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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-30
(54)【発明の名称】セキュア超音波システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/64 20130101AFI20230523BHJP
   G01N 29/06 20060101ALI20230523BHJP
   G01N 29/24 20060101ALI20230523BHJP
   G01N 29/44 20060101ALI20230523BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20230523BHJP
   A61B 8/00 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
G06F21/64
G01N29/06
G01N29/24
G01N29/44
A61B5/00 102A
A61B5/00 C
A61B8/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564299
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(85)【翻訳文提出日】2022-12-12
(86)【国際出願番号】 GB2021050996
(87)【国際公開番号】W WO2021214490
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】2006048.9
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.UNIX
(71)【出願人】
【識別番号】522411865
【氏名又は名称】ノボサウンド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ヒューズ、 デビット
【テーマコード(参考)】
2G047
4C117
4C601
【Fターム(参考)】
2G047AA05
2G047AA12
2G047AC13
2G047BA03
2G047BC02
2G047BC03
2G047BC04
2G047BC05
2G047BC13
2G047CA01
2G047GB02
2G047GB35
2G047GB36
2G047GF06
2G047GF26
2G047GG09
2G047GG33
2G047GH06
4C117XA01
4C117XB04
4C117XC15
4C117XC26
4C117XC30
4C117XD05
4C117XD08
4C117XD22
4C117XD23
4C117XE46
4C117XE57
4C117XH16
4C117XJ34
4C117XJ46
4C117XJ47
4C117XJ48
4C117XK32
4C117XR02
4C117XR09
4C601EE10
4C601GB19
4C601GB20
4C601GB41
4C601LL21
4C601LL26
(57)【要約】
超音波装置は、超音波信号を受信し、受信した超音波信号に応答し、受信した超音波信号を示す電気信号を生成するように動作可能な少なくとも1つの超音波トランスデューサと、電気信号を処理してデータを決定するためのオンボード処理システムと、データを外部処理システムと通信するための通信システムとを備え、超音波装置は、分散型台帳を使用して超音波データの完全性を保護するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波信号を受信し、受信した超音波信号に応答し、前記受信した超音波信号を示す電気信号を生成するように動作可能な少なくとも1つの超音波トランスデューサと、
前記電気信号を処理してデータを決定するためのオンボード処理システムと、
前記データを外部処理システムと通信するための通信システムと
を備える超音波装置であって、
前記超音波装置は、分散型台帳を使用して超音波データの完全性を保護するように構成される、超音波装置。
【請求項2】
前記超音波装置は、ウェアラブル装置である、請求項1に記載の超音波装置。
【請求項3】
前記超音波装置は、実体を撮像するための撮像装置、非破壊検査装置及び/又は経時的な実体の変化を監視するための監視装置を備える、請求項1又は2に記載の超音波装置。
【請求項4】
前記オンボード処理システムは、前記データを決定するための、定量分析、スペクトル分析、統計分析、機械学習又は人工知能技術の適用の1つ以上を実行することによって、前記電気信号、又は前記電気信号のデジタル化されたバージョン、又は前記電気信号から導出される1つ以上の特性を処理するように構成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項5】
前記オンボード処理システムは、デジタイザを含むか、又は前記少なくとも1つの超音波トランスデューサからの前記電気信号又はその値をデジタル化し、デジタル化された電気信号又はそれから導出されるデータをデジタル処理することによって、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサによって生成された前記電気信号を処理するように構成される、請求項1~4のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項6】
前記オンボード処理システムは、前記オンボード処理システムによって生成された前記データ及び/又は前記超音波トランスデューサによって生成された前記電気信号のデジタル化されたバージョンを分散型台帳、ブロックチェーン、複製ジャーナル技術又は有向非巡回グラフ(DAG)として記憶及び/又は送信するように構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項7】
前記分散型台帳は、ブロックチェーン、複製ジャーナル技術、ハイパーレッジャー、又は有向非巡回グラフ(DAG)を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項8】
前記オンボード処理システムは、前記オンボード処理システムによって生成されたデータ及び/又は前記超音波トランスデューサによって生成された前記電気信号のデジタル化されたバージョンを、送信又は記憶のために複数のブロックにグループ化するように構成され、
各ブロックは、前記オンボード処理システムによって生成された複数の又は既定量の時系列順のデータ、及び/又は前記超音波トランスデューサによって生成された前記電気信号のデジタル化されたバージョンの一部を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項9】
前記オンボード処理システムは、データをブロックに含める前に検証するように構成されており、
前記検証は、コンピュータの分散ネットワークの中の1つ以上の外部コンピュータによる検証である、請求項8に記載の超音波装置。
【請求項10】
前記オンボード処理システムは、前記データ又はブロックを送信又は記憶する前に、前記データ又はデータのブロックを暗号化及び/又は符号化し、及び/又は少なくとも前記ブロック内の前記データのハッシュ、及び少なくとも1つの以前のブロックのハッシュ又はデータを生成するように構成される、請求項8又は9に記載の超音波装置。
【請求項11】
前記オンボード処理システムは、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサからの前記デジタル化された電気信号又はその値をデジタル的に強化し、及び/又は前記少なくとも1つの超音波トランスデューサからの前記デジタル化された電気信号又はその値をフィルタリングするように構成される、請求項5又はそれに従属するいずれか1つの請求項に記載の超音波装置。
【請求項12】
決定された又は既定の周波数範囲において、広帯域線形の又は任意にスイープされたチャープ信号を使用した整合フィルタリングを使用して、デジタル化された電子信号をフィルタリングするように構成される、請求項11又はそれに従属するいずれか1つの請求項に記載の超音波装置。
【請求項13】
前記オンボード処理システムは、デジタル暗号技術を使用して前記通信システムを介して記憶及び/又は送信するために前記データを暗号化するように構成される、請求項1~12のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項14】
前記オンボード処理システムは、測定メタデータにアクセス可能であり、前記データの暗号化の一部として前記データと前記測定メタデータとを結合するように構成される、請求項1~13のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの超音波トランスデューサ、前記オンボード処理システム、前記通信システム、及び/又はデータ記憶装置に給電するための電源を備えており、前記電源は、電気化学的電力貯蔵装置、静電貯蔵装置、誘導性又は他の無線充電又は受電システム、及び/又は機械若しくは運動電源を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項16】
前記超音波トランスデューサは、導電性のフレキシブル基板上に非ポリマーの多結晶圧電材料の層を備えるフレキシブル超音波トランスデューサである、請求項1~15のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項17】
前記圧電材料の層の厚さは2~20μmの範囲であり、前記圧電材料の層の厚さは前記基板の半分以下である、請求項16に記載の超音波装置。
【請求項18】
