(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-31
(54)【発明の名称】3D及びLiDARセンシングモジュール
(51)【国際特許分類】
H01S 5/42 20060101AFI20230524BHJP
H01S 5/183 20060101ALI20230524BHJP
H01S 5/0239 20210101ALI20230524BHJP
H01S 5/026 20060101ALI20230524BHJP
G01S 7/484 20060101ALI20230524BHJP
H01S 5/042 20060101ALI20230524BHJP
G01S 7/481 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
H01S5/42
H01S5/183
H01S5/0239
H01S5/026 612
H01S5/026 650
G01S7/484
H01S5/042 630
G01S7/481 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551766
(86)(22)【出願日】2021-02-12
(85)【翻訳文提出日】2022-10-24
(86)【国際出願番号】 US2021017810
(87)【国際公開番号】W WO2021173370
(87)【国際公開日】2021-09-02
(32)【優先日】2020-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522339237
【氏名又は名称】ヴィクサー, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Vixar, Inc.
(71)【出願人】
【識別番号】522339248
【氏名又は名称】ダマー, マシュー
【氏名又は名称原語表記】DUMMER, Matthew
(71)【出願人】
【識別番号】508269684
【氏名又は名称】ジョンソン クライン エル
(71)【出願人】
【識別番号】522339259
【氏名又は名称】ヒッブス ブレナー, メアリー
【氏名又は名称原語表記】HIBBS BRENNER, Mary
(71)【出願人】
【識別番号】522339260
【氏名又は名称】セティアディ, ダディ
【氏名又は名称原語表記】SETIADI, Dadi
(71)【出願人】
【識別番号】522339271
【氏名又は名称】オルソン, ベンジャミン
【氏名又は名称原語表記】OLSON, Benjamin
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ダマー, マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン, クライン エル.
(72)【発明者】
【氏名】ヒッブス ブレナー, メアリー
(72)【発明者】
【氏名】セティアディ, ダディ
(72)【発明者】
【氏名】オルソン, ベンジャミン
【テーマコード(参考)】
5F173
5J084
【Fターム(参考)】
5F173AC03
5F173AC10
5F173AC13
5F173AC42
5F173AC52
5F173AC53
5F173AD05
5F173AD11
5F173AD21
5F173AF07
5F173AF20
5F173AK22
5F173MD34
5F173MD63
5F173MD65
5F173MF39
5J084AA05
5J084AD01
5J084BA04
5J084BA07
5J084BA36
5J084BB02
5J084BB04
(57)【要約】
【課題】新規な照明モジュールを提供する。
【解決手段】本明細書中に開示されるシステム及び方法は、3Dセンシング用途のための照明モジュールを含む。照明モジュールは、光を放出する複数の垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)のアレイと、複数のVCSELのアレイに電流を供給するように構成されるドライバと、複数のVCSELのアレイによって放出される光を受けて照明モジュールから光パターンを出力するように構成される光学素子とを含み得る。
【選択図】
図34
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を放出する複数の垂直共振器面発光レーザ(VCSEL:vertical cavity surface emitting laser)のアレイと、
前記複数のVCSELのアレイに電流を供給するように構成されるドライバと、
前記複数のVCSELのアレイによって放出される前記光を受けて前記照明モジュールから光パターンを出力するように構成される光学素子と、
を備える照明モジュール。
【請求項2】
前記複数のVCSELのアレイにおける少なくとも1つのVCSELが多接合VCSELを備える、請求項1に記載の照明モジュール。
【請求項3】
前記少なくとも1つのVCSELが集積ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT:heterojunction bipolar transistor)を含む、請求項2に記載の照明モジュール。
【請求項4】
前記複数のVCSELのアレイが共通アノードを共有する、請求項1に記載の照明モジュール。
【請求項5】
前記複数のVCSELのアレイにおける少なくとも1つのVCSELが多接合VCSELを備える、請求項4に記載の照明モジュール。
【請求項6】
前記複数のVCSELのアレイが複数の底面発光VCSELである、請求項4に記載の照明モジュール。
【請求項7】
前記複数のVCSELのアレイにおける少なくとも1つのVCSELが集積HBTを含む、請求項1に記載の照明モジュール。
【請求項8】
前記少なくとも1つのVCSELが底面発光VCSELである、請求項7に記載の照明モジュール。
【請求項9】
前記少なくとも1つのVCSELが、前記複数のVCSELのアレイにおける少なくとも1つの他のVCSELと共通アノードを共有する、請求項7に記載の照明モジュール。
【請求項10】
前記複数のVCSELのアレイにおける各VCSELが集積HBTを含み、前記複数のVCSELのアレイが複数の行及び複数の列を備える、請求項1に記載の照明モジュール。
【請求項11】
前記複数のVCSELのアレイにおける各VCSELが個別にアドレス指定可能であるように、各行における各VCSELが前記集積HBTの共通エミッタを共有し、各列における各VCSELが前記集積HBTの共通ベースを共有する、請求項10に記載の照明モジュール。
【請求項12】
前記複数のVCSELのアレイにおける少なくとも1つのVCSELが多接合VCSELである、請求項10に記載の照明モジュール。
【請求項13】
前記複数のVCSELのアレイにおける少なくとも2つのVSCELが共通アノードを共有する、請求項10に記載の照明モジュール。
【請求項14】
前記複数のVCSELのアレイが、光を放出するように構成される複数のVCSELの第1のセグメントと、複数のVCSELの前記第1のセグメントによって放出される光を検出するように構成される複数のVCSELの第2のセグメントとにセグメント化される、請求項1に記載の照明モジュール。
【請求項15】
複数のVCSELの前記第1のセグメントに順バイアスがかけられ、複数のVCSELの前記第2のセグメントに逆バイアスがかけられる、請求項14に記載の照明モジュール。
【請求項16】
複数のVCSELの前記第1のセグメントにおける少なくとも1つのVCSELが多接合VCSELである、請求項14に記載の照明モジュール。
【請求項17】
複数のVCSELの前記第1のセグメントにおける少なくとも1つのVCSELが集積HBTを含む、請求項14に記載の照明モジュール。
【請求項18】
前記光学素子が前記複数のVCSELのアレイに組み込まれる、請求項1に記載の照明モジュール。
【請求項19】
前記光学素子が前記複数のVCSELのアレイの基板上に堆積される、請求項18に記載の照明モジュール。
【請求項20】
前記複数のVCSELのアレイに隣り合って位置される光検出器をさらに備える、請求項18に記載の照明モジュール。
【請求項21】
前記光学素子の上に位置される光検出器をさらに備える、請求項18に記載の照明モジュール。
【請求項22】
前記複数のVCSELのアレイが、光を放出するように構成される複数のVCSELの第1のセグメントと、複数のVCSELの前記第1のセグメントによって放出される光を検出するように構成される複数のVCSELの第2のセグメントとにセグメント化される、請求項18に記載の照明モジュール。
【請求項23】
前記複数のVCSELのアレイにおける少なくとも1つのVCSELが多接合VCSELである、請求項18に記載の照明モジュール。
【請求項24】
前記複数のVCSELのアレイにおける少なくとも2つのVSCELが共通アノードを共有する、請求項18に記載の照明モジュール。
【請求項25】
前記複数のVCSELのアレイにおける少なくとも1つのVCSELが集積HBTを含む、請求項18に記載の照明モジュール。
【請求項26】
前記複数のVCSELのアレイが前記ドライバ及び光検出器を含む基板上にフリップチップ結合される、請求項18に記載の照明モジュール。
【請求項27】
前記複数のVCSELのアレイが、前記ドライバに接続されるシリコンインターポーザ上にフリップチップ結合され、前記シリコンインターポーザが光検出器を含む、請求項18に記載の照明モジュール。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本出願は、参照によりその全体が本願に組み入れられる2020年2月26日に出願された「3D and LiDAR Sensing Modules」と題される米国特許出願第16/801,231号の国際出願であって、米国特許出願第16/801,231号の優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
[0002]この開示は、構造化光又は飛行時間センシングを含む3D(3次元)センシング、及び、光検出・測距(LiDAR:Light Detection and Ranging)などの用途のための光を生成するモジュールを含む、照明モジュールに関する。より具体的には、本開示は、光電子エミッタの様々な特徴、及び、これらのエミッタとドライバ、光検出器、及び、小型モジュール上の光学素子との一体化に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]垂直共振器面発光レーザ(VCSEL:vertical cavity surface emitting laser)及びVCSELアレイ並びに発光ダイオード(LED:light emitting diode)や共鳴共振器LED(RCLED:resonance cavity LED)などの他の面発光デバイスは、消費者、産業、自動車、及び医療産業を含むがこれらに限定されない様々な市場内の用途にとって重要な技術である。VCSELアレイは、光通信だけでなく光センシングにも適用されてきた。多くの光通信用途は、集積チップ上のVCSELのアレイを利用している。
図1は、個々に変調され得るように各VCSELが独自のボンドパッドを有する1次元VCSELアレイ102の一例を示す。センサ用途の例としては、セキュリティカメラ用の照明、3次元(3D)カメラやジェスチャ認識システムなどのセンサ用の照明、医療撮像システム、光線療法システム、組織中への深い浸透を必要とする医療センシングシステム、又は産業用センサが挙げられるが、これらに限定されない。しばしば、高い光パワーが必要な場合、それは、全てのVCSELが共通アノードと共通カソードとの両方と共に結び付けられるVCSELアレイによって与えられる。
図1におけるVCSELアレイ104は、そのようなアレイの一例である。この場合、カソード接点が基板を貫通して形成され、単一のアノードボンドパッドがアレイ内の全てのVCSELと接触する金属に接続され、それにより、アレイ全体が一緒にオン/オフされる。このような光センシング用途及び照明用途並びに他の用途において、これらの光エミッタ及びエミッタアレイは、本明細書でさらに詳細に説明するように、電力効率、狭いスペクトル幅、狭いビーム発散、高速度、及びパッケージングの柔軟性を含むがこれらに限定されない幾つかの利点を与える。
【0004】
[0004]VCSEL及びVCSELアレイでは、660~1000ナノメートル(nm)範囲の波長で、30~60%の電力変換効率(PCE:power conversion efficiency)を達成することができる。PCEは、VCSEL又はVCSELアレイなどの1つ又は複数のレーザから放出される光パワーを、レーザを駆動するために使用される電力で割った比率として定義することができる。VCSELのPCEだけでも、現在利用可能な最も効率的な発光ダイオード(LED)の一部のPCEに匹敵するが、スペクトル幅とビーム発散とを考慮すると、VCSELにはLEDよりも大幅な効率上の利点がある。
【0005】
[0005]例えば、VCSELアレイは、一般に、約1nmのスペクトル幅を有する。これにより、光検出器又はカメラのためのフィルタを使用して、バックグラウンド放出線に関連するノイズを減らすことができる。比較のため、LEDは一般に20~50nmのスペクトル線幅を有し、その結果、そのようなフィルタによって多くの光が排除され、そのため、LEDの実効PCEが低下する。さらに、VCSELの波長は、温度の影響を受けにくく、そのため、温度が1℃上昇するごとに約0.06nmしか増大しない。VCSELの温度に伴う波長シフト率は、LEDの4分の1である。
【0006】
[0006]VCSELの角ビーム発散は、一般的に、全幅1/e2で10~30度であるのに対し、LEDの出力ビームは半球全体を満たすランバートである。このことは、一般に、VCSELの光の全てではないにしても、コリメート又は集束ビームプロファイル用のレンズ、ワイドビーム(40~90度以上)プロファイル用のディフューザ、或いは、スポット又はラインのパターンを生成する回折光学素子などの様々な光学素子を使用して収集できることを意味する。LEDはビーム角が広いため、全て又はほぼ全ての光を収集することは困難な場合があり(有効なPCEのさらなる低下につながる)、また、VCSELで可能なように正確に光を方向付けることも困難な場合がある。
【0007】
[0007]また、VCSELの垂直放出性は、従来のレーザよりも遥かにパッケージングの柔軟性をVCSELに与え、LED又は半導体集積回路(IC)に利用可能な広範囲のパッケージの使用への扉を開く。同じチップ上に複数のVCSELを集積することに加えて、VCSEL又はVCSELアレイを光検出器又は光学素子とパッケージ化することができる。VCSELでは、プラスチック又はセラミックの表面実装パッケージ又はチップオンボードオプションも利用できる。
【0008】
[0008]単一のVCSELアパーチャから放出される電力量は、マイクロワットから数十ミリワットの範囲であり、一方、VCSELアレイは、数百ミリワットからワット、さらにはキロワットの範囲の電力を生成するために使用される。高出力VCSELアレイは、飛行時間や構造化照明アプローチに基づく3D(3次元)センサなど、長距離にわたって動作するセンサに適している場合がある。医療センサ、診断デバイス、又は治療用レーザの組織へのより深い浸透には、より高い出力が必要になる場合もある。化学センサや環境センサには、より高い電力が必要になる場合もある。
