(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-31
(54)【発明の名称】直流電力に基づく車両用永久磁石同期モータのMTPA曲線検索方法
(51)【国際特許分類】
H02P 21/22 20160101AFI20230524BHJP
H02P 4/00 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
H02P21/22
H02P4/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529425
(86)(22)【出願日】2022-01-07
(85)【翻訳文提出日】2022-05-19
(86)【国際出願番号】 CN2022070814
(87)【国際公開番号】W WO2022199218
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】202110302222.9
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520448452
【氏名又は名称】浙大城市学院
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】李 静
(72)【発明者】
【氏名】▲ジー▼ 非凡
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 雨薇
【テーマコード(参考)】
5H501
5H505
【Fターム(参考)】
5H501AA20
5H501BB01
5H501CC04
5H501DD04
5H501GG05
5H501HB07
5H501HB08
5H501JJ03
5H501JJ17
5H501JJ24
5H501JJ26
5H501LL22
5H501LL33
5H505AA16
5H505BB01
5H505CC04
5H505DD03
5H505DD08
5H505EE30
5H505EE41
5H505GG04
5H505HB01
5H505JJ03
5H505JJ17
5H505JJ24
5H505JJ26
5H505JJ28
5H505LL22
5H505LL41
(57)【要約】
【課題】本発明は、直流電力に基づく車両用永久磁石同期モータのMTPA曲線検索方法を開示している。
【解決手段】当該方法では、電流閉ループ調整モジュールと、電流指令生成モジュールと、電流指令角度生成モジュールと、有効電力算出モジュールと、有効電力貯蔵・比較モジュールと、電流所定ベクトル補正モジュールとを備える。本発明は、手動標定の煩わしさを解放し、最適な角度を自動的に検索し、生産効率を向上させることを実現する。本発明は、標定ニーズに応じてステップサイズを任意に設定し、高い標定精度を達成することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力に基づく車両用永久磁石同期モータのMTPA曲線検索方法であって、電流閉ループ調整モジュールと、電流指令生成モジュールと、電流指令角度生成モジュールと、有効電力算出モジュールと、有効電力貯蔵・比較モジュールと、電流所定ベクトル補正モジュールとの処理を備え、
電流閉ループ調整モジュールの入力が電流所定ベクトル補正モジュールから出力されたdq電流指令であり、比例積分コントローラを経た後、dq電圧指令を出力し、
電流指令生成モジュールは、電流振幅を段階的に累積することに用いられ、
電流指令角度生成モジュールは、電流角度を段階的に累積することに用いられ、
有効電力算出モジュールは、リアルタイム有効電力を算出することに用いられ、
有効電力貯蔵・比較モジュールは、角度累積過程における現在のステップと前のステップで、有効電力算出モジュールにより算出された有効電力を貯蔵して比較し、電流角度が1ステップ累積された後に有効電力が増大すると電流角度の累積を継続し、電流角度が1ステップ累積された後に有効電力が増大しないと電流角度の累積を停止し、現在の電流振幅、前のステップの電流角度及び対応する有効電力を出力することに用いられ、
電流所定ベクトル補正モジュールは、電流指令生成モジュールおよび電流指令角度生成モジュールの出力に基づいて、dq電流指令i
dref、i
qreを算出し、
【数6】
ここで、I(j)は現在の電流振幅であり、jは電流振幅に対してステップ累積計算を行うことに用いられ、θ(k)は現在の電流角度であり、kは角度に対してステップ累積計算を行うことに用いられ、
