(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-30
(54)【発明の名称】SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の組成物およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7125 20060101AFI20230523BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230523BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230523BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20230523BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230523BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230523BHJP
A61K 9/30 20060101ALI20230523BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230523BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230523BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230523BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20230523BHJP
C12Q 1/6813 20180101ALI20230523BHJP
C12Q 1/6837 20180101ALI20230523BHJP
C12Q 1/6851 20180101ALI20230523BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20230523BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20230523BHJP
G01N 33/68 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
A61K31/7125
A61K47/26
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/36
A61K47/12
A61K9/30
A61P43/00 111
A61P29/00
A61P1/04
C12N15/113 Z ZNA
C12Q1/6813 Z
C12Q1/6837 Z
C12Q1/6851 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/6869 Z
G01N33/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564110
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(85)【翻訳文提出日】2022-12-21
(86)【国際出願番号】 IB2021000272
(87)【国際公開番号】W WO2021214548
(87)【国際公開日】2021-10-28
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511134621
【氏名又は名称】ノグラ ファーマ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィティ,フランチェスカ
(72)【発明者】
【氏名】モンテレオーネ,ジョヴァンニ
(72)【発明者】
【氏名】ベリンヴィア,サルバトーレ
(72)【発明者】
【氏名】デマルティス,サルバトーレ
(72)【発明者】
【氏名】マクナルティ,マリー
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045DA36
4B063QA01
4B063QA18
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QQ08
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR06
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR56
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
4C076AA44
4C076BB01
4C076CC16
4C076DD38
4C076DD41
4C076EE31
4C076EE32
4C076EE38
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA66
4C086ZB11
(57)【要約】
本開示は、オリゴヌクレオチド(例えば、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドジアステレオマー)の組成物、ならびにこの組成物の製造方法、効力の評価方法、および使用方法に関する。
【選択図】
図7D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1(5’-GTXGCCCCTTCTCCCXGCAGC-3’)に従う配列を有するSMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の複数のジアステレオマーを含む医薬組成物であって、すべてのヌクレオシド間結合がO,O-結合ホスホロチオエート結合であり、Xが5-メチル2’-デオキシシチジンであり、前記複数のジアステレオマーは、
a)54.8から55.5ppmの間の1つ以上の共鳴、ならびに
b)第1の主成分1(PC1)スコアおよび第2の主成分2(PC2)スコア
を含むリン31核磁気共鳴(
31P-NMR)スペクトルを有し、ここで、
(i)前記PC1スコアは約-0.20を下回るかまたは約0.25を上回り、かつ前記PC2スコアが約0.00を下回り、または
(ii)前記PC1スコアは-0.32から0.30の範囲外であり、および/もしくは前記PC2スコアは0.00から0.20の範囲外である、
医薬組成物。
【請求項2】
前記
31P-NMRスペクトルが、約-0.20を下回るPC1スコアおよび約0.00を下回るPC2スコアを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記
31P-NMRスペクトルが、約-0.47から約-0.20までのPC1スコアおよび約-0.27から約0.00のPC2スコアを含む、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記
31P-NMRスペクトルが、約0.25を上回るPC1スコアおよび約0.00を下回るPC2スコアを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記
31P-NMRスペクトルが、約0.65から約0.9までのPC1スコアおよび約-0.47から約0.00までのPC2スコアを含む、請求項1または4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記
31P-NMRスペクトルは、前記PC2スコアが0.00を上回りかつ0.20を下回る場合に、-0.32から0.30の範囲外のPC1スコアを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記
31P-NMRスペクトルは、前記PC1が-0.32を上回りかつ0.30を下回る場合に、0.00から0.20の範囲外のPC2スコアを含む、請求項1または6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記
31P-NMRスペクトルが、54.8から55.5ppmの間の2つ以上の共鳴を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記54.8から55.5ppmの間の2つ以上の共鳴が異なる強度を有する、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記
31P-NMRスペクトルが、独立して、約54.8ppm、約54.9ppm、約55.0ppm、約55.1ppm、約55.2ppm、約55.3ppm、約55.4ppm、および/または約55.5ppmにおいて、1つ以上の共鳴を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記
31P-NMRスペクトルが、独立して、約54.8ppm、約54.9ppm、約55.0ppm、約55.1ppm、約55.2ppm、約55.3ppm、約55.4ppm、および/または約55.5ppmにおいて、2つ以上の共鳴を含む、請求項1-10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
100ミリモルから5モルのSMAD7 ASOを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
100ミリモルから2モル、100ミリモルから900ミリモル、300ミリモルから5モル、300ミリモルから2モル、300ミリモルから900ミリモル、900ミリモルから5モル、または900ミリモルから2モルのSMAD7 ASOを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
約300ミリモルのSMAD7 ASOを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
約900ミリモルのSMAD7 ASOを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
約2モルのSMAD7 ASOを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
300ミリモル超、900ミリモル超、または2モル超のSMAD7 ASOを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
a)約0.5重量%から約30重量%のSMAD7 ASO、
b)約20重量%から約50重量%のマンニトール、
c)約10重量%から約30重量%の微結晶性セルロース、および
d)エチルアクリレート-メタクリル酸コポリマーを含む腸溶コーティング
を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
a)内顆粒相であって、
i)約5重量%から約10重量%のSMAD7 ASO、
ii)約40重量%のマンニトール、
iii)約8重量%の微結晶性セルロース、
iv)約5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、および
v)約2重量%のデンプングリコール酸ナトリウム
を含む、内顆粒相、
b)外顆粒相であって、
i)約17重量%の微結晶性セルロース、
ii)約2重量%のデンプングリコール酸ナトリウム、および
iii)約0.4重量%のステアリン酸マグネシウム
を含む、外顆粒相、ならびに
c)エチルアクリレート-メタクリル酸コポリマーを含む腸溶コーティング
を含み、重量%は、医薬組成物の総重量と比較した成分の重量である、請求項1から18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
a)約5重量%から約30重量%のSMAD7 ASO、
b)約20重量%から約50重量%のマンニトール、
c)約10重量%から約30重量%の微結晶性セルロース、
d)約0.5重量%から約10重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、
e)約0.5重量%から約10重量%のデンプングリコール酸ナトリウム、
f)約0.05重量%から約1重量%のステアリン酸マグネシウム、
g)約0.5重量%から約10重量%のOpadry(登録商標)AMB、および
h)約5重量%から約20重量%のAcryl-EZE(登録商標)
を含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
a)約8.5重量%のSMAD7 ASO、
b)約40重量%のマンニトール、
c)約25重量%の微結晶性セルロース、
d)約5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、
e)約4重量%のデンプングリコール酸ナトリウム、
f)約0.4重量%のステアリン酸マグネシウム、
g)約4重量%のOpadry(登録商標)AMB、および
h)約10重量%から約15重量%のAcryl-EZE(登録商標)
を含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
a)約23重量%のSMAD7 ASO、
b)約28重量%のマンニトール、
c)約25重量%の微結晶性セルロース、
d)約5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、
e)約4重量%のデンプングリコール酸ナトリウム、
f)約0.4重量%のステアリン酸マグネシウム、
g)約4重量%のOpadry(登録商標)AMB、および
h)約7重量%から約12重量%のAcryl-EZE(登録商標)
を含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記医薬組成物が錠剤として製剤化される、請求項1から22のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記医薬組成物が細胞内のSMAD7 mRNAおよび/またはタンパク質をダウンレギュレートする、請求項1から23のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
SMAD7タンパク質発現の前記ダウンレギュレーションが未処理細胞と比較して40%を超える、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
炎症性腸疾患の治療または予防において臨床的に有効である、請求項1から25のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記炎症性腸疾患がクローン病である、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記クローン病がクローン病の術後再発である、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
経口投与のための、請求項1から28のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記SMAD7 ASOが、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、または約200mgの用量で、必要とする対象に投与される、経口投与のための、請求項1から29のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項31】
約6時間ごと、約12時間ごと、約24時間ごと、約48時間ごと、約72時間ごと、毎日、週2回、2週間に1回、または一か月に1回の経口投与のための、請求項1から30のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項32】
1日約160mgの用量での経口投与のための、請求項1から31のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
請求項1から32のいずれか一項に記載の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、必要とする対象において炎症性腸疾患を治療または予防する方法。
【請求項34】
炎症性腸疾患の治療のための医薬品を製造するための、請求項1から32のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項35】
炎症性腸疾患の治療における使用のための、請求項1から32のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記炎症性腸疾患がクローン病である、請求項33に記載の方法、請求項34に記載の使用、または請求項35に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項37】
前記クローン病がクローン病の術後再発である、請求項33もしくは36に記載の方法、請求項34もしくは36に記載の使用、または請求項35もしくは36に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項38】
対象においてSMAD7を阻害する工程を含む、必要とする対象においてクローン病(CD)の術後再発を予防または治療する方法。
【請求項39】
対象からの少なくとも1つのサンプルが、既知の対照レベルと比較して上昇したSMAD7レベルを有し、前記既知の対照レベルが、CDのための外科的処置の前もしくは最中に対象から収集されたサンプル中のSMAD7レベルであるか、またはCDを有しない健康な対象から収集されたサンプル中のSMAD7レベルである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
対象のクローン病活動指数(CDAI)スコアが200を超えることを防止する工程、またはCDAIスコアを少なくとも50ポイント低下させる工程を含む、必要とする対象におけるクローン病(CD)の術後再発を予防または治療する方法。
【請求項41】
150を超えるCDAIスコアを防止する工程を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
CDAIスコアを少なくとも100ポイント低下させる工程を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
必要とする対象におけるクローン病(CD)の術後再発を予測するための方法であって、対象からの第1のサンプル中のSMAD7のレベルを決定する工程を含み、既知の対照レベルと比較して上昇したSMAD7レベルがCDの再発を予測し、ここで、前記既知の対照レベルは、CDの外科的処置の前または最中に対象から収集されたサンプル中のSMAD7レベル、またはCDを有しない健康な対象から収集されたサンプル中のSMAD7レベルである、方法。
【請求項44】
クローン病(CD)の術後再発のリスクがある対象を特定する方法であって、対象からの第1のサンプル中のSMAD7のレベルを決定する工程を含み、既知の対照レベルと比較して高いSMAD7レベルが、対象をCDの再発の危険性があるとして特定し、前記既知の対照レベルは、CDの外科的治療の前または最中に対象から収集されたサンプル中のSMAD7レベル、またはCDを有しない健康な対象から収集されたサンプル中のSMAD7レベルである、方法。
【請求項45】
a)SMAD7レベルが前記既知の対照レベルに対して上昇している場合、SMAD7 ASOを含む医薬組成物を対象に投与する工程、または
b)SMAD7レベルが前記既知の対照レベルと比較して上昇していない場合、前記対象からの第2のサンプル中のSMAD7のレベルを決定する工程
を含む、請求項43または44に記載の方法。
【請求項46】
前記第2のサンプルが、前記第1のサンプルの直後、約1時間後、約3時間後、約6時間後、約12時間後、約1日後、約3日後、約1週間後、約2週間後、約1か月後、約2か月後、約3か月後、約4か月後、約5か月後、約6か月後、約7か月後、約8か月後、約9か月後、約10か月後、約11か月後、または約12か月後に収集される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
SMAD7 ASOを含む医薬組成物を対象に投与する工程を含む、必要とする対象においてクローン病(CD)の術後再発を予防または治療する方法。
【請求項48】
前記対象においてSMAD7を阻害する工程が、SMAD7 ASOを含む医薬組成物を対象に投与する工程を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項49】
前記SMAD7 ASOが、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、または約200mgの用量で投与される、請求項47または48に記載の方法。
【請求項50】
前記SMAD7 ASOが、約6時間ごと、約12時間ごと、約24時間ごと、約48時間ごと、約72時間ごと、毎日、週に1回、週に2回、2週間に1回、または1ヶ月に1回投与される、請求項47から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記SMAD7 ASOが毎日約160mgの用量で投与される、請求項47から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記SMAD7 ASOが、配列番号1から6のいずれか1つから選択される配列またはその薬学的に許容される塩を含む、請求項47から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記SMAD7 ASOが、すべてのヌクレオシド間結合がO,O-結合ホスホロチオエート結合であり、かつXは5-メチル2’-デオキシシチジンである、配列番号1(5’-GTXGCCCCTTCTCCCXGCAGC-3’)による配列を有する、請求項47から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記医薬組成物が、すべてのヌクレオシド間結合がO,O-結合ホスホロチオエート結合であり、かつXは5-メチル2’-デオキシシチジンである、配列番号1(5’-GTXGCCCCTTCTCCCXGCAGC-3’)による配列を有するSMAD7 ASOの複数のジアステレオマーを含み、前記複数のジアステレオマーが、
a)54.8から55.5ppmの間の1つ以上の共鳴、ならびに
b)第1の主成分1(PC1)スコアおよび第2の主成分2(PC2)スコア
を含む
31P-NMRスペクトルを有し、ここで、
(i)前記PC1スコアが約-0.20を下回るかまたは約0.25を上回り、前記PC2スコアが約0.00を下回り、または
(ii)前記PC1スコアが-0.32から0.30の範囲外であり、および/または前記PC2スコアが0.00から0.20の範囲外である、
請求項47から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記
31P-NMRスペクトルが、
a)約-0.20を下回るPC1スコアおよび約0.00を下回るPC2スコア、
b)約0.25を上回るPC1スコアおよび約0.00を下回るPC2スコア、
c)約-0.47から約-0.20までのPC1スコアおよび約-0.27から約0.00までのPC2スコア、
d)約0.65から約0.9までのPC1スコアおよび約-0.47から約0.00までのPC2スコア、
e)PC2スコアが0.00を上回りかつ0.20を下回る場合、-0.32から0.30の範囲外である、PC1スコア、および/または
f)PC1が-0.32を上回りかつ0.30を下回る場合、0.00から0.20の範囲外である、PC2スコア
を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記術後再発が、内視鏡的再発、組織学的再発、X線撮影による再発、臨床的再発、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項38から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記対象がCDのための少なくとも1つの外科的処置を受けている、請求項38から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記少なくとも1つの外科的処置が、腸切除、回結腸切除、結腸切除、直腸結腸切除、狭窄形成術、回腸造瘻、肛門瘻切開、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記少なくとも1つの外科的処置が回結腸切除である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記対象が術後再発の徴候を示さない、請求項38から59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記対象が術後再発の少なくとも1つの徴候を示す、請求項38から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記対象が内視鏡的再発の少なくとも1つの徴候を示す、請求項61記載の方法。
【請求項63】
前記少なくとも1つの徴候が粘膜病変である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記サンプルが粘膜サンプルである、請求項39から63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記サンプルが、CDの外科的治療の直後、約1時間後、約3時間後、約6時間後、約12時間後、約1日後、約3日後、1週間後、約2週間後、約1か月後、約2か月後、約3か月後、約4か月後、約5か月後、約6か月後、約7か月後、約8か月後、約9か月後、約10か月後、約11か月後、または約12か月後に採取される、請求項39から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記SMAD7レベルがSMAD7mRNAレベルまたはSMAD7タンパク質レベルである、請求項39から65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
上昇した前記SMAD7レベルが、前記既知の対照レベルと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約60%、または少なくとも約80%上昇している、請求項39から66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記医薬組成物が経口投与される、請求項45から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記医薬組成物が、CDの外科的処置の直後、約1時間後、約3時間後、約6時間後、約12時間後、約1日後、約3日後、約1週間後、約2週間後、約1か月後、約2か月後、約3か月後、約4か月後、約5か月後、約6か月後、約7か月後、約8か月後、約9か月後、約10か月後、約11か月後、または約12か月後に投与される、請求項45から68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
薬理学的におよび/または臨床的に有効であるSMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の複数のジアステレオマーを含む医薬組成物であって、
a)前記複数のジアステレオマーの54.8から55.5ppmの間の1つ以上の共鳴にをついての
