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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-30
(54)【発明の名称】H4アンタゴニスト化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/14 20060101AFI20230523BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20230523BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230523BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20230523BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230523BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20230523BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230523BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20230523BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
C07D403/14 CSP
A61K31/506
A61P1/04
A61P11/06
A61P17/00
A61P17/04
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P29/00
A61P43/00 113
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564280
(86)(22)【出願日】2021-04-22
(85)【翻訳文提出日】2022-12-21
(86)【国際出願番号】 GB2021050971
(87)【国際公開番号】W WO2021214469
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】2005858.2
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514120896
【氏名又は名称】ヘプタレス セラピューティクス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Heptares Therapeutics Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100106080
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 晶子
(72)【発明者】
【氏名】コングリーヴ,マイルズ・スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】フィールドハウス,シャーロット
(72)【発明者】
【氏名】スウェイン,ナイジェル・アラン
(72)【発明者】
【氏名】ピックワース,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ハンナ,ダンカン・ロバート
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063BB02
4C063CC29
4C063DD02
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC42
4C086GA07
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZA68
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZB11
4C086ZB15
4C086ZC42
(57)【要約】
本明細書における開示は、アゼチジニルピリミジン-2-アミン誘導体、ヒスタミンH4受容体アンタゴニストとしてのそれらの使用、及びH4受容体と関連する障害の治療、予防、改善、制御又はリスクの低減におけるそれらの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1-1】
【化1-2】
からなる群から選ばれる化合物又はそれらの塩。
【請求項2】
【化2】
からなる群から選ばれる、請求項1に記載の化合物又はそれらの塩。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の化合物の薬学的に許容可能な塩。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に定義された化合物と薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項5】
医薬に使用するための請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物又は請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
H4受容体活性を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
低hERG活性を示す、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
喘息、慢性掻痒、皮膚炎、関節リウマチ、胃潰瘍形成及び大腸炎を含む炎症性障害の治療に使用するための請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物又は組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、新規化合物及びヒスタミンH4受容体アンタゴニストとしてのそれらの使用に関する。本明細書に記載される化合物は、H4受容体が関与する疾患の治療又は予防に有用でありうる。本願はまた、これらの化合物を含む医薬組成物、ならびにこれらの化合物及び組成物の製造及びH4受容体が関与するような疾患の予防又は治療における使用にも向けられる。
【背景技術】
【0002】
ヒスタミンはマスト細胞で生成される短時間作用型生体アミンで、マスト細胞の細胞質ゾル顆粒中に貯蔵されており、様々な免疫及び非免疫刺激に応答して放出される。マスト細胞からのヒスタミン放出は、従来、紅斑、蕁麻疹、掻痒、頻脈、低血圧、心室細動、気管支けいれん、及び心肺停止を含む過敏性反応を特徴とする軽度から重度の徴候及び症状と関連付けられている。これまでに、好塩基球、神経細胞及びがん細胞を含む多数の更なる供給源が確認されている。ヒスタミンは、広範な生理学的プロセスを調節することに加えて、アレルギー及びアナフィラキシー、喘息及び慢性炎症、自己免疫、心臓血管障害、精神神経障害及び内分泌障害のほか、がんを含む病的状態に関与している。
【0003】
ヒスタミンは、主に、H1~H4と呼ばれる4種類のGタンパク質共役型受容体(GPCRs)への結合を通じてその多面的な作用を発揮する。これらの受容体は様々な細胞タイプで差異的に発現されており、種間でかなりの変動を示す。H2受容体は胃酸分泌を担い;H3受容体はCNSにおけるヒスタミン及びその他の神経修飾物質の放出を制御し;そしてH1受容体は覚醒状態及び炎症反応に関連している。
【0004】
高親和性H4受容体は構成的活性を示し、主として、これらに限定されないが、マスト細胞、単球、樹状細胞、好酸球、好塩基球、好中球、及びT細胞を含む免疫系の細胞上に発現していることが2000年に確認された。この発見によって、急性及び慢性炎症、自己免疫疾患、宿主防衛、及び神経障害痛の治療可能性を有する魅力的な新規薬物標的の見通しが開けた。
【0005】
H4Rはその最も近いH3Rと40%の相同性しか持たず、H2アンタゴニストもH1アンタゴニストも、ヒスタミンが誘導する好酸球走化性の阻害を示さなかった。ヒスタミンは、フォルスコリン誘導性のcAMP応答を百日咳毒素(PTx)感受性方式で阻害することが示されており、H4Rがヘテロ三量体Gαi/oタンパク質を介してシグナル伝達していることが示唆される。異種細胞系(例えばHEK293細胞)におけるH4Rの一過性発現は、H4リガンドのシグナル伝達及び結合を測定して、機能的効力及び受容体親和性の推定値をそれぞれ求めるために広く使用されている方法である。
【0006】
これらの技術を用いたH4Rアンタゴニストの発見と、喘息、慢性掻痒、皮膚炎、関節リウマチ、胃潰瘍形成及び大腸炎を含む様々な動物疾患モデルでのそれらの研究から、H4Rの拮抗(アンタゴニズム)は絶大な抗炎症効果をもたらすことが確認され、この受容体を標的にすることの治療利益が立証された。中等度から重度のアトピー性皮膚炎を患う患者における最初のH4Rアンタゴニストの第2a相臨床試験は既に実施され、H4が患者における創薬可能な標的となることがさらに確認されている。
【0007】
いくつかの公表されたH4Rリガンドがあるにも関わらず、良好な薬物候補品質を有する新規H4Rアンタゴニストの開発が依然として求められている。これらのアンタゴニストは、優れた低nM効力と、H1~H3受容体に対しては完全選択性を備えた親和性を示すべきものである。それらは、炎症性反応の誘導と関連するリスクがあるためアゴニスト活性を決して示すべきでなく、理想的には様々な動物疾患モデルでのPK/PDを裏付けるために種間で類似した薬理学的プロフィールを示すべきである。それらは代謝的に安定で、優れたPKを有し、非毒性であり、かつ広範な安全性パネルプロファイリングにおいて優れたH4特異性を示すべきものである。
【0008】
ヒト・エーテル・ア・ゴー・ゴー関連遺伝子(hERG)は、心室再分極と心電図のQT間隔の決定(QT間隔は心室脱分極と再分極にかかる時間である)に重要な役割を果たす急速活性型遅延整流カリウムチャネル(IKr)のチャネル孔形成サブユニットをコードする。hERGは、広範な構造的に多様な化合物による阻害を非常に受けやすいことが広く認められている。細胞膜を横断して電流を伝導するチャネルの能力が薬物の適用によって阻害されるか又は損なわれると、QT症候群と呼ばれる命に関わる可能性のある障害を招きうる。市場に出回っているいくつかの臨床的に成功した薬物はhERGを阻害する傾向を有しているので、副作用として突然死のリスクを随伴している。このため、hERGの阻害は、薬物開発時に回避されねばならない重要なアンチターゲットとなっている。
【0009】
本発明の化合物はH4受容体のアンタゴニストである。ある特定の化合物は低いhERG阻害を有しており、これらの化合物を特に有益なものにしている。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、H4受容体アンタゴニストとしての活性を有する化合物を提供する。さらに詳しくは、本発明は、H4受容体アンタゴニズムと低hERG活性とを組み合わせた化合物を提供する。
【0011】
そこで、本発明は、式(1)の化合物:
【0012】
【化1】
[式中、
XはCH又はNであり;
nは1又は2であり;
は、H又はC1-3アルキルから選ばれ;
はHであり;そして
Aは、置換されていてもよいピラゾール環を表す]
又はその塩を提供し;
前記化合物は、
【0013】
【化2-1】
【0014】
【化2-2】
又はそれらの塩からなる群から選ばれる。
【0015】
当該化合物はH4受容体アンタゴニストとして使用できる。当該化合物は医薬の製造に使用できる。当該化合物又は医薬は、喘息、慢性掻痒、皮膚炎、関節リウマチ、胃潰瘍形成及び大腸炎を含む炎症性障害の治療、予防、改善、制御、又はリスクの低減に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は新規化合物に関する。本発明はまた、H4受容体のアンタゴニストとしての新規化合物の使用にも関する。本発明はさらに、H4受容体アンタゴニストとして使用するため又はH4系の機能障害を治療するための医薬の製造における新規化合物の使用にも関する。本発明はさらに、選択的H4受容体アンタゴニストである化合物、組成物及び医薬にも関する。
【0017】
本発明はさらに、急性及び慢性炎症、自己免疫疾患、宿主防衛障害、及び神経障害痛の治療に有用な化合物、組成物及び医薬にも関する。本発明はさらに、喘息、慢性掻痒、皮膚炎、関節リウマチ、胃潰瘍形成及び大腸炎を含む炎症性障害の治療に有用な化合物、組成物及び医薬にも関する。
【0018】
本発明の化合物は、式(1)の化合物:
【0019】
【化3】
[式中、
XはCH又はNであり;
nは1又は2であり;
は、H又はC1-3アルキルから選ばれ;
はHであり;そして
Aは、置換されていてもよいピラゾール環を表す]
又はその塩を含み;
前記化合物は、
【0020】
