(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-30
(54)【発明の名称】樹脂注入のための機器、採掘機及び方法
(51)【国際特許分類】
E21D 20/00 20060101AFI20230523BHJP
【FI】
E21D20/00 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564380
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(85)【翻訳文提出日】2022-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2021060698
(87)【国際公開番号】W WO2021214302
(87)【国際公開日】2021-10-28
(32)【優先日】2020-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522192573
【氏名又は名称】サンドヴィック マイニング アンド コンストラクション リヨン エスアエス
(71)【出願人】
【識別番号】515277780
【氏名又は名称】サンドヴィック マイニング アンド コンストラクション オーワイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コンブ, クリステル
(72)【発明者】
【氏名】メッツガー, マチュー
(72)【発明者】
【氏名】デミア, ローラン
(57)【要約】
グラウト材を注入するための機器、採掘機、及びグラウト材によって岩石表面を補強する方法。機器(11)は、両方とも削孔(7)に挿入可能な、混合装置(18)が設けられたインジェクタヘッド(17)を備える。この機器は、2種の異なる硬化時間を有する樹脂混合物(23a、23b)を供給するためのものである。インジェクタヘッドは、遅硬化性樹脂ベース成分及び速硬化性樹脂ベース成分(A1、A2)のための共通の第1の供給ラインと、樹脂触媒(B)のための第2の供給ラインとを備える流体入口構成(19)に接続される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
岩石補強のために削孔(7)にグラウト用樹脂を注入するための機器(11)であって、
前記機器(11)は、バルク状流体材料を供給するためのものであり、
前記削孔(7)の内側に挿入される、グラウト用樹脂供給ツールであるインジェクタヘッド(17)であって、前記ツールは、前記樹脂供給が完了したとき、かつ前記グラウト用樹脂(23a、23b)で充填された前記削孔(7)内に別個のロックボルト(24)が送り込まれる前に、前記削孔(7)から取り外される、インジェクタヘッド(17)と、
前記インジェクタヘッド(17)に樹脂ベース成分A及び樹脂触媒Bを供給するために、前記インジェクタヘッド(17)に接続された少なくとも1つの流体入口構成(19)
とを備え、
前記インジェクタヘッド(17)には、供給された前記樹脂ベース成分Aと前記触媒Bとを混合するための混合装置(18)が設けられており、前記混合装置(18)は、前記インジェクタヘッド(17)と共に前記削孔(7)の内側に送り込まれるように構成されることと、
前記流体入口構成(19)は、2つの別個の供給ラインを備え、第1の供給ライン(20)は、2つの異なる硬化時間に関連する第1の樹脂ベース成分A1及び第2の樹脂ベース成分A2の択一的な供給のために選択可能であり、第2の供給ライン(21)は、樹脂触媒Bのためのものであることと、
前記機器(11)は、2つのポンプが設けられた樹脂ポンプ圧送構成(26)を備え、共通の第1の供給ポンプ(27)は、前記第1の樹脂ベース成分A1又は前記第2の樹脂ベース成分A2を前記第1の供給ライン(20)に択一的に供給するように構成され、第2の供給ポンプ(28)は、前記触媒Bを前記第2の供給ライン(21)に供給するために専用に設けられることと、
前記機器(11)は、前記共通の第1の供給ポンプ(27)の入口チャネル(32)を前記第1の樹脂ベース成分A1のために設けられた第1の容器(13)、又は前記第2の樹脂ベース成分A2のために設けられた第2の容器(14)に選択的に接続するための少なくとも1つの供給バルブ(31)を備えることと
を特徴とする、機器(11)。
【請求項2】