【0009】
[0009]飛行時間用途における光源に関するさらなる要件は、立ち上がり時間が速い短いパルスを生成する能力である。立ち上がり時間によって、達成できる距離分解能が決まる。一般に、VCSELを駆動するために供給できる最大電圧があり、これは、3~5ボルトの範囲であり、VCSELにもたらされ得る最大電流を決定する。光源の立ち上がり時間によって、3次元で測定される距離の分解能が決まる。
【0010】
[0010]LiDARは、自動車、産業、又は軍事用途における飛行時間アプローチに関して一般に使用される用語である。これも、飛行時間の物理的効果に基づいているが、多くの場合、より長い距離にわたって感知し、より多くの電力を必要とする用途に関して使用される用語である。これらの用途の場合、サイズ及び許容電圧は、消費者用途の場合よりも多少制限が少ない。しかしながら、遥かに高い出力が必要とされることが多く、電流及び/又は電力を最小限に抑えながらこの光出力を生成することが望ましい。前述のように、立ち上がり時間は距離分解能にとって重要であり、これはより高い電流ドライブではより困難になる。多くのLiDARシステムは、視野をカバーする走査ビームを伴うが、照明が視野を同時にカバーするフラッシュLiDARシステムも使用される。
【0011】
[0011]
図2は、飛行時間照明モジュールのための幾つかの従来技術の解決策を示す。パッケージ202は、サブマウント、スペーサ、及びパッケージの表面上の拡散要素を含む。パッケージ204は、パッケージ202の内部を示す。下部スペーサが金属パッドでパターン化され、VCSELアレイチップとフォトダイオードの両方がパッケージ204の内部に位置されることが分かる。パッケージ206は、プラスチックパッケージを使用する代替アプローチである。パッケージ202及び204のサイズは、約2.8mm×3.5mmである。
【0012】
[0012]
図3は、飛行時間照明モジュールのための別の従来技術の解決策を示す。パッケージ300は、基板、スペーサ、VCSELアレイ、及びフォトダイオードを含む。この場合、ICはパッケージ300に追加されている。パッケージ300の上面には依然としてディフューザがあり、金属リンクがディフューザの表面に追加されている。パッケージ300へのドライバの追加は、VCSELとドライバとの間のインダクタンスを低減し、したがって、飛行時間測定に使用される場合、VCSELパルスの立ち上がり時間を改善する。金属リンクがディフューザに追加され、ディフューザの亀裂を検出できるようになった。
【0013】
[0013]しかしながら、飛行時間用途のための次世代のVCSELパッケージについては、VCSELアレイの立ち上がり時間を改善し続けることが望ましく、このことは、VCSELとドライバチップとの間のインダクタンス又はインダクタンスの影響をさらに低減することを意味する。さらに、用途の多くはスペースを重視するため、パッケージ全体のサイズを小さくすることが望まれる。
【0014】
[0014]さらに、照明モジュールは、通常、ビームプロファイルを制御するための光学素子を含む。構造化光アプローチの場合、回折光学素子とレンズを使用して点アレイを作成している。飛行時間アプローチを使用した3D(3次元)センシングの場合、ディフューザを使用して、狭い円形ビームをより広い円形又は長方形の視野に変換している。多くのスポット又はより広い視野にわたる光の分布は、眼に集束され得る光の量を減らすことにより、眼の安全を維持するのにも役立っている。次に説明するように、ドライバ回路の制御を支援し、出力電力を監視し、眼の安全を確保する手段を提供するために、パッケージにフォトダイオードを含めることもできる。
【0015】
[0015]VCSELの出力電力が大きくなればなるほど、出力電力を監視することがより重要になる。光デバイスの出力電力は、温度、経年変化、及び他の要因の影響を受ける場合がある。多くの用途では、良好な信号又は高い信号対ノイズ比を達成するために、VCSELダイからの十分な出力電力を維持することが望まれる。一方、VCSELは、人間がアクセスできる環境で操作されることが多く、眼や皮膚に損傷を与える可能性のある放出レベルに人が晒されないようにする必要がある。これらの要件は、光出力電力に下限と上限の両方を課し、温度範囲と期間とにわたってパワーがこの範囲内に留まるようにするためのメカニズムを有することが望ましい。
【0016】
[0016]温度に応じてパワーの変動を制御すること又は時間に対して性能を変化させることに加え、光デバイスを眼に安全なものであるとして認証するには、デバイスが単一の故障モードに耐えられることが必要である。例えば、多くの高出力VCSELアレイが消費者デバイスに適用されている。VCSELアレイは、本質的に眼に安全ではないが、低いデューティサイクルでデバイスをパルス化する及び/又はビームを大きい角度に拡大するVCSEL上にディフューザを追加して、眼に入り得る光の量を制限することによって眼に安全なものにされる。しかしながら、故障のメカニズムには、パッケージからのディフューザの脱落、ディフューザの効果がなくなってディフューザが透明で効果がなくなるディフューザの表面での液体の凝縮、ディフューザの表面の融解、又はVCSELがパルス化されるのではなく連続的にオンになる電子機器の故障が含まれる可能性がある。
【0017】
[0017]現在、VCSELの出力電力を監視及び制御するための少なくとも2つのアプローチがある。これらのアプローチの幾つかは、端面発光レーザなどの他の光電子デバイスにも利用できる。アプローチの1つは、温度に対するVCSELの性能を特徴付けることである。このとき、アプローチは、システムにサーミスタ又は温度センサを含め、測定した温度を使用して電流を調整し、温度に対する以前の特性評価に基づいて所望の出力電力を達成することができる。これが
図4のグラフに示され、この場合、25℃から85℃の範囲の様々な温度でVCSELアレイに関して出力電力対電流がプロットされる。この図では、25~40℃で2Wの出力電力に達するのに必要な電流が約3Aである。周囲温度が70℃に上昇すると、2Wに達するのに必要な電流が約3.2Aに増大し、85℃では2Wに達するのに必要な電流が約4Aである。この情報をルックアップテーブルにプログラムし、サーミスタによって測定された温度に基づいて電流を調整することができる。このアプローチの限界は、デバイスごとに変動があり、デバイスの寿命のバーンイン効果に起因して時間の経過と共に何らかの変動が存在し得ることである。各デバイスを個別にキャリブレーションすることにより、デバイス間のばらつきを補正することができるが、これには費用と時間がかかる。時間の経過に伴う変動は、補償するのがより困難である。
【0018】
[0018]第2のアプローチは、出力電力を直接監視し、レーザ又はLEDへの駆動電流を調整して、出力電力を所望の範囲内に保つことである。これは、特に光ファイバデータ通信市場で、トランジスタアウトライン(TO:transistor outline)ヘッダ及び缶にパッケージ化されたデバイスに対して頻繁に行なわれている。従来技術のTOの一例が
図5に示される。積層体が、金属TOヘッダに実装されたフォトダイオードと、光検出器の金属パッドに実装されたフォトダイオードのアクティブ領域よりも小さいVCSELとを使用して形成されてもよい。フォトダイオードをヘッダから分離するために、任意選択的で、積層体を、ヘッダとフォトダイオードとの間に位置された金属でパターン化されたセラミックサブマウントに実装することができる。様々なVCSEL及びフォトダイオード(PD:photodiode)接点が、電気的接触のためにヘッダ又はパッケージのピンにワイヤボンディングされる。パッケージの上端には蓋が設けられる。TOヘッダの場合、これは、通常、上面にウインドウのある背の高い金属缶である。ウインドウは、ARコーティングを有しないか又はウインドウの2つの表面で反射される光の量を決定するために制御されたコーティングを有することが好ましい。VCSELから放出された光ビームは、発散角度範囲がゼロではないため、一部の光はある角度で反射される。十分に高い角度で反射された光は、VCSELチップによりカバーされていない光検出器の領域に到達し、出力電力の監視に使用できる。
【0019】
[0019]
図6は、従来技術のTOヘッダの上面
図602でこのアプローチを示す。上面
図602において、VCSELダイオードは、ヘッダ上に位置するフォトダイオード上の金属パッドの上に位置し、2つのダイオードの様々なアノード及びカソード接点へのワイヤボンドを示す。また、
図6は、VCSELを収容するパッドを含むフォトダイオード604の拡大図も含む。或いは、VCSELとフォトダイオードをサブマウント上又はヘッダ上に並べて配置することもでき、また、フォトダイオードは、ウインドウによって片側に反射されるVCSELから放出された光を捕捉する。これにより、通常、VCSELのアクティブ発光領域からフォトダイオードのアクティブ部分までの距離が長くなるため、VCSEL上のウインドウの高さを高くする必要がある。
【0020】
[0020]これらのアプローチは、効果的に適用されてきたが、幾つかの限界がある。フォトダイオードで十分な光を捕捉するために、TOヘッダの蓋が比較的高く、これにより、パッケージのコンパクトさが制限される。例えば、VCSEL発光領域からフォトダイオードのターゲット部分までの距離が0.5ミリメートル(mm)とかなり小さい距離であり、VCSELの半角が11度である場合、ウインドウの下側はVCSELの上端から約1.28mm上でなければならない。VCSELからフォトダイオードまでの距離が1mmに増大すると、高さが2倍の2.56mmになる。パッケージの全高には、ヘッダ又はサブマウントの厚さ、ウインドウの厚さ、及びVCSELの厚さも含まれるため、3~4mmの高さになりやすい可能性がある。VCSELは小型化が重要な家電に適用されるため、これが問題になる場合がある。さらに、VCSELのビーム発散は温度と電流の両方の影響を受ける可能性があるため、この関係を理解し、潜在的に補償する必要がある。フォトダイオードに対するVCSEL配置の正確なジオメトリも重要な場合がある。より高い出力電力のアレイの場合、適切な熱ヒートシンクが必要であり、TOは、一般に、パッケージとして機能するのに十分に良好なヒートシンクではない場合がある。
【0021】
[0021]プラスチック又はセラミック表面実装パッケージ内の出力電力を監視するために別個のフォトダイオードを使用する別のバージョンが
図7に示される。VCSELとフォトダイオードダイとが並んで位置するプラスチック又はセラミックのサブマウントと、パッケージの側壁とがあり、その上にガラス又はプラスチックのウインドウを配置できる。このウインドウからの反射に依存する場合には、VCSELからフォトダイオードに十分な信号が到達できる寸法かどうかを考慮する必要がある。VCSELから利用可能な角度放出を想定すると、蓋の高さをVCSELより高く持ち上げる必要がある場合があり、これにより、パッケージが目的の低プロファイルを実現できなくなる可能性がある。
【0022】
[0022]VCSEL及びフォトダイオードモニタが並んで位置するパッケージの第2のバージョンが
図8に示される。この場合、平坦なウインドウがディフューザに置き換えられる。ディフューザは、パッケージから出射する殆どの光に対して特定の角度の視野をもたらすが、ごく一部はディフューザガラスと平行に散乱され、光検出器に向かって徐々に後方に散乱される。横方向の散乱に起因して、VCSELとモニタダイオードとの間の距離がより大きくなる可能性があり、フォトダイオードによって受信される信号は、VCSELとモニタダイオードとの間の間隔の影響を受けにくくなる。しかしながら、このモニタフォトダイオードはパッケージ内でより多くのスペースを占有するため、このアプローチはディフューザを含める必要がある場合又は含めることが望ましい場合にのみ機能する。
【0023】
[0023]アレイの出力電力を監視する別の方法は、上方の反射ウインドウ又は散乱ウインドウの高さを最小限に抑えながら、フォトダイオードをVCSELチップ上にモノリシックに組み込むことである。VCSELからモニタまでの横方向の距離を短くすることにより、反射面又は散乱面をより低くすることができる。
【0024】
[0024]多くの用途、特に消費者向け用途の小型化の別の態様は、フリップチップ結合VCSELを開発することである。
図9は、そのようなアプローチを概略的に示す。カソードとアノードの両方の接点がチップの上面から形成される。その後、チップをひっくり返して、例えば半田を使用して回路基板又はサブマウントに取り付け、元の基板を通して光を放出できるようにしてもよい。この場合、光学素子を基板に取り付けるか又は基板に組み込むことができる。フリップチップアプローチは、必要なパッケージ面積を増大させるボンドパッドを排除することで、小型化に貢献する可能性がある。ウエハの裏側に光学素子を組み込むと、パッケージの蓋に取り付けられた外部光学素子の必要性をなくし、パッケージの小型化及び/又はコストの削減に役立つ可能性がある。
【0025】
[0025]照明及びセンシングのための光エミッタの望ましい特性に基づいて、照明源が高いスロープ効率を有することが有益である。言い換えると、照明源は単位電流当たりより多くの光パワーを生成する。スロープ効率が高いことの利点としては、チップのフットプリントを削減して所望の光パワーレベルを実現できること、又は、フットプリントが一定に保たれている場合に出力電力を改善できることが挙げられる。スロープ効率がより高いことによる別の重要な利点は、VCSELデバイスを変調又はパルス化する際の立ち上がり時間をより短縮できることである。これは、飛行時間メカニズムを使用した3D(3次元)センシング又は撮像に特に役立つ。
【0026】
[0026]3D(3次元)センシングの場合、視野全体にわたる撮像に求められる必要なパワーを達成するために、十分な光パワーを生成するべくVCSELアレイが使用されてきた。しかしながら、3D(3次元)センシングの最も単純な実装では、VCSELのアレイが、共通アノードと共通カソードの両方を共有することができ、
図1のVCSELアレイ104によって示されたように、全ての個々のVCSELが一緒にオン及びオフにされる。
【0027】
[0027]しかしながら、代わりに、VCSELチップを個々の領域にセグメント化し、所定の領域内のVCSELを一緒に変調することができ、一方、他のセグメントは独立して変調される。このアプローチの2つの図が
図10に示される。VCSELチップ1002は、単一のチップであり、4つの同様のサイズのセグメントに分割される。これは、必要な光パワーに応じて1、2、3、又は4つのセグメントをアクティブにできるため、総光出力電力と電力消費とを制御するために行なうことができる。或いは、チップを1つ又は複数のレンズと組み合わせることによって、異なるセグメントからの光を異なる対象領域に向けることができる。一方、VCSELアレイ1004では、一方のセグメントは非常に小さく、他方のセグメントはかなり大きい。そのようなチップの用途の一例は、小さいセグメントをポイントセンサ用の狭い光ビームとして使用することとなり得るが、チップの残りの部分は、撮像されるべき領域を照らすためにより多くの電力を与える。
【0028】
