(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-30
(54)【発明の名称】ゴミムシダマシ科幼虫抽出物を含む排便機能改善用組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/10 20160101AFI20230523BHJP
A61P 1/10 20060101ALI20230523BHJP
A61K 35/64 20150101ALI20230523BHJP
【FI】
A23L33/10
A61P1/10
A61K35/64
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564451
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(85)【翻訳文提出日】2022-10-21
(86)【国際出願番号】 KR2021005187
(87)【国際公開番号】W WO2021215883
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0049496
(32)【優先日】2020-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508139664
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CJ CHEILJEDANG CORPORATION
【住所又は居所原語表記】CJ Cheiljedang Center,330,Dongho-ro,Jung-gu,Seoul,Republic Of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨ・ジン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ス・ジン・ベ
(72)【発明者】
【氏名】ドン・ジュ・シン
(72)【発明者】
【氏名】スン・ジン・ベク
【テーマコード(参考)】
4B018
4C087
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018MD76
4B018ME14
4B018MF01
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB21
4C087CA06
4C087MA52
4C087NA14
4C087ZA72
(57)【要約】
本出願は、ゴミムシダマシ幼虫抽出物を有効成分として含む排便機能改善用組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴミムシダマシ幼虫の溶媒抽出物を含む、排便機能改善用組成物。
【請求項2】
前記溶媒は、水、有機溶媒またはそれらの混合溶媒であるものである、請求項1に記載の排便機能改善用組成物。
【請求項3】
前記有機溶媒は、炭素数1から4個のアルコールである、請求項2に記載の排便機能改善用組成物。
【請求項4】
前記排便機能の改善は、糞便重量の増加、糞便内の水分含量の増加、胃腸管輸送能力の増加、または腸粘膜の長さ及び面積の増加である、請求項1に記載の排便機能改善用組成物。
【請求項5】
ゴミムシダマシ幼虫の溶媒抽出物を含む、便秘改善用組成物。
【請求項6】
前記便秘は、一過性便秘、弛緩性便秘、痙攣性便秘、排便障害性便秘、または器質性便秘である、請求項5に記載の便秘改善用組成物。
【請求項7】
ゴミムシダマシ幼虫の溶媒抽出物を含む、便秘改善用健康機能食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ゴミムシダマシ幼虫抽出物を含む排便機能改善用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
排便(Bowel movement)は、直腸内に移送された腸内容による直腸粘膜への刺激が中枢に伝わって用便を催すと同時の、反射的な腸及び筋の弛緩及び収縮(排便反射)によって起こるが、下部消化管に生ずる自律神経機能障害、腸管における水分の過多吸収、腸粘液の分泌低下、運動障害、消化器心身症(例えば、過敏性腸症候群)、排便反射機能の低下などによって前記排便機能が損傷されると、便秘(Constipation)、腹部肥満を含めた多様な疾患または症状が発現され得る。現在まで排便機能の活性化、及び便秘または肥満の改善のための多様な医薬品と機能性食品が販売されているが、その効果が一時的であり、種類によって幾多の副作用を誘発する問題がある。
【0003】
一方、未来の食糧として提案されている食用昆虫中、チャイロコメノゴミムシダマシ幼虫(Allomyrina Dichotoma larvae)は、一般にミールワーム(mealworm)とも称され、良質の栄養成分を含有するものと知られており、国内に食品原料として登録されている昆虫である。よって、ゴミムシダマシ幼虫を摂取の用途や機能性素材に利用しようとする試みがあった。これと関連して、チャイロコメノゴミムシダマシ幼虫蛋白加水分解物の抗酸化、肝保護の効果を確認した研究の結果(韓国登録特許第1966503号公報)があるが、ゴミムシダマシ幼虫を排便機能の改善と関連して利用しようとする試みは未だ十分でない実情である。特に、ゴミムシダマシ幼虫が便秘または肥満の改善に如何なる助けになるのかなどの効能を直接的に研究した結果は全くない。
【0004】
このような背景下で、本発明者達は、ゴミムシダマシ幼虫抽出物の排便機能改善及び腸運動活性化に対する効能を実験で確認し、便秘または肥満を予防、改善または治療するための用途にゴミムシダマシ幼虫を利用することができることを新たに確認した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願の一目的は、糞便重量の増加、糞便内の水分含量の増加、胃腸管輸送能の増加、及び粘膜の長さ及び面積の増加を通じて排便機能を改善するための組成物を提供することにある。
【0007】
本出願の他の一目的は、ゴミムシダマシ幼虫の溶媒抽出物を個体(subject)に投与するステップを含む排便機能改善方法を提供することにある。
【0008】
本出願のまた他の一目的は、排便機能改善に用いるための用途のゴミムシダマシ幼虫の溶媒抽出物を提供することにある。
【0009】
本出願のまた他の一目的は、排便機能改善のための製品、食品、または医薬の製造におけるゴミムシダマシ幼虫の溶媒抽出物の使用を提供することにある。
【0010】
本出願の他の一目的は、便秘を改善するための組成物を提供することにある。
