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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-31
(54)【発明の名称】多金属フックアンドループ溶接
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20230524BHJP
   H05K 3/32 20060101ALI20230524BHJP
   H01R 4/00 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
H01L21/52 C
H05K3/32 C
H01R4/00 Z
H01L21/52 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556498
(86)(22)【出願日】2021-03-08
(85)【翻訳文提出日】2022-11-16
(86)【国際出願番号】 EP2021055800
(87)【国際公開番号】W WO2021185616
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】102020107515.4
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519323089
【氏名又は名称】ナノワイヤード ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビヨレム,オラフ
(72)【発明者】
【氏名】ダッシンガー,フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ケドナウ,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ルステイエ,ファラフ
【テーマコード(参考)】
5E085
5E319
5F047
【Fターム(参考)】
5E085BB08
5E085BB26
5E085CC03
5E085DD03
5E085JJ06
5E085JJ49
5E319BB20
5E319CC02
5E319GG11
5E319GG15
5F047AA17
5F047BA14
5F047BA15
5F047BA36
5F047BA38
5F047BA39
5F047BA45
5F047BA52
5F047BB03
5F047CA00
(57)【要約】
第一部品(2)を第二部品(3)に接続する方法であって、
a)接続要素(6)を設けるステップであって、
前記接続要素(6)は、接続要素(6)の第一側(10)にある第一接続面(7)上と前記接続要素(6)の前記第一側(10)と反対の第二側(11)にある第二接続面(8)上とのそれぞれに、多数のナノワイヤ(1)を備えており、
前記第一接続面(7)上の前記ナノワイヤ(1)と前記第二接続面(8)上の前記ナノワイヤ(1)は、異なる材料から形成される、ステップと、
b)前記第一部品(2)の接触面(4)と前記接続要素(6)の前記第一接続面(7)とを合わせるステップと、
c)前記第二部品(3)の接触面(5)と前記接続要素(6)の前記第二接続面(8)とを合わせるステップと
を含む方法である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一部品(2)を第二部品(3)に接続する方法であって、
a)接続要素(6)を設けるステップであって、
前記接続要素(6)は、接続要素(6)の第一側(10)にある第一接続面(7)上と前記接続要素(6)の前記第一側(10)と反対の第二側(11)にある第二接続面(8)上とのそれぞれに、多数のナノワイヤ(1)を備えており、
前記第一接続面(7)上の前記ナノワイヤ(1)と前記第二接続面(8)上の前記ナノワイヤ(1)は、異なる材料から形成される、ステップと、
b)前記第一部品(2)の接触面(4)と前記接続要素(6)の前記第一接続面(7)とを合わせるステップと、
c)前記第二部品(3)の接触面(5)と前記接続要素(6)の前記第二接続面(8)とを合わせるステップと
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第一接続面(7)上の前記ナノワイヤ(1)又は前記第二接続面(8)上の前記ナノワイヤ(1)又はその両方は、それぞれの金属から形成される、
方法。
【請求項3】
請求項1~2のいずれかに記載の方法であって、
前記第一接続面(7)上の前記ナノワイヤ(1)は、前記第一部品(2)の前記接触面(4)の材料から形成されるか、又は、
前記第二接続面(8)上の前記ナノワイヤ(1)は、前記第二部品(3)の前記接触面(5)の材料から形成されるか、又は、
その両方である、
方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第一部品(2)はプリント回路基板であり、
前記第一部品(2)の前記接触面(4)は、銅から形成される、
方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第二部品(3)は電子部品であり、
前記第二部品(3)の前記接触面(5)は、銀、ニッケル及び金又はそれらの組み合わせから形成される、
方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法であって、
d)少なくとも前記接触面(4、5)を少なくとも90℃の温度に加熱するステップ
をさらに含む、
方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第一部品及び前記第二部品は、互いに取り付けられた半導体部品である、
方法。
【請求項8】
第一部品(2)を第二部品(3)に接続する接続要素(6)であって、
該接続要素(6)は、該接続要素(6)の第一側(10)にある第一接続面(7)上と、該接続要素(6)の前記第一側(10)と反対の第二側(11)にある第二接続面(8)上とのそれぞれに、多数のナノワイヤ(1)を備えており、
