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特表2023-522637廃プラスチックの液化および脱ハロゲン化
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-31
(54)【発明の名称】廃プラスチックの液化および脱ハロゲン化
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/10 20060101AFI20230524BHJP
【FI】
C08J11/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562454
(86)(22)【出願日】2021-04-13
(85)【翻訳文提出日】2022-12-09
(86)【国際出願番号】 US2021026987
(87)【国際公開番号】W WO2021211517
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】63/008,910
(32)【優先日】2020-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594055158
【氏名又は名称】イーストマン ケミカル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 規之
(74)【代理人】
【識別番号】100220098
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 薫
(72)【発明者】
【氏名】デブルイン,ブルース・ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】ビティン,ダリル
(72)【発明者】
【氏名】スリヴェンスキー,デヴィッド・ユージン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,シャンチュン
(72)【発明者】
【氏名】エカート,マイケル・ポール
(72)【発明者】
【氏名】ラング,デヴィッド・ミルトン
(72)【発明者】
【氏名】エデンス,アーロン・ナサニアル
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA08
4F401AA22
4F401BA06
4F401CA22
4F401CA47
4F401CA51
4F401CA53
4F401CA59
4F401CA67
4F401CA70
4F401CA75
4F401DA11
4F401FA01Z
4F401FA05Z
(57)【要約】
廃プラスチックを液化・脱ハロゲン化する方法およびシステムを提供する。一般に、この方法は、(a)固体廃プラスチックを液化して液化廃プラスチックを生成すること、(b)溶融廃プラスチックの少なくとも一部を熱交換器で加熱して加熱された液化廃プラスチックを提供すること、(c)加熱された液化廃プラスチックにストリッピングガスを吹き込んで多相混合物を生成すること、ならびに(d)多相混合物の液相から気相を脱離させてハロゲン富化気体材料およびハロゲン貧化液化廃プラスチックを提供することを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)固体廃プラスチックを液化して液化廃プラスチックを生成すること、
(b)前記液化廃プラスチックにストリッピングガスを吹き込んで多相混合物を生成すること、ならびに
(c)前記多相混合物の液相から気相を脱離させてハロゲン富化気体材料およびハロゲン貧化液化廃プラスチックを提供すること
を含む、廃プラスチックの脱ハロゲン化方法。
【請求項2】
前記ストリッピングガスは、窒素、蒸気、メタン、一酸化炭素、水素、またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記液化は、前記固体廃プラスチックの溶融、可塑化、溶解、および/または解重合を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記液化は、前記固体廃プラスチックの少なくとも一部を溶融タンクで液化することを含み、前記溶融タンクは200~500℃の温度に維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記吹き込みは前記溶融タンクの外部で行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記吹き込みは前記溶融タンクの内部で行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記溶融システムは前記溶融タンク外部に熱交換器をさらに含み、前記液化は、(i)前記液化廃プラスチックを循環ループ内の前記溶融タンクおよび前記熱交換器を通して循環させること、ならびに(ii)前記循環ループ内を循環する間、前記液化廃プラスチックを前記熱交換器内で加熱することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記吹き込みは、前記熱交換器の下流かつ前記溶融タンクの上流に位置するスパージャーを用いて前記循環ループ内で行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記脱離は、前記スパージャーの下流かつ前記溶融タンクの上流に位置する解離容器を用いて前記循環ループ内で行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記解離容器は、重力流式の多段トレイ付き容器を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記液化は、少なくとも1種の溶解用溶媒の存在下での前記固体廃プラスチックの溶解を含み、前記溶解用溶媒は熱分解油を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ハロゲン貧化液化廃プラスチックおよび/または前記ハロゲン貧化溶融廃プラスチックは、350℃かつ10rad/秒で3,000ポアズ未満の粘度を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ハロゲン貧化液化廃プラスチックは、100ppmw以下のハロゲン含有量を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記固体廃プラスチックは、少なくとも75重量パーセントの1種以上のポリオレフィンおよび20重量パーセント以下のPETを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
化学的再生施設が前記ハロゲン貧化液化廃プラスチックと流体連通しており、前記化学的再生施設は、部分酸化(POX)ガス化設備、熱分解設備、クラッキング設備、またはそれらの組合せを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
(a)固体廃プラスチックを溶融タンクに導入すること、
(b)前記溶融タンクから溶融廃プラスチックを取り出して、取り出された溶融廃プラスチックを提供すること、
(c)前記取り出された溶融廃プラスチックの少なくとも一部を熱交換器で加熱して加熱された溶融廃プラスチックを提供すること、および
(d)前記加熱された溶融廃プラスチックからハロゲン富化気体材料を脱離させて、加熱されたハロゲン貧化溶融廃プラスチックを提供すること
を含む、廃プラスチックの脱ハロゲン化方法。
【請求項17】
工程(d)の前記脱離の前に、前記加熱された溶融廃プラスチックにストリッピングガスを吹き込むことをさらに含み、前記ストリッピングガスは、窒素、蒸気、メタン、一酸化炭素、水素、またはそれらの組合せを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記脱離は、前記熱交換器の下流かつ前記溶融タンクの上流に位置する解離容器を用いて循環ループ内で行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記解離容器は、重力流式の多段トレイ付き容器を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記加熱されたハロゲン貧化溶融廃プラスチックは、350℃かつ10rad/秒で3,000ポアズ未満の粘度を有する、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記加熱されたハロゲン貧化溶融廃プラスチックは、100ppmw以下のハロゲン含有量を有する、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記固体廃プラスチックは、少なくとも75重量パーセントの1種以上のポリオレフィンおよび20重量パーセント以下のPETを含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
化学的再生施設が前記加熱されたハロゲン貧化溶融廃プラスチックと流体連通しており、前記化学的再生施設は、部分酸化(POX)ガス化設備、熱分解設備、クラッキング設備、またはそれらの組合せを含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
(a)溶融タンク内で熱分解油を含む少なくとも1種の溶解用溶媒の存在下で固体廃プラスチックを液化して液化廃プラスチックを生成すること、および
(b)前記液化廃プラスチックをハロゲン富化気体材料とハロゲン貧化液化廃プラスチックに分離すること
を含む、廃プラスチックの脱ハロゲン化方法。
【請求項25】
工程(b)の前記分離は、以下の処理、すなわち、
(i)前記液化廃プラスチックにストリッピングガスを吹き込んで多相混合物を生成する処理、および
(ii)取り出された前記溶融廃プラスチックの少なくとも一部を熱交換器で加熱して、加熱された溶融廃プラスチックを提供する処理
のうちの少なくとも1つを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記多相混合物の液相から気相を脱離させてハロゲン富化気体材料および前記ハロゲン貧化液化廃プラスチックを提供することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ハロゲン貧化液化廃プラスチックは、350℃かつ10rad/秒で3,000ポアズ未満の粘度を有する、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記ハロゲン貧化液化廃プラスチックは、100ppmw以下のハロゲン含有量を有する、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記固体廃プラスチックは、少なくとも75重量パーセントの1種以上のポリオレフィンおよび20重量パーセント以下のPETを含む、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
化学的再生施設が前記ハロゲン貧化液化廃プラスチックと流体連通しており、前記化学的再生施設は、部分酸化(POX)ガス化設備、熱分解設備、クラッキング設備、またはそれらの組合せを含む、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
(a)固体廃プラスチックを少なくとも部分的に液化して液化廃プラスチックにする液化システム、
(b)前記液化廃プラスチックの少なくとも一部を受け取り、前記液体廃プラスチックにストリッピングガスを吹き込んで多相混合物を形成するよう構成されたハロゲンストリッパー、ならびに
(c)前記多相混合物を受け取り、前記多相混合物の液相から気相を脱離させてハロゲン富化気体材料およびハロゲン貧化溶融廃プラスチックを提供するよう構成された解離容器
を含む、廃プラスチックの脱ハロゲン化システム。
【請求項32】
前記解離容器は、重力流式の多段トレイ付き容器を含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記液化システムは、前記固体廃プラスチックの少なくとも一部を液化するよう構成されたプラスチック溶融システムを含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項34】
前記プラスチック溶融システムは、少なくとも1つの溶融タンクを含む、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記溶融システムは複数の溶融タンクを含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項36】
前記溶融タンクは連続撹拌タンクを含む、請求項31または32に記載のシステム。
【請求項37】
前記解離容器は化学的再生施設と流体連通しており、前記化学的再生施設は、部分酸化(POX)ガス化設備、熱分解設備、クラッキング設備、またはそれらの組合せを含む、請求項31~35のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項38】
(a)固体廃プラスチックを少なくとも部分的に液化して溶融廃プラスチックにする溶融タンク、
(b)前記溶融廃プラスチックの少なくとも一部を受け取り、前記溶融廃プラスチックの少なくとも一部を加熱して、加熱された溶融廃プラスチックを提供するよう構成された熱交換器、ならびに
(c)前記加熱された溶融廃プラスチックを受け取り、前記加熱された溶融廃プラスチックの液相から気相を脱離させて、ハロゲン富化気体材料およびハロゲン貧化溶融廃プラスチックを提供するよう構成された解離容器
を含む、廃プラスチックの脱ハロゲン化システム。
【請求項39】
前記解離容器は、重力流式の多段トレイ付き容器を含む、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記溶融タンクは連続撹拌タンクを含む、請求項38に記載のシステム。
【請求項41】
前記加熱された溶融廃プラスチックの少なくとも一部を受け取り、前記加熱された溶融廃プラスチックにストリッピングガスを吹き込んで多相混合物を形成するよう構成されたハロゲンストリッパーをさらに含む、請求項38に記載のシステム。
【請求項42】
前記解離容器は化学的再生施設と流体連通しており、前記化学的再生施設は、部分酸化(POX)ガス化設備、熱分解設備、クラッキング設備、またはそれらの組合せを含む、請求項38~41のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]廃棄物、特に非生分解性廃棄物は、1回の使用後に埋立地に廃棄されると環境に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、環境の観点から、できるだけ多くの廃棄物を再生することが望ましい。しかし、従来の再生技術では再生できない、あるいは経済的に再生不可能な、低価値廃棄物の流れが依然として存在する。また、従来の再生方法の中には、それ自体が経済的に回収も再生もできない廃棄物流を生成し、その結果、廃棄あるいは他の方法で処理しなければならないさらなる廃棄物流が生じるものがある。
【0002】
[0002]より具体的には、廃プラスチックを分解してより単純な生成物にするのに用いられるほとんどの従来の化学的再生処理、たとえば熱分解、燃焼、クラッキング、およびガス化は、様々な廃プラスチックの効率的な再生を許さない多くの運用上の非効率性に悩まされている。たとえば、これらの従来の再生処理は、特にエネルギー消費の点で高い運用コストを必要とする可能性があり、このことは廃プラスチックを供給原料として利用することのいかなる経済的利益をも相殺しかねない。したがって、廃プラスチックを分解するための効率的かつ経済的な化学的再生方法が必要とされている。
【0003】
[0003]廃プラスチックはハロゲン(たとえば、ポリ塩化ビニル中の塩素)を含有することが多く、このことは廃プラスチックの熱分解、ガス化、クラッキング、および/または燃焼に用いられる設備では問題になる可能性がある。ハロゲンは、ハロゲン含有流の処理に用いられる装置および導管の腐食を起こすことが知られている。特定の冶金はハロゲンに腐食耐性があるが、そのような冶金の実施は、新たに建設された施設および/または既存の施設の改造のいずれにもいても法外な費用がかかる可能性がある。
【0004】
[0004]さらに、従来の化学処理工場の流れからハロゲンを除去する様々な方法が知られているが、そのようなハロゲン除去方法は、廃プラスチックの熱分解、ガス化、クラッキング、および/または燃焼用設備に応用される場合、有効でなく、かつ/あるいは法外な費用がかかる。
【発明の概要】
【0005】
[0005]一側面では、本技術は廃プラスチックの脱ハロゲン化方法に関する。一般に、この方法は、(a)固体廃プラスチックを液化して液化廃プラスチックを生成すること、(b)液化廃プラスチックにストリッピングガスを吹き込んで多相混合物を生成すること、ならびに(c)多相混合物の液相から気相を脱離させてハロゲン富化気体材料およびハロゲン貧化液化廃プラスチックを提供することを含む。
【0006】
[0006]一側面では、本技術は廃プラスチックの脱ハロゲン化方法に関する。一般に、この方法は、(a)固体廃プラスチックを溶融タンクに導入すること、(b)溶融タンクから溶融廃プラスチックを取り出して、取り出された溶融廃プラスチックを提供すること、(c)取り出された溶融廃プラスチックの少なくとも一部を熱交換器で加熱して加熱された溶融廃プラスチックを提供すること、および(d)加熱された溶融廃プラスチックからハロゲン富化気体材料を脱離させて、加熱されたハロゲン貧化溶融廃プラスチックを提供することを含む。
【0007】
[0007]一側面では、本技術は廃プラスチックの脱ハロゲン化方法に関する。一般に、この方法は、(a)溶融タンク内で熱分解油を含む少なくとも1種の溶解用溶媒の存在下で固体廃プラスチックを液化して液化廃プラスチックを生成すること、および(b)液化廃プラスチックをハロゲン富化気体材料とハロゲン貧化液化廃プラスチックに分離することを含む。
【0008】
[0008]一側面では、本技術は廃プラスチックの脱ハロゲン化システムに関する。一般に、このシステムは、(a)固体廃プラスチックを少なくとも部分的に液化して液化廃プラスチックにする液化システム、(b)液化廃プラスチックの少なくとも一部を受け取り、液化廃プラスチック内にストリッピングガスを吹き込んで多相混合物を形成するよう構成されたハロゲンストリッパー、ならびに(c)多相混合物を受け取り、多相混合物の液相から気相を脱離させてハロゲン富化気体材料およびハロゲン貧化溶融廃プラスチックを提供するよう構成された解離容器(disengagement vessel)を含む。
【0009】
[0009]一側面では、本技術は廃プラスチックの脱ハロゲン化システムに関する。一般に、このシステムは、(a)固体廃プラスチックを少なくとも部分的に液化して溶融廃プラスチックにする溶融タンク、(b)溶融廃プラスチックの少なくとも一部を受け取り、溶融廃プラスチックの少なくとも一部を加熱して、加熱された溶融廃プラスチックを提供するよう構成された熱交換器、ならびに(c)加熱された溶融廃プラスチックを受け取り、加熱された溶融廃プラスチックの液相から気相を脱離させて、ハロゲン富化気体材料およびハロゲン貧化溶融廃プラスチックを提供するよう構成された解離容器を含む。
【0010】
[0010]一側面では、本技術は化学的再生方法に関する。一般に、この方法は、(a)固体廃プラスチックを粘度減少処理に供して、350℃かつ10rad/秒で800ポアズ未満の粘度を有する液化廃プラスチックを提供すること、(b)液化廃プラスチックの少なくとも一部を熱分解膜反応器に導入すること、および(c)熱分解膜反応器内の液化廃プラスチックの少なくとも一部を、熱分解ガスを含む熱分解流出物に転換することを含む。
【0011】
[0011]一側面では、本技術は化学的再生方法に関する。一般に、この方法は、(a)固体廃プラスチック供給物をポリオレフィン富化流とポリオレフィン貧化流に分離すること、(b)ポリオレフィン富化流を液化して液化廃プラスチックを提供すること、(c)液化廃プラスチックの少なくとも一部を熱分解膜反応器に導入すること、および(d)熱分解膜反応器内の液化廃プラスチックの少なくとも一部を、熱分解ガスを含む熱分解流出物に転換することを含む。
【0012】
[0012]一側面では、本発明は化学的再生方法に関する。一般に、この方法は、(a)少なくとも1種の固体廃プラスチックを液化して液化廃プラスチックを形成すること、(b)液化廃プラスチックから1種以上のハロゲンを除去してハロゲン貧化液化廃プラスチックを形成すること、(c)ハロゲン貧化液化廃プラスチックの少なくとも一部を熱分解膜反応器に導入すること、および(d)熱分解膜反応器内のハロゲン貧化液化廃プラスチックの少なくとも一部を、熱分解ガスを含む熱分解流出物に転換することを含む。
【0013】
[0013]一側面では、本技術は化学的再生方法に関する。一般に、この方法は、(a)溶融タンク内で固体廃プラスチックを液化して溶融廃プラスチックを生成すること、(b)溶融廃プラスチックを、以下の工程、すなわち、(i)溶融廃プラスチックにストリッピングガスを吹き込んで多相混合物を生成する工程、および(ii)溶融廃プラスチックの少なくとも一部を溶融タンク外の熱交換器で加熱して、加熱された溶融廃プラスチックを提供する工程のうちの少なくとも1つの工程に供すること、(c)多相混合物の液相および/または加熱された溶融廃プラスチックの液相から気相を脱離させ、ハロゲン富化気体材料およびハロゲン貧化溶融廃プラスチックを提供すること、(d)ハロゲン貧化溶融廃プラスチックを熱分解膜反応器に導入すること、および(e)熱分解膜反応器内の液化廃プラスチックの少なくとも一部を、熱分解ガスを含む熱分解流出物に転換することを含む。
【0014】
[0014]一側面では、本技術は化学的再生方法に関する。一般に、この方法は、(a)液化廃プラスチックを提供すること、(b)液化廃プラスチックの少なくとも一部を、複数の固定式膜生成構造を含み、かつ少なくとも525℃の温度で動作する熱分解膜反応器に導入すること、および(c)液化廃プラスチックの少なくとも一部を固定式膜生成構造に沿って下方へ流し、液化廃プラスチックを熱分解して熱分解ガスを含む熱分解流出物を形成することを含む。
【0015】
[0015]一側面では、本技術は化学的再生方法に関する。一般に、この方法は、(a)液化廃プラスチックを提供すること、(b)液化廃プラスチックの少なくとも一部を、複数の固定式膜生成構造を含む上昇流型熱分解膜反応器に導入すること、および(c)液化廃プラスチックの少なくとも一部を固定式膜生成構造に沿って上方へ流し、液化廃プラスチックを熱分解して熱分解ガスを含む熱分解流出物を形成することを含む。
【0016】
[0016]一側面では、本技術は化学的再生施設に関する。一般に、この施設は、(a)少なくとも1種の固体廃プラスチックを液化する廃プラスチックを液化システムであって、廃プラスチック溶融システムが1種以上のハロゲンを溶融廃プラスチックから除去してハロゲン貧化溶融廃プラスチックを提供するハロゲン除去システムを含む液化システム、および(b)廃プラスチック溶融システムと流体連通しており、かつハロゲン貧化溶融廃プラスチックの少なくとも一部を受け取り、ハロゲン貧化溶融廃プラスチックの少なくとも一部を熱分解ガスを含む熱分解流出物に転換するよう構成されている熱分解膜反応器を含む。
【0017】
[0017]一側面では、本技術は化学的再生方法に関する。一般に、この方法は、(a)熱分解油を含む溶解用溶媒の存在下で少なくとも1種の固体廃プラスチックを液化して液化廃プラスチックを形成すること、(b)前記液化廃プラスチックの少なくとも一部を熱分解膜反応器に導入すること、および(c)熱分解膜反応器内の前記液化廃プラスチックの少なくとも一部を、熱分解ガスを含む熱分解流出物に転換することを含む。
【0018】
[0018]一側面では、本技術は化学的再生方法に関する。一般に、この化学的再生方法は、(a)少なくとも1種の固体廃プラスチックを液化して液化廃プラスチックを形成すること、(b)液化廃プラスチックの少なくとも一部を部分酸化(POX)ガス化装置に導入すること、および(c)POXガス化装置内の液化廃プラスチックの少なくとも一部を合成ガス組成物に転換することを含む。
【0019】
[0019]一側面では、本技術は化学的再生方法に関する。一般にこの方法は、(a)少なくとも1種の固体廃プラスチックを溶融タンク内で液化して溶融廃プラスチックを形成すること、(b)溶融廃プラスチックから1種以上のハロゲンを除去してハロゲン貧化溶融廃プラスチックを形成すること、(c)ハロゲン貧化溶融廃プラスチックの少なくとも一部を部分酸化(POX)ガス化装置に導入すること、および (d)POXガス化装置内のハロゲン貧化溶融廃プラスチックの少なくとも一部を合成ガス組成物に転換することを含む。
【0020】
[0020]一側面では、本技術は化学的再生施設に関する。一般にこの施設は、(a)少なくとも1種の固体廃プラスチックを液化して液化廃プラスチックを形成する廃プラスチック液化システム、および(b)プラスチック液化システムと流体連通しており、液化廃プラスチックの少なくとも一部を受け取り、液化廃プラスチックの少なくとも一部を合成ガス組成物に転換するよう構成された部分酸化(POX)ガス化装置を含む。
【0021】
[0021]一側面では、本技術は化学的再生施設に関する。一般にこの施設は、(a)少なくとも1種の固体廃プラスチックを液化して溶融廃プラスチックを形成する廃プラスチック溶融システムであって、1種以上のハロゲンを溶融廃プラスチックから除去してハロゲン貧化溶融廃プラスチックを提供する脱ハロゲン化システムを含む溶融システム、および(b)廃プラスチック溶融システムと流体連通しており、かつハロゲン貧化溶融廃プラスチックの少なくとも一部を受け取り、ハロゲン貧化溶融廃プラスチックの少なくとも一部を合成ガス組成物に転換するよう構成されている部分酸化(POX)ガス化装置を含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
[0022]以下の図面を参照し、本発明の実施態様を本明細書中で説明する。
図1】[0023]図1は、例示的な化学的再生施設を示す。
図2】[0024]図2は、前処理設備の例示的な分離区域を示す。
図3】[0025]図3は、例示的な加溶媒分解設備を示す。
図4】[0026]図4は、液化溶融タンクシステムを有する例示的な再生施設を示す。
図5】[0027]図5は、一実施態様による例示的な溶融タンク液化システムを示す。
図6】[0028]図6は、一実施態様による例示的な溶融タンク液化システムを示す。
図7】[0029]図7は、一実施態様による例示的な溶融タンク液化システムを示す。
図8】[0030]図8は、一実施態様による例示的な溶融タンク液化システムを示す。
図9】[0031]図9は、一実施態様による例示的な溶融タンク液化システムを示す。
図10】[0032]図10は、一実施態様による例示的な溶融タンク液化システムを示す。
図11】[0033]図11は、液化システム用の例示的な外部ストリッパーを示す。
図12】[0034]図12は、液化システム用の例示的な外部ストリッパーを示す。
図13】[0035]図13は、液化システム用の例示的な解離容器を示す。
図14】[0036]図14は、液化システム用の例示的な解離容器を示す。
図15】[0037]図15は、液化システムおよび熱分解膜反応器を有する例示的な熱分解設備を示す。
図16】[0038]図16は、例示的な流下膜型熱分解反応器を示す。
図17】[0039]図17は、流下膜型熱分解反応器に関する管の例示的な摂動を示す。
図18】[0040]図18は、流下膜型熱分解反応器に関する管の例示的な摂動を示す。
図19】[0041]図19は、例示的な上昇膜型熱分解反応器を示す。
図20】[0042]図20は、例示的なクラッキング設備を示す。
図21】[0043]図21は、クラッキング炉の概略図を示す。
図22】[0044]図22は、廃プラスチックを転換する例示的な部分酸化ガス化設備を示す。
図23】[0045]図23は、例示的な部分酸化ガス化反応器を示す。
図24】[0046]図24は、部分酸化ガス化反応器用の例示的な注入装置を示す。
図25】[0047]図25は、実施例6に用いられる反応器の構成を示す。
図26】[0048]図26は、「分離効率」を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[0049]発明者らは、化学的再生施設で使用するための効果的かつ効率的なハロゲン除去技術を発見した。より具体的には、発明者らは、液化廃プラスチックを化学的再生施設の反応工程(たとえば、熱分解、ガス化、クラッキング、または燃焼)に導入する前に液化廃プラスチックからガス状ハロゲンを脱離させるシステムを発見した。
【0024】
[0050]数列が示される場合、各数はその数列または文中の最初の数または最後の数と同じように修飾され、「または」の関係にある(たとえば、各数は場合によって「少なくとも」、または「最大」もしくは「以下」である)ものとする。たとえば、「少なくとも10重量%、20、30、40、50、75・・・」は、「少なくとも10重量%、または少なくとも20重量%、または少なくとも30重量%、または少なくとも40重量%、または少なくとも50重量%、または少なくとも75重量%」等と同じ意味であり、「90重量%以下、85、70、60・・・」は、「90重量%以下、または85重量%以下、または70重量%以下・・・」等と同じ意味であり、「少なくとも1重量%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%・・・」は、「少なくとも1重量%、または少なくとも2重量%、または少なくとも3重量%・・・」等と同じ意味であり、「少なくとも5、10、15、20、かつ/または99、95、90重量パーセント以下」は、「少なくとも5重量%、または少なくとも10重量%、または少なくとも15重量%、または少なくとも20重量%、かつ/または99重量%以下、または95重量%以下、または90重量%以下・・・」等と同じ意味である。
【0025】
[0051]特に明記しない限り、すべての濃度または量は重量基準である。
全体的な化学的再生施設
[0052]次に図1を参照すると、化学的再生施設10で廃プラスチックを化学的に再生する方法の主な工程が示されている。なお、図1は本技術の例示的な一実施態様を示す。図1に示される特定の構成を省略し、かつ/あるいは図1に示されるシステムに本明細書の他の箇所で説明されるさらなる構成を追加してもよい。
【0026】
[0053]図1に示すように、これらの工程は一般に、前処理工程・設備20、ならびに加溶媒分解工程・設備30、部分酸化(POX)ガス化工程・設備50、熱分解工程・設備60、クラッキング工程・設備70、およびエネルギー回収工程・設備80のうちの少なくとも1つ(または少なくとも2つ以上)を含む。必要に応じて、一実施態様では、あるいは前述の実施態様のいずれかとの組合せでは、これらの工程は、1つ以上の他の工程、たとえば直接販売または使用、埋め立て、分離、および固化などを含んでもよく、これらのうちの1つ以上をブロック90で図1に示す。なお、これらの工程または設備のすべてを含むように示されているが、本技術の1つ以上の実施態様による化学的再生方法および施設は、プラスチック廃棄物、特に混合プラスチック廃棄物の化学的再生のこれらの設備のうちの少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、またはすべてを様々な組合せで含んでもよい。本明細書に記載の化学的再生方法および施設を用いて、廃プラスチックを再生成分品または様々な最終用途材料の形成に使用される化学中間体に転換してもよい。化学的再生施設・方法に供される廃プラスチックは、混合プラスチック廃棄物(MPW)、事前分別済み廃プラスチック、および/または前処理済み廃プラスチックであってもよい。
【0027】
[0054]本明細書で使用される場合、「化学的再生」という用語は、廃棄物である可塑性重合体を、それ自体が有用かつ/あるいは別の化学的生産方法への供給原料として有用な、より低分子量の重合体、オリゴマー、単量体、および/または非重合性分子(たとえば、水素および一酸化炭素)に化学的に転換する工程を含む廃プラスチックの再生方法を指す。「化学的再生施設」は、廃プラスチックの化学的再生により再生成分品を生産する施設である。本明細書で使用される場合、「再生成分」という用語は、廃プラスチックに直接的かつ/または間接的に由来する組成物であるか、それを含むことを意味する。
【0028】
[0055]本明細書で使用される場合、「直接的に由来する」という用語は、廃プラスチックに由来する少なくとも1種の物理的成分を有することを意味し、「間接的に由来する」は、i)廃プラスチックから生じるが、ii)廃プラスチックに由来する物理的成分を有することに基づかない、指定の再生成分を有することを意味する。
【0029】
[0056]化学的再生施設は機械的再生施設ではない。本明細書で使用される場合、「機械的再生」および「物理的再生」という用語は、廃プラスチックを溶融し、溶融プラスチックを新しい中間品(たとえば、ペレットまたはシート)および/または新しい最終製品(たとえば、ビン)に成形する工程を含む再生方法を指す。一般に、機械的再生は、再生されるプラスチックの化学構造を実質的に変えない。一実施態様では、あるいは前述の実施態様のいずれかとの組合せでは、本明細書に記載の化学的再生施設は、機械的再生施設からの廃棄物流および/または機械的再生施設では一般的に処理できない廃棄物流を受け取って処理するように構成されてもよい。
【0030】
[0057]なお、本明細書では単一の化学的再生施設の一部として記載されているが、前処理設備20、加溶媒分解設備30、熱分解設備60、クラッキング設備70、部分酸化(POX)ガス化設備50、エネルギー回収設備80、および他のいずれかの設備(固化または分離)90のうち1つ以上は、異なる地理的位置に配置されてもよく、かつ/あるいは異なる営利団体により運営されてもよい。前処理設備20、加溶媒分解設備30、熱分解設備60、クラッキング設備70、部分酸化(POX)ガス化設備50、エネルギー回収設備80、および他の設備90のそれぞれは同じ事業体により運営されてもよいが、他の場合には、前処理設備20、加溶媒分解設備30、熱分解設備60、クラッキング設備70、部分酸化(POX)ガス化設備50、固化設備、エネルギー回収設備80、および1つ以上の他の設備90(分離または固化)の1つ以上は、異なる事業体によって運営されてもよい。
【0031】
[0058]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、化学的再生施設10は、かなりの量の混合プラスチック廃棄物を処理できる商業規模の施設であってもよい。本明細書で使用される場合、「商業規模の施設」という用語は、1年間で平均したときに、1時間あたり少なくとも500ポンド(約227kg)の平均年間供給量を有する施設を指す。化学的再生施設(または前処理設備20、加溶媒分解設備30、熱分解設備60、クラッキング設備70、POXガス化設備50、エネルギー回収設備80、および他の任意の設備90のいずれか1つ)への平均供給量は、1時間あたり少なくとも750ポンド(約340kg)、少なくとも1000ポンド(約450kg)(lbs/時)、少なくとも1500ポンド(約680kg)、少なくとも2000ポンド(約907kg)、少なくとも2500ポンド(約1130kg)、少なくとも3000(約1360kg)ポンド、少なくとも3500ポンド(約1590kg)、少なくとも4000(約1810kg)ポンド、少なくとも4500(約2040kg)ポンド、少なくとも5000(約2270kg)ポンド、少なくとも5500ポンド(約2500kg)、少なくとも6000ポンド(約2720kg)、少なくとも6500ポンド(約2950kg)、少なくとも7500ポンド(約3400kg)、少なくとも10,000ポンド(約4540kg)、少なくとも12,500ポンド(約5670kg)、少なくとも15,000ポンド(約6800kg)、少なくとも17,500ポンド(約7940kg)、少なくとも20,000ポンド(約9070kg)、少なくとも22,500ポンド(約10200kg)、少なくとも25,000ポンド(約11300kg)、少なくとも27,500ポンド(約12500kg)、少なくとも30,000(約13600kg)ポンド、もしくは少なくとも32,500(約14700kg)ポンド、かつ/または1,000,000ポンド(約454000kg)、750,000ポンド(約34000kg)、500,000ポンド(約227000kg)以下、450,000ポンド(約204000kg)以下、400,000ポンド(約181000kg)以下、350,000ポンド(約159000)以下、300,000ポンド(約136000kg)以下、250,000ポンド(約113000kg)以下、200,000ポンド(約90700kg)以下、150,000ポンド(約68000kg)以下、100,000ポンド(約45400kg)以下、75,000ポンド(約34000kg)以下、50,000ポンド(約22700kg)以下、もしくは40,000ポンド(約18100kg)以下であってもよい。設備が2つ以上の供給流を含む場合、平均年間供給量は、供給流の合計重量に基づいて決定される。
【0032】
[0059]なお、さらに、前処理設備20、加溶媒分解設備30、熱分解設備60、クラッキング設備70、POXガス化設備50、エネルギー回収設備80、および他の任意の設備90のそれぞれは、直列または並列で動作する複数の装備を含んでもよい。たとえば、熱分解設備60は、並行して動作してそれぞれ廃プラスチックを含む供給物を受け取る複数の熱分解反応器・装備を含んでもよい。設備が複数の個々の装備で構成されている場合、設備への平均年間供給量は、その設備内のすべての共通の種類の装備に対する平均年間供給量の和で計算される。
【0033】
[0060]さらに、一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、化学的再生施設10(または、前処理設備20、加溶媒分解設備30、熱分解設備60、クラッキング設備70、POXガス化設備50、エネルギー回収設備80、および他の任意の設備90のうちのいずれか1つ)を連続的に運転してもよい。それに加えて、あるいはその代わりに、化学的再生施設(または前処理設備20、加溶媒分解設備30、熱分解設備60、クラッキング設備70、POXガス化設備50、エネルギー回収設備80、および他の任意の設備90のいずれか)の少なくとも一部をバッチ式またはセミバッチ式で運転してもよい。場合によっては、設備は、在庫を管理し各設備またはその一部への一貫した流量を確保するために、1つの設備の部分間または2つ以上の異なる設備間に複数のタンクを含んでもよい。
【0034】
[0061]さらに、図1に示される設備の2つ以上は互いに共に設置されてもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、設備の少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、またはすべてが共に設置されてもよい。本明細書で使用される場合、「共に設置された」という用語は、処理流および/または支援装置もしくは設備の少なくとも一部が2つの設備間で共有される設備を指す。図1に示される設備のうちの2つ以上が共に設置されている場合、設備は次の基準(i)~(v)のうち少なくとも1つを満たし得る:(i)設備は少なくとも1つの非住居用のユーティリティーサービスを共有する;(ii)設備は少なくとも1つのサービスグループを共有する;(iii)設備は少なくとも1つの敷地境界を共有する当事者により所有かつ/あるいは運営される;(iv)設備は少なくとも1種の処理材料(たとえば設備へ供給される、設備で使用される、あるいは設備内で生成される固体、液体、および/または気体を1つの設備から別の設備へ運ぶように構成された少なくとも1つの導管で接続されている;(v)設備は、地理的中心から測定して、互いに40マイル(約64km)以内、35マイル(約56km)以内、30マイル(約48km)以内、20マイル(約32km)以内、15マイル(約24km)以内、12マイル(約19km)以内、10マイル(約16km)以内、8マイル(約13km)以内、5マイル(約8km)以内、2マイル(約3km)以内、または1マイル(約2km)以内にある。上の記述(i)~(v)のうち少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、またはすべてが当てはまってもよい。
【0035】
[0062](i)に関して、適切なユーティリティーサービスの例としては、蒸気システム(熱電供給および配電システム)、冷却水システム、伝熱流体システム、工場または計器用空気システム、窒素システム、水素システム、非住宅用発電および配電システム(8000Vを超える配電など)、非住宅用廃水/下水道システム、貯留施設、輸送ライン、フレアシステム、およびそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
[0063](i)に関して、適切なユーティリティーサービスの例としては、蒸気システム(熱電供給および配電システム)、冷却水システム、伝熱流体システム、工場または計器用空気システム、窒素システム、水素システム、非住居用発電および配電システム(8000Vを超える配電など)、非住居用廃水・下水道システム、貯留施設、輸送ライン、フレアシステム、およびそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
[0064](ii)に関して、サービスグループおよび施設の例としては、緊急要員(消防および/または医療)、第三者供給業者、州政府または地方政府の監視団体、およびそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。政府の監視団体としては、たとえば規制機関または環境機関、ならびに市、郡、州レベルの地方自治体および税務機関を挙げることができる。
【0038】
[0065](iii)に関して、境界は、たとえば、柵、敷地境界線、門、または第三者が所有する土地または施設の少なくとも1つの境界との共通の境界であってもよい。
[0066](iv)に関して、導管は、気体、液体、固体・液体混合物(たとえばスラリー)、固体・気体混合物(たとえば空気輸送)、固体・液体・気体混合物、または固体(ベルト輸送)を運ぶ流体導管であってもよい。場合によっては、2つの装備が上で列挙したものから選択された1つ以上の導管を共有してもよい。流体導管を用いて2つの装備間で処理流または動力を送ってもよい。たとえば、1つの設備(たとえば、加溶媒分解設備30)の入口を導管を経て別の設備(たとえば、POXガス化設備50)の入口と流動的に接続してもよい。場合によっては、ある設備の出口と別の設備の入口との間の導管内で輸送される材料のための一時保管システムが備えられてもよい。一時保管システムは、たとえば、導管により運ばれた材料を保管するように構成された1つ以上のタンク、容器(開放容器または閉容器)、建物、またはコンテナを含んでもよい。場合によっては、1つの設備の出口と別の設備の入口との間の一時保管は90日以下、75日以下、60日以下、40日以下、30日以下、25日以下、20日以下、15日以下、10日以下、5日以下、2日以下、または1日以下であってもよい。]
[0067]再び図1を参照すると、廃プラスチック(混合プラスチック廃棄物(MPW)であってもよい)流100は、化学的再生施設10に導入されてもよい。本明細書で使用される場合、「廃プラスチック」および「プラスチック廃棄物」という用語は、使用済み、くず、および/または廃棄プラスチック材料、たとえば一般に埋立地に送られるプラスチック材料を指す。化学的再生施設10に供給された廃プラスチック流100は、未処理または部分的に処理された廃プラスチックを含んでもよい。本明細書で使用される場合、「未処理廃プラスチック」という用語は、自動化あるいは機械化された分別、洗浄、または粉砕を一切受けていない廃プラスチックを意味する。未処理廃プラスチックの例としては、家庭用の街頭のプラスチック再生用ゴミ箱や地域で共有されているプラスチック再生用コンテナから回収された廃プラスチックが挙げられる。本明細書で使用される場合、「部分的に処理された廃プラスチック」という用語は、少なくとも1つの自動化あるいは機械化された分別、洗浄、または粉砕工程または方法に供された廃プラスチックを意味する。部分的に処理された廃プラスチックは、たとえば地方自治体の再生施設(MRF)や再生業者に由来してもよい。部分的に処理された廃プラスチックが化学的再生施設10に提供される場合、1つ以上の前処理工程を省略してもよい。廃プラスチックは、ポストインダストリアル(またはプレコンシューマー)プラスチックおよび/またはポストコンシューマープラスチックの少なくとも1つを含んでもよい。
【0039】
[0068]本明細書で使用される場合、「混合プラスチック廃棄物」および「MPW」という用語は、たとえば限定されないが以下のプラスチックの種類、すなわちポリエチレンテレフタラート(PET)、1種以上のポリオレフィン(PO)、およびポリ塩化ビニル(PVC)などの少なくとも2種の廃プラスチックの混合物を指す。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、MPWは少なくとも2種類の異なるプラスチックを含み、各種類のプラスチックは、MPW中のプラスチックの総重量基準で少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、または少なくとも20重量パーセントの量で存在する。
【0040】
[0069]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、MPWは、MPW中のプラスチックの総重量基準で少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、もしくは少なくとも99重量パーセントのPETおよび/または少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、もしくは少なくとも20重量パーセントのPOを含む。1つ以上の実施態様では、MPWは微量の、PETおよびPO(および必要に応じてPVC)以外の1つ以上の種類のプラスチック成分も含んでもよく、それらはMPW中のプラスチックの総重量基準で合計50重量パーセント未満、45重量パーセント未満、40重量パーセント未満、35重量パーセント未満、30重量パーセント未満、25重量パーセント未満、20重量パーセント未満、15重量パーセント未満、10重量パーセント未満、5重量パーセント未満、2重量パーセント未満、または1重量パーセント未満である。
【0041】
[0070]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、MPWは、流れの総重量基準で少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセントのPETを含む。その代わりに、あるいはそれに加えて、MPWは、流れの総重量基準で99.9重量パーセント以下、99重量パーセント以下、97重量パーセント以下、92重量パーセント以下、90重量パーセント以下、85重量パーセント以下、80重量パーセント以下、75重量パーセント以下、70重量パーセント以下、65重量パーセント以下、60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、または5重量パーセント以下のPETを含む。
【0042】
[0071]MPW流は、非PET成分を流れの総重量基準で少なくとも0.1重量パーセント、少なくとも0.5重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも7重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、もしくは少なくとも35重量パーセント、かつ/または80重量パーセント以下、75重量パーセント以下、70重量パーセント以下、65重量パーセント以下、60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、または7重量パーセント以下の量で含んでもよい。非PET成分は、流れの総重量基準で0.1~50重量パーセント、1~20重量パーセント、または2~10重量パーセントの量で存在してもよい。このような非PET成分の例としては、鉄および非鉄金属、不活性物質(岩石、ガラス、砂など)、プラスチック不活性物質(二酸化チタン、二酸化ケイ素など)、オレフィン、接着剤、相溶化剤、生物汚泥、セルロース系材料(厚紙、紙など)、およびそれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0043】
[0072]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、MPWの全部または一部は地方自治体の供給源に由来するか、都市廃棄物を含んでもよい。MPWの都市廃棄物部分は、たとえば都市廃棄物流(または流れの一部)の総重量基準で45~95重量パーセント、50~90重量パーセント、または55~85重量パーセントの量でPETを含んでもよい。
【0044】
[0073]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、MPWの全部または一部は地方自治体の再生施設(MRF)に由来してもよく、たとえば流れの総重量基準で65~99.9重量パーセント、70~99重量パーセント、または80~97重量パーセントの量でPETを含んでもよい。そのような流れにおける非PET成分は、たとえば、他のプラスチックを流れの総重量基準で少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも7重量パーセント、もしくは少なくとも10重量パーセント、かつ/または25重量パーセント以下、22重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、12重量パーセント以下、もしくは10重量パーセント以下の量で含んでもよく、あるいは、それらは流れの総重量基準で1~22重量パーセント、2~15重量パーセント、または5~12重量パーセントの範囲の量で存在してもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、非PET成分は、特にたとえばMPWが色のついた分別済みのプラスチックを含む場合、他のプラスチックを流れの総重量基準で2~35重量パーセント、5~30重量パーセント、または10~25重量パーセントの範囲の量で含んでもよい。
【0045】
[0074]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、MPWの全部または一部は再生業者の施設に由来してもよく、たとえば流れの総重量基準で85~99.9重量パーセント、90~99.9重量パーセント、または95~99重量パーセントの量でPETを含んでもよい。そのような流れにおける非PET成分は、たとえば、他のプラスチックを流れの総重量基準で少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも7重量パーセント、もしくは少なくとも10重量パーセント、かつ/または25重量パーセント以下、22重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、12重量パーセント以下、または10重量パーセント以下の量で含んでもよく、あるいは、それらは流れの総重量基準で1~22重量パーセント、2~15重量パーセント、または5~12重量パーセントの範囲の量で存在してもよい。
【0046】
[0075]本明細書で使用される場合、「プラスチック」という用語は、25℃かつ1気圧で固体である任意の有機合成重合体を包含し得る。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、重合体は、少なくとも75ダルトン、または少なくとも100ダルトン、または少なくとも125ダルトン、または少なくとも150ダルトン、または少なくとも300ダルトン、または少なくとも500ダルトン、または少なくとも1000ダルトン、または少なくとも5,000ダルトン、または少なくとも10,000ダルトン、または少なくとも20,000ダルトン、または少なくとも30,000ダルトン、または少なくとも50,000ダルトン、または少なくとも70,000ダルトン、または少なくとも90,000ダルトン、または少なくとも100,000ダルトン、または少なくとも130,000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有してもよい。重合体の重量平均分子量(Mw)は、少なくとも300ダルトン、または少なくとも500ダルトン、または少なくとも1000ダルトン、または少なくとも5,000ダルトン、または少なくとも10,000ダルトン、または少なくとも20,000ダルトン、または少なくとも30,000ダルトン、または少なくとも50,000ダルトン、または少なくとも70,000ダルトン、または少なくとも90,000ダルトン、または少なくとも100,000ダルトン、または少なくとも130,000ダルトン、または少なくとも150,000ダルトン、または少なくとも300,000ダルトンであってもよい。
【0047】
[0076]適切なプラスチックの例としては、芳香族および脂肪族ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロブタジエンスチレン(ABS)、セルロース系材料、エポキシド、ポリアミド、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリカルボナート、ポリフェニレン系合金、ポリメタクリル酸メチル、スチレン含有重合体、ポリウレタン、ビニル系重合体、スチレンアクリロニトリル、タイヤ以外の熱可塑性エラストマー、尿素含有重合体およびメラミンを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0048】
[0077]ポリエステルの例としては、芳香族または環状の繰り返し単位を有するもの(PET、変性PET、およびPENなど、テレフタラート、イソフタラート、もしくはナフタラートの繰り返し単位を含むもの、またはフラナート繰り返し単位を含むもの)を挙げることができる。ポリエチレンテレフタラート(PET)も適切なポリエステルの例である。本明細書で使用される場合、「PET」または「ポリエチレンテレフタラート」は、ポリエチレンテレフタラートの単独重合体、または1種以上の酸および/またはグリコール変性剤で変性され、かつ/あるいはエチレングリコールおよびテレフタル酸以外の残基または部分、たとえばイソフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ジエチレングリコール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、プロピレングリコール、イソソルビド、1,4-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、および/またはネオペンチルグリコール(NPG)を含むポリエチレンテレフタラートを意味する。
【0049】
[0078]「PET」および「ポリエチレンテレフタラート」という用語の定義には、テレフタラート繰り返し単位(エチレングリコールに基づく繰り返し単位を含むかどうかに関係なく)ならびにたとえばTMCD、CHDM、プロピレングリコール、NPG、イソソルビド、1,4-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、および/もしくはジエチレングリコール、またはそれらの組合せを含むグリコールの1つ以上の残基または部分を含むポリエステルも含まれる。テレフタラート繰り返し単位を含む重合体の例としては、ポリプロピレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、およびそれらの共重合体を挙げることができるが、これらに限定されない。脂肪族ポリエステルの例としては、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、およびポリエチレンアジパートを挙げることができるが、これらに限定されない。重合体は、混合脂肪族-芳香族共重合ポリエステル、たとえば混合テレフタラート/アジパートを含んでもよい。
