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特表2023-522609包丁を受け入れるように適合された研ぎ鞘、および、そのような鞘と包丁の組合せ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-31
(54)【発明の名称】包丁を受け入れるように適合された研ぎ鞘、および、そのような鞘と包丁の組合せ
(51)【国際特許分類】
   B24B 3/36 20060101AFI20230524BHJP
   B26B 29/02 20060101ALI20230524BHJP
   B26B 3/00 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
B24B3/36 N
B26B29/02
B26B3/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562415
(86)(22)【出願日】2021-03-05
(85)【翻訳文提出日】2022-11-17
(86)【国際出願番号】 EP2021055682
(87)【国際公開番号】W WO2021209195
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】2003709
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステファン プリション
【テーマコード(参考)】
3C061
3C158
【Fターム(参考)】
3C061BC01
3C061CC08
3C061CC10
3C061DD11
3C061EE13
3C158AA02
3C158AA18
3C158CA01
3C158DB01
3C158DB08
(57)【要約】
研がれるか、または、収納される包丁(2)を受け入れるように設計された研ぎ鞘(1)であって、研ぎ鞘(1)は、刃(20)を受け入れるための空洞(40)と、空洞(40)の一端部のアクセス開口(10)とを含み、鞘(1)は、好ましくは、アクセス開口(10)の近傍に、刃(20)の峰を案内するための装置(54)を備えた上部と、刃(20)を鞘(1)に挿入するとき、または、刃(20)を鞘(1)から取り出すときに、刃(20)の切り刃が当てられることを意図された研ぎ装置(6)を備えた下部とを含み、研ぎ装置(6)は、スタンド(3)に回転可能に取り付けられた第1の長手方向端部を含むアーム(7)によって支持され、アームは、復帰手段(8)によって、案内装置(54)の方向に復帰させられ、研ぎ装置(6)は、アーム(7)の第2の長手方向端部に回転可能に取り付けられることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研がれるか、または、収納される包丁(2)を受け入れるように設計された研ぎ鞘(1)であって、前記研ぎ鞘(1)は、刃(20)を受け入れるための空洞(40)と、前記空洞(40)の一端のアクセス開口(10)とを含み、前記鞘(1)は、好ましくは、前記アクセス開口(10)の近辺に、前記刃(20)の峰の案内装置(54)を含む上部と、前記刃(20)を前記鞘(1)に挿入するとき、または、そこから取り出すときに、前記刃(20)の切り刃が当てられることを意図されたた研ぎ装置(6)を含む下部とを含み、前記研ぎ装置(6)は、スタンド(3)に回転可能に取り付けられた第1の長手方向端部を含むアーム(7)によって支持され、前記アームは、復帰手段(8)によって、前記案内装置(54)の方向に復帰させられ、前記研ぎ装置(6)は、前記アーム(7)の第2の長手方向端部に回転可能に取り付けられ、前記アーム(7)の前記第2の長手方向端部から吊り下げられることを特徴とする鞘(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の鞘(1)であって、前記第1の長手方向端部は、第1の軸(71)の周りに枢動するように前記スタンド(3)に取り付けられ、前記研ぎ装置(6)は、第2の軸(72)の周りに枢動するように前記アーム(7)に取り付けられ、前記第1および第2の軸(71、72)は、互いに平行であることを特徴とする鞘(1)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の鞘(1)であって、前記研ぎ装置は、V字形に配置された、2つの研ぎ部材(60)を含むことを特徴とする鞘(1)。
【請求項4】