前記第一接続面(7)上の前記ナノワイヤ(1)と前記第二接続面(8)上の前記ナノワイヤ(1)は、異なる材料から形成される、
接続要素(6)。
【請求項9】
請求項8に記載の接続要素(6)であって、
前記接続要素(6)は、フィルム状の構成である、
接続要素(6)。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の接続要素(6)であって、
前記接続要素(6)の厚さは、最大でも5mmである、
接続要素(6)。
【請求項11】
装置(9)であって、
接続要素(6)の第一側(10)にある第一接続面(7)上の多数のナノワイヤ(1)によって、前記接続要素(6)に接続されている第一部品(2)と、
前記接続要素(6)の前記第一側(10)と反対の第二側(11)にある第二接続面(8)上の多数のナノワイヤ(1)によって、前記接続要素(6)に接続されている第二部品(3)と
を備え、
前記第一接続面(7)上の前記ナノワイヤ(1)と前記第二接続面(8)上の前記ナノワイヤ(1)は、異なる材料から形成される、
装置(9)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一部品を第二部品に接続する方法及び接続要素に関し、また、互いに接続された2つの部品の装置にも関し、特に電子部品に関連するものに関する。
【背景技術】
【0002】
多種多様な用途において、物体同士を接続するニーズは存在する。例えば、2つの金属物体や、異なる材料で作られた2つの物体を、互いに接続するような場合がある。特にエレクトロニクス分野がこれに該当する。従来技術からは、このような接続部を形成するための様々な方法が知られている。特に知られているのは、例えば、銅製の電気導体又は物体を、溶接・硬ろう付け・軟ろう付け・接着結合・ネジ締め・リベット締め・エンボス加工を用いて接続する方法である。この種の方法では、下準備された表面を互いに対して正確に合わせて接続される。したがって、接続対象の物体は、その長さ及び接続位置に関して、明確に且つ幾何学的に定められ準備される必要がある。さらに、接続部を作製するための準備、例えば、穿孔又は対応する接続要素の用意等を事前に行わなければならない。接着結合・ネジ締め・リベット締めによる接続技術は、室温で行う処理である。一方、溶接・軟ろう付け・硬ろう付けは、高温で行う処理であり、液体金属が製造され、これが所定容積に充填されたり、接合部と金属的に相互作用する。
【0003】
溶接は、通常は1400℃にもなる相当な温度が投入されるため、一方では、対象の物体を相当な程度まで加熱することにより可燃性材料による火災を引き起こす虞があるという不利な点がある。接続対象の物体の表面に視覚的変化も起こることがあり、これは特にラッカー、フィルム又はコーティングで前処理された表面では問題となる場合がある。加えて、溶接できない材料も多い。
【0004】
例えば銅の硬ろう付けも、相当な熱エネルギーが投入されるため、接続部に関連する部品がかなり(特に400℃超まで)加熱されることが起こり得る。これは、引火性材料を発火させかねない。
【0005】
例えば銅の軟ろう付けは、接続部のせん断強度が所望よりも低い一方で、軟ろう付けの場合には、温度負荷が変化することによる金属の脱混合、ひいては接続部の脆化につながるという不利な点がありうる。これにより、接続部の不具合が生じる場合がある。さらに、軟ろう付けは、例えば純銅よりも接続部の伝達抵抗が非常に大きいという不利な点がある。この他に軟ろう付け接続部の不利な点としては、機械的疲労強度が低いことがあるが、通常は約120℃までしか存在しない。このような接続部の酸性媒質に対する耐食性も不十分であることが多い。
【0006】
特に伝導性の部品(例として銅部品等)の接着結合の際には、この接着結合によって電気的な伝達抵抗が相当な程度まで悪影響を受けるという不利な点がよくある。伝導性の結合が、接続部の機械的強度の点における機械的要件を常に満たすことは不可能である。また、十分な機械的強度があっても、通常はせいぜい120℃の温度範囲までしか存在しない。これにより、特に、温暖又は高温の環境での使用や、高温媒質の使用が不可能になる場合がある。
【0007】
ネジ締め及びリベット締めの場合には、パーツを特に正確に結合しなければならない。また、ネジ締め又はリベット締めでの接続で必要な穴や構造により、構築物全体の視覚的及び機械的外観の視覚的損傷が生じることはよくある。さらに、構築の観点では、接続が行われるべき正確な位置が事前に分かっているようにすることが必要である。それにより、長さが決まっていない部品を使用することがより複雑になるか又は妨げられる場合がある。さらに、このような接続部の場合には、通常は部品間に残留間隙が存在する。毛細管現象によって残留間隙に水分が入り込むことがあり、続いて腐食が引き起こされる。腐食は接続部にダメージを与えかねない。また、接続部の電気や熱による伝達抵抗も増加する場合がある。さらに、ネジ締め又はリベット締め用の穴が、接続部の領域で漏れを引き起こすこともある。これにより、例えば容器又は圧力システムでこのような接続部を使用することが、特に、密閉手段がさらに必要である点で、より困難になる場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
このことから、本発明の目的は、先行技術に関連して考察された技術的な問題を解決するか又は少なくとも軽減することである。特に機械的に安定であり且つ特に良好な電気伝導性又は熱伝導性又はその両方を有する接続部が、特に信頼性が高く且つ簡易な態様で部品同士の間に形成されているか又は形成するように、第一部品を第二部品に接続する方法及び接続要素を提供すること、また、互いに接続された2つの部品の装置を提供することが意図されている。
【0009】
前述の目的は、独立特許請求項の特徴による方法、接続要素、及び装置によって達成される。従属請求項はそれぞれ、有利な構成を示している。請求項において個々に詳述する特徴は、技術的に有意な任意の態様で互いに組み合わせ可能であり、本発明の更なる変形例を詳述している本明細書の説明的な技術内容によって補完されうる。
【0010】
