IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウニヴェルシテート・デュースブルク-エッセンの特許一覧

特表2023-522423インターフェロンアルファ2バリアント及びその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-30
(54)【発明の名称】インターフェロンアルファ2バリアント及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/21 20060101AFI20230523BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230523BHJP
   C07K 14/56 20060101ALI20230523BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20230523BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230523BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230523BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230523BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230523BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230523BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20230523BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20230523BHJP
   A61P 31/22 20060101ALI20230523BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20230523BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20230523BHJP
   A61K 38/21 20060101ALI20230523BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20230523BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20230523BHJP
【FI】
C12N15/21 ZNA
C12N15/63 Z
C07K14/56
C12P21/02 C
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61P31/14
A61P31/20
A61P31/16
A61P31/22
A61P31/18
A61P37/06
A61K38/21
A61K31/7088
A61K35/76
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564322
(86)(22)【出願日】2021-04-20
(85)【翻訳文提出日】2022-12-15
(86)【国際出願番号】 EP2021060236
(87)【国際公開番号】W WO2021214054
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】20170651.2
(32)【優先日】2020-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522411991
【氏名又は名称】ウニヴェルシテート・デュースブルク-エッセン
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ・ディトマー
(72)【発明者】
【氏名】カトリン・ズッター
(72)【発明者】
【氏名】ミルコ・トリリング
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C084
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG09
4B064CA02
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA26X
4B065AA93Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084CA18
4C084DA22
4C084NA05
4C084ZB09
4C084ZB33
4C084ZC55
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB09
4C086ZB33
4C086ZC55
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087NA05
4C087ZB09
4C087ZB33
4C087ZC55
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA16
4H045EA20
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、組換えインターフェロンアルファ2(IFNa2)変異体及びバリアント並びにそれらの断片、それらをコードする核酸、それらを含有する医薬組成物並びにそれらの使用方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97.5%、少なくとも99%又は少なくとも99.5%の配列同一性をその全長にわたって有するアミノ酸配列を含み且つアミノ酸置換を含む、組換えインターフェロンアルファ2(IFNa2)ポリペプチドであって、アミノ酸置換が、
(1)配列番号1の位置番号付けを使用して、82E、86I、89F及び120Kのうちのいずれか2つ、3つ若しくは4つ;(IFNa14)
(2)配列番号1の位置番号付けを使用して、26P及び153F;(IFNa14)
(3)配列番号1の位置番号付けを使用して、26P、82E、86I、89F、120K及び153Fのうちのいずれか3つ、4つ、5つ若しくは6つ;(IFNa14)、
(4)配列番号1の位置番号付けを使用して、51Q、52A、54S、60M及び63Tのうちのいずれか3つ、4つ若しくは5つ;(IFNa14)
(5)配列番号1の位置番号付けを使用して、15M及び153S;(IFNa6)
(6)配列番号1の位置番号付けを使用して、52A、54S、59V及び63Tのうちのいずれか3つ若しくは4つ;(IFNa6)
(7)配列番号1の位置番号付けを使用して、15M、52A、54S、59V、63T及び153Sのうちのいずれか4つ、5つ若しくは6つ;(IFNa6)
(8)配列番号1の位置番号付けを使用して、99M;(IFNa5)
(9)配列番号1の位置番号付けを使用して、22G及び26P;(IFNa5)
(10)配列番号1の位置番号付けを使用して、22G、26P及び99M;(IFNa5)、又は
(11)配列番号1の位置番号付けを使用して、51Q、52A、54S及び63Tのうちいずれか3つ若しくは4つ;(IFNa5)
から選択される、組換えインターフェロンアルファ2(IFNa2)ポリペプチド。
【請求項2】
配列番号1の位置番号付けを使用して、
(i)アミノ酸置換82E、86I、89F及び120K、
(ii)アミノ酸置換26P及び153F、
(iii)アミノ酸置換26P、82E、86I、89F、120K及び153F、
(iv)アミノ酸置換51Q、52A、54S、60M及び63T、
(v)アミノ酸置換15M及び153S、
(vi)アミノ酸置換52A、54S、59V及び63T、又は
(vii)アミノ酸置換15M、52A、54S、59V、63T及び153S、
(viii)アミノ酸置換99M、
(ix)アミノ酸置換22G及び26P、
(x)アミノ酸置換22G、26P及び99M、又は
(xi)アミノ酸置換51Q、52A、54S及び63T
を含む、請求項1に記載の組換えインターフェロンアルファ2(IFNa2)ポリペプチド。
【請求項3】
配列番号1の位置番号付けを使用して、
(A)以下のアミノ酸置換のセット:
(1)82E、86I、89F及び120K、
(2)26P及び153F、
(3)51Q、52A、54S、60M及び63T
のうちの2つ以上の任意の組合せ、
(B)以下のアミノ酸置換のセット:
(1)99M、
(2)22G及び26P、
(3)51Q、52A、54S及び63T
のうちの2つ以上の任意の組合せ、
(C)以下のアミノ酸置換のセット:
(1)15M及び153S、
(2)52A、54S、59V及び63T
の組合せ
を含む、請求項1又は2に記載の組換えインターフェロンアルファ2(IFNa2)ポリペプチド。
【請求項4】
配列番号1の位置番号付けを使用して、以下のアミノ酸置換のセットの組合せ:
(1)82E、86I、89F、120K、26P及び153F;
(2)82E、86I、89F、120K、51Q、52A、54S、60M及び63T、
(3)82E、86I、89F、120K、2N、10N、37E、92M及び131M、
(4)26P、153F、51Q、52A、54S、60M及び63T、
(5)26P、153F、2N、10N、37E、92M及び131M、
(6)51Q、52A、54S、60M、63T、2N、10N、37E、92M及び131M、
(7)82E、86I、89F、120K、51Q、52A、54S、60M、63T、2N、10N、37E、92M及び131M、
(8)26P、153F、51Q、52A、54S、60M、63T、2N、10N、37E、92M及び131M、
(9)82E、86I、89F、120K、26P、153F、51Q、52A、54S、60M、63T、2N、10N、37E、92M及び131M、
(10)15M、52A、54S、59V、63T及び153S、
(11)11H、15M、37R、74V、79R、84L、100M、102E、104W、106G、107G、112N、131T及び153S、
(12)11H、37R、52A、54S、59V、63T、74V、79R、84L、100M、102E、104W、106G、107G、112N、131T、155R、160R及び163R、又は
(13)11H、15M、37R、52A、54S、59V、63T、74V、79R、84L、100M、102E、104W、106G、107G、112N、131T、153S、155R、160R及び163R、
(14)51Q、52A、54S、63T及び99M、
(15)22G、26P、51Q、52A、54S及び63T、又は
(16)22G、26P、51Q、52A、54S、63T及び99M
を含む、請求項3に記載の組換えインターフェロンアルファ2(IFNa2)ポリペプチド。
【請求項5】
断片が、
(i)長さが少なくとも100アミノ酸、好ましくは長さが少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、161、162、163若しくは164アミノ酸であり、且つ/又は
(ii)少なくとも1つの置換を保持する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の組換えインターフェロンアルファ2(IFNa2)ポリペプチド。
【請求項6】
前記ポリペプチドが、配列番号2(IFNa14)、配列番号3(IFNa16)、配列番号14(IFNa6)及び配列番号15(IFNa5)に示されるアミノ酸配列と、少なくとも1つのアミノ酸位置、好ましくは少なくとも5つのアミノ酸位置、より好ましくは少なくとも10個のアミノ酸位置において異なるか、又は配列番号2、3、14及び15に示される配列との前記ポリペプチドの配列同一性が99%未満、好ましくは97%未満、より好ましくは95%未満である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組換えインターフェロンアルファ2(IFNa2)ポリペプチド。
【請求項7】
(1)配列番号1との前記ポリペプチドの配列同一性が、配列番号2、3、14及び15のいずれか1つとの配列同一性より高い、且つ/又は
(2)前記ポリペプチドが、配列番号4、5、16、17及び20のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を有する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の組換えインターフェロンアルファ2(IFNa2)ポリペプチド。
【請求項8】
第2の部分、好ましくはPEG部分にコンジュゲートされている、請求項1から7のいずれか一項に記載の組換えインターフェロンアルファ2(IFNa2)ポリペプチド。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする核酸。
【請求項10】
請求項9に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項11】
請求項9に記載の核酸分子又は請求項10に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項12】
請求項1から7のいずれか一項に記載のポリペプチドの製造方法であって、
(1)請求項10に記載の宿主細胞を、前記ポリペプチドの発現を可能にする条件下で培養する工程と、
(2)発現されたポリペプチドを宿主細胞から単離する工程と
を含む、方法。
【請求項13】
請求項1から8のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項9に記載の核酸又は請求項10に記載のベクター、及び任意選択で、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項14】
それを必要とする対象における病原体による感染の治療に使用するための、請求項1から8のいずれか一項に記載のポリペプチド又は請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
(1)病原体が、ウイルス又は細菌、好ましくは、インフルエンザウイルス、SARS-CoV-2を含むコロナウイルス、ジカウイルス、デングウイルス、ウエストナイルウイルス、エボラウイルス、B型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、A型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(サイトメガロウイルス(CMV)、Epstein-Barrウイルス(EBV)、単純ヘルペスウイルス1型及び2型(HSV 1及び2)、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV))、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、BKポリオーマウイルス(BKV)、JCポリオーマウイルス(JCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ボルナ(病)ウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス、パラインフルエンザウィルス、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、黄熱病ウイルス及びヒトパピローマウイルス(HPV)からなる群から選択されるウイルスであり、
(2)対象がヒトである、
