(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-30
(54)【発明の名称】添加剤組成物およびその使用、縮合ポリマー組成物、成形コンパウンドおよびそれから製造される成形コンパウンドならびに成形部品およびその使用
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20230523BHJP
C08L 67/00 20060101ALI20230523BHJP
C08L 69/00 20060101ALI20230523BHJP
C08L 77/00 20060101ALI20230523BHJP
C08K 3/30 20060101ALI20230523BHJP
C08K 5/41 20060101ALI20230523BHJP
C08K 5/524 20060101ALI20230523BHJP
C08K 5/527 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
C08L101/00
C08L67/00
C08L69/00
C08L77/00
C08K3/30
C08K5/41
C08K5/524
C08K5/527
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564389
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(85)【翻訳文提出日】2022-12-15
(86)【国際出願番号】 EP2021057632
(87)【国際公開番号】W WO2021213771
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】102020205100.3
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504174917
【氏名又は名称】フラウンホッファー-ゲゼルシャフト・ツァー・フォデラング・デル・アンゲワンテン・フォーシュング・エー.ファウ.
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポリダール マティーアス
(72)【発明者】
【氏名】メッチェ-ツィリゲン エルケ
(72)【発明者】
【氏名】プファエンドネール ルドルフ
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002CF031
4J002CF051
4J002CF061
4J002CF071
4J002CF081
4J002CF181
4J002CF191
4J002CG001
4J002CG011
4J002CL011
4J002CL031
4J002DG046
4J002DH037
4J002DH057
4J002EV186
4J002EV196
4J002EW047
4J002EW067
4J002EW087
4J002FD010
4J002FD036
4J002FD037
4J002FD040
4J002FD070
4J002FD090
4J002FD110
4J002FD160
4J002GA00
4J002GG00
(57)【要約】
本発明は、無機亜硫酸塩、亜硫酸の有機誘導体、および/またはチオ硫酸塩、ならびに有機リン化合物を含み、熱可塑性縮合ポリマー中に作用されると、使用時に前記熱可塑性縮合ポリマーの加水分解を促進することができる添加剤組成物に関する。本発明は、さらに、本発明に係る添加剤組成物に添加される縮合ポリマー組成物に関する。本発明は、さらに、熱可塑性縮合ポリマーの加水分解方法、本発明に係る添加剤組成物の使用および熱可塑性縮合ポリマー組成物の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1種の無機物質、少なくとも1種の亜硫酸の有機誘導体、および/または少なくとも1種のチオ硫酸塩と、
b)少なくとも1種の有機リン化合物と、
を含むか、または上記a)及びb)からなる添加剤組成物。
【請求項2】
無機亜硫酸塩が、亜硫酸塩、二亜硫酸塩、または一価、二価、三価、または四価金属の亜硫酸水素塩であり、前記金属が、好ましくはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、および/または亜鉛であることを特徴とする、請求項1に記載の添加剤組成物。
【請求項3】
亜硫酸の有機誘導体が、亜硫酸の有機エステル、またはスルフィン酸の有機エステル、好ましくは直鎖または分岐の脂肪族エステルまたは芳香族エステルであることを特徴とする、請求項1または2に記載の添加剤組成物。
【請求項4】
無機チオ硫酸塩が、一価、二価、三価、または四価金属のチオ硫酸塩であり、前記金属が、好ましくはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、および/または亜鉛であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の添加剤組成物。
【請求項5】
前記有機リン化合物が、加水分解性であり、好ましくはP原子当たり少なくとも1つ、特に好ましくは少なくとも2つ、ことさら好ましくは3つの脂肪族エステル基を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の添加剤組成物。
【請求項6】
有機リン化合物が、
1つ、2つ、または3つの直鎖または分岐のアルコキシ基を有する亜リン酸塩、
以下からなる群より選択される亜リン酸塩、
【化1】
ただし、R
1はすべての発生において同じかまたは異なっており、1~36個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル残基、およびアリール残基からなる群から選択され、
式P(OR
1)
3の化合物であって、R
1が、4~32個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル残基、特にトリラウリルホスファイト、トリイソデシルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリヘキサデシルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、トリベヘニルホスファイト、トリアラキジルホスファイト、トリセリルホスファイト(Tricerylphosphit)、トリオレイルホスファイト、トリオレイルホスファイト、およびトリス(2-エチルヘキシル)ホスファイトからなる群から選択されるもの、
ジホスホン酸塩およびそれらのより高分子のホモログ、ポリホスファイト、
部分的にエステル化されたホスホン酸化合物、例えばモノステアリルホスファイトまたはその互変異性体の形のモノステアリルホスホネートまたはジステアリルホスファイトおよびそれらのアルカリ塩、アルカリ土類塩、アルミニウム塩、または亜鉛塩、
ホスホナイトおよび/または、
リン酸塩、二リン酸塩、メタリン酸塩、および前記亜リン酸塩に由来するポリリン酸塩
からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の添加剤組成物。
【請求項7】
前記有機リン化合物が亜リン酸塩であり、好ましくは以下からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の添加剤組成物。
【化2】
【化3】
ただし、nは3~100である。
【化4】
【請求項8】
前記有機リン化合物が、以下の化合物のようなホスホナイトであることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の添加剤組成物。
【化5】
【請求項9】
前記有機リン化合物がリン酸塩であり、好ましくは、トリラウリルホスフェート、トリイソデシルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリヘキサデシルホスフェート、トリオクタデシルホスフェート、トリベヘニルホスフェート、トリアラキジルホスフェート、トリセリルホスフェート(Tricerylphosphat)、トリセチルホスフェート、トリオレイルホスフェートまたはトリス(2-エチルヘキシル)ホスフェートからなる群より選択されるトリアルキルリン酸塩、二リン酸塩、ポリリン酸塩、およびモノステアリルホスフェートまたはジステアリルホスフェートのような部分的にエステル化されたリン酸化合物、ならびにモノアルキルリン酸塩、ジアルキルリン酸塩、およびトリアルキルリン酸塩の群からなる少なくとも2種のリン酸塩の混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の添加剤組成物。
【請求項10】
少なくとも1種の亜硫酸塩、少なくとも1種の亜硫酸の有機誘導体、および/または少なくとも1種のチオ硫酸塩の合計と、少なくとも1種の有機リン化合物の合計と、の質量比が、20:1~1:20、好ましくは10:1~1:10、特に好ましくは5:1~1:5であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の添加剤組成物。
【請求項11】
(A)少なくとも1種の縮合ポリマーと、
(B)請求項1~10のいずれか1項に記載の添加剤組成物と、
を含むか、または上記(A)および(B)からなる縮合ポリマー組成物。
【請求項12】
前記縮合ポリマーが、