本発明によれば、第一部品を第二部品に接続する方法が提示される。この方法は、
a)接続要素を設けるステップであって、
接続要素は、接続要素の第一側にある第一接続面上と接続要素の第一側と反対の第二側にある第二接続面とのそれぞれに、多数のナノワイヤを備えており、
第一接続面上のナノワイヤと第二接続面上のナノワイヤは、異なる材料から形成される、ステップと、
b)第一部品の接触面と接続要素の第一接続面とを合わせるステップと、
c)第二部品の接触面と接続要素の第二接続面とを合わせるステップと
を含む。
【0011】
第一部品及び第二部品は、例えば、半導体部品、コンピュータチップ、マイクロプロセッサ又はプリント回路基板等の電子部品であることが好ましい。第一部品又は第二部品又はその両方は、少なくとも部分的に電気伝導性又は熱伝導性又はその両方であることが好ましい。
【0012】
ここで使用される意味における電気伝導性や熱伝導性は、特に金属(例として銅)に存在するものであり、一般に「電気伝導性の」又は同義語として「電気伝導的な」、「熱伝導性の」又は「熱伝導的な」とも言われる。特に、一般に電気絶縁又は熱絶縁又はその両方であるとみなされる材料が電気伝導性であるか又は熱伝導性であるか又はその両方であるとみなされることは、ここでは意図されていない。
【0013】
本方法は、エレクトロニクスの分野での用途に制限されない。例えば、(第一部品としての)センサ等の部品が(第二部品としての)壁又はマウントに、本方法によって固定されることも可能である。本方法を用いて、特に機械的に安定であり、且つ、電気伝導性であるか又は熱伝導性であるか又はその両方である接続部を、第一部品と第二部品との間に形成することが可能である。このように、本方法は、2つの部品の間に対応する接続部が必要とされる全ての分野で採用されうる。本方法は、所定の大きさの部品に限定されることもない。したがって、本方法は、例えば(マイクロ)エレクトロニクスの分野での用途に、又は、巨視的レベルの相当な大きさの部品の接続に適する。
【0014】
部品は、それぞれの接触面を介して接続要素に接続することができる。接触面は、特に、それぞれの部品の表面の、空間的に区別される領域である。特に、接触面は、接続部の形成によって区別されることが好ましい。これは、接触面が最初は部品の表面の他の部分と異なっていないこと、且つ、接触面は接続部の形成によってはじめて接続部の上に形成されたエリアであることから、接触面が区別されることを意味する。この場合、接触面は、最初は、部品の表面の他の部分と概念的に区別されるにすぎない。接触面の領域で、接続要素のナノワイヤがそれぞれの部品と接触することができる。
【0015】
接触面はいずれも、それぞれの部品の表面の単に連続した形の領域であることが好ましい。あるいは、第一部品又は第二部品又はその両方の接触面それぞれが、それぞれの部品の表面の複数の別々の小領域にさらに分割されることが可能である。したがって、接触面は、各部品の表面の2つ以上の別々の部分から構成されることができる。接触面は、電気伝導性又は電気絶縁であるか又は熱伝導性又は熱絶縁であるか又はそれらの組み合わせでありうる。接触面は、電気伝導性であるか又は熱伝導性であるか又はその両方であることが好ましく、これにより、電気伝導性であるか又は熱伝導性であるか又はその両方である接続部を、形成することが可能である。
【0016】
部品は、剛性設計のものであるか、又は少なくとも1つの剛性表面を有し、その上にそれぞれの接触面が設けられることが好ましい。これは特に、部品(又は少なくとも接触面)が可撓性でないことが好ましいことを意味する。剛性の部品又は接触面により、接続部を本方法にしたがって特に満足できる態様で形成することが可能となる。例えば部品のうちの一つを可撓性設計のものとすれば、ナノワイヤの荷重のために接続部が壊れることもあるかもしれない。しかし、厳密な状況次第では、可撓性部品又は接触面を用いて、本方法を有利に実施することも可能となる。
【0017】
本方法では、第一部品と接続要素との間の接続部は、多数のナノワイヤを介して形成される。
【0018】
本明細書におけるナノワイヤとは、数ナノメートルから数マイクロメートルの範囲のサイズをワイヤ状の任意の材料体を意味するものと理解されるべきである。ナノワイヤは、例えば円形状、楕円形状、多角形状の底面を有してもよい。特に、ナノワイヤは六角形状の底面を有してもよい。
【0019】
第一接続面上のナノワイヤと第二接続面上のナノワイヤとは、異なる材料から形成される。ナノワイヤが接続要素と部品との間に接続部を形成する能力は、特にナノワイヤの材料によって影響を受ける。ナノワイヤの材料に応じて、接続部は異なる特性を有しうる。特に、接続部の機械的強度及び熱伝導性は、ナノワイヤの材料によって影響を受ける。ナノワイヤが2つの接続面上に異なる材料から形成されることにより、異なる特性を有する2つの接続部を形成することが可能とある。このように、本来なら互いに接続できないか又は接続しづらい2つの部品が接続要素を介して互いに接続できるので、接続要素は、接続対象の2つの部品の間の中継物とみなすことができる。形成できないか又は形成しづらい、2つの部品の間の直接の接続部の代わりに、第一部品と接続要素との間に第一接続部を形成し、且つ、同様に、第二部品と接続要素との間に第二接続部を形成することが可能である。ナノワイヤ及び接続要素の材料を適切に選択することにより、第一接続部及び第二接続部は、第一部品と第二部品との間を直接に接続する接続部よりも効果的な態様で形成することができる。
【0020】
接続部に関連する全てのナノワイヤは、同じ材料から形成されることが好ましい。これは、第一接続面上の全てのナノワイヤが第一材料から形成され、第二接続面上の全てのナノワイヤが第一材料とは異なる第二材料から形成されることが好ましいことを意味する。ナノワイヤは、電気伝導性及び熱伝導性のうち少なくとも一方の材料から完全に形成されることが特に好ましい。したがって、電気伝導性及び熱伝導性の少なくとも一方の接続部を形成することができる。同様に、接続要素は、電気伝導性及び熱伝導性の少なくとも一方であることが好ましい。2つの接続面上のナノワイヤ及び接続要素が電気伝導性及び熱伝導性の少なくとも一方である場合は、第一部品と第二部品との間の接続部は、全体に亘って、電気伝導性及び熱伝導性の少なくとも一方である。
