(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-31
(54)【発明の名称】E型肝炎の治療のためのスピロ環式ヌクレオシド類似体
(51)【国際特許分類】
C07H 19/10 20060101AFI20230524BHJP
A61K 31/7072 20060101ALI20230524BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230524BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
C07H19/10 CSP
A61K31/7072
A61P1/16
A61P31/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562419
(86)(22)【出願日】2021-04-13
(85)【翻訳文提出日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 EP2021059514
(87)【国際公開番号】W WO2021209427
(87)【国際公開日】2021-10-21
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514010601
【氏名又は名称】ヤンセン ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【氏名又は名称】星川 亮
(72)【発明者】
【氏名】ジョンカーズ,ティム ユーゴ マリア
(72)【発明者】
【氏名】パウウェルス,フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】デビング,ヤニック
【テーマコード(参考)】
4C057
4C086
【Fターム(参考)】
4C057CC05
4C057DD01
4C057LL10
4C057LL21
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA17
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA05
4C086NA14
4C086ZA75
4C086ZB33
(57)【要約】
本開示は、スピロ環式ヌクレオシド類似体、これらの化合物を含む組成物、及びE型肝炎感染症を治療するためのそれらの使用を対象とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
E型肝炎感染症の治療を必要とする対象においてその治療に使用するための化合物であって、前記化合物が、式(I)の化合物、
【化1】
又はその薬学的に許容される塩であり、
式中、
塩基は、(b-1)、(b-2)、(b-3)、(b-4)、(b-5)、(b-6)、(b-7)、及び(b-8)からなる群から選択され、
【化2】
Xは、O及びSからなる群から選択され、
R
1は、H、F、及びN
3からなる群から選択され、
R
2は、(f-1)及び(f-2)からなる群から選択され、
【化3】
R
3は、C
1~4アルキルである、化合物。
【請求項2】
塩基が(b-1)である、請求項1に記載の使用のための化合物。
【請求項3】
R
2が(f-1)である、請求項1又は2に記載の使用のための化合物。
【請求項4】
塩基が(b-1)であり、XがSであり、R
2が(f-1)であり、R
3がイソプロピルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項5】
塩基が(b-1)であり、XがOであり、R
2が(f-1)であり、R
3がブチルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項6】
前記化合物が、
【表1】
又はそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1に記載の使用のための化合物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物、及び薬学的に許容されるビヒクルを含む、E型肝炎感染症の治療を必要とする対象においてその治療に使用するための医薬組成物。
【請求項8】
前記E型肝炎感染症が、慢性HEV感染症である、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のための化合物、又は請求項7に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項9】
前記HEV感染症が、遺伝子型1、遺伝子型2、又は遺伝子型3のものである、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のための化合物、又は請求項7に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項10】
前記対象が、妊婦、免疫不全対象、又は免疫欠損対象である、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のための化合物、又は請求項7に記載の使用のための医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
E型肝炎ウイルス(Hepatitis E virus、HEV)は、毎年約2000万人のヒト感染症の原因であり、世界中で急性肝炎及び黄疸の最も一般的な原因であると考えられている。免疫不全患者は、慢性HEV感染症のリスクがある顕著な集団である。急性HEV感染症は自己制限的である傾向があるが、HEV遺伝子型3は、免疫不全患者、特に、臓器移植レシピエントでは持続する可能性があり、慢性肝炎、肝硬変、及び/又は肝不全をもたらす。
【0002】
HEVは、ヘペウイルス科オルトヘペウイルス属に分類されたポジティブセンス一本鎖非エンベロープのRNA正二十面体ウイルスである。HEV遺伝子型1及び2はヒトのみに感染しているが、遺伝子型3及び4はまた、ブタ及び他の種類の動物にも感染する。4つの遺伝子型の各々は、複数のサブタイプに分類される。
【0003】
HEV感染症は、様々な成功を伴うリバビリン(ribavirin、RBV)及びペグ化インターフェロン-αによって治療されている。したがって、HEV感染症のための安全で許容可能で効果的な治療選択肢が依然として必要とされている。
【0004】
概要
E型肝炎(HEV)感染症を改善及び/又は治療する方法、並びにそのような治療における使用のための化合物が本明細書で提供される。
【0005】
一態様では、E型肝炎感染症の治療を必要とする対象においてその治療に使用するための化合物が提供され、化合物は、式(I)の化合物、
【0006】
【化1】
又はその薬学的に許容される塩であり、
式中、
塩基は、(b-1)、(b-2)、(b-3)、(b-4)、(b-5)、(b-6)、(b-7)、及び(b-8)からなる群から選択され、
【0007】
【化2】
Xは、O及びSからなる群から選択され、
R
1は、H、F、及びN
3からなる群から選択され、
R
2は、(f-1)及び(f-2)からなる群から選択され、
【0008】
【0009】
一実施形態において、塩基は、(b-1)である。別の実施形態において、R2は、(f-1)である。更に別の実施形態において、塩基は(b-1)であり、XはSであり、R2は(f-1)であり、R3はイソプロピルである。更に別の実施形態において、塩基は(b-1)であり、XはOであり、R2は(f-1)であり、R3はブチルである。
【0010】
一実施形態において、化合物は、
【0011】
【表1】
又はそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
【0012】
別の態様では、式(I)の化合物、及び薬学的に許容されるビヒクルを含む、E型肝炎感染症の治療を必要とする対象においてその治療に使用するための医薬組成物が本明細書で提供される。
【0013】
一実施形態において、E型肝炎感染症は、慢性HEV感染症である。別の実施形態において、HEV感染症は、遺伝子型1、遺伝子型2、又は遺伝子型3のものである。更に別の実施形態において、対象は、妊婦、免疫不全対象、又は免疫欠損対象である。
【0014】
更に別の態様では、E型肝炎感染症の治療を必要とする対象においてそれを治療する方法であって、治療有効量の式(I)の化合物、
【0015】
【化4】
又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む方法が本明細書で提供され、
式中、
塩基は、(b-1)、(b-2)、(b-3)、(b-4)、(b-5)、(b-6)、(b-7)、及び(b-8)からなる群から選択され、
【0016】
【化5】
Xは、O及びSからなる群から選択され、
R
1は、H、F、及びN
3からなる群から選択され、
R
2は、(f-1)及び(f-2)からなる群から選択され、
【0017】
【0018】
一実施形態において、塩基は、(b-1)である。別の実施形態において、R2は、(f-1)である。更に別の実施形態において、塩基は(b-1)であり、XはSであり、R2は(f-1)であり、R3はイソプロピルである。更に別の実施形態において、塩基は(b-1)であり、XはOであり、R2は(f-1)であり、R3はブチルである。
【0019】
一実施形態において、化合物は、
【0020】
【表2】
又はそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
【0021】
一実施形態において、E型肝炎感染症は、慢性HEV感染症である。別の実施形態において、HEV感染症は、遺伝子型1、遺伝子型2、又は遺伝子型3のものである。更に別の実施形態において、対象は、妊婦、免疫不全対象、又は免疫欠損対象である。
【0022】
詳細な記述
E型肝炎(HEV)感染症を改善及び/又は治療する方法、並びにそのような治療における使用のための化合物が本明細書で提供される。一態様では、E型肝炎ウイルス感染症の治療に使用することができる式(I)の化合物が本明細書で提供される。本明細書では、式(I)の化合物を含む医薬組成物も提供される。
【0023】
定義
以下に記載されているのは、本開示を説明するために用いられる種々の用語の定義である。これらの定義は、特定の場合において個別に又はより大きな群の一部として別途限定されない限り、本明細書及び「特許請求の範囲」を通して使用される用語に適用される。
【0024】
別途定義されない限り、本明細書で一般的に用いる技術的及び科学的な用語は全て、該当する当業者によって共通に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に、本明細書で使用される命名法、並びに細胞培養、分子遺伝学、有機化学、及びペプチド化学における実験手順は、当該技術分野では周知のものであり、一般的に用いられているものである。
【0025】
本明細書で使用するとき、冠詞「a」及び「an」は、1ないし複数(即ち、少なくとも1つ)のその冠詞の文法上の目的語を指す。例として「an element」とは、1つの要素又は複数の要素を意味する。更に、「including(含む)」という用語、並びに「include(含む)」、「includes(含む)」、及び「含んだ(included)といった他の形の使用は限定的なものではない。
【0026】
本明細書及び「特許請求の範囲」において使用されるとき、「含む(comprising)」という用語は、「からなる」及び「から本質的になる」実施形態を含むことができる。「含む(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有している」、「有する」、「できる」、「含有する」という用語、及びこれらの変形は、本明細書において使用されるとき、指定された成分/ステップの存在を必要とし、他の成分/ステップの存在を許可する、制限のない暫定的な語句、用語、又は単語であることを意図する。ただし、かかる記述は、組成物又はプロセスを、列挙された化合物「からなる」及び「から本質的になる」ものとしても記述するとして解釈されなければならず、任意の薬学的に許容される担体と共に、指定された化合物のみの存在を可能にし、他の化合物を排除する。
【0027】
本明細書に開示される全ての範囲は、列挙されたエンドポイントを含み、かつ独立的に組み合わせることができる(例えば、「50mg~300mg」の範囲は、50mg及び300mgのエンドポイント、並びに全ての中間値を含む)。本明細書に開示される範囲のエンドポイント及び任意の値は、正確な範囲又は値に限定されず、これらの範囲及び/又は値に近似する値を含むように十分に不正確である。
【0028】
本明細書で使用するとき、近似の言語は、関係する基本的な機能の変化を招くことなく、変動することができる、任意の定量的表現に適用されてもよい。少なくとも一部の場合、近似の言語は、値を測定するための装置の精度に対応することがある。
【0029】
「アルキル」という用語は、鎖内に1~12個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル基を指す。アルキル基の例には、メチル(Me、これはまた構造的に記号「/」で描写され得る)、エチル(ethyl、Et)、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル(tert-butyl、tBu)、ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、並びに当該技術分野における通常の技術及び本明細書に記載する教示に照らして上記の例のうちのいずれか1つと同等であるとみなされるであろう基が挙げられる。本明細書で使用するとき、C1~4アルキルという用語は、鎖内に1~4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基を指す。本明細書で使用するとき、C1~6アルキルという用語は、鎖内に1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基を指す。
【0030】
「シクロアルキル」という用語は、炭素環当たり3~12個の環原子を有する飽和若しくは部分飽和の単環式、縮合多環式、又はスピロ多環式炭素環を指す。シクロアルキル基の具体例として、適切に結合した部分の形態での以下の実体が挙げられる:
【0031】
【0032】
単環式、二環式、又は三環式芳香族炭素環は、1、2、又は3個の環からなる芳香環系を表し、この環系は、炭素原子のみから構成され、芳香族という用語は、当業者に周知であり、6、10、14などのπ-電子を伴う4n+2の電子を持つ環状共役系を示す。(Huckel則)。
【0033】
単環式、二環式、又は三環式芳香族炭素環の特定の例は、フェニル、ナフタレニル、アントラセニルである。
【0034】
「フェニル」という用語は、以下の部分を表す:
【0035】
【0036】
「ヘテロアリール」という用語は、炭素原子及びN、O及びSからなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を含む5~10個の環員を有する芳香族性の単環式又は二環式の芳香環系を指す。ヘテロアリールという用語の範囲には、5又は6員の芳香環が含まれ、ただし環は炭素原子からなり、少なくとも1つのヘテロ原子の環員を有する。適切なヘテロ原子としては、窒素、酸素、及び硫黄が挙げられる。五員環の場合、ヘテロアリール環は、好ましくは、1員の窒素、酸素又は硫黄を含み、更に3個以下の更なる窒素を含む。六員環の場合、ヘテロアリール環は、好ましくは1~3個の窒素原子を含む。六員環が3個の窒素原子を有する場合では、最大で2個の窒素原子が隣り合う。ヘテロアリール基の例としては、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、及びキナゾリニルが挙げられる。別途断らない限り、ヘテロアリールは、そのペンダント基と、安定な構造をもたらす任意のヘテロ原子又は炭素原子で結合している。
【0037】
当業者は、上に列挙した又は図示したヘテロアリール基の種が網羅的ではなく、これらの定義された用語の範囲内の追加の種も選択され得ることを理解するであろう。
【0038】
「置換された」という用語は、指定された基又は部分が、1つ又は2つ以上の置換基を持つことを意味する。「非置換」という用語は、指定された基が置換基を持たないことを意味する。「任意選択で置換された」という用語は、指定された基が非置換であるか、又は1つ若しくは2つ以上の置換基で置換されたことを意味する。「置換された」という用語が、構造系を説明するために使用される場合、その置換は、その系において結合価が許容されるどの位置でも生じることを意味する。指定された部分又は基が、任意に置換されているか又は任意の指定された置換基で置換されていると明確に記されていない場合、かかる部分又は基は、非置換であることを意図すると理解される。
【0039】
より正確な説明を提供するために、本明細書に示される量的表現の一部は、「約」という用語で修飾されていない。「約」という用語が明示的に使用されているか否かによらず、本明細書に示される全ての量は、実際の所与の値を指すことを意味し、また、かかる所与の値に対する実験条件及び/又は測定条件による等価値及び近似値を含む、当該技術分野における通常の技能に基づいて合理的に推論されるかかる所与の値の近似値を指すことも意味すると理解される。収率を百分率として与える場合にはいつでも、かかる収率は、特定の化学量論的条件下で得ることが可能な同一の実体の最大量に対する、収率が与えられる当該実体の質量を指す。百分率として与えられる濃度は、別途指定しない限り、質量比を指す。
【0040】
