(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-30
(54)【発明の名称】受信機を検出する方法およびシステムならびに調節可能な受信機
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20230523BHJP
H04B 1/59 20060101ALI20230523BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20230523BHJP
G01S 13/75 20060101ALN20230523BHJP
G01S 13/78 20060101ALN20230523BHJP
【FI】
G06K7/10 104
H04B1/59
G06K19/07 230
G06K7/10 144
G01S13/75
G01S13/78
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564438
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(85)【翻訳文提出日】2022-12-21
(86)【国際出願番号】 FR2021050665
(87)【国際公開番号】W WO2021214403
(87)【国際公開日】2021-10-28
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519416532
【氏名又は名称】グリーナーウェーブ
(71)【出願人】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(71)【出願人】
【識別番号】515185843
【氏名又は名称】エコール・シュペリュール・ドゥ・フィシック・エ・ドゥ・シミー・アンデュストリエル・ドゥ・ラ・ヴィル・ドゥ・パリ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョフロワ・ルロゼ
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AC20
5J070AD20
5J070AE20
5J070AF01
5J070AK26
5J070AK35
5J070BC23
5J070BC30
(57)【要約】
受信機を検出するための方法は、調節可能な受信機が出射した二次波を統括アンテナが受信すると、統括コントローラが調節可能な受信機を検出する、受信機を検出するステップと、次いで、他の受信機を検出するために、調節可能な受信機のインピーダンスを第1の構成インピーダンスと第2の構成インピーダンスとの間で交番させるインタラクションモードに切り替えるように、統括コントローラが検出された調節可能受信機のコントローラに指示する、再構成ステップとを含む。再構成ステップは、第1および第2の構成インピーダンスの各交番の持続時間よりも1桁大きい持続時間のものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次波(OP)を出射するのに適した統括アンテナ(42)と、前記統括アンテナに接続された統括コントローラ(41)とを備える検出システム(10)によって実現され、前記システムが、前記一次波を受信することおよび二次波(OS)を出射することに適した受信機アンテナ(32)を有する調節可能な受信機(30)を備え、前記調節可能な受信機が、前記受信機アンテナに接続された受信機コントローラ(31)を有し、前記受信機コントローラが、前記受信機アンテナが受信した前記一次波を検出すること、および前記受信機アンテナによる前記二次波の前記出射を指示することに適しており、前記調節可能な受信機が、修正可能なインピーダンスを有し、したがって出射される前記二次波に影響を及ぼし、前記調節可能な受信機が最初は、前記調節可能な受信機がベースインピーダンス(IB)を有する検出モードである、受信機を検出するための方法であって、
前記調節可能な受信機が出射した前記二次波を前記統括アンテナが受信すると、前記調節可能な受信機が前記統括コントローラによって検出される、受信機検出ステップと、次いで、
他の受信機を検出するために、前記調節可能な受信機の前記インピーダンスを第1の構成インピーダンス(IC1)と第2の構成インピーダンス(IC2)との間で交番させるインタラクションモードに切り替えるように、前記統括コントローラが前記受信機コントローラに指示する、再構成ステップであって、前記第1および第2の構成インピーダンスの各交番の持続時間(T2、T3)よりも1桁大きい持続時間(T1)のものである、再構成ステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記ベースインピーダンスが、前記統括コントローラとは独立して前記受信機コントローラによって付与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の構成インピーダンスが前記ベースインピーダンスである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の構成インピーダンスが前記第2の構成インピーダンスからある距離にある、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の構成インピーダンスおよび前記第2の構成インピーダンスが互いに近く、複素平面内で前記ベースインピーダンスの両側に1つずつある、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記調節可能な受信機が第1の調節可能な受信機(30a)であり、前記受信機アンテナ(32)が第1の受信機アンテナであり、前記一次波が第1の一次波であり、前記二次波が第1の二次波であり、前記受信機コントローラ(31)が第1の受信機コントローラであり、前記ベースインピーダンスが第1のベースインピーダンスであり、前記構成インピーダンスが第1の構成インピーダンスであり、前記システムが第2の調節可能な受信機(30b)を包含し、前記第2の調節可能な受信機が、前記一次波を受信することおよび第2の二次波(OSb)を出射することに適した第2の受信機アンテナ(32b)を有し、第2の受信機コントローラ(31b)が前記第2の受信機アンテナに接続され、前記第2の受信機(30)コントローラ(31b)が、前記第2の受信機アンテナによる前記第2の二次波の前記出射を制御すること、および前記第2の受信機アンテナが受信した前記一次波を検出することに適しており、前記第2の調節可能な受信機が修正可能なインピーダンスを有し、したがって前記第2の受信機アンテナが出射する前記第2の二次波に影響を及ぼし、前記第2の調節可能な受信機が最初は、前記第2の調節可能な受信機が第2のベースインピーダンスを有する検出モードであり、
前記方法が更に、前記第2の調節可能な受信機が出射した前記第2の二次波を前記統括アンテナが受信し、前記コントローラが前記第2の調節可能な受信機を検出すると、前記統括コントローラが、他の受信機を検出するために、前記第2の調節可能な受信機の前記インピーダンスが前記第2の受信機の第1の構成インピーダンス(IC2a)と前記第2の受信機の第2の構成インピーダンス(IC2b)との間で交番するインタラクションモードに切り替えるように、前記第2の調節可能な受信機に指示する、前記第2の受信機を再構成する再構成ステップであって、前記第2の調節可能な受信機を再構成する前記再構成ステップが、前記第2の受信機の前記第1および第2の構成インピーダンスの各交番の前記持続時間(T2b、T3b)よりも1桁大きい持続時間(T1b)のものである、再構成ステップを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の受信機の前記第1の構成インピーダンスが、前記第2の受信機の前記第2のベースインピーダンスである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の受信機の前記第1の構成インピーダンスが、前記第2の受信機の前記第2の構成インピーダンスからある距離にある、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の受信機の前記第1の構成インピーダンスおよび前記第2の受信機の前記第2の構成インピーダンスが互いに近く、複素平面内で前記ベースインピーダンスの両側に1つずつある、請求項6または7に記載の方法。
【請求項10】
インタラクションモードにおける前記第2の受信機の前記構成インピーダンスの前記交番が、最適化アルゴリズムによって、または既定の一連のインピーダンス値によって決定される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
インタラクションモードにおける前記第2の受信機の前記構成インピーダンスの前記交番が、不規則な非周期的時刻に実施される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記統括コントローラが、インタラクションモードにおける前記第2の受信機の前記構成インピーダンスの前記交番を決定する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記統括コントローラが、識別された前記受信機のインタラクションモードへの前記切り替えを指示し、前記識別された調節可能な受信機の前記コントローラが、インタラクションモードのときの前記構成インピーダンスの前記交番を決定する、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
