(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-30
(54)【発明の名称】身体自動侵襲装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/20 20060101AFI20230523BHJP
A61B 8/06 20060101ALI20230523BHJP
A61B 34/20 20160101ALI20230523BHJP
A61B 5/153 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
A61M5/20
A61B8/06
A61B34/20
A61B5/153 100
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564404
(86)(22)【出願日】2020-11-16
(85)【翻訳文提出日】2022-10-21
(86)【国際出願番号】 KR2020016088
(87)【国際公開番号】W WO2022065582
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】10-2020-0123787
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522300628
【氏名又は名称】エアーズ メディカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AIRS MEDICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】カン スンマン
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒョンロク
(72)【発明者】
【氏名】イ ヘソン
(72)【発明者】
【氏名】キム ユンミョン
【テーマコード(参考)】
4C038
4C066
4C601
【Fターム(参考)】
4C038TA03
4C038UA10
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD12
4C066EE14
4C066FF05
4C066QQ82
4C601DD03
4C601DE01
4C601EE11
4C601FF03
4C601JC15
(57)【要約】
本発明による身体自動侵襲装置は、注射針ユニットの注射針の斜面の方向を調整する斜面調整部と、斜面調整部によって斜面の方向が調整された注射針ユニットを支持して注射針ユニットを身体侵襲が可能な配向(orientation)で配置して侵襲を行う注射針ユニット可動部と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体自動侵襲装置であって、
注射針ユニットの注射針の斜面の方向を調整する斜面調整部と、
前記斜面調整部によって斜面の方向が調整された注射針ユニットを支持して前記注射針ユニットを身体侵襲が可能な配向(orientation)で配置して侵襲を行う注射針ユニット可動部と、を含む、
身体自動侵襲装置
【請求項2】
前記注射針ユニットを第1位置から第2位置に移送する移送部をさらに含む、
請求項1に記載の身体自動侵襲装置。
【請求項3】
前記斜面調整部は、
前記注射針ユニットを支持する支持アームと、
前記支持アームを回転させる駆動部と、
前記注射針の斜面の方向を検知する検知部と、を含む、
請求項1に記載の身体自動侵襲装置。
【請求項4】
前記斜面調整部は、
前記注射針ユニットに当接する少なくとも一つのローラーと、
前記ローラーを回転させて前記注射針ユニットを回転させる第7駆動装置と、
前記注射針の斜面の方向を検知する検知部と、を含む、
請求項1に記載の身体自動侵襲装置。
【請求項5】
前記移送部は、前記注射針ユニットを支持する可動アームを含み、
前記可動アームは、第1位置と第2位置の間で移動する、
請求項2乃至4のいずれか一項に記載の身体自動侵襲装置。
【請求項6】
前記斜面調整部は、第1位置及び第2位置の少なくともいずれか一つの位置に隣接して配置される、
請求項2乃至4のいずれか一項に記載の身体自動侵襲装置。
【請求項7】
前記斜面調整部は、
前記注射針ユニットの回転方向以外の方向への注射針ユニットの動きを制限する移動制限部をさらに含む、
請求項4に記載の身体自動侵襲装置。
【請求項8】
ターゲットの身体位置を探知するためのプローブユニットをさらに含み、
前記プローブユニットは、プローブと、プローブ支持部と、ターゲットの身体を押圧するようになっている押さえ部と、を含む、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の身体自動侵襲装置。
【請求項9】
前記プローブユニットが、前記押さえ部と前記プローブ支持部とを連結する弾性部材をさらに含む、
請求項8に記載の身体自動侵襲装置。
【請求項10】
前記ローラーは、前記注射針ユニットの外周面に当接するか噛み合う歯部を含む、
請求項4または7に記載の身体自動侵襲装置。
【請求項11】
請求項1に記載の身体自動侵襲装置を制御する方法であって、
注射針ユニット可動部が注射針ユニットを支持する第1段階と、
注射針の斜面調整部が注射針の斜面を調整する第2段階と、
注射針ユニットが、身体侵襲を行うことができる配向で注射針ユニット可動部を駆動する第3段階と、
注射針ユニット可動部を駆動させて侵襲を行う第4段階と、を含む、
身体自動侵襲装置の制御方法。
【請求項12】
請求項2に記載の身体自動侵襲装置を制御する方法であって、
注射針の斜面調整部が注射針の斜面を調整する第1段階と、
移送部が、注射針ユニットを第1位置から第2位置に移動させる第2段階と、
注射針ユニット可動部が、第2位置から注射針ユニットを伝達されて注射針ユニットを支持する第3段階と、
注射針ユニットが、身体侵襲を行うことができる配向で注射針ユニット可動部を駆動する第4段階と、
注射針ユニット可動部を駆動させて侵襲を行う第5段階と、を含む、
身体自動侵襲装置の制御方法。
【請求項13】
請求項8に記載の身体自動侵襲装置を制御する方法であって、
注射針ユニット可動部が注射針ユニットを支持する第1段階と、
注射針の斜面調整部が注射針の斜面を調整する第2段階と、
前記押さえ部をターゲットの身体に接触させて移動させる第3段階と、
注射針ユニットが、身体侵襲を行うことができる配向で注射針ユニット可動部を駆動する第4段階と、
注射針ユニット可動部を駆動させて侵襲を行う第5段階と、を含む、