【0050】
[0079]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、廃プラスチックは、テレフタラート繰り返し単位を有する少なくとも1種のプラスチックを含んでもよく、このようなプラスチックは、流れの総重量基準で少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、もしくは少なくとも30重量パーセント、かつ/または45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、もしくは2重量パーセント以下の量で存在し、あるいは、それは流れの総重量基準で1~45重量パーセント、2~40重量パーセント、または5~40重量パーセントの範囲で存在してもよい。複数種のシクロヘキサンジメタノール部分、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール部分、またはそれらの組合せを有する共重合ポリエステルも同様の量で存在してもよい。
【0051】
[0080]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、廃プラスチックは、テレフタラート繰り返し単位を有する少なくとも1種のプラスチックを含んでもよく、このようなプラスチックは、流れの総重量基準で少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、もしくは少なくとも90重量パーセント、かつ/または99.9重量パーセント以下、99重量パーセント以下、97重量パーセント以下、95重量パーセント以下、90重量パーセント以下、もしくは85重量パーセント以下の量で存在し、あるいは、それは流れの総重量基準で30~99.9重量パーセント、50~99.9重量パーセント、または75~99重量パーセントの範囲で存在してもよい。
【0052】
[0081]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、廃プラスチックは、テレフタラート繰り返し単位を廃プラスチック流中のプラスチックの総重量基準で少なくとも1重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、もしくは少なくとも45重量パーセント、かつ/または75重量パーセント以下、72重量パーセント以下、70重量パーセント以下、60重量パーセント以下、もしくは65重量パーセント以下の量で含んでもよく、あるいは、それは流れの総重量基準で1~75重量パーセント、5~70重量パーセント、または25~75重量パーセントの範囲の量のテレフタラート繰り返し単位を含んでもよい。
【0053】
[0082]具体的なポリオレフィンの例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、立体化学配置がランダムなポリプロピレン、同一の立体配置のみからなるポリプロピレン、2種類の立体配置が交互に現れるポリプロピレン、架橋ポリエチレン、非晶質ポリオレフィン、および上記のポリオレフィンのいずれか1種の共重合体が挙げられる。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、廃プラスチックは、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリメチルペンテン、ポリブテン-1、およびそれらの共重合体を含む重合体を含んでもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、廃プラスチックは、フラッシュ紡糸高密度ポリエチレンを含んでもよい。
【0054】
[0083]廃プラスチックは、熱可塑性重合体、熱硬化性重合体、またはそれらの組合せを含んでもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、廃プラスチックは、流れの総重量基準で少なくとも0.1重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、もしくは少なくとも30重量パーセント、かつ/または45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、もしくは2重量パーセント以下の1種以上の熱硬化性重合体を含んでもよく、あるいはそれは、流れの総重量基準で0.1~45重量パーセント、1~40重量パーセント、2~35重量パーセント、または2~20重量パーセントの量で存在してもよい。
【0055】
[0084]その代わりに、あるいはそれに加えて、廃プラスチックは、流れの総重量基準で少なくとも0.1重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、もしくは少なくとも30重量パーセント、かつ/または45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、もしくは2重量パーセント以下のセルロース材料を含んでもよく、あるいはそれは、流れの総重量基準で0.1~45重量パーセント、1~40重量パーセント、または2~15重量パーセントの範囲の量で存在してもよい。セルロース材料の例としては、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、(酢酸/プロピオン酸)セルロース、(酢酸/酪酸)セルロース、およびビスコースなどの再生セルロースを挙げることができる。加えて、セルロース材料は、3未満、2.9以下、2.8以下、2.7以下、もしくは2.6以下、かつ/または少なくとも1.7、少なくとも1.8、もしくは少なくとも1.9、または1.8~2.8、もしくは1.7~2.9、もしくは1.9~2.9のアシル置換度を有するセルロース誘導体も含み得る。
【0056】
[0085]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、廃プラスチックはSTYROFOAM(登録商標)すなわち発泡ポリスチレンを含んでもよい。
【0057】
[0086]廃プラスチックは、いくつかの供給源のうちの1つ以上に由来してもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、廃プラスチックは、プラスチックビン、おむつ、眼鏡フレーム、フィルム、梱包材料、カーペット(住居用、商業用、および/または自動車用)、テキスタイル(衣類および他のファブリック)およびそれらの組合せに由来してもよい。
【0058】
[0087]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、化学的再生施設に供給される廃プラスチック(たとえばMPW)は、SPIにより確立された、追いかけ合う矢印の三角形の中に1~7の番号が付された樹脂識別記号を有する1種以上のプラスチック、またはそれを有するプラスチックから得られた1種以上のプラスチックを含んでもよい。廃プラスチックは、一般に機械的に再生されない1種以上のプラスチックを含んでもよい。このようなプラスチックとしては、樹脂識別記号3(ポリ塩化ビニル)、樹脂識別記号5(ポリプロピレン)、樹脂識別記号6(ポリスチレン)、および/または樹脂識別記号7(その他)のプラスチックを挙げることができるが、これらに限定されない。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、樹脂識別記号3~7のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、もしくは少なくとも5つ、または3、5、6、7の番号を有するプラスチックまたはそれらの組合せは、すべてのプラスチックの総重量基準で少なくとも0.1重量パーセント、少なくとも0.5重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも3重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも7重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも12重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、もしくは少なくとも40重量パーセント、かつ/または90重量パーセント以下、85重量パーセント以下、80重量パーセント以下、75重量パーセント以下、70重量パーセント以下、65重量パーセント以下、60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、もしくは35重量パーセント以下の量で廃プラスチック中に存在してもよく、あるいはそれは、プラスチックの総重量基準で0.1~90重量パーセント、1~75重量パーセント、または2~50重量パーセントの量で存在してもよい。
【0059】
[0088]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、化学的再生施設に供給される廃プラスチック中の全プラスチック成分の少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、もしくは少なくとも35重量パーセント、かつ/または60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、もしくは5重量パーセント以下が、樹脂識別記号3、5、6、および/または7を有さないプラスチックを含んでもよい(たとえば、プラスチックが分類されていない場合)。化学的再生施設10に供給される廃プラスチック中の全プラスチック成分の少なくとも0.1重量パーセント、少なくとも0.5重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも3重量パーセント、少なくとも4重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、もしくは少なくとも35重量パーセント、かつ/または60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、もしくは5重量パーセント以下が、樹脂識別記号4~7を有しないプラスチックを含んでもよく、あるいはそれは、プラスチック成分の総重量基準で0.1~60重量パーセント、1~55重量パーセント、または2~45重量パーセントの範囲であってもよい。
【0060】
[0089]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、化学的再生施設に供給される廃プラスチック(たとえばMPW)は、樹脂識別記号3~7または樹脂識別記号3、5、6、もしくは7に分類されないプラスチックを含んでもよい。廃プラスチック中の樹脂識別記号3~7または樹脂識別記号3、5、6、もしくは7に分類されないプラスチックの総量は、廃プラスチック流中のプラスチックの総重量基準で少なくとも0.1重量パーセント、少なくとも0.5重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも3重量パーセント、少なくとも4重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、もしくは少なくとも75重量パーセント、かつ/または95重量パーセント以下、90重量パーセント以下、85重量パーセント以下、80重量パーセント以下、75重量パーセント以下、70重量パーセント以下、65重量パーセント以下、60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、もしくは35重量パーセント以下であってもよく、あるいはそれは、廃プラスチック流中のプラスチックの総重量基準で0.1~95重量パーセント、0.5~90重量パーセント、または1~80重量パーセントの範囲であってもよい。
【0061】
[0090]一実施態様では、あるいは前述の実施態様のいずれかとの組合せでは、MPWは、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、または少なくとも99重量パーセントの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの異なる種類の樹脂識別記号を有する、あるいはそれを有するプラスチックから得られるプラスチックを含む。
【0062】
[0091]一実施態様では、あるいは前述の実施態様のいずれかとの組合せでは、MPWは、多成分重合体を含む。本明細書で使用される場合、「多成分重合体」という用語は、少なくとも1種の他の重合体および/もしくは非重合体固体と物理的かつ/または化学的に混合、結合、あるいは他の形で結びつけられた少なくとも1種の合成または天然重合体を含む、物品および/または粒子を指す。重合体は、合成重合体またはプラスチック、たとえばPET、オレフィン、および/またはナイロンであってもよい。非重合体固体は、金属、たとえばアルミニウムであってもよく、本明細書に記載のその他の非プラスチック固体であってもよい。多成分重合体は、金属化プラスチックを含んでもよい。
【0063】
[0092]一実施態様では、あるいは前述の実施態様のいずれかとの組合せでは、MPWは、多層重合体の形態の多成分プラスチックを含む。本明細書で使用される場合、「多層重合体」という用語は、物理的かつ/または化学的に結びつけられて2つ以上の物理的に異なる層になっているPETならびに少なくとも1種の他の重合体および/または非重合体固体を含む、多成分重合体を指す。重合体またはプラスチックは、2つの層の間に遷移帯が存在し得る場合(接着層または共押出層に存在し得る場合など)があるが多層重合体と見なされる。2つの層の間の接着剤は層とは見なされない。多層重合体は、PETを含む層および1つ以上のさらなる層を含んでもよく、さらなる層の少なくとも1つはPETと異なる合成もしくは天然重合体、またはエチレンテレフタラート繰り返し単位を有さない重合体、またはアルキレンテレフタラート繰り返し単位を有さない重合体(「非PET重合体層」)、または他の非重合体固体である。
【0064】
[0093]非PET重合体層の例としては、PET含有物品および/または粒子と結びつけられたナイロン、ポリ乳酸、ポリオレフィン、ポリカルボナート、エチレンビニルアルコール、ポリビニルアルコール、および/または他のプラスチックもしくはプラスチックフィルム、ならびに天然重合体、たとえば乳清タンパク質が挙げられる。多層重合体は、PET層以外に少なくとも1つのさらなる重合体層が存在するという条件で、金属層、たとえばアルミニウムを含んでもよい。各層は、接着剤による接着または他の手段で、物理的に隣接させる(すなわち物品をフィルムに押し付ける)、粘着性を付与する(すなわちプラスチックを加熱して貼り合わせる)、共押出プラスチックフィルム、あるいは他の方法でPET含有物品に取り付けられてもよい。多層重合体は、同じまたは似た方法で他のプラスチックを含む物品と結びつけられたPETフィルムを含んでもよい。MPWは、PETおよび少なくとも1種の他のプラスチック、たとえばポリオレフィン(たとえばポリプロピレン)、および/または他の合成もしくは天然重合体が単一の物理相に組み合わせられた形態の多成分重合体を含んでもよい。たとえば、MPWは、単一の物理相に組み合わせられた、相溶化剤、PET、および少なくとも1種の他の合成または天然重合体プラスチック(たとえば非PETプラスチック)を含む不均質な混合物を含む。本明細書で使用される場合、「相溶化剤」という用語は、本来は混和しない少なくとも2種の重合体を混ぜ合わせて物理的混合物(すなわちブレンド)にすることができる薬剤を指す。
【0065】
[0094]一実施態様では、あるいは前述の実施態様のいずれかとの組合せでは、MPWは、プラスチックの乾量基準で20重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、2重量パーセント以下、1重量パーセント以下、または0.1重量パーセント以下のナイロンを含む。一実施態様では、あるいは前述の実施態様のいずれかとの組合せでは、MPWは、プラスチックの乾燥重量基準で0.01~20重量パーセント、0.05~10重量パーセント、0.1~5重量パーセント、または1~2重量パーセントのナイロンを含む。
【0066】
[0095]一実施態様では、あるいは前述の実施態様のいずれかとの組合せでは、MPWは、プラスチックの乾量基準で40重量パーセント以下、20重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、2重量パーセント以下、または1重量パーセント以下の多成分プラスチック層を含む。一実施態様では、あるいは前述の実施態様のいずれかとの組合せでは、MPWは、プラスチックの乾量基準で0.1~40重量パーセント、1~20重量パーセント、または2~10重量パーセントの多成分プラスチックを含む。一実施態様では、あるいは前述の実施態様のいずれかとの組合せでは、MPWは、プラスチックの乾量基準で40重量パーセント以下、20重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、2重量パーセント以下、または1重量パーセント以下の多層プラスチック層を含む。一実施態様では、あるいは前述の実施態様のいずれかとの組合せでは、MPWは、プラスチックの乾量基準で0.1~40重量パーセント、1~20重量パーセント、または2~10重量パーセントの多層プラスチックを含む。
【0067】
[0096]一実施態様では、あるいは前述の実施態様のいずれかとの組合せでは、流れ100で化学的再生施設10に供給されるMPW供給原料は、乾量基準でMPW供給原料の総重量を100重量パーセントとすると、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、12重量パーセント以下、10重量パーセント以下、8重量パーセント以下、6重量パーセント以下、5重量パーセント、4重量パーセント以下、3重量パーセント以下、2重量パーセント以下、または1重量パーセント以下のバイオ廃棄物材料を含む。MPW供給原料は、乾量基準でMPW供給原料の総重量を100重量パーセントとすると、0.01~20重量パーセント、0.1~10重量パーセント、0.2~5重量パーセント、または0.5~1重量パーセントのバイオ廃棄物材料を含む。本明細書で使用される場合、「バイオ廃棄物」という用語は、生きた生物に由来するか有機起源の材料を指す。模範的なバイオ廃棄物材料としては、綿、木材、おがくず、生ごみ、動物および動物の一部、植物および植物の一部、ならびに肥料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
[0097]一実施態様では、あるいは前述の実施態様のいずれかとの組合せでは、MPW供給原料は、乾量基準でMPW供給原料の総重量を100重量パーセントとすると、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、12重量パーセント以下、10重量パーセント以下、8重量パーセント以下、6重量パーセント以下、5重量パーセント、4重量パーセント以下、3重量パーセント以下、2重量パーセント以下、または1重量パーセント以下のセルロース製品を含む。MPW供給原料は、乾量基準でMPW供給原料の総重量を100重量パーセントとすると、0.01~20重量パーセント、0.1~10重量パーセント、0.2~5重量パーセント、または0.5~1重量パーセントのセルロース製品を含む。本明細書で使用される場合、「セルロース製品」という用語は、セルロース繊維を含む、非天然(すなわち、人または機械によって作られた)物品およびそのくずを指す。模範的なセルロース製品としては、紙および厚紙が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
[0098]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、化学的再生施設に供給される廃プラスチック(たとえばMPW)は、廃プラスチック供給物中のプラスチックの総重量基準で少なくとも0.001重量パーセント、少なくとも0.01重量パーセント、少なくとも0.05重量パーセント、少なくとも0.1重量パーセント、もしくは少なくとも0.25重量パーセント、かつ/または10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、4重量パーセント以下、3重量パーセント以下、2重量パーセント以下、1重量パーセント以下、0.75重量パーセント以下、もしくは0.5重量パーセント以下のポリ塩化ビニル(PVC)を含んでもよい。
【0070】
[0099]それに加えて、あるいはその代わりに、化学的再生施設に供給される廃プラスチック(たとえばMPW)は、少なくとも0.1重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも4重量パーセント、もしくは少なくとも6重量パーセント、かつ/または25重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、もしくは2.5重量パーセント以下の非プラスチック固体を含んでもよい。非プラスチック固体としては、不活性充填剤材料(たとえば、炭酸カルシウム、含水ケイ酸アルミニウム、アルミナ三水和物、硫酸カルシウム)、岩、ガラス、および/または添加剤(たとえば、揺変剤、顔料および着色剤、難燃剤、抑制剤、UV阻害剤および安定剤、導電性金属もしくは炭素、離型剤(ステアリン酸亜鉛、ワックス、シリコーンなど)が挙げられる。
【0071】
[0100]一実施態様では、あるいは前述の実施態様のいずれかとの組合せでは、MPWは、MPW流または組成物の総重量基準で少なくとも0.01重量パーセント、少なくとも0.1重量パーセント、少なくとも0.5重量パーセント、もしくは少なくとも1重量パーセント、かつ/または25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、25重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、もしくは2.5重量パーセント以下の液体を含んでもよい。MPW中の液体の量は、MPW流100の総重量基準で0.01~25重量パーセント、0.5~10重量パーセント、または1~5重量パーセントの範囲であってもよい。
【0072】
[0101]一実施態様では、あるいは前述の実施態様のいずれかとの組合せでは、MPWは、廃プラスチックの総重量基準で少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、もしくは少なくとも55重量パーセント、かつ/または65重量パーセント以下、60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、もしくは35重量パーセント以下の液体を含んでもよい。廃プラスチック中の液体は、廃プラスチックの総重量基準で35~65重量パーセント、40~60重量パーセント、または45~55重量パーセントの範囲であってもよい。
【0073】
[0102]一実施態様では、あるいは前述の実施態様のいずれかとの組合せでは、ライン100におけるMPW流中のテキスタイル(テキスタイルの繊維を含む)の量は、MPWの重量基準で少なくとも0.1重量パーセント、または少なくとも0.5重量パーセント、または少なくとも1重量パーセント、または少なくとも2重量パーセント、または少なくとも5重量パーセント、または少なくとも8重量パーセント、または少なくとも10重量パーセント、または少なくとも15重量パーセント、または少なくとも20重量パーセントの、テキスタイルまたはテキスタイルの繊維から得られる材料である。流れ100のMPW中のテキスタイル(テキスタイルの繊維を含む)の量は、MPW流100の重量基準で50重量パーセント以下、40重量パーセント以下、30重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、8重量パーセント以下、5重量パーセント以下、2重量パーセント以下、1重量パーセント以下、0.5重量パーセント以下、0.1重量パーセント以下、0.05重量パーセント以下、0.01重量パーセント以下、または0.001重量パーセント以下である。MPW流100中のテキスタイルの量は、MPW流100の総重量基準で0.1~50重量パーセント、5~40重量パーセント、または10~30重量パーセントの範囲であってもよい。
【0074】
[0103]化学的再生施設10に導入されるMPWは、再生テキスタイルを含んでもよい。テキスタイルは、天然および/または合成繊維、粗紡、ヤーン、不織布、生地、ファブリック、および前述の項目のいずれかから作られた、あるいはそれらを含む製品を含んでもよい。テキスタイルは織る、編む、結ぶ、縫う、あるいは房状にすることができ、圧縮繊維、たとえばフェルト、刺繍、レース、かぎ針編み、編組を含んでもよく、あるいは不織布および材料を含んでもよい。テキスタイルとしては、ファブリック、およびテキスタイルから分離された繊維、または繊維を含む他の製品、くずまたは規格外の繊維もしくはヤーンもしくは織物、またはその他の束ねられていない繊維およびヤーンの供給源を挙げることができる。テキスタイルとしては、短繊維、連続繊維、糸、繊維束、撚糸および/または紡績糸、ヤーンから作られた生機のファブリック、生機のファブリックを湿式加工して製造された完成品のファブリック、完成品のファブリックまたはその他のファブリックから作られた衣類も含まれ得る。テキスタイルには、衣服、インテリア家具、および産業用の種類のテキスタイルが含まれる。テキスタイルには、ポストインダストリアル(プレコンシューマー)テキスタイルもしくはポストコンシューマ―テキスタイル、またはその両方が含まれ得る。
【0075】
[0104]一実施態様では、あるいは前述の実施態様のいずれかとの組合せでは、テキスタイルは、人間が身に着ける、あるいは身体のために作られたものとして一般に定義できる衣服を含むことができる。このようなテキスタイルとしては、スポーツコート、スーツ、ズボン、およびカジュアルパンツもしくはワークパンツ、シャツ、ソックス、スポーツウェア、ドレス、下着、上着(レインジャケット、防寒ジャケットおよびコートなど)、セーター、防護服、ユニフォーム、アクセサリー(スカーフ、帽子、手袋など)を挙げることができる。インテリア家具類のテキスタイルの例としては、家具の室内装飾品およびスリップカバー、カーペットおよびラグ、カーテン、寝具(シーツ、枕カバー、羽毛布団、掛け布団、マットレスカバーなど)、リネン、テーブルクロス、タオル、手ぬぐい、および毛布が挙げられる。産業用テキスタイルの例としては、輸送手段(自動車、飛行機、電車、バス)の座席、フロアマット、トランクライナー、および天井材;屋外用家具およびクッション、テント、バックパック、旅行かばん、ロープ、コンベアベルト、圧延フェルト、磨き布、雑巾、土壌浸食防止布およびジオテキスタイル、農業用マットおよびスクリーン、個人用保護具、防弾チョッキ、医療用包帯、縫合糸、テープなどが挙げられる。
【0076】
[0105]テキスタイルとして分類される不織布には、湿式不織布およびそれから製造された物品の類は含まれない。同じ機能を有する様々な物品を乾式法または湿式法で製造することができるが、乾式不織布から製造された物品をテキスタイルと分類する。本明細書に記載の乾式不織布から形成され得る適切な物品の例としては、個人用、消費者用、産業用、食品提供用、医療用、および他の最終用途のためのものを挙げることができる。具体例としては、乳児用おしりふき、流せるおしりふき、使い捨ておむつ、トレーニングパンツ、女性用衛生用品(生理用ナプキンやタンポンなど)、大人用失禁パッド、下着、またはブリーフ、およびペット用トレーニングパッドなどを挙げることができるが、これらに限定されない。他の例としては、消費者向け(個人のケアまたは家庭用)および産業用途(食品提供、健康管理、または専門分野など)を含む、様々な乾式または湿式の拭き取り繊維が挙げられる。不織布は、枕、マットレス、および室内装飾品の詰め物、ならびにキルトや掛け布団の詰め物としても使用できる。医療および産業分野では、本発明の不織布を、消費者用、医療用、および産業用フェイスマスク、防護服、帽子、および靴カバー、使い捨てシート、手術用ガウン、滅菌布、包帯、および包帯剤に使用することができる。
【0077】
[0106]また、本明細書に記載の不織布は、環境用ファブリック、たとえばジオテキスタイルおよび防水布、油および化学薬品吸収パッド、ならびに建築用材料、たとえば防音または断熱材、テント、材木および土壌のカバーおよびシートに使用することができる。不織布をその他の消費者用最終用途、たとえばカーペットの裏地、消費者用、産業用、農業用の物品の梱包、断熱材または防音材、および様々な種類の衣服にも使用してもよい。
【0078】
[0107]本明細書に記載の乾式不織布を、輸送手段(たとえば、自動車または飛行機)、商業、住宅、工業、または他の特殊用途を含む様々な濾過用途に使用してもよい。例としては、消費者向けまたは工業用の空気または液体フィルター(ガソリン、油、水など)のフィルター要素、たとえば精密濾過に用いられるナノ繊維ウェブ、さらにはティーバッグ、コーヒーフィルター、ドライヤーシートなどの最終用途を挙げることができる。さらに、本明細書に記載の不織布を用いて自動車用の様々な部品(ブレーキパッド、トランクライナー、カーペットタフティング、およびアンダーパッドが挙げられるがこれらに限定されない)を形成してもよい。
【0079】
[0108]テキスタイルは、一種類または複数種類の天然繊維および/または一種類または複数種類の合成繊維を含んでもよい。テキスタイル用繊維の組合せの例としては、すべて天然、すべて合成、2種類以上の天然繊維、2種類以上の合成繊維、1種類の天然繊維と1種類の合成繊維、1種類の天然繊維と2種類以上の合成繊維、2種類以上の天然繊維と1種類の合成繊維、および2種類以上の天然繊維と2種類以上の合成繊維が挙げられる。
【0080】
[0109]天然繊維は、植物由来のものまたは動物由来のものを含む。天然繊維は、セルロース、ヘミセルロース、およびリグニンであってもよい。植物由来の天然繊維の例としては、広葉樹パルプ、針葉樹パルプ、および木粉、ならびに他の植物繊維、たとえばコムギわら、イネわら、アバカ、ココヤシ繊維、綿、亜麻、麻、ジュート、バガス、カポック、パピルス、ラミー、ラタン、つる、ケナフ、アバカ、ヘネケン、サイザル麻、ダイズ、穀物わら、竹、葦、エスパルト草、バガス、サバイ草、トウワタフロス繊維、パイナップル葉繊維、スイッチグラス、リグニン含有植物などが挙げられる。動物由来繊維の例としては、羊毛、絹、モヘア、カシミア、山羊毛、馬毛、鳥類繊維、ラクダ毛、アンゴラ毛、およびアルパカ毛が挙げられる。
【0081】
[0110]合成繊維は、少なくとも部分的に化学反応によって合成あるいは誘導された繊維、または再生繊維であり、レーヨン、ビスコース、シルケット加工繊維、または他の種類の再生セルロース(天然セルロースから可溶性セルロース誘導体への変換およびその後の再生)、たとえばリヨセル(テンセル(商標)としても知られる)、キュプラ、モダール、ポリ酢酸ビニルなどのアセタート、ナイロンを含むポリアミド、PETなどのポリエステル、ポリプロピレンやポリエチレンなどのオレフィン系重合体、ポリカルボナート、ポリ硫酸塩、ポリスルホン、スパンデックスまたはエラスタンとして知られるポリエーテル尿素などのポリエーテル、ポリアクリラート、アクリロニトリル共重合体、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、スルホポリエステル繊維、ならびにそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
[0111]化学的再生施設に入れる前に、テキスタイルを切断、細断、破砕、粉砕、微粉化、あるいは裁断することによりサイズを小さくして、サイズ縮小テキスタイルを作製してもよい。また、化学的再生施設に入れる前にテキスタイルを高密度化(たとえばペレット化)してもよい。高密度化する処理の例としては、押出(たとえばペレットに)、成形(たとえばブロック状に)、および凝集(外部から加えられた熱、摩擦力により生じる熱、またはそれ自体は使用済み重合体であってもよい1種以上の粘着性物質を加えることによる)が挙げられる。その代わりに、あるいはそれに加えて、テキスタイルは本明細書に記載の形態のいずれであってもよく、前処理設備20での上記の工程のうち1つ以上に供されてから図1に示される化学的再生施設10の残りの設備で処理されてもよい。
【0083】
[0112]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、ポリエチレンテレフタラート(PET)および1種以上のポリオレフィン(PO)は、合計で図1の流れ100で化学的再生施設に供給される廃プラスチック(たとえばMPW)の少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、または少なくとも99重量パーセントを構成する。ポリ塩化ビニル(PVC)は、化学的再生施設10に導入される廃プラスチック中のプラスチックの総重量基準で、廃プラスチックの少なくとも0.001重量パーセント、少なくとも0.01重量パーセント、少なくとも0.05重量パーセント、少なくとも0.1重量パーセント、少なくとも0.25重量パーセント、もしくは少なくとも0.5重量パーセント、かつ/または10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、4重量パーセント以下、3重量パーセント以下、2重量パーセント以下、1重量パーセント以下、0.75重量パーセント以下、もしくは0.5重量パーセント以下を構成してもよい。
【0084】
[0113]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、廃プラスチックは、化学的再生施設10に導入される廃プラスチック中のプラスチックの総重量基準で少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセントのPETを含んでもよい。
【0085】
[0114]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、廃プラスチックは、廃プラスチック中のプラスチックの総重量基準で少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、かつ/または95重量パーセント以下、90重量パーセント以下、85重量パーセント以下、80重量パーセント以下、75重量パーセント以下、70重量パーセント以下、65重量パーセント以下、60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、もしくは35重量パーセント以下のPOを含んでもよく、あるいは、POは化学的再生施設10に導入される廃プラスチック中のプラスチックの総重量基準で5~75重量パーセント、10~60重量パーセント、または20~35重量パーセントの範囲の量で存在してもよい。
【0086】
[0115]化学的再生施設に導入される廃プラスチック(たとえばMPW)は様々な供給源、たとえば地方自治体の再生施設(MRF)もしくは再生業者の施設、または他の機械的もしくは化学的分別もしくは分離設備、ポストインダストリアル及びプレコンシューマーのしょうひ再生可能資源を所有している製造業者もしくは工場すなわち商業的製造施設または小売業者もしくは販売業者もしくは卸売業者、家庭/企業から直接(すなわち未処理の再生可能資源)、埋立地、収集センター、コンビニエンスセンター、または港湾施設もしくはそこにある船舶もしくは倉庫(ただし、これらに限定されない)から、提供されてもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、廃プラスチック(たとえばMPW)の供給源は、消費者が特定の再生可能な物品(たとえばプラスチック容器、ビンなど)を委託して国から金銭の還付を受けることができる国の委託還付施設を含まない。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、廃プラスチック(たとえばMPW)の供給源は、消費者が特定の再生可能な物品(たとえばプラスチック容器、ビンなど)を委託して国から金銭の還付を受けることができる委託還付施設を含む。このような還付施設は、たとえば食料品店などでよく見られる。
【0087】
[0116]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、廃プラスチックは、別の処理施設、たとえば地方自治体の再生施設(MRF)または再生業者の施設からの廃棄物流として、または消費者により分別され、街頭や中央のコンビニエンスステーションに回収のために置かれた廃プラスチックを含むプラスチック含有混合物として提供されてもよい。そのような実施態様の1つ以上において、廃プラスチックは、プラスチックの乾量基準で少なくとも10重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、もしくは少なくとも90重量パーセント、かつ/または99.9重量パーセント以下、99重量パーセント以下、98重量パーセント以下、97重量パーセント以下、96重量パーセント以下、もしくは95重量パーセント以下のPET、あるいはプラスチック乾量基準で10~99.9重量パーセント、20~99重量パーセント、30~95重量パーセント、または40~90重量パーセントの範囲であってもよいPETを含む、1種以上のMRF製品または副産物、再生業者副産物、分別済みプラスチック含有混合物、および/またはプラスチック物品製造施設からのPET含有廃プラスチックを含む。
【0088】
[0117]そのような実施態様の1つ以上において、廃プラスチックは、プラスチックの乾量基準で少なくとも1重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、もしくは少なくとも90重量パーセント、かつ/または99.9重量パーセント以下、99重量パーセント以下、もしくは90重量パーセント以下のPET、あるいはプラスチックの乾量基準で1~99.9重量パーセント、1~99重量パーセント、または10~90重量パーセントの範囲であってもよいPETを含む量のPET含有再生業者副産物またはプラスチック含有混合物を含む。再生業者施設は、高純度のPET(少なくとも99または少なくとも99.9重量パーセント)の再生業者副産物を生成する処理も含んでもよいが、それは機械的再生施設にとって望ましくない形態である。本明細書で使用される場合、「再生業者副産物」という用語は、再生業者により分離あるいは回収される、透明なrPET製品として回収されない任意の材料、たとえば着色rPETを指す。上記および下記の再生業者副産物は一般に廃棄物と見なされ、埋立地に送られる場合がある。
【0089】
[0118]このような実施態様の1つ以上では、廃プラスチックは、廃プラスチックは、プラスチックの乾量基準で少なくとも20重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、もしくは少なくとも99重量パーセント、かつ/または99.9重量パーセント以下、もしくは99重量パーセント以下のPETを含む量の再生業者湿潤細粒を含む。そのような実施態様の1つ以上では、廃プラスチックは、プラスチックの乾量基準で少なくとも1重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、もしくは少なくとも90重量パーセント、かつ/または99.9重量パーセント以下のPETを含む量の着色プラスチック含有混合物を含む。そのような実施態様の1つ以上では、廃プラスチックは、金属、およびプラスチックの乾量基準で少なくとも0.1重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、もしくは少なくとも80重量パーセント、かつ/または99.9重量パーセント以下、99重量パーセント以下、もしくは98重量パーセント以下のPETを含む量の渦電流廃棄流を含む。そのような実施態様の1つ以上では、廃プラスチックは、プラスチックの乾量基準で少なくとも0.1重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、もしくは少なくとも80重量パーセント、かつ99.9重量パーセント以下、99重量パーセント以下、もしくは98重量パーセント以下のPETを含む量の、再生業者では取り除かれる薄片を含み、あるいはそれは、プラスチックの乾量基準で0.1~99.9重量パーセント、1~99重量パーセント、または10~98重量パーセントの範囲のPETであってもよい。そのような実施態様の1つ以上では、廃プラスチックは、プラスチックの乾量基準で少なくとも50重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、少なくとも99重量パーセント、少なくとも99.9重量パーセントのPETを含む量の乾燥細粒を含む。
【0090】
[0119]化学的再生施設10はまた、本明細書に記載の廃プラスチック(たとえばMPW)を受け入れて、たとえば列車、トラック、および/または船などの任意の適切な種類の輸送手段による廃プラスチックの配送を容易にするための基本設備を含んでもよい。このような基本設備としては、輸送手段からの廃プラスチックの荷降ろしを支援する設備、貯蔵設備、および廃プラスチックを荷降ろし区域から下流の処理区域に輸送するための1つ以上の搬送システムを挙げることができる。このような搬送システムとしては、たとえば、空気圧コンベヤ、ベルトコンベヤ、バケットコンベヤ、振動コンベヤ、スクリューコンベヤ、カートオントラックコンベヤ、トウコンベヤ、トロリーコンベヤ、フロントエンドローダー、トラック、およびチェーンコンベヤが挙げられる。
【0091】
[0120]化学的再生施設10に導入される廃棄物(たとえばMPW)は、いくつかの形態、たとえば限定されないが、物品全体、粒子(たとえば、粉末化され、ペレット化された繊維プラスチック粒子)、束ねられた梱(たとえば、圧縮され縛られた物品全体)、束ねられていない物品(すなわち、梱に入っていない、あるいは梱包されていないもの)、容器(たとえば、箱、袋、トレーラー、鉄道車両、ローダーバケット)、積み重ねたもの(たとえば建物のコンクリートスラブ上の)、固体・液体スラリー(たとえば、ポンプ輸送される水中のプラスチックのスラリー)、および/または物理的に運ばれる(たとえば、コンベヤベルト上の粒子)、あるいは空気圧で運ばれる(たとえば搬送パイプ内で空気および/または不活性ガスと混合された粒子)、ばらばらの材料であってもよい。
【0092】
[0121]本明細書で使用される場合、「廃プラスチック粒子」という用語は、1インチ(約2.5cm)未満のD90を有する廃プラスチックを指す。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、廃プラスチック粒子はMPW粒子であってもよい。廃プラスチックまたはMPW粒子は、たとえば細断あるいは切断された粉末状プラスチック粒子、またはプラスチックペレットを含み得る。物品全体またはほぼ全体を化学的再生施設10(または前処理設備20)に導入する場合、廃プラスチック粒子(たとえばMPW粒子)を形成するために1つ以上の粉末化またはペレット化工程を用いてもよい。その代わりに、あるいはそれに加えて、化学的再生施設10(または前処理設備20)に導入される廃プラスチックの少なくとも一部は、既に粒子の形態であってもよい。
【0093】
[0122]図1に示される化学的再生施設に存在し得る各設備の一般的な構成および操作について、以下でさらに詳細に説明する。まず前処理設備から説明する。必要に応じて、図1には示されていないが、化学的再生施設からの流れの少なくとも1つを産廃埋立地または他の同様の種類の処理施設または廃棄施設に送ってもよい。
【0094】
前処理
[0123]図1に示すように、未処理および/または部分的に処理された廃プラスチック、たとえば混合プラスチック廃棄物(MPW)を、まず流れ100により前処理設備20に導入してもよい。処理前処理設備20では、流れは化学的再生用に準備するために1つ以上の処理工程を経てもよい。本明細書で使用される場合、「前処理」という用語は、以下の工程、すなわち(i)粉末化、(ii)粒子化、(iii)洗浄、(iv)乾燥、および(v)分離のうち1つ以上を用いて化学的再生用の廃プラスチックを準備することを指す。本明細書で使用される場合、「前処理設備」という用語は、廃プラスチックの前処理を実行するのに必要なすべての装置、ライン、および制御装置を含む設備を指す。本明細書に記載の前処理設備は、以下にさらに詳述するこれらの工程のうち1つ以上を用いて化学的再生用の廃プラスチックの準備を行う任意の適切な方法を採用してもよい。
【0095】
粉末化および粒子化
[0124]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、廃プラスチック(たとえばMPW)は、梱で提供されてもよいし、未分別または前分別済みプラスチックであってもよく、他の大きな集合形態であってもよい。梱または集合プラスチックは、それらを解体する最初の処理を経る。プラスチックの梱は、たとえば、梱を解体し、場合によっては梱を形成するプラスチックを細断するよう構成された歯や刃を有する1つ以上の回転軸を備える開梱機に送られてもよい。1つ以上の他の実施態様では、梱または集合プラスチックは、それらをより小さなサイズのプラスチック片に切断する裁断機に送られてもよい。次いで、開梱かつ/あるいは裁断されたプラスチック固体を、ガラス、金属、および岩石などの様々な非プラスチック重材料を除去する分別処理に供してもよい。この分別処理は手動でも機械でも実行できる。分別機は、重材料を識別して除去するために光センサー、磁石、渦電流、空気圧リフトまたは抗力係数に基づき分離するコンベヤ、または篩に依存し得る。
【0096】
[0125]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、廃プラスチック供給原料は、使用済み容器など、1インチより大きい、0.75インチより大きい、または0.5インチより大きいD90を有するプラスチック固体を含む。その代わりに、あるいはそれに加えて、廃プラスチック供給原料は、同時に少なくとも1つの寸法が1インチを超える複数のプラスチック固体を含んでもよいが、固体は、凝縮、圧縮、または他の方法で凝集されて梱などの大きな単位になっていてもよい。プラスチック固体の少なくとも一部またはすべてが1インチより大きい、0.75インチより大きい、あるいは0.5インチより大きい少なくとも1つの寸法を有するこのような実施態様では、供給原料を粉砕などの機械的サイズ減少操作、たとえば粉砕/造粒、細断、裁断、切断、または他の粉末化処理に供してサイズを小さくしたMPW粒子を提供してもよい。このような機械的サイズ減少操作としては、プラスチックを押し潰す、凝縮する、あるいは梱に成形する以外のサイズ減少工程を挙げることができる。
【0097】
[0126]1つ以上の他の実施態様では、廃プラスチックは、何らかの初期分離および/またはサイズ減少処理を既に受けていてもよい。特に、廃プラスチックは、粒子または薄片の形態であってもよく、袋または箱などの何らかの種類の容器で提供されてもよい。これらのプラスチック固体の組成およびそれらが供されてきた前処理の種類に応じて、プラスチック供給原料は、開梱機、裁断機、および/または重質除去ステーションを迂回し、さらにサイズを小さくする造粒装置に直接進んでもよい。
【0098】
[0127]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、開梱あるいは解体されたプラスチック固体は、プラスチック固体を粉砕、細断、あるいは他の方法でサイズを小さくする粉末化装置または造粒装置に送られてもよい。プラスチック材料を1インチ未満、3/4インチ未満、または1/2インチ未満のD90粒径を有する粒子にしてもよい。1つ以上の他の実施態様では、造粒装置を出るプラスチック材料のD90粒径は、1/16インチ~1インチ、1/8インチ~3/4インチ、1/4インチ~5/8インチ、または3/8インチ~1/2インチであってもよい。
【0099】
洗浄および乾燥
[0128]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、化学的再生施設に提供される未処理あるいは部分的に処理された廃プラスチックは、廃プラスチックの以前の使用に関連し得る様々な有機汚染物質または残留物を含む可能性がある。たとえば、廃プラスチックは、特にプラスチック材料が食品または飲料の包装に使用されていた場合、食品または飲料の汚れを含む可能性がある。したがって、廃プラスチックは、微生物汚染物質および/または微生物により生成された化合物も含む可能性がある。廃プラスチックを構成するプラスチック固体の表面に存在し得る典型的な微生物としては、大腸菌(E.coli)、サルモネラ菌(salmonella)、C.ディフィシル(C.dificile)、黄色ブドウ球菌(S.aureus)、L.モノサイトゲネス(L.monocytogenes)、表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)、緑膿菌(P.aeruginosa)、およびP.フルオレッセンス(P.fluorescens)が挙げられる。
【0100】
[0129]様々な微生物が悪臭の原因となる化合物を生成する可能性がある。臭気を発生させる典型的な化合物としては、硫化水素、硫化ジメチル、メタンチオール、プトレシン、カダベリン、トリメチルアミン、アンモニア、アセトアルデヒド、酢酸、プロパン酸、および/または酪酸が挙げられる。このように、廃プラスチックは悪臭の問題を引き起こし得ることがわかる。したがって、1つ以上の実施態様では、廃プラスチックをさらに処理できるようになるまで輸送用コンテナ、密閉された鉄道車両、または密閉されたトレーラーなどの密閉された空間内に保管してもよい。特定の実施態様では、未処理または部分的に処理された廃プラスチックは、廃プラスチックの処理(たとえば、粉末化、洗浄、および分別)が行われる場所に到達すると、密閉空間で1週間以内、5日以内、3日以内、2日以内、または1日以内の間、保管されてもよい。
【0101】
[0130]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、前処理施設20はまた、抗菌特性を有する化学組成物で廃プラスチックを処理して処理済み粒子プラスチック固体を形成するための装置または工程を含んでもよい。実施態様によっては、これは、廃プラスチックを水酸化ナトリウム、高pH塩溶液(たとえば炭酸カリウム)、または他の抗菌組成物で処理することを含んでもよい。
【0102】
[0131]さらに、一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、廃プラスチック(たとえばMPW)を必要に応じて洗浄して、無機の非プラスチック固体、たとえば土、ガラス、充填剤、および他の非プラスチック固体材料を除去し、かつ/あるいは生体成分、たとえば細菌および/または食物を除去してもよい。また、得られた洗浄済み廃プラスチックを廃プラスチックの総量基準で5重量パーセント以下、3重量パーセント以下、2重量パーセント以下、1重量パーセント以下、0.5重量パーセント以下、0.25重量パーセント以下の水(または液体)の水分量になるまで乾燥してもよい。乾燥は任意の適切な方式、たとえば熱および/もしくは空気流を加えること、機械的乾燥(たとえば遠心)、または特定時間で液体を蒸発させることにより行われてもよい。
【0103】
分離
[0132]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、前処理設備20または化学的再生方法もしくは施設10の工程は、少なくとも1つの分離工程または分離区域を含んでもよい。分離工程または分離区域は、廃プラスチック流を特定の種類のプラスチックが富化された2つ以上の流れに分離するように構成されてもよい。このような分離は、前処理設備20に供給される廃プラスチックがMPWである場合に特に有利である。
【0104】
[0133]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、前処理設備20の分離区域22(図2を参照のこと)は、図2に示すように、廃プラスチック(たとえばMPW)をPET富化流112とPET貧化流114に分離してもよい。本明細書で使用される場合、「富化」という用語は、基準材料または流れにおける特定の成分の濃度よりも高いその成分の濃度(未希釈の乾燥重量基準で)を有することを意味する。本明細書で使用される場合、「貧化」という用語は、基準材料または流れにおける特定の成分の濃度よりも低いその成分の濃度(未希釈の乾燥重量基準で)を有することを意味する。本明細書で使用される場合、特に述べない限り、すべての重量百分率は未希釈の乾燥重量基準で記載される。
【0105】
[0134]富化あるいは貧化された成分が固体である場合、濃度は未希釈の乾燥固体重量を基準とする。富化あるいは貧化された成分が液体の場合、濃度は未希釈の乾燥液体重量を基準とする。富化あるいは貧化された成分が気体の場合、濃度は未希釈の乾燥気体重量を基準とする。また、富化および貧化を濃度でなく物質収支の用語で表してもよい。したがって、特定の成分が富化された流れは、基準流(たとえば、供給流または他の生成物流)におけるその成分の質量よりも大きいその成分の質量を有してもよく、特定の成分が貧化された流れは、基準流(たとえば、供給流または他の生成物流)におけるその成分の質量よりも小さいその成分の質量を有してもよい。
【0106】
[0135]再び図2を参照する。前処理設備20(または分離区域22)から取り出される廃プラスチックのPET富化流112は、前処理設備20(または分離区域22)に導入された廃プラスチック供給流100中のPET濃度または質量よりも高いPET濃度または質量を有してもよい。同様に、前処理設備20(または分離区域22)から取り出されたPET貧化流114は、PETが貧化され、前処理設備20(または分離区域22)に導入された廃プラスチック中のPETの濃度または質量よりも低いPETの濃度または質量を有してもよい。PET貧化流114はまた、POが富化され、前処理設備20(または分離区域22)に導入された廃プラスチック(たとえばMPW)流中のPO濃度または質量よりも高いPO濃度または質量を有してもよい。
【0107】
[0136]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、MPW流100が前処理設備20(または分離区域22)に供給されるとき、PET富化流は、未希釈の固体乾量基準でMPW流もしくはPET貧化流またはその両方におけるPET濃度または質量に対してPET濃度または質量が富化されていてもよい。たとえば、PET富化流が分離後に液体または他の固体で希釈される場合、富化は未希釈のPET富化流中の濃度を基準とし、乾量基準である。一実施態様では、あるいは前述の実施態様のいずれかとの組合せでは、PET富化流112は、以下の数式で決定した場合、MPW供給流(供給物を基準とするPET富化率(%))に対して、あるいはPET貧化生成物流114(生成物を基準とするPET富化率(%))に対して、あるいはその両方に対して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%、少なくとも100%、少なくとも125%、少なくとも150%、少なくとも175%、少なくとも200%、少なくとも225%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも350%、少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも600%、少なくとも700%、少なくとも800%、少なくとも900%、または少なくとも1000%のPET富化率(%)を有する:
