(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-31
(54)【発明の名称】レシニフェラトキシン組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/357 20060101AFI20230524BHJP
A61P 29/02 20060101ALI20230524BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20230524BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230524BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230524BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20230524BHJP
【FI】
A61K31/357
A61P29/02
A61K47/22
A61K47/10
A61K47/02
A61K47/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548441
(86)(22)【出願日】2021-04-13
(85)【翻訳文提出日】2022-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2021059562
(87)【国際公開番号】W WO2021209450
(87)【国際公開日】2021-10-21
(32)【優先日】2020-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】390035404
【氏名又は名称】グリュネンタール・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ベルンコプ-シュニュルヒ・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルドネール・オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ギラー・トーマス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA30
4C076CC03
4C076DD09
4C076DD23
4C076DD50Z
4C076DD58
4C076EE23
4C076FF61
4C076FF63
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA16
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA16
4C086MA34
4C086MA43
4C086NA03
4C086ZA08
(57)【要約】
本発明は、レシニフェラトキシンと、界面活性剤とを含む非水性固体及び液体組成物を提供する。本非水性固体及び液体組成物は、疼痛、特に変形性関節症関連関節痛の処置に使用される水性組成物を調製するために使用することができる。さらに、本発明は、非水性固体及び液体組成物と、希釈剤とを含むキットならびに本組成物を調製する方法を提供する。非水性固体及び液体組成物は、希釈剤による再構成の前にレシニフェラトキシン単独と比較してレシニフェラトキシンの長い保存及び回復を可能にさせる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レシニフェラトキシンの非水性組成物であって、
(a)レシニフェラトキシンと、
(b)界面活性剤と
を含み、
前記界面活性剤は、D-α-トコフェロールポリエチレングリコールスクシナートである、前記組成物。
【請求項2】
前記組成物は、固体組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記固体組成物は、凍結乾燥組成物である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
(d)ポリエチレングリコール及び/または
(e)さらなる界面活性剤を
さらに含み、
前記さらなる界面活性剤は、任意にポロクサマーである、請求項1から3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
水性希釈剤中への前記固体の溶解後に、前記レシニフェラトキシンの少なくとも90%が回復する、請求項1から4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物は、レシニフェラトキシン、D-α-トコフェロールポリエチレングリコールスクシナート、NaCl、CaCl
2×2H
2O、KCl、及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
(a)請求項2から6のいずれか1項に記載の組成物を含む第1のキット構成成分と、
(b)希釈剤を含む第2のキット構成成分と
を含む、キット。
【請求項8】
前記組成物は、液体組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
レシニフェラトキシンの濃度は、約0.005μMから約10μMであり、前記界面活性剤の濃度は、約0.01vol%から約10vol%である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
(a)請求項8から9のいずれか1項に記載の組成物を含む第1のキット構成成分と、
(b)希釈剤を含む第2のキット構成成分と
を含む、キット。
【請求項11】
レシニフェラトキシンの水性組成物であって、
(a)約0.005μMから約10μMのレシニフェラトキシンと、
(b)約0.01vol%から約10vol%の界面活性剤と、
(c)少なくとも1つの緩衝剤と
を含み、
前記組成物は、約7.7から約8.3のpHを有し、前記界面活性剤は、D-α-トコフェロールポリエチレングリコールスクシナートである、前記組成物。
【請求項12】
疼痛の処置のための方法において使用するための請求項1から11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物は、単糖または糖アルコールを含まない、請求項1から11のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤学の分野に関するものであり、レシニフェラトキシンの組成物、その製造及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
レシニフェラトキシン(RTX)は、モロッコ産のサボテンEuphorbia resiniferaによって産生される天然に存在する化合物であり、赤唐辛子の活性成分であるカプサイシンの極めて強力な類似体である。非常に少量のレシニフェラトキシンが、一過性受容体電位陽イオンチャネルサブファミリーVメンバー1(TRPV1)アゴニストとして知られており、鎮痛、過活動膀胱、間質性膀胱炎、及び鼻炎などのさまざまな疾患または病気における治療効果に関して調査されてきた。