「緩衝化」溶液又は「緩衝」溶液という用語は、これらの標準的な意味に従って本明細書では互換可能に使用される。緩衝化溶液は、媒質のpHを制御するために使用され、その選択、使用、及び機能は、当業者に既知である。例えば、とりわけ、緩衝溶液及び緩衝液構成成分の濃度が緩衝液のpHにどのように関係するかについて記載している、G.D.Considine,ed.,Van Nostrand’s Encyclopedia of Chemistry,p261,5th ed.(2005)を参照されたい。例えば、緩衝化溶液は、溶液のpHを約7.5で維持するために、MgSO4及びNaHCO3を溶液に10:1の重量比で添加することにより得られる。
【0041】
本明細書で与えられる式はいずれも、その構造式によって描写される構造を有する化合物に加えて、特定の変種又は形態も表すことを意図する。具体的には、本明細書で与えられる任意の式の化合物は、不斉中心を有していてもよく、したがって、異なる鏡像異性体型で存在してもよい。一般式の化合物の全ての光学異性体及びその混合物は、当該式の範囲内であるとみなされる。したがって、本明細書で与えられるいずれの式も、そのラセミ体、1つ又は2つ以上の鏡像異性体型、1つ又は2つ以上のジアステレオマー型、1つ又は2つ以上のアトロプ異性体型、及びこれらの混合物を表すことを意図する。更に、特定の構造は、幾何異性体(即ち、シス及びトランス異性体)として、互変異性体として、又はアトロプ異性体として存在してもよい。
【0042】
同じ分子式を有するが、性質又はその原子の結合の配列又は空間におけるその原子の配置が異なる化合物を、「異性体」と呼ぶことも、理解される。
【0043】
互いの鏡像ではない立体異性体を、「ジアステレオマー」と呼び、互いの重ね合わせられない鏡像である立体異性体を、「鏡像異性体」と呼ぶ。化合物が不斉中心を有する場合、例えば化合物が異なる4つの基に結合している場合、1対の鏡像異性体が可能である。エナンチオマーは、その不斉中心の絶対配置を特徴とすることができ、カーン・プレログのR-及びS-順位則によって記述されるか、又は分子が偏光面を回転させる様式によって、右旋性若しくは左旋性(即ち、それぞれ(+)又は(-)異性体)として指定される。キラル化合物は、個々の鏡像異性体又はその混合物として存在することができる。等比率の鏡像異性体を含有する混合物を、「ラセミ混合物」と呼ぶ。
【0044】
「互変異性体」は、特定の化合物構造の互換可能な形態であり、水素原子及び電子の置換が異なる化合物を指す。したがって、2つの構造は、π電子及び原子(通常、H)の移動を通して、平衡であってもよい。例えば、エノール及びケトンは、酸又は塩基のいずれかで処理することによって迅速に相互変換されるので、互変異性体である。互変異性の別の例は、フェニルニトロメタンの酸形態及びニトロ形態であり、これらは同様に酸又は塩基で処理することにより形成される。例えば、ホスフェート及びホスホロチオエート基の全ての互変異性体が含まれることが意図される。ホスホロチオエートの互変異性体の例には、以下:
【0045】
【0046】
更に、天然及び非天然のプリン塩基及びピリミジン塩基の互変異性体を含む、当該技術分野において既知であるヘテロ環塩基の全ての互変異性体が含まれることが意図される。
【0047】
互変異性体形態は、対象化合物の最適な化学的反応性及び生物活性の達成に関連する場合がある。
【0048】
本開示の化合物は、1つ又は2つ以上の不斉中心を有し得るので、そのような化合物は、個々の(R)-若しくは(S)-立体異性体として、又はこれらの混合物として生成され得る。
【0049】
別途指示しない限り、本明細書及び「特許請求の範囲」における特定の化合物の記載又は命名は、ラセミ体又は他のもののその個々の鏡像異性体及び混合物の両方を含むことを意図する。立体化学の判定及び立体異性体の分離の方法は、当該技術分野で周知である。
【0050】
特定の例は、絶対鏡像異性体として描写される化学構造を含むが、不明な構成の鏡像異性的に純粋な物質を示すことを意図する。これらの場合、(R*)若しくは(S*)、又は(*R)若しくは(*S)は、対応する立体中心の絶対立体化学が不明であることを示すために、名称において使用される。したがって、(R*)又は(*R)と表記される化合物は、(R)又は(S)のいずれかの絶対配置を有する鏡像異性的に純粋な化合物を指す。絶対立体化学が確認されている場合、構造は、(R)又は(S)を使用して命名される。
【0051】
記号
【0052】
【化10】
は、本明細書に示す化学構造における同じ空間構成を意味するものとして使用される。同様に、記号
【0053】
【化11】
は、本明細書に示す化学構造における同じ空間構成を意味するものとして使用される。
【0054】
更に、本明細書で与えられるいかなる式も、たとえこれらの形態が明示されていなくても、かかる化合物の水和物、溶媒和物、及び多形体、並びにこれらの混合物を指すことを意図する。式(I)の特定の化合物、又は式(I)の化合物の薬学的に許容される塩は、溶媒和物として得ることができる。溶媒和物は、本開示の化合物と1つ又は2つ以上の溶媒との相互作用又は錯化から、溶液中、又は固体若しくは結晶質の形態として形成されるものを含む。いくつかの実施形態では、溶媒は水であり、その場合、溶媒和物は水和物である。加えて、式(I)の化合物、又は式(I)の化合物の薬学的に許容される塩の特定の結晶質形態は、共結晶として得られ得る。本開示の特定の実施形態において、式(I)の化合物は、結晶質形態で得られた。他の実施形態では、式(I)の化合物の結晶質形態は、本質的に立方体であった。他の実施形態では、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩は、結晶質形態で得られた。更に他の実施形態では、式(I)の化合物は、いくつかの多形体形態の1つで、結晶質形態の混合物として、多形体形態として、又は非晶質形態として得られた。他の実施形態では、式(I)の化合物は、溶液中で、1つ若しくは2つ以上の結晶質形態及び/又は多形体形態の間で変換される。
【0055】
本明細書に記載の化合物に対する言及は、(a)かかる化合物の実際に述べられた形態、及び(b)命名時にかかる化合物が存在すると考えられる媒質中のかかる化合物の形態のいずれか、のいずれか1つに対する言及を表す。例えば、本明細書におけるR-COOHなどの化合物に対する言及は、例えば、R-COOH(s)、R-COOH(sol)、及びR-COO-
(sol)のうちのいずれか1つに対する言及を包含する。この例では、R-COOH(s)は、例えば、錠剤又はいくつかの他の固体の医薬組成物若しくは調製物中に存在し得るとき、固体化合物を指し、R-COOH(sol)は、溶媒中における化合物の非解離形態を指し、R-COO-
(sol)は、溶媒中における化合物の解離形態を指し、例えば、かかる解離形態がR-COOHに由来するか、その塩に由来するか、又は媒質中で解離を起こしたと考えられるときにR-COO-を生じる他の任意の実体に由来するかにかかわらず、水性環境中における化合物の解離形態を指す。別の例では、「実体を式R-COOHの化合物に曝露する」などの表現は、かかる曝露が生じる媒質中に存在する化合物R-COOHの形態に、かかる実体を曝露することを指す。更に別の例では、「実体を式R-COOHの化合物と反応させる」などの表現は、(a)かかる反応が生じる媒質中に存在する、かかる実体の化学的に関連する形態の実体、が、(b)かかる反応が生じる媒質中に存在する化合物R-COOHの化学的に関連する形態、と反応することを指す。これに関連して、このような実体が、例えば水性環境中に存在する場合、化合物R-COOHがこのような同じ媒体中に存在するので、この実体はR-COOH(aq)及び/又はR-COO-
(aq)(添字「(aq)」は、化学及び生化学における慣習的な意味に従って「水溶液」を意味する)などの種に曝露されていると理解される。これらの命名法の例において、カルボン酸官能基を選択したが、この選択は限定を意図するものではなく、単なる例示である。同様の例は、ヒドロキシル、塩基性窒素メンバー、例えばアミン中の窒素メンバー、及び化合物を含有する媒質中で既知の様式に従って相互作用又は変換する他の任意の基が挙げられるが、これらに限定されない、他の官能基に関しても提供できることが理解される。かかる相互作用及び変換としては、解離、会合、互変異性、加溶媒分解(加水分解を含む)、溶媒和(水和を含む)、プロトン化、及び脱プロトン化が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書ではこれに関連して更なる例を提供せず、その理由は、所与の媒質中で生じるこれらの相互作用及び変換が、当業者に既知であるためである。
【0056】
別の例では、明確に双極性イオン形態で命名されていない場合でさえも、双極性イオンを形成することが既知である化合物に言及することにより、双極性イオン性化合物が本明細書に包含される。双極性イオン及びその同義語である双極性イオン性化合物などの用語は、周知であり、かつ定義された学名の標準的な集合の一部である、IUPACによって承認されている標準的な名称である。これに関連して、双極性イオンという名称には、Chemical Entities of Biological Interest(ChEBI)dictionary of molecular entitiesによって、識別名称CHEBI:27369が割り当てられている。概ね周知であるとおり、双極性イオン又は双極性イオン性化合物は、反対の符号の形式単位電荷を有する中性化合物である。これらの化合物は、時に「分子内塩」という用語で呼ばれる。他の文献ではこれら化合物を「二極性イオン」と呼んでいるが、この後者の用語は更に他の文献では誤った名称とされている。具体例として、アミノエタン酸(アミノ酸であるグリシン)は、式H2NCH2COOHを有し、いくつかの媒体(この場合には中性媒体)中では双極性イオンの形態+H3NCH2COO-で存在する。これら用語の既知かつ十分に確立された意味における、双極性イオン、双極性イオン性化合物、分子内塩、及び両性イオンは、いかなる場合においても当業者にそのように認識されるとおり、本発明の範囲内である。当業者によって認識されることになる各々及びあらゆる実施形態を命名する必要はないので、本開示の化合物に関連する双極性イオン性化合物の構造を本明細書には明示しない。しかしながら、これらも本開示の実施形態の一部である。所与の化合物の様々な形態を導く所与の媒質中における相互作用及び変換は当業者に既知であるので、本明細書ではこれに関連する更なる例を提供しない。
【0057】
また、本明細書で与えられるいかなる式も、化合物の非標識形態に加えて同位体標識形態も表すことを意図する。同位体標識化合物は、1つ又は2つ以上の原子が、選択された原子質量又は質量数を有する原子に置換されていることを除いて本明細書で与えられる式で描写される構造を有する。本開示の化合物に組み込むことが可能な同位体の例としては、それぞれ、2H、3H、11C、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、36Cl、及び125Iなどの、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素、及びヨウ素の同位体が挙げられる。かかる同位体標識化合物は、代謝試験(好ましくは14Cを用いる)、反応速度試験(例えば、重水素(即ち、D若しくは2H);若しくはトリチウム(即ち、T若しくは3H)を用いる)、薬物若しくは基質組織分布アッセイを含む検出若しくは撮像技術、例えば、陽電子放出断層撮影(positron emission tomography、PET)若しくは単光子放出コンピュータ断層撮影(single-photon emission computed tomography、SPECT)、又は患者の放射線治療において有用である。具体的には、18F又は11Cで標識された化合物は、PET又はSPECT検査に特に好ましい場合がある。更に、より重い同位体、例えば重水素(即ち、2H)などによる置換を行うと代謝安定性がより高くなり、例えばインビボ半減期が長くなるかあるいは必要な投薬量が少なくなるなど、結果として特定の治療的利点が得られ得る。本発明の同位体標識化合物及びそのプロドラッグは、一般的に、容易に入手可能な同位体標識試薬を非同位体標識試薬の代わりに用いることによって、以下に説明するスキーム又は実施例及び調製法に開示する手順を実施することにより、調製することができる。
【0058】
本明細書で与えられるいずれかの式に言及する場合、指定された可変部に関する可能な種のリストからの特定の部分の選択は、他の箇所に現れる可変部に関してその種の同じ選択を定義することを意図するものではない。言い換えれば、可変部が2回以上現れる場合、指定されたリストからの種の選択は、別途指示がない限り、式中の他の箇所における同じ可変部に関する種の選択とは無関係である。
【0059】
割り当て及び命名法に関する上述の解釈によれば、本明細書においてあるセットに明白に言及することは、化学的に意味がありかつ別途指示がない限り、かかるセットの各実施形態について独立して言及すること、並びに明白に言及されるセットのサブセットについて可能な実施形態の全てについて言及することを意味すると理解される。
【0060】
置換基の用語における第1の例としては、置換基S1
exampleがS1及びS2のうちの1つであり、置換基S2
exampleがS3及びS4のうちの1つである場合、これらの割り当ては、以下の選択肢;S1
exampleがS1であり、かつS2
exampleがS3である、S1
exampleがS1であり、かつS2
exampleがS4である、S1
exampleがS2であり、かつS2
exampleがS3である、S1
exampleがS2であり、かつS2
exampleがS4である、及びこのような選択肢の各々の等価物に従って与えられる本発明の実施形態を指す。したがって、本明細書では、「S1
exampleがS1及びS2のうちの1つであり、かつS2
exampleがS3及びS4のうちの1つである」というより短い用語を簡略化の目的で用いるが、限定として用いるものではない。包括的表現で記述された置換基の用語についての上記の第1の例は、本明細書に記載する様々な置換基の割り当てを例示することを意味する。置換基について本明細書で提供される前述の慣例は、該当する場合、R1、R2、R3、R4、R5、G1、G2、G3、G4、G5、G6、G7、G8、G9、G10、G11、n、L、R、T、Q、W、X、Y、及びZ、並びに本明細書で使用される任意の他の一般的な置換基の記号などのメンバーに適用される。
【0061】
更に、任意のメンバー又は置換基に関して2つ以上の割り当てが与えられる場合、本開示の実施形態は、独立して解釈することによりリストに挙げられている割り当て及びその相当物から作ることができる様々な組分けを含む。置換基の用語における第2の例として、置換基SexampleがS1、S2、及びS3のうちの1つであると本明細書で記載される場合、このリストは、SexampleがS1である、SexampleがS2である、SexampleがS3である、SexampleがS1及びS2のうちの1つである、SexampleがS1及びS3のうちの1つである、SexampleがS2及びS3のうちの1つである、Sexampleが1、S2、及びS3のうちの1つである、Sexampleがこれらの選択肢の各々の任意の等価物である、本発明の実施形態を指す。したがって、本明細書では、「SexampleがS1、S2、及びS3のうちの1つである」というより短い用語を簡略化の目的で用いるが、限定として用いるものではない。包括的表現で述べた置換基の用語に関する上記の第2の例は、本明細書に記載される様々な置換基の割り当てを例示するためのものである。置換基について本明細書で提供される前述の慣例は、該当する場合、R1、R2、R3、R4、R5、G1、G2、G3、G4、G5、G6、G7、G8、G9、G10、G11、n、L、R、T、Q、W、X、Y、及びZ、並びに本明細書で使用される任意の他の一般的な置換基の記号などのメンバーに適用される。
【0062】
命名法「Ci~j」(j>i)を本明細書においてある種類の置換基に適用する場合、これはi個~j個(i及びjを含む)の炭素メンバー数の各々及び全てが独立して実現される本開示の実施形態を指すことを意味する。例として、用語C1~4は、独立して、1個の炭素メンバー(C1)を有する実施形態、2個の炭素メンバー(C2)を有する実施形態、3個の炭素メンバー(C3)を有する実施形態、及び4個の炭素メンバー(C4)を有する実施形態を指す。
【0063】
Cn~mアルキルという用語とは、直鎖であろうと分岐鎖であろうと、鎖内の炭素メンバーの総数Nがn≦N≦m(m>nである)を満たす、脂肪族鎖を指す。本明細書において言及される任意の二置換基は、かかる可能性の2つ以上が許容される場合、様々な結合可能性を包含することを意味する。例えば、二置換基-A-B-(ただし、A≠B)に対する言及は、本明細書では、Aが第1の置換メンバーに結合しており、Bが第2の置換メンバーに結合している二置換基を指し、また、Aが第2の置換メンバーに結合しており、Bが第1の置換メンバーに結合している二置換基も指す。
【0064】
本発明はまた、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩、好ましくは上記化合物及び本明細書に例示する具体的な化合物の薬学的に許容される塩、並びにこのような塩を用いた治療方法も包含する。
【0065】
「薬学的に許容される」とは、連邦政府若しくは州政府の規制当局、又は米国以外の国では対応する機関によって承認されたか若しくは承認可能であることを意味するか、又は動物、より詳しくはヒトにおいて用いるために米国薬局方若しくは他の一般的に認識される薬局方に記載されていることを意味する。
【0066】