[0028]しかしながら、VCSEL又は同じ導電性基板上にモノリシックに集積されたセグメントの個々の変調については、共通アノード配置又は共通カソード配置を想定してセグメントを駆動することを選択しなければならない。VCSELの場合、欠陥密度が最も低い最も成熟した基板はn型にドープされるため、共通カソード配置が遥かに一般的であり、したがってVCSELは共通カソードを共有する。共通アノードを可能にするPドープ基板は存在するが、このPドープ基板は一般に欠陥密度がより小さい及び/又はより高い。基板の小型化は製品コストの上昇につながり、基板の欠陥は信頼性を低下させるデバイスの欠陥につながる可能性がある。絶縁基板も存在するが、絶縁基板は、一般に欠陥密度がより高いとともに、接合部の両側に接触する必要が依然としてあり且つ1つの接続が基板を介して行なわれなくなる可能性があるため、デバイスの製造プロセスも複雑になる。
【0029】
[0029]
図11は、マルチセグメントVCSELアレイ用の共通カソードダイオード形態とマルチセグメントVCSELアレイ用の共通アノード形態との回路図の比較を示す。一般に、共通アノード構成は、より小型でより低電力のドライバが可能になるため、好ましい。バイポーラ接合トランジスタ(BJT:bipolar junction transistor)と金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET:metal oxide semiconductor field effect transistor)の両方に関し、n型デバイスは、抵抗がより低く、したがって電流処理能力がP型よりも高い。NチャネルFET(又はnpn BJT)は、任意選択で、負荷と接地平面との間の回路に配置されるようにローサイドドライバとして最適に構成される。このタイプの駆動方式では、トランジスタが電流源ではなくレーザのための電流シンクになる。したがって、各チャネルが分離されたカソード接点を有している場合にのみ、複数のレーザが個別にアドレス指定され得る。他方で、レーザアノード接点が電源(Vcc)に結び付けられる共通ノードを有し得る。
【0030】
[0030]個別に接触され得る又は幾つかのセグメントに分割されるVCSELのアレイを有すると仮定すると、VCSEL又はVCSELセグメントを素早くオンに切り換えるために、VCSEL又はVCSELセグメントを、特に飛行時間用途又は3D(3次元)センシング用途のために駆動する方法が必要になる。VCSELごとに又はセグメントごとに個別のボンドパッドを設けると、チップサイズが非常に急速に大きくなり得る。さらに、アレイサイズが大きくなるにつれて、さらなるVCSELに到達するためにより多くの相互接続金属線が必要になり、VCSEL間のピッチを大きくする必要がある。VCSELごとに又はセグメントごとにドライバチップが必要になる場合があり、また、数が増えるにつれてパッケージ全体のサイズが大きくなり、回路からVCSELセグメントまでの距離が大きくなることにより、相互接続のインダクタンスが増大する。したがって、当技術分野で必要とされているのは、2D VCSELアレイ用のマトリックスアドレス指定可能なアプローチである。
【0031】
[0031]要約すると、以下の特徴、すなわち、VCSELチップのフットプリントを最小化するコンパクトな設計、それに組み込まれる光学素子及び潜在的なフォトダイオード、高効率、並びに、高速なパルス立ち上がり時間のための電流及びドライバとVCSELとの間のインダクタンスの最小化、好ましくは共通アノードドライバ形態による、VCSELチップのセグメントを個別に駆動できる能力、並びに、個々のVCSEL又はVCSELセグメントを他のセグメントとは無関係に切り換えることができる能力を伴うセンシング用途のための照明モジュールが必要とされる。
【発明の概要】
【0032】
[0032]本明細書中に開示される様々な実装形態は照明モジュールを含み、該照明モジュールは、光を放出する複数のVCSELのアレイと、複数のVCSELのアレイに電流を供給するように構成されるドライバと、複数のVCSELのアレイによって放出される光を受けて照明モジュールから光パターンを出力するように構成される光学素子とを含む。
【0033】
[0033]幾つかの実装形態では、複数のVCSELのアレイにおける少なくとも1つのVCSELが多接合VCSELを備える。幾つかの実装形態では、少なくとも1つのVCSELが集積ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT:heterojunction bipolar transistor)を含む。
【0034】
[0034]幾つかの実装形態では、複数のVCSELのアレイが共通アノードを共有する。幾つかの実装形態では、複数のVCSELのアレイにおける少なくとも1つのVCSELが多接合VCSELを備える。幾つかの実装形態では、複数のVCSELのアレイが複数の底面発光VCSELである。
【0035】
[0035]幾つかの実装形態では、複数のVCSELのアレイにおける少なくとも1つのVCSELが集積HBTを含む。幾つかの実装形態では、少なくとも1つのVCSELが底面発光VCSELである。幾つかの実装形態では、少なくとも1つのVCSELが、複数のVCSELのアレイにおける少なくとも1つの他のVCSELと共通アノードを共有する。
【0036】
[0036]幾つかの実装形態では、複数のVCSELのアレイにおける各VCSELが集積HBTを含み、複数のVCSELのアレイが複数の行及び複数の列を備える。幾つかの実装形態では、複数のVCSELのアレイにおける各VCSELが個別にアドレス指定可能であるように、各行における各VCSELが集積HBTの共通エミッタを共有し、各列における各VCSELが集積HBTの共通ベースを共有する。幾つかの実装形態では、複数のVCSELのアレイにおける少なくとも1つのVCSELが多接合VCSELである。幾つかの実装形態では、複数のVCSELのアレイにおける少なくとも2つのVSCELが共通アノードを共有する。
【0037】
[0037]幾つかの実装形態では、複数のVCSELのアレイが、光を放出するように構成される複数のVCSELの第1のセグメントと、複数のVCSELの第1のセグメントによって放出される光を検出するように構成される複数のVCSELの第2のセグメントとにセグメント化される。幾つかの実装形態では、複数のVCSELの第1のセグメントに順バイアスがかけられ、複数のVCSELの第2のセグメントに逆バイアスがかけられる。幾つかの実装形態では、複数のVCSELの第1のセグメントにおける少なくとも1つのVCSELが多接合VCSELである。幾つかの実装形態では、複数のVCSELの第1のセグメントにおける少なくとも1つのVCSELが集積HBTを含む。
【0038】
[0038]幾つかの実装形態では、光学素子が複数のVCSELのアレイに組み込まれる。幾つかの実装形態では、光学素子が複数のVCSELのアレイの基板上に堆積される。幾つかの実装形態では、モジュールが、複数のVCSELのアレイに隣り合って位置される光検出器をさらに含む。幾つかの実装形態では、モジュールが、光学素子の上に位置される光検出器をさらに含む。幾つかの実装形態では、複数のVCSELのアレイが光を放出するように構成される複数のVCSELの第1のセグメントと、複数のVCSELの第1のセグメントによって放出される光を検出するように構成される複数のVCSELの第2のセグメントとにセグメント化される。幾つかの実装形態では、複数のVCSELのアレイにおける少なくとも1つのVCSELが多接合VCSELである。幾つかの実装形態では、複数のVCSELのアレイにおける少なくとも2つのVSCELが共通アノードを共有する。幾つかの実装形態では、複数のVCSELのアレイにおける少なくとも1つのVCSELが集積HBTを含む。幾つかの実装形態では、複数のVCSELのアレイがドライバ及び光検出器を含む基板上にフリップチップ結合される。幾つかの実装形態では、VCSELのアレイが、ドライバに接続されるシリコンインターポーザ上にフリップチップ結合され、シリコンインターポーザが光検出器を含む。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図2】従来技術の飛行時間照明モジュールの例を示す。
【
図3】飛行時間照明モジュールにおける別の従来技術の解決策を例示する。
【
図4】ある範囲の動作温度におけるVCSELアレイの電流対出力電力のグラフを例示する。
【
図5】従来技術のトランジスタアウトラインの一例である。
【
図6】従来技術のトランジスタアウトラインの別の例である。
【
図7】フォトダイオードを照明モジュールに組み込むための従来技術のアプローチを示す。
【
図8】フォトダイオードを照明モジュールに組み込むための他の従来技術のアプローチを示す。
【
図9】フリップチップ接合されたVCSELSのための従来技術のアプローチを示す。
【
図10】従来技術のセグメント化されたVCSELアレイを示す。
【
図11】共通カソードを伴うVCSELアレイにおける従来技術の解決策を示す。
【
図12】様々な実装形態によるVCSELの断面構造図である。
【
図13】様々な実装形態による2接合VCSELのアクティブ領域の図である。
【
図14】様々な実装形態による量子井戸の伝導帯及び価電子帯構造を示す。
【
図15】様々な実装形態による単一接合VCSELと二重接合VCSELとの間の性能を比較するグラフを示す。
【
図16】様々な実装形態によるVCSEL及び集積ドライバを伴う照明モジュールを示すブロック図である。
【
図17】様々な実装形態による単一接合VCSEL及び二重接合VCSELにおける等価回路推定を示す。
【
図18】様々な実装形態による単一接合VCSEL及び多接合VCSELにおける電流応答時間を例示する。
【
図19】様々な実装形態による単一接合VCSEL及び二重接合VCSELの立ち上がり時間を比較するグラフを示す。
【
図20】様々な実装形態による直列に接続された3つのVCSELの回路図を示す。
【
図21】従来技術の共通カソードVCSELを例示する。
【
図22】様々な実装形態による共通アノードVCSELを例示する。
【
図23】様々な実装形態による別の共通アノードVCSELを例示する。
【
図24】様々な実装形態による別の共通アノードVCSELを例示する。
【
図25】様々な実装形態による底面発光共通アノードVCSELを例示する。
【
図26】様々な実装形態による別の底面発光共通アノードVCSELを例示する。
【
図27】様々な実装形態による共通アノードVCSELアレイを例示する。
【
図28】様々な実装形態による底面発光共通アノードVCSELアレイを例示する。
【
図29】様々な実装形態によるnドープ最上層を伴うVCSELを例示する。
【
図30】様々な実装形態によるnドープ最上層を伴う底面発光VCSELを例示する。
【
図31】様々な実装形態による集積HBTを伴う共通アノードVCSELを例示する。
【
図32】様々な実装形態による集積HBTを伴う底面発光VCSELを例示する。
【
図33】様々な実装形態による集積HBTを伴う共通カソードVCSELを例示する。
【
図34】様々な実装形態による集積HBTを伴うVCSELアレイを例示する。
【
図35】様々な実装形態による集積HBTを伴うVCSELアレイの回路図及び側面図を例示する。
【
図36】様々な実装形態による集積HBTを伴うVCSELアレイにおけるマスクレイアウトを例示する。
【
図37】様々な実装形態による集積HBTを伴うVCSELアレイの製造例を例示する。
【
図38】様々な実装形態による通常のVCSELアレイ及び集積光検出器を伴うVCSELアレイを例示する。
【
図39】様々な実装形態による電源に接続された集積光検出器を伴うVCSELアレイの回路図を例示する。
【
図40】様々な実装形態による集積光検出器を伴う別のVCSELアレイを例示する。
【
図41】様々な実装形態による集積光検出器を伴う別のVCSELアレイを例示する。
【
図42】様々な実装形態による集積光検出器を伴う別のVCSELアレイを例示する。
【
図43】様々な実装形態によるVCSELの基礎を形成する半導体層の反射スペクトルを示すグラフである。
【
図44】標準的なVCSEL、並びに、様々な実装形態による波長感度が低下したVCSEL及び集積光検出器を例示する。
【
図45】様々な実装形態による波長感度が低下した別のVCSEL及び集積光検出器を例示する。
【
図46】様々な実装形態によるトレンチを伴う別のVCSEL及び集積光検出器を例示する。
【
図47】様々な実装形態による集積光学素子を伴うVCSELダイを例示する。
【
図48】様々な実装形態による集積光学素子を伴う別のVCSELダイを例示する。
【
図49】様々な実装形態による集積光学素子を伴う別のVCSELダイを例示する。
【
図50】様々な実装形態による集積光学素子を伴う別のVCSELダイを例示する。
【
図51】様々な実装形態による集積光学素子を伴う別のVCSELダイを例示する。
【
図52】様々な実装形態による集積光学素子を伴う別のVCSELダイを例示する。
【
図53】様々な実装形態による集積光学素子を伴う別のVCSELダイを例示する。
【
図54】様々な実装形態による集積光学素子を伴う別のVCSELダイを例示する。
【
図55】様々な実装形態による集積光学素子を伴う別のVCSELダイを例示する。
【
図56】様々な実装形態による光検出器と組み合わされた集積光学素子を伴うVCSELダイを例示する。
【
図57】様々な実装形態による光検出器と組み合わされた集積光学素子を伴う別のVCSELダイを例示する。
【
図58】様々な実装形態による光検出器と組み合わされた集積光学素子を伴う別のVCSELダイを例示する。
【
図59】様々な実装形態による光検出器及びドライバ回路と組み合わされた集積光学素子を伴うVCSELダイを例示する。
【
図60】様々な実装形態による光検出器及びドライバ回路と組み合わされた集積光学素子を伴う別のVCSELダイを例示する。
【
図61】様々な実装形態による集積光学素子を伴う別のVCSELダイを例示する。
【
図62】様々な実装形態による光検出器及びドライバ回路と組み合わされた集積光学素子を伴うVCSELダイを例示する。
【
図63】様々な実装形態による光検出器と組み合わされた集積光学素子を伴う別のVCSELダイを例示する。
【
図64】様々な実装形態による光検出器と組み合わされた集積光学素子を伴う別のVCSELダイを例示する。
【
図65】様々な実装形態による集積光学素子を伴う別のVCSELダイを例示する。 [0104]本実装形態のこれら及び他の特徴は、本明細書に記載の図と共に解釈される以下の詳細な説明を読むことによってより良く理解される。添付図面は、原寸に比例して描かれることを意図したものではない。明確にするために、全ての図面で全ての構成要素に符号が付けられているわけではない。
【発明を実施するための形態】
【0040】
[0105]この開示は、3D(3次元)センシング及び他の用途のための構成要素の性能最適化及び小型化に対処するためのアプローチを説明する。多接合VCSELにより、入力電流に応じて出力電力を向上できる。ドライバ集積回路、光検出器、光ビーム整形素子、又は他の機能を含むモジュールに多接合VCSELを組み込むことで、非常にコンパクトで高性能なセンシング照明源が提供される。VCSELチップをセグメントに分割してセグメントを共通アノードドライバレイで個別に駆動できるようにする構造を実装することによって、さらなる機能を実現することができる。変調のさらなる改善には、VCSELセグメントの高速スイッチングを容易にするためのVCSELアレイへのヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)の組込みが含まれ得る。小型化のさらなる強化には、コンパクトなパッケージングを可能にする態様でVCSEL又はVCSELアレイの出力電力を監視するためにモニタダイオードをVCSELチップに組み込むことが含まれ得る。他の小型化アプローチは、ウエハの裏側への光学素子の組込みを含む。