31P-NMRスペクトルを確認する工程、および
b)前記
31P-NMRスペクトルが、主成分分析(PCA)によって決定される、
(i)約-0.20を下回るか、もしくは約0.25を上回る第1の主成分1(PC1)スコア、および約-0.00を下回る第2の主成分2(PC2)スコア、または
(ii)-0.32から0.30の範囲外のPC1スコアおよび/もしくは0.00から0.20の範囲外のPC2スコア
を有することを確認する工程を含む方法によって作製される、医薬組成物。
【請求項71】
SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の複数のジアステレオマーを含む医薬組成物の製造方法であって、前記方法は、
a)前記複数のジアステレオマーの54.8から55.5ppmの間の1つ以上の共鳴についての
31P-NMRスペクトルを確認する工程、および
b)前記
31P-NMRスペクトルが、主成分分析(PCA)によって決定される、
(i)約-0.20を下回るか、もしくは約0.25を上回る第1の主成分1(PC1)スコア、および約-0.00を下回る第2の主成分2(PC2)スコア、または
(ii)-0.32から0.30の範囲外のPC1スコアおよび/もしくは0.00から0.20の範囲外のPC2スコア
を有することを確認する工程を含む、方法。
【請求項72】
a)PC1スコアが約-0.20を下回りかつPC2スコアが約0.00を下回り、
b)PC1スコアが約0.25を上回りかつPC2スコアが約0.00を下回り、
c)PC1スコアが約-0.47から約-0.20まででありかつPC2スコアが約-0.27から約0.00であり、
d)PC1スコアが約0.65から約0.9まででありかつPC2スコアが約-0.47から約0.00までであり、
e)PC2スコアが0.00を上回りかつ0.20を下回る場合、PC1スコアが-0.32から0.30の範囲外であり、および/または
f)PC1が-0.32を上回りかつ0.30を下回る場合、PC2スコアが0.00から0.20の範囲外であることを確認する工程を含む、
請求項70に記載の医薬組成物、または請求項71に記載の方法。
【請求項73】
a)前記
31P-NMRスペクトルが54.8から55.5ppmの間に2つ以上の共鳴を有し、
b)前記
31P-NMRスペクトルは、約54.8ppmに1つ以上の共鳴を有し、
c)前記
31P-NMRスペクトルは、約54.8ppmに2つ以上の共鳴を有し、
d)前記
31P-NMRスペクトルは、約54.9ppmに1つ以上の共鳴を有し、
e)前記
31P-NMRスペクトルは、約54.9ppmに2つ以上の共鳴を有し、
f)前記
31P-NMRスペクトルは、約55.0ppmに1つ以上の共鳴を有し、
g)前記
31P-NMRスペクトルは、約55.0ppmに2つ以上の共鳴を有し、
h)前記
31P-NMRスペクトルは、約55.1ppmに1つ以上の共鳴を有し、
i)前記
31P-NMRスペクトルは、約55.1ppmに2つ以上の共鳴を有し、
j)前記
31P-NMRスペクトルは、約55.2ppmに1つ以上の共鳴を有し、
k)前記
31P-NMRスペクトルは、約55.2ppmに2つ以上の共鳴を有し、
l)前記
31P-NMRスペクトルは、約55.3ppmに1つ以上の共鳴を有し、
m)前記
31P-NMRスペクトルは、約55.3ppmに2つ以上の共鳴を有し、
n)前記
31P-NMRスペクトルは、約55.4ppmに1つ以上の共鳴を有し、
o)前記
31P-NMRスペクトルは、約55.4ppmに2つ以上の共鳴を有し、
p)前記
31P-NMRスペクトルは、約55.5ppmに1つ以上の共鳴を有し、
q)前記
31P-NMRスペクトルは、約55.5ppmに2つ以上の共鳴を有し、および/または
r)前記
31P-NMRスペクトルは、54.8から55.5の間に異なる強度の2つ以上の共鳴を有する、
請求項70もしくは72に記載の医薬組成物、または請求項71もしくは72に記載の方法。
【請求項74】
SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の複数のジアステレオマーを含む候補組成物の薬理学的および/または臨床的有効性を予測する方法であって、前記方法は、複数のジアステレオマーの
31P-NMRスペクトルを主成分分析(PCA)に供して、第1の主成分(PC1)および第2の主成分(PC2)を得る工程を含み、
a)約-0.20を下回るかまたは約0.25を上回るPC1スコア、および約0.00を下回るPC2スコアが、薬理学的および/もしくは臨床的有効性を予測し、または
b)-0.32から0.30の範囲外のPC1スコアおよび/もしくは0.00から0.20の範囲外のPC2スコアは、薬理学的および/もしくは臨床的効力を予測する、
方法。
【請求項75】
a)約-0.20を下回るPC1スコアおよび約0.00を下回るPC2スコア、
b)約0.25を上回るPC1スコアおよび約0.00を下回るPC2スコア、
c)約-0.47から約-0.20までのPC1スコアおよび約-0.27から約0.00までのPC2スコア、
d)約0.65から約0.9までのPC1スコアおよび約-0.47から約0.00のPC2スコア、
e)PC2スコアが0.00を上回りかつ0.20を下回る場合、-0.32から0.30までの範囲外であるPC1スコア、および/または
f)PC1が-0.32を上回りかつ0.30を下回る場合、0.00から0.20の範囲外であるPC2スコア
が、薬理学的および/または臨床的効力を予測する、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記PCAが、モデリングデータセットを使用して主成分を選択する工程を含む、請求項70もしくは72に記載の医薬組成物、または請求項71から75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記モデリングデータセットが、
図5Cから5CCに示されるような
31P-NMRスペクトルから選択される5、6、7、8、9、10、または27までの
31P-NMRスペクトルを含む、請求項76に記載の医薬組成物または請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記モデリングデータセットが、
図5C、5L、5X、5H、5P、5I、5M、5T、5S、および5BBに示されるような
31P-NMRスペクトルを含む、請求項76もしくは77に記載の医薬組成物、または請求項76もしくは77に記載の方法。
【請求項79】
前記主成分が前記モデリングデータセットの90%を超える分散を占めるように選択される、請求項70および71から78のいずれか一項に記載の医薬組成物または請求項71から78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記
31P-NMRが約14.1Tの溶液中で実施される、請求項70および71から79のいずれか一項に記載の医薬組成物または請求項71から79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記SMAD7 ASOが、配列番号1から6のいずれか1つから選択される配列またはその薬学的に許容される塩を含む、請求項70および71から80のいずれか一項に記載の医薬組成物または請求項71から80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記SMAD7 ASOのヌクレオチド間結合がO,O結合ホスホロチオエートである、請求項70および71から81のいずれか一項に記載の医薬組成物または請求項71から81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記SMAD7 ASOが配列番号1(5’-GTXGCCCCTTCTCCCXGCAGC-3’)に従う配列を有し、すべてのヌクレオシド間結合はO,O-結合ホスホロチオエート結合であり、Xは5-メチル2’-デオキシシチジンである、請求項70および71から82のいずれか一項に記載の医薬組成物または請求項71から82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
請求項70および71から83のいずれか一項に記載の医薬組成物、請求項71から73、および請求項76から83のいずれか一項に従って製造されたSMAD7 ASO、または請求項74から83のいずれか一項に従って薬理学的および/もしくは臨床的に有効であると予測されるSMAD7 ASOを対象に投与する工程を含む、必要とする対象における炎症性腸疾患を治療する方法。
【請求項85】
前記炎症性腸疾患がクローン病である、請求項84記載の方法。
【請求項86】
前記クローン病が術後クローン病である、請求項85記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年4月24日に出願された米国仮特許出願第63/015,120号、2020年5月27日に出願された米国仮特許出願第63/030,818号。および2021年1月8日に出願された米国仮特許出願第63/135,283号に対する優先権を主張し、これらのそれぞれの全内容は、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本明細書は、2021年4月23日に「GIU_061_Sequence_Listing.txt」という名称の.txtファイルとして電子的に提出された配列表を参照する。txtファイルは2021年3月24日に生成され、サイズは3,711バイトである。配列表の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
背景
物体がその鏡像に重ならないことは、キラリティーと呼ばれる。鏡像に重ね合わせることができない場合、分子はキラルである。分子のキラル中心は、重ね合わせることができない鏡像を有するような様式で結合した4つの異なる原子または基を有する原子である。
【0004】
立体異性体は、原子の空間配置が異なる分子である。エナンチオマーは、重ね合わせることができない互いの鏡像である一対の立体異性体である。ジアステレオマーは、非鏡像の非同一立体異性体である。
【0005】
エナンチオマーは、偏光を回転させる方向、ならびに、キラル受容体、キラル溶媒、キラルクロマトグラフィー固定相、および電磁放射などの異なるキラル実体とどのように相互作用するかを除いて、同一の化学的および物理的特性を有することが多い。一方、ジアステレオマーは異なる化学的および物理的特性を示し、通常は異なる化学的および薬理学的実体と見なされる。
【0006】
多くの生物学的分子および生物学的システムの構成要素(例えば、受容体、酵素、および補因子)はキラルであり、異なる立体異性体は生物に対して異なる影響を及ぼし得る。薬物のキラリティーは、薬理学的および薬物動態学的活性、例えば、バイオアベイラビリティ、分布、代謝、透過性などのあらゆる側面に影響を与える可能性がある。例えば、薬物のエナンチオマーの1つが好ましい生理学的および/または臨床的効果を有している可能性がある一方で、他のエナンチオマーは活性が低いか不活性であり、異なる生理学的および/または臨床的活性を有し、または副作用を引き起こす可能性がある。
【0007】
オリゴヌクレオチドは、治療(例えば、アンチセンス療法)、遺伝子検査、および法医学において幅広い用途を有する短いDNAまたはRNA分子である。オリゴヌクレオチドは、ヌクレオチドビルディングブロックを使用して化学的に合成される。オリゴヌクレオチドの安定性を促進するために、ホスホジエステル骨格修飾および糖環修飾などの化学修飾が採用されてきた。主鎖のホスホロチオエート(PS)修飾は、合成オリゴヌクレオチドを分解から保護するための一般的な実務であり、それによってオリゴヌクレオチドの安定性および薬理学的プロファイルを改善する。PS修飾により、リン酸ジエステル(PO)結合の局所的にアキラルなリン原子がキラルなPS中心に変換され、合成オリゴヌクレオチドのジアステレオマーが生成される。しかし、PS修飾オリゴヌクレオチドの一般的な合成方法では、リン原子におけるキラリティーを可能にすることはできない。一方、PSオリゴヌクレオチドの所定の合成バッチ中の個々のジアステレオマーレベルは、リンにおけるキラリティー制御なしでは分析的に決定することはできない。
【0008】
PS結合のキラリティーの制御がオリゴヌクレオチドの治療プロファイルをどのように調節するかはまだ議論中であるが、最近の研究は、立体的に規定されたシステムが治療効果を改善した可能性があることを示唆している。立体異性体の純度の評価のための技術、例えば、旋光性または偏光分析および核磁気共鳴(NMR)分光法が当技術分野で記載されている。
【0009】
PSオリゴヌクレオチドのジアステレオマープロファイルを評価すること、ならびにそれらに関連する薬理学的および/または臨床的有効性を予測することのための改善された戦略に対する必要性が依然として存在する。さらに、既知の薬理学的および/または臨床的有効性を有する規定されたジアステレオマープロファイルを有するオリゴヌクレオチドを提供する必要性が依然として存在する。本開示は、特徴付けられたジアステレオマープロファイルを有するオリゴヌクレオチド、およびジアステレオマープロファイルを使用してその薬理学的および/または臨床的有効性を評価するためおよび予測するための改善された戦略を提供する。
【0010】
クローン病(CD)は、貫壁および分節性病変を特徴とする慢性炎症性障害である。CDは消化管のどの部分でも発生する可能性があるが、回腸末端と右結腸が最も一般的に関与する部位である。CD患者のほぼ半数は、診断から10年以内に手術を必要とする。腸切除(例えば、回盲部切除)は、CDに対して行われる最も一般的な外科的処置である。しかし、手術でCDは治癒しない。手術はしばしば臨床的寛解をもたらすが、ほとんどの患者は最終的に再発し、その後の手術が必要になる。CDの術後再発は、組織学的所見または内視鏡所見、または臨床症状の存在によって診断できる。
【0011】
CDの術後再発を予測、治療および予防するための戦略が依然として必要とされている。本開示は、CDの術後再発を予測、治療、および/または予防するための方法、ならびにCDの術後再発のリスクがある患者を特定するための方法を提供する。
【発明の概要】
【0012】
概要
本願は、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドジアステレオマーの医薬組成物、ならびにこの組成物の製造方法、効力の評価方法、および使用方法を提供する。
【0013】
したがって、本願の一態様は、配列番号1(5’-GTXGCCCCTTCTCCCXGCAGC-3’)に従う配列を有するSMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の複数のジアステレオマーを含む医薬組成物であって、すべてのヌクレオシド間結合がO,O-結合ホスホロチオエート結合であり、Xが5-メチル2’-デオキシシチジンであり、前記複数のジアステレオマーは、a)54.8から55.5ppmの間の1つ以上の共鳴、ならびにb)第1の主成分1(PC1)スコアおよび第2の主成分2(PC2)スコアを含むリン31核磁気共鳴(31P-NMR)スペクトルを有し、ここで、(i)前記PC1スコアは約-0.20を下回るかまたは約0.25を上回り、かつ前記PC2スコアが約0.00を下回り、または(ii)前記PC1スコアは-0.32から0.30の範囲外であり、および/もしくは前記PC2スコアは0.00から0.20の範囲外である。
【0014】
いくつかの実施形態において、前記31P-NMRスペクトルが、約-0.20を下回るPC1スコアおよび約0.00を下回るPC2スコアを含む。いくつかの実施形態において、前記31P-NMRスペクトルが、約-0.47から約-0.20までのPC1スコアおよび約-0.27から約0.00のPC2スコアを含む。いくつかの実施形態において、前記31P-NMRスペクトルが、約0.25を上回るPC1スコアおよび約0.00を下回るPC2スコアを含む。いくつかの実施形態において、前記31P-NMRスペクトルが、約0.65から約0.9までのPC1スコアおよび約-0.47から約0.00までのPC2スコアを含む。いくつかの実施形態において、前記31P-NMRスペクトルは、前記PC2スコアが0.00を上回りかつ0.20を下回る場合に、-0.32から0.30の範囲外のPC1スコアを含む。いくつかの実施形態において、前記31P-NMRスペクトルは、前記PC1が-0.32を上回りかつ0.30を下回る場合に、0.00から0.20の範囲外のPC2スコアを含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、前記31P-NMRスペクトルが、54.8から55.5ppmの間の2つ以上の共鳴を含む。いくつかの実施形態において、前記54.8から55.5ppmの間の2つ以上の共鳴が異なる強度を有する。いくつかの実施形態において、前記31P-NMRスペクトルが、独立して、約54.8ppm、約54.9ppm、約55.0ppm、約55.1ppm、約55.2ppm、約55.3ppm、約55.4ppm、および/または約55.5ppmにおいて、1つ以上の共鳴を含む。いくつかの実施形態において、前記31P-NMRスペクトルが、独立して、約54.8ppm、約54.9ppm、約55.0ppm、約55.1ppm、約55.2ppm、約55.3ppm、約55.4ppm、および/または約55.5ppmにおいて、2つ以上の共鳴を含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、100ミリモルから5モルのSMAD7 ASOを含む。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、100ミリモルから2モル、100ミリモルから900ミリモル、300ミリモルから5モル、300ミリモルから2モル、300ミリモルから900ミリモル、900ミリモルから5モル、または900ミリモルから2モルのSMAD7 ASOを含む。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、約300ミリモルのSMAD7 ASOを含む。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、約900ミリモルのSMAD7 ASOを含む。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、約2モルのSMAD7 ASOを含む。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、300ミリモル超、900ミリモル超、または2モル超のSMAD7 ASOを含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、a)約0.5重量%から約30重量%のSMAD7 ASO、b)約20重量%から約50重量%のマンニトール、c)約10重量%から約30重量%の微結晶性セルロース、およびd)エチルアクリレート-メタクリル酸コポリマーを含む腸溶コーティングを含む。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、a)内顆粒相であって、i)約5重量%から約10重量%のSMAD7 ASO、ii)約40重量%のマンニトール、iii)約8重量%の微結晶性セルロース、iv)約5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびv)約2重量%のデンプングリコール酸ナトリウムを含む、内顆粒相、b)外顆粒相であって、i)約17重量%の微結晶性セルロース、ii)約2重量%のデンプングリコール酸ナトリウム、およびiii)約0.4重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、外顆粒相、ならびにc)エチルアクリレート-メタクリル酸コポリマーを含む腸溶コーティングを含み、重量%は、医薬組成物の総重量と比較した成分の重量である。
【0018】
いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、a)約5重量%から約30重量%のSMAD7 ASO、b)約20重量%から約50重量%のマンニトール、c)約10重量%から約30重量%の微結晶性セルロース、d)約0.5重量%から約10重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、e)約0.5重量%から約10重量%のデンプングリコール酸ナトリウム、f)約0.05重量%から約1重量%のステアリン酸マグネシウム、g)約0.5重量%から約10重量%のOpadry(登録商標)AMB、およびh)約5重量%から約20重量%のAcryl-EZE(登録商標)を含む。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、a)約8.5重量%のSMAD7 ASO、b)約40重量%のマンニトール、c)約25重量%の微結晶性セルロース、d)約5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、e)約4重量%のデンプングリコール酸ナトリウム、f)約0.4重量%のステアリン酸マグネシウム、g)約4重量%のOpadry(登録商標)AMB、およびh)約10重量%から約15重量%のAcryl-EZE(登録商標)を含む。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、a)約23重量%のSMAD7 ASO、b)約28重量%のマンニトール、c)約25重量%の微結晶性セルロース、d)約5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、e)約4重量%のデンプングリコール酸ナトリウム、f)約0.4重量%のステアリン酸マグネシウム、g)約4重量%のOpadry(登録商標)AMB、およびh)約7重量%から約12重量%のAcryl-EZE(登録商標)を含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、前記医薬組成物が錠剤として製剤化される。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は経口投与用である。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は経口投与用であり、前記SMAD7 ASOが、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、または約200mgの用量で、必要とする対象に投与される。いくつかの実施形態において、前記医薬組成物は、約6時間ごと、約12時間ごと、約24時間ごと、約48時間ごと、約72時間ごと、毎日、週2回、2週間に1回、または一ヶ月に1回の経口投与用である。いくつかの実施形態において、前記医薬組成物は、1日約160mgの用量での経口投与用である。
【0020】
いくつかの実施形態において、前記医薬組成物は、細胞内のSMAD7 mRNAおよび/またはタンパク質をダウンレギュレートする。いくつかの実施形態において、前記SMAD7タンパク質発現のダウンレギュレーションが未処理細胞と比較して40%を超える。いくつかの実施形態において、前記医薬組成物は、炎症性腸疾患の治療または予防において臨床的に有効である。いくつかの実施形態において、前記炎症性腸疾患はクローン病である。いくつかの実施形態において、前記クローン病はクローン病の術後再発である。
【0021】
1つの態様において、本開示は、本明細書において提供される医薬組成物を対象に投与する工程を含む、必要とする対象において炎症性腸疾患を治療または予防する方法を提供する。1つの態様において、本開示は、炎症性腸疾患の治療のための医薬品の製造のための、本明細書において提供される医薬組成物の使用を提供する。1つの態様において、本開示は、炎症性腸疾患の治療における使用のための、本明細書において提供される医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、前記炎症性腸疾患はクローン病である。上記医薬組成物において、上記クローン病はクローン病の術後再発である。
【0022】
別の態様において、本開示は、対象においてSMAD7を阻害する工程を含む、必要とする対象においてクローン病(CD)の術後再発を予防または治療する方法を提供する。いくつかの実施形態において、対象からの少なくとも1つのサンプルが、既知の対照レベルと比較して上昇したSMAD7レベルを有し、前記既知の対照レベルが、CDのための外科的処置の前もしくは最中に対象から収集されたサンプル中のSMAD7レベルであるか、またはCDを有しない健康な対象から収集されたサンプル中のSMAD7レベルである。
【0023】
別の態様において、本開示は、別の態様において、本開示は、対象のクローン病活動指数(CDAI)スコアが200を超えることを防止する工程、またはCDAIスコアを少なくとも50ポイント低下させる工程を含む、必要とする対象におけるクローン病(CD)の術後再発を予防または治療する方法を提供する。いくつかの実施形態において、この方法は、150を超えるCDAIスコアを防止する工程を含む。いくつかの実施形態において、この方法は、CDAIスコアを少なくとも100ポイント低下させる工程を含む。
【0024】
別の態様において、本開示は、対象からの第1のサンプル中のSMAD7のレベルを決定する工程を含む、必要とする対象におけるクローン病(CD)の術後再発を予測するための方法を提供し、ここで、既知の対照レベルと比較して上昇したSMAD7レベルがCDの再発を予測し、前記既知の対照レベルは、CDの外科的処置の前または最中に対象から収集されたサンプル中のSMAD7レベル、またはCDを有しない健康な対象から収集されたサンプル中のSMAD7レベルである。
【0025】
別の態様において、本開示は、対象からの第1のサンプル中のSMAD7のレベルを決定する工程を含む、クローン病(CD)の術後再発のリスクがある対象を特定する方法を提供し、ここで、既知の対照レベルと比較して高いSMAD7レベルが、対象をCDの再発の危険性があるとして特定し、前記既知の対照レベルは、CDの外科的治療の前または最中に対象から収集されたサンプル中のSMAD7レベル、またはCDを有しない健康な対象から収集されたサンプル中のSMAD7レベルである。
【0026】
いくつかの実施形態において、SMAD7レベルが前記既知の対照レベルに対して上昇している場合、SMAD7 ASOを含む医薬組成物を対象に投与する工程、または、SMAD7レベルが既知の対照レベルと比較して上昇していない場合、対象からの第2のサンプル中のSMAD7のレベルを決定する工程である。
【0027】
いくつかの実施形態において、前記第2のサンプルは、前記第1のサンプルの直後、約1時間後、約3時間後、約6時間後、約12時間後、約1日後、約3日後、約1週間後、約2週間後、約1ヶ月後、約2ヶ月後、約3ヶ月後、約4ヶ月後、約5ヶ月後、約6ヶ月後、約7ヶ月後、約8ヶ月後、約9ヶ月後、約10ヶ月後、約11ヶ月後、または約12ヶ月後に収集される。
【0028】
別の態様において、本開示は、SMAD7 ASOを含む医薬組成物を対象に投与する工程を含む、必要とする対象においてクローン病(CD)の術後再発を予防または治療する方法を提供する。
【0029】
