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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-30
(54)【発明の名称】デンプン組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 3/00 20060101AFI20230523BHJP
   C08L 29/04 20060101ALI20230523BHJP
   C08L 31/04 20060101ALI20230523BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20230523BHJP
   C08K 5/053 20060101ALI20230523BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20230523BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20230523BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20230523BHJP
   B32B 9/02 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
C08L3/00
C08L29/04 B
C08L31/04 B
C08L71/02
C08K5/053
C08K3/013
C08K3/34
C08J5/18 CEP
B32B9/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564416
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(85)【翻訳文提出日】2022-12-21
(86)【国際出願番号】 AU2021050366
(87)【国際公開番号】W WO2021212180
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】2020901287
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502247341
【氏名又は名称】プランティック・テクノロジーズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100224591
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 征志
(72)【発明者】
【氏名】マキャフリー,ニコラス ジョン
(72)【発明者】
【氏名】太田 匡彦
【テーマコード(参考)】
4F071
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
4F071AA08
4F071AA29
4F071AA78
4F071AA81
4F071AF08Y
4F071AF15
4F071AF20
4F071AF21
4F071AF23
4F071AH04
4F071BB06
4F071BC01
4F071BC12
4F100AA20B
4F100AA37A
4F100AC03A
4F100AJ04A
4F100AJ04B
4F100AJ07A
4F100AJ09A
4F100AJ09B
4F100AK03B
4F100AK16B
4F100AK22A
4F100AK42B
4F100AK46B
4F100AL06A
4F100BA01
4F100BA02
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100CA04A
4F100CA23A
4F100DG01A
4F100GB23
4F100JA07A
4F100JB05A
4F100JB06A
4F100JB09A
4F100JD03A
4F100JK08
4F100YY00A
4J002AB014
4J002AB041
4J002AB042
4J002AB054
4J002BE023
4J002BF023
4J002CH023
4J002DA017
4J002DJ007
4J002DJ037
4J002EC046
4J002EC056
4J002FA064
4J002FD014
4J002FD017
4J002FD026
4J002FD170
4J002GG00
(57)【要約】
約300,000~約4,000,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する第1のデンプンと、約1,000~約290,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する第2のデンプンと、水溶性ポリマーとを含むデンプン組成物が本明細書で提供される。デンプン組成物を含む製造品及びフィルム、並びにデンプン組成物の製造方法も本明細書で提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約300,000~約4,000,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、約60重量%~約99重量%の第1のデンプン;
b)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約1,000~約290,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、約0.1重量%~約40重量%の第2のデンプン;並びに
c)1以上のポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びポリオキシアルキレンを含む、約1重量%~約40重量%の少なくとも1つの水溶性ポリマー
を含む、デンプン組成物。
【請求項2】
前記第1のデンプンは、約70重量%~約99重量%、又は約75重量%~約99重量%、又は約80重量%~約99重量%、又は約85重量%~約99重量%、又は約90重量%~約99重量%、又は約95重量%~約99重量%の量で存在する、請求項1に記載のデンプン組成物。
【請求項3】
前記第2のデンプンは、約0.1重量%~約35重量%、又は約0.2重量%~約30重量%、又は約0.5重量%~約25重量%、又は約0.5重量%~約20重量%、又は約0.5重量%~約15重量%、又は約0.5重量%~約10重量%、又は約0.5重量%~約5重量%、又は約0.5重量%~約4重量%、又は約0.5重量%~約3重量%、又は約0.5重量%~約2重量%の量で存在する、請求項1又は2に記載のデンプン組成物。
【請求項4】
前記水溶性ポリマーは、約3重量%~約30重量%、又は約5重量%~約30重量%の量で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載のデンプン組成物。
【請求項5】
前記水溶性ポリマーは、1以上のポリビニルアルコール及びポリオキシアルキレンを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のデンプン組成物。
【請求項6】
前記第1の重量平均分子量は、約300,000~約3,500,000ダルトン、又は約300,000~約3,000,000ダルトン、又は約300,000~約2,500,000ダルトン、又は約300,000~約2,000,000ダルトン、又は約300,000~約1,500,000ダルトン、又は約300,000~約1,000,000ダルトン、又は約300,000~約900,000ダルトン、又は約300,000~約800,000ダルトン、又は約300,000~約700,000ダルトン、又は約300,000ダルトン~約600,000ダルトンである、請求項1~5のいずれか一項に記載のデンプン組成物。
【請求項7】
前記第2の重量平均分子量は約10,000~約290,000ダルトンである、請求項1~6のいずれか一項に記載のデンプン組成物。
【請求項8】
前記第2の重量平均分子量は約10,000~約50,000ダルトンである、請求項1~6のいずれか一項に記載のデンプン組成物。
【請求項9】
前記第2の重量平均分子量は約100,000~約290,000ダルトンである、請求項1~6のいずれか一項に記載のデンプン組成物。
【請求項10】
前記デンプン組成物の分子量分布は6.5より大きい、請求項1~9のいずれか一項に記載のデンプン組成物。
【請求項11】
前記第1のデンプン又は前記第2のデンプンの前記アミロース含有量は、独立して、約10重量%超、又は約20重量%超、又は約30重量%超、又は約40重量%超、又は約50重量%超、又は約60重量%超、又は約70重量%超、又は約80重量%超である、請求項1~10のいずれか一項に記載のデンプン組成物。
【請求項12】
前記第1のデンプン又は前記第2のデンプンの前記アミロース含有量は、独立して、約50重量%~約80重量%である、請求項1~11のいずれか一項に記載のデンプン組成物。
【請求項13】
前記第2のデンプンの前記アミロース含有量は、約20重量%未満、又は約10重量%未満、又は約5重量%未満である、請求項1~11のいずれか一項に記載のデンプン組成物。
【請求項14】
前記第2のデンプンは、酵素又は酸で処理されて分子量が低減されたデンプンである、請求項1~13のいずれか一項に記載のデンプン組成物。
【請求項15】
前記変性デンプンは、ヒドロキシル官能基を、エーテル、エステル及びそれらの混合物からなる群から選択される官能基で置換するように化学変性されている、請求項1~14のいずれか一項に記載のデンプン組成物。
【請求項16】
前記変性デンプンは、ヒドロキシアルキルC2-6基を含むように化学変性されているか、又はカルボン酸の無水物との反応によって変性されている、請求項1~15のいずれか一項に記載のデンプン組成物。
【請求項17】
前記変性デンプンは、0.01~1.5の置換度を有するように化学変性されている、請求項1~16のいずれか一項に記載のデンプン組成物。
【請求項18】
前記デンプン又は変性デンプンは、小麦デンプン、コーンスターチ、タピオカデンプン、ジャガイモデンプン、キャッサバデンプン、エンドウデンプン、カラスムギデンプン、クズウコンデンプン、米デンプン及びそれらの混合物から独立して選択される、請求項1~17のいずれか一項に記載のデンプン組成物。
【請求項19】
前記第1のデンプンは、1よりも多くのデンプン及び/又は変性デンプンを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載のデンプン組成物。
【請求項20】
前記第2のデンプンは、1よりも多くのデンプン及び/又は変性デンプンを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載のデンプン組成物。
【請求項21】
少なくとも1つの可塑剤をさらに含む、請求項1~20のいずれか一項に記載のデンプン組成物。
【請求項22】
前記少なくとも1つの可塑剤は水ではない、請求項21に記載のデンプン組成物。
【請求項23】
前記少なくとも1つの可塑剤は、1以上のポリオールを含む、請求項21に記載のデンプン組成物。
【請求項24】
1以上のフィラー又はナノ材料をさらに含む、請求項1~23のいずれか一項に記載のデンプン組成物。
【請求項25】
前記フィラー又はナノ材料の量は、前記デンプン組成物の総乾燥重量に基づいて20重量%以下である、請求項24に記載のデンプン組成物。
【請求項26】
前記フィラー又はナノ材料は、デンプンナノコンポジット内で少なくとも部分的に剥離されている、請求項24又は25に記載のデンプン組成物。
【請求項27】
前記フィラー又はナノ材料は、粘土、カーボンナノチューブ、セルロースナノウィスカ及びキチンウィスカを含む、請求項26に記載のデンプン組成物。
【請求項28】
前記粘土は、モンモリロナイト、ベントナイト、バイデライト、マイカ、ヘクトライト、サポナイト、ノントロナイト、ソーコナイト、バーミキュライト、レディカイト、マガダイト、ケニヤアイト、スチーブンサイト、ボルコンスコアイト又はそれらの混合物を含む、請求項27に記載のデンプン組成物。
【請求項29】
前記フィラー又はナノ材料は疎水的又は親水的に変性されている、請求項24~28のいずれか一項に記載のデンプン組成物。
【請求項30】
前記フィラー又はナノ材料は、変性粘土、特に疎水的に変性された層状ケイ酸塩粘土を含む、請求項29に記載のデンプン組成物。
【請求項31】
前記フィラー又はナノ材料は、前記デンプン組成物の総重量に基づいて、10重量%以下、又は5重量%以下、又は3重量%以下の量で存在する、請求項24~30のいずれか一項に記載のデンプン組成物。
【請求項32】
請求項1~31のいずれか一項に記載のデンプン組成物を含む、製造品。
【請求項33】
請求項1~32のいずれか一項に記載のデンプン組成物を含む、フィルム。
【請求項34】
5~600ミクロンの厚さを有する、請求項33に記載のフィルム。
【請求項35】
5~500ミクロン、又は5~400ミクロン、又は5~300ミクロン、又は5~200ミクロン、又は5~100ミクロンの厚さを有する、請求項34に記載のフィルム。
【請求項36】
ASTM F1927に従って測定した場合に、50%相対湿度(RH)で0.05cmmm/m.24h.atm未満、又は0.03cm.mm./m.day.atm未満、又は、50%相対湿度(RH)で0.01cmmm/m.24h.atm未満の酸素透過係数を有する、請求項33~35のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項37】
請求項33~36のいずれか一項に記載のフィルムを含む1以上の層と、少なくとも1つの他の層とを含む、多層フィルム。
【請求項38】
