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特表2023-522435安全組立品を備えた起動可能な薬剤送達装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-30
(54)【発明の名称】安全組立品を備えた起動可能な薬剤送達装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20230523BHJP
【FI】
A61M5/315 550L
A61M5/315 550X
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564382
(86)(22)【出願日】2021-04-16
(85)【翻訳文提出日】2022-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2021059889
(87)【国際公開番号】W WO2021213912
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】20170998.7
(32)【優先日】2020-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル ベク, ウィレム
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD12
4C066DD13
4C066EE14
4C066FF05
4C066HH13
4C066QQ32
(57)【要約】
ある用量の医薬を送達するための薬剤送達装置、および薬剤送達装置用の安全組立品であって、薬剤送達装置は、ハウジング組立品と、起動に応答して、用量を送達するための駆動機構と、を備える。薬剤送達装置は、起動部材の軸方向移動に応答する、回転可能な起動部材(310)を備える、起動機構をさらに備え、起動部材(310)は、(i)第1の角度位置と、(ii)起動を可能にする第2の角度位置と、に配設されるように適合されている。薬剤送達装置は、安全組立品の一部として、リング部材(390)をさらに備える。リング部材(390)は、回転可能であり、かつ起動部材(310)に対して軸方向にスプラインされている。これにより、リング部材(390)は、リング部材の回転に応答して、第1の位置から第2の位置への起動部材(310)に対する回転を伝達するように適合されており、それにより、ユーザは、駆動機構を意図せずに起動することなく、起動部材(310)を回転させることができる。
【選択図】図8A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある用量の医薬を送達するための薬剤送達装置であって、前記薬剤送達装置が、
-細長いハウジング構造体(140、240)を備える、ハウジング組立品と、
-前記用量を送達するための駆動機構であって、前記駆動機構が、前記細長いハウジング構造体(140、210)内に配設されており、前記駆動機構が、起動に応答して、前記用量の前記医薬を排出するように適合されている、駆動機構と、
-回転可能な管状起動部材(310)を備える起動機構であって、前記起動部材の軸方向移動に応答して、前記駆動機構を起動するように適合されており、前記起動部材(310)が、(i)前記駆動機構の前記起動が不能にされる、第1の角度位置と、(ii)前記起動部材(310)が軸方向に移動可能であるように配設されており、それにより、前記駆動機構の起動を可能にする軸方向移動を可能にする、第2の角度位置と、に配設されるように適合されている、起動機構と、を備え、
前記薬剤送達装置が、前記起動部材(310)を囲むリング部材(390)をさらに備え、
前記リング部材(390)が、前記ハウジング組立品に接続されており、前記リング部材(390)が、前記ハウジング組立品に対して軸方向に固定され、かつ回転方向に移動可能に配設されており、前記リング部材(390)が、前記起動部材(310)に対して軸方向にスプラインされており、それにより、前記リング部材(390)が、前記起動部材(310)に対して回転的に係止され、かつ軸方向に移動可能であり、
前記リング部材(390)が、前記リング部材の回転に応答して、前記第1の位置から前記第2の位置への前記起動部材(310)に対する回転を伝達するように適合されており、それにより、ユーザが、前記駆動機構を意図せずに起動することなく、前記起動部材(310)を回転させることができる、薬剤送達装置。
【請求項2】
前記薬剤送達装置が、
-遠位端(135a)に出口を有する、医薬貯蔵部(135、235)と、
-前記貯蔵部(135、235)の圧縮のための移動可能なピストン(136、236)と、をさらに備え、
前記駆動機構が、前記ピストン(136、236)を移動させて、前記出口を通して前記医薬を圧縮および排出するためのピストンロッド(109、209)と、前記ピストンロッド(108、208)を移動させ、かつ全用量を送達するために動作可能に配設されている、通電された電力貯蔵部と、をさらに備える、請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項3】
前記駆動機構が、前記ピストンロッド(109、209)に対して軸方向にスプラインされた駆動管(180、280)を備え、それにより、前記駆動管と前記ピストンロッドとの間の相対的な軸方向移動が可能となり、かつ相対的な回転移動が制限され、前記駆動管(180、280)が、第1の軸方向位置および非回転位置と、第2の軸方向位置および回転可能位置との間で、前記起動部材(310)の軸方向移動に応答して、前記ハウジング組立品に対して軸方向に移動可能となるように適合されており、前記非回転可能位置に配設された前記駆動管(180、280)が、前記ハウジング組立品によって回転がブロックされ、前記回転可能位置に配設された前記駆動管(180、280)が、前記ハウジング組立品によって回転およびガイドされることが可能である、請求項1または2に記載の薬剤送達装置。
【請求項4】
前記ハウジング組立品が、前記非回転位置における前記駆動管(180、280)の回転をブロックするための軸方向ガイド部分を備え、前記ハウジング組立品が、前記回転可能位置における前記駆動管(180、280)をガイドするための螺旋状のガイド部分を備える、請求項3に記載の薬剤送達装置。
【請求項5】
前記起動機構が、前記起動部材が前記第2の角度位置にある場合、前記起動部材(110、210)と前記駆動管(180、280)との間の接続を確立するためのコネクタ(170、270)をさらに備え、それにより、前記コネクタ(170、270)が、前記起動部材の軸方向移動を前記駆動管(180、280)に伝達することができる、請求項3または4に記載の薬剤送達装置。
【請求項6】
前記第1の角度位置にある前記起動部材(360)が、前記コネクタ(170)に接続されており、前記コネクタ(170)が、前記駆動管(180)から動作可能に接続解除されており、それにより、起動が不能にされ、前記第2の角度位置にある前記起動部材(360)が、前記コネクタ(170)に接続されており、前記コネクタ(170)が、前記駆動管(180)に動作可能に接続されており、それにより、起動が可能になる、請求項3~5のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項7】
前記第1の角度位置にある前記起動部材(310)が、前記駆動管(280)から動作可能に接続解除されており、それにより、起動が不能にされ、前記第2の角度位置にある前記起動部材(310)が、前記駆動管(280)に動作可能に接続されており、それにより、起動が可能になる、請求項3~5のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項8】
前記起動部材が、前記ハウジング組立品のブロック構造体(142)に対してブロックするためのブロック構造体(112)を備え、前記ブロック構造体(112、142)が、前記第1の角度位置における前記起動部材(110)の純粋な軸方向移動を防止するように適合されており、それにより、起動が不能にされ、前記ブロック構造体(112、142)が、前記第2の角度位置における前記起動部材(110)の軸方向移動を可能にするように適合されており、それにより、起動が可能になる、請求項3~6のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項9】
前記ハウジング組立品が、内ねじをさらに備え、前記ピストンロッド(109、209)が、前記ハウジングの前記内ねじと係合する外ねじをさらに備える、請求項3~8のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項10】
前記電力貯蔵部が、ねじりばね(108、208)を備え、前記駆動管(180、280)および前記ねじりばね(108、208)が、前記起動部材(310)による前記駆動管(180、280)の起動に応答して、前記ピストンロッド(109、209)を駆動するように適合されている、請求項3~9のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項11】
前記起動部材が、前記駆動機構の起動のために遠位方向で軸方向に移動するように適合された近位に位置付けられたプッシュボタンである、請求項1または2に記載の薬剤送達装置。
【請求項12】
前記薬剤送達装置が、針カニューレを備える、注射装置である、請求項1~11のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項13】
前記薬剤送達装置が、所定の固定ボリュームの医薬を送達するように適合されている、固定用量注射装置である、請求項1~12のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項14】
前記薬剤送達装置が、複数回使用の固定用量薬剤送達装置となるように適合されており、前記起動部材が、複数回操作されるように適合されており、それにより、(i)前記第1の角度位置から前記第2の角度位置へと移動して、起動を可能にし、(ii)前記軸方向に移動して、前記駆動機構を起動し、(iii)前記第2の角度位置から前記第1の角度位置へと移動して、起動を不能にする、請求項1~13のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項15】
請求項1に記載の薬剤送達装置を使用する方法であって、前記方法が、
-前記リング部材(390)を前記第1の角度位置から前記第2の角度位置に回し、それにより、前記起動部材に直接的に触れることなく、前記駆動機構の起動を可能にし、それにより、用量を排出しないことを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、係止解除機構を操作するための内側リングを備えた薬剤送達装置に関する。より具体的には、本発明は、駆動機構と、起動機構と、回転に応答して、起動機構の起動を可能にし、かつ軸方向移動に応答して、駆動機構を起動するための回転可能起動部材と、を備える、薬剤送達装置に関し、内側リングは、駆動機構の意図しない起動のリスクが低減された状態で回転可能起動部材を回転させるように適合されている。