請求項14に記載のポリペプチド又は医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子生物学及び組換え/キメラポリプチド/タンパク質の分野にあり、組換えインターフェロンアルファ2(IFNa2)変異体及びバリアント並びにそれらの断片、それらを含有する医薬組成物並びにそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターフェロン(IFN)は、当初はウイルス複製及び増殖に干渉にするその能力に因んで命名されたタンパク質のファミリーである。今日まで、インターフェロンは、細菌感染及び寄生虫感染に抗する、細胞分裂を阻害する、並びに細胞分化を促進又は妨害することにも関与することが、公知である。インターフェロンは、それらの受容体特異性に基づいて、I型、II型及びIII型の3つの型のインターフェロンに分類されている。I型のインターフェロンはモノマータンパク質であり、白血球及び線維芽細胞の産物であるIFNアルファ、IFNベータ及びIFNオメガ、ヒトケラチノサイトによって発現されるIFNカッパ、もっぱら肺、脳、小腸及び生殖組織で発現されるIFNイプシロン;並びに反芻動物においてのみ記載されているIFNタウを含む。唯一の公知のII型インターフェロンは、二量体のIFNガンマであり、もっぱらリンパ球によって産生される。III型のインターフェロンはモノマータンパク質であり、IFNラムダ1(IL29)、IFNラムダ2(IL28A)、IFNラムダ3(IL28B)及びIFNラムダ4が含まれ、上皮細胞においてのみシグナルを送る。
【0003】
インターフェロンアルファファミリーは、13種のイントロンなしの完全に翻訳される遺伝子(偽遺伝子を除く)から構成される。各メンバーは、2つの保存ジスルフィド結合:Cys1-Cys98及びCys29-Cys138を有する165又は166個のアミノ酸残基からなる成熟タンパク質を含む。種々のインターフェロンアルファの亜型間で高レベルの配列相同性(70~99%)が示され、これらの亜型とIFNベータとの間には約35%の相同性が存在する。相同性が高く、3Dコア構造が共有され且つ異なる亜型の受容体が共有されているにもかかわらず、それらの生物活性、特に抗増殖活性、抗ウイルス活性及び免疫調節活性は顕著に異なる。
【0004】
それらは高活性の抗ウイルス剤であるが、ウイルス感染の治療に広くは使用されていない。公知のIFNアルファ亜型のうち、アルファ2(IFNa2)のみが、その医薬としての可能性について広範に研究されている。IFNa2は慢性のHBV感染又はHBV/HDV同時感染の処置に治療的に使用されているが、治療された患者の20%未満でしか、持続的なウイルス制御を導いていない。慢性HIV感染においては、その効力は更に低く、その結果、臨床的にはごくわずかな研究でしか使用されていない。
【0005】
IFNa2は、抗がん効果を有することも公知である。この場合には、造血器がんの第二選択補助療法において主に使用されている。しかし、この治療は必ずしも有効ではなく、場合によっては、投与量及び治療法の持続期間に関連する耐えられない副作用をもたらす。
【0006】
世界中で3億人近くの人々がHIV又はHBVに感染しており、より効率的な治療法を必要としている。
【0007】
他の危険なウイルス感染、例えば、インフルエンザ又はコロナウイルス感染は、ウイルス制御におけるIFNa2の活性が効率的な治療には低すぎることが判明したため、IFNa2で治療されたことはまだない。したがって、感染性疾患の利用可能な治療は、特定の割合の患者でしか有効でなく、高価であり、有害な副作用が珍しくない。したがって、安全で、信頼でき、効果的で、コスト効率のよい好適な治療方法について満たされていない医学的必要性が残されている。
【0008】
他のインターフェロンアルファ亜型、例えば、IFNa14及びIFNa16が、同様にIFNa6及びIFNa5が、ある特定のウイルス感染、例えば、HIV、HBV、SARS-CoV-2及びインフルエンザウイルス感染の治療にはるかに高い可能性を有することが判明している(Lavenderら、(2016) J. Virol. 90(13):6001~13頁;Sutterら、(2019) Sci Rep. 9(1):18089;Harperら、(2015) PLoS Pathog. 11(11):e1005254; Chenら、(2021) Hepatology 73、486~502頁;da Rocha Matosら、(2019), Emerging Microbes & Infection、第8巻:1763~76頁)。しかし、これらのインターフェロンアルファ亜型は、これらのタンパク質をベースとする薬物の開発のためのコストが高く、法外であるため、臨床研究においてまだ試験されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Lavenderら、(2016) J. Virol. 90(13):6001~13頁
【非特許文献2】Sutterら、(2019) Sci Rep. 9(1):18089
【非特許文献3】Harperら、(2015) PLoS Pathog. 11(11):e1005254
【非特許文献4】Chenら、(2021) Hepatology 73、486~502頁
【非特許文献5】da Rocha Matosら、(2019), Emerging Microbes & Infection、8巻:1763~76頁
【非特許文献6】Altschul, S.F.、Gish, W.、Miller, W.、Myers, E.W. & Lipman, D.J. (1990)「Basic local alignment search tool.」J. Mol. Biol. 215:403~410頁
【非特許文献7】Altschul, Stephan F.、Thomas L. Madden、Alejandro A. Schaffer、Jinghui Zhang、Hheng Zhang、Webb Miller及びDavid J. Lipman (1997):「Gapped BLAST and PSI-BLAST: a new generation of protein database search programs」; Nucleic Acids Res.、25、S.3389~3402頁
【非特許文献8】Chennaら、(2003): Multiple sequence alignment with the Clustal series of programs. Nucleic Acid Research 31、3497~3500頁
【非特許文献9】Notredameら、(2000): T-Coffee: A novel method for multiple sequence alignments. J. Mol. Biol. 302、205~217頁
【非特許文献10】Sambrook, J.ら、(2001)、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、3rd Ed.、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY
【非特許文献11】Remington's Pharmaceutical Science、18t ed.、Mack Publishing Company、Easton、PA、1990年
【非特許文献12】Kalieら、J Biol Chem 282:11602~11611頁
【非特許文献13】Zimmermannら、J Exp Med 201:1543~1553頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、IFNa14がHBV感染の治療により効率的であるという、本発明者らの驚くべき発見に基づく。インターフェロンアルファ亜型の種々の抗ウイルス活性に関するこれらの及びそれより以前の発見に基づき、本発明者らは、公知のIFNa2タンパク質及び臨床的に確立されているIFNa2バックボーンを使用するIFNa5/IFNa6/IFNa14/IFNa16タンパク質のキメラ変異体であって、IFNa5/IFNa6/IFNa14/IFNa16アミノ酸配列に由来する種々の点変異を有し、IFNa2よりも著しく高い抗ウイルス活性を示す、キメラ変異体を設計した。
【0011】
したがって、第1の態様において、本発明は、その全長にわたって、配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97.5%、少なくとも99%又は少なくとも99.5%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ配列番号1の2、10、11、14、15、16、17、18、22、26、34、37、42、51、52、54、55、56、59、60、63、74、75、79、82、84、86、89、92、99、100、102、104、106、107、108、109、112、113、118、120、131、132、153、155、159、160、163及び165位に対応する位置のいずれか1つ若しくは複数に1つ若しくは複数のアミノ酸置換を含む、組換えインターフェロンアルファ2(IFNa2)ポリペプチド、又はその断片に関する。1つ又は複数のアミノ酸置換による、典型的には配列番号1に由来する前記組換えIFNa2ポリペプチドは、本明細書中において「IFNa2バリアント」又は「IFNa2キメラタンパク質」又は「IFNa2変異体」とも称する。
【0012】
種々の実施形態において、本発明の組換えIFNa2ポリペプチドは、以下の位置:
(i)配列番号1の2、10、26、37、51、52、54、60、63、82、86、89、92、120、131及び153位に対応する位置のいずれか1つ若しくは複数、
(ii)配列番号1の11、14、16、22、26、34、42、51、52、54、55、56、63、86、89、100、102、106、108、109、112、131、132、153、159、160、163及び165位に対応する位置のいずれか1つ若しくは複数、
(iii)配列番号1の11、15、37、52、54、59、63、74、79、84、100、102、104、106、107、112、131、153、155、160及び163位に対応する位置のいずれか1つ若しくは複数、
(iv)配列番号1の82、86、89及び120位に対応する位置、
(v)配列番号1の26及び153位に対応する位置、
(vi)配列番号1の26、82、86、89、120及び153位に対応する位置、
(vii)配列番号1の51、52、54、60及び63位に対応する位置、
(viii)配列番号1の2、10、37、92及び131位に対応する位置、
(ix)配列番号1の86及び89位に対応する位置、
(x)配列番号1の16、22、26及び153位に対応する位置、
(xi)配列番号1の16、22、26、86、89及び153位に対応する位置、
(xii)配列番号1の52、54、55、56及び63位に対応する位置、
(xiii)配列番号1の11、14、34、42、51、100、102、106、108、109、112、131、132、159、160、163及び165位に対応する位置、
(xiv)配列番号1の15及び153位に対応する位置、
(xv)配列番号1の52、54、59及び63位に対応する位置、
(xvi)配列番号1の11、37、74、79、84、100、102、104、106、107、112、131、155、160及び163位に対応する位置、
(xvii)配列番号1の10、11、17、18、22、26、51、52、54、63、75、99、100、102、106、107、112、113、118、131、155、160及び163位に対応する位置のいずれか1つ若しくは複数、
(xviii)配列番号1の99位に対応する位置、
(xix)配列番号1の22及び26位に対応する位置、
(xx)配列番号1の22、26及び99位に対応する位置、
(xxi)配列番号1の51、52、54及び63位に対応する位置、又は
(xxii)配列番号1の10、11、17、18、75、100、102、106、107、112、113、118、131、155、160及び163位に対応する位置
にアミノ酸置換を含む。
【0013】
本明細書中に記載した実施形態のいずれかにおいて、上に挙げた位置のアミノ酸置換は、限定するものではないが、配列番号1の位置番号付けを使用して2N、10N、10S、11N、11H、14A、15M、16I、17I、18M、22G、26P、26H、34Y、37E、37R、42V、51Q、52A、54S、55A、56F、59V、60M、63T、74V、75T、79R、82E、84L、86I、89F、92M、99M、100T、100M、102E、104W、106G、106E、107G、107D、108I、109A、112N、113V、118T、120K、131M、131T、132G、153F、153S、155R、155A、159K、160G、160R、163R及び165Dからなる群から選択され得る。
【0014】
したがって、種々の実施形態において、組換えIFNa2ポリペプチドは、配列番号1の位置番号付けを使用して、
(i)2N、10N、26P、37E、51Q、52A、54S、60M、63T、82E、86I、89F、92M、120K、131M及び153Fからなる群から選択されるいずれか1つ若しくは複数のアミノ酸置換、
(ii)11N、14A、16I、22G、26H、34Y、42V、51Q、52A、54S、55A、56F、63T、86I、89F、100T、102E、106E、108I、109A、112N、131M、132G、153F、159K、160G、163R及び165Dからなる群から選択されるいずれか1つ若しくは複数のアミノ酸置換、
(iii)配列番号1の11H、15M、37R、52A、54S、59V、63T、74V、79R、84L、100M、102E、104W、106G、107G、112N、131T、153S、155R、160R及び163Rからなる群から選択されるいずれか1つ若しくは複数のアミノ酸置換、
(iv)アミノ酸置換82E、86I、89F及び120K、
(v)アミノ酸置換26P及び153F、
(vi)アミノ酸置換26P、82E、86I、89F、120K及び153F、
(vii)アミノ酸置換51Q、52A、54S、60M及び63T、
(viii)アミノ酸置換2N、10N、37E、92M及び131M、
(ix)アミノ酸置換86I及び89F、
(x)アミノ酸置換16I、22G、26H及び153F、
(xi)アミノ酸置換16I、22G、26H、86I、89F及び153F、
(xii)アミノ酸置換52A、54S、55A、56F及び63T、
(xiii)アミノ酸置換11N、14A、34Y、42V、51Q、100T、102E、106E、108I、109A、112N、131M、132G、159K、160G、163R及び165D、
(xiv)配列番号1のアミノ酸置換15M及び153S、
(xv)配列番号1のアミノ酸置換52A、54S、59V及び63T、
(xvi)配列番号1の11H、37R、74V、79R、84L、100M、102E、104W、106G、107G、112N、131T、155R、160R及び163R、
(xvii)10S、11N、17I、18M、22G、26P、51Q、52A、54S、63T、75T、99M、100M、102E、106E、107D、112N、113V、118T、131T、155A、160R及び163Rからなる群から選択されるいずれか1つ若しくは複数のアミノ酸置換、
(xviii)アミノ酸置換99M、
(xix)アミノ酸置換22G及び26P、
(xx)アミノ酸置換22G、26P及び99M、
(xxi)アミノ酸置換51Q、52A、54S及び63T、又は