【0003】
レシニフェラトキシンは、さまざまな物質及び表面に容易に結合することが知られており、それが低投与量の化合物に必要とされる極めて非常に少量を取り扱うのを困難にする。さらに、解凍されると、それは、破片に分解するため、分解を防ぐために使用直前に解凍され、エタノールまたはジメチルスルホキシドなどの溶媒中で希釈される。
【0004】
したがって、本発明の目的は、大幅な分解なく長期間保存可能なレシニフェラトキシンの組成物、特に、任意にその他の構成成分を伴うレシニフェラトキシン及び界面活性剤の非水性固体及び液体組成物を提供することである。非水性組成物は、治療用途に使用するために水性希釈剤などの希釈剤で希釈されてもよい。レシニフェラトキシン組成物のキット、製造の方法、及び使用の方法も提供される。本発明のさらなる目的は、本発明の以下の説明、実施例及び請求項に基づいて明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0005】
第1の態様において、本発明は、(a)レシニフェラトキシンと、(b)界面活性剤とを含むレシニフェラトキシンの非水性固体または非水性液体組成物に関する。特定の実施形態において、非水性固体組成物は、凍結乾燥固体である。本発明はまた、(a)非水性固体または非水性液体組成物を含む第1のキット構成成分と、(b)希釈剤を含む第2のキット構成成分とを含むキットに関する。疼痛の処置のための医薬の製造に非水性固体及び非水性液体組成物を使用する方法も想定される。特定の実施形態において、疼痛は、変形性関節症関連関節痛である。
【0006】
さらなる態様において、本発明は、レシニフェラトキシンの水性組成物であって、(a)約0.005μMから約10μMのレシニフェラトキシンと、(b)約0.01vol%から約10vol%の界面活性剤と、(c)少なくとも1つの緩衝剤とを含み、約7.7から約8.3のpHを有する、組成物を提供する。本水性組成物は、疼痛の処置に使用することができる。いくつかの実施形態において、本発明は、対象に治療有効量の本明細書中で開示されている水性組成物を投与することを含む、疼痛を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態において、水性組成物は、関節腔内投与用に適合させられる。特定の実施形態において、疼痛は、変形性関節症関連関節痛である。
【0007】
[発明の詳細な説明]
定義
属性または値に関連する「約」または同種の用語は、正確な属性または厳密な値、ならびに技術分野、及び上記属性または値を測定または判定する方法と関連する通常のまたは許容される変動性の範囲内にあると一般に見なされるあらゆる属性または値を含む。「約」という用語は通常、指定された値の±10%の値の範囲を指す。例えば、「約200」という語句は、200の±10%、すなわち180から220を含む。
【0008】
「キット」という用語は、本明細書中で使用される場合、上記キットに含まれる構成要素が異なる構成要素として互いに物理的に分離可能及び識別可能に提供されるが、一緒に投与、または使用される目的で一緒に提供または販売されることを意味する。
【0009】
「凍結乾燥される」、「凍結乾燥」、及び「凍結乾燥する」という用語は、本明細書中で使用される場合、サンプルがまず凍結され、一般に減圧下で乾燥されて、水及び/またはその他の溶媒を除去するフリーズドライのプロセスを指す。
【0010】
「非水性」という用語は、本明細書中で使用される場合、例えば、熱重量測定などの標準的な技術によって測定される場合に、(水和の水以外)水を実質的に含まない、好ましくは、2重量パーセント未満の水である固体または液体のいずれかの組成物を指す。本明細書に記載の非水性組成物は、周囲の水分から吸収された少量の水を含む場合もある。
【0011】
「レシニフェラトキシン」及び「RTX」という用語は、本明細書中で使用される場合、モロッコ産のサボテンEuphorbia resiniferaによって産生されたか、または合成的に生産された天然に存在する化学物質を指し、以下の構造及び628.71のモル重量を有する。
【化1】
【0012】
「D-α-トコフェロールポリエチレングリコールスクシナート」という用語は、本明細書では「D-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシナート」及び略語「TPGS」という用語と同義に使用される。D-α-トコフェロールポリエチレングリコールスクシナートは、非イオン性界面活性剤である。
【0013】
「固体組成物」という用語は、本明細書中で使用される場合、結晶、粉末、及び/または非結晶形態の固体、あるいはそれらの任意の混合物を指す。これは、US National Institute of Standards and Technology(NIST)によって定義されるとおり標準温度および標準圧力(NTP)で固体状態である。本明細書に記載の固体組成物は、(水和のあらゆる水に加えて)微量の水またはその他の溶媒、好ましくは、2wt%未満の水またはその他の溶媒を含む場合もある。固体組成物は、液体溶媒による再構成の前に室温以下、好ましくは、約4℃、約10℃、または約25℃で保存されてもよい。
【0014】
「バッファー」または「緩衝液」という用語は、酸または塩基の添加時にpH値を緩衝する(すなわち、その変化を最小限にする)2つ以上の成分の組み合わせを意味する。バッファーまたは緩衝液は、緩衝効果にはほとんど寄与しないが、例えば、緩衝液の重量オスモル濃度を調節するために生理学的理由で組み込まれる塩化ナトリウムのような中性塩などの付加的な化合物をさらに含んでもよい。
【0015】
固体組成物
一態様において、本発明は、レシニフェラトキシンと、界面活性剤とを含むレシニフェラトキシンの非水性固体組成物を提供する。任意に、本組成物は、1つ以上のその他の添加剤を含む。好適な実施形態のいくつかにおいて、固体組成物は、凍結乾燥物(lyophilateまたはlyophilizate)とも呼ばれる凍結乾燥組成物である。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤であってもよい。例となる非イオン性界面活性剤としては、D-α-トコフェロールポリエチレングリコールスクシナート、PEG-20水素化ヒマシ油、PEG-35水素化ヒマシ油、PEG-40水素化ヒマシ油、PEG-60水素化ヒマシ油、PEG-100水素化ヒマシ油、PEG-1000水素化ヒマシ油、PEG-2000水素化ヒマシ油、PEG-4000水素化ヒマシ油、PEG-6000水素化ヒマシ油、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、及びポリソルベート100が挙げられる。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、D-α-トコフェロールポリエチレングリコールスクシナート、PEG-60水素化ヒマシ油、PEG-40水素化ヒマシ油、PEG-35水素化ヒマシ油、及びポリソルベート80からなる群から選択される。特定の実施形態において、界面活性剤は、D-α-トコフェロールポリエチレングリコールスクシナートまたはポリソルベート80である。さらに具体的な実施形態において、界面活性剤は、D-α-トコフェロールポリエチレングリコールスクシナートである。