【背景技術】
【0002】
異なる液体製剤の自己投与のための薬剤送達装置は、現在、様々な形状およびサイズで存在する。輸液セットに接続するように適合されたものもあれば、注射針に接続するか、または注射針と一体化されるものもある。後者のタイプは、注射装置と呼ばれる。いくつかは、薬剤貯蔵部を有するカートリッジを備える耐久性のある装置であり、カートリッジが交換され得る。他方、カートリッジが空であるときに廃棄される使い捨て装置もある。使い捨て装置は、ユーザが各注射の前に望ましい用量サイズを設定し得る複数回投与式装置、または所与のサイズの単回投与のみを行うことができる単回投与式装置のいずれかであり得る。後者は、いわゆる「シールドアクティベーション」で存在し、カニューレは、押されたときに用量を放出する装置の正面のシールドによって覆われる。次いで、カニューレは、ユーザが装置を皮膚に押し付けて、それによって、シールドを押し下げて、用量を放出するときに、皮膚に入るようにのみ露出される。これらの注射装置は、単回注射後に廃棄される。あるいは、近位端のプッシュボタンまたは側面の摺動ボタンによって、用量を放出することができる。
【0003】
固定用量装置は、毎回正しい用量を調節する装置に抵抗を感じるか、またはそれを動作させることができない場合があるため、一部のユーザに好ましい。例えば、装置が小児または高齢者によって使用されるとき、過大または過少投与につながるユーザエラーを回避するために、単純さおよび使い易さが重要である。他の事例では、治療レジメンは、例えば、GLP-1タイプの薬剤の固定用量を処方する。
【0004】
しかしながら、装置自体は、使用される材料の量、およびしたがって廃棄する必要性は言うまでもなく、ユニットの費用の相当部分を占める。それゆえに、固定ボリュームの複数用量を送達することができる固定用量装置を作製することが望ましいであろう。
【0005】
固定用量装置の実施例は、Copernicusによって出願された
【特許文献1】に開示されている。本開示は、画定された数の等用量の流体物質を送達するための注射装置に関する。開示された注射装置は、ハウジングの長手方向軸に沿って配置された、安全解除機構および用量送達機構を有するハウジング1を備える。
【0006】
代替的な固定用量装置は、Menariniによって出願された
【特許文献2】に開示されている。本開示は、2回連続で医薬の2回の用量を自動注射するための装置に関する。本開示は、その前端3で注射部位に対して押し下げられたときに、カム手段26、27、28と相互作用して、プランジャ8のトリガを起動し、薬剤用量の送達を制御する、摺動鞘30を備える自動注射装置を説明する。同じ出願人で同様の機能を有する装置が、
【特許文献3】および
【特許文献4】に開示されている。
【0007】
Novo Nordiskが出願した
【特許文献5】は、最小用量の薬剤送達装置を開示しており、ここで、プッシュボタンまたは吐出ボタンを使用して、駆動機構を起動し、かつ用量を排出する。用量ダイヤル、または用量ボタンは、最小用量を設定するために使用され、それによって、スケールドラムは、起動機構の係止が解除されるまで螺旋状の経路に沿って移動する。最小用量は、最大用量が設定されたときに取得される固定用量とすることができ、すなわち、この場合、最大用量を設定するときにのみ可能である。用量ボタンは、リセット管および用量ダイヤルが回転可能に結合される、第1の軸方向位置と、リセット管および用量ボタンが回転可能に分離される、第2の軸方向位置と、を有して、リセット管に結合される。プッシュボタンは、リセット管の近位端に回転可能に結合され、かつプッシュボタンと用量ボタンとの間の戻りばね位置によって近位方向に付勢される。用量設定中、リセット管は、第1の軸方向位置にあり、摩擦により、用量ボタンおよびリセット管は一緒に回転する。最小用量が設定されると、プッシュボタンは、ユーザの指で押され、リセット管を第2の位置に移動させ、この移動が、駆動機構を起動する。これにより、リセット管は回転するが、摩擦により、プッシュボタンおよび回転により分離された用量ボタンは、回転しない。ユーザは、用量ダイヤルを回転させることによって、起動機構を係止解除することができる。しかしながら、起動機構を係止解除するための代替的な機構が望ましい。この出願は、2020年7月5日に公開されているが、これは、本出願より後の日付である。
【0008】
SHL Medial ABによって出願された
【特許文献6】は、ペン型ハウジングを囲むスリーブとして形成されたモードセレクタを備える、注射装置の一実施形態を開示する。モードセレクタは、ハウジングの外側で、摺動可能かつ回転可能に配設される。モードセレクタの内面には、2つの内向きに方向付けされたピンが配設されている。ピンは、メインハウジングの2つの切欠きを通って延在しており、切欠きは、ピンの3つの別個の位置、およびそれによってモードセレクタを提供する。各位置は、LOCKED、UNLOCKED、およびINJECTIONなどの特定の機能モードに対応する。位置は、好ましくは、デバイスの適切な使用を容易にするために、メインハウジング上に適切な表示でマーク付けされている。ピンは、用量作動スリーブを操作するために、用量作動スリーブの対応する陥凹内に延在している。注射装置は、収縮状態と拡張状態との間で軸方向に移動可能な針シールドをさらに備える。シールドは、ハウジングに対して回転可能に固定される。針シールドの後方端は、用量作動スリーブ上に配設された突起部と協働するための特定の形状を有する溝を有する2つの舌部を備える。注射を実施するために、必要な用量が設定されなければならず、これは、モードセレクタを回し、それを注射位置を係止位置から軸方向に移動させることによって行われ、それによって、突起部を有する用量作動スリーブは、図10Dの点線によって示されるように、装置の前方端に向かって回転および移動される。以後、用量設定ノブを回転させることによって用量が設定され、駆動機構は、シールドを収縮状態に移動させることによって起動され、それによって、図12Cに示すように、用量セレクタは、軸方向および回転移動によって係止位置に戻る。シールド、用量作動スリーブ、およびモードセレクタの間の機構は、用量が設定され、かつシールドが収縮位置に押される前に、デバイスが注射モードに設定され得ることを確実にする。
【0009】
【特許文献7】は、注射装置用の針組立品を開示しており、シールドは、係止された角度位置および係止解除された角度位置を含む。注射装置は、駆動機構と、用量設定機構と、駆動機構のための作動機構と、を備える。駆動機構のための起動機構は、プッシュボタンを備え、回転可能シールドとは独立して動作する。
【特許文献8】はまた、手動で回転可能なシールドを有する注射装置を開示しており、ここで、シールドは、係止位置と係止解除位置との間で回転することができる。用量がダイヤルされると、駆動機構が起動し得る。注射後にキャップを再取り付けすると、キャップは、シールドと回転可能に係合し、シールドとともに係止位置に回転して戻る。
【0010】
起動機構が係止位置と係止解除位置との間で変更可能ではないが、駆動機構を起動し得る前に用量を設定しなければならない注射装置については、
【特許文献6】、
【特許文献7】、
【特許文献8】に開示されているように、用量が設定される前に意図せずに駆動機構を起動するリスクは、問題になっていない。
【0011】
【特許文献9】は、シールドを軸方向に移動させて、駆動機構を起動し得る前に、近位回転ボタンが非起動位置から起動位置へ回転されなければならない、注射装置を開示している。シールドは、回転係止され、起動ボタンの扱いは、シールドの扱いとは独立しており、すなわち、起動ボタンは、シールドを回転させることなく回転する。
【0012】
Owen Mumfordによって出願された
【特許文献10】は、軸方向に移動可能なシールドおよび係止ダイヤルを有する、注射装置であって、シールドが係止されている、第1の角度位置と、シールドを軸方向に移動させて、駆動機構を起動することができる、第2の角度位置との間で移動することができる、注射装置を開示している。シールドは、ハウジングに取り付けられたカラー内の突起通過スロットを通してハウジングに回転可能に係止される。したがって、起動部材であるシールドは、回転することができない。
【0013】
Novo Nordiskによって出願された
【特許文献11】は、シールドまたは近位プッシュボタンによってトリガされ得る、注射装置の2つの実施形態を開示する。本開示の第1の実施形態では、注射装置は、シールドを囲む回転可能なリングを備える。シールドは、ハウジングに対して回転可能に係止され、かつ回転可能なリングに対して軸方向に係止される。リングは、シールドに対して回転され得る。回転可能なリングは、ハウジングのスレッドセグメントによって係合される螺旋状のトラックを備え、それによって、リングが第1の角度位置から第2の角度位置に移動するときに、リングおよびシールドは、軸方向に移動する。リングは、第2の角度位置でハウジングのスレッド部分によって係合される軸方向トラックをさらに備え、それによって、リングおよびシールドを軸方向に移動させて、針および注射の露出を可能にすることができる。本開示の第2の実施形態では、シールドは、螺旋状および軸方向のトラックを備え、ハウジングのスレッド部分が螺旋状のトラック内に配設された軸方向に係止された位置と、ハウジングのスレッド部分が軸方向トラックに配設され、それによって、駆動機構を起動することができる、軸方向に移動可能な位置と、の間に回転可能に配設されている。両方の実施形態は、用量設定機構を備えるため、ユーザは、注射を実施し得る前に、用量を設定し、かつリングまたはシールドを回転させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第2018/007259号
【特許文献2】国際公開第2013/034651号
【特許文献3】国際公開第2013/034647号
【特許文献4】国際公開第2011/111006号
【特許文献5】国際公開第2020/089167号
【特許文献6】国際公開第2004/028598A1号
【特許文献7】国際公開第2020/038649号
【特許文献8】国際公開第2017/144601号
【特許文献9】国際公開第2012/045350号
【特許文献10】米国特許第9242053B2号
【特許文献11】米国特許公開第2018/0243498号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
駆動機構を意図せず起動するリスクを最小限にするための代替の解決策が依然として必要である。したがって、安全かつ確実に起動されることを確実にする、ある用量の医薬を送達するための起動可能な駆動機構を有する代替的な薬剤送達装置を提供するための満たされていないニーズが存在する。
【0016】
上記に関して、本発明の目的は、固定用量の医薬を送達するための、ユーザフレンドリ、安全、かつ堅牢な薬剤送達装置を提供することである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の開示では、上記の目的のうちの1つ以上に対処する、または例示的な実施形態の説明と同様に下記の開示から明らかな目的に対処する、実施形態および態様が説明される。
【0018】