【0011】
本出願のまた他の一目的は、ゴミムシダマシ幼虫の溶媒抽出物を個体に投与するステップを含む便秘改善方法を提供することにある。
【0012】
本出願のまた他の一目的は、便秘改善に用いるために使用するためのゴミムシダマシ幼虫の溶媒抽出物を提供することにある。
【0013】
また、本出願のまた他の一目的は、便秘改善のための製品、食品、または医薬の製造におけるゴミムシダマシ幼虫の溶媒抽出物の使用を提供することにある。
【0014】
本出願のまた他の一目的は、便秘を改善するための健康機能食品を提供することにある。
【0015】
本出願のまた他の一目的は、体重減量のための組成物、及びそれを含む体重減量用健康機能食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このために、本出願の一側面は、ゴミムシダマシ幼虫の溶媒抽出物を含む、排便機能改善用組成物を提供する。
【0017】
本出願の他の一側面は、ゴミムシダマシ幼虫の溶媒抽出物を個体(subject)に投与するステップを含む排便機能改善方法を提供する。
【0018】
本出願のまた他の一側面は、排便機能改善に用いるための用途のゴミムシダマシ幼虫の溶媒抽出物を提供する。
【0019】
本出願のまた他の一側面は、排便機能改善のための製品、食品、または医薬の製造におけるゴミムシダマシ幼虫の溶媒抽出物の使用を提供する。
【0020】
また、本出願の他の側面は、ゴミムシダマシ幼虫の溶媒抽出物を含む、便秘改善用組成物を提供する。
【0021】
本出願のまた他の一側面は、ゴミムシダマシ幼虫の溶媒抽出物を個体に投与するステップを含む便秘改善方法を提供する。
【0022】
本出願のまた他の一側面は、便秘の改善に用いるために使用するゴミムシダマシ幼虫の溶媒抽出物を提供する。
【0023】
また、本出願のまた他の一側面は、便秘の改善のための製品、食品、または医薬の製造におけるゴミムシダマシ幼虫の溶媒抽出物の使用を提供する。
【0024】
また、本出願のまた他の側面は、ゴミムシダマシ幼虫の溶媒抽出物を含む、便秘改善用健康機能食品を提供する。
【0025】
また、本出願のまた他の側面は、ゴミムシダマシ幼虫抽出物を含む、体重減量用組成物及びそれを含む体重減量用健康機能食品を提供する。
【0026】
以下、本出願を具体的に説明する。
【0027】
本出願は、ゴミムシダマシ幼虫抽出物を含む排便機能改善用組成物を提供する。
【0028】
本明細書における用語「改善」とは、症状の好転、抑制または遅延を含む全ての行為を意味するものであって、予防または治療と混用して用いられてよい。
【0029】
前記予防は、組成物を対象体に投与して当該疾病を抑制させるか発病を遅延させる全ての行為であってよく、前記治療は、組成物を対象体に投与して既に発症した当該疾病の症状を好転させる全ての行為であってよい。
【0030】
本明細書における「排便機能改善」とは、正常な排便活動状態の維持または非正常的な排便活動状態を改善する全ての行為を意味するものであって、例えば、排便の誘導、排便の促進、不規則な排便を規則的にするか、糞便に含まれる水分含量の増加、糞便量の増加、腸運動の増加、便秘または下痢に係わる症状の改善、もしくは、体重減少または腹部肥満の予防または改善を含むことができ、排便活動の改善または排便の改善と混用して用いられてよい。具体的に、前記排便機能改善は、糞便重量の増加、糞便内の水分含量の増加、胃腸管輸送能の増加、または腸粘膜の長さ及び面積の増加を意味することができる。
【0031】
本出願の組成物は、ゴミムシダマシ幼虫またはその抽出物を含み、具体的に、前記ゴミムシダマシ幼虫またはその抽出物は、前記組成物の有効成分として含まれてよい。
【0032】
本明細書における「ゴミムシダマシ」は、甲虫目ゴミムシダマシ科に属し、その亜種、変種を含むのは勿論である。また、本発明のゴミムシダマシは、当業界で自明であり、本発明の予防、改善及び治療の目的と同一または類似の用途として用いることができるゴミムシダマシ科の昆虫を含む。さらに、本明細書における「ゴミムシダマシ幼虫」は、ゴミムシダマシ科の幼虫(地虫)を意味し、具体的に、食品原料に認められるチャイロコメノゴミムシダマシ(Tenebrio molitor)の幼虫であってよい。
【0033】
本明細書における「抽出物」は、ある物質を溶媒に溶かしてその活性成分または特定の成分を分離するか、ある物質を酵素処理してその活性成分または特定の成分を分離したものを意味する。具体的に、前記ゴミムシダマシ幼虫に抽出溶媒を加えて抽出した抽出物、及び前記抽出物に分画溶媒を加えて分画した分画物も含む。また、ゴミムシダマシ幼虫を酵素処理して得た酵素抽出物を含む。
【0034】
具体的に、本出願のゴミムシダマシ幼虫の溶媒抽出物は、水、有機溶媒またはこれらの混合溶媒による抽出物であってよい。より具体的に、前記ゴミムシダマシ幼虫の溶媒抽出物は、有機溶媒、または有機溶媒と水との混合溶媒による抽出物であってよい。
【0035】
前記溶媒は、炭素数1から5のアルコール、アセトン、アセトニトリル、エチルアセテート、クロロホルム、ジクロロメタン、エチルエーテル、キシレン及びヘキサンよりなる群から選択される少なくとも一つの有機溶媒、水またはこれらの混合物であってよい。前記炭素数1から5のアルコールは、炭素数1から4、炭素数1から3、炭素数2から5、炭素数2から4、炭素数2から3、または炭素数1から2のアルコールであってよく、例えば、エタノールであってよいが、これらに制限されるものではない。前記エタノールは食用エタノールであってよく、前記エタノールを溶媒にして抽出する場合、商業的に広く用いられる酒精を利用することができる。
【0036】
本明細書における用語「酵素抽出物」は、「酵素分解物」、「酵素加水分解物」または「酵素処理物」と同等な意味で用いられてよい。具体的に、前記酵素抽出物は、ゴミムシダマシ幼虫をタンパク質分解酵素で処理したものであってよい。例えば、ゴミムシダマシ幼虫の粉砕物を遠心分離して得た水溶性上澄液をタンパク質分解酵素で処理してアミノ酸またはペプチドの含量を高めたものであってよい。
【0037】
前記タンパク質分解酵素は、ペプシン、トリプシン、フレーバーザイム(FlavourzymeTM)、プロタメックス(ProtamexTM)、パパイン、アルファキモトリプシン、パンクレアーゼよりなる群から選択されるいずれか一つ以上であってよい。
【0038】
また、前記ゴミムシダマシ幼虫抽出物は、抽出後濾過、濃縮及び/または乾燥して製造されたものであってよい。
【0039】