【0041】
多接合VCSELモジュール
[0106]
図12は、様々な実装形態による2つの異なるVCSEL形態の断面構造図である。VCSEL1202は最も一般的に製造されているタイプである。VCSEL1201は、約630nmから1060nmまでの範囲のVCSEL波長に関して一般にGaAsである下部基板を含む。しかしながら、基板は、短波長VCSELの場合はGaNやサファイア、長波長VCSELの場合はInPなど、他の材料にすることもできる。この基板の上には、各層の厚さが発光波長の1/4である異なる屈折率の交互層で構成される分布ブラッグ反射器(DBR:distributed Bragg reflector)が成長する。これらの層は、多くの場合、nドープされる。この後に、注入されたキャリアが結合して光を放出するP-n接合を伴うアクティブ領域が続く。アクティブ領域の中心には量子井戸があり、これらの量子井戸は一般に850nm発光用のGaAs、赤色VCSEL発光用のGaInP、又は870nmより長い発光波長用のInGaAsである。量子井戸は障壁層によって分離され、量子井戸/障壁構造は、基板側がn型ドープされて上面がP型ドープされる閉じ込め層によって挟まれる。一例として、850nm発光の場合、量子井戸はGaAs、障壁層はx=0.25のAl
xGa
1-xAs、閉じ込め層はx=0.50のAl
xGa
1-xAsとなり得る。Pドープされた閉じ込め層の上に、P型にもドープされた1/4波長の厚さの層の積層体から構成される第2のDBRが堆積される。アクティブ領域の厚さの合計(量子井戸、障壁層、及び閉じ込め層)は、1光波長であってもよいが、半波長の任意の整数倍となり得る。この構造に代わるものは、ドーピング層を反転させて、構造の下部にP型ドーピング、且つ上部にn型ドーピングを伴うようにする。
【0042】
[0107]VCSEL1204は2接合VCSELである。構造は、アクティブ領域を除いて、単一接合VCSEL1202と同様である。この場合、アクティブ領域は、量子井戸の2つのセットに中心付けられる2つのP-n接合を含む。量子井戸の各セットは、1つ又は複数の井戸を含むことができるが、一般的には、その数は、障壁井戸によって分離される1量子井戸~4量子井戸である。この場合、量子井戸の各セットは、閉じ込め層によって分離され得る。2つの量子井戸間でP-n接合はトンネル接合である。トンネル接合の両側のPドーピング及びnドーピングは非常に高く、降伏電圧を下げ、電流が接合を流れることができるようにする。通常、ドーピングは、接合部を通る透過がほぼオーミック特性を持つように選択される。
【0043】
[0108]
図13は、様々な実装形態による2接合VCSELのアクティブ領域を表わす。下部n型ミラーが堆積された後、n型閉じ込め層が成長される。次は、障壁層によって分離された1~4個の量子井戸の名目上ドープされないセットである。次に、Pドープで始まる閉じ込め層が成長される。閉じ込め層の中間に、トンネル接合が配置され、この場合、P型ドーピングが10e
19/cm
3以上のドーピングに増大し、その後、高n型ドーピング(10e
19/cm
3以上)に急激に切り換わる。中間閉じ込め層の残りの部分は、低濃度のn型ドーピングで成長し、その後に名目上ドープされない量子井戸アクティブ領域が続き、その後に、P型閉じ込め層とP型DBRが続く。したがって、アクティブ領域は、p-n接合を中心としてトンネル接合によって分離された2つの量子井戸アクティブ領域を有する。トンネル接合の目的は、逆バイアス接合を介して電流を転送するために必要な電圧に起因する過剰なペナルティを伴うことなく逆バイアス接合を電流が流れることができるようにすることである。2つのP-n接合により、2つの接合部で正孔と電子とが再結合し、光を生成できる。
【0044】
[0109]高効率のために、量子井戸層は電界のピークに位置付けられるべきであり、一方、トンネル接合は電界の最小に位置付けられるべきである。これが
図13に示される。上部ミラーと下部ミラーとがアクティブ層を挟む。量子井戸の2つのセットが電界のピークに位置され、順バイアスがかけられたP-n接合が量子井戸の各セットを中心に配置され、一方、逆バイアスがかけられたトンネル接合が、2つの量子井戸アクティブ領域間に配置されるとともに、電界の最小にある。これは、トンネル接合での高ドーピングによってもたらされる吸収を最小限に抑えるのに役立つ。
【0045】
[0110]
図14は、様々な実装形態による様々な量子井戸の伝導帯及び価電子帯構造を示す。
図1402は、バイアスされていない従来の量子井戸デバイスを表わし、一方、
図1404は、多接合アクティブ領域のバンド構造を示し、この場合、トンネル接合によって分離されてバイアス下に配置された3つの別個の量子井戸P-n接合を伴う。十分なバイアスが印加されると、トンネル接合は逆バイアス状態で電流を容易に通過させるが、量子井戸のP-n接合には順バイアスがかけられる。
【0046】
[0111]
図15は、様々な実装形態による単一接合940nmVCSELと二重接合940nmVCSELとの間の性能を比較するグラフを示す。グラフ1502では出力電力対電流、グラフ1504では電圧対電流、グラフ1506では効率対出力電力について2つの形態が比較される。グラフ1502において分かるように、スロープ効率、すなわち、出力電力を入力電流で割った比率は、二重接合VCSELに関して大幅に高い。単一接合におけるスロープ効率は約1W/Aであるが、2接合VCSELのスロープ効率は約2倍、つまり、2W/Aである。一方、グラフ1504は、2つの形態の電圧対電流を示す。例えば、単一接合VCSELを介して10mAの電流を駆動するのに必要な電圧は2Vであるが、二重接合VCSELを介して10mAを駆動するのに必要な電圧は3.5Vである。最後に、グラフ1506では、単一接合VCSELのピーク電気から光パワーへの変換効率は、9mWの電力損失で約52%であるのに対し、二重接合VCSELのピーク効率は、約15mWのワット損で約59%であることが分かる。改善された効率は、2つの形態の閾値電流が非常に類似しているとともに二重接合デバイスのスロープ効率が本質的に単一接合形態の2倍であるが電圧上昇が2倍未満であるという事実によって説明できる。電圧は、接合電圧+抵抗×ミラーを流れる電流の関数である。接合部が2つあるため、接合電圧は2倍になるが、直列抵抗はほぼ同じままである。
【0047】
[0112]飛行時間ベースの3D(3次元)センシングなどの用途の場合、VCSELアレイを、一般に1~10ナノ秒の範囲の短いパルスを与えるドライバ集積回路(IC)と組み合わせることができるが、両方ともより短い又はより長い可能性がある。3D(3次元)飛行時間用途で最適な時間、つまり距離、分解能を得るには、パルスの立ち上がり時間をできるだけ短くすることが重要である。
図16は、様々な実装形態によるVCSEL及び集積ドライバを伴う照明モジュールを示すブロック図である。幾つかの実装形態において、照明モジュールは、特定の光パターン又は視野を作り出す光学素子を含む。
図16に示すモジュールにおいて、光学素子は、通常は円形のビームを長方形の視野に変換するディフューザである。別の機能は、VCSELの出力を監視して光学素子が何らかの形で損失又は損傷しているかどうかも検出する光検出器(PD)を組み込むことである。光は、ディフューザ又はウインドウから光検出器に至るまで反射又は散乱され得る。照明モジュール1602はVCSELと隣り合う光検出器を示し、両方ともドライバから離れているが、照明モジュール1604は、ドライバに組み込まれた光検出器と、ドライバの上に実装されたVCSELチップとを示す。
【0048】
[0113]性能を向上させるために、コンデンサ及び抵抗などの他の受動素子をモジュールに組み込むことができる。これらの素子を全てハウジングに組み込むことができ、この場合、透明なガラス又は光学素子が、モジュールから光が出ることができるようにするウインドウとして組み込まれる。モジュールのベースは、プリント回路基板、リードフレーム、セラミックサブマウント、又は機械的な支持と電気信号ルーティングとを行なう任意の他の基板であってもよい。半導体チップ(VCSEL、光検出器、ドライバ集積回路)及び受動電気構成要素に対する電気的接続は、ワイヤボンド、基板に対するバンプボンディング、又はデバイス間の直接ワイヤボンディング若しくはバンプボンディングによって行なわれる。
【0049】
[0114]VCSELダイは、ナノ秒範囲のパルスをVCSELに与えるドライバICに電気的に接続することができる。シリコンCMOS又は高出力GaNFETに基づくものを含め、幾つかのレーザドライバキテクチャが利用可能である。多くの場合、ドライバとレーザの個々のスイッチング速度は数GHzを超えるが、システムの応答は2つの構成要素の相互接続によって制限される。VCSELの応答時間(つまり、光パルスの立ち上がり時間)は、電気パルスの立ち上がり時間、VCSELチップの寄生(容量と抵抗)、及びドライバとVCSELとの間の接続方法に起因するインダクタンスの影響を受ける。特に大電流では、接続方法のインダクタンスが支配的となる場合がある。例えば、インダクタンスは、1つ又は複数のワイヤボンド、サブマウントを通過するトレース、或いはドライバ又はサブマウントへのバンプボンドの取り付けに起因し得る。単一接合VCSELと二重接合VCSELとの立ち上がり時間を推定して比較するためにSPICEシミュレーションが行なわれた。
図17は、様々な実装形態による単一接合VCSEL及び二重接合VCSELの等価回路推定を示す。回路
図1702は、単一接合VCSELにおける等価回路推定を示し、一方、回路
図1704は、二重接合VCSELにおける等価回路を示す。相互接続インダクタンスは0.2ナノヘンリーと仮定され、VCSELアレイの抵抗は0.25オームと仮定された。比較を行なうために、同じ量の光出力電力をもたらす2つの形態に関して駆動条件を仮定した。単一接合VCSELの場合、4Aの駆動電流が想定され、一方、二重接合VCSELの場合、スロープ効率が約2倍高いため、2Aの駆動電流が想定された。
【0050】
[0115]インダクタ及びVCSELも通る電流の過渡応答は、dI/dt=L
s/V
Lとして定義され、ここで、L
sはインダクタンスであり、V
Lは供給電圧である。したがって、スイッチング速度は、インダクタンスを最小限に抑えるか又は利用可能な供給電圧を増やすことによって最適化できる。しかしながら、多接合VCSELは、回路の速度を上げるための別のアプローチを与える。
図18に示すように、システムの全応答は、dP/dt=dP/dI*dI/dtによって特徴付けられる。VCSEL閾値を超えるバイアス条件を考慮すると、dP/dI=η
sl(スロープ効率)となるため、応答はdP/dt=η
sl*L
s/V
Lになる。単一接合VCSELの場合、最大スロープ効率は100%の微分量子効率に制限されるが、多接合VCSELの場合、微分量子効率は100%を大幅に超える可能性がある。n段における最大スロープ効率は、η
sl=n/λ*1.24[A*um/W]になる。立ち上がり時間は、多接合VCSELの段数に比例して減少する。さらに、VCSELの動作に必要な総電流がより少ない場合、モジュール内の他の寄生素子に起因する抵抗損失も比例して減少し、その結果、システムの効率が向上する。
【0051】
[0116]
図19は、
図17の等価回路を使用したSPICEシミュレーションの結果を示す。プロットは、発光の立ち上がり時間に対応する、各タイプのデバイスを流れる電流の立ち上がり時間を示す。電流が最大値の20%から最大値の80%になるまでの立ち上がり時間が、形態のタイプごとに示される。単一接合VCSEL(上の曲線)の場合、20/80立ち上がり時間は416ピコ秒と推定され、二重接合VCSEL(下の曲線)の場合、推定立ち上がり時間は134ピコ秒である。したがって、
図19は、飛行時間用途又はLiDAR用途のために二重接合VCSELを使用する利点を示す。必要な電流が減少すると、立ち上がり時間が大幅に短縮され、深度分解能が向上する。
【0052】
[0117]電圧が5ボルト未満の範囲に制限される可能性がある消費者用途の場合には、二重接合VCSEL形態が、適するとともに、3D(3次元)センシングにおける距離分解能を改善するためのより速い立ち上がり時間の利点をもたらすことができ、また、チップ面積当たりの電力がより高くなるか、或いは一定レベルの出力電力に対してチップ面積がより小さくなるという利点も得られる。LiDAR用途の場合、三重接合又はそれを超える接合を使用すると、面積当たりの出力電力をさらに高めることができ、速い立ち上がり時間とそれに伴う距離分解能の向上という同じ利点が得られる。LiDAR用途の場合、VCSELダイに電気パルスを与えるための1つ又は複数のドライバ回路と共に、複数の多接合VCSELチップアレイをモジュールに組み込むことができる。
【0053】
[0118]非常に高電力のシステムでは、幾つかのVCSELアレイを直列又は並列に接続して、ドライバの最適負荷に正確に一致するように必要な電圧及び電流を調整することができる。相互接続は、単一のVCSELチップ内で行なうことも、複数のチップを回路基板、サブマウント、又は直接にドライバ自体に並べることによっても行なうことができる。
図20は、様々な実装形態による直列に接続された3つのVCSELの回路
図2000を示す。回路
図2000では、VCSELの3つのセットが直列に接続されるが、各セットは2つの三重接合VCSELを並列に含む。一般に、並列及び直列のVCSELの任意の組み合わせが想定し得る。
【0054】
[0119]多接合形態は、上面発光VCSEL又は底面発光VCSELの両方で開発することができ、VCSELに適した任意の波長で実装することもできる。これは、InPシステムに基づく長波長(>1ミクロン)VCSEL、AlGaAs/GaAs/InGaAs材料系に基づく近赤外VCSEL(750nm~1100nm)VCSEL、AlGaAs/InGaP材料系に基づく赤色VCSEL、及びAlGaN/GaN/InGaN材料系に基づく青及び緑のVCSELを含む。
【0055】
[0120]
図16は、光学素子及びドライバICを含むモジュールに組み込まれているVCSELを示すが、VCSELは、パッケージに光学素子が含まれていてもいなくても、単純な第1レベルのパッケージで提供され、ボード上でドライバICと一体化されていてもよい。光学素子は、VCSELチップ自体に直接組み込むこともできる。
【0056】
共通アノードVCSELアレイ
[0121]
図21は、2つのVCSELダイオードが示されるのを除き、先に
図12に示した従来技術の共通カソードVCSEL2102を示す。VCSEL2101の底部を発端として、nドープ基板へのn金属接点がある。約650nmから1060nmの範囲のVCSEL波長の場合、この基板はGaAsである可能性が最も高いが、他の波長範囲ではInP又はGaNの可能性もある。基板の上部には、異なる屈折率を持つ2つの異なる組成の交互層から構成されるnドープDBRミラー層がエピタキシャル堆積される。例えば、2つの層は、GaAs及びAlAs又は三元AlGaAsの異なる組成となり得る。これに量子井戸ベースのダイオード接合が続く。ミラーの上部にはnドープされたスペーサ層があり、その後に名目上ドープされない多重量子井戸が続き、さらにPドープされたスペーサ層が続く。このアクティブ領域の上に、同様にGaAs、AlAs又はその三元AlGaAsから構成されるPドープDBRミラーが成長される。Pドープ層への金属接点が、構造体の上に堆積されてパターン化される。2つのダイオードが