本開示の第1の態様では、ある用量の医薬を送達するための薬剤送達装置が提供されており、薬剤送達装置は、
-細長いハウジング構造体を備える、ハウジング組立品と、
-用量を送達するための駆動機構であって、駆動機構が、細長いハウジング構造体内に配設されており、駆動機構が、起動に応答して、用量の医薬を排出するように適合されている、駆動機構と、
-回転可能な管状起動部材を備える起動機構であって、起動部材の軸方向移動に応答して、駆動機構を起動するように適合されており、起動部材が、(i)駆動機構の起動が不能にされる、第1の角度位置と、(ii)起動部材が軸方向に移動可能であるように配設されており、それにより、駆動機構の起動を可能にする軸方向移動を可能にする、第2の角度位置と、に配設されるように適合されている、起動機構と、を備え、
薬剤送達装置は、起動部材を囲むリング部材をさらに備え、
リング部材は、ハウジング組立品に接続されており、リング部材は、ハウジング組立品に対して軸方向に固定され、かつ回転方向に移動可能に配設されており、リング部材は、起動部材に対して軸方向にスプラインされており、それにより、リング部材は、起動部材に対して回転的に係止され、かつ軸方向に移動可能であり、
リング部材は、リング部材の回転に応答して、第1の位置から第2の位置への起動部材に対する回転を伝達するように適合されており、それにより、ユーザは、駆動機構を意図せずに起動することなく、起動部材を回転させることができる。
【0019】
本明細書では、不能にされた位置と有効化された位置との間で動作可能な起動部材を有する起動機構を有する、薬剤送達装置、および安全かつ信頼性の高い起動を確実にする医薬を送達するための起動可能な駆動機構が提供されている。これは、起動部材が不能にされた位置と有効化された位置との間で操作されるときに、リング部材が意図的でない起動のリスクを最小化することで取得される。
【0020】
さらなる態様では、薬剤送達装置は、
-遠位端に出口を有する、医薬貯蔵部と、
-貯蔵部の圧縮のための移動可能なピストンと、をさらに備え、
駆動機構は、ピストンを移動させて、出口を通して医薬を圧縮および排出するためのピストンロッドと、ピストンロッドを移動させ、かつ全用量を送達するために動作可能に配設されている、通電された電力貯蔵部と、をさらに備える。
【0021】
これにより、駆動機構を通電するための電力貯蔵部がさらに提供される。
【0022】
さらなる態様では、駆動機構は、ピストンロッドに対して軸方向にスプラインされた駆動管を備え、それにより、駆動管とピストンロッドとの間の相対的な軸方向移動が可能となり、かつ相対的な回転移動が制限され、駆動管は、第1の軸方向位置および非回転位置と、第2の軸方向位置および回転可能位置との間で、起動部材の軸方向移動に応答して、ハウジング組立品に対して軸方向に移動可能となるように適合されており、非回転可能位置に配設された駆動管は、ハウジング組立品によって回転がブロックされ、回転可能位置に配設された駆動管は、ハウジング組立品によって回転およびガイドされることが可能である。
【0023】
これにより、駆動管が提供され、可動駆動管は、起動位置に位置付けられ得る。
【0024】
さらなる態様では、ハウジング組立品は、非回転位置における駆動管の回転をブロックするための軸方向ガイド部分を備え、ハウジング組立品は、回転可能位置における駆動管をガイドするための螺旋状のガイド部分を備える。
【0025】
さらなる態様では、起動機構は、起動部材が第2の角度位置にある場合、起動部材と駆動管との間の接続を確立するためのコネクタをさらに備え、それにより、コネクタは、起動部材の軸方向移動を駆動管に伝達することができる。
【0026】
これにより、起動部材が駆動機構と接触しない状態を有するように構成され得る、薬剤送達装置が提供される。
【0027】
さらなる態様では、第1の角度位置にある起動部材は、コネクタに接続されており、コネクタは、駆動管から動作可能に接続解除されており、それにより、起動が不能にされ、第2の角度位置にある起動部材は、コネクタに接続されており、コネクタは、駆動管に動作可能に接続されており、それにより、起動が可能になる。
【0028】
これにより、起動部材が駆動機構と接触しない状態を有するように構成され得る、薬剤送達装置が提供され、コネクタは、起動部材が第1の角度位置から第2の角度位置へと移動するときに、駆動管に動作可能に結合される。
【0029】
さらなる態様では、第1の角度位置にある起動部材は、駆動管から動作可能に接続解除されており、それにより、起動が不能にされ、第2の角度位置にある起動部材は、駆動管に動作可能に接続されており、それにより、起動が可能になる。
【0030】
これにより、起動部材が駆動機構と接触しない状態を有するように構成され得る、薬剤送達装置が提供され、起動部材は、起動部材が第1の角度位置から第2の角度位置へと移動するときに、コネクタに動作可能に結合される。
【0031】
さらなる態様では、起動部材は、ハウジング組立品のブロック構造体に対してブロックするためのブロック構造体を備え、ブロック構造体は、第1の角度位置における起動部材の純粋な軸方向移動を防止するように適合されており、それにより、起動が不能にされ、ブロック構造体は、第2の角度位置における起動部材の軸方向移動を可能にするように適合されており、それにより、起動が可能になる。
【0032】
これにより、起動部材が第1の角度位置での純粋な軸方向移動に対して係止される、薬剤送達装置が提供される。
【0033】
さらなる態様では、ハウジング組立品は、内ねじをさらに備え、ピストンロッドは、ハウジングの内ねじと係合する外ねじをさらに備える。
【0034】
さらなる態様では、電力貯蔵部は、ねじりばねを備え、駆動管およびねじりばねは、起動部材による駆動管の起動に応答して、ピストンロッドを駆動するように適合されている。
【0035】
これにより、ほぼ一定の力による投与を可能にする、電力貯蔵部が提供される。
【0036】
さらなる態様では、起動部材が、駆動機構の起動のために遠位方向で軸方向に移動するように適合された近位に位置付けられたプッシュボタンである。
【0037】
これにより、親指によって起動され得る、起動機構が提供される。
【0038】
さらなる態様では、駆動機構は、ピニオンと、起動部材によって起動されるように適合された電気モータと、をさらに備え、ピストンロッドは、歯付きラックをさらに備え、歯付きラックおよびピニオンは、ラックおよびピニオン機構を提供し、電力貯蔵部は、電池を備え、電気モータ、ラックおよびピニオン機構、ならびに電池は、起動部材による電気モータの起動に応答して、ピストンを駆動するように適合されている。
【0039】
これにより、電気で駆動する駆動機構が提供される。
【0040】
さらなる態様では、ハウジングは、ピストンロッドを保持するための取り外し可能な係止構造体を備え、起動機構は、ピストンロッドをハウジングの取り外し可能な係止から解放するように適合されており、電力貯蔵部は、起動部材による起動に応答して、ピストンロッドを駆動するための圧縮ばねを備える。
【0041】
これにより、軸方向の力を直接的に提供する圧縮ばねを有する、駆動機構が提供される。
【0042】
さらなる態様では、薬剤送達装置は、針カニューレを備える、注射装置である。
【0043】
さらなる態様では、薬剤送達装置は、所定の固定ボリュームの医薬を送達するように適合されている、固定用量注射装置である。
【0044】
さらなる態様では、薬剤送達装置は、複数回使用の固定用量薬剤送達装置となるように適合されており、起動部材は、複数回操作されるように適合されており、それにより、(i)第1の角度位置から第2の角度位置へと移動して、起動を可能にし、(ii)軸方向に移動して、駆動機構を起動し、(iii)第2の角度位置から第1の角度位置へと移動して、起動を不能にする。
【0045】
さらなる態様では、ハウジングは、起動部材を第1の角度位置から第2の角度部分へと回転させることに応答して、軸方向における起動部材をハウジング内にガイドするための螺旋状のガイドを備える。
【0046】
別の態様では、ある用量の医薬を送達するための薬剤送達装置用の安全組立品が提供されており、薬剤送達装置は、
-細長いハウジング構造体を備える、ハウジング組立品と、
-用量を送達するための駆動機構であって、駆動機構が、細長いハウジング構造体内に配設されており、駆動機構が、起動に応答して、用量の医薬を排出するように適合されている、駆動機構と、
-回転可能な管状起動部材を備える起動機構であって、起動部材の軸方向移動に応答して、駆動機構を起動するように適合されており、起動部材が、駆動機構の起動が不能にされる、第1の角度位置と、起動部材が軸方向に移動可能であるように配設されており、それにより、駆動機構の起動を可能にする軸方向移動を可能にする、第2の角度位置と、に配設されるように適合されている、起動機構と、を備え、
安全組立品は、起動部材、ハウジング挿入部分、および起動部材を囲むリング部材を備え、ハウジング挿入部分は、ハウジング組立品に固定されるように適合されており、
リング部材は、ハウジング挿入部分に接続されており、リング部材は、ハウジング挿入部分に対して軸方向に固定され、かつ回転方向に移動可能に配設されており、リング部材は、起動部材に対して軸方向にスプラインされており、それにより、リング部材は、起動部材に対して回転的に係止され、かつ軸方向に移動可能であり、
リング部材は、リング部材の回転に応答して、第1の位置から第2の位置への起動部材に対する回転を伝達するように適合されており、それにより、ユーザは、駆動機構を意図せずに起動することなく、起動部材を回転させることができる。
【0047】
別の態様では、上記の説明による薬剤送達装置または安全組立品を使用する方法が提供されており、方法は、
-リング部材を第1の角度位置から第2の角度位置に回し、それにより、起動部材に直接的に触れることなく、駆動機構の起動を可能にし、それにより、起動部材の回転中に用量を排出しないことを含む。
【0048】
以下において、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1図1は、本開示の第1の実施形態による、複数用量を有する固定用量薬剤送達装置の分解組立図を示している。
図2図2は、図1の薬剤送達装置の動作を示している。
図3A-3B】図3Aおよび図3Bは、異なる動作状態にある図1の薬剤送達装置の詳細を示している。
図4A図4Aは、本開示の第2の実施形態による、複数用量の固定用量薬剤送達装置の分解組立図を示している。
図4B図4Bは、断面図における図4Aの薬剤送達装置を示している。
図5A1-5C2】図5A1図5C2は、異なる動作状態にある図4Aの薬剤送達装置の詳細を示している。図5A1図5A4は、同じ状態に関し、図5B1図5B2は、同じ状態に関し、図5C1図5C2は、同じ状態に関する。
図6図6は、薬剤送達装置において実装するための安全組立品の一実施形態の分解組立図を示している。
図7図7は、組み立てられた包装解除状態にある図6の安全組立品の外形図を示しており、ここで、シールドはその最も遠位の位置にある。
図8A図8Aは、開始された状態にある図7の安全組立品の斜視図を示しており、ここで、シールドは起動が不能の位置にある。
図8B図8Bは、図8Aの安全組立品の斜視図を示しており、ここで、シールドは、不能にされた位置と有効化された位置との間で回されている。