【0016】
本組成物は、ポリエチレングリコール及び/またはさらなる界面活性剤をさらに含んでもよく、さらなる界面活性剤は、任意にポロクサマーである。例となるポリエチレングリコールとしては、PEG1000、PEG1450、PEG1600、PEG3000、PEG3350、PEG4000、PEG4500、PEG6000、PEG8000、及びPEG20000が挙げられる。いくつかの実施形態において、ポリエチレングリコールは、PEG6000である。ポロクサマーは、例えば、ポロクサマー101、182、188、237、331、338、または407であってもよい。いくつかの実施形態において、ポロクサマーは、ポロクサマー188、237または407である。別の実施形態において、ポロクサマーは、ポロクサマー188である。
【0017】
その他の任意の添加剤としては、緩衝液の固体構成成分が挙げられる。構成成分としては、例えば、NaCl、CaCl2×2H2O、KCl、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。特定の実施形態において、非水性固体組成物は、レシニフェラトキシン、D-α-トコフェロールポリエチレングリコールスクシナート、NaCl、CaCl2×2H2O、KCl、及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含み、好ましくは凍結乾燥される。いくつかの実施形態において、本明細書中で開示されている非水性固体組成物は、単糖または糖アルコールを含まない。
【0018】
レシニフェラトキシンの非水性固体組成物は、レシニフェラトキシン、界面活性剤、及びあれば任意の添加剤を溶媒中で混合して、溶液または分散液を形成した後、溶液または分散液を乾燥することによって得られ得る。例えば、約0.1から約1000μg/mL、約0.2から約200μg/mL、または約20から約50μg/mLの濃度の無水エタノールなどの有機溶媒中のレシニフェラトキシンの原液が調製されてもよい。使用することができるその他の有機溶媒としては、グリセリンまたはDMSOが挙げられる。原液(例えば、50μL)は、界面活性剤及び任意にポリエチレングリコールまたはさらなる界面活性剤(例えば、ポロクサマー)を含む希釈剤(例えば、950μL)により希釈され、続いて乾燥されてもよい。いくつかの実施形態において、希釈剤は水性希釈剤である。いくつかの実施形態において、水性希釈剤は、少なくとも1つの緩衝剤及び任意に少なくとも1つの等張化剤を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの緩衝剤は、pHを約7.7から約8.3に維持するように適合させられる。他の実施形態において、水性希釈剤は、約140~150mMのNaCl、約3~5mMのCaCl2×2H2O、約3~5mMのKCl、約8~12mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含み、約7.7から約8.3のpHを有する。特定の実施形態において、水性希釈剤は、約147mMのNaCl、約4mMのCaCl2×2H2O、約4mMのKCl、約10mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含み、約8.0のpHを有する。
【0019】
乾燥または溶媒除去は、真空蒸発、噴霧乾燥、マイクロカプセル化、凍結乾燥、その他の乾燥技術、またはそれらの組み合わせを含むさまざまな技術によって行われてもよい。いくつかの実施形態において、溶液は、凍結乾燥によって凍結及び乾燥される。
【0020】
非水性固体組成物は、一般に室温以下で固体レシニフェラトキシン単独またはレシニフェラトキシンの水性液体組成物よりも安定である。固体は、再構成及び使用の前に室温以下で保存されてもよい。例となる保存温度としては、約0℃、約4℃、または約25℃または約-5℃から約25℃、約0℃から約25℃、約0℃から約15℃、もしくは約0℃から約10℃、もしくは約0℃から約5℃の範囲内が挙げられる。
【0021】
いくつかのさらなる実施形態において、本発明の非水性固体組成物は、水性担体または希釈剤に容易に溶解できることを特徴とする。これらの実施形態において、固体組成物は、振盪時に溶解した状態のレシニフェラトキシンを含む液体溶液が得られるよう、好ましくは、滅菌した水性希釈剤と混合されてもよい。いくつかの実施形態において、水性希釈剤中への固体の溶解後に、レシニフェラトキシンの少なくとも90%が回復する。他の実施形態において、水性希釈剤中への固体の溶解後に、レシニフェラトキシンの少なくとも95%が回復する。いくつかの実施形態において、約-5℃から約25℃、約0℃から約25℃、約0℃から約15℃、もしくは約0℃から約10℃、または約0℃から約5℃で、最大約1から約24か月、約6から約24か月、または約12から約24か月の保存後に、レシニフェラトキシンの少なくとも90%が回復する。特定の実施形態において、約0℃から約25℃で最大約3から約24か月の保存後に、レシニフェラトキシンの少なくとも90%が回復する。別の特定の実施形態において、約0℃から約25℃で最大約3から約12か月の保存後に、レシニフェラトキシンの少なくとも95%が回復する。
【0022】
液体組成物
別の態様において、本発明は、レシニフェラトキシンと、界面活性剤とを含むレシニフェラトキシンの非水性液体組成物を提供する。任意に、本組成物は、1つ以上のその他の添加剤を含む。本明細書に記載の非水性固体組成物と同様に、非水性液体組成物は、例えば、有効量のレシニフェラトキシンを、それを必要とする患者に送達するための注射用溶液として使用可能な液体水性組成物に容易に変換できるレシニフェラトキシンの安定な製剤を提供する。本発明の非水性液体組成物はまた、それぞれ、濃縮製剤または前濃縮製剤と呼ばれる場合もある。
【0023】