前記少なくとも1つの他の層は、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートグリコール、ポリブチレンサクシネート、ポリヒドロキシブチレート、ポリ乳酸、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ二塩化ビニリデン、セルロース、耐水性タンパク質層、シリカ含有耐水層及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項37に記載の多層フィルム。
【請求項39】
前記第1のデンプン、前記第2のデンプン、及び前記水溶性ポリマーを溶融加工条件下で接触させる工程を含む、請求項1~31のいずれか一項に記載のデンプン組成物の製造方法。
【請求項40】
前記溶融加工は、約80℃~約150℃、又は約90℃~約140℃、又は約95℃~約130℃の温度で行われる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
溶融加工の前記温度は、140℃を超えない、又は130℃を超えない、又は120℃を超えない、又は110℃を超えない、請求項39に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、デンプン組成物及びその製造方法に関する。組成物は、高分子量デンプン成分及び低分子量デンプン成分の両方並びに水溶性ポリマーを含む。組成物は、有利に高いガスバリア性を有するフィルムに形成され得る。デンプン組成物は、広範囲の用途、特に包装用薄膜を製造するのに使用されるが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
酸素感受性食品の酸素への曝露を制限することにより、製品の品質及び貯蔵寿命が維持及び向上する。例えば、環境から包装システム内の酸素感受性食品への酸素透過を制限することによって、食品の品質が維持され、食品の腐敗が回避される。さらに、高酸素バリア包装はまた、在庫製品をより長く保ち、それにより、廃棄及び再入荷により発生するコストを低減させる。
【0003】
プラスチックは、従来金属及びガラス材料によって提供されていた食品包装用途に拡大し続けている。ポリマー材料の重要な包装適用領域は、酸素感受性食品及び飲料製品を包装することである。これらの用途に使用されるポリマーは、フィルム又は剛性容器のいずれかとして、酸素に対する相対透過度によって分類することができる。そのような用途のための多くの種類のポリマーのうち、一般に高酸素バリア材料であると保持されているものには、ポリ(エチレンビニルアルコール)(EVOH)、ポリ(塩化ビニリデン)(PVDC)、及びアクリロニトリルポリマー(PAN)が含まれる。
【0004】
しかしながら、EVOHは比較的高価であり、再生可能な観点から、EVOHは完全に化石燃料に由来する。
【0005】
デンプンは、その比較的低コスト及びその再生可能な性質の両方の観点から、食品包装システムにおいてかなりの注目を集めている。特に、溶融加工デンプン組成物は、有用な酸素バリア特性を有することが実証されており、多層フィルムの製造に利用されている(例えば、国際公開第2013/090973号を参照されたい)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2013/090973号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
デンプン系製剤の進歩には、化学変性デンプン(例えば、ヒドロキシプロピル化デンプン)の使用、デンプンアミロース含有量の変動、及びガスバリア特性に影響を及ぼすフィラー又はナノ材料の使用が含まれる。
【0008】
このような進歩にもかかわらず、望ましい特性、特に、薄膜において有利な機械的及びガスバリア性能を付与する特性を有するデンプン組成物を提供する必要性が依然として存在する。本開示は、この必要性に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書における任意の先行刊行物(又はそれに由来する情報)又は任意の既知の事項への言及は、先行刊行物(又はそれに由来する情報)又は既知の事項が、本明細書が関連する努力の分野における共通の一般知識の一部を形成することの認識又は承認又は任意の形態の示唆として解釈されず、そのように解釈されるべきではない。
【0010】
一態様では、本開示は、
a)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約300,000~約4,000,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、約60重量%~約99重量%の第1のデンプン;
b)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約1,000~約290,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、約0.1重量%~約40重量%の第2のデンプン;及び
c)1以上のポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びポリオキシアルキレンを含む、約0.5重量%~約40重量%の少なくとも1つの水溶性ポリマー
を含む、デンプン組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1のデンプン>
いくつかの実施形態では、第1のデンプンは、約70重量%~約99重量%、又は約75重量%~約99重量%、又は約80重量%~約99重量%、又は約85重量%~約99重量%、又は約90重量%~約99重量%、又は約95重量%~約99重量%の量で存在する。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1の重量平均分子量は、約300,000~約3,500,000ダルトン、又は約300,000~約3,000,000ダルトン、又は約300,000~約2,500,000ダルトン、又は約300,000~約2,000,000ダルトン、又は約300,000~約1,500,000ダルトン、又は約300,000~約1,000,000ダルトン、又は約300,000~約900,000ダルトン、又は約300,000~約800,000ダルトン、又は約300,000~約700,000ダルトン、又は約300,000ダルトン~約600,000ダルトンである。
【0013】
デンプンの分子量は、アミロース/アミロペクチン比の影響を受ける。アミロースはアミロペクチンよりも低い重量平均分子量を有するので、アミロースの量が多いデンプンは、より低い重量平均分子量を有する。アミロース含有量に関連するデンプンの分子量に関する議論は、Suortti et al,J.Chromat.A,1998,828,515-521に見られる。
【0014】
<第2のデンプン>
いくつかの実施形態では、第2のデンプンは、約0.1重量%~約35重量%、又は約0.2重量%~約30重量%、又は約0.5重量%~約25重量%、又は約0.5重量%~約20重量%、又は約0.5重量%~約15重量%、又は約0.5重量%~約10重量%、又は約0.5重量%~約5重量%の量で存在する。
【0015】
いくつかの実施形態では、第2の重量平均分子量は、約10,000~約290,000ダルトンである。
【0016】
いくつかの実施形態では、第2の重量平均分子量は、約200,000ダルトン未満、又は約100,000ダルトン未満、又は約50,000ダルトン未満である。
【0017】
いくつかの好ましい実施形態では、第2の重量平均分子量は、約10,000~約50,000ダルトンである。
【0018】
他の好ましい実施形態では、第2の重量平均分子量は、約100,000~約290,000ダルトンである。
【0019】
第2のデンプン(及び第1のデンプン)の重量平均分子量は、任意の適切な方法によって決定され得る。例えば、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定することができる。
【0020】
第2のデンプンに適したデンプン成分は、当技術分野で周知の方法によって、例えば、より高分子量デンプン成分の加水分解によって調製され得る。加水分解は、弱酸などの酸によって行われ得る。加水分解は、酵素によっても行われ得る。いくつかの実施形態では、第2のデンプンは、処理されて分子量が低減されたデンプンである。いくつかの実施形態では、第2のデンプンは、酵素又は酸で処理されて分子量が低減されたデンプンである。
【0021】
いくつかの実施形態では、デンプン組成物の分子量分布は、6.5より大きい。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1及び第2のデンプン及び/又は変性デンプンは、小麦デンプン、コーンスターチ、タピオカデンプン、ジャガイモデンプン、キャッサバデンプン、エンドウデンプン、カラスムギデンプン、クズウコンデンプン及び米デンプンの1つ以上を含み得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、変性デンプンは、存在する場合、未変性デンプンと同じデンプンに基づいていてもよい。
【0024】
他の実施形態では、変性デンプンは、未変性デンプンとは異なるデンプンに基づいていてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1のデンプンは、単一デンプンであり得る。単一デンプンは、未変性デンプンであっても、変性デンプンであってもよい。
【0026】
他の実施形態では、第1のデンプンは、2つ以上のデンプンの混合物であり得る。2つ以上のデンプンは、未変性若しくは変性デンプン又はそれらの混合物であり得る。代替的又は追加的に、2つ以上のデンプンは、同じ又は異なるアミロース含有量を有し得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、第2のデンプンは、単一デンプンであり得る。単一デンプンは、未変性デンプンであっても、変性デンプンであってもよい。
【0028】
他の実施形態では、第2のデンプンは、2つ以上のデンプンの混合物であり得る。2つ以上のデンプンは、未変性若しくは変性デンプン又はそれらの混合物であり得る。代替的又は追加的に、2つ以上のデンプンは、同じ又は異なるアミロース含有量を有し得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、第2のデンプンのアミロース含有量は、20重量%未満、10重量%未満、又は5重量%未満である。
【0030】
いくつかの実施形態では、第1及び第2のデンプンのアミロース含有量は、独立して、約10重量%超、又は約20重量%超、又は約30重量%超、又は約40重量%超、又は約50重量%超、又は約60重量%超、又は約70重量%超、又は約80重量%超である。
【0031】
いくつかの実施形態では、第1及び第2のデンプンのアミロース含有量は、独立して、約50重量%~約80重量%である。
【0032】
他の実施形態では、第1のデンプンは、20重量%超、又は約30重量%超、又は約40重量%超、又は約50重量%超、又は約60重量%超、又は約70重量%超、又は約80重量%超のアミロース含有量を有し、第2のデンプンは、20重量%未満、又は10重量%未満、又は5重量%未満、又は2重量%未満のアミロース含有量を有する。
【0033】
本明細書で使用される場合、第1及び第2のデンプンの「アミロース含有量」は、第1又は第2のデンプンを含むすべてのデンプンの平均アミロース含有量を指すことを理解されたい。
【0034】
いくつかの実施形態では、変性デンプンは、ヒドロキシル官能基をエーテル及びエステル並びにそれらの混合物からなる群から選択される官能基で置換するように化学変性される。
【0035】
好ましいエステルは、ヘプタノエート又は低級同族体を含む。特に好ましいエステルにはアセテートが含まれる。
【0036】
いくつかの実施形態において、化学変性デンプンは、ヒドロキシアルキルC2-6基を含むように変性されてもよく、又はカルボン酸の無水物との反応によって変性されてもよい。好ましくは、変性デンプンは、ヒドロキシC2-4基を含むように変性されていてもよい。より好ましくは、変性デンプンは、ヒドロキシプロピル基を含むように変性されていてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、化学変性デンプンは、0.01~3.0、又は0.01~2.5、又は0.01~2.0、又は0.01~1.5の置換度を有するように変性され得る。置換度は、無水グルコース単位当たりの置換基の平均数を定義する。したがって、定義により、デンプンの可能な最大置換度は3.0である。
【0038】
好ましい第1のデンプンは、50重量%以上のアミロース含有量を有するトウモロコシデンプンを含む。高アミロースデンプンは、ジャガイモ、エンドウ豆及びオオムギなどの塊茎及び穀粒からも得ることができる(例えば、Banks et al,Studies on Starches of High Amylose Content,Die Starke,1974,No.9,p 289-300を参照のこと)。
【0039】
好ましい変性デンプンは、ヒドロキシプロピル化デンプンである。他の置換基は、ヒドロキシエーテル置換を形成するためのヒドロキシエチル若しくはヒドロキシブチルであってもよく、又は無水マレイン酸、フタル酸若しくはオクテニルコハク酸無水物などの無水物を使用してエステル誘導体を製造することができる。
【0040】
別の好ましい変性デンプンは、ヒドロキシプロピル化デンプンであり、ここで、デンプンは、50重量%以上のアミロース含有量を有する。好ましい変性デンプン成分は、ヒドロキシプロピル化高アミロースデンプン、例えば、いずれもIngredionによって市販されているECOFILM(商標)又はGelose(商標)A939である。
【0041】
<水溶性ポリマー>