図8C図8Cは、シールド係止解除状態での、図8Bの安全組立品の外形図を示しており、ここで、シールドは起動を可能とする位置に回されている。
図9A-9C】図9A図9Cは、安全組立品の構造体の詳細を示している。
【0050】
図では、同様の構造は、主として、同様の参照番号によって識別される。文字「a」が続く参照番号は、構造の遠位端を示すために使用され、「b」が続く番号は、近位端を示すために使用される。「.」が続く第1の番号および第2の番号を含む参照番号は、構造の機能的または構造的詳細を示すために使用される。このようにして、第1の数字は、主(比較的大きい)構造を示し、第2の数字は、副(比較的小さい)構造または特定の機能を示している。文字c、d、およびeが続く参照番号は、回転対称性を有する特徴を示している。
【0051】
以下で「上」および「下」、「右」および「左」、「水平」および「垂直」などの用語、または同様の相対表現が使用されるとき、これらは、添付の図に言及するだけであり、必ずしも実際の使用状況ではない。示される図は、概略図であり、そのため、その相対寸法だけでなく、異なる構造の構成も、例示的な目的でのみ機能することが意図される。部材という用語が所与の構成要素に対して使用される場合、1つ以上の機能を有する単一構成要素または構成要素の一部分を定義するために使用することができる。
【0052】
以下の詳細な説明では、本開示の完全な理解を提供するために多数の特定の詳細が記載されている。しかしながら、本開示はこれらの特定の詳細を用いずに実践されてもよいことが、当業者には明らかであろう。
【0053】
また当然のことながら、第1、第2などの用語が本明細書では様々な要素および位置を記述するために使用される場合があるが、これらの要素および位置はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある要素または位置を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の対象者は、第2の対象者と称される可能性があり、同様に第2の対象者は、第1の対象者と称される可能性がある。第1の対象者および第2の対象者は、両方とも対象者であるが、同じ対象者ではない。さらに、「対象者」、「ユーザ」、および「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0054】
本明細書で使用される場合、「場合」という用語は、文脈に応じて、「ときに」または「際に」または「決定に応じて」または「検出に応じて」を意味すると解釈され得る。同様に、「決定される場合」または「〔記載の状態または事象〕が検出される場合」という語句は、文脈に応じて、「決定する際に」、または「決定に応じて」、または「〔記載の状態または事象〕を検出する際に」、または「〔記載の状態または事象〕の検出に応じて」を意味すると解釈され得る。
【0055】
本明細書で使用される場合、遠位および近位端という用語は、本体への取り付け点から離れて、または最も近くに位置する端を説明するために使用される解剖学的構造からの用語と類似している。したがって、注射装置の遠位端は、ユーザが装置を注射準備完了位置に保持する文脈で画定され、それによって、注射針を有する端が、遠位端になり、反対側の端が近位端になる。さらに、装置の個々の構成要素の遠位および近位端もまた、その文脈で画定される。
【0056】
本明細書で使用される場合、回転対称性は、部分的に回すことによるいくらかの回転の後に、同じに見えるか、または同じ機能を保有するときの構造の特性である。構造の回転対称性の程度は、各回転に対して同じに見える、別個の配向の数である。n次の回転対称性は、nが2以上であり、特定の点(2D)または軸(3D)に対して、n重回転対称性、または第n次の離散回転対称性とも呼ばれ、これは、360°/nの角度による回転が物体を変化させないことを意味する。構造の特性は、視認可能な外観および構造的特徴の機能的能力の両方に関連し得る。
【0057】
本明細書で使用される場合、時計回り方向という用語は、正面から視認されたときに時計の針が回転する方向を説明するために使用される。それゆえに、注射装置の時計回りの回転は、装置を遠位面から見たときに、すなわち近位方向で見たときに観察される時計回りの回転である。反時計回り(counterclockwise)または反時計回り(anticlockwise)の回転は、反対方向として画定される。
【0058】
本明細書で使用される場合、近位面は、近位端から遠位方向で視認されたときの装置の面であり、遠位面は、遠位端から近位方向で視認されたときの装置の面である。
【0059】
本明細書で使用される場合、正の軸方向または長手方向は、近位端から遠位端に向かって画定される。正の軸方向および遠位方向は、同じ意味で互換的に使用される。同様に、負の軸方向および近位方向の定義は、同じ意味で互換的に使用される。装置の中心軸は、同じ意味で、長手方向軸とも呼ばれる、正の軸方向における注射装置の中心を通して画定される。
【0060】
本明細書で使用される場合、正の半径方向は、中心軸を起点とする半径方向軸に沿って、中心軸に対して垂直な方向で画定される。
【0061】
正の周方向または正の角度方向は、中心軸から半径方向の距離に位置付けられた点に対して画定され、正の周方向は、負の軸方向で観察されたときに時計回りの回転である。周方向は、軸方向および半径方向に対して垂直である。
【0062】
半径方向および周方向の両方は、軸方向に対して横方向または垂直であるため、本明細書では横方向と呼ばれる。横方向平面は、本明細書では、中心軸を法線ベクトルとして、半径方向および周方向の2つのベクトルにまたがる平面として画定される。
【0063】
本明細書で使用される場合、構造の軸方向移動は、移動を説明するために使用され、構造の変位ベクトルは、軸方向に成分を有する。並進移動は、軸方向のみにおける均一の動きを説明するために使用される。純粋な、厳密な、または均一な軸方向移動は、並進運動と同じであり、これらの用語は、互換的に使用される。
【0064】
構造の半径方向移動は、移動を説明するために使用され、構造の変位ベクトルは、半径方向に成分を有する。純粋な、厳密な半径方向移動は、半径方向のみにおける均一の動きを説明するために使用される。したがって、純粋な、厳密な、および均一な半径方向移動は、同じであり、これらの用語は、互換的に使用される。
【0065】
構造の周方向、または回転移動は、移動を説明するために使用され、構造の変位ベクトルは、周方向に成分を有する。純粋な、厳密な周方向移動は、周方向のみにおける均一の動きを説明するために使用される。したがって、純粋な、厳密な、および均一な周方向移動は、純粋な、厳密な、および均一な回転移動と同じであり、これらの用語は、互換的に使用される。構造に対する回転移動の定義はまた、構造が回転の軸を画定する中心軸を含む、特殊な場合を包含する。この特殊な場合では、中心軸から外れた構造の全ての位置は、円周方向移動を受けるが、中心軸上の位置の変位ベクトルは、ゼロである。それゆえに、それ自体の中心軸の周りを回転する構造は、回転移動を実施すると言われる。
【0066】
構造の螺旋移動は、組み合わせられた軸方向および回転移動を説明するために使用され、構造の変位ベクトルは、周方向および軸方向成分を含む。構造に対する螺旋移動の定義はまた、構造が回転の軸を画定する中心軸を含む、特殊な場合を包含する。この特殊な場合では、中心軸から外れた構造の全ての位置は、螺旋移動を受けるが、中心軸上の位置の変位ベクトルは、軸方向成分のみを含む。それゆえに、それ自体の中心軸の周りを回転し、軸方向に移動する構造は、螺旋移動を実施すると言われる。
【0067】
この文脈では、純粋な、厳密な、および均一な移動は、抽象的な数学的定義であり、これらの用語は、構造体の理想的または抽象的な移動を説明するために使用される。それゆえに、実際の装置内の構造は、この理想的な挙動を呈するように期待されるべきではなく、むしろ、そのような構造は、そのような理想的な移動に近似するパターンで移動することが期待されるべきである。
【0068】
本明細書で使用される場合、右ねじまたは螺旋状の部分は、ねじ山付きのねじが反時計回りに回されるとき、その螺旋が正の軸方向に移動する、ねじまたは螺旋部分である。
【0069】
右ねじのねじは、通常、既定のねじであり、右手によって通常実施される反時計回りの回転によって正の方向にねじ込まれる。同様に、左ねじを有するねじは、時計回りの回転によって正の方向にねじ込まれ、したがって、左手で実施され、右ねじを操作する右手の動きを鏡映し得る。
【0070】
本開示は、ある用量の医薬を送達するための薬剤送達装置を記述しており、ここで、薬剤送達装置は、ハウジング組立品、駆動機構、および起動機構を備える。薬剤送達装置は、細長いハウジング構造体および安全組立品をさらに備える。
【0071】
駆動機構は、医薬用量を送達するように適合されており、細長いハウジング構造体内に配設される。駆動機構は、起動に応答して、用量を排出するように適合されている。
【0072】
起動機構は、起動部材の軸方向移動に応答して、駆動機構を起動するよう適合されたシールドまたはプッシュボタンの形態であってもよい、回転可能な管状起動部材を備える。起動部材は、さらに、第1の角度位置および第2の角度位置に配設されるように適合されている。第1の角度位置では、駆動機構の起動は、不能にされ、すなわち、起動部材は、ハウジングによって係止されるか、駆動機構から接続解除されるか、またはその両方である。
【0073】
第2の角度位置では、起動部材は、軸方向に移動可能であるように配設されており、それによって、駆動機構の起動を可能にする軸方向移動を可能にする。起動部材は、第1の位置で係止されているか、接続解除されているか、またはその両方であり、起動部材は、第2の位置で係止解除されているか、接続されているか、またはその両方である。
【0074】
安全組立品は、円形リング部材、起動部材を囲む部材を備える。リング部材の軸方向延長部は、管状形状を有してもよく、直径よりも短くても長くてもよい。
【0075】
リング部材は、ハウジング組立品に接続されており、ハウジング組立品に対して軸方向に固定されるように配設されており、一方で、ハウジング組立品に対する回転方向の移動は、可能にされ、または許容される。リング部材は、起動部材に対して軸方向にスプラインされ、すなわち、起動部材は、リング部材の軸方向に延在する溝内に嵌合する軸方向に延在するリブを有することができる。それによって、リング部材は、回転係止された起動部材である一方で、リング部材は、起動部材に対して軸方向に依然として移動可能である。
【0076】
それによって、リング部材は、リング部材の回転に応答して、第1の位置から第2の位置への起動部材に対する回転を伝達するように適合されている。これにより、ユーザは、駆動機構を意図せずに起動することなく、起動部材を回転させることができる。
【0077】
図1図3は、複数の固定用量の医薬を送達するための薬剤送達装置100の第1の実施形態を示している。駆動機構の起動は、シールド110を第1の角度位置に位置付けることによって不能にされる。駆動機構の起動は、シールド110を第2の角度位置に位置付けることによって可能になる。図4および図5は、複数回使用の固定用量薬剤送達装置の第2の実施形態200を示している。両方の実施形態は、本開示による安全組立品と協働するように修正されてもよい。図6図8は、リング部材390を有する安全組立品300の一実施形態を示している。薬剤送達装置100および200の両方は、安全組立品300と協働するように修正されてもよい。