レシニフェラトキシンの非水性液体組成物は、レシニフェラトキシン、界面活性剤、及び任意にその他の添加剤を溶媒中で混合して、非水溶液を形成することによって得られ得る。いくつかの実施形態において、溶媒は、無水エタノールである。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤であってもよい。いくつかの実施形態において、非水性液体組成物は、(a)約0.005μMから約10μMのレシニフェラトキシン、好ましくは、約0.01μMから約1μMのレシニフェラトキシン、より好ましくは、約0.1μMから約1μMのレシニフェラトキシン、さらにより好ましくは、約0.1μMから約0.2μMのレシニフェラトキシンを含む。例となる非イオン性界面活性剤としては、D-α-トコフェロールポリエチレングリコールスクシナート、PEG-20水素化ヒマシ油、PEG-35水素化ヒマシ油、PEG-40水素化ヒマシ油、PEG-60水素化ヒマシ油、PEG-100水素化ヒマシ油、PEG-1000水素化ヒマシ油、PEG-2000水素化ヒマシ油、PEG-4000水素化ヒマシ油、PEG-6000水素化ヒマシ油、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、及びポリソルベート100が挙げられる。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、D-α-トコフェロールポリエチレングリコールスクシナート、PEG-60水素化ヒマシ油、PEG-40水素化ヒマシ油、PEG-35水素化ヒマシ油、及びポリソルベート80からなる群から選択される。特定の実施形態において、界面活性剤は、D-α-トコフェロールポリエチレングリコールスクシナートである。他の実施形態において、界面活性剤は、ポリソルベート80である。任意の添加剤としては、ポリエチレングリコール及び/またはさらなる界面活性剤を挙げることができ、さらなる界面活性剤は、任意にポロクサマーである。例となるポリエチレングリコールとしては、PEG1000、PEG1450、PEG1600、PEG3000、PEG3350、PEG4000、PEG4500、PEG6000、PEG8000、及びPEG20000が挙げられる。いくつかの実施形態において、ポリエチレングリコールは、PEG6000である。ポロクサマーは、例えば、ポロクサマー101、182、188、237、331、338、または407でもよい。いくつかの実施形態において、ポロクサマーは、ポロクサマー188、237または407である。別の実施形態において、ポロクサマーは、ポロクサマー188である。
【0024】
特定の実施形態において、非水性液体組成物は、レシニフェラトキシン及びポリソルベート80を含む。別の特定の実施形態において、非水性液体組成物は、レシニフェラトキシン及びD-α-トコフェロールポリエチレングリコールスクシナートを含む。いくつかの実施形態において、本明細書中で開示されている非水性液体組成物は、単糖または糖アルコールを含まない。
【0025】
レシニフェラトキシンの非水性液体組成物は、レシニフェラトキシン、界面活性剤、及び任意の添加剤を溶媒中で混合して、非水性液体組成物を形成することによって得られ得る。例えば、所望の濃度のRTXならびに対応する界面活性剤及び/またはポロクサマーを含む無水EtOH中の無菌溶液が調製され、一定分量のこの溶液がバイアルに分注され、栓で密閉され、圧着される。
【0026】
本発明者らは、非水性液体組成物が、室温以下で固体レシニフェラトキシン単独またはレシニフェラトキシンの水性液体組成物よりも安定であることを見出した。例となる保存温度としては、約0℃、約4℃、または約25℃または約-5℃から約25℃、約0℃から約25℃、約0℃から約15℃、もしくは約0℃から約10℃、もしくは約0℃から約5℃の範囲内が挙げられる。いくつかの実施形態において、約-5℃から約25℃、約0℃から約25℃、約0℃から約15℃、もしくは約0℃から約10℃、または約0℃から約5℃で、最大約1から約24か月、約6から約24か月、または約12から約24か月の保存後に、レシニフェラトキシンの少なくとも90%が回復する。特定の実施形態において、約0℃から約25℃で最大約3から約24か月の保存後に、レシニフェラトキシンの少なくとも90%が回復する。別の特定の実施形態において、約0℃から約25℃で最大約3から約12か月の保存後に、レシニフェラトキシンの少なくとも95%が回復する。
【0027】
キット
別の態様において、本発明は、(a)本明細書に記載の非水性固体組成物または非水性液体組成物を含む第1のキット構成成分と、(b)希釈剤を含む第2のキット構成成分とを含む、キットを提供する。
【0028】
いくつかの実施形態において、希釈剤は、水溶液または有機溶媒であってもよい。例となる有機溶媒としては、無水エタノール、グリセリン、及びジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられる。特定の希釈剤は、水性希釈剤である。水性希釈剤は、水のみを含んでもよく、または少なくとも1つの緩衝剤及び任意に少なくとも1つの等張化剤を含んでもよい。緩衝剤は、第1及び第2のキット構成成分を混合するときにpHを約7.7から約8.3に維持するよう適合させられてもよい。いくつかの実施形態において、水性希釈剤は、約140~150mMのNaCl、約3~5mMのCaCl2×2H2O、約3~5mMのKCl、約8~12mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含み、約7.7から約8.3のpHを有する。特定の実施形態において、水性希釈剤は、約147mMのNaCl、約4mMのCaCl2×2H2O、約4mMのKCl、約10mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含み、約8.0のpHを有する。
【0029】
いくつかの実施形態において、第1のキット構成成分は、レシニフェラトキシン、界面活性剤、ならびに任意に少なくとも1つの緩衝剤及び任意に少なくとも1つの等張化剤を含む非水性固体組成物であり、第2のキット構成成分は水である。特定の実施形態において、非水性固体組成物は、凍結乾燥される。いくつかの実施形態において、緩衝剤及び任意の等張化剤は、NaCl、CaCl2×2H2O、KCl、及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む。特定の実施形態において、第1のキット構成成分(非水性固体組成物)が第2のキット構成成分(水)と混合されると、得られる水溶液は約7.7から約8.3のpHを有する。
【0030】
他の実施形態において、第1のキット構成成分は、レシニフェラトキシン及び界面活性剤を含む非水性液体組成物であり、第2のキット構成成分は、少なくとも1つの緩衝剤及び任意に少なくとも1つの等張化剤を含む水性希釈剤である。いくつかの実施形態において、第1のキット構成成分(非水性液体組成物)が第2のキット構成成分(少なくとも1つの緩衝剤及び任意に少なくとも1つの等張化剤を含む水性希釈剤)と混合されると、得られる水溶液は約7.7から約8.3のpHを有する。
【0031】
いくつかの実施形態において、キットは、以下の形態で供給されてもよい。
(a)1つの一次パッケージの分離した区画(例えば、ラミネートミシン目によって2つ以上の「サブパウチ」に分割された小袋、または一方のキット構成成分が充填されたガラスバイアル及び上記ガラスバイアルのスクリュートップのフタに保持された他方のキット構成成分);
(b)1つの二次パッケージ内に一緒に包装された別々の一次パッケージ(例えば、2つ以上のキット構成成分用の小袋またはガラスバイアルの別々のセット、2つ以上の小袋セットまたはガラスバイアルセットが同一の折りたたみボックスに入れて販売される);