「薬学的に許容される塩」は、無毒性であるか、生物学的に許容可能であるか、又は対象への投与に生物学的に適している、式(I)により表される化合物の遊離酸又は遊離塩基の塩を意味するものである。これは、親化合物の所望の薬理活性を保有しているべきである。一般的には、G.S.Paulekuhn,et al.,「Trends in Active Pharmaceutical Ingredient Salt Selection based on Analysis of the Orange Book Database」,J.Med.Chem.,2007,50:6665-72,S.M.Berge,et al.,「Pharmaceutical Salts」,J Pharm Sci.,1977,66:1-19,及びHandbook of Pharmaceutical Salts,Properties,Selection,and Use,Stahl and Wermuth,Eds.,Wiley-VCH and VHCA,Zurich,2002を参照されたい。薬学的に許容される塩の例は、薬理学的に有効であり、かつ過度の毒性、刺激、又はアレルギー反応を伴わずに患者の組織と接触するのに好適な塩である。式(I)の化合物は、十分に酸性の基、十分に塩基性の基、又は両方の種類の官能基を有し得ることから、多くの無機又は有機塩基、並びに無機及び有機酸と反応して薬学的に許容される塩を生成し得る。
【0067】
本発明はまた、式(I)の化合物の薬学的に許容されるプロドラッグ及びそのような薬学的に許容されるプロドラッグを用いた治療方法にも関する。「プロドラッグ」という用語は、対象に投与した後に、加溶媒分解若しくは酵素的開裂などの化学的又は生理学的プロセスによるか、又は生理学的条件下で、本化合物を生じる(例えば、プロドラッグを生理学的pHにすると式(I)の化合物に転化する)、指定された化合物の前駆体を意味する。「薬学的に許容されるプロドラッグ」とは、無毒性であり、生物学的に耐容性であり、かつ別の方法で対象への投与に生物学的に好適なプロドラッグである。適切なプロドラッグ誘導体の選択及び調製に関する例示的な手順は、例えば、「Design of Prodrugs」,ed.H.Bundgaard,Elsevier,1985に記載されている。
【0068】
本開示はまた、本開示の方法で用いられ得る式(I)の化合物の薬学的に活性な代謝産物にも関する。「薬学的に活性な代謝産物」は、式(I)の化合物又はその塩の体内の薬理学的に活性な代謝産物を意味する。化合物のプロドラッグ及び活性な代謝産物は、当該技術分野で既知であるか又は利用可能な常法を使用して決定することができる。例えば、Bertolini,et al.,J Med Chem.1997,40,2011-2016;Shan,et al.,J Pharm Sci.1997,86(7),765-767;Bagshawe,Drug Dev Res.1995,34,220-230;Bodor,Adv Drug Res.1984,13,224-331;Bundgaard,Design of Prodrugs(Elsevier Press,1985);及びLarsen,Design and Application of Prodrugs,Drug Design and Development(Krogsgaard-Larsen,et al.,eds.,Harwood Academic Publishers,1991)を参照されたい。
【0069】
本明細書で使用するとき、「組成物」又は「医薬組成物」という用語は、本明細書で提供される少なくとも1つの化合物と薬学的に許容される担体との混合物を指す。医薬組成物は、患者又は対象への化合物の投与を容易にする。当該技術分野では、これらに限定されるものではないが、静脈内投与、経口投与、エアロゾル投与、非経口投与、眼内投与、肺内投与、及び局所投与を含む、化合物を投与するための多くの方法が存在している。
【0070】
本明細書で使用するとき、「薬学的に許容される担体」という用語は、本明細書で提供される化合物を、その目的とする機能を行うことができるように患者の体内で、又は患者に、搬送又は輸送することに関係した、液体若しくは固体充填剤、安定化剤、分散剤、懸濁剤、希釈剤、賦形剤、増粘剤、溶媒、又はカプセル化材料などの薬学的に許容される材料、組成物、又は担体を意味する。典型的には、かかる構築体は、1つの器官、又は身体の部分から別の器官、又は身体の部分へと搬送又は輸送される。それぞれの担体は、本明細書で提供される化合物を含む、製剤の他の成分と適合性を有し、患者に有害ではないという意味において「許容される」ものでなければならない。薬学的に許容される担体として機能し得る材料のいくつかの例としては、ラクトース、グルコース、及びスクロースなどの糖類、コーンスターチ及びジャガイモデンプンなどのデンプン、カルポキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロースなどのセルロース及びその誘導体、粉末トラガカント、麦芽、ゼラチン、タルク、カカオバター及び坐剤ワックスなどの賦形剤、落花生油、綿実油、ベニバナ油、ごま油、オリーブオイル、コーン油、及び大豆油などの油類、プロピレングリコールなどのグリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコールなどのポリオール、オレイン酸エチル、及びラウリン酸エチルなどのエステル、寒天、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、界面活性剤、アルギン酸、パイロジェンフリー水、等張生理食塩水、リンゲル液、エチルアルコール、リン酸緩衝液、及び医薬製剤に用いられる他の無毒性適合性物質が挙げられる。本明細書で使用するとき、「薬学的に許容される担体」には、本明細書で提供される化合物の活性と適合性を有し、患者に対して生理学的に許容されるあらゆるコーティング、抗細菌及び抗真菌剤、並びに吸収遅延剤なども含まれる。補助的活性化合物を本組成物に添加することもできる。「薬学的に許容される担体」は、本明細書で提供される化合物の薬学的に許容される塩を更に含み得る。本明細書で提供される医薬組成物に含まれ得る他の更なる成分は当該技術分野において既知であり、例えば、その全体を参照により本明細書に組み込む、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Genaro,Ed.,Mack Publishing Co.,1985,Easton,PA)に記載されている。
【0071】
本明細書で使用するとき、「生理学的に許容される」という用語は、生物学的活性及び化合物の特性を無効にしない、担体、希釈剤、又は賦形剤を指す。
【0072】
本明細書で使用するとき、「担体」は、細胞又は組織への化合物の組み込みを容易にする化合物を指す。例えば、限定するものではないが、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)は、対象の細胞又は組織内への多くの有機化合物の取り込みを容易にする、一般に使用される担体である。
【0073】
本明細書で使用するとき、「希釈剤」は、薬理活性を欠くが、薬学的に必要である、又は望ましい場合がある、医薬組成物中の成分を指す。例えば、その質量が小さすぎて製造及び/又は投与できない、効力のある薬物の嵩を増加させるために、希釈剤を用いてよい。また、希釈剤は、注入、摂取、又は吸入によって投与される薬物を溶解するための液体であってもよい。当該技術分野における希釈剤の一般的形態は、緩衝化水溶液、例えば、非限定的に、ヒト血液の組成を模倣しているリン酸緩衝生理食塩水である。
【0074】
本明細書で使用するとき、「賦形剤」は、非限定的に、嵩、稠度、安定性、結合能、潤滑性、崩壊能などを組成物にもたらすために、医薬組成物に添加される不活性物質を指す。「希釈剤」は、賦形剤の一種である。
【0075】
本明細書で使用するとき、「安定化剤」という用語は、式Iの化合物の分解を化学的に阻害又は予防することができるポリマーを指す。安定化剤は、化合物の化学的及び物理的安定性を改善するために化合物の製剤に添加される。
【0076】
本明細書で使用するとき、「錠剤」という用語は、従来の錠剤化プロセスによって、薬物物質又はその薬学的に許容される塩を適切な賦形剤(例えば、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、滑剤、及び/又は界面活性剤)と共に圧縮することによって生成され得る、経口投与可能な単回用量の固体剤形を示す。錠剤は、従来の造粒方法、例えば、湿式又は乾式造粒を使用して、その後の圧縮及び任意のコーティングで顆粒の任意選択的な粉砕を用いて製造することができる。錠剤はまた、噴霧乾燥によって生成され得る。
【0077】
本明細書で使用するとき、「カプセル」という用語は、薬物が硬質又は軟質可溶性容器又は「シェル」のいずれかに封入される固体剤形を指す。容器又はシェルは、ゼラチン、デンプン、及び/又は他の好適な物質から形成することができる。
【0078】
本明細書で使用するとき、「有効量」、「薬学的有効量」、及び「治療有効量」という用語は、無毒性であるが所望の生物学的結果をもたらすうえで充分な薬剤の量のことを指す。そのような結果は、疾患の徴候、症状、若しくは原因の低減若しくは緩和、又は生物学的な系の他のあらゆる望ましい変化であってよい。いずれの個別のケースにおける適当な治療量も、当業者によって通常の実験を用いて決定することができる。
【0079】
「組み合わせ」、「治療的組み合わせ」、「薬学的組み合わせ」、又は「組み合わせ製品」という用語は、本明細書で使用するとき、同時又は時間間隔内に個別に、特に、これらの時間間隔によって、組み合わせパートナーが、例えば、相乗効果などの共同的効果を示す、2種又は3種以上の治療薬を独立的に投与することができる、固定されていない組み合わせ、又は組み合わせ投与のためのパーツのキットを指す。
【0080】
「モジュレーター」という用語は、阻害剤及び活性化剤の両方を含み、「阻害剤」は、HEV複製又は感染性粒子の生成に必要なHEVアセンブリ及び他のHEVコアタンパク質機能を減少、阻害、不活性化、脱感作、又は下方制御する化合物を指す。
【0081】
本明細書で使用するとき、「治療」又は「治療する」という用語は、治療剤、即ち、(単独で又は別の医薬品との併用での)本開示の化合物の適用又は投与、あるいは、HEV感染症、HEV感染症の症状、又はHEV感染症を発症する可能性がある患者から単離された組織又は細胞株への治療薬の(例、診断又は生体外適用のための)適用又は投与として定義し、HEV感染症、HEV感染症の症状、又はHEV感染症を発症する可能性を治癒する、治す、緩和する、軽減させる、変化させる、矯正する、寛解させる、改善させる、又は影響を及ぼすことを目的とする。かかる治療は、医薬ゲノミクスの分野より得られる知識に基づいて具体的に調整又は変更されてもよい。
【0082】
本明細書で使用するとき、「予防する」又は「予防」という用語は、障害若しくは疾患がいずれも生じていない場合には障害若しくは疾患の発症がないこと、又は既に障害若しくは疾患の発症があった場合には更なる障害若しくは疾患の進展がないことを意味する。障害又は疾患に関連する症状の一部又は全てを予防するその能力も考慮される。
【0083】
本明細書で使用するとき、「患者」、「個体」、又は「対象」という用語は、ヒト又は非ヒト哺乳動物を指す。非ヒト哺乳動物としては、例えば、ヒツジ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、及びネズミ科の哺乳動物などの家畜及び愛玩動物が挙げられる。好ましくは、患者、対象、又は個体は、ヒトである。
【0084】
本開示による治療方法では、このような疾患、障害又は状態に罹患しているか、又はこれらを有すると診断された対象に、本開示による有効量の医薬品が投与される。「有効量」とは、指定された疾患、障害、又は状態に対するかかる治療を必要とする患者において、所望の治療的又は予防的効果を概ねもたらすのに十分な量又は十分な用量を意味する。本開示の化合物の有効量又は用量は、モデル化、用量漸増試験又は臨床試験などの常法によって、並びに日常的な要因、例えば、投与若しくは薬物送達の形態又は経路、化合物の薬物動態、疾患、障害又は状態の重篤度及び経過、対象が以前に受けていた又は現在受けている治療、対象の健康状態及び薬物に対する応答、並びに治療する医者の判断を考慮することによって確定され得る。用量の一例は、単回又は分割投薬量単位(例えば、BID、TID、QID、一実施形態において、BID)で、対象の体重1kg当たり化合物約0.001~約200mg/日、好ましくは約0.05~100mg/kg/日、又は約1~35mg/kg/日の範囲である。用量の一例は、単回又は分割投薬量単位(例えば、BID、TID、QID、一実施形態において、BID)で、対象の体重1kg当たり化合物約10~約300mg/日、一実施形態において、約15~250mg/kg/日、又は約20~200mg/kg/日の範囲である。高用量は約200mg/kg/日であり得、中用量は約70mg/kg/日であり得、低用量は約20mg/kg/日であり得る。70kgのヒトの場合では、好適な投薬量の例示的な範囲は、約0.05~約7g/日又は約0.2~約2.5g/日である。
【0085】
化合物の用量の一例は、約1mg~約2,500mgである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物中で使用される本開示の化合物の用量は、約10,000mg未満、約8,000mg未満、又は約6,000mg未満、又は約5,000mg未満、又は約3,000mg未満、又は約2,000mg未満、又は約1,000mg未満、又は約500mg未満、又は約200mg未満、又は約50mg未満であり得る。同様に、いくつかの実施形態において、本明細書に記載の第2の化合物(即ち、HEV治療のための別の薬剤)の用量は、約1,000mg未満、又は約800mg未満、又は約600mg未満、又は約500mg未満、又は約400mg未満、又は約300mg未満、又は約200mg未満、又は約100mg未満、又は約50mg未満、又は約40mg未満、又は約30mg未満、又は約25mg未満、又は約20mg未満、又は約15mg未満、又は約10mg未満、又は約5mg未満、又は約2mg未満、又は約1mg未満、又は約0.5mg未満、並びにその任意の及び全ての全体的又は部分的な増分を含む。
【0086】
患者の疾患、障害、又は状態が改善されたら、用量を予防的又は維持的治療用に調整してもよい。例えば、投薬量若しくは投与頻度、又はこれらの両方を、症状の関数として、所望の治療又は予防的効果が維持されるレベルまで低減してもよい。当然のことながら、症状が適切なレベルまで緩和されている場合は、治療を停止してもよい。しかしながら、症状が再発した場合、患者は、長期的な断続的治療を必要とすることがある。
【0087】
化合物
一態様では、式(I)の化合物、
【0088】
【化12】
又はその薬学的に許容される塩が本明細書において提供され、
式中、
塩基は、(b-1)、(b-2)、(b-3)、(b-4)、(b-5)、(b-6)、(b-7)、及び(b-8)からなる群から選択され、
【0089】
【化13】
Xは、O及びSからなる群から選択され、
R
1は、H、F、及びN
3からなる群から選択され、
R
2は、(f-1)及び(f-2)からなる群から選択され、
【0090】
【0091】
一実施形態において、塩基は、(b-1)である。別の実施形態において、R2は、(f-1)である。更に別の実施形態において、塩基は(b-1)であり、XはSであり、R2は(f-1)であり、R3はイソプロピルである。更に別の実施形態において、塩基は(b-1)であり、XはOであり、R2は(f-1)であり、R3はブチルである。
【0092】
一実施形態において、化合物は、
【0093】
【表3】
又はそれらの薬学的に許容される塩、より具体的には、化合物1又はその薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
【0094】
式(I)の化合物は、当業者に既知の方法によって、及び/又は本明細書で提供される教示によって誘導される日常的な実験を使用するそのような方法の変形法によって調製され得る。
【0095】
医薬組成物
本明細書では、少なくとも1つの式Iの化合物及び少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物も提供される。
【0096】
本明細書に記載するいくつかの実施形態は、有効量の本明細書に記載する1つ又は2つ以上の化合物(例えば、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩)と、薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤又はこれらの組み合わせと、を含み得る医薬組成物の使用に関する。
【0097】
本明細書に記載する医薬組成物は、それ自体を、あるいは併用療法の場合のように、他の活性成分又は担体、希釈剤、賦形剤若しくはこれらの組み合わせと混合された医薬組成物で、ヒト患者に投与することができる。適切な処方は、選択される投与経路に依存する。本明細書に記載する化合物の処方及び投与の手法は、当業者には既知である。
【0098】
本明細書で使用するとき、「組成物」又は「医薬組成物」という用語は、本開示の範囲内で有用な少なくとも1つの化合物と薬学的に許容される担体との混合物を指す。医薬組成物は、患者又は対象への化合物の投与を容易にする。当該技術分野では、これらに限定されるものではないが、静脈内投与、経口投与、エアロゾル投与、非経口投与、眼内投与、肺内投与、及び局所投与を含む、化合物を投与するための多くの方法が存在している。
【0099】
