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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-31
(54)【発明の名称】鞘と包丁の組合せ
(51)【国際特許分類】
   B26B 29/02 20060101AFI20230524BHJP
   B26B 3/00 20060101ALI20230524BHJP
   B24B 3/36 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
B26B29/02
B26B3/00 C
B24B3/36 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562416
(86)(22)【出願日】2021-03-05
(85)【翻訳文提出日】2022-11-17
(86)【国際出願番号】 EP2021055687
(87)【国際公開番号】W WO2021209196
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】2003710
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステファン プリション
(72)【発明者】
【氏名】ステファン スーシェ
【テーマコード(参考)】
3C061
3C158
【Fターム(参考)】
3C061BC01
3C061CC08
3C061CC10
3C061DD11
3C061EE13
3C158AA02
3C158AA18
3C158CA01
3C158DB01
3C158DB08
(57)【要約】
研ぎ鞘(1)と、鞘(1)に収納されることを意図された刃(20)を含む包丁(2)との組み合わせであって、鞘(1)は、刃(20)を受け入れることを意図された空洞(40)と、空洞(40)の端部の一つにおける、アクセス開口(10)とを含み、鞘(1)は、その下部に、刃(20)の切り刃を受け入れるための装置を含み、鞘(1)は、その上部に、包丁(2)を鞘(1)内で長手方向に固定化するために、刃(20)の峰に設けられた安全要素(22)と協働する、固定要素(55)を含み、刃(20)の切り刃を受け入れるための装置は、鞘(1)内に回転可能に取り付けられたアーム(7)に担持され、鞘(1)は、アーム(7)に作用して、刃(20)の切り刃を受け入れる装置を、固定要素(55)の方へ移動させる付勢手段(8)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞘(1)と、前記鞘(1)に収納されることを意図された刃(20)を含む包丁(2)との組み合わせであって、前記鞘(1)は、前記刃(20)を受け入れることを意図された空洞(40)と、前記空洞(40)の端部の1つにおけるアクセス開口(10)を含み、前記鞘(1)は、その下部に、前記刃(20)の切り刃の受け入れ装置を含み、前記鞘(1)は、その上部に、前記包丁(2)を前記鞘(1)内で長手方向に固定化するために、前記刃(20)の峰に形成された安全要素(22)と協働する固定要素(55)を含み、前記刃(20)の前記切り刃の受け入れ装置は、前記鞘(1)内に回転可能に取り付けられたアーム(7)により担持され、前記鞘(1)は、前記刃(20)の前記切り刃の受け入れ装置を、前記固定要素(55)側に移動させるために、前記アーム(7)に作用する付勢手段(8)を含むことを特徴とする組み合わせ。
【請求項2】
請求項1に記載の組み合わせであって、前記固定要素(55)と前記安全要素(22)は、前記固定要素(55)が前記安全要素(22)に係合され、前記刃(20)の全体が前記鞘(1)に挿入される収納位置で、前記固定要素(55)が前記包丁(2)を固定化するように配置されることを特徴とする組み合わせ。
【請求項3】
請求項2に記載の組み合わせであって、前記安全要素(22)は、くぼみ(22)からなることを特徴とする組み合わせ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の組み合わせであって、前記鞘は、有利には、前記アクセス開口(10)の近傍に配置された、前記刃(20)の前記峰の案内装置(54)を含むことを特徴とする組み合わせ。
【請求項5】