【0108】
【数1】
【0109】
(式中、PETeは未希釈の乾燥重量基準でのPET富化生成物流112中のPETの濃度、PETmは乾燥重量基準でのMPW供給物流100中のPETの濃度、PETdは乾燥重量基準でのPET貧化生成物流114中のPETの濃度である)。
【0110】
[0137]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、MPWを含む流れ100が前処理設備20(または分離区域22)に供給されるとき、PET富化流は、ハロゲン、たとえばフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、およびアスタチン(At)、および/またはハロゲン含有化合物、たとえばPVCも、MPW供給流100もしくはPET貧化生成物流114またはその両方におけるハロゲンの濃度または質量に対して富化されている。一実施態様では、あるいは前述の実施態様のいずれかとの組合せでは、PET富化流112は、以下の数式で決定した場合、MPW供給流100に対して(供給物を基準とするPVC富化率(%))、あるいはPET貧化生成物流に対して(生成物を基準とするPVC富化率(%))、あるいはその両方に対して、少なくとも1%、少なくとも3%、少なくとも5%、少なくとも7%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%、少なくとも100%、少なくとも125%、少なくとも150%、少なくとも175%、少なくとも200%、少なくとも225%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも350%、少なくとも400%、少なくとも500%のPVC富化率(%)を有する:
【0111】
【数2】
【0112】
(式中、PVCeは未希釈の乾燥重量基準でのPET富化流112中のPVCの濃度、PVCmは未希釈の乾燥重量基準でのMPW供給流100中のPVCの濃度、PVCdは未希釈の乾燥重量基準でのPET貧化生成物流114中のPVCの濃度である)。
【0113】
[0138]一実施態様では、あるいは前述の実施態様のいずれかとの組合せでは、MPW流100が前処理設備20(または分離区域22)に供給されるとき、PET貧化生成物流114は、未希釈の固体乾量基準で、MPW供給流100もしくはPET富化生成物流112またはその両方におけるポリオレフィンの濃度または質量に対して、ポリオレフィンが富化されている。一実施態様では、あるいは前述の実施態様のいずれかとの組合せでは、PET貧化流114は、以下の数式で決定した場合、MPW供給流100に対して(供給物を基準とするPO富化率(%))、あるいはPET富化生成物流112に対して(生成物を基準とするPO富化率(%))、あるいはその両方に対して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%、少なくとも100%、少なくとも125%、少なくとも150%、少なくとも175%、少なくとも200%、少なくとも225%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも350%、少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも600%、少なくとも700%、少なくとも800%、少なくとも900%、または少なくとも1000%のポリオレフィン富化率(%)を有する:
【0114】
【数3】
【0115】
(式中、POdは未希釈の乾燥重量基準でのPET貧化生成物流114中のポリオレフィンの濃度、POmは乾燥重量基準でのMPW供給流100中のPO濃度、POeは乾燥重量基準でのPET富化生成物流112中のPO濃度である)。
【0116】
[0139]一実施態様では、あるいは他の任意の実施態様との組合せでは、MPW流100が前処理設備20(または分離区域22)に供給されるとき、PET貧化流114は、ハロゲン、たとえばフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、およびアスタチン(At)、ならびに/またはハロゲン含有化合物、たとえばPVCもMPW流100、PET富化流112、またはその両方におけるハロゲンの濃度または質量に対して貧化されている。一実施態様では、あるいは前述の実施態様のいずれかとの組合せでは、PET貧化流114は、以下の数式で決定した場合、MPW供給流100に対して(供給物を基準とするPVC貧化率(%))、あるいはPET富化生成物流112に対して(生成物を基準とするPVC貧化率(%))、少なくとも1%、少なくとも3%、少なくとも5%、少なくとも7%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、または少なくとも90%のPVC貧化率(%)を有する:
【0117】
【数4】
【0118】
(式中、PVCmは未希釈の乾燥重量基準でのMPW供給流100中のPVC濃度、PVCdは未希釈の乾燥重量基準でのPET貧化生成物流114中のPVC濃度、PVCeは未希釈の乾燥重量基準でのPET富化生成物流112中のPVC濃度である)。
【0119】
[0140]PET貧化流114はまた、MPW流100、PET富化流112、またはその両方におけるPETの濃度または質量に対してPETが貧化している。一実施態様では、あるいは前述の実施態様のいずれかとの組合せでは、PET貧化流は、以下の数式で決定した場合、MPW供給流100に対して(供給物を基準とするPET貧化率(%))、あるいはPET富化生成物流112に対して(生成物を基準とするPET貧化率(%))少なくとも1%、少なくとも3%、少なくとも5%、少なくとも7%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、または少なくとも90%のPET貧化率(%)を有する:
【0120】
【数5】
【0121】
(式中、PETmは未希釈の乾燥重量基準でのMPW供給流100中のPET濃度、PETdは未希釈の乾燥重量基準でのPET貧化生成物流114中のPET濃度、PETeは未希釈の乾燥重量基準でのPET富化生成物流112中のPET濃度である)。
【0122】
[0141]上記の実施態様のいずれかにおける富化率または貧化率は、1週間、または3日、または1日の平均であってもよく、測定は、入口から出口へ流れるMPWの滞留時間を考慮すべく、MPW処理の出口で採取された試料を試料の採取元である大容量のMPWと合理的に相関させるために実施できる。たとえば、MPWの平均滞留時間が2分である場合、試料が互いに相関するように、出口の試料は投入試料の2分後に採取される。
【0123】
[0142]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、分離区域22または前処理設備20を出るPET富化流は、PET富化流112中のプラスチックの総重量基準で少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、少なくとも97重量パーセント、少なくとも99重量パーセント、少なくとも99.5重量パーセント、または少なくとも99.9重量パーセントのPETを含んでもよい。PET富化流112はPVCも富化されていてもよく、たとえば、PET富化流中のプラスチックの総重量基準で少なくとも0.1重量パーセント、少なくとも0.5重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも3重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、かつ/または10重量パーセント以下、8重量パーセント以下、6重量パーセント以下、5重量パーセント以下、3重量パーセント以下のハロゲン(PVCなど)を含んでもよく、あるいは、それはPET富化流中のプラスチックの総重量基準で0.1~10重量パーセント、0.5~8重量パーセント、または1~5重量パーセントの範囲であってもよい。PET富化流は、前処理設備20(または分離区域22)に導入されたPETの総量の少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、少なくとも99重量パーセント、または少なくとも99.5重量パーセントを含んでもよい。
【0124】
[0143]PET富化流112は、POおよび/またはより重質のプラスチック、たとえばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド(PA12、PA46、PA66)、ポリアクリルアミド(PARA)、ポリヒドロキシブチラート(PHB)、ポリカルボナート・ポリブチレンテレフタラート配合物(PC/PBT)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリイミド(PI)、ポリカルボナート(PC)、ポリエーテルサルフォン(PESU)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリサルフォン(PSU)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリグリコリド(ポリグリコール酸、PGA)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、熱可塑性スチレンエラストマー(TPS)、非晶質熱可塑性ポリイミド(TPI)、液晶重合体(LCP)、ガラス繊維強化PET、塩素化ポリ塩化ビニル(CPVC)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリモノクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、およびペルフルオロアルコキシ(PFA)も貧化されていてもよい。これらのいずれも、炭素、ガラス、および/または鉱物充填剤を含んでもよく、PETおよびPVCよりも高い密度を有する。
【0125】
[0144]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、PET富化流112は、PET富化流112中のプラスチックの総重量基準で45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、2重量パーセント以下、1重量パーセント以下、0.5重量パーセント以下のPOを含んでもよい。PET富化流112は、前処理設備20(または分離区域22)に導入されたPOの総量の10重量パーセント以下、8重量パーセント以下、5重量パーセント以下、3重量パーセント以下、2重量パーセント以下、または1重量パーセント以下を含んでもよい。PET富化流112は、PET富化流112の総重量基準で45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、2重量パーセント以下、1重量パーセント以下の、PET以外の成分を含んでもよい。
【0126】
[0145]それに加えて、あるいはその代わりに、PET富化流112は、乾量基準で2重量パーセント以下、1重量パーセント以下、0.5重量パーセント以下、または0.1重量パーセント以下の接着剤を含んでもよい。典型的な接着剤としては、カーペット糊、ラテックス、スチレンブタジエンゴムなどが挙げられる。また、PET富化流112は、乾量基準で4重量パーセント以下、3重量パーセント以下、2重量パーセント以下、1重量パーセント以下、0.5重量パーセント以下、または0.1重量パーセント以下のプラスチック充填剤および固体添加剤を含んでもよい。模範的な充填剤および添加剤としては、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、ガラス、ガラスビーズ、アルミナ、および本明細書に記載の処理においてプラスチックまたは他の成分と化学的に反応しないその他の固体不活性物質が挙げられる。
【0127】
[0146]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、分離区域22または前処理設備20を出るPET貧化(すなわちPO富化)流114は、PET貧化(すなわちPO富化)流114中のプラスチックの総重量基準で少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、少なくとも97重量パーセント、少なくとも99重量パーセント、または少なくとも99.5重量パーセントのPOを含んでもよい。PET貧化(すなわちPO富化)流はPVCが貧化されていてもよく、たとえば、PET貧化(すなわちPO富化)流中のプラスチックの総重量基準で5重量パーセント以下、2重量パーセント以下、1重量パーセント以下、0.5重量パーセント以下、0.1重量パーセント以下、0.05重量パーセント以下、または0.01重量パーセント以下のハロゲン(PVC中の塩素など)を含んでもよい。PET貧化すなわちPO富化流は、前処理設備20または分離設備22に導入されたPOの総量の少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、少なくとも99重量パーセント、または少なくとも99.9重量パーセントを含んでもよい。
【0128】
[0147]PO富化流114はまた、PETおよび/または他のプラスチック(たとえばPVC)が貧化されていてもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、PET貧化(すなわちPO富化)流は、PET貧化すなわちPO富化流中のプラスチックの総重量基準で45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、2重量パーセント以下、1重量パーセント以下、0.5重量パーセント以下のPETを含んでもよい。PO富化(すなわちPET貧化)流114は、前処理設備に導入されたPETの総量の10重量パーセント以下、8重量パーセント以下、5重量パーセント以下、3重量パーセント以下、2重量パーセント以下、または1重量パーセント以下を含んでもよい。
【0129】
[0148]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、PET貧化すなわちPO富化流114はまた、PET貧化すなわちPO富化流114の総重量基準で45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、2重量パーセント以下、1重量パーセント以下の、PO以外の成分を含んでもよい。PET貧化すなわちPO富化流114は、流れの総重量基準で4重量パーセント以下、2重量パーセント以下、1重量パーセント以下、0.5重量パーセント以下、または0.1重量パーセント以下の接着剤を含む。
【0130】
[0149]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、PET貧化すなわちPO富化流114は、10rad/秒のせん断速度および350℃の温度で動作するV80-40ベーンスピンドル付きBrookfield R/Sレオメーターを用いて測定した場合に少なくとも1ポアズ、少なくとも5ポアズ、少なくとも50ポアズ、少なくとも100ポアズ、少なくとも200ポアズ、少なくとも300ポアズ、少なくとも400ポアズ、少なくとも500ポアズ、少なくとも600ポアズ、少なくとも700ポアズ、少なくとも800ポアズ、少なくとも900ポアズ、少なくとも1000ポアズ、少なくとも1500ポアズ、少なくとも2000ポアズ、少なくとも2500ポアズ、少なくとも3000ポアズ、少なくとも3500ポアズ、少なくとも4000ポアズ、少なくとも4500ポアズ、少なくとも5000ポアズ、少なくとも5500ポアズ、少なくとも6000ポアズ、少なくとも6500ポアズ、少なくとも7000ポアズ、少なくとも7500ポアズ、少なくとも8000ポアズ、少なくとも8500ポアズ、少なくとも9000ポアズ、少なくとも9500ポアズ、または少なくとも10,000ポアズの溶融粘度を有してもよい。
【0131】
[0150]その代わりに、あるいはそれに加えて、PET貧化すなわちPO富化流114は、(10rad/秒、350℃で測定した場合に)25,000ポアズ以下、24,000ポアズ以下、23,000ポアズ以下、22,000ポアズ以下、21,000ポアズ以下、20,000ポアズ以下、19,000ポアズ以下、18,000ポアズ以下、または17,000ポアズ以下の溶融粘度を有してもよい。あるいは、その流れは(10rad/秒、350℃で測定した場合に)1~25,000ポアズ、500~22,000ポアズ、または1000~17,000ポアズの範囲の溶融粘度を有してもよい。
【0132】
[0151]廃プラスチックをたとえばPET富化流112とPO富化流114など、特定の種類のプラスチックが富化された2つ以上の流れに分離するために、任意の適切な種類の分離装置、システム、または設備を使用してもよい。適切な種類の分離の例としては、機械分離および密度分離が挙げられ、その例としては浮沈分離および/または遠心密度分離を挙げることができる。本明細書で使用される場合、「浮沈分離」という用語は、材料の分離が主に選択された液体媒体中の浮遊または沈降により引き起こされる密度分離処理を指し、「遠心密度分離」という用語は、材料の分離が主に遠心力により引き起こされる密度分離処理を指す。一般に、「密度分離処理」という用語は、材料のそれぞれの密度に少なくとも部分的に基づいて、材料を少なくとも高密度の排出物と低密度の排出物に分離する処理を指し、浮沈分離と遠心密度分離の両方を包含する。
【0133】
[0152]浮沈分離を用いる場合、液体媒体は水を含んでもよい。塩、糖類、および/または他の添加剤を液体媒体に加え、たとえば液体媒体の密度を増加させ、浮沈分離段階の目標分離密度を調整してもよい。液体媒体は濃縮塩溶液を含んでもよい。1つ以上のそのような実施態様では、塩は塩化ナトリウムである。しかし、1つ以上の他の実施態様では、塩は非ハロゲン化塩、たとえば酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、および/または硫酸塩である。液体媒体は、臭化ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硝酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、酢酸カリウム、臭化カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化カルシウム、塩化セシウム、塩化鉄、塩化ストロンチウム、塩化亜鉛、硫酸マンガン、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、および/または硝酸銀を含む濃縮塩溶液を包含する。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、塩は苛性成分である。塩は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および/または炭酸カリウムを含んでもよい。濃縮塩溶液は、7を超える、8を超える、9を超える、または10を超えるpHを有してもよい。
【0134】
[0153]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、液体媒体は、スクロースなどの糖類を含んでもよい。液体媒体は、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロベンゼン、硫酸ジメチル、および/またはトリクロロエチレンを含んでもよい。液体媒体の特定の成分および濃度は、分離段階の所望の目標分離密度に応じて選択できる。遠心密度分離処理も、目標分離密度での分離効率を改善するために上記の液体媒体を利用してもよい。
【0135】
[0154]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、廃プラスチック分離方法は、少なくとも2つの密度分離段階を含む。このような特定の実施態様では、方法は一般に、廃プラスチック粒子を第1の密度分離段階に導入すること、および第1の密度分離段階からの排出物を第2の密度分離段階に供給することを含む。密度分離段階は、本明細書で定義される密度分離処理を実行する任意のシステムまたは装備の操作であり得る。密度分離段階のうち少なくとも1つは、遠心力分離段階または浮沈分離段階を含む。第1および第2の密度分離段階のそれぞれは、遠心力分離段階および/または浮沈分離段階を含む。
【0136】
[0155]PETが富化された材料流を作るために、密度分離段階のうちの1つは低密度分離段階を含んでもよく、もう1つは一般に高密度分離段階を含む。本明細書で定義される場合、低密度分離段階は、高密度分離段階の目標分離密度よりも低い目標分離密度を有する。低密度分離段階は、PETの密度よりも小さい目標分離密度を有し、高密度分離段階は、PETの密度よりも大きい目標分離密度を有する。
【0137】
[0156]本明細書で使用される場合、「目標分離密度」という用語は、それを超えると密度分離処理に供される材料がより高密度の排出物に優先的に分離され、それを下回ると材料はより低密度の排出物に分離される密度を指す。目標分離密度は、その値よりも高い密度を有するすべてのプラスチックおよび他の固体材料はより高密度の排出物に分離され、それよりも低い密度を有するすべてのプラスチックおよび他の固体材料はより低密度の排出物に分離される密度値を特定する。ただし、密度分離処理における材料の実際の分離効率は様々な要因、たとえば滞留時間および目標分離密度値に対する特定の材料の密度の相対的な近さ、さらには粒子の形態に関する要因、たとえば面積対質量比、球形度、および多孔度などに依存し得る。
【0138】
[0157]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、低密度分離段階は1.35g/cc未満、1.34g/cc未満、1.33g/cc未満、1.32g/cc未満、1.31g/cc未満、もしくは1.30g/cc未満、かつ/または少なくとも1.25g/cc、少なくとも1.26g/cc、少なくとも1.27g/cc、少なくとも1.28g/cc、もしくは少なくとも1.29g/ccの目標分離密度を有する。高密度分離段階は、低密度分離段階の目標分離密度よりも、少なくとも0.01g/cc、少なくとも0.025g/cc、少なくとも0.05g/cc、少なくとも0.075g/cc、少なくとも0.1g/cc、少なくとも0.15g/cc、または少なくとも0.2g/cc高い目標分離密度を有する。高密度分離段階の目標分離密度は、少なくとも1.31g/cc、少なくとも1.32g/cc、少なくとも1.33g/cc、少なくとも1.34g/cc、少なくとも1.35g/cc、少なくとも1.36g/cc、少なくとも1.37g/cc、少なくとも1.38g/cc、少なくとも1.39g/cc、もしくは少なくとも1.40g/cc、かつ/または1.45g/cc以下、1.44g/cc以下、1.43g/cc以下、1.42g/cc以下、もしくは1.41g/cc以下である。低密度分離段階の目標分離密度は1.25~1.35g/ccの範囲であり、高密度分離段階の目標分離密度は1.35~1.45g/ccの範囲である。
【0139】
[0158]再び図1を参照する。PET富化流112およびPO富化流114の両方を化学的再生施設10内の1つ以上の下流処理設備に導入し(すなわち1つ以上の下流処理工程に供し)てもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様では、PET富化流112の少なくとも一部を加溶媒分解設備30に導入してもよく、PO富化流114の少なくとも一部を熱分解設備60、クラッキング設備70、部分酸化(POX)ガス化設備50、エネルギー回収設備80、または固化もしくは分離設備などのその他の設備90のうちの1つ以上に直接あるいは間接的に導入してもよい。本技術の1つ以上の実施態様による各工程および設備の種類のさらなる詳細、ならびにこれらの工程および設備のそれぞれと他の1つ以上との一般的な統合については以下でさらに詳細に述べる。
【0140】
加溶媒分解
[0159]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、前処理設備20からのPET富化流112の少なくとも一部を加溶媒分解設備30に導入してもよい。本明細書で使用される場合、「加溶媒分解」または「エステル加溶媒分解」という用語は、エステル含有供給物が溶媒の存在下で化学分解されて主カルボキシル産物および主グリコール産物を形成する反応を指す。「加溶媒分解設備」は、廃プラスチックおよびそれに由来する供給原料の加溶媒分解を行うのに必要なすべての装置、ライン、および制御装置を含む設備である。
【0141】
[0160]加溶媒分解を受けるエステルがPETを含む場合、加溶媒分解設備で行われる加溶媒分解はPET加溶媒分解であってもよい。本明細書で使用される場合、「PET加溶媒分解」という用語は、ポリエステルテレフタラート含有供給物を溶媒の存在下で化学分解し主テレフタリル産物および主グリコール産物を形成する反応を指す。本明細書で使用される場合、「主テレフタリル」という用語は、加溶媒分解設備から回収される主要または重要なテレフタリル産物を指す。本明細書で使用される場合、「主グリコール」という用語は、加溶媒分解設備から回収される主要なグリコール産物を指す。本明細書で使用される場合、「グリコール」という用語は、分子あたり2つ以上の-OH官能基を含む成分を指す。本明細書で使用される場合、「テレフタリル」という用語は、以下の基を含む分子を指す:
【0142】
【化1】
【0143】
[0161]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、主テレフタリル産物はテレフタリル、たとえばテレフタル酸またはテレフタル酸ジメチル(またはそれらのオリゴマー)を含み、主グリコール産物はグリコール、たとえばエチレングリコールおよび/またはジエチレングリコールを含む。本技術の1つ以上の実施態様によるPET加溶媒分解設備30の主な工程を図3に一般的に示す。
【0144】
[0162]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、加溶媒分解で使用される主要な溶媒は、少なくとも1つの-OH基を有する化合物を含む。適切な溶媒の例としては、(i)水(この場合、加溶媒分解を「加水分解」と呼ぶことがある)、(ii)アルコール(この場合、加溶媒分解を「加アルコール分解」と呼ぶことがある)、たとえばメタノール(この場合、加溶媒分解を「加メタノール分解」と呼ぶことがある)またはエタノール(この場合、加溶媒分解を「加エタノール分解」と呼ぶことがある)、(iii)グリコール、たとえばエチレングリコールまたはジエチレングリコール(この場合、加溶媒分解を「加グリコール分解」と呼ぶことがある)、または(iv)アンモニア(この場合、加溶媒分解を「加アンモニア分解」と呼ぶことがある)を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0145】
[0163]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、加溶媒分解用溶媒は、溶媒流の総重量基準で少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、または少なくとも99重量パーセントの主溶媒を含んでもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、溶媒は、溶媒流の総重量基準で45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、2重量パーセント以下、または1重量パーセント以下の他の溶媒または成分を含んでもよい。
【0146】
[0164]加溶媒分解設備30が主溶媒としてエチレングリコールなどのグリコールを利用する場合、その設備を加グリコール分解設備と呼ぶことがある。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、図1の化学的再生施設は加グリコール分解設備を含んでもよい。加グリコール分解設備では、PETを化学分解し、主グリコールとしてエチレングリコール(EG)、主テレフタリルとしてテレフタル酸ジメチル(DMT)を形成してもよい。PETが廃プラスチックを含む場合、加溶媒分解設備で形成されたEGおよびDMTはいずれも再生成分エチレングリコール(再生EG)および再生成分テレフタル酸ジメチル(再生DMT)を含んでもよい。加グリコール分解により形成された場合、EGおよびDMTは単一の生成物流に存在してもよい。
【0147】
[0165]加溶媒分解設備が主溶媒としてメタノールを利用する場合、その設備を加メタノール分解設備と呼ぶことがある。図1の化学的再生施設は加メタノール分解設備を含んでもよい。加メタノール分解設備(その例を図3に概略的に示す)では、PETを化学分解し、主グリコールとしてエチレングリコール(EG)、主テレフタリルとしてテレフタル酸ジメチル(DMT)を形成してもよい。PETが廃プラスチックを含む場合、加溶媒分解設備で形成されたEGおよびDMTはいずれも再生成分エチレングリコール(再生EG)および再生成分テレフタル酸ジメチル(再生DMT)を含んでもよい。
【0148】
[0166]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、加溶媒分解設備30から取り出された再生成分グリコール(再生グリコール)流154は、加溶媒分解設備で形成された主グリコールの少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセントを含んでもよい。また、それは99.9重量パーセント以下、99重量パーセント以下、95重量パーセント以下、90重量パーセント以下、85重量パーセント以下、80重量パーセント以下、もしくは75重量パーセント以下の主グリコール(EGなど)を含んでもよく、かつ/あるいは、流れの総重量基準で少なくとも0.5重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも7重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも12重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、もしくは少なくとも25重量パーセント、かつ/または45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、もしくは15重量パーセント以下の、主グリコール以外の成分を含んでもよく、あるいはそれらは、流れの総重量基準で0.5~45重量パーセント、1~40重量パーセント、または2~15重量パーセントの範囲の量で存在してもよい。再生グリコールは、流れ154の総重量基準で45~99.9重量パーセント、55~99.9重量パーセント、または80~99.9重量パーセントの範囲の量で流れ154に存在してもよい。
【0149】
[0167]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、加溶媒分解設備から取り出された再生成分主テレフタリル(再生テレフタリル)流158は、加溶媒分解設備30で形成された主テレフタリル(DMTなど)の少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセントを含んでもよい。それはまた、99重量パーセント以下、95重量パーセント以下、90重量パーセント以下、85重量パーセント以下、80重量パーセント以下、または75重量パーセント以下の主テレフタリルを含んでもよく、あるいは、主テレフタリルは、流れの総重量基準で45~99重量パーセント、50~90重量パーセント、または55~90重量パーセントの量で存在してもよい。それに加えて、あるいはその代わりに、流れは、流れの総重量基準で少なくとも0.5重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも7重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも12重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、もしくは少なくとも25重量パーセント、かつ/または45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、もしくは15重量パーセント以下の、主テレフタリル以外の成分を含んでもよい。再生テレフタリル(またはテレフタリル)は、流れ154の総重量基準で45~99.9重量パーセント、55~99.9重量パーセント、または80~99.9重量パーセントの範囲の量で流れ154に存在してもよい。
【0150】
[0168]加溶媒分解設備は、再生成分主グリコール流、再生成分主テレフタリル流を提供することに加えて、図1に流れ110として示される1つ以上の加溶媒分解副産物流も提供してもよく、これは加溶媒分解設備内の1ヶ所以上の場所から取り出されてもよい。本明細書で使用される場合、用語「副産物」または「加溶媒分解副産物」は、加溶媒分解設備の主カルボキシル(テレフタリル)産物でも、加溶媒分解設備の主グリコール産物でも、加溶媒分解設備に供給される主要溶媒でもない、加溶媒分解設備からの任意の化合物を指す。加溶媒分解副産物流は、流れの総重量基準で少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、または少なくとも99重量パーセントの1種以上の加溶媒分解副産物を含んでもよい。
【0151】
[0169]加溶媒分解副産物は、重質有機副産物流または軽質有機副産物流を含み得る。本明細書で使用される場合、「重質有機加溶媒分解副産物」という用語は、加溶媒分解設備の主テレフタリル産物の沸点よりも高い沸点を有する加溶媒分解副産物を指し、「軽質有機加溶媒分解副産物」という用語は、加溶媒分解設備の主テレフタリル産物の沸点よりも低い沸点を有する加溶媒分解副産物を指す。
【0152】
[0170]加溶媒分解設備が加メタノール分解設備である場合、1種以上の加メタノール分解副産物が設備から取り出されてもよい。本明細書で使用される場合、「加メタノール分解副産物」という用語は、加メタノール分解設備から取り出されたDMTでもEGでもメタノールでもない任意の化合物を指す。加メタノール分解副産物流は、流れの総重量基準で少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、または少なくとも99重量パーセントの1種以上の加溶媒分解副産物を含んでもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、加メタノール分解副産物は、重質有機加メタノール分解副産物または軽質有機加メタノール分解副産物を含み得る。本明細書で使用される場合、「重質有機加メタノール分解副産物」という用語は、DMTよりも高い沸点を有する加メタノール分解副産物を指し、「軽質加メタノール分解副産物」という用語は、DMTよりも低い沸点を有する加メタノール分解副産物を指す。
【0153】
[0171]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、加溶媒分解設備は少なくとも1つの重質有機加溶媒分解副産物流を生成してもよい。重質有機加溶媒分解副産物流は、流れにおける有機物質の総重量基準で少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセントの、加溶媒分解設備30から生じる主テレフタリル(DMTなど)の沸点よりも高い沸点を有する有機化合物を含んでもよい。
【0154】
[0172]それに加えて、あるいはその代わりに、加溶媒分解設備は少なくとも1つの軽質有機加溶媒分解副産物流を生成してもよい。軽質有機加溶媒分解副産物流は、流れにおける有機物質の総重量基準で少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセントの、加溶媒分解設備30から生じる主テレフタリル(DMTなど)の沸点よりも低い沸点を有する有機化合物を含んでもよい。
【0155】
[0173]再び図3を参照する。操作中、加溶媒分解設備に(別々にまたは一緒に)導入された混合プラスチック廃棄物および溶媒の流れは最初に、必要に応じて非PET分離区域208を通過してもよく、ここでPET以外の成分の総重量の少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセントが分離除去される。非PET成分は、PETよりも低い沸点を有してもよく、区域208から蒸気として除去されてもよい。その代わりに、あるいはそれに加えて、非PET成分の少なくとも一部はPETよりもやや高いあるいは低い密度を有してもよく、二相液体流を形成した後に一方または両方の非PET相を除去することで分離されてもよい。最後に、実施態様によっては、非PET成分をPET含有液相から固体として分離してもよい。
【0156】
[0174]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、PET含有流から分離された非PET成分の少なくとも50パーセント、少なくとも55パーセント、少なくとも60パーセント、少なくとも65パーセント、少なくとも70パーセント、少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントは、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンなどのポリオレフィンを含む。図3に点線で一般に示されるように、非PET分離区域208の全部または一部は反応区域210の上流にあってもよく、非PET分離区域208の全部または一部は反応区域210の下流にあってもよい。非PET分離区域208でPET含有流から非PET成分を分離するために、抽出、固体/液体分離、傾瀉、サイクロン分離または遠心分離、手動除去、磁気による除去、渦電流による除去、化学分解、蒸発および脱気、蒸留、ならびにそれらの組合せなどの分離技術を用いてもよい。
【0157】
[0175]図3に示すように、非PET分離区域208を出るPET含有流138は、PET含有流の総重量基準で25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、2重量パーセント以下、1重量パーセント以下、または0.5重量パーセント以下の、PET(またはそれらのオリゴマーおよび単量体分解産物)および溶媒以外の成分を含んでもよい。非PET分離区域208を出るPET含有流138は、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、2重量パーセント以下、または1重量パーセント以下の他の種類のプラスチック(ポリオレフィンなど)を含んでもよい。非PET分離区域208を出るPET含有流138は、非PET分離区域208に導入される非PET成分の総量の45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、または2重量パーセント以下を含んでもよい。
【0158】
[0176]図3に一般的に示されるように、非PET成分を加溶媒分解(または加メタノール分解)設備30からポリオレフィン含有副産物流140として除去してもよい。ポリオレフィン含有副産物流(またはデカンターオレフィン副産物流)140は、副産物流140の総重量基準で少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも92重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、少なくとも97重量パーセント、少なくとも99重量パーセント、または少なくとも99.5重量パーセントのポリオレフィンを含んでもよい。
【0159】
[0177]ポリオレフィン含有副産物流中に存在するポリオレフィンは、主にポリエチレン、主にポリプロピレン、またはポリエチレンとポリプロピレンの組合せを含んでもよい。ポリオレフィン含有副産物流中のポリオレフィンは、ポリオレフィン含有副産物流140中のポリオレフィンの総重量基準で少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも92重量パーセント、少なくとも94重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、少なくとも97重量パーセント、少なくとも98重量パーセント、または少なくとも99重量パーセントのポリエチレンを含む。あるいは、ポリオレフィン含有副産物流中のポリオレフィンは、ポリオレフィン含有副産物流140中のポリオレフィンの総重量基準で少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも92重量パーセント、少なくとも94重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、少なくとも97重量パーセント、少なくとも98重量パーセント、または少なくとも99重量パーセントのポリプロピレンを含む。
【0160】
[0178]ポリオレフィン含有副産物流は、ポリオレフィン含有副産物流140の総重量基準で10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、2重量パーセント以下、1重量パーセント以下、0.75重量パーセント以下、0.50重量パーセント以下、0.25重量パーセント以下、0.10重量パーセント以下、または0.05重量パーセント以下のPETを含む。さらに、ポリオレフィン含有副産物流は、ポリオレフィン含有副産物流140の総重量基準で少なくとも0.01重量パーセント、少なくとも0.05重量パーセント、少なくとも0.10重量パーセント、少なくとも0.50重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、もしくは少なくとも1.5重量パーセント、かつ/または40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、もしくは2重量パーセント以下のポリオレフィン以外の成分を含む。
【0161】
[0179]全体として、ポリオレフィン含有副産物流140は、ポリオレフィン含有副産物流140の総重量基準で少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、または少なくとも99重量パーセントの有機化合物を含む。ポリオレフィン含有副産物流140は、ポリオレフィン含有副産物流140の総重量基準で少なくとも0.5重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも3重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、もしくは少なくとも15重量パーセント、かつ/または40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、2重量パーセント以下、もしくは1重量パーセント以下の無機成分を含んでもよい。
【0162】
[0180]ポリオレフィン含有副産物流は、ポリオレフィン含有副産物流140の総重量基準で少なくとも0.1重量パーセント、少なくとも0.5重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、少なくとも1.5重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも2.5重量パーセント、少なくとも3重量パーセント、少なくとも3.5重量パーセント、少なくとも4重量パーセント、少なくとも4.5重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも8重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも12重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも18重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも22重量パーセント、もしくは少なくとも25重量パーセント、かつ/または50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、もしくは2重量パーセント以下の1種以上の非反応性固体を含んでもよい。非反応性固体は、PETと化学反応しない固体成分を指す。非反応性固体の例としては、砂、土、ガラス、プラスチック充填剤、およびそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0163】
[0181]ポリオレフィン含有副産物流140は、ポリオレフィン副産物流140の総重量基準で少なくとも100重量ppm、少なくとも250重量ppm、少なくとも500重量ppm、少なくとも750重量ppm、少なくとも1000重量ppm、少なくとも1500重量ppm、少なくとも2000重量ppm、少なくとも2500重量ppm、少なくとも5000重量ppm、少なくとも7500重量ppm、あるいは少なくとも1重量パーセント、少なくとも1.5重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、もしくは少なくとも25重量パーセント、かつ/または50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、2重量パーセント以下、もしくは1重量パーセント以下の1種以上の充填剤を含む。ポリオレフィン含有副産物流140は、100ppm~50重量パーセント、500ppm~10重量パーセント、または1000ppm~5重量パーセントの量で充填剤を含んでもよい。
【0164】
[0182]充填剤の例としては、揺変剤(発煙シリカおよび粘土(カオリン)など)、顔料、着色剤、難燃剤(アルミナ三水和物、臭素、塩素、ホウ酸塩、およびリンなど)、抑制剤(ワックス系材料など)、UV阻害剤または安定剤、導電性添加剤(金属粒子、炭素粒子、導電性繊維など)、離型剤(ステアリン酸亜鉛、ワックス、シリコーンなど)、炭酸カルシウム、および硫酸カルシウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0165】
[0183]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、ポリオレフィン含有副産物流140は、25℃の温度で測定した場合、少なくとも0.75g/cm、少なくとも0.80g/cm、少なくとも0.85g/cm、少なくとも0.90g/cm、少なくとも0.95g/cm、少なくとも0.99g/cm、かつ/または1.5g/cm以下、1.4g/cm以下、1.3g/cm以下、1.2g/cm以下、1.1g/cm以下、1.05g/cm以下、もしくは1.01g/cm以下の密度を有してもよい。密度は、0.80~1.4g/cm、0.90~1.2g/cm、または0.95~1.1g/cmであってもよい。非PET分離区域208から取り出されると、ポリオレフィン含有副産物流140は、少なくとも200℃、少なくとも205℃、少なくとも210℃、少なくとも215℃、少なくとも220℃、少なくとも225℃、少なくとも230℃、もしくは少なくとも235℃、かつ/または350℃以下、340℃以下、335℃以下、330℃以下、325℃以下、320℃以下、315℃以下、310℃以下、305℃以下、もしくは300℃以下の温度を有してもよい。ポリオレフィン含有副産物流140は、流れの総重量基準で少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセントの、主テレフタリルまたはDMTよりも高温で沸騰する成分を含んでもよい。
【0166】
[0184]本明細書でさらに詳細に述べるように、ポリオレフィン含有副産物流の全部または一部を、単独で、あるいは1つ以上の他の副産物流、他の下流の化学的再生用設備のうちの1つ以上からの流れ、ならびに/または未処理、部分的に処理済み、および/もしくは処理済みの廃プラスチック流(混合プラスチック廃棄物を含む)と組み合わせて、下流の1つ以上の化学的再生用設備に導入してもよい。
【0167】
[0185]再び図3を参照する。非PET分離区域208(反応区域210の上流)から出るPET含有流138(溶解したPETならびにその分解産物を含む)を、次いで反応区域210に移してもよく、反応区域に導入されたPETの分解の少なくとも50パーセント、少なくとも55パーセント、少なくとも60パーセント、少なくとも65パーセント、少なくとも70パーセント、少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントはそこで起こる。実施態様によっては、反応区域210内の反応媒体を撹拌、すなわちかき混ぜてもよく、1つ以上の温度制御装置(熱交換器など)を用いて目標反応温度を維持してもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、反応区域210内の目標反応温度は、少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、もしくは少なくとも85℃、かつ/または350℃以下、345℃以下、340℃以下、335℃以下、330℃以下、325℃以下、320℃以下、315℃以下、310℃以下、300℃以下、もしくは295℃以下であってもよい。
【0168】
[0186]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、加溶媒分解処理は低圧加溶媒分解処理であってもよく、加溶媒分解反応器内の圧力は、大気の重量ポンド毎平方インチ(psi)で5以内、10以内、15以内、20以内、25以内、30以内、35以内、40以内、45以内、または50以内であってもよく、あるいは大気のpsiで55以内、75以内、90以内、100以内、125以内、150以内、200以内、または250以内であってもよい。加溶媒分解反応器(すなわち反応区域)210内の圧力は、大気のバールゲージ圧(barg)で0.35以内、0.70以内、1以内、1.4以内、1.75以内、2以内、2.5以内、2.75以内、3以内、3.5以内、3.75以内、5以内、6.25以内、かつ/または大気のbarで6.9以下、8.6以下、または10.35以下であってもよい。加溶媒分解反応器(すなわち反応区域)210内の圧力は、少なくとも100psig(6.7barg)、少なくとも150psig(10.3barg)、少なくとも200psig(13.8barg)、少なくとも250psig(17.2barg)、少なくとも300psig(20.7barg)、少なくとも350psig(24.1barg)、少なくとも400psig(27.5barg)、かつ/または725psig(50barg)以下、650psig(44.7barg)以下、600psig(41.3barg)以下、550psig(37.8barg)以下、500psig(34.5barg)以下、450psig(31barg)以下、400psig(27.6barg)以下、もしくは350psig(24.1barg)以下であってもよい。
【0169】
[0187]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、反応区域210または設備30内で行われる加溶媒分解処理は高圧加溶媒分解処理であってもよく、加溶媒分解反応器内の圧力は、少なくとも50barg(725psig)、少なくとも70barg(1015psig)、少なくとも75barg(1088psig)、少なくとも80barg(1161psig)、少なくとも85barg(1233psig)、少なくとも90barg(1307psig)、少なくとも95barg(1378psig)、少なくとも100barg(1451psig)、少なくとも110barg(1596psig)、少なくとも120barg(1741psig)、もしくは少なくとも125barg(1814psig)、かつ/または150barg(2177psig)以下、145barg(2104psig)以下、140barg(2032psig)以下、135barg(1959psig)以下、130barg(1886psig)以下、もしくは125barg(1814psig)以下であってもよい。
【0170】
[0188]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、反応区域210における反応媒体の平均滞留時間は、少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも5分、少なくとも10分、もしくは少なくとも15分、かつ/または12時間以下、11時間以下、10時間以下、9時間以下、8時間以下、7時間以下、6時間以下、5時間以下、もしくは4時間以下であってもよい。加溶媒分解または加メタノール分解設備30に導入されたPETの総重量の少なくとも50パーセント、少なくとも55パーセント、少なくとも60パーセント、少なくとも65パーセント、少なくとも70パーセント、少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、少なくとも95パーセント、または少なくとも99パーセントは、反応器流出流144として反応区域210を離れるときに分解されていてもよい。
【0171】
[0189]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、反応器浄化流142を反応区域210から取り出してもよく、少なくとも一部を、反応器浄化副産物流142として、化学的再生施設10内の1つ以上の下流設備に送ってもよい。反応器浄化副産物流142は、加溶媒分解設備30から生成される主テレフタリル(または、加メタノール分解の場合はDMT)の沸点よりも高い沸点を有してもよい。
【0172】
[0190]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、反応器浄化副産物流142は、流れ142の総重量基準で少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、または少なくとも99重量パーセントの主テレフタリルを含んでもよい。加溶媒分解設備が加メタノール分解設備である場合、反応器浄化副産物流142は、流れ142の総重量基準で少なくとも1重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、または少なくとも99重量パーセントのDMTを含んでもよい。
【0173】
[0191]さらに、反応器浄化副産物流142は、流れ142の総重量基準で少なくとも100ppmかつ25重量パーセント以下の1種以上の非テレフタリル固体を含んでもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、反応器浄化副産物流142の非テレフタリル固体の総量は、流れの総重量基準で少なくとも150ppm、少なくとも200ppm、少なくとも250ppm、少なくとも300ppm、少なくとも350ppm、少なくとも400ppm、少なくとも500ppm、少なくとも600ppm、少なくとも700ppm、少なくとも800ppm、少なくとも900ppm、少なくとも1000ppm、少なくとも1500ppm、少なくとも2000ppm、少なくとも2500ppm、少なくとも3000ppm、少なくとも3500ppm、少なくとも4000ppm、少なくとも4500ppm、少なくとも5000ppm、少なくとも5500ppm、少なくとも6000ppm、少なくとも7000ppm、少なくとも8000ppm、少なくとも9000ppm、少なくとも10,000ppm、もしくは少なくとも12,500ppm、かつ/または25重量パーセント以下、22重量パーセント以下、20重量パーセント以下、18重量パーセント以下、15重量パーセント以下、12重量パーセント以下、10重量パーセント以下、8重量パーセント以下、5重量パーセント以下、3重量パーセント以下、2重量パーセント以下、もしくは1重量パーセント以下であってもよい。
【0174】