前記超音波トランスデューサは、100%を超える帯域幅を有し、前記帯域幅の周波数の中心は10MHzを超える、請求項1~17のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項19】
人間又は動物等の生体に取り付けられ、固定され、又は装着される物品内にあるように構成される、請求項1~18のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項20】
前記オンボード処理システムによって決定された前記データは、肺炎、胸部感染症、脱水症、筋肉損傷、皮膚損傷、消化器系の健康問題、心機能障害、又は他の適切な健康的、歯科的若しくは生理学的状態若しくは症状等の健康又は生理学的状態の指示又は測定値を含み、又は、
前記オンボード処理システムによって決定された前記データは、実体の機械的特性又は状態等の実体の条件、状態、又は1つ以上の特性の指示又は測定値を含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか1項に記載の1つ以上の超音波装置、及び外部処理システムを備えるシステムであって、
前記超音波装置は、各超音波装置の通信システムを使用して前記外部処理システムと超音波データを通信するように構成され、
前記システムは、分散型台帳を使用して前記超音波データの完全性を保護するように構成される、システム。
【請求項22】
前記超音波装置の少なくとも1つ又は各々は、各超音波装置の少なくとも1つの超音波トランスデューサによって収集される電気信号を処理してデータを決定し、前記外部処理システムに前記データを通信するように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記外部処理システムは、前記超音波データの完全性を保護するために、ブロックチェーン、複製ジャーナル技術、ハイパーレッジャー、又は有向非巡回グラフ(DAG)等の分散型台帳として、前記超音波トランスデューサによって生成された電気信号のデジタル化されたバージョン及び/又は前記データを記憶及び/又は送信するように構成される、請求項21又は22に記載のシステム。
【請求項24】
前記外部処理システムは、前記超音波トランスデューサによって生成された前記電気信号のデジタル化されたバージョン及び/又は前記データを、送信又は記憶のために複数のブロックにグループ化するように構成されており、前記ブロックは、前方超音波トランスデューサによって生成された前記電気信号のデジタル化されたバージョンの一部及び/又は複数の又は既定量の時系列順のデータを含む、請求項21~23のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項25】
請求項1~20のいずれか1項に記載の超音波装置の少なくとも1つ又は請求項21~24のいずれかの1項に記載のシステムを使用して、実体の特性を決定及び/又は監視する方法であって、前記超音波装置から前記実体内に又は前記実体上に超音波信号を放射するステップと、
前記超音波装置を使用して超音波信号を受信するステップであって、受信した信号は、前記実体内に又は前記実体上に放射された信号を含むか又は放射された信号から導出されるステップと、
前記受信した信号から超音波データを決定するステップと、
分散型台帳を使用して前記超音波データの完全性を保護するステップと
を含む、方法。
【請求項26】
請求項1~20のいずれか1項に記載の前記超音波装置のコントローラ又は前記オンボード処理システムに実装されると、前記コントローラ又はオンボード処理システムによって、請求項25に記載の方法を実行するように前記超音波装置を制御する、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フレキシブル薄膜圧電超音波トランスデューサアレイを選択的に利用するセキュア超音波システムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波は、人間が聞くことができる範囲よりも高い音の周波数の範囲に及び、一般に20kHzを超える周波数を有する。一般的な動作範囲は100kHzから数ギガヘルツに及ぶ。超音波装置は、関係する周波数がはるかに高いため、一般に可聴用途に使用されるものとは大きく異なる。
【0003】
超音波を使用した分析は、様々な用途、特に医療撮像等の撮像処理だけでなく、非破壊検査(NDT)等の分野、特に産業用NDTにおいても非常に有望であることが示されている。しかしながら、病院及びその他の管理された医療環境ではよく使用されているものの、超音波撮像システムは従来、多くの用途で過度に高価でありかつ複雑であった。
【0004】
従来の超音波トランスデューサは一般にバルクセラミック材料から形成されており、これは高価でかさばる上に製造が難しく、特に多くの用途に望まれる形状及び特性を有する。超音波に使用される従来のセラミック材料は、一般に非常に高温での動作には適しておらず、用途によっては不適切である。特に、高温でありながら十分な分解能を持って動作可能であることの組み合わせは、多くの従来の超音波トランスデューサにとって課題である。さらに、従来の超音波トランスデューサは、自動化された技術を使用して製造することは容易ではなく、多くの場合、高度な手動操作を必要とする。したがって、改良された超音波トランスデューサ及びその製造方法が必要とされている。
【0005】
しかしながら、たとえ大衆市場向けの低コストの超音波アレイを製造することができたとしても、そのような装置からのデータセキュリティが一部の用途にとって問題となる可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の様々な態様は、独立請求項に定義されている。いくつかの好ましい特徴は従属請求項に定義されている。
【0007】
本開示の第1の例は、超音波信号を受信し、受信した超音波信号に応答し、前記受信した超音波信号を示す電気信号を生成するように動作可能な少なくとも1つの超音波トランスデューサと、前記電気信号を処理してデータを決定するためのオンボード処理システムと、前記データを外部処理システムと通信するための通信システムとを備える超音波装置である。
【0008】
超音波装置は、実体を監視するように構成されてもよい。超音波装置は、実体の超音波測定値を収集するように構成されてもよい。超音波装置は、例えば、少なくとも1つのトランスデューサのうちの1つ以上から実体上及び/又は実体内に放射超音波信号を放射するように構成されてもよい。少なくとも1つの超音波トランスデューサによって受信された受信超音波信号は、放射超音波信号の1つ以上の実体からの反射から形成されてもよい。超音波装置は、実体に取り付けられてもよく、又は取り付け可能であってもよい。超音波装置は、実体に取り付けるためのバンド、ストラップ、ネジ又はボルトの取り付け具、クランプ及び/又は同様のもの等の1つ以上の固定具を含んでもよい。
【0009】
超音波装置はウェアラブル装置であってもよい。実体は、人間又は動物等の生物であってもよい。実体は、有機的又は生物学的な実体であってもよい。超音波装置の1つ以上の固定具は、超音波装置を生体に取り付けるように構成されてもよい。超音波装置は、胴部、胸部、四肢の周囲に固定することによって、又は、生体の頭又は首に取り付けられることによって、例えば、ストラップ又はバンドを使用することによって、又は装着された物品に含まれるか又は付着することによって、生体を取り付けるように構成されてもよい。超音波装置は、例えば、実体を撮像するための撮像装置であってもよく、また、撮像装置を備えてもよい。
【0010】
超音波装置は非破壊検査装置であってもよい。実体は、無生物の物体であってもよい。実体は、構造物、パイプ、導管、支持物、建物又はその他の建築物、橋、梁、補強部材等であってもよいが、これらに限定されない。実体は無機質であってもよい。実体は、金属、複合材料、コンクリート、ポリマー材料及び/又は同様のもので形成されるか又は部分的に形成されてもよい。例えば、実体は、飛行機、ヘリコプター、ドローン、又はその他の飛行車両、乗用車、トラック、バスその他の自動車、船、ボートその他の形態の船舶、人工衛星、宇宙船、ロケットその他の宇宙用の乗り物又は実体のパネル、支持物、支柱、又は部材等の車両の構成要素であってもよい。監視対象の特性は、実体の機械的特性を含んでもよい。
【0011】
超音波装置は、ソリッドステートメモリ又はSSD、光学記憶装置、ハードドライブ又はその他の磁気記憶装置、RAM、ROM、EEPROM等のオンボードデータ記憶装置を含んでもよい。超音波装置は、受信した超音波信号から決定されたデータ及び/又は受信した超音波信号からデータを決定又は処理するために必要なパラメータの値又はメタデータを記憶するように構成されてもよい。
【0012】
超音波トランスデューサによって生成される電気信号は、1回以上又は連続した時間における超音波信号の振幅等の超音波信号の特性を表し得る。オンボード処理システムによって決定されるデータは、飛行時間、放射からの時間、減衰、周波数、周波数シフト、ドップラーシフト等の超音波信号から導出されるデータを含んでもよい。オンボード処理システムによって決定されるデータは、実体の状態、特性、パラメータ又は条件の測定又は値を表すデータを含んでもよい。オンボード処理システムによって決定されたデータは、実体の状態、特性、パラメータ又は条件の測定又は値を示す又は提供する定性的情報等の定性的情報を表し得る。オンボード処理システムは、例えば、オンボードデータ記憶装置を使用して、実体の状態、特性、パラメータ又は条件の値及び/又は履歴値等のデータ及び/又は履歴データを記憶するか、少なくとも一時的に記憶するように構成されてもよい。
【0013】