【0021】
ナノワイヤは、100nm[ナノメートル]~100μm[マイクロメートル]の範囲の長さ、特に500nm~30μmの範囲の長さを有することが好ましい。さらに、ナノワイヤは、10nm~10μmの範囲の直径、特に30nm~2μmの範囲の直径を有することが好ましい。本明細書における「直径」という表現は円形の底面に関するものであり、これから逸脱する底面の場合には、同様の直径の定義を用いるものとする。使用される全てのナノワイヤが同じ長さ及び同じ直径を有することが特に好ましい。
【0022】
本発明の本方法では、部品は、接続要素を介して間接的に互いに接続される。これには、いずれの部品上にもナノワイヤを設ける必要がないという利点がある。ナノワイヤは、接続要素上に存在すればよい。特に、ナノワイヤは、部品の接触面上ではなく、接続要素の接続面上だけに設けられることが好ましい。これにより、本方法の実行がより容易になり、特に本方法の適用範囲を、ナノワイヤが成長できないか又は成長しづらい部品にも広げることができる。ナノワイヤは、部品とは離れて局所的に成長させることもできる。それにもかかわらず、代わりにそれぞれの多数のナノワイヤが第一部品の接触面上及び第二部品の接触面上の少なくとも一方に設けられることも好ましい。
【0023】
接続要素は、可撓性構成のものであることが好ましい。あるいは、接続要素は、剛性構成のものであることが好ましい。接続要素は、例えば固体小金属プレートの形で構成されうる。
【0024】
接続要素は、プラスチックから形成されることが好ましい。例えば、接続要素は、ポリマーから形成することが可能であり、特にポリカーボネート、PVC、ポリエステル、ポリエチレン、ポリアミド、PET又はこれらの組み合わせから形成することが可能である。また、接続要素は、セラミック材料、シリコン、酸化アルミニウム、ガラス等から形成するとも可能である。さらに、接続要素は、ステンレス鋼、アルミニウム、非鉄金属から形成することも可能である。接続要素は、前述の材料のいくつかを含む複合材料から形成されることも好ましい。
【0025】
ステップa)で、2つの接続面を有する接続要素が設けられる。2つの接続面はそれぞれ、多数のナノワイヤを有する。第一接続面は接続要素の第一側に設けられており、第二接続面は接続要素の第二側に設けられている。接続要素の第一側と第二側とは、互いに反対側に設けられている。接続要素の第一側は、接続部の形成後に第一部品側に向く接続要素の側である。接続要素の第二側は、接続部の形成後に第二部品側に向く接続要素の側である。したがって、接続部の形成後に、2つの部品の接触面が互いに対向する態様で接続要素の2つの側に設けられることによって、本方法を用いて部品同士を接続することができる。この場合、2つの接触面の間の間隔は、接続要素の厚さとナノワイヤが占有する空間とのみにより生じる。
【0026】
接続要素は、本方法のステップa)において設けられる。一方、「設けられる」とは、この場合、記載されたように構成された接続要素が本方法の一部として設けられることを意味すると理解されるものとする。したがって、ナノワイヤを、本方法の一部として接続面に付けることが特に可能であり、特にガルバニック成長を用いて接続面に付けることが可能である。しかしながら、他方では、「設けられる」とは、接続面にナノワイヤが既に設けられている接続要素を使用することも含む。したがって、例えば、対応して準備された接続要素をサプライヤーから入手し、本方法に使用することが可能である。このように準備された接続要素を入手することも、ここで用いられる意味での接続要素を設けることに該当する。
【0027】
ナノワイヤは、該ナノワイヤがそれぞれの接続面に対して略直角(好ましくは直角)であるように接続面に設けられることが好ましい。接続面上のナノワイヤ全体を、特にナノワイヤの芝と言ってもよい。しかし、ナノワイヤは、接続面上に任意の向きで設けることもできる。接続面を複数の(接続された又は別々の)小領域にさらに分割し、ナノワイヤが異なる小領域で異なる方向を向くことも可能である。このようにして、特に、せん断力に特に満足に耐え得る、特に安定な接続部を実現することができる。さらに、ナノワイヤは、特にその長さ、直径、材料及び密度(ナノワイヤの密度は単位面積当たりに提供されるナノワイヤ数を指す)に関して、接続面の異なる所で異なる構成を有することが可能である。
【0028】
接続要素は、特に、第一部品と第二部品との間の接続部の中継物であるとみなすことができる。特に、接続要素として、部品同士を接続するために各部品の接触面の間に設けられるのに適した任意の物理的物体が考えられる。
【0029】
接続面は、特に、接続要素の側面それぞれにおける接続要素の表面の領域であり、空間的に区別される領域である。特に、接続面は、接続部の形成によって区別されることが好ましい。これは、接続面が最初は接続要素の表面の他の部分と異なっていないこと、且つ、接続面は接続部の形成によってはじめて接続部上に形成されたエリアであることから、接続面が区別されることを意味する。この場合、接続面は、接続部の形成前は、接続要素の表面の他の部分と概念的に区別されるにすぎない。例えば、面接続要素の接続面は、その接続要素の区切られたエリア上に(すなわち接続面上に)各部品それぞれに対する面接続部が形成されることで区別することができる。
【0030】
接続面は、対応する接触面と同じ大きさであるのが好ましく、対応する接触面の形状をしていることが特に好ましい。しかし、接触面が対応する接続面よりも大きい又は小さいこと、又は、接触面と対応する接続面とが異なる形状であること、又はその両方が可能である。
【0031】
接続面はいずれも、接続要素の表面の単に連続した形の領域であることが好ましい。あるいは、第一接続面又は第二接続面又はその両方が、接続要素の表面の複数の別々の小領域にさらに分割されることが可能である。したがって、接続面は、接続要素の表面の2つ以上の別々の部分から構成されることができる。
【0032】