請求項3に記載の鞘(1)であって、前記2つの研ぎ部材(60)は、互いに平行で、前記鞘(1)の長手方向軸に垂直な、2つのオフセットされた面に配置されることを特徴とする鞘(1)。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の鞘(1)であって、前記案内装置は、V字形の溝(54)を含むことを特徴とする鞘(1)。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の鞘(1)であって、前記復帰手段は、前記アーム(7)と前記スタンド(3)の間に配置された、有利には、螺旋状の、復帰ばね(8)を含むことを特徴とする鞘(1)。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の鞘(1)であって、前記研ぎ装置は、前記アクセス開口(10)に隣接して配置されることを特徴とする鞘(1)。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の鞘(1)であって、前記スタンド(3)に取り外し可能に取り付けられたスリーブ(4)を含むことを特徴とする鞘(1)。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の鞘(1)であって、前記研ぎ装置(6)の重心が、前記アーム(7)の第2の軸の下方、かつ、前記アーム(7)の前記第2の長手方向端部の下方に位置づけられることを特徴とする鞘(1)。
【請求項10】
研ぎ鞘(1)と、前記鞘(1)の中で研がれるか、または、収納されることを意図された、包丁(2)との組み合わせであって、前記鞘(1)は、請求項1乃至9のいずれか一項に記載された鞘(1)であることを特徴とする組み合わせ。
【請求項11】
請求項10に記載の組み合わせであって、前記鞘(1)は、包丁(2)が、前記刃(20)が前記鞘(1)に挿入される、収納位置を占めるとき、前記鞘(1)内で前記包丁(2)を長手方向に固定化するために、前記刃(20)の前記峰に設けられた安全ノッチ(22)と協働する、固定要素(55)を含むことを特徴とする組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刃物研ぎ器の分野に関し、特に、研ぎ器を組み込んだ、鋏および包丁の刃のための鞘に関する。
【背景技術】
【0002】
包丁を研ぐための様々な手動式システムが存在する。最初の包丁研ぎ器は、使用者が、刃を研ぐのに一定の熟練と手先の器用さを有することを必要とし、研ぎ角の知識を必要とする、単純な石または鋼であった。
【0003】
より精密な研ぎを可能にしながら、より単純であり、初心者によって使うのが容易であるように設計された、より複雑な包丁研ぎ器が存在する。
【0004】
例えば、特許文献1は、研ぎ操作を単純化することを可能にする、包丁と関連する研ぎ鞘を記載する。
【0005】
しかしながら、そのような装置は、全く異なる刃の高さを備えた包丁には不適であるという欠点を有する。特に、そのような装置は、高度に湾曲した刃の輪郭を備えた包丁、および/または、刃の一端から他端まで大きく変化する刃の高さを備えた包丁の最適な研ぎを可能にしない。実際、包丁の刃は、刃の切り刃の概ね全てにおいて、又は、少なくとも一部において、曲線状の輪郭を有し得る。したがって、曲線状または曲面状の形状を研ぐことは、困難であり、挑戦的である。既存の研ぎ器は、切り刃の一部を研ぐだけであり、刃を研ぎ器との接触に保つために、使用者が、適切な曲線運動を与えない限り、刃の輪郭の最も曲がった部分には及ばない。
【0006】
さらに、これらの従来の装置での研ぎは、ただ部分的にすぎず、また、あまり精度がよくなく、切っ先とあごの間での包丁の切れ味に差をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2576537号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、この欠点を改善することを意図される。
【0009】
本発明の背後にある技術的課題は、包丁の曲線および/または刃の高さに関係なく、包丁の良好な研ぎ品質を保証する、研ぎ鞘を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このために、本発明は、研がれるべき、または、収納されるべき包丁を受け入れるように設計された研ぎ鞘であって、研ぎ鞘は、刃を受け入れるための空洞と、空洞の一端のアクセス開口とを含み、鞘は、好ましくは、アクセス開口の近傍に、刃の峰を案内するための装置を備えた上部と、鞘内に刃を挿入するか、鞘から刃を取り出すときに、それに刃の切り刃が当てられることを意図された研ぎ装置を含む下部とを含み、研ぎ装置は、スタンドに回転可能に取り付けられた第1の長手方向端部を含むアームによって支持され、アームは、復帰手段によって案内装置の方向に復帰させられ、研ぎ装置は、アームの第2の長手方向端部に回転可能に取り付けられ、アームの第2の長手方向端部から吊り下げられることを特徴とする、研ぎ鞘を提供することを目的とする。