インタラクションモードにおいて、前記調節可能な受信機の前記インピーダンスが、複数の構成インピーダンスの間で交番する、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記調節可能な受信機が、複数の調節可能な構成要素および関連するアンテナを含み、
前記統括コントローラが、関連する調節パラメータが対象とする各調節可能な構成要素を指定するため、識別情報を包含する統括制御波を、前記調節パラメータとともに前記統括アンテナが出射することを指示し、
前記識別情報がその調節可能な構成要素識別子(IDcr)に等しい場合、前記調節可能な構成要素が、前記調節パラメータに関して、前記関連するアンテナの前記インピーダンスを制御する、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記システムが更に、前記統括アンテナに接続された調節可能な要素(20)を備え、前記受信機検出ステップで、前記統括コントローラが、前記調節可能な要素の前記インピーダンスも修正する、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記統括コントローラが、最適化アルゴリズムによって決定された値に従って、前記調節可能な要素の前記インピーダンスと識別された前記調節可能な受信機の前記インピーダンスとを同時に修正する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
調節可能な受信機(30)と、
一次波(OP)を出射すること、および前記一次波の受信に応答して前記調節可能な受信機が出射した二次波(OS)を受信することに適した、統括アンテナ(42)と、
前記統括アンテナに接続された統括コントローラ(41)であって、前記一次波の前記出射を指示すること、および前記統括アンテナが受信した前記二次波を用いて前記調節可能な受信機を検出することに適した、統括コントローラ(41)と
を備える、受信機検出システム(10)であって、
前記調節可能な受信機が更に、
前記二次波を出射するのに適した受信機アンテナ(32)と、
前記受信機アンテナに接続された受信機コントローラ(31)であって、前記受信機アンテナによる前記二次波の前記出射を指示すること、および前記受信機アンテナが受信した前記一次波を検出することに適した、受信機コントローラ(31)と
を備え、
前記調節可能な受信機が、前記一次波が前記受信機アンテナによって二次波として反射および/または透過される方式を修正するために、修正可能なインピーダンスを有し、
前記システムが、前記調節可能な受信機が前記統括コントローラによって検出されると、前記統括コントローラが、検出モードからインタラクションモードに切り替えるように前記受信機コントローラに指示するように構成され、
検出モードでは、前記調節可能な受信機がベースインピーダンス(IB)を有し、
インタラクションモードでは、他の受信機を検出するために、前記調節可能な受信機の前記インピーダンスを第1の構成インピーダンス(IC1)と第2の構成インピーダンス(IC2)との間で交番させ、前記インタラクションモードが、前記第1および第2の構成インピーダンスの各交番の持続時間(T2、T3)よりも1桁大きい持続時間(T1)のものである、受信機検出システム(10)。
【請求項19】
前記第1の構成インピーダンスが前記ベースインピーダンスである、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の構成インピーダンスが前記第2の構成インピーダンスからある距離にある、請求項18または19に記載のシステム。
【請求項21】
インタラクションモードにおける前記構成インピーダンスの前記交番が、最適化アルゴリズムによって、または既定の一連のインピーダンス値によって決定される、請求項18から20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
インタラクションモードにおける前記構成インピーダンスの前記交番が、不規則な非周期的時刻に実施される、請求項18から21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記統括コントローラが、前記調節可能な受信機のインタラクションモードにおける前記構成インピーダンスの前記交番を指示するのに適している、請求項18から22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記統括コントローラが、識別された前記調節可能な受信機のインタラクションモードへの前記切り替えを指示するのに適しており、前記識別された調節可能な受信機の前記コントローラが、インタラクションモードのときの前記構成インピーダンスの前記交番を指示するのに適している、請求項18から23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
一次波(OP)の受信に応答して二次波(OS)を出射すること、および統括制御波を受信することに適したアンテナ(32)と、
前記アンテナに接続されたコントローラ(31)であって、前記二次波の前記出射を指示すること、および受信した前記一次波および前記統括制御波を検出することに適した、コントローラ(31)と
を備える、調節可能な受信機(30)であって、
前記調節可能な受信機が、修正可能なインピーダンスを有し、したがって出射される前記二次波に影響を及ぼし、
前記調節可能な受信機が、検出モードおよびインタラクションモードを有し、前記調節可能な受信機が、受信した前記統括制御波に従って検出モードからインタラクションモードへと切り替え、
検出モードでは、前記調節可能な受信機がベースインピーダンス(IB)を有し、
インタラクションモードでは、他の受信機を検出するために、前記調節可能な受信機の前記インピーダンスを第1の構成インピーダンス(IC1)と第2の構成インピーダンス(IC2)との間で交番するように適合させ、前記インタラクションモードが、前記第1および第2の構成インピーダンスの各交番の持続時間(T2、T3)よりも1桁大きい持続時間(T1)のものである、調節可能な受信機(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信機検出方法、その方法を実現できるようにするシステム、および調節可能な受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
購入できる物品には、例えば精算時間を低減するために、RFID技術を備えたラベルまたはバッジが提供されることがある。物品は、キャッシュレジスタの前または横のトレイに入れられ、システムは、キャッシャーが各物品を個別にスキャンする必要なしに、RFIDタグを用いて物品を識別し、レシートを自動的に発行する。したがって、時間が節約される。
【0003】
しかしながら、一部の物品がシステムによって検出されないことがあり、それが精算のエラーにつながるおそれがある。
【0004】
キャッシュレジスタのトレイの場合のように、複数の受信機(またはバッジ)が互いに隣り合って置かれると、特に干渉および/または電磁場の最小値のため、読取るのが難しいことがある。これらの干渉は、波を散乱、反射、および/または回折する場合がある環境によるものであり、ならびに受信機も散乱体であるために、波を反射、散乱、回折、更には減衰する場合がある受信機自体によるものである。
【0005】
また、受信機が同時応答を送出する際の受信機の検出に関する問題もあり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、ある体積内におけるバッジ検出を改善しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のため、一次波を出射するのに適した統括アンテナと、統括アンテナに接続された統括コントローラとを備える検出システムによって実現され、システムが、一次波を受信することおよび二次波を出射することに適した受信機アンテナを有する調節可能な受信機を備え、調節可能な受信機が、受信機アンテナに接続された受信機コントローラを有し、受信機コントローラが、受信機アンテナが受信した一次波を検出すること、および受信機アンテナによる二次波の出射を指示することに適しており、調節可能な受信機が、修正可能なインピーダンスを有し、したがって出射される二次波に影響を及ぼし、調節可能な受信機が最初は、調節可能な受信機がベースインピーダンスを有する検出モードである、受信機を検出するための方法であって、
調節可能な受信機が出射した二次波を統括アンテナが受信すると、調節可能な受信機が統括コントローラによって検出される、受信機検出ステップと、次いで、