【0078】
欧州特許出願第19217357.3号、同第19217323.5号、同第19217333.4号、同第19217339.1号、同第19217358.1号、同第19217343.3号、および同第19217331.8号は、本開示に記載されていない第1および第2の薬剤送達装置のさらなる技術的詳細および機構を開示する。参照される特許出願は、参照により組み込まれる。
【0079】
複数回注射のための固定用量薬剤送達装置の第1の実施形態
図1は、薬剤送達装置100の分解組立図を示している。図1は、キャップ105、シールド先端119、洗浄モジュールのシールド追従部分120.1、針カニューレ124を有する針ハブ125、ハウジング挿入部分160、管状の細長い針シールド構造体110、カートリッジホルダ130、カートリッジ135、管状の細長いハウジング構造体140、コネクタ170、シールド戻しばね107、駆動管180、用量駆動ばね108、ピストンロッド109、およびばね基部165を示している。
【0080】
ハウジング組立品
薬剤送達装置は、ハウジング組立品を備え、装置の他の構成要素をガイドおよび接続するためのガイドおよびコネクタを有する硬質フレームを提供する。ハウジング組立品は、ハウジング挿入部分160、管状の細長いハウジング構造体140、カートリッジホルダ130、およびばね基部165を備える。最終組み立て後、これらの構造は、固定して接続される。細長いハウジング構造体140は、ピストンロッドの外ねじと係合するための内ねじを備える。ハウジング挿入部分160は、キャップとのバヨネット結合のために、トラックの端にキャップスナップを備える。ハウジング挿入部分160は、シールドをガイドするための近位縁部をさらに備える。ハウジング組立品は、ハウジングと呼んでもよい。
【0081】
針シールド組立品
薬剤送達装置は、シールド先端119および細長いシールド構造体110を備える針シールド組立品をさらに備える。細長いシールド構造体110は、薬剤の検査のための窓111を備え、細長いシールドは、カートリッジホルダ窓131とオーバーラップする第1の位置に、およびオーバーラップしない第2の位置に配置され得、細長いシールド構造体の固体部分は、第2の位置で窓131を覆う。この例示的な実施形態では、細長いシールド構造体110は、以下においてさらに詳細に説明される、起動部材を提供する。針シールド組立品は、針シールドと呼んでもよい。細長いシールド構造体は、回転移動を軸方向移動にするための、階段状の螺旋状のガイド構造体112をさらに備え、すなわち、階段状の螺旋状のガイドは、ハウジング組立品の内表面上の構造体またはガイドと協働して、シールドの螺旋状の移動をガイドするように適合されている。
【0082】
カートリッジホルダ
カートリッジホルダ130は、カートリッジ135を受容するように適合されている。カートリッジホルダは、カートリッジ135内の薬剤を検査するための窓131を備える。カートリッジホルダ130は、カートリッジの首状部分137にスナップするための可撓性アームを備える。
【0083】
カートリッジ
図1Aにさらに示されるように、細長いカートリッジ135は、穿刺可能な隔壁によって密封された遠位端135aと、ピストンによって閉鎖された開口近位端135と、を備える。ピストンは、図1には示されていない。カートリッジは、医薬の複数の固定用量を収容する貯蔵部を備える。遠位端135aでは、キャップによってキャップされた隔壁が提供される。キャップおよび貯蔵部の主要部分は、首状部分137によって分離される。
【0084】
針組立品
薬剤送達装置は、針ハブ125および再使用可能な針カニューレ124を備える針組立品をさらに備える。カニューレは、穿刺可能な隔壁を穿刺するための、および貯蔵部との流体連通を確立するための近位端と、装置の対象者またはユーザの皮膚への挿入のための遠位端と、を備える。
【0085】
ピストンワッシャ
図1には示されていないが、ピストンワッシャは、ピストンロッドに接続されて、ピストンに接触するための押さえを提供し得る。あるいは、ピストンロッドとピストンとの間の相対的な回転を測定するための用量測定モジュールが、ピストンロッドとピストンとの間に提供され得る。そのような測定モジュールはまた、好適な押さえを提供する。そのような用量測定モジュールは、「Dose capturing cartridge module for drug delivery device」と題された、国際公開第2014/1128155号に説明されている。あるいは、ピストンロッドは、ピストンに直接接触する。
【0086】
キャップ
キャップ105は、ハウジング挿入部分160への取り外し可能な取り付けのために適合されている。キャップは、軸方向および周方向キャップ取り付けトラック161(図3A)によってガイドされるように適合された突出部を有する内面を備える。突出部は、円周トラック161に設けられたスナップ係止部と協働し、それによって、キャップ105を内側ハウジング部分160に取り外し可能に係止するようにさらに適合されている。キャップは、連続的な軸方向および回転移動によって取り付けおよび脱着されるように適合されており、それによって、薬剤送達装置と一緒にバヨネット結合を提供する。キャップ105の内面は、初期化中に、内面から突出し、かつ軸方向に延在するリブ116(図3A)を通してシールド構造体110にトルクを伝達するように適合された、軸方向に延在するリブ(図示せず)をさらに備える。
【0087】
ばね基部
ばね基部165は、近位端でハウジング構造体140に固定的に取り付けられ、圧縮可能なねじり駆動ばね108を受容および支持するように適合される。
【0088】
駆動ばねおよび駆動管
駆動ばね108は、予め引っ張られるか、または巻き上げられ、ばね基部165と駆動管180との間に位置付けられる。駆動ばねは、駆動管180上にトルクを誘発するようにさらに適合され、それによって、医薬が排出され得る。駆動ばねは、ねじれ区分108.3、108.5を備え、コイル間の間隔は、比較的小さく、圧縮可能区分108.4は、圧縮後および医薬の排出中に軸方向の力を駆動管に伝達するように適合されている。駆動管を軸方向に駆動する能力は、用量機構の終了を可能にし、駆動管のリセットを可能にする。駆動管は、軸部分182を備え、非回転位置に回転停止部、および回転位置に螺旋状の運動をガイドするための螺旋状の部分189を提供する。
【0089】
戻しばね
コネクタ戻しばね107は、ばね基部165とコネクタ170との間に位置付けられ、コネクタを遠位方向に付勢するように適合されている。
【0090】
洗浄組立品
注射間の針の洗浄は、同じ一体化された針が、清潔な条件で複数回使用されることを可能にする。それゆえに、本開示の代替的な実施形態では、薬剤送達装置は、洗浄組立品を備える。移動可能なシールド構造体110は、シールド追従部分120.1を通して洗浄組立品に固定的に接続され、洗浄モジュールの原理は、国際公開第2019/101670号でさらに詳細に開示されている。洗浄組立品は、注射の間に針カニューレ124の遠位端を清潔に保つ洗浄剤を備える。洗浄モジュールのシールド追従部分120.1は、シールド先端119に固定的に接続され、シールド先端119は、再び、移動可能に配置された細長い針シールド構造体110に固定的に接続される。シールド先端119は、細長いシールド構造体110と係合する弾性アーム119.1を介して針シールド構造体110にカチッと嵌まり得、それにより、洗浄チャンバ組立品120は、移動可能に配置されたシールド構造体110の軸方向および回転移動に追従する。洗浄組立品120に接続されるシールド構造体110は、ハウジングに固定される針カニューレ124に対して移動可能に配置される。
【0091】
洗浄組立品120は、好ましくは、一例では、カートリッジ135の液剤中に含有されるのと同じ防腐剤であり得る、液体洗浄剤を有するチャンバを含有する。好ましい例では、洗浄剤は、カートリッジ135に収容されるものと同一の同じ防腐剤を含有する医薬液剤であり、これは、薬剤送達装置の始動中に洗浄モジュールのチャンバ内に充填される。代替的な実施形態では、洗浄剤は、多孔質プラグ内に埋め込まれる。さらなる代替例では、洗浄剤は、固体プラグの基質内に埋め込まれる。
【0092】
シールドは、異なる位置に配置され得る。初期位置は、初期角度位置および対応する初期軸方向位置によって画定される。係止位置は、係止角度位置および対応する係止軸方向位置によって画定される。係止解除された遠位位置は、係止解除された角度位置および対応する遠位の係止解除された軸方向位置によって画定される。移動可能なシールドは、初期位置から、シールドが軸方向に係止される係止位置への回転および近位移動の組み合わせによって変更され得る。両方の位置で、針先端は、シールドによって覆われ、洗浄チャンバ組立品内に収容される。使用中、シールドをさらに回転させ、螺旋状の移動において近位方向に係止解除された遠位位置までさらに移動させ、それによって、先端が露出され得る。シールドを軸方向移動において近位方向にさらに移動させることによって、シールドは、針のより大部分を露出させ、注射が行われ得る。注射後、シールドは、係止位置に戻され、それによって、針先端が洗浄される。
【0093】
何らかの理由で、針を洗浄せずに針を再使用することが望ましい場合、洗浄モジュールは、省略されてもよい。
【0094】
装置の動作
図2は、ユーザ観点から本開示の実施形態の作動原理を説明するために使用され、作動原理のより詳細な説明は、以下に、図3A図3Cを参照して説明されることになる。図2は、第1の用量を摂取するための薬剤送達装置100のユーザ操作を示している。薬剤送達装置は、二次包装で貯蔵および送達され得、包装解除状態(A1)では、薬剤送達装置は、二次包装から開梱されている。
【0095】
図2に例示されるように、ユーザが第1の固定用量を得ることを望むとき、薬剤送達装置は、開梱され、それによって、包装解除状態(A1)で提供される。その後、薬剤送達装置は、ユーザによって始動される。始動は、装置の主要部分102を右手で、キャップ105を左手で把持することによって行われ得る。以後、ユーザは、キャップを反時計回り方向に回す(例示された例について)。これによって、キャップは、ハウジング組立品のキャップスナップを外し、針シールドと係合し、それによって、針シールドは、キャップ105が回転停止部に回されるまで、キャップ105の回転に追従する。シールドの階段状の螺旋状のガイド112に起因して、針シールドは、ユーザがキャップを回すことに応答して、組み合わせられた近位および回転移動を受ける。さらに、キャップのこの初期回転および針シールドの組み合わせられた回転および近位移動によって、針カニューレ124は、カートリッジ135の隔壁を穿刺し、それによって、カートリッジ135内の薬剤貯蔵部との流体連通を確立する。さらに、この動作では、カートリッジ135は、近位に変位され、ピストンロッド109またはピストンワッシャ104に対して押し付けられる。カニューレが流体接続を確立しているため、およびピストンがピストンロッドと当接して配置されるため、一体化された針が下準備される。キャップが回転停止部に到達すると、薬剤送達装置は、係止解除されたキャップ内、かつ始動状態(B1)に位置付けられ、キャップは、係止解除され、取り外されるように位置付けられている。