水溶性ポリマーは、約1重量%~約40重量%の量で存在する。
【0042】
いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、約3重量%~約30重量%、又は約5重量%~約25重量%の量で存在する。
【0043】
デンプン組成物の水溶性ポリマー成分は、好ましくは生分解性である。いくつかの実施形態では、デンプンの加工温度に適合する低い融点を有する。
【0044】
例としては、限定されないが、水溶性ポリマーは、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリアルキレンオキシド又はそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。ポリビニルアルコール及びポリエチレンオキシド並びにそれらの混合物は、好ましい水溶性ポリマーである。
【0045】
いくつかの実施形態では、デンプン組成物は、約5重量%~約20重量%、又は約7.5重量%~約12.5重量%、又は約10重量%~約15重量%、又は約12.5重量%~約17.5重量%、又は約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、若しくは約15重量%(重量)の範囲の量のポリビニルアルコールを含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、デンプン組成物は、約0.2重量%~約10重量%、又は約0.3重量%~約5重量%、又は約0.3重量%~約2重量%、又は約0.4重量%~約1重量%の範囲の量のポリエチレンオキシドを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコールとポリエチレンオキシドとの混合物である。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、約5重量%~約20重量%の範囲の量のポリビニルアルコールと、約0.3重量%~約5重量%の範囲の量のポリエチレンオキシドとを含む。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、約7.5重量%~約12.5重量%の範囲の量のポリビニルアルコールと、約0.3重量%~約2重量%の範囲の量のポリエチレンオキシドとを含む。
【0048】
ポリビニルアルコールの鹸化度は、80~99.8モル%であることが好ましい。鹸化度は、85モル%以上であることがより好ましく、88モル%以上であることがより好ましい。ここで、鹸化度とは、ポリビニルアルコール中の水酸基とエステル基の合計に対する水酸基のモル分率をいう。
【0049】
ポリビニルアルコールは、ビニルアルコール単位以外の他の単量体単位をさらに含んでいてもよい。その他の単量体単位としては、エチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位等が挙げられる。エチレン性不飽和単量体としては:エチレン、プロピレン、イソブチレン、1-ヘキセンなどのα-オレフィン;アクリル酸とその塩;メタクリレートエステル基を有する不飽和単量体;アクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N、N-ジメチルアクリルアミド、ジアセトリルアミドプロパンスルホネート及びその塩;メタクリルアミド、N-メチルメタクリルアミドN-エチルメタクリルアミド、プロパンスルホネート及びその塩(例えば、四級塩);メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ビニルエーテル、例えばn-プロピルビニルエーテル、i-プロピルビニルエーテル、i-ブチルビニルエーテル、t-ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、及び2,3-ジアセトキシ-1-ビニルオキシプロパン;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどの塩化ビニル;塩化ビニリデン及びフッ化ビニリデンなどのビニリド;酢酸アリル、2,3-ジアセトキシ-1-アリールオキシプロパン、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸、不飽和ジカルボン酸及びその塩又はエステル;酢酸ビニルイソプロペニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバラン酸ビニル、シャプロン酸ビニル、キャリー酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ビニルエステル単量体、例えばオレイン酸ビニル、安息香酸ビニルが例示される。鹸化されていない不飽和単量体に由来する単量体単位も、他の単量体単位に含まれる。他の単量体単位の含有量は、10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましい。
【0050】
ポリビニルアルコールの製造方法は、特に限定されない。例えば、ビニルアルコール単量体及び任意に他の単量体を重合してもよく、得られた重合体を鹸化し、ビニルアルコール単位に変換してもよい。
【0051】
重合方法の例としては、バッチ重合、半バッチ重合、連続重合、半連続重合等が挙げられる。重合方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の既知の方法が挙げられる。既知の方法を重合体の鹸化に適用することができる。例えば、重合体をアルコール又は含水アルコールに溶解させた状態で行うことができる。このとき使用できるアルコールとしては、例えばメタノール、エタノール等の低級アルコールが好ましい。
【0052】
ポリビニルアルコールは、JIS Z 8803に準拠して測定される4%水溶液の20℃における粘度が1mPa・s以上であることが好ましく、2mPa・s以上であることがより好ましく、3mPa・s以上であることがより好ましく、45mPa・s以下であることが好ましく、35mPa・s以下であることがより好ましい。
【0053】
ポリオキシアルキレンは、ポリアルキレンオキシド及びポリアルキレングリコールを表し、下記式(1)で表される単位を含む。ポリオキシアルキレンは、2つ以上の異なる単位(1)を有していてもよい。
【化1】

式中、Rはアルキレン基であり、nは1以上である。
【0054】
式(1)において、アルキレン基、例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、ノニレン基、及びデシレン基等のアルキレン基の炭素数は、2以上10以下である。これらの中でも、炭素数2~6のアルキレン基が好ましく、エチレン基及び/又はプロピレン基がより好ましい。nが2以上である場合、これらのアルキレン基は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましい。
【0055】
式(1)中、nは、好ましくは5以上、より好ましくは50以上、より好ましくは100以上、好ましくは120,000以下、より好ましくは70,000以下である。ポリオキシアルキレンが異なる単位を含む場合、各構成要素の繰り返し数nは同じであっても異なっていてもよい。
【0056】
ポリアルキレンオキシドとしては、例えば、炭素数2~6のアルキレンオキシドに由来する構造単位を有する重合体が挙げられ、具体的には、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリトリメチレンオキシド(ポリオキセタン)、ポリブチレンオキシド、ポリイソブチレンオキシド、又はこれらを構成する単量体の共重合体が挙げられる。ポリアルキレングリコールとしては、例えば、炭素数2~6のアルキレングリコールに由来する構造単位を有する重合体が挙げられ、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリイソブチレングリコール、又はこれらを構成する単量体の共重合体が挙げられる。中でも、ポリオキシアルキレンは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はこれらを構成する単量体の共重合体であることが好ましい。共重合体としては、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体などが好ましい。
【0057】
ポリオキシアルキレンは、単位(1)以外の他の単量体に由来する単位を含んでいてもよい。ポリオキシアルキレンが共重合体である場合、該共重合体の重合体形態は特に限定されず、ランダム、ブロック、グラフト、テーパーなどであってもよい。
【0058】
ポリオキシアルキレンの重量平均分子量は、10,000以上であることが好ましく、50,000以上であることがより好ましく、5,000,000以下であることが好ましく、3,000,000以下であることがより好ましい。
【0059】
市販のポリオキシアルキレンを用いることもできる。ポリオキシアルキレン(C)の代表的な市販品の例としては、明成化学工業株式会社製のAlcox(商標)E-75G、Alcox(商標)L-11、Alcox(商標)L-6、Alcox(商標)EP1010N、及びPeo(商標)PEO-1、PEO-2等が挙げられる。
【0060】
<水>
いくつかの実施形態において、デンプン組成物は、水、好ましくは20重量%以下の水、より好ましくは12重量%以下の水を含み得る。いくつかの実施形態では、水は可塑剤として機能し得る。いくつかの実施形態では、水は、組成物中に存在する唯一の可塑剤であり得る。
【0061】
<可塑剤>
いくつかの実施形態において、デンプン組成物は、水以外の少なくとも1つの可塑剤をさらに含む。
【0062】
デンプン組成物は、1以上のポリオール可塑剤、例えば50重量%以下の1以上のポリオール可塑剤、又は25重量%以下の1以上のポリオール可塑剤を含み得る。例としては、限定されないが、ポリオール可塑剤は、ソルビトール、グリセロール、マルチトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0063】
デンプン組成物は、5重量%未満のポリオール可塑剤を含み得る。いくつかの実施形態において、デンプン組成物は、ポリオール可塑剤を実質的に含まなくてもよい。
【0064】
様々な可塑剤及び保湿剤は、特に水分含有量及び相対湿度への依存性の低減において、加工及び制御を助け、機械的特性を安定化するための、デンプン組成物への有用な添加剤である。所望の可塑剤含有量は、主に、押出及び任意のその後のブロー又は延伸プロセス中の必要な加工挙動、並びに最終製品の必要な機械的特性に依存する。
【0065】
可塑剤は三重の役割を果たす:
1.押出配合プロセスに適したレオロジーを提供する
2.製品の機械的特性にプラスの影響を及ぼす
3.老化防止剤又は結晶化防止剤として作用し得る。
【0066】
ソルビトール、グリセロール及びマルチトールのブレンドは、キシリトール並びにキシリトールとソルビトール及びグリセロールとのブレンドのように、製剤の機械的特性を改変するのに特に適している。OH基の数が多いほど、可塑剤は結晶化を低減するのにより効果的である。ソルビトール、マルチトール及びキシリトールは、特に良好な保湿剤である。グリセロールは、加工中にポリビニルアルコールを溶解するのに役立つ。ソルビトールを単独で使用すると、結晶化が観察される。いくつかのポリオール(特にソルビトール及びグリセロール)は、表面への移動を示すことがあり、ソルビトールの場合は不透明な結晶膜、又はグリセロールの場合は油性膜のいずれかが形成され得る。様々なポリオールをブレンドすると、この効果は様々な程度に抑制される。乳化剤としてモノステアリン酸グリセロール及びステアロイル乳酸ナトリウムを添加することにより、安定化を向上させることができる。
【0067】
<その他の可塑剤>
ポリエチレングリコール化合物は、乳化剤、可塑剤又は保湿剤として使用することができる。ポリエチレンオキシド及びポリエチレングリコールは、交互に又は一緒になって、耐水性を高めることもできる。
【0068】
代替的な可塑剤は、エポキシ化亜麻仁油又はエポキシ化大豆油である。これらの添加剤は疎水性であるため、材料の水分感受性を改善させ得る。好ましくは乳化系で安定化されたこれらの可塑剤は、加工を助けるが、ヤング率の有意なさらなる低下をもたらさない。クエン酸トリブチル、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート、及びアセチルトリエチルシトレートを含む、PVC産業でより一般的に使用される他の可塑剤が適切であり得る。
【0069】
カラギーナン、キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム又はゼラチンなど、(共)可塑剤として作用し得る20%までの保湿剤又は水結合剤又はゲル化剤がデンプン組成物中に存在し得る。糖又はグルコースなどの他の保湿剤を使用してもよい。典型的には増粘剤として食品に使用され、冷水に部分的に可溶性であり、温水に完全に可溶性である、カラギーナンなどのバイオポリマーは、機械的特性を調整するのに適している。水を結合することにより、これらの成分は有意な可塑化機能を有し得る。機械的特性を改善し、水分感受性を低下させるためにゼラチンを添加してもよい。キサンタンガムは、高い保水能力を有し、乳化剤としても作用し、デンプン組成物において抗老化効果を有する。アラビアガムはまた、品質改良剤及びフィルム形成剤として使用されてもよく、親水性炭水化物及び疎水性タンパク質は、その親水コロイド乳化及び安定化特性を可能にする。グアーガムは、デンプン組成物において同様の結晶化防止効果を有する。別の適切な保湿剤は、グリセリルトリアセテートである。
【0070】
<フィラー又はナノ材料>