請求項4に記載の組み合わせであって、前記案内装置は、前記刃(20)の前記峰を受け入れるためのノッチ(54)を含み、前記固定要素(55)は、前記ノッチ(54)の底部からなることを特徴とする組み合わせ。
【請求項6】
請求項5に記載の組み合わせであって、前記刃(20)の前記峰を受け入れるための前記ノッチ(54)は、V字形状であることを特徴とする組み合わせ。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の組み合わせであって、前記刃(20)の前記切り刃を受け入れるための装置は、研ぎ装置(6)からなることを特徴とする組み合わせ。
【請求項8】
請求項7に記載の組み合わせであって、前記研ぎ装置(6)は、前記アーム(7)に、回転可能に取り付けられることを特徴とする組み合わせ。
【請求項9】
請求項7または8に記載の組み合わせであって、前記研ぎ装置(6)は、V字に配置された、2つの研ぎ部材(60)を含むことを特徴とする組み合わせ。
【請求項10】
請求項9に記載の組み合わせであって、前記2つの研ぎ部材(60)は、互いに平行で、前記鞘(1)の長手方向軸に垂直な、2つのオフセットされた面に配置されることを特徴とする組み合わせ。
【請求項11】
請求項7ないし10のいずれか一項に記載の組み合わせであって、前記研ぎ装置(6)は、前記アクセス開口(10)に近接して配置されることを特徴とする組み合わせ。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか一項に記載の組み合わせであって、前記付勢手段は、前記アーム(7)と、前記鞘の架台(3)との間に介在された、復帰ばね(8)、有利には、コイルばねを含むことを特徴とする組み合わせ。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか一項に記載の組み合わせであって、前記鞘(1)は、架台(3)と、前記架台(3)に取り外し可能に取り付けられた、外殻とを含むことを特徴とする組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞘と、鞘に収納されることを意図された刃を含む包丁との組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
包丁が不意に落とされるのを防ぐために、包丁を鞘内に固定化することを可能にする、安全装置を備えた、研ぎ鞘と包丁の組合せが、特許文献1で知られている。
【0003】
しかし、そのような装置は、使用者が、包丁を固定解除するために、両手を使用する必要があるので、あまり人間工学的でない安全装置を含むという欠点を有する。実際、安全ロックは、包丁の最も壊れやすい部位、つまり、包丁を弱める刃の切り刃に配置される。これに加え、切り刃は、包丁の重要な部分であるため、部位の最も弱い部分での安全ロックは、工業レベルで難しく、したがって工場での生産がより困難であるという事実が存在する。さらに、これは、安全ロックが、その研ぎの間、刃の動きを妨げ得るため、研ぎを妨害し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2715340号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、この欠点を改善することを意図される。
【0006】
本発明が基礎づけられる技術的課題は、鞘が安全装置を備え、包丁の固定化を確実にし、使用するために人間工学的である、鞘と包丁の組み合わせを提案することにある。本発明の他の目的は、製造が簡単で人間工学的である、鞘と包丁の組み合わせを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明の対象は、鞘と、鞘に収納されることを意図された刃を含む包丁との組み合わせであり、鞘は、刃を受け入れることを意図された空洞と、空洞の端部の1つにおけるアクセス開口とを含み、鞘は、その下部に、刃の切り刃を受け入れるための装置を含み、鞘は、その上部に、刃の峰に形成された安全要素と協働して、包丁を鞘内で長手方向に固定化する、固定要素を含み、刃の切り刃を受け入れる装置は、鞘内に回転可能に取り付けられたアームによって担持され、鞘は、刃の切り刃を受け入れる装置を、固定要素の方に移動させるために、アームに作用する付勢手段を含む。
【0008】
そのような固定装置は、鞘内の包丁の固定化を確実にし、特に、鞘の輸送中に、刃が、誤って落とされることを防止するという利点を有する。