【化4-1】
【0021】
【化4-2】
又はそれらの塩からなる群から選ばれる。
【0022】
本発明の化合物は、式(1a)の化合物:
【0023】
【化5】
[式中、
nは1又は2であり;
は、H又はC1-3アルキルから選ばれ;
はHであり;そして
Aは、置換されていてもよいピラゾール環を表す]
又はその塩を含み;
前記化合物は、
【0024】
【化6-1】
【0025】
【化6-2】
又はそれらの塩からなる群から選ばれる。
【0026】
当該化合物は、
4-(1-(ジフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)-6-(1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(1-(ジフルオロメチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
(R)-4-(5-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)ピロリジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(3-アミノアゼチジン-1-イル)-6-(1-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(3-(エチルアミノ)アゼチジン-1-イル)-6-(1-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(1,4-ジメチル-1H-ピラゾール-3-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(1-(2,2-ジフルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(1-(2-フルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(1-イソプロピル-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(5-メチル-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(1-エチル-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
(R)-4-(1-エチル-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)ピロリジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(5-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(1-(ジフルオロメチル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(4-メチル-5-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(3-メチル-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(3-メチル-1-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(1-エチル-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(1-イソプロピル-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-5-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(3-エチル-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(3-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(1-メチル-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(3,5-ジクロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(3-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(5-ブロモ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(3-ブロモ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)-6-(1-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-アミン;
(R)-4-(3-(メチルアミノ)ピロリジン-1-イル)-6-(1-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-アミン;
(R)-4-(3-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)ピロリジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)-6-(3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(5-エチル-4-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(5-エチル-1H-ピラゾール-3-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
4-(4,5-ジクロロ-1H-ピラゾール-3-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン;
又はそれらの塩からなる群から選ぶことができる。
【0027】
当該化合物は、
【0028】
【化7-1】
【0029】
【化7-2】
又はそれらの塩からなる群から選ぶことができる。
【0030】
当該化合物は、
【0031】
【化8】
又はそれらの塩からなる群から選ぶことができる。
【0032】
化合物の具体例は、低hERG活性を有するものを含む。本発明の化合物は低hERG活性を示すが、これは上記背景の項で概説した理由により特に有益である。本明細書において低hERG活性を示す化合物は、特に4.5以下のhERG pIC50を有する化合物である。
【0033】
定義
本願においては、別段の指示がない限り、下記の定義が適用される。
【0034】
本明細書中に記載の化合物のいずれかの使用に関連する用語“治療”は、問題の疾患又は障害に罹患している、又は罹患するリスクがある、又は潜在的に罹患するリスクがある対象に化合物を投与する何らかの形態の介入を記載するために使用される。従って、用語“治療”は予防的(preventative,prophylactic)治療と、疾患又は障害の測定可能な又は検出可能な症状が呈示されている場合の治療の両方をカバーする。
【0035】
本明細書中で使用されている用語“有効治療量”(例えば、疾患又は状態の治療法との関連で)は、所望の治療効果を生ずるために有効な化合物の量のことを言う。例えば、状態が疼痛の場合、有効治療量は、所望レベルの疼痛緩和を提供するのに足る量である。所望レベルの疼痛緩和は、例えば、疼痛の完全除去又は疼痛の重症度の軽減でありうる。
【0036】
記載されている任意の化合物がキラル中心を有する限り、本発明は、そのような化合物のすべての光学異性体(ラセミ化合物の形態であるか又は分割されたエナンチオマーの形態であるかに関わらず)にまで及ぶ。本明細書中に記載されている発明は、任意の開示化合物のすべての結晶形、溶媒和物及び水和物(製造法を問わず)に関する。本明細書中に開示された任意の化合物がカルボン酸又はアミノ基などの酸又は塩基中心を有する限り、前記化合物のすべての塩形は本発明に包含される。製薬学的用途の場合、その塩は薬学的に許容可能な塩と見なされるべきである。
【0037】
言及されうる塩又は薬学的に許容可能な塩は、酸付加塩及び塩基付加塩を含む。そのような塩は従来手段によって形成できる。例えば、化合物の遊離酸又は遊離塩基形を、1当量又は複数当量の適当な酸又は塩基と、任意に溶媒中、又は塩が不溶性の媒体中で反応させた後、前記溶媒又は前記媒体を標準技術を用いて(例えば、真空下で、凍結乾燥により、又はろ過により)除去することによる。塩は、塩の形態の化合物の対イオンを、例えば適切なイオン交換樹脂を用いて、別の対イオンと交換することによって製造することもできる。
【0038】
薬学的に許容可能な塩の例は、鉱酸及び有機酸から誘導される酸付加塩、及びナトリウム、マグネシウム、カリウム及びカルシウムなどの金属から誘導される塩を含む。
【0039】
酸付加塩の例は、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アリールスルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸及びp-トルエンスルホン酸)、アスコルビン酸(例えばL-アスコルビン酸)、L-アスパラギン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、ブタン酸、(+)樟脳酸、樟脳-スルホン酸、(+)-(1S)-樟脳-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸(例えばD-グルコン酸)、グルクロン酸(例えばD-グルクロン酸)、グルタミン酸(例えばL-グルタミン酸)、α-オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、乳酸(例えば(+)-L-乳酸及び(±)-DL-乳酸)、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸(例えば(-)-L-リンゴ酸)、マロン酸、(±)-DL-マンデル酸、メタリン酸、メタンスルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、L-ピログルタミン酸、サリチル酸、4-アミノ-サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、酒石酸(例えば(+)-L-酒石酸)、チオシアン酸、ウンデシレン酸及び吉草酸と形成される酸付加塩を含む。
【0040】
化合物の任意の溶媒和物及びそれらの塩も包含される。好適な溶媒和物は、本発明の化合物の固体構造(例えば結晶構造)に、非毒性の薬学的に許容可能な溶媒(以下、溶媒和溶媒と呼ぶ)の分子を組み込むことによって形成される溶媒和物である。そのような溶媒の例は、水、アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノール及びブタノール)及びジメチルスルホキシドなどである。溶媒和物は、本発明の化合物を溶媒又は溶媒和溶媒を含有する溶媒の温合物で再結晶化することによって製造できる。溶媒和物が任意の所与の場合に形成されたかどうかは、化合物の結晶を、熱重量分析(TGA)、示差走査熱量測定(DSC)及びX線結晶構造解析などの周知の標準的な技術を用いて分析に付すことによって決定できる。
【0041】
溶媒和物は、化学量論的又は非化学量論的溶媒和物でありうる。特別な溶媒和物は水和物であり得、水和物の例は、半水和物、一水和物及び二水和物を含む。溶媒和物ならびにその製造及び特徴付けに使用される方法のより詳細な解説については、Brynら、Solid-State Chemistry of Drugs、第2版、出版SSCI,Inc,米国ウェストラファイエット、1999、ISBN 0-967-06710-3参照。
【0042】
本発明の文脈において、用語“医薬組成物”は、活性薬を含み、追加的に一つ又は複数の薬学的に許容可能な担体も含む組成物を意味する。組成物はさらに、投与様式及び剤形の性質に応じて、例えば、希釈剤、アジュバント、賦形剤、ビヒクル、保存剤、充填剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、フレーバー剤、芳香剤、抗菌剤、抗真菌剤、滑沢剤及び分散剤から選ばれる成分も含有しうる。組成物は、例えば、錠剤、糖衣錠、散剤、エリキシル、シロップ、懸濁液を含む液体製剤、スプレー、吸入剤、錠剤、トローチ、エマルション、溶液、カシェ、顆粒剤、カプセル及び坐剤、ならびにリポソーム製剤を含む注射用液体製剤の形態をとりうる。
【0043】