いくつかの実施形態では、デンプン組成物は、1以上のフィラー又はナノ材料をさらに含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、フィラー又はナノ材料の量は、デンプン組成物の総乾燥重量に基づいて20重量%以下である。フィラー又はナノ材料は、デンプン組成物の総重量に基づいて、10重量%以下、又は5重量%以下、又は3重量%以下の量で存在し得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、フィラー又はナノ材料は、デンプンナノコンポジット内で少なくとも部分的に剥離される。
【0073】
いくつかの実施形態では、フィラー又はナノ材料は、粘土、カーボンナノチューブ、セルロースナノウィスカ及びキチンウィスカを含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、粘土は、モンモリロナイト、ベントナイト、バイデライト、マイカ、ヘクトライト、サポナイト、ノントロナイト、ソーコナイト、バーミキュライト、レディカイト、マガダイト、ケニヤアイト、スチーブンサイト、ボルコンスコアイト又はそれらの混合物を含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、フィラー又はナノ材料は、疎水的又は親水的に変性されている。
【0076】
いくつかの実施形態では、フィラー又はナノ材料は、変性された粘土、特に疎水的に変性された層状ケイ酸塩粘土を含む。
【0077】
「疎水的に変性された層状ケイ酸塩粘土」又は「疎水性粘土」は、好ましくは、長鎖アルキル基を含む界面活性剤との交換によって変性された粘土である。長鎖アルキル基は、鎖あたり4又は5又は6を超える炭素原子を含み得る。好ましくは、アルキル基は極性置換基を含有しない。好ましい界面活性剤は、長鎖アルキルアンモニウムイオン、例えばモノ又はジC12-C22アルキルアンモニウムイオンを含む。好ましくは、ヒドロキシル又はカルボキシルなどの極性置換基は、長鎖アルキルに結合していない。疎水的に変性された粘土の適切な例としては、Nanocor,Inc製のNANOMER I.40 P若しくはNANOMER I.38 P、又はBYK-Chemie GmbH製のCLOISITE(登録商標)20A若しくはCLOISITE(登録商標)10Aが挙げられる。
【0078】
いくつかの実施形態では、フィラー又はナノ材料は、デンプン組成物の総重量に基づいて、10重量%以下、又は5重量%以下、又は3重量%以下の量で存在する。
【0079】
<脂肪酸及び/又は脂肪酸塩>
さらなる実施形態では、デンプン組成物は潤滑剤を含み得る。好ましい潤滑剤は、C12-22脂肪酸及び/又はC12-22脂肪酸塩である。好ましくは、C12-22脂肪酸及び/又はC12-22脂肪酸塩は、5重量%以下の量で存在する。
【0080】
デンプン組成物は、好ましくは、0.1~1.5重量%のC12-22脂肪酸及び/又はC12-22脂肪酸塩を含む。脂肪酸及び/又は脂肪酸塩の成分は、より好ましくは0.3~1%の濃度で存在する。ステアリン酸が特に好ましい成分である。ステアリン酸のナトリウム塩及びカリウム塩も使用され得る。ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、リノール酸及びベヘン酸も好適な酸である。
【0081】
いくつかの実施形態では、デンプン組成物は、約75重量%~約92重量%の第1のデンプンと、約0.75~約3重量%の第2のデンプンと、約5重量%~約15重量%の水溶性ポリマーとを含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、デンプン組成物は、約75重量%~約92重量%の第1のデンプンと、約0.75~約3重量%の第2のデンプンと、約7.5重量%~約12.5重量%の範囲の量のポリビニルアルコールと、約0.3重量%~約2重量%の範囲の量のポリエチレンオキシドとを含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、デンプン組成物は、約75重量%~約92重量%の第1のデンプン、約0.75~約3重量%の第2のデンプン、約5重量%~約15重量%の水溶性ポリマー(例えば、約7.5重量%~約12.5重量%の範囲の量のポリビニルアルコール、及び約0.3重量%~約2重量%の範囲の量のポリエチレンオキシド)、及び3重量%以下の量のフィラー又はナノ材料(例えば、例えば0.5~2.5重量%の量の疎水的に変性された層状ケイ酸塩粘土)を含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、デンプン組成物は、約75重量%~約92重量%の第1のデンプン、約0.75~約3重量%の第2のデンプン、約5重量%~約15重量%の水溶性ポリマー(例えば、約7.5重量%~約12.5重量%の範囲の量のポリビニルアルコール、及び約0.3重量%~約2重量%の範囲の量のポリエチレンオキシド)、及び5重量%以下の量の潤滑剤(例えば、C12-22脂肪酸及び/又はC12-22脂肪酸塩、例えば0.1~1.5重量%の量のステアリン酸)を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、デンプン組成物は:
-約75重量%~約92重量%の第1のデンプン;
-約0.75重量%~約3重量%の第2のデンプン;
-約7.5重量%~約12.5重量%の範囲の量のポリビニルアルコール;
-場合により、約0.3重量%~約2重量%の範囲の量のポリエチレンオキシド;
-場合により、約0.5重量%~約2.5重量%の量の疎水的に変性された層状ケイ酸塩粘土;
-場合により、0.1重量%~1.5重量%の量のC12-22脂肪酸及び/又はC12-22脂肪酸塩;
を含み、
-第1のデンプンは、変性デンプン(例えば、ヒドロキシプロピル化デンプン)であり;かつ
-第2のデンプンは:
約200,000ダルトン未満、又は約100,000ダルトン未満、又は約50,000ダルトン未満の第二の重量平均分子量を有する;及び/又は
20重量%未満、又は5重量%未満のアミロース含有量を有する;及び/又は
処理されて分子量が低減されたデンプン、例えば、酵素又は酸で処理されて分子量が低減されたデンプンである。
【0086】
別の態様では、本開示は、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つ以上によるデンプン組成物を含む製造品を提供する。
【0087】
別の態様では、本開示は、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つ以上によるデンプン組成物を含む熱成形物品を提供する。
【0088】
別の態様では、本開示は、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つによるデンプン組成物を含むフィルムを提供する。
【0089】
いくつかの実施形態では、フィルムは、5~750ミクロンの厚さを有する。フィルムは、5~500ミクロン、又は5~400ミクロン、又は5~300ミクロン、又は5~200ミクロン、又は5~100ミクロンの厚さを有し得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、フィルムは、ASTM D1003に従って150ミクロンのフィルム上で測定した場合に25%未満のヘイズを有する。ヘイズは、20%未満であってもよく、18%未満であってもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、フィルムは、ASTM D3420に従って50%の相対湿度で測定して少なくとも6mN/μmのフィルム衝撃を有する。
【0092】
いくつかの実施形態では、フィルムは、ASTM F1927に従って測定した場合に、50%相対湿度(RH)で0.05cm mm/m.24h.atm未満、又は0.03cm.mm./m.day.atm未満、又は、50%相対湿度(RH)で0.01cm mm/m.24h.atm未満の酸素透過係数を有する。
【0093】
いくつかの実施形態では、フィルムは、ASTM F1927に従って測定した場合に、75%相対湿度(RH)で0.05cm mm/m.24h.atm未満、又は0.03cm mm./m.day.atm未満、又は、75%相対湿度(RH)で0.01cm mm/m.24h.atm未満の酸素透過係数を有する。
【0094】
第1及び第2のデンプンを含むフィルムは、良好な熱成形性を有する、すなわち、熱を使用して特定の形状を有する物体に成形される能力を有することが分かっている。第1及び第2のデンプンを含むフィルムはまた、良好な熱成形延伸特性を有することが実証されている。
【0095】
いくつかの実施形態では、フィルムは、例えばASTM D638に従って測定した場合に、100℃で少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%の引張破断伸びを有する。
【0096】
面積延伸比は、延伸前の初期面積と比較した、延伸後の熱成形材料の形成面積の比である。例えば、面積延伸比は、式:面積延伸比(R)=(熱成形部品の表面積)/(部品を製造するのに必要なフィルムの面積)に従って計算することができる。達成可能な最大面積延伸比は、使用される材料、及び目的の部品を製造するために使用されるフィルム又はシートのゲージ又は厚さの特性である。例えば、典型的には、使用されるフィルムのゲージが厚いほど、達成可能な最大面積延伸比は高くなる。いくつかの実施形態では、第1及び第2のデンプンを含むフィルムは、厚さ25~75μmのフィルムについて、2.6~3.8、又は2.6~3.0、又は3.0~3.4、又は3.4~3.8の範囲の最大面積延伸比を達成する。いくつかの実施形態では、第1及び第2のデンプンを含むフィルムは、厚さ75~125μmのフィルムについて、3.0~4.2、又は3.0~3.4、又は3.4~3.8、又は3.8~4.2の範囲の最大面積延伸比を達成する。いくつかの実施形態では、第1及び第2のデンプンを含むフィルムは、厚さ125~175μmのフィルムについて、3.8~5.0、又は3.8~4.2、又は4.2~4.6、又は4.6~5.0の範囲の最大面積延伸比を達成する。別の態様では、本開示は、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つによるフィルムを含む少なくとも1つの層と、少なくとも1つの他の層とを含む多層フィルムを提供する。
【0097】
少なくとも1つの他の層は、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートグリコール、ポリブチレンサクシネート、ポリヒドロキシブチレート、ポリ乳酸、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ二塩化ビニリデン、セルロース、耐水性タンパク質層、シリカ含有耐水層及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0098】
驚くべきことに、本明細書に開示される分子量特性の組み合わせを有するデンプン組成物は、有利な機械的特性及びガスバリア特性を有するフィルムに加工され得ることが見出された。
【0099】
特に、驚くべきことに、低分子量デンプン成分の存在がフィルムガスバリア性を改善することが発見された。本発明者らは、低分子量デンプン成分の分子量と、特定の酸素透過率を達成するために必要な量との間に関係があることを見出した。低分子量デンプン成分の分子量が低いほど、この成分は、フィルムのガスバリア性を改善するために、重量基準であまり必要とされない。
【0100】
したがって、低分子量デンプン成分の分子量は、デンプン組成物中に存在する量と同様に変化させることができる。これは、最終用途の要件に応じて、ガスバリア及び/又は機械的特性性能を調整する方法を提供する。
【0101】
別の態様では、本開示は、デンプン組成物を製造する方法を提供し、該方法は、以下の溶融加工:
a)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約300,000~約1,500,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、約60重量%~約99重量%の第1のデンプン;
b)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約1,000~約290,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、約1重量%~約40重量%の第2のデンプン;並びに
c)1以上のポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びポリオキシアルキレンを含む、約1重量%~約40重量%の少なくとも1つの水溶性ポリマー
を含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、溶融加工は、約80℃~約150℃、又は約90℃~約140℃、又は約95℃~約130℃の温度で行われる。
【0103】
いくつかの好ましい実施形態では、溶融加工の温度は、140℃を超えない、又は130℃を超えない、又は120℃を超えない、又は110℃を超えない。
【0104】
本開示のさらなる特徴及び利点は、以下の詳細な説明を参照することによって理解されるであろう。
【0105】
以下は、当業者が本開示を実施するのを助けるために提供される本開示の詳細な説明である。当業者は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の実施形態の修正及び変形を行うことができる。
【0106】
本明細書に記載されたものと類似又は同等の任意の組成物、方法及び材料もまた、本開示の実施又は試験に使用することができるが、ここで好ましい組成物、方法及び材料を説明する。