非網羅的な例として、オンボード処理システムによって決定されるデータは、肺炎、胸部感染症、脱水症、筋肉損傷、皮膚損傷、消化器系の健康問題、心機能障害、又はその他の適切な健康、歯科又は生理学的状態又は症状等の健康又は生理学的状態の指示又は測定値を含んでもよい。他の例では、オンボード処理システムによって決定されるデータは、機械的特性又は状態等の実体の条件、状態、又は1つ以上の特性の指示又は測定値を含んでもよい。
【0014】
オンボード処理システムは、例えば、前記データを決定するための、定量分析、スペクトル分析、統計分析、機械学習又は人工知能技術の適用1つ以上を実行することによって、電気信号又は電気信号のデジタル化されたバージョン、又は電気信号から導出される1つ以上の特性を処理するように構成されてもよい。人工知能技術は、回帰型ニューラルネットワーク等のニューラルネットワーク、又はその他の学習アルゴリズムを適用することを含んでもよい。ニューラルネットワーク又はその他の学習アルゴリズムは、トレーニングデータを使用してトレーニングされてもよい。トレーニングデータは、履歴データ、モデルによって生成されたデータ、及び/又は他の処理動作の1つ、例えば、定量分析、スペクトル分析、統計分析によって又は人間の分類によって分類されたデータから導出されてもよい。ニューラルネットワーク又はその他の学習アルゴリズムは、1つ以上の入力を1つ以上の出力にマッピングしてもよい。入力は、少なくとも1つの超音波トランスデューサによって出力された電気信号のデジタル化されたバージョン、及び/又は、振幅、飛行時間、発光からの時間、減衰、周波数、周波数シフト、ドップラーシフト等の超音波信号から導出されたデータを含んでもよく、これらは1回以上又は連続した時間のデータであってもよい。出力は、実体の状態、特性、パラメータ、又は条件の測定又は値を表すデータを含んでもよい。
【0015】
オンボード処理システムは、デジタイザを備えるか、又は少なくとも1つの超音波トランスデューサからの電気信号又はその値をデジタル化するように構成されてもよい。オンボード処理システムによる少なくとも1つの超音波トランスデューサによって生成された電気信号の処理は、デジタル化された電気信号又はそこから導出されるデータのデジタル処理を含んでもよい。
【0016】
オンボード処理システムは、少なくとも1つの超音波トランスデューサからのデジタル化された電気信号又はその値をデジタル的に強化するように構成されてもよい。オンボード処理システムは、例えば、整合フィルタリングを使用して、少なくとも1つの超音波トランスデューサからデジタル化された電気信号又はその値をフィルタリングするように構成されてもよい。整合フィルタリングは、0.5MHzから1GHz、例えば、1MHzから100MHzまでの周波数範囲に含まれ得る、決定された又は事前決定された周波数範囲で適用され得る広帯域線形又は任意にスイープされたチャープ信号を使用する整合フィルタリングを含んでもよい。
【0017】
オンボード処理システムは、少なくとも1つのプロセッサ等の少なくとも1つのデジタルデータ処理モジュールを含んでもよく、これは、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)、数学コプロセッサ、テンソル処理装置、ニューラル処理装置又は他のタイプの人工知能(AI)アクセラレータ、物理処理装置、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)等の1つ以上の異なるタイプのプロセッサを含んでもよい。デジタルデータ処理モジュールは、少なくとも1つの超音波トランスデューサからのデジタル化された電気信号又はその値を受信するように構成されてもよく、少なくとも1つの超音波トランスデューサからデジタル化された電気信号又はその値を処理して、そこからデータを決定するように構成されてもよい。デジタルデータ処理モジュールは、信号のデジタル化後であって、超音波装置の通信システムを使用して外部処理システムにデータを送信する前に、デジタル化された電子信号からデータを決定するように構成されてもよい。
【0018】
通信システムは、好ましくは、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)又はBLE(Bluetooth low energy)、ZigBee(登録商標)、長距離ワイドエリアネットワーク(LoRaWAn)、近距離無線通信(NFC)、赤外線(IR)、光無線通信(OWC)又はLi-Fi等の無線通信システム、及び/又はGSM(登録商標)、2G、3G、4G、5G、LTE通信システム又はその任意の後継又は将来の世代、及び/又は同様のもの等のセルラ電話通信システムを含んでもよい。しかしながら、用途によっては有線通信システムが使用されてもよい。通信システムは、インターネットを介して通信するように構成されてもよく、これは、SSL(Secure Sockets Layer)、TLS(Transport Layer Security)等の安全な通信方法を使用することを含んでもよい。
【0019】
超音波装置、例えば、オンボード処理システムは、例えば、デジタル暗号技術を使用して、通信システムを介して伝送されるデータを暗号化するように構成されてもよい。超音波装置は、デジタル署名であり得る識別子を含むか又はそれに関連付けられてもよい。各外部処理システムは、デジタル署名等の識別子にも関連付けられてもよい。超音波装置からのデータは、超音波装置の識別子及び/又はデータが関係する外部処理システムの識別子を用いて送信されてもよい。超音波装置は、公開秘密鍵暗号等の鍵暗号を使用してデータを送信するように構成されてもよい。超音波装置及び/又は外部処理システム及び/又は監視されている特定の実体は、それぞれ自身の公開及び秘密暗号鍵に関連付けられてもよい。超音波装置から外部処理システムへの伝送は、外部処理システムの公開鍵を使用して暗号化されてもよく、これは、超音波装置上で超音波装置に対して事前にプログラムされているか又は事前に送信されていてもよい。オンボード処理システムによって生成されたデータ及び/又は超音波トランスデューサによって生成された電気信号のデジタル化されたバージョンは、例えば、超音波装置及び/又は実体に関連付けられた及び/又は固有の秘密暗号鍵を使用して、記憶及び/又は伝送の前に、暗号化されてもよい。これにより、超音波装置及び/又は監視対象の実体の秘密鍵を所有しているユーザに対して、データへのアクセスの制御が提供されてもよい。
【0020】
オンボード処理システムは、オンボードデータストアに記憶され得る測定メタデータへのアクセスを有してもよい。オンボード処理システムは、例えば、データの暗号化の一部として、データを測定メタデータと結合するように構成されてもよい。外部処理システムは、ネットワークメタデータへのアクセスも有してもよく、外部処理システムは、例えば、データの暗号化の一部として、データをネットワークメタデータと結合するように構成されてもよい。
【0021】
超音波データの完全性は、ブロックチェーン、複製ジャーナル技術、ハイパーレッジャー(hyperledger)、有向非巡回グラフ(DAG)等の分散型台帳を利用して保護されてもよい。オンボード処理システム及び/又は外部処理システムは、オンボード処理システムによって生成されたデータ及び/又は超音波トランスデューサによって生成された電気信号のデジタル化されたバージョンを分散型台帳として、例えば、超音波データの完全性を保護するために、ブロックチェーン、複製ジャーナル技術、ハイパーレッジャー、有向非巡回グラフ(DAG)等として、記憶及び/又は送信するように構成されてもよい。オンボード処理システム及び/又は外部処理システムは、例えば、外部処理システムと超音波データを通信する前に、分散型台帳を使用して超音波データを保護するように構成されてもよい。
【0022】
オンボード処理システム及び/又は外部処理システムは、オンボード処理システムによって生成されたデータ及び/又は超音波トランスデューサによって生成された電気信号のデジタル化されたバージョンを、送信又は記憶のための複数のブロックにグループ化するように構成されてもよい。ブロックは、オンボード処理システムによって生成された複数の又は既定量の時系列順のデータ、及び/又は超音波トランスデューサによって生成された電気信号のデジタル化されたバージョンの一部を含んでもよい。
【0023】
オンボード処理システム及び/又は外部処理システムは、ブロックに含める前にデータを検証するように構成されてもよい。検証は、例えば、コンピュータの分散ネットワークであり得るコンピュータのネットワークからの、1つ以上の外部コンピュータによる検証であってもよい。
【0024】
オンボード処理システム及び/又は外部処理システムは、データをブロック内に記憶及び/又は送信するように構成されてもよい。
【0025】
各ブロックは、1つ以上の項目のデータ、例えば、所与の時間又は複数の異なる時間の1つ以上の異なるタイプの超音波測定に関連付けられたデータを含む。例えば、データはタイムスタンプ付きのデータであってもよく、例えば、データが収集又は処理された時刻がタイムスタンプされる。オンボード処理システム及び/又は外部処理システムは、データが超音波装置によって収集されたとき又はオンボード処理システムによって処理されたときの順序等、例えば、時系列の順序に従って、ブロック内のデータを厳密に処理及び/又は送信するように構成されてもよい。オンボード処理システム及び/又は外部処理システムは、各ブロックに対して一意のコード又は識別子を生成するように構成されてもよい。
【0026】
オンボード処理システム及び/又は外部処理システムは、データ、例えばデータのブロックを暗号化及び/又は符号化し、及び/又はデータ又はブロックを送信又は記憶する前に、少なくともブロック内のデータのハッシュを生成するように構成されてもよい。
【0027】
オンボード処理システム及び/又は外部処理システムは、少なくとも1つの先行するブロック又はデータ、例えば、少なくとも直前のブロック又はデータ、選択的に、複数の先行するブロック又はデータ、及び、選択的に全ての先行するブロック又はデータの知識又は復号を必要とするやり方で、データ、例えば各データのブロックをハッシュ化、暗号化及び/又は符号化するように構成されてもよい。