(xxii)10S、11N、17I、18M、75T、100M、102E、106E、107D、112N、113V、118T、131T、155A、160R及び163R位に対応する位置
を含む。
【0015】
種々の実施形態において、上で(iv)~(xvi)と定義された置換のセットは組み合わせてもよい。このような場合、組換えIFNa2ポリペプチドは、配列番号1の番号付けを使用して、
(A)以下のアミノ酸置換のセット:
(1)82E、86I、89F及び120K、
(2)26P及び153F、
(3)51Q、52A、54S、60M及び63T、
(4)2N、10N、37E、92M及び131M
のうちの2つ以上の任意の組合せ、
(B)以下のアミノ酸置換のセット:
(1)86I及び89F、
(2)16I、22G、26H及び153F、
(3)52A、54S、55A、56F及び63T、
(4)11N、14A、34Y、42V、51Q、100T、102E、106E、108I、109A、112N、131M、132G、159K、160G、163R及び165D
のうちの2つ以上の任意の組合せ、
(C)以下のアミノ酸置換のセット:
(1)15M及び153S、
(2)52A、54S、59V及び63T
(3)11H、37R、74V、79R、84L、100M、102E、104W、106G、107G、112N、131T、155R、160R及び163R
のうちの2つ以上の任意の組合せ、
(D)以下のアミノ酸置換のセット:
(1)99M、
(2)22G及び26P、
(3)51Q、52A、54S及び63T
(4)10S、11N、17I、18M、75T、100M、102E、106E、107D、112N、113V、118T、131T、155A、160R及び163R
のうちの2つ以上の任意の組合せ
を含み得る。
【0016】
したがって、本発明の範囲によって網羅される具体的な置換の組合せは、例えば、以下のアミノ酸置換の組合せである:
(1)82E、86I、89F、120K、26P及び153F;
(2)82E、86I、89F、120K、51Q、52A、54S、60M及び63T、
(3)82E、86I、89F、120K、2N、10N、37E、92M及び131M、
(4)26P、153F、51Q、52A、54S、60M及び63T、
(5)26P、153F、2N、10N、37E、92M及び131M、
(6)51Q、52A、54S、60M、63T、2N、10N、37E、92M及び131M、
(7)82E、86I、89F、120K、51Q、52A、54S、60M、63T、2N、10N、37E、92M及び131M、
(8)26P、153F、51Q、52A、54S、60M、63T、2N、10N、37E、92M及び131M、
(9)82E、86I、89F、120K、26P、153F、51Q、52A、54S、60M、63T、2N、10N、37E、92M及び131M、
(10)86I、89F、16I、22G、26H及び153F、
(11)86I、89F、52A、54S、55A、56F及び63T、
(12)86I、89F、11N、14A、34Y、42V、51Q、100T、102E、106E、108I、109A、112N、131M、132G、159K、160G、163R及び165D、
(13)16I、22G、26H、153F、52A、54S、55A、56F及び63T、
(14)16I、22G、26H、153F、11N、14A、34Y、42V、51Q、100T、102E、106E、108I、109A、112N、131M、132G、159K、160G、163R及び165D、
(15)52A、54S、55A、56F、63T、11N、14A、34Y、42V、51Q、100T、102E、106E、108I、109A、112N、131M、132G、159K、160G、163R及び165D、
(16)86I、89F、52A、54S、55A、56F、63T、11N、14A、34Y、42V、51Q、100T、102E、106E、108I、109A、112N、131M、132G、159K、160G、163R及び165D、
(17)16I、22G、26H、153F、52A、54S、55A、56F、63T、11N、14A、34Y、42V、51Q、100T、102E、106E、108I、109A、112N、131M、132G、159K、160G、163R及び165D、
(18)86I、89F、16I、22G、26H、153F、52A、54S、55A、56F、63T、11N、14A、34Y、42V、51Q、100T、102E、106E、108I、109A、112N、131M、132G、159K、160G、163R及び165D、
(19)15M、52A、54S、59V、63T及び153S、
(20)11H、15M、37R、74V、79R、84L、100M、102E、104W、106G、107G、112N、131T、153S、155R、160R及び163R、
(21)11H、37R、52A、54S、59V、63T、74V、79R、84L、100M、102E、104W、106G、107G、112N、131T、155R、160R及び163R、
(22)11H、15M、37R、52A、54S、59V、63T、74V、79R、84L、100M、102E、104W、106G、107G、112N、131T、153S、155R、160R及び163R、
(23)99M、22G及び26P、
(24)51Q、52A、54S、63T及び99M、
(25)22G、26P、51Q、52A、54S及び63T、又は
(25)22G、26P、51Q、52A、54S、63T及び99M。
【0017】
種々の実施形態において、組換えIFNa2ポリペプチドは、配列番号2(IFNa14)及び配列番号3(IFNa16)及び配列番号14(IFNa6)及び配列番号15(IFNa5)に示されるアミノ酸配列と、少なくとも1つのアミノ酸位置において異なる。好ましくは、配列番号2、3、14及び15に示される配列との配列同一性は、99%未満、好ましくは97%未満、より好ましくは95%未満である。種々の実施形態において、配列番号1との配列同一性は、配列番号2、3、14及び15のいずれか1つとの配列同一性より高いことが好ましい可能性がある。種々の実施形態において、組換えIFNa2ポリペプチドは、別のインターフェロンポリペプチド等の天然に存在するいかなるポリペプチドとも同一でなく、天然には見られない少なくとも1つの配列バリエーションを含む点で人工ポリペプチドである。
【0018】
本明細書中で言及する組換えIFNa2ポリペプチドの断片は、機能的断片であり、典型的には、長さが少なくとも100アミノ酸、好ましくは長さが少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、161、162、163又は164アミノ酸である。このような断片は一般に、配列番号1に示される野生型配列の断片でないように、置換のうちの少なくとも1つを保持する。本発明の断片は好ましくは、重大な意味を持つ構造的及び機能的決定基、例えば、ヘリックスA(残基8~21)、ABループ(残基30~48)、ヘリックスB(残基49~68)、ヘリックスC(残基78~97)、ヘリックスD(残基116~133)及びヘリックスE(残基137~156)(位置番号付けは配列番号1による)を保持するように設計される。好ましくはまた、配列番号1による位置番号付けを使用して、アミノ酸25~27に及ぶアミノ酸伸長も保持される。
【0019】
種々の実施形態において、単離ポリペプチドは、配列番号1に示されるアミノ酸配列の165個未満の連続したアミノ酸を含む。
【0020】
一部の実施形態において、組換えIFNa2ポリペプチド断片は、N末端トランケーション、C末端トランケーション又は1つ若しくは複数のアミノ酸の欠失のうちのいずれか1つ又は複数による、定義された置換のいずれか1つ又は複数を含む、配列番号1に示されるアミノ酸配列に由来する。このようなC末端又はN末端トランケーションは、長さが1~10アミノ酸、好ましくは1~5又は1~3アミノ酸であり得る。
【0021】
種々の実施形態において、組換えIFNa2ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較して、IFNAR1及び/若しくはIFNAR2(インターフェロンアルファ受容体1及び2)に対する親和性、或いはHBV、HIV、単純ヘルペスウイルス1若しくは2、SARS-CoV-2、又はインフルエンザウイルス、コロナウイルス、ジカウイルス、デングウイルス、ウエストナイルウイルス、エボラウイルス、D型肝炎ウイルス、A型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(サイトメガロウイルス(CMV)、Epstein-Barrウイルス(EBV)、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV))、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、BKポリオーマウイルス(BKV)、JCポリオーマウイルス(JCV)、ボルナ(病)ウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス、パラインフルエンザウィルス、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、黄熱病ウイルス及びヒトパピローマウイルス(HPV)を含むがこれらに限定されない、任意の他の病原ウイルスに対する増加した抗ウイルス活性を有する。
【0022】
別の態様において、本発明はまた、本明細書中に記載した単離ポリペプチドをコードする核酸、核酸分子又は単離核酸分子に関する。一態様において、前記核酸は、ベクターの一部である。したがって、一態様は、本発明による核酸分子を含む(核酸)ベクターを特徴とする。ベクターは、発現ベクターであってもよく、宿主細胞におけるその機能を促進するのに必要な追加の核酸配列を含んでいてもよい。
【0023】
本発明の更なる一態様は、本発明による核酸分子又は本発明によるベクターを含む宿主細胞に関する。宿主細胞は、原核宿主細胞、例えば、大腸菌(E.coli)細胞であってもよいし、或いは真核細胞、例えば、S.セレビシエ(S.cerevisiae)及びSf9細胞を含む酵母細胞若しくは昆虫細胞、又は哺乳動物細胞であってもよい。
【0024】
なお更なる一態様において、本発明は、本明細書中に記載したポリペプチド(単離ポリペプチド)の製造方法であって、
(1)本明細書中に記載した宿主細胞を、前記ポリペプチドの発現を可能にする条件下で培養する工程と、
(2)発現されたポリペプチドを宿主細胞から単離する工程と
を含む、方法を対象とする。
【0025】
種々の実施形態において、この方法は、発現されたペプチド又はタンパク質を宿主細胞及び/又は培地から回収する工程を更に含む。本明細書中に記載した方法の一部の実施形態において、方法は、組換えペプチド又はタンパク質の培地への分泌を可能にする条件下で宿主細胞を培養することによって、発現された組換えペプチド又はタンパク質を培地中に分泌させる工程を更に含む。これを実現するため、宿主細胞は、分泌系の構成要素をコードする更なる核酸分子を含み得る。
【0026】
種々の実施形態において、本発明はまた、本発明の組換えIFNa2ポリペプチド、本発明の特許請求の範囲に記載の核酸又は本発明のベクター、及び任意選択で、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物に関する。
【0027】
本明細書中に記載したポリペプチド又は医薬組成物は、それを必要とする対象における疾患又は障害の治療及び/又は予防、特に病原体による感染の治療及び/又は予防に使用するためのものであり得る。前記疾患又は障害としては、腎細胞癌、皮膚黒色腫、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄性白血病(CML)、皮膚癌又は肝細胞癌のようながん、免疫障害、及び感染性疾患、例えば、細菌性若しくはウイルス性病原体又はある特定の寄生虫によって引き起こされるものを挙げることができる。種々の実施形態において、病原体は、ウイルス、例えば、インフルエンザウイルス、SARS-CoV-2を含むコロナウイルス、ジカウイルス、デングウイルス、ウエストナイルウイルス、エボラウイルス、B型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、A型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(サイトメガロウイルス(CMV)、Epstein-Barrウイルス(EBV)、単純ヘルペスウイルス1型及び2型(HSV 1及び2)、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV))、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、BKポリオーマウイルス(BKV)、JCポリオーマウイルス(JCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ボルナ(病)ウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス、パラインフルエンザウィルス、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、黄熱病ウイルス及びヒトパピローマウイルス(HPV)からなる群から選択されるウイルスである。
【0028】
種々の実施形態において、対象は哺乳動物、好ましくはヒトである。
【0029】
上に開示した実施形態の全ての組合せもまた、本発明の範囲内に入ることを意図するものであることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】インビトロにおけるHBV複製及び遺伝子発現に対するIFNα亜型の効果を示すグラフである。IFNα亜型(0.5ng/ml)で処理されたHBV感染初代ヒト肝細胞(PHH)の細胞外HBeAg、HBsAg、HBVコア粒子関連DNA及びプレゲノムRNAのレベルを、ELISA及びqPCRによって調べた。
図2】インビボにおけるIFNα14による、確立されたHBV感染の強力な抑制及びcccDNA量の減少を示す図及びグラフである。(A)研究計画の図式モデルである。(B)IFN/プラセボ処置前後の血清HBV DNAのレベルを調べた。データは、処置後/処置前の比として示した。(C)エンドポイントにおける肝内HBV preC/pgRNA及びウイルス全RNAのレベルを、特定のプライマーを用いて定量化した。データは相対量として示した。試料X21(対照)は、倍数変化分析のために1に対して相対化した。ヒトアルブミン(hALB)を、ハウスキーピング遺伝子として使用した。(D)示したマウスにおけるヌクレオチドマッピングによるHBV転写物レベルの定量化を、RNA配列決定によって分析した。(E)IFN/プラセボ処置前後の血清HBsAgのレベルを調べた。データは、処置後/処置前の比として示した。(F)エンドポイントにおける肝内HBV cccDNAのレベルを、特定のプライマーを用いて定量化した。データは、肝組織μg当たりのコピー数として示した。群間差は、P値として示す。
図3】インビボにおいて副作用がほとんどないHBV感染マウスのIFNα亜型処置を示すグラフである。エンドポイントにおけるヒトアルブミン(ALB)及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の血清レベルを定量化した。群間差は、P値として示す。
図4】HBV感染マウスのIFNα亜型処置後の血清試料の血液化学分析を示すグラフである。エンドポイントにおける示した血清パラメーターのレベルを定量化した。