【0107】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」(ある)及び「the」(該)は、特に明記しない限り、複数の指示対象を含むことにも留意しなければならない。したがって、例えば、「デンプン」への言及は、1種よりも多いデンプンなどを含み得る。
【0108】
本明細書を通して、「含む」(comprises)または「含んでいる」(comprising)という用語又はその文法的変形の使用は、記載された特徴、整数、ステップ又は構成要素の存在を特定するために解釈されるべきであるが、具体的に言及されていない1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、構成要素又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではない。
【0109】
本明細書で使用される場合、特に明記されない限り、又は文脈から明らかでない限り、「約」という用語は、当技術分野における通常の許容範囲内、例えば平均の2標準偏差内であると理解される。「約」は、記載された値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、又は0.01%以内と理解することができる。文脈から明らかでない限り、本明細書及び特許請求の範囲において本明細書で提供されるすべての数値は、「約」という用語によって変性することができる。
【0110】
本明細書で提供される範囲は、範囲内のすべての値の省略表現であると理解される。例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50からなる群からの任意の数、数の組み合わせ、又は部分範囲を含むと理解される。
【0111】
<用途>
本明細書に開示されるデンプン組成物は、様々な用途に有用であり得る。例えば、デンプン組成物は、当技術分野で周知の方法を利用して物品に熱成形され得る。例示的な熱成形品は、トレイ、容器又は蓋を含み得る。デンプン組成物はまた、例えば、肉、家禽、魚、パスタ、精肉、総菜及びチーズを含む傷みやすい食品の貯蔵寿命を延ばすためのバリアトレイを含む多層フィルム中の成分として有用であり得る。デンプン組成物は、ガス透過の制御を必要とするガス置換包装(MAP)にも有用であり得る。
【0112】
<多層フィルム>
本明細書に開示されるデンプン組成物は、多層フィルムの製造に有用であり得る。多層フィルムは:
(a)本明細書に開示される態様又は実施形態のいずれか1つによるデンプン組成物を含む少なくとも1つの層;及び、
(b)少なくとも1つの他の層を備え得る。
【0113】
少なくとも1つの他の層は、38℃及び90%の相対湿度で測定して1g.mm/m.24hr.atm未満の水蒸気透過係数を有し得る。
【0114】
デンプン組成物を含む少なくとも1つの層の総厚は、多層フィルムの総厚の20%以上であり得る。
【0115】
少なくとも1つの他の層の水蒸気透過係数は、38℃及び相対湿度90%で測定して0.5g.mm/m.24hr.atm未満、又は38℃及び相対湿度90%で測定して0.2g.mm/m.24hr.atm未満であってもよい。
【0116】
デンプン組成物を含む少なくとも1つの層の総厚は、多層フィルムの総厚の30%以上、又は多層フィルムの総厚の40%以上、多層フィルムの総厚の50%以上であり得る。デンプン組成物を含む少なくとも1つの層の総厚は、多層フィルムの総厚の60%以上であり得る。
【0117】
デンプン層は、低い酸素透過係数(OPC)を有し得る。デンプン層は、50%相対湿度(RH)で0.6cmmm/m.24h.atm未満のOPCを有してもよい。デンプン層は、50%RHで0.3cmmm/m.24h.atm未満のOPC、又は50%RHで0.2cmmm/m.24h.atm未満のOPCを有してもよい。デンプン層は、50%RHで0.1cmmm/m.24h.atm未満のOPCを有してもよく、又はデンプン層は、50%RHで0.05cmmm/m.24h.atm未満のOPCを有してもよい。
【0118】
デンプン層は、75%相対湿度(RH)で1.2cmmm/m.24h.atm未満のOPCを有してもよい。デンプン層は、75%RHで0.6cmmm/m.24h.atm未満のOPC、又は75%RHで0.2cmmm/m.24h.atm未満のOPCを有してもよい。デンプン層は、75%RHで0.1cmmm/m.24h.atm未満のOPCを有してもよく、又はデンプン層は、75%RHで0.05cmmm/m.24h.atm未満のOPCを有してもよい。
【0119】
OPCは、長期間、50%RHで0.05cmmm/m.24h.atm未満のままであり得る。OPCは、少なくとも10日間、50%RHで0.05cmmm/m.24h.atm未満のままであり得るか、又はOPCは、20日間、50%RHで0.05cmmm/m.24h.atm未満のままであり得るか、又はOPCは、30日間、50%RHで0.05cmmm/m.24h.atm未満のままであり得る。OPCは、30日間、50%RHで0.05cmmm/m.24h.atm未満のままであり得る。
【0120】
OPCは、長期間、75%RHで0.05cmmm/m.24h.atm未満のままであり得る。OPCは、少なくとも10日間、75%RHで0.05cmmm/m.24h.atm未満のままであり得るか、又はOPCは、20日間、75%RHで0.05cmmm/m.24h.atm未満のままであり得るか、又はOPCは、30日間、75%RHで0.05cmmm/m.24h.atm未満のままであり得る。OPCは、30日間、75%RHで0.05cmmm/m.24h.atm未満のままであり得る。
【0121】
多層フィルムは、低い酸素透過係数(OPC)を有していてもよい。多層フィルムは、50%相対湿度(RH)で0.6cmmm/m.24h.atm未満のOPCを有し得る。多層フィルムは、50%RHで0.3cmmm/m.24h.atm未満のOPC、又は50%RHで0.2cmmm/m.24h.atm未満のOPCを有してもよい。多層フィルムは、50%RHで0.1cmmm/m.24h.atm未満のOPCを有してもよく、又は多層フィルムは、50%RHで0.05cmmm/m.24h.atm未満のOPCを有してもよい。
【0122】
多層フィルムは、75%相対湿度(RH)で1.2cmmm/m.24h.atm未満のOPCを有し得る。多層フィルムは、75%RHで0.6cmmm/m.24h.atm未満のOPC、又は75%RHで0.2cmmm/m.24h.atm未満のOPCを有し得る。多層フィルムは、75%RHで0.1cmmm/m.24h.atm未満のOPCを有してもよく、又は多層フィルムは、75%RHで0.05cmmm/m.24h.atm未満のOPCを有してもよい。
【0123】
OPCは、長期間、50%RHで0.05cmmm/m.24h.atm未満のままであり得る。OPCは、少なくとも10日間、50%RHで0.05cmmm/m.24h.atm未満のままであり得るか、又はOPCは、20日間、50%RHで0.05cmmm/m.24h.atm未満のままであり得るか、又はOPCは、30日間、50%RHで0.05cmmm/m.24h.atm未満のままであり得る。OPCは、30日間、50%RHで0.05cmmm/m.24h.atm未満のままであり得る。
【0124】
OPCは、長期間、75%RHで0.05cmmm/m.24h.atm未満のままであり得る。OPCは、少なくとも10日間、75%RHで0.05cmmm/m.24h.atm未満のままであり得るか、又はOPCは、20日間、75%RHで0.05cmmm/m.24h.atm未満のままであり得るか、又はOPCは、30日間、75%RHで0.05cmmm/m.24h.atm未満のままであり得る。OPCは、30日間、75%RHで0.05cmmm/m.24h.atm未満のままであり得る。
【0125】
そのため、多層フィルムは、長期間にわたって酸素バリア性の性能が向上する。平衡含水率に達する時間は、制御された水蒸気透過率の他の層を使用して延長され得る。デンプン層内の平衡%含水率は、他の層材料内の%相対湿度/%含水率勾配のために低くなり得る。
【0126】
ガスバリア性能に関するこのような寿命は、包装された傷みやすい食品の貯蔵寿命を延ばす上で明らかに望ましい。
【0127】
有利には、再生可能な観点から、多層フィルムは、高い割合の生分解性デンプンを含有し得る。
【0128】
多層フィルム及び多層フィルム内の各層の厚さは、最終用途の正確な性質に応じて変化し得る。
【0129】
多層フィルムの総厚は、5~1000ミクロンであってもよい。
【0130】
いくつかの実施形態では、多層フィルムの総厚は、10~100ミクロン又は20~80ミクロンであってもよい。
【0131】
他の実施形態では、多層フィルムの総厚は、100~1000ミクロン又は200~800ミクロンであってもよい。
【0132】
デンプン組成物を含む少なくとも1つの層の総厚は、5~600ミクロンであり得る。
【0133】
いくつかの実施形態では、デンプン組成物を含む少なくとも1つの層の総厚は、5~50ミクロン、又は10~40ミクロンであり得る。
【0134】
他の実施形態では、デンプン組成物を含む少なくとも1つの層の総厚は、100~600ミクロン、又は150~500ミクロンであり得る。
【0135】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの他の層の総厚は、5~500ミクロンであってもよい。
【0136】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの他の層の総厚は、5~25ミクロン又は10~20ミクロンであってもよい。
【0137】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの他の層の総厚は、30~400ミクロン又は30~300ミクロンであってもよい。
【0138】
デンプン組成物を含む少なくとも1つの層は、100~600ミクロンの総厚を有してもよく、少なくとも1つの他の層は、10~400ミクロンの総厚を有してもよい。
【0139】
デンプン組成物を含む少なくとも1つの層は、100~400ミクロンの総厚を有してもよく、少なくとも1つの他の層は、40~250ミクロンの総厚を有してもよい。
【0140】
デンプン組成物を含む少なくとも1つの層は、10~60ミクロンの総厚を有してもよく、少なくとも1つの他の層は、5~40ミクロンの総厚を有してもよい。
【0141】
デンプン組成物を含む少なくとも1つの層は、10~60ミクロンの総厚を有してもよく、少なくとも1つの他の層は、5~500ミクロンの総厚を有してもよい。
【0142】
デンプン組成物を含む少なくとも1つの層は、水、好ましくは20重量%以下の水、より好ましくは12重量%以下の水を含み得る。水は可塑剤として機能し得る。
【0143】
デンプン組成物を含む少なくとも1つの層の含水率は、環境相対湿度%における平衡含水率であり得る。例えば、平衡含水率は、低%RHで約4%~高%RHで15%超の範囲であり得る。
【0144】
デンプン組成物を含む層及び/又は他の層は着色剤を含み得る。
【0145】
<他の層>
他の層(単数又は複数)は、完成した多層フィルムに特定の物理的及び審美的特性を付与するように選択されてもよい。これらの特性は、例えば、土壌、水、海洋又は他の環境における生分解性、防曇性、強度、ヒートシール性、色又は透明性を含み得る。他の層は、低い水蒸気透過率を有する層であってもよい。
【0146】
少なくとも1つの他の層は、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートグリコール、ポリブチレンサクシネート、ポリヒドロキシブチレート、ポリ乳酸、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ二塩化ビニリデン、セルロース、耐水性タンパク質層、シリカ含有耐水層、又はそれらの混合物を含み得る。他の層の各々は、成分の混合物を含んでもよい。他の層の1つ以上は、異なる材料の複数の層から構成されてもよい。他の層の各々は、異なる材料を含んでもよい。層は、溶媒キャスト又はスパッタコーティングされてもよい。
【0147】
ポリオレフィンフィルム層の調製に適したポリオレフィンは、エチレンホモポリマー、プロピレンホモポリマー、エチレン及びプロピレンのインターポリマー、並びにエチレン又はプロピレンと1つ以上のC-C10α-オレフィンとのインターポリマー、環状オレフィンポリマー及びコポリマー、二軸配向ポリプロピレン、並びにそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0148】
適切なポリオレフィンは、エチレン又はプロピレンと1つ以上のα-オレフィンとのコポリマーから選択されてもよい。高密度ポリエチレン及び直鎖低密度ポリエチレンの両方を利用することができる。
【0149】
適切な直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)は、エチレンとα-オレフィンとのコポリマー(約5~約15重量%)を含み得る。α-オレフィンには、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなど、及びそれらの混合物が含まれ得る。LLDPEの密度は、約0.865~約0.925g/cmの範囲内である
【0150】
適切な高密度ポリエチレン(HDPE)は、エチレン及びα-オレフィン(約0.1~約10重量%)のエチレンホモポリマー及びコポリマーを含み得る。適切なα-オレフィンには、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなど、及びそれらの混合物が含まれ得る。HDPEの密度は、好ましくは約0.940~約0.970g/cmである。
【0151】