身体自動侵襲装置の制御方法。
【請求項14】
請求項8に記載の身体自動侵襲装置を制御する方法であって、
注射針の斜面調整部が注射針の斜面を調整する第1段階と、
移送部が、注射針ユニットを第1位置から第2位置に移動させる第2段階と
注射針ユニット可動部が、第2位置から注射針ユニットを伝達されて注射針ユニットを支持する第3段階と、
前記押さえ部をターゲットの身体に接触させて移動させる第4段階と、
注射針ユニットが、身体侵襲を行うことができる配向で注射針ユニット可動部を駆動する第5段階と、
注射針ユニット可動部を駆動させて侵襲を行う第6段階と、を含む、
身体自動侵襲装置の制御方法。
【請求項15】
前記押さえ部を直線に移動させる、
請求項13または14に記載の身体自動侵襲装置の制御方法。
【請求項16】
前記押さえ部はターゲットの身体に対して一定した距離範囲内で移動する、
請求項13または14に記載の身体自動侵襲装置の制御方法。
【請求項17】
注射針ユニットの注射針の斜面調整装置であって、
注射針ユニットの内側及び外側の少なくともいずれか一方を支持する保持部と、
前記保持部を回転させて注射針の斜面の方向を調整する駆動部と、を含む、
注射針ユニットの注射針の斜面調整装置。
【請求項18】
注射針ユニットの注射針の斜面調整装置であって、
注射針ユニットの内側及び外側の少なくともいずれか一方を支持する保持部と、
前記注射針ユニットに当接する少なくとも一つのローラーと、
前記ローラーを回転させて注射針の斜面の方向を調整する駆動部と、を含む、
注射針ユニットの注射針の斜面調整装置。
【請求項19】
前記ローラーは、注射針ユニットの外周面に当接するか噛み合う歯部を含む、
請求項18に記載の注射針ユニットの注射針の斜面調整装置。
【請求項20】
前記駆動部は、回転駆動モジュール及びリニア駆動モジュールの少なくともいずれか一つである、
請求項3に記載の身体自動侵襲装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体自動侵襲装置及びその制御方法に関し、より詳しくは、注射針ユニットの注射針の斜面の方向を調整することができる装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病医院などの医療機関で採血や注射液の注入のためにヒトの表在静脈に注射針を刺す場合が非常に多い。現在は、表在静脈などの血管の位置を探るように教育を受けて修練をした医師、看護婦または臨床病理士が表在静脈を探って注射針を刺しているが、教育に長い時間がかかり、専門人力の雇用のための費用も持続的に発生し、かついっぺんに成功することができずに何回刺してこそ成功にいたる場合が多いという問題がある。また、赤ちゃん、年寄り、坑癌治療中の患者のように血管状態が良好ではない場合、もしくは色黒のせいで血管が肉眼でちゃんと見えない場合には、熟練した専門家も血管を探るのが非常に難しいという限界がある。
【0003】
さらに、教育をしっかりと受けた熟練した医療陣であっても、繰り返し採血作業などは、疲労度が高く拒否感を多く引き起こす医療技術でもあり、採血過程で誤って被検者の血液が医療技術者に飛ぶか、医療技術者の身体中に入り込んで感染される危険性も常に存在するなど、ヒトによる採血などは多くの問題点を持っている。
【0004】
本出願人は、このような従来の技術の問題点を解決するために、侵襲を行うべき身体部分、例えば表在静脈の位置を自動で探知する方法に関して、2020年1月29日に韓国特許出願第10-2020-0010302号として、自動身体侵襲装置に関して2020年4月2日に韓国特許出願第10-2020-0040097号として特許出願したところがある。これらの特許出願の内容は、本明細書に全体として援用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国特許登録第10-1601421号(発明の名称:自動採血方法、公告日:2016年3月10日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、侵襲を行うべき身体部分の位置が確定されると、当該位置に侵襲装置を移動させて侵襲を行うにあたり、より好ましい侵襲ができるように、例えば注射針の斜面の配向(orientation)を調整することができる身体自動侵襲装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による身体自動侵襲装置は、注射針ユニットの注射針の斜面の方向を調整する斜面調整部と、前記斜面調整部によって斜面の方向が調整された注射針ユニットを支持して注射針ユニットを身体侵襲が可能な配向(orientation)で配置して侵襲を行う注射針ユニット可動部を含む。
【0008】
本発明による身体自動侵襲装置は、注射針ユニットを第1位置から第2位置に移送する移送部をさらに含むことができる。
【0009】
斜面調整部は、注射針ユニットを支持する支持アームと、前記支持アームを回転させる駆動部と、注射針の斜面の方向を検知する検知部と、を含むことができる。
【0010】
本発明の他の実施形態による斜面調整部は、注射針ユニットに当接する少なくとも一つのローラーと、前記ローラーを回転させて注射針ユニットを回転させる第7駆動装置と、注射針の斜面の方向を検知する検知部と、を含むことができる。
【0011】
前記移送部は、注射針ユニットを支持する可動アームを含むことができ、可動アームは、第1位置と第2位置との間で移動するように設けられることができる。
【0012】
前記斜面調整部は、第1位置及び第2位置の少なくともいずれか一つの位置に隣接して配置されることができる。
前記斜面調整部は、注射針ユニットの回転方向以外の方向への注射針ユニットの動きを制限する移動制限部をさらに含むことができる。
【0013】
本発明による身体自動侵襲装置は、ターゲットの身体位置を探知するためのプローブユニットをさらに含むことができ、プローブユニットは、プローブと、プローブ支持部と、ターゲットの身体を押圧するようになっている押さえ部と、を含むことができる。
【0014】
前記プローブユニットは、押さえ部とプローブ支持部とを連結する弾性部材をさらに含むことができる。
【0015】
前記ローラーは、注射針ユニットの外周面に当接するか噛み合う歯部を含むことができる。
【0016】
本発明による身体自動侵襲装置を制御する方法は、注射針ユニット可動部が注射針ユニットを支持する第1段階と、注射針の斜面調整部が注射針の斜面を調整する第2段階と、注射針ユニットが、身体侵襲を行うことができる配向で注射針ユニット可動部を駆動する第3段階と、注射針ユニット可動部を駆動させて侵襲を行う第4段階と、を含むことができる。
