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  • 特表-多層チューブおよびその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-30
(54)【発明の名称】多層チューブおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 11/04 20060101AFI20230523BHJP
   B32B 1/08 20060101ALI20230523BHJP
   B32B 25/14 20060101ALI20230523BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20230523BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
F16L11/04
B32B1/08 B
B32B25/14
B32B27/00 103
B32B27/30 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562849
(86)(22)【出願日】2021-04-12
(85)【翻訳文提出日】2022-10-14
(86)【国際出願番号】 US2021026861
(87)【国際公開番号】W WO2021211442
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】63/011,728
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500149223
【氏名又は名称】サン-ゴバン パフォーマンス プラスティックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツィヴァニス、マイケル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ジャンフェン
(72)【発明者】
【氏名】リュー、シーペン
(72)【発明者】
【氏名】ゴラブ、チャールズ エス.
【テーマコード(参考)】
3H111
4F100
【Fターム(参考)】
3H111AA02
3H111BA15
3H111CB03
3H111CB14
3H111CB29
3H111DA20
3H111DA26
3H111DB01
3H111DB11
3H111DB27
3H111EA04
4F100AK03B
4F100AK17A
4F100AK17B
4F100AK28B
4F100AK51B
4F100AK52B
4F100AK54A
4F100AK54B
4F100AK64B
4F100AK73B
4F100AL09A
4F100AL09B
4F100AN01B
4F100AN02A
4F100AN02B
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100DA11A
4F100DA11B
4F100DA11C
4F100JK06C
4F100JL08C
(57)【要約】
本開示は、内層及び外層を含み得る多層チューブに関する。内層はフルオロエーテルエラストマーを含んでもよく、外層は非フルオロエーテル系エラストマーを含んでもよい。多層チューブは、少なくとも約1ppiの内層と外層との間の接着力をさらに含んでもよい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルオロエーテルエラストマーを含む内層;
非フルオロエーテル系エラストマーを含む外層;および
内層と外層との間の少なくとも約1ppiの接着力、
を含む多層チューブ。
【請求項2】
多層チューブが、内層と外層との間の接触部をさらに有し、接触部が過酸化物残渣を含む、請求項1に記載の多層チューブ。
【請求項3】
多層チューブが、内層と外層との間の接触部をさらに有し、接触部が触媒残渣を含む、請求項1に記載の多層チューブ。
【請求項4】
触媒残渣が、過酸化物系残渣、フェノール系残渣、ヒドロシリル化残渣、白金系残渣、またはそれらのいかなる組み合わせを含む、請求項3に記載の多層チューブ。
【請求項5】
触媒残渣がヒドロシリル化触媒を含む、請求項3に記載の多層チューブ。
【請求項6】
触媒残渣が、チタン、鉄、マンガン、コバルト、銅、亜鉛、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、スズ、イッテルビウム、レニウム、イリジウム、白金、またはそれらのいかなる組み合わせを含む、請求項3記載の多層構造管。
【請求項7】
外層がフルオロエーテルエラストマー層である、請求項1に記載の多層チューブ。
【請求項8】
内層のフルオロエーテルエラストマーが、フルオロシリコーンゴム、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の多層チューブ。
【請求項9】
内層のフルオロエーテルエラストマーが、フルオロシリコーンゴム、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、またはこれらの組み合わせから成る、請求項1に記載の多層チューブ。
【請求項10】
外層が非フルオロエーテル系エラストマー層である、請求項1に記載の多層チューブ。
【請求項11】
外層の非フルオロエーテル系エラストマーが、シリコーン、ポリオレフィンエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ジエン系エラストマー、ブチルゴム、天然ゴム、ポリウレタンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、ブレンドまたはこれらのいかなる組み合わせを含む、請求項1に記載の多層構造チューブ。
【請求項12】
外層の非フルオロエーテル系エラストマーが、シリコーン、ポリオレフィンエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ジエン系エラストマー、ブチルゴム、天然ゴム、ポリウレタンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、ブレンドまたはこれらのいかなる組み合わせから成る、請求項1に記載の多層チューブ。
【請求項13】
内層と外層との間の接着力が少なくとも約1ppiである、請求項1に記載の多層チューブ。
【請求項14】
内層と外層との間の接着力が、内層と外層との破壊モードより大きくなく、破壊モードとは、内層と外層との接着が破壊する前に、内層、外層、または内層と外層の両方が構造的に破壊する接着力として定義される、請求項13に記載の多層チューブ。
【請求項15】
多層チューブを形成する方法であって:
フルオロエーテルエラストマーを含む内層を提供すること;
内層を覆う、非フルオロエーテル系エラストマーを含む外層を提供すること;および
内層と外層を硬化させ、多層チューブを形成すること、
を含み、
しかも、前記多層チューブは、前記内層と前記外層との間の少なくとも約1ppiの接着力を含む、前記の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、多層チューブおよびその製造方法に関し、特に、多層流体導管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホースやチューブは、清掃や家庭用産業、食品加工、化学産業、製薬産業など、さまざまな産業で使用されている。このような産業では、洗浄が容易で汚染物質に対して耐性があることから、内面が低表面エネルギーである流体導管が使用されている。特に、フッ素樹脂のような低表面エネルギーポリマーが注目されている。しかし、このようなフッ素樹脂は高価であり、特定の用途には好ましくない性質を持つことが多い。
【0003】
産業界では、このようなフッ素樹脂を流体導管用のライナーとして使用している。しかし、内面として望ましい多くのフッ素樹脂は、他の表面に付着することが困難である。例えば、洗濯用洗剤のような特定の溶媒にさらされると、フッ素樹脂と基材との間で一般的に剥離が発生する。さらに、多くのフッ素樹脂は柔軟性に欠けるため、曲げ半径や圧力などの応力を必要とする用途には好ましくない材料である。
【発明の概要】
【0004】
そのようなものとして、改良された多層ポリマー物品が望ましいであろう。
【0005】
概要
第1の態様によれば、多層チューブは、内層及び外層を含んでもよい。内層はフルオロエーテルエラストマーを含んでもよく、外層は非フルオロエーテル系エラストマーを含んでもよい。多層チューブは、少なくとも約1ppiの内層と外層との間の接着力をさらに含んでもよい。
【0006】
さらに別の態様によれば、多層チューブを形成する方法は、内層を設けることと、内層を覆う外層を設けることと、内層及び外層を硬化させて多層チューブを形成することとを含んでもよい。内層はフルオロエーテルエラストマーを含んでもよく、外層は非フルオロエーテル系エラストマーを含んでもよい。多層チューブは、少なくとも約1ppiの内層と外層との間の接着力をさらに含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図面の簡単な説明