具体的には、前記MTPA曲線検索方法は、工程(1)~(6)を含み、
工程(1)では、電流の大きさが0Aで角度が90°の電流から開始し、
工程(2)では、電流指令角度生成モジュールが電流角度θを累積し、
【数7】
工程(3)では、電流角度を1ステップ累積するたびに、電流指令角度生成モジュールが累積後の電流角度を電流所定ベクトル補正モジュールに入力し、同時に電流指令生成モジュールが現在の電流振幅も電流所定ベクトル補正モジュールに入力し、有効電力算出モジュールが現在のステップkに対応する有効電力P
calcu(k)を一回算出し、
工程(4)では、工程(2)~(3)を繰り返し、電流角度を累積し、有効電力貯蔵・比較モジュールが条件P
calcu(k)-P
calcu(k-1)≦0を満たすと判断すると、電流角度の累積を停止し、現在の電流振幅、前のステップで累積された電流角度θ(k-1)およびその対応する有効電力P
calcu(k-1)を利用可能な点として記録し、
工程(5)では、電流指令生成モジュールが現在の電流振幅を起点として、電流振幅Iを累積し、
【数8】
工程(6)では、ステップ(2)~(5)を繰り返し、工程(5)で累積された電流振幅が比例積分コントローラの最大要求電流に達すると、循環を停止し、各電流指令生成モジュールから出力された電流振幅の工程(4)において記録された利用可能な点を出力する
ことを特徴とする直流電力に基づく車両用永久磁石同期モータのMTPA曲線検索方法。
【請求項2】
前記電流閉ループ調整モジュールでは、dq電流指令i
dref、i
qrefとdq電流フィードバックの偏差をそれぞれ比例積分コントローラに入力して処理させて、dq電圧指令を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の直流電力に基づく車両用永久磁石同期モータのMTPA曲線検索方法。
【請求項3】
前記電流指令生成モジュールは、電流振幅I=0Aを起点として、I
stepをステップサイズとして、電流振幅Iを累積する
ことを特徴とする請求項2に記載の直流電力に基づく車両用永久磁石同期モータのMTPA曲線検索方法。
【請求項4】
前記電流指令角度生成モジュールは、90°を起点として、θ
stepをステップサイズとして、電流角度θを累積する
ことを特徴とする請求項3に記載の直流電力に基づく車両用永久磁石同期モータのMTPA曲線検索方法。
【請求項5】
前記有効電力算出モジュールでは、リアルタイム有効電力P
calcuは以下の通りであり、
【数5】
ここで、i
d、i
qは実測電流のdq成分であり、u
d、u
qは内輪観測電圧のdq成分である
ことを特徴とする請求項4に記載の直流電力に基づく車両用永久磁石同期モータのMTPA曲線検索方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石同期モータの制御分野に属し、特に直流電力に基づく車両用永久磁石同期モータのMTPA曲線検索方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用内蔵式永久磁石同期モータ(IPMSM)の制御システムでは、同じ電流の大きさで、モータの実際の出力と電流のベクトル角度との間に最適な関係が存在するため、電圧未飽和区間で運転するとき、モータは最大トルク電流比(MTPA)曲線で運転すべきであり、即ち、同じ電流で最大の角度値を出力する。現在の一般的な目やり方は手動で標定することである。
【0003】
内臓式永久磁石同期モータは、電力密度が大きく、運転範囲が広く、効率が高いという特徴を有するため、電気自動車の駆動モータに広く使用されており、そのトルク方程式は以下の通りであり、
【数1】
(1)
ここで、T
eはモータの電磁トルクであり、P
nはモータ磁極対数であり、
は回転子永久磁石体磁束であり、i
qはq軸電流であり、i
dはd軸電流であり、L
dはd軸インダクタンスであり、L
qはq軸インダクタンスであり、IPMSM正常駆動過程において、T
e>0,i
q>0,i
d<0,L
d<L
qとなる。
【0004】