[0192]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、反応器浄化副産物流142は、流れの総重量基準で少なくとも100重量ppm、少なくとも250重量ppm、少なくとも500重量ppm、少なくとも750重量ppm、少なくとも1000重量ppm、少なくとも1500重量ppm、少なくとも2000重量ppm、少なくとも2500重量ppm、少なくとも3000重量ppm、少なくとも3500重量ppm、少なくとも4000重量ppm、少なくとも4500重量ppm、少なくとも5000重量ppm、少なくとも5500重量ppm、少なくとも6000重量ppm、少なくとも6500重量ppm、少なくとも7000重量ppm、少なくとも7500重量ppm、少なくとも8000重量ppm、少なくとも8500重量ppm、少なくとも9000重量ppm、少なくとも9500重量ppm、あるいは流れの総重量基準で少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも8重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、もしくは少なくとも12重量パーセント、かつ/または25重量パーセント以下、22重量パーセント以下、20重量パーセント以下、17重量パーセント以下、15重量パーセント以下、12重量パーセント以下、10重量パーセント以下、8重量パーセント以下、6重量パーセント以下、5重量パーセント以下、3重量パーセント以下、2重量パーセント以下、もしくは1重量パーセント以下、あるいは7500重量ppm以下、5000重量ppm以下、もしくは2500重量ppm以下の総固形分を有してもよい。
【0175】
[0193]固体の例としては、不揮発性触媒化合物を挙げることができるが、これらに限定されない。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、反応器浄化副産物流は、少なくとも100ppm、少なくとも250ppm、少なくとも500ppm、少なくとも750ppm、少なくとも1000ppm、少なくとも1500ppm、少なくとも2000ppm、少なくとも2500ppm、少なくとも3000ppm、少なくとも3500ppm、少なくとも4000ppm、少なくとも4500ppm、少なくとも5000ppm、少なくとも7500ppm、少なくとも10,000ppm、もしくは少なくとも12,500ppm、かつ/または60,000ppm以下、50,000ppm以下、40,000ppm以下、35,000ppm以下、30,000ppm以下、25,000ppm以下、20,000ppm以下、15,000ppm以下、もしくは10,000ppm以下の不揮発性触媒金属を含んでもよい。
【0176】
[0194]適切な不揮発性触媒金属の例としては、チタン、亜鉛、マンガン、リチウム、マグネシウム、ナトリウム、メトキシド、アルカリ金属、アルカリ土類金属、スズ、残留エステル化触媒またはエステル交換触媒、残留重縮合触媒、アルミニウム、解重合触媒、およびそれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。本明細書でさらに詳細に述べるように、反応器浄化副産物流142の全部または一部を、単独で、あるいは1つ以上の他の副産物流、他の下流の化学的再生用設備のうちの1つ以上からの流れ、ならびに/または未処理、部分的に処理済み、および/もしくは処理済みの廃プラスチック流(混合プラスチック廃棄物を含む)と組み合わせて、1つ以上の下流の化学的再生用設備に導入してもよい。
【0177】
[0195]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、図3に一般的に示すように、加溶媒分解設備30内の反応区域210からの流出流144は、先に述べたように、反応器の下流に位置する非PET分離区域208に必要に応じて送られてもよい。反応器、または存在する場合は非PET分離区域208から得られる流出流144を、生成物分離区域220に通過させてもよく、ここで、重質有機材料の少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、または少なくとも99重量パーセントが供給流144から分離され、主に軽質有機材料である流れ146と主に重質有機材料である流れ148が形成されてもよい。このような流れを分離する任意の適切な方法を用いてもよく、その例としてはたとえば、蒸留、抽出、傾瀉、結晶化、膜分離、固体・液体分離、たとえば濾過(たとえばベルト濾過)、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0178】
[0196]図3に示すように、生成物分離区域220から取り出される重質有機物流148(たとえば、流れの総重量基準で少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、または少なくとも99重量パーセントの重質有機成分を含んでもよい)を重質有機物分離区域240に導入してもよい。重質有機物分離区域240では、主テレフタリル産物流158をテレフタリル塔底すなわち「スラッジ」副産物流160から分離してもよい。このような分離は、たとえば蒸留、抽出、傾瀉、膜分離、溶融結晶化、ゾーン精製、およびそれらの組合せにより達成できる。得られるものは、流れの総重量基準で少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、または少なくとも99重量パーセントの主テレフタリル(またはDMT)を含む流れ158である。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、主テレフタリルの少なくとも一部または全部は、再生成分テレフタリル(再生テレフタリル)、たとえば再生成分DMT(再生DMT)を含んでもよい。
【0179】
[0197]テレフタリル塔底副産物流(「テレフタリルスラッジ副産物流」ともいう)160も重有機物分離区域240から取り出してもよい。加溶媒分解設備が加メタノール分解設備である場合、この流れをDMT塔底副産物流、DMTスラッジ副産物流、またはDMTの澱の流れと呼ぶ場合がある。
【0180】
[0198]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、この副産物流は、たとえば組成物の総重量基準で少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも92重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、少なくとも97重量パーセント、少なくとも98重量パーセント、少なくとも99重量パーセント、または少なくとも99.5重量パーセントの、加溶媒分解を受けるポリエステル部分を含むオリゴマー、たとえばPETオリゴマーを含んでもよい。本明細書で使用される場合、「ポリエステル部分」または「ポリエステルの部分」という用語は、ポリエステルの部分もしくは残基、またはポリエステル部分もしくは残基の反応生成物を指す。これらのオリゴマーは、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、もしくは少なくとも8のモノマー単位(酸+グリコール)、かつ/または30以下、27以下、25以下、22以下、20以下、17以下、15以下、12以下、もしくは10以下のモノマー単位(酸+グリコール)の平均鎖長を有してもよく、処理されるポリエステル(たとえばPET)の部分を含み得る。
【0181】
[0199]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、テレフタリル塔底(またはDMT塔底)副産物流160は、オリゴマーおよび少なくとも1種の置換テレフタリル成分を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「置換テレフタリル」という用語は、少なくとも1つの置換された原子または基を有するテレフタリル成分を指す。テレフタリル塔底副産物流160は、テレフタリル塔底副産物流160の総重量基準で少なくとも1重量ppb、少なくとも100重量ppb、500重量ppb、または少なくとも1重量ppm、少なくとも50重量ppm、少なくとも1000重量ppm、少なくとも2500重量ppm、少なくとも5000重量ppm、少なくとも7500重量ppm、もしくは少なくとも10000重量ppm、または少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、もしくは少なくとも5重量パーセント、かつ/あるいは25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、もしくは2重量パーセント以下、1重量パーセント以下、0.5重量パーセント以下、0.1重量パーセント以下、0.05重量パーセント以下、0.01重量パーセント以下の置換テレフタリル成分を含んでもよい。
【0182】
[0200]本明細書でさらに詳細に述べるように、テレフタリル塔底副産物流160の全部または一部を、単独で、あるいは1つ以上の他の副産物流、他の下流の化学的再生用設備のうちの1つ以上からの流れ、ならびに/または未処理、部分的に処理済み、および/もしくは処理済みの廃プラスチック流(混合プラスチック廃棄物を含む)と組み合わせて、1つ以上の下流の化学的再生用設備に導入してもよい。
【0183】
[0201]再び図3を参照する。生成物分離区域220からの主に軽質有機物の流れ146を軽質有機物分離区域230に導入してもよい。軽質有機物分離区域230では、流れ146を分離して主溶媒(たとえば、加メタノール分解ではメタノール)を取り除き、主グリコール(たとえば、加メタノール分解ではエチレングリコール)を主グリコールよりも軽質の有機副産物および主グリコールよりも重質の有機副産物から分離除去してもよい。
【0184】
[0202]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、軽質有機物分離区域230から取り出される溶媒流150は、流れ150の総重量基準で少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、または少なくとも99重量パーセントの主溶媒を含んでもよい。加溶媒分解設備30が加メタノール分解設備である場合、この流れ150は、流れの総重量基準で少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、または少なくとも99重量パーセントのメタノールを含んでもよい。流れの全部または一部をさらなる使用のために加溶媒分解設備内の1ヶ所以上に再循環させてもよい。
【0185】
[0203]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、少なくとも1つの軽質有機加溶媒分解副産物流152(「軽質有機物」流ともいう)も軽質有機物分離区域230から取り出されてもよく、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセントの、主テレフタリル(またはDMT)の沸点よりも低い沸点を有する、主グリコール(またはエチレングリコール)でも主溶媒(またはメタノール)でもない成分を含んでもよい。それに加えて、あるいはその代わりに、副産物流は、60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、3重量パーセント以下、2重量パーセント以下、1重量パーセント以下の、DMTの沸点よりも高い沸点を有する成分を含んでもよく、流れ152自体は主テレフタリル(またはDMT)の沸点よりも低い沸点を有してもよい。
【0186】
[0204]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、主溶媒(たとえばメタノール)を含む軽質有機加溶媒分解副産物流152を加溶媒分解設備で生成してもよい。たとえば、軽質有機副産物流152は、少なくとも2重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、もしくは少なくとも55重量パーセント、かつ/または90重量パーセント以下、85重量パーセント以下、80重量パーセント以下、75重量パーセント以下、70重量パーセント以下、65重量パーセント以下、60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、もしくは30重量パーセント以下の主溶媒を含んでもよい。
【0187】
[0205]さらに、この副産物流152は、副産物流の総重量基準で少なくとも1ppm、少なくとも5ppm、少なくとも10ppm、少なくとも50ppm、少なくとも100ppm、少なくとも250ppm、少なくとも500ppm、少なくとも750ppm、もしくは少なくとも1000ppm、かつ/または90重量パーセント以下、85重量パーセント以下、80重量パーセント以下、75重量パーセント以下、70重量パーセント以下、65重量パーセント以下、60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、3重量パーセント以下、2重量パーセント以下、1重量パーセント以下、0.5重量パーセント以下、0.1重量パーセント以下、もしくは0.05重量パーセント以下の量のアセトアルデヒドも含んでもよく、あるいはアセトアルデヒドは、副産物流の総重量基準で1ppm~50重量パーセント、50ppm~0.5重量パーセント、または100ppm~0.05重量パーセントの量で存在してもよい。
【0188】
[0206]さらに、軽質有機副産物流152は、副産物流の総重量基準で少なくとも1ppm、少なくとも5ppm、少なくとも10ppm、少なくとも50ppm、少なくとも100ppm、少なくとも250ppm、少なくとも500ppm、少なくとも750ppm、もしくは少なくとも1000ppm、かつ/または60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、3重量パーセント以下、2重量パーセント以下、1重量パーセント以下、0.5重量パーセント以下、0.1重量パーセント以下、もしくは0.05重量パーセント以下の量のパラジオキサン(すなわちp-ジオキサン)も含んでもよく、あるいはp-ジオキサンは、副産物流の総重量基準で1ppm~50重量パーセント、50ppm~0.5重量パーセント、または100ppm~0.05重量パーセントの量で存在してもよい。
【0189】
[0207]この軽質有機副産物流152は、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸メチル、ケイ酸塩、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,5-メチルジオキソラン、2-エチル-1-ヘキサノール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、2,2,4-トリメチル-3-ペンテナール、2,2,4-トリメチル-3-ペンテノール、2,2,4-トリメチルペンタン、2,4-ジメチル-3-ペンタノン(DIPK)、イソ酪酸イソブチル、ギ酸メチル、n-ブタノール、酢酸、ジブチルエーテル、ヘプタン、テレフタル酸ジブチル、フタル酸ジメチル、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、2-メトキシエタノール、2-メチル-1,3-ジオキソラン、1,1-ジメトキシ-2-ブテン、1,1-ジメトキシエタン、1,3-プロパンジオール、2,5-ジメチル-1,3,5-ヘキサジエン、2,5-ジメチル-2,4-ヘキサジエン、α-メチルスチレン、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールホルマール、ジメトキシジメチルシラン、ジメチルエーテル、ジイソプロピルケトン、安息香酸EG、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、メトキシトリメチルシラン、4-エチル安息香酸メチル、カプリル酸メチル、グリコール酸メチル、乳酸メチル、ラウリン酸メチル、テレフタル酸メチルメトキシエチル、ノナン酸メチル、オレイン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、4-アセチル安息香酸メチル、オクタメチルシクロテトラシロキサン、スチレン、トリメチルシラノール、1,1-ジメトキシ-2-ブテン、4-メチルモルホリン、1,3,3-トリメトキシプロパン、ミリスチン酸メチル、アジピン酸ジメチル、n-メチルカプロラクタム、アゼライン酸ジメチル、ネオペンチルグリコール、およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分をさらに含んでもよい。
【0190】
[0208]本明細書でさらに詳細に述べるように、軽質有機副産物流の全部または一部を、単独で、あるいは1つ以上の他の副産物流、他の下流の化学的再生用設備のうちの1つ以上から得られた流れ、ならびに/または混合プラスチック廃棄物を含む廃プラスチック流(未処理、部分的に処理済み、および/もしくは処理済み)と組み合わせて、1つ以上の下流の化学的再生用設備に導入してもよい。
【0191】
[0209]さらに、主グリコールを主に含む流れ154も軽質有機物分離区域230から取り出してもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、主グリコール(たとえばエチレングリコール)流154は、流れ154の総重量基準で少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、または少なくとも99重量パーセントの主グリコールを含んでもよい。主グリコール流154はまた、主グリコール流154が流れの総重量基準で少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセントの再生成分含有量を有するような、再生成分を含んでもよい。主グリコール(またはエチレングリコール)は、再生グリコール(または再生エチレングリコール)を含んでもよい。
【0192】
[0210]図3に示すように、グリコール含有塔底副産物流156も軽質有機物分離区域230から取り出してもよい。「グリコール塔底」または「グリコール塔スラッジ」(または、より具体的には、加メタノール分解の場合はEG塔底またはEG塔スラッジ)という用語は、主グリコールの沸点より高いが主テレフタリルよりも低い沸点(または共沸点)を有する成分を指す。
【0193】
[0211]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、グリコール塔底副産物流156は、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセントの、主グリコール(たとえばエチレングリコール)の沸点よりも高く主テレフタリルの沸点よりも低い沸点を有する成分を含んでもよい。グリコール塔底副産物流156は、60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、2重量パーセント以下、1重量パーセント以下の、主グリコール(たとえばエチレングリコール)の沸点よりも低い沸点を有する成分を含んでもよい。グリコール塔底副産物流156は、主グリコール(たとえばEG)の沸点よりも高く、かつ主テレフタリル(たとえばDMT)の沸点よりも低い沸点を有してもよい。
【0194】
[0212]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、グリコール塔底副産物流156は主グリコールおよび少なくとも1種の他のグリコールを含んでもよい。たとえば、グリコール塔底副産物流156は、副産物流156の総重量基準で少なくとも0.5重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも3重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、もしくは少なくとも8重量パーセント、かつ/または30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、12重量パーセント以下、もしくは10重量パーセント以下の主グリコール(またはエチレングリコール)を含んでもよい。主グリコール(またはエチレングリコール)は、それ自体として(遊離状態で)存在してもよいし、別の化合物の部分として存在してもよい。
【0195】
[0213]可能性のあるその他の主グリコール(PETまたは処理されるその他の重合体に依存する)の例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-シクロヘキサン-ジメタノール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチルペンタンジオール-(2,4)、2-メチルペンタンジオール-(1,4)、2,2,4-トリメチルペンタン-ジオール-(1,3)、2-エチルヘキサンジオール-(1,3)、2,2-ジエチルプロパン-ジオール-(1,3)、ヘキサンジオール-(1,3)、1,4-ジ-(ヒドロキシエトキシ)-ベンゼン、2,2-ビス-(4-ヒドロキシシクロヘキシル)-プロパン、2,4-ジヒドロキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタンジオール、2,2-ビス-(3-ヒドロキシエトキシフェニル)-プロパン、2,2-ビス-(4-ヒドロキシプロポキシフェニル)-プロパン、イソソルビド、ヒドロキノン、BDS(2,2-(スルホニルビス)4,1-フェニレンオキシ))ビス(エタノール)、およびそれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。他のグリコールは、エチレングリコールでなくてもよいし、エチレングリコールを含んでいなくてもよい。これらのグリコールの部分は、この流れまたは他の副産物流におけるポリエステルの任意のオリゴマー中に存在してもよい。さらに、他の非テレフタリル成分および/または非グリコール成分もこれらの流れに存在してもよい。このような成分の例としては、主テレフタリルよりも高温で沸騰する、イソフタラートまたは他の酸残基が挙げられる。
【0196】
[0214]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、主グリコール(または加メタノール分解の場合はエチレングリコール)以外のグリコールは、グリコール塔底副産物流156中に、グリコール塔底副産物流156中のグリコールの総重量基準で少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、もしくは少なくとも75重量パーセント、かつ/または99重量パーセント以下、95重量パーセント以下、90重量パーセント以下、85重量パーセント以下、80重量パーセント以下、75重量パーセント以下、70重量パーセント以下、65重量パーセント以下、60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、もしくは35重量パーセントの量で存在してもよい。
【0197】
[0215]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、グリコール塔底副産物流156中の主グリコール以外の少なくとも1種のグリコールと主グリコールとの重量比は、少なくとも0.5:1、少なくとも0.55:1、少なくとも0.65:1、少なくとも0.70:1、少なくとも0.75:1、少なくとも0.80:1、少なくとも0.85:1、少なくとも0.90:1、少なくとも0.95:1、少なくとも0.97:1、少なくとも0.99:1、少なくとも1:1、少なくとも1.05:1、少なくとも1.1:1、少なくとも1.15:1、少なくとも1.2:1、または少なくとも1.25:1である。これに加えて、あるいはその代わりに、グリコール塔底副産物流156中の主グリコール以外の少なくとも1種のグリコールと主グリコールとの重量比は、5:1以下、4.5:1以下、4:1以下、3.5:1以下、3:1以下、2.5:1以下、2:1以下、1.5:1以下、1.25:1以下、または1:1以下であり、あるいは0.5:1~5:1、または0.70:1~3:1、または0.80:1~2.5:1の範囲である。
【0198】
[0216]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、加溶媒分解設備30は2つ以上の副産物流を生成してもよく、それらの流れとしては2つ以上の重質有機副産物流、2つ以上の軽質有機副産物流、または軽質有機副産物流と重質有機副産物流の組合せを挙げることができる。加溶媒分解副産物流(図1に流れ110として示される)のうち1つ以上の全部または一部を下流の処理設備(たとえば、熱分解設備60、クラッキング設備70、POXガス化設備50、エネルギー回収設備80、および前述の必要に応じた他の設備のいずれかを含む)の少なくとも1つに導入してもよい。
【0199】
[0217]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、2つ以上の加溶媒分解副産物流(または2つ以上の加溶媒分解副産物流の一部)を同じ下流処理設備に導入してもよく、他の場合には、2つ以上の加溶媒分解副産物流(または2つ以上の加溶媒分解副産物流の一部)を異なる下流処理設備に導入してもよい。実施態様によっては、1つの副産物流の少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、少なくとも97重量パーセント、少なくとも99重量パーセント、または全体を1つの下流設備に導入してもよく、他の実施態様では、1つの副産物流の60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、または30重量パーセント以下が下流処理設備の1つに導入され得るように流れを2つ以上の下流設備に分割してもよい。
【0200】
[0218]再び図1を参照する。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、図1に示されるように、少なくとも1つの加溶媒分解副産物流110の少なくとも一部を前処理設備20から取り出されたPO富化プラスチック流114の少なくとも一部と混ぜ合わせてもよい。PO富化プラスチックとの混合流における1つの副産物流110(または2つ以上の流れを混ぜ合わせた場合、すべての副産物流)の量は変動してもよく、たとえば、混合流の総重量基準で少なくとも1重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、もしくは少なくとも50重量パーセント、かつ/または90重量パーセント以下、85重量パーセント以下、80重量パーセント以下、75重量パーセント以下、70重量パーセント以下、65重量パーセント以下、60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、もしくは40重量パーセント以下であってもよい。図1に示すように、混合流を次いで化学再生施設の1つ以上の場所(たとえば、POXガス化設備50、熱分解設備60、クラッキング設備70、および/またはエネルギー回収設備80が含まれる)に導入してもよい。
【0201】

液化/脱ハロゲン化
[0219]図1に示すように、PO富化廃プラスチック流114は、(加溶媒分解副産物流110と混合されているかどうかにかかわらず)必要に応じて、1つ以上の下流処理設備に導入される前に液化区域または工程に導入されてもよい。本明細書で使用される場合、「液化」区域または工程という用語は、流入するプラスチックの少なくとも一部を液化する化学処理区域または工程を指す。プラスチックを液化する工程は、化学的液化、物理的液化、またはそれらの組合せを包含し得る。液化区域に導入された重合体を液化する例示的な方法は、(i)加熱/溶融、(ii)溶媒への溶解、(iii)解重合、(iv)可塑化、およびそれらの組合せを含んでもよい。さらに、(i)~(iv)の選択肢の1つ以上は、重合体材料の液化(粘度の低下)を促すのを補助するために配合剤または液化剤の添加を伴ってもよい。したがって、様々な流動性調整剤(たとえば、溶媒、解重合剤、可塑剤、および配合剤)を用いて液化廃プラスチックの流動および/または分散性を高めてもよい。
【0202】
[0220]再び図1を参照する。PO富化廃プラスチック流および/または加溶媒分解システムからの加溶媒分解副産物は、1つ以上の下流処理設備に導入される前に液化システムまたは工程に導入されてもよい。それに加えて、あるいはその代わりに、前処理設備または他の供給源からの未分別の廃プラスチック(未処理の廃プラスチックおよび/または部分的に処理された廃プラスチックなど)および/または任意の分別済み廃プラスチックを、下流処理設備の1つ以上に導入する前に液化システムまたは液化工程に導入してもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、液化システムまたは工程に供給される廃プラスチックは、別の処理施設、たとえば地方自治体の再生施設(MRF)または再生業者施設から廃棄物流として提供されてもよく、あるいは、消費者により分別されて収集のため街頭に置かれた廃プラスチックを含むプラスチック含有混合物として提供されてもよい。
【0203】
[0221]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、液化システム40に供給されるプラスチック流は、PO富化廃プラスチック流などの、POが富化され少量のPETおよびPVCを含む分別済み廃プラスチック流を含んでもよい。たとえば、液化システム40に供給されるプラスチック流は、流れの総重量基準で少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、もしくは少なくとも90重量パーセント、かつ/または99重量パーセント以下、98重量パーセント以下、95重量パーセント以下、90重量パーセント以下、85重量パーセント以下、80重量パーセント以下、75重量パーセント以下、70重量パーセント以下、65重量パーセント以下、60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、もしくは30重量パーセント以下の1種以上のポリオレフィンを含んでもよい。それに加えて、あるいはその代わりに、液化システム40に供給されるプラスチック流は、流れの総重量基準で25重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、2重量パーセント以下、1重量パーセント以下、または0.5重量パーセント以下のPETおよび/またはPVCを含んでもよい。
【0204】
[0222]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、液化システム40に供給されるプラスチック流は、顕著な量のPETを含む未分別の廃プラスチック流を含んでもよい。たとえば、1つ以上の実施態様では、液化システム40に供給されるプラスチック流は、流れの総重量基準で少なくとも0.5重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも3重量パーセント、少なくとも4重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、もしくは少なくとも30重量パーセント、かつ/または95重量パーセント以下、90重量パーセント以下、80重量パーセント以下、もしくは70重量パーセント以下のPETを含んでもよい。それに加えて、あるいはその代わりに、液化システム40に供給されるプラスチック流は、流れの総重量基準で少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、もしくは少なくとも30重量パーセント、かつ/または95重量パーセント以下、90重量パーセント以下、80重量パーセント以下、もしくは70重量パーセント以下の1種以上のポリオレフィンを含んでもよい。
【0205】
[0223]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、液化システム40に供給されるプラスチック流は、液化システム40に導入される供給流の総重量基準で少なくとも50重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、または少なくとも99重量パーセントの1種以上の固体廃プラスチックを含んでもよい。したがって、1つ以上の実施態様では、液化システムに供給されるプラスチック流は非常に高い固形分を含む。
【0206】
[0224]それに加えて、あるいはその代わりに、液化システム40に供給されるプラスチック流はスラリーの形態であってもよく、水などの1種以上のスラリー形成液体を含んでもよい。このような実施態様では、液化システム40に供給されるプラスチック流は、液化システム40に導入される供給流の総重量基準で少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも3重量パーセント、少なくとも4重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、もしくは少なくとも25重量パーセント、かつ/または90重量パーセント以下、80重量パーセント以下、70重量パーセント以下、60重量パーセント以下、50重量パーセント以下、40重量パーセント以下、30重量パーセント以下、20重量パーセント以下、10重量パーセント以下、もしくは5重量パーセント以下の1種以上のスラリー形成液体を含んでもよい。
【0207】
[0225]液化システム40に加えられると、プラスチック(通常、廃プラスチック)の少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、または少なくとも99重量パーセントは粘度が低下する。場合によっては、粘度の低下を加熱(たとえば、プラスチックに直接あるいは間接的に接触する蒸気の添加)により促してもよく、他の場合には、プラスチックとそれを溶解できる溶媒とを混ぜ合わせて促してもよい。
【0208】
[0226]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、液化システムに添加された廃プラスチックを、プラスチックを少なくとも1種の溶媒と接触させて少なくとも部分的に溶解してもよい。一般に、溶解工程は、固体廃プラスチックを少なくとも部分的に溶解するのに十分な圧力および温度で実行されてもよい。適切な溶媒の例としては、アルコール(メタノールまたはエタノールなど)、グリコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコールなど)、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、熱分解油、潤滑油、および水を挙げることができるが、これらに限定されない。図1に示すように、溶媒流141は、液化システム40に直接加えられてもよく、液化システム40に供給される1つ以上の流れ(図1には示さず)と混合されてもよい。溶媒流141中の溶媒として熱分解油を用いる場合、そのような熱分解油は、熱分解設備60から得られてもよく、外部供給源から購入された熱分解油であってもよい。
【0209】
[0227]使用される場合、溶媒は、液化システム40に導入される供給流の総重量基準で少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、または少なくとも20重量パーセントの量で存在してもよい。それに加えて、あるいはその代わりに、溶媒は、液化システム40に導入される供給流の総重量基準で60重量パーセント以下、50重量パーセント以下、40重量パーセント以下、30重量パーセント以下、20重量パーセント以下、または15重量パーセント以下の量で存在してもよい。たとえば、液化システム40に導入される供給流全体は、1~50重量パーセント、2~40重量パーセント、または5~30重量パーセントの1種以上の溶媒を含んでもよい。
【0210】
[0228]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、溶媒は、化学的再生施設内の1つ以上のその他の設備からの回収流を含んでもよい。たとえば、溶媒は、加溶媒分解設備30、熱分解設備60、およびクラッキング設備70のうちの少なくとも1つからの回収流を含んでもよい。溶媒は、本明細書に記載の加溶媒分解副産物のうちの少なくとも1種であるかそれを含んでもよく、あるいは、熱分解油であるか熱分解油を含んでもよい。図1に示すように、溶媒は、熱分解設備60からのライン143を経て熱分解油から得られてもよい。
【0211】
[0229]図1に一般的に示されるように、PO富化プラスチック流114と混合される場合、加溶媒分解副産物流(本明細書に記載の1種以上の加溶媒分解副産物を含んでもよい)は、PO富化廃プラスチック流114を液化システム40に導入する前(ライン113で示す)および/または液化システム40から液化プラスチック流を取り出した後(ライン115で示す)に加えられてもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、1つ以上の副産物流の少なくとも一部または全部を、図1に示すように液化区域に直接導入してもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、PO富化廃プラスチック流114の少なくとも一部は液化システム40をライン117で完全に迂回してもよく、必要に応じて、図1にも示される少なくとも1つの加溶媒分解副産物流110と混合されてもよい。
【0212】
[0230]それに加えて、図1に示すように、熱分解設備60から取り出される熱分解油流143の少なくとも一部をPO富化プラスチック流114と混合して液化プラスチックを形成してもよい。液化システム40に直接導入されるように示されているが、熱分解油流143の全体または一部は、液化システム40に導入される前、あるいはPO富化プラスチック流114が液化システム40を出た後にPO富化プラスチック流114と混合されてもよい。使用される場合、熱分解油は、本明細書に記載の1つ以上の場所で、単独であるいは1つ以上の他の溶媒流と組み合わせて加えられてもよい。
【0213】
[0231]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、液化システム40に加えられた廃プラスチックを、たとえばプラスチックの数平均鎖長が解重合剤との接触により減少するように、解重合してもよい。一般に、解重合工程は、固体廃プラスチックを少なくとも部分的に液化するのに十分な圧力および温度で行われてもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、溶解に用いられる上で列挙した溶媒のうち少なくとも1種を解重合剤としても用いてもよく、1つ以上の他の実施態様では、解重合剤として有機酸(たとえば、酢酸、クエン酸、酪酸、ギ酸、乳酸、オレイン酸、シュウ酸、ステアリン酸、酒石酸、および/または尿酸)または無機酸(たとえば、硫酸および/または硝酸(ポリオレフィンの場合)を挙げることができる。解重合剤は、重合体の数平均鎖長を減少させることにより、重合体の融点および/または粘度を低下させることができる。
【0214】
[0232]用いられる場合、解重合剤は、液化システム40に導入される供給流の総重量基準で少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、または少なくとも20重量パーセントの量で存在してもよい。それに加えて、あるいはその代わりに、解重合剤は、液化システム40に導入される供給流の総重量基準で60重量パーセント以下、50重量パーセント以下、40重量パーセント以下、30重量パーセント以下、20重量パーセント以下、または15重量パーセント以下の量で存在してもよい。たとえば、液化システム40に導入される供給流全体は、1~50重量パーセント、2~40重量パーセント、または5~30重量パーセントの1種以上の解重合剤を含んでもよい。
【0215】
[0233]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、液化システムに添加された廃プラスチックを液化システム内で可塑剤と接触させてプラスチックの粘度を減少させてもよい。このような実施態様では、可塑化工程は後述の溶融タンクなどの加熱容器内、ならびに/またはカレンダーミキサーおよび/もしくは押出機などの撹拌操作中のミキサー内で実施されてもよい。可塑化工程の間、液化容器内でプラスチックを液化する間にプラスチックに可塑剤を組み込んでもよい。ポリエチレンの場合の可塑剤としては、たとえば、フタル酸ジオクチル、テレフタル酸ジオクチル、トリ安息香酸グリセリル、分子量8,000ダルトンまでのポリエチレングリコール、ヒマワリ油、分子量400~1,000ダルトンのパラフィンワックス、パラフィン油、鉱油、グリセリン、EPDM、およびEVAが挙げられる。ポリプロピレンの場合の可塑剤としては、たとえば、セバシン酸ジオクチル、パラフィン油、トール酸イソオクチル、可塑化油(ドラケオール34)、ナフテン系加工油および芳香族加工油、ならびにグリセリンが挙げられる。ポリエステルの場合の可塑剤としては、たとえば、400~1500ダルトンの範囲の分子量を有するポリアルキレンエーテル(たとえば、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはそれらの混合物)、モノステアリン酸グリセリル、ダイズ油のオクチルエポキシエステル、エポキシ化ダイズ油、トール油酸エポキシエステル、エポキシ化亜麻仁油、ポリヒドロキシアルカノアート、グリコール(たとえば、エチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールなど)、フタル酸塩、テレフタル酸塩、トリメリト酸塩、およびジ-(2-エチルヘキサン酸)ポリエチレングリコールが挙げられる。使用される場合、可塑剤は、流れの総重量基準で少なくとも0.1重量パーセント、少なくとも0.5重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、もしくは少なくとも5重量パーセント、かつ/または10重量パーセント以下、8重量パーセント以下、5重量パーセント以下、3重量パーセント以下、2重量パーセント以下、もしくは1重量パーセント以下の量で存在してもよく、あるいはそれは、液化システム40に導入される供給流の総重量基準で0.1~10重量パーセント、0.5~8重量パーセント、または1~5重量パーセントの範囲であってもよい。
【0216】
[0234]さらに、廃プラスチック流を液化する方法の1つ以上は、液化処理の前、途中、または後に、少なくとも1種の液化剤をプラスチックに添加することも含んでもよい。そのような液化剤としては、たとえば、乳化剤および/または界面活性剤を挙げることができ、特に混合プラスチック流のプラスチック成分間の密度の差により複数の液相または半液相が生じる場合に、液化プラスチックをより完全に混合して単一相にするよう機能してもよい。使用される場合、液化剤は、液化システム40に導入される供給流の総重量基準で少なくとも0.1重量パーセント、少なくとも0.5重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、もしくは少なくとも5重量パーセント、かつ/または10重量パーセント以下、8重量パーセント以下、5重量パーセント以下、3重量パーセント以下、2重量パーセント以下、もしくは1重量パーセント以下の量で存在してもよく、あるいはそれは、液化システム40に導入される供給流の総重量基準で0.1~10重量パーセント、0.5~8重量パーセント、または1~5重量パーセントの範囲であってもよい。
【0217】
[0235]上述のように、液化システム40で廃プラスチック流を液化する1つ以上の方法は、加熱・溶融工程を含んでもよく、この工程を溶融タンクシステムで実行して、溶融廃プラスチックなどの溶融供給物を形成できる。この工程中、プラスチックの少なくとも一部をその溶融温度および/またはガラス転移温度より高温に加熱して、溶融廃プラスチックを形成してもよい。本明細書で使用される場合、「溶融供給物」は、実質的に液体の形態であり、かつその溶融温度および/またはガラス転移温度よりも高温に加熱された少なくとも1種の成分を含む実質的に液体である供給物を指す。同様に、本明細書で使用される場合、「溶融廃プラスチック」は、その溶融温度および/またはガラス転移温度よりも高温に加熱された実質的に液体の形態の廃プラスチックを指す。
【0218】
[0236]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、液化システム40を出る液化プラスチック流は、10rad/秒のせん断速度および350℃の温度で動作するV80-40ベーンスピンドル付きBrookfield R/Sレオメーターを用いて測定した場合、3,000ポアズ未満、2,500ポアズ未満、2,000ポアズ未満、1,500ポアズ未満、1,000ポアズ未満、800ポアズ未満、750ポアズ未満、700ポアズ未満、650ポアズ未満、600ポアズ未満、550ポアズ未満、500ポアズ未満、450ポアズ未満、400ポアズ未満、350ポアズ未満、300ポアズ未満、250ポアズ未満、150ポアズ未満、100ポアズ未満、75ポアズ未満、50ポアズ未満、25ポアズ未満、10ポアズ未満、5ポアズ未満、または1ポアズ未満の粘度を有してもよい。それに加えて、あるいはその代わりに、液化区域を出る液化プラスチック流の粘度(350℃、10rad/秒で測定し、ポアズで表す)は、液化区域に導入されたPO富化プラスチック流の粘度の95パーセント以下、90パーセント以下、75パーセント以下、50パーセント以下、25パーセント以下、10パーセント以下、5パーセント以下、または1パーセント以下である。
【0219】
[0237]図4は、図1に示される化学的再生施設の液化システム40として用いられ得る液化システムの基本的な構成要素を示す。なお、図4は液化システム40の例示的な一実施態様を示す。図4に示された構成を省略し、かつ/あるいは図4に示されたシステムに本明細書の他の箇所に記載のさらなる構成を追加してもよい。
【0220】
[0238]図4に示すように、PO富化廃プラスチック流などの固体廃プラスチック供給物は、本明細書に記載の前処理設備などの廃プラスチック供給源20から得られてもよい。次いで、廃プラスチック供給物114を液化システム(図4は少なくとも1つの溶融タンクを含む溶融タンクシステム310として示している)に導入してもよい。溶融タンクシステム310内にある間に、プラスチック供給物114の少なくとも一部をその溶融温度および/またはガラス転移温度より高温に加熱して、液化(すなわち、溶融)廃プラスチックを形成してもよい。
【0221】
[0239]さらに、溶融タンクシステム310内にある間に、プラスチック供給流114中に存在するハロゲンの一部をプラスチック供給流から除去してもよい。より具体的には、1つ以上の実施態様では、液化システムは、廃プラスチック供給流からハロゲンを除去する装置も含んでもよい。たとえば、廃プラスチックが溶融タンクシステム310内で加熱されると、ハロゲン富化ガスが発生する可能性がある。得られた液化プラスチック材料から発生したハロゲン富化ガス164を離脱させ、それによりハロゲン含有量が減少した液化(すなわち溶融)プラスチック流161を得てもよい。図4に示すように、得られた脱ハロゲン液化廃プラスチック161を次いで下流処理設備に(たとえば、ライン118を経て熱分解設備60内の熱分解反応器に、かつ/あるいはライン118を経てPOX設備50のPOXガス化装置に)導入してもよいし、ハロゲン富化ガス164をシステムから除去してもよい。
【0222】
[0240]同じく図4に示すように、得られた熱分解蒸気170を熱分解ガス流172と熱分解油流174に(後述)分離してもよい。得られた熱分解重質残留物176を他の下流用途のために熱分解システム50から取り出してもよい。さらに、一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解油を溶融タンクシステム310に提供するために熱分解油流174の少なくとも一部をライン143経由で溶融タンクシステム310に再循環させてもよく、そこで熱分解油は上記のように溶解用溶媒として機能してもよい。それに加えて、あるいはその代わりに、上述のように、別の溶解用溶媒をライン141経由で溶融タンクシステムに添加してもよい。
【0223】
[0241]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解油流174の少なくとも1パーセント、少なくとも5パーセント、少なくとも10パーセント、少なくとも15パーセント、少なくとも20パーセント、少なくとも25パーセント、少なくとも50パーセント、少なくとも75パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも99パーセントを、溶解用溶媒として使用するためにライン143を経て溶融タンクシステム310などの液化システム40に再循環させてもよい。特定の実施態様では、熱分解油流174のすべてをライン143を経て液化システム40に再循環させてもよい。
【0224】
[0242]図4はまた、脱ハロゲン化液化廃プラスチック161をライン118経由でPOX設備50のPOXガス化装置に導入して合成ガス128を生成してもよいことを示す。合成ガス128は、後述のさらなる処理に供されてもよい。
【0225】
[0243]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、図4の溶融タンクシステム310などの液化システム40からの液化廃プラスチック流161は、POX設備50および熱分解設備60に選択的に送られ、配分されてもよい。たとえば、液化廃プラスチック流161の少なくとも10パーセント、少なくとも20パーセント、少なくとも30パーセント、少なくとも40パーセント、少なくとも50パーセント、少なくとも60パーセント、少なくとも70パーセント、少なくとも80パーセント、もしくは少なくとも90パーセント、および/または99パーセント以下、95パーセント以下、もしくは92パーセント以下を、ライン116を経てPOX設備50に方向づけて送ってもよい。特定の実施態様では、液化廃プラスチック流161の10~99パーセント、20~99パーセント、40~95パーセント、または70~95パーセントを、ライン116を経てPOX設備50に方向づけて送ってもよい。
【0226】
[0244]それに加えて、あるいはその代わりに、一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、液化廃プラスチック流161の少なくとも1パーセント、少なくとも2パーセント、少なくとも3パーセント、少なくとも4パーセント、少なくとも5パーセント、少なくとも10パーセント、もしくは少なくとも15パーセント、および/または90パーセント以下、50パーセント以下、30パーセント以下、もしくは20パーセント以下を、ライン118を経て熱分解設備60に方向づけて送ってもよい。特定の実施態様では、液化廃プラスチック流161の1~90パーセント、1~50パーセント、1~30パーセント、または1~20パーセントを、ライン118を経て熱分解設備60に方向づけて送ってもよい。このような実施態様では、配分された液化廃プラスチック流161を熱分解設備60で熱分解油に転換してもよく、その熱分解油を上述のように液化システム40に再循環させてもよい。
【0227】
[0245]図5は、図1の液化システム40として使用できる例示的な溶融タンクシステムを示す。なお、図5は液化システムの例示的な一実施態様を示す。図5に示される特定の構成を省略してもよく、かつ/あるいは図5に示されるシステムに本明細書の他の箇所に記載のさらなる構成を追加してもよい。なお、図5に示されるすべての構成要素は、特記しない限り、図1および図4に関して上述したのと同一の構成要素として同様に作用し得る。
【0228】
[0246]図5に示すように、PO富化廃プラスチック流114などの廃プラスチック供給物は、本明細書に記載の前処理設備20などの廃プラスチック供給源20から得られてもよい。PO富化廃プラスチック流114などの廃プラスチック供給物を液化システム40に導入してもよく、図5は液化システム40を少なくとも1つの溶融タンク312、少なくとも1つの外部熱交換器340、少なくとも1つのストリッピング塔330、および少なくとも1つの解離容器320を含むものとして示している。液化システム40におけるこれらの様々な例示的な構成要素およびその機能については、以下でさらに詳細に説明する。
【0229】
[0247]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、図5に示すように、液化システム40は溶融タンク312および加熱器を含む。溶融タンク312は、PO富化廃プラスチック流114などの廃プラスチック供給物を受け取り、加熱器は廃プラスチックを加熱する。
【0230】
[0248]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、溶融タンク312は1つ以上の連続撹拌タンクを含んでもよい。1つ以上の流動性調整剤(たとえば、溶媒、解重合剤、可塑剤、および混合剤)を液化システム40で使用する場合、溶融タンク312内で、あるいはライン141および/またはライン143を経て溶融タンク312に送る前に、そのような流動性調整剤をPO富化プラスチックに添加かつ/あるいはPO富化プラスチックと混合してもよい。
【0231】
[0249]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、液化システム40の加熱器(図5には図示せず)は、溶融タンク312内に位置する内部熱交換コイル、溶融タンク312の外側の覆い、溶融タンク312の外側の熱トレース、および/または溶融タンク312の外側の電気加熱要素の形態をとってもよい。それに加えて、あるいはその代わりに、図5に示すように、液化システム40の加熱器は、溶融タンク312から液化プラスチック流171を受け取り、それを加熱し、加熱液化プラスチック流173の少なくとも一部を溶融タンク312に戻す外部熱交換器340を含んでもよい。
【0232】
[0250]外部熱交換器340は、当技術分野で知られ、使用されている任意の従来の熱交換器を含み得る。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、外部熱交換器340は、単経路または多経路の垂直熱交換器を含み得る。図5に示すように、外部熱交換器340は、溶融タンク312からライン171を経て液化プラスチックを受け取り、さらなる処理のためにそれを加熱する。
【0233】
[0251]図5に示すように、外部熱交換器340を用いて液化システム40に熱を供給する場合、循環ループを採用してPO富化材料に熱を連続的に加えてもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、循環ループは、溶融タンク312、外部熱交換器340、溶融タンク312と外部熱交換器340を接続する導管(ライン159、171、173、および175として示される)、および循環ループ内で液化廃プラスチックを循環させるポンプ151を含む。循環ループを用いる場合、生成された液化PO富化材料を図5に示される導管161を経て循環PO富化流の一部として液化システム40から連続的に取り出してもよい。
【0234】
[0252]図5は、単一の溶融タンク312、単一の熱交換器340、単一のストリッパー330、および単一の解離容器320のみを含む液化システムを示すが、液化システム40が複数の溶融タンク312、複数の外部熱交換器340、複数のストリッパー330、および/または複数の解離容器320を含み得ることは本出願の範囲内である。
【0235】