【0017】
本発明の他の態様による制御方法は、注射針の斜面調整部が注射針の斜面を調整する第1段階と、移送部が、注射針ユニットを第1位置から第2位置に移動させる第2段階と、注射針ユニット可動部が、第2位置から注射針ユニットを伝達されて注射針ユニットを支持する第3段階と、注射針ユニットが、身体侵襲を行うことができる配向で注射針ユニット可動部を駆動する第4段階と、注射針ユニット可動部を駆動させて侵襲を行う第5段階と、を含むことができる。
【0018】
本発明のまた他の態様による制御方法は、注射針ユニット可動部が注射針ユニットを支持する第1段階と、注射針の斜面調整部が注射針の斜面を調整する第2段階と、前記押さえ部をターゲットの身体に接触させて移動させる第3段階と、注射針ユニットが、身体侵襲を行うことができる配向で注射針ユニット可動部を駆動する第4段階と、注射針ユニット可動部を駆動させて侵襲を行う第5段階と、を含むことができる。
【0019】
本発明のまた別の態様による制御方法は、注射針の斜面調整部が注射針の斜面を調整する第1段階と、移送部が、注射針ユニットを第1位置から第2位置に移動させる第2段階と、注射針ユニット可動部が、第2位置から注射針ユニットを伝達されて注射針ユニットを支持する第3段階と、前記押さえ部をターゲットの身体に接触させて移動させる第4段階と、注射針ユニットが、身体侵襲を行うことができる配向で注射針ユニット可動部を駆動する第5段階と、注射針ユニット可動部を駆動させて侵襲を行う第6段階と、を含むことができる。
【0020】
前記押さえ部は直線に移動することができる。
前記押さえ部は、ターゲットの身体に対して一定した距離範囲内で移動するように設けられることができる。
【0021】
本発明による注射針ユニットの注射針の斜面調整装置は、注射針ユニットの内側及び外側の少なくともいずれか一方を支持する保持部と、前記保持部を回転させて注射針の斜面の方向を調整する駆動部と、を含むことができる。
【0022】
本発明のまた更なる態様による注射針ユニットの注射針の斜面調整装置は、注射針ユニットの内側及び外側の少なくともいずれか一方を支持する保持部と、前記注射針ユニットに当接する少なくとも一つのローラーと、前記ローラーを回転させて注射針の斜面の方向を調整する駆動部と、を含むことができる。
【0023】
前記ローラーは、注射針ユニットの外周面に当接するか噛み合う歯部を含むことができる。
【0024】
本発明による自動侵襲装置の斜面調整部の駆動部は、回転駆動モジュール及びリニア駆動モジュールの少なくともいずれか一つであってもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、注射針の斜面を所望する方向に調整することで、身体侵襲がより円滑に行われることができる身体自動侵襲装置を提供することができるという効果がある。また、本発明によれば、血管を直線化することにより、血管位置探知及び採血に有利な身体自動侵襲装置を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明による身体自動侵襲装置のブロック図である。
【
図2】本発明による身体自動侵襲装置の斜面調整部の正面図である。
【
図3】本発明による身体自動侵襲装置の斜面調整部の側面図である。
【
図4】本発明による身体自動侵襲装置の移送部の側面図である。
【
図5】本発明による身体自動侵襲装置の移送部の平面図である。
【
図6】本発明の他の実施形態による斜面調整部の平面図である。
【
図7】本発明による身体自動侵襲装置の注射針ユニット可動部の正面図である。
【
図8】本発明による身体自動侵襲装置の注射針ユニット可動部の側面図である。
【
図9】本発明による身体自動侵襲装置のプローブユニットの側面図である。
【
図10】本発明による身体自動侵襲方法の流れ図である。
【
図11】
図10に示された段階の中でターゲットの身体部探知方法の流れ図である。
【
図12】ターゲット血管を探知する方法を説明するための図である。
【
図13】ターゲット血管を探知する方法を説明するための図である。
【
図14】ターゲット血管を探知する方法を説明するための図である。
【
図15】ターゲット血管を探知する方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して本発明について詳しく説明する。
【0028】
本明細書では、本発明の説明に必要な最小限の構成要素のみを説明しており、本発明の本質とは関係ない構成要素は言及しない。そして、言及される構成要素のみを含む排他的な意味で解釈されてはならなく、言及されなかった他の構成要素も含むことができる非排他的な意味で解釈すべきである。
【0029】
本明細書で説明する例示的な実施形態は、本明細書に開示される装置の構造、機能、製作及び用途並びに方法の原理に対する全般的な理解を提供する。このような一つ以上の実施形態が添付図面に示されている。当業者ならここで具体的に記載され、添付図面に示されている装置及び方法が、非制限的でかつ例示的な実施形態であり、本発明の権利範囲は、特許請求の範囲によって定義されるということを理解できるはずである。一つの例示的な実施形態と関連付けられて図示され説明される特徴は、他の実施形態の特徴とも結合され得る。かかる修正(modification)または変更(variation)は、本発明の権利範囲に属するように意図される。
【0030】
本発明の説明において、各段階の順序は、先行段階が論理的及び時間的に必ず後行段階に先立って遂行されるべき場合ではなければ、各段階の順序は、非制限的に理解されなければならない。つまり、前記のような例外的な場合を除き、後行段階として説明された過程が、先行段階として説明された過程よりも先立って遂行されても、発明の本質には影響がなく、権利範囲も段階の手順に関係なく定義されなければならない。そして、本明細書における「AまたはB」は、AとBのどちら一つを選択的に指すだけはなく、AとBのいずれも含むことも意味するものと定義される。また、本明細書における「含む」という用語は、含むものとして挙げられた要素以外に、追加で他の構成要素を更に含むものも包括する意味を有する。
【0031】