上式から分かるように、トルクは電流と正の相関があるが、異なるdq軸電流組み合わせは異なるトルクに対応し、それぞれの固定された電流振幅において、1セットの特定のdq電流の組み合わせが存在し、これによりモータが当該電流下で最大のトルクを出力することができる。磁場が飽和するため、電流がある範囲より大きいと、dq軸インダクタンスLd、Lqが電流の変化に伴って変化し、変化範囲は最大200%に達することができる。これらのパラメータの変化は、各電流における最適なdq電流組み合わせをオンラインで解くことが困難になり、さらには不可能である。したがって、車両用モータ制御において、一般的に実験の方法で標定をテストして各トルクに対応する最適な電流組合せを取得する。全トルク範囲内の全てのこのような電流組み合わせを結んだ線をIPMSMの最大トルク電流比曲線と呼ぶ。
【0005】
また、車両用IPMSMの運転は、インバータによって動力電池のバスを三相交流電に変換することに依存し、これは、モータ端の電圧が直流バスによって制限されることを意味し、IPMSMの電圧方程式は以下の通りであり、
【数2】
(2)
ここで、V
dはモータのd軸電圧であり、V
qはモータのq軸電圧であり、R
sは固定子の抵抗であり、
はモータの電気角速度である。
【0006】
高速定常状態において、モータ端電圧V
Sの振幅は、近似的に以下のようになり、
【数3】
(3)
モータの回転速度が上昇すると、モータ端電圧が上昇し、それがバス電圧で提供可能な交流電圧振幅を超えると、弱め界磁制御を行う必要があり、現在のバスで提供可能な最大交流電圧は電圧制限
であり、式は一般的に以下の通りであり、
【数4】
ここで、V
dcはバス電圧であり、MI
maxはモータ制御システム最大変調比(maximum modulation index)であり、その値は一般的に1近傍であり、最大で1.1027である。
【0007】
トルク方程式と電圧制限の両方を満足する電流組み合わせを取得するために、異なるバスと回転速度における各トルクに対応するdq電流組合せを依然として実験の方法で標定することによって得る。そして、これらのデータをテーブル化してデジタル制御チップに記憶し、モータのリアルタイム運転時に、テーブルをルークアップすることにより、異なる回転速度及びバス電圧におけるトルク指令を対応するdq電流指令に変換する。
【0008】
上記過程が正常に動作できる前提としては、プロトタイプの実験標定によって得られた電流組み合わせが各モータの同一のタイプに適用可能である。実際の適用では、以下のいくつかの態様はこのような仮定が成立しないことを引き起こす。
1.モータは量産する時にプロセス、材料が不可避的にモータの不一致性を引き起こす。
2.モータの回転オフセット量に偏差が生じると、電流調整器が正常に動作する場合であっても、制御上磁場配向偏差を引き起こし、さらにモータにおける実際のdq電流が所望の電流指令と一致しないことを引き起こす。
3.環境温度の変化は永久磁石体磁気鎖に影響を与え、温度が低下すると、
が上昇し、標定して得られたdq電流指令が電圧制限を満たさなくなる。
【0009】
したがって、電気駆動制御システムの高速運転領域のロバスト性を向上するために、一般的には弱め界磁制御リンクを追加する。
【0010】
モータ制御弱め界磁問題に対して、特許文献CN101855825Bは、代表的な解決手段を提案し、
図1に示すように、電流調整器から出力された電圧と電圧制限との差に基づいて電圧偏差を得て、当該偏差を比例積分リンク(PI)を経て電流補正量△I
dを得てd軸電流の所定値に重畳し、当該補正量に対して上限が0である振幅制限を行うことで、弱め界磁を深くして、弱め界磁制御の目的を達成する。式(3)によれば、
の時、負方向のi
dを大きくし、出力電圧を低下させることができ、即ち、このような解決手段は効果的である。しかし、
のとき、負方向のi
dを増加させ続けると、V
qが逆方向に増大して出力電圧がさらに上昇し、逆に電圧飽和現象がより深刻である。したがって、当該方法を使用する時に
を確保しなければならない。しかし、車両用モータ制御では、この制限を加えると、モータの高速領域でのリラクタンストルクが十分に利用されず、モータの性能を犠牲にする。上記解決手段において電圧飽和時にi
dを低下させる方法を採用して、弱め界磁場を深くしてモータを電圧飽和状態から退出させることができるが、当該方法は出力トルクのへの影響が大きく、i
dを補正するだけで、大きなi
d補正量を必要とし、dq電流の組み合わせが大きく変化して出力トルクに大きな影響を与えることになる。非特許文献(T.M. Jahns, “Flux Weakening Regime Operation of an Interior Permanent-Magnet Synchronous Motor Drive”, IEEE Trans. on Ind. Appl., vol. IA-23, no. 4, pp. 55-63, 1987)は、弱め界磁領域でi
