(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-31
(54)【発明の名称】ヒト精巣上体タンパク質4の阻害剤
(51)【国際特許分類】
C07K 5/10 20060101AFI20230524BHJP
A61K 38/08 20190101ALI20230524BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230524BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230524BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20230524BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230524BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230524BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230524BHJP
A61K 38/05 20060101ALI20230524BHJP
A61K 38/06 20060101ALI20230524BHJP
A61K 38/07 20060101ALI20230524BHJP
C07D 303/32 20060101ALI20230524BHJP
C07K 5/06 20060101ALI20230524BHJP
C07K 5/08 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
C07K5/10
A61K38/08
A61P1/04
A61P1/16
A61P15/00
A61P11/00
A61P35/00
A61P35/02
A61K38/05
A61K38/06
A61K38/07
C07D303/32
C07K5/06
C07K5/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563352
(86)(22)【出願日】2021-04-21
(85)【翻訳文提出日】2022-11-15
(86)【国際出願番号】 US2021028343
(87)【国際公開番号】W WO2021216670
(87)【国際公開日】2021-10-28
(32)【優先日】2020-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】508146307
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ ロチェスター
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100196966
【氏名又は名称】植田 渉
(72)【発明者】
【氏名】シン,ラケシュ
(72)【発明者】
【氏名】ムーア,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】キム,キュ クァン
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA16
4C084BA23
4C084BA32
4C084CA59
4C084NA14
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZA661
4C084ZA662
4C084ZA751
4C084ZA752
4C084ZA811
4C084ZA812
4C084ZB261
4C084ZB262
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA11
4H045BA12
4H045BA13
4H045EA20
4H045FA10
(57)【要約】
本開示は、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)の阻害による医学的障害の治療で使用するための化合物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】
又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体であって、
式中、
Xが、O、-CH
2-、N(R
6)、及びSから選択され、
Yが、S、S(=Z)、及びS(=Z)
2から選択され、
Zが、O、S、及びNR
7から選択され、
m、n、及びoが、独立して、0又は1であり、
R
1が、水素又はC
1~C
6アルキルであり、
R
2、R
3、R
4、及びR
5が、独立して、各出現において、H、C
1~C
6アルキル、アリール(C
0~C
6アルキル)、及びヘテロアリール(C
0~C
6アルキル)から選択され、前記R
2、R
3、R
4、及びR
5の各々が、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ケトン、ニトロ、シアノ、アジド、シリル、スルホ-オキソ、スルホニル、スルホニルアミノ、スルホン、スルホキシド、及びチオールから選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されてもよく、
R
6が、H又はC
1~C
6アルキルから選択され、
R
7が、H、任意選択的に置換されたC
1~C
6アルキル、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたヘテロアリール、-OR
8及び-NR
9R
10から選択され、
R
8が、H、任意選択的に置換されたC
1~C
6アルキル、任意選択的に置換されたアリール、及び任意選択的に置換されたヘテロアリールから選択され、
R
9及びR
10が、各々独立して、各出現において、H、任意選択的に置換されたC
1~C
6アルキル、任意選択的に置換されたアリール、及び任意選択的に置換されたヘテロアリールから選択される、化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体。
【請求項2】
前記化合物が、式IIのもの、
【化2】
又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Yが、Sである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
Yが、S(=O)である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項5】
Yが、S(=O)
2である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項6】
Xが、Oである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R
1が、C
1~C
6アルキルである、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
R
1が、メチルである、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
R
2が、任意選択的に置換されたC
1~C
6アルキルである、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
R
2が、-CH
2-CH(CH
3)
2である、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
mが、1である、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
R
3が、任意選択的に置換されたアリール(C
0~C
6アルキル)である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
R
3が、-CH
2-(フェニル)である、請求項11又は12に記載の化合物。
【請求項14】
mが、0である、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
nが、1である、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
R
4が、任意選択的に置換されたC
1~C
6アルキルである、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
R
4が、-CH
2-CH(CH
3)
2である、請求項15又は16に記載の化合物。
【請求項18】
nが、0である、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
oが、1である、請求項1~18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
R
5が、任意選択的に置換されたアリール(C
0~C
6アルキル)である、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
R
5が、-CH
2-CH
2-(フェニル)である、請求項19又は20に記載の化合物。
【請求項22】
oが、0である、請求項1~18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
前記化合物が、
【化3-1】
【化3-2】
又はそれらの薬学的に許容される塩若しくは誘導体から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
前記化合物が、
【化4】
又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体である、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体を、薬学的に許容される担体中に含む、薬学的組成物。
【請求項26】
がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、治療有効量の請求項1~24のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体を投与することを含む、方法。
【請求項27】
前記がんが、がん腫又は肉腫から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記がんが、卵巣がん、子宮内膜がん、乳がん、肺がん、又は精巣がんから選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記がんが、難治性がんである、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記がんが、免疫原性のあるがんである、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記免疫原性のあるがんが、悪性黒色腫及び腎細胞がん、マントル細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、T細胞性急性リンパ芽球性白血病、バーキットリンパ腫、骨髄腫、免疫細胞腫、急性前骨髄球性白血病、慢性骨髄性/急性リンパ芽球性白血病、急性白血病、B細胞急性リンパ芽球性白血病、未分化大細胞白血病、骨髄異形成症候群/急性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病(AML)、一般的(common)(pre-B)急性リンパ性白血病、悪性黒色腫、T細胞リンパ腫、白血病、B細胞リンパ腫、上皮性悪性腫瘍、リンパ性悪性腫瘍、婦人科がん、胆管腺がん、及び導管腺がんから選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
炎症性障害の治療を必要とする対象において炎症性障害を治療する方法であって、治療有効量の請求項1~24のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体を投与することを含む、方法。
【請求項33】
臓器線維症の治療を必要とする対象において臓器線維症を治療する方法であって、治療有効量の請求項1~24のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体を投与することを含む、方法。
【請求項34】
前記臓器線維症が、腎線維症、肺線維症、肝硬変、心内膜心筋線維症、クローン病、肝線維症、心臓線維症、強皮症、又は進行性塊状線維症から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
不妊症の治療を必要とする対象において不妊症を治療する方法であって、治療有効量の請求項1~24のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体を投与することを含む、方法。
【請求項36】
請求項1~24のいずれか一項に記載の化合物が、1つ以上の追加の療法と併用して投与される、請求項26~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記1つ以上の追加の療法が、放射線療法、手術、化学療法、又は1つ以上のチェックポイント阻害剤から選択される、請求項36に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年4月21日に出願された米国仮出願第63/013,227号の優先権の利益を主張するものであり、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、医学的障害の治療のための化合物に関し、より具体的には、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)を阻害する化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)は、ノーザンブロット分析及びインサイチュー転写産物ハイブリダイゼーションを使用して、遠位精巣上体の上皮において特定された(Kirchhoff et al.,1991 Biol Reprod,45:350-357)。RNAドットブロット、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)及びノーザンブロット分析を使用したその後の研究は、HE4 RNA発現が広範囲に及ぶことを示唆した(Clauss et al,2002 Biochem J,368:233-242)。比較ゲノムハイブリダイゼーション及びインシリコ染色体クラスタリングを使用した以前の研究は、ヒト染色体20ql2-13.2が、卵巣がんにおいて一貫して増幅され、疾患の病因において因果的役割を果たし得る遺伝子を保有することを報告した。この領域は、ホエー酸性タンパク質(WAP)に相同性がある14個の遺伝子のクラスターを含有する。これらの遺伝子の中で、HE4は、卵巣がん及び子宮内膜がん並びにある特定の形態の乳がんにおいて過剰発現される。HE4タンパク質の発現は、正常なヒト組織では非常に制限されており、生殖器官の上皮に、また近位気道の呼吸上皮に限定されている。悪性新生物では、遺伝子発現プロファイリングは、卵巣のがんにおけるHE4のアップレギュレーションを一貫して特定している(Wang et al,1999 Gene,229:101-108;Hough CD et al,2000 Cancer Res,60:6281-6287;Gilks CB et al.,2005 Gynecol Oncol,96:684-694)。
【0004】
悪性腫瘍組織では、HE4は上皮性卵巣がんのバイオマーカーと見なされている(WO2007/081768、WO2007/081767、Moore RG et al,2008 Gynecologic Oncology,1 10:196-201、Moore RG et al.,2009 Gynecologic Oncology 1 12:40-46)。同様に、子宮体部の悪性腫瘍もまた、HE4に対して陽性である(Drapkin R et al,2005 Cancer Res,65:2162-2169)。HE4は、他のミュラー管腫瘍についてのマーカーでもある。細胞株の研究では、分泌されたHE4は、内因性HE4 RNAを発現する卵巣又は子宮内膜がんの細胞株(例えば、CaOV-3、ECC-1、OVCAR-3及びOVCAR5)において見られた。細胞内免疫蛍光研究では、HE4が、細胞表面上及び小胞体若しくはゴルジ装置細胞小器官などの細胞質の領域に分布していることが明かになった(Drapkin R et al.,2005 Cancer Res,65:2162-2169)。
【0005】
2012年には、報告を必要としない上皮内がん並びに基底及び扁平細胞皮膚がんの症例を除き、150万を超える新しいがんの症例が診断された。がん並びに他の医学的障害に対する新しい治療法を開発する明確な必要性がある。
【発明の概要】
【0006】