前記濾過は、抽出物から浮遊する固体粒子を除去して沈殿物を除いた水溶性の上澄液のみを得ることであって、綿、ナイロンなどのフィルター、例えば、直径0.2μmから5μmのポア(pore)を有するフィルターを利用して粒子を濾過させるか、冷凍濾過法、遠心分離法などを用いることができるが、これらに制限されない。
【0040】
前記濃縮は、抽出物の固形分の濃度を高めることであって、これによって得られた抽出物の濃縮物は、食品素材への利用が一層容易であるという特徴がある。前記濃縮は、真空濃縮、板型濃縮、薄膜濃縮などによって濃縮されたことであってよいが、これらに制限されず、例えば、公知の濃縮器を利用して40℃から60℃の温度で行なうことができる。
【0041】
本出願のbrixは、溶液(水)100gに入っている固形分の量を糖類(砂糖)基準のg数に表現したものであって、brix%、bxなどと混用して用いられてよい。前記brixは、公知の方法で測定されたものであってよく、15℃から35℃などの常温で測定されたものであってよい。
【0042】
前記乾燥は、凍結乾燥、真空乾燥、熱風乾燥、噴霧乾燥、減圧乾燥、噴霧乾燥、泡沫乾燥、高周波乾燥、赤外線乾燥などを含むが、これらに制限されない。
【0043】
本出願の組成物においてゴミムシダマシ幼虫そのものを利用する場合、ゴミムシダマシ幼虫をその破砕物または粉末の形態で含むことができる。
【0044】
前記ゴミムシダマシ幼虫の破砕物(粉末)は、ゴミムシダマシ幼虫を絶食及び乾燥した後で粉砕したものであってよい。
【0045】
本出願の組成物は、鼠、マウス、家畜、人間などの哺乳動物に多様な経路で投与されてよい。前記「投与」は、組成物を対象のシステム内に、もしくは対象内または上の特定の領域に伝える方法を含む。投与は、例えば、腸内に、非経口的に、静脈内に、筋肉内に、皮下に、皮内に、鼻腔内に、経口で、経皮的に、子宮内硬膜、脳血管内(intracerebroventricular)または粘膜に投与されてよい。また、局所的または全身的に投与されてよい。
【0046】
前記組成物は、同一または類似の機能を示す有効成分の1種以上とともに投与されてよい。投与のためには、本出願の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施することができる方法によって、追加で許容可能な担体を1種以上含むことができる。前記「許容可能な」の意味は、有効成分の活性を抑制しないながらも、適用(処方)対象が適応可能な以上の毒性を有しないという意味である。前記「担体」は、細胞または組織内への化合物の付加を容易にする化合物と定義される。前記組成物は、担体及び/または賦形剤を利用して製剤化することにより、単位用量の形態に製造されるか、または多用量容器内に内入させて製造されてよく、分散剤または安定化剤を追加的に含むことができる。さらに、前記組成物に含まれる前記有効成分は、コロイド懸濁液、粉末、食塩水、脂質、リポソーム、微小球体(microspheres)またはナノ球形粒子などの担体によって運搬されてよい。前記有効成分は運搬手段と複合体を形成するか連結されていてよく、脂質、リポソーム、微細粒子、金、ナノ粒子、ポリマー、縮合反応剤、多糖類、ポリアミノ酸、デンドリマー、サポニン、吸着増進物質または脂肪酸などの当業界に公知の運搬システムによって生体内に運搬されてよい。その外にも、前記担体は、製剤時に通常利用されるラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アカシア、ゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微細結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウム及びミネラルオイルなどを含むことができるが、これらに制限されるものではない。さらに、前記成分以外に潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などを追加で含むことができる。前記担体は、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノール、及びこれらの成分中1成分以上を混合して利用することができ、必要に応じて抗酸化剤、緩衝液、静菌剤などの他の通常の添加剤を添加することができる。
【0047】
本出願の組成物を食品に用いる場合、前記組成物に含まれる有効成分(ゴミムシダマシ幼虫抽出物)を食品にそのまま添加するか、他の食品または食品成分とともに用いてよく、通常の方法によって適宜用いてよい。前記組成物は、前記有効成分を含むこと以外、特別な制限なく他の成分を必須成分として含むことができる。例えば、通常の飲料のように、多様な香味剤または天然炭水化物などを追加成分として含むことができる。前述した天然炭水化物の例は、モノサッカライド、例えば、ブドウ糖、果糖など;ジサッカライド、例えば、マルトース、スクロースなど;及び、ポリサッカライド、例えば、デキストリン、シクロデキストリンなどの通常の糖、及びキシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどの糖アルコールであってよい。前述したもの以外の香味剤として、天然香味剤(タウマチン、ステビア抽出物(例えば、レバウジオシドA、グリチルリチンなど))及び合成香味剤(サッカリン、アスパルテームなど)を有利に用いることができる。前記天然炭水化物の比率は、通常の技術者の選択によって適宜決定されてよい。前記組成物は、多様な栄養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤及び天然風味剤などの風味剤、着色剤及び増進剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に用いられる炭酸化剤などを含むことができる。このような成分は独立的にまたは組み合わせて用いることができ、このような添加剤の比率もまた通常の技術者によって適宜選択されてよい。
【0048】