本明細書で使用するとき、「薬学的に許容される担体」という用語は、本開示の範囲内で有用な化合物を、その目的とする機能を行うことができるように患者の体内で、又は患者に、搬送又は輸送することに関係した、液体若しくは固体充填剤、安定化剤、分散剤、懸濁剤、希釈剤、賦形剤、増粘剤、溶媒、又はカプセル化材料などの薬学的に許容される材料、組成物、又は担体を意味する。典型的には、かかる構築体は、1つの器官、又は身体の部分から別の器官、又は身体の部分へと搬送又は輸送される。それぞれの担体は、本開示の範囲内で有用な化合物を含む、製剤の他の成分と適合性を有し、患者に有害ではないという意味において「許容される」ものでなければならない。薬学的に許容される担体として機能し得る材料のいくつかの例としては、ラクトース、グルコース、及びスクロースなどの糖類、コーンスターチ及びジャガイモデンプンなどのデンプン、カルポキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロースなどのセルロース及びその誘導体、粉末トラガカント、麦芽;ゼラチン、タルク;カカオバター及び坐剤ワックスなどの賦形剤、落花生油、綿実油、ベニバナ油、ごま油、オリーブオイル、コーン油、及び大豆油などの油類、プロピレングリコールなどのグリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコールなどのポリオール、オレイン酸エチル、及びラウリン酸エチルなどのエステル、寒天;水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、界面活性剤、アルギン酸、パイロジェンフリー水、等張生理食塩水、リンゲル液、エチルアルコール、リン酸緩衝液、及び医薬製剤に用いられる他の無毒性適合性物質が挙げられる。
【0100】
本明細書で使用するとき、「薬学的に許容される担体」には、本開示の範囲内で有用な化合物の活性と適合性を有し、患者に対して生理学的に許容されるあらゆるコーティング、抗細菌及び抗真菌剤、並びに吸収遅延剤なども含まれる。補助的活性化合物を本組成物に添加することもできる。「薬学的に許容される担体」は、本開示内で有用な化合物の薬学的に許容される塩を更に含み得る。本開示を実施するうえで用いられる医薬組成物に含まれ得る他の更なる成分は当該技術分野において既知であり、例えば、その全体を参照により本明細書に組み込む、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Genaro,Ed.,Mack Publishing Co.,1985,Easton,PA)に記載されている。
【0101】
「薬学的に許容される賦形剤」は、薬理学的組成物に添加されるか、又はそうでない場合、薬剤の投与を容易にするビヒクル、担体又は希釈剤として使用され、かつその薬剤と相溶する、不活性な物質などの、非毒性の生物学的に許容性のある、あるいはそうでない場合対象に投与するのに生物学的に好適な物質を指す。賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖及び様々な種類のデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、及びポリエチレングリコールが挙げられる。
【0102】
1つ又は2つ以上の投薬量単位の活性薬剤を含有する医薬組成物の送達形態は、好適な薬学的賦形剤及び当業者に既知であるか又は利用可能になっている配合技法を使用して、調製することができる。この組成物は、本発明の方法において、好適な送達経路、例えば、経口、非経口、直腸内、局所、若しくは眼経路によって、又は吸入によって投与してもよい。
【0103】
調製物は、錠剤、カプセル剤、サッシェ剤、糖衣錠、粉剤、顆粒剤、トローチ剤、再構成用粉剤、液体調製物、又は座薬の形態であってもよい。好ましくは、この組成物は、静脈内注射、局所投与、又は経口投与用に処方される。
【0104】
経口投与の場合、本開示の化合物は、錠剤若しくはカプセルの形態で、又は溶液、乳剤、若しくは懸濁剤として提供され得る。経口組成物を調製するために、この化合物は、例えば、1日当たり約0.05~約100mg/kg、1日当たり約0.05~約35mg/kg、又は1日当たり約0.1~約10mg/kgの投薬量を生じるように処方されてもよい。例えば、1日当たり約5mg~5gの合計日投薬量は、1日当たり1回、2回、3回、又は4回投与することによって達成されてもよい。
【0105】
経口錠剤は、薬学的に許容される賦形剤、例えば、不活性希釈剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、甘味剤、着香剤、着色剤及び保存剤と混合された本開示による化合物を含み得る。好適な不活性充填剤としては、炭酸ナトリウム及び炭酸カルシウム、リン酸ナトリウム及びリン酸カルシウム、ラクトース、デンプン、糖、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、ソルビトールなどが挙げられる。例示的な経口用液体賦形剤としては、エタノール、グリセロール、水などが挙げられる。デンプン、ポリビニルピロリドン(polyvinyl-pyrrolidone、PVP)、グリコール酸ナトリウムデンプン、微結晶セルロース、及びアルギン酸は、好適な崩壊剤である。結合剤としては、デンプン及びゼラチンを挙げることができる。潤滑剤は、存在する場合、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクであってもよい。必要に応じて、錠剤をモノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルなどの物質でコーティングして、消化管内での吸収を遅延させてもよく、又は腸溶コーティングでコーティングしてもよい。
【0106】
経口投与用カプセルとしては、ハードゼラチンカプセル及びソフトゼラチンカプセルが挙げられる。硬質ゼラチンカプセルを調製するために、本開示の化合物は、固体、半固体又は液体の希釈剤と混合され得る。軟質ゼラチンカプセルは、本開示の化合物を水、ピーナッツ油若しくはオリーブ油などの油、流動パラフィン、短鎖脂肪酸のモノグリセリドとジグリセリドとの混合物、ポリエチレングリコール400又はプロピレングリコールと混合することによって調製され得る。
【0107】
経口投与用の液体は、懸濁液、溶液、乳剤、又はシロップ剤の形態であってもよく、あるいは使用前に水若しくは他の好適なビヒクルで再構成するために、凍結乾燥させてもよく、又は乾燥製品として提示してもよい。かかる液体組成物は、任意に、薬学的に許容される賦形剤、例えば、懸濁剤(例えば、ソルビトール、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルなど);非水性ビヒクル、例えば、油(例えば、アーモンド油又は分留ヤシ油)、プロピレングリコール、エチルアルコール又は水;保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチル若しくはp-ヒドロキシ安息香酸プロピル、又はソルビン酸);レシチンなどの湿潤剤;及び必要に応じて着香剤又は着色剤を含有していてもよい。
【0108】
また、本開示の活性剤は、非経口経路によって投与され得る。例えば、上記の組成物を、直腸内投与のために坐剤として処方してもよい。静脈内、筋肉内、腹腔内又は皮下経路を含む非経口用途の場合、本開示の化合物は、適切なpH及び等張性に緩衝化された滅菌水溶液若しくは懸濁液、又は非経口的に許容される油中で提供されてもよい。好適な水性ビヒクルとしては、リンガー液及び等張性塩化ナトリウムが挙げられる。かかる形態は、アンプル又は使い捨て注射デバイスなどの単位用量形態、適切な用量を引き抜くことができるバイアルなどの多用量形態、又は注射可能な製剤を調製するために使用できる固体形態若しくは予濃縮物で提示されることになる。具体的な注入用量は、数分~数日の範囲の期間で注入される、薬学的担体と混合した化合物の約1~1000μg/kg/分の範囲とすることができる。
【0109】
局所投与の場合、この化合物を、ビヒクルに対して約0.1%~約10%の薬物の濃度で薬学的担体と混合してもよい。本開示の化合物を投与する別の形態は、経皮送達を行うためにパッチ製剤を利用し得る。
【0110】
代替的に、本開示の化合物を、経鼻又は経口経路を介した吸入によって、例えば、好適な担体も含有する噴霧製剤による本開示の方法で投与し得る。
【0111】
治療方法
本明細書では、HEV感染症を改善及び/若しくは治療する方法であって、本明細書に記載の1つ又は2つ以上の化合物及び/若しくはその薬学的に許容される塩の有効量をそれを必要とする対象に投与することを含み得る方法か、又は本明細書に記載の1つ又は2つ以上の化合物及び/若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物であって、本明細書に記載の化合物及びその薬学的に許容される塩が、式(I)若しくはその薬学的に許容される塩であり得る医薬組成物が、提供される。
【0112】
本明細書に記載の他の実施形態は、HEV感染症を改善若しくは治療する際に使用するための本明細書に記載の化合物及び/若しくはその薬学的に許容される塩に関するか、又は本明細書に記載の1つ又は2つ以上の化合物及び/若しくはその薬学的に許容される塩を含む本明細書に記載のHEV感染症を改善若しくは治療する際に使用するための医薬組成物に関し、ここで、本明細書に記載の化合物及びそれらの薬学的に許容される塩は、式(I)若しくはその薬学的に許容される塩であり得る。
【0113】
本明細書に記載する他の実施形態は、HEVのウイルス複製を阻害する方法であって、HEVウイルスに感染した細胞を、有効量の本明細書に記載の化合物(例えば、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩)、及び/又は本明細書に記載する1つ又は2つ以上の化合物(例えば、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩)を含む医薬組成物と接触させることを含み得る方法に関する。一実施形態において、HEVのウイルス複製を阻害する方法は、インビトロ法である。
【0114】
いくつかの実施形態において、有効量の本明細書に記載の1つ又は2つ以上の化合物(例えば、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩)、及び/又は本明細書に記載の1つ又は2つ以上の化合物(例えば、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩)を含む医薬組成物を用いて、HEVにより引き起こされる感染症の1つ以上の症状を治療する、改善する、及び/又は予防することができる(例えば、それを必要とする対象に投与することによって)。例えば、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、HEV感染症によって引き起こされる以下の症状:発熱、黄疸、食欲低下(食欲不振)、悪心、嘔吐、腹痛、掻痒、皮膚発疹、及び/又は関節痛のうちの1つ又は2つ以上を治療、改善、及び/又は予防するために使用されることができる。
【0115】
いくつかの実施形態において、有効量の本明細書に記載の1つ又は2つ以上の化合物(例えば、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩)、及び/又は本明細書に記載する1つ又は2つ以上の化合物(例えば、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩)を含む医薬組成物を用いて、HEVにより引き起こされる感染症に関連する1つ以上の状態を(例えば、それを必要とする対象に有効量を投与することによって)治療する、改善する、及び/又は予防することができる。例えば、一実施形態において、有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を使用して、化合物又は塩が投与される対象においてHEV感染症の慢性HEV感染症への進行を遅延又は予防することができる。一実施形態において、有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を使用して、化合物又は塩が投与される対象においてHEV関連疾患又はHEV誘発性疾患(例えば、慢性HEV誘発性疾患)を改善又は治療することができる。一実施形態において、有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を使用して、化合物又は塩が投与される対象においてHEV関連疾患又はHEV誘発性疾患(例えば、慢性HEV誘発性疾患)の悪化を遅延又は予防することができる。そのようなHEV関連疾患又はHEV誘発性(慢性)疾患の例としては、急性膵炎、劇症肝不全、ギラン・バレー症候群、神経痛性筋萎縮症、溶血性貧血(例えば、G6PD欠損症を有する対象における)、糸球体腎炎、ネフローゼ症候群を伴う糸球体腎炎、クライオグロブリン血症、混合クリオグロブリン血症、及び/又は血小板減少症が挙げられる。
【0116】
いくつかの実施形態において、有効量の本明細書に記載の化合物の1つ又は2つ以上(例えば、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩)、及び/又は本明細書に記載する1つ又は2つ以上の化合物(例えば、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩)を含む医薬組成物を用いて、HEVにより引き起こされる感染症に関連する1つ以上の繊維性状態若しくは繊維性に関連する状態を(例えば、それを必要とする対象に有効量を投与することによって)治療する、改善する、及び/又は予防することができる。一実施形態において、有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を使用して、化合物又は塩が投与されるHEV感染症を有する対象における線維症の段階を改善する(例えば、それらの進行を遅延又は予防する)ことができる。例えば、有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を使用して、化合物又は塩が投与されるHEV感染症を有する対象における肝臓損傷の程度を改善することができ、ここで、肝臓損傷は、HEV感染症(慢性HEV感染症を含む)によって引き起こされるか又は悪化する。別の実施形態において、有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を使用して、化合物又は塩が投与されるHEV感染症を有する対象における線維症を改善する(例えば、繊維症の進行を遅延又は予防する)ことができる。例えば、一実施形態において、有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を使用して、化合物又は塩が投与されるHEV感染症(慢性HEV感染症を含む)を有する対象における硬変を予防する(例えば、肝臓繊維症の初期段階から硬変段階への進行を遅延又は予防する)ことができる。
【0117】
いくつかの実施形態において、化合物(又はその薬学的に許容される塩)を使用するか、又は本明細書に記載の方法を実行するときに、対象の特定の特徴が考慮される。本明細書に記載の状態(HEV感染症など)に対する治療を必要とする対象として特定されることに加えて、対象はまた、HEV感染症又はその効果への脆弱性もたらす特定の特徴に基づいて特定され得る。例えば、一実施形態において、対象は溶血性貧血を有し、遺伝性の危険性因子であるグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ欠損症(G6PD欠損)も有する。様々な実施形態において、対象は、本明細書に記載される状態(HEV感染症など)に対する治療の必要があり、更に、妊婦、免疫不全対象、免疫欠損対象、及び/又は臓器移植患者であり得る。したがって、本明細書に記載の方法の化合物又は塩を投与するステップのいずれかは、対象の1つ又は2つ以上の臨床的に関連する特徴を特定するステップと併せて行うことができる。例えば、一実施形態は、E型肝炎(HEV)感染症の改善又は治療方法であって、それを必要とする妊婦対象を特定することと、HEV感染症を治療するのに有効であり、それによって、劇症肝不全への進行を防止又は遅延させることができる量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することとを含む方法を提供する。
【0118】
いくつかの実施形態において、化合物(又はその薬学的に許容される塩)を使用するか、又は本明細書に記載の方法を実行するときに、HEVの特定の特徴が考慮される。例えば、上記のように、HEVは、様々な既知のサブタイプを有する遺伝子型1、遺伝子型2、遺伝子型3、又は遺伝子型4であり得る。本明細書に記載の状態(HEV感染症など)に対する治療を必要とする対象として特定されることに加えて、対象はまた、遺伝子型などのHEVそれ自体の特定の特徴に基づいて特定され得る。