脂肪族または芳香族ジカルボン酸およびジオールのポリエステル、またはポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート-co-アジペート)、ポリ(ブチレンアジペート)(PBA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリエチレンフラノエート(ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート))(PEF)、ポリエチレンナフチレート、ポリ-1,4-ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリヒドロキシベンゾエート、ポリヒドロキシナフタレート、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ-3-ヒドロキシブチレート、ポリ-4-ヒドロキシブチレート、ポリ-3-ヒドロキシバレレート、ポリ(ヘキサメチレンサクシネート)などのヒドロキシルカルボン酸のポリエステル、ならびに2種以上の上記ポリマーのコポリマーおよび混合物またはブレンド;
PA 6、PA 6.6、PA 6.10、PA 4.6、PA 4.10、PA 6.12、PA 10.10、PA 10.12、PA 12.12、PA 11、PA 12などのポリアミド;
例えば、テレフタル酸および/またはイソフタル酸ならびに脂肪族ジアミンから、あるいはアジピン酸またはセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸ならびに1,4-または1,3-ジアミンベンゼンなどの芳香族ジアミンから調製される、ポリフタルアミドなどの半芳香族ポリアミド;
ポリカーボネートまたはポリエステルカーボネート;ならびに
上記ポリマーの2種以上の混合物、配合物、またはブレンド;
からなる群より選択されることを特徴とする、請求項11に記載の縮合ポリマー組成物。
【請求項13】
前記縮合ポリマーが、PLA、PBA、およびそれらのコポリマーからなる群より選択されることを特徴とする、請求項11または12に記載の縮合ポリマー組成物であって、PLAコポリマーが、好ましくはヒドロカルボン酸、特にグリコール酸、4-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ吉草酸、またはマンデル酸;ジオール、特にエチレングリコールまたはブタンジオール;および/またはカルボン酸、特にアジピン酸、またはテレフタル酸から選択されるコポリマーを用いたD-ラクチドおよび/またはL-ラクチドの開環重合により得られるものである、縮合ポリマー組成物。
【請求項14】
0.01~10.00質量%、好ましくは0.05~5.00質量%、特に好ましくは0.10~2.00質量%の前記添加剤組成物が、全縮合ポリマー組成物に対して含有されることを特徴とする、請求項11~13のいずれか1項に記載の縮合ポリマー組成物。
【請求項15】
少なくとも1種の添加剤が、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、UV吸収剤、光安定剤、金属不活性化剤、フィラー不活性化剤、抗オゾン剤、核形成剤、抗核形成剤、強化剤、金型潤滑剤、レオロジー改善剤、チクソトロピック剤、鎖延長剤、加工助剤、抜型剤、難燃剤、顔料、蛍光増白剤、抗菌活性剤、スリップ剤、抗ブロッキング剤、カップリング剤、架橋剤、抗架橋剤、親水化剤、疎水化剤、加水分解安定剤、結合剤、分散剤、相溶化剤、脱酸素剤、掃酸剤、膨張剤、分解剤、消泡剤、消臭剤、マーキング剤、および防曇剤からなる群より選択されることを特徴とする、請求項11~14のいずれか1項に記載の縮合ポリマー組成物。
【請求項16】
全縮合ポリマー組成物に対し、0.01~5.00質量%、好ましくは0.05~3.00質量%、特に好ましくは0.10~1.00質量%の少なくとも1種の添加剤が、縮合ポリマー組成物中に含まれることを特徴とする、請求項11~15のいずれか1項に記載の縮合ポリマー組成物。
【請求項17】
構成要素(A)および(B)100質量部に対し、少なくとも1種の可塑剤、フィラー、および/または補強材が80質量部まで、好ましくは0.1~60質量部、特に好ましくは1~50質量部含有されることを特徴とする、請求項12~16のいずれか1項に記載の縮合ポリマー組成物。
【請求項18】
i)分解剤が、遷移金属カルボン酸塩、特にステアリン酸鉄(III)および/またはステアリン酸マンガン(II)のような有機遷移金属化合物からなる群より選択されるものであり;
ii)可塑剤が、トリブチルアセチルクエン酸塩、トリブチルクエン酸塩、トリエチルアセチルクエン酸塩、トリエチルクエン酸塩、グリセロールトリアセテート、エポキシ化大豆油、および/またはエポキシ化亜麻仁油からなる群より選択されるものであり;
iii)核形成剤が、タルカム、単官能および多官能カルボン酸、特に安息香酸、コハク酸、アジピン酸のアルカリ塩またはアルカリ土類塩、例えば安息香酸ナトリウムおよびアルミニウムヒドロキシ-ビス(4-tert-ブチル)ベンゾエート;グリセリン酸亜鉛、2,2’-メチレン-ビス-(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、トリメシン酸トリシクロヘキシルアミド、トリメシン酸トリ(4-メチルシクロヘキシルアミド)、トリメシン酸トリ(tert-ブチルアミド)、N,N’,N’’-1,3,5-ベンゼントリイルトリス(2,2-ジメチル-プロパンアミド)、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジシクロヘキシルアミドなどのトリスアミドおよびジアミド;および/またはオロト酸からなる群より選択されるものであり;
iv)鎖延長剤が、ジエポキシド、ビス-オキサゾリン、ビス-オキサゾロン、ビス-オキサジン、ジイソシアネート、二無水物、ビス-アシルラクタム、ビス-マレイミド、ジシアナート、カルボジイミド、および/またはポリマー鎖延長剤、例えばポリスチレンポリアクリレートポリグリシジル(メタ)アクリレートコポリマー、ポリスチレンマレイン酸無水物コポリマー、およびポリエチレンマレイン酸無水物コポリマーからなる群より選択されるものであり;
v)フィラーおよび/または補強材が、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、タルカム、雲母、カオリン、金属酸化物、金属水酸化物、黒色炭素、グラファイト、木粉、セルロースなどの天然産物の繊維;ガラス繊維、炭素繊維、ポリアラミド繊維、および他の合成ポリマー繊維、ハイドロタルサイト、ゼオライト、および/またはモンモリロナイト、ベントナイト、ベイデライト、マイカ、ヘクトライト、サポナイト、バーミキュライト、レディカイト、マガディアイト、イライト、カオリナイト、ウォラストナイト、アタパルガイトなどのフィロケイ酸塩からなる群より選択されるものである、ことを特徴とする請求項15~17のいずれか1項に記載の縮合ポリマー組成物。
【請求項19】
縮合ポリマー組成物が、
(A)85.00~99.98質量部、好ましくは96.00~99.90質量部の少なくとも1種の縮合ポリマーと、
(B)0.01~10.00質量部、好ましくは0.05~5.00質量部、特に好ましくは0.10~2.00質量部の添加剤組成物と、
(C)0.01~5.00質量部、好ましくは0.05~3.00質量部の少なくとも1種の添加剤
を含むか、または、前記(A)、(B)及び(C)からなることを特徴とする、請求項11~18のいずれか1項に記載の縮合ポリマー組成物。
【請求項20】
請求項11~19のいずれか1項に記載の縮合ポリマー組成物からの成形コンパウンドまたは成形部品であって、特にフォイル(フィルム)、特にマルチフィルム、トンネルフィルム、または穴あきフィルムなどの農業用フィルム、リボン、中空体および発泡体、射出成形された部品、繊維、セクションおよびその他の押出成形品、溶融層モデリング(FLM)、積層モデリング(LLM)、選択的レーザー焼付(SLS)、およびその他の3D印刷プロセスなどの付加的または生成的生産プロセスからの部品、食品または化粧品用包装、活性成分および生物学的活性物質のカプセル化、包帯材料、外科用縫合材料、および/または特に使い捨ておむつ、生理用ナプキン、タンポンの構成要素としての衛生用品の形態であることを特徴とする、成形コンパウンドまたは成形部品。
【請求項21】
縮合ポリマーの加水分解方法であって、請求項1~10のいずれか1項に記載の添加剤組成物を縮合ポリマーに添加し、前記添加剤組成物を加水分解条件に曝すことを特徴とする、加水分解方法。
【請求項22】
添加剤を添加された縮合ポリマーが加水分解条件に曝された時に、添加剤組成物を添加されていない縮合ポリマーと比較して、添加剤組成物が添加された縮合ポリマーの加水分解を促進するための、請求項1~10のいずれか1項に記載の添加剤組成物の使用。
【請求項23】
請求項11~19のいずれか1項に記載の縮合ポリマー組成物の使用であって、
前記使用が、
-包装、特に食品または化粧品用の包装の製造のための使用;
-特に有効成分や他の生物学的活性物質のカプセル化のための医薬品産業における使用;
-特に包帯材料および外科用縫合材料の製造のための医療技術における使用;
-特に使い捨ておむつ、生理用ナプキン、タンポンの構成要素としての衛生用品における使用;および/または
-例えばマルチフィルム、トンネルフィルム、穴あきフィルムなどの農業用フィルムの製造のための、農業用途における使用、
であることを特徴とする縮合ポリマー組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機亜硫酸塩、亜硫酸の有機誘導体、および/またはチオ硫酸塩、ならびに有機リン化合物を含み、熱可塑性縮合ポリマーに作用させると使用時に前記熱可塑性縮合ポリマーの加水分解を促進することができる添加剤組成物に関する。本発明は、さらに、本発明による添加剤組成物で付加される縮合ポリマー組成物に関する。本発明は、さらに、熱可塑性縮合ポリマーの加水分解方法、本発明による添加剤組成物および熱可塑性縮合ポリマー組成物の使用に関する。