本出願の組成物を薬学的に用いる場合、実際の臨床投与時に経口及び非経口の幾多の剤形で投与されてよいところ、製剤化する場合は、普通用いる充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を用いて調剤される。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸薬、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、生薬抽出物または生薬発酵物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム、スクロースまたはラクトース、ゼラチンなどを混ぜて調剤される。また、単なる賦形剤以外にステアリン酸マグネシウムタルクなどの潤滑剤も用いられる。前記散剤は、本出願の有効成分と乳糖、澱粉、微結晶セルロースなどの薬学的に許容可能な適当な担体を単に混合することで製造されてよい。顆粒剤は、本出願の前記有効成分、薬学的に許容可能な適当な担体、及びポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロースなどの薬学的に許容可能な適切な結合剤を混合した後、水、エタノール、イソプロパノールなどの溶媒を利用した湿式顆粒法、または圧縮力を利用した乾式顆粒法を利用して製造されてよい。さらに、錠剤は、前記顆粒剤をステアリン酸マグネシウムなどの薬学的に許容可能な適切な潤滑剤と混合した後、打錠機を利用して打錠することで製造されてよい。経口投与のための液状製剤には、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが含まれるところ、一般的に用いられる単なる希釈剤である水、リキッドパラフィン以外に多様な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれていてもよい。非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁溶剤には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルなどの植物性油、オレイン酸エチルなどの注射可能なエステルなどが用いられてよい。坐剤の基剤には、ウィテプソル、マクロゴール、ツイン61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロール、ゼラチンなどが用いられてよい。
【0049】
前記有効成分(ゴミムシダマシ幼虫抽出物)は、予防、改善または治療しなければならない疾患及び個体の状態に従って経口剤、注射剤(例えば、筋肉注射、腹腔注射、静脈注射、注入(infusion)、皮下注射、インプラント)、吸入剤、鼻腔投与剤、膣剤、直腸投与剤、舌下剤、経皮剤、トピカル剤などで投与されてよいが、これらに制限されるものではない。投与経路によって通常用いられ非毒性である、薬学的に許容可能な担体、添加剤、ビヒクルを含む適切な投与ユニットの剤形に製剤化されてよい。前記投与の際、有効成分であるゴミムシダマシ幼虫抽出物の量は、患者の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与時間、投与方法、排泄率、目的部位及び疾患の重度などによってその範囲が多様である。
【0050】
さらに、前記組成物を薬学的に用いる場合、前記組成物は、薬学的に有効な量で投与されてよい。本出願における「薬学的に有効な量」とは、医学的治療に適用可能な合理的な利益/危険の比率で疾患を治療するに十分な量を意味し、有効用量の水準は、患者の疾患の種類、重度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路及び排出の比率、治療期間、同時に用いられる薬物を含む要素、及びその他医学分野においてよく知られている要素に従って決定され得る。前記有効用量は、投与個体の体重1kg当たりに一般に1日0.01mgから5000mgであり、医師または薬師の判断によって一定の時間間隔で1日に1回ないし数回に分割して投与することもできるが、これに制限されない。前記組成物は、個別治療剤で投与するか、他の汚染物質によって誘発される疾患の治療剤、または皮膚老化を改善するための治療剤と併用して投与されてよく、従来の治療剤とは同時に、別途で、または順次投与されてよく、単一または多重で投与されてよい。前記要素を全て考慮し、副作用なく最小限の量で最大の効果を得ることができる量を投与するのが重要であり、これは、通常の技術者によって容易に決定され得る。具体的に、前記組成物の有効量は、患者の年齢、性別、状態、体重、体内の活性成分の吸収度、不活性率、排泄速度、疾病の種類、併用される薬物によって変わることがあり、投与経路、肥満の重度、性別、体重、年齢などによって増減されてよく、治療している状態の深刻性などによって多様であり得る。必要に応じて、便利性のために1日の総投与量を一日間数回に分けて投与されてよい。例えば、一日の投与量は、毎日約0.0001mg/kgから約10g/kgであり、例えば、約0.001mg/kgから約1g/kgの量を1日1回投与することができる。併せて、投与期間は1日から2ヶ月であってよいが、疾患の予防または治療の効果が現われるまで制限なく投与されてよい。さらに、医師または薬師の判断によって一定の時間間隔で1日数回、例えば、一日に2回から3回に分割して投与されてよい。
【0051】
本願の目的を達成するための他の一つの様態として、本出願は、ゴミムシダマシ幼虫抽出物を個体(subject)に投与するステップを含む排便機能改善方法を提供する。
【0052】
本明細書で用いられる用語「個体(subject)」は、人間を含む個体であってよく、または人間を除いた個体であってよい。さらに、用語「個体(subject)」は、本願のゴミムシダマシ幼虫、その抽出物、またはそれを含む組成物の投与を要する個体(subject in need thereof)であってよく、前記投与を要する個体は、関連疾患に対し診断を受けた個体、関連症状が発現された個体だけでなく、疾患や症状の発現を予防するか、健康改善のために投与を希望する個体を含むものであってよい。例えば、本願で前記投与を要する個体は、便秘症が現われた個体、便秘を予防しようとする個体、便秘による腹部肥満を改善または予防しようとする個体、非正常的な排便活動状態を改善しようとする個体、正常な排便活動状態を維持しようとする個体であってよい。
【0053】
一具現例として、本出願は、前記排便機能改善用食品組成物または薬学的組成物を個体、または排便活動が低下した個体に投与するステップ;を含む排便機能改善方法を提供する。
【0054】
前記ゴミムシダマシ幼虫抽出物、排便機能改善用食品組成物、薬学的組成物及び投与に対しては、前記で説明した通りである。
【0055】
本願の目的を達成するための他の一つの様態として、本出願は、排便機能の改善に用いるための用途のゴミムシダマシ幼虫抽出物を提供する。
【0056】
本願の目的を達成するための他の一つの様態として、本出願は、排便機能の改善のための製品、食品、または医薬の製造におけるゴミムシダマシ幼虫抽出物の使用を提供する。
【0057】
他の側面で、本出願は、ゴミムシダマシ幼虫抽出物を含む便秘改善用組成物を提供する。
【0058】