図21に示され、この場合、各ダイオードの周りでメサがエッチングされ、このメサは、下部のnドープミラーまで達し、したがってダイオードのP側を分離している。他の層よりもアルミニウム組成の高い1つの層(AlAs又はAlGaAsを含む非常に高いアルミニウム)が構造内で成長される。各ダイオードの周りでメサをエッチングした後、構造を蒸気に晒すと、結果として、この高アルミニウム含有層がAl
2O
3に変換される。酸化プロセスは、メサの中央に開口を残すように制御される。酸化物は絶縁性であるため、メサの中心に電流の流れを閉じ込める電流アパーチャがもたらされる。
図2104は、VCSEL2102の回路レイアウトを表わし、それらが共通カソードを共有するが別個のアノード接点を有することを示している。
【0057】
[0122]
図22は、様々な実装形態による共通アノードVCSEL2202を示す。構造は前と同じように、基板のn型材料への金属接点から始まる。これは、先と同様に、nドープされたDBRミラー積層体を伴って続く。nドープされたスペーサ層が続くが、その後トンネル接合が成長される。トンネル接合は、nスペーサ層のすぐ上に非常に高濃度にドープされたn型層を含み、その後に非常に高濃度にドープされたP型層が続く。トンネル接合の高濃度にドープされたP層の隣には、P型スペーサ層が成長し、その後に名目上ドープされていない多重量子井戸が続き、その後にnドープされたスペーサ層が続く。発光接合がn-Pである(すなわち、最下層がnドープされ、最上層がPドープされている)VCSEL2102と比較すると、VCSEL2202では、発光接合が逆になって、その時点でP-n接合となる。nスペーサ層の上にn型DBRミラーを成長させ、これらのn型層へのオーミック接点を形成する金属を上面に堆積させてパターン化する。先と同様に各ダイオードの周りでメサがエッチングされ、先と同様に高アルミニウム含有層を酸化して電流アパーチャを形成することにより、電流閉じ込めが行なわれる。
【0058】
[0123]
図2204は、VCSEL2202の回路レイアウトを表わす。この構造では、接合のP側が共通アノードとして互いに結び付けられるように、接合が反転されている。多重量子井戸接合を順バイアスで動作させて発光させると、トンネル接合が逆バイアスになる。トンネル接合には動作時に逆バイアスがかけられるが、ドーピングのレベルが非常に高いため、接合のブレークダウン電圧が非常に低くなり、逆バイアス下でのトンネル接合を通る電流の伝送が本質的にほぼオーミックに見える。トンネル接合の機能は、電流がn型基板とn型ミラーとを通って接合のP側に流れることができるようにすることである。この構造により、形態がnドープ基板上に構築されたままとなり得るが、デバイスの製造は従来のVCSELの製造とほぼ同じである。n型ドーピングのキャリア吸収がP型ドーピングのキャリア吸収よりも少なく、その結果、損失がより低くなって効率がより高くなり得るという点で、nドープされた上部ミラーには利点もある。
【0059】
[0124]
図23は、様々な実装形態による別の共通アノードVCSEL2302を示す。VCSEL2302では、トンネル接合が下部ミラーのより深くに移動される。この場合、再び下から上に向かって、金属接点が構造の基板側に堆積され、基板がn型にドープされる。下部ミラーの途中でトンネル接合が作成され、ここでも高いn型ドーピングとそれに続く高いP型ドーピングが行なわれる。下部ミラーの残りの部分は、P型ドーピングで成長される。トンネル接合を下部ミラーに配置すると、部分的にP型で部分的にn型の下部DBRが得られる。Pドープされたスペーサが成長し、続いて名目上ドープされていない多重量子井戸アクティブ層、及びn型スペーサが成長される。
図22の場合のように、上部ミラーはここでn型にドープされ、金属接点がこの構造の上面に堆積されてパターン化される。先と同様に、各ダイオードの周囲でトレンチがエッチングされ、酸化によってキャリア閉じ込め層が作成される。対応する等価回路が
図2304に示される。この場合、トンネル接合は2つのダイオードによって共有される。これにより、抵抗がさらに減少し、光が生成されるアクティブ領域から高濃度にドープされた層が除去され得るが、アクティブ領域に近いPドープされたミラー層が犠牲になる。
【0060】
[0125]
図24は、様々な実装形態によるさらに別の共通アノードVCSEL2402を示す。この場合、トンネル接合は、基板の上に成長したバッファ層に移動される。n型GaAsの上に、任意選択的なn型バッファを成長させ、続いて高濃度にドープされたn型層、高濃度にドープされたP型層を成長させてトンネル接合を形成し、その後、Pドープされた下部DBRミラーが続く。先と同様に、アクティブ領域は、Pスペーサ、名目上ドープされていない多重量子井戸アクティブ領域、n型スペーサ、nドープされた上部DBRミラー、及び上部金属接点を含む。等価回路図が
図2404に示され、これは
図2304と同等に見えるが、抵抗値の定量的な値は多少異なり得る。
【0061】
[0126]
図22~
図24は、上面発光のVCSEL構造、すなわち、光がVCSELの上面から放出されるVCSEL構造を示す。
図25は、様々な実装形態による「底面発光」VCSEL2502、すなわち、底面基板を通して発光するように設計されたデバイスの構造を示す。この場合、半導体層及び等価回路は、
図22のVCSEL2202と同じである。しかしながら、エピタキシャル層は、基板を通じた発光に有利になるように選択される。このことは、GaAs基板における光の吸収を最小限に抑えるために、発光波長が870nmよりも大きくなければならず、930nm以上であることが好ましいことを意味する。このことは、多重量子井戸が870nm以上で光を放出するように設計されたInGaAs組成であってもよいことを意味する。また、DBRミラーの周期数は、上部DBRミラーの反射率が高くなる一方で下部ミラー(基板に最も近い)の反射率が僅かに低くなることにより基板側からの放出が強化されるように選択される。放出は基板を通して行なわれるため、上部の金属接点はVCSELメサを完全に覆うことができるが、下部の金属接点はパターン化されて、光が下部から放出されるようにウインドウが開いたままになる。
図2504は、VCSEL2502の回路レイアウトを表わす。
【0062】
[0127]
図26は、様々な実装形態による別の底面発光共通アノードVCSEL2602の概略形態を示す。nドープ基板はVCSELの厚さと比較して比較的厚いため、ドープ基板の残留自由キャリア吸収は全体の効率を著しく低下させる可能性がある。VCSEL2602では、構造がドープされていない基板上に堆積される。この場合、下部ミラーの下方又は下部ミラー内のいずれかに、ドープされたバッファ層を成長させることができる。この層は、この層に対して金属接点を形成できるようにするべく十分なドーピングを伴って十分に厚い。下部DBRnドープミラーの残りの部分を成長させ、続いてトンネル接合、Pドープスペーサ、多量子井戸アクティブ領域、nドープスペーサ、及び上部nドープDBRミラーを成長させる。この場合、メサは、このバッファ層に到達するのに十分な深さまでエッチングする必要があり、これにより、エッチングされた領域の底部に金属接点が堆積され、接合のアノード側への接点が形成され得る。光は底部を通じて放出されるため、上部の金属はVCSELメサを完全に覆うことができる。
図2604は、VCSEL2602の回路レイアウトを表わす。
【0063】
[0128]幾つかの実装形態において、VCSEL2602は、スペーサ層及びトンネル接合を成長させる直前に、基板の上及び下部ミラーの下にバッファ層を成長させることによって、又はバッファ層を下部ミラーの上に配置するために、変化させることができる。幾つかの実装形態では、バッファ層を除去することができ、メサがnドープ金属ミラーへとエッチングされ、それにより、これらの層に直接電気的接触が行なわれる。
【0064】
[0129]共通アノードアレイを作成するための上記のアプローチは、多接合VCSELと組み合わせることもできる。前述のように、多接合VCSELは、光を生成するための2つ以上のP-n接合を含み、アクティブ領域間にトンネル接合を配置することによって電流を再循環させることができる。そのような多接合VCSELの例は、
図12のVCSEL1204である。前述のように、二重接合VCSELは、下部金属接点、nドープ基板、及びnドープDBR下部ミラーから開始することができる。これに、スペーサ層、多量子井戸アクティブ領域、及びPドープスペーサが続く。トンネル接合は、高濃度にドープされたP型層に続き、その後、高濃度にドープされたn型層が続き、これらの2つの層がトンネル接合を形成する。別のnドープスペーサ層の後に、名目上ドープされていない多重量子井戸の第2のセット及び別のPドープスペーサ層が続く。その後、PドープDBR上部ミラーが成長し、金属接点層が堆積されてパターン化される。動作時、2つの多重量子井戸接合に順バイアスがかけられ、電子と正孔とが結合して発光する。トンネル接合には逆バイアスがかけられ、このトンネル接合は、ドーピングが高いためブレークダウン電圧が低く、そのため、電流がほぼオーム特性で通過できるようにする。したがって、キャリアは再循環される場合がある。この構造の性能が
図15で提示された。この構造は、飛行時間センサのような用途におけるアレイの速度性能も向上させ得る。VCSELアレイに大電流を駆動する場合、パッケージのインダクタンスによって速度が制限される場合があるが、特定の出力電力に必要な電流が減少すると、光出力電力の立ち上がり時間が速くなる場合がある。電流に対する出力電力をさらに増大させるために、トンネル接合によって分離されたさらなる接合を追加することができる。
【0065】
[0130]今しがた説明した多接合VCSELは、共通アノードアレイを作成するように設計することもできる。
図27は、様々な実装形態による共通アノードVCSELアレイ2702を示す。VCSELアレイ2702の層を下から上に説明すると、基板サイズ上の金属接点から始まる。基板はn型にドープされ、nドープDBR下部ミラーが基板上に堆積される。次に、nドープされたスペーサが続き、その後に高濃度にドープされたn層で構成されるトンネル接合が続き、その後に高濃度にドープされたP層が続く。Pスペーサ層が次に来て、名目上ドープされていない多重量子井戸アクティブ層、そしてnドープされたスペーサが続く。第2のトンネル接合が続き、その後、Pドープされたスペーサ、第2の名目上ドープされていない多重量子井戸アクティブ領域、及びnドープされたスペーサが続く。上部DBRミラーはnドープされ、上面に金属接点が堆積されてパターン化される。こうして、2つのトンネル接合は、2つの多量子井戸n-P接合アクティブ領域を受け入れ、上部と下部の両方のDBRをn型にドープしてセグメント化されたアレイを共通アノード形態で駆動できるようにする。
図2704は、VCSELアレイ2702の回路レイアウトを表わす。
【0066】
[0131]接合ごとにトンネル接合及び別のP-n接合量子井戸領域を追加することによって、さらなる接合(3つ以上)をVCSELアレイ2702に追加することができる。基板に最も近いトンネル接合の位置に関する変形例は、
図22~
図24に記載されるように、多接合の場合にも同様に適用することができる。
【0067】
[0132]多接合共通アノードセグメント化VCSELアレイも、底面発光形式で製造することができる。
図28は、様々な実装形態による底面発光共通アノードVCSELアレイ2802を示す。VCSELアレイ2802は半絶縁基板上に堆積させることができる。nドープされたバッファ層が、下部ミラー内で成長したものとして示されており、n型にドープされる。次に、各ダイオードの周囲のメサをこの層までエッチングし、金属接点を堆積させてパターン化することができる。前述のように、バッファ層は、下部ミラーの下、ミラー内、又は下部ミラーの上に堆積することができる。
図2804は、VCSELアレイ2802の回路レイアウトを表わす。
【0068】
[0133]従来のVCSELはP型材料で終わる。一般に、エピタキシャル層構造の最上面の材料は、高濃度にドープされたP型であり、堆積された金属層に電流が容易にトンネリングすることができる。しかしながら、このアプローチは、一般に、表面のn型GaAs又はAlGaAsにはあまり効果的ではない。必要な高ドーピングを達成することはより困難である。オーミック挙動を確保するために表面に金属間化合物層を拡散又は形成する金属積層体を使用することができる。しかしながら、これらの反応は信頼性の問題につながる可能性がある。別のアプローチは、合金化プロセスを必要とせずに良好なオーム接触を可能にする、構造の上面に比較的高濃度にn型ドープされたInGaAs層を挿入することにより、GaAs層の表面と金属との間の電位を下げることである。InGaAs層は、上部DBRへのn金属拡散を防ぐ。これは、
図29のVCSEL2902に示されており、この
図29は、パターン化された金属接点の下に位置する上面上のInGaAs層を示す。しかしながら、InGaAs層は、この層における光吸収を避けるために、VCSELの発光面からエッチング除去される。
【0069】
[0134]
図30は、様々な実装形態によるnドープされた最上層を有する底面発光VCSEL3002を示す。VCSEL2902と同様に、VCSEL3002の最上層は、InGaAs接点層であってもよい。この場合、光は基板側を通じて放出されるため、上部接点金属及びInGaAs接点層がメサ全体を覆う。このバージョンでは、基板が非導電性であり、アノード側接点は、ドープされたバッファ層までエッチングして
図26を参照して説明したように接点を堆積してパターン化することによって作られる。
【0070】
集積HBTを伴うVCSEL
[0135]2つのn型ミラー及びトンネル接合を伴う前述のダイオード構造は、n-p-nHBTと一体化することによって3端子デバイスに組み込むこともできる。
図31は、様々な実装形態による集積HBTを伴う共通アノードVCSEL3102を示す。VCSEL3102は、
図22に関して説明したVCSEL2202と同様である。前述のように、底部から始まる層は、下部金属接点、nドープGaAs基板、nドープミラー、nスペーサ層、トンネル接合、酸化物アパーチャを含むPスペーサ、名目上ドープされていない多重量子井戸アクティブ領域、nスペーサ、及びnドープDBR上部ミラーを含む。しかしながら、この表面の上にはNPNHBT構造がある。VCSEL3102が約900nmを超える波長で発光するように設計される場合、この構造は、NドープGaAsコレクタ層、p
+GaAsベース層、nドープInGaPエミッタ層、GaAsキャップ層、及び非合金接点層として機能するnドープInGaAs層を含んでもよい。酸化物電流閉じ込め層を形成できるように、VCSELダイオードの周囲をより大きい直径でエッチンする。nドープInGaPエミッタ層、GaAsキャップ、及びn
+ドープInGaAs接点層の周りにより小さいメサがエッチングされる。p
+GaAsベース層の上にP型金属接点が作成され、InGaAs接点層上にエミッタ金属コンタクトが堆積されてパターン化される。InGaAs接点層もチップ上面の発光領域からエッチング除去され、光がこの層に吸収されないようになっている。
【0071】
[0136]
図3104は、集積HBTを伴うVCSEL3102の回路レイアウトを表わす。HBTのベース接点への電圧を制御することにより、HBTはスイッチとして機能し、VCSELに流れる電流をオン/オフする。アレイでは、このスイッチ機能により、アレイ内のVCSELのアドレス指定が可能になる場合がある。また、集積は、VCSELデバイスを通る高電流のスイッチングを制御するHBTベースに印加されるより低い電圧により、VCSELのスイッチング速度を改善するのを助けることもできる。