開示された材料及び方法の目的によれば、本明細書で具現化され、概括的に説明されているように、開示された主題は、一態様では、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)の阻害剤である化合物、並びにがん、炎症性障害、又は臓器線維症などの医学的障害の治療におけるそれらの使用に関する。
【0007】
したがって、一態様では、式Iの化合物、
【化1】
又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体が提供され、全ての変数は、本明細書に定義されるとおりである。
【0008】
式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体を薬学的に許容される担体中に含む薬学的組成物も提供される。
【0009】
式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体を投与することを含む、例えば、がん又は炎症性障害などの医学的障害の治療のための方法も提供される。いくつかの実施形態では、医学的障害は、HE4の阻害によって治療され得る医学的障害である。
【0010】
本開示の1つ以上の実施形態の詳細は、添付及び以下の説明に記載されている。本開示の他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】DMSO又はUR238(0.5又は2μM)で処置されたSKOV-3卵巣がん細胞におけるHE4発現レベルを示す。UR238は、SKOV-3細胞におけるHE4発現を阻害した。
【
図2】DMSO又はUR238(0.1、1.0、又は10μM)で処置されたECC-1子宮内膜がん細胞の培地中で分泌されたHE4レベルを示す。UR238は、ECC-1細胞からのHE4分泌を阻害した。
【
図3】ビヒクル又はUR238で言及された監視日数を超えて処置されたNSGマウスにおいてSKOV-3SH1卵巣がん細胞由来の異種移植片の腫瘍体積(mm
3)を示す。UR238は、卵巣がん細胞由来の異種移植片の増殖を阻害した。
【
図4】ビヒクル又はUR238で言及された監視日数を超えて処置されたNSGマウスにおいてAN3CA子宮内膜のがん細胞由来の異種移植片の腫瘍体積(mm
3)を示す。Ur238は、子宮内膜のがん細胞由来の異種移植片の増殖を阻害した。
【
図5】マウスにおいてビヒクル又はUR238で処置されたAN3CA細胞由来の異種移植片腫瘍の画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
様々な図面における同様の参照記号は、同様な要素を示す。
【0013】
本開示の以下の説明は、現在知られている最良の実施形態における開示の有効な教示として提供される。この目的を達成するために、関連技術分野における当業者は、本開示の有益な結果を依然として得ながら、本明細書に記載の本発明の様々な実施形態に対して多くの変化を行うことができことを認識及び理解されよう。また、本開示の所望の利益のいくつかが、他の特徴を利用することなく、本開示の特徴のいくつかを選択することによって得ることができることも明らかであろう。したがって、当該技術分野で働く人であれば、本開示に対する多くの修正及び適応が可能であり、特定の状況では更に望ましい場合もあり、本開示の一部である。したがって、以下の説明は、本開示の原理の例示として提供されるものであり、それらの限定として提供されない。
【0014】
定義
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味を有する。以下の定義は、本明細書で使用される用語を完全に理解するために提供されている。
【0015】
本明細書及び本願の特許請求の範囲で使用されている単数形「a」、「an」及び「the」は、そうでないことが文脈から明確に示されていない限り、複数への言及を含む。例えば、「薬剤(an agent)」という用語は、複数の薬剤を含み、それらの混合物を含む。
【0016】
本明細書で使用されるとき、「してもよい(may)」、「任意選択的に(optionally)」及び「任意選択的にしてもよい」という用語は、互換的に使用され、その状態が発生しない場合のみならず、その状態が発生する場合も含むことを意味する。したがって、例えば、製剤が「賦形剤を含んでもよい」という記載は、製剤が賦形剤を含まない場合のみならず、製剤が賦形剤を含む場合も含むことを意味する。
【0017】
対象への「投与」には、対象へ薬剤を導入又は送達する任意の経路が含まれる。投与は、経口、局所、静脈内、皮下、経皮的(transcutaneous)、経皮吸収(transdermal)、筋肉内、関節内、非経口、細動脈内、皮内、心室内、頭蓋内、腹腔内、病巣内、鼻腔内、直腸、膣、吸入による、移植されたリザーバー(implanted reservoir)を介して、非経口(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、関節滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、腹腔内、肝臓内、病巣内及び頭蓋内注射又は注入技法)などを含む、任意の好適な経路によって行うことができる。本明細書で使用される「併用投与」、「組み合わせでの投与」、「同時投与」又は「同時に投与された」とは、同じ時点で、又は本質的に互いに直後に化合物が投与されることを意味する。後者の場合、2つの化合物は、同じ時点で化合物を投与した場合に達成される結果と観察された結果が、区別がつかないほど十分に近い時点で投与される。「全身投与」とは、例えば、循環系又はリンパ系への入口を通じて、対象の身体の広範な領域(例えば、身体の50%超)に薬剤を導入又は送達する経路を介して、薬剤を対象に導入又は送達することを指す。これに対して、「局所投与」とは、投与点の領域又は投与点に直接隣接した領域に薬剤を導入又は送達し、治療的に有意な量で薬剤を全身的には導入しない経路を介して、薬剤を対象に導入又は送達することを指す。例えば、局所的に投与された薬剤は、投与点の局所的近傍では容易に検出可能であるが、対象の身体の遠位部分では検出できないか、又は無視できる量で検出可能である。投与には、自己投与及び他者による投与が含まれる。
【0018】
本明細書で使用される場合、「有益な薬剤」及び「活性薬剤」という用語は、有益な生物学的効果を有する化学化合物又は組成物を指すために互換的に使用される。有益な生物学的効果には、治療効果、すなわち、障害又は他の望ましくない生理学的状態の治療、及び予防効果、すなわち、障害又は他の望ましくない生理学的状態の予防の両方が含まれる。これらの用語はまた、塩、エステル、アミド、プロドラッグ、活性代謝産物、異性体、フラグメント、類似体などを含むがこれらに限定されない、本明細書に具体的に挙げられている有益な薬剤の医薬的に許容される、薬理学的に活性な誘導体も包含する。「有益な薬剤」又は「活性薬剤」という用語が使用される場合、又は特定の薬剤が具体的に特定されている場合、その用語は、その薬剤自体の他に、医薬的に許容される、薬理学的に活性な塩、エステル、アミド、プロドラッグ、コンジュゲート、活性代謝産物、異性体、フラグメント、類似体なども含むことを理解されたい。
【0019】
本明細書で使用される場合、対象の「治療すること」又は「治療」という用語は、疾患若しくは障害、又は疾患若しくは障害の症状を治す、癒す、軽減する、緩和する、変更する、修復する、寛解させる、改善する、安定させる、又は影響を与える目的での対象への薬物の投与を含む。「治療すること」及び「治療」という用語はまた、症状の重症度及び/又は頻度の低減、症状及び/又は根底にある原因の排除、並びに損傷の改善若しくは修復を指す。
【0020】
本明細書で使用される場合、対象における障害又は不必要な生理学的事象を「予防すること」という用語は、具体的には、症状及び/又は根底にある原因の発生の予防を指し、対象は、疾患又は事象に対する感受性の上昇を呈する場合も呈さない場合もある。
【0021】
治療薬の「有効量」という用語は、所望の効果を提供するための、毒性はないが十分な量の有益な薬剤を意味する。「有効」である有益な薬剤の量は、被験体の年齢及び全身状態、並びに個別の1種類又は複数種類の有益な薬剤などに応じて、被験体ごとに異なるであろう。したがって、厳密な「有効量」を特定することは必ずしも可能ではない。しかしながら、いかなる対象の場合であっても、適切な「有効量」は、日常的な実験を用いて、当業者によって決定されてもよい。また、本明細書で使用される場合、別途具体的に述べられていない限り、有益な薬剤の「有効量」はまた、治療有効量及び予防有効量の両方をカバーする量を指すことができる。
【0022】
治療効果を達成するために必要な薬物の「有効量」は、対象の年齢、性別及び体重などの要因によって異なってもよい。投与レジメンは、最適な治療反応を提供するように調整することができる。例えば、数回に分けた用量を毎日投与してもよく、又は治療状況の緊急性によって示されるように用量を比例的に減らしてもよい。
【0023】
本明細書で使用される場合、治療薬の「治療有効量」とは、所望の治療結果を達成するために有効な量を指し、治療薬の「予防有効量」とは、望ましくない生理学的状態を予防するために有効な量を指す。所与の治療薬の治療有効量及び予防有効量は、通常、治療される障害又は疾患の種類及び重症度、並びに被験体の年齢、性別及び体重などの要因に関して異なるであろう。「治療有効量」という用語はまた、所望の治療効果を促進するために有効な、治療薬の量又は治療薬の放出速度(例えば、経時的な量)を指すこともできる。正確な所望の治療効果は、治療されるべき状態、被験体の耐性、投与されるべき薬物及び/又は薬物製剤(例えば、治療薬(薬物)の効力、製剤中の薬物の濃度など)、並びに当業者によって認識される様々な他の要因に応じて異なるであろう。
【0024】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語に関し、「薬学的に許容される」コンポーネントは、生物学的に又は他の点で望ましくないものではないコンポーネントを指すものであり得る。すなわち、そのコンポーネントは、いずれの重大な望ましくない生物学的作用も引き起こすことなく、かつ、それが含まれる製剤中のいずれの他のコンポーネントとも有害な形で相互作用することなく、本発明の医薬製剤に含有させ、本明細書に記述したように対象に投与することができる。「薬学的に許容される」という用語が賦形剤を指すために使用される場合、一般に、そのコンポーネントが毒性試験及び製造試験において要求される基準を満たしていること又はそのコンポーネントが米国食品医薬品局が作成する不活性成分ガイドに掲載されていることを、黙示的に意味する。
【0025】
「医薬的に許容される担体」(「担体」と呼ばれることもある)とは、一般的に安全かつ無毒である薬学的組成物若しくは治療用組成物を調製するのに有用な担体又は賦形剤を意味し、獣医学的用途及び/又はヒト医薬用途若しくは治療用途に許容される担体を含む。「担体」又は「薬学的に許容される担体」という用語は、リン酸緩衝生理食塩水、水、エマルジョン(油/水エマルジョン若しくは水/油エマルジョンなど)及び/又は様々な種類の湿潤剤を含み得るが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「担体」という用語は、任意の賦形剤、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、可溶化剤、脂質、安定剤、又は医薬製剤で使用するために当該技術分野で周知であり、本明細書で更に説明されるような他の材料を包含するが、これらに限定されない。
【0026】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」は、親化合物が、その無機及び有機の無毒の酸若しくは塩基付加塩を作製することによって修飾される、開示された化合物の誘導体である。本化合物の塩は、慣用の化学的方法によって塩基性又は酸性部分を含有する親化合物から合成することができる。一般に、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸形態を、化学両論的量の適切な塩基(例えば、Na、Ca、Mg、又はKの水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩など)と反応させることによって、又はこれらの化合物の遊離塩基形態を、化学両論的量の適切な酸と反応させることによって調製することができる。そのような反応は、典型的には、水中又は有機溶媒中、又はそれら2つの混合物中で行われる。一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、又はアセトニトリルのような非水性媒体が、実行可能な場合には典型的である。本化合物の塩は、化合物及び化合物の塩の溶媒和物を更に含む。
【0027】
薬学的に許容され得る塩の例としては、アミンなどの塩基性残基の鉱酸又は有機酸塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリ又は有機塩などが挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容され得る塩には、例えば、無毒の無機酸又は有機酸から形成された親化合物の慣用の無毒な塩及び四級アンモニウム塩が含まれる。例えば、慣用の無毒な酸の塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸に由来する塩、並びに、例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、メシル酸、エシル酸、ベシル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、HOOC-(CH2)n-COOH(式中、nは0~4である)などの有機酸から調製される塩、又は同じ対イオンを生成する異なる酸を使用する塩が挙げられる。追加の好適な塩は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,p.1418(1985)で見出すことができる。
【0028】
また、本明細書で使用されるとき、「薬理学的に活性な」誘導体又は類似体という表現におけるような「薬理学的に活性な」(又は単に「活性な」)という用語は、誘導体又は類似体(例えば、塩、エステル、アミド、コンジュゲート、代謝産物、異性体、フラグメントなど)であって、親化合物と同一の種類の薬理活性を有し、かつ、その程度において近似的に同等であるものを指すことができる。
【0029】
本明細書で使用されるとき、「対象」又は「宿主」という用語は、哺乳動物などの生物を指し、ヒト、家畜、イヌ、ネコ及び他の哺乳動物が挙げられるが、これらに限定されない。治療薬の投与は、対象の治療に有効な投薬量及び期間で行うことができる。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
【0030】
化学的定義
本明細書で使用されるとき、「組成物」という用語は、指定された量の指定された成分を含む生成物、並びに指定された量の指定された成分の組み合わせから直接的又は間接的に得られる任意の生成物を包含することを意図している。
【0031】
組成物中の特定の要素又は構成成分の重量部に対する本明細書及び結びの特許請求の範囲における参照は、重量部が表される組成物又は物品中の要素又は構成成分と任意の他の要素又は構成成分との間の重量関係を示す。したがって、2重量部の構成成分X及び5重量部の構成成分Yを含有する混合物において、X及びYは、2:5の重量比で存在し、追加の構成成分が混合物中に含有されているかどうかに関わらず、そのような比で存在する。
【0032】
構成成分の重量パーセント(重量%)は、具体的に相反する記述がない限り、構成成分が含まれる配合物又は組成物の総重量に基づく。
【0033】
本明細書で使用される場合、「置換された」という用語は、有機化合物の全ての許容される置換基を含むことが意図される。広義の態様では、許容される置換基には、有機化合物の非環式及び環式、分岐及び非分岐、炭素環式及び複素環式、並びに芳香族及び非芳香族置換基が挙げられる。例示的な置換基には、例えば、以下に記載されるものが挙げられる。許容される置換基は、適切な有機化合物に対して1つ以上、また、同一若しくは異なり得る。本開示の目的のためには、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基及び/又は本発明に記載している有機化合物に許容される任意の置換基であって、ヘテロ原子の原子価を満たすものを有し得る。本発明は、いかなる場合においても、有機化合物の許容される置換基によって限定されることはない。また、「置換」又は「で置換された」という用語は、そのような置換が、置換された原子及び置換基の許容される原子価に従うこと、また置換が、安定な化合物、例えば、転位、環化、脱離などによって自発的に変換を経験しない化合物をもたらすことの暗黙の条件を含む。
【0034】
本明細書で使用される「脂肪族」という用語は、非芳香族炭化水素基を指し、分岐及び非分岐のアルキル、アルケニル、又はアルキニル基を含む。