(c)紙またはプラスチック包装材、リボン、スリーブなどによって結果として一緒に保持される2つ以上の別々の二次パッケージに包装された別々の一次パッケージ(例えば、2つ以上のキット構成成分用の小袋またはガラスバイアルの別々のセット、2つ以上の小袋セットまたはガラスバイアルセットが2つ以上の厚紙ボックスに入れて販売され、後者は、収縮ホイル包装機で包装される);あるいは
(d)それらの組み合わせ(例えば、任意に投薬スプーンとともに複数用量の厚紙ドラムに入れて提供される第1のキット構成成分、厚紙ドラムは、多数のガラスバイアルと一緒に折りたたみボックスに入れて販売され、各ガラスバイアルは第2のキット構成成分を含む)。
【0032】
任意に、本発明のキットは、2つ以上のキット構成成分を最良に、または好ましく組み合わせて使用する方法に関する書面の説明書をさらに含んでもよい。
【0033】
注射および使用のための水性組成物
別の態様において、本発明は、(a)レシニフェラトキシンと、(b)界面活性剤と、(c)少なくとも1つの緩衝剤とを含み、約7.7から約8.3のpHを有するレシニフェラトキシンの水性組成物を提供する。本水性組成物は、上記の第1及び第2のキット構成成分を混合することによって調製することができる。いくつかの実施形態において、水性組成物は、(a)約0.005μMから約10μMのレシニフェラトキシン、好ましくは、約0.01μMから約1μMのレシニフェラトキシン、より好ましくは、約0.1μMから約1μMのレシニフェラトキシン、さらにより好ましくは、約0.1μMから約0.2μMのレシニフェラトキシンと、(b)約0.01vol%から約10vol%の界面活性剤、好ましくは、約0.01vol%から約1vol%の界面活性剤、より好ましくは、約0.1vol%から約1vol%の界面活性剤、さらにより好ましくは、約0.2vol%から約0.5vol%の界面活性剤、特に、0.35vol%の界面活性剤と、(c)少なくとも1つの緩衝剤とを含み、約7.7から約8.3のpHを有する。他の実施形態において、水性組成物は、(a)約0.005μMから約10μMのレシニフェラトキシン、好ましくは、約0.01μMから約1μMのレシニフェラトキシン、より好ましくは、約0.1μMから約1μMのレシニフェラトキシン、さらにより好ましくは、約0.1μMから約0.2μMのレシニフェラトキシンと、(b)約0.01vol%から約10vol%の界面活性剤、好ましくは、約0.01vol%から約1vol%の界面活性剤、より好ましくは、約0.1vol%から約1vol%の界面活性剤、さらにより好ましくは、約0.2vol%から約0.5vol%の界面活性剤、特に、0.35vol%の界面活性剤と、(c)約140~150mMのNaClと、(d)約3~5mMのCaCl2×2H2Oと、(e)約3~5mMのKClと、(f)約8~12mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含み、約7.7から約8.3のpHを有する。特定の実施形態において、水性組成物は、(a)約0.01μMから約1μMのレシニフェラトキシン、好ましくは、約0.1μMから約1μMのレシニフェラトキシン、より好ましくは、約0.1μMから約0.2μMのレシニフェラトキシンと、(b)約0.01vol%から約1vol%の界面活性剤、より好ましくは、約0.1vol%から約1vol%の界面活性剤、さらにより好ましくは、約0.2vol%から約0.5vol%の界面活性剤、特に、0.35vol%の界面活性剤0.35vol%の界面活性剤と、(c)約147mMのNaClと、(d)約4mMのCaCl2×2H2Oと、(e)約4mMのKClと、(f)約10mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含み、約8.0のpHを有する。特定の実施形態において、水性組成物は、単糖または糖アルコールを含まない。
【0034】
使用の方法
本明細書中で開示されているレシニフェラトキシンの非水性固体組成物、非水性液体組成物及び/または水性組成物は、疼痛の処置のための医薬の製造に使用することができる。したがって、本発明は、医薬として使用するための本明細書中で開示されているレシニフェラトキシンの非水性固体組成物、非水性液体組成物及び/または水性組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本明細書中で開示されている組成物は、疼痛の処置に使用される。したがって、本発明は、疼痛の処置のための方法において使用するための本明細書中で開示されているレシニフェラトキシンの非水性固体組成物、非水性液体組成物及び/または水性組成物を提供する。疼痛の処置のための医薬の製造のための本明細書中で開示されているレシニフェラトキシンの非水性固体組成物、非水性液体組成物及び/または水性組成物も提供される。他の実施形態において、本開示は、対象に治療有効量の本明細書に記載の非水性固体組成物、非水性液体組成物及び/または水性組成物のいずれかを投与することを含む、疼痛を処置するための方法を提供する。特定の実施形態において、水性組成物は、関節腔内投与用に適合させられる。特定の実施形態において、疼痛は、変形性関節症関連関節痛である。
【0035】
以下の実施例は、本発明を説明するために役立つものであり、本発明の範囲を制限するものと理解されるべきではない。
【実施例】
【0036】
材料
本明細書に記載の例となる非水性固体及び液体組成物を調製するために以下の材料を使用した:アセトニトリル(ロット:STBH6791、Sigma-Aldrich、Austria);アンモニウムホルマート(ロット:BCBD3147V、Sigma-Aldrich、Austria);塩化カルシウム二水和物(ロット:S28238-156、Sigma-Aldrich、Austria);クレモフォールEL(ロット:86741436W0、BASF;Germany);クレモフォールRH60(ロット:91191656P0、BASF;Germany);ギ酸(ロット:396236476、Carl Roth、Karlsruhe、Germany);塩酸(ロット:H2116K1、Carl Roth、Germany);マンニトール(ロット:1560453、Thermo Scientific、Austria);HPLC用オルトリン酸85%(ロット:Z0440928、Merck、Germany);PEG6000(ポリエチレングリコール6000;ロット:2005TS1586、Croda;Germany);塩化カリウム(ロット:351173748、Carl Roth、Germany);Mestexが提供したRTX溶液10mg・mL-1(ロット:LIMS200949145、Carbogen Amcis、Switzerland);塩化ナトリウム(ロット:177255242、Carl Roth、Germany);リン酸一ナトリウム一水和物(ロット:BCBG8983V、Sigma-Aldrich、Austria);TPGS(D-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシナート;ロット:BCBX8795、Sigma-Aldrich、Austria);トリス(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、Trizema欧州薬局方(ロット:S28238-156、Sigma-Aldrich、Vienna、Austria);及びTween80(ポリソルベート80、ロット:K47176961 602、Merck Millipore、Vienna、Austria)。