[0253]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、図5に示すように、液化プラスチックが導入されてストリッパー330内に存在するときに、導管153を経て液化プラスチック材料にストリッピングガス(たとえば蒸気)を吹き込んで液化プラスチック流の脱ハロゲン化を促進してもよい。ストリッピングガスは、たとえば、窒素、蒸気、メタン、一酸化炭素、および/または水素を含んでもよい。特定の実施態様では、ストリッピングガスは蒸気を含んでもよい。
【0236】
[0254]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、図5に示すように、ストリッパー330および解離容器320は、循環ループ中の外部熱交換器340の下流かつ溶融タンク312の上流に設けられる。図5に示すように、ストリッパー330は、加熱液化プラスチックを外部熱交換器340から受け取り、液化プラスチックへのストリッピングガス流153の吹き込みを提供することができる。特定の実施態様では、液化プラスチックへのストリッピングガスの吹き込みにより、ストリッパー330内に二相媒体を作ることができる。
【0237】
[0255]次いで、ストリッパー330内で形成された二相媒体は解離容器320を通って(たとえば重力によって)流され、そこでハロゲン富化気相162をハロゲン貧化液相から離脱させる。あるいは、図5に示すように、外部熱交換器340からの加熱液化プラスチックの一部は、ストリッパー330を迂回し、解離容器320に直接導入されてもよい。
【0238】
[0256]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、解離容器の出口から排出されたハロゲン貧化液相の第1の部分は、ライン159を経て溶融タンク312に戻されてもよく、一方、ハロゲン貧化液相の第2の部分は、脱ハロゲン化された液化プラスチック流161として液化システムから排出されてもよい。離脱したハロゲン富化気体流162は、さらなる処理および/または廃棄のために液化システム40から取り出されてもよい。
【0239】
[0257]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、プラスチックが加熱される溶融タンク312の内部空間は、少なくとも200℃、少なくとも210℃、少なくとも220℃、少なくとも230℃、少なくとも240℃、少なくとも250℃、少なくとも260℃、少なくとも270℃、少なくとも280℃、少なくとも290℃、少なくとも300℃、少なくとも310℃、少なくとも320℃、少なくとも330℃、少なくとも340℃、少なくとも350℃、少なくとも360℃、少なくとも370℃、少なくとも380℃、少なくとも390℃、または少なくとも400℃の温度に維持される。それに加えて、あるいはその代わりに、溶融タンク312の内部空間は、500℃以下、475℃以下、450℃以下、425℃以下、400℃以下、390℃以下、380℃以下、370℃以下、365℃以下、360℃以下、355℃以下、350℃以下、または345℃以下の温度に維持されてもよい。一般に、1つ以上の実施態様では、溶融タンク312の内部空間は、200~500℃、240~425℃、280~380℃、または320~350℃の範囲の温度に維持されてもよい。
【0240】
[0258]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、溶融タンク312に供給されるプラスチックは、溶融タンク312内で少なくとも1分、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも40分、少なくとも50分、もしくは少なくとも60分、および/または10時間以下、9時間以下、8時間以下、7時間以下、6時間以下、5時間以下、4時間以下、もしくは3時間以下の滞留時間を有してもよい。一般に、1つ以上の実施態様では、溶融タンク312に供給されたプラスチックは、溶融タンク312内で少なくとも1分~10時間、30分~6時間、または60分~4時間の範囲の滞留時間を有してもよい。
【0241】
[0259]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、溶融タンク312内の圧力は真空~100トルの範囲で維持されてもよい。
[0260]上述のように、外部熱交換器340はさらなる加熱を提供してもよく、溶融タンク312からの液化プラスチックをさらに加熱してもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、外部熱交換器340に供給される液化プラスチックは、外部熱交換器340内で少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも3分、少なくとも4分、もしくは少なくとも5分、および/または30分以下、25分以下、20分以下、15分以下、もしくは10分以下の滞留時間を有してもよい。一般に、1つ以上の実施態様では、溶融タンク312内で溶融廃プラスチックを形成するのに利用される熱の少なくとも50パーセント、少なくとも75パーセント、少なくとも90パーセント、少なくとも95パーセント、もしくは少なくとも99パーセント、または実質的にすべてが外部熱交換器340によって提供される。
【0242】
[0261]再び図5を参照する。外部熱交換器340からの溶融プラスチックの少なくとも一部を、ストリッピングガス流153を液化廃プラスチックに吹き込むよう構成されたストリッパー330に導入して、気相および液相を含み得る多相混合物(たとえば、二相混合物)を形成してもよい。一般に、1つ以上の実施態様では、ストリッパー330はストリッピングガスを溶融廃プラスチックに分配するよう構成された複数の開口部を含む1つ以上のスパージャー管を含む。
【0243】
[0262]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、液化プラスチックは、ストリッパー330内で少なくとも10秒、少なくとも30秒、少なくとも1分、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも15分、もしくは少なくとも30分、および/または60分以下、30分以下、10分以下、5分以下、もしくは1分以下の滞留時間を有してもよい。ストリッパー330内の滞留時間は、ストリッパー330の位置および大きさに大きく影響される。一般に、ストリッパー330内では、ストリッピングガスは、重量基準で少なくとも0.01:1、少なくとも0.05:1、もしくは少なくとも0.1:1、および/または3:1以下、2:1以下、1:1以下、もしくは0.9:1以下のストリッピングガス対溶融廃プラスチックの比率で溶融廃プラスチックに導入されてもよい。
【0244】
[0263]さらに、1つ以上の実施態様では、解離容器320は、ストリッパー330から多相混合物を受け取り、多相混合物の液相から気相を脱離させてハロゲン富化気体材料およびハロゲン貧化溶融廃プラスチックを提供するように構成されてもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、解離容器320は、重力流式の多段トレイ付き容器を含んでもよい。一般に、1つ以上の実施態様では、多相混合物は解離容器320内で少なくとも10秒、少なくとも30秒、少なくとも1分、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも15分、もしくは少なくとも30分、および/または2時間以下、60分以下、30分以下、もしくは10分以下の滞留時間を有してもよい。
【0245】
[0264]図5に示すように、解離容器320からのハロゲン貧化溶融廃プラスチックの少なくとも一部をさらなる液化のためにライン159を経て溶融タンク312に再導入してもよく、かつ/あるいはハロゲン貧化溶融廃プラスチックの少なくとも一部を、熱分解設備60の熱分解反応器および/またはPOX設備50のPOXガス化装置などの下流設備でさらに処理するために解離容器320の出口またはその付近でライン161を経て液化システム40から取り出してもよい。
【0246】
[0265]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、解離容器320(および循環ループ)からの再循環かつ加熱された溶融プラスチックは、溶融タンク312内に熱を提供するのに用いられてもよく、したがって、溶融タンク312内に導入された固体廃プラスチックの加熱および溶融を補助してもよい。一般に、1つ以上の実施態様では、ライン159を経て溶融タンク312に戻されるハロゲン貧化溶融廃プラスチックと液化システムから取り出されるハロゲン貧化溶融廃プラスチックとの比率は、少なくとも0.1:1、少なくとも0.2:1、少なくとも0.5:1、もしくは少なくとも0.8:1、および/または50:1以下、40:1以下、30:1以下、20:1以下、10:1以下、5:1以下、もしくは1:1以下である。一般に、1つ以上の実施態様では、ライン159を経て溶融タンク312に戻されるハロゲン貧化溶融廃プラスチックと液化システムから取り出されるハロゲン貧化溶融廃プラスチックとの比率は、0.1:1~40:1、0.2:1~20:1、または0.8:1~10:1の範囲である。
【0247】
[0266]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、溶融タンク312内で溶融廃プラスチックを形成するのに用いられる熱の少なくとも50パーセント、少なくとも75パーセント、少なくとも90パーセント、少なくとも95パーセント、もしくは少なくとも99パーセント、または実質的にすべては、解離容器320から溶融タンク312に戻される加熱された廃プラスチックにより提供される。
【0248】
[0267]図5に示すように、一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、POX設備50からの合成ガス流128の少なくとも一部および/または熱分解設備60からの熱分解蒸気の少なくとも一部を、これらの流れからの熱を液化システム40の循環ループに再循環させるためにライン178を経て外部熱交換器340に送ってもよい。
【0249】
[0268]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、溶融タンク312で溶融廃プラスチックを形成するのに用いられる熱の50パーセント以下、25パーセント以下、10パーセント以下、5パーセント以下、または実質的に0パーセントは、溶融タンク312の表面または内部を通じての間接的な熱伝導により提供される。一般に、特定の実施態様では、溶融タンク312は内部加熱要素も外部の加熱用覆いも含まなくてもよい。したがって、そのような実施態様では、溶融廃プラスチックを形成するのに必要な熱は、外部熱交換器340のみから得られてもよく、かつ/あるいは循環ループから溶融タンク312に戻される加熱された溶融廃プラスチックから得られてもよい。
【0250】
[0269]さらに、1つ以上の実施態様では、ハロゲン富化気体材料流162は、一般に解離容器320の近くもしくは上部に配置される解離容器320の出口、および/または溶融タンク312の近くもしくは上部の出口から取り出されてもよい。
【0251】
[0270]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、ハロゲン貧化溶融廃プラスチックは、1時間あたり少なくとも2,000ポンド(約907kg)、少なくとも10,000ポンド(約4540kg)、少なくとも25,000ポンド(約11300kg)、少なくとも50,000ポンド(約22700kg)、または少なくとも100,000ポンド(約45400kg)の速度で液化システム40により生成される。
【0252】
[0271]図6は、溶融タンクシステム310および循環ループの別の実施態様を示す。なお、図6は、溶融タンクシステム310の形態の液化システム40の例示的な一実施態様を示す。図6に示される特定の構成を省略してもよく、かつ/あるいは図6に示されるシステムに本明細書の他の箇所に記載のさらなる構成を追加してもよい。なお、図6に示されるすべての構成要素は、特記しない限り、図1、4、および5に関して上述したのと同一の構成要素として同様に作用し得る。
【0253】
[0272]図6は、外部熱交換器を含まない別の溶融タンク構成を示す。より正確に言えば、図6の構成では、内部加熱システム350が溶融タンク312内に設けられ、溶融廃プラスチックを形成するのに必要な熱を提供する。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、この内部加熱システムは、溶融タンク312内に配置された1つ以上の内部熱交換コイルの形態をとることができる。図6に示すように、溶融タンク312からの溶融プラスチックは、循環ループを経てストリッパー330に移送されて二相混合物を形成し、それはその後、解離容器320内で分離されてもよい。得られたハロゲン貧化溶融プラスチックは、ライン159を経て溶融タンクに再導入(さらなる処理のため、かつ/あるいは補助加熱を提供するため)されてもよく、かつ/あるいは熱分解反応器60および/またはPOXガス化装置50でさらに処理するためにライン161を経て下流に送られてもよい。
【0254】
[0273]図7は、溶融タンクシステム310および循環ループの別の実施態様を示す。なお、図7は、溶融タンクシステム310の形態の液化システム40の例示的な一実施態様を示す。図7に示される特定の構成を省略してもよく、かつ/あるいは図7に示されるシステムに本明細書の他の箇所に記載のさらなる構成を追加してもよい。なお、図7に示されるすべての構成要素は、特記しない限り、図1および4~6に関して上述したのと同一の構成要素として同様に作用し得る。
【0255】
[0274]図7は、解離容器を利用しない別の溶融タンク構成を示す。より正確に言えば、図7の構成では、溶融タンクシステム310は、直列に配置された2つの溶融タンク循環ループ(ライン171、173、および175)を含み、各溶融タンク循環ループは、溶融タンク312、外部熱交換器340、およびストリッパー330を含む。ハロゲン貧化溶融プラスチックは、これらの溶融タンク循環ループのそれぞれで順次処理することにより形成されてもよい。図7に示すように、溶融タンク312からの溶融プラスチックを循環ループを経て熱交換器340に移送して、加熱された溶融プラスチックを形成してもよい。その後、加熱された溶融プラスチックをストリッパー330に送り、二相混合物を形成してもよい。続いて、この二相混合物を溶融タンク312に再導入してもよく、そこでハロゲン富化気体副産物流164とハロゲン貧化溶融液体流171に分離(かつハロゲン富化気体副産物流164をシステムから除去)してもよい。得られるハロゲン貧化溶融プラスチックを第1の循環ループに再循環させてもよく、かつ/あるいはさらなる処理のために導管161を経て第2の溶融タンク循環ループに送ってもよい。第2の溶融タンク循環ループ内での十分な処理の後、得られるハロゲン貧化溶融廃プラスチックを熱分解反応器60および/またはPOXガス化装置50でのさらなる処理のために下流に送ってもよい。
【0256】
[0275]図7は液化システムを2つの溶融タンク循環ループのみを含むものとして示しているが、システムがより多くの溶融タンク循環ループを含むことは実現可能である。たとえば、液化システムは、並列および/または直列の少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、または少なくとも8つの溶融タンク循環ループを含んでもよい。
【0257】
[0276]図8は、溶融タンクシステムおよび循環ループの別の実施態様を示す。なお、図8は、溶融タンクシステム310の形態の液化システム40の例示的な一実施態様を示す。図8に示される特定の構成を省略してもよく、かつ/あるいは図8に示されるシステムに本明細書の他の箇所に記載のさらなる構成を追加してもよい。なお、図8に示されるすべての構成要素は、特記しない限り、図1および4~7に関して上述したのと同一の構成要素として同様に作用し得る。
【0258】
[0277]図8は、解離容器および外部ストリッパーを利用しない別の溶融タンク構成を示す。より正確に言えば、図8の構成では、溶融タンク構成は、直列に配置された2つの溶融タンク循環ループを含み、各溶融タンク循環ループは溶融タンク312および外部熱交換器340を含む。さらに、溶融タンク312のそれぞれは、ストリッピングガス流153を溶融タンク312内の溶融廃プラスチックに導入する内部スパージャー360を含む。ハロゲン貧化溶融プラスチックは、これらの溶融タンク循環ループのそれぞれで順次処理することにより形成されてもよい。
【0259】
[0278]図8に示すように、溶融タンク312からの溶融プラスチックを循環ループを経て熱交換器340に移送して、加熱された溶融プラスチックを形成してもよく、それを次いで溶融タンク312に戻してもよい。溶融タンク312内にある間、二相混合物を形成するために、溶融タンク312内に配置された内部スパージャー360から溶融廃プラスチックにストリッピングガス流153を吹き込んでもよい。続いて、この二相混合物をハロゲン富化気体副産物流164とハロゲン貧化溶融液体に分離(かつハロゲン富化気体副産物流164をシステムから除去)してもよい。得られたハロゲン貧化溶融プラスチックを第1循環ループで再循環させてもよく、かつ/あるいは第2溶融タンク循環ループでのさらなる処理のために送ってもよい。第2の溶融タンク循環ループ内での十分な処理の後、得られるハロゲン貧化溶融廃プラスチックを熱分解反応器60および/またはPOXガス化装置50でのさらなる処理のために導管161を経て下流に送ってもよい。
【0260】
[0279]図8は液化システムを2つの溶融タンク循環ループのみを含むものとして示しているが、システムがより多くの溶融タンク循環ループを含むことは実現可能である。たとえば、液化システムは、並列および/または直列の少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、または少なくとも8つの溶融タンク循環ループを含んでもよい。
【0261】
[0280]図9は、溶融タンクシステムおよび循環ループの別の実施態様を示す。なお、図9は、溶融タンクシステム310の形態の液化システム40の例示的な一実施態様を示す。図9に示される特定の構成を省略してもよく、かつ/あるいは図9に示されるシステムに本明細書の他の箇所に記載のさらなる構成を追加してもよい。なお、図9に示されるすべての構成要素は、特記しない限り、図1および4~8に関して上述したのと同一の構成要素として同様に作用し得る。
【0262】
[0281]図9は、解離容器、外部熱交換器、および外部ストリッパーを利用しない別の溶融タンク構成を示す。より正確に言えば、図9の構成では、2つの溶融タンク312が直列に配置され、各溶融タンク312は、内部加熱システム350、およびストリッピングガス流153を溶融タンク312内の溶融廃プラスチックに導入するための内部スパージャー360を含む。ハロゲン貧化溶融プラスチックは、これらの溶融タンク312のそれぞれで順次処理することにより形成されてもよい。各溶融タンク312内にある間、二相混合物を形成するために、溶融タンク312内に配置された内部スパージャー360から溶融廃プラスチックにストリッピングガス流153を吹き込んでもよい。続いて、この二相混合物をハロゲン富化気体副産物流164とハロゲン貧化溶融液体に分離(かつハロゲン富化気体副産物流164をシステムから除去)してもよい。第2の溶融タンク312内での十分な処理の後、得られるハロゲン貧化溶融廃プラスチックを熱分解反応器60および/またはPOXガス化装置50でのさらなる処理のために導管161を経て下流に送ってもよい。
【0263】
[0282]図9は液化システムを直列の2つの溶融タンクのみを含むものとして示しているが、システムがより多くの溶融タンクを含むことは実現可能である。たとえば、液化システムは、並列および/または直列の少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、または少なくとも8つの溶融タンク循環ループを含んでもよい。
【0264】
[0283]図10は、溶融タンクシステムおよび循環ループの別の実施態様を示す。なお、図10は、溶融タンクシステム310の形態の液化システム40の例示的な一実施態様を示す。図10に示される特定の構成を省略してもよく、かつ/あるいは図10に示されるシステムに本明細書の他の箇所に記載のさらなる構成を追加してもよい。なお、図10に示されるすべての構成要素は、特記しない限り、図1および4~9に関して上述したのと同一の構成要素として同様に作用し得る。
【0265】
[0284]図10は、解離容器、ストリッパー、およびスパージャーを利用しない別の溶融タンク構成を示す。より正確に言えば、図10の構成では、溶融タンク構成は、直列に配置された4つの溶融タンク循環ループを含み、各溶融タンク循環ループは、溶融タンク312および外部熱交換器340を含む。ハロゲン貧化溶融プラスチックは、これらの溶融タンク循環ループのそれぞれで順次処理することにより形成されてもよい。図10に示すように、溶融タンク312からの溶融プラスチックを循環ループを経て熱交換器340に移送し、加熱された溶融プラスチックを形成してもよく、それを次いで溶融タンク312に戻してもよい。各溶融タンク循環ループ内でハロゲン富化気体副産物流164を形成し(かつシステムから除去し)、溶融プラスチックから分離してもよい。得られたハロゲン貧化溶融プラスチックを循環ループを経て再循環させてもよく、かつ/あるいは次の溶融タンク循環ループでのさらなる処理のために送ってもよい。第4の溶融タンク循環ループ内での十分な処理の後、得られるハロゲン貧化溶融廃プラスチックを熱分解反応器60および/またはPOXガス化装置50でのさらなる処理のために導管161を経て下流に送ってもよい。
【0266】
[0285]上述のように、一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、POX設備50からの合成ガス流128の少なくとも一部および/または熱分解設備60からの熱分解蒸気の少なくとも一部を、これらの流れからの熱を液化システム40の循環ループに再循環させるためにライン178を経て外部熱交換器340のいずれかに送ってもよい。
【0267】
[0286]図10はシステムを4つの溶融タンク循環ループのみを含むものとして示しているが、システムがより多くの溶融タンク循環ループを含むことは実現可能である。たとえば、液化システムは、並列および/または直列の少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、または少なくとも8つの溶融タンク循環ループを含んでもよい。
【0268】
[0287]図11および12は、本明細書に記載の液化システム40、特に溶融タンクシステム310で使用できる例示的な外部ストリッパー330を示す。なお、図11および12は、ストリッパー330の例示的な一実施態様を示す。図11および12に示される特定の構成を省略してもよく、かつ/あるいは図11および12に示されるストリッパー330に本明細書の他の箇所に記載のさらなる構成を追加してもよい。なお、この外部ストリッパー330は、特記しない限り、図4~10に関して上述したストリッパー330と同様に作用し得る。
【0269】
[0288]図11は、本明細書に記載の溶融タンクシステム310などの液化システム40で使用できる例示的なストリッパー330を示す。図12は、図11に示されたストリッパー330の断面図を示す。図11に示すように、溶融プラスチックを循環ループ内の導管を経てストリッパー330に導入してもよい。ストリッパー330内にある間、複数のガス分配開口部362を含むスパージャー管360からストリッピングガスを溶融プラスチックに導入してもよい。図11および12に示すように、溶融プラスチックの液面は、溶融プラスチックにストリッピングガスを分配しやすくするために、スパージャー管360よりも上に維持される。
【0270】
[0289]図11および12に示すように、ストリッピングガスを溶融液に吹き込むと、気相および液相を含む二相混合物が形成される。さらに、ストリッパーの出口は、ストリッパーからの二相混合物の流動を調節するために、狭窄部332(図11に示される)を含んでもよい。あるいは、図11には示されていないが、この狭窄部332は堰の形態であってもよい。
【0271】
[0290]図12に示すように、スパージャー開口部362の配置は、スパージャー管360の横軸に対して定義された角度で、スパージャー管360の横軸よりも下に配置されてもよい。たとえば、スパージャー開口部362は、スパージャー管360の横軸よりも下に横軸に対して少なくとも10°、少なくとも20°、少なくとも30°、または少なくとも40°および/または90°以下、80°以下、70°以下、60°以下、もしくは50°以下の角度で配置されてもよい。一般に、特定の実施態様では、スパージャー開口部362は、10~90°、20~80°、30~70°、または40~60°の角度で、スパージャー管360の横軸よりも下に配置されてもよい。
【0272】
[0291]次に解離容器320について説明する。図13は、本明細書に記載の溶融タンクシステム310などの液化システム40で使用できるストリッパー330および多段解離容器420を含む例示的な構成を示す。なお、図13は、用いられ得るストリッパー330および解離容器420構成の例示的な一実施態様を示す。図13に示される特定の構成を省略してもよく、かつ/あるいは図13に示されるストリッパー330および解離容器構成430に本明細書の他の箇所に記載のさらなる構成を追加してもよい。なお、解離容器420およびストリッパー330は、特記しない限り、図4~12に関して上述した解離容器320およびストリッパー330と同様に作用し得る。
【0273】
[0292]図13に示すように、ストリッパーからの二相混合物は重力流式の多段トレイ付き容器として示される多段解離容器420に導入されてもよい。ストリッパー330で形成された二相媒体は、図13に示すように、別個のトレイ422により規定される解離容器420の複数階層を経て(たとえば重力によって)流されてもよい。解離容器420内のトレイ422の複数階層間を流れる間に、ハロゲン富化気相(G)をハロゲン貧化溶融プラスチック相(L)から脱離させてもよい。図13に示すように、各トレイ422上の堰424を用いて二相混合物の流動を制御してもよい。
【0274】
[0293]図13に示すように、ハロゲン富化気相(G)は解離容器420の上部から出てもよく、ハロゲン貧化溶融プラスチック相(L)は別の配管構成を経て容器の底部で回収されてもよい。図13に示すように、解離容器420の底部からの配管は、液化プラスチックの少なくとも一部を、導管428を経て溶融タンク312の上部に、かつ/あるいは導管430を経て溶融タンク312の底部に導入するように構成されてもよい。したがって、ハロゲン貧化溶融プラスチック相を溶融タンク312に再導入してもよい。それに加えて、あるいはその代わりに、ハロゲン貧化溶融プラスチック相の少なくとも一部を導管427を経て熱分解反応器および/またはPOXガス化装置での下流処理に送ってもよい。
【0275】
[0294]図13は5つの別個の段すなわちトレイ422を有するものとして多段解離容器420を示しているが、多段解離容器420が異なる数の段すなわちトレイ422を有することは可能である。たとえば、多段解離容器420は、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、もしくは少なくとも8個、および/または30個以下、25個以下、20個以下、15個以下、もしくは10個以下の段すなわちトレイ422を含んでもよい。一般に、特定の実施態様では、多段解離容器420は、2~30個のトレイ、4~25個のトレイ、5~20個のトレイ、または8~15個のトレイを含んでもよい。
【0276】
[0295]図14は、本明細書に記載の溶融タンクシステム310などの液化システム40で使用できる解離容器320の別の実施態様を示す。なお、図14は、解離容器520の例示的な一実施態様を示す。図14に示される特定の構成を省略してもよく、かつ/あるいは図14に示される容器520に本明細書の他の箇所に記載のさらなる構成を追加してもよい。なお、解離容器520は、特記しない限り、図4~12に関して上述した解離容器320と同様に作用し得る。
【0277】
[0296]図14に示すように、解離容器520は、別の重力流式の多段トレイ付き容器であるフィンガー容器の形態であってもよい。図14のフィンガー容器520は、図13に示される解離容器420と似たように機能し得る。図14に示されるように、溶融プラスチックは、容器520の最上の階層(すなわち「フィンガー」)522に導入され、容器520の複数の階層(すなわちフィンガー)522を通って(たとえば、重力によって)流されてもよい。容器520内の複数階層522を流れる間に、ハロゲン富化気相(G)をハロゲン貧化溶融プラスチック相(L)から脱離させてもよい。図14に示すように、各フィンガー522の堰524を用いて二相混合物の流動を制御してもよい。
【0278】
[0297]図14に示すように、ハロゲン富化気相(G)はフィンガー容器520の上部から出てもよく、ハロゲン貧化溶融プラスチック相(L)は容器の底部で回収されてもよい。その後、ハロゲン貧化溶融プラスチック相を溶融タンクに再導入してもよく、かつ/あるいは熱分解反応器および/またはPOXガス化装置での下流処理に送ってもよい。
【0279】
[0298]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、図14に示すように、容器520内のフィンガー522の各々は、ストリッピングガスを溶融プラスチックに分配するためのスパージャー560を必要に応じて含んでもよく、それにより容器内の二相混合物の形成を増加させる。単一のフィンガー522のみがスパージャー560を含んでもよく、フィンガー522のいくつかがスパージャー560を含んでもよく、あるいはフィンガー522のすべてがスパージャー560を含んでもよいことが想定される。特記しない限り、スパージャー560は図11および12に示されたスパージャー360と同様に作用し得る。
【0280】
[0299]例示的なフィンガー容器およびシステムは、米国特許第7,872,089号に記載されており、その開示全体は本開示と矛盾しない範囲で参照により本明細書に組み込まれる。
【0281】
[0300]図14は、フィンガー容器520を4つの別個の段すなわちフィンガー522を有するものとして示しているが、フィンガー容器520が異なる数の段すなわちフィンガー522を有することは可能である。たとえば、フィンガー容器520は、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、もしくは少なくとも8個、および/または30個以下、25個以下、20個以下、15個以下、もしくは10個以下の段すなわちフィンガー522を含んでもよい。一般に、特定の実施態様では、フィンガー容器520は、2~30個、3~25個、4~20個、5~15個、または6~10個の段すなわちフィンガー522を含んでもよい。
【0282】
[0301]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、溶融タンクシステム310などの液化システム40を出る液化溶融プラスチック流は、10rad/秒のせん断速度および350℃の温度で動作するV80-40ベーンスピンドル付きBrookfield R/Sレオメーターを用いて測定した場合、3,000ポアズ未満、2,500ポアズ未満、2,000ポアズ未満、1,500ポアズ未満、1,000ポアズ未満、800ポアズ未満、750ポアズ未満、700ポアズ未満、650ポアズ未満、600ポアズ未満、550ポアズ未満、500ポアズ未満、450ポアズ未満、400ポアズ未満、350ポアズ未満、300ポアズ未満、250ポアズ未満、150ポアズ未満、100ポアズ未満、75ポアズ未満、50ポアズ未満、40ポアズ未満、30ポアズ未満、25ポアズ未満、20ポアズ未満、10ポアズ未満、5ポアズ未満、4ポアズ未満、3ポアズ未満、2ポアズ未満、もしくは1ポアズ未満、および/または少なくとも0.1ポアズ、少なくとも0.2ポアズ、もしくは少なくとも0.5ポアズの粘度を有してもよい。たとえば、溶融タンクシステム310などの液化システム40を出る液化溶融プラスチック流は、10rad/秒のせん断速度および350℃の温度で動作するV80-40ベーンスピンドル付きBrookfield R/Sレオメーターを用いて測定した場合、0.1~3,000ポアズ、0.1~800ポアズ、0.1~500ポアズ、0.1~250ポアズ、0.1~75ポアズ、0.1~50ポアズ、0.1~10ポアズ、0.1~5ポアズ、または0.1~1ポアズの粘度を有してもよい。
【0283】
[0302]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、溶融タンクシステム310などの液化システム40を出る液化プラスチック流の粘度(350℃、10rad/秒で測定し、ポアズで表す)は、液化システム40に導入された廃プラスチック流の粘度の95パーセント以下、90パーセント以下、75パーセント以下、50パーセント以下、25パーセント以下、10パーセント以下、5パーセント以下、または1パーセント以下である。
【0284】
[0303]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、溶融タンクシステム310などの液化システム40を出るハロゲン貧化溶融廃プラスチックは、500ppmw未満、400ppmw未満、300ppmw未満、200ppmw未満、100ppmw未満、50ppmw未満、10ppmw未満、5ppmw未満、2ppmw未満、1ppmw未満、0.5ppmw未満、または0.1ppmw未満のハロゲン含有量を有してもよい。
【0285】
[0304]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、溶融タンクシステム310などの液化システム40を出る液化プラスチック流のハロゲン含有量は、液化システム40に導入される廃プラスチック流のハロゲン含有量の95重量パーセント以下、90重量パーセント以下、75重量パーセント以下、50重量パーセント以下、25重量パーセント以下、10重量パーセント以下、または5重量パーセント以下である。
【0286】
[0305]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、溶融タンクシステム310などの液化システム40から下流の化学的再生用設備の1つ以上への供給流は、下流処理設備に導入される供給流の総重量基準で少なくとも1重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセントの、1つ以上の加溶媒分解副産物流を含んでもよい。たとえば、POXガス化設備50、熱分解設備60、クラッキング設備70、エネルギー回収設備80、および/または化学的再生施設10のその他の任意の設備90のそれぞれへの供給流116、118、120、および122は、PO富化廃プラスチック流および或る量の本明細書に記載の1種以上の加溶媒分解副産物を含んでもよい。
【0287】
[0306]それに加えて、あるいはその代わりに、熱分解設備60、POX設備50、クラッキング設備70、エネルギー回収設備80、および/または任意のその他の設備90への供給流は、下流処理設備に導入される供給流の総重量基準で95重量パーセント以下、90重量パーセント以下、85重量パーセント以下、80重量パーセント以下、75重量パーセント以下、70重量パーセント以下、65重量パーセント以下、60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、2重量パーセント以下、または1重量パーセント以下の1つ以上の加溶媒分解副産物流を含んでもよい。
【0288】
[0307]その代わりに、あるいはそれに加えて、溶融タンクシステム310などの液化システム40から取り出された液化(または低粘度)プラスチック流は、流れの総重量基準で少なくとも1重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、もしくは少なくとも95重量パーセント、および/または95重量パーセント以下、90重量パーセント以下、85重量パーセント以下、80重量パーセント以下、75重量パーセント以下、70重量パーセント以下、65重量パーセント以下、60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、2重量パーセント以下、もしくは1重量パーセント以下のポリオレフィンを含んでもよく、あるいはポリオレフィンの量は、流れの総重量基準で1~95重量パーセント、5~90重量パーセント、または10~85重量パーセントの範囲であってもよい。
【0289】
[0308]図1に示すように、前処理設備20および/または液化システム40からのPO富化プラスチック流の少なくとも一部を(単独で、あるいは1つ以上の加溶媒分解副産物流と組み合わせて)下流処理設備、たとえば熱分解設備60、クラッキング設備70、POXガス化設備50、エネルギー回収設備80、および本明細書で詳細に説明するその他の必要に応じた設備90のいずれかのうちの1つ以上に導入してもよい。
【0290】
[0309]図4~11に示すように、液化システム(たとえば、溶融タンクシステム)からのハロゲン貧化液化廃プラスチックの少なくとも一部を下流にあるPOXガス化設備のPOXガス化装置に導入して合成ガス組成物を生成してもよく、かつ/あるいは下流にある熱分解設備の熱分解反応器に導入して熱分解蒸気(すなわち、熱分解ガスおよび熱分解油)および熱分解残留物を生成してもよい。これらの処理については以下でより詳細に説明する。
【0291】
熱分解
[0310]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、図1に一般的に示される化学的再生施設10は熱分解設備を備えてもよい。本明細書で使用される場合、「熱分解」という用語は、不活性(すなわち、実質的に無酸素)の雰囲気中で1種以上の有機物質を高温で熱分解することを指す。「熱分解設備」は、廃プラスチックおよびそれに由来する供給原料の熱分解を行うのに必要なすべての装置、ライン、および制御装置を含む設備である。
【0292】
[0311]図15は、廃プラスチック、たとえば液化区域40からの液化廃プラスチックを、熱分解ガス、熱分解油、および熱分解残留物に転換する例示的な熱分解設備を示す。なお、図15は本技術の例示的な一実施態様を示す。したがって、図15に示される特定の構成を省略し、かつ/あるいは図15に示されたシステムに本明細書の他の箇所に記載のさらなる構成を追加してもよい。
【0293】
[0312]一般に、図15に示されるように、熱分解設備は、熱分解流出流170を熱分解残留物流180、熱分解油流174、および熱分解ガス流172に分離するために、熱分解膜反応器600を固体分離器630(たとえば、濾過器システム、多段分離器、凝縮器、および/または急冷塔)およびガス分離装備640(たとえば濾過器システム、多段分離器、凝縮器、および/または急冷塔)と共に含む。熱分解反応器600内にある間、液化システム40からの供給流161の少なくとも一部は、熱分解油、熱分解ガス、および熱分解残留物を含む熱分解流出流170を生成する熱分解反応を受けてもよい。
【0294】
[0313]本明細書で使用される場合、「熱分解ガス」という用語は、25℃、1気圧で気体である、熱分解で得られる組成物を指す。本明細書で使用される場合、「熱分解油」という用語は、25℃かつ1気圧で液体である、熱分解で得られる組成物を指す。本明細書で使用される場合、「熱分解残留物」という用語は、熱分解ガスでも熱分解油でもない、主に熱分解炭および熱分解重質ワックスを含む、熱分解で得られる組成物を指す。本明細書で使用される場合、「熱分解炭」という用語は、200℃かつ1気圧で固体である、熱分解で得られる炭素含有組成物を指す。本明細書で使用される場合、「熱分解重質ワックス」という用語は、熱分解炭でも熱分解ガスでも熱分解油でもない、熱分解で得られるC20以上の炭化水素を指す。
【0295】
[0314]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解設備への供給流161は、前述の1つ以上の加溶媒分解副産物流、PO富化廃プラスチック流、およびそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含んでもよい。それに加えて、あるいはその代わりに、これらの流れのうちの1つ以上を熱分解設備に連続的に導入してもよく、かつ/あるいはこれらの流れのうちの1つ以上を断続的に導入してもよい。複数の種類の供給流が存在する場合、それぞれを別々に導入してもよいし、流れの全部または一部を混ぜ合わせ、混合流を熱分解設備に導入してもよい。混合する場合、連続またはバッチで行ってもよい。熱分解設備に導入される供給物は、液化プラスチック(たとえば、液化、可塑化、解重合、またはそれらの組合せを施されたプラスチック)、プラスチックペレットもしくは粒子、またはそのスラリーの形態であってもよい。
【0296】
[0315]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、図15に示すように、熱分解設備への供給流161は本明細書に記載の液化システム40から得られてもよい。たとえば、熱分解設備への供給流161は、本明細書に記載の液化システム40から得られた液化プラスチック供給流(ハロゲン貧化溶融プラスチックなど)を含むか、それからなってもよい。したがって、溶融タンクシステム310などの液化システム40に関して上で処理され説明されたプラスチック供給物のいずれも、熱分解設備に供給され、導入されてもよい。
【0297】
[0316]さらに、図15に示すように、熱分解膜反応器600により形成された熱分解油流174の少なくとも一部は、ライン143を経て液化システム40に導入され、前述のように溶解用溶媒として機能してもよい。それに加えて、あるいはその代わりに、熱分解残留物流176および180ならびに/または熱分解油流174の少なくとも一部を、これらの流れがさらなる転換を受けられるように、導管143を経て熱分解膜反応器600に供給される供給流161に導入してもよい。
【0298】
[0317]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解設備への供給流161は、500ppmw未満、400ppmw未満、300ppmw未満、200ppmw未満、100ppmw未満、50ppmw未満、10ppmw未満、5ppmw未満、2ppmw未満、1ppmw未満、0.5ppmw未満、または0.1ppmw未満のハロゲン含有量を有するハロゲン貧化溶融廃プラスチックを含む。
【0299】
[0318]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解設備への液化プラスチック供給流161は、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、もしくは少なくとも90重量パーセント、および/または99重量パーセント以下、98重量パーセント以下、95重量パーセント以下、90重量パーセント以下、85重量パーセント以下、80重量パーセント以下、75重量パーセント以下、70重量パーセント以下、65重量パーセント以下、60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、もしくは30重量パーセント以下の1種以上のポリオレフィンを含む。それに加えて、あるいはその代わりに、熱分解設備への液化プラスチック供給流は、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、4重量パーセント以下、3重量パーセント以下、2重量パーセント以下、1重量パーセント以下、0.1重量パーセント以下、または0.01重量パーセント以下のPETおよび/またはPVCを含む。
【0300】
[0319]熱分解は、導入された供給物の化学的および熱的分解を伴う処理である。すべての熱分解処理は一般に、実質的に酸素を含まない反応環境を特徴とし得るが、熱分解処理をたとえば反応器内の熱分解反応温度、熱分解反応器内の滞留時間、反応器の種類、熱分解反応器内の圧力、および熱分解触媒の有無により詳しく定義してもよい。
【0301】
[0320]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解反応器は、たとえば膜反応器、スクリュー押出機、管状反応器、タンク、撹拌タンク反応器、ライザー反応器、固定床反応器、流動床反応器、ロータリーキルン、真空反応器、マイクロ波反応器、またはオートクレーブであってもよい。
【0302】
[0321]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、図15に示すように、熱分解反応器は、膜反応器600、たとえば流下膜式反応器、薄膜反応器、充填構造反応器(structured packing reactor)、スクリーン反応器、平行電線反応器、真空膜反応器、穴板反応器、および/または上向流式管状反応器を含む。
【0303】
[0322]膜反応器600は、液化プラスチック供給流161(たとえば溶融廃プラスチック)を受け取り、特定の温度および圧力条件で液化プラスチック供給流を反応器内の固定型膜生成構造に沿って一定方向(たとえば、上向きまたは下向き)に流して液化廃プラスチックを熱分解し、熱分解ガスおよび熱分解油を含む熱分解流出流170を形成するように構成されてもよい。熱分解反応中、流れる液化プラスチック供給物は、固定型膜生成構造を少なくとも部分的に被覆してこれらの構造上に薄膜、泡、および/または顆粒を形成してもよい。膜生成構造(たとえば管)あたりの液化プラスチック供給物の流量は、1時間あたり少なくとも0.1リットル、少なくとも0.5リットル、少なくとも1リットル、少なくとも2リットル、少なくとも3リットル、もしくは少なくとも5リットル、および/または500リットル以下、400リットル以下、300リットル以下、200リットル以下、100リットル以下、もしくは50リットル以下、または1時間あたり0.1~500リットル、0.5~400リットル、もしくは5~200リットルの範囲であってもよい。一般に、液化プラスチック供給物の流量は、フィルム生成構造での膜形成を促進するように維持されてもよい。供給流量が大きすぎると、固定型膜生成構造での膜形成に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0304】
[0323]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、固定型膜生成構造は、管、ワイヤー、板(たとえば、平行板)、輪、サドル、シート、グリッド、スクリーン、および/またはネットを含む。それに加えて、あるいはその代わりに、1つ以上の実施態様では、固定型膜生成構造は幾何学的形状の摂動部を有する板および/または管を含む。なお、これらの摂動部の幾何学的形状は限定されず、たとえば、三角形、正方形、および/または長方形の摂動部を包含し得る。
【0305】
[0324]膜反応器600の利点は、一般には固定型膜生成構造上に膜を形成するために膜反応器内に可動機械部品(たとえば撹拌機)を必要としないことである。その代わりに、膜反応器は一般に、固定型膜生成構造で表面積上に受動的に膜が生成されるよう促して熱分解反応を促進するように設計される。
【0306】
[0325]熱分解膜反応器600は、単一の流下膜型反応器のみを含んでもよく、あるいは、直列または並列の2つ以上の熱分解膜反応器を含んでもよい。
[0326]熱分解反応器に使用できる例示的な流下膜型反応器は、中国特許第CN203582812U号、米国特許出願公開第2009/0093600号、米国特許出願公開第2006/0251547号、および米国特許第7,453,393号に記載されている。これらの開示全体は、本開示と矛盾しない範囲で参照により本明細書に組み込まれる。
【0307】
[0327]図16は、熱分解膜反応器として使用できる例示的な流下膜型熱分解反応器600を示す。なお、図16は、流下膜型反応器の例示的な一実施態様を示す。図16に示される特定の構成を省略してもよく、かつ/あるいは図16に示される反応器に本明細書の他の箇所に記載のさらなる構成を追加してもよい。またなお、流下膜型反応器600は、特記しない限り、図15に関して上述した流下膜型反応器と同様に作用し得る。
【0308】
[0328]図16に示すように、流下膜型反応器は、上部供給区画602と底部貯留区画604との間に配置された反応区画を含む。上部供給区画602および底部貯留区画604は、有孔板606で反応区画から分割されていてもよい。有孔板606は複数の開口部608を含んでもよい。開口部608の幾何学的形態は特に限定されず、開口部608は任意の幾何学的形状(たとえば、円、長方形、楕円など)を有してもよい。供給区画602はまた、液化プラスチック供給用の入口610と、熱分解ガスおよび気化した熱分解油を含む熱分解蒸気用の出口612を含む。同様に、底部貯留区画604は熱分解残留物用の出口614を含む。
【0309】
[0329]反応区画は、有孔板606内の開口部608およびその間に位置し得る1つ以上の膜生成構造616(図16には複数の管616として示されている)を含んでもよい。上記のように、有孔板606は複数の開口部608を含んでもよく、これらの開口部608のそれぞれは膜生成構造616と結びつけられてもよい。管616が図16に示されているが、他の膜生成構造616を代わりに使用してもよいことが想定される。
【0310】
[0330]さらに、一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、流下膜型反応器60は、4本以上の(図16に示されるような)管616を含んでもよい。たとえば、流下膜型反応器600は、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、もしくは少なくとも20個、および/または500個以下、400個以下、300個以下、200個以下、もしくは100個以下の膜生成構造616、または2~500個、3~400個、5~200個、もしくは10~100個の膜生成構造616を含んでもよい。
【0311】
[0331]管616の大きさおよび長さは特に限定されず、必要に応じて任意の大きさおよび長さを用いてもよい。たとえば、管616は、0.5~50m、1~40m、または2~30mの範囲の垂直長さを有してもよい。
【0312】
[0332]図16に示すように、液化プラスチック(たとえば溶融廃プラスチック)は、反応器600の上部供給区画602に導入され、管616の内部を下向きに(重力またはポンプによる加圧流によって)流されてもよい。管616を落下するとき、液化プラスチック供給物は自由落下し、管616の内壁に沿って膜、泡、または顆粒を形成してもよい。反応器600内の温度および圧力条件により、形成されたこれらの薄膜、泡、および/または顆粒を効果的に熱分解できる。液化廃プラスチックが熱分解すると、生じる熱分解蒸気(主に非凝縮性熱分解ガスおよび気化した熱分解油で形成される)は流下膜型反応器の上部から排出され、熱分解残留物は管を流下して底部貯留区画に流れてそこで取り除かれてもよい。
【0313】
[0333]流下膜型反応器に供給される熱は、内部または外部の加熱コイル、加熱用覆い、および/または熱供給媒体(たとえば蒸気)の反応器への注入などの外部または内部の供給源によって供給されてもよい。例示的な外部供給源は、流下膜型反応器600を炉の容器内に配置することを含み得る。
【0314】
[0334]図16に示すように、液化プラスチック供給物の反応器600への導入量を溢流口618で調節してもよい。溢流口の底部は、装備内のプラスチック供給物の液面を維持しようとする所望の高さに合わせられてもよい。過剰のプラスチック供給物は、溢流口618を経て反応器600を出て外部供給タンク(図示せず)に送られ、そこで反応器の供給口に再循環されてもよい。
【0315】
[0335]それに加えて、あるいはその代わりに、反応器は必要に応じてレベル制御(LC)装置を含んでもよい。一般に、流下膜型反応器600への液化プラスチック供給の流量は、膜生成構造616(たとえば管)から溢れるのを回避するように一定の質量流量を維持し、かつ有効表面積の生成(すなわち、膜形成)を促進するように調節される。熱分解反応器600への供給量を特定の指定量に維持することが重要である。というのも、供給区画602に一度に導入する供給材料が多すぎると、管616内の膜形成に悪影響を及ぼす可能性があるからである。流量は、固定型膜生成構造616の数および形状、有孔板606の開口部608の大きさ、反応器600の大きさ、ならびに液化プラスチック供給物の粘度に大きく影響され得る。膜生成構造616(たとえば管)あたりの液化プラスチック供給物の流量は、1時間あたり少なくとも0.1リットル、少なくとも0.5リットル、少なくとも1リットル、少なくとも2リットル、少なくとも3リットル、もしくは少なくとも5リットル、および/または500リットル以下、400リットル以下、300リットル以下、200リットル以下、100リットル以下、もしくは50リットル以下、または0.1~500リットル、0.5~400リットル、1~300リットル、もしくは3~100リットルであってもよい。
【0316】
[0336]液化プラスチック供給物の流量はまた、管616の上部に配置された摂動部620で少なくとも部分的に制御されてもよい。図17および18は、膜生成構造616に使用され得る異なる種類の摂動部620構成を示す。
【0317】
[0337]図17は、図16の管616上部の拡大断面図を示す。図17に示すように、管616は上部に複数の三角形の摂動部620を含み、これは管616への液化プラスチック供給物の流動を調節するのを補助できる。結果として、これらの三角形の摂動部620は液化プラスチック供給物の制御された流動に基づき管616内の膜形成を促すことができる。
【0318】
[0338]図18は摂動部624の別の実施態様を示す。図18では、摂動部624は管616の上部に配置されていない。より正確に言えば、摂動部624は、管616の壁内に形成された開口部の形態である。図18では長方形の形状を有するものとして示されているが、これらの開口部624は任意の幾何学的形状を有し得る。図18に示すように、これらの摂動開口部624は、膜形成を促進するために、管616への液化プラスチック供給の流れを調節するのを補助できる。
【0319】
[0339]その代わりに、一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解膜反応器600は上昇流型膜反応器700を含んでもよい。図19は、熱分解膜反応器600として使用できる例示的な上昇流型熱分解膜反応器700を示す。なお、図19は、上昇流型膜反応器700の例示的な一実施態様を示す。図19に示された特定の構成を省略してもよく、かつ/あるいは図19に示された反応器700に本明細書の他の箇所に記載のさらなる構成を追加してもよい。
【0320】
[0340]図19に示すように、上昇流型膜反応器700は、熱分解蒸気(主に熱分解ガスおよび気化した熱分解油で形成される)を熱分解残留物から脱離させる脱離区画702を含む。図19に示すように、上昇流型膜反応器700は、底部供給区画706と上部区画708との間に配置された反応区画704を含む。底部供給区画706および上部区画708は、複数の開口部712を含み得る有孔板710により反応区画704から分割されていてもよい。開口部712の幾何学的形態は特に限定されず、開口部712は、任意の幾何学的形状(たとえば、円、長方形、楕円など)を有してもよい。供給区画706はまた、液化プラスチック供給用の入口714を含み、上部区画708は、解離容器702に通じる出口716を含む。
【0321】
[0341]反応区画704は、有孔板710内の開口部712およびその間に位置し得る1つ以上の膜生成構造718(図19では複数の管718として示される)を含んでもよい。上記のように、有孔板710は複数の開口部712を含んでもよく、これらの開口部712のそれぞれは膜生成構造718と結びつけられてもよい。管718が図19に示されているが、他の膜生成構造718を代わりに使用してもよいことが想定される。