前記第1の供給ポンプ(27)及び前記第2の供給ポンプ(28)は、容積式ポンプであり、同期して動作するように構成されているため、前記供給される樹脂ベース成分A1又はA2の、前記供給される触媒Bに対する体積は一定であること
を特徴とする、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記第1の供給ポンプ(27)及び前記第2の供給ポンプ(28)は、共通のアクチュエータ(29)によって動力供給されること
を特徴とする、請求項1又は2に記載の機器。
【請求項4】
前記機器(11)は、前記インジェクタヘッド(17)及び前記混合装置(18)をフラッシングするために溶媒媒体(S)を供給するように構成された溶媒供給システム(34)を備える
ことを特徴とし、
前記溶媒供給システム(34)は、第3の容器(15)から前記溶媒媒体(S)をポンプ圧送するための第3のポンプ(35)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の機器。
【請求項5】
溶媒供給システム(34)は、前記溶媒媒体(S)を前記第3のポンプ(35)から前記混合装置(18)に供給するための専用の第3の供給ライン(22)を備えること
を特徴とする、請求項4に記載の機器。
【請求項6】
前記機器(11)は、制御ユニット(CU)によって制御され、ベース樹脂成分と前記触媒(A1+B、A2+B)との間、及び場合によっては溶媒(S)との間の挿入の順序は、時間又は流量測定値又はポンプ移動測定値に従って管理されること
を特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の機器。
【請求項7】
前記機器(11)は、採掘機(1)に接続可能であることと、
前記採掘機(1)の送り装置(12)が、前記インジェクタヘッド(17)及び前記混合装置(18)を前記削孔(7)の内側に挿入及び移動させるように構成されることと
を特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の機器。
【請求項8】
可動キャリア(2)と、
前記キャリア(2)上に移動可能に接続された少なくとも1つのブーム(3)と、
削孔(7)内にグラウト用樹脂を注入するための機器(11)と、
前記グラウト用樹脂(23)が注入された後に前記削孔(7)にロックボルト(24)を送り込むための、前記ブーム(3)の遠位端部にある少なくとも1つのボルト締めユニット(10)と、
を備え、
前記ブーム(3)には、注入機器(11)のインジェクタヘッド(17)を前記削孔(7)の内側で移動させるための送り装置(12)が設けられ、
前記グラウト用樹脂(23)を注入するための前記機器(11)は、請求項1から7のいずれか一項に記載のものであること
を特徴とする、採掘機(1)。
【請求項9】
いくつかの削孔(7)にグラウト用樹脂(23)を注入する方法であって、
前記削孔(7)の内側にインジェクタヘッド(17)を挿入することと、
前記インジェクタヘッド(17)に混合装置(18)を設け、前記混合装置(18)が前記インジェクタヘッド(17)と共に前記削孔(7)の内側に挿入されることと、
樹脂ベース成分A及び樹脂触媒Bを流体入口構成(19)によって前記インジェクタヘッド(17)に供給することと、
前記混合装置(18)により、前記削孔(7)の内側で、供給された前記樹脂ベース成分と前記樹脂触媒とを混合して樹脂混合物(23)とすることと、
前記削孔(7)の底部(7b)において前記樹脂混合物(23)の注入を開始し、前記注入中に前記インジェクタヘッド(17)及び前記混合装置(18)を、前記削孔(7)の開口部(7a)に向かって移動させる(R)ことと、
前記注入を完了し、前記インジェクタヘッド(17)を前記削孔(7)から取り外すことと、
前記グラウト用樹脂(23)が設けられた前記削孔(7)の内側に金属製岩石補強材(24)を挿入することと
を含み、
異なる硬化時間を有する2種の異なる樹脂混合物(23a、23b)を前記削孔(7)に順次注入することと、
前記流体入口構成(19)に2つの供給ライン(20、21)を設け、第1の供給ライン(20)は、2つの異なる硬化時間に関連する第1の樹脂ベース成分A1及び第2の樹脂ベース成分A2の択一的な供給のために供給バルブ(31)を用いて選択可能であり、第2の供給ライン(21)は樹脂触媒Bのためのものであることと、