【0072】
[0137]
図22~
図30で前述したバリエーションをHBTと一体化された構造に組み込むこともできる。例えば、
図32は、様々な実装形態による集積HBTを伴う底面発光VCSEL3202を示す。これは、
図31に示されるような集積HBTと
図26に示されるような底面発光VCSEL形態との組み合わせであってもよい。接点用のバッファ層が下部n型ミラーに含まれ、VCSELダイオードメサエッチングがこの層までエッチングされる。VCSELへの接点として、また、効果的にHBTコレクタ接点として機能する金属は、この層上に堆積されてパターン化される。
【0073】
[0138]多接合形態は、上面発光VCSEL又は底面発光VCSELの両方で開発することができ、VCSELに適した任意の波長で実装することもできる。これには、InP系に基づく長波長(>1ミクロン)VCSEL、AlGaAs/GaAs/InGaAs材料系に基づく近赤外VCSEL(750nm~1100nm)VCSEL、AlGaAs/InGaP材料系に基づく赤色VCSEL、及びAlGaN/GaN/InGaN材料系に基づく青及び緑のVCSELが挙げられる。
【0074】
[0139]
図31は、共通アノード用に設計されたVCSELとNPNヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)との一体化を示すが、HBTは共通カソードVCSELに組み込むこともできる。
図33は、様々な実装形態による集積HBTを伴う共通カソードVCSEL3302を示す。下から始めて、下面に金属接点があり、次に、多くの場合にn型ドーピングを有するGaAs基板がある。基板の上には、n型DBRミラーがあり、その後に量子井戸アクティブ領域が続く。このアクティブ領域は、障壁層によって分離された量子井戸を含む複数の層で構成され、量子層及び障壁層の両側にスペーサ層がある。アクティブ領域の上には、PドープされたDBRがある。このDBR内には、通常、高い割合のAlを含む層があり、この層は、その後に酸化され、それを(ほぼ)AlAsから電流閉じ込め層を形成する絶縁酸化アルミニウム層に変換する。この層は、完全には変換されず、それにより、電流が流れ得る導電領域が残る。
【0075】
[0140]上部Pドープされたミラーの上の層は、HBTのコレクタ層であり、一実施形態ではP型にドープされる。コレクタの上には、nドープされたベース層があり、その後にPドープされたエミッタ層が続く。この構造では、メサがエッチングされてベース層が露出し、金属接点がベース層及びエミッタ層の両方に堆積される。この実装形態では、VCSELからの光が層と構造の上部の放出ウインドウとを通過し、この放出ウインドウが透明な誘電体層によって保護され得る。構造からの効率的な放出を実現するために、コレクタ、ベース、及びエミッタ層の厚さは、合計で、光学的にλ/4の奇数倍の厚さの層になるはずである。エミッタ層、ベース層、及びコレクタ層の組成は、放出された光の吸収を引き起こさないように選択する必要がある。例えば、940nmで発光するVCSELの場合、層はGaAs/AlGaAs/AlAs材料系の殆どの組成を含むことができる。しかしながら、850nmで発光するVCSELの場合、GaAS層は使用できず、発光は全て、GaAsの吸収を避けるために十分に高いAl含有量のAlGaAs層でなければならない。これは、通常、xが0.12以上のAlxGa1-xAsの組成を意味する。或いは、GaAs層を十分に薄くして、又は光定在波のヌルに配置して、これらの層を透過する出力光の吸収を制限することができる。
【0076】
[0141]
図3304は、VCSEL3302の回路レイアウトを表わす。下部カソードが接地され、電圧がエミッタと接触する上部金属に印加されると、エミッタ層、ベース層及びコレクタ層は、VCSELダイオードと直列のPNPトランジスタを形成する。エミッタに電圧を印加し、トランジスタのベース層へのバイアスを制御することで、VCSELを流れる電流のオンとオフを切り替えることができる。例えば、共通カソードを伴う一連のVCSELと、各VCSELのベースへの別個の接点を除き全てのエミッタを接続する金属接点とが存在し得る。バイアスが1つのベースに印加される場合、対応するVCSELがオンになるが、残りのVCSELはオフのままである。
【0077】
[0142]
図31に示されるように、HBTは、NPNになるように設計可能であり、この場合、共通アノードで駆動できるように2つのnミラーを伴って設計される
図31のVCSEL構造に対して、より自然にインタフェース接続できる。下部Pミラー及び上部nミラーを伴うP型基板上に成長させることによってVCSELが反転されるのも自然なアプローチである。
図33に示される従来のVCSEL構造と組み合わせれば、電流がVCSELを通って流れることができるようにするべく、コレクタ層とVCSELアクティブ領域との間の高濃度にドープされたn-Pトンネル接合が必要とされる。この構造は、
図31に示したように、VCSELが底面発光するように設計することができる。その場合、エミッタ層に接触する金属は上部メサを完全に覆うことができ、また、下部金属に開口を作成して、光を放出できるようにすることができる。この場合、上部ミラーはほぼ100%反射し、HBTの組成と厚さは非吸収性で特定の厚さである必要がなくなる。これは、光がそれらを透過しなくなるためである。第4のバリエーションでは、HBT構造は、DBR構造の一方又は他方の中に配置することもできる。場所によっては、ミラーの反射率を維持して吸収源を作成しないように、厚さ、ドーピング、及び組成を慎重に制御する必要があるかもしれない。
【0078】
[0143]
図34は、様々な実装形態による集積HBTを伴うVCSELアレイ3400を示す。積層体内のHBT構造とVCSELとの一体化を使用して、VCSELの2次元アレイのアドレス可能性のためのアプローチを作成することができる。このレイアウトは、チップの底部に共通接点が作られていることを前提としている。上面では、行内の全てのHBT/VCSEL(E1~E7)のエミッタが、行内の全てのVCSELのエミッタ層に接触する金属と同じエミッタ相互接続金属を共有する。列(b1~b8)内の全てのHBTのベース層は、列内の各HBT/VCSELにおけるベース層と接触する共通ベース金属相互接続部と接続される。1つのエミッタ行と1つのベース列とがアクティブにされれば、2つの交点にあるVCSELが点灯する。1つのベース列と複数のエミッタラインとがアクティブにされると、ベース列内の複数のVCSELが発光する。エミッタ及びベースラインのアクティブ化を組み合わせて、他のパターンを作成することもできる。
【0079】
[0144]
図35は、様々な実装形態による集積HBTを伴うVCSELアレイの回路
図3502及び側面
図3504を示す。
図35は、2D(2次元)マトリックス実装のために接続がどのように行なわれるかについての詳細を与える。共通エミッタ行におけるVCSELがどのように接続されるか(V1及びV2)及び共通ベース列におけるVCSELがどのように接続されるか(V2及びV3)を示すために3つのVCSELが
図35に示されるが、一般に、任意の数のVCSELが同じ態様で接続され得る。各VCSELは、層の同じセット、つまり、下部金属、基板、下部ミラー、アクティブ量子井戸領域、キャリア閉じ込め用の酸化層、上部ミラー、コレクタ、ベース、エミッタ、及び上部メタライゼーションを有し得る。BCB/ポリと書かれた領域は、キャリア閉じ込め層の酸化プロセスが生じ得るようにするべく作成されたエッチング領域である。次に、ベンゾシクロブテン(BCB)やポリイミドなどのポリマー材料をそれに充填して、ウエハを再平坦化する。ベース層の最上部までエッチングが行なわれ、オーム接点が堆積され、次に上面エミッタ層に金属オーム接点が作られる。列内の全てのベース層を接続する相互接続金属を堆積することができる。この相互接続は、相互接続金属が全てのエミッタ層を垂直方向に接続できるように、さらなるBCB層又はポリイミドによって覆うことができる。
【0080】
[0145]
図36は、様々な実装形態による集積HBTを伴うVCSELアレイのマスクレイアウトを示す。ベースメサと書かれた領域は、電流閉じ込め層の酸化が行なわれ得るように酸化層までエッチングが行なわれる境界を示す。エミッタメサは、半導体ベースに到達するためにエッチングが行なわれる場所と、ベースメタルが堆積される可能性がある場所とを示す。両方のメサはポリマー平坦化層によって覆われるため、エミッタ相互接続金属は、ベース金属接点を横切って堆積することができる。
【0081】
[0146]HBTが組み込まれたVCSELは、様々な方法で使用することができる。例えば、前述のように、そのようなVCSELは、選択されたパターンのVCSELをオンにするアレイスイッチマトリクスを作成するために使用されてもよい。別の例では、HBTは、高速スイッチングを可能にする集積ドライバとして使用することができる。別の例では、HBTは、アレイ内の分散ドライバとして使用することもできる。ドライバを各VCSELに配置することにより、アレイ全体を高速でオンにすることができる。
【0082】
[0147]
図37は、様々な実装形態による集積HBTを伴うVCSELアレイ3700の一例を示す。製造プロセスの一例をVCSELアレイ3700について以下に説明するが、そのようなアレイの製造は、以下に説明するパラメータに限定されない。当業者であれば分かるように、製造プロセスの変形が本明細書で企図され得る。
【0083】
[0148]この例では、VCSELアレイ3700のエピタキシャル構造を、630nm~1060nmの範囲の波長に関してnドープGaAs基板上に成長させることができる。次にnドープDBRを成長させ、続いて発光用の量子井戸を含むn-i-Pドープアクティブ領域を成長させ、次にPドープミラー、HBTを形成する層を成長させる。これには、最初に、Pドープされたコレクタ、nドープされたベース、及びPドープされたエミッタが挙げられる。この波長範囲では、DBR層及びHBT層は、AlxGa1-xAs又はInAlGaPの様々な組成を含むことができる。630nm~700nmの発光の場合、量子井戸と他のアクティブ領域層は、InAlGaP材料系に由来する可能性がある。700nm~860nmの場合、アクティブ領域層はAlGaAs材料を含むことができ、870nm~1060nmでは、量子井戸はAlGaAs又はGaAsPスペーサ層を伴うInGaAsを含むことができる。630nm未満及び1060nmを超える波長も実現できる。例えば、630nm未満の波長は、InAlGaN材料系で構造を成長させることによって実現できるが、1060nmよりも長い波長は、InP/InGaAsP材料系を使用できる。
【0084】
[0149]ベースに達するようにエッチングを行って、エミッタメサを残すことができる。次に、ベース層とエミッタ層の両方に金属接点を堆積させることができる。酸化層を超えて、アクティブ層領域まで、又はそれを超えて延在する別のエッチングを実行することができる。酸化層が露出された後、湿式酸化ステップを使用して、この層を部分的に酸化することができる。しかしながら、湿式酸化ステップは、電流がこの領域を通って流れることができるように、酸化されていないメサの中央の領域を残すように調整される。酸化後、全てのメサと金属とを覆う保護窒化物層の堆積が実行される。
【0085】
[0150]次に、エッチングされたトレンチを充填するBCB又はポリイミドのような材料を含む平坦化層を堆積させ、続いて第2の保護窒化物を堆積させることができる。次に、窒化物材料をエッチングして、接触金属と後続の相互接続金属層との間で接触を行なうべき金属パッドを開くことができる。その後、VCSELの行及び列をチップのエッジのボンドパッドに接続する相互接続金属を堆積させることができる。次に、基板を所望のチップ厚まで薄くし、続いてウエハの裏側に金属カソード接点を堆積させることができる。この時点で、ウエハはウエハレベルでテストされ、続いて個々のVCSELチップにダイシングされ得る。
【0086】
[0151]
図37は、前述の製造プロセスを完了した後の最終的なVCSELアレイ3700の側面図を示す。VCSELアレイ3700は、共通のエミッタ接点を共有する2つのVCSELを含む。図の上部の矢印は、チップの上面からレーザ光が放出される場所を示す。
【0087】
光検出器を組み込んだVCSEL
[0152]前述のように、照明モジュールにおいて、VCSELの出力電力を監視し、制御でき得ることも重要である。これは光検出器で行なうことができ、検出器をVCSELチップと同じチップに組み込むことで、VCSELベースの照明モジュールのさらなる小型化を支援することができる。以下に、この組込みのアプローチについて説明する。
【0088】
[0153]
図38は、様々な実装形態による集積光検出器を伴う通常のVCSELアレイ3802及びVCSELアレイ3804を示す。VCSELアレイ3802は、典型的なVCSELアレイダイ形態又はレイアウトである。ダイはVCSELダイの上面から撮影されており、上面は、小さい円で表されている812個のVCSELアパーチャを含む。共通の金属層が、全てのVCSELアパーチャをそれらが一緒にオン/オフされるように互いに接続する。VCSELの光が上面から放出される。
【0089】
[0154]
図5~
図8は、VCSELアレイ3802などのVCSELダイをパッケージ内で別個のフォトダイオードと組み合わせる方法を示す。これらのパッケージ例では、VCSELダイは光検出器ダイの上又は隣に配置される。
図5~
図8は、パッケージの側面図又は断面図を示す。パッケージの目的は、チップへの電気的及び光学的インタフェースを容易にすることである。VCSELは、ダイオードであるため、動作するにはアノードへの接点とカソードへの接点とが必要である。VCSELの基板は通常導電性であるため、これは、VCSEL基板とパッケージとの間に導電性エポキシ又は半田を使用してパッケージにVCSELを取り付けることによって実現できる。もう一方の接点は、チップの上面の金属ボンドパッド領域へのワイヤボンドによって形成することができる。
【0090】
[0155]しかしながら、照明サブアセンブリは、光パワーモニタをVCSELアレイと同じチップ上に集積することによってさらに小型化することができる。これは、それによってモニタを物理的に近づけるためである。VCSELアレイ3804は、そのような形態の一例である。この場合、VCSELアレイ3804は、2つのセグメント3806,3808に分割される。より大きいセグメント(セグメント3806)は、光パワーを生成するVCSELエミッタアレイである。このアレイにおけるVCSELは、共通カソード(チップの裏側)と共通アノード(全てのVCSELが共通の金属を共有する)の両方を有する。これらのデバイスは、発光するために順バイアスがかけられる。VCSELの小さい方のセグメント(セグメント3808)は、光検出器として機能し、大きい方のVCSELアレイとカソード(チップの裏側)を共有するが、別個のアノード接点を有する。より小さいグループのVCSELは互いにアノードを共有するが、それはより大きいアレイのアノードとは別のものである。光パワーのモニタとして機能するために、このセグメントには逆バイアスがかけられる。
【0091】
[0156]VCSELアレイ3804の例では、大きい方のセグメント3806が数百のVCSEL(具体的には、