【0119】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の化合物(又は塩)の特定の特性は、本明細書に記載の化合物を使用するか、又は本明細書に記載される方法を実施するときに考慮される。例えば、式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、様々な効力を有し得る。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、0.30μM以下のEC50;0.25μM以下のEC50、0.20μM以下のEC50;、又は0.15μM以下のEC50を有する。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、約75μM以下のEC50;約50μM以下のEC50、約30μM以下のEC50;約10μM以下のEC50;約5μM以下のEC50;又は約1μM以下のEC50を有する。式(I)の化合物の例示的な実施形態についての効力データは、以下の実施例で提供される。本出願は、より具体的には、例えばHuh7細胞株においてHEV DNAを阻害するための(例えば、以下の実施例2に記載されるような)0.30μM未満(より具体的には、0.25μM以下、若しくは0.20μM以下、若しくは0.15μM以下)のEC50を示す、より具体的には、化合物がHuh7細胞培養物中に配置された3日後に測定された場合に、HEV DNAを阻害するための(例えば、以下の実施例2に記載されるような)0.30μM未満(より具体的には、0.25μM以下、若しくは0.20μM以下、若しくは0.15μM以下)のEC50を示す、本明細書で定義される化合物に関する。本明細書で使用するとき、半数効果濃度(EC50)は、当該分野におけるその一般的な意味に従って意図される。より具体的には、典型的には指定された曝露時間の後の、ベースラインと最大との間の中間の反応を誘発する化合物の濃度を指し得る。EC50値は、一般に化合物の効力の尺度として使用され、より低い値は一般により高い効力を示す。
【0120】
例えば、HEV感染症などのウイルス感染症を治療する方法の有効性を判定するための様々な指標が当業者に公知である。好適な指標の例として、ウイルス量の減少、ウイルス複製の減少、セロコンバージョンまでの時間の減少(患者血清中で検出できないウイルス)、臨床転帰における罹患率若しくは死亡率の低下、及び/又はその他疾患応答の指標が挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
いくつかの実施形態において、有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、例えば、約1000~約5000、約500~約1000、又は約100~約500ゲノムコピー/mL血清の検出不能なレベルまでウイルス価を減少させるのに有効な量である。いくつかの実施形態において、有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の投与前のウイルス量と比較してウイルス量を減少させるのに有効な量である。いくつかの実施形態において、有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の投与前のウイルス量と比較して、約1.5-log~約2.5-log減少、約3-log~約4-log減少、又は約5-log超減少の範囲で対象の血清におけるウイルス価を減少させるのに有効な量である。例えば、一実施形態において、ウイルス量は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の投与前に測定され、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩での治療レジームの完了後(例えば、完了1週間後)再び測定されてもよい。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩により、治療レジームの完了後(例えば、完了1週間後)判定される際、対象の治療前レベルに対して、HEVの複製を少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、50、75、100倍以上減少させることができる。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、治療前レベルに対して、約2~約5倍、約10~約20倍、約15~約40倍、又は約50~約100倍の範囲においてHEVの複製の減少をもたらすことができる。
【0122】
当業者には容易に明らかとなるように、有用なインビボ投与量及び特定の投与方法は、年齢、体重、病気の重篤度、及び治療される哺乳類種、使用される特定の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、及びこれら化合物若しくは塩が使用される特定用途に依存して異なり得る。所望の結果を達成するために必要な投与量レベルである有効投与量レベルは、常用される方法、例えば、ヒト臨床試験及びインビトロ試験を当業者が用いて決定することができる。
【0123】
投与量は、所望の効果及び治療指標に依存して広い範囲であり得る。あるいは、投与量は、当業者には理解されるように、患者の表面積に基づいて決定されてもよく、またその表面積に基づいて計算されてもよい。正確な投与量は薬物ごとに決定されるが、ほとんどの場合、投与量に関しては、ある程度の一般化をすることができる。成人ヒト患者に対する1日の投与レジメンは、例えば、0.01mg~3000mg、好ましくは、1mg~700mg、例えば、5~200mgの各活性成分の経口投与であり得る。投与量は、対象の必要に応じて1回だけ、又は1日以上の間に一連の2回又は3回以上が与えられてよい。いくつかの実施形態では、化合物は、連続する療法の期間、例えば1週間以上、数ヶ月間、又は数年間にわたって投与される。
【0124】
化合物のヒト投与量が少なくともいくつかの状態に対して確立されている場合、それと同じ投与量を用いてもよく、又は確立されたヒト投与量の約0.1%~500%、より好ましくは約25%~250%の投与量を用いてもよい。新たに発見された医薬組成物の場合のようにヒト投与量が確立されていない場合、動物における毒性試験及び有効性試験によって限定されるED50値若しくはID50値、又はインビトロ若しくはインビボ試験から得られるその他の適切な値から好適なヒト投与量を推測することができる。
【0125】
薬学的に許容される塩を投与する場合、投与量は遊離塩基として算出してよい。当業者には理解されるように、特定の状況では、特に侵攻性の疾患又は感染症を効果的かつ積極的に治療するために、上述の好ましい投与量範囲を超える、又は更にははるかに超える量の本明細書に開示する化合物を投与することが必要である場合がある。
【0126】
投与量及び投与間隔は、調節作用を維持するのに十分な活性部分の血漿レベル、つまり最小有効濃度(minimal effective concentration、MEC)をもたらすように個々に調整してよい。MECは、各化合物又はその薬学的に許容される塩で変動するが、インビトロデータから推定することができる。MECの達成に必要な投与量は、個々の特徴及び投与経路に依存する。しかし、HPLCアッセイ又はバイオアッセイを用いて血漿濃度を測定することができる。投与間隔も、MEC値を用いて決定することができる。組成物は、10~90%、好ましくは30~90%、最も好ましくは50~90%の時間にわたって、MECを上回る血漿レベルを維持するレジメンを用いて投与すべきである。局所投与又は選択的取り込みの場合、薬物の有効局所濃度は、血漿濃度と無関係である場合がある。
【0127】
主治医は、毒性又は臓器の機能障害に起因して投与を終了、中断、又は調整する方法及びタイミングを分かっていることに留意されたい。逆に、主治医は、臨床的応答が十分でなかった場合、治療薬をより高レベルに調整するべきであるということも分かっている(毒性を除く)。対象となる障害の管理において投与される用量は、治療される状態の重篤度及び投与経路によって変動し得る。状態の重篤度は、例えば、標準的な予後評価法によってある程度評価することができる。更に、用量及びおそらくは投与頻度も、年齢、体重、及び個々の患者の応答によって変動する。上述のものに相当するプログラムを、動物用の医薬において使用することができる。
【0128】
本明細書に開示する化合物及び薬学的に許容される塩は、既知の方法を用いて有効性及び毒性について評価することができる。例えば、特定の化学部分を共有する特定の化合物又は化合物のサブセットの毒性は、細胞株、例えば哺乳類、好ましくはヒトの細胞株に対する毒性をインビトロで判定することによって確立することができる。多くの場合、そのような試験の結果は、哺乳類、又はより具体的にはヒトなどの動物における毒性の予測となるものである。あるいは、マウス、ラット、ウサギ、又はサルなどの動物モデルにおける特定の化合物の毒性を、既知の方法を用いて決定してもよい。特定の化合物の有効性は、いくつかの認められている方法、例えば、インビトロ法、動物モデル、又はヒト臨床試験を用いて確立することができる。有効性を判定するためのモデルを選択するとき、当業者は、適切なモデル、投与量、投与経路及び/又はレジームを選択するための最先端の方法によって導かれることができる。
【実施例】
【0129】
実施例1:化合物の合成
化合物1
【0130】
【化15】
ステップ1:1-((4R,5R,8R)-8-ヒドロキシ-7-メチレン-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-5-イル)ピリミジン-2、4(1H,3H)-ジオン19の合成
中間体18(5.29g、13.352mmol)をTHF(150mL)中に可溶化し、60℃でTHF(100mL)中のDBU(3.174mL、1.019g/mL、21.245mmol)の撹拌溶液に1時間かけて滴加した。得られた混合物を60℃で5時間撹拌した。反応混合物を室温まで放冷し、水(200mL)に注いだ。混合物を、1MのHCl溶液でpH=4に酸性化した。有機層をEtOAc(200mL)で3回抽出し、MgSO
4で乾燥させ、濃縮乾固した。固体をDCM中で粉砕し、濾過して、中間体19(2.68g、収率75%)を白色固体として得た。
【0131】
MS(ES-):267.0;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.54-2.68(m,1H),2.72-2.84(m,1H),2.91(td,J=8.5,5.7Hz,1H),2.94-3.05(m,1H),4.26(s,1H),4.45(t,J=1.8Hz,1H),4.56(br d,J=6.2Hz,1H),5.66(d,J=7.9Hz,1H),6.06(d,J=6.4Hz,1H),6.51(s,1H),7.33(d,J=8.1Hz,1H),11.54(br s,1H)。
【0132】
ステップ2:1-((4R,5R,7S,8R)-7-アジド-8-ヒドロキシ-7-(ヨードメチル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-5-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン41の合成
N-ベンジル-N,N-ジエチルエタンアミニウムクロリド(BnEt3NCl)(4.585g、20.127mmol)及びアジ化ナトリウム(NaN3)(1.308g、20.127mmol)をMeCN(30mL)に懸濁し、16時間撹拌した。混合物を、THF(60mL)中の中間体19(900mg、3.355mmol)及びNMM(5.4mL、0.917g/mL、48.956mmol)の溶液中へと濾過した。次に、反応混合物を0℃に冷却し、THF(18mL)中のヨウ素(5.11g、20.127mmol)を添加した。反応混合物を室温で5時間撹拌した。気体が発生しなくなるまで、N-アセチル-システイン(2g)を混合物に添加した。飽和水性Na2S2O3を、淡黄色の溶液が発生するまで混合物に添加した。混合物を減圧下で濃縮し、次いで、EtOAc(50mL)で希釈した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥した。溶媒を除去し、粗生成物を、溶離液としてヘプタン/EtOAcを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、中間体41(1.49g、収率99%)を得た。
【0133】
MS(ES-):436.0;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.52-2.61(m,1H),2.76-2.98(m,3H),3.75(s,2H),4.34(br s,1H),5.68(d,J=8.1Hz,1H),6.47(br d,J=6.2Hz,2H),7.43-7.57(m,1H),11.57(s,1H)。
【0134】
ステップ3:(4R,5R,7S,8R)-7-アジド-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-7-(ヨードメチル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-8-イルベンゾエート42の合成
中間体41(1.49g、3.408mmol)をTHF(45mL)中に溶解し、反応混合物を0℃に冷却した。Et3N(2.368mL、0.728g/mL、17.04mmol)及びDMAP(8.327mg、0.0682mmol)を混合物に添加し、続いて塩化ベンゾイル(0.475mL、1.211g/mL、4.089mmol)を滴加した。反応混合物を室温で1.5時間撹拌した。この反応混合物をEtOAc(100mL)で希釈した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮した。粗生成物を、溶離液としてヘプタン/EtOAcを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、中間体42(1.5g、収率81%)を白色の発泡体として得た。
【0135】
MS(ES-):540.0;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.73-2.84(m,2H),2.84-2.94(m,1H),3.02-3.12(m,1H),3.79(br d,J=11.7Hz,1H),3.92(br d,J=11.7Hz,1H),5.77(dd,J=8.0,2.1Hz,1H),6.02(br s,1H),6.50(br s,1H),7.63(t,J=7.2Hz,2H),7.72-7.85(m,2H),8.18(d,J=7.6Hz,2H),11.63(s,1H)。
【0136】
ステップ4:[(4R,5R,6R,8R)-6-アジド-5-ベンゾイルオキシ-8-(2,4-ジオキサピリミジン-1-イル)-7-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-6-イル]メチルベンゾエート43の合成
中間体42(1.5g、2.771mmol)及びBzONa(1.997g、13.855mmol)をDMF(80mL)に懸濁し、続いて15-クラウン-5(5.499mL、1.11g/mL、27.71mmol)を添加した。反応混合物を、120℃で一晩撹拌した。反応混合物をEtOAc(100mL)で希釈し、小さなdecaliteの床で濾過し、水で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を除去した。粗生成物を、溶離液としてヘプタン/EtOAcを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、LC-MSによって決定された63%純度の淡黄色の固体として中間体43(700mg、収率47%)を得た。化合物をそのまま使用した。
【0137】
MS(ES-):534.1
【0138】
ステップ5:(4R,5R,7R,8R)-7-アジド-7-((ベンゾイルオキシ)メチル)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-8-イル安息香酸44の合成
中間体43(700mg、1.307mmol)をNH3(MeOH中7M)(150mL、7M、1050mmol)に溶解し、混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を乾固するまで濃縮し、固体をEt2Oで粉砕し、淡黄色固体として1-[(4R,5R,6R,8R)-6-アジド-5-ヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)-7-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-8-イル]ピリミジン-2,4-ジオン-44(360mg、収率84%)を得た。
【0139】
MS(ES-):326.0;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.38-2.48(m,1H),2.78-2.92(m,2H),3.02-3.10(m,1H),3.69-3.78(m,2H),4.11(br d,J=5.3Hz,1H),5.67(d,J=8.1Hz,1H),5.76(br s,1H),5.93(br d,J=4.2Hz,1H),6.60(br s,1H),7.66(d,J=8.1Hz,1H),11.31(br s,1H)。
【0140】
イソプロピル(2R)-2-[[[(4R,5R,6R,8R)-6-アジド-8-(2,4-ジオキサピリミジン-1-イル)-5-ヒドロキシ-7-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-6-イル]メトキシ-フェノキシ-ホスホリル]アミノ]プロパノエート45の合成
【0141】
【化16】
中間体44(200mg、0.611mmol)を乾燥ピリジン(5mL)に溶解し、溶媒を減圧下で除去して、発泡体を得た。発泡体をDCM(10mL)に溶解し、N-メチルイミダゾール(0.244mL、1.03g/mL、3.055mmol)を添加した。反応混合物をN
2雰囲気下で室温で5分間撹拌した。イソプロピル(2R)-2-[[クロロ(フェノキシ)ホスホリル]アミノ]プロパノエート8(THF中1M)(0.917mL、1M、0.917mmol)を添加し、反応混合物をN