【0322】
[0342]さらに、一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、上昇流型膜反応器700は、5本以上の(図19に示されるような)管718を含んでもよい。たとえば、上昇流型膜反応器700は、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、もしくは少なくとも20個、および/または500個以下、400個以下、300個以下、200個以下、もしくは100個以下の膜生成構造718、または2~500個、3~400個、4~300個、もしくは10~100個の膜生成構造718を含んでもよい。
【0323】
[0343]管718の大きさおよび長さは特に限定されず、必要に応じて任意の大きさおよび長さを用いてもよい。たとえば、管718は、0.5~50m、1~40m、または2~30mの範囲の垂直長さを有してもよい。
【0324】
[0344]図19に示すように、液化プラスチック(たとえば溶融廃プラスチック)は、反応器700の底部供給区画706に導入され、ポンプ720を経て管の内部を上向きに流れてもよい。管718を上昇するとき、液化プラスチック供給物は熱分解条件に供され、それにより泡が形成されてもよい。泡は管を上に進み、広がりながら管718内壁に薄膜を形成する。その結果、このことにより沸騰作用で高い熱伝導が得られる。その結果生じる、管718内で発生した熱分解流出物は、次いで水平脱離区画702に導入され、主に気化した熱分解油および非凝縮性熱分解ガスで形成される熱分解蒸気から熱分解残留物を脱離させてもよい。熱分解残留物を出口722から熱分解反応器の底部に再循環させてもよく、システムから取り出してもよい。熱分解蒸気は、出口724を経て水平脱離区画の上部から取り出される。図16には図示されないが、この水平解離容器は、上昇流型膜反応器700で用いられるのと同じ能力で流下膜型反応器600と組み合わせて用いられてもよい。
【0325】
[0345]上昇流型膜反応器700に提供される熱は、内部または外部の加熱コイル、加熱用覆い、および/または反応器への熱提供媒体(たとえば、蒸気)の注入などの外部または内部の供給源によって提供されてもよい。例示的な外部供給源は、炉の容器内に上昇流型膜反応器700を配置することを含み得る。
【0326】
[0346]例示的な上昇流型容器およびシステムは、米国特許第7,531,618号に記載されており、その開示全体は、本開示と矛盾しない範囲で参照により本明細書に組み込まれる。
【0327】
[0347]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解反応は、酸素を実質的に含まない雰囲気中、または周囲の空気と比較してより少ない酸素を含む雰囲気中で供給原料を加熱かつ変換することを含み得る。たとえば、熱分解反応器内の雰囲気は、反応器の内部容積基準で5パーセント以下、4パーセント以下、3パーセント以下、2パーセント以下、1パーセント以下、または0.5パーセント以下の酸素ガスを含んでもよい。
【0328】
[0348]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、供給原料を熱分解反応器に導入し、かつ/あるいは熱分解反応器内の様々な反応を促すために浮揚ガスおよび/または供給ガスを用いてもよい。たとえば、浮揚ガスおよび/または供給ガスは、窒素、二酸化炭素、および/または蒸気を含むか、それらから本質的になるか、それらからなってもよい。浮揚ガスおよび/または供給ガスは、熱分解反応器に導入する前に廃プラスチックに加えられてもよく、かつ/あるいは熱分解反応器に直接加えられてもよい。浮揚ガスおよび/または供給ガスは、蒸気および/または還元ガス(水素、一酸化炭素、およびそれらの組合せなど)を含んでもよい。
【0329】
[0349]さらに、特定の最終生成物の生成を促すように熱分解反応器内の温度を調整してもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解膜反応器を含む熱分解反応器内の熱分解温度は、少なくとも325℃、少なくとも350℃、少なくとも375℃、少なくとも400℃、少なくとも425℃、少なくとも450℃、少なくとも475℃、少なくとも500℃、少なくとも525℃、少なくとも550℃、少なくとも575℃、少なくとも600℃、少なくとも625℃、少なくとも650℃、少なくとも675℃、少なくとも700℃、少なくとも725℃、少なくとも750℃、少なくとも775℃、または少なくとも800℃であってもよい。
【0330】
[0350]それに加えて、あるいはその代わりに、熱分解膜反応器を含む熱分解反応器内の熱分解温度は、1,100℃以下、1,050℃以下、1,000℃以下、950℃以下、900℃以下、850℃以下、800℃以下、750℃以下、700℃以下、650℃以下、600℃以下、550℃以下、525℃以下、500℃以下、475℃以下、450℃以下、425℃以下、または400℃以下であってもよい。より具体的には、熱分解反応器内の熱分解温度は、325~1,100℃、350~900℃、350~700℃、350~550℃、350~475℃、425~1,100℃、425~800℃、500~1,100℃、500~800℃、600~1,100℃、600~800℃、650~1,000℃、または650℃~800℃の範囲であってもよい。
【0331】
[0351]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解膜反応器を含む熱分解反応器内の供給原料の滞留時間は、少なくとも0.1秒、少なくとも0.2秒、少なくとも0.3秒、少なくとも0.5秒、少なくとも1秒、少なくとも1.2秒、少なくとも1.3秒、少なくとも2秒、少なくとも3秒、または少なくとも4秒であってもよい。あるいは、熱分解反応器内の供給原料の滞留時間は、少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも3分、少なくとも4分、少なくとも5分、少なくとも6分、少なくとも7分、少なくとも8分、少なくとも9分、少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも60分、少なくとも75分、または少なくとも90分であってもよい。これに加えて、あるいはその代わりに、熱分解反応器内の供給原料の滞留時間は、6時間以下、5時間以下、4時間以下、3時間以下、2時間以下、1時間以下、または0.5時間以下であってもよい。さらに、熱分解反応器内の供給原料の滞留時間は、100秒未満、90秒未満、80秒未満、70秒未満、60秒未満、50秒未満、40秒未満、30秒未満、20秒未満、10秒未満、9秒未満、8秒未満、7秒未満、6秒未満、5秒未満、4秒未満、3秒未満、2秒未満、または1秒未満であってもよい。より具体的には、熱分解反応器内の供給原料の滞留時間は、0.1~10秒、0.5~10秒、30分~4時間、30分~3時間、1時間~3時間、または1時間~2時間の範囲であってもよい。
【0332】
[0352]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解膜反応器内の供給原料の滞留時間は、少なくとも2秒、少なくとも3秒、少なくとも4秒、少なくとも5秒、少なくとも6秒、少なくとも7秒、少なくとも8秒、少なくとも9秒、または少なくとも10秒であってもよい。それに加えて、あるいはその代わりに、1つ以上の実施態様では、熱分解膜反応器内の供給原料の滞留時間は、300秒以下、250秒以下、200秒以下、150秒以下、100秒以下、90秒以下、80秒以下、70秒以下、60秒以下、50秒以下、40秒以下、30秒以下、20秒以下、または15秒以下であってもよい。より具体的には、1つ以上の実施態様では、熱分解膜反応器内の供給原料の滞留時間は、2~300秒、3~250秒、または4~40秒の範囲であってもよい。
【0333】
[0353]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解反応器内の圧力は少なくとも0.1バール、少なくとも0.2バール、もしくは少なくとも0.3バール、かつ/または60バール以下、50バール以下、40バール以下、30バール以下、20バール以下、10バール以下、8バール以下、5バール以下、2バール以下、1.5バール以下、または1.1バール以下の圧力に維持されてもよい。熱分解反応器内の圧力は、大気圧または0.1~100バール、または0.1~60バール、または0.1~30バール、または0.1~10バール、または1.5バール、0.2~1.5バール、または0.3~1.1バールの範囲に維持されてもよい。熱分解反応器内の圧力は、少なくとも10バール、少なくとも20バール、少なくとも30バール、少なくとも40バール、少なくとも50バール、少なくとも60バール、もしくは少なくとも70バール、かつ/または100バール以下、95バール以下、90バール以下、85バール以下、80バール以下、75バール以下、70バール以下、65バール以下、もしくは60バール以下であってもよい。本明細書で使用される場合、「バール」という用語は、特に明記しない限り、ゲージ圧を指す。
【0334】
[0354]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解膜反応器内の圧力は、70トル未満、60トル未満、50トル未満、40トル未満、30トル未満、または20トル未満の圧力に維持されてもよい。本明細書で使用される場合、この「トル」圧力は、特記しない限り、ゲージ圧を指す。
【0335】
[0355]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解触媒は、熱分解反応器500に導入される前の供給流116に導入されてもよく、かつ/あるいは熱分解反応器500に直接導入されてもよい。触媒は、均一系触媒でも不均一系触媒でもよく、たとえば、特定の種類のゼオライトおよび他のメソ構造触媒を挙げることができる。実施態様によっては、熱分解反応は触媒されなくても(たとえば、熱分解触媒が存在しない状態で行われても)よいが、熱伝達を促すために、非触媒性の保温性不活性添加物、たとえば砂を反応器510内に含んでもよい。このような無触媒の熱分解処理を「純熱分解」と呼ぶことがある。
【0336】
[0356]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解反応器内の熱分解反応は、350~600℃の範囲の温度、0.1~100バールの圧力、および0.2秒~4時間または0.5時間~3時間の滞留時間で実質的に熱分解触媒が存在しない状態で起こってもよい。
【0337】
[0357]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解流出物または熱分解蒸気は、少なくとも1重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、または少なくとも75重量パーセントの熱分解油を含んでもよく、それは加熱された反応器を出る際、熱分解流出物中で蒸気の形態であってもよい。ただし、このような蒸気は次いで凝縮され、熱分解油になってもよい。それに加えて、あるいはその代わりに、熱分解流出物または熱分解蒸気は、99重量パーセント以下、95重量パーセント以下、90重量パーセント以下、85重量パーセント以下、80重量パーセント以下、75重量パーセント以下、70重量パーセント以下、65重量パーセント以下、60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、または25重量パーセント以下の熱分解油を含んでもよく、それは加熱された反応器を出る際、熱分解流出物中で蒸気の形態であってもよい。熱分解流出物または熱分解蒸気は、熱分解流出物または熱分解蒸気の総重量基準で20~99重量パーセント、25~80重量パーセント、30~85重量パーセント、30~80重量パーセント、30~75重量パーセント、30~70重量パーセント、または30~65重量パーセントの範囲の熱分解油を含んでもよい。
【0338】
[0358]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解流出物または熱分解蒸気は、少なくとも1重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、または少なくとも80重量パーセントの熱分解ガスを含んでもよい。それに加えて、あるいはその代わりに、熱分解流出物または熱分解蒸気は、99重量パーセント以下、95重量パーセント以下、90重量パーセント以下、85重量パーセント以下、80重量パーセント以下、75重量パーセント以下、70重量パーセント以下、65重量パーセント以下、60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、または45重量パーセント以下の熱分解ガスを含んでもよい。熱分解流出物または熱分解蒸気は、流れの総重量基準で1~90重量パーセント、10~85重量パーセント、15~85重量パーセント、20~80重量パーセント、25~80重量パーセント、30~75重量パーセント、または35~75重量パーセントの熱分解ガスを含んでもよい。
【0339】
[0359]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解流出物または熱分解蒸気は、少なくとも0.5重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも3重量パーセント、少なくとも4重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも6重量パーセント、少なくとも7重量パーセント、少なくとも8重量パーセント、少なくとも9重量パーセント、または少なくとも10重量パーセントの熱分解残留物を含んでもよい。それに加えて、あるいはその代わりに、熱分解流出物または熱分解蒸気は、60重量パーセント以下、50重量パーセント以下、40重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、9重量パーセント以下、8重量パーセント以下、7重量パーセント以下、6重量パーセント以下、または5重量パーセント以下の熱分解残留物を含んでもよい。熱分解流出物は、流れの総重量基準で0.1~25重量パーセント、1~15重量パーセント、1~8重量パーセント、または1~5重量パーセントの範囲の熱分解残留物を含んでもよい。
【0340】
[0360]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解流出物または熱分解蒸気は、15重量パーセント以下、14重量パーセント以下、13重量パーセント以下、12重量パーセント以下、11重量パーセント以下、10重量パーセント以下、9重量パーセント以下、8重量パーセント以下、7重量パーセント以下、6重量パーセント以下、5重量パーセント以下、4重量パーセント以下、3重量パーセント以下、2重量パーセント以下、1重量パーセント以下、または0.5重量パーセント以下の遊離水を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「遊離水」は、熱分解装備に事前に(液体または蒸気で)加えられた水および熱分解装備で生成された水を指す。
【0341】
[0361]本明細書に記載の熱分解システムは、熱分解油流174、熱分解ガス流172、および熱分解残留物流176に分解できる熱分解流出物を生成してもよく、これらはそれぞれ、それらの配合に基づき、様々な下流用途で直接使用されてもよい。熱分解油、熱分解ガス、および熱分解残留物の様々な特性および性状を以下に示す。なお、以下の特性および性状はすべて別々に列挙される場合があるが、熱分解ガス、熱分解油、および/または熱分解残留物の以下の特性および/または性状のそれぞれは、相互に排他的ではなく、組み合わせられてもよく、任意の組合せで存在してもよい。
【0342】
[0362]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解油は、分子あたり4~30個の炭素原子を有する炭化水素(たとえば、C4~C30炭化水素)を主に含んでもよい。本明細書で使用される場合、「Cx」または「Cx炭化水素」という用語は、分子あたり合計「x」個の炭素を含む炭化水素化合物を指し、その数の炭素原子を有するすべてのオレフィン、パラフィン、芳香族、複素環、および異性体を包含する。たとえば、ノルマルブタン、イソブタン、およびtert-ブタン、ならびにブテンおよびブタジエン分子のそれぞれは、一般的な記載「C4」に該当する。熱分解油は、熱分解油流174の総重量基準で少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセントのC4~C30炭化水素含有量を有してもよい。
【0343】
[0363]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解油は、C5~C30の炭化水素、C5~C25の炭化水素、C5~C22の炭化水素、またはC5~20の炭化水素を主に含んでもよい。たとえば、熱分解油は、熱分解油の総重量基準で少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセントのC5~C30炭化水素、C5~C25炭化水素、C5~C22炭化水素、またはC5~C20炭化水素を含んでもよい。
【0344】
[0364]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解油は、熱分解油の総重量基準で少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、または少なくとも55重量パーセントのC5~C12炭化水素含有量を有してもよい。それに加えて、あるいはその代わりに、熱分解油は、95重量パーセント以下、90重量パーセント以下、85重量パーセント以下、80重量パーセント以下、75重量パーセント以下、70重量パーセント以下、65重量パーセント以下、60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、または50重量パーセント以下のC5~C12炭化水素含有量を有してもよい。熱分解油は、流れの総重量基準で10~95重量パーセント、20~80重量パーセント、または35~80重量パーセントの範囲のC5~C12炭化水素含有量を有してもよい。
【0345】
[0365]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解油はまた、反応器条件および触媒の使用の有無に応じて、様々な量のオレフィンおよび芳香族を含んでもよい。熱分解油は、熱分解油の総重量基準で少なくとも1重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、または少なくとも40重量パーセントのオレフィンおよび/または芳香族を含んでもよい。それに加えて、あるいはその代わりに、熱分解油は、90重量パーセント以下、80重量パーセント以下、70重量パーセント以下、60重量パーセント以下、50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、または1重量パーセント以下のオレフィンおよび/または芳香族を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「芳香族」という用語は、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびスチレンなどの芳香族部分を含む任意の化合物の総量(重量で)を指す。
【0346】
[0366]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解油は、熱分解油の総重量基準で少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、または少なくとも65重量パーセントのパラフィン(たとえば直鎖または分岐アルカン)含有量を有してもよい。それに加えて、あるいはその代わりに、熱分解油は、99重量パーセント以下、97重量パーセント以下、95重量パーセント以下、93重量パーセント以下、90重量パーセント以下、85重量パーセント以下、80重量パーセント以下、75重量パーセント以下、70重量パーセント以下、65重量パーセント以下、60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、または30重量パーセント以下のパラフィン含有量を有してもよい。熱分解油は、25~90重量パーセント、35~90重量パーセント、または50~80重量パーセントの範囲のパラフィン含有量を有してもよい。
【0347】
[0367]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解油は、ASTM D-5399に従って測定した場合、少なくとも75℃、少なくとも80℃、少なくとも85℃、少なくとも90℃、少なくとも95℃、少なくとも100℃、少なくとも105℃、少なくとも110℃、もしくは少なくとも115℃、かつ/または250℃以下、245℃以下、240℃以下、235℃以下、230℃以下、225℃以下、220℃以下、215℃以下、210℃以下、205℃以下、200℃以下、195℃以下、190℃以下、185℃以下、180℃以下、175℃以下、170℃以下、165℃以下、160℃以下、155℃以下、150℃以下、145℃以下、140℃以下、135℃以下、130℃以下、125℃以下、もしくは120℃以下の中間沸点を有してもよい。熱分解油は、75~250℃、90~225℃、または115~190℃の範囲の中間沸点を有してもよい。本明細書で使用される場合、「中間沸点」は、熱分解油の沸点の温度の中央値を指し、熱分解油の50体積パーセントは中間沸点より高温で沸騰し、50体積パーセントは中間沸点より低温で沸騰する。
【0348】
[0368]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解油の沸点範囲は、ASTM D-5399に従って測定した場合に、熱分解油の少なくとも90パーセントが250℃、280℃、290℃、300℃、または310℃で沸騰する範囲であってもよい。
【0349】
[0369]次に熱分解ガスについて記載する。熱分解ガスは、熱分解ガスの総重量基準で少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも3重量パーセント、少なくとも4重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも6重量パーセント、少なくとも7重量パーセント、少なくとも8重量パーセント、少なくとも9重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも11重量パーセント、少なくとも12重量パーセント、少なくとも13重量パーセント、少なくとも14重量パーセント、もしくは少なくとも15重量パーセント、かつ/または50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、もしくは20重量パーセント以下のメタン含有量を有してもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解ガスは、1~50重量パーセント、5~50重量パーセント、または15~45重量パーセントの範囲のメタン含有量を有してもよい。
【0350】
[0370]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解ガスは、熱分解ガスの総重量基準で少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、もしくは少なくとも60重量パーセント、かつ/または99重量パーセント以下、95重量パーセント以下、90重量パーセント以下、85重量パーセント以下、80重量パーセント以下、75重量パーセント以下、70重量パーセント以下、もしくは65重量パーセント以下の、C3および/またはC4炭化水素含有量(分子あたり3個または4個の炭素原子を有するすべての炭化水素を含む)を有してもよい。熱分解ガスは、10~90重量パーセント、25~90重量パーセント、または25~80重量パーセントの範囲の、C3炭化水素含有量、C4炭化水素含有量、またはC3およびC4炭化水素合計含有量を有してもよい。
【0351】
[0371]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解ガスは、熱分解反応器からの総流出物の少なくとも10重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、または少なくとも50重量パーセントを構成してもよく、熱分解ガスは、少なくとも25重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、または少なくとも75重量パーセントの、エチレンおよびプロピレン合計含有量を有してもよい。
【0352】
[0372]次に熱分解残留物について記載する。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解残留物は、熱分解残留物の総重量基準で少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、または少なくとも85重量パーセントのC20以上の炭化水素を含む。本明細書で使用される場合、「C20以上の炭化水素」は、分子あたり少なくとも20個の全炭素を含む炭化水素化合物を指し、その数の炭素原子を有するすべてのオレフィン、パラフィン、および異性体を包含する。
【0353】
[0373]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解残留物は、熱分解残留物の総重量基準で少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、または少なくとも99重量パーセントの炭素含有固体を含む。それに加えて、あるいはその代わりに、熱分解残留物は、99重量パーセント以下、90重量パーセント以下、80重量パーセント以下、70重量パーセント以下、60重量パーセント以下、50重量パーセント以下、40重量パーセント以下、30重量パーセント以下、20重量パーセント以下、10重量パーセント以下、9重量パーセント以下、8重量パーセント以下、7重量パーセント以下、6重量パーセント以下、5重量パーセント以下、または4重量パーセント以下の炭素含有固体を含む。本明細書で使用される場合、「炭素含有固体」は、熱分解により生じ、25℃かつ1気圧で固体である炭素含有組成物を指す。炭素含有固体は、炭素含有固体の総重量基準で少なくとも20重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、または少なくとも90重量パーセントの炭素を含む。
【0354】
[0374]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解ガス、熱分解油、および熱分解残留物の少なくとも一部は、他の化学的再生用設備(たとえばエネルギー回収設備80、部分酸化施設50、先に述べたその他の設備90のうちの1つ以上、およびクラッキング設備70)のうちの1つ以上に送られてもよい。実施態様によっては、熱分解ガス流172の一部および/または熱分解油流174の少なくとも一部をエネルギー回収設備80、クラッキング設備70、POXガス化設備50、およびそれらの組合せに導入してもよく、熱分解残留物流176をPOXガス化設備50および/またはエネルギー回収設備80に導入してもよい。実施態様によっては、熱分解ガス流172、熱分解油流174、および/または熱分解残留物176の少なくとも一部を1つ以上の分離設備(図1には示さず)に送って、より精製された熱分解ガス流、熱分解油流、および/または熱分解残留物流を形成してもよく、それらを次いでエネルギー回収設備80、分離設備70、および/またはPOXガス化設備50に送ってもよい。それに加えて、あるいはその代わりに、熱分解油流176の全部または一部をPO富化廃プラスチック流114と組み合わせて、本明細書に記載の下流設備の1つ以上に供給される液化プラスチック流を提供してもよい。
【0355】
クラッキング
[0375]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解設備60から、あるいは図1に示された他の設備の1つ以上からの1つ以上の流れの少なくとも一部をクラッキング設備70に導入してもよい。本明細書で使用される場合、「クラッキング」という用語は、複雑な有機分子を炭素-炭素結合を壊してより単純な分子にすることを指す。「クラッキング設備」は、廃プラスチック由来の供給原料のクラッキングに必要なすべての装置、ライン、および制御装置を含む設備である。クラッキング設備は、1つ以上のクラッキング炉、さらにはクラッキング炉の流出物を処理するのに用いられる装置を含む下流の分離区域を含む。本明細書で使用される場合、「クラッカー」および「クラッキング」という用語は、交換可能に使用される。
【0356】
[0376]次に図20を参照する。本技術の1つ以上の実施態様により構成されたクラッキング設備70を示す。一般に、クラッキング設備70は、クラッキング炉820、および炉の流出物を様々な最終生成物、たとえば再生成分オレフィン(再生オレフィン)流130に分離するクラッキング炉820下流の分離区域740を含む。図20に示すように、熱分解設備60からの熱分解ガス流172および/または熱分解油流174の少なくとも一部をクラッキング設備70に導入してもよい。熱分解油流174をクラッキング炉820の入口に導入してもよく、熱分解ガス流172をクラッキング炉820の上流または下流の場所に導入してもよい。同じく図20に示されるように、パラフィン流132(たとえば、エタンおよび/またはプロパン)を分離区域から取り出してもよく、これには再生成分パラフィン(再生パラフィン)が含まれ得る。図20にも示されるように、クラッキング炉820の入口への流れ134を経てパラフィンの全部または一部を再循環させてもよい。用いられる場合、熱分解油流、熱分解ガス流172、および再生パラフィン流174を必要に応じてクラッカー供給流136と混合して、クラッキング炉820への供給流119を形成してもよい。
【0357】
[0377]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、クラッキング設備70への供給流119は、(i)前述の1つ以上の加溶媒分解副産物流110、(ii)PO富化廃プラスチック流114、および(iii)熱分解流(たとえば、熱分解ガス172および/または熱分解油174)のうちの少なくとも1つを含んでもよい。これらの流れのうちの1つ以上をクラッキング設備70に連続的に導入してもよく、かつ/あるいはこれらの流れのうちの1つ以上を断続的に導入してもよい。複数の種類の供給流が存在する場合、それぞれを別々に導入してもよいし、流れの全部または一部を混ぜ、混合流をクラッキング設備70に導入してもよい。混合する場合、連続またはバッチで行ってもよい。クラッキング設備70に導入される供給流は、主にガス流、主に液体流、またはそれらの組合せの形態であってもよい。
【0358】
[0378]図20に示すように、熱分解ガス流172および/または熱分解油流174をクラッカー供給流136と共にあるいはクラッカー供給流136としてクラッキング設備70に導入してもよい。実施態様によっては、クラッカー供給流119は、流れ119の総重量基準で少なくとも1重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセントの熱分解ガス、熱分解油、または混合された熱分解ガスおよび熱分解油を含んでもよい。その代わりに、あるいはそれに加えて、クラッカー供給流119は、流れ119の総重量基準で95重量パーセント以下、90重量パーセント以下、85重量パーセント以下、80重量パーセント以下、75重量パーセント以下、70重量パーセント以下、65重量パーセント以下、60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、または20重量パーセント以下の熱分解ガス、熱分解油、または熱分解ガスと熱分解油の混合物を含んでもよく、あるいはそれは、流れ119の総重量基準で1~95重量パーセント、5~90重量パーセント、または10~85重量パーセントの範囲の量のこれらの成分を含んでもよい。
【0359】
[0379]実施態様によっては、クラッカー供給流119は、クラッカー供給流119の総重量基準で少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、もしくは少なくとも95重量パーセント、かつ/または95重量パーセント以下、90重量パーセント以下、85重量パーセント以下、80重量パーセント以下、75重量パーセント以下、70重量パーセント以下、65重量パーセント以下、60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、35重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、もしくは20重量パーセント以下の、熱分解ガスおよび熱分解油以外の炭化水素供給物を含んでもよく、あるいはそれは、クラッカー供給流119の総重量基準で5~95重量パーセント、10~90重量パーセント、または15~85重量パーセントの範囲の量の、熱分解ガスおよび熱分解油以外の炭化水素供給物を含んでもよい。
【0360】
[0380]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、クラッカー供給流119は、主にC2~C4の炭化水素を含む組成物を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「主にC2~C4の炭化水素」という用語は、少なくとも50重量パーセントのC2~C4の炭化水素成分を含む流れまたは組成物を指す。C2~C4の炭化水素流または組成物の具体的な種類の例としては、プロパン、エタン、ブタン、およびLPGが挙げられる。クラッカー供給流119は、供給物の総重量基準で少なくとも50重量パーセント、もしくは少なくとも55重量パーセント、もしくは少なくとも60重量パーセント、もしくは少なくとも65重量パーセント、もしくは少なくとも70重量パーセント、もしくは少なくとも75重量パーセント、もしくは少なくとも80重量パーセント、もしくは少なくとも85重量パーセント、もしくは少なくとも90重量パーセント、もしくは少なくとも95重量パーセント、かつ/または供給物の総重量基準で100重量パーセント以下、もしくは99重量パーセント以下、もしくは95重量パーセント以下、もしくは92重量パーセント以下、もしくは90重量パーセント以下、もしくは85重量パーセント以下、もしくは80重量パーセント以下、もしくは75重量パーセント以下、もしくは70重量パーセント以下、もしくは65重量パーセント以下、もしくは60重量パーセント以下のC2~C4の炭化水素または直鎖アルカンを含んでもよい。クラッカー供給物119は、主にプロパン、主にエタン、主にブタン、またはこれらの成分の2種以上の混合物を含んでもよい。
【0361】
[0381]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、クラッカー供給流119は、主にC5~C22の炭化水素を含む組成物を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「主にC5~C22の炭化水素」は、少なくとも50重量パーセントのC5~C22の炭化水素成分を含む流れまたは組成物を指す。例としては、ガソリン、ナフサ、中間留分、軽油、灯油などが挙げられる。
【0362】
[0382]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、クラッカー供給流119は、流れの総重量基準で少なくとも20重量パーセント、もしくは少なくとも25重量パーセント、もしくは少なくとも30重量パーセント、もしくは少なくとも35重量パーセント、もしくは少なくとも40重量パーセント、もしくは少なくとも45重量パーセント、もしくは少なくとも50重量パーセント、もしくは少なくとも55重量パーセント、もしくは少なくとも60重量パーセント、もしくは少なくとも65重量パーセント、もしくは少なくとも70重量パーセント、もしくは少なくとも75重量パーセント、もしくは少なくとも80重量パーセント、もしくは少なくとも85重量パーセント、もしくは少なくとも90重量パーセント、もしくは少なくとも95重量パーセント、かつ/または100重量パーセント以下、もしくは99重量パーセント以下、もしくは95重量パーセント以下、もしくは92重量パーセント以下、もしくは90重量パーセント以下、もしくは85重量パーセント以下、もしくは80重量パーセント以下、もしくは75重量パーセント以下、もしくは70重量パーセント以下、もしくは65重量パーセント以下、もしくは60重量パーセント以下のC5~C22またはC5~C20の炭化水素を含んでもよく、あるいはそれは、流れの総重量基準で20~100重量パーセント、25~95重量パーセント、または30~85重量パーセントの範囲の量のC5~C22の炭化水素を含んでもよい。
【0363】
[0383]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、クラッカー供給流119は、供給物の総重量基準で少なくとも0.5重量パーセント、もしくは少なくとも1重量パーセント、もしくは少なくとも2重量パーセント、もしくは少なくとも5重量パーセント、かつ/または40重量パーセント以下、もしくは35重量パーセント以下、もしくは30重量パーセント以下、もしくは25重量パーセント以下、もしくは20重量パーセント以下、もしくは18重量パーセント以下、もしくは15重量パーセント以下、もしくは12重量パーセント以下、もしくは10重量パーセント以下、もしくは5重量パーセント以下、もしくは3重量パーセント以下のC15およびさらに重質の(C15以上の)含有量を有してもよく、あるいはそれは、流れの総重量基準で0.5~40重量パーセント、1~35重量パーセント、または2~30重量パーセントの範囲であってもよい。
【0364】
[0384]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、クラッキング炉への供給物は、真空ガス油(VGO)、水素化真空ガス油(HVGO)、または常圧ガス油(AGO)を含んでもよい。クラッカー供給流119は、流れの総重量基準で少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、もしくは少なくとも90重量パーセント、かつ/または99重量パーセント以下、95重量パーセント以下、90重量パーセント以下、85重量パーセント以下、80重量パーセント以下、75重量パーセント以下、70重量パーセント以下、65重量パーセント以下、60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、もしくは50重量パーセント以下の少なくとも1種のガス油を含んでもよく、あるいはそれは、流れ119の総重量基準で5~99重量パーセント、10~90重量パーセント、15~85重量パーセント、または5~50重量パーセントの範囲の量で存在してもよい。
【0365】
[0385]図20に示すように、クラッカー供給流119はクラッキング炉820に導入される。次に図21を参照すると、本明細書に記載の化学的再生施設および/またはクラッキング設備での使用に適したクラッキング炉820の概略図が示されている。図21に示すように、クラッキング炉820は、対流区画846、輻射区画848、および対流区画846と輻射区画848との間に位置する交差区画850を含んでもよい。対流区画846は、高温の煙道ガスから熱を受け取る炉の一部であり、クラッカー流が通過する管またはコイル852の列を含む。対流区画846では、クラッカー流は、そこを通過する高温の煙道ガスからの対流により加熱される。なお、図21では水平に配置された対流区画管852aおよび垂直に配置された輻射区画管852bを含むものとして示されているが、任意の適切な構成で管を配置できる。たとえば、対流区画管852aは垂直であってもよい。輻射区画管852bは水平であってもよい。さらに、単一の管として示されているが、クラッキング炉820は、少なくとも1つの分岐管、屈曲管、U字管、エルボ管、またはそれらの組合せを含み得る1つ以上の管またはコイルを含んでもよい。複数の管またはコイルが存在する場合、それらを並列および/または直列に配置してもよい。
【0366】
[0386]輻射区画848は、主に高温ガスからの輻射により熱が加熱管に伝達される炉820の区画である。輻射区画848はまた、炉820の下部に熱を導入するための複数のバーナー856を含む。炉820は、輻射区画848内の管852bを囲み収容する火室854を含み、その中にバーナー856が配置される。交差区画850は、炉820内の対流区画846と輻射区画848を接続するための配管を含み、加熱されたクラッカー流を一方の区画から他方の区画へ、あるいは炉820の外部から内部へ移動させることができる。
【0367】
[0387]高温の燃焼ガスが炉の排気筒を通って上へ上昇すると、ガスは対流区画846を通過してもよく、そこで廃熱の少なくとも一部を回収し、対流区画846を通過するクラッカー流を加熱するのに用いてもよい。クラッキング炉820は、単一の対流(予熱)区画および単一の輻射区画を有してもよく、他の実施態様では、炉は共通の対流区画を有する2つ以上の輻射区画を含んでもよい。排気筒付近の少なくとも1つの誘引通風(ID)ファン860は炉820を通る高温の煙道ガスの流れおよびその加熱特性を制御してもよく、1つ以上の熱交換器861を用いて炉流出物を冷却してもよい。クラックされたオレフィン含有炉流出物125を冷却するために、図21に示される炉の出口にある交換器861(たとえば、移送ライン熱交換器すなわちTLE)に加えて、またはその代わりに液体急冷(図示せず)を用いてもよい。
【0368】
[0388]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、クラッキング設備70は単一のクラッキング炉を備えてもよく、あるいは、並行して運転される少なくとも2つ、または少なくとも3つ、または少なくとも4つ、または少なくとも5つ、または少なくとも6つ、または少なくとも7つ、または少なくとも8つ、またはそれ以上のクラッキング炉を有してもよい。いずれかの炉、または各炉は、気体クラッキング装置、液体クラッキング装置、または分割炉であってもよい。炉は、炉を経て、あるいは炉内の少なくとも1つのコイルを経て、あるいは炉内の少なくとも1つの管を経て、炉へのクラッカー供給物の重量基準で少なくとも50重量%、または少なくとも75重量%、または少なくとも85重量%、または少なくとも90重量%のエタン、プロパン、LPG、またはそれらの組合せを含むクラッカー供給流を受け取る気体クラッキング装置であってもよい。
【0369】
[0389]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、クラッキング炉820は、少なくとも50重量%、または少なくとも75重量%、または少なくとも85重量%のC5~C22の炭素数を有する液体(25℃かつ1気圧で測定した場合)炭化水素を含むクラッカー供給流を受け取る、液体またはナフサクラッカーであってもよい。
【0370】
[0390]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、クラッカー供給流119はガス炉でクラックされてもよい。ガス炉は、対流区域の入口にあるコイルの入口で主に蒸気相の供給物(供給物の重量の50%超が蒸気である)を受け取る(あるいは受け取るように操作されるか構成される)、少なくとも1つのコイル(「ガスコイル」)を有する炉である。ガスコイルは、対流区画内のコイルの入口への主にC2~C4の供給原料、または主にC2~C3の供給原料を受け取ってもよく、あるいは、コイルへのクラッカー供給物の重量基準、あるいは対流区域へのクラッカー供給物の重量基準で50重量%超のエタン、および/もしくは50%超のプロパン、および/もしくは50%超のLPG、またはこれらの場合のいずれか1つにおいて少なくとも60重量%、または少なくとも70重量%、または少なくとも80重量%を受け取る少なくとも1つのコイルを有してもよい。
【0371】
[0391]ガス炉は2つ以上のガスコイルを有してもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、炉の対流区域内もしくは対流室内のコイルの少なくとも25%、またはコイルの少なくとも50%、またはコイルの少なくとも60%、またはすべてのコイルはガスコイルである。ガスコイルは、対流区域への入口にあるコイルの入口で、供給物の少なくとも60重量%、または少なくとも70重量%、または少なくとも80重量%、または少なくとも90重量%、または少なくとも95重量%、または少なくとも97重量%、または少なくとも98重量%、または少なくとも99重量%、または少なくとも99.5重量%、または少なくとも99.9重量%が蒸気である蒸気相供給物を受け取る。
【0372】
[0392]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、供給流を分割炉でクラックしてもよい。分割炉はガス炉の一種である。分割炉は、同じ炉内、または同じ対流区域内、または同じ対流室内に、少なくとも1つのガスコイルおよび少なくとも1つの液体コイルを含む。液体コイルは、対流区域への入口のコイルの入口で、主に液相の供給物(供給物の重量の50%超が液体である)を受け取るコイル(「液体コイル」)である。
【0373】
[0393]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、クラッカー供給流119を熱による気体クラッカーでクラックしてもよい。
[0394]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、クラッカー供給流119を蒸気の存在下で熱による蒸気気体クラッカーでクラックしてもよい。蒸気クラッキングは、蒸気の存在下で炭化水素を高温クラックすること(分解)を指す。存在する場合、蒸気は図21に示されるライン862を経て導入されてもよい。
【0374】
[0395]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、図1に示される化学的再生施設10からの2つ以上の流れを施設10からの流れのうち別の流れと合わせてクラッカー供給流119を形成する場合、そのような混合は、クラッキング炉820の上流または内部で起こってもよい。あるいは、異なる供給流を別々に炉820に導入してもよく、同じ炉820内の別々の管に供給して互いに隔離しながら同時に炉820の一部または全体に通過させてもよい(たとえば分割炉)。あるいは、化学的再生施設からの流れの少なくとも一部をクラッキング設備のクラッキング炉下流の場所(ただし、分離設備の1つ以上の装置の上流)に導入してもよい。
【0375】
[0396]加熱されたクラッカー流119は、次いでクラッキング炉820を通過し、そこでその中の炭化水素成分は熱によりクラックされてより軽質の炭化水素、たとえば、エチレン、プロピレン、および/またはブタジエンなどのオレフィンを形成する。炉820内のクラッカー流の滞留時間は、少なくとも0.15秒、もしくは少なくとも0.2秒、もしくは少なくとも0.25秒、もしくは少なくとも0.3秒、もしくは少なくとも0.35秒、もしくは少なくとも0.4秒、または少なくとも0.45秒、かつ/または2秒以下、1.75秒以下、もしくは1.5秒以下、もしくは1.25秒以下、もしくは1秒以下、もしくは0.9秒以下、もしくは0.8秒以下、もしくは0.75秒以下、もしくは0.7秒以下、もしくは0.65秒以下、もしくは0.6秒以下、もしくは0.5秒以下であってもよく、あるいはそれは、0.15~2秒、0.20~1.75秒、または0.25~1.5秒の範囲であってもよい。
【0376】
[0397]炉の出口から取り出されるオレフィン含有流出物125の温度は、少なくとも640℃、もしくは少なくとも650℃、もしくは少なくとも660℃、もしくは少なくとも670℃、もしくは少なくとも680℃、もしくは少なくとも690℃、もしくは少なくとも700℃、もしくは少なくとも720℃、もしくは少なくとも730℃、もしくは少なくとも740℃、もしくは少なくとも750℃、もしくは少なくとも760℃、もしくは少なくとも770℃、もしくは少なくとも780℃、もしくは少なくとも790℃、もしくは少なくとも800℃、もしくは少なくとも810℃、もしくは少なくとも820℃、かつ/または1000℃以下、もしくは990℃以下、もしくは980℃以下、もしくは970℃以下、もしくは960℃以下、もしくは950℃以下、もしくは940℃以下、もしくは930℃以下、もしくは920℃以下、もしくは910℃以下、もしくは900℃以下、もしくは890℃以下、もしくは880℃以下、もしくは875℃以下、もしくは870℃以下、もしくは860℃以下、もしくは850℃以下、もしくは840℃以下、もしくは830℃以下、または730~900℃、750~875℃、もしくは750~850℃の範囲であってもよい。
【0377】
[0398]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、オレフィン(エチレン、プロピレン、ブタジエン、またはそれらの組合せ)の収率は、少なくとも15パーセント、または少なくとも20パーセント、または少なくとも25パーセント、または少なくとも30パーセント、または少なくとも35パーセント、または少なくとも40パーセント、または少なくとも45パーセント、または少なくとも50パーセント、または少なくとも55パーセント、または少なくとも60パーセント、または少なくとも65パーセント、または少なくとも70パーセント、または少なくとも75パーセント、または少なくとも80パーセントであってもよい。本明細書で使用される場合、「収率」という用語は、(ある質量の供給原料から生成された生成物の質量)/(供給原料の質量)×100%を指す。オレフィン含有流出流は、流出流の総重量基準で少なくとも30重量パーセント、または少なくとも40重量パーセント、または少なくとも50重量パーセント、または少なくとも60重量パーセント、または少なくとも70重量パーセント、または少なくとも75重量パーセント、または少なくとも80重量パーセント、または少なくとも85重量パーセント、または少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセント、または少なくとも97重量パーセント、または少なくとも99重量パーセントのエチレン、プロピレン、またはエチレンおよびプロピレンを含む。
【0378】
[0399]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、オレフィン含有流出流125は、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、または少なくとも90重量パーセントのC2~C4オレフィンを含んでもよい。流れ125は、オレフィン含有流出流125の総重量基準で主にエチレン、主にプロピレン、または主にエチレンおよびプロピレンを含んでもよい。オレフィン含有流出流125中のエチレン対プロピレンの重量比は、少なくとも0.2:1、少なくとも0.3:1、少なくとも0.4:1、少なくとも0.5:1、少なくとも0.6:1、少なくとも0.7:1、少なくとも0.8:1、少なくとも0.9:1、少なくとも1:1、少なくとも1.1:1、少なくとも1.2:1、少なくとも1.3:1、少なくとも1.4:1、少なくとも1.5:1、少なくとも1.6:1、少なくとも1.7:1、少なくとも1.8:1、少なくとも1.9:1、もしくは少なくとも2:1、かつ/または3:1以下、2.9:1以下、2.8:1以下、2.7:1以下、2.5:1以下、2.3:1以下、2.2:1以下、2.1:1以下、2:1以下、1.7:1以下、1.5:1以下、もしくは1.25:1以下であってもよい。
【0379】
[0400]再び図20を参照する。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、クラッキング設備70に導入される場合、熱分解ガス172は、クラッキング炉820の入口に導入されてもよく、あるいは熱分解ガスの全部または一部がクラッキング設備70の炉の出口の下流、分離区域840の上流または内部の位置に導入されてもよい。分離区域840内またはその上流に導入される場合、熱分解ガスは、圧縮の最終段の上流、または分離区域840の分別区画における少なくとも1つの分別塔の入口の前に導入されてもよい。
【0380】
[0401]クラッキング設備70に入る前に、一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解設備からのそのままの熱分解ガス流を1つ以上の分離工程に供して1種以上の成分を流れから除去してもよい。このような成分の例としては、ハロゲン、アルデヒド、酸素含有化合物、窒素含有化合物、硫黄含有化合物、二酸化炭素、水、蒸発金属、およびそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。クラッキング設備70に導入される熱分解ガス流172は、熱分解ガス流172の総重量基準で少なくとも0.1重量パーセント、少なくとも0.5重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、少なくとも1.5重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも2.5重量パーセント、少なくとも3重量パーセント、少なくとも3.5重量パーセント、少なくとも4重量パーセント、少なくとも4.5重量パーセント、もしくは少なくとも5重量パーセント、および/または30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、3重量パーセント以下、2重量パーセント以下、もしくは1重量パーセント以下の1種以上のアルデヒド成分を含む。
【0381】
[0402]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、熱分解ガス流172の総エチレン含有量は、流れ172の総重量基準で少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも7重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、もしくは少なくとも30重量パーセント、および/または60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、もしくは35重量パーセント以下であってもよい。その代わりに、あるいはそれに加えて、熱分解ガス流172の総プロピレン含有量は、流れ172の総重量基準で少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも7重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、もしくは少なくとも30重量パーセント、および/または60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、40重量パーセント以下、もしくは35重量パーセント以下であってもよい。熱分解ガス流172中のエチレンとプロピレンの合計量は、流れの総重量基準で少なくとも2重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、もしくは少なくとも45重量パーセント、および/または85重量パーセント以下、80重量パーセント以下、75重量パーセント以下、70重量パーセント以下、65重量パーセント以下、60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、もしくは45重量パーセント以下であってもよい。