【0002】
PETのような縮合ポリマーおよびPA-6のようなポリアミドは、包装用や技術用として重要なプラスチックであり、長期間の使用を目的とした製品も多くある。PLA(ポリ乳酸)またはPBS(ポリブチレンサクシネート)のような再生可能資源から作られるポリエステル系ポリマーは、今日特に、包装産業および農業用途における石油系プラスチックの代替材料として検討されている。しかしながら、例えばフィルムの形態でのこれらの用途は、むしろ耐用年数が短い。しかし、耐用年数とは別に、機械的特性などの特性を早期に失わないために、部品の製造時や加工中の配合時に縮合ポリマーが(既存の)損傷を受けないようにする必要がある。この目的のためには、安定剤および/または酸化防止剤のような添加剤がしばしば配合される。
【0003】
重縮合ポリマー、特にポリ乳酸の分解を促進するための一連の可能性が記述されている。例えば、選択された微生物(W. Pattanasuttichonlakul et al., International Biodeterioration and Biodegradation, 2018, 132, 74-83)または酵素(WO2005/063037)の使用など、特殊な環境条件によって分解が加速されることがある。
【0004】
他の可能性としては、TiO2ナノ粒子(Y. Luo et al. J. Appl. Pol. Sci. 2018, 46509, 1-8)またはシリカナノ粒子(P. Georgiopoulus et al. Journal of Biomaterials Applications 2014, 29, 662-674)などの光触媒分解を得るための分解促進添加剤、またはステアリン酸マンガン(CN 103408827)などの酸化促進添加剤を添加することである。
【0005】
さらに、MgOまたはZnO(US 20140360728)などの無機物質、またはキトサンまたはケラチンなどの有機フィラーの添加によってPLAの分解に影響を与える方法が知られている(M. A. Elsawy et al. Renewable and Sustainable Energy Reviews 2017, 79, 1346-1352)。
【0006】
PLAブレンドはさらに、ポリブチレンサクシネートとのPLAブレンドのようなより速く分解可能なポリマーとの組合せで記載されている(Y. Wang et al., Polym Bull. 2016, 73, 1067-1083)。
【0007】
従来知られている分解促進法は、プラスチック部品の製造後に使用しなければならないか(微生物、酵素)、一般に分解特性(光化学的、酸化的)または材料の特性(フィラー、ブレンド)を変化させるかのいずれかである。さらに、特に分解は、低pH値または高pH値で起こることが知られている(酸または塩基触媒によるエステル分解、A. Gopferich, Biomaterials, 1996, 17, 103-114)。しかし、加工における酸または塩基環境は、それによってポリマーに大きな損傷がすでに起こっているため、逆効果となる。
【0008】
無機亜硫酸塩は、例えば亜硫酸カルシウムまたは亜硫酸鉛の形で、PVCのようなハロゲンを含むポリマーの安定剤として(例えば、EP0 313 113、US 3,542,725、US2003/0104954)、また、ポリビニルピロリドンの安定剤として(US2,872,433、DE10 2005 005 974)、提案されているが、成形部品の加工または製造におけるポリエステルまたはポリアミドのような熱可塑性重縮合ポリマーの加水分解については、これまで記載がない。
【0009】
亜硫酸の有機エステルは、一般にポリマーの安定化のために知られている(例えば、DD24 79 13、US3,542,725)。
【0010】
固相縮合を介してポリ乳酸(PLA)を調製するための酸化状態+6の亜硫酸触媒の使用(特開2011-201946)、および異なる酸化状態の硫黄化合物を含むこともできる異なる安定剤クラスの添加も同様に記載されている。その目的は、特に加水分解安定性を有するポリマーを得ることである。
【0011】
従って、本発明の目的は、一方では、わずかな(既存の)損傷の有無にかかわらず、重縮合ポリマーの加工を可能にし、すなわち、ポリマーの熱可塑性加工において安定的に作用し、他方では、環境中での加水分解を促進または制御する、添加剤組成物を開発することであった。
【0012】
この目的は、熱可塑性縮合ポリマーの加水分解を促進するための添加剤組成物に関する請求項1の特徴、縮合ポリマー組成物に関する請求項11の特徴、成形コンパウンドまたは成形部品に関する請求項20の特徴、縮合ポリマーの加水分解方法に関する請求項21の特徴、添加剤組成物の使用に関する請求項22の特徴、および縮合ポリマー組成物の使用に関する請求項23の特徴によって達成される。この点に関するそれぞれの従属請求項は、有利なさらなる発展を表している。
【0013】
したがって、本発明は、第一の態様において、以下を含む、または以下からなる添加剤組成物に関する。
a)少なくとも1種の無機物質、少なくとも1種の亜硫酸の有機誘導体、および/または少なくとも1種のチオ硫酸塩、および
b)少なくとも1種の有機リン化合物。
【0014】
驚くべきことに、本発明による添加剤組成物は、加工における早期の特性損失なしに、環境中での加速された加水分解を有する縮合ポリマー組成物の調製を可能にすることが見出された。
【0015】
例えば、本発明による添加剤組成物は、縮合ポリマーの熱処理中に、特に、熱可塑性縮合ポリマーとの混合、付加、または組み込みによって、縮合ポリマー組成物に組み込むことができる。
【0016】
縮合ポリマーの例示的な熱処理は、例えば熱可塑性状態での処理を表すことができ、原則として縮合ポリマーは、ミキサー、ニーダー、または押出機によって融解されることが好ましい。処理機としては、単軸押出機、二軸押出機、遊星歯車押出機、リング押出機、および好ましくは真空脱気装置を備えたコニーダーのような押出機が好ましい。この処理は、ここでは空気下、または任意選択的に不活性ガス条件下で行うことができる。この点において、添加剤組成物の添加または組み込みは、処理中に行うことができる。
【0017】
熱処理前の添加剤組成物を、例えば、チップ、粉末、ビーズ、またはペレットとして存在し得る熱可塑性縮合ポリマーと混合し、その後、混合物を熱可塑性状態で処理することも同様に可能である。
【0018】
熱処理は非プロトン性条件下で行うことが望ましい。非プロトン性条件は、プロトンを容易に放出できる化合物、例えば酸または水も存在しないような条件と理解される。非プロトン性条件は特に、熱可塑性縮合ポリマーが0.5質量%まで、好ましくは0.05質量%までの水分量を有することを特徴とする。ここでの水分量は、既知の方法、例えばISO 15512:2019に準拠した方法で測定することができる。
【0019】
無機亜硫酸塩は、亜硫酸塩、二亜硫酸塩、または亜硫酸水素塩であってよい。好ましい亜硫酸の塩(亜硫酸塩)は、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸マグネシウム、亜硫酸アルミニウムまたは亜硫酸亜鉛などの1価、2価、3価または4価の金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびアルミニウムまたは亜鉛の塩であることが好ましい。
【0020】
例示的な二亜硫酸塩は、二亜硫酸カリウムまたは二亜硫酸ナトリウムである。
【0021】
例示的なチオ硫酸塩は、例えばチオ硫酸ナトリウムである。
【0022】
結晶水を含まない記載された塩の形態が、特に好ましい。本明細書において、結晶水を含まない塩とは、それぞれの処理条件下で、最大10質量%の結晶水が失われるような塩を指す。また、これは特に、従来の乾燥法によってこの状態に移行することができる塩を含む。
【0023】
使用される亜硫酸塩、二亜硫酸塩、またはチオ硫酸塩は、さらに、それぞれのポリマーの処理温度において十分な熱安定性が存在するように選択される。対応する分解温度は当業者によく知られているか、例えば熱重量分析(TGA)によって決定することができる。
【0024】
亜硫酸の有機誘導体、亜硫酸の有機エステルまたはスルフィン酸の有機エステルは、好ましくは、直鎖または分岐の脂肪族エステルあるいは芳香族エステルである。
【0025】
有機リン化合物は、好ましくは加水分解性であり、したがって少なくとも1つのエステル基、好ましくは2つ、特に好ましくは3つのエステル基を含む。リン酸のエステルの加水分解安定性は、それぞれのアルコールの構造に依存する。芳香族ポリエステル、すなわちフェノール誘導体および立体障害構造は、脂肪族構造、すなわちアルコール誘導体よりも高い耐加水分解性を有する。有機リン化合物は、好ましくは、P原子当たり少なくとも1つ、特に好ましくは少なくとも2つ、殊更好ましくは3つの脂肪族エステル基を有する。特に、直鎖状エステル基、すなわちより小さい立体障害を有するものが、さらに好ましい。
【0026】
さらに好ましい実施形態は、有機リン化合物が、以下からなる群より選択されることを提供する。
直鎖または分岐のアルコキシ基を1つ、2つ、または3つ有する亜リン酸塩
以下からなる群より選択される亜リン酸塩
【化1】
ここで、R
1はすべての発生において同じかまたは異なっており、1~36個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル残基、およびアリール残基からなる群から選択される、
式P(OR
1)
3の化合物であって、R