本発明における制御方法は、 コンピュータ、タブレットPC、携帯電話、携帯用演算装置、固定式演算装置等の電子的演算装置によって実行され得る。また、 本発明の一つまたはそれ以上の方法又は形態が、少なくとも一つのプロセッサーによって実行されることができることが理解されてほしい。プロセッサーは、コンピュータ、タブレットPC、モバイル装置、携帯用演算装置等に設置されることができる。コンピュータプログラム命令を保存するようになっているメモリーが、これらの装置に設置されていることから、該プログラムが保存されたプログラム命令をプロセッサーが実行するように特別にプログラムされて一つまたはその以上の、本明細書に記載されているようなプロセスを実行することができる。更に、本明細書に記載された情報及び方法等は、一つまたはその以上の更なる構成要素及びプロセッサーを含むコンピュータ、タブレットPC、モバイル装置、携帯用演算装置等によって実行されることができるという点が理解されなければならない。また、制御ロジックは、プロセッサー、制御部・制御ユニットなどによって実行可能なプログラム命令を含む不揮発性のコンピュータ可読媒体で具現できる。コンピュータ可読媒体の例としては、ROM、RAM、CD-ROM、磁気テープ、フロッピーディスク、フラッシュドライブ、スマートカード、光学データ保存装置などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、コンピュータ可読記録媒体は、ネットワークで接続されたコンピュータに分散されて、コンピュータ可読媒体が分散されている方式、例えば遠隔サーバーまたはCAN(Controller Area Network)によって分散された方式で格納されて実行されることもできる。
【0032】
図1には、本発明による身体自動侵襲装置のブロック図が示されている。
図1に示されているように、本発明による身体自動侵襲装置は、制御部100と、斜面調整部22と、移送部20と、注射針ユニット可動部30と、プローブユニット40と、を含む。
【0033】
制御部100は、斜面調整部22、移送部20、注射針ユニット可動部30、及びプローブユニット40の動作を制御する。制御部100は、電子的演算装置の一部になることができ、汎用的なハードウェアと、その機能を遂行するソフトウェアとの論理的結合を意味する。制御部100が本発明による身体自動侵襲装置の作動のために生成する制御命令は、前述のコンピュータ可読記録媒体に格納されたコンピュータプログラムによって生成されることができる。
【0034】
図2には、斜面調整部22の正面図が、
図3には斜面調整部22の側面図が、それぞれ示されている。
【0035】
斜面調整部22は、第1駆動装置16と、第1方向転換部18と、第1回転軸17と、本体部19と、第2空圧装置145と、支持アーム14と、支持台15と、検知部222(例えば、ビジョンセンサー)と、を含む。支持アーム14は、
図3に示されているように、互いに平行に設けられる少なくとも一対のアームで設けられることができ、第2空圧装置145によって互いに向かって近づくかまたは遠ざかる方向に駆動されることができる。支持アーム14は、注射針ユニット200の内側から互いに遠ざかる方向に移動して、注射針ユニット200の内壁に外側放射方向に付勢しながら注射針ユニット200を支持することができる。注射針ユニット200の注射針の端部の斜面の方向は、検知部222によって検知できる。
【0036】
支持台15に設けられている注射針ユニット200における、検知された斜面の方向が所望する方向ではないときには、制御部100の制御命令によって、第1駆動装置16が駆動して本体部19を第1回転軸17に対して回転させることで、支持アーム14によって支持されている注射針ユニット200の注射針の斜面の方向を所望する方向に調整する。第1駆動装置16の駆動力は、第1方向転換部18によって本体部19を回転させる方向に切り替えられる。第1駆動装置16の駆動力の伝達方向を切り替えることは、公知の多様な機構学的構造を採択して具現することができ、第1方向転換部18は、減速機を含むことができる。本明細書にて後述する方向転換部も、必要に応じて減速機を含むことができる。第1駆動装置16は、回転駆動装置、例えば通常のモーターであってもよく、または直線型駆動装置、例えばリニアモーターであってもよい。リニアモーターを使用する場合、第1方向転換部18は、直線運動方向を、支持アーム14を回転させる回転方向に切り替える。
【0037】
斜面調整部22ばかりでなく、後述する他の構成要素に用いられる方向転換部は、必須な構成要素ではなく、駆動装置の設計によって使用されないこともある。
【0038】
図4及び
図5には、本発明の身体自動侵襲装置の移送部20の側面図および平面図がそれぞれ示されている。
図4及び
図5に示されている移送部20には、本発明の他の実施形態による斜面調整部が設けられることができる。本発明の他の実施形態による斜面調整部の平面図が、
図6に示されている。
【0039】
移送部20は、第2駆動装置23と、可動アーム24と、第2回転軸25と、第1本体部26と、第2方向転換部27と、を含む。可動アーム24には、本発明の他の実施形態による斜面調整部が設けられることができる。該斜面調整部は、注射針ユニット200に当接する少なくとも一つのローラー214と、ローラー214を回転させて注射針ユニット200を回転させるようになっている第7駆動装置223と、検知部222(
図4~
図6には図示せず)と、を含むことができる。注射針ユニット200は、第1保持部211によって外側が支持されて所定の位置を保持することができる。第1保持部211は、互いに平行な少なくとも一対のアームを含むことができ、前記アームは、例えば第3空圧装置215によって互いに近づくか遠ざかる方向に駆動されることができる。保持部211が互いに近づいて注射針ユニットの外側に当接すれば、注射針ユニット200の内側方向に付勢して支持することができる。保持部211は、支持アーム14と同様に、注射針ユニット200の内側に支持してもよい。
【0040】
ローラー214の外周面には、歯部が設けられており、注射針ユニット200の外周面に当接することができる。注射針ユニット200の外周面に前記歯部に相補的な歯部が設けられると、互いに噛み合うように当接することができる。ローラー214の材質は、シリコーンまたは合成樹脂乃至金属からなることができる。
【0041】
図6に示された斜面調整部は、注射針ユニット200がローラー214の回転による従属回転方向以外の方向には注射針ユニット200が動かないようにする移動制限部212、213をさらに含むことができる。移動制限部212、213は、注射針ユニット200の外周に複数個が設けられることができる。
【0042】