【0382】
[0403]クラッキング炉の出口を出ると、大量の望ましくない副産物の生成を防止し下流装置の汚染を最小限に抑えるために、オレフィン含有流出流125はすぐに冷却(たとえば急冷)されてもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、急冷または冷却工程中に炉からのオレフィン含有流出流の温度を35~485℃、35~375℃、または90~550℃だけ低下させて500~760℃の温度にしてもよい。
【0383】
[0404]次いで、得られた冷却流出流を気液分離器で分離してもよく、たとえば、必要に応じて中間冷却および液体除去を伴う1~5の圧縮段階を有するガス圧縮機で蒸気を圧縮してもよい。第1セットの圧縮段階の出口におけるガス流の圧力は、7~20バールゲージ(barg)、8.5~18barg、または9.5~14bargの範囲である。得られた圧縮流を次いで酸性ガス除去剤と接触させてハロゲン、CO、CO、およびHSなどの酸性ガスを除去するために処理してもよい。酸性ガス除去剤の例としては苛性および様々な種類のアミンが挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、単一の接触装置を用いてもよいが、他の実施態様では、二本の吸収塔・ストリッパー構成を用いてもよい。
【0384】
[0405]次いで、処理された圧縮オレフィン含有流を必要に応じて中間段階冷却および液体分離を伴う別の圧縮機でさらに圧縮してもよい。得られた圧縮流は、20~50バール、25~45バール、または30~40バールの範囲の圧力を有する。任意の適切な水分除去方法、たとえば、分子篩または他の同様の処理などを用いることができる。次いで、得られた流れを分別区画に送ってもよく、そこでオレフィンと他の成分を分離して、様々な高純度の生成物または中間流にしてもよい。実施態様によっては、熱分解ガスの全部または一部を第2圧縮機の1つ以上の段階の前および/または後に導入してもよい。同様に、熱分解ガスの圧力は、混合される流れの圧力から20psi以内、50psi以内、100psi以内、または150psi以内である。
【0385】
[0406]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、急冷区画からの供給流を分離区域の分別区画内の少なくとも1つの塔に導入してもよい。本明細書で使用される場合、「分別」という用語は、異なる沸点を有する2種以上の物質を分離する一般的な処理を指す。分別を利用する装置および処理の例としては、蒸留、精留、除去、および気液分離(一段階)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0386】
[0407]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、クラッキング設備の分別区画は、脱メタン塔、脱エタン塔、脱プロパン塔、エチレンスプリッター、プロピレンスプリッター、脱ブタン塔、およびそれらの組合せのうちの1つ以上を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「脱メタン塔」という用語は、低沸限界成分がメタンである塔を指す。同様に、「脱エタン塔」および「脱プロパン塔」は、それぞれエタンおよびプロパンを低沸限界成分とする塔を指す。
【0387】
[0408]分別区画が少なくとも1つのオレフィン産物流および少なくとも1つのパラフィン流を提供するように、任意の適切な塔配置を用いてもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、分別区画は少なくとも2つのオレフィン流、たとえばエチレンおよびプロピレン、ならびに少なくとも2つのパラフィン流、たとえばエタンおよびプロパン、さらにはたとえばメタンおよびより軽質の成分、ならびにブタンおよびより重質の成分などのさらなる流れを含むさらなる流れを提供できる。
【0388】
[0409]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、分別区画から取り出されたオレフィン流は、オレフィン流の総重量基準で少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、もしくは少なくとも95重量パーセント、かつ/または100重量パーセント以下、99重量パーセント以下、97重量パーセント以下、95重量パーセント以下、90重量パーセント以下、85重量パーセント以下、もしくは80重量パーセント以下のオレフィンを含んでもよい。オレフィンは、主にエチレンまたは主にプロピレンであってもよい。オレフィン流は、オレフィン流におけるオレフィンの総重量基準で少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、もしくは少なくとも95重量パーセント、かつ/または99重量パーセント以下、97重量パーセント以下、95重量パーセント以下、90重量パーセント以下、85重量パーセント以下、80重量パーセント以下、75重量パーセント以下、70重量パーセント以下、もしくは65重量パーセント以下のエチレンを含んでもよい。オレフィン流は、オレフィン流の総重量基準で少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、もしくは少なくとも60重量パーセント、かつ/または80重量パーセント以下、75重量パーセント以下、70重量パーセント以下、65重量パーセント以下、60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、もしくは45重量パーセント以下のエチレンを含んでもよく、あるいはそれは、オレフィン流の総重量基準で20~80重量パーセント、25~75重量パーセント、または30~70重量パーセントの範囲の量で存在してもよい。
【0389】
[0410]その代わりに、あるいはそれに加えて、オレフィン流は、オレフィン流中のオレフィンの総重量基準で少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、もしくは少なくとも95重量パーセント、かつ/または99重量パーセント以下、97重量パーセント以下、95重量パーセント以下、90重量パーセント以下、85重量パーセント以下、80重量パーセント以下、75重量パーセント以下、70重量パーセント以下、もしくは65重量パーセントのプロピレンを含んでもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、オレフィン流は、オレフィン流の総重量基準で少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、もしくは少なくとも60重量パーセント、かつ/または80重量パーセント以下、75重量パーセント以下、70重量パーセント以下、65重量パーセント以下、60重量パーセント以下、55重量パーセント以下、50重量パーセント以下、もしくは45重量パーセント以下のプロピレンを含んでもよく、あるいはそれは、オレフィン流の総重量基準で20~80重量パーセント、25~75重量パーセント、または30~70重量パーセントの範囲の量で存在してもよい。
【0390】
[0411]圧縮流が分別区画を通過するとき、それはメタンおよびより軽質の(CO、CO、H)成分をエタンおよびより重質の成分から分離する脱メタン塔を通過する。脱メタン塔は、少なくとも-145℃、もしくは少なくとも-142℃、もしくは少なくとも-140℃、もしくは少なくとも-135℃、かつ/または-120℃以下、-125℃以下、-130℃以下、-135℃以下の温度で運転されてもよい。脱メタン塔からの塔底流は、エタンおよびより重質の成分の総量の少なくとも50パーセント、または少なくとも55パーセント、または少なくとも60パーセント、または少なくとも65パーセント、または少なくとも70パーセント、または少なくとも75パーセント、または少なくとも80パーセント、または少なくとも85パーセント、または少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセント、または少なくとも99パーセントを含む。
【0391】
[0412]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、分別区画に導入される流れの全部または一部を、C2およびより軽質の成分をC3およびより重質の成分から分留により分離する脱エタン塔に導入してもよい。脱エタン塔は、少なくとも-35℃、もしくは少なくとも-30℃、もしくは少なくとも-25℃、もしくは少なくとも-20℃、かつ/または-5℃以下、-10℃以下、-15℃以下、-20℃以下の塔頂温度、および少なくとも3barg、もしくは少なくとも5barg、もしくは少なくとも7barg、もしくは少なくとも8barg、もしくは少なくとも10barg、かつ/または20barg以下、もしくは18barg以下、もしくは17barg以下、もしくは15barg以下、もしくは14barg以下、もしくは13barg以下の塔頂圧力で運転されてもよい。脱エタン塔は、塔で塔頂流に導入されたC2およびより軽質の成分の総量の少なくとも60パーセント、または少なくとも65パーセント、または少なくとも70パーセント、または少なくとも75パーセント、または少なくとも80パーセント、または少なくとも85パーセント、または少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセント、または少なくとも97パーセント、または少なくとも99パーセントを回収する。脱エタン塔から取り出される塔頂流は、塔頂流の総重量基準で少なくとも50重量パーセント、または少なくとも55重量パーセント、または少なくとも60重量パーセント、または少なくとも65重量パーセント、または少なくとも70重量パーセント、または少なくとも75重量パーセント、または少なくとも80重量パーセント、または少なくとも85重量パーセント、または少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセントのエタンおよびエチレンを含む。
【0392】
[0413]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、脱エタン塔からのC2およびより軽質の塔頂流をエタン-エチレン分別塔(エチレン分別塔またはエチレンスプリッター)でさらに分離してもよい。エタン-エチレン分別塔では、エチレンおよびより軽質の成分の流れを塔頂から、すなわち塔の上半分から側流として取り出してもよく、エタンおよびより重質の任意の残留成分を塔底流として取り出してもよい。エチレン分別塔では、エチレンおよびより軽質の成分の流れを塔の塔頂から、すなわち塔の上半分から側流として取り出し、エタンおよび残りの任意のより重質の成分を塔底流として取り出してもよい。エチレン分別塔は、少なくとも-45℃、もしくは少なくとも-40℃、もしくは少なくとも-35℃、もしくは少なくとも-30℃、もしくは少なくとも-25℃、もしくは少なくとも-20℃、かつ/または-15℃以下、-20℃以下、もしくは-25℃以下の塔頂温度、および少なくとも10barg、もしくは少なくとも12barg、もしくは少なくとも15barg、かつ/または25barg以下、22barg以下、20barg以下の塔頂圧力で運転されてもよい。塔頂流(エチレンが富化されていてもよい)は、流れの総重量基準で少なくとも70重量パーセント、または少なくとも75重量パーセント、または少なくとも80重量パーセント、または少なくとも85重量パーセント、または少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセント、または少なくとも97重量パーセント、または少なくとも98重量パーセント、または少なくとも99重量パーセントのエチレンを含んでもよく、さらなる処理、保管、または販売のために下流の処理装備に送られてもよい。
【0393】
[0414]エタン-エチレン分別塔からの塔底流は、塔底流の総重量基準で少なくとも40重量パーセント、または少なくとも45重量パーセント、または少なくとも50重量パーセント、または少なくとも55重量パーセント、または少なくとも60重量パーセント、または少なくとも65重量パーセント、または少なくとも70重量パーセント、または少なくとも75重量パーセント、または少なくとも80重量パーセント、または少なくとも85重量パーセント、または少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセント、または少なくとも98重量パーセントのエタンを含んでもよい。前述のように、回収されたエタンの全部または一部を単独で、あるいは熱分解油および/もしくは熱分解ガスと組み合わせて、追加の供給原料としてクラッキング炉の入口に再循環させてもよい。
【0394】
[0415]実施態様によっては、圧縮流の少なくとも一部を、C3およびより軽質の成分は塔頂蒸気流として除去され、C4およびより重質の成分は液体底部として塔を出る脱プロパン塔で分離してもよい。脱プロパン塔は、少なくとも20℃、もしくは少なくとも35℃、もしくは少なくとも40℃、かつ/または70℃以下、65℃以下、60℃以下、55℃以下の塔頂温度、および少なくとも10barg、もしくは少なくとも12barg、もしくは少なくとも15barg、かつ/または20barg以下、もしくは17barg以下、もしくは15barg以下の塔頂圧力で運転されてもよい。脱プロパン塔は、塔で塔頂流に導入されたC3およびより軽質の成分の総量の少なくとも60パーセント、または少なくとも65パーセント、または少なくとも70パーセント、または少なくとも75パーセント、または少なくとも80パーセント、または少なくとも85パーセント、または少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセント、または少なくとも97パーセント、または少なくとも99パーセントを回収する。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、脱プロパン塔から除去される塔頂流は、塔頂流の総重量基準で少なくとも50重量パーセント、または少なくとも55重量パーセント、または少なくとも60重量パーセント、または少なくとも65重量パーセント、または少なくとも70重量パーセント、または少なくとも75重量パーセント、または少なくとも80重量パーセント、または少なくとも85重量パーセント、または少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセント、または少なくとも98重量パーセントのプロパンおよびプロピレンを含む。
【0395】
[0416]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、脱プロパン塔からの塔頂流をプロパン-プロピレン分別塔(プロピレン分別塔またはプロピレンスプリッター)に導入してもよく、そこでプロピレンおよび任意のより軽質の成分は塔頂流として除去され、プロパンおよびより重質の成分は塔底流として塔を出る。プロピレン分別塔は、少なくとも20℃、もしくは少なくとも25℃、もしくは少なくとも30℃、もしくは少なくとも35℃、かつ/または55℃以下、50℃以下、45℃以下、40℃以下の塔頂温度、および少なくとも12barg、もしくは少なくとも15barg、もしくは少なくとも17barg、もしくは少なくとも20barg、かつ/または20barg以下、もしくは17barg以下、もしくは15barg以下、もしくは12barg以下の塔頂圧力で運転されてもよい。塔頂流(プロピレンが富化されていてもよい)は、流れの総重量基準で少なくとも70重量パーセント、または少なくとも75重量パーセント、または少なくとも80重量パーセント、または少なくとも85重量パーセント、または少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセント、または少なくとも97重量パーセント、または少なくとも98重量パーセント、または少なくとも99重量パーセントのプロピレンを含んでもよく、さらなる処理、保管、または販売のために下流の処理装備に送られてもよい。
【0396】
[0417]プロパン-プロピレン分別塔からの塔底流は、塔底流の総重量基準で少なくとも40重量パーセント、または少なくとも45重量パーセント、または少なくとも50重量パーセント、または少なくとも55重量パーセント、または少なくとも60重量パーセント、または少なくとも65重量パーセント、または少なくとも70重量パーセント、または少なくとも75重量パーセント、または少なくとも80重量パーセント、または少なくとも85重量パーセント、または少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセント、または少なくとも98重量パーセントのプロパンを含んでもよい。前述のように、回収されたプロパンの全部または一部を単独で、あるいは熱分解油および/もしくは熱分解ガスと組み合わせて、追加の供給原料としてクラッキング炉の入口に再循環させてもよい。
【0397】
[0418]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、圧縮流の少なくとも一部を、C4およびより軽質の成分、たとえば、ブテン、ブタン、およびブタジエンをC5およびより重質の(C5+)成分から分離するために脱ブタン塔に送ってもよい。脱ブタン塔は、少なくとも20℃、もしくは少なくとも25℃、もしくは少なくとも30℃、もしくは少なくとも35℃、もしくは少なくとも40℃、かつ/または60℃以下、もしくは65℃以下、もしくは60℃以下、もしくは55℃以下、もしくは50℃以下の塔頂温度、および少なくとも2barg、もしくは少なくとも3barg、もしくは少なくとも4barg、もしくは少なくとも5barg、かつ/または8barg以下、もしくは6barg以下、もしくは4barg以下、もしくは2barg以下の塔頂圧力で運転されてもよい。脱ブタン塔は、塔で塔頂流に導入されたC4およびより軽質の成分の総量の少なくとも60パーセント、または少なくとも65パーセント、または少なくとも70パーセント、または少なくとも75パーセント、または少なくとも80パーセント、または少なくとも85パーセント、または少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセント、または少なくとも97パーセント、または少なくとも99パーセントを回収する。
【0398】
[0419]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、脱ブタン塔から除去される塔頂流は、塔頂流の総重量基準で少なくとも30重量パーセント、または少なくとも35重量パーセント、または少なくとも40重量パーセント、または少なくとも45重量パーセント、または少なくとも50重量パーセント、または少なくとも55重量パーセント、または少なくとも60重量パーセント、または少なくとも65重量パーセント、または少なくとも70重量パーセント、または少なくとも75重量パーセント、または少なくとも80重量パーセント、または少なくとも85重量パーセント、または少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセントのブタジエンを含む。脱ブタン塔からの塔底流は、流れの総重量基準で少なくとも50重量パーセント、または少なくとも60重量パーセント、または少なくとも70重量パーセント、または少なくとも80重量パーセント、または少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセントの量で主にC5およびより重質の成分を含む。脱ブタン塔の塔底流をさらなる分離、処理、保管、販売、または使用のために送ってもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、脱ブタン塔からの塔頂流、すなわちC4を抽出または蒸留処理などの任意の従来の分離方法に供して、より濃縮されたブタジエン流を回収してもよい。
【0399】
[0420]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、上記の流れの1つ以上のうちの少なくとも一部を図1に示された設備のうちの1つ以上に導入してもよく、他の実施態様では、クラッキング設備の分離区域から取り出された流れの全部または一部をさらなる分離および/または保管、輸送、販売、および/または使用のために送ってもよい。
【0400】
部分酸化(POX)ガス化
[0421] 一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、化学的再生施設は部分酸化(POX)ガス化設備も含んでもよい。本明細書で使用される場合、「部分酸化」という用語は、炭素含有供給物を合成ガス(一酸化炭素、水素、および二酸化炭素)に高温で転換し、炭素を完全に酸化させてCO2にするのに必要な化学量論量よりも少ない量の酸素の存在下で転換が行われることを指す。部分酸化(POX)ガス化装置内で起こる反応は炭素含有供給物の合成ガスへの転換を含み、具体例としては、部分酸化、水性ガスシフト、水性ガス一次反応、ブードア反応、酸化、メタン化、水素改質、蒸気改質、および二酸化炭素改質が挙げられるが、これらに限定されない。POXガス化への供給物は、固体、液体、および/または気体を含んでもよい。「部分酸化ガス化設備」または「POXガス化設備」は、廃プラスチックおよびそれに由来する供給原料のPOXガス化を行うのに必要なすべての装置、ライン、および制御装置を含む設備である。
【0401】
[0422]POXガス化設備では、化学量論以下の量の酸素の存在下で、供給流を合成ガスに転換してもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、POXガス化設備への供給流は、PO富化廃プラスチック、少なくとも1つの加溶媒分解副産物流、熱分解ガス流(熱分解ガス、熱分解油、および/または熱分解残留物を含む)、およびクラッキング設備からの少なくとも1つの流れのうちの1つ以上を含んでもよい。これらの流れの1つ以上を連続的にPOXガス化設備に導入してもよく、あるいはこれらの流れの1つ以上を断続的に導入してもよい。複数の種類の供給流が存在する場合、それぞれを別々に導入してもよいし、流れの全部または一部を混合して混合流をPOXガス化設備に導入してもよい。混合する場合、混合は連続またはバッチで行われてもよい。供給流は、気体、液体または液化プラスチック、(通常は粉末化された)固体、またはスラリーの形態であってもよい。
【0402】
[0423]図22は、廃プラスチック、たとえば液化区域40からの液化廃プラスチックを合成ガス流128およびスラグ流194に転換する例示的なPOXガス化設備50を示す。なお、図22は本技術の例示的な一実施態様を示す。したがって、図22に示される特定の構成を省略し、かつ/あるいは図22に示されたシステムに本明細書の他の箇所に記載のさらなる構成を追加してもよい。
【0403】
[0424]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、図22に示すように、POXガス化設備への供給流116は、本明細書に記載の液化システム40から生じてもよい。たとえば、POXガス化設備への供給流116は、ハロゲン貧化溶融廃プラスチックなど、本明細書に記載の液化システム40から生じた液化プラスチック供給流を含んでもよい。したがって、液化システム40に関して上で処理され記載されたプラスチック供給流のいずれも、POXガス化設備に供給かつ導入されてもよい。
【0404】
[0425]さらに、図22に示すように、POXガス化設備への供給流116に、POXガス化装置52への導入前に追加の水流184を加えてもよい。また、図22に示され、以下に記載されるように、酸化剤流180、固形燃料流188、蒸気流190、およびCO流192もそれぞれ供給流116と共にPOXガス化装置50に供給されてもよい。
【0405】
[0426]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、POXガス化設備への供給流116は、ガス化装置供給流中の燃料の総重量基準で、あるいはガス化装置供給流の総重量基準で、液化システムからの液化廃プラスチックの少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、少なくとも99重量パーセント、または少なくとも99.5重量パーセントを含んでもよい。さらに、1つ以上の実施態様では、液化廃プラスチックは1時間あたり少なくとも1000ポンド(約450kg)(lbs/時)、少なくとも5000ポンド(約2270kg)、少なくとも10,000ポンド(約4540kg)、少なくとも20,000ポンド(約9070kg)、少なくとも40,000ポンド(約18100kg)、少なくとも80,000ポンド(約36200kg)、または少なくとも120,000ポンド(約54300kg)の速度でPOXガス化設備に導入されてもよい。
【0406】
[0427]POXガス化設備は、少なくとも1つのPOXガス化反応器を含む。例示的なPOXガス化反応器52を図23に示す。POXガス化装備は、気体供給、液体供給、または固体供給反応器(ガス化装置)を含んでもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、POXガス化装備は液体供給POXガス化を行ってもよい。本明細書で使用される場合、「液体供給POXガス化」は、処理への供給物が25℃かつ1気圧で液体である成分を主に(重量で)含むPOXガス化処理を指す。それに加えて、あるいはその代わりに、POXガス化装備は気体供給POXガス化を行ってもよい。本明細書で使用される場合、「気体供給POXガス化」は、処理への供給物が25℃かつ1気圧で気体である成分を主に(重量で)含むPOXガス化処理を指す。
【0407】
[0428]それに加えて、あるいはその代わりに、POXガス化装備は固体供給POXガス化を行ってもよい。本明細書で使用される場合、「固体供給POXガス化」は、処理への供給物が25℃かつ1気圧で固体である成分を主に(重量で)含むPOXガス化処理を指す。
【0408】
[0429]気体供給、液体供給、および固体供給POXガス化処理には、25℃かつ1気圧で異なる相を有する少量の他の成分を同時に供給してもよい。したがって、気体供給POXガス化装置には液体および/または固体を同時に供給できるが、気相POXガス化装置に供給される気体の量よりも(重量で)少ない量でのみ供給される。液体供給POXガス化装置には気体および/または固体を同時に供給できるが、液体供給POXガス化装置に供給される液体の量よりも少ない量(重量)でのみ供給される。また、固体供給POXガス化装置には気体および/または液体を同時に供給できるが、固体供給POXガス化装置に供給される固体の量よりも(重量で)少ない量でのみ供給される。
【0409】
[0430]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、気体供給POXガス化装置への総供給物は、少なくとも60重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセントの、25℃かつ1気圧で気体である成分を含んでもよく、液体供給POXガス化装置への総供給物は、少なくとも60重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセントの、25℃かつ1気圧で液体である成分を含んでもよく、固体供給POXガス化装置への総供給物は、少なくとも60重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセントの、25℃かつ1気圧で固体である成分を含んでもよい。
【0410】
[0431]図22および図23に一般的に示すように、ガス化供給流116は、酸化剤流180と共にガス化反応器52に導入されてもよい。供給原料流116および酸化剤流180は、たとえば典型的には少なくとも500psig、少なくとも600psig、少なくとも800psig、または少なくとも1,000psig(すなわち少なくとも35barg、少なくとも40barg、少なくとも55barg、または少なくとも70barg)の圧力を有する、加圧されたガス化区域に注入装置で噴霧されてもよい。
【0411】
[0432]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、流れ180中の酸化剤は酸化性ガスを含み、酸化性ガスとしては空気、酸素富化空気、または分子酸素(O)を挙げることができる。酸化剤は、ガス化反応器52の反応(燃焼)区域に注入された酸化剤流180中の全成分の総モル基準で少なくとも25モルパーセント、少なくとも35モルパーセント、少なくとも40モルパーセント、少なくとも50モルパーセント、少なくとも60モルパーセント、少なくとも70モルパーセント、少なくとも80モルパーセント、少なくとも90モルパーセント、少なくとも95モルパーセント、少なくとも97モルパーセント、少なくとも99モルパーセント、または少なくとも99.5モルパーセントの分子酸素を含んでもよい。反応区域に供給される酸素の特定の量は、供給流に対する量および充填された供給物の量、処理条件、ならびに反応器の設計を考慮して、ガス化反応から得られる供給流116中の成分に対しておよそ最大の一酸化炭素および水素の収率を得るのに十分な量であってもよい。
【0412】
[0433]酸化剤は、空気、酸素富化空気、および分子酸素に加えて、あるいはその代わりに、他の酸化性気体または液体を含んでもよい。酸化剤としての使用に適したそのような酸化性液体の例としては、水(液体としてまたは蒸気として添加されてもよい)およびアンモニアが挙げられる。酸化剤としての使用に適したそのような酸化性気体の例としては、一酸化炭素、二酸化炭素、および二酸化硫黄が挙げられる。
【0413】
[0434]液化廃プラスチックに加え、ガス化供給原料流は、ガス化供給原料流の総重量基準で少なくとも1重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、または少なくとも50重量パーセントの水も含んでもよい。それに加えて、あるいはその代わりに、ガス化供給原料流は、ガス化供給原料流の総重量基準で20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、9重量パーセント以下、8重量パーセント以下、7重量パーセント以下、6重量パーセント以下、5重量パーセント以下、4重量パーセント以下、3重量パーセント以下、2重量パーセント以下、または1重量パーセント以下の水を含んでもよい。
【0414】
[0435]POXガス化装置52に導入されてもよい、かつ/あるいは供給流116と最初に混ぜ合わせられてもよい例示的な燃料としては、たとえば固体(たとえば、石炭、石油コークス、廃プラスチックなど)、液体(たとえば、液体炭化水素、液化プラスチックなど)、および/または気体(たとえば、天然ガス、有機炭化水素など)が挙げられる。本明細書で使用される場合、「ガス化供給原料」または「ガス化装置供給物」は、酸素を除くガス化装置に供給される全成分を指す。
【0415】
[0436]液化廃プラスチックに加え、一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、ガス化供給原料流は、ガス化供給原料流の総重量基準で少なくとも1重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、または少なくとも50重量パーセントの1種以上の固形燃料を必要に応じて含んでもよい。それに加えて、あるいはその代わりに、ガス化供給原料流はまた、ガス化供給原料流の総重量基準で99重量パーセント以下、90重量パーセント以下、80重量パーセント以下、70重量パーセント以下、60重量パーセント以下、50重量パーセント以下、40重量パーセント以下、30重量パーセント以下、20重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、4重量パーセント以下、3重量パーセント以下、2重量パーセント以下、または1重量パーセント以下の1種以上の固形燃料を必要に応じて含んでもよい。例示的な固形燃料としては石炭を挙げることができる。
【0416】
[0437]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、ガス化供給原料流は、0.5~1.5、0.6~1.3、または0.7~1.1の範囲の酸素/炭素モル比を含んでもよい。
【0417】
[0438]上述のように、供給原料流および酸化剤を注入器組立体で加圧ガス化区域に噴霧してもよい。図24は、供給原料流の別個の成分が注入器組立体900の別個の通路にどのように注入され得るかについての例示的な実施態様を示す。
【0418】
[0439]図24に示すように、液化プラスチック流(たとえば溶融廃プラスチック)は、必要に応じて水の存在下で、注入器900の別の通路904に注入されてもよい。さらに、もうひとつの通路902を用いて、必要に応じて固形燃料(たとえば石炭)または別の液化プラスチック流をPOXガス化装置に注入してもよい。さらに、図24に示すように、他の気体(たとえば蒸気)および酸化剤を液化プラスチックとは別の通路906、908、および910に注入してもよい。
【0419】
[0440]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、液化プラスチック流(たとえば溶融廃プラスチック)は、POXガス化装置52の注入器組立体に導入される直前では、350℃かつ10rad/秒でV80-40ベーンスピンドル付きBrookfield R/Sレオメーターを用いて測定した場合、3,000ポアズ未満、2,800ポアズ未満、2,600ポアズ未満、2,400ポアズ未満、2,200ポアズ未満、2,000ポアズ未満、1,800ポアズ未満、1,500ポアズ未満、1,000ポアズ未満、500ポアズ未満、250ポアズ未満、50ポアズ未満、10ポアズ未満、5ポアズ未満、4ポアズ未満、3ポアズ未満、2ポアズ未満、もしくは1ポアズ未満、および/または少なくとも0.1ポアズ、少なくとも0.2ポアズ、もしくは少なくとも0.5ポアズの粘度を有する。たとえば、液化プラスチック流(たとえば溶融廃プラスチック)は、10rad/秒のせん断速度および350℃の温度で動作するV80-40ベーンスピンドル付きBrookfield R/Sレオメーターを用いて測定した場合、0.1~3,000ポアズ、0.1~2,600ポアズ、0.1~1,000ポアズ、0.1~250ポアズ、0.1~50ポアズ、0.1~10ポアズ、0.1~5ポアズ、または0.1~1ポアズの粘度を有してもよい。
【0420】
[0441]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、噴霧促進流体をガス化区域に供給原料および酸化剤と共に供給する。本明細書で使用される場合、「噴霧促進流体」という用語は、粘度を低下させて分散エネルギーを減少させる、あるいは分散を補助するのに利用できるエネルギーを増加させるよう作用できる液体または気体を指す。噴霧促進流体は、供給原料をガス化区域に供給するかガス化区域(たとえば、ガス化反応器と接続された注入組立体)に別個に添加する前にプラスチック含有供給原料と混合されてもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、噴霧促進流体は水および/または蒸気である。しかし、一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、蒸気および/または水はガス化区域に供給されない。
【0421】
[0442]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、二酸化炭素または窒素が富化された(たとえば、空気に見られるモル量よりも多い量、すなわち少なくとも2モルパーセント、少なくとも5モルパーセント、少なくとも10モルパーセント、または少なくとも40モルパーセント)ガス流をガス化装置に充填する。これらのガスは、供給原料のガス化区域への移動を促進するキャリアガスとして機能し得る。ガス化区域内の圧力によりこれらのキャリアガスは圧縮され、ガス化区域への導入のための推進力を提供できる。このガスは、噴霧促進流体と同じ組成であっても異なる組成であってもよい。1つ以上の実施態様では、このガス流は噴霧促進流体としても機能する。
【0422】
[0443]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、水素(H)富化(たとえば、少なくとも1モルパーセント、少なくとも2モルパーセント、少なくとも5モルパーセント、少なくとも10モルパーセント、少なくとも20モルパーセント、少なくとも30モルパーセント、少なくとも40モルパーセント、少なくとも50モルパーセント、少なくとも60モルパーセント、少なくとも70モルパーセント、少なくとも80モルパーセント、または少なくとも90モルパーセント)ガス流をガス化装置に充填する。部分酸化反応に影響を与え、得られる合成ガス組成を調整するために、水素を添加してもよい。
【0423】
[0444]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、0.01モルパーセント超または0.02モルパーセント超の二酸化炭素を含むガス流は、ガス化装置またはガス化区域に供給されない。あるいは、77モルパーセント超、70モルパーセント超、50モルパーセント超、30モルパーセント超、10モルパーセント超、5モルパーセント超、または3モルパーセント超の窒素を含むガス流は、ガス化装置またはガス化区域に充填されない。さらに、0.1モルパーセント超、0.5モルパーセント超、1モルパーセント超、または5モルパーセント超の水素を有する気体水素流は、ガス化装置またはガス化区域に充填されない。さらに、0.1モルパーセント超、0.5モルパーセント超、1モルパーセント超、または5モルパーセント超のメタンを含有するメタンガス流は、ガス化装置またはガス化区域に充填されない。特定の実施態様では、ガス化区域に導入される唯一のガス流は酸化剤である。
【0424】
[0445]ガス化処理は、前述のように、部分酸化(POX)ガス化反応であってもよい。一般に、水素および一酸化炭素の生成を促進するために、酸化処理はガス化供給原料の完全ではなく部分的な酸化を伴い、したがって、炭素および水素結合の100パーセントを完全に酸化させるのに必要な量に対して酸素が少ない環境で操作できる。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、ガス化装置の総酸素必要量は、ガス化供給原料の炭素含有量を一酸化炭素に転換するのに理論上必要な量を少なくとも5パーセント、少なくとも10パーセント、少なくとも15パーセント、または少なくとも20パーセント超えてもよい。一般に、理論上の必要量を10~80パーセント上回る総酸素供給量で満足のいく動作が得られる。たとえば、炭素1ポンド(約454g)あたりの酸素の適切な量の例は、炭素1ポンド(約454g)あたり0.4~3.0ポンド(約181~1361g)、0.6~2.5ポンド(約272~1134g)、0.9~2.5ポンド(約408~1134g)、または1.2~2.5ポンド(約544~1134g)の範囲の遊離酸素であってもよい。
【0425】
[0446]供給原料流と酸化剤の混合は、供給原料と酸化剤の別々の流れを導入して反応区域内で互いに衝突させることにより、完全に反応区域内で行うことができる。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、酸化剤流をガス化装置の反応区域に火炎伝播速度を超える高速で導入し、供給原料流との混合を改善する。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、酸化剤を毎秒25~500フィート(約7.6~152.4m)、毎秒50~400フィート(約15.2~121.9m)、または毎秒100~400フィート(約30.5~121.9m)の範囲でガス化区域に注入してもよい。これらの値は、注入装置とガス化区域との境界面における気体状の酸化剤流の速度、または注入装置先端における速度である。供給原料流と酸化剤の混合を反応区域外で行うこともできる。たとえば、一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、供給原料、酸化剤、および/または噴霧促進流体をガス化区域上流の導管内またはガス化反応器に接続された注入組立体内で混ぜ合わせてもよい。
【0426】
[0447]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、ガス化供給原料流、酸化剤、および/または噴霧促進流体を必要に応じて少なくとも200℃、少なくとも300℃、または少なくとも400℃の温度に予熱してもよい。しかし、採用されるガス化処理は供給原料を効率的にガス化するために供給原料流を予熱する必要はなく、予熱処理工程は処理のエネルギー効率を低下させる可能性がある。
【0427】
[0448]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、採用されるガス化技術の種類は、合成ガスを生成する部分酸化噴流式ガス化装置であってもよい。この技術は、固定床(あるいは移動床と呼ばれる)ガス化装置および流動床ガス化装置とは異なる。使用されてもよい模範的なガス化装置は米国特許第3,544,291号に示されており、その全開示内容は、本開示と矛盾しない範囲で参照により本明細書に組み込まれる。しかし、一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、他の種類のガス化反応器を本技術の範囲内で用いてもよい。
【0428】
[0449]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、ガス化装置/ガス化反応器は無触媒(ガス化装置/ガス化反応器が触媒床を含まず、ガス化処理が無触媒であることを意味し、触媒が別個の未結合触媒としてガス化区域に導入されないことを意味する)であってもよい。さらに、一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、ガス化処理は、スラグ形成ガス化処理でなくてもよく、すなわち、ガス化区域で溶融スラグが形成されて耐火壁に沿って流れ落ちるようなスラグ形成条件(灰の融解温度より十分に高温)下では操作されない。
【0429】
[0450]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、ガス化区域、および必要に応じてガス化装置/ガス化反応器内のすべての反応区域は、少なくとも1000℃、少なくとも1100℃、少なくとも1200℃、少なくとも1250℃、もしくは少なくとも1300℃、かつ/または2500℃以下、2000℃以下、1800℃以下、もしくは1600℃以下の温度で運転されてもよい。反応温度は自己発生的であってもよい。有利なことに、定常状態モードで動作するガス化装置は自己発生的な温度にあり、ガス化区域を加熱するために外部エネルギー源を用いる必要がない。
【0430】
[0451]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、ガス化区域、および必要に応じてガス化装置/ガス化反応器内のすべての反応区域は、少なくとも1000℃、少なくとも1100℃、少なくとも1200℃、少なくとも1250℃、もしくは少なくとも1300℃、かつ/または2500℃以下、2000℃以下、1800℃以下、1600℃以下、もしくは1500℃以下の側壁温度を含んでもよい。
【0431】
[0452]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、ガス化装置は、必要な熱を提供するために単一のバーナーを含んでも複数のバーナーを含んでもよい。さらに、1つ以上の実施態様では、ガス化装置は対向するバーナー構成、たとえば対向する複数バーナー構成を含んでもよい。それに加えて、あるいはその代わりに、ガス化装置は1,800~3,000℃の範囲の最高火炎温度を含んでもよい。
【0432】
[0453]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、ガス化装置は、主に気体供給ガス化装置である。
[0454]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、ガス化装置はスラグ非形成ガス化装置であるか、スラグを形成しない条件で運転される。
【0433】
[0455]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、ガス化装置は固定床ガス化装置を含んでもよい。
[0456]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、ガス化装置は動作中に負圧下になくてもよく、むしろ動作中に正圧下にあってもよい。
【0434】
[0457]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、ガス化装置は、少なくとも200psig(1.38MPa)、少なくとも300psig(2.06MPa)、少なくとも350psig(2.41MPa)、少なくとも400psig(2.76MPa)、少なくとも420psig(2.89MPa)、少なくとも450psig(3.10MPa)、少なくとも475psig(3.27MPa)、少なくとも500psig(3.44MPa)、少なくとも550psig(3.79MPa)、少なくとも600psig(4.13MPa)、少なくとも650psig(4.48MPa)、少なくとも700psig(4.82MPa)、少なくとも750psig(5.17MPa)、少なくとも800psig(5.51MPa)、少なくとも900psig(6.2MPa)、少なくとも1000psig(6.89MPa)、少なくとも1100psig(7.58MPa)、または少なくとも1200psig(8.2MPa)のガス化区域(または燃焼室)内の圧力で運転されてもよい。それに加えて、あるいはその代わりに、ガス化装置は、1300psig(8.96MPa)以下、1250psig(8.61MPa)以下、1200psig(8.27MPa)以下、1150psig(7.92MPa)以下、1100psig(7.58MPa)以下、1050psig(7.23MPa)以下、1000psig以下(6.89MPa)、900psig(6.2MPa)以下、800psig(5.51MPa)以下、または750psig(5.17MPa)以下のガス化区域(または燃焼室)内の圧力で運転されてもよい。
【0435】
[0458]適切な圧力範囲の例としては、300~1000psig(2.06~6.89MPa)、300~750psig(2.06~5.17MPa)、350~1000psig(2.41~6.89MPa)、350~750psig(2.06~5.17MPa)、400~1000psig(2.67~6.89MPa)、420~900psig(2.89~6.2MPa)、450~900psig(3.10~6.2MPa)、475~900psig(3.27~6.2MPa)、500~900psig(3.44~6.2MPa)、550~900psig(3.79~6.2MPa)、600~900psig(4.13~6.2MPa)、650~900psig(4.48~6.2MPa)、400~800psig(2.67~5.51MPa)、420~800psig(2.89~5.51MPa)、450~800psig(3.10~5.51MPa)、475~800psig(3.27~5.51MPa)、500~800psig(3.44~5.51MPa)、550~800psig(3.79~5.51MPa)、600~800psig(4.13~5.51MPa)、650~800psig(4.48~5.51MPa)、400~750psig(2.67~5.17MPa)、420~750psig(2.89~5.17MPa)、450~750psig(3.10~5.17MPa)、475~750psig(3.27~5.17MPa)、500~750psig(3.44~5.17MPa)、または550~750psig(3.79~5.17MPa)が挙げられる。
【0436】
[0459]一般に、ガス化装置反応器内のガスの平均滞留時間は、処理能力を上げるために非常に短くてもよい。ガス化装置は高温高圧で運転され得るため、非常に短い時間枠で供給原料の実質的に完全なガス転換が起こり得る。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、ガス化装置内のガスの平均滞留時間は、30秒以下、25秒以下、20秒以下、15秒以下、10秒以下、または7秒以下であってもよい。
【0437】
[0460]ガス化装置から下流装置、およびその間の配管を汚染するのを避けるため、得られる粗合成ガス流127はわずかまたはゼロのタール含有量を有してもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、ガス化装置から排出される合成ガス流は、合成ガス流中のすべての凝縮性固体の重量基準で4重量パーセント以下、3重量パーセント以下、2重量パーセント以下、1重量パーセント以下、0.5重量パーセント以下、0.2重量パーセント以下、0.1重量パーセント以下、または0.01重量パーセント以下のタールを含んでもよい。測定の目的上、凝縮性固体は15℃の温度かつ1気圧で凝縮する化合物および元素である。タール生成物の例としては、ナフタレン、クレゾール、キシレノール、アントラセン、フェナントレン、フェノール、ベンゼン、トルエン、ピリジン、カテコール、ビフェニル、ベンゾフラン、ベンズアルデヒド、アセナフチレン、フルオレン、ナフトフラン、ベンゾアントラセン、ピレン、アセフェナントリレン、ベンゾピレン、および他の高分子量の芳香族多核化合物が挙げられる。タール含有量はGC-MSDで測定できる。
【0438】
[0461]一般に、ガス化容器から排出される粗合成ガス流は、水素、一酸化炭素、および二酸化炭素などのガスを含み、燃料源および反応条件に応じて、メタン、硫化水素、および窒素などの他のガスを含んでもよい。
【0439】
[0462]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、粗合成ガス流(ガス化装置から排出された、スクラビング、シフト、または酸性ガス除去による任意のさらなる処理の前の流れ)は、乾量基準かつ粗合成ガス流中のすべての気体(25℃かつ1気圧で気体である元素または化合物)のモル基準のモルパーセントで以下の組成を有してもよい:
●乾燥体積基準で32~50パーセント、または少なくとも33パーセント、少なくとも34パーセント、もしくは少なくとも35パーセント、かつ/または50パーセント以下、もしくは45パーセント以下、もしくは41パーセント以下、もしくは40パーセント以下、もしくは39パーセント以下、あるいは33~50パーセント、34~45パーセント、もしくは35~41パーセントの範囲の水素含有量;
●流れの総重量基準で少なくとも40重量パーセント、少なくとも41重量パーセント、少なくとも42重量パーセント、もしくは少なくとも43重量パーセント、かつ/または55重量パーセント以下、54重量パーセント以下、53重量パーセント以下、もしくは52重量パーセント以下、あるいは乾量基準の流れの総重量基準で40~55重量パーセント、41~54重量パーセント、または42~53重量パーセントの範囲の一酸化炭素含有量;
●乾量基準で少なくとも1体積%、少なくとも1.5体積%、少なくとも2体積%、少なくとも3体積%、少なくとも4体積%、少なくとも5体積%、少なくとも6体積%、もしくは少なくとも7体積%、かつ/または25体積%以下、20体積%以下、15体積%以下、12体積%以下、11体積%以下、10体積%以下、9体積%以下、8体積%以下、もしくは7体積%以下の二酸化炭素含有量;
●乾量基準で5000体積ppm以下、2500体積ppm以下、2000体積ppm以下、または1000体積ppm以下のメタン含有量;
●1000重量ppm(ppmw)以下、100重量ppm以下、10重量ppm以下、または1重量ppm以下の硫黄含有量;
●少なくとも1000ppmもしくは少なくとも5000ppm、かつ/または50,000ppmw以下、20,000ppmw以下、もしくは15,000ppmw以下の煤含有量;
●1000ppmw以下、500ppmw以下、200ppmw以下、100ppmw以下、または50ppmw以下のハロゲン化物含有量;
●0.01ppmw以下、0.005ppmw以下、または0.001ppmw以下の水銀含有量;
●0.1ppm以下、0.05ppmw以下、または0.01ppmw以下のアルシン含有量;
●10,000ppmw以下、3000ppmw以下、1000ppmw以下、または100ppmw以下の窒素含有量;
●少なくとも10ppmw、少なくとも20ppmw、少なくとも30ppmw、少なくとも40ppmw、もしくは少なくとも50ppmw、かつ/または200ppmw以下、180ppmw以下、160ppmw以下、150ppmw以下、もしくは130ppmw以下のアンチモン含有量;および/あるいは
●少なくとも10ppmw、少なくとも25ppmw、少なくとも50ppmw、少なくとも100ppmw、少なくとも250ppmw、少なくとも500ppmw、もしくは少なくとも1000ppmw、かつ/または40,000ppmw以下、30,000ppmw以下、20,000ppmw以下、15,000ppmw以下、10,000ppmw以下、7,500ppmw以下、もしくは5,000ppmw以下のチタン含有量。
【0440】
[0463]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、合成ガスは0.7~2、0.7~1.5、0.8~1.2、0.85~1.1、または0.9~1.05の水素/一酸化炭素モル比を含む。
【0441】
[0464]ガス成分は、水素炎イオン化型検出器ガスクロマトグラフィー(FID-GC)および熱伝導度型検出器ガスクロマトグラフィー(TCD-GC)、またはガス流の成分の分析に関して認識されているその他の任意の方法で決定できる。
【0442】
[0465]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、再生成分合成ガスは、合成ガス流の総重量基準で少なくとも1重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、または少なくとも99重量パーセントの再生成分を有してもよい。
【0443】
エネルギー回収
[0466]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、化学的再生施設は、エネルギー回収設備も含んでもよい。本明細書で使用される場合、「エネルギー回収設備」は、供給原料の化学的転換(たとえば、燃焼)を介して供給原料からエネルギー(すなわち熱エネルギー)を発生させる設備である。燃焼により発生する全エネルギーの少なくとも5パーセント、少なくとも10パーセント、少なくとも15パーセント、少なくとも20パーセント、少なくとも25パーセント、少なくとも30パーセント、または少なくとも35パーセントを回収し、1つ以上の他の処理および/または設備に使用してもよい。
【0444】
[0467]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、エネルギー回収設備80(図1)に導入される供給流は、PO富化廃プラスチックの少なくとも一部、少なくとも1つの加溶媒分解副産物流、熱分解ガス、熱分解油、熱分解残留物流のうちの1つ以上の少なくとも一部、および/または化学的再生施設内からの少なくとも1つの他の流れ、のうちの1つ以上を含んでもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、これらの流れの1つ以上を連続的にエネルギー回収設備に導入してもよく、あるいはこれらの流れの1つ以上を断続的に導入してもよい。複数の種類の供給流が存在する場合、それぞれを別々に導入してもよいし、流れの全部または一部を混合して混合流をエネルギー回収設備に導入してもよい。混合する場合、混合は連続またはバッチ方式で行われてもよい。供給流は、固体、溶融物、主に液体である流れ、スラリー、主に気体である流れ、またはそれらの組合せを含んでもよい。