いくつかの実施形態において、前記対象においてSMAD7を阻害する工程が、SMAD7 ASOを含む医薬組成物を対象に投与することを含む。1つの態様において、前記SMAD7 ASOは、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、または約200mgの用量で投与される。いくつかの態様において、前記SMAD7 ASOは、約6時間毎、約12時間毎、約24時間毎、約48時間毎、約72時間毎、毎日、週に1回、週に2回、2週間に1回、または1ヶ月に1回投与される。いくつかの態様において、前記SMAD7 ASOは毎日約160mgの用量で投与される。
【0030】
いくつかの実施形態において、前記SMAD7 ASOは、配列番号1から6のいずれか1つから選択される配列またはその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの態様において、前記SMAD7 ASOは、すべてのヌクレオシド間結合がO,O-結合ホスホロチオエート結合であり、かつXは5-メチル2’-デオキシシチジンである、配列番号1(5’-GTXGCCCCTTCTCCCXGCAGC-3’)による配列を有する。いくつかの態様において、前記医薬組成物は、すべてのヌクレオシド間結合がO,O-結合ホスホロチオエート結合であり、かつXは5-メチル2’-デオキシシチジンである、配列番号1(5’-GTXGCCCCTTCTCCCXGCAGC-3’)による配列を有するSMAD7 ASOの複数のジアステレオマーを含み、前記複数のジアステレオマーが、54.8から55.5ppmの間の1つ以上の共鳴、ならびに第1の主成分1(PC1)スコアおよび第2の主成分2(PC2)スコアを含む31P-NMRスペクトルを有し、ここで、(i)前記PC1スコアが約-0.20を下回るかまたは約0.25を上回り、前記PC2スコアが約0.00を下回り、または(ii)前記PC1スコアが-0.32から0.30の範囲外であり、および/または前記PC2スコアが0.00から0.20の範囲外である。いくつかの態様において、前記31P-NMRスペクトルは、a)約-0.20を下回るPC1スコアおよび約0.00を下回るPC2スコア、b)約0.25を上回るPC1スコアおよび約0.00を下回るPC2スコア、c)約-0.47から約-0.20までのPC1スコアおよび約-0.27から約0.00までのPC2スコア、d)約0.65から約0.9までのPC1スコアおよび約-0.47から約0.00までのPC2スコア、e)PC2スコアが0.00を上回りかつ0.20を下回る場合、-0.32から0.30の範囲外である、PC1スコア、および/またはf)PC1が-0.32を上回りかつ0.30を下回る場合、0.00から0.20の範囲外である、PC2スコアを含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、前記術後再発は、内視鏡的再発、組織学的再発、X線撮影による再発、臨床的再発、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0032】
いくつかの実施形態において、前記対象は少なくとも1つのCDのための外科的処置を受けている。いくつかの実施形態において、前記少なくとも1つの外科的処置は、腸切除、回結腸切除、結腸切除、直腸結腸切除、狭窄形成術、回腸造瘻、肛門瘻切開、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記少なくとも1つの外科的処置は回結腸切除である。
【0033】
いくつかの実施形態において、前記対象は術後再発の徴候を示さない。いくつかの実施形態において、前記対象は術後再発の少なくとも1つの徴候を示す。いくつかの実施形態において、前記対象は内視鏡的再発の少なくとも1つの徴候を示す。いくつかの実施形態において、前記少なくとも1つの徴候は粘膜病変である。
【0034】
いくつかの実施形態において、前記サンプルは粘膜サンプルである。いくつかの実施形態において、前記サンプルは、CDの外科的治療の直後、約1時間後、約3時間後、約6時間後、約12時間後、約1日後、約3日後、1週間後、約2週間後、約1ヶ月後、約2ヶ月後、約3ヶ月後、約4ヶ月後、約5ヶ月後、約6ヶ月後、約7ヶ月後、約8ヶ月後、約9ヶ月後、約10ヶ月後、約11ヶ月後、または約12ヶ月後に採取される。
【0035】
いくつかの実施形態において、前記SMAD7レベルは、SMAD7 mRNAレベルまたはSMAD7タンパク質レベルである。いくつかの実施形態において、前記上昇したSMAD7レベルが、前記既知の対照レベルと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約60%、または少なくとも約80%上昇している。
【0036】
いくつかの実施形態において、前記医薬組成物は経口投与される。いくつかの実施形態において、前記医薬組成物は、CDの外科的処置の直後、約1時間後、約3時間後、約6時間後、約12時間後、約1日後、約3日後、約1週間後、約2週間後、約1ヶ月後、約2ヶ月後、約3ヶ月後、約4ヶ月後、約5ヶ月後、約6ヶ月後、約7ヶ月後、約8ヶ月後、約9ヶ月後、約10ヶ月後、約11ヶ月後、または約12ヶ月後に投与される。
【0037】
別の態様において、本開示は、薬理学的におよび/または臨床的に有効であるSMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の複数のジアステレオマーを含む医薬組成物であって、a)前記複数のジアステレオマーの54.8から55.5ppmの間の1つ以上の共鳴にをついての31P-NMRスペクトルを確認する工程、およびb)前記31P-NMRスペクトルが、主成分分析(PCA)によって決定される、(i)約-0.20を下回るか、もしくは約0.25を上回る第1の主成分1(PC1)スコア、および約-0.00を下回る第2の主成分2(PC2)スコア、または(ii)-0.32から0.30の範囲外のPC1スコアおよび/もしくは0.00から0.20の範囲外のPC2スコアを有することを確認する工程を含む方法によって作製される、医薬組成物を提供する。
【0038】
別の態様において、本開示は、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の複数のジアステレオマーを含む医薬組成物の製造方法を提供し、前記方法は、a)前記複数のジアステレオマーの54.8から55.5ppmの間の1つ以上の共鳴についての31P-NMRスペクトルを確認する工程、およびb)前記31P-NMRスペクトルが、主成分分析(PCA)によって決定される、(i)約-0.20を下回るか、もしくは約0.25を上回る第1の主成分1(PC1)スコア、および約-0.00を下回る第2の主成分2(PC2)スコア、または(ii)-0.32から0.30の範囲外のPC1スコアおよび/もしくは0.00から0.20の範囲外のPC2スコアを有することを確認する工程を含む。
【0039】
いくつかの実施形態において、この方法は、a)PC1スコアが約-0.20を下回りかつPC2スコアが約0.00を下回り、b)PC1スコアが約0.25を上回りかつPC2スコアが約0.00を下回り、c)PC1スコアが約-0.47から約-0.20まででありかつPC2スコアが約-0.27から約0.00であり、d)PC1スコアが約0.65から約0.9まででありかつPC2スコアが約-0.47から約0.00までである、e)PC2スコアが0.00を上回りかつ0.20を下回る場合、PC1スコアが-0.32から0.30の範囲外であり、および/またはf)PC1が-0.32を上回りかつ0.30を下回る場合、PC2スコアが0.00から0.20の範囲外であることを確認する工程を含む。いくつかの実施形態において、この方法は、a)前記31P-NMRスペクトルが54.8から55.5ppmの間に2つ以上の共鳴を有し、b)前記31P-NMRスペクトルは、約54.8ppmに1つ以上の共鳴を有し、c)前記31P-NMRスペクトルは、約54.8ppmに2つ以上の共鳴を有し、d)前記31P-NMRスペクトルは、約54.9ppmに1つ以上の共鳴を有し、e)前記31P-NMRスペクトルは、約54.9ppmに2つ以上の共鳴を有し、f)前記31P-NMRスペクトルは、約55.0ppmに1つ以上の共鳴を有し、g)前記31P-NMRスペクトルは、約55.0ppmに2つ以上の共鳴を有し、h)前記31P-NMRスペクトルは、約55.1ppmに1つ以上の共鳴を有し、i)前記31P-NMRスペクトルは、約55.1ppmに2つ以上の共鳴を有し、j)前記31P-NMRスペクトルは、約55.2ppmに1つ以上の共鳴を有し、k)前記31P-NMRスペクトルは、約55.2ppmに2つ以上の共鳴を有し、l)前記31P-NMRスペクトルは、約55.3ppmに1つ以上の共鳴を有し、m)前記31P-NMRスペクトルは、約55.3ppmに2つ以上の共鳴を有し、n)前記31P-NMRスペクトルは、約55.4ppmに1つ以上の共鳴を有し、o)前記31P-NMRスペクトルは、約55.4ppmに2つ以上の共鳴を有し、p)前記31P-NMRスペクトルは、約55.5ppmに1つ以上の共鳴を有し、q)前記31P-NMRスペクトルは、約55.5ppmに2つ以上の共鳴を有し、および/またはr)前記31P-NMRスペクトルは、54.8から55.5の間に異なる強度の2つ以上の共鳴を有することを確認する工程を含む。
【0040】
別の態様において、本開示は、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の複数のジアステレオマーを含む候補組成物の薬理学的および/または臨床的有効性を予測する方法を提供し、前記方法は、複数のジアステレオマーの31P-NMRスペクトルを主成分分析(PCA)に供して、第1の主成分(PC1)および第2の主成分(PC2)を得る工程を含み、a)約-0.20を下回るかまたは約0.25を上回るPC1スコア、および約0.00を下回るPC2スコアが、薬理学的および/もしくは臨床的有効性を予測し、またはb)-0.32から0.30の範囲外のPC1スコアおよび/もしくは0.00から0.20の範囲外のPC2スコアは、薬理学的および/もしくは臨床的効力を予測する。いくつかの実施形態において、a)約-0.20を下回るPC1スコアおよび約0.00を下回るPC2スコア、b)約0.25を上回るPC1スコアおよび約0.00を下回るPC2スコア、c)約-0.47から約-0.20までのPC1スコアおよび約-0.27から約0.00までのPC2スコア、d)約0.65から約0.9までのPC1スコアおよび約-0.47から約0.00のPC2スコア、e)PC2スコアが0.00を上回りかつ0.20を下回る場合、-0.32から0.30までの範囲外であるPC1スコア、および/またはf)PC1が-0.32を上回りかつ0.30を下回る場合、0.00から0.20の範囲外であるPC2スコアは、薬理学的および/または臨床的効力を予測する。
【0041】
いくつかの実施形態において、前記PCAが、モデリングデータセットを使用して主成分を選択する工程を含む。いくつかの実施形態において、前記モデリングデータセットが、
図5Cから5CCに示される
31P-NMRスペクトルから選択される5、6、7、8、9、10、または27までの
31P-NMRスペクトルを含む。いくつかの実施形態において、前記モデリングデータセットが、
図5C、5L、5X、5H、5P、5I、5M、5T、5S、および5BBに示されるような
31P-NMRスペクトルを含む。いくつかの実施形態において、前記主成分は前記モデリングデータセットの90%を超える分散を占めるように選択される。いくつかの実施形態において、前記
31P-NMRは約14.1Tの溶液中で実施される。いくつかの実施形態において、前記SMAD7 ASOは、配列番号1から6のいずれか1つから選択される配列またはその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態において、前記SMAD7 ASOのヌクレオチド間結合はO,O結合ホスホロチオエートである。いくつかの実施形態において、前記SMAD7 ASOは、配列番号1(5’-GTXGCCCCTTCTCCCXGCAGC-3’)に従う配列を有し、すべてのヌクレオシド間結合はO,O-結合ホスホロチオエート結合であり、Xは5-メチル2’-デオキシシチジンである。
【0042】
いくつかの実施形態において、本明細書に提供されるのは、本明細書に開示される方法に従って製造されたSMAD7 ASO、または本明細書に開示される方法に従って薬理学的および/もしくは臨床的に有効であると予測されるSMAD7 ASOを対象に投与する工程を含む、必要とする対象における炎症性腸疾患を治療する方法である。いくつかの実施形態において、前記炎症性腸疾患はクローン病である。いくつかの実施形態において、前記クローン病は術後クローン病である。
【0043】
本出願に記載される発明のこれらおよび他の態様および利点および他の態様は、以下の図面、詳細な説明、および特許請求の範囲によって例証される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明を理解し、実際にどのように実施できるかを示すために、添付の図面を参照して、非限定的な例としてのみ実施形態を説明する。
【
図1】例示的なSMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の構造を示す図である。
【
図2】
図2A-2Eは、SMAD7ASOの異なるバッチでトランスフェクトされたHCT-116細胞から調製された全細胞溶解物のウェスタンブロット画像を示す。
図2Aは、0.5μg/mlまたは1μg/mlのSMAD7 ASO(配列番号1)バッチT、P、H、A、またはJまたはリポフェクタミン3000単独(陰性対照))でトランスフェクトされたHCT-116細胞から調製された溶解物のSMAD7(上のパネル)およびβ-アクチンローディング対照(下のパネル)でプローブされたウェスタンブロットを示す。
図2Bは、1μg/mlのSMAD7 ASO(配列番号1)バッチE、M、X、B、F、S、C、K、W、U、またはAまたはリポフェクタミン3000単独(陰性対照)でトランスフェクトされたHCT-116細胞から調製された溶解物のSMAD7(上のパネル)およびβ-アクチンローディング対照(下のパネル)でプローブされたウェスタンブロットを示す。
図2Cは、1μg/mlのSMAD7 ASO(配列番号1)バッチI、V、N、O、Y、Z、D、G、Q、L、またはAまたはLipofectamine 3000単独(陰性対照)でトランスフェクトされたHCT-116細胞から調製された溶解物のSMAD7(上のパネル)およびβ-アクチンローディング対照(下のパネル)でプローブされたウェスタンブロットを示す。
図2Dは、1μg/mlのSMAD7 ASO(配列番号1)バッチA、F、O、またはSまたはリポフェクタミン3000単独(陰性対照)でトランスフェクトされたHCT-116細胞から調製された溶解物のSMAD7(上のパネル)およびβ-アクチンローディング対照(下のパネル)でプローブされたウェスタンブロットを示す。
図2Eは、1μg/mlのSMAD7 ASO(配列番号1)バッチAまたはS20またはLipofectamine 3000単独(陰性対照)でトランスフェクトされたHCT-116細胞から調製された溶解物のSMAD7(上のパネル)およびβ-アクチンローディング対照(下のパネル)でプローブされたウェスタンブロットを示す。
【
図3A】リポフェクタミン3000単独で処理した細胞(陰性対照)と比較した、異なるSMAD7 ASO(配列番号1)バッチでのHCT-116細胞のトランスフェクション後のSMAD7タンパク質発現の平均パーセンテージの差を示す棒グラフである。
【
図3B】バッチA(陽性対照)に対するSMAD7 ASO(配列番号1)バッチの平均性能スコアを示す棒グラフである。
【
図3C】リポフェクタミン3000のみで処理した細胞(陰性対照)と比較した、SMAD7 ASO(配列番号1)バッチA、X、K、またはTでトランスフェクトされたHCT-116細胞のSMAD7 mRNA発現のリアルタイムPCR分析を示す棒グラフである。
【
図4A】SMAD7 ASOのさまざまなバッチを受容する患者におけるクローン病活性指数(CDAI)スコアの平均変化を、4週間の毎日の治療の終わりのベースラインと比較して示す棒グラフである。
【
図4B】
図4Aの臨床性能プロットについて患者を治療するために使用されたSMAD7 ASO(配列番号1)バッチの56.5~53.5ppmの領域における14.1Tでの
31P-NMRスペクトルを重ね合わせたものである。
【
図5-1】
図5Aは、SMAD7 ASO(配列番号1)の27の試験バッチ
1H-NMRスペクトルの重ね合わせである。
【
図5-2】
図5Bは、SMAD7 ASO(配列番号1)の27の試験バッチの57~53ppmの領域における14.1Tでの
31P-NMRスペクトルを重ね合わせたものである。
【
図5-3】
図5C、5D、5E、5F、5G、5H、5I、5J、5K、5L、5L、5M、5N、5O、5P、5Q、5R、5S、5T、5U、5V、5W、5X、5Y、5Z、5AA、5BB、および5CCは、それぞれ、56.5~53.5ppmのSMAD7 ASO(配列番号1)のバッチA、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、およびS20の領域における
31P NMRスペクトルである。
【
図5-4】
図5C、5D、5E、5F、5G、5H、5I、5J、5K、5L、5L、5M、5N、5O、5P、5Q、5R、5S、5T、5U、5V、5W、5X、5Y、5Z、5AA、5BB、および5CCは、それぞれ、56.5~53.5ppmのSMAD7 ASO(配列番号1)のバッチA、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、およびS20の領域における
31P NMRスペクトルである。
【
図5-5】
図5C、5D、5E、5F、5G、5H、5I、5J、5K、5L、5L、5M、5N、5O、5P、5Q、5R、5S、5T、5U、5V、5W、5X、5Y、5Z、5AA、5BB、および5CCは、それぞれ、56.5~53.5ppmのSMAD7 ASO(配列番号1)のバッチA、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、およびS20の領域における
31P NMRスペクトルである。
【
図5-6】
図5C、5D、5E、5F、5G、5H、5I、5J、5K、5L、5L、5M、5N、5O、5P、5Q、5R、5S、5T、5U、5V、5W、5X、5Y、5Z、5AA、5BB、および5CCは、それぞれ、56.5~53.5ppmのSMAD7 ASO(配列番号1)のバッチA、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、およびS20の領域における
31P NMRスペクトルである。
【
図5-7】
図5C、5D、5E、5F、5G、5H、5I、5J、5K、5L、5L、5M、5N、5O、5P、5Q、5R、5S、5T、5U、5V、5W、5X、5Y、5Z、5AA、5BB、および5CCは、それぞれ、56.5~53.5ppmのSMAD7 ASO(配列番号1)のバッチA、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、およびS20の領域における
31P NMRスペクトルである。
【
図5-8】
図5DDは、SMAD7 ASO(配列番号1)バッチA(実線)およびバッチY(破線)の56.5~53.5ppmの領域における
31P-NMRスペクトルを重ね合わせたものである。
【
図5-9】
図5EEは、SMAD7 ASO(配列番号1)バッチP(実線)およびT(破線)の56.5~53.5ppmの領域における
31P-NMRスペクトルを重ね合わせたものである。
【
図5-10】
図5FFは、SMAD7 ASO(配列番号1)バッチA、B、およびDの56.5~53.5ppmの領域における
31P-NMRスペクトルを重ね合わせたものであり、これは、
図7Dに提示されているPCAスコアプロットにおける3つの別個の領域におけるバッチを表す。
【
図6】SMAD7 ASOの異なるバッチの可変温度円二色性スペクトルを示す。変曲点は灰色の円で示される。
【
図7-1】
図7Aは、主成分分析(PCA)のトレーニングセットとして使用された、SMAD7 ASOバッチA、F、G、J、K、N、Q、R、V、およびZの57~53ppmの領域における
31P-NMRスペクトルを重ね合わせたものである。
図7Bは、トレーニングセットとして使用された、SMAD7 ASOバッチの
31P-NMRスペクトルで生成されたスクリープロットである。
【
図7-2】
図7Cは、トレーニングセットとして使用されたSMAD7 ASOバッチの
31P-NMRスペクトルの最初の2つの成分を有するPCAスコアプロットである。
図7Dは、
図7Cに示されるように、トレーニングセットを用いて生成されたPCAプロット上に投影された追加のSMAD7 ASOバッチの
31P-NMRスペクトルのPCAスコアプロットである。
【
図8】
図8A-8Cは、術後の内視鏡的再発の証拠がないクローン病(CD)患者(i0)、重度の内視鏡的再発があるクローン病(CD)患者(i4)、および病変が確立されてたクローン病(CD)患者(すなわち、確立されたCD)の終末回腸の代表的な内視鏡画像を示し(
図8A)、および異なる病期のCD患者におけるSMAD7陽性細胞の免疫組織化学染色(
図8Bおよび
図8C)を示す。
図8Cの挿入
図1~3は、より高い倍率の顕微鏡写真を示し、
図8Cの挿入
図4は、対照IgGによる免疫組織化学染色を示す。
【
図9】
図9A-9Cは、内視鏡的再発のないCD患者(i0-i1)、内視鏡的再発のあるCD患者(i2-i4)、確立された病変を有するCD患者(すなわち、確立されたCD)、および対照群の患者の、腸粘膜全体(
図9A)、上皮(
図9B)、および固有層(
図9C)におけるSMAD7陽性細胞の定量化を示す。各患者群について、3つの独立した実験のセクションごとに少なくとも5つの高倍率視野でSMAD7陽性細胞を手動でカウントした。データは、中央値および四分位範囲として表示される。
【
図10】
図10A-10Cは、回結腸手術後6ヶ月のCD患者、回結腸手術後12ヶ月のCD患者、回結腸手術時に確立された病変を有するCD患者、および対照群の患者からの全腸粘膜(
図10A)、上皮(
図10B)、および固有層(
図10C)試料中のSMAD7陽性細胞の定量化を示す。各患者群について、3つの独立した実験のセクションあたり少なくとも5つの高倍率視野においてSMAD7陽性細胞を手動でカウントした。データは、中央値および四分位範囲として表示される。
【
図11】
図11Aおよび
図11Bは、免疫組織化学を介して分析された固有層SMAD7陽性細胞の数と、疾患の異なる段階にあるCD患者においてフローサイトメトリーを介して分析された、IFN-γ-陽性細胞のパーセンテージ(
図11A)およびIL-17A-陽性細胞(
図11B)のパーセンテージとの間の相関関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
詳細な説明
本明細書では、とりわけ、複数のジアステレオマーを含むアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチド)などのオリゴヌクレオチドの組成物、ならびに薬理学的および/または臨床的効力を予測する方法、炎症性腸疾患(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎)などの疾患または障害を治療、予防、および管理するための組成物を選択し、製造し、そして使用する方法を提供する。薬理学的および/または臨床的効力を予測する方法、炎症性腸疾患(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎)などの疾患または障害を治療、予防、および管理するための組成物を選択し、製造し、そして使用する方法は、分光学的プロファイルを取得、比較、評価、および/または特徴付けする方法、および/またはケモメトリック分析を実施することを含む。SMAD7阻害剤(例えば、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチド)を使用して、クローン病(CD)の術後再発を予防または治療する方法もまた、ここで提供される。また、本明細書では、対象におけるCDの術後再発を予測し、CDの術後再発のリスクがある対象を同定する方法も提供される。
【0046】
定義
本明細書で使用される「オリゴヌクレオチド」は、短いDNAまたはRNA分子を指す。オリゴヌクレオチドは、2’-デオキシリボヌクレオチド(オリゴデオキシリボヌクレオチド)で構成することができ、リン酸骨格または2’糖の位置で修飾することができる。いくつかの実施形態では、本開示のオリゴヌクレオチドは、1つ以上のホスホロチオエート(PS)骨格修飾を有し、リン酸骨格中の非架橋酸素原子の1つ以上が硫黄原子で置換されている。いくつかの実施形態では、「ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド」または「PSオリゴヌクレオチド」は、O,O結合ホスホロチオエート結合(すなわち、ホスホロチオエート結合)である少なくとも1つのヌクレオシド間結合を有する。いくつかの実施形態では、PSオリゴヌクレオチドは、O,O結合ホスホロチオエート結合(すなわち、ホスホロチオエート結合)であるすべてのヌクレオシド間結合を有する。
【0047】
本明細書で使用される「アンチセンスオリゴヌクレオチド」(「ASO」)は、標的タンパク質(例えば、SMAD7)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)に相補的な短い合成オリゴヌクレオチド配列を指す。特定の理論に拘束されるものではないが、アンチセンスオリゴヌクレオチド配列は、mRNA分子の相補的領域にハイブリダイズすることができ、それによって、DNA/RNAハイブリッドを分解するRNase Hなどの遍在する触媒酵素の活性化をもたらすことができる二本鎖ハイブリッドを生成することができ、したがって、タンパク質の翻訳を妨げる。理論に縛られることなく、本明細書で提供されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、RNAまたはDNAとしてその標的配列にハイブリダイズすることができる。したがって、たとえDNA配列が標的として提供されたとしても、対応するRNA配列(チミンの代わりにウラシルを含む)がASOとして含まれる。「ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド」または「PS ASO」は、ホスホロチオエート主鎖を有するように改変されたアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0048】
本開示はまた、SMAD7の特異的阻害剤を投与することによって、炎症性腸疾患(例えば、クローン病の術後再発などのクローン病、および潰瘍性大腸炎)を治療する方法を提供する。本明細書で使用される「特異的阻害剤」は、分子標的に対して排他的にまたは高度の選択性で作用することを可能にする構造的および/または機能的特性を有する薬剤を指す。いくつかの実施形態では、SMAD7の特異的阻害剤は、SMAD7の発現および/または生物学的機能を低下させることができるが、他の分子、例えば分子への影響は全くないかまたは限定的である。他のSMADファミリータンパク質。いくつかの実施形態では、SMAD7の特異的阻害剤は、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。
【0049】