【0035】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、1~24個の炭素原子の分岐若しくは非分岐の飽和炭化水素基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、へプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシルなどである。アルキル基はまた、置換若しくは非置換であり得る。アルキル基は、以下に記載されるように、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールアルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ケトン、ニトロ、シリル、スルホ-オキソ、スルホニル、スルホン、スルホキシド、又はチオールが挙げられるが、これらに限定されない、1つ以上の基で置換され得る。本明細書で使用される場合、「ペルフルオロアルキル」は、基上の各水素置換基がフッ素原子で置換されている、本明細書に記載されるアルキル基である。「ペルフルオロアルキル」基の代表的であるが非限定的な例としては、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、又はヘプタデカフルオロオクチルが挙げられる。
【0036】
記号Anは、単に以下の定義における一般的な置換基として本明細書で使用される。
【0037】
本明細書で使用される「アルコキシ」という用語は、単一の末端エーテル結合を介して結合されたアルキル基であり、すなわち、「アルコキシ」基は、-OA1(式中、A1は上記で定義された通りである)として定義され得る。
【0038】
本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有する構造式を伴う2~24個の炭素原子の炭化水素基である。(A1A2)C=C(A3A4)などの非対称構造は、E及びZ異性体の両方を含めることを意図している。これは、非対称アルケンが存在する本明細書の構造式において推測することができるか、又は結合記号C=Cによって明確に示され得る。アケニル基は、以下に記載されるように、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールアルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ケトン、ニトロ、シリル、スルホ-オキソ、スルホニル、スルホン、スルホキシド、又はチオールが挙げられるが、これらに限定されない、1つ以上の基で置換され得る。
【0039】
本明細書で使用される「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含有する構造式を伴う2~24個の炭素原子の炭化水素基である。アルキニル基は、以下に記載されるように、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールアルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ケトン、ニトロ、シリル、スルホ-オキソ、スルホニル、スルホン、スルホキシド、又はチオールが挙げられるが、これらに限定されない、1つ以上の基で置換され得る。
【0040】
本明細書で使用される「アリール」という用語は、ベンゼン、ナフタレン、フェニル、ビフェニル、フェノキシベンゼンなどが挙げられるが、これらに限定されない、任意の炭素ベースの芳香族基を含有する基である。「ヘテロアリール」という用語は、芳香族基の環内に組み込まれた少なくとも1つのヘテロ原子を有する芳香族基を含有する基として定義される。ヘテロ原子の例としては、窒素、酸素、硫黄、及びリンが挙げられるが、これらに限定されない。「アリール」という用語に含まれる「非ヘテロアリール」という用語は、ヘテロ原子を含有しない芳香族基を含有する基と定義する。アリール及びヘテロアリール基は、置換若しくは非置換であり得る。アリール及びヘテロアリール基は、以下に記載されるように、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールアルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ケトン、ニトロ、シリル、スルホ-オキソ、スルホニル、スルホン、スルホキシド、又はチオールが挙げられるが、これらに限定されない、1つ以上の基で置換され得る。「ビアリール」という用語は、特定の種類のアリール基であり、アリールの定義に含まれる。ビアリールは、ナフタレンの場合のように縮合環構造を介して一緒に結合されるか、又はビフェニルの場合のように1つ以上の炭素-炭素結合を介して連結される2つのアリール基を指す。
【0041】
本明細書で使用される「シクロアルキル」という用語は、少なくとも3つの炭素原子から構成される非芳香族炭素ベースの環である。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。「ヘテロシクロアルキル」という用語は、環の炭素原子のうちの少なくとも1つが、窒素、酸素、硫黄、又はリンが挙げられるが、これらに限定されないヘテロ原子で置換されている、上記で定義されたシクロアルキル基である。シクロアルキル基及びヘテロシクロアルキル基は、置換若しくは非置換であり得る。シクロアルキル基及びヘテロシクロアルキル基は、以下に記載されるように、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールアルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ケトン、ニトロ、シリル、スルホ-オキソ、スルホニル、スルホン、スルホキシド、又はチオールが挙げられるが、これらに限定されない、1つ以上の基で置換され得る。
【0042】
本明細書で使用される「シクロアルケニル」という用語は、少なくとも3つの炭素原子から構成され、少なくとも1つの二重結合、すなわち、C=Cを含有する非芳香族炭素ベースの環である。シクロアルケニル基の例としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。「ヘテロシクロアルケニル」という用語は、環の炭素原子のうちの少なくとも1つが、窒素、酸素、硫黄、又はリンが挙げられるが、これらに限定されないヘテロ原子で置換されている、上記で定義されたある種のシクロアルキル基である。シクロアルケニル基及びヘテロシクロアルケニル基は、置換若しくは非置換であり得る。シクロアルケニル基及びヘテロシクロアルケニル基は、以下に記載されるように、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールアルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ケトン、ニトロ、シリル、スルホ-オキソ、スルホニル、スルホン、スルホキシド、又はチオールが挙げられるが、これらに限定されない、1つ以上の基で置換され得る。
【0043】
「環式基」という用語は、アリール基、非アリール基(すなわち、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、及びヘテロシクロアルケニル基)、又はその両方のいずれかを指すように本明細書で使用される。環式基は、置換又は非置換であり得る1つ以上の環系を有する。環式基は、1つ以上のアリール基、1つ以上の非アリール基、又は1つ以上のアリール基と1つ以上の非アリール基とを含有し得る。
【0044】
本明細書で使用される「アルデヒド」という用語は、式-C(O)Hによって表される。本明細書の全体を通して、「C(O)」は、C=Oの略記である。
【0045】
本明細書で使用される「アミン」又は「アミノ」という用語は、式NA1A2A3によって表され、式中、A1、A2、及びA3は、独立して、上述したアルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、又はヘテロシクロアルケニル基であり得る。
【0046】
本明細書で使用される「カルボン酸」という用語は、式-C(O)OHによって表される。本明細書で使用される「カルボキシレート」という用語は、式-C(O)O-によって表される。
【0047】
本明細書で使用される「エステル」という用語は、式-OC(O)A1又は-C(O)OA1によって表され、式中、A1は、上述したアルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、又はヘテロシクロアルケニル基であり得る。
【0048】
本明細書で使用される「エーテル」という用語は、式A1OA2によって表され、式中、A1及びA2は、独立して、上述したアルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、又はヘテロシクロアルケニル基であり得る。
【0049】
本明細書で使用される「ケトン」という用語は、式A1C(O)A2によって表され、式中、A1及びA2は、独立して、上述したアルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、又はヘテロシクロアルケニル基であり得る。
【0050】
本明細書で使用される「ハロゲン化物」という用語は、ハロゲンのフッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を指す。
【0051】
本明細書で使用される「ヒドロキシル」という用語は、式-OHによって表される。
【0052】
本明細書で使用される「ニトロ」という用語は、式-NO2によって表される。
【0053】
本明細書で使用される「シアノ」という用語は、式-CNによって表される。
【0054】
本明細書で使用される「アジド」という用語は、式-N3によって表される。
【0055】
「スルホニル」という用語は、式-S(O)2A1によって表され、式中、A1は、水素、上述したアルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、又はヘテロシクロアルケニル基であり得る。
【0056】
本明細書で使用される「スルホニルアミノ」又は「スルホニルアミド」という用語は、式-S(O)2NH2によって表される。
【0057】
本明細書で使用される「チオール」という用語は、式-SHによって表される。
【0058】
本明細書に提供される化合物が、キラル中心を含有し得ることを理解するべきである。そのようなキラル中心は、(R-)又は(S-)配置のいずれかのものであり得る。本明細書に提供される化合物は、エナンチオマーとして純粋であり得るか、又はジアステレオマー若しくはエナンチオマー混合物のいずれかであり得る。本明細書に提供される化合物のキラル中心が、インビボでエピマー化を受け得ることを理解するべきである。したがって、当業者は、化合物のその(R-)型での投与が、インビボでエピマー化を受ける化合物の場合、化合物のその(S-)型での投与と同等であることを認識するであろう。
【0059】
本明細書で使用される場合、実質的に純粋とは、薄層クロマトグラフィー(TLC)、核磁気共鳴(NMR)、ゲル電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及び質量分析法(MS)、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC-MS)、並びにそのような純度を評価するために当業者によって使用される類似のものなどの標準的な方法によって決定される容易に検出可能な不純物を含まないように見えるのに十分に均一であることを意味し、又は更なる精製が、物質の酵素的及び生物学的活性などの物理的及び化学的特性を検出できるほど変化させないように十分に純粋であることを意味する。実質的に化学的に純粋な化合物を生成するための化合物の精製の伝統的方法及び現代的方法の両方が、当業者には知られている。しかしながら、実質的に化学的に純粋な化合物は、立体異性体の混合物であり得る。
【0060】
特段の記載がない限り、実線のみで示され、くさび形若しくは点線として示されていない化学結合を有する式は、可能な各異性体、例えば、各エナンチオマー、ジアステレオマー、及びメソ化合物、並びにラセミ若しくはスケールミック(scalemic)混合物などの異性体の混合物を意図する。
【0061】
化合物
一態様では、式Iの化合物
【化2】
又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体が提供され、
式中、
Xは、O、-CH
2-、N(R
6)、及びSから選択され、
Yは、S、S(=Z)、及びS(=Z)
2から選択され、
Zは、O、S、及びNR
7から選択され、
m、n、及びoは、独立して、0又は1であり、
R
1は、H又はC
1~C
6アルキルであり、
R
2、R
3、R
4、及びR
5は、独立して、各出現において、H、C
1~C
6アルキル、アリール(C
0~C
6アルキル)、及びヘテロアリール(C
0~C
6アルキル)から選択され、このR
2、R
3、R
4、及びR
5の各々は、本明細書で定義される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されてもよく、
R
6は、H又はC
1~C
6アルキルから選択され、
R
7は、H、任意選択的に置換されたC
1~C
6アルキル、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたヘテロアリール、-OR
8及び-NR
9R
10から選択され、
R
8は、H、任意選択的に置換されたC
1~C
6アルキル、任意選択的に置換されたアリール、及び任意選択的に置換されたヘテロアリールから選択され、
R
9及びR
10は、各々独立して、各出現において、H、任意選択的に置換されたC
1~C
6アルキル、任意選択的に置換されたアリール、及び任意選択的に置換されたヘテロアリールから選択される。
【0062】
式Iのいくつかの実施形態では、XはOである。式Iのいくつかの実施形態では、Xは-CH2-である。式Iのいくつかの実施形態では、XはN(R6)、例えば、NH又はN(CH3)である。式Iのいくつかの実施形態では、XはSである。
【0063】
式Iのいくつかの実施形態では、YはSである。式Iのいくつかの実施形態では、YはS(=Z)、例えば、S(=O)又はS(=NR7)である。式Iのいくつかの実施形態では、YはS(=Z)2、例えば、S(=O)2又はS(=NR7)2である。
【0064】
式Iのいくつかの実施形態では、m、n、及びoは、各々0である。式Iのいくつかの実施形態では、m、及びoは、各々0であり、nは1である。式Iのいくつかの実施形態では、mは0であり、n及びoは、各々1である。式Iのいくつかの実施形態では、mは1であり、n及びoは、各々0である。式Iのいくつかの実施形態では、m、及びoは、各々1であり、nは0である。式Iのいくつかの実施形態では、m及びnは、各々1であり、oは0である。式Iのいくつかの実施形態では、m、n、及びoは、各々1である。
【0065】
式Iのいくつかの実施形態では、R1は水素である。式Iのいくつかの実施形態では、R1は、C1~C6アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、又はイソプロピルである。いくつかの実施形態では、R1はメチルである。
【0066】
式Iのいくつかの実施形態では、R2は水素である。式Iのいくつかの実施形態では、R2は、C1~C6アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソブチル、n-ブチル、sec-ブチル、又はイソブチルである。式Iのいくつかの実施形態では、R2はイソブチルである。式Iのいくつかの実施形態では、R2は、アリール(C0~C6アルキル)、例えば、フェニル、ベンジル、又は2-フェニルエチルである。式Iのいくつかの実施形態では、R2はベンジルである。式Iのいくつかの実施形態では、R2は2-フェニルエチルである。式Iのいくつかの実施形態では、R2は、ヘテロアリール(C0~C6アルキル)である。
【0067】
式Iのいくつかの実施形態では、R3は水素である。式Iのいくつかの実施形態では、R3は、C1~C6アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソブチル、n-ブチル、sec-ブチル、又はイソブチルである。式Iのいくつかの実施形態では、R3はイソブチルである。式Iのいくつかの実施形態では、R2は、アリール(C0~C6アルキル)、例えば、フェニル、ベンジル、又は2-フェニルエチルである。式Iのいくつかの実施形態では、R3はベンジルである。式Iのいくつかの実施形態では、R3は2-フェニルエチルである。式Iのいくつかの実施形態では、R3は、ヘテロアリール(C0~C6アルキル)である。
【0068】