【0011】
そのような研ぎ鞘は、アーム自体がスタンドに回転可能に取り付けられた、アームに回転可能に取り付けられた研ぎ装置を有するという利点を有する。スタンドに対するアームの枢動運動は、研ぎ装置が、鞘内で垂直方向に移動し、異なる刃の高さに対応することを可能にする。アームの端部における研ぎ装置の可動性は、研ぎ装置が、枢動して刃の曲線に沿うことを可能にし、その結果、研ぎ装置は、刃の切り刃に対して、常に同じ迎え角に位置づけられ、その結果、刃は、刃の曲線に関係なく、最適に研がれる。
【0012】
有利には、本発明による研ぎ鞘は、使用者が、刃に入力方向を与えたことと無関係に、直線または曲線にかかわらず、その切り刃の全長に沿って、包丁の刃を研ぐことが可能である。
【0013】
有利には、本発明による研ぎ鞘は、複数の包丁サイズ、および、したがって、複数の刃の輪郭(例えば、マチェーテやメスのようなS字型刃)を、使用者の力や技能に依存することなく、効率的に研ぐことが可能である。
【0014】
本装置は、また、単独で、または、組み合わせて採用される、以下の態様のうちの1つまたは複数を有し得る。
【0015】
本発明の有利な態様によれば、第1の長手方向端部は、第1の軸の周りに枢動するようにスタンドに取り付けられ、研ぎ装置は、第2の軸の周りに枢動するようにアームに取り付けられ、第1および第2の軸は、互いに平行である。
【0016】
本発明の有利な態様によれば、これらの第1および第2の軸は、鞘の長手方向軸に対して垂直である。
【0017】
この構造は、作製するのが簡単で経済的であるという利点と、研ぎ装置の確実な取り付けと、刃の切り刃に沿った実質的な変位の両方を可能にするという利点を提供する。
【0018】
本発明の有利な態様によれば、研ぎ装置は、アームの第2の長手方向端部において吊り下げられ、有利には、その回転軸によって吊り下げられる。換言すれば、研ぎ装置は、アームの第2の長手方向端部において、その回転軸によって吊り下げられる。この有利な配置は、研ぎ装置に、振り子様の運動または揺動運動を与える。結果である振り子様の揺動は、研ぎ装置が、すべての刃の曲線に適応することを可能にする。
【0019】
本発明の有利な態様によれば、研ぎ装置の重心は、アームの第2の軸の下方、および、アームの第2の長手方向端部の下方に配置される。この態様は、刃の先端から、連続的に、切り刃の全長に沿って、研ぐことを可能にする。実際、研ぎ装置は、包丁が鞘に挿入され、または、鞘から取り出されるとき、刃の全体の動きに対して、刃の切り刃に接触したままである。
【0020】
本発明の有利な態様によれば、研ぎ装置は、「V」字形に配置された2つの研ぎ部材を含む。
【0021】
この態様は、刃の両側における、バランスのよい研ぎを可能にする。
【0022】
本発明の有利な態様によれば、アームの第2の長手方向端部の第2の軸は、2つのV字形状の研ぎ部材の上方に配置される。
【0023】
本発明の有利な態様によれば、2つの研ぎ部材は、互いに平行で、鞘の長手方向軸に垂直な、2つのオフセットされた面内に配置される。
【0024】
この配置は、研ぎ装置の幅を低減することを可能にする。
【0025】
本発明の有利な態様によれば、案内装置は、V字形の溝を含む。
【0026】
本発明の有利な態様によれば、案内装置のV字形の溝は、2つのV字形の研ぎ部材に対向して位置づけられ、V字形の研ぎ部材とV字形の溝の組み合わせは、包丁が鞘に置かれるときに、刃の端部が挿入される菱形の開口を画定する。
【0027】
この態様は、刃が、2つの研ぎ部材に正しく案内され、心出しされることを確実にする。有利なことに、この向かい合う特徴は、研ぎ角度が、研ぎ工程を通して、言い換えれば、刃が、研ぎ部材に擦れている間、対称的で一定のままであることを可能にする。
【0028】
本発明の有利な態様によれば、復帰手段は、アームとスタンドとの間に配置された、有利には螺旋状の復帰ばねを含む。
【0029】
この構造は、実現することが簡単で経済的であるという利点を有する。
【0030】
本発明の別の有利な態様によれば、アームは、復帰ばねが完全に伸長させられる上方位置と、復帰ばねが完全に収縮させられる下方位置との間で、枢動可能に、スタンドに取り付けられる。
【0031】
本発明の別の有利な態様によれば、復帰ばねによってアームに印加される跳ね返り力は、下から上に起こる。