1が、4~32個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル残基、特にトリラウリルホスファイト、トリイソデシルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリヘキサデシルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、トリベヘニルホスファイト、トリアラキジルホスファイト、トリセリルホスファイト、およびトリオレイルホスファイト、トリス(2-エチルヘキシル)ホスファイトからなる群より選択されるもの、
ジホスホン酸塩、および高分子ホモログ
モノステアリルホスファイト(またはその互変異性体であるモノステアリルホスホネート)またはジステアリルホスファイト(ジステアリルホスホネート)などの部分的にエステル化されたホスホン酸化合物およびそれらのアルカリ塩、アルカリ土類塩、アルミニウム塩または亜鉛塩。
【0027】
ジホスホン酸塩の例としては、ジホスホン酸テトラエチルまたはジホスホン酸テトラプロピルがある。トリ亜リン酸塩の一例は、トリ亜リン酸のP,P’‐ビス(2‐ヒドロキシエチル)エステルである。オリゴホスファイトおよびポリホスファイト(オリゴマーおよびポリマーホスファイト)は、例えば、WO 2011102861、WO 201420519、またはWO 2020123986に記載されている。そこに命名された化合物は、本発明によって等しくカバーされている。
【0028】
リン酸塩、二リン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩など、先に挙げた亜リン酸塩に由来するものもまたカバーされる。
【0029】
先に挙げた亜リン酸塩から派生したリン酸塩、二リン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩のリン原子は、亜リン酸塩のように+IIIではなく、+V-の酸化状態で存在する。
【0030】
有機リン化合物が亜リン酸塩であり、以下の化合物からなる群より選択されることが特に好ましい。
【化2】
【化3】
ここで、nは3から100である。
【化4】
【0031】
本発明の目的に使用することができる好ましいホスホナイトは、以下の化合物である。
【化5】
【0032】
有利なリン酸塩は、トリラウリルホスフェート、トリイソデシルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリヘキサデシルホスフェート、トリオクタデシルホスフェート、トリベヘニルホスフェート、トリアラキジルホスフェート、トリセリルホスフェート、トリセチルホスフェート、トリオレイルホスフェートまたはトリス(2-エチルヘキシル)ホスフェートなどのトリアルキルリン酸塩、二リン酸塩、ポリリン酸塩、ならびにモノステアリルホスフェートまたはジステアリルホスフェートなどの部分的にエステル化されたリン酸化合物、ならびにモノアルキルリン酸塩、ジアルキルリン酸塩、およびトリアルキルリン酸塩の群からなる少なくとも2種のリン酸塩の混合物、からなる群から選択される。
【0033】
さらに好ましい実施形態によれば、添加剤組成物において、少なくとも1種の亜硫酸塩、少なくとも1種の亜硫酸の有機誘導体、および/または少なくとも1種のチオ硫酸塩の合計と、少なくとも1種の有機リン化合物の合計と、の質量比は、20:1~1:20、好ましくは10:1~1:10、特に好ましくは5:1~1:5である。
【0034】
さらなる態様によれば、本発明は、以下を含むか、または以下からなる縮合ポリマー組成物に関する。
(A)少なくとも1種の縮合ポリマー、および
(B)先の請求項のうち一項に従った添加物組成物。
【0035】
より好ましい実施形態によれば、以下からなる群より選択される縮合ポリマーが提供される。
脂肪族または芳香族ジカルボン酸およびジオールのポリエステル、またはポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネート-co-アジペート(PBSA)、ポリ(ブチレンアジペート)(PBA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリエチレンフラノエート(ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート))(PEF)、ポリエチレンナフチレート、ポリ-1,4-ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリヒドロキシベンゾエート、ポリヒドロキシナフタレート、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ-3-ヒドロキシブチレート(PHB)、ポリ-4-ヒドロキシブチレート、ポリ-3-ヒドロキシバレレート(PHV)、ポリ(ヘキサメチレンサクシネート)などのヒドロキシルカルボン酸のポリエステル、ならびに2種以上の上記ポリマーのコポリマーおよび混合物またはブレンド;
PA 6、PA 6.6、PA 6.10、PA 4.6、PA 4.10、PA 6.12、PA 10.10、PA 10.12、PA 12.12、PA 11、PA 12などのポリアミド;
例えば、テレフタル酸および/またはイソフタル酸ならびに脂肪族ジアミンから、あるいはアジピン酸またはセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸ならびに1,4-または1,3-ジアミンベンゼンなどの芳香族ジアミンから調製される、ポリフタルアミドなどの半芳香族ポリアミド;
ポリカーボネートまたはポリエステルカーボネート;ならびに
上記ポリマーのうち2種以上の混合物、組み合わせ、またはブレンド。
【0036】
縮合ポリマーは、特にPLA、PBAなどの脂肪族ポリエステル、およびそれらのコポリマーからなる群から選択されることが好ましい。PLAおよびPLAのコポリマーは、好ましくは、D-ラクチドおよび/またはL-ラクチドの開環重合により、任意選択的にヒドロカルボン酸、特にグリコール酸、4-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ吉草酸、またはマンデル酸から選択されるコモノマーを用いて合成される。さらなる脂肪族ポリエステルは、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオールなどの脂肪族ジオール、およびマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、フマル酸、またはイタコン酸などの脂肪族ジカルボン酸から合成される。
【0037】
脂肪族構造に加えて、芳香族構造も、最大20モル%、好ましくは10モル%未満、特に好ましくは1モル%未満という第二の程度まで存在することができる。ジオール中の好適な芳香族構造は、ヒドロキノン、レゾルシノール、2,6-ナフタレンジオール、1,8-ナフタレンジオール、ビスフェノール-A;ジカルボン酸では、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸;2,5-フランジカルボン酸は複素環芳香族ジカルボン酸の一例である。
【0038】
本発明による縮合ポリマー組成物には、全縮合ポリマー組成物に対して、0.01~10.00質量%、好ましくは0.05~5.00質量%、特に好ましくは0.10~2.00質量%の添加剤組成物が含まれることが好ましい。
【0039】
本発明による縮合ポリマー組成物は、さらに、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、UV吸収剤、光安定剤、金属不活性化剤、フィラー不活性化剤、抗オゾン剤、核形成剤、抗核形成剤、強化剤、金型潤滑剤、レオロジー改善剤、チクソトロピック剤、鎖延長剤、加工助剤、抜型剤、難燃剤、顔料、蛍光増白剤、抗菌活性剤、帯電防止剤、スリップ剤、抗ブロッキング剤、カップリング剤、架橋剤、抗架橋剤、親水化剤、疎水化剤、加水分解安定剤、結合剤、分散剤、相溶化剤、脱酸素剤、掃酸剤、膨張剤、分解剤、消泡剤、消臭剤、マーキング剤、および防曇剤からなる群より選択される少なくとも1種の添加剤を含むことができる。
【0040】
ここで、少なくとも1種の添加剤が、全縮合ポリマー組成物に対して、0.01~5.00質量%、好ましくは0.05~3.00質量%、特に好ましくは0.10~1.00質量%含まれていると有利である。
【0041】
可塑剤、ガラス繊維および/または炭素繊維のような繊維、およびフィラーは添加剤と見なされない。縮合ポリマー組成物中に可塑剤、繊維、および/またはフィラーが含まれる場合、これらの物質は、上記縮合ポリマー組成物100質量部に対して、合計で80質量部まで含有させることができる。
【0042】
好ましい実施形態において、組成物は、特に、さらなるクラスの核形成剤、分子量を低下させる添加剤(鎖延長剤)またはフィラーを含む。
【0043】
好ましい核形成剤は、タルカム、安息香酸、コハク酸、アジピン酸のような単官能および多官能カルボン酸のアルカリ塩またはアルカリ土類塩、例えば安息香酸ナトリウム、グリセリン酸亜鉛、アルミニウムヒドロキシ-ビス(4-tert-ブチル)ベンゾエート、2,2’-メチレン-ビス-(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、ならびにトリメシン酸トリシクロヘキシルアミド、トリメシン酸トリ(4-メチルシクロヘキシルアミド)、トリメシン酸トリ(tert-ブチルアミド)、N,N’、N’’-1,3,5ベンゼントリイルトリス(2,2-ジメチル-プロパンアミド)または2,6-ナフタレンジカルボン酸シクロヘキシルアミドのようなトリスアミドおよびジアミドあるいはオロト酸である。
【0044】