前記第1の供給ライン(20)を通じて、異なる硬化時間に関連付けられた第1の樹脂ベース成分A1及び第2の樹脂ベース成分A2を選択的な順序で供給することと、
前記第2の供給ライン(21)を通じて、選択された前記ベース成分A1又はA2と同時に前記樹脂触媒Bを供給することと
を特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロックボルトを用いて岩石表面を補強する際に、削孔にグラウト材を注入するための機器に関する。削孔は、削岩機によってあけられ、その後、削孔にグラウト材が提供され、最後にロックボルトが挿入及び締結される。より具体的には、この解決策は、2種の硬化時間の樹脂の注入に関する。
【0002】
本発明はさらに、グラウト材を注入するための機器を備えた採掘機、及び岩石表面を補強する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明の分野は、独立請求項の前文においてより具体的に定義される。
【0004】
鉱山において、建設現場及び他の作業エリアでは、岩石表面を補強し、それによってそれらの安全性及び意図された目的への適合性を保証する必要性が存在する。岩石補強のための一般的な方法は、ロックボルト締めである。このような補強システムでは、グラウト材によって、いくつかのロックボルトが削孔に締着される。このようにして、岩石層は互いに結合され、崩壊のリスクが低減される。グラウト材を挿入するためのいくつかの異なるシステムがある。しかしながら、現在の注入手段は、いくつかの欠点を含むことが示されてきた。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、削孔にグラウト材を供給するための新規かつ改良された機器を提供することである。本発明はさらに、新規かつ改良された採掘機、及び岩石表面を補強する際にグラウト材を供給する方法に関する。
【0006】
本発明による機器は、第1の独立した機器請求項の特徴的な機構によって特徴付けられる。
【0007】
本発明による採掘機は、第2の独立した機器請求項の特徴的な機構によって特徴付けられる。
【0008】
本発明による方法は、独立した方法請求項の特徴的な機構及びステップによって特徴付けられる。
【0009】
開示された解決策の概念は、削孔にロックボルトを挿入する前に、流体形態のバルク状樹脂を削孔に注入することである。さらに、異なる硬化時間を有する2種の異なる樹脂が注入において実装される。グラウト用樹脂は、削孔の内側に挿入可能で、混合装置を備えるインジェクタヘッドを備える機器によって注入される。機器は、インジェクタヘッドに樹脂ベース成分A1又はA2及び樹脂触媒Bを供給するためにインジェクタヘッドに接続された流体入口構成をさらに備える。混合装置は、供給された樹脂ベース成分A1又はA2及び触媒Bと混合するように構成されている。インジェクタヘッド及び混合装置は、注入プロセスの期間中、削孔の内側に一緒に送り込まれる。さらに、上述の流体入口構成は、2つの別個の供給ラインを備える。第1の供給ラインは、第1の基本樹脂成分A1又は第2の樹脂ベース成分A2を供給するために択一的に選択することができ、第2の供給ラインは、樹脂触媒Bを供給するためのものである。言い換えれば、流体入口構成には、削孔内にグラウト用樹脂材料を供給するための2つの供給ラインのみが設けられる。基本樹脂成分A1及びA2は、触媒Bと混合した際の硬化時間が異なる。触媒Bは、樹脂を液体から固体への変化を開始させる化学反応のための硬化剤である。
【0010】
樹脂成分に2つの供給ラインのみを利用する開示された解決策の利点は、より多数の供給ラインを実装する解決策と比較して、削孔の直径が小さくなり得ることである。削孔の直径がより小さい場合、より効果的に、より迅速に、より少ないエネルギー消費で削孔することができる。ロックボルトの直径は、典型的には14mm~18mmであり、それによって、ロックボルトには比較的小さい直径の孔で十分である。さらに、孔が上述の小さなボルト直径によく適合しているため、グラウトに必要となる樹脂は少量である。開示されたインジェクタヘッド及び供給ラインは、その直径が30~35mm程度に小さい場合がある非常に小さい孔に嵌合することができる。このような小径の孔では、供給時の圧力降下を増加させることなく第2の成分を管理するための追加のホースを追加することは困難である。