実施形態は例示であり、添付の図に限定されるものではない。
図1図1は、例示的な多層チューブの説明図を含む。
【0008】
当業者は、図中の要素は単純明快にするために図示されており、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
好ましい実施形態の詳細な説明
以下の議論は、本教示の特定の実装および実施形態に焦点を当てる。詳細な説明は、特定の実施形態の説明を支援するために提供され、本開示又は教示の範囲又は適用性を制限するものとして解釈されるべきではない。本明細書で提供される開示及び教示に基づいて、他の実施形態を用いることができることが理解されよう。
【0010】
用語「含む」、「含み」、「包含する」、「有する」、「有し」又はその他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図している。例えば、特徴のリストから成る方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの特徴のみに限定されるわけではなく、明示的にリストされていない他の特徴又は当該方法、物品、又は装置に固有の特徴を含んでいてもよい。さらに、明示的に反対を表明しない限り、「または」は包括的な「または」を指し、排他的な「または」を指さない。例えば、条件AまたはBは、以下のいずれか1つによって満たされる:条件AまたはBは、Aが真(または存在)でBが偽(または存在しない)、Aが偽(または存在しない)でBが真(または存在)、AおよびBの両方が真(または存在)であることのいずれかによって満たされる。
【0011】
また、本明細書に記載される要素および構成要素を説明するために、「1つ」または「1個」の使用が採用される。これは、単に便宜上、および本発明の範囲の一般的な感覚を与えるために行われるものである。本明細書は、そうでないことが明らかでない限り、1つ、少なくとも1つ、または単数形は複数形も含むと読むべきであり、またはその逆もまた然りである。例えば、本明細書において、単一の項目が記載されている場合、単一の項目の代わりに複数の項目が使用されてもよい。同様に、本明細書において複数の項目が記載されている場合、単一の項目がその複数の項目に置き換えられてもよい。
【0012】
本明細書に記載される実施形態は、一般に、内層及び外層を含み得る多層チューブに向けられている。特定の実施形態によれば、内層は、フルオロエーテルエラストマーを含んでもよい。さらに他の実施形態によれば、外層は、非フルオロエーテル系エラストマーを含んでもよい。有利には、多層チューブは、化学溶液、動的応力、又はそれらの組み合わせへの曝露を含む用途のための特性を有する。さらに他の実施形態によれば、多層チューブを形成する方法がさらに説明される。
【0013】
特定の実施形態によれば、内層のフルオロエーテルエラストマーは、特定の材料を含んでもよい。例えば、内層のフルオロエーテルエラストマーは、フルオロシリコーンゴム、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、又はそれらの任意の組合せを含んでもよい。特定の実施形態によれば、内層のフルオロエーテルエラストマーは、フルオロシリコーンゴムであってよい。さらに他の実施形態によれば、内層のフルオロエーテルエラストマーは、フルオロエラストマーであってもよい。さらに他の実施形態によれば、内層のフルオロエーテルエラストマーは、フルオロエラストマーであってもよい。他の実施形態によれば、内層のフルオロエーテルエラストマーは、フルオロシリコーンゴム、フルオロエラストマー、及びパーフルオロエラストマーの任意の組合せであってもよい。
【0014】
特定の実施形態によれば、内層のフルオロエーテルエラストマーは、特定の材料から構成されてもよい。例えば、内層のフルオロエーテルエラストマーは、フルオロシリコーンゴム、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、又はそれらの任意の組合せから成っていてもよい。特定の実施形態によれば、内層のフルオロエーテルエラストマーは、フルオロシリコーンゴムから構成されてもよい。さらに他の実施形態によれば、内層のフルオロエーテルエラストマーは、フルオロエラストマーから構成されてもよい。さらに他の実施形態によれば、内層のフルオロエーテルエラストマーは、パーフルオロエラストマーから構成されてもよい。他の実施形態によれば、内層のフルオロエーテルエラストマーは、フルオロシリコーンゴム、フルオロエラストマー、及びパーフルオロエラストマーのいかなる組み合わせから構成されてもよい。
【0015】
さらに他の実施形態によれば、内層はフルオロエーテルエラストマー層であってもよい。特定の実施形態によれば、内層は、特定の材料層であってもよい。例えば、内層のフルオロエーテルエラストマーは、フルオロシリコーンゴム層、フルオロエラストマー層、又はパーフルオロエラストマー層であってもよい。
【0016】
さらに他の実施形態によれば、内層のフルオロエーテルエラストマーは、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ビニリデンフロライド、ビニリデンジフルオロライド、パーフルオロプロピルビニルエーテル、パーフルオロメチルビニルエーテル、エチレン、プロピレンまたはこれらのいかなる組み合わせなどのモノマーから形成されるホモポリマー、コポリマー、テルポリマーまたはポリマーブレンドから形成されても良い。さらに他の実施形態によれば、内層のフルオロエーテルエラストマーは、フルオロエーテルエラストマーを外層の非フルオロエーテル系エラストマーに結合させる化学部位を有する少なくとも1つのモノマー単位を含んでもよい。特定の実施形態によれば、内層のフルオロエーテルエラストマーは、少なくとも2つのモノマー単位を含んでもよく、ここでモノマー単位は、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロメチルビルエーテル、エチレン、ポリプロピレン、またはそれらの任意の組合せを含んでいる。さらに他の実施形態によれば、内層のフルオロエーテルエラストマーの少なくとも1つのモノマー単位は、フッ素原子を含む。
【0017】
さらに他の実施形態によれば、フルオロエーテルエラストマーは、シリコーン架橋基を有するフルオロエーテルエラストマー(例えば、「SIFEL」、信越化学工業株式会社製)を含んでもよい。さらに他の実施形態によれば、フルオロエーテルエラストマーは、シリコーン架橋基を有するフルオロエーテルエラストマー(例えば、信越化学工業株式会社製の「SIFEL」)から構成される。
【0018】
さらに他の実施形態によれば、内層のフルオロエーテルエラストマーは、エチレン、テトラフルオロエチレン(TFE)、およびパーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)のターポリマー、ヘキサフルオロプロピレンおよびフッ化ビニリデンのコポリマー、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、およびフッ化ビニリデンのターポリマー、テトラフルオロエチレン、パーフルオロメチルビニルエーテルおよびフッ化ビニリデンのターポリマー、テトラフルオロエチレン、プロピレンおよびフッ化ビニリデンのターポリマー、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、エチレン、パーフルオロメチルビルエーテルおよびフッ化ビニリデンのペンターポリマー、それらの任意のブレンドまたは組合せを含み得る。
【0019】
更なる実施形態では、内層は、想定される任意の添加剤を含んでもよい。特定の実施形態によれば、添加剤は、例えば、硬化剤、酸化防止剤、充填剤、紫外線(UV)剤、染料、顔料、老化防止剤、可塑剤等、又はそれらの組合せを含んでもよい。実施形態において、硬化剤は、内層のフルオロエーテルエラストマーの架橋を増加及び/又は促進させるために提供される架橋剤である。さらなる実施形態において、硬化剤の使用は、硬化剤を含まない内層と比較して、小分子の透過の減少及び内層の弾性回復の改善などの望ましい特性を提供し得る。硬化剤は、例えば、ジヒドロキシ化合物、ジアミン化合物、有機過酸化物、又はそれらの組み合わせなど、任意の硬化剤が想定される。例示的なジヒドロキシ化合物としては、ビスフェノールAFが挙げられる。例示的なジアミン化合物は、ヘキサメチレンジアミンカルバメートを含む。実施形態において、硬化剤は、有機過酸化物である。硬化剤の量は、任意であることが想定される。あるいは、内層は、架橋剤、硬化剤、光重合開始剤、充填剤、可塑剤、またはそれらの組み合わせを実質的に含まなくてもよい。本明細書で使用する「実質的に含まない」とは、内層のフルオロエーテルエラストマーの全重量に対して約1.0重量%未満、またはさらに約0.1重量%未満であることを指す。
【0020】