分子量を増加させる好ましい添加剤(鎖延長剤)は、ジエポキシド、ビス-オキサゾリン、ビス-オキサゾロン、ビス-オキサジン、ジイソシアネート、二無水物、ビス-アシルラクタム、ビス-マレイミド、ジシアナート、カルボジイミドである。さらに好適な鎖延長剤は、ポリスチレンポリアクリレートポリグリシジル(メタ)アクリレートコポリマー、ポリスチレンマレイン酸無水物コポリマー、およびポリエチレンマレイン酸無水物コポリマーなどの高分子化合物である。
【0045】
好ましいフィラーおよび/または補強材は、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、タルカム、雲母、カオリン、金属酸化物および金属水酸化物、黒色炭素、グラファイト、木粉、またはセルロース、ガラス繊維、炭素繊維、ポリアラミド繊維などの天然産物の繊維、および他の合成ポリマー繊維である。さらに適切なフィラーは、ハイドロタルサイトまたはゼオライトまたは、モンモリロナイト、ベントナイト、ベイデライト、マイカ、ヘクトライト、サポナイト、バーミキュライト、レディカイト(ledikite)、マガディアイト、イライト、カオリナイト、ウォラストナイト、アタパルガイトなどのフィロケイ酸塩である。
【0046】
本発明による組成物を追加的に構成し得るさらなる添加剤の例は、以下の一次および二次酸化防止剤である。
適切な一次酸化防止剤(A)は、フェノール系酸化防止剤、アミン、ラクトンである。
【0047】
適切なフェノール系酸化防止剤は、例えば以下のものである。
2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2-tert-ブチル-4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-n-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-イソブチルフェノール、2,6-ジシクロペンチル-4-メチルフェノール、2-(α-メチルシクロヘキシル)-4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジオクタデシル-4-メチルフェノール、2,4,6-トリシクロヘキシルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシメチルフェノールなどのアルキル化モノフェノール、2,6-ジノニル-4-メチルフェノール、2,4-ジメチル-6-(1’-メチルウンデック-1’-イル)フェノール、2,4-ジメチル-6-(1’-メチルヘプタデック-1’-イル)フェノール、2,4-ジメチル-6-(1’-メチルトリデック-1’-イル)フェノールなどの直鎖または分岐ノニルフェノール、およびこれらの混合物;
2,4-ジオクチルチオメチル-6-tert-ブチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6-メチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6-エチルフェノール、2,6-ジドデシルチオメチル-4-ノニルフェノールなどのアルキルチオメチルフェノール;
例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、2,6-ジフェニル-4-オクタデシルオキシフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルステアレート、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)アジペートなどのヒドロキノンおよびアルキル化ヒドロキノン;
α-、β-、γ-、δ-トコフェロールおよびこれらの混合物などのトコフェロール(ビタミンE);
2,2’-チオビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2’-チオビス(4-オクチルフェノール)、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)、4,4’-チオビス(3,6-ジ-sec-アミルフェノール)、4,4’-ビス(2,6-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ジスルフィドなどのヒドロキシル化チオジフェニルエーテル;
2,2’-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-エチルフェノール)、2,2’-メチレンビス[4-メチル-6-(α-メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2’-メチレンビス(6-ノニル-4-メチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(6-tert-ブチル-4-イソブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス[6-(α-メチルベンジル)-4-ノニルフェノール]、2,2’-メチレンビス[6-(α,α-ジメチルベンジル)-4-ノニルフェノール]、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、4,4’-メチレンビス(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)、1,1-ビス(5- tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、2,6-ビス(3-tert-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール、1,1,3-トリス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、1,1-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-n-ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコール-ビス[3,3-ビス(3’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2-(3’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-メチルベンジル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェニル]テレフタレート、1,1-ビス-(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-4-n-ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5-テトラ(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ペンタンなどのアルキリデンビスフェノール;
3,5,3’,5’-テトラ-tert-ブチル-4,4’-ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル-4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリデシル-4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルメルカプトアセテートなどのO-、N-およびS-ベンジル化合物;
ジオクタデシル-2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシベンジル)マロネート、ジオクタデシル-2-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)マロネート、ジドデシルメルカプトエチル-2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート、ビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル]-2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネートなどのヒドロキシベンジル化マロン酸塩;
1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,4-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,3,5,6-テトラメチルベンゼン、2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノールなどの芳香族ヒドロキシベンジル化合物;
2,4-ビス(オクチルメルカプト)-6-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-オクチルメルカプト-4,6-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-オクチルメルカプト-4,6-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-1,2,3-トリアジン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルエチル)-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリス(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートなどのトリアジン化合物;
ジメチル-2,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルベンジルホスホネート、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸のモノエチルエステルのカルシウム塩などのベンジルホスホン酸塩;