式Iのいくつかの実施形態では、R4は水素である。式Iのいくつかの実施形態では、R4は、C1~C6アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソブチル、n-ブチル、sec-ブチル、又はイソブチルである。式Iのいくつかの実施形態では、R4はイソブチルである。式Iのいくつかの実施形態では、R4は、アリール(C0~C6アルキル)、例えば、フェニル、ベンジル、又は2-フェニルエチルである。式Iのいくつかの実施形態では、R4はベンジルである。式Iのいくつかの実施形態では、R4は2-フェニルエチルである。式Iのいくつかの実施形態では、R4は、ヘテロアリール(C0~C6アルキル)である。
【0069】
式Iのいくつかの実施形態では、R5は水素である。式Iのいくつかの実施形態では、R5は、C1~C6アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソブチル、n-ブチル、sec-ブチル、又はイソブチルである。式Iのいくつかの実施形態では、R5はイソブチルである。式Iのいくつかの実施形態では、R5は、アリール(C0~C6アルキル)、例えば、フェニル、ベンジル、又は2-フェニルエチルである。式Iのいくつかの実施形態では、R5はベンジルである。式Iのいくつかの実施形態では、R5は2-フェニルエチルである。式Iのいくつかの実施形態では、R5は、ヘテロアリール(C0~C6アルキル)である。
【0070】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、式IIの化合物
【化3】
又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体から選択され、全ての変数は、本明細書に定義されるとおりである。
【0071】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、式IIIの化合物
【化4】
又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体から選択され、全ての変数は、本明細書に定義されるとおりである。
【0072】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、式Ia、式Ib、式Ic、又は式Idの化合物:
【化5】
又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体から選択され、全ての変数は、本明細書に定義されるとおりである。
【0073】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、式IIa、式IIb、式IIc、又は式IIdの化合物:
【化6】
又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体から選択され、全ての変数は、本明細書に定義されるとおりである。
【0074】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、式IIIa、式IIIb、式IIIc、又は式IIIdの化合物:
【化7】
又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体から選択され、全ての変数は、本明細書に定義されるとおりである。
【0075】
式Iの化合物の代表的な例としては、以下が挙げられる:
【化8-1】
【化8-2】
【0076】
治療方法
進行中の研究は、HE4の過剰発現が、腫瘍細胞及びマクロファージ上のPD-L1の表面発現の増加をもたらし、これが他の免疫抑制要素と一緒になって、腫瘍が免疫系を逃れることを可能にする免疫抑制環境を作り出すことを示唆している。更なる研究は、卵巣腫瘍において、HE4発現の増加がCD8+T細胞リンパ球数の減少と相関すること、及びHE4を標的化することが、インビトロ及びインビボの両方で腫瘍細胞上のPD-L1発現を減少させることを示している。T細胞リンパ球浸潤が、腫瘍に対する宿主の免疫応答の指標であることが示されており、多くの場合、良好な予後と相関する(Clemente et al.,1996 Cancer,77:1303-10;Schumacher et al.,2001 Cancer Res,61:3932-6)。卵巣がんでは、CD3+Tリンパ球の浸潤は、無憎悪生存期間及び全生存期間の延長と相関する(Zhang et al.,N Eng J Med2003,348:203-13)。更なる研究は、これらの所見及び特に、CD8+腫瘍-浸潤リンパ球が、より良好な予後及び生存期間の延長と相関することを確認した(Sato et al.,Proc Natl Acad Sci USA2005,102:18538-43;Clarke et al.,Mod Pathol2009,22:393-402;Hwang et al.,Gyncol Oncol2012,124:192-8)。免疫チェックポイント抑制物質のプログラム細胞死1リガンド1(PD-L1:GenBank:NP_001254635)もまた、卵巣がんにおいて予後に影響することも指摘されている(Hamanishi et al.,Proc Natl Acad Sci USA2007,104:3360-5)。それは、CD8及びCD4細胞を含む卵巣腫瘍微小環境における様々な適応免疫エフェクター上で発現され、それは、細胞活性化を負に調節する。局所免疫抑制は、PD-1/PD-L1を介して骨髄系由来の樹状細胞によって、並びにアルギナーゼ、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ、一酸化窒素及び活性酸素種などの免疫抑制仲介物質を生成することによって媒介される(Charbonneau et al,Crit Rev Immunol.2013;33(2):137-164)。卵巣がんでは、PD-1/PD-L1は、T細胞の抗腫瘍活性を阻害することによる、支配的な免疫抑制メカニズムである。しかしながら、PD-1の遮断は、IL-10、IL-6、及びG-CSFなどの免疫制御性サイトカインの放出のために、部分的な抗腫瘍効果をもたらすに過ぎない(Kirchhoff et al.,Biol Reprod1991,45:350-357)。免疫抑制のメカニズムを理解することは、卵巣がんの治療を改善することができる手がかりである。HE4を標的化することは、免疫抑制性腫瘍微小環境の低減をもたらし、宿主の抗腫瘍免疫応答を回復させるので、これにより、HE4を標的化することは、宿主の免疫系を再活性化させ、及び/又はPD-L1のアップレギュレーションによって搭載された免疫系の破断部を除去することにより、確立された腫瘍の根絶をもたらすことができる。
【0077】
したがって、一態様では、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療するための方法であって、治療有効量の、本明細書に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体を対象に投与することを含む、方法が提供される。
【0078】
本開示の化合物を使用して治療することができる代表的ながんとしては、「ミュラー管がん」が挙げられる。本明細書で使用される場合、「ミュラー管がん」又は「ミュラー管由来腫瘍」は、女性生殖系の任意の部分から生じるあらゆるがん(限定されないが、子宮、卵管、卵巣及び/又は他の女性生殖系の悪性腫瘍など)を示す。いくつかの実施形態では、ミュラー管がんという用語は、卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がん、子宮内膜がん及び子宮がんを指し、限定されないが、漿液性がん、類内膜がん、明細胞がん、未分化がん、低分化型がん肉腫(MMMT)、肉腫胚細胞腫瘍、及び性器索間質腫瘍などの、それらに関連する全ての組織学的亜型が含まれる。
【0079】
がん腫は、上皮起源のがんである。本発明の方法による治療を意図するがん腫には、腺房がん、小葉がん、濾胞状腺がん、がん腺腫(carcinoma adenomatosum)、腺がん、副腎皮質がん、肺胞がん、肺胞上皮がん、基底細胞がん(basal cell carcinoma)、基底細胞がん(carcinoma basocellular)、類基底細胞がん、基底扁平細胞がん、乳がん、気管支肺胞上皮がん、細気管支がん、大脳様がん(cerebriform carcinoma)、胆管細胞がん、絨毛がん(chorionic carcinoma)、粘液がん(colloid carcinoma)、面皰がん、体がん(corpus carcinoma)、篩状がん、よろい状がん、皮膚がん、円柱状がん(cylindrical carcinoma)、円柱細胞がん、腺管がん、硬性がん(carcinoma durum)、胎児性がん、髄様がん、眼球上がん、類表皮がん、上皮腺様がん(carcinoma epitheliate adenoids)、潰瘍がん、線維がん(carcinoma fibrosum)、ゼラチン状がん、膠様がん、巨細胞がん、巨大細胞、腺がん、顆粒膜細胞がん、毛母体がん、血球様がん、肝細胞がん、ヒュルトレ細胞がん、硝子質がん(hyaline carcinoma)、副腎様がん(hypernephroid carcinoma)、乳児胎児性がん(infantile embryonal carcinoma)、上皮内がん(carcinoma in situ)、表皮内がん、上皮内がん(intraepithelial carcinoma)、クロムペッカーがん(Krompecher’s carcinoma)、クルチスキー細胞がん(Kulchitzky-cell carcinoma)、レンズ状がん(lentivular carcinoma)、レンズ状がん(carcinoma lenticulare)、脂肪腫性がん、リンパ上皮がん、乳腺炎様がん(carcinoma mastotoids)、髄様がん(carcinoma medullare)、髄様がん(medullary carcinoma)、黒色がん(carcinoma melanodes)、黒色がん(melanotonic carcinoma)、粘液性がん(mucinous carcinoma)、粘液性がん(carcinoma muciparum)、粘膜細胞がん(carcinoma mucocullare)、粘膜がん(mucous carcinoma)、粘液腫様がん、鼻咽頭がん(masopharyngeal carcinoma)、黒色がん(carcinoma nigrum)、燕麦細胞がん、骨化性がん(carcinoma ossificans)、類骨がん(osteroid carcinoma)、卵巣がん、乳頭がん、門脈周囲がん(periportal carcinoma)、前浸潤がん、前立腺がん、腎臓の腎細胞がん、予備細胞がん、肉腫様がん(carcinoma sarcomatodes)、シュナイダーがん腫(scheinderian carcinoma)、硬性がん(scirrhous carcinoma)、陰嚢がん(carcinoma scrota)、印環細胞がん、単純がん、小細胞がん、ソラノイドがん(solandoid carcinoma)、回転楕円面細胞がん腫、紡錘細胞がん、海綿様がん、扁平上皮がん、有棘細胞がん、ストリングがん(string carcinoma)、毛細血管拡張性がん(carcinoma telangiectaticum)、毛細血管拡張様がん(carcinoma telangiectodes)、移行上皮がん、結節がん(carcinoma tuberrosum)、結節がん(tuberous carcinoma)、疣状がん、絨毛がん(carcinoma vilosum)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
本発明は、肉腫を治療するための方法及び薬剤も提供する。肉腫は、骨及び軟部組織で発生するまれな間葉性新生物である。異なる種類の肉腫が認識されており、これらには、脂肪肉腫(粘液型脂肪肉腫及び多形型脂肪肉腫を含む)、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、神経線維肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍、ユーイング肉腫(骨性、骨外性又は非骨性ユーイング肉腫を含む)並びに原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)、滑膜肉腫、血管内皮腫、線維肉腫、デスモイド腫瘍、隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)、悪性線維性組織球腫(MFH)、血管周囲細胞腫、悪性間葉腫、胞巣状軟部肉腫、類上皮肉腫、明細胞肉腫、線維形成小細胞腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)並びに骨肉腫(骨原性肉腫としても知られる)(骨格及び骨外)、及び軟骨肉腫が挙げられる。
【0081】
任意選択的に、治療されるがんは、難治性又は応答性のがんである。本明細書で使用される場合、難治性がんは、処方された通常の標準治療に耐性のあるがんである。これらのがんは、最初は治療に応答するが、再発し、及び/又は治療に対して全く応答しない場合がある。本発明は、免疫原性のあるがんを治療するために使用することもできる。例示的な免疫原性のあるがんには、悪性黒色腫及び腎細胞がん、マントル細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、T細胞性急性リンパ芽球性白血病、バーキットリンパ腫、骨髄腫、免疫細胞腫、急性前骨髄球性白血病、慢性骨髄性/急性リンパ芽球性白血病、急性白血病、B細胞急性リンパ芽球性白血病、未分化大細胞白血病、骨髄異形成症候群/急性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病(AML)、一般的(common)(pre-B)急性リンパ性白血病、悪性黒色腫、T細胞リンパ腫、白血病、B細胞リンパ腫、上皮性悪性腫瘍、リンパ性悪性腫瘍、婦人科がん、胆管腺がん、及び導管腺がんが挙げられる。
【0082】
本開示はまた、対象において血管新生を阻害するための方法であって、治療有効量の、本明細書に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体を投与することを含む、方法も提供される。血管新生、すなわち、新しい血管の形成をもたらす上皮細胞の急速な増殖は、腫瘍の進行及び生存を支援する。二次的な影響としては、血管新生は、様々な臓器並びに組織、目、皮膚、心臓、血管、肺、胃腸管及び尿生殖器官を損傷し得る。血管新生を評価するための方法及び技術は、当業者に知られている。
【0083】
腫瘍細胞増殖を抑制することを必要とする対象において腫瘍細胞増殖を抑制するための方法であって、治療有効量の、本明細書に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法も提供される。いくつかの実施形態では、腫瘍細胞増殖は、腫瘍細胞におけるHE4のレベルの活性を阻害することによって抑制又は阻害される。
【0084】
追加の治療薬を用いて腫瘍細胞を治療に対して増感させるための方法であって、治療有効量の、本明細書に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法も提供される。
【0085】
別の態様では、炎症性障害の治療を必要とする対象において炎症性障害を治療するための方法であって、治療有効量の、本明細書に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体を対象に投与することを含む、方法も提供される。炎症性障害の代表的な例としては、腹膜炎、変形性関節炎、急性膵炎、慢性膵炎、喘息、成人呼吸促迫症候群、糸球体腎炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、慢性甲状腺炎、グレーブス秒、自己免疫性胃炎、インスリン依存性糖尿病(I型)、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、アトピー性皮膚炎、移植片対宿主病、骨粗鬆症、多発性骨髄腫関連骨障害、白血病及び関連障害、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移性黒色腫、カポジ肉腫、多発性硬化症、敗血症、敗血性ショック、赤痢、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳虚血、心筋虚血、脊髄性筋萎縮症、多発性硬化症、AIDS関連脳炎、HIV関連脳炎、老化、脱毛症、脳卒中による神経損傷、潰瘍性大腸炎、感染性肝炎、若年性糖尿病、扁平苔癬、急性皮膚筋炎、湿疹、原発性肝硬変、ブドウ膜炎、ベーチェット秒、アトピー性皮膚疾患、赤芽球癆、再生不良性貧血、筋萎縮性側索硬化症、ネフローゼ症候群、火傷、気管支炎、腱炎、滑液包炎、結節性多発動脈炎、甲状腺炎、ホジキン病、リウマチ熱、サルコイドーシヅ、多発性筋炎、歯肉炎、過敏症、結膜炎、損傷後に生じる腫れ、アレルギー性鼻炎、内毒素性ショック症候群、及びアテローム性動脈硬化症、乾癬性関節炎、血管炎、リウマチ性多発性筋痛症、ウェゲナー肉芽腫症、側頭動脈炎、慢性閉塞性肺疾患、クリオグロブリン血症、移植拒絶並びに毛細血管拡張性運動失調症が挙げられる。