前記ゴミムシダマシ幼虫抽出物及び組成物と係わる内容は、前記「排便機能改善用組成物」と関連して説明したところと同一であり、以下では、便秘改善用組成物の特有の構成に対してだけ説明する。
【0059】
前記ゴミムシダマシ幼虫抽出物は、糞便の重量を増加させ、糞便内の水分含量を増加させて排便を軟らかくし、胃腸管の輸送能力を向上させ、粘膜の長さと面積を増加させて腸の運動性を向上させることにより、便秘の改善のための組成物として用いられ得る。
【0060】
本明細書における「便秘」は、多様な原因で誘発される便秘を含むことができる。具体的に、過食またはストレスなどが主な原因になる一過性便秘、運動不足や過労により腹筋力が低下して発生する弛緩性便秘または結腸性便秘、大腸の運動機能及び排便欲の低下により発生する常習性または直腸性便秘、大腸の運動が強すぎて便の通過を妨げて発生する痙攣性便秘または器質性便秘であってよい。
【0061】
さらに、前記便秘は、薬物による便秘を含むことができる。便秘を誘発し得る薬剤は、カルシウム拮抗剤、抗コリン性薬剤、鎮痛剤、抗鬱剤、抗ヒスタミン剤、鎮痙剤、抗痙攣剤、アルミニウム含有制酸剤、鉄剤などであってよい。
【0062】
一具現例として、本出願は、ゴミムシダマシ幼虫抽出物を個体に投与するステップを含む便秘改善方法を提供する。
【0063】
他の具現例として、本出願は、便秘の改善に用いるための用途の、ゴミムシダマシ幼虫抽出物を含む組成物を提供する。
【0064】
本出願に係るゴミムシダマシ幼虫抽出物及び組成物は、前述したところのような特徴を有することができる。前記投与は、前記「排便機能改善用組成物」と関連して説明したところと同一である。前記個体は、哺乳動物、具体的に人間であってよい。
【0065】
また他の側面で、本出願は、ゴミムシダマシ幼虫抽出物を含む便秘改善用健康機能食品を提供する。
【0066】
前記ゴミムシダマシ幼虫抽出物は、前記「排便機能改善用組成物」と関連して説明したところと同一であり、さらに、便秘に関する事柄も前記で説明したところと同一であり、以下では、便秘改善用健康機能食品の特有の構成に対してだけ説明する。
【0067】
前記健康機能食品は、栄養の供給以外にも、生体調節機能が効率的に現われるように加工された医学、医療効果の高い食品であって、人体の構造及び機能に関与する栄養素を調節するか、生理学的作用などのような保健用途に有用な効果を得ることができる。前記健康機能食品は、本出願の技術分野で通常用いられる方法によって製造することができ、当業界で通常添加する原料及び成分を添加して製造することができる。さらに、前記健康機能食品の剤形も、健康機能食品として認められる剤形であれば制限なく多様な形態の剤形に製造されてよく、一般薬品とは違って食品を原料にするため、薬品の長期服用時に発生し得る副作用などがないという利点があり、携帯性に優れるという利点もあるので、便秘の予防または改善のために、当該症状が現われるステップ以前または以後、治療のための薬剤と同時にまたは別個として用いられてよい。前記健康機能食品は、一般食品に比べて積極的な健康維持や増進の効果を有する健康食品(health food)と、健康補助の目的の健康補助食品(health supplement food)とを含み、場合によって、健康機能食品、健康食品、健康補助食品の用語は混用されてよい。
【0068】
前記健康機能食品において、有効成分(ゴミムシダマシ幼虫抽出物)を食品にそのまま添加するか、他の食品または食品成分とともに用いてよく、通常の方法によって適宜用いてよい。前記有効成分の混合量は、その使用目的(便秘の予防または改善用)に応じて適切に決められてよい。前記有効成分は、便秘の予防または改善の効果を有する限り健康機能食品に多様な含量で含まれてよく、健康機能食品の総重量に対し15重量部以下、14重量部以下、13重量部以下、12重量部以下、11重量部以下、または10重量部以下の量で添加されてよい。しかし、健康及び衛生を目的とするか、または健康調節を目的とする長期間の摂取の場合は、前記量は前記範囲以下であってよい。前記健康機能食品は、前記有効成分を含むこと以外に、特別な制限なく他の成分を必須成分として含むことができる。例えば、通常の飲料のように、多様な香味剤または天然炭水化物などを追加成分として含むことができる。前述した天然炭水化物の例は、モノサッカライド、例えば、葡萄糖、果糖など;ジサッカライド、例えば、マルトース、スクロースなど;及び、ポリサッカライド、例えば、デキストリン、シクロデキストリンなどの通常の糖、及び、キシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどの糖アルコールであってよい。前述したもの以外の香味剤として、天然香味剤(タウマチン、ステビア抽出物(例えば、レバウジオシドA、グリチルリチンなど))及び合成香味剤(サッカリン、アスパルテームなど)を有利に用いることができる。前記天然炭水化物の比率は、通常の技術者の選択によって適宜決定されてよい。
【0069】
前記健康機能食品は、多様な営養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤及び天然風味剤などの風味剤、着色剤及び増進剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に用いられる炭酸化剤などを含むことができる。このような成分は独立的にまたは組み合わせて用いることができ、このような添加剤の比率もまた通常の技術者によって適宜選択されてよい。
【0070】
本願の目的を達成するための他の一つの様態として、本出願は、ゴミムシダマシ幼虫抽出物を個体に投与するステップ;を含む、便秘の予防または改善方法を提供する。
【0071】
一具現例として、本出願は、前記排便機能改善用組成物を個体に投与するステップ;を含む便秘の予防または改善方法を提供する。
【0072】
他の一具現例として、本出願は、前記排便機能改善用組成物を、便秘症状が生ずると予想されるか、便秘症状のある個体に投与するステップ;を含む便秘の予防または改善方法を提供する。
【0073】
前記ゴミムシダマシ幼虫抽出物、排便機能改善用組成物、個体及び投与に対しては前記で説明した通りである。
【0074】
本願の目的を達成するための他の一つの様態として、本出願は、便秘の予防または改善に使用するためのゴミムシダマシ幼虫抽出物を提供する。
【0075】
本願の目的を達成するための他の一つの様態として、本出願は、便秘の予防または改善のための製品、食品または医薬の製造におけるゴミムシダマシ幼虫抽出物の使用を提供する。
【0076】