4-ヒドロキシラウラニリド、4-ヒドロキシステアラニリド、オクチル-N-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)カルバメートなどのアシルアミノフェノール;
β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と、メタノール、エタノール、n-オクタノール、i-オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンなどの一価または多価アルコールと、のエステル;
β-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロピオン酸と、メタノール、エタノール、n-オクタノール、i-オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン、3,9-ビス[2-{3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどの一価または多価アルコールと、のエステル;
β-(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンなどの一価または多価アルコールと、のエステル;
(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)酢酸と、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンなどの一価または多価アルコールと、のエステル;
N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミド、N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミド、N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミド、N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジド、N,N’-ビス[2-(3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオニルオキシ)エチル]オキサミド(ナウガード(登録商標)XL-1、ユニロイヤル社製)などのβ-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド;
アスコルビン酸(ビタミンC)。
【0048】
特に好ましいフェノール系酸化防止剤は、以下の構造である。
【化6】
【化7】
【化8】
【0049】
さらに好ましいフェノール系酸化防止剤は、トコフェロール(ビタミンE)、トコトリエノール、トコモノエノール、カロテノイド、ヒドロキシチロソール、クリシンなどのフラバノール、ケルセチン、ヘスペリジン、ネオヘスペリジン、ナリンギン、モリン、カンファーオイル、フィセチン、デルフィニジンおよびマルビジンなどのアントシアニン、クルクミン、カルノシン酸、カルノソール、ロスマリン酸、タンニン、およびレスベラトロールなどの持続可能な原料に基づくものである。
【0050】
適切なアミン系酸化防止剤は、例えば以下のものである。
N,N’-ジ-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1-エチル-3-メチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1-メチルヘプチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジシクロヘキシル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(2-ナフチル)-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1-メチルヘプチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、4-(p-トルエンスルファモイル)ジフェニルアミン、N,N’-ジメチル-N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N-アリルジフェニルアミン、4-イソプロポキシジフェニルアミン、N-フェニル-1-ナフチルアミン、N-(4-tert-オクチルフェニル)-1-ナフチルアミン、N-フェニル-2-ナフチルアミン、例えばp,p’-ジ-tert-オクチルジフェニルアミン、4-n-ブチルアミノフェノール、4-ブチリルアミノフェノール、4-ノナノイルアミノフェノール、4-ドデカノイルアミノフェノール、4-オクタデカノイルアミノ-フェノール、ビス(4-メトキシフェニル)アミン、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノメチル-フェノール、2,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、1,2-ビス[(2-メチルフェニル)アミノ]エタン、1,2-ビス(フェニルアミノ)プロパン、(o-トリル)ビグアニド、ビス[4-(1’,3’-ジメチルブチル)フェニル]アミン、tert-オクチル化N-フェニル-1-ナフチルアミンなどのオクチル化ジフェニルアミン、モノアルキル化およびジアルキル化されたtert-ブチル/tert-オクチルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化およびジアルキル化されたノニルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化およびジアルキル化されたドデシルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化およびジアルキル化されたイソプロピル/イソヘキシル-ジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化およびジアルキル化されたtert-ブチルジフェニルアミンの混合物、2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-4H-1,4-ベンゾチアジン、フェノチアジン、モノアルキル化およびジアルキル化されたtert-ブチル/tert-オクチルフェノチアジンの混合物、モノアルキル化およびジアルキル化されたtert-オクチルフェノチアジンの混合物、N-アリルフェノチアジン、N,N,N’,N’-テトラフェニル-1,4-ジアミノブタ-2-エンおよびその混合物または配合物。
【0051】
好ましいアミン系酸化防止剤は、N,N’-ジ-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1-エチル-3-メチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1-メチルヘプチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジシクロヘキシル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(2-ナフチル)-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1-メチルヘプチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミンである。
【0052】
さらに好ましいアミン系酸化防止剤は、N,N-ジアルキルヒドロキシルアミン、N,N-ジベンジルヒドロキシルアミン、N,N-ジラウリルヒドロキシルアミン、N,N-ジステアリルヒドロキシルアミン、N-ベンジル-α-フェニルニトロン、N-オクタデシル-α-ヘキサデシルニトロン、および以下の式に従うゲノックスEP(アディバント社)などのヒドロキシルアミンまたはN-オキシド(ニトロン)である。
【化9】
R
1,R
2=C
14-C
24アルキル
【0053】
適切なラクトンは、3-[4-(2-アセトキシエトキシ)フェニル]-5,7-ジ-tert-ブチル-ベンゾフラン-2-オン、5,7-ジ-tert-ブチル-3-[4-(2-ステアロイルオキシエトキシ)フェニル]ベンゾフラン-2-オン、3,3’-ビス[5,7-ジーtert-ブチル-3-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)ベンゾフラン-2-オン]、5,7-ジ-tert-ブチル-3-(4-エトキシフェニル)ベンゾフラン-2-オン、3-(4-アセトキシ-3,5-ジメチルフェニル)-5,7-ジ-tert-ブチル-ベンゾフラン-2-オン、3-(3,5-ジメチル-4-ピバロイルオキシフェニル)-5,7-ジ-tert-ブチル-ベンゾフラン-2-オン、3-(3,4-ジメチルフェニル)-5,7-ジーtert-ブチル-ベンゾフラン-2-オン、3-(2,3-ジメチルフェニル)-5,7-ジ-tert-ブチル-ベンゾフラン-2-オンなどのベンゾフラノンおよびインドリノンである。
【0054】
適切な二次酸化防止剤は、スルフィドおよびジスルフィドなどの有機硫黄化合物、例えばジステアリルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート;ジトリデシルジチオプロピオネート、ジテトラデシルチオジプロピオネート、3-(ドデシルチオ)-、1,1’-[2,2-ビス[[3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ]メチル]-1,3-プロパンジイル]プロパン酸エステルである。