【0028】
ハッシュは、限定されないが、SHA-256等の安全なハッシュアルゴリズムを使用して生成されてもよい。セキュアハッシュアルゴリズムは、決定論的で不可逆かつ/又は衝突耐性を持つアルゴリズムであってもよい。ハッシュは、入力データの長さに関係なく、固定長のハッシュであってもよい。所与のブロックに関するハッシュは、以前のブロックに関するハッシュ及び/又は以前のブロックのデータ及び/又は現在のブロックのデータの少なくとも一部又は全部を含むデータのハッシュであってもよい。
【0029】
このようにして、超音波装置によって提供されるデータをより耐タンパ性にすることができ、特に高度に検証可能なデータ又は改ざん防止データを必要とする用途に対して、データの信頼性を向上させ得る。
【0030】
オンボード処理システム及び/又は外部処理システムは、ブロックチェーン、分散型非巡回グラフ、分散型台帳技術、ハイパーレッジャー、又はその他の暗号通貨又は分散型台帳技術を使用して、データ又はデータのブロックを符号化又は暗号化するように構成されてもよい。
【0031】
通信システムは、例えば、ルータ、移動基地局、交換局等の1つ以上の中継又は中間通信装置を介して、外部処理システムと直接又は間接的にデータを通信するように構成されてもよい。
【0032】
いくつかの例では、外部処理システムは、リモートデータ処理システムであってもよい。外部処理システムは、ワイドエリアネットワーク又はインターネット等のネットワークを介して超音波装置と通信可能であってもよい。外部処理システムは、例えば、超音波装置から数十メートル又は数百メートルの程度で、又は超音波装置から数マイル離れて、及び/又は異なる場所及び/又は別の部屋又は建物に配置されてもよい。いくつかの例では、外部処理システムは、例えば、同じ場所に、同じ建物内に、cm又はmの程度で、又は単一のケーブル範囲で、超音波装置に対してローカルであってもよい。
【0033】
外部処理システムは、サーバ又は複数のサーバのグループ、クラウドコンピューティングリソース、専用又は特注のコンピューティングリソース、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、Unix又はLinux(登録商標)を実行するコンピュータシステム、又はその他の大容量コンピューティングシステムであるか、又はこれらを含んでもよい。
【0034】
外部処理システムは、超音波装置から受信したデータをさらに処理するように、例えば、超音波装置から受信したデータからデータをさらに導出するように構成されてもよい。外部処理システムは、オンボード処理システムによって生成されたデータ及び/又は超音波トランスデューサによって生成された電気信号のデジタル化されたバージョンを、例えば集中型データ記憶装置に記憶するように構成されてもよい。集中型記憶装置は、オンボード処理システムによって生成されたデータ及び/又は超音波トランスデューサによって生成された電気信号のデジタル化されたバージョンを、分散型台帳に、例えば、ブロックチェーン又はDAGに記憶してもよい。集中型記憶装置は、オンボード処理システムによって生成されたデータの暗号化バージョン、及び/又は超音波トランスデューサによって生成された電気信号のデジタル化バージョンを記憶してもよい。
【0035】
外部処理システムは、例えば、1つ又は複数のコンピューティングリソースにデータ又はさらなるデータを分散するように構成されてもよい。外部処理システムは、分散型台帳に及び/又は暗号化された形式でデータ又はさらなるデータを分散するように構成されてもよい。コンピューティングリソースは、少なくとも1つのユーザ装置、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピューティング装置、制御又は監視システム、サーバコンピュータ、コンピュータワークステーション、クラウドコンピューティングリソース、及び/又は同様のものであるか、又はそれらを含んでもよい。コンピューティングリソースは、外部コンピューティングリソースからデータ及び/又はさらなるデータにアクセスするか又はそれを受信するように構成されてもよい。データ及び/又はさらなるデータは、外部のコンピューティングシステムによってコンピューティングリソースにプッシュされるか、コンピューティングリソースによって外部のコンピューティングシステムからプルされてもよい。さらなるデータは、アラーム又はアラートインジケータ、アラーム又はアラートの状態、アラーム又はアラートの値又は大きさ、アラーム又はアラートのタイプ、及び/又はアラーム又はアラートをサポートするさらなる情報を含んでもよい。アラーム又はアラートは、超音波装置によって監視されている実体の条件、状態、又は特性を表してもよい。アラームは、少なくとも処理及びデータ伝送の範囲内で、「オンザフライ」及び/又はリアルタイム又は略リアルタイムで提供されてもよい。
【0036】
コンピューティングリソースは、少なくとも1つのディスプレイ、オーディオシステム、触覚システム、少なくとも1つのビジュアルインジケータ、及び/又は同類の1つ以上を含んでもよい。コンピューティングリソースは、例えば、ディスプレイ、オーディオシステム、触覚システム、ビジュアルインジケータ、及び/又はそれに類するものを使用して、データ及び/又はさらなるデータ、又はデータ又はさらなるデータに基づいて、その表現又はインジケータ、又はアラーム、アラート又は状態の更新を提供するように構成されてもよい。表現は、グラフ、チャート、テーブル、又はその他のグラフィカルなインジケータを含み得るが、これらに限定されない。
【0037】
コンピューティングリソース及び/又は外部コンピューティングシステムは、例えば、監視サービス、医師又は他の医療専門家又はシステム、介護者、補助者、指定人、オペレータ又はコントローラ等の場所等、超音波装置の場所から離れた又は異なる場所で、アラーム又はアラート及び/又はデータ及び/又はさらなるデータを提供してもよい。
【0038】
超音波装置は、例えば、経時的な実体の超音波測定値を収集するために、例えば、データの変化及び/又は進化、及び/又は実体の1つ以上の特性又はパラメータを時間と共に決定するために、実体に取り付けられたままであるように構成されてもよい。
【0039】
超音波装置は、少なくとも1つの超音波トランスデューサ、オンボード処理システム、通信システム、及び/又はデータ記憶装置に給電するための電源を含んでもよい。電源は、バッテリ、燃料電池、フローセル又は他の電気化学的電力貯蔵装置、コンデンサ、スーパーキャパシタ又は他の静電貯蔵装置、及び/又は同様のもの等の電力貯蔵を含んでもよい。電源は、誘導性又は他のワイヤレス充電又は受電システムを含んでもよい。電源は、運動電源等の機械的な動力源を含んでもよい。
【0040】
超音波装置は、超音波トランスデューサのアレイを含んでもよく、少なくとも1つの超音波トランスデューサをアレイ内に含んでもよい。
【0041】
超音波トランスデューサ又は複数の超音波トランスデューサのアレイは、基板上に圧電材料の層を含んでもよい。超音波トランスデューサは、フレキシブル超音波トランスデューサであってもよい。基板は、金属箔等の導電性基板を含んでもよい。
【0042】
圧電材料は、酸化亜鉛又は窒化アルミニウム等の金属酸化物又は金属窒化物、あるいはドープ又は合金化された金属酸化物又は金属窒化物等の一次圧電材料であるか、又はこれらを含んでもよい。圧電材料は、ドーパント又はさらなる材料(合金材料又は共蒸着材料等)を含んでもよく、それらは遷移金属又はその化合物であるか、又はそれらを含んでもよい。ドーパント又はさらなる材料は、例えばバナジウムであってもよい。ドーパント又はさらなる材料は、重量に対して10%までのレベル、例えば0.01から10%w/wで圧電材料中に存在してもよい。一次圧電材料、例えば、金属酸化物又は金属窒化物は、90%w/wから99.99%w/wまでのレベルで圧電材料の層に存在してもよい。他の例では、超音波トランスデューサは、セラミック、PZT、ポリマー又は他のトランスデューサ等の他のタイプのトランスデューサであってもよく、単結晶又は多結晶であってもよく、トランスデューサは必ずしもフレキシブル又は薄膜でなくてもよい。
【0043】
圧電材料の層は、圧電材料の膜であるか、それを含むか、又はその中に含まれてもよい。圧電材料の層は、超音波を生成するように構成されるか及び/又は動作可能であってもよく、すなわち、圧電材料の層は、超音波生成層であってもよく、又はそれを含んでもよい。超音波は、20kHzを超える周波数、例えば、100kHzから2又は5ギガヘルツまでの周波数を有する音波であってもよい。圧電材料は、無機材料であってもよく、又はそれを含んでもよい。圧電材料は、結晶性、例えば、多結晶又は柱状の圧電材料であってもよい。圧電材料の層は、非ポリマー圧電材料の層であってもよい。しかしながら、用途に応じて、圧電材料は、薄膜、セラミック、MEMS、ポリマー又はセラミック圧電材料であってもよく、又はそれらを含んでもよい。圧電材料は、圧電特性を有する材料の連続層であってもよく、又はそれを含んでもよく、例えば、圧電材料は、非圧電材料のマトリクス内で圧電特性を有する圧電材料の離散領域を含まなくてもよい。圧電材料の層の厚さは2から20μmの範囲であってもよい。圧電材料の層は基板より薄くてもよく、例えば、基板より少なくとも2倍、5倍、6倍、10倍薄くてもよい。しかしながら、本開示は、上記の組成を有する薄膜フレキシブルトランスデューサに限定されるものではなく、他の例では、超音波トランスデューサは、セラミック、PZT、ポリマー又は他のトランスデューサ等の他のタイプのトランスデューサであってもよく、又はそれらを含んでもよい。
【0044】