本明細書で使用される場合、「デカペンタプレジックホモログ7に対するマザー」(「SMAD7」、CRCS3、FLJ16482、MADH7、MADH8、MAD(デカペンタプレジに対する母親、ショウジョウバエ)ホモログ7、MADホモログ8、SMAD、DPPに対する母親)ホモログ7、DPPホモログ8に対するマザー)は、Entrez GeneID No.4092によって識別される遺伝子およびその対立遺伝子バリアントによってコードされるヒトタンパク質または mRNA 転写産物のいずれかを意味する。
【0050】
本明細書で使用される場合、「SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチド」または「SMAD7 ASO」は、SMAD7遺伝子から転写されたmRNA分子中の核酸配列に相補的な核酸配列を含むオリゴヌクレオチドを指すと理解される。より具体的には、そのようなオリゴヌクレオチドは、そのようなmRNAのコード領域における核酸配列に相補的であり得る。いくつかの実施形態では、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドは、SMAD7遺伝子、そのRNAまたはタンパク質産物、またはその活性または発現がSMAD7またはその産物の活性または発現に独占的または高度な特異性を与える別の分子実体を標的とする固有の機能的特性を有する。いくつかの実施形態では、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドは、細胞(例えば、PBMC、樹状細胞、またはB細胞などの免疫細胞)に導入されると、SMAD7の発現を低下させることができる。いくつかの実施形態では、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドは、遺伝子から転写されたmRNAの発現を低下させることができる。いくつかの実施形態では、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドは、遺伝子によってコードされるタンパク質の発現を低下させることができる。いくつかの実施形態では、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドは、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドが導入された細胞からの遺伝子によってコードされるタンパク質の分泌を減少させることができる。いくつかの実施形態では、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1、2、3、4、5、または6の配列、またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0051】
本明細書で使用される場合、「薬理学的有効性」とは、原薬が所望のまたは意図した治療効果を生み出す能力を指す。したがって、「薬理学的に有効な」原薬は、所望のまたは意図した治療効果を生み出すことができる。本明細書で使用される場合、「臨床効果」とは、対象に投与された場合に、薬物物質が所望のまたは意図する効果を生み出す能力を指す。「治療効果」とは、あらゆる種類の治療後の反応を指し、その結果は有用または好ましいと判断される。原薬の効力の確立は、他の利用可能な原薬と比較して行われることが多く、それと比較されることを理解すべきである。いくつかの実施形態では、原薬の薬理学的および/または臨床的有効性は、疾患または障害(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎)に関連する1つ以上の症状の存在、非存在または程度、組織組織学の分析、生化学的アッセイ、磁気共鳴画像法などの画像化法、または他の既知の方法によって評価され得る。例えば、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドの薬理学的および/または臨床的有効性は、クローン病患者へのSMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与後のクローン病活動指数(CDAI)スコアリングによって評価され得る。タンパク質またはRNAの発現を調べる生化学的アッセイは、薬理学的および/または臨床的有効性を評価するために使用することもできる。有用なバイオマーカーの存在または発現レベルを評価して、疾患または障害の進行を評価し、それによって薬理学的および/または臨床的有効性を評価することもできる。
【0052】
「患者」、「個体」、および「対象」という用語は互換的に使用され、炎症性腸疾患などの疾患または障害を患っている、またはそれらと診断されている任意の動物を指す。クローン病(クローン病の術後再発など)または潰瘍性大腸炎(哺乳類、霊長類、およびヒトを含むがこれらに限定されない)。特定の実施形態では、患者は、例えば、ネコ、イヌ、またはウマなどの非ヒト哺乳動物であり得る。好ましい実施形態では、患者はヒト対象である。いずれの条件も、医療専門家の監督を必要としない。
【0053】
「疾患」、「障害」、および「状態」という用語は、本明細書では交換可能に使用される。
【0054】
「治療すること」は、状態、疾患、障害、症状などの改善をもたらす任意の効果、例えば、軽減、軽減、調節、予防、または排除を含む。疾患状態には以下が含まれる。(1)疾患状態を阻害する、すなわち、疾患状態またはその臨床症状の進行を阻止すること、(2)疾患状態を緩和する、すなわち、疾患状態またはその臨床症状の一時的または永続的な退行を引き起こすこと、(3)病状の症状を軽減または緩和すること、または(4)疾患状態を予防する、例えば、疾患状態にさらされているか、または疾患状態にかかりやすいかもしれないが、まだ疾患状態の症状を経験していない、または示していない対象において、疾患状態の臨床症状が発生しないようにすること。
【0055】
本明細書で使用される場合、「予防すること」または「予防する」は、疾患、状態または障害の症状または合併症の発症を軽減または排除することを表す。「予防する」という用語は、炎症またはクローン病の再発などの状態に関連して使用される場合、当技術分野で認識されており、製剤、組成物、および/またはデバイスが、または、製剤、組成物、および/またはデバイスを受けていない対象と比較して、対象における医学的状態の徴候および/または症状の発症を遅らせる。本開示の方法が障害を予防することを対象とする限り、「予防する」という用語は、病状が完全に阻止されることを必要としないことが理解される。
【0056】
本明細書で使用される場合、「低減する」、または「低減すること」または「低減」などの単語の他の形態は、事象の発生率を低下させること、または特徴(例えば、炎症または病変)を軽減することを指す。これは通常、ある標準値または期待値との関係、つまり相対的なものであることが理解されるが、標準値または相対値を参照する必要は必ずしもない。
【0057】
本明細書で使用される場合、「症状を改善する」、または「症状を改善すること」などの用語の他の形態は、宿主における疾患または障害の1つ以上の症状の緩和を指し、および/または、治療剤の投与前および/または投与後に、疾患または障害に関連する特定の症状を阻害または排除する。
【0058】
本明細書で使用される場合、「管理する」、「管理」、「管理すること」などは、一般に、疾患の重症度または症状の発現を制御すること、または疾患を治療する手段を指す。一般に、管理は、望ましい薬理学的、生理学的、および/または臨床的効果を得るために使用される。効果は、疾患および/または疾患に起因する悪影響を部分的または完全に治癒すること、あるいは疾患の特定の症状もしくは兆候が患者において発生もしくは再発しないこと、または望ましくないもしくは患者の耐え難いレベルを生じないことを保証することによって、治療的であり得る。本明細書で使用される「管理」という用語は、哺乳動物、特にヒトにおける疾患の任意の管理を網羅し、以下を含む。(a)疾患を阻害する、すなわち、疾患の重症度または範囲が増大するのを防ぐこと、(b)疾患を緩和する、すなわち、疾患の部分的または完全な改善を引き起こすこと、または(c)疾患の再発を防止すること、すなわち、疾患の症状の以前の成功した治療または疾患の治療に続いて、疾患が活動状態に戻るのを防止すること。
【0059】
本明細書で使用される「クローン病」(「CD」)という用語は、胃腸管の慢性炎症を引き起こす炎症性腸疾患として、その通常の意味が与えられるものとする。クローン病は消化管のどの部分にも影響を与える可能性があるが、ほとんどの場合、小腸と結腸に影響を与える。クローン病患者では、外科的介入が必要になることがよくある。
【0060】
いくつかの実施形態では、本明細書で使用されるクローン病は、クローン病の術後再発であり得る。クローン病の術後再発は、組織学的所見または内視鏡的所見によって、または臨床症状を伴って現れることがある。「組織学的再発(HR)」は、回腸結腸内視鏡検査中に得られた粘膜生検における組織学的活動の存在であり、手術から1週間以内に観察され得る。内視鏡による評価は、術後の再発を判断し、医学的管理を導く上で貴重なツールである。Rutgeertのスコアリングシステムは、「内視鏡的再発(ER)」の評価に最も広く使用されている。スコアは、吻合に近位の回腸(新末端回腸)を評価することによって評価される。i0は病変の証拠がないことを示す。i1、5以下のアフタ性病変であり、i2は、病変間の正常な粘膜を伴う5つを超えるアフタ性病変、またはより大きな病変の領域をスキップする、または回結腸吻合層に限定された病変に適用され、i3は、びまん性に炎症を起こした粘膜を伴うびまん性アフタ性回腸炎を示し、i4は、より大きな潰瘍、結節、または狭小化を伴うびまん性回腸炎症を示す。「レントゲン再発」とは、造影超音波検査やコンピューター断層撮影(CT)、磁気共鳴(MR)腸溶解検査などのレントゲン検査で症状が現れることである。「臨床的再発」は、例えばCDAI>150またはCDAI>200として、クローン病患者の症状を定量化するために使用されるツールであるクローン病活動指数(CDAI)を使用して定義される。
【0061】
本明細書に記載の方法は、クローン病の術後再発などのクローン病を有する対象を含む。いくつかの実施形態では、対象はクローン病の内視鏡的再発を有する可能性がある。内視鏡による再発の徴候には、病変(粘膜病変など)、アフタ、潰瘍、新末端回腸の内腔の狭窄、膿瘍、瘻孔、関節痛、下痢、胃痛またはけいれん、発熱、血尿、大便、および貧血などがあるが、これらに限定されない。
【0062】
本明細書の説明および特許請求の範囲を通じて、「含む」という言葉、および「含むこと」および「含有する」などの他の形態の言葉は、例えば、その他の添加物、コンポーネント、整数、または工程を含むがこれらに限定されない。
【0063】
「任意の」または「任意に」は、後に記述される事象または状況が発生する可能性があるか不可能であること、および記述が事象または状況が発生する場合と発生しない場合を含むことを意味する。
【0064】
本明細書で使用される「約」または「およそ」という用語は、定量値に関して使用される場合、特に断りのない限り、列挙された定量値自体を含む。本明細書で使用される「約」または「およそ」という用語は、別段の指示または文脈からの推測がない限り、列挙された定量値からの±10%の変動を指す。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することだけを目的としており、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0065】
本開示を通じて使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に指示しない限り、複数の参照を含む。したがって、例えば、「組成物」への言及は、単一の組成物だけでなく、複数のそのような組成物を含み、「治療薬」への言及は、1つ以上の治療薬および/または医薬品および等価物への言及である それらは当業者に知られているなどである。本明細書で使用されるすべてのパーセンテージおよび比率は、別段の指示がない限り、重量によるものである。
【0066】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合は、本明細書が優先される。本開示の実施または試験において、本明細書に記載のものと同様または同等の方法および材料を使用することができるが、適切な方法および材料を以下に記載する。
【0067】
本開示のオリゴヌクレオチド
本明細書では、とりわけ、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の複数のジアステレオマーを含む医薬組成物が提供され、SMAD7 ASOの複数のジアステレオマーは、リン-31核磁気共鳴(31P-(a)54.8から55.5ppmの間の1つ以上の共鳴、(b)第1主成分1(PC1)スコアおよび第2主成分2(PC2)スコアであって、(i)PC1スコアが約-0.20未満または約0.25超であり、PC2スコアが約0.00未満であり、または(ii)PC1スコアが-0.32から0.31の範囲外である、および/またはPC2スコアが0.00から0.20の範囲外である。
【0068】
いくつかの実施形態では、SMAD7ASOは、Xが5-メチル2’-デオキシシチジンである配列番号1(5’-GTXGCCCCTTCTCCCXGCAGC-3’)と少なくとも90%同一の配列を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、配列番号1と少なくとも95%同一の配列を有するSMAD7ASOの複数のジアステレオマー(5’-GTXGCCCCTTCTCCCXGCAGC-3’)を含み、ここで、Xは5-メチル2’-デオキシシチジンである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、配列番号1(5’-GTXGCCCCTTCTCCCXGCAGC-3’)による配列を有するSMAD7 ASOの複数のジアステレオマーを含み、Xは5-メチル2’-デオキシシチジンである。
【0069】
いくつかの実施形態では、SMAD7ASOは、Xが5-メチル2’-デオキシシチジンである配列番号2(5’-GTXGCCCCTTCTCTCXGCAGC-3’)と少なくとも90%同一の配列を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、配列番号2と少なくとも95%同一の配列を有するSMAD7 ASOの複数のジアステレオマーを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、配列を有するSMAD7 ASOの複数のジアステレオマーを含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、SMAD7ASOは、配列番号3と少なくとも90%同一の配列(5’-GTXYCCCCTTCTCCCXYCAG-3’)を有し、Xは、配列番号2を含むヌクレオチドである。XおよびYはメチル化窒素塩基を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、配列番号3と少なくとも95%同一の配列を有するSMAD7ASOの複数のジアステレオマーを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、配列を有するSMAD7 ASOの複数のジアステレオマーを含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、SMAD7 ASOは、Xが5-メチル2-デオキシシチジンである配列番号4(5’-GTXGCCCCTTCTCCCXGCAG-3’)と少なくとも90%同一の配列を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、配列番号4と少なくとも95%同一の配列を有するSMAD7 ASOの複数のジアステレオマーを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、配列を有するSMAD7ASOの複数のジアステレオマーを含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、SMAD7 ASOは、配列番号5と少なくとも90%同一の配列(5’-GTC*GCCCCTTCTCCCC*YCAGC-3’)を有し、ここで、C*はは5-メチル-2’-デオキシシチジンであり、Yはグアニン、5-メチルグアニン、または2’-O-メチルグアニンの窒素含有塩基を含むヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、配列番号5と少なくとも95%同一の配列を有するSMAD7ASOの複数のジアステレオマーを含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、配列を有するSMAD7ASOの複数のジアステレオマーを含む。いくつかの実施形態では、SMAD7ASOは、配列番号6と少なくとも90%同一の配列(5’-GTC*GCCCCTTCTCTCC*YCAGC-3’)を有し、ここで、C*は5-メチル-2’-デオキシシチジンであり、Yはグアニン、5-メチルグアニン、または2’-O-メチルグアニンの窒素含有塩基を含むヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、配列番号6と少なくとも95%同一の配列を有するSMAD7ASOの複数のジアステレオマーを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、配列を有するSMAD7ASOの複数のジアステレオマーを含む。配列番号6による。
【0074】
いくつかの実施形態では、ASOは化学修飾されている。いくつかの実施形態では、ASOは、リン酸骨格中の非架橋酸素原子の1つが硫黄原子で置換されているホスホロチオエート(PS)オリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、ASOは、O,O結合ホスホロチオエート結合(すなわち、ホスホロチオエート結合)である少なくとも1つのヌクレオシド間結合を有する。いくつかの実施形態では、ASOは、O,O結合ホスホロチオエート結合(すなわち、ホスホロチオエート結合)であるすべてのヌクレオシド間結合を有する。
【0075】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される意図される組成物は、薬学的に許容される塩、例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号3、配列番号4、配列番号5、または配列番号6のアンチセンスオリゴヌクレオチドのナトリウム塩を含み得る。これは任意に、1~20個のO,O結合ホスホロチオエートヌクレオシド間結合(すなわち、ホスホロチオエート結合)を含み得る。いくつかの実施形態では、企図されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号1の対イオンを含まない遊離酸形態、塩形態、または陰イオン形態を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドである。ここで、20個のヌクレオシド間結合のそれぞれは、O,O結合ホスホロチオエート結合である。いくつかの実施形態では、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、または配列番号6のホスホロチオエート骨格は、完全にまたは部分的にプロトン化されて、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、または配列番号6の酸性形態を形成する。オリゴヌクレオチドの意図される塩には、それらが含まれる例えば、各ホスホロチオエート結合は、Na+などのイオンと会合している。いくつかの実施形態では、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、または配列番号6のアンチセンスオリゴヌクレオチドの塩は、部分的にのみである。中和された、例えば、すべてのホスホロチオエート結合がイオンと結合しているわけではない(例えば、99%未満、95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20未満%、15%未満、10%未満、5%未満、3%未満、または1%未満が中和される)。オリゴヌクレオチドは、天然に存在する核酸塩基、糖、およびヌクレオシド間(骨格)共有結合、ならびに天然に存在しない部分を含み得る。さまざまな実施形態において、本開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、または配列番号6は、5-メチル-2’-デオキシシチジン5’-一リン酸および5-メチル-2’-デオキシシチジン5’-モノホスホロチオエートを含むがこれらに限定されない、デオキシシチジンおよび/または5-メチル2’-デオキシシチジンを含むヌクレオチドを含むか、または含み得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、配列番号1の複数のジアステレオマーを含む医薬組成物は、50ミリモル超、100ミリモル超、200ミリモル超、300ミリモル超、400ミリモル超、500ミリモル超、600ミリモル超、700ミリモル超、800ミリモル超、900ミリモル超、1モル超、1.5モル超、2モル超、2.5モル超、3モル超、4モル超、または5モル超の配列番号1の複数のジアステレオマーを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、配列番号1の複数のジアステレオマーを2モルより多く含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、4モル未満、3モル未満、2.5モル未満、2モル未満、1.5モル未満、1モル未満、900ミリモル未満、850ミリモル未満、800ミリモル未満、750ミリモル未満、700ミリモル未満、650ミリモル未満、600ミリモル未満、550ミリモル未満、500ミリモル未満、450ミリモル未満、400ミリモル未満、350ミリモル未満、300ミリモル未満、250ミリモル未満、200ミリモル未満、150ミリモル未満、または100ミリモル未満の配列番号1の複数のジアステレオマーを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、100ミリモル超~約5モルのpIを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、100ミリモル超~約2モルの配列番号1の複数のジアステレオマーを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、300ミリモル超~約5モルの配列番号1の複数のジアステレオマーを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、300ミリモル超~約2モルの配列番号1の複数のジアステレオマーを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、900ミリモル超~約5モルの配列番号1の複数のジアステレオマーを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、900ミリモル超~約2モルの配列番号1の複数のジアステレオマーを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、300ミリモル超~約900ミリモルの配列番号1の複数のジアステレオマーを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、300ミリモル超~約5モル、300ミリモル超~約4モル、300ミリモル超~約3モル、300ミリモル超~約2.5モル、300ミリモル超~約2モル、300ミリモル超~約1.5モル、300ミリモル超~約1モル、300ミリモル超~約900ミリモル、300ミリモル超~約800ミリモル、300ミリモル超~約700ミリモル、300ミリモル超~約600ミリモル、300ミリモル超~約500ミリモル、300ミリモル超~約400ミリモル、400ミリモル超~約5モル、400ミリモル超~約4モル、400ミリモル超~約3モル、400ミリモル超~約2.5モル、400ミリモル超~約2モル、400ミリモル超~約1.5モル、400ミリモル超~約1モル、400ミリモル超~約900ミリモル、400ミリモル超~約800ミリモル、400ミリモル超~約700ミリモル、400ミリモル超~約600ミリモル、400ミリモル超~約500ミリモルミリモル、500ミリモル超~約5モル、500ミリモル超~約4モル、500ミリモル超~約3モル、500ミリモル超~約2.5モル、500ミリモル超~約2モル、500超ミリモル~約1.5モル、500ミリモル超~約1モル、500ミリモル超~約900ミリモル、500ミリモル超~約800ミリモル、500ミリモル超~約700ミリモル、500ミリモル超~約600ミリモル、600ミリモル超~約5モル、600ミリモル超~約4モル、600ミリモル超~約3モル、600ミリモル超~約2.5モル、600ミリモル超~約2モル、600ミリモル超~約1.5モル、600ミリモル超~約1モル、600ミリモル超~約900ミリモル、600ミリモル超~約800ミリモル、超600ミリモル超~約700ミリモル、700ミリモル超~約5モル、700ミリモル超~約4モル、700ミリモル超~約3モル、700ミリモル超~約2.5モル、700ミリモル超~約2モル、700ミリモル超~約1.5モル、700ミリモル超~約1モル、700ミリモル超~約900ミリモル、700ミリモル超~約800ミリモル、800ミリモル超~約5モル、800ミリモル超~約4モル、800ミリモル超~約3モル、800ミリモル超~約2.5モル、800ミリモル超~約2モル、800ミリモル超モルから約1.5モルまで、800ミリモル超から約1モルまで、800ミリモル超から約900ミリモルまで、900ミリモル超から約5モルまで、900ミリモル超から約4モルまで、900ミリモル超から約3モルまで、900ミリモル超~約2.5モル、900ミリモル超~約2モル、900ミリモル超~約1.5モル、900ミリモル超~約1モル、1モル超~約5モル、1モル超~約4モル、1モル超~約3モル、1モル超~約2.5モル、1モル超~約2モル、1モル超~約1.5モル、1.5モル超~約5モル、1.5モル超~約4モル、1.5モル超~約3モル、1.5モル超~約2.5モル、1.5モル超~約2モル、2モル超~約5モル、2モル超~約5モル、2モル超~約3モル、2モル超~約2.5モル、2.5モル超~約5モル、2.5モル超~約4モル、2.5モル超~約3モル、3モル超~約5モル、3モル超~約4モル、または4モル超~約5モルの配列番号1の複数のジアステレオマーを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1モル、約900ミリモル、約850ミリモル、約800ミリモル、約750ミリモル、約700ミリモル、約650ミリモル、約600ミリモル、約550ミリモル、約500ミリモル、約450ミリモル、約400ミリモル、約350ミリモル、約300ミリモル、約250ミリモル、約200ミリモル、約150ミリモル、または約100ミリモルの配列番号1の複数のジアステレオマーを含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、本開示のSMAD7を標的とするオリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1)または本明細書に開示される医薬組成物(例えば、配列番号1の複数のジアステレオマーを含む組成物)は、SMAD7発現をダウンレギュレートする。いくつかの実施形態では、SMAD7発現は、SMAD7タンパク質および/またはmRNA発現である。いくつかの実施形態では、SMAD7タンパク質発現は、未処理の細胞と比較して、約10%を超えて、約15%を超えて、約20%を超えて、約25%を超えて、約30%を超えて、約35%を超えて、約40%を超えて、約45%を超えて、約50%を超えて、約55%を超えて、約60%を超えて、または約65%を超えて、細胞内でダウンレギュレートされる。いくつかの実施形態では、SMAD7タンパク質の発現は、未処理の細胞と比較して、約40%を超えて細胞内でダウンレギュレートされる。いくつかの実施形態において、細胞におけるSMAD7タンパク質発現のダウンレギュレーションは、実施例2に記載されるように決定され得る。