ステップb)及びc)では、接触面と接続面とが合わせられる、すなわち互いに向かって移動される。その結果、接続面上のナノワイヤがそれぞれの接触面と接触する。この場合、ナノワイヤが対応する接触面に接続し、その結果、部品と接続要素との間に対応する接続部が形成される。
【0033】
各ナノワイヤが接触面に接続することで、特にそれぞれの接触面に向いた各ナノワイヤの端が接触面に接続することで、接続部が形成される。この接続部は原子レベルで形成される。この原子レベルで進行するプロセスは、焼結の際に生じるプロセスに類似する。得られる接続部は、気密又は液密又はその両方とすることができ、これにより、特に接続部の又は互いに接続された部品又はその両方の腐食が、接続部の領域で阻止又は少なくとも限定することができる。特に、形成される接続部は、完全に金属製とみなせる。この方法は、「KlettWelding(フックアンドループ溶接)」とも言われる。これは、多数のナノワイヤを用いて、つまり多数の細長い毛髪状の構造体を用いて、加熱によって接続部を得ること、を表している。多数のナノワイヤにより、接触面の不均一さや粗さを補うことができる。
【0034】
ナノワイヤのサイズがナノメートル範囲であるために、接続部の表面(すなわちファンデルワールス力等の力が原子レベルで作用するエリア)は特に大きい。よって、接続部は、特に良好な電気伝導性若しくは熱伝導性、又は、機械的安定性、又は、これらを組み合わせて有することができる。特に良好な電気伝導性又は熱伝導性又はその両方である接続部では、ナノワイヤは電気伝導性材料又は熱伝導性材料又はその両方から形成されることが好ましい。ここでは、銅、銀、ニッケル、金を使用することが特に好ましい。また、接触面は、電気伝導性材料又は熱伝導性材料又はその両方で形成されることが好ましく、特に銅、銀、ニッケル、金で形成されることが好ましい。さらに上述したように、銅を使用することは、特に溶接接続部の場合には不可能である。本方法によって得られる接続部の大きな表面により、接続部の電気伝導性又は熱伝導性又はその両方を特に高くすることが可能となる。接続部が特に良好な熱伝導性を持つことにより、例えば、接続部に関連する部品の冷却を改善しうる。
特に、このために、ナノワイヤ又は接触面又はその両方に銅、銀、ニッケル、金を使用することが好ましい。
【0035】
前述の接続部はさらに、特に簡易な態様で、工具なしで形成可能である。単に部品を接続し合わせることだけすればよい。加熱及び圧力の印加は、選択的に行うことが可能であり、絶対に必要というわけではない。
【0036】
方法ステップa)~c)は、好ましくは、記載した順序で行われ、特に連続して行われる。特に、ステップa)は、好ましくは、ステップb)及びc)が開始する前に行われる。
【0037】
ステップb)及びc)が連続して行われる場合には、第一部品の接触面が第一接続面と最初に合わせられる、すなわち第一部品と接続要素とが最初に合わせられる(ステップb))。続いて、ステップb)で第一部品と合わせられた接続要素が、第二部品の接触面と第二接続面とが合わされるように第二部品と合わせられる(ステップc))。
【0038】
あるいは、ステップb)及びc)は、同時に、時間的に重なる態様で又は連続して行うことが可能である。これは、例えば、接続要素が2つの部品の間に保持され且つこれらの部品を両側から接続要素に向かって同時に移動する場合に可能である。
【0039】
本方法の好ましい実施形態では、第一接続面上のナノワイヤ又は第二接続面上のナノワイヤ又はその両方は、それぞれの金属から形成される。
【0040】
第一接続面上のナノワイヤ及び第二接続面上のナノワイヤは、それぞれの金属から形成されることが好ましい。
【0041】
第一接続面上のナノワイヤは全て、第一金属から形成されることが好ましい。第二接続面上のナノワイヤは全て、第二金属から形成されることが好ましい。
【0042】
特に金属製のナノワイヤにより、機械的に安定であり且つ電気伝導性及び熱伝導性の少なくとも一方を有する接続部を形成することができる。
【0043】
さらに好ましい実施形態では、第一接続面上のナノワイヤが第一部品の接触面の材料から形成されるか、又は、第二接続面上のナノワイヤが第二部品の接触面の材料から形成される、又は、その両方である。
【0044】
第一接続面上のナノワイヤが第一部品の接触面の材料から形成され、且つ、第二接続面上のナノワイヤが第二部品の接触面の材料から形成されることが好ましい。
【0045】
ナノワイヤと各接触面との間の接続部は、ナノワイヤが接触面と同じ材料で構成される場合、特に満足できる態様で形成することができる。これは、接続部が原子レベルで形成されるためである。異なる材料で作られた物体の間の接続は、材料の格子構造が異なるため、より困難になりうる。格子定数が異なることにより接続部の形成がより困難になるか、又は、形成された接続部の特性が不利な影響を受ける場合がある。
【0046】
異なる材料で作られた物体間の接続部の前述の欠点は、第一部品と第二部品とがナノワイヤを介して互いに直接接続される場合にも生じ得る。その場合は、異なる材料で作られたナノワイヤの間の接続部、又は、異なる材料で作られたナノワイヤと接触面との間の接続部が、原子レベルで形成されることが必要となり得る。これらの問題は、本方法の接続要素を用いて回避される。ナノワイヤと接続要素との間の接続部は、これらを合わせるだけでは形成されない。代わりに、接続要素上にナノワイヤが成長し、その結果、非常に強固な結合部を形成することが可能である。したがって、接続要素を均質な材料から形成することが可能である。あるいは、接続要素の接続面が、異なる材料から形成される、好ましくはそれぞれ対応するナノワイヤの材料から形成されることが好ましい。
【0047】
第一接続面は、好ましくは、第一接続面上のナノワイヤの材料に対応することが好ましい第一材料から形成される。第二接続面は、好ましくは、第二接続面上のナノワイヤの材料に対応することが好ましい第二材料から形成される。接続要素は、第三材料から形成され、且つ、第一接続面の領域において第一材料によって覆われ、第二接続面の領域において第二材料によって覆われることが好ましい。接続面は被覆で形成される。第三材料は、電気伝導性であるか又は熱伝導性であるか又はその両方であることが好ましい。あるいは、第三材料は、電気絶縁であるか又は熱絶縁であるか又はその両方であることが好ましい。その場合は、接続要素は、第一接続面の小領域と第二接続面の小領域との間に、それぞれの局所的電気伝導接続部を有することが好ましい。