【0096】
以下のステップでは、ユーザは、薬剤送達装置のキャップ105を引っ張り、それによって、薬剤送達装置は、キャップが外れた状態(C1)に配置され、シールドは、軸方向並進に対して係止される。
【0097】
その後、ユーザは、シールドを反時計回り方向に手動で回し、それによって、装置は、シールド係止解除状態(D1)に配置され、シールドは、係止解除位置に配置され、ハウジング内に近位に押し込まれ得る。シールドの階段状の螺旋状のガイド112に起因して、シールドは、キャップが外れた状態とシールド係止解除状態との間で動作されるとき、組み合わせられた近位および回転移動を受ける。針シールドの回転係止解除移動の間、針シールドは、ハウジング内のカートリッジ検査窓141を覆わず、それによって、カートリッジ内の薬剤が検査され得る。加えて、ピストン136もまた、検査窓141で視認可能であり、ハウジング上の固定用量目盛に対するピストン136の位置が、使用中のピストンの進行を示し、それによって、貯蔵部内の固定用量の残りの数を示している。図2において、シールド係止解除状態(D1)では、ピストン136は、初期位置に配置され、4回の用量が貯蔵部に残っている。針シールドの近位移動の間、針先端の遠位端は、洗浄組立品120の遠位端の隔壁を通して突出し、それによって、針の任意の過剰な圧力が解除される。
【0098】
以後、ユーザは、針シールドを注射部位に押し付け、それによって、シールドおよびコネクタ170がシールド戻しばね107の力に対して近位に変位される。これによって、針は、患者の皮膚または皮下層に挿入される。この動作によって、シールドの軸方向移動が駆動機構をトリガし、固定用量が投与状態で針カニューレを通して送達される(E1)。用量の終了時、ピストン136は、ハウジング上の固定用量残量目盛によって示される次の位置に移動しており、薬剤送達装置は、注射部位から取り外され得る。残量目盛の切欠き窓は、次の位置のピストンを示している。ピストン136が投与状態下で進行すると、それぞれの投与状態、すなわち、ピストンが、それぞれ、加圧された近位位置、および弛緩された遠位位置にある、初期投与状態(E2.1)および最終投与状態(E2.2)に対して、準安定状態を画定することが有用であり得る。
【0099】
用量が完了した後、ユーザは、装置を皮膚から取り外し、それによって、圧力がシールドから解除される。結果的に、シールドは、戻しばね107の作用に起因して遠位方向に移動する。シールドの階段状の螺旋状のガイド112に起因して、シールドは、遠位移動を受け、その後、組み合わせられた遠位および回転運動を受け、それによって、シールドは、再係止状態(F1)に自動的に戻る。
【0100】
その後、ユーザは、軸方向移動によってキャップ105をかぶせて、装置を、図2に示される順序に示される最後の状態である、キャップオン状態(G1)に置く。キャップ係止解除状態およびキャップオン状態は、同じ順序内で、カートリッジが、キャップオン状態でより少ない用量を含むという点で技術的に異なる。最後に、キャップが回され、それによって、ハウジング組立品にスナップ係止される。
【0101】
後続の用量は、同様の様式で投与することができるが、初期化を必要としない。最終用量が投与されたときに、駆動機構を再び起動することはできない。
【0102】
図3A図3Cは、特定の状態における動作のさらなる詳細を示している。図3Aは、キャップオフ状態(C1)の薬剤送達装置100を示しており、ここで、薬剤送達装置は、初期化されており、シールドは、軸方向に係止され(すなわち、起動が無効である)、キャップは、取り外されている。図3Bは、シールド係止解除状態(D1)における薬剤送達装置を示しており、ここで、シールド110は、軸方向に係止解除されている(すなわち、起動が可能である)。図3Cは、用量が排出される、投与状態(E1)における薬剤送達装置100を示している。
【0103】
図3Aに示すように、ハウジング挿入部分160は、シールドの階段状の螺旋状のガイド112と協働する、近位ガイド162を備える。また図示するように、ハウジング構造体は、階段状の螺旋状のガイド112と協働するための遠位ガイド142と、中間ガイド144と、コネクタ170と協働するための近位ガイド146と、を内面上に備える。図3Aは、シールド110がコネクタ170と接触していることを示している。
【0104】
図3Bは、シールド110の回転後、シールド110が近位方向に移動し、コネクタ170と係合またはフックしたことを示している。この位置では、コネクタ170の内面上の起動タブ178は、駆動管180の外面上にタブ183での軸方向当接をもたらされる。コネクタ170のコネクタアーム176は、この状態で、ハウジングの近位ガイド146に沿って近位方向において軸方向にガイドされ得る。これにより、コネクタ170は、駆動管を近位方向に押すことができる。駆動管180は、回転係止状態で位置付けられ、ここで、軸方向に延在するガイド部分182は、ハウジングの対応する軸方向ガイド部分に対して回転係止される(図示せず)。これにより、駆動管180は、回転することなく軸近位方向にガイドされ得る。
【0105】
図3Cは、図3Bの位置と比較したときに、コネクタが近位位置で移動されたことを示している。これにより、駆動管180は近位位置に移動し、ねじり駆動ばね108は、圧縮され、軸方向ガイド部分182は、ハウジングを係合解除し、したがって、回転が許容される。この回転位置では、ねじり駆動ばね108によって提供されるトルクにより、駆動管は、回転を開始する。螺旋状のガイド189、および圧縮された駆動ばね108からの遠位力により、駆動管は、遠位および回転の複合移動、すなわち、螺旋状の移動で遠位にガイドされる。
【0106】
複数回注射のための固定用量薬剤送達装置の第2の実施形態
図4および図5は、複数回使用の固定用量薬剤送達装置200の第2の実施形態を示している。図4Aは、薬剤送達装置の分解組立図を示しており、図4Bは、断面図を示している。図5B1図5C2は、特定の状態における動作のさらなる詳細を示している。
【0107】
図4Aは、第1の実施形態1の可動部分120.2に対応する、キャップ205、シールド先端219、可動部分も備える洗浄モジュールのシールド追従部分220.1を示している。図17は、針カニューレ224を有する針ハブ225、管状の細長いハウジング構造体240、およびハウジング構造体240の遠位端で接続されるハウジングキャップ部分260をさらに示す。図は、管状の細長い針シールド構造体210、カートリッジホルダ230、カートリッジ235、コネクタ270、再係止管279、シールド戻しばね207、駆動管280、用量駆動ばね208、ピストンロッド209、およびばね基部265をさらに示す。図は、それぞれ、ピストンロッド209の内面に歯付きリングおよび内ねじを係合するための、ラチェットアームおよび外ねじを備えるピストンワッシャ204をさらに示し、それによって、カートリッジ235内のピストンに対するゼロ点調節が実施され得る。図4Bは、薬剤送達装置が包装解除状態である、薬剤送達装置200の断面図を例示する。断面平面は、シールドの窓211を通って切断する。
【0108】
ハウジング組立品
薬剤送達装置は、ハウジング組立品を備え、装置の他の構成要素をガイドおよび接続するためのガイドおよびコネクタを有する硬質フレームを提供する。ハウジング組立品は、ハウジングキャップ部分260、管状の細長いハウジング構造体240、窓231を有するカートリッジホルダ230、およびばね基部265を備える。最終組み立て後、これらの構造は、固定的に接続され、ハウジング組立品は、他の構造の相対移動および位置を説明するための基準のフレームを提供し得る。細長いハウジング構造体140は、ピストンロッドの外ねじと係合するための内ねじを備える。
【0109】
薬剤送達装置200は、駆動機構と、トリガまたは起動機構と、を備える。駆動機構は、ピストンロッド209、駆動ばね208、および駆動管280を備え、用量を排出するために、構造体は、ハウジング内に動作可能に配置される。トリガ機構は、細長いシールド構造体210およびコネクタ280を備え、用量排出機構をトリガするために、構造は、ハウジング内に動作可能に配置される。
【0110】
針シールド組立品
薬剤送達装置は、シールド先端219および細長いシールド構造体210を備える針シールド組立品をさらに備える。細長いシールド構造体110は、薬剤の検査のための窓211を備え、細長いシールドは、カートリッジホルダ窓231とオーバーラップする第1の位置に、およびオーバーラップしない第2の位置に配置され得、細長いシールド構造体の固体部分は、第2の位置で窓231を覆う。
【0111】
カートリッジおよびカートリッジホルダ
カートリッジホルダ230は、カートリッジ235を受容するように適合されている。カートリッジホルダは、カートリッジ235内の薬剤を検査するための窓231を備える。カートリッジ135およびカートリッジホルダ230は、それぞれ、第1の実施形態のカートリッジ135およびカートリッジホルダ130と構造的および機能的に類似している。
【0112】
針組立品
針ハブ225および針224を備える針組立品は、第1の実施形態の針組立品と構造的および機能的に類似している。
【0113】
キャップ
キャップ205は、ハウジングキャップ部分260への取り外し可能な取り付けのために適合されている。キャップは、バヨネット結合トラックと結合するよう適合された突出部を有する内面を備える。キャップ205の内面は、内面から突出し、かつシールドの外面上の軸方向に延在するリブ216を通してシールド構造体210にトルクを伝達するように適合された、軸方向に延在するリブ(図示せず)をさらに備える。キャップ205は、キャップ205がシールドおよびカートリッジの主要部分も包囲していることを除いて、第1の実施形態のキャップ105と構造的および機能的に類似している。
【0114】
ばね基部
ばね基部265は、近位端でハウジング構造体240に固定的に取り付けられ、圧縮可能なねじり駆動ばね108を受容および支持するように適合される。
【0115】
駆動ばね
駆動ばね208は、予め引っ張られるか、または巻き付けられ、ばね基部265と駆動管280との間に位置付けられる。駆動ばねは、駆動管上にトルクを誘発するようにさらに適合され、それによって、医薬が排出され得る。駆動ばねは、ねじりおよび圧縮可能な区分を備える。駆動管を軸方向に駆動する能力は、用量機構の終了を可能にし、駆動管のリセットを可能にする。
【0116】
戻しばね
コネクタ戻しばね207は、ばね基部265と再係止管279との間に位置付けられ、再係止管を遠位方向に付勢するように適合されている。戻し配置では、再係止管279は、シールド210に当接し、シールドは、コネクタと係合し、それによって、シールド210およびコネクタ270は、再係止管279と一緒に戻され得る。
【0117】
洗浄組立品
洗浄組立品は、第1の実施形態の洗浄組立品と構造的および機能的に類似している。
【0118】
装置の動作
薬剤送達装置200は、図2の薬剤送達装置100の図解と同様の様式で動作する。
【0119】