【0445】
[0468]任意の種類のエネルギー回収設備を用いてもよい。実施態様によっては、エネルギー回収設備は、少なくとも1つの炉または焼却炉を備えてもよい。焼却炉は、気体供給、液体供給、または固体供給されてもよく、すなわち、気体、液体、または固体を受け入れるように構成されてもよい。焼却炉または炉は、供給流中の炭化水素成分の少なくとも一部を酸化剤流と共に熱により燃焼させるように構成されてもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、酸化剤は、酸化剤の総モル基準で少なくとも5モルパーセント、少なくとも10モルパーセント、少なくとも15モルパーセント、少なくとも20モルパーセント、もしくは少なくとも25モルパーセント、かつ/または95モルパーセント以下、90モルパーセント以下、80モルパーセント以下、70モルパーセント以下、65モルパーセント以下、60モルパーセント以下、55モルパーセント以下、50モルパーセント以下、45モルパーセント以下、40モルパーセント以下、35モルパーセント以下、30モルパーセント以下、もしくは25モルパーセント以下の酸素を含む。酸化剤のその他の成分は、たとえば窒素または二酸化炭素を含んでもよい。他の実施態様では、酸化剤は空気を含む。
【0446】
[0469]エネルギー回収設備では、そこに導入された供給物の少なくとも50重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセントを燃焼させてエネルギーおよび燃焼ガス(たとえば、水、一酸化炭素、二酸化炭素、およびそれらの組合せ)を形成してもよい。実施態様によっては、硫黄および/または窒素含有化合物などの化合物を除去するために供給物の少なくとも一部を処理して、燃焼ガス中の窒素および硫黄酸化物の量を最小限に抑えてもよい。
【0447】
[0470]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、生成されたエネルギーの少なくとも一部を用いて、処理流を直接的または間接的に加熱してもよい。たとえば、エネルギーの少なくとも一部を用いて水を加熱して蒸気を形成し、あるいは蒸気を加熱して過熱蒸気を形成してもよい。生成されたエネルギーの少なくとも一部を用いて、伝熱媒体(たとえば、THERMINOL(登録商標)など)の流れを加熱してもよい。伝熱媒体自体は、温められると1つ以上の処理流に熱を伝達するのに利用できる。エネルギーの少なくとも一部を用いて処理流を直接加熱してもよい。
【0448】
[0471]実施態様によっては、エネルギー回収設備からのエネルギーの少なくとも一部で加熱された処理流は、本明細書に記載の設備のうちの1つ以上、たとえば、加溶媒分解設備、熱分解設備、クラッキング設備、POXガス化設備、固化設備のうちの少なくとも1つからの処理流であってもよい。エネルギー回収設備80は別の地理的領域にあってもよく、あるいは独自の別個の施設にあってもよいが、1つ以上の他の実施態様では、エネルギー回収設備80の少なくとも一部は、それ以外の設備の1つの中またはその付近に配置されてもよい。たとえば、図1に示されるような化学的再生施設10内のエネルギー回収設備80は、加溶媒分解設備内のエネルギー回収炉、およびPOXガス化設備内の別のエネルギー回収炉を含んでもよい。
【0449】
他の処理設備
[0472]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、図1に一般的に示される化学的再生施設10は、少なくとも1つの他の種類の下流の化学的再生用設備および/または化学的再生生成物流または副産物流の1つ以上を処理する1つ以上の他のシステムもしくは設備を含んでもよい。他の設備の適切な種類の例としては、固化設備および生成物分離設備を挙げることができるが、これらに限定されない。さらに、1つ以上の流れの少なくとも一部を最終ユーザまたは顧客に輸送あるいは販売してもよく、かつ/あるいは1つ以上の流れの少なくとも一部を埋立地または他の産廃処分地に送ってもよい。
【0450】
固化設備
[0473]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、化学的再生施設10は固化設備も含んでもよい。本明細書で使用される場合、「固化」という用語は、物理的手段(たとえば冷却)および/または化学的手段(たとえば沈殿)により、非固体材料を固体材料にすることを指す。「固化設備」は、廃プラスチック由来の供給原料の固化を行うのに必要なすべての装置、ライン、および制御装置を含む設備である。
【0451】
[0474]固化設備に導入される供給流は、化学的再生施設10内の1ヶ所以上の場所から生じてもよい。たとえば、固化設備への供給流は、1つ以上の加溶媒分解副産物流、熱分解設備からの流れ(熱分解油および/または熱分解残留物を含む)、1つ以上の設備からの主に液体である流れ、ならびにそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含んでもよい。熱分解油および熱分解残留物の定義は、本明細書に示される。これらの流れのうちの1つ以上を固化設備に連続的に導入してもよく、あるいはこれらの流れのうちの1つ以上を断続的に導入してもよい。複数の種類の供給流が存在する場合、それぞれを別々に導入してもよいし、流れの全部または一部を混ぜ、混合流を固化設備に導入してもよい。混合する場合、連続またはバッチで行ってもよい。
【0452】
[0475]固化設備は、供給流を冷却し、少なくとも部分的に固化するための冷却区域、および必要に応じてそれに続くサイズ減少区域を含んでもよい。冷却区域を離れると、流れの全部または一部は固化材料であってもよい。場合によっては、固化材料は、シート、ブロック、または塊の形であってもよく、あるいはそれは、薄片、平板、粒、粒子、ペレット、微小ペレット、または粉末の形であってもよい。供給流が部分的にしか固化されていない場合、冷却区域から取り出された流れは、固相および液相の両方を含んでもよい。固相の少なくとも一部を除去してもよく、液相の全部または一部を固化設備から取り出して(必要であれば化学的再生施設内の)別の設備(たとえば、加溶媒分解設備など)に導入してもよい。
【0453】
[0476]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、固化設備はまた、固体材料のサイズを小さくし、複数の粒子を形成するためのサイズ減少区域も含んでもよい。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、サイズ減少は、固化材料のより大きな断片または塊を粉末化する、砕く、切断する、あるいは粉砕/造粒して粒子を形成することを含んでもよい。他の実施態様では、固化設備への供給流の少なくとも一部は、従来のペレット化装置でペレット化される前に少なくとも部分的に冷却されてもよい。粒子がどのように形成されるかに関係なく、得られた固体は、少なくとも50ミクロン、少なくとも75ミクロン、少なくとも100ミクロン、少なくとも150ミクロン、少なくとも250ミクロン、少なくとも350ミクロン、少なくとも450ミクロン、少なくとも500ミクロン、少なくとも750ミクロン、もしくは少なくとも0.5mm、少なくとも1mm、少なくとも2mm、少なくとも5mm、もしくは少なくとも10mm、かつ/または50mm以下、45mm以下、40mm以下、30mm以下、35mm以下、30mm以下、25mm以下、20mm以下、15mm以下、10mm以下、5mm以下、2mm以下、1以下mm、もしくは750ミクロン以下、500ミクロン以下、250ミクロン以下、もしくは200ミクロン以下のD90粒径を有してもよい。固体は粉末を含んでもよい。固体は任意の形状のペレットを含んでもよい。固体は、固体の総重量基準で少なくとも1重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも25重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも35重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセントの総再生成分を有してもよい。
【0454】
[0477]固化設備から取り出された固体は、熱分解設備、エネルギー回収設備、および/またはPOXガス化設備のうちの1つ以上(または2つ以上)に送られてもよい。固体は、輸送前また輸送中、固体の形態であってもよく、溶融していても、あるいは他の形で少なくとも部分的に液化していてもよい。実施態様によっては、固体を液体と合わせてスラリーを形成してもよく、スラリーを本明細書に記載の1つ以上の化学的再生用設備に導入してもよい。適切な液体の例としては、水、アルコール、およびそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、固体の少なくとも一部を加熱して固体を少なくとも部分的に溶融あるいは液化し、得られた溶融物を上記の設備の1つ以上に導入してもよい。必要に応じて、固体の少なくとも一部を産廃埋立地(図示せず)に送ってもよい。
【0455】
生成物分離設備
[0478]一実施態様では、あるいは本明細書に記載のいずれかの実施態様との組合せでは、図1に示される化学的再生施設10内の流れのうちの1つの少なくとも一部を生成物分離設備(図1の符号90で表される)で分離して、さらなる販売および/または使用に適した生成物流を形成してもよい。たとえば、加溶媒分解副産物流の1つ以上の少なくとも一部を分離区域でさらに処理して1つ以上の精製または純化生成物流を形成してもよい。分離区域で用いられる適切な処理の例としては、蒸留、抽出、傾瀉、ストリッピング、精留、およびそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。生成物分離区域からの純化流は、純化生成物流の総重量基準で少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも65重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセントの所望の成分を含んでもよい。所望の成分の例としては、特定のアルコールまたはグリコール(たとえば、エチレングリコール、メタノール)、アルカン(たとえば、エタン、プロパン、ならびにブタンおよびより重質のもの)、およびオレフィン(たとえば、プロピレン、エチレン、および組合せ)を挙げることができる。
【0456】
[0479]MPWに関して表された重量百分率は、第一段階の分離に供された、かつ任意の希釈剤/溶液(塩または苛性溶液など)を加える前のMPWの重量である。
[0480]本発明は、その実施態様の以下の実施例によってさらに説明することができるが、なお、これらの実施例は単に説明の目的で含まれており、特に明記しない限り、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0457】
実施例1~5
[0481]初期廃プラスチック供給原料の溶解および溶融を促進するために熱分解油を溶融タンク構成に追加することによる効果を分析するため、実験を行った。
【0458】
[0482]表1は、別個の(本明細書に記載の)加メタノール分解処理のためにPET流(および任意のPVC混入物)を取り出す前と後の、地方自治体の再生施設(MRF)から一般に受け入れられた初期廃プラスチック供給原料の組成の内訳を示す。PET流は、浮沈分離法を用いて除去された。表1に挙げた以下の百分率は、供給原料全体の重量百分率を基準とする。
【0459】
【表1】
【0460】
[0483]PET除去後の廃プラスチック流(すなわち「ポリオレフィン富化流」)を調べたところ、ポリオレフィンが大部分を占めることがわかった(約84%のHDPEと約14%のPP)。そこで、この実験では、この残りのポリオレフィン富化流を溶融して既存の石炭スラリー供給ガス化装置に液体として供給できる液化廃プラスチックを形成することに焦点を当てた。ポリエチレン(特にHDPE)は、340℃で他のプラスチックほど急速には低粘度に分解しやすくないことが観察されている。ポリプロピレンやポリスチレンなどのプラスチックは一般に急速に分解し、340℃で粘度が大幅に低下する。したがって、この実験の焦点は、熱分解油での希釈など、最高温度340℃でHDPE(およびその他の廃プラスチック)の粘度を下げる処理を開発することであった。
【0461】
[0484]最初に、50グラムのポリオレフィン富化流の液化を340℃で様々な時間(15分、1時間、2時間、および3時間)、ガラス製丸底タンクで連続撹拌しながら行った。これらの試験から導き出された液化プラスチック流の粘度および他の特性を以下の表2に概説する。
【0462】
【表2】
【0463】
[0485]上記の表2に示すように、PPおよびその他の少量のプラスチックが存在すると、それらの分解断片による希釈、またはポリエチレンのラジカル反応分解の促進により、配合物の粘度低下が促進された。
【0464】
実施例6
[0486]この実験では、実施例1~5で用いた初期ポリオレフィン富化流を「小部分」(20重量%)と「大部分」(80重量%)に分けた。最初に、図25に示す容器内で小部分を400℃で熱分解して熱分解油を形成した。続いて、この熱分解油をポリオレフィン富化流の大部分と混ぜ合わせて、このより大きな固体部分を熱分解油の存在下で340℃の温度で液化した。理論に束縛されることは望まないが、加えられたこの少量の熱分解油は、溶融容器内の未溶融の大部分と混ぜ合わせられると「開始」源として作用し、それによりポリエチレン分子量の減少速度を上げる可能性があると考えられた。追加の開始により、架橋・分岐反応が克服されて全体分子量が全体的により速く減少する可能性がある。この影響はラジカルによる開始の増加が原因である可能性があり、このことは、鎖の切断に影響を与えたり停止速度を上げたりして、結果的に平均して各ラジカルによる伝播を低下させ、架橋と分岐を減少させる可能性がある。
【0465】
[0487]実施例1~5の表1のポリオレフィン富化流を得て、それを「小部分」(初期のポリオレフィン富化流の約20重量%を含む)と「大部分」(初期のポリオレフィン富化流の約80重量%を含む)に分けて処理を開始した。表3は、初期のポリオレフィン富化流、小部分、および大部分中の各プラスチックのグラム単位の質量を示す。
【0466】
【表3】
【0467】
[0488]図25に示される反応器の構成を用いて実験処理を実行した。
[0489]図25に示すように、高温加熱マントル1002と共に金属製反応器底1006を用いた。加熱マントル1002は、高温(最大600℃)に耐えられる内部部品で製造された。図25に示すように、反応器1000は撹拌用のステンレス鋼製撹拌棒1022を含んでいた。さらに、ガラス樹脂製ケトルトップ1004を金属製反応器1000に取り付け、標準の金属製クランプ1008および1018で適所に保持した。反応器フランジとケトルトップとの間の密封剤として高温真空グリースを用いた。さらに、頭部がポリマー製の分岐管1012を使用し、ガラス製のサイドアームに取り付け、次にそれを三角フラスコ/トラップ1010に取り付けた。マントルを反応器底から上げ下げできるように、マントル/反応器構成を半モル重合リグ内に配置した。熱電対1016をEurothermコントローラ1014に取り付け、次いで反応器底1006と加熱マントル1002との間に配置した。この構成の結果、測定温度は反応器外壁の温度であり、内部プラスチック温度ではない。熱伝導は、内部プラスチックが比較的短時間で測定温度に達するような熱伝導だと想定された。最後に、反応器をジャッキ1020に取り付け、反応器を必要に応じて上げ下げできるようにした。
【0468】
[0490]液化工程における熱分解油の生成方法および使用方法は以下のとおりである。まず、供給原料の小部分を反応器に入れ、反応器を窒素置換した。続いて、小部分中のプラスチックを340℃で溶融し、そこで30分間、撹拌せず平衡に保った。その後、反応器内の温度を400℃に上げ、溶融プラスチックをこの温度で1分間保持し、15~18rpmで撹拌して、熱分解油を含む熱分解生成物を生成した。1分間保持した後、混合物を395℃未満に冷却し、大部分(固体形態)を反応器に加えた。理論に束縛されることは望まないが、ポリオレフィン富化流の残りの大部分(すなわち、80%部分)の分解の促進は、小部分によって生成される熱分解生成物(特に熱分解油)からのラジカル活性の増加の効果により説明できると考えられていた。ポリオレフィン富化流の残りの大部分(すなわち、80%部分)を溶融し、反応器内の内容物を冷却し、次に加熱マントルを340℃に設定した。材料の残りの塊を溶かした後、温度を340℃に安定させた。反応器の内容物を340℃で約5分間保持した後、内容物を冷却した。
【0469】
[0491]この実験用構成では、400℃でループから戻る熱分解油流のより高いラジカル活性が、結果として生じる主要なプラスチック塊の熱分解を促進するのか、モーターオイルと同様に希釈剤としてのみ作用するのかを調べようとした。戻る熱分解油流がラジカル活性(開始)の増加によって主要な溶融プラスチック塊の分解を促進する場合、これは必要な熱分解油流の大きさに関係すると考えられる。上記の粗い実験シミュレーションから、また以下の表4に示すように、通常の混合物の粘度は1.2ポアズ(350℃かつ10rad/秒で)に低下した。
【0470】
【表4】
【0471】
[0492]上の表4に示すように、ポリオレフィン富化流の大部分の粘度は1.2ポアズに低下した(350℃および10rad/秒で)。したがって、このことは、初期のポリオレフィン富化流の小部分に由来する熱分解油の存在が、熱分解条件にさらされていない残りのポリオレフィン富化流の液化を促進するのに使用できることを示す。
【0472】
(定義)
[0493]当然のことだが、以下の記述は、定義された用語を排他的に列挙することを意図するものではない。たとえば、文脈で定義された用語の使用を伴う場合など、他の定義が以上の説明で示されている場合がある。
【0473】
[0494]本明細書で使用される場合、「a」、「an」、および「the」という用語は、1またはそれ以上を意味する。
[0495]本明細書で使用される場合、「および(ならびに、かつ)/または(もしくは、あるいは)」という用語は、2つ以上の項目の列挙に用いられる場合、列挙された項目のいずれか1つが単独で用いられてもよく、列挙された項目の2つ以上の任意の組合せが用いられてもよいことを意味する。たとえば、組成物が成分A、B、および/またはCを含むと記載されている場合、組成物はAのみを含んでも、Bのみを含んでも、Cのみを含んでも、AとBの組合せを含んでも、AとCの組合せを含んでも、BとCの組合せを含んでも、AとBとCとの組合せを含んでもよい。
【0474】
[0496]本明細書で使用される場合、「苛性」という用語は、本技術において病原体の死滅、および/または臭いの低減のために洗浄剤として使用可能な任意の塩基性溶液(たとえば、強塩基、濃縮された弱塩基)を指す。
【0475】
[0497]本明細書で使用される場合、「遠心密度分離」という用語は、材料の分離が主に遠心力により引き起こされる密度分離処理を指す。
[0498]本明細書で使用される場合、「化学的再生」という用語は、廃棄物である可塑性重合体を、それ自体が有用かつ/あるいは別の化学的生産方法の供給原料として有用な、より低分子量の重合体、オリゴマー、単量体、および/または非重合性分子(たとえば、水素、一酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、エチレン、およびプロピレン)に化学的に転換する工程を含む廃プラスチックの再生方法を指す。
【0476】
[0499]本明細書で使用される場合、「化学的再生施設」という用語は、廃プラスチックの化学的再生により再生成分品を生産する施設を指す。化学的再生施設は、以下の工程、すなわち(i)前処理、(ii)加溶媒分解、(iii)熱分解、(iv)クラッキング、および/または(v)POXガス化のうちの1つ以上を採用してもよい。
【0477】
[0500]本明細書で使用される場合、「共に設置された」という用語は、少なくとも2つの対象が共有の物理的場所に位置し、かつ/あるいは互いに1マイル(約1.6km)以内にあるという特徴を指す。
【0478】
[0501]本明細書で使用される場合、「含む(備える)」(comprising、comprises、comprise)という用語は、用語の前に記載された主語から、用語の後に記載された1つ以上の要素に繋ぐのに用いられる非限定的な繋ぎの語であり、この繋ぎの語の後に列挙された要素だけが主語を構成する要素であるわけではない。
【0479】
[0502]本明細書で使用される場合、「導通」という用語は、物質のバッチ式および/または連続的輸送を指す。
[0503]本明細書で使用される場合、「クラッキング」という用語は、複雑な有機分子を炭素-炭素結合を壊してより単純な分子に分解することを指す。
【0480】
[0504]本明細書で使用される場合、「D90」という用語は、粒子の分布の90パーセントは特定の直径よりも小さな直径を有し、10パーセントはその特定の直径よりも大きな直径を有する、特定の直径を指す。代表的なD90値を確実に得るためには、試料の量は少なくとも1ポンド(約454g)であるべきである。連続処理における粒子のD90を決めるには、少なくとも24時間にわたって同じ時間間隔で採取された少なくとも5つの試料で試験を行うべきである。D90に関する試験は、高速写真撮影およびコンピュータアルゴリズムを用いて粒径分布を作成して行われる。D90値を決める1つの適切な粒径分析装置は、W.S Tyler社(オハイオ州メンター)のCPA4-1型Computerized Particle Analyzerである。
【0481】
[0505]本明細書で使用される場合、「直径」という用語は粒子の最大弦長(すなわちその最大寸法)を意味する。
[0506]本明細書で使用される場合、「密度分離処理」という用語は、材料のそれぞれの密度に少なくとも部分的に基づいて材料を分離する処理を指す。また、「低密度分離段階」および「高密度分離段階」という用語は相対密度分離処理を指し、低密度分離は高密度分離段階の目標分離密度よりも低い目標分離密度を有する。
【0482】
[0507]本明細書で使用される場合、「貧化」という用語は、基準の材料または流れにおける特定の成分の濃度よりも低いその成分の濃度(乾燥重量基準で)を有することを意味する。
【0483】
[0508]本明細書で使用される場合、「直接的に由来する」という用語は、廃プラスチックに由来する少なくとも1種の物理的成分を有することを指す。
[0509]本明細書で使用される場合、「富化」という用語は、基準の材料または流れにおける特定の成分の濃度よりも高いその成分の濃度(乾燥重量基準で)を有することを意味する。
【0484】
[0510]本明細書で使用される場合、「ハロゲン化物」という用語は、負の電荷を有するハロゲン原子(すなわちハロゲン化物イオン)を含む組成物を指す。
[0511]本明細書で使用される場合、「ハロゲン」という用語は、少なくとも1個のハロゲン原子を含む有機もしくは無機化合物、またはイオン種もしくは元素種を指す。
【0485】
[0512]本明細書で使用される場合、「有する(having、has、have)」という用語は、上記の「含む(備える)」と同じく非限定的な意味を持つ。
[0513]本明細書で使用される場合、「重質有機加メタノール分解副産物」という用語は、DMTの沸点よりも高い沸点を有する加メタノール分解副産物を指す。
【0486】
[0514]本明細書で使用される場合、「重質有機加溶媒分解副産物」という用語は、加溶媒分解設備の主テレフタリル産物の沸点よりも高い沸点を有する加溶媒分解副産物を指す。
【0487】
[0515]本明細書で使用される場合、「含む(including、include、included)」という用語は、上記の「含む(備える)」と同じく非限定的な意味を持つ。
【0488】
[0516]本明細書で使用される場合、「間接的に由来する」は、i)廃プラスチックから生じるが、ii)廃プラスチックに由来する物理的成分を有することに基づかない、指定の再生成分を有することを指す。
【0489】
[0517]本明細書で使用される場合、「単離」という用語は、動状態または静状態で、対象が単独で他の物質から分離されているという特徴を指す。
[0518]本明細書で使用される場合、「軽質有機加メタノール分解副産物」という用語は、DMTの沸点よりも低い沸点を有する加メタノール分解副産物を指す。
【0490】
[0519]本明細書で使用される場合、「軽質有機加溶媒分解副産物」加溶媒分解設備の主テレフタリル産物の沸点よりも低い沸点を有する加溶媒分解副産物を指す。
[0520]本明細書で使用される場合、「加メタノール分解副産物」という用語は、加メタノール分解設備から取り出されたテレフタル酸ジメチル(DMT)でもエチレングリコール(EG)でもメタノールでもない任意の化合物を指す。
【0491】
[0521]本明細書で使用される場合、「混合プラスチック廃棄物」および「MPW」という用語は、たとえば限定されないが以下のプラスチックの種類、すなわちポリエチレンテレフタラート(PET)、1種以上のポリオレフィン(PO)、およびポリ塩化ビニル(PVC)などの少なくとも2種の廃プラスチックの混合物を指す。
【0492】
[0522]本明細書で使用される場合、「溶融供給物」という用語は、実質的に液体の形態であり、かつその溶融温度および/またはガラス転移温度よりも高温に加熱された少なくとも1種の成分を含む実質的に液体である供給物を指す。
【0493】
[0523]本明細書で使用される場合、「溶融廃プラスチック」という用語は、融点および/またはガラス転移点よりも高温に加熱された実質的に液体の形態である廃プラスチックを指す。
【0494】
[0524]本明細書で使用される場合、「部分酸化(POX)ガス化」または「POX」という用語は、炭素含有供給物を合成ガス(一酸化炭素、水素、および二酸化炭素)に高温で転換し、化学量論量未満の酸素の存在下で転換が行われることを指す。POXガス化への供給物は固体、液体、および/または気体を含んでもよい。
【0495】
[0525]本明細書で使用される場合、「部分酸化(POX)反応」という用語は、炭素含有供給物の合成ガスへの転換において部分酸化(POX)ガス化装置内で起こるすべての反応を指し、部分酸化、水性ガスシフト、水性ガス一次反応、ブードア反応、酸化、メタン化、水素改質、蒸気改質、および二酸化炭素改質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0496】
[0526]本明細書で使用される場合、「部分酸化」という用語は、炭素含有供給物を合成ガス(一酸化炭素、水素、および二酸化炭素)に高温で転換し、炭素を完全に酸化させてCO2にするのに必要な化学量論量よりも少ない量の酸素の存在下で転換が行われることを指す。
【0497】
[0527]本明細書で使用される場合、「PET」は、ポリエチレンテレフタラートの単独重合体、あるいは変性剤で変性され、あるいはエチレングリコールおよびテレフタル酸以外の残基または部分、たとえばイソフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ジエチレングリコール、TMCD(2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール)、CHDM(シクロヘキサンジメタノール)、プロピレングリコール、イソソルビド、1,4-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、および/またはNPG(ネオペンチルグリコール)を含む、ポリエチレンテレフタラート、あるいは、テレフタラート繰り返し単位(エチレングリコールに基づく繰り返し単位を含むかどうかには関係なく)ならびにTMCD(2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール)、CHDM(シクロヘキサンジメタノール)、プロピレングリコール、NPG(ネオペンチルグリコール)、イソソルビド、イソフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、および/もしくはジエチレングリコール、またはそれらの組合せの1つ以上の残基または部分を有するポリエステルを指す。
【0498】
[0528]本明細書で使用される場合、「塔頂」という用語は、閉鎖構造内の大量の粒子状プラスチック固体の最大仰角の上にある、構造の物理的位置を指す。
[0529]本明細書で使用される場合、「部分酸化(POX)ガス化設備」または「POX設備」は、廃プラスチックのPOXガス化を行うのに必要なすべての装置、ライン、および制御装置を含む設備を指す。
【0499】
[0530]本明細書で使用される場合、「部分的に処理された廃プラスチック」という用語は、少なくとも1つの自動化あるいは機械化された分別、洗浄、または粉末化工程または処理に供された廃プラスチックを意味する。部分的に処理された廃プラスチックは、たとえば地方自治体の再生施設(MRF)や再生業者に由来してもよい。部分的に処理された廃プラスチックが化学的再生施設に提供される場合、1つ以上の前処理工程を省略してもよい。
【0500】
[0531]本明細書で使用される場合、「PET加溶媒分解」という用語は、ポリエステルテレフタラート含有プラスチック供給物を溶媒の存在下で化学分解し主テレフタリル産物および/または主グリコール産物を形成する反応を指す。
【0501】
[0532]本明細書で使用される場合、「物理的再生」(「機械的再生」としても知られる)という用語は、廃プラスチックを溶融し、溶融プラスチックを新しい中間品(たとえば、ペレットまたはシート)および/または新しい最終製品(たとえば、ビン)に成形する工程を含む廃プラスチック再生方法を指す。一般に、機械的再生方法は、いくらかの分解はあり得るにしても、プラスチックの化学構造は実質的に変えない。
【0502】
[0533]本明細書で使用される場合、「主に」という用語は、50重量パーセントを超えることを意味する。たとえば、主にプロパンである流れ、組成物、供給原料、または生成物は、50重量パーセント超のプロパンを含む流れ、組成物、供給原料、または生成物である。
【0503】
[0534]本明細書で使用される場合、「前処理」という用語は、以下の工程、すなわち(i)粉末化、(ii)粒子化、(iii)洗浄、(iv)乾燥、および/または(v)分離のうち1つ以上を用いて化学的再生用の廃プラスチックを準備することを指す。
【0504】
[0535]本明細書で使用される場合、「熱分解」という用語は、不活性(すなわち、実質的に無酸素)の雰囲気下で1種以上の有機物質を高温で熱分解することを指す。
[0536]本明細書で使用される場合、「熱分解炭」という用語は、200℃かつ1気圧で固体である、熱分解から得られる炭素含有組成物を指す。
【0505】
[0537]本明細書で使用される場合、「熱分解ガス」という用語は、25℃で気体である、熱分解から得られる組成物を指す。
[0538]本明細書で使用される場合、「熱分解重質ワックス」という用語は、熱分解炭でも熱分解ガスでも熱分解油でもない、熱分解から得られるC20以上の炭化水素を指す。
【0506】
[0539]本明細書で使用される場合、「熱分解油」という用語は、25℃かつ1気圧で液体である、熱分解から得られる組成物を指す。
[0540]本明細書で使用される場合、「熱分解残留物」という用語は、熱分解ガスでも熱分解油でもない、主に熱分解炭および熱分解重質ワックスを含む、熱分解から得られる組成物を指す。
【0507】
[0541]本明細書で使用される場合、「再生成分」という用語は、廃プラスチックに直接的かつ/または間接的に由来する組成物であるか、それを含むことを意味する。
[0542]本明細書で使用される場合、「樹脂識別記号」という用語は、プラスチック製品に見られる、その製品の材料であるプラスチック樹脂を識別する記号と関連番号(1~7)のセットを指す。この記号は、元は1988年に米国で開発されたが、2008年からASTMインターナショナルにより実施されている。
【0508】
[0543]本明細書で使用される場合、「樹脂識別記号1」は、ポリエチレンテレフタラート(PET)から作られたプラスチック製品を指す。このようなプラスチック製品としては、ソフトドリンクのビン、ミネラルウォーターのビン、ジュースの容器、および調理用油の容器が挙げられる。
【0509】
[0544]本明細書で使用される場合、「樹脂識別記号2」は、高密度ポリエチレン(HDPE)から作られたプラスチック製品を指す。このようなプラスチック製品としては、ミルクジャグ、洗剤および洗濯用洗剤の容器、シャンプーのビン、ならびに石けんの容器を挙げることができる。
【0510】
[0545]本明細書で使用される場合、「樹脂識別記号3」は、ポリ塩化ビニル(PVC)から作られたプラスチック製品を指す。このようなプラスチック製品としては、果物や菓子のトレー、プラスチック梱包材(気泡緩衝材)、および食品用ラップを挙げることができる。
【0511】
[0546]本明細書で使用される場合、「樹脂識別記号4」は、低密度ポリエチレン(LDPE)から作られたプラスチック製品を指す。このようなプラスチック製品としては、ショッピングバッグ、軽量ビン、および袋を挙げることができる。
【0512】
[0547]本明細書で使用される場合、「樹脂識別記号5」は、ポリプロピレン(PP)から作られたプラスチック製品を指す。このようなプラスチック製品としては、家具、自動車部品、工業用繊維、旅行鞄、および玩具を挙げることができる。
【0513】
[0548]本明細書で使用される場合、「樹脂識別記号6」は、ポリスチレン(PS)から作られたプラスチック製品を指す。このようなプラスチック製品としては、玩具、硬質梱包材、冷蔵庫用トレー、化粧品バッグ、コスチュームジュエリー、CDケース、自動販売機用カップ、クラムシェル型容器を挙げることができる。
【0514】
[0549]本明細書で使用される場合、「樹脂識別記号7」は、樹脂識別記号1~6で定義されたもの以外のプラスチック(アクリル、ポリカルボナート、ポリ乳酸樹脂、ナイロン、ガラス繊維が挙げられるが、これらに限定されない)から作られたプラスチック製品を指す。このようなプラスチック製品としては、ビン、ヘッドライトレンズ、および保護眼鏡を挙げることができる。
【0515】
[0550]本明細書で使用される場合、「分離効率」という用語は、図26で定義される2つ以上の相または成分間の分離度を指す。
[0551]本明細書で使用される場合、「浮沈密度分離」という用語は、材料の分離が主に選択された液体媒体中の浮遊または沈降により引き起こされる密度分離処理を指す。
【0516】
[0552]本明細書で使用される場合、「加溶媒分解」または「エステル加溶媒分解」という用語は、エステル含有供給物が溶媒の存在下で化学分解されて主カルボキシル産物および/または主グリコール産物を形成する反応を指す。加溶媒分解の例としては、加水分解、加アルコール分解、および加アンモニア分解が挙げられる。
【0517】
[0553]本明細書で使用される場合、「加溶媒分解副産物」という用語は、加溶媒分解設備から取り出された、加溶媒分解設備の主カルボキシル(テレフタリル)産物でも、加溶媒分解設備の主グリコール産物でも、加溶媒分解設備に供給される主溶媒でもない任意の化合物を指す。
【0518】
[0554]本明細書で使用される場合、「吹き込み」という用語は、気体状の材料を複数の場所の主に液体である媒体に注入することを指す。
[0555]本明細書で使用される場合、「テレフタリル」という用語は、以下の基を含む分子を指す:
【0519】
【化2】
【0520】
[0556]本明細書で使用される場合、「主テレフタリル」という用語は、加溶媒分解設備から回収される主要または重要なテレフタリル産物を指す。
[0557]本明細書で使用される場合、「グリコール」という用語は、分子あたり2つ以上の-OH官能基を含む成分を指す。
【0521】
[0558]本明細書で使用される場合、「主グリコール」という用語は、加溶媒分解設備から回収される主要なグリコール産物を指す。
[0559]本明細書で使用される場合、「目標分離密度」という用語は、それを超えると密度分離処理に供された材料はより高密度の排出物に優先的に分離され、それを下回ると材料はより低密度の排出物に分離される密度を指す。
【0522】
[0560]本明細書で使用される場合、「廃プラスチック」および「プラスチック廃棄物」という用語は、使用済み、くず、および/または廃棄プラスチック材料を指す。
化学的再生施設に供給される廃棄プラスチックは、未処理または部分的に処理された廃プラスチックであってもよい。
【0523】
[0561]本明細書で使用される場合、「未処理廃プラスチック」という用語は、自動化あるいは機械化された分別、洗浄、または粉末化を一切受けていない廃プラスチックを意味する。未処理廃プラスチックの例としては、家庭用の街頭のプラスチック再生用ゴミ箱や地域で共有されているプラスチック再生用コンテナから回収された廃プラスチックが挙げられる。
【0524】
[0562]本明細書で使用される場合、「少なくとも一部」という語句は、少なくとも一部かつ最大でその量または時間の全体(その全体を含む)を包含する。
[0563]本明細書で使用される場合、「廃プラスチック粒子」という用語は、1インチ(約2.5cm)未満のD90を有する廃プラスチックを指す。
【0525】
[0564]本明細書で使用される場合、「主に」という用語は、何かの総重量基準でその少なくとも50重量パーセントを意味する。たとえば、「主に」成分Aを含む組成物は、組成物の総重量基準で少なくとも50重量パーセントの成分Aを含む。
【0526】
[0565]本明細書で使用される場合、「下流」という用語は、以下のような対象の単位操作、容器、または装置を意味する:
[0566]クラッキング炉の輻射区画からの出口流と、必要に応じて1つ以上の中間の単位操作、容器、または装置を経由して、流体(液体または気体)連通あるいは配管連通しているもの、あるいは
[0567]対象の単位操作、容器、または装置はクラッキング設備(炉およびすべての下流分離装置を含む)のバッテリ境界内に留まるという条件で、クラッキング炉の輻射区画からの出口流と、必要に応じて1つ以上の中間の単位操作、容器、または装置を経由して、流体(液体または気体)連通あるいは配管連通していたもの。
【0527】

開示された実施態様に限定されない特許請求の範囲
[0568]上記の本発明の好ましい形態は、例示としてのみ使用されるべきであり、本発明の範囲を解釈するために限定的な意味で使用されるべきではない。当業者は本発明の精神から逸脱することなく上記の例示的な実施態様に対する変更を容易になし得る。
【0528】
[0569]本発明者らは、以下の特許請求の範囲に記載された発明の文字通りの範囲から実質的に逸脱しないがその範囲外である任意の装置に関連する本発明の合理的に公正な範囲を決定かつ評価するために、均等論に依拠する意図をここに述べる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
【手続補正書】
【提出日】2022-12-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)固体廃プラスチックを液化して液化廃プラスチックを生成すること、
(b)前記液化廃プラスチックにストリッピングガスを吹き込んで多相混合物を生成すること、ならびに
(c)前記多相混合物の液相から気相を脱離させてハロゲン富化気体材料およびハロゲン貧化液化廃プラスチックを提供すること
を含む、廃プラスチックの脱ハロゲン化方法。
【請求項2】
前記ストリッピングガスは、窒素、蒸気、メタン、一酸化炭素、水素、またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記液化は、前記固体廃プラスチックの少なくとも一部を溶融タンクで液化することを含み、前記溶融タンクは200~500℃の温度に維持される、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記溶融タンク外部に熱交換器を含む溶融システムを含み、前記液化は、(i) 前記液化廃プラスチックを循環ループ内の前記溶融タンクおよび前記熱交換器を通して循環させること、ならびに(ii)前記循環ループ内を循環する間、前記液化廃プラスチッ クを前記熱交換器内で加熱することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記吹き込みは、前記熱交換器の下流かつ前記溶融タンクの上流に位置するスパージャーを用いて前記循環ループ内で行われる、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記脱離は、前記スパージャーの下流かつ前記溶融タンクの上流に位置する解離容器を用いて前記循環ループ内で行われる、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記ハロゲン貧化液化廃プラスチックは、100ppmw以下のハロゲン含有量を有する、請求項に記載の方法。
【請求項8】
(a)固体廃プラスチックを溶融タンクに導入すること、
(b)前記溶融タンクから溶融廃プラスチックを取り出して、取り出された溶融廃プラスチックを提供すること、
(c)前記取り出された溶融廃プラスチックの少なくとも一部を熱交換器で加熱して加熱された溶融廃プラスチックを提供すること、および
(d)前記加熱された溶融廃プラスチックからハロゲン富化気体材料を脱離させて、加熱されたハロゲン貧化溶融廃プラスチックを提供すること
を含む、廃プラスチックの脱ハロゲン化方法。
【請求項9】
工程(d)の前記脱離の前に、前記加熱された溶融廃プラスチックにストリッピングガスを吹き込むことをさらに含み、前記ストリッピングガスは、窒素、蒸気、メタン、一酸化炭素、水素、またはそれらの組合せを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記脱離は、前記熱交換器の下流かつ前記溶融タンクの上流に位置する解離容器を用いて循環ループ内で行われる、請求項に記載の方法。
【請求項11】
化学的再生施設が前記加熱されたハロゲン貧化溶融廃プラスチックと流体連通しており、前記化学的再生施設は、部分酸化(POX)ガス化設備、熱分解設備、クラッキング設備、またはそれらの組合せを含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
(a)溶融タンク内で熱分解油を含む少なくとも1種の溶解用溶媒の存在下で固体廃プラスチックを液化して液化廃プラスチックを生成すること、および
(b)前記液化廃プラスチックをハロゲン富化気体材料とハロゲン貧化液化廃プラスチックに分離すること
を含む、廃プラスチックの脱ハロゲン化方法。
【請求項13】
工程(b)の前記分離は、以下の処理、すなわち、
(i)前記液化廃プラスチックにストリッピングガスを吹き込んで多相混合物を生成する処理、および
(ii)取り出された前記溶融廃プラスチックの少なくとも一部を熱交換器で加熱して、加熱された溶融廃プラスチックを提供する処理
のうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
化学的再生施設が前記ハロゲン貧化液化廃プラスチックと流体連通しており、前記化学的再生施設は、部分酸化(POX)ガス化設備、熱分解設備、クラッキング設備、またはそれらの組合せを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
(a)固体廃プラスチックを少なくとも部分的に液化して液化廃プラスチックにする液化システム、
(b)前記液化廃プラスチックの少なくとも一部を受け取り、前記液体廃プラスチックにストリッピングガスを吹き込んで多相混合物を形成するよう構成されたハロゲンストリッパー、ならびに
(c)前記多相混合物を受け取り、前記多相混合物の液相から気相を脱離させてハロゲン富化気体材料およびハロゲン貧化溶融廃プラスチックを提供するよう構成された解離容器
を含む、廃プラスチックの脱ハロゲン化システム。
【請求項16】
前記解離容器は、重力流式の多段トレイ付き容器を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記解離容器は化学的再生施設と流体連通しており、前記化学的再生施設は、部分酸化(POX)ガス化設備、熱分解設備、クラッキング設備、またはそれらの組合せを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
(a)固体廃プラスチックを少なくとも部分的に液化して溶融廃プラスチックにする溶融タンク、
(b)前記溶融廃プラスチックの少なくとも一部を受け取り、前記溶融廃プラスチックの少なくとも一部を加熱して、加熱された溶融廃プラスチックを提供するよう構成された熱交換器、ならびに
(c)前記加熱された溶融廃プラスチックを受け取り、前記加熱された溶融廃プラスチックの液相から気相を脱離させて、ハロゲン富化気体材料およびハロゲン貧化溶融廃プラスチックを提供するよう構成された解離容器
を含む、廃プラスチックの脱ハロゲン化システム。
【請求項19】
前記溶融タンクは連続撹拌タンクを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記加熱された溶融廃プラスチックの少なくとも一部を受け取り、前記加熱された溶融廃プラスチックにストリッピングガスを吹き込んで多相混合物を形成するよう構成されたハロゲンストリッパーをさらに含む、請求項18に記載のシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0528
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0528】
[0569]本発明者らは、以下の特許請求の範囲に記載された発明の文字通りの範囲から実質的に逸脱しないがその範囲外である任意の装置に関連する本発明の合理的に公正な範囲を決定かつ評価するために、均等論に依拠する意図をここに述べる。
本明細書は以下の発明の態様を包含する。
[1] (a)固体廃プラスチックを液化して液化廃プラスチックを生成すること、
(b)前記液化廃プラスチックにストリッピングガスを吹き込んで多相混合物を生成すること、ならびに
(c)前記多相混合物の液相から気相を脱離させてハロゲン富化気体材料およびハロゲン貧化液化廃プラスチックを提供すること
を含む、廃プラスチックの脱ハロゲン化方法。
[2] 前記ストリッピングガスは、窒素、蒸気、メタン、一酸化炭素、水素、またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
[3] 前記液化は、前記固体廃プラスチックの溶融、可塑化、溶解、および/または解重合を含む、請求項1に記載の方法。
[4] 前記液化は、前記固体廃プラスチックの少なくとも一部を溶融タンクで液化することを含み、前記溶融タンクは200~500℃の温度に維持される、請求項1に記載の方法。
[5] 前記吹き込みは前記溶融タンクの外部で行われる、請求項4に記載の方法。
[6] 前記吹き込みは前記溶融タンクの内部で行われる、請求項4に記載の方法。
[7] 前記溶融システムは前記溶融タンク外部に熱交換器をさらに含み、前記液化は、(i)前記液化廃プラスチックを循環ループ内の前記溶融タンクおよび前記熱交換器を通して循環させること、ならびに(ii)前記循環ループ内を循環する間、前記液化廃プラスチックを前記熱交換器内で加熱することを含む、請求項4に記載の方法。
[8] 前記吹き込みは、前記熱交換器の下流かつ前記溶融タンクの上流に位置するスパージャーを用いて前記循環ループ内で行われる、請求項7に記載の方法。
[9] 前記脱離は、前記スパージャーの下流かつ前記溶融タンクの上流に位置する解離容器を用いて前記循環ループ内で行われる、請求項8に記載の方法。
[10] 前記解離容器は、重力流式の多段トレイ付き容器を含む、請求項9に記載の方法。
[11] 前記液化は、少なくとも1種の溶解用溶媒の存在下での前記固体廃プラスチックの溶解を含み、前記溶解用溶媒は熱分解油を含む、請求項1に記載の方法。
[12] 前記ハロゲン貧化液化廃プラスチックおよび/または前記ハロゲン貧化溶融廃プラスチックは、350℃かつ10rad/秒で3,000ポアズ未満の粘度を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
[13] 前記ハロゲン貧化液化廃プラスチックは、100ppmw以下のハロゲン含有量を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
[14] 前記固体廃プラスチックは、少なくとも75重量パーセントの1種以上のポリオレフィンおよび20重量パーセント以下のPETを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
[15] 化学的再生施設が前記ハロゲン貧化液化廃プラスチックと流体連通しており、前記化学的再生施設は、部分酸化(POX)ガス化設備、熱分解設備、クラッキング設備、またはそれらの組合せを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
[16] (a)固体廃プラスチックを溶融タンクに導入すること、
(b)前記溶融タンクから溶融廃プラスチックを取り出して、取り出された溶融廃プラスチックを提供すること、
(c)前記取り出された溶融廃プラスチックの少なくとも一部を熱交換器で加熱して加熱された溶融廃プラスチックを提供すること、および
(d)前記加熱された溶融廃プラスチックからハロゲン富化気体材料を脱離させて、加熱されたハロゲン貧化溶融廃プラスチックを提供すること
を含む、廃プラスチックの脱ハロゲン化方法。
[17] 工程(d)の前記脱離の前に、前記加熱された溶融廃プラスチックにストリッピングガスを吹き込むことをさらに含み、前記ストリッピングガスは、窒素、蒸気、メタン、一酸化炭素、水素、またはそれらの組合せを含む、請求項16に記載の方法。
[18] 前記脱離は、前記熱交換器の下流かつ前記溶融タンクの上流に位置する解離容器を用いて循環ループ内で行われる、請求項16に記載の方法。
[19] 前記解離容器は、重力流式の多段トレイ付き容器を含む、請求項18に記載の方法。
[20] 前記加熱されたハロゲン貧化溶融廃プラスチックは、350℃かつ10rad/秒で3,000ポアズ未満の粘度を有する、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
[21] 前記加熱されたハロゲン貧化溶融廃プラスチックは、100ppmw以下のハロゲン含有量を有する、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
[22] 前記固体廃プラスチックは、少なくとも75重量パーセントの1種以上のポリオレフィンおよび20重量パーセント以下のPETを含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
[23] 化学的再生施設が前記加熱されたハロゲン貧化溶融廃プラスチックと流体連通しており、前記化学的再生施設は、部分酸化(POX)ガス化設備、熱分解設備、クラッキング設備、またはそれらの組合せを含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
[24] (a)溶融タンク内で熱分解油を含む少なくとも1種の溶解用溶媒の存在下で固体廃プラスチックを液化して液化廃プラスチックを生成すること、および
(b)前記液化廃プラスチックをハロゲン富化気体材料とハロゲン貧化液化廃プラスチックに分離すること
を含む、廃プラスチックの脱ハロゲン化方法。
[25] 工程(b)の前記分離は、以下の処理、すなわち、
(i)前記液化廃プラスチックにストリッピングガスを吹き込んで多相混合物を生成する処理、および
(ii)取り出された前記溶融廃プラスチックの少なくとも一部を熱交換器で加熱して、加熱された溶融廃プラスチックを提供する処理
のうちの少なくとも1つを含む、請求項24に記載の方法。
[26] 前記多相混合物の液相から気相を脱離させてハロゲン富化気体材料および前記ハロゲン貧化液化廃プラスチックを提供することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
[27] 前記ハロゲン貧化液化廃プラスチックは、350℃かつ10rad/秒で3,000ポアズ未満の粘度を有する、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
[28] 前記ハロゲン貧化液化廃プラスチックは、100ppmw以下のハロゲン含有量を有する、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
[29] 前記固体廃プラスチックは、少なくとも75重量パーセントの1種以上のポリオレフィンおよび20重量パーセント以下のPETを含む、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
[30] 化学的再生施設が前記ハロゲン貧化液化廃プラスチックと流体連通しており、前記化学的再生施設は、部分酸化(POX)ガス化設備、熱分解設備、クラッキング設備、またはそれらの組合せを含む、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
[31] (a)固体廃プラスチックを少なくとも部分的に液化して液化廃プラスチックにする液化システム、
(b)前記液化廃プラスチックの少なくとも一部を受け取り、前記液体廃プラスチックにストリッピングガスを吹き込んで多相混合物を形成するよう構成されたハロゲンストリッパー、ならびに
(c)前記多相混合物を受け取り、前記多相混合物の液相から気相を脱離させてハロゲン富化気体材料およびハロゲン貧化溶融廃プラスチックを提供するよう構成された解離容器
を含む、廃プラスチックの脱ハロゲン化システム。
[32] 前記解離容器は、重力流式の多段トレイ付き容器を含む、請求項31に記載のシステム。
[33] 前記液化システムは、前記固体廃プラスチックの少なくとも一部を液化するよう構成されたプラスチック溶融システムを含む、請求項31に記載のシステム。
[34] 前記プラスチック溶融システムは、少なくとも1つの溶融タンクを含む、請求項33に記載のシステム。
[35] 前記溶融システムは複数の溶融タンクを含む、請求項31に記載のシステム。
[36] 前記溶融タンクは連続撹拌タンクを含む、請求項31または32に記載のシステム。
[37] 前記解離容器は化学的再生施設と流体連通しており、前記化学的再生施設は、部分酸化(POX)ガス化設備、熱分解設備、クラッキング設備、またはそれらの組合せを含む、請求項31~35のいずれか一項に記載のシステム。
[38] (a)固体廃プラスチックを少なくとも部分的に液化して溶融廃プラスチックにする溶融タンク、
(b)前記溶融廃プラスチックの少なくとも一部を受け取り、前記溶融廃プラスチックの少なくとも一部を加熱して、加熱された溶融廃プラスチックを提供するよう構成された熱交換器、ならびに
(c)前記加熱された溶融廃プラスチックを受け取り、前記加熱された溶融廃プラスチックの液相から気相を脱離させて、ハロゲン富化気体材料およびハロゲン貧化溶融廃プラスチックを提供するよう構成された解離容器
を含む、廃プラスチックの脱ハロゲン化システム。
[39] 前記解離容器は、重力流式の多段トレイ付き容器を含む、請求項38に記載のシステム。
[40] 前記溶融タンクは連続撹拌タンクを含む、請求項38に記載のシステム。
[41] 前記加熱された溶融廃プラスチックの少なくとも一部を受け取り、前記加熱された溶融廃プラスチックにストリッピングガスを吹き込んで多相混合物を形成するよう構成されたハロゲンストリッパーをさらに含む、請求項38に記載のシステム。
[42] 前記解離容器は化学的再生施設と流体連通しており、前記化学的再生施設は、部分酸化(POX)ガス化設備、熱分解設備、クラッキング設備、またはそれらの組合せを含む、請求項38~41のいずれか一項に記載のシステム。
【国際調査報告】