【0037】
実施例1
非水性固体RTX組成物の調製
無水EtOH中の1mg/ml RTXの原液を調製した。この原液から、EtOH中の所望のRTX濃度を含む使用溶液を調製した。50μlのRTX使用溶液を対応する界面活性剤及び/またはポロクサマーを含む950μlのバッファーと混合することによって試験バイアルを調製した。調製したすべてのバイアルを均質化し、パラフィルムで覆い、凍結した後、凍結乾燥して、非水性固体RTX組成物を生成した。
【0038】
例となる組成物
調製した例となる非水性固体組成物の概要を下記表1に示す。
【表1】
【0039】
表1は、調製した非水性固体組成物を示す。「Mestexバッファー」(MB)は、147mMのNaCl、4mMのCaCl2×2H2O、4mMのKCl、10mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含み、約8.0のpHを有する。
【0040】
安定性試験
本明細書に記載の特定の例となる非水性組成物に関する、凍結乾燥及び再構成後にHPLCによって検出されたレシニフェラトキシンの量の%値を下記表2に示す。凍結乾燥プロセス後に、すべてのバイアルを密閉し、表1に示した対応する条件で保存した。各時点(か月(m))において、凍結乾燥生成物が完全に溶解するまでバイアルを穏やかに振盪することによって、必要な数のバイアルを1mLの注射用水で再構成した。5分後に、サンプルを採取し、エタノールで1:1に希釈し、HPLCによって分析した。さらに、得られたデータの比較性を確保するために、原液から生成したRTX希釈物を使用して各時点における検量線を確立した。
【表2】
【0041】
表2は、12か月にわたる非水性固体の安定性データを示す。再構成されたすべての溶液は、無色透明であった。pHは、8.0±0.2であった。
【0042】
実施例2
非水性液体RTX組成物の調製
無水EtOH中の所望の濃度のRTXならびに対応する界面活性剤及び/またはポロクサマーを含む無菌溶液を調製した。0.5mlのこの溶液を10Rバイアルに分注し、栓で密閉し、圧着した。このような調製物を5℃で保存する。
【0043】
調製した例となる非水性液体組成物の概要を下記表3に示す。
【0044】
非水性固体組成物に加えて、さまざまな界面活性剤とともにEtOH(無水)中のRTXを液体前濃縮製剤として製剤化した。各時点において、バイアルの内容物を、界面活性剤を含まないMestexバッファーで1対20に希釈した。5分後に、サンプルを採取し、エタノールで1:1に希釈し、HPLCによって分析した。さらに、得られたデータの比較性を確保するために、原液から生成したRTX希釈物を使用して各時点における検量線を確立した。
【0045】
下記表3にそのような組成物中におけるRTX安定性の結果を最初のろ過及び遠心分離後に測定したT0値のパーセンテージとして示す。
【表3】
【0046】
表3は、非水性液体組成物の安定性データを示す。再構成されたすべての溶液は、無色透明であった。
【0047】
すべての非水性液体組成物が依然として5%の溶媒を含み、そのような製剤に対して対応するバッファーを用いて追加のバイアルを調製し、送達しなければならないという事実と併せて、非水性液体製剤の使用は、ここに記載されている非水性固体組成物と比較してあまり好ましくない。
【0048】
実施例3
非水性固体RTX組成物の再水和及び短期安定性
実施例1で調製した、TPGS/Mestexバッファー(3つの異なる濃度0.1%、0.35%及び0.7%で上の表2で指定された「TPGS/MB」)を含む凍結乾燥したRTX組成物の入ったバイアルに適量の注射用水(WFI)を添加して、関節への関節内注射にすぐに使える薬剤を調製した。下記表4からわかるとおり、再水和された凍結乾燥したRTX組成物は、使用したTPGS濃度とは無関係に4時間の全測定期間にわたり安定である。
【表4】
【0049】
表4は、製剤RTX/EtOH/0.10、0.35または0.70%TPGS/Mestexバッファーの安定性試験の結果を示す。サンプルは、HPLC分析の前にEtOHで1:1に希釈した。示した値は、平均(n≧3)±SDである。
【0050】
条項
とりわけ、本発明は、以下の特定の実施形態に関する。
【0051】
1.レシニフェラトキシンの非水性組成物であって、
(a)レシニフェラトキシンと、
(b)界面活性剤と
を含む、前記組成物。
【0052】
2.前記組成物は、固体組成物である、条項1に記載の組成物。
【0053】
3.前記固体組成物は、凍結乾燥組成物である、条項2に記載の組成物。
【0054】
4.前記界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である、条項2から3のいずれか1項に記載の組成物。
【0055】
5.前記界面活性剤は、D-α-トコフェロールポリエチレングリコールスクシナート、PEG-20水素化ヒマシ油、PEG-35水素化ヒマシ油、PEG-40水素化ヒマシ油、PEG-60水素化ヒマシ油、PEG-100水素化ヒマシ油、PEG-1000水素化ヒマシ油、PEG-2000水素化ヒマシ油、PEG-4000水素化ヒマシ油、PEG-6000水素化ヒマシ油、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、及びポリソルベート100からなる群から選択される、条項4に記載の組成物。
【0056】
6.前記界面活性剤は、D-α-トコフェロールポリエチレングリコールスクシナート、PEG-60水素化ヒマシ油、PEG-40水素化ヒマシ油、PEG-35水素化ヒマシ油、及びポリソルベート80からなる群から選択される、条項5に記載の組成物。
【0057】
7.前記界面活性剤は、D-α-トコフェロールポリエチレングリコールスクシナートである、条項6に記載の組成物。
【0058】
8.前記界面活性剤は、PEG-60水素化ヒマシ油である、条項6に記載の組成物。
【0059】
9.前記界面活性剤は、PEG-40水素化ヒマシ油である、条項6に記載の組成物。
【0060】
10.前記界面活性剤は、PEG-35水素化ヒマシ油である、条項6に記載の組成物。
【0061】
11.前記界面活性剤は、ポリソルベート80である、条項6に記載の組成物。
【0062】
12.(d)ポリエチレングリコール及び/または
(e)さらなる界面活性剤を
さらに含み、
前記さらなる界面活性剤は、任意にポロクサマーである、条項2から11のいずれか1項に記載の組成物。
【0063】