qを低減する方法が提案されているが、単一の電流を調整するだけでは、同様に出力トルクに大きな影響を与えるという問題もある。電圧飽和の問題に有効に対処でき、しかもできるだけ出力トルクに影響を小さく与える良好な従来技術は、まだ一時的に発見されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は従来の技術の不足に対して、直流電力に基づく車両用永久磁石同期モータのMTPA曲線検索方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、以下の解決手段によって実現され、直流電力に基づく車両用永久磁石同期モータのMTPA曲線検索方法において、電流閉ループ調整モジュールと、電流指令生成モジュールと、電流指令角度生成モジュールと、有効電力算出モジュールと、有効電力貯蔵・比較モジュールと、電流所定ベクトル補正モジュールとを備え、
電流閉ループ調整モジュールの入力が電流所定ベクトル補正モジュールから出力されたdq電流指令であり、比例積分コントローラを経た後、dq電圧指令を出力し、
電流指令生成モジュールは、電流振幅を段階的に累積することに用いられ、
電流指令角度生成モジュールは、電流角度を段階的に累積することに用いられ、
有効電力算出モジュールは、リアルタイム有効電力を算出することに用いられ、
有効電力貯蔵・比較モジュールは、角度累積過程における現在のステップと前のステップで、有効電力算出モジュールにより算出された有効電力を貯蔵して比較し、電流角度が一ステップ累積された後に有効電力が増大すると電流角度の累積を継続し、電流角度が一ステップ累積された後に有効電力が増大しないと電流角度の累積を停止し、現在の電流振幅、前のステップの電流角度及び対応する有効電力を出力することに用いられ、
電流所定ベクトル補正モジュールは、電流指令生成モジュールおよび電流指令角度生成モジュールの出力に基づいて、dq電流指令を算出する。
【0013】
さらに、前記電流閉ループ調整モジュールでは、dq電流指令idref、iqrefとdq電流フィードバックの偏差をそれぞれ比例積分コントローラに入力して処理させて、dq電圧指令を取得する。
【0014】
さらに、前記電流指令生成モジュールは、電流振幅I=0Aを起点として、Istepをステップサイズとして、電流振幅Iを累積する。
【0015】
さらに、前記電流指令角度生成モジュールは、90°を起点として、θ
stepをステップサイズとして、電流角度θを累積する。
さらに、前記有効電力算出モジュールでは、リアルタイム有効電力P
calcuは以下の通りであり、
【数5】
ここで、i
d、i
qは実測電流のdq成分であり、u
d、u
qは内輪観測電圧のdq成分である。
【0016】
さらに、前記電流所定ベクトル補正モジュールでは、dq電流指令i
dref、i
qrefを算出し、
【数6】
ここで、I(j)は現在の電流振幅であり、jは電流振幅に対してステップ累積計算を行うことに用いられ、θ(k)は現在の電流角度であり、kは角度に対してステップ累積計算を行うことに用いられる。
【0017】
さらに、前記MTPA曲線検索方法は、
(1)電流の大きさが0Aで角度が90°の電流から開始する工程と、
(2)電流指令角度生成モジュールが電流角度θを累積する工程と、
【数7】
(3)電流角度を一ステップ累積するたびに、電流指令角度生成モジュールが累積後の電流角度を電流所定ベクトル補正モジュールに入力し、同時に電流指令生成モジュールが現在の電流振幅も電流所定ベクトル補正モジュールに入力し、有効電力算出モジュールが現在のステップkに対応する有効電力P
calcu(k)を一回算出する工程と、
(4)、ステップ(2)~(3)を繰り返し、電流角度を累積し、有効電力貯蔵・比較モジュールが条件P
calcu(k)-P
calcu(k-1)≦0を満たすと判断すると、電流角度の累積を停止し、現在の電流振幅を、前のステップで累積された電流角度θ(k-1)およびその対応する有効電力P
calcu(k-1)と利用可能な点として記録する工程と、
(5)電流指令生成モジュールが現在の電流振幅を起点として、電流振幅Iを累積する工程と、
【数8】