図5】インビトロにおけるHBV遺伝子発現に対するIFNa2バリアントの効果を示すグラフである。IFNα2バリアント(0.5ng/ml)で処理されたHBV感染初代ヒト肝細胞(PHH)及びHepG2-NTCP細胞の細胞外HBeAg及びHBsAgのレベルを、ELISAによって調べた。IFNa2-EIFKは、配列番号4に対応し、IFNa2-PFは配列番号5に対応する。
図6】インビトロにおけるHBV遺伝子発現に対するIFNa2バリアントの効果を示すグラフである。漸増濃度のIFNα2変異体で処理されたHBV感染初代ヒト肝細胞(PHH)の細胞外HBsAgのレベルをELISAによって調べ、未処理対照(-、白色バー)に対して正規化した。IFNa2-Mut2は配列番号4に対応し、IFNa2-Mut1は配列番号5に対応し、IFNa2-Mut13は配列番号6に対応し、IFNa2-Mut21は配列番号18に対応する。
図7】IFNα亜型によるH3N2 IAV複製の阻害を示すグラフである。組織をヒトIFNα亜型(1000U/mL)で7時間処理してから、1×105PFU/mLのH3N2 IAVを培地に添加した。(A)IAV感染中に有意に誘発されるIFNα亜型の抗ウイル活性。(B)IAV感染中に誘発されない、残りのIFNα亜型の抗ウイルス活性。ウイルス力価はプラークアッセイによって決定した。時点は、平均(±SEM)を表す。(C)H3N2に対するIFNα亜型の抗ウイルス効果を、モック処理された組織で計算し(ウイルス力価がn倍減少)、48hpiでIFN-α2と比較した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001;二元配置ANOVA多重比較検定。
図8】IFNα変異体による処理がHSV-1に対するIFNα2の抗ウイルス効果を向上させたこと示すグラフである。Vero細胞を20,000単位/mlのIFNα亜型又は変異体で処理し、16時間後に細胞に5000 TCID50/mlのHSV-1Fを感染させた。48時間後に上清を段階希釈し、4日間インキュベートした。ウイルス感染細胞を決定し、TCID50を計算した。IFNa2-MS:配列番号16;IFNa2-ASVT:配列番号17;IFNa2-PF:配列番号5;IFNa2-EIFK:配列番号4; IFNa2-NNEMMM:配列番号18;IFNa2-QASMT:配列番号19;IFNa2-IGHIFF:配列番号11;IFNa2-ASAFT:配列番号12。
図9】IFNα変異体による処理がHSV-2に対するIFNα2の抗ウイルス効果を向上させたこと示すグラフである。Vero細胞を20,000単位/mlのIFNα亜型又は変異体で処理し、16時間後に細胞に5000 TCID50/mlのHSV-2Gを感染させた。48時間後に上清を段階希釈し、4日間インキュベートした。ウイルス感染細胞を決定し、TCID50を計算した。IFNa2-MS:配列番号16;IFNa2-ASVT:配列番号17;IFNa2-PF:配列番号5;IFNa2-EIFK:配列番号4; IFNa2-NNEMMM:配列番号18;IFNa2-QASMT:配列番号19;IFNa2-IGHIFF:配列番号11;IFNa2-ASAFT:配列番号12。
図10】IFNα変異体による処理がHBVに対するIFNα2の抗ウイルス効果を向上させたこと示すグラフである。分化型HepaRG細胞を種々の濃度のIFNα亜型又は変異体で処理し、続いてそれにHBVを感染させた。感染後4日に上清中のHBsAg濃度をELISAによって決定した。IFNa2-PF:配列番号5;IFNa2-EIFK:配列番号4;IFNa2-NNEMMM:配列番号18。
図11】IFNα変異体による処理がHIV-1に対するIFNα2の抗ウイルス効果を向上させたこと示すグラフである。Tzmbl細胞を種々の濃度のIFNα亜型又は変異体で処理し、続いてそれにR5トロピックNL4.3RenLucを感染させた。感染後72時間に、細胞を溶解させ、ウミシイタケルシフェラーゼ(Renilla luciferase)活性を測定することによって感染を数量化した。IFNa2-PF:配列番号5;IFNa2-EIFK:配列番号4;IFNa2-NNEMMM:配列番号18;IFNa2-PFK:配列番号20。
図12】IFNα亜型による処理がSARS-CoV-2に対して明確な抗ウイルス効果を示すことを示すグラフである。VeroE6細胞を100又は1000単位/mlのIFNα亜型で処理し、続いてそれに350PFUのSARS-CoV-2を感染させた。感染後72時間に、ウイルス感染した細胞をクリスタルバイオレット染色によって決定し、TCID50を計算した。完全に分化したヒト気道上皮細胞(hAEC)を、100又は1000単位/mlのIFNα亜型で16時間にわたって事前刺激した(基底部)。感染のために、30,000PFUのSARS-CoV-2を細胞の頂端部に1時間にわたって添加した。感染後72時間に、細胞を頂端で洗浄し、洗浄液をエンドポイント希釈アッセイに供して、TCID50/mlを計算した。
図13】IFNα変異体による処理がSARS-CoV-2に対するIFNα2の抗ウイルス効果を向上させたこと示すグラフである。VeroE6細胞を種々の濃度のIFNα亜型又は変異体で処理し、続いてそれに350PFUのSARS-CoV-2を感染させた。24時間後、感染をインセルELISAによって決定した。IFNa2-PF:配列番号5;IFNa2-EIFK:配列番号4;IFNa2-NNEMMM:配列番号18。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書中で使用する用語は、明示的にそうでないことが示されない限り、当技術分野において一般に理解される意味を有する。
【0032】
本明細書中で使用する「少なくとも1つ(種)」は、1つ(種)又は複数、特に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個(種)又はそれ以上に関する。
【0033】
本明細書中で分子に関して使用する「単離された」とは、前記分子が、それが天然に関連する他の分子又は他の細胞成分から少なくとも部分的に分離されていることを意味する。「単離された」とは、分子が精製されて他の分子及び成分、例えば、他のタンパク質及び核酸並びに細胞残屑から分離されていることを意味し得る。
【0034】
本明細書中で使用する「組換え」は、生細胞内における組換えDNAの発現によって生じるタンパク質に関する。組換えDNAは更には、人工的に作製され且つ天然には存在しない、遺伝子工学によって形成されるDNAである。本発明において、組換えタンパク質は好ましくは、それらが2種の異なるタンパク質の配列エレメントを、天然には存在しない組合せで含む点で、性質上、本質的にキメラ又はハイブリッドである。
【0035】
本明細書中で使用する「核酸」は、全ての天然型の核酸、例えば、DNA及びRNAを含む。好ましくは、本発明の核酸分子はDNAである。
【0036】
用語「ペプチド」は、本明細書全体を通じて、ペプチド結合によって互いに接続されたアミノ酸残基からなるポリマーを示すのに使用する。本発明によるペプチドは、2~100個のアミノ酸残基を有し得る。用語「タンパク質」及び「ポリペプチド」は、本明細書全体を通じて、ペプチド結合によって互いに接続されたアミノ酸残基からなるポリマーを示すのに交換可能に使用する。本発明によるタンパク質又はポリペプチドは好ましくは100個以上のアミノ酸残基を有する。
【0037】
用語「N末端断片」は、参照ペプチド又はタンパク質配列と比較して、ペプチド又はタンパク質のN末端から出発する連続したアミノ酸ポリマーが残るようにC末端がトランケートされているペプチド又はタンパク質配列に関する。同様に、用語「C末端断片」は、参照ペプチド又はタンパク質配列と比較して、ペプチド又はタンパク質のC末端から出発する連続したアミノ酸ポリマーが残るようにN末端がトランケートされているペプチド又はタンパク質配列に関する。
【0038】
本明細書中で使用する「IFNa2」又は「インターフェロンアルファ2」は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する成熟ヒトインターフェロンアルファ2又はその天然に存在するバリアントに関する。このような「バリアント」は、天然に存在し且つタンパク質の機能性を著しく損なわない、典型的には少なくとも1つであるが3つ以下のアミノ酸交換を有するヒトIFNa2の相同体である。したがって、配列同一性は典型的には、98%超、多くの場合95%超である。このようなバリアントは、本発明の組換えポリペプチドを対象として含まない。本明細書中に記載するポリペプチドは、N末端又はC末端に追加のアミノ酸配列、例えば、翻訳後プロセシングの前に天然に存在するIFNa2中にも存在するシグナルペプチドを含む得ることが理解される。存在し得る他のエレメントとしては、発現、精製及び/又は検出を容易にする種々のタグ又はマーカー、並びにこのような追加の配列エレメントの切断を可能にするプロテアーゼ認識部位が挙げられる。
【0039】
一般に、当業者ならば、本発明を実施するために、本明細書中に記載したいかなるヌクレオチド配列も、追加の開始コドン及び/若しくは終止コドンを含み得ること、又は本明細書中に記載した配列のいずれに含まれる開始コドン及び/若しくは終止コドンも、使用される核酸構築物に応じて、欠失させることができることがわかる。当業者は、例えば、本発明の核酸分子に含まれる核酸配列が翻訳されるかどうか、及び/又は融合タンパク質として翻訳されるかどうかに基づいて、この判断を行う。種々の実施形態において、本発明のポリペプチドは、N末端にアミノ酸Mを更に含む。種々の他の実施形態において、シグナルペプチドがN末端に存在し得る。
【0040】
本発明は、IFNa5、IFNa6、IFNa14又はIFNa16のいずれかに由来するある特定の位置に置換を含むIFNa2(配列番号1)のキメラバリアントが、IFNa2 wtと比較して増加した抗ウイルス活性を提供するという、本発明者の驚くべき発見に基づく。
【0041】
したがって、第1の態様において、本発明は、その全長にわたって、配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97.5%、少なくとも99%又は少なくとも99.5%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ配列番号1の2、10、11、14、15、16、17、18、22、26、34、37、42、51、52、54、55、56、59、60、63、74、75、79、82、84、86、89、92、99、100、102、104、106、107、108、109、112、113、118、120、131、132、153、155、159、160、163及び165位に対応する位置のいずれか1つ若しくは複数に1つ若しくは複数のアミノ酸置換を含む、組換えインターフェロンアルファ2(IFNa2)ポリペプチド、又はその断片若しくはバリアントに関する。ポリペプチドは、本明細書中に記載した単離ポリペプチドであり得る。
【0042】
本明細書中で使用する位置番号付けはいずれも、明示的にそうでないことが示されない限り、配列番号1の位置番号付けを指す。前述の通り、所定のアミノ酸配列中の対応する位置は、アライメントを使用して特定することができる。
【0043】
ポリペプチドは、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含まず、上に定義した少なくとも1つの置換を含むそのバリアントを含む。同様に、ポリペプチドは、配列番号2、配列番号3、配列番号14又は配列番号15に示されるアミノ酸配列を含まず、少なくとも1つの置換を、好ましくは上に定義した位置以外の位置に含むそのバリアントを含む。
【0044】
組換えポリペプチドのアミノ酸配列は、その全長にわたって、配列番号1に示されるアミノ酸配列の対応部分と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも95.6%、少なくとも96.2%、少なくとも96.8%、少なくとも97.2%、少なくとも97.6%、少なくとも98.2%、少なくとも98.8%又は99.4%の配列同一性を有する。種々の実施形態において、組換えポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1に示される配列と同一の長さのものである。他の実施形態において、それは、欠失/トランケーションによって得ることが可能であり得るその短縮断片である。種々の実施形態において、置換され得る前に示した位置を除いたアミノ酸配列の配列、すなわち、置換も欠失もされていない残りのアミノ酸配列は、配列番号1に示される配列と本質的に同一である、すなわち、配列番号1の配列と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも97.5%、少なくとも98.2%、少なくとも98.8%、少なくとも99%、少なくとも99.4%又は100%の配列同一性を有する。
【0045】
核酸又はアミノ酸配列の配列同一性の決定は、確立された、一般に使用されているBLASTアルゴリズムに基づく配列アライメントによって行うことができる(例えば、Altschul, S.F.、Gish, W.、Miller, W.、Myers, E.W. & Lipman, D.J. (1990)「Basic local alignment search tool.」J. Mol. Biol. 215:403~410頁;並びにAltschul, Stephan F.、Thomas L. Madden、Alejandro A. Schaffer、Jinghui Zhang、Hheng Zhang、Webb Miller及びDavid J. Lipman (1997):「Gapped BLAST and PSI-BLAST: a new generation of protein database search programs」; Nucleic Acids Res.、25、S.3389~3402頁を参照のこと)。このようなアライメントは、同様なヌクレオチド又はアミノ酸配列の伸長を互いにアラインすることに基づく。前記目的のために当技術分野において公知の別のアルゴリズムは、FASTAアルゴリズムである。アライメント、特に多重配列比較は典型的には、コンピュータープログラムを使用することによって行う。一般に使用されているのは、Clustalシリーズ(例えば、Chennaら、(2003): Multiple sequence alignment with the Clustal series of programs. Nucleic Acid Research 31、3497~3500頁を参照のこと)、T-Coffee(例えば、Notredameら、(2000): T-Coffee: A novel method for multiple sequence alignments. J. Mol. Biol. 302、205~217頁を参照のこと)、又はこれらの公知プログラム若しくはアルゴリズムに基づくプログラムである。
【0046】
また、ClustalWに基づく配列比較用のAlignXモジュールを用いて、コンピュータープログラムVector NTI(登録商標) Suite 10.3(Invitrogen Corporation社、1600 Faraday Avenue、Carlsbad、CA、USA)を、設定した標準パラメーターで使用する、配列アライメントも可能である。そうでないことが示されない限り、配列同一性は、BLASTアルゴリズムを使用して決定する。
【0047】