図38に示されているように427個)を含むことができ、小さい方のセグメント3808が7個のVCSELを含むことができるが、各セグメント内のVCSELの数とそれらの比率が異なる場合がある。小さい方のセグメント3808内のVCSELの数は、チップ上のVCSELの25%にもなり得るが、単一のVCSEL程度に小さくなり得る。このようなより小さいセグメントは、2D(2次元)配列や1D(1次元)配列など、様々な方法で配置され得る。
【0092】
[0157]
図39は、様々な実装形態による電源に接続された集積光検出器を伴うVCSELアレイの回路
図3900を示す。回路
図3900は、VCSELアレイの2つのセグメント(例えば、セグメント3806,3808)への共有カソード接続を示す。大きい方のセグメントには発光のために順バイアスがかけられ、小さい方のセグメントには光信号を検出するために逆バイアスがかけられる。
【0093】
[0158]
図40は、様々な実装形態による集積光検出器を伴う別のVCSELアレイ4000を示す。このレイアウトでは、小さい方のセグメント4004が、アレイの中央に配置されて、大きい方のセグメント4002によって取り囲まれる。これにより、小さい方のセグメント4004がチップから放出される光をより均等にサンプリングできる。別の実装形態では、複数の小さいVCSELセグメント/光検出器がダイの周囲に分散され得る(例えば、各コーナーに1つのセグメント)。
【0094】
[0159]小さい標準VCSELアレイを光パワーのモニタとして使用することの1つの制限は、小さいアパーチャが光を受け入れる領域を制限し、それにより、モニタフォトダイオードの全体的な応答性が制限されることである。この制限に対する解決策が
図41に示され、
図41は、様々な実装形態による集積光検出器を伴う別のVCSELアレイを示す。この例において、光検出器として機能する小さい方のセグメント4102は、
図38及び
図40に示されるような幾つかの小さいアパーチャではなく、1つの大きいアパーチャを含むことができる。このアパーチャは、例えば円形又は長方形など、任意の形状であってもよい。セグメント4102は、
図40に関して説明したように、中央を含むチップ上のどこにでも配置することができ、又は、複数のそのような領域を使用して、チップの総電力をより適切にサンプリングできる。金属接点がデバイスのアノード側に接続するためにアパーチャ領域を取り囲むが、検出領域の合計は、標準の個々のVCSELを使用する場合と比較して1桁大きくなり、検出される信号の大きさが大幅に増大する。
【0095】
[0160]しかしながら、このアプローチは、設計を変更することによって最小限に抑えることができる制限を生み出す。モニタダイオードのアパーチャのサイズが大きくなるにつれて、キャリアの走行時間が長くなる。平均電力が測定されている場合、このことはそれほど重要ではないが、パルスの立ち上がり時間又は一連のパルスが測定されている場合、大きい領域が応答を遅くする場合があり、それにより、これがより困難になる。
図42は、様々な実装形態による集積光検出器を伴う別のVCSELアレイを示す。VCSELアレイ内の小さい方のセグメント4202は、小さい方の領域間に狭い金属接点4204を伴うより小さい領域に分割することができる。
図43に示される例は、間に狭い金属接点を有する細長い開口領域を示しているが、他の形状の金属接点及び開口領域並びにそれらの配置も考えられる。金属接点への最短経路を制限することにより、モニタの応答時間が増大し得る。
【0096】
[0161]取り組まなければならない別の問題は、逆バイアスを伴う場合を除いて、単に標準VCSELエピタキシャル層に基づいている場合の、モニタフォトダイオード領域の波長感度である。
図43は、様々な実装形態によるVCSELの基礎を形成する半導体層の反射スペクトルを示すグラフである。キャビティを間に挟んだ2つのミラーはファブリペロー構造を形成しており、この構造は、共振波長を除いて反射率が高い。795nmのVCSELウエハから得られた
図43に示される反射率スペクトル対波長のプロットにおいて、754nmと844nmとの間で反射率が高い(100%に近い)。キャビティの共振波長である約794nmで反射率が低下する。これは、光がキャビティから出入りし得る波長である。したがって、これは、名目上VCSELアレイがレーザ発振する波長であるが、ダイオードに逆バイアスがかけられるときにダイオードが最も効率的に光を検出する波長でもある。入射光がこの波長からずれると、殆どの光が反射されて検出対象のキャビティに入らなくなるため、検出器の応答性が劇的に低下する。同じチップ上のVCSELからの光が監視されている場合、波長が一致している必要があるため、これは問題ではないと示唆される場合がある。しかしながら、VCSELが駆動される電流量が増大するにつれて、より多くのエネルギーが熱に変換され、VCSELの接合温度が上昇する。それにより、共振波長がより長い波長に僅かにシフトする。一方、フォトダイオードモニタで放散される熱は遥かに少ないため、逆バイアスセグメントのピーク応答性の波長のシフトは殆どない。このようにすると、順バイアスVCSEL及び逆バイアスフォトダイオードモニタの共振波長がずれる可能性がある。この影響に対処する方法がある。1つのアプローチは、キャビティの反射率を減らして共振を広げる厚さの誘電体又は他の光学的に透明な層を表面に付加することである。VCSELに誘電体を付加すると、求められる波長はλ/2になる。この厚さでは、誘電体は、透明であり、キャビティの精妙さや波長に影響を与えない。しかしながら、フォトダイオード上の誘電体をλ/4に変更すると、これにより反射率が低下し、共振スペクトル幅が広がる。これは、フォトダイオードの表面から材料が選択的に除去されるマスクを使用することにより、比較的簡単に実現できる。
【0097】
[0162]波長感度を低下させて応答性を改善するための第2のアプローチが
図44に示され、この
図44は、標準的なVCSEL4402及びVCSEL4404と、様々な実装形態による波長感度が低減された集積光検出器とを示す。VCSEL4402は、下部誘電体ミラー、上部誘電体ミラー、及びファブリペローキャビティを一緒に形成する量子井戸アクティブ領域を含む。上部と下部に金属接点が形成され、部分的に酸化された層が構造を通じて電流閉じ込めを行なう。半波長の整数倍の厚さである誘電体層を上面に堆積させることができる。VCSEL4404は、波長感度の低いモニタダイオードを作成するためにVCSEL4402を修正したものである。上部ミラーを通じて部分的にエッチングすることにより、ミラーの反射率を低減して構造内の透過線幅を広げるエッチング領域4406が作成される。エッチングされた領域4406の表面は幾分粗く、それにより、反射率がさらに低下し、垂直入射から逸脱したビームがより容易にキャビティに入ることができるようにもなるとともに、このビームを検出することもできる。これは、VCSEL領域をマスキングしてこのエッチングから保護し、フォトダイオードモニタを形成する領域のみをエッチングすることによっても達成される。
【0098】
[0163]
図45は、別のVCSEL4500と、様々な実装形態による波長感度が低下した集積光検出器とを示す。この場合、アップドープされた(i)層及びnドープされた(n)層を含むさらなる層が、VCSELエピタキシャル構造の上に成長される。これにより、VCSELの上部とP接点を共有するフォトダイオードのP-i-n接合が形成される。この構造は、エピタキシャル構造の最上部のnドープ層に接触する第3の金属の追加も必要とする。先と同様に、VCSELアレイには順バイアスがかけられ、フォトダイオードモニタには逆バイアスがかけられる。このアプローチでは、検出層がVCSELキャビティの外側にあるため、検出層の波長感度が低下する。さらに、i層及びn層の厚さを調整して、応答性を最適化することができる。しかしながら、このアプローチにはさらなるエピタキシャル成長と処理とが必要である。構造全体を一緒に成長させることができ、その後、さらなる「i」及び「n」層が、VCSELが処理される領域からエッチング除去される。また、標準のVCSEL構造のみを成長させてから、誘電体でVCSEL領域を保護しながら、さらなる「i」層と「n」層とを別々に成長させ、誘電体の表面に堆積した材料を選択エッチングで除去することも可能である。いずれの製造方法も、さらなるフォトリソグラフィステップを使用して最終構造を実現する。
【0099】
[0164]同じチップ上にVCSELアレイとフォトダイオードとを集積することにより生じる1つのさらなる問題は、光クロストークである。レーザ光は各VCSELアパーチャから垂直に放出されるが、p-n接合で発生するさらなる自然放出がある。この放出は、方向性がないため、エピタキシャル層を通過して隣り合うデバイスに到達する可能性がある。したがって、モニタダイオードは、VCSELから放出されて外部表面から反射又は散乱される光に加えて、隣り合うVCSELからの光を検出することができる。自然放出はVCSELから放出されるレーザ光をうまく追跡しないため、目標が放出されたレーザ光を追跡することである場合、クロストークによって不正確な結果が生じる可能性がある。
【0100】
[0165]この問題に対する解決策は、モニタフォトダイオードを横方向の光透過から光学的に分離することである。これが
図46に示されており、この
図46は、様々な実施形態による金属充填トレンチ4602を伴うVCSEL及び集積光検出器を示す。
図46の左側の断面図は、VCSELのエピタキシャル構造内のトレンチ4602の位置を示す。光学的分離を行なうために、トレンチ4602が2つのタイプのデバイス間でエッチングされる。このトレンチは、金属などの光吸収材料で満たされる。金属は、一般に吸収性が高いため、VCSELからの自然放出がフォトダイオードに到達するのを防ぐ。
図46の右側のVCSELチップの上面図は、VCSELのアレイを伴う領域とフォトダイオード領域の両方を示す。この図は、金属で満たされる2つの間の境界領域を示す。トレンチは、吸収する他の材料で満たすことができる。
【0101】
[0166]VCSEL又はVCSELアレイと同じチップ上へのモニタフォトダイオードの集積は、VCSELアレイの出力電力の監視を単純化することができる。これにより、出力電力の制御が容易になり、求められる信号対雑音比を維持したり、出力電力を眼に安全なレベル内に維持したり、VCSELパルスの立ち上がり時間と立ち下がり時間を監視したりできる。モニタダイオードをチップに組み込むため、並びに、フォトダイオード設計及び性能と製造の単純さとの間のトレードオフのため、複数のアプローチが提示されてきた。
【0102】
集積光学素子を伴うVCSEL
[0167]照明モジュールのサイズを小型化するための別の設計アプローチは、光学素子(レンズ、回折光学素子、ディフューザなど)をチップ上に直接に集積することである。これはチップの上面で行なうこともできるが、多くの場合、裏面発光形態と組み合わせて、チップの裏面に光学素子を付加することが好ましい。
【0103】
[0168]
図47は、様々な実装形態による集積光学素子を伴うVCSELダイ4700を示す。VCSELダイ4700は、サイズ及びコストを削減しながら、VCSEL照明、ビーム整形光学素子、高速パルス立ち上がり時間のためのVCSEL駆動の機能を組み込んでいる。VCSELダイ4700は、チップの基板側からの放出により、基板へのVCSELのフリップチップボンディングを可能にするように設計されたVCSELアレイを含む。この場合、GaAs基板が残るので、このアプローチは、870nmよりも大きい、好ましくは920nmよりも大きい発光波長を有するデバイスに対して機能する。より短い波長の場合、GaAs基板は縮小又は除去される。しかしながら、ダイ4700は、940nm範囲の波長を頻繁に指定するモバイルデバイス又はLiDAR用途に適している。ダイ4700は、サブマウント又はパッケージに取り付けられるため、上面が下を向くように示される。一般にP型にドープされるチップの上面に電気接点が作られ、2つ目の接続は、上部ミラー構造を介して下部nミラー又はnミラーの下方のnドープされたバッファ層へと又はさらにはGaAs基板へとエッチングすることによって行なわれる。この層への金属接点は、
図47に示すように、側壁に沿って上面まで金属トレースによって又は金属接点をメッキすることによって又はスタッドバンピングプロセスを使用して表面にもたらされる。
【0104】
[0169]示されたGaAs基板は、数百ミクロンの厚さであってもよい。ダイ4700が構築されるウエハの裏側は研磨されてもよく、及び/又は反射防止コーティングがウエハの裏側に堆積されてもよい。光学素子を形成するために、硬化可能なポリマー材料をウエハの裏側に堆積させることができる。この堆積は、ラミネーション、スピンコーティング、スプレーコーティング、又は他の様々な堆積技術によって実行することができる。設計されたディフューザパターンの反転画像により機械加工されたツールを使用して、このパターンをポリマーにエンボス加工することができる。これにポリマーの硬化が続く。ポリマーは、半田リフローなどのその後のチップ組立手順に耐える材料であってもよい。
【0105】
[0170]
図48は、様々な実装形態による集積光学素子を伴う別のVCSELダイ4800を示す。VCSELダイ4800は、上面を下にして示されており、
図47のVCSELダイ4700と同じチップ形態であり、背面に同じく硬化性エポキシが堆積されている。しかしながら、この場合、レンズ構造4802が裏側にエンボス加工される。
図48は、VCSELとレンズとの間の1対1の対応を示しており、この形態は、VCSELの発散を視準、集束、又は制御するために使用することができる。しかしながら、他の代替手段もある。例えば、レンズ構造はVCSEL構造に関してランダム化することができ、レンズとVCSELとの間に多対1又は1対多の関係が存在することができ、或いは、各VCSELを異なる方向にビームステアリングするべくレンズをVCSELに対してオフセットすることができる。また、1つ又は複数の回折格子もウエハの裏側にパターン化することができる。
【0106】
[0171]
図49は、様々な実装形態による集積光学素子を伴う別のVCSELダイ4900を示す。VCSELダイ4900は、上面を下にして示されており、
図47のVCSELダイ4700と同じチップ形態であり、裏面に同じく硬化性エポキシが堆積されている。ポリマー材料には、基板との金属接触を可能にするビアをエッチングすることができる。金属トレースは、基板上及び/又はポリマー材料の上部にパターン化することができる。金属は、ポリマー材料の大部分が金属によって露出されるように、薄い接触ストリップ4902を含む。接点4902は、ポリマーの剥離又はチップの裏側からのポリマーのクラック形成の可能性を検出するために使用することができ、これにより眼の安全上のリスクを生じさせる可能性のある状況を検出することができる。このアプローチは、GaAs基板がドープされていない場合に最適である。
【0107】
[0172]
図50は、様々な実装形態による集積光学素子を伴う別のVCSELダイ5000を示す。VCSELダイ5000は、同じチップ形態で上面を下にして示される。裏面上には
図47のVCSELダイ4700と同様に硬化性エポキシがあり、
図47及び
図48に示すようにポリマーにはパターンがエッチング又はエンボス加工されているが、このポリマーは、ここでは、パターンをGaAs基板に直接転写するためのマスク5002として使用される。例えば、これを達成するためにドライエッチングを使用することができる。このアプローチには、パターンを基板から除去できないという利点がある。
【0108】
[0173]