また他の側面で、本出願は、ゴミムシダマシ幼虫抽出物を含む体重減量用組成物を提供する。
【0077】
前記ゴミムシダマシ幼虫抽出物及び組成物は、前記「排便機能改善用組成物」と関連して説明したところと同一であり、以下では、体重減量用組成物の特有の構成に対してだけ説明する。
【0078】
前記組成物は、糞便重量の増加、糞便内の水分含量の増加、腸運動を促進することで排便機能を改善して腸運動を促進するので、体重減量に有用に用いられ得る。
【0079】
本明細書における「体重減量」は、正常の体重を維持するか過体重状態を改善する全ての行為を意味するものであって、体重減少または体脂肪減少などと混用して用いられてよい。具体的に、排便の改善による体重減量または便秘の改善による体重減量であってよい。
【0080】
本出願の体重減量用組成物は、抗肥満活性を有し、肥満を改善させることができる。
【0081】
本明細書における用語「肥満」は、摂取したエネルギーの中で消費しきれないものが中性脂肪(triglyceride)に転換され、主に腹部と皮下脂肪組織(adipose tissue)の脂肪細胞(adipocyte)に蓄積される一種の疾病であって、遺伝的、栄養学的、環境的、社会的要因などの多様な原因によって現われる複雑な症侯群を意味する。
【0082】
本出願における前記肥満は、排便機能障害によって発生するか、便秘によって発生する肥満であってよく、具体的に腹部肥満であってよい。
【0083】
本願の目的を達成するための一様態として、本出願は、ゴミムシダマシ幼虫抽出物;または前記体重減量用組成物を個体または体重の増加した個体に投与するステップを含む体重減量方法を提供する。
【0084】
本願の目的を達成するための他の一つの様態として、本出願は、ゴミムシダマシ幼虫またはその抽出物;または前記体重減量用組成物を個体または肥満である個体に投与するステップを含む、肥満の予防または改善方法を提供する。
【0085】
前記ゴミムシダマシ幼虫抽出物、体重減量用組成物、個体及び投与に対しては、前記で説明した通りである。
【0086】
本願の目的を達成するための他の一つの様態として、本出願は、体重減量に用いるための用途の、ゴミムシダマシ幼虫抽出物を含む組成物を提供する。
【0087】
本願の目的を達成するための他の一つの様態として、本出願は、体重減量のための製品、食品、または医薬の製造に用いるためのゴミムシダマシ幼虫抽出物の用途を提供する。
【0088】
また他の側面で、本出願は、チャイロコメノゴミムシダマシ幼虫抽出物を含む高脂血症改善組成物を提供する。
【0089】
前記ゴミムシダマシ幼虫抽出物及び組成物は、前記「排便機能改善用組成物」と関連して説明したところと同一であり、以下では、体重減量用組成物の特有の構成に対してだけ説明する。
【0090】
本明細書における「高脂血症」は、中性脂肪とコレステロールなどの脂肪代謝が十分に行われないため、血液中に脂肪の量が多いことから誘発される疾患をいうものであって、コレステロール及び/または中性脂肪の数値の改善または減少などの用語と混用して用いられてよい。
【0091】
本願の目的を達成するための一様態として、本出願は、ゴミムシダマシ幼虫抽出物;または前記高脂血症改善組成物を個体または高脂血症の改善が必要な個体に投与するステップを含む、高脂血症の予防または改善方法を提供する。
【0092】
本願の目的を達成するための他の一つの様態として、本出願は、ゴミムシダマシ幼虫またはその抽出物;または前記体重減量用組成物を個体またはコレステロール及び/または中性脂肪の数値の改善が必要な個体に投与するステップを含む、コレステロール及び/または中性脂肪の改善または減少方法を提供する。
【0093】
前記ゴミムシダマシ幼虫抽出物、体重減量用組成物、個体及び投与に対しては、前記で説明した通りである。
【0094】
本願の目的を達成するための他の一つの様態として、本出願は、高脂血症の改善に用いるための用途の、ゴミムシダマシ幼虫抽出物を含む組成物を提供する。
【0095】
本願の目的を達成するための他の一つの様態として、本出願は、高脂血症の改善のための製品、食品、または医薬の製造におけるゴミムシダマシ幼虫抽出物の使用を提供する。
【0096】
本出願に係るゴミムシダマシ幼虫抽出物及びそれを含む組成物は、前述した特徴を有することができる。また、本願のゴミムシダマシ幼虫抽出物は、毒性がないか低いことがある。または、本願のゴミムシダマシ幼虫抽出物を投与した群は、副作用の発生可能性がないか低いことがある。具体的に、本願のゴミムシダマシ幼虫抽出物を投与した群は、正常対照群と類似する体重増加の変化を示すか、または、臓器の重量が正常対照群と類似し得る。
【発明の効果】
【0097】
本出願に係るゴミムシダマシ幼虫抽出物を有効成分として含む組成物は、糞便の重量を増加させ、糞便内の水分含量を増加させて排便を軟らかくし、粘膜の長さ及び面積を増加させて腸の運動性を向上させることにより排便機能を改善する効果に優れるので、便秘または肥満の予防、改善または治療に有用に用いられ得る。
【0098】
本出願の効果は、前記で言及した効果に制限されず、言及されていないまた他の効果は、下記の記載から当業者に明確に理解され得るはずである。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【
図1】ゴミムシダマシ幼虫抽出物の投与が糞便指標に及ぼす影響を調べるために糞便の重量及び糞便内の水分含有量を測定した結果を示した図である[N(Normal):正常対照群;C(Control):ロペラミド単独投与群;PC(Positive control):オオバコの皮120mg/kg;M120:ロペラミド+ゴミムシダマシ幼虫の酵素抽出物120mg/kg;M500:ロペラミド+ゴミムシダマシ幼虫の酵素抽出物500mg/kg;M’120:ロペラミド+ゴミムシダマシ幼虫の酒精抽出物120mg/kgを意味し、エラーバーは標準誤差を示し、n=5である]。
【
図2】ゴミムシダマシ幼虫抽出物の投与が胃腸管の輸送能に及ぼす影響を調べるために消化管の移動能を測定した結果を示した図である[N(Normal):正常対照群;C(Control):ロペラミド単独投与群;PC(Positive control):オオバコの皮120mg/kg;M120:ロペラミド+ゴミムシダマシ幼虫の酵素抽出物120mg/kg;M500:ロペラミド+ゴミムシダマシ幼虫の酵素抽出物500mg/kg;M’120:ロペラミド+ゴミムシダマシ幼虫の酒精抽出物120mg/kgを意味し、エラーバーは標準誤差を示し、n=5である]。
【
