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特表2023-522383ニコチンアミドモノヌクレオチド及びニコチンアミドリボシド誘導体、並びに特にインフルエンザウィルス又はコロナウィルスによって引き起こされるウィルス感染症及び呼吸器合併症の治療におけるそれらの使用
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  • 特表-ニコチンアミドモノヌクレオチド及びニコチンアミドリボシド誘導体、並びに特にインフルエンザウィルス又はコロナウィルスによって引き起こされるウィルス感染症及び呼吸器合併症の治療におけるそれらの使用 図1
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  • 特表-ニコチンアミドモノヌクレオチド及びニコチンアミドリボシド誘導体、並びに特にインフルエンザウィルス又はコロナウィルスによって引き起こされるウィルス感染症及び呼吸器合併症の治療におけるそれらの使用 図12
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  • 特表-ニコチンアミドモノヌクレオチド及びニコチンアミドリボシド誘導体、並びに特にインフルエンザウィルス又はコロナウィルスによって引き起こされるウィルス感染症及び呼吸器合併症の治療におけるそれらの使用 図14
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  • 特表-ニコチンアミドモノヌクレオチド及びニコチンアミドリボシド誘導体、並びに特にインフルエンザウィルス又はコロナウィルスによって引き起こされるウィルス感染症及び呼吸器合併症の治療におけるそれらの使用 図16
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-30
(54)【発明の名称】ニコチンアミドモノヌクレオチド及びニコチンアミドリボシド誘導体、並びに特にインフルエンザウィルス又はコロナウィルスによって引き起こされるウィルス感染症及び呼吸器合併症の治療におけるそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C07H 19/048 20060101AFI20230523BHJP
   A61K 31/706 20060101ALI20230523BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230523BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20230523BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230523BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20230523BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230523BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230523BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
C07H19/048
A61K31/706
A61P31/12
A61P31/16
A61P31/14
A61P31/20
A61P11/00
A61P43/00 123
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563966
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(85)【翻訳文提出日】2022-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2021060693
(87)【国際公開番号】W WO2021214299
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】16/858,447
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】20171442.5
(32)【優先日】2020-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】15/930,154
(32)【優先日】2020-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522089066
【氏名又は名称】ヌヴァミド エスアー
【氏名又は名称原語表記】NUVAMID SA
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルモンド,ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】ギャルコン,ローラン
【テーマコード(参考)】
4C057
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C057AA17
4C057BB02
4C057CC03
4C057DD03
4C057LL05
4C057LL18
4C057LL21
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB022
4C084ZB332
4C084ZC132
4C084ZC202
4C084ZC412
4C084ZC442
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086NA15
4C086ZA59
4C086ZB33
(57)【要約】
本発明は、呼吸器感染症などのウィルス感染症の治療及び/又は予防に使用するための式(I)又は(Ia)のニコチンアミドモノヌクレオチド誘導体に関する。本発明は更に、ウィルス感染症の治療及び/又は予防に使用するための式(I)又は(Ia)の化合物を含む医薬組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウィルス感染症の予防/治療のために使用される、式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物又はそのプロドラッグ、又は式(Ia)の化合物又は薬学的に許容されるその塩及び/若しくは溶媒和物又はそのプロドラッグ:
【化1】


XはO、CH、S、Se、CHF、CF、及びC=CHから選択され、

はH、アジド、シアノ、C-Cアルキル、C-Cチオアルキル、C-Cヘテロアルキル、及びORから選択され、RはH及びC-Cアルキルから選択され、

、R、R、及びRは独立してH、ハロゲン、アジド、シアノ、ヒドロキシル、C-C12アルキル、C-C12チオアルキル、C-C12ヘテロアルキル、C-C12ハロアルキル、及びORから選択され、RはH、C-C12アルキル、C(O)(C-C12)アルキル、C(O)NH(C-C12)アルキル、C(O)O(C-C12)アルキル、C(O)アリール、C(O)(C-C12)アルキルアリール、C(O)NH(C-C12)アルキルアリール、C(O)O(C-C12)アルキルアリール、及びC(O)CHRAANHから選択され、RAAはタンパク質構成アミノ酸から選択される側鎖であり、

はH、アジド、シアノ、C-Cアルキル、C-Cチオアルキル、C-Cヘテロアルキル、及びORから選択され、RはH及びC-Cアルキルから選択され、
はP(O)R9R10、P(S)R9R10、及び
【化2】


から選択され(nは1又は3から選択される整数である)、

及びR10は独立してOH、OR11、NHR13、NR1314、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-C10シクロアルキル、C-C12アリール、C-Cアリールアルキル、C-Cアルキルアリール、C-Cヘテロアルキル、C-Cヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、及びNHCRαα´C(O)R12から選択され、

-R11はC-C10アルキル、C-C10シクロアルキル、C-C12アリール、C-C10アルキルアリール、置換C-C12アリール、C-C10ヘテロアルキル、C-C10ハロアルキル、-(CHC(O)(C-C15)アルキル、-(CHOC(O)(C-C15)アルキル、-(CHOC(O)O(C-C15)アルキル、-(CHSC(O)(C-C15)アルキル、-(CHC(O)O(C-C15)アルキル及び-(CHC(O)O(C-C15)アルキルアリール(nは1~8から選択される整数である)、及びP(O)(OH)OP(O)(OH)から選択され、

-R12は水素、C-C10アルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-C10ハロアルキル、C-C10シクロアルキル、C-C10シクロヘテロアルキル、C-C12アリール、C-Cアルキルアリール、及びC-C12ヘテロアリールから選択され、前記アリール又はヘテロアリール基はハロゲン、トリフルオロメチル、C-Cアルキル、C-Cアルコシキ、及びシアノから選択される1つ又は2つの基によって任意選択的に置換され、

-R13及びR14は独立してH、C-Cアルキル、及びC-Cアルキル-アリールから選択され、

-Rα及びRα´は独立して水素、C-C10アルキル、C-C10アルケニル、C-C10アルキニル、C-C10シクロアルキル、C-C10チオアルキル、C-C10ヒドロキシルアルキル、C-C10アルキルアリール、及びC-C12アリール、-(CHNHC(=NH)NH、(1H-インドール-3-イル)メチル、(1H-イミダゾール-4-イル)メチル、及びタンパク質構成又は非タンパク質構成アミノ酸から選択される側鎖から選択され、前記アリール基はヒドロキシル、C-C10アルキル、C-Cアルコシキ、ハロゲン、ニトロ、及びシアノから選択される基によって任意選択的に置換され、又は

及びR10はそれらが結合されるリン原子と一緒に6員環を形成し、-R-R10-は-CH-CH-CHR-を表し、Rは水素、C-Cアリール、及びC-Cヘテロアリールから選択され、前記アリール又はヘテロアリール基はハロゲン、トリフルオロメチル、C-Cアルキル、C-Cアルコシキ、及びシアノから選択される1つ又は2つの基によって任意選択的に置換され、又は

R9及びR10はそれらが結合されるリン原子と一緒に6員環を形成し、-R9-R10-は-O-CH2-CH2-CHR-O-を表し、Rは水素、C5-C6アリール、及びC5-C6ヘテロアリールから選択され、前記アリール又はヘテロアリール基はハロゲン、トリフルオロメチル、C1-C6アルキル、C1-C6アルコシキ、及びシアノから選択される1つ又は2つの基によって任意選択的に置換され、

はH、OR、NHR15、NR15R16、NH-NHR13、SH、CN、N3、ハロゲン(R15及びR16は独立してH、C1-C8アルキル、及びC1-C8アルキルアリールから選択され)、及び-CRBRC-C(O)-ORDから選択され、RB及びRCは独立して水素、C1-C6アルキル、C1-C6アルコシキ、ベンジル、インドリル、又はイミダゾリルから選択され、前記C1-C6アルキル及びC1-C6アルコシキはハロゲン、アミノ、アミド、グアニジル、ヒドロキシル、チオール、又はカルボキシル基のうちの1つ以上によって任意選択的に且つ互いに独立して置換され得、前記ベンジル基は前記ハロゲン又はヒドロキシル基のうちの1つ以上によって任意選択的に置換されるか、又はRB及びRCはそれらが結合される炭素原子と一緒に、ハロゲン、アミノ、アミド、グアニジル、ヒドロキシル、チオール、及びカルボキシル基のうちの1つ以上によって任意選択的に置換されるC3-C6シクロアルキル基を形成し、RDは水素、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、又はC3-C6シクロアルキルであり、

YはCH、CH、C(CH、及びCCHから選択され、
【化3】


は、Yによる単結合又は二重結合を表し、
【化4】


は、Rの位置に応じてα、又はβアノマーを表す、
【化5】


-X´及びX´は独立してO、CH、S、Se、CHF、CF、及びC=CHから選択され、

-R´及びR´13は独立してH、アジド、シアノ、C-Cアルキル、C1-C8チオアルキル、C1-C8ヘテロアルキル、及びORから選択され、RはH及びC1-C8アルキルから選択され、

-R´、R´、R´、R´、R´、R´10、R´11、R´12は独立してH、ハロゲン、アジド、シアノ、ヒドロキシル、C1-C12アルキル、C1-C12チオアルキル、C1-C12ヘテロアルキル、C1-C12ハロアルキル、及びORから選択され、RはH、C1-C12アルキル、C(O)(C1-C12)アルキル、C(O)NH(C1-C12)アルキル、C(O)O(C1-C12)アルキル、C(O)アリール、C(O)(C1-C12)アルキルアリール、C(O)NH(C1-C12)アルキルアリール、C(O)O(C1-C12)アルキルアリール、又はC(O)CHRAANHから選択され、RAAはタンパク質構成アミノ酸から選択される側鎖であり、


-R´及びR´は独立してH、アジド、シアノ、C1-C8アルキル、及びORから選択され、RはH及びC1-C8アルキルから選択され、

-R´及びR´14は独立してH、OR、NHR、NRR´、NH-NHR、SH、CN、N、及びハロゲンから選択され、R及びR´はそれぞれ独立してH、C1-C8アルキル、C1-C8アルキルアリールから選択され、

-Y´及びY´は独立してCH、CH、C(CH、又はCCHから選択され、

-M´はH又は適切な対イオンから選択され、

【化6】


は、Y´及びY´に応じて単結合又は二重結合を表し、

【化7】


は、R´及びR´13の位置に応じて前記α又はβアノマーを表す。
【請求項2】
前記ウィルス感染症は、インフルエンザウィルス、コロナウィルス、レスピロウィルス、ニューモウィルス、メタニューモウィルス、アデノウィルス、エンテロウィルス、ライノウィルス、へパトウィルス、エルボウィルス、アフトウィルス、ノロウィルス、アルファウィルス、ルビウィルス、フラビウィルス、ヘパシウィルス、ペスチウィルス、エボラ様ウィルス、モルビリウィルス、ルブラウィルス、ヘニパウィルス、アレナウィルス、オルソブニヤウィルス、フレボウィルス、ロタウィルス、シンプレックスウィルス、バリセロウィルス、又はサイトメガロウィルスから選択される属の少なくとも1つのウィルスによって引き起こされ、好ましくは、前記ウィルス感染症は、インフルエンザウィルス、コロナウィルス、ライノウィルス、レスピロウィルス、ニューモウィルス、又はメタニューモウィルスから選択される前記属の少なくとも1つのウィルスによって引き起こされる呼吸器感染症である、請求項1に記載の使用のための化合物。
【請求項3】
前記ウィルス感染症は、インフルエンザウィルス、好ましくはインフルエンザA又はインフルエンザBによって引き起こされる呼吸器感染症であり、好ましくは、前記ウィルス感染症は、H1N1、H3N2、H5N1、B/山形/16/88様ウィルス、及びB/ビクトリア/2/87様ウィルスから選択される呼吸器感染症である、請求項1~2のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項4】
前記ウィルス感染症は、HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-OC43、HCoV-HKU1、MERS-CoV、SARS-CoV-1、及びSARS-CoV-2、好ましくはMERS-CoV、SARS-CoV-1、及びSARS-CoV-2から選択されるコロナウィルスによって引き起こされるコロナウィルス感染症である、好ましくは、前記ウィルス感染症は、コロナウィルス疾患2019(COVID-19)を引き起こすSARS-CoV-2感染症である、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項5】
前記ウィルス感染症は、COVID-19関連肺炎を引き起こすSARS-CoV-2感染症、又はCOVID-19関連急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を引き起こすSARS-CoV-2感染症である、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項6】
ウィルス由来の呼吸器若しくは呼吸器外合併症及び/又は感染症の治療及び/又は予防に使用される、式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物又はそのプロドラッグ、又は式(Ia)の化合物又は薬学的に許容されるその塩及び/若しくは溶媒和物又はそのプロドラッグ:
【化8】


XはO、CH、S、Se、CHF、CF、及びC=CHから選択され、

はH、アジド、シアノ、C-Cアルキル、C-Cチオアルキル、C-Cヘテロアルキル、及びORから選択され、RはH及びC-Cアルキルから選択され、

、R、R、及びRは独立してH、ハロゲン、アジド、シアノ、ヒドロキシル、C-C12アルキル、C-C12チオアルキル、C-C12ヘテロアルキル、C-C12ハロアルキル、及びORから選択され、RはH、C-C12アルキル、C(O)(C-C12)アルキル、C(O)NH(C-C12)アルキル、C(O)O(C-C12)アルキル、C(O)アリール、C(O)(C-C12)アルキルアリール、C(O)NH(C-C12)アルキルアリール、C(O)O(C-C12)アルキルアリール、及びC(O)CHRAANHから選択され、RAAはタンパク質構成アミノ酸から選択される側鎖であり、

はH、アジド、シアノ、C-Cアルキル、C-Cチオアルキル、C-Cヘテロアルキル、及びORから選択され、RはH及びC-Cアルキルから選択され、

はP(O)R9R10、P(S)R9R10、及び
【化9】


から選択され、nは1又は3から選択される整数であり、

及びR10は独立してOH、OR11、NHR13、NR1314、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-C10シクロアルキル、C-C12アリール、C-Cアリールアルキル、C-Cアルキルアリール、C-Cヘテロアルキル、C-Cヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、及びNHCRαα´C(O)R12から選択され、

-R11はC-C10アルキル、C-C10シクロアルキル、C-C12アリール、C-C10アルキルアリール、置換C-C12アリール、C-C10ヘテロアルキル、C-C10ハロアルキル、-(CHC(O)(C-C15)アルキル、-(CHOC(O)(C-C15)アルキル、-(CHOC(O)O(C-C15)アルキル、-(CHSC(O)(C-C15)アルキル、-(CHC(O)O(C-C15)アルキル、及び-(CHC(O)O(C-C15)アルキルアリール(nは1~8から選択される整数である)、及びP(O)(OH)OP(O)(OH)から選択され、

-R12は水素、C-C10アルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-C10ハロアルキル、C-C10シクロアルキル、C-C10シクロヘテロアルキル、C-C12アリール、C-Cアルキルアリール、及びC-C12ヘテロアリールから選択され、前記アリール又はヘテロアリール基はハロゲン、トリフルオロメチル、C-Cアルキル、C-Cアルコシキ、及びシアノから選択される1つ又は2つの基によって任意選択的に置換され、

-R13及びR14は独立してH、C-Cアルキル、及びC-Cアルキル-アリールから選択され、

-Rα及びRα´は独立して水素、C-C10アルキル、C-C10アルケニル、C-C10アルキニル、C-C10シクロアルキル、C-C10チオアルキル、C-C10ヒドロキシルアルキル、C-C10アルキルアリール、及びC-C12アリール、-(CHNHC(=NH)NH、(1H-インドール-3-イル)メチル、(1H-イミダゾール-4-イル)メチル、及びタンパク質構成又は非タンパク質構成アミノ酸から選択される側鎖から選択され、前記アリール基はヒドロキシル、C-C10アルキル、C-Cアルコシキ、ハロゲン、ニトロ、及びシアノから選択される基によって任意選択的に置換され、又は

及びR10はそれらが結合されるリン原子と一緒に6員環を形成し、-R-R10-は-CH-CH-CHR-を表し、Rは水素、C-Cアリール、及びC-Cヘテロアリールから選択され、前記アリール又はヘテロアリール基はハロゲン、トリフルオロメチル、C-Cアルキル、C-Cアルコシキ、及びシアノから選択される1つ又は2つの基によって任意選択的に置換され、

はH、OR、NHR15、NR15R16、NH-NHR13、SH、CN、N3、ハロゲン(R15及びR16は独立してH、C1-C8アルキル、及びC1-C8アルキルアリールから選択され)、及び-CRBRC-C(O)-ORDから選択され、RB及びRCは独立して水素、C1-C6アルキル、C1-C6アルコシキ、ベンジル、インドリル、又はイミダゾリルから選択され、前記C1-C6アルキル及びC1-C6アルコシキはハロゲン、アミノ、アミド、グアニジル、ヒドロキシル、チオール、又はカルボキシル基のうちの1つ以上によって任意選択的に且つ互いに独立して置換され得、前記ベンジル基は前記ハロゲン又はヒドロキシル基のうちの1つ以上によって任意選択的に置換されるか、又はRB及びRCはそれらが結合される炭素原子と一緒に、ハロゲン、アミノ、アミド、グアニジル、ヒドロキシル、チオール、及びカルボキシル基のうちの1つ以上によって任意選択的に置換されるC3-C6シクロアルキル基を形成し、RDは水素、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、又はC3-C6シクロアルキルであり、

YはCH、CH、C(CH、及びCCHであり、

【化10】


は、Yに応じて単結合又は二重結合を表し、

【化11】


はRの位置に応じて、α又はβアノマーを表す:
【化12】


-X´及びX´は独立してO、CH、S、Se、CHF、CF、及びC=CHから選択され、

-R´及びR´13は独立してH、アジド、シアノ、C1-C8アルキル、C1-C8チオアルキル、C1-C8ヘテロアルキル、及びORから選択され、RはH及びC1-C8アルキルから選択され、

-R´、R´、R´、R´、R´、R´10、R´11、R´12は独立してH、ハロゲン、アジド、シアノ、ヒドロキシル、C1-C12アルキル、C1-C12チオアルキル、C1-C12ヘテロアルキル、C1-C12ハロアルキル、及びORから選択され、RはH、C1-C12アルキル、C(O)(C1-C12)アルキル、C(O)NH(C1-C12)アルキル、C(O)O(C1-C12)アルキル、C(O)アリール、C(O)(C1-C12)アルキルアリール、C(O)NH(C1-C12)アルキルアリール、C(O)O(C1-C12)アルキルアリール、又はC(O)CHRAANHから選択され、RAAはタンパク質構成アミノ酸から選択される側鎖であり。

-R´及びR´は独立してH、アジド、シアノ、C-Cアルキル、及びORから選択され、RはH及びC-Cアルキルから選択され、

-R´及びR´14は独立してH、OR、NHR、NRR´、NH-NHR、SH、CN、N、及びハロゲンから選択され、R及びR´はそれぞれ独立してH、C1-C8アルキル、C1-C8アルキルアリールから選択され、

-Y´及びY´は独立してCH、CH、C(CH、又はCCHから選択され、

-M´はH又は適切な対イオンから選択され、

【化13】


は、Y´及びY´に応じて単結合又は二重結合を表し、

【化14】


は、R´及びR´13の位置に応じて前記α又はβアノマーを表す。
【請求項7】
肺炎及び/又は急性呼吸器疾患、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性呼吸不全の治療及び/又は予防に使用するための、請求項6に記載の使用のための化合物。
【請求項8】
COVID-19に関連する肺炎及び/又は急性呼吸器症候群の治療及び/又は予防に使用するための、請求項6~7のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項9】
Xは酸素を表し、
-Xは酸素を表し、及び/又は
-R及びRはそれぞれ独立して水素を表し、及び/又は
-R、R、R及びRはそれぞれ独立して水素を表し、又はR、R、R及びRはそれぞれ独立してOHを表し、及び/又は
-YはCH又はCHを表し、及び/又は
-RはP(O)R10を表し、R及びR10は請求項1に記載の通りである、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項10】
【表1】


