてベース基材をコーティングするために、最大で10重量%、最大で20重量%又は最大で50重量%の量で溶媒中に分散される。使用されるスルホン化ポリマーに応じて、例示的な溶媒としては、水、イソプロピルアルコール、アセトン、N,N-ジメチルアセトアミド、1-メチル-2-ピロリジノン、1,3-ジオキソラン、2-メトキシエタノール、ジメチルホルムアミド又はベンジルアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。実施形態において、スルホン化ポリマーは、ポリマーの好適な溶媒中溶液を調製し、その後、続いてフェイスパネルに形成される基材上にキャストし、保護ポリマー層の厚さをキャストナイフで調整し、続いて乾燥させることによって付与させる。
【0066】
実施形態において、スプレーコーティング又はスルホン化ポリマーを含有する溶液若しくは分散液への、基材のディップコーティングを含むがこれらに限定されない方法により、フェイスパネル上に保護スルホン化ポリマー層が形成される。複数のコーティングを順次付与させることができる。フェイスパネルは、個片としてスルホン化ポリマー材料でコーティングする又はコーティングされた1つの大きな基材からフェイスパネルを形成する形状に切断して形成することができる。
【0067】
実施形態において、スルホン化ポリマー層を、ピールアンドスティックフィルムとしてフェイスパネル上に付与させる。ピールアンドスティックフィルムは、まず、任意の支持体/剥離ライナーがあれば剥がして除去し、その後保護層としてベース基材に直接付与させる。フィルムがフェイスパネル上に配置された後、スキージの使用又は指で軽く叩くことにより、フィルムとフェイスパネルとの間に閉じ込められた空気を除去することができる。フェイスパネルの保護層カバーとして一定期間使用した後、スルホン化ポリマー保護層を備える剥離可能なピールアンドスティックを剥がし、新しい保護用ピールアンドスティックフィルムと交換することができる。
【0068】
防曇性を有する(例えば、15分超又は30分超のTfogを有する)スルホン化ポリマー材料を使用する実施形態において、スルホン化ポリマー材料は、透明フェイスパネルの、微生物に接触する外側表面、及び長時間の着用において曇りの形成を最小限に抑えるように、着用者に面する内側表面の両方をコーティングするために使用される。
【0069】
取付構造の異なる実施形態を含む、フェイスシールドのさまざまな実施形態を示す図が参照される。
【0070】
図1は、透明基材上に保護抗菌性ポリマー層を有する、フェイスパネルの断面構造の一実施形態を示す。この実施形態において、フェイスパネル102は、両表面に保護層として抗菌性ポリマーを有する。図示されているように、透明基材140は、着用者(図示せず)に面して配置されるように構成された第1の表面142(すなわち内側表面142)及び内側表面142と反対側に配置された第2の表面144(すなわち外側表面144)を有する。スルホン化ポリマーは、第1のポリマーフィルム150及び第2のポリマーフィルム152として両表面にコーティング又は付与させるために使用される。ポリマーフィルムは、別個の層として(例えば、キャストによって)又は基材140の第1及び第2の表面の両方をコーティングすることによって付与し、積層構造を形成することができる。第1のポリマーフィルム150は、ウイルス又は細菌などの微生物にさらされる、フェイスパネル102の外側表面138を形成する。第2のポリマーフィルム152は、基材140の内側表面142と係合し、隣接するように付与し、それによってフェイスシールドの着用者に面する内側表面136を形成する。
【0071】
第1及び第2のポリマーフィルムは、同一である又は異なるスルホン化ポリマーであり得る。実施形態において、第2のポリマーフィルム152は、防曇性を有するKraton Corporation製スルホン化ブロックコポリマー材料を含み、それにより着用者がフェイスパネル102を通してより良く見ることができる。実施形態において、フェイスシールドを自己殺菌型保護用品として機能させ続けるため、時間の経過と共に、スルホン化ポリマーフィルムの追加の「新たな」又は新しい層を、第1のポリマーフィルム上に付与させることができる。
【0072】