【0055】
適切な光安定剤は、例えば、2-(2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-ヒドロキシベンゾフェノン、安息香酸のエステル、アクリル酸塩、オキサミド、および2-(2-ヒドロキシフェニル)-1,3,-5-トリアジンをベースとする化合物である。
【0056】
適切な2-(2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールは、例えば、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’,5’-ジーtert-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(5’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’,5’-ジーtert-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3’-sec-ブチル-5’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-4’-オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’,5’-ジ-tert-アミル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’,5’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3’-tert-ブチル-5’-[2-(2-エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]-2’-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-(2-メトキシカルボニルエチル)フェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-(2-メトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’-tert-ブチル-5’-[2-(2-エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’-ドデシル-2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-(2-イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-ベンゾトリアゾール-2-イルフェノール];2-[3’-tert-ブチル-5’-(2-メトキシカルボニルエチル)-2’-ヒドロキシフェニル]-2H-ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300とのエステル交換生成物;[R-CH2 CH2-COO-CH2 CH2-]-2(R = 3’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシ-5’-2H-ベンゾトリアゾール-2-イルフェニル、2-[2’-ヒドロキシ-3’-(α,α-ジメチルベンジル)-5’-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-3’-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-5’-(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール)である。
【0057】
適切な2-ヒドロキシベンゾフェノンは、例えば、2-ヒドロキシベンゾフェノンの4-ヒドロキシ-、4-メトキシ-、4-オクチルオキシ-、4-デシルオキシ-4-ドデシルオキシ、4-ベンジルオキシ、4,2’,4’-トリヒドロキシ-および2’-ヒドロキシ-4,4’-ジメチルオキシ誘導体である。
【0058】
適切なアクリル酸塩は、例えば、エチル-α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート、イソオクチル-α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート、メチル-α-カルボメトキシシンナメート、メチル-α-シアノ-β-メチル-p-メトキシシンナメート、ブチル-α-シアノ-β-メチル-p-メトキシシンナメート、メチル-α-カルボメトキシ-p-メトキシシンナメートおよびN-(β-カルボメトキシ-β-シアノビニル)-2-メチルインドリンである。
【0059】
適切な安息香酸エステルは、例えば、4-tert-ブチルフェニルサリチレート、フェニルサリチレート、オクチルフェニルサリチレート、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4-tert-ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2-メチル-4,6-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエートである。
【0060】
適切なオキサミドは、例えば、4、4’-ジオクチルオキシオキサニリド、2、2’-ジエトキシオキサニリド、2、2’-ジオクチルオキシ-5、5’-ジ-tert-ブトキサニリド、2、2’-ジドデシルオキシ-5、5’-ジ-tert-ブトキサニリド、2-エトキシ-2’-エチルオキサニリド、N、N’-ビス(3-ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2-エトキシ-5-tert-ブチル-2’-エトキサニリドおよびその2-エトキシ-2’-エチル-5、4’-ジ-tert-ブトキサニリドとの混合物、o-およびp-メトキシ二置換オキサニリドの混合物ならびにo-およびp-エトキシ二置換オキサニリドの混合物である。
【0061】
適切な2-(2-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリアジンは、例えば、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-プロピルオキシフェニル)-6-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(4-メチルフェニル-1,3,5-トリアジン、 2-(2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-トリデシルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-ブチルオキシプロポキシ)-フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-オクチルオキシプロピルオキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロポキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ)フェニル-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス[2-ヒドロキシ-4-(3-ブトキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシフェニル)-4-(4-メトキシフェニル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン、2-{2-ヒドロキシ-4-[3-(2-エチルヘキシル-1-オキシ)-2-ヒドロキシプロピルオキシ]フェニル}-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル-1,3,5-トリアジンである。
【0062】
適切な金属不活性化剤は、例えば、N,N’-ジフェニルオキサミド、N-サリチラル-N’-サリチロイルヒドラジン、N,N’-ビス(サリチロイル)ヒドラジン、N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、3-サリチロイルアミノ-1,2,4-トリアゾール、ビス(ベンジリデン)オキサリルジヒドラジド、オキサニリド、イソフタロイルジヒドラジド、セバコイル-ビス-フェニルヒドラジド、N,N’-ジアセチルアジポイルジヒドラジド、N,N’-ビス(サリチロイル)オキシリルジヒドラジド、N,N’-ビス(サリチロイル)チオプロピオニルジヒドラジドである。
【0063】
適切なヒンダードアミンは、例えば、1,1-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)サクシネート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-n-ブチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルマロネート、1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジンおよびコハク酸からの縮合生成物、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンおよび4-tert-オクチルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンの鎖状または環状縮合生成物、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ニトリロトリアセテート、テトラキス(2,2,2,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、1’-(1,2-エタンジオール)-ビス(3,3,5,5-テトラメチルピペラジノン)、4-ベンゾイル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、 4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンおよび4-モルホリノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンの鎖状または環状縮合生成物、7,7,9,9-テトラメチル-2-シクロウンデシル-1-オキサ-3,8-ジアザ-4-オキソスピロ-[4,5]デカンおよびエピクロロヒドリンの反応生成物である。