【0086】
別の態様では、臓器線維症の治療を必要とする対象において臓器線維症を治療するための方法であって、治療有効量の、本明細書に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体を対象に投与することを含む、方法が提供される。治療され得る臓器線維症の代表的な例としては、腎線維症、肺線維症、肝硬変、心内膜心筋線維症、クローン病、肝線維症、心臓線維症、強皮症、又は進行性塊状線維症が挙げられる。
【0087】
別の態様では、不妊症の治療を必要とする対象において不妊症を治療するための方法であって、治療有効量の、本明細書に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体を投与することを含む、方法が提供される。
【0088】
併用療法
本明細書に記載される化合物は、例えば、放射線療法、手術、従来の化学療法、1つ以上のチェックポイント阻害剤などの他の療法と併用して、又は1つ以上の追加の療法と併用して投与され得る。本発明に由来する方法及び薬剤は、薬学的組成物として単独で投与されるか、又は治療的に有効かつ生理学的に許容される量の1つ以上の他の有効成分又は薬剤と組み合わせて投与される。そのような他の有効成分には、グルタチオン拮抗薬、血管新生阻害剤、化学療法剤及び抗体(例えば、がん抗体)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明に記載の薬剤は、同時に又は連続して投与され得る。投与間の時間の区切りは、数分、数時間、数日であってもよく、又はそれ以上長くてもよい。
【0089】
例えば、本明細書に記載の化合物は、アルキル化剤(例えば、クロラムブシル、シクロホスファミド、ccnu、メルファラン、プロカルバジン(procarbazine)、チオテパ(thiotepa)、bcnu、及びブスルファン(busulfan))、抗代謝剤(例えば、6-メルカプトプリン及び5-フルオロウラシル)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(daunorubicin)、ドキソルビシン、イダルビシン(idarubicin)、エピルビシン(epirubicin)、及びミトキサントロン(mitoxantrone))、抗腫瘍抗生物質(例えば、ブレオマイシン)、モノクローナル抗体(例えば、アレムツズマブ(alemtuzumab)、ベバシズマブ(bevacizumab)、セツキシマブ、ゲムツズマブ(gemtuzumab)、イブリツモマブ(ibritumomab)、パニツムマブ(panitumumab)、リツキシマブ、トシツモマブ(tositumomab)、及びトラスツズマブ)、白金(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、及びカルボプラチン)、植物アルカロイド(例えば、ビンクリスチン)、トポイソメラーゼI又はII阻害剤(例えば、イリノテカン、トポテカン、アムサクリン(amsacrine)、エトポシド、エトポシドリン酸塩、及びテニポシド)、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、及びビンデシン)、タキサン(例えば、パクリタキセル及びドセタキセル)、エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシド及びテニポシド)、ヌクレオシド類似体、並びに血管新生阻害剤(例えば、アバスチン(ベラシズマブ(beracizumab))、VEGF-Aに特異的なヒト化モノクローナル抗体)などの化学療法剤及び/又は細胞傷害性剤の前、後、又はそれらと同時に投与され得る。グルタチオン拮抗薬の例には、ブチオニンスルホキシミン、シクロホスファミド、イフォスファミド、アクチノマイシンd、及びN-(4-ヒドロキシフェニル)レチナミド(4-HPR)が含まれるが、これらに限定されない。血管新生阻害剤の例には、2-メトキシエストラジオール(2-ME)、AG3340、アンギオスタチン、アンチトロンビンIII、抗VEGF抗体、バチマスタット、ベバシズマブ(アバスタチン)、BMS-275291、CA1、カンスタチン、コンブレタスタチン、コンブレタスタチン-A4リン酸、CC-5013、カプトプリル、セレコキシブ、ダルテパリン、EMD121974、エンドスタチン、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ゲニステイン、ハロフジノン、ID1、ID3、IM862、メシル酸イマチニブ、誘導タンパク質10、インターフェロン-アルファ、インターロイキン12、ラベンダスチン-a、LY317615又はAE-941、マリマスタット、マスピン、メドロキシプロゲステロン(Medroxyprogesterone)アセテート、Meth-1、Meth-2、ネオバスタット(Neovastat)、オステオポンチン切断産物、PEX、色素上皮増殖因子(PEGF)、血小板因子第4因子、プロラクチンフラグメント、プロリフェリン関連タンパク質(PRP)、PTK787/ZK222584、組換えヒト血小板第4因子(rPF4)、レスチン、スクアラミン、SU5416、SU6668、スラミン、タキソール、テコガラン(Tecogalan)、サリドマイド、テトラチオモリブデート(TM)、トロンボスポンジン、TNP-470、トロポニンI、バソスタチン、VEGF1、VEGF-TPvAP、及びZD6474が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、血管新生阻害剤は、VRGF拮抗薬である。VEGF拮抗薬は、VEGF結合分子であり得る。VEGF結合分子には、VEGF抗体、又はその抗原結合フラグメントが挙げられる。VEGF拮抗薬の一例はNeXstarである。
【0090】
本明細書に開示される化合物と組み合わせることができる化学療法剤としては、DNA損傷剤が含まれ、これらには、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシド、カンプトテシン、トポテカン、イリノテカン、テニポシド、ミトキサントロン)、抗微小管剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン)、抗代謝剤(例えば、シタラビン、メトトレキサート、ヒドロキシ尿素、5-フルオロウラシル、フルオウリジン、6-チオグアニン、6-メルカプトプリン(mercaptompurine)、フルダラビン、ペントスタチン、クロロデオキシアデノシン)、DNAアルキル化剤(例えば、シスプラチン、メクロレタミン(mecholorethamine)、シクロホスファミド、イフォスファミド(ifosphamide)、メルファラン、クロラムブシル(chlorambucil)、ブスルファン、チオテパ
カルムスチン、ロムスチン、カルボプラチン、ダカルバジン、プロカルバジン)、及びDNA鎖切断誘導剤(例えば、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
本明細書に記載の化合物と組み合わせることができる他の化学療法剤としては、合成、半合成及び天然由来の薬剤が挙げられる。重要な化学療法剤としては、アビシン、アクラルビシン、アコダゾール、アクロニン、アドゼレシン、アドリアマイシン、アルデスロイキン、アリトレチノイン、アロプリノールナトリウム(アロプリノールナトリウム)、アルトレタミン、アンボマイシン、酢酸アメタントロン、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストラゾール、バンレイシ科アセトゲニン、アントラマイシン、アシマイシン、アスパラギナーゼ、アスペルリン、アザシチジン、アゼテパ、アゾトマイシン、バチマスタット、ベンゾデパ、ベキサロテン、ビカルタミド、ビサントレン、ビスナフィド、ビゼレシン、ブレオマイシン、ブレキナル、ブロピリミン、ブラタシン、ブスルファン、カベルゴリン、カクチノマイシン、カルステロン、カラセミド、カルベチマー、カルボプラチン、カルムスチン、カルビシン、カルゼレシン、セデフィンゴール、クロラムブシル、セレコキシブ、シロレマイシン、シスプラチン、クラドリビン、クリスナトール、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、DACA、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ダウノマイシン、デシタビン、デニロイキン、デキソルマプラチン、デザグアニン、ジアジクロン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドロロキシフェン、デュアゾマイシン、エダトレキサート、エフロルニチン、エルサミトルシン、エストラムスチン、エタニダゾール、エトポシド、エトプリン、ファドロゾール、ファザラビン、フェンレチニド、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルロシタビン(Flurocitabine)、5-FdUMP、ホスキドン、ホステウエシン(Fosteuecine)、FK-317、FK-973、FR-66979、FR-900482、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、オゾガマイシン、Gold Aul98、ゴセレリン、グアナコーン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イルモフォシン、インターフェロンアルファ及び類似体、イプロプラチン、イリノテカン、ランレオチド、レトロゾール、ロイプロリド、リアロゾール、ロメトレキソール、ロムスチン、ロソキサントロン、マソプロコール、マイタンシン、メクロレタミン、メガストロール、メレンゲストロール、メルファラン、メノガリル、メトプリン、マツレデパ(maturedepa)、ミチンドミド、ミトカルシン、ミトギリン、ミトマラシン、ミトマイシン、ミトマイシンC、ミトスペル、ミトタン、ミトキサントロン、マイコフェノール酸、ノコダゾール、ノガラマイシン、オプレルベキン(Oprelvekin)、オルマプラチン、オキシスラン、パクリタキセル、パミドロネート、ペガスパルガーゼ、ペリオマイシン、ペンタムスチン、ペプロマイシン、ペルフォスファミド、ピポブロマン、ピポスルファン、ピロキサントロン、プリカマイシン、プロメスタン、ポルフィマー、ポルフィロマイシン、プレドニムスチン、プロカルバジン、プロマイシン、ピラゾフリン、リボプリン、リツキシマブ、ログレチミド、ロリニアスタチン(Rolliniastatin)、サフィンゴール、サマリウム、セムスチン、シントラゼン、スファルフォサート、スパルソマイシン、スピロゲルマニウム、スピロムスチン、スピロプラチン、スクアモシン、スクアモタシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、SrC12、スルフォフェヌル(Sulphofenur)、タリソマイシンタキサン、トキソイド、テコグラン、テガフル、テロキサントロン、テモポルフィン、テニポシド、テロキシロン、テストラクトン、チアミプリン、チオテパ、チミタク(Thymitaq)、チアゾフリン、チラパザミン、トムデックス、Top-53、トポテカン、トレミキシキシフム(Toremixifme)、トラスツズマブ、トレストロン、トリシリビン(triciribine)、トリシリビン(Triciribine)、トリメトレキサート(Trimetrexate)、グルクロン酸トリメトレキサート、トリプトレリン、ツブロゾール、ウラシルマスタード、ウレデパ、バルルビシン、バプレオチド、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビネピジン、ビングリシネート、ビンロイロシン、ビノレルビン、ビンロシジン、ビンゾリジン、ボロゾール、ゼニプラチン、ジノスタチン、ゾルビシン、2-クロロデオキシルビシン、2’-デオキシフォルマイシン、9-アミノカンプトテシン、ラルチトレキセド、N-プロパルギル-5,8-ジデザフォリン酸、2-クロロ-2’アラビノフルオロ-2’デオキシアデノシン、2-クロロ-2’-デオキシアデノシン、アニソマイシン、トリコスタチン、hPRL-G129R、CEP-751、リノミド、硫黄マスタード、窒素マスタード、N-メチル-N-ニトロソ尿素、フォテムスチン、ストレプトゾトシン、デカルバジン、ミトゾロミド、テモゾロミド、AZQ、オルマプラチン、CI-973、DWA21 14R、JM216、JM335、ビスプラチナム、トムデックス、アゼシチジン、シトラビンシン、ゲムシタビン、6-メルカプトプリン、ヒポキサンチン、テミポシド、CPT-11、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ダルビシン、ロソキサントロン、アムサクリン、ピラゾロアクリジン、オールトランスレチノール、14-ヒドロキシ-レトロ-レチノール、オールトランスレチノイン酸、N-(4-ヒドロキシフェニル)レチナミド、13-シスレチノイン酸、3-メチルTTNEB、9-シスレチノイン酸、フルダラビン、及び2-Cdaが挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
本明細書に記載の化合物と組み合わせることができる他の化学療法剤としては、20-エピ、1,25-ジヒドロキシビタミン-D3、5-エチニルウラシル、アビラテロン、アクラルビシン、アシルフルベン、アデシペノール、アドゼレシン、アルデスロイキン、ALL-TKアンタゴニスト、アルトレタミン、アンバムスチン、アミドックス、アミフォスチン、アミノレブリン酸、アナグレリド、アナストロゾール、アンドログラホリド、血管新生阻害剤、アンタゴニストD、アンタゴニスト類D、アンタレリクス、抗背方化形態形成タンパク質-1、抗アンドロゲン、抗エストロゲン、抗ネオプラストロン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アフィジコリン、アポトーシス遺伝子モジュレーター、アポトーシスレギュレーター、アプリン酸、ara-cdp-dl-PTBA、アルギニンアミナーゼ、アスラクリン、アタメスタン、アトリムスチン、アキシナマスチン1並びにアキシナマスチン2、アキシナマスチン3、アザセトロン、アザトキシン、アザチロシン、バッカチンIII誘導体、バラノール、BCR/ABLアンタゴニスト、ベンゾクロリン、ベンゾイルサウロスポリン(benzoylsaurosporine)、ベータラクタム誘導体、ベータ-アレチン。ペリリルアルコール、フェノゼノマイエイン(phenozenomyein)、酢酸フェニル、ホスファターゼ阻害剤、ピシバニル、ピロカルビン及びその塩若しくは類似体、ピラルブシン、ピリトレキシム、プラセチンA、プラスミノゲン活性化因子阻害剤、白金錯体、フェニルエチルイソチオシアネート及びその類似体、白金化合物、白金トリアミン錯体、ポドフィロトキシン(podophylotoxin)、ポルフィマーナトリウム(porfimer sodium)、ポルフィロマイシン(porphyromycin)、プロピルビスアクリドン、プロスタグランジンJ2、プロテアソーム阻害剤、プロテインAベース免疫モジュレーター、PKC阻害剤、マイクロアルガル(microalgal)、タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤、プルプリン(purpurins)、ピラゾールアクリジン(pyrazoloacridine)、ピロリドキシレーテッド(pyridoxylated)ヘモグロビンポリオキシエチレン結合体、rafアンタゴニスト、ラルチトレキセド(raltitrexed)、ラモセトロン(ramosetron)、rasファルネシルタンパク転移酵素阻害剤(ras farnesyl protein tranaferase inhibitors)、ras阻害剤;ras-GAP阻害剤、脱メチル化レテルリプチン(ratellitptine demethylated)、レニウムRe186エチドロン酸塩(rhenium Re186 etidronate)、リゾキシン(rhizoxine)、リボザイム、RIIレチナミド(RII retinide)、ログレチミド(rogletimide)、ロサグリアタゾン(rosagliatazone)及びその類似体並びに誘導体、ロヒツキン(rohitukine)、ロムルチド(romurtide)、ロクイニメックス(roquinimex)、ルビギノンB1(rubiginone B1)、ルボキシル(ruboxyl)、サフィンゴール(safingol)、サイントピン(saintopin)、SarCNU、サルコフィトールA(sarcophytol A)、サルグラモスチム(sargrmostim)、sdi1模倣薬、セムスチン(semustine)、老化由来阻害剤1(senescence derived inhibitor1)、センスオリゴヌクレオチド、情報伝達阻害剤、情報伝達モジュレーター、単鎖抗原結合タンパク質、シゾフィラン(sizofiran)、ソブゾキサン、ボロカプタンナトリウム、フェニルアセテートナトリウム、ソルベロール(solverol)、ソマトメジン結合タンパク質、ソネルミン、スパルフォス酸(sparfosic acid)、スピカマイシンD、スピロムスチン、スプレノペンチン、スポンジスタチン1、スクアラミン、幹細胞阻害剤、幹細胞細胞分裂阻害剤、スチピアミド、ストロメリシン、スルフィノシン(sulfinosine)、超活性(superactive)血管作動性腸管ペプチドアンタゴニスト、スラジスタ(suradista)、スラミン(siramin)、スワインソニン(swainsonine)、合成グリコサミノグリカン、タルリムスチン、タモキシフェンメチオジド(tamoxifen methiodide)、タウロムスチン、タザロテン、テコガランナトリウム、テガフル、テルラピリリウム(tellurapyrilium)、テロメラーゼ阻害剤、テモポルフィン、テモゾロミド、テニポシド、テトラクロロデカオキシド、テトラゾミン、サリブラスチン(thaliblastine)、サリドマイド、チオコラリン、トロンボポイエチン及びその模倣薬、チマルファシン、チモポイエチン受容体アゴニスト、チモトリナン、甲状腺刺激ホルモン、スズ・エチル・エチオプルピン(tin ethyl etiopurpin)、チラパザミン(tirapazamine)、チタノセン及びその塩、トポテカン、トプセンチン、トレミフェン、全能性幹細胞因子、翻訳阻害剤、トレチノイン、トリアセチルウリジン、トリクリビン(tricribine)、トリメトレキサート、トリプトレリン、トロピセトロン、ツロステライド(turosteride)、チロシンキナーゼ阻害剤、チロホスチン、UBC阻害剤、ウベニメクス、尿生殖洞由来増殖抑制因子、ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト、バプレオチド(vapreotide)、バリオリンB(variolin B)、ベクター系、赤血球遺伝子治療、ベラレソール(velaresol)、ベラミン、ベルディン、ベルテポルフィン、ビノレルビン(vinorelbine)、ビンキサルチン、ビタキシン(vitaxin)、ボロゾール、ザノテロン、ゼニプラチン、ジラスコルブ、及びジノスタチンが挙げられる。