特定の実施形態によれば、内層は、フルオロエーテルエラストマーの特定の含有量を含んでもよい。例えば、内層は、内層の総重量に対して少なくとも約70wt.%、例えば、少なくとも約71wt.%、少なくとも約72wt.%、少なくとも約73wt.%、少なくとも約74wt.%、少なくとも約75wt.%、少なくとも約76wt.%、少なくとも約77wt.%、少なくとも約78wt.%、少なくとも約79wt.%、少なくとも約80wt.%、少なくとも約81wt.%、少なくとも約82wt.%、または少なくとも約83wt.%。または少なくとも約83wt.%、少なくとも約84wt.%、少なくとも約85wt.%、少なくとも約86wt.%、少なくとも約87wt.%、少なくとも約88wt.%、少なくとも約89wt.%、少なくとも約90wt.%、少なくとも約91wt.%、または少なくとも約92wt.%。少なくとも約92wt.%、少なくとも約93wt.%、少なくとも約94wt.%、少なくとも約95wt.%、少なくとも約96wt.%、少なくとも約97wt.%、少なくとも約98wt.%、少なくとも約99wt.%、さらには少なくとも約100wt.%のフルオロエーテルエラストマー含量を含んでもよい。内層中のフルオロエーテルエラストマー含量は、上述の値のいずれかの間の範囲内であってもよいことが理解されよう。内層中のフルオロエーテルエラストマー含有量は、上に記した最小値と最大値との間の任意の値であってよいことがさらに理解されよう。
【0021】
特定の実施形態によれば、内層は望ましい硬度を有していてもよい。例えば、内層の硬度は、ASTM D2240によって測定された、約95未満のショアD、例えば、約20から約95のショアD、例えば、約20から約65のショアA、例えば、約20から約80のショアAなどである。実施形態では、内層の硬度は、約80未満、例えば約20~約80、例えば約40~約80、又は更に約40~約60のショアAである。硬度は、上述した最小値と最大値のいずれかの間の範囲内にあることができることが理解されよう。
【0022】
特定の実施形態によれば、内層のフルオロエーテルエラストマーは、ASTM D790によって測定される特定の曲げ弾性率を有していてもよい。例えば、内層のフルオロエーテルエラストマーは、例えば、少なくとも約50MPa、少なくとも約60MPa、少なくとも約70MPa、少なくとも約80MPa、少なくとも約90MPa、少なくとも約100MPa、少なくとも約110MPa、少なくとも約120MPa、少なくとも約130MPa、少なくとも約140MPa、少なくとも約150MPa、少なくとも約160MPa、少なくとも約130MPa、少なくとも約160MPa、少なくとも約140MPa、少なくとも約140MPa、少なくとも約140MPa、少なくとも約160MPa、少なくとも約130MPa、少なくとも約140MPa、少なくとも約150MPa、少なくとも約60MPa少なくとも約160MPa、少なくとも約170MPa、少なくとも約180MPa、少なくとも約190MPa、少なくとも約200MPa、少なくとも約210MPa、少なくとも約220MPa、少なくとも約230MPa、少なくとも約240MPa、あるいは少なくとも約250MPaの曲げ弾性率を有してもよい。さらに他の実施形態によれば、フルオロエーテルエラストマーは、約850MPa以下、約800MPa以下、約750MPa以下、約700MPa以下、約650MPa以下、約600MPa以下、約550MPa以下、約500MPa以下、約450MPa以下、約400MPa以下、約350MPa以下、さらには約300MPa以下などの曲げ弾性率を有していても良い。内層のフルオロエーテルエラストマーの曲げ弾性率は、上述した最小値と最大値のいずれかの間の範囲内であってもよいことが理解されよう。内層のフルオロエーテルエラストマーの曲げ弾性率は、上述の最小値と最大値との間の任意の値であってよいことがさらに理解されよう。
【0023】
別の実施形態では、内層のフルオロエーテルエラストマーは、ASTM D790によって測定される特定の降伏時の伸びを有していてもよい。例えば、内層のフルオロエーテルエラストマーは、少なくとも約5%、例えば、少なくとも約6%又は少なくとも約7%又は少なくとも約8%又は少なくとも約9%又は少なくとも約10%の降伏時の伸びを有してよい。内層のフルオロエーテルエラストマーの降伏伸度は、上述の値のいずれかの間の範囲内であってもよいことが理解されよう。内層のフルオロエーテルエラストマーの降伏伸度は、上述した値のいずれかの間の任意の値であってもよいことがさらに理解されよう。
【0024】
さらに他の実施形態によれば、外層の非フルオロエーテル系エラストマーは、特定の材料を含んでもよい。例えば、外層の非フルオロエーテル系エラストマーは、シリコーン、ポリオレフィンエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ジエンエラストマー、ブチルゴム、天然ゴム、ポリウレタンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、ブレンド又はこれらのいかなる組み合わせを含んでもよい。
【0025】
さらに他の実施形態によれば、外層の非フルオロエーテル系エラストマーは、特定の材料から構成されてもよい。例えば、外層の非フルオロエーテル系エラストマーは、シリコーン、ポリオレフィンエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ジエンエラストマー、ブチルゴム、天然ゴム、ポリウレタンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、ブレンドまたはこれらのいかなる組み合わせから構成されても良い。
【0026】
さらに他の実施形態によれば、外層は、非フルオロエーテル系エラストマー層であってもよい。他の実施形態によれば、外層はシリコーン層であってもよい。さらに他の実施形態によれば、外層は、ポリオレフィン系エラストマー層であってもよい。さらに他の実施形態によれば、外層は、ポリウレタンエラストマー層であってもよい。他の実施形態によれば、外層は、ジエン系エラストマー層であってもよい。さらに他の実施形態によれば、外層は、ブチルゴム層であってもよい。他の実施形態によれば、外層は、天然ゴム層であってもよい。さらに他の実施形態によれば、外層は、ポリウレタンゴム層であってもよい。さらに他の実施形態によれば、外層は、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム層であってもよい。他の実施形態によれば、外層は、イソプレンゴム層であってもよい。さらに他の実施形態によれば、外層は、ニトリルゴム層であってもよい。さらに他の実施形態によれば、外層は、スチレンブタジエンゴム層であってもよい。
【0027】
さらに他の実施形態によれば、外層の非フルオロエーテル系エラストマーは、フッ素原子を含まない、想定される任意の熱可塑性加硫材、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。ある実施形態では、外層の非フルオロエーテル系エラストマーは、熱硬化性ポリマーを含んでもよい。さらに他の実施形態によれば、外層の非フルオロエーテル系エラストマーは、モノマー単位がフッ素原子を含まないという但し書きで、非フルオロエーテル系エラストマーを内層のフルオロエーテルエラストマーに結合する化学部位を有する少なくとも一つのモノマー単位を含んでもよい。実施形態において、外層の非フルオロエーテル系エラストマーは、熱可塑性ポリウレタン、熱硬化性ウレタン、ジエン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリオレフィンエラストマー、軟質ポリ塩化ビニル(PVC)、イソプレン、熱可塑性イソプレン複合材、天然ゴム、任意のアロイ、任意のブレンド、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0028】
さらに他の実施形態によれば、外層の非フルオロエーテル系エラストマーは、ジエン系エラストマーを含んでもよい。特定の実施形態によれば、ジエンエラストマーは、少なくとも1つのジエンモノマーから形成されるコポリマーであってよい。例えば、ジエンエラストマーは、エチレン、プロピレン及びジエンモノマーのコポリマー(EPDM)、熱可塑性EPDM複合体、又はそれらの組合せであってもよい。特定の実施形態によれば、例示的なジエンモノマーは、下記のものなどの5から約25の炭素原子を含む非共役ジエンなどを含んでいても良い:ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどの共役ジエン;1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、2,5-ジメチル-1,5-ヘキサジエン、1,4-オクタジン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエンなどの環状ジエン;1-ビニル-1-シクロペンテン、1-ビニル-1-シクロヘキセンなどのビニル環状エネなど;3-メチルビシクロ-(4,2,1)-ノナ-3,7-ジエン等のアルキルビシクロノナジエン類;メチルテトラヒドロインデン等のインデン類;5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ブチリデン-2-ノルボルネン、2-メタリル-5-ノルボルネン、2-イソプロペニル-5-ノルボルネン、5-(1,5-ヘキサジエニル)-2-ノルボルネン、5-(3,7-オクタジエニル)-2-ノルボルネンなどのアルケニルノルボルネン類。3-メチルトリシクロ(5,2,1,0,6)-デカ-3,8-ジエンなどのトリシクロジエン;またはこれらの組み合わせ。