本発明の化合物は一つ又は複数の同位体置換を含有していてもよく、特定の元素への言及は、その元素のすべての同位体をその範囲内に含む。例えば、水素への言及は、H、H(D)、及びH(T)をその範囲内に含む。同様に、炭素及び酸素への言及は、それぞれ12C、13C及び14Cならびに16O及び18Oをそれらの範囲内に含む。似たように、特定の官能基への言及も、文脈上別の指示がない限り、同位体変化をその範囲内に含む。例えば、エチル基などのアルキル基又はメトキシ基などのアルコキシ基への言及も、例えば、全5個の水素原子がジュウテリウム同位体形であるエチル基(ペルジュウテロエチル基)又は全3個の水素原子がジュウテリウム同位体形であるメトキシ基(トリジュウテロメトキシ基)のように、基内の1個又は複数個の水素原子がジュウテリウム又はトリチウム同位体の形態である変化をカバーする。同位体は放射性でも又は非放射性でもよい。
【0044】
治療用量は、患者の要件、治療される状態の重症度、及び使用される化合物に応じて変動しうる。特定の状況に対する適正な用量の決定は当該技術分野の技能の範囲内である。一般的に、治療は、化合物の最適用量より少ない用量で開始される。その後、用量は、状況下での最適効果に到達するまで少しずつ増量される。便宜上、総日用量は、所望であれば、その一日の中で分割し、分割量を投与してもよい。
【0045】
化合物の有効量の大きさは、当然ながら、治療される状態の重症度の性質、ならびに特定の化合物及びその投与経路に応じて変動する。適切な投与量の選択は、過度の負担なく当業者の能力の範囲内である。一般に、日用量範囲は、ヒト及びヒト以外の動物の体重1kgあたり約10μg~約30mg、好ましくはヒト及びヒト以外の動物の体重1kgあたり約50μg~約30mg、例えばヒト及びヒト以外の動物の体重1kgあたり約50μg~約10mg、例えばヒト及びヒト以外の動物の体重1kgあたり約100μg~約30mg、例えばヒト及びヒト以外の動物の体重1kgあたり約100μg~約10mg、最も好ましくはヒト及びヒト以外の動物の体重1kgあたり約100μg~約1mgでありうる。
【0046】
本発明の化合物の製造法
上に定義された化合物の製造法を提供する。該方法は、
(A)式(10)の化合物:
【0047】
【化9】
と、式(11)の化合物:
【0048】
【化10】
との、SNAr条件下又は遷移金属触媒カップリング条件下での反応[上記式中、Aは置換されていてもよいピラゾール環であり;Rは、H、メチル又はエチルであり;RはHであり;XはN又はCHであり;nは1又は2であり;そしてLGは適切な脱離基を表す];又は
(B)式(12)の化合物:
【0049】
【化11】
と、式(13)の化合物:
【0050】
【化12】
との、遷移金属触媒カップリング条件下又はSNAr条件下での反応[上記式中、A、R、R、X及びnは上記定義の通りであり;LGは適切な脱離基を表し、Mは、存在してもしなくてもよいが、適切に置換された金属又は非金属を表す]
を含む。
【0051】
方法バリアント(A)において、式(10)の化合物は、SNAr条件下で式(11)の化合物と反応させることができる。SNAr反応は、典型的には、過剰の式(11)の化合物か又は化学量論量の式(11)の化合物のいずれかを用いて、塩基(TEA又はDIPEAなどの第三アミン塩基か又はKCO、CsCOもしくはNaHCOなどの無機塩基でありうる)の存在下、任意に適切な溶媒中、例えば、HO、MeCN、1,4-ジオキサン、THF、MeOH、EtOH、IPA、BuOH、DMF、NMPもしくはDMSO、又は適切な溶媒の組合せ中、約室温から約200℃の温度で、従来式加熱を用いて又は任意にマイクロ波照射による加熱により、開放容器中又は任意に密封容器中で、任意に大気圧より高い圧力で、任意にKF又は銀塩などの添加剤の存在下で実施される。任意に、式(11)の化合物は、任意にTEA又はDIPEAなどの第三塩基の存在下、HCl、HBr又はTFA塩などの酸塩として反応中に存在してもよい。式(10)の化合物中の脱離基LGは、F、Cl又はBrなどのハロゲン;OMeなどのアルコキシ基;ペンタフルオロフェノキシなどのアリールオキシ基;SMeなどのスルフェニル基、SOMeなどのスルフィニル基、SOMeなどのスルホニル基、OTs、OMs、ONs又はOTfなどのスルホニルオキシ基;又はヒドロキシ基とペプチドカップリング試薬、例えばBOP、PyBOPもしくはHATUとの反応によって生成する脱離基でありうる。
【0052】
あるいは、方法バリアント(A)において、式(10)の化合物は、遷移金属触媒カップリング条件下で式(11)の化合物と反応させることができる。遷移金属触媒カップリング反応は、典型的には、式(11)の化合物を用いて、NaOBu、KOBu、KPO、KCO又はCsCOなどの無機塩基の存在下、1,4-ジオキサン、THF、DMEもしくはトルエン、又は適切な溶媒の組合せなどの適切な溶媒中、準化学量論量の遷移金属触媒、例えば、Pd(OAc)、Pd(dba)、Pd(dppf)Cl、Pd(PPhCl又はPd(PPhの存在下、任意に準化学量論量のホスフィンリガンド、例えば、PPh、PBu、PBu、XPhos、Xantphos又はBINAPの存在下、約室温から約200℃の温度で、従来式加熱を用いて又は任意にマイクロ波照射による加熱により、開放容器中又は任意に密封容器中で、任意に大気圧より高い圧力で実施される。式(10)の化合物中の脱離基LGは、Cl、BrもしくはIなどのハロゲン、又はOTs、OMs、ONsもしくはOTfなどのスルホニルオキシ基でありうる。
【0053】
式(10)の化合物は、以下のスキーム1に示す反応によって製造できる。
【0054】
【化13】
従って、式(14)の化合物[式中、Xは上記定義の通り、LG及びLGは同じでも又は異なっていてもよく、適切な脱離基を表す]を、式(13)の化合物[式中、Aは上記定義の通り、Mは、存在してもしなくてもよいが、適切に置換された金属又は非金属を表す]と、遷移金属触媒カップリング条件下又はSNAr条件下で反応させ、式(10)の化合物を形成できる。遷移金属触媒カップリング反応又はSNAr反応は、典型的には方法バリアント(B)において以下に記載されているように実施され、式(13)及び式(14)の化合物は市販されているか又は公表文献に報告されている標準法によって当業者に公知の単純な出発物質から容易に製造できる。時には、それらの不安定性のため、式(13)の化合物は、Mが存在する場合、例えば約-78℃から約室温の低温で現場(in-situ)生成させた後、それらを事前単離せずに遷移金属触媒カップリング反応でさらに反応させることが必要かもしれない。そのような方法の詳細は、例えば、Oberli及びBuchwaldにより、Org.Lett.,2012,Vol.14,No.17,p4606に報告されているように、公表文献において公知である。
【0055】
あるいは、XがNを表し、LGがClを表す式(10)の化合物は、典型的には、以下のスキーム2に示す一連の反応によって製造できる。
【0056】
【化14】
従って、式(15)のカルボン酸は、当業者に公知のいくつかの標準法、例えばMeCNなどの適切な溶媒中でCDIとの反応によって最初に活性化された後、MgClなどのルイス酸の存在下で3-エトキシ-3-オキソプロパン酸カリウムなどのマロン酸誘導体と反応させることによって、対応するベータ-ケトエステル(16)に同族体化することができる。形成されたら、ベータ-ケトエステル(16)は、KOBuなどの適切な塩基の存在下、MeOHなどの適切な溶媒中で、グアニジン、又は適切なグアニジン塩との反応によりアミノ-ヒドロキシピリミジンアナログ(17)に環化できる。そのようにして形成されたアミノ-ヒドロキシピリミジンアナログ(17)は、次いで適切な溶媒の存在下又は不在下で、POClと反応させ、式(18)の化合物を形成することができる。式(15)の化合物は市販されているか又は公表文献に報告されている標準法によって当業者に公知の単純な出発物質から容易に製造できる。
【0057】
式(11)の化合物は市販されているか又は公表文献に報告されている標準法によって当業者に公知の単純な出発物質から容易に製造できる。
【0058】
方法バリアント(B)において、式(12)の化合物は、遷移金属触媒カップリング条件下で式(13)の化合物と反応させることができる。遷移金属触媒カップリング反応は、典型的には、Mが存在する式(13)の化合物を用いて実施される。例えば、Mが、ボロン酸-B(OH)、又はボロン酸エステル、例えば-B(OMe)、-B(OiPr)もしくはBpin、又はリチウムトリアルキルボレート、例えば-B(OiPr)Liを表す場合、遷移金属触媒カップリング反応は、典型的には、NaHCO、NaCO、KCO、CsCO又はKPOなどの無機塩基の存在下、HO、MeCN、1,4-ジオキサン、THF、EtO、DME、EtOH、IPA、DMF、NMPもしくはトルエン、又は適切な溶媒の組合せなどの適切な溶媒中、準化学量論量の遷移金属触媒、例えば、Pd(OAc)、Pd(dba)、Pd(dppf)Cl、Pd(PPhCl、Pd(PPh、又は遷移金属プレ触媒、例えばXPhos Pd G2の存在下、任意に準化学量論量のホスフィンリガンド、例えば、PPh、PBu、PCy又はXPhosの存在下、約室温から約200℃の温度で、従来式加熱を用いて又は任意にマイクロ波照射による加熱により、開放容器中又は任意に密封容器中で、任意に大気圧より高い圧力で実施される。式(12)の化合物中の脱離基LGは、Cl、BrもしくはIなどのハロゲン、又はOTs、OMsもしくはOTfなどのスルホニルオキシ基でありうる。
【0059】
あるいは、Mがトリフルオロボレート塩BF を表す場合、遷移金属触媒カップリング反応は、典型的には、NaCO、KCO、CsCO又はKPOなどの無機塩基の存在下、HO、MeCN、1,4-ジオキサン、THF、MeOHもしくはEtOH、又は適切な溶媒の組合せなどの適切な溶媒中、準化学量論量のPd(OAc)、Pd(dba)などの遷移金属触媒の存在下、任意に準化学量論量のホスフィンリガンド、例えば、PPh、PCy又はRuPhosの存在下、約室温から約200℃の温度で、従来式加熱を用いて又は任意にマイクロ波照射による加熱により、開放容器中又は任意に密封容器中で、任意に大気圧より高い圧力で実施される。式(12)の化合物中の脱離基LGは、Cl、Br又はIなどのハロゲンでありうる。
【0060】
あるいは、MがSnMe又はSnBuなどのトリアルキルスズ基を表す場合、遷移金属触媒カップリング反応は、典型的には、1,4-ジオキサン、THF、DMF、もしくはトルエン、又は適切な溶媒の組合せなどの適切な溶媒中、準化学量論量の遷移金属触媒、例えば、Pd(OAc)、Pd(dba)、Pd(PPhCl又はPd(PPhの存在下、任意にKCO又はCsFなどの無機塩基の存在下、任意に添加剤、例えばLiCl、CuI、BuNBr又はEtNClの存在下、約室温から約200℃の温度で、従来式加熱を用いて又は任意にマイクロ波照射による加熱により、開放容器中又は任意に密封容器中で、任意に大気圧より高い圧力で実施される。式(12)の化合物中の脱離基LGは、Cl、Br又はIなどのハロゲンでありうる。
【0061】
あるいは、Mが存在しない場合、遷移金属触媒カップリング反応は、典型的には、NaOtBu、KOtBu、KPO、KCO又はCsCOなどの無機塩基の存在下、1,4-ジオキサン、THF、DMEもしくはトルエン、又は適切な溶媒の組合せなどの適切な溶媒中、準化学量論量の遷移金属触媒、例えば、Pd(OAc)、Pd(dba)、Pd(dppf)Cl、Pd(PPhCl又はPd(PPhの存在下、任意に準化学量論量のホスフィンリガンド、例えば、PPh、PBu、PtBu、XPhos、Xantphos又はBINAPの存在下、約室温から約200℃の温度で、従来式加熱を用いて又は任意にマイクロ波照射による加熱により、開放容器中又は任意に密封容器中で、任意に大気圧より高い圧力で実施される。式(12)の化合物中の脱離基LGは、Cl、BrもしくはIなどのハロゲン、又はOTs、OMs、ONsもしくはOTfなどのスルホニルオキシ基でありうる。
【0062】
あるいは、Mが存在しない場合、遷移金属触媒カップリング反応は、典型的には、KPO、KCO又はCsCOなどの無機塩基の存在下、1,4-ジオキサン、DMF、DMSOもしくはトルエン、又は適切な溶媒の組合せなどの適切な溶媒中、準化学量論量のCuIなどの遷移金属触媒の存在下、任意に準化学量論量のアミン、例えば、(S)-プロリン又はトランス-N,N-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジアミンの存在下、約室温から約200℃の温度で、従来式加熱を用いて又は任意にマイクロ波照射による加熱により、開放容器中又は任意に密封容器中で、任意に大気圧より高い圧力で実施される。式(12)の化合物中の脱離基LGは、Cl、Br又はIなどのハロゲンでありうる。
【0063】
あるいは、Mが存在しない場合、遷移金属触媒カップリング反応は、典型的には、nBuOAcなどの有機塩基の存在下、1,4-ジオキサンなどの適切な溶媒中、準化学量論量の遷移金属プレ触媒、例えば、XPhos Pd G2の存在下、任意に準化学量論量のXPhosなどのホスフィンリガンドの存在下、約室温から約200℃の温度で、従来式加熱を用いて又は任意にマイクロ波照射による加熱により、開放容器中又は任意に密封容器中で、任意に大気圧より高い圧力で実施される。式(12)の化合物中の脱離基LGは、Clなどのハロゲンでありうる。