【0011】
さらなる利点は、混合装置がインジェクタヘッドにある場合に、樹脂ベース成分A1又はA2が、可能な限り遅く樹脂触媒Bと混合された後に、削孔に注入されることである。これは、削孔の注入手段の間にインジェクタヘッド及び混合装置を洗浄する必要がある場合に、少量の樹脂材料しか浪費されないことを意味する。
【0012】
さらに、開示された解決策は、異なる硬化時間を有する2種の樹脂混合物を供給するためのシステムを提供し、それにより、削孔には、底部に速硬化性樹脂混合物、速硬化性混合物に続いて遅硬化性樹脂混合物を提供することができる。インジェクタヘッドは、注入プロセス中に同時に引き込まれる。
【0013】
開示された解決策のさらなる利点は、複雑な注入アダプタが設けられた公知の解決策と比較して、構造が単純で耐久性があることである。
【0014】
開示された解決策は、異なる削岩リグ及びボルティングジャンボで実装することができる。システムはまた、既存の採掘装置に容易に後付けすることができる。
【0015】
本機器には、2つのポンプが設けられた樹脂ポンプ圧送構成が設けられる。したがって、第1の樹脂ベース成分A1又は第2の樹脂ベース成分A2を第1の供給ラインに択一的に供給するように構成された共通の第1の供給ポンプがある。さらに、樹脂触媒Bを第2の供給ラインに供給するための第2の供給ポンプが専用に設けられている。
【0016】
一実施形態によれば、前述の実施形態で述べた第1の供給ポンプ及び第2の供給ポンプは、容積式ポンプである。ポンプは同期して動作するように構成され、それによって、供給された樹脂ベース成分A1又はA2の、供給された触媒Bに対する体積は実質的に一定である。
【0017】
一実施形態によれば、上述の容積式ポンプは、内部が供給材料のバッチであり得る所定の容積を有するチャンバが設けられたポンプとすることができる。次いで、ピストン、プランジャ又はギヤ要素が、材料を供給ラインに圧縮する。したがって、ポンプは、例えば、ピストン型ポンプ又はギヤポンプであってもよい。
【0018】
一実施形態によれば、選択された樹脂ベース成分(A1又はA2)と触媒Bの供給体積比は、一般に1:1であるが、2:1、1:2又は3:1などの他の値を取ることもできる。
【0019】
一実施形態によれば、第1の供給ポンプ及び第2の供給ポンプは、共通のアクチュエータによって動力供給される。共有アクチュエータはモータであってもよく、ポンプはモータの同じ出力軸上に接続されてもよい。1つの共通のアクチュエータを使用する利点は、ポンプが自動的に同期して駆動されることである。樹脂ベース成分(A1又はA2)と触媒Bの供給体積比は一定である。次いで、ポンプ圧送は制御が簡単である。
【0020】
代替的な解決策では、ポンプは別々に動作するポンプであるが、同期して制御される。「同期して動作する」という語句は、ポンプが同じ速度で管理若しくは調整され得ること、又は代替的に、ポンプが各ラインの流量測定値に従って管理若しくは調整され得ることを意味する。
【0021】
本機器は、共通の第1の供給ポンプの入口チャネルを、第1の樹脂ベース成分A1のために設けられた第1の容器、又は第2の樹脂ベース成分A2のために設けられた第2の容器に選択的に接続するための少なくとも1つの供給バルブを備える。
【0022】
一実施形態によれば、インジェクタヘッドは、グラウト用樹脂供給ツールであり、樹脂供給が完了したとき、かつ別個のロックボルトがグラウト用樹脂で充填された削孔に送り込まれる前に、ツールは削孔から除去される。したがって、インジェクタヘッドは、削孔の内側に残されるのではなく、いくつかの削孔のために数回使用される。言い換えれば、インジェクタヘッド及びミキサ装置は、使い捨て(single used)装置ではない。さらに、インジェクタヘッド及び混合装置は、ロックボルトとは別個である。
【0023】
一実施形態によれば、インジェクタヘッドは、樹脂混合物を注入しながら、孔の開口部に向かって削孔の内側に引き込まれる。引き込み速度は、樹脂の流量及び孔径と相関する。引き込み速度はまた、可能性のある亀裂、空隙、又は充填される必要がある他の空間を考慮に入れる可能性がある。
【0024】
一実施形態によれば、削孔には、グラウト材が注入された後に、ロックボルト、ロックアンカー、ケーブル、又は対応する細長い金属製補強要素を装着することができる。したがって、削孔の内側に取り付けることができるいくつかの代替的な岩石補強材がある。