他の受信機を検出するために、調節可能な受信機のインピーダンスを第1の構成インピーダンスと第2の構成インピーダンスとの間で交番させるインタラクションモードに切り替えるように、統括コントローラが受信機コントローラに指示する、再構成ステップであって、第1および第2の構成インピーダンスの各交番の持続時間よりも1桁大きい持続時間のものである、再構成ステップとを含む、方法が提供される。
【0008】
上述の構成を用いて、新しい受信機が検出されるにしたがって、それらを検出するために統括コントローラが利用できるようになる調節可能な受信機の数が増加する。受信機が検出されるたびに、そのインピーダンスが統括コントローラによって、他の受信機の検出に適したモードに調節される。システムは、そのため、まだ検出されていない1つまたは複数の受信機の位置にかかわらず、また固定であるか移動式であるかにかかわらず、前記受信機の存在をより効率的に検出することができる。
【0009】
システムの様々な実施形態では、以下の構成のうちの1つまたは複数が用いられてもよい。
【0010】
ベースインピーダンスが、統括コントローラとは独立して受信機コントローラによって付与される。
第1の構成インピーダンスがベースインピーダンスである。
第1の構成インピーダンスが第2の構成インピーダンスからある距離にある。
第1の構成インピーダンスおよび第2の構成インピーダンスが互いに近く、複素平面内でベースインピーダンスの両側に1つずつある。
調節可能な受信機が第1の調節可能な受信機であり、受信機アンテナが第1の受信機アンテナであり、一次波が第1の一次波であり、二次波が第1の二次波であり、受信機コントローラが第1の受信機コントローラであり、ベースインピーダンスが第1のベースインピーダンスであり、構成インピーダンスが第1の構成インピーダンスであり、システムが第2の調節可能な受信機を包含し、第2の調節可能な受信機が、一次波を受信することおよび第2の二次波を出射することに適した第2の受信機アンテナを有し、第2の受信機コントローラが第2の受信機アンテナに接続され、第2の受信機コントローラが、第2の受信機アンテナによる第2の二次波の出射を制御すること、および第2の受信機アンテナが受信した一次波を検出することに適しており、第2の調節可能な受信機が修正可能なインピーダンスを有し、したがって第2の受信機アンテナが出射する第2の二次波に影響を及ぼし、第2の調節可能な受信機が最初は、第2の調節可能な受信機が第2のベースインピーダンスを有する検出モードであり、
方法が更に、第2の調節可能な受信機が出射した第2の二次波を統括アンテナが受信し、コントローラが第2の調節可能な受信機を検出すると、統括コントローラが、他の受信機を検出するために、第2の調節可能な受信機のインピーダンスが第2の受信機の第1の構成インピーダンスと第2の受信機の第2の構成インピーダンスとの間で交番するインタラクションモードに切り替えるように、第2の調節可能な受信機に指示する、第2の受信機を再構成する再構成ステップであって、第2の調節可能な受信機を再構成する再構成ステップが、第2の受信機の第1および第2の構成インピーダンスの各交番の持続時間よりも1桁大きい持続時間のものである、再構成ステップを含む。
第2の受信機の第1の構成インピーダンスが、第2の受信機の第2のベースインピーダンスである。
第2の受信機の第1の構成インピーダンスが、第2の受信機の第2の構成インピーダンスからある距離にある。
第2の受信機の第1の構成インピーダンスおよび第2の受信機の第2の構成インピーダンスが互いに近く、複素平面内でベースインピーダンスの両側に1つずつある。
インタラクションモードにおける第2の受信機の構成インピーダンスの交番が、最適化アルゴリズムによって、または既定の一連のインピーダンス値によって決定される。
インタラクションモードにおける第2の受信機の構成インピーダンスの交番が、不規則な非周期的時刻に実施される。
統括コントローラが、インタラクションモードにおける第2の受信機の構成インピーダンスの交番を決定する。
統括コントローラが、識別された受信機のインタラクションモードへの切り替えを指示し、これらの識別された調節可能な受信機のコントローラが、インタラクションモードのときの構成インピーダンスの交番を決定する。
インタラクションモードにおいて、調節可能な受信機のインピーダンスが、複数の構成インピーダンスの間で交番する。
調節可能な受信機が、複数の調節可能な構成要素および関連するアンテナを含み、統括コントローラが、前記調節パラメータが対象とする各調節可能な構成要素を指定するため、識別情報を包含する統括制御波を、関連する調節パラメータとともに統括アンテナが出射することを指示し、識別情報がその調節可能な構成要素識別子に等しい場合、前記調節可能な構成要素が、調節パラメータに関して、関連するアンテナのインピーダンスを制御する。
システムが更に、統括アンテナに接続された調節可能な要素を備え、受信機検出ステップで、統括コントローラが、調節可能な要素のインピーダンスも修正する。
統括コントローラが、最適化アルゴリズムによって決定された値に従って、調節可能な要素のインピーダンスと識別された調節可能な受信機のインピーダンスとを同時に修正する。
【0011】
また、
調節可能な受信機と、
一次波を出射すること、および一次波の受信に応答して調節可能な受信機が出射した二次波を受信することに適した、統括アンテナと、
統括アンテナに接続された統括コントローラであって、一次波の出射を指示すること、および統括アンテナが受信した二次波を用いて調節可能な受信機を検出することに適した、統括コントローラと
を備える、受信機検出システムであって、
調節可能な受信機が更に、
二次波を出射するのに適した受信機アンテナと、
受信機アンテナに接続された受信機コントローラであって、受信機アンテナによる二次波の出射を指示すること、および受信機アンテナが受信した一次波を検出することに適した、受信機コントローラと
を備え、
調節可能な受信機が、一次波が受信機アンテナによって二次波として反射および/または透過される方式を修正するために、修正可能なインピーダンスを有し、
システムが、調節可能な受信機が統括コントローラによって検出されると、統括コントローラが、検出モードからインタラクションモードに切り替えるように受信機コントローラに指示するように構成され、
検出モードでは、調節可能な受信機がベースインピーダンスを有し、
インタラクションモードでは、他の受信機を検出するために、調節可能な受信機のインピーダンスを第1の構成インピーダンスと第2の構成インピーダンスとの間で交番させ、インタラクションモードが、第1および第2の構成インピーダンスの各交番の持続時間よりも1桁大きい持続時間のものである、システムが提供される。
【0012】
システムの様々な実施形態では、以下の構成のうちの1つまたは複数が用いられてもよい。
【0013】
第1の構成インピーダンスがベースインピーダンスである。
第1の構成インピーダンスが第2の構成インピーダンスからある距離にある。
インタラクションモードにおける構成インピーダンスの交番が、最適化アルゴリズムによって、または既定の一連のインピーダンス値によって決定される。
インタラクションモードにおける構成インピーダンスの交番が、不規則な非周期的時刻に実施される。
統括コントローラが、調節可能な受信機のインタラクションモードにおける構成インピーダンスの交番を指示するのに適している。
統括コントローラが、識別された調節可能な受信機のインタラクションモードへの切り替えを指示するのに適しており、識別された調節可能な受信機のコントローラが、インタラクションモードのときの構成インピーダンスの交番を指示するのに適している。
【0014】
また、
一次波の受信に応答して二次波を出射すること、および統括制御波を受信することに適したアンテナと、
アンテナに接続されたコントローラであって、二次波の出射を指示すること、および受信した一次波および統括制御波を検出することに適した、コントローラと
を備える、調節可能な受信機であって、
調節可能な受信機が、修正可能なインピーダンスを有し、したがって出射される二次波に影響を及ぼし、
調節可能な受信機が、検出モードおよびインタラクションモードを有し、調節可能な受信機が、受信した統括制御波に従って検出モードからインタラクションモードへと切り替え、
検出モードでは、調節可能な受信機がベースインピーダンスを有し、
インタラクションモードでは、他の受信機を検出するために、調節可能な受信機のインピーダンスを第1の構成インピーダンスと第2の構成インピーダンスとの間で交番するように適合させ、インタラクションモードが、第1および第2の構成インピーダンスの各交番の持続時間よりも1桁大きい持続時間のものである、受信機が提供される。
【0015】
本開示の他の特徴および利点は、添付図面を参照して、非限定例として与えられる本開示の実施形態のうちの1つの以下の記載から明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】受信機検出システムの一実施形態の全体図である。
【
図2】
図1のシステムに関する調節可能な受信機の一例を示す図である。
【
図3】
図2の調節可能な受信機に関するインピーダンスの時間に伴う交番を示す図である。
【
図4】
図1のシステムが使用することができるアルゴリズムによって使用される動的リストを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