【0078】
ジアステレオマーのプロファイル
いくつかの実施形態では、複数のジアステレオマーは、特徴付けられたジアステレオマーのプロファイルを有する。薬理学的および/または臨床的有効性を示す分光プロファイルを有する。いくつかの実施形態では、複数のジアステレオマーは、薬理学的および/または臨床的有効性を示す分光プロファイルを有する。薬理学的および/または臨床的有効性を示す分光プロファイルは、31P-NMRスペクトル、1H-NMRスペクトル、13C-NMRスペクトル、およびVTCDスペクトルのうちの少なくとも1つである。
【0079】
いくつかの実施形態では、薬理学的および/または臨床的有効性を示す分光プロファイルは、31P-NMRスペクトルである。いくつかの実施形態では、31P-NMRは約14.1Tで実施される。いくつかの実施形態では、31P-NMRは溶液中で実施される。
【0080】
いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、54.8~55.8ppmの間に1つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、54.8~55.5ppmの間に1つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、54.8~55.5ppmの間に2つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、54.8~55.5ppmの間に異なる強度の2つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、55.0~55.4ppmの間に1つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、独立して、54.8ppm、54.9ppm、55.0ppm、55.1ppm、55.2ppm、55.3ppm、55.4ppm、および/または55.5ppmで、1つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、約54.8ppmに1つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、約54.9ppmに1つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、約55.0ppmで1つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、約55.1ppmで1つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、約55.2ppmに1つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、約55.3ppmに1つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、約55.4ppmに1つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、約55.5ppmに1つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、独立して、54.8ppm、54.9ppm、55.0ppm、55.1ppm、55.2ppm、55.3ppm、55.4ppm、および/または55.5ppmで、2つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、約54.8ppmで2つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、約54.9ppmで2つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、約55.0ppmで2つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、約55.1ppmで2つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、約55.2ppmで2つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、約55.3ppmで2つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、約55.4ppmで2つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、約55.5ppmで2つ以上の共鳴を有する
【0081】
いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、主成分分析(PCA)に供される場合、約-0.20を下回るかまたは約0.25をを上回る第1主成分1(PC1)スコアおよび約0.00を下回る第2主成分(PC2)スコアを含む。いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、PCAに供される場合、-0.32~0.31の範囲外のPC1スコアおよび/または0.00~0.20の範囲外のPC2スコアを含む。いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、PCAに供される場合、約-0.20を下回るPC1スコアおよび約0.00を下回るPC2スコアを含む。いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、は、PCAを受けた場合、約0.25をを上回るPC1スコアおよび約0.00を下回るPC2スコアを含む。いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、PCAに供される場合、約-0.47~約-0.20のPC1スコアおよび約-0.27~約0.00のPC2スコアを含む。いくつかの実施形態において、31P-NMRスペクトルは、PCAに供される場合、約0.65~約0.9のPC1スコアおよび約-0.47~約0.00のPC2スコアを含む。いくつかの実施形態において、31P-NMRスペクトルは、PCAに供される場合、PC2スコアが0.00を上回り、0.20を下回る場合、-0.32~0.30の範囲外であるPC1スコアを含む。いくつかの実施形態において、31P-NMRスペクトルは、PCAに供される場合、PC1が-0.32より上で0.30より下である場合、0.00~0.20の範囲外であるPC2スコアを含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、PCAは、モデリングデータセットを使用して主成分を選択することを含む。いくつかの実施形態では、モデリングデータセットは、例えば、
図5C-5CCに示される
31P-NMRスペクトルから選択される、5、6、7、8、9、10、または最大27の
31P-NMRスペクトルを含む。いくつかの実施形態では、モデリングデータは、10個の
31P-NMRスペクトル、例えば、
図5C、5L、5X、5H、5P、5I、5M、5T、5S、5BBに示される10個の
31P-NMRスペクトルを含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、主成分は、モデリングデータセットの65%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超、または99%超の分散を占めるように選択される。いくつかの実施形態では、主成分は、モデリングデータセットの90%を超える分散を占めるように選択される。いくつかの実施形態では、PCAは、実施例7に記載されるように実施され得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、薬理学的および/または臨床的有効性を示す分光プロファイルは、1H-NMRスペクトルである。いくつかの実施形態では、薬理学的および/または臨床的有効性を示す分光プロファイルは、13C-NMRスペクトルである。
【0085】
いくつかの実施形態では、薬理学的および/または臨床的有効性を示す分光プロファイルは、少なくともVTCDスペクトルである。いくつかの実施形態では、VTCDスペクトルは、40℃から55℃の間に少なくとも1つの変曲点を有する。いくつかの実施形態では、VTCDスペクトルは、42℃から48℃の間に少なくとも1つの変曲点を有する。いくつかの実施形態では、VTCDスペクトルは、44℃から46℃の間に少なくとも1つの変曲点を有する。一部の実施形態では、VTCDスペクトルは、約45℃に変曲点を有する。
【0086】
本開示の炎症性腸疾患を治療する方法
本明細書では、特定の実施形態において、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1、2、3、4、5、または6のアンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容される塩)の複数のジステレオマーを含む、炎症性腸疾患を治療する際の使用のための医薬組成物が提供され、ここで、複数のジアステレオマーは、a)54.8から55.5ppmの間の1つ以上の共鳴、ならびにb)(i)約-0.20を下回りまたは約0.25を超える第1の主成分1(PC1)スコアおよび約0.00を下回る第2の主成分2(PC2)スコア、または(ii)PC1スコアが-0.32から0.31の範囲外である、および/またはPC2スコアが0.00から0.20の範囲外である。いくつかの実施形態では、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1~6のいずれか1つから選択される配列またはその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドは、すべてのヌクレオシド間結合がO,O結合ホスホロチオエート結合であり、Xが5-メチル2’-デオキシシチジンである配列番号1(5’-GTXGCCCCTTCTCCCXGCAGC-3’)に従う配列を有する。
【0087】
提供される方法のSMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドの複数のジアステレオマーは、薬理学的および/または臨床的有効性を示す分光プロファイルを有する。いくつかの実施形態では、薬理学的および/または臨床的有効性を示す分光プロファイルは、a)54.8から55.5ppmの間の1つ以上の共鳴、ならびに、b)主成分分析によって決定されるような、第1の主成分1(PC1)スコアおよび第2の主成分2(PC2)スコアを含む31P-NMRスペクトルであり、ここで、(i)上記PC1スコアは約-0.20を下回るかまたは約0.25を上回り、かつ上記PC2スコアは約0.00を下回り、または(ii)上記PC1スコアは-0.32から0.30の範囲外であり、および/もしくは上記PC2スコアは0.00から0.20の範囲外である。いくつかの実施形態では、31P-NMRスペクトルは、a)約-0.20を下回るPC1スコアおよび約0.00を下回るPC2スコア、b)約0.25を上回るPC1スコアおよび約0.00を下回るPC2スコア、c)約-0.47~約-0.20のPC1スコアおよび約-0.27~約0.00のPC2スコア、ならびに/またはd)約0.65から約0.9までのPC1スコアおよび約-0.47から約0.00までのPC2スコア、d)PC2スコアが0.00を上回り0.20を下回る場合、PC1スコアが-0.32から0.30の範囲外であり、および/またはf)PC1が-0.32より上でかつ0.30より下の場合、PC2スコアは0.00から0.20の範囲外である。
【0088】
いくつかの実施形態では、薬理学的および/または臨床的有効性を示す分光プロファイルは、
31P-NMRスペクトル、
1H-NMRスペクトル、
13C-NMRスペクトル、およびVTCDスペクトルのうちの少なくとも1つである。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、54.8~55.8ppmの間に1つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、54.8~55.5ppmの間に1つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、54.8~55.5ppmの間に2つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、54.8~55.5ppmの間に異なる強度の2つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、55.0~55.4ppmの間に1つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、独立して、54.8ppm、54.9ppm、55.0ppm、55.1ppm、55.2ppm、55.3ppm、55.4ppm、および/または55.5ppmの1つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、約54.8ppmに1つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、約54.9ppmに1つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、約55.0ppmに1つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、約55.1ppmに1つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、約55.2ppmに1つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、約55.3ppmに1つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、約55.4ppmに1つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、約55.5ppmに1つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、独立して、54.8ppm、54.9ppm、55.0ppm、55.1ppm、55.2ppm、55.3ppm、55.4ppm、および/または55.5ppmで、2つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、約54.8ppmで2つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、約54.9ppmで2つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、約55.0ppmで2つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、約55.1ppmで2つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、約55.2ppmで2つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、約55.3ppmで2つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、約55.4ppmで2つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、約55.5ppmで2つ以上の共鳴を有する。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、PCAを受けた場合、約-0.20を下回るかまたは約0.25を上回るPC1スコアおよび約0.00下回るPC2スコアを含む。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、PCAに供された場合、-0.32~0.31の範囲外のPC1スコアおよび/または0.00~0.20の範囲外のPC2スコアを含む。いくつかの実施形態では、PCAを受けたときの
31P-NMRスペクトルは、約-0.20を下回るPC1スコアおよび約0.00を下回るPC2スコアを含む。いくつかの実施形態では、PCAを受けたときの31P-NMRスペクトルは、約0.25を上回るPC1スコアと約0.00を下回るPC2スコアで構成される。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、PCAに供された場合、約-0.47~約-0.20のPC1スコアおよび約0.27~約0.00のPC2スコアを含む。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、PCAに供された場合、約0.65~約0.9のPC1スコアおよび約0.47~約0.00のPC2スコアを含む。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、PCAに供された場合、PC2スコアが0.00を上回り、0.20を下回る場合、-0.32~0.30の範囲外であるPC1スコアを含む。いくつかの実施形態では、
31P-NMRスペクトルは、PCAに供された場合、PC1が-0.32を上回り0.30を下回る場合、0.00~0.20の範囲外であるPC2スコアを含む。いくつかの実施形態において、PCAは、実施例7に記載されるように実行され得る。いくつかの実施形態において、PCAは、モデリングデータセットを使用して主成分を選択することを含む。いくつかの実施形態では、モデリングデータセットは、例えば、
図5C-5CCに示される
31P-NMRスペクトルから選択される、5、6、7、8、9、10、または最大27の
31P-NMRスペクトルを含む。いくつかの実施形態では、モデリングデータは、10個の31P-NMRスペクトル、例えば、
図5C、5L、5X、5H、5P、5I、5M、5T、5S、および5BBに示される10個の
31P-NMRスペクトルを含む。いくつかの実施形態では、主成分は、65%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超、または99%超のモデリングデータセットの分散を占めるように選択される。いくつかの実施形態では、主成分は、モデリングデータセットの90%を超える分散を占めるように選択される。いくつかの実施形態では、VTCDスペクトルは、40℃から55℃の間に少なくとも1つの変曲点を有する。いくつかの実施形態では、VTCDスペクトルは、42℃から48℃の間に少なくとも1つの変曲点を有する。いくつかの実施形態では、VTCDスペクトルは、44℃から46℃の間に少なくとも1つの変曲点を有する。いくつかの実施形態では、VTCDスペクトルは、約45℃に変曲点を有する。
【0089】
炎症性腸疾患
本明細書に開示されるのは、特定の実施形態において、それを必要とする対象における炎症性腸疾患またはその症状を治療、予防、および/または改善する方法であって、複数のジアステレオマーを含む医薬組成物を対象に投与することを含む方法である。複数のジアステレオマーが、a)54.8から55.5ppmの間の1つ以上の共鳴、b)(i)約-0.20未満または約0.25を超えるPC1スコアおよび約0.00未満のPC2スコア;または(ii)PC1スコアが-0.32から0.31の範囲外である、および/またはPC2スコアが0.00から0.20の範囲外である。いくつかの実施形態では、炎症性腸疾患を治療する方法であって、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドの複数のジアステレオマーを含む医薬組成物を投与することを含む方法が本明細書に提供され、ここで、複数のジアステレオマーは、54.8~55.5ppmの間の1つ以上の共鳴、b)(i)約-0.20未満または約0.25を超えるPC1スコアおよび約0.00未満のPC2スコア;または(ii)PC1スコアが-0.32から0.31の範囲外であり、および/またはPC2スコアが0.00から0.20の範囲外である。
【0090】
いくつかの実施形態では、炎症性腸疾患は、クローン病または潰瘍性大腸炎であり得る。いくつかの実施形態では、炎症性腸疾患はクローン病または潰瘍性大腸炎である。いくつかの実施形態では、炎症性腸疾患はクローン病である。いくつかの実施形態では、炎症性腸疾患は潰瘍性大腸炎である。いくつかの実施形態では、提供される方法は、腹痛、下痢、直腸出血、骨盤領域における重度の内部けいれん/筋肉痙攣、体重減少、貧血を含むがこれらに限定されない、炎症性腸疾患に関連する1つ以上の症状を軽減または緩和する。いくつかの実施形態では、提供される方法は、対象におけるクローン病活動性指数(CDAI)スコアを低下させる。
【0091】
クローン病(CD)の術後再発
本明細書に開示されるのは、特定の実施形態において、それを必要とする対象における術後CDまたはその症状を治療、予防、および/または改善する方法であって、SMAD7の複数のジアステレオマーを含む医薬組成物を対象に投与することを含む方法である。複数のジアステレオマーが、54.8~55.5ppmの間で1つ以上の共鳴、およびb)(i)約-0.20未満または約0.25を超えるPC1スコアおよび約0.00未満のPC2スコア、または(ii)PC1スコアが-0.32から0.31の範囲外である、および/またはPC2スコアが0.00から0.20の範囲外である。
【0092】
SMAD7発現は、術後のCD患者においてアップレギュレートされる可能性がある。いくつかの実施形態では、術後CD患者は、任意の疾患段階、例えば、術後CDの初期段階または術後CDの再発期にあり得る。様々な実施形態において、術後CDの初期段階は、術後CDの再発期前のCDの任意の疾患段階であり得る。いくつかの実施形態では、術後CDの初期段階は、高レベルの炎症性サイトカイン(例えば、Th1サイトカイン)を分泌する免疫細胞の大量浸潤によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、初期段階のCD(例えば、術後CDの初期段階)は、内視鏡による再発が現れる前の段階である。したがって、特定の実施形態では、早期CD患者は、内視鏡再発のない術後CD患者(例えば、i0またはi1のラトゲールツスコア)であり得る。いくつかの実施形態では、全腸粘膜、粘膜上皮および/または固有層におけるSMAD7発現細胞の数は、疾患の後期段階(例えば確立期CD)における細胞の数より多い。本明細書に記載されるように、確立期のCD(例えば、術後CDの再発期)を有する患者は、慢性活動性疾患を有する患者である。いくつかの実施形態では、確立されたフェーズCDを有する患者(例えば、術後CD患者)は、医学的処置に対する応答性が低い可能性がある。いくつかの実施形態では、確立されたフェーズCDを有する患者(例えば、術後CD患者)は、外科的介入から利益を得ることができる。特定の実施形態では、確立期CDは、クローン病活動指数(CDAI)(例えば、CDAI≧150、CDAI≧200、またはCDAI≧250)またはルイススコア(LS)(例えば、LS≧700、LS≧750、またはLS≧790)。
【0093】
術後CD患者におけるアップレギュレートされたSMAD7発現は、CDの術後再発および/または患者がCD再発のリスクにあることを示している可能性がある。いくつかの実施形態では、CDの再発は、内視鏡再発、組織学的再発、X線撮影再発、臨床再発、またはそれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、CDの再発は内視鏡的再発であり得る。いくつかの実施形態では、内視鏡的再発は、病変(例えば、粘膜病変)、アフタ、潰瘍、新末端回腸における管腔の狭小化、膿瘍、瘻孔、関節痛、下痢、胃の痛みまたはけいれん、発熱、血便、貧血、およびそれらの組み合わせである。
【0094】
SMAD7の発現は、SMAD7 mRNAまたはSMAD7タンパク質の発現レベルを測定するための当技術分野で公知の方法によって決定することができる。例えば、SMAD7タンパク質発現レベルは、例えば、免疫組織化学(IHC)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、タンパク質免疫沈降、免疫電気泳動、ウエスタンブロット、タンパク質免疫染色、および分光法(例えば、クロマトグラフィー、質量分析)によって定量化され得る。SMAD7遺伝子発現レベルは、例えば、リアルタイムPCR(定量的PCR、qPCR)、マイクロアレイ、次世代シーケンシング(RNA-Seq)、ノーザンブロッティング、および遺伝子発現の連続分析(SAGE)によって定量化することができる。
【0095】
SMAD7発現がアップレギュレートされているかどうかを決定するために、SMAD7の発現レベルを対照値と比較することができる。いくつかの実施形態では、対照値は、外科的治療前または外科的治療中にCD患者におけるSMAD7の発現レベルを測定することによって決定され得る。いくつかの実施形態では、対照値は、CDのない対象におけるSMAD7の発現レベルを測定することによって決定され得る。いくつかの実施形態では、SMAD7の発現レベルは、既知の対照レベルと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約60%、または少なくとも約80%上昇している。
【0096】
いくつかの実施形態では、SMAD7発現のアップレギュレーションは統計的に有意である。いくつかの実施形態では、CDのない対象のそれと比較した、CD患者の粘膜(例えば、回腸粘膜)におけるSMAD7発現レベルの上昇は、統計的に有意である。CD患者は術後のCD患者であってもよい。いくつかの実施形態において、手術後のCD患者の粘膜(例えば、回腸粘膜)におけるSMAD7発現レベルの上昇は、確立されたCD患者のものと比較して、統計的に有意である。統計的有意性は、スチューデントのT検定やマン・ホイットニーのU検定などの標準的な統計検定を使用して決定できる。
【0097】
いくつかの実施形態では、本開示は、CDの術後再発を予防または治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、SMAD7を阻害することによってCDの術後再発を予防または治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、SMAD7を阻害することは、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物を対象に投与することを含み得る。いくつかの実施形態では、SMAD7 ASOは、配列番号1~6のいずれか1つから選択される核酸塩基配列またはその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1、2、3、4、5、もしくは6のアンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容される塩)の複数のジアステレオマーを含む医薬組成物である。