2雰囲気下、室温で20時間撹拌した。反応混合物を冷水(20mL)及びDCM(20mL)に注いだ。水層をDCMで抽出した(3×50mL)。有機層をMgSO
4で乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。得られた粗生成物を、方法Eを使用して分取HPLCによって精製した。得られた画分を凍結乾燥して、1(80mg、収率22%)を得た。
【0142】
MS(ES-):595.2;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 1.14(dd,J=6.2,2.4Hz,6H),1.22(d,J=7.3Hz,3H),2.52-2.60(m,1H),2.80-2.90(m,2H),2.95-3.04(m,1H),3.72-3.84(m,1H),4.21-4.38(m,3H),4.84(quind,J=6.3,6.3,6.3,6.3,4.0Hz,1H),5.60(dd,J=7.9,3.3Hz,1H),6.06-6.22(m,2H),6.49-6.62(m,1H),7.15-7.24(m,3H),7.33-7.40(m,2H),7.47(br d,J=7.0Hz,1H),11.52(br s,1H)。
【0143】
化合物2
【0144】
【化17】
ステップ1:1-((4R,5R,7R,8R)-8-ヒドロキシ-7-(ヒドロキシメチル)-6-オキサ-1-チオスピロ-[3.4]オクタン-5-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン7の合成
THF(300mL)中の中間体6(15g、28.365mmol)の溶液に、TBAF(56.7mL、56.7mmol、THF中1M)を添加した。得られた混合物をN
2雰囲気下で室温で2時間撹拌した。その後、溶媒を蒸発させ、粗生成物を、方法Aを使用して分取HPLCによって精製して、中間体7(7g、86%)を白色粉末として得た。
【0145】
MS(ES-):285.0;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.44-2.49(m,1H),2.78-2.90(m,2H),2.99-3.09(m,1H),3.39-3.45(m,1H),3.59(dd,J=12.4,2.8Hz,1H),3.74(dd,J=12.4,2.1Hz,1H),3.92(br d,J=8.1Hz,1H),5.23(br s,1H),5.62(d,J=8.1Hz,1H),5.68(br s,1H),6.40(s,1H),8.00(d,J=8.1Hz,1H),11.40(br s,1H)。
【0146】
ステップ2:1-((4R,5R,7S,8R)-8-ヒドロキシ-7-(ヨードメチル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-5-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン18の合成
ヨウ素(6.649g、26.196mmol)及びTPP(6.871g、26.196mmol)を、中間体7(5g、17.464mmol)のNMI(6.96mL、1.03g/mL、87.318mmol)及びTHF(200mL、0.886g/mL、2457.462mmol)の懸濁液に室温で添加した。反応混合物をN2雰囲気下で4時間撹拌した。反応混合物をNa2S2O3の飽和溶液でクエンチし、濃縮し、EtOAc(100mL)で希釈した。有機層をブライン(50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮した。粗生成物を、溶離液としてヘプタン/EtOAcを使用してクロマトグラフィーカラムによって精製して、中間体18、80%及びトリフェニルホスフィンオキシド、20%を含有する白色固体(6g)を得た。
【0147】
MS(ES-):395.0;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.55-2.67(m,1H),2.68-2.80(m,1H),2.85-2.95(m,2H),3.35-3.47(m,2H),3.50-3.60(m,1H),3.81(t,J=6.7Hz,1H),5.66(d,J=8.1Hz,1H),5.97(d,J=6.2Hz,1H),6.33(s,1H),7.53(d,J=8.1Hz,1H),11.50(s,1H)。
【0148】
ステップ3:1-((4R,5R,8R)-8-ヒドロキシ-7-メチレン-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-5-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン19
中間体18(6g)を含有する混合物をMeOH(100mL)に懸濁した。NaOMe(MeOH中30%)(14.022mL、5.4M、75.718mmol)を懸濁液に添加した。得られた混合物を、2.5時間還流で撹拌した。反応混合物を室温まで放冷し、Decalite(登録商標)の小さなパッドで濾過した。濾液を、方法Aを使用して分取HPLCによって精製した。画分を凍結乾燥して、中間体19(2.6g、2ステップで55%)を白色固体として得た。
【0149】
MS(ES-):267.0
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.54-2.68(m,1H),2.72-2.84(m,1H),2.91(td,J=8.5,5.7Hz,1H),2.94-3.05(m,1H),4.26(s,1H),4.45(t,J=1.8Hz,1H),4.56(br d,J=6.2Hz,1H),5.66(d,J=7.9Hz,1H),6.06(d,J=6.4Hz,1H),6.51(s,1H),7.33(d,J=8.1Hz,1H),11.54(br s,1H)。
【0150】
ステップ4:(4R,5R,7R,8R)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-7-フルオロ-7-(ヨードメチル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-8-イルベンゾエート20の合成
中間体19(1g、3.7mmol)をACN(20mL)及びTHF(30mL)に溶解し、得られた混合物をN2雰囲気下で-15℃に冷却し、次いで、5mLのACN中のトリエチルアミン三フッ化水素酸塩(0.6mL、0.989g/mL、3.7mmol)を滴加し、続いてNIS(1g、4.4mmol)を添加した。得られた反応混合物をN2雰囲気下で-15℃で1時間撹拌した。その後、Et3N(2.6mL、0.728g/mL、18.6mmol)及びDMAP(9.107mg、0.08mmol)を反応混合物に添加した。反応混合物を40mLのTHFで希釈し、続いて0℃で塩化ベンゾイル(0.433mL、1.211g/mL、3.7mmol)を滴加した。反応混合物を室温まで加温し、3時間撹拌した。反応混合物をEtOAc(30mL)で希釈し、ブライン、Na2S2O3の飽和溶液で連続して洗浄し、MgSO4で乾燥させ、カラムクロマトグラフィー(ヘプタン/EtOAc)によって精製して、中間体20(1.2g、収率62%)を淡黄色の固体として得た。
【0151】
MS(ES-):516.8;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.80(br s,2H),2.93(br d,J=5.3Hz,1H),3.04-3.20(m,1H),3.50-3.77(m,2H),5.78(br d,J=7.7Hz,1H),6.04(br s,1H),6.59(br s,1H),7.63(br t,J=7.3Hz,2H),7.70-7.98(m,1H),8.18(br d,J=7.3Hz,2H),11.65(br s,1H)。
【0152】
ステップ5:((4R,5R,7S,8R)-8-(ベンゾイルオキシ)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-7-フルオロ-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-7-イル)メチルベンゾエート21の合成
中間体20(1.2g、2.3mmol)、安息香酸ナトリウム(1.7g、11.6mmol)及び15-クラウン-5(4.6mL、1.11g/mL、23.2mmol)をN2雰囲気下でDMF(50mL)に懸濁した。反応混合物を、120℃で18時間撹拌した。その後、反応混合物を45~50℃まで放冷し、次いでEtOAc(100mL)で希釈し、濾過した。有機層を、ブライン、Na2S2O3の飽和溶液で連続して洗浄し、Na2SO4で乾燥した。溶媒を除去し、粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(ヘプタン/EtOAc:100/100~50/50)により精製して、中間体21(700mg、59%)を淡黄色の固体として得た。
【0153】
MS(ES-):511.0;1H NMR(400MHz,CDCl3)δ ppm 2.76(br s,1H),2.89-2.95(m,1H),3.11(br s,1H),3.17-3.30(m,1H),4.54(dd,J=12.3,5.7Hz,1H),4.72(dd,J=12.2,8.7Hz,1H),5.53-5.64(m,1H),5.92(s,1H),6.58-6.79(m,1H),7.28(s,1H),7.33-7.42(m,2H),7.47-7.54(m,2H),7.54-7.59(m,1H),7.65(t,J=6.9Hz,1H),7.98(d,J=7.7Hz,2H),8.25(d,J=7.6Hz,2H)。
【0154】
ステップ6:1-((4R,5R,7S,8R)-7-フルオロ-8-ヒドロキシ-7-(ヒドロキシメチル)-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-5-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン22の合成
中間体21(700mg、1.4mmol)をNH3(MeOH中7M)(200mL)に可溶化し、室温で一晩撹拌した。溶媒を除去し、固体をEt2Oで粉砕し、化合物22(269mg、65%)を得た。
【0155】
MS(ES-):303.0;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.32-2.45(m,1H),2.83(br dd,J=8.4,4.0Hz,1H),2.88-3.03(m,1H),3.08-3.20(m,1H),3.51-3.67(m,2H),4.08(br d,J=19.4Hz,1H),5.67(d,J=7.9Hz,1H),5.75(br s,1H),5.93(br s,1H),6.71(br s,1H),7.65(br d,J=8.4Hz,1H),11.53(br s,1H)。
【0156】
(2S)-イソプロピル2-(((((4R,5R,7S,8R)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-7-フルオロ-8-ヒドロキシ-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-7-イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)-アミノ)プロパノエート23の合成
【0157】
【化18】
化合物22(100mg、0.329mmol)を乾燥ピリジン(5mL)に溶解し、溶媒を減圧下で除去した。得られた発泡体をジクロロメタン(5mL)及びN-メチルイミダゾール(0.131mL、1.03g/mL、1.643mmol)に可溶化した。この混合物に、中間体8(0.5mL、1M、0.5mmol)をN
2雰囲気下で室温で滴加した。5時間撹拌した後、別の同等の中間体8を添加した。一晩撹拌した後、反応混合物を20mLの冷水及び20mLのジクロロメタンの混合物でクエンチした。得られた混合物を、pH=4まで1MのHClで酸性化し、ジクロロメタン(3×50mL)で抽出した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去して、化合物を含有する400mgの発泡体を得た。方法Bを使用してPrep HPLCによって精製を行い、2(44mg、収率23%)を得た。
【0158】
MS(ES-):572.1;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 1.15(d,J=6.2Hz,6H),1.21(dd,J=10.6,7.3Hz,3H),2.53-2.64(m,1H),2.82-2.97(m,2H),3.05(br s,1H),3.72-3.85(m,1H),4.14-4.34(m,3H),4.85(dt,J=12.5,6.3Hz,1H),5.58(d,J=8.1Hz,1H),6.02-6.19(m,2H),6.67(br s,1H),7.14-7.25(m,3H),7.37(br t,J=7.9Hz,3H),10.86-11.82(m,1H)。
【0159】
化合物3
1-((4R,5R,7R,8R)-8-ヒドロキシ-7-(ヒドロキシメチル)-6-オキサ-1-チオスピロ-[3.4]オクタン-5-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン7の合成
【0160】
【化19】
ステップ1:2-((6aR,8R,9R,9aR)-8-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-2,2,4,4-テトライソプロピル-9-((4-メトキシベンジル)チオ)テトラヒドロ-6H-フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]-トリオキサジオロイン-9-イル)アセテート2bの合成
THF(5L)中の(4-メトキシフェニル)メタンチオールCAS[258-60-22](69.4g、450.6mmol)を窒素下20℃で撹拌した。混合物を-40℃に冷却した後、KHMDS(1M、495.7mL、495.7mmol)を滴加した。得られた白色の粘性液体を30分間撹拌した後、THF(1L)中の中間体1(250g、450.6mmol)を-40℃で添加した。反応混合物をゆっくりと20℃に温め、2時間撹拌した。水溶液1NのHCl(2L)を添加することによって反応混合物をクエンチし、次いでEtOAc(2×2L)で抽出した。有機層を重炭酸ナトリウムの水溶液(2L)、ブライン(2L)で連続して洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、蒸発させた。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(PE/EA=20/1~3/1)によって精製して、無色の油として化合物2b(159g、50%)を得た。
【0161】
m/z=710(M+H)+;1H NMR:(400MHz,CDCl3):δ 8.26(s,1H),7.82(d,J=8.0Hz,1H),7.29(d,J=8.4Hz,2H),6.85(d,J=8.4Hz,2H),6.28(s,1H),5.66-5.63(m,1H),5.34-5.30(m,1H),4.41-4.23(m,1H),4.19-4.04(m,5H),3.80-3.78(m,4H),3.23-3.19(m,1H),2.92(d,J=16.4Hz,1H),1.30-0.86(m,51H)。
【0162】
ステップ2:1-((6aR,8R,9R,9aR)-9-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,4,4-テトライソプロピル-9-((4-メトキシベンジル)チオ)テトラヒドロ-6H-フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]トリオキサジイン-8-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン3の合成
水素化アルミニウムリチウム(4g、105mml)を、窒素下、0℃で、ジエチルエーテル(1.5L)中に懸濁し、次いで、エーテル(200mL)中の中間体2b(50g、70mmol)を0℃でゆっくりと添加した。得られた白色の濁った溶液を20℃で16時間撹拌した。1NのHClの水溶液(1L)を添加することによって、反応混合物をクエンチし、次いでEtOAc(2×1L)で抽出した。有機層を、Na2SO4で乾燥させ、蒸発させた。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(PE/EA=10/1~1/1)によって精製して、無色の油として化合物3(27.8g、60%)を得た。
【0163】
m/z=668(M+H)+;1H NMR:(400MHz,CDCl3):δ 8.78(s,1H),7.89(d,J=8Hz,1H),7.30(d,J=8.4Hz,2H),6.85(d,J=8.8Hz,2H),6.35(s,1H),5.73(d,J=8Hz,1H),4.36-3.91(m,12H),3.79(s,3H),2.23-2.20(m,2H),1.78-1.73(m,1H),1.11-0.97(m,30H)。
【0164】
ステップ3:2-((6aR,8R,9R,9aR)-8-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-2,2,4,4-テトライソプロピル-9-((4-メトキシベンジル)チオ)テトラヒドロ-6H-フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]-トリオキサジエロシン-9-イル)エチルメタンスルホネート4の合成