超音波トランスデューサ又は複数の超音波トランスデューサのアレイは、圧電材料の層上に少なくとも1つの電極を含んでもよく、これは圧電材料の層上の電極アレイに含まれてもよい。電極は作用電極であってもよい。アレイ内の各電極は、例えば、超音波トランスデューサのアレイにおいて、異なる超音波トランスデューサを表してもよい。超音波装置は、例えば、圧電材料の表面又はその上に配置された電気抵抗層上に、少なくとも1つの導電トラック及び/又は少なくとも1つの電気コネクタを含んでもよい。それぞれの導電トラックは、それぞれの電極をそれぞれの電気コネクタに電気的に接続し得る。しかしながら、電極を提供し、かつ/又は電極を電気的に接続し、かつ/又は圧電材料の層を電気的に結合するための他の配置が使用されてもよい。
【0045】
基板は導電性であってもよく、すなわち導電体であってもよい。基板は平面であってもよい。基材は膜又はシートであってもよい。基板は、金属、例えば、金属膜であってもよい。基板は、金属又はアルミニウム箔のような金属箔であってもよく、又はそれらを含んでもよい。基板は薄い箔であってもよく、又はそれを含んでもよい。基板の厚さは20から200μmの範囲であってもよい。基板は、圧電材料の層よりも厚くてもよく、例えば、少なくとも6倍、又は10倍以上であってもよい。
【0046】
基板は、電気接地電極であるか、それを含むか、又はそれに含まれてもよい。基板は、(複数の)作用電極の対電極であるか、それを含むか、又はそれに含まれてもよい。対電極又は接地電極は、少なくとも1つの作用電極(例えば、電極アレイの作用電極)と電極対を形成することができ、それは圧電材料の反対側に対極又は接地電極に設けられてもよい。圧電材料の層が配置された基板の表面とは反対側の基板の表面は、使用時に超音波が放射される放射面であってもよい。
【0047】
超音波トランスデューサ又は複数の超音波トランスデューサのアレイは、二次層を含んでもよい。二次層は、カプセル化材料を含んでもよい。二次層は、誘電体材料であってもよく、又はそれを含んでもよい。二次層は、誘電性ポリマー等のポリマー材料であってもよく、又はそれを含んでもよい。二次層は基板より薄くてもよい。二次層の厚さは50μm未満、例えば、1から50μmの間であってもよい。二次層は、エポキシ、ポリイミド、ポリパラキシレン等を含んでよく、又はこれらから形成されてもよい。二次層は、圧電材料の層の表面の少なくとも一部に、その上に、又はそれを覆うように直接設けられてもよい。二次層は、基板に対する圧電材料の層の反対側に、その上に、又はそれを覆うように直接設けられてもよい。二次層は、導電トラックの少なくとも一部又は全部及び/又は少なくとも1つの電極(例えば、電極アレイの電極)の上、周囲及び/又は間に直接設けられてもよい。二次層は電気絶縁層であってもよい。二次層は、コネクタの少なくとも一部又は全てを露出したままにしてもよい。二次層は、導電トラック及び/又は少なくとも1つの電極を形成する圧電材料及び/又は導電材料の上にのみ設けられてもよい。二次層は、基板上に直接設けられなくてもよく、少なくとも圧電材料が設けられる基板の側面と反対側の基板の側面に少なくとも直接的に設けられなくてもよい。
【0048】
超音波トランスデューサ又は複数の超音波トランスデューサのアレイは、100%を超える帯域幅を有してもよく、帯域幅の周波数の中心は10MHzを超えてもよい。
【0049】
超音波トランスデューサは、非破壊検査等の検査用の超音波トランスデューサであってもよい。超音波トランスデューサは、超音波撮像等の撮像のための超音波トランスデューサであってもよい。
【0050】
本開示の第2の例は、第1の例の1つ以上の超音波装置及び外部処理システムを備えるシステムであって、(複数の)超音波装置は、例えば、それぞれの超音波装置の通信システムを使用して、超音波データを外部処理システムと通信するように構成される。このシステムは、ブロックチェーン、複製ジャーナル技術、ハイパーレッジャー、有向非巡回グラフ(DAG)等の分散型台帳を利用して超音波データの完全性を保護するように構成されてもよい。
【0051】
少なくとも1つ又はそれぞれの超音波装置(例えば、それぞれの超音波装置のそれぞれのオンボード処理システム)は、それぞれの超音波装置の少なくとも1つの超音波トランスデューサによって収集された電気信号を処理してそこからデータを決定するように構成されてもよい。少なくとも1つ又はそれぞれの超音波装置(例えば、それぞれの超音波装置のそれぞれの通信システム)は、オンボード処理システムによって決定されたデータ(例えば、アナログ超音波信号から導出されるデジタルデータ)を外部処理システムに通信するように構成されてもよい。
【0052】
オンボード処理システム及び/又は外部処理システムは、オンボード処理システムによって生成されたデータ及び/又は超音波トランスデューサによって生成された電気信号のデジタル化されたバージョンを分散型台帳として、例えば、超音波データの完全性を保護するために、ブロックチェーン、複製ジャーナル技術、ハイパーレッジャー、有向非巡回グラフ(DAG)等として、記憶及び/又は送信するように構成されてもよい。少なくとも1つ又はそれぞれの超音波装置のオンボード処理システム及び/又は外部処理システムは、例えば、少なくとも1つ又はそれぞれの超音波装置の外部処理システム及び/又は内部処理システムと超音波データを通信する前に、分散型台帳を利用して超音波データの完全性を保護するように構成されてもよい。
【0053】
オンボード処理システム及び/又は外部処理システムは、オンボード処理システムによって生成されたデータ及び/又は超音波トランスデューサによって生成された電気信号のデジタル化されたバージョンを、送信又は記憶のための複数のブロックにグループ化するように構成されてもよい。ブロックは、オンボード処理システムによって生成された複数の又は既定量の時系列データ、及び/又は超音波トランスデューサによって生成された電気信号のデジタル化されたバージョンの一部を含んでもよい。
【0054】
オンボード処理システム及び/又は外部処理システムは、ブロックに含める前にデータを検証するように構成されてもよい。検証は、例えば、コンピュータの分散ネットワークであり得るコンピュータのネットワークからの、1つ以上の外部コンピュータによる検証であってもよい。
【0055】
オンボード処理システム及び/又は外部処理システムは、データをブロック内に記憶及び/又は送信するように構成されてもよい。
【0056】
各ブロックは、1つ以上の項目のデータ、例えば、所与の時間又は複数の異なる時間の1つ以上の異なるタイプの超音波測定に関連付けられたデータを含む。例えば、データはタイムスタンプ付きのデータであってもよく、例えば、データが収集又は処理された時刻がタイムスタンプされる。オンボード処理システム及び/又は外部処理システムは、データが超音波装置によって収集されたとき又はオンボード処理システムによって処理されたときの順序等、例えば、時系列の順序に従って、ブロック内のデータを厳密に処理及び/又は送信するように構成されてもよい。オンボード処理システム及び/又は外部処理システムは、各ブロックに対して一意のコード又は識別子を生成するように構成されてもよい。
【0057】
オンボード処理システム及び/又は外部処理システムは、データ、例えばデータのブロックを暗号化及び/又は符号化し、及び/又はデータ又はブロックを送信又は記憶する前に、少なくともブロック内のデータのハッシュを生成するように構成されてもよい。
【0058】
オンボード処理システム及び/又は外部処理システムは、少なくとも1つの先行するブロック又はデータ、例えば、少なくとも直前のブロック又はデータ、選択的に、複数の先行するブロック又はデータ、及び、選択的に全ての先行するブロック又はデータの知識又は復号を必要とするやり方で、データ、例えば各データのブロックをハッシュ化、暗号化及び/又は符号化するように構成されてもよい。
【0059】
ハッシュは、限定されないが、SHA-256等の安全なハッシュアルゴリズムを使用して生成されてもよい。セキュアハッシュアルゴリズムは、決定論的で不可逆かつ/又は衝突耐性を持つアルゴリズムであってもよい。ハッシュは、入力データの長さに関係なく、固定長のハッシュであってもよい。所与のブロックに関するハッシュは、以前のブロックに関するハッシュ及び/又は以前のブロックのデータ及び/又は現在のブロックのデータの少なくとも一部又は全部を含むデータのハッシュであってもよい。
【0060】
このようにして、超音波装置によって提供されるデータをより耐タンパ性にすることができ、特に高度に検証可能なデータ又は改ざん防止データを必要とする用途に対して、データの信頼性を向上させ得る。
【0061】
オンボード処理システム及び/又は外部処理システムは、ブロックチェーン、分散非巡回グラフ、又はその他の暗号通貨又は分散型台帳技術を使用して、データ又はデータのブロックを符号化又は暗号化するように構成されてもよい。
【0062】
いくつかの例では、外部処理システムは、リモートデータ処理システムであってもよい。外部処理システムは、ワイドエリアネットワーク又はインターネット等のネットワークを介して超音波装置と通信可能であってもよい。外部処理システムは、例えば、超音波装置から数十メートル又は数百メートルの程度で、又は超音波装置から数マイル離れて、及び/又は異なる場所及び/又は別の部屋又は建物に配置されてもよい。いくつかの例では、外部処理システムは、例えば、同じ場所に、同じ建物内に、cm又はmの程度で、又は単一のケーブル範囲で、超音波装置に対してローカルであってもよい。
【0063】
外部処理システムは、サーバ又は複数のサーバのグループ、クラウドコンピューティングリソース、専用又は特注のコンピューティングリソース、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、Unix又はLinuxを実行するコンピュータシステム、又はその他の大容量コンピューティングシステムであるか、又はこれらを含んでもよい。