【0009】
さらに、そのような固定装置は、使用の良好な人間工学を実現するという利点を有し、包丁の固定は、包丁の鞘への挿入中に、安全要素が固定要素の高さに到達したときに、付勢手段によって印加される押圧力の作用下で、自動的に生成される。包丁の固定解除は、また、包丁の柄に下向きの圧力を印加して固定要素を刃の峰の安全要素から外し、次に、刃の峰に引っ張り力を印加することによって、非常に人間工学的に実行される。
【0010】
本発明の別の利点は、固定装置は、本発明による組合せの取り扱い中に、包丁を鞘内に安全に維持することを可能にすることであり、したがって、包丁の柄によって組合せを把持する使用者は、包丁から分離される鞘を有さないであろうし、逆もまた然りである。
【0011】
本発明の別の利点は、包丁の固定機構が、機構を係合させるためであろうと、機構を解除するためであろうと、包丁の非切り刃側に置かれた使用者の手で操作されることである。使用者の手は、有利には、切り刃の反対側に配置され、支持部は、非切断側に設けられる。安全を解除するために、手は包丁の柄の下、包丁の刃側に置かれねばならず、怪我をする危険性を伴う、公知の安全システムとは逆である。
【0012】
本器具は、また、単独でまたは組み合わせて採用される、以下の態様のうちの1つまたは複数を有し得る。
【0013】
本発明の1つの有利な態様によれば、固定要素および安全くぼみは、固定要素が安全要素に係合し、刃全体が鞘に挿入される収納位置において、包丁を固定化するように配置される。
【0014】
そのような態様は、刃が鞘によって隠された、したがって、刃が使用者にアクセスできない位置で、包丁を固定化することによって、使用の大きな安全性を提供するという利点を有する。
【0015】
本発明の有利な態様によれば、安全要素は、くぼみからなる。
【0016】
本発明の有利な態様によれば、鞘は、有利には、アクセス開口の近傍に配置された、刃の峰のための案内装置を含む。
【0017】
そのような態様は、安全要素への固定要素の係合を容易にするために、刃の峰を案内することを可能にする。
【0018】
本発明の有利な態様によれば、案内装置は、刃の峰を受け入れるためのノッチを含み、固定要素は、ノッチの底部によって形成される。
【0019】
そのような態様は、同じ要素で、刃の横方向の案内と、その長手方向の固定とを確実にするという利点を有する。
【0020】
本発明の有利な態様によれば、刃の峰の受け入れノッチは、V字形である。
【0021】
そのような態様は、鞘内への刃の峰の優れた案内を確実にするという利点を有する。
【0022】
本発明の有利な態様によれば、刃の切り刃の受け入れ装置は、研ぎ装置によって形成される。
【0023】
そのような態様は、刃が、鞘へのその挿入、および/または、鞘からのその取り出しの間、自動的に研がれることを可能にする。
【0024】
本発明の有利な態様によれば、研ぎ装置は、アームに回転可能に取り付けられる。
【0025】
アームの端部における研ぎ装置のそのような可動性は、研ぎ装置が、刃の曲率に追従して、刃の切り刃に対して、常に同じ迎え角で位置決めされることを可能にし、その結果、刃の研ぎは、その曲率に関係なく、最適化される。
【0026】
本発明の有利な態様によれば、研ぎ装置は、V字に配置された、2つの研ぎ部材を含む。
【0027】
そのような態様は、刃の両側で、バランスの取れた研ぎを可能にする。
【0028】
本発明の有利な態様によれば、両方の研ぎ部材は、互いに平行で、鞘の長手方向軸に垂直な、2つのオフセットされた面に配置される。
【0029】
そのような配置は、研ぎ装置の幅寸法を低減させることを可能にする。
【0030】
本発明の有利な態様によれば、研ぎ装置は、アクセス開口に近接して配置される。
【0031】
そのような態様は、刃が、鞘内に挿入される、実質的に全長にわたって、研がれることを可能にする。
【0032】
本発明の有利な態様によれば、付勢手段は、アームと鞘の架台との間に介在された、付勢ばね、有利には、コイルばねを含む。
【0033】
そのような構造は、製造するのが簡単で経済的であるという利点を有する。
【0034】
本発明の有利な態様によれば、鞘は、架台と、架台上に取り外し可能に取り付けられた外殻とを含む。
【0035】
そのような態様は、鞘の内部の清掃を簡略化することを可能にする。
【0036】
本発明の有利な態様によれば、アームは、架台に回転可能に取り付けられた、第1の長手方向端部を含む。