様々な図面において、同じ参照番号は同一または類似の要素を指定する。
【0018】
システム
図1は、受信機検出システム10の一実施形態の概略斜視図である。この例では、システム10は体積Vを有するコンテナCを備える。コンテナCは任意選択であってもよく、体積Vは物理的な壁なしに画定されてもよい。コンテナCは、その体積V内に1つ、2つ、または複数の受信機を包含するのに適している。これらの受信機のうちの1つまたは複数は、一旦検出されると、体積V内に包含されている可能性がある他の受信機の検出に関与するように制御することができる、調節可能な受信機30であってもよい。調節可能な受信機は、特に、第1の調節可能な受信機30aおよび第2の調節可能な受信機30bを含んでもよい。調節可能な受信機30は固定または移動式であってもよい。識別またはそれ自体での単純な通信も検出に相当する。それ故、システム10は、受信機検出および/または受信機識別および/または受信機との通信のためのシステムである。一例によれば、調節可能な受信機30は、商品(例えば、販売している物品)に取り付けられ、コンテナCは店舗の精算レジスタのトレイである。それ故、単純に物品をトレイに入れることによって、レジスタは、物品を1つずつスキャンすることなくそれらを識別することができる。他の用途については本開示で説明する。
【0019】
後述するように、識別された調節可能な受信機は、識別される際に、体積V内に存在する他の受信機の識別に寄与する。2つの調節可能な受信機30a、30bのみが図面に示されているが、システム10は、調節可能な受信機30a、30bに類似した3つ以上の受信機を有することができる。それらの識別された受信機のうちのいくつかは、インピーダンスが調節可能な受信機ではない場合がある。
【0020】
図1の特定の例では、コンテナCは、底面C
1と、4つの側面C
2、C
3、C
4、C
5と、底面C
1の反対側の開口面C
6とを備える平行六面体である。第1の調節可能な受信機30aおよび第2の調節可能な受信機30bなどの調節可能な受信機30は、開口面C
6を通して体積内に挿入することおよび/または体積から除去することができる。これらの調節可能な受信機30はまた、体積V内を移動させてもよい。第1の調節可能な受信機30aおよび第2の調節可能な受信機30bは、ほぼ同一であり、汎用的な受信機30を参照して詳細に後述する。
【0021】
システム10は更に、次のものを備える。
一次波OPを体積V内へと出射するのに適した、また調節可能な受信機30による一次波OPの受信に応答して、体積V内に位置付けられたこの各受信機がそれぞれ出射する二次波OSを受信するのに適した、統括アンテナ42、ならびに、
統括アンテナ42に接続された統括コントローラ41であって、一次波OPの出射を指示するのに適した、また調節可能な受信機30が出射し統括アンテナ42が受信した対応する二次波OSによって、調節可能な受信機30を識別するのに適した、統括コントローラ41。統括コントローラ41および統括アンテナ42は、一実施形態による図面中では、体積Vの外部に配置されるものとして示されている。あるいは、統括コントローラ41および統括アンテナ42は、一方または両方を体積Vの内部に配置することができる。
【0022】
調節可能な受信機
調節可能な受信機30のうちの1つが、
図2に概略的に示されている。第1の調節可能な受信機30aおよび第2の調節可能な受信機30bは、汎用的な調節可能な受信機30に類似しており、調節可能な受信機30の構造および動作モードの説明は、第1の調節可能な受信機30aおよび第2の調節可能な受信機30bの説明として役立つものであり、共通の要素は、第1の調節可能な受信機30aに関してはインデックス「a」で、第2の調節可能な受信機30bに関してはインデックス「b」で表されることに留意のこと。
【0023】
調節可能な受信機30は、統括アンテナ42が出射した一次波OPの受信に応答して、二次波OSを出射するのに適した、アンテナ32を備える。調節可能な受信機30はまた、アンテナ32に接続されたコントローラ31と、一方ではコントローラ31に、他方ではアンテナ32に接続された、調節可能な構成要素35とを備える。コントローラ31は、二次波OSの出射を指示し、受信した一次波OPを検出し、それに含まれる情報を復号するように構成される。コントローラ31はまた、アンテナ32が出射する二次波OSに影響を及ぼす、調節可能な構成要素35のインピーダンスの制御を行う。調節可能な構成要素35は、有線または無線方式でコントローラ31に接続されてもよい。局所的な制御波OClは、調節パラメータを調節可能な構成要素35に送信するために、コントローラ31から調節可能な構成要素35へと送出されてもよい。
【0024】
各調節可能な構成要素35は関連するアンテナを有する。このアンテナは、調節可能な受信機30のアンテナ32または別個のアンテナであってもよい。
【0025】
一実施形態によれば、調節可能な受信機30のうちの少なくとも1つは、複数の調節可能な構成要素35を備える。調節可能な受信機30はいくつかの調節可能な構成要素35を備えることができ、各構成要素は関連するアンテナを有する。別の実施形態では、調節可能な受信機30は、この受信機の複数の調節可能な構成要素35に対して単一のアンテナを備える。調節可能な受信機30は、全体を制御するための1つまたは複数のコントローラ31を備えてもよい。単純にするため、一例として、この説明は、1つのアンテナ、1つのコントローラ、および1つの調節可能な構成要素をそれぞれ有する調節可能な受信機について記載するものであり、調節可能な受信機ごとに、いくつかのアンテナ、および/またはいくつかの調節可能な構成要素、および/またはいくつかのコントローラがあり得ることが理解される。
【0026】
全体構造
調節可能な受信機30は、例えば、「無線周波数識別」のためのRFIDとして知られる技術のデバイスである。
【0027】
調節可能な受信機30は、例えば、モノのインターネット(IoT)タイプの、あるいはWiFiもしくはBluetoothを介する、またはLoRaネットワークを介する送信を伴うタイプの、例えば、接続されたオブジェクトである。
【0028】
調節可能な受信機30は、1つまたは複数のセンサ(例えば、温度、湿度、存在検出、ガス検出、流量、電圧、電流)を備えることができる。センサが測定した値のうちの1つまたは複数は、受信機メモリまたは他の任意のメモリに格納され、二次波OSを用いて統括コントローラ41に送信することができる。
【0029】
同じ受信機30のコントローラ31、アンテナ32、および調節可能な構成要素35は、受信機30が小型のオブジェクトを形成するように、ベース36上でともにグループ化されてもよい。一実施形態によれば、ベース36は、例えば、薄い、例えば厚さ0.2mm未満の、例えば可撓性のポリマー材料で作られた、衣服または生活必需品のためのラベルである。調節可能な構成要素35、アンテナ32、およびコントローラ31は、例えば、接着によってベース36上に固定されてもよい。調節可能な受信機30の調節可能な構成要素35、アンテナ32、およびコントローラ31は、それら自体が薄い回路なので、調節可能な受信機30は、物品と関連付けられた薄い可撓性のデバイスである。
【0030】
調節可能な構成要素
インピーダンスが可変である調節可能な受信機30を得るための、いくつかの手法がある。
【0031】
調節可能な受信機30の調節可能な構成要素35は、例えば、電磁放射のインピーダンスを修正するために、アンテナ32に接続された少なくとも1つの調節可能な電子回路で構成され、それにより、電磁場との、特に受信機周辺の波との相互作用が特徴付けられる。調節可能な電子回路は、例えば、コンデンサ、ダイオード、トランジスタ、またはそれらの組み合わせである。この調節可能な電子回路は、その電子特性のうちの1つを修正するように、つまりより一般的には、調節可能な受信機30のアンテナ32の負荷インピーダンスであるその電気インピーダンスを修正するように、コントローラ31によって制御可能な入力を含む。この修正には、アンテナ32の放射インピーダンス、および波との相互作用を修正することを伴う。
【0032】
したがって、調節可能な構成要素35は、例えば、コントローラ31によって付与される電圧値によって修正することができ、また例えば1つまたは複数の調節パラメータ値に対応する、入力によって制御可能である。これらの調節パラメータは、更に詳細に後述するように、統括コントローラ41によって、あるいは調節可能な受信機のコントローラ31によって決定されてもよい。
【0033】
調節可能な受信機30のインピーダンスを修正することにより、体積V内における一次波OPの空間分布が修正される。この修正は、体積V内に包含されているが、最初は統括コントローラ41によって識別されなかった、他の受信機を検出するように最適化されてもよい。加えて、体積V内の受信機の検出が進行するにしたがって、これらの受信機は、体積V内に存在する他のいずれかの受信機をより効率的に検出するために、一次波OPの空間分布の修正に関与するように、統括コントローラ41によって制御されるようになる。調節可能な受信機30のインピーダンスの修正は、空間的指向性または収束よりもはるかに複雑であり、受信機周辺の体積内における電磁場の修正が関与する。