中間体3(50g、75mmol)を窒素下、25℃でピリジン(500mL)に溶解し、次いで、塩化メシル(12.8g、112.5mmol)を25℃でゆっくりと添加した。得られた黄色溶液を25℃で16時間撹拌した。1NのHClの水溶液(1L)を添加することによって、反応混合物をクエンチし、次いでEtOAc(2×1L)で抽出した。有機層を、Na2SO4で乾燥させ、蒸発させた。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(PE/EA=10/1~1/1)によって精製して、無色の油として化合物4(43g、78%)を得た。
【0165】
m/z=746(M+H)+
1H NMR:(400MHz,CDCl3):δ 8.56(s,1H),7.92(d,J=8.4Hz,1H),7.31(d,J=8.8Hz,2H),6.87-6.85(m,2H),6.27(s,1H),5.77-5.74(m,1H),4.55-4.53(m,2H),4.38-4.02(m,8H),3.79(s,3H),2.95(s,3H),2.28-2.21(m,1H),1.12-1.01(m,31H)。
【0166】
ステップ4:2-((6aR,8R,9R,9aR)-8-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-2,2,4,4-テトライソプロピル-9-メルカプトテトラヒドロ-6H-フロ[3,2-f][1,3,5,2,4]トリオキサジオロジン-9-イル)エチルメタンスルホネート5の合成
25℃でTFA(250mL)中の中間体4(62g、83.2mmol)に、酢酸水銀(53g、166.4mmol)及びフェノール(39.1g、416mmol)を0℃でゆっくりと添加した。得られた暗赤色溶液を0℃で1時間撹拌した。1,4-ジメルカプトブタン-2,3-ジオール(25.6g、166.4mmol)を0℃で添加した。得られた混合物を10分間撹拌し、次いでcelite(登録商標)で濾過し、酢酸エチル(1L)で洗浄した。重炭酸ナトリウムの水溶液を添加することにより、pHを7に調整した。得られた混合物をcelite(登録商標)で濾過し、EtOAc(2×1L)で抽出した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、25℃で蒸発させて、中間体5(64g、粗製)を褐色の油として得た。
【0167】
ステップ5:1-((2’R,6aR,8R,9aR)-2,2,4,4-テトライソプロピルテトラヒドロスピロ[フロ[3,2-f]-[1,3,5,2,4]トリオキサジエロシン-9,2’-チエタン]-8-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン6の合成
中間体5(57g、91mmol)を窒素下、20℃で、THF(500mL)に溶解した。得られた混合物を0℃で撹拌し、次いで水素化ナトリウム(3.6g、135mmol)をゆっくりと添加した。反応混合物を20℃で16時間撹拌した。1NのHClの水溶液(1L)を添加することによって、反応混合物をクエンチし、次いでEtOAc(2×1L)で抽出した。有機層を、Na2SO4で乾燥させ、蒸発させた。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(PE/EA=10/1~5/1)によって精製して、無色の油として化合物6(18.3g、46%、2ステップ)を得た。
【0168】
m/z=529(M+H)+
1H NMR:(400MHz,CDCl3):δ 8.55(s,1H),7.93(d,J=8Hz,1H),6.58(s,1H),5.69(d,J=8Hz,1H),4.20-4.17(m,1H),4.05-3.96(m,2H),3.54-3.51(m,1H),3.33-3.32(m,1H),2.96-2.87(m,2H),2.85-2.69(m,1H),1.17-0.98(m,30H)。
【0169】
ステップ6:1-((4R,5R,7R,8R)-8-ヒドロキシ-7-(ヒドロキシメチル)-6-オキサ-1-チオスピロ-[3.4]オクタン-5-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン7の合成
中間体6(50g、94.5mmol)を窒素下、20℃で、メタノール(500mL)に溶解した。フッ化アンモニウム(10.5g、283.6mmol)を20℃で添加した。反応混合物を50℃で16時間撹拌した。反応混合物を室温まで放冷し、次いで溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH:100/1~10/1)によって精製して、白色の固体として7(11.2g、42%)を得た。
【0170】
m/z=287(M+H)+
1H NMR:(400MHz,DMSO-d6):δ 8.00(d,J=8Hz,1H),6.39(s,1H),5.68(d,J=6.4Hz,1H),5.61(d,J=8.4Hz,1H),5.22(t,J=4.8Hz,1H),3.92-3.89(m,1H),3.72-3.71(m,1H),3.59-3.57(m,1H),3.38(d,J=8.4Hz,1H),3.12-2.94(m,1H),2.85-2.81(m,2H),2.47-2.44(m,1H)。
【0171】
(2S)-イソプロピル2-(((((4R,5R,7R,8R)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-ピリミジン-1(2H)-イル)-8-ヒドロキシ-6-オキサ-1-チアスピロ[3.4]オクタン-7-イル)メトキシ)(フェノキシ)-ホスホリル)アミノ)プロパノエート3の合成
【0172】
【化20】
8の合成
ジクロロメタン(50mL)中の(S)-イソプロピル2-アミノプロパノエートヒドロクロリド(5g、29.8mmol)の溶液に、ホスホロジクロリド酸フェニル(4.45g、29.8mmol)を20℃で添加した。得られた混合物を-78℃に冷却し、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(10.4mL、59.6mmol)を滴加した。反応混合物を-78℃で1時間撹拌し、次いで反応物の温度を20℃まで上昇させた。1時間後、溶媒を減圧下で除去した。
【0173】
乾燥Et2O(約50ml)を添加し、形成された沈殿物を濾別し、窒素下で、乾燥Et2Oで2回洗浄した。濾液を蒸発乾固させて、黄色無色の油8(8.32g)を得、これを、-20℃の冷凍庫中で乾燥テトラヒドロフラン(THF)中の1M溶液として保存した。
【0174】
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ ppm 1.24-1.31(m,6H),1.50(dd,J=7.0,2.1Hz,3H),4.06-4.20(m,1H),4.23-4.41(m,1H),5.02-5.14(m,1H),7.19-7.30(m,3H),7.34-7.41(m,2H)。
【0175】
3の合成
化合物7(500mg、1.7mmol)を乾燥ピリジン(15mL)に溶解し、室温で1時間撹拌し、次いで蒸発乾固させた。
【0176】
得られた沈殿物を乾燥ジクロロメタン(15mL)に懸濁し、メチルイミダゾール(1.3mL、17.4mmol)を滴加した。得られた溶液を、窒素下で乾燥THF中のホスホロクロリダート8(2.62mL、2.62mmol)の1M溶液で処理した。反応混合物を20℃で16時間撹拌し、DCM(20mL)で希釈し、1MのHClの水溶液で洗浄した(3×20mL)。合わせた水層を、DCM(30mL)で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(勾配DCM/MeOH1~10%)により精製して、白色発泡体として3(100mg、12%)を得た。
【0177】
m/z=556(M+H)+;1H NMR(400MHz,CDCl3)δ ppm 1.18-1.26(m,6H),1.30-1.38(m,2H),2.62(s,1H),2.66-2.90(m,2H),3.01(td,J=8.7,5.6Hz,1H),3.14-3.22(m,1H),3.46-3.63(m,1H),3.70(s,1H),3.85-4.04(m,3H),4.32-4.54(m,2H),4.97-5.07(m,1H),5.59-5.65(m,1H),6.50-6.55(m,1H),7.15-7.25(m,3H),7.30-7.37(m,2H),7.46-7.55(m,1H),9.07(br s,1H)。
【0178】
化合物4
HPLC条件A,Rt:1.88分,m/z=554(M+H)+;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 0.77-0.93(m,3H),1.14-1.25(m,3H),1.24-1.37(m,2H),1.41-1.62(m,2H),2.35-2.47(m,2H),3.63-3.92(m,3H),3.92-4.06(m,2H),4.05-4.21(m,1H),4.23-4.46(m,3H),5.48-5.59(m,1H),5.59-5.72(m,1H),5.89-6.15(m,2H),7.09-7.25(m,3H),7.31-7.41(m,2H),7.43-7.52(m,1H),11.51(br.s.,1H)
【0179】
【化21】
アルゴン雰囲気下で、5a(Org.Lett.,2007,9,3009-3012のように入手した)の乾燥テトラヒドロフラン(THF;400mL)中溶液へ、-78℃で、臭化アリルマグネシウム(400mL、400mmol、ジエチルエーテル中1.0M)を添加した。反応混合物を-78℃で4時間撹拌した後、反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液で慎重にクエンチした。混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層をブラインで洗浄した。溶媒を除去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(600gのシリカ)で精製し、ヘキサン中15%~20%の酢酸エチルで勾配溶出して、反応生成物5を無色の油(32.9g、70%)として得た。
【0180】
HPLC条件A,Rt:2.97分,m/z=402(M+NH4)+。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ ppm 7.38-7.20(m,10H),5.84-5.97(m,1H),5.12(d,1H,J=10.2Hz),5.01(d,1H,J=17.2Hz),4.74(d,1H,J=12.3Hz),4.56(s,1H),4.53-4.40(m,3H),4.05-4.11(m,1H),3.32-3.53(m,4H),3.44(s,3H),2.37(dd,1H,J=14.3,6.7Hz),2.25(dd,1H,J=14.3,7.6Hz)。
【0181】
(2S,3R,4R,5R)-3-アリル-4-(ベンジルオキシ)-5-(ベンジルオキシメチル)-2-メトキシ-テトラヒドロフラン-3-イルベンゾエート(6)
【0182】
【化22】
乾燥ジクロロメタン(500mL)中の5(26.6g、69.2mmol)の溶液へ、室温で、N,N-ジメチルピリジン-4-アミン(DMAP;2.113g、17.30mmol)、トリエチルアミン(217mL、1557mmol)及び塩化ベンゾイル(18.05mL、156mmol)を添加した。1時間後、追加の塩化ベンゾイル(6mL)及びDMAP(2.1g)を添加した。混合物を5日間撹拌した。
【0183】
次いで、反応混合物を1NのHClと共に撹拌し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせ、飽和NaHCO3水溶液、次いで、ブラインで洗浄した。MgSO4で乾燥させ、濾過し、揮発性物質を蒸発させた後、残渣を、ヘプタン~ヘプタン中の酢酸エチル15%で溶出するカラムクロマトグラフィー(400gのシリカ)によって精製して、反応生成物を油として得た(化合物5との混合物として)。混合物を、溶離液としてCH2Cl2を用いて再度精製した(400gのシリカ)。純粋な画分を収集し、中間体6を無色の油(13.05g、39%)として得た。HPLC条件A,Rt:3.41分,m/z=457(M-OMe)+。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ ppm 8.1(d,2H,J=7.9Hz),7.68-7.28(m,13H),5.84-5.77(m,1H),5.12(d,1H,J=16Hz),4.95(d,1H,J=16Hz),4.92(d,1H,J=12.3Hz),4.56(d,1H,J=12.3Hz),4.48(d,1H,J=11.6Hz),4.40(d,1H,J=11.6Hz),4.2(m,1H),3.85(d,1H,J=6.2Hz),3.53(d,1H,J=10.8Hz),3.7(s,3H),3.45(dd,1H,J=10.8,6.2Hz),3.25(dd,1H,J=15.5,7.3Hz),2.45(dd,1H,J=15.5,7.3Hz)。
【0184】
1-[(2R,3R,4R,5R)-3-アリル-4-(ベンジルオキシ)-5-(ベンジルオキシメチル)-3-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(7)
【0185】
【化23】
ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA、29.2mL、118mmol)を、無水アセトニトリル(300mL)中の6(14.0g、23.1mmol)及びウラシル(5.99g、53.4mmol)の混合物へ添加した。この反応混合物を1時間還流させ、次いで、透明溶液を室温まで放冷した。塩化スズ(11.55mL、99mmol)を、室温で滴加し、混合物を更に1時間撹拌した。次いで、混合物を1.5時間還流しながら撹拌し、再び、室温に冷却した。酢酸エチル(250mL)を添加し、続いて、飽和NaHCO
3(250mL)水溶液を添加し、混合物を15分間撹拌した。Celiteを通して濾過した後、有機層を分離し、飽和NaHCO
3水溶液(250mL)で洗浄した。合わせた水層を酢酸エチル(250mL)で抽出し、合わせた有機層を乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、減圧下で蒸発乾固させた。得られた黄色の油をメタノールに溶解し、25%のナトリウムメタノール(25mL)を添加した。撹拌を一晩続けた。更なる25%のナトリウムメタノール(15mL)を添加し、撹拌を一晩続けた。酢酸(30mL)を添加し、溶媒を除去した。残渣を、ヘプタン/酢酸エチル50:50~100%の酢酸エチルを用いたカラムクロマトグラフィーによって精製した。中間体7(9.38g、76%)を無色の油として得た。HPLC条件A,Rt:2.49分,m/z=465(M+H)
+。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ ppm 8.39(1H,NH),7.75(d,1H,J=8.0Hz),7.22-7.43(m,10H),6.05(s,1H),5.71-5.84(m,1H),5.35(d,1H,J=8.0Hz),5.00-5.11(m,2H),4.70(d,1H,J=11.5Hz),4.53(d,1H,J=11.5Hz),4.47(d,1H,J=11.1Hz),4.47(d,1H,J=11.1Hz),4.11-4.16(m,1H),4.04(d,1H,J=8.0Hz),3.81-3.87(m,1H),3.45-3.52(m,1H),3.17(bs,OH),2.15-2.33(m,2H)。
【0186】
1-[(2R,3R,4R,5R)-4-(ベンジルオキシ)-5-(ベンジルオキシメチル)-3-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシエチル)テトラヒドロフラン-2-イル]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(8)
【0187】
【化24】
THF(10mL)及びH
2O(10mL)の混合物中の7(7.8g、16.79mmol)の撹拌溶液へ、過ヨウ素酸ナトリウム(11.17g、52.2mmol)、続いてオスミウム(VIII)テトロキシド(2mL、2.5w/v%、tert-ブタノール中、0.168mmol)を添加し、撹拌を室温で2時間続けた。水(100mL)を添加し、酢酸エチル(2×50mL)で抽出を実施した。有機層を飽和NaHCO
3水溶液(2×30mL)で洗浄した。合わせた水層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、減圧下で蒸発乾固させた。得られた油性残渣を、THF(100mL)及びH
2O(20mL)の混合物に溶解し、水素化ホウ素ナトリウム(1.361g、36.0mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌し、水(100mL)を添加し、酢酸エチル(2×50mL)で抽出を行った。合わせた有機層を飽和NaHCO
3水溶液で洗浄し、合わせた水層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発乾固させた。得られた油性残渣を、カラムクロマトグラフィー(CH
2Cl
2中、0~10%(v/v)のメタノール、次いで、10%の均一溶媒)で精製し、反応生成物8を白色発泡体(4.8g、57%)として得た。HPLC条件A,Rt:2.12分,m/z=469(M+H)