【0064】
外部処理システムは、超音波装置から受信したデータをさらに処理するように、例えば、超音波装置から受信したデータからデータをさらに導出するように構成されてもよい。外部処理システムは、オンボード処理システムによって生成されたデータ及び/又は超音波トランスデューサによって生成された電気信号のデジタル化されたバージョンを、例えば集中型データ記憶装置に記憶するように構成されてもよい。集中型記憶装置は、オンボード処理システムによって生成されたデータ及び/又は超音波トランスデューサによって生成された電気信号のデジタル化されたバージョンを、分散型台帳に、例えば、ブロックチェーン又はDAGに記憶してもよい。集中型記憶装置は、オンボード処理システムによって生成されたデータの暗号化バージョン、及び/又は超音波トランスデューサによって生成された電気信号のデジタル化バージョンを記憶してもよい。
【0065】
外部処理システムは、例えば、1つ又は複数のコンピューティングリソースにデータ又はさらなるデータを分散するように構成されてもよい。外部処理システムは、分散型台帳に及び/又は暗号化された形式でデータ又はさらなるデータを分散するように構成されてもよい。コンピューティングリソースは、少なくとも1つのユーザ装置、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピューティング装置、制御又は監視システム、サーバコンピュータ、コンピュータワークステーション、クラウドコンピューティングリソース、及び/又は同様のものであるか、又はそれらを含んでもよい。コンピューティングリソースは、外部コンピューティングリソースからデータ及び/又はさらなるデータにアクセスするか又はそれを受信するように構成されてもよい。データ及び/又はさらなるデータは、外部のコンピューティングシステムによってコンピューティングリソースにプッシュされるか、コンピューティングリソースによって外部のコンピューティングシステムからプルされてもよい。さらなるデータは、アラーム又はアラートインジケータ、アラーム又はアラートの状態、アラーム又はアラートの値又は大きさ、アラーム又はアラートのタイプ、及び/又はアラーム又はアラートをサポートするさらなる情報を含んでもよい。アラーム又はアラートは、超音波装置によって監視されている実体の条件、状態、又は特性を表してもよい。アラームは、少なくとも処理及びデータ伝送の範囲内で、「オンザフライ」及び/又はリアルタイム又は略リアルタイムで提供されてもよい。
【0066】
コンピューティングリソースは、少なくとも1つのディスプレイ、オーディオシステム、触覚システム、少なくとも1つのビジュアルインジケータ、および/または同類の1つ以上を含んでもよい。コンピューティングリソースは、例えば、ディスプレイ、オーディオシステム、触覚システム、ビジュアルインジケータ、及び/又はそれに類するものを使用して、データ及び/又はさらなるデータ、又はデータ又はさらなるデータに基づいて、その表現又はインジケータ、又はアラーム、アラート又は状態の更新を提供するように構成されてもよい。表現は、グラフ、チャート、テーブル、又はその他のグラフィカルなインジケータを含み得るが、これらに限定されない。
【0067】
コンピューティングリソース及び/又は外部コンピューティングシステムは、例えば、監視サービス、医師又は他の医療専門家又はシステム、介護者、補助者、指定人、オペレータ又はコントローラ等の場所等、超音波装置の場所から離れた又は異なる場所で、アラーム又はアラート及び/又はデータ及び/又はさらなるデータを提供してもよい。
【0068】
本開示の第3の例は、第1の例の超音波装置又は第2の例のシステムの少なくとも1つを使用して、実体の特性を決定及び/又は監視する方法である。この方法は、超音波装置(例えば、超音波装置の少なくとも1つの超音波トランスデューサの1つ以上又はそれぞれ)から超音波信号を実体上又は実体内に放射することを含んでもよい。この方法は、超音波装置(例えば、超音波装置の少なくとも1つの超音波トランスデューサの1つ以上又はそれぞれ)を使用して超音波信号を受信することを含んでもよく、受信した信号は、例えば、実体内又は実体上に放射された信号の反射等、実体内に又は実体上に放射された信号を含んでもよく、又はそれから導出されてもよい。受信した信号は、実体上又は実体内の1つ以上のインターフェースによって、実体内又は実体上に放射された信号の反射を含んでもよい。この方法は、受信した信号から超音波データを導出又は決定することを含んでもよい。この方法は、ブロックチェーン、複製ジャーナル技術、ハイパーレッジャー、有向非巡回グラフ(DAG)及び/又は同様のもの等の分散型台帳を利用して超音波データの完全性を保護することを含んでもよい。この方法は、例えば、少なくとも1つ又はそれぞれの超音波装置の外部処理システム及び/又は内部処理システムと超音波データを通信する前に、分散型台帳を利用して超音波データの完全性を保護することを含んでもよい。
【0069】
本開示の第4の例は、第1の態様の超音波装置のコントローラ又はオンボード処理システムに実装されると、コントローラ又はオンボード処理システムによって第3の例の方法を実行するように超音波装置を制御するコンピュータプログラム製品である。
【0070】
本発明のいずれかの態様に従って上記に、又は本発明の特定の実施形態に関連して以下に定義された個々の特徴及び/又は特徴の組み合わせは、本発明の他の態様又は実施形態において、単独で又は他の定義された特徴と組み合わせて、別個に又は個々に利用されてもよい。
【0071】
さらに、本発明は、本明細書に記載された装置の特徴を使用、生産、修理又は製造する方法、及び/又は方法に関して本明細書に記載された何らかの特徴を実行するように構成された装置を含むことを意図している。機能を実行するものとして上述した装置の特徴のいずれについても、本発明は、その機能を実行することを含む方法も含んでいる。
【0072】
本開示のこれらの態様及びその他の態様については、以下に示す添付の図を参照して、例としてのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1】超音波監視システムのハイレベル概略図である。
図2図1の超音波監視システムの適用を示している。
図3図1及び図2のシステムで使用される超音波装置の概略図である。
図4図1のシステムにおけるデータフローを示す詳細な概略図である。
図5】超音波装置で実行される図4に示すデータフローをさらに詳細に示した詳細な概略図である。
図6】外部処理システムで実行される図4に示すデータフローをさらに示す詳細な概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
超音波は医療でよく知られている撮像技術である。しかしながら、現在の撮像システムは、大量生産されたウェアラブル装置にとって高価でありかつ複雑であるため、一般に病院等の施設に限定されている。しかしながら、WO2019/166805、WO2019/166815及びPCT/GB2020/050468に本出願人の名前で記載されているような、低コストで大量生産可能かつフレキシブルなトランスデューサの出現は、様々な新しい可能性を開いた。これらの内容は本出願に完全に記載されているかのように参照により組み込まれる。これには、超音波測定を監視に使用するために、数時間、数日、数週間、場合によっては数年等の長期間にわたって監視される実体について装置がその場に置かれ得る機会が含まれる。このように、超音波技術を使用して、実体の1つ以上の特性の時間発展を決定及び監視することができる。また、この新しい装置は、生体の状態を監視する機会を与えるウェアラブル技術への利用の可能性も生み出している。これは、例えば、そのようなウェアラブル超音波センサが人間及び動物の状態を監視することを可能にし、それには状態又は他の生理学的若しくは医学的パラメータの識別、監視及び/又は警告が含まれ得る。
【0075】
図1及び図2には、監視機能を提供できる超音波システム5が示されている。超音波システム5は、それぞれの実体又は物体12を監視するための少なくとも1つの超音波装置10を備える。この例では、超音波装置10は、人間又は動物が装着できるウェアラブルな超音波装置10であり、すなわち、実体又は「物体」12は生物である。しかしながら、用途はこれに限定されず、超音波装置10は、多くの適切な可能性の中で、特に、パイプ、支持体、梁、建物若しくはその他の建築構造物の一部、プラント若しくは機械の一部、風力タービン若しくはタワー、海軍若しくは海上ベースの構造物、又は車両の一部等に等しく取り付けられ、かつこれらを監視することができる。
【0076】
超音波装置10は、処理機能、すなわちエッジ処理を提供するように構成されており、アナログ超音波信号のデジタル化、及び信号処理、定量分析、統計分析、スペクトル分析、人工知能等のデジタル信号の処理を実装することができる。エッジ処理により、生データではなく処理されたデジタル情報を外部処理システム15に送信し、肺炎、胸部感染症、脱水症、筋肉損傷、皮膚損傷、消化器系の健康問題、心機能障害、その他の健康上の症状等の疾患及び状態をリモートで監視及び診断することが可能になる。外部処理システム15は、超音波装置10及び潜在的に多数の他の超音波装置10によって収集されたデジタル情報のリモートデータ記憶装置を備える。情報は外部処理システム15によって分析され、実体又は物体12の所定の条件が発生したというアラート20(及び、選択的に支援が必要であるというアラート)を提供することができる。また、外部処理システムは、1つ以上の超音波装置10及び他の超音波装置10から返された情報を、それらが取り付けられる又は関連付けられているそれぞれの実体又は物体12に関して問い合わせるためのリモートユーザインターフェース25を提供するように構成される。