このような比較により、比較された配列の類似性の決定も可能になる。このような類似性は典型的には、同一性パーセント、すなわち、アラインされたヌクレオチド/アミノ酸の総数に対する同じ又は対応する(アライメントにおいて)配列位置における同一のヌクレオチド/アミノ酸の部分で表す。例えば、アライメントにおいて長さ100aaの問い合わせ配列のうち90個のアミノ酸が鋳型配列の対応する位置のアミノ酸と同一である場合、配列同一性は90%である。より広義の用語「相同性」は、保存アミノ酸置換、すなわち、典型的にはタンパク質中で同様な化学的性質を有するので化学的性質に関して同様であるアミノ酸も更に考慮する。したがって、このような相同性は、相同性パーセントで表すことができる。そうでないことが示されない限り、配列同一性及び配列相同性は、アラインされた配列の全長に関する。
【0048】
本発明の文脈において、アミノ酸位置が配列番号1における数的に定義された位置に対応するという特徴は、各位置が、前述のようにして得られたアライメントにおける配列番号1における数的に定義された位置と相関があることを意味する。
【0049】
種々の実施形態において、本発明のポリペプチドに含まれるアミノ酸配列は、配列番号1に示されるアミノ酸を有するヒトIFNa2のバリアントであり、配列番号1のアミノ酸配列と比較して、配列番号1の2、10、11、14、15、16、17、18、22、26、34、37、42、51、52、54、55、56、59、60、63、74、75、79、82、84、86、89、92、99、100、102、104、106、107、108、109、112、113、118、120、131、132、153、155、159、160、163及び165位に対応する位置のいずれか1つに、例えば、2、10、11、14、15、16、22、26、34、37、42、51、52、54、55、56、59、60、63、74、79、82、86、89、92、99、100、102、104、106、107、108、109、112、120、131、132及び153位、好ましくは15、16、22、26、51、52、54、55、56、59、60、63、82、86、89、99、120及び153位、又は好ましくは15、16、22、26、82、86、89、99、120及び153位に対応する位置のいずれか1つ又は複数に、1つ又は複数のアミノ酸置換又は欠失を含む。
【0050】
組換えIFNa2ポリペプチドは、以下の位置:
(i)配列番号1の2、10、26、37、51、52、54、60、63、82、86、89、92、120、131及び153位に対応する位置のいずれか1つ若しくは複数、
(ii)配列番号1の11、14、16、22、26、34、42、51、52、54、55、56、63、86、89、100、102、106、108、109、112、131、132、153、159、160、163及び165位に対応する位置のいずれか1つ若しくは複数、
(iii)配列番号1の11、15、37、52、54、59、63、74、79、84、100、102、104、106、107、112、131、153、155、160及び163位に対応する位置のいずれか1つ若しくは複数、
(iv)配列番号1の82、86、89及び120位に対応する位置、
(v)配列番号1の26及び153位に対応する位置、
(vi)配列番号1の26、82、86、89、120及び153位に対応する位置、
(vii)配列番号1の51、52、54、60及び63位に対応する位置、
(viii)配列番号1の2、10、37、92及び131位に対応する位置、
(ix)配列番号1の86及び89位に対応する位置、
(x)配列番号1の16、22、26及び153位に対応する位置、
(xi)配列番号1の16、22、26、86、89及び153位に対応する位置、
(xii)配列番号1の52、54、55、56及び63位に対応する位置、
(xiii)配列番号1の11、14、34、42、51、100、102、106、108、109、112、131、132、159、160、163及び165位に対応する位置、
(xiv)配列番号1の15及び153位に対応する位置、
(xv)配列番号1の52、54、59及び63位に対応する位置、
(xvi)配列番号1の11、37、74、79、84、100、102、104、106、107、112、131、155、160及び163位に対応する位置、
(xvii)配列番号1の10、11、17、18、22、26、51、52、54、63、75、99、100、102、106、107、112、113、118、131、155、160及び163位に対応する位置のいずれか1つ若しくは複数、
(xviii)配列番号1の99位に対応する位置、
(xix)配列番号1の22及び26位に対応する位置、
(xx)配列番号1の22、26及び99位に対応する位置、
(xxi)配列番号1の51、52、54及び63位に対応する位置、又は
(xxii)配列番号1の10、11、17、18、75、100、102、106、107、112、113、118、131、155、160及び163位に対応する位置
にアミノ酸置換を含み得る。
【0051】
上に示したセット(iv)~(viii)の、及びセット(ix)~(xiii)の、及びセット(xiv)~(xvi)の、及びセット(xviii)~(xxii)の組合せも可能である。
【0052】
配列番号1に示されるアミノ酸配列において、上で特定された位置は、以下のアミノ酸残基:D2、G10、S11、T14、L15、M16、L17、L18、R22、L26、H34、G37、E42、E51、T52、P54、V55、L56、M59、I60、I63、A74、A75、T79、D82、F84、T86、Y89、L92、V99、I100、G102、G104、T106、E107、T108、P109、K112、E113、A118、R120、K131、E132、L153、T155、E159、S160、S163及びE165によって占有される。IFNa2は、IFNa5、IFNa6、IFNa14及びIFNa16と比較して、IFNa5、IFNa6、IFNa14及びIFNa16の44位に対応する位置に欠失を含むことに留意すべきである。これは、例えば、IFNa2の51位が、IFNa5、IFNa6、IFNa14及びIFNa16の52位に対応することを意味する。
【0053】
本明細書中で使用する「アミノ酸置換」は、配列番号1中の対応する位置に存在するアミノ酸残基が別のアミノ酸残基に置き換えられるような配列の改変に関する。置換のためのアミノ酸残基は典型的には、20種のタンパク質構成アミノ酸G、A、V、L、I、F、C、M、P、R、K、H、N、Q、D、E、S、T、W及びYから選択される。したがって、配列番号1の1つの位置がこれら20種のアミノ酸のいずれか1つによって占有される場合、その置換は、それが上に列挙した他の19種のアミノ酸のいずれか1つに置き換えられることを意味する。
【0054】
原則的に、本明細書中において定義した位置は全て、天然に存在するアミノ酸残基が任意の他のアミノ酸残基に置き換えられるように変異させることができるが、種々の実施形態において、置換は、その位置が、ヒトIFNa5(配列番号15)、IFNa6(配列番号14)、IFNa14(配列番号2)又はヒトIFNa16(配列番号3)中に存在する対応するアミノ酸残基に変異されるようなものであることが好ましい可能性がある。
【0055】
本明細書中に記載した実施形態のいずれかにおいて、上に列挙した位置におけるアミノ酸置換は、限定するものではないが、配列番号1の位置番号付けを使用して、2N、10N、10S、11N、11H、14A、15M、16I、17I、18M、22G、26P、26H、34Y、37E、37R、42V、51Q、52A、54S、55A、56F、59V、60M、63T、74V、75T、79R、82E、84L、86I、89F、92M、99M、100T、100M、102E、104W、106G、106E、107G、107D、108I、109A、112N、113V、118T、120K、131M、131T、132G、153F、153S、155R、155A、159K、160G、160R、163R及び165Dからなる群から選択され得る。これらの置換は、IFNa5、IFNa6、IFNa14又はIFNa16において対応する位置に見られるアミノ酸である。
【0056】
したがって、種々の実施形態において、組換えIFNa2ポリペプチドは、配列番号1の番号付けを使用して、対応する位置においてIFNa2のアミノ酸をIFNa14のアミノ酸に交換するいずれかの1つ又は複数のアミノ酸置換、すなわち、2N、10N、26P、37E、51Q、52A、54S、60M、63T、82E、86I、89F、92M、120K、131M及び153Fからなる群から選択される置換を含む。
【0057】
種々の他の実施形態において、組換えIFNa2ポリペプチドは、配列番号1の番号付けを使用して、対応する位置においてIFNa2のアミノ酸をIFNa16のアミノ酸に交換するいずれかの1つ又は複数のアミノ酸置換、すなわち、11N、14A、16I、22G、26H、34Y、42V、51Q、52A、54S、55A、56F、63T、86I、89F、100T、102E、106E、108I、109A、112N、131M、132G、153F、159K、160G、163R及び165Dからなる群から選択される置換を含む。
【0058】
種々の他の実施形態において、組換えIFNa2ポリペプチドは、配列番号1の番号付けを使用して、対応する位置においてIFNa2のアミノ酸をIFNa6のアミノ酸に交換するいずれかの1つ又は複数のアミノ酸置換、すなわち、11H、15M、37R、52A、54S、59V、63T、74V、79R、84L、100M、102E、104W、106G、107G、112N、131T、153S、155R、160R及び163Rからなる群から選択される置換を含む。
【0059】
種々の他の実施形態において、組換えIFNa2ポリペプチドは、配列番号1の番号付けを使用して、対応する位置においてIFNa2のアミノ酸をIFNa5のアミノ酸に交換するいずれかの1つ又は複数のアミノ酸置換、すなわち、10S、11N、17I、18M、22G、26P、51Q、52A、54S、63T、75T、99M、100M、102E、106E、107D、112N、113V、118T、131T、155A、160R及び163Rからなる群から選択される置換を含む。
【0060】
種々の実施形態において、ポリペプチドは、本明細書中で特定されたアミノ酸置換のうちのいずれか2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上又は10個以上を含む。
【0061】
種々の実施形態において、組換えIFNa2ポリペプチドは、配列番号1の番号付けを使用して、IFNAR1結合/接触部位の対応する位置においてIFNa2のアミノ酸をIFNa14のアミノ酸に交換するいずれかの1つ又は複数のアミノ酸置換、すなわち、アミノ酸置換82E、86I、89F及び120Kを含む。
【0062】
種々の実施形態において、組換えIFNa2ポリペプチドは、配列番号1の番号付けを使用して、IFNAR2結合/接触部位の対応する位置においてIFNa2のアミノ酸をIFNa14のアミノ酸に交換するいずれかの1つ又は複数のアミノ酸置換、すなわち、アミノ酸置換26P及び153Fを含む。
【0063】
種々の実施形態において、組換えIFNa2ポリペプチドは、配列番号1の番号付けを使用して、IFNAR1及びIFNAR2結合/接触部位の対応する位置においてIFNa2のアミノ酸をIFNa14のアミノ酸に交換するいずれかの1つ又は複数のアミノ酸置換、すなわち、アミノ酸置換26P、82E、86I、89F、120K及び153Fを含む。
【0064】
種々の実施形態において、組換えIFNa2ポリペプチドは、配列番号1の番号付けを使用して、調節可能なループ領域の対応する位置においてIFNa2のアミノ酸をIFNa14のアミノ酸に交換するいずれかの1つ又は複数のアミノ酸置換、すなわち、アミノ酸置換51Q、52A、54S、60M及び63Tを含む。
【0065】
種々の実施形態において、組換えIFNa2ポリペプチドは、配列番号1の番号付けを使用して、対応する位置においてIFNa2のアミノ酸をIFNa14のアミノ酸に交換するいずれかの1つ又は複数のアミノ酸置換、すなわち、アミノ酸置換2N、10N、37E、92M及び131Mを含む。これらの変異は、個別であってもよいし、又は任意の組合せで、前述のIFNAR1結合部位、IFNAR2結合部位及び/若しくは調節可能なループ領域における変異と組み合わされてもよい。
【0066】
種々の実施形態において、組換えIFNa2ポリペプチドは、配列番号1の番号付けを使用して、IFNAR1結合/接触部位の対応する位置においてIFNa2のアミノ酸をIFNa16のアミノ酸に交換するいずれかの1つ又は複数のアミノ酸置換、すなわち、アミノ酸置換86I及び89Fを含む。
【0067】
種々の実施形態において、組換えIFNa2ポリペプチドは、配列番号1の番号付けを使用して、IFNAR2結合/接触部位の対応する位置においてIFNa2のアミノ酸をIFNa16のアミノ酸に交換するいずれかの1つ又は複数のアミノ酸置換、すなわち、アミノ酸置換16I、22G、26H及び153Fを含む。
【0068】
種々の実施形態において、組換えIFNa2ポリペプチドは、配列番号1の番号付けを使用して、IFNAR1及びIFNAR2結合/接触部位の対応する位置においてIFNa2のアミノ酸をIFNa16のアミノ酸に交換するいずれかの1つ又は複数のアミノ酸置換、すなわち、アミノ酸置換16I、22G、26H、86I、89F及び153Fを含む。
【0069】
種々の実施形態において、組換えIFNa2ポリペプチドは、配列番号1の番号付けを使用して、調節可能なループ領域の対応する位置においてIFNa2のアミノ酸をIFNa16のアミノ酸に交換するいずれかの1つ又は複数のアミノ酸置換、すなわち、アミノ酸置換52A、54S、55A、56V及び63Tを含む。
【0070】
種々の実施形態において、組換えIFNa2ポリペプチドは、配列番号1の番号付けを使用して、対応する位置においてIFNa2のアミノ酸をIFNa16のアミノ酸に交換するいずれかの1つ又は複数のアミノ酸置換、すなわち、アミノ酸置換11N、14A、34Y、42V、51Q、100T、102E、106E、108I、109A、112N、131M、132G、159K、160G、163R及び165Dを含む。これらの変異は、個別であってもよいし、又は任意の組合せで、前述のIFNAR1結合部位、IFNAR2結合部位及び/若しくは調節可能なループ領域における変異と組み合わされてもよい。
【0071】
種々の実施形態において、組換えIFNa2ポリペプチドは、配列番号1の番号付けを使用して、IFNAR2結合/接触部位の対応する位置においてIFNa2のアミノ酸をIFNa6のアミノ酸に交換するいずれかの1つ又は複数のアミノ酸置換、すなわち、アミノ酸置換15M及び153Sを含む。
【0072】
種々の実施形態において、組換えIFNa2ポリペプチドは、配列番号1の番号付けを使用して、調節可能なループ領域の対応する位置においてIFNa2のアミノ酸をIFNa6のアミノ酸に交換するいずれかの1つ又は複数のアミノ酸置換、すなわち、アミノ酸置換52A、54S、59V及び63Tを含む。
【0073】
種々の実施形態において、組換えIFNa2ポリペプチドは、配列番号1の番号付けを使用して、対応する位置においてIFNa2のアミノ酸をIFNa6のアミノ酸に交換するいずれかの1つ又は複数のアミノ酸置換、すなわち、アミノ酸置換11H、37R、74V、79R、84L、100M、102E、104W、106G、107G、112N、131T、155R、160R及び163Rを含む。これらの変異は、個別であってもよいし、又は任意の組合せで、前述のIFNAR2結合部位及び/若しくは調節可能なループ領域における変異と組み合わされてもよい。
【0074】
種々の実施形態において、組換えIFNa2ポリペプチドは、配列番号1の番号付けを使用して、IFNAR1結合/接触部位の対応する位置においてIFNa2のアミノ酸をIFNa5のアミノ酸に交換するいずれかの1つ又は複数のアミノ酸置換、すなわち、アミノ酸置換99Mを含む。