【0029】
さらに他の実施形態によれば、外層の非フルオロエーテル系エラストマーは、スチレン系エラストマーを含んでもよい。スチレン系エラストマーは、典型的には、例えば、ジブロック、トリブロック、ポリブロック、又はそれらのいかなる組み合わせのようなマルチブロックコポリマーを含むスチレン系ブロックコポリマーを含む。特定の実施形態では、スチレン系ブロックコポリマーは、AB単位を有するブロックコポリマーである。典型的には、A単位は、スチレン、α-メチルスチレン、パラ-メチルスチレン、パラ-ブチルスチレン、またはそれらの組み合わせなどのアルケニルアレーンである。特定の実施形態では、A単位はスチレンである。実施形態において、B単位は、ブタジエン、イソプレン、エチレン、ブチレン、プロピレン、又はそれらの組み合わせなどのアルケンを含む。特定の実施形態では、B単位は、エチレン、イソプレン、またはこれらの組み合わせである。例示的なスチレン系ブロックコポリマーには、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、スチレン-エチレンブチレン-スチレン(SEBS)などのトリブロック・スチレン系ブロックコポリマー(SBC)、スチレン-ブチレン-スチレン(SBS).スチレン-エチレンプロピレンスチレン(SEPS)、スチレン-エチレン-ブタジエンスチレン(SEEBS)、スチレン-エチレン-プロピレンスチレン(SEEPS)、スチレン-イソプレン-ブタジエンスチレン(SIBS)、またはそれらの組合せである。実施形態において、スチレン系ブロックコポリマーは、飽和であり、すなわち、遊離オレフィン二重結合を含んでいない。実施形態において、スチレン系ブロックコポリマーは、少なくとも1つの遊離オレフィン性二重結合、すなわち、不飽和二重結合を含む。特定の実施形態において、スチレン系エラストマーは、スチレン-エチレン系コポリマー、スチレン-イソプレン系コポリマー、ブレンド、またはそれらの組合せである。
【0030】
さらに他の実施形態によれば、外層のポリオレフィンエラストマーは、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、メチルペンテン、オクテン、又はそれらのいかなる組み合わせなどのモノマーから形成されるホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、アロイ、又はそれらのいかなる組み合わせを含むことができる。例示的なポリオレフィンエラストマーは、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超または超低密度ポリエチレン(VLDPE)、エチレンープロピレンコポリマー、エチレンブテンコポリマー、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン、ポリペンテン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、エチレンープロピレンゴム(EPR)、エチレンオクテンコポリマー、それらのブレンド、これらの混合物等を含んでいる。ポリオレフィン系エラストマーとしては、さらに、任意のオレフィン系ランダムコポリマー、オレフィン系インパクトコポリマー、オレフィン系ブロックコポリマー、オレフィン系特殊エラストマー、オレフィン系特殊プラストマー、メタロセン系オレフィン、これらのブレンド、これらの混合物等を挙げることができる。
【0031】
他の実施形態によれば、外層の非フルオロエーテル系エラストマーは自己融着性であってもよい。自己結合性ポリマーについては、非フルオロエーテル系エラストマー内のポリマー鎖に化学的に活性な官能基をグラフト化することによって、または非フルオロエーテル系エラストマーのマトリックスに分離した化学成分を組み込むことによって、非フルオロエーテル系エラストマーの修飾が、非フルオロエーテル系エラストマーとそれが直接隣接する層との間の結合を強化することにつながる。化学的に活性な官能基や化学成分が想定されます。
【0032】
さらに他の実施形態によれば、外層の非フルオロエーテル系エラストマーは、硬化剤、光開始剤、充填剤、可塑剤、又はそれらのいかなる組み合わせなどの任意の妥当な添加剤をさらに含んでもよい。外層の非フルオロエーテル系エラストマーの架橋を増加及び/又は促進させる任意の硬化剤が想定される。さらなる実施形態において、硬化剤の使用は、硬化剤を含まない外層と比較して、小分子の透過の減少および外層の弾性回復の改善などの望ましい特性を提供し得る。硬化剤は、例えば、硫黄化合物、有機過酸化物、又はそれらの組み合わせなど、任意の硬化剤が想定される。一実施形態では、硬化剤は有機過酸化物である。硬化剤の量は、任意の適切な量が想定される。あるいは、外層の非フルオロエーテル系エラストマーは、硬化剤、光重合開始剤、充填剤、可塑剤、またはそれらの組み合わせを実質的に含まなくてもよい。本明細書で使用される「実質的に含まない」とは、外層の非フルオロエーテル系エラストマーの全重量に対して、約1.0重量%未満、またはさらに約0.1重量%未満であることを指す。
【0033】
実施形態において、外層の非フルオロエーテル系エラストマーは、特定のショア硬度を有していてもよい。特定の実施形態において、外層の非フルオロエーテル系エラストマーは、内層のフルオロエーテル系エラストマーのショア硬度よりも小さいショア硬度を有していてもよい。別の実施形態では、外層の非フルオロエーテル系エラストマーは、内層のフルオロエーテル系エラストマーのショア硬度より大きいショア硬度を有していてもよい。さらに別の実施形態では、外層の非フルオロエーテル系エラストマーは、内層のフルオロエーテル系エラストマーのショア硬度と同じであるショア硬度を有していてもよい。
【0034】
特定の実施形態によれば、外層は、ASTM D2240によって測定された約20~約95のショアD、例えば約20~約65のショアD、例えば約20~約80のショアAなど、約95未満のショアDを有していてもよい。実施形態では、外層の硬度は、約80未満、例えば約20~約80、例えば約40~約80、又は更に約40~約60のショアAである。硬度は、上述した最小値と最大値のいずれかの間の範囲内にあることができることが理解されよう。
【0035】
さらに他の実施形態によれば、外層の非フルオロエーテル系エラストマーは、さらに望ましい特性を有していてもよい。実施形態において、外層の非フルオロエーテル系エラストマーは、デュロメータ(又は硬度)、引張強度、伸び、及び柔軟性試験の組み合わせによって定義されるように、内層よりもはるかに高い柔軟性を有していてもよい。一実施形態では、ASTM D1646による、外層は150%より大きい回復可能な変形を有し、内層は150%より小さい回復可能な変形を有することができる。
【0036】
さらに他の実施形態によれば、多層チューブは、多層チューブの内層と外層との間の接触ゾーンをさらに含んでもよい。さらに他の実施形態によれば、接触ゾーンは、過酸化物残渣を含んでもよい。さらに他の実施形態によれば、接触ゾーンは、触媒残渣を含んでもよい。さらに他の実施形態によれば、触媒残渣は、過酸化物ベースの残渣、フェノールベースの残渣、ヒドロシレーション残渣、白金ベースの残渣、又はそれらのいかなる組み合わせを含んでもよい。さらに他の実施形態によれば、触媒残渣は、ヒドロシリル化触媒を含んでもよい。さらに他の実施形態によれば、触媒残渣は、チタン、鉄、マンガン、コバルト、銅、亜鉛、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、スズ、イッテルビウム、レニウム、イリジウム、プラチナ、又はこれらのいかなる組み合わせを含んでもよい。
【0037】
さらに他の実施形態によれば、多層チューブは、T-ピール、ASTM D1876を用いて測定される内層と外層との間の特定の接着力を含んでもよい。例えば、多層チューブは、少なくとも約1ppiの内層と外層の間の付着力、例えば、少なくとも約2ppi又は少なくとも約3ppi又は少なくとも約4ppi又は少なくとも約5ppi又は少なくとも約6ppi又は少なくとも約7ppi又は少なくとも約8ppi又は少なくとも約9ppi又はさらに少なくとも約10ppiを有してもよい。さらに他の実施形態によれば、多層チューブは、内層と外層との間の接着力が、内層と外層との間の破壊モードより大きくないものであってもよく、ここで、破壊モードは、内層と外層との間の接着が破壊する前に内層、外層、または内層と外層の両方が構造的に破壊する接着力として定義されている。内層と外層の間の接着力は、上述した最小値と最大値のいずれかの間の範囲内であってもよいことが理解されよう。内層と外層との間の接着力は、上述した最小値と最大値との間の任意の値であってよいことがさらに理解されよう。
【0038】