図2は、フェイスシールド100の一実施形態を示す。フェイスシールド100は、着用者200(図示せず)の顔の前に配置されるように構成された透明フェイスパネル102を含む。フェイスパネル102は、上縁部104、上縁部104と反対側に配置された下縁部106、第1の側縁部108及び第2の側縁部110を有する、平坦な形状又は実質的に弧状の形状であってもよい。フェイスシールド100が着用者200に固定されたとき、上縁部104は、着用者200の額に近接して配置されてもよく、一方、下縁部106は、着用者200の額から遠位に配置される。したがって、下縁部106は、上縁部104と比較して、着用者の顎に近接して配置されてもよい。第1の側縁部108及び第2の側縁部110は、上縁部104から下縁部106まで広がっており、互いに反対側に配置されている。
【0073】
フェイスシールド100は、フェイスパネル102を着用者200に固定するための取付構造120を含んでもよく、フェイスパネル120を着用者200の顔の前に配置するように構成されている。取付構造120は、フェイスシールド100を着用者の頭部に固定するように構成され、第1の側縁部108及び上縁部102に近接した位置でフェイスパネル102に接続された第1のストラップ122、並びに第2の側縁部110及び上縁部102に近接した位置でフェイスパネル102に接続された第2のストラップ124を含む。取付構造120は、第1のストラップ122を第2のストラップ124に取り付けるためのカプラー126を含む。
【0074】
一実施形態において、カプラー126は、第1のストラップ122に取り付けられた雄部材128及び第2のストラップ124に取り付けられ、雄部材128と取り外し可能に係合するように構成された雌部材130を含んでもよい。いくつかの実施形態(図示せず)において、カプラー120は、第1のストラップ122に取り付けられたフック部材及び第2のストラップ124に取り付けられたループ部材を有する、フックアンドループ組部品であってもよい。実施形態(図示せず)において、第1のストラップ122及び第2のストラップ124は、フェイスパネル102の内側表面136に接着剤で貼り付けられていてもよい。いくつかの実施形態(図示せず)において、フェイスパネル102は、内側表面136から外側表面に及ぶ、側縁部108、110に近接して配置された切欠きを含んでもよく、ストラップ122、124は、対応する切欠きを通してストラップ122、124のそれぞれの一部を挿入し、次いで結び目を作ることによってフェイスパネル102に取り付けられてもよい。ストラップ122、124は、当技術分野で公知である任意の機構又は方法によってフェイスパネル102に取り付けられてもよいことが理解されよう。
【0075】
実施形態(図示せず)において、取付構造120は、一端が第1の側縁部108の最上部又はその近くに取り付けられているか結ばれ、他端が第2の側縁部110の最上部又はその近くに取り付けられているか結ばれた、単純な弾性ストラップであってもよい。
【0076】
いくつかの実施形態(図示せず)において、フェイスパネル102は、保護衣、例えば、個人用保護具の一部として組み込まれていてもよい。
【0077】
図3は、フェイスシールド300の代替実施形態を示す。フェイスシールド300は、フェイスシールド100に類似しているが、取付構造302及び発泡部材306が異なる。フェイスシールド100、300の類似の構成要素は、同一の参照符号で表されていることが理解されよう。取付構造302は、フェイスシールド300のフェイスパネル102に接続された弾性バンド304であり、フェイスパネル102が着用者の顔の前に来るように、フェイスシールド300を着用者200の頭部に固定するよう構成されている。発泡部材306は、フェイスパネル102の内側表面136に取り付けられ、フェイスパネル102の上縁部104に近接して配置されている。発泡部材306は、着用者200の額に対してクッション効果をもたらし、取り外し可能である。
【0078】
図4は、フェイスシールド100に類似しているが、異なる取付構造402を有する、フェイスシールド400のさらに別の代替実施形態を示す。フェイスシールド100、300及び400の類似の構成要素は、同一の参照符号で表されている。取付構造402は、フェイスシールド400のフェイスパネル102に取り付けられ、第1の側縁部108から外向きに広がる第1のストラップ404及びフェイスパネル102に取り付けられ、第2の側縁部110から外向きに広がる第2のストラップ406を含む。カプラー408は、第1のストラップ404及び第2のストラップ406を取り付けるためのものである。カプラー408は、第2のストラップ406と取り外し可能に係合するように構成された、第1のストラップ404に取り付けられたバックルリング410であってもよい。バックルリング410は、縫製によって又はVelcro(図示せず)によって、第1のストラップ404に取り付けられていてもよい。第2のストラップ406は、当技術分野で公知であるように、第2のストラップ406の一部をバックルリング410の内部に挿入することによってバックルリング410に取り付けられる。いくつかの実施形態において、第1のストラップ404及び第2のストラップ406は互いに一体的に形成され、ストラップの一部は、フェイスパネル102の内側表面136に接着剤で(又はVelcroによって)貼り付けられ、第1の側縁部108から第2の側縁部110まで弧状に広がる。