図5A1図5A4は、シールド210が第1の角度位置にある、キャップオフ状態の薬剤送達装置200を示しており、ここで、シールド構造体210がコネクタ270に接続されていないため、駆動機構の起動は不能にされている。図5B1および図5B2は、シールド210が第2の角度位置にある状態の起動可能状態の薬剤送達装置を示している。この状態では、シールド210は、軸方向に移動可能であるように配設されており、それによって、駆動機構の起動を可能にする軸方向移動を可能にする。第2の角度位置では、シールド構造体210は、駆動管280に接続されたコネクタ270に接続される。図5C1図5C2は、用量が排出される、投与状態における薬剤送達装置200を示している。
【0120】
図5A1は、薬剤送達装置200の斜視図を示しており、ここで、管状の細長いハウジング構造体240は、起動および駆動機構の詳細を示すために取り除かれている。図5A2は、図5A1と同じことを示すが、各構造体の伸張および境界をより良好に図示するために、構造体がグレースケールであるという差異を有する。
【0121】
図5A3は、シールド210とコネクタ270との間のギャップ、およびまだ確立されていない接続を示すために、再係止管279の外側管状リングが取り除かれたことを除いて、図5A1と同じ部分を示している。コネクタの外側管状部分の一部分がまた取り除かれている。図5A4は、図5A3と同じことを示すが、各構造体の伸張をより良好に図示するために、構造体がグレースケールであるという差異を有する。
【0122】
図5A1図5A4を参照すると、シールド構造体210は、近位端に配置され、かつ半径方向に延在する、半径方向ガイド212を備え、それによって、シールドは、コネクタ270と協働するように適合されている。コネクタは、シールドの半径方向ガイド212と協働するための階段状の螺旋状のトラック274を備える。階段状の螺旋状のトラックは、遠位横方向部分、遠位螺旋部分、中央横方向部分、近位螺旋部分、および近位横方向部分を備える。階段状の螺旋状のトラックの螺旋状の部分のために、シールド210の回転移動をシールドの近位移動に伝達することができる。再係止管は、自動再係止機能を有効にするよう適合されている。再係止機能は、起動および駆動機構の説明には関連しない。
【0123】
図4Aで最もよく見られるように、コネクタ270は、360度全周を有する第1の管状部分270.1と、2つの切欠きを有する第2の管状部分と、を備え、それによって、第2の管状部分の残りの部分は、2つの軸方向に延在する管部分270.2を形成する。第1の管状部分は、階段状の螺旋状のトラック274を備え、2つの軸方向に延在する管部分270.2の横方向の遠位に配向された表面が、遠位ガイド272を提供する。
【0124】
図5A1図5A4で最もよく見られるように、シールドは、階段状の螺旋状のトラック274を通って延在する半径方向ガイドとともに第1の管状部分270.1内に配置され得る。軸方向に延在する管部分270.2は、第1の管状部分270.1の内面から近位方向に延在し、それゆえに、より小さい直径を有する。管部分270.2の直径は、シールド210の直径に対応し、横方向の近位に配向された表面を有する近位ガイド214は、シールド210が第1の角度位置にある場合に、遠位ガイド272の横方向の遠位に配向された表面に軸方向ギャップを提供するように適合されている。軸方向に延在する管部分270.2の直径は、ハウジング240の中央ガイド244の直径にさらに対応し、それによって、軸方向に延在する管部分270.2は、中央ガイド244と協働し得る。コネクタ270は、外径を有する外面と、内径を有する内面と、を有している。シールド210の近位ガイド214とコネクタ270の遠位ガイド272との間の軸ギャップを図5A3に示す。
【0125】
図5B1および図5B2は、作動可能状態の薬剤送達装置を示しており、ここで、シールドは回転しており、近位螺旋運動を強制され、それにより、シールドは第2の角度位置に位置付けられている。例示の視点から、図5B1は、図5A1に対応しており、図5B2は、図5A3に対応している。図5A3に示す、シールド210の近位ガイド214間の軸方向ギャップは、除去されており、シールドとコネクタとの間に接触が確立されている。シールド210が軸方向に移動可能であるように配設されると、シールドは、コネクタ270の軸方向移動を可能にする。コネクタ270は、駆動管280に接続された起動タブ278を備え、ここで、コネクタは、シールド210の近位移動に応答して、駆動管280を近位方向に移動させるように適合されている。
【0126】
図示されていないが、薬剤送達装置100の第1の実施形態に関しては、駆動管280は、ピストンロッド209に対して軸方向にスプラインされており、それによって、駆動管とピストンロッドとの間の相対的な軸方向移動が許可され、相対的な回転移動が制限される。シールド210の第2の角度位置では、駆動管280は、シールド210の軸方向移動に応答して、第1の軸方向位置および非回転位置と第2の軸方向位置および回転可能位置との間で、ハウジング組立品に対して軸方向に移動可能であるように適合されている。非回転位置に配設された駆動管280は、ハウジング組立品によって回転がブロックされ、回転可能位置に配設された駆動管280は、ハウジング組立品によって回転し、かつガイドされることが許可されている。
【0127】
図示されていないが、ハウジング組立品は、非回転位置における駆動管280の回転をブロックするための軸方向ガイド部分を備え、ハウジング組立品は、回転可能位置における駆動管280をガイドするための螺旋状のガイド部分を備える。
【0128】
図5C1図5C2は、駆動管280が回転可能な位置にあり、用量が排出される、投与状態における薬剤送達装置200を示している。例示の視点から、図5C1は、図5B1に対応しており、図5C2は、図5B2に対応している。図5C2に最もよく示すように、近位ガイド214と遠位ガイド272との間の接触は、投与中も継続する。
【0129】
安全組立品
複数回使用の固定用量薬剤送達装置は、シールド先端に圧力が印加されると収縮する、シールドによって前面に起動される。別の方法として、装置は、圧力がかけられると押される近位端上のプッシュボタンによって起動される。このシールドまたはプッシュボタンは、不能にされた/係止された状態、および有効化/係止解除された状態であり、注射前にユーザがシールドをつかみ、これを有効化/係止解除位置に回す必要がある。シールドまたはプッシュボタンを有効/係止解除位置に設定しているとき、ユーザが意図せずにシールドまたはプッシュボタンを押しても、用量の分注がアクティブになる可能性がある。
【0130】
図6図8は、リング部材390を有する安全組立品300の一実施形態を示している。薬剤送達装置100および200の両方は、安全組立品300と協働するように修正されてもよい。
【0131】
リング部材が装置に取り付けられ、かつシールドまたはプッシュボタンに回転係止されている状態で、ユーザは、シールドの代わりにリング部材を回すことによって、装置を無効/係止および有効/係止解除状態に設定することになっている。これにより、ユーザが意図せずにシールドまたはプッシュボタンを押して、それによって、駆動機構を起動して薬剤を分注する可能性を最小化する。
【0132】
図6は、安全組立品300の分解組立図を示している。安全組立品は、リング部材390、ハウジング挿入部分360、および細長いシールド構造体310を備える。シールド構造体310は、第1の実施形態の階段状の螺旋状のガイド112に対応する階段状の螺旋状のガイドを備える。階段状の螺旋状のガイド112と比較して、中間横方向部分は、射出成形プロセスに関する技術的理由から、階段状の螺旋状のガイド312から除去されている。しかしながら、ガイド構造体112、312は、同様の様式で機能する。
【0133】
図7は、初期位置に対応する組み立てられた状態の安全組立品を示しており、ここで、シールド310は、ハウジング挿入部分360に対して最も遠位位置にある。リング部材390は、ハウジング挿入部分360に取り付けられ、軸方向に延在するリブ316(図6)が軸方向に延在するトラック390.1(図9C)内に嵌合することにより、シールド構造体310に対して軸方向にスプライン化される。リング部材390およびハウジング挿入部分360は、シールド310を囲む。図示した実施形態では、リブおよびトラックの2つの対が使用されるが、回転がリングからシールドに伝達されることができ、かつシールドがリングに対して軸方向に移動することができる限り、任意の数のリブが機能するであろう。
【0134】
スプライン接続は、リブおよびトラックの対としてのみ図示されているが、他の軸方向に延在する構造体、例えば、波形表面がまた使用され得る。一部の実施形態では、リブ316は、長方形、三角形、またはT字形状の均一な軸断面を有する軸方向に延在する構造で置換され得る。これらの実施形態では、トラック370.1は、軸方向に延在する構造の断面に合致する対応するトラックで置換され、ここで、これらのトラックの断面は、長方形、三角形、またはT字型である。
【0135】
断面が一様な場合、リングとシールドとの間の軸方向の相対移動が許容される。しかしながら、トラックが対応する軸方向に延在する構造よりも幅が大きい場合、軸方向に延在する構造の断面は、軸方向においてわずかに変化し得る。トラックが軸方向に延在する構造よりもわずかに大きい場合、リングとシールドとの間のわずかな遊びが、回転方向に導入される。
【0136】
概して、スプラインは、シールドの嵌合外面内のトラック、溝、または隆起部と噛み合う、リングの内面上の隆起、歯、または波型形状である。これにより、リングは、それら間の角度の一致を維持しながら、シールドにトルクを伝達することができる。しかしながら、一般原理へのさらなる適合は、シールドがリングに対して移動し得ることである。それによって、ハウジングに取り付けられたリングに対して軸方向に移動したときに、駆動機構を起動させるようにシールドを適合させることができる。
【0137】
一例として、安全組立品300が薬剤送達装置の第1の実施形態100に実装される場合、ハウジング挿入部分360は、挿入部分360を細長いハウジング構造体140に取り付けることによって、ハウジング挿入部分160と置換される。細長いシールド構造体110は、細長いシールド構造体310および周囲のリング部材390と置換される。
【0138】
図8A図8Cは、薬剤送達装置に実装されたときに、異なる状態に対応する異なる角度位置にある安全組立品装置を示している。図8Aでは、シールド310は、キャップオフ状態(C1)に対応する第1の角度位置にあり、ここで、シールド310は、軸方向に係止され、駆動機構の起動は、不能にされる。図8Cでは、シールド310は、シールド係止解除状態(D1)に対応する第2の角度位置にあり、ここで、シールドは、軸方向に移動することができ、駆動機構の起動が可能である。図8Bは、第1の角度位置と第2の角度位置との間の角度中間位置に配設されたシールドを示している。図はまた、階段状の螺旋状のガイド312が、ハウジング挿入部分360の近位表面と協働することを示している。
【0139】
軸方向において、内側リングは、図9A図9Cに示すように、リング部材390とハウジング挿入部分360との間のスナップ接続によって定位置に保持される。図9Aおよび図9Bは、ハウジング挿入部分360に接続されたリング部材390の内面を斜視図で示している。図9Cは、リング部材390の内面の詳細を示している。突起部360.1は、横方向トラック390.2内にスナップされる。