可動アーム24は、第2駆動装置23の駆動によって第1位置と第2位置との間で移動することができる。本明細書における「第1位置」とは、注射針ユニット200が移送部20に設けられる位置を意味し、「第2位置」とは、移送部20から注射針ユニット可動部30へ注射針ユニット200が伝達される位置を意味する。斜面調整部22は、第1位置に隣接するか第1位置に設けられてもよく、第2位置に隣接するか第2位置に設けられてもよい。もしくは、第1位置や第2位置ではない、第3の位置に設けられても構わなく、かかる場合、可動アーム24は、第1位置から第3位置へ注射針ユニット200を移送して、第3位置で斜面の方向が調整され、第3位置から第2位置へ注射針ユニット200を移送することができる。このような実施形態では、第1位置から第3位置へ注射針ユニット200を移送する可動アームと、第3位置から第2位置に注射針ユニット200を移送する可動アームとは、別個で構成されることもできる。
【0043】
斜面調整部22の位置は、本発明の本質的な技術的思想とは無関係である。または、斜面調整部は複数個が設けられてもよい。斜面調整部が第2位置に設けられるときには、可動アーム24は要らないこともあり得る。
【0044】
図7には、本発明による身体自動侵襲装置の注射針ユニット可動部30の正面図が、
図8には側面図が、それぞれ示されている。
【0045】
注射針ユニット可動部30は、第2本体部31と、第1空圧装置32と、第3駆動装置33と、第4駆動装置34と、連結部材35と、第3回転軸36と、第3方向転換部37と、を含む。
【0046】
連結部材35には、注射針ユニット200が支持され、第1空圧装置32によって駆動される少なくとも一対の第2保持部321によって支持されることができる。
【0047】
可動アーム24が第1位置で第2位置に移動すると、第2位置で第1空圧装置32の作動によって第2保持部321が注射針ユニット200を支持した後、第3空圧装置215の作動によって保持部211と注射針ユニット200との保持状態が解除されることにより、注射針ユニット200が伝達されることができる。注射針ユニット200が伝達された後、可動アーム24は第1位置に戻ることができる。
【0048】
連結部材35に、
図4~
図6に示したような構成の斜面調整部が設けられることも可能である。注射針ユニット200が、
図7に示したように、注射針ユニット可動部30に供給され、注射針ユニット可動部30に斜面調整部が設けられる実施形態では、移送部20が要らないこともあり得る。
【0049】
注射針ユニット200が注射針ユニット可動部30に伝達されて第2保持部321によって支持された状態で、第3駆動装置33及び第4駆動装置34によって身体侵襲が可能な配向(orientation)で注射針ユニット200が整列されてターゲットの身体に侵襲する。
【0050】
まず、第3駆動装置33が駆動されて第2本体部31を所定の侵襲可能な配向の角度を有するように第3回転軸36に対して回転させる。第3駆動装置33の駆動力は、第3方向転換部37によって第3回転軸36に対する回転力に変換される。所定の角度で第2本体部31が回転した状態で、第4駆動装置34が駆動して連結部材35を第2本体部31の長手方向に沿って移動させて侵襲を行う。第2本体部31の長手方向に沿ってボールねじが設けられて連結部材35が移動することができる。
【0051】
図7及び
図8には示されていないが、第2本体部31は、
図7の左右方向及び
図8の左右方向の少なくともいずれか一方向または他方向に移動するように設けられてもよい。
【0052】
図9には本発明によるプローブユニット40の側面図が示されている。
【0053】
本発明によるプローブユニット40は、プローブ41と、プローブ支持部42と、第5駆動装置43と、第6駆動装置44と、レール部45と、可動部46と、第4方向転換部47と、ターゲットの身体を押圧するようになっている押さえ部48と、押さえ部ホルダー485と、を含む。プローブ41は、例えば超音波プローブであることができる。押さえ部48は、押さえ部ホルダー485によって回転可能に支持されることができ、ローラーの形態を取ることができる。押さえ部48及びプローブ支持部42は、弾性部材49(例えば、ばね)によって互いに連結されて押さえ部48が所定の力で身体を押圧するようにすることができる。
【0054】
第5駆動装置43の作動によって、プローブ支持部42は第4回転軸475に対して回転することができる。第5駆動装置43の駆動力は、第4方向転換部47によってプローブ支持部42を第4回転軸475に対して回転させる回転力に切り替えられることができる。
【0055】
可動部46は、第6駆動装置44の作動によって、レール部45の長手方向に沿って移動することができる。レール部45にはボールねじが設けられることができる。
【0056】
プローブユニット40は、身体400の長手方向に移動することができる。ターゲットの身体(例えば、表在静脈)の位置を探知する方法の例示は後述する。ターゲットの身体が血管である場合、直線化をした後に探知すれば位置探知が容易になるので、プローブユニット40を身体支持部300に載置された身体400(例えば、上腕)の長手方向に沿って移動させながら押さえ部48が身体を押圧して直線化させることができる。なお、押さえ部48が直線化のために押す範囲は、ターゲットの身体探知のために有意な距離であり、あらかじめ定められた範囲内に設定することができる。
【0057】
【0058】
段階1100において、注射針ユニット200が供給される。注射針ユニット200は、斜面調整部22に供給されることができる。
図2及び
図3に示されている実施形態では、支持台15に注射針ユニット200が支持されるように供給することができる。
図4~
図6に示されている斜面調整部の実施形態では、注射針ユニット200が保持部211によって支持されてローラー214の間に配置されるように注射針ユニット200を供給することができる。前述のように、斜面調整部は第1位置及び第2位置の少なくともいずれか一つに、あるいは隣接して設けられてもよく、第1位置や第2位置ではない第3の位置に、あるいは隣接するように設けられてもよい。
【0059】
注射針ユニット200が供給されれば、検知部222が注射針の斜面の方向及び端部の位置を認識する(段階1110)。認識した注射針の斜面の方向が設定された方向と異なると、制御部100の命令を第1駆動装置16または第7駆動装置223が受信し、作動して注射針ユニット200を回転させることで、注射針の斜面の方向を調整する(段階1120)。第1駆動装置16が作動すると、第1回転軸17に対して本体部19が回転して、支持アーム14によって支持されている注射針ユニット200が回転する。
【0060】
図4~