【0064】
あるいは、方法バリアント(B)において、式(12)の化合物は、SNAr条件下で式(13)の化合物と反応させることができる。SNAr反応は、典型的には、Mが存在しない式(13)の化合物を用いて、TEAもしくはDIPEAなどの第三アミン塩基又はKCO、CsCO、KOtBu、もしくはNaHなどの無機塩基の存在下、THF、DMF、HO、DMSOもしくはNMP、又は適切な溶媒の組合せなどの適切な溶媒中、約室温から約200℃の温度で、従来式加熱を用いて又は任意にマイクロ波照射による加熱により、開放容器中又は任意に密封容器中で、任意に大気圧より高い圧力で実施される。式(12)の化合物中の脱離基LGは、F、ClもしくはBrなどのハロゲン;OMeなどのアルコキシ基;ペンタフルオロフェノキシなどのアリールオキシ基;SMeなどのスルフェニル基、SOMeなどのスルフィニル基、SOMeなどのスルホニル基、又はOTs、OMs、ONsもしくはOTfなどのスルホニルオキシ基でありうる。
【0065】
式(12)の化合物は、以下のスキーム3に示す一連の反応によって製造できる。
【0066】
【化15】
従って、式(14)の化合物[式中、Xは上記定義の通り、LG及びLGは同じでも又は異なっていてもよく、適切な脱離基を表す]を、式(11)の化合物[式中、R、R及びnは上記定義の通り]と、SNAr条件下又は遷移金属触媒カップリング条件下で反応させることにより、式(12)の化合物を形成できる。SNAr反応又は遷移金属触媒カップリング反応は、典型的には方法バリアント(A)において上述したように実施される。
【0067】
上記反応の多くにおいては、分子上の望ましくない位置で反応が起こらないようにするために、一つ又は複数の基を保護することが必要なことがある。保護基の例、官能基の保護及び脱保護法は、Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis、第5版、編集者:Peter G.M.Wuts、John Wiley、2014、(ISBN:9781118057483)に見出すことができる。特に、式(10)又は式(12)の化合物を操作するために有用な保護基は、2,5-ジメチル-1H-ピロール基など;式(11)又は式(12)の化合物を操作するために有用な保護基は、BOC及びCBZなど;そして式(13)の化合物を操作するために有用な保護基はSEM及びTHPなどである。
【0068】
上記方法によって製造された化合物は、当業者に周知の様々な方法のいずれかによって単離及び精製できる。そのような方法の例は、再結晶ならびにカラムクロマトグラフィー(例えばフラッシュクロマトグラフィー)、HPLC及びSFCなどのクロマトグラフィー技術などである。
【0069】
医薬製剤
活性化合物は、単独で投与することも可能であるが、医薬組成物(例えば製剤)として提供するのが好ましい。
【0070】
そこで、本発明において、上に定義された本発明の少なくとも一つの化合物と共に、少なくとも一つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0071】
当該組成物は錠剤組成物でありうる。
【0072】
当該組成物はカプセル組成物でありうる。
【0073】
薬学的に許容可能な賦形剤(一つ又は複数)は、例えば、担体(例えば、固体、液体又は半固体の担体)、アジュバント、希釈剤(例えば、充填剤又は増量剤などの固体希釈剤;溶媒及び共溶媒などの液体希釈剤)、造粒剤、バインダ、流動助剤、コーティング剤、放出制御剤(例えば、放出遅延(retarding又はdelaying)ポリマー又はワックス)、結合剤、崩壊剤、緩衝剤、滑沢剤、保存剤、抗真菌剤及び抗菌剤、抗酸化剤、緩衝剤、張度調整剤、増粘剤、フレーバー剤、甘味剤、色素、可塑剤、味マスキング剤、安定剤、又は医薬組成物に従来使用される任意のその他の賦形剤から選ぶことができる。
【0074】
本明細書中で使用されている用語“薬学的に許容可能な”とは、健全な医学的判断の範囲内で、過剰の毒性、刺激、アレルギー反応、又はその他の問題もしくは合併症なしに対象(例えばヒト対象)の組織と接触させて使用するのに適切な、合理的な利益/リスク比に見合う化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を意味する。各賦形剤は、製剤のその他の成分とも適合性があるという意味においても“許容可能”でなければならない。
【0075】
本発明の化合物を含有する医薬組成物は公知技術に従って製剤化できる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company(米国ペンシルベニア州イーストン)参照。
【0076】
医薬組成物は、経口、非経口、局所、鼻腔内、気管支内、舌下、眼内、耳内、直腸内、膣内、又は経皮投与に適切な任意の形態でありうる。
【0077】
経口投与に適切な医薬剤形は、錠剤(コーティング錠又は非コーティング錠)、カプセル(硬質又は軟質シェル)、カプレット、ピル、トローチ、シロップ、溶液、散剤、顆粒剤、エリキシル及び懸濁液、舌下錠、ウェハース又はバッカル(口内)パッチのようなパッチなどである。
【0078】
錠剤組成物は、単位用量の活性化合物と共に、不活性希釈剤又は担体、例えば、糖又は糖アルコール、例えば、ラクトース、スクロース、ソルビトール又はマンニトール;及び/又は非糖由来希釈剤、例えば、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、又はセルロースもしくはその誘導体、例えば、微結晶セルロース(MCC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びコーンスターチなどのデンプンを含有できる。錠剤は、結合剤及び顆粒化剤、例えばポリビニルピロリドン、崩壊剤(例えば架橋カルボキシメチルセルロースのような膨潤性架橋ポリマー)、滑沢剤(例えばステアリン酸塩)、保存剤(例えばパラベン)、抗酸化剤(例えばBHT)、緩衝剤(例えばリン酸又はクエン酸緩衝液)、及び発泡剤、例えばクエン酸塩/炭酸水素塩混合物のような標準成分も含有しうる。そのような賦形剤は周知であるので、本明細書で詳細に解説する必要はない。
【0079】
錠剤は、薬物を、胃液に接触するとすぐに放出するか(即時放出錠)又は長時間にわたってもしくはGI管の特定領域で制御された様式で放出する(制御放出錠)ように設計することができる。
【0080】
医薬組成物は、典型的にはおよそ1%(w/w)~およそ95%(w/w)、好ましくは%(w/w)の活性成分と、99%(w/w)~5%(w/w)の薬学的に許容可能な賦形剤(例えば上記定義のような)又はそのような賦形剤の組合せとを含む。好ましくは、組成物は、およそ20%(w/w)~およそ90%(w/w)の活性成分と、80%(w/w)~10%(w/w)の薬学的に許容可能な賦形剤又は賦形剤の組合せとを含む。医薬組成物は、およそ1%~およそ95%、好ましくはおよそ20%~およそ90%の活性成分を含む。本発明による医薬組成物は、例えば、アンプル、バイアル、坐剤、充填済みシリンジ、糖衣錠、散剤、錠剤又はカプセルの形態などの単位剤形でありうる。
【0081】
錠剤及びカプセルは、例えば、0~20%の崩壊剤、0~5%の滑沢剤、0~5%の流動助剤及び/又は0~99%(w/w)の充填剤/又は増量剤(投薬量に応じて)を含有しうる。それらは、0~10%(w/w)のポリマーバインダ、0~5%(w/w)の抗酸化剤、0~5%(w/w)の色素も含有しうる。徐放性錠剤はさらに、典型的には0~99%(w/w)の放出制御(例えば遅延)ポリマー(用量に応じて)を含有するであろう。錠剤又はカプセルのフィルムコートは、典型的には、0~10%(w/w)のポリマー、0~3%(w/w)の色素、及び/又は0~2%(w/w)の可塑剤を含有する。
【0082】
非経口製剤は、典型的には、0~20%(w/w)の緩衝液、0~50%(w/w)の共溶媒、及び/又は0~99%(w/w)の注射用水(WFI)を含有する(用量に応じて、及び凍結乾燥されている場合)。筋肉内デポ製剤は0~99%(w/w)のオイルも含有しうる。
【0083】
医薬製剤は、単一パッケージ、通常ブリスターパックに治療の全コースを含有する“患者パック(patient packs)”にして患者に提供されてもよい。
【0084】
本発明の化合物は、一般的に単一剤形中に提供され、従って典型的には所望の生物活性レベルを提供するのに足る化合物を含有する。例えば、製剤は、1ナノグラム~2グラムの活性成分、例えば1ナノグラム~2ミリグラムの活性成分を含有しうる。これらの範囲内で化合物の特定の部分範囲は、0.1ミリグラム~2グラムの活性成分(より通常的には10ミリグラム~1グラム、例えば50ミリグラム~500ミリグラム)、又は1マイクログラム~20ミリグラム(例えば1マイクログラム~10ミリグラム、例えば0.1ミリグラム~2ミリグラムの活性成分)である。
【0085】
経口組成物の場合、単位剤形は1ミリグラム~2グラム、より典型的には10ミリグラム~1グラム、例えば50ミリグラム~1グラム、例えば100ミリグラム~1グラムの活性化合物を含有しうる。
【0086】
活性化合物は、それを必要とする患者(例えばヒト又は動物患者)に、所望の治療効果を達成するのに足る量(有効量)で投与される。投与される化合物の正確な量は、標準的な手順に従って監督医師が決定できる。
【実施例
【0087】
次に、本発明を、以下の実施例を参照することにより、非限定的に説明する。
【0088】
実施例1~42
以下の表1に示されている実施例1~42の化合物を調製した。それらのNMR及びLCMS特性ならびにそれらの調製に使用した方法は表3に示す。各実施例の出発物質は表2に掲載する。実施例20、23、32、及び33については、提案された合成経路を示す。
【0089】
【表1-1】
【0090】
【表1-2】
一般的手順
調製経路が含まれていない場合、当該中間体は市販品である。市販試薬は更なる精製をせずに利用した。室温(rt)はおよそ20~27℃を指す。H NMRスペクトルはBruker又はJeol機器のいずれかを用い、400MHzで記録した。化学シフト値は百万分率(ppm)、すなわち(δ)値で表す。NMRシグナルの多重度に対し、以下の略語が使用される:s=一重線、br=幅広線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、quint=五重線、td=二重線の三重線、tt=三重線の三重線、qd=二重線の四重線、ddd=二重線の二重線の二重線、ddt=三重線の二重線の二重線、m=多重線。結合定数はHzで測定されたJ値として記載する。NMR及び質量分析の結果は、バックグラウンドピークを考慮して補正された。クロマトグラフィーは、60~120メッシュのシリカゲルを用い、窒素圧(フラッシュクロマトグラフィー)条件下で実施されたカラムクロマトグラフィーを指す。‘塩基性シリカ’を用いて実施されたカラムクロマトグラフィーは、Biotage(登録商標)KP-NHシリカゲルの使用を指す。‘C18シリカ’を用いて逆相条件下で実施されたカラムクロマトグラフィーは、Biotage(登録商標)KP-C18シリカゲルの使用を指す。反応モニター用のTLCは、特定の移動相と、固定相としてMerck社製のシリカゲルF254を使用して実施されたTLCを指す。マイクロ波媒介反応は、Biotage Initiator又はCEM Discoverマイクロ波反応器で実施された。
【0091】
LCMS分析
化合物のLCMS分析は、以下の表に示された機器及び方法を用い、エレクトロスプレー条件下で実施した。
【0092】
【表2】
実験の項と表2及び3中のLCMSデータは、(機器システム、方法):質量イオン、リテンションタイム、UV検出波長のフォーマットで示されている。
【0093】
化合物の精製
化合物の最終精製は、以下に詳述する機器及び方法を用いて分取逆相HPLCにより実施された。データは下記フォーマットで示される。精製技術:[相(カラムの説明、カラム長×内径、粒径)、溶媒流速、グラジエントは移動相A中の移動相Bの%(経過時間)として与えられる、移動相(A)、移動相(B)]。
【0094】
分取HPLC精製:
Shimadzu社製LC-20APバイナリシステム;SPD-20A UV検出器付き
Gilson社製セミ分取HPLCシステム;321ポンプ、GX-271液体ハンドラー及びGilson 171 DAD(Gilson Trilutionソフトウェアで制御)付き
精製法A
分取HPLC:[逆相(Sunfire C-18、250×19mm、5μm)、12mL/分、グラジエント 0%-30%(17分間)、100%(1分間)、100%-0%(4分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0095】
精製法B