一例として、図1は、2つの層を有する例示的な多層チューブ100の図解を含む。例えば、内層102は、外層104に接着されてもよい。特定の実施形態では、内層及び外層(102、104)は、接着剤層などの介在層がない、直接接触していてもよい。特定の実施形態によれば、内層102は、流体が流れるための通路を画定する内側内腔106を有していてもよい。さらに他の実施形態によれば、内層102はフルオロエーテルエラストマーを含んでもよく、外層104は本明細書に記載されるような非フルオロエーテル系エラストマーであってもよい。
【0039】
図1に戻ると、特定の実施形態によれば、内層102は外層104よりも薄い。
【0040】
さらに他の実施形態によれば、多層チューブ100は、特定の総厚さ(MTT)を有していてもよい。例えば、多層チューブ100の層の総厚さは、少なくとも3ミルであってもよく、例えば、以下の通りである。少なくとも約5ミル、又は少なくとも約10ミル、又は少なくとも約20ミル、又は少なくとも約30ミル、又は少なくとも約40ミル、又は少なくとも約50ミル、又は少なくとも約60ミル、又は少なくとも約70ミル、又は少なくとも約80ミル、又は少なくとも約90ミル、又は少なくとも約100ミルまたは少なくとも約110ミルまたは少なくとも約120ミルまたは少なくとも約130ミルまたは少なくとも約140ミルまたは少なくとも約150ミルまたは少なくとも約160ミルまたは少なくとも約170ミルまたは少なくとも約180ミルまたは少なくとも約190ミルまたは少なくとも約200ミルでさえある。さらに他の実施形態によれば、多層チューブ100の層の総厚さは、約1000ミル以下、例えば、約900ミル以下、約800ミル以下、約700ミル以下、約600ミル以下、約500ミル以下であってよい。多層チューブ100の層の総厚さは、上述した最小値と最大値のいずれかの間の範囲内であってもよいことが理解されよう。多層チューブ100の層の合計厚さは、上述した最小値と最大値との間の任意の値であってよいことがさらに理解されよう。
【0041】
さらに他の実施形態によれば、内層102は特定の厚さ(ILT)を有していてもよい。例えば、内層102の厚さは、少なくとも約0.1ミル又は少なくとも約0.2ミル又は少なくとも約0.3ミル又は少なくとも約0.4ミル又は少なくとも約0.5ミル又は少なくとも約0.6ミル又は少なくとも約0.7ミル又は少なくとも約0.8ミル、又は少なくとも約0.9ミル、または少なくとも約1.0ミル、または少なくとも約1.1ミル、または少なくとも約1.2ミル、または少なくとも約1.3ミル、または少なくとも約1.4ミル、または少なくとも約1.5ミル、または少なくとも約1.6ミル、または少なくとも約1.7ミル、または少なくとも約1.8ミルまたはさらに少なくとも約1.9ミルのいずれかを選択することができる。さらに他の実施形態によれば、内層102の厚さは、例えば、約150ミル以下であってよい。約140ミル以下、または約130ミル以下、または約120ミル以下、または約110ミル以下、または約100ミル以下、または約90ミル以下、または約80ミル以下、または約70ミル以下、または約60ミル以下、または約50ミル以下、または約40ミル以下、または約30ミル以下、または約20ミル以下、または約10ミル以下、または約5ミル以下、あるいは約2ミル以下であってもよい。内層102の厚さは、上述した最小値と最大値のいずれかの間の範囲内であってよいことが理解されよう。内層102の厚さは、上述した最小値と最大値のいずれかの間の任意の値であってよいことは、さらに理解されよう。
【0042】
さらに他の実施形態によれば、外層104は特定の厚さ(OLT)を有していてもよい。例えば、外層104の厚さは、少なくとも約0.1ミル又は少なくとも約0.2ミル又は少なくとも約0.3ミル又は少なくとも約0.4ミル又は少なくとも約0.5ミル又は少なくとも約0.6ミル又は少なくとも約0.7ミル又は少なくとも約0.8ミル又は少なくとも約0.9ミル、または少なくとも約1.0ミル、または少なくとも約1.1ミル、または少なくとも約1.2ミル、または少なくとも約1.3ミル、または少なくとも約1.4ミル、または少なくとも約1.5ミル、または少なくとも約1.6ミル、または少なくとも約1.7ミル、または少なくとも約1.8ミルまたはさらに少なくとも約1.9ミルのいずれかを選択することができる。さらに他の実施形態によれば、外層104の厚さは、例えば、約150ミル以下であってよい。約140ミル以下、または約130ミル以下、または約120ミル以下、または約110ミル以下、または約100ミル以下、または約90ミル以下、または約80ミル以下、または約70ミル以下、または約60ミル以下、または約50ミル以下、または約40ミル以下、または約30ミル以下、または約20ミル以下、または約10ミル以下、または約5ミル以下、あるいは約2ミル以下であってもよい。外層104の厚さは、上述した最小値と最大値のいずれかの間の範囲内であってよいことが理解されよう。外層104の厚さは、上述した最小値と最大値との間の任意の値であってよいことがさらに理解されよう。
【0043】
さらに他の実施形態によれば、多層チューブ100は、ILTが多層チューブ100の内層102の厚さであり、MTTが多層チューブ100の厚さである特定の厚さ比ILT/MTTを有していてもよい。例えば、多層チューブ100の厚み比ILT/MTTは、少なくとも約0.01、例えば、少なくとも約0.02または少なくとも約0.03または少なくとも約0.04または少なくとも約0.05または少なくとも約0.10または少なくとも約0.15または少なくとも約0.20または少なくとも約0.25または少なくとも約0.30または少なくとも約0.35または少なくとも約0.40または少なくとも約0.45でもありうる。さらに他の実施形態によれば、多層チューブ100の厚み比ILT/MTTは、約0.99より大きくない、例えば、約0.95より大きくない、約0.90より大きくない、約0.85より大きくない、約0.80より大きくない、約0.75より大きくない、約0.70または約0.65より大きくない、約0.60より大きくない、約0.55またはさらに約0.50より大きいことがないことがある。多層チューブ100の厚み比ILT/MTTは、上述した最小値と最大値のいずれかの間の範囲内であってよいことが理解されよう。多層チューブ100の厚み比ILT/MTTは、上述した最小値と最大値との間の任意の値であってもよいことがさらに理解されよう。
【0044】
さらに他の実施形態によれば、多層チューブ100は、OLTが多層チューブ100の外層104の厚さであり、MTTが多層チューブ100の厚さである特定の厚さ比OLT/MTTを有していてもよい。例えば、多層チューブ100の厚み比OLT/MTTは、少なくとも約0.01、例えば、少なくとも約0.02または少なくとも約0.03または少なくとも約0.04または少なくとも約0.05または少なくとも約0.10または少なくとも約0.15または少なくとも約0.20または少なくとも約0.25または少なくとも約0.30または少なくとも約0.35または少なくとも約0.40または少なくとも約0.45でも構わない。さらに他の実施形態によれば、多層チューブ100の厚み比OLT/MTTは、約0.99より大きくない、例えば、約0.95より大きくない、約0.90より大きくない、約0.85より大きくない、約0.80より大きくない、約0.75より大きくない、約0.70より大きくない、約0.65より大きい、約0.60より大きくない、約0.55より大きくなく、さらには約0.50より大きくなくて良い。多層チューブ100の厚み比OLT/MTTは、上述した最小値と最大値のいずれかの間の範囲内であってよいことが理解されよう。多層チューブ100の厚み比OLT/MTTは、上述した最小値と最大値との間の任意の値であってもよいことがさらに理解されよう。
【0045】
さらに他の実施形態によれば、多層チューブ100は、特定の厚み比OLT/ILTを有していてもよく、ここでOLTは多層チューブ100の外層104の厚さであり、ILTは多層チューブ100の内層102の厚さである。例えば、多層チューブ100の厚み比OLT/ILTは、少なくとも約0.01、例えば、少なくとも約0.1又は少なくとも約1.0又は少なくとも約5又は少なくとも約10又は少なくとも約15又は少なくとも約20又は少なくとも約25又は少なくとも約30又はさらに少なくとも約35であってもよい。さらに他の実施形態によれば、多層チューブ100の厚さ比OLT/ILTは、約99より大きくない、例えば、約95より大きくない、又は約90より大きくない、又は約85より大きくないことさえある可能性がある。多層チューブ100の厚み比OLT/ILTは、上述した最小値と最大値のいずれかの間の範囲内であってよいことが理解されよう。多層チューブ100の厚み比OLT/ILTは、上述した最小値と最大値との間の任意の値であってもよいことがさらに理解されよう。
【0046】
特定の実施形態によれば、少なくとも1つの層は、内層102と外層104との間の接着を改善するように処理されてもよい。隣接する2つの層間の接着性を高める任意の処理が想定される。例えば、外層104に直接隣接している内層102の表面が処理される。さらに、内層102に直接隣接する外層104の表面が処理される。実施形態において、処理は、表面処理、化学処理、ナトリウムエッチング、プライマーの使用、又はそれらの任意の組合せを含んでもよい。実施形態において、処理は、コロナ処理、UV処理、電子ビーム処理、火炎処理、スカッフィング、ナトリウムナフタレン表面処理、又はこれらの任意の組合せを含んでもよい。