【0079】
図5は、異なる取付構造502を有する、フェイスシールド500のさらに別の実施形態を示す。取付構造502は、フェイスシールド500のフェイスパネル506に取り付けられた眼鏡のフレーム504であってもよい。フェイスパネル506は、機能的にはフェイスシールド100のフェイスパネル102に類似しており、透明な積層体を有する。フレーム504は、互いに間隔を置いて配置され、フェイスパネル506の側縁部512、514から外向きに広がる2つのテンプル又はアーム508、510を含む。第1のテンプル508は、第1の側縁部512から広がり、第2のテンプル510は、第2の側縁部514から外向きに広がる。フレーム504は、着用者200の鼻で支持されるように構成されたブリッジ520及びブリッジ520の下に固定された鼻パッド522、524を含む。鼻パッド522、524は、着用者200の鼻に隣接するように構成され、フレーム504、ひいてはフェイスパネル506を所定の位置に保つのを助け、一方で快適さ及びぴったりとしたフィット感をもたらす。
【0080】
フレーム504は、ブリッジ520から第1のテンプル508まで広がる第1の円弧部分530及びブリッジ520から第2のテンプル510まで広がる第2の円弧部分532を含む。フェイスパネル506は、ブリッジ520、鼻パッド522、524及び円弧部分530、532が着用者200の顔(図示せず)とフェイスパネル506との間に配置されるように、2つの円弧部分530、532に取り付けられていてもよい。2つのテンプル508、510は、フェイスシールドを着用者200に固定するために、着用者200の耳に載るように構成されている。ブリッジ520、鼻パッド522、524及び円弧部分530、532のうちの1つ以上は、フェイスパネル506の内側表面に隣接していてもよく、フェイスパネル506に係合して/取り付けられていてもよい。一実施形態において、フレーム504及びフェイスパネル506は、一体的に形成されてもよい。あるいは、フェイスパネル506は、フレーム504と取り外し可能に係合してもよい。加えて又は任意選択的に、フェイスシールド500は、円弧部分530、532及びブリッジ520のいずれかと係合し、着用者200の目の周辺部及び鼻に接触してクッション効果をもたらすように構成されたクッションパッド(図示せず)を含んでもよい。
【0081】
図6は、フェイスパネル602がリム部分630、632を介して眼鏡604に取り付けられた又は取り外し可能に係合し得る、フェイスシールド600の別の実施形態を示す。フェイスパネル602は、他の実施形態におけるフェイスパネルに類似している。
図7は、着脱可能なフェイスパネル(図示せず)と共に使用することができる保護眼鏡604の実施形態を示す。
【0082】
眼鏡は、互いに間隔を置いて配置され、着用者200の耳に載るように構成された2つのテンプル又はアーム608、610(
図6には図示せず)及び着用者200(図示せず)の鼻で支持されるように構成されたブリッジ620を含む。眼鏡604は、ブリッジ620から第1のテンプル608まで広がる第1のリム部分630及びブリッジ620から第2のテンプル610まで広がる第2のリム部分632を含んでもよい。フェイスパネル602の取り外し可能な係合を容易にするために、眼鏡604は、(
図7に示すような)複数のクリップ640を含んでもよい。フェイスパネル602は、リム部分630、632とクッションパッド638との間に配置されてもよい。一実施形態において、フェイスパネル602(図示せず)は、リム部分630、632と一体的に形成されてもよい
【0083】
任意選択的に、眼鏡604は、リム部分630、632及びブリッジ620と係合し、着用者200の目の周辺部及び鼻に接触又は周りを閉じてクッション効果をもたらすように構成された、クッションパッド638を含んでもよい。レンズ634、636もスルホン化ポリマー層で保護又はコーティングすることができることに留意されたい。
【0084】
図8は、