図51は、様々な実装形態による集積光学素子を伴う別のVCSELダイ5100を示す。VCSELダイ5100は、上面を下にして示されており、
図47のVCSELダイ4700と同じチップ形態であり、裏面に同じく硬化性エポキシが堆積されている。この構造では、誘電体層5102もウエハの裏面に堆積又は結合され、続いてポリマーの堆積及びエンボス加工又はパターニングが行なわれる。これは、幾つかの理由のため、すなわち、ダイを保護するため、GaAs基板が非常に薄い場合や完全に除去された場合に何らかの構造的サポートを行なうため、及び、拡散層がチップから剥離したかどうかを検出する回路のために導電性基板からの絶縁を行なうためになされ得る。また、
図51は、
図49に関して前述したように、光学層が誘電体層から剥離したかどうかを検出するために、金属接点を有する連続層を付加する同様のアプローチも示す。
【0109】
[0174]
図52は、様々な実装形態による集積光学素子を伴う別のVCSELダイ5200を示す。VCSELダイ5200は、同じチップ形態を伴って上面を下にして示される。ここでも、転写層として機能するように
図47のVCSELダイ4700と同じく裏面への硬化性エポキシの堆積が行なわれる。また、VCSELダイ5200は、ポリマーにエッチング又はエンボス加工されたパターンがエッチングによって誘電体に転写されているGaAs基板の上に(又はGaAs基板の代わりに)配置される誘電体層5202を含むこともできる。
【0110】
[0175]
図53は、様々な実装形態による集積光学素子を伴う別のVCSELダイ5300を示す。VCSELダイ5300は、上面を下にして示されており、
図47のVCSELダイ4700と同じチップ形態を有する。この場合、ポケット5302がGaAs基板内にエッチングされ、ポケット5302間にエッチングされていないピラー5304がある。VCSELごとに1つのポケット又はVCSELのアレイ全体又はアレイのサブセットに対して1つのポケットがあってもよい。この場合、ディフューザ又はレンズ構造5306が、ガラス又は他の透明誘電体、ポリマー、又はガラス上のポリマー層であり得る別の透明基板上に作成されている。この層は、エッチング、エンボス加工、又は他の技術によって作成することができる。この場合、構造5306は、光学的にパターン化された面を下にして、GaAsウエハに面して取り付けられる。この基板は、接着剤を使用することにより、ファンデルワールス力を使用して、ウエハからウエハへの結合によってウエハスケールで取り付けることができる。
図53は、レンズ構造5306をウエハ全体に均一に分散された拡散パターンとして示しているが、光学ウエハをパターニングして、GaAs基板のエッチングされていないピラーに付着するパターン化されていない領域を有するようにすることによって、取り付け強度を高めることができる。
【0111】
[0176]
図54は、様々な実装形態による集積光学素子を伴う別のVCSELダイ5400を示す。VCSELダイ5400は、上面を下にして示されており、
図53のVCSELダイ5300と同様の形態を有する。この場合、レンズ構造は、パターン化された導電性エポキシ、半田層、又は金属焼結フィルムアタッチメント5402を使用して取り付けることもできる。アタッチメント5402は、GaAs及び透明な光学ウエハの両方にパターン化された金属接点を用いて、又はそれらのどちらか一方にパターン化された金属接点を用いて、もう一方に付着する半田又はエポキシ材料を使用して、達成され得る。この同じアプローチを、
図48を参照して説明したVCSEL構造に位置合わせされたレンズアレイの製造に適用することができる。
【0112】
[0177]
図55は、様々な実装形態による集積光学素子を伴う別のVCSELダイ5500を示す。VCSELダイ5500は、上面を下にして示されており、
図53のVCSELダイ5300と同様の形態を有する。このバージョンでは、最初にポケットがGaAs基板にエッチングされる。次に、拡散パターン5502を、既に論じた方法を含む様々な方法を使用して、各ポケットの底にエッチングすることができる。例えば、ポリマー又はフォトレジストが、パターンがポリマーにエッチング又はエンボス加工された状態で堆積されてもよく、又は、グレースケールマスクを使用してパターンをフォトレジストに転写してもよい。次いで、ドライエッチングを使用してパターンをGaAsに転写することができる。ピラーを保護するために、フォトレジストマスキングを使用することができる。このアプローチにより、ディフューザ、レンズ、又は格子パターンをその後のウエハの取扱い中に保護することができる。パターン化されていない平坦で透明なガラス又はポリマーウエハをウエハの裏側に取り付けて、光学素子をさらに保護するとともに、テスト中にウエハを取り扱うための構造安定性をさらに高めることができる。
【0113】
[0178]別の考慮事項は、集積光学素子を伴うVCSELチップ構造をモニタフォトダイオード及び/又はドライバ回路とどのように組み合わせることができるかということである。
図56は、様々な実装形態による光検出器5602と組み合わされた集積光学素子を伴うVCSELダイ5600を示す。VCSELダイ5600は、上面を下にして示されており、
図54のVCSELダイ5400と同様の形態を有する。VCSELダイ5600は、ダイ上に製造された半田接合又はバンプ接合を用いて回路基板又はサブマウントに取り付けることができ、光検出器5602(例えば、フォトダイオード)は、VCSELダイのすぐ隣の同じ回路基板又はサブマウント上に配置される。サブマウントは、セラミック、リードフレーム、半導体、又は回路基板材料から構成され得る。ある割合の光が、導波路として機能する光学層を通って転送され、後にディフューザの外に散乱される。隣り合う光検出器5602がこの散乱光を捕捉し、検出された信号は、VCSELダイ5600から放出された光の大きさを追跡する。
【0114】
[0179]
図57は、様々な実装形態による光検出器と組み合わされた集積光学素子を伴う別のVCSELダイ5700を示す。VCSELダイ5700は、上面を下にして示されており、
図54のVCSELダイ5400と同様の形態を有する。この場合、金属-半導体-金属(MSM:metal-semiconductor-metal)フォトダイオード5702が、GaAs上にショットキーダイオードを形成する金属電極を堆積することによって、1つ又は複数のポケット内のGaAsウエハの裏側に形成される。単一のMSMフォトダイオード5702をVCSELのアレイの背面に付加し、或いは、複数のダイオードをVCSELアレイの隅又は側面に付加して、MSMダイオードへの電気的接触を容易にすることができる。1つ又は複数のワイヤボンドが、ウエハ上のMSMフォトダイオード5702のボンドパッドから回路基板まで接続することができる。
【0115】
[0180]
図58は、様々な実装形態による光検出器と組み合わされた集積光学素子を伴う別のVCSELダイ5800を示す。VCSELダイ5800は、上面を下にして示されており、
図54のVCSELダイ5400と同様の形態を有する。光検出器として機能する薄膜トランジスタ5802は、ガラス光学素子の上面に配置することができる。また、フィルムトランジスタ5802は、アレイのコーナー又はエッジに配置されてもよく、それらへの接触は、ガラスの上部からサブマウント又は回路基板までのワイヤボンディングによってなされてもよい。
【0116】
[0181]
図59は、様々な実装形態による光検出器5904及びドライバ回路5906と組み合わされた集積光学素子を伴うVCSELダイ5902を示す。VCSELダイ5902は、上面を下にして示されており、
図47のVCSELダイ4700と同じチップ形態であり、背面に同じく硬化性エポキシが堆積されている。この場合、VCSELダイ5902を実装するための基板は、VCSELアレイのためのドライバ回路5906であるSi集積回路である。Si光検出器5904もこのチップ上に集積され、VCSELはこのシリコンフォトダイオード上に結合される。前の図は、アノード接点がVCSELの発光領域全体を覆い、光が基板を通って放出されることを示しているが、この場合、アノード接点に開口が形成されているため、光のごく一部が光検出器5904に到達し得る。酸化物開口よりも小さい金属開口は、誘導放出のみが光検出器5904に到達して自然放出をフィルタ除去するようにするのにも役立つ。
【0117】
[0182]
図60は、様々な実装形態による光検出器6004及びドライバ回路6006と組み合わされた集積光学素子を伴う別のVCSELダイ6002を示す。VCSELダイ6002は、上面を下にして示されており、
図47のVCSELダイ4700と同じチップ形態であり、背面に同じく硬化性エポキシが堆積されている。サブアセンブリは、シリコンインターポーザ6008を使用して、SiドライバIC6006、シリコンベースの光検出器6004、及びVCSELダイ6002を一体化して接続する。この場合、光検出器6004は、シリコンインターポーザで製造されるが、シリコン内に相互接続も製造される。ドライバIC6006及び集積VCSELアレイダイ6002の両方がシリコンインターポーザ6008にバンプ結合され、この場合、集積VCSELアレイダイバンプがインターポーザの上部に結合される。
図59に示されるように、VCSELアレイ上のアノード金属は、VCSELの発光アパーチャの上に開口を有し、この方向に放出された少量の光がフォトダイオードに到達するようにする。
【0118】
[0183]
図61は、様々な実装形態による集積光学素子を伴う別のVCSELダイ6100を示す。VCSELダイ6100は、上面を下にして示されており、
図54のVCSELダイ5400と同様の形態を有する。
図61は、本明細書に記載された技術の多くをより短い波長のVCSELのために使用できるようにするアプローチの変形を示す。この場合、GaAs基板のポケット6102のエッチングは、VCSEL又はVCSELアレイの発光領域の周りにGaAs基板のフレームを残して、底面ミラーまでずっと行なわれる。その後、光学素子を含むガラス又はポリマーウエハを取り付けると、その後のソーイング及びハンドリングのために構造に機械的安定性を与えるのに役立つ。
【0119】
[0184]
図62は、様々な実装形態による光検出器及びドライバ回路と組み合わされた集積光学素子を伴うVCSELダイを示す。サブアセンブリ6202は、SiドライバICへの集積VCSELダイの直接結合を示し、サブアセンブリ6204は、光検出器が埋め込まれたSiドライバICへのVCSELの直接結合を示す。この場合、光検出器はシリコンドライバIC内に製造される。
図59の場合と同様に、VCSELアレイ上のアノード金属は、VCSELの発光アパーチャ上に開口を有し、この方向に放出された少量の光が光検出器に到達するようにする。SiドライバICへのVCSELの取り付け/結合は、銅ピラー又はマイクロバンプを使用する直接結合技術を使用して、ダイレベル又はウエハレベルで実行できる。
【0120】
[0185]
図63は、様々な実装形態による光検出器と組み合わされた集積光学素子を伴う別のVCSELダイ6300を示す。VCSELダイ6300は、上面を下にして示されており、
図47のVCSELダイ4700と同じチップ形態であり、背面に同じく硬化性エポキシが堆積されている。この場合、アレイ内のVCSEL構造のサブセット(例えば、
図63の最も右側のVCSEL)は、レーザの閾値電流を検出するために使用されるフォトダイオードとして機能するために逆バイアスがかけられる。逆バイアスがかけられたデバイスによって検出される光は、隣り合うVCSELから来て、他のVCSELからの自然放出を殆ど検出する。VCSELがレーザ発振を開始すると、自然放出は一定のレベル又はより緩やかに増大するレベルでクランプするため、VCSELアレイの電流に対するフォトダイオード電流の屈曲点が現れ、これはレーザ発振の閾値がどこで発生するかを示す。このデータは、VCSELの立ち上がり時間を改善するためにレーザドライバ回路を制御するために使用されるドライバチップにフィードバックするために使用され得る。
【0121】
[0186]
図64は、様々な実装形態による光検出器と組み合わされた集積光学素子を伴う別のVCSELダイ6400を示す。VCSELダイ6400は、上面を下にして示されており、
図50のVCSELダイ5000と同様の形態を有する。この場合、フォトダイオードを形成するために、VCSEL構造(例えば、
図64の最も右側のVCSEL)の上に幾つかのさらなる層が成長される。VCSEL発光が940nmの場合、これらの層の組成は、ドープされていないInGaAsに続いてnドープされたInGaAsがある組成となり得る。870nmよりも短い波長の場合、層の組成はGaAs又はAlGaAsにもなり得る。これらの層は、VCSELの小さいグループを除いて、VCSELアレイの上部からエッチングで除去することができる。フォトダイオード層が残っているVCSELの場合、VCSELは以前と同様に順バイアスで駆動されるが、フォトダイオード層には逆バイアスがかけられる。VCSELにおける金属P接点はリング又は発光領域の側面への接点になり、これにより、VCSEL光のごく一部は、逆バイアスがかけられた集積フォトダイオード層に到達できる。検出された光は、放出されたVCSEL光パワーに比例するフォトダイオード電流を生成する。
【0122】
[0187]
図65は、様々な実装形態による集積光学素子を伴う別のVCSELダイ6500を示す。VCSELダイ6500は、上面を下にして示されており、
図54のVCSELダイ5400と同様の形態を有する。この場合、シリコンウエハは、ウエハを貫通してエッチングされ、開口の格子を形成する。次に、このウエハをGaAsウエハの基板側に取り付けて、各ダイの周りにシリコンフレームを有するスペーサ6502を形成する。シリコンウエハは、ファンデルワールス力、接着剤、金属半田、又は任意の他の手段で取り付けることができる。シリコンウエハは、元のGaAs基板に取り付けられてもよく、取り付け前にGaAs基板が薄化又は除去されてもよい。GaAsVCSELウエハとシリコンスペーサフレームを互いに結合した後、シリコンフレームの反対側に光学ウエハを取り付けることができる。光学素子は、フレームに面するか、外側に面するかのいずれかであるが、フレームに面する方が光学素子の保護が強化される。
【0123】
[0188]特に明記しない限り、「実質的に」という用語の使用は、当業者によって理解されるように、正確な関係、条件、配置、向き、及び/又は他の特徴、並びにそれらの逸脱を含むと解釈され得る。ただし、そのような逸脱が開示された方法及びシステムに重大な影響を与えない程度に限る。
【0124】
[0189]本開示の全体を通じて、冠詞「1つの(a)」及び/又は「1つの(an)」及び/又は「その(the)」を使用して名詞を修飾することは、特に明記しない限り、便宜上使用され、修飾された名詞を1つ又は複数を含むと理解され得る。「備える」、「含む」及び「有する」という用語は包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。
【0125】
[0190]本開示の実装形態に関する前述の説明は、例示及び説明の目的で提示されたものである。網羅的であること、又は本開示を開示された形式そのものに限定することは意図されていない。この開示に照らして、多くの修正及び変形が可能である。本開示の範囲は、この「詳細な説明」によってではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されることが意図されている。
【国際調査報告】