【0037】
本発明の有利な態様によれば、研ぎ装置は、アームの第2の長手方向端部に、回転可能に取り付けられる。
【0038】
本発明の有利な態様によれば、第1の長手方向端部は、第1の軸の周りで、架台に回動可能に取り付けられ、研ぎ装置は、第2の軸の周りで、アームに回動可能に取り付けられ、第1および第2の軸は、互いに平行である。
【0039】
非限定的な例として提示された本発明の特定の実施形態の、以下に与えられる説明によれば、本発明の目的、態様、および、利点は、添付された図面を参照することにより、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の特定の実施形態による、包丁が鞘の外側に描かれる、鞘および包丁の透視図である。
図2図1の鞘の遠近法による分解図である。
図3】鞘が、鞘の機構への視覚的アクセスを可能にするために、その外部外殻なしで描かれる、包丁が鞘に挿入された状態の図1の鞘の透視図である。
図4図3に示された位置における、鞘と包丁の長手方向断面図である。
図5】鞘の取り外し可能な外殻の底面図である。
図6】その包丁を除いた、図1の鞘の別の透視図である。
図7図4の線VII-VIIに沿った断面図である。
図8図1の鞘を備える研ぎ装置の遠近法による分解図である。
図9】a)包丁が、鞘に挿入される、b)包丁が、ばねの圧縮で低い位置にある、c)包丁が、部分的に鞘の外にある、3つの位置における、図1の鞘と包丁の長手方向断面図である。
図10】包丁を取り外すために、使用者の手が、本発明による鞘と包丁の上に配置された状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明を理解するために必要な要素のみが描かれている。図面の解釈を容易にするために、すべての図にわたって、同じ要素は、同じ参照を付される。
【0042】
本書において、研ぎ装置を説明するために使用される、「水平」、「垂直」、「下方」、「上方」、「上」、「底」、「前」、「後」、「長手方向」、及び、「横方向」という用語は、装置が、その基部上に平らに載る、使用時のこの装置に言及することが、留意されるであろう。
【0043】
図1図3、および、図4は、研ぎ鞘1と、鞘1に収納されることを意図された刃20を含む包丁2とを示し、包丁2は、慣例的に、刃20が鞘1に収納されたときに、鞘1の外側に突出する柄21を含む。
【0044】
図2によれば、鞘1は、互いに取り付けられた架台3および外殻4を含み、有利には、プラスチック材料から製造される。架台3および外殻4は、その保管のために、包丁2の刃20を受け入れることを意図された空洞40を画定する、細長い形状であり、鞘1は、そこを通って包丁2の刃20が空洞40に挿入され得る、アクセス開口10を備える後端部を有する。アクセス開口10から上流に、外殻4は、アクセス開口10に向かって収束する壁を有し、包丁2の刃20の先端が、アクセス開口10に向かって案内されることを可能にする、案内スカート41を有する。
【0045】
架台3は、支持体上に平らに載ることを意図された下面を含む、基部30を含み、基部30の下面に対して、約65°の角度を形成して、基部30から上方に延びる、グリル31によって形成された前端部を含み、グリル31は鞘1の前端部を閉鎖し、有利には、基部30と共に成型によって得られる。
【0046】
外殻4は、有利には、架台3に取り外し可能に取り付けられ、逆U字型の横断面を有し、その両端部の各々に、図5において見ることができる、リブ42を含み、リブ42は、架台3の基部30の側部の各々に長手方向に形成されたガイド溝32に係合する。
【0047】
図3および図4によれば、外殻4は、刃20の峰とも称される、包丁2の刃20の上方部の案内装置を含み、案内装置は、外殻4の頂部を画定する、その湾曲部において、外殻4の内部に取り付けられた案内部材5を含み、案内部材5は、鞘1の開放端から鞘1の前端を画定するグリル31まで、鞘1の長手方向軸に沿って延びる。
【0048】
好ましくは、案内部材5は、その前端部の近傍に開口51を含み、開口51内には、図2および図4において見ることができるように、外殻4によって担持されるキャッチ45が係合され、案内部材5の前端部は、上方に突出する頭部52を含み、頭部は、外殻4の前端部に形成された適切な凹部44に係合される。
【0049】
開口51へのキャッチ45の挿入と、凹部44への頭部52の係合は、案内部材5の前端部を、外殻4の前端部に、着脱可能に取り付けることを可能にする。