【0048】
第三材料の代わりに、接続要素は、例えば層で設けられる複数の異なる材料を有することもできる。その場合、接続要素はハイブリッドテープとも呼ばれる。
【0049】
あるいは、接続要素は第一材料から形成され、且つ、第二接続面の領域において第二材料によって覆われることが好ましい。あるいはさらに、接続要素は第二材料から形成され、且つ、第一接続面の領域において第一材料によって覆われることが好ましい。
【0050】
本方法のさらに好ましい実施形態では、第一部品はプリント回路基板であり、第一部品の接触面は銅から形成される。
【0051】
本方法のさらに好ましい実施形態では、第二部品は電子部品であり、第二部品の接触面は、銀、ニッケル及び金又はそれらの組み合わせ出から形成される。
【0052】
本方法によって、接触面として銀製の端子を備えた電子部品(MOSFET又はIGBTモジュール等)が、第一部品としての、接触面として銅コンタクトを備えたプリント回路基板に、第二部品として取り付けられることが特に可能である。
【0053】
本方法のさらに好ましい実施形態では、ステップb)及びステップe)の少なくとも一方は、室温で行われる。
【0054】
接触面と接続面との間にある前述の接続部は、室温でも形成可能である。この場合、2つの部品が互いに押し合わされて接続部を形成することが好ましい。ここで使用される圧力は、5MPa~200MPaの間の範囲内、特に15MPa~70MPaの間の範囲内にあることが好ましい。20MPaの圧力が特に好ましい。
【0055】
また、ステップb)及びc)の終了後に加熱が行われないことも好ましい。これにより、温度の作用による部品へのダメージを防止することが可能である。
【0056】
さらに好ましい実施形態において、本方法は、以下をさらに含む。
d)少なくとも接触面を少なくとも90℃の温度に加熱するステップ
【0057】
接触面は、(最低温度として)少なくとも90℃の温度に、好ましくは(最低温度として)少なくとも150℃の温度に加熱される。温度は200℃であることが好ましい。加熱は、最高270℃、特に最高240℃の温度まで行われることが好ましい。本実施形態では、ステップb)及びc)の少なくとも一方が室温で行われることも好ましい。これは、ステップb)及びc)による接続部の形成後にはじめて加熱が行われることを意味する。このようにして、形成された接続部は加熱により補強される。
【0058】
ステップd)による加熱により、各ナノワイヤが接触面に特に満足できる態様で接続される。したがって、接触面のみが加熱されればよい。実際には、このような加熱では、接触面、ナノワイヤ、接続要素、第一部品の一部又は全体、第二部品の一部又は全体、又は、これらの組み合わせに対して、加熱が行われるのかどうかについて区別できないことが多い。これは、特に熱伝導性材料が使用される場合に当てはまる。接続部の形成のために、接触面以外の要素を(共に)加熱する必要はないが、有害でもない。したがって、ステップd)による加熱は特に、第一部品と、第二部品と、接続要素とがまとめて、例えば炉内で、加熱されることで行うことができる。しかし、あるいは、熱を、接続部の領域に、特に接触面の領域に局所的に導くことも可能である。
【0059】
接続部を形成するには、前述の最低温度に一回、短時間でも少なくとも到達すればよい。最低温度を維持する必要はない。しかし、ステップd)で加熱が行われる温度が少なくとも10秒間、好ましくは少なくとも30秒間維持されることが好ましい。これにより、接続部を望んだとおりに形成することが可能となる。原則として、温度がより長く維持されることは有害ではない。
【0060】
ステップb)及びc)、またステップd)も、少なくとも部分的に時間的に重なる態様で行うことができる。したがって、例えば、ステップb)及びc)の前又は最中に予熱が行うことが可能であり、この予熱はステップd)の一部とみなすことができる。ステップb)又はc)における合わせる動作の際に接続部の形成に必要な温度にあらかじめ到達するように、第一部品又は第二部品又はその両方の接触面それぞれをステップd)の前に加熱することも可能である。特に、この点で、ステップb)又はc)の前にステップd)が始まることも可能である。この場合、ステップd)は、ステップd)により必要とされる温度が、ステップb)又はc)の終了後でも少なくとも一時的に存在することによって行われる。
【0061】
本方法によれば、例えば溶接又は硬ろう付けの場合のような程度の温度に達することなく、2つの部品の間の接続部を得ることが可能である。本実施形態では、不必要な程の加熱をしないで済む点で、この利点を利用することができる。例えば、これにより部品へのダメージが回避可能である。前述のような低い温度であることにより、可燃性材料の発火も防止可能となる。したがって、第一部品又は第二部品又はその両方の温度が、本方法の任意の時点で270℃を超えることがなく、特に240℃を超えないことが特に好ましい。
【0062】
本方法のさらに好ましい実施形態では、第一部品及び第二部品は、少なくとも加熱中の一部の期間ににおいて、小さくとも5MPaの圧力で、特に小さくとも15MPaの圧力又は大きくとも200MPaの圧力で、特に70MPaの圧力で、接続要素に押し付けられる。これは特に、接続要素が2つの部品の間に設けられる際に、2つの部品が互いに向かって押されることで行うことができる。
【0063】
使用される圧力は、5MPa~200MPaの間の範囲内、特に15MPa~70MPaの間の範囲内にあることが好ましい。20MPaの圧力が特に好ましい。
【0064】
圧力は、温度がその指定された下限を超える期間に少なくともおいては、指定された下限を上回ることが好ましい。したがって、この点で、ナノワイヤ及び接触面は、少なくともこの期間においては、対応する圧力と対応する温度との両方に曝される。これにより、圧力及び温度の作用により接続部を形成することができる。