【0075】
種々の実施形態において、組換えIFNa2ポリペプチドは、配列番号1の番号付けを使用して、IFNAR2結合/接触部位の対応する位置においてIFNa2のアミノ酸をIFNa5のアミノ酸に交換するいずれかの1つ又は複数のアミノ酸置換、すなわち、アミノ酸置換22G及び26Pを含む。
【0076】
種々の実施形態において、組換えIFNa2ポリペプチドは、配列番号1の番号付けを使用して、IFNAR1及びIFNAR2結合/接触部位の対応する位置においてIFNa2のアミノ酸をIFNa5のアミノ酸に交換するいずれかの1つ又は複数のアミノ酸置換、すなわち、アミノ酸置換22G、26P及び99Mを含む。
【0077】
種々の実施形態において、組換えIFNa2ポリペプチドは、配列番号1の番号付けを使用して、調節可能なループ領域の対応する位置においてIFNa2のアミノ酸をIFNa5のアミノ酸に交換するいずれかの1つ又は複数のアミノ酸置換、すなわち、アミノ酸置換51Q、52A、54S及び63Tを含む。
【0078】
上記のセットが組み合わされるような場合、組換えIFNa2ポリペプチドは、配列番号1の番号付けを使用して、
(A)以下のアミノ酸置換のセット:
(1)82E、86I、89F及び120K、
(2)26P及び153F、
(3)51Q、52A、54S、60M及び63T、
(4)2N、10N、37E、92M及び131M
のうちの2つ以上の任意の組合せ
(B)以下のアミノ酸置換のセット:
(1)86I及び89F、
(2)16I、22G、26H及び153F、
(3)52A、54S、55A、56V及び63T、
(4)11N、14A、34Y、42V、51Q、100T、102E、106E、108I、109A、112N、131M、132G、159K、160G、163R及び165D
のうちの2つ以上の任意の組合せ
(C)以下のアミノ酸置換のセット:
(1)15M及び153S、
(2)52A、54S、59V及び63T、
(3)11H、37R、74V、79R、84L、100M、102E、104W、106G、107G、112N、131T、155R、160R及び163R
のうちの2つ以上の任意の組合せ、又は
(D)以下のアミノ酸置換のセット:
(1)99M、
(2)22G及び26P、
(3)51Q、52A、54S及び63T、
(4)10S、11N、17I、18M、75T、100M、102E、106E、107D、112N、113V、118T、131T、155A、160R及び163R
のうちの2つ以上の任意の組合せ
を含み得る。
【0079】
したがって、本発明の範囲によって網羅される具体的な置換の組合せは、限定するものではないが、以下のアミノ酸置換の組合せである:
(1)82E、86I、89F、120K、26P及び153F;
(2)82E、86I、89F、120K、51Q、52A、54S、60M及び63T、
(3)82E、86I、89F、120K、2N、10N、37E、92M及び131M、
(4)26P、153F、51Q、52A、54S、60M及び63T、
(5)26P、153F、2N、10N、37E、92M及び131M、
(6)51Q、52A、54S、60M、63T、2N、10N、37E、92M及び131M、
(7)82E、86I、89F、120K、51Q、52A、54S、60M、63T、2N、10N、37E、92M及び131M、
(8)26P、153F、51Q、52A、54S、60M、63T、2N、10N、37E、92M及び131M、
(9)82E、86I、89F、120K、26P、153F、51Q、52A、54S、60M、63T、2N、10N、37E、92M及び131M、
(10)86I、89F、16I、22G、26H及び153F、
(11)86I、89F、52A、54S、55A、56F、及び63T、
(12)86I、89F、11N、14A、34Y、42V、51Q、100T、102E、106E、108I、109A、112N、131M、132G、159K、160G、163R及び165D、
(13)16I、22G、26H、153F、52A、54S、55A、56F及び63T、
(14)16I、22G、26H、153F、11N、14A、34Y、42V、51Q、100T、102E、106E、108I、109A、112N、131M、132G、159K、160G、163R及び165D、
(15)52A、54S、55A、56F、63T、11N、14A、34Y、42V、51Q、100T、102E、106E、108I、109A、112N、131M、132G、159K、160G、163R及び165D、
(16)86I、89F、52A、54S、55A、56F、63T、11N、14A、34Y、42V、51Q、100T、102E、106E、108I、109A、112N、131M、132G、159K、160G、163R及び165D、
(17)16I、22G、26H、153F、52A、54S、55A、56F、63T、11N、14A、34Y、42V、51Q、100T、102E、106E、108I、109A、112N、131M、132G、159K、160G、163R及び165D、
(18)86I、89F、16I、22G、26H、153F、52A、54S、55A、56F、63T、11N、14A、34Y、42V、51Q、100T、102E、106E、108I、109A、112N、131M、132G、159K、160G、163R及び165D、
(19)15M、52A、54S、59V、63T及び153S、
(20)11H、15M、37R、74V、79R、84L、100M、102E、104W、106G、107G、112N、131T、153S、155R、160R及び163R、
(21)11H、37R、52A、54S、59V、63T、74V、79R、84L、100M、102E、104W、106G、107G、112N、131T、155R、160R及び163R、
(22)11H、15M、37R、52A、54S、59V、63T、74V、79R、84L、100M、102E、104W、106G、107G、112N、131T、153S、155R、160R及び163R、
(23)99M、22G及び26P、
(24)51Q、52A、54S、63T及び99M、
(25)22G、26P、51Q、52A、54S及び63T、又は
(25)22G、26P、51Q、52A、54S、63T及び99M。
【0080】
IFNa2のアミノ酸配列が全ての置換のための足場として使用されるので、組換えIFNa2ポリペプチドは典型的には、配列番号2(IFNa14)、配列番号3(IFNa16)、配列番号14(IFNa6)及び配列番号15(IFNa5)に示されるアミノ酸配列と、少なくとも1つのアミノ酸位置が、典型的には少なくとも10個のアミノ酸位置が異なる。それらが異なるこれらの位置は、上に定義した位置以外であってもよいが、IFNa2のアミノ酸が保持されている前記位置のいくつかも含み得る。好ましくは、配列番号2、3、14及び15に示される配列との配列同一性は、99%未満、好ましくは97%未満、より好ましくは95%未満であり、83%と低くてもよく、例えば、約84%又は約85%であってもよい。配列同一性の数値に関して本明細書中で使用する「約」は、前記値±1%に関する。種々の実施形態において、本発明のポリペプチドの、配列番号1との配列同一性は、配列番号2、3、14及び15のいずれか1つとの配列同一性より高い。
【0081】
本明細書中で言及する組換えIFNa2ポリペプチドの断片は、機能的断片であり、典型的には、長さが少なくとも100アミノ酸、好ましくは長さが少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、161、162、163又は164アミノ酸である。このような断片は一般に、配列番号1に示される野生型配列の断片でないように、少なくとも1つの置換を保持する。本発明の断片は好ましくは、重大な意味を持つ構造的及び機能的決定基、例えば、ヘリックスA(残基8~21)、ABループ(残基30~48)、ヘリックスB(残基49~68)、ヘリックスC(残基78~97)、ヘリックスD(残基116~133)及びヘリックスE(残基137~156)(位置番号付けは配列番号1による)を保持するように設計される。好ましくはまた、配列番号1による位置番号付けを使用して、アミノ酸25~27に及ぶアミノ酸伸長も保持される。
【0082】
種々の実施形態において、単離ポリペプチドは、配列番号1に示されるアミノ酸配列の165個未満の連続したアミノ酸を含む。
【0083】
一部の実施形態において、組換えIFNa2ポリペプチド断片は、N末端トランケーション、C末端トランケーション又は1つ若しくは複数のアミノ酸の欠失のうちのいずれか1つ又は複数による、定義された置換のいずれか1つ又は複数を含む、配列番号1に示されるアミノ酸配列に由来する。
【0084】
種々の実施形態において、ポリペプチドは、配列番号4~13のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む。更なる実施形態において、配列番号4~13、16、17及び20のいずれか1つの各鋳型配列に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97.5%、少なくとも99%又は少なくとも99.5%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するこれらの配列のバリアントも網羅される。これらのバリアントは、配列番号4~13、16、17及び20に示される配列のトランケート型、例えば、N末端又はC末端トランケーションを含み、これらのトランケーションは典型的には長さが1~10アミノ酸、好ましくは1~5アミノ酸である。
【0085】
種々の実施形態において、本明細書においては、配列番号1に示されるIFNa2野生型配列の天然に存在するバリアントも企図される。このような天然に存在するバリアントは、典型的には機能性を損なわない、いくつかのアミノ酸置換を含み得る。したがって、このようなバリアントは典型的には、配列番号1と80%超の配列同一性を有し、本明細書中に記載した置換のいずれか1つ又は複数を更に含み得る。このような公知のバリエーションとしては、R23K及びH34R並びにQ62L及びK70Mが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのバリエーションは、本明細書中で定義した置換に加えて、含まれてもよい。
【0086】
種々の実施形態において、ポリペプチドは、本明細書中で明記した配列以外の追加のアミノ酸を含み得る。種々の実施形態において、ポリペプチドは、第1のN末端アミノ酸として残基Mを含む。これが本明細書中に開示した特定の配列内に存在しない場合には、所望であれば、特に宿主細胞中における発現を促進するために、これを人工的に追加してもよい。
【0087】
本発明のポリペプチドは、とりわけ、アフィニティータグ並びに/又はプロテアーゼ認識部位及び切断部位、並びに本発明のポリペプチドが融合されて融合タンパク質を形成する他のタンパク質/ポリペプチドを含み得る追加の配列を含み得る。本発明のポリペプチドが融合され得るこのようなタンパク質の例としては、限定するものではないが、アルブミン及び抗体並びに抗体断片又は抗体様分子及び抗体誘導体を挙げることができる。
【0088】
本明細書中で使用する用語「アフィニティータグ」は、アフィニティータグ受容体を使用して目的の分子と結合されて、目的の分子とアフィニータグとの間の複合体の濃縮を可能にする、実体に関する。ある特定の実施形態において、アフィニティータグは、Strep-tag(登録商標)若しくはStrep-tag(登録商標)II、mycタグ、FLAGタグ、Hisタグ、低分子ユビキチン様修飾因子(SUMO)タグ、共有結合性であるが解離可能なNorpDペプチド(CYD)タグ、タンパク質Cの重鎖(GPC)タグ、カルモジュリン結合ペプチド(CBP)タグ若しくはHAタグ、又はタンパク質、例えば、ストレプトアビジン結合タンパク質(SBP)、マルトース結合タンパク質(MBP)及びグルタチオンS-トランスフェラーゼからなる群から選択され得る。
【0089】
用語「プロテアーゼ(認識及び)切断部位」は、選択されたプロテアーゼによって切断されてよく、したがってプロテアーゼ切断部位によって相互接続されているペプチド又はタンパク質配列の分離を可能にできる、ペプチド配列を指す。ある特定の実施形態において、プロテアーゼ切断部位は、第Xa因子、タバコエッジウイルス(TEV)プロテアーゼ、エンテロキナーゼ、SUMO Expressプロテアーゼ、Arg-Cプロテイナーゼ、Asp-Nエンドペプチダーゼ、Asp-Nエンドペプチダーゼ+N末端Glu、カスパーゼ1、カスパーゼ2、カスパーゼ3、カスパーゼ4、カスパーゼ5、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、カスパーゼ10、キモトリプシン高特異性、キモトリプシン低特異性、クロストリパイン(クロストリジオペプチダーゼB)、グルタミルエンドペプチダーゼ、グランザイムB、ペプシン、プロリン-エンドペプチダーゼ、プロテイナーゼK、Welqutプロテアーゼ、Clean Cutプロテアーゼ、ブドウ球菌性ペプチダーゼI、トロンビン、トリプシン、インテイン及びサーモリシン切断部位からなる群から選択される。一部の実施形態において、認識部位及び切断部位の可能な限り少ないアミノ酸が目的のペプチド又はタンパク質に結合したままであるように、プロテアーゼ認識部位を設計することが好ましい可能性がある。
【0090】
種々の実施形態において、ポリペプチドは、誘導体化してもよいし、別の化学的部分にコンジュゲートさせてもよく、前記誘導体化/コンジュゲーションは、とりわけ、ペグ化、グリコシル化を含む。特に、ペグ化、すなわち、種々の分子量のポリエチレングリコールへの共有結合は、このような化合物の薬物動態を変える手段として公知である。
【0091】
本発明は更に、前述のポリペプチドをコードする核酸、特に単離核酸分子に関する。ポリペプチドが、本明細書中において明記したアミノ酸配列に加えて、任意選択の更なるアミノ酸配列を含む場合は、これらのアミノ酸配列の全てが典型的には、ペプチド結合によって連結され、単一の融合タンパク質として発現される。前記発現を促進するために、核酸分子は、全てのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列は、上記アミノ酸配列を全て含む単一の融合タンパク質の発現を可能にするように操作可能に連結されている。
【0092】
核酸配列の文脈における用語「操作可能に連結されている」とは、第1の核酸配列が第2の核酸配列と機能的な関係に置かれるように第1の核酸配列が第2の核酸配列に連結されていることを意味する。例えば、プロモーターが異種遺伝子のコード配列の転写を開始できる場合、プロモーター配列はコード配列に操作可能に連結されている。更なる文脈において、特許請求の範囲に記載されているIFNaバリアントをコードする配列は、2つの配列が翻訳される場合に単一のペプチド/タンパク質鎖が得られるように別のアミノ酸配列に連結されている。
【0093】
ある特定の実施形態において、上に定義した核酸分子はベクター、例えば、クローニングベクター又は発現ベクターに含まれていてもよい。一般に、本発明の核酸分子はまた、プラスミド、ファージミド、ファージ、バキュロウイルス、コスミド若しくは人工染色体を含むがこれらに限定されない、ベクター又は任意の他の種類のクローニングビヒクルの一部であることもできる。一般に、本出願において開示される核酸分子は、この核酸分子の発現を可能にするように1つ又は複数の調節配列に「操作可能に連結されている」ことができる。
【0094】