若しくは
【表2】


又は薬学的に許容されるその塩及び溶媒和物又はそのプロドラッグから選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項11】
前記使用が、抗ウィルス剤、ノイラミニダーゼ阻害剤、M2プロトンチャネル遮断剤、抗インターロイキン6、JAK阻害剤、インターフェロン、及びそれらの混合物から選択される少なくとも別の活性成分を順次、同時に、及び/又は別々に投与する工程を含む、及び/又は前記使用が、抗ウィルス剤、抗インターロイキン6(抗IL6)剤、ヤーヌスキナーゼ(JAK)阻害剤、インターフェロン、好ましくはアジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、スピラマイシン、テリスロマイシンからなる基から選択されるマクロライドから選択される少なくとも別の活性成分、BXT-25、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、ブリラシジン、デヒドロアンドログラホリドスクシナート、APN01、フィンゴリモド、メチルプレドニゾロン、サリドマイド、ベバシズマブ、シルデナフィルクエン酸塩、カリマイシン、ヒスタミンH2受容体、及びニコチン、及びそれらの混合物から選択される別の活性成分を順次、同時に、及び/又は別々に投与する工程を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項12】
ウィルス感染症の治療及び/又は予防における使用、又はウィルス由来の呼吸器若しくは呼吸器外合併症及び/又は感染症の治療及び/又は予防における使用のための医薬組成物であって、請求項1~11のいずれか一項に記載の使用のための少なくとも1つの化合物と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載の使用のための少なくとも1つの化合物に加えて、抗ウィルス剤、ノイラミニダーゼ阻害剤、M2プロトンチャネル遮断剤、抗インターロイキン6、JAK阻害剤、インターフェロン、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの活性成分、及び/又は抗ウィルス剤、ノイラミニダーゼ阻害剤、M2プロトンチャネル遮断剤、抗インターロイキン6、JAK阻害剤、インターフェロン、及びそれらの混合物から選択される少なくとも別の活性成分、及び/又は抗ウィルス剤、抗インターロイキン6(抗IL6)剤、ヤーヌスキナーゼ(JAK)阻害剤、インターフェロン、好ましくはアジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、スピラマイシン、テリスロマイシンからなる基から選択されるマクロライドから選択される少なくとも別の活性成分、BXT-25、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、ブリラシジン、デヒドロアンドログラホリドスクシナート、APN01、フィンゴリモド、メチルプレドニゾロン、サリドマイド、ベバシズマブ、シルデナフィルクエン酸塩、カリマイシンヒスタミンH2受容体、及びニコチン、及びそれらの混合物から選択される別の活性成分を含む、請求項12に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項14】
医薬組成物であって、請求項1、6、9、又は10のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物と、抗ウィルス剤、ノイラミニダーゼ阻害剤、M2プロトンチャネル遮断剤、抗インターロイキン6、JAK阻害剤、インターフェロン、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの活性成分、及び/又は抗ウィルス剤、ノイラミニダーゼ阻害剤、M2プロトンチャネル遮断剤、抗インターロイキン6、JAK阻害剤、インターフェロン、及びそれらの混合物から選択される少なくとも別の活性成分、及び/又は抗ウィルス剤、抗インターロイキン6(抗IL6)剤、ヤーヌスキナーゼ(JAK)阻害剤、インターフェロン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、スピラマイシン、テリスロマイシンからなる基から選択されるマクロライドから選択される少なくとも別の活性成分と、BXT-25、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、ブリラシジン、デヒドロアンドログラホリドスクシナート、APN01、フィンゴリモド、メチルプレドニゾロン、サリドマイド、ベバシズマブ、シルデナフィルクエン酸塩、カリマイシンヒスタミンH2受容体、及びニコチン、及びそれらの混合物から選択される別の活性成分と、を含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウィルス感染症の治療及び/又は予防に使用されるニコチンアミドモノヌクレオチド誘導体化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
疾患に対する防御はすべての動物の生存にとって重要であり、この目的のために使用される機構は動物の免疫系である。(i)自然免疫及び(ii)適応免疫の2つの主要な区分が関与しているため、免疫システムは非常に複雑である。自然免疫系は、非特異的に、侵入する生物による感染から宿主を防御する細胞及び機構を含む。自然系に関与する白血球は、特にマクロファージ、好中球、及び樹状細胞などの食細胞を含む。自然系は、病原体が宿主に入る前に完全に機能する。
【0003】
対照的に、適応系は、病原体が宿主細胞に入った後にのみ始動し、その時点で病原体特異的防御を発現させる。適応免疫システムの主要な細胞型はリンパ球と呼ばれ、その2つの主要なカテゴリはB細胞とT細胞である。B細胞は、血漿及びリンパ中を循環し、体液性免疫応答の一部を形成する中和抗体の作製に関与する。T細胞は、体液性免疫応答及び細胞性免疫の両方において役割を果たす。細胞毒性T細胞(CD8+)及び「ヘルパー」T細胞(CD4+)を含むアクチベータ又はエフェクタT細胞のいくつかのサブセットが存在し、その中には1型ヘルパーT細胞(Th1)と2型ヘルパーT細胞(Th2)として知られる2つの主要な細胞型がある。
【0004】
Th1細胞は、マクロファージの活性化を伴い、抗原に応答してIFNγ、TNF-α、及びIL-12などの様々なサイトカインの放出を刺激する細胞媒介性の適応免疫応答を促進する。これらのサイトカインは、適応免疫応答及び自然免疫応答における他の細胞の機能に影響を及ぼし、微生物の破壊をもたらす。一般に、Th1応答は、宿主細胞内に存在するウィルス及び細菌などの細胞内病原体に対してより効果的である一方、Th2応答は、宿主細胞外に位置する寄生虫及び毒素などの細胞外病原体に対してより効果的である。
【0005】
ウィルス感染症の中で、急性ウィルス感染症は、ワクチンが利用できない場合、制御が最も困難である。毎年数百万人が罹患しているインフルエンザ、麻疹、又はノロウィルス胃腸炎の頻繁なアウトブレイクに見られるように、抗ウィルス療法は、感染の初期に行われないと有効でないことが多い。
【0006】
急性ウィルス感染症の中で、呼吸器感染症は、人々の中で最も一般的なタイプであり、ライノウィルス、呼吸器合胞体ウィルス、インフルエンザウィルス、パラインフルエンザウィルス、ヒトメタニューモウィルス、麻疹、流行性耳下腺炎、アデノウィルス、及びコロナウィルスなどを原因物質とする。
【0007】
大部分の呼吸器感染症、特に上気道の感染症は軽度であり、無能力化するものではない。上気道感染症は、鼻漏又は咽頭炎を引き起こすことが多い。下気道感染症は、上気道感染症よりも重症化する可能性があり、発熱、呼吸困難、胸痛、又は肺炎を引き起こす可能性が高い。咳は、上気道感染症又は下気道感染症のいずれかで存在することが多い。
【0008】
成人における典型的なインフルエンザは、悪寒、発熱、疲労、咳、並びに全身の痛み及び疼痛(特に背中と脚)の突然の発症を特徴とする。頭痛が顕著であり、しばしば羞明及び眼球痛を伴う。呼吸器症状は最初は軽度であり得、チクチクする咽頭痛、胸骨下の灼熱感、痰を伴わない咳、及び時には鼻風邪を伴う。その後、下気道疾患が優勢になり、咳が続き、荒くなり、痰を伴うことがあり、肺炎へと進展する場合がある。
【0009】
大半の患者は大抵の場合、1~2週間で回復するが、インフルエンザとインフルエンザ関連肺炎は、高リスク患者の罹患率又は死亡率の重要な原因である。フランスでは、季節性インフルエンザは200~800万人が罹患し、毎年10,000~15,000人が死亡している。
【0010】
今日まで、インフルエンザの治療は、伝染を制限するための衛生的手段を適用する対症的なものであり、特定の抗ウィルス治療も含み得る。フランスで入手可能な抗ウィルス薬は、A型及びB型ウィルスに作用し、経口形態で入手可能なノイラミニダーゼ阻害剤オセルタミビル(登録商標「タミフル」)である。この薬は、早期に、すなわち、症状の発症から48時間以内に服用すれば、疾患の期間及び症状の重症度を低減する。また、合併症及び死亡率のリスクも低減する。静脈内オセルタミビルに耐性がある場合、もう1つのノイラミニダーゼ阻害剤であるザナミビル(登録商標「リレンザ」)を病院で処方することができる。衛生対策とは別に、毎年のインフルエンザワクチン接種は、依然として最も効果的な自己防御方法である。これは、重度のインフルエンザを減少させるのに役立つ。
【0011】
しかしながら、治療下での耐性の出現が発生し得る。また、治療から1日未満後の症状の再発が、抗ウィルス治療でのいくつかの重症な症例(肺炎又は入院)において観察されている。
【0012】
したがって、ウィルス感染症、特に呼吸器感染症などのウィルス感染症の効果的かつ安全な予防的及び/又は治療的処置が必要とされている。
【0013】
2019年12月、新たな伝染性の高いウィルス性肺炎(R0≒2.2)が出現し、この流行は世界保健機構(WHO)によって世界の公衆衛生に対する脅威としてすぐに認定された。この原因不明の肺炎の最初の患者は、中国の武漢で現れた。数日後、ウィルスは、重症急性呼吸器症候群コロナウィルス2(SARS-CoV-2)と称される一本鎖RNA陽性ウィルスである新型βコロナウィルスとして特定された。SARS-Cov-2は、ヒト集団に影響を及ぼす7番目のコロナウィルスであり、2003年に初めて特定された重症急性呼吸器症候群(SARS-CoV-2002)及び2012年に初めて特定された中東呼吸器症候群(MERS-CoV-2012)のアウトブレイク以後、3番目の高病原性コロナウィルスである。
【0014】
現在、SARS-Cov-2に関連する疾患の発生は、世界中で200を超える国及び地域で見られ、WHOのデータ(2020年4月22日)によれば、世界中で確認された症例数は、162,956人の死亡者を含む200万人を超える個体に達している。SARS-CoV-2に暴露した全ての人々が感染するわけでなく、全ての感染患者が重度呼吸器疾患を発症するわけではない。武漢の1000人超の患者の研究によると、SARS-CoV-2は全ての年代グループに等しく感染するが、子供及び若者はさほど影響を受けず、重症に進展することは稀である。最も若い年齢層で特定される感染症例の数は、おそらく実行されるスクリーニングの頻度の増加の結果として大きく増加するので、この感染に対する防御は相対的なものに過ぎない可能性がある。
【0015】
COVID-19は一般に、最初に頭痛、筋肉痛、及び/又は疲労/倦怠感の症状として現れ、発熱及び呼吸器症状(乾性咳、息切れ、及び/又は胸部圧迫感など)がその後に続く呼吸器疾患である。被検体の大半においては軽度であるが、中には、肺炎(本明細書ではCOVID-19関連肺炎又はCOVID-19肺炎と称する)及び/又は多臓器不全に進行し得る被検体もいる。COVID-19の合併症は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、RNA血症、急性心損傷、及び二次感染症(非特許文献1)を含む。COVID-19に罹患している被検体の約20%が入院を必要とし、約5%が集中治療室(ICU)への入院を必要とすると推定される。COVID-19は、相当の罹患率及び死亡率をもたらし、多くの健康システムに前例のない負担をかける可能性がある。
【0016】
ワクチン、抗ウィルス薬、又は利用可能な他の特定の治療がない場合、COVID-19の治療は補完的なままである。175を超える治療及びワクチン臨床試験が現在登録されており、現行の治療戦略は、抗ウィルス剤、特にレミデシビル(ヌクレオチド類似体)、ロビナビル/リトナビル(ヒト免疫不全ウィルス1(HIV-1)の治療に特に使用される抗レトロウィルス療法)、クロロキン又はヒドロキシクロロキン、及びトシリズマブなどのII-6阻害免疫調節剤を含む。しかしながら、現在のところ、COVID-19又はSARS-CoV-2の無症候性感染を予防及び/又は治療するためのワクチンも、COVID-19、COVID-19関連肺炎又はCOVID-19関連急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を予防及び/又は治療するための有効性が証明されている治療薬も存在しない。
【0017】
したがって、SARS、MERS、COVID-19、及び特にCOVID-19関連肺炎及びCOVID-19関連急性呼吸窮迫症候群(ARDS)などの疾患を引き起こすコロナウィルス感染症、特にコロナウィルス呼吸器感染症の効果的かつ安全な予防的及び/又は治療的処置が緊急に必要とされている。
【0018】
ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)は、既に知られているヌクレオチドである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Huang et al.,Lancet.2020;395(10223):497~506
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
よって、本発明の目的は、ウィルス感染症、特に、インフルエンザウィルス又はコロナウィルスなどの呼吸器感染症の治療及び/又は予防に使用するためのニコチンアミドモノヌクレオチド及びその誘導体を提供することによって、現在の治療の代替策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本出願人は、驚くべきことに、本発明によるニコチンアミドモノヌクレオチド誘導体がウィルス感染症を治療及び/又は予防するための強力な薬剤であり、忍容性が高いことを見出した。
【0022】
したがって、本発明は、ウィルス感染症の治療及び/又は予防に使用するための、式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物若しくはそのプロドラッグ、又は式(Ia)の化合物又は薬学的に許容されるその塩及び/若しくは溶媒和物若しくはそのプロドラッグに関する:
【化1】


XはO、CH、S、Se、CHF、CF、及びC=CHから選択され、
はH、アジド、シアノ、C-Cアルキル、C-Cチオアルキル、C-Cヘテロアルキル、及びORから選択され、RはH及びC-Cアルキルから選択され、
、R、R、及びRは独立してH、ハロゲン、アジド、シアノ、ヒドロキシル、C-C12アルキル、C-C12チオアルキル、C-C12ヘテロアルキル、C-C12ハロアルキル、及びORから選択され、RはH、C-C12アルキル、C(O)(C-C12)アルキル、C(O)NH(C-C12)アルキル、C(O)O(C-C12)アルキル、C(O)アリール、C(O)(C-C12)アルキルアリール、C(O)NH(C-C12)アルキルアリール、C(O)O(C-C12)アルキルアリール、及びC(O)CHRAANHから選択され、RAAはタンパク質構成アミノ酸から選択される側鎖であり、
はH、アジド、シアノ、C-Cアルキル、C-Cチオアルキル、C-Cヘテロアルキル、及びORから選択され、RはH及びC-Cアルキルから選択され、
はP(O)R9R10、P(S)R9R10、及び
【化2】


から選択され(nは1又は3から選択される整数である)、
及びR10は独立してOH、OR11、NHR13、NR1314、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-C10シクロアルキル、C-C12アリール、C-Cアリールアルキル、C-Cアルキルアリール、C-Cヘテロアルキル、C-Cヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、及びNHCRαα´C(O)R12から選択され、
-R11はC-C10アルキル、C-C10シクロアルキル、C-C12アリール、C-C10アルキルアリール、置換C-C12アリール、C-C10ヘテロアルキル、C-C10ハロアルキル、-(CHC(O)(C-C15)アルキル、-(CHOC(O)(C-C15)アルキル、-(CHOC(O)O(C-C15)アルキル、-(CHSC(O)(C-C15)アルキル、-(CHC(O)O(C-C15)アルキル及び-(CHC(O)O(C-C15)アルキルアリール(nは1~8から選択される整数である)、及びP(O)(OH)OP(O)(OH)、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C-Cアルコシキ、C-Cハロアルコキシ、-N(R11a)2、C-Cアシルアミノ、-COR11b、-OCOR11b、NHSO2(C-C6アルキル)、-SO2N(R11a)2SO2から選択され、R11aは独立してH及び(C-C)アルキルから選択され、R11bは独立してOH、C-Cアルコシキ、NH2、NH(C-Cアルキル)又はN(C-Cアルキル)2から選択され、
-R12は水素、C-C10アルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-C10ハロアルキル、C-C10シクロアルキル、C-C10シクロヘテロアルキル、C-C12アリール、C-Cアルキルアリール、及びC-C12ヘテロアリールから選択され、当該アリール又はヘテロアリール基はハロゲン、トリフルオロメチル、C-Cアルキル、C-Cアルコシキ、及びシアノから選択される1つ又は2つの基によって任意選択的に置換され、
-R13及びR14は独立してH、C-Cアルキル、及びC-Cアルキル-アリールから選択され、
-Rα及びRα´は独立して水素、C-C10アルキル、C-C10アルケニル、C-C10アルキニル、C-C10シクロアルキル、C-C10チオアルキル、C-C10ヒドロアルキル、C-C10アルキルアリール、及びC-C12アリール、-(CHNHC(=NH)NH、(1H-インドール-3-イル)メチル、(1H-イミダゾール-4-イル)メチル、及びタンパク質構成又は非タンパク質構成アミノ酸から選択される側鎖から選択され、当該アリール基はヒドロキシル、C-C10アルキル、C-Cアルコシキ、ハロゲン、ニトロ、及びシアノから選択される基で任意選択的に置換され、又は
及びR10はそれらが結合されるリン原子と一緒に6員環を形成し、-R-R10-は-CH-CH-CHR-を表し、Rは水素、C-Cアリール、及びC-Cヘテロアリールから選択され、前記アリール、又はヘテロアリール基はハロゲン、トリフルオロメチル、C-Cアルキル、C-Cアルコシキ、及びシアノから選択される1つ又は2つの基によって任意選択的に置換され、又は
及びR10はそれらが結合されるリン原子と一緒に6員環を形成し、-R9-R10-は-O-CH2-CH2-CHR-O-を表し、Rは水素、C5-C6アリール、及びC5-C6ヘテロアリールから選択され、当該アリール又はヘテロアリール基はハロゲン、トリフルオロメチル、C1-C6アルキル、C1-C6アルコシキ、及びシアノから選択される1つ又は2つの基によって任意選択的に置換され、
はH、OR、NHR15、NR15R16、NH-NHR13、SH、CN、N3、ハロゲン(R15及びR16は独立してH、C1-C8アルキル、及びC1-C8アルキルアリールから選択され)、及び-CRBRC-C(O)-ORDから選択され、RB及びRCは独立して水素、C1-C6アルキル、C1-C6アルコシキ、ベンジル、インドリル、又はイミダゾリルであり、C1-C6アルキル及びC1-C6アルコシキはハロゲン、アミノ、アミド、グアニジル、ヒドロキシル、チオール、又はカルボキシル基のうちの1つ以上によって任意選択的に且つ互いに独立して置換され、ベンジル基はハロゲン又はヒドロキシル基のうちの1つ以上によって任意選択的に置換されるか、又はRB及びRCはそれらが結合される炭素原子と一緒に、ハロゲン、アミノ、アミド、グアニジル、ヒドロキシル、チオール、及びカルボキシル基のうちの1つ以上によって任意選択的に置換されるC3-C6シクロアルキル基を形成し、RDは水素、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、又はC3-C6シクロアルキルであり、
YはCH、CH、C(CH、及びCCHから選択され、
【化3】


は、Yに応じて単結合又は二重結合を表し、
【化4】


は、Rの位置に応じてα又はβアノマーを表す:
【化5】


-X´及びX´は独立してO、CH、S、Se、CHF、CF、及びC=CHから選択され、
-R´及びR´13は独立してH、アジド、シアノ、C-Cアルキル、C1-C8チオアルキル、C-Cヘテロアルキル、及びORから選択され、RはH及びC-Cアルキルから選択され、
-R´、R´、R´、R´、R´、R´10、R´11、R´12は独立してH、ハロゲン、アジド、シアノ、ヒドロキシル、C-C12アルキル、C-C12チオアルキル、C-C12ヘテロアルキル、C-C12ハロアルキル、及びORから選択され、RはH、C-C12アルキル、C(O)(C-C12)アルキル、C(O)NH(C-C12)アルキル、C(O)O(C-C12)アルキル、C(O)アリール、C(O)(C-C12)アルキルアリール、C(O)NH(C-C12)アルキルアリール、C(O)O(C-C12)アルキルアリール、又はC(O)CHRAANHから選択され、RAAはタンパク質構成アミノ酸から選択される側鎖であり、
-R´及びR´は独立してH、アジド、シアノ、C1-C8アルキル、及びORから選択され、RはH及びC1-C8アルキルから選択され、
-R´及びR´14は独立してH、OR、NHR、NRR´、NH-NHR、SH、CN、N、及びハロゲンから選択され、R及びR´はそれぞれ独立してH、C1-C8アルキル、C1-C8アルキルアリールから選択され、
-Y´及びY´は独立してCH、CH、C(CH、又はCCHから選択され、
-M´はH又は適切な対イオンから選択され、

【化6】


は、Y´及びY´に応じて単結合又は二重結合を表し、

【化7】


は、R´及びR´13、の位置に応じてα又はβアノマーを表す。
【0023】
一実施形態によれば、Xは酸素を表す。
【0024】
一実施形態によれば、R及びRはそれぞれ独立して水素を表す。
【0025】
一実施形態によれば、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素を表す。
【0026】
一実施形態によれば、R、R、R、及びRはそれぞれ独立してOHを表す。
【0027】
一実施形態によれば、YはCH又はCHを表す。
【0028】
一実施形態によれば、RはP(O)R10を表し、R及びR10は請求項1に記載される通りである。
【0029】
一実施形態によれば、本発明による使用のための化合物は、下記表1に列挙される化合物I-A~I-J、又は薬学的に許容されるその塩及び溶媒和物、又はそのプロドラッグから選択される。
【数1】

【0030】
有利には、本発明の好ましい化合物は、化合物I-A~I-F、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、より好ましくはIB、ID、又はIFである。
【0031】
有利には、式(I)の化合物は、以下の式のジヒドロ-ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN-H)である。
【化8】

【0032】
一実施形態によれば、X´及びX´はそれぞれ独立して酸素を表す。
【0033】
一実施形態によれば、R´及びR´14はそれぞれ独立してNHを表す
【0034】
一実施形態によれば、R´及び/又はR´13はそれぞれ独立して水素を表す。
【0035】
一実施形態によれば、R´及び/又はR´はそれぞれ独立して水素を表す。
【0036】
一実施形態によれば、R´、R´、R´、R´、R´、R´10、R´11及びR´12はそれぞれ独立して水素を表す。
【0037】
一実施形態によれば、R´、R´、R´、R´、R´、R´10、R´11及びR´12はそれぞれ独立してOHを表す。
【0038】
一実施形態によれば、Y´及びY´はそれぞれ独立してCHを表す。
【0039】
一実施形態によれば、Y´及びY´はそれぞれ独立してCHを表す。
【0040】
一実施形態によれば、本発明による化合物は、表2に列挙した式Ia-A~Ia-Iの化合物、又は薬学的に許容されるその塩及び溶媒和物、又はそのプロドラッグから選択される。
【数2】

【0041】
有利には、本発明の好ましい化合物は、式Ia-C又はIa-F又はIa-Iの化合物である。
【0042】
有利には、本発明の好ましい化合物は、式Ia-B又はIa-E又はIa-Hの化合物である。
【0043】
一実施形態によれば、当該使用は、抗ウィルス剤、ノイラミニダーゼ阻害剤、M2プロトンチャネル遮断剤、抗インターロイキン6、JAK阻害剤、インターフェロン、好ましくはアジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、スピラマイシン、テリスロマイシンからなる基から選択されるマクロライドから選択される少なくとも別の活性成分、BXT-25、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、ブリラシジン、デヒドロアンドログラホリドスクシナート、APN01、フィンゴリモド、メチルプレドニゾロン、サリドマイド、ベバシズマブ、シルデナフィルクエン酸塩、カリマイシン、ニコチン、ヒスタミンH2受容体拮抗剤、及びそれらの混合物から選択される別の活性成分を順次、同時に、及び/又は別々に投与する工程を含む。一実施形態によれば、当該ヒスタミンH2受容体拮抗剤は、ファモチジン、シメチジン、ラニチジン、ニザチジン、ロキサチジン、ラフチジン、ラボルチジン、ニペロチジン、好ましくはファモチジンから選択される。
【0044】
一実施形態によれば、ウィルス感染症は、インフルエンザウィルス、コロナウィルス、レスピロウィルス、ニューモウィルス、メタニューモウィルス、アデノウィルス、エンテロウィルス、ライノウィルス、へパトウィルス、エルボウィルス、アフトウィルス、ノロウィルス、アルファウィルス、ルビウィルス、フラビウィルス、ヘパシウィルス、ペスチウィルス、エボラ様ウィルス、モルビリウィルス、ルブラウィルス、ヘニパウィルス、アレナウィルス、オルソブニヤウィルス、フレボウィルス、ロタウィルス、シンプレックスウィルス、バリセロウィルス、又はサイトメガロウィルスから選択される属の少なくとも1つのウィルスによって引き起こされる。
【0045】
一実施形態によれば、ウィルス感染症は、インフルエンザウィルス、コロナウィルス、ライノウィルス、レスピロウィルス、ニューモウィルス、又はメタニューモウィルスから選択される属の少なくとも1つのウィルスによって引き起こされる呼吸器感染症である。
【0046】
一実施形態によれば、ウィルス感染症は、インフルエンザウィルス、好ましくはインフルエンザA、又はインフルエンザBによって引き起こされる呼吸器感染症である。
【0047】
一実施形態によれば、ウィルス感染症は、H1N1、H3N2、H5N1、B/山形/16/88様及びB/ビクトリア/2/87様ウィルスによって引き起こされる呼吸器感染症である。
【0048】
一実施形態によれば、コロナウィルス感染症は、HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-OC43、HCoV-HKU1、MERS-CoV、SARS-CoV-1、及びSARS-CoV-2、好ましくはMERS-CoV、SARS-CoV-1、及びSARS-CoV-2から選択される。
【0049】
一実施形態によれば、コロナウィルス感染症は、コロナウィルス疾患2019(COVID-19)を引き起こすSARS-CoV-2感染症である。
【0050】
一実施形態によれば、コロナウィルス感染症は、COVID-19関連肺炎を引き起こすSARS-CoV-2感染症である。
【0051】
一実施形態によれば、コロナウィルス感染症は、COVID-19関連急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を引き起こすSARS-CoV-2感染症である。
【0052】
本発明はまた、本発明による使用のための少なくとも1つの化合物、及び少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む、ウィルス感染症の治療及び/又は予防に使用される医薬組成物に関する。
【0053】
一実施形態によれば、使用のための医薬組成物は、本発明による使用のための少なくとも1つの化合物に加えて、抗ウィルス剤、ノイラミニダーゼ阻害剤、M2プロトンチャネル遮断剤、抗インターロイキン6、JAK阻害剤、インターフェロン、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの活性成分、及び/又は抗ウィルス剤、ノイラミニダーゼ阻害剤、M2プロトンチャネル遮断剤、抗インターロイキン6、JAK阻害剤、インターフェロン、及びそれらの混合物から選択される少なくとも別の活性成分、及び/又は抗ウィルス剤、抗インターロイキン6(抗IL6)剤、ヤーヌスキナーゼ(JAK)阻害剤、インターフェロン、好ましくはアジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、スピラマイシン、テリスロマイシンからなる基から選択されるマクロライドから選択される少なくとも別の活性成分、BXT25、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、ブリラシジン、デヒドロアンドログラホリドスクシナート、APN01、フィンゴリモド、メチルプレドニゾロン、サリドマイド、ベバシズマブ、シルデナフィルクエン酸塩、カリマイシン、ニコチン、ヒスタミンH2受容体拮抗剤、及びそれらの混合物から選択される別の活性成分を含む。
【0054】
一実施形態によれば、使用のための医薬組成物は、本発明による使用のための少なくとも1つの化合物に加えて、ヒスタミンH2受容体拮抗剤を含む。
【0055】
一実施形態によれば、当該ヒスタミンH2受容体拮抗剤は、ファモチジン、シメチジン、ラニチジン、ニザチジン、ロキサチジン、ラフチジン、ラボルチジン、ニペロチジンから選択され、好ましくはファモチジンである。本発明は、式Iaの化合物を調整する方法に更に関し、本方法は以下の工程を含む:
1)式Xaの化合物をモノリン酸化して、式XIaの化合物を得る;
【化9】