【0140】
図9A図9Cにも図示するように、内側リングは、図6に見られる、シールド上の2つの軸方向に延在するリブ316のうちの1つと協働して、リング部材390からシールド310への回転運動を伝達するための軸方向に延在するトラック390.1を備える。安全組立品300を有する薬剤送達装置は、リング部材を回すことによって係止解除される。次に、ハウジング挿入部分360の近位表面と階段状の螺旋状のガイド312との間の螺旋状の接触面のために、シールドも下向きに押し込まれる。この移動により、シールドが装置の駆動機構と係合することを引き起こし、起動が可能になる。
【0141】
同様に、リング部材が依然として回転し続ける間、ハウジングキャップ部分260を修正して、リング部材を軸方向に係止することによって、薬剤送達装置200に安全組立品を実装することが可能である。リング部材は、シールド210と軸方向にスプラインするように同様に適合させる必要がある。
【0142】
薬剤送達装置の代替的な実施形態では、ハウジングは、シールド310または起動部材を第1の角度位置から第2の角度部分へと回転させることに応答して、軸方向におけるシールド310または起動部材をハウジング内にガイドするための螺旋状のガイド360を備える。実施形態のさらなる態様では、シールド310または起動部材は、第1の角度位置から第2の角度位置への回転の間にハウジングの螺旋状のガイド360と係合するための螺旋状のガイド312を備える。
【0143】
別の態様では、ある用量の医薬を送達するための薬剤送達装置用の安全組立品が提供されており、薬剤送達装置は、
-細長いハウジング構造体140、240を備える、ハウジング組立品と、
-用量を送達するための駆動機構であって、駆動機構が、細長いハウジング構造体140、210内に配設されており、駆動機構が、起動に応答して、用量の医薬を排出するように適合されている、駆動機構と、
-回転可能な管状起動部材310を備える起動機構であって、起動部材の軸方向移動に応答して、駆動機構を起動するように適合されており、起動部材310が、駆動機構の起動が不能にされる、第1の角度位置と、起動部材310が軸方向に移動可能であるように配設されており、それにより、駆動機構の起動を可能にする軸方向移動を可能にする、第2の角度位置と、に配設されるように適合されている、起動機構と、を備え、
安全組立品は、起動部材310、ハウジング挿入部分360、および起動部材を囲むリング部材390を備え、ハウジング挿入部分は、ハウジング組立品に固定されるように適合されており、
リング部材390は、ハウジング挿入部分に接続されており、リング部材390は、ハウジング挿入部分360に対して軸方向に固定され、かつ回転方向に移動可能に配設されており、リング部材390は、起動部材310に対して軸方向にスプラインされており、それにより、リング部材390は、起動部材310に対して回転的に係止され、かつ軸方向に移動可能であり、
リング部材390は、リング部材390の回転に応答して、第1の位置から第2の位置への起動部材310に対する回転を伝達するように適合されており、それにより、ユーザは、駆動機構を意図せずに起動することなく、起動部材310を回転させることができる。
【0144】
代替的な実施形態では、前述の実施形態による薬剤送達装置を使用する方法が提供されており、方法は、
-リング部材390を第1の角度位置から第2の角度位置に回し、それにより、起動部材に直接的に触れることなく、駆動機構の起動を可能にし、それにより、用量を排出しないことを含む。
【0145】
例示的な実施形態の上記の説明では、異なる構成要素について説明された機能を提供する異なる構造および手段を、本発明の概念が当業者にとって明らかである程度まで、説明してきた。異なる構成要素に対する詳細な構築および仕様は、本明細書に記載されるラインに沿って当業者によって実施される通常の設計手順の対象とみなされる。
【0146】
実施形態のリスト
1.ある用量の医薬を送達するための薬剤送達装置であって、薬剤送達装置が、
-細長いハウジング構造体(140、240)を備える、ハウジング組立品と、
-用量を送達するための駆動機構であって、駆動機構が、細長いハウジング構造体(140、210)内に配設されており、駆動機構が、起動に応答して、用量の医薬を排出するように適合されている、駆動機構と、
-回転可能な管状起動部材(310)を備える起動機構であって、起動部材の軸方向移動に応答して、駆動機構を起動するように適合されており、起動部材(310)が、(i)駆動機構の起動が不能にされる、第1の角度位置と、(ii)起動部材(310)が軸方向に移動可能であるように配設されており、それにより、駆動機構の起動を可能にする軸方向移動を可能にする、第2の角度位置と、に配設されるように適合されている、起動機構と、を備え、
薬剤送達装置が、起動部材(310)を囲むリング部材(390)をさらに備え、
リング部材(390)が、ハウジング組立品に接続されており、リング部材(390)が、ハウジング組立品に対して軸方向に固定され、かつ回転方向に移動可能に配設されており、リング部材(390)が、起動部材(310)に対して軸方向にスプラインされており、起動部材が、リング部材(390)に対して軸方向に移動可能かつ回転的に係止されるように適合されており、それにより、起動部材が、リング部材(390)とともに第1の角度位置から第2の角度位置まで回転し、再び戻ることができ、
リング部材(390)が、第1の位置と第2の位置との間の起動部材(310)に対する回転を伝達するように適合されており、それにより、ユーザが、駆動機構を意図せずに起動することなく、起動部材(310)を回転させることができる、薬剤送達装置。
2.薬剤送達装置が、
-遠位端(135a)に出口を有する、医薬貯蔵部(135、235)と、
-貯蔵部(135、235)の圧縮のための移動可能なピストン(136、236)と、をさらに備え、
駆動機構が、ピストン(136、236)を移動させて、出口を通して医薬を圧縮および排出するためのピストンロッド(109、209)と、ピストンロッド(108、208)を移動させ、かつ全用量を送達するために動作可能に配設されている、通電された電力貯蔵部と、をさらに備える、実装形態1に記載の薬剤送達装置。
3.駆動機構が、ピストンロッド(109、209)に対して軸方向にスプラインされた駆動管(180、280)を備え、それにより、駆動管とピストンロッドとの間の相対的な軸方向移動が可能となり、かつ相対的な回転移動が制限され、駆動管(180、280)が、第1の軸方向位置および非回転位置と、第2の軸方向位置および回転可能位置との間で、起動部材(310)の軸方向移動に応答して、ハウジング組立品に対して軸方向に移動可能となるように適合されており、非回転可能位置に配設された駆動管(180、280)が、ハウジング組立品によって回転がブロックされ、回転可能位置に配設された駆動管(180、280)が、ハウジング組立品によって回転およびガイドされることが可能である、実施形態1または2に記載の薬剤送達装置。
4.ハウジング組立品が、非回転位置における駆動管(180、280)の回転をブロックするための軸方向ガイド部分を備え、ハウジング組立品が、回転可能位置における駆動管(180、280)をガイドするための螺旋状のガイド部分を備える、実施形態3に記載の薬剤送達装置。
5.起動機構が、起動部材が第2の角度位置にある場合、起動部材(110、210)と駆動管(180、280)との間の接続を確立するためのコネクタ(170、270)をさらに備え、それにより、コネクタ(170、270)が、起動部材の軸方向移動を駆動管(180、280)に伝達することができる、実施形態3または4に記載の薬剤送達装置。
6.第1の角度位置にある起動部材(360)が、コネクタ(170)に接続されており、コネクタ(170)が、駆動管(180)から動作可能に接続解除されており、それにより、起動が不能にされ、第2の角度位置にある起動部材(360)が、コネクタ(170)に接続されており、コネクタ(170)が、駆動管(180)に動作可能に接続されており、それにより、起動が可能になる、実施形態3~5のうちのいずれかに記載の薬剤送達装置。
7.第1の角度位置にある起動部材(310)が、駆動管(280)から動作可能に接続解除されており、それにより、起動が不能にされ、第2の角度位置にある起動部材(310)が、駆動管(280)に動作可能に接続されており、それにより、起動が可能になる、実施形態3~5のうちのいずれかに記載の薬剤送達装置。
8.起動部材が、ハウジング組立品のブロック構造体(142)に対してブロックするためのブロック構造体(112)を備え、ブロック構造体(112、142)が、第1の角度位置における起動部材(110)の純粋な軸方向移動を防止するように適合されており、それにより、起動が不能にされ、ブロック構造体(112、142)が、第2の角度位置における起動部材(110)の軸方向移動を可能にするように適合されており、それにより、起動が可能になる、実施形態3~6のうちのいずれかに記載の薬剤送達装置。
9.ハウジング組立品が、内ねじをさらに備え、ピストンロッド(109、209)が、ハウジングの内ねじと係合する外ねじをさらに備える、実施形態3~8のうちのいずれかに記載の薬剤送達装置。
10.電力貯蔵部が、ねじりばね(108、208)を備え、駆動管(180、280)およびねじりばね(108、208)が、起動部材(310)による駆動管(180、280)の起動に応答して、ピストンロッド(109、209)を駆動するように適合されている、実施形態3~9のうちのいずれかに記載の薬剤送達装置。
11.起動部材が、駆動機構の起動のために遠位方向で軸方向に移動するように適合された近位に位置付けられたプッシュボタンである、実施形態1または2に記載の薬剤送達装置。
12.薬剤送達装置が、針カニューレを備える、注射装置である、実施形態1~11のうちのいずれかに記載の薬剤送達装置。
13.薬剤送達装置が、所定の固定ボリュームの医薬を送達するように適合されている、固定用量注射装置である、実施形態1~12のうちのいずれかに記載の薬剤送達装置。
14.薬剤送達装置が、複数回使用の固定用量薬剤送達装置となるように適合されており、起動部材が、複数回操作されるように適合されており、それにより、(i)第1の角度位置から第2の角度位置へと移動して、起動を可能にし、(ii)軸方向に移動して、駆動機構を起動し、(iii)第2の角度位置から第1の角度位置へと移動して、起動を不能にする、実施形態1~13のうちのいずれかに記載の薬剤送達装置。
15.実施形態1に記載の薬剤送達装置を使用する方法であって、方法が、
-リング部材(390)を第1の角度位置から第2の角度位置に回し、それにより、起動部材に直接的に触れることなく、駆動機構の起動を可能にし、それにより、用量を排出しないことを含む、方法。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A1
図5A2
図5A3
図5A4
図5B1
図5B2
図5C1
図5C2
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
【国際調査報告】