図6に示されている他の実施形態の斜面調整部においては、第7駆動装置223が作動すればローラー214が回転し、これによって注射針ユニット200が回転して斜面の方向が調整される。
【0061】
検知部222によって調整された注射針の斜面の方向が、設定された値に到逹すると、第1駆動装置16または第7駆動装置223の作動を停止して、調整された注射針の斜面の位置情報を制御部100に記録された値と同期化をさせる(段階1130)。
【0062】
次に、ターゲットの身体の位置を選定する(段階1140)。ターゲットの身体が表在静脈である場合の選定過程が、
図11に示されている。
【0063】
まず、プローブ41を血管の近くに移動させる(段階1141)。次いで、押さえ部48で血管を押圧したまま、プローブユニット40を移動させて直線化を行う(段階1142)。押さえ部48は、ターゲットの身体の所定の範囲に限って移動可能である。押さえ部48で血管を直線化すると、超音波スキャン及び採血が容易になる。押さえ部48が押す押圧力は、0~19.6Nの範囲内で、最適化された一定した力で押圧するようにすることができる。
【0064】
血管直線化が完了すれば、プローブ41をターゲットの身体に接触させて超音波映像を獲得し(段階1143)、獲得した超音波映像のイメージ処理を通じてターゲット血管の位置決めを行う(段階1144)。
【0065】
ターゲットの身体の位置が表在静脈である場合の、具体的な位置選定の例示的な実施形態は、
図12~
図15を参照して後述する。
【0066】
段階1150にて、注射針ユニット200を第2位置に移動する。斜面調整部22が第1位置または第1位置に隣隣接して配置されるときには、斜面の方向が調整された注射針ユニット200を可動アーム24が支持した状態で、制御部100の命令を受けて第2駆動装置23が作動して可動アーム24を第2回転軸に対して回転させることで、第1位置から第2位置に移動することができる。第1位置から第2位置への移動が、必ずしも可動アーム24の回転を通じて行われる必要はなく、公知の構造であるか、それとも公知の構造からの当業者にとって自明な事項の機構学的位置変更の構造であれば、如何なるものでも適用し得る。
【0067】
斜面調整部22が第2位置に、あるいは第2位置に隣接して配置されるときには、段階1150は不要となることがある。本実施形態では、注射針ユニット可動部30に注射針ユニット200が支持された状態で、
図2及び
図3または
図4~
図6に示された斜面調整部が斜面の方向を調整すれば良い。
【0068】
斜面調整部22が第3の位置に設けられる場合には、可動アーム24が第1位置から第3位置に移動し、第3位置で斜面の方向を調整した後、第2位置に移動することができる。
【0069】
第2位置で注射針ユニット200が注射針ユニット可動部30に支持された状態で、第3駆動装置33が制御部100の命令に従って作動し、第2本体部31を所定の角度、すなわち身体侵襲のための角度で回転させ、第4駆動装置34が制御部100の命令を受けて連結部材35を第2本体部31の長手方向に沿って移動させて身体侵襲を行う。ターゲットの身体が表在静脈である場合には、侵襲後に採血を実施することができる。
図7及び
図8には示されていないが、第2本体部31は、
図7の左右方向及び
図8の左右方向の少なくともいずれか一方向または他方向に移動するように設けられることができる。
【0070】
以下、超音波プローブ41によって獲得した映像イメージを処理して侵襲する身体部(表在静脈を例示として説明)の位置を探知する方法の例について説明する。以下で説明する探知方法は、本出願人の韓国特許出願第10-2020-0010302号に記載された内容であって、本発明の理解を助けるために説明する例示的な用途のみとして意味があり、本発明の権利範囲を限定しない。
【0071】
図12には、本発明による表在静脈位置確認方法のフローチャートが示されている。
【0072】
表在静脈の位置探索のために、被検者がまず上腕圧迫ユニット120に上腕を入れて上腕圧迫を行う(ステップ1200)。上腕圧迫ユニット120は、1~5cmの圧迫手段を含み、圧迫手段は肘の上部3~12cm、好ましくは6~8cmで上腕を圧迫する。圧力圧力は、10~60mmHg、好ましくは20~30mmHgの圧力であり得る。上腕圧迫ユニット120が上腕を圧迫せずに後述する過程を行っても構わない。
【0073】
図12には、超音波プローブ41の移動前に上腕圧迫が行われることが示されているが、超音波プローブ41を移動させた後に超音波プローブ41が第1映像データを取得し始めた後に上腕圧迫を行ってもよい。第1映像データ取得開始後に上腕圧迫を行う場合には、上腕圧迫実行前の第1映像データと、上腕圧迫実行後の第1映像データとを取得することができる。
【0074】
図12に戻ると、上腕圧迫後に被検者の身体から所定距離、例えば1mmだけ離間した位置に、超音波プローブ41を移動させる(ステップ1205)。
【0075】
超音波プローブ41が配置される被検者の身体位置は、肘正中皮静脈(median cubital vein)が位置する、肘窩から手方向に0~8cm、好ましくは1~3cmであり得る。
【0076】
ステップ1210では、超音波プローブ41を被検者の身体に向かって移動させながら第1映像データを取得する。第1映像データは、被検者の身体に超音波プローブ41が接触する前の映像データであり、上腕が圧迫される前の映像データと上腕が圧迫された後の映像データとを含み得る。
【0077】
超音波プローブ41が被検者の身体に接触して圧迫する間に第2映像データが収集される。本発明の他の実施形態によれば、超音波プローブ41以外の手段によって被検者の身体を圧迫してもよい。
【0078】
第1および第2映像データは、血流の音波信号のうちドップラー効果によって分析された映像データを含み得る。本発明の他の実施形態によれば、第1映像データおよび第2映像データのいずれか一方のみを使用してもよい。
【0079】
取得された第1および第2映像データは、映像データ処理モジュール30により、本発明による方法を実行するプログラムが使用可能なフォーマットおよびサイズに変換される(ステップ1220)。本発明の他の実施形態によれば、映像データを変換することなく後述する映像データ分析を行うことができる。
【0080】
機械学習サーバ140の例えば畳み込みニューラルネットワークを用いて、変換された映像データを分析して、映像データに目的ターゲットと回避ターゲットのピクセルを表示する(ステップ1225)。
【0081】