【0032】
この構造は、有利には、研ぎ装置が、刃の切り刃に向かって恒久的に押圧されることを可能にする。研ぎ部材は、常に切り刃に正しい研ぎ角度で密着し、刃の全ての移動でもって、刃を研ぐ。
【0033】
本発明の有利な態様によれば、研ぎ装置は、アクセス開口に隣接して配置される。したがって、研ぎ装置は、鞘の刃の入り口を形成する。
【0034】
この態様は、刃が、鞘内に挿入される全長に沿って、実質的に研がれることを可能にする。
【0035】
本発明の有利な態様によれば、鞘は、スタンドに取り外し可能に取り付けられたスリーブを含む。
【0036】
この態様は、鞘の内部を洗浄することをより容易にする。
【0037】
本発明は、また、上述された研ぎ鞘と、この鞘内で、研がれるか、または、収納されることを意図された包丁との組合せに関する。
【0038】
そのような態様は、包丁が、収納されることを可能にする。有利には、刃をその鞘に単に挿入するか、または、そこから刃を取り出すことは、刃の角度を調整、または、方向づけることを必要とせず、包丁の刃を研ぐことを可能にする。
【0039】
本発明の有利な態様によれば、鞘は、包丁が、刃が鞘内に挿入される収納位置を占めるとき、鞘内の包丁を長手方向に固定化するために、刃の峰に設けられた安全ノッチと協働する固定要素を含む。
【0040】
有利には、本発明は、使用者が、何らの研ぎ技術を有することなく、包丁のその全長に沿って、包丁の刃の切り刃の正確な研ぎを達成することを可能にする。したがって、研ぎ鞘は、研ぎに慣れていない人によって、使用され得る。
【0041】
非限定的な例として提示された本発明の特定の実施形態の、以下に与えられる説明による、この発明の目的、態様、および、利点は、添付図面を参照することによって、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明の特定の実施形態による、包丁が鞘の外側に示される、鞘および包丁の透視図である。
図2図1における鞘の分解透視図である。
図3】鞘が、鞘機構への視覚的アクセスを提供するために、その外側スリーブを欠いて示される、包丁が鞘に挿入された状態の図1の鞘の透視図である。
図4図3に示された位置における、鞘および包丁の長手方向断面図である。
図5】取り外し可能な鞘スリーブの底面図である。
図6】包丁を欠いた、図1の鞘の別の透視図である。
図7図4の線VII-VIIに沿った断面図である。
図8】鞘を備える研ぎ装置の分解透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明を理解するために必要とされる要素のみが描かれている。図面の解釈を容易にするために、すべての図にわたって、同じ要素は、同じ参照を付される。
【0044】
本書において、「水平」、「垂直」、「下方」、「上方」、「上」、「下」、「前」、「後」、「長手方向」、「横方向」という用語は、研ぎ装置が、その基部上に平らに着座しているときに、使用中の研ぎ装置を説明するために用いられることが留意されるであろう。
【0045】
図1図3および図4は、研ぎ鞘1と、鞘1に収納されることを意図された刃20を含む包丁2とを示し、包丁2は、典型的には、刃20が鞘1に収納されたときに、鞘1から突出する柄21を含む。
【0046】
図2に示されるように、鞘1は、互いに取り付けられ、有利には、プラスチック製である、スタンド3およびスリーブ4を含む。スタンド3およびスリーブ4は、収納のために、包丁2の刃20を受け入れることを意図された、空洞40を画定する細長い形状を有し、鞘1は、それを通って、包丁2の刃20が空洞40に挿入され得る、アクセス開口10を備える、後端部を有する。アクセス開口10の上流に、スリーブ4は、アクセス開口10の方向に収束する壁を有し、包丁2の刃20の先端が、アクセス開口10に向かって案内され得る、案内スカート41を有する。
【0047】
スタンド3は、支持体上に平らに置かれることを意図された下面を含む、基部30を含み、基部30の下面に対して、約65°の角度で、基部30から上方に延びるグリッド31によって形成された前端部を含み、グリッド31は、鞘1の前端部を閉鎖し、有利には、基部30と共に成型によって実現される。
【0048】
スリーブ4は、有利には、スタンド3に取り外し可能に取り付けられ、図5に見られ得る、逆U字形の断面を有し、その端部の各々に、スタンド3の基部30の各側部に長手方向に配置された、案内溝32に嵌合する隆起42を含む。
【0049】
図3および図4に示されるように、鞘1は、刃20の峰とも称される、包丁2の刃20の上部のための案内装置を含み、スリーブ4の頂部を画定するスリーブ4の湾曲部において、スリーブ4の内部に取り付けられた案内片5を含み、案内片5は、鞘1の開放端部から、スリーブ4の前端部を画定するグリッド31まで、鞘1の長手方向軸に延在する。