【0064】
以下の構造のオリゴマーおよびポリマーのヒンダードアミンが好適である。
【化10】
【化11】
上記の化合物では、nはそれぞれ3~100を意味する。
【0065】
適切な分散剤は、例えば、ポリアクリレート、例えば、長鎖の側鎖を有するコポリマー、ポリアクリレートブロックコポリマー、アルキルアミド:例えばN,N’-1,2-エタンジイルビスオクタデカンアミド-ソルビタンエステル、例えばモノステアリル-ソルビタンエステル、チタン酸塩およびジルコン酸塩、官能基を有する反応性コポリマー、例えば、ポリプロピレン-co-アクリル酸、ポリプロピレン-co-マレイン酸無水物、ポリエチレン-co-グリシジルメタクリル酸、ポリスチレン-alt-無水マレイン酸-ポリシロキサン:例えば、ジメチルシランジオール-エチレンオキシドコポリマー、ポリフェニルシロキサンコポリマー、両親媒性コポリマー:例えば、ポリエチレンブロックポリエチレンオキシド、デンドリマー、例えば、ヒドロキシル基を含むデンドリマーである。
【0066】
適切な抗核形成剤は、ニグロシンのようなアジン色素である。
【0067】
適切な難燃剤は、特に、Al(OH)3、Mg(OH)2、AlO(OH)、MgCO3などの無機難燃剤、モンモリロナイトまたはセピオライトなどのフィロケイ酸塩、Mg-Al-ケイ酸塩、POSS(多面体オリゴマーシルセスキオキサン)化合物、ハンタイト・ハイドロマグネサイトまたはハロイサイトのような未修飾または有機修飾された複塩である。
【0068】
適切な顔料は、無機または有機の性質のものであり得る。無機顔料は、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化鉄、ウルトラマリン、黒色炭素であり;有機顔料は、例えば、アントラキノン、アンタントロン、ベンズイミダゾロン、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ジオキサジン、イナントロン(inanthrones)、イソインドリン(isoindolines)、アゾ化合物、ペリレン、フタロシアニンまたはピラントロンである。さらに適切な顔料としては、金属ベースのエフェクト顔料または金属酸化物ベースのパール光沢顔料が挙げられる。
【0069】
適切な蛍光増白剤は、例えば、ビス-ベンゾオキサゾール、フェニルクマリン、またはビス(スチリル)ビフェニルであり、特に式に示す蛍光増白剤である。
【化12】
【0070】
適切なフィラー不活性化剤は、例えばポリシロキサン、ポリアクリレート、特にポリメタクリル酸-ポリアルキレンオキシドまたはポリグリシジル-(メタ)アクリレートのようなブロックコポリマーおよびそれらのコポリマー、例えば以下の構造を持つスチレンとエポキシドとのコポリマーである。
【化13】
n = 1~10
【化14】
【0071】
適切な帯電防止剤は、例えば、エトキシル化アルキルアミン、脂肪酸エステル、アルキルスルホン酸塩、およびポリエーテルアミドなどのポリマーである。
【0072】
適切な抗オゾン剤は、N,N’-ジ-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジシクロヘキシル-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1-メチルヘプチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミンなどの上記アミンである。
【0073】
適切な離型剤は、例えば、モンタンワックスである。
【0074】
本発明による添加剤および任意選択的な追加の添加剤のプラスチックへの組み込みは、典型的な処理方法によって行われ、ポリマーは溶融され、本発明による添加剤組成物および任意選択的な追加の添加剤と、好ましくはミキサー、ニーダー、および押出機によって混合される。処理機としては、単軸押出機、二軸押出機、遊星歯車押出機、リング押出機、および好ましくは真空脱気装置を備えたコニーダーのような押出機が好ましい。本明細書において、この処理は、空気下、または任意選択的に不活性ガス条件下で行うことができる。
【0075】
本発明による添加剤組成物は、さらに、例えば10~90%の安定剤または本発明による組成物を含む、いわゆるマスターバッチまたは濃縮物の形態で調製し、ポリマーに組み込むことができる。
【0076】
本発明はさらに、本発明による縮合ポリマー組成物からなり得る、またはそれから製造することができる、特にフォイル(フィルム)、特にマルチフィルム、トンネルフィルム、または穴あきフィルムなどの農業用フィルム、リボン、中空体および発泡体、射出成形された部品、繊維、セクションおよびその他の押出成形品、溶融層モデリング(FLM)、積層モデリング(LLM)、選択的レーザー焼付(SLS)、およびその他の3D印刷プロセスなどの付加的または生成的生産プロセスからの部品、食品または化粧品用包装、活性成分および生物学的活性物質のカプセル化、包帯材料、外科用縫合材料、および/または特に使い捨ておむつ、生理用ナプキン、タンポンの構成要素としての衛生用品の形態の、成形コンパウンドまたは成形部品に関する。
【0077】
さらなる実施形態において、本発明は、本発明による上記の添加剤組成物を縮合ポリマーに添加し(additivated)、添加された組成物を加水分解条件に曝す、縮合ポリマーの加水分解方法に関する。加水分解の条件は、例えば、特に下水道、廃棄物の堆肥化、および一般に河川および海洋などの環境における、湿度、特に30%を超える高湿度のために、プラスチック組成物が水と接触したときに与えられる。
【0078】
本発明は、さらに、添加剤組成物を添加された(additivated)縮合ポリマーが加水分解条件に曝された時に、添加剤組成物を添加されていない縮合ポリマーと比較して加水分解を促進するための、本発明による上記添加剤組成物の使用に関する。
【0079】
本発明による添加剤組成物の記載された使用は、非プロトン性条件下ではそれらが組み込まれる熱可塑性ポリマーの加工安定化を同時に可能にし、また同時に、プロトン性条件下では縮合ポリマーの加水分解の加速を可能にすることが、本願において特に有利である。
【0080】
本発明はさらに、以下の請求項の1項による縮合ポリマー組成物の使用に関する。
-包装、特に食品または化粧品用の包装の製造のための使用;
-特に有効成分や他の生物学的活性物質のカプセル化のための医薬品産業における使用;
-特に包帯材料および外科用縫合材料の製造のための医療技術における使用;
-特に使い捨ておむつ、生理用ナプキン、タンポンの構成要素としての衛生用品における使用;および/または
-例えばマルチフィルム、トンネルフィルム、穴あきフィルムなどの農業用フィルムの製造のための、農業用途における使用。
【0081】
以下、本発明を具体的に示したパラメータに限定することなく、以下の実施形態を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0082】
コービオン社のルミニーL 175(証明書によればD-乳酸 0.5%以下、MVR = 4.7 cm3/10分、190℃で測定/2.16kgスタンプ重量)をPLAとして用いた。ポリマーは、処理前に減圧乾燥庫において80℃で16時間以上乾燥させた。
【0083】
本発明による実施例および比較例の製造は、スクリュー直径は11mm、長さ/直径比(L/D)は40である、サーモサイエンティフィック社の平行二軸押出機プロセス11を用いて押出成形することにより行われた。
【0084】
添加剤をプラスチック袋中のマトリックスポリマーと手動で混合し、体積を測定した。室温で流動性のあるリン酸塩を酢酸エチルで希釈し、既に得られた前記ポリマーと減圧炉において80℃で16時間混合し、続いて減圧炉において60℃で16時間以上乾燥させた。処理は、1kg/hの処理量で、スクリュー速度200 r.p.m.、200℃で行われた。
【0085】
ポリマーは、ペレットとして58℃の脱イオン水中に保存し、経時的にMVRを測定した。
【0086】
MVRの測定は、ゴットフェルト社のメルトインデックス試験ユニットMI-2上で、試験温度190℃、スタンプ重量2.16kgで行った。試料は測定前に80℃の減圧炉で約16時間乾燥させた。予熱時間は4分であった。MVRはcm3/10分で表示する。
【0087】
【0088】
亜リン酸塩として以下の構造のウエストン 618F(SIグループ社製造)を用いた。
【化15】
【0089】
リン酸塩として以下の構造のトリオクチルホスフェート(アルファ・エイサー社)を用いた。
【化16】
【0090】
亜硫酸塩と亜リン酸塩、または亜硫酸塩とリン酸塩の組合せ(本発明による実施例)は、同じ水中保存時間でより高いMVRが得られるので、比較例よりも非常に速い加水分解を実証している。重縮合ポリマーの耐加水分解性は、亜硫酸塩と亜リン酸塩またはリン酸塩との設定比を有する調整された添加レシピによって制御することができる。
【国際調査報告】