分取HPLC:[逆相(Sunfire C-18、250×19mm、5μm)、12mL/分、グラジエント 0%-15%(24分間)、15%-15%(3分間)、100%(2分間)、100%-0%(6分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0096】
精製法C
分取HPLC:[逆相(YMC-Actus Triart C-18、250×20mm、5μm)、16mL/分、グラジエント 5%-15%(18分間)、15%-15%(2分間)、100%(2分間)、100%-0%(5分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0097】
精製法D
分取HPLC:[逆相(X-select CSH Phenyl Hexyl C-18、250×19mm、5μm)、15mL/分、グラジエント 3%-3%(40分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0098】
精製法E
分取HPLC:[逆相(Gemini-NX C-18、150×21.2mm、5μm)、16mL/分、グラジエント 5%-30%(25分間)、100%(3分間)、100%-5%(4分間)、移動相(A):水中5mM炭酸水素アンモニウム+0.1%アンモニア、(B):100%アセトニトリル]。
【0099】
精製法F
分取HPLC:[逆相(YMC-Actus Triart C-18、250×20mm、5μm)、13mL/分、グラジエント 5%-20%(22分間)、20%-20%(3分間)、100%(2分間)、100%-5%(6分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0100】
精製法G
分取HPLC:[逆相(Sunfire C-18、250×19mm、5μm)、13mL/分、グラジエント 0%-15%(24分間)、15%-15%(5分間)、100%(2分間)、100%-0%(5分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0101】
精製法H
分取HPLC:[逆相(Sunfire C-18、250×19mm、5μm)、15mL/分、グラジエント 0%-30%(17分間)、100%(1分間)、100%-0%(4分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0102】
精製法I
分取HPLC:[逆相(YMC-Actus Triart C-18、250×20mm、5μm)、15mL/分、グラジエント 0%-15%(25分間)、15%-15%(4分間)、100%(2分間)、100%-5%(5分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0103】
精製法J
分取HPLC:[逆相(YMC-Actus Triart C-18、250×20mm、5μm)、15mL/分、グラジエント 5%-12%(28分間)、100%(2分間)、100%-5%(6分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0104】
精製法K
分取HPLC:[逆相(YMC-Actus Triart C-18、250×20mm、5μm)、15mL/分、グラジエント 0%-15%(18分間)、15%-15%(5分間)、100%(2分間)、100%-0%(3分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0105】
精製法L
分取HPLC:[逆相(X-select CSH Phenyl Hexyl C-18、250×19mm、5μm)、15mL/分、グラジエント 0%-20%(23分間)、100%(2分間)、100%-0%(3分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0106】
精製法M
分取HPLC:[逆相(Sunfire C-18、250×18mm、5μm)、14mL/分、グラジエント 0%-20%(22分間)、100%(2分間)、100%-0%(6分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0107】
精製法N
分取HPLC:[逆相(Sunfire C-18、250×18mm、5μm)、15mL/分、グラジエント 0%-20%(22分間)、100%(2分間)、100%-0%(2分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0108】
精製法O
分取HPLC:[逆相(X-select CSH Phenyl Hexyl C-18、250×19mm、5μm)、15mL/分、グラジエント 0%-5%(22分間)、5%-5%(2分間)、100%(2分間)、100%-0%(5分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0109】
精製法P
分取HPLC:[逆相(Sunfire C-18、250×19mm、5μm)、13mL/分、グラジエント 10%-15%(24分間)、100%(2分間)、100%-0%(6分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0110】
精製法Q
分取HPLC:[逆相(Sunfire C-18、250×20mm、5μm)、15mL/分、グラジエント 0%-30%(17分間)、100%(1分間)、100%-0%(4分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0111】
精製法R
分取HPLC:[逆相(X-Bridge C-18、250×19mm、5μm)、14mL/分、グラジエント 10%-30%(20分間)、30%-30%(2分間)、100%(2分間)、100%-10%(6分間)、移動相(A):水中5mM炭酸水素アンモニウム+0.1%アンモニア、(B):100%アセトニトリル]。
【0112】
精製法S
分取HPLC:[逆相(Sunfire C-18、250×19mm、5μm)、15 mL/分、グラジエント 0%-20%(20分間)、100%(2分間)、100%-0%(6分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0113】
精製法T
分取HPLC:[逆相(Sunfire C-18、250×19mm、5μm)、15 mL/分、グラジエント 5%-20%(20分間)、100%(2分間)、100%―0%(5分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0114】
精製法U
分取HPLC:[逆相(YMC-Actus Triart C-18、250×20mm、5μm)、12mL/分、グラジエント 0%-20%(25分間)、100%(2分間)、100%-0%(5分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0115】
精製法V
分取HPLC:[逆相(Gemini NX C-18、150×21.2mm、5μm)、15mL/分、グラジエント 0%-15%(18分間)、100%(2分間)、100%-0%(5分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0116】
精製法W
分取HPLC:[逆相(Gemini NX C-18、150×21.2mm、5μm)、16mL/分、グラジエント 0%-8%(18分間)、100%(2分間)、100%-0%(5分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0117】
精製法X
分取HPLC:[逆相(X-select CSH Phenyl Hexyl C-18、250×19mm、5μm)、14mL/分、グラジエント 0%-20%(20分間)、100%(3分間)、100%-0%(5分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0118】
精製法Y
分取HPLC:[逆相(Sunfire C-18、250×19mm、5μm)、14mL/分、グラジエント 0%-15%(20分間)、15%-15%(2分間)、100%(2分間)、100%-0%(6分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0119】
精製法Z
分取HPLC:[逆相(Sunfire C-18、250×19mm、5μm)、14mL/分、グラジエント 0%-15%(20分間)、100%(2分間)、100%-0%(6分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0120】
精製法AA
分取HPLC:[逆相(Sunfire C-18、250×19mm、5μm)、15mL/分、グラジエント 0%-10%(25分間)、10%-10%(2分間)、100%(3分間)、100%-0%(5分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0121】
精製法AB
分取HPLC:[逆相(X-Bridge C-18、250×19mm、5μm)、15mL/分、グラジエント 5%-27%(26分間)、100%(3分間)、100%-5%(5分間)、移動相(A):水中5mM炭酸水素アンモニウム+0.1%アンモニア、(B):100%アセトニトリル]。
【0122】
精製法AC
分取HPLC:[逆相(Sunfire C-18、250×20mm、5μm)、15mL/分、グラジエント 0%-30%(17分間)、100%(1分間)、100%-0%(4分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0123】
精製法AD
分取HPLC:[逆相(Sunfire C-18、250×19mm、5μm)、15mL/分、グラジエント 0%-10%(18分間)、10%-10%(2分間)、100%(2分間)、100%-0%(6分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0124】
精製法AE
分取HPLC:[逆相(Sunfire C-18、150×19mm、5μm)、15mL/分、グラジエント 0%-10%(12分間)、100%(2分間)、100%-0%(2分間)、移動相(A):0.1%ギ酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0125】
精製法AF
分取HPLC:[逆相(X-Bridge C-18、250×19mm、5μm)、15mL/分、グラジエント 0%-12%(25分間)、100%(2分間)、100%-0%(8分間)、移動相(A):水中5mM炭酸水素アンモニウム+0.1%アンモニア、(B):100%アセトニトリル]。
【0126】
精製法AG
分取HPLC:[逆相(Sunfire C-18、250×19mm、5μm)、15mL/分、グラジエント 0%-15%(18分間)、100%(3分間)、100%-0%(6分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0127】
精製法AH
分取HPLC:[逆相(X-Bridge C-18、250×19mm、5μm)、15mL/分、グラジエント 0%-12%(20分間)、100%(2分間)、100%-0%(5分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0128】
精製法AI
分取HPLC:[逆相(Sunfire C-18、250×19mm、5μm)、17mL/分、グラジエント 0%-20%(17分間)、100%(2分間)、100%-0%(4分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0129】
精製法AJ
分取HPLC:[逆相(X-Bridge C-18、250×19mm、5μm)、15mL/分、グラジエント 0%-10%(28分間)、10%-10%(6分間)、100%(2分間)、100%-0%(6分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0130】
精製法AK
分取HPLC:[逆相(YMC-Actus Triart C-18、250×20mm、5μm)、16mL/分、グラジエント 5%-20%(24分間)、100%(2分間)、100%-5%(6分間)、移動相(A):0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、(B):100%アセトニトリル]。
【0131】
略語
CDI = カルボニルジイミダゾール
DAST = 三フッ化ジエチルアミノ硫黄
DCM = ジクロロメタン
DIPEA = N,N-ジイソプロピルエチルアミン