式中、
X´、R´、R´、R´、R´、R´、R´、R´、Y´
【化10】


、及び
【化11】


は請求項1に定義されるとおりである;
【化12】


式中、
X´、R´、R´、R´、R´、R´、R´、R´、Y´
【化13】


、及び
【化14】


は請求項1に定義されるとおりである;
2)工程1)で得られた式XIaの化合物を加水分解して、式XIIaの化合物を得る;
【化15】


式中、
X´、R´、R´、R´、R´、R´、R´、R´、Y´
【化16】


、及び
【化17】


は請求項1に定義されるとおりである;
3)工程2)で得られた式XIIaの化合物を、工程1)に記載されるように得られた式XIIIaの化合物と反応させて、式Iaの化合物を得る;
【化18】


式中、
X´、R´、R´、R´10、R´11、R´12、R´13、R´14、Y´
【化19】


、及び
【化20】


は請求項1に定義される通りである。
【0056】
一実施形態によれば、本方法は、工程3)で得られた式Iaの化合物を還元して、式Iaの化合物を得る工程を更に含む。式中、Y´及びY´はそれぞれ独立してCHを表す。
【0057】
定義
以下の定義及び説明は、明細書及び特許請求の範囲の両方を含む、本出願全体を通して使用される用語についてのものである。
【0058】
本発明の化合物を説明する場合、使用される用語は、特に指示しない限り、以下の定義に従って解釈されるべきである。
【0059】
別段の指示がない限り、本明細書で明示的に定義されていない置換基の命名法は、結合点に向かって隣接する官能基を命名し、続いて官能基の末端部分を命名することによって得られる。例えば、置換基「アリールアルキル」は、基-(アリール)-(アルキル)を指す。
【0060】
本発明では、以下の用語は以下の意味を有する。
【0061】
「アルキル」という用語はそれ自体又は別の置換基の一部として、式C2n+1のヒドロカルビルラジカルを指し、式中、nは1以上の数である。
【0062】
一般に、本発明のアルキル基は、1~12個の炭素原子、好ましくは1~8個の炭素原子、より好ましくは1~6個の炭素原子、更により好ましくは1~2個の炭素原子を含む。アルキル基は、直鎖又は分岐鎖であってもよく、本明細書に示されるように置換されていてもよい。適切なアルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、及び-ブチル、ペンチル及びその及びその異性体(例えば、n-ペンチル、イソペンチル)、並びにヘキシル及びその異性体(例えば、n-ヘキシル、イソヘキシル)を含む。好ましいアルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、及びn-デシルを含む。飽和分枝アルキルは、限定するものではないが、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルペンチル、2,4-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルヘキシル、2,4-ジメチルヘキシル、2,5-ジメチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルヘキシル、3,3-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルヘキシル、4,4-ジメチルヘキシル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、2-エチルヘキシル、3-エチルヘキシル、4-エチルヘキシル、2-メチル-2-エチルペンチル、2-メチル-3-エチルペンチル、2-メチル-4-エチルペンチル、2-メチル-2-エチルヘキシル、2-メチル-3-エチルヘキシル、2-メチル-4-エチルヘキシル、2,2-ジエチルペンチル、3,3-ジエチルヘキシル、2,2-ジエチルヘキシル、3,3-ジエチルヘキシルを含む。
【0063】
適切なアルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル及びt-ブチル、ペンチル及びその異性体(例えば、n-ペンチル、イソペンチル)、ヘキシル及びその異性体(例えば、n-ヘキシル、イソヘキシル)、ヘプチル及びその異性体(例えば、ヘプチル-ヘプチル、イソヘプチル)、オクチル及びその異性体(例えば、n-オクチル、イソオクチル)、ノニル及びその異性体(例えば、n-ノニル、イソノニル)、デシル及びその異性体(例えば、n-デシル、イソデシル)、ウンデシル及びその異性体、ドデシル及びその異性体を含む。好ましいアルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、及びt-ブチルである。Cx-Cy-アルキルは、x~y個の炭素原子を含むアルキル基を指す。
【0064】
接尾辞「ene」(「アルキレン」)がアルキル基と併せて使用されるとき、これは、他の基との結合点として2つの単結合を有する本明細書中で定義されるようなアルキル基を意味することが意図される。「アルキレン」という用語は、メチレン、エチレン、メチルメチレン、プロピレン、エチルエチレン、及び1,2-ジメチルエチレンを含む。
【0065】
本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、1つ以上の炭素-炭素二重結合を含む、直鎖又は分岐鎖であり得る不飽和ヒドロカルビル基を指す。適切なアルケニル基は、2~12個の炭素原子、好ましくは2~8個の炭素原子、更により好ましくは2~6個の炭素原子を含む。アルケニル基の例は、エテニル、2-プロぺニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-ペンテニル及びその異性体、2-ヘキセニル及びその異性体、2,4-ペンタジエニルなどである。
【0066】
本明細書で使用される「アルキニル」という用語は、不飽和が1つ以上の炭素-炭素三重結合の存在から生じる一価不飽和ヒドロカルビル基のクラスを指す。アルキニル基は典型的には、好ましくは、アルケニル基に関して、上述したのと同数の炭素原子を有する。アルキニル基の非限定的な例は、エチニル、2-プロピニル、2-ブチニル、3-ブチニル、2-ペンチニル及びその異性体、2-ヘキシニル及びその異性体などである。
【0067】
本明細書で使用される「アリール」という用語は、単環(すなわちフェニル)又は一緒に縮合した(例えばナフチル)又は共有結合した、典型的には5~12個、好ましくは6~10個の原子を含む複数の芳香環を有し、少なくとも一つの環が芳香族である多価不飽和芳香族ヒドロカルビル基を指す。芳香環は、これに縮合した2つの追加の環(シクロアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロアリール)を任意選択的に含んでもよい。アリールはまた、本明細書に列挙される炭素環系の部分水素化誘導体を含むことが意図される。アリールの非限定的な例は、フェニル、ビフェニリル、ビフェニレニル、5-又は6-テトラリニル、ナフタレン-1-又は-2-イル、4-、5-、6、又は7-インデニル、1-2-、3-、4-、又は5-アセナフチレニル、3-、4-、又は5-アセナフチレニル、1-又は2-ペンタレニル、4-又は5-インダニル、5-、6-、7-、又は8-テトラヒドロナフチル、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、1,4-ジヒドロナフチル、1-、2-、3-、4-、又は5-ピレニルを含む。
【0068】
本明細書で使用される「シクロアルキル」という用語は、環状アルキル基、すなわち、1、又は2個の環状構造を有する一価の飽和又は不飽和ヒドロカルビル基である。シクロアルキルは、単環式又は二環式ヒドロカルビル基を含む。シクロアルキル基は、環内に3個以上の炭素原子を含むことができ、一般に、本発明によれば、3~10個、より好ましくは3~8個の炭素原子、更により好ましくは3~6個の炭素原子を含む。シクロアルキル基の例は、限定するものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルを含み、シクロプロピルが特に好ましい。
【0069】
「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを意味する。好ましいハロ基は、フルオロ及びクロロである。
【0070】
「ハロアルキル」という用語は、単独で又は組み合わせて、1個以上の水素が上で定義したハロゲンで置き換えられている、上で定義した意味を有するアルキルラジカルを指す。このようなハロアルキルラジカルの非限定的な例は、クロロメチル、1-ブロモエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1,1,1-トリフルオロエチルなどを含む。C-C-ハロアルキル及びC-C-アルキルは、x又はy個の炭素原子を含むアルキル基である。好ましいハロアルキル基は、ジフルオロメチル及びトリフルオロメチルである。
【0071】
アリール基中の少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置換されている場合、得られる環は本明細書ではヘテロアリール環と称する。
【0072】
「ヘテロアルキル」という用語は、1つ以上の炭素原子が酸素、窒素、及び硫黄原子から選択されるヘテロ原子によって置き換えられている、上で定義したアルキル基を意味する。ヘテロアルキル基では、ヘテロ原子はアルキル鎖に沿って炭素原子にのみ連結される、すなわち、各ヘテロ原子は少なくとも1つの炭素原子によって他のヘテロ原子から分離される。しかしながら、窒素及び硫黄ヘテロ原子は任意選択的に酸化されてもよく、窒素ヘテロ原子は任意選択的に四級化されてもよい。ヘテロアルキルは、炭素原子を通じてのみ別の基又は分子に結合される、すなわち、結合原子は、ヘテロアルキル基に含まれるヘテロ原子から選択されない。
【0073】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」という用語は、それ自体又は他の基の一部として、限定するものではないが、5~12個の炭素原子芳香環、又は一緒に縮合される又は共有結合される1~2個の環、典型的には5~6個の原子を含む環系を指し、その少なくとも1つが芳香族であり、これらの環中の1つ以上の炭素原子が酸素、窒素、及び/又は硫黄原子によって置換され、窒素及び硫黄ヘテロ原子は任意選択的に酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は任意選択的に四級化されていてもよい。このような環は、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロシクリル環に縮合され得る。このようなヘテロアリールの非限定的な例は、フラニル、チオフェニル、ピラゾジル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾジル、イソチアゾジル、トリアゾジル、オキサジアゾジル、チアジアゾジル、テトラゾリル、オキサトリアゾジル、チアトリアゾジル、ピリジニル、ピリミジル、ピラニジル、ピリダジニル、オキサジニル、ジオキシニル、チアジニル、トリアジニル、イミダゾ[2,1-b][1,3]チアゾジル、チエノ[3,2-b]フラニル、チエノ[3,2-b]チオフェニル、チエノ[2,3-d][1,3]チアゾジル、チエノ[2,3-d]イミダゾリル、テトラゾロ[1,5-a]ピリジニル、インドリル、インドリジニル、イソインドリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、インダゾジル、ベンズイミダゾリル、1,3-ベンゾイソオキサゾリル、1,2-ベンゾイソオキサゾリル、2,1-ベンゾイソオキサゾリル、1,3-ベンゾチアゾジル、1,2-ベンゾイソチアゾール、2,1-ベンゾイソチアゾール、ベンゾトリアゾジル、1,2,3-ベンゾオキサジアゾジル、2,1,3-ベンゾオキサジアゾジル、1,2,3-ベンゾチアジアゾジル、2、1,3-ベンゾチアジアゾジル、チエノピリジニル、プリニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、6-オキソ-ピリダジン-l(6H)-イル、2-オキソピリジン-l(2H)-イル、6-オキソ-ピリダジン-l(6H)-イル、2-オキソピリジン-l(2H)-イル、1,3-ベンゾジオキソリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニルを含む。
【0074】
シクロアルキル基中の少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置換されている場合、得られる環は本明細書では「ヘテロシクロアルキル」、又は「ヘテロシクリル」と称される。
【0075】
本明細書で使用される「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクロアルキル」、又は「ヘテロシクロ」という用語は、それ自体又は別の基の一部として、少なくとも1つの炭素原子含有環中に少なくとも1つのヘテロ原子を有する非芳香族の完全飽和又は部分飽和環状基(例えば、3~7員の単環式、7~11員の二環式、又は計3~10個の環原子を含む)を指す。ヘテロ原子を含む複素環基の各環は、窒素、酸素及び/又は硫黄原子から選択される1、2、3、又は4ヘテロ原子を有し得、窒素及び硫黄ヘテロ原子は任意選択的に酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は任意選択的に四級化されていてもよい。複素環基の炭素原子は、いずれもオキソ(例えば、ピペリドン、ピロリジノン)で置換されていてもよい。複素環基は、環又は環系の任意のヘテロ原子又は炭素原子に結合していてもよく、原子価が許容される。多環複素環の環は、1つ以上のスピロ原子を介して縮合、架橋及び/又は連結されてもよい。非限定的な例示の複素環基は、オキセタニル、ピペリジニル、アゼチジニル、2-イミダゾリニル、ピラゾリジニルイミダゾリジニル、イソオキサゾリニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、ピペリジニル、3H-インドリル、インドリニル、イソインドリニル、2-オキソピペラジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、2-ピラゾリニル、3-ピラゾリニル、テトラヒドロ-2H-ピラニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、3,4-ジヒドロ-2H-ピラニル、3-ジオキソラニル、1,4-ジオキサニル、2,5-ジオキシミダゾリジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロロジニル、インドリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリン-1-イル、テトラヒドロイソキノリン-2-イル、テトラヒドロイソキノリン-3-イル、テトラヒドロイソキノリン-4-イル、チオモルホリン-4-イル、チオモルホリン-4-イルスルオキシド、チオモルホリン-4-イルスルホン、1,3-ジオキソラニル、1,4-オキサチアニル、1H-ピロリジニル、テトラヒドロ-1,1-ジオキソチオフェニル、N-ホルミルピペラジニル、及びモルホリン-4-イルを含む。
【0076】
本明細書で使用される「非タンパク質性アミノ酸」という用語は、生物の遺伝暗号に天然にコードされていないか又は見出されないアミノ酸を指す。非タンパク質性アミノ酸の非限定的な例は、オルニチン、シトルリン、アルギニノコハク酸、ホモセリン、ホモシステイン、システイン-スルフィン酸、2-アミノムコン酸、δ-アミノレブリン酸、β-アラニン、シスタチオニン、γ-アミノ酪酸、DOPA、5-ヒドロキシトリプトファン、D-セリン、イボテン酸、α-アミノ酪酸、2-アミノイソブチレート、D-ロイシン、D-バリン、D-アラニン又はD-グルタミン酸である。
【0077】
本明細書で使用される「タンパク質構成アミノ酸」という用語は、生体内のリボソームによるメッセンジャーRNAの翻訳中にタンパク質に組み込まれるアミノ酸、すなわち、アラニン(ALA)、アルギニン(ARG)、アスパラギン(ASN)、アスパラギン酸(ASP)、システイン(CYS)、グルタメート(グルタミン酸)(GLU)、グルタミン(GLN)、グリシン(GLY)、ヒスチジン(HIS)、イソロイシン(ILE)、ロイシン(LEU)、リジン(LYS)、メチオニン(MET)、フェニルアラニン(PHE)、プロリン(PRO)、ピロリジン(PYL)、セレノシステイン(SEL)、セリン(SER)、トレオニン(THR)、トリプトファン(TRP)、チロシン(TYR)、又はバリン(VAL)を指す。
【0078】
本明細書で使用される「プロドラッグ」という用語は、その生体内変換産物が活性薬物であるエステルなどの式(I)の化合物の薬学的に許容される誘導体を意味する。プロドラッグは、生物学的利用能の向上を特徴とし、生体内で活性化合物に容易に代謝される。本発明の目的に適したプロドラッグは、カルボン酸エステル、特に、アルキルエステル、アリールエステル、アシルオキシアルキルエステル、及びジオキソレンカルボン酸、アスコルビン酸エステルを含む。
【0079】
「置換基」又は「置換」という用語は、化合物又は基上の水素ラジカルが、保護されていない形態で、又は保護基によって保護されている場合、反応条件下で実質的に安定な任意の所望の基によって置き換えられることを意味する。好ましい置換基の例は、限定するものではないが、上述するようなハロゲン(クロロ、ヨード、ブロモ、又はフルオロ)、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、アルコシキ、ニトロ、チオール、チオエーテル、イミン、シアノ、アミド、ホスホナト、ホスフィン、カルボキシル、チオカルボニル、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、酸素(-O)、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、単環式又は縮合若しくは非縮合多環式であり得るシクロアルキル(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシル)、又は単環式又は縮合若しくは非縮合多環式であり得るヘテロシクロアルキル(例えば、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、又はチアジニル)、単環式又は縮合若しくは非縮合多環式アリール若しくはヘテロアリール(例えば、フェニル、ナフチル、ピロリル、インドリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾジル、トリアゾジル、テトラゾリル、ピラゾジル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、アクリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチオフェニル、又はベンゾフラニル)、アミノ(第一、第二、又は第三)、COCH、CONH、OCHCONH、NH、SONH、OCHF、CF、OCFを含み、そのような部分は、任意選択的に縮合構造若しくは架橋、例えば-OCHO-で置換されていてもよい。これらの置換基は、任意選択的に、上記の基から選択される置換基によって更に置換され得る。特定の実施形態によれば、「置換基」又は形容詞「置換」という用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ハロアルキルからなる基から選択される置換基、-C(O)NR1112、-NR13C(O)R14、ハロ、-OR13、シアノ、ニトロ、ハロアルコキシ、-C(O)R13、-NR1112、-SR13、-C(O)OR13、-OC(O)R13、-NR13C(O)NR1112、-OC(O)NR1112、-NR13C(O)OR14、-S(O)rR13、-NR13S(O)rR14、-OS(O)rR14、S(O)rNR1112、-O、-S、及び-N-R13(rは1又は2である)を指し、R11及びR12は出現毎に独立してH、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアルケニル、任意選択的に置換されたアルキニル、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたシクロアルケニル、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたヘテロアリール、任意選択的に置換されたアリールアルキル、又は任意選択的に置換されたヘテロアリールアルキル、又はR11及びR12はそれらが結合される窒素と一緒に、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル又は任意選択的に置換されたヘテロアリールであり、R13及びR14は出現毎に独立してH、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアルケニル、任意選択的に置換されたアルキニル、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたシクロアルケニル、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたヘテロアリール、任意選択的に置換されたアリールアルキル、又は任意選択的に置換されたヘテロアリールアルキルである。特定の実施形態によれば、「置換基」、又は形容詞の「置換」という用語は、可溶化基を指す。
【0080】
「活性成分」という用語は、被検体への投与が、疾患又は状態の1つ以上の症状の進行、激化、又は悪化を減速又は停止させる、疾患の又は状態の症状を緩和する、疾患又は状態を治癒させる分子又は物質を指す。一実施形態によれば、治療成分は、天然又は合成の小分子である。別の実施形態によれば、治療成分は、例えば、オリゴヌクレオチド、siRNA、miRNA、DNA断片、アプタマー、抗体などの生物学的分子である。
【0081】
「医薬的に許容される」とは、医薬組成物の成分が相互に共存でき、患者に有害ではないことを意味する。
【0082】
「薬学的に許容される賦形剤」又は「医薬ビヒクル」という用語は、薬学的活性剤が製剤化及び/又は投与され、動物、好ましくはヒトに投与された場合に有害なアレルギー又は他の反応を引き起こさない、溶媒又は希釈剤として使用される不活性媒体又は担体を指す。これには、全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤、吸収遅延剤、及び類似の成分が含まれる。ヒトへの投与のために、調製物は、FDA又はEMAなどの規制機関によって要求される無菌性、一般的な安全性、及び純度の基準を満たさなければならない。本発明の目的上、「薬学的に許容される賦形剤」は、全ての薬学的に許容される賦形剤、並びに全ての薬学的に許容される担体、希釈剤、及び/又は補助剤を含む。
【0083】
「薬学的に許容される塩」という用語は、その酸付加と塩基塩を含む。適切な塩基塩は、非毒性塩を形成する酸から形成される。例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、硫酸水素塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、シクラメート、エジシレート、エシレート、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプチン酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2-ナフシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸水素塩、ピログルタミン酸塩、サッカレート、ステアリン酸塩、琥珀酸塩、酒石酸塩、トシラート、トリフルオロ酢酸、及びキシナホ酸塩が挙げられる。
【0084】
適切な塩基塩は、非毒性塩を形成する塩基から形成される。例としては、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、2-(ジエチルアミノ)エタノール、ジオラミン、エタノールアミン、グリシン、4-(2-ヒドロキシエチル)-モルホリン、リジン、マグネシウム、メグルミン、モルホリン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン、及び亜鉛塩が挙げられる。
【0085】
例えば、ヘミ硫酸塩及びヘミカルシウム塩などの酸と塩基の半塩も形成され得る。
【0086】
式(I)の化合物の薬学的に許容される塩は、これらの方法のうちの1つ以上:
(i)式(I)の化合物と所望の酸とを反応させること、
(ii)式(I)の化合物と所望の塩基とを反応させること、
(iii)式(I)の化合物の適切な前駆体から酸若しくは塩基不安定な保護基を除去する、又は所望の酸を用いて、例えば、ラクトン又はラクタムなどの適切な環状前駆体を開環すること、及び/又は
(iv)式(I)の化合物の1つの塩を、適切な酸との反応若しくは適切なイオン交換カラムによって又は別の塩に変換すること、
によって調製され得る。
【0087】
これらの反応は全て、典型的には溶液中で行われる。塩は、溶液から沈殿し、濾過によって収集されてもよく、又は溶媒の蒸発によって収集されてもよい。塩中のイオン化度は、完全にイオン化されたものからほとんどイオン化されていないものまで変化し得る。
【0088】
一般に、本発明の化合物の塩に関しては、薬学的に許容される塩が好ましいが、本発明は最も広い意味で、例えば、本発明の化合物の単離及び/又は精製に使用され得る非薬学的に許容される塩を含むことに留意されたい。例えば、光活性酸又は塩基で形成された塩を使用して、上記の式Iの化合物の光活性異性体の分離を容易にすることができるジアステレオ塩を形成し得る。
【0089】
「溶媒和物」という用語は、本発明の化合物を含む分子複合体を説明するために本明細書で使用され、化学量論量又は準化学量論量の1つ以上の薬学的に許容される溶媒分子、例えばエタノールを含む。「水和物」という用語は、当該溶媒が水である場合を指す。
【0090】
「投与」又はその変形(例えば、「投与する」)という用語は、状態、症状、又は疾患が治療又は予防される患者に対して、活性薬剤又は活性成分を単独で又は薬学的に許容される組成物の一部として提供することを意味する。
【0091】
「ヒト」という用語は、両性及び任意の成長段階(すなわち、新生児、乳児、若年、青年、成人)の被検体を指す。
【0092】
「患者」という用語は、医療処置を受けるのを待っている、又は医療処置を受けている、又は医療処置の対象である/対象となる恒温動物、より好ましくはヒトを指す。
【0093】
本明細書で使用される「治療する」、「治療の」、及び「治療」という用語は、状態又は疾患及び/又はその不随症状を軽減、減弱、又は抑止することを含むことを意味する。
【0094】
本明細書で使用される「予防する」、「予防の」、及び「予防」という用語は、状態若しくは疾患及び/又はその不随症状を遅延若しくはその開始を阻止する、患者が状態若しくは疾患にかかるのを防止する、又は状態若しくは疾患にかかる患者のリスクを低減する方法を指す。
【0095】
本明細書で使用される「治療に有効な量」(又はより簡潔には「有効量」)という用語は、投与対象の患者において所望の治療又は予防効果を達成するのに十分な活性薬剤又は活性成分の量を意味する。
【0096】
不斉炭素の結合は、実線の三角形
【化21】

、破線の三角形
【化22】


、又はジグザグ線
【化23】


を用いて表すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0097】
発明の詳細な説明
ウィルス感染症の治療及び/又は予防に使用するための化合物
したがって、本発明は、ウィルス感染症の治療及び/又は予防に使用するための、式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物又はそのプロドラッグ、又は式(Ia)の化合物又は薬学的に許容されるその塩及び/若しくは溶媒和物又はそのプロドラッグに関する:
【化24】


XはO、CH、S、Se、CHF、CF、及びC=CHから選択され、
はH、アジド、シアノ、C-Cアルキル、C-Cチオ-アルキル、C-Cヘテロアルキル、及びORから選択され、RはH及びC-Cアルキルから選択され、
、R、R、及びRは独立してH、ハロゲン、アジド、シアノ、ヒドロキシル、C-C12アルキル、C-C12チオアルキル、C-C12ヘテロアルキル、C-C12ハロアルキル、及びORから選択され、RはH、C-C12アルキル、C(O)(C-C12)アルキル、C(O)NH(C-C12)アルキル、C(O)O(C-C12)アルキル、C(O)アリール、C(O)(C-C12)アルキルアリール、C(O)NH(C-C12)アルキルアリール、C(O)O(C-C12)アルキルアリール、及びC(O)CHRAANHから選択され、RAAはタンパク質構成アミノ酸から選択される側鎖であり、
はH、アジド、シアノ、C-Cアルキル、C-Cチオアルキル、C-Cヘテロアルキル、及びORから選択され、RはH及びC-Cアルキルから選択され、
はP(O)R9R10、P(S)R9R10、及び
【化25】


から選択され(nは1又は3から選択される整数である)、
及びR10は独立してOH、OR11、NHR13、NR1314、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-C10シクロアルキル、C-C12アリール、C-Cアリールアルキル、C-Cアルキルアリール、C-Cヘテロアルキル、C-Cヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、及びNHCRαα´C(O)R12から選択され、
-R11はC-C10アルキル、C-C10シクロアルキル、C-C12アリール、C-C10アルキルアリール、置換C-C12アリール、C-C10ヘテロアルキル、C-C10ハロアルキル、-(CHC(O)(C-C15)アルキル、-(CHOC(O)(C-C15)アルキル、-(CHOC(O)O(C-C15)アルキル、-(CHSC(O)(C-C15)アルキル、-(CHC(O)O(C-C15)アルキル及び-(CHC(O)O(C-C15)アルキルアリール(nは1~8から選択される整数である)、及びP(O)(OH)OP(O)(OH)、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C-Cアルコシキ、C-Cハロアルコキシ、-N(R11a)2、C-Cアシルアミノ、-COR11b、-OCOR11b、NHSO2(C-C6アルキル)、-SO2N(R11a)2SO2から選択され、R11aは独立してH及び(C-C)アルキルから選択され、R11bは独立してOH、C-Cアルコシキ、NH2、NH(C-Cアルキル)又はN(C-Cアルキル)2から選択され、
-R12は水素、C-C10アルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-C10ハロアルキル、C-C10シクロアルキル、C-C10シクロヘテロアルキル、C-C12アリール、C-Cアルキルアリール、及びC-C12ヘテロアリールから選択され、当該アリール又はヘテロアリール基はハロゲン、トリフルオロメチル、C-Cアルキル、C-Cアルコシキ、及びシアノから選択される1つ又は2つの基によって任意選択的に置換され、
-R13及びR14は独立してH、C-Cアルキル、及びC-Cアルキル-アリールから選択され、
-Rα及びRα´は独立して水素、C-C10アルキル、C-C10アルケニル、C-C10アルキニル、C-C10シクロアルキル、C-C10チオアルキル、C-C10ヒドロキシルアルキル、C-C10アルキルアリール、及びC-C12アリール、-(CHNHC(=NH)NH、(1H-インドール-3-イル)メチル、(1H-イミダゾール-4-イル)メチル、タンパク質構成又は非タンパク質構成アミノ酸から選択される側鎖から選択され、当該アリール基はヒドロキシル、C-C10アルキル、C-Cアルコシキ、ハロゲン、ニトロ、及びシアノから選択される基によって任意選択的に置換され、又は
及びR10はそれらが結合されるリン原子と一緒に6員環を形成し、-R-R10-は-CH-CH-CHR-を表し、Rは水素、C-Cアリール、及びC-Cヘテロアリールから選択され、当該アリール又はヘテロアリール基はハロゲン、トリフルオロメチル、C-Cアルキル、C-Cアルコシキ、及びシアノから選択される1つ又は2つの基によって任意選択的に置換され、又は
R9及びR10はそれらが結合されるリン原子と一緒に6員環を形成し、-R9-R10-は-O-CH2-CH2-CHR-O-を表し、Rは水素、C5-C6アリール、及びC5-C6ヘテロアリールから選択され、当該アリール又はヘテロアリール基はハロゲン、トリフルオロメチル、C1-C6アルキル、C1-C6アルコシキ、及びシアノから選択される1つ又は2つの基によって任意選択的に置換され、
はH、OR、NHR15、NR15R16、NH-NHR13、SH、CN、N3、ハロゲン(R15及びR16は独立してH、C1-C8アルキル、及びC1-C8アルキルアリールから選択され)、及び-CRBRC-C(O)-ORDから選択され、RB及びRCは独立して水素、C1-C6アルキル、C1-C6アルコシキ、ベンジル、インドリル、又はイミダゾリルであり、C1-C6アルキル及びC1-C6アルコシキはハロゲン、アミノ、アミド、グアニジル、ヒドロキシル、チオール、又はカルボキシル基のうちの1つ以上によって任意選択的に且つ互いに独立して置換され、ベンジル基はハロゲン又はヒドロキシル基のうちの1つ以上によって任意選択的に置換されるか、又はRB及びRCはそれらが結合される炭素原子と一緒に、ハロゲン、アミノ、アミド、グアニジル、ヒドロキシル、チオール、及びカルボキシル基のうちの1つ以上によって任意選択的に置換されるC3-C6シクロアルキル基を形成し、RDは水素、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、又はC3-C6シクロアルキルであり、
YはCH、CH、C(CH、及びCCHから選択され、
【化26】


は、Yに応じて単結合又は二重結合を表し、
【化27】


は、Rの位置に応じてα又はβアノマーを表す:
【化28】


-X´及びX´は独立してO、CH、S、Se、CHF、CF、及びC=CHから選択され、
-R´及びR´13は独立してH、アジド、シアノ、C1-C8アルキル、C1-C8チオアルキル、C1-C8ヘテロアルキル、及びORから選択され、RはH及びC1-C8アルキルから選択され、
-R´、R´、R´、R´、R´、R´10、R´11、及びR´12は独立してH、ハロゲン、アジド、シアノ、ヒドロキシル、C1-C12アルキル、C1-C12チオアルキル、C1-C12ヘテロアルキル、C1-C12ハロアルキル、及びORから選択され、RはH、C1-C12アルキル、C(O)(C1-C12)アルキル、C(O)NH(C1-C12)アルキル、C(O)O(C1-C12)アルキル、C(O)アリール、C(O)(C1-C12)アルキルアリール、C(O)NH(C1-C12)アルキルアリール、C(O)O(C1-C12)アルキルアリール、又はC(O)CHRAANHから選択され、RAAはタンパク質構成アミノ酸から選択される側鎖であり、
-R´及びR´は独立してH、アジド、シアノ、C1-Cアルキル、及びORから選択され、RはH及びC1-C8アルキルから選択され、
-R´及びR´14は独立してH、OR、NHR、NRR´、NH-NHR、SH、CN、N、及びハロゲンから選択され、R及びR´はそれぞれ独立してH、C1-C8アルキル、C1-C8アルキルアリールから選択され、
-Y´及びY´は独立してCH、CH、C(CH、又はCCHから選択され、
-M´はH又は適切な対イオンから選択され、

【化29】


は、Y´及びY´に応じて単結合又は二重結合を表し、

【化30】


は、R´及びR´13,の位置に応じてα又はβアノマーを表す。
【0098】
一実施形態によれば、XはO、CH、及びSから選択される。
【0099】
一実施形態によれば、Rは水素又はOHから選択される。一実施形態によれば、Rは水素である。一実施形態によれば、RはOHである。
【0100】
一実施形態によれば、R、R、R及びRは独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C-C12アルキル、及びORから選択され、ただし、Rは本明細書中、上に記載される通りである。好ましい実施形態によれば、R、R、R、及びRは独立して水素、ヒドロキシル、及びORから選択され、ただし、Rは本明細書中、上に記載される通りである。より好ましい実施形態によれば、R、R、R、及びRは独立して水素又はOHから選択される。
【0101】
一実施形態によれば、R及びRは同一である。一実施形態によれば、R及びRは同一であり、OHを表す。一実施形態によれば、R及びRは同一であり、水素を表す。
【0102】
一実施形態によれば、R及びRは異なる。好ましい実施形態によれば、Rは水素であり、RはOHである。より好ましい実施形態によれば、RはOHであり、Rは水素である。
【0103】
一実施形態によれば、R及びRは同一である。一実施形態では、R及びRは同一であり、OHを表す。一実施形態では、R及びRは同一であり、水素を表す。
【0104】
一実施形態によれば、R及びRは異なる。好ましい実施形態では、RはOHであり、Rは水素である。より好ましい実施形態では、Rは水素であり、RはOHである。
【0105】
一実施形態によれば、R及びRは異なる。一実施形態では、RはOHであり、Rは水素である。一実施形態では、Rは水素であり、RはOHである。
【0106】
一実施形態によれば、R及びRは同一である。好ましい実施形態では、R及びRは同一であり、OHを表す。より好ましい実施形態では、R及びRは同一であり、水素を表す。
【0107】
一実施形態によれば、R及びRは異なる。一実施形態では、Rは水素であり、RはOHである。一実施形態では、RはOHであり、Rは水素である。
【0108】
一実施形態によれば、R及びRは同一である。好ましい実施形態によれば、R及びRは同一であり、水素を表す。より好ましい実施形態では、R及びRは同一であり、OHを表す。
【0109】
一実施形態によれば、Rは水素又はOHから選択される。一実施形態では、RはOHである。好ましい実施形態では、Rは水素である。
【0110】
一実施形態によれば、RはP(O)R10又はP(S)R10から選択され、R及びR10は本明細書で上述した通りである。好ましい実施形態によれば、RはP(O)R10であり、R及びR10は本明細書で上述した通りである。好ましい実施形態によれば、RはP(O)(OH)である。
【0111】
一実施形態によれば、RはH、OR、NHR13又はNR1314から選択され、R13及びR14は本明細書で上述した通りである。好ましい実施形態によれば、RはNHR13であり、R13及びR14は本明細書で上述した通りである。
【0112】
一実施形態によれば、YはCH又はCHである。一実施形態では、YはCHである。一実施形態では、YはCHである。
【0113】
好ましい一実施形態によれば、式(I)の化合物は、Xが酸素である化合物である。
【0114】
好ましい実施形態によれば、本発明は、一般式(II)の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、又はそのプロドラッグに関する:
【化31】


式中、R、R、R、R、R、R、R、R、Y、
【化32】


、及び
【化33】


は、式(I)の化合物について本明細書で上述した通りである。
【0115】
一実施形態によれば、式(I)の好ましい化合物は、Rが水素である化合物である。
【0116】
好ましい実施形態によれば、本発明は、一般式(III)の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、又はそのプロドラッグに関する:
【化34】


式中、R、R、R、R、R、R、R、Y、
【化35】


、及び
【化36】


は、式(I)の化合物について本明細書で上述した通りである。
【0117】
一実施形態によれば、式(I)の好ましい化合物は、RがOHであり、Rが水素である化合物である。
【0118】
一実施形態によれば、式(I)の好ましい化合物は、Rが水素であり、RがOHである化合物である。
【0119】
一実施形態によれば、式(I)の好ましい化合物は、R及びRが同一であり、水素を表す化合物である。
【0120】
好ましい実施形態によれば、本発明は、一般式(IV)の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、又はそのプロドラッグに関する:
【化37】


式中、R、R、R、R、R、Y、
【化38】


、及び
【化39】


は、式(I)の化合物について本明細書で上述した通りである。
【0121】
一実施形態によれば、式(I)の好ましい化合物は、R及びRが同一であり、OHを表す化合物である。
【0122】
好ましい実施形態によれば、本発明は、一般式(V)の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、又はそのプロドラッグに関する:
【化40】


式中、R、R、R、Y、
【化41】


、及び
【化42】


は、式(I)の化合物について本明細書で上述した通りである。
【0123】
一実施形態によれば、式(I)の好ましい化合物は、Rが水素である化合物である。
【0124】
好ましい実施形態によれば、本発明は、一般式(VI)の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、又はそのプロドラッグに関する:
【化43】


式中、R、R、Y、
【化111】


、及び
【化112】


は、式(I)の化合物について本明細書で上述した通りである。
【0125】
一実施形態によれば、式(I)の好ましい化合物は、RがNHである化合物である。
【0126】
好ましい実施形態によれば、本発明は、一般式(VII)の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、又はそのプロドラッグに関する:
【化44】


式中、R、Y、
【化45】


、及び
【化46】


は、式(I)の化合物について本明細書で上述した通りである。
【0127】
一実施形態によれば、式(I)の好ましい化合物は、YがCHである化合物である。
【0128】
好ましい実施形態によれば、本発明は、一般式(VIII)の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、又はそのプロドラッグに関する:
【化47】


式中、R
【化48】


、及び
【化49】


は、式(I)の化合物について本明細書で上述した通りである。
【0129】
一実施形態によれば、式(I)の好ましい化合物は、YがCHである化合物である。
【0130】
好ましい実施形態によれば、本発明は、一般式(IX)の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、又はそのプロドラッグに関する:
【化50】


式中、R
【化51】


、及び
【化52】


は、式(I)の化合物について本明細書で上述した通りである。
【0131】
一実施形態によれば、式(I)の好ましい化合物は、RがP(O)(OH)である化合物である。
【0132】
好ましい実施形態によれば、本発明は、一般式(X)の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、又はそのプロドラッグに関する:
【化53】


式中、Y、
【化54】


、及び
【化55】


は、式(I)の化合物について本明細書で上述した通りである。
【0133】
一実施形態によれば、本発明による化合物は、下記の表1に列挙した化合物I-A~I-J、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、又はそのプロドラッグから選択される。
【表1】

【0134】
一実施形態によれば、本発明の好ましい化合物は、化合物I-A~I-J、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、又はそのプロドラッグである。一実施形態によれば、より本発明の好ましい化合物は、化合物I-A、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、又はそのプロドラッグである。
【0135】
一実施形態によれば、一般式Iaの好ましい化合物は、X´及びX´が独立してO、CH、Sから選択される化合物である。
【0136】
一実施形態によれば、R´及びR´14は独立してH、OR、NHR、及びNRR´から選択され、R及びR´は独立してH、C1-C8アルキル、C1-C8アルキルアリールから選択される。一実施形態によれば、R´及びR´14はNHRであり、RはH、C1-C8アルキル、C1-C8アルキルアリールから選択される。
【0137】
一実施形態によれば、R´、R´、R´、R´、R´、R´10、R´11、R´12は、H、ハロゲン、ヒドロキシル、C1-C12アルキル、及びORから独立して選択される。好ましい実施形態によれば、R´、R´、R´、R´、R´、R´10、R´11、R´12は独立してH、ヒドロキシル、及びORから選択され、Rは上述した通りである。
【0138】
一実施形態によれば、一般式Iaの好ましい化合物は、R´、R´、R´、R´、R´、R´10、R´11、R´12が独立してH及びOHから選択される化合物である。
【0139】
一実施形態によれば、R´及びR´は同一である。一実施形態によれば、R´及びR´は同一であり、それぞれOHを表す。一実施形態によれば、R´及びR´は同一であり、それぞれ水素を表す。
【0140】
好ましい実施形態によれば、R´及びR´は異なる。好ましい実施形態によれば、R´は水素であり、R´はOHである。より好ましい実施形態によれば、R´はOHであり、R´は水素である。
【0141】
一実施形態によれば、R´及びR´は同一である。一実施形態によれば、R´及びR´は同一であり、それぞれOHを表す。一実施形態によれば、R´及びR´は同一であり、それぞれ水素を表す。
【0142】
好ましい実施形態によれば、R´及びR´は異なる。好ましい実施形態によれば、R´はOHであり、R´は水素である。より好ましい実施形態によれば、R´は水素であり、R´はOHである。
【0143】
一実施形態によれば、R´及びR´は同一である。一実施形態によれば、R´及びR´は同一であり、それぞれOHを表す。一実施形態によれば、R´及びR´は同一であり、それぞれ水素を表す。
【0144】
好ましい実施形態によれば、R´及びR´は異なる。好ましい実施形態によれば、R´はOHであり、R´は水素である。より好ましい実施形態によれば、R´は水素であり、R´はOHである。
【0145】
一実施形態によれば、R´及びR´は異なる。一実施形態によれば、R´は水素であり、R´はOHである。一実施形態によれば、R´はOHであり、R´は水素である。
【0146】
好ましい実施形態によれば、R´及びR´は同一である。好ましい実施形態によれば、R´及びR´は同一であり、それぞれ水素を表す。より好ましい実施形態によれば、R´及びR´は同一であり、それぞれOHを表す。
【0147】
一実施形態によれば、R´及びR´10は同一である。一実施形態によれば、R´及びR´10は同一であり、それぞれOHを表す。一実施形態によれば、R´及びR´10は同一であり、それぞれ水素を表す。
【0148】
好ましい実施形態によれば、R´及びR´10は異なる。好ましい実施形態によれば、R´は水素であり、R´10はOHである。より好ましい実施形態によれば、R´はOHであり、R´10は水素である。
【0149】
一実施形態によれば、R´11及びR´12は同一である。一実施形態によれば、R´11及びR´12は同一であり、それぞれOHを表す。一実施形態によれば、R´11及びR´12は同一であり、それぞれ水素を表す。
【0150】
好ましい実施形態によれば、R´11及びR´12は異なる。好ましい実施形態によれば、R´11はOHであり、R´12は水素である。より好ましい実施形態によれば、R´11は水素であり、R´12はOHである。
【0151】
一実施形態によれば、R´10及びR´11は異なる。一実施形態によれば、R´10は水素であり、R´11はOHである。一実施形態によれば、R´10はOHであり、R´11は水素である。
【0152】
好ましい実施形態によれば、R´10及びR´11は同一である。好ましい実施形態によれば、R´10及びR´11は同一であり、それぞれOHを表す。より好ましい実施形態によれば、R´10及びR´11は同一であり、それぞれ水素を表す。
【0153】
一実施形態によれば、R´及びR´12は異なる。一実施形態によれば、R´は水素であり、R´12はOHである。一実施形態によれば、R´はOHであり、R´12は水素である。
【0154】
好ましい実施形態によれば、R´及びR´12は同一である。好ましい実施形態によれば、R´及びR´12は同一であり、それぞれ水素を表す。より好ましい実施形態によれば、R´及びR´12は同一であり、それぞれOHを表す。
【0155】
一実施形態によれば、Y´はCHである。一実施形態によれば、Y´はCHである。
【0156】
一実施形態によれば、Y´はCHである。一実施形態によれば、Y´はCHである。
【0157】
一実施形態によれば、X´及びX´は異なり、上述の基から選択される。一実施形態によれば、X´及びX´は同一であり、上述の基から選択される。
【0158】
一実施形態によれば、一般式Iaの好ましい化合物は、X´及びX´がそれぞれ独立して酸素を表す化合物である。
【0159】
一実施形態によれば、一般式Iaの好ましい化合物は、X´及びX´が一であり、それぞれが酸素を表す化合物である。
【0160】
好ましい実施形態によれば、式Iaの化合物の中で、本発明は、以下の式IIaを有する化合物又は薬学的に許容されるその塩及び/又は溶媒和物、又はそのプロドラッグに関する:
【化56】


式中、R´、R´、R´、R´、R´、R´、R´、R´、R´、R´、R´10、R´11、R´12、R´13、R´14、Y´、Y´、M´、
【化57】


、及び
【化58】


は上述した通りである。
【0161】
一実施形態によれば、R´及びR´14は異なり、上述の基から選択される。一実施形態によれば、R´及びR´14は同一であり、上述の基から選択される。
【0162】
一実施形態によれば、一般式Iaの好ましい化合物は、R´及びR´14がそれぞれ独立してNHを表す化合物である。
【0163】
一実施形態によれば、一般式Iaの好ましい化合物は、R´及びR´14は同一であり、それぞれ独立してNHを表す化合物である。
【0164】
好ましい実施形態によれば、式Iaの化合物の中で、本発明は、以下の式VIIIaを有する化合物又は薬学的に許容されるその塩及び/又は溶媒和物、又はそのプロドラッグに関する:
【化59】


式中、R´、R´、R´、R´、R´、R´、R´、R´、R´10、R´11、R´12、R´13、Y´、Y´、M´、
【化60】


、及び
【化61】


は上述した通りである。
【0165】
一実施形態によれば、R´及びR´13は異なり、上述の基から選択される。一実施形態によれば、R´及びR´13は同一であり、上述の基から選択される。
【0166】
一実施形態によれば、一般式Iaの好ましい化合物は、R´及びR´13がそれぞれ独立して水素を表す化合物である。
【0167】
一実施形態によれば、一般式Iaの好ましい化合物は、R´及びR´13が同一であり、それぞれ水素を表す化合物である。
【0168】
好ましい実施形態によれば、式Iaの化合物の中で、本発明は、以下の式IVaを有する化合物又は薬学的に許容されるその塩及び/又は溶媒和物、又はそのプロドラッグに関する:
【化62】


式中、R´、R´、R´、R´、R´、R´、R´、R´、R´10、R´11、R´12、Y´、Y´、M´、
【化63】


、及び
【化64】


は上述した通りである。
【0169】
一実施形態によれば、R´及びR´は異なり、上述の基から選択される。一実施形態によれば、R´及びR´は同一であり、上述の基から選択される。
【0170】
一実施形態によれば、一般式Iaの好ましい化合物は、R´及びR´がそれぞれ独立して水素を表す化合物である。
【0171】
一実施形態によれば、一般式Iaの好ましい化合物は、R´及びR´が同一であり、それぞれ水素を表す化合物である。
【0172】
好ましい実施形態によれば、式Iaの化合物の中で、本発明は、以下の式Vaを有する化合物又は薬学的に許容されるその塩及び/又は溶媒和物、又はそのプロドラッグに関する:
【化65】


式中、R´、R´、R´、R´、R´、R´、R´10、R´11、R´12、Y´、Y´、M´、
【化66】


、及び
【化67】


は上述した通りである。
【0173】
一実施形態によれば、R´、R´、R´10、及びR´11は異なり、上述の基から選択される。一実施形態によれば、R´、R´、R´10、及びR´11は同一であり、上述の基から選択される。
【0174】
一実施形態によれば、一般式Iaの好ましい化合物は、R´、R´、R´10、及びR´11がそれぞれ独立して水素を表す化合物である。
【0175】
一実施形態によれば、一般式Iaの好ましい化合物は、R´、R´、R´10、及びR´11が同一であり、それぞれHを表す化合物である。
【0176】
好ましい実施形態によれば、式Iaの化合物の中で、本発明は、以下の式VIaを有する化合物又は薬学的に許容されるその塩及び/又は溶媒和物、又はそのプロドラッグに関する:
【化68】


式中、R´、R´、R´、R´、R´12、Y´、Y´、M´、
【化69】


、及び
【化70】


は上述した通りである。
【0177】
一実施形態によれば、R´、R´、R´、及びR´12は異なり、上述の基から選択される。一実施形態によれば、R´、R´、R´、及びR´12は同一であり、上述の基から選択される。
【0178】
一実施形態によれば、一般式Iaの好ましい化合物は、R´、R´、R´、及びR´12がそれぞれ独立してOHを表す化合物である。
【0179】
一実施形態によれば、一般式Iaの好ましい化合物は、R´、R´、R´、及びR´12が同一であり、それぞれOHを表す化合物である。
【0180】
好ましい実施形態によれば、式Iaの化合物の中で、本発明は、以下の式VIIaを有する化合物又は薬学的に許容されるその塩及び/又は溶媒和物、又はそのプロドラッグに関する:
【化71】


式中、Y´、Y´、M´、
【化72】


、及び
【化73】


は上述した通りである。
【0181】
一実施形態によれば、Y´及びY´は異なる。好ましい実施形態によれば、Y´及びY´は同一である。
【0182】
一実施形態によれば、一般式Iaの好ましい化合物は、Y´及びY´がそれぞれ独立してCHを表す化合物である。
【0183】
一実施形態によれば、一般式Iaの好ましい化合物は、Y´及びY´が同一であり、それぞれCHを表す化合物である。
【0184】
好ましい実施形態によれば、式Iaの化合物の中で、本発明は、以下の式VIIIaを有する化合物又は薬学的に許容されるその塩及び/又は溶媒和物、又はそのプロドラッグに関する:
【化74】


式中、M´及び
【化75】


は上述した通りである。
【0185】
一実施形態によれば、一般式Iaの好ましい化合物は、Y´及びY´がそれぞれ独立してCHを表す化合物である。
【0186】
一実施形態によれば、一般式Iaの好ましい化合物は、Y´及びY´が同一であり、それぞれCHを表す化合物である。
【0187】
好ましい実施形態によれば、式Iaの化合物の中で、本発明は、以下の式IXaを有する化合物又は薬学的に許容されるその塩及び/又は溶媒和物、又はそのプロドラッグに関する:
【化76】

【0188】
式中、M´及び
【化77】


は上述した通りである。
【0189】
一実施形態によれば、本発明の好ましい化合物は、表2に列挙した化合物Ia-A~Ia-Iである。
【表2】

【0190】
一実施形態によれば、本発明の好ましい化合物は、式Ia-Aの化合物である。
【0191】
別の実施形態によれば、本発明の好ましい化合物は、式Ia-Dの化合物である。
【0192】
式(I)又は(Ia)の化合物への言及は、塩、溶媒和物、多成分複合体、及びその液晶への言及を含む。式(I)又は(Ia)の化合物に対する言及は、その多形体及び晶相を含む。
【0193】
式(I)又は(Ia)の化合物に対する言及は、薬学的に許容されるプロドラッグ又はそのプロドラッグへの言及を含む。
【0194】
医薬組成物
本発明はまた、本発明による使用のための化合物、及び少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む、ウィルス感染症の治療及び/又は予防に使用するための医薬組成物に関する。
【0195】
一実施形態によれば、医薬組成物は、少なくとも別の活性成分を更に含む。
【0196】
一実施形態によれば、他の活性成分は、抗ウィルス剤、オセルタミビル、ザナミビル、ペラミビル、又はラニナミビルなどのノイラミニダーゼ阻害剤、アダマンタジン又はリマンタジンなどのM2プロトンチャネル遮断剤、トシリズマブ、シルツキシマブ、サリルマブ、シルクマブ、クラザキズマブ、又はオロキズマブなどの抗インターロイキン6、バリシチニブ、フェドラチニブ、又はルキソリチニブなどのJAK阻害剤、インターフェロンβ-1a(IFN-β-1a)、インターフェロンβ-1b(IFN-β-1b)又はペグインターフェロンβ-1aなどのインターフェロン、好ましくはアジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、スピラマイシン、テリスロマイシンからなる基から選択されるマクロライドから選択され、別の活性成分は、BXT-25、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、ブリラシジン、デヒドロアンドログラホリドスクシナート、APN01、フィンゴリモド、メチルプレドニゾロン、サリドマイド、ベバシズマブ、シルデナフィルクエン酸塩、カリマイシン、ニコチン、ヒスタミンH2受容体拮抗剤、及びそれらの混合物から選択される。
【0197】
一実施形態によれば、本発明の組成物は、式I及び/又は式Iaの化合物のうちの少なくとも1つと、ヒスタミンH2受容体のうちの少なくとも1つとを含む。
【0198】
一実施形態によれば、当該ヒスタミンH2受容体拮抗剤は、ファモチジン、シメチジン、ラニチジン、ニザチジン、ロキサチジン、ラフチジン、ラボルチジン、ニペロチジン、好ましくはファモチジンから選択される。
【0199】
更なる抗ウィルス剤の非-限定的な例は、
-ファビピラビル、ピモディビル、バロキサビル、マルボキシル及びソホスブビルなどのポリメラーゼ阻害剤、
-ボセプレビル、シメプレビル、フォサムプレナビル、ロピナビル、リトナビル、テラプレビル、チプラナビル、アザタナビル、ネルフィナビル、インジナビル、及びサキナビルなどのプロテアーゼ阻害剤、
-ラルテグラビル、ドルテグラビル、及びエルビテグラビルなどのインテグラーゼ鎖転移阻害剤、
-ダクラタスビルなどのNS5A阻害剤、
-ラミブジン、アデホビル、テノホビル、エンテカビル、及びエムトリシタビンなどのヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)、
-エファビレンツ、ネビラピン、及びエトラビリンなどの非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、
-リバビリン、バラシクロビル、アシクロビル及びファムシクロビルなどのプリンヌクレオシド、
及びそれらの混合物を含む。
【0200】
一実施形態によれば、ウィルス感染症の治療及び/又は予防における使用のための、又はウィルス由来の呼吸器若しくは呼吸器外合併症及び/又は感染症の治療及び/又は予防における使用のための医薬組成物は、本発明による使用のための少なくとも1つの化合物を、ファモチジン、シメチジン、ラニチジン、ニザチジン、ロキサチジン、ラフチジン、ラボルチジン、ニペロチジンから選択されるヒスタミンH2受容体拮抗剤、及び少なくとも1つの薬学的に許容される担体と共に含む。
【0201】
一実施形態によれば、ウィルス感染症の治療及び/又は予防に使用するための、又はウィルス由来の呼吸器若しくは呼吸器外合併症及び/又は感染症の治療及び/又は予防に使用するための医薬組成物は、ファモチジンを伴う本発明による使用のための少なくとも1つの化合物と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体とを含む。
【0202】
工程
別の態様によれば、本発明は、上述の式(I)の化合物の調製方法に関する。
【0203】
具体的には、本明細書に開示される式(I)の化合物は、基質A~Eから上述したように調製され得る。これらのスキームは決して限定的ではなく、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく変形が可能であることが当業者によって理解されるべきである。
【0204】
一実施形態によれば、本方法は、第1の工程で、塩化ホスホリル及びトリアルキルホスフェートの存在下で式(A)の化合物をモノリン酸化して、式(B)のホスホロジクロリダートを得ることを含む:
【化78】


式中、X、R、R、R、R、R、R、R、R、Y、
【化79】


、及び
【化80】


は、式(I)の化合物について本明細書で上述した通りである。
【0205】
第2の工程では、式(B)のホスホロジクロリダートは、加水分解されて、式(C)のホスフェートを得る:
【化81】


式中、X、R、R、R、R、R、R、R、R、Y、
【化82】


、及び
【化83】


は、式(I)の化合物について本明細書で上述した通りである。
【0206】
一実施形態によれば、式(A)の化合物は、当業者にとって既知な様々な方法を用いて合成される。一実施形態によれば、式(A)の化合物は、式(D)のペントースと式(E)の窒素誘導体を反応させることによって合成され(式中、R、R、R、R、R、R、R、Yは式(I)の化合物について上述した通りである)、式(A-1)の化合物をもたらし、次いで選択的に脱保護されて式(A)の化合物を得る:
【化84】


式中、X、R、R、R、R、R、R、R、Y、
【化85】


、及び
【化86】


は、式(I)の化合物について本明細書で上述した通りである。
【0207】
一実施形態によれば、Rは、当業者にとって既知の適切な保護基である。一実施形態によれば、保護基は、トリアリールメチル及び/又はシリルから選択される。トリアリールメチルの非限定的な例は、トリチル、モノメトキシトリチル、4,4´-ジメトキシトリチル、及び4,4´,4」-トリメトキシトリチルを含む。シリル基の非限定的な例は、トリメチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、トリイソプロピルシリルオキシメチル、及び[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチルを含む。
【0208】
一実施形態によれば、ペントースに結合されるヒドロキシ基は、当業者にとって既知の適切な保護基で保護される。
【0209】
保護基の選択と交換は、当業者の責任である。保護基は、例えば、酸(例えば、無機酸又は有機酸)、塩基、又はフッ化物源で、当業者にとって周知の方法によって除去することができる。好ましい実施形態によれば、式(E)の窒素誘導体は、ルイス酸の存在下で式(D)のペントースにカップリングされて、式(A-1)の化合物をもたらす。ルイス酸の非限定的な例は、TMSOTf、BFOEt、TiCl、及びFeClを含む。
【0210】
一実施形態によれば、本発明の方法は、当業者にとって周知の様々な方法によって式(A)の化合物を還元して、式(A´)の化合物をもたらす工程を更に含み、式中、CH並びにR、R、R3、R、R、R、R、Y、
【化113】


、及び
【化114】


は、式(I)の化合物について上述した通りである。
【0211】
特定の実施形態によれば、本発明は、式I-A~I-Fの化合物の調製方法に関する。
【0212】
第1の工程では、式Eのニコチンアミドが、ルイス酸の存在下でカップリング反応を介して式Dのリボーステトラ酢酸にカップリングされて、式A-1の化合物を得る:
【化87】

【0213】
第2の工程では、式A-1の化合物のアンモニア処理が実行されて、式A-2の化合物を得る:
【化88】

【0214】
第3の工程では、式A-2の化合物が、塩化ホスホリル及びトリアルキルホスフェートの存在下でモノリン酸化されて、式A-3のホスホロジクロリダートを得る:
【化89】

【0215】
第4の工程では、式A-3のホスホロジクロリダートは加水分解されて、式I-Aの化合物を得る:
【化90】

【0216】
一実施形態によれば、式A-2の化合物を還元する工程が実行されて、式I-Eの化合物を得る。
【0217】
次いで、式I-Eの化合物はモノリン酸化され、工程4に記載されるように式I-Cの化合物に加水分解される。
【0218】
別の態様では、本発明は、上述の式Iaの化合物の調製方法に関する。
【0219】
具体的には、本明細書に開示される式Iaの化合物は、基質Xa~XIIIaから後述するように調製することができる。これらのスキームは決して限定的ではなく、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく詳細の変形が可能であることが当業者によって理解される。
【0220】
一実施形態によれば、本発明は、上述の式Iの化合物の調製方法に関する。
【0221】
本方法はまず、式Xaの化合物がトリアルキルホスフェート中の塩化ホスホリルの存在下でモノリン酸化されて、ホスホロジクロリダート化合物XIaを得ることを含む:
【化91】


式中、X´、R´、R´、R´、R´、R´、R´、R´、Y´
【化92】


、及び
【化93】


は、式Iaについて本明細書で上述した通りである。
【0222】
第2の工程では、第1の工程で得られたホスホロジクロリダートXIaが加水分解されて、式XIIaのホスフェート化合物を得る:
【化94】


式中、X´、R´、R´、R´、R´、R´、R´、R´、Y´、M´、
【化95】


、及び
【化96】


は、式Iaについて本明細書で上述した通りである。
【0223】
次いで、第2の工程で得られる式XIIaのホスフェート化合物が、第1の工程に記載されるように得られる式XIIIaのホスホロジクロリダート化合物と反応させられて、本明細書に記載の式Iaの化合物を得る:
【化97】


式中、X´、R´、R´、R´10、R´11、R´12、R´13、R´14、Y´
【化98】


、及び
【化99】


は、式Iaについて本明細書で上述した通りである。
【0224】
一実施形態によれば、本発明の方法は、当業者にとって既知な様々な方法を用いて、式Iaの化合物を還元して式I´aの化合物を得るという工程を更に含む。式中、Y´及びY´は同一であり、それぞれCHを表し、X´1、X´、R´、R´、R´、R´、R´、R´、R´、R´、R´、R´10、R´11、R´12、R´13、R´14、Y´、Y´、M´、
【化100】


、及び
【化101】


は、式Iaについて本明細書で上述した通りである。
【0225】
別の実施形態によれば、式Xaの化合物は、当業者にとって既知な様々な方法を用いて合成される。一実施形態によれば、式Xaの化合物は、まず式XIVaのペントーを式XVaの窒素含有誘導体と反応させて式Xa-1の化合物を得て、次いで、選択的に脱保護して式Xaの化合物を得るという2つの工程によって合成される。式中、R´、R´、R´、R´、R´、R´、R´、R´、Y´、及びRは、式Iaについて本明細書で上述した通りである:
【化102】


式中、X´、R、R´、R´、R´、R´、R´、R´、R´、Y´
【化103】


、及び
【化104】


は、式Iaについて本明細書で上述した通りである。
【0226】
一実施形態によれば、Rは、当業者にとって既知の適切な保護基である。適切な保護基の例は、トリアリールメチル及び/又はシリル基を含む。トリアリールメチルの非限定的な例は、トリチル、モノメトキシトリチル、4,4´-ジメトキシトリチル、及び4,4´,4´´-トリメトキシトリチルを含む。シリル基の非限定的な例は、トリメチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、トリ-イソプロピルシリルオキシメチル、及び[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチルを含む。
【0227】
一実施形態によれば、ペントース環に結合されるヒドロキシ基は、当業者にとって既知の適切な保護基で保護される。
【0228】
保護基の選択及び交換は、当業者の技術の範囲内である。どの保護基も、例えば、酸(例えば、無機酸又は有機酸)、塩基、又はフッ化物源で、当該技術において既知な方法によって除去することができる。
【0229】
好ましい実施形態によれば、式XVaの窒素含有誘導体がルイス酸の存在下でカップリング反応を介してペントースXIVaに添加されて、式Xa-1の化合物を得る。適切なルイス酸の非限定的な例は、TMSOTf、BFOEt、TiCl、及びFeClを含む。
【0230】
特定の実施形態によれば、本発明は、式VIIIaの化合物、又は薬学的に許容されるその塩及び/又は溶媒和物、又はそのプロドラッグの調製方法に関する:
【化105】

【0231】
第1の工程では、式XVaのニコチンアミドがルイス酸の存在下でカップリング反応を介してリボーステトラ酢酸XIVaに添加されて、式Xa-1の化合物を得る:
【化106】

【0232】
第2の工程では、式Xa-1の化合物のアンモニア処理は、式Xaの化合物を得る:
【化107】

【0233】
第3の工程では、式Xaの化合物がトリアルキルホスフェート中の塩化ホスホリルの存在下でモノリン酸化されて、ホスホロジクロリダート化合物XIaを得る:
【化108】

【0234】
第4の工程では、第3の工程で得られるホスホロジクロリダート化合物XIaが部分的に加水分解されて、式XIIaのホスフェート化合物を得る:
【化109】

【0235】
第5の工程では、次に、第4の工程で得られる式XIIaのホスフェート化合物が、第3の工程に記載されるように得られる式XIaのホスホロジクロリダート化合物と反応させられて、式VIIIaの化合物を得る。
【0236】
別の特定の実施形態によれば、本発明は、式IXaの化合物、又は薬学的に許容されるその塩及び/又は溶媒和物、又はそのプロドラッグを調製する方法に関する:
【化110】

【0237】
一実施形態によれば、式IXaの化合物は、上記のように予め合成された式VIIIaの化合物から得られる。
【0238】
本実施形態によれば、式IXaの化合物は、当業者にとって既知な適切な還元剤を使用して式VIIIaの化合物を還元して、式IXaの化合物を得ることによって得られる。
【0239】
医学的使用及び治療方法
よって、本発明は、ウィルス感染症の治療及び/又は予防に使用するための本明細書に上述される本発明の化合物に関する。
【0240】
一実施形態によれば、化合物は、少なくとも1つのウィルス感染症の治療及び/又は予防に使用するためのものである。
【0241】
一実施形態によれば、ウィルス感染は、ポジティブセンスリボ核酸(RNA)ウィルス、ネガティブセンスRNAウィルス、二本鎖RNAウィルス、一本鎖デオキシリボ核酸(DNA)ウィルス、又は二本鎖DNAウィルスから選択される少なくとも1つのウィルスによって引き起こされる。
【0242】
一実施形態によれば、ウィルス感染は、
ヒトエンテロウィルス(HEV)A、HEV-B、HEV-C、又はHEV-Dなどのエンテロウィルス、
ヒトライノウィルス(HRV)A又はHRV-Bなどのライノウィルス、
ヒトコロナウィルスなどのコロナウィルス、
A型肝炎ウィルスなどのへパトウィルス、
ノーウォークウィルスなどのノロウィルス、
E型肝炎ウィルスなどのE型肝炎様ウィルス、
アルファウィルス、
風疹ウィルスなどのルビウィルス、
黄熱ウィルス、デングウィルス、又はウエストナイルウィルスなどのフラビウィルス、
C型肝炎ウィルスなどのヘパシウィルス、
牛下痢ウィルスなどのペスチウィルス、
ザイールエボラウィルス、コートジボアールエボラウィルス、レストンエボラウィルス、又はスーダンエボラウィルスなどのエボラ様ウィルス、
ヒトパラインフルエンザウィルス1及び3などのレスピロウィルス、
麻疹ウィルスなどのモルビリウィルス、
ムンプスウィルス又はヒトパラインフルエンザウィルス2、4a、及び4bなどのルブラウィルス、
ヘンドラウィルス又は二パウィルスなどのヘニパウィルス、
ヒト呼吸器多核体ウィルスなどのニューモウィルス、
ヒトメタニューモウィルスなどのメタニューモウィルス、
インフルエンザAウィルス、インフルエンザBウィルス、又はインフルエンザCウィルスなどのインフルエンザウィルス、
アレナウィルス、
カリフォルニア脳炎ウィルスなどのオルソブニヤウィルス、
リフトバレー熱ウィルスなどのフレボウィルス、
ヒトロタウィルスA、B、又はCなどのロタウィルス、
ヒトヘルペスウィルス1及び2などのシンプレックスウィルス、
ヒトヘルペスウィルス3などのバリセロウィルス、
ヒトヘルペスウィルス5などのサイトメガロウィルス、
ヒトヘルペスウィルス4及び8などのリンホクリプトウィルス、
アデノウィルス、
ヒトパピローマウィルスなどのパピローマウィルス、及び
手足口病ウィルスなどのアフトウィルス、から選択される属の少なくとも1つのウィルスによって引き起こされる。
【0243】
一実施形態によれば、ウィルス感染症は、インフルエンザウィルス、ライノウィルス、コロナウィルス、レスピロウィルス、ルブラウィルス、ニューモウィルス、アデノウィルス、又はメタニューモウィルスから選択される属の少なくとも1つのウィルスによって引き起こされる呼吸器感染症である。
【0244】
好ましい実施形態によれば、ウィルス感染症は、インフルエンザウィルスによって引き起こされる呼吸器感染症である。
【0245】
一実施形態によれば、インフルエンザウィルスは、インフルエンザA、インフルエンザB、及びインフルエンザCから選択される。好ましい実施形態によれば、インフルエンザウィルスは、インフルエンザA及びインフルエンザBから選択される。
【0246】
よって、好ましい実施形態によれば、化合物は、インフルエンザA及び/又はインフルエンザBの治療及び/又は予防に使用される。
【0247】
一実施形態によれば、インフルエンザAは、H1N1、H1N2、H2N2、H3N2、H5N1、H5N2、H5N9、H7N2、H7N3、H7N7、H7N9、H9N2、及びH10N7から選択される。
【0248】
一実施形態によれば、インフルエンザBは、B/山形/16/88様及びB/ビクトリア/2/87様ウィルスから選択される。
【0249】
好ましい実施形態によれば、インフルエンザウィルスは、H1N1、H3N2、H5N1、B/山形/16/88様及びB/ビクトリア/2/87様ウィルスから選択される。
【0250】
好ましい実施形態によれば、化合物は、H1N1、H3N2、H5N1、B/山形/16/88様及びB/ビクトリア/2/87様ウィルスの治療及び/又は予防に使用される。
【0251】
一実施形態によれば、インフルエンザA及び/又はインフルエンザBは、インフルエンザA及び/又はインフルエンザB関連肺炎などの呼吸器合併症を引き起こす。
【0252】
別の実施形態によれば、インフルエンザA及び/又はインフルエンザBは、基礎疾患の代償不全などの呼吸器外合併症、又はアスピリン摂取に関連するライ症候群、心筋炎、心膜炎、横紋筋融解症、ギラン・バレー症候群、若しくは脳脊髄炎などのその他の呼吸器外合併症を引き起こす。
【0253】
一実施形態によれば、コロナウィルス感染症は、αコロナウィルス感染症又はβコロナウィルス感染症である。好ましい実施形態によれば、コロナウィルス感染症は、βコロナウィルス感染症である。
【0254】
一実施形態によれば、αコロナウィルス感染症は、ヒトコロナウィルス229E(HCoV-229E)、及びHCoV-NH又はニューヘブンヒトコロナウィルスとしても知られるヒトコロナウィルスNL63(HCoV-NL63)から選択される。
【0255】
一実施形態によれば、βコロナウィルス感染症は、ヒトコロナウィルスOC43(HCoV-OC43)、ヒトコロナウィルスHKU1(HCoV-HKU1)、新型コロナウィルス2012又はHCoV-EMCとして知られる中東呼吸器症候群関連コロナウィルス(MERS-CoV)、SARS-CoV-1又はSARS-クラシックとして知られる重症急性呼吸器症候群コロナウィルス(SARS-CoV)、及び2019-nCoV又は新型コロナウィルス2019としても知られる重症急性呼吸器症候群コロナウィルス(SARS-CoV-2)から選択される。
【0256】
一実施形態によれば、コロナウィルス感染症は、HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-OC43、HCoV-HKU1、MERS-CoV、SARS-CoV-1、及びSARS-CoV-2から選択される。一実施形態によれば、コロナウィルス感染症は、MERS-CoV、SARS-CoV-1、及びSARS-CoV-2から選択される。
【0257】
好ましい実施形態によれば、コロナウィルス感染症は、SARS-CoV-2感染症である。
【0258】
一実施形態によれば、コロナウィルスは、中東呼吸器症候群(MERS)を引き起こすMERS-CoV感染症である。一実施形態によれば、コロナウィルスは、重症急性呼吸器症候群(SARS)を引き起こすSARS-CoV-1感染症である。
【0259】
好ましい実施形態によれば、コロナウィルスは、コロナウィルス疾患2019(COVID-19)を引き起こすSARS-CoV-2感染症である。
【0260】
よって、一実施形態によれば、化合物は、MERS-CoV、SARS-CoV-1、及びSARS-CoV-2から選択されるコロナウィルス感染症の治療及び/又は予防に使用するためのものである。
【0261】
一実施形態によれば、化合物は、MERS、SARS、及びCOVID-19の治療及び/又は予防に使用するためのものである。
【0262】
好ましい実施形態によれば、化合物は、COVID-19の治療及び/又は予防に使用するためのものである。
【0263】
好ましい実施形態によれば、化合物は、上述のものを含むウィルス、及び好ましくはSARS-CoV-2への暴露前の予防のために使用されるに使用するためのものである。
【0264】
よって、一実施形態によれば、化合物は、呼吸器若しくは呼吸器外合併症の治療及び/又は予防に使用される。
【0265】
好ましい実施形態によれば、化合物は、インフルエンザA及び/又はインフルエンザB関連肺炎治療及び/又は予防に使用するためのものである。
【0266】
一実施形態によれば、インフルエンザA及び/又はインフルエンザB関連肺炎は、急性呼吸不全を引き起こすウィルス性肺炎である。
【0267】
別の実施形態によれば、インフルエンザA及び/又はインフルエンザB関連肺炎は、肺炎球菌、黄色ブドウ球菌、及びインフルエンザ菌から選択される属の細菌による細菌性肺炎である。
【0268】
一実施形態によれば、COVID-19は、COVID-19関連肺炎、又はCOVID-19関連急性呼吸窮迫症候群(ARDS)などの呼吸器合併症を引き起こす。
【0269】
一実施形態によれば、COVID-19は、敗血症、敗血症性ショック、意識の変化、及び/又は多臓器不全などの呼吸器外合併症を引き起こす。
【0270】
一実施形態によれば、COVID-19関連肺炎は、肺スキャン(コンピュータ断層撮影(CT)スキャンなど)上に、ぼんやりとした斑点、特に肺の外縁に密集したぼんやりとした斑点として現れる。一実施形態では、COVID-19関連肺炎は、すりガラス状陰影異常のX線所見又は混合パターン(構造歪みの存在下での肺組織硬化、すりガラス状陰影、及び網状陰影の組み合わせ)のX線所見として肺スキャンで提示される。
【0271】
一実施形態によれば、ARDSは、急性肺障害(ALI)の一形態であり、肺全体に不均一に肺胞損傷を引き起こす重度肺不全の結果として生じる。
【0272】
一実施形態によれば、コロナウィルス感染症は、コロナウィルス疾患2019(COVID-19)を引き起こすSARS-CoV-2感染症である。
【0273】
よって、一実施形態によれば、化合物は、COVID-19関連肺炎又はCOVID-19関連ARDSの治療及び/又は予防に使用するためのものである。
【0274】
一実施形態によれば、コロナウィルス感染症は、HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-OC43、HCoV-HKU1、MERS-CoV、SARS-CoV-1、及びSARS-CoV-2、好ましくはMERS-CoV、SARS-CoV-1、及びSARS-CoV-2から選択される。
【0275】
本発明はまた、本明細書に上述されるウィルス感染症の治療及び/又は予防に使用される、本明細書に上述される本発明の使用のための少なくとも1つの化合物と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物に関する。
【0276】
一実施形態によれば、本発明の使用のための医薬組成物は、本発明の使用のための少なくとも1つの化合物に加えて、少なくとも1つの追加の活性成分、例えば、抗ウィルス剤、ノイラミニダーゼ阻害剤、M2プロトンチャネル遮断剤、抗インターロイキン6、JAK阻害剤、インターフェロン、好ましくはアジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、スピラマイシン、テリスロマイシンからなる基から選択されるマクロライドから選択される活性成分、上述されるような、BXT-25、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、ブリラシジン、デヒドロアンドログラホリドスクシナート、APN01、フィンゴリモド、メチルプレドニゾロン、サリドマイド、ベバシズマブ、シルデナフィルクエン酸塩、カリマイシン、ニコチン、ヒスタミンH2受容体拮抗剤、及びそれらの混合物から選択される別の活性成分を含む。
【0277】
好ましい実施形態によれば、本発明の使用のための医薬組成物は、本発明の使用のための少なくとも1つの化合物に加えて、抗ウィルス剤、オセルタミビル、ザナミビル、ペラミビル、又はラニナミビルなどのノイラミニダーゼ阻害剤、アダマンタジン又はリマンタジンなどのM2プロトンチャネル遮断剤、トシリズマブ、シルツキシマブ、サリルマブ、シルクマブ、クラザキズマブ、又はオロキズマブなどの抗インターロイキン6、バリシチニブ、フェドラチニブ、又はルキソリチニブなどのJAK阻害剤、インターフェロンβ-1a(IFN-β-1a)、インターフェロンβ-1b(IFN-β-1b)又はペグインターフェロンβ-1aなどのインターフェロン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、スピラマイシン、及びテリスロマイシンからなる基から選択されるマクロライドから選択される少なくとも1つの追加の活性成分、BXT-25、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、ブリラシジン、デヒドロアンドログラホリドスクシナート、APN01、フィンゴリモド、メチルプレドニゾロン、サリドマイド、ベバシズマブ、シルデナフィルクエン酸塩、カリマイシン、ニコチン、ヒスタミンH2受容体拮抗剤、及びそれらの混合物から選択される別の活性成分を含む。
【0278】
本発明の化合物は、治療的及び/又は予防的処置を必要とする被検体において単独療法又は併用療法で使用され得る。よって、第1の実施形態によれば、本発明の使用のための化合物は、他の活性成分なしで被検体に投与される。よって、第2の実施形態によれば、本発明の使用のための化合物は、本明細書に上述されるように、少なくとも1つの追加の活性成分、例えば、抗ウィルス剤、ノイラミニダーゼ阻害剤、M2プロトンチャネル遮断剤、抗インターロイキン6、JAK阻害剤、インターフェロン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、スピラマイシン、及びテリスロマイシンからなる基から選択されるマクロライドから選択される活性成分、BXT-25、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、ブリラシジン、デヒドロアンドログラホリドスクシナート、APN01、フィンゴリモド、メチルプレドニゾロン、サリドマイド、ベバシズマブ、シルデナフィルクエン酸塩、カリマイシン、ニコチン、ヒスタミンH2受容体拮抗剤、及びそれらの混合物から選択される別の活性成分と組み合わせて、被検体に投与される。
【0279】
一実施形態によれば、化合物は、本明細書に上述される他の活性成分と順次、同時に、及び/又は別々に被検体に投与される。
【0280】
一実施形態によれば、治療的及び/又は予防的処置を必要とする被検体は、医療専門家によって診断される。実際には、ウィルス感染症は、直接的診断、すなわち、例えば呼吸器検体からのウィルス又はその構成成分の特定、又は間接的診断、すなわち、感染症に特異的な抗体の検出を含む、医療現場でルーチンで実行される任意の検査によって診断される。
【0281】
COVID-19の重症度は、以下のように世界保健機構(WHO)の重症度基準に従って評価され得る。
-軽度:画像上に肺炎の徴候のない、軽度の臨床症状を呈する症例
-中等度:発熱及び呼吸症状(咳、息切れ、及び/又は胸部圧迫感など)を示し、肺炎のX線所見を有し、(O)を必要とする:3L/分<酸素<5L/分
-重度:以下の基準のいずれかを満たす症例
・呼吸困難(呼吸数(RR)≧30回/分)、
・周囲空気中の安静時の酸素飽和度(SpO)≦93%、又はSpO≦97%、O>5L/分、
・酸素の動脈分圧/吸気酸素分率の比(PaO/FiO)≦300mmHg(1mmHg=0.133kPa)。高所領域(海抜1,000メートル超の高度)のPaO/FiOは、以下の式によって補正するものとする。PaO/FiO[×][大気圧(mmHg)/760]、及び/又は
・24~48時間内の明らかな病変進行(>50%)を示した胸部撮像
-重篤:以下の基準のいずれかを満たす
・呼吸不全及び機械的換気を要する
・ショック、及び/又は
・集中治療室(ICU)への入院を要する多臓器不全(肺外不全)
【0282】
一実施形態によれば、被検体は、軽度COVID-19、中等度COVID-19、重度COVID-19、又は重篤COVID-19に罹患している。一実施形態によれば、被検体は軽度~中等度COVID-19に罹患している。一実施形態によれば、被検体は重度~重篤COVID-19に罹患している。
【0283】
一実施形態によれば、被検体、特に、軽度~中等度COVID-19又は重度~重篤COVID-19に罹患している被検体は入院していない。
【0284】
一実施形態によれば、被検体、特に、軽度~中等度COVID-19、又は重度~重篤COVID-19に罹患している被検体は入院している。一実施形態によれば、被検体は入院するが、集中治療室(ICU)に入る必要がない。一実施形態によれば、被検体は入院し、ICUに入る必要がある。
【0285】
一実施形態によれば、被検体は、特に、軽度~中等度COVID-19又は重度~重篤COVID-19に罹患しており、酸素療法を必要とする被検体である。一実施形態によれば、被検体は、非侵襲的換気(NIV)を必要とする。
【0286】
あるいは、重度~重篤COVID-19は、上述されるようにWHOに従って評価される代わりに、入院かNIV又は高流量酸素のいずれかを必要とするCOVID-19として定義され得る。
【0287】
好ましくは、治療的及び/又は予防的処置を必要とする被検体は、恒温動物、より好ましくは、ヒトである。一実施形態によれば、被検体は男性である。一実施形態によれば、被検体は女性である。
【0288】
本発明では、被検体は任意の年齢であってもよい。一実施形態によれば、被検体は成人、すなわち、18歳超である。一実施形態によれば、被検体は子供、すなわち、18歳未満である。一実施形態によれば、被検体は乳児、すなわち、月齢1月超かつ2歳未満の年齢である。一実施形態によれば、被検体は新生児、すなわち、誕生から月齢1月未満の年齢である。
【0289】
一実施形態によれば、被検体は、いかなる基礎疾患も有していない。
【0290】
一実施形態によれば、被検体は、ウィルス感染によって引き起こされる疾患を発症するリスクがある。一実施形態によれば、被検体は、インフルエンザA及び/又はインフルエンザBなどの呼吸器感染症によって引き起こされる疾患を発症するリスクがある。一実施形態によれば、被検体はインフルエンザA及び/又はインフルエンザBに罹患しており、呼吸器又は呼吸器外合併症を発症するリスクがある。
【0291】
一実施形態によれば、被検体は、コロナウィルス感染症によって引き起こされる疾患を発症するリスクがある。一実施形態によれば、被検体は、COVID-19などのSARS-CoV-2感染によって引き起こされる疾患を発症するリスクがある。一実施形態によれば、COVID-19に罹患している被検体は、上述の呼吸器又は呼吸器外合併症を発症するリスクがある。
【0292】
一実施形態によれば、被検体は、少なくとも1つの危険因子、すなわち、上述のコロナウィルス感染症によって引き起こされる重度又は重篤な疾患を発症するリスクを増大させ得る既往症、状態、習慣、又は行動を有する。
【0293】
一実施形態によれば、被検体は、HIV/AIDS、喘息、又は慢性心疾患若しくは肺疾患などの特定の慢性症状を有する任意の年齢の個体である。一実施形態によれば、被検体は、慢性心臓及び/又は呼吸器病態を有する成人である。一実施形態によれば、被検体は妊婦である。一実施形態によれば、被検体は高齢者である。一実施形態によれば、被検体は肥満者である(BMI>35)。一実施形態によれば、被検体は深刻な免疫不全者である。
【0294】
本発明はまた、本明細書に上述されるウィルス感染症の治療及び/又は予防における本明細書に上述される化合物の使用に関する。
【0295】
本発明はまた、本明細書に上述されるウィルス感染症の治療及び/又は予防のための薬剤の製造における本明細書に上述される化合物の使用に関する。
【0296】
本発明はまた、治療に有効な量の本明細書に上述される化合物を、必要とする被検体に投与する工程を含む、被検体における本明細書に上述されるウィルス感染症の治療及び/又は予防の方法に関する。
【0297】
本発明の別の目的は、本明細書に上述される本発明の化合物を含む第1のパーツと、抗ウィルス剤、ノイラミニダーゼ阻害剤、M2プロトンチャネル遮断剤、抗インターロイキン6、JAK阻害剤、インターフェロン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、スピラマイシン、及びテリスロマイシンから成る基から選択されるマクロライドから選択される別の活性成分、上述されるように、BXT-25、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、ブリラシジン、デヒドロアンドログラホリドスクシナート、APN01、フィンゴリモド、メチルプレドニゾロン、サリドマイド、ベバシズマブ、シルデナフィルクエン酸塩、カリマイシン、ニコチン、ヒスタミンH2受容体拮抗剤、及びそれらの混合物から選択される別の活性成分を含む第2のパーツとを含むパーツキットである。
【0298】
好ましい実施形態によれば、本発明のパーツキットは、本明細書に上述される本発明の化合物を含む第1のパーツと、抗ウィルス剤、オセルタミビル、ザナミビル、ペラミビル、又はラニナミビルなどのノイラミニダーゼ阻害剤、アダマンタジン、又はリマンタジンなどのM2プロトンチャネル遮断剤、トシリズマブ、シルツキシマブ、サリルマブ、シルクマブ、クラザキズマブ、又はオロキズマブなどの抗インターロイキン6、バリシチニブ、フェドラチニブ、又はルキソリチニブなどのJAK阻害剤、インターフェロンβ-1a(IFN-β-1a)、インターフェロンβ-1b(IFN-β-1b)又はペグインターフェロンβ-1aなどのインターフェロンから選択される別の活性成分、BXT-25、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、ブリラシジン、デヒドロアンドログラホリドスクシナート、APN01、フィンゴリモド、メチルプレドニゾロン、サリドマイド、ベバシズマブ、シルデナフィルクエン酸塩、カリマイシン、ニコチン、ヒスタミンH2受容体拮抗剤、及びアジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、スピラマイシン、及びテリスロマイシンからなる基から選択されるマクロライド、及びそれらの混合物を含む別の活性成分を含む第2のパーツとを含む。
【0299】
好ましい実施形態によれば、本発明のパーツキットは、本明細書に上述される本発明の化合物を含む第1のパーツと、ヒスタミンH2受容体拮抗剤を含む第2のパーツとを含む。
【0300】
一実施形態によれば、本発明のパーツキットは、本発明の化合物、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、又はそのプロドラッグを含む第1のパーツと、オセルタミビル又はアジスロマイシンなどの別の活性成分を含む第2のパーツとを含む。
【0301】
投与方法
上記の本発明の化合物は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、大槽内注射若しくは注入、皮下注射、又は植え込み)、吸入スプレー、経鼻、直腸、舌下、又は局所投与経路によって投与することができ、単独で又は一緒に、各投与経路に適した従来の非毒性の薬学的に許容される担体、補助剤、及びビヒクルを含有する適切な投与単位製剤で製剤化することができる。マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サルなどの恒温動物の治療に加えて、本発明の化合物はヒトでの使用に有効である。本発明の化合物の投与のための医薬組成物は、都合よく投与量単位で提供され得、薬学の分野で周知の方法のいずれかによって調製され得る。全ての方法は、活性成分を、1つ以上の補助成分を構成する担体と会合させる工程を含む。一般に、医薬組成物は、活性成分を液体担体又は細かく分割された固体担体又はその両方と均一かつ密接に会合させ、次いで、必要に応じて、生成物を所望の製剤に成形することによって調製される。医薬組成物では、活性対象化合物は、疾患のプロセス又は状態に所望の効果をもたらすのに十分な量で含まれる。本明細書で使用されるとき、「組成物」という用語は、指定された量の指定された成分を含む生成物、及び指定された量の指定された成分の組み合わせから直接的又は間接的に生じる任意の生成物を包含することを意図している。
【0302】
活性成分を含有する医薬組成物は、経口使用に適した形態、例えば、錠剤、トローチ、ドロップ、水性若しくは油性懸濁液、分散性粉末若しくは顆粒、エマルジョン、硬質若しくは軟質カプセル、又はシロップ若しくはエリキシルであり得る。
【0303】
経口使用を意図した組成物は、医薬組成物の製造のための当技術分野で公知の任意の方法に従って調製することができ、そのような組成物は、薬学的に洗練された口当たりのよい調製物を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤、及び保存剤からなる群から選択される1つ以上の薬剤を含有し得る。錠剤は、錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に許容される賦形剤との混合物中に活性成分を含有する。これらの賦形剤は、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、又はリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤、コーンスターチ又はアルギン酸などの造粒崩壊剤、デンプン、ゼラチン、又はアカシアなどの結合剤、及びステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はタルクなどの潤滑剤であってもよい。錠剤はコーティングされていなくてもよく、又は胃腸管での崩壊及び吸収を遅延させ、それによってより長期間にわたる持続作用を提供するために公知の技術によってコーティングされていてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料が使用され得る。これらはまた、米国特許第4,256,108号、第4,166,452号、及び第4,265,874号に記載の技術によってコーティングして、放出制御のために浸透圧治療錠剤を形成する。経口使用のための製剤はまた、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム若しくはカオリンと混合される硬ゼラチンカプセルとして、又は活性成分が水若しくは油性媒体、例えば落花生油、流動パラフィン、若しくはオリーブ油と混合される軟ゼラチンカプセルとして提供され得る。
【0304】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物に活性材料を含有する。このような賦形剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、及びアラビアゴムなどの懸濁化剤である。分散剤又は湿潤剤は、レシチンなどの天然ホスファチド、又はポリオキシエチレンステアレートなどのアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、又はヘプタデカエチレンオキシセタノールなどのエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、又はポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートなどのエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物、又はポリエチレンソルビタンモノオレエートなどのエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合生成物であり得る。水性懸濁液は、1つ以上の防腐剤、例えば、エチル又はn-プロピル、p-ヒドロキシベンゾエート、1つ以上の着色剤、1つ以上の香味剤、及びスクロース又はサッカリンなどの1つ以上の甘味剤も含有し得る。油性懸濁液は、活性成分を落花生油、オリーブ油、ゴマ油、若しくはココナツ油などの植物油、又は流動パラフィンなどの鉱物油に懸濁することによって製剤化され得る。油性懸濁液は、増粘剤、例えば、蜜蝋、硬質パラフィン又はセチルアルコールを含有してもよい。上述したような甘味剤と香味剤を添加して、口当たりの良い経口製剤を提供し得る。これらの組成物は、アスコルビン酸などの酸化防止剤の添加によって保存され得る。水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性粉末及び顆粒は、分散剤又は湿潤剤、懸濁化剤、及び1つ以上の防腐剤と混合して活性成分を提供する。適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤は、既に上述したものによって例示される。追加の賦形剤、例えば、甘味剤、香味剤、及び着色剤も存在し得る。
【0305】
シロップ及びエリキシルは、甘味剤、例えば、グリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、又はスクロースと共に製剤化され得る。このような製剤は、緩和剤、防腐剤、香味剤、及び着色剤も含有し得る。
【0306】
医薬組成物は、減菌注射可能な水性又は油性懸濁液の形態であってもよい。この懸濁液は、上述した適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を用いて、既知の技術に従って製剤化され得る。減菌注射可能調製物はまた、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の減菌注射可能溶液又は懸濁液、例えば、1,3-ブタンジオール内の溶液であってもよい。採用され得る許容されるビヒクル及び溶媒は、水、リンゲル液、及び等張塩化ナトリウム溶液である。更に、減菌固定油が従来、溶媒又は懸濁媒体として採用されている。この目的で、モノ-又はジグリセリドを含む任意の無刺激固定油が採用され得る。更に、オレイン酸などの脂肪酸は、注射剤の調製に使用される。本発明の化合物はまた、薬物の直腸投与のための坐剤の形態で投与され得る。これらの組成物は、薬物と、常温では固体であるが直腸温度では液体であり、したがって直腸内で融解して薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤とを混合することによって調製することができる。このような材料は、カカオバターとポリエチレングリコールである。局所使用の場合、本発明の化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液、又は懸濁液などが採用される(本願の目的上、局所適用は、口腔洗浄液とうがい薬を含むものとする)。
【0307】
ウィルス感染症の治療又は予防では、適切な投与量は一般的には、単回又は複数回用量で投与することができる約0.01~500mg/患者体重kg/日である。好ましくは、投与量レベルは、約0.1~約350mg/kg/日、より好ましくは約0.5~約100mg/kg/日である。適切な投与量レベルは、約0.01~250mg/kg/日、約0.05~100mg/kg/日、又は約0.1~50mg/kg/日であってもよい。この範囲内で、投与量は0.05~0.5、0.5~5、又は5~50mg/kg/日であってもよい。経口投与の場合、組成物は好ましくは、治療対象の患者への投与の対症的調整のために、1.0~1000ミリグラムの活性成分、具体的には1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0、及び1000.0ミリグラムの活性成分を含有する錠剤の形態で提供される。例えば、投与量は、100mg/日~5000mg/日、好ましくは500mg/日~1000mg/日を含み得る。化合物は、1~4回/日、好ましくは1、2、又は3回/日のレジメンで投与され得る。3回/日が好適であることが分かっている。治療期間は患者に依存し、医師によって決定される。治療期間は1日~1年、又はそれ以上、好ましくは1週間~3カ月、より好ましくは2週間~6週間とすることができる。しかしながら、任意の特定の患者のための特定の用量レベル及び投薬量頻度及び持続期間は変動し得、使用される特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性及び作用の長さ、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与様式及び投与時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、特定の状態の重症度、並びに治療を受けている宿主を含む様々な因子に依存することが理解されるであろう。
【0308】
一実施形態によれば、式I又はIaの化合物は、1日の用量10mg/kg、最少500mg/日及び最大2g/日で毎日投与される。
【0309】
一実施形態によれば、式I又はIaの化合物、その塩又はプロドラッグは、1日の用量10mg/kg、最少500mg/日及び最大1g/日で10~30日間、好ましくは14~28日間、より好ましくは約21日間毎日投与される。
【0310】
初日は、好ましくはコロナウィルスによって引き起こされるウィルス感染の診断、又は肺炎及び/又は急性呼吸器疾患、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性呼吸不全を含む、ウィルス由来の呼吸器若しくは呼吸器外合併症及び/又は感染症の診断の日である。式I又はIaの化合物は、1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、7日目、8日目、9日目、10日目、11日目、12日目、13日目、14日目、15日目、16日目、17日目、18日目、19日目、20日目、21日目に投与することができる。
【0311】
一実施形態によれば、ヒスタミンH2受容体拮抗剤は、推奨される現在の投与量に従って投与される。一実施形態によれば、ファモチジンは、1日に50mg~1000mg、好ましくは120mg~600mg、より好ましくは約360mg投与される。
【0312】
好ましくは、ファモチジンは、通常生理食塩水と混合して、1日10mg/mL、例えば、120mg(400mgの経口投与の30%)静脈内投与される。提案されるファモチジンの1日の総用量は、最大14日間又は退院のいずれか早い方まで好ましくはIVルートを介する200~500mh/日、好ましくは360mg/日である。
【0313】
一実施形態によれば、ヒドロキシクロロキンサルフェート200mg錠剤は、COVID-19の特定の臨床プロトコルに従って、1日目に1日2回400mg、続いて4日間1日2回200mgの負荷用量で投与される、又は1日目に1日1回800mg、続いて4日間1日1回400mgの負荷用量で投与される。
【図面の簡単な説明】
【0314】
図1】実施例2による、14日間の実験中のマウスの生存率を示すヒストグラムである。
図2】実施例2による、0日目~14日目のマウスの体重(図2A)及び体重減少(図2B)を示すヒストグラムである。
図3】実施例2による、0日目~14日目の臨床パラメータに対する治療効果を示すヒストグラムである。
図4】実施例2による、500PFUのインフルエンザAウィルスで感染させたマウスの、感染の8日後の肺内ウィルス量を示すヒストグラムである。
図5】実施例2による、血中のT細胞に対する治療効果を示すヒストグラムである。
図6】実施例2による、肺における単球由来マクロファージ及び樹状細胞の動員に対する治療効果を示すヒストグラムである。
図7】実施例7による、14日間の実験中のマウスの生存率を示すヒストグラムである。
図8】実施例7による、0日目~14日目のマウスの体重変化を示すヒストグラムである。
図9】実施例7による、マウス0日目~14日目のマウスの体重減少を示すヒストグラムである。
図10】実施例7による、0日目~14日目の呼吸スコアに対する治療効果を示すヒストグラムである。
図11】実施例8による、14日間の実験中のマウスの生存率を示すヒストグラムである。
図12】実施例8による、0日目~14日目のマウスの体重変化を示すヒストグラムである。
図13】実施例8による、0日目~14日目のマウスの体重減少示すヒストグラムである。
図14】実施例8による、0日目~14日目の臨床パラメータに対する治療効果を示すヒストグラムである。
図15】実施例8による、0日目~14日目の呼吸スコアに対する治療効果を示すヒストグラムである。
図16】実施例8による、H1N1PR/8/34株の感染の8日後におけるマウスの肺内ウィルス量を示すヒストグラムである。
【実施例
【0315】
本発明を以下の実施例によって更に例示する。
【0316】
実施例1:本発明の化合物の合成
【0317】
材料及び方法
全ての材料を商業的供給業者から入手し、更に精製することなく使用した。薄層クロマトグラフィをMerck製のシリカゲル60F254のTLCプラスチックシート(層厚0.2mm)上で行った。カラムクロマトグラフィー精製をシリカゲル60(70-230メッシュASTM、Merck)上で行った。融点は、デジタル融点装置(Electrothermal IA8103)で判定し、補正されていないか、又はコフラベンチ型WME(Wagner&Munz)で判定した。IR、H、19F、及び13C NMRスペクトルは全ての化合物の構造を確認した。IRスペクトルは、Perkin Elmer Spectrum 100FT-IR分光計で記録し、NMRスペクトルは、溶媒としてCDCl、CDCN、DO、又はDMSO-dを使用して、Bruker AC300、Advance DRX400、及びAdvance DRX500分光計で、Hでは、13Cでは75又は100MHz、19Fスペクトルでは282又は377MHzで記録した。化学シフト(δ)は、Hでは間接的に(i)CHCl(δ7.27)、13Cでは(ii)CDCl(δ77.2)、19Fでは直接(iii)CFCl(内部標準)(δ0)に対するシグナルに対する百万分率で表した。化学シフトはppmで与えられ、ピーク多重度は以下のように指定される:一重項s、ブロードな一重項br s、二重項d、二重項の二重項dd、三重項t、四重項q、五重項、多重項m。高分解能質量スペクトル(HRMS)を「Service central d´analyse de Solaize」(Centre national de la recherche scientifique)から入手して、エレクトロスプレ-TOFイオン化(ESI-TOF)を使用してWaters分光計で記録した。
【0318】
一般的な実験手順
工程1:式A-1の化合物の合成
式Dの化合物(1.0当量)をジクロロメタンに溶解する。式E(1.50当量)のニコチンアミドとTMSOTf(1.55当量)を室温で添加する。反応混合物を還流下で加熱し、反応が完了するまで撹拌する。混合物を室温まで冷却して、濾過する。濾液を濃縮乾固して、テトラ酢酸A-1を得る。
【0319】
工程2:式A-2の化合物の合成
テトラ酢酸A-1をメタノールに溶解し、-10℃まで冷却する。-10℃でアンモニア4.6Mをメタノール(3.0当量)中に添加し、反応が完了するまで、この温度で混合物を攪拌する。Dowex HCR(H+)樹脂を最大pH6~7まで添加する。反応混合物を0℃まで加熱し、濾過する。樹脂をメタノールとアセトニトリルの混合物で洗浄する。濾液を濃縮乾固する。残渣をアセトニトリルに溶解し、濃縮乾固させる。残渣をアセトニトリルに溶解して、式A-2の化合物の溶液を得る。
【0320】
工程3:式A-3の化合物の合成
アセトニトリル中の式A-2の粗化合物の溶液をトリメチルホスフェート(10.0当量)で希釈する。アセトニトリルを真空下で蒸留し、混合物を-10℃に冷却する。10℃でオキシ塩化リン(4.0当量)を添加し、反応が完了するまで10℃で混合物を攪拌する。
【0321】
工程4及び5:式I-Aの化合物の合成
上記の工程3で得られた混合物を、アセトニトリルと水の50/50混合物の添加、続いてメチルtert-ブチルエーテルの添加によって加水分解する。混合物を濾過し、個体を水に溶解する。水溶液を重炭酸ナトリウムの添加によって中和し、ジクロロメタンで抽出する。水層を濃縮乾固してI-Aの粗化合物を得、これをDOWEX50wx8カラムで精製し、水中で溶出し、続いてシリカゲルクロマトグラフィカラムで精製する。
【0322】
実施例2:マウスインフルエンザウィルス肺感染症に対する本発明の化合物の評価
【0323】
この試験の目的は、ウィルス感染の進行におけるNMN誘導体の効果を調査することである。
【0324】
致死性肺ウィルス感染症に対する化合物I-Aの効果を直接評価するため、H1N1インフルエンザウィルスモデルPR/8/34(プロトコル進行中)によって誘発された重度肺炎の生体内試験を行う。マウスを致死量(500PFU/マウス)のウィルスに感染させ、14日間、IPルートによる化合物I-A及び/又はタミフルの注射で治療する、又は治療しない。動物の健康状態の特徴的な臨床パラメータ(重量、体温、覚醒状態、刺激に対する反応、呼吸の質)及び死亡率をプロトコル全体を通じて監視する。感染の2日目及び8日目、肺炎の進行(肺の組織学)、多臓器損傷(心臓、肝臓、腎臓、脾臓の組織学)並びに肺及び全身の炎症及び免疫応答(気管支肺胞洗浄(BAL)及びリンパ節における肺及び血液赤血球の免疫表現型解析、並びに血漿及びBAL中のサイトカインの決定)を評価する。単一細胞RNAseq技術による感染の2日目に肺に存在する全ての細胞型のトランスクリプトーム分析は、研究を完了し、重度の肺炎を有する動物の肺に存在する異なる集団からの遺伝子発現に対する化合物I-Aの効果を評価することを可能にする。
【0325】
I.材料及び方法
材料
動物:
到着時に7週齢の雄Balb/cマウス108匹を、フランス、サンベルトヴァン、Le Genest St Isle,53941、Janvier Labsから入手する。各動物は、グループに割り当てられたときに尾/ケージに書かれた一意の動物番号によって識別する。各ケージに番号を付す。動物番号/ケージとケージ番号に基づき、グループ名及びマウス番号を有する一意の番号を動物に割り当てる。
【0326】
実験動物が収容されるケージを特定するために使用される照合カードは、以下の情報:実験名、実験数、及びケージ番号を含む。
【0327】
化合物:
NMN誘導体は実施例1に従って製造されるか、又は商業的に購入されて、使用まで+4℃で保存される。ビヒクルは生理的緩衝液である。
【0328】
方法
1.製剤の調製:
化合物I-Aの粉末を6mg/mlでビヒクルに溶解する(溶液は室温で最大1日使用する)。各投与のための新鮮な試料を、週末を除いて毎日調製する(溶液は土曜日に調製し、土曜日と日曜日に使用する)。
【0329】
生成物を15日間にわたって1日1回腹腔内投与する。
【0330】
投与される化合物の量を適合させるため、マウスの体重を毎日測定する。
【0331】
2.インフルエンザウィルスH1N1PR/8/34株の調製
0日目、致死量(500PFU/マウス)のインフルエンザウィルスH1N1PR/8/34を鼻腔内ルートによってマウスに感染させる。
【0332】
3.実験グループ
グループの説明:
グループ1:ビヒクル(腹腔内)
グループ2:タミフル1mg/kg(不活性用量)
グループ3:テスト化合物185mg/kg(化合物I-A)
グループ4:タミフル1mg/kg+テスト化合物185mg/kg
グループ再分割:
【0333】
各グループについて
-生存率について12匹のマウス
-2日目の肺/リンパ節収集及びサイトメトリーの処置、採血用に5匹のマウス
-8日目の肺/リンパ節収集及びサイトメトリーの処置、採血用に5匹のマウス
-2日目の肺収集及び単一細胞RNAシーケンシングの準備用に5匹のマウス
【0334】
各グループは、27匹のマウスを含む。
【0335】
非臨床ラボ試験の規制に記載されているように、試験動物群及び対照動物群は同一の条件下で維持される。試験期間は15日間である。
【0336】
0日目、鼻腔内ルートによって500PFU/マウスのインフルエンザウィルスH1N1PR/8/34をマウスに感染させた。
【0337】
全ての実験中(0日目~14日目)1日1回腹腔内でマウスを処置した。最後の注射は、安楽死の24時間前に行った。
【0338】
2日目、各グループの5匹のマウスから、血液、リンパ節、及び肺を収集する。後眼窩サンプリングによって採血する。血液50μLを直ちに200μLの過塩素酸0.1Nに添加し、管を数回反転させることによって完全に混合する。別のアリコート(最少300uL)をサイトメトリー分析のためにサンプリングする。残りの血液を遠心分離し、血漿を収集し、治験依頼者への発送まで凍結する。
【0339】
RNAシーケンシングのための処置用に5匹の他のマウスから肺も収集した。
【0340】
8日目、各グループの5匹のマウスから、血液、リンパ節、及び肺を収集した。後眼窩サンプリングによって採血する。アリコート(最少300uL)をサイトメトリー分析のためにサンプリングする。残りの血液を遠心分離し、血漿を収集し、治験依頼者への発送まで凍結する。
【0341】
体重減少、健康スコア、及び死亡率を15日間(0~14日目)にわたって評価する。
【0342】
14日目、残りのマウスから肺を収集する。
【0343】
4.投与
ビヒクル(生理的緩衝液)を腹腔内ルートによって1日1回投与する。
【0344】
基準のタミフルを、グループ2及び4に対して、経口強制食として1日2回1mg/kg投与する。
【0345】
化合物I-Aを腹腔内ルートによって1日185mg/kg投与する。
【0346】
5.感染
マウスをイソフルランでフラッシュ麻酔し、次いで、500PFU/マウスのインフルエンザウィルスH1N1PR/8/34を鼻腔内感染させる。
【0347】
6.体重、生存率、及び臨床試験
グループ当り12匹のマウスに対して、実験の終了(14日目)まで死亡率、体重、及び臨床徴候を記録する。
【0348】
臨床スコアは以下のように確定される。
1:健常なマウス
2:軽度の立毛、軽度の歩行の変化、及び運動の増加を含む不調の徴候を示すマウス
3:激しい立毛、腹部収縮、歩行の変化、不活動期間の徴候を示すマウス
4:前のグループよりも特徴が強まっているが、ほとんど活動せず瀕死状態であるマウス
5:死亡したマウス
【0349】
動物の外観及び挙動を、実験段階の開始から終了まで少なくとも毎日評価する。異常所見を生データに記録する。動物をグループに分ける前に体重測定と臨床検査も実行する。
【0350】
7.2日目及び8日目の採血
感染の48時間及び8日後に、EDTA抗凝固薬を用いて後眼窩採血を行う。
【0351】
2日目、数回管を反転させることによって、50μLの血液を200μLの過塩素酸(0.5N)に混合する。治験依頼者に発送するまで、試料を-70℃で保存する。
【0352】
2日目及び8日目に、最少300μLの血液をサイトメトリー分析に使用する。
【0353】
血液の残りを遠心分離して血漿を収集し、発送まで-70℃で保存する。
【0354】
8.肺及び排出リンパ節からの細胞単離
2日目及び8日目に、肺及び排出リンパ節を低温RPMI+10%FCSに収集する。
【0355】
肺を小片に切断し、次いで、37℃で30分間、コラゲナーゼ溶液中で消化させる。次いで、細胞懸濁液を40μmの細胞ストレーナで濾過する。
【0356】
排出リンパ節を、シリンジピストンを備えた50mL管の上の40μm細胞ストレーナ上で潰す。
【0357】
細胞懸濁液を、4℃で5分間400g遠心分離する。ペレットを1~5mLの低温RPMI+10%FCSに再懸濁する。
【0358】
次いで、生存細胞を計数し、サイトメトリーに使用する。
【0359】
9.全血、肺、及び排出リンパ節のサイトメトリー分析
肺及び排出リンパ節から単離された全血及び細胞を抗体で標識する。
【0360】
肺細胞について、4パネルを実行する。
パネル1:肺胞マクロファージの同定
パネル2:T細胞サブセット及びNK細胞の同定
パネル3:間質マクロファージ及び動員された単球の同定
パネル4:樹状細胞サブセット及び形質細胞様細胞の同定
【0361】
排出リンパ節細胞について、3パネルを実行する。
パネル1:T細胞サブセット及びNK細胞の同定
パネル2:樹状細胞サブセットの同定
パネル3:マクロファージ及び形質細胞様樹状細胞の同定
【0362】
全血について、3パネルを実行する。
パネル1:TCRαβT細胞サブセット、NK細胞、及びB細胞の同定
パネル2:TCRγδT細胞、調節T細胞の同定
パネル3:単球、樹状細胞及び形質細胞様樹状細胞の同定
【0363】
II.結果及び考察
1.生存率
図1は、14日間の実験中のマウスの生存率を示す。
未処置の対照動物と比較して、化合物I-Aは動物の死亡率の低下を可能にすることが観察された。
【0364】
図1に示すように、14日目にビヒクルで処置したマウスにおいて92%の死亡率が得られた。
【0365】
未処置の対照動物と比較して、1mg/kg/日のオセルタミビル(登録商標「タミフル」)又は化合物I-Aでの処置は、14日目にそれぞれマウス生存率を58%及び67%と大幅に低下させたことが観察された。
【0366】
興味深いことに、化合物I-Aは、オセルタミビル(1mg/kg/日)よりも有効であると思われる。
【0367】
注目すべきことに、化合物I-Aとオセルタミビル(2mg/kg/日)の同時投与は、14日目、生存率100%でH1N1感染によって誘発される死亡から動物を守る。
【0368】
2.体重
図2は、0日目~14日目のマウスの体重変化を示す。
【0369】
図2に示すように、4日目~9日目、ビヒクルグループのマウスは、平均で23%の体重減少を示した。
【0370】
化合物I-A又はオセルタミビル単独による毎日の治療は、ビヒクルと比較してこのパラメータのわずかな改善を可能にするが、オセルタミビル+化合物I-Aの組み合わせは、感染マウスの体重維持に有意に寄与している。
【0371】
3.臨床スコア
図3は、以下のように、0日目~14日目の臨床パラメータの治療効果を示す。
1:健常なマウス
2:軽度の立毛、軽度の歩行の変化、及び運動の増加を含む不調の徴候を示すマウス
3:激しい立毛、腹部収縮、歩行の変化、不活動期間の徴候を示すマウス
4:前のグループよりも特徴が強まっているが、ほとんど活動せず瀕死状態であるマウス
5:死亡したマウス
【0372】
示されるように、ビヒクルで処置したマウスは、感染の5日後、不調の徴候、軽度の立毛、及び運動の増加を示した。激しい立毛が、長い不活動期間と共に7日目に現れた。
【0373】
オセルタミビル又は化合物I-Aでの処置は、マウスの臨床状態を大幅に改善した。
【0374】
この組み合わせは強い臨床徴候を抑制し、このグループの全マウスが11日目に回復した。
【0375】
4.ウィルス量
図4は、8日目の感染マウスの肺内ウィルス量を示す。
【0376】
図4に示すように、化合物I-A及びオセルタミビルでの処置は、500PFUのインフルエンザAウィルスによる感染の8日後、肺内ウィルス量に影響を及ぼさなかった。
【0377】
しかしながら、化合物I-Aとオセルタミビルの組み合わせは、ビヒクルグループと比較して、H1N1粒子の量を大幅に減少させた。
【0378】
5.サイトメトリー
図5は、8日目の血液中のリンパ球減少症に対する治療効果を示す。化合物I-A及び化合物I-A+オセルタミビル(タミフル)での処置は、血液中のH1N1誘発性リンパ球減少症を緩和した。
【0379】
図6は、肺の白血球浸潤に対する治療効果を示す。接種後8日目、化合物I-Aは、感染した肺における単球由来マクロファージと樹状細胞及びCD8+T細胞の動員を減少させた。
【0380】
化合物I-A及び化合物I-A+オセルタミビル(タミフル)での処置は、ビヒクルとオセルタミビルで処置した動物と比較して、接種後8日目、リンパ球減少症を緩和させ、循環単球を減少させた。
【0381】
III.結論
H1N1感染に関するこの試験は、抗ウィルス剤又は化合物I-Aのいずれかの単剤療法での処置と比較して、重度肺炎の死亡を防止する化合物I-Aでの処置の有効性と、抗ウィルス分子と化合物I-Aとの会合の優位性を既に強調している。
【0382】
H1N1感染に関するこの試験はまた、先天性及び後天性の肺及び全身(心臓、脾臓、肝臓、及び腎臓)免疫応答、並びにサイトカインストームに焦点を当てて、病態の進行及び急性呼吸器疾患の発症に対する治療効果を明確に判定することを可能にする。
【0383】
実施例3:ゴールデンシリアンハムスターのSARS-CoV-2感染に対する本発明の化合物の評価
【0384】
この試験の目的は、コロナウィルス感染症、特にSARS-CoV-2感染症の進行におけるNMN誘導体の効果を調査することである。
【0385】
材料及び方法
材料
動物:
120匹のゴールデンシリアンハムスター(6~10週)を実験のために取得する。各動物は、グループに割り当てられたときに尾/ケージに書かれた一意の動物番号によって識別する。各ケージに番号を付す。動物番号/ケージとケージ番号に基づき、グループ名及びハムスター番号を有する一意の番号を動物に割り当てる。
【0386】
実験動物が収容されるケージを特定するために使用される照合カードは、以下の情報:実験名、実験数、及びケージ番号を含む。
【0387】
化合物:
NMN誘導体は実施例1に従って製造されるか、又は商業的に購入されて、使用まで+4℃で保存される。ビヒクルは生理的緩衝液である。
【0388】
方法
10.製剤の調製:
NMN誘導体の粉末をビヒクルに溶解する(溶液は室温で最大1日使用する)。各投与のための新鮮な試料を、週末を除いて毎日調製する(溶液は土曜日に調製し、土曜日と日曜日に使用する)。
【0389】
生成物を15日間にわたって1日1回腹腔内投与する。
【0390】
投与される化合物の量を適合させるため、ハムスターの体重を毎日測定する。
【0391】
1.SARS-CoV-2株の調製
動物をバイオセーフティレベル2のハウジング内で飼育し、本発明者らのバイオセーフティレベル3の動物施設におけるウィルスチャレンジまで標準的なペレット飼料と水を自由に利用させる。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を使用して、ウィルスストックを所望の濃度に希釈し、接種材料を逆滴定して所与の用量を検証する。0日目に、100μlのSARS-CoV-2に105プラーク形成単位を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)を鼻腔内接種する。
【0392】
2.実験グループ
6つの実験グループを調査する。化合物I-A(114mg/Kg/日)、化合物I-E(114mg/Kg/日)、抗ウィルス剤(レミデシビル(17mg/Kg/日)、ヒドロキシクロロキン(91mg/Kg/日)、又は化合物I-A又は化合物I-Eとレミデシビル若しくはヒドロキシクロロキンの組み合わせを、グループ当り20匹の動物に対する有効性について評価し、処置毎に病態の変化を追跡する。以下のパラメータを調査する。
・ウィルス量
・臓器の組織病理
・マクロファージの分化、選択された組織における免疫細胞浸潤を分析する免疫組織学
・ウィルス(IFN-γ、IL-4、IL-6、IL-10、IL-13、TNF-α、IL-21、TGFβ1、CCL17、CCL22、CCR4、FOXP3、IL-12p40、γ-アクチン)によって調節される遺伝子のqPCR
・循環サイトカインレベル(IL-6、IL-10、IFN、TNF-α、MIP-1A、MCP-1、IP-10、TGF-β1)
・血液及び組織試料中のNAD/NADH比
【0393】
これらの分析を、感染後2日目、4日目、7日目、及び14日目に各グループの5匹の動物に対して実行した。血液、肺、脾臓、腎臓、肝臓、及び腸に対して読み出しを行った。
【0394】
実施例4:SARS-CoV-2に感染したヒト上皮細胞、及びSARS-CoV-2に感染したヒト上皮細胞によって活性化されたヒト免疫細胞に対する本発明の化合物の評価
【0395】
この試験の目的は、コロナウィルス感染ヒト肺上皮細胞、並びに感染細胞と接触しているマクロファージ及びヒト樹状細胞の活性化及び機能に関する、NMN誘導体、特に化合物I-Aの効果を評価することである。
【0396】
化合物I-A単独の存在下若しくは非存在下で、又は抗ウィルス剤での治療(レミデシビル又はヒドロキシクロロキン)と組み合わせて培養した主II型肺胞上皮細胞にウィルス(SARS-CoV-2、又は別のヒト病原性コロナウィルス株)を感染させる。
【0397】
次に、ウィルスの複製及び感染、並びに肺胞細胞によるサイトカインの活性化及び放出に対する化合物I-Aの効果を評価する。様々な処置条件下での感染肺胞細胞における遺伝子発現レベル(RNAseq)も分析する。
【0398】
同時に、ヒト循環単球は、化合物I-A単独で又は抗ウィルス剤での治療(レミデシビル又はヒドロキシクロロキン)と組み合わせて治療され得るか、又は治療され得ないマクロファージと樹状細胞とに分化される。次いで、これらの免疫細胞をコロナウィルス感染上皮細胞と接触させ、それらの感染レベル、それらの食作用、サイトカイン分泌および活性化(免疫表現型解析)能力を判定すると共に、それらの示差的遺伝子発現(RNA配列)を分析する。
【0399】
実施例5:COVID-19患者における前向き多施設ランダムプラシーボ-制御二重盲検試験
【0400】
試験の全体的な目的は、コロナウィルス疾患2019(COVID-19)に関連する中等度~重度肺炎患者300人における化合物I-Aの治療効果及び耐性を判定することである。本試験は、複数のランダムプラシーボ対照試験(cmRCT)設計を有する。化合物I-Aを、中等度又は重度肺炎と診断され、同意した成人のCOVID-19入院患者に投与する。
【0401】
条件は以下の通りである。
【0402】
処置レジメン:4×250mg/日の化合物I-A対プラシーボ(標準治療に加えて)28日間
【0403】
組み入れ基準:
・18歳以上
・入院患者
・PCR又は他の商業的若しくは公衆衛生アッセイによって判定されるSARS-CoV-2感染が、ランダム化の4日目前までに実験室で確認された。
・中等度-重度COVID-19関連疾患
・中等度患者の場合:スクリーニング時に室内空気で抹消毛細血管酸素飽和度(SpO2)>94%、及び肺浸潤のX線証拠
・重度患者の場合:末梢毛細血管酸素飽和度(SpO2)≦94%、又はスクリーニング時に酸素補充を必要とする
・試験手順の実施前に書面によるインフォームドコンセントを提供する用意があり、提供できる
【0404】
除外基準:
・COVID-19の実験的治療のその他の臨床試験への参加
・SARS-CoV-2に対する実際の又は可能性のある直接作用型抗ウィルス活性を有する他の薬剤との同時治療は、試験投薬開始24時間前に禁止する。
・SOFA>10
・ステージ4重度慢性腎臓疾患又は透析の必要あり(すなわち、eGFR<30)
・妊婦又は母乳を与えている女性
・スクリーニングのために投薬を受けている免疫不全患者
・何らかの理由で、被検体が試験治療を受けるのに適していない候補者であるという研究員による検討
【0405】
評価項目
一次評価項目:
7点順序尺度で各重症度評価を報告した被検体の割合[期間:7日]
a.入院せず、活動の制限なし
b.入院せず、活動の制限あり
c.入院し、追加の酸素を必要としない
d.入院し、追加の酸素を必要とする
e.入院し、非侵襲的換気又は高流量酸素装置
f.入院し、侵襲的機械換気又はECMO
g.死亡
二次評価項目
1.全体生存率[期間:7、14、28日]
2.7日、14日、及び28日人工呼吸器免除日数[期間:28日]
3.PaO2/FiO2比[期間:1日~14日]
PaO2/FiO2比の変化
4.酸素供給なしまでの時間[期間:7日、14日、及び28日]
酸素供給なしまでの時間
5.入院期間[期間:7日、14日、及び28日]
入院期間
6.陰性ウィルス排出までの時間[期間:7日、14日、及び28日]
陰性ウィルス排出までの時間
7.ICU退院までの時間[期間:7日、14日、及び28日]
ICU退院までの時間
8.退院までの時間[期間:7日、14日、及び28日]
退院までの時間
【0406】
7日間、14日間、及び28日間のラボ/バイオマーカ:
-NFS、VS、PCR、フィブリノゲン
-NAD
-リンパ球亜集団(CD8、CD4、CD16、CD56)ユーロフィン
-CD57 NK
-CD19リンパB
-IL-1α及びIL_1β、インターロイキン-2、インターロイキン-4、インターロイキン-6、インターロイキン-8、インターロイキン-10、血管内皮成長因子(VEGF)、インターフェロンγ、上皮成長因子(EGF)、単球走化性タンパク質種1(MCP-1)、並びにTNFα
-C3、C4、CH50
-DDID、AT3、TCK、TP、タンパク質S及びC
-CPK、CPKMB、トロポニン、BNP、ミオグロビン、プロカルシトニン
-トランスアミナーゼ、PAL、GGT、LDH、ビリルビン、カルシウムレベル
-完全なイオノグラム(Na、K、Cl、Ra、タンパク血症)
-フィリチン血症
-リパーゼ、アルドラーゼ
【0407】
実施例6:COVID-19患者における本発明によるNMN誘導体、ファモチジン、及びヒドロキシクロロキンの組み合わせのランダム二重盲検、複数群既存対照、比較二重盲検試験
【0408】
試験の全体的な目的は、コロナウィルス疾患2019(COVID-19)に関連する中等度~重度肺炎患者における化合物I-Aの治療効果及び耐性を判定することである。本試験は、複数のランダムプラシーボ対照試験(cmRCT)設計を有する。化合物I-Aを、中等度又は重度肺炎と診断され、同意した成人のCOVID-19入院患者に投与する。
【0409】
条件は以下の通りである。
【0410】
試験は4つの群を含む。
-第1群:化合物I-A及び静脈内ファモチジンこの試験群の被検体に、経口化合物I-Aと静脈内ファモチジンの組み合わせを投与する。通常の生理食塩水と混合して10mg/mLのファモチジンを、120mg(400mg経口投与の30%)静脈内投与する。提案される1日のファモチジン総用量は、最大14日間又は退院のいずれか早い方まで静脈内の360mg/日である。化合物I-Aを経口投与する。化合物I-aを、10mg/kg、最少500mg/日及び最大1g/日の用量で投与する
-第2群:化合物I-A+静脈内ファモチジン+ヒドロキシクロロキンこの試験群の被検体に、経口化合物I-A、静脈内ファモチジン、及び経口ヒドロキシクロロキンの組み合わせを投与する。通常の生理食塩水と混合して10mg/mLのファモチジンを、120mg(400mg経口投与の30%)静脈内投与する。提案される1日のファモチジン総用量は、最大14日間又は退院のいずれか早い方まで静脈内の360mg/日である。化合物I-Aを経口投与する。化合物I-Aを、10mg/kg、最少500mg/日及び最大1g/日の用量で投与する。COVID-19の現行の臨床プロトコルにより、ヒドロキシクロロキンサルフェート200mg錠剤が、COVID-19の部位特定臨床プロトコルに従って、1日目に1日2回400mg、続いて4日間1日2回200mgの負荷用量で投与される、又は1日目に1日1回800mg、続いて4日間1日1回400mgの負荷用量で投与される。
-第3群:化合物I-A及び静脈内プラシーボこの群の被検体に化合物I-Aを経口投与する。化合物I-Aを、10mg/kg、最少500mg/日及び最大1g/日の用量で投与する。プラシーボ(生理食塩水)を1日3回注射で投与する。
-介入なし:既存対照:この試験では、既存対照は、2020年2月1日と2021年3月26日の間のパンデミックの初期段階中に化合物I-A又はファモチジンで治療されなかった入院患者を指す。この試験は、代わりに、化合物I-Aで治療されていない患者について以前に収集されたデータを再検討して能動的治療群と比較する。
【0411】
組み入れ基準:
1.被検体(又は法的に認可された代表者)は、試験手順の開始前に書面によるインフォームドコンセントを提供する。
2.計画された試験手順を理解し、遵守することに同意する。
3.入院時に18歳以上の男性又は妊娠していない女性成人
4.対象は、入院から24時間以内にランダム化することに同意する。
5.ランダム化の72時間未満前にX線写真でCOVID-19疾患が確認された。
6.任意の期間の疾患、及び以下の少なくとも1つ:
○ 撮像(胸部X線、CTスキャンなど)による濾液中のX線写真、又は
○ 臨床評価(実験時のラッセル音/クラックル音の証拠)及び室内空気でのSpO2≦94%、又は
○ 機械的換気及び/又は酸素補給を必要とする
7.被検体は、適格性を判定するためにコロナウィルスSARS-CoV-2の実験室での確認を必要としない
8.出産可能な女性は、試験期間中、少なくとも1つの一次形態の避妊を行うことに同意しなければならない(許容される方法は現場で決定される)。
【0412】
除外基準:
1.軽度COVID-19疾患(軽度の臨床症状、撮像は肺の炎症の兆候を示さない)
2.このプロトコルで処方された用量を超えて処方された場合、ヒドロキシクロロキンを含む、COVID-19を標的とする治験薬の最近の病歴又は任意の院内暴露
3.ALT/ASTが正常値の上限の5倍を超える。
4.中程度の腎機能不全(クレアチニンクリアランス30~50mL/分)、又はステージ4重度慢性腎疾患、又は透析を必要とする(すなわち、クレアチニンクリアランス<30mL/分)
5.4-アミノキノリン化合物に起因する網膜又は視野の変化の存在
6.4-アミノキノリン化合物に対する既知の過敏性
7.ECG実験でのQT延長の病歴又は証拠
8.乾癬又はポルフィリン症の病歴
9.絶対好中球数(ANC)<2000mm3
10.妊娠
11.肝疾患、C型肝炎、又はアルコール依存症の病歴
12.G-6-PD(グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ)欠損の病歴
13.既知の肝毒性薬の併用
14.72時間以内に、治験実施施設ではない他の病院に転院する予定
15.任意の試験薬に対するアレルギー
16.疾患又は既存の疾患の治療により免疫不全であることが分かっている
【0413】
評価項目
一次評価項目:死亡率[期間:入院後30日]
二次評価項目:
・血液中で検出された試験治療へのウィルス応答[期間:入院0日目に対する30日目]
最初の測定からのPCRコピー数の変化%
・鼻腔スワブ及び/又は下気道分泌物中のウィルス除去[期間:6日目及び30日目]
鼻咽頭スワブ又は下気道分泌物におけるSARS-CoV-2ウィルスRNAの有無
・臨床重症度[期間:3、5、8、11、15、及び30日目の試験での測定]
7段階順序尺度によって測定される:(1)死亡~(7)入院せず、日常活動の制限なし
・臨床重症度[期間:3、5、8、11、15、及び30日目の試験での測定]
早期警告スコア(NEWS)によって測定される:0~20バイタルサインに基づくスコア、より高いスコアはより高い疾病度を示す
・臨床重症度[期間:3、5、8、11、15、及び30日目の試験での測定]
酸素補給(該当する場合)の使用期間によって測定
・臨床重症度[期間:3、5、8、11、15、及び30日目の試験での測定]
機械的換気(該当する場合)の使用期間によって測定
・臨床重症度[期間:3、5、8、11、15、及び30日目の試験での測定]
入院期間で測定
【0414】
実施例7:マウスのインフルエンザウィルス肺感染症に対するNMN及びNRの評価
【0415】
全ての実験中、185mg/kgの化合物I-A及びI-Gを、毎日、腹腔内ルートによって毎日送達した。化合物の量を適合させるため、72匹のマウスを毎日計量した。生理的緩衝液を対照として使用し、全ての実験中に1日1回腹腔内投与した。全ての実験で、対照動物に2mg/kgのタミフルを経口投与した。各動物はH1N1に感染している。実験グループは以下の通りである。
-ビヒクル:H1N1感染+生理的緩衝液
-タミフル:H1N1感染+タミフル(2×1mg/kg)
-化合物I-A:H1N1感染+NMN(185mg/kg)
-化合物I-G:H1N1感染+NR(185mg/kg)
-タミフル+化合物I-A:H1N1感染+タミフル(2×1mg/kg)+化合物I-A(185mg/kg)
-タミフル+化合物I-G:H1N1感染+タミフル(2×1mg/kg)+化合物I-G(185mg/kg)
【0416】
生存率、体重、及び臨床スコアを全ての実験を通じて監視した。
【0417】
生存率(図7):25%以上の体重減少のあった動物は、倫理上の理由から安楽死させ、死亡とみなした。生存率は、全ての実験を通じて監視した。25%以上の体重減少のあった動物は、倫理上の理由から安楽死させ、死亡とみなした。
【表3】

【0418】
タミフル、化合物I-A、及び化合物I-Gによる治療はそれぞれ、50%、58%、及び50%とマウスの生存率を改善した。化合物I-A及び化合物I-Gとタミフルとの組み合わせは、実験の最後に100%の生存率をもたらした。生存確率を図5に示す。
【0419】
体重の推移(図8及び図9):4日目~9日目、ビヒクルグループのマウスは、平均で20.4%の体重減少を示した。10日目から実験の終了まで、全ての生存マウスの体重が増加した。化合物I-A、化合物I-G、又はタミフルでの毎日の治療は、ビヒクルと比較して体重を減少させる。興味深いことに、タミフル(2mg/kg)+化合物I-A(185mg/kg)とタミフル(2mg/kg)+化合物I-G(185mg/kg)の組み合わせは、体重の維持に有意に寄与した。
【0420】
呼吸スコア(図10):呼吸スコアは以下の基準に従って評価した。
【表4】

【0421】
図10によると、化合物I-A又は化合物I-Gとタミフルの組み合わせは、正常な呼吸数を維持した。
【0422】
結論:この実験では、生存率、体重減少、臨床スコアに関して、2つの化合物でプラスの効果が観察された。化合物I-Aについては、単独でも組み合わせても同等の有効性がこの実験で実証された。異なって観察された臨床パラメータに基づいて、化合物I-Aと化合物I-Gは同様の活性を示した。タミフルと化合物I-A又は化合物I-Gの組み合わせは、化合物I-A/化合物I-G及びタミフルの相補的作用により、罹患率及び死亡率に影響を及ぼすことが有意に明らかになった。これにより、これらのグループのマウスの完全な臨床的回復がもたらされた。これは、化合物I-A及びI-Gによる免疫保護と、既に記載されているタミフルの抗ウィルス活性との組み合わせによる可能性が高い。
【0423】
実施例8:インフルエンザウィルス肺感染症に対する化合物I-Aの投与反応の評価
【0424】
モデルは、肺炎を誘発する500PFUのインフルエンザウィルスH1N1PR/8/34株の鼻腔内投与からなる。化合物I-Aを、感染直後に、次いで全ての実験中毎日、90、185、又は500mg/kgで腹腔内(i.p.)ルートを介して送達した。化合物の量を適合させるため、マウスを毎日計量した。生理的緩衝液を対照として使用し、全ての実験中に1日1回腹腔内投与した。各実験グループは22匹のマウスを含む。12匹のマウスは生存率、5匹のマウスはフローサイトメトリー分析、5匹のマウスはウィルス量の評価用である。
【0425】
実験グループは以下の通りである。
-グループ1:ビヒクル(腹腔内)
-グループ2:化合物I-A90mg/kg
-グループ3:化合物I-A185mg/kg
-グループ4:化合物I-A500mg/kg
【0426】
8日目、グループ当り5匹のマウスを使用して以下のパラメータを測定する。
・採血:3アリコート(a、b、及びc)
a)+ac.過塩素酸(NAD投与量)
b)免疫細胞特性評価(サイトメトリー)
c)残りの血漿→凍結
・肺及びリンパ節収集、細胞調整、計数、及び免疫細胞特性評価(サイトメトリー)
・RNAseqのために治療した2組織からの残りの細胞(あれば)
・肺内のウィルス量(グループ当り5匹のマウス)
【0427】
感染の8日後、全ての実験中、生存率、体重、臨床スコア、肺内のウィルス量、及び肺、血液、及び排出リンパ節中の免疫集団のサブセットの定量化を、フローサイトメトリーによって監視した。
【0428】
生存率(図11):25%以上の体重減少のあった動物は、倫理上の理由から安楽死させ、死亡とみなした。生存率は、全ての実験を通じて監視した。25%以上の体重減少のあった動物は、倫理上の理由から安楽死させ、死亡とみなした。
【表5】

【0429】
ビヒクルで処置したマウスでは92%の死亡率が得られた。化合物I-Aの90、185、及び500mg/kgでの処置は、それぞれマウスの生存率を33%、58%、及び75%に改善した。生存確率を図9に示す。
【0430】
体重変化(図12及び13):H1N1での感染後初日、4グループの体重は安定していた。3日目から8日目まで、全てのグループの体重が減少した。化合物I-Aでの毎日の処置は、ビヒクルと比較して、このパラメータのわずかな改善をもたらした(3日目~8日目)。
【0431】
臨床スコア(図14及び15):ビヒクルで処置したマウスは、感染の3日後、不調の徴候、軽度の立毛、及び運動の増加を示した。激しい立毛が、長い不活動期間と共に5日目に現れた。化合物I-Aでの処置は、ビヒクルグループと比較してマウスの臨床状態を改善した。
【0432】
肺内ウィルス量(図16):90及び185mg/kgの化合物I-Aでの処置は、500PFUのインフルエンザAウィルスの感染の8日後、肺内ウィルス量に有意な影響を及ぼさなかった。500mg/kg用量は、ビヒクルグループと比較して、H1N1粒子の量を有意に減少させた。
【0433】
結論:試験で確認されるように、感染による肺胞マクロファージの破壊は、化合物I-Aでの処置で低減された。化合物I-Aでの処置はまた、CD206+マクロファージの割合を増加させ、これは、マウスが化合物I-Aで処置されたときに抗炎症マクロファージの割合が増えたことを示唆する。これらの結果は、化合物I-Aで処置したマウスの臨床パラメータ及び生存率の改善を説明することができる。この実験では、単球由来マクロファージの動員による調節は観察されなかったが、CD11b+DCの数は、化合物I-Aの存在下で減少傾向にあった。CD11b+樹状細胞は、インフルエンザ感染中に重要な役割を果たすことが知られている。これらの細胞は、肺中のCD4+T細胞のプライミングと再刺激を可能にする。細胞は排出リンパ節に移動しない。それらの細胞はまた、NKT、NK、CD4+、及びCD8+T細胞の動員をもたらす多数のサイトカイン及びケモカインを産生する。化合物I-Aでの処置は、肺胞マクロファージの破壊を維持し、おそらく中程度の肺炎症をもたらす炎症促進性細胞集団の動員を減少させることによって、肺における免疫応答を調節した。この効果は用量依存的であるようには見えなかった。
【0434】
実施例9:SARS-CoV-2に感染した自由選択食由来肥満NASHハムスターにおける化合物I-Aの効果
【0435】
試験の目的は、SARS-CoV-2に感染し、駆出率の保たれた心不全を発症する前臨床モデルである(Briand et al.,Metabolism 2021)、自由選択食に起因する肥満NASHハムスターにおける化合物I-Aの効果を評価することである。SARS-CoV-2感染と同時に処置を開始して、25日間にわたって化合物I-Aを評価する。40匹の4週齢の雄のゴールデンシリアンハムスターに、4日間又は25日間、ビヒクル(n=18)又はNMN化合物600mg/kg(n=18)を経口で1日1回投与する(経口投与1日1回)。投与は、SARS-CoV-2感染の1時間前から開始する。感染後4日目(グループ#1及び3、n=9匹のハムスター/グループ)、及び感染後25日目(グループ#2及び4、n=9匹のハムスター/グループ)にハムスターを安楽死させる。
【表6】

【0436】
順化期間後、ハムスター(n=40)に、最大20週間、自由選択食(Briand et al.,Metabolism 2021に記載されるように、同じケージ内で、対照食又は高脂肪/コレステロール食と通常の水又は10%フルクトース濃縮水との自由選択)を与える。食餌期間中、体重を毎週測定する。
【0437】
パスツール研究所のアニマルリソースセンター内のバイオセーフティレベル3施設に移送する前に、36匹のハムスターを血漿ALT、AST、総コレステロール、トリグリセリドレベル、及び体重に基づき選択する。ハムスターを約午前8時まで6時間絶食させ、約午後2時に採血して(150μL/ヘパリン)血漿を単離させ、血漿ALT、AST、総コレステロール、及びトリグリセリドを分析する。
【0438】
36匹の選択したハムスターをパスツール研究所のアニマルリソースセンター内のバイオセーフティレベル3施設に移送し、自由選択食餌を維持した。4匹の他のハムスターを試験から除外し、後眼窩出血によって採血して、血漿を単離させ、-80℃で保存し、肺、肝臓、及び心臓の収集のために安楽死させる。各臓器について、最終的な分析のために、一方の部分を-80℃で保存したままにし、他方の部分を4℃でエタノール中で保存する前に、24時間ホルマリン中で固定する。
【0439】
1週間の順化期間後、SARS-CoV-2(2×10PFU)を鼻腔内接種する1時間前に、ハムスターにビヒクル又は化合物I-Aの初回用量を投与し、ウィルス感染後25日間、1日1回ビヒクル又は化合物I-Aで処置する。体重を毎日測定し、25日間、臨床徴候を監視する。
【0440】
感染後4日目と25日目、ハムスター(各時点でn=9ビヒクルとn=9NMN化合物処置ハムスター)を最大血液量収集のため安楽死させ、次いで、肺、肝臓、及び心臓を収集し、分析のためにホルマリン固定又は-80℃での保存用に切断する。
【0441】
肺内ウィルス量(TCID50及びRT-qPCR)を4日目に測定する。
【0442】
ウィルスRNA及び感染性ウィルスを、逆転写での定量的PCR(RT-qPCR)、現場での混成、及びプラーク形成アッセイによって判定する。簡潔には、組織ホモジュネート中の総RNAをRNeasy Mini Kit(Qiagen)を用いて抽出する。RT-qPCRを製造者の説明書に従って実施する。組織培養感染量(TCID50)アッセイによる生存感染性ウィルスの定量化は以下のように実行する。肺組織の半分を秤量し、乳棒を使用して、1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含む1mlのDMEM中で均質化する。13,000rpmで10分間の遠心分離後、ウィルス滴定のために、清澄化された上清を回収する(TCID50アッセイ)。TCID50アッセイのために、ホモジュネートのアリコートを96ウェルプレート中の融合Vero-E6細胞を適用する。簡潔には、各試料の連続10倍希釈物をVero-E6細胞単層に接種し、1%FBS及びペニシリン/ストレプトマイシンを含むDMEM中で培養する。プレートを、細胞変性効果について4日間観察する。ウィルス力価をリード・ミュンヒ法で計算した。1TCID50は、接種されたウェルの50%において細胞変性効果を引き起こしたウィルスの量として解釈される。ウィルス力価は組織のTCID50/グラムで表す。
【0443】
次に、以下の分析を、感染/処置の4日後及び25日後に行う:
・血漿生化学:グルコース、ALT、AST、ALP、LDH、TC、TG、FFA、LDL-c、HDL-c、ビリルビン、総蛋白、IL-6、及びACE-2活性
・肺qPCR(10の選択された遺伝子):IL-6、INF-g、Isg15、TNF-a、IL-10、IL-12p40、CXCL10、TGF-b、閉塞、カドヘリン。
・右肺組織学(H&E及びシリウスレッド染色)、組織病理学的スコアリング(細胞死/壊死、肺胞及び/又は血管周囲浮腫、透明膜又はフィブリン、炎症、血栓、鬱血、出血、II型過形成、及び合胞体)、及び%シリウスレッド標識(肺線維症)
【0444】
全ての動物からの残りのRNA調製物、血漿試料、及び固定肝臓及び心組織を追加の分析のために保存する。平均±標準誤差を提示してデータを分析する。
【0445】
実施例10:Covid-19感染マウスにおける化合物I-Aの評価
【0446】
重度急性呼吸器症候群-コロナウィルス2(SARS-Cov-2)は、著しく高い致死率で、13,000,000の症例を超えるコロナウィルス疾患(COVID-19)を引き起こした。実験用マウスは、治療薬及びワクチン開発の中心的存在であった、しかしながら、それらは、ウィルスがそのヒト侵入受容体アンジオテンシン変換酵素2(hACE2)のマウスオルソログを使用することができないために、SARS-CoV-2をサポートしない。B6.Cg-Tg(K18-ACE2)2Prlmn/J(すなわち、hACE2)マウスはSARS-Cov-2肺感染症に罹患しやすい(Yinda et al.,2020)。化合物I-Aを最大10日間、1日1回腹腔内投与する。
【0447】
より具体的には、到着時に7週齢の雄のB6.Cg-Tg(K18-ACE2)2Prlmn/J72匹を、フランス、ラルブレル、BP0109、69592のCharles Riversから取得した。動物を以下のように6つの実験グループに分ける。
-グループ1:400pfu+ビヒクル(n=10)
-グループ2:400pfu+化合物I-A500mg/kg(n=12)
【0448】
Pfuは、粒子形成単位である。試験期間は10日間である。0日目、全てのマウスを、鼻腔内ルートを介してSARS-Cov-2を含有する25μLのDMEM(400PFU/マウス)を感染させる。1日に1回、毎日、500mg/kgのビヒクル又は化合物I-Aを用いて、経口強制食によってマウスを処置する。0日目~10日目、グループ当り10匹のマウスの体重、生存率、及び臨床スコアを監視する。
【0449】
[0001]グループ当り12匹のマウスに対して、実験の終了(10日目)まで死亡率、体重、及び臨床徴候を記録する。
臨床スコアは以下のように確定される。
1:健常なマウス
2:軽度の立毛、軽度の歩行の変化、及び運動の増加を含む不調の徴候を示すマウス
3:激しい立毛、腹部収縮、歩行の変化、不活動期間の徴候を示すマウス
4:前のグループよりも特徴が強まっているが、ほとんど活動せず瀕死状態であるマウス
5:死亡したマウス
【0450】
動物の外観及び挙動を、実験段階の開始から終了まで少なくとも毎日評価する。異常所見は生データに記録する。動物をグループに分ける前に体重測定と臨床検査も実行する。
【0451】
呼吸スコアを以下のように監視する。
【表7】

図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】