【0098】
いくつかの実施形態では、医薬組成物を経口投与することができる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、対象者が受けるCDの外科的処置の約2時間後、約1時間後、約3時間後、約6時間後、約12時間後、約1日後、約3日後、約1週間後、約2時間後、数週間後、約1ヶ月後、約2ヶ月後、約3ヶ月後、約4ヶ月後、約5ヶ月後、約6ヶ月後、約7ヶ月後、約8ヶ月後、約9ヶ月後、約10ヶ月後、約11ヶ月後、または約12ヶ月後に投与され得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、本開示は、CDを有する対象におけるCDの術後再発を予測する方法を提供し、対象からの試料中のSMAD7のレベルを決定することを含み、既知の対照レベルと比較した上昇したSMAD7レベルが予測的であるCDの再発について。 CDの術後再発のリスクがある対象を同定する方法であって、対象由来のサンプル中のSMAD7のレベルを決定することを含む方法も本明細書において提供され、ここで、既知の対照レベルと比較して上昇したSMAD7レベルは、その対象を、CDの再発のリスクがあると同定する。いくつかの実施形態では、提供される方法の既知の対照レベルは、外科的治療前または外科的治療中に対象から収集されたサンプル中のSMAD7のレベルである。いくつかの他の実施形態では、既知の対照レベルは、CDのない健康な対象におけるSMAD7のレベルである。いくつかの実施形態では、提供される方法は、SMAD7レベルが既知の対照レベルと比較して上昇している場合、SMAD7 ASOを含む医薬組成物を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、提供される方法は、SMAD7レベルが既知の対照レベルに対して上昇していない場合、対象からの第2のサンプル中のSMAD7のレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態では、提供される方法は、所定の期間(例えば、CDの外科的治療後の約1時間、約3時間、約6時間、約12時間、約1日、約3日、約1週間、約2週間、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、または約12ヶ月)対象におけるSMAD7レベルをモニタリングすることを含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、提供される方法の対象は、CDに対する少なくとも1つの外科的治療を受けていてもよい。いくつかの実施形態では、外科的処置は、腸切除、回結腸切除、結腸切除、直腸結腸切除、狭窄形成術、回腸造瘻術、肛門瘻切開術、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、外科的治療は回結腸切除である。
【0101】
いくつかの実施形態では、提供される方法の対象は、術後再発の徴候を示さない場合がある。いくつかの実施形態では、対象は、術後再発の少なくとも1つの徴候を示す。いくつかの実施形態では、術後再発は、内視鏡再発、組織学的再発、X線撮影再発、臨床再発、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、対象は、内視鏡再発の少なくとも1つの徴候を示す。いくつかの実施形態では、術後再発の徴候は、病変(例えば、粘膜病変)、アフタ、潰瘍、新末端回腸の内腔の狭小化、膿瘍、瘻孔、関節痛、下痢、胃痛からなる群から選択され得る。またはけいれん、発熱、血便、貧血、およびそれらの組み合わせ。いくつかの実施形態では、術後再発の徴候は、粘膜病変などの病変であり得る。
【0102】
いくつかの実施形態では、提供される方法の対象からの少なくとも1つのサンプルは、既知の対照レベルと比較して上昇したSMAD7レベルを有し得る。いくつかの実施形態では、提供される方法の既知の対照レベルは、外科的治療前または外科的治療中に対象から収集されたサンプル中のSMAD7のレベルである。いくつかの他の実施形態では、既知の対照レベルは、CDのない健康な対象におけるSMAD7のレベルである。いくつかの実施形態では、SMAD7レベルは、SMAD7 mRNAレベルまたはSMAD7タンパク質レベルであり得る。いくつかの実施形態では、SMAD7レベルは、既知の対照レベルと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約60%、または少なくとも約80%上昇している。いくつかの実施形態では、提供される方法の対象からのサンプルは、皮膚または粘膜組織サンプルなどの組織サンプルであってもよい。いくつかの実施形態では、サンプルは粘膜組織サンプルであってもよい。いくつかの実施形態では、対象からの組織サンプル(例えば、対象の小腸、大腸、および/または新末端回腸からの組織サンプル)を、細胞の供給源、RNAの供給源、タンパク質、またはサンプル中のSMAD7陽性細胞の量を測定するための薄切片のソース、例えば、免疫組織化学(IHC)またはフローサイトメトリーを使用する。組織サンプルは、内視鏡生検、切除生検、または切開生検などの従来の生検器具および手順を使用して得ることができる。組織サンプルは、細胞選別、RNA抽出、タンパク質抽出、または薄切片の調製に十分な任意の形態であり得る。したがって、組織サンプルは、新鮮であるか、適切な極低温技術によって保存されているか、または非極低温技術によって保存されている可能性がある。臨床生検標本を処理するための例示的な標準プロセスは、組織サンプルをホルマリンで固定し、次にそれをパラフィンに包埋することである。この形態のサンプルは、一般にホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織として知られている。その後の分析のための組織調製の適切な技術は、当業者に周知である。いくつかの実施形態では、対象からの試料は、CDの外科的治療の直後、約1時間後、約3時間後、約6時間後、約12時間後、約1日後、約3日後、約1週間後、約2週間後、約1ヶ月後、約2ヶ月後、約3ヶ月後、約4ヶ月後、約5ヶ月後、約6ヶ月後、約7ヶ月後、約8ヶ月後、約9ヶ月後、約10ヶ月後、約11ヶ月後、または約12ヶ月後に収集され得る。
【0103】
本開示の分光技術
いくつかの実施形態では、本開示は、オリゴヌクレオチドの分光プロファイルを評価することに関する。分光学的プロファイルは、例えば、円二色性(例えば、可変温度円二色性)、蛍光分光法、質量分光法、核磁気共鳴(NMR)分光法(例えば、Phosphorus-31NMR、1H-NMR、13C-NMR)、ラマン分光法、紫外可視分光法、X線光電子分光法。いくつかの実施形態では、本開示は、オリゴヌクレオチドの分光プロファイルを評価することによって、オリゴヌクレオチドのジアステレオマープロファイルを評価する方法を提供する。いくつかの実施形態では、ASOの分光学的プロファイルが取得され、「取得すること」は、分光分析を実行し、31P-NMR、1H-NMR、13C-NMR、およびVTCDのうちの少なくとも1つのデータを取得すること、および/または既に実施された31P-NMR分析、1H-NMR分析、13C-NMR分析、VTCD分析の少なくとも1つの分光データを取得することを指す。本開示はさらに、オリゴヌクレオチドの分光プロファイルを評価することによって、オリゴヌクレオチドの薬理学的有効性を予測する方法を提供する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドの分光プロファイルを評価することにより、薬理学的および/または臨床的に有効なオリゴヌクレオチドを選択する方法が本明細書に提供される。
【0104】
リン-31核磁気共鳴(
31
P-NMR)分光法
31P-NMR分光法は、核磁気共鳴を使用してリン含有分子を研究する一般的な分析化学技術であり、例えばDNAおよびDNA断片の構造および動力学を調査する。31P-NMRは、共鳴範囲が広く、分子内に存在するさまざまなリン原子の化学的環境に関する特定の情報を提供するため、非常に感度が高い場合がある。一次情報(化学環境に関連する個々の31P原子の共鳴)に加えて、各ピークの微細構造は、分子の局所配座に関する情報を提供できる(一結合および三結合結合定数の測定による)。
【0105】
ホスホロチオエート(PS)オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート結合のリン原子に1つ以上のキラルPS中心を有する。そのようなPSオリゴヌクレオチドは、ジアステレオマーの混合物である。例えば、21量体マニホールドであるPSアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、リン原子で220の可能なジアステレオマーを有する。
【0106】
PS ASOを31P-NMR分光法(例えば、溶液31P-NMR分光法)に供される場合、20個のリン原子を有する各ジアステレオマーは、多かれ少なかれ分解された20までの31PNMR線を示すと予想される。各31P原子は同様の化学環境で発見され、共鳴分散は控えめである。しかし、ジアステレオマーの異なる立体化学から生じる二次的効果は、高分解能スペクトルで31P共鳴を調べることによって調べることができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、本開示は、オリゴヌクレオチドの溶液31P-NMRを評価することに関する。いくつかの実施形態では、本開示は、溶液31P-NMR分光法を使用してオリゴヌクレオチドのジアステレオマープロファイルを評価する方法を提供する。
【0108】
いくつかの実施形態では、「共鳴」、「シグナル」、「化学シフト」、「ピーク」、および「成分」は、31P-NMRスペクトルに関して交換可能に使用される。
【0109】
プロトン核磁気共鳴(
1
H-NMR)分光法
1H-NMRは、その分子の構造を決定するために、物質の分子内の水素-1核に関するNMR分光法における核磁気共鳴の適用である。
【0110】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドのPS結合は、オリゴヌクレオチドの全体的な立体化学およびダイナミクスに影響を与え、それによってオリゴヌクレオチドの1H-NMRスペクトルに影響を与える。いくつかの実施形態では、本開示は、1H-NMR分光法を使用してオリゴヌクレオチドのジアステレオマープロファイルを評価する方法を提供する。
【0111】
炭素-13 核磁気共鳴(
13
C-NMR)分光法
13C-NMRは、核磁気共鳴分光法を炭素に応用したものである。13C-NMRは、物質の分子内の水素1原子核に対して自然存在量がわずか1.1%である炭素の13C同位体のみを検出する。13C共鳴は1Hの共鳴と同じ原理に従いますが、共鳴の典型的な範囲は1Hよりもはるかに大きくなる。13C-NMRは、有機分子中の炭素原子の同定を可能にし、立体化学的帰属などの化学構造解明における重要なツールである。
【0112】
いくつかの実施形態では、本開示は、13C-NMR分光法を使用してオリゴヌクレオチドのジアステレオマープロファイルを評価するための方法を提供する。
【0113】
可変温度円二色性
全体的な立体化学において、オリゴヌクレオチドの様々なジアステレオマー混合物は、温度の関数として、異なる円二色性スペクトルを示し得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、可変温度円二色性(VTCD)を使用してオリゴヌクレオチドのジアステレオマープロファイルを評価するための方法が本明細書に提供される。
【0115】
本開示の化学測定法
ケモメトリクスは、数学的および統計的方法または他のデータ主導の手段を使用して、化学システムから情報を抽出する科学である。ケモメトリクスは、化学、生化学、医学、生物学などの問題に対処するために、多変量統計、応用数学、コンピューターサイエンスなどのコアデータ分析分野で頻繁に使用される方法を使用する。
【0116】
分光学的技術は、多量の情報を含むプロファイルを生成し、化学測定法を使用することによって有益に活用することができる。例えば、変形性関節症の分類、診断、および予後に関して、NMRスペクトルへのケモメトリック法の適用が報告されている(WO2002/085195)。
【0117】
いくつかの実施形態では、本開示は、オリゴヌクレオチドの分光プロファイルをケモメトリック分析に供することに関する。いくつかの実施形態では、本開示は、オリゴヌクレオチドのジアステレオマープロファイルを評価し、オリゴヌクレオチドの薬理学的有効性を予測し、および/またはオリゴヌクレオチドの分光学的プロファイルを評価することによって薬理学的および/または臨床的に有効なオリゴヌクレオチドを選択するための化学測定法を提供する。
【0118】
多変量解析は、ケモメトリクスにおける重要な側面である。分光実験からのデータは非常に多変量である。これらのデータの構造は、主成分分析(PCA)や部分最小二乗法(PLS)などの手法を使用するのに役立つことがわかった。PCAは、次の2つの手順のいずれかによって実行される:1)元のデータのデータ共分散(または相関)行列を計算する、または2)共分散行列に対して固有値分解を実行する、または設計行列の特異値分解(SVD)によって実行する。
【0119】
いくつかの実施形態では、本開示は、実施例7に記載されるように、分光プロファイル(例えば、31P-NMRスペクトル)をPCAに供することに関する。
【0120】
多変量キャリブレーション
多くの分光学的問題およびケモメトリクスの応用は、較正を伴う。目的は、スペクトルの測定された特性に基づいて対象の特性を予測するために使用できるモデル(多変量回帰モデルなど)を開発することである。例には、ジアステレオマープロファイルのスペクトル応答を薬理学的および/または臨床的有効性に関連付ける多変量モデルの開発が含まれる。このプロセスには、キャリブレーションまたはトレーニングデータセット(参照分光プロファイル)が必要である。これには、予測のために関心のある分光特性の参照値と、これらの特性に対応する測定属性が含まれる。例えば、オリゴヌクレオチドのジアステレオ異性体の異なる混合物である多くのサンプルから、各サンプルの31P-NMRスペクトルと、そのサンプルの対応する薬理学的および/または臨床的有効性を含むデータを集めることができる。次いで、多変量較正技術、例えば、部分最小二乗回帰および主成分回帰を使用して、スペクトルを薬理学的有効性に関連付ける数学的モデルを構築し、そのようなモデルを使用して、新しいサンプルの薬理学的および/または臨床的有効性を効率的に予測することができる。
【0121】
分類、パターン認識、クラスタリング
監視下多変量分類技法は、将来のサンプルを分類できる数学的モデルを開発するために較正または訓練セットが使用されるという点で、多変量較正技法と密接に関連している。ケモメトリクスで使用される技術は、多変量判別分析、ロジスティック回帰、ニューラルネットワーク、および回帰/分類ツリーを含むがこれらに限定されない他の分野で使用される技術と同様である。これらの従来の分類方法と組み合わせたランク削減手法の使用は、ケモメトリックスでは日常的に行われている。たとえば、主成分または部分最小二乗スコアの判別分析である。
【0122】
いくつかの実施形態では、本開示は、パターン認識をNMR分光法に適用することに関する。利点の1つは、潜在的な干渉の非常に複雑なマトリックスにおける固有の精度に関連している。いくつかの実施形態では、本開示は、スペクトルデータを既知の組成変化と関連付ける手段として多変量回帰モデリング(「MRM」)を使用することに関する。
【0123】
医薬組成物および投与経路
本明細書に記載のSMAD7 ASOなどのオリゴヌクレオチドを含有する医薬組成物は、投与単位形態で提示することができ、任意の適切な方法によって調製することができる。医薬組成物は、その意図する投与経路に適合するように処方されるべきである。有用な製剤は、製薬業界で周知の方法によって調製することができる。たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版を参照(Mack Publishing Company,1990)。
【0124】
医薬製剤は、好ましくは無菌である。滅菌は、例えば、滅菌濾過膜による濾過によって達成することができる。組成物が凍結乾燥される場合、フィルター滅菌は、凍結乾燥および再構成の前または後に行うことができる。
【0125】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドの経口送達に適した組成物(例えば、カプセル、錠剤、カプレット、ピル、トローチ、ロゼンジ、粉末、および顆粒)が本明細書で企図される。配列番号1、2、3、4、5、または6のSMAD7アンチセンスヌクレオチド、またはその薬学的に許容される塩などの意図されるオリゴヌクレオチドは、経口投与され得る。
【0126】
オリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1、2、3、4、5、もしくは6のオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容される塩)の製剤は、経口医薬組成物であり得る。いくつかの実施形態では、経口医薬組成物は、オリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1またはその薬学的に許容される塩)を含む。いくつかの実施形態では、経口医薬組成物は、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1、2、3、4、5、もしくは6のオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容される塩)を含む。
【0127】
オリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1、2、3、4、5、もしくは6のオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容される塩)の薬学的製剤は、錠剤またはカプセルであり得る。
【0128】
オリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1、2、3、4、5、もしくは6のオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容される塩)の錠剤は、ミニタブレットまたはマイクロタブレットとして処方され得る。オリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1、2、3、4、5、もしくは6のオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容される塩)の錠剤は、ミニタブレット、マイクロタブレット、または顆粒を含み得る。オリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1、2、3、4、5、もしくは6のオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容される塩)のカプセルは、ミニタブレット、マイクロタブレット、または顆粒を含み得る。経口医薬組成物は、腸溶性コーティングされていてもよい。特定の実施形態において、オリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1のオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容される塩)の経口医薬組成物(錠剤またはカプセル)は、腸溶性コーティングされているか、または腸溶性コーティングされたマイクロペレット、マイクロタブレット、ミニタブレット、または顆粒化する。特定の実施形態において、オリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1、2、3、4、5、もしくは6のオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容される塩)の経口医薬組成物(錠剤またはカプセル)は、腸溶性コーティングされている。または、腸溶コーティングされたマイクロペレット、マイクロタブレット、ミニタブレット、または顆粒を含む。
【0129】
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1、2、3、4、5、もしくは6のオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容される塩)の経口医薬組成物は、腸溶コーティングされていない。特定の実施形態において、オリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1のオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容される塩)の経口医薬組成物は、腸溶コーティングされていない。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1、2、3、4、5、もしくは6のオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容される塩)の経口医薬組成物は、腸溶コーティングされていない。
【0130】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド(すなわち、オリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1、2、3、4、5、もしくは6のオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容される塩)を含む治療)の組成物は、組成物が化合物を例えば患者の胃腸管に送達できるように、腸溶性コーティング、例えば胃耐性コーティングを含むオリゴヌクレオチド、例えば錠剤の経口送達に適している場合がある。そのような投与は、例えば、対象の胃腸管の患部に直接アンチセンス化合物を実質的に局所適用することにより、局所効果をもたらし得る。そのような投与は、いくつかの実施形態において、アンチセンス化合物の望ましくない全身吸収を実質的に回避し得る。
【0131】
例えば、経口投与のための経口剤形(例えば、錠剤)は、開示されたアンチセンス化合物(例えば、配列番号1、2、3、4、5、もしくは6、またはその薬学的に許容される塩)および薬学的に許容される賦形剤。このような経口剤形、例えば錠剤は、腸溶性コーティングでコーティングすることができる。考えられる経口剤形、例えば錠剤は、増量剤、結合剤、崩壊剤、および/または潤滑剤などの薬学的に許容される賦形剤、ならびに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味料、ウィンターグリーン、オレンジ、キシリトールなどの香料、ソルビトール、フルクトース、マルトデキストリン、香料、防腐剤、および/または抗酸化剤を含み得る。
【0132】
いくつかの実施形態では、医薬製剤の意図される経口剤形は、意図されるアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1、2、3、4、5、または6のアンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容される塩)を含む内顆粒相を含む。および薬学的に許容される充填剤。例えば、オリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1、2、3、4、5、もしくは6のオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容される塩)および充填剤を、場合により他の賦形剤と一緒にブレンドし、形成することができる。顆粒に。いくつかの実施形態において、内顆粒相は、湿式造粒法を使用して形成されてもよく、例えば、液体(例えば、水)が混合されたアンチセンス化合物および充填剤に添加され、次いで、その組み合わせが乾燥され、粉砕され、および/またはふるいにかけられて顆粒が生成される。粒子内相を達成するために、当技術分野の他のプロセスを使用することができる。
【0133】
いくつかの実施形態では、製剤の意図される経口剤形は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含み得、開示された製剤を形成するために内顆粒相とブレンドされ得る、外顆粒相を含む。
【0134】
オリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1、2、3、4、5、もしくは6のオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容される塩)製剤(例えば、経口剤形)は、以下を含む内顆粒相を含み得る。フィラー。充填剤の例としては、セルロース、ゼラチン、リン酸カルシウム、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、微結晶性セルロース、ペクチン、ポリアクリレート、デキストロース、酢酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、部分アルファー化デンプン、炭酸カルシウム、およびその他、それらの組み合わせを含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1、2、3、4、5、もしくは6のオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容される塩)製剤(例えば、経口剤形)は、結合剤を含む内顆粒相および/または外顆粒相は、一般に、医薬製剤の成分を一緒に保持するように機能し得る。結合剤の例としては、デンプン、糖、セルロース、または修飾セルロース、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ラクトース、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、糖アルコール、およびそれらの組み合わせを含むその他が挙げられるが、これらに限定されない。
【0136】
企図されるオリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1、2、3、4、5、もしくは6のオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容される塩)製剤(例えば、経口剤形)、例えば、内顆粒相および/または外顆粒相には、限定されないが、デンプン、セルロース、架橋ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸塩、コーンスターチ、クロスメロースナトリウム、架橋カルボキシメチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、アカシア、およびそれらの組み合わせを含むその他。例えば、内顆粒相および/または外顆粒相は、崩壊剤を含み得る。
【0137】