適切な環状オレフィンポリマー及びコポリマーは、ノルボルネン又はテトラシクロドデセンのポリマー及びノルボルネン又はテトラシクロドデセンと1つ以上のα-オレフィンとのコポリマーを含み得る。例として挙げられる環状オレフィンポリマーとしては、Topas(Ticona)及びApel(Mitsui)がある。
【0152】
ポリオレフィンと他のポリマーとのブレンドを有利に使用することができる。キャストポリプロピレン(cPP)又は二軸配向ポリプロピレン(BOPP)は、改善された強度及び低いWVTRのために選択され得る。ポリエチレンテレフタレート(PET)は、強度及び収縮性に関して選択され得る。
【0153】
グラフト化ポリオレフィンなどの変性ポリオレフィンを利用してよい。好ましいグラフト化ポリオレフィンは、無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィンである。
【0154】
<ポリオレフィン>
適切なLLDPE、HDPE及びポリプロピレンは、チーグラー、シングルサイト、又は任意の他のオレフィン重合触媒によって製造することができる。チーグラー触媒及び助触媒は当技術分野で周知である。メタロセン・シングルサイト触媒は、シクロペンタジエニル(Cp)又はCp誘導体配位子を含む遷移金属化合物である。例えば、米国特許第4,542,199号明細書は、メタロセン触媒の調製を教示している。ヘテロ原子配位子、例えば、ボラアリール、ピロリル、アザボロリニル又はキノリニルを含有する非メタロセン・シングルサイト触媒も当技術分野で周知である。
【0155】
HDPEは、マルチモーダルであってもよい。「マルチモーダル」とは、重合体が少なくとも2つの成分を含み、その一方が比較的低い分子量を有し、他方が比較的高い分子量を有することを意味する。マルチモーダルポリエチレンは、マルチモーダル重合体生成物を生成する条件を使用する重合によって製造することができる。これは、2つ以上の異なる触媒部位を有する触媒系を使用することによって、又は、異なる段階で異なるプロセス条件(例えば、異なる温度、圧力、重合媒体、水素分圧など)を有する2つ又は多段階重合プロセスを使用することによって達成することができる。マルチモーダルHDPEは、一連の反応器を使用して、反応器の1つのみにコモノマーを添加して、多段階エチレン重合によって製造することができる。
【0156】
少なくとも1つの他の層は、1つ以上の再生可能材料由来の1つ以上の材料を含んでもよい。ポリエチレン又はポリプロピレンは、1つ以上の再生可能材料由来であってもよい。ポリエチレンは、例えばサトウキビ、サトウダイコン又は小麦の穀粒由来のエタノールから調製されてもよい。ポリエチレンテレフタレートは、バイオポリオール由来であってもよい。
【0157】
<接着剤>
少なくとも1つの他の層は、適切な接着剤の使用によってデンプン組成物を含む少なくとも1つの層に固定されてもよい。これは、スリップを最小限に抑え、したがって優れたバリア性能を維持するのに役立ち得る。多数の適切な接着剤が、当業者には明らかであろう。接着剤は、デンプン組成物を含む少なくとも1つの層に化学的に結合するように選択されてもよい。有用な接着剤は、1つ以上のポリウレタン又はエポキシを含み得る。
【0158】
有利には、接着剤の使用は、結合層として利用される変性又はグラフト化された他の層の必要性を克服又は最小化し得る。したがって、例えば、標準的なフィルムポリエチレングレードは、多層フィルム中のポリオレフィンの他の層として首尾よく使用され得る。これは、コストの考慮から望ましい場合がある。
【0159】
他の適切な接着剤としては、EVAコポリマー、アクリルコポリマー及びターポリマー、イオノマー、メタロセン由来ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリエチレン、エチレンアクリルエステルターポリマー及びエチレンビニルアセテートターポリマーが挙げられ得る。
【0160】
当業者は、熱活性化システム及びUV活性化システムを含む様々なタイプのプラスチックを接着するのに適した他の接着積層技術に精通している。例示的な接着剤としては、ポリウレタン、エポキシ、ナイロン、アクリル及びアクリレートが挙げられ得る。
【0161】
ポリウレタン系接着剤は、デンプン組成物を含む層に他の層を固定するのに特に適し得る。ポリウレタン接着剤は、1以上のイソシアネートとデンプン層との反応によってその場で調製され得る。デンプンの表面ヒドロキシル官能基とイソシアネートとの反応により、ウレタン官能基が形成される。好ましいイソシアネートはジイソシアネートである。当業者は、ポリウレタン合成の分野で典型的に使用される広範囲から適切なイソシアネートを選択することができるであろう。
【0162】
あるいは、ポリウレタン接着剤は、1以上のポリオールを含んでもよい。ジイソシアネート及びポリオールを含むこのような2成分系は、当技術分野で周知である。
【0163】
接着剤は、溶媒を含んでも含まなくてもよい。溶媒は、有機系又は水系であり得る。
【0164】
例示的なイソシアネートには、メチレンジフェニルジイソシアネート及びトルエンジイソシアネートが含まれる。例示的なポリオールとしては、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールなどのポリエーテルポリオール及びアジペート系ポリオールなどのポリエステルポリオールが挙げられる。
【0165】
<多層フィルムの製造方法>
多層フィルムは、様々なプロセスによって製造することができる。多層フィルムは、共押出、コーティング、押出コーティング、押出ラミネート及び他のラミネートプロセスによって製造することができる。フィルムはまた、キャスティング又はブローンフィルムプロセスによって製造されてもよい。
【0166】
共押出は結合層を使用する傾向があり、変性(グラフト化)ポリオレフィンなどの変性された他の層を利用する。共押出は、一般に、より薄い全体的なゲージを達成することができる。積層は、接着剤を利用するより厚い多層フィルムにより適している。押出コーティングは、インラインプロセスでコーティングされた製品を製造し得る。押出コーティングは、適切な接着樹脂を使用して、ポリオレフィン又はポリエステルのはるかに薄いポリマー層を基材上に塗布することができる。
【0167】
一実施形態において、デンプン組成物を含む内層及び2つの外側ポリオレフィン層を含む3層フィルムが提供される。他の実施形態では、デンプン組成物を含む層とポリオレフィン層との間に接着剤層を使用して、5層フィルムを得てよい。
【0168】
別の実施形態では、デンプン層は、フィルム基材、例えば二軸配向ポリプロピレン又は紙基材上に押出コーティングされてもよく、次いで別の層、例えばポリオレフィン又はポリエステル層がデンプン層上に押出コーティングされてもよい。
【0169】
<多層フィルムの用途>
3層又は5層のフィルムは、デンプン及び他の層を使用する多くの可能な実施形態のうちの1つにすぎないことが当業者には理解されよう。層の数及びそれらの相対的な厚さは、フィルムの機能又は最終用途に応じて調整され得る。
【0170】
さらに、バリアフィルム用途で一般的に利用される他の材料を含むさらなるフィルム層が想定され得る。例示的なさらなるフィルム層は、金属化フィルム、非重合体フィルムなどを含む。
【0171】
多層フィルムは、食料品袋、ストレッチラップ、食品包装フィルム、包装容器、水蒸気及び酸素の低い透過速度が必要とされる包装蓋を含む多くの用途を有し得る。
【0172】
以下、本開示の例示的な実施形態について詳細に説明する。
【0173】
<実施形態1>
a)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約300,000~約4,000,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、約60重量%~約99重量%の第1のデンプン;
b)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約1,000~約290,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、約0.1重量%~約40重量%の第2のデンプン;及び
c)1以上のポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びポリオキシアルキレンを含む、約1重量%~約40重量%の少なくとも1つの水溶性ポリマー
を含む、デンプン組成物。
【0174】
<実施形態2>
a)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約300,000~約4,000,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、約60重量%~約99重量%の第1のデンプン;
b)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約1,000~約290,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、約0.1重量%~約40重量%の第2のデンプン;及び
c)1以上のポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びポリオキシアルキレンを含む、約1重量%~約40重量%の少なくとも1つの水溶性ポリマー
を含み;
第1のデンプンが、約10重量%超、又は約20重量%超、又は約30重量%超、又は約40重量%超、又は約50重量%超、又は約60重量%超、又は約70重量%超、又は約80重量%超のアミロース含有量を有する、デンプン組成物。
【0175】
<実施形態3>
a)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約300,000~約4,000,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、約60重量%~約99重量%の第1のデンプン;
b)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約1,000~約290,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、約0.1重量%~約40重量%の第2のデンプン;及び
c)1以上のポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びポリオキシアルキレンを含む、約3重量%~約30重量%の少なくとも1つの水溶性ポリマー
を含み;
第1のデンプンが、約10重量%超、又は約20重量%超、又は約30重量%超、又は約40重量%超、又は約50重量%超、又は約60重量%超、又は約70重量%超、又は約80重量%超のアミロース含有量を有する、デンプン組成物。
【0176】
<実施形態4>
a)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約300,000~約4,000,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、約60重量%~約99重量%の第1のデンプン;
b)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約1,000~約290,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、約0.1重量%~約40重量%の第2のデンプン;及び
c)1以上のポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びポリオキシアルキレンを含む、約1重量%~約40重量%の少なくとも1つの水溶性ポリマー
を含む、デンプン組成物。
ここで、第1のデンプンは、約10重量%超、又は約20重量%超、又は約30重量%超、又は約40重量%超、又は約50重量%超、又は約60重量%超、又は約70重量%超、又は約80重量%超のアミロース含有量を有する。
ここで、第1のデンプンが、約10重量%超、又は約20重量%超、又は約30重量%超、又は約40重量%超、又は約50重量%超、又は約60重量%超、又は約70重量%超、又は約80重量%超のアミロース含有量を有しており、第2のデンプンが、20重量%未満のアミロース含有量を有する。
【0177】
<実施形態5>
a)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約300,000~約4,000,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、約60重量%~約99重量%の第1のデンプン;
b)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約1,000~約290,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、約0.1重量%~約25重量%の第2のデンプン;及び
c)1以上のポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びポリオキシアルキレンを含む、約1重量%~約40重量%の少なくとも1つの水溶性ポリマー
を含む、デンプン組成物。
ここで、第1のデンプンは、約10重量%超、又は約20重量%超、又は約30重量%超、又は約40重量%超、又は約50重量%超、又は約60重量%超、又は約70重量%超、又は約80重量%超のアミロース含有量を有する。
ここで、第1のデンプンは、約10重量%超、又は約20重量%超、又は約30重量%超、又は約40重量%超、又は約50重量%超、又は約60重量%超、又は約70重量%超、又は約80重量%超のアミロース含有量を有しており、第2のデンプンが、20重量%未満のアミロース含有量を有する。
【0178】
<実施形態6>