【0034】
モード
調節可能な受信機30のインピーダンスが修正されると、一次波OPを調節可能な受信機30が反射および/または透過する方式も修正され、それが体積V内の電磁場全体に影響を及ぼす。この修正は、ここでは、統括コントローラ41には見えていない他の受信機を検出するのに使用される。それ故、統括コントローラ41は、体積V内の統括電磁場を修正するために、調節可能な受信機30が変化するインピーダンスを有するインタラクションモードに切り替えるように、調節可能な受信機30に指示することができる。電磁場のこの修正は、統括コントローラ41に対して以前は無であった1つまたは複数の他の受信機を検出する助けとなり得る。
【0035】
体積Vに包含された各調節可能な受信機30は、最初は統括コントローラ41によって検出されず、検出モードにある。検出モードでは、調節可能な受信機30はベースインピーダンスIB1を有する。ベースインピーダンスIB1は、例えば、調節可能な受信機30のアンテナ32の負荷インピーダンスであり、つまり最大エネルギーを受信するように適合されたインピーダンスである。例えば、調節可能な受信機30のベースインピーダンスIB1は、11+143*j (jは、j^2=-1である複素)である。一実施形態によれば、調節可能な受信機30のベースインピーダンスIB1は、統括コントローラ41とは独立して、そのコントローラ31によって付与される。別の実施形態によれば、調節可能な受信機30のベースインピーダンスIB1は統括コントローラ41によって指示される。検出モードでは、調節可能な受信機30はいくつかのベースインピーダンスを有することができ、調節可能な受信機30のコントローラ31は、これらの異なるベースインピーダンスの間で交番することができる。この交番は、統括コントローラ41が調節可能な受信機30のコントローラ31に指示することなく行うことができ、あるいは統括コントローラ41の制御下にあることができる。
【0036】
統括アンテナ42が、体積V内に位置する受信機が出射した二次波OSを受信し、受信機が調節可能な受信機30である場合、統括コントローラ41は、体積内に包含された他の受信機を識別する助けとするために、インタラクションモードへと切り替えるように、この調節可能な受信機30のコントローラ31に指示することができる。
【0037】
インタラクションモードでは、調節可能な受信機30のインピーダンスを、第1の構成インピーダンスIC1と第2の構成インピーダンスIC2との間で交番させる。例えば、第1の構成インピーダンスICIはIB1-20j、第2の構成インピーダンスIC2はIB1+20jである。第1の構成インピーダンスIC1は無限であることができ、第2の構成インピーダンスIC2は、ゼロか低係数かまたはゼロに近いことが可能である。調節可能な要素35のインピーダンスを、3つ以上の構成インピーダンスの間で交番させることが可能である。第1および第2の構成インピーダンスIC1、IC2のうちの少なくとも1つは、エネルギーを回収できるようにするために、ベースインピーダンスIBであることができる。
【0038】
一実施形態によれば、第1の構成インピーダンスICIは、第2の構成インピーダンスIC2からある距離にある。「ある距離にある」とは、例えば、それらの間が少なくとも10倍であることを意味するものと理解される。インピーダンスは複素値であるため、インピーダンスは、例えば次のようなとき、別のインピーダンスからある距離にあるとみなすことができる。
それらの係数が、互いからある距離にある値を有し、例えば、それらの間の大きさの比が少なくとも2、好ましくは(上述したように)少なくとも10である。あるいは、
それらの位相が、少なくともπ/4、および好ましくはπ/2超過の異なる値など、互いからある距離にある値を有する。あるいは、
第1および第2のインピーダンスの差の係数が高い値を有し、例えば閾値よりも大きい、または例えば、第1のインピーダンスの係数よりも大きい、および/または第2のインピーダンスの係数よりも大きい値を有する。
【0039】
インピーダンス間の距離に関する多くの基準を定義することができる。
【0040】
調節可能な構成要素のインピーダンスにおける小さい変動によって、共振器として機能するアンテナの放射インピーダンスを大幅に修正することが可能になり、特にこの共振器の基本周波数では、電磁波が見るインピーダンスの振幅および位相は、負荷インピーダンスにおけるこの小さい変化によって大きく変動する。それ故、アンテナが分散型であるため、その負荷インピーダンスをその共振周波数周辺で小さく修正することによって、第1の構成インピーダンスICIと第2の構成インピーダンスIC2との間の離隔された交番を得ることができるようになる。加えて、このタイプの共振器は、サイズが小さく特に薄い調節可能な受信機30において実現することが非常に簡単である。
【0041】
別の実施形態によれば、第1の構成インピーダンスICIおよび第2の構成インピーダンスIC2は、ベースインピーダンスIBに近い。「近い」とは、間が最大10倍であることを意味するものと理解される。インピーダンスは複素値であり、それ故、インピーダンス同士の係数および/または位相および/または複素弾性率の差が互いに近いとき、あるインピーダンスは別のインピーダンスに近い。第1の構成インピーダンスIC1および第2の構成インピーダンスIC2がベースインピーダンスIBに近いことの利点は、インタラクションモードの間、調節可能な受信機30がエネルギーを回収することができ、電力供給されたままである点である。一実施形態によれば、第1の構成インピーダンスIC1および第2の構成インピーダンスIC2は互いに近く、複素平面内でベースインピーダンスの両側に1つずつある。
【0042】
第1の構成インピーダンスICIおよび第2の構成インピーダンスIC2は、両方ともベースインピーダンスIB1よりも高いか、または両方ともベースインピーダンスIB1よりも低いか、または一方がベースインピーダンスIB1よりも高く、一方が低いことが可能である。
【0043】
インタラクションモードでは、したがって、インタラクションモードの持続時間T1が、第1および第2の構成インピーダンスICIおよびIC2の各交番の持続時間T2、T3よりも1桁大きいという意味で、2つ以上の構成インピーダンスの間で非常に頻繁な交番がある。
図3は、例えば、この点を示している。一例によれば、インタラクションモードの持続時間T1は100ms、第1および第2の構成インピーダンスICIおよびIC2の各交番の持続時間T2、T3は10msである。
【0044】
インタラクションモードの離脱
統括コントローラ41によって検出されインタラクションモードへと切り替えられた各調節可能な受信機は、体積Vに存在する全ての受信機が検出されるまで、インタラクションモードのままであってもよい。
【0045】
調節可能な受信機30は、体積Vに存在する全ての受信機を検出するのに十分であるとみなされる時間、例えば数十または数百ミリ秒に対応し得る所定の期間後に、インタラクションモードを離脱してもよい。この期間は、統括コントローラ41によって付与することができ、あるいは調節可能な受信機30のコントローラ31によって付与することができる。この時間は、体積Vに包含された受信機それぞれまたは一部に対して異なることが可能である。この時間は無作為であることができる。
【0046】
別の実施形態によれば、統括コントローラ41は、調節可能な受信機のインタラクションモードからの離脱を制御する。統括コントローラ41は、検出された調節可能な受信機が全て同時に離脱するように指示してもよく、または受信機がグループごとに離脱するように指示してもよい。
【0047】
別の実施形態によれば、調節可能な受信機30は、この調節可能な受信機に格納されたエネルギーが最小値を下回るまで、インタラクションモードのままである。
【0048】
既定または無作為のシーケンスに基づいた交番
一実施形態によれば、統括コントローラ41は、調節パラメータの組み合わせのセットを掃引するために、無作為にまたは既定の方式で、検出されている受信機30の調節可能な構成要素35に対する調節パラメータを周期的に定義し、それによって、様々な電磁場を有するコンテナの体積Vの掃引を可能にする。各インピーダンス交番と同時に、この新しい設定を用いて受信機を検出するために、統括コントローラ41が一次波OPを出射する。あるいは、統括コントローラ41は、インピーダンス調節パラメータを送出した後の時間に一次波OPを出射することができる。この実施形態の変形例によれば、統括コントローラ41は、識別された受信機の検出モードからインタラクションモードへの切り替えのみを指示し、各識別された調節可能な受信機30のコントローラは、調節パラメータの組み合わせのセットを掃引するために、無作為の方式でその調節可能な構成要素35に対する調節パラメータを周期的に定義する。
【0049】
別の実施形態によれば、交番のタイミングは周期的ではなく、不規則、専用、または無作為である。
【0050】
別の実施形態によれば、調節可能な受信機30が検出され、インタラクションモードになると、そのコントローラ31は受動であり、統括コントローラ41が、調節可能な受信機のコントローラ31を介して、調節可能な受信機30のインピーダンス交番を指示する。