特定の実施形態では、企図されるオリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1、2、3、4、5、もしくは6のオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容される塩)製剤は、開示されたものを含む内顆粒相を含む。マンニトール、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびデンプングリコール酸ナトリウムまたはそれらの組み合わせから選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび賦形剤、ならびに微結晶性セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムまたはそれらの混合物の1つ以上を含む外顆粒相。
【0138】
特定の実施形態において、企図されるオリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1、2、3、4、5、もしくは6のオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容される塩)製剤は、潤滑剤、例えば、追加の粒状相は潤滑剤を含んでいてもよい。潤滑剤には、タルク、シリカ、脂肪、ステアリン、ステアリン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸金属塩、硬化植物油、コーンスターチ、安息香酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、酢酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸が挙げられるがこれらに限定されない。
【0139】
特定の実施形態において、本開示の薬学的製剤は、腸溶性コーティングを含む。一般に、腸溶性コーティングは、経口薬が消化管に沿って吸収される場所を制御するためのバリアを作成する。腸溶性コーティングには、pH に応じて異なる速度で崩壊するポリマーが含まれる場合がある。腸溶性コーティングには、例えば、セルロースアセテートフタレート、メチルアクリレート-メタクリル酸コポリマー、セルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルメタクリレート-メタクリル酸コポリマー、エチルアクリレート-メタクリル酸コポリマー、メタクリル酸コポリマータイプC、ポリビニルアセテート-フタレート、および酢酸フタル酸セルロースが含まれ得る。
【0140】
特定の実施形態では、腸溶性コーティングは、メタクリル酸、メタクリル/アクリル酸エステルまたはそれらの誘導体に基づくアニオン性、カチオン性、または中性コポリマーを含む。特定の実施形態において、腸溶性コーティングは、エチルアクリレート-メタクリル酸コポリマーを含む。市販の腸溶性コーティングには、Opadry(登録商標)AMB、エチルアクリレート-メタクリル酸コポリマー(例えば、Acryl-EZE(登録商標))、ジメチルアミノエチルメタクリレート-ブチルメタクリレート-メチルメタクリレートコポリマー(2:1:1)、またはポリ(メタクリル酸-co-メチル-メタクリレート)1:1およびポリ(メタクリル酸-co-メチル-メタクリレート)1:2コポリマー(例えば、Eudragit(登録商標))グレードが含まれる。いくつかの実施形態では、腸溶コーティングは、意図される医薬組成物(例えば、錠剤)の重量で約5%から約10%、約5%から約20%、約8から約15%、約8%から約18%、約10%から約12%、または約12%から約16%を構成する。いくつかの実施形態では、腸溶コーティングは、医薬組成物(例えば、錠剤)の約8から約15重量%を構成するエチルアクリレート-メタクリル酸コポリマーを含む。いくつかの実施形態では、腸溶コーティングは、医薬組成物(例えば、錠剤)の約12重量%を構成するエチルアクリレート-メタクリル酸コポリマーを含む。いくつかの実施形態では、腸溶コーティングは、医薬組成物(例えば、錠剤)の約10重量%を構成するエチルアクリレート-メタクリル酸コポリマーを含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、約0.5重量%から約70重量%、例えば、約0.5重量%から約30重量%、約1重量%から約20重量%、または約5重量%から約30重量%のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容される塩を含む錠剤の形態のオリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1、2、3、4、5、もしくは6のアンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容される塩)が提供される。そのような錠剤は、いくつかの実施形態において、約0.5重量%から約60重量%のマンニトール、例えば約20重量%から約50重量%のマンニトール、例えば約40重量%または約28重量%のマンニトール、および/または約20重量%から約40重量%の微結晶セルロース、または約10重量%から約30重量%の微結晶セルロースを含み得る。いくつかの実施形態では、企図される錠剤は、配列番号1、2、3、4、5、もしくは6のオリゴヌクレオチドまたは薬学的に許容されるその塩を約30重量%から約60重量%、約45重量%から約65重量%、または約5重量%から約10重量%、約30重量%から約50重量%、あるいは約5重量%から約15重量%のマンニトール、約5重量%から約15重量% %の微結晶性セルロース、約0%から約4%、または約1%から約7%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、および約0%から約4%、例えば、約2%から約4%のデンプングリコール酸ナトリウム含む内顆粒相を含み得る。いくつかの実施形態では、企図される錠剤は、約5重量%から約10重量%または約10重量%から約30重量%の配列番号1のオリゴヌクレオチド、約20重量%から約50重量%のマンニトール、約10重量%から約30重量%の微結晶性セルロース、約0.5重量%から約10重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、および約0.5重量%から約10重量%のデンプングリコール酸ナトリウムを含むがこれらに限定されない。
【0142】
例示的なオリゴヌクレオチド製剤は、配列番号1、2、3、4、5、もしくは6のオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容される塩の約10mgから約500mgを含むか、またはそれらから本質的になる剤形を含む。例えば、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、または約250mgの配列番号1、2、3、4、5、または6のオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容される塩を含む錠剤が、本明細書で企図される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約50mg、約60mg、約10mgを含む錠剤として処方される。70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、または約250mgの配列番号1のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、配列番号1のオリゴヌクレオチド約40mgを含む錠剤として処方される。本明細書に記載の組成物は、約160mgの配列番号1のオリゴヌクレオチドを含む錠剤として製剤化される。特定の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、約0.5重量%から約30重量%のオリゴヌクレオチド、約20重量%から約50重量%のマンニトール、約10重量%から約30重量%の微結晶性セルロースを含む経口使用のための錠剤として製剤化される。
【0143】
いくつかの実施形態では、約5重量%~約30重量%の配列番号1のオリゴヌクレオチド、20重量%~約50重量%のマンニトール、約10重量%~約30重量%の微結晶セルロース、約0.5重量%~約10重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、および約0.5重量%~約10重量%のデンプングリコール酸ナトリウム、約0.5重量%~約10重量%のステアリン酸マグネシウム、約0.5重量%~約10重量%のOpadry(登録商標)AMB、および約5重量%~約20重量%のAcryl-EZE(登録商標)を含む経口投与用の薬学的に許容される錠剤が提供される。いくつかの実施形態では、約8.5重量%の配列番号1のオリゴヌクレオチド、40重量%のマンニトール、約25重量%の微結晶性セルロース、約5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、約4重量%のデンプングリコール酸ナトリウム、約0.4重量%のステアリン酸マグネシウム、約4重量%のOpadry(登録商標)AMB、および約10重量%から約15重量%のAcryl-EZE(登録商標)を含む経口投与用の薬学的に許容される錠剤が提供される。。いくつかの実施形態では、約23重量%の配列番号1のオリゴヌクレオチド、28重量%のマンニトール、約25重量%の微結晶性セルロース、約5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、約4重量%のデンプングリコール酸ナトリウム、約0.4重量%のステアリン酸マグネシウム、約4重量%のOpadry(登録商標)AMB、および約7重量%から約12重量%のAcryl-EZE(登録商標)を含む経口投与用の薬学的に許容される錠剤が提供される。。いくつかの実施形態において、経口投与のための薬学的に許容される錠剤は、表0-1および表0-2に従って製剤化され得る。
【0144】
【0145】
本開示の例示的な実施形態では、約50重量%の配列番号1、2、3、4、5、もしくは6のオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容される塩、約11.5重量%のマンニトール、約10重量%の微結晶性セルロース、約3重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、および約2.5重量%のデンプングリコール酸ナトリウムを含み得る内顆粒相;ならびに約20重量%の微結晶性セルロース、約2.5重量%のデンプングリコール酸ナトリウム、および約0.5重量%のステアリン酸マグネシウムを含み得る外顆粒相を含む、経口投与のための薬学的に許容される錠剤が提供される。錠剤はまた、腸溶性コーティングを含んでもよい。
【0146】
別の例示的な実施形態では、約5重量%~約10重量%、例えば、約8重量%の配列番号1、2、3、4、5、もしくは6のオリゴヌクレオチド、または薬学的に許容されるその塩(例えば、ナトリウム塩)、約40重量%のマンニトール、約8重量%の微結晶性セルロース、約5%重量のヒドロキシプロピルメチルセルロース、および約2重量%のデンプングリコール酸ナトリウム内顆粒相;ならびに、約17重量%の微結晶性セルロース、約2重量%のデンプングリコール酸ナトリウム、および約0.4重量%のステアリン酸マグネシウムを含み得る外顆粒相を含むか、またはこれらから本質的になる、経口投与のための薬学的に許容される錠剤が提供される。
【0147】
企図される錠剤はまた、腸溶性コーティングを含んでもよく、例えば、開示された錠剤は、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、または約17重量%の腸溶性コーティング、例えば、アクリル酸エチル-メタクリル酸コポリマー(例えば、AcrylEZE(登録商標))を含み得る。
【0148】
例えば、オリゴヌクレオチドは、内顆粒相および外顆粒相を含む経口使用のための薬学的に許容される錠剤の形態であってもよく、例えば、内顆粒相は約5%~約10%重量%(例えば、約8重量%)の配列番号1、2、3、4、5、もしくは6で表されるオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容される塩、約40重量%のマンニトール、約8重量%の微結晶性セルロース、約5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、および約2重量%のデンプングリコール酸ナトリウムを含み、例えば、外顆粒相は、約17重量%の微結晶性セルロース、約2重量%のデンプングリコール酸ナトリウム、および0.4%のステアリン酸ナトリウムを含み、ここで、錠剤はさらに腸溶性コーティングを含んでもよい。
【0149】
企図される製剤、例えば、錠剤は、いくつかの実施形態において、患者に経口投与されると、患者におけるアンチセンスオリゴヌクレオチドの血漿濃度が最小になり得る。別の実施形態において、企図される製剤は、患者に経口投与される場合、患者の回腸末端および/または右結腸、例えば、患者の影響を受けたまたは罹患した腸部位に局所的に送達される。経口投与に適した製剤は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ(例えば、スクロースおよびアカシアまたはトラガカントなどの香味ベースを使用)、粉末、顆粒、または水性もしくは非水性液体中の懸濁液、または水中油もしくは油中水液体エマルジョンとして、またはエリキシルもしくはシロップとして、またはトローチとして(ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアなどの不活性基剤を使用)を、それぞれ所定量の対象組成物を有効成分として含有する。本開示の組成物は、ボーラス、舐剤、またはペーストとして投与することもできる。
【0150】
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドの薬学的経口剤形(例えば、錠剤製剤)は、内顆粒相を含み得、内顆粒相は、配列番号1、2、3、4、5、または6のオリゴヌクレオチドなどのアンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容される塩(例えば、ナトリウム塩)、および薬学的に許容される増量剤、および崩壊剤などの薬学的に許容される賦形剤を含む。外顆粒相は、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、およびそれらの混合物から選択される成分を含み得る。医薬組成物はまた、錠剤の約12重量%~16重量%の腸溶性コーティングを含んでもよい。
【0151】
いくつかの実施形態では、経口使用のための薬学的に許容される錠剤は、約0.5重量%から約10重量%のアンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば、配列番号1、2、3、4、5、または6のオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容される塩、約30重量%~50重量%のマンニトール、約10重量%~30重量%の微結晶性セルロース、およびエチルアクリレート-メタクリル酸コポリマーを含む腸溶性コーティングを含む。
【0152】
いくつかの実施形態では、経口使用のための薬学的に許容される錠剤は、約5重量%から約10重量%のアンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば配列番号1、2、3、4、5、または6のオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容される塩、約40重量%のマンニトール、約8重量%の微結晶性セルロース、約5重量%のヒドロプロピルメチルセルロース、および約2重量%のデンプングリコール酸ナトリウムを含む外顆粒相;約17重量%の微結晶性セルロース、約2重量%のデンプングリコール酸ナトリウム、約0.4重量%のステアリン酸マグネシウム、エチルアクリレート-メタクリル酸コポリマーを含む錠剤上の腸溶性コーティングを含む内顆粒相を含む。
【0153】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約13重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、または約18重量%の腸溶コーティング、例えば、AcyrlEZE(登録商標)(例えば、PCT公開番号WO2010/054826を参照)を含む。
【0154】
コーティングが溶解し、有効成分が放出される速度は、その溶解速度である。一実施形態では、企図される錠剤は、例えば、pH7.2のリン酸緩衝液中、100rpmおよび37℃でUSP/EP Type 2装置(パドル)で試験した場合、約50%~約120分から約240分後、例えば180分後にオリゴヌクレオチドの約100%が放出される。別の実施形態では、企図される錠剤は、例えば、USP/EP Type 2装置(パドル)で100rpmおよび37℃で、pH1.0の希釈HCl中で試験した場合、120分後に放出される、溶解プロファイルを有し得る。企図される錠剤は、別の実施形態では、例えば、USP/EP タイプ 2 装置(パドル)で100rpm、37℃、pH6.6リン酸緩衝液で試験した場合、30分後に約10%から約30%、または約50%以下のオリゴヌクレオチドを放出する溶解プロファイルを有し得る。
【0155】
いくつかの実施形態では、開示された製剤、例えば、錠剤を患者に経口投与すると、患者のオリゴヌクレオチドの血漿濃度が最小になる。いくつかの実施形態では、開示された製剤は、患者に経口投与されると、患者の結腸または直腸、例えば患者の患部または疾患部位に局所的に送達される。
【0156】
投与計画
本開示で提供されるオリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1、2、3、4、5、または6のアンチセンスオリゴヌクレオチド)またはその薬学的に許容される塩の製剤は、炎症性腸疾患(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎)の症状が発症する前および/または後の投与のために、投与され得るか、または適切である。
【0157】
本開示の製剤(例えば、配列番号1、2、3、4、5、もしくは6、またはその薬学的に許容される塩を含む)は、約6時間ごと、12時間ごと、約24時間ごと、約48時間ごと、約72時間ごと、毎日、週に2回、2週間に1回、または月に1回投与され得るか、または投与に適している。
【0158】
投与頻度は、投与経路、投与量、および治療される疾患などの要因に応じて変化し得る。例示的な投薬頻度は、1日1回、1週間に1回、および2週間に1回である。特定の実施形態において、投薬は、1日1回、7日間である。
【0159】
特定の実施形態では、製剤は、約35mg~約500mgのオリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1、2、3、4、5、または6のオリゴヌクレオチド、または薬学的に許容されるその塩)。例えば、約35mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、または約250mgのオリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1、2、3、4、5、または6のオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容される塩)が本明細書で企図される。特定の実施形態では、製剤は、配列番号1、2、3、4、5、または6のオリゴヌクレオチドなどの約40mg、約80mg、または約160mgのオリゴヌクレオチドを含むことができる。製剤は、配列番号1、2、3、4、5、または6のオリゴヌクレオチドなどのオリゴヌクレオチドを少なくとも約100μg含んでもよい。例えば、製剤は、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約1mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、または約25mgのオリゴヌクレオチド、例えば配列番号1、2、3、4、5、または6のオリゴヌクレオチドを含んでもよい。
【0160】
投与される量は、疾患の種類および程度、または治療される徴候、患者の全体的な健康状態および体格、オリゴヌクレオチドのインビボ効力、薬学的製剤、ならびに投与経路などの変数に依存する。.所望の血中レベルまたは組織レベルを迅速に達成するために、上限レベルを超えて初期投与量を増加させることができる。あるいは、初期投与量は最適量よりも少なくすることができ、投与量は治療の過程で徐々に増加させることができる。ヒトへの投与量は、例えば、40mgから160mgまで実行するように設計された従来の第I相用量漸増試験で最適化できる。
【0161】
いくつかの実施形態では、炎症性腸疾患、例えばクローン病または潰瘍性大腸炎を有する患者に、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば配列番号1のSMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドの初期用量を投与する。本明細書で使用される「初期用量」は、炎症性腸疾患、例えばクローン病または潰瘍性大腸炎を有する患者に一連の用量で投与されるSMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドの用量を指す。一連の用量は、1回以上の用量を含み得る。例えば、一連の用量は、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドの単回用量、またはSMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドの単回用量を超える用量を含み得る。初期用量は、患者に投与されるその後の用量の前に患者に投与されるSMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドの用量であり得る。例えば、初期用量は、治療を受けていない患者に投与されるSMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドの最初の用量であり得るが、これに限定されない。初期用量はまた、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドの任意の治療サイクルにおける最初の用量であってもよい。例えば、初期用量は、第1の治療サイクル、第2の治療サイクル、または任意のその後の治療サイクルの最初の用量であり得る。
【0162】
いくつかの実施形態では、炎症性腸疾患、例えばクローン病または潰瘍性大腸炎を有する患者に、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば配列番号1のSMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドの後続用量を投与することができる。「その後の用量」とは、炎症性腸疾患、例えばクローン病または潰瘍性大腸炎を有する患者に、以前の用量、例えば初回用量の投与後に投与されるSMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドの用量を指す。したがって、その後の用量は、2回以上の用量を含む一連の用量で、例えばクローン病または潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患を有する患者に投与され得る。さらに、場合によっては、その後の用量が以前の用量より多い、等しい、または少ないように、初回用量または以前の用量に対して、その後の用量の量を較正することができる。後続用量は、炎症性腸疾患、例えばクローン病または潰瘍性大腸炎を有する患者に投与される、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドの初回用量、例えば初回用量の後に投与される用量であり得る。後続の用量はまた、炎症性腸疾患、例えばクローン病または潰瘍性大腸炎を有する患者に投与されるSMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドの前の用量の後に投与される用量、例えば、同じラウンドの前の用量の後に投与される用量であってもよい。治療または別のラウンドの治療、たとえば前のラウンドの治療。後続用量は、任意の先行用量に関する後続用量、例えば、後続用量の直前の先行用量、または後続用量の投与の前に投与される1つ以上の用量が続く先行用量であり得る。
【0163】
いくつかの実施形態では、炎症性腸疾患、例えばクローン病を有する患者は、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば、配列番号1、2、3、4、5、もしくは6のSMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容される塩を投与した後のクローン病活動指数(CDAI)の少なくとも約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、またはさらには約50%以上の減少を、例えば、1日後、2日後、1週間後、1ヶ月後、または6ヶ月後、またはそれ以上有する。SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与は、例えば、少なくとも毎日であり得る。SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与の結果としての、患者における炎症性腸疾患、例えばクローン病または潰瘍性大腸炎の臨床症状の遅延は、SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドを投与されていない患者と比較して、少なくとも、例えば、6ヶ月、1年、18ヶ月、またはさらに2年以上であり得る。
【0164】
本開示の組成物または製剤または方法は、最初の治療に抵抗性がある対象へのオリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1、2、3、4、5、または6のオリゴヌクレオチド)またはその薬学的に許容される塩の投与を提供する。
【0165】
いくつかの実施形態では、最初の治療に抵抗性の対象は、最初の治療と同時にまたはその後、オリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1、2、3、4、5、または6のアンチセンスオリゴヌクレオチド)または薬学的に許容される塩で治療される。
【0166】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、本明細書で開示される疾患および障害(例えば、クローン病または潰瘍性大腸炎)の治療を対象とする少なくとも1つの他の薬剤を投与することをさらに含み得る。特定の実施形態では、企図される他の薬剤を同時投与することができる(例えば、順次にまたは同時に)。
【0167】
考えられる薬剤には、グルココルチコイド、細胞増殖抑制剤、抗体、イムノフィリンに作用する薬剤、インターフェロン、オピオイド、TNF結合タンパク質、ミコフェノール酸、および小さな生物学的薬剤を含む免疫抑制剤が含まれる。例えば、考えられる免疫抑制剤には、タクロリムス、シクロスポリン、ピメクロリムス、シロリムス、エベロリムス、ミコフェノール酸、フィンゴリモド、デキサメタゾン、フルダラビン、シクロホスファミド、メトトレキセート、アザチオプリン、レフルノミド、テリフルノミド、アナキンラ、抗胸腺細胞グロブリン、抗リンパ球グロブリン、ムロモナブ-CD3、アフツズマブ、リツキシマブ、テプリズマブ、エファリズマブ、ダクリズマブ、バシリキシマブ、アダリムマブ、インフリキシマブ、およびエタネルセプトが挙げられるがこれらに限定されない。