【0050】
案内部材5は、有利には、スナップオン方式で、外殻4の後端部に取り付けられ、案内部材5の後端部は、外殻4のアクセス開口10の縁部に突出する2つの固定クリップ43の間に弾性的に係合する、心出しリング50を含む。
【0051】
図2に見られ得るように、案内部材5の頭部52は、外殻4が架台3上に置かれたときに、グリル31の上端部に形成された凹所33に長手方向に係合され、頭部52は、凹所33の底部に配置された固定キャッチ34が弾性的に係合される、溝53を含む下面を含み、外殻4が、架台3上で、所定の位置に維持されることを可能にする。
【0052】
図5および図6によれば、心出しリング50は、刃20が鞘1に挿入されたときに、外殻4に対する、刃20内の峰の心出しを提供する、逆V字形ノッチ54を含む。
【0053】
鞘1は、心出しリング50に面して、有利には、架台3上に枢動可能に取り付けられたアーム7によって担持された、研ぎ装置6を含み、研ぎ装置6は、アーム7に作用する付勢ばね8によって、心出しリング50に向かって付勢される。優先的には、アーム7は、付勢ばね8が完全に伸長される高い位置と、付勢ばね8が完全に圧縮される低い位置との間で、刃20の面内で移動可能である。
【0054】
図2および図3によれば、アーム7は、架台3の長手方向に対して垂直に延びる、第1の軸71によって、架台3の前端部近傍に枢動可能に取り付けられた、前端部と称される、第1の端部を含む。図に示された特定の実施形態では、第1の軸71は、アーム7の前端部の両側に垂直に延びる、2つの側壁35によって支持され、側壁35は、基部30とグリル31との間の接続部の剛性に寄与する。
【0055】
アーム7は、後端部と称される、第2の端部を含み、そこに、研ぎ装置6が、優先的には、第1の軸71と平行に延びる、第2の軸72の周りに枢動可能に取り付けられ、装置は、少なくとも15°の、好ましくは、約30°の角度範囲にわたって、アーム7に対して枢動可能である。
【0056】
図に示される例では、アーム7は、アーム7の後方に向かって突出し、それらの間に、研ぎ装置6が配置される、2つの側部タブ73を含み、第2の軸72は、有利には、研ぎ装置6において横方向に突出し、側部タブ73に形成された円形の開口に係合する、円形断面の円筒状スタッドによって形成される。
【0057】
図8に、より具体的に見られ得るように、研ぎ装置6は、鞘1の長手方向軸に垂直な投影面において、すなわち、研ぎ装置6が、鞘1のアクセス開口10への刃20の挿入方向において、視認されるときに、V字を形成するように配置された、2つの研ぎ部材60を支持する、U字形本体を含み、2つの研ぎ部材60は、鞘1の長手方向軸上でオフセットされ、それぞれは、長手方向軸に垂直な面に延在する。
【0058】
2つの研ぎ部材60は、有利には、セラミック材料の2つの円柱からなり、2つの研ぎ部材60をV字形に維持するように設計された、2つの受容部61に配置され、装置6は、2つのU字脚部の間に形成されたスロット63を含み、2つの研ぎ部材60の間に配置される空間部へのアクセスを自由にする。2つの研ぎ部材60は、研ぎ部材60の端部に対する、図に示されない研ぎ装置6の本体の一部の支持によって、それらの受容部61の内部に、摩擦によって固定化される。したがって、研ぎ部材60は、それらが、鞘1における、刃20の挿入または引き出しの間に、刃20の摩擦を受けるときは、そのとき、わずかに回転するが、それらの受容部61内で回転しない。
【0059】
図に示された特定の実施形態では、付勢ばね8は、アーム7の後端部の近傍で、架台3とアーム7の下面との間に配置されたコイルばねである。アーム7と架台3との間で、付勢ばね8の保持を確実にするために、架台3は、付勢ばね8の下端を保持するカップ36を含み、アーム7の下面は、付勢ばね8の上端を保持するカップ74を含み、アーム7が架台3に向かって持ってこられたときに、カップ74は、カップ36に面する。
【0060】
有利には、包丁2の刃20の峰は、好ましくは、包丁2の柄21の近傍に配置された、安全くぼみ22を含み、このくぼみには、図3および4に示されるように、刃20の全体が鞘1に挿入されたときに、ノッチ54の底部からなる、固定要素55が係合される。固定要素55の安全くぼみ22への、そのような挿入は、アーム7での付勢ばね8の押し上げ作用の下で、包丁2が、鞘1内の収納位置において、長手方向に固定化されることを可能にする。