13.前記ポリエチレングリコールは、PEG1000、PEG1450、PEG1600、PEG3000、PEG3350、PEG4000、PEG4500、PEG6000、PEG8000、またはPEG20000である、条項12に記載の組成物。
【0064】
14.前記ポリエチレングリコールは、PEG6000である、条項13に記載の組成物。
【0065】
15.水性希釈剤中への前記固体の溶解後に、前記レシニフェラトキシンの少なくとも90%が回復する、条項2から14のいずれか1項に記載の組成物。
【0066】
16.水性希釈剤中への前記固体の溶解後に、前記レシニフェラトキシンの少なくとも95%が回復する、条項15に記載の組成物。
【0067】
17.約0℃から約25℃で最大約3から約24か月の保存後に、前記レシニフェラトキシンの少なくとも90%が回復する、条項2から16のいずれか1項に記載の組成物。
【0068】
18.0℃から25℃で最大約3から約12か月の保存後に、前記レシニフェラトキシンの少なくとも95%が回復する、条項17に記載の組成物。
【0069】
19.前記組成物は、NaClをさらに含む、条項2から18のいずれか1項に記載の組成物。
【0070】
20.前記組成物は、CaCl2×2H2Oをさらに含む、条項2から19のいずれか1項に記載の組成物。
【0071】
21.前記組成物は、KClをさらに含む、条項2から20のいずれか1項に記載の組成物。
【0072】
22.前記組成物は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンをさらに含む、条項2から21のいずれか1項に記載の組成物。
【0073】
23.前記組成物は、レシニフェラトキシン、D-α-トコフェロールポリエチレングリコールスクシナート、NaCl、CaCl2×2H2O、KCl、及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む、条項2から7及び12から22のいずれか1項に記載の組成物。
【0074】
24.疼痛の処置のための医薬の製造に使用するための条項2から23のいずれか1項に記載の組成物。
【0075】
25.前記疼痛は、変形性関節症関連関節痛である、条項24に記載の組成物。
【0076】
26.(a)条項2から25のいずれか1項に記載の組成物を含む第1のキット構成成分と、
(b)希釈剤を含む第2のキット構成成分と
を含む、キット。
【0077】
27.前記希釈剤は、水性希釈剤である、条項26に記載のキット。
【0078】
28.前記水性希釈剤は、少なくとも1つの緩衝剤及び任意に少なくとも1つの等張化剤を含む、条項27に記載のキット。
【0079】
29.前記少なくとも1つの緩衝剤は、前記第1及び前記第2のキット構成成分を混合するときにpHを約7.7から約8.3に維持するよう適合させられる、条項28に記載のキット。
【0080】
30.前記水性希釈剤は、約140~150mMのNaCl、約3~5mMのCaCl2×2H2O、約3~5mMのKCl、約8~12mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含み、約7.7から約8.3のpHを有する、条項29に記載のキット。
【0081】
31.前記水性希釈剤は、約147mMのNaCl、約4mMのCaCl2×2H2O、約4mMのKCl、約10mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含み、約8.0のpHを有する、条項30に記載のキット。
【0082】
32.レシニフェラトキシンの非水性固体組成物を調製する方法であって、
(a)レシニフェラトキシン及び界面活性剤を溶媒中で混合することと、
(b)前記溶媒を除去することと
を含む、前記方法。
【0083】
33.ステップ(a)において、バッファーは、前記レシニフェラトキシン及び界面活性剤と溶媒中で混合される、条項32に記載の方法。
【0084】
34.前記溶媒は、凍結乾燥によって除去される、条項32から33のいずれか1項に記載の方法。
【0085】
35.条項32から34のいずれか1項に記載の方法により調製される、レシニフェラトキシンの非水性固体組成物。
【0086】
36.前記組成物は、液体組成物である、条項1に記載の組成物。
【0087】
37.レシニフェラトキシンの濃度は、約0.005μMから約10μMのレシニフェラトキシン、好ましくは、約0.01μMから約1μMのレシニフェラトキシン、さらにより好ましくは、約0.1μMから約0.2μMのレシニフェラトキシン;(b)約0.01vol%から約10vol%の界面活性剤、好ましくは、約0.01vol%から約1vol%の界面活性剤、さらにより好ましくは、約0.1vol%から約0.5vol%の界面活性剤、特に、0.35vol%の界面活性剤である、条項36に記載の組成物。
【0088】
38.前記界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である、条項36または37に記載の組成物。
【0089】
39.前記界面活性剤は、D-α-トコフェロールポリエチレングリコールスクシナート、PEG-20水素化ヒマシ油、PEG-35水素化ヒマシ油、PEG-40水素化ヒマシ油、PEG-60水素化ヒマシ油、PEG-100水素化ヒマシ油、PEG-1000水素化ヒマシ油、PEG-2000水素化ヒマシ油、PEG-4000水素化ヒマシ油、PEG-6000水素化ヒマシ油、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、及びポリソルベート100からなる群から選択される、条項38に記載の組成物。
【0090】
40.前記界面活性剤は、D-α-トコフェロールポリエチレングリコールスクシナート、PEG-60水素化ヒマシ油、PEG-40水素化ヒマシ油、PEG-35水素化ヒマシ油、及びポリソルベート80からなる群から選択される、条項39に記載の組成物。
【0091】
41.前記界面活性剤は、D-α-トコフェロールポリエチレングリコールスクシナートである、条項40に記載の組成物。
【0092】
42.前記界面活性剤は、PEG-60水素化ヒマシ油である、条項40に記載の組成物。
【0093】
43.前記界面活性剤は、PEG-40水素化ヒマシ油である、条項40に記載の組成物。
【0094】
44.前記界面活性剤は、PEG-35水素化ヒマシ油である、条項40に記載の組成物。
【0095】
45.前記界面活性剤は、ポリソルベート80である、条項40に記載の組成物。
【0096】
46.(d)ポリエチレングリコール及び/または
(e)さらなる界面活性剤をさらに含み、
前記さらなる界面活性剤は、任意にポロクサマーである、条項36から45のいずれか1項に記載の組成物。
【0097】
47.前記ポリエチレングリコールは、PEG1000、PEG1450、PEG1600、PEG3000、PEG3350、PEG4000、PEG4500、PEG6000、PEG8000、及びPEG20000である、条項46に記載の組成物。
【0098】
48.前記ポリエチレングリコールは、PEG6000である、条項47に記載の組成物。