図3】ゴミムシダマシ幼虫抽出物の投与が腸の消化運動に及ぼす影響を調べるために大腸組織をヘマトキシリン-エオシンで染色した結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0100】
以下、本発明を実施例及び実験例によってより詳細に説明する。しかし、これらの実施例及び実験例は、本発明を具体的に例示するものであり、本出願の範囲がこれらの実施例及び実験例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0101】
[製造例1]
ゴミムシダマシ幼虫の酵素抽出物の製造
(1)チャイロコメノゴミムシダマシ幼虫の食餌を調節するステップ
コムギ穀粒を食餌して3ヶ月になったゴミムシダマシ幼虫は、使用の前に絶食しながら排泄物を排出する過程を経た。48時間の絶食過程を経たチャイロコメノゴミムシダマシ幼虫は、洗浄した後で冷凍保管した。
(2)チャイロコメノゴミムシダマシ幼虫に加水、殺菌、湿式粉砕するステップ
前記前処理した原料100重量部に1900重量部の水を添加した後、100℃で30分間殺菌した。その後、6000rpm、10分間ホモジナイザーで粉砕して酵素処理が容易な液状にした。
(3)チャイロコメノゴミムシダマシ幼虫の溶液に蛋白質分解酵素を処理してタンパク質を分解するステップ
前記チャイロコメノゴミムシダマシ幼虫の粉砕溶液にタンパク質分解酵素であるプロタメックス(Protamex)を0.1%添加し、60℃の温度で1時間処理した後、100℃で10分間酵素を不活性化させた。
(4)チャイロコメノゴミムシダマシ幼虫抽出物を濾過するステップ
前記タンパク質分解酵素処理物を1μmのガラスファイバー濾過紙に通過させて減圧濾過した後、濾過液だけを取った。
(5)チャイロコメノゴミムシダマシ幼虫抽出物を濃縮するステップ
前記濾過液を減圧濃縮器で濃縮して10brix以上の濃縮物を製造した。
(6)チャイロコメノゴミムシダマシ幼虫抽出物を粉末化するステップ
前記濃縮物を凍結乾燥して粉末化し、具体的には、順次、-45℃で6時間維持、-20℃で21時間維持、-15℃で11時間維持、及び-5℃で11時間維持の後、解凍しながら水分を除去して粉末化した。
【0102】
[製造例2]
ゴミムシダマシ幼虫の酒精抽出物の製造
(1)チャイロコメノゴミムシダマシ幼虫の食餌を調節するステップ
コムギ穀粒を食餌して3ヶ月になったチャイロコメノゴミムシダマシ幼虫は、使用の前に絶食しながら排泄物を排出する過程を経た。48時間の絶食過程を経たゴミムシダマシ幼虫は、洗浄した後で冷凍保管した。
(2)チャイロコメノゴミムシダマシ幼虫を乾燥した後で粉砕するステップ
前記冷凍保管したチャイロコメノゴミムシダマシ幼虫を洗浄した後、90℃で24時間乾燥した。容易な抽出のために乾燥した原料を粉砕機で細かく粉砕した。
(3)チャイロコメノゴミムシダマシ幼虫の粉末に酒精を添加して抽出するステップ
前処理した原料100重量部に900重量部の酒精を添加した後、25℃、100rpmで24時間抽出した。
(4)チャイロコメノゴミムシダマシ幼虫抽出物を濾過するステップ
前記抽出物を1μmのガラスファイバー濾過紙に通過させて減圧濾過した後、濾過液だけを取った。
(5)チャイロコメノゴミムシダマシ幼虫抽出物を濃縮するステップ
前記濾過された抽出物を減圧濃縮器で濃縮して10brix以上の濃縮物を製造した。
(6)チャイロコメノゴミムシダマシ幼虫抽出物を粉末化するステップ
前記濃縮物を凍結乾燥して粉末化し、具体的には、順次、-45℃で6時間維持、-20℃で21時間維持、-15℃で11時間維持、及び-5℃で11時間維持の後、解凍しながら水分を除去して粉末化した。
【0103】
[実験例]
ゴミムシダマシ幼虫抽出物の排便機能性の確認
【0104】
実験例1:実験動物の飼育及び実験の設計
本研究は、(株)東南医化学研究院の動物実験委員会(SEMI-19-008、Institutional Animal Care and Use committee)の方針及び法規に従って進めた。実験に用いられた実験動物は、ハナバイオ(京畿道城南、韓国)からICRマウス7週齢モデル(雄)の分譲を受け、(株)東南医化学研究院の動物舎(動物施設登録証:第412号)で検疫と順化/飼育を経た後、実験した。飼育時の照明時間は12時間(07:00~19:00)周期に設定し、食餌と給水は自由摂取させた。
【0105】
先ず、ICRマウス(7週齢、雄)を各群当り5匹ずつ配置して総6群に実験群を分類した。実験群は、正常対照群(N)、ロペラミド投与群(C)、オオバコの皮投与群(PC)、ロペラミド+低濃度酵素抽出物投与群(120mg/kg)(M120)、ロペラミド+高濃度酵素抽出物投与群(500mg/kg)(M500)、ロペラミド+低濃度酒精抽出物投与群(120mg/kg)(M’120)に分けた。
【0106】
試料は、表1の含量に合わせて総7日間経口投与し、投与7日目に正常対照君を除いた全ての群にロペラミド(loperamide)5mg/kg(in saline)を経口投与して便秘を誘導した。飼料は、実験動物用固形飼料(ハナバイオ、京畿道城南、韓国)を提供し、体重の変化は週2回測定した。
【0107】
【表1】
測定した実験の結果は、平均値と標準誤差で示しており、各群の有意性の検定は、スタットビュープログラム(Statview program)でanova t-testを利用して統計処理した。
【0108】
実験例2:ゴミムシダマシ幼虫抽出物による糞便指標の変化
実験動物の糞便は、試料投与の6日目にロペラミド(5mg/kg、body weight)を投与した後で収去し、各個体当りの糞便の重量及び個数を測定した。糞便内の水分含有量を確認するため、採取即時の重量と105℃で48時間乾燥後の重量とを比べて変化量を計算した。
水分含有量(%)=[(乾燥前の重量-乾燥後の重量)/乾燥前の重量]×100
【0109】
【0110】
【表2】
1)表2は、実験の結果を平均値と標準誤差で示したものである。有意度は、各群別に次のように表示した:*P<0.05 C群と比較、#P<0.001 C群と比較。
2)N(Normal):正常対照群、C(Control):ロペラミド単独投与群、PC(Positive control):オオバコの皮120mg/kg、M120:ロペラミド+ゴミムシダマシ幼虫の酵素抽出物120mg/kg、M500:ロペラミド+ゴミムシダマシ幼虫の酵素抽出物500mg/kg、M’120:ロペラミド+ゴミムシダマシ幼虫の酒精抽出物120mg/kg
【0111】
[表2]及び[
図1]に示されている通り、糞便の重量は、便秘を誘発していないN群に比べ、便秘を誘発したC群で有意的な減少を示したが、ゴミムシダマシ幼虫抽出物を投与したM120群、M500群及びM’120群全部でC群に比べて糞便の重量が増加し、オオバコの皮を投与した陽性対照群よりも糞便量が多いことが示された。