図1のフェイスシールド100と類似の構成要素が同一の参照符号で表されている、さらに別のフェイスシールド800を示す。構造802は、着用者頭部(図示せず)へのフェイスシールド800の固定を容易にする、第1のアーム804及び第1のアーム804に対して間隔を置いて反対側に配置された第2のアーム806を含む。第1のアーム804は、第1の側縁部108から外向きに広がり、実質的に第1の側部に沿って、例えば、頭部の右側に沿って、右肩の上に配置されるように構成されている。同様に、第2のアーム806は、第2の側縁部110から外向きに広がり、実質的に第2の側部に沿って、例えば、頭部の左側に沿って、左肩の上に配置されるように構成されている。各アーム804、806は係合構造、例えば、少なくとも1つの第1の切欠き810などの第1の係合構造808及び少なくとも1つの第2の切欠き814などの第2の係合構造812を含んでもよい。そして、これは、着用者へのフェイスシールド800の固定を容易にし、引きひも又は耳ひもと係合するように構成され得る。
【0085】
実施形態(図示せず)において、フェイスパネル102は、フェイスパネルが着用者の鼻に載るための鼻用くぼみ及び/又はクッションを含む。さらに他の実施形態(図示せず)において、第1及び第2のアームは、着用者の耳たぶの周りにフィットするような形状であり、着用者の顔を保護するためにフェイスシールドを固定したままにする。
【0086】
図9は、
図1の取付構造120とは異なる取付構造902を有する、フェイスシールド900のさらに別の実施形態を示す。取付構造902は、着用者頭部へのフェイスシールド900の固定を容易にする、第1のアーム904及び第1のアーム902に対して間隔を置いて反対側に配置された第2のアーム(図示せず)を含む。第1のアーム902は、フェイスシールド900におけるフェイスパネル906の第1の側縁部908から外向きに延び、実質的に第1の側部に沿って、例えば、頭部の右側に沿って、右肩の上に配置されるように構成されている。第2のアーム(図示せず)は、フェイスパネル906の第2の側縁部から外向きに延び、実質的に第2の側部に沿って、例えば、頭部の左側に沿って、左肩の上に配置されるように構成されている。各アームは、着用者200の顔の前におけるフェイスパネル906の固定を容易にするために、係合構造を含んでもよく、例えば、第1のアーム902は、孔912などの係合構造910を含む。
【0087】
取付構造902は、着用者200の頭上に配置されるように構成されたキャップ920を含み、保持構造、例えば、第1のアーム902及び第2のアームの係合構造と係合するように構成された、第1の保持構造922及び第2の保持構造(図示せず)を含んでもよい。保持構造922は、キャップ920から外向きに広がる突出部924であってもよい。フェイスパネル906が第1の位置(例えば上方位置)と第2の位置(例えば下方位置)との間でキャップ920に対して回転できるように、フェイスパネル906を対応する突出部924で支持するため、突出部924が対応する孔912を通って広がるよう、第1のアーム902及び第2のアームは、キャップ920と係合してもよい。フェイスパネル906は、着用者200の顔の輪郭に対応して形成又は輪郭付けされる。
【0088】
実施形態(図示せず)において、フェイスシールドのフェイスパネルは鼻及び口のみを覆う。フェイスシールドは、眼鏡と同様に、着用者の耳の周りを包み込む2つの調節可能なアーム又はテンプルを有する。
【0089】
図10は、フェイスパネル1002、及びフェイスパネル1002を支持し、フェイスパネル1002の縁部に沿って広がるフレーム1004を含む、さらに別のフェイスシールド1000を示す。フェイスシールドは、着用者(図示せず)の頭部に配置され、フレーム1004に回転可能に連結されるように構成されたキャップ(ヘルメット又は帽子)1006を含む。フレーム1004及びキャップ1006は一緒になって、フェイスパネル1002が着用者の顔の前に配置されるように、フェイスシールド1000を着用者に固定する取付構造1008を形成する。
【0090】
図11は、別のフェイスシールドの実施形態1100を示す。フェイスシールド1100は、着用者(図示せず)の顔の一部のみを覆うように構成されている。フェイスシールド1100は、フェイスパネル1102、及びフェイスパネル1102を支持し、フレーム1104がフェイスパネル1102を囲むようにフェイスパネル1102の縁部に沿って広がるフレーム1104を含む。スルホン化ポリマー層でコーティングされた透明積層体を有するフェイスパネル1102は、着用者の目の前に配置され、したがって、保護眼鏡としても機能し得るように構成されている。図示されているように、フレーム1104は、フェイスパネル1102が着用者200の顔に固定されたときに、着用者の鼻筋に載る鼻用くぼみを形成する鼻部1106を含んでもよい。フレーム1104は、着用者200の額に沿って広がるように構成された上部部材1108及び上部部材1108から下向きに広がる2つの側部部材1110、1112を含む。フェイスシールド1100は、上部部材に取り付けられ、着用者200の額に隣接するように構成されたパッド1114を含んでもよい。パッド1114は、クッション効果をもたらすゴムベースの材料を含んでもよい。