【0050】
優先的には、案内片5は、その前端部の近傍に開口51を含み、その中に、図2および図4に見られるように、スリーブ4に取り付けられたフック45が掛かり、案内片5の前端部は、スリーブ4の前端部に設けられた適切な凹部44に嵌合する、上方に突出するヘッド52を含む。
【0051】
フック45を開口51に挿入し、ヘッド52を凹部44に嵌合することは、案内片5の前端部が、スリーブ4の前端部に着脱可能に取り付けられることを可能にする。
【0052】
案内片5は、有利には、クリップ止めによって、スリーブ4の後端部に取り付けられ、案内片5の後端部は、鞘1のアクセス開口10の両縁部から突出した2つの固定クリップ43の間に、弾性的にスナップインする、心出しリング50を含む。
【0053】
図2に見られ得るように、案内片5のヘッド52は、スリーブ4がスタンド3上に置かれたときに、グリッド31の上端部に配置されたノッチ33に、長手方向に嵌合し、ヘッド52は、その中に、ノッチ33の基部に配置された固定タブ34が、弾性的にスナップする、溝53を含む、下面を含み、スリーブ4が、スタンド3上の所定の位置に保持されることを可能にする。
【0054】
図5及び図6に示されるように、心出しリング50は、刃20が鞘1に挿入されるとき、スリーブ4に対して刃20の峰を心出しするために、逆V字形の溝54を含む。
【0055】
鞘1は、心出しリング50に対向して、有利には、スタンド3に枢動可能に取り付けられたアーム7によって担持される、研ぎ装置6を含み、研ぎ装置6は、アーム7に作用する復帰ばね8によって、心出しリング50の方向に復帰させられる。優先的には、アーム7は、復帰ばね8が完全に伸長させられる上方位置と、復帰ばね8が完全に収縮させられる下方位置との間で、刃20の面内で移動させられ得る。
【0056】
図2および図3に示されるように、アーム7は、スタンド3の長手方向に対して垂直に延びる第1の軸71によって、スタンド3の前端部の近傍に枢動可能に取り付けられた、第1の、または、「前」端部を含む。図に示された特定の実施形態では、第1の軸71は、アーム7の前端部の両側に垂直に延びる、2つの側方隔壁35によって支持され、これらの側方隔壁35は、基部30とグリッド31との間の接続部の剛性に寄与する。
【0057】
アーム7は、研ぎ装置6が、そこで、第1の軸71と平行に延びる第2の軸72の周りに、優先的には枢動可能に取り付けられる、第2の、または、「後」端部を含み、装置は、少なくとも15°、優先的には、約30°の角度範囲にわたって、アーム7に対して枢動可能である。
【0058】
図に示される実施例では、アーム7は、アーム7の後方に向かって突出し、それらの間に研ぎ装置6が配置される、2つの側方ラグ73を含み、第2の軸72は、有利には、研ぎ装置6から側方に突出し、側方ラグ73に設けられた円形の開口に嵌合する、円形断面を有する円柱ピンによって形成される。軸72を形成する、研ぎ装置6の円柱ピンは、研ぎ装置6の上部に配置される。
【0059】
図8に、より正確に見られ得るように、研ぎ装置6は、鞘1の長手方向軸に垂直な投影面において、すなわち、研ぎ装置6が、鞘1のアクセス開口10に、刃20が挿入される方向に沿って見られるとき、V字を形成するように配置された2つの研ぎ部材60を担持する、U字形本体を含み、2つの研ぎ部材60は、鞘1の長手方向軸上に千鳥状に配置され、それぞれが、長手方向軸に垂直な面内に延びる。
【0060】
有利にはセラミック材料製の2つのシリンダから成る、2つの研ぎ部材60は、2つの研ぎ部材60を、V字配置に保持するように配置された、2つのハウジング61内に位置決めされ、装置6は、2つのU字形脚部の間に配置されたスロット63を含み、2つの研ぎ部材60の間の空間へのアクセスを可能にする。2つの研ぎ部材60は、研ぎ部材60の端部に対する、図には見ることができない研ぎ装置6の本体の一部の圧力により、そのハウジング61の内部に、摩擦によって固定化される。したがって、研ぎ部材60は、刃20が鞘1に挿入され、または、鞘1から取り出される際に、刃20の摩擦を受けるとき、それらのハウジング61内で回転しないか、または、わずかにしか回転しない。
【0061】
図に示される特定の例示的な実施形態では、復帰ばね8は、アーム7の後端部の近傍で、スタンド3とアーム7の下面との間に配置されたコイルばねである。復帰ばね8が、アーム7とスタンド3との間に保持されることを確実にするために、スタンド3は、復帰ばね8の下端を保持するためのカップ36を含み、アーム7の下面は、復帰ばね8の上端を保持するためのカップ74を含み、アーム7がスタンド3に向かって移動させられると、カップ74は、カップ36に面する。