【0025】
一実施形態によれば、機器は、インジェクタヘッド及び混合装置をフラッシングするために溶媒媒体を供給するように構成された溶媒供給システムを備える。システムの目的は、削孔の注入間に小休止がある状況で目詰まりを防止することである。溶媒供給システムは、第3の容器から溶媒媒体をポンプ圧送するための第3のポンプを備える。
【0026】
一実施形態によれば、供給される溶媒媒体は、溶媒又はグリース又はゲル(高粘度)又は水系混合物である。
【0027】
一実施形態によれば、混合装置内で混合された樹脂材料は、溶媒媒体によって、インジェクタヘッドの外部へとフラッシングされる。システムは、実際のグラウト用樹脂材料が供給された直後に、混合ヘッドの外部へ、削孔の外部へ、又は削孔の上部へと混合材料を押し出すことによって洗浄することができる。このようにして、システムは洗浄され、いくつかの孔を処理する間待機することができる。溶媒混合物はその後除去され、実際のグラウト用樹脂材料が供給される前に溶媒混合物を混合ヘッドの外部、削孔の底部に、又は地面、すなわち削孔の外部へと押すことによって、樹脂混合物に置き換えられる。
【0028】
一実施形態によれば、溶媒供給システムは、第3のポンプから混合装置に溶媒媒体を供給するための専用の第3の供給ラインを備える。
【0029】
一実施形態によれば、溶媒供給システムは、代替的に、溶媒バルブを介して第1の供給ライン及び/又は第2の供給ラインに接続可能である。したがって、システムは、樹脂ベース成分の共有供給ラインを利用する。これは、供給ラインを洗浄するためにホース内にピストン効果があるため、高粘度溶媒(グリース又はゲルなど)が使用される場合に特に有効である。混合装置及びインジェクタヘッドを洗浄するためだけに、溶媒が一定の時間又は体積だけ供給されることに留意されたい。溶媒はまた、代替的又は連続的な方法でポンプ圧送されてもよい。
【0030】
一実施形態によれば、開示された機器は、採掘機に接続可能である。次に、採掘機の送り装置は、インジェクタヘッド及び混合装置を削孔の内側に挿入して移動させるように構成される。
【0031】
一実施形態によれば、開示された解決策はまた、可動キャリアと、キャリア上に移動可能に接続された1つ又は複数のブームと、削孔にグラウト用樹脂を注入するための機器と、グラウト用樹脂が注入された後に、ロックボルト又は対応する細長い補強材を削孔内に送り込むための、ブームの遠位端部にある1つ又は複数のボルト締めユニットとを備える採掘機に関する。ブームには、注入機器のインジェクタヘッドを削孔の内側で移動させるための送り装置が設けられている。採掘機の注入機器は、本明細書に開示された機構に従う。
【0032】
一実施形態によれば、開示された解決策はまた、いくつかの削孔にグラウト用樹脂を注入する方法に関し、この方法は、削孔の内側にインジェクタヘッドを挿入することと、インジェクタヘッドに混合装置を設けることと、流体入口構成によって基本樹脂成分A及び樹脂触媒Bをインジェクタヘッドに供給することと、混合装置によって、削孔の内側で、供給された基本樹脂成分と樹脂触媒とを混合して樹脂混合物とすることと、削孔の底部で樹脂混合物の注入を開始し、注入中に、インジェクタヘッド及び混合装置を、削孔の開口部に向かって移動させることと、注入を完了し、削孔からインジェクタヘッドを取り外すことと、グラウト用樹脂が提供された削孔の内側に金属製岩石補強材を取り付けることとを含む。本方法は、異なる硬化時間を有する2種の異なる樹脂混合物を削孔に順次注入することと、流体入口構成に2つの樹脂供給ラインを設けることと、第1の供給ラインを通じて、異なる硬化時間を有する第1の樹脂ベース成分A1及び第2の樹脂ベース成分A2を選択的な順序で供給することとをさらに含む。樹脂触媒Bは、第2の供給ラインを通じて、選択された基本成分A1又はA2と同時に供給される。
【0033】
一実施形態によれば、解決策の目的は、ロックボルトのいわゆるばね効果を実装するために、削孔の内側に、異なる硬化時間を有する2つ以上の樹脂セクションを有する削孔を提供することである。この実施形態では、削孔の底部にはより短い硬化時間が提供され、削孔の残りの部分にはより長い硬化時間が提供される。底部がより速く硬化すると、樹脂材料の残りの部分が硬化する前にロックボルトを締結することができ、それによってロックボルトに予め張力をかけることができる。
【0034】