【0077】
図3には、超音波装置10のより詳細な概略図を示す。超音波装置10は、オンボード処理システム35に最終的に接続された複数の超音波トランスデューサ30を備える。オンボード処理システム35は、中央処理装置、グラフィックス処理装置(GPU)、数学コプロセッサ、テンソル処理装置、ニューラル処理装置又は他のタイプの人工知能(AI)アクセラレータ、物理処理装置、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)等の1つ以上のプロセッサを備え得る。オンボード処理システム35は、信号処理、定量分析、統計分析、スペクトル分析、人工知能等のエッジ処理機能を提供するように構成される。
【0078】
超音波トランスデューサのアレイ30は、金属箔等の導電性のフレキシブル基板上に堆積させた、ZnOやAlN等の非ポリマーの多結晶圧電材料に基づくフレキシブル薄膜トランスデューサとするのが有益であり得る。適切な超音波トランスデューサ30の例は、本出願人の名前でWO2019/166805、WO2019/166815及びPCT/GB2020/050468に記載されており、その内容はここに完全に記載されているかのように参照により組み込まれる。
【0079】
超音波トランスデューサ30は、パルス電気波形信号を供給することができるパルス/電力モジュール40によって動作し、超音波トランスデューサ30を超音波周波数で振動させて、実体又は物体12に送信される対応する超音波45を生成する(図1及び図2も参照)。次に、実体又は物体12内の異なる音響インピーダンスの領域間の境界からの超音波45の反射が、超音波トランスデューサ30によって受信される。これにより、圧電材料は、受信した超音波45の周波数及び振幅を示す対応するアナログ電気信号を生成する。
【0080】
超音波装置10は、超音波トランスデューサ10によって生成されたアナログ電気信号をオンボード処理システム35によって処理できるデジタル信号に変換するように動作可能なアナログ-デジタルトランスデューサの形態のデジタイザ50を備える。
【0081】
オンボード処理システム35は、超音波トランスデューサ30によって最初に生成された電気信号のデジタル化されたバージョンをデジタイザ50から受信し、デジタル化された電気信号を処理して実体又は物体12の特性を決定する。超音波トランスデューサ30によって生成される電気信号は、経時的な振幅及び周波数等の受信した超音波の特性を表すものであることが理解されるであろう。オンボード処理システムは、放射された超音波の送信から実体又は物体12の境界からの各反射の受信までの飛行時間/時間、ドップラーシフト等のパラメータを信号から導出するように構成される。 オンボード処理システムは、受信した超音波信号から実体又は物体12の特性を決定するように構成される。このような特性の非限定的な例には、多数の可能な特性の中で、例えば、境界の位置、実体又は物体の領域の密度、実体の肺活量又は充填、血流速度、心拍数、呼吸数、筋肉密度及び/又は同様のものが含まれ得る。
【0082】
オンボード処理システム35によって決定された実体又は物体の特性の値は、超音波装置10に含まれるオンボードデータ記憶装置55に一時的又は永続的に記憶することができる。追加的又は代替的に、オンボード処理システム35によって決定された実体又は物体の特性の値は、超音波装置10に含まれる通信システム60によって直接又は間接的に外部処理システム15に送信され、好ましくは、無線で送信され、さらなる記憶、処理、分散、リモートユーザインターフェース25への表示を行い、及び/又は、実体又は物体の特性の値がアラームに値する状態を示している場合にはアラーム20を発生させることができる。このようにして、超音波装置10を実体又は物体12に取り付けて、実体又は物体12に対して経時的に超音波測定を実行し、超音波装置10に搭載された実体又は物体12の1つ又は複数の特性の対応する値を決定してから、実体の1つ又は複数の特性の値を外部処理システム15に送信することができる。その後、外部処理システム15は、リモートアクセス、アラーム20、値の集中型記憶装置、データ分散等を提供することができる。
【0083】
図4には、図1のシステムのより詳細な図を示す。これを見ると、使用時にはウェアラブル超音波装置10が実体又は物体12に装着されていることが見て取れる。特に、超音波装置10は、超音波装置10を実体又は物体12に固定するためのストラップ、バンド、クリップ、又はその他の固定具を備えてもよく、又は超音波装置をヘルメット又は衣服等のウェアラブル物品に提供することができる。超音波装置10の超音波トランスデューサ30のアレイの少なくともいくつかは、パルス及び電力モジュール40から動作中の実体又は物体12に超音波パルスを放射し、対応するアナログ電気信号を生成するために超音波パルスの反射を受信するために、実体又は物体12の外面と係合するように適合されている。対応する電気信号はデジタイザ50によってデジタル化され、オンボード処理システム35に提供される。
【0084】
オンボード処理システム35は、後述するように、実体又は物体12の1つ以上の特性の値を導出し、それを超音波装置10の通信システム60を介して外部処理システム15に安全なやり方で即時無線伝送するように構成される。選択的に、このような決定は、その場で、リアルタイム又は略リアルタイムに行われ、即時に送信され得る。これにより、より迅速なアラート又はアラーム20の発生が可能になる。
【0085】
超音波装置上のオンボードデータ記憶装置55は、デジタル化された超音波データ及び/又はオンボード処理システム35によって決定された実体又は物体12の特性の値が、例えば、オンデマンドでのバッチ伝送若しくは照会又は外部処理システム15によってプルされるために、少なくとも一時的に超音波装置上に記憶されることを可能にする。オンボードデータ記憶装置55に記憶されたデータは、例えば、実体又は物体12及び/又は特定の超音波装置10に関連付けられた秘密暗号鍵を使用し、選択的にデータを測定メタデータと結合することによって暗号化される。その後、超音波装置10の通信システム60を介して、オンボード記憶装置55に記憶されている実体又は物体12の特性のデータ及び/又は値を、後述するように安全なやり方で外部処理システム15に送信(例えば、「プッシュ」)することができる。あるいは、超音波装置10の通信システム60を介して、オンボード記憶装置55に記憶された実体又は物体12の特性のデータ及び/又は値を、後述するように安全なやり方で外部処理システム15によって超音波装置上のオンボード記憶装置55から「プル」することができる。
【0086】
前述のように、外部処理システム15は、オンボード処理システム35又は各超音波装置10によって決定された実体又は物体12の特性のデータ及び/又は値を受信することができる。このように、外部処理システム15は、超音波装置10で行われるエッジ処理にさらなる利点を加えることができる。例えば、外部処理システム15は、超音波装置10の1つによって監視される各実体又は物体12の特性のデータ及び/又は値の集中型リモート記憶装置として機能することができる。このように、単一のリモートユーザインターフェース25を介して外部処理システム15にアクセスするだけで、複数の実体12/超音波装置10を監視することができる。さらに、外部処理システム15は、例えば、複数の実体又は物体12に依存するか又は異なる実体又は物体12間の相関に依存するデータ、傾向及びパラメータを決定するために、実体又は物体12の特性のデータ及び/又は値に対してさらなる処理を実行することができる。また、外部処理システムは、実体又は物体12の特性の決定された値がアラーム条件を満たすことに応じて、アラート又はアラームを発生させるように構成される。これにより、サービス等を監視している介護者、家族、医師、その他の医療専門家等のリモート作業者は、対処を必要とし得る決定された状態を認識することができる。例として、アラートは、メッセージ、電子メール、ポップアップ通知、照明又は他の視覚的インジケータ、可聴インジケータ、触覚インジケータ及び/又は同様のものの動作を含んでもよい。外部処理システムは、決定されたデータがアラート又はアラームの条件を満たしたときに、ネットワーク又はインターネットを介して自動的にユーザ装置に電子的に信号を送ることによって、アラートを発生させてもよい。
【0087】
図5は、超音波装置10上のオンボード処理システム35を含む、図4に示された処理のより詳細な表現である。図5は、受信した超音波に応答する超音波トランスデューサによって生成されたアナログ電気信号をデジタル化するデジタイザ50を示している。図5から見て取れるように、デジタル化されたデータは、超音波装置10から外部処理システム15等に伝送するために、直接的に暗号化、署名及びパッケージ化112bが行われる。このような場合、データセキュリティは非常に重要であり、これについては後述する。
【0088】
また、図5から見て取れるように、デジタル化されたデータは、受信された超音波に反映される実体又は物体12の値又はパラメータを決定するために、オンボード処理システム35によって分析される。
【0089】
デジタル化されたデータは、最初に信号プロセッサ65によって処理される。信号プロセッサ65は、超音波トランスデューサ30からのデジタル化された電気信号を処理するように、例えば、それを後の処理によって使用可能な形式に変換するように構成され得る。これは、例えば、整合フィルタリング等を使用して、少なくとも1つの超音波トランスデューサからのデジタル化された電気信号をフィルタリングすることによって、デジタル化された電気信号をデジタル的に強化することを含み得る。整合フィルタリングは、0.5MHzから1GHz、例えば、1MHzから100MHzまでの周波数範囲に含まれ得る、決定された又は事前決定された周波数範囲で適用され得る広帯域線形又は任意にスイープされたチャープ信号を使用する整合フィルタリングを含んでもよい。しかしながら、デジタルエンハンスメント処理はこれに限定されず、当技術分野で知られている他の処理が使用されてもよい。信号処理は、例えば、経時的な信号振幅、振幅のピークに関連する時間及び場所、信号の周波数、経時的な信号の周波数の変化、ドップラーシフト等の信号の特性を抽出するために、デジタル化された信号の処理を選択的に含み得る。次に、信号の決定された特性等の信号プロセッサ60の出力は、実体又は物体12の特性の値を決定するためにさらに処理される。