【0093】
本明細書に記載の化合物と組み合わせることができる更なる化学療法剤としては、抗増殖剤(例えば、ピリトレキシムイソチオシアネート)、抗前立腺肥大剤(シトグルシド)、良性前立腺過形成療法剤(例えば、トムスロシン、RBX2258)、前立腺増殖阻害薬(ペントモン)及び放射性剤:フィブリノーゲン11 25、フルデオキシグルコースF18、フルオロドーパF18、インシュリン1125、イオベングアン1123、ヨージパミドナトリウム1131(lodipamide sodium1131)、ヨードアンチピリン1131(lodoantipyrine1131)、ヨードコレステロール1131、ヨードピラセット1125(Iodopyracet1125)、イオフェタミンHCL1123、イオメチン1131(Iomethin1131)、イオメチン1131(Iomethin1131)、イオタラミック酸ナトリウム1125(Iothalamate sodium1125)、イオタラミック酸ナトリウム1131、イオチロシン1131、リオチロニン1125、メリソプロール Hgl97(Merosproprol Hgl97)、ヨードベンゾグアニンメチル(MIBG-I131又はMIBGI123)、セレノメチオニンSe75、テクネチウムTc99mフリホスミン(furifosmin)、テクネチウムTc99mグルセプテート(technetium Tc99m gluceptate)、Tc99mビスシセート(Biscisate)、Tc99mディソフェニン(disofenin)、Tc99mグルセプテート、Tc99mリドフェニン(lidofenin)、Tc99mメブロフェニン(mebrofenin)、Tc99mメドロネート(medronate)及びそのナトリウム塩、Tc99mメルチアチド(mertiatide)、Tc99mオキシドロネート(oxidronate)、Tc99mペンテテート(pentetate)及びその塩、Tc99mセスタムビ(sestambi)、Tc99mシボロキシム(siboroxime)、Tc99mスクシマー(succimer)、Tc99m硫黄コロイド、Tc99mテボロキシム(teboroxime)、Tc99mテトロフォスミン(Tetrofosmin)、Tc99mチアチド(Tiatide)、チロキシン1125、チロキシン1131、トルポビドン1131、トリオレイン1125及びトレオリン1125、並びにトレオレイン131、MIBG-I123及びMIBG1131が挙げられる。
【0094】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤、キナーゼ阻害剤、チューブリン阻害剤、又はトポイソメラーゼ阻害剤と併用して投与される。
【0095】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤阻害剤と併用して投与される。免疫チェックポイント阻害剤には、免疫系の阻害経路を免疫系の統計的に有意な方法で遮断又は阻害する任意の薬剤が含まれる。遮断又は阻害のための例示の免疫チェックポイントの標的としては、CTLA-4、PDL1、PDL2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、GAL9、LAG3、TIM3、VISTA、KIR、2B4(CD2ファミリー分子に属し、全てのNK、γδ、及びメモリCD8+(αβ)T細胞上で発現される)、CD160(BY55とも称される)、CGEN-15049、CHK1及びCHK2キナーゼ、A2aR並びに様々なB-7ファミリーのリガンドが挙げられるが、これらに限定されない。B7ファミリーリガンドとしては、B7-1、B7-2、B7-DC、B7-H1、B7-H2、B7-H3、B7-H4、B7-H5、B7-H6及びB7-H7が挙げられるが、これらに限定されない。免疫チェックポイント阻害剤としては、CTLA-4、PDL1、PDL2、PD1、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160及びCGEN-15049のうちの1つ以上に結合し、それらの活性を遮断若しくは阻害する、抗体、又はその抗原結合フラグメント、他の結合タンパク質、生物学的治療薬若しくは小分子が含まれる。例示的免疫チェックポイント阻害剤としては、トレメリムマブ(CTLA-4遮断抗体)、抗OX40、PD-L1モノクローナル抗体(抗B7-H1;MEDI4736)、MK-3475(PD-1遮断剤)、ニボルマブ(抗PD1抗体)、CT-011(抗PD1抗体)、BY55モノクローナル抗体、AMP224(抗PDLl抗体)、BMS-936559(抗PDL1抗体)、MPLDL3280A(抗PDL1抗体)、MSB0010718C(抗PDL1抗体)及びヤーボイ/イピリムマブ(抗CTLA-4チェックポイント阻害剤)が挙げられる。チェックポイントタンパク質リガンドとしては、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、CD28、CD86及びTIM-3が挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
一実施形態では、本発明は、本発明の化合物が、免疫チェックポイント受容体のプログラム細胞死タンパク質1(PD-1)とそのリガンドであるPD-L1との間の相互作用を遮断する1つ以上の追加の治療薬とともに使用され得ることをカバーする。例えば、A.Mullard,“New checkpoint inhibitors ride the immunotherapy tsunami,”Nature Reviews:Drug Discovery(2013),12:489-492を参照されたい。PD-1は、T細胞上で発現され、T細胞の活性を調節する。具体的には、PD-1がPDL-1に結合されない場合、T細胞は標的細胞に関与して殺傷することができる。しかしながら、PD-1がPDL-1に結合される場合、これは、T細胞が標的細胞に関与して殺傷することを停止させる。更に、他のチェックポイントとは異なり、PD-1は、そのようなPDLに近接して作用し、がん細胞上で直接過剰発現され、これが、PD-1発現T細胞への結合の増加をもたらす。
【0097】
別の態様では、本開示の化合物は、PD-1のアゴニストとして作用することができ、それにより、PD-1によって制御された免疫応答を調節する、抗体と併用して使用することができる。一実施形態では、抗PD-1抗体は、抗原結合フラグメントであり得る。本明細書に開示される抗PD-1抗体は、ヒトPD-1に結合し、PD-1の活性を刺激することができ、それによって、PD-1を発現する免疫細胞の機能を阻害する。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、ペムブロリズマブ(pembrolizumab)、ニボルマブ(nivolumab)、セミプリマブ(cemiplimab)、スパルタリズマブ(spartalizumab)、カムレリズマブ(camrelizumab)、シンチリマブ(sintilimab)、チスレリズマブ(tislelizumab)、トリパリマブ(toripalimab)、ニボルマブ(nivolumab)、AMP-224、又はAMP-514から選択される1つ以上のPD-1阻害剤と併用して使用され得る。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、アテゾリズマブ(atezolizumab)、アベルマブ(avelumab)、デュルバルマブ(durvalumab)、KN035、CK-301、AUNP12、CA-170、又はBMS-986189から選択される1つ以上のPD-L1阻害剤と併用して使用され得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、CTLA-4を阻害する1つ以上の治療薬と併用して使用され得る。本明細書で使用するために好適な抗CTLA4アンタゴニスト剤としては、抗CTLA4抗体、ヒト抗CTLA4抗体、マウス抗CTLA4抗体、哺乳動物抗CTLA4抗体、ヒト化抗CTLA4抗体、モノクローナル抗CTLA4抗体、ポリクローナル抗CTLA4抗体、キメラ抗CTLA4抗体、MDX-010(イピリムマブ(ipilimumab))、トレメリムマブ(tremelimumab)、抗CD28抗体、抗CTLA4アドネクチン、抗CTLA4ドメイン抗体、一本鎖抗CTLA4フラグメント、重鎖抗CTLA4フラグメント、軽鎖抗CTLA4フラグメント、共刺激経路を刺激するCTLA4の阻害剤、PCT公開第2001/014424号に開示された抗体、PCT公開第2004/035607号に開示された抗体、米国特許公開第2005/0201994号に開示された抗体、及び付与された欧州特許第1212422B1号に開示された抗体が挙げられるが、これらに限定されない。追加のCTLA-4抗体は、米国特許第5,811,097号、同第5,855,887号、同第6,051,227号、及び同第6,984,720号に;PCT公開第01/14424号及び同第00/37504号に;並びに米国特許公開第2002/0039581号及び同第2002/086014号に記載されている。本発明の方法で使用され得る他の抗CTLA-4抗体には、WO98/42752;米国特許第6,682,736号及び同第6,207,156号;Hurwitz et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95(17):10067-10071(1998);Camacho et al.,J.Clin.Oncology,22(145):Abstract No.2505(2004)(antibody CP-675206);Mokyr et al.,Cancer Res.,58:5301-5304(1998)、並びに米国特許第5,977,318号、同第6,682,736号、同第7,109,003号、及び同第7,132,281号に開示されているものが挙げられる。追加の抗CTLA4アンタゴニストとしては、以下の:CD28抗原のその同族リガンドに結合する能力を破壊し、CTLA4のその同族リガンドに結合する能力を阻害し、共刺激経路を介するT細胞応答を増強させ、B7のCD28及び/又はCTLA4に結合する能力を破壊し、B7の共刺激経路を活性化する能力を破壊し、CD80のCD28及び/又はCTLA4に結合する能力を破壊し、CD80の共刺激経路を活性化する能力を破壊し、CD86のCD28及び/又は
CTLA4に結合する能力を破壊し、CD86の共刺激経路を活性化する能力を破壊し、及び共刺激経路を一般に活性化されている状態から破壊することができる任意の阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。これには、他の抗CTLA4アンタゴニストの中ではとりわけ、共刺激経路の他のメンバーの中でCD28、CD80、CD86、CTLA4の小分子阻害剤;共刺激経路の他のメンバーの中でCD28、CD80、CD86、CTLA4に対する抗体;共刺激経路の他のメンバーの中でCD28、CD80、CD86、CTLA4に対するアンチセンス分子;共刺激経路の他のメンバーの中でCD28、CD80、CD86、CTLA4に対するアドネクチン、
共刺激経路の他のメンバーの中ではCD28、CD80、CD86、CTLA4のRNAi阻害剤(一本鎖及び二本鎖の両方)を含むことが必要である。
【0099】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、TIM-3を阻害する1つ以上の治療薬と併用して使用され得る。リガンドによるTIM-3の活性化の遮断は、Th1細胞活性化の増加をもたらす。更に、TIM-3は、疲弊したCD8+T細胞によって発現される重要な阻害受容体として特定されている。TIM-3はまた、核酸媒介抗腫瘍免疫の重要な調節因子としても報告されている。一例では、TIM-3は、腫瘍関連樹状細胞(TADC)上でアップレギュレートされることが示されている。
【0100】
投与の方法
本明細書に記載の方法で使用される化合物は、当業者に現在知られているか、今後知られると予想される任意の好適な方法及び技法によって投与され得る。例えば、本明細書に記載の活性成分は、生理学的に許容されるか、又は薬学的に許容される形態で製剤化され、例えば、投与の経口及び非経口経路を含む、当該技術分野において既知の任意の好適な経路によって投与され得る。本明細書で使用される場合、「非経口」という用語は、注射などによる、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、腹腔内、及び胸骨内投与を含む。それらの組成物の活性成分の投与は、単回投与であってもよく、又は連続で、かつ当業者により容易に決定され得る明確な間隔をあけてもよい。
【0101】
活性化合物と、ある種の賦形剤とを含む本明細書に記載される組成物は、様々な医学的用途及び非医学的用途に有用であり得る。例えば、活性化合物と賦形剤とを含む薬学的組成物は、マイコバクテリウムによる感染症の治療及び予防に有用であり得る。
【0102】
「賦形剤」には、所望される特定の剤形に適した、ありとあらゆる溶媒、希釈剤若しくは他の液体ビヒクル、分散若しくは懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘若しくは乳化剤、防腐剤、固体結合剤、滑沢剤などが含まれる。製剤及び/又は製造における一般的考察は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Sixteenth Edition,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)、及びRemington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition(Lippincott Williams&Wilkins,2005)で見出すことができる。
【0103】