【0099】
49.約0℃から約25℃で最大約3から約24か月の保存後に、前記レシニフェラトキシンの少なくとも90%が回復する、条項36から48のいずれか1項に記載の組成物。
【0100】
50.約0℃から約25℃で最大約3から約12か月の保存後に、前記レシニフェラトキシンの少なくとも95%が回復する、条項49に記載の組成物。
【0101】
51.疼痛の処置のための医薬の製造に使用するための条項36から50のいずれか1項に記載の組成物。
【0102】
52.前記疼痛は、変形性関節症関連関節痛である、条項51に記載の組成物。
【0103】
53.(a)条項36から52のいずれか1項に記載の組成物を含む第1のキット構成成分と、
(b)希釈剤を含む第2のキット構成成分と
を含む、キット。
【0104】
54.前記希釈剤は、水性希釈剤である、条項53に記載のキット。
【0105】
55.前記水性希釈剤は、少なくとも1つの緩衝剤及び任意に少なくとも1つの等張化剤を含む、条項54に記載のキット。
【0106】
56.前記少なくとも1つの緩衝剤は、前記第1及び前記第2のキット構成成分を混合するときにpHを約7.7から約8.3に維持するよう適合させられる、条項55に記載のキット。
【0107】
57.前記水性希釈剤は、約140~150mMのNaCl、約3~5mMのCaCl2×2H2O、約3~5mMのKCl、約8~12mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含み、約7.7から約8.3のpHを有する、条項56に記載のキット。
【0108】
58.前記水性バッファー希釈剤は、約147mMのNaCl、約4mMのCaCl2×2H2O、約4mMのKCl、約10mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含み、約8.0のpHを有する、条項57に記載のキット。
【0109】
59.レシニフェラトキシンの非水性液体組成物を調製する方法であって、レシニフェラトキシン、界面活性剤及び非水性溶媒を混合することを含む、前記方法。
【0110】
60.条項59に記載の方法により調製される、レシニフェラトキシンの非水性液体組成物。
【0111】
61.レシニフェラトキシンの水性組成物であって、
(a)約0.005μMから約10μMのレシニフェラトキシン、好ましくは、約0.01μMから約1μMのレシニフェラトキシン、より好ましくは、約0.1μMから約1μMのレシニフェラトキシン、さらにより好ましくは、約0.1μMから約0.2μMのレシニフェラトキシンと、
(b)約0.01vol%から約10vol%の界面活性剤、好ましくは、約0.01vol%から約1vol%の界面活性剤、より好ましくは、約0.1vol%から約1vol%の界面活性剤、さらにより好ましくは、約0.1vol%から約0.5vol%の界面活性剤、特に、0.35vol%の界面活性剤と、
(c)少なくとも1つの緩衝剤と
を含み、
約7.7から約8.3のpHを有する、前記組成物。
【0112】
62.約140~150mMのNaCl、約3~5mMのCaCl2×2H2O、約3~5mMのKCl、約8~12mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む、条項61に記載の組成物。
【0113】
63.約147mMのNaCl、約4mMのCaCl2×2H2O、約4mMのKCl、約10mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む、条項62に記載の組成物。
【0114】
64.前記組成物は、関節腔内投与用に適合させられる、条項61から63のいずれか1項に記載の組成物。
【0115】
65.前記組成物は、条項26から31または条項53から58のいずれか一項に記載の前記第1及び前記第2のキット構成成分を混合することによって得られる、条項61から64のいずれか1項に記載の組成物。
【0116】
66.疼痛の処置に使用するための条項61から65のいずれか1項に記載の組成物。
【0117】
67.前記疼痛は、変形性関節症関連関節痛である、条項66に記載の組成物。
【0118】
68.対象に治療有効量の条項61から65のいずれか1項に記載の組成物を投与することを含む、疼痛を処置する方法。
【0119】
69.前記疼痛は、変形性関節症関連関節痛である、条項68に記載の方法。
【0120】
70.前記組成物は、単糖または糖アルコールを含まない、条項1から25、35から52、及び60から67のいずれか1項に記載の組成物。
【0121】
71.条項1から6のいずれか1項に記載の組成物の希釈物であって、前記組成物の希釈物は、
(a)約0.005μMから約10μMのレシニフェラトキシン、好ましくは、約0.01μMから約1μMのレシニフェラトキシン、より好ましくは、約0.1μMから約1μMのレシニフェラトキシン、さらにより好ましくは、約0.1μMから約0.2μMのレシニフェラトキシンと、
(b)約0.01vol%から約10vol%の界面活性剤、好ましくは、約0.01vol%から約1vol%の界面活性剤、より好ましくは、約0.1vol%から約1vol%の界面活性剤、さらにより好ましくは、約0.1vol%から約0.5vol%の界面活性剤、特に、0.35vol%の界面活性剤と、
(c)少なくとも1つの緩衝剤と
を含み、
前記組成物は、約7.7から約8.3のpHを有する、前記組成物の希釈物。
【0122】
72.約140~150mMのNaCl、約3~5mMのCaCl2×2H2O、約3~5mMのKCl、約8~12mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む、条項71に記載の組成物の希釈物。
【0123】
73.約147mMのNaCl、約4mMのCaCl2×2H2O、約4mMのKCl、約10mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む、条項72に記載の組成物の希釈物。
【0124】
74.前記組成物は、関節腔内投与用に適合させられる、条項71から73のいずれか1項に記載の組成物の希釈物。
【0125】
75.前記組成物は、条項26から31または条項53から58のいずれか一項に記載の前記第1及び前記第2のキット構成成分を混合することによって得ることができる、条項71から74のいずれか1項に記載の組成物の希釈物。
【0126】
76.疼痛の処置に使用するための条項71から75のいずれか1項に記載の組成物の希釈物。
【0127】
77.前記疼痛は、変形性関節症関連関節痛である、条項76に記載の組成物の希釈物。
【0128】
78.対象に治療有効量の条項71から75のいずれか1項に記載の組成物の希釈物を投与することを含む、疼痛を処置する方法。
【0129】
79.前記疼痛は、変形性関節症関連関節痛である、条項78に記載の方法。
【0130】
80.前記組成物は、単糖または糖アルコールを含まない、条項1から25、35から52、及び71から77のいずれか1項に記載の組成物の希釈物。
【国際調査報告】