【0065】
本方法のさらに好ましい実施形態では、第一接続面と第二接続面とは、相互に対向する態様で構成されている。
【0066】
第一接続面と第二接続面とは、互いに平行に設けられることが好ましい。
【0067】
本実施形態では、接続要素は、接続される2つの部品の間に設けられうる。この場合、接続要素は、(接続部の形成とは別に)、接触面が互いに直接隣接するのではなく接続要素の材料厚さ分だけ特に互いに離れて設けられるという効果をもつにすぎない。接触面の互いに対する向きは、接続要素によって影響されないままである。
【0068】
あるいは、例えば第一接続面及び第二接続面が、接続要素の特に平面の表面それぞれの異なる位置に設けられることも可能である。その場合、第一部品は、これらの位置のうちの第一位置で接続要素に接続されることができ、第二部品は、これらの位置のうちの第二位置で前記接続要素に接続されることができる。
【0069】
本方法のさらに好ましい実施形態では、第一部品及び第二部品は、互いに取り付けられた半導体部品である。
【0070】
本実施形態では、接続要素は、電気絶縁である第三材料から形成され、且つ、第一接続面の領域において電気伝導性の第一材料によって覆われ、第二接続面の領域において電気伝導性の第二材料によって覆われることが好ましい。接続面は被覆で形成される。第一接続面及び第二接続面は、接続面のそれぞれに複数の小領域ができるような構造であり且つこれらの小領域は互いに対して電気的に絶縁されていることが好ましい。接続要素は、接続要素の上部側面と下部側面との間に、局所的に電気伝導性である接続部を有することが好ましい。これにより、第一接続面の小領域が、局所的な接続部を介して、第二接続面の小領域に電気伝導可能な態様で接続されることが可能である。これは、半導体部品の接点のコンタクト接続に利用可能である。小領域は、導体トラックの形で構成可能であり、これを介して信号が分配可能である。
【0071】
このように形成された接続要素によって、半導体チップ、マイクロコントローラ、RAM又はDRAM等の半導体部品が結合され、同時にコンタクト接続されることが可能である。よって、例えば、第一DRAMを、第一部品としてハウジングの基部に、簡易なナノワイヤ接続部等を介して接続することが可能である。本方法によって、第二DRAMを、第二部品として、第一DRAMに結合することが可能である。DRAMの間にある接続要素は、第一DRAMに加えてハウジングの基部に結合可能な寸法であることが好ましい。接続要素は、信号分配に、特に第二DRAM用の信号分配に用いられることが好ましい。よって、第二DRAMの接点は、互いに対して電気的に絶縁された第一接続面の小領域に接続可能である。他の点では、電気絶縁の接続要素において局所的に電気伝導性である接続部があることにより、接続要素の上部側面上に形成された各導体トラックが、ハウジングの基部上の各接点に接続されることが可能になる。この接続は、選択的に、接続要素の下部側面上にあり且つ互いに対して電気的に絶縁された各導体トラックを介する。また、第二DRAMの接点は、局所的に電気伝導である接続部を介して、第一DRAMの接点に直接接続可能である。さらなるDRAMが、第二DRAMに同様の態様で結合可能である。よって、例えば、10個のDRAMを積み重ねてコンタクト接続することが可能である。
【0072】
さらなる態様として、第一部品を第二部品に接続する接続要素が提示される。接続要素は、接続要素の第一側にある第一接続面上と、接続要素の第一側と反対の第二側にある第二接続面上とのそれぞれに、多数のナノワイヤを備えている。第一接続面上のナノワイヤと第二接続面上のナノワイヤは、異なる材料から形成される。
【0073】
前述の本方法の特別な利点及び設計の特徴は、前述の接続要素に適用可能及び転用可能であり、その逆も同様である。
【0074】
好ましい実施形態では、接続要素は、フィルム状の構成である。
【0075】
フィルム状の構成とは、接続要素の厚さが、接続要素の他の方向への広がりに比べて非常に小さいことを意味する。好ましい実施形態では、接続要素の厚さは最大でも5mmである。接続要素の厚さは、0.05mm~5mm[ミリメートル]の間の範囲内、特に0.1mm~1mmの間の範囲内にあることが好ましい。
【0076】
さらに、接続要素は帯状の構成であることが好ましい。この実施形態では、接続要素の第一側及びその反対にある第二側は、帯状の2つの表面であり、これらの表面は(帯状の材料厚さから生じる)他の表面全てと比べて、表面積が非常に大きい。
【0077】
帯状材料は、例えばロールの形で提供可能である。この場合、ナノワイヤは、帯状材料上にあらかじめ設けられており、例えば保護ラッカーによって保護することができる。接続要素を使用する前に、保護ラッカーを除去してナノワイヤを露出することができる。帯状材料の必要な部分それぞれを、使用されるためにロールから分離することができる。
【0078】
本実施形態では、接続要素は、「接続テープ」、特に「KlettWeldingテープ」[フックアンドループ溶接テープ]とも呼ぶことができる。
【0079】
さらに好ましい実施形態においては、接続要素は、少なくとも部分的に、電気伝導性及び熱伝導性の少なくとも一方である。
【0080】
特に、本実施形態では、形成される接続部は、特に良好な電気伝導性及び熱伝導性の少なくとも一方を有することができる。
【0081】
あるいは、第一接続面と第二接続面は、互いに電気的に絶縁されていることが好ましい。
【0082】
第一接続面と第二接続面との間の電気抵抗が四端子測定において少なくとも100KΩと測定される場合は、第一接続面と第二接続面は互いに電気的に絶縁されているとみなすことが意図されている。この測定は、室温、空気湿度20%、定電圧(すなわち交流電圧ではない)で行われたものであり、第一接続面上及び第二接続面上のそれぞれの電極を用いており、電極は1cmの面積にわたってそれぞれの接続面に接触している。
【0083】
接続面が互いに対して電気的に絶縁される場合には、接触面同士の間が電気的に絶縁されていながらも機械的に安定であり且つ選択的に熱伝導性でもある接続部を形成可能である。好ましくは、第一接続面と第二接続面との間の領域において、接続要素の材料の比電気抵抗は、室温で少なくとも10Ωmであり、好ましくは少なくとも10Ωmである。