【0062】
有利には、包丁2の刃20の峰は、優先的には、包丁2の柄21の近傍に配置された、安全ノッチ22を含み、図3および図4に示されるように、刃20全体が鞘1を通して挿入されると、安全ノッチ22に、溝54の底部によって構成される固定要素55が、カチッと入る。固定要素55の安全ノッチ22への挿入は、復帰ばね8のアーム7への押圧力の作用により、包丁2が、収納位置で、鞘1の長手方向に固定化されることを可能にする。
【0063】
次に、研ぎ鞘1の操作が説明されるであろう。
【0064】
使用者は、包丁2の刃20を、鞘1に戻したいとき、あるいは、刃20を研ぎたいとき、彼または彼女は、包丁2の先端を、図6に見られる、溝54と2つの研ぎ部材60とによって形成された菱形の開口の前に持ってきて、その後、包丁2の刃20を、鞘1の中に、長手方向の動きで挿入する。この動きの間、刃20の峰は、V字形の溝54の底部に心出しされ、一方、刃20の切り刃は、2つの研ぎ部材60によって形成される「V」字によって、心出しされる。
【0065】
この刃20の切り刃と刃20の峰の二重の位置決めは、使用者にとって、刃20を手動で方向づける必要がなく、鞘1内の刃20の経路全体に対して、対称的で一定のままである研ぎ角度を得ることを可能にする。これは、刃先の両側で対称的な研ぎと均等な研ぎ角を確実にし、刃20の均一かつ心出しされた摩耗をもたらす。
【0066】
さらに、刃20が、鞘1に挿入されるか、または、鞘1から取り出される際、アーム7の揺動運動は、研ぎ装置6が刃20の切り刃の輪郭に追従することを可能にし、刃20の先端が鞘1のアクセス開口10に挿入されるとき、研ぎ装置6は、復帰ばね8の作用の下で、刃20の切り刃に適度な圧力を印加し、包丁2が鞘1に挿入されて、刃20の高さが増すに従って、増加した圧力を印加する。刃20の切り刃と研ぎ部材60との間の高い摩擦は、刃20が鋭くなることをもたらす。さらに、刃20が鞘1に挿入され、または、刃20が、鞘1から取り出されるとき、案内片5は、スリーブ4内に、静止し、および、固定されたままである一方で、アーム7は回転運動を実行し、研ぎ装置6は、鉛直方向の運動を実行する。
【0067】
最後に、研ぎ部材は、刃20の挿入方向において、1つが他の後ろに配置されるので、アーム7の第2の端部に対する、研ぎ装置6の可能な振動は、研ぎ部材60が刃20と永続的に接触したままであり、刃に対する正しい角度を維持し続けることを可能にし、したがって、刃20の研ぎを最適化する。
【0068】
包丁2の刃20が、鞘1に完全に挿入されると、心出しリング50の固定要素55は、復帰ばね8の作用下で、刃20の峰の安全ノッチ22に挿入される。これにより、包丁2は、鞘1にしっかりと保持される。鞘1から包丁2を取り外すために、使用者は、まず、包丁2の柄21に下向きの圧力を印加して、固定要素55を安全ノッチ22から引き出し、次に、包丁2の柄21を引っ張って刃20を取り外す必要がある。この操作は、例えば、鞘1が、輸送のために取り扱われる際に、包丁2が不用意に脱落することを防止する。
【0069】
さらに、このように実現された鞘1は、また、鞘1の内部の容易な洗浄を可能にするという利点を有する。実際、使用者は、包丁2を取り除いた後、スタンド3を片手で持ち、次に、溝53が、グリッド31の頂部に配置される固定タブ34から、ヘッド52の弾性変形によって引き離されるように、スリーブ4に牽引力を印加することによって、スタンド3からスリーブ4を容易に取り外し得る。その後、スリーブ4は、スタンド3上でスライドさせられ得、スタンド3の各案内溝32は、スリーブ4の隆起42の取り外しのために、アクセス開口10の端部に、開放した長手方向端を有する。鞘1の内部が洗浄された後、上述した操作を逆の順序で行うことにより、スリーブ4は、スタンド3上に再び組み立てられ得る。
【0070】
もちろん、この実施形態は、例として提供されたに過ぎないので、本発明は、説明され図示された実施形態に決して限定されない。特に、本発明の保護範囲から逸脱することなく、様々な部材の構成に関して、または、技術的な等価物を代用することによって、なお、変更がなされ得る。
【0071】
したがって、示されない代替の実施形態では、スリーブは、スタンドから取り外し可能でなくてもよく、スタンドと鞘スリーブは、例えば、一体的に作製され得る。
図1
図2
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図7
図8
【国際調査報告】