【0051】
一実施形態によれば、統括コントローラ41は、識別された受信機のインタラクションモードへの切り替えのみを指示し、この受信機またはこれらの受信機のコントローラ31が、調節可能な受信機30のインピーダンス交番を指示する。これらの交番は事前プログラムされてもよい。この目的のため、調節可能な受信機30の各コントローラ31は、調節可能な受信機30が統括コントローラ41によってインタラクションモードに切り替えられると、インタラクションモードのインピーダンスシーケンスを交番するというプログラミング(場合によっては、例えば、数ミリ秒から数百ミリ秒程度の交番持続時間後に交番する、シーケンスまたは各交番と関連付けられた時間遅延を含む)を包含するであろう、メモリ33を含んでもよい。
【0052】
最適化に基づく交番
別の実施形態によれば、インタラクションモードに切り替えられている調節可能な受信機30による電磁場の修正は、他の受信機を検出するためにこの電磁場を最適化するように行われてもよい。最適化により、いくつかの調節可能な受信機30(検出されたもの)を使用して、体積V内の電磁場を改善し、したがって以前は検出できなかった他の受信機を検出することができるようになる。統括コントローラ41は、(前記波が受信されたときに)統括アンテナ42が受信した、検出された様々な調節可能な受信機30から発した二次波OSを監視する。これらの波を介して、統括コントローラ41は、例えば、その統括アンテナ42が受信した二次波OSの受信に関する受信情報を決定することができ、この受信情報は、例えば、受信レベルおよび/または受信品質である。
【0053】
統括コントローラ41は次に、受信情報を使用して、最適化すべき値(最適化値)を推定することができ、この値は、1つの情報または複数の受信情報の組み合わせである。
【0054】
統括コントローラ41は、例えば、(時間的に)以前のパラメータ、以前の推定値、および現在の推定値のセットに基づいて最適化アルゴリズムを実行する。
【0055】
最適化アルゴリズムは、推定値によって表される大きさに応じて、この値の最大化または最小化であってもよい。1つまたは複数の連続ステップで、最適化アルゴリズムは、新たな調節可能な受信機30を検出するためのパラメータの最適なセットを得ることができるようにする。各ステップで、または所定の周期性で、統括コントローラ41は、識別されている調節可能な受信機30に新たなパラメータのセットを適用し、および/または次の繰返しを実施するための受信情報を決定する。これらの繰返しは、この最適化の持続時間が、体積内で検出および/または識別される受信機の数と比較して非常に短くなるように、非常に高レートで実施されてもよい。
【0056】
パラメータの最適セットは、例えば、統括アンテナ42における二次波OSの受信レベルを改善することができるようにする。例えば第1の受信機30など、識別された受信機の調節可能な構成要素の最適化状態によるこの修正によって、統括アンテナ42に向かう二次波OSの伝搬場が改善され、例えば、体積V内で以前は識別されなかった第2の受信機30bの、受信機検出および/または識別が改善されるか、または更には可能になる。
【0057】
それ故、一実施形態によれば、統括コントローラ41は、例えば、統括アンテナ42による二次波の受信を最適化するために、統括コントローラ41によって識別された受信機の複数の調節可能な構成要素を調節するための、パラメータのセットを決定する。最適化は、例えば、統括アンテナ42による二次波の受信レベルおよび/または受信品質の推定である、推定値に関わる。
【0058】
動的最適化
最適化は動的であり、即ち、調節可能な構成要素35を調節するために、統括コントローラ41によって調節可能な受信機30に送出されるパラメータの数は、新たな受信機が体積V内で検出されると増加する。それ故、第1の調節可能な受信機30aが検出されると、統括コントローラ41は、この調節可能な受信機のインピーダンスの変更を指示し、次に、検出された新たな調節可能な受信機それぞれに対して同じことを行う。それ故、数回の繰返し後、5つの調節可能な受信機30が、例えば、体積V内に存在する新たな受信機を検出するように、統括コントローラ41によって制御されることになる。
【0059】
例示のため、統括コントローラ41によって最初に識別されていないものと仮定して、体積V内に存在する第1の受信機30aおよび第2の受信機30bを例に挙げる。第1の受信機30aおよび第2の受信機30bは、最初(t=t0)は検出モードであり、ベースインピーダンスIBa、IBbはそれぞれ、(統括コントローラ41とは独立して)それらの関連するコントローラ31a、31bのみによって固定される。第1のステップである受信機検出ステップで、第1の受信機30aが出射した二次波OSaを統括アンテナ42が受信すると(時間t=t1)、第1の受信機30aが統括コントローラ41によって検出される。統括コントローラ41は次に、第1の受信機30aを識別された受信機の動的リストLに追加することができる(
図4を参照のこと)。動的リストLは、統括コントローラ41のメモリに保存されてもよい。リストは、受信機が統括コントローラ41によって検出され、インタラクションモードに切り替わると、検出された受信機を追加することによってリアルタイムで更新されるので、動的である。
【0060】
第3のステップである第2の受信機検出ステップの間、統括アンテナ42は、第2の受信機30bが出射した二次波OSbを受信する。統括コントローラ41は、第2の受信機30bを識別し、次に、第2の受信機30bを識別された受信機の動的リストLに追加することができる(時間t=t2)。統括コントローラ41は更に、第2の受信機30bのコントローラ31bに、第2の調節可能な受信機30bのインピーダンスが少なくとも第1の構成インピーダンスIClbと第2の構成インピーダンスIC2bとの間で交番する、インタラクションモードに切り替えるように指示する。
【0061】
一実施形態によれば、第2の受信機30bの第1の構成インピーダンスIClbは、第2の受信機30bの第2の構成インピーダンスIC2bからある距離にある。「ある距離にある」とは、例えば、それらの間が少なくとも10倍であることを意味するものと理解される。インピーダンスは複素値であり、それ故、インピーダンスは、例えば次のようなとき、別のインピーダンスからある距離にあるとみなすことができる。
それらの係数が、互いからある距離にある値を有し、例えば、それらの間の大きさの比が少なくとも2、好ましくは(上述したように)少なくとも10である。あるいは、
それらの位相が、少なくともπ/4、および好ましくはπ/2超過の異なる値など、互いからある距離にある値を有する。あるいは、
第1および第2のインピーダンスの差の係数が高い値を有し、例えば閾値よりも大きい、または例えば、第1のインピーダンスの係数よりも大きい、および/または第2のインピーダンスの係数よりも大きい値を有する。
【0062】
インピーダンス間の距離に関する多くの基準を定義することができる。
【0063】
以前に保存されたパラメータを用いた最適化
一実施形態によれば、統括コントローラ41は、調節パラメータの組み合わせのセットを掃引するために、以前に保存されたテーブルに従って、検出された受信機の調節可能な構成要素に対する調節パラメータを周期的に定義する。
【0064】
この以前に格納されたテーブルは、例えば、シミュレーションによって、または体積Vの環境における測定によって、体積V内における一次波OPの伝搬を知ることによって定義される。以前に格納されたテーブルは、例えば、所定の空間精度で体積V全体を掃引する能力を担保するために定義される。
【0065】
次に、統括コントローラ41は上記と同様に進行し、識別された受信機の調節可能な構成要素の調節ごとに、統括コントローラ41は、この新たな設定で受信機を検出するために、一次波OPの出射も制御する。この手順により、体積V内の1つまたは複数の新たな受信機(調節可能か否かにかかわらず)を検出することが可能になる。既定数の組み合わせの後、この手順により、体積V内の全ての受信機を知ることができるようになる。
【0066】
あるいは、統括コントローラ41は、例えば、所定の時間の間(時間スロット内、および/または1週間のうち所与の曜日、および/または1か月のうち所与の日に)、いくつかの基準の調節可能な受信機に対する最適調節パラメータを検索することによって、前記以前に保存されたテーブルの校正を周期的に実施する。
【0067】
この他の最適化は、統括コントローラ41が受信する二次波OSに基づいてもよい。統括コントローラ41は、そのアンテナによる戻り二次波OSの受信に関する受信情報(受信レベルおよび/または受信品質)を決定する。統括コントローラ41は次に、識別された調節可能な受信機30に対する調節パラメータのセットの最適化を実施する。
【0068】
識別された調節可能な受信機に対する調節パラメータのこれらの最適化に続いて、統括コントローラ41は、パラメータ化モデルおよび/または補間技術などの様々な技術によって、以前に保存されたテーブルを推論する。
【0069】
この実施形態の変形例によれば、統括コントローラ41は、識別された調節可能な受信機30の検出モードからインタラクションモードへの切り替えのみを指示し、各受信機のコントローラ31は、調節パラメータの組み合わせのセットを掃引するために、問題の受信機のメモリ内にある以前に保存されたテーブルに従って、調節可能な構成要素に対する調節パラメータを周期的に定義する。