+。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ ppm 9.85(1H,NH),7.85(d,1H,J=8.0Hz),7.22-7.43(m,10H),6.05(s,1H),5.35(d,1H,J=8.0Hz),4.75(d,1H,J=11.5Hz),4.53(d,1H,J=11.5Hz),4.45(d,1H,J=11.3Hz),4.35(d,1H,J=11.3Hz),4.27(d,1H,J=6.6Hz),4.2(s,1H),4.1,(d,1H,J=6.6Hz),3.95(d,1H,J=10.8Hz),3.75-3.7(m,1H),3.62(d,1H,J=10.8Hz),3.17(bs,OH),1.8-1.7(m,2H)。
【0188】
1-[(4R,5R,7R,8R)-8-(ベンジルオキシ)-7-(ベンジルオキシメチル)-1,6-ジオキサスピロ[3.4]オクタン-5-イル]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(9)
【0189】
【化25】
塩化メタンスルホニル(0.800mL、10.34mmol)を、乾燥ピリジン(100mL)中の8(4.32g、9.22mmol)へ添加した。1時間15分後、0.1当量の更なる塩化メタンスルホニルを添加し、混合物を室温で45分間更に撹拌した。次いで、少量のメタノールを添加し、混合物を蒸発乾固させた。残渣を、酢酸エチル(100mL)に溶解し、飽和NaHCO
3(2×50mL)で洗浄した。合わせた水層を酢酸エチルで抽出した。次いで、合わせた有機抽出物をNa
2SO
4で乾燥し、真空下で濃縮した。得られた残渣を乾燥THFに溶解し、95%のNaH(932mg、36.9mmol)を室温で一度に添加した。室温で2時間撹拌した後、反応混合物をNH
4Clの飽和水溶液(30mL)に注ぎ、続いて、CH
2Cl
2(250mL)を添加した。分離した有機層を飽和NaHCO
3水溶液(2×100mL)で洗浄し、合わせた水層をCH
2Cl
2(250mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、減圧下で濃縮乾固させた。得られた残渣を、最初にヘプタンで溶出し、続いて酢酸エチルで溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製し、9(3.27g、79%)を発泡体として得た。HPLC条件A,Rt:2.33分,m/z=451(M+H)
+。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ ppm 2.20-2.38(m,1H)2.38-2.52(m,1H)3.62-3.73(m,1H)3.89-4.13(m,3H)4.38-4.56(m,3H)4.56-4.68(m,1H)4.70-4.88(m,2H)5.25(d,J=8.00Hz,1H)6.25(s,1H)7.18-7.47(m,10H)7.87(d,J=8.20Hz,1H)8.90(br.s.,1H)
【0190】
1-[(4R,5R,7R,8R)-8-ヒドロキシ-7-(ヒドロキシメチル)-1,6-ジオキサスピロ[3.4]オクタン-5-イル]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(10)
【0191】
【化26】
メタノール(1mL)及びPd(OH)
2(8mg)中の9(50mg、0.111mmol)の混合物を、水素雰囲気下、室温で撹拌した。4時間後、更なるPd(OH)
2(30mg)及びメタノール(1mL)を添加した。混合物を、H
2雰囲気下で一晩激しく撹拌した。触媒をdecalite上で濾過することによって除去し、溶媒を蒸発によって除去した。得られた残渣を、酢酸エチル中10%のメタノールで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、中間体10を白色粉末として(16.8mg、56%)として得た。HPLC条件B,Rt:1.98分,m/z=271(M+H)
+。
1H NMR(400MHz,D
2O)δ ppm 7.65(d,1H,J=8.0Hz),6.11(s,1H),5.82(d,1H,J=8.0Hz),4.46-4.61(m,2H),4.06-4.13(m,1H),3.87-3.95(m,1H),3.69-3.77(m,2H),2.62-2.73(m,1H),2.48-2.58(m,1H)。
【0192】
メチル2-(クロロ(フェノキシ)ホスホルアミノ)-2-メチルプロピオネート(11)
【0193】
【化27】
CH
2Cl
2(80mL)中のフェニルホスホロジクロリド酸(1.0当量、13.0mmol、1.9mL)及びα-アミノイソブチレート塩酸メチル(1.0当量、13.0mmol、2.0g)の溶液を-80℃に冷却した。乾燥N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA;2.0当量、26.0mmol、4.3mL)を滴加した。2時間後、反応物を室温に温め、減圧下で溶媒を除去した。乾燥ジエチルエーテルを添加し、沈殿物を濾別し、アルゴン雰囲気下で乾燥ジエチルエーテルで2回洗浄した。濾液を蒸発乾固させて、11を得、これを、-18℃で乾燥テトラヒドロフラン(THF)中の0.90M溶液として保存した。
【0194】
CH2Cl2(80mL)中のフェニルホスホロジクロリド酸(1.0当量、13.0mmol、1.9mL)及びα-アミノイソブチレート塩酸メチル(1.0当量、13.0mmol、2.0g)の溶液を-80℃に冷却した。乾燥N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA;2.0当量、26.0mmol、4.3mL)を滴加した。2時間後、反応物を室温に温め、減圧下で溶媒を除去した。乾燥ジエチルエーテルを添加し、沈殿物を濾別し、アルゴン雰囲気下で乾燥ジエチルエーテルで2回洗浄した。濾液を蒸発乾固させて、11を得、これを、-18℃で乾燥テトラヒドロフラン(THF)中の0.90M溶液として保存した。
【0195】
メチル2-[[[[(4R,5R,7R,8R)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-8-ヒドロキシ-1,6-ジオキサスピロ[3.4]オクタン-7-イル]メトキシ](フェノキシ)ホスホルアミノ]-2-メチルプロパノエート(4)
【0196】
【化28】
乾燥THF(3mL)中の10(1.0当量、0.28mmol、75mg)の溶液へ、1-メチルイミダゾール(NMI;12.0当量、3.33mmol、0.27mL)を室温で添加した。中間体11(1.4当量、0.39mmol、0.43mL)の溶液を滴加し、混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を0.5MのHClで3回洗浄した。有機層をMgSO
4上で乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(CH
2Cl
2中、0~10%のメタノール)によって精製し、化合物4(24mg、収率=15%、純度=95%)をジアステレオマーの混合物として得た。HPLC条件A;Rt:1.49分,m/z=526(M+H)
+。1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ ppm 1.33(s,3H),1.37(s,3H),2.42-2.43(m,2H),3.56(s,3H),3.70-3.79(m,1H),3.80-3.88(m,0.4H),3.88-3.96(m,0.6H),4.09-4.20(m,1H),4.26-4.48(m,3H),5.50-5.56(m,1H),5.61-5.69(m,1H),5.88-5.97(m,1H),5.97-6.04(m,1H),7.12-7.24(m,3H),7.31-7.41(m,2H),7.44(d,J=8.22Hz,0.4H),7.52(d,J=8.02Hz,0.6H),11.49(br.s.,1H)。
【0197】
実施例2:生物活性
化合物の抗ウイルス活性を、Debing et al(Dis Model Mech 2016;9:1203-10)に記載されているように、ラットHEVレプリコンLA-B350/lucに対して試験した。この目的のために、Huh7細胞を、プラスミドpLA-B350/lucから生成されたキャップされたウイルスRNAをエレクトロポレーションし、96ウェルプレートに播種し、選択された濃度で各化合物で処理した。ウイルス対照(virus control、VC)については、化合物は省略された。3日後、分泌されたガウシアルシフェラーゼによって生成された発光を、Promega Renillaルシフェラーゼキットを使用して定量化し、細胞対照(CC、ウイルスRNA及び化合物省略)を用いてバックグラウンドについて補正した。50%有効濃度(EC50)は、平均補正VCのものと比較して、Lucシグナルの50%減少を引き起こす化合物の濃度として定義される。EC50は、2又は3回の実験に基づき、勾配を変数に保ちながら2パラメータロジスティックモデルを使用してGraphPadにおける非線形回帰適合によって導出された。
【0198】
生存率評価のために、培地を除去し、続いて細胞を、MTS/PMS溶液(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム/フェナジノメトサルフェート)と共にインキュベートし、これは代謝されて、茶色の水溶性生成物を生じ、これは、37℃で1時間後に、498nmでの吸光度読み出しによって定量化される。得られた値は、未処理のRNAトランスフェクトされた対照状態の阻害パーセントとして表される。CC50は、細胞の代謝活性が未処理細胞の代謝活性の50%まで低減される濃度を表す(及び2回の実験に基づき、かつ勾配を変数に保ちながら2パラメータロジスティックモデルを使用してGraphPadにおける非線形回帰適合によって導出された)。
【0199】
結果は、式(I)の化合物がHEV(ラットHEVレプリコンLA-B350/luc)に対して活性であることを示している。
【0200】
【0201】
報告された値は、2つの有効数字に丸めることができる。
【0202】
化合物1~4のいずれも、50μMの最高試験濃度でCC50に達しなかった。
【0203】
実施例3:HEV遺伝子型3レプリコンKernow-C1 p6/luc
化合物の抗ウイルス活性を、以前に記載されたように、HEV遺伝子型3レプリコンKernow-C1 p6/luc(Kernow-C1 p6:GenBankアクセッション番号JQ679013)に対して試験した(Debing Y,Emerson SU,Wang Y,Pan Q,Balzarini J,Dallmeier K,Neyts J.2013.Ribavirin Inhibits In Vitro Hepatitis E Virus Replication through Depletion of Cellular GTP Pools and Is Moderately Synergistic with Alpha Interferon.Antimicrob Agents Chemother,58:267-273)。この目的のために、Huh7細胞を、MluI消化されたプラスミドDNAから生成されたキャップされたインビトロ転写されたKernow-C1 p6/luc- RNAでエレクトロポレーションし(Shukla P,Nguyen HT,Faulk K,Mather K,Torian U,Engle RE,Emerson SU.2012.Adaptation of a genotype 3 hepatitis E virus to efficient growth in cell culture depends on an inserted human gene segment acquired by recombination.J.Virol.86:5697-5707)、試験化合物の連続希釈を含有する96ウェルプレートに播種した。ウイルス対照(VC)については、化合物は省略された。4日後、分泌されたガウシアルシフェラーゼによって生成された発光を、Promega Renillaルシフェラーゼキットを使用して定量化し、細胞対照(CC、ウイルスRNA及び化合物省略)を用いてバックグラウンドについて補正した。50%有効濃度(EC50)は、シグナル範囲に対して、Lucシグナルの50%減少を引き起こす化合物の濃度として定義される。EC50は、2回の実験に基づき、4パラメータロジスティック(4PL)モデルを使用してGraphPadにおける非線形回帰適合によって導出された。
【0204】
生存率評価のために、培地を除去し、続いて細胞を、MTS/PMS溶液(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム/フェナジノメトサルフェート)と共にインキュベートし、これは代謝されて、茶色の水溶性生成物を生じ、これは、37℃で1時間後に、498nmでの吸光度読み出しによって定量化される。得られた値は、未処理のRNAトランスフェクトされた対照状態のパーセントとして表される。CC50は、細胞の代謝活性が未処理細胞の代謝活性の50%まで低減される濃度を表す(及び2又は3回の実験に基づき、かつ4パラメータロジスティック(4PL)モデルを使用してGraphPadにおける非線形回帰適合によって導出された)。
【0205】
結果は、式(I)の化合物が、HEV遺伝子型3レプリコンKernow-C1 p6/lucに対して活性であることを示している。
【0206】
【0207】
報告された値は、2つの有効数字に丸めることができる。
【0208】
化合物1~4のいずれも、50μMの最高試験濃度で相対的CC50に達しなかった。
【0209】
本明細書に開示される化合物は、強力であり、いかなる理論にも束縛されるものではないが、これは、インビボ設定において、E型肝炎感染症の治療のための有効療法に変換され得ることが理解される。
【0210】
実施例4:HEV無胸腺ヌードラット(HEV株LA-B350)におけるインビボ有効性
インビボ有効性研究に先だって、10匹の感染した無胸腺ヌードラットの肝臓からラットHEVウイルスの新しいバッチを調製する。この新たに調製されたウイルスバッチを全てインビボ研究で使用する。
【0211】
新たに調製したラットHEVの10%の肝臓ホモジネートを含有するバイアルを解凍する。ウイルスストックをPBS中で10倍希釈し、約2×107ウイルスRNAコピーに対応する。尾静脈の静脈内注射を介して、200μLの希釈されたウイルスストックを用いて、無胸腺ヌードラットを感染させる。感染の1時間前にラットの処置を開始し、pi14日目まで1日1回処置を継続する。ラットを秤量し、実験終了時(pi21日目)まで、毎日臨床徴候を確認する。pi1~14日目から、1週間に1回血液を収集し、3日ごとに糞便を収集して、RT-qPCRによってウイルス負荷を定量化する。pi15~21日目から、ウイルス量の定量化のために、3日ごとに糞便を収集する。pi21日目に、ラットを致死量の腹腔内注射によって安楽死させ、心臓穿刺を介して血液を採取し、PBSで心臓内灌流しながら肝臓を採取する。血液及び肝臓を、ウイルスRNA(RT-qPCR)及び組織病理学の存在について分析する。
【0212】
【0213】
【0214】
研究設計:
・ pi-1又は-2日目:5週齢(110~130g)のホモ接合体の雌の無胸腺ヌードHsd:RH-Foxn1rnuラット(Rattus norvegicus、Envigo、Horst、The Netherlands)を、4~6群(5匹の動物/群)に分割し、それらに耳タグを付与する。
・ pi0日目:感染1時間前から開始する上記のスケジュールに従って、ラットを秤量し、経口投与又は腹腔内(リバビリン又はIFN)を介して処置する。ラットHEV株LA-B350の1%の肝臓ホモジネート、200μLで静脈内感染させる(約2×107ウイルスRNAコピーに対応する)。
・ pi1~14日目:ラットを毎日秤量し、1日1回処置する。動物を、移動性、ケア、及び挙動について監視する。RT-qPCRによるウイルス量の定量化のために、糞便を3日ごとに収集し、血液(血清)を尾部から1週間に1回収集する。人道的エンドポイントに達したら(猫背、毛並みの乱れ、≧20%の体重減少、無気力)、動物を安楽死させる。
・ pi15~20日目:ラットを毎日秤量する。動物を、移動性、ケア、及び挙動について監視する。RT-qPCRによるウイルス量の定量化のために、糞便を3日ごとに収集する。人道的エンドポイントに達したら(猫背、毛並みの乱れ、≧20%の体重減少、無気力)、動物を安楽死させる。
・ pi21日目:動物を安楽死させ、肝臓、血液(血清)及び糞便を収集する。
試料の処理:
肝臓:1)RT-qPCRによるウイルス量の定量化
2)組織学的検査
血液:RT-qPCRによるウイルス量の定量化
糞便:RT-qPCRによるウイルス量の定量化
【0215】
本開示の主題は、本明細書に記載された特定の実施形態及び実施例による範囲内に限定されない。実際に、本明細書に記載の実施形態及び実施例に加えて本開示の多種多様な改変は、前述の説明及び添付の図面から当業者に明らかになるであろう。かかる改変は、添付の請求項の範囲内であることが意図される。
【0216】
本明細書に引用される全ての参照(例えば、文献又は特許若しくは特許出願書)は、その全体を参照することにより、それぞれの個別の参照(例えば、文献又は特許若しくは特許出願書)があらゆる目的のためにその全体が参照により組み込まれることを具体的かつ個別に示した場合と同程度に全ての目的のために本明細書に組み込まれる。その他の実施形態は、以下の「特許請求の範囲」内である。
【国際調査報告】