例示的な賦形剤としては、任意の無毒の、不活性固体、半固体若しくは液体の、いかなる種類の充填剤、希釈剤、封入材料、又は製剤補助剤が挙げられるが、これらに限定されない。賦形剤として機能し得る材料のいくつかの例としては、ラクトース、グルコース、スクロースなどの糖;コーンスターチ及び馬鈴薯デンプンなどのデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロースなどのセルロース及びその誘導体;トラガカント末;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバター及び座薬用ワックスなどの賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及び大豆油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;Tween80などの洗剤;水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;等張生理食塩水;リンガー溶液;エチルアルコール;及びリン酸緩衝液、並びにラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムなどの他の無毒の適合性のある滑沢剤、並びに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤及び香料添加剤が挙げられるが、これらに限定されず、防腐剤及び酸化防止剤もまた、配合者の判断に従って、組成物中に存在することができる。当業者に理解されるように、賦形剤は、組成物が何に有用であるかに基づいて選択されてもよい。例えば、薬学的組成物又は化粧品組成物では、賦形剤の選択は、投与の経路、送達される薬剤、薬剤の送達の時間的経過などに依存し、ヒト及び/又は動物に、経口、直腸内、非経口、大槽内、膣内、鼻腔内、腹腔内、局所(粉末、クリーム、軟膏、又は液滴によってなど)、口腔内、又は経口若しくは鼻スプレーとして投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される活性化合物は、局所投与される。
【0104】
例示的な希釈剤としては、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウムラクトース、スクロース、セルロース、微結晶セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、コーンスターチ、粉砂糖など、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0105】
例示的な造粒及び/又は分散剤としては、馬鈴薯デンプン、コーンスターチ、タピオカデンプン、グリコール酸デンプンナトリウム、粘土、アルギン酸、グアーガム、柑橘ジュース粕、寒天、ベントナイト、セルロース及び木材産物、海綿、カチオン交換樹脂、炭酸カルシウム、シリケート、炭酸ナトリウム、架橋ポリ(ビニル-ピロリドン)(クロスカルメロース)、デンプンカルボキシメチルナトリウム(デンプングリコール酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、メチルセルロース、アルファ化デンプン(デンプン1500)、微結晶デンプン、水不溶性デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(ビーガム(Veegum))、ラウリル硫酸ナトリウム、四級アンモニウム化合物など、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0106】
例示的な界面活性剤及び/又は乳化剤としては、天然乳化剤(例えば、アカシア、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、コンドラックス(chondrux)、コレステロール、キサンタン、ペクチン、ゼラチン、卵黄、カゼイン、羊毛脂、コレステロール、ワックス、及びレシチン)、コロイド粘土(例えば、ベントナイト[ケイ酸アルミニウム]及びビーガム[ケイ酸アルミニウムマグネシウム])、長鎖アミノ酸誘導体、高分子量アルコール(例えば、ステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、モノステアリン酸トリアセチン、エチレングリコールジステアレート、モノステアリン酸グリセリル、及びプロピレングリコールモノステアレート、ポリビニルアルコール)、カルボマー(例えば、カルボキシポリメチレン、ポリアクリル酸、アクリル酸ポリマー、及びカルボキシビニルポリマー)、カラギーナン、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、粉末セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート[Tween20]、ポリオキシエチレンソルビタン[Tween60]、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート[Tween80]、ソルビタンモノパルミテート[Span40]、ソルビタンモノステアレート[Span60]、ソルビタントリステアレート[Span65]、モノオレイン酸グリセリル、ソルビタンモノオレエート[Span80])、ポリオキシエチレンエステル(例えば、ポリオキシエチレンモノステアレート[Myrj45]、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエトキシル化ヒマシ油、ポリオキシエチレンステアレート、及びSolutol)、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えば、Cremophor)、ポリオキシエチレンエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル[Brij30])、ポリ(ビニル-ピロリドン)、ジエチレングリコールモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸エチル、オレイン酸、ラウリン酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、Pluronic F68、Poloxamer188、臭化セトリモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、ドキュセートナトリウムなど、及び/又はそれらの組み合わせが挙げられる。例示的な結合剤としては、デンプン(例えば、コーンスターチ及びデンプンペースト)、ゼラチン、糖(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、デキストリン、糖蜜、ラクトース、ラクチトール、マンニトールなど)、天然及び合成ゴム(例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アイリッシュモス抽出物、パンワルゴム(panwar gum)、ガッチゴム、イサポール皮の粘質物(mucilage of isapol husks)、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロース、セルロースアセテート、ポリ(ビニル-ピロリドン)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(ビーガム)及びカラマツアラボガラクタン)、アルギネート、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、無機カルシウム塩、ケイ酸、ポリメタクリレート、ワックス、水、アルコールなど、並びに/又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0107】
例示的な防腐剤としては、酸化防止剤、キレート剤、抗菌防腐剤、抗真菌防腐剤、アルコール防腐剤、酸性防腐剤、及び他の防腐剤が挙げられる。
【0108】
例示的な酸化防止剤としては、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、及び亜硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0109】
例示的なキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びその塩並びに水和物(例えば、エデト酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸二ナトリウムカルシュム、エデト酸二カリウムなど)、クエン酸及びその塩並びに水和物(例えば、クエン酸一水和物)、フマル酸及びその塩並びに水和物、リンゴ酸及びその塩並びに水和物、リン酸及びその塩並びに水和物、並びに酒石酸及びその塩並びに水和物が挙げられる。例示的な抗菌防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコール、及びチメロサールが挙げられる。
【0110】
例示的な真菌防腐剤としては、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、及びソルビン酸が挙げられる。
【0111】
例示的なアルコール防腐剤としては、エタノール、ポリエチレングリコール、フェノール、フェノール化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシベンゾエート、及びフェニルエチルアルコールが挙げられる。
【0112】
例示的な酸性防腐剤としては、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ベータ-カロテン、クエン酸、酢酸、デヒドロ酢酸、アスコルビン酸、ソルビン酸、及びフィチン酸が挙げられる。他の防腐剤としては、トコフェロール、酢酸トコフェロール、メシル酸デテロキシム(deteroxime mesylate)、セトリミド、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、Glydant Plus、Phenonip、メチルパラベン、Germall115、Germaben II、Neolone、Kathon、及びEuxylが挙げられる。ある特定の実施形態では、防腐剤は酸化防止剤である。他の実施形態では、防腐剤はキレート剤である。
【0113】
例示的な緩衝剤としては、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルセプト酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、D-グルコン酸、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、プロパン酸、レブリン酸カルシウム、ペンタン酸、二塩基性リン酸カルシウム、リン酸、三リン酸カルシウム、リン酸カルシウムヒドロキシド、酢酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、カリウム混合物、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸カリウム混合物、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウム混合物、トロメタミン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルギン酸、パイロジェンフリー水、等張食塩水、リンガー溶液、エチルアルコールなど、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0114】
例示的な滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、シリカ、タルク、麦芽、ベヘン酸グリセリル、水添植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムなど、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0115】
例示的な天然油としては、アーモンド、杏仁、アボカド、ババス、ベルガモット、カシス種子、ルリデサ、カデ、カモミール、キャノーラ、キャラウェー、カルナバ、ヒマシ、シナモン、ココアバター、ココナッツ、タラ肝臓、コーヒー、トウモロコシ、綿実、エミュー、ユーカリ、月見草、魚、アマニ、ゲラニオール、ヘチマ、ブドウ種子、ヘーゼルナッツ、ヒソップ、ミリスチン酸イソプロピル、ホホバ、ククイナッツ、ラバンジン、ラベンダー、レモン、リツェアクベバ、マカデミア(macademia)ナッツ、ゼニアオイ、マンゴー種子、メドウフォーム種子、ミンク、ナツメグ、オリーブ、オレンジ、オレンジラフィー、パーム、パーム核、桃仁、ピーナッツ、ケシ種子、カボチャ種子、ナタネ、米ヌカ、ローズマリー、ベニバナ、サンダルウッド、サスクアナ(sasquana)、セイボリー、シーバックソーン、ゴマ、シアバター、シリコーン、ダイズ、ヒマワリ、ティーツリー、アザミ、ツバキ、ベチベル、クルミ、及びコムギ胚芽油が挙げられる。例示的な合成油としては、ステアリン酸ブチル、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、シクロメチコン、セバシン酸ジエチル、ジメチコーン360、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、シリコーン油、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
更に、組成物は、ポリマーを更に含んでもよい。本明細書で企図される例示的なポリマーとしては、セルロースポリマー及びコポリマー、例えば、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)及び例えばナトリウム塩を含むその様々な塩、ヒドロキシエチルカルボキシメチルセルロース(HECMC)及びその様々な塩、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース(CMHEC)及びその様々な塩などのセルロースエーテル、デンプン、デキストラン、デキストラン誘導体、キトサン、並びにアルギン酸及びその様々な塩などの他の多糖類及び多糖類誘導体、カラギーナン、キサンタンゴム、グアーゴム、アラビアゴム、カラヤゴム、ガティーゴム、コンニャク、トラガカントゴムを含む様々なゴム、ヒアルロン酸及びその塩などのグリコサミノグリカン及びプロテオグリカン、ゼラチン、コラーゲン、アルブミン、及びフィブリンなどのタンパク質、他のポリマー、例えば、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド-コ-グリコリ度)及びポリ(イプシロン-カプロラクトン-コ-グリコリド)-などのポリヒドロキシ酸、カルボキシビニルポリマー及びそれらの塩(例えば、カルボマー)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸及びその塩、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸/アクリルアミドコポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリ(エチレンオキシド-プロピレンオキシド)などのポリアルキレンオキシド、並びにプルロニック(Pluronic)ポリマー、ポリオキシエチレン(ポリエチレングリコール)、ポリ無水物、ポリビニルアルコール、ポリエチレンアミンとポリピリジン、PEG化脂質などのポリエチレングリコール(PEG)ポリマー(例えば、PEG-ステアレート、l,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-1000]、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000]、及び1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-5000])、それらのコポリマー及び塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0117】