本明細書において、目的ターゲットは表在静脈または動脈などの血管を意味し、回避標的は動脈、神経、骨組織などを意味し、用途に応じて目的ターゲットおよび回避標的を決定することができる。例えば、用途によっては、表在静脈の位置が確認されたときに回避ターゲットと決定される動脈や、神経、骨組織などをむしろ目的ターゲットと設定することもできる。
【0082】
目的ターゲットと回避ターゲットを表示する方法は、ピクセル単位で表示してもよく、中央値と境界および距離に基づいてバウンドボックス(bound-box)で表示してもよい。あるいは、中央値、円形/楕円形、長方形などの形状に関する情報と、半径/二つの地点以上の距離情報/一辺の長さなどの形状を特定できる情報とを一緒に記憶してもよい。
【0083】
本発明で活用するための機械学習の一例である畳み込みニューラルネットワーク学習について説明する。
【0084】
畳み込みニューラルネットワーク学習のためには、事前に学習データによる学習を行う必要がある。畳み込みニューラルネットワークの学習に使用される映像データは、上記の第1および第2映像データのランダムクロップ、サイズ変換、水平フリップなどを含むデータ増強技術によりデータの一般性を高めるように前処理されてもよい。
【0085】
機械学習サーバは、畳み込みニューラルネットワーク学習を通じて、目的ターゲットと回避ターゲットの特徴に合致する情報を取得し、記憶する。
【0086】
このような特徴情報には、超音波映像データで確認される成分が持つエコージェニティ(echogenicity)の強度、エコージェニックな成分の分布パターン情報、映像データ内で確認される成分が分布する相対位置情報、被検者の身長、体重、性別、年齢、罹患した疾患、過去に受けたまたは現在受けている治療の情報、超音波プローブ、または他の手段によって圧迫されるときの情報、ドップラー映像を用いて分析した血流のリアルタイムフロー情報のうちの少なくともいずれかを含むことができる。
【0087】
圧迫されるとき、超音波プローブまたは他の手段で皮膚表面を押すと、動脈とは異なり、静脈は直接圧迫されてサイズが縮小したり、近位部が圧迫されてうっ血が誘発されることでサイズが膨らんだりするようになる。圧迫されるときの情報はそれに関する情報を含み得る。
【0088】
血流のリアルタイム情報によれば、回避ターゲットの一つである動脈の場合、静脈とは異なり、血流が速いためドップラー信号が強く、周期的に大きくなり小さくなりながら拍動をするため、ターゲット検知に有用である。
【0089】
畳み込みニューラルネットワーク学習では、前記特徴情報に基づいて映像データ内における目的ターゲットと回避ターゲットの位置に対応するピクセルを表示するように訓練することができる。
【0090】
前記学習(訓練)は、例えば、教師あり学習(supervised learning)、教師なし学習(unsupervised learning)、半教師あり学習(semi-supervised learning)であり得る。
【0091】
教師あり学習の場合、正解のある映像と比較しながら訓練することができるが、正解と、畳み込みニューラルネットワークが見つけた目的ターゲット及び回避ターゲットとが異なる場合は、損失関数の損失を減らす方向で学習させることができる。損失関数はバイナリクロスエントロピー損失(BCEloss:Binary Cross Entropy loss)、クロスエントロピー(Crossentropy)などであり得、オプティマイザ(optimizer)はadam、RMSprop、および確率的勾配降下法を使用し得る。また、評価は、ダイス係数損失(dice coefficient loss)などにより行うことができる。
【0092】
畳み込みニューラルネットワーク学習などの機械学習により目的ターゲットおよび回避ターゲットが決定されると、ステップ230に進んで最終目的ターゲットを決定する。ステップ230およびステップ235は、中央演算モジュール10によって実行されてもよいが、必ずしもそれに限定されるわけではなく、例えば、前処理された第1および第2映像データを、通信網130を介して遠隔の第3演算サーバ等に伝送して本発明による各ステップを実行することもできる。
【0093】
図13には、ステップ1230の具体的な過程のフローチャートが示されている。
【0094】
ステップ1300では、ステップ1225で見つけた目的ターゲットが存在するか否かを判断する。目的ターゲットが存在する場合、ステップ1305に進み、見つけられた目的ターゲットが1つであるか2つ以上であるかを判断する。まず、目的ターゲットが1つである場合について説明する。
【0095】
目的のターゲットが1つである場合、当該目的ターゲットの境界が映像データの境界と重なっているか否かを判断する(ステップ1335)。重ならない場合はステップ1310に進み、重なる場合はステップ1355に進んで境界面座標が映像データの内側、例えば中央に位置するように超音波プローブ41を移動させ、ステップ1210に戻り、以降の手順を行う。超音波プローブ41を移動させることなく被検者の身体を移動させることもできる。
【0096】
ステップ1310では、目的ターゲットのサイズに基づく情報の1つである最大内接円直径を算出する。最大内接円とは、目的ターゲットのピクセルのみが入れられる円の中で最大サイズの内接円を意味する。目的ターゲットのサイズに基づく情報としては、最大内接円直径に加えて、目的ターゲット内に描画できる横線と縦線の最大および最小長、目的ターゲットの重心から目的ターゲットの境界線までの最大および最小距離、目的ターゲットの面積などの他の情報が挙げられる。
【0097】
そして、目的ターゲットの深さに基づく情報である深さを算出し(ステップ1315)、第1判断基準および第2判断基準を当該目的ターゲットが満足するか否かを判断する(ステップ1320)。「深さに基づく情報」には、単なる深さだけでなく、深さに関連する他のさまざまな情報も含まれる。
【0098】
目的ターゲットが表在静脈である場合、第1判定基準は、最大内接円直径が所定の値(第1値)以上であるか否かを判定することである。第1値は、機器の作動誤差範囲内で決定されてもよい。例えば、最大内接円直径が2mm未満の場合、当該目的ターゲットは回避ターゲットとして分類することができる(ステップ1375)。最大内接円直径が第1値よりも大きいか等しい場合、第1判断基準を満足すると判断する。
【0099】
サイズに基づく情報が目的ターゲット内に描画できる横線と縦線の長さ情報である場合、横線と縦線の最大長および最小長がそれぞれ所定の値以上であるか否かを判断することが第1判断基準であり得る。例えば、横線と縦線の最小長が2mm未満の場合、目的ターゲットを回避ターゲットとして分類することができる。目的ターゲットが1つでない場合には、各横線と各縦線の合計、積、平均などがより大きい目的ターゲットを最終目的ターゲット候補として選択することもできる(ステップ1370)。