【0047】
さらに他の実施形態によれば、任意のポストキュアステップが想定され得る。特に、ポストキュアステップは、任意の熱処理、放射線処理、又はそれらの組合せを含む。任意の熱的条件が想定される。実施形態において、ポストキュアステップは、例えば、電子ビーム処理、ガンマ線処理、又はそれらの組合せなどの任意の放射線処理を含む。一例では、ガンマ線又は電子ビーム放射線は、約0.1MRad~約50MRadである。特定の実施形態において、ポストキュアステップは、任意の残留揮発性の除去、層間及び/又は層内架橋の増加、又はそれらの組み合わせのために提供されてもよい。
【0048】
図1には2層のみが図示されているが、多層チューブ100は、さらに追加の層(図示せず)を含んでもよい。タイ層、エラストマー層、補強層、又はそれらのいかなる組み合わせなど、任意の追加層が想定され得る。内層及び外層に対する付加的な層の任意の位置が想定される。例えば、任意の追加層は、外層104の表面108上に配置されてもよい。一例では、補強層(図示せず)などの追加層は、外層104の表面108に近接して配置された追加層内又は追加層間に組み込まれてもよい。例示的な補強層は、ポリエステル、接着性改良ポリエステル、ポリアミド、ポリアラミド、ガラス、金属、又はそれらの組み合わせなどの材料で形成されたワイヤ、繊維、織布などの布、ブレード、又はそれらのいかなる組み合わせを含んでもよい。実施形態では、多層チューブは、説明したように、内層と外層とから構成される。
【0049】
特定の実施形態では、流体導管のような多層チューブは、フルオロエーテルエラストマーを含む内層を提供し、接着剤又は結合強化層を介在させないように、内層の結合面に直接接触するように外層を適用することによって形成される。フルオロエーテルエラストマーは、想定される任意の方法によって提供されてもよく、内層に選択されるフルオロエーテルエラストマーに依存する。一実施形態では、フルオロエーテルエラストマーは溶融加工可能である。本明細書で使用する「溶融加工可能」とは、フィルム、チューブ、繊維、成形品、またはシートなどの任意の妥当な形態で溶融し、流動して押し出すことができるフルオロエーテルエラストマーを意味する。例えば、溶融加工可能なフルオロエーテルエラストマーは、可撓性材料である。実施形態において、フルオロエーテルエラストマーは、押出成形、射出成形、又はマンドレル巻きされる。例示的な実施形態では、フルオロエーテルエラストマーは押出成形される。例示的な実施形態では、内層の結合面は、表面処理で調製される。実施形態において、フルオロエーテルエラストマーは、多層チューブ上の任意のさらなる層の適用前、適用後、又は適用中に硬化されてもよい。内層は、熱、放射線、またはそれらの組み合わせなど、さまざまな硬化技術を使用して所定の位置で硬化させることができます。硬化させることで、フルオロエーテルエラストマー内層が得られます。
【0050】
外層は、上述したような非フルオロエーテル系エラストマーを含む。a非フルオロエーテル系エラストマーは、想定される任意の方法によって提供されてもよく、外層に選択された非フルオロエーテル系エラストマーに依存するものである。本方法は、任意の方法によって外層を提供することをさらに含んでもよい。外層を提供することは、外層のために選択された非フルオロエーテル系エラストマー材料に依存する。一実施形態では、外層は、「溶融加工可能な」非フルオロエーテル系エラストマーである。本明細書で使用される「溶融加工可能な非フルオロエーテル系エラストマー」は、フィルム、チューブ、繊維、成形品、またはシートなどの任意の合理的な形態で溶融して流動して押し出すことができるポリマーを意味する。実施形態において、外層は、押出成形又は射出成形される。例示的な実施形態では、外層は押し出し成形されてもよい。特定の実施形態では、外層は内層上に押し出され、外層は硬化される。外層は、熱、放射線、またはそれらのいかなる組み合わせを介してなど、様々な硬化技術を使用して所定の位置で硬化されてもよい。
【0051】
特定の実施形態では、内層はフルオロエーテルエラストマー層であり、外層は非フルオロエーテル系エラストマーである。例示的な実施形態において、内層は、フルオロエーテルエラストマーを押出粘度に加熱し、フルオロエーテルエラストマーを押し出して内層を形成することによって提供される。外層は、非フルオロエーテル系エラストマーを押出粘度に加熱し、次いで非フルオロエーテル系エラストマーを押し出すことによって提供される。特定の実施形態では、内層の粘度と外層の粘度の差は、25%以下、例えば20%以下、10%以下、または0%でさえ、改善された加工を提供するために大きいものではない。理論に拘束されるものではないが、粘度の類似性は、内層の外層への接着を向上させることが推測される。実施形態において、内層および外層は、共押出される。有利には、内層及び外層はまた、同時に硬化されてもよく、これにより、2つの層間の接着強度が向上し得る。特に、内層及び外層は、2つの層間に凝集力を有し、すなわち、2つの材料間の結合が破壊する前に、内層及び/又は外層の構造的完全性が破壊する凝集破壊が生じる。
【0052】
一般に多層チューブとして説明されるが、任意の合理的な高分子物品を想定することができる。高分子物品は、代替的に、フィルム、洗浄機、又は流体導管の形態をとってもよい。例えば、ポリマー物品は、積層体のようなフィルム、又はセプタ若しくはワッシャーのような平面的な物品の形態を取ってもよい。別の例では、ポリマー物品は、チューブ、パイプ、ホース、より具体的には可撓性チューブ、移送チューブ、ポンプチューブ、耐薬品性チューブ、洗車チューブ、洗濯チューブ、高純度チューブ、平滑ボアチューブ、フルオロエラストマーライニングパイプ、又は剛性パイプ、又はそれらのいかなる組み合わせなどの、流体導管の形態を取っていてもよい。特定の実施形態では、多層チューブは、耐薬品性及びポンプ性が望まれるチューブ又はホジングとして使用することができる。例えば、多層チューブは、燃料チューブ、薬液や洗濯洗剤の吐出用などのポンプチューブ、蠕動ポンプチューブ、又は耐薬品性液体搬送チューブなどの液体搬送チューブである。
【0053】
チューブは、チューブの中央内腔を画定する内面を含む。例えば、チューブは、選択された特定の用途に有用な任意の直径サイズを有するものが提供されてもよい。実施形態において、チューブは、約5.0インチまでの外径(OD)、例えば、約0.25インチ、0.50インチ、及び1.0インチを有してよい。実施形態において、チューブは、約0.03インチ~約4.00インチ、例えば、約0.06インチ~約1.00インチの内径(ID)を有してよい。内径は、上述した最小値と最大値のいずれかの間の範囲内とすることができることが理解されよう。説明したような多層チューブは、有利には、寿命の増加のような所望の特性を示す。例えば、多層チューブは、1日に10時間、1分オン、5分オフのような間欠的条件下でポンプを作動させた蠕動ポンプにおいて、少なくとも約6ヶ月のポンプ寿命を有することができる。一実施形態では、多層チューブは、約30%未満、例えば約20%未満、例えば約10%未満、又は更に約5%未満で変化する流量を有する。
【0054】
実施形態において、得られる多層チューブは、さらに望ましい物理的及び機械的特性を有していてもよい。実施形態において、フルオロエーテルエラストマーは、様々な化学溶液に対する望ましい耐性を特に有していてもよい。例えば、フルオロエーテルエラストマーは、158°Fで168時間、pHが約1~約14の化学溶液における体積変化率が20%以下、さらには15%以下である。pHが約1~約14の化学溶液には、例えば、塩基性化学物質、洗剤、酸性化学物質、酸味料、酸化剤など、またはそれらのいかなる組み合わせが含まれる。例示的な塩基性化学物質には、水酸化カリウム、40%以下の水酸化ナトリウムなどが含まれるが、これらに限定されない。洗濯や食器洗浄の場合、これらの塩基性化学物質は、典型的には、洗剤である。酸性薬品としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの強酸や、フルオロケイ酸、シュウ酸などの10%以下の弱酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。洗濯や食器洗浄の場合、これらの酸性の薬品は一般に酸味料として知られている。例示的な強酸化剤としては、次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)および過酢酸などの有機過酸、またはその組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。典型的には、業務用ランドリー市場は、これらを脱ステイン剤又は漂白剤と見なす。実施形態において、フルオロエーテルエラストマーは、73°Fで168時間の酸化剤中の体積変化率が、30%以下、例えば20%以下、又は更に10%以下である。特定の実施形態では、フルオロエーテルエラストマーは、メタノールなどの酸化剤中で、73°Fで168時間、30%以下、例えば20%以下、あるいは10%以下の体積変化率を有する。