(6)工程(2)~(5)を繰り返し、工程(5)で累積された電流振幅が比例積分コントローラの最大要求電流に達すると、循環を停止し、各電流指令生成モジュールから出力された電流振幅の工程(4)において記録された利用可能な点を出力する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明の有利な効果は、以下の通りである。
(1)本発明は、手動標定の煩わしさを解放し、最適な角度を自動的に検索し、生産効率を向上させることを実現する。
(2)本発明は、標定ニーズに応じてステップサイズを任意に設定し、高い標定精度を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】弱め界磁制御の従来技術のトポロジー構造のブロック図である。
【
図3】本発明の論理のメインフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明による直流電力に基づく車両用永久磁石同期モータのMTPA曲線検索方法について、
図2に示すように、本発明は、以下のモジュールを含み、
1、電流閉ループ調整モジュールについては、当該部分が本発明の依頼モジュールであり、その作用は、dq電流指令i
dref、i
qrefとdq電流フィードバックの偏差をそれぞれ比例積分PIコントローラを経ってdq電圧指令を取得する。
2、電流指令生成モジュールについては、I(0)=0Aを開始点としてI
stepをステップサイズとして電流ベクトルの大きさIを漸増し、Aは電流単位アンペアである。
3、電流指令角度生成モジュールについては、θ(0)=90°を起点として、θ
stepをステップサイズとして電流角度θを漸増する。
4、有効電力算出モジュールについては、モータ運転過程におけるリアルタイム有効電力P
calcuを以下のように算出し、
【数5】
ここで、i
d、i
qは実測電流値のdq成分であり、u
d、u
qは内輪観測電圧値のdq成分であり、数値的にはv
dqrefと等しく、i
d、i
q、u
d、u
qはいずれもサンプリング値である。
5、有効電力貯蔵・比較モジュールについては、現在のステップkおよび前のステップk-1の角度で有効電力算出モジュールにより算出された有効電力を貯蔵して比較し、P
calcu(k)-P
calcu(k-1)の差分値が正であれば、検索し続け、差分値が0又は負であれば検索を停止し、かつ現在の電流振幅、前のステップの電流角度及び対応する有効電力を含む前のステップの結果を利用可能な結果として出力する。
6、電流所定ベクトル補正モジュール(sin/cos)については、電流指令生成モジュールおよび電流指令角度生成モジュールの出力に基づいて、dq軸弱め界磁後の電流i
dref、i
qrefを以下のように算出し、
【数6】
ここで、I(j)は現在の電流振幅であり、θ(k)は現在の電流角度である。
【0021】
本発明のワークフローは、
図3に示すように、
(1)電流の大きさが0Aで角度が90°の電流から開始する工程と、
(2)電流指令角度生成モジュールが電流角度に対してθ
stepをステップサイズとして累積を行う工程と、
【数7】
ここで、kは角度に対してステップ累積計算を行うことに用いられ、
(3)1ステップ累積するたびに電流指令角度生成モジュールが累積後の電流角度を電流所定ベクトル補正モジュールに入力し、同時に電流指令生成モジュールが現在の電流振幅も電流所定ベクトル補正モジュールに入力し、有効電力算出モジュールが現在のステップkに対応する有効電力P
calcu(k)を一回算出する工程と、
(4)工程(2)~(3)を繰り返し、角度を累積しており、有効電力貯蔵・比較モジュールが条件P
calcu(k)-P
calcu(k-1)≦0を満たすと判断すると、角度の漸増を停止し、現在の電流振幅I(j)、前のステップで累積された電流角度θ(k-1)およびその対応する有効電力P
calcu(k-1)を利用可能な点として記録するステップであって、当該点の電流組み合わせが最大トルク電流に対応する工程と、
(5)電流指令生成モジュールが電流振幅Iを漸増し、I
stepをステップサイズとして段階的に累積する工程と、
【数8】
ここで、jは電流振幅に対してステップ累積計算を行うことに用いられ、
(6)工程(2)~(5)を繰り返しており、工程(5)で累積された電流振幅が比例積分コントローラの最大要求電流に達すると、循環を停止し、有効電力貯蔵・比較モジュールに記録された各電流振幅に対応する利用可能な点を出力する工程と、を含む。本実施例では、100Aから600Aまで、100AをステップサイズI
stepとした電流角度検索結果が
図4に示される。
【国際調査報告】