ESI = エレクトロスプレーイオン化
EtOAc = 酢酸エチル
h = 時間
O = 水
HCl = 塩化水素、塩酸
HPLC = 高速液体クロマトグラフィー
IPA = プロパン-2-オール
LC = 液体クロマトグラフィー
MeCN = アセトニトリル
MeOH = メタノール
min(s) = 分
MS = 質量分析(法)
nm = ナノメートル
NMR = 核磁気共鳴
POCl = オキシ塩化リン
RT = 室温
sat. = 飽和
SFC = 超臨界流体クロマトグラフィー
TEA = トリエチルアミン
TFA = トリフルオロ酢酸
THF = テトラヒドロフラン
TLC = 薄層クロマトグラフィー
中間体の合成:
経路1
ピリミジンの典型的な製造手順を中間体3のtert-ブチル (1-(2-アミノ-6-クロロピリミジン-4-イル)アゼチジン-3-イル)(メチル)カルバメートの製造によって例示
【0132】
【化16】
4,6-ジクロロピリミジン-2-アミン中間体1(2g、12.27mmol)を、tert-ブチル N-(アゼチジン-3-イル)-N-メチルカルバメートヒドロクロリド中間体2(3.0g、12.9mmol)のEtOH(50mL)中撹拌溶液に少しずつ加え、次いでEtN(8mL、30.6mmol)をRTで加えた。得られた懸濁液を温めて還流し、2時間維持した。混合物を冷却し、水(30mL)を滴加した。得られた固体を単離し、水洗し、そして乾燥させて、tert-ブチル (1-(2-アミノ-6-クロロピリミジン-4-イル)アゼチジン-3-イル)(メチル)カルバメート中間体3(3g、79%)を白色固体として得た。中間体3のデータは表2に示す。
【0133】
一般的合成手順:
経路A
ピリミジンの典型的な製造手順を実施例1の4-(1-(ジフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミンの製造によって例示
【0134】
【化17】
tert-ブチル (1-(2-アミノ-6-クロロピリミジン-4-イル)アゼチジン-3-イル)(メチル)カルバメート中間体3(0.350g、1.11mmol)、1-(ジフルオロメチル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール中間体4(0.300g、1.23mmol)、KPO(0.711g、3.36mmol)を1,4-ジオキサン(4mL)と水(1mL)中に溶解し、RMを15分間脱気した。Pd(dppf)Cl.DCM中間体5(0.090g、0.11mmol)を加え、RMを70℃で16時間撹拌した。反応塊(reaction mass)を水(10mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出し(3×20mL)、合わせた有機層を乾燥させ(NaSO)、ろ過し、濃縮して粗残渣を得た。これをカラムクロマトグラフィー(Neutral Alumina、0-35% EtOAc:ヘキサン)で精製し、tert-ブチル (1-(2-アミノ-6-(1-(ジフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-4-イル)アゼチジン-3-イル)(メチル)カルバメート(0.4g、90.7%)をオフホワイト色固体として得た。
LCMS (システム1、方法1): m/z 395 (M+H)+ (ESI +ve), 2.88分時, 220 nm
tert-ブチル (1-(2-アミノ-6-(1-(ジフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-4-イル)アゼチジン-3-イル)(メチル)カルバメート(0.400g、0.10mmol)をDCM(4mL)中に溶解し、TFA(2mL)を0℃で滴加し、RMを室温で3時間撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、トルエンと共沸して(3×10mL)、粗残渣を得、これを精製法Aによって精製し、4-(1-(ジフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン実施例1のジTFA塩(245mg、82.0%)を白色固体として得た。実施例1のデータは表3に示す。
【0135】
経路B
ピリミジンの典型的な製造手順を実施例4の4-(1-(ジフルオロメチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミンと実施例16の4-(1-(ジフルオロメチル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミンの製造によって例示
【0136】
【化18】
5-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール中間体8(1.0g、4.81mmol)をアセトニトリル(10mL)中に溶解し、18-クラウン-6中間体10(254mg、0.96mmol)とクロロジフルオロ酢酸ナトリウム中間体9(879mg、5.77mmol)を加え、反応混合物を80℃で24時間加熱した。冷却後、沈殿物をろ過により除去し、ろ液を濃縮して粗生成物を得た。これをカラムクロマトグラフィー(Neutral Alumina、ヘキサン中0~35%酢酸エチル)で精製し、1-(ジフルオロメチル)-5-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾールと1-(ジフルオロメチル)-3-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾールの混合物(合わせて1g、80.6%)をオフホワイト色固体として得た。
LCMS (システム2、方法2): 異性体1, UVのみ 3.52分時, 202 nm & 異性体2, UVのみ 3.63分時, 202nm。
【0137】
1-(ジフルオロメチル)-5-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾールと1-(ジフルオロメチル)-3-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(合わせて1g、3.87mmol)及びtert-ブチル (1-(2-アミノ-6-クロロピリミジン-4-イル)アゼチジン-3-イル)(メチル)カルバメート中間体3(1.1g、3.50mmol)を1,4-ジオキサン(10mL)中にRTで溶解した。水(2mL)、KPO(2.23g、10.51mmol)を加え、混合物を15分間脱気した。PdCl(dppf).DCM中間体5(280mg、0.35mmol)を加え、混合物を70℃で16時間撹拌した。反応混合物をHO(50mL)と酢酸エチル(35mL)の間に分配し、水性層をさらに酢酸エチルで抽出し(2×35mL)、合わせた有機層を乾燥させ(NaSO)、ろ過し、溶媒を濃縮して粗残渣を得た。これをカラムクロマトグラフィー(Neutral Alumina、DCM中0~2%メタノール)で精製し、tert-ブチル (1-(2-アミノ-6-(1-(ジフルオロメチル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-4-イル)アゼチジン-3-イル)(メチル)カルバメートとtert-ブチル (1-(2-アミノ-6-(1-(ジフルオロメチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-4-イル)アゼチジン-3-イル)(メチル)カルバメートの混合物(合わせて630mg、39.7%)を黄色ガムとして得た。
LCMS (システム2、方法2): 異性体1, m/z 410.2 (M+H)+ (ES+), 3.35分時, 202 nm & 異性体2, m/z 410.2 (M+H)+ (ES+), 3.40分時, 202 nm。
【0138】
tert-ブチル (1-(2-アミノ-6-(1-(ジフルオロメチル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-4-イル)アゼチジン-3-イル)(メチル)カルバメートとtert-ブチル (1-(2-アミノ-6-(1-(ジフルオロメチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-4-イル)アゼチジン-3-イル)(メチル)カルバメート(合わせて800mg、1.95mmol)をDCM(8mL)中に0℃で溶解し、TFA(4mL)を滴加し、混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、粗残渣をトルエンと共沸して(3×5mL)粗生成物を得、これを精製法Dによって精製し、4-(1-(ジフルオロメチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミンTFA塩実施例4(362mg、43.8%)を白色固体として、4-(1-(ジフルオロメチル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミンTFA塩実施例16(150mg、18.1%)を白色固体として得た。実施例4及び実施例16のデータは表3に示す。
【0139】
経路C
ピリミジンの典型的な製造手順を実施例5の(R)-4-(5-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)ピロリジン-1-イル)ピリミジン-2-アミンの製造によって例示
【0140】
【化19】
5-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸中間体11(1.0g、6.25mmol)をTHF(50mL)中に溶解し、0℃に冷却した。カルボニルジイミダゾール(1.51g、9.37mol)を激しく撹拌しながら加え、混合物をRTで1時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、マロン酸エチルカリウム中間体12(1.59g、9.37mol)と塩化マグネシウム中間体13(0.89g、9.37mol)を加え、反応混合物をRTで16時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、反応混合物をHO(50mL)で希釈し、1M HCl溶液(10mL)を添加して酸性化し、EtOAc(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層をブライン溶液(50mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濃縮して、エチル 3-(5-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3-オキソプロパノエート(1.01g、70%)をオフホワイト色固体として得た。
LCMS (システム2、方法2): m/z 231.1 (M+H)+ (ES+), 2.63分時, 254 nm。
【0141】
エチル 3-(5-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3-オキソプロパノエート(0.9g、3.9mmol)をMeOH(15.0mL)中に0℃で溶解し、カリウム-tert-ブトキシド(1.31g、11.7mmol)及びグアニジンヒドロクロリド中間体14(0.743g、7.82mmol)を加え、反応混合物を70℃で16時間加熱した。RTに冷却後、溶媒を減圧下で蒸発させ、黄色固体を得た。これを水(50mL)中に懸濁させ、1M HCl溶液(10mL)の添加によって酸性化し、DCM(3×50mL)で抽出し、合わせた有機層をNaSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮して2-アミノ-6-(5-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-4-オール(0.8g、91%)をオフホワイト色固体として得た。
LCMS (システム2、方法2): m/z 226.1 (M+H)+ (ES+), 1.81分時, 230 nm。
【0142】
2-アミノ-6-(5-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-4-オール(0.8g、3.5mmol)入りのマイクロ波用バイアルに、オキシ塩化リン(3.0mL)を0℃で加え、得られた溶液を70℃で16時間加熱した。反応混合物をRTに冷却し、氷冷水(20mL)に注ぎ入れ、水性層を固体NaHCOの添加によって中和し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濃縮して4-クロロ-6-(5-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-2-アミン(0.38g、44%)を白色固体として得た。