加えて、組成物は、乳化剤を更に含んでもよい。例示的な乳化剤としては、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリ-N-ビニルピロリドン及びそのコポリマー、ポロキサマー非イオン性界面活性剤、天然水溶性多糖類(例えば、デキストラン、フィコール、セルロース)、非カチオン性ポリ(メタ)アクリレート、非カチオン性多糖類、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、及びそのエステルアミド並びにヒドロキシアルキルアミド、天然乳化剤(例えば、アカシア、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、コンドラックス(chondrux)、コレステロール、キサンタン、ペクチン、ゼラチン、卵黄、カゼイン、羊毛脂、コレステロール、ワックス、及びレシチン)、コロイド粘土(例えば、ベントナイト[ケイ酸アルミニウム]及びビーガム[ケイ酸アルミニウムマグネシウム])、長鎖アミノ酸誘導体、高分子量アルコール(例えば、ステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、モノステアリン酸トリアセチン、エチレングリコールジステアレート、モノステアリン酸グリセリル、及びプロピレングリコールモノステアレート、ポリビニルアルコール)、カルボマー(例えば、カルボキシポリメチレン、ポリアクリル酸、アクリル酸ポリマー、及びカルボキシビニルポリマー)、カラギーナン、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、粉末セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート[Tween20]、ポリオキシエチレンソルビタン[Tween60]、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート[Tween80]、ソルビタンモノパルミテート[Span40]、ソルビタンモノステアレート[Span60]、ソルビタントリステアレート[Span65]、モノオレイン酸グリセリル、ソルビタンモノオレエート[Span80])、ポリオキシエチレンエステル(例えば、ポリオキシエチレンモノステアレート[Myrj45]、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエトキシル化ヒマシ油、ポリオキシエチレンステアレート、及びSolutol)、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えば、Cremophor)、ポリオキシエチレンエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル[Brij30])、ポリ(ビニル-ピロリドン)、ジエチレングリコールモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸エチル、オレイン酸、ラウリン酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、Pluronic F68、Poloxamer188、臭化セトリモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、ドキュセートナトリウムなど、及び/又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、乳化剤は、コレステロールである。
【0118】
液体組成物には、エマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、及びエリキシルが含まれる。活性化合物に加えて、液体組成物は、例えば、水若しくは他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実、落花生、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、ヒマシ、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びにそれらの混合物などの、当該技術分野において一般的に使用される不活性希釈剤を含有してもよい。不活性希釈剤の他に、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤並びに懸濁剤、甘味剤、香味剤及び香料添加剤などのアジュバントも含み得る。
【0119】
注射用組成物、例えば、注射用水性若しくは油性懸濁液は、好適な分散若しくは湿潤剤及び懸濁剤を使用して、既知の分野に従って製剤化され得る。無菌注射用製剤はまた、無毒の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の注射用溶液、懸濁液、又はエマルジョン、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液であり得る。用いることができる薬学的組成物又は化粧品組成物用の許容されるビヒクル及び溶媒の中には、水、リンガー溶液、米国薬局方生理食塩水がある。加えて、無菌の凝固油は、溶媒又は懸濁媒体として従来から用いられている。合成モノ-若しくはジグリセリドを含む任意のブランドの凝固油を用いることができる。加えて、オレイン酸などの脂肪酸が、注射用製剤で使用される。ある特定の実施形態では、粒子が、1%(w/v)のカルボキシメチルセルロースナトリウム及び0.1%(v/v)のTween80を含む担体流体中に懸濁される。注射用組成物は、例えば、細菌保持フィルターを通しての濾過によって、又は使用前に滅菌水若しくは他の無菌注射用媒体中に溶解又は分散し得る滅菌固体組成物の形態の滅菌剤を組み込むことによって、滅菌することができる。
【0120】
直腸又は膣投与のための組成物は、座薬の形態であってもよく、座薬は、粒子を、周囲温度では固体であるが、体温では液体であり、したがって、直腸又は膣腔内で融解して粒子を放出する、ココアバター、ポリエチレングリコール、又は座薬ワックスなどの好適な非刺激性の賦形剤又は担体と混合することによって調製することができる。
【0121】
固体組成物には、カプセル剤、錠剤、ピル、粉末剤、及び顆粒剤が含まれる。そのような固体組成物では、粒子は、少なくとも1つの賦形剤と、及び/又はa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及びケイ酸などの充填剤と、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及びアカシアなどの結合剤と、c)グリセロールなど湿潤剤と、d)寒天(agar-agar)、炭酸カルシウム、馬鈴薯若しくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウムなどの崩壊剤と、e)パラフィンなどの溶液遅延剤と、f)四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤と、g)例えば、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤と、h)カオリン及びベントナイト粘土などの吸収材と、i)タルク、ステアリン酸カルシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びそれらの混合物などの滑沢剤と混合される。カプセル剤、錠剤、及びピルの場合、剤形はまた緩衝材を含んでもよい。同様な種類の固体組成物は、ラクトース又は乳糖並びに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用する軟質及び硬質充填ゼラチンカプセルで充填剤として用いられてもよい。
【0122】
錠剤、カプセル剤、ピル、及び顆粒剤は、腸溶コーティングなどのコーティング並びにシェル及び医薬品製剤分野において周知の他のコーティングを用いて調製することができる。それらは、任意選択的に乳白剤を含有してもよく、またそれらが有効成分のみを放出するか、又は優先的に、腸管のある特定の部分で、任意選択的に、遅延様式で放出する組成物のものであり得る。使用することができる埋め込み組成物の例には、ポリマー物質及びワックスが含まれる。同様な種類の固体組成物は、ラクトース又は乳糖並びに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用する軟質及び硬質充填ゼラチンカプセルで充填剤として用いられてもよい。
【0123】
局所投与又は経皮投与のための組成物としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入薬、又はパッチが挙げられる。活性化合物は、賦形剤と、必要に応じて任意の必要とされる防腐剤若しくは緩衝液と混合される。
【0124】
軟膏、ペースト、クリーム、及びゲルは、活性化合物に加えて、動物性及び植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、並びに酸化亜鉛、又はそれらの混合物などの賦形剤を含有してもよい。
【0125】
粉末及びスプレーは、活性化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、及びポリアミド粉末、又はこれらの物質の混合物などの賦形剤を含有することができる。スプレーは、更に、クロロフルオロハイドロカーボンなどの通常の推進剤を含有することができる。
【0126】
経皮パッチは、化合物の身体への制御された送達を提供する付加された利点を有する。そのような剤形は、ナノ粒子を適切な媒体中に溶解又は分散させることによって作製され得る。吸収促進剤もまた、皮膚を通しての化合物の流れを増加させるために使用され得る。速度は、速度制御膜を提供することによるか、又は粒子をポリマーマトリックス若しくはゲル中に分散させることによるか、のいずれかによって、制御され得る。
【0127】
有効成分は、所望の結果を得るために必要であると考えらえるような量、時間、及び経路で投与され得る。有効成分の正確な量は、対象の種、年齢、及び全身状態、感染症の重症度、特定の有効成分、その投与形式、その活性の形式などに応じて、対象毎に異なるであろう。有効成分は、活性化合物それ自体であろうと、又は活性化合物が薬剤と組み合わせられようと、投与の容易さ及び投与量の均一性のために、単位剤形製剤化されることが好ましい。しかしながら、有効成分の1日の総使用量は、主治医によって、健全な医学的判断の範囲内で決定されることが理解されよう。任意の特定の対象のためのある一定の治療的に有効な用量レベルは、治療される障害及び障害の重症度;用いられる有効成分の活性;用いられる特定の組成物;患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別及び食事;用いられる特定の有効成分の投与時間、投与経路、及び排泄率;治療の期間;用いられる特定の有効成分と併用して若しくは同時に使用される薬物;並びに医学分野において周知の同様な因子を含む様々な因子に依存するであろう。
【0128】
有効成分は、任意の経路によって投与されてもよい。いくつかの実施形態では、有効成分は、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、脊髄内、髄腔内、皮下、心室内、経皮、皮内、直腸、膣内、腹腔内、局所(粉末、軟膏、クリーム、及び/又は液滴として)、粘膜、鼻腔内、口腔内、経腸、舌下を含む様々な経路を介して;気管内注入、気管支注入、及び/又は吸入によって;並びに/又は経口スプレー、鼻スプレー、及び/若しくはエアロゾルとして投与される。一般に、投与の最も適切な経路は、有効成分の性質(例えば、胃腸管の環境におけるその安定性)、対象の状態(例えば、対象が経口投与に耐えることができるかどうか)などを含む様々な因子に依存するであろう。
【0129】
治療有効量又は予防有効量を得るのに必要とされる有効成分の正確な量は、対象の種族、年齢、及び全身の健康状態、副作用若しくは障害の重症度、特定の化合物のアイデンティティ、投与の様式などに依存して、対象間で変化するであろう。例えば、小児又は青年に投与されるべき量は、医療従事者若しくは当業者によって決定することができるか、又は成人に投与される量よりも低いか、同様であり得る。
【0130】
本明細書に開示される活性薬剤及び薬学的組成物の有用な投与量は、それらのインビトロ活性、及び動物モデルにおけるインビボ活性を比較することによって決定することができる。マウス、及び他の動物における有効投与量のヒトへの外挿の方法は、当該技術分野において既知である。
【0131】
組成物の投与のための投与量範囲は、症状又は障害が影響を受ける所望の効果を生じるのに十分大きな投与量それらのインビトロ活性、及びインビボ活性範囲である。用量は、望ましくない交差反応、アナフィラキシー型反応などの副作用を引き起こすほど多いものであってはならない。一般的に、用量は、患者の年齢、状態、性別、及び疾患の程度で異なり、当業者によって決定されることができる。用量は、任意の禁忌の場合には、個々の医師によって調整されることができる。用量は変えることができ、1日又は数日間で、毎日1回以上の用量投与で投与されることができる。
【0132】
本開示のいくつかの実施形態を説明してきた。それにもかかわらず、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正を加えることができることが理解されよう。したがって、他の実施形態は、添付の特許請求の範囲に記載の範囲内にある。
【実施例】
【0133】
以下の実施例は、開示された主題にかかる方法及び結果を例示するために以下に示される。これらの実施例は、本明細書に開示された主題の全ての態様を含むことを意図するものではなく、代表的な方法、組成、及び結果を説明することを意図している。これらの実施例は、当業者に明らかである本発明の均等物及び変形を排除することを意図していない。
【0134】
数字(例えば、量、温度など)に関して正確性を確保するための努力がなされているが、一部の誤差及び偏差が考慮されるべきである。特に明記しない限り、部は重量部であり、温度は℃単位又は周囲温度であり、圧力は大気圧であるか又は大気圧に近い。記載されたプロセスから得られる生成物純度及び収率を最適化するために使用することができる反応条件、例えば、成分濃度、温度、圧力及び他の反応範囲並びに条件の多数の変形及び組み合わせがある。そのようなプロセス条件を最適化するために合理的で日常的な実験のみが必要である。
【0135】
本開示の代表的な化合物は、UR238の合成を」示す以下のスキームで提供されるプロセスを使用して調製することができる。
【化9】
【0136】
UR238は、SKOV-3卵巣がん細胞においてHE4発現を阻害した
SKOV-3卵巣がん細胞におけるHE4発現を、DMSO又はUR238(0.5又は2μM)で処置した後に分析した。GAPDH発現を、対照として分析した。結果を、
図1に示す。HE4発現は、DMSO処置細胞と比べてUR238処置細胞で阻害されることが分かった。
【0137】
UR238は、ECC-1子宮内膜がん細胞からのHE4分泌を阻害した
ECC-1子宮内膜がん細胞からのHE4分泌を分析した。細胞を、DMSO又はUR238のいずれかで、0.1、1.0、又は10μMの濃度で処置した。結果を、
図2に示す。分泌されたHE4レベルは、DMSO処置細胞と比べて、UR238で処置された細胞について減少することが分かった。
【0138】
UR238は、NSGマウスにおいて卵巣がん細胞由来異種移植片の増殖を阻害した
NSGマウスにおけるSKV-3 SH1卵巣がん細胞由来異種移植片に対するUR238の処置の効果を分析した。ビヒクル又はUR238による処置は、移植後9日目に開始し、腫瘍サイズを、移植後9、13、15、18、及び21日目に測定した。結果を、
図3に示す。UR238の処置は、SKOV-3がん細胞由来の異種移植片の増殖を阻害した。
【0139】
UR238は、NSFマウスにおいて子宮内膜がん細胞由来異種移植片の増殖を阻害した
NSGマウスにおけるAN3CA子宮内膜がん細胞由来異種移植片のUR238の処置の効果を分析した。ビヒクル又はUR238による処置は、移植後9日目に開始し、腫瘍サイズを、移植後10、14、18、及び21日目に測定した。結果を、
図4に示し、切除された腫瘍の画像は、
図5に示す。UR238の処置は、AN3CAがん細胞由来の異種移植片の増殖を阻害した。
【0140】
添付の特許請求の範囲の組成物及び方法は、本明細書に記載の特定の組成物及び方法によって範囲が限定されず、それらは、特許請求の範囲のいくつかの態様の例示として意図され、機能的に等価な任意の組成物及び方法は、特許請求の範囲内に含まれることが意図される。本明細書に示されて説明されたものに加えて、組成物及び方法の様々な変更は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。更に、本明細書に開示される特定の代表的な組成物及び方法ステップのみが具体的に説明されるが、具体的に記載されなくても、組成物及び方法ステップの他の組み合わせもまた、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。したがって、工程、要素、成分又は構成要素の組み合わせが本明細書又は以下において明示的に言及され得るが、明示的に記載されてなくても、工程、要素、成分又は構成要素の他の組み合わせが含まれる。
【0141】
本明細書において使用される「含む(comprising)」という用語及びその変形は、「含む(including)」という用語及びその変形と同義的に使用され、開放の非限定的用語である。様々な実施形態を記載するために、「含む(comprising)」及び「含む(including)」という用語が本明細書において使用されてきたが、本発明のより具体的な実施形態を与えるために、「含む(comprising)」及び「含む(including)」の代わりに「から本質的になる」及び「からなる」という用語を使用することができ、同じく開示されている。実施例以外、又は特記のない限り、明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量、反応条件などを表す全ての数字は、少なくとも、特許請求の範囲と均等の原則の適用を制限する試みとしてではなく、有効数字の数と通常の丸めアプローチに照らして解釈されることが理解されるべきである。
【国際調査報告】