【0070】
受信機-識別
加えて、各受信機30のメモリ33は、(識別子が全て異なる)受信機同士を区別できるようにする、調節可能な受信機識別子IDrrを備えてもよい。
【0071】
この場合、統括コントローラ41は、統括制御波出射OCgの形で、インピーダンス調節パラメータを有する識別情報IIDを出射してもよく、それにより、前記調節パラメータが対象とするシステム10の識別された調節可能な受信機を指定できるようになる。統括コントローラ41は、それ故、例えば、前記調節パラメータが送出される先である調節可能な受信機30が、問題の前記調節パラメータを適用する唯一のものであるように、各調節パラメータが識別情報と関連付けられた、パラメータのセット全体(全ての調節パラメータ)を逐次出射する。
【0072】
調節可能な受信機30が、それらの関連するアンテナを有する複数の調節可能な構成要素を含む場合、統括制御波は、関連する調節パラメータが対象とする各調節可能な構成要素を指定するために、前記調節パラメータを有する識別情報を包含し、調節可能な構成要素は、識別情報がその調節可能な構成要素識別子IDcrと等しい場合、調節パラメータに関して、関連するアンテナのインピーダンスを制御する。
【0073】
受信機30は、それ故、統括コントローラ41から発する、統括制御波OCgに包含される調節パラメータを復号する、この統括制御波OCgを受信するための受信デバイス34を備えてもよい。調節可能な受信機30のコントローラ31は次に、調節パラメータを使用して、関連する調節可能な構成要素35のインピーダンスを制御し修正する。
【0074】
受信機30の受信デバイス34は次に、統括制御波OCgにおける識別情報IIDおよび調節パラメータを復号する。次いで、調節可能な受信機30は、識別情報がその調節可能な受信機識別子IDrrに等しい場合、調節パラメータに従って、そのインピーダンスを制御する(即ち、調節可能な構成要素35がその関連するアンテナのインピーダンスを制御する)。
【0075】
統括コントローラ41は、受信機を検出し識別するために、場合によっては周期的に、コンテナCの体積V内で一次波OPを出射し、検出されている調節可能な受信機30を調節するために、体積V内で統括制御波OCgを周期的に出射する。検出された調節可能な受信機30はそれぞれ、次に、それを対象とする調節パラメータを選択する。
【0076】
あるいは、調節可能な受信機30のメモリ33は、調節パラメータ(前もって保存されたもの、および/またはコントローラからの送信によって保存されたもの)と、これらの調節パラメータと関連付けられた1つ(もしくは複数)の読取り期間とのセットを格納する。この調節パラメータおよび読取り期間のセットは、統括コントローラ41には知られている。この構成は、統括コントローラ41が、新たな調節パラメータを調節可能な受信機に体系的に送出するのを回避できるようにすることができ、換言すれば、これによって送信の必要性が低減される。調節パラメータおよび/またはこれらの読取り期間のこのセットは、各調節可能な受信機30で異なる場合がある。
【0077】
統括コントローラ41の第1の変形例によれば、統括コントローラ41は、そのメモリ43内に、調節可能な構成要素の、または調節可能な構成要素を1つしか有さない場合は調節可能な受信機の、識別子の動的リストLを備え、このリストには、調節可能な構成要素の識別子を調節パラメータとともに送信できるようにするために、識別されたシステム10の調節可能な受信機識別子IDrrが記入される。各調節可能な受信機30は、二次波Osaであってもよい戻り波を介して、場合によっては周期的に、その調節可能な受信機識別子IDrrを出射する。統括コントローラ41は次に、システム10において識別された調節可能な受信機30のリストを確立し、新たな受信機識別子を受信するたびにそのリストを更新する。加えて、調節可能な受信機30は、調節可能な受信機30の不活性化持続時間限界よりも長い期間後に、統括コントローラ41が調節可能な受信機30の識別子を受信しなくなった場合、動的リストから除去されてもよく、または前記リスト内で(活性フラグによって)不活性化されてもよい。
【0078】
それ故、この動的動作によって、統括コントローラ41は、動作可能なまたは機能している調節可能な受信機30を常に使用するようになる。この動的動作はまた、体積V内に存在する調節可能な受信機30に自動的に適合する、システム10のインストールを容易にする。
【0079】
加えて、一変形例によれば、調節可能な受信機30は、コントローラ41のアンテナ42から発する一次波OPおよび/または統括制御波OCgの存在下でのみ、その調節可能な識別子IDrrを周期的に出射するようになる。それは特に、次のような理由による。
この調節可能な受信機30が、その動作のためにこの波からエネルギーを回収するための、エネルギー回収デバイス37を使用するため。エネルギーがない場合、調節可能な受信機30は自動的にオフになり、その識別子を報知しない。
あるいは、この調節可能な受信機30が、所定の待機時間よりも長い期間、一次波OPまたは統括制御波OCgを受信していない場合、その識別子を送信しないように設計されているため。
【0080】
受信機-インピーダンス交番指示
識別された調節可能な受信機30のインタラクションモードでのインピーダンス交番は、異なる形で実施されてもよい。一実施形態によれば、最適化アルゴリズムは、動的リストLにおける調節可能な構成要素それぞれのインピーダンスを繰返し判断し、その目的は、体積V内の電磁場を最適化することである。
【0081】
あるいは、統括コントローラ41は、体積V内に存在するがまだ識別されていない受信機を検出するための、最適パラメータの1つまたは複数のセットを格納するメモリを備える。このように、最適化アルゴリズムは、保存されたパラメータのセットのうちの1つまたは複数に基づいてそのプロセスを開始することができ、それによって最適化の時間を節約することが可能になり、過渡効果が回避される。
【0082】
あるいは、最適化アルゴリズムは、その性能を監視し、停止基準に達するとその最適化の繰返しを停止する。停止基準は、まだ識別されていない受信機の識別子の統括コントローラ41による受信であってもよい。それ故、二次波OSの受信におけるわずかな変動またはゆらぎを回避することが可能である。
【0083】
最後に、統括コントローラ41の上述の実施形態は、受信した二次波OSに対する最適化によって調節パラメータの一部を、無作為の調節によって調節パラメータの一部を、また体積V内の既定によって調節パラメータの一部を生成するように組み合わされてもよい。この戦略によって、体積V内の更に多くの受信機をより迅速に識別することが可能になる。
【0084】
更に、受信機が、それを対象とする調節パラメータを受信し復号することができるように、統括コントローラ41は、例えば、システム10に含まれる各調節可能な受信機30(即ち、その時点で動的リストLに統括コントローラ41によって検出されリストされた受信機)に対して、上述の最適化手順に従ってこの調節パラメータを決定し、統括コントローラ41は、一次波OPであってもなくてもよい統括制御波OCgを出射する際に、各調節パラメータを対応する関連する受信機に送信する。
【0085】
特に、制御波OCにおけるこの送信は、統括コントローラ41が統括アンテナ42に供給する統括制御波OCg出射信号における、任意のタイプの符号化および/または任意のタイプの変調によって実施される。
【0086】
あるいは、統括コントローラ41は、全ての調節可能な受信機30に対して、各受信機に特有のパラメータに従って、それらのインピーダンスを変更するように、またはそれらのインピーダンスを調節するように同時に指示してもよい。例えば、各受信機の識別情報に応じた指示(「0を含むまたは含まない」、「末尾に偶数を有する」など)であって、定義された式に従って各受信のインピーダンスを修正する指示が送出されてもよい。
【0087】
受信機-エネルギー回収
更に、
図2を参照すると、1つ(または複数)の調節可能な受信機30は更に、エネルギー回収デバイス37が受信したエネルギーを貯蔵し、また場合によっては蓄積するのに適した、エネルギー貯蔵デバイス38を含んでもよい。このように、調節可能な受信機30は、より自律性を有するようになり、前記エネルギー貯蔵デバイスの容量によって決定される期間の間、動作することができる。このエネルギー貯蔵デバイスは、例えば、コンデンサ、または電池、または他の任意のエネルギー貯蔵デバイスである。
【0088】
エネルギー回収デバイス37は、例えば、その受信デバイス34および/またはそのコントローラ31および/または調節可能な構成要素35に電力供給するために、一次波OPから、および/または統括制御波OCgからエネルギーを回収することができる。
【0089】
それ故、調節可能な受信機30は、エネルギー自給型であり、そのインピーダンスを適合させるという点で自給型でもあり得る。各調節可能な受信機30の調節可能な構成要素35は、調節可能な受信機30のコントローラ31との有線接続を必要とせず、それらのエネルギー回収デバイスへのアクセスも有する可能性がある。