【0100】
サイズに基づく情報が目的ターゲットの重心から境界線までの最大距離および最小距離である実施形態では、前記最大および最小距離が所定の値以上であるか否かを判断する基準が第1判断基準であり得る。例えば、目的ターゲットの重心から目的ターゲットの境界線までの最小距離が2mm未満の場合、目的ターゲットを回避ターゲットとして分類することができる。目的ターゲットが複数個ある場合、重心から目的ターゲット境界線までの各距離の合計、積、平均などがより大きい目的ターゲットを最終目的ターゲット候補として選択することができる(ステップ1370)。
【0101】
サイズに基づく情報が面積情報である実施形態では、面積が所定の値以上であるか否かを判断する基準が第1判断基準であり得る。例えば、目的ターゲットの面積が10mm2未満の場合、当該目的ターゲットを回避ターゲットとして分類することができ、目的ターゲットが複数個ある場合には、面積がより大きい目的ターゲットを最終目的ターゲット候補として選択することができる(ステップ1370)
【0102】
第2判定基準は、目的ターゲットの深さが所定の値(第2値)、例えば1cm以下であるか否かを判定する基準である。目的ターゲットの深さが第2値よりも深い場合、当該目的ターゲットを回避ターゲットとして決定する(ステップ1375)。これは、表在静脈ではなく深部静脈の場合、表在静脈よりも止血が難しいため排除し、回避ターゲットである動脈もまた排除するためのものである。そして、第2値よりも深い場合、注射針が進入するときに深い傷を負う可能性があり、その侵襲経路内に重要な解剖学的構造物乃至神経がある可能性があるため、第2判断基準を適用する。目的ターゲットの深さが第2値以下である場合、第2判断基準を通過したと判断する。
【0103】
第1判定基準および第2判定基準を満足する場合、目的ターゲットと皮膚表面との間の直線経路に回避ターゲットが存在するか否かを判断する(ステップ1325;第3判定基準)。直線経路に回避ターゲットが存在する場合、その回避ターゲットは腕の側面の神経であり得る。
【0104】
ステップ1325の判断結果「NO」であれば、当該目的ターゲットを最終目的ターゲットとして決定する(ステップ1330)。
【0105】
第1判断基準から第3判断基準のうちの全ての基準を満たす場合に最終目的ターゲットとして決定してもよいが、第1判断基準から第3判断基準のうち少なくともいずれかを満足すれば最終目的ターゲットとして決定してもよい。
【0106】
ステップ1225で探索された目的ターゲットが複数個である場合について説明する。
【0107】
複数の目的ターゲットが検索された場合、ステップ1360に進み、目的ターゲットのそれぞれの最大内接円サイズを算出する。次に、各最大内接円のサイズを比較し(ステップ1365)、第3判断基準に基づいて最終目的ターゲットの候補を選択する(ステップ1370)。
【0108】
第3判断基準は次の通りである。最大内接円のサイズが最も大きい目的ターゲットを最終目的ターゲットの候補として選択することが原則であるが、この内接円のサイズと、これに次いで大きな最大内接円を有する目的ターゲットの内接円のサイズとの差が所定の値(第3値)、例えば10%以内である場合には、超音波プローブの接触面から近い、例えば超音波プローブの接触面の中央地点から近い目的ターゲットを最終目的ターゲットの候補として決定することができる。
【0109】
最大内接円サイズ以外の、サイズに基づく情報を第1情報とする場合であっても、比較値の差が所定の値以内であれば、超音波プローブの接触面から近い、例えば超音波プローブの接触面の中央地点から近い目的ターゲットを最終目的ターゲットの候補として決定することができる。
【0110】
ステップ1370で最終目的ターゲットの候補が決定されると、ステップ1315に進み、前述の後続の過程を行い、最終目的ターゲットを決定するか、または回避ターゲットとして決定する。
【0111】
ステップ1300で目的ターゲットが存在しないと判断された場合は、目的ターゲットの探索が所定回数以上であるか否かを判断する。所定の回数、例えば2回または3回以上の場合は、ステップ1380に進み、反対側の腕に対して目的ターゲットを探索する。所定の回数未満の場合は、ステップ1210に進み、超音波プローブ41を移動させて第1映像データを取得する。このとき、前の映像と重ならない位置に超音波プローブ41を移動させて第1映像データを取得する。
【0112】
上記過程を経て最終目的ターゲットが決定されると、ステップ235で最終目的ターゲットの中心座標を算出する。注射針ユニット200は前記中心座標に移動して侵襲を行う(ステップ240)。
【0113】
中心座標は、最終目的ターゲットのピクセルのみを含む最大内接円内の任意の地点Xiとの距離が最大である地点Xの座標として決定される。
【0114】
中心座標の算出が完了した後、当該中心座標と皮膚表面との間の直線経路内で、血管の表面が所定の回数、例えば2回以上通過する場合には、当該最終目的ターゲットを排除することができる。
【0115】
一方、最終目的ターゲット内の全てのピクセルに対して所定の直径、例えば1mmの直径を有する円を描き、その円内のピクセルのうち所定の割合、例えば30~95%、好ましくは50~70%以上のピクセルが最終目的ターゲットとして分類される場合は、当該ピクセルを最終目的ターゲットとし、そうでなければ当該ピクセルを削除する。
【0116】
図15に示すように、ピクセル1510を基準として描かれた円1520内に全てのピクセル(所定比率以上)が存在するので、当該ピクセル1510は最終目的ターゲットのピクセルとして分類することができる。ピクセル1530を基準として描かれた円1511内には、最終目的ターゲットのピクセルではないピクセルが所定の比率以上存在しないので、当該ピクセル1530を最終目的ターゲットから除去することができる。
【0117】
この過程は、最終目的ターゲットの境界面を滑らかにし、誤分類されるピクセルが存在する可能性を排除しようとする過程であるが、本発明の実施に必ずしも必要な過程ではなく付随的な過程である。
【0118】
以上、添付の図面を参照して本発明について説明したが、本発明の権利範囲は後述する特許請求の範囲によって決定され、上述した実施形態及び/又は図面に限定されるものと解釈されるべきではない。そして、特許請求の範囲に記載された発明の、当業者に自明な改良、変更および修正も本発明の権利範囲に含まれることが明らかに理解されるべきである。
【国際調査報告】