a)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約300,000~約800,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、約60重量%~約99重量%の第1のデンプン;
b)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約1,000~約290,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、約0.1重量%~約40重量%の第2のデンプン;及び
c)1以上のポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びポリオキシアルキレンを含む、約1重量%~約40重量%の少なくとも1つの水溶性ポリマー
を含む、デンプン組成物。
【0179】
<実施形態7>
a)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約300,000~約800,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、約60重量%~約99重量%の第1のデンプン;
b)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約1,000~約290,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、約0.1重量%~約40重量%の第2のデンプン;及び
c)1以上のポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びポリオキシアルキレンを含む、約1重量%~約40重量%の少なくとも1つの水溶性ポリマー
を含み;
第1のデンプンが、約10重量%超、又は約20重量%超、又は約30重量%超、又は約40重量%超、又は約50重量%超、又は約60重量%超、又は約70重量%超、又は約80重量%超のアミロース含有量を有する、デンプン組成物。
【0180】
<実施形態8>
a)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約300,000~約800,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、約60重量%~約99重量%の第1のデンプン;
b)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約1,000~約290,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、約0.1重量%~約40重量%の第2のデンプン;及び
c)1以上のポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びポリオキシアルキレンを含む、約3重量%~約30重量%の少なくとも1つの水溶性ポリマー
を含み;
第1のデンプンが、約10重量%超、又は約20重量%超、又は約30重量%超、又は約40重量%超、又は約50重量%超、又は約60重量%超、又は約70重量%超、又は約80重量%超のアミロース含有量を有する、デンプン組成物。
【0181】
<実施形態9>
a)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約300,000~約800,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、約60重量%~約99重量%の第1のデンプン;
b)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約1,000~約290,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、約0.1重量%~約40重量%の第2のデンプン;及び
c)1以上のポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びポリオキシアルキレンを含む、約1重量%~約40重量%の少なくとも1つの水溶性ポリマー
を含む、デンプン組成物。
ここで、第1のデンプンは、約10重量%超、又は約20重量%超、又は約30重量%超、又は約40重量%超、又は約50重量%超、又は約60重量%超、又は約70重量%超、又は約80重量%超のアミロース含有量を有する。
ここで、第1のデンプンは、約10重量%超、又は約20重量%超、又は約30重量%超、又は約40重量%超、又は約50重量%超、又は約60重量%超、又は約70重量%超、又は約80重量%超のアミロース含有量を有しており、第2のデンプンが、20重量%未満のアミロース含有量を有する。
【0182】
<実施形態10>
a)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約300,000~約800,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、約60重量%~約99重量%の第1のデンプン;
b)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約1,000~約290,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、約0.1重量%~約25重量%の第2のデンプン;及び
c)1以上のポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びポリオキシアルキレンを含む、約1重量%~約40重量%の少なくとも1つの水溶性ポリマー
を含む、デンプン組成物。
ここで、第1のデンプンは、約10重量%超、又は約20重量%超、又は約30重量%超、又は約40重量%超、又は約50重量%超、又は約60重量%超、又は約70重量%超、又は約80重量%超のアミロース含有量を有する。
ここで、第1のデンプンは、約10重量%超、又は約20重量%超、又は約30重量%超、又は約40重量%超、又は約50重量%超、又は約60重量%超、又は約70重量%超、又は約80重量%超のアミロース含有量を有しており、第2のデンプンが、20重量%未満のアミロース含有量を有する。
【0183】
<実施形態11>
a)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約300,000~約800,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、約60重量%~約99重量%の第1の第1のデンプン;
b)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約100,000~約290,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、約0.1重量%~約40重量%の第2のデンプン;及び
c)1以上のポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びポリオキシアルキレンを含む、約1重量%~約40重量%の少なくとも1つの水溶性ポリマー
を含む、デンプン組成物。
【0184】
<実施形態12>
a)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約300,000~約800,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、約60重量%~約99重量%の第1のデンプン;
b)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約100,000~約290,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、約0.1重量%~約40重量%の第2のデンプン;及び
c)1以上のポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びポリオキシアルキレンを含む、約1重量%~約40重量%の少なくとも1つの水溶性ポリマー
を含み;
第1のデンプンが、約10重量%超、又は約20重量%超、又は約30重量%超、又は約40重量%超、又は約50重量%超、又は約60重量%超、又は約70重量%超、又は約80重量%超のアミロース含有量を有する、デンプン組成物。
【0185】
<実施形態13>
a)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約300,000~約800,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、約60重量%~約99重量%の第1のデンプン;
b)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約100,000~約290,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、約0.1重量%~約40重量%の第2のデンプン;及び
c)1以上のポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びポリオキシアルキレンを含む、約3重量%~約30重量%の少なくとも1つの水溶性ポリマー
を含み;
第1のデンプンが、約10重量%超、又は約20重量%超、又は約30重量%超、又は約40重量%超、又は約50重量%超、又は約60重量%超、又は約70重量%超、又は約80重量%超のアミロース含有量を有する、デンプン組成物。
【0186】
<実施形態14>
a)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約300,000~約800,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、約60重量%~約99重量%の第1のデンプン;
b)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約100,000~約290,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、約0.1重量%~約40重量%の第2のデンプン;及び
c)1以上のポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びポリオキシアルキレンを含む、約1重量%~約40重量%の少なくとも1つの水溶性ポリマー
を含む、デンプン組成物。
ここで、第1のデンプンは、約10重量%超、又は約20重量%超、又は約30重量%超、又は約40重量%超、又は約50重量%超、又は約60重量%超、又は約70重量%超、又は約80重量%超のアミロース含有量を有する。
ここで、第1のデンプンは、約10重量%超、又は約20重量%超、又は約30重量%超、又は約40重量%超、又は約50重量%超、又は約60重量%超、又は約70重量%超、又は約80重量%超のアミロース含有量を有しており、第2のデンプンが、20重量%未満のアミロース含有量を有する。
【0187】
<実施形態15>
a)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約300,000~約800,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、約60重量%~約99重量%の第1のデンプン;
b)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約100,000~約290,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、約0.1重量%~約25重量%の第2のデンプン;及び
c)1以上のポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びポリオキシアルキレンを含む、約1重量%~約40重量%の少なくとも1つの水溶性ポリマー
を含む、デンプン組成物。
ここで、第1のデンプンは、約10重量%超、又は約20重量%超、又は約30重量%超、又は約40重量%超、又は約50重量%超、又は約60重量%超、又は約70重量%超、又は約80重量%超のアミロース含有量を有する。
ここで、第1のデンプンは、約10重量%超、又は約20重量%超、又は約30重量%超、又は約40重量%超、又は約50重量%超、又は約60重量%超、又は約70重量%超、又は約80重量%超のアミロース含有量を有しており、第2のデンプンが、20重量%未満のアミロース含有量を有する。
【0188】
<実施形態16>
a)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約300,000~約800,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、約60重量%~約99重量%の第1のデンプン;
b)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約10,000~約100,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、約0.1重量%~約40重量%の第2のデンプン;及び
c)1以上のポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びポリオキシアルキレンを含む、約1重量%~約40重量%の少なくとも1つの水溶性ポリマー
を含む、デンプン組成物。
【0189】
<実施形態17>
a)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約300,000~約800,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、約60重量%~約99重量%の第1のデンプン;