【0084】
接続要素の材料の比電気抵抗について記載された仕様は、定電圧での測定に関するものである。交流電圧を印加すると、異なる結果が得られることがあり、特に交流電圧の周波数に依存する場合がある。
【0085】
少なくとも10Ωm、好ましくは少なくとも10Ωmの記載値は、接続要素の材料に関する。様々な材料の比抵抗が、専門文献の表などで入手可能である。ここでは、この種の仕様を参照する。接続要素が特定の材料から全体が形成される場合には、ここで使用される接続要素の材料の比抵抗は、専門文献でこの特定の材料に対して指定された値である。この定義は、材料によって生じたのではない効果を全て除外することを意味し、例えば、接続要素の形によって生じる効果等を除外する。接続要素が異なる材料で構成されている場合には、個々の材料の比抵抗を専門文献から確認することができ、接続要素の材料、すなわち材料の組成の総比抵抗を確認することができる。使用される材料の比抵抗の値が専門文献に見つからない場合には、測定によりこの値を確認することができる。
【0086】
接続要素は、第三材料から形成され、且つ、第一接続面の領域において第一材料によって覆われ、第二接続面の領域において第二材料によって覆われる場合は、第三材料が電気絶縁であることにより、接続面同士の間の電気絶縁が実現可能となる。その場合には、第一材料及び第二材料は、電気伝導性であってもよい。したがって、それぞれ同一の材料の各接続面上に金属ナノワイヤを成長させても、第三材料を用いることで電気絶縁を実現することが可能となる。接続要素は、第一接続面と第二接続面との間の領域においてはセラミック材料から形成されていることが好ましい。
【0087】
さらなる態様として、
接続要素の第一側にある第一接続面上の多数のナノワイヤによって接続要素に接続されている第一部品と、
接続要素の第一側と反対の第二側にある第二接続面上の多数のナノワイヤによって接続要素に接続されている第二部品と
を備える装置が提示される。
【0088】
第一接続面上のナノワイヤと第二接続面上のナノワイヤは、異なる材料から形成される。
【0089】
本方法及び本接続要素の前述の特別な利点及び設計の特徴は、本装置に適用及び転用可能である。
【0090】
本発明及び技術分野は、図面に基づいて以下により詳細に説明する。図面には、特に好ましい例示的実施形態を示す。しかし、本発明はそれに制限されない。特に、図面、特に図示されるサイズ比は、模式的なものにすぎないことに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0091】
図1】2つの部品を接続する本発明による方法の概略図を示す。
図2図1の方法によって互いに接続された2つの部品の本発明による装置の概略図を示す。
図3図2の装置の接続要素の第一実施形態を示す。
図4図2の装置の接続要素の第二実施形態を示す。
【0092】
図1は、第一部品2を第二部品3に接続する方法を示す。使用される参照符号は図2に関するものである。この方法は、
a)接続要素6を設けるステップであって、
接続要素6は、接続要素6の第一側10にある第一接続面7上と接続要素6の第一側10と反対の第二側11にある第二接続面8上とのそれぞれに、多数のナノワイヤ1を備えている、ステップと、
b)第一部品2の接触面4と接続要素6の第一接続面7とを合わせるステップと、
c)第二部品3の接触面5と接続要素6の第二接続面8とを合わせるステップと
を含む。
【0093】
ナノワイヤ1は、異なる材料から形成される。ここに記載される例では、第一接続面7上のナノワイヤ1は銅から形成され、第二接続面8上のナノワイヤ1は銀から形成される。第一部品2はプリント回路基板であり、第二部品3はMOSFET又はIGBTモジュール等の電子部品である。
【0094】
ステップb)及びc)の少なくとも一方は、室温で行われることが好ましい。この方法は、図1に破線のボックスで示される以下の選択的なステップをさらに含むことができる。
d)少なくとも各接触面4、5を少なくとも150℃の温度に加熱するステップ
【0095】
図2は、図1の方法を用いて得られる装置9を示す。装置9は、接続要素6の第一側10の第一接続面7上の多数のナノワイヤ1によって接続要素6に接続されている第一部品2を備える。装置9は、接続要素6の第一側10と反対の第二側11の第二接続面8上の多数のナノワイヤ1によって接続要素6に接続されている第二部品3をさらに備える。この目的のために、第一部品2及び第二部品3は、それぞれの接触面4、5を有する。
【0096】
図1に関して記載されたように、ナノワイヤ1は、異なる材料から形成される。
【0097】
接続要素6は、フィルム状の構成である。接続要素6の厚さは、最大でも5mmである。接続要素6の厚さは、図2における接続要素6の鉛直方向の範囲として特定することができる。
【0098】
図3は、図2の装置9の接続要素6の第一実施形態を示す。第一接続面7は、第一接続面7上のナノワイヤ1の材料に対応する第一材料12から形成される。第二接続面8は、第二接続面8上のナノワイヤ1の材料に対応する第二材料13から形成される。接続要素6は第三材料14から形成され、第一接続面7の領域において第一材料12により覆われ、且つ、第二接続面8の領域において第二材料13により覆われる。
【0099】
図4は、図2の装置9の接続要素6の第二実施形態を示す。この場合には、接続要素6は第一材料12から形成され、第二接続面8の領域において第二材料13により覆われる。第一接続面7は、被覆によってではなく、図4の下部にある第一材料12の側面により構成されている。
【符号の説明】
【0100】
1 ナノワイヤ
2 第一部品
3 第二部品
4 第一部品の接触面
5 第二部品の接触面
6 接続要素
7 第一接続面
8 第二接続面
9 装置
10 第一側
11 第二側
12 第一材料
13 第二材料
14 第三材料
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】