【0055】
実施形態において、多層チューブのフルオロエーテルエラストマーは、73°Fで168時間の小分子製剤の体積変化率が、100%を超えない、例えば50%を超えない、又は25%さえも超えない、である。「小分子製剤」は、その製剤の一部として柑橘系アロマを使用するあるクラスの洗濯用洗剤を含む。これらの製剤は、例えば、アルコール、ケトン、アルデヒド、および他の小分子、例えば15%未満のシトラステルペンを含んでもよい。他の小分子としては、イソプロパノール、2-ブトキシエタノール、D-リモネン、シトラステルペン、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル;グリコールエーテルDPnB;1-(2-ブトキシ-1-メチルエトキシ)プロパン-2-オール、ジエチレングリコールブチルエーテル、があるが、これだけに限定されるものではない。2-(2-ブトキシエトキシ)-エタノール、脂肪酸、トール油、スルホン酸、C14-16-アルカンヒドロキシル、C14-16-アルケン、ナトリウム塩、C12-16エトキシル化アルコール等、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0056】
実施形態において、多層チューブは、耐キンク性であり、透明又は少なくとも半透明に見える。特に、多層チューブは、望ましい柔軟性と実質的な透明性又は半透明性を有する。例えば、多層チューブは、曲げ半径が少なくとも0.例えば、多層チューブは、有利に低デュロメータチューブを製造することができる。例えば、多層チューブは、望ましい機械的特性を有する約20~約90の間、例えば約40~約90の間のショアAデュロメータを有するが、形成されてもよい。実施形態において、多層チューブを構成する材料は、ASTM D790によって測定された、少なくとも約50MPa、例えば、約50MPa~約200MPaの複合曲げ弾性率を有する。このような特性は、柔軟な材料を示すものである。硬度及び曲げ弾性率は、上述した最小値と最大値のいずれかの間の範囲内にあることができることが理解されよう。
【0057】
多層チューブの用途は多数ある。例示的な実施形態において、多層チューブは、家庭用品、工業用、廃水、デジタル印刷装置、自動車、又は耐薬品性、及び/又はガス及び炭化水素に対する低透過性が望まれる他のアプリケーションなどの用途で使用されてもよい。さらに他の実施形態によれば、多層チューブは、例えば、危険流体移送用途、防錆用途、低透過用途、化学物質調剤及びライフサイエンス用途の低吸収チューブ、航空宇宙分野のシール又はガスケット用途、又は耐化学分野のシール又はガスケット用途などの用途で使用されてもよい。
【0058】
多くの異なる態様および実施形態が可能である。それらの態様および実施形態のいくつかが本明細書に記載されている。本明細書を読んだ後、当業者は、それらの態様および実施形態が例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないことを理解するであろう。実施形態は、以下に列挙する実施形態のうちのいずれか1つ以上に従ってもよい。
【0059】
実施の形態1.フルオロエーテル系エラストマーを含む内層と、非フルオロエーテル系エラストマーを含む外層と、内層と外層との間の接着力が少なくとも約1ppiであることと、を含む多層チューブ。
実施形態2.多層チューブが、内層と外層との間の接触ゾーンをさらに含み、接触ゾーンが過酸化物残渣を含む、実施形態1に記載の多層チューブ。
実施形態3.多層チューブが、内層と外層との間の接触部をさらに含み、接触部が触媒残渣を含む、実施形態1に記載の多層チューブ。
実施形態4.触媒残基が、過酸化物系残基、フェノール系残基、ヒドロシリル化残基、白金系残基、又はそれらのいかなる組み合わせを含む、実施形態3に記載の多層チューブ。
実施形態5.触媒残渣がヒドロシリル化触媒を含む、実施形態3に記載の多層チューブ。
実施形態6.触媒残基が、チタン、鉄、マンガン、コバルト、銅、亜鉛、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、スズ、イッテルビウム、レニウム、イリジウム、プラチナ、またはそれらのいかなる組み合わせを含む、実施形態3に記載の多層チューブ。
実施形態7.外層がフルオロエーテルエラストマー層である、実施形態1に記載の多層チューブ。
実施形態8.内層のフルオロエーテルエラストマーが、フルオロシリコーンゴム、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、またはそれらのいかなる組み合わせを含む、実施形態1に記載の多層チューブ。
実施の形態9.内層のフルオロエーテルエラストマーが、フルオロシリコーンゴム、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、またはこれらのいかなる組み合わせを含む、実施形態1に記載の多層チューブ。
実施形態10.外層が非フルオロエーテル系エラストマー層である、実施形態1に記載の多層チューブ。
【0060】
実施の形態11.外層の非フルオロエーテル系エラストマーが、シリコーン、ポリオレフィンエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ジエンエラストマー、ブチルゴム、天然ゴム、ポリウレタンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、ブレンドまたはこれらのいかなる組み合わせを含む、実施形態1の多層チューブ。
実施形態12.外層の非フルオロエーテル系エラストマーが、シリコーン、ポリオレフィンエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ジエン系エラストマー、ブチルゴム、天然ゴム、ポリウレタンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、ブレンドまたはこれらのいかなる組み合わせから成る、実施形態1の多層チューブ。
実施形態13.内層と外層との間の接着力が、少なくとも約1ppi、少なくとも約2ppi、少なくとも約3ppi、少なくとも約4ppi、少なくとも約5ppi、少なくとも約6ppi、少なくとも約7ppi、少なくとも約8ppi、少なくとも約9ppi、少なくとも約10ppiである、実施形態1に記載の多層チューブ。
実施形態14.内層と外層との間の接着力が、内層と外層との間の破壊モードより大きくない、実施形態13の多層チューブであって、ここで、破壊モードとは、内層と外層との間の接着が破壊する前に内層、外層、または内層と外層の両方が構造的に破壊する接着力として定義される、多層チューブ。
実施形態15.多層チューブは、約0.01以下の厚さ比ILT/MTTを含み、ここでILTは多層チューブの内層の厚さであり、MTTは多層チューブの厚さである、実施形態1に記載の多層チューブ。
実施形態16.多層チューブは、少なくとも約0.49の厚さ比ILT/MTTを含み、ここでILTは多層チューブの内層の厚さであり、MTTは多層チューブの厚さである、実施形態15に記載の多層チューブ。
実施形態17.多層チューブは、約0.1以下の厚さ比OLT/MTTを含み、ここでOLTは多層チューブの外層の厚さであり、MTTは多層チューブの厚さである、実施形態1に記載の多層チューブ。
実施形態18.多層チューブは、少なくとも約0.99の厚さ比OLT/MTTを含み、ここでOLTは多層チューブの外層の厚さであり、MTTは多層チューブの厚さである、実施形態17に記載の多層チューブ。
実施形態19.多層チューブは、約100以下の厚さ比OLT/ILTを含み、ILTは多層チューブの内層の厚さであり、OLTは多層チューブの外層の厚さである、実施形態1に記載の多層チューブ。
実施形態20.多層チューブが、少なくとも約1.0の厚さ比OLT/ILTを含み、ここでILTは多層チューブの内層の厚さであり、OLTは多層チューブの外層の厚さである、実施形態19の多層チューブに記載の多層チューブ。
【0061】
実施形態21.多層チューブは、少なくとも約3ミルの厚さMTTを有する、実施形態1に記載の多層チューブ。
実施形態22.多層チューブは、約1000ミル以下の厚さMTTを有する、実施形態21に記載の多層チューブ。
実施形態23.内層が少なくとも約0.1ミルの厚さILTを有する、実施形態1に記載の多層チューブ。
実施形態24.内層は、約100ミル以下の厚さILTを有する、実施形態23に記載の多層チューブ。
実施形態25.外層が少なくとも約0.1ミルの厚さOLTを有する、実施形態1に記載の多層チューブ。
実施形態26.外層は、約100ミル以下の厚さOLTを有する、実施形態25に記載の多層チューブ。
実施形態27.多層チューブを形成する方法であって、内層を提供することであって、内層がフルオロエーテルエラストマーを含むことと、内層を覆う外層を提供することであって、外層が非フルオロエーテル系エラストマーを含むことと、内層及び外層を硬化させて多層チューブを形成することとを含み、多層チューブが内層及び外層間の接着力が少なくとも約1ppiを含む、ことを特徴とする多層チューブを形成する方法。