【0090】
有利には、システム10の全ての調節可能な受信機はそれぞれ、(個別に)自身のエネルギー回収デバイス37を有してもよく、それ故、互いに独立している。
【0091】
調節可能な要素
任意選択で、また
図1を再び参照すると、システム10は更に、体積V内に固定された1つ(または複数)の調節可能な要素20を備えてもよい。調節可能な要素20は、調節可能な受信機30に関して上述したのと同じように、一次波OPが各調節可能な要素20によって反射および/または透過される方式を修正するために、修正することができるインピーダンスを有してもよい。
【0092】
調節可能な要素20は、体積Vに対して固定され、統括コントローラ41によって常に識別され、統括コントローラ41によって常に直接識別される点を除いて、調節可能な受信機30に構造的および機能的に類似している。それ故、調節可能な要素20はそれらのインピーダンスが統括コントローラ41によって命令される受動要素である。
【0093】
調節可能な要素20の数Nは、好ましくは2以上である。任意選択で、体積V内の一次波OPの分布を更に修正するため、数Nは5超過、または10もしくは20である。
【0094】
一実施形態によれば、統括コントローラ41が出射する統括制御波OCgまたは一次波OPによって、調節可能な要素20を制御または駆動できるようになる。それ故、統括コントローラ41は、システム10の調節可能な要素20および調節可能な受信機30を同時に制御または駆動することができる。
【0095】
更に、各調節可能な要素20は、統括制御波OCgに包含され、統括コントローラ41から発する調節パラメータを復号する、この統括制御波OCgを受信するための受信デバイスを備える。調節可能な要素20は次に、調節パラメータを使用して、そのインピーダンスを制御し修正する。
【0096】
統括制御波OCgは、一次波OPと同一の、または異なる周波数帯内にあってもよい。有利には、これらの波は異なる周波数のものであり、送信は独立している。
【0097】
加えて、調節可能な要素20は複数の異なる位置でコンテナCに固定されるので、体積V内の一次波OPの分布をより一層修正することが可能である。コンテナC上における調節可能な要素20の位置は、最小数の調節可能な要素20を有する体積Vを最良にカバーするように最適化されてもよい。この空間的最適化は、体積Vのシミュレーションおよび/または測定によって実施されてもよい。システム10の識別の堅牢性を向上するために、使用する調節可能な要素20の数に余裕が追加されてもよい。
【0098】
調節可能な要素-最適化
調節可能な要素20は、調節可能な受信機30に関して上述した調節および/または最適化プロセスにおいて考慮に入れられてもよい。調節可能な要素20は常に識別されるので、動的リストLの一部でもあってもよい。
【0099】
調節可能な要素-エネルギー回収
加えて、調節可能な要素20(システム10の一部である場合)のうちの1つ、いくつか、または全てが、調節可能な受信機30に関して上述したものと類似のエネルギー回収デバイスを備えてもよい。それ故、調節可能な要素20は、エネルギー自給型であり、そのインピーダンスを適合させるという点で自給型でもあり得る。この場合、各調節可能な要素20は、統括制御モジュールとの有線接続を必要とせず、またこの検出システム10の統括コントローラ41との有線接続を必要としない。
【0100】
調節可能な要素-空間分布
調節可能な要素20がシステム10に存在する場合、(例えば、コンテナCの内部もしくは外部、またはコンテナCのいずれかの表面上において)配線の制約を何ら有することなく、体積V内に配置することができる。これにより、体積V内における全ての調節可能な受信機30の検出および識別の可能性を最良に最大化するように、調節可能な要素20を配置する際の自由度が大幅に増す。またこれにより、調節可能な要素20をコンテナC上に固定し、統括アンテナ42を体積Vの近くに位置付ければ十分なので、コンテナCを非常に迅速に配備することができるようになる。
【0101】
調節可能な要素20は、任意の取付け手段によってコンテナCに取り付けられてもよい。例えば、調節可能な要素20は、接着剤によって、または弾性の締結クリップによって、またはねじによって、またはリベットによって、または連結によって、または圧入によってコンテナCに固定される。
【0102】
更に、調節可能な要素20は、有利には、平坦な形状を有する。その電気回路の一部分は、例えば、基板上に直接印刷される。基板は、例えば、紙または厚紙またはプラスチックまたは布地で作られ、例えば接着剤を備える一面を有する。任意選択で、電気回路の一部分はアンテナを備える。調節可能な要素20はまた、曲率半径に沿って曲がることを可能にする可撓性を有してもよく、それによって非平面の表面上に固定することができる。これらの構成を用いて、調節可能な要素20をコンテナの多数の表面(平面または非平面)上に簡単に固定することができ、それによって、体積V内の電磁場を制御するのに適した位置に位置付けることが可能になる。
【0103】
調節不能な要素
本発明によるシステム10は更に、所定の固定されたインピーダンスを有する、体積V内に固定された調節不能な要素29を備えてもよく、このインピーダンスは、一次波OPが前記調節不能な要素29によって反射および/または吸収される方式を修正するように適合される。
【0104】
この調節不能な要素29またはこれらの調節不能な要素29は、異なる位置でコンテナCに固定される。これらの調節不能な要素29によって、体積V内の一次波OPの分布を調節不能な方式で修正することが可能になる。
【0105】
例えば、これらの調節不能な要素29は、一次波OPの周波数帯において共振性の要素である。
【0106】
例えば、調節不能な要素29は、一次波OPを反射、および/または一次波OPを吸収することができる。この調節不能な要素は、体積V内の調節可能な要素20および調節可能な受信機30の効率を最適化するために、一次波OPをコンテナCの体積Vに閉じ込めるのを可能にすることができる。
【0107】
コンテナC上における調節不能な要素29の位置は、一次波が最小数の調節可能な要素20を有する体積Vを最良にカバーするように最適化されてもよい。この最適化は、体積Vのシミュレーションおよび/または測定(実験的方法)によって実施されてもよい。
【0108】
産業上の用途
他の受信機の関与によるそれらの検出、数の増加、統括コントローラ41によってそれらが識別される際の電磁場の修正および/または最適化に関与する、調節可能な受信機を組み込んだシステム10によって、統括コントローラ41が、体積V内に存在するがまだ識別されていない他の受信機をより迅速に決定することが可能になる。
【0109】
このシステム10は多数の産業上の用途を有する。
【0110】
例えば、次のようなものである。
調節可能な受信機がそれぞれ取り付けられた製品を受け入れるのに適した、戸棚もしくは棚ユニットなどの収納家具など、またはデスクもしくはテーブルなどのオフィス家具など、(任意選択で、調節可能な要素20を装備した)家具。あるいは、
関連する調節可能な受信機30をそれぞれ有する製品が挿入される、(任意選択で、調節可能な要素20を装備した)店舗のキャッシュレジスタのコンテナ。システムは、製品に取り付けられた調節可能な受信機によって製品を識別できるようになり、キャッシュレジスタは、レシートを発行できるようになる。あるいは、
関連する調節可能な受信機30をそれぞれ有する、購入するいくつかの物品を中に収容した、(任意選択で、調節可能な要素20を装備した)店舗のショッピングカート。あるいは、
調節可能な受信機30をそれぞれ有するいくつかの物品を中に収容した、(任意選択で、調節可能な要素20を装備した)バッグ、例えばショッピングバッグ。あるいは、
調節可能な受信機30をそれぞれ内部に有するデバイスを保持する、(任意選択で、調節可能な要素20および/または調節可能な受信機30を装備した)自動車または飛行機または列車。あるいは、
関連する調節可能な受信機30をそれぞれ備えた可動要素を有する、(任意選択で、調節可能な要素20を装備した)部屋または他の設備、例えば倉庫などの産業用の空間、または住宅の部屋、またはショッピングセンターの小売店空間。あるいは、
各製品が調節可能な受信機30を装備した、店舗の棚。あるいは、
通信販売によって販売されてもよい、調節可能な受信機30をそれぞれ装備した製品の保管または運送センター。
【符号の説明】
【0111】
10 受信機検出システム
20 調節可能な要素
29 調節不能な要素
30 調節可能な受信機、第1の受信機
30a 第1の調節可能な受信機
30b 第2の調節可能な受信機
31 コントローラ
32 アンテナ
33 メモリ
34 受信デバイス
35 調節可能な構成要素
36 ベース
37 エネルギー回収デバイス
38 エネルギー貯蔵デバイス
41 統括コントローラ
42 統括アンテナ
43 メモリ
C コンテナ
C1 底面
C2 側面
C3 側面
C4 側面
C5 側面
C6 開口面
IB1 ベースインピーダンス
IC1 第1の構成インピーダンス
IC2 第2の構成インピーダンス
OCg 統括制御波出射、統括制御波
OP 一次波
OSb 二次波
T1 持続時間
T2 持続時間
T3 持続時間
V 体積
【国際調査報告】