【0091】
特許され得る範囲は特許請求の範囲によって定義され、当業者が思いつくが、図で示されていない場合がある他の実施例、例えば、取り外し可能な透明フェイスパネルを有するフェイスシールド、が含まれ、これは、取り外して別のフェイスパネルと交換できる、又は、眼鏡フレームにクリップで留めることができるフェイスシールド又はフェイスシールドの取付構造として使用するためのフックアンドループファスナー機構(例えば、Velcro)ストラップを有するフェイスシールドが含まれる。フェイスシールドはまた、取付構造がフェイスパネルを形成する基材と一体である一体成形又は使用者が着用する保護衣に接続されたフェイスシールド、保護衣のヘッドギアに組み込まれた部分であるフェイスシールド又は保護衣や保護ヘッドギアへ挿入するための若しくはキャップや帽子に取り付けるための(例えば、Velcroなどのフックアンドループファスナーを備えた)、取り外し可能なフェイスパネルであってもよい。
【実施例】
【0092】
実施例1:スルホン化ポリマーの抗菌効果及び抗ウイルス性の持続性を評価するために試験を実施し、52%スルホン化されたポリ[tert-ブチルスチレン-b-(エチレン-alt-プロピレン)-b-(スチレン-co-スチレンスルホネート)-b-(エチレン-alt-プロピレン)-tert-ブチルスチレン]の構造であるスルホン化ペンタブロックコポリマー(SPBC)のフィルム試料を、トルエン及び1-プロパノールの1:1混合物からキャストした。該スルホン化ポリマーフィルム試料を、3種の一般的な消毒剤:1)70%エタノール、塩化ベンザルコニウム、第四級アンモニアの存在下で、濃度107pfu/mlのSARS-CoV-2ウイルス懸濁液に曝露して、2200サイクルの摩耗試験に供した。
【0093】
2時間の接触後、10%血清を含有する500μlのDMEM組織培養液で2回洗浄し、各試料から生存ウイルスを回収し、段階希釈プラークアッセイで測定した。Gibcoダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)は、多くの異なる哺乳類細胞の増殖を補助するための基礎培地である。その結果、約1年間の洗浄(消毒剤で6回拭き取り/日)に相当する摩耗試験後、表面プロGibcoダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)は、多くの異なる哺乳類細胞の増殖を補助するために広く使用される基礎培地であることが示された。
【0094】
実施例2:この実施例では、厚さ1ミル(25.4μm)のマイラーシートにスルホン化ブロックポリマー溶液(スルホン化ブロックポリマーの、割合1:1のトルエン/1-プロパノール中溶液)をキャストして多層積層体が構築される。
【0095】
キャストは、厚さ及び基材上にキャストされる溶液の速度を制御する、キャスティングブレードを備えた機械的キャスティングテーブル、例えばElcometer 4340で行った。所望の厚さに応じて設定した量のスルホン化ポリマーを基材上に注ぐ。キャスティングブレードを液体上で引き、基材上に均一な厚さを形成する。次いで、溶媒をゆっくりと蒸発させることができるチャンバに材料を入れる。すべての溶媒が蒸発後、0.0176インチ(0.044cm)~0.0003インチ(0.00076cm)の厚さを有する積層構造を形成し、キャストが完了する。
【0096】
抗菌層の表面pHは、表面pH測定プローブ(EDT DirectION Limited model E8087)を使用して測定する。pH試験のため、0.02ml程度の水を抗菌層上に小滴として置く。水滴の上にプローブを置き、層表面に接触させ、5分後にpHを測定し、pHは2.0であった。
【0097】
実施例3:厚さ0.5mmのポリエチレンフラットシートを、可視光中において二酸化硫黄/塩素ガス混合物(体積比3:1)中に室温で6時間浸漬し、クロロスルホン化する。次いで、このクロロスルホン化ポリエチレンシートを50℃の1N NaOH中に2日間浸漬し、ペンダントスルホニルクロライド基(-SO2Cl)基を加水分解してスルホン基(-SO3Na+)にする。このシートを1N HClで室温において4時間処理することにより、スルホン酸形態が得られる。その後、シートを脱イオン水で洗浄し、減圧下で乾燥させる。ポリエチレン1グラム当たりのスルホン酸基のミリ当量(meq)をNaOH滴定により求め、1.69meq/gであることが分かった。このスルホン化ポリエチレンシートは、表面を保護するために適切な大きさに切断することができる。