実施形態28.内層を提供することは、押出工程を含む、実施形態27に記載の方法。
実施形態29.外層を提供することは、押出工程を含む、実施形態27に記載の方法。
実施形態30.内層を提供すること及び外層を提供することが共押出工程を構成する、実施形態27に記載の方法。
【0062】
実施形態31.内層を提供することは、成形工程を含む、実施形態27に記載の方法。
実施形態32.外層を提供することは、成形工程を含む、実施形態27に記載の方法。
実施形態33.内層を提供すること及び外層を提供することが、共成形工程を構成する、実施形態27に記載の方法。
実施形態34.多層チューブが、内層と外層との間の接触ゾーンをさらに備え、接触ゾーンが過酸化物残渣を含む、実施形態27に記載の方法。
実施形態35.多層チューブが、内層と外層との間の接触ゾーンをさらに備え、接触ゾーンが触媒残渣を含む、実施形態27に記載の方法。
実施形態36.触媒残渣が、過酸化物系残渣、フェノール系残渣、ヒドロシリル化残渣、白金系残渣、またはそれらのいかなる組み合わせを含む、実施形態35に記載の方法。
実施形態37.触媒残渣がヒドロシリル化触媒を含む、実施形態35に記載の方法。
実施形態38.触媒残渣が、チタン、鉄、マンガン、コバルト、銅、亜鉛、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、スズ、イッテルビウム、レニウム、イリジウム、プラチナ、またはそれらのいかなる組み合わせを含む、実施形態35に記載の方法。
実施形態39.外層がフルオロエーテルエラストマー層である、実施形態27に記載の方法。
実施形態40.内層のフルオロエーテルエラストマーが、フルオロシリコーンゴム、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、又はそれらのいかなる組み合わせを含む、実施形態27に記載の方法。
【0063】
実施形態41.内層のフルオロエーテルエラストマーが、フルオロシリコーンゴム、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、またはそれらのいかなる組み合わせを含む、実施形態27に記載の方法。
実施形態42.外層が非フルオロエーテル系エラストマー層である、実施形態27に記載の方法。
実施形態43.外層の非フルオロエーテル系エラストマーが、シリコーン、ポリオレフィンエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ジエンエラストマー、ブチルゴム、天然ゴム、ポリウレタンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、ブレンドまたはこれらのいかなる組み合わせを含む、実施形態27に記載の方法。
実施形態44.外層の非フルオロエーテル系エラストマーが、シリコーン、ポリオレフィンエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ジエンエラストマー、ブチルゴム、天然ゴム、ポリウレタンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、ブレンドまたはこれらのいかなる組み合わせを含む、実施形態27に記載の方法。
実施形態45.内層と外層との間の接着力が、少なくとも約1ppi、少なくとも約2ppi、少なくとも約3ppi、少なくとも約4ppi、少なくとも約5ppi、少なくとも約6ppi、少なくとも約7ppi、少なくとも約8ppi、少なくとも約9ppi、少なくとも約10ppiである、実施形態27に記載の方法。
実施形態46.内層と外層との間の接着力が、内層と外層との間の破壊モードより大きくない、実施形態45の方法であって、破壊モードは、内層と外層との間の接着が破壊する前に内層、両者の外層が構造的に破壊する点として定義されている、方法。
実施形態47.多層チューブが、約0.99以下の厚さ比ILT/MTTを含み、ここでILTは多層チューブの内層の厚さであり、MTTは多層チューブの厚さである、実施形態27に記載の方法。
実施形態48.多層チューブが、少なくとも約0.01の厚さ比ILT/MTTを含み、ここでILTは多層チューブの内層の厚さであり、MTTは多層チューブの厚さである、実施形態47に記載の方法。
実施形態49.多層チューブが、約0.99以下の厚さ比OLT/MTTを含み、ここでOLTは多層チューブの外層の厚さであり、MTTは多層チューブの厚さである、実施形態27に記載の方法。
実施形態50.多層チューブが、少なくとも約0.01の厚さ比OLT/MTTを含み、ここでOLTは多層チューブの外層の厚さであり、MTTは多層チューブの厚さである、実施形態49に記載の方法。
【0064】
実施形態51.多層チューブが、約99以下の厚さ比OLT/ILTを含み、ここでILTは多層チューブの内層の厚さであり、OLTは多層チューブの外層の厚さである、実施形態27に記載の方法。
実施形態52.多層チューブが、少なくとも約0.01の厚さ比OLT/ILTを含み、ここでILTは多層チューブの内層の厚さであり、OLTは多層チューブの外層の厚さである、実施形態51に記載の方法。
実施形態53.多層チューブが、少なくとも約3ミルの厚さMTTを有する、実施形態27に記載の方法。
実施形態54.多層チューブは、約1000ミル以下の厚さMTTを有する、実施形態53に記載の方法。
実施形態55.内層が、少なくとも約0.1ミルの厚さILTを有する、実施形態27に記載の方法。
実施形態56.内層は、約150ミル以下の厚さILTを有する、実施形態55に記載の方法。
実施形態57.外層が、少なくとも約0.1ミルの厚さOLTを有する、実施形態27に記載の方法。
実施形態58.外層は、約150ミル以下の厚さOLTを有する、実施形態57に記載の方法。
実施形態59.内層のフルオロエーテルエラストマーが、シリコーン架橋基を有するフルオロエーテルエラストマー(例えば、「SIFEL」、信越化学工業株式会社製)を含む、実施形態1に記載の多層構造チューブ。
実施形態60.内層のフルオロエーテルエラストマーが、シリコーン架橋基を有するフルオロエーテルエラストマー(例えば、「SIFEL」、信越化学工業株式会社製)を含む、実施形態1に記載の多層チューブ。
【0065】
実施の形態61.多層チューブが、危険流体移送用途に使用される、耐腐食用途に使用される、低透過用途に使用される、化学物質分配及びライフサイエンス用の低吸収チューブに使用される、航空宇宙分野のシール又はガスケット用途に使用される、耐化学分野のシール又はガスケット用途に使用される、実施形態1記載の多層チューブ。
実施形態62.内層のフルオロエーテルエラストマーが、シリコーン架橋基を有するフルオロエーテルエラストマー(例えば、信越化学工業株式会社製の「SIFEL」)を含む、実施形態27に記載の方法。
実施形態63.内層のフルオロエーテルエラストマーが、シリコーン架橋基を有するフルオロエーテルエラストマー(例えば、信越化学工業株式会社製の「SIFEL」)を含む、実施形態27に記載の方法。
実施形態64.多層チューブが、危険流体移送用途に使用される、耐腐食性用途に使用される、低浸透性用途に使用される、化学調剤及びライフサイエンス用の低吸収チューブに使用される、航空宇宙分野のシール又はガスケット用途に使用される、耐化学分野のシール又はガスケット用途に使用される、実施形態27に記載の方法。
【0066】
一般的な説明又は実施例において上述した活動の全てが必要なわけではないこと、特定の活動の一部が必要でない場合があること、及び上述した活動に加えて1つ以上のさらなる活動が実行される場合があることに留意されたい。さらに、活動が列挙される順序は、必ずしもそれらが実行される順序ではない。
【0067】
利点、他の利点、及び問題に対する解決策を、特定の実施形態に関して上述してきた。しかしながら、利点、利点、問題に対する解決策、及び任意の利点、利点、又は解決策を生じさせるか又はより顕著にする可能性のある任意の特徴(複数可)は、任意の又は全ての請求項の重要な、必須の、又は必須の特徴として解釈されるべきではない。
【0068】
本明細書に記載された実施形態の明細書及び図解は、様々な実施形態の構造の一般的な理解を提供することを意図している。本明細書及び図解は、本明細書に記載された構造又は方法を使用する装置及びシステムの要素及び特徴の全ての網羅的及び包括的な説明として機能することを意図していない。別々の実施形態はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよく、逆に、簡潔さのために、単一の実施形態の文脈で説明される様々な特徴はまた、別々にまたは任意のサブコンビネーションで提供されてもよい。さらに、範囲内に記載された値への言及は、その範囲内の各値およびすべての値を含む。他の多くの実施形態は、本明細書を読んだ後に初めて当業者に明らかになる場合がある。他の実施形態は、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的置換、論理的置換、または別の変更を行うことができるように、本開示から使用され、導出されてもよい。したがって、本開示は、制限的ではなく例示的なものとみなされる。
図1
【国際調査報告】