LCMS (システム2、方法1): m/z 244.1 (M+H)+ (ES+), 2.54分時, 240 nm。
【0143】
4-クロロ-6-(5-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-2-アミン(0.18g、0.74mmol)及びtert-ブチル (R)-メチル(ピロリジン-3-イル)カルバメート中間体15(0.296g、1.48mol)を35mLマイクロ波用バイアルでEt-N(5.0mL)中に溶解し、得られた混合物を120℃で16時間加熱した。この後、反応混合物をRTに冷却し、DCM(100mL)を加え、有機層をHO(50mL)及びブライン溶液(50mL)で洗浄し、濃縮して粗生成物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60-120、DCM中0-5%MeOH)で精製して、tert-ブチル (R)-(1-(2-アミノ-6-(5-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-4-イル)ピロリジン-3-イル)(メチル)カルバメート(0.230g、76%)を褐色粘着ガムとして得た。
LCMS (システム2、方法1): m/z 408.2 (M+H)+ (ES+), 3.19分時, 254 nm。
【0144】
tert-ブチル (R)-(1-(2-アミノ-6-(5-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-4-イル)ピロリジン-3-イル)(メチル)カルバメート(0.23g、0.57mmol)をDCM(1.0mL)中に溶解し、TFA(1.0mL)を0℃で加え、反応混合物をRTで1時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を精製法Eによって精製し、(R)-4-(5-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)ピロリジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン実施例5(35mg、20%)を白色固体として得た。実施例5のデータは表3に示す。
【0145】
経路D
ピリミジンの典型的な製造手順を実施例19の4-(3-メチル-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミンの製造によって例示
【0146】
【化20】
3-メチル-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-カルボン酸中間体27(1.0g、4.8mmol)を乾燥THF(100mL)中にN2ガス下で溶解し、溶液を0℃に冷却した。カルボニルジイミダゾール(1.6g、9.6mmol)を加え、混合物をRTで1時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、マロン酸エチルカリウム中間体12(1.63g、9.6mmol)及び塩化マグネシウム中間体13(0.9g、9.6mmol)を加え、反応混合物をRTで16時間撹拌した。この後、溶媒を蒸発させ、残渣をHO(50mL)で希釈し、水性層を1N HCl溶液(20mL)の添加によって酸性化し、EtOAc(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン溶液(50mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濃縮して粗生成物を得た。これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;60-120メッシュ;ヘキサン中0-40%EtOAc)で精製して、エチル 3-(3-メチル-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-オキソプロパノエート(0.52g、40%)をオフホワイト色固体として得た。
LCMS (システム2、方法2): m/z 277.0 (M+H)+ (ES+), 2.84分時, 244 nm
エチル 3-(3-メチル-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-オキソプロパノエート(0.5g、1.79mol)をMeOH(15mL)中に0℃で溶解し、カリウム-tert-ブトキシド(0.6g、0.00539mol)及びグアニジンヒドロクロリド中間体14(0.345g、3.59mmol)を加え、反応混合物を70℃で16時間温め加熱した。この後、溶媒を蒸発させ、黄色固体を得た。これを水(50mL)中に懸濁させ、1M HCl溶液(10mL)の添加によって酸性化し、DCM(3×50mL)で抽出し、合わせた有機層をNaSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮して2-アミノ-6-(3-メチル-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-4-オール(0.38g、77%)をオフホワイト色固体として得た。
LCMS (システム2、方法2): m/z 274.2 (M+H)+ (ES+), 1.85分時, 240 nm
2-アミノ-6-(3-メチル-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-4-オール(0.38g、1.39mmol)及びtert-ブチル アゼチジン-3-イル(メチル)カルバメート中間体2(0.463g、2.08mmol)をEtN(5.0mL)及びMeCN(8.0mL)中に0℃で溶解した。PYBOP中間体34(1.08g、2.08mmol)を0℃で加え、反応混合物を80℃で16時間加熱した。この後、反応混合物をRTに冷却し、DCM(100mL)を加え、有機層をHO(50mL)及びブライン溶液(50mL)で洗浄し、溶媒を濃縮して粗生成物を得た。これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60-120メッシュ、DCM中0-5%MeOH)で精製して、tert-ブチル (1-(2-アミノ-6-(3-メチル-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-4-イル)アゼチジン-3-イル)(メチル)カルバメート(0.410g、66%)を褐色粘着ガムとして得た。
LCMS (システム2、方法1): m/z 442.3 (M+H)+ (ES+), 3.03分時, 214 nm
tert-ブチル (1-(2-アミノ-6-(3-メチル-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-4-イル)アゼチジン-3-イル)(メチル)カルバメート(0.41g、0.929mmol)をDCM(2.0mL)中に0℃で溶解し、TFA(2.0mL)を加え、反応混合物をRTで1時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を精製法Rによって精製し、4-(3-メチル-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン実施例19(27mg、33%)を白色固体として得た。実施例19のデータは表3に示す。
【0147】
経路E
ピリミジンの典型的な製造手順を実施例36の4-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-2-アミンの製造によって例示
【0148】
【化21】
4,6-ジクロロピリミジン-2-アミン中間体1(1g、12.0mmol)、3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール中間体44(1.40g、7.20mmol)及びKPO(3.88g、18.9mmol)を窒素下で1,4-ジオキサン(20mL)と水(4mL)中に溶解し、20分間脱気した。Pd(dppf)Cl2.DCM中間体5(497mg、0.60mmol)を加え、反応混合物を80℃で16時間撹拌した。冷却後、反応混合物を水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、合わせた有機物を乾燥させ(NaSO)、ろ過し、濃縮して粗残渣を得た。これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;60-120メッシュ、ヘキサン中0-28%EtOAc)で精製して、4-クロロ-6-(1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-2-アミン(230mg、19.5%)をオフホワイト色固体として得た。
LCMS (システム1、方法1): m/z 196 (M+H)+ (ES+), 2.62分時, 254 nm
4-クロロ-6-(1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-2-アミン(210mg、1.0mmol)及びtert-ブチル アゼチジン-3-イル(メチル)カルバメートヒドロクロリド中間体2(401mg、2.1mmol)をMeCN(10mL)中に溶解し、EtN(4mL)を加え、反応を90℃で6時間撹拌した。反応混合物を冷却し、水(30mL)で希釈し、酢酸エチル(3×30mL)で抽出し、合わせた有機物を乾燥させ(NaSO)、ろ過し、濃縮して粗tert-ブチル (1-(2-アミノ-6-(1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アゼチジン-3-イル)(メチル)カルバメート(推定100%)をオフホワイト色固体として得、これを精製せずに粗製物のまま使用した。
LCMS (システム1、方法1): m/z 346 (M+H)+ (ES+), 2.98分時, 240 nm
tert-ブチル (1-(2-アミノ-6-(1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アゼチジン-3-イル)(メチル)カルバメート(570mg、1.6mmol)をDCM(3mL)中に0℃で溶解し、TFA(1.5mL)を滴加し、反応混合物を室温で3時間撹拌した。溶媒を濃縮し、残渣をトルエン(3×3mL)と共沸して、粗生成物を得た。これを精製法AIによって精製し、4-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)-6-(1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-2-アミン実施例36(151mg、37.3%)を白色固体として得た。実施例36のデータは表3に示す。
【0149】
経路F
実施例20、4-(3-メチル-1-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミンと、実施例23、4-(5-メチル-1-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミンの製造手順
【0150】
【化22】
経路G
実施例32、4-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)-6-(1-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-アミンと、実施例33、(R)-4-(3-(メチルアミノ)ピロリジン-1-イル)-6-(1-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-アミンの製造手順
【0151】
【化23】
実施例33の合成については、中間体2中間体17と置き換える。
【0152】
経路H
実施例40、4-(5-エチル-4-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミンの製造手順
【0153】
【化24】
5-エチル-4-メチル-1H-ピラゾール-3-カルボン酸中間体53(0.75g、4.87mmol)を乾燥THF(100mL)中に溶解し、溶液を0℃に冷却した。カルボニルジイミダゾール(1.57g、9.74mmol)を激しく撹拌しながら加え、混合物をRTで1時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却した後、マロン酸エチルカリウム中間体12(1.62g、9.74mmol)と塩化マグネシウム中間体13(0.935g、9.74mol)を加え、反応混合物をRTで一晩撹拌した。反応の完了後、溶媒を減圧下で蒸発させ、反応混合物をHO(50mL)で希釈し、水性層を1N HCl溶液(30mL)の添加によって酸性化し、EtOAc(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層をブライン溶液(50mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、ろ過及び濃縮して粗生成物を得た。これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;60-120メッシュ;0-40%EtOAc/Hexane)で精製して、エチル 3-(5-エチル-4-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-3-オキソプロパノエート(0.71g、65%)をオフホワイト色固体として得た。