このようなクローニングビヒクルは、前述の調節配列及び本発明の核酸配列以外に、発現に使用される宿主細胞と適合性の種に由来する複製及び制御配列、並びに形質転換又はトランスフェクト細胞に選択可能な表現型を付与する選択マーカーを含むことができる。多数の好適なクローニングベクターが当技術分野において公知であり、市販されている。
【0095】
ある特定の実施形態において、本明細書中に開示された核酸分子はクローニングベクターに含まれる。一部の実施形態において、本明細書中に開示された核酸分子は発現ベクターに含まれる。ベクターは、複製のための調節エレメント及び選択マーカーを含み得る。ある特定の実施形態において、選択マーカーは、アンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、ブラストサイジン、スペクチノマイシン、ゲンタマイシン、ハイグロマイシン及びゼオシン耐性を付与する遺伝子からなる群から選択され得る。種々の他の実施形態において、選択は、抗生物質を含まない系を使用して、例えば、毒素/抗毒素系、cer配列、トリクロサン、栄養素要求性等を使用することによって実施することができる。好適な方法は、当業者には公知である。
【0096】
本発明のポリペプチドをコードする核酸配列を含む本発明の前記核酸分子は、ベクターに組み込まれる場合、ポリペプチドを発現できるように組み込まれなければならない。したがって、本発明のベクターは、転写及び/又は翻訳調節に関する情報を含む配列エレメントを含み、このような配列は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に「操作可能に連結されている」。この文脈における操作可能な連結は、調節配列エレメントと発現される配列とが、遺伝子発現を可能にする方法で接続されている連結である。遺伝子発現に必要な調節領域の正確な性質は種によって異なるが、一般に、これらの領域はプロモーターを含み、プロモーターは、原核生物ではプロモーター自体、すなわち、転写の開始を指示するDNAエレメントと、RNAに転写される場合に翻訳の開始のシグナルを送るDNAエレメントとの両方を含む。このようなプロモーター領域は通常、転写及び翻訳の開始に関与する5'ノンコーディング配列、例えば、原核生物においては、-35/-10ボックス及びShine-Dalgarnoエレメント、又は真核生物においては、TATAボックス、CAAT配列及び5'キャッピングエレメントを含む。これらの領域はまた、エンハンサー又はリプレッサーエレメント、並びにネイティブポリペプチドを宿主細胞の特定の区画に対して標的化するための翻訳シグナル及びリーダー配列を含み得る。
【0097】
加えて、3'ノンコーディング配列は、転写終結、ポリアデニル化等に関与する調節エレメントを含み得る。しかし、これらの終結配列が特定の宿主細胞において満足に機能しない場合には、それらは、その細胞中で機能するシグナルで置換することができる。
【0098】
したがって、種々の実施形態において、本発明の核酸分子を含むベクターは、調節配列、好ましくはプロモーター配列を含むことができる。ある特定の実施形態において、プロモーターは宿主ゲノムのプロモーター配列と同一又は相同である。このような場合、内在性ポリメラーゼは、ベクター中に含まれる核酸分子配列を転写可能であり得る。種々の実施形態において、プロモーターは、弱プロモーター、中間プロモーター及び強プロモーターの群から選択され、好ましくは弱~中間プロモーターから選択される。
【0099】
別の好ましい実施形態において、本発明の核酸分子を含むベクターは、プロモーター配列及び転写終結配列を含む。原核生物の発現に好適なプロモーターは、例えば、araBADプロモーター、tet-プロモーター、lacUV5プロモーター、CMVプロモーター、EF1アルファプロモーター、AOX1プロモーター、tacプロモーター、T7プロモーター又はlacプロモーターである。真核細胞における発現に有用なプロモーターの例は、SV40プロモーター又はCMVプロモーターである。更に、本発明の核酸分子は、核酸分子に含まれるコード配列の調節された転写及び翻訳を可能にする転写調節エレメント、例えば、リプレッサーエレメントを含むことができる。リプレッサーエレメントは、Lac-、AraC-又はMalR-リプレッサーからなる群から選択され得る。
【0100】
ベクターは、原核生物又は真核生物のタンパク質発現に有効であり得る。好適なベクターは、当業者には公知である。
【0101】
本発明のベクターは、高コピー、中コピー及び低コピーベクターからなる群から選択され得る。
【0102】
本発明の前記ベクターは、ベクターDNAに含まれる前記核酸分子によってコードされるペプチド又はタンパク質の発現を実現するために、宿主細胞の形質転換又はトランスフェクションに使用することができる。したがって、更なる一態様において、本発明はまた、本明細書中に開示したベクター又は核酸分子を含む宿主細胞に関する。
【0103】
ゲノム中に組み込まれた、本明細書中に記載した核酸分子を含む宿主細胞もまた、本明細書中において企図される。当業者ならば、核酸分子の組込みを実現するのに好適な方法を承知している。例えば、分子は、リポソームによる導入若しくはウイルス感染によって宿主細胞に送達することができ、その後、核酸分子を、相同組換えによって宿主ゲノムに組み込むことができる。ある特定の実施形態において、核酸分子は、核酸分子によってコードされる本発明のペプチド又はタンパク質の転写を媒介する、宿主ゲノム中の部位において組み込まれる。種々の実施形態において、核酸分子は、宿主ゲノム中にその分子が組み込まれると核酸分子の転写を媒介する且つ/又は選択マーカーとして働く、エレメントを更に含む。
【0104】
ある特定の実施形態において、本発明の核酸分子は、ネイティブで宿主ゲノムにコードされているポリメラーゼによって転写される。種々の実施形態において、核酸分子は、宿主ゲノムにとってノンネイティブであるRNAポリメラーゼによって転写される。このような実施形態において、本発明の核酸分子は、ポリメラーゼをコードする配列を更に含んでいてもよく、且つ/又は宿主ゲノムは操作されていてもよく、又は宿主細胞は、外来性ポリメラーゼをコードする核酸配列を含むように感染させてもよい。宿主細胞は、遺伝子を発現可能な宿主細胞として特異的に選択され得る。加えて又は或いは、本発明の単離ポリペプチドを産生させるために、それをコードする核酸を、好適な系中で発現のために遺伝子操作することができる。形質転換は、標準的な技術を使用して実施することができる(Sambrook, J.ら、(2001)、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、3rd Ed.、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY)。
【0105】
本明細書中に記載したようなポリペプチドの組換え発現のための、このようなベクターを含む原核又は真核宿主生物も、本発明の一部を形成する。好適な宿主細胞は原核細胞であり得る。ある特定の実施形態において、宿主細胞は、グラム陽性及びグラム陰性細菌からなる群から選択される。一部の実施形態において、宿主細胞は、グラム陰性細菌、例えば、大腸菌である。ある特定の実施形態において、宿主細胞は大腸菌である。更なる実施形態において、宿主細胞は、大腸菌(Escherichia coli(E. coli))、シュードモナス属(Pseudomonas)、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)、サルモネラ属(Salmonella)、シゲラ属(Shigella)(及び他の腸内細菌科)、ナイセリア属(Neisseria)、ヘモフィルス属(Hemophilus)、クレブシエラ属(Klebsiella)、プロテウス属(Proteus)、エンテロバクター属(Enterobacter)、ヘリコバクター属(Helicobacter)、アシネトバクター属(Acinetobacter)、モラクセラ属(Moraxella)、ヘリコバクター属、ステノトロフォモナス属(Stenotrophomonas)、ブデロビブリオ属(Bdellovibrio)、レジオネラ属(Legionella)、酢酸菌、バチルス属(Bacillus)、桿菌(Bacilli)、コリネバクテリウム属(Carynebacterium)、クロストリジウム属(Clostridium)、リステリア属(Listeria)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)及び古細菌(Archaea)細胞からなる群から選択される。好適な真核宿主細胞は、とりわけ、CHO細胞、昆虫細胞、真菌、酵母細胞、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、分裂酵母(S. pombe)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)等である。
【0106】
形質転換宿主細胞は、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の発現に好適な条件下で培養する。ある特定の実施形態において、細胞は、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の発現及び任意選択でその分泌に好適な条件下で培養する。
【0107】
本明細書中に記載した目的の組換えポリペプチドを産生させるために、組換えDNA技術によって、本発明のベクターを好適な原核又は真核宿主生物に導入することができる(上に既に概説した通り)。このために、最初に、確立された標準的な方法(Sambrook,J.ら、(2001)、前掲)を使用して、本発明による核酸分子を含むベクターで宿主細胞を形質転換する。次いで、宿主細胞を、異種DNAの発現、したがって、対応するポリペプチドの合成を可能にする条件下で培養する。続いて、ポリペプチドを、細胞又は培養培地のいずれかから回収する。
【0108】
本発明のポリペプチドの発現のために、いくつかの好適なプロトコールが当業者に公知である。本発明の組換えポリペプチドの発現は、以下の方法:(a)本発明の核酸分子又はベクターを宿主細胞に導入する工程であって、核酸分子又はベクターが組換えポリペプチドをコードする、工程と、(b)宿主細胞を培地中で、組換えポリペプチドの発現を可能にする条件下で培養する工程とを含む、方法によって実現し得る。
【0109】
工程(a)は、当業者に公知の、好適な形質転換及びトランスフェクション技術を使用することによって実施し得る。これらの技術は通常、核酸が導入されることになる宿主細胞の種類に基づいて選択される。一部の実施形態において、形質転換は、エレクトロポレーション又は宿主細胞のヒートショック処理を使用して実現し得る。
【0110】
工程(b)は、宿主細胞の増殖を可能にする培養工程を含み得る。或いは、宿主細胞の増殖を可能にするこのような工程及びポリペプチドの発現を可能にする工程は、細胞を最初に所望の密度まで増殖するように培養し、次いでポリペプチドの発現を可能にする条件下で培養する点で、別個に実施し得る。しかし、発現工程は、依然として細胞の増殖を可能にし得る。
【0111】
この方法は、発現されたポリペプチドを回収する工程を更に含むことができる。ポリペプチドは、分泌されている場合には増殖培地から、若しくは細胞から、又は両者から回収することができる。ポリペプチドの回収は、種々の精製工程を含み得る。
【0112】
一般に、この方法では、選択された宿主の増殖に好適な任意の公知の培地を使用し得る。
【0113】
種々の実施形態において、この方法はまた、組換えポリペプチドの精製を含み、組換えポリペプチドは、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー及びそれらの組合せから選択される方法を使用して精製する。
【0114】
いくつかの実施形態において、この方法は、組換えポリペプチド内のプロテアーゼ切断部位の切断に好適なプロテアーゼによる組換えポリペプチドの処理を含み得る。一部の実施形態において、組換えポリペプチドは、タンパク質分解切断の前に、上で開示した1つ又は複数の方法を使用して精製する。組換えペプチド又はタンパク質の切断後にもまた、この方法は上で定義した更なる精製工程を含み得る。したがって、一部の実施形態において、組換えポリペプチドを精製し、タンパク質分解切断に供し、得られたポリペプチドを更に精製する。他の実施形態において、精製前に切断が行われるように、プロテアーゼを、同時発現させるか、又は培養培地に添加するか、又は共培養された微生物によって発現させることができる。
【0115】
更なる一態様において、本発明は、組換えポリペプチドの発現のための、本明細書中に開示したベクター又は核酸分子の使用に関する。一部の実施形態において、組換えポリペプチドの発現及び任意選択で分泌のためにベクターを使用する。発現又は発現と分泌とは、本明細書中に記載した方法を使用して実現することができる。
【0116】
前記核酸分子を使用する組換えポリペプチドの発現方法は、
(a)前述の核酸分子又はベクターを好適な宿主細胞に導入する工程であって、核酸分子又はベクターが組換えポリペプチドをコードする、工程と、
(b)宿主細胞を培地中で、組換えポリペプチドの発現及び任意選択で組換えポリペプチドの培地への分泌を可能にする条件下で培養する工程と
を含み得る。
【0117】
種々の実施形態において、本発明はまた、本発明の組換えIFNa2ポリペプチド、本発明の特許請求の範囲に記載の核酸又は本発明のベクター、及び任意選択で、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物に関する。好ましい実施形態において、医薬組成物は、本発明のポリペプチドを含む。医薬組成物は、それを必要とする対象への投与を可能にする形態、例えば、注射剤等で提供できる。一般に、医薬組成物は、非経口投与(静脈内投与、筋肉内投与、髄腔内投与及び皮下投与)、局所的投与、経口投与、吸入投与又は局所投与に好適であり得る。
【0118】
「薬学的に許容される賦形剤」は典型的には、活性物質の製剤化のために製薬技術分野において使用される、助剤、希釈剤及び担体である。注射剤の場合には、これらは、種々の緩衝剤組成物、塩、保存剤等を含み得る。これらは全て、典型的には無菌である。例としては、限定するものではないが、リンゲル溶液、生理食塩水、滅菌水、又は静脈内注入のために設計された、任意の他の商業的に調製された生理的緩衝溶液が挙げられる。担体溶液並びに組成物の投与量及び投与の選択は、対象及び特定の臨床背景によって異なり、標準的な医療手順によって決定されることが理解される。
【0119】
本発明の方法に従って、これらの医薬組成物は、本明細書中で特定した疾患及び障害、特にウイルス感染と関連する病理学的帰結又は症状を抑制する又は寛解させるのに有効な量で投与することができる。投与は、ボーラス静脈内注射、一定の静脈内注入、又は両経路の組合せによることができる。或いは又は加えて、適当な賦形剤と混合したポリペプチドを、筋肉内部位を介して循環に取り込むことができる。
【0120】
ポリペプチドは、胃酸又は腸内酵素による消化の影響を受けやすいため、経口投与にはあまり好適でないことは明らかであるが、ある特定の実施形態においては、特定の製剤を経口投与に使用できる。
【0121】
経口液体剤形(例えば、懸濁剤、エリキシル剤及び液剤)で組成物を調製する際には、典型的な医薬媒体、例えば、水、グリコール、油、アルコール、矯味矯臭剤、保存剤、着色剤等を使用できる。
【0122】
同様に、経口固体剤形(例えば、散剤、錠剤及びカプセル剤)を調製する場合には、担体、例えば、デンプン、糖、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等を使用する。投与しやすさのため、錠剤及びカプセル剤が、本発明の医薬組成物に望ましい経口剤形に相当する。