【0112】
さらに、糞便内の水分含量においては、便秘を誘発していないN群に比べ、便秘を誘発したC群で有意的な減少を示したが、ゴミムシダマシ幼虫抽出物を投与したM120群、M500群、M’120群全部でC群に比べて遥かに高く、正常対照群よりも糞便内の水分含量が高かった。
【0113】
このことから、ゴミムシダマシ幼虫抽出物が糞便重量の減少を防止し、糞便内の水分含有量を増加させて排便機能を改善させることを確認し、これにより、便秘を予防または改善する効果に優れることを確認した。
【0114】
実験例3:ゴミムシダマシ幼虫抽出物による消化管移動率の変化
ゴミムシダマシ幼虫抽出物が胃腸管の輸送能に及ぼす影響を観察するため、消化管移動率の評価を実施した。消化管移動率の評価は、投与された指標物質が一定の時間に小腸の全長の中で移動した長さを測定することで調べることができ、本実験では、便秘誘発のための薬物として、胃腸管の輸送抑制作用を示すロペラミドを用い、指標物質にはフェノールレッドを用いた。
【0115】
具体的に、ゴミムシダマシ幼虫抽出物の投与1時間後にロペラミド5mg/kgを経口投与した。ロペラミドの投与30分後に指示薬の役割をする0.5%フェノールレッド(in 1.5%メチルセルロース)を経口投与し、20分後剖検して全体腸の長さとフェノールレッドの移動距離を測定した。測定の結果は、次の式を利用して分析しており、これは、全体腸の長さに対するフェノールレッドの移動距離を百分率で計算したものである。分析の結果を、表3及び
図2に示した。
消化管移動率(%)=(フェノールレッド移動距離/全体腸の長さ)×100
【0116】
【表3】
1)表3は、実験の結果を平均値と標準誤差で示したものである。有意度は、各群別に次のように表示した:*P<0.05 C群と比較、#P<0.001 C群と比較。
2)N(Normal):正常対照群、C(Control):ロペラミド単独投与群、PC(Positive control):オオバコの皮120mg/kg投与群、M120:ロペラミド+ゴミムシダマシ幼虫の酵素抽出物120mg/kg、M500:ロペラミド+ゴミムシダマシ幼虫の酵素抽出物500mg/kg、M’120:ロペラミド+ゴミムシダマシ幼虫の酒精抽出物120mg/kg
【0117】
[表3]及び[
図2]に示されている通り、N群に比べ、便秘を誘発したC群で消化管移動率が著しく減少した反面、ゴミムシダマシ幼虫抽出物投与群は、C群に比べて消化管移動率が有意的に(p<0.05、p<0.001)高いことを確認した。さらに進んで、ゴミムシダマシ幼虫抽出物投与群は、オオバコの皮抽出物を投与したPC群よりも消化管移動率が一層高く、M’120群で消化管移動率が特にさらに高かった。
【0118】
このことから、ゴミムシダマシ幼虫抽出物が腸の消化運動を活性化させることを確認し、これにより、便秘の予防または改善に効果的に適用可能であることを確認した。
【0119】
実験例4:ゴミムシダマシ幼虫抽出物による大腸組織の構造変化の確認
ゴミムシダマシ幼虫抽出物が大腸組織に及ぼす影響を調べるため、大腸組織をヘマトキシリン-エオシン(Hematoxylin & Eosin、H&E)で染色した。
【0120】
具体的に、それぞれの実験群から摘出した大腸組織を摘出直後4%のパラホルムアルデヒドに固定し、水洗、脱水、透明、浸透過程を経た後、パラフィンで包埋した。作製されたパラフィンブロックは、薄切りして切片に作った後、H&E染色を実施した。染色されたスライドは、光学顕微鏡(Nikon、E600、Japan)で観察後撮影し、その結果を[
図3]に示した。
【0121】
[
図3]に示されている通り、何も処理していないN群に比べ、便秘を誘発したC群で粘膜の長さと面積が著しく減少することを観察することができ、ゴミムシダマシ幼虫抽出物投与群は、C群に比べ、粘膜の長さと面積が増加することを確認した。
【0122】
このことから、ゴミムシダマシ幼虫抽出物が腸の消化運動に助けになれることを確認し、これにより、便秘の予防または改善に効果的に適用可能であることを確認した。
【0123】
実施例5:ゴミムシダマシ幼虫抽出物による体内脂質蓄積抑制効果の確認
ゴミムシダマシ幼虫抽出物が体内脂質の蓄積に及ぼす影響を確認するため、血清内生化学的分析を行った。
【0124】
具体的に、実験動物は、試料の給与が完了した時点で12時間禁食させた後、しっぽから空腹血液を採取し、血液分析機器を使って血清内総コレステロールを測定した。分析の結果を表4に示した。
【0125】
【表4】
1)N(Normal):正常対照群、C(Control):ロペラミド単独投与群、PC(Positive control):オオバコの皮120mg/kg投与群、M120:ロペラミド+ゴミムシダマシ幼虫の酵素抽出物120mg/kg、M500:ロペラミド+ゴミムシダマシ幼虫の酵素抽出物500mg/kg、M’120:ロペラミド+ゴミムシダマシ幼虫の酒精抽出物120mg/kg
【0126】
[表4]に示されている通り、対照群と実施例の血清内総コレステロールの数値をみれば、何も処理していないN群と便秘を誘発したC群では、それぞれ146.99mg/dL、141.12mg/dLであったが、便秘の誘発後、ゴミムシダマシ幼虫の酒精抽出物を投与したM’120群では、コレステロール数値が低下することが確認された。
【0127】
前記の結果を総合すると、ゴミムシダマシ幼虫抽出物投与群では、ロペラミド投与対照群に比べ、著しい糞便重量、糞便内の水分含量、消化管移動率、粘膜の長さ及び面積の増加が観察され、非常に優れた排便機能改善及び腸運動性改善の効果が示された。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
一方、未来の食糧として提案されている食用昆虫中、チャイロコメノゴミムシダマシ幼虫(Tenebrio molitor larvae)は、一般にミールワーム(mealworm)とも称され、良質の栄養成分を含有するものと知られており、国内に食品原料として登録されている昆虫である。よって、ゴミムシダマシ幼虫を摂取の用途や機能性素材に利用しようとする試みがあった。これと関連して、チャイロコメノゴミムシダマシ幼虫蛋白加水分解物の抗酸化、肝保護の効果を確認した研究の結果(韓国登録特許第1966503号公報)があるが、ゴミムシダマシ幼虫を排便機能の改善と関連して利用しようとする試みは未だ十分でない実情である。特に、ゴミムシダマシ幼虫が便秘または肥満の改善に如何なる助けになるのかなどの効能を直接的に研究した結果は全くない。
【国際調査報告】