LCMS (システム1、方法2): m/z 225.3 (M+H)+ (ES+), 2.80分時, 240 nm
エチル 3-(5-エチル-4-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-3-オキソプロパノエート(0.7g、3.12mmol)をMeOH(15mL)中に溶解し、カリウム-tert-ブトキシド(1.05g、9.37mmol)及びグアニジンヒドロクロリド中間体14(0.6g、6.25mmol)を0℃で加え、反応混合物をRTに温め、次いで70℃で一晩加熱した。反応の完了後、反応混合物をRTに冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させて黄色固体を得た。これを1N HCl(5mL)の滴加によって酸性化し、水性層をEtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン溶液(50mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮して2-アミノ-6-(5-エチル-4-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-オール(0.68g、99%)をオフホワイト色固体として得た。
LCMS (システム1、方法2): m/z 220.3 (M+H)+ (ES+), 1.81分時, 202 nm
POCl(2.0mL)を2-アミノ-6-(5-エチル-4-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-オール(0.68g、3.1mmol)に0℃で加え、反応混合物を70℃で一晩加熱した。反応の完了後、反応混合物を氷浴に注ぎ入れ、固体NaHCOの添加によって中和し、水性層をEtOAc(3×50mL)で抽出し、合わせた有機層をブライン溶液(50mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、ろ過及び濃縮して粗残渣を得た。これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;60-120メッシュ;0-40%EtOAc/ヘキサン)で精製して、4-クロロ-6-(5-エチル-4-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-2-アミン(401mg、54%)を黄色固体として得た。
LCMS (システム2、方法2): m/z 238.3 (M+H)+ (ES+), 2.75分時, 214 nm
4-クロロ-6-(5-エチル-4-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-2-アミン(189mg、7.97mmol)及びtert-ブチル アゼチジン-3-イル(メチル)カルバメート中間体2(0.354g、1.59mmol)をトリエチルアミン(5.0mL)中に溶解し、反応混合物を120℃で一晩加熱した。反応の完了後、反応混合物をRTに冷却し、DCM(100mL)を加え、有機層をHO(50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、濃縮して粗生成物を得た。これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60-120メッシュ、0-5% MeOH:DCM)で精製して、tert-ブチル (1-(2-アミノ-6-(5-エチル-4-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アゼチジン-3-イル)(メチル)カルバメート(230mg、74%)を褐色粘着ガムとして得た。
LCMS (システム2、方法1): m/z 273.3 (M+H)+ (ES+), 3.03分時, 202 nm
tert-ブチル (1-(2-アミノ-6-(5-エチル-4-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アゼチジン-3-イル)(メチル)カルバメート(230mg、5.94mmol)をDCM(2.0mL)中に溶解し、TFA(2.0mL)を0℃で加え、反応混合物をRTで1時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、得られた粗生成物を分取HPLCにより精製して、4-(5-エチル-4-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-6-(3-(メチルアミノ)アゼチジン-1-イル)ピリミジン-2-アミン実施例40のジトリフルオロ酢酸塩(33mg、19%)を白色固体として得た。実施例40のデータは表3に示す。
【0154】
【表3-1】
【0155】
【表3-2】
【0156】
【表4-1】
【0157】
【表4-2】
【0158】
【表4-3】
【0159】
【表4-4】
【0160】
【表4-5】
生物活性
実施例A
H4アンタゴニスト機能的cAMP Giアッセイ
HEKf細胞を、ヒトH4受容体を発現しているバキュロウイルスを用いて一晩感染させ、次いで1,200rpmで5分間遠心分離し、細胞凍結培地(Sigma)中で凍結し、-150℃で保存した。アッセイ当日、細胞を解凍し、500nMのIBMX入りHBSS中に再懸濁して、1,500細胞/ウェルの密度を達成した。H4リガンドはDMSO中に調製し、LabCyte ECHO音響分注により、低容量プレート中に25nLでスタンピングした。10μL/ウェルの細胞を1μMのフォルスコリンの存在下でプレーティングし、1,200rpmで1分間の遠心分離に付し、30分間インキュベートした後、Cisbio cAMP検出試薬を総容量20μL/ウェルになるまで添加した。アンタゴニストアッセイについては、細胞をH4アンタゴニストリガンドと30分間プレインキュベートしてからEC80濃度のヒスタミンを添加し、さらに30分間インキュベートした。検出試薬の添加と室温で60分間の振盪後、cAMP蓄積をPheraStarプレートリーダー上でHTRFを用いて測定した。EC50値は4パラメータロジスティックフィット式を用いて生成し、アゴニスト効力を定量化した。機能的アンタゴニスト親和性値は、Cheng-Prusoff式を用い、アンタゴニストアッセイデータを用いてpKb値を計算して生成した。
【0161】
H4アンタゴニスト機能的動的質量再分布アッセイ
HEKf細胞を、ヒトH4受容体を発現しているバキュロウイルスを用いて感染させ、フィブロネクチン被覆EPICプレートに10,000細胞/ウェルの密度でプレーティングし、37℃で一晩インキュベートした。細胞の培地を、ウェルあたり20mMのHEPES含有30μLのHBSSに交換し、LabCyte ECHO音響分注によりウェルあたり30nLのDMSOを添加した。室温で2時間の平衡化後、DMSO中に調製された30nLのH4リガンドを、播種済みEPICプレートに、LabCyte ECHO音響分注によりスタンピングし、細胞の動的質量再分布をCorning EPICプレートリーダーを用いてモニターした。45分間の測定後、30nL/ウェルのヒスタミンEC80を加え、モニターしてアンタゴニストアッセイデータを得た。pmでの最大ベースライン補正応答を用いて濃度反応曲線を生成した。EC50値は4パラメータロジスティックフィット式を用いて生成し、アゴニスト効力を定量化した。機能的アンタゴニスト親和性値は、Cheng-Prusoff式を用い、アンタゴニストアッセイデータを用いてpKb値を計算して生成した。
【0162】
hERGアッセイ
hERGアッセイデータは、以下に詳細を示す実験プロトコルを用いて、英国ケンブリッジのMetrion Biosciences社により測定された。
【0163】
ヒト・エーテル・ア・ゴー・ゴー関連遺伝子を安定的に発現しているチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株を標準培養条件下で増殖及び継代した。細胞は、細胞の健康、収量、ならびに密封(seal)及びアッセイ品質を最適化するために設計された解離プロトコルを用いてアッセイ用に調製した。試験サンプルは、100%DMSO中10mMストック溶液として用意した。すべてのサンプル取扱い及び段階希釈は、ガラス容器及びガラス被覆プレートを用いて実施した。最高作用濃度(top working concentration)の30μMは、10mMサンプルストック溶液から1:333倍希釈を用いて外部記録溶液(0.3%DMSO v/v)中に調製した。単一濃度アッセイでは、試験サンプルを、最低3個の別個の細胞に対して30μMでスクリーニングした。pIC50アッセイでは、試験サンプルを、最低3個の別個の細胞に対して1、3、10及び30μMでスクリーニングした。各4点濃度反応曲線は、同じ細胞に対する各濃度の累積二重サンプル添加を用いて構築された。
【0164】
全実験ともQPatch自動パッチクランププラットフォーム上で実施された。QPatch実験用の外部及び内部記録溶液の組成を以下の表Aに示す。全溶液とも各実験の前にろ過された(0.2μm)。
【0165】
【表5】
すべての記録は、従来の全細胞構成で行われ、室温(~21℃)で、標準的なシングルホールチップ(Rchip 1.5-4MΩ)を用いて実施された。シリーズ抵抗(4-15MΩ)は>80%補正された。電流は、以下に示すような業界標準“+40/-40”電圧プロトコルを用いて保持電位-90mVから誘導し、これを刺激周波数0.1Hzで適用した。
【0166】
【表6】
全細胞構成を達成したら、ビヒクル(外部記録溶液中0.3%DMSO v/v)を各細胞に2回のボーラス添加で適用した。各添加の間には2分間の記録時間を設けて安定な記録が達成されるようにした。ビヒクル時間の後、
i)単一濃度アッセイの場合 - 30μMの単一濃度の試験サンプルを2分間の間隔で試験濃度あたり5回のボーラス添加として適用;又は
ii)pIC50アッセイの場合 - 1μMから30μMまでの4つの濃度の試験サンプルを2分間の間隔で試験濃度あたり2回のボーラス添加として適用;
次いで、hERGテール電流振幅に対する影響を4分間の記録時間中に測定した。電圧プロトコルの各スイープに対し、個々の細胞の膜電流と受動特性をQPatchアッセイソフトウェアによって記録した。-40mVへの試験パルス中に誘導されたピーク外向きテール電流振幅は、-40mVへの初期プレパルス段階中に測定された瞬間リーク電流に対して測定された。QC目的のために、アッセイの最小電流振幅は、>200pAピーク外向き電流で、ビヒクル時間の終了時に測定された。QPatch分析ソフトウェアは、各濃度適用時間終了時に最後の3回のスイープについて平均ピーク電流を計算する。データはExcelにエクスポートされ、Pipeline Pilot(Biovia、米国)で開発実行されるバイオインフォマティクススイート(bioinformatics suite)を用いて問合せされる。テンプレートは、各試験濃度適用時間についてのパーセント阻害を、対照(すなわちビヒクル)時間終了時に測定された値に対する平均ピーク電流又は電荷の減少として計算する。各細胞から得られたパーセント阻害値を用いて、極低濃度及び極高濃度にそれぞれ固定された0%及び100%阻害レベルとフリーヒルスロープ(Hill slope)係数を用いる4パラメータロジスティックフィットを採用する濃度反応曲線を構築する。次に、IC50(50%阻害濃度)及びHill係数を決定するが、ヒルスロープが0.5>nH<2.0以内の細胞からのデータのみを含める。以下に報告されているIC50データは、少なくとも3個の別個の細胞(N≧3)の平均を表す。慣習として、最高濃度で>40%ブロックを達成できない試験サンプルは、当てはめがうまくいかないかその範囲が不明確なため、曖昧なIC50値をもたらすことになる。この場合、最高試験濃度より0.5log単位高い任意のIC50値を戻す。例えば、サンプルが最高濃度の30μMで>40%ブロックの平均阻害を示すことができなかったら、100μMのIC50値、すなわちpIC50≦4.0が報告される。
【0167】
【表7-1】
【0168】
【表7-2】
【国際調査報告】