【0123】
ポリペプチドは、局所的投与にはあまり好適でないが、局所治療のために、特定の製剤を使用できる。
【0124】
本発明の組換えIFNa2ポリペプチド及び医薬組成物は、静脈内投与に特に有用である。投与のための組成物は一般に、薬学的に許容される担体、好ましくは水性担体中に溶解されたポリペプチドの溶液を含む。さまざまな水性担体、例えば、緩衝生理食塩水等を使用できる。これらの溶液は無菌であり、一般に望ましくない物質を含まない。組成物は、従来の周知の滅菌技術によって滅菌することができる。静脈内投与のための典型的な医薬組成物は、当業者ならば容易に決定できる。投与される量は、明らかにタンパク質特異的であり、その力価及び薬物動態プロファイルによって決まる。非経口的に投与可能な組成物を調製するための実際の方法は、当業者には公知であるか又は明白であり、Remington's Pharmaceutical Science、18t ed.、Mack Publishing Company、Easton、PA、1990年のような出版物により詳細に記載されている。
【0125】
本発明のポリペプチドを含有する組成物又はそのカクテル(すなわち、他のタンパク質とのカクテル)は、治療的処置において投与できる。治療的用途において、この組成物は、本明細書中で特定した疾患/障害のいずれかを患っている患者に、障害を治癒させる又は障害の症状を少なくとも部分的に軽減するのに十分な量で投与する。これを達成するのに十分な量は、「治療有効用量」と定義される。この使用に有効な量は、疾患の重症度及び患者の健康の全身状態によって決まる。
【0126】
組成物の単回投与及び複数回投与は、患者が必要とし且つ耐えられる投与量及びに頻度に応じて施すことができる。いずれにしても、この組成物は、患者を有効に治療するのに十分な量の本発明のポリペプチドを提供するべきである。一般に、意図される投与方法に応じて、薬学的に許容される組成物は、約1質量%~約99質量%の本発明のポリペプチドと99質量%~1質量%の好適な医薬賦形剤又は担体とを含有する。好ましくは、組成物は、約5質量%~75質量%の本発明のポリペプチドを含み、残りは好適な医薬賦形剤又は担体である。
【0127】
本発明のポリペプチド又はそれらの薬学的に許容される組成物は治療有効量で投与され、治療有効量は、使用される特定のポリペプチドの比活性;ポリペプチドの代謝安定性及び作用の長さ;患者の年齢、体重、全身健康状態、性別及び食事;投与の方法及び時間;排出速度;薬物組合せ;特定の病状の重症度;並びに治療法を受けている宿主を含む、さまざまな要因によって異なる。一般に、治療有効一日量は、本発明のポリアミドの投与当たり約0.1~約1000μg/kg体重、好ましくは投与当たり約0.5~約100μg/kg体重の範囲であり得る。例えば、70kgのヒトへの投与では、投与量範囲は、治療レジメンに応じて、本発明のポリペプチドの投与当たり約10μg~約100μgとなる。例えば、本発明のポリペプチド又はポリペプチドを含有する製剤を1日1~数回投与する場合には、製剤を週1回若しくは月に1回又はそれより少ない頻度で投与される場合よりも低い用量が必要となる。本発明のポリペプチドは適正な用量で投与されることが期待される。用量は一般に、最大耐量(MTD)で、又は最大耐量(MTD)以下に調整する。
【0128】
本明細書中に記載したポリペプチド又は医薬組成物は、それを必要とする対象における疾患又は障害の治療及び/又は予防、特に病原体による感染の治療及び/又は予防に使用するためのものであり得る。前記疾患又は障害としては、がん、免疫障害、及び感染性疾患、例えば、細菌性若しくはウイルス性病原体又はある特定の寄生虫によって引き起こされるものを挙げることができる。種々の実施形態において、病原体は、ウイルス、例えば、インフルエンザウイルス、SARS-CoV-2を含むコロナウイルス、ジカウイルス、デングウイルス、ウエストナイルウイルス、エボラウイルス、B型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、A型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(サイトメガロウイルス(CMV)、Epstein-Barrウイルス(EBV)、単純ヘルペスウイルス1型及び2型(HSV 1及び2)、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV))、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、BKポリオーマウイルス(BKV)、JCポリオーマウイルス(JCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ボルナ(病)ウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス、パラインフルエンザウィルス、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、黄熱病ウイルス及びヒトパピローマウイルス(HPV)からなる群から選択されるウイルスである。
【0129】
種々の実施形態において、対象は哺乳動物、好ましくはヒトである。
【0130】
更なる実施形態は、以下の非限定的な例に説明する。
【実施例
【0131】
材料及び方法
発現プロトコール
IFNa2バリアントのクローニング
製造元の指示に従って、配列特異的プライマー及びQuikChangeIIキット(Agilent社)を使用して、部位特異的変異を導入した。全ての構築物を、コード配列の配列決定によって確認した。
【0132】
IFNa2バリアントの発現及び精製
IFNアルファ2バリアント遺伝子を、大腸菌での発現のために最適化した。塩酸グアニジンで変性された単離封入体タンパク質を、アルギニンリフォールディング緩衝液中でリフォールディングさせ、アニオン交換及びサイズ排除クロマトグラフィーによって精製した(Kalieら、J Biol Chem 282:11602~11611頁)。タンパク質濃度を、Nano-Drop 2000c (Thermo Scientific社、Wilmington、DE)を使用して決定し、エンドトキシンレベルは0.0025エンドトキシン単位(EU)/ml未満であった(ToxinSensor;Genscript社、Piscataway、NJ)。
【0133】
IFNa2バリアントの特性決定
ルシフェラーゼレポーター遺伝子(pISRE;Stratagene社)を駆動するインターフェロン刺激応答エレメント(ISRE)プロモーター/エンハンサーエレメントを含むプラスミドでトランスフェクトされたヒト網膜色素上皮細胞(ATCC CRL2302)を使用した、安定レポーター細胞株(Zimmermannら、J Exp Med 201:1543~1553頁)が開発された。細胞を24時間増殖させてから、本発明の組換えIFNa2バリアント及び種々の市販IFNa亜型(PBL Assay Science社、Piscataway、NJ)の段階希釈液を4時間にわたって添加した。細胞をBright Glo溶解緩衝液(Promega社)で溶解させ、10分後にルシフェラーゼ活性を測定した。
【0134】
初代ヒト肝細胞(PHH)に、4% PEG8000の存在下で16時間にわたって細胞1個当たり200ウイルスゲノム当量(vge)でHBVビリオンを感染させ、次いでPBSで洗浄した。IFNa亜型又はIFNa2キメラ変異体を含む又は含まない培地を3日ごとに交換した。細胞培養上清中のHBV e抗原(HBeAg)及びHBV s抗原(HBsAg)のレベルを、ELISA(Kehua社、中国からのキット)によって決定した。その結果を図1、5及び6に示す。
【0135】
HBV感染ヒト化マウスの作製及びIFNa処置
Yecuris Corporation社から購入したFah/Rag2/Il2rγトリプルノックアウト(FRG KO)マウスを、ヒト肝キメラマウスの確立に利用した。マウスの肝機能の維持においてFAH酵素の損失の代わりになるように、ニチシノン(NTBC)を飲料水に補充した。簡潔には、1.0×106のPHH(Lonza社)を4~6週齢のマウスに脾臓内注射し、続いて、マウス肝細胞の損傷を促進するためにいくつかのNTBCサイクリング離脱条件を適用し、次にヒト肝細胞を再配置させた。ヒトアルブミン(hALB)産生をELISA(Bethyl Laboratories Inc.社)によって測定した。移植後2~3カ月において、約5mg/mlはマウス肝臓の約70%のヒト化に相当する。約70%のヒト化マウス肝臓が得られたら、1.0×107IU/mlのHBV(遺伝子型D、HepAD38細胞株によって産生)を、尾静脈を経由して注射した。マウス血清中のHBV DNA(Qiagen社)を、週1回の頻度で測定した。HBV感染マウスを、体重、血中ヒトアルブミン(h-Alb)及び血清HBV DNA濃度に基づいて、異なる投与群に無作為に割り付けた。PBS対照及びIFNα処置を、感染後45日以降、14日間にわたって毎日、静脈内投与した。示した時点で採取した試料に関する一連の血清及び肝内測定を実施した(図2)。処置プロトコールが頻繁な取り扱い及び採血並びにIFN又は生理食塩水の連日注射を含むにもかかわらず、マウスは全体的にIFN処置に十分な耐容性を示した(図3、4)。IFNα2及びIFNα14処置はいずれもHBV DNA及びHBsAgの増加を妨げ、HBV RNA産生を有意に減少させた(図2)。全てのマウスを、HBV-感染後10週間で屠殺した。
【0136】
インフルエンザウイルス感染に対するIFNa亜型の抗ウイルス効力
1000U/mLのIFNα亜型を、肺外植片の上清に添加した。200μlの薬物含有媒体を組織に注入し、続いて37℃及び5%CO2で合計8時間にわたってインキュベートした。IFN及びウイルス含有上清を取り出し、プラークアッセイによって感染後1、24及び48時間の上清中のウイルス力価をタイトレーションすることによって、ウイルス複製を分析した(図7)。
【0137】
IFNα変異体による処理はHSV-1に対するIFNα2の抗ウイルス効果を向上させた。
Vero細胞を20,000単位/mlのIFNα亜型又は変異体で処理し、16時間後に細胞に5000 TCID50/mlのHSV-1Fを感染させた。48時間後に、上清を段階希釈し、4日間インキュベートした。ウイルス感染細胞を決定し、TCID50を計算した(図8)。IFNa2-MS:配列番号16; IFNa2-ASVT:配列番号17;IFNa2-PF:配列番号5;IFNa2-EIFK:配列番号4;IFNa2-NNEMMM:配列番号18;IFNa2-QASMT:配列番号19;IFNa2-IGHIFF:配列番号11;IFNa2-ASAFT:配列番号12。
【0138】
IFNα変異体による処理はHSV-2に対するIFNα2の抗ウイルス効果を向上させた。
Vero細胞を20,000単位/mlのIFNα亜型又は変異体で処理し、16時間後に細胞に5000 TCID50/mlのHSV-2Gを感染させた。48時間後に上清を段階希釈し、4日間インキュベートした。ウイルス感染細胞を決定し、TCID50を計算した(図9)。IFNa2-MS:配列番号16;IFNa2-ASVT:配列番号17;IFNa2-PF:配列番号5;IFNa2-EIFK:配列番号4;IFNa2-NNEMMM:配列番号18;IFNa2-QASMT:配列番号19;IFNa2-IGHIFF:配列番号11;IFNa2-ASAFT:配列番号12。
【0139】
IFNα変異体による処理はHBVに対するIFNα2の抗ウイルス効果を向上させた。
分化型HepaRG細胞を種々の濃度のIFNα亜型又は変異体で処理し、続いてそれにHBVを感染させた。感染後4日に、上清中のHBsAg濃度をELISAによって決定した(図10)。IFNa2-PF:配列番号5;IFNa2-EIFK:配列番号4;IFNa2-NNEMMM:配列番号18。
【0140】
IFNα変異体による処理はHIV-1に対するIFNα2の抗ウイルス効果を向上させた。
Tzmbl細胞を種々の濃度のIFNα亜型又は変異体で処理し、続いてそれにR5トロピックNL4.3RenLucを感染させた。感染後72時間に、細胞を溶解させ、ウミシイタケルシフェラーゼ活性を測定することによって感染を数量化した(図11)。IFNa2-PF:配列番号5;IFNa2-EIFK:配列番号4;IFNa2-NNEMMM:配列番号18;IFNa2-PFK:配列番号20。
【0141】
IFNα亜型による処理はSARS-CoV-2に対して明確な抗ウイルス効果を示す。
VeroE6細胞を100又は1000単位/mlのIFNα亜型で処理し、続いてそれに350PFUのSARS-CoV-2を感染させた。感染後72時間に、ウイルス感染した細胞をクリスタルバイオレット染色によって決定し、TCID50を計算した。完全に分化したヒト気道上皮細胞(hAEC)を、100又は1000単位/mlのIFNα亜型で16時間にわたって事前刺激した(基底部)。感染のために、30,000PFUのSARS-CoV-2を細胞の頂端部に1時間にわたって添加した。感染後72時間に、細胞を頂端で洗浄し、洗浄液をエンドポイント希釈アッセイに供して、TCID50/mlを計算した(図12)。
【0142】
IFNα変異体による処理はSARS-CoV-2に対するIFNα2の抗ウイルス効果を向上させた。
VeroE6細胞を種々の濃度のIFNα亜型又は変異体で処理し、続いてそれに350PFUのSARS-CoV-2を感染させた。24時間後に、感染をインセルELISAによって決定した(図13)。Mu1=配列番号5;Mu2=配列番号4;Mu21=配列番号18。
【0143】
本明細書中で引用した全ての文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に例示的に記載し本発明は、本明細書に具体的に開示されていない1つ若しくは複数の要素、1つ若しくは複数の限定がなくても好適に実施することができる。したがって、例えば、用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」等は、広範に且つ限定なしで読み取るものとする。加えて、本明細書中で使用する用語及び表現は、限定の用語としてではなく説明の用語として使用されており、このような用語及び表現の使用において、示した及び記載した特徴又はその部分の任意の均等物を除外する意図はなく、特許請求の範囲に記載した本発明の範囲内で種々の変更形態が可能であることが認識される。したがって、本発明を本発明の好ましい実施形態及び任意選択の特徴によって具体的に開示したが、本明細書中に開示されたそこで具体化されている本発明の変更形態及び変形形態を当業者が使うことができること、並びにこのような変更形態及び変形形態は本発明の範囲内と考えられることを理解すべきである。本発明は、本明細書において広範に且つ包括的に記載した。属の開示の範囲に含まれるより狭い種及び亜属の分類のそれぞれもまた、本発明の一部を形成する。これは、除かれる材料が本明細書中に具体的に列挙されているか否かにかかわらず、これには、属から主題を除去する但し書き又は否定的限定を伴う本発明の属の記載が含まれる。加えて、本発明の特徴又は態様がマーカッシュ群に関して記載されている場合、当業者ならば、それによって本発明はまた、マーカッシュ群の任意の個々のメンバー又はメンバーの下位群に関しても記載されていることを認識するであろう。本発明の更なる実施形態は、以下の特許請求の範囲にから明らかになるであろう。
図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4
図5
図6
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【配列表】
2023522423000001.app
【国際調査報告】