一実施形態によれば、混合装置は、供給された2つの別個の樹脂成分流体流を混合して1つの均質な樹脂塊を形成するためのスクリュー表面、螺旋、迷路又は対応する形状表面を備える。インジェクタヘッドに関連する混合装置又は要素は、インジェクタヘッドから排出される前に、供給された成分を一緒に混合するためのいくつかの非可動混合要素又は表面を有するスタティックミキサである。混合装置の構造は、上述の混合要素が必要に応じて容易かつ迅速に交換及び洗浄されるように設計することができる。混合装置は、整備を容易にするためのカートリッジ型混合要素を備えてもよい。さらに、混合装置は、小径の削孔の内側に挿入され得るように寸法決めされる。
【0035】
一実施形態によれば、開示された注入システムは、必要な樹脂成分の供給及び量を選択的に制御し(遅硬化性樹脂、速硬化性樹脂、触媒、抑制剤の供給)、供給ラインをフラッシングし(溶媒供給)、削孔内のインジェクタヘッドの移動を制御する(送り込み及び引き込み)ための1つ又は複数の制御ユニットを備える。制御ユニットには1つ又は複数の注入シーケンスが設けられてもよく、システムには自動動作モードが設けられてもよい。制御ユニットは、削孔の直径に応じて、樹脂の供給(流量)を制御し、インジェクタヘッドの移動を引き込むことができる。この場合、制御可能なパラメータは、少なくとも流量及び移動速度である。
【0036】
上記で開示された実施形態及び機構は、必要とされる上記の機構のものを有する適切な解決策を形成するために組み合わせることができる。
【0037】
いくつかの実施形態は、添付の図面においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】地下掘削及び岩石補強を目的とした削岩リグの概略側面図である。
【
図2】削孔にグラウト材を供給するための構成システムの概略側面図である。
【
図3】岩石表面の補強手段に関するいくつかの機構を示す概略図である。
【
図4】2つのタイプの樹脂材料で充填された後の削孔の概略側面図である。
【
図5】ロックボルトが装着された後の
図4の削孔の概略側面図である。
【
図6】削孔にグラウト材を注入するための機器の概略図である。
【
図7】岩石補強に関するいくつかの原理及び機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
明確にするために、図は、開示された解決策のいくつかの実施形態を簡略化して示す。図面において、同様の参照番号は同様の要素を示す。
【0040】
図1は、採掘機1の一例である削岩リグを示す。削岩リグは、可動キャリア2と、キャリア2に接続された少なくとも1つのブーム3とを備える。ブーム3の遠位端部分には、削孔ユニット又はボルト挿入ユニット4が設けられている。ユニット4は、フィードビーム5と、それに支持された削岩機6とを備えることができる。削岩機6には、削孔ツールが接続可能である。削岩機6は、削孔ツールをその長手方向軸の周りで回転させるための少なくとも1つの回転装置を備える。削岩機6及びブーム3は旋回することができ、それにより、トンネルなどの壁8及び天井9に対して削孔7をあけ、補強用ロックボルトを取り付けることができる。ユニット4にはまた、ボルト締めユニット10と、グラウト用樹脂混合物を供給するための機器11とを設けることができる。削孔機6、ボルト締めユニット10、及び樹脂供給機器11は、それらが削孔7の中心軸上にインデックスされ得るように削孔ユニット4に接続されてもよく、又は代替的に、それらの全て又は一部が専用ブーム又は他の支持構造に取り付けられてもよい。ブーム3の遠位端部には、ブーム3の遠位端部に対して装置6、10、11を移動させるための少なくとも1つの送り装置12がある。さらに、キャリア2上には、第1の樹脂ベース成分A1のために設けられた第1の容器13と、第2の樹脂ベース成分A2のために設けられた第2の容器14と、溶媒媒体Sのための第3の容器15と、樹脂触媒Bのための第4の容器16とが存在してもよい。
【0041】
図2は、開口部7a及び底部7bが設けられた削孔7を開示している。削孔7の内側には、混合装置18が設けられたインジェクタヘッド17が挿入されている。インジェクタヘッド17は、第1の供給ライン20と、第2の供給ライン21と、任意選択の第3の供給ライン22とを備える流体入口構成19に接続されている。第1の供給ライン20は、成分A1及びA2のための共通の供給ラインであり、第2の供給ラインは、成分Bのために専用に設けられている。第3の供給ライン22は、溶媒剤Sを供給するためのものであるが、ライン20又は21が溶媒供給に使用される場合、システムは、第3のライン22を有さなくてもよい。供給ライン20~22は、ホース又はチューブであってもよい。