【0090】
信号プロセッサ65の出力を処理して実体又は物体12の特性の値を決定するために、当業者には明らかなように、1つ以上の異なるタイプの分析を使用することができる。例えば、例えば、ドップラーシフト分析等の技術を使用するか、飛行時間分析を使用して反射される前に超音波が実体又は物体12を通過する距離を決定し、それによって異なる音響インピーダンスの領域間のインターフェースの位置を決定することによって、実体又は物体12の特性の値の定性的な決定70が行われてもよい。別の例では、実体又は物体12の特性の値を決定するために、スペクトル分析75を信号プロセッサの出力に適用することによって、例えば、実体又は物体12を通過中の超音波における周波数又は周波数分布の変化を分析することによって、実体又は物体12の特性の値を決定することができる。別の例では、実体又は物体12の特性の値を決定するために、統計分析80を信号プロセッサの出力に適用することによって、例えば、確率論的手法に基づいて、実体又は物体12の特性の値を決定してもよい。他の例では、ディープラーニング等のニューラルネットワーク又は人工知能技術を使用して、実体又は物体12の特性の値を決定することができる。このような場合、トレーニングデータを使用して、ニューラルネットワークをトレーニングし、(ニューラルネットワークの入力として)デジタル化及び処理された超音波信号から(ニューラルネットワークの出力として)実体又は物体12の特性の値を正しく決定することができる。トレーニングデータの例には、履歴測定値のデータ、又はモデル若しくはシミュレーションのデータが含まれる。その他の例には、定量分析70、スペクトル分析75及び/又は統計分析80等の他の分析のいずれかについての出力から導出されるトレーニングデータが含まれる。
【0091】
各実体又は物体12の特性のデジタル化されたデータ及び/又は値は、記憶及び/又は伝送のために安全な暗号化、署名及びパッケージ化112aが行われる。ウェアラブル装置における日常的な超音波監視は、一般にコスト上の理由から除外されていたため、これまでは、監視超音波装置10から外部処理システム15に送信されるデータのセキュリティについてはほとんど考慮されていなかった。しかしながら、各実体又は物体12の特性の値及び/又はこのようなデータのセキュリティ、検証可能性、不変性は、非常に重要であり得る。
【0092】
本開示の例では、超音波システム5は、鍵暗号、ハッシュ関数、以前のデータブロックからのハッシュ関数の組み合わせを使用し、各実体又は物体12の特性のデータ及び/又は値とメタデータ110との組み合わせにより、値及びデータを安全に、説明可能に、かつ追跡可能に送信及び記憶することを可能にする。有益には、各実体又は物体12の特性のデータ及び/又は値は、ブロックチェーン、又はDAG等の分散型台帳の形式又はバリエーションで記憶及び/又は送信され得る。分散型台帳へのデータの組み込みは、オンボード処理システム35によって超音波装置10、又は外部処理システム15で行われるか、又は両方の間で分散される。
【0093】
例では、各実体又は物体12の特性のデータ及び/又は値は、超音波装置10が装着されている物体12に関連付けられた秘密鍵100の一方又は両方、及び/又は超音波装置10自体に関連付けられた秘密鍵105によって鍵暗号化される。この暗号化により、データが自由に配布されていても、このデータは、物体を担当するユーザ(及び物体秘密鍵100を知っているユーザ)及び/又は超音波装置10を担当するユーザ(及び装置秘密鍵105を知っているユーザ)によってのみアクセスすることが可能となる。このように、各実体又は物体12のデータ及び/又は特性の値へのアクセスは、サードパーティのサーバを含めて広く分散され得るが、それに関心のある人に制限される。また、それによって、適切な秘密鍵の所有者のみが各実体又は物体12の特性のデータ及び/又は値を書き込むことができるため、各実体又は物体12の特性のデータ及び/又は値のソースを検証することも可能になる。選択的に、データは、特定の実体及び/又は特定の超音波装置10の公開鍵によって分散型台帳に表すことができる。
【0094】
超音波装置10によって生成された各実体又は物体12の特性のデータ及び/又は値は、時系列が記録されるようにタイムスタンプされる。選択的に、特定の超音波装置10及び/又は実体又は物体12の識別は、選択的に超音波装置10及び/又は実体又は物体の公開鍵であるコードによって表される。このように、超音波装置10及び/又は実体又は物体の識別は、たとえ各実体又は物体12の特性のデータ及び/又は値が、サードパーティのコンピュータを備えるネットワーク全体で広く共有されていても、秘密に保つことができる。
【0095】
各実体又は物体12の特性のデータ及び/又は値は、各実体又は物体12のデータ及び/又は特性の複数の時系列順の値のブロック等のブロックに選択的に記憶及び/又は送信される。ブロック内の各エントリは、タイムスタンプで符号化された、特定の時間のデータ又は決定された特性を表してもよい。ブロックは、選択的に、固定数のエントリの、すなわち、各実体又は物体12の特性のデータ及び/又は値を含み得る。ブロックは、選択的に、測定値に、例えば、特定の個別の超音波トランスデューサ10及び/又は実体又は物体12に関連する測定メタデータ110も含む。ブロックには、各実体又は物体12及び/又はメタデータのデータ及び/又は特性のハッシュが含まれてもよい。有益には、各ブロックは以前のブロック、例えば、逐次的に以前のブロックのハッシュを含んでもよい。このように、ブロックに記憶されているデータの改ざんの試行は、以前の全てのブロックでデハッシュ及び改ざんを必要とする。ハッシュは、限定されないが、セキュアハッシュアルゴリズム(SHA256)等の任意の適切な暗号ハッシュ関数を使用して生成され得る。ハッシュ関数は、選択的に、入力のサイズに関係なく、オプションで固定長のハッシュを生成する。
【0096】
選択的に、ブロック、又はブロックに含まれる各実体又は物体12の構成データ及び/又は特性は、外部処理システム15の公開暗号鍵であり得る宛先外部処理システム15の指示を含んでもよい。このようにして、ブロックは、各実体又は物体12のデータ及び/又は特性のハッシュが含んでもよく、宛先外部処理システム15のみがその秘密暗号鍵を使用してデータにアクセスできるように、特定の外部処理システム15に特定してアドレス指定され得る。これにより、各実体又は物体12のデータ及び/又は特性のブロックをネットワーク経由で共有することが可能になるが、各実体又は物体12のデータ及び/又は特性の内容は、適切な秘密暗号鍵を持つユーザによってのみ読み取ることができる。
【0097】
ブロックは分散型台帳に記憶されてもよい。また、ブロックは、オンボード処理システム35、又は外部処理システム15によって形成され、又は両者の間で分散され得ることも理解されよう。
【0098】
図6に外部処理システム15によって行われる動作を示す。1つ以上の超音波装置からの各実体又は物体12の暗号化されたデータ及び/又は特性は、外部処理システム15によって無線通信及び/又はネットワーク又はインターネットを介して受信される。外部処理システムは、その秘密鍵113と、各実体又は物体12のデータ及び/又は特性と共に送信される装置のメタデータを補完するネットワークメタデータ114とにアクセスできる。これらは、各実体又は物体12のデータ及び/又は特性のさらなる暗号化115を行うために組み合わせて使用することができる。その後、外部処理システム15は、各実体又は物体12のさらに暗号化された受信データ及び/又は特性を、ブロックチェーン又は有向非巡回グラフ等の分散型台帳120に追加する。分散型台帳は、集中型記憶装置95に記憶されるか、分散検証ネットワーク等の記憶装置のネットワークに分散される。
【0099】
上記の図面の詳細な説明は、本明細書に記載されている概念がどのように実装されるかの例を示すために提供されている。しかしながら、保護の範囲は、請求項によって定義され、上記の具体例の代替案は、当業者には明らかであり、請求項の範囲に入ることは、本開示の範囲に入ることを意図している。
【0100】
例えば、上記の例では、ブロックチェーン、複製ジャーナル技術、ハイパーレッジャー、有向非巡回グラフ(DAG)等の分散型台帳が使用されている場合があるが、超音波データの完全性を保護するために、これらのアプローチの代替又は追加の方法を使用し得ることが理解されよう。例えば、超音波データは、例えば、台帳の同一のコピーを複製及び記憶するために、台帳がピアツーピアネットワークのいくつかのノードに分散されるピアツーピアネットワークを介して共有されること、及び/又は、例えば、ノード間の複製を保証するために、コンセンサスアルゴリズムを使用すること、及び/又は、暗号化技術が使用されること、中央制御機構が欠如していること、及び/又は、例えば、台帳自体が独立して更新されることの1つ以上又はそれぞれで、他の技術が使用されてもよい。これらの他の技術は、当業者が合理的にそうすると考える限り、本明細書で使用される分散型台帳の範囲内に入ることが意図されている。すなわち、分散型台帳の新しい例又はバリエーションが開発される可能性があり、これらは本明細書の分散型台帳への参照によって含まれることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】