b)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約10,000~約100,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、約0.1重量%~約40重量%の第2のデンプン;及び
c)1以上のポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びポリオキシアルキレンを含む、約1重量%~約40重量%の少なくとも1つの水溶性ポリマー
を含み;
第1のデンプンが、約10重量%超、又は約20重量%超、又は約30重量%超、又は約40重量%超、又は約50重量%超、又は約60重量%超、又は約70重量%超、又は約80重量%超のアミロース含有量を有する、デンプン組成物。
【0190】
<実施形態18>
a)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約300,000~約800,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、約60重量%~約99重量%の第1のデンプン;
b)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約10,000~約100,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、約0.1重量%~約40重量%の第2のデンプン;及び
c)1以上のポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びポリオキシアルキレンを含む、約3重量%~約30重量%の少なくとも1つの水溶性ポリマー
を含み;
第1のデンプンが、約10重量%超、又は約20重量%超、又は約30重量%超、又は約40重量%超、又は約50重量%超、又は約60重量%超、又は約70重量%超、又は約80重量%超のアミロース含有量を有する、デンプン組成物。
【0191】
<実施形態19>
a)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約300,000~約800,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、約60重量%~約99重量%の第1のデンプン;
b)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約10,000~約100,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、約0.1重量%~約40重量%の第2のデンプン;及び
c)1以上のポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びポリオキシアルキレンを含む、約1重量%~約40重量%の少なくとも1つの水溶性ポリマー
を含む、デンプン組成物。
ここで、第1のデンプンは、約10重量%超、又は約20重量%超、又は約30重量%超、又は約40重量%超、又は約50重量%超、又は約60重量%超、又は約70重量%超、又は約80重量%超のアミロース含有量を有する。
ここで、第1のデンプンは、約10重量%超、又は約20重量%超、又は約30重量%超、又は約40重量%超、又は約50重量%超、又は約60重量%超、又は約70重量%超、又は約80重量%超のアミロース含有量を有しており、第2のデンプンが、20重量%未満のアミロース含有量を有する。
【0192】
<実施形態20>
a)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約300,000~約800,000ダルトンの第1の重量平均分子量を有する、約60重量%~約99重量%の第1のデンプン;
b)1以上の未変性デンプン及び変性デンプンを含み、約10,000~約100,000ダルトンの第2の重量平均分子量を有する、約0.1重量%~約25重量%の第2のデンプン;及び
c)1以上のポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びポリオキシアルキレンを含む、約1重量%~約40重量%の少なくとも1つの水溶性ポリマー
を含み;
第1のデンプンが、約10重量%超、又は約20重量%超、又は約30重量%超、又は約40重量%超、又は約50重量%超、又は約60重量%超、又は約70重量%超、又は約80重量%超のアミロース含有量を有するか;
又は、第1のデンプンは、約10重量%超、又は約20重量%超、又は約30重量%超、又は約40重量%超、又は約50重量%超、又は約60重量%超、又は約70重量%超、又は約80重量%超のアミロース含有量を有しており、第2のデンプンが、20重量%未満のアミロース含有量を有する。
【0193】
<実施形態21>
第1のデンプンが、約70重量%~約99重量%、又は約75重量%~約99重量%、又は約80重量%~約99重量%、又は約85重量%~約99重量%、又は約90重量%~約99重量%、又は約95重量%~約99重量%の量で存在し、第2のデンプンが、約0.1重量%~約35重量%、又は約0.2重量%~約30重量%、又は約0.5重量%~約25重量%、又は約0.5重量%~約20重量%、又は約0.5重量%~約15重量%、又は約0.5重量%~約10重量%、又は約0.5重量%~約5重量%、又は約0.5重量%~約4重量%、又は約0.5重量%~約3重量%、又は約0.5重量%~約2重量%の量で存在する、実施形態1~20のいずれか1つに記載のデンプン組成物。
【0194】
<実施形態22>
5~600ミクロンの厚さを有するフィルムであって、
実施形態1~21のいずれか1つに開示されるデンプン組成物を含み;
フィルムがASTM F1297に従って50%RHで測定して0.07cm.mm./m.day.atm未満のOPCを有する、フィルム。
【0195】
<実施形態23>
5~600ミクロンの厚さを有するフィルムであって、
実施形態1~20のいずれか1つに開示されるデンプン組成物を含み;
フィルムがASTM F1297に従って50%RHで測定して0.06cm.mm./m.day.atm未満のOPCを有する、フィルム。
【0196】
<実施形態24>
5~600ミクロンの厚さを有するフィルムであって、
実施形態1~20のいずれか1つに開示されるデンプン組成物を含み;
フィルムがASTM F1297に従って50%RHで測定して0.05cm.mm./m.day.atm未満のOPCを有する、フィルム。
【0197】
実施形態21~24のいずれか1つにおいて、フィルムは、ASTM F1927に従って相対湿度50%で測定して、0.02cm.mm./m.day.atm未満又は0.01cm.mm./m.day.atm未満又は0.005cm.mm./m.day.atm未満のOPCを有してもよい。
【0198】
実施形態21~24のいずれか1つに記載のフィルムを含む1つ以上の層と、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートグリコール、ポリブチレンサクシネート、ポリヒドロキシブチレート、ポリ乳酸、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ二塩化ビニリデン、セルロース、耐水性タンパク質層、シリカ含有耐水層及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの他の層とを含む多層フィルムも提供される。
【実施例
【0199】
<原料>
実施例では、以下の原料を用いた。
【0200】
変性デンプンECOFILM(商標);プロピレンオキシド変性デンプン、70%アミロース含有量;Ingredion。
【0201】
変性デンプンNational 7;プロピレンオキシド変性デンプン、<20%アミロース含有量;Ingredion。
【0202】
変性デンプンBondstar T800;プロピレンオキシド変性デンプン、<20%アミロース含有量;Ingredion。
【0203】
未変性デンプンPencote D ULV;<1%アミロース含有量;Ingredion。
【0204】
変性デンプンNational 912;OSA(オクテニルコハク酸無水物)変性デンプン、<20%アミロース含有量;Ingredion。
【0205】
ポリビニルアルコール;(Elvanol(商標) 71-30;Kuraray)
【0206】
Cloisite 20A 疎水的に変性された層状ケイ酸塩粘土(BYK Chemie GmbH)。
【0207】
表1は、実施例で使用した5つのデンプンに関するデータを含む。
【表1】
【0208】
<デンプン組成物>
デンプン(A)、デンプン(B)及びPVOHの混合物を押出加工することによって、デンプン組成物1~5を調製した(表2)。比較例1はまた、デンプン組成物の総重量に基づいて1.8重量%の粘土を含有した。デンプン及びPVOHの重量比は、これら3つの成分の総重量に基づく。%LMWデンプンは、組成物中のデンプンの総重量に対するLMWデンプンの重量に基づく。デンプン組成物6~9は、押出加工によって同様に調製されたが、単一デンプン成分としてEcofilm又はNational 7のいずれかのみを含有していた(表3)。
【表2】
【表3】
【0209】
押し出されたデンプン組成物を、表4に示す厚さを有するフィルムに加工した。表はまた、フィルムの酸素バリア及び機械的特性データを収集する。デンプン組成物のフィルムの酸素透過率を、ASTM F1927に従って相対湿度50重量%で測定した。
【表4】
【0210】
結果は、添加された低分子量デンプン成分を含む本発明の組成物2~4が、優れた酸素バリア特性を有するフィルムを与えたことを実証している。さらに、低分子量デンプン成分の分子量が減少するにつれて(組成物4及び5)、ガスバリア性能の改善を達成するために必要な低分子量成分は少なくなった。単一の高分子量デンプン成分のみ又は高分子量デンプン成分の混合物のいずれかを含む比較例1及び6~9はすべて、より低い酸素バリア性能を示す。
【0211】
フィルム衝撃は、ASTM D3420に従って、デンプン組成物の未成形シート上で23℃及び50%の相対湿度で測定した。
【0212】
<デンプンフィルムの熱成形性>
さらなるデンプン組成物10~12及び比較例13を調製し(組成については表5を参照)、デンプン組成物1~5及び比較例6~9について上に記載した方法と同様の方法によって、押出し、フィルムに加工した。
【表5】
【0213】
デンプンフィルムの熱成形性は、高温での引張破断伸びに関連する。上記フィルムを、PETラミネートに包まれた幅15mmのデンプンフィルムのストリップを使用することによって、100℃での引張破断伸びについて評価した。引張破断伸びは、%(降伏点に達したときの初期サイズに対する伸びの%)で測定される。引張速度は500mm/分であった。100℃における%破断伸びの結果を表6に示す。
【表6】
【0214】
この結果から、高分子量デンプン及び低分子量デンプンを含むデンプンフィルムは、高分子量デンプンのみを含むフィルムと比較して、100℃における破断伸びが向上していることが分かる。
【0215】
<デンプンフィルムの延伸性>
押出デンプンフィルムシートの延伸性は、熱成形機で異なる形状のカップに成形することによって評価した。デンプンフィルムの組成を表7に示す。
【表7】
【0216】
同じ50mmの直径であるが、次第に深くなる(25mmから50mmまで)12個の個々のカップを有し、底部コーナーに異なる半径(4mmの半径及び8mmの半径)を有する二組のカップがある12空洞延伸比ツールを使用した。大きな半径は、引き込まれたときにそれほど深刻ではなく、したがって、8mmの半径は、通常、4mmの半径の空洞よりも容易に引き込まれる。延伸比ツールを使用すると、空洞に応じて3.0~5.0の面積延伸比が得られる。
【0217】
試験した各フィルム組成物について、最小幅300mmの長さ約5メートルのシートを使用した。各フィルム組成物について10個のサンプルシートを試験した。サンプルシートを加熱し、空洞延伸比ツールを用いて形成した。
【0218】
各シートサンプルについて、形成に成功した空洞の数を記録した。これを10個のサンプルについて繰り返した。
【0219】
延伸比ツールからの空洞数は、以下のようにグレーディング率と相関する:
【表8】
【0220】
組成物14~15並びに比較対象16及び17の結果を表9に示す。
【表9】
【0221】
この結果から、高分子量デンプン及び低分子量デンプンを含むデンプンフィルムは、高分子量デンプンのみを含むフィルムと比較して、延伸性が向上していることがわかる。
【0222】
本出願を通して引用された公開特許及び特許出願を含むすべての参考文献の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0223】
本明細書に記載された詳細な例及び実施形態は、例示のみを目的として例として与えられており、決して本開示を限定すると見なされないことが理解される。その観点から様々な修正又は変更が当業者に示唆され、本出願の趣旨及び範囲内に含まれ、添付の特許請求の範囲内にあると考えられる。例えば、成分の相対量は、所望の効果を最適化するために変更されてもよく、追加の成分が添加されてもよく、及び/又は記載された成分の1つ以上の代わりに類似の成分が置換されてもよい。本開示のシステム、方法、及びプロセスに関連する追加の有利な特徴及び機能は、添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。さらに、当業者は、本明細書に記載の開示の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するか、又は日常的な実験のみを使用して確認することができるであろう。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
【国際調査報告】