図2において、樹脂混合物23は、インジェクタヘッド17及び混合装置18を通って削孔7の底部7bに供給される。システムは、注入中に同時にR方向に引き込まれる。
【0042】
図3は、岩石表面の補強に関するステップを開示している。これらの問題は、本明細書において既に上述されている。
【0043】
図4は、削孔7が2種の樹脂混合物23a、23bで充填されることを開示している。削孔7の底部7bには、速硬化性樹脂混合物23bが注入され、削孔7の開口部7aまで、又はそれに近い残りの削孔は、遅硬化性樹脂混合物23aで充填される。
【0044】
図5において、ロックボルト24は、削孔7に押し込まれ、それにより、その遠位端部は上述の速硬化性樹脂混合物23bまで延在し、急速に硬化してロックボルト24の端部をロックする。その後、遅硬化性樹脂混合物23aが硬化する前にロックボルト24を締結することができる。このようにして、ばね効果を達成することができる。ばね効果は、孔の底部7bと開口部7aとの間の破線25によって示されている。
【0045】
図6は、グラウト用樹脂供給システム及び機器11を開示する。機構の多くは、前の図で既に示され説明されている。樹脂成分A1、A2、及びB、並びに溶媒Sのための容器13~16がある。また、削孔7の内側に挿入され、供給ライン20~22が設けられたインジェクタヘッド17については既に説明した。しかしながら、
図6は、樹脂成分A1、A2、B及び溶媒Sのポンプ圧送に関するいくつかの追加の問題を示す。機器11は、2つのポンプ27及び28が設けられた樹脂ポンプ圧送構成26を備える。共通の第1の供給ポンプ27は、第1の樹脂ベース成分A1又は第2の樹脂ベース成分A2を第1の供給ライン20に択一的に供給するように構成される。第2の供給ポンプ28は、触媒Bを第2の供給ライン21に供給するために専用に設けられている。さらに、第1の供給ポンプ27及び第2の供給ポンプ28は、容積式ポンプであり、同期して動作するように構成されているため、供給される樹脂ベース成分A1又はA2の、供給される触媒Bに対する体積は一定である。第1の供給ポンプ27及び第2の供給ポンプ28は、モータMなどの共通のアクチュエータ29によって動力供給することができる。ポンプ27、28は、モータMの共通の出力シャフト30に接続されてもよい。機器11は、共通の第1の供給ポンプ27の入口チャネル32を、第1の樹脂ベース成分A1のために設けられた第1の容器13、又は第2の樹脂ベース成分A2のために設けられた第2の容器14に選択的に接続するための少なくとも1つの供給バルブ31を備える。第2の供給ポンプ28は、第4の容器16に常時接続されている。樹脂供給ラインに逆止バルブ33が存在してもよい。
【0046】
機器は、インジェクタヘッド17及び混合装置18をフラッシングするための溶媒媒体Sを供給するように構成された溶媒供給システム34をさらに備える。溶媒供給システム34は、第3の容器15から溶媒媒体Sをポンプ圧送するための第3のポンプ35を備える。ポンプ35は、例えばモータMであってもよいアクチュエータ36によって作動することができる。第3のポンプ35から混合装置18に溶媒媒体Sを供給するための専用の第3の供給ライン22が存在する。
【0047】
制御ユニットCUは、開示されたシステム並びに関連するポンプ、アクチュエータ及びバルブの動作を制御することができる。
【0048】
図6は、容器13~16が、それらの内容物の供給を容易にするために加圧又は乾燥剤/ベント乾燥機システム37に接続され得ることをさらに開示する。
【0049】
図6に開示された機器11はまた、わずかに異なる構成要素及び配置で実装され得ることに留意されたい。例えば、あるポンプがA1専用であり、別のポンプがA2のためにあり、第3のポンプがBのためにあってもよい。
【0050】
図7は、本文書に開示されているいくつかの問題を示す簡略図である。
【0051】
図面及び関連する説明は、本発明の概念を例示することのみを意図している。その詳細において、本発明は特許請求の範囲内で変化し得る。
【国際調査報告】