【0098】
実施例4:広口ガラス瓶(容量120mL、直径2インチ)にジクロロメタン(50mL、66gm)及びクロロスルホン酸(0.7~1.4gm)を順次添加する。該溶液10mLを広口ガラスジャー(410mL、直径3インチ)中のジクロロメタン(50mL、66gm)に添加する。該混合物に1ミル(0.001インチ、0.0025cm)の無色PPS(ポリフェニレンサルファイド)フィルムを添加する。このフィルムを反応溶液に浮遊させ、25℃でさまざまな時間反応させる。さまざまな反応時間後、黒色フィルムを蒸留水(200mL)に添加すると、フィルムは淡黄色に変化した。このフィルムを追加の水(約2リットル)で広範囲に洗浄し、水(250mL)で約1時間煮沸する。その後、フィルムを1モル濃度の塩化ナトリウム(220mL)に浮遊させ、0.01モル濃度の水酸化ナトリウムでpH7を終点とする滴定により、スルホン化量を求める。反応時間によるスルホン化量(meq/g SO3H単位)は、0.64(1時間)、1.27(6.5時間)、1.71(16時間)、1.86(24時間)、2.31(48時間)及び2.6(60時間)である。該スルホン化ポリ(フェニレンサルファイド)フィルムは、コーティング材料として又はフェイスシールドに使用する保護フィルムとして抗菌用途に使用することができる。
【0099】
本明細書で使用される場合、用語「含む(comprising)」は、その用語に続いて特定される要素又はステップを含むことを意味するが、任意のそのような要素又はステップは網羅的ではなく、実施形態は他の要素又はステップを含むことができる。本明細書では、さまざまな態様を説明するために用語「含む(comprising)」及び「含む(including)」が使用されてきたが、本開示のより詳細な態様を提供するため、「含む(comprising)」及び「含む(including)」の代わりに、用語「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」を使用することができ、これも開示されている。
【0100】
本明細書及び添付された特許請求の範囲の目的のために、別途指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される量、パーセント又は割合及び他の数値を表すすべての数字は、すべての場合において、「約」という用語によって修正されるものと理解されるべきである。したがって、それとは反対の指示がない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載された数値パラメータは、得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、明示的かつ明白に1つの指示対象に限定されない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。本明細書で使用される場合、用語「含む(include)」及びその文法的変形は、リスト内の項目の説明が、リストに記載された項目に置換又は追加され得る他の同様の項目を排除するものではないように、非限定的であることを意図している。
【0101】
特に明記しない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、開示された開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。個々の成分又は成分の混合物を選択することができる要素、材料又は他の成分における種類の説明は、リストに記載された成分及びそれらの混合物の、すべての可能な亜属の組み合わせを含むことを意図している。
【0102】
特許され得る範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が思いつく他の実施例を含むことができる。そのような他の実施例は、請求項の文言と異ならない構造要素を有する場合又は請求項の文言と実質的に異ならない同等の構造要素を含む場合に、特許請求の範囲内であることが意図される。本明細書と矛盾しない範囲で、本明細書で言及されるすべての引用は、参照により本明細書に組み込む。
【国際調査報告】