【0061】
図9において、包丁は、まず、固定要素55が安全くぼみ22に係合される、固定化位置(第1の位置9a)に描かれる。次に、包丁は、固定要素55が、安全くぼみ22の外側にあり、付勢ばね8が圧縮された、固定解除位置(第2の位置9b)に描かれる。次に、包丁は、最終的に、固定要素55が自由であり、安全くぼみ22が自由である、解放位置(第3の位置9c)に描かれる。
【0062】
次に、研ぎ鞘1の操作が説明されるであろう。
【0063】
使用者は、包丁2の刃20を鞘1に収納したいとき、または、刃20を研ぎたいとき、彼は、包丁2の先を、ノッチ54と2つの研ぎ部材60によって形成された、図6に見ることができる、菱形の開口に面するように移動させて、次に、包丁2の刃20を、鞘1内に、長手方向の移動で挿入する。この移動の間、刃20の峰は、刃20の切り刃が、2つの研ぎ部材60によって形成されるV字によって心出しされるとき、V字形ノッチ54の底部において心出しされる。
【0064】
この刃20の切り刃と刃20の峰の二重の位置決めは、使用者が、刃20を手動で方向付ける必要なく、鞘1内での刃20の移動の全長の間、対称的で一定のままである、研ぎ角度を得ることを可能にする。したがって、研ぎの対称性が保証され、研ぎ角度は、刃端の各側で等しくなり、刃20の均一で心出しされた摩耗を可能にする。
【0065】
さらに、この鞘1への刃20の挿入、または、鞘1からの取り出しの間、アーム7の枢動運動は、研ぎ装置6が刃20の切り刃の輪郭に従うことを可能にし、研ぎ装置6は、付勢ばね8の作用の下で、刃の先端が鞘1のアクセス開口10に挿入されるとき、刃20の切り刃に適度な圧力を印加し、次に、包丁2が鞘1に挿入されるとき、刃20の高さが増すにつれて、ますます大きな圧力を印加する(図9bおよび9cに見ることができる)。刃20の切り刃と研ぎ部材60との間の強い摩擦は、刃20の研ぎをもたらす。
【0066】
最後に、研ぎ部材は、刃20の挿入方向において、1つが他の1つの後方に配置されるので、アーム7の第2の端部に対する研ぎ装置6の可能な振動は、研ぎ部材60が、刃20と常に接触し、刃に対して正しく方向付けられた状態を保つことを可能にし、これは、刃20の研ぎが最適化されることを可能にする。
【0067】
包丁2の刃20が鞘1に完全に挿入されると、心出しリング50の固定要素55が、付勢ばね8の作用下で、刃20の峰に形成された安全くぼみ22の中に挿入される。包丁2は、その後、鞘1内に安全に維持される。包丁2を鞘1から取り出すためは、図10に示されるように、使用者は、まず、包丁2の柄21に下向きの圧力を印加して固定要素55を安全くぼみ22から取り除き、次に、包丁2の柄21に引っ張り力を印加して、刃20を取り出す必要がある。そのような操作は、例えば、鞘1が輸送中に取り扱われるときに起こり得るであろう、包丁2のいかなる偶発的な落下をも回避する。
【0068】
さらに、このように製造された鞘1は、また、鞘1の内部の容易な洗浄を可能にするという利点を有する。実際、使用者は、包丁2を取り除いた後、架台3を片手で持ち、次に、溝53が、グリル31の上部に配置された固定キャッチ34から、頭部52の弾性変形によって外されるように、外殻4に引っ張り力を加えることによって、架台3から外殻4を容易に取り外し得る。その後、彼は、外殻4を架台3上にスライドさせ得、架台3の各ガイド溝32は、アクセス開口10側に、外殻4からのリブ42の引き出しを可能にする開放した長手方向端部を有する。鞘1の内部を清掃した後、彼は、上述した操作を逆の順序で実行することにより、外殻4を架台3に再装着し得る。
【0069】
もちろん、この実施形態は、例として提供されたに過ぎないので、本発明は、決して、説明され図示された実施形態に限定されない。特に、本発明の保護範囲から逸脱することなく、様々な要素の構成に関して、または、技術的な等価物を代用することによって、なお、変更がなされ得る。
【0070】
したがって、図示されない代替的な実施形態では、外殻は、架台から取り外し可能でなくてもよく、架台と鞘の外殻は、例えば1つの部品として製造される。
【0071】
したがって、図示されない代替の実施形態では、安全くぼみは、刃の峰に突出し、鞘の上部に形成された固定くぼみと協働する安全要素によって置き換えられ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】