【0168】
いくつかの実施形態では、他の意図される薬剤は、Toll様受容体(TLR)調節因子またはTLR経路調節因子であり得る。いくつかの実施形態では、TLR調節因子は、TLR3、TLR7、TLR8、および/またはTLR9の活性を調節し得る。いくつかの実施形態では、TLR経路モジュレーターは、C-Cモチーフケモカイン受容体7(CCR7)、分化クラスター(CD)80、CD83、CD86、CD69、上皮成長因子受容体(EGFR)、糖タンパク質A反復優勢(GARP)、インターロイキン(IL)-1-β、IL-2、IL-10Rα、IL-18、IL-23p19、マクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ(MIP-1α)、ホスホヒストンH3、ホスホp38マイトジェン活性化プロテインMAPキナーゼ、ホスホゼータ鎖関連プロテインキナーゼ70(ホスホZAP70)、核因子カッパBリガンドの受容体活性化因子(RANKL)、SLAMファミリーメンバー(SLAMF7)、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、およびウロキナーゼ受容体(uPAR)。例示的なTLRモジュレータには、BL-7040(ODN7040)、CYT003、CYT003-QbG10、AZD1419、DIMS0150(ODN150)、E6446、CpG ODN2088、IMO-8400、IMO-3100、CL075、VTX-2337、ODN2006、およびナルトレキソンが挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、TLR調節因子またはTLR経路調節因子はアゴニストであり得る。いくつかの他の実施形態では、TLR調節因子またはTLR経路調節因子はアンタゴニストであり得る。
【実施例】
【0169】
本開示は、以下の実施例によってさらに説明される。例は、例示のみを目的として提供されており、本開示の範囲または内容を決して限定するものと解釈されるべきではない。
【0170】
実施例1:SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドの調製
SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)(配列番号1)の27バッチ(バッチA~ZおよびS20)を、異なるスケールおよび異なる条件下で、固相非キラリティー制御合成プロトコルに従って製造した。
【0171】
非キラリティー制御合成から得られるSMAD7 ASOの各バッチは、最大220(すなわち、1,048,576)の可能な異なるジアステレオマーの未知の個々のレベルを有するジアステレオマーの混合物である。
【0172】
実施例2:SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドジアステレオマー混合物のインビトロ活性
異なるジアステレオマープロファイルを有するSMAD7 ASOのインビトロ薬理学的活性を評価するために、SMAD7 ASOの異なるバッチ(バッチA~Q、S~Z、およびS20)がSMAD7発現をダウンレギュレートする能力を、HCT-116細胞株において調べた。
【0173】
粉末形態のSMAD7 ASOバッチをリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)に溶解し、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して濃度を決定した。
【0174】
ヒト結腸直腸癌細胞系HCT-116(American Type Culture Collection、ATCC)を、10%ウシ胎仔血清(FBS)(Euroclone)および1%ペニシリン/ストレプトマイシン(P/S)(Lonza)を補充したMcCoy’s 5A(Lonza)中で、37℃、5% CO2、完全加湿インキュベーター内にて維持した。
【0175】
単一細胞懸濁液を2×105細胞/mL/ウェルで6ウェル培養皿に播種し、一晩接着させた。翌日、細胞をPBS(Lonza)で2回洗浄し、次に、製造元の指示に従って、Opti-MEMIトランスフェクション培地およびリポフェクタミン(Lipofectamine)3000試薬(Life Technologies)を使用して。試験項目であるSMAD7 ASOバッチA-Q、S-Z、およびS20)をPBS中0.5または1μg/mLでトランスフェクトした。次に、トランスフェクトされた細胞をPBSで洗浄し、10%FBSよび抗生物質を補充したMcCoy’s5Aを用いて培養した。バッチAでトランスフェクトされた細胞を参照(陽性対照)として使用した。トランスフェクトされていないが、トランスフェクション培地とリポフェクタミン3000で処理された細胞を陰性対照として使用した。
【0176】
24時間後、次いで細胞をPBSで洗浄し、以下の溶解緩衝液を使用して全タンパク質を抽出した:10mmol/L HEPES、1mmol/LEDTA、60mmol/L KCl、0.2%Igepal CA-630、1mmol/L フッ化ナトリウム、10μg/ml アプロチニン、10μg/ml ロイペプチン、1mmol/L DTT、および1mmol/L PMSF(Sigma-Aldrich)。溶解物を10% SDS-PAGEゲルで分離した。次にブロットを、0.5μg/mLの標的タンパク質に対するマウス抗ヒトモノクローナル抗体(R&D Systems)、続いて西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ウサギ抗マウス抗体(1:20000希釈、Dako)とともにインキュベートした。標的タンパク質SMAD7の分析後、各ブロットを剥がし、マウス抗ヒトモノクローナルβ-アクチン抗体(Sigma-Aldrich)とインキュベートして、レーンの負荷が等しいことを確認した。コンピューター支援走査デンシトメトリー(Image Lab Software、Bio-Rad Laboratories)を使用して免疫反応性バンドの強度を分析し、それによってSMAD7/β-アクチンタンパク質レベル比を定量化した。
【0177】
例示的な結果を
図3Aおよび表1に示し、ここでは、試験した各バッチでの細胞のトランスフェクション時のSMAD7/β-アクチン比の変化を、リポフェクタミン(Lipofectamine)3000のみで処理した細胞のSMAD7/β-アクチン比(ネガティブコントロール)と比較している。値は、少なくとも3つの独立した実験の平均±S.E.Mとして表された。一元配置分散分析(ANOVA)とそれに続くDunnettの多重比較検定を使用してデータを分析した。有意性はP値として定義されました(n.s.=有意ではない、**=p≦0.01、***=p≦0.001)。特定の実施形態では、リポフェクタミン3000単独で処理した細胞(陰性対照)と比較したSMAD7タンパク質発現の約40%を超えるダウンレギュレーションは、試験したSMAD7ASOバッチの良好なインビトロ活性を示す。
【0178】
【0179】
試験された各バッチの薬理学的活性は、バッチA(陽性対照)のSMAD7/β-アクチン比に対して正規化された値としてさらに3Bおよび表2に示されている。テストされた各バッチに性能スコアが与えられる。
【0180】
【0181】
特定の実施形態において、-20%以上の性能スコアは、良好なインビトロ活性を示し、-20%から-40%の間の性能スコアは、中程度のインビトロ活性を示し、-40%以下の性能スコアは、インビトロ活性が低いことを示す。
【0182】
【0183】
これらの結果は、SMAD7 ASOの26の異なる試験バッチが、SMAD7タンパク質発現をダウンレギュレートする有意に異なる能力を示すことを示唆している。バッチB、J、O、V、X、およびS20は、良好なインビトロ活性を示す。バッチE、F、H、M、Nは中程度のインビトロ活性を示す。バッチC、D、G、I、K、L、P、Q、S、T、U、W、Y、Zは低いインビトロ活性を有する。
【0184】
バッチA、X、K、およびTについては、SMAD7 mRNA発現に対するそれらの効果を評価するためにリアルタイムPCR(RT-PCR)も行った。トランスフェクション後、細胞を採取し、製造元の指示に従って、Pure LinkmRNAミニキット(Thermo Fisher Scientific)を使用してRNAを抽出した。一定量のRNA(1μg/サンプル)を相補的DNA(cDNA)に逆転写し、iQ SYBR Green Supermix(Bio-Rad Laboratories)および以下のβ-アクチンプライマー:FWD:5’-AAGATGACCCAGATCATGTTTGAGACC-3’;REV:5’-AGCCAGTCCAGACGCAGGAT-3’を使用するRT-PCRによって増幅した。SMAD7RNA発現は、Taqmanアッセイ(Life Technologies)を使用して評価し、ΔΔCtアルゴリズムに基づいてβ-アクチン遺伝子に対して計算した。すべての観察から得られた値は、少なくとも3回の独立した実験の平均±SEMとして表した(
図3C)。一元配置分散分析(ANOVA)とそれに続くダネットの多重比較検定を使用してデータを分析した。有意性はP値<0.05として定義された。これらの結果は、異なるSMAD7ASOバッチがSMAD7mRNA発現を下方制御する異なる能力を示すことを示唆している。
【0185】
実施例3:SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドジアステレオマー混合物の臨床活性
SMAD7 ASOの異なるバッチ(バッチA、H、K、P、およびT、V、X)をクローン病患者において試験し、それらの臨床効果を評価した。
【0186】
臨床研究において、SMAD7ASOは、pH依存メカニズムを介して腸内でSMAD7 ASOを放出するように設計された胃耐性遅延放出錠剤として製剤化された。本明細書中以下ではCT-A、CT-B、CT-E、およびCT-Pと呼ぶ4つの臨床試験で、1日1回160mgの用量でSMAD7 ASO錠剤を投与された患者からの臨床データが得られ、評価された。CT-A、CT-E、およびCT-P研究では、グループ2、3、4、5、または6の患者が合計12週間連続して治療を受けた。CT-B研究では、グループ1の患者は14日間連続して治療を受けた。
【0187】
データ分析のために、患者を以下のようにグループ化した:
グループ1:バッチAから製造された錠剤で治療された患者、
グループ2:バッチXから製造された錠剤で治療された患者、
グループ3:バッチVから製造された錠剤で治療された患者、
グループ4:バッチPおよびバッチTを使用して製造された錠剤で治療された患者、
グループ5:バッチHおよびバッチKを使用して製造された錠剤で治療された患者、ならびに
グループ6:バッチKおよびバッチPを使用して製造された錠剤で治療された患者。
【0188】
クローン病活動性指数(CDAI)の変動を、ベースライン時および治療期間の第4週の終わりに各患者について評価した。第4週とベースラインとの間のCDAIスコアの平均変化(「ΔCDAI」)を各患者群について計算し、
図4Aに示すように報告した。バッチA、X、およびVから製造された錠剤で治療された患者では、臨床反応(CDAIが70ポイント以上低下)が観察され、バッチAおよびXから製造された錠剤で治療された患者では、100ポイントの臨床反応(CDAIが100ポイント以上低下)が示された。割引)。バッチP/T、H/K、およびK/Pを使用して製造された錠剤で治療された患者は、臨床的に有意な改善を示さなかった。結果は、SMAD7 ASOの異なるバッチが異なる薬理効果を示すことを示唆する。
【0189】
実施例4:SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドジアステレオマー混合物の核磁気共鳴分光法
14.1T(溶液中)での高分解能Phosphorus-31核磁気共鳴(31P-NMR)測定(1-Dスペクトルおよび縦緩和測定)を使用して、各リン原子における局所構造をマッピングし、SMAD7 ASOバッチのジアステレオマープロファイルを提供した。
【0190】
バッチA~ZおよびS20に対応するサンプルを分析し、それぞれ2回ずつ分析した。簡単に説明すると、サンプルを約9mg/0.5mLの濃度でD
2Oに溶解し、すぐにAgilent Inova 600MHz分光計(14.1テスラ)で25.0℃で測定して、標準プロトコルに従って
1H-および
31P-NMRスペクトルを得た。
1H-NMR実験では、128個のトランジェントが蓄積された(
図5A)。
31P-NMR実験では、2秒の緩和時間で2000トランジェントが蓄積された。
1H DOSY-NMRスペクトルを評価して、サンプルが低分子(溶媒や添加剤など)または副生成物で汚染されていないことを確認し、したがって、
31P-NMRスペクトルで観察された違いは、サンプルのジアステレオマープロファイルに起因する可能性がある。
31P-NMRスペクトルを
図5B-5FFに示す。各サンプル(つまり、バッチ)の2つの複製試料のスペクトル線形は互いに一致するが、バッチ間の線形にはかなりの違いがある。高解像度
31P-NMRスペクトルの拡大分析(
図5C~5CC)は、異なるサンプルのスペクトルが、信号構造と相対強度の両方に関して54.8~55.5ppmの範囲で線形状(強度、周波数、位相、および線幅)に顕著な違いを有することを明らかにする。単一の種に特徴的なローレンツ線形とは対照的に、54.8~55.5ppmの範囲の共鳴は、多様なジアステレオマーの共存による多数の信号の畳み込みである。一方、
31P-NMRスペクトルの55.5~56ppm領域は、バッチ間でより保存された線形を有するように見えた。
【0191】
これらの観察は、異なるSMAD7 ASOバッチが異なるジアステレオマープロファイルを有し、31P-NMRがSMAD7ASOなどのアンチセンスオリゴヌクレオチドの立体化学をフィンガープリンティングするのに適していることを示している。特に、54.8~55.5ppmの領域は、特定のSMAD7 ASOサンプルのジアステレオマー組成の違いに対して過敏である。
【0192】
実施例5:SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドジアステレオマー混合物の円偏光二色性分光法
円二色性、特に可変温度円二色性(VTCD)を用いて、様々なSMAD7 ASOバッチの全体的な立体化学を評価した。
【0193】
バッチA、J、H、P、およびTに対応する5つのサンプルを分析し、それぞれ2連で分析した。VTCDスペクトルを
図6に示す。バッチAとバッチHは両方とも、約45℃に変曲点がある。バッチJ、P、およびTはすべて、50°C±5℃付近に変曲点がある。バッチHには複数の変曲点がある。バッチAとバッチHのVTCDスペクトルは、互いに異なりますが、他のサンプルと比較して、サンプルの遷移のより複雑なセット(2つの変曲点)をさらに示唆している。
【0194】
実施例6:オリゴヌクレオチドジアステレオマー混合物の分光学的データのケモメトリックモデリング
ケモメトリックモデリングは、オリゴヌクレオチドジアステレオマー混合物(例えば、SMAD7 ASOのジアステレオマー混合物)の分光学的データを薬理学的および/または臨床的効果に関連付けるために使用される。
【0195】
1H-NMR、31P-NMR、およびVTCDスペクトルなどの分光学的データは、特異値分解(SVD)主成分分析(PCA)を使用するパターン認識によって分類される。ベクトルは、共鳴の関数として31P-NMR強度を使用して構築され(各サンプルについて約200データポイント)、その後、濃度に依存しないベクトルを得るために、全積分に正規化される。次いで、異なるオリゴヌクレオチド調製物用のベクターを、例えば55ppm付近の領域、より具体的には54.8~55.5ppmの間の領域など、様々なppmバンドでPCAに供する。類似の31P-NMRスペクトルは、類似の構造多様体に対応する。ベクトルをPCA(例えば、54.8~55.5ppm領域)に供すると、薬理学的有効性と臨床活性の有無に対応できる立体化学的類似性および多様性が明らかになる。
【0196】
実施例7:SMAD7オリゴヌクレオチドジアステレオマー混合物のリン-31核磁気共鳴データの主成分分析
異なるSMAD7 ASOバッチの31P-NMRスペクトルの変動をそれらのジアステレオマープロファイルに定量的に帰属させ、そのような変動を薬理学的/臨床的有効性と関連付けるために、31P-NMRスペクトルを主成分分析(PCA)に供した。
【0197】
簡単に説明すると、バッチA~ZおよびS20(実施例4に記載)に対応するサンプルの
31P-NMRスペクトルをアポダイズし(LB=4Hz)、MestReNovaソフトウェアを使用して位相およびベースラインを補正し、53と57ppmの間で強度を面積にスケーリングすることによって正規化した(積分)。得られたスペクトルデータは、Excelマトリックスとしてエクスポートされた。主成分分析は、Chemometrics Agile Tool(CAT)ソフトウェア(www.gruppochemiometria.it/index.php/software/19-download-the-r-based-chemometric-software)を使用して実行された。バッチA、F、G、J、K、N、Q、R、V、およびZ(
図7A)の
31P-NMRスペクトルを「トレーニングセット」として入力して、保持についての主成分(PC)の数を決定し、そして
図7Bに示されるスクリープロットを生成した。スクリープロットは、最初の2つのPCがデータの分散の90%を説明し、最初の6つのPCが99%を説明することを示す。したがって、最初の2つの成分(PC1およびPC2)は、分析のために保持され、トレーニングセットスペクトルのPCAプロットを構築した(
図7C)。次に、追加の17バッチからのサンプルの
31P-NMRスペクトルを、トレーニングセットスペクトルで生成されたPCAプロットに投影した(
図7D)。
【0198】
31P-NMRスペクトルごとのPCAプロット(
図7D)を各サンプルのインビトロ活性を考慮して分析し(実施例2に記載)、スペクトルを3つのクラスターに分類できることが明らかになった。クラスター1の中心は(0,0)で、実線の楕円で表される。クラスター2の中心は(-0.35、-0.2)であり、点線の楕円で表される。クラスター3は、PC1>0.7の領域にあり、塗りつぶされた長方形で表される。クラスター2および3に含まれるサンプルは、良好なインビトロ活性を示し、クラスター1に含まれるサンプルは、インビトロ活性が低いことを示す。PCAスコアプロット(
図7D)において、それぞれクラスター3、クラスター2、およびクラスター1に入る、3つのバッチA、B、およびDの
31P-NMRスペクトルの重ね合わせを
図5FFに示す。
【0199】
PC1/PC2平面上の
31P-NMRスペクトルの投影、ならびにインビトロ(IV)薬理学および臨床効果(CDAIプロット)の評価により、IV薬理学およびNMRPCスコア対臨床性能の間の相関関係が明らかになった。
図4Aおよび
図4Bに示すように、代表的なバッチA、H、K、P、T、V、およびXは、その
31P-NMRスペクトルを
図4Bに示すが、異なる臨床性能を示した(
図4AのCDAIプロットを参照)。PCAプロットのクラスター3内のバッチA、およびPCAプロットのクラスター2内のバッチVとXは、臨床的に有効であると識別され、PCAプロットのクラスター2内のバッチH、K、P、およびTには、有意な臨床効果はない(実施例3を参照)。
【0200】
実施例8:術後クローン病患者におけるSMAD7発現
実施例8A:患者の選択
患者は、異なる病期のクローン病(CD)試料におけるSMAD7の発現を評価するために選択された。
【0201】
以前に回結腸切除を受けた17人のCD患者が、早期CDサンプルとして研究に含まれた。これらの患者の人口統計学的および臨床的特徴を表3に示す。回腸結腸鏡検査は、患者の新末端回腸(吻合部から10~20cm上)から採取した生検を用いて実施し、6および/または12ヶ月後のCDの内視鏡的再発を評価した。手術(
図12)。回腸結腸内視鏡検査の時点で、患者の82%がメサラミンを投与され、12%がチオプリンを投与されていた。内視鏡的再発は、Rutgeertsスコアに従って等級付けされた。
【0202】
初期CD患者のうちの11人が、回結腸切除の6ヶ月後に回腸結腸内視鏡検査を受けた。11人の患者のうち7人(63.6%)が内視鏡的再発を示し、そのうち4人は臨床的に活動性の疾患(CD活動性指数(CDAI)>150)も有していた。残りの4人(36.4%)には内視鏡的病変はなく、そのうち2例は症状が現れたため、切除後12ヶ月で2回目の内視鏡検査を受けていた。残りの6人の早期CD患者は、腸切除の12ヶ月後に内視鏡検査を受けた。
【0203】
【0204】
確立されたCDサンプルについて、回結腸切除の時点で11人のCD患者(男性8人;年齢の中央値53(21~69)歳、疾患期間の中央値149(36~312)ヶ月)の切除された回腸から粘膜サンプルを収集した。11人の患者全員が回腸末端に限定された病変を有し、治療に反応しにくい慢性活動性疾患のために外科的治療を受けた。手術の時点で、9人の患者はステロイドを使用しており、そのうち2人は同時にアザチオプリンを投与されており、残りの2人の患者は以前に抗TNF-α抗体で治療されていた。
【0205】
対照群として、過敏性腸症候群のために回腸結腸内視鏡検査を受けた5人の患者から回腸生検を採取した。これらの患者には内視鏡的病変は見られず、回腸粘膜は組織学的に正常であった。
【0206】
上記の患者から得られた組織切片は、さらなる使用まで、ホルマリン固定、続いてパラフィン包埋によって保存された。
【0207】
実施例8B:クローン病患者におけるSMAD7発現の評価
免疫組織化学を実施して、異なる病期のCD患者-初期のCD患者(すなわち、内視鏡による再発を伴うまたは伴わない術後CD患者)および確立されたCD患者の回腸粘膜におけるSMAD7の発現を評価した。
【0208】
特に明記しない限り、すべての試薬はSigma-Aldrich(Milan,Italy)から入手した。実施例8Aに記載のホルマリン固定パラフィン包埋切片を脱パラフィンし、キシレンおよびエタノールで脱水した。抗原賦活化は、クエン酸緩衝液(pH6.0)中でマイクロ波で20分間行った。免疫組織化学染色は、ウサギ抗SMAD7一次抗体(orb11386;Biorbyt Ltd,Cambridge,UK)を室温で1時間使用して実施した。製造業者のプロトコールに従って、MACH4 Universal HRP-Polymer(Biocare Medical,Concord,CA,USA)を3,3’-ジアミノベンジジン(DAB)(Dako North America,Carpinteria,CA,USA)色素原および対比染色としてのヘマトキシリンと組み合わせて使用して、免疫反応性細胞を検出した。一次抗体としてアイソタイプIgG抗体(R&D Systems,Minneapolis,MN,USA)を使用して染色した切片を対照として使用した。染色切片をLEICA DMI4000B顕微鏡で調べて、切片の顕微鏡スライドあたり5つの高倍率視野でSMAD7発現細胞をカウントした。
【0209】
GraphPad Prism統計的PCプログラム(GraphPad Software,SanDiego,CA)を用いて統計的差異を評価した。ノンパラメトリックデータは、2つのグループ間の比較にはMann-WhitneyU検定を、多重比較にはKruskal-Wallis検定を使用して分析した。相関の有意性は、スピアマンのノンパラメトリック相関を使用して決定された。0.05未満のP値は、統計的に有意であると見なされた。
【0210】
例示的な結果を
図12および
図13に示す。SMAD7陽性細胞は、免疫組織化学染色下で、対照群よりもCD患者の回腸粘膜においてより明白であった(
図12Bおよび12C)。特に、SMAD7は、上皮細胞と固有層単核細胞(LPMC)の両方の細胞質および核に蓄積した(
図12C)。したがって、SMAD7陽性細胞の数は、早期CD患者(すなわち、内視鏡的再発のない術後CD患者(i0)または内視鏡的再発のある術後CD患者(i4))および確立されたCD患者の新末端回腸から採取されたサンプルにおいて、対照群の患者よりも有意に高かった(
図13)。さらに、SMAD7陽性細胞の数は、腸粘膜全体(
図13A)および上皮区画(
図13B)において、後期CD患者からのサンプルよりも初期CD患者からのサンプルの方が高かった。
【0211】
図14は、2つの異なる時点(すなわち、回結腸切除後6ヶ月および12ヶ月)における術後CD患者の回腸粘膜の分析を提示し、SMAD7発現細胞の数に有意差がないことを示している。
【0212】
データは、CD患者の粘膜におけるSMAD7の発現が、初期の疾患段階、例えば、腸切除後の短期間で増強され、疾患および/または疾患の再発の経過中に高レベルで維持されることを示唆している。結果はさらに、SMAD7のアップレギュレーションがCD再発の適切なマーカーである可能性があり、SMAD7活性の調節(例えば、SMAD7の阻害)がCDの術後再発の予防および/または治療に有益である可能性があることを示唆する。
【0213】
実施例8C:SMAD7発現とサイトカイン発現との相関
SMAD7発現とサイトカイン分泌細胞数との間の相関関係を評価するために、蛍光活性化セルソーティング(FACS)分析を使用した。
【0214】
固有層単核細胞(LPMC)実施例8Aに記載のように選択された患者からのを回腸生検試料および腸切除標本から単離し、10%不活化ウシ胎仔血清(FBS)、ペニシリン(P.)(100U/mL)、およびストレプトマイシン(S)(100μg/mL)(Life Technologies-GibcoCRL,Milan,Italy)を補充したRPMI 1640培地に懸濁した。
【0215】
フローサイトメトリー分析のために、LPMCを96ウェルU底培養皿に播種し、PMA(10ng/mL)、イオノマイシン(1μg/mL)、およびブレフェルジンA(10μg/mL、eBioscience, San Diego,CA)で刺激した。5時間後、細胞を抗CD3-PerCP(1:50希釈;BD Biosciences,SanJose,CA)で染色し、1%ホルムアルデヒドで20分間固定した。続いて、細胞を1%ウシ血清アルブミン(BSA)FACSバッファー中の0.5%サポニンで透過処理し、以下の抗体、
抗IFN-α-PE(1:50希釈、BDBiosciences)、抗IL-17A-APC(1:50希釈、eBioscience)で染色した。適切なアイソタイプが一致した対照(BD Biosciences)がすべての実験に含まれていた。FACSCaliburサイトメーターとCell-QuestProソフトウェアを使用して細胞を分析した。統計的差異は、実施例8Bに記載のように評価した。
【0216】
例示的な結果を
図15に示す。SMAD7発現細胞数とIFN-γ分泌細胞数との間に有意な相関が観察された。SMAD7発現細胞数とIL-17A産生細胞数との間に有意な相関は観察されなかった。
【0217】
同等品
本開示は、その本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化することができる。したがって、前述の実施形態は、本明細書に記載の開示を限定するものではなく、例示と見なされるべきである。本開示の範